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1950-07-26 第8回国会 参議院 経済安定委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十六日(水曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件日本経済の安定と復興に関する調査  の件  (経済の諸現況に関する件)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは委員会を開会いたします。今日は第三回の委員会でありまして、前回は二十四日に開きまして、議題としては、日本経済の安定と復興に関する調査調査事件議題といたしまして、安定本部及び公正取引委員会関係の機構及び所管事項及び他の役所との関連事項等について説明を聽取し、引続いて安定本部長官に対する質問を継続して頂きました。  本日の議題といたしましては、同様に日本経済の安定と復興に関する調査事件を挙げましてこれらの範囲内におきまして大臣及び政府委員に対する質問、それから時間がありましたならば、予定の通り経済白書説明を承わりたい、こういうふうに考えます。以上のような順序で会議を進めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは、最初質問に入りたいと思いますが、前の委員会までに委員をしておられた民主党の稻垣さんから、前の委員会のときに、特に外資導入に関する法案の際に審議に加わつておられたわけですが、その後アメリカに行かれて、帰られてこれと関連して一つ質問をしたいというお申出がありましたので、皆さんの御了解が得られれば、委員外発言として質問を許したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは、最初稻垣さんの質問から入りたいと思います。
  5. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 前国会に、私経済安定委員の一人といたしまして、外資に関する法律案審議に当つたわけであります。当時非常に時間切迫のときにその法案が出されまして、そうして我々は、その法案の内容について、いろいろ研究すべき事項が多かつたと思うのであります。或る一部の方々は、これは審議を未了にして、今後改めて研究する方がよいという御意見も随分あつたように思いますけれども、当時の情勢といたしまして、我々はできるだけ一日も早く外資を入れ得る状態に置きたいと、そういう意味で、その不備の点を承知しながら、その法案の通過に実は私も賛成の一票を投じた一人であります。併しながら、当時私の不備だと思う点については、御指摘申上げて置いたようなわけでありますが、今日改めて外資に関する法律案に関連して質問をすることを、今日私は委員外でありますが、委員長に申出ましたところが、早速お許し由得ましたことを恐縮に存じ、非常に喜びとするところであります。  そこで私の御質問申上げたい点は、第一に、まあ外資を入れたいということは、現政府が非常に前から希望されておるところであり、又我々もこれについては同感を持つておるものであります。それで外資は、又大体二つの形で人つて来ると思いますが、一つは、いわゆる資金そのものが入つて来る形の外資と、それから一つは、技術或いは技術に関連して、証券投資といつたような形で入つて来る二つ方法があると思うのであります。それで外資そのもの資金そのものとが入つて来まするところのいわゆる長期資金の部一面におきましては、今日アメリカにおいて、非常なる各方面事業拡張が相次いで行われでおります。殊にプアウンドリーのごときは、殆んど本年度一億トンを目標とした生産計画を立てられてそうして各鉄鋼業者は非常なる拡張をいたしており、化学工業においても、又その他の関連工業においても同様であります。從つて国内におけるところの資金需要というものは、これは非常なものであります。かてて加えて南米のアルゼンチン、ブラジル又はメキシコ方面におきましては、工業化の運動が盛んでありまして、アメリカ工場主はこれらの土地工場を建設する、或いはこれらの土地事業家と提携いたしまして、新たなる事業をそれらの土地に起すということで非常に資金需要が殖えております。その他南米においては資金を廻す場合には手取り八分にはなるようでありまして、私は主としてこのアメリカ信託銀行ブリスであるとか、或いはハリソンであるとか、ザ・ファースト・ボストン・コーポレーンヨン、或いはラザール・フレール、デイロン・リード、そういつた信託銀行社長あたり会つた結果といたしましては、日本との平和條約が締結されませんければ、言換れば日本ブレトン・ウツズ協定に入つて、そこでエクスポート及びインポート・バンクを利用する、それを通じてそれらの信託銀行資金を流す、それは幾らでも流そうと言つております。これはギヤランティーされますから、危險を避けるという意味で、そういうところを通じて流すということならできることでありますが、なかなか長期資金の調整ということは、これは困難であろうと思うのであります。困難な長期資金の問題は別にいたしまして、技術供與の問題について少し話して見たいと思うのでありますが、この技術供與について、私は実際にいろいろ御依頼を受けまして、そういう沢山会社人達日本に対する或る種の技術供與するという問題に対して折衝を行なつて来た。その結論といしまして私が感じましたことは、先ず第一に技術供與ということを問題にする場合、向うの人は事業そのものよりも、相手の人のことを一番の問題にしておる。人の如何、この経営する人の如何ということが一番の問題になつておると思うのであります。この問題については、戦争中或いは戦争後引続いて十年以上の間、日本首脳者と、そうして向う首脳者との間に全然繋がりがない。而も最近日本会社を経営されておられます方達は主な人達パージになつて、そうしてこれらの人達從来関係を持つておりましたけれども、最近の人は殆んど関係を持つていない。関係を持つていない初顔の人が向うの人と会つて話すから、可なり話が纏まらないという難点一つあると思うのであります。  第二の難点は、日本技術供與する、で供與を受けた方の日本側におきましては、その設計に從つてその通り工場プラントを作る。そうしてその技術によつて製造する。こういう場合におきましては、労賃が安いだけに日本品物が安くできるということが想定されるのであります。そういう場合を予想いたしまして、どのアメリカ会社におきましても、必らずその国のライセンスによつて、或いはノーハゥによつて作られあところの品物というものは、自分の関係の、言換えるならば、アメリカ自体並びにカナダ、メキシコ、そういつた方面には輸入しないという一つ條項契約の中に加えて貰いたいということを強く主張されるのであります。第二点がいつも技術供與について難点になつておりますので、技術供與という問題が日本では大きく取上げられておりながら、実際には日本技術が入つて来ていない。或いは話が停頓するということは、この二つの問題によることと思うのであります。そして私が政府の御所見をお尋ねするのでありますが、第一の人という問題については、この際從来アメリカとそういつたような資金交流、或いは技術交流というような点において、向うとの顔知合い人々がいわゆるパージ沢山なつておられるのでありますが、そういう人のパージを解いて貰いたいということについて努力される意思ありや否やということが第一点であります。  第二点は、いわゆる只今申上げましたこの独禁法に触れるところの條項であります。いわゆるその国に再び輸出しない。再びではありませんが、教えられたところの技術によつて作られた品物を輸入しない。こつちから言えば輸出でありますが、輸出しないと、こういう條項を入れることについて、これが独禁法に牴触するわけであります。独禁法の第六條に牴触するわけでありますが、その独禁法第六條について何らかの特別措置を講ずるところの御意思があるがどうか。この点を先ず第一にお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  6. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お答えいたします。第一の点でありますが、仰せの通り敗戰後日本経済民主化のために有能な財界人がいろいろの理由パージされておることにつきましては、誠に惜しいと考えものであります。併しこれらに関しましては、今日までそれぞれの理由で一応パージになつておりますので、お話のように、できればこういう方が本当に戦争遂行に關與したものでないというような個々の場合もあるようであります。今後におきまして、日本再建のためにパージが解かれるように努力することも是非必要ではないかと、かように考えております。併しなかなか事実は困難のようでありまするが、努力して見たいと思います。  第二の点につきましては、技術供與する国において、從来輸出をしておる事情が特許権実施区域になつておるというような場合におきましては、そこで販売することを禁ずるということは、これは特許権の定むるところによつて保護されておるので、これはやむを得ないかと思いますが、そういう特許権のない市場における販路までも或る種の制限を加えるということについては、今お話のような点が起つて来るかと思いますが、これらに対しましては、丁度公取委員会の方が出席されておりまするので、その方から独禁法のことについてお答えを願つた方が適当かと思いますが、その方にお願いたすことにいたします。
  7. 中山喜久松

    政府委員中山喜久松君) 独占禁止法が、戰後におきまして日本に課せられた経済民主化基本法といたしまして、重大なる使命を持つておるということは、すでに御承知のことであろうと思います。只今お話国際契約制限條項につきまして、独占禁止法に違反ということになりますれば、どうしてもこれに対して我々は法の命ずるところに從つて解除処置をいたして行くより外ないということは御了解願えること選思うのでありまして、又只今お話によりまして、大体その條項独占禁止法に違反するものであるということについてのお考えもお持ちのようなのでありまして、ここに私は特に法律論を申上げる必要もないかと思うのでありますが、今までのところ、只今お話のようないわゆる販路制限的なものがありました場合の処理につきましては、公正取引委員会といたしましては、契約又は協定中のこの種の拘束約款削除を命じて参つたわけでございますが、実はその削除によりまして、まだ件数もそう多くはございませんけれども、契約又は協定が根本的に破棄されたという例を実は聞いていないのでございます。從つて我々委員会といたしましては、現在のところ独占禁止法第六條は、むしろ我が国の事業者外国事集者から、その事業活動について拘束を受けますのを拜除することに役立ちますことが多く、何ら外資導入障害になつていないのではないかと考えて来ておるわけでございます。只今稻垣さんから、アメリカにおきましていろいろ御交渉になりました御実験談の一端を承わりまして、非常に有益なる暗示を得たと思うのでありますが、何かの機会に更に詳細にその状況を承わることができれば、非常に我々の参考となると考えております。  以上申上げましたようなわけでありまして、只今のところ我々といたしましては、今後独占禁止法の第六條の規定が現実に外資導入障害になるような事例が多数生ずるというような懸念があるといたしました場合には、又そういう懸念なきや否やにつきまして十分研究をいたして行き、又改むべき必要のある場合は改めるという考えを持つておるだけであります。今直ちにここで改正をしようという意図は持つておりませんが、十分なる研究はいたしたいと、こう考えておるわけでございます。
  8. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 今中山さんからの御説明によつて、これは私ははつきり第六條に牴触する、独禁法第六條に牴触しておりますことを認めますので、從つて第六條によつてそう言つた場合に対して何ら例外的な規定を設ける意思ありや否やを実は承つたのであります。第六條に牴触することは私もはつきり承知しております。それで今までありましたようなものにつきまして、そういう規定があつた場合には話をすれば、それを削除して大体契約が成立したというお話でありますが、この点も私よく承知しております。併しながらこれは私もそこまで行つた場合に、これは裏でいろいろな話合で、これは私自身いろいろな関係でぶつかつておる。裏でいろいろな話合いで、実はそれを削除したという事態がありますので、そこまで話が進んでおる場合は、いろいろな話合いでそれは方法があると思うのであります。併しながらそういう潜るような方法でやつておるよりも、正々堂々とこの問題についてはつきりして置いた方が、今後の技術供與を受けるために、向うへ折衝する人達にとつて非常に利益じやないか、今やつても殆んど契約ができてしまつて、草案を出されて意見を聞かれるという場合には、私は裏で何とでもできると思います。又率直に行つてつておると思います。併しそれでは本当に公正な契約とは私は言えないので、やはり公正な契約をやるためには、この條項は私はどうも支障になると思うのであります。私が向う交渉をいたしまして、或いは五つ六つ交渉した案件があるのでありますが、そのうちの四つまでは、この條項が引つかかつてどうしてもこれは困る、こういう話であります。これを突き破つて言換えれば暗黙の了解の下に何らかの交渉をすれば、できぬこともないと思いまするけれども、そういつたような不明朗なことで一体やつて行くよりも、この條項は私は実際に無意味だと思います。特許問題では又或る意味においての保護がありますが、アメリカから一つノーハウ習つた、その習つたものアメリカへ又輸出するというようなことは、私自身すでに商売道徳からしておかしいと思います。そういう点を避けるような何らかの、言換えれば特許供與国に対しては、これは再びこの第六條の制限を課しないというような何らかの一つ特別な但書と言いますか、この第六條に対して註釈を加える必要があるのではないかと思うのでありますが、この点について重ねて一つ周東大臣の御意見を承わりたい。
  9. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 独禁法規定が段々と経済復興し、それに関連する取引が行われて来るに從つて、多少不合理なところが出て来るというとに対する御意見は私も同感であります。從つて只今のような特例の場合におきまして、よく一つ独禁法規定につきまして研究をいたして見たいと思います。ただこの際直ちにこれを削除するとか、せぬとかいうことは只今申上げかねますけれども、御趣旨を汲みまして、よく研究をいたして見たいと思います。
  10. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 周東長官の御説明で、今後特にこの点について御研究を下さるということでありますから、どうかただここだけの御答弁でなしに、本当に一つ研究下さるようにお願い申上げて置きたい。これは非常に重大な問題だと私は思つておるのであります。尚これに関連いたしまして、向うでよく話に出ますことは、日本が今言つたようノーハウを習う、或いはそういつたような問題で日本技術供與する、そうすると、非常に労銀が安いために非常に安い品物向うへ入つて行く。ところがこれに関連しまして、日本では或る人が或る品物を或る値段で売る場合に、あとの人がそれをぶち壊す、お互い値段競争をする、値段が安いために從つて品質も下つて来る。從つてノーバルを教えておりますから、品質的に惡いものが出て来るということのあるのは非常に遺憾である。例えばそのときによく話を受けたのでありますが、英国あたりでは、洋服地などはアメリカ洋服地よりも二割乃至三割高い洋服地を売つておる、而もその洋服地団体アメリカ品質はいいが、実際にイギリスの洋服地というものはいいのだ、頑としてきかないで二割か三割高く売つているが、アメリカのジェントルマンは喜んで、それをむしろ誇りとして買つておる。フランス化粧品は、今科学がアメリカの方が発達いたしておりますので、いいものアメリカでできるにも拘わらす、五割も高いフランス化粧品アメリカのレディは喜んで買つておるというような事態に徴して見ましても、日本がどうしても或る意味において高くてもいいから、いい品物を出す、或いは品物競争、或る意味において品質低下競争、或いは値段のまちまちな点、こういう点について矯正するために、この独禁法には違反するけれども、輸出組品を……アメリカでは輸出組合が許されておりますが、この輸出組合を作るための意思なきやということを向う貿易業者並びに産業界人々からたびたび質問を受けたのでありますが、この輸出組合に対して、これは或いは通産大臣にお伺すべきことかも知れませんが、輸出組合について周東長官はどういうお考えをお持ちになつておりますか、一応伺いたいと思うのであります。
  11. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 日本経済積極的復興というものに関しまして、根本的な総合的な計画を立てなければならんときに来たつております。その間に当然取上げられる問題は輸出の振興というところに重きを置かれて参ることも、これも稻垣さんも御承知通りでありますが、それをやつて参りますと、おのずから只今のようないろいろな面から考え輸出組合等ができて、お互いお互いの力を以て或る程度品質が低下しないように、或いは品質をよくして価格の低廉なものを供給するように、又販路についても或る程度の不必要な競争をしないようにとい、うようなことをすることが、又輸出を伸ばして行く上においての必要な点になつて来るかと思うのでありますが、只今まで敗戦後独禁法等ができて、從来の同業組合的なもの輸出組合的なものが今止められている恰好になつておりますが、先程申上げましたような点において、今置かれた日本の地位と、今後日本が積極的に産業復興のために乘出すために考えらるべき輸出に対する各種の方途考える場合において、総合的に只今の点なんかにつきましても、本当に真劍に取上げて一つ考えて見たいと思います。
  12. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) その点については今輸出組合等について真劍に取上げて御研究下さるということでありますから、これは一つ長官のお言葉を信頼いたしまして、どうかその方向に御研究を願いたいと存ずるのであります。  次にお尋ねしたいことは、法人税法中第十七條だと思うのでありますが、個人又は会社が三〇%以上の株を一人で持つておりまする場合には同族会社と見なされまして、そうして積立金等高率税金がかけられることに相成つておるのであります。ところが大体外資が入つて来ますという場合におきましては、三〇%以上或いは四〇%というような株を外国会社が持つという場合がたびたび起つて来る思うのであります。そういたしますというと、外国会社特許なんかの関係で、特許現物出資の形でこれに対する株を日本で三〇%以上與えるという場合には、その外国会社同族会社と見なされまして、そうして積立金高率税金を課せられる、こういうことに相成ると思うのでありますが、この法人税解釈は、これは外国人会社には適用されないのか、されるのか、ただこの法律の上から見まするというと、何ら断わつてありませんけれども、断わつてないだけに外国会社に適用されるように存ずるのでありますが、その点についての解釈はつきりして置くことが、外資を導入する上において非常に必要だと思うのであります。
  13. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御質問の点につきましては、お話のように只今のところ当然そういうふうな解釈になるようになつております。併しそのことが外資尊人に関して大きな妨げになるということについてのお説も御尤もでありますので、これを只今大蔵省と折衝いたしておりまして、何とかそれがかからぬような方途に持つて行きたいと折角交渉をいたしておる最中であります。
  14. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) これは大蔵省においては、お説のように一般に外国会社も又日本会社も同じように考えるという御意見のように私は承知いたしておるのであります。ところが今申上げましたように、これでは外資導入に非常に支障があるのでありますが、すでに外資が三〇%以上入つておるところの会社が二、三あります。そういう連中がすでに決算期に到達いたしておるのがありますので、この点がはつきりいたしませんと、その積立金が三分であるのか、或いは七分が適用されるのか、こういつた問題について非常に困つておるようでありますから、これはすでにもう三月前から起されている問題でありまして、尚はつきりいたしておらぬのであります。この点は安本として至急にはつきりして頂きませんと、どうしても外資導入妨げになる、かように考えますので、この点を特にお願い申上げて置きます。  次に、外資に関する法律で、この前私は三点ほど、これは不備である。從つて今通しにくいのだが、これはとにかく外資を入れることは必要で、ないよりは増しであるというので出したわけでありますが、そのときにお聞きしました質問の点で、私三点あつたと思いますが、第一は、許可制でなしに届出主義にして貰いたいということが第一点であります。第三点は、第何條でしたか、通産大臣技術の告示を決めることに相成つておりまする点、それから第三点は、第十五條の二項でありますが、どうも少しはつきわしませんので、その当時質問いたしましたのですが、このところがはつきりしなかつたのであります。その三点について、その後どのようにお考えになつておるかということを実は承わりたいのであります。先ず筋一点は、やはり許可主義を当分おとりになるおつもりであるかどうか。第二点は、通産省が、技術とは如何なるものだということを告示されることになつておるのでありますが、一体その点について私は向うでいろいろ話をしましたときに、向うではこの法律案の英訳をみんな大概事業会社が持つておりまして、一体日本政府というものが、技術というものを告示できるだけの知識を持つているのかという、私が当時質問したと同じような質問を私がされましたので、私が何だかこの法律作つたように思われて甚だ当惑したのであります。こういつたような條項は私は以ての外だと思つておる。どういう技術を入れるか、入れぬかということは、業者同士話合いでいいことでありまして、わざわざこれを規定するがごときは実に私はあまりにも迂遠だと、かように考えておるのであります。この点も一つ伺いたい。第三点は、第十五條の第二項で、いわゆるノーハウその他は無形ものでありまして、現物ではありません。仮にその無形ものに対して株を供與した場合、その株金に対するところの配当は円をトルにコンヴアートして送金することができないような解釈であつたと私は覚えておる。かくのごときは殆んど我々はパテントなんかは実際知りたくない、パテントなんか周知の事実でありまして、パテントに公示されれば大概の人は分るのであります。それよりも我々に一番必要なのはノーハウである、そのノーハウを知るために我々は高い技術料を拂うのでありますから、向うもその技術供與するために貰つたところの株に対しては当然ドル送金を許されなければならない、かように考えるのであります。この点は、「物」ではなくて、「もの」と仮名で書き直してあるのですが、当時は「物」という字がはつきり書いてあつたと思うのですが、いつその辺が書き変えられたのか、その点をはりきりさせて頂きたい。それは「もの」と書き直したことは私は結構だき思うのであります。だがせめてこの委員会ででもその辺はつきりさせて頂かぬと……委員長に私は御注意申上げたい。委員長が御存じないということでは困る、その当時は私は「物」であつたと思つております。その辺の御返事を私は承わりたい。
  15. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お答え申上げます。第一点につきましては、当分まだ認可制をとることになつております。漸次これは緩和して行きたいと思つております。その次には、今の投下されるノーハウが外貨を使用しても取得する価値があるものであつて、且つこれを正当に評価して株式を取得した場合には、認可標準に合う限り外資に関する法律第十五條第二項の規定によつて配当金の送金は許されることになつておりまして、それは今御指摘の法律第十五條第二項の「もの」が仮名の「もの」になつておることから、当然さようになるのであります。尚お尋ねの「物」が仮名の「もの」にいつなつたかというお話でありますが、今その点聞きますると、まだ案としていろいろ御審議つている際に「物」だつたそうです。それで法律がいよいよ正式に国会に出るときには「もの」に変つてつたそうです。從つて成文法には仮名の「もの」になつている、かように御承知を願つてよろしかろうかと思います。
  16. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 第一の認可届出については順次変える、この前もそういう御説明であつたのですが、まあ一足跳びに届出主義が私は賛成だと思うのですが、これは意見の相違でありまして、この点は私それ程追及はいたしません。今の第十五條第二項の問題については私はとにかく「もの」にいつの間にすり変えられたのか、この点は私は委員長の立場として、委員長はつきりして頂きたい、かように考えるわけであります。それから例の通産省で技術の範囲を決めるという問題についてのお答えがなかつたようでありますが、この点を一つ承わりたい。
  17. 石橋徳太郎

    説明員(石橋徳太郎君) 只今「物」が「もの」に変りました経緯は、四月の二十九日に衆議院におきまして御審議をお願いするときに、変えたということを通告いたしましたのでございます。從つてその後ずつと原案では「物」が「もの」に変つて、こちらの参議院でも御審議つておる筈でございます。尚これを変えましたことは、解釈を広くいたしまして、ノーハウなどが日本に導入されましてその結果そう金が保証されますようにという意味で変えました次第でございます。それから技術の公表の点でありますが、これは外資委員会が民間各位の御意向、政府各省の意向などを参酌いたしまして、公表いたすべき技術の種類を決定いたしまして、これを外資委員会の告示という格好で公表いたすということになつております。これは法律的な意味はございませんで、むしろ日本側技術の導入を希望する事業家が相当ございますようですが、相手側が分らないというために、我々の側にもいろいろそういつた間合せとか、相手万を探して欲しいというようなお申出がございますのですが、こういつた、現在いわば盲貿易式に外国の事情が余りよく分つておりません折柄、そういつた希望を取纏めまして、外資委員会の名前で発表いたしますと、それによつて外国のそういつた技術を持つておられる投資家が日本技術援助を行うというための参考に寄與する、いわば制限的なものではなく、逆に当事者間の契約の円滑な遂行を図るための一つの手段というようなことで公表いたす目的でございます。それから反対に外国側から日本に対して、こういう技術を自分が持つておるが、これを供與したいという申出がございました。すでに在外事務所等にもそういう連絡が幾つかございますが、日本側のどういうところがそれを受入れるのが至当か、どういうところで望んでおるかというようなことも分らない場合が多いのでございますのです。そういつた外国の投資家の希望も取人れまして、これも告示に含みまして発表いたしたい。こういうようにいたしたいと考えております。從いましてこの技術の公表の目的は、決してそういつたものに限るとか、公表を申出なければ技術援助の契約の認可の申請の対象にならないというような制限的の意味は毛頭ございません。それだけ申上げます。
  18. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今の條文修正の問題につきましては、私もはつきりとは覚えていないのですが、恐らく予備審査のときはあの「物」といつた字が確かあつたような記憶があるのであります。それが衆議院に引かかつておる間に修正されたらしいのでありますが、この参議院の委員会で、いつはつきりされたのか、その点私自身も記憶がございませんし、或いは私自身も最初の「物」のままで、そのままそれで修正がなされたのか分らぬままに進んでおつて、今日私初めて見て、知らぬ間になつてつたものであります。或いは私の知らぬところもあるかも知れ、ませんが、この條文修共の問題については、後程私自身も調べて適当に取計らいたいと思います。
  19. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 今の問題はそれで結構です。只今政府委員の御説明でよく分りましたが、それが「物」でも「もの」でもそのいきさつは私は強いて追及する意思はちつとも持つておりません。ただ実際にはこれがまだ問題になつておるのじやありませんか。言換えればノーハウについては実際送金を認めるとか、認めないということについて一、二の会社がお困りになつておるような点があるように私は考えておるので、これを実は伺つておるわけであります。御説明通りならば、私はもう異議はありませんが、どうもその辺が実際に契約をされた方がお係へ行くと、係の人がそれは駄目だというような、或いは駄目らしいというような話があつたやに私は承知いたしておりますので、この点を伺いたいと思います。  それから技術の公表の点は、いわゆる拒否的な考え方での公表ではなくて、持つて来れば何でも技術の公表のうちに入れるという御趣意に今承つたのです。それならば私結構ですから、その点は了承いたします。
  20. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 第一の点につきましては、はつきりと大体ノーハウに対しての投資株、所有持株に対して送金を認めることにはつきりしております。
  21. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 私の外資に関する質問はそれで打切ります。  尚、先程委員長お話がありました経済安定その他についての御質問がありますので、私は委員外でありますけれども、若しでき得れば過当な機会に質問さして頂きたいと思います。
  22. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 若し余り時間をとらないようでありましたら、引続きやつたらどうですか。外の委員の方にお諮りをいたしたいと思います。よろしうございますか……。
  23. 石橋徳太郎

    説明員(石橋徳太郎君) その前に言公表のことについて補足さして頂きたいと思います。只今稲川さんから、民間の希望は何でも公表のうちに入れるというようなお言葉がございましたが、私は先程民間の希望を参酌してと、こういうふうに申上げた筈でありまして、何でも公表の中に取入れるというようなことはいたさぬつもりでございまして、結局余り常識外のような公表希望の向きに対しましては、これは適当に削除するなり、又は事務的にお打合せをして御訂正を願うなりして行つて、公表の内容については成るべくこれを権威付けたいというふうに考えております。尚公表されたものについて法的な効果はないと申上げましたが、事実上公表される種類の技術に関しまして、技術援助契約などが申請されました場合は、認可される可能性がやや大きい、こういうふうにお考え置き願いたいと思います。
  24. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつと稻垣さんに聞きたいことがある……。
  25. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつとその前に、周東長官は予算委員会からも呼ばれておられるそうでして、成るべく早く切上げたいという御趣意でありしますから、それを含めて一つ御協力願いたいと思いますが、特に御質問でしたら、どうぞ……。
  26. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 初歩的な質問で恐縮ですけれども、ノーハウというのはどういう意味でございますか。
  27. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 訳してどういうふうに言いますか、向うではノーハウという言葉がはやつておりますが、技術の経験という意味ですか
  28. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 経験を蓄積としてできたつ一つの……。
  29. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) そういうことですね、特許にはなつていない。併しながら今まで長年の経験の蓄積なり、或いは特に特許にすれば公表されるから、すぐ分りますね、特許にしたいで、公表しないで持つているところの一つ特許的な秘密と言いますか、そういつたものですね、ノーハゥというのは……。
  30. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 有難う。
  31. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) それでは私朝鮮事変に関連した問題で二、三お伺い申上げたいと思うのですが、先ず第一には、朝鮮事変に関連してと申すよりも、こういつたような事変が次々に起きまする場合、先ず第一に私は南方方面の資源というものが、仮りに印度支那あたりで何らか騒乱が起きたという場合に、南方方面の資源というものを、原料を日本が得られないというケースが起きやしないか、そういう場合を予め予想して計画をお立てになつておるかどうかということを先ず第一にお伺いいたしたい。
  32. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 朝鮮事変の勃発によりまて、いろいろと今こちらの計画等に多少影響が起つておりますが“併し只今のところ南方の辺までについての最惡の場合を考えることは、まだ早いかとも思つております。我々はできる限り早く、希望的ではありますが、そういうことのないようなことを希つておりますから、これを前提として、こうするということを申上げるには少し早いと思います。併しお説のように、あらゆる場合を考えて、いろいろ企画して置くことは必要かと思いますが、目下それらのことにつきましての、総合的な計画というものの樹立を進めておりまする中へ、併せて万一の場合を考慮してどうなるだろうということを頭に入れて施策中ではありますけれども、まだ別に確定に抽んでおるわけではございません。
  33. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) その辺まで考えてやることはどうかという周東氏の御意見、これは御尤もだと思いますけれども、併し実際問題としてこういうたような朝鮮問題を契機といたしまして、南方方面に第二の朝鮮問題が起き得る可能性もあり、又その可能性がありませんでも、例えばゴムの場合を想定いたしましても、從来のシンガポールの値段というものが殆んど倍以上に、始んどじやない、倍以上になつておる今日、ゴムは買えない時代が私は長くないうちに来るのじやないか、これに対してどういうふうなお考えを持つておられ、又南方におけるところのビンタンの例の軽金、アルミニウムの原料、こういつたようなものにつきましても、或いは南方から私は来ないような事態が起き得ると、私はかように考えておるのであります。こういうものに対して、何らかの手を今から打つて置かないと、これは遅蒔になつてしまう。言換えれば今からこれをストックして置くということも一つ方法である。又例えばゴムのごときは、例のポツダム政令第三号で人造ゴムの、合成ゴムの工場は取上げられることになつておりますが、これは果して合成ゴムの製造を禁止したという意味かどうか、これははつきりしない点もありますし、又仮りに禁止されておりましても、今日の事態においては合成ゴムは何も軍需品ではないのでありますから、合成ゴムというものの製造を許可されるように交渉を開始されるというようなことは当然あつていいのではないかと、私は考えておるのであります。私はゴムに関係しておるから、ゴムのことを申上げるのは甚だ恐縮でありますけれども、例えばアメリカにおいてもあの非常に高い四十セントに近い値段で、とても日本もやつて行ばないだろうし、今後買うと言つても大変じやないか、それで日本でも合成ゴムを作る必要がある。アメリカのゴム会社はこぞつてこれを支持するという、こういつたような話も実は受けておる。そういう空気があるときでありますから、合成ゴムに対して日本に製造を禁止しているのか、いないのか、あの第三号というのが第一段。第二段に、禁止しておるならば、これを禁止を解いて貰う、こういうような話をお進めになつて、今からでも決して遅くないのではないか、こう思うのであります。この間私の同僚議員が通産委員会でこの質問をいたしたところが、そんな意思は全然ないというそつけない政務次官の返事であつたと聞いておるのでありますが、こんなそつけない返事をするがごときは、これは通産行政を知らぬ者と私は言わなければならん。もう少し先を見てお考えを願いたいと思うのでありまして朝鮮事変に関連して、私は例えばボーキサイトの原鉱でありますとか、ボーキサイトとでありますとか、或いは今のゴムでありますとか、そういう問題について必ず支障が来る。支障が来るのを予めこれを予防して置くということがどうしても必要であろうと思う。殊にボーキサイトのごときは、これは量的に大量のものであります。というか、トン数を相当の多数の船を要して持つて来なければならん。トン数から言いましても、相当の数量を運ばなければならん、こういうものでありますから、こういうようなものは予め手を打つて置くということが、どうしても必要だと私は思うのでありまして、この点にこついてもう一遍長官の御意見を承わります。
  34. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 大変な御心配のようでございますが、私共も同感であります。ただ私が申上げたのは、それらに対しては特に注意をして、お話のような線は勿論のこと、もう少しいろいろの点について考慮をして案を進めておるということだけを申上げておる。と申しますのは、余り大変だ大変だと言つて準備するのもよいけれども、それでなくてもぴんぴんと値段が上つてつておるのであります。お話のような点は特に御注意に從つてよく進めたいのですけれども、そこに余り声を大にして言つてよいことと、惡いこととあつて、結局国の損失になり、又買えないことが起ることもあろう。併し大体の方針としては、お話のような諸点については十分考慮しつつ、安本で案を進めておるということだけは申上げて置きます。
  35. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 今周東氏のお話でよく分りましたが、どうか殊に今のポ政令と関連がある問題なんかは、これは余程注意を要することでありますので、十分慎重に御検討を願つて置きたい。私は決して朝鮮事変があるからと言つて驚いておるわけではありませんが、又驚きもしないし、私はこの点については一向準備をすれば差支ないと私は考えておるので平気でありますが、ただ準備はやはり密なることを要すると思う。この点について特に注意を願いたいと思います。  そこで第二にお伺いいたしたいことは、この朝鮮事変に関連して、往々にしてあちらこちらから再統制の声を聞くのでありますが、これはどつから私は出ているのか知りませんが、そういつたような声を聞くのであります。で或いは安本において御計画を立てられる場合に、再統制といつたような考え方を持つておられるかどうか、殊に鉄鋼その他については再統制についてのお考えを持つておるやに新聞なんか伝えておりますが、そういつた考えがあるのかどうか、或いは統制されないならば、統制されぬだけの準備をされておるかどうか、そういう点について承わりたいと思います。
  36. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今日の場合いろいろな点から或いは価格が上つて来ておるものも相当あります。又特別な方面へ特別な物が流れておるというようなことか起るいろいろな点を考えまして、でき得る限り必要なものを多くこの際国内に置いておくことを先ず第一に考えて案を進めておりまするので、只今のところ直ちに各般のものについて再統制をするということを考えてはおりません。併し事柄は、経済の動きと、政治の動きというのは確定不変のものでないのでありまするので、将来の諸情勢等は絶えず注目しておりまして、それに処するの途は併せて常に考えて行きたいと思つております。
  37. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 今の周東氏のお話から、再統制の御意思があるのか、或いは御意思がないのかちよつとはつきり掴めない。まあ場合によつてそういう場合が起きる場合を予想されて、いろいろ上手な言い廻しをされているように私は思えるのですが、そこで大体再統制はされないようなお気持だと私は承知していいし、又再統制されないように今から準備されることが必要だ、こういうことを私は実は申上げたいのであります。折角統制を苦労して外したのに、又統制をするということは、これは、我々実に又二重の手間をするということでありまして、再統制をしないで済むように原料その他の手当について十分の御注意を施して頂きたいと思うのであります。從つてそれと同時に、例えば基本産業でありまするところの鉄なり、或いは石炭なり、こういうものについては、この際合理化を促進して頂くということがどうしても必要になつて来る、かように思うのであります。それで鉄、石炭についての合理化については審議会もできまして、二十八年度を目標として、大体御案も出たやに私は承つておるのでありますが、そこで一体こういう鉄なり或いは石炭なりの工業が合理化をするためには相当の資金が要ることは、これはもとよりであります。何でも審議会の案では鉄鋼四百二十億、石炭四百億ど承つているのでありますが、一体その資金の手当について十分の了解を得られる御確信があるのかどうか、その辺を承わりたいと存ずるのであります。
  38. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 合理化審議会における答申は、最近研究ができたようでありますが、先ずそれに副うて具体的にどう持つて行くかということについては、まだ私の方では聞いておりません。これからの問題でありますが、これは併し今の場合やはり取急いで対処すべき問題であろうと思います。而も今後における日本の各種製品を輸出の上に現わして行くためにも、最も上質な廉価の物が必要である。同時に国内においても同様なことが言える。その点におきましては、可なり合理化の面において機械の新設、改善或いは人件費等の占むる割合というようなことを考えつつ、而も積極的に雇用量を増すように能率的な生産というものに向つて進むという必要から、合理化の徹底ということについては稻垣さんと同意見であります。從つてそれをなすについての恐らくは設備の新設、改善等に要する資金というようなものに対して、相当に国家が考える必要があるのであります。これらにつきましては、大蔵当局とも密接な連絡をとつて、折角基礎産業としての合理化を促進するために万全を期したいと考えております。
  39. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 周東さんの今の御決心、非常に私は有難く思うのでありますが、往々にして財政の面から制約されまして、実際の企業の合理化というものが中途半端になつてしまう、中途半端の企業合理化なら、私は日本の鉄鋼業なんかは実際に他の国の鉄鋼業と太刀打ちができないから、むしろ止めてしまう方がよろしいというような極端な意見を申上げたいと思うのであります。從つてどうしてもこれを根本的な産業の合理化をするために必要であるところの資金は、これは一つ周策さんが職を賭しても大蔵大臣とお掛合いを願つて、これの一つ資金をお願いしたい。政務次官の小峯さんはこの点では非常に前から御承知だと思いますので、是非御努力を願いたいと、このように思うのであります。そこで実際問題といたしまして、石炭価格並びに鉄鋼価格というものは、これは大きな問題で、産業の合理化に俟つところが多いのでありますが、例えば印度の炉前四ドルとか、或いはイギリスの六ドル、こういつたようなものには及ばなくつても、せめてアメリカの炉前八ドルの線まで一つつて来なくちや困ると思うのであります。炉前八ドルの線に持つて行くために、どうしてもこの設備資金の融資を考えてやるということと、その次にこの設備資金でありますが、この設備資金も今の石炭鉱業は三百五十億の借金を復金からいたしておりますが、これが二銭五厘で借りているということでは、私は産業の合理化はできないと思う。どうしてもこれは見返資金並に七分五厘あたりに復金の金利を引下げて貰つて、暫くの間この復金の借入金を棚上げにするということでないと、本当の合理化は私はできぬと思うのであります。そこで先ず第一に伺いたいのは、こういつた点について復金の利息というものを、見返資金より安くとは言いませんが、見返資金並に七分五厘程度にまで持つて行きたい。暫くの間、少くとも企業合理化ができるまで、二三年間棚上げにするという点についてどういうお考えでいらつしやるか。この点を承わりたいと思います。
  40. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 第一の復金の問題ですが、借入利息の引下げということに対しては、大体大蔵大臣とも相談いたしておりまするが、これはどのくらいということは申上げ兼ねますが、その線に沿うて努力することに大体話しが纏まつております。続いて借入金の返済を暫く待つて棚上げせよという問題でありますが、相当個人的には同感の点もあるのですが、これは今までのところむずかしい情勢でありますので、復金というものを特殊な金融機関に持つて行くということが一つ考え方であり、或いは長期的なもの考えて見てはどうか。又復金の返済されて来た金を、暫らく特別な勘定科、目と言いますか、旧勘定と新勘定を分けて一つ動かしたらどうかというようなことも、懇談的には出ておりますが、これに対してはまだ今日確たる御返答を申上げるわけには行かぬのでありますが、折角何らかの形で合理化に資するように金融を付け、その金融機関が相当に役立つように働くようにして貰いたいということで努力しているということだけ申上げて置きます。
  41. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 周東さんが今非常に努力して頂いている点は私は了といたすのでありますが、とにかく炉前八ドルに持つて行きませんと、日本の鉄鋼業が成立つて行かない。鉄鋼業が成立つてん行かぬということは、自然基礎産業が成立つて行かないというので、今後の日本輸出の大綱は機械工業、金属工業に移つて行くと思うのでありますが、どうしてもその意味からいたしましても、鉄鋼業は炉前八ドルの石炭を使うところまで持つて行つて頂きたい、かように思いますので、そこで今の復金金利の問題並びにその他の問題について、特段の一つ御盡力を願いたい。殊に復金の金利の問題については、今お話を頂いて、大体そういう方向に進んでおるということでありますから、私はこれは非常に喜んでおるわけであります。この点は、特に今のお話通りに御協力を願いたいと思うのであります。  それから尚例の鉄鋼業の補給金の問題でありますが、銑鉄補給金は残つておりますが、これもいずれ外されると思いますが今産業についての合理化を三年計画で鉄鋼業をやつておりますが、その間は何らかの形において助成金その他を出して鉄鋼業を育成されませんと、鉄鋼業が頭を打つてしまつて、どうにもならなくなるのじやないか、このように考えるのであります。こういう点について、その助成金を出すごとについて、如何たるお考えをお持ちになつておるか承わりたいと、かように存ずるのであります。
  42. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 鋼鉄については補給金を撤廃し、銑鉄だけ残つておることは御承知通りであります。いろいろな事情から、希望として民間の方でも、鋼鉄の補給金等も尚暫く出せというようなお話がありますが、私共は過去において、稻垣さんも御承知のように、製鉄業というものは可なり甘やかされたと言うと叱られるかも知れませんが、確かに補給金というものに甘えて積極的に合理化をして来なかつたということを私共は信じております。こういう意味から言つて、思い切つて、補給金がなくなつてどこまで合理化するか、真劍にやつて貰いたいと実は思つております。その上でどうしてもいかん、又そのために関連産業に與えられる影響というものが非常に大きくて、産業の再建なり国民生活の安定上に必要なものに及ぼす影響が相当にきついというようなことがあつて、しつかりと合理化の線で、この辺まで行くのだ、これからあとはどうしても行けぬのだというようなときに、そういう事情が判明したときに改めて考慮さるべき問題であると、かように只今のところ考えております。尚通産省その他関係当局とも、よくこの点についてはお話合いをして考えて行きたいと思つております。
  43. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) それは周東さんのお話のように、石炭にしても、鉄鋼業にしても、傾斜生産方式で、とにかく量的に沢山出せばいいということのために、随分これらの業者のお尻を叩いた。お尻を叩いた結果が、何かお菓子の甘いものを出さなければいかんというので、甘いものを出して甘やかした。これは確かです。その点は私も認めるのであります。併しながら審議会で、二十八年度までにこの程度までという御計画をなさつておる点をよく御検討を願いますというと、甘やかざれたところの要素を取去つてしまつても、鉄鋼業は或る程度の助成金がなければ成り立つて行かないのだという結論になると私は思うのであります。今まで甘やかしたからというので、何もかにも取上げてしまつて、発育盛りの子供に砂糖分を與えないということは、ちよつと困ると私は思うのであります。一体今まで行き過ぎたから、今度は膾まで吹かなければならんという行き方は、私は当を得たものではないと思う。少くとも安本としては冷静にその辺はお考えになるべきものであると思うのです。從つて助成金の問題は、金言つたような観点から、先きに延ばしてもう少し合理化を見ておるというようなお考え方は、これら業界にとつて非常に不親切なやり方ではないかと思います。從つて日本の企業の根本に対して非常に下親切になるのじやないかと考えまして、この点はもう一度周東さんのお考えを承わりたいと思うのであります。
  44. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今私がお答え申上げたものも、大体御趣旨と同じだと思つております。とにかく最つた瞬間に、やつて行けぬのだ、やつて行けぬのだということだけで来られてもいけないのじやないか、少くともこれはこういう形で補給金を打切る、それを打切られることによつて、自分らの方ではどういう点について合理化の線をここで進めて行く、進め方がこれ以上はどうも行かぬのだということの話合が出て来て、そこの点で初めて考えられるということを申上げたのでありまして、合理化委員会でもいい案ができておるようであります。暫くの間要求さるべき補給金、政府の助成金と申しますか、額も弾き出されておるようでありますが、そういう点なんかにつきましては、十分事情を聞いた上で処理さるべき点であろうということを申上げて置きたいと思います。
  45. 稻垣平太郎

    委員外議員稻垣平太郎君) 周東さんの今のお話で、私の考えていることと大体同じことでありますので、これ以上申上げません。是非一つ基礎産業でありますだけに、石炭なり鉄鋼業については、私が申上げたことについて十分御考慮を煩わしたいということを申上げて、私の質問をこの程度で打切ります。
  46. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を止めて……。   〔速記中止〕
  47. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて……。
  48. 野田卯一

    ○野田卯一君 日本の貿易の状態が最近非常に振つて来て、外国為替管理特別委員会ではどんどん外貨資金が溜まるというような状態で、從つて日本の国内のインフレの傾向を抑えるという点からいつても、輸入が必要だということは皆さんがあらゆる機会に言つておられることであります。それがために輸入計画を大幅に増大するということが決められたがのごとく、先日の予算委員会説明があつたのでありますが、本日の新聞報道によりますと、関係方面意見として、追加輸人的或いは繰上輸入的な問題が棚上げにされたような記事がちよつと出ておりますが、これに関する真相がお分りだつたら、速記を止めても、止めなくてもよろしいのでありますから、御説明願いたいと思います。
  49. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 外貨勘定のことは、或いは正確に申上げるのは少し当を得ないと思いますが、私の承知している範囲で今の問題を御説明申上げます。朝鮮の問題が起りまして、先程もお話がありましたように、又再統制するのじやないかというような問題が起りまして、再統制はしたくない、輸入の問題を上手に扱えはいいじやないか、たまたま御指摘のように輸入が案外伸びて参りまして、外貨の勘定もトル資金も相当溜まつて参りましたので、これを上手に使つて再統制をやらないで行こうじやないかという話で、七——九の輸入の計画も、四——六に比べると少し殖やすような扱いをいたしておるわけであります。從つて外貨の勘定は相当額がありまして、五億ドルぐらいはあるというふうに言われておるわけでありますが、そういう数字をだんだんに掴まえて参りますと、相当ドルもありますから、そのうち半分ぐらい使つてもいいじやないかという話が極く素朴な考え方で取上げられたのでありますが、併しだんだん精査して見ますというと、輸入の引当に沸わなければならない国内ドル資金がその中に含まれておるのでありまして、手持のドル・キャッンユは、それに引当の額もあつたりしまして……相当あります、三億とかいう資金を一時に使えない関係もありまして、殊にワーキング・ファンドも必要になつて参りますので、だんだん検討いたしまと、三億ドルあるが、本当に使えるものは幾らもないじやないかという結論になつたのであります。さような技術的な点から、極く非公式に言われた輸入、繰上輸入の問題も、少し様子が変つて来たような次第であります。併し棚上げというのではなしに、私共の考えでは、まとめて一億とか、一億五千万ドルとか、大きなものを輸入するということでなしに、七——九のものを急いでやつて、加えて極く緊急のものだけを、額は小さく区切つてでもやるというような追加の方策をとつたことは結局三億ドルというような、技術的な見地から最初に率然として最上げたようなことは、考え方が少し変つて来たということだと御承知を願います。
  50. 野田卯一

    ○野田卯一君 簡單ですが、三億ドルとか何とかいう外貨資金のあり高というのは、キヤッシユ・バランスのこととを言つておるのですか。
  51. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) さようであります。
  52. 野田卯一

    ○野田卯一君 そうすると、キヤッシュ・バランスを、輸出がどんどん殖えておるから、輸入の方が輸出よりも少い、そうすると、キャッシュ・バランスが余つて来るじやないかと、私共には常識上頭に来るわけですが。
  53. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) その点はお説の通りでありまして、輸出は案外伸びておりまして、朝鮮事件からドル收入が相当予想されるわけでありまして見通しといたしまして、相当ドルの勘定はよくなると思いますが、何分にもドルを扱つておる関係筋の御意向も手堅い一点張りでありまして、成る程見通しとしては相当あり得るが、併し仮りに相当の額が余つてつても、七——九で拂うものが一応一億五千万ドルとして、半分残つたとしても、それが次の十月一杯で拂わなければならんようになるとか、或いは十一月になるとか、或いは十二月になるとか、この三月の間に早く支拂を要求されるかどうか分らないような、浮動のような状態にあつて、そういう点で手堅く抑えるべきだという意見、そういうふうになつものであります。從つて私共といたしましては、今お話のような意見を入れまして、輸出は伸びておる。而も朝鮮の事件から来るドル收入も多い筈だということを附加えまして、重ねての折衝はするつもりであります。併し今のところは最初に私が申上げた通りになつております。
  54. 野田卯一

    ○野田卯一君 ちよつと希望ですが、いま日本アメリカから年間二億ドルというので援助を受けなければならないということは、日本には外貨資金がないから援助を受けなければならんという情勢だと思う。それがために日本に呉れる。そういう窮乏しておるという前提で一億ドルを日本に呉れる際に、外貨資金、三億ドルのキヤツシユバランスが残つておるということは、どうしても為替常識上不可解だ、それを堅く堅くと踏んで、三億ドルぐらいをいつも残すようなことになると、何のために二億ドル呉れる予算をとつたかという問題が起つて来る。その点非常に何だか割切れぬものがある。その点勿論経済安定の方も努力されると思いますけれども、十分やつて頂きたいということを特にお願い申上げて置きます。   —————————————
  55. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは質問は次回に継続することにしまして、これから経済白書の説明を聞くことに御異議ございませんか……。経済白書の説明を聞くことにいたしまする。
  56. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 詳細はこの白書を担当いたしました説明員が見えておりますので、説明させますが、今まで出しましたものと比べまして、幾らか特徴だと思つて自負できます点は、特に気を付けて客観的な事実の叙述に終始したつもりであります。統計なども十分信用のできるものを選んで参りまして、巻末に統計表を附しておりますが、どこまでも統計的な事実に基いて冷静に客観的に述べたということが特徴であるように思います。そうして殊に通貨安定と言いますか、その通貨安定から入つた安定の仕方が、今までの経済と少し違つた様相で経過しておりますから、それが次の段階にどう繋がらなければならんかというようなことを指摘したつもりでございます。詳細は説明員についてお聞き願いたいと思います。
  57. 後藤譽之助

    説明員(後藤譽之助君) 今政務次官から御説明申上げました通り、できるだけ数字を盛込むようにいたしましたことが特徴でございますが、そのために表の数なども從来の白書よりも、今回は四回目でございますが、前の三回よりも大分多いように思つておりますので、組立ては目次を見て頂きますとお分りになります通り、安定計画一ケ年の概観と申しまする前段と、経済回復の現段階という後段とに分れております。そうして羊の前後に「はしがき」と「むすび」が付いておりまして、「はしがき」と「むすび」には多少主観的の文章も連ねてございますが、「はしがき」と「むすび」と安定計画一ケ年の概観というところの一番終い、即ち第二段階に移ります前の第四、「はしがき」の目次二ページに書いてございます昭和二十四年度の意義という、この三つのところに、大体の白書の思想的な根幹ができております。内容は御覧の通り、安定計画の意図がどういうふうに進捗したか、安定計画の意図がどういうふうに結実したかということを、安定計画の進展というところのインフレの收束、自由経済への移行、企業合理化の進捗、国際收支の改善という項目に分けて謳つております。インフレ收束の段では、財政金融の動向、物価と賃金の安定して行く有様、それを叙述しております。それから第二の有効需要と産業活動、結局昨年の経済を振返りまして、一番大きいところでは、売手市場から買手市場に移りまして、購買力ということが問題になつて来た。その購買力ということが問題になつて来たということを頭に置きまして、購買力の大きな構成要素であります。財政及び民間投資、国民消費、それから貿易というものが、昨年一ケ年間に二十三年度に比べてどう動いたかということが書いてございます。それを分けまして、需要の面と生産がどういうふうに動いたかということが書いてございまして、この二の有効需要と産業活動という欄を見れば、需要と供給のバランス・フートがここにできておるわけであります。その次に農業と雇用、生産の面も去ることながら、社会的な面への影響として、農業生産と、雇用面にどういう影響を安定計画が持つたろうかというということが書いてあるわけであります。それから前に申上げました通り、昭和二十四年度の意義というところでは、この安定計画というものが、それでは今見て来たような推移を辿りながら、結局白であつたか、黒であつたかということを一応反省しておるわけであります。その第一段階について、主なる数字と申しますか、内容だけを、今申上げました順序に從つて注意して頂きたい個所だけを申上げて、非常に急いで参りますと、第一番目に三ページの第一表を見て頂きますと、つまり財政資金の対民間收支が、二十三年度には七百二十四億であつたのが、二十四年度には六百五十二億になつた。この数、字が非常に安定計画の性質を端的に物語つておるではないかと思いまするそれに対比いたしまして、この第四表を見て頂きますと、財政の方は六百五十三億引上げたのに対しまして、金融機関に対しては、九百二十一億の追加信用の供與があつた。これがいわゆる財政の引締めと金融の緩和で以てデイス・インフレの線を推持したというゆえんでございますが、その九百二十一億のうち、日銀の追加信用が八百六十六億、こういうふうな数字になつております。それから産業資金の方は、それに伴つて五千三百六十八億、第五表に出ております。これは前年度と比べまして、四〇%程度の産業資金供給の増加でございます。物価騰貴というものを考慮に入れましても、一五%の資金供給の増加でございますが、これは主としていわば運転資金の増加というものに賄われておるのでございまして、設備資金は実質的には二十三年度より二十四年度の方が少少減つて。おるという計算になるのでございます。九百二十一億の追加資金の供給、それから六百五十二億の財政の引上、こういうものともう一つ並びまして、昨年のデイス・インフレをうまくやりました原因とて、預金の増加がございますが、それが第六表の預金増加、その一番左の隅を御覧願つて頂きますと、三千八百七十二億の金融機関の預金増加ということがございまして、当初の貯蓄目標二千五百億の五五%、目標をオーバーしておる。併しながらこれはよく申されます。るように、貸出しと再建の預金増加もあつたのでございますが 一応定根性預金の比率を見ましても、二十三年度より二十四年度の方がよくなつておりますので、通貨安定に伴う貯蓄構成の増加ということは見逃し得ない点でないかと思います。  それから時間がございませんが、物価と賃金の推移の主なる表だけについて申上げますと、物価がどんなに、昨年、一昨年に比べて落着いて参つたかは、十二ページ、十三ページの境の第九表を見て頂きますと分りますが、結局闇物価というものが一年に一六一%増加しておつたのが、去年は三二、三%で落着いておる。実効物価の方と公認物価は生産財の方は補給金が削減されたので多少統制を続けておりますが、実効の方は消費財で見ると一〇%低下を示しております。同じように賃金が落着いて参りましたことが、十四ページの第十一表の一番左の方に書いてございますように、一年に一四%しか賃金が上らない、こういうことになつております。  それから自由経済への移行という点は、その次から書いてございますように、單一為替レートの設定、補給金制減、消費者価格と岳産者価格の鞘寄せ、閥との鞘寄せ、特に端的に自由経済に移行しておることを示しておりますのは、十八ページの第十四表、指定生産資材指定項目数、指定配給物資指定項目数、公団数、価格統制件数というものが、この一年間どのように減つてつたかを示しております。それから十九ページから書いてございますのが企業合理化の進捗状況でございまして、これは皆さん御承知通りでありまするから、改めて申上げるまでもないと思います。それから二十三ページの十九表を御覧になつて頂きますと、生産量に対する輸出量の比率で、いわゆるエクスポート・プレツシユアが高まつてきたので、昨年一年で以て二十三年度より輸出で以て九八%、輸入で三三%しか殖えなかつた。それで輸入を自分の自力の輸出で賄える比率が第二十表の六行目のA対Bの比率については三三%、三八%、五六%というように高まつてきております。それからあとは方々に書いておりますようなことでありますから申上げませんが、先程御説明いたしました通り、二十五ページから有効需要と産業活動、投資、消費、消費だけちよつと申上げて置きます。と、二十三表の「実質賃金の動き」というところに書いてございますように、耐乏生活と言いながらやはり昨年中に実質賃金というのは二八%上昇しておるということが、少くとも統計の上から窺われるということは注意して頂けると思います。但し二十三年度中には、実質賃金の上昇は七七%であることがここに書いてございます。  それから時間の関係でずつと飛ばしまして、生産の動きが三十六ページに書いてございますように、二十三年度より三十四年度が鉱工業生産で二五%ぐらい増加しております。それからあとはずつと飛びまして、先程申上げました昭和寸一十四年度の意義ということが五十一ページに書いてございます。から、それについて極く簡單に御説明申しますと、ここでは安定計画はこの程度の社会的、経済的影響で以て久しきに亘つたインフレを止めることに成功したことは、何といつても安定計画の成功ということができるのではないか、但し安定計画の最終の目標というもの経済の自立である。経済の自立が最終の目標である以上、インフレだけが上つたからといつて楽観することは許されないので、インフレーシヨンのヴエールによつて隠されていた日本経済の構造と、それから回復の水準というものを直視すべき段階ではないだろうか、こういうふうな論理に從いまして、第二段階の経済回復の現段階というところに入りまして、そうしてここでは、もう一度目次のところを見て頂きます。と、お分りになりますように、国民所得水準と資本蓄積力、国民の生活水準、貿易の規模と構成、生産及び企業面に現われた諸問題、価格構造の分析、こういうふうに五つに分けて分析しておるわけであります。第一に、分析に入ります前に、戰後において日本経済の困難が起つたのは、單にドツジ・ラインだけのせいではなくて、結局領土の四〇%の喪失、それから二五%の国富の戰争被害による喪失、人口の千百万の増加というような、いろいろな基本的な原因があるのだということを述べているのでございます。その次に書いてございますことは、国民所得水準というものは、実質的にすれば昭和九—十一年の大体九〇数%というところまで戻つておりますが、人口はその間に一五%増加しておりますから、一人当りの国民所得としては、結肩七〇数%の回復に止まつている。その他資本の蓄積力も非常に落ちて、金利も戰]前に比べて大体二倍、アメリカに比べて三倍の水準に止まつているということが、この五十七ページの四十五表に書いてございます。  それから生活水準につきましては、安定本部の計算によりましては、大体七〇%から七四%、戰前昭和九—十一年に対しての生活水準であるということが帰結されまた。農村では戰前の生酒水準は低かつたのですが、落ち方も緩くて八六%、両方総合いたしますと、七六%乃充七八%の生活水準ということに帰結されております。それは先程申上げました一人当り国民所得水準の低下というものと歩みを一にしているわけであります。家計收支の状況が四十七表に書いてございますが、戰前は例えば実收入が一〇〇ありますと、そのうち支出は九一だけで、あとの九%を貯蓄に廻し得たというのが、昭和二十四年度におきましては、一〇〇の收のうち一〇一を支出に当てて、マイナスの一、特に租税公課の比率が、ここに御覧になりますように、戰前より飛び抜けて多いということが目立つております。それから項目別に消費水準を現わしますと、六十四ページの四十八表に書いてございますように、歓食費、主食費は大体一〇〇%に実質的に回復しておりますが、それは「いも」を入れてでございます。「いも」を抜きますと八五%、それから被服費の低下というものが非常に著しいように思います。住宅もこれは食い潰しによつてこの程度の数年を保つておりまして、今後の国民生活の水準の問題は住居と被服の問題にあるように思いまする。  それから貿易の規模と構成におきましては、大体三割ぐらいの水準に止まるのではないだろうかというふうなことが、この六十二ページの五十表、五、十一表を見て頂きますと、昭和九—十一年に対して、実際の貿易数量というものがどの程度に止まるかということが分るのでありまして、輸出が非常に落ちている割に輸入の落ち方は相当ひどいですが、輸出程ではないということは、その輸入を外国援助によつてつているということであります。  それから輸出入商品構成、地域構成については御承知通りでありまするから、改めて御説明申上げるまでもありません。それから結局ドルとポンドの通貨交換の比重性の問題がありまして、結局昨年末の統計ではスターリング地域に出超になつておりまして、可なり超過しておるということが五千四表に書いてありますが、その超過しておるスターリング地域、ボンド地域の数ケ月分だけドル地域への入超は多くなるわけであります。  生産及び企業面に現われた諸問題では、御興味のありそうな表は五十五表でございまて、これを見て頂きますと、結局ここでは設備の稼動及び利用状況、持つている設備の幾割を動かすかということと、使つている設備の能力をどれだけフルに利用しているかということ、この二つに分けて書いてございます。例えば高爐は百台あつたら三十台くらいしか使つていないが、使つている高爐一基々々につきましては、その能率一〇〇%以上に使つておる。これはコスト低下に役立つておる。それから五十六表に資本並びに資産構成の比較で、社外資本というものが戰前に比べて多くなつていることと、固定資産より流動資産の比率が多くなつたということが、この両方から見て頂けるのではないかと思います。先程石炭のことについて稻垣さんの御質問がありましたが、結局地球を半周したり、或いは太平洋を渡つて来たりするために、重化学工業の原料取得の條件が小利になつているということは、六十八ページの五十七表を見て頂けば分るのでありまして、軽化学工業におきましては、棉花などはアメリカの業者の取得価格より一割増の値段で買えるのでありますが、塩などの価格ではアメリカに比べて二十数倍という違いがある、その違いの大部分が運賃というものの違いに基いているのだということが、この表で見て頂けると思います。  それから価格構造の分析では六十九ページから七十ページの第五十入表でございまして、つまり生産物一單位当賃金が昭和九—一一年を一とした場合に、二十四年は三百十三倍、卸売物価においては二百三十三倍にもなつておりまして、物価よりも賃金が高いように見えるけれども、それは決してそうではなくて、実質賃金の低下している割合よりも労働生産性の低下している割合の方が多いということであります。これを裏から申しますれば、工業の労働生産性は戰前の五〇%に低下している、工業の平均実質賃金は戰前の七〇%に低下している。実質賃金、一單位当りの住産力は戰前の七割にしか回復していないということが書いてあるわけでございます。それから物価構造のところで御注意願いたいのは、原料一局、生産安ということが言われておりますが、七十ページの五十九表を見て頂けば分りますように、原料と製品の物価構成に、原料がまだ安くて製品の方はまだ高いという割合に出ておるわけでございます。それは補納金が附いておるからということで説明されます。補給金が次第に減廃されるに從いまして、その構成が構造変化をして来る、その構造変化の過程にあります現在、原料高で製品安だというようなことが感覚として産業界に受取られているのだということになります。現在の状況、それから昭和九—一一年の物価構造に比較して見るに、原料安、製品高ということを御注意して頂きたい。それからもう一つ、普通の常識と違つておりますのは、七十二ページの六十一表でございまして、日米物価の比較、日本の物価とアメリカの物価を比較いたしましたところ、日本の物価の方が安いという結論が出ました。これは日本の物価の方が高いだろうというように一考えてやつた作業と違いましたのですが、いろいろやつて見ますと、やはり世界中でもアメリカの物価は高いわけですから、それと比べて日本の物価が安いから、為替がどうこうというような問題になるのではなくて、一応ここでは重工業品と軽工業品に分げまして、そうしてアメリカの物価と比較している。この点も常識とは違いますが、一つの資料になると思います。そういうような分析をいたしまして、結局たびたびこの委員会におきましても、大臣説明しております通り、結局経済の安定、若しくは財政金融的安定が一応貫かれたら、その次に実質的安定と申しますか、今申上げましたような経済の水準の低さを正すとか、或いは構想のゆがみを正すとかいうところに、今後の問題を発展させて行かなければなりません。そのためには、海外及び岡内市場の拡大、資本の蓄積というものに一層直進すべき時期に直面しておる。そうして我々がとにかく安定計画一年の成果というものを身に付けて、経済の更に実質的な発展に向つて行くということが、むしろ安定計画の転換というよりも、むしろ更に一歩前進ということになるのではないかということで結んでおるわけであります。
  58. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) これの後、最近の朝鮮事変あたりと関連させて、特に説明されるようなものはありませんか。
  59. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 最近の朝鮮事件の影響でありますが、承知しておる限りのものを、まだ纏まつておりませんが、御参考までに申上げたいと思います。  物価の高いことに集中的に現われておるように思うのでありますが、この物価高も朝鮮の事変だけの影響でなしに、世界物価の高騰という面からも大分来ておるように思うわけでありまして、非鉄金属とか、繊維製品などは大分上つてはおりますが、直接朝鮮の問題から来ておる影響というものは左程まだ大きくないように思います。但し朝鮮の問題を国民の焦慮というものに使つて、多少その面で気分的に上げておるものもないではないように思います。花嵐なところ、朝鮮関係の物資の調弁の形式は、軍と業者の直接のものでやつておるものが多いようでありまして、政府として掴み切れないでおるようなわけであります。尚関係筋でも從来経済科学局では、この関係が的確に掴み切れませんで、その悩みは実は日本政府と同じような感じがいたします。併し例えば船の一部分の徴用の問題だとか、或いはゴムだとか、木材だとか、電線だとか、殊にクラフトペーパーによる砂嚢であります。砂袋なんかが相当これは需要が出ておるようであります。今のところは直接業者と契約いたしまして、それをドルで拂つて、ドルを円に換えるというふうな方法でやつておるようであります。ただ一部分特別調達庁の関係で、労務者の関係を代行しておるような面のものもあるようでありますが、これは勘定を区分しまして埋めて頂くようなことになると思います。安定本部といたしましても、日本経済に対する影響を総合的に掴みますために、どうかその調弁の方法を統一してやつて頂きたい。これを経済科学局を通してお願いする筋にいたしておりますが、そういうわけで、全体としての影響をまだ総合的の数字の上で掴み取るところまで行つておりません。尚需要される物資の金額などにつきましては、いろいろのことが言われておりますが、併しそれも正確な根拠のあるものでもなさそうであります。そんなことで、まだ的確にそれに対する影響というものが掴み切れておりませんが、要は朝鮮の問題だけでなしに、世界的な物価高時代どいうものが来ておるように考えるのでありまして、私共その二つの線から、先程長官からも申されましたように、日本経済に対する影響を最小限度に食止めるためには、輸入の早期の操作その他で押えて、再統制と申しますか、今までやつたようなことを蒸返したくないという、そういう方針で進んでおるわけであります。尚数字が若し的確に掴め律したならば、又委員会に御報告申上げるようにいたしたいと思います。
  60. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今白書を中心にした説明が終りましたのですが、これに対して質問がありましたらやつて頂きますが、尚人事委員長の木下さんから発言を求められました。どうぞ。
  61. 木下源吾

    委員外議員(木下源吾君) 今の御説明の中に、一ケ年間の実質賃金の値上りが一八%とか、二八%とかいう御説明があつたのですが、あの根拠をもう少しお聞きしたいと思います。
  62. 後藤譽之助

    説明員(後藤譽之助君) 今の二八%と申しましたのは、若しお手許にございましたならば、二十八ページを御覧頂きますとお分りになりますように、毎月勤労統計というものから工業平均賃金が出ておりますから、それをやりまして、それによりまして、それを税引きの指数に直します。それからそれを消費実効物価、それで毎月の動きで割りまして、そうして実質賃金の指数を出しまして、一年前とここで申しますれば、二十四年と二十三年とを比べまして、そうして実質賃金を出しております。但し御質問の趣旨は、そういうところにあるんだと思いますが、雇用整理によりまして、側と賃金の水準の低いものが整理になりまして、或いはこれは支拂うべき賃金であつて、遅配欠配というものは十分にこれに反映していないと思うのでありまして、その点は多少問題があるかと思います。
  63. 木下源吾

    委員外議員(木下源吾君) 私は今の実効価格と雷われましたが、闇物価は下つてつても、いわゆる労働者の必雲物資というものは逆に上つておるという面を余程考慮に入れられなければならんと、こう思つておるのでありますが、そういう点についての特殊な考慮を拂つておられるかどうか。実際面においては、今申されるような全体の闇物資が下つて、実効価格が安くなつたという面では、恐らく労働者にはそれほどの影響はなかろうと、こう考えておるのであります。私今人事委員長でありますが、その面で実は調査をお願いしなければならんと考えておるわけでありますが、そういう点について御説明を願いたいと思います。
  64. 後藤譽之助

    説明員(後藤譽之助君) 今のは闇の下つたことだけを考慮に入れておるのでなくして、闇とと両方をとりまして、それを実際の消費量によつて加重平均して、そうして消費財の実効物価が出ておるわけであります。お説のようなものは、一応盛り込んだ数字だと心得ております。
  65. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 外に御質問ありませんか。
  66. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今実際の市中の織物などの状況を見てみますと、綿製品その他は急激に上つておる。小売商のようなところも非常に困つておるし、このままにして行つたならば、更に再統制をして貰わなければできないようになりはしないか、併し再統制をしたならば出廻りが少くなつて又困るようになつて来る。それでこの際再統制はせないのだ、品物は大丈夫あるんだからというようなことを声明して頂くと同時に、又そういうふうな品物はできるだけ現在の小売商を通じて流すんだという、こういうふうなことにして頂けば上る率も少くなるし、又小売商のようなものも安心してできる。こういうふうなことを言つておる。又一方の方では非常に生糸が高くなつておるというようなことで、この秋の絹織物が幾らになるか分らない。全く手の付けようがないという現在の状況になつていると、こう巷間で聞いておるのであります。実際どういうふうな状況であるか、それをお伺いしたいと思うのであります。
  67. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 御指摘のような事実があるのでありますが、紡績の問題から申上げますと、紡績の輸出が実は非常に思いの外伸びまして、もうすでに紡績会社では一月までの契約を全部終つておるような状態であります。特に国内価格を公で輸出価格に比べますと、糸の値段で約半額に抑えておりますものですから、先約まであります関係上、どうしてもこれは国内に廻すべき糸を輸出用に引当ててしまうわけであります。それで国内用のものを引当てておりますが、輸出は六月で締めまして、すでに世界で一番大きい輸出量を確保するようになりまして、そんな関係で少し輸出の景気に調子付いて国内に割込んでおるわけでありますが、その対策としましては、先般勧告価格と言いますか、国内に廻すべきものまで輸出の方に廻してはいかぬのではないかという注意をしております。続いてやりたいと思いますのは、国内のものに対して、怠けておりますものに対して電力だとか、そういう工場経営上の扱いなども多少加減したりして、注意を喚起しようじやないか、再統制の話もありますが、お説の通りやれば、ますます逆の効果にもなるような懸念もありますし、全体から見まして、まだ戰争前の三割五分から四割くらいの設備しか持つておりません。生糸も人絹も大体押並べまして、令部で四割くらいのところまでしか復元しておりませんから、海外の物価高に応じて需要が出ております。これだけ国内に響いておるのであります。輸出を抑えさえすれば問題ないのでありますが、ドルの欲しいときで、輸出を抑えるのはどうかというようなことで、実は私共思案投首なんであります。生糸も一頃非常に心配したのでありますが、この頃は化学繊維との交織混ぜ織りが大分アメリカなんかでもはやつておるようでありまして、これは始めますと、なかなか量が多いようであります。そういうような関係で繁栄しておるように思います。人絹も非常に高いのでありますが、綿や生糸が非常に出ておりますので、国内需要は人絹で賄うより方法があるまいということと、それからパルプがやはり入つて来ますものが、クラフト・ペーパーなんかに使われたり、その需要が多いことと、一般にパルプの入手が非常に困難なものでありますから、響いて来ておると思います。全体としましては、繊維製品が、特に人絹などは五割も実は一ケ月くらいの間に上つておりまして、それだけに非常に御迷惑をかけておるのでありますが、なまじつかこれをいじることがいいか惡いか、殊に貿易がどんどん伸びての影響なんで、この扱い方には実は困つておるようなわけでありますが、綿糸に対するのと同じような方法で国内に廻しますものを勧奨して殖すような方法を一遍とつて見るが、根本的には設備の殖えない限りは、なかなかこの点がむずかしいのではないかというようなことで、目下どういうふうにしたらいいか対策を研究中なんであります。
  68. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は羊毛ですね。羊毛の輸入状態及び毛織物の今後の価格の動向、こういうふうなことをちよつと一つ説明を願いたいと思います。
  69. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 羊毛は輸入も予定通り狂いなく進むつもりでありますから、実際の影響はあるまいと考えておつたのでありますが、ただ朝鮮事変で繊維類の需要が結局毛であろうというような、むしろ思惑的な動きがそういう作用をしておると思います。從つてこれは早目に輸入の実行をやりさえすれば、輸入の計画は何らの齟齬は今のところないのでありますから、顔さえ見せれば落着くであろうという見込で、むしろ毛につきましては、私共は外の繊維類より楽観しておる状態でございます。
  70. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) よろしうございますか。
  71. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 農村では毛織物の関係で、大分緬羊の奨励をやつておる。緬羊の奨励をやつているのだが、最近非常に羊の値下りによつてつておるような状況であるのでありますが、今後外国から毛が入つて来る、或いはその毛が入つて来ない、或いはその毛の値段がどうだというふうなことが緬羊の奨励にも非常に関係があると思うのです。が、こういうふうな点にも、更に一つ説明をお願いしたいと思うのです。
  72. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 私共この輸出が大体ポンド地域に勝つておりますので、ポンド地域の関係から言いますと、相当あちらからも買つてやりませんと、なかなか輸出が伸びないというような関係で、例のローガン構想以来、御承知のように毛も入り易くなつて来ておるわけであります。從つて今のお説のような点で、農村に対して多少響きもありましようが、と言つて、これを抑えてしまうと、やはり全体の貿易の構想の上に非常に影響があるように考えまする私共は農村に対する対策というのは、総合的に他の点から考えるべきものだというふうに考えておる。特に農村の毛類などは商品としてよりも、自給的な意味で、労力の調整だとか、或いは総合経営の角度からお考え願えれば、あまり市場に対して神経質になつて頂かなくてもいいのじやないかと、勝手な考えをしているわけですが、尚対策につきましては、十分農林省とも打合せまして、策を立てたいと思います。
  73. 山本米治

    ○山本米治君 御承知通りに、紡績の錘数に対する制限が撤廃されたわけですが、そうして各紡績会社等、非常にこれの増錘に努めておるようでありますが将来綿花の輸入見通し、将来と言つてもそう、長いことでなくて、目先及び将来の綿花のお見通しを一つ伺いたいと思います。
  74. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 綿花はむしろ今までが供給過剩ぐらいな状態でありまして、作柄を制限しておつたようなことだと承知いたしております。
  75. 山本米治

    ○山本米治君 作柄というのは、日本のですか。
  76. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) いや、アメリカの実は状態でありますが、そのために最近端境と言いますか、そのとがめが出て来て、むしろ綿花は向うでは相場が上つておるようであります。今、申上げましたように綿花の作柄を抑えるような状態でありましたので、私は綿花の問題は実は心配はない、日本もまださつき申上げましたように、一番多かつたときの設備の三分の一強ぐらいしか実はないのであります。從つてその綿花の手当の仕方につきましては、心配ないわけでありますが、たたドルの資金の問題もありますが、今までのようにポンド地域だけの輸入が勝つて、輸入資金の点で事欠くようにも心配しておりましたか、最近ようやく生糸の輸出なんかも伸びておるような状態であります。尚人絹なども伸びておりますが、又朝鮮問題でドルの方の輸入が殖えると思いますので、綿花の輸入だけは実は心配なしにやれると、業者自身もかように考えております。
  77. 山本米治

    ○山本米治君 先程輸出が振い過ぎたので国内の分が輸出に廻る。從つて国内の供給が不足し、価格が上つておる、こういう話がありましたのですが、国内の分を食つてまで輸出に向けるということは、輸出の方が価格の割合がいいのかどうか若し今のように国内が非常に上つて来て、輸出がそれよりも安いということになれば、海外からダンピングという問題がすぐに言われるのですが、この価格関係はどういうことなんでしようか。今まで内地のものまでも食つて輸出をするということは、輸出の方が割合がよかつたのかどうか。それから今の国内が上つて来たという問題と関連して、今後むしろ輸出を国内に廻すように、経済法則から言えばなると思うのですか。
  78. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 御指摘のような点は非常に実は私共心配しておつたのでありますが、この綿布に関する限り逆でありまして、糸で換算いたしますと、輸出値段の約小分くらい国内の方か安いのであります。從つて約十三万円、或いは六万人、七千円だと聞いておりますが、大分違いますものですから、ついそつちへ流れるようになつているから、国内の価格が上つても製品が附いて参りませんと、なかなかこういう関係がむつかしいようであります。ダンピングの懸念はそういう意味で絶対ございません。
  79. 佐々木良作

    ○講員長(佐々木良作君) 外に御質問ございませんか。
  80. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これは速記なくてもいいのですが、若しあれだつたらば……。
  81. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  82. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。
  83. 山本米治

    ○山本米治君 先程、特需が先方の軍から民間業者へ直接に発せられておる、直接取引なので、まだ安定本部の方にはそういう実情がよく分らない、收支等もよく分らないというお話でしたが、その決済は業者が直接注文を受ける場合には無論決済の話も付いておると思うのでありますが、数字は分らなくてもよろしうございますが、決済の方法がどうなつておりますか、実例等多少お調べと思いますが、その様子を伺わせて頂きたいと思います。
  84. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 現物を直接軍へ納めまして、最初行われたのは、何か品物の領收書のようなものを発行する。その領收書を見返りに軍の方からドルを拂う、そのドルを為替銀行なり、或いは日銀へ持つて行つて円に換えて貰つておるというふうな恰好をとつておるようです。
  85. 山本米治

    ○山本米治君 ドルの小切手ですか。
  86. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) そうのようです。
  87. 山本米治

    ○山本米治君 それを為替管理委員会が買上げるわけですか。
  88. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) そんな方法をとつておるようです。
  89. 山本米治

    ○山本米治君 そうすると、銀行へはそのドルの小切手が来ておるわけですね。
  90. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 例えば八軍なら八軍で一応勘定を持つておるようですから、そういうものつておるようです。それから一部分は調達庁で代行しておるものも、極く一部分ですが、あるようです。それを一本にするということを実はお願いしておるわけです。
  91. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を止めて……。    〔速記中止〕
  92. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。それじや次の委員会は大体金曜日程度としまして、委員長に御一任を願いたいと思います。今日は委員会はこれで閉会したいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは散会いたします。    午後三時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     佐々木良作君    理事            中川 以良君            永井純一郎君    委員            野田 卯一君            山本 米治君            羽生 三七君            藤野 繁雄君            菊田 七平君            兼岩 傳一君   委員外議員    人事委員長   木下 源吾君            稻垣平太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    経済安定政務次    官       小峯 柳多君    公正取引委員会    委員長     中山喜久松君   説明員    外資委員会事務    局次長     石橋徳太郎君    経済安定本部総    裁官房調査課  後藤譽之助君