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1950-07-27 第8回国会 参議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十七日(木曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件日本政府在外事務所設置法の一部を  改正する法律案内閣提出、衆議院  送付) ○国会承認と條約締結との関係に関  する件   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今から外務委員会を開会いたします。  議題は日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案であります。御質疑のおありの方は御質疑を願いたいと存じます。
  3. 團伊能

    團伊能君 只今極めて暫定的ではございましようが、外務省只今出張員はどういうステータスにおいてお考えになつていられるのでありましようか。これは正規の外交官でございますか、いずれ決定いたすことでございましようけれども、只今身分ちよつと御説明願いたいと思います。
  4. 島津久大

    政府委員島津久太君) この在外事務所権限と申しますか、ステータスは、領事館でもなければ勿論外交機関でもないのであります。身分外務事務官でございます。外交官でもない、領事官でもない。
  5. 團伊能

    團伊能君 ああ、そうですか。そうするとこれは将来は領事官というようなものに大体置き換えられるお見込みのものでございましようか。只今そういうことは分りませんか。
  6. 島津久大

    政府委員島津久太君) 只今のところは将来の関連は分りません。
  7. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。外に御質疑がなければ質疑は終局したものと認めて討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めて討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願いたいと存じます。  別に御発言もなければ討論は終局したものと認めて本案を採決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認め、本案を採決いたします。  日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成の諸君の御挙手を願います。    〔総員挙手
  10. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。  本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に対する報告書に多数意見者の御署名を願いたいと存じます。   多数意見者署名     金子 洋文  加藤シヅエ     曾祢  釜  團  伊能     徳川 頼貞  杉原 荒太
  11. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 署名渡れはございませんか。署名浬れないと認めます。  尚本会議における委員長口頭報告は、その内容及び質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして、委員長において作成することに御承認を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  13. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 前回の委員会におきまして、阿波丸事件に関して曾彌委員から御要望、御質問の点をこの機会に外務当局といたしましてお答え申上げておきたいと思います。  御意見内容は、将来国会承認と條約締結との関係をどういうふうに取扱うか、一般原則的な見解を表明しておくようにという御意見であつたと承知いたしております。條約につきましてはでき得る限り事前国会承認を得たいと存じております。批准を要しまする條約につきましては批准前に、又批准を要しないで署名のみによつて発効いたしまする條約につきましても、でき得る限り署名前に承認を得たいと考えております。但し一般国際慣例によりますると、御承知の通り署名のみで発効いたします條納は、條約交渉が妥結されますれば、直ちにその場で署名をするのが例となつております。そのうち我が国だけについて時間的ずれを起すといたしますと、相手国の或いは不信を招くようなことが起ることも考えられまするし、又一般機微に属しまする国際情勢を反映いたしまして、相手国署名條約にしろ、批准條約にいたしましても、確定的に成立するまでは、嚴秘に保つておきたいというような要望や、至急発効せしめたいというような要望もあることと考えられますので、必ずしも全部を例外なく事前国会承認を得るということは困難であろうと存ずるのであります。この点につきましては長年月の間におきまする実例によりまして、徐々に慣行の成立するのを待つて進めたいと存じております。  尚国会自身が特殊の條約につきまして、国会承認を必要としないとの立法や、決議をいたしますることがアメリカなどで行われておるようでございまするが、かような場合につきましては勿論承認が要らないこととして取扱つて行きたいと存じます。以上お答えいたします。
  14. 曾禰益

    曾祢益君 大体の御趣旨を了としますが、これは恐らくこういう意味でおつしやつたと思うのですが、いわゆるいろいろな機微かん係もあるから必ずしも事前承認を求めないことがあるということを言われましたが、これは主として署名前の承認の方にかけて言われたのじやないか。重要なる批准付きの條約のような場合に、批准の前にはこれは必ず承認を求めるというふうに解釈してよろしうございますか。
  15. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 曾祢委員のお考え通り、いわゆる憲法時宜により事後承認ということが認められております。この事後承認というものが大体原則といたしまして署名で効力を発生する條約について起るであろうということは全然同感でございます。今お尋ねになりました批准條項の付いている條約について、そういう可能性は全くないじやなかろうかという点、私共も大体そういう批准條項の付いている條約について批准後に国会承認を求めるというよ6な必要が生ずるということは殆んど予測しがたいと考えておりますが、必ずしもないということまでは断言いたしかねるような気持がいたすわけであります。それは必ずしも批准條項の付いている條約が甚だ重大な條約でない場合もありますし、從つてそういう條約につきまして、仮に国会休会中というような場合、批准條項が付いておりましても尚且つ実施期間を、同時に期日を決めるというような場合があるわけでございます。そういうふうな場合には、どうしても比較的に重要でない、併しながら実施期日は付いている。そうして国会は閉会中であるというような、こういうふうな條件がある場合には、どうも事後のいわゆる承認ということもあり得ると考えて置いた方がよかろうじやないか、こういうふうな考えがいたします。それから又政務次官が言われましたように、殊に政治的の條約につきまして実際発効するまで、どうしても嚴秘にする必要があるというようなことも考えられますし、こういうふうなふだん考えられない事態がある場合にも、尚且つ又いわゆる事後承認という手続批准條項についてもあり得ると考えて置いた方が、結局憲法明文時宜によつて事後承認でよろしいという含みのある規定が置かれておる。我が憲法趣旨を生かす途じやなかろうかと、こういうふうにただ考えておるわけであります。併し原則としては曾祢委員のお考えに大体同じような気持でおります。
  16. 杉原荒太

    杉原荒太君 先程政府委員の御説明の中の、最後の点で何かアメリカの場合の例をとられて言われたことで、ちよつと私分らないのですが、何かアメリカの場合には国会の議決を経たものについては議会の承認を経ない場合もあり得るというような確か御説明のようだつたんですが、日本憲法の下においては、そういうことは到底私は考えられないことだと思う。国会と雖も、いうまでもなく憲法に從わなくちやならんことである。憲法規定するところは、明文を以て必ず事前乃至事後承認を要するということが要求されておりますからして、国会と雖もこれには束縛されるわけであります。その規定に反して、予め国会承認をしないような決議をすることは、到底考えられない。その点は何か日本の場合には適用できないことじやないかと思うのですが……。
  17. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) アメリカ実例と申しますのは、大体二つ実例を御説明申上げればお分りになるかと思います。アメリカ憲法によりますと、條約は上院の三分の二の多数決によります承認が必要になつておるわけでありますが、いわゆる郵便電信関係国際條約がございます。これは非常に技術的な條約でございまして、大きな條約でありますが、極めてまあ技術的な條約であります。そして皆批准條項となつております。ところがアメリカの方では郵政に関する法律を作りまして、この種に属する條約については上院承認を必要としない。郵政省限りにおいて締結することができると、こういう国内立法があるわけであります。  それからもう一つは、関税事項に関しましては、あの有名なハル長官時代からありますアメリカにおける国内関税を或る程度逓減する権限政府に與えて、その範囲内においてアメリカ政府が列国と通商協定を結ぶことができる。その結果結んだ協定については、大体国会に対する事後報告で足りると、こういうふうなことになつて、いわゆる国会に対して憲法で與えられております行政府の條約締結権に対する承認を與えるという権限立法によつて何しといいましようか、必然的に與えておるといいましようか、そういうふうな慣例があるわけであります。で政務次官が御答弁の中に、その末節に言われたのは無論これは本当の純理上の問題として日本憲法の下においてもそういうふうなことがあるとするならば、その場合は承認ということは必要でないと考えるというので、或いは現在の段階におきます憲法と、條約手続に関します政府の方針ということについての説明の中に、それに言及することは或いは不適当であつたかと存じます。何もそういう言及することによつて、そういうことを希望するとか、そういうような趣旨は全然ございません。アメリカにおきます実例を申上げたのであります。
  18. 杉原荒太

    杉原荒太君 よく分りましたのですが、この日本の場合にそういう決議などすること自体が憲法違反なんです。この点だけははつきりしておく必要があると思います。
  19. 曾禰益

    曾祢益君 先程の條約局長説明のうち、つまり批准條項のある條項についても、時宜によつて必ずしも政治的に重要でないようなもので、実施期日関係、殊に多数国の條約のような場合に或いは事後ということもあるかも知らん、これは非常に学術的な見方としては相当の裕りを取つて置きたい。はつきり必ず批准條項にある條約については、必ず批准前に国会承認を求めるといい切つてしまうことはちよつと技術的に技術的良心が許さないという意味で言われた点はこれは御尤もで、ただもう一つのいわゆる非常に機密を要するという点についても留保したこういうことも言われた。この点はさようなことは一つ非常に重要な政治的な意味も含んでおる、そういうようなものについては、私はやはり憲法に正しい精神としてこれは事前に、つまり批准前に国会承認を求むべきものだとこういうふうに私は解釈しております。それに対する條約局長の御説明には私は賛成できない。
  20. 杉原荒太

    杉原荒太君 私もこの批准されるものの性質がそういう事後の何というようなことは私は解釈ちよつと分らんと思います。批准されるものの国際法乃至国内法上の性質が、余り愼重を期しておられるわけですけれども、それくらいならば何も批准條項を作る必要はない。どうも批准條項性質から見て今曾祢委員の言われるようなことに私も賛成です。
  21. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 曾祢委員並び杉原委員のおつしやることはよく分つております。ただ私が極めてその片手気味であるかも知れませんけれども、批准的の條約についても、事後承認があり得る可能性を留保して置きたいという希望意見を述べましたのは、その問題について憲法制定して以後相当我々の方で研究いたしたことがあるわけでございます。そのときにやはりどうしても研究いたすと同時に、過去におけるいわゆる批准付條約の実例を一々当つて見たことがあるわけであります。そうしますと例えば日ソ中立條約のごとき、あれは批准降順がついておるわけなんです。併し殆んどもう調印と同時に発効するように、極めて短い、極めて短い期間しか時間的余裕しかないのでございます。そういたしますと、そういうような條約が結ばれることが、将来ないことを希望いたしますが、そういう場合には本当にそういう場合があつて、そうして国会休会中であるというような場合に、批准付條約については、すべて事前承認でなければならぬという将来への政策を確定しておきますならば、実際外交運営について、極めて政府としてはやりにくい場面にぶつかる可能性があるという結論に達したわけであります。そして憲法明文を見ますと、條約の批准については政府事後條約を締結することができると、但し事前に又は事後国会承認を経なければならないといつて時宜によりという結局文字の解釈でございます。そういう場合がまさに時宜に該当するじやないか、一つこういう途があり得るという途を残しておいたことは、実際外交運営上必要であろうと、こういう結論に到達するものであります。到達いたしておりますけれども、実際の外交運営といたしましては、批准條項のついておる條約というようなものは。原則として重要な條約が多うございますし、批准期間というものも相当あるものでございますから、大体私は事前承認ということでやつて行けるものと信じております。
  22. 曾禰益

    曾祢益君 この問題は條約局長の技術的な御苦心は分りますけれども、特にその日ソ中立條約のごとく非常に重要なあれを、外交運営の上の便宜からあと廻しにするというような、この考え方を打破して行かなければならないのじやないかという政治論一つ外務省においてよく考えて貰いたいと思います。
  23. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。外に御発言がなければ委員会はこれにて閉じたいと思います。それではこれでで会いたします。    午前十時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            徳川 頼貞君            曾祢  益君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            加藤シヅエ君            金子 洋文君   政府委員    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久太君    外務省條局長 西村 熊雄