○
政府委員(
西村熊雄君)
曾祢委員並びに
杉原委員のおつしやることはよく分
つております。ただ私が極めてその
片手気味であるかも知れませんけれども、
批准的の條約についても、
事後承認があり得る
可能性を留保して置きたいという
希望意見を述べましたのは、その問題について
憲法制定して以後相当我々の方で研究いたしたことがあるわけでございます。そのときにやはりどうしても研究いたすと同時に、過去におけるいわゆる
批准付條約の
実例を一々当
つて見たことがあるわけであります。そうしますと例えば
日ソ中立條約のごとき、あれは
批准降順がついておるわけなんです。併し殆んどもう調印と同時に発効するように、極めて短い、極めて短い
期間しか時間的余裕しかないのでございます。そういたしますと、そういうような條約が結ばれることが、将来ないことを希望いたしますが、そういう場合には本当にそういう場合があ
つて、そうして
国会が
休会中であるというような場合に、
批准付條約については、すべて
事前の
承認でなければならぬという将来への政策を確定しておきますならば、実際
外交の
運営について、極めて
政府としてはやりにくい場面にぶつかる
可能性があるという
結論に達したわけであります。そして
憲法の
明文を見ますと、條約の
批准については
政府も
事後條約を
締結することができると、但し
事前に又は
事後に
国会の
承認を経なければならないとい
つて、
時宜によりという結局文字の
解釈でございます。そういう場合がまさに
時宜に該当するじやないか、
一つこういう途があり得るという途を残しておいたことは、実際
外交の
運営上必要であろうと、こういう
結論に到達するものであります。到達いたしておりますけれども、実際の
外交の
運営といたしましては、
批准條項のついておる條約というようなものは。
原則として重要な條約が多うございますし、
批准期間というものも相当あるものでございますから、大体私は
事前の
承認ということでや
つて行けるものと信じております。