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1950-09-12 第8回国会 参議院 外務委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十二日(火曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件講和に関連する諸般基本方策樹立  に関する調査の件  (ユネスコ総会に関する件)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより外務委員会を開会いたします。  議題講和に関連する諸般基本方策樹立に関する調査議題となつていますが、最初横浜連絡調整事務局長鈴木九属さんから、フローレンスユネスコ大会出席、及び欧米旅行で受けられた印象等についてお話を願うことになつておりますから、これより鈴木九萬さんのお話を伺うことにいたします。どうぞ。
  3. 鈴木九萬

    説明員鈴木九萬君) 大した秘密とか、差障りの点はないと存じまするが、比較的忌輝なく申上げたいと存じますので、新聞関係の方にお願いしたいのでありますが、ほんの皆さんの御参考までに聞いて頂いて、新聞等へ出ないように……それ程の話でもないかも知れませんがお願いしたいと思います。  五月の末から六月の半ばまでイタリアのフローレンスユネスコの第五回総会というものが行われまして、それに出席したのでありまするが、その後ローマ、パリー、ロンドン、米国等を非常な飛脚旅行ではありましたが、大急ぎで訪ねまして帰つて来ましたので、その間の感じたことを御参考に申上げて見たいと思います。  このユネスコについては国会の中にもユネスコ運動を大いに従進するというような団体ができて、非常な関心を示されておるのでありまするが、今度ユネスコ総会日本側として出ましたのは最初でありまして、行つて見ますると参加国が五十九ヶ国ございます。国際団体が約六十ぐらいこれに参加しておりまして非常な大掛りな会議でありました。私共としましては、終戰後いろいろな機会が従来ございましたが、相当大きな窓が何と申しますか、世界に対して日本のために與えられた機会、その窓から世界の様子と申しますか、その会議に現われた世界の縮図を見て帰つて来たわけであります。第一にこの最初機会日本に直接関係の深い国々がどういう態度で私共を迎えて契れたかという点について一言触れて見たいと思います。第一に隣の中国でありまするが、この代表の方々は非常な好意的な態度を持つて迎えて呉れたのであります。これは公の席上でもはつきりと言うておりましたが、日本は何というても偉大な国であるという言葉を使つておりましたが、物心両面世界のために貢献のできる国である、過去において日本から中国はいろいろ迷惑を受けたが、これは誤つた指導者に誤まられた日本人々がやつたことであつて自分達としてはそれを忘れたい、そして今後も協力をしたい。日本が自由に民主的に且つ偉大となることならば我々は協力する、賛成するという趣旨を言うておりました。フイリツピンに参りますと、これはまだ釈然としない点がありまして、いろいろ話を聞くと、日本においては終戰後いろいろな改革が行われ、民主化が進んでおるそうであるが、果してそれが純真なものであるかどうかということについては、コレヒドールの苦い経験を持つ我々としては多少疑念を持つ。併しそれが若し本当に純真なものであるならば、これは一つアメリカ指導援助というものによるものであろう。それが本当に純真なものであるならば、自分達としてはできるだけこれを援助し、助長するにやぶさかでないということを表明した次第であります。  更に少し下りまして濠洲になりますと、これは皆さん新聞等において御承知のように原則の問題にたると思いまするが、やはり平和條約のできない限りは日本というものは国際会議に出るべきではないだろうと思うというような趣旨を述べておりました。併しながら決して反対の投票をしませんで、いわゆる棄権をしまして、いろいろ日本に対しても決議がなされたのでありまするが、それを邪魔しないという態度をとつておりました。更にインドに参りますると、これは先程の中国の言うたようなことを非常に支持しまして、日本は確かに国際文化にも貢献し、世界のためにもいろいろ貢献し得る国である。そういう立場になることを希望するというような趣旨を述べておりました。この総会におきまして米国代表というものが非常に私共に好意を寄せて呉れまして、私共の仕事を非常に助けて呉れました。その結果日本に対するユネスコの事業というものも段々に強化されるということになつたのであります。  この機会に少くこの冷たい戰争ユネスコというものについて申上げて見たいと思うのでありまするが、御承知のように国際連合品にはソヴイエトというものが入つておるのであります。併しながらユネスコにはソヴイエトは入つておらない。併しいわゆる衛星国であるますところのハンガリー、チエツコ、ポーランド等はこれに入つておるのであります。ユーゴーという国も入つておりまして、これは前の三つの国とは相当懸け離れた態度をとつておりまして、非常に協力的、建設的な態度をとつております。今度の総会で問題になりましたのは、一体この冷たい戰争というのは結局イデオロギー戰いである。争いである。そのときに国連一つ文化機関であるところのユネスコが、このイデオロギー争いに何か役立つような仕事ができないものであろうかという点だつたのでありまして、その点については、なかなか激論が交されまして、東欧諸国若しくはそれと西欧諸国との間に位する国のごときは何とかそういうことをすべきであるという立場をとつています。これに反しまして西欧諸国は、この問題は国際連合としても又関係主要国としても、従来終戰後五ケ年に亘つてあらゆる苦心を重ねてやつて来た問題であつてユネスコがそういう問題に入るべきではない。又入つたところができない、ユネスコの任務というのはもつと落着いた文化的な長い目で見る仕事をすべきであつて、そういう方面に出るべきではないというような立場をとつて相当激論が交されたのであります。皆さんも或いはちよつと新聞等で見られたかと思うのでありますが、ユネスコ事務総長ボデーという人が会議最後の頃になりまして辞表を出したのであります。その理由は、ボデー氏としては国連の例のトウルグヴエ・リーという事務総長のように、何とか国連なりユネスコがこの冷たい戰争の中で一役をしたい、買いたいという立場を強く主張しまして、今のようなユネスコ会議の体制に満足しないで辞表を出したのでありますが、この問題は結局先ずボデー事務総長辞表を撤回して貰いまして、まあユネスコとしても或る程度までユネスコの範囲でできるだけやはり国際情勢緩和に努めようというような趣旨決議等を行いまして、まあ一種の妥協に達したというような形だと私は解釈しております。尤もこれは朝鮮問題が出ました直前のことでありまして、これが出ました後の状態と申しますか、ユネスコ気分というものの間にもおのずから変更があり得たのだろうと思うのであります。  次にイタリーの問題でありますが、イタリーには丁度一ヶ月近くおりましたので、まあ比較的忙がしい一ヶ月ではありましたが、いろいろ観察することがあつたのでありますが、行きまして非常に目立つ点は、予想外イタリーが復興が早いという点であります。それに現在は御承知のようにカトリツクの方の聖年と申しまして、二十五年に一回お祭がありまして世界各国巡礼者が沢山集まります。去年のクリスマスから今年のクリスマスに来る人が四百人と言われておりまして、非常な賑わいを呈して、又その方からも非常な景気が出ておるように見受けられるのであります。私共としましてイ夕リーのことを考えますときに、頭に来るのはドイツの問題もそうでありまするが、終戰後日本外交というものに比べ合せてイタリー外交というものを見てみたいという気持があるのであります。イタリーは御承知のように三年半前に平和條約を作つてしまつたのであります。そこでイタリー外交というものは日本とかドイツとかに比べたならば、早くでき過ぎたところの、でき過ぎたと言うと語弊があるかも知れませんが、とにかく早くできたところの平和條約の中の條件をできるだけ緩和するということに向つて費やされておるのであります。一番問題になつたの賠償の問題、それから旧イタリー植民地の問題であつたのでありますが、賠償の問題は個別的の交渉によりまして大体目鼻が付き、イタリー側相当満足の行くような工合に解決しつつあるようであります。植民地の問題になりますると、これは非常に輻湊しておる問題でありまして、そう簡單には行かんのでありまするが、イタリー外交というものはこういう困難な問題は與えるに時を以てすれば好転するであろうというような趣旨から、急がない方針で以てこれに当つておるようであります。現在までにいろいろな決まつた点がありまするが、非常に目立つのは、イタリーの旧領であつたところのソマリーランドというのがインド洋の方に面してアフリカにありまするが、それが昨年から十年以内に独立するという決定に国際連合で達しまして、それまでイタリーがいわゆる信託統治を依頼されるということに決定したことであります。この点はイタリーにとつては非常に経済的その他相当な犠牲だと思いまするが、イタリー外交の上から行けば非常な一つプラスとも考えられるのじやないかと思うのであります。御承知のようにイタリーは三年半前に平和條約を作つたのでありまするが、国連にはまだ入つていないのであります。いわゆる拒否権のためにまだ入つておらないのであります。それにも拘わらずこのソマリーランドに対する信託統治の何といいますか、統治者に擬せられたということはとにかくイタリー国際社会に復帰を認められたという一つの印しになつておるのであります。それと同時に皆さんも御記憶と思いまするが、去年の四月の例の北大西洋條約というものが調印されたときにイタリーがその調印国なつた。これは決して北大西洋に臨んでおる国ではないのでありまするが、例のアルプスの参路フランスイタリーが共同していざという場合には護るというような意味で、イタリーがこの北大西洋條約に加えられたという事実がありまして、外にもあるでしようが、この二つの点は国際連合にもまだ入つてはおらないけれども、イタリーが立派に国際社会に復帰した証拠であるとして、イタリー外交相当プラスに考えられておるようであります。  次に、大急ぎフランスに参りまして、フランスを中心にしたところを少しく話して見たいと思います。皆さんもよく新聞等で御案内のように、欧州における共産党の危機と申しますか、そういうものが二、三年前に非常に叫ばれたのでありますが、行つていろいろ見ますると、その当時に比べましたならば一応の落着きを見せておるように思うのであります。何と申しましても四七年の末、それから四八年の春、丁度イタリーの例の総選挙のときが山でありまして、あの当時にはいわゆる鉄のカーテンが果して地中海にまで出て来るかというような問題があつたのでありまするが、御承知のように現在イタリーの総理をしておりますデ・ガスペリという人が率いるところのキリスト民主党というのが、勝利を得まして、上院並びに下院に大体絶対多数を得まして一応落着きを見せたのであります。それと同時にマーシヤル・プラン等もありまして、フランス方等相当落着いておるようであります。併しその頃から非常にヨーロツパで目立つ問題が出て来たのであります。それは何かと申しますと、今申しましたキリスト社会党というものが主なる国に非常な勢力を得て来たという事実であります。大体におきましてキリスト民主党というのがカトリツク民主党意味になるのでありまするが、今申したガスペリという人がすでにもう四年くらい政権をとつておりまして、現在は第六次の内閣だと言つておりまするが、これが非常なカトリックの熱心な信仰者であります。それから御承知のようにフランスで最近しばしば政権をとつておりますところのビドーシユーマンという人がMRPと申しまして、人民共和党と訳しておりまするが、このビドーシユーマンの二人は又カトリツクでありまして、翻訳すればキリスト乃至カトリツク民主党言つてよろしいと私は思います。更に北に参りまして、西ドイツの例のコンラツド・アデナウアー宰相レーナニー地方から出ておりますところのカトリツクでありまして、あの人の率いる党はキリスト民主党である。このように西ドイツフランスイタリー三国の首脳者が偶然にもカトリツクであり、キリスト民主党の領袖であるという点が非常な意味を持つておるのであります。と申しますのは、この三国の間に非常な親和態度が見えておるということが終戰後、特に最近の西ヨーロツパ政界の非常な特徴じやないかと思われます。去年の三月にイタリーフランスとの間には非常な理想的な関税同盟が作られ、その内容は簡單に申しますと、人と資源と、それからまあ資金まで自由に交流しよう、こういう画期的な関税同盟と申しますか、通商條約であつて、将来のヨーロッパの行き方をするところの一つの新しい試みと言われております。そういうことができたのは今のデ・ガスペリビドー等カトリツク同士親和政策から出て来たと言われておるのであります。それから又西ドイツフランスとの間も新聞等でも御承知の通りザール問題その他をめぐつて非常に画期的な試みとか提案が出たりしておるのもやはりその一つの現われであると言われておるようであります。  又オランダとかベルギーの方へ行きましても、この方面におきましても二年くらい前に総選挙がありまして、その結果はオランダにおいてはカトリツク社会党というのが第一党になつておりまして、ベルギーにおきましてはキリスト社会党というのが第一党であります。偶然この辺の政界というものがいわゆるキリスト民主党指導者に近いところにおるという一つの事実であります。   それからアメリカへ移りまして、丁度アメリカにおりましたのは朝鮮問題が始つてその最初の二週間でありました。まあいろいろ人にも会い、又いろいろ観察もしたのでありまするが、非常に私の感じたことは、この朝鮮問題、が何と申しますか、契機となつてアメリカの輿論が非常なる急速度で一体となり、あらゆる処置を進めておるという点であります。それからもう一つはそれと同時に国際連合というものか非常な早さで行動とつたという点であります。これは御承知のように、国際連合ができましてから、いわゆる国際警察軍を作ろうという考えは切めからありましていろいろ努力したのでありますが、できなかつた。前の国際連盟においても同じような試みがあつたが、失敗に終つたのであります。今度それが成功した。偶然にも朝鮮問題というものをきつかけに非常な早さでこれが自然にでき上つてしまつたのであります。これは非常に大きなことであつて日本等の将来にも非常に貴重なデモンストレーシヨンをしてくれたと思うのでありますが、何故こういうふうに早く国際連合動きというものが固まつたかということには非常な心理的な原因があつたのではないかと思うのであります。丁度その事件が始まる前にヨーロツパにおりました私といたしまして、いろいろな人々会つて話を聞いた際に、皆から聞いたことは、どこかに何といますか、東ヨーロツパ側が出て来るのではないか、果してどこだろうか、ユーゴーだろうか、ギリシヤだろうか、或いはトルコだろうか、イランだろうか、それともアジアかということは、皆が非常に気にしておつた点であります。たまたま朝鮮にそれが出て来たということは、この次はどこに出て来るであろうかという心配と結び付きまして、この機会にやはり自分達としてもできるだけ共同の動作に参加しようという気持からこのように早く行動がとられたものだと私は考えております。例えばトルコのごときも、ノルウエーのごときも、やはり極東の朝鮮で起つたこの事件に進んで協力しようというようなことを申出ておりまするが、これらの点は、そういう観点から見ないとちよつと分らない点ではないかと思うのであります。それから今毎日のように新聞で、米国がこういう時局のためにこれだけのことをしよう、あれだけのことをしようということが盛んに出ておりますが、これは私をして言わしめますれば、朝鮮問題だけを解決するならば、そこまで行かんでもいいと思うくらいの程度言つておるのじやないかと、ひそかに考えるわけでございます。新聞等によりますれば、英国、フランス等がいろいろな財政的の困難かあるにも拘わらず、やはりこの際軍備というような点を非常に急速に固めて行こうという決心をしてやりかけておるようでありまするし、米国もそれに対して援助を増加するというような形勢になつて来ましたが、これら一連のことというものは、恐らく朝鮮問題だけを目安にしての動きではないだろうと思います。これは要するに朝鮮問題が解決した後、西欧側としては何と申しますか、対決の日が参る、決して戰争という意味ではないでありましようが、果していつまでも冷い戰争で行くか、それともこの機会話合をしてできるだけの解決をして見ようかというような、つまりこちらの立場を強くして交渉のできる気構えに持つて行くところの態勢ではないかと、私はひそかに思う次第であります。米国等におきまして、まだ時期は早かつたかも知れませんが、一体どういうふうに朝鮮問題を解決するだろうかということをいろいろな友人等にも聞いたのでありまするが、これは少し時期が早かつた点もありまするが、余り具体的な意見も聞けなかつたのでありますが、まあとにかくいろいろな人が言いましたことは、国連というものが動いて呉れたということが非常に心強いことであつた、どこまでも国連の枠内で朝鮮の問題を解決して行きたいということを、頻りに言つてつたのでありますが、その後現われて来る面を見ますと 国連々々ということがすベて謳われておるのでありまして、例の三十八度線を越えて向うに行くのか行かんのかという問題についても国連次第であるというようなことを言つておりまするが、この朝鮮問題の国連による解決ラインというものは、一つには終戰後朝鮮をどういうふうに処理して行こうかということがモスコー外相会議等で一応決つたのが動かなかつのたのでありますが、恐らくそれに近いようなライン解決の方向に持つて行こうというように考えておる人も少くないようであります。最近信託統治というようなことも出ておりまするが、これは一応モスコー会議で考えられた案でありまするが、実行されなかつたのでありまして、恐らくそういう形ではないのではないだろうかと言う人もあるようでありまして、まあ何と申しますか、国連信託統治ではなく、むしろ協力して民主政権をだんだんに建てて行こうという考え方、それから三十八度線というものはどうしてもこれは余りに人工的であつて非常識であるから、これは撤廃しようというような趣旨を基礎にした意見相当拡まつておるように感ずるのであります、一応このくらいにしておきたいと思います。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 鈴木さんに御質問等がありましたら、この際お願いいたしたいと思います。
  5. 曾禰益

    曾祢益君 私ちよつと遅れまして、初めの方を伺つていなかつたのでありますが、ユネスコ会議で、さつきお話によると、冷い戰争というか、世界二つの対立の緩和に関してユネスコとしても何かやる方がよいという議論かあるか、その場合に、東ヨーロツパの連中がむしろそれに賛成であつて、それから、何という言葉を使われましたか、いわゆる西ヨーロツパ側でも、一部、その近辺の国に賛成論があつたが、主な国々はそういうことは必ずしもユネスコの枠内でやるべきことでない、政治的な問題だから、ユネスコとしてはそんなものに係わらん方がよいというようなお話がありましたが、それは具体的に国で言うと、どういう国で発言があつたか、その点をもう少し詳しくお話を願いたいと思います。
  6. 鈴木九萬

    説明員鈴木九萬君) それは具体的に言いますと、結局東欧側の言うたことは、例のこの間のストツクホルム宣言、あの決議を織り込んだのです。それをユネスコでやろうではないかというの、が、一つ平和提案として出て来たのであります。それからベルギーつたと思いましたが、科学者を七人くらい集めて、そうしていわゆる原子爆弾とか、ああいう新兵器の如何に人類に惨害を及ぼし得るかとい、うことをレポートを書いて、それを各国首脳者等に配ろうじやないか。若しくは、ユーゴー案であつたと思いますが、今年末までに一種のインテリゲンチヤの会議を開いて、そうして平和問題を議そうじやないかというような趣旨提案がその骨子で、いわゆる東欧側から具体的に提案があつたのであります。それをめぐつて相当議論が出たのでありまするが、要するにそれの議論をして行くと、やはりどうもそういう方面に引きずり込まれるということで、皆尻込みをするようになつたのだろうと思いますが、それからもう一つ、それに幾らかでもシンパシーを持つた国はどういう国かと申しますと、これは私議事録その他を今手にしておりませんからはつきり申せませんが、例えばインドのごとき、それからバーマ、スイス、スエーデン、これらの東と西との間の線の近くにいる国としては、ユネスコ乃至国連ユニヴアーサリテイーをとにかく維持したいと希望しているようです。やはりむずかしい問題ではあるが、一応やつて貰いたいという気分がある。それが今の東欧諸国西欧諸国との間に介在しているという点が見られる。大体そういう情勢であります。
  7. 曾禰益

    曾祢益君 それで一等強く反対したのはどんなところですか。
  8. 鈴木九萬

    説明員鈴木九萬君) 一等強く反対したというのは米英等、いわゆる西欧諸君の大国がはつきり反対しておりました。
  9. 曾禰益

    曾祢益君 それでストツクホルム平和宣言ですね、あれはユネスコとしてははつきりとり上げることを否決しましたか、結末はどうなりましたか。
  10. 鈴木九萬

    説明員鈴木九萬君) 結末は、あれは否決したと思います。その代り結局最後ベルギーその他これは合同提案さつき申上げましたように、これはワーデイングを超えた話になりますが、やはり何とか冷たい戰争に対して、できたらユネスコも幾らかでもお役に立つようにと研究してみようじやないか、来年の総会までに報告を出そうじやないかというような趣旨決議は非常な大多数で全会一致でなされました。要するに問題ははつきり決めず持越されたというか、ユニヴアーサリテイーは維持されたという形で一応解決したわけです。
  11. 曾禰益

    曾祢益君 それからボデーというのはフランス人ですか。
  12. 鈴木九萬

  13. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 中国代表が今日本に非常に好意的な態度であつたということをおつしやられたのですが、中国政府ユネスコというものに対してどういう態度なんでございますか。
  14. 鈴木九萬

    説明員鈴木九萬君) 中国政府態度は、今の代表は今度の総会で問題になつたのでありますが、蒋介石政権の方の代表なんです。それでこれを一つ資格がないからこの会議に出席させないようにしようということでさつきからのお話があつたいわゆる東欧側の国が決議案を出したのです。併し多数決でこれは否決になりました。続いてその代表が出たのでありますが、現在の蒋政権態度ということになりますと、非常にユネスコに熱心なんで、今度の会議なんかで言うておることを聞きますと、こういう点を主張しております。やはりユネスコ中国の文官、迷信の問題を解決することを考えてみて貰いたいということを言つておりました。
  15. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 尚お諮りいたしますが、これから懇談の形式で懇談会に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは御異議ございませんから懇談会に移ります。それでは委員会は散会いたします。    午前十一時十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            徳川 頼貞君            曾祢  益君    委員            團  伊能君            加藤シヅエ君   説明員    横浜連絡調整事    務局長     鈴木 九萬君