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1950-09-04 第8回国会 参議院 外務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月四日(月曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告、 ○講和関連する諸般基本方策樹立  に関する調査の件  (国際情勢に関する件)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではこれより外務委員会を開きます。  本日は継続調査関連をいたしました案件について、政府側からその後の国際情勢等を聞くことになつておるのでありますが、それに先立ちまして、曾祢委員より、過般の九州方面調査のために御出張になりましたその概要の御報告を願うことにいたしたいと、こう考えます。
  3. 曾禰益

    ○曾祢益君 本日は実は取りまとめて御報告いたす準備をいたしておりませんので、甚だ散漫な口頭報告になりまして恐縮でありまするが、近日取りまとめました書類の御報告をいたしますから、それによりまして詳細御報告の責を果したいと思つております。  私の使命は、同僚杉原君と共に事務局の援助を得まして、福岡長崎両県における外国人入国管理状況、時局に関連いたしまするこの入国状況、言換えるならば、不法入国の問題と、又それに関連して避難民状況がどうなつておるか、これに対して現地側対策等はどうなつておるか、今一つ日本にすでにおりまする外国人の不隠分子、即ち北鮮系朝鮮人動向、かようなものを中心現地視察をするという使命でございました。限られた時間でございましたから、到底十分なことはできませんでしたけれども、概要を極めて印象的に申上げることによつて責を果したいと思います。  第一に、外国人不法入国状況でありまするが、これは存外、事変が始まりました当時におきましては、朝鮮人でありますが、非常に多いのではなかろうかという危惧が持たれておりましたが、現実には今日まで現地で調べたところでは、むしろ朝鮮事変以後、不法入国は従来よりも減つておる。これは何も政治的に見て安心するに足るという理由ではなくして、むしろ戰乱の直接の影響として、かような不法入国が困難になつたからではないかと思われますが、計数といたしましては不法入国は少い、それが実情でございます。然らば、この避難民の方はどうかと申しますると、これ又予想されたよりも今日までは存外少い。これにも戰乱影響がありまして、まだまだそこまでは現地事情が進展しておらないからではなかろうか。丁度本員が現地に参ります頃は、本員の個人的の観察としては、朝鮮戰線が相当危殆に瀕しておるのではなかろうかという見通しがあつたのであります。若しその状況現地で続く限りにおいては避難民の数が殖えるのではなかろうかという一応の予想が立てられたのでありますが、私が向うに行つております間の連合軍の戰況が、いわゆる安定状態に達した、かような関係避難民の数も思つたよりも現実には殖えて来なかつたというのが実情でございます。ただ現地当局側苦心の存するところがあつた点は、当時までの関係方面並びに政府の見解、対策といたしましては、避難民であつても、これは一応不法入国者として取扱え、一応そこでピリオドを打つておる。従つて果してこれでいいのか、若し避難民が沢山来る場合に、ただ單に第一段の形式として不法入国者扱いにする、第二段を果してどういうようにやつておるのか。それとももつと緩くやるのか、緩くやるとすれば施設がどうなるのか、その費用は誰が持つのか、かような問題について相当な危惧現地当局は持つてつた。これは無理からぬことでありました。と同時に、私の見るところでは、中央政府としても、又関係方面としても、一種の朝鮮における危機状態を当然のことといたしまして、避難民が大いに来るのだということを公言して、この原則の上に立つて、前提の上に立つていろいろな対策を進めるということも、政治上その他いろいろな危惧な点があつたろうと思うので、これ又無理からぬと思いますが、施策が今日に至りまして、政府の方では外国人入国管理に関しまして、登録なり、一元的な機構作つたようでありまするから、今後の問題といたしまして、これらの点については、ただ單に消極的な入国管理対策に止まらず、何らかそこに積極的な国連支持を通じて、日鮮の将来に対する親善の意味を含めた何らかの政治的の手が打たれなければならない。不法問題はこういうふうに感じて帰つて参つた次第であります。  不法入国の方に戻りますが、今申上げましたように、数としては多くないのでありまするが、現地側の非常な苦情がございました。その一つは、沿岸の監視と申しますか、かようなことを多くの県でやつておりまするが、これらの費用人件費その他の費用等は、果してこういつたようなものは現地の、而も市町村がやるべきであるかどうかということに非常な疑問がある。よろしくかようなことは、今後中央において或いは警察予備隊関連して、機構並びに費用中央において見てくれるのが本当ではなかろうかということを言つておりましたが、これは誠に無理からぬ点だ、殊に市町村に任せるに至つては非常に無理ではないかという感じを持つて参りましたから、この点も政府に対する督促の意味で、私は注意を喚起したいと思います。  尚又外国人登録関連する具体的の問題も、いろいろ現地苦心を聞いて参りましたが、その要点は、従来やつておりまする登録、何と言いますか、証明書と申しますか、あれが極めて杜撰である。例えば名前とそれから写真がありまして、その写真のところに浮彫りの判を捺すのでありまするが、こんな浮彫りの判ぐらいでは、皆対馬に来る前に簡單に偽造している、而も偽造であると思つて写真が皆……現地に六十万人も行つておるわけじやありませんから、所轄官庁に問合せる、それで果して僞造であるかどうかが分らない。これが実情であります。これらの費用につきましても、第一回のときはまだよかつた、第二回の登録替のときなんか、もう中央法務庁から殆んど費用が来ないから、誰も本気で登録実施に関する責任を負つておらない。これが実情のように見受けられました。従つてこの証明書の問題につきましても、当然に指紋をとる、指紋とそれから写真、これはもう常識であります。指紋写真、それをとるくらいのことは苟くも登録令を励行しようという考えがあるならば、当然それくらいなことはやる、これに伴うた費用中央が受持つということが必要ではなかろうか、この点も併せて政府に対する一つの警告として、私は委員会の御判断を請いたいと思つておる次第であります。  以上が外国人入国に関する方でありまするが、然らば内地における北鮮側動向は、現地においてどうであるかと申しますと、存外これは意気地がないと申しますか、思つたよりも甚がしい活躍はしておらないようであります。福岡県におきましても、勿論平和擁護というような名前の反戰運動については若干の具体的事例がありましたが、一般にその動向は落着いておるというのが現状でありまして、佐世保、長崎等におきましては、むしろ共産党の方が、あすこのいわゆる国際法が盛んであつたために、この反戰運動北鮮側は殆んど表面に立たずに、日本共離党国際派の方が相当派手なことをやつて検挙の対象になつておる。存外北鮮側は落着いておつた。かような状況でありました。勿論それだけが実態ではないかも知れませんが、当時における現象といたしましては、存外北鮮側が落着いておつたというふうに当局側で見ておつたようであります。  以上甚だ簡單ではございまするが、初めに申上げましたように、詳細は計数等につきましては、書類について御報告を申上げたいと思います。これを以て報告を終ります。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次に、團委員から報告を願えますれば結構であります。
  5. 團伊能

    團伊能君 追つて詳しい報告は文書を以ちまして御報告いたすつもりで、今用意をいたしておりますが、本日のところ取敢えずこのたび調査いたして参りました北海道における外務委員会として関連を持つ問題に関しまして御報告申上げて置きます。  この出張目的は、すでに明示されております。通りでございまして、只今曾祢委員から御報告になりました点と殆んど同様の問題でございますが、ただ入出国の問題は、ここにおきましては余り大きな問題でなく、九州中国方面と違いまして、極めて僅かにこれを見るたけでございまして、取上げるだけのことはございませんが、北海道といたしまして、只今の問題は、第一が海上における漁区の問題であります。今日定められましたマッカーサーライン内における日本人の漁業がいろいろな制約を受けております関係で、非常に困難な状態にございます。特にこの点につきまして二つの地点を見る目的で参りましたが、時日が非常に足りませんで、一方だけを見て参りました。それは一つは、根室花咲半島納沙布岬突端歯舞群島と接触している点でございます。ここに今日ソ連占領下にあります島と、日本の岬の突端との間が非常に狭く、且つその中央マッカーサーラインか引いてございまして、この辺の漁業関係が非常に困難な状態にあることが一つでございます。もう一つ宗谷海峡に面する宗谷岬でございますが、ここに引かれましたマッカーサーライン対馬と同様に一ケ所陸上に上つておりまして、そうして船の就航が不可能な状態にございましたが、これか今日幾分修正されまして、その岬から三海里程度半径を以て岬を廻り得ることになりましたが、この辺殆んど漁業実施は不可能な状態でございます。併しともかくも船が就航される程度になつております。こういう点は非常に漁業者に思わざる困難をいたさせたばかりでなく、船の就航に困難をいたしておりますことは、丁度対馬の西岸と同様でございます。その他におきます漁区の問題は、今日予め海岸から三海里と設定されておりますところが、大体オホーツク海に面した海岸でございまして、その他に南の方はマッカーサーラインが遥かに太平洋の中まで延びておりまして、殆んど沿岸は自由な漁業かできますが、この三海里に設定されておりますところでは、殆んど磯浜のようなものでございまして、従来の漁業は殆んど不可能な状態にございますので、この点の状態も視察して参りました。実は端的に申しますと、オホーツク沿岸漁民は、従来は遥かオホーツク海からカムチヤツカに向いまして、世界三大宝庫と言われる漁場で活躍しておりましたのでございますが、全部を引揚げまして、この辺は太平洋岸移つて、極めて僅かでございますが、従来の五十分の一くらいの漁業を以て生活いたしておりますような次第でございます。その上にこのオホーツク漁場中心として設備せられました罐詰工場その他も、今日殆んど極めて僅かな生産をいたしているに過ぎないのでございます。  この漁区の問題で一番困難を感じております根室突端の問題をここに少しく御説明申上げますが、いずれ地図その他で後程御研究願いたいと思いますが、根室半島の先、丁度北緯四十三度四十九分、東経百四十六度四十三分の地点花咲半島突端の納沙布という燈台のある所になります。ここから半島は切れておりまして、半島と同様な平坦なる地形の幾つかの磯と称すべきもの或いは小さき島と称すべきものがこの半島の先に続いておりますのが、これが歯舞群島でございます。歯舞群島根室歯舞という村の字になつております。皆その村に属しておりまして、本村は半島にございます。これは島と称すべきものよりも、磯と称すべきものが相当多いかと存じます。その歯舞群島の先に色丹の島がございまして、これは千島列島と我々が考えられるカムチヤツカから続きまして、得撫、擇捉、国後に至る本系の列島と全く地層の構成を別にし、又その位置も異つておる所でございますが、この歯舞群島も全部今日ソ連占領下に置かれてございます。そうしてその最短距離納沙布岬の沖に一番近い島に水晶という島がございます。この水晶島との間の距離が約八キロくらいであります。その水晶納沙布岬との間に一つ洲島がございまして、そこに日本が作りました燈台が立つております。この辺は非常に潮流が速く、一時間に三マイルくらいの速度で流れておりますのと、暖流と寒流が接触いたします点で、非常に濃霧のの多い所でございます。そのために岬の端に燈台を置き、沖の洲島にもう一つ燈台を置いたのであります。この洲島(貝殻島)燈台も又ソ連占領下になつております。そのために岬からその洲島までの間が三千四百メートルばかりあります。一里足らずでございます。今日明石から淡路島までざつと四キロございます。それより近い距離であります。そうしてその両者の間の真中にマッカーサーラインが引いてございまして、それ以上その洲島燈台の方へ近付くことはできない。つまり洲島と岬との半分からこつちが日本漁船の航行を許されている範囲でございまして、丁度千七百メートルあります。その千七百メートルのマツカーサー・ラインまで参りますのに、岬から磯が千二百メートル出ております。僅かに航行し得るところは三百メートルから四百メートルであります。そこに岩もございますし、潮流もあり、霧も多いそうであります。そのためにしばしばマツカーサー・ラインの越境、越したという名月で漁船は拿捕されております。事実濃霧がございまして、海上判定は何ら目標がなく極めて困難でございまして、その位置等も拿捕されましたときの測定が全く付きませんために、日本漁民はその辺にただ近付くことを恐れている、要するに航行しないという状態になつておるのでありまして、この根室半島の西側におりますものは、その僅かな海境を越しますのを怖がつて、或る場合は宗谷海峡から津軽海峡を廻りまして、東太平洋海岸の港に来るというような状態でございます。これらの点がどうも今日まで明瞭ならざるところもございますが、大体におきまして漁業は不可能な状態であります。沖に棲息いたします魚群が岸から三マイルのところに近付くところだけを捕える、いわば誠に小さい沖釣り程度のものに止つております。併し日本漁民は非常に勇敢でありまして、この辺の漁場を思い切りまして、只今釧路方面太平洋洋に移りまして、殊に若咲半島の、太平洋岸花咲という小さい漁港がございますが、そこいらに引揚げて参りまして、そこから又非常に魚の少ない太平洋に向つて勇敢に働いております。  次に、この漁区の問題と多少連関ございますが、海上保安の問題でございます。先程曾祢君から、九州における海上保安庁関係ちよつと御説明もありましたか、北海道におきましても、いろいろな問題がございますが、最もはつきりした問題は今日、これは書類で御説明いたしますが、北海道に五ケ所、六ケ所ばかり配船してございます保安庁の船がおります。函館、室蘭、釧路方面、或いは留萌、小樽に三百トン程度の船が一隻配船してあります。約五隻くらいの船が厖大な北海道周辺海上保安事業に当つておるのであります。而もこれらの行動が非常に制約いたされておりまして、明らかに遭難者があつて受電した場合、或いは明瞭なる違反者があつて、これを追跡する場合以外は、半径五十マイル以上に出てその船を動かすことはできないのであります。行動半径が五十マイルに設定されております。要するに釧路から五十マイルで一つの円を描きました範囲内以上に出ることはできないのであります。そうすると、この配船されました数が非常に少いために、大体北海道の五十マイル以内の範囲に入らない非常に多くの海岸があるのでありまして、保安庁の船が配船してあるというものの、北海道には保安庁の船が届かない海岸が非常に多いことであります。保安庁が今日取扱つておりますものは多く海上保安でございますが、いろいろな漁業上の違反等が大体その行動対象になつておりますが、それも如何ともしがたいような状態でございます。この点における最も切実な要求は、先ず北海道周辺海洋をカバーするだけの配船行動半径を許して貰いたいということでございます故に、事実上海上保安庁は何らの監督をいたすこともできない海岸海上のあることが非常なこの保安関係の欠点となつております。勿論これらの保安庁の船は非常に小さな船でありまして、その上に尚無電その他の設備も陸地においても非常に不完全でありまして、いわゆる一般電報というようなものを受取つて船を出すというような状態でございますので、或いは遭難船がありましても、その無電を受電いたしまして、一般電報で知らせて参りまして、船を出すまでに十時間以上十五、六時間もかかつて初めて遭難を知るというような状態で、実際上遭難救済の場合にも非常に役立たないようなことになつております。このたび海上保安庁の予算及び人員の増加が伝えられまして、皆非常に保安庁関係は喜んでおりますが、併しこれは海上のことでありますから、これに伴う船の設備がよくなければならず、又今日の乗組員船長一人、機関長一人、機関士一人、航海士一人というようなことでございまして、この船を出しておる間全然休息することができませんで、航海士は二十四時間船の舵を握つていなければならない。ときどき船長が代つて船を動かし、或いは機関を預かり、三人くらいで非常に長い時間を勤務いたしておりますために、乗務員の余りに少いことから、殆んど安全な航海もできかねるような状態にもなつております。  最後に、保安庁以外の一般の問題といたしまして、去る三月頃、北海道庁から千島群島返還請願運動というようなものが国会に提出いたされましたが、これは衆議院で採択されましたが、本参議院におきましては、尚事情調査して、この問題を考えようというので一応却下されております。その経緯をちよつと申上げますと、北海道在住民及び北辺島嶼から引揚げられました引揚民、殊に樺太南樺太から非常に引揚げた人稚内附近には多いのでありますが、これらの人から非常に切実な気持で、これらの旧日本所領返還とまで行かずとも、再び移住するとかという、皆去つて来た土地にもう一度帰してくれというような運動も起つておりますし、同時にこれが土地返還運動となつております。これらの中に甚だその動機におきまして、やや不純なものもございまして、いわば売名と申しますか、そうでなくとも非常に行過ぎたものがございましたので、北海道庁は各地のそういう運動を一括いたしまして、道庁が中心となり、知事が代表となつて、一本の請願となつて出ているのでございますが、これは今日ここまで参りまして、これらの運動は極めて統一されまして、合理化されて参りましたが、この運動は御承知のごとく非常に微妙なものを含んでおりますので、その行き方によりましては大きな誤解も生ずべく、却つて日本に不利になる状態も想起いたされますので、この問題の取扱いにつきましては、相談も受け、私はまあこれを一応調査いたして参りました。この問題は今日北海道において一時非常に騒ぎまして、一つの相当激しい運動でございました。北海道民もいろいろ国際情勢、條約等の研究に入りまして、今日はいわゆる騒がしい問題ではなくなりましたが、併し一方この問題における研究は札幌、函館その他にございます資料、その他の研究と相俟ちまして、非常に合理的に進んでいるようでございます。今日のこの請願によりますと、三つの要求がございまして、一つは、千島全島は御承知のごとく、安政元年神奈川條約によりまして、択捉得撫の間における線の南が日本領となり、北が帝政ロシア領土となり、一応解決したのでございます。その後明治八年の榎本武揚氏が此特保府において結びました樺太千島交換條約によりまして、千島クリル群島十八島は、得撫からカムチヤツカに至る島は全部日本領土となり、その代り日本が、日本漁民その他が樺太において持つておりました利権の全部を捨てるという交換條約になつておりまして、いずれも戰鬪によつて勝ち取つた所ではないのでありまして、この理由によりまして、千島全島は、これはこのたびのカイロ宣言従つて日本に帰属すべきものであるということを主張いたしているのでございます。  次は、この得撫以北安政條約によりまして日本領と認められた所、即ち交換條約以前において明瞭に日本で認められておりました択捉国後から南だけは、やはり日本領として残して貰いたいというのであります。  第三は、更に小さく切りまして、若しも択捉国後千島列島といたしまするならば、地形の上から考えても、その島々の存在の位置から考えても、千島考えられない歯舞群島だけは日本に残して欲しいというような考えの上に陳情いたされているのであります。これらの取扱いにつきましては、将来これは勿論ポツダム宣言によりまして、これら日本周辺島嶼の帰属は追つて、定められるところに従うより外なく、我々又このポツダム宣言に対して聊さかとも反対するものでもなく、特別な要求をいたすものでもございませんが、併し、この返還運動取扱いは、講和会議も近付く今日において非常に微妙なことでございますから、この点或る無謀な暴挙が却つて日本に不利な結果をもたらすところもございますので、いろいろ懇談会を開きまして、これにつきましては、専ら北海道現地において現地島民自身運動よりも、これをやはり東東に移し、外務省その他の手で十分成案を練るというような形の忠告もいたして参りましたような次第でございます。これらにつきましては、尚将来委員長及び委員会におきまして、今日まで起つている一つ島民の、或いはこちらに帰つて参りました古い引揚民要求にこれを任せないで、できるだけ明朗な指導を国会或いは委員会中心になつていたすことが、却つて大本を誤まらざるものと考えまして、そういう結論を持つて帰りました次第でございます。  甚だ簡單でございますが、これを以て終ります。   —————————————
  6. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより講和関連する諸般基本方針樹立に関しまして、政府から最近の国際情勢について伺うことになつておりまして、本日は太田外務次官島津政務局長松井調査局長にお越しを願つたわけであります。先ず政務局長から一応お話を願いますれば仕合せだと思います。
  7. 島津久大

    説明員島津久大君) 講和関連しまして、国際情勢説明するようにというお話でございます。前国会以後におきまして、安全保障理事会の討議の状況その他目前の朝鮮動乱関係朝鮮動乱関連いたしました各国の動きの一端と、そういうような情勢を極く取りまとめまして、簡單に御報告申上げたいと存じます。  安全保障理事会の審議の状況は、御承知通りソヴイエトが今年の一月に中共を入れる入れぬという問題でボイコットをいたしまして、動乱勃発以後も出席をいたしていなかつたのであります。八月の一日から議長の席に着く順序になつておりましたので、これに復帰して出席をすることになりました。八月一ぱい各種の論議が行われたのでありまして、併しながら今日までのところ何ら結論を得られなかつたというのが安全保障理事会実情と思われます。この間いろいろな提案がありまして、例えばまつ先ソヴイエト代表から出ました国民政府代表を認めないというような議長の裁定があつたのであります。この採決の結果は否決されまして、賛成が三、反対が八、その他賛成ソヴイエトインドユーゴーというような内訳となつているのであります。その後議事日程に関する論争が続けられまして、ソヴイエトの方の提案は、中共代表国連中国代表として承認する。朝鮮問題の平和的解決というような提案がなされました。同時に米国の方では、国連の決議に従わない北鮮を非難して、加盟国北鮮援助停止を要請するというような提案が同時にありまして、表決の結果を見ますと、ソ連提案が否決されまして、実際の表決内訳反対七、賛成二、その賛成の国はソヴイエトインドであります。尚棄権ユーゴーとエジプトの二ケ国でありまして、こういう内訳になつております。そうしてアメリカの議案の線によつて可決したのでありますが、その際は賛成八、反対一、棄権ユーゴーインドというような内訳になつておるのであります。その後八月十日、十一日、十四日、十七日、二十二日というようなふうに、連続しまして北鮮代表を招致するというような問題について議論が紛糾したのでありますが、結論は得ていないのであります。八月二十五日になりまして、マリク議長中共の外務大臣の周恩來の、アメリカは中国領土を侵略しておるというリー事務総長宛及びマリク議長宛の書簡を反駁しましたオースチン米代表の事務総長宛の書簡を理事会に提出しておるのでありますが、討議されておりません。二十八日に非公式の会議が行われまして、事務総長の報告を審議したようであります。ソヴイエトがボイコットしておつた間の理事会の決議を報告から削除しなければならん、そうしなければ賛成はしないというような意見を述べたとも伝えられております。二十九日になりまして、朝鮮問題と同時に台湾の問題を議題に取上げるか否かという議案が取上げられまして、表決の結果、七対二ということで議題とすることに可決をされております。更に中共代表を台湾問題討議に招請するか否かについても表決をいたしました結果否決をしておる。その内訳を見ますと 賛成が四ケ国、ソヴイエトインド、ノルウエー、ユーゴー反対は四ケ国、米国、中国、キユーバ、エクアドル、棄権三ケ国、英国、フランス、エジプト、こういうような情勢でありますが、大体表決によつて各国の動向が察知できるのではないかと認められます。最後の八月三十一日に至りまして、又マリク議長から朝鮮動乱の解決、米国の台湾侵犯問題、アメリカ空軍による満鮮国境爆撃に対する北京政府の抗議、ギリシャにおける大量の処刑と、引続くテロの脅威というような四つの議題が提案されまして、そのうち爆撃の問題につきましては、これを賛成八、反対三、中国、エジプト、キユーバの反対がありましたが、可決をいたしております。最後のギリシヤの問題につきましては、賛成二ケ国、ソ連邦、ユーゴー反対九ケ国というもので否決をしております。以上が八月中における安保理事会の討議の概要でございます。尚これに関連いたしまして、八月十四日の理事会で、インド代表から非常任理事国六ケ国というもので以て構成する特別委員会を設置しまして、朝鮮動乱終熄と終熄後の統一朝鮮のステータスについてのプランを検討する案を非公式に提案をして、採決の結果を促進したいというような事実もございます。これにつきましては米英仏は好意的態度を表明したのでありますが、決定的な意思表示はいたしておりません。ソヴイエトインド案の実行前に北鮮と韓国代表の理事会招致を主張しておりましたが、インド案に対する態度は明らかでないのであります。インド代表は二十二日の会議でこの提案の正式上程を延期しておるのであります。今後このような提案がなされる可能性があるかとも思われるのであります。引続きまして、今月の十九日でございますか、国連の総会が開かれるという段階に達しておるのでございまして、この模様を見ますというと、又情勢が漸次はつきりして来るのではないかと考えられるのであります。  次に、台湾の問題でございます。報道に各種の報道がございますが、朝鮮事変の勃発に伴いまして、今年の一月のトルーマン大統領の声明による政策は重大な転換を遂げたと言えると思うのであります。即ち六月二十七日の大統領の声明によりますと、第七艦隊の台湾に対する攻撃を阻止することを声明して、中国本土に対する作戰中止を要請しており、台湾の地位は太平洋の安全の回復、対日講和乃至国連の考慮に待つという方針を宣明しておるのであります。引続きまして、七月十九日の大統領の国防拡充計画に対する特別教書の中に台湾政策について声明をいたしております。その決定は国連に通達済であるということと、アメリカは台湾に対する領土的野心又は特権を要求するという意向を有しない、軍事力の発動による台湾の中立化は政治問題と関連がないということを指摘いたしまして、台湾の防衛は専ら太平洋の治安維持のためであるということを強調いたしております。この教書はインド政府を通じて中共政府にも通達されたと言われております。その後マツカーサー元帥の台湾訪問その他のでき事がありまして、各種の論議を生んでおるのでありますが、大統領の以上の方針は堅持されておる様子であります。尚、中共の台湾攻撃が果して実行されるか、されないかという観測も種々あるのでありますが、先程述べました通り、台湾の場合も安保理事会の議に上つたという事実があるのであります。それに関連して極めて最近英国のオブザーバー紙でございますか、そういうような事実は台湾攻撃の可能性を幾分緩和するものではないかというような観測をしておる新聞もあるのであります。  次に、最近の東南アジアの政情につきまして簡單に申上げますと、南鮮の援助のために兵力を実際送ろうということを申出た国は、タイ四千名、フイリツピン五千名、そういうような国が派兵を申出ておるのであります。米国が東南アジアの地域に対して、動乱以来軍事援助を強化するという態勢をとつておる実情簡單に申上げますと、印度支那の仏軍及びパオダイ政権等への兵器類の送達、サイゴンヘの軍事顧問団の一部到着、フイリツピンヘの兵器類の送達及び在ヒ米軍基地の強化、そういうようなことが行われております。尚アメリカの東南アジア軍事調査団は、現地に即した軍事援助内容を検討のため、すでにフイリツピン、印度支那、マライを廻りまして、タイに到達いたしております。インドネシアは自国への来訪をその予定の最後に変更するように要請して、且つこれと正式に接触を行わないというような態度を示しておるようであります。大体朝鮮問題につきましては、東南アジア諸国における治安の確立を緊急問題としたのであります。  各国政府は国際問題よりも国内問題に重大な関心を示しておるような傾向もあるのであります。各国の現状につきましては、一々申上げませんが、国境の、例えばビルマ、タイというような地域では、国境の防備に苦慮をいたしておるのであります。ビルマにおいては中共侵攻に対する危惧が高まつておりまして、従つて国連による国家の安全を確保するというふうな方針に向いていると伝えられております。従つて英米の援助を全面的に受入れる態勢を示しているようであります。タイにおきましても、軍備は事実上外国の援助を仰がなければならん。米英民主陣営の線に沿つた外交政策がとられておつて、今回の調査団の協議には米タイ軍事協定というようなものも含まれておるというような報道もあるのであります。マレーにおきましては、依然として積極的なゲリラ討伐が行われておりますが、叛徒の動きは却つて活発となつた傾きもあるのであります。特に華僑の動向というようなものも心配があるようであります。併しながら別に取立てて悪化したというような情勢は報道されておりません。フイリツピンにおきましても、フク団による南鮮派兵に対する抗議というような気勢がありまして、攻撃が展開されたというような事実も報告されておりますが、これも大したことなく解散せしめられたようであります。印度支那におきましては、仏軍が約十五万、それが正規不正規合わせまして四十万に近いと称せられるホー・チミン軍と戰いを続けている。ホー・チミン政権と中共の間に軍事協定が締結されたというような噂もあるのであります。確認はされていないのであります。雲南省においては中共によるホー軍の訓練装備が行われておるという報道もあるのであります。この辺は併し確認をされておりません。尚、中共そのものの動向でありますが、これに関しましても各種の情勢がありまして、朝鮮事変中共軍の北上が伝えられております。八月の初めには北京でモロトフ氏を中心とする会議があつた。それによつて国連軍が若し三十八度線を越えるならば、中共が十五万の兵を派遣して、ソ連がその装備を提供する。中共軍二ケ軍がすでに満鮮国境に移つておるというような報道、或いは台湾を必ず解放するというような声明乃至は台湾進攻に備えての軍備強化の情況、そういう報道が数数あるのでありますが、併し一面朝鮮に関しては、北京において中共インド大使との接触、そういうようなこともありますし、又これも先程申上げましたように、中共及びソ連が台湾問題を国連に持込んだという事実も又積極的な動きと反する一つの証左ではないかというような見方もあるようであります。  次に、西欧の方に移りまして、これはいろいろ問題がありますので、西独の再武装の問題だけ一つ簡單に申上げて置きたいと思います。西独の首相が八月二十三日の記者会見におきまして、西独の安全保障はこれを対外的及び対内的の二つに分けて考える必要がある。対外的には西独の参加する西欧防衛軍の創設が絶対に必要であり、対内的には現在地方分権的な西独警察の再組織が必要であるということを強調されておるのであります。実状を見ますと、東独は人口千八百万に対しまして、警察力は二十七万人、そのうちには重火器による軍事訓練を受けている六万の予備隊がいる。これに対しまして、西独は人口四千七百万に対しまして、警察はまだ十万、而も非軍事化の方針から極めて地方分権的であつて、連邦政府は自分の警察力を持つていないという実情になつております。アチソン国務長官は八月二十三日の会見で、西欧防衛体制に西独が参加する問題及び駐独米軍の増強に関する問題は絶えず協議の対象となつている。そういうことを述べただけで、まだ態度を明らかにしていないのであります。英仏側の見解も明らかになつておりませんが、報道によりますと、英国は、再軍備はフランス軍隊が装備を完了するまで考慮できない。又如何なる場合にも、ドイツ人にはドイツ人が完全に支配する軍隊を委ねない。こういう二点を除いて西独再軍備に無條件反対の態度を捨てたという報道もあります。フランス政府は、西独州警察隊の規模拡張と、非常事態に際しまして、州警察を徴発する権限も西独政府に與えることを原則とする。ドイツ軍隊の創設及び軍需生産のためのドイツの工業力を拡充することには依然として反対である。このような報道があります。  尚極めて簡單に動乱の影響一つといたしまして、アメリカの経済体制に触れて置きますと、今日まで取られました主な経済的措置を申しますと、五十億ドルの増税案、それと国防生産法案の提出という事実だろうと思います。国防生産法案によりますると、第一に、国防促進に必要な物資の優先割当制の実施、不緊要度の物資の使用制限、国防上緊要物資の退蔵の防止、余剰にして不必要な物資の徴発、重要物資の増殖に対する融資の増大、消費者信用及び物資の騰貴のための信用の統制、こういうことを内容としている国防生産法案、これが八月七日に上院の委員会を通過いたしております。これを提案いたします際に、大統領に物価統制と配給割当の権限というものを要請していないのであります、ここにまだ彈力性があると考えられるのであります。これに関しまして、議会の内外では相当議論がありまして、例えば上院議員のタフト氏のごときは、大統領の統制計画は行き過ぎであるというような見解であるようでありますが、又一部には大統領の計画はまだ不十分であるという見方もあるようでございます。この傾向の代表者としてはバルブ氏、こういう人はもつと思い切つてやれということを主張している様子であります。尚物価の点につきましても、事変当時から今日に至ります卸売物価の値上り、そういう数字が一部出ておりますが、極く概略申しまして、一割程度の値上りというような傾向であります。  次に、朝鮮動乱勃発後、各国で対共産主義国輸出制限乃至停止の措置をとつております。これをかいつまんで申上げますと、先ず北鮮向の輸出禁止を米英両国でとつているのであります。  濠洲政府、ペルー政府、こういうところでも対北鮮通商関係を停止しております。次に、中共地区に対しまして石油の積出の禁止をとりましたところが米国政府と英国政府でありまして、ただこれは香港あたりの操作によつて尚幾分流れる道があるのではないかというような実情のようであります。共産主義国に対する戰略物資の輸出制限でありますが、これは各種の措置が主としてアメリカ政府当局でとられているのであります。併しながらその他の、殊にヨーロッパの西欧圏から東欧圏に入る物資はどの程度止められるかという問題は、今後の問題であるようであります。この十二日にニユーヨークで開かれる予定の三国外相会議の議題にも、こういうような経済的な問題も取上げられるというような報道を得ております。  最後に講和の問題でございますが、これは御承知のように、七月の末にダレス氏がコンモンウエルズ・クラブで講演をされまして、日本とドイツが自由な国家の社会において平等な協力者となるための機会を與えられるであろう。イコール・パートナーという言葉を使つておられたと思うのでありますが、そうして朝鮮の動乱によつて日本問題の解決が延期されてはならないという言明があるのであります。又ワシントンからの報道によりますと、関係各省で対日講和に関する意見の調整ができ上つて、八月末までには草案を完成して、九月に入つてから英、仏、蘭、比等の連合各国に草案を示し、そうして個別的に協議するだろうと伝えられております。又十六日のニューヨーク・タイムスによりますと、この草案については、昨年来考えられたような講和の構想は根本的に修正を受けて、講和條約締結後も、アメリカか日本に或る種の軍事的特権を保持する規定が含められるであろう、こういうような報道もあります。又米国が対日講和に関して、その意見調整に乘出してておつて、近い将来に対日講和に関する交渉が開始される見込みがある、そうしてまもなく国家安全保障審議会が最後の決定を下すだろうという報道が八月二十一日のニユーヨーク・タイムスに掲げられておるのであります。併しながら米国政府官憲からの公式の言明は未だ何にも洩らされておりません。例えばアチソン国務長官は最近の記者会見で、対日問題については、まだ何ら発展はないという見解を述べております。尚イギリス側の見解につきましては、八月初旬外務省当局の人が、ロンドンで知つている限りでは、新らしい対日講和の交渉はないと否定しますと共に、イギリスは日本に嚴しい講和條約を押付けることは希望していない。日本の再軍備、軍事基地化や、再武装は反対であるとしまして、更に日本に対して共産軍の攻撃が行われる場合、日本の防衛は国連の責任となるであろう。現在西欧が、急いで対日講和を結ぶよりは、国連が非武装された日本の防衛を引き受ける方がより効果的と思われるというような趣旨の言明をしたと伝えられております。又英連邦関係の向からの報道としまして、アメリカは対日講和会議を招集する考えを放棄して、アメリカと意見を同じくする諸国政府が、それぞれ個別的に日本講和を結べるように拙案ずることを考慮しておるという報道もあるのであります。このようにしまして、対日講和に関する報道は最近しばしば出ているのでありますが、まだ何らオーソリタテイヴな公式の言明はないようであります。尚この外相会議において、対日講和問題が一つの議題となるというような報道もあるのであります。若しそういうことになれば、一つ進展があるのではないかと想像をいたされるのであります。誠に簡單でございますが、以上で一応の御説明を終りたいと思います。
  8. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がありましたら御質疑をお願いいたします。
  9. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 この世界の政治、経済については、アメリカと西欧のあれが非常に大事だと思うが、殊に予算の方面から見て、アメリカの軍事予算は、いろいろの報道がコンフリクトのものが多いので、どれが……今まで決まつておる集計くらい、その点は分つておりますが、私の何では非常に違つたもので、どれが本当か、議会あたりで増額したり、何かしたというような報道もあります。それによつて額が非常に違つて来る。今まで大体のあれでは二百五十億くらいになるのが多いようだが。
  10. 島津久大

    説明員島津久大君) お話通り、非常に正確な数字がなかなか出て来ないと思うのです。動乱前の予算は、軍事予算百四十五ですか、七ですか……。
  11. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 百三十四幾ら。
  12. 島津久大

    説明員島津久大君) それが殖やしてある。
  13. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 私ずつと見ておりますと、この両院で殖やしたことは殖やしたことにならぬで計算したのが最近よく出る。極く最近に追加したのが百五億と……。
  14. 島津久大

    説明員島津久大君) 動乱以来に追加したのは、第一次のが百五億幾らですか、併しこれは提案であつて、最後的にどういうように……。
  15. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 これは決まつた。もう一つ、あとから追加して……前のは決まつた
  16. 島津久大

    説明員島津久大君) 追加したのが五十八億ドル、そこで八月二十四日に下院歳出委員会が、合計百六十七億八万四千四百七十九ドル、こういう追加軍事予算を可決したと言われておるのであります。
  17. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 西欧に対する軍事援助のやつが含まれておる。あとでよく整理したのを一つ頂きたいと思いますがね。それと、できればヨーロッパの方のもできるだけ軍事予算の上から見たあれを分るだけ……。
  18. 島津久大

    説明員島津久大君) 整理しまして……。
  19. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 それから西ヨーロツパの予算、世界同盟のやつは実施に移されたのですか、議決はされましたが。つまりヨーロツパに関する限りは、通貨の自由転換がすでに実行されておるか、どうかということだ。
  20. 島津久大

    説明員島津久大君) 調べましてお答えいたします。
  21. 團伊能

    團伊能君 今の杉原委員と同じで、米国の最近追加しました軍事予算及び朝鮮、台湾を含む東洋水域、これは引離して考えられないのでしようが、大体アメリカの予算面に現われた力の入れ方、デイグリーが大体どうも私見当が付きませんので、これに何か元がありましたらと思つたのですが、今杉原君の質問と同じでありますから、この程度で……。
  22. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  23. 團伊能

    團伊能君 尚、最近「朝鮮動乱とわれらの立場」というのを情報部から頂きましたが、この中に一ケ所ちよつと伺つて見たいことがございますが、よろしうございますか。
  24. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) どうぞ。
  25. 團伊能

    團伊能君 全文拜見いたしましたが、これは全体といたしまして非常に事実の報道を主として頂きましたということでありまして、いろいろな意見が拝聴できて、なかなか政府のお考えになつておることが非常にはつきりしておると思いますが、その中でこれはかりではなく、しばしば今日の事態における発言で、各方面からなされることで、国民自身が受取る形におきましては、しばしばその実態の如何なるものであるかということを迷つて、そのためにいろいろな想像誤解も生むと存じますのは、ここにもございますように、この十一頁の最後に、「国際連合の意図するところを正確に認識し、それに協力することが必要であるばかりか、それこそ朝鮮動乱の契機として展開されつつある不幸な事態を速かに解消せしめる唯一の途であることを知らなければならん」とありますが、この中にあります国連への協力というものの内容を国民が知りたい。今日国連にも参加していない日本状態といたしまして、国連に協力するとはどういう形をとるものであるか、この考え方がしばしば誇張されまして、義勇軍とか、いろいろな意見も出て参りますところと思いますが、外務省がお考えになつておるところの国連への協力というものの実体を一つ外務事務次官から伺いたいと思います。
  26. 太田一郎

    説明員(太田一郎君) 八月十九日出しました「朝鮮の動乱とわれらの立場」というパンフレットでありますが、これはその日の夕刊に発表されたのでありますが、その日の正午のラジオで、私から申上げました通り、これは世間俗に言われる外交白書でも何でもないのでありまして、要するにこの動乱をどういうふうに考えるか、又この思想戰というものをどういうふうに考えるか、或いは又国際連合の活動というふうなことをどういうふうにお考えになるかという国民皆さんの考え方の御参考として、ただ書いた、こういうものであります。従いまして国際連合への協力ということにつきましての、これは国民全体の心から盛上る協力というものであるべきである。又そうあつて欲しいと考えております。と申しますのは、この朝鮮の今回の動乱によりまして、日本の安全保障のあり方というものについて我々も或る程度の安心を得た、そういうようなことからいたしまして、全面講和とか、或いは多数講和というようなものについても、或る程度考えがだんだん国民諸君の間でまとまつて来つつあるのではないか、こういうふうに考えておるのでありますが、御承知通り朝鮮の動乱に対して国連がとつております措置に対する日本側の協力という問題につきましては、占領当局の方におきまして非常に謙虚な態度なのであります。即ち私の承知いたしておるところによりますというと、日本は今占領下にあつて、そうしてアメリカ側の納税者に非常な負担をかけておる。その日本がいろいろなことについて国連というものについて、日本が物心両面において協力を要請し、日本に迷惑をかけては済まぬ。それから又一方国内には不介入であるとか、局外中立とかいういろいろな意見がある。そういうようなことから国連への協力という問題につきましては、とにかく日本側に迷惑をかけまいという気持が強くて、非常な謙虚な考え方であるように思うのであります。従いまして、そういう考え方であることが、私共には非常にひしひしと分るのであります。我々といたしましては、占領下日本がやれるごと、立場上差支えないという問題につきましては、進んで向う側の謙虚な気持をこちらから忖度いたしまして、できる限りのことをやりたい。例えば今日本の、これはいいというわけじやございません、ただ私の思い付といたしましては、例えば傷病兵を慰問するとか、或いは御主人が出征されて、その留守宅に奥さんと子供だけおられるというような場合に、盗難がないようにとか、或いは火事があつたら直ぐ見舞に行くとか、そういうような問題、こういうふうなことは別に向うから言われなくても、国民の心からの気持としてできることではないか、こういうふうに考えておりますが、要は向う側といたしましては、とにかく日本側に迷惑をかけないという気持が非常に強くて、どういうことを……、例えばいろいろな民間の団体から御相談がありますが、それほど日本が無理をしなくてもいいだろう。気持は非常によく分るというようなのが向うの大体考え方ではないか、こういうふうに存じております。
  27. 團伊能

    團伊能君 只今次官の御説明で分りましたが、大体協力を、モーラル・サポート、精神的協力という工合に解釈いたす場合におきまして、この問題ははつきりいたすと思いますが、只今の御説明の中にありました物心両面と申しますと……、その物の方につきまして伺いたいと思います。
  28. 太田一郎

    説明員(太田一郎君) 例えば、これは六月二十五日、事変が起りました後におきましては、いろいろな不介入とか、何か議論があつたようでありますが、私が承知しておりますところによりますと、地方あたりの私共の連絡調整事務局からの報告によりますというと、地方では非常によく行つているように聞いております。即ち例えば労働者の方々が輸送のお手伝い、或いは船積みの仕事などにつきまして、非常によくやつておられるし、又先程申上げましたような点についても、地方では非常によく行われているような報告に接しております。それから又いろいろ壊れた機械などの修繕というような関係につきましても、最初或いはたまたまストライキがあつたとか、サボタージユがあつたとかいうようなことで、うまく行かなかつた事例も一、二はありましたが、そういう点、非常にあれしているし、それから又向うが非常に必要としておりまするような品物、大したものじやないのですが、そういうようなものに対しても、この際これで一つ儲けてやろうというような気持も当初においてはないでもなかつたように思いますが、最近はそういうことがだんだんなくなつて、必要なものを公平な価格で出している、又向うもそういうことについて従来の命令であるとか、或いは終戰処理費というような関係は、極力これを避けておりまして、個人の自由意思による、個々のコンマーシヤル・ベーシスの立場で契約するとして、すでにそれもできるだけドルで決済して行く、経理を分けて行くというような、非常に注意深いやり方でやつております。それから又例えば日本赤十字などでは、看護婦の方々が自分から是非朝鮮に行つてやりたいというような申出がありましたが、そういうような点につきましても、国連の方で一生懸命今見ておるから、それほどされなくてもいいだろうというような気持であります。ただ韓国政府側が必要といたしますところのガーゼであるとか、或いは繃帶であるとか、或いは消毒品というようなものにつきましては、これは韓国側で買つておる。そういうようなものに対して、赤十字その他がこれを提供しておる。或いは又民間でもそういう企てをやつております。占領当局におきましては、この問題は成るたけGHQの方でなくて、今ここに国際連合の、即ちユナイテツド・ネーシヨン・コミツテイー・コーリアという連絡事務所ができております。そことよく連絡して、これは国連事務当局がここに事務所を作つておるのであります。そこと連絡されまして、そうして日本側の何と言いますか、盛上る気持、それからこれはお金ならばどういうふうにしで送るか、或いは物ならばどういう物がいいかというようなことについて、まあ御相談をする。そういう気持であります。要するに日本はガリオアその他の援助でやつておる。非常に困つておるだろう、それを無理して、或いは非常な迷惑をかけて、日本の復興が遅れるということのないようにというような、そういう気持を多分に持つておられる。こういうわけであります。
  29. 團伊能

    團伊能君 そういたしますと、この協力は、一つには純粋にモーラルのサポート、次は日本に今存在しておりますいろいろな機関において正しい仕事をやりたい。次は赤十字初め、ウエルフエアーの上から及び厚生関係から、できるだけ博愛的な精神を以て、これに協力するという限度において協力するものであるという工合に、次官の御説明を受取りましたが。
  30. 太田一郎

    説明員(太田一郎君) 要するに私の申上げたいのは、日本がこの占領管理下にある関係で。できないことはもうできないが、併しその立場上差支えないことについては、できる限りそういう向うの気持を仕度して心から援助をして行きたい。こういうことであります。
  31. 團伊能

    團伊能君 分りました。
  32. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 ちよつと簡單にお尋ねしたいと思いますが、それは朝鮮の動乱とか言われますが、こういうふうなのを背景といたしまして……、こういうふうに申せばよく分るのですが、この国際共産勢力の企図などについては、はつきりした考えを持つておることなどは必要だと思うのでありますが、併し一方これに対する批判というのじやなくて、一般的なこととして、今後の日本のこの外交のやり方或いは外交の進み方は非常にむずかしいと思うのですが、非常にこの複雑な事態に処してやつて行かなければならない。それでこのいろいろの国務政治のやり方をあまりに割り切つてしまうというようなこと、これは我々日本人の過去の失敗から見ても非常に反省せざるを得ない。今後そういう点を私非常にやつて行かなきやならんだろうと思う。同じ例えば共産系なりや否やということを標準にして、色分けを附けて見て、仮に韓国なり或いは今後の朝鮮などがそういうふうになつたとしましても、今後の日本の外交の上からするというと、中国に対する関係、或いは朝鮮に対する関係というようなものは、ただそれが色合の上で共産系になつたからと言つて、これが全く不具戴天の敵、若くは両立せぬところの食うか食われるかの関係だというような、まあ基本的な考え方で外交をやつているのじやなかろうか。この点非常にまあ大事な点だろうと私は考える。それでいろいろの点にそういう基本的な点で、言葉の端にもいろいろまあ現われている。殊に外務省あたりから出される文書などには、そういう点を非常に慎重な又含みのあることが大事だろう。こういうふうに私率直に言つて感じておるのであります。そういう点は恐らく私の言わんとする点に御異存はなかろうかと思いますが、そういうふうな率直に言つて感じを持つております。
  33. 曾禰益

    ○曾祢益君 実は私も今杉原君の言われたような感じを持つのであります。成るほどこれは白書ではないと言われたけれども、まあ大衆から見れば、新聞話でやはりこれは外交白書、情報部から正式に出されれば、これはいわゆる政府のはつきりした公表文書である。そういうものの体系は私は外務当局に敢て注文したい。先程島津局長から説明されたように、かような客観的なデーターそのものを出して、それによつて自然と国民が時局に対する認識を持つ、或いは政府としては今後の施策に対する協力を、それを通じて求めるというのが、これが民主主義国における白書等の、政府側のやられる、常にとつておるところの正しい啓発の方法ではないか。物の見方そのものを教えるという行き方は、これは少しどうもやや東條張りの嫌いがある。これは政党がおやりになるならばいい。但し政府の方でそういうものについて啓蒙したいという気持は分りますけれども、余程その点は形としては私としては注意なさつた方がいいのじやないかと思う。成るほど露骨でないデーターを出すことによつて、自然と滲み出して、国民は馬鹿でないですから、こうものを考えろというやり方は政府としてはおとりにならない方かいいのじやないか。これは形式論ですけれども、相当重要ではないかと思います。  第二は内容でありますが、杉原君の言われたことに私は全然賛成なのでありまして、確かに国際無産主義政府よりのいろいろの謀略的の行き方について啓蒙することは必要であります。必要でありますが、これにもいろいろ啓発の手もあるでありましようから、特に外交当局としての立場においては余り断定的にものをきめつけない。そこが非常に必要なのじやないか、勿論多くの国民は、はつきりと国連によつていわゆる正義と秩序を基調とした平和というものを維持しよう。そうして第三次世界戰争は避けたい。これは朝鮮事変が目の前に現われたときに、国連を支持するということは最も多くの国民の気分になつておる。殊に労働者はいろいろな従来の戰争反対というような極めて率直な気持から、更にそれをもう少し良心的に考えて見たときに、やはり今までの戰争観と、今度の戰争とは違うのだ。いわゆる戰争というものを変えて、侵略戰争に対抗して秩序を維持するのだから、労働者及び平和主義者としては、これを支持するのが正しいのだという心境に立つてですね、援助してやるので、ただ儲かるから援助しているのではないと思うのです。そこまで多くの国民は分り切つているのですから、その点は国民をもう少し信用なすつたらいい。そこであの文書の中の思想を辿つて行くとですね、国連と国際共産主義陣営との鬪いだと言つた思想が出ている。私はそうじやない。国連をめぐつて、それは国際共産主義陣営と西欧民主主義陣営との争いなのであることは、これは事実だ。殊に国際共産主義陣営のものがいろいろな内乱というかつこうをとる、或いは平和運動というようなうまいことを言つているけれども、これが非常に危險なんだということを国民が知る必要があるけれども、同時に国連と国際共産主義とが相対立する観念で、如何にも死鬪を繰広げているという考に立つて、この際西欧陣営に食付いてしまわなければというと、どうもそこに第三次世界大戰を避けて行かなければならないという意味から言つて、いわゆる割切り過ぎているというきらいがある。どうぞそのような意味において外務事務当局としては、あまり国民にモラルを教えて行こうというような気持は持たないで、データーを示せば国民はそれを判断して誤まりなきを期するのである。私はそう考えております。この機会にお答え下さつても結構ですが、意見を開陳いたします。
  34. 太田一郎

    説明員(太田一郎君) 只今杉原、曾祢両委員から御意見がありましたが、尤もな御意見だと思います。このパンフレットに対しましては、外務省にも沢山投書が参りましたし、私にもいろいろ投書がありまして、私の全く想像もしなかつたような投書もありまして、従いましていろいろ考え方というものは、こうも違うものかということを私つくづく分つたのでありますが、これは御承知通り、従来の外務省の文書は両先輩がよく知つておられる通り、あつちこつちよく分らないような文書を書くのが従来の仕来たりであつたかも知れませんが、こういう時代になつて参りますと、世間が非常にはつきりして参りますので、やはり或る程度はつきり分り易いことを書く必要があると思つております。  それからもう一つは、これは御承知通り、たつた十三枚のうちに、この「朝鮮動乱とわれらの立場」というものを書いたのでありまして、そのうちの一行から二行の間に移る短い文章につきましても、我々としては少くとも終戰後五年の間に沢山の図書を読んで、それを本当を申しますと、そういういろいろな図書、これは單にアメリカや英国のものばかりでなく、ソ連や中国のものも読んでおるのでありますが、実はそういうものを皆ここに書きたいのでありますが、併しこれは我々は今一生懸命そういうものを読んでおります。ここに書いてあることは簡單でありますが、その体系をなすところの書類については、もう非常に沢山のものを読んでおるのですが、それを一々ここに書くことはとても十三枚ではできないということを御了承願います。
  35. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか……。御質疑がなければ、本日はこの程度で散会したいと思いますが、御意見のある方は……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではこれにて散会いたします。    午後零時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            徳川 頼貞君            曾祢  益君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君   説明員    外務政務次官  太田 一郎君    外務省政務局長 島津 久大君    外務省調査局長 松井  明君