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1950-07-18 第8回国会 参議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十八日(火曜日)    午後一時三十九分開会   ―――――――――――――  委員氏名    委員長     野田 俊作君    理事      徳川 頼貞君            金子 洋文君            川上 嘉市君            佐藤 尚武君 七月十二日右の者本委員を辞任した。   ――――――――――――― 昭和二十五年七月十二日議長において 本委員を左の通り指名した。            杉原 荒太君            團  伊能君            徳川 頼貞君            加藤シヅエ君            金子 洋文君            曾祢  益君            伊達源一郎君            野田 俊作君            櫻内 辰郎君            大山 郁夫君 同日議長は左の者を委員長に指名し た。            櫻内 辰郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件理事互選阿波丸事件見舞金に関する法律案  (内閣提出) ○日本政府在外事務所設置法の一部を  改正する法律案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今より外務委員会を開きます。  先ず理事互選をいたすこととなつておるのでありますが、これは議運において各会派の申合せによりまして、本委員会においては二名ということにかつております。さよう御承知を願いたいと存じます。理事選挙は如何いたしますか。
  3. 野田俊作

    野田俊作君 理事選挙成規手続を省略して、委員長において指名せ、られるよう動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今野田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。それでは、理事徳川頼貞君、曾祢益君をお願いいたすことにいたします。(拍手)
  6. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次に、阿波丸事件見舞金に関する法律案を議題といたします。最初に政府側の御説明を願いたいと存じます。
  7. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 阿波丸事件見舞金に関する法律案につきまして提案理由説明さして頂きます。  昭和二十四年四月六日の衆議院並びに参議院におきまして御議決を願いました「阿波丸事件に基く日本国請求権放棄に関する決議」、これによりまして政府国内措置といたしまして、本事件犠牲者慰藉するために適当な方法を講ずることが要望されたのであります。で政府はこの決議に基きまして、本事件犠牲者慰藉を表明する手段といたしまして、同船に乗つておりましたために死亡いたしました者の遺族並びに同船所有者に対して県舞金支給することが適当であると考えまして、所要の経費を昭和二十五三度の予算に計上いたしたのであります。これが実施に当りまして、死者の遺族範囲なり、その順位なり、或いは見舞金の額、見舞金支給を受けまする手続、船主に対する見舞金支給、こういうことを規定いたしまするために本法律案を提出いたした次第でございます。  以上が提案理由の大要でございます。どうぞ愼重御審議を賜わりまして、速かに御採択を頂きまするようお願い申上げる次第でございます。
  8. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がございましたらばこの際御質疑を願いたいと存じます……。そうですね、政務次官から逐條的に御説明を願いますか。
  9. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) それの説明説明員の方から……
  10. 島津久大

    説明員島津久大君) 只今政務次官から提案理由を御説明申上げました阿波丸事件見舞金に関する法律案につきまして逐條御説明を申上げます。  先ず第一條でございますが、この法律の目的が阿波丸事件死亡者遺族及び阿波丸所有者である日本郵船株式今次社に対して見舞金支給するものであることを規定いたしました。  第二條におきましては死亡者遺族見舞金支給することを規定いたしております。  第三條は見舞金支給を受ける遺族範囲及び順位につきまして規定いたしたものでありまして、誰に見舞金支給するかの問題であります。これにつきましてはいろいろ考え方があると思われますが、この法案におきましては災害補償に関するいろいろな立法おいて、最も一般的に採用されております支給順序によることといたしました。即ち第三條では、見舞金は先ず昭和二十年四月一日現在、即ち事件の発生しました当日において、死亡者配偶者であつた者支給されることになります。この配偶者の中には括弧内に規定してございますように、婚姻の届出をしないが事実上婚姻と同様の関係にあつた者」、こういうものを含んでおります。次に死亡者に、先に述べました配偶者がなかつた場合、又はその配偶者事件発生の日以後において死亡しました場合には、事件発生の日現在における死亡者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順によつて支給をいたします。これらの者のうち、先順位の者が事件発生の日以後において死亡した場合には次の順位の者に支給されます。  次は第四條でございますが、これは見舞金の額を規定しまして、第五條は同順位の者が二人以上ある場合は、この見舞金は同順位者問で均分して支給するように規定しございますが、御説明都合上、第三條と関過しまして第五條を先に申上げたいと思います。  同順位の中に事件発生の日以後において死亡者がありました場合には、その者に支給される分は他の同順位の者に均分して支給せられます。即ち見舞金は相続するということはないということであります。又事件発生当日における身分関係だけを考慮しておるのでありまして、その後その遺族身分がどういう変化を受けようと見舞金支給については差別を付けないのであります。例えば配偶者がその後再婚しておりましても、その配偶者支給するわけです。  次に、戻りまして第四條について申上げますが、これは見舞金の額を規定しておるのであります。どれだけの額の見舞金支給されるかを御説明をします便宜上、見舞金支給類型図をお手許に差上げてございますから、それを御覧願いたいと思います。遺族死亡者が一人の場合には七万円の見舞金支給されます。類型図のAがこれに当ります。即ち母と子だけで他に家族も親族もないという一番簡単な場合を想定いたします。母が事件によつて死亡したとしますると、矛は当然七万円を支給されることになります。この場合は一番簡單なものでありまして、見舞金を受ける遺族の大部分はこの類型に属しております。二人以上の死亡者について遺族見舞金支給を受ける場合には、死亡者が二人の場合には十二万円、死亡者が三人以上であるときは十五万円を、死亡者の数で均分した額を死亡者一人について支給をいたします。これは類型のB及びCに該当いたします。類型のBでは、父母が共に死亡しまして、遺族が子一人の場合でありますが、子は父母のおのおのから六万円ずつ、合計十二万円を支給されることになります。類型のCの場合でありますが、この場合は父母の外に租父も死亡しておる場合でありまして、この場合子は一人につき十五万円を三で割つた五万円ずつ、計十五万円支給されることになります。更に祖父その他が死亡して死亡者の数が三人以上になつた場合には、子だけが受取るとすれば十三万円ということになります。次に第四條の第三行目にございますように、「又は同順位において見舞金支給を受ける遺族のいずれかがこれらの者が同順位者となる死亡者以外の死亡者についても見舞金を受ける者である場合においては、」という規定がございますが、これは類型のDに該当いたします。類型のDにおきましては、父と弟の妻が死亡しておる場合であります。兄と弟は父の死亡に対する見舞につきましては同順位でありますので、第五條規定によつて均分して支給されます。弟は又その妻の死亡に対する見舞金支給をも受りけることになります。その場合弟は父の死亡に対する見舞金と、妻の死亡に対する見舞金を併せて支給されることになります。即ち弟は同順位において支給を受けるものであり、又二人以上の死亡者について支給を受けるものであります。従いましてこの場合は死亡者が二人でございますので、見舞金死亡者一人につき六万円であります。父の死亡に対する見舞金六万円は兄と弟が同順位でありますので、三万円ずつ均分して支給を受けることになります。妻の死亡に対する見舞金六万円は、同じく第三條によりまして弟が支給を受けることになります。即ち兄が三万円、弟は九万円の支給を受けるということになります。この外にも、いろいろ複雑な場合が予想されますが、すべて以上御説明申上げ類型によつて類推することができることになります。  次に第六條でございますが、これは見舞金支給手続に関して規定をいたします。外務省といたしましては、一応の乗船名簿はございまして、この限りで死亡者の名前及び本籍等は大体分つておりますが、誰が見舞金受取人になるかははつきりしない部分もございます。従いましてこの法律の施行後六ケ月以内に遺族の方の死亡者との関係を証明する書類、これは主として、戸籍謄本でありますが、これを提出して頂きまして、これを審査して、同人が受取人に該当するかどうか、又どれ程の額を支給するかを決定することが必要であります。本條の第四項には、遺族昭和二十六年三十一日までに請求しない場合には見舞金支給しない旨を規定いたしました。外務省としましては、この法律の成立後は新聞、ラジオその他あらゆる手段を盡しまして公告を行いまして、遺族の方に漏れなく知れわたるようにいたす考えでございますので、六ケ月という猶余期間は十分であろうと考えております。次に、第三項によりまして、国はこの請求をしたものに対して、同順位者全員に対する見舞金支拂つてよいとにいたしております。こうすれば支拂う国の側としましては便利でありますが、ただ請求をしなかつた他の同順位者に不測の損害を及ぼす虞れもございますので、第二項におきまして、外務大臣周順位者の一人から見舞金請求を受けた際に、その添付書類により他に同順位者のあることが分つたときは、遅滞なく他の同順位者に対して、見舞金支給請求のあつた旨を通知しなければならないということにいたしてございます。  次に第七條、これは阿波丸所有者日本郵船株式会社に対して一千七百八十四万三千円の見舞金支給することを規定いたしました。この金額は沈沒当時阿波丸の船体にかかつておりました保険金の額に年五分、五ケ年間に対する複利計算をして得た金額でございます。  最後の附則には、この法律を本年八月一日から施行する旨を規定いたした率第でございます。
  11. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がございましたら、御質疑を願いたいと存じます。
  12. 團伊能

    團伊能君 この阿波丸事件のことに関しては、すでに法律が通つておりますと思いますが、この見舞金に関する特別な法律をお出しになるのは、従前の阿波丸に関する法律の中、見舞金のことはまだなかつたために、これがお加えになつたのでございますか。
  13. 島津久大

    説明員島津久大君) 阿波九の関係では、今日まで法律はまだ出でおりません。今日まで決まりましたのは、先程御説明がありましたように、二十五年度予算死亡者遺族に対する見舞金阿波丸の喪失に関する見舞金、その金額予算で通つた。でこれをどういうふうにして支給するかということでございますが、遺族範囲受取人範囲順位、又見舞金の額、こういうものは法律はつきりした基準を作ることが必要であるという見地から、この法律を作つて頂くという考えでございます。
  14. 曾禰益

    曾祢益君 この阿波丸事件死亡者等に対しまして見舞をするという御趣旨は非常に結構だと思うのですが、ただいろいろなですね、戰災等の不幸に遭つておる方々との比較において、特に阿波丸事件に対してのみ特別な措置をとらければならない。殊に船舶所有者に対しても見舞金を出す、こういつたような何故に特別の措置をとらなければならないか、この点についての御説明はですね、私も従来の事情はよく存じませんけれども、この点を伺いたいと思うのであります。恐らくは阿波丸事件は特殊な事件でありましてアメリカ賠償の問題もありました。併しそれは日本側から放棄する、こういつたような議決があつたように考えております。何らか特別な事由がなくしては特別にこれらの方々、殊に会社に対するですね、補償とも言うべき見舞金を、この件に限つてのみやることを十分に納得させることは困難であろう、かように考えますので、どうぞその間の事情を今少し説明して頂きたい。
  15. 島津久大

    説明員島津久大君) 只今御質問の御趣旨にございましたように、この本件は特別のケースでございまして、御承知のように阿波丸事件に基く請求権、それを国会決議放棄をしたことになつております。その決議の中に、政府国内措置として、本事件犠牲者慰藉するため適当な手段を講ずることということが決議の中にございます。又この決議に基きまして、日米間に協定がございまして、これの第三條、日本国政府はこの事件特殊性に鑑み、この災難で死亡した者の家族及び前記の船舶所有者に対し見舞金支給による適当な待遇を與えるため努力するものという協定がございますので、これに基きまして可能な範囲犠牲者慰藉をする、又船舶所有者見舞金を贈るという処置をとつた次第であります。
  16. 曾禰益

    曾祢益君 そういたしますると、決議において適当な措置を講ずるということが、先ず日本国会に関する限りは、それが一つの意思として確定した、その下におきまして、一種の何と申しまするか、正式の、勿論国際的約束ではないけれども、一種の行政的というか、協定ができた、これは別に国会に対しては報告されただけであつたと思うのでありますが、併しとにかく国際的の一種の取決めがあつて、それに基いてこの犠牲者及び船価所有者にも、いわゆる慰藉をするということを約束しておるのです。それのいわば実行であるから法律案を作る、かような筋にお考えになつておる、こういうわけですか。
  17. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは国会で御議決願つて、その後只今のように日米間で協定をいたしまして、更に日本予算に、本年度予算に計上いたしました。併しまあ一応それで行けるじやないかということもあり得ると思いますが、併しこの順位とか、範囲とかいう問題になりますと、やはり根を残すのじやないか、やはり法律を以て十分御審議願つて、その範囲はつきりして置きませんと、利害関係を生じまする問題でありますので、そういう意味において法律案として提案したような次第であります。
  18. 杉原荒太

    杉原荒太君 私この全体の趣旨には全然賛成で、むしろこういろものはもつと早く出て来て、やるべきものだつたと思うが、いろいろ予算措置関係などでこうなつたと思いますが、私趣旨についてはいろいろ個人利害に関することで議論があるのでありますが、その趣旨をよく明らかにして置く意味合で私は質問するのですが、先ず第一に質問したいと思います点は、この法律による見舞金性質です。これは何ですか、どういうふうなものですか。この見舞金法律上の性質です。これを受入れる人からすると支給を受ける権利性質ですけれども、これはどういう関係になるのですか。
  19. 島津久大

    説明員島津久大君) これは純然たる見舞金ということで権利というものは生じません。権利じやないのです。
  20. 杉原荒太

    杉原荒太君 権利じやないのですか。
  21. 島津久大

    説明員島津久大君) そうです。
  22. 杉原荒太

    杉原荒太君 そうすると、こういう点は非常に実は私はいろいろのことを考えたから御質問するのですが、アメリカに対しては請求権放棄する。あれは一種権利だと思います。国家としてのアメリカ国に対する請求権ですれ、これは放棄する。すでに発生してしまつてつたからこそ法律問題が起るので、これは権利ですね。
  23. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) お説の通りであります。
  24. 杉原荒太

    杉原荒太君 そうしますと、その権利なるものの性質、私こういうことを考えておるわけです。つまり各会社被害者からしますと、やはり法律上の請求権が発生するのじやないか。これはむしろアメリカに対してですけれども、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  25. 島津久大

    説明員島津久大君) アメリカに対する関係放棄しておるわけです。この法律ができますと、それに基ずい権利を生ずる。
  26. 杉原荒太

    杉原荒太君 そのアメリカに対する権利というのをはつきりして置きたいのですが、それは何でしよう。日本国なる国家アメリカ国に対する国際法上の権利ですか、私法上の権利ですか、どつちでしようか。これは直ぐ後で裁判の問題となり、起り得ることがあるから私か質問するのです。
  27. 島津久大

    説明員島津久大君) この第二條に「すべての請求権を完全且つ最終的に打切るものであつてこれの請求権は何人が利害関係者であつても今後消滅するものとする。」という書き方でございます。これで個人請求権放棄すると……
  28. 杉原荒太

    杉原荒太君 こういう意味の、一遍アメリカに対する請求権が発生した。その観念日本政府が代つて放棄したという、こういう観念ですか。
  29. 島津久大

    説明員島津久大君) その点は日本側から請求をしまして、その話合いができなかつた前に放棄した。そういう関係になつております。
  30. 杉原荒太

    杉原荒太君 それをちよつと……何ですか。
  31. 島津久大

    説明員島津久大君) 私が申しますのは、日本側からアメリカ当局に対しまして損害請求をしまして、それをアメリカの方が承知しない前に、懸案のうちに、こちらの方から放棄したという関係になつております。
  32. 杉原荒太

    杉原荒太君 少しそこがはつきりしないのですが、これは大体そんなことを穿鑿せんでもいいかと思いますけれども、実際起る権利者がどういうことをやるか、これは殊に私法上の利害になつておる。或いは私法上の権利になつておる点かと思うので、そこをはつきりして置かなければならんと思うから質問するのです。
  33. 島津久大

    説明員島津久大君) 只今申しました交渉段階の点でございますけれども、米国政府側でその交渉に対することは当時承認したわけです。それで日本側で或る種のその当時事態が生じておつたということは事実でございますけれども、損害賠償については、日本側から賠償要求額先方に出しまして、先方からこれに関する資料を出して欲しいという、そういう要求があつたのです。で、日本側からこれを提出して置いた。そういう段階にあつたのです。でありますから損害賠償交渉中の段階です。それで具体的に確立していなかつたということが言えると思います。
  34. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 只今のことをちよつと申上げて置きたいと思います。まあそういう段階にありました際に、国会阿波丸事件に基く日本国請求権放棄に関する決議もありまして、そうしてその決議に基きまして日米間で協定する。その協定の第二條只今申しましたように、第一條の問題ですが、第一條規定は、「同席に掲げた種類のすべての請求権は完全且つ最終的に打切るものであつて、これらの請求権は何人が利害関係者であつても今後消滅するものとする。」従つて両国協定においては、日本国民個人が今後アメリカに対しまして請求するということは消滅するという協定の下にこれを成立させました。従つてこの点については国会議決予算化しまして、そうしていたしたのでありますから、今後個人アメリカに対する請求権はなくなつたのでございます。
  35. 杉原荒太

    杉原荒太君 一遍発生したのが消滅したというので、初めから発生せんというのではありませんね。承知しました。
  36. 曾禰益

    曾祢益君 このアメリカとのアグリーメントというものは、まあいわば日本国会から見れば、国会決議のまあ実行みたいなもので、国会に報告されたものである。それでそれはその決議の内容であると認められる。この種の措置は、これは一体国際的な約束であるから、これを実行することが国会に対しても拘束的であるというお考えであるかどうか、この点を政府委員に伺いたい。
  37. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは国会意見を尊重したそのままの内書を以ていたしたのであります。まあ一方から申しますると、それを具体的にその精神によつて協定をした。従つて、逆に申しますと、只今お話のようになると思うのでございます。
  38. 曾禰益

    曾祢益君 適当な慰藉をしようというお話ですが。その場合には例えば船舶会社の問題、これらのことはまあこれは解釈の問題に違いないのですが、心ずしも問題でないかも知れないと思われるのですが、そこはいろいろ解釈の問題になると思います。
  39. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 結局その具体的の問題となると、いろいろご意見がある点だと思います。今回法案として出し、且つこの予算基本といたしおりますのは、大体いろいろな今までの日本におきます、まあこういう場合はありませんけれども、こういうことに類似した場合、或いは発砲するとか、いろいろな場合を参照いたしまして、大体個人につきましては七万円が妥当であります。それから船につきましては、当時の保険料を中心にいたしまして、それに大体利率を加えた額というのを基本にいたしております。
  40. 曾禰益

    曾祢益君 船についてのあれは保険のことなら私何も知らないし素人なんですが、戦時中のあれですから、勿論停止されておつたのだと思いますが、保険がなかつたのも当然で、結局やるとすれば国家予算をとつてやらなければならない。こういうことになるのですな。つまり国家からそういうものを……保険のあれは入つておらない、こういうことがあろうと思うのですが、その点はどうなんですか。
  41. 島津久大

    説明員島津久大君) 国家からは入つておりません。戦時補償の打切りで支給されておらないのです。
  42. 杉原荒太

    杉原荒太君 さつきの問題にちよつと関連しますが、この法律によつて、一政府死亡者遺族に対して見舞金支給するというのも、この法律によつて決まる。そうして被害者の方ではこの請求をするのに、いつまでに請求しなければならんという、これによつてやはり被害者はこの法律規定に基いて、やはり見舞金支給を受ける権利が発生するのではないですか。
  43. 島津久大

    説明員島津久大君) 只今おつしやられた通りです。
  44. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  45. 杉原荒太

    杉原荒太君 ところで成るべく私これは被害者を親切に取扱うことが必要だと思うのです。それがためには先程の御説明にもありましたように、すでにこれを受ける人の所在等についても、先ずそれを明らかにする措置についても、いろいろ万全の措置をとられると思いますが、支給を受ける、請求権を行使する期間を、できるだけ長くした方がいいんじやないか、今いろいろ六ケ月という何がありましたが、止むを得なければ六ケ月でいいと思いますが、いろいろ国家予算の経理や何かの関係で、もう少し長くし得るものなら……例えば来年度予算の方の都合からして差支えない範囲にここを広くして置いた方がいい。それはそうでなければ、その期間が経過したら権利が消滅してしまうという考え方でしよう。権利がそのまま存続している考え方ではないでしよう。それだけにこのゆとりを成るべくとつて置いたらどうかと思います。それだから例えば二十六年一月三十一日であるのを、年度末までの三月三十一日まで、こういうふうにした方が私いいんではないかと思います。
  46. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは杉原委員のお説の通りでございます。従つて普通の場合は大体三ケ月にいたしておるようであります。この間在外公館借入金請求の場合、申請の場合、四ケ月ということにしておりますが、これは殊に慰藉という意味を含めておりますから、且つ又成るべく心持ちよく取扱う意味で六ケ月に延ばしておるのです。この期間におきましても、これで十分とは言えないかも知れませんが、努めて御趣旨に副うように努力したいと思います
  47. 杉原荒太

    杉原荒太君 これかこの期間までに請求することを得、支給することを得ということにでもなつておれば、ここをもう少し限定的でなければ……これは私は成るべくそれで権利がなくなつてしまうとすれば余程重大ですから、いかんと思います。
  48. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 得となつて、その後又どんどんどんどんでもございませんが、大変事務的に困るので、一応こういうふうにしたのです。
  49. 杉原荒太

    杉原荒太君 これはそうすると変更する御意思はないのですか。
  50. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) まあこの通りに一つお願い申上げたいと存じます。
  51. 團伊能

    團伊能君 只今の時期の問題は、同時に日本国内のことでございますから、その通知が徹底すれば一応補えると思いますが、その点において外務省においてお考え頂いて、先程ラジオ、新聞その他のこともございましたが、そういう通知が非常に形式的に通知される場合が多いのでございますが、その点を注意して行届いた通知をして頂くということにしておいて、やはり六ケ月で私はいいと思います。
  52. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) この点は御意見をよく尊重いたしまして、大体は船員名簿で分つておりますから、御く少数が或いは分らぬ場合があるかと存じますが、大体は分つております。どうぞさよう御承知願います。
  53. 杉原荒太

    杉原荒太君 それから細かいことですが、第二條に「死亡者遺族に対しては、見舞金支給する。」と、こうありますね。これは誰が支給するか、支給権が法律文面に現われてない。これは当然分つていると言えば分つているけれども、今の何か法律問題が起つた場合のことがあるから、「政府は」とかというようなことは必要ないのですか。或いは今までの用例でこういうことになつているのですか。誰が支給するということは何か規定してないのですか。
  54. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 大体用例で、こういうふうにいたしておつたと存じております。
  55. 杉原荒太

    杉原荒太君 実際問題は恐らく起らぬと思いますが、若し万一法律問題が起つたときは、はつきりして置いた方がいいかも知れませんね。
  56. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に質疑はございませんか。別に御発言もないようでありますから、討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ございませんければ、討論に入ることにいたします。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願いたいと存じます。御意見もないようでありますから……
  58. 曾禰益

    曾祢益君 議事進行について……先程討論に入ることについて異議なしと申上げましたが、本日の議事の都合で、直ぐ採決に大体お入りになるお考えであり市すか、若しそういたしまするならば、私もちよつとこの問題に、過去のこともありますから、採決の前に……若しできれば一遍繰延べて頂くわけに行かないでしようか、希望でございます。
  59. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 別に私といたしましては差支えはない、こう考えます。皆さんがそれでよろしいということでありますれば、次回に採決することにいたしたいと存じます。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは次回に採決することにいたしたいと存じます。   ―――――――――――――
  61. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次に日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案の御審議を願います。本案は予備審査でありまするので、取敢えず政府からの提案理由の御説明だけを願つて置きたい、こう考えます。
  62. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) それでは只今議題となりました日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明させて頂きます。  先の第七面国会におきまして、日本政府在外事務所の設置法が成立いたしまして、先ずアメリカ合衆国内の五ケ所に在外事務所が設置されまして今日に至つたのであります。政府といたしましては、これ以外の場所にも在外事務所を設置することを強く希望いたしておる次第でありますが、最近総司令部の好意によりまして、アメリカ以外の数ケ国に在外事務所の設置の話合いがだんだん進歩いたして参りました。働く最近の機会に実現するだろうという見通しを得るに至つたのであります。在外事務所の増置に関するこの話合いが成立いたしました時には、国内の措置といたしましては、先ず日本政府在外事務所設置法に必要な改正を加えるわけであります。即ち設置箇所を規定いたしますることは勿論、職員に支給されまする給與に関しましても、設置箇所の物価水準を考慮いたしまして、適当な修正を必要とすると存ざるのであります。然るにこの話合が国会の閉会中に仮に成立いたしました場合におきましては、そういうこともあり得るかと存じまするが、在外事務所の設置自体は予算範囲内で政令で定めることができる、かように第二條第二項の「特別の必要がある場合においては、政令の定めるところにより、予算範囲内において、前項に規定するものの外、在外事務所を増置することができる。」と條文の規定に入つておるのでありまするから、この場合には国会の開会中でなくともできるような次第でございます。ただこの特別の規定によりまして設置されまする在外事務所の職員に支給いたします在勤手当、それから住居手当に関しましては、日本政府在外事務所設置法の別表に定める額では不適当であることが予想される場合も生じて参ると存じます。このような場合におきましては、法律範囲内で手当の額を所在国の事情に対応させ得るように措置して置く必要があるのでありまして、従つてこれが本法案を制定する理由であるのであります。  即ち本法案によりますると、日本政府在外事務所設置法二條第二項の規定に基きまして、政令によつて設置されまする在外事務所につきましては、在勤手当及び居住手当の支給年額は、当分の間、同法の別表各号に掲げておりまする額の九割から十一割までの額の範囲内におきまして、外務大臣がこれを定めることとしたのであります。外務大臣がこれを定めるに当りましては、その在外事務所の所在国の通貨の対米為替相場なり、その所在地の物価水準を基準とするわけであります。このように予め別表の手当額を一割の範囲内で増減し得るように規定しておきまするならば、今後増設いたしました場合の実情に即した手当の額を決めることができると思われるのであります。尚附加えて申上げますならば、すでに設置されておりまする在米五ケ所につきましての手当頼は、本件改正によりまして、この九割乃至十一割の範囲に入らないのでありまして、これは従来通りに相成るのであります。  以上が提案理由の大体でございます。どうぞ愼重審議を賜わりまして、速かに御採択を頂きますようにお願いを申上げます。
  63. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がありましたならばこの際御質疑を願いたいと存じます。
  64. 杉原荒太

    杉原荒太君 この法案の「当分の間、」と述べられた趣旨ちよつと伺いたいと思います。
  65. 島津久大

    説明員島津久大君) 本来ならば設置箇所が増加いたしますと、この法案自体の改正になりまして、現在場所は在米五館になつておるますが、更に新らしく設置箇所が出て来るわけであります。それに対応しまして、給與の方の表も整備されなければならんわけであります。併し先程来御説明いたしますように、設置箇所の方は、例えば、国会閉会中でございましたならば、政令で設置できるわけでございます。この給與の表の方は法律でなければ変えられないということになつておりますので、その間差当りこういうような措置をとるということであります。将来は設置節所の方と同様給與の方も何制ということでなくて、しつかりした完全な表が作られる筈になつております。
  66. 曾禰益

    曾祢益君 「当分の間、」の話は分りましたが、今いろいろ折衝中の、或いは懸案のものもあるようでありますが、この際お差支えない限り、近かき将来において、或いはこういうことが問題になつている……これは非常に結構なことでありまして、この際政府から差支えない限り、どういう在外事務所設置の模様であるか。或いは予想であるかというようなことについて説明を願いたいと思います。
  67. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) お答え申上げます。大体話合が進んでおりまして、近き将来にでき得ると存じておりますのは、フランス、スエーデン、ブラジル、パキスタン、インド、大体これだけでございます。従つて表れらの国々によりまして、この表にありまする一号から十号の上に一割増すのと、それから十号の下に一割減するのと幅を広くして参る、こういう大体考えでございます。
  68. 杉原荒太

    杉原荒太君 実際上、今までこの法律に基いてやつておられる支給額で実際やつて見た結果、それで一応差支えない程度になつておるのでございますか。
  69. 千葉皓

    説明員(千葉皓君) お答えいたします。六月末に二ケ所から報告が参つております。事務所の経費としましては、費目によつては十分であるものもございますけれども、例えば交際費とか、交通費等、非常に不足であることを訴えております。尚給與の面につきましても、現在の手当では相当苦しいらしいのでございます。それについて若干不平を言つてつておりますが、これはいろいろな経緯から、なかなか増額は困難であるようでありましてまあ仕方がない、その範囲内で一生懸命にやる、そういう意気込みでやつております。尚外の国との振合いを見ますと、大体現在アメリカに行つておりますその長に與えております給與の大体年額六千ドルというものは、外の国では三等書記官若しくは副領事の給與ということでございますので、実情は相当苦しいというわけでございます。
  70. 曾禰益

    曾祢益君 やはりその費用の問題で、すが、例えば通信費ですね、電報なんかもやつておるのでしようが、そういう方面の活動については困らない程度の費用は貫つておるのですか、どうなんですか。
  71. 千葉皓

    説明員(千葉皓君) 館によりまして額は違いますが、年額三千ドルから四千五百ドルでございまして、まだ開設匇々でございますから、本当のところは分りませんが、今のところ十分だと思つております。
  72. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 差当つての御質疑がありませんければ、先程申しましたように予備審査でありますから、本審査になりましてから御質疑願うということにしまして、この程度で今日は止めて置いたら如何でしようか。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。それではさよう決します。本日はこれにて解散いたします。    午後二時三十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            徳川 頼貞君            曾祢  益君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            加藤シヅエ君            伊達源一郎君            野田 俊作君   政府委員    外務政務次官  草葉 隆圓君   説明員    外務省政務局    長       島津 久大君    外務省大臣官房    会計課長    千葉  皓君