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1950-07-29 第8回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)    午後二時七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○宮下川口間に鉄道敷設請願(第  五号) ○朱鞠内羽幌駅間鉄道敷設に関す  る請願(第三四号) ○築別遠別駅間鉄道敷設促進に関  する請願(第三五号) ○白棚鉄道復活に関する請願(第八  四号)(第一一四号) ○荒海滝の原間に鉄道敷設促進の請  願(第八八号)(第一一五号) ○岩内黒松内両駅間に鉄道敷設の請  願(第一二八号) ○宮古久慈両駅間に鉄道敷設請願  (第一五六号) ○大糸線全通促進に関する陳情(第一  〇号) ○三江鉄道および広浜鉄道敷設促進に  関する陳情(第一一号) ○大宮仙台駅間鉄道電化に関する  請願(第六号) ○郡山市に測候所設置請願(第七  号) ○北海道港湾修築費全額国庫補助に関  する陳情(第四号) ○千葉銚子両駅間の鉄道輸送増強に関  する請願(第六六号) ○西若松東口待合室拡張に関する請  願(第七八号) ○湯本駅にこ線人道橋架設に関する請  願(第一一〇号) ○東北本線西郷信号場を駅に昇格の請  願(第八三号)(第一四〇号) ○東北本線貝田信号場旅客駅に昇格  の請願(第一二〇号) ○川東谷田川両駅間に小塩江停車場  設置に関する請願(第一二四号) ○白河棚倉間国営自動車運転路線  の延長拡充に関する請願(第八六  号) ○福島石川棚倉両町間に国営バス  運転開始請願(第一四五号) ○宇都宮市に鉄道監理局設置請願  (第一三〇号) ○陸中黒崎燈台設置請願(第一五  五号) ○北海道天売島霧笛装置燈台建設の  陳情(第三号) ○飯田線管轄に関する陳情(第八  号) ○長野甲府両駅間の中小区間鉄道電  化に関する陳情(第九号) ○日本国有鉄道法中一部改正に関する  請願(第一〇六号) ○北海道港湾修築費負担に関する特例  制定請願(第三二号) ○三浦半島観音崎国際観光ホテルに対  する見返資金融資請願(第六四  号) ○日本国有鉄道本州及び九州におけ  る地方組織改革実施延期に関する決  議案(内村清次君外一名発議)   —————————————
  2. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 只今より委員会を開会いたします。  先ず請願及び陳情に関する小委員会審査経過について御報告をお願いいたします。
  3. 植竹春彦

    植竹春彦君 請願及び陳情に関する小委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。請願第五号、宮下川口間に鉄道敷設請願、本区間建設線でありまして請願要旨奥会津開発、特に只見川筋電源開発我が国再建上重要なものであるが、これらの発電所建設には鉄道敷設は絶対不可欠の要件であり、特に宮下川口間は沼沢沼発電工事本格化に伴い急を要するから速かに当区間鉄道敷設せられたいというのであります。  請願第三十四号、朱鞠内羽幌駅間鉄道敷設に関する請願、本区間建設予定線でありまして、請願要旨は名寄町、朱鞠内間はすでに工事を完了しているが、豊富な各種資源を有する朱鞠内羽幌間は未だに完成を見ていないから速かにこれが完成を図られたいというのであります。  請願第三十五号、築別遠別駅間鉄道敷設促進に関する請願、本区間建設線でありまして、請願要旨北海道西北部開発上の重要線路である天塩沿岸の鉄つ道は南部においては築別、北部においては遠別迄開通し、築別遠別間が未完成のままになつているが、本区間建設線であり、本線全通沿線の豊富な林、礦、水産資源開発上極めて重要であるから本区間敷設を促進して欲しいというのであります。  請願第八十四号、同百十四号、白棚鉄道復活に関する請願請願要旨昭和十九年本線廃線となつて以来、同地方産業の発達に重大な支障を與えているから戰後諸般の情勢が戰前に復している現状にかんがみ、速かに同線の復活実現せられたいというのであります。  請願第八十八号、同第百十五号、荒海駅、滝の原間に鉄道敷設促進請願、本区間建設線でありまして、請願要旨は、福島県南会津郡の南部地方、特に館岩村は、豊富な林産及び地下資源を有しているが、これらの資源開発するためには野岩線を延長することが絶対必要であるにも拘わらず、野岩線終点荒海駅より滝の原に至る約八キロの路線は路盤もすでに完成し、軌條を敷設するだけになつているから現在進行中の奥会津資源開発道路滝の原、八総間のトンネル工事完成と呼応し、是非本年度工事として荒海駅、滝の原間に鉄道敷設せられたいというのであります。  請願第百二十八号、岩内黒松内両駅間に鉄道敷設請願請願要旨岩内駅から島野村、磯谷村を経て黒松内に至る国有鉄道敷設実現については未だに実現を見ず、同地方産業振興上重大なる障碍となつているから急速に同区間鉄道敷設実現せしめられたいというのであります。  請願第百五十六号、宮古久慈両駅間に鉄道敷設請願請願要旨宮古久慈間は風光明媚な大景観地であるばかりでなく、古来三大漁場の一と称せられる無盡蔵の宝庫に臨み、後方は広範囲な森林及び資源に富んでいるが、鉄道完成のためこれら資源開発観光客の誘致も不可能であるから速かに、宮古久慈両駅間の鉄道敷設されたいというのであります。  陳情第十号、大糸繰全通促進に関する陳情陳情要旨大糸線は表日本北陸地方とを直結する重要な路線であるから、速かに完成沿線の無盡蔵資源開発を促進されたいというのであります。  陳情第十一号、三江鉄道及び広浜鉄道敷設促進に関する陳情陳情要旨は島根県邑智郡浜原村より広島県双三郡十日市町に至る三江鉄道及び浜田市より広島県安佐郡飯室村に至る広浜鉄道敷設については、すでに戰時中土工及び附属施設の一部が完成されたが、その後放置されている、併し右両線は陰陽を結ぶ極めて利用度の高いものであつて地方交通産業開発上重要な鉄道であるから速かに両鉄道敷設せられたいというのであります。  以上請願九件陳情二件は小委員会におきましては愼重審議の結果いずれも願意を妥当と認めました。  請願第六号、大宮仙台駅間鉄道電化に関する請願請願要旨東北本線は東日本の動脈であるが、急勾配が多く、ために石炭の消費量も莫大に上り甚だしく輸送の円滑を欠いているから大宮仙台間を速かに電化せられたいというのであります。  小委員会におきましては審議の結果、願意を妥当と認めました。  請願第七号、郡山市に測候所設置請願、本請願要旨郡山市は福島県の最中央部に位し、附近一帶の地形複雑にして気象の変化著しいため、中央気象台においても測候所設置必要性を認めているので、簡易測候所なりとも設置せられたいというのであります。  小委員会においては審議の結果願意を妥当と認めました。  陳情第四号、北海道港湾修築費全額国庫補助に関する陳情、本陳情港湾法実施により港湾修築費地元分担率が二分の一となつたが、北海道港湾修築は従来北海道拓殖のために全額国庫を以て遂行せられ、今尚拓殖途上にあり地元負担能力がないから従来通り全額国庫負担によるよう措置をとられたいという趣旨であります。  小委員会においては願意を妥当と認めました。  請願第六十六号、千葉銚子両駅間の鉄道輸送増強に関する請願請願要旨千葉銚子間の列車回数は比較的少く旅客及び貨物輸送状況が非常に惡いから大多喜茂原地区に湧出している天然ガスを利用してガスカー又は列車の増発を実施せられたいというのであります。  小委員会におきましては審議の結果、願意を妥当と認めました。  請願第七十八号、西若松東口待合室拡張に関する請願請願要旨西若松駅の乗降客の七〇%までは東口待合室を利用しているが、狭小なため、雨雪荒天時、ことに冬期間の吹雪の場合には旅客は不便と苦痛が多いから速かに東口待合室を拡張せられたいというのであります。  請願第百十八号、湯本駅にこ線人道橋架設に関する請願請願要旨湯本町は鉄道線路により東西は二分せられ四ケ所の踏切りによつて東西の連絡をしているが、客貨車の通過及び貨車の入換等のため交通は極度に制限され又東口には出改札場がないため東側町民乗降客は甚だしい不便を被つている現状であるから、構内にこ線人道橋を架設し東口に出改札場設置せられたいというのであります。  以上二件は小委員会におきましては、審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第八十三号、同第百四十号、東北本線西郷信号場を駅に昇格請願、第百二十号、東北本線貝田信号場旅客駅に昇格請願、以上三件はいずれも信号場を駅に昇格に関する請願でありまして、請願要旨はいずれも駅迄は相当の距離があり、旅客及び貨物輸送に不便が甚だしく産業開発、文化の向上発展を妨げているから、速かにこれを駅に昇格させて旅客及び貨物の取扱を開始せられたいというのであります。  小委員会におきましては、それぞれ愼重審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第百二十四号、川東谷田川両駅間に小塩江停車場設置に関する請願請願要旨は小塩江村は県内屈指の木炭並びに石材の生産地であるが、近くに停車場がないためこれらの物資輸送障碍となつているばかりでなく激増しつつある通勤通学にも多大の不便を與えているから速かに停車場設置せられたいというのであります。  小委員会におきましては審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第八十六号、白河棚倉間国営自動車運転路線延長拡充に関する請願請願要旨福島県白浜郡鮫川村は県下屈指の大村で竹貫、宮本両村と共に農、林、鉱、畜産物等資源に富み、棚倉町はこれら物資集散中枢基地であるが、交通機関がないため、需要供給一貫操作を欠き地方産業開発を著しく阻害しているから既設の白棚線に接続して棚倉町より鮫川村を経て竹貫村に至る新路線を急速に開設せられたいというのであります。  小委員会におきましては審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第百四十五号、福島石川棚倉両町間に国営バス運転開始請願請願要旨福島石川、淺川、棚倉各町は水群沿線における枢要都市であり、行政、教育、産業経済上の要地として地方民の往来が激しいが列車運転回数が少ないので、日常生活上は勿論経済上の不利不便が甚だしいから、石川町、淺同時、棚倉町間にバスを運行せられたいというのであります。  小委員会におきましては審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第百三十号、宇都宮市に鉄道監理局設置請願請願要旨宇都宮市に鉄道監理局設置を見ないことは東北本線重要性観光国策緊急性及び国鉄自体運営形態より見ても極めて遺憾であるから、北関東の中心地であり交通上の要衝である宇都宮市に鉄道監理局設置せられたいというのであります。  小委員会におきましては願意を妥当と認めました。  請願第百五十五号、陸中黒崎燈台設置請願請願要旨三陸沿岸良漁場であると共に海難船の多い沿岸として知られているが、同沿岸鯔ケ崎燈台鮫角燈台間七十海里の間に燈台がないため黒崎附近において遭難事故が極めて多いから、大田名部港の門戸である陸中黒崎燈台設置されたいとの請願でありますが、海難防止の点より見て願意は妥当と認めました。  陳情第三号、北海道天売島霧笛装置燈台建設陳情陳情要旨北海道天売島附近一帶は豊富な魚族資源に恵まれ魚田開発基地として、船舶の航行が極めて多いが、同地域の燈台としては、数十年前建設された燒尻島の燈台があるのみで、而も霧笛装置がないため年々坐礁、難破等の被害が多く、漁業発展のため、霧笛装置燈台を国費をもつて建設せられたいとの陳情であります。  小委員会においては願意を妥当と認めました。  陳情第八号、飯田線管轄に関する陳情陳情要旨飯田線管轄については長野県の特殊事情からして長野鉄道監理局管轄に編入せられたいというのでありますが、やむを得ない場合は上下伊那両郡の特殊な政治、経済事情を考慮し営業所を一箇所設置の上、長野地方営業支所配人に所属せしめられたいとの主旨であります。  小委員会におきましては願意を妥当と認めました。  陳情第九号、長野甲府両駅間の中小区間鉄道電化に関する陳情陳情要旨中央線篠井線甲府長野間)の電化輸送力の増大及びスピード・アツプ等による快適な旅行のため、又保健衞生士もその必要が強く要望され、且つまた国際的観光資源開発上からもこれを熱望するところであるが、若し直ちに実現困難の場合は最も必要な小区間電化し、順次全線に及ぼす計画を探られたいというのであります。  小委員会におきましては審議の結果願意を妥当と認めました。  以上請願二十二件、陳情六件は審議の結果願意は妥当と認め、全会一致これを議院会議に付し内閣に送付を要するものと決定いたしました。  請願第百六号、日本国有鉄道道法中一部改正に関する請願請願要旨国有鉄道職員日本国有鉄道法によつて地方公共団体議会議員を兼職することができないので町村民の大半が職員である場合には、民意を反映する議員を選出することができず、地方行政民主的運営を阻害するから国有鉄道職員地方公共団体議員を兼職できるよう、日本国有鉄道法第二十六條第二項に「但し地方公共団体議会議員を除く」の但書を挿入せられたいというのであります。  請願第三十二号、北海道港湾修築費負担に関する特例法制定請願、右は港湾法実施により港湾修築費地元分担率が二分の一となつたが、北海道港湾修築は従来北海道拓殖のために全額国庫を以て遂行せられ、今尚拓殖途上にあり地元負担能力がないから従来通り全額国庫負担によるやう立法的措置をとられたいという趣旨であります。  以上二件の請願審議の結果願意は妥当と認め、全会一致これを議院会議に付するを要するものと決定いたしました。  以上報告いたします。
  4. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 只今の小委員長報告通り決定いたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) それではさよう決定いたします。   —————————————
  6. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 次に観光事業に関する小委員会審査経過の御報告をお願いいたします。
  7. 高田寛

    高田寛君 観光事業に関する小委員会における審査経過並び結果を御報告いたします。請願第六十四号、三浦半島観音崎国際観光ホテルに対する見返資金融資請願請願要旨は、国際観光国際間の相互理解外貨獲得のため重要な役割を持つている。然るに現在外客のためのホテルが不足し、且つ設備も不完全で外客透致上支障が多いので、今回三浦半島に国際観光ホテル建設することとしたから、対日援助見返資金から融資をして欲しいというのであります。  小委員会におきましては、外客受入のためのホテル現状について当局より詳細な説明を聴取し検討を加えた結果、特に東京都及びその近郊に外客用ホテルがなく困難を感じているので、観音崎観光地としての條件を備えており、立地條件において、願意を妥当と認め、全会一致これを議院会議に付するを要するものと決定いたしました。  以上御報告申上げまする
  8. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 只今の小委員長報告通り決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) それではさよう決定いたします。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  10. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 速記を始めて下さい。日本国有鉄道本州及び九州における地方組織改革実施延期に関する決議案議題といたします。
  11. 内村清次

    内村清次君 私はこの問題につきましては、先の委員会におきまして、政府に対しまして資料提出を求めておつたのでありまするが、これを受け取りました。ところが今回の資料の内容を見てみますると、私が要求いたしておりました各管理部の、即ち現在の管理部人員と、それから来たるべき改革後の鉄道監理局及び経理事務所営業事務所資材事務所定員を明確にして出して貰いたいという要求に対しまして、現在の管理部定員につきまして、まあ実員につきましての資料が出ておらないようでありまするが、そこでこの問題につきましては、口頭におきまして一つ質問を申上げたいと思います。それから第二の資料の、今回の機構改革によつて予定されておりまするところの予算の総額の中に、宿舎新設及び通信設備という資材提出されておりまするが、配置転換及びこれに要する費用別居手当というようなもの、こういうようないわゆる人件費関係費用についての資料提出がなされておらないようであります。そこでこれも又口頭によつて質問を申上げたいと存じます。私がこの第一の現在の実定員に対しまして、来たるべき改革後の鉄道局設置に伴うところの定員資料を要求いたしましたものは、その差額が例えば今監理局が、部が廃止をされましたところにおきまして、監理局設置されるところは、これは人員の膨脹が来るでありましよう。或いは又これは各県一つずつありましたところの管理部廃止せられましたところにおきまして、そのまま廃止運命になりましたところは、これは相当数人員が減ることになつて来る。ここに内部的に相当問題が今内在しておるのでありまして、この点を先ず明確にいたしたい。これは先般総裁の御答弁によりまするというと、大体五千人程度の方々の異動か、或いは又は節約ができるというような表現を以て御答弁なさつておりまするが、その節約という意味合の下におきまして、更にその不安が増大しているような状態であります。そこで現在の人員異動におきまして、一体どれくらいの人数が配置転換運命になるのであるか。或いは又真実、待命というような事態において将来の整理の対象になるような人員が若しあるとすれば、それは現在の見通しにおきまして何名ぐらいであるかということ、この二点を先ず御説明をお願いしたい。
  12. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 内付君は御質問のようでありますが、一応決議案について提案者理由を伺い、その後に質問を願いたいと思います。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  13. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) では速記を始めて。
  14. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 只今議題となりました「日本国有鉄道本州及び九州における地方組織改革実施延期に関する決議案」の発議者の一人といたしまして提案理由の御説明を申上げます。  日本国有鉄道は来たる八月一日を期して本州及び九州における地方組織改正を行うこととして只今鋭意その準備を進めております。この改正国鉄創設以来正に画期的な大改正でありまして、我が国経済社会に及ぼす影響は極めて大きいものがあります。国鉄が昨年六月一日、運輸省の所管を離れまして公共企業体として運営されることになりましたゆえんのものは、国鉄国民大衆のものであり、その利益と幸福のために運営されなければならないという高邁な理想を追求するためであることは申すまでもありません。従いましてかかる大改正実施するに当つては、たとえ日本国有鉄道法にその明文がないといたしましても、国の最高機関たる国会にその構想意図説明して理解を求め、助言を要請することは当然の処置であります。然るに国鉄幹部管理委員会の承認のみでこと足れりとして、極祕裡にその計画準備を進めたのでありまして、彼らはこれを以ちまして国鉄自主性を擁護するものなりと盲信しておるようでありますけれども、勿論国鉄そのものを政争の具に供すべきではありませんし、公共企業体経理と人事の独立があつてこそその本来の使命を果し得ることは申すまでもありません。併し公共企業体である限り国民批判を受け、その意向を斟酌しなければならないのは当然であり、国鉄のような独占企業におきましてはより必要なことであります。国民の声は国会を通じて最も権威あるものとして反映されておるのでありますから、今回のような組織の大改正を行います場合には、予め国会説明行なつたからと言つて、決して自主性と相反することにならないのであります。これをなさなかつたところに、国鉄に今尚官僚性が根強く存在していることを見逃すわけに行かないと思います。官僚独善の危険は我々が今日まで余りにも多く経験したところでありまして、この際国鉄当局に対しまして強くその反省を求めなければならないと思う次第であります。今回の組織改正は従来の本庁鉄道局管理部及び現場の四段階制を改めて三段階制とすると共に、従来の地域的な横割組織を改めて職能的な縦割組織とし、本庁の下に地方営業支配人を配置し、本庁鉄道監理局及び現場の三段階制にしようというものであります。これによつて従来全国にあつた九つ鉄道局、三十七の管理部廃止して、新たに二十七の鉄道監理局、外に本州九州だけでも十五の地方営業支配人、五十の地方営業所、二十七の地方経理事務所、十四の地方資材事務所設置するのであります。尚この外に九つのやはり運輸支配人を配置することになつております。その狙いは業務の簡素化管理部門人員縮小責任体制明確化サービスの改善によつて、この独立採算体制を整えようとするところにあるのであります。国鉄当局が従来の官庁組織から拔け切つて、新らしい組織を以て能率の増進、サービス向上を図り、且つ責任体制を明確にし、独立採算制を確立して国民に奉仕しようとする努力と熱意に対しまして、敬意と賛意を表するに吝かでありませんけれども、今回の計画幹部が独善的に強行する嫌いが多分にありまするために、逆効果を生ずる危険も又極めて多いことを恐れる者であります。一例を挙げますならば、国鉄労働組合はその趣旨に賛成であるが、準備が十分に整つておらないから、一ケ月実施を延期するように申出を行なつていますが、国鉄幹部はこれを拒否しており、又従来何かと国鉄に協力して参りました管理部所在地で、今回監理局設置を見ないことになつ地元民は、一致して監理局設置、或いは所管区域の是正を国鉄当局陳情いたしましても、運輸事業の実際を知らない素人の無理解として、甚だしいのは極めて横柄な態度ではねつけているという事実もあるのであります。国鉄運営は個人の責任にありとする国鉄幹部諸君気慨は勇ましいかも知れませんけれども、戰前戰時中を通じまして、我々は軍閥官僚のこうした勇気と気概の犠牲になつたことを忘れてはなりません。尚この改正について関係方面も非常な熱意を以て指導を與えていることを聞いております。我々はその好意に感謝し、且つアメリカの近代的事業管理の方式を採入れることに怯懦であつてはいけないと思うのでありまするけれども、十分に受け入れる体制を整えてからでないと、国民感情の相違から来るところの無用の摩擦対立によつて、折角の組織をして十分にその機能を発揮できないことになるのであります。先般テスト・ケースとしてすでに実施しておりまする北海道、及び四国における実績を見まして、再検討の必要な点が多々あることを認めざるを得ません。  以上申述べましたように、この組織改正国鉄にとつて極めて大事業であるに拘わらず、これを実施するに内外の呼吸がぴつたり合致して、その実施に邁進しようとする体制が整つておらないことを認めなければなりません。こうした大改正は主体的な條件が十分に整い、且つ客観的な好体制ができ上つてこそスムースに履行され、所期の目的が達成せられるのであります。従いましてこうした気運を醸成するために、暫く時をかす必要を痛感する次第であります。主体的條件から申しまして、第一に北海道及び四国においてすでに実施しておりまするモデル・ケース実績について未だ確信を掴み得るだけの資料が示されておらないのみでなく、いろいろと批判が起つているのであります。現に北海道の某監理局におきまして、輿論調査を行いましたところ、この改正を支持する者は極めて少数であつて、圧倒的に再検討の必要を強調しておる事実は、このことを立証していると思います。  第二に、運輸大臣も、国鉄総裁も、当委員会における質問に答えて、近き将来において地方の要望にも応え且つ実績に徴して考慮すると言明している事実によつても、確信の程が疑われるのであります。特に僅か三億円の問題で、最高裁判所において組合側と係争しなければならないような国鉄経理状態の中から、相当額の経費を注ぎ込んで行う組織改正が、再び改正しなければならないようなものであつては、国民に対して申訳ないと存じます。  第三に、運輸大臣も、国鉄総裁も、この改正に要する経費は約七億であると言明しておりまするけれども、労働組合側の言明を見ましても、或いは專門家の意見を徴しましても、二十億以上要するであろうと言われております。従いましてこの食い違いから推察して、予算の闇流用が行われる危険が多いと存じます。最近国鉄におきまして、度々大事故が勃発して国民に迷惑をかけておりまするが、その原因は、線路、車両の老朽によつて生ずる場合が極めて多いのであります。今仮にこれらの補修に要する費用から姑息的に組織改正のために流用せられるようなことは、国鉄の安全を保持する上から重大問題であろうと存じます。この組織改正は、名分の立つた堂々たるものであります限り、これに伴う予算も、姑息な手段によることなく、必要経費を遠慮なく計上して、補正予算として国会の議決を求めるべきであると信じます。  第四に、日本国有鉄道法第二十七條によりますると、職員の任免はその者の受験成績、勤務成績、又はその他の能力の立証に基いて行うと規定されているに拘わらず、との科学的人事管理の方式が何らなされておらないのであります。先日組織改正に伴う幹部職員の発令を行なつたのでありまするけれども、旧態依然たる最高幹部の独断的任免であつたのであります。国鉄鉄道省当時から最も学閥人事が牢固としておつたのであり、今日尚その形骸が温存されておりまして、職員中にはこれに対する不満が極めて強いものがあるのであります。組織組織自体として動くものではなく、これを動かすものは何と言つても人であると思います。組織のみ如何に新らしくとも、これを運用する人の頭が切換えられない限り、決してその組織は生かされないことは申すまでもないのであつて、それがためにこの組織を契機として、法律に基くところの合理的、科学的な人事管理が行われ、広く人材登用の途が講ぜられる必要があるのであります。このことがなされていないところに大きな問題があり、組織改正に対しまして、画龍点睛を欠くと申さなければなりません。以上の諸点を矯正する必要からしても、この際暫くその実施を延期するのが至当であることは明らかであります。又これを客観的に見まして、第一に朝鮮事件に関連して、内外の政治、経済、社会の諸情勢は異常に緊迫して参りまして、いつ如何なる突発的な事態が発生せないとも保障されません。八月一日に組織改正を行いまして、一応それが軌道に乗るためには、どうしても三ケ月の時日を要すると思います。朝鮮事件の推移に徴しまして、最も重要なる期間に相当することになるのであります。この期間におきます国鉄の任務は重大且つ微妙なものがあることは申すまでもなく、この組織改正によつて、一時的にせよ、能率の低下、輸送の混乱が内外に及ぼす影響は極めて大きいと思うのであります。  次に宇都宮、姫路、甲府、下関、青森、松阪等々の地方から熱心な監理局設置の要望がせられていることは、皆さんすでに御承知の通りであります。これら諸地方地元民諸君の要望も、一概に單なる門外漢の反対であるとして看過し得ないものがあります。国鉄戰前戰時中を通じまして、これら地方の自治体を初め住民諸君に種々協力を要請したのであり、今後もその協力に俟たなければならんことは勿論であります。従つてこれらの地元民の理解を求めた上で廃止すべきは廃止するだけの措置を講ずる必要があります。従来のような一方的な押しつけでなく、十分の理解を求め納得を得ることこそが民主主義の発展のために欠くことのできない要素であります。こうした見地からいたしましても、八月一日は絶対的なものでない限り、面目にこだわることなく、率直に暫く実施期品を延期して、然るべき措置を講じ、且つ内外の諸情勢を判断して最も適当なる時期を捕えて、十分な準備を整えた上で組織改正行なつて所期の目的を達成せられんことを期待する次第であります。政府はよろしくこれらの事情を勘案して、この際国鉄当局に対しまして、その監督権を発動して、暫時延期の勧告を行い、指導の義務を果さるべきことが至当であると信じまして、本案を提出した次第であります。只今から決議文を読み上げます。    日本国有鉄道本州及び九州における地方組織改革実施延期に関する決議   日本国有鉄道は、その機構に関して、今回国有鉄道創始以来ともいうべき極めて広範囲にわたる大改革実施せんとしている。   元来、輸送機関は、その国の経済の動脈であり、国民の足として安全、迅速、正確、利便を最高度に確保しなければならないものである。従つて、その機構改革に当つては、国民に不安の念を抱かしめないように、愼重計画と、完全な準備とを必要とすることはいうまでもない。殊に内外多事の現在の国状においては、輸送機関の能率を保持する必要上、新機構の実施には充分の準備期間をとるべきである。   しかるに、今回の機構改革は、その準備期間において全く不充分であるといわなければならない。よつて  政府は、当分その実施を延期するよう適当の措置をとるべきである。  右決議する。  以上が決議案文であります。どうか愼重審議下さいまして、御賛成願いたいと存じます。
  15. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 御質疑のある方は、質疑を願います。
  16. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 審議の参考に供したいと思うのであります。只今決議案並びに決議案提出理由に対して運輸大臣の御所見を承わりたいと思います。
  17. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) お答えを申上げ、この機会に運輸大臣の所見を開陳いたしたいと考えます。運輸大臣といたしましては御決議の趣旨並びに只今説明で拝聴いたしましたところに対しては御意見に同意し得ないのであります。即ち運輸大臣としては今日延期の意見を持つておりません。むしろ国鉄当時以来すでに決定いたしておりますあの案を適正に忠実に直ちに実行に移さしたいと、かように考えておるのであります。
  18. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 大臣に国務大臣としての御所見を承わりたいと思います。憲法によりまして国会は調査権を持つておるわけでありますが、国会のこの調査権というのはすべての国の問題に対して広汎無制限に行われていいものであるかどうか。これは非常に大きな問題であつて従来も各方面で論議せられておるところであります。例えば法務委員会におきまして検察官並びに裁判官等の職務に対して調査をやる。ところがこれに対して朝野法曹はこれはいわゆる国会に認められた調査権を逸脱するものであるということで、挙つて反対しておるのであります。当時私は法務委員をやつておりましたが、私共やはり同じ見解である。そういうことで私は爾来法務委員を辞めまして今日までやつていない。少くも私共はあの調査権というのは国会議員の職務権限の範囲内において行わるべきものではないかと、こういうような考えを今日も持つておるのであります。更にまたこの決議案等についてもやはり同様な考えを持つておる。国会というものは如何なる問題に対しても決議案を出し得るものであるかどうか。おのずからこの職務執行については法律においてそれぞれの権限というものが定められておるのであります。如何なる決議案でもこれを採択し、これを実施せしめることができるということになると、非常に大きな問題を生ずるのである。又法理的に考えてもそういうことはあり得ないものじやないかと思うのであります。例えばこれは理路整然とした決議案でありますが、仮に東京駅をあそこに置くことは不便である。これをどこかに移すという決議案を出し得るかどうかというような問題も当然考えらるべきものである。国会の調査権並びに決議案の問題にいたしましてもおのずから限界があるべきものであると、私は考えております。でありますからこれらの点について国務大臣としての御所見を承わつて見たいのであります。大臣の御見解では、こういうような決議案国会において取扱うことが果して法律上妥当であるかどうかという御見解も併せて拝聴することができれば非常に幸いであると思います。
  19. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 只今特に国務大臣としての所見を聞きたいというお尋ねであつたのでありますが、その意味においてお答えを申上げたいと考えるのであります。大体前提として御説明のありました御意見には実は私は御同論なんであります。ただ今日の日本の政治の関係上忌憚なくその理想論を述べ得ない形にあるために、暫く忍んでおくというのが私の現状であるのであります。今日ただこの議員として申上げる場合には只今のお説のごとき考えを持つておりますのが私の立場であり、国務大臣としてもさように考えます。而してこの決議案のごときものはこの国会において御決議をなさつた上においては、合法的に規定に基いて進められると考えるのでありますけれども、これを政治的に判断をして行く場合におきましては、これは一つの輿論の形が現れて来たというのでありまして、これによつて国有鉄道総裁の権限で或いはそれを採用して行くということには行かないと、かように私は考えております。国有鉄道は、国有鉄道法によつて総裁はその所信を企業の上に勇敢に発揮して行つて然るべきであると考えております次第であります。
  20. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 非常に当り障りのない御答弁ではつきりした要領は得ぬわけでありますが、結論においてこの機構改革は、日本国有鉄道法によつて日本国有鉄道総裁の職務権限の範囲においてやるのである。それから仮にこういうような決議があつてもそれに服従するところの法規上の義務はないのだと、こういうような御見解と考えますが、その通りでございますか。
  21. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) さように考えます。
  22. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 外に御質疑ございませんか。
  23. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 先程の大臣の御答弁に関して確かめて置きたいと思うのでありますが、本決議案の採決に当つての判断をいたすためにもう一度確かめて置きたいと思うのであります。先般当委員の質問に対しまして大臣より、このたびの機構の改革に対する要望、殊に全国というのではないが、数ケ所の県において大臣の御就任以来直接に各種の要望に接しておられる。その数県については今回の機構改革が必ずしも一定不変のものじやなくして将来の実行上において実情に即して直ちに修正改変をいたすということを仰せられましたが、さような含みの下において先程忠実に、すでに決定いたした改革に基いて実行に移るというお話でありますが、その忠実と申しますのは先般の委員会におきまして御答弁になりましたような含みの下において忠実というふうに了承いたして、本決議案の採決に当つて賛否を表したいと思いますが、さように了承してよろしいのでありますか、もう一度確かめたいと思います。
  24. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) お答えいたします。私が就任以来当委員会においてお答え申し上げた、或いは開陳いたしましたる意見悉くを包含して申上げたというふうに御了承を願いたいのであります。
  25. 植竹春彦

    植竹春彦君 只今の大臣の御答弁の中に、この決議を国会において行われました場合に、それは公社である国有鉄道を拘束しないかのごとくに承わつたのであります。公社を直接に拘束しないかのごとく承わつたのでありますが、この点につきましては運輸大臣の監督権を通じて国会は公社の総裁が運営いたしますこの国有鉄道運営上について重大な関心を持ち、そうしてそれに対する大臣の御監督に対して質問をなし、又意見を述べ、決議をすることもあり得る、その点につきましての大臣の重ねての御所見を承わりたいと思います。
  26. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 実はお尋ねの点が私にもはつきり取れなかつたのでありますが、運輸大臣といたしましては国会における決議に対しては、当然その御決議に従つて善処すべきであると考えております。
  27. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 外に御質疑ございませんか。
  28. 内村清次

    内村清次君 私は先程この問題がかかります前に、委員会で連続した審議の状態を、そのまま残つた質問を完了した上において、発議者としての立場において今後この問題に対処したいということを以て私は言つたわけでありますが、併し委員長のこの議案に対するところの運営につきまして私の考え方が齟齬いたしました。そこで私はただ今回のこの議題そのものにつきましては、これは国会議員といたしまして当然国鉄の企業の内部的問題でありますが、併し職員の身分というものはすべて総裁の、即ち職務命令に対する職務上の権限につきましては服従の義務があります。併しながら一面におきまして、人間の基本的人権につきましては、私はそこに問題の派生ということについての国会議員の権限といたしまして、当然この問題はやはり安定すべく努力するのがひとしく国会議員としての職務であるとこう思います。そういたしますとこの問題もこれは申すまでもなく内部的な、即ち職務環境というものが挙げて公共性と繋がつております現実の状況におきましては、尚更私達は関心を持つて行かなければならないという見地からいたしまして、昨日も国鉄職員の方々がこの機構改革の問題につきまして会議をやつておるようであります。全国から、会議をやりまして、今日は陳情の形において、国会の各所管大臣及び又各党に姿を見せておるようであります。こういうような事態というものは、この国鉄の機構の改革というものが先程提案理由の中にも十分示されておりましたし、今日五回に亘るところの委員会の席上におきましても、十分この問題が表面に現われておりますように、現実例えば勤務地におきまして、自分はこの会議に出席したけれども、一体所属はどこになるであろうか、辞令は自分の勤務地に来ておるであろうか、或いは自分が対象になつておるか否かということさえも不安定の下に、代表として来ておる状態であります。こういうような状態で明日明後日に迫りましたところの監理局設置の時期におきまして、この企業が円滑に行くであろうかということが我々ひとしく憂慮しなければならないところであります。そういう考え方からいたしまして、当局におきましても私は資料提出を求め、而も又その資料によつて対象となつております配置転換の方々の、どういうような條件において公式の機関でありますところの組合との話合がすでに成立しておるかどうかという点を明らかにして行きたい。かような考え方から資料も求め、又その問題もよく内情を聞きたいような次第であるのであります。こういう機会が、只今運営の仕方におきましては非常に発言しにくいような状態になつておりまするけれども、併しこれは大きな問題でありまするからして、これから二、三点につきまして先程の続きとして説明をお聞きしたい、かように存じます。  そこで先ず今回の配置転換の対象となつておるところの方々の人員数及び、又は節約になる整理の対象になつておるところの人員数、この人員数について先ず明確にして頂きたい。それから配置転換される方々に対するところの條件は、どういうふうな條件によつてこれを解決しようとしておるのか。又は整理の対象になつておる待命の條件としてはどういうことを当局は考えておられるかという点を先ずお尋ねします。
  29. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 配置転換の数でございますが、これは現在監理局系統におりまする総員が約二万二千名でございます。これに対しまして新らしい定員が各監理局或いは営業事務所資材事務所等を通じまして一万七千人余でございます。極く概数で申しますと五千人の過員となると、こういうことであります。それから次に、これは整理の対象、待命かというお話でございますが、只今申上げましたのは現在員でございまして、定員の上から申しますると、約一千百人の減になる。従いまして結局五千人の中約四千人というものは現在の機構におきましても、結局過員として自然減少の過程において消化されるべきものである。結局残りの一千百人と申しますものが、これが現在の定員から減るという結果になるのではないかと思うのであります。次に待命の條件その他ということでございますが、待命というようなことはいたさないというふうに聞いております。配置転換のつまり転勤されました者の條件その他につきましては、目下国鉄組合と当局とにおいて交渉中のようでありまして、詳細は私は承知いたしておりません。
  30. 内村清次

    内村清次君 資料の第二の問題でありまするが、今回の監理局設置に基きまして、宿舎新設工事費として約三億九千六百万円を支出しておられるようでありまするが、これはただ職員の宿舎のみに充てられたところの予算額であるか、又は管理部設置されておりました個所におきまして監理局の姿になつて参りますると、これは資料につきましても私は対象になるという考えで要求したわけであります。この現在の実人員総数が明確になつておりませんが、併しこれは常識的に判断いたしましても、周囲の管理部を收容して監理局の姿に返すわけでありますからして、人員の増加ということは免れない問題である。そういたしますると、現在の管理部の庁舎自体におきましてはその勤務場所的に非常に狭隘である。又これにいろいろの附属したところの係ができるといたしましたならば、当然又室の増加ということも考えなくてはなりませんが、庁舎も合せての予算額であるかどうか、これが第一点であります。
  31. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) これはお手許に差上げました工事建築関係の工事費は、これは宿舎だけではないかと私は思います。庁舎の建築についてはどうするかというお話でございまするが、庁舎については差当り現在の公舎を利用してもさ程不自由を感じないのではないかと思うのでございます。特にまあ、特段に大きくなるというような個所もなきにしもあらずでございまするが、併しながら例えて申しますれば東京のごときは、これは本局、新橋、上野の三機関が一つに相成りますのでございまするから、具体的に人員は殖えましても、庁舎としてはむしろ余裕を生ずるというようなところでございまして、従つて現在から見まして、現在の庁舎を以て手狭まとは相成りまするが、直ぐに困るというようなところはないので、差当つての予算としては恐らく考えておらないのではないかと推察する次第であります。
  32. 内村清次

    内村清次君 これは二十日の日本経済新聞でありましたが、この内容に現在国鉄機構は旧鉄道局から構成せられておるが、その鉄道局新機構では、監理局が一応二十七局に増設せられるのでこれらの庁舎の新設、或いは借受けに十億円近い経費がかかる。又専用電話や家族の転勤等において到底八月一日からは……、機構改革というものは相当期間遅れるであろうというような内容の新聞が出ておつたのでありまするが、これは又記者自体が察知いたしまして出したことでありましようが、これは当局といたしましては、先程の大臣の御答弁からいたしまして、そういうようなことによつて延期をしようというお考えはないということによつて、総括的には延期の御意思のないことを伺いまするが、ただここで庁舎の増設によつてという項目もありますし、やはり庁舎はどうしても私達が常識的に考えましても新設せなくてはならない。或いは増築をしなくてはならないというような個所もあるように見受けまするが、先程の御説明では庁舎の費用ではないということだけは明確でありますね。そういたしますると、次に今回の資料の中に先程も言われました相当数配置転換がなされるのでありまするが、これに対しましての人件費が見積つてないが、人件費は幾らぐらいかかる見込みでありますか。又その費途はどの項目から出そうと計画しておられるかどうか。
  33. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 私共といたしましては、工事経費につきましては一応概略の見通しを得たのでございまするが、人件費関係の方に相成りますると経費の部類に入ります。従いまして経費のやり繰りというものは国有鉄道の方でいろいろと考案しておると思うのであります。例えて見ますれば、赴任旅費のごとき、転任に伴つて赴任旅費も相当増加すると考えられるのであります。これらは普通旅費を節約してこれに充当するというような考え方ができるのではないかと思うのであります。特にそのために余計に要る旅費額が如何程になるか。これは具体的に人事の方で計算しなければ決定しないこともありましようが、只今私のところでは誠に申訳ないのですが、はつきりした資料がないのであります。実は特に外の経営費の中で非常に大きな負担かかかるというような考えはいたしておりませんし、又私共もさような心配はないと考えておる次第であります。
  34. 内村清次

    内村清次君 明確な御答弁の承われないことは誠に残念ですが、資料提出を願いました宿舎及び通信設備工事費を以ちましても、六億八千百四十万円という一応の予算額が出ておるようであります。そこでこれは大臣の御答弁を得れば結構でありますが、庁舎の費用もこれには見積つていない。又人件費が特に既定のすでに二十五年度におきまして、予算を可決されましたところの中から削減されて行くというような、そのこと自体につきまして、相当人件費もこれは要ることはもう目の前に分つた話でありますが、これを合計いたして見ますと、今までの政府の御答弁におきましては相当の金額になることははつきりしております。これは大臣も率直に認められることであろうと思います。問題は常にかような無理な改革を、而も急速にやろうとせられるところの状態におきまして、常にこの既定の予算額の中から、而もこれはどういうふうな項目を書いて出されるのであるか知らんが、又決つておりますところの人件費の中からこういう仕事には出して行く。そうして後には少くなつたところの即ち予算額におきまして、尚お互いの給與予算を削つて行くというやり方、これではこの職員の方々の企業努力を大臣はどこに集中して持つて行かれようとしておるのでありますか。これは裁定問題、先程提案理由の中にもありましたけれども、政府職員が一体となつて、そうして汗水流して節約をし合理化をして行こうというような、そういう予算の面におきましても剰余がある。こういうふうにして現に身を食うような方に使われて、何ら後に対するところの対策を考えておられないというようなことで、どうして職員の勤労意欲というものを増長して行くことができるかどうかという問題である。これは一例を挙げて見ますと、政府職員行政機関定員法におきまして、国鉄職員の方々が九万六千の整理、恐らくその時の退職金はこれは前大臣の時でありましたが、五十四億円の退職金があつた筈である。こういうような政府が出しますところの法律に対しましては、当然その裏付けとなるべきところの予算が付いて来なければならぬ。それがその予算額が付いて来ずして、企業のどの項目から私は出されるのか知りませんが、とにかく退職金の問題につきましては、別に企業の予算の中からこれを出して行くとか、そういうような勝手なことを政府はやつておられますが、その実質におきまして要るべきところの、即ち予算におきましては、堂々と国会提出をされまして、そうして予定されましたところの予算の中では成るたけその職員の企業努力を増長して、そうしてその剰余の出た問題につきましては、これは或いは一般会計に繰入れまして、或いは又報奨制度といたしまして、あの国鉄第一次裁定にありましたような、第三項によるところの賞與制度を早く確立して、そうして企業努力を増進さして行くということが私はこの国鉄の公社になりましたゆえんでもあろうし、又これを繁栄させ、同時に又これが国家的に即ち産業経済に影響するところの好影響をもたらすゆえんではなかろうかと思うのでありまするが、そういうことを常に隠しておられる。これでやることだけは完全に早くやつてしまう。思い立つたことはどこまでも早くやつてしまうというようなことで、一体公共企業体というものが本当に起ち直るかどうかという点につきましての大臣の御所見をもう一回一つ聽かせて頂きたい。
  35. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 只今のお尋ねということでありましたけれども、やはり内村委員の御意見であり観察である点が非常に多いように拝聴いたしたのであります。無論御観察、御意見のごとく、事実がありとすれば、それは運輸大臣といたしましては、さようなことは是正して参らなければならないと考えます。併し私もまた日浅く十分その内容に通じておりません。お答えする範囲は政府委員から申上げます。
  36. 足羽則之

    ○政府委員(足羽則之君) 只今の内村さんの御質問は、いろいろな今回の例えば機構改革などにつきまして、予算が相当多額であろう、そういつたような問題については内容をはつきりさして、職員の内容をはつきりさして、そして出すべきものは出す。或いは出すべきものをどういうところから出すかということをはつきりさして、そしてこの職員の企業努力等によつて或いは残余が生ずれば実質的な賞與制度を実施するとか、そういつた方向に行くようにしなければいけない。そういうふうにしなければ公共企業体としての行き方がないではないか。こういう意味の御質問かと思うのでありますが、今回の機構改革についての費用の点につきましては、しばしば国有鉄道の当事者からここで御説明を申上げておることで御了承を願いたいと思います。運輸省といたしましては国有鉄道の方から予算の使用方についての承認の申請も参つておりません。現在の御審議を願いました国有鉄道の予算の範囲内で使用の措置を講じておることと、こういうふうに考えております。従つて或いはこの従来の内容が明確でないということで御不満があるかとも思うのでありますが、それは併しやり方が不明朗な方法でやつておるというふうには私たち考えていないのでありまして、それぞれ所要の必要な手続により、予算で審議された内容に従つてそれぞれ必要な経費を支弁して、今回の機構改革に対処しておることと、こういうふうに我々は了解しております。従つて尚将来職員の企業努力ということによつて或いは余裕が生ずるというような場合がありますれば、今お話のありましたように賞與制度、そういつた問題なんかにつきましては、当然それは別な問題として考慮される。こういうふうに思うのでありますが、今回の機構改革のやり方、それに対する予算の内容が、説明が不明瞭であるということによつて国有鉄道公共企業体としての進み方、それがうまく行かんというふうに直ぐお取り頂かないで、今回の改革によつて、その結果によつてどういうふうに又仕事が改善をされ進められるか。そういう点について今暫く期間を置いて見て頂くという、こういう考え方も或いはあるのではないか。これは聊か私見でございますが、そういうふうにも私考えておる次第なんです。
  37. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 運輸大臣に最後にお伺いしたいと思いますが、国鉄法の二十七條についてでございますが、私提案理由の際にもちよつと申上げたのでありますが、とにかく試験制度を実施しろということは、昨年の六月一日から決つておるのでありまして、試験制度と勤務の実績によつてその任免をやれということは、法律上明確にこれは決められておると思うのであります。これは單に下級職員の、いわゆる機関士とか、そういつた下級職員だけを試験によつて任用せいというのではなくて、これは特に上級職員に対してこうした試験制度を採るべきであるという、これは趨勢になつて来ておることは、人事院におきましても第一番に局長以上から試験をやつておることを見ても今の動きはそうなつておるということはお認めになるだろうと思うのであります。ところが国有鉄道におきましては、そういうふうな新らしい人事管理方式というものは何ら採られておらないということを、大臣は御存じであるかどうかということについて、御存じであるとするならば、今回の機構改革に当りましてそういうことも職制に置いておる。加賀山さんは腹を叩いて、わしに任して置いて呉れと言う。昔からいろいろ東條さんも、俺に任して置けと言つて、任したらとんだ目に遭つた。俺に任せろという豪傑的な面を主張するかと思うと、一方では新らしい責任体制の確立とか、こういうことを言つておられるが、私は二十七條、法律違反だと思います。できたばかりならば止むを得ませんと言われるかも知れませんが、一年も経つて、この法律が実施されておるやおらないということにつきまして、運輸大臣の一つお考えをお伺いしたいと思います。今後もこれをこのままやつて、今のような調子で加賀山さんにお任せして置くつもりか。やはりこうした制度を採らすつもりか。それから今までやらなかつたことについてどうお考えになるか、この二つの点を……。
  38. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) お尋ねの点にお答えいたします。この点は十分調査いたしまして、果してさようであるか否やを確かめて、間違つておれば直ちに是正することにいたします。
  39. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 調査と今言われたので、まだ調査していない。就任日が浅いと言われるので、止むを得んとしても、現にやつておらないのです。局長とかそういう者の試験はやつてないので、ただ機関士とか、そういう者の試験だけはやろうとしておる。そんな馬鹿なことがあるか、上の方からやつて来い、人事院でも上の方をやつておる。局長をやつたつて、相当落第した者がある。上の方から来なければ承知せんぞと言つて頑張つて来たのですが、そういうことは伏せて置いて、而も今回重要な発足に当つて、画期的の展開に当つて、試験成績は何ら加味されず、やられておらない。若し仮にそういうふうにしてやられておるとするならば、法律で決められておりながら実施していなければ、大臣どうお考えになりますか、その点一つ。
  40. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) それは申上げるまでもなく、法律に準拠して善処すべきだと考えます。
  41. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 外に御質疑はございませんか。それではこれより本案の討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 内村清次

    内村清次君 私はちよつと先程も機会を失しましたが、先程政府の答弁に対しまして不満を表明しておきましたが、もう再質問の機会がなくなつてしまつた。ただ討論の前に実は運輸委員の一人、鈴木君ですが、ちよつと討論のときに呼んで来て呉れというようなことを言われております。でそういう点について……。
  43. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 鈴木君ですか、呼びにやつております。もうちよつと、……一応順序を履んで……、では討論に入ります。
  44. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 結論から先に申しますと、国鉄地方組織実施を延期する決議に賛成をするものであります。私は昨年或る地方局から国鉄に何を望むかという意見を聴取を受けたことがありますが、その際に先ず国鉄として第一に行うべきことは、機構の簡素化と能率の向上だろうということを申上げたことがあるのであります。そういう観点からもとよりこの簡素化される機構そのものに反対をするのではありませんが、このやり方が非民主的であるから反対をするわけです。国鉄は昨年の公労法の施行によつて、この従業員諸君は憲法において保障されておるところの基本的な権利というものの制約を受けておる。そうして公労法の枠内で当局との交渉を進めておるわけでありますが、私がこの国会を通じて、更にその以前の国鉄の労働慣行というものに足を入れて感じましたことは、ことごとに管理運営ということに口をかりて労働條件に対するところのこの多くの従業員の意見を採入れるということはしておらない。そういうことで今回問題になつておる機構改革の問題にしても、例えば昨年から問題になつておるところの国鉄裁定の問題にしましても、すでに一ケ年になろうとしても、裁定の問題にはこれを実施しようというような積極的な熱意を持つておらない。そうしておつて当局が考えた機構改革は、これは組合側に十分なる納得をさせるような機会も與えないで一方的に押しつけようとしておる。こういうことが、これは日本の将来に非常に大きな禍根を残す原因じやないかと思う。すでに一部においては我々が民主的な段階と、立憲的な方法によつて日本の民主化を進めて行くべきであるという主張に対して、すでに我々の基本的原則というものはとられておる、民主主義的な慣行というようなものはあり得ないということを主張して、暗に非合法的な方法以外に労働者の生活を守る途がないということを主張をしておるものもありますが、こういうふうのことをやること自体が、そうした論者の主張の裏付けをすることになる。私は日本の民主主義と、そうして民主的な労働組合の発展の上において非常にこういう一方的な押しつけをやられることが大きな禍根を残すということを考えるものであります。そういう観点の上から、組合はもうここの席に出席をしたときに、一ケ月延期をして、その上で十分当局との間の交渉を進めて、そうして実施をさせたい、原則的にはこうしたことに賛意を表しておるのでありまするから、やはり組合の従業員の言い分も十分採入れて、その上においてこれはなされても、決して一ケ月や二ケ月の日にちを貸すことに、これを拒否せられるという必要もないと思うのでございます。そういう観点から私はこの決議を採択することに賛成をいたします。
  45. 植竹春彦

    植竹春彦君 私の結論は反対結論であります。国会は無制限調査、無制限の決議権があるというのではありませんけれども、公共企業体の重大な機構変革に当りましては、国会は重大な関心を有するのが当然であると考えるのであります。本決議案の御趣旨並びに提案理由の御説明中には、賛同すべき点が多分にあります。今日までの準備行動においても多分の不備があつたのでありますが、すでに全国に亘りまして、二十有七ケ所の監理局設置も確定し、その他の組織計画準備ができ上つて、今こそただ実施を待つばかりとなつておるのであります。我々はこの国鉄運営に対しましては、現実の姿を直視して、この決議案の採否を決定しなければならない。今これを延期するにおきましては、すでに決定した都市における混乱も予想せられるのみならず、国鉄内部におきましても却つて混乱と動揺を招く場所もあると考えまするが故に、すでに七月二十二日の本委員会におきまする大臣並びに国鉄総裁の御答弁にあつたごとく、御当局の、すでに実施後の修正考慮の言明に信頼いたしまして、本決議案はこれを留保すべきものであるという意見を申上げる次第であります。
  46. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 私はこの決議案に対しまして賛成であります。理由を申上げますと、いろいろ皆さんが御議論なされたかとは思いまするが、今植竹委員からの発言の中にもありましたように、無制限に国会が参與するということについて、我々自体も反省すべきでありましようけれども、少くとも国鉄の機構を改革する、機構が全般的に変るというような重大な問題を採上げるときにおいては、実施するときにおいては、少くとも管理委員を任命するだけの国会の権威者は、少くともこれに対しまして、事前に先ずその処置を聞くなり、或いは機構改革の様子を聞くなりして、事前に事を諮つて国会としての任務を果すべきである。これだけはどうしても私は国会がすべきであるという観点に立つものであります。然るに拘わらずこの点につきましては、現実の問題としてすでに人事院も発令しているような問題にぶつかつているので、ここで以て採上げることは云々という言葉を皆さん方が言われるようでありますけれども、それなれば若しこうしたことを今後国鉄がどのようなことも、総裁の意向によつて、運輸大臣の意向によつて、何事も変革する重大問題を採上げたあとでその問題が現実として起きたときには、これは今後国会ではどうすることもできないということを、ここではつきりあなた方が確認できるかどうかということを私は反問したいのであります。若しそれができ得るとしたなれば、総裁なり運輸大臣が勝手に物事をやつて国会では何らこれに関與することができないという結果になる。少くとも管理委員を任命するだけの国会は、そうした点は我々は許されるべき問題でないと思うのであります。そうして又今の植物氏の御発言の中には、少くとも混乱が起るではなかろうかというお言葉があつたようでありますけれども、これはむしろ私は実施することによつて混乱が起るではないかという懸念が大きいがために、機構改革を一ヶ月程待てということを敢て言つているわけであります。なぜかというなれば、御承知のように労働組合が、国鉄の機構が如何に改廃され、如何に改善されても、円満なる運営をする人は誰であるか。為政者のみによつてこれが果して円満なる運営ができるか。若し為政者のみによつてその円満なる運営ができるということであつたならば、私は過去の思想の持主であると思う。少くとも今日日本におけるところの民主主義のあり方は、決して為政者のみによつてものを運ぶのでなくして、むしろこれに従つて従事する従事員が真剣に理解を持つて、初めてそこに円満なる運輸業務の発展があるわけであり、又円満なる運営がある筈であります。然るに拘わらずこの従事員諸君が少くともこれには満足が行かない。行かないので、大会の決議によつて少くとも今少しく民主的な方法によつて団体交渉を持ち、機構に対しましての我々の発言を認めろというようなことの総意から、一ケ月程延期して貰いたいという決議が出ておる筈であります。その意向がすでに国会にも伝わつておるのであります。そうした観点を我々は考えるときにおいては、少くとも今少しく国会はこの決議案を取上げて、そうして我々は一ケ月と敢えて切らない、二ヶ月とも敢えて切りません。少くとも今少しく期間を置いて、国会もこれに参與して、運輸委員会も参與して、当事者三者が寄つて今少しく民主的に、そうして従事員も理解ができるようにお互いが話合うということが、本当に今後国鉄運営を民主的にするという根本原則でなければならないと思うのであります。従つて私はそういう趣旨を取入れました今回のこの決議案に対しましては賛成をする一人であることをはつきり申上げます。
  47. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 外に御意見ございませんか……。御意見がなければ本案の採決に入ります。本案に賛成の方の御起立を願います。    〔起立者少数〕
  48. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 少数であります。よつて本案は否決と決定いたしました。
  49. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 折角提案したのにここで否決されまして誠に遺憾でございますが、本会議におきましては、これは趣旨弁明の自由を一つ保留させて頂きますので、御了承願います。
  50. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) この報告書の提出につきましては、前例に倣うて委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 御異議ないと認めます。それでは前例によりまして本案を否とされたお方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    植竹 春彦   高田  寛    岡田 信次   山縣 勝見    高木 正夫   前田  穰    村上 義一  前之園喜一郎
  52. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 明日は午前十時から委員会を開会いたします。
  53. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 私は鉄道の医療施設の問題について国有鉄道の労働行政局長に質問したいと思うのであります。委員会にお諮りを願つて出席を求めます。
  54. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 承知いたしました。それでは今前之園君の御提議によりまして、医療施設に関する質問をいたしたいとのことでありますから、当局から呼びますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 御異議ないようでありますから、さよういたします。重ねて申上げます。明日は午前十時から開会いたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     佐々木鹿藏君    理事            植竹 春彦君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            岡田 信次君            山縣 勝見君            内村 清次君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            高木 正夫君            前田  穰君            村上 義一君           前之園喜一郎君            松浦 定義君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 山崎  猛君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君   説明員    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君