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1950-07-28 第8回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)    午後二時七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○低性能船舶買入法案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) それでは開会いたします。低性能船舶買人法案議題といたします。前回の委員会質疑は大体終了したものと考え、討論に入りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 御異議ないと認めます。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  4. 山縣勝見

    山縣勝見君 低性能船舶買入法案に関しまして、政府当局より各般の御答弁を願つたのでありますが、低性能船舶買入法案は現在の国情並びに海運界現状から見まして、是非共通過を期したいのでありますが、本法案効果をより有効ならしめまして、海運再建に資しまするためには、私は修正意見を提案いたしたいと思うのであります。  修正案内容を申述べたいと思いまするが、低性能船舶買入法案の一部を次のように修正いたしたいと思うのであります。第十條中の「一の銀行」とありまするのを單に「銀行」と改めたいのであります。次に、第十一條中に「拂い込まれた金額を、」とありまする下に、「左の各号に掲げる債務を弁済する場合、」を加えたいのでありますが、更に同條第二号中に「この法律公布の際」とありまする下に「当該船舶に関し」を附加えたいのであります。尚、又同條に第三号として次の一号を新たに加えたいのであります。第三号は「当該船舶政府に売却した者が、第八條第一号に掲げる船舶公団の持分の買取又は同條第二号に掲げる先版特権若しくは抵当権の消滅のため有することとなつ債務」、尚、第三に附則修正をいたしたいと考えるのでありまするが、附則第一項中に「九月一日」とありまするのを「十月一日」に改めたいのであります。従つてこれに関連いたしまして、附則第三項及び第四項中に「八月三十一日」とありまするのを「九月三十日」に改めたいのであります。これらの点に関しまして、本法案修正意見を提案いたしたいと考えまするが、極く簡單に、この修正意見を提案いたしまする理由を御説明いたしたいと思います。  第一の第十條中に「一の銀行」とありまするのを、「銀行」に改めまするゆえんは、一の銀行といたしますると、特定の銀行に別段預金をいたすということに相成るのでありまして、この法案によつて性能船舶政府買入希望いたします船主は、各金融機関とは各種の関係を持つておるのでありまして、これを一つ銀行に限定いたしますることは、経済通念から申しましても妥当でありませんし、本法案効果を全的に発揮する上からいたしましても、濫りにその障害を生ぜしめることと相成りまするので、一つ銀行に限定いたしませんで、單に「銀行」といたしたいと思うのであります。これによつてこの銀行の数は複数であり、その銀行船舶船主に属するものと解釈して、この修正案を提案いたしたいのであります。  第二の点の第十一條中「拂い込まれた金額を、」の下に「左の各項に掲げる債務を弁済する場合、」を加え、同條第二項中「この法律公布の際」の下に「当該船舶に関し」を加え、尚、同條第三号に先程申しました一項を加えまするゆえんは、原案によりますると、この法案によつて性能船舶を売りました船主は、その売りましたことによつて得た代金は、それを別段預金よりの拂戻を受けますのは、原案によりますと、本法律公布の際に、現に有するすべての債務を弁済した場合において初めてその拂戻を受けるという規定に相成つておりますが、さようなことは経済通念から申しまして、現実の点より見て余りに不合理であります。尚又海運界実情から申しましても、船主事情から申しましても、その船舶に固有にありまする当該船舶に関しまする債務を、その売上代金によつて買入れる、これは買入れられた代金によつて弁済することが妥当である。尚又さようにいたしませんと、恰も破産の場合における債権者と、船舶を売りました船主との関係に類したような、繁雑な混乱を伴うような事態を想定されまするので、これは当該船舶に関してでありまするが、種々の担保権その他の物件、それらに対して、先ず以てその代金で以てそれを拂うということに限定いたしました方が、実情に適しまするし、尚、又本法案効果を発揮する上によろしかろうと考えまして、先程提案いたしましたような修正案を提案いたしたいのであります。  尚、又第三の点でありまするが、第三の点は、要するに本法案は本年の四月一日以降、海運の運営が還元されましたについては、内航船舶に関しては、繋船補助金が支出されておるのでありますが、本法案を公布施行されますと同時に、内航船舶に関する繋船補助金法律を廃止する、その効果を廃止するということに原案は規定されておりますが、本法案條文によりますると、昭和二十五年の九月一日に買入申込みをいたしまして、一ケ月間を待たざればその船主決定がないのであります。尚、又船主決定が九月三十日にその申込みが打切られた後に決定いたしましても、買人に伴う代金の支拂等に関しては尚或る程度の時日を要するのであります。でありますから、形式的には一つ法案が廃棄されて、一つ法案が有効になるのでありまするから、形式的にはよろしいようでありまするが、実際的にはこの法案條文によつて、この買入法案により実際的の効果は一ケ月乃至一ヶ月以上の時日が経つた後において、初めてこの買入法案効果が発生されます。この間少なくとも一ケ月間の空間が生じますから、その見地から現在の海運界現状、尚又低性能船舶買入法を夫施いたしまして、この海運再建を図りたいという本旨から申しましても、この繋船補助金支給はこの買入法案によつて買入法案の期する効果が発生するまで延期することが妥当であろりと思うのであります。但しいつまでも延期いたしますことは妥当でありませんので、一応この法文に規定いたしておりまする申込期間一ヶ月だけ延期いたすことが妥当であろうと考えますので、繋船補助金支給を「八月三十一日」までといたしておりますのを「九月三十日」までに改めますのを妥当と考えて、この修正案を提案いたした次第でございます。
  5. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  6. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 修正案賛成いたします。
  7. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 他に御発言ございませんか……。ないようでありまするから討論終結したものと認め、これより採決に入ることに御異議ございませんか。
  8. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 修正を込めたのに対して私は賛成討論の通告をして置きまたので、意見を述べたいと思いますが、如何ですか。
  9. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) どうぞ。
  10. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 本員は本法案賛成するものであります。すでに政府提案理由にもありましたように、現在日本過剰船腹、即ち未活動船は約百万重量トンに達し、本邦の稼動の実情から見まして、これがいつの日に活動するやら不明であるばかりでなく、これらの船はその性能が甚だ不良か、又は老朽で、最新の建造船に比して著しく不経済でありますから、断じて競争に耐えないものであります。かかる船腹が永続する限り、本法海運の復興は所期せられぬばかりでなく、常に本邦海運界の不況の原因となり、国際海運市場参加の癌となるのであります。又一方船員の生活安定の見地からいたしましても、この種船腹の存在は恐ろしく不安を招来しておるのでありまして、若しこのまま推移して参りますると、本年度一杯で繋船補助金が打切られまする結果、約五千人の失業問題が生ずるのであります。これらの問題は本法実施によつて相当調整できるものと確信するのであります。  併しながら朝鮮問題は何と申しましても、本法立案当時の現勢に著しい影響なしとはしないのでありまするから、本法目的を円滑に遂行するためには、特に有力船主団政府との連繋が緊密になされなければならない次第でありまするので、私はこの際海運日本の存立に対する重要性と、本案成立趣旨に鑑みまして、徒らに目前の利益にとらわれるごとなく、国家永遠見地から、是非とも関係官民各位の協力によりまして、本法を死文化させないように切望する次第であります。  ところで私はこの際本法実施につきまして、特に希望を申上げて置きます。それは第十五條によりまして、売却船主はその船舷を一定期間保管する義務を負うのでありまするが、私は恐らく政府委員の本委員会における説明のごとき単純な方策ではこの保管は困難を加えることを憂うるものであります。従いまして、政府当局買入契約に当つてはこの点を十分留意せられて、相互に無理のないように取極をせられたいのであります。尚、又目下の諸情勢より判断いたしまして、海運事情には相当の変化が予想されます。でありまするから、本法実施に当つて実情に合するように万全を期せられ、苟くも龍頭蛇尾に終らないように、重ねて特に関係当局の方々に希望いたして置く次第であります。以上。
  11. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 外に御意見はございませんか。
  12. 山縣勝見

    山縣勝見君 本法案修正案を込めて只今小泉委員の御賛成がありましたが、私はそれに関連して、只今小泉委員の御発言のありました内容に対しましては意見を同じうするものであります。私は低性能船舶は現在の情勢に即して日本経済再建に資するものと考えるのでありますが、今後政府がこの法案実施には万全を期せられまして、是非共この法案の意図いたしまする効果が万全に期待できまするように、是非これは業者といたしても当然賛成でありますが、是非共この今日の情勢に即して万全の処置をとられんことを希望いたします。  尚これに関連して希望を一点附加えて置きたいと存じますることは、この法案によつて船主船舶政府に売上げましたその代金でありますが、税制上簿価とその売上金との差額につきましては、現在の税制によりますと課税されるのであります。但し今回のかような売上金に対して課税されますと、相当高額の課税があるのでありまして、元来この法案日本海運再建従つて日本経済再建を意図いたしておるだけに、折角の買上によつて部分が課税されるということになりますと、日本海運現状から見まして、この案の目的とするところが達成されぬことになります。従来海上危険による保険金簿価との差額に対しましては、新造等をいたした場合においては免税にされておりますが、その趣旨に即して今後政府におかれましては、関係方面或いは関係当局、大蔵省なんかとの御折衝を是非運輸当局においてされんことを希望いたしまして、先程小泉委員の御発言内容に対して賛意を表する次第であります。
  13. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 外に御意見ありませんか……。ないようでありますから、討論は終結したものと認め、これより採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐々木鹿藏

    説明員佐々木鹿藏君) 御異議ないと認めます。  それではこれより低性能船舶買入法案採決に入ります。  先ず山縣君の修正案議題といたします。山縣君の修正案賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立
  15. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 全員でございます。  次に、山縣君の修正部分を除いた原案賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立
  16. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 全会一致でございます。よつて本案修正議決決定いたしました。  それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされる方は順次御署名を一願います。   多数意見者署名    植竹 春彦  小泉 秀吉    高田 寛   岡田 信次    山縣 勝見  内村 清次    菊川 孝夫  小酒井 義男    前田 穰   村上 義一    前之園 喜一郎  松浦定義
  17. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 御署名洩れはございませんか……。なしと認めます。  尚、本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者承認を得なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本案内容説明並びに本委員会における質疑応答の要旨、討論趣旨及び表決の結果を報告することとし、御承認を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 佐々木鹿藏

    委員長佐々木鹿藏君) 御異議ないと認めます。  それでは散会いたします。    午後二時二十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     佐々木鹿藏君    理事            植竹 春彦君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            岡田 信次君            山縣 勝見君            内村 清次君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            前田  穣君            村上 義一君           前之園喜一郎君            松浦 定義君   政府委員    運輸省海運局長 岡田 修一君