○
山縣勝見君 低
性能船舶買入法案に関しまして、
政府当局より各般の御答弁を
願つたのでありますが、低
性能船舶買入法案は現在の国情並びに
海運界の
現状から見まして、
是非共通過を期したいのでありますが、本
法案の
効果をより有効ならしめまして、
海運再建に資しまするためには、私は
修正意見を提案いたしたいと思うのであります。
修正案の
内容を申述べたいと思いまするが、低
性能船舶買入法案の一部を次のように
修正いたしたいと思うのであります。第十條中の「一の
銀行」とありまするのを單に「
銀行」と改めたいのであります。次に、第十
一條中に「拂い込まれた
金額を、」とありまする下に、「左の各号に掲げる
債務を弁済する場合、」を加えたいのでありますが、更に同條第二号中に「この
法律公布の際」とありまする下に「
当該船舶に関し」を附加えたいのであります。尚、又同條に第三号として次の一号を新たに加えたいのであります。第三号は「
当該船舶を
政府に売却した者が、第八條第一号に掲げる
船舶公団の持分の買取又は同條第二号に掲げる
先版特権若しくは
抵当権の消滅のため有することと
なつた
債務」、尚、第三に
附則の
修正をいたしたいと考えるのでありまするが、
附則第一項中に「九月一日」とありまするのを「十月一日」に改めたいのであります。
従つてこれに関連いたしまして、
附則第三項及び第四項中に「八月三十一日」とありまするのを「九月三十日」に改めたいのであります。これらの点に関しまして、本
法案の
修正意見を提案いたしたいと考えまするが、極く簡單に、この
修正意見を提案いたしまする
理由を御
説明いたしたいと思います。
第一の第十條中に「一の
銀行」とありまするのを、「
銀行」に改めまする
ゆえんは、一の
銀行といたしますると、特定の
銀行に別段
預金をいたすということに相成るのでありまして、この
法案によ
つて低
性能の
船舶を
政府に
買入を
希望いたします
船主は、各
金融機関とは各種の
関係を持
つておるのでありまして、これを
一つの
銀行に限定いたしますることは、
経済の
通念から申しましても妥当でありませんし、本
法案の
効果を全的に発揮する上からいたしましても、濫りにその障害を生ぜしめることと相成りまするので、
一つの
銀行に限定いたしませんで、單に「
銀行」といたしたいと思うのであります。これによ
つてこの
銀行の数は複数であり、その
銀行の
船舶は
船主に属するものと解釈して、この
修正案を提案いたしたいのであります。
第二の点の第十
一條中「拂い込まれた
金額を、」の下に「左の各項に掲げる
債務を弁済する場合、」を加え、同條第二項中「この
法律公布の際」の下に「
当該船舶に関し」を加え、尚、同條第三号に先程申しました一項を加えまする
ゆえんは、
原案によりますると、この
法案によ
つて低
性能の
船舶を売りました
船主は、その売りましたことによ
つて得た
代金は、それを別段
預金よりの
拂戻を受けますのは、
原案によりますと、本
法律公布の際に、現に有するすべての
債務を弁済した場合において初めてその
拂戻を受けるという規定に相成
つておりますが、さようなことは
経済の
通念から申しまして、現実の点より見て余りに不合理であります。尚又
海運界の
実情から申しましても、
船主の
事情から申しましても、その
船舶に固有にありまする
当該船舶に関しまする
債務を、その
売上代金によ
つて買入れる、これは
買入れられた
代金によ
つて弁済することが妥当である。尚又さようにいたしませんと、恰も破産の場合における
債権者と、
船舶を売りました
船主との
関係に類したような、繁雑な混乱を伴うような事態を想定されまするので、これは
当該船舶に関してでありまするが、種々の
担保権その他の物件、それらに対して、先ず以てその
代金で以てそれを拂うということに限定いたしました方が、
実情に適しまするし、尚、又本
法案の
効果を発揮する上によろしかろうと考えまして、先程提案いたしましたような
修正案を提案いたしたいのであります。
尚、又第三の点でありまするが、第三の点は、要するに本
法案は本年の四月一日以降、
海運の運営が還元されましたについては、内
航船舶に関しては、
繋船補助金が支出されておるのでありますが、本
法案を公布施行されますと同時に、内
航船舶に関する
繋船補助金の
法律を廃止する、その
効果を廃止するということに
原案は規定されておりますが、本
法案の
條文によりますると、
昭和二十五年の九月一日に
買入の
申込みをいたしまして、一ケ月間を待たざればその
船主の
決定がないのであります。尚、又
船主の
決定が九月三十日にその
申込みが打切られた後に
決定いたしましても、
買人に伴う
代金の支拂等に関しては尚或る程度の
時日を要するのであります。でありますから、形式的には
一つの
法案が廃棄されて、
一つの
法案が有効になるのでありまするから、形式的にはよろしいようでありまするが、実際的にはこの
法案の
條文によ
つて、この
買入の
法案により実際的の
効果は一ケ月乃至一ヶ月以上の
時日が経つた後において、初めてこの
買入法案の
効果が発生されます。この間少なくとも一ケ月間の空間が生じますから、その
見地から現在の
海運界の
現状、尚又低
性能船舶の
買入法を夫施いたしまして、この
海運再建を図りたいという本旨から申しましても、この
繋船補助金の
支給はこの
買入法案によ
つて、
買入法案の期する
効果が発生するまで延期することが妥当であろりと思うのであります。但しいつまでも延期いたしますことは妥当でありませんので、一応この法文に規定いたしておりまする
申込期間一ヶ月だけ延期いたすことが妥当であろうと考えますので、
繋船補助金の
支給を「八月三十一日」までといたしておりますのを「九月三十日」までに改めますのを妥当と考えて、この
修正案を提案いたした次第でございます。