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1950-11-13 第8回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十三日(月曜日)    午後一時二十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共企業体労働関係法第十六條第二  項の規定に基き、国会議決を求め  るの件(内閣送付) ○日本国有鉄道機構に関する調査の  件  (海陸運一般行政に関する件)   —————————————
  2. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) それではこれから会議を開きます。  最初公共企業体労働関係法第十六條の第二項の規定に基きまして、国会議決を求める件を議題に供します。右に関しまして、日本国有鉄道予算又は資金上可能であるかどうかということにつきまして、その後の事情について、主管たる運輸大臣の御所見を伺いたいと思つておりましたのでございますが、運輸大臣は発熱されまして、只今病臥されておりますので、秋山運輸次官から、その政府におきます予算措置についてどういうふうにされたか、その点をお伺いいたしたい。かように考えまするが、如何でありましようか。
  3. 内村清次

    内村清次君 私は一昨日の委員会におきまして、この問題の重要性に鑑みて、運輸大臣の御出席を強く要求いたしておつたわけでありますが、勿論要求いたします理由は、当時も申述べたことでありますし、即ち仲裁裁定の問題は第五国会以来の問題であつて、その仲裁制度が民主的に、而も国会はこの民主的な裁定により、更に民主国会としての労働関係の完全なる運行、円満なる運行、而も又これが及ぼすところの公共企業体の円滑なる運営を期するべく、この問題は坂上げられておつたのでありますが、政府の再三に亘るところのこの問題の法律解釈上の食違い、或いは又我々から申しましたならば、当然引上げるべき給與の実態にも拘わらず、これを看過しておるという点、或いは又国会の決議に対してさえも無視をしておるという点に対しまして、早急にこの事態を解消せなくてはならないという見地に立つて、この問題が今尚継続審査になつておる事態を早く解決したいというのが私の希望であつた筈であります。同時に新運輸大臣が就任せられましてから、この第二次裁定の問題については、給與財源について今暫らく国鉄企業実績を見たい。いわゆる收入実績を見た上においてこの問題を倉重をして、そうして解決をしたいというのが最後におけるところの運輸大臣答弁であつた筈であります。この事態はすでに私達が予測いたしておりましたのは、企業体の、即ち四月からの新予算での運輸收入状態及び又收支状態を勘案されて見ましたならば、恐らく七月乃至九月の半期の状態を見られたならば、この政治的に大きな問題を解決する時期に到達しておるのだと、かように考えております。ところが依然として今日になるもこの問題は何ら解決を見ておらないということは、これも先程も申しましたように、職員給與問題が延いては企業体能率運営に対しましても相当重大な影響があるということをも私は申上げておつた筈であります。でこの問題につきまして、運輸大臣委員会に御出席にならないというようなことは、これは運輸大臣みずからの責任において、いわゆる責任重大性をお考えになつた上において、大臣みずからが決定されるべき問題であることも私達は認めておるわけであります。そこで病気の真疑につきましては、先程の場合に、委員長及び又山縣委員からもお話があつて、私はその真実なることを信ずるに吝かではないのでありますが、併しこの委員会で私は少くとも結論を出して貰いたい、即ち早急に解決すべき問題を解決して貰いたいというのが私の希望であるし、而も又特別引揚委員会におきましては、すでに未復員者の特別給與問題につきましても、今日の委員会におきまして、これは勿論継続審査の形でありますが、委員会におきまして、法律案決定を見て臨時国会の当初においてこれを提出をするという運びにさえも出ておる委員会があるのであります。こういうような事態でありまする以上は、やはり当委員会といたしましても、この問題の重要性に鑑みられまして、そうして政府においても勿論でありましようが、委員会におきましても早急に解決をして、臨時国会においてこの問題が当初にかかるように進行させて頂きたいということを強く私は希望いたしまして、今日の大臣の御出席のなかつたことに対しましては、満足でないという点を率直に表明いたして置きたいと思います。
  4. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 尚御発言ありませんか、この問題は大臣出席されませんければ、今内村委員の言われまする通り審議支障を来しておりますわけでありまするけれども、病気でありまするということになれば、只今幸い秋山事務次官がおいででありまするから、予算措置その他の事実上の説明につきまして、説明員説明を聴取して置くことも、この問題解決の一段階として如何でございましようか、お諮りいたしたいと思います。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) それでは秋山説明員
  6. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 本日運輸大臣是非とも当委員会出席いたしまして、御質問その他にお答えをいたしたいということを非常に考えておつたのでございまして、今朝程もそのために家を出まして、数日来から歯の激痛を覚えておりまして、何とか医者方面手当によりまして、御出席できるようになるだろうと思いまして、その方にも立寄つたのでありますけれども、折悪しく痛みが非常に激しくございまして、医者の方も手が下せません。又歯痛もし、物を言うのにも支障を来すと、いう事情でごさざいますので、誠に止むを得ないが今日は出席できないから、どうかお前参つてよくその事情を御説明を申上げて、御了解を得るようにして貰いたいということでございました。一言事情を申上げます。尚裁定の問題につきましては、私共といたしましても、これが措置に関しまして何とか早急に解決をしたいということは、事務当局といたしましても熱望しておるところでございまして、当初のいろいろな過程があつたのでございますが、一応補正予算といたしまして、大要におきまして、收入は月々によりましていろいろ上り下りがございますので、増收があると見るのがいいか、まあ減收はないと思いますが、現在通りと見るべきがいいか、やや決し兼ねる点がありましたので、凡そ運輸收入は本年度の予算通りという点に押えまして、支出の面におきまして、いろいろと経費節約、例えば石炭費節約或いは修繕費節約というような方面におきまして、できるだげのことをいたしました。それから尚その他不要項目の額を集めまして、それで台風のためにどうしても業務運営上り必要になつております災害費を、これからとりまして、その他緊急な経費を若干とりました残りを以ちまして、一月から大体千円のべース・アップをする。それからその外一ケ月分に当ります金額約三十三億円、ベース・アップの金が十三億六千かと思いますが、それだけの原資を保留いたしまして、そうしてこれでほぼ裁定実現ができると存じておりますが、それでやるというふうな予算を組みまして、目下関係方面折衝中という状態でございます。その間又いろいろと有力なる意見も出て参りました。例えば今日の情勢を以てするならば……ちよつと今一つ落しました。財源として節約だけではどうしても辻棲が合いませんので、十五億六千万円借入れました。新たなる借入れをしました。そうして全体の辻棲を合せるという考え要旨なんでございます。これを関係方面提出いたしまして、いろいろと審議を目下願つておるわけでございますが、その間いろいろと有力意見が出ておりますが、現在におきましても、大体日本政府当局におきまして、予算を編成いたしましてから、今日までまだ若干の日が経つておりますが、その間の運輸收入状況を見まするに、或る程度増收は見てもいいではないか、そうしてこの十五億という借入金は、見方によると給與改善の一部を借入金で賄うというふうにも見られるし、又一部は災害応急の金を借入金で見るのだというふうにも見られるし、赤字財政でないという根本の原則から見て、どうもおかしいようにも思われるというような見解もありまして、先ず増收を見て、そうしてやつたらどうか、大体増收傾向を見るのに、それくらいのものは賄えるような案が立つように思う。こういつたような有力意見が示されたのでありまして、只今私共も、又国鉄も、大蔵省等におきましても、その見方実現の確実さというようなものを目下検討いたしておるというような段階になつておるのでございますが、我々といたしましては、何としても少くとも予定通りのことは実現したい、かように思いまして、事務的なる努力をいたしておるという次第でございます。大体そういうふうな現段階でございますことを御報告申上げます。
  7. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 秋山説明員の御説明に対しまして、御質問、御意見等ございませんでしようか。
  8. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、この財源関係は、増收を見てからこの実現に努力する、現在検討中だというのが、要約しての事務当局からの御答弁要旨であるのですね。そうしますと、この財源の問題ですが、これは給與を一体いつから引上げるのか、財源関係ですが、その期限のあたりはどういうふうな見当を付けておられるのでしようか
  9. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 只今も申上げました通り、一月から三月までのべース改訂として、千円アツプとして十三億六千五百万円、それから一ヶ月分に相当するものが三十三億ということを見当にして、給與総額以外の給與総額追加額というようなものを考えている次第でございまして、これが実施方法というようなものは、先ず財源が決まりまして考えられるべきものと、こういうふうに考えております。
  10. 内村清次

    内村清次君 一月から三月までですね、問題は……そういう狙いのようですね。そうしますと、裁定実施は、これは何月からであつたのですか。この点のお考えはどういうふうに考えておられますか。
  11. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 裁定には確か四月から実施するということに書いてあると存じております。併しながらこれをいつから実施するかということは、この実施が可能であるかどうかということにつきまして、御審議を願つております関係上、国会において御決定願うべきものであるというふうに考えております。
  12. 内村清次

    内村清次君 そうすると、事務当局は四月からは全然お考えにならずに、一月から後は国会審議のときにおいて考えて貰いたいという御答弁のようですが、そうすると、今日までの運輸收入あたりはつきりと材料提出の点まで行つておりますか、どうですか。
  13. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 只今ここへ細かい收入面材料を持つて来ませんで、誠に失礼でございましたが、只今までの我々が持つております情報によりますというと、情報と言いますか、資料によりますというと、大体年間二十億程度増收は見得るのじやないかというふうに考えております。
  14. 内村清次

    内村清次君 裁定を完全に実施せられるとすれば、これは四十億ぐらいの給與問題と、それから今まで千円ぐらいの、職員赤字を持つてつたという第一次の、即ち裁定に示されてありまする二十六億程度財源、こういう点を含めますと、それから第三項に決められてありますところの賞與の問題の解決、それから実質的なこの現物給與、その他の問題、こういうのを含めますと、約八十億になりはせんかと私達は考えておりまするが、先程のお話では増收が二十億見当だ、そうすると、事務当局の方では増收一本の方で考えているか、或いは当時裁定はつきりと明示してありましたように、建設予算或いは又特別建設予算ですね、この問題について余りに多く当局としては予算を組んでいるのだというようなことがはつきり明示されておつたのですが、その問題の推移は一体どうなつておりますか。
  15. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 私共といたしましては、長年減価償却的工事応急的工事と言いますか、取替工事と言うものが延び延びになつております関係上、いわゆる特別建設費、補給取替といつたような部面は非常に大き過ぎるというような考え方は持つていないわけでありますが、その他の面におきまして、只今増收二十億と申上げましたが、その外経費の面におきましても、できるだけ節約の途はないかというふうに考えておりまして、節約増收と両方面から、この問題に対処したいという考え方を持つております。
  16. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 裁定実施について四月から実施せよということは、これはもうあなたの方も御承知の筈ですが、今この一ケ月の、年末に一ケ月分を出すというのはどういう名目で出すのですか、これは……。
  17. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 一ケ月と申上げましたのは、一ケ月分に当る原資財源として、予算として考えておるということでございまして、一応その他については未だ決まつておらん、こういうことでございます。
  18. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それを一ケ月出すという、今一ヶ月出す原資としますると、裁定を四月から実施することになると、どれだけの差があるのですか。
  19. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 正確な計算をいたしませんと、はつきりどうということは申上げられませんが、大まかに見まして凡そ相見合う金額だろうと考えております。
  20. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、大体四月から実施をするというだけの意図を以て準備をしているわけですね。
  21. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 大体同額に見合うだけの金は捻出し得るのではないかということで、財源検討をしておるわけでございます。
  22. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、どうせもう大体見合うだけの準備をするということならば、極く僅かな差であるならば、四月から実施して、あれだけ問題になつて、裁判問題にまで、今最高裁判所まで行つておるような問題だから、これはもう完全にそれだけは四月からは実施するというふうにしてやられる方がいいと思うのだが、あなた方の意図はどういうふうなお考えを持つてつているのですか。
  23. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 先程来申上げておりますように、私共としては、一体どの程度の金が財源として捻出し得るかということが先ず問題でございますので、それをそういうふうな考え方検討いたしておるわけでございます。あと実施が可能であるか、不可能であるかということは国会でお決め願うということになるのであります。こう考えておるわけでございます。
  24. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 国会で決めるのは、あなたの方でこういうふうにすれば実施できる見込みである。予算の方はこういうふうに持つて行つて收入の方はこうなるのだからというふうな資料、これはいいか悪いかということはできないにしても、裁定の線であつて、あなたの方では四月から実施をしなかつたら、こういうふうにして、予算はどういうところから捻出できるというふうにお示しになつてこそ、それがいいか悪いかということを国会は決めるのだと思いますがね。そういうふうにお出しになる予定ですか。
  25. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 恐らくこういつたような、今申上げましたような財源関係の問題の検討が済みますならば、あと補正予算の形で国会提出するということになると思います。又決定いたしますまでは、どうも金額的にもどうこうということははつきり申上げられない。大体の考え方なり枠なりは今申上げたような方向で進んであると、こういうことを御説明申上げます。
  26. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、まだ運輸省では、補正予算は組んでないのですか、これについての……。
  27. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 先程から申上げましたように、補正予算として、一応これは政府としての案は決めたのでございますが、それを関係方面目下折衝中でございまして、それについて非常な有力なる意見提出せられ、その有力なる意見実現性と言いますか、確実性と申しますか、それがつまり増收見込の方にかかつておりますので、そういうことを目下検討折衝中であるということを申上げたのでございます。従つてどちらの案が最終案としてとられるかということは今申上げ兼ねると、こういうことであります。
  28. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 有力なる意見とえらい含みのある言葉でありますが、なるべくそれを実施するという見込のある意見ですか。それとも実施してはいけんという有力な意見ですか。有力な意見と言つたつて、これはやつてはいかんという有力な意見ですか。それを聞かせて貰いたい。
  29. 秋山龍

    説明員秋山龍君) ちよつと速記を止めつて下さい。
  30. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  31. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 速記を開始願います。
  32. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 前国会のときにもこれは問題になつて、私は非常にやかましく申上げたのでございますが、これは次の議題となるところの機構改革とも関連するのでございますが、最近のこの機構改革を、宿舎の増設とか、我我は地方を廻つて見ましても、金が使われておるように考えるのです。最初に七億円というような総裁の説明であつたのですけれども、我々素人考えにしても、とても七億や十億では納まりつこないように考えるのですが、そういう方面に……裁定実施をせずに、そういう方面にはどんどん使われるということに考えまして、僕らには納得ができないのですが、今では大体機構改革に伴う経費というようなものは、大体もうあなたの方でも掴えておるだろうと思います。最初目標通り七億で終つておるかどうか、それをもう一遍……。
  33. 秋山龍

    説明員秋山龍君) どうもその問題は今私共の手許にはつきりした資料がございませんので、調査いたしまして、お答えいたしたいと思います。
  34. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは裁定実施とも重大な関係があると思いますので、調査の上衣の委員会には是非とも御通知を願いたい。
  35. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 心得ました。
  36. 鈴木清一

    鈴木清一君 ちよつとお尋ねしたいのは、根本に触れるかも知れませんが、今言われた、三十億と言われたことをお尋ねするのですが、最高一ケ月を算定した。御承知のように慣例上から行きまして、年末に相当苦しんでおる人民に対する何らかの考慮があつて然るべきだと思います。ところがたまたま年末になつて、この問題を裁定実施の形において出されるということは、どうもすり替えられたような傾向がある。その裁定実施以外に越年資金と言いますか、そういうようなものについては何ら考慮していないのですか。
  37. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 実は前国会にもこの裁定実施が現在できないのだということについて、政府はこういう見解で御審議をお願いしておるのですが、その後又情勢も変りましたし、いろいろ收入の問題、支出面等について検討の余地がございますので、それを目下慎重に検討いたしまして、できるだけ裁定実施に副いたいということで、可能な金額の捻出と申しますか、そういうものを図つておるような次第でございます。只今のところ私共の見方では、ここに考えられております金額以上のものを、今日の鉄道会計から出すということはどうも困難ではないかというふうに考えます。
  38. 鈴木清一

    鈴木清一君 例えば他官庁で、そうした問題に考慮を拂うようなときが来たならば、そうしたときには裁定以外の問題として、これは扱うことはできるわけですね。裁定実施というのは、あなたの場合はやられようとしておるでしよう。そうすると、越年資金というものと全然性格が違つて来ます。これは裁定実施と同時に越年資金も同じようにしてよいのですけれども、考えようもありますけれども、若し他官庁なり、或いはその他の公企業体が、どうしても従事員生活擁護から、そうしなければならなかつたといつたときには、額の問題以外に考慮するということについて、御考慮があるのかないのか。
  39. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 先程申しましたように、一番重要な業務である裁定の履行、これは如何なる犠牲拂つても、我々の気持としては如何なる犠牲拂つてもやらなければならんというので、実施すべき財源その他を検討しておるわけであります、それさえもまあ大体ということでございまして、いろいろ見方によりましては、足るとか足らんとかいう問題だろうと思いますが、そういつた事情の折から、まあ他官庁給與の出方にもよるわけでありますが、そういつたものをいろいろ考え合せました場合に、これと合せて更にここにありますのが、三十三億でありますが、一ケ月三十三億と出ておりますが、それと同じものを支給することができるかどうかということにつきましては、どうも私共の現在の経営状況検討の結果では、そういうことは実際上不可能ではないかというふうに考えております。
  40. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  41. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 速記を始めて……。
  42. 内村清次

    内村清次君 今次官お話しで重大なことは、一ケ月分の年末手当、これは政府一連としてすでに新聞にも公表したものである。而も又最近の新聞には、この問題が折衝中において幾らか困難性が出ておるということも私達は新聞で見たのである。ところが只今お話しでは、勿論裁定実施を第一義として考えておられるということは、これは私達は了承いたします。当然これはしなくてはいかん。でないと、いわゆる労働慣行というものが破壊されてしまうという考え方を持つておりまするが、併しこれを優先的に考えて置くと財源がないと言つておる。これは大きな問題じやないかと思う。で政府一連に公表して、これは大衆、特に又俸給生活者が長年の越年関係資金として、政府俸給生活者のあの年末にかけましてのいろいろの社会不安の状態につきましても、国民はひとしくこの点についても又更に危惧の念を持つておる次第ですが、今のこの説明を聞くと、財源見通しが付かないということは、これは一般に公表いたしましたならば、勿論これは運輸省だけの問題、即ち国鉄公社だけの問題とは存じまするが、公社職員というものは相当刺戟を受ける問題であろうと思うが、この点につきまして、今一応一つ次官の明確な答弁を私は聞いて置きたいと思います。
  43. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 只今の問題につきましては、先程申上げました通り、とにかく幾ばくの金を捻出し得るかということが、裁定実施のできるかできないかということになつて来るわけであります。従つてその方面から最大限の可能性を得たいというのが勿論我々の希望でございます。いろいろ努力いたしておるわけでございますが、とにかく今申上げましたような線しかまあ財源が見付からないのであります。従つてこれを如何なる形で理解するかということも又あると思います。それはつまりどういう方法実施するかという問題にも関するわけであります。そういうことは検討を終りまして、補正予算として、恐らく来たるべき国会政府の案が提出されると思うのでありまして、その節十分御検討願いまして、一つ御裁断を得られれば大変結構と思います。
  44. 内村清次

    内村清次君 その問題は、一般官公吏俸給生活者と同一の取扱いをするときには、それをいわば切離して考えるというような答弁ですか。
  45. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 繰返して申しますが、最大の可能財源のゆとりを見まして、できるだけ従業員給與に当てたいというのは当然の事柄でございますけれども、これだけの金しか今のところ捻出し得ないという実情にありますので、これが実施方法等につきましては国会で御決定を願う。例の裁定案継続審議になつておるような次第でございますから、それに倣いまして、御決定を願いたいというのが現在の状況でございます。
  46. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大事な問題だと思うので、一つはつきりこれだけは願いたいと思うのですが、一月からの千円のベースアツプ、それから大体四月から実施するとして、一ケ月分に相当する金額というものは、補正予算として次の臨時国会、もうすぐ開かれる予定になつている臨時国会には、これは必ず出し得る確信があるかどうか、それについての運輸省見通しと言いますが、はつきり一つその点を伺いたいと思います。はつきりその程度は出て来るかという点について、これは大事な問題だと思いますので、その点一つ……。それから次には公務員との折合については、先程鈴木委員からお尋ねしたのですが、それとは別に、公務員の方はどうなつても、こつちだけは予算がないから出ないというお話もありましたが、この点につきましては、公務員関係の方はどういうふうに変つて来るようなことがあつても、それに折合えという名目で減らしたり殖やしたりするようなことはないかどうか、この点一つ……。
  47. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 只今の御質問は、どうも甚だ御答弁の言葉を発見するのに苦しむ問題でございますが、私共といたしましては、繰返して申上げました通り、できるだけの待遇をしたいし、又裁定実施もさして頂きたい。この気持はもう変らないのでございます。併し言葉は悪うございますが、相手方があつて交渉中の事柄でございまして、それがどちらに落付くかということを、交渉の一方が敢て言うというふうなことは、どうも少し不謹愼と申しますか、お答えしかねるということが本当ではないかと思うのですが、気持としては、菊川さんの御心配になるようなことはできるだけないようにしたいと思います。
  48. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから公務員との問題について……。
  49. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 公務員との問題につきましても、菊川さんの御心配になつておるようなことは絶対にないようにしたいと考えております。
  50. 鈴木清一

    鈴木清一君 それは重大なので大臣の御出席をお願いしてから質問したかつたのでありますが、只今菊川君の質問についてお話最初から伺つておりますと、次官は、裁定の問題についてのみに責任を負わされているから、これを実施することができない。だから我々はそのために財源を捻出することを考えておりませんと言うが、私共の心配することは、今従事員がどういうふうに考えているか、裁定はすでに法律で決定されて実施する責任を持たされておる。ただその持たされているのを国会に依存して、十六條二項を利用して国会の態度のみにあなた方は頼られているのであります。それで越年資金の問題でございますが、これは第一次裁定の勧告第三項にあるのです。これは関係が例えばなかつたとしても考えられなければならない。ところがこれについてあなた方は一言も説明しない。私共がお尋ねすればこそ初めて言葉が出るのであつて、こうしたものを含めて考えて、いるというようなお話一つも出ていないのです。従つて一番従事員が不安でならないのは、裁定はもう既得権利なのであるのに、それと越年資金とを振替えるというようなことが起きるではなかろうか、そういうことになつたら、越年資金というものに対する法律はいつになつたら出して貰えるのかということが、これが最後に残つて来ます。だからこれに振替える危惧を組合員に持たせるということが重大問題なので、こういう質問を申上げているわけなのでございまして、もうちよつと私は誠意を以てお話ができるものなら、十五億の金繰りというものを最近或る程度含めておられるとするならば、借入金の十五億を三十億とするとしても、私は大して相違の起るものでないと思う。そうしたことについて考えて見れば、主管当局として真にその従事員を愛するならば、そこのけじめをはつきり付けて然るべきではないかと私共は考える。そうした点について大臣のお考えを本当によくお尋ねしたかつた。併しそのお答えが出ませんので、事務当局として次官に伺うのですが、もう少しこの点についてはつきりお答え頂きたいと思うのです。
  51. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 鈴木さんにお答えいたしますが、先程から繰返し申しておりますように、赤字借入金をしてこれをやるという仮に考え方をしますと、只今お話になつたような考え方も一通り考えられておるわけだと思うのです。そういつたようなこともあると思いますが、有力なる御意見として、借入金ではいかん、増收の認められる範囲、自分の持つている財源の範囲でしなければいけない、こういうような示唆が目下実行の可能性を限定しておる、こういうことが問題になるわけであります。
  52. 鈴木清一

    鈴木清一君 私共の申上げたいのは、最後に有力な関係筋というお言葉が今まで言われて来ると、いつも委員の方ではそれ以上質問し兼ねるというところへ追込まれるのですが、私は当局の御苦心は分りますが、單に十五億以上でなくて、三十億でも要求した後、僅か十五億でもその方に……というならば分りますが、つまり少くとも、それだつたら今申上げたようなことをはりきりけじめを付けて、三十億要求して、それで以て関係筋にこうなつたというところまで行くならば、或る程度考えられる。そうでなくて、十五億でもそうだということにして言われるのはどういうものか。あなたが先程申されましたように、そうした渉外上から起るべき問題に何ら考慮を拂わないで、ただ裁定のみを実施する。裁定実施は当然です。そういう方面にのみ言葉を籍りて、その方にすり替えるということは、従事員に対してその影響は非常に大きな問題であると思う。これは当局として非常にお骨折りの点は分りますが、今少し誠意を以てやつて貰いたいというのはその点なんです。それは関係筋のお話のように、増收は殆んど見られないということになると、増收そのものについて御説明願いたい。増收ということも、これは確かに新聞でも大分出しているように、増收は相当あるようですけれども、必ずしもその次の増收というものの額については、我々と相当見解の違つた数字を出されていると思う。政府は出されるなら、今回の補正予算にすでに裁定予算が組まれるくらいのあれはあつていい筈ですが、先程の菊川君のお尋ねの中には、裁定についてさえこれだけのことはやつていない、補正予算の中にさえこれだけのことはまだ検討中であるという程度では、ちよつとまあ説明だけとして、お尋ねする分にはし兼ねますけれども、もつとはつきりして貰いたい。これをどうするかということになれば又別でありますが……。これで私の質問を終ります。
  53. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 何か御質問等ありませんか……それでは本問題は本日はこの程度にいたします。   —————————————
  54. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 次に国有鉄道の組織につきましては、この継続審査に付せられておる問題は、運輸大臣から前の委員会におきまして言明もあつたことでありまするし、又その後衆議院の運輸委員会において決議もせられておるような次第でありますけれども、これは大臣出席せられませんことには、説明を求め、又質問をなし、審議を進めて行くということは、実益のないように考えますので、本日は大臣欠席で甚だ残念でございまするが、この問題は次回に繰延べたいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) それではそういうことにいたしまして、次の問題に移ります。速記を止めて……。    〔速記中止
  56. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 速記を始めて……。
  57. 内村清次

    内村清次君 この前の議員派遣の調査報告事項としてあつた筈でありまして、各委員の方も委員会を代表してお廻りになつたことだと思う。勿論この報告は先の委員会であつたように認められまするが、ただ関連いたしまして、率直に一つ派遣された議員の方々がどの地域において、こういうような機構改正のために非常に困難をしたかというような具体的な事例があつたならば、当時の委員会にも出席なかつた委員の方々もおられることと存じまするが、これは何回繰返しても決して悪い問題じやないと思います。当時私達が決議案を出しましたときにも相当問題になつたことでありますし、その後の状況というものは、当然やはり委員会といたしましても察知しなくてはならない問題であろうと思いますから、その派遣された議員の方々の率直なる御意見一つつて置きたい。勿論先程委員長が言われましたように、大臣が当時御答弁なさつたことにつきましての総合したところの更に意見を聞くことは、今日出席しておられませんから、いたし方ないといたしまして、委員の方々がどういうふうな状態になつておるかというようなことを一つここに持合せがあつたならば聞かせて頂きたいのであります。
  58. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 只今内村委員からのお話につきましては、この前九月中に継続審査委員会を開きましたときに、岡本專門員、岡田委員、それから又私植竹から詳細にこの機構改革後の報告をいたしまして、運輸大臣は七月二十二日の委員会のときの運輸大臣の言明に従いまして、速かに監理局増設の措置を講ぜられたい旨強く要望いたして置いた次第でありますが、詳細はその速記録によりまして御承知おき願いたいと存じまするが、本日尚その後の機構改革後の模様もあることでありまするから、若し各委員におかれまして、この問題につきまして御調査の結果、只今ここで御発表になつて頂いては如何かと思います。
  59. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この問題につきましては、私も最初機構改革されるときから、これはちよつとどうも変なふうに機構がなつて行つてしまつて、変なふうと申しますると、名を與えられたが仕事はなくて困つておるというような面が相当出て来るだろう、浮いてしまう連中が出て来るだろうということを指摘して置いた筈でありましたが、案に違わず、各方面を廻つて見ましても、第一運輸支配人というのと営業支配人というのが、立派な椅子とテーブルを與えられておるけれども、仕事は何をやつておるか分らん。浮いてしまつておる、そういう高級な職員が各方面におる、実際には監理局長が握つてしまつておる。支配人は連絡調整というような名目は與えられておるのだが仕事はないという、その下に又副支配人というものがいてやつてつても、とにかく仕事がなくて、毎日困るということを率直に言つて辞めて行つた人が二、三ある、殊に副支配人になつて来たところで何にも仕事はないということで辞めたのを、人の名前を申上げるのは差控えますが、そういう実例があるので、私は監理局の増設も勿論これは相当方々から要望もあるし、必要でありますが、国鉄機構は、その後をやはりもう一遍再検討してかからなければいかんというふうに認めます。そういう意味からいたしましても、運輸委員会でもつと專門的に小委員会でも設けまして、一つ恒久的な問題として検討するような方向に行つたらどうか、かように考える次第であります。そうして監理局の増設もその小委員会において、幸いにして村上さんのような大先輩も当委員会にはおられまするので、岡田さんとか、高田さんなんかのように経営の衝に当られた人もおりますし、我々のように下級の現場においてやつて来た者もおりますから、ここなんかはこういう委員が割合に揃つておりますので、小委員会の中でこれに対して一つ案を拵えまして、それを一つ委員会に答申して、そうして運輸大臣にこれを示す。こういうふうに行つた方がいいのじやないかと思うのです。單に一つのどこの監理局の設置問題というような問題よりも、更に私は飛躍して考えなければならん段階に来ておる、再検討の時期に来ておると思うのですが、実際表面に、何ぼ証人として、運輸支配人にしましても、営業支配人にいたしましても、或いは経理事務所長とか、資材事務所長を呼んで聞いたようなときにはうまいことを言うのは分りております。それは口ではどうでもなるのですから、非常にうまく行つておる、総裁を呼んでもうまく行つておるということを言いますけれども、実際問題としてこれは誰が行つて見ましても、成る程よく行つておるというふうには思えない。これはちよつと行つて見たら分るのですが、併しそこで具体的にどうしようかというような、折角変えてしまつたようなものを、発足したやつを、俄かにこれを又朝令暮改をやるわけにも行かん、今度これを修正する場合は再びそういうそしりのないように、少くとも長く地についてやつて行けるような方法を與えなければならんと思います。單にそういう一小部分を取上げても駄目だ、こういうふうに考えますので、その点からも今日結論を出すのも無理だと思いますが、そういうふうな構想で一つじつくり腰を落着けて考えなければならん問題じやないか、かように考えます。
  60. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  61. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 速記を始めて……。それでは只今の菊川委員の御発言につきましては、追つて委員間の懇談の上、何らかの適当な措置を講じて行きたいと存じます。それで御異議ございませんか……では御異議ないようにお見受けしますから、本問題は本日はこの程度にいたしまして、次の問題に移りたいと思います。それでは運輸省機構問題につきましてのその後の経過につきまして、先ず政府部内におきまして、この問題はどういうふうな成行となつておりますか、秋山次官一つ説明願いたいと思います。
  62. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 委員長からの只今の御質問に関しましてお答えいたします。曾て行政審議会が内閣に設けられまして、政府全体の行政機構の改革についていろいろ論議を重ねられたのでありまして、その結論として報告されておるところによりますると、大体根本的な考へ方としては、中央行政の機構を凡そ戰争前の状態に置く、尚地方自治の強化を図るといつたような根本的な考え方から、運輸省につきましては、船員局を廃止してはどうか、鉄道監督局と自動車局とを一本にしてはどうか、或いは港湾局を建設省へ一緒にしてはどうか、この最後の点につきましては、少数意見として、港湾局は運輸省に置いた方がよろしいという少数意見が付いております。そういつたような報告があつたのでありまして、行政管理庁その他におきまして、この報告を何とか解決しなければならんというような感じは十分持つておるようでありまして、いろいろと動きがあるようでございます。或いは又、観光部は非常に小さい、観光の重要性に鑑みて、内閣に観光庁を作るというような考え方もあるようであります。そういつたような勧告があるのでありますが、その後いろいろと新聞等に伝えられておりますそういう動きがあります都度、私共の方といたしましては、いろいろと意見を行政管理庁その他関係方面に具申いたしておるわけでございますが、まだ積極的にあれをこうするというような考え方は現われておらないようであります。予算編成の際にもいろいろ運輸機構の再編というようなことが問題になつたのでありまするが、これもその後はつきりした動きは出ておらないのであります。私共といたしましては、観光から始めますというと、観光部を現在運輸省の官房に置いておるのでありますが、それは成るべく早い機会に観光局にしたいというような考え方を持つております。併しながら観光というものの実体に鑑みまして、これを強いて他の省或いは他の機構に置かなければならんという理由は、どうも納得し難いように考えておるのであります。それから船員局を廃止するというふうな考え方でございますが、これは戰後の一般の民主化というような方針からいたしましても、或いは世界全般から、戰前日本の海運に対しで低労働、低運賃政策というような非難を受けておりました点から考えましても、船員局を海運局と一緒にするということは、どうも諸外国から見た目も面白くないのではないかというふうに考えておりまして、これは反対でございます。それから鉄道監督局と自動車局、これを一つにしてはどうかというふうな意見もございますようでありますが、これもその所管行政の対象の実体からいたしまして、漸次この二つのものは分化且つ統合するという関係にあるのであります。分化しておのおのその使命を発達せしめるということが第一でありまして、それを調整する、或いはもう少し高いレベルに置いて、海運航空といつたようなものと一体に考えまして調整するという考え方が必要なのでありまして、陸運であるからと言つて、これを一緒にすることは交通機関の発達の現状からしてもどうかというふうに考えられておるのであります。それから港湾局につきましては、これは港湾というものが海上運送の、鉄道で申しますと駅のようなものに当るわけでありまして、これを全然別個なところで切離して、計画、建設するというのは全く所を得ない筋の立たぬ話でございまして、これはどうしても海上運送と切離しては考えられない、こういうような考え方を持つておるのであります。尚航空行政でございますが、これはポツダム宣言の関係その他で日本人が航空事業をするということは禁じられておるのであります。又航空機の操縦も禁止されておるのでありますが、最近GHQからのスキヤツプ指令によりまして、民間航空会社というものが外国資本によつてできるということになりました関係上、そこに航空運輸行政というものができて参つたので断ります。従いまして現在まで航空保安庁として航空に関する保安施設が電気通信省の一部にあつたのでございますが、どうもこの形は面白くないのでございまして、やはり航空運輸行政と一緒にして運輸大臣の所管にするのがよろしいというふうな考え方を持つておりまするが、原則的にはこの点は電気通信省と了解ができ上つておるのであります。これは大体中央のことでありますが、中央といたしましては、この後問題になつております事柄は、道路行政と自動車行政の関係でありまして、道路行政と自動車行政を相離すことは殆んど不可能なのではないか、従つて道路行政を運輸省に一本にしたらどうかということは相当これは年来の議論でございますが、相当強くそういう議論があつたのでございます。それから尚これは中央の行政機構の問題でございますが、地方の行政につきましては、地方行政調査委員会議というものがございまして、憲法の定むるところの地方行政の強化ということを目下議論されておるようであります。又その一面の裏付けとしては、シヤウプ勧告等に基く地方財政の強化の考え方、この両方の考え方がありまして、運輸省につきましても、運輸行政を、地方の出先官庁を成るべく地方府県に委讓するというような考え方が進んでおるようでございまして、これに対しましても、地方行政調査委員会議に出頭いたしまして、いろいろと意見を申述べたのでございますが、私共の考え方といたしましては、運輸行政というふうなものが非常に技術的なものであり、且つ全国に脈絡のある行政である関係上、これを細分して所管するということは、徒に両者に負担をかけるのみならず、行政の目的とするところもうまく実現できない。これはアメリカの例におきまして見ましても、イギリスの例を見ましても、その経験の教うるところでありますので、私共としては運輸行政というものは、やはり地方に委讓せずして、現在のように中央一本でやつた方がいいのではないかということをいろ意のデーターから持つておりますので、さようなことを説明いたして参つたのであります。大体こういうような動きでございまして、未だ表向きこうというふうな段階にまで達したとか、それに対して運輸省がどうというような状態になつておらないのでありますが、いずれにしろ中央の行政機構或いは地方の行政機構につきまして、それぞれこれを何とか動かさなければならんのじやないかというような動きは見られる、こういう状態でございます。
  63. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) これにつきまして何か更に御質問、御意見等ありますか。
  64. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 今の運輸省の御見解を地方行政調査委員会にお申述べになつたように伺つておるのですけれども、大体私は今の秋山次官の仰せになつた線で非常によろしいと思うのですが、一つ伺いたいのは、そういうふうなことをする機会があるなら、海上保安庁の船舶局或いは船員局との関係の中に船舶職員法による船員の免状の規定とか、そういう管理事務というようなもの並びに船舶の検査業務のうちで、安全保護による検査の仕事、それからして建造による検査並びに近頃專門のクラシフイケーシヨンの検査というようなもののあり方は、船舶局において主管し、或るものは海上保安庁の関係官の所でやるというようなふうなことになつておることは、監督行政の上から言つても非常に煩瑣であるばかりでなしに、その監督を受ける船主並びに船員その他の関係行政等においては非常に不便を感じておるということが現実の問題であるのですけれども、こういうお話があるついでに、例えば船員局を廃止するというふうなことは、どういうふうな関係であるのか、私共にははつきり分らぬと思つているのですが、今次官の御意見で、それに対して運輸行政の統一の方から相当強い申入をされたというようなことで、今私が申したようなことをも含めて、こういう機構改革というようなものがあるなら、一つ改善するように御盡力を願いたいと思います。
  65. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 只今の小泉さんの問題にされました点は、海上安全に関する行政として、海上保安庁が所管しておる船舶職員に関する問題を船員局に返してはどうかという御意見、もう一つは海事検査、いわゆるクラシフイケイシヨンと言つておりますが、そういつたような海事検査関係が積量測度と離れて、積量測度の方は運輸省、地方海運局という系統になつておる。検査の方は海上保安庁、地方海上保安本部といつたような系統になつておる。これを一つにしてはどうか、こういうような二つの問題と承知いたすのであります。これが分れておりますために、関係の業者の方におかれまして、或いは船員の面において、いろいろと不便のありますことは私も十分承知いたしておるのであります。併しながら海上保安庁と申しますのは、アメリカの制度を取入れまして、日本の戰後の全く無防備……無防備と言えば言葉が悪うございますが、全く明け放しになつております日本の海上を、海上警察的なものとして発足いたしたのでありまして、この機構はアメリカに先例がありまして、この方は海上における実力の行使、いわゆる法律の施行という面、それから関連いたしまして、燈台、海難救助その他海事検査等の安全に関するものを一体的にやつでおるのであります。アメリカにおきましても、積量測度はこれは大蔵省の税関でやつておるというような状態でありまして、海上保安というものを拵えるということが非常に緊急であります関係上、実際にアメリカの制度をそのまま取入れたいというふうに関係者が動いているようでございます。併しアメリカの運輸行政の機構と、日本の運輸行政の機構とは全く違つております関係上、どうもこの間にうまく行かない点が非常に御不便をかけておるようであります。私といたしましては、その二つの日本に最もふさわしい運輸行政を作るという一つの要求と、又海上保安というものを考え一つ機構をどうしても作らなければならんという要請、この二つの要請を調和いたしまして、なるべく関係の方方に御迷惑の少ないような方向に改善をして行きたいと、こう考えておるわけであります。
  66. 村上義一

    ○村上義一君 只今運輸省機構につきまして、地方行政調査委員会議の進み方等について、又それに関連して秋山次官の御意見を伺つたのでありますが、私は大体秋山次官の御意見意見をひとしくするものでありますが、ただお話のうちに一点物足りなく思つた点は、自動車行政の完璧を期する上において、自動車工業行政へこれをも統轄せんければ今後の自動車行政の、自動車交通の、つまり言換えれば、道路交通の発達を助成する文化国家の建前から要望するハイウエイ・トランス・ポーテイシヨンの進歩に寄與するということが物足りないということを痛感する次第であります。それで今日は道路交通行政につきましては、道路については建設省が所管しており、又車輌の工業行政につきましては通産省の機械局が所管しており、そうしてただ自動車運輸行政についてのみ運輸省が他の鉄道交通、又海運航空等と共に運輸省が所管しておられるというために、非常にこの行政が跛行的になり、非能率的になつておることは他言を要しないのであります。どうしてもこれは一括して完璧な道路交通の行政を一省において所管し、そうしてその発達に寄與するということが必要だと思うのであります。海運行政についても港湾を別個に切離すというような説があるというお話でありましたが、これは以ての外であると思うのであります。海運についてもこれは完璧な一つの省において所管すべきものである。鉄道交通行政についても、同じく又航空についても一省において所管すると同時に、道路交通行政についても一省において所管する。更にこれらの各交通行政に不可分の関係にありまする観光事業行政についても、この省において所管する。言い換えれば運輸省は解消してしまう。そうして交通省を設置するということが実現されなければ、我が国の現段階に照して行政機構根本的の改正等ということはできないと私は思つておるのであります。交通省の設置こそ、現段階において日本の行政機構の改正を意義あらしめるものだと確信いたしておるのであります。どうぞ一つ……。大体においては同じ見解をお持ちになつておるということは誠に仕合せであります。更に完璧な御意見一つ立てて頂きたいと希望する次第であります。それでお話を伺いますと、運輸省としてただ受動的に消極的にこの機構問題を取扱つておられるように伺うのでありますが、若しそうでありますれば頗る遺憾だと思うのであります。是非積極的に交通省設置に関して強く御主唱せられることを希望する次第であります。
  67. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 只今村山さんから御指摘になりました自転車の製造行政につきまして、実は私は気が付いておりましたのを、つい発言を洩らしまして誠に失礼いたしたのでありますが、私共根本といたしましては、交通行政を完璧にするためには、運輸一体とその基礎になる道路、線路というようなものですね、それとそれから交通機関を作る製造事業、この三位を一体として持たなければならないということは常々考えておるのであります。尚もう少し積極的に大いにやるようにというお話でございまして、誠に私共もさように考えております。今後関係の者を督励いたしまして、御期待に副うようにいたしたいと思います。
  68. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつと最後に、これは皆さんに御了解を得たいと思いますが、二、三日前から国鉄で赤追放、レツド・パージをやつておるようでありますが、このことにつきまして、運輸委員会として重大な関心があると思いますので、それをここで論ずるのは別といたしまして、一応実情を説明願いたい、そのために私ちよつと質問したいと思いますが、これを一つ許して貰えますか。
  69. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) どうぞ。速記を止めて……。    午後三時二分速記中止    —————・—————    午後三時二十二分速記開始
  70. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 速記を始めて下さい。  次に、小泉委員から港湾法の施行につきまして質問の御通告があります。どうぞ……。
  71. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 先般改正になつた改正案のことで、この間の委員会で御説明がありましたのですが、その官房長の御説明で、どうも施行規則の作れない理由といつたようなことの御説明があつたが、どうも腑に落ちないのですが、今日は幸い次官がお出になつておりますから、港湾法並びにその後の関係事項について少し詳細にお伺いしたいと思いますが、如何でしようか。
  72. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 小泉委員にお答えいたします。港湾法の施行令ができまして、まだ実は実施になつておらぬのでありますが、この問題につきましては、実は関係方面と相当意見の食違いがございまして、鋭意折衝に努めておるわけでございますけれども、本日まで尚その了解点に到達し得ない状態でございます。誠に遺憾に存じておる次第でございます。ちよつと委員長速記を止めて下さい。
  73. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  74. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) では速記を始めて下さい。
  75. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 この法律の制定される時分の最後のここの委員会で、政府当局は私の質問に対して、相当具体的に箇條を挙げて私は質問したのだが、そういうことに対して考慮というか、改正に対して考慮する余地もあるし、意図もあるというような御返事がその当時あつたわけなんです。それは管理機構の問題で、横浜なり、神戸なりというところでは、市役所或いは県庁などを中心にしていろいろこの問題を、改正案に対して討議をしているという事実は御承知通りなんでありますけれども、その問題に対して運輸省当局としてはもうほぼ御腹案というか、見解がおありじやないかと思うのだが、管理機構、ポート・オーソリテイでやるか、或いは自治体のポート・オーソリテイというものは別に作らずに、あのままでやるかというような、特に神戸並びに横浜に対しての御見解を伺いたいと思います。
  76. 秋山龍

    説明員秋山龍君) これは法律に書いてあります通りに、関係の地方公共団体が協議して決めることになつておりまして、法律的には私共はこれは何とも申上げることはできないことだろうと思つております。
  77. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 法律を適当に改正する余地があるというのがあのときの御答弁でありましたが、それに対して次官としての今の御見解はどういうのですか。
  78. 秋山龍

    説明員秋山龍君) それはどうもそのときの質疑応答を私速記を調べておりませんので、どうも今日ちよつとお答えいたしかねますが、いずれ調べましてお答えいしたいと思いますが、私の只今関係方面との折衝いたしております気持からいたしますと、この問題について向うからもいろいろないわゆる有力意見があるわけでありまして、取敢えず現在の法律を実施するということが先決ではないかというふうに考えておるようなわけであります。これは併しまだそのときの政府委員の答弁等を見ておりませんから、よく調査いたしまして御返事申上げます。
  79. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 政府一つこの港湾法に対して私の希望は、折角法律ができたのを、今のようないろいろな経緯で施行法もできないで、法律が実施されずにおるというようなことは、余り長くかかるというようなことは実際上面白くないと申しますわけではないのですが、只今施行法に対しての次官お話もありまして、その点は了承いたしますが、どうぞそういう意味で、この法律をできるだけ早く実施することに最善の御盡力を願いたい、こういうことを希望して置きます。
  80. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 承知いたしました。
  81. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) それではこれで本日の案件は大体本日の段階は済みましたのですが、次回はどういうふうにいたしましようか。ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  82. 植竹春彦

    理事植竹春彦君) 速記を始めて、それでは次回は追つて公報を以て御通知申上げることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会  出席者は左の通り。    理事            植竹 春彦君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            岡田 信次君            山縣 勝見君            内村 清次君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            村上 義一君            松浦 定義君            鈴木 清一君   説明員    運輸事務次官  秋山  龍君