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説明員(
秋山龍君)
委員長からの
只今の御
質問に関しましてお答えいたします。曾て行政
審議会が内閣に設けられまして、
政府全体の行政
機構の改革についていろいろ論議を重ねられたのでありまして、その結論として報告されておるところによりますると、大体
根本的な考へ方としては、中央行政の
機構を凡そ戰争前の
状態に置く、尚地方自治の強化を図るとい
つたような
根本的な
考え方から、
運輸省につきましては、船員局を廃止してはどうか、鉄道監督局と自動車局とを一本にしてはどうか、或いは港湾局を建設省へ一緒にしてはどうか、この最後の点につきましては、少数
意見として、港湾局は
運輸省に置いた方がよろしいという少数
意見が付いております。そうい
つたような報告があ
つたのでありまして、行政管理庁その他におきまして、この報告を何とか
解決しなければならんというような感じは十分持
つておるようでありまして、いろいろと動きがあるようでございます。或いは又、観光部は非常に小さい、観光の
重要性に鑑みて、内閣に観光庁を作るというような
考え方もあるようであります。そうい
つたような勧告があるのでありますが、その後いろいろと
新聞等に伝えられておりますそういう動きがあります都度、私共の方といたしましては、いろいろと
意見を行政管理庁その他
関係方面に具申いたしておるわけでございますが、まだ積極的にあれをこうするというような
考え方は現われておらないようであります。
予算編成の際にもいろいろ運輸
機構の再編というようなことが問題にな
つたのでありまするが、これもその後
はつきりした動きは出ておらないのであります。私共といたしましては、観光から始めますというと、観光部を現在
運輸省の官房に置いておるのでありますが、それは成るべく早い機会に観光局にしたいというような
考え方を持
つております。併しながら観光というものの実体に鑑みまして、これを強いて他の省或いは他の
機構に置かなければならんという理由は、どうも納得し難いように
考えておるのであります。それから船員局を廃止するというふうな
考え方でございますが、これは戰後の
一般の民主化というような方針からいたしましても、或いは世界全般から、戰前日本の海運に対しで低労働、低運賃政策というような非難を受けておりました点から
考えましても、船員局を海運局と一緒にするということは、どうも諸外国から見た目も面白くないのではないかというふうに
考えておりまして、これは反対でございます。それから鉄道監督局と自動車局、これを
一つにしてはどうかというふうな
意見もございますようでありますが、これもその所管行政の対象の実体からいたしまして、漸次この二つのものは分化且つ統合するという
関係にあるのであります。分化しておのおのその使命を発達せしめるということが第一でありまして、それを調整する、或いはもう少し高いレベルに置いて、海運航空とい
つたようなものと一体に
考えまして調整するという
考え方が必要なのでありまして、陸運であるからと言
つて、これを一緒にすることは交通機関の発達の現状からしてもどうかというふうに
考えられておるのであります。それから港湾局につきましては、これは港湾というものが海上運送の、鉄道で申しますと駅のようなものに当るわけでありまして、これを全然別個なところで切離して、計画、建設するというのは全く所を得ない筋の立たぬ話でございまして、これはどうしても海上運送と切離しては
考えられない、こういうような
考え方を持
つておるのであります。尚航空行政でございますが、これはポツダム宣言の
関係その他で日本人が航空事業をするということは禁じられておるのであります。又航空機の操縦も禁止されておるのでありますが、最近GHQからのスキヤツプ指令によりまして、民間航空会社というものが外国資本によ
つてできるということになりました
関係上、そこに航空運輸行政というものができて参
つたので断ります。従いまして現在まで航空保安庁として航空に関する保安施設が電気通信省の一部にあ
つたのでございますが、どうもこの形は面白くないのでございまして、やはり航空運輸行政と一緒にして
運輸大臣の所管にするのがよろしいというふうな
考え方を持
つておりまするが、原則的にはこの点は電気通信省と了解ができ上
つておるのであります。これは大体中央のことでありますが、中央といたしましては、この後問題にな
つております事柄は、道路行政と自動車行政の
関係でありまして、道路行政と自動車行政を相離すことは殆んど不可能なのではないか、
従つて道路行政を
運輸省に一本にしたらどうかということは相当これは年来の議論でございますが、相当強くそういう議論があ
つたのでございます。それから尚これは中央の行政
機構の問題でございますが、地方の行政につきましては、地方行政
調査委員会議というものがございまして、憲法の定むるところの地方行政の強化ということを目下議論されておるようであります。又その一面の裏付けとしては、シヤウプ勧告等に基く地方財政の強化の
考え方、この両方の
考え方がありまして、
運輸省につきましても、運輸行政を、地方の出先
官庁を成るべく地方府県に委讓するというような
考え方が進んでおるようでございまして、これに対しましても、地方行政
調査委員会議に出頭いたしまして、いろいろと
意見を申述べたのでございますが、私共の
考え方といたしましては、運輸行政というふうなものが非常に技術的なものであり、且つ全国に脈絡のある行政である
関係上、これを細分して所管するということは、徒に両者に負担をかけるのみならず、行政の目的とするところもうまく
実現できない。これはアメリカの例におきまして見ましても、イギリスの例を見ましても、その経験の教うるところでありますので、私共としては運輸行政というものは、やはり地方に委讓せずして、現在のように中央一本でや
つた方がいいのではないかということをいろ意のデーターから持
つておりますので、さようなことを
説明いたして参
つたのであります。大体こういうような動きでございまして、未だ表向きこうというふうな
段階にまで達したとか、それに対して
運輸省がどうというような
状態にな
つておらないのでありますが、いずれにしろ中央の行政
機構或いは地方の行政
機構につきまして、それぞれこれを何とか動かさなければならんのじやないかというような動きは見られる、こういう
状態でございます。