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1950-07-29 第8回国会 衆議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 島田 末信君 理事 福永 健司君    理事 吉武 惠市君 理事 早川  崇君    理事 赤松  勇君       麻生太賀吉君    天野 公義君       川西  清君    黒澤富次郎君       佐々木秀世君    佐藤 親弘君       篠田 弘作君    塚原 俊郎君       平野 三郎君    船越  弘君       松野 頼三君    三浦寅之助君       柳澤 義男君    川崎 秀二君       前田 種男君    柄澤登志子君       土橋 一吉君    中原 健次君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         労働政務次官  山村新治郎君         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君         労働事務官         (職業安定局         長)      齋藤 邦吉君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       加賀山之雄君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員) 荒井誠一郎君         参  考  人         (国鉄労働組合         中央執行委員         長)      齋藤 鐵郎君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員) 今井 一男君         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 濱口金一郎君 七月二十九日  委員金原舜二君、塚原俊郎君及び柳澤義男君辞  任につき、その補欠として川西清君、黒澤富次  郎君及び平野三郎君が議長の指名で委員に選任  された。 同日  吉武惠市君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 七月二十六日  戰災都市における失業対策費増額等に関する請  願(平川篤雄紹介)(第六四六号)  南那珂福島公共職業安定所復活に関する請願  (田中不破三君紹介)(第六六五号)  失業保險法改正案中日雇労務者取扱に関する  請願土橋一吉君外一名紹介)(第七五〇号)  新宿公共職業安定所における就労手帳取上げ事  件に関する請願柄澤登志子紹介)(第八〇  四号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十七日  失業対策事業に関する陳情書  (第二五九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  閉会審査申出に関する件  委員派遣承認申請に関する件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、第  七回国会議決第三号)  失業対策に関する件     ――――――――――――― 請 願   一 失業応急事業に関する請願水谷長三郎     君紹介)(第三号)   二 北海道身体障害者公共職業補導所設置     の請願松澤兼人紹介)(第四号)   三 戸畑市に労働基準監督署設置請願(淵     上房太郎紹介)(第一一〇号)   四 失業保險給付改善に関する請願佐々木     更三君紹介)(第一八四号)   五 失業救済事業費全額国庫負担請願(江     崎眞澄紹介)(第二〇三号)   六 職業安定法の一部改正に関する請願(首     藤新八紹介)(第二二九号)   七 失業緊急対策に関する請願今澄勇君外     六名紹介)(第五三二号)   八 戰災都市における失業対策費増額等に関     する請願平川篤雄紹介)(第六四六     号)   九 南那珂福島公共職業安定所復活に関す     る請願田中不破三君紹介)(第六六五     号)  一〇 失業保險法改正案中日雇労務者取扱に     関する請願土橋一吉君外一名紹介)     (第七五〇一号)  一一 新宿公共職業安定所における就労手帳取     上げ事件に関する請願柄澤登志子君紹     介)(第八〇四号) 陳情書   一 失業対策費全額国庫負担陳情書外五件     (第四九     号)   二 失業救済事業拡充等に関する陳情書     (第     九四号)   三 失業対策事業に関する陳情書     (第二五九号)     ―――――――――――――
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより会議を開きます。  お諮りいたしますが、理事吉武惠市君が去る二十六日委員を辞任され、再び委員に選任されましたので、理事補欠選挙を行わなければなりませんが、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、吉武惠市君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 次にお諮りいたしたいことがあります。国会法第四十七條には、委員会議院議決で、特に付託された事件につきましては、閉会中もなおこれを審査することができるという規定があります。本委員会は今会期初め国政調査承認を得ましたが、なお閉会中といえども引続き調査を進める必要があると思います。つきましては、閉会審査申出をすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。それでは閉会審査すべき事項は、失業対策労資関係及び労働基準等に関する件、閉会審査目的は、失業対策労資関係及び労働基準に関する調査とすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。後刻委員長より文書もつ議長にこの旨を申し出ることにいたします。  次に、ただいまの閉会審査申出に関連いたしまして、失業対策労資関係及び労働基準に関する件について、議院議決で、特に付託されました場合において、調査のために委員派遣いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、委員派遣承認申請決定をいたしたいと存じます。派遣目的は、失業対策労賃関係及び労働基準調査とし、なお派遣委員の選定、派遣期間及び派遣地決定は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。  なお、閉会審査申出に関連いたしまして、議院議決で特に失業対策労資関係及び労働基準に関する件について、本委員会に付託せられました場合に、調査の必要上、別途專門員をして、出張調査をいたさしめたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者存り〕
  9. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。  なお出張期間出張地名については、委員長に御一任願いたいと存じますから、御了承を願います。     —————————————
  10. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより本労働委員会に付託されました請願議題に供します。  本日の日程第一、失業応急事業に関する請願水谷長三郎紹介文書表番号第三号の審査に入ります。ただいま紹介議員がお見えになりませんので、島田委員からかわつて請願趣旨を御説明願います。
  11. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、日を追うて累増する失業者救済のためには、現行失業応急事業規模は小さ過ぎ、今や治安の問題にまで発展しつつある。この問題処理のため、次の諸点につき配慮されたいというのである。(一)失業応急事業規模拡大、(二)労力費及び事務費に対し全額または少くも八割の国庫補助並びに資材費に対し半額国庫補助、(三)失業応急事業費に対する起債認可緩和、(四)事業種目決定に関し地方公共団体自主性を認めること、並びに女子及び知識層失業者のためにそれぞれ対象に適応する事業種目の採択を認めること、(五)技能者監督者採用比率を高めること、(六)日雇い労働者失業保險制度改正。以上であります。
  12. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  13. 山村新治郎

    山村政府委員 本請願趣旨に対しましては、政府といたしましては一段の努力をいたしたいという考えでございます。
  14. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質疑はございませんか。——それでは次に移ります。
  15. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程二、北海道身体障害者公共職業補導所設置請願松澤兼人紹介、第四号の審査に入ります。ただいま紹介議員がお見えになりませんので、島田委員から、かわつて請願趣旨を御説明願います。
  16. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、北海道身体障害者は、総数約二万名を数え、このうち幼少者労働不能者等を除き、適切な職業補導によつて自立せしめる必要のある者約一千五百名の多きに達し、これらの多くの者は、適職補導を強く希望しているが、現在一般公共職業補導所並びに授産場等は、いずれも健康者軽度障害者対象とするため、ほとんど利用不可能の実情にあるのみでなく、このまま放置すれぼ、ますます困窮し、深刻な社会問題になるおそれがあり、同道に最も近い宮城県の身体障害者公共職業補導所さえ、距離、経費の関係から利用することが不可能である。ついては、身体障害者公共職業補導所同道設置されたいというのである。以上であります。
  17. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見がありますか。
  18. 山村新治郎

    山村政府委員 本請願につきましては、その趣旨もつともと存じますが、一応本年度予算的関係から言いまして、本年度の実現は不可能でございますが、明年度以降におきまして、なるべく早く実現いたしたいと考えておる次第でございます。
  19. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質疑はございませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  20. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程三、戸畑市に労働基準監督署設置請願淵上房太郎紹介、第一一〇号の審査に入ります。ただいま紹介議員がお見えになりませんので、島田委員よりかわつて請願趣旨を御説明願います。
  21. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、戸畑市は北九州の中枢工業都市であり、人口八万三千余、従業員百名以上の工場が十八、十名以上百名未満の工場事業場は四百四十六を数えるにもかかわらず、労働基準監督署設置を見ず、隣接若松労働基準監督署管轄下に属せられたため、市民の不利不便は大きい、若松市との交通は、渡船を利用せねばならず、事業主の人的、時間的並びに経済的損失は大であるばかりでなく、これがために労働設備または施設の安全、衛生に関しての査察監督も十分ではない。同市のみでも他の独立署をしのぐ事務量はあるから、戸畑市に労働基準監督署設置されたいというのである。以上であります。
  22. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  23. 山村新治郎

    山村政府委員 本請願につきましては、十分調査研究をいたしまして、善処いたしたいと思う次第であります。
  24. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質疑はございませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  25. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程四、失業保險給付改善に関する請願佐々木更三君紹介、第一八四号の審査に入ります。ただいま紹介議員がお見えになりませんので、島田委員よりかわつて請願趣旨を御説明願います。
  26. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、わが国失業者は、四月現在一千二百万を越えるといわれ、さらに増大する一方であるが、これらの失業者のうち、失業保險給付受給者は一部分であり、それすらも給付期間が切れたために、失業者とその家族は何らの生活保証もなく苦しんでいる。ついては国土復興のために産業を興し、働く能力のあるすべての者を職につかしめ、最低賃金を保証する意味において、左のことを実施されたいというのである。(一)失業保險給付期間現行六箇月を最小限度一箇年に延長されたい、(二)失業保險給付額賃金日額の六割を改正し、届出金收賃金の八割まで引上げられたい。以上であります。
  27. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  28. 山村新治郎

    山村政府委員 本請願につきましては、現在の保險経済の現状から言いまして、今のところ困難を感ずる次第でございますが、十分研究をいたしたいと存じます。
  29. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質疑はございませんか。——それでは次に移ります。
  30. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程五、失業救済事業費全額国庫負担請願江崎真澄君絡介、第二〇三号の審査に入ります。ただいま紹介議員がお見えになりませんので、島田委員よりかわつて請願趣旨を御説明願います。
  31. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、失業救済事業に対しては、国庫労務費のみを対象として、その三分の二を補助されているが、現在の社会情勢のもとにおいては、失業者の数はますます増加し、かつ相当長期にわたるものと考えられるので、弱弱なる地方財政ではこれを処理することがきわめて困難である。ついては失業救済事業費全額国庫において負担されたいというのである。以上であります。
  32. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側の御意見があれば承ります。
  33. 山村新治郎

    山村政府委員 本請願につきましては、国庫負担額を増額されたいという御趣旨のように拝承されますが、その点はごもつともでございますので、せいぜい努力をいたしたいと存ずる次第でございます。
  34. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質疑はございませんか——。それでは次に移ります。     —————————————
  35. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程六、職業安定法の一部改正に関する請願首藤新八紹介、第二二九号の審査に入ります。ただいま紹介議員がお見えになりませんので、島田委員より本請願趣旨を御説明願います。
  36. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、従来の民間職業あつせん業者は、職業安定法実施に伴い何らの補償も與られてないが、同法に公共職業安定機関の技術上困難な職業に限り、例外として民間許可する方途がある。しかしその有効期間は一年であり、たとい許可申請者許可されても、許可書申請者に交付されるのに一箇月以上を要し、その後営業開始にあたり、供託金及び免許料の納入、事務所の設備宣伝等に相当の日時を浪費しなければならない関係上、許可の日付より二箇月ないし三箇月を空費し、業務に專念できる期間はわずかに十箇月という実情である。ついてはこれが許可有効期間を三年以上に認めるよう、本法第三十條第七項を改正されたいというのである。以上であります。
  37. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側の御意見を承ります。
  38. 山村新治郎

    山村政府委員 本請願につきましては、許可日数が遅れておるという点につきましては、せいぜい早く努力いたしたいと存じます。なお後段の許可有効期間を三年以上に認めるという問題につきましては、国際労働條約等関係上、現在のところ不可能でございます。
  39. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質疑はございませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  40. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程七、失業緊急対策に関する請願今澄勇君外六名紹介、第五三二号の審査に入ります。ただいま紹介議員がお見えになりませんので、島田委員よりかわつて請願趣旨を御説明願います。
  41. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、最近の激増せる失業者救済には、一般産業の振興と公共事業拡大にまつことはもちろんであるが、当面の緊急対策として公共事業費九十億円の追加計上厚生施設拡充費二億五千万円の計上失業保險法改正して失業保險適用範囲拡充給付金額の増加、適用期間の延長、日雇失業保險需給要件緩和及び待期日数短縮等措置を講ぜられたいというのである。
  42. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  43. 山村新治郎

    山村政府委員 本請願の御趣旨は、大体先般衆議院並びに参議院の本会議におきまして、院議をもつ決定せられた決議案趣旨と同様に拝承いたした次第でございます。従いましてこの御趣旨につきましては、政府側といたしましても賛成でございますが、ただ具体的数字の上につきましては、一応十分研究をさしていただきたいと存ずる次第でございます。
  44. 倉石忠雄

    倉石委員長 質疑はございませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  45. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第一〇、失業保險法改正案中、日雇労務者取扱に関する請願土橋一言君外一名紹介、第七五〇号の審査に入ります。紹介議員土橋一吉君の説明を求めます。土橋一吉君。
  46. 土橋一吉

    土橋委員 ただいま委員長から紹介されました失業保險法改正案中、日雇い労務者取扱に関する請願でありますが、この内容は過日労働委員会においても強く要望いたしておつた点でございます。本文を読みますると、政府は今臨時国会において、失業保險法中日雇い労働者に対する受給要件及び待期期間改正案を上程している。しかしながら、これは依然としてわれわれ日雇い労働者に対する欺瞞とごまかしであることがはつきりしている。この改正案によつてわれわれの生活を破壊から守る心からの願いは達せられないのみか、あぶれと低賃金はますます助長されるであろう。一九五〇年三月一箇月中の失業保險印紙発売総額四千四十七万三千七十五円に比し、同月中の失業保際会支給総額が千四百九十七万千四百九十円であつたことを見ても、日雇い失業保險経済がいかに余裕あるものであるかは、あまりにも明白である。従つてわれわれは国会が急速に左の措置を講ぜられるよう陳情する。一、待機期間通算六日、継続四日の改正案を、失業した日、即日保險金を支給するよう改善願いたい。二、法第三十八條の五、第二項を、日展い労働者が二月の各月において十六日以上同一事業主に雇用され、さらに引続き雇用される場合は、その翌月はもちろん、前二月を通算して一般失業保險規定を適用するよう改正されたい。こういう内容でございます。  この点は委員皆さんもよく御承知のように、日雇い労働者諸君は、もし継続してあぶれた場合に、五日目に百四十円の失業保險が頂戴できるのであります。そうしますると、平均家族三名を持つておりまするので、百円四十円で五日間の生計が、三人家族をかかえてできるかどうかという問題が考えられます。また断続的に六日間のうち、かりに一回就労いたしましても、七日目に失業保險が頂戴できるようになるのであります。そうしますると、三人家族をかかえまして、二百四十円に百四十円というものをもらいましても、これでは一週間食べて行けないことは、皆さんがよく御承知の通りであります。こういう点を考えられまして、待期日数ということは即時これをやめていただくように、また同時に少くとも失業いたしました前の月に二十八日というのを、十六日程度に改正していただきたい、こういう趣旨でありまするから、この点を十分お含みくださいまして、そういう趣旨になるようにお願いしたいと思います。
  47. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見はありませんか。
  48. 山村新治郎

    山村政府委員 本請願につきましては、たびだび委員会におきましても、その御趣旨質問等がたくさんあつた次第でございますが、そのお説はごもつともな点が多分にございまするが、現段階におきまして保險経済上実現不可能でございます。
  49. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質疑はございませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  50. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第一一、新宿公共職業安定所における就労手帳上げ事件に関する請願柄澤登志子紹介、第八〇四号の審査に入ります。紹介議員柄澤登志子君。
  51. 柄澤登志子

    柄澤委員 本請願は、もうすでに取上げられました五名の手帳が、約一週間の交渉の結果ようやく交付せられましたので、事態は部分的には解決されておると思うのでございますが、しかしこれは事件の端緒が、完全就労させておりました日雇い労働者に対しまして、都の労働局方針として輪番制実施せられ、あぶれが都の方針として出されておるということに端を発したのでございまして、その生活権を奪いまする日雇いにとりましては生命に関するあぶれの出るという問題に対して、労働組合活動先頭に立つて闘いました要求をかちとるために、行動いたしました者の手帳だけが、特に取上げられておるということは、明らかに組合運動彈圧であり、正当な生活権防衛要求が、不当に彈圧されたものとして、私どもはこれを見のがすことができないのであります。かかる輪番制反対、あぶれ反対等要求に対しまして、先頭に立ちました者の手帳が取上げられておるというごとき、労働組合活動彈圧として、われわれはただちにこの手帳を再び交付して就労させることを、請願せざるを得なかつたのでございます。今後かかる措置のないように、これに加えましてあわせて私どもは、政府に対して要望したいと思うのでございます。
  52. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  53. 山村新治郎

    山村政府委員 東京都の労働局よりの報告によりますならば、これは紹介業務を妨害した理由によりまして、整理番号を消すため、一時お預かりをいたしておつたという報告がございました。以上申し上げます。
  54. 倉石忠雄

    倉石委員長 御質疑はございませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  55. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第八、戰災都市における失業対策費増額等に関する請願平川篤雄紹介、第六四六号、日程第九、南那珂福島公共職業安定所復活に関する請願田中不破三君紹介、第六六五号、以上の請願審査は、本日は都合により延期をいたします。     —————————————
  56. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に陳情書審査に入ります。日程第一、第二、第三は、先ほど審査いたしました請願と同趣旨でございますので、審査を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。     —————————————
  58. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは午後一時まで休憩いたします。     午前十一時十分休憩      ————◇—————     午後四時三十五分開議
  59. 倉石忠雄

    倉石委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  本日は多忙中にもかかわらず、重ねて御出席願いました参考人各位に対しまして、委員長より厚く御礼を申し上げます。  これより公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(第七国会議決第三号)を議題として質疑に入ります。
  60. 島田末信

    島田委員 私は山崎運輸大臣加賀山国鉄総裁出席になられておりますので、この際国鉄裁定問題に対して、いささか所信をお伺いしてみたいと思います。  国鉄裁定の問題は、第七国会におきまして、その後実施にあたりまして、国鉄予算上、資金上不可能であるということによつて国会議決を求めて参つたのでありますが、われわれ委員会といたしましても、裁定趣旨を極力尊重いたしまして、何らかの方法で実施の実を見たいというので、苦心努力を続けつつ、今日に至るまで審査を続けて参つたのであります。ところが今日のわが国財政状態では、新規の予算計上してこれをまかなうということは、まず至難の業であります。勢い国鉄経理自体において、その方途を見出さなければならないということが、主眼にならなければ、とても解決の見込みはないと考えておる。最近国鉄は、その経理内容は徐々に改善されつつあるということも聞いております。また先般来国鉄総裁のお話によりますれば、八月、九月が来れば、国鉄予算上の見通しもついて参るのではないかというふうなお説もあつたように聞いておるのですが、私どもはこの際国鉄経理内容が改善されまして、この裁定実施にあたりましては、国鉄損益勘定において、予算に余裕が生じた場合に、その範囲内で裁定趣旨を尊重して、給與の改訂をぜひ行つてみたいという強い希望を持つておるのですが、これに対しまして加賀山総裁または運輸大臣は、どういうお考えを持つておられるか。またその見通しについては、どういう見通にあられるか、こういう点についてお尋ねいたしたいと思います。
  61. 山崎猛

    山崎国務大臣 政府におきましても、第二次裁定の精神を尊重しまして、その線に沿い、これを履行すべく、国鉄をして予算的措置についての検討を続けさせておるのでありますが、最近の状況におきましては、その企業努力の結果によつて、その意図も達し得るほどの非常な有望性を示すように相当なつておりますので、ぜひ近い将来に予算措置の手続をとつて国会にかけて御審議を願いたい、こういう線で進んでおるのであります。さらに詳細につきましては、加賀山参考人より申し上げさせていただきたいと思います。
  62. 加賀山之雄

    加賀山説明員 まずこの問題に対する国鉄考えをおただしになつたわけでございますが、私どもといたしましては、何とかして第二次裁定実施いたしたいと、日夜苦労をいたしておる次第であります。この前の第七国会におきましては、まだ予算が組まれた直後でございまして、全然收入支出ともに見当がつかない。従つてこれだけいる、あるいはこれだけ入るとして立てられました予算をそのまま考えますならば、その中に新たに裁定から生じますところの財源は、見つからないという状態であつたわけであります。その後第一・四半期を終えまして、收入の状態を見て参りますと、これは他の委員会においても私申し上げたところでありますが、必ずしも悲観すべき状態ではない。四月、五月はいくらか心細い状態でございましたが、七月に入りまして、かなり活気を示して来ておるというような状態から見まして、この状態が続くといたしますれば、收入の見通しとしては決して悪くないということが言い得るのであります。まずわれわれといたしましては、この予算に見積られた收入を確保することを、第一といたさなければならないのでございまして、そのために、従事員にも非常な努力をいたさせておるというような現状でございます。  次に支出の面におきましては、経費の一番大きな項目でございますところの石炭費について考えてみましても、最近の入手状況、その炭価、並びに国鉄における消費の状況、いずれもわれわれが予期いたしまして予算に組みましたよりも、やや有利に進んで参つております。従いまして今後半年分の石炭の入手とそれからその後の消費がかぎになるわけでございますけれども、ただいままでの見通しといたしましては、決して悪くないのであります。その他の物件費にいたしましても、極力節約をいたさせておるという現状であります。それで先ほど八月、九月を越せばというお話でございましたが、私どもはやはりここが一年間の見通しを立てる峠であるというように考えております。先ほどの支出の面における石炭のごときは、大体において八月における石炭の入手が、今後半年分の成否を決するのでございまして、そういう峠を越せば、今後の見通しがほぼ明らかになる、かように考えております。それでかような状態のもとに立つて考えますときに、われわれといたしましては、何と考えるかということではなくして、当事者といたしまして、裁定には全面的に服さなければならぬ法律上の義務を持つておるのであります。この義務を私どもは果すということを第一義とし、なおたとい法律上の義務はともあれ、従事員が働いて、また努力して、この予算の中に余裕が万一出たときには、もちろんこれは裁定の線に沿い、またこれを従事員に還元するように、従事員の努力に報いるように、給與の改訂にまわして行きたいものであるというように、熱願をいたしておる次第でございます。
  63. 倉石忠雄

    倉石委員長 赤松勇君。
  64. 赤松勇

    ○赤松委員 委員長の希望もありますし、理事会の決定もありますから、きわめて簡單に六点だけお尋ね申し上げます。お断りしておきますが、ただいまの島田君の質問と、あるいは重複するかもしれませんが、御了承願います。  第一点は、二十五年度第一・四半期において、どの程度の予算の節約がなし得たのであるか、これをその各費目別にただしたいのでございますが、先般総裁のお話では、いまだ決算が済んでいない、こういうお話でございました。本日これをお示しくださることがもしむりであるといたしますならば、できる限り早い機会に、ひとつ本委員会にその資料を提出していただきたい。その問題と関連しまして、節約なし得た予算について、総裁限りと運輸大臣限りにおいて、流用支出の認められるものは、どの程度であるかということも、明らかにしていただきたい。これを本日お答えくださいまするならば、たいへんけつこうだと思います。  それから第二点に、ただいまも八月、九月になれば見通しは立つ。大体八月、九月がその後の半年間の見通しのポイントになる。こういう御答弁でございましたが、第二・四半期において、大体どの程度の節約が可能であるか。これは見通しを立てることは非常にむずかしいというお話でございましたが、やはり総裁としては、年間を通じての御方針というものもございましようから、一応のお見通しをばお願いしたいと思います。  それから第三点といたしまして、節約をなし得た費用を人件費に振り向け、第二次裁定実施に要する費用に充当する意思があるかどうか。このこともただいまの御答弁で、裁定に服さなければならぬ法律上の義務がある。よしんば法律上のそれがなくとも、当然余裕金が出たならば、これは労使双方分配して行くというような御答弁がございましたが、さらにこの点につきまして、私の言つたこの費用を人件費に振り向け、第二次裁定実施に要する費用に充当するお考えがあるかどうか、この点をひとつ明確にお答えを願いたい。  それからこの問題と関連いたしまして、第四点でありますが、八月以降において予算に余裕を生じた場合に、ただいま国鉄総裁のお話がございましたが、国鉄総裁限りで流用支出をなし得るもの、それからその裁定の一部を履行する意思が総裁にあるかどうか。つまりその予算に余裕の生じた場合、国鉄総裁限りで流用支出できる部分につきましては、総裁は遅滯なく裁定の一部を実施するという意味でおやりになる御意思があるかどうか。さらにこの点につきまして、きようは大蔵大臣は見えておりませんが、特に運輸大臣の御見解をば聞いておきたいと思うのであります。  第五点でございますが、これは後ほど採決があるのでございますが、その参考のためにお伺いしておきたい。かりに本委員会におきまして、継続審査決定をいたしました場合に、次期国会までに裁定の全部が履行し得なかつた場合に、次期国会予算措置について手続をおとりになる意思があるかどうか、この点につきまして、やはり総裁と運輸大臣にお尋ねをしておきたいと思うのでございます。  それから第六点といたしましては、これは仲裁委員会の方にひとつお尋ねをしておきたいと思うのでございます。それは裁定書に示してありまする裁定の第一項と第二項とは、別個のものであるかどうか。つまり第一項が実施されれば、第二項がその第一項に含まれるというように解釈する向きもあるやにも承つておるのでございますが、われわれといたしましては、さような見解は明らかに間違いでございまして、裁定第一項、第二項は、一方はベース・アップで、一方は基準外賃金その他の問題でございまして、明白に違う。従つてこの点に関しまして、特に仲裁委員としての明確になるお答えをばお願いしておきたい、こう思うのです。以上。
  65. 加賀山之雄

    加賀山説明員 二十五年度の第一・四半期において、どの程度の予算の節減ができたかというお問いでございますが、実はこの第一・四半期だけを限りまして、確定額としてお答えを申し上げることは、今のところできないのでありまして、申し上げるといたしましても、それはまつたく概数になると思うのであります。たとえば時期によりまして、收入というものの立て方にもよりますので、收入面から見ましても、一年分を十二分の一にしておくのと、月々の波動を特に強く考えるのとでは、收入の点から言いましても、收入の建前が違いますし、また経費の支出の面から言いましても、大体四月、五月、六月はいろいろな仕事初めにあたつておりますので、物を買い込むというようなことも自然に多うございまして、ある一定の期間だけを限つて節約がどう出たかということは、非常にむずかしいのでございますが、石炭等について見てみますると、パーセンテージとすればごくわずかでございますが、消費量にいたしましても、二分程度の消費節約ができておると考えております。炭価におきましても、たとえばトン四千円といつておるものが、四千円以下で入手できておるというようなかつこうになつておりますので、その面から節約額が生れて来るというふうに考えておるわけでございまして、この具体的な節約額は、ここで正確に申されないことを遺憾といたしますが、こういうものが八月、九月ごろになれば一層はつきりして参る。なお年度の途中にかかりますので、一年間の見通しも立つというふうにお答え申し上げておきたいと思います。第二・四半期につきましても、われわれの目標といたしましては、いわゆる実行予算を組みまして、国会の交付予算を内輪に見まして、これを配付いたしておる、その実行予算を目途として節約をはかるという方法をとつております。第二・四半期以降においても同様でございまして、これらの実行予算は、もちろんその年度途中に改訂をいたして行くわけであります。たとえば石炭の価格にいたしましても、当初にいわゆる出納單価というものを立てておきますが、その後の入手ぐあいを見て、出納單価というものを改訂して行くわけであります。そういうことをして、出納單価を下げられるだけ下げますれば、それが節約額になつて生れて来るというかつこうになるわけであります。こういうふうにして出ました節約額を、それでは人件費に振り向ける意思があるかとのお問いでございますが、私といたしましては先ほど申しました通り、これらの節約額は、まつたく企業努力——従事員の努力から生れて参るものが多いと存じますので、特にこの裁定実施に振り向けることを心から願つておる。ただそれではこれらを総裁限り、あるいは運輸大臣限りでできるかどうかと申しますと、できないのでございまして、ただそれが予算にきめられました給與総額の中から生れるものである、給與総額に入るものであるならば、これは総裁限り可能でありますが、今申し上げた事情のものは、総裁の自由には相ならないということをお答え申し上げたいと思うのであります。
  66. 山崎猛

    山崎国務大臣 先刻申し上げました通りに、最近の議会に提案をしたいと申し上げたのでありますが、御指摘のように次の議会を目標として、せつかく努力しておる次第であります。さよう御承知願いたいと思います。
  67. 倉石忠雄

    倉石委員長 早川崇君。
  68. 早川崇

    ○早川委員 職員の給與関係する国鉄の経営に関しまして、二点だけ質問いたしたいと思います。  第一点は、六月の朝鮮事変以来、厖大な軍需輸送が国鉄においてなされたと思います。その軍需輸送による国鉄経営に対する影響いかん、これが第一であります。  第二点は、山崎運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、前々国会でありましたか問題になりました、私鉄に対する国鉄の拂下げの問題、特に黒字の鉄道の青梅線とか、阪和線というようなものが拂い下げられることによつて、経営に重大な影響が及ぶと思うのでありますが、この点についてどうお考えになつておるか、この二点だけお答え願いたいと思うのであります。
  69. 加賀山之雄

    加賀山説明員 第一点についてお答え申し上げます。今回の朝鮮の動乱に対して、経営上どういう影響を受けたかという御質問でございますが、経営そのものにつきましては、非常な影響を受けておるということはないのでありまして、従事員はそのために局地的に、平常の業務以外に働いて輸送をしたということはございますし、また特殊の貨車を出すというようなことはありますが、これが経営に影響を與えたというような事実はございません。
  70. 山崎猛

    山崎国務大臣 お答えいたします。私鉄拂下げの法案を提出する意思はありません。  先刻の赤松君のお尋ねに対して、補足答弁をいたします。赤松君の第四問でありますが、八月以降において予算に余裕の生じた場合、国鉄総裁限りで流用支出をなし得るものについては、総裁はこれを支出して、裁定の一部を履行する意思ありやというお尋ねであります。これに対して国鉄総裁は、その意思であると明瞭に答えたのでありますが運輸大臣はこの国鉄総裁の意思を支持して、それを実行したいと考えております。
  71. 土橋一吉

    土橋委員 私は過日の本委員会におきまして、国鉄委員長齋藤さんからお話がありましたように、現在国鉄労働者諸君は朝鮮事変を契機としまして、特に昨年以来の整理によりまして、労働の強化は三倍に達するという御発言があつたのであります。こういう労働強化に対しまして、現在加賀山総裁の方ではどういうような手当なり、あるいは待遇の面において、現実に考慮に相なつておるかという点を私は承りたいのでおります。さらに運輸大臣に対しましては、こういうような朝鮮問題を契機とする問題については、少くとも私は最高司令官におかれましては、これは占領軍の基本的な目的と異なりまして、対韓作戰なり、国際連合軍の関係関係すると思います。そういうような事態につきまして、労働者に労働強化が行われておるという事態については、運輸省の方において十分考慮を願つておると私は思いますが、そういう労働強化に対しては、運輸大臣にどういうような方針で、待遇の是正なり、労働強化について具体的な方針考えられておるか。この点をまず第一にお聞きしたいと思います。
  72. 加賀山之雄

    加賀山説明員 特殊輸送のために局地的に、従事員は相当の努力をいたしましたことは事実であります。それが三倍とかいうことになりますと、必ずしも私はその通りであるとは申し上げられないのであります。平常の業務の三倍に達したとは考えられません。しかしながらもちろん努力はいたしましたし、これに対しましてはただいま労働組合と話をしておりますので、労働組合との間において話を進めて参りたいと考えております。
  73. 山崎猛

    山崎国務大臣 お答えいたします。運輸大臣といたしましては、国鉄当局のその処置に対しまして、さらにまた意見決定いたしたいと思います。
  74. 土橋一吉

    土橋委員 私は加賀山総裁にお尋ねしたいと思います点は、国鉄第二次裁定は、御承知のように去る二月十五日から三月十五日の間において、国鉄仲裁委員会においてなされた裁定であります。当時の見込みを見ましても、すでに收入面においては百八十二億というものが一応予定され、あるいは人件費の節約については七十一億であるということが、裁定の理由の第二に明記してあります。こういうことから考えまして、今までの御答弁を承つておりますと、具体的にどういう数字がどの程度に上昇したかという点の御説明がないのであります。それで私はぜひともお願いしたい点は、この裁定をしました当時の三月十五日以前に、すでにこういうものが明確にわかつておるのであります。しかるに今日は七月、ほとんど日にちも余すところ二日しかない。もはや八月にもなんなんとしておるのでございますので、月数から考えましても、三月、四月、五月、六月、七月まで考られるのでございます。しかるになお八月の見通しを見なければ考えられないというお説には、どうも私たちは賛成ができませんので、もし今私が申し上げておりますような全体の関連性においての数字が示されるならば、示していただく方が適当ではないか。そうでございませんと、今お話をなさいましたような、そういう抽象的な内容では、具体的にこの裁定をどうするかという問題には、現実に答えていないのではないかと考えるのでございます。従つて私は裁定第二の理由に書いてあります経理状況について、たとえば電気の節約の費用とか、石炭の費用とか、修繕の費用とか、あるいは減価償却をするのがどうであるとか、さらに支出面においてはすでに、裁定書に書いてありますように、特別補充取賛費が百八十二億というように、そういうものの経理内容をお示し願いませんと、今までの御答弁のような内容では、どの程度の経理状態にあるかということは考えられないのであります。しかも裁定書は今からすでに五箇月以前に、この点を明確に出しておりますから、この点をできるだけ本委員会において明確にお示しを願つて——おそらくこれは自由党の諸君といえども、この問題については御賛成くださると思いますので、ぜひとも裁定実施するように願いたいと考えるのであります。この点を総裁からあらためてお示しを願いたい。  次は運輸大臣であります。運輸大臣もこういう裁定を尊重してくださいます限りにおいては、やはり運輸当局は、裁定内容に即応したものについては、十分御監督になつていると思います。この点についてやはり運輸当局は責任をもつて、どういう状況にあるかということをお示しくださいませんと、今赤松君その他の質問のように、ただ裁定を尊重し、きわめて有望性を示すであろう、こういう御答弁でございましては、われわれとしてはどの程度どういうふうになつておるかということがわかりませんので、運輸大臣も今まで監督行政上の立場から、おわかりになつております具体的資料があればお示しを願いたい。この点重ねてお答えを願いたいと思います。
  75. 加賀山之雄

    加賀山説明員 私ども苦心いたしておりますのはその点でありまして、それが初めからはつきりいたしておれば、何も苦心はいらないのでございます。もともとこの国会で審議を受け、その前に監督官庁でありますところの運輸省並びに大蔵省において、嚴密な査定を受けました国鉄予算でありますがゆえに、そういつた余裕が頭からあるということはあり得ないのであります。百八十二億の特別補充取替費に言及されましたが、これは方針の問題であつて、たとえば仲裁委員会等で、それを減らして給與に持つて行けばというような前提があつたように私は記憶しておるのでありまして、これは経営上といたしますれば、できるだけ取替補充に充てて減価償却して行くのが、経営上健全であるという観点のもとになされております。決してこれは余裕金でも何でもないのであります。私どもが今申し上げましたのは損益勘定に関してであります。この損益勘定におけるたとえば收入の見通しにいたしましても、これは仲裁委員会がこの四月に入らない前に、神様でない限りこの收入はどうなつて行くかということについては、おわかりにならぬのが私はほんとうだろうと思う。これは予算を実際に執行する者であつて、初めてそれがはつきりいたすのでありまして、その点からいたしまして收入の見通し、それからその後余裕なく組み立てられた経費の支出でありますが、その支出がどういうふうにそれが入手され、どういうふうに消費して行かれるかという見通しを持つておりませんと、この中からはつきり幾ら生れるということは出て来ないはずであります。その点を私は申し上げた次第であります。
  76. 山崎猛

    山崎国務大臣 お答えいたします。今国鉄総裁からのお答えがあつたので十分と考えますが、運輸大臣としてこれを監督して行きまする上において、これを見ておるのに、余裕ができたらば裁定に割当てるというような自然成行き主義で行くのではありません。今総裁の言う通り、余裕は初めからないのであります。余裕あらしめて裁定の線を履行せしむべく、企業努力するというところにあるのでありますから、今日ここではつきりその過程を申し上げるわけに行かないのであります。
  77. 土橋一吉

    土橋委員 ただいま加賀山総裁にお尋ねしたのですが、私は将来のことについてお尋ねを申し上げておるのではないのでございます。すでにこの裁定の理由というものは、三月の十五日までにつくり上つてつて、こういうふうな歳入面で黒字が出る、あるいは将来において特別の補充取替のためにこの程度の金が出るということは、昨年の国鉄の経理の全般から対応いたしまして裁定書に載つておるのであります。そこで私の申し上げる質問は、すでに今は八月になんなんとしておりますので、この裁定が出て以来、三月、四月、五月、六月、七月の間において、このような計算におけるすべての收入支出の関係はどうなつておるか。具体的にこの問題についてお示しを願いたい。さらに今あなたが仰せになつたような減価償却の問題とか、あるいは修繕費の問題とか、電力費あるいは石炭費というようなものは、総括的ではありますが、すでにここにちやんと上つておるのでございます。私のお尋ね申し上げたい点は、こういうようなおおまかな線において、どの程度の経費節減があり、どの程度の收入増であつたかということを、お尋ね申し上げたいのであります。これは人件費においても、この前の国会においてもすでに七十億程度の黒字が出るということは、明確に申されておるのでございます。そういう点を私は御明示を願つて具体的にしませんと、一々今のような御説明でありますと、明確にならないということを申し上げておるのでございます。従つて管理当局の責任者である加賀山総裁から明確にこれを承つて、今あなたがいろいろ委員会においてお話くださつておるように、逐次この問題を、国鉄の労働者諸君なり、あるいは裁定趣旨に沿うように、どういう努力がなされておるかという点を承りたいのでございます。
  78. 加賀山之雄

    加賀山説明員 実は先ほどからそれを申し上げておつたつもりでありますが、百八十二億は予算上はつきりきまつておるわけです。それは仲裁委員会がきめたのではなくて、国会において特別補充取替費として、百八十二億を工事勘定に繰入れるということが定められてあるわけでありまして、その趣旨は何らふしぎも疑問もないところであります。損益勘定の收入におきましては、遺憾ながらただいまのところまでは、決して予定收入を上まつてはいないのであります。四、五、六とかなり下まわつたのでありますが、七月に入つて活発になつて来ておるので、これが八月、九月を見ればこの趨勢がわかる。従つて收入の面から言うならば、少し待たなければ何とも言えない。これは私どなたがお考えになつてもそうだろうと思います。また支出の面におきましても、項目別にどれだけ出たかというお尋ねでございますが、先ほど赤松さんのお問いにお答え申し上げましたように、この支出の組み方も、さように一年分をほんとうはずつと立ててみなければわからない。あるいは月割り、あるいは四半期別の割合もとつておりますが、それによりましては正確な見通しは立たないのでありますが、趨勢はわかるわけであります。従つてその趨勢に基いて、いわゆる一年間を推定して、初めて見通しが立つわけでありますが、その趨勢はこれもまた、八月を待たなければ確たる趨勢がわからない。例を石炭にとつて御説明申し上げますと、すでに二回のビッドをしておりますが、八月にまた大きなビッドをするわけであります。第三回のビッドをもつて、初めて石炭の出納單価、石炭が幾らで使えるかということがきまるわけであります。この今までやりました二回だけの資料だけでは、一年間の目途は立たないのであります。従つて今までに幾ら出たかと言われましても、嚴密な意味における節約額は出て来ない。八月の炭価がきまりまして、そこで一年間の炭価を、たとえば四千二円に組んであるものが、それでは三千八百五十円で使えるようになるということが明らかになるわけであります。その趨勢を見きわめるまでは、確たる数字は申し上げるわけには行かないが、しかしながら今の見通しとしては、希望を抱ける状態にある。すなわち收入面から言いましても、四、五、六と落ち込む一方の趨勢をたどりますと、私どもとしますと、さらに今の予算を節減をして、従事員の給與をふやすどころでなくなるわけです。また一方経費がどんどん上まわり、石炭が高くでなければ買えない、あるいは使い方が予算にきめられた数量よりも多いというようになりますと、これは非常に悲観すべき状態に入るわけでありますが、現在の状態は收入面におきましても、支出面におきましても、好望と申しますか、非常に望みのある状態にある。それが現在の実情であると申し上げた次第であります。
  79. 倉石忠雄

    倉石委員長 この際仲裁委員の荒井参考人より発言を求められております。これを許します。荒井誠一郎君。
  80. 荒井誠一郎

    ○荒井参考人 裁定第一項と第二項の関係について御質問がありましたので、それに対してお答えいたします。これは裁定の理由にはつきり書いてあるのでありまして、「第一、賃金関係について」それの六以下にその説明が載つております。要旨を申し上げますと、一項と二項とは別のことを規定しておるのであります。但しその間に深い関係があるということは、これを申し述べまして、その関係を明らかにしておかなければならないと思います。二項につきましては、主として待遇切下げの回復ということを目的としたのでありますか、その中には基準賃金に属するもの、基準外賃金に属するもの、現物給與に属するもの、あるいは賃金以外の給與に属するもの等の区分があるのでありまして、主文第一項が実施されますれば、基準賃金に属する相当分は、この中に含まれて来ることになります。そしてその一部にはすでに実施済みのものもありますから、その金額は結局両者の団体交渉によつてきめるということになるかと思われるわけであります。その他の部分につきましては、復元することができないものもありますし、また復元することが不適当である部分もあります。そこで甲で失つたものもまた乙で回復されるということもありまして、非常に複雑な関係がありますので、それらの関係については、当事者双方において善処されることと考えるのであります。また予算実行方法のいかんによつて、実現されて行くものも多かろうと思うのであります。こういう趣旨でありますので、ここには金額等は明記いたしておらない次第であります。
  81. 柄澤登志子

    柄澤委員 加賀山総裁に御質問申し上げたいのでございますが、最近北海道に始まりました国鉄の合理化のための第二次の機構改革が行われようとしておることが、今労働者の最も深い関心の的になつておると思うのでございます。このことについては運輸委員会で御答弁があつたそうでございますが、二、三裁定にも関連いたしまして御答弁いただきたいと思いますので、簡單に御質問申し上げたいと思います。  機構改革によりまして、大量の首切りが行われるということが、これはかなり労働者の間に流布されておりまして、非常に不安が広まつているわけでございます。それで加賀山総裁がこれに対して、絶対に犠牲者を出さないという御答弁があつたそうでございますが、機構改革をどうしても断行されるかどうか、首切りするかどうか。さらにそれらの人たちが配置転換になる場合には、第一次機構改革のときに行われましたように、絶対に格下げを行わずに、給與が前の俸給において保障されるかどうか。そういう点につきまして御答弁いただきたいと思います。
  82. 加賀山之雄

    加賀山説明員 第一点に関しましては、たびたび機会ありますごとに従事員に伺いまして、私どもはその点については大量の整理をするとか、余剰が出てもすぐにそれを首を切るというような措置はしないということを、繰返し安心するように申し述べている次第であります。首を切るんじやないかというように従事員側から申しましても、先生方の方でそういうことはないというふうにひとつやつていただきたい。私はそういうことはやるということは考えておらないということを、ここにあらためて申し上げる次第であります。  第二の給與の格下げをしないかということにつきましても、この機構改正のために、たとえば配置転換をするような場合が生じましても、給與に触れるようなことはいたさないつもりでおります。
  83. 柄澤登志子

    柄澤委員 先ほども御質問があつたようでありますが、七月からの国鉄の経営が好転しているのは、最近の軍事輸送がおもに影響しているのではなかろうかと思いますが、大体私ども調査したところによりますと、相当の増車が行われているわけでございますが、東海道線では三十五本から十五本、中央線では三本、赤羽線では一本、大宮では四本、南武線、中央線等でも相当の量のものが増車されまして、それが現場におきましては非常に労働強化になつているわけでございます。ところが機構改革に関連いたしまして、新定員というものが世間に流布されておるのでございますが、私一つの例として新鶴見のことを申し上げますと、新鶴見は十五本車両が増車されます。十五本でございますから、四十両で約六百の車を新しく一日に多く検車しなければならない状況が出ておりまして、八時間労働が二十四時間の流れ作業になりまして、休み時間もなく、晝食も食べられないというような状態だそうであります。これはまつたく基準法にも違反した状態でございますが、その定員が、かつては技工が二十三名でありましたのに、新定員によりますと十九名、客貨車係は五十三名でありましたのが五十二名、検車係も同様な比率におきまして新定員は減つておる。六百両の車をよけいに検査しなければならないのに、なぜ定員が減るかというようなことは、とてもこれは労働者だけではない。私どもにも納得ができない問題であります。しかもこれが今度最近の状況によりますと、公安官に武器を持つておどされて、作業をさせられておるというような状態が出ておるそうでありまして、こういう点について加賀山総裁は、機構改革によつて格下げをした者をどこへ振り向けられるか。もしこういう技工等の現場に振り向けられるとすれば、新定員はふえなければならないはずでございますのに、どうして減つておるか。こういう点につきまして御答弁いただきたいのでございます。当然仕事が多くなつて行く職場は、定員がふえなければならないはずでございますが、どうして減つておるかということにつきまして……。
  84. 倉石忠雄

    倉石委員長 申合せの時間も大分経過いたしておりますので、質疑応答はきわめて簡略にお願いいたします。
  85. 加賀山之雄

    加賀山説明員 ただいまお問いになりましたことは、ふつつかながら私ども……。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  86. 倉石忠雄

    倉石委員長 靜粛に願います。——靜粛に。
  87. 加賀山之雄

    加賀山説明員 私ども……(議場騒然、聽取不能)やつているのでございます。また労働條件に関しましては、国鉄に嚴たる労働組合がございますので、われわれ当局と労働組合との間に、十分そういうことについて話合いをしておりますので、御心配はその必要ないと考えております。
  88. 倉石忠雄

    倉石委員長 共産党側の受持ち時刻は、すでに八分ほど経過いたしておりますから、柄君澤、きわめて簡單に願います。
  89. 柄澤登志子

    柄澤委員 もう二、三点伺います。安本委員会で、こういう点が明らかになつたと聞いております。つまり今行われておりますところの軍事輸送でございますが、この輸送は私どもから考えますと、対韓作戰軍に対するところの援助と考えられます。これは完全なる商取引として経理がなされているということが、安本委員会で明瞭になつたと承つております。そういうことでございますと、国鉄の数十本にわたるところの軍事列車の輸送というものは、どんな予算でどういうふうな経理でお取引になつておられるか。こういうものはどういう命令系統で労働者が動員され、労働強化され、そういうような形でやられておるのか。どういうものから支拂われておるか。連合軍の協力としてお取引になつておられるのか。対韓作戰軍の援助費から支出されておるか。この点をぜひ明瞭にさしていただきたいと思うのであります。
  90. 加賀山之雄

    加賀山説明員 私どもといたしましては、占領下にありますので、占領軍の要請によりまして必要なる輸送上の命令を受け、これを実施しているわけでございまして、これらの経理につきましては、実費を国鉄に支拂いを受けるという、従来と何ら異なるところはない次第であります。
  91. 倉石忠雄

    倉石委員長 中原健次君。
  92. 柄澤登志子

    柄澤委員 委員長、発言中です。
  93. 倉石忠雄

    倉石委員長 発言は許しません。中原健次君。
  94. 中原健次

    ○中原委員 一点だけ御質問申し上げます。国鉄裁定書が提示されましたのが三月十五日、以来日にちは相当経過いたしました。労働者の給與はそのように余裕のあるものではないのであります。裁定は即刻これを実施すべきものであるということは、あまりにも明瞭なことであると考えます。しかるにただいま運輸大臣並びに加賀山総裁の御答弁を聞いておりますると、非常に誠意を持つてこれが解決のために努力をしており、また明るい條件もできて来ておるので云々という、いわゆる余裕をつくるべく努力して、その余裕をもつてこたえる、こういうふうに答えをしておいでになります。私は国鉄経理内容から考えまして、裁定書にも明示いたしておりますように、あるいは労働組合側の発表にも明らかになつておりまするように、相当政府の苦しい経理といたしましては、余裕しやくしやくたる内容、條件を持つておるというても言い過ぎではないほどに、経理内容は相当いい條件になつておると思います。それはひつきようするに労働者側の努力が、ここに集約的に現われたものであるということは、だれもがこれを否定することができない。そうであるならば余裕をつくり、余裕ができたならばという態度ではなくて、どのような経理操作をしても、この裁定給與額に対しては誠意を傾けてこたえる、そういう態度が両当局にあるべきものであると私は思うのであります。たとえばここに裁定書が指摘いたしておりますように、百七十八億という巨額にわたる総工事費が、主として自己資本をもつてまかなわれるというようなゆとりのある状況におりながら、いわば経営者の従前の條件をすべて盡した後に、それでも余裕があるならばという結果になるような感じを、私どもは受けるのであります。もし政府あるいは鉄道当局が誠意をもつてこの裁定に臨み、あるいは労働者の要求にこたえようとするのであるならば、あらゆる努力を傾け、そしてその問題に即刻こたえなければならぬ。荏苒日を費しまして、その間のいわゆる時間のずれから来る労働者の生活の苦しみというものが、一体どのようなものであるかについて、当局は十二分の理解を持つべきものであると私は考えるのであります。もし万一ただいまのような態度をもつて臨むならば、そういうふうな場合はかくのごとき赤字の内容であつて、まつたく火の車のまわるような状況なのであるから、そういう場合にのみ辛うじてりくつづけられる態度ではなかろうかと私は思う。今日の国鉄の経理事情から見ますれば、もはや日をいたずらにかせぐときではありません。要求する労務者の妥当なる、というよりむしろ非常に低い線のこの給與、しかも裁定書にも示しておりますように、給與ははなはだ低い。政府の発表いたします統計で申し上げましても、運輸関係の一般の給與は九千円を越えておるのであります。その場合に国鉄は今ようやく八千二百円のそれすらが出せない。こういう態度をもつて、ほんとうに五十万の国鉄従業員に対して、誠意をもつて対処しておるということが言えるかどうか。私は今までの大臣並びに総裁のお言葉を聞いて、言葉とほんとうの腹とが一致しておらぬのではないか、そういうふうに感じます。従いましてこの点に関して、両当局のほんとうに責任のある、心をこめての御答弁をお願いいたしたい。
  95. 加賀山之雄

    加賀山説明員 まことに御理解あるお言葉をいただいてありがたく存じたのでありますが、私ども従事員の働きぶり、生活ぶりを直接見ております者といたしまして、できるなら今すぐにもしてやりたいことはたくさんございます。しかしながらそれと同時に、国鉄の企業は御承知のように收入によつて、まかなわれる以外に手がないのでありまして、この收入があつて初めて従事員にまわすことができるというふうになるわけで、ことに支出の面におきましては、修繕や取替工事というものをほうつておいて、これを従事員にまわすことはできないことではなかろうか。従つてまずこれを第一にやつて、そこでなお努力して、いわゆる経営費の勘定の中で出て来る余裕をつくつて、従事員にこれを給與するというのが建前であろう。いろいろ施設の荒廃等も問題にされております。そういうときに修繕費や取替工事のようなものをほうつておくのは、これまたわれわれとしては国民各位に対して申訳ないことになるのでありまして、これらをやらなければならぬ。それをやつて、なおかつ何とかして余裕を出して、従事員の給與を少しでも上げてやりたい。これが私どもの日ごろから持つておりますところの念願でございます。
  96. 山崎猛

    山崎国務大臣 お答えいたします。先刻来私が申しました裁定を尊重し、企業努力を傾けてその履行に努めつつあるということは、その言葉通りに解釈を願わなければ、これに対して独自の御意見なり御観察があつたのでは、私はお答えはできないのであります。御意見に対しては、御意見として拝聽する以外に道はありません。
  97. 倉石忠雄

    倉石委員長 この際、国鉄労働組合齋藤委員長より発言を求められておりますので、これを許します。
  98. 齋藤鐵郎

    齋藤参考人 国鉄の仲裁裁定の問題をめぐりまして、数回にわたつて国会でも審議されております各委員皆さんには、国鉄労働組合として深く感謝申し上げたいと思うのであります。いろいろ情勢を判断いたしますと、この国会期間において、国鉄組合から皆さんにお願い申し上げるには最終的な機会と思われましたので、特に委員長にお願いをして発言を許していただいたのであります。御承知のようにわれわれの期待を持つておりますこの第二次裁定の問題は、前の国会から継続審議になつております。われわれ組合員といたしましては、今度の第八国会では必ずやわれわれが期待するような結論が出るであろう、継続審議ということは、私から申し上げるまでもなく、付託された委員会においては、休会中もずつと御審議願つたものと私は存じておるのでありますが、申し上げるまでもなくこの仲裁の裁定は、争議権にかわるところの、いわゆる労働者の生存権の問題でございます。そういう点を深く御理解あつて、労働者の期待に沿うような結論の生れますように、特にお願いを申し上げたいと思うのであります。前会にも私申し上げましたが、国鉄の組合員は夜も寝ずに特殊な輸送に当つております。あるいは鉄橋、あるいはトンネルの警戒に当つております。本日はまた大雨のために、雨の中に警戒にも当つておる。あるいは夏の輸送にも協力をしてやつておるのであります。私どもは、総裁もぜひ実現したいということを言つておりますが、この国会においてぜひ、労働者がこれならばひとつ張合いを持つて働いて行こうという結論の生れますように、特にお願いをしたい。なぜこれを申し上げるかというと、第一次裁定のときに、国鉄総裁は十八億余りの金を融通せられて、予算上可能であるということを言つたのでありますけれども、これが大蔵省等に参りますと、十五億五百方円しか出せないということで、三億円が消えてしまつた。そういうことになりますと、われわれが今から一生懸命努力して、何がしかの金が予算上可能になつたというときに、またこれが大蔵大臣のところへ行つたら、それはいかぬということで頭をちよん切られるということになりますと、張合いを失うのでありまして、この点につきましては私から申し上げるのははなはだ失糺でありますけれども、よろしい、従業員の諸君、一生懸命そのつもりでやつてくれ、そのようにするからということを、積極的にひとつ政府から意思表示のありますようにお願いをしたいと思います。
  99. 島田末信

    島田委員 私はこの際動議を提出いたします。ただいま御審議になつております公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(第七回国会議決第三号)につきましては、われわれは今日まで愼重審議を続けて参つたのでありますが、本件ははなはだ重要な案件でございまして、さらに深く審議を続けなければならないと考えるのでございます。しかるに会期も切迫しておりますので、本件の重要性にかんがみ、会期終了後の閉会中といえども審議を継続されるよう、本件について閉会審査申出をすることに御決定あらんことを願うものでございます。すみやかに御採決あらんことをお願いいたします。
  100. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまの島田君の動議に対しまして、討論をいたしたいとの申入れがございますから、簡單に願うことにいたしまして、順次これを許します。吉武惠市君。
  101. 吉武恵市

    吉武委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいまの島田君の動議に賛成をいたしたいものでございます。国鉄従業員が、ただいま代表よりお話がありましたごとく、現在の情勢下においてまじめに国鉄のために勤務されていることにつきましては、われわれ深く感謝いたすところであります。国鉄従業員給與の状況は、必ずしもよくございません。私どもといたしましてはできるだけ裁定趣旨を尊重し、そうして従業員の待遇の改善に努力したいと努めて来たものでありまするが、先ほど来御説明がありましたごとく、現在の状況下ではまだ見通しがつかないということでありまして、はなはだ遺憾とするところであります。しかしながら最近の状況はやや好転しつつあるという状況でございまするので、私どもは本件は閉会中といえども継続審議に付せられまして、できるだけ早い機会に財源の見通しをつけられまして、その裁定の一部でも実現するように努力を拂われたいと存ずる次第であります。
  102. 倉石忠雄

    倉石委員長 早川崇君。
  103. 早川崇

    ○早川委員 私は国民民主党を代表いたしまして、継続審議に対して反対の意向を表明したいと思います。本問題はすでに数箇月の期間をけみしまして、本委員会においても当初より上程されたのでありますが、私は国鉄職員のすみやかな希望をいれて、本委員会においてはたして開会後真に毎日これを徹して審議せられたかということを考えますと、まことに遺憾に存ずるのであります。この財源に関しましてもほんとうにすみやかに、ただちにこの労働組合の要求に応じ得るという熱意だにあらば、たとえば前年度剰余金にいたしましても、あるいは物件費の節約、補給金の減少、さらにまたもつと大きい財源といたしましては、債務支拂い償還の減少とか、求めようと思えば多々あると私は考えるのであります。その点から申しまして、国鉄自体の経理内容に関しましては、いまだにまだまだ検討すべき点もございまするけれども、すでに数箇月をけみし、二回の国会にかかつたこの国鉄第二次裁定の問題に関しては、もはや会期は少いのでありますけれども、すでに論議を盡した問題でございますので、継続審議に持つて行くという提案に対しましては、わが党としては反対の意向を表する次第であります。
  104. 倉石忠雄

    倉石委員長 赤松勇君。
  105. 赤松勇

    ○赤松委員 私は日本社会党を代表いたしまして、継続審査に反対をするものでございます。以下その理由を数点あげまして、簡單にわれわれの立場を明らかにしておきたいと思うものでございます。言うまでもなく労働條件を決定する一つの條件として、労働の質と量の問題を除外することは、労働関係を良好な状態に保とうとする者のやり方ではないのであります。日本国有鉄道の従業員については、その従事する労働の内容をつぶさに検討してみますると、これは先般もこの労働委員会におきまして、政府当局に質問をいたしました裁定書の賃金関係の第一項につきましては、政府は明確にその通りであるという答弁をいただいておるのでございますが、国鉄は一般行政機関とは異なる経済活動、あるいは生産活動を営むものでございます。労働の内容は、質的に見ても量的に見ても、事務系統の国家公務員のそれとは相違のあることは明瞭でございます。これを私はなぜ言うかといいますならば、政府は絶えず一般公務員との賃金ベースの関連において、このことを問題にしておるからでございます。そのことは別にまた申すといたしまて、従つてその給與も、事務系統の国家公務員の給與とは区別して、当然この裁定の問題をば考えなければならない、こういうふうにわれわれは考えております。すでに昭和二十一年の秋の中労委における国鉄争議調停のとき以来、このことは指摘されておるのでありまして、元来国鉄従業員給與は、仲裁委員会が仲裁裁定を下す際も、その理由にも述べられているごとく、過去においては民間同種産業より上まわつた賃金水準にあつた時代もあつたのであります。しかるに現状においては、民間賃金水準の上昇に対し、国鉄賃金は六千三百七円ベース実施当時のまますえ置かれている。しかも公共企業体に移行した後において、待遇條件が切り下げられていることは、すでに仲裁委員会裁定書が明白にこれをうたつているのでございます。政府国鉄の労働関係が良好なる状態に保持され、輸送の万全を期待をするならば、国鉄に対する監督者としての責任上、すみやかに労働條件の改善に着手するよう努力すべきであります。  これに対して御承知のように国鉄労働組合は、その組合が背負つております使命の重大なことをば認識いたしまして、できる限りいわゆる民主的に平和的な問題の解決を求めて参りまして、そういう民主的な労働組合の運動と相まつて、はなはだ不満足ではございましたが、八千二百円の基準賃金その他に関する仲裁裁定が下された。しかるに政府はこの裁定に対する金額について、財政上支出は不可能である、こういう一点の理由で、さきに予算を明らかにしないで、裁定について国会議決を求めて参つたのでございます。第七国会におきましては、御承知のように政府はいわゆる公労法第十六條に基きまして、予算上、資金上実施不可能である。従つて実施不可能であるということの承認、不承認を求めるということを国会に言つて参りました。しかるに今国会におきましては、そういう点が明白にならないで、むしろ予算も付さないで、これをいきなり国会に出して、そうしてイエスかノーかを決定しろ、こういうことになつておるのでございます。これは前の公労法の問題で本会議で討議いたしました際においても、私は明らかにしておいた点でございますが、当然仲裁委員会裁定が出されまするならば、その裁定に対しまして予算上、資金上可能な部分と不可能な部分、もし不可能であるといたしますならば、それに対する明確なる予算書をば付して、このような理由から不可能であるということをば、国会に提出することが当然であると思うのでございます。しかるに政府はそういうような手続をやらないで、ただ財政上これが不可能である、こういうふうに言つておる。はたして支出が不可能であるかどうかということをわれわれ検討してみますると、特別補充取替費百八十二億円は、帳簿価格による減価償却費十七億六千余万円と合せて、これは自己資金による工事費に充当しているのでございます。このほかに見返り資金によりまして政府出資四十億円が工事費に充当されているのでありまして、戰後久しい間自己資金による工事の全然なかつた時代に比べまして、昭和二十五年度におきましては、一挙にこのような多額な自己資金による建設改良工事を計画いたしておるということは、これは損益勘定における修繕費の総額三百五億円中、五十八億円は戰災復旧費の経費に属する点をもあわせ考慮いたしますと、資本的支出と人件費との間に権衡を得ているとは認めがたいのでございまして、このような予算措置を見まするとき、労働関係に関する当局の真意は奈辺にあるかということを、われわれは了解しがたいのであります。  私の見解といたしましては、この国鉄第二次裁定の履行に必要な措置については、今国会に提出さるべきであつて、これを今日に至るまで放棄したということは、政府にその誠意がなかつたためである。しかして予算の執行についても、すでに第一・四半期が終り、次期国会が十月に開かれると仮定いたしましても、そのときまでには第二・四半期の予算についても、その過不足が明らかになるはずでありますから、この間において国鉄総裁限りにおいて、流用支出のなし得るものについては、すみやかにこれを支出する。ところがただいま国鉄齋藤委員長の御証言を聞きますと、国鉄当局において可能な部分の支出について、いろいろ努力をしておりましても、これを政府当局はいろいろな理由で抑圧するという事実もあるのでございます。私どもはもとより本委員会におきましては、すでにその数は明瞭でございまして、当然私ども野党側の意見は、葬り去られると思うのでございますけれども、要するに従来までは運輸大臣または大蔵大臣の裁量によつてなし得る部分についても、法規裁量によつてこれを支出しない、こういう事実がしばしばあるのでございます。御承知のように先般私どもは、国家公務員法第二十八條の人事官に課せられた、いわゆる年間を通じて五%以上の増減のあつた場合には、当然人事宮として国会及び政府にベース改訂の勧告をすべきである。その義務が課せられておる。その義務を果さないということで、人事官彈劾訴追の手続をとつたことは、御承知の通りであります。これと同じような意味におきまして、私は公労法の規定いたしまする、それは国家公務員法でもそうでございますが、財政上不可能である。いわゆる予算上不可能であるということが前提條件になるといたしまするならば、——この裁定が二十五年度予算編成前に出ておるのでございまするから、当然これは二十五年度予算の中におきまして、このような不可能であるということが明瞭に示さればなけれなりません。国家公務員法の二十八條の人事官の勧告の義務につきましても、これは予算もしくは政府の財政上の御都合によつて勧告がなされたり、あるいは勧告が遅れたりするのではなくて、二十八條が明確に規定しておりまする、年間を通じて五%以上の増減のあつた場合には、当然これを行わなければならない。こういうことになつておるのでございまして、従つて私は公労法に規定いたしまする仲裁委員会の権威を守る、民主的にして平和的な方法で労働問題を解決するという、いわゆる労働運動の民主的な立場に立つて考えて参りましても、この際仲裁委員会の権威を保持し、かつ政府はすみやかにこの仲裁委員会決定いたしました——われわれはきわめて不満足でございまするが、この仲裁委員会決定いたしました裁定を完全実施するための諸般の手続を、まず何よりもなさなければならぬと思うのでございます。早川君の御討論にもございましたように、第七国会においてすでにこれは審議が十分にできないというのではなく、政府にその誠意がないために、第七国会におきましては継続審議になつた。今度第八国会におきましても、やはりこれまた継続審議——先ほど愼重審議ということがございましたが、本委員会におきましてこの問題が取上げられましたのは、わずか三回の委員会でございます。第一回におきましては、参考人の御証言がございました。第二回目の委員会におきましては、私一人が質問をいたしました。本日はその第三回目であるのでございます。しかもきわめて時間的な制約を受けておりまして、本委員会におきまして、この裁定に基くところの諸般の問題を愼重審議できるわけはございませんし、またしたということは義理にも言えないのでございます。従つてどもといたしましては、本国会においてこれを十分に審議して、そしてこの問題を一挙に解決するという方法をとらなかつた国会側にも責任はございましようが、本来これは国会議決を求めるべき性質のものではないと信じます。いわゆる公労法第三十五條に基いて、国鉄公社と政府とそれから国鉄労組間において、いかにして仲裁委員会裁定を実現するかということについて、真劍に協議協力すべき問題である。われわれはかような考え方の上に立つておるのでございます。従いましてただいまの島田君のせつかくの動議でございますが、われわれといたしましては以上のような観点から、この継続審査の御要求に対しましては、反対の意思表示をいたします。
  106. 倉石忠雄

  107. 土橋一吉

    土橋委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいまの緊急動議並びに吉武委員の賛成の趣旨には反対をするものであります。御承知のように本委員会が真劍に国鉄労働者の待遇を考えておりまするならば、本委員会は第二次裁定決定を実行すべしという結論が出てしかるべきものでありまするが、そのようなことがこの委員会において論議せられないで、継続審査というような動議が出ることに対して、私は第一に反対をしなければならぬと思うのであります。  また第二点としましては、少くとも罷業権がなく、しかも罷業権を裏づけとする団体交渉権は持つていないのであります。こういう労働組合について権威ある仲裁裁定が出た場合には、政府も公社側も、これは法的な拘束力を受けるのは当然であると考えるのであります。それに対しまして政府及び公社側からは、資金上、予算上不可能なる支出である。こういう御答弁でありまするが、すでに仲裁裁定が明確にいたしておりまするように、これは計算上においても、すでに可能であるということが立証せられておるのであります。現実の面においてはできないということを、加賀山総裁は申しておられますけれども、仲裁裁定に明確に書いておりますように、われわれはでき得るものと確信をしておるのであります。この裁定内容を尊重するということが第一でありますのに、裁定内容を各委員皆さん方が尊重すると口で申しながら、現に尊重していないのは、この委員会を継続審議に持つて行こうとしておる。こういう態度からもきわめて明瞭であろうと思うのであります。これが第二の理由であります。  第三点といたしましては、大橋法務総裁もおられますが、現在国家警察予備隊なるものを設置せんとしております。海上保安隊も八千名の増員を考えておるのであります。こういうようなものは非常な費用を要します。この費用は聞くところによりますると、当面この問題が出まするや、すでに百六十六億も予算を要する。さらにこの問題を充実するためには、おそらく五百億以上の金が出るやにも聞いておるのであります。従いましてこういう費用が、今日の国家地方警察及び自治体警察を考えてみまするならば、治安を保つに十分であろうと考えますのに、なぜこのようなものを設けるかというところに疑点がある。のみならずこの費用が非常に莫大であります。こういう状態にありまして、国鉄四十五万の労働者諸君の待遇が是正できないというところに、私は自由党の現在の吉田内閣の基本的な政策の一端がよくうかがわれると思うのであります。従いまして、そういう警察隊の増強や、海上保安庁、特に鉄道公安官についても同様に、武器携帶あるいは人員の拡充というようなことが行われているのは、まことにわれわれは労働者の代表といたしましては、不都合きわまる政治の動向であると思いますので、こういう方向については、この見返り資金の運用にいたしましても、あるいは終戰処理費の使い方にいたしましても、国債償還の内容にいたしましても、これが真に労働階級のために行われていないということを考えざるを得ないのであります。  かかる観点からわれわれは、国鉄労働者諸君の切実なる要求でありまするところの九千七百円べース——ひいては裁定を完全実施するという線が、ぜひとも本国会においては決議されてしかるべきでありまするにかかわらず、これをやむを得ないというところに、私は問題があると思うのであります。こういうわけで、われわれはせつかくの島田君の緊急動議でもありますが、賛成することはできません。さらに従来の例から申し上げましても、これが第七国会において、継続審議に相なつておるのでございますが、私の仄聞するところによると、継続審議が本委員会において一回もなかつたやに考えております。また将来も継続審議というような名称で——これはおそらく次の休会中にもこの問題が取上げられないのではなかろうかという懸念がきわめて大であります。私たちはそういうように切実の問題で要求されている内容は、四月以後の賃金ベースの改訂という紛争事態が、今日八月になんなんとしておりますにかかわらず、それすら裁定でがきない。裁定内容を実行できないということでありますならば、これはもう自由党の諸君がどういう美辞麗句を呈されまして、これの継続審議をするということを発表になりましても、賛成することができないのでございます。私たちはかかる理由から、ただいまの動議にはは賛成することは絶対にできないのでございます。
  108. 倉石忠雄

    倉石委員長 中原健次君。
  109. 中原健次

    ○中原委員 私は簡單に労働者農民党の態度をこの場合表明いたして、討論にかえたいと思います。大体今日給與の問題がしばしば論議されておりまするが、さきの給與決定いたしましたときを今振り返つて考えますると、これは昭和二十三年七月の物価、生計費を基準にしで決定したものが、依然として今日ずるずるべつたりに流されているわけであります。従いまして、その間すでに三箇年の長い経過の間に、労働者が受けました時間のずれから生ずる打撃というものは、実に大いなるものがある次第でありまして、これを補填するの方法は、このようだ末梢の問題を審議しなければならぬような状況のもとにおいては、期待すべくもないのでありまするが、しかし労働者はその二箇年の長きにわたりまして、時間のずれから生ずる收入減、これに対して何としてもこれを取返さなければならぬという立場に実は立つているわけであります。たまたまここに国鉄の第一次の裁定は、これは公共企業体に移行いたします過程において、さなきだに低賃金のもとにくぎづけされておりました国鉄従業員に対して、さらに待遇が切り下げられ、その切り下げられた待遇から生ずる損失に対する補填の意味を含めて、この第一回の裁定がなされておつた考える。しかるにその第一回裁定はさきに見るごとき結果になりまして、結局それはうやむやに帰してしまう。ただ、たまたま年末の手当の給與に関連いたしまして、いわばその年末の給與の中にこの問題を移行せしめて、とりあえずその場のつくろいをした。こういう結果に陷つたことをわれわれはなはだ遺憾に思いまするが、しかもそれに続いて今回の第二次裁定が、再びまたそれと同じような運命に追い込まれようとしていることに関しましては、われわれは何とも言いようのない遺憾を痛感する次第であります。しかも国鉄従業員の諸君は、さきの公共企業体労働関係法の重縛を受けまして、労働階級に與えられました唯一の護身方策である罷業権を奪いとられてしまい、何ら労働階級の権益を守るべき有力なる手段を、今や許されておらないという状態に落ち込んでいるのであります。たまたま公共企業体労働関係法がそれに対する一つの打開方策として考え出し、決定いたしましたのが仲裁委員会、そうであるならば、しかもその仲裁委員会決定いたしました決定は、法の示すところに従いましても、これは最後的なものである。最後的なものであるということの意味するものは、関係両当事者はその前に絶対服従すべきものである。こういう意味を込めているわけであります。しかるにかかわらず、その裁定決定であるこの仲裁裁定が、せめてものたつた一つのよりどころ、頼みどころであるにかかわらず、国鉄関係労働者諸君に対して、このような理解なきというか、むしろ残酷きわまる取扱いをもつてこれを一蹴して行こうとするがごときは、まことに遺憾しごくだと考えるのでありますが、今次第二次裁定取扱い方から、あるいは当局の諸答弁を総合いたして考えましても、おそらくこれはこのままでは誠意ある答えが出がたいのではないか。そういうことを私は遺憾ながら想像せしめられるのであります。万一この裁定がそういう結果に再びなるといたしますならば、国鉄関係労働者は、はたして公共企業体労働関係法の示すもとに従うことができるかどうか。これは今日わが日本の労働組合運動の、真に民主的な成長発展を阻害する一つの事柄ではなかろうかと私は考える。政府は、あるいは国鉄当事者は、この問題に関して真に誠意を示すならば、仲裁委員会が指摘いたしますように、すでに企業内容の数字を考えますならば、これはとつくにこの裁定に従うべきことのでき得る條件があるわけであります。これを言を右左にされて、いわゆる余剰が生じたなら、あるいは生ぜしめんと努力してその結果においてと、そういう言葉をもつてこの場を糊塗しようとする態度は、遺憾ながらわれわれの了承できないところであります。政府が真実にこの問題に対して理解を持ち、山崎運輸大臣がせつかく言葉を繰返して宣言されたように、言葉と腹とはまちまちであるなどとかつてに独断でそれを判断してもらつては困るということを宣言されたが、はたしてその言葉の裏に、運輸大臣はみずから省みて恥じざる真意がみなぎつておるかどうか。私は遺憾ながらこの点に対して必ずしも安心することができぬ。以上のような情勢を総合勘案いたしますならば、今回の第二次裁定をまたぞろ次期の国会までいたずら遷延せしめ、そうして愼重審議をするというがごときは、その愼重審議するというそのことがはたして何を意味するか。むしろ時をかせぎ、そうしてあらゆる方策を講じて労働階級をまたぞろ一つのぺてんにかけ、うやむやのうちにこの問題を終息せしめようとする意図がうかがわれないとは言えぬ。かかる意味から私ども労働者農民党といたしましては、これが継続審査に反対でありますと同時に、この第二次国鉄裁定をただちにここに採択いたしまして、本裁定内容をただちに実施すべきことを本委員会決定すべきものである、このように考えまして反対の意見を述べるものであります。
  110. 倉石忠雄

    倉石委員長 これにて討論は終局いたしました。ただいまの島田末信君の動議は、公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、第七回国会議決第三号)につきまして、閉会中の審査申出をせられたのであります。本動議に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  111. 倉石忠雄

    倉石委員長 起立多数。よつて本動議のごとく決しました。  後刻委員長より文書もつて、議長にこの旨を申し出ることにいたします。  参考人各位におかれましては、御多忙中にもかかわらず毎回長時間御出席くださいまして、本委員会の審議に御協力くださいましたことを、委員長より深くお礼を申し上げます次第でございます。     —————————————
  112. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に失業対策に関する件を議題といたします。質疑を許します。赤松勇君。
  113. 赤松勇

    ○赤松委員 失業対策に関しましては、先般の本会議におきまして私ども緊急失業対策に関する決議案を上程いたしまして、共産党を除く各派によつてこれが決定されたのでございます。さらに参議院におきましても同様な措置がなされたのでございますが、この点につきましては私繰返して申上げません。すでにその趣旨弁明において十分申し上げてあるのでございまして、願わくはもつと緊急な資金の支出といたしましては、ぜひ失業対策審議会が答申をいたしました九十億の補正予算を出すべきであるということを、強く希望しておきます。なおわが党の要求いたしまする失業対策の諸般にわたりましては、やがて機会をあらためて申し上げたいと思うのでございます。  そこで大橋法務総裁のせつかくの御出席を煩わしましたので、ただ一点これは失業問題と関連するのでございますが、きのう行われました新聞記者に対する解雇と申しますか、それが私の質問の内容であるのでございます。解雇の問題につきましてお尋ねしたい。この被害者は、現に国会に働いております新聞記者諸君の中にもあるのでございまして、日本社会党の所属記者クラブの中にも、毎日新聞の三上君という、人格高潔にして、しかもその考え方は決して共産党員でもなければ、また共産党の同調者でもない。シンパサイザーでもないというのでございまするが、突然昨日解雇を言い渡されて、五分以内に毎日新聞からの退去をば要求されたのでございます。しかもこれに関しましては一言の理由の説明もない。またその解雇の理由の説明をただそうと思いましても、社の方は、これは命令であるから言うことはできない、こういう強い宣告であつたのでございます。このことはただ單なる失業問題だけでなくて、最近吉田内閣がきわめて反動的な性格を帶び、国内の政治態勢が、いれゆる満州事変あるいは日華事変直前の様相を呈しつつあるのでございます。ちようど私は満州事変前にも、当時の彈圧によつて名古屋の刑務所に入り、昭和十二年におきましてもやはり当時の近衞内閣の手によりまして、四年間の牢獄生活をいたしましたが、ちようどその当時の政治情勢と似通つた傾向が顕著になりつつあるということは、はなはだ遺憾であるのであります。もしこのことがいわゆる占領政策をはるかに越えて、言葉をかえて申しまするならば、占領政策に便乗いたしまして国内の自由主義的な、あるいは民主主義的なそういう勢力に対しまして、吉田内閣が自己の党利党略から、これらの反対勢力や、あるいはポツダム宣言のいつておりますきわめて望ましくない勢力を除去するために行つておる政策の現われということになりますならば、事にきわめて重大といわなければなりません。そこで私簡潔に法務総裁にお尋ねしたいことは、この解雇を言い渡した主体は一体だれであるか。いわゆる解雇を申し渡した意思は、何人によつてこれが決定されたのであるかということが一点。  それから第二点といたしまして、その解雇の理由は何であるか。  第三点といたしましては、これは解雇であるか、あるいはアカハタ関係のパージのような、そういう性格を持つたものであるかどうかということ。  第四点といたしまして、もしアカハタ追放に似通つたようなものであるといたしますならば、一体どういう根拠に基いてこのような手続が、われたのであるかということ。  第五点といたしまして、もしそういうコースに従つておやりになつたといたしましても、そのうちに共産党員もしくは共産党への同調者でないということか明白にされた場合、たとえば訴願の手続その他復職の余地というものがあるのかないのか。またそういうことは全然考えないで、一方的にこのことを葬り去られるのであるかどうか。  第六点といたしましては、たとえば個人の名前をあげましてたいへんお気の毒でございまするが、私の友人でございまして、三上君には四人の子供さんがあつて、きのうも突然首の申渡しがございました。ほとんどどうしていいかわからない。もしそういう明しを立てる手続をとることができるならば、どのような手続をとつてもよいということを、本人が申しておるのでございます。こういう点につきまして、大橋法務総裁の御見解を明らかにしていただきたいと思うのでございます。
  114. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 昨日言論報道関係の機関におきまして、共産党の党員あるいはシンパと認められまする職員が解雇せられましたということは、私は本日新聞によつて承知をいたしたのであります。この件は思うに、各新聞その他の機関の経営者が、その判断によりまして独自の立場から解雇せられたものと存ずるのでありますが、これにつきましては、政府といたしましては全然周知いたしておらないのであります。
  115. 赤松勇

    ○赤松委員 形はそういう形になつておるでございましようが、その際に、たとえば経営者側が明瞭にこれはやむを得ざるいわゆる不可抗力的なものだということをば言外にほのめかしておる。しかもこういうような言論報道に対するきわめて強い措置がとられまするときに、政府の責任者でありまする法務総裁、あるいはまた法務総裁に直轄されますところの多くの機関の方々が、全然御存じないというのは少しおかしいのでございまして、これがもしいろいろの都合で発表できないならば、発表できないのだ、こう明瞭に言つていただきたいと思います。
  116. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 不可抗力的なものということが、いかなるものを意味しておるかわかりませんが、この問題に関しましては、終始政府といたしましては関知いたしておりませんから、この点はつきりお断り申し上げておきます。
  117. 赤松勇

    ○赤松委員 それならば私の質問の第三点にございましたように、もしそれがあやまつてこういうような措置をとられたものに対しましては、政府としてたとえばそれが明白になつた場合、復職させるとか、あるいはその他の方法というものが講じられるかどうか、そういう点についてはいかがでございましようか。
  118. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 経営者と解雇せられた方との当事者間の問題でございまして、当事者間において御解決を願うべき筋合いのものと考えます。
  119. 赤松勇

    ○赤松委員 当事者間においては明瞭に、そういう不当の首切りを行つてはいけないという労働協約というものができておるのであります。しかもそういう労働協約というものが無視されて行われたのでございますから、当事者において話し合うということは、不可能の状態にあるのであります。それについてはどうでございましようか。
  120. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 労働協約に違反した事項につきましては、法制上これに対する救済手段が用意されておるわけでございます。その手続によつて処理さるべきものと考えます。
  121. 赤松勇

    ○赤松委員 なるほどけつこうな御意見でございます。そのことは一般的には明らかな事実でございまして、ただそういうような形で処理できないところに問題があるのでございます。これは御承知のようにはつきり申し上げますと、従来言論報道関係の方の、いわゆる民主的な言論報道、これを指導するという立場に立つておられたのはインボデン氏でございまして、それがインボデン少佐の御命令であるかどうかということはわかりません。まだよくわかりませんが、少くともあのアカハタに対する追放措置と同じような形でこれが行われたものであるか。言葉をかえて申しますならば、一個の経営内において、その経営者とそれから使われておる者との間において自由契約の形で、自由契約を解除するというような形でこれが行われたのであるかどうか。そうでなく、占領政策上必要の措置であるということから行われたものであるかどうか。政府は全然そんなことは知らない、それは会社と従業員との間の自由な問題であろう、政府は全然そういうことは知らないのだとおつしやることは、これは一人でも失業者を出したくない、一人でもそういう不幸な人を出したくないという政府の政策から申しまするならば、おかしなことでございまして、その点はひとつ法務総裁として答えられる点——こういう点とこういう点は答えられないが、しかしこの部分とこの部分はこうであるということを明らかにしていただきたいと思います。あなたが御存じないということは絶対にないのです。
  122. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この問題は先ほどから申し上げました通り、当時者間の問題でございまして、政府に何ら関係ない事項であります。なおこれに関係いたしまして、赤松君からアカハタ関係の追放のお話がございましたが、これは確かに政府に対しまして連合国最高司令官から指令がございまして、この指令に基いて政府関係して措置した事項であります。しかしそれとこれとは全然別個の問題でありまして、この問題につきましては、政府は何らの指令を受けたることもなく、また政府の発意によりまして、経営者あるいはその他の関係者に対して、指示または指導を與えた事実もございません。
  123. 赤松勇

    ○赤松委員 それならば、たとえばこれらのきわめて自由主義的な考え方を持つてつた有能な新聞記者諸君ですが、これは仮定の話ですが、社会党の機関紙でございまする社会新聞に、その人を採用するというような場合に、何ら障害はないでございましようか、自由でございましようか。
  124. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私どもはそれについて全然関知いたしておりませんから、何分申し上げることもできません。
  125. 赤松勇

    ○赤松委員 その場合、たとえば法務庁関係あるいは特審局関係から、いろいろなあれはないでございましようか。まつたくあなたは全然知らないから、それは自由だ、いわゆる就職も自由であり、また職業の選択もまつたく自由なんだ、こういうふうに私たち解釈してよろしいでしようか。
  126. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 もともとこの問題に関しましては、法務府あるいは特審局は全然関係いたしておりません。もちろん今明示せられた事柄等は、これは職業選択の問題でありまして、これについても法務府あるいは特審局が関知いたしておることではございません。
  127. 赤松勇

    ○赤松委員 そこで関知されておるかおらないかは別といたしまして、たとえばそれがある新聞社——元の新聞社でなくても、言論報道機関に復職するというような場合には、それではただいまあらゆる方面から何の示唆も指示も受けておらないなら、それは自由である、その場合には政府としては全然干渉も制限も加えない、こういうふうに私たち考えていいでございましようか。あなたは責任をもつてそういうふうに御答弁なさるのでございましようか。
  128. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政府といたしましては、当初からこの問題に関係いたしておりません。従いまして今後も関係することはございません。
  129. 赤松勇

    ○赤松委員 この点につきまして調査をするというお考えはございませんでしようか。
  130. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 当事者間において争いのある事件について、政府の方から積極的に一々の場合において取調べをするとか、調査をするというようなことは考えておりません。
  131. 赤松勇

    ○赤松委員 これが関係方面の示唆か何かでやられたというようなことは私はないと思いますが、もしそういうことがあつた場合には、当然政府として現在のこういつた問題しつきまして、御調査なさることが当然だと思うのであります。そういう事態が明瞭になつた場合はいかがでございましようか。
  132. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 関係方面の示唆と申しましても、政府に対しましては何らさような示唆はないのでありますから、これがまた将来そういうことが明瞭になることもあり得ないのでありまして、これ以上仮定的な御質問にお答えするわけに行きません。
  133. 倉石忠雄

    倉石委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十五分散会