○土橋
委員 ただいま議題に
なつております
失業保險法の一部を
改正する
法律案には、私は日本共産党を代表しまして、反対の意見を表明するものであります。
御
承知のように今日といわず、過去におきまする
失業もそうでありますが、将来におきます
失業についても、これは吉田
政府を通ずる資本家並びに内外的な反動勢力が
考えた政策によ
つて、
失業者が出るのであります。
失業者自身が、自分の自主的な
考えや願いによ
つて、
失業が出るのじやないのでありますから、まず第一番に
失業保險に関する問題は、資本家及び
政府の全額
負担による
ところの保險制度が、社会保障制度として確立されることが必要であります。
ところが今までの大臣及び
政府当局の答弁を承りますと、
保險経済上の問題から云々ということを常に申しておられますが、少くとも
失業保險に関する限りは、世界いずこの例を見ましても、これは純然たる社会保障制度であることは明瞭であります。でありますから、私は
労働者諸君から掛金を徴收するというような態度が、根本的に誤
つておると思うのであります。でありますから、
失業保險に関する限りは、社会保障制度の拡大、しかもこれに対する無制限的な態度をとりませんことには、
政府が自分が首を切
つておいて、自分が
失業者をつく
つておいて、少くとも
救済することについて、彼自身が
熱意を示していないということを、第一番に指摘しなければならぬのであります。
第二番目といたしましては、昨日本院におきましては、
失業に対する緊急
対策が、日本共産党を除く全野党及び与党の
諸君によ
つて決定したのであります。こういう
決議案が昨日本院において決定したばかりでありますにかかわりませず、この
法律案の内容を見ますと、これは羊頭をかかげて狗肉を売るにひとしいのであります。なぜならば、今までわれわれが
承知しております
失業者の総数は、顯在
失業者はおそらく六十万にも達すると思われるのであります。
ところが現在まで
政府が
就労手帳を認可しておる者は、約十万であろうと
考えられる。
ところが第二・
四半期において
政府が
考えております
失業者に対する
就労手帳は、大体十二万七千
程度であろうと
考えるのであります。六十万
程度の顯在
失業者に全部
就労手帳を渡すような態度が、私は好ましいと
考えておりますが、今現実に職安においては、
就労手帳についても非常な制限をしておるのであります。でありますから、ここでもし六十万の顯在
失業者に
就労手帳を渡すということになると、現在のわくは十二万七千
程度の
失業救済のわくでございますから、どうしても現実は
失業労働者があぶれざるを得ないのであります。そこで
労働者は輪番制ということを
考えて来たのであります。これに対して
日雇い労働者諸君が、
東京でありましようとも、あるいは神奈川でありましようとも、川口でありましようとも、この輪番制の問題については、まつ向から反対をするのでございます。当然なことでございます。こういう点から、あるいは寄せ場、
事業所において
就労の切手を切るというような問題も起
つておりますが、私の申し上げたい点は、このようなものをつくりましても、今私が申し上げたような顯在
失業者の数と、
就労手帳を下付する者との間には数において非常な差があるのであります。もしこの者に当然
失業者の
就労手帳を下付するということになりますと、いやでも応でも輪番制ということになりますれば、現在
政府が
考えております一六・三の
稼働日数は、まだまだ落ちて来るのであります。現実に落ちざるを得ないのであります。あるいは一二・五とか、あるいは一〇というような
稼働日数にまで落ちて来る危險性が十分あるのであります。そうすると第一
政府が今ここで
提案をしておられますような
改正の二十八日、つまり
失業して二箇月間に二十八日の
日数が、切手が張
つてあるという問題につきましても、これはまだまだずつと下げなければならぬということが
考えられるのであります。あるいは
待期期間の問題にいたしましても、
先ほど私が
政府委員やあるいは
齋藤局長にもお尋ね申し上げておるように、現実の問題として
待期日数はあなた自身もこれを了承されておりますように、これは廃止すべきことは言をまたないのであります。特に
失業労働者がと
つております二コ四というものは、重
労働者と同じ給与であるというような論弁を弄しておりますが、今どこの
労働者にしても、重労働をする者が、なるほど基本賃金はあるいは二百四十円かもしれませんが、その他あらゆる生活補助、特に家族手当、勤務地手当、特勤手当、超過勤務手当というようなものが
支給されております。でありますから現実の生活は、決して
日雇い労働者諸君がもら
つておりまする
金額のようなものではなくしておそらくその二倍ないし三倍というようなものが、今日日本の全労働階級の基準的な標準と相
なつているのであります。もちろんこれもきわめて不十分なものでございますが、一応こういう
状態でございますから、今のような御答弁によりましては、この問題は
解決をしないのでありまして、こういうような趨勢にあることを
労働省は見越しまして、一応三十二日の問題を二十八日に切下げ、あるいは通算して七日のものを六日に切下げ、あるいは連続して五日のものを四日に切下げたということは、これは
政府が今のような
状態を察知してからの、一応の緩和策をと
つているようなゼスチユアを国民に示さんとするものであります。実質内容においては、何ら
日雇い労働者諸君に対しては緩和どころでない。もしこういうことをいたしまして今私が申し上げたように、六十万の
労働者に
就労手帳を下付するという問題に
なつて来るならば、当然
失業保險における問題でなくして、
失業対策における基本的な態度を
政府が十分考慮いたしまして、今
補正予算でも組むとか、追加
予算を計上いたしまして、この面を強く強化しないことには、
失業保險のこのような
改正では、結論的に龍頭蛇尾に終ることは、言をまたないのであります。だから特に吉田
政府が労働階級を欺瞞し、賃金ベースを上げないという方策は、本日の午後の労働
委員会においても、なぜ国鉄裁定を自由党の
諸君又
政府はこれを認めることをがえんじないのか。あるいは過日の十五日において、人事院総裁は
参議院の本
会議においては、来週中に人事院勧告を発表するということを明言したのであります。
ところがどうでございましようか。十八日には人事院総裁はすでにこれを撤回しまして、本
委員会におきましても同様であります。こういう趨勢は、明らかに吉田
政府が人事院の基本的な態度、少くとも国家公務員法が規定しておりまする第一条、第三条、第五条というようなものを無視して、
政府が一方的に人事院の勧告すらやらせない。この態度が実は国鉄の第二次裁定に、きわめて明瞭に現われて来るのであります。でありますから、米価の問題につきましても、労働賃金の問題にいたしましても、
失業労働者のあの
保險法改正の問題についても、明らかに吉田内閣は勤労階級を愚弄し、労働階級を欺瞞し、そうしてこのような方策によ
つて一応の緩和策があるやに見受けられる態度をとられておるのであります。こういう吉田
政府がきわめて労働階級を愚弄し、勤労階級を破局窮乏のどん底に陷れまする
失業保險法案なるものに対しては、私は全面的に反対であります。とにもかくにも
失業保險制度につきましては、社会保障制度の大きな一環として、私は当然
待期日数は廃止すべし、かつ給与額についても前田君と同様であります。なるたけ多くの
失業保險金を給与すべきである。同時に私はこの二十八日という問題につきましても、全体の
失業者の数と現在の登録数との割合を
考えまして、これを割つた
数字で
解決する
ところまで、この日にちは引下ぐべきである。こういうふうに私は
考えておるのであります。なお私は
失業労働者に対しましては、保險金を絶対に徴收すべきでない。同時に現在の二コ四はきわめて低いのでありますから、できることならば、当然私は三百五十円ないし四百円は
支給するのが妥当と
考えておるのであります。かかる見地に立ちまして、現在の
改正法は決して
日雇い労働者のためになるのではなくて、
失業の
増大ということと、
就労手帳の
関係と、
保險経済学上の
関係を
理由といたしまして、一応
改正らしきものを出しまして、そうして実際には
日雇い労働者諸君の窮状をさらに倍加する
ところの、最も悪い法律であると指摘して、日本共産党は反対せざるを得ないのであります。(発言する者あり)君は発言を許されていない。でありますから、かかる観点から本案には反対をいたします。