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1950-07-25 第8回国会 衆議院 労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十五日(火曜日)     午後五時十二分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 島田 末信君 理事 福永 健司君    理事 吉武 惠市君 理事 早川  崇君    理事 赤松  勇君       麻生太賀吉君    天野 公義君       金原 舜二君    佐藤 親弘君       篠田 弘作君    塚原 俊郎君       船越  弘君    三浦寅之助君       柳澤 義男君    石田 一松君       青野 武一君    柄澤登志子君       土橋 一吉君    中原 健次君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       加賀山之雄君         参  考  人         (国鉄労働組合         中央執行委員         長)      齋藤 鐵郎君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員) 荒井誠一郎君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員) 今井 一男君         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 浜口金一郎君     ————————————— 七月二十二日  委員佐藤親弘君及び赤松勇辞任につき、その  補欠として五島秀次君及び福田昌子君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員福田昌子辞任につき、その補欠として赤  松勇君が議長指名委員に選任された。 七月二十四日  委員五島秀次辞任につき、その補欠として佐  藤親弘君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  赤松勇君が理事補欠当選した。     ————————————— 七月二十二日  失業保險給付改善に関する請願(佐々木更三君  紹介)(第一八四号)  失業救済事業費全額国庫負担請願江崎真澄  君紹介)(第二〇三号)  職業安定法の一部改正に関する請願首藤新八  君紹介)(第二二九号)     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  参考人選定に関する件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、第  七回国会議決第三号)     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより会議を開きます。  お諮りいたします。去る七月二十二日、理事赤松勇君が委員辞任されまして、再び委員補欠選任されましたが、理事が一名欠員となつております。この際理事補欠選挙を行わなければなりませんが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めまして、赤松勇君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に本委員会に付託せられました公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、第七回国会議決第三号)につきまして、審査の必要上、加賀山日本国有鉄道総裁説明を求めますほか、公共企業体仲裁委員会委員荒井誠一郎君、同じく今井一男君及び国鉄労働組合中央執行委員長齋藤鐵郎君の三名の方に参考人として出席を願いまして、説明または意見を聽取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければさように決定いたします。  この際委員長より参考人各位にごあいさつ申し上げます。本日は公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、第七回国会議決第三号)の審査にあたりまして、御多忙中にもかかわらず、特に本委員会に御出席を願いました参考人各位に対しまして、厚くお礼を申し上げます。何とぞ隔意なき御意見をお述べ願いたいと存じます。  これより公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、第七回国会議決第三号)につきまして、まず政府趣旨説明を求めます。山崎運輸大臣。     —————————————
  6. 山崎猛

    山崎国務大臣 この機会に私より、国有鉄道の第二次仲裁裁定について御報告、御説明を申し上げます。  国鉄第二次仲裁裁定につきましては、第七国会におきまして御審議願つてつたのでありますが、事柄はきわめて重要かつ影響するところも大きく、また予算検討も十分にできかねました関係上、衆議院におきましては五月一日、参議院におかれましては五月二日に、それぞれ継続審議決定せられた次第でございます。その後の国有鉄道経理の状況を見まするのに、收入の面においては幾分の増減はありますが、ほぼ当初予定したような推移をたどり、また支出の面においても、特に考慮せねばならぬような事態も、今のところは見受けられないのであります。從いまして、国有鉄道において企業努力により経費節約をいたしますならば、新たな財源を外に求むることなくして、ある程度裁定趣旨実現が可能となるのではないかと思われます。しかしながら今日の段階におきましては、政府において鋭意予算検討をいたしておるところでりまして、具体的な数字を申し上げ得ないことを遺憾に存ずる次第であります。  以上まことに簡單ではございますが、国鉄第二次仲裁裁定についての現状を御報告、御説明申し上げた次第であります。
  7. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより本件に関し、関係各位の御意見を求めることといたしますが、まず日本国有鉄道総裁加賀山之雄君の御説明を願います。
  8. 加賀山之雄

    加賀山説明員 ただいま運輸大臣から、政府からの御意見をお述べになつたのでありますが、日本国有鉄道といたしましては、公労法における当事者の義務を持つておるという関係からいたしましても、また企業経営自体からいたしましても、あらん限りの努力をいたしまして、この企業経営の中で、与えられた予算の中で裁定趣旨に沿うということに、徹底的努力を払わなければならない。かように存じている次第でございまして、この四月以来、一方においては収入をよくにらみますと同時に、できるだけ増収策を講ずる。また経費支出の面におきましては、あらゆる面において切り詰めた予算ではございますが、さらにこれを従事員全般努力によりまして、経費節減をはかる。そうして一方收入を確保し、経費節減するところに、ここに何とかして損益勘定の中においてそういつた財源が出ないかということに対しまして、あらゆる努力を続けて参つておる次第であります。しかしながら本日までのところ、まだわずかに第一・四半期を経過したにすぎませんで、先ほど運輸大臣言葉にありましたように、収入面におきましても、五、六月のごときはあまり芳ばしくない成績を収めたのでありますが、この七月になりましてかなり上昇して参つております。それで問題は八月あるいは九月、これらの月が山に相なろうかと存ずるのでありますが、ただいまの見通しといたしましては、最初のわれわれの見通しに対しまして、非常に悲観すべき状態には相なるまいというように私どもは考えているのであります。一方、支出の面におきましては、その後第一・四半期中あらゆる経営努力を積みまして、たとえば石炭にいたしましても、より以上の節約ということをモツトーといたしまして、今日まで進んで参つておりますが、まだ第一・四半期を終えたばかりでありまして、このいわゆる消費量におきましても、また炭価につきましても、今後一年間の見通しを立てるには、まだちよつと早い時期であると存じますが、ただいまのところではこの経費面におきましても、非常に予想外支出というものも出て来ない、経費節減もだんだんと軌道に乘つて参る。かように存じているのでありまして、これらの経費の目途のつきますのも、やはり八月、九月、このあたりが山に相なろうかと存ずるのであります。われわれといたしましては、先ほど繰返し申し上げましたごとく、今後一層収入の確保と支出節約に努めまして、この経営内部において何とかして第二次裁定趣旨に沿いたいということを念願いたしまして、努力を続けているということをここに御報告申し上げる次第であります。
  9. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に国鉄労働組合中央執行委員長齋藤鐵郎君の御意見を求めることといたします。齋藤鐵郎君。
  10. 齋藤鐵郎

    齋藤参考人 私御紹介をいただきました国鉄労働組合委員長齋藤であります。本日の議題になつております問題については、前の委員長が参りまして、詳しく申し述べてございます。從つて本日私は前との重複をなるべく避けまして、また組合の役員も最近かわりましたので、新たな観点のことも一、二つけ加えて、参考意見を申し述べたいと思います。  その一つは、国鉄職員給与あり方の問題でございますが、国鉄職員給与は、仕事内容一般官庁と異なりまして、すなわち現業でございます。從つて一般官庁職員給与とは、違つて考えられなければならない。国有鉄道仕事は、その仕事の性質からも、民間鉄道と比較することが適当であつて給与民間企業とのバランスにおいて考えられなければならないことは、仲裁委員長初め各委員からしばしば述べられている通りであります。從つて今回の裁定の御審議にあたつては、国鉄職員給与あり方について、まず皆さんのお考えを統一していただきたいということを、私くれぐれもお願い申し上げたい。なお民間鉄道給与ベースは、最近の調べでは約九千四百円になつておるということを、御参考に申し上げておきたいと思います。  第二点として、国鉄経理上の問題でございますが、この第二次裁定実施するにあたつて、どれだけの予算を必要とするかという点について、組合でも調査をいたしてみました。その結果、裁定の第一項の実施のためには、すなわちベース・アツプの問題でありますが、これのためには約七十億を要する。それから第二項の実質賃金の向上のためには、これまた約六十億を要する、そこで合計百三十億を要することになるのでありますが、これに既定予算人件費四百五十六億を加えますと、人件費の総額は五百八十六億になります。そしてこれを国鉄の総予算でありますところの一千三百四十億中に占める割合を調べてみますと、約四三%でありまして、企業経営上は何ら不安を来さないという点は、第三者でありますところの仲裁委員会が、国鉄裁定理由書で申し述べております点から、十分立証されるのであります。從つて予算上の問題につきましては、御心配ないものと私どもは確信をしております。むしろ私は国会皆さんにお願い申し上げたいことは、去る三月末の決算において約四億余の余剩金が生ずるということが、三月半ばに見通しとして明日になつたのであります。そこでわれわれ組合は、第一次裁定のときの残りの支給を要求いたしましたところが、総裁も決意をして、これを運輸大臣大蔵大臣のところに承認を求めましたところが、拒絶されたということで実現を見なかつたのでありますが、このときの余剩金の四億はどうしたでしようか。公社の大切なお金が濫費されたというようなうわさもあるのでありますけれども大臣認証一つがこのような大きなむだになり、從業員の勤労意欲を阻害することのないように、議員各位の賢明な決定を私はくれぐれもお願い申し上げたいと思うのであります。  第三点の主張でございますが、客観的な條件という言葉を私どもは何回かで聞かされておるのであります。ところが関係方面責任者は、生産の増大が実証されたときには、給与改善はさしつかえないという説明をしておるのであります。これを裏書きするかのように、皆さんも御承知のように電産の労働組合給与ースは、四月以降八千五百円、また同じ公共企業体でありますところの專売公社関係は、四月以降今までのいわゆる六・三べースからベース改訂がありまして、七千三百九十円にべース・アツプを見ていることは、すでに皆さん承知通りであります。この事実をもつてしても、なおかつ客観情勢云々ということのために、国鉄裁定実施が不可能ということでありますならば、その理由国民の前に私は明らかにしていただきたいということを訴えるものであります。  第四の点といたしまして、公労法すなわち法律上の問題でございますが、法律解釈上の問題については、この委員会でもしばしば論ぜられたことでありますし、また現在は裁判所で審理中でもありますので、私はここでは法理論は論じたくないと思います。ただ一つ申し上げたいことは、日本憲法第二十八條と一昨年七月二十三日に出されましたマツカーサー書簡、それと公労法との関係をよく御研究いただきたいのであります。新しい憲法によつて労働者団結権団体交渉権罷業権を得たのでありますが、諸般の事情から公共企業体争議権を否認せられ、これにかわつて労働者を擁護する措置として、強制仲裁の制度が設けられたことは、皆さんも御承知通りであります。從つて仲裁裁定当事者双方の意思のいかんにかかわらず、最終的の決定として強制されるということは申し上げるまでもありません。もしこれを否定なさるようでありますならば、私は事実をもつて証明してみたい。その点にもし皆さんが疑いを持たれるならば、しばらくの間でよろしゆうございますから、国鉄労働組合罷業権を与えていただきたいということを、私はお願い申し上げたいのであります。なお公労法の三十五條、十六條関係につきましては、英文のものを御研究になりますと、よくわかるとのことでございますので、これまた参考までに議員皆さんに申し上げておきたいと思います。  次に第五点として、労組紛争についての政府あり方の問題であります。労働者のこの問題はできるだけ紛争がなくて、平和のうちに解決されるということの望ましいことは、私から申し上げるまでもございません。また紛争が生じましても、両当事者最後まで最大限努力を払うのが、労働運動の常道であります。ところで日本法律は、両方当事者努力と、第三者助力と、同時に政府あり方も定めてあるのであります。すなわち労働関係調整法の第三條には、労働問題に対する政府あり方が、「第三條、政府労働関係に関する主張が一致しない場合に、労働関係当事者が、これを自主的に調整することに対し助力を与へ、これによつて争議行為をできるだけ防止することに努めなければならない。」と書いてあるのでございます。今後は私はそうではないと信じておりますけれども從来政府のまつたくこれに反する態度が見られ、またけさの新聞によつて見ますと、昨日の次官会議の結果が載つておりますが、こうした態度は、この法律第三條に照して、まことに残念であると申し上げなければならないのであります。昨日の次官会議の結果というのは、まつたく一方だけが満足をしておるのであります。しかし労働問題というのは相手があるのでありまして、その解決の具体的な方法は、一方だけが満足するものであつてはならないのであつて両方当事者が百パーセント満足はなくとも、同じように満足を得られるというのが、労働問題解決結論でなければならないということを申し上げたいのであります。  政府あり方に対しても、また第三者心構えについても、公労法一條の第二項にこのように示してあります。つまり労働問題を扱うところの第三者に対する心構えでございますが、公労法の第一條第二項に「国家経済国民の福祉に対する公共企業体重要性にかんがみ、この法律で定める手続に関与する関係者は、経済的紛争をできるだけ防止し、且つ、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限努力を盡さなければならない。」とあります。議員皆さんに対しましては、はなはだ潜越な申しぶりでございますけれども、この点十分御理解をいただき、最大限の御努力をお願い申し上げたいのであります。ことに朝鮮事件によりますところの日本の今日のあり方を考えますときに、一日もすみやかに労使間の紛争解決し、治安の維持、講和会議態勢の確立のためにも、コツプの中のあらしのようなこういう紛争を早く解決し、われわれ組合員の輸送の増強に專念いたしたいと思う気持を、御賢察願いたいのであります。  最後結論を申し上げたいと思いますが、われわれの国鉄労働組合は、皆さんも御承知のように、健全にして民主的な労働運動を念願し、過去数年間当局と闘うとともに、破壊的組合運動とまつこうから闘い、今日ようやく民主的労組の主体性を整え得たのであります。敗戰後日本労働運動の今日までの姿を顧みますと、遺憾ながら、騷げば得られるのだという騷動主義と申しますか、暴力主義と申しますか、労働者の利益を、より擁護したことがあつたのであります。この間にあつてわれわれ民主的労働組合は、暴力に訴えなくても、正しい筋の通つたことは話せばわかるのだということを理念として、いわゆる合法的に運動を展開して参つたのであります。日本の将来のためにも暴力を排撃し、合法的な運動によるところの、健全で正しい労働慣行を確立いたしたいと念願するのでありますが、皆さんにも御同感願えると私は信じます。しかしこの点は、この会議の席上で精神的な御賛同を得ても何もならないのでありまして、政府国会を初め、関係各位最大限の御協力による仲裁実現の裏づけをしていただきたいと特にお願いを申し上げるのであります。  なお聞くところによりますと、今度の国会のこの労働委員会では、まず第一番に自由労働者関係の問題が議せられたというようなうわさを聞いておるのであります。最近全国的に自由労働者が騷いでおることは、確かに事実ではありますけれども継続審議になつておりますところの国鉄裁定問題を預かりにして、自由労働者の問題が先に議せられたということになりますと、依然として騷げば与えられる、おとなしければだめなのだという悪い習慣は改まらないと思うのであります。もちろん国会は、好ましくない労働運動を育成したり、あるいは社会不安を助長しているわけではないのでありますけれども、結果としてはそのようになるのでありまして、議員皆さんには、この点について賢明な御判断を特に煩わしたいと思うのであります。現在労働界では、民主的労働組会の合法的な鬪争によつて、労働問題が有利に解決されるかどうかということが、多大の期待をもつて見られておるのでありますが、今回の国鉄裁定が、第一次裁定に引続いてどのような結果を見るかが、健全な労働運動の将来に大きなウエートを持つのであります。  私は国鉄仲裁裁定については、以上いろいろな角度から、実現の可能なことと、全面的に実施されなければならないこととを申し上げたのでありまするが、五十万国鉄職員勤労意欲をさらに盛り上げるような国会議決のありますように期待し、参考意見を終りたいと思います。
  11. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に公共企業体仲裁委員会委員荒井誠一郎君、同じく今井一男君の御意見を順次お述べ願いたいと存じますが、まず荒井誠一郎君にお願いいたします。
  12. 荒井誠一郎

    荒井参考人 本年の三月十五日に仲裁裁定第三号を持ちまして、ただいま御審議願つておりまする裁定をいたしました。この裁定に参加いたしました委員の一人として、きわめて簡單に所見を申し述べます。  御承知通り、この裁定裁定文に書いてあります通り、一が「昭和二十五年四月以降は、基準賃金を平均八、二○○円に達せしめる。右の配分方については、両当事者が協議して決める。」二が「日本国有鉄道は、昭和二十五年度に、基準外賃金現物給与福利施設、その他の給与等において、前回裁定に指摘した待遇切下補填について、適切なる措置を講じ、実質的な賃金の充実を図るものとする。右の措置を講ずるに当つては、労働組合側の意向を十分とり入れること。」こういう裁定をいたしたのであります。これは昭和二十五年四月以降の賃金に対することでありまして、私どもといたしましては、この裁定が一日もすみやかに実現されることを切望しておるのであります。ただいまこの席におきまして、運輸大臣国鉄総裁、並びに組合委員長からのお話がありましたが、各方面におきまして、幸いこの裁定趣旨は適正であるということが認められました。ただその財源関係において、国会の御審議願つておるのであります。私どもこの裁定をいたします場合に、十分財源のことも考え、この国鉄企業体自身におきまして、その金額につきましては、計算の方法がいろいろありますけれども、大体におきまして、この趣旨が実行できるだけの力を持つておるということを調べまして、その可能であることを確信しておるのであります。今日におきましても、情勢において当時とあまり変化はないものと認められます。從いまして各方面におきまして、十分御努力くださいまして、この裁定が一日も早く実現されることを重ねて要望する次第であります。ことに国会におきまして、十分に私ども趣旨実現するような処置を講ぜられんことを希望するのであります。  裁定趣旨等については、前回に詳細に申し述べておりますから、私はこの希望を申し上げて、発言を終りたいと思います。
  13. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に今井一男君。
  14. 今井一男

    今井参考人 この問題につきましては、前回審議の際にも一通りの御説明を申し上げましたし、ただいま三人の方から御意見もございましたので、繰返すようになりますが、私は特にそのうちでお気にかけていただきたいという点を、二、三補足的に申し上げまして、その任務を終りたいと思います。  第一回の国鉄裁定にあたりまして、われわれ仲裁委員で指摘いたしましたように、国家公務員全体を通じまして、マ書簡が出まして以後、積極的に給与の切下げのあつたの国鉄職員だけであります。この点はマ書簡にも、たしかはつきり從来のいろいろの権利を奪うものでないという言葉があつたと記憶するのでありますが、そういつた点から申しまして不法ではございませんでも、とにかく不当であるということをわれわれ申したのであります。これを具体的に申し上げますと、たとえば超過勤務手当だけにつきましても、明らかに千円ほどの減収というものが、具体的に数字の上に出て参るのであります。もちろんこれは国鉄経理の特殊な苦しさから出たことでございますし、また当時は国家公務員でありまして、団体交渉権もなかつた際でありますからして、あるいはやむを得なかつた措置かもしれませんが、とにかく少くとも公共企業体になりましたら、なるべくすみやかにこれが解決されなければならないということは、常識から申しましても、当然のことではなかろうかと思うのであります。それが第一次裁定の根拠になつたわけでございますが、その問題は解決されずに、いまだに今日に及んでおります。それが一つ。  それからもう一つは、同じような公共企業体であります專売との権衡問題であります。さきに人事院が勧告になりました七千八百七十七円という数字を、両方に当てはめて見ますと、どれだけの開きが出るか。むろん国鉄專売とは、仕事内容が非常に違いますから、その点はなかなかむずかしい問題でありますが、從来よく行われております方法は、地域でありますとか、あるいは男女の別でありますとか、あるいは年齢別でありますとか、こういう数字組合せまして、権衡をとるというのが、よく行われておつた方法でありまして、かつて二千九百二十円ベースもそれではじかれましたし、かつまた第一回の国鉄調定案も、それでできておるのであります。その方法ならば簡單に答えが出ますので、その方法を使いますと、少くともいわゆるレギユラー・ウエージ、本俸その他月月きまつてもらえます給与の間には、千二百五十円の差があつてしかるべきだということになつているのであります。ところが專売の方は、御承知通り最近団体交渉がまとまりまして、調定案よりは少しく下まわりましたけれども、とにかく七千九百二十円という月収が確保されるということに相なりました。これに対しまして、国鉄の方は最近の数字はよくわかりませんが、予算を根拠にいたしますと、何もかも含めましても、七千五百円台にしかならないのであります。少くとも專売よりは下まわるという結果に相なります。もつとも專売には生産奬励金というものがございますが、その関係もその反対の差をつくつた一つ理由でありますけれども、少くとも仕事の性質の危險性、その他熟練度というような点から申しまして、国鉄の方が專売を下まわることがおかしいということは、これもきわめて常識的にも申し上げて、さしつかえないのではなかろうかと思われるのであります。こうなりました最大の原因は、先ほど荒井委員からも申し上げましたように、結局予算のわくの関係でございますが、この前のこの会議でも申し上げましたように、本年度二百四十億という工事費を、国鉄公社では見積つておられますが、その二百四十億のうち、四十億を除く約二百億は、すべて自己資金で、すなわち利益でこれをカバーする、こういつた建前をとつておられるのであります。もちろん利益がありました際に、それを国鉄の健全な運営のために行使することは、最も望ましいことには違いがありませんが、戰災にやられました国鉄、またさらに民間の多くの企業と比べまして、六分の五を自己資金でまかなうというような企業は、これははたしてどれだけ全国にあるか、昨年はこれが約百六十億でございまして、そのうちの九割は借入金で、見返り資金でありますが、お許しがいただけたのであります。それをできるだけ多くするということは、国鉄復興のためにきわめて望ましいことでありまするが、利益が出れば出ただけ、全部その面に振向けられるということは、これはあらゆる民間企業経営と権衡をとりましても、どうしてもいかがかと考えざるを得ない点であります。さらにもう一点、先ほど運輸大臣並びに国鉄総裁のお言葉を承りますと、とにかく年度出発以来わずかに三箇月しかたつておらない。収入は予定通りつておるが、支出も大体予定通りつておるが、とにかくまだ本年度の見通しを立てるには早い、こういう御見解のように承りました。一応確かにごもつとものようでもございますが、しかしながらまた從来裁定を尊重するという立場に立ちますといたしますれば、私どもはなはだ不十分な点がありはしないかと考えるのであります。と申しますのは、われわれ第一回の裁定にも、第二回の裁定にあたりましても、いわゆる利益が上つたときは利潤分配という制度を活用して、両者の話合いで、もしこれだけ多かつたならば少くともこれだけ職員に潤おう、こういうシステムを確立なさいということをお示ししてあるのでありますが、この点につきましてもまだ何らお話が進んだということを聞いておりません。かりに現在において、見通しが立ちませんでも、とにかく年度末までに何らかのものが生れましたならば、せめてそういつたことだけでもなるべくすみやかに決定いたしまして、今の労務者の不満を少くするということは、経営者側としても当然やるべきことではなかろうか、特に第一次裁定にあたりましても、あの点につきましては国会におかれましても、別に御異議なく御決定なつたやに伺つておりますことをあわせ考えますれば、一層その点につきましては、管理者側の態度にはなはだ遺憾なものを感ぜざるを得ない気がいたすのであります。はなはだ飛び飛びでありますが、補足的に一言し申上げました。
  15. 倉石忠雄

    倉石委員長 本日はこの程度にとどめます。なお次回の労働委員会の開会の際は、参考人各位の御出席を再びお願いいたしまして、審査を進めたいと存じますから、本日御出席参考人各位は、御足労ながら次会に御出席をお願いいたしたいと思います。  次会は明二十六日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十四分散会