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1950-07-27 第8回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十七日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 鈴木 明良君    理事 西村 久之君 理事 橋本 龍伍君    理事 川崎 秀二君 理事 稻村 順三君    理事 林  百郎君       麻生太賀吉君    天野 公義君       奧村又十郎君    江花  靜君       尾崎 末吉君    川端 佳夫君       北澤 直吉君    久野 忠治君       坂田 道太君    田中 啓一君       玉置  實君    塚田十一郎君       苫米地英俊君    中村  清君       井出一太郎君    今井  耕君       村瀬 宣親君    戸叶 里子君       西村 榮一君    水谷長三郎君       高田 富之君    米原  昶君       小平  忠君    小林  進君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君  委員外出席者         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 本日の会議に付した事件 昭和二十六年度予算編成方針等に関する件  閉会中審査に関する件     —————————————
  2. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続き、昭和二十六年度予算編成方針等に関する件について、質疑を続行いたします。西村榮一君。
  3. 西村榮一

    西村(榮)委員 昨日大蔵大臣の御答弁によりまして、大体来年度予算の大きなわくは承つたのでありますが、その中で、こまかいことでありますが、来年度予算編成する基本的条件になりまする問題といたしまして二、三質問したいのは、国民所得を来年度は大体どの程度見積つておられるか。昨日は賃金ースの問題について改訂するという御説明でありましたが、この賃金ベース標準は、大体どの程度に置かれておるか。第一には国民所得幾ら見積つておられるか、第二点は賃金ベース標準はどの程度見積つておられるか、第三点においては、終戰処理費見積りはどのくらいになつておるか、第四点においては、警察予備隊見積りが大体どのくらいになつておるか。それから貿易は、一九五二年度は大体九億ドルということを昨日御説明になつたのでありますが、その程度でふんでおつていいかどうか。同時に来年度における産業資金需要計画需要量は、本年度と比較いたしまして増減はどんなところに見通しを置いておられるか。以上五点について、まずお伺いいたしたいと思うのであります。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の五点は、ただいま検討中の事柄ばかりでございます。国民所得をどのくらいに見るか。これの基礎的の数字は調査をいたしておりますが、昨日申し上げました二十六年度予算の大体のわくは、まあ国民所得は今年度くらいという一応の前提でお話申し上げたのであります。  第二の給与ベース引上げの問題につきましては、これは昨日も触れましたごとく、米価が幾らになるか、減税をどの程度にするかということ等が大きい決定のフアクターになりますので、ただいまこれを検討いたしておるのであります。  終戰処理費は、御承知通り昭和二十四年度におきましては、大体百二十億ばかりの不用額が出たのでありまして、今年度におきましても、私はある程度不用額が出るのじやないかと思つております。こういうことを勘案いたしますると、終戰処理費はある程度減るのじやないか、また減らしたいという考え方を持つておる次第であります。  次に警察予備隊あるいは海上保安庁の予算は、また私のところに参つておりませんし、額などは全然わかつておりません。  それから貿易上の額でありますが、これは輸出がふえれば輸入がそれに応じてある程度ふえる、こういう相関関係を持つておりますので、はつきりしたことは申されませんが、今の状態で行くならば、とにかく十億の輸入と六億一千万の輸出、これを基礎にしますとその程度に上つて来る。しかし輸出が九億になりますると、輸入はこれだけでは済みますまい。輸入が多くなつて来ればまた輸出も多くなつて来るので、大体私が昨日申し上げましたねらいは、一九五二年度においては輸入超過を一億足らずでとめたいという気持があるのであります。輸入が十二億になりますれば、輸出も十一億くらいまでに持つて行きたいというような気持言つておるのであります。
  5. 西村榮一

    西村(榮)委員 昨日、輸出九億と承つたのでありますが……。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 輸入を十億、輸出を九億、その差額一億というくらいにとどめたい。しかし御承知通り輸出九億にいたしますと、綿花その他の輸入がふえて参りましようから、十億では済まない、十一億になります。そうすればまた輸出がふえる。私のねらいどころは一九五二年度におきまして、差引輸入超過一億ぐらいでとめたいという気持を申し上げた次第であります。  次に産業資金の問題でございまするが、今後の見通しの正確な数字はなかなか困難であります。今年度におきましても、産業資金につきまして今具体的に算定をし、それによりまして見返り資金とか預金部資金を運用しようとしておるのであります。来年度産業資金をどのくらいに見るかということにつきましては、まだお答えするだけの数字がまとまつておりません。
  7. 西村榮一

    西村(榮)委員 産業資金の問題につきましては、今年度と比較して、今年度より需要が減少する傾向があるか、あるいは今年度より増大する傾向があるか、大体そんなことです。  それから次にお伺しておきますが、一般に伝えるところによりますと、外財を大体三億ドル保有できておる。あるいはそれより以上、あるいは以下の額とも言われておるのであります。これは額は明確に御説明くださらなくてもいいのでありますが、私の承りたいと思つておることは、このドル外貨手持ちは、将来あなたが構想せられているように、わが国物資輸入する場合において、これは日本国民経済の観点に立つて日本政府が大体自主的に行うことができるか。たとえて言えば綿花あるいは鉄、羊毛、ゴム、そういうものについて、日本国民経済立場に立つて、これだけ必要とするというふうなことを自主的に判断し、自主的な買付が行い得るかどうか。もちろん手続についてはGHQを経なければならぬということは申すまでもありませんが、その大きな目的を達するためには、日本政府の自主的な見解にまかされるのであるか、あるいは三億ドル外貨ドル資金は他の目的にそれを流用されるかどうかという点をひとつ承りたいと思います。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 産業資金は私は今年より来年の方がふえて行くと思います。またふえるようにしなければならぬと考えております。  次に日本政府に帰属いたしまする外貨資金がどれだけかという御質問でございますが、これははつきり申し上げる数字の持合せがございません。私の見るところでは正確な計算はできませんが、三億ドル越えることはないと考えます。ただこれは計算の仕方でございまして、まだ未拂金が相当ありますし、預金相当額に上つておりますが、ネツトどれだけということはなかなか困難ではないかと思います。  次に物資輸入につきましては、手続は別問題として自主的にやられるかどうか。これはお話通りで自主的にやつてつております。そうしてその度がますます強くなつて来つつあります。われわれはとにかくローガン構想によつてつてはおりますが、それにいたしましても日本の現状並びに将来の問題、そうしてまた買い方の問題、ある程度余裕金を持つておれば、先物を買うとかいろいろな方法ができるのでありますが、そういうふうにほんとうにコマーシヤル・ベースに乗つて行くという方法で進んでおります。
  9. 西村榮一

    西村(榮)委員 私の端的に問わんとするところは、それは杞憂であろうと思うのでありますが、かつて日本の軍部が中国においてやつたような乱暴な通貨政策、すなわち円で品物を買いつけて、南京政府円紙幣は所有させるが、しかしその流通は禁止して、儲備券をもつてそれにかえたというふうな例もあるのでありまして、今回おそらくそういうことはないと思うのでありますが、ドル使用方法について将来制限を受けるような危險が何かあるかどうか、簡單でいいし、また答えられなければ答えなくてもいいし、私どもが国民の一員として若干憂えておる点というところもひとつくんで、可能な範囲内において答弁してもらいたい。  それから次にお伺いたいしことは、先ほど警察予備隊費用についてはいまだ検討中であるから、詳細な数字は申されぬという御答弁でありましたが、私はごもつともだと思います。しかしどう見積つてもこの警察予備隊は最低二百億円から五百億円あるいははなはだしきに至つては、裝備のいかんによつては八百億円というものを大体必要とするのでありますが、これは現在伝えられておるところによりますと、債務償還費から充てるとか、その財源についていろいろ言われおるのでありまして、明確になつておりません。しかしながら嚴然たる事実は、ここに日本政府が、その警察予備隊費用をまかなわなければならぬということは明らかであります。しからば日本国民が、税金の中から警察予備隊費をまかなうといたしますれば、当然それは国会審議にまたなければならない、私はそう考えるのでありますが、大蔵大臣の御所見はいかがですか。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 日本政府所有外貨ドル資金使用につきましては、私はわれわれの独自の考えで行けることと確信いたしております。またそうすべきもの、そうするのが最も効果的であると思います。  次に警察予備隊費用の問題でございまするが、まだどういうふうな機構にするかということを検討いたしておるようでございまして、どれだけの数字になるか、私のところにまだ参つておりません。しこうして要求が来た場合の取扱いにつきましては、ただいま申し上げる段階に至つておりません。
  11. 西村榮一

    西村(榮)委員 このことは、大蔵大臣に政治的な御答弁を求めることは、今日の状況から言つて私は困難だと思います。そこで私は大蔵大臣法律的解釈として承つておきたいと思うことは、この厖大な歳出、出費の伴う、国民負担の伴うところの経費は、当然財政法第三十三条によつて国会審議を経てこれが支出をするということは、法律解釈の上において私はそうしなければならない、こう考えるのでありますが、法律解釈として財政法解釈として大蔵大臣はどうお考えになつておるか。政治論は今日伏せておきましよう。あなたの財政法解釈をひとつ承りたい。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 御意見は承つておきまするが、財政法三十二条並びに三十三条の問題につきましては、事が起りましたときにお答えすることにいたします。
  13. 西村榮一

    西村(榮)委員 事が起る起きぬにかかわらず、今日国会が可決いたしまして、連合国が指導した日本財政法第三十二条三十三条の解釈は一体どうお考えになるかということを聞いておる。事が起る起きぬじやない、現実の法律解釈を聞いておるのでありますから、事が起きた起らぬということは政治問題だ、政治問題はあなたの立場もありましようから、今日伏せておきましよう。財政法解釈をひとつ良心従つてお答え願いたい。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 私はこの問題に触れたくないのでありますが、せつかくのあれでございまするから申し上げます。財政法第三十三条の但書のままでは、債務償還費から相当の——どれだけに上るか私存じませんが、相当の金額を出すことは、解釈上むずかしい点があるのではないかと思います。
  15. 西村榮一

    西村(榮)委員 平素大蔵大臣に対しては、私はかなり感情的なものも持つておりましたけれども、ただいまの御答弁によりましてまつたく見直しました。こいねがわく日本の憲法の擁護日本財政法擁護のために、大蔵大臣が将来自分良心従つて健鬪されることを切望しまして、私はこの問題は深く入らないことにいたしておきたいと思います。  きのうからの御説明によりまして明らかになつたことは、対日援助費が減るということ、それから国民所得は本年度とかわりないということ、いろいろな点から考えてみますと、きのうの御説明、過日の声明において、大蔵大臣がしばしば明らかにされたものは、かつて参議院議員選挙の前後においては、来年度一千億円減税せられるということでありました。きのうの答弁並びに最近の御声明によりますと七百億円減税されるということでありますが、私はこの減税がはたして可能であるかどうかという点において、もう一度承つておきたいのであります。それは私の憂える点は、第一においては見返り資金削減されるのみならず、見返り資金というものは積立てられて減税財源にはならぬということ、第二には一般会計国債償還費並び補給金削減によつてその財源を求められようといたすのでありますけれども、その反面警察予備隊費用が莫大な数字に上る、賃金ベースはかえなければならない、同時に朝鮮事件等国際情勢等から考えまして、当然来年度国家財政負担というものは激増せられるということが見通しせられるのであります。それに加うるに、産業編成のために二十五年度と同じような、より以上の産業資金がいるといたしますならば、私は本年度国債償還費千二百億円はなるほど国民に多くの負担をかけたのでありますが、大蔵大臣説明によりますると、それは金融機関を通じて産業資金をまかなつて来たのだということでありまするが、今日来年度予算において援助資金がなくなり、そうして賃金ースあるいは国家財政支出が多くなりまして、債務償還費を行わないということになりますると、産業資金は一体どこに財源を求めてその需要に応じることができるかというふうな点を考えてみますると、あなたが七百億円と言われておる減税財源というものが、遺憾ながら、今日私の目の子算用から行きますると、どこにも発見することができないのであります。一体どこに財源を求めて七百億円減税されるか、この点一応明らかに承つておきたいと思います。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 千億円の減税がわが党の事務所にかかつておるのを見まして、向うから帰つてさすがと思つたのであります。総務会長その他から千億円の内容を聞きますと、国税で七百億円、地方税で三百億円、こういう話であつたのであります。私はわが意を得たりと思つて、七百億円OKと言つて七百億円減税自分の根限りの力を注ぎたいと考えております。七百億円減税財源はどこにあるかという第二の御質問でありまするが、私は、昨日も触れましたごとく、大体千百億円の削減ができるのではないかという考えを持つておるのであります。それはいわゆる一般会計からの債務償還を全然しないということ、それから価格補給金を減らすこと、また既定経費につきましてできるだけの節約をする、こういうことによりして大体千百億円程度を出せると考えておるのであります。そういたしますと七百億円の減税をした後四百億円出て来るのであります。で四百億円の使い方をどうするかと申しますと、公約いたしましたように給与引上げにまず使いたいと思います。その次は文教並びに失業あるいは社会保障のことに使い、それから国土保全の方にも出すというふうに考えておるのであります。ただ問題は、警察予備隊費用がどれだけかさむかということと、終戰処理費がどれだけ減らされるか——減らしていただきたいという要求はいたしますが、それとの兼ね合いでございまして、七百億円が少し切れるか、あるいは他の積極政策が幾分減るか、大体私は七百億という既定方針で実施し得る、警察予備隊の方の費用はできるだけ歳出を削つて行こうという考えでおるのであります。債務償還やめたならば、産業資金の方にまわる金が少くなるのではないかというお話でありますが、減税に充てたいと言つたのは、歳出を減らせば産業資金はまわつて来るのであります。債務償還として銀行に直接入る金が、減税によりまして国民資金蓄積に役立つ、こういうわけで産業資金に直接の影響はないと思います。
  17. 西村榮一

    西村(榮)委員 終戰処理費削減して、その中に警察予備隊財源を求めるということは可能ですか、それとも終戰処理費は減額されるが、それはそのままとして新らしい警察予備隊費用というものは頭を出して来るのですか。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 終戰処理費警察予備隊費用とは全然因果関係はございません。ただ財源の問題で、価格補給金とかあるいは債務償還やめ既定経費を節約し、また昨年度の剩余金のことから考えまして、終戰処理費なんか減るのではないかという期待を持つておるのであります。全然警察予備隊費用との関係はないのであります。これは誤解のないように御承知願います。  それから警察予備隊費用は、今お話通り二百億とかいい、五百億とかいい、八百億という、あなたにおわかりにならぬと同様に私にもわかつていない……。
  19. 西村榮一

    西村(榮)委員 大蔵大臣誤解しないようにということをしばしば言われておるようでありますが、私は誤解はしていません。嚴然たる事実がここに明らかになつたということは、警察予備隊費用というものは別に盛られなければならない。私はあなたの説明の中に、終戰処理費削減する範囲内において警察予備隊費用を求めるのだというのでありますならば、若干減税財源を他に求めることは可能だと思いますけれども、終戰処理費とは別に警察予備隊費用というものは頭を出して来るのだ、このことを一つ頭に入れておく。同時に今減税になることは新しく国民資本蓄積を招来して、それが産業資金にまわるというのでありますけれども、今日の国民経済の全般的な赤字の状態から行きますならば、この国民の零細な資本蓄積資本となつて産業資金に流れて行くかどうかということは、財政上の常識のある者ならば、これは明らかにわかるのでありまして、このことは幾多の論説、幾多の事実が証明しておるのであります。時間があまりありませんので私は例をあげることは省略いたしますが、減税に向います部分が産業資金蓄積資本となつてまわらないということだけは確言しておきます。そうすると大蔵大臣が七百億円、あるいは千億円減税されるということは、まつたく根拠がないということになるのであります。一つはいわば補給金削減する、公債償還費をストツプして、二十六年度予算が千億ないし千二百億円前後新しくわくが縮小されるというのでありますが、私が先ほど申したように朝鮮事件が起り、国家警察予備隊ができ、その他の財政需要産業資金需要から行きますならば、あなたが言われたような千三百億円の予算わくの縮小ということは全然不可能であると考える。しかしながらそのことは別といたしまして、かりにあなたの主張通り千百億円前後というものがわくができたといたしましても、その半分は産業資金に当然何らかの方法においてまわさなければなりません。と同時に先ほど御説明通り賃金ベースの改訂によつて、これは四、五百億円の新しい財源を必要とする。同時に先ほど申しましたように警察予備隊その他の費用が頭を出して来る。こういうふうな点から考えますならば、あなたの七百億円減税という従来の声明が何ら根拠がないということになつて来る。私の見解から行きますならば、こまかい数字を出した二十六年度予算というものは提示されておらないのでありますから、これを問い詰めてみる時間もございませんが、私は七百億円の減税というものは不可能であると考える、あなたは可能であると考える、そこで結局これは水かけ論になる。そこで、私はこの際思い出してみなければならないことは、一昨年の一月の総選挙において多くの政策をお出しになつたが、これが一片の空文となつたのであります。世間はこれを何と言うか、自由党公約無視重症患者であると言うのでありまして、この公約無視の常習犯たる自由党財政政策池田財政政策の中に、私は選挙前に発表された減税というものが不可能であると確信いたしておるのであります。従つてこれが可能であると大蔵大臣は言われるのでありますが、しからば私は一旦二十六年度予算を拜見しまして、これが勝負をつけなければならないのでありますが、その際に七百億円の減税ができなかつた、かようなときに大蔵大臣はどうするか。私はあなたが主張せられる通り、七百億円の減税ができたならば、再び西村榮一国会において財政を口にいたしません。あなたは今までしばしば公約を無視されて来たのでありますが、七百億円の減税が不可能であつた場合に、大蔵大臣をおやめになるかどうか、私はこの点を最後にお聞きしておきたい。いつもあなた方は、関係当局要求によつて従来の政策の実行が不可能になつたということを常套語としてお使いになつておるが、そういうような言葉を拔きにして、七百億の減税が不可能ならば、大蔵大臣をおやめになるか、私はあなたが七百億円の減税をされたならば、財政を再び口にいたしません。その点をお聞きしたい。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 昨年の一月の総選挙に、わが党が公約をいたしましたもののうち、財政経済につきましてはほとんど大部分実行いたしております。わが党こそほかの党に比べて最も忠実に公約を履行した党であると言えると思います。次に今年の六月初め、参議院選挙前に公表いたしましたわが党の政策は、必ず実行してみせます。七百億円というのは目標で、私はこれに努力いたします。あなた方のお考えによりますと、七百億円程度減税は非常に困難であり、不可能だとおつしやいますが、わが党の力を持ち、われわれの努力によりましたならばできる。これがわれわれの国民より信頼を受けておるゆえんであるのであります。自由党はあなた方の不可能なことをやつてみせますから、そのときまでお待ちを願いたいと思います。しかもまた国会議員として、そういうようなスペキユレーシヨン的な、もしできたら私は財政を論じないというふうなことはおつしやらずに、私も大蔵大臣やめる、やめぬは今申し上げません。そういう問題はお互いに努力して、できないところをできるようにすることこそ、敗戰国日本のわれわれの立場ではないかと思います。
  21. 西村榮一

    西村(榮)委員 時間がございませんから、再度所見をお伺いしておく機会がないのでありますが、結局今の答弁の裏は、努力はするが自信がない、こういうことなのです。税のことについては、これ以上論議を重ねてこれの結末をつけるという時間がございませんから、省略しますが、嚴然たる事実はどこに現われておるかと申しますと、ドツジ・ライン崩壞であります。ドツジ処方箋、ドツジ財政というものは、あなたが財政方針の演説の中に、予算委員会答弁の中に、しばしば強調されて、これは確固不動のゆるがせにすることのできないものである。千二百七十六億円という国債償還は一歩も譲歩することができない。これは不動信念であり、わが国財政経済再建のためには、絶対的に譲歩のできない数字であるということをしばしば声明された。しかるに過日の本会議において、情勢の変化によつてという言葉でこれは一応逃げる道を発見せられたようでありますけれども、警察予備隊の問題についても、その他の新しい費用にしても、国債償還費をストツプしてその財源に充てるという声が各地に出て参ります。しからばあなたが説明された千二百七十六億円の国債償還によつて日本国際信用国家内外に高めて、そこに通貨の安定を求めて、わが国経済再建をするためには、絶対これは不動信念であるという御信念はここにくつがえつて来ている。私から言わしめますならば、これはドツジ・ラインというものを崩壊させるむりな財政政策である。かるがゆえに、この無謀なる国債償還費というものは、今日ゆとりのない国民経済の中から吸い上げて、すなわち国民経済の中から卵を毎日生ませなければならぬのにかかわらず、その鶏を締め殺すような財政政策がドツジ財政である。だからこの財政政策を修正して、一部は減税に充て、一部は産業資金に充て、一部は社会事業費に宛てて、国民経済の基盤を養うべしという社会党の主張に対しましては、あなたは断固として拒否された。しかるに今千二百七十六億円という国債償還費を、ストツプしてその財源をもつて警察予備隊費用に充てようという議論がある。これに対してあなたもやや同意せられておるということを聞いておるのでありますが、しからばあなたがかつて声明された、日本国債の国際的な信用を高めて、通貨の安定をはかり、そこに日本経済の再建をはかるということは、一体どこに行つてしまつたか、国債償還費を一応ストツプして、それを消費面である警察予備隊費用に充てても、日本の経済と通貨を安定するということでありまするならば、過ぐる日のあなたの不動信念というものはここにくつがえつておるのではないか、いつも公約した政策を実行することによつて国民の信任を得ておると言われるのでありますが、これはもう一ぺん総選挙をしてみなければ私はわからぬと思うのであります。現にあなたの財政方針であるドツジ処方箋は崩壊しておる。これでもあなたは減税財源と、通貨の信用を維持して行くことができるという確信を持つておられるか、この点お聞きしたい。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 他の機会にも申し上げておりますように、ドツジ・ラインはインフレをやめて安定から自立へ持つて行く経済政策であるのであります。債務償還というものはその中の一つの事柄であります。しこうして今回の警察予備隊等の創設並びに拡充はわれわれの予期していなかつたところであり、マツカーサー元帥の書簡に基くものであります。この警察予備隊費用をどこから出すかということの問題が起つて来るのでありますが、マツカーサー元帥の書簡には一般会計債務償還費から出せ、こういうふうに言われておるのであります。私はやれやれ今までこういうふうな安定計画を立てておつたから、臨時に起つた警察予備隊費債務償還費から出せというので、今までの私の政策はとにかくこういう臨時的の問題が起つた場合でもマツチできる、そうして安定自立の経済政策に支障のなかつたことを喜ぶ。ドツジ・ラインがどうだとかこうだとか言つても、これは安定から自立への基本方策だけであります。その他の問題はそのときどきに考えればよい。初めからあなた方のおつしやるように、一般会計から何もしなかつたということになると、警察予備隊ができたときに増税しなければならぬということになるのであります。こういう臨時的な問題が起つても、増税も何もせずに楽に切り拔け得るということは、初めの経済政策考え方がよかつた、こう私は喜んでおる次第であります。
  23. 西村榮一

    西村(榮)委員 もう時間もありませんから結論に入ります。池田大蔵大臣との討論によつて得た結果は、減税に対して自信がないということであります。自信があるならばその財源を示されなければならぬのでありますが、それを示されない。それからいろいろ陳弁これ努められましたけれども、ドツジ処方箋は崩壊し去つた、今の答弁と過ぐる二十五年度予算編成のときのあなたの施政方針の演説と、予算委員会における演説と、あなたはきようお帰りになつて静かにその速記をごらんになれば雲泥の相違がそこにできておる。ここに明らかに品では言わずとも、池田財政は、社会党の財政政策たる減税産業資金と民生安定が大主義であるというのでドツジ処方箋の修正を要求した。半年たたぬうちに事実上いみじくも社会党の財政政策の軍門に、屈服せられたということが明らかになつたのであります。これがうそと思うならば、あなたが予算委員会あるいは本会議におけるあなたの財政演説とただいまの答弁とを対照してごらんになるならば、深夜そつと胸に手を当ててお考えになれば、社会党の財政政策の前に屈服したという現実が、ここに証明されたことがおわかりになるでありましよう。これをもちまして私の質問を終ります。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 誤解があるといけませんからはつきりお答えしておきます。来年度七百億円程度減税はいたします。またその財源はきのうから申し上げた通りであります。吉田内閣の財政政策は社会党の政策に屈服した、こうおつしやいますが、社会党の政策は安定自立がまだ十分見通しがつかぬときにああいう政策をやろうとした、いわゆる投機的の政策であつたのであります。われわれは今はつきり自信を持つて自立経済への財政政策をやつて行こうとしておるので、決して屈服したわけではございません。
  25. 西村榮一

    西村(榮)委員 最後に一点、私は抽象的議論をやめましよう。現実の数字をもつてあなたの御所見の誤りを指摘したい。それは昭和二十七年度輸出入計画は、あなたは九億ドルだと言われている。そしてその一億ドルの補給は、貿易外の收入においてなされようということを、昨日も、本日も明らかにされた。しかしながら昭和五——九年の国民生活水準を維持するためには、わが国貿易に必要なるものは十五億六千万ドル輸出入計画、これを達成しなければ、昭和五——九年の国民生活水準の維持は不可能である。そこでこれに対しましてアメリカ当局は今から一箇月前に、日本の五箇年計画の後における輸出入、すなわち一九五二年——今から三年前の計画でありましたけれども、そのときにアメリカの対日援助費を打切るならば、日本貿易は十三億ドルになつておらなければならない。これを目標になすべきであり、また援助をすべきであるということをアメリカ当局でさえも言うておられる。これに対して安定本部の計画は、十五億六千万ドル国民生活の水準を維持するための輸出入計画の目標であるということを言つておる。これによつて初めて昭和五——九年の生活水準を維持できるのだ、こう言つておるのでありますが、あなたは九億ドル、そして一億ドルの差額のつじつまは、貿易外收入でつけると言つておられるが、そうすると、十億ドル国民生活の水準が回復いたしません。一体それに対する補いには、あなたはどうつけようとされるのか。最低十五億六千万ドル輸出入計画で、アメリカでさえも十三億ドル言つておる。この補いを具体的につけなければ、日本国民生活というものは改善されない。国民生活が改善されなければ、国の財源は生れて参りません。これらに対して現内閣は明確なる方針を示しておられない。これに対して一体どういうふうに国民生活を維持されて行くかということを承りたい。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 昨日の答弁におきまして、輸入十億ドルということを前提にした場合におきまして、その差額を一億ドルぐらいにとどめたいこう言つておるのであります。きよう私が誤解のないように、ただいま答えました差額を一億ドルにとどめたいということについて、速記をお読みくださればわかるので、私は輸入を十億ドルにくぎづけようとしていない、輸入が十五億ドルになれば輸出を十四億ドルぐらいに持つて行きたい、こういう気持答弁をしておるのであります。一九四九年にイタリアが、十三億ドル輸入に対して十億ドル輸出をしたが、イタリアの一九四九年のこの状態より、日本が一九五二年におきましては、もつとふえるのがほんとうです。ただ私の言わんとするところは、輸出入のしりの入超を一億ドルにとどめたい、昨年は三億五千万ドルぐらいの入超であつたのを、ガリオアと貿易外收入で埋めたのでありますが、今後におきましては、とにかく一億ドルぐらいの入超にして、そうしてこれを貿易外の收入で埋めたいという気持で先ほどここでお答えしたので、速記をごらんくださればわかると思うのです。それは日本の経済がだんだん進んで行きますから、きのうの答えは十億ドル輸入に対して、輸出をそういうふうに接近させて行く、こういう意味で答えておるのであります。貿易全体のスケールは、きようお話した通り一億ドルぐらいの入超にとどめたい、こう言うのであります。
  27. 西村榮一

    西村(榮)委員 池田君の答弁の特徴は、顧みて他を言うということです。かんじんの質問の、要点がいつもそらされておる。きのう貿易の問題については、本年度は七億ドル、来年度は八億ドル、再来年度は九億ドル、そのときに一億ドルの差が生ずるが、これは他の方法において、貿易外の收益によつて補うのだと言われた。本日も大要同じことを言われた。従つてこの点から考えてみましても、また来年度予算編成方針からいつても、あるいは産業政策からいつても、貿易の面から来る国民生活の水準の向上という点からいつても、現内閣はでたらめであるということが、今の御答弁においてますます明瞭になつたのでありますが、これ以上の勝負は、結論は、私はやがて二十六年度予算委員会においてつけたいと思つております。
  28. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林百郎君。
  29. 林百郎

    ○林(百)委員 委員長にちよつとお尋ねしたいのですが、大橋法務総裁と官房長官はどうなつておるのですか。
  30. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 お答えしますが、大橋法務総裁は関係方面との急な連絡のために、今他出しておられます。その連絡の済み次第こちらへ見えるようであります。官房長官は出席があることになつておりますからすぐ参ると思います。
  31. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、私は出席しておる国務大臣として池田大蔵大臣にお尋ねするよりほか道がないのですが、実は海上保安庁あるいは警察予備隊と呼んでおりますが、この問題について、あるいは所管外にわたるかもしれませんが、でき得る限りの答弁をしていただきたいと思うのであります。このことにつきましては、実は私の方の党としては、非常な大きな関心を持つておりますので、わざわざきようも大橋法務総裁並びに官房長官まで来ていただくことになつておりましたが、あいにく見えないためにやむを得ず池田大蔵大臣にお尋ねするのであります。  そこでまず、これは国務大臣として池田大蔵大臣にお聞きしたいのでありますが、このたびの警察予備隊でありますが、これは御存じの通りに、従来の警察法からいいましても、警察の任務としては、公共の治安の維持という項目は、ちやんと警察法の第二条にあるのでありますが、それ以外に何ゆえ特別な警察予備隊をこの際設ける必要があるのか、従来の警察の任務であるところの、公共の治安の維持というのと、どういう違つた任務が、新しくこのたびの警察予備隊には付せられておるのか、こういう点をまず国務大臣としておわかりだつたらお答え願いたい。
  32. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林君に申し上げますが、あなたの御質問大蔵大臣だけではとても充足できない趣旨のもののように思うのでありますが、ただいま申し上げたような事情で、法務総裁もおられませんし、御相談でありまするが、米原昶君は大蔵大臣だけをお呼びしておるのであります。場合によつては、順序をかえられてみるのも一案かと思いますが、どうですか。
  33. 林百郎

    ○林(百)委員 時間の関係もありますから、答えられなければやむを得ぬです。
  34. 池田勇人

    池田国務大臣 私はこの問題につきましては、マツカーサー元帥の書簡以上に知つておりませんので、お答えできない状態にあります。
  35. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この書簡の中にある「法の違反や平和と公安をみだすことを常習とする不法な少数者によつて乗じられるすきを与えないような対策を確保する」こうマ書簡にあるのであります。マ書簡はあなたもごらんになつていると思いますが、このマ書簡のこの部分はどういうことを意味しておるのですか、これをお聞きしたい。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 所管ではございませんので、そういうことは所管の国務大臣からお答えする方が適当かと思います。
  37. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとどうもこういう問題はお聞きしてもむだだと思いますから、ひとつ大蔵大臣の所管の問題に移りたいと思いますが、先ほど西村委員からも話がありましたが、このマ書簡によりますと、これらの機構拡充に要する経費は、国家予算一般会計の「公債」という言葉が使つてありますが、「公債償還費のうちから計上さるべく」というように書いてありますが、こうなりますと、明らかにこれは予算編成上から言うところの項目の移用、流用となると思いますし、また所管の官庁からいいましても、部局の間の移用、流用ということに該当して来ると思いますが、この点の解釈はどうですか。
  38. 池田勇人

    池田国務大臣 その問題につきましては、お答えを留保いたしたいと思います。
  39. 林百郎

    ○林(百)委員 私は財政法上の解釈の問題をお聞きしているわけです。債務償還として組まれた項目を——これはおそらく法務府の直属の機関になると思いますが、その法務府の直属の機関の、しかも警察費という項目に債務償還費を移用、流用するということになれば、これは明らかに部局の間の移用、流用であり、項目の間の移用、流用に財政法解釈上該当するといわざるを得ないと思いますが、この点どうですか。これは財政法上の解釈の問題です。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまの財政法第三十三条の但書の移用になるかならぬかということは、ただいま検討中であるのであります。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 検討するまでもなく、明らかであると思うのです。債務償還警察費とは、どう考えつて同一の項目の中に入るわけはないと思う。明敏をもつてうたわれておる池田大蔵大臣が、こういうことがおわかりにならぬことはないと思うのです。しかも先ほどの西村君の質問に対しても、財政法第三十三条からいつてむりじやないかと思う。これは財政法第三十三条からいいますと、明らかに、予算を組んで国会の承認を経て後初めて移用、流用ができると書いてありますから、この手続は、かりに書簡によつて命ぜられておることとしましても、これを当然なすべき手続だと思いますが、この点はどう考えておられるか。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 財政法第三十三条の移用、流用になるかどうかということにつきましては、検討しなければお答えできぬと言うのであります。しこうしてどこへ持つて行くかわかりませんが、債務償還費から一般の行政費へ持つて行くことは、今の財政法第三十三条の但書、あるいは財政法有三十二条の点から考えてどうかという質問に対しましては、なかなか困難な問題だ。困難な問題だということは、解釈上むずかしいのではないかということです。
  43. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると解釈上困難だということは、要するにこれは国会の承認を経なくて、單なる行政的な手続だけでは、これを移用、流用することは困難だということをあなた自体は認めておるわけではないですか。
  44. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう結論にはなりません。しこうしてそういう結論になるかならぬかということは、問題が起きたときにはつきり申し上げます。
  45. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう結論にならないと言うなら、そのならない根拠を示してもらいたい。われわれは、今国会が開かれておる途中である。しかも明らかに財政法第三十三条の但書に該当する。将来こうした予算までがポ政令というような行政的な命令で、国会の承認を経なくて大変更ができるということになれば、これは財政史上かつて例のない問題だと思う。これは池田大蔵大臣が憲法を守る立場からいつても、また財政の民主化を守る意味からいつても、少くともあなた一人くらいは正論を吐いて、この問題を国会に明らかにかけて審議する必要があると思う。この点について、実は新聞紙に伝えるところによると、池田大蔵大臣は閣内でもこの問題についてはいわゆる正義派であつて、やはり補正予算を阻んで国会の承認を経た方がいいじやないかという意見を言われておるそうであります。私は少くとも財政法上の処置からいえばそれが正しいと思います。もしそうしなくてもいいという考えがあるなら、どういう根拠からそういう考えが生れて来たか、参考までに聞かしてもらいたいと思う。ことにこの問題自体をポ政令で国会の承認なくして機構を決定することも問題があるのであります。ましてや予算財政上の問題までもポ政令で財政法第三十三条の但書を抹殺してしまつて国会審議を経ずして予算の変更ができるということは重大な問題だと思います。もしこれがポ政令の処置で財政法第三十三条但書を抹殺してできるという根拠があるならば、その根拠大蔵大臣に聞きたいと思います。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま申し上げる段階に至つておりません。
  47. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、結局この問題につきましては、大蔵大臣自分良心がとがめて答えるわけには行かないというように、われわれは解釈するよりほか道がないと思う。実はこれは財政法上非常に重要な問題である。ことにこれがポ政令で国会の開会中に、特にこの書簡の中でこれはただちに実行しろとか、あるいは国会審議を経ずしてやれとかいうことはないのであります。御存じの通りにポ政令で出す場合には、特にポ政令で出す必要のある場合、たとえば国会が召集されておらないとか、あるいは非常な火急な事態のある場合はそうした応急な措置ができますが、国会も開かれている。しかも八月中に準備をすればいいという、その際に故意に国会の目をくらましてこういうことをやるということは、明らかに憲法を無視したやり方だと思う。しかも本日の毎日新聞でありましたか、これを見ますと、すでに閣内では手続がすつかりできているんだ。もう警察予備隊と名前までもかえまして、ポ政令としては大体十箇条のものにして、細部は予備隊規則に譲る。それから国会が終了するとただちにこれを発令する。八月一日に発令するということは、明らかに国会を愚弄していると思う。少くとも自由党の諸君の日ごろ言うように、民主主義を口にする政党であるならば、率直になぜ胸襟を開いて、内容はこういう内容だ。もしそれが国会審議を経ることができないならば、経ることのできない理由を述べることができないのか。私は最後にこの問題に関して池田大蔵大臣に国務大臣としてお聞きをしたいのでありますが、こうした財政史上かつてないような暴挙、あるいは国会審議を無視することかつて例のないような暴挙に対する一切の責任は、将来吉田内閣が当然負うべきものと思いますが、この点についてはそういう覚悟がおありになるかどうか。まずこの点をお聞きしておいて、この法制上の問題はこれで打切りたいと思います。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 財政の問題という前提でお聞きになつたのであります。しかし私のところには予算要求もまだ一切来ておりません。また閣議で私はこの問題を審議する閣議に列席したことはないのであります。従いまして大蔵大臣として予算上の問題を論じます場合、予算要求書も何も来ておらないからお答えしなかつたのであります。しかして吉田内閣のとります措置につきましては、内閣はもちろん責任を負うことは当然のことであります。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、大体の見通しをお聞きしたいのでありますが、新聞紙で伝えるところ、そのほかのお話を聞きますと、二百億というのでありますが、かりに相当多額の警察費が一般会計債務償還から移用されるということになりますと、これは昭和二十五年度予算の際に説明しました通りに、池田大蔵大臣財政方針としては、どの債務償還を通じて日本産業資金の潤沢をはかる。これが池田財政の生命線である。またこれがドツジ・ラインの生命線であるということを、あなたは繰返しここで言われた。その中の重要な部分が警察費の方へ流用されるということになりますと、それだけ日本産業部門にまわるところの産業資金、あるいは金融面が、その面では池田財政方針とは食い違つて来ると思いますが、これに対する措置はどう考えておられるか、お聞きしたい。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど西村君にお答えした通りでございまして、当初におきましてはそういうふうにやつてつたのであります。今度の警察予備隊ということはまつたく予想していなかつたところであります。問題としては、その費用を増税によつて出すか、債務償還から出すかという問題が起つて来ましようが、これはマツカーサー元帥の書簡にありますように、債務償還費から出すことが適当だと思います。従つてこのために日本産業資金その他が非常な迷惑をこうむるということは考えておりません。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 迷惑をこうむらないというのは、どうして迷惑をこうむらないのですか。この前私たちの方が債務償還が多過ぎる。このうちの一部をさいても減税の面へまわすことができないのかということは、野党一般を通じての池田財政に対する鋭い批判であつた。ところがこの債務償還というのは池田財政の生命線である。これについては一指も触れることができないのだ。ところがマ書簡によつて警察費の方へまわすことはやむを得ない。やむを得ないとするならば、それに対する何らかの措置がなければあなたの言うドツジ・ラインというのは、減税や、あるいは産業資金の面は梗塞さしても、警察だとか、あるいは軍事的な要素へまわすことは、これはドツジ・ラインにそむかないのだ、池田財政にそむかないのだということになると、ドツジ・ラインというのは、要するにドイツのジーグフリード・ラインと同じように軍事的なラインだ、警察的なラインだ。これがいわゆる池田財政の本性だつたというように解釈していいのかどうか、その点説明があつたらお聞きしたいと思います。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 ジーグフリード・ラインとか、ああいう固定的なラインだとお考えになるのが、経済政策の根本について私はどうかと思うのであります。あのときに債務償還減税に充てるかどうかという問題で論議されたのでありまするが、あの当時におきましては、減税に充てるということは絶対しないということで来ておるのであります。しからば今度の突発事件のときにどうするかという問題につきましては、先ほど申しましたように、増税によるよりは債務償還でやる方がいい。ことにマツカーサー元帥の書簡にも示されてあるから、それによつてやるというわけであります。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 問題をマ書簡にあるから、マ書簡にあるからといつて逃げているのでありますが、千二百億の債務償還池田財政の生命線であるというならば、それがやむを得ない事情によつて変更される場合には、ちやんとそれに対する措置をしてこそ、初めてあなたはわれわれの前でそういう答弁ができると思うのです。つい三箇月ほど前の予算審議のときには、これはもう池田財政の最も大きな特質だ、均衡財政の特質だ。それからデイスインフレで、安定から向上へ向う生命線だと言つて、あなたはこれを誇称したものだ。それが絶対消費の警察の火器やあるいは武器にまわしておいて、それは何も池田財政に影響はないのだということを白々しく言うことは、言いかえれば池田財政はきれいなことを口では言つていたけれども、軍事的な警察的な財政方針だと言われても、一言も答弁の余地はないというようにわれわれは考えるわけなんです。その点をもう一度お聞きしたい。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 予算というものは一応の予算でございまして、その年度中に重大なる事象が起つた場合に、これに適当なる措置をすることは、大蔵大臣としての責務であります。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 責務なことは認めます。責務なら責務でそうした変更のあつた場合の措置をそれはあなたの財政の根幹、生命線でない部門ならいいですよ、少くともこの線が池田財政の生命線だということが、事情によつて変更されたならば、その変更によつて生じた善後措置を、少くともわれわれに説明する必要があると思う。しかもその額もわれわれに示さない、また国会にもかけなくて、いつの間にか池田財政の生命線がくずれて行く。それを白々しくわれわれの前に平氣で、何らの影響もないと答えることについては、われわれ納得できない。それをお聞きしているわけである。そこでこの問題はこれでいいです。次の問題に移りたいと思います。  その次に、やはり池田財政の大きな変更をもたらしておるものだと思いますが、このたび朝鮮事件に関しまして、大体国家予算の面からいいましても、たとえば終戰処理費、あるいは特別会計のうちから、当初の見込みよりは相当財政的な変更を余儀なくされると思いますが、それについての見通しと処置をどうされておるかということをまずお聞きしたい。
  56. 池田勇人

    池田国務大臣 池田財政の生命線は、インフレ收束、安定自立でございます。債務償還その他は一つのアイデアであるだけであります。しこうして善後措置を講じなかつたとおつしやいますが、この予期しなかつた費用をあなたは増税でやつた方がいい、こういうお考えでありますか、あるいは一般支出を倹約して出せ、こういうお考えでございますか。そういう問題ではなく、私はこの際としては債務償還から出すことが一番適当だと考えております。そのために安定から自立のいわゆる径路をこわすようなことはないと考えておるのであります。  次に朝鮮事件が起りまして、一般会計、あるいは特別会計におきまして、早急に何か手を打つ必要はないかというお話であります。ただいまのところございません。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると朝鮮事件の影響というものは、たとえば終戰処理費、あるいは一般、特別会計にも何らの影響はないというわけですか。たとえば一例を申し上げますと、鉄道の方だけを見ましても、たとえば東海道線ではすでに朝鮮事件以来十五本の増発を余儀なくされておる。中央線でも運搬のために三本の列車を臨時増発しておる。それから赤羽あるいは大宮というような重点的な地点では、列車の増発をしておる。また特別調達庁の発注関係も四月から六月までを比較しますと、大体四倍の発注がふえておるということは明らかであります。こういうことはあなたの弁明のいかんにかかわらず、朝鮮事件日本の二十五年度予算一般会計並びに特別会計に大きな影響を及ぼしておると思う。これは少くとも財政の責任を負つておる池田大蔵大臣としては、すみやかにこれに対する材料を收集し、これに対する見通しをつけ、これに対する処置をすることが当然だと思う。しかもそれをわれわれ国会において審議する場合には、あなたはそれに対する虚心坦懐、十分なる説明をここでするのが財政の責任者である大蔵大臣のなすべきことだと思いますが、これに対してどういう材料を集めておられるのか。またどういう見通しをつけておられるのか、それからそれに対する措置をどうされようとしておるのか。もう少しあなた親切に答えになつたらどうです。少くとも物価の点から申しましても、非常にこれは各新聞紙でも伝えておる点でありますけれども、六月から七月にかけて鋼材、電気銅、アルミナ、板ガラス、セメント、人絹糸、生糸というようなものはずつと上つております。これは池田大蔵大臣の言うデイスインフレという線をそろそろ考え直さなければならぬということは、專門のあなたなら御存じだと思う。これが民間産業ばかりではなくして、国家財政に影響して来ることは、私が喋々としてあなたに言うまでもないと思う。お互いに国家財政について関心を持つておる者は、この一衣帯水の朝鮮にこんな大きな動乱が起き、そうしてアメリカの軍隊が日本におつて、いろいろな物資を調達し、あるいは日本のいろいろな国家機関を使つておる場合に、それが日本国家財政に全然影響がないというようなことは言えるはずはないと思う。もしあなたが言わないとすれば、これは故意に隠しておるのである。われわれの出しておる税金をまつたく戰争の面へぶち込んでおる、国民の目をくらまして戰争の面へぶち込んでおると言われても、しかたがないじやないか。もう少し親切な御答弁を聞きたいと思う。
  58. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林君に申し上げますが、あなたの御要求の大臣はほかにもあるわけでありますが、あなたの方の持ち時間は米原君を含めまして御承知のように十一時四十五分までになつでおります。ですから池田大蔵大臣答弁の間にその持ち時間を留保されるかどうかをお考えになつて……。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 よろしいです。私が全部使います。
  60. 池田勇人

    池田国務大臣 わが国財政経済に影響がないと言つたのではありません。そうは言つていないのであります。一般会計並びに特別会計において予算上の措置をとる必要ありやいなやという御質問だと考えましたので、ただいまのところ一般会計並びに特別会計におきまして特別の措置をとる必要はない、こうお答えしたのであります。財政経済には影響があります。しこうしてお話通りに鉄道その他の問題でありますが、これは特別の支拂い方法考え、原則的に鉄道会計には影響しないようにしているわけであります。しこうして物価その他につきまして、ある種の物価は最近相当上りつつありますが、こういう場合においてこそデイスインフレがものを言うのであります。
  61. 稻村順三

    ○稻村委員 今の問題について関連して質問したいと思うのですが、最近の国鉄公社に対するところの政府の支拂いが、朝鮮問題を中心として非常に多くなると思うのでありますが、これはどういうようなことによつてまかなうのか、終戰処理費の中からまかなうのか、またほかの点からまかなうのか、これが日本の会計以外のところからまかなうのか、その点ちよつと御答弁願いたいと思います。
  62. 池田勇人

    池田国務大臣 原則として終戰処理費からまかなうことになつております。ECAその他向うの方々がドルでお支拂いになることになつております。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、ドルでどういう支拂いの方法をするのですか、あなたの御説明によると、ドル小切手で支拂うのだ、だからこれは終戰処理費にも国家財政にも影響がないと言つているのであります。しかし各経済界の情報、あるいは新聞紙等を見ますと、この貿手についての特別の保護をしなければならないということになると、手形振出しもやつておると思う。そうなると、これは明らかに日本財政にも影響して来るわけであります。この点あなたの答弁は大分実情と食い違つておる。
  64. 池田勇人

    池田国務大臣 ドル小切手などということを御存じのようでございますが、問題は、繰返して申し上げるようでありまするが、財政経済に影響はございます。一般会計並びに特別会計の予算につきまして、ただいま特別の措置をとる必要はないと申し上げておるのであります。これは物が相当朝鮮に行つたり、あるいは米軍関係使用されるので、経済界にも影響はございます。これは動かすべからざることなのであります。それからドル小切手の問題、貿手の問題につきましては、もう決済を済ませましての支拂いはドル小切手でやつております。しかし発注だけでまだ小切手の出ない場合につきましては、その発注の趣旨をもつて銀行から前借りをする。この分は貿易手形並に取扱う、こういうふうにやるわけであります。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえばこういう要素が響いて来ると思うのでありますが、大体外貨による買付が非常に旺盛になつて来る、五千万ドル以上の支拂いがこの際朝鮮動乱以来起きておるのではないか、こういう一つの問題、それから特調関係の種々の名目の政府資金が非常に散布されて来ておる。それからこのたびの朝鮮動乱問題で特徴のあるのは、国家機関を通じなくて、直接地方自治体にも調達が来、あるいは中央の立てかえ拂いも相当地方でしておるという非常な要素がいわゆる昭和二十五年度国家財政の根本的な方針に混乱を来すようないろいろな要素が、この際出ておると思う。それを池田大蔵大臣としては、すみやかに一切の資料を收集し、見通しをつけて措置をしなければならない。ただいまはあなたとしては必要がないと言われておりますが、そうするとこれはいつごろになつて、どういう措置をとられるのか、少くとも近いうちにこういう一切の資料を收集して、二十五年度に対する補正予算なら補正予算を組んで、それを国会にかけるならかける。こういう考えをお持ちになつておるのか、このままどうなるかわからぬから、まつたく池田大蔵大臣が中央でいすに腰かけていたのではわからぬから、このままほうつておくまりしかたがないとお考えになつておるのか、その点を、大分あなたは人を食つたような答弁をするから、私もやむを得ずあなたに人を食つたようなことをいわざるを得ない。だから一つあなたにこの点を率直にお聞きしたい。
  66. 池田勇人

    池田国務大臣 今のお話の点に五千万ドルとかなんとかいうことがございましたが、私は現在におきましては、ただいまのところそうまで行つていないと思います。それでこのことは経済に重要なことでございますので、東京におきまする状況、あるいは各地におきまする状況の資料を收集いたしております。私の見るところでは、お話通り一般会計終戰処理費から出る金はあまりない、こういう見通しをつけておるのであります。時々特別調達庁その他の支拂いの状況を見ております。ただお話通り現地で小切手化せずに、発注だけの場合の金融的措置は、各銀行をして合理的に貿手の方法でやるようにいたしております。そういう金につきましての金融措置、あるいはまたドル小切手の分についての円換算、こういうことについても検討を加えておりますが、ただいまのところ今年度内において、もし予算に影響ありとすれば、外為の特別会計の借入れ限度五百億円が、ただいまのところ四百億円くらい出ているのではないかと思います。三、四日前は三百七十五億円でございました。あとの百億円でドル小切手を円に換算して、百億円で済んだという問題があるのであります。  そこでこれにつきましては、私はドル小切手を為替銀行から外貨面に売り渡すのを、日本銀行へ持つてつて金融の道をつければ、五百億円の外為の特別会計の補正もいらないのではないか、こういうような見通しであります。今後朝鮮事件につきまして、どれだけのドルが入つて来るか、また円資金がどうなるかということは、いましばらく見ないとはつきり申し上げられませんが、いろいろな場合ありえて、ただいまの結論では、特別会計の外貨面において、今百億円に足りない場合についての円資金の引当については、円滑に供給が行われている。こういうことになつておるのであります。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 大体今の説明でもわかりますように、かりにドル支拂いにしましても、ドル外貨のドル貨物が多くなる。それに対して輸入を促進して、インフレを防止しようという方針も立つておる。しからば、そういう場合の輸入物資はどういうものが輸入できるのか。おそらくこれも日本政府の自由にはできない。大分戰時的な要素あるいは外国から押しつけられたようなものを輸入しなければならないようになるのではないが。この辺についても大きな財政的な困難な問題が将来あると思います。  もう一つわれわれがいろいろな意味から考えておりますことは、見返り資金の放出が最近大分停頓している。一部ではたとえば特別会計への見返り資金の投資を一時やめて、場合によつて預金部資金の方に肩がわりをさせて、それから見返り資金に余裕を持たせて、これを万一の場合には朝鮮動乱事件の方へ備えるんじやないかということも観測できる。こういう点についてやはり大蔵大臣としては知らない知らないとは言つているけれども、相当尨大な費用を朝鮮動乱費の方へ準備しなければならない。その準備態勢を何かしているのではないかというようにわれわれは考えられるのでありますが、そんなことはないならない、あるいは実はそういうことは考えているんだ、見返り資金もその一つの要素として考えているというならいるで、その点をひとつお聞きしておきたい。
  68. 池田勇人

    池田国務大臣 政府の持つておりまするドル資金を活用することにつきましては、先般来ここで申し上げましたように、七九の外貨予算朝鮮事件が起ります前のときに考えているよかも六、七千万ドル多くいたしまして繰上げ輸入をはかつて、このうちおもなるものにつきましては、御承知通りに今綿花が非常に不足しております。すなわち本年一月以来相当の繊維製品の輸出がありましたために、綿花が枯渇しておりますので、主として綿花輸入をやる。また羊毛も考えておる。また小麦その他食糧品につきましても、きようの新聞にありましたような状況で、できるだけ外貨資金を有効に使おう、こういうのでやつておるのであります。その後におきましてもドル資金の状況によりましては、追つてひとつドル資金を活用して輸入し、日本産業の発達を促すような方途で行きたいという考えを持つておるのであります。  第二の御質問見返り資金につきまして、ただいま相当たまりができております。四百五十億円くらいできております。今年度に入りまして百七十億円ばかり出ております。この百七十億円の中でも、お話の特別会計あるいは特別会計の中でも、国有林野の三十億円の中では、もう三十億円の予算額のうち十七、八億円出ております。電気通信の方につきましても五十億円余り出ております。決して特別会計等への見返り資金からの繰入れを澁つているというわけではないので、特別会計の方へ割合として最もよく出ているような次第であります。お話預金部資金のやりくりをやると、いうことは、御承知通り預金部の資金につきましては国債、地方債、公団の貸付、こういう原則が指令されているのであります。ただ例外的には銀行に対する指定預金として百億円を昨年末預けました。国債、地方債あるいは公団の資金、こういうことになりますと、国債は発行しない。地方債は三百七十億円出しましても、預金部の本年の資金の増加は千億円という状況である。三百七十億円の地方債だけでは金が余つてどうにもしようがない。公団の方はだんだんやめて行こうとしますから、新たに貸付ということは起つて来ない。ことにまた公団の何から申しまして、公団の一般市中銀行への預金預金部の方へ振りかえたらどうかという議論がある。両者をまぜると預金部資金は多くなる。そこで私としてはこの金を国債、地方債あるいは公団以外に使うことを認めてもらうように努力いたしております。しかしそれができなかつたときにはどうするかというと、遊ばすわけには行きませんから、預金部の金を電気通信とか国鉄の方にまわしたらどうかという考え方もあるのであります。しかしこれは見返り資金をふやすということによつて考え方ではない、預金部資金をどういうふうに使つて行こうかという問題であるのであります。見返り資金の方につきましては、ただいま問題になつております水力発電の問題あるいは輸出金融金庫の問題あるいは銀行への優先株の問題、いろいろ施策がありますが、いずれにいたしましても、今の産業資金の不足、金詰まりの状況から申しまして、できるだけ早く見返り資金を使わなければいかぬというので、毎日のようにとにかくいろいろな案を持つてつて折衝しているのであります。従いまして見返り資金の方をうんとふやして、戰争のために使うとかなんとかいうような考えで出て行つておるのではないのです。一般産業の資金の方へ早く出したいということで、いろいろ施策しておるのであります。ときに新聞に載りますが、まだ結論には至つておりません。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 私の言うのは見返り資金の支拂いが近ごろ非常に遅れておる。聞くところによると預金部資金に余裕ができて、見返り資金で投資すべきものを預金部資金の方で肩がわりして見返り資金へ余裕を置いておく。これが将来の動乱費の不時の支出に使われるのではないかということを考える。この点はこれ以上申しません。われわれとしては朝鮮動乱費を中心として、二十五年度の補正予算を組んで、近いうちに国会にかけなければならないようになると思うが、この点について大蔵大臣のお考えはどうかということが一つと、それから来年度終戰処理費が非常に少くなるという見通しを言われましたが、これには何か根拠があるのか。聞くところによると、九月ごろに戰争状態終了宣言か何かあつて終戰処理費は来年度はなくなるというような情報も聞いておるのであるが、先ほど西村委員に対する大蔵大臣の奇弁で、来年度終戰処理費相当減るというようなことを言われたのであるが、これに対しては根拠があるのかどうか。これは非常に重大な問題で、少くとも千億円を越すような終戰処理費がどうなるかということについては、われわれ非常な関心を持つておる。それが相当減額されるかもしれないという重大な発言をあなたはされた。これについては何らかの根拠があるのかどうか、これを聞いて私は質問を終りたい。
  70. 池田勇人

    池田国務大臣 第一の質問は、朝鮮の事件に対しまして補正予算を組んで行く考えはないか、こういうことでございますが、先ほど来たびたび申し上げましたように、一般会計におきましてはただいまのところは考えておりません。それから特別会計の借入金の限度について、あるいは補正予算を組まなければならぬかもしれませんが、私は組まずにやつて行けるのではないかという見通しを持つております。  次に終戰処理費昭和二十六年度において非常に減る非常に減るとは考えておりません。私があの際に申し上げましたのは、二十四年度において大体終戰処理費で百二十億円不用額があつたのであります。こういうことから考えてみると、ある程度つて行くのではないか、こういうことであつて、ほかの外交上とか、政治的の問題では全然ないのでございます。これは予算の技術からいつて不用額ができた、こういうことになつて行くと、終戰処理費がある程度減るのではないか、そういうことを期待しておる、こういう意味でありまして、決してほかの外交の問題とかなんとかいうので減るという意味ではございません。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 結局私は朝鮮動乱の問題で、池田大蔵大臣は必ず補正予算を組まなければならない事態に至ると考えておる。おそらく池田大蔵大臣は、この点で池田財政の大きな修正をするだろうということを予言して私の質問を終ります。
  72. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 奧村又十郎君。
  73. 奧村又十郎

    ○奧村委員 大蔵大臣は昨日の本委員会における御答弁で、来年度は米価を大幅に上げて国際価格にさや寄せをしたい、こういうことでありました。これはわれわれも大賛成であります。それでは米価の価格算定方式のパリテイー計算の方式を変更なさるのであるか。これは昨年の夏の今ごろ大蔵大臣は、米価は五千円以上にしたい、こういうことを言つておられたが、実際はパリテイー計算などで非常に安くなつた、今度もパリテイー計算などでやればまたぞろ同じことになる、この計算方法をかえて相当大幅に上げる御意思があるかどうか、その点をお伺いしたい。
  74. 池田勇人

    池田国務大臣 これは私は所管でございませんが、所管の財政経済立場から申しますと、米価が相当上ることが望ましい、こういうことを申し上げたのであります。どういうふうな方法で行くか、生産費で行くか、パリテイーで行くか、あるいは両方兼ね合いで行くかということにつきましては、所管大臣からお答えするのが当然だと思います。国際価格にさや寄せするのがわれわれの念願でございますが、一挙にさや寄せすることが経済にどういう影響があるかということも考えなければなりません。小麦は本年一挙に国際価格にさや寄せせられましたが、米をそこまで持つて行くということは、なかなか困難ではないか。すなわち朝鮮米にいたしますと一石九千円近くになるのでありまして、そういうことは困難だと思いますが、財政経済に携わつておる私としては、日本全体のために米価は相当上げてもらつた方がいいのではないかと思いますが、計算方法についてはただいま申し上げることはできません。
  75. 奧村又十郎

    ○奧村委員 大蔵大臣は来年度七百億の減税を実行なさる、こういうお話でありますが、その減税は、まず所得税その次に酒税、物品町税などのことをお考えになつておられると思いますが、そこで所得税でありますがこれは現行税法を変更して減税なさるのか、あるいは勤労所得税の基礎控除その他で勤労所得に多く減税をなさるのか、あるいは今年の状況で、自然減收を見込んで税法を変更せずに減税をなさるのか、その減税の内容についてお伺いいたしたい。
  76. 池田勇人

    池田国務大臣 税法を変更しないで減税ということは考えておりません。ここで議論になりますように、課税標準が少くなつて收入が減つて来る減税ということもあるわけでありますが、私は減税というのは税法を変更してからの減税考えておるのであります。しからば減税の七百億円をわれわれが希望しておりますのを、どういうふうにして行くかということにつきましては、最近の情勢を見ますと、かなり酒なども高くて、密造その他がありますので、所得税と酒などは同列ではないかというふうな気持になりつつあります。しかし理論的には所得税を先にすべきであると私は考えておりますが、所得税を税法からして減税いたします場合に、税率で行くか基礎控除で行くか、あるいは扶養控除で行くかという問題であるのであります。これはやはりいま少しく経済の動向を見てから考えたいと思います。しかし問題としては、これは税率にしても基礎控除にしても、ほんとうに考えられる問題は、しいてとるならば基礎控除が上げられるべきで、それと見合つて所得税を考えたい、こういうふうな気持を持つておるのであります。酒などにつきましても二割説とか三割説とかございますが、これは酒の種類によつて違いますので、消費の状況を見て考えたいと思つております。
  77. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は実は来年度は、現行法で行けば、今年の予算と比して申告納税などはかなり減收になるのではないかと考えておるのであります。昨日の予算編成方針お話を承つておりますと、大体現行税制で行けば今年の予算通り税收が上るものとしてのお話であつたように承つておる。ところがおそらく現行税法で行つて相当減收になる。そうすればそれだけ財源が減るということを頭に置かなければいかぬ、こういうふうに考えるのであります。すなわち昭和二十四年度の実績で行けば、申告納税は御存じの通り千三百七十二億で、予算と比べると八〇%になつております。そこで今年の予算は千五百億である。昨年は千三百七十二億でありますが、昨年と比べると今度大幅に税法がかわり、合算課外税の制度その他いろいろな制度がかわつております。おそらくたかだか千二百億程度の税收しか上らぬのではないか。これはこまかく申し上げれば時間がかかりますので大ざつぱに申し上げますが、おそらく現行税法で行つて三百億くらいの減收になるのではないか。その点をお見込みになつて、なおその上減税をするというお考えであるかどうか、その点をお伺いいたします。
  78. 池田勇人

    池田国務大臣 今年度の租税收入見込みは大体四千四百億円程度徴收し得ると私は考えておるのであります。それはお話通りに申告納税につきましては千五百億円でありまして、なかなか困難の点もございましよう。しかし滞納も相当に予定いたしておりますので、これが徴收の確保をはかると同時に、今まで以上に所得の把握力を強くいたしまして十分実地調査をいたしまして、予算に到達するように努力したいと思います。しかしただいまの状況でたとい申告納税が千五百億の予算通りに行かないにいたしましても、法人その他によりまして法人税が非常に伸びておりますから、これで相当程度カバーできるのではないか。その次に大きい勤労所得税につきましても、これは少くとも予算通り行くと思います。全体といたしましては大体行けるのではないかと考えておるのであります。しこうして来年度の今の問題でありまするが、国民所得がどうなるかということ等も考えまして、また米価なんかによりまして、よほどの影響もあるのであります。今どの税がどれだけ、この税がこれだけということを申し上げられませんが、全体といたしましては各税種によつては基本に異動がありますが、全体の四千四百ということはあまり動かないのではないかという考えを持つております。
  79. 奧村又十郎

    ○奧村委員 專売公社における塩の專売価格をこの際変更すべきであると思いますが、これについて大蔵大臣の御意見を承りたいと思うのであります。特に今や工業塩、つまり肥料などの原料塩はトン約三千円で、非常に安く、これは輸入価格の約半額程度で売り渡しておる。そうするとこれは補給金のごとき性格をもつて安く売つておる。その金はどこから出すか。一般家庭への塩の配給及び食料品の塩蔵などの塩の配給は、非常に高い価格で売つておる。トン約一万五、六千円、これは輸入価格の倍くらいである。これは一般家庭配給や食料品に対する塩の価格を高くして、その余剰をもつて工業塩を非常に安く払下げをやつておる。補給金の制度のあつたときはそれでもよろしいかもしれぬが、今日は補給金はほとんどはずされたのでありまするから正常に復すべきである。この予算執行の陰において專売価格も変更すべきである。この点について大蔵大臣の御所見を承りたい。
  80. 池田勇人

    池田国務大臣 工業塩の価格につきましては、従来からお話のような議論のあるところであります。従いまして徐々に改正いたしておるのでありまするが、重要な問題でございますから、いま少しく研究いたしたいと思うのであります。
  81. 奧村又十郎

    ○奧村委員 酒の密造対策の問題でありますが、きようの新聞を見ますると警察官が二百人も動員されて、まるきり内乱を征伐するような、非常な大仕掛で密造部落を急襲しておる。それくらいにやらなければちよつと密造は手はつけられぬという現状に至つております、しかし全国あらゆる各地においてそういう大仕掛のことはできませんで、力のないところはほとんどそのままに放置してあります。この対策の根本は酒の価格を値下げするより方法がない。現状では密造対策は本格的にやれない、ここに酒値下げの根本の理由があると思う、この点を承りたい。
  82. 池田勇人

    池田国務大臣 ごもつともな点でございまして、酒の価格を下げるということは、国民負担を減らすということが第一でございまするが、密造対策の点からも考えたいと思つておるのであります。しこうして現状におきましては私は極力人員を増員いたしまして、密造の取締りをやつて行きたいと存じております。
  83. 奧村又十郎

    ○奧村委員 約千二百億余りの滞納整理の問題、これは相当頭をいためておられることと思いますが、特に各国税局管内で滞納が非常にでこぼこであります。特に大阪国税局は近年ずつと連続的に成績が悪い、昨年の成績は決定額の四割八分しか納められていない、これは何とか根本的に対策を講ずべきで、これに対してどうお考えでありますか。
  84. 池田勇人

    池田国務大臣 大阪局の滞納が他の局に比べて多いというのは承知いたしております。この滞納の原因にはいろいろあるのでありますが、調査の不十分ということかあつては申訳ないというので、今年の一、二月でございましたか、各国税務局から数百名を動員いたしまして、大阪局の調査の徹底を期したのでございます。やはりどこでも同じ筋合いのものであります。これは原則でありますが、できるだけ各局が実情に沿うように努めて行きたいと考えております。
  85. 奧村又十郎

    ○奧村委員 予算編成方針には、冗費を省き、また行政の機構も整理して経費を省く、こういうことが載つておりますが、どうも積極的に予算の面でどれだけの経費が節減されるかということには触れておられないようであります。それで統制撤廃などでかなり定員が減るはずでありますが、定員はどの程度に減ぜられるお見込みでありますか。
  86. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま各店が予算編成方針に従いまして、大蔵省に提出すべき予算をつくつておるのであります。私はそれが出てからお話申し上げたいと思います。御存じの通りに統制撤廃によりまして相当の人員は今までも減つております今後におきましてもできるだけ冗費節約の意味から定員を減らしたいとは考えておりますが行政整理とかそういうふうなことはただいまのところ考えておりません。
  87. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 尾崎末吉君
  88. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 時間の割当があまりないようでありますから、ごく概略五点ほどお伺いいたしておきます。  大蔵大臣に伺いたいのは、先日地方税法が衆議院を通過いたしたのでありますが、地方税と国税とは不可分の関係があることはもとよりでありまして、大蔵大臣は特に新しい地方税と国税との関係は、不可分の関係にあるということを強調されて参つたのでありましたが、今回衆議院を通りました地方税と国税との関係をどういうふうにあんばいされて二十六年度予算編成されるのか、もう少しつつ込んで申しますならば、地方税法によつて前面と違つた修正がなされたわけであります。その修正部面と国税との部分、そういう点について大まかなところでけつこうでありますから、伺つておきたいのであります。
  89. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の点がはつきりわかりませんが、地方税の修正によりまして国税に直接影響があるとは考えられません。修正になりました附加価値税の一年延期ということについては、事業税がかわつて行くのじやないかと思います。それから固定資産税の税率一・七が一・六にかわりましてもこれは申告の状況によりまして、彈力性があるのではないかと私は想像しておりますから、国税に直接影響があるとはただいまのところ考えておりません。
  90. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 伺いたいのはこういう点なのであります。特に固定資産税の税率が一・六にかわつたのでありますが、その一・六によつて減ずる金額は平衡交付金等をもつて補わなければならぬのではなかろうかと思うのでありますが、その点であります。もう少しつつ込んで申します。今大蔵大臣の御答弁の趣意から考えますと、一・六という税率はきまつたが、これは最高の範囲をきめたのであつて、その範囲内において各公共団体によつてあんばいをして徴收をするのだから、国税に関係を及ぼさない、こういうことになると思いますが、その点をはつきり伺つておきたいのであります。
  91. 池田勇人

    池田国務大臣 固定資産税の税率が変更になりましたからといつて、平衡交付金を今年度においてふやすという考えは、ただいまのところ持つておりません。しかして来年度においてどうなるかという問題でありますが、来年度におきましても、そのために平衡交付金を動かそうということは応えておりません。ただ全体の国税と地方税は、国と地方の行政事務のあんばいその他によつて移動のあることは考慮しなければならぬが、固定資産税の税率がかわつたからといつて、これが当然平衡交付金に影響するものとは私は考えていないのであります。
  92. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 その点ははつきりいたしました。その次に伺いたいのは、減税その他国民負担の軽減ということが、現在の政策の重点になつておるのであります。これと関連して考えてみなければいけないことは、いわゆる警察予備隊の七万五千並びに海上保安官の八千名の増員なのでありますが。これはもとより内容をこまかくまだ御発表ができない点もあろうかと思いますが、この警察予備隊、海上保安官の増員等には、もとより多額の予算を伴わなければならないのでありますが、国民負担の軽減ということと、この二つの問題との間には、正反対のものが生れて来なければならないのでありますが、どういうふうにして国民負担の軽減というものに支障のないような——支障があるとしても従来唱えられて参つた目的を達成することのできるようにやつて行かれようとするのか。大体のことだけでけつこうですから伺いたいと思います。
  93. 池田勇人

    池田国務大臣 われわれは来年度国税において七百億円の減税をしよう、また給与のベース引上げよう、あるいは社会施設に金を出して行こう、国土保全相当の金を出すという計画でおつたのであります。しかるところ警察予備隊費用はどれだけになるか私には見当がつきませんが、そうして行きますと七百億円に影響したり、あるいは積極的の社会政策的あるいは文教施設に影響することはお話通りであります。そこで私は七百億円にどれだけ影響さすか、あるいは積極的支出をどれだけ削減するか、あるいはそれを少くするため他の冗費を節約することはもちろんのこと、できるだけ既定歳出を減らすということでやつて行かなければならぬと思うのであります。いずれにいたしましても海上保安官の経費が九十億、六十億と言われておるようでありますが、私のところには一切金額の要求も来ておりません。それが参りましてから二十六年度の大体の減税はどれだけ、歳出はどれだけ、積極的の支出がどれだけ、そして警察費がどれだけというようにあんばいして行こうと考えております。
  94. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 大体のことはわかりましたが、ただ御答弁のような趣旨の、諸般の経費を縮減して、これをもつて上手に警察予備隊と海上保安官の経費をまかなうということでは、想像されるところでは警察予備隊にしても海上保安官にいたしましても、相当経費が尨大なものだと考えられますので御答弁の趣意のようなことでおつつくかどうか。他に一つのまとまつた違つた構想をお持ちにならなければ、その目的を達成することはできないのではないかということを心配するのでありますが、やはり御所信によつて、さき御答弁なつたような程度でやつて行ける見込みでありますか、重ねてお伺いいたします。
  95. 池田勇人

    池田国務大臣 財政経済政策では、ただいまのところ、債務償還費をどうするか、輸入補給金をどうするか、賃金ベースはどれだけ上げるかということが一番大きいのであります。その次に来るのが社会政策的施設、あるいは文教その他公共事業等の積極的問題であります。しかして警察予備隊費用がどうということになりますが、私にはただいまのところかいもく見当がつきません。装備の点とか、あるいは初年度はどうなるか、次年度はどうなるか、こういう点が非常に関係して参りますので、減税あるいはその他のものにつきましてもなかなか困難な問題だと思うのであります。たとえば米価の問題にいたしましても、米価の上げようによりまして歳出が百億とか百五十億は違うのであります。また小麦協定に入る入らぬによつてもたいへん違うのであります。こういう状態でありましていろいろのフアクターが来年度においては相当あるのでありまして、予算編成方針は大体の骨格を申し上げておる次第であります。
  96. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 その次に伺つておきたいと思いますことは、日本の経済自立のために債務償還を急がなければならぬということは、今日まで強調せられて参つたのでありましたが、今回の警察予備隊並びに海上保安官の増員のために、これを中止せられるという運命になつてつたのでありまするが、そうなりますと、結局講和条約ということも朝鮮事件のいかんにかかわらず、早期に結ばれるであろうということが言われておるのでありますから、この講和条約が結ばれ、または対日援助資金の減額、または中止された後に現在まで言われておつた債務償還が行われない、そうしたことから考えてみまして、経済自立ということに相当不安を感ずるのでありますが、そうしたものに対する何らかの対策をお持ちであるならば、御構想を伺いたいと思います。
  97. 池田勇人

    池田国務大臣 債務償還費にきましては、警察問題が起ります以前に、六月初めに自由党政策として、来年度一般会計からの債務償還をしないということを公約いたしておるのであります。私は債務償還というものは、安定から自立に行くにつれて当然少くなつて来べきものだと思つております。もし日本の経済がほんとうに自立経済に立つて安定の見通しがつきましたならば、債務償還どころか建設公債なんかを出してどんどん積極的な方向に進むべきだと思います。ただいかんせん非常にわが国の経済は弱体でございまして、ちよつとのことが影響するから早く安定自立に行く方法として、財政的には思い切つて債務償還をしたいのであります。債務償還は薬のようなもので、少し容態がよくなれば自然にやめて行く、薬がいらぬような健康体になれば、ときには食い過し、飲み過しもいい、こういう考えでおるのであります。従いまして来年度においては、一般会計からはやらぬ。こういうことは警察費が出ようが出まいが、こういう政策をとつておるわけであります。警察費がどうなるかは先ほど申し上げたような状況であるのでありますが、最近貿易もだんだん伸びて行つておりますし、エイド・フアンドも一九五二年に一応打切られましても、大体自立の道はついて行くのではないか、またつけるようにわれわれは努力して行かなければならぬと考えております。
  98. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 その次に伺つておきたいのは、最近預金の増加率が非常に鈍つて最近の新聞を見ますと、本年度の第一・四中期の一般預金の増加成績は、推定でありますが、合計九十六億円程度だと二、三日前の新聞に出ておつたようであります。しかるにこれを前年度の同期に比較いたしますと、前年のこの期におきましては六百六十七億円の預金の増加があつたのでありますが、これと比較しますと、最近言われるところの金詰まりというようなこととむろん関係があるでありましようが、なぜこの預金の増加がかように著しく減つたか、その点について伺つておきたいのであります。
  99. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知通りに三月の決算では、各銀行が預け合いをいたしまして、相当預金がふくらみました。四月になりますと、その預け合いを解け合いまして、実際の預金はある程度ふえるのでありますが、四月には名目上の預金総額は減つて来るのが通例なのであります。しかるに五月におきましては、昨年二百億円程度の増がありましたが、本年はそれだけ行かなかつた。六月におきましては市中銀行だけで百八十億円の預金増になつておるのであります。第一・四半期が昨年に比べまして預金の増加が非常に少かつたということは、いつもに比べまして、本年の第一・四半期は散布超過の状態が、逆に引揚げ超過になりまして、三百四億円の引揚げ超過、こういうことが市中銀行の預金の伸びなかつた一つの理由だと思います。もう一つは銀行の預金が、郵便貯金の方に相当にまわつているのであります。その原因につきましてはいろいろなことを言われておりまして、たとえば税の問題郵便貯金には税がつかない、また郵便局には税務署が行つて調査しない、こういう関係で郵便貯金へ移る、こういうようなことも言われておる。いろいろな原因がありますが、おもなる原因は引揚げ超過によつてこうなつたのだろうと思います。今月に入りまして、逆に散布超過になりまして、二十五日現在では債務償還を一切今月しなくとも百八十九億円の散布超過になる。今月は相当預金が伸びて行くのではないかと思います。
  100. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 御答弁によつて伺つたあとの方に関連をいたすのでありますが、それは郵便貯金の方が相当ふえて参つたことに関連することでありますが、郵便貯金が相当ふえるということは、要するに都会だけでなく、地方の農漁村等の人々が特に郵便貯金並びに簡易保險等をよけいに利用いたしておるのでありますから、そういつたものがだんだんふえて参つて、その集められた金が中央に中央にと出てまとまつて参りますと、自然地方の金まわりがますます悪くなる。従つて地方の農村なり漁村なりの振興ということが非常に困難になつて来るのでありますが、この際これらの金を地方に多く還元する方法について、何らかの積極的の構想があるかどうか、これは相当重大な問題だと思いますので、特に伺つておきたいのであります。
  101. 池田勇人

    池田国務大臣 預金部資金の運用につきましては、指令によりまして、国債、地方債あるいは公団への貸付、こうきまつておるのであります。これをかえまして、地方にできるだけ出したいというので、努力いたしておりますが、まだよい結果を来しておりません。ただいまのところは預金部資金につきましては、地方公共団体に短期融資等をいたしまして、相当出てはおるのであります。しかし今後集まる金が多額になりますので、その使用につきましてただいま折衝を重ねておるような状況であるのであります。
  102. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 大蔵大臣に対しましてはもう一点でありますが、自治庁長官がお見えになつておりませんので、大蔵大臣にお聞きします。地方税法の国会通過が遅れましたために、新しい地方税法で徴税いたしますと、相当まとまつた納税、いわゆる延滞されておつただけのものをまとめて拂わなければならぬという結果になつて相当国民が苦しむことは想像にかたくないのであります。その声が相当強くなつておるのでありますが、何らか地方税を徴收するのに、納めやすいような便法をお考えになつておられるかどうか、それをひとつ伺つておきたいのであります。
  103. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほどもお話がありましたように、国税などにおきましては、千億を超える滞納があるのであります。今後地方税の徴收につきましては、こういうふうな事情を考えましてなかなか困難な点もあると思うのでありますが、ただいま私の聞いておるところでは、大きい地方税の納税者につきましては、納税証券とかあるいは納税貯金とかいうふうなものをやつておられるようであります。私はそういうふうなことは非常によいことではないかという考えを持つておるのであります。いずれにいたしましても、この八月から国税にしても地方税にしても、相当の引揚げになるわけでございますから、できるだけ金融の円滑をはかり、引揚げ超過にならないようにやつて行きたいと思うのであります。十月から十二月の第三・四半期は、例年通り非常な散布超過になるのであります。七月から八月九月の間は例年は引揚げ超過になるのでありますが、私はつとめて散布超過で行く、そして納税が楽とは申し上げませんが、円滑に行けるように努力しておるのであります。
  104. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 時間があともう少しありますから、大蔵大臣に対する質問はこれで終りにいたしまして、農林大臣がお見えになりましたので、二点だけ伺つておきたいのであります。  昨日大蔵大臣から米価の問題に関しましては御所見を伺つたのであります。できるだけこれを引上げたい。こういうことでありましてこれは農村に非常に大きな影響がありますので、喜びにたえないのでありますが、米価を引上げるといたしまして、どの程度までお引上げになる御構想を持つていらつしやるか、お考えがあれば伺つておきたいのであります。
  105. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 米価の引上げについてのお尋ねでありますが、パリテイー計算が現在の情勢に合つてないということは、もう常識のようになつておるようであります。それで閣内においても、池田君は手放しの米価値上げ論者でありますが、特に池田君は生産費を基礎にしてやらなければいかぬと言うのですが、これはわれわれもまつたく同感であります。特にわれわれのきんちやくを握つて飾る池田君が、こういう新説を持つておるということは、農民に対して非常に朗報であろうと思うのであります。われわれといたしましては、この農作物の自給度を高める上におきましても、どうしてもこれを値上げしなければならぬ、こう考えておる次第でございまして、その程度をどの辺にするかということは、今後十分研究したいと思う次第であります。
  106. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 御答弁を聞いてわかるようなわからないような気持がするのでありますが、それ以上質問申し上げても御答弁がないかと思いますので、時間の関係でその次に行きます。それはこういうことであります。毎年毎年政府の方でも口には唱えられながら、なかなか積極的な努力の跡が見られないというのは、災害防止の対策であります。年々今ごろになりますと、災害のことが非常に大きく取上げられる。一ぺん災害ができてしまうと、災害復旧などといつて、ごくわずかの予算でこれを援助せられますが、そのあとになると忘れてしまう。こういう状況で毎年繰返しておりますうちに、非常に災害というものは大きなものになつて参りますので、特にこの災害防止の対策について、何らか予算措置の上からも、その他具体的の計画の上からも、何としても災害の防止についての大きな力をいたさなければいかぬ、こういうふうに思つておるのでありますが、そういうことに対して農林大臣はどういう御構想を持つておられるか、できれば具体的の政策を伺つておきます。特にまた私の選擧区である鹿児島県警においては、最近の豪雨によりまして、金目にしまして最も多くの收入のあるタバコ等がほとんど全滅をいたしました。こういうことでありますので、何とか積極的に災害防止の対策を立てなければ、日本の農村なり山村なりというものは、立つて行かないまでになるのではないかというふうに思つておりますが、農林大臣は非常にゆたかな構想を持つておられますので、従来の農林大臣と違つた、りつばな御構想があろうかと思いますので、この点を伺つておきたいと思います。
  107. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 災害防止に関してのお尋ねでありますが、特に農漁村のことについては今まで顧みられなかつた点があるようであります。これはどうもわれわれ合点が行かないのでありますが、今までの大蔵省の中に農林省と内務省の予算を多く削れる人が一番成績のよい官吏だというような癖があるそうであります。こういう癖を今度は是正してもらいたいと思うのであります。閣議におきましても、農業に関する費用はこれを優先的に認めるように話合つておるような次第でありまして、池田君も賛成いたしておるような次第であります。今年度はどうか皆さんの力に上つて農業土木を推進いたして参りまして、災害を未然に防ぐように十分やりたいと思つております。  なおまた災害補償制度の問題がありますが、これも非常に少い率であり、なおまたその方法も不十分な点があるので、目下愼重に審議中でありまして、通常国会あたりには、これを訂正いたしまして御審議を願うようになるかとも考えておる次第であります。
  108. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 私はこれで打切りまして、同僚奧村君が関連質問があるそうでありますから、あと五、六分のところお許し願いたいと思います。
  109. 奧村又十郎

    ○奧村委員 農林大臣は来年度米価値上げの御意思がある。特に池田大蔵大臣が米価値上げの御意思があるということは非常に朗報だと言われた。しかし大蔵大臣は、昨年の夏、今ごろも、米価は五千円以上に値上げしたいという朗報を言つておられる。ところが農林大臣の方でパリテイー計算という魔術によつて実現できなかつた。そこでこの米価の算定方式に従来のパリテイー計算をあくまで踏襲なさるのか。これをやめてやつて行かれるのか。その点はつきり御答弁願いたい。
  110. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 パリテイー計算のマジツクはもう大体きき目がなくなつたようでありますので、(笑声)実際に即応いたすように目下検討中であります。
  111. 久野忠治

    ○久野委員 災害防止の点についてただいま尾崎さんから御質問がありましたが、逐年災害の激増によりまして、その災害を復旧するだけに追われておるような現実であります。これを未然に防ぐ、すなわち災害防除の方法と、すでに起きた過年度の災害を復旧するという方法と並行して行くことが正しいのではないかと思うのであります。大蔵大臣に特にお尋ねいたしたいのでありますが、昨年度予算編成にあたつて、大蔵省側の御意向かと聞いておりますけれども、建設省の災害防除費目なるものが削られまして、これが河川維持費と海岸修築費の二様にわかれたという事実は、すでにこの災害防除そのものについての関心が薄いものであるように私は拝察するのであります。特に昨年度の災害防除費はわずかに三億八千万円しか計上してなかつたという事実は、すなわち災害防除費に対し、大蔵省側が軽視しておいでになるのではないかというふうに私は拝察するのであります。特に先ほど来申し上げましたように、災害を未然に防ぐということはこの際絶対に必要でありますので、そうした意味合いから、でき得ることであるならば、来年度予算編成にあたつて、従来ありました災害防除施設費なるものを復活せられまして、さらにこれに何層倍する予算の計上をお願い申し上げたいと思うのであります。これに対して大蔵大臣はいかなる御見解を持つておいでになるか、お尋ねいたしたいと思います。
  112. 池田勇人

    池田国務大臣 大蔵省が災害防除費用を削つて、港湾その他へまわしたということはございません。私は、お話通りに、とにかく治山治水が必要であるということを考えまして、本年度も九百九十億円を計上いたしたのであります。しかも本年度予算編成にありましたように、治山治水ということを頭に上げておる。しかして九百九十億円ということにきまりまして、これの割振りにつきましては、閣議でいろいろな議論があつたのであります。割振りにつきましては、おおむね安本が中心になりまして関係各省がやつており、大蔵省の事務当局はあまりタツチしておりません。閣議では多少タツチしております。その際にこういうふうなことがありました。治山治水の問題は、植樹が第一だ。苗木がそれだけあるかというようなことが議論になりまして、ある程度閣議で少くなつたんじやないか、というような記憶はございまするが、大蔵省が治山治水に冷淡であつて、港湾の方へ金を持つて行こうというようなことはございませんから、ひとつ御了承願います。
  113. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 村瀬宣親君。
  114. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 昨日来の大蔵大臣の御答弁を承つておりますと、来年度予算編成方針をそのまま踏襲なさいますならば、これからは景気の凹凸が非常にはげしくなり、それに対する構想をお考えになつておらないという感じがいたすのであります。たとえば特需インフレに対する同僚委員質問に対します後答弁につきましても、われわれの安心をするような御答弁をまだ承つておりません。特別需要の三億ドルのものがプラスされるということをお認めになつておりながら、そのドル使用には制限はない、独自性のものであるというようなことを御答弁になり、また警察予備隊給与ベース改訂等によりまして、相当部分的にはインフレが起るということをお認めになつておるようでございますが、それに対する対策を一向聞かしてもらつていないのであります。同時にお伺いいたしたいことは、インフレをとるためにやはり通貨の流通高を三千二、三百億に減じなさるおつもりであるか。そういたしますると、相対的に農村に対するデフレが強化されて参ります。少々の米価の値上りぐらいではとうてい追つつかない情勢になるのでありますが、あなたのお考えになつておる方法では、景気の凹凸が起りはしないかどうかということ、またそれに対する対策、並びに通貨量等に対する根本的なお考えを伺いたい。
  115. 池田勇人

    池田国務大臣 朝鮮事件におきましてどれだけのドルが国内に流れるかということにつきましては、ただいまのところ正確な数字は、私は申し上げたこともないし、わかつておりません。しかしいずれにいたしましても、事件関係のものの景気のよくなることは期待できると思うのであります。しかしそれは行く行くはやはりみなに均霑して行けるものと思うのであります。これはやはりいろいろの商売で景気のよい商売と悪い商売があるのであります。そういうことはいずれまた自由経済のもとにおきましては平均して行くことと考えておるのであります。でこぼこが起ると申されますが、やはり船積み等の労務者はよくて、そういう関係でないところの分はございましよう。これは一時的のものとしてはありますが、そういうことがなるべく早く均霑するようにわれわれは努力いたしておるのであります。  次に通貨量をくぎづけにするというお話でありますが、そういう考えは持つておりません。通貨はやはり経済の状況によりまして動くものであります。これは季節的に動きます。と同時にまた全体的経済のヴオリユームによつて動くのであります。従いまして昨年と今日と比べますと——今日はまだわかりませんが、二、三日前と比べますと、昨年は二千九百七、八十億だつたと思いますが、二十五日の分は三千百四十九億、大体私は二百億近く上まわつておると思うのであります。昨年の経済と今の経済と、二百億の通貨の膨脹でよいかということになりますと、これはしさいなことから申しますと、いろいろな議論があるのであります。大体においてそう私はくぎづけにしているとは言えないと思うのであります。またくぎづけにすべきものでないと考えております。経済の状況によりまして適当な通貨量をわれわれは維持して行きたい。通貨量がこうだから、こうやるという考えは持つておりません。
  116. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 農村に対しまして現在、きのうからの御説明通りのことを進めて行くといたしますならば、非常なデフレがやはり続く。他の方面では部分的なインフレ、またそれが全部に浸透するという御答弁でありまするが、時間が来れば浸透するかもわかりませんが、農村に関する限りは、容易にその恩典に浴し得ないと思いまするが、これに対する御答弁を承りたい。
  117. 池田勇人

    池田国務大臣 農村に対しまする景気回復の問題といたしましては、私は米価あるいは麦の問題、これによつて解決するのが一番直接的な問題だと思うのであります。従いまして先般来申し上げますように、国際物価から比べましても、また日本の今の現状から申しましても、米価はできるだけたくさん上げたいということを財政経済的にも考えておるわけであります。
  118. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 大蔵大臣減税問題等まだ質問があるのでありますが、今大蔵大臣の御答弁で農村の景気回復は米麦価の値上げという、きわめて簡單な幼稚な御答弁がありましたので、私はそこに農林大臣がいらつしやいますから、それでお伺いするのでありますが、先ほど来の御答弁によりまして、パリテイーという魔力はなくなつた。そういたしますると、これからいろいろ米麦価を上げて行こうという原則的な御答弁があつたのでありまするが、ただ口だけではわれわれは安心ができぬのであります。そこで現に麦の価格について米価審議会でいろいろ審議をしております。これが農林大臣の腕の見せどころなのであります。これに屈服なさるなら、いかに千万言をここで費しなさつても、やはり今まで通りの米価麦価にしかならぬと思いますが、今米価審議会の答申いたしておりまする価格を強行に御主張になり、貫徹する実力と勇気をお持ちでありまするが、お伺いいたします。
  119. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 米価の問題についてだんだんのお話でありますが、これはどうしても私たちといたしましては実際に即応する価格にして行きたいという信念にかわりありません。それからまた現在審議会にかけておるあの価格の問題ですが、目下相撲を取つておる最中でありまして、今明日中に決定しようと思います。これはまた国会でも今日委員会で中間報告をいたしたのでありますが、その辺になかなか微妙な点があるので、非常に苦しんでおる最中であることを御了承願います。
  120. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 先ほど農林大臣は大蔵大臣が米価を上げようというのであるから、非常に心強いというような御答弁があつたのでありまするが、実は今まで農産物価の悩みの種となつておりまするのは、大蔵大臣ではありませんでした。常に安定本部であつたのであります。大蔵大臣にいろいろ好意的な御意見をいただいても、常に経済安定本部に行つて魔術のようなパリテイー計算によつて今まで農民が泣かされて参つたのでありますが、今現に相撲を取つておるという話でありまするけれども、この際この相撲にお負けになるならば、名にしおう廣川農相の腕前も、これくらいのものだということになりまするので、どうかこの相撲に負けないで、必ず米価審議会の意見を貫徹なさいますように、特にお願いを申し上げておきます。同時にここで今大蔵大臣は農村の景気回復は、農産物の価格の値上げだけの御答弁でありましたが、私は農村金融の解決が論ぜられること久しきにわたつて、いまだその解決の曙光を見ておりません。前国会におきましても農林中金等の資本金をふやして、その二十倍にして、そうしてこういうふうに出してやるということは大蔵大臣等からもいろいろ聞かされたのでありまするが、一向実現に至らないのであります。これからの新農相の農村金融に対する抱負を伺いたい。
  121. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 農村金融に対してのお尋ねでありますが、これは市中銀行の金を貸す対象にほとんどなつておりません。この点は非常に考えなければならぬところであります。ちようどばかの一つ覚えみたいに農林中金ばかり言つておりまして、あれを二十八億に増資したからよろしいというようなことでありますが、これはどうしても長期資金をあれから出すことはなかなかむずかしいのであります。これはまだ閣議にもかけておりませんし、また省内でもはつきりきめておりませんが、預金部資金を何とか流れて来るような方法を講じなければならぬと考えております。農村から郵便貯金その他の方法で盛んに中央に持つて来るのでありますが、中央からはあなたのおつしやる通りまわつて来ないのであります。これをいろいろな国家の事業として予算の上でこれから大いにみなの力を得て取ろうと思うのですが、これまた大したことじやないと思うので、ほんとうは預金部資金を大量に農村に流す、こういう考え方からいたしまして、農林金庫とでも申しましようか、そういつたような構想で預金部資金をそこへプールして置きまして、それから中金を通して毛細管で流す、こういうことを考えたらどうか。これは私の私見でありますが、長期資金を必要な農村に対し、特に市中銀行が相手にしない農村に対しては、こういつたような方向で進むより道がないじやないかと私は考えております。
  122. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 御答弁を承りまして特に感ずるのでありますが、農村は放任を許さない非常に窮迫した状態に陷つて参つたと思います。そこで救農臨時国会を開けという意見に対しまして、農林大臣は大賛成をしてくださつたそうでありますが、ちようど大蔵大臣もおいでになりますので、臨時国会はむろんそれぞれの機関を通じて開くのでありましようが、農林大臣と大蔵大臣とは大体お話合いになれば必ずその時期もわかるのであります。一体いつごろ補正予算等の準備ができて、救農臨時国会をお開きになるつもりであるか。これは何も官房長官にお聞きにならぬでも、お二人で十分きまることであると思いますので、それを承りたいと思います。  それから大蔵大臣予算のことでお尋ねいたしますが、農地委員会が今度農業委員会等にかわりまして、これに対する予算の組みかえが必要としないのであるかどうか。また低性能船舶買入法が通過するようでありますが、これは四十二億の繋船補助金の中から二十七億を使うというのでありますけれども、これに対しても法的にどのような処置をおとりになるのであるか。同時に補正予算を通じての臨時国会がきわめて急を要すると思います。大体臨時国会を開く予算的準備はいつごろでき上るおつもりでありましようか、両大臣にお伺いいたします。
  123. 池田勇人

    池田国務大臣 臨時国会の開催またその時期につきましては、重要なる閣議決定事項でございますので、ここで私から申し上げることはできないと思います。  次に農地委員会等の措置につきましては、ただいまはつきり記憶はございません。あれは一應合せることにいたしまして、その後問題の経過は明らかになつておりませんが、はつきりした記憶はありません。あとで調べてお答え申し上げます。  なお低能率の船のスクラツプの問題、これについては予算上はすでに御審議を願いました四十二億の商船管理委員会の分から出るのであります。これを片一方で出すことになると、いろいろの問題が起つて参ります。またわれわれ今折衝しておりますところの輸出金融金庫の問題、これも一つの公庫としてやるときには予算を出さなければならぬ、こういう問題が起きます。中小企業金融の保險制度の問題、これも予算の問題があるのであります。これらの予算を作成いたします準備はほとんど日数はいらないのであります。来年度予算ということになると相当日数を要しますけれども、問題が局限せられておりまして、ある程度財源見通しがついておりますから、時間的に一月かかるとかあるいは二十日かかるとかいう問題はございません。ただもつばら各般の事情を考え国会できめるべきものである。急を要しますものは、今申し上げましたもの以外に電力再編成の問題があります。これは国会における皆さんのお考えを聞いた上で、閣議で決定する問題だと思つております。
  124. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 野党の諸君から救農臨時国会を開いたらどうかということで、これは私まつたく賛成いたしております。ただその時期その他については、これは閣議で相談することでありますので、どうかほんとうに農村を救う妙案を諸君からお出しを願いたいと思つております。
  125. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 最後に減税問題について大蔵大臣にお伺いをいたしたいのであります。  先ほどの御答弁の中に、国税で七百億円、地方税で三百億円を減税いたしたいというような御答弁でありましたが、この地方税三百億円減税の構想を承りたい。  それから、私は国税の七百億円を減税するということについて、このうち多少国税の減税が少くなつても、平衡交付金を大幅に増加いたしまして、地方住民の負担を軽減する必要があるのではないかと思うのでありますが、平衡交付金は来年度おふやしになるお考えは、お持ちでないのでありましようか。この二点を伺いたいと思います。
  126. 池田勇人

    池田国務大臣 国税につきまして七百億円減税の構想は先ほど来申し上げた通りであります。地方税につきましては、私は大体三百億円程度減税をしてもらいたいということを党員の一人として希望いたしておるのでありますが、どこをどういうような方法でやるかということにつきましては、これは一応所管大臣からお聞きになつた方が適当ではないかと思います。地方税法の施行も遅れました関係上、施行してみた上でまたいろいろの点を考えなければならぬことが起るだろうと思うのであります。私は直接の所管ではございませんので、今申し上げることは困難かと考えておるのでございます。  次に地方財政平衡交付金をどうするかという問題でございますが、これは私は建前といたしましては、地方自治の独立の点等から考えまして、これはあまり多くしない方がよいのではないか。原則としては今年度と同額で行きたいという気持を持つております。しかし国の歳出あるいは地方の歳出、事務の関係その他によつて、やはり地方行政調査委員会議あるいは地方財政委員会の方で一応お考えくださることと考えております。
  127. 井出一太郎

    ○井出委員 先ほど大蔵大臣の御答弁の中に、臨時国会一つのテーマは電力再編成案であろうかという御答弁がございました。なおまたそれ以前にどなたかの質問に対する御答弁中、見返り資金の放出先として、あるいは輸出金融金庫あるいは大口電力方面へこれを投入したい、こういうお話があつたのでありますが、電力方面への見返り資金の放出というものが電力再編成案と関連をせしめて、一つの交換条件になつて、電力再編成をやらなければ見返り資金を電力方面に出さないのだ、こういうことがあるやに仄聞しておりますが、この点についてちよつと伺つておきたいと思います。
  128. 池田勇人

    池田国務大臣 電力再編成の問題は、さきの国会に提案いたしましたような状況でございます。また日本の経済の基本の一つでありますので、私は早くなすべきではないかという考えを持つております。しこうして電力再編成ができるまでは見返り資金から出ないのだというふうなことは、これは公式ではなしに、どこからか聞いたことがあるような気がするのでございますが、何も公式にきまつたわけではございません。私といたしまして昨年度におきまして百億円で、今年度大体百四十五億円か、あるいは百五十億円を予定いたしておるのであります。この継続事業につきましては、八月の終りころまでに金がなくなりますので、この際何とかして早く出したいという考え関係方面と折衝いたしておるのでございます。
  129. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 小平忠君。
  130. 小平忠

    ○小平(忠)委員 昭和二十六年度予算編成方針並びに関連する事項につきまして、大蔵、農林両大臣にお伺いいたしたいと思います。割当てられた時間が非常に短かいので、簡單に要点だけをお伺いたしたいと思います。  どうも昨日から立ちかわり入れかわり質問されておりまして、われわれにまわつて来る番になりますと、大体よい種がなくなつてしまつて、また重複する事項は申し上げても非常に迷惑な話でありまして、そういう観点から、全部種がとり尽されたあとの質問で、非常にむずかしいのでありまして、むずかしい中を頭をしぼつてお伺いするのでありますから、どうかひとつ納得の行くように御答弁をいただきたい、こう思うわけであります。  第一の問題は自由党政府であります吉田内閣の明年度の一千億減税、この問題に関しましては、去る参議院選挙におきましても、一つの党のスローガンとして全国民公約された。その内容は昨日の予算編成方針説明を伺つた中にも、大体債務償還で五百億、それから価格調整費で五百億、こういつたような点からなし得るのだ、さらに大蔵大臣が過日の大蔵委員会において国税において七百億、地方税において三百億といつたような説明をされております。しかしただいままでいろいろ御答弁を伺つておりますと、この問題についても何だか確信が持てないような、客観的情勢によつて、まだこれは将来の問題であるから、はつきりと回答はできないというような御答弁があつたのでありますが、これは非常に重大な問題で、現に今回の朝鮮動乱によつてその予算的措置として、例の国債償還の方から大体五百億くらい持つて来るのが妥当であるというお考えも発表されております。われわれはかつて第七通常国会においてこの債務償還については、非常に強い反対をしたわけであります。ところがこれは絶対的な問題であるとして、政府はこれを押し切られた。自由党は押し切られた。押し切られたにもかかわらず、軽々しくこれを持つて来るというようなことであるならば、私は戰後の日本経済の最もがんである価格調整費並びに債務償還といつたような問題については、そういう幅があるならば、いつそのこと、一千億というような甘つちよろい減税ではなくて、私は二千億、くらいの減税をなし得て、国民経済の安定を真に期し得るのではないかと考えるのでありますが、この点についての大蔵大臣国民が納得の行く御答弁を、せつかく委員長がこの委員会を持たれて大臣の所見を承る機会を与えられている関係上、ぜひひとつその点について明確なる御所信を承りたいのであります。
  131. 池田勇人

    池田国務大臣 国税、地方税を通じまして千億円の減税ということをわが党は公約いたしたのであります。従いまして、私の領分であります国税につきましては、先ほど申し上げましたように七百億の減税の目標を立てて努力いたしております。私はできると思つております。しこうして他の種目につきましても給与ベースその他で金がいることも御承知通りであります。こうやつて行きましたところ、今回マツカーサー元帥の書簡によりまして、警察予備隊等に金がいることになりました。しかもそれは書簡に一般会計の代務償還費をもつて充てろ、こうなつておるのであります。しかして警察予備隊が必要であることもわれわれは認めます。その金をどこから出すかという問題のときに、債務償還というものを使え、こうなつて来ておるのであります。この限度におきましては、私は給与ベース、あるいは積極的な施策、あるいは減税に影響がないとは言えません。影響がありますが、ただいまのところ警察予備隊等に来年度どれだけいるかという問題についてはまだきまつていない。だれも知らない。そこで私は少かれと願うと同時に、この金が今のような価格補給金だとか、あるいは一般経費の節約とか、いろいろな点を兼ね合せまして、必要の警察費が出ましても、減税の七百億円、そして給与ベース、その他の積極的の歳出増の四百億円ということに、あまり影響させないように努力して行く、こう申し上げておるのであります。これで減税が七百億円できるかどうかという問題につきましては、これは七百五十億円になるか、六百五十億円になるか、これはある程度の幅はやはり持つて行かなければならない。財政というものは、七百億円の減税と言つたら一文も動かさないというようなものではない。やはり歳出の状況、歳入の状況その他を勘案して適当にあの公約を実行して行く、こういう考えでおるのであります。
  132. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの御答弁は何だかわかつたような、わからないようなことですが、やはり私は重大なる公約をされておりますし、このような段階において、非常に大臣独得の味をもつて、それを上手に、巧みに逐次転換して行くというような観点を、昨日からの質問を通じても感ずるのでありますが、これはそれ以上追究いたしましても、やはり結論は得られぬのじやないかと思うのであります。  次に朝鮮動乱が、われわれの予期しないような発展を見せておるのであります。これが最悪の事態において、もしこの朝鮮から連合軍なり、あるいは國連があそこを放棄したというような事態において、現に九州なり中国の南西端においては、非常にせんせんきようきようとしておるのであります。これに対処し得る治安の維持というような関係から、今回の警察予備隊の問題も表面化されたのでありますが、昨日の質問においてもいろいろ伺つておるのだが、依然として大橋法務総裁も、單に今まで新聞に発表されておるよりも、まだ非常にぼやけた回答しかされていない。きようの新聞にも具体的な新聞発表がある。そういう事態に対処して、すべからく、一日も早く国内治安の維持を保持し得る、一朝有事の際にはこう行くのだという態勢は、占領治下にある日本としても、政府当局においては十分にその心構えがなければならぬと私は思うのであります。この問題について私が非常に考えることは、一朝有事の際において、ただちにこれに対処し得る態勢については、やはり大蔵大臣が一国の国家財政を預つておるという関係において、その財政的処置、いわゆる防空その他の治安維持上の関連において、いかなる予算的な処置をなされるお考えを持つておられるか、これについて所信を承りたいと思います。
  133. 池田勇人

    池田国務大臣 財政上の処置につきましては、私が全責任を負つて行きたいと思うのであります。これはやはり警察予備隊の機構、その他がきまりまして、そして要求のあることであります。その要求につきましては、予備隊等の機構その他につきましても、関係国務大臣は財政の事情は知つておやりになつておると思うのであります。しかし私のところに要求がまだ来ておりません。私はその要求に対しまして、大蔵大臣とし、また国務大臣として、適当なる措置をとる考えでおるのであります。
  134. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そういたしますと大蔵大臣の今の御答弁では、まだ機構もできていないし、別にそういつたような要求もないというような関係から、一朝有事に備える財政的な裏づけ、これは何らなされていないということが、私はここではつきりしたと思うのであります。  次にお伺いいたしたいことは、戰後食糧問題についていろいろ論及されております。本年度輸入食糧につきましても、米換算で三百十六万トンの外国食糧の輸入については、われわれこれに対して反対して来たのであります。ところが過日大蔵大臣も渡米されて、いろいろ打合せをされて来た。われわれの主眼とするところは、この輸入食糧に対する四百五十六億円という厖大な補給金であります。これは日本の現状からいつたならば、非常に高い食糧を外国から輸入して来て、これに対して国民一般から租税を仰いで、これに対する補給金を政府が支拂うというような政策は、農民も消費者も非常に苦しんでおるのであります。私はむしろこの補給金を撤廃する。撤廃するということは、輸入をするからには撤廃できない。ですからこの輸入食糧を最小限度にとどめる必要がある。これは昨年から幾たびか論議されている問題であります。そこで私がお伺いしたい点は、一体日本の食糧事情というもの政府がおつしやられるように、逐次需給関係も緩和されつつあるというようなことから見まして、明年は少くとも大幅に輸入食糧を削減すべきである、そして従来の輸入食料に対する補給金を、私は大幅に農業関係の食糧増産のための公共事業費に充てることが妥当である、こう考えておるのでありますが、大蔵大臣は明年度予算編成にあたつて輸入食糧の大体の考え方、どの程度輸入食糧をお考えの上、予算編成されるお考えであるか、さらに補給金に対してはどういうお考えを持つておられるか、これについてお伺いしたいのであります。
  135. 池田勇人

    池田国務大臣 来年度におきます主食の輸入量につきましては、ただいま私としてはつきり申し上げられません。これは農林大臣からお答えになることが適当だと思います。こういう問題は今年のでき秋の状況あるいは消費の状況等を見て考えなければならない問題でございます。いわゆるインヴエントリー・フアイナンスの問題が起りますが、私は来年度予算編成方針としてこのインヴエントリー・フアイナンスはやめたいという考えを持つておるのであります。これは一般会計債務償還と同じように、もう来年はやめたいという考えを持つております。  それから輸入主食に対する補給金の問題もまつたくあなたと同感です。私は財政当局でありながら米価の高きを望んでおる。これは財政上の問題でなしに、経済上の問題としてできるだけ米は上げなければいかぬという考えを持つておる。そうすれば農家も喜ばれる、あるいは財政支出も少くなり、減税と同じことになるということで、私はこれからの財政計画としては、問題は主食にかかる、そうしてべースをアジヤストすることだと思うのであります。ただいまのところ今年の麦の価格はまだ決定になつていないそうでございます。小麦は大体六十八、九ドルになりまして、国際価格にさや寄せしております。しかし米は従来も言つておりますように、國際市場から申しますと非常に安く、こういつた点からいつても米を上げなければならぬ。この補給金に対する考えは、あなたとまつたく同感であるということを申し上げておきます。
  136. 小平忠

    ○小平(忠)委員 時間も切迫して参りましたので、あと二、三点要点だけ申し上げるのですが、二十六年度予算編成方針の中で見ますと、災害復旧に対する従来の全額国庫負担のこの考え方を廃止をしたいということが列挙されております。これは私は大きな誤りではないか。これは昨日からも論及されておりますが、この問題に関しましては、昨年のシヤウプ勧告の中にも、災害復旧については全額国庫負担で行くべきであるという勧告さえも受けておる、これを急遽変更される理由は那辺にあるか。私は、現在の地方財政の現状から見て、はたして日本財政が災害復旧に対する国庫負担を切りかえて、一部を地方財政にまかなわすというようなことが現実問題として可能であるか。この問題について私は大臣の御所見を伺いたい。  次にもう一点、戰後の日本の復興の最も基盤とし、日本の資源開発の重要な点として北海道の開発があげられ、現に去る国会において、北海道開発法が通過し、北海道開発庁が設置されたわけです。これに対しましては、政府当局も絶大なる御協力を願い、着々進みつつあることは、まことに同慶にたえません。そのような観点から、私はこの北海道の開発について思い切つた、現在日本財政は苦しいけれども、やはり日本の資源、食糧問題、その他の確保の見地から、やはり最大限度の予算をここに確保して、北海道の開発をなすべきである、こう考えるのでありますが、明年度北海道の開発のために、大蔵大臣はどのくらいの予算計上をお考えになつておるか、この二点についてお伺いいたしたいのであります。
  137. 池田勇人

    池田国務大臣 災害の国庫負担の問題でございますが、これはお話通り、シヤウプ勧告案に全額国庫負担を原則とする、こういう勧告がありましたので、二十五年度予算におきましては、一応そういうふうにいたしたのであります。シヤウプ勧告案が出ましてから後に、この問題につきましては、かなりわれわれのところにも異論がございまして、また関係方面でもかなり異論があつたのであります。私はけさも野村地方財政委員長と会談いたしましたが、野村さんも一つ考え方を打つておられる。相当研究すべき問題がありますが、経過から申しますと、シヤウプ勧告案がありまして、地方財政わくが大体きまつた。その場合には、全額負担ということになつておる。一応二十五年度はそれで行こう。あの当時におきまして、これは研究問題だということは、関係方面にもこちらにもあつたのであります。さきの国会におきましても、これは二十五年度限りだということであつたのであります。その後検討いたしました結果、災害復旧を急ぐ点からいつても、また負担区分の問題からいつても、いろいろな点を総合しまして、二十六年度からは昔のように一部負担をしていただくのが、いいのじやないかという考えを私は持つておるのであります。しかしまだ確定した問題ではございません。最近におきまして、シヤウプ博士も来られますので、再度シヤウプ博士のいわゆる地方財政についての検討を願いまして、それからひとつこの問題を話題に上して研究して行きたいと思いますが、実際面から申しまして、私はやはり昔のようなのがいいのじやないかという気持を持つておりますので、一応予算編成方針としてはそういう方針でおります。  北海道の開発計画につきましては、お話通りわれわれはできるだけの力を入れて行くつもりでおります。ただいま問題になつておりますのは、予算要求の形式をどうするかということで議論をいたしておるのでありますが、いずれにしましても、あり余る人口をできるだけ国内で消化する上におきましては、北海道の開発ということは最も重要なことでございますから、できるだけのことをいたしたいと思います。金額につきましては、申し上げる段階に、至つておりません。
  138. 小平忠

    ○小平(忠)委員 時間がありませんので、農林大臣に二、三点まとめて要点だけをお伺いいたしたいと思います。農林大臣は日本の農村の現状を十分御認識されまして、まことに御就任以来実に強力なる農林行政を敢行する意気込みを示されておりますことを、非常にうれしいと思います。ただそこで何でもかんでもあなたの意見と同感である、ごもつともである、これは最善を尽そうということだけではいけないのじやないかと思う。現に日本の農村の現状はそんなものではない。特に農業協同組合の実体のごときは危機に瀕しておると思う。一番大きな問題は、現に農業協同組合が農村経済の中核となつている。その農業協同組合に対して、いかなる手をただちにお打ちになるお考えか。問題はやはり金融的な措置なりあるいは経営刷新なりといろいろやらなければなりません。そういう面において、この農業協同組合の危機突破の観点から、現在の公務員の定員法によりまして与えられた数によつては、なかなか協同組合の指導、刷新はできないのでありますが、農業協同組合の自主的な機関として、指導教育の連合会もできております。これに対しましても、やはり政府が補助するというような行き方はむりでしようが、少くとも政府みずから指導監督をし、協同組合の拡充強化のためになさねばならぬという事業はあるのであります。ところが人がないというようなことにおいて、これは当然その中核となつてつて来たところの農業協同組合の指導教育の機関に対して政府は何らかの方途を講じてもらいたいということは、第七国会においても満場一致決議されておるところであります。このことに関して農林大臣の具体的な御所見を承りたいのであります。特にただいま米価の問題でいろいろ論議されましたが、本年の麦の問題については、米価審議会の、超過供出に対する基本価格の二倍というこの問題に関しまして、大体政府は一・一二倍という線で強く押している。きようの新聞にも一・一二倍で確定したということが出ておりますが、農林大臣は、そうではなくて、二倍の線で押しておるということであります。これは非常に本年の米価その他に関し、また本年の米の超過供出に対するところの価格等についても重大なる影響をもたらす問題でありますので、これが、先ほどもまだ非常にデリケートな問題であるというのでありますが、どういう点がデリケートなのか、その点を一点承りたい。それをもちまして私の質問を打切ります。
  139. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 協同組合についてのお尋ねでありますが、協同組合はまつたくあなたの御指摘の通り、これはどうしても再建させなければならぬのであります。今までの仕事の仕方等を十分私今検討いたしておるのでありまして、これに対する金融的処置また指導的処置を今検討しております。また指導連合会に対してはどういう仕事を与えようか。それによつて指導連合会が十分働けるような方途を講じたいと思つて、今研究いたしております。  それから米価審議会における二倍の倍率の問題ですが、これは最初私が着任前にすでに一・二五というような方針で来ておつたのでありますが、安本の方も了解をしてもらいまして、二倍の倍率にして折衝中であります。これは折衝中ということで御了解願います。
  140. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 小林進君。
  141. 小林進

    小林(進)委員 時間がありませんので、簡單に項目だけ御質問をいたします。きのう不参いたしましたので、あるいは質問がダブりましたら、その点あらかじめ御了承願いたいと思います。  最初大蔵大臣にお伺いしたいのでありまするが、これは参考までにお伺いしたいのであります。二十六年度の納税者の推定総数をお聞かせ願いたいのであります。特に二十五年度に比較いたしまして、職業別にその増減をお聞きしたいと思います。
  142. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま歳入方面は調査中でございまして、数字について申し上げる段階に至つておりません。
  143. 小林進

    小林(進)委員 次は積雪寒冷地帯の減税の問題でありまするが、これもおそらくきのうあたり出たのじやないかと思いまするけれども、本会議場における大蔵大臣の御説明がどうも納得できないので、再び繰返すのでありまするが、私どもの調査によりますれば、積雪寒冷地帯の一般の農業所得は、そうでない地方の所得が、総所得に対する税金が二六%ないし三〇%程度にとどまつておりまするものを、この豪雪地帯に参りますると、農業所得においては五一%から、所によつては八一%まで行つておる、こういう確実な数字をわれわれはつかんでいるのであります。また別な方面から調査いたしましても、戰争前の基準年度をきめて、その当時の豪雪地帯と、でない地方との税金に比較して、現在を見ますると、雪の降らない地方は大体二十五年度で二百三十倍、少い所は百八十倍から二百三十倍の課税になつておる。しかるにわれわれの方の地方に参りますると、その基準年度に比較して、三百四十倍から約四百倍、こういう数字が現われておるのでありましてどの角度から言つても、この積雪寒冷地帯が現在所得に関して一・五倍ないし二倍、よその地区よりも税金をよけいに取上げているということが明らかになつているのでありまするが、もし大蔵大臣の方でこういうような調査をされた、大蔵省の一つの調査表があるなら、ここでひとつお聞かせ願いたい。同時にもしわれわれの言う数字大蔵大臣に承認せられるならば、何らかこれに対して具体的な手を打つてもらわなければならぬと思うのでありますが、この点明確な御返答をお願いいたしたいのであります。
  144. 池田勇人

    池田国務大臣 寒冷地、積雪地帯の所得に対しましての国会の決議等につきましては、承知いたしております。また本会議でお答え申し上げたのでありまするが、この問題点は、所得の多い少いという問題でなしに、同じ所得があつても、積雪寒冷地帯におきましては生活費が相当かさむから、税率その他控除の関係を考うべきではないか、私はこういう御議論であつたと思うのであります。今のお話は私の察するところ、積雪地帯、たとえば東北地方とかあるいは北海道地方がある基準年次に比べて税金が多くなつている。所得税だけをおとりになつておるのか、あるいは酒税等、全般の税をおとりになつておるのか知りませんが、九州地方の税金の伸び方よりも、東北地方あるいは北海道の税金の伸び方が多くなつているから、これは寒冷地帯に重課しておるのではないか、こういう御質問のようであります。従つて私が御質問として想像しておつた問題と違つて来ておるのでありますが、私は積雪地帯、寒冷地帯の所得税の問題は、生活費を多目に見るべきではないか、こういう問題ではないかと思います。この点につきましてはわが国が帯状をなしておりまして、よほど違つておるということも他の国の例とは違うのでありますが、しかし大国になつて参りますると、やはり同じ国内でも生活費の違うところがあるのであります。そういう国におきましても、国税として特別な取扱いをいたしておる例はございません。わが国においては、やつたらいいじやないか、こういうお話でございまするが、所得税を一応見込みまして、そうして寒冷地帶の方は基礎控除を多くするとか、税率を低くするとかいうようなことによつて少くなつたのを、今度は暖かい地方の人に税率を上げてやる、どうこうということになりますと、これはなかなか負担の公平の問題も起つて参りまして、しからば積雪地帶でもどういうふうにそこの間の区別をするか、そこに非常にむずかしい問題があると思います。私は個人個人の生活費が多い少いということを所得税で見るということは、原則的には反対でございますが、事情によりましては検討を加えなければならぬということで、ただいま検討を加えておるのであります。しこうしてお話の材料になりました各地方の分の一定基準年次から比べて税金が多くなつたとか、低くなつたとかという問題は、これはやはりその地方が好況であるかないか、あるいはまた災害があつたかなかつたか、それからどういう特殊的状況か、こういうことを考えなければいかぬと思うのであります。もし所得税ばかりでなしに、ほかの税までもお入れになつてこういう計算をなさると、非常にこれは問題がひねくれて来るのではないかと思います。たとえば東北と四国と比べましたりして、あるいは酒税が非常に多くなつた場合は、東北は税金が多くなりますから負担がかかる。しかし東北でつくつた酒は東京で消費するので、税金は東北から上つても、これは相当部分が東京で消費されるということになつて参りますると、今の点は所得税だけでおつしやつておるのか、全体の税金かはつきりわかりませんが、それだけで今の寒冷地帶の所得税の問題を論ぜられるのは少し飛躍しておるのじやないかと思います。
  145. 小林進

    小林(進)委員 今申し上げました総所得に対する課税は、確かに私は地方税をも含めた構想を言つておるのでありまするから、その点大蔵大臣の御説明も一応納得ができまするが、積雪寒冷地帶等に対する所得税の減額の点を、生活費を引いてくれというふうに解釈をされているようでございまするが、むろんわれわれは特別生活費がかかりますから、それを差引いてもらいたい気持が主たる希望であります。けれどもこの前の本会会議場でも言われた、その必要なる経費、いわゆる必要経費というものがあつて、それでバランスをとつているじやないかという御説明でありましたが、われわれはこの必要経費の差引についてもはなはだ不公平があることを幾多の面で証明できるのであります。ただその時間がありませんので、簡單に申し上げますが、その一つの例を申しあげますと、たとえて言えば、二毛作地帶あるいは九州、中国地方、ここら辺では、農業に機械あるいは畜類を非常に使つてつております。これがもうほとんど普通であります。ところが單作地帶や雪のある地方へ行きますると、たんぼの素質が違いますから、機械や畜類というものが使用できない。自家労力だけであります。ところがこの必要経費の控除の場合になりますと、こういう機械や畜類というものはいわゆる必要経費になつておる。所得の中から差引かれる。こういうものを使えないところの單作地帶や豪雪地帶あるいは寒冷地帶というものは、自家労力だけで何も必要経費で引いてもらうものはないのであります。だからもし必要経費というものを公平に考えられるならば、当然自分の体力を機械のかわりに注入して働いている農業者諸君のこの体力の消耗、労力というものも当然自家労力で私は引いてもらわなくちやならない。そういうところにいわゆる総所得に対する納税額の不均衡が生れて来るのであります。これは一例でありますが、その他幾つも必要経費の控除の問題があります。こういう点について何かひとつ行政的に大蔵大臣考えていただく余地が私は十分あると思うのであります。いま一度これに対する御答弁を願いたいと思います。
  146. 池田勇人

    池田国務大臣 所得の計算上、必要なる経費は控除することになつております。しかしお話の点は、自分の労力を必要経費として控除する、こういうことは私は所得税で各国にその例を知らないのでございまして、なかなか困難な問題ではないかと思います。たとえば——これは例がよくありませんが、よく働いてもうけた人は、普通の人よりも努力しているのだから基礎控除をかえたらどうか、こういう問題にまで波及して参りまして、私は必要経費の控除という問題は十分考えなければなりません。自分が人一倍働いたから基礎控除を別に設けよということになると、これは寒冷地だけではなくて、同じようなことが、暖かい国でも起つて来るのじやないかと思つておるのであります。
  147. 小林進

    小林(進)委員 どうもこの問題については、まだ大蔵大臣に十分御理解をいただくことが困難と思いまするが、時間がありませんので次に移ります。  平衡交付金の交付については、これは地方自治庁長官がお見えになつておりませんので、その前の約言を再確認するには至つておりませんけれども、平衡交付金において、この積雪寒冷地帶と他の一般の地区との格差をつけるということは、しばしば言明されておるのでありまするが、この二十五年度の平衡交付金においてどれだけの差額をつけていただきましたか。大蔵大臣にお聞きしたいのであります。
  148. 池田勇人

    池田国務大臣 私の所管でございませんので、こまかい数字は存じておりません。
  149. 小林進

    小林(進)委員 農林大臣にも御出席を要求いたしたのでありますが、ちよつとお呼びを願いたいと思います。その間大蔵大臣にお聞きいたしたい。おそらくこれもきのうあるいは質問が出たのじやないかと思いまするが、二十六年度のこの予算編成の中に、公共事業費がどれだけ含まれておるか。その中で農業関係経費がどれだけか。特にその中で土地改良費がどれくらい予定されておるかということをお尋ねしたいのであります。
  150. 池田勇人

    池田国務大臣 まだ各省からの要求が出ておりませんので、数字を申し上げる段階に至つておりません。
  151. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 小林君に申し上げますが、農林大臣はただいま本会議の方に行かれております。実はあなたの当初のお申込みがなかつたものでありますから、その間の連絡等において欠くるところがあるかとも思いまするが、いかがでございますが、大体今まで類似の御質問で、大蔵大臣に対するところの質問はかなり問題をついておるのでありまして、この際重複を避けるということは、本委員会の趣旨で申し合せておることであります。あなたの持ち時間ももう終つておるようなわけでありまするから、大蔵大臣だけに対して御質問つて、この程度にされてはいかがでしようか。
  152. 小林進

    小林(進)委員 緊急なる問題がお聞きしたかつたのであります。それでできれば呼んでいただきたいのでありますが、できなければむりを申し上げません。それではしかたがありませんので、いま一点だけ大蔵大臣にお聽きして、時間がありませんので終ることにいたします。  米価の決定の問題については先ほどから質問がありましたので控えますが、米価が幾らに決定せられるといたしましても、われわれは希望価格がありますが、現在の米価に比較いたしましても、一升四十二円五十銭という価格で取上げられて、消費者の方へ六十三円で来る、その中間が二十円の開きがある。こういうことでありますると先ほどから生産費あるいはパリテイーを何らかの形で上げろという要求——大蔵大臣も米価を上げるということに非常に賛成せられておりますが、一方消費者の立場から見ますと、このままで中間の一升について二十円という独立採算制といいますか、機構といいますか、これがあります限りは、消費者の立場では非常に泣かなくてはならぬ。でき得べくんば生産者価格を上げて、そして消費者価格を生産者価格にさや寄せして、われわれに配給していただくという形をとつてもらわなくてはならないと私は思うのでありますが、これには現在独立の採算制を廃止して、あるいは大蔵省で価格差補給金といいますか、何らかの補助金を出していただくというようなお考えがあるかないか、あるいはその他何か適当な方法をお考えになつておるかどうか、これは大蔵大臣にお聞きしたいのであります。
  153. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知通り、生産者価格と消費者価格の間には相当の開きがあるのであります。この原因は超過供出に対する報奨金、あるいは早場米の奨励金が相当の差額の役割を演じておるのでありますが、倉敷料あるいは運搬費また包装費等が相当にかさんでいるのでありまして、こういう差額をできるだけなくするようにしなければならないと思うのであります。しかしてただいま生産者価格と消費者価格に対しまして、国家が補助をして、消費者価格を上げないようにしたらどうかという問題でありますが、私はただいまのところこれに対して補助金を出すという気持は持つておりません。差額を少くして消費者の消費価格を引下げることにつきましては十分なる努力をしなければなりませんが、補助金を出すというとこうまでは考えていないのであります。
  154. 小林進

    小林(進)委員 先ほど農村金融金庫というものをつくりたいという農林大臣の御答弁でありましたが、実はこの問題は去年から繰返されていた問題でありまして、たしか大蔵省にも農林官僚の手を通じて農村金融金庫の施設に関する何かの下相談があつたように承つているのであります。これに対しまして大蔵省は、先ほどもしばしば言われた輸出金融金庫という方に、もつぱらこちらの方の金庫の設立に対しては非常に熱意を示されて、二十六年度の計画の中にもちやんと含まれているようでありますが、この農村金融金庫、あるいは中小企業の金融金庫、こういうものに対しては何ら大蔵省としての動きがありませんので、どうも大蔵大臣は農村問題には少しも熱意をお持ちになつていないというような感じを受けておりますが、これに対して大蔵大臣の知られる範囲でひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  155. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま農林大臣は研究中と言つておりますが、私は農林金庫というものについての案はまだ承つたことはございません。私の考では新たに金庫を設けましても、なかなか実際問題としてはむずかしいと思うのであります。農林金庫をおつくりになりまして、金を出すときどこから金を集めるかという問題であります。私は今の農林中央金庫を育成発達せしむれば相当の効果が上げ得る、また片一方中小金融の立場から金融債を発行する勧銀とかあるいは北拓等を利用して行けば、これが大分役立つのではないか、こういうようなことを言つているのであります。特殊の金融金庫を設けたからといつて、すぐ金融が円滑になるのではないのでありまして、なるべく一元的にこういうものは中心を置き、そしてその補助で、機関で補つて行くという方法がいいのではないかという気持を持つております。
  156. 小坂善太郎

    ○小坂委員 これにて通告の発言は全部終了いたしました。     —————————————
  157. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 この際閉会中の審査に関してお諮りいたしたいと存じます。第八回国会も間もなく会期終了することとなりますので、閉会中におきましても、委員会の機能を十分発揮するため、審査事件として、一つ予算制度に関する件。一つ予算の執行状況、調査の件の二点について、これに関連のある各般の調査を行いたいと存じます。両件は委員会としては最も重要なる調査事件と認められますので、議長までこの旨申出たいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  なお閉会中委員会開会の日程、小委員会設置の場合の員数、あるいは調査の方法等に関し委員派遣等の必要あるときは、その派遣班の編成、人員その他諸般の手続委員長理事に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御異議なければ、さよう決定いたしします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十七分散会