○藥師神岩太郎君 ただいま
議題となりました
住宅金融公庫法の一部を
改正する
法律案に関し、建設
委員会における
審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず
政府の議案
提出の
理由及び
法案の
内容を御説明申し上げます。
住宅金融公庫の役職員は、公庫法第十六條の規定により、国家公務員として、国家公務員法の適用を受け、服務、給與その他すべて他の国家公務員と同様に取扱われておるにもかかわらず、恩給法のみが適用されず、はなはだ不均衡のうらみを免れなかつたのであります。しかして公庫の役職員の中には、現に恩給法上の公務員から、転任により出向を命ぜられた者が少くないのでありますが、これらの者は恩給法上の権利を失うことになり、公庫の人事運営の上にきわめて困難な状態を生じているのであります。従いまして、住宅金融公庫成立の際において、恩給法上の公務員または公務員とみなされて恩給法の適用を受けている者が引続いて公庫の役職員に転任した場合には、これらの者に恩給法を準用して恩給を支給できるように
措置せんとするものであります。
次に住宅金融公庫の共済組合につきましては、公庫法第三十九條により国家公務員共済組合法が適用され、單独の共済組合を結成できる建前にな
つておりますが、公庫の役職員はわずか百五十名の少数であり、單独の組合では組合員の掛金を
相当高率にしなければ收支が償えず、これでは共済組合本来の目的に沿いがたい結果となりますので、公庫の役職員を建設省共済組合に加入し得るように
措置せんとするものであります。
本
法案は、去る七月十九日、本
委員会に付託され、
委員会は、ただちに
政府当局より
提案理由の説明を聽取いたしました後、引続き熱心なる質疑応答を行つたのであります。
質疑の第一点は、恩給法の適用を受けていた者が公庫に入つた場合にのみ恩給法の適用が認められるが、新規に公庫へ採用された者に対してその恩惠が與えられないとは、その間に不均衡を生ずるおそれがないかという点であります。これに対しては、根本的な問題は近く予想される恩給法
改正の際に考慮することとし、
日本国有鉄道、
日本專売公社等の前例に準じて、少くとも今まで恩給法の適用を受けていた者だけでもその権利を継承せしめんとする
措置であり、また恩給法の適用を受けない者が退職した場合には共済組合より退職金が支給されるために、事実上恩給を受ける者との間にさほど大きな懸隔を生じないはずであるという答弁でありました。
質疑の第二点は、かかる
改正は元来恩給法そのものを
改正すべきであるのに特に公庫法の
改正によつた
理由いかんという点であります。これに対しては、本来は恩給法の
改正をまつべきであるが、本
改正を早急に行うことが、人事の交流を円滑にして人材を集めるためにも必要な
措置であり、
日本国有鉄道法や
日本專売公社法の前例もあるので、便宜上とりあえず公庫法の
改正をお願いしたものであるとの答弁でありました。かくて
討論に入り、
日本共産党を代表して砂間一良君より恩給法の適用を受け得る者と得ざる者との問に不公平を生ずる点等より
反対の
意見が述べられ、次に
自由党、
国民民主党、農民協同党の三党を代表して田中角榮君より
賛成意見が述べられ、また
日本社会党を代表して前田榮之助君より、恩給法の
改正を促進されたき旨の希望
意見を付して
賛成の
意見が開陳せられました。
次いで採決に入り、多数をも
つて本
法案は原案
通り可決と決しました。
次に、ただいま
議題とな
つております、
田中伊三次君外十六名提案の
京都国際文化観光都市建設法案、並びに
東井三代次君外十五名提案の
奈良国際文化観光都市建設法案につきまして、建設
委員会における
審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
両
法案は七月二十一日同時に
提出され、しかもその
内容においてまつたく同一のものでありますので、本
委員会におきましては、両
法案を一括して
審査をいたした次第でございます。
まず京都国際文化観光都市建設法でございますが、本
法案の要旨といたしまするところは、京都市が、明媚な風光と、
わが国の歴史、文化等を正しく理解するために欠くことのできない多くの文化財を保有し、世界において歴史的、文化的、美術的に重要な地位を有することにかんがみまして、これら文化観光資源の維持、開発、あるいはこれに伴う文化観光施設を整備し、同市を国際観光都市として建設せんとするのであります。しかして、その建設計画並びに事業については都市計画法を適用するとともに、国際文化観光都市としての性格にかんがみて特に文化観光保存地区あるいは緑地地域の指定をなすことができることとし、事業の執行は京都
市長がこれに当ることとな
つております。さらに本事業に対する特別の助成として、普通財産の讓與の規定、あるいは国、
関係地方公共団体の援助の規定があります。なお本
法案は、憲法第九十五條により京都市の住民投票に付するものとしてあります。
本
委員会におきましては、七月二十二日、提案者より提案の
理由を聽取いたし、引続き質疑を行つたのであります。
次に質疑応答の主要なるものについて申し上げますと、第一に、文化観光保存地区の規定は、現在都市計画法による風致地区、文化財保護法による環境保全地域の規定があるから、これで十分ではないかという質疑に対しては、文化観光資源あるいは文化観光施設を保存するには、都市計画法、文化財保護法のみにては十分でなく、この規定によ
つてその完璧を期したい旨の答弁でございました。
第二に、観光施設は特定外国人に対するサービスに終始し、勤労大衆がこれを利用し得ないことになるのではないかという質疑に対しては、特定外国人に限られることはない、さらに観光施設も
国民大衆を
対象とする健全なものより先行したい旨の答弁でございました。
第三に、かかる国際観光都市建設に関する特別法は、これらを総括する一般法として立法すべきであると思うが、その準備なきやという質疑に対して、建設省当局より、国際観光都市建設法なるものについては現在考えていないが、都市計画法の
改正にあた
つては観光に関する規定を挿入する予定であるとの答弁でありました。
次に
奈良国際文化観光都市建設法案について御報告申し上げます。本
法案は、ただいまその要旨を説明いたしました
京都国際文化観光都市建設法案と、その
内容においてまつたく同一であり、
従つて質疑応答の
内容もほとんど同一でありますので、重複を避けるため、
法案の要旨並びに質疑応答につきましては省略いたすことといたします。
以上二
法律案は、七月二十二日質疑を終了し、
討論を省略して、ただちに採決に入りましたところ、多数をも
つて両
法律案は原案
通り可決いたした次第でございます。
以上、簡單に御報告を終ります。