運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-22 第8回国会 衆議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十二日(土曜日)  議事日程 第六号     午後一時開議  第一 証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 日本製鉄株式会社法廃止法案内閣提出)  第三 土地家屋調査士法案法務委員長提出)  第四 鉄道公安職員職務に関する法律案法務委員長提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  四国淡路総合開発並びに本土連絡路線建設促進に関する決議案生田和平君外四十七名提出)  日程第一 証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 日本製鉄株式会社法廃止法案内閣提出)  日程第三 土地家屋調査士法案法務委員長提出)  日程第四 鉄道公安職員職務に関する法律案法務委員長提出)   地方税法案内閣提出)     午後一時二十五分開議
  2. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、生田和平君外四十七名提出四国淡路総合開発並びに本土連絡路線建設促進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  4. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  四国淡路総合開発並びに本土連絡路線建設促進に関する決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。生田和平君。     〔生田和平登壇
  6. 生田和平

    生田和平君 ただいま上程になりました四国淡路総合開発並びに本土連絡路線建設促進に関する決議案理由を御説明申し上げます。  まず決議文を朗読いたします。   四国淡路総合開発並びに本土連絡路線建設促進に関する決議案   わが国復興自立経済確立のためには、国土資源開発が絶対的に必要であるが、西日本における最大の未開発資源地帯たる四国が、位置的にはわが国中心にありながら、その交通上の不便さのために、空しく放置されていることははなはだ遺憾である。   よつて政府は、四国の豊富な天與資源を充分活用するために、速やかに総合的、科学的開発施策実施するとともに、特に、その開発基本的先決要件たる交通施設、なかんずく鉄道については、島内はもちろん、本州との連絡路線緊急整備を計るべきである。   右決議する。  次に四国開発とその現状について申し上げますと、戰後のわが国は、その内外の状況から見て、その復興自立経済確立のためには、国土資源開発が絶対に必要であります。西日本における最大の未開発地帯である四国は、人口に対して土地も広く、林産、鉱産、海産、水力等資源がきわめて豊富であります。また位置的にはわが国中央に近く、なかんずく経済中心地阪神地方に隣接しながら、未開発のまま、むなしく放置されておるのは、島内開発用鉄道及び本土連絡路線等交通設備の不備に基因するものであります。すなわち、四国における国有鉄道の開通しているものは約七百五十キロでありまして、わが国のいずれの地方よりも鉄道分布状態は恵まれていないのであります。また本土との連絡は、宇高連絡航路が貨客を直送するのみでありまして、他は貧弱な汽船によつて連絡している状態であります。特に豊富な林産水力電気開発が十分でない現状であります。また淡路島本土四国の間に横たわり、直接阪神地区に接しておりますが、ただゆたかな桃源境として眠つているのは、その連絡交通に惠まれていないからであります。  第二には、本土四国連絡鉄道の必要なことであります。すなわち四国は、現在国営または民営による連絡船をもつて運輸交通を行つておりますが、その主要交通の大部分は阪神及びその以東であります。淡路島並び四国資源開発の面からここに連絡鉄道を敷設し、いわゆる四国循環鉄道幹線及び豊富な資源開発線を建設いたしますならば、運輸連絡並びに資源開発上新紀元を画し、日本の今後の再建に寄與するとともに、うず潮さかまく鳴門海峡一帯瀬戸内海国立公園に、観光客誘致の点も見のがすことができないのであります。第三は、連絡鉄道構想でありますが、この鉄道は、山陽本線より分岐して、海底トンネル明石海峡を横断し、淡路島の東海岸を南下、洲本市に至り淡路交通電車線に接続いたしまして福良町に至り、門崎の突端と鳴門公園の孫崎に至る鳴門海峡橋梁もしくは海底トンネルをもつて横断して、撫養線の終端に連絡するのであります。この構想に基く大計画の実施は、次の二段階にわけられるのであります。第一期工事は岩屋、洲本間約三十二キロに鉄道を新設し、淡路島内の縦貫電車線を完成いたしますとともに、明石、鳴門両海峡には暫定的に連絡船を就航せしめることであります。第二期工事は、明石海峡海底トンネル約十四キロとし、鳴門海峡橋梁約千三百メートルもしくは海底トンネル約十キロによつて本土四国間に鉄道を連結するのであります。  第四は鳴門海峡橋梁の設計でありまするが、中央径間五百五十メートルないし六百メートル、総延長は千三百メートルの大橋梁となりますが、現在カナダのセントローレンス河に架設せられてありますゲルバ型ケベツク橋は、中央径間五百四十九メートル、総延長は七百五十メートルでありまして、一九〇三年に完成いたしておりますが、この橋梁は世界的に著名なものであります。この連絡鉄道鳴門橋梁は、これをしのぐ大橋梁となる見込みであります。  次に第五は宇高連絡航路との距離の比較でありますが、現在のおもなるものは宇高連絡航路でありますから、今大阪徳島間としては、淡路島経由連絡鉄道と比較いたしますと、距離ははなはだしく迂回路であつて大阪徳島間が約三百二キロに対し約百三十五キロとなり、しかして約百七十キロの短縮となるのであります。時間的には、普通列車で約九時間半を要しますのが、わずか三時間半となり、距離においても、また時間的にも半分以下になるのであります。また大阪高知間を比較いたしましても、距離約九十五キロ、時間も四時間あまり短縮せられます。従いまして、この連絡鉄道を介して四国全島交通輸送能力を著しく高め、特に徳島高知を含む東部地方に対する効果はきわめて大なるものがあると信じます。またこの連絡鉄道及び四国循環鉄道の完成に伴い、列車運転においても、東京あるいは大阪方面より四国一周直通運転も考えられるのであります。すなわち、東京発高知または宇和島行直通列車運転も実現せられるのであります。  以上申し述べました通りでありますから、政府は、この四国の豊富な天與資源を十分活用いたしますために、すみやかに総合的、科学的開発施策実施するとともに、特にその開発基本的先決要件である交通施設、なかんずく鉄道については、島内はもちろん、本州との連絡路線緊急整備をはかられんことを、一府五県一千万国民の総意を受けて、われわれがここに本案提出いたしました次第でありますから、何とぞ本決議案を満場一致御採択あらんことをお願いする次第であります。  以上をもつて説明を終ります。(拍手
  7. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案可決いたしました。  この際政府から発言を求められております。これを許します。建設大臣増田甲子七君。     〔国務大臣増田甲子七君登壇
  9. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 政府におきましては、わが国総合国土開発必要性をつとに痛感いたしておりまして、さきの国会において国土総合開発法の御制定をお願いいたした次第でございまするが、ことに御決議内容である、西日本最大開発資源地帶である四国総合開発には、御決議の御趣旨にのつとつて財政の許す限り特に力を傾倒いたして参る所存でございます。(拍手
  10. 岩本信行

  11. 關谷勝利

    政府委員關谷勝利君) ただいま四国淡路総合開発並びに本土連絡路線建設促進に関する決議案可決されましたが、運輸当局といたしましても、国土開発実施には交通施設整備が最も急務であると考えます。御決議趣旨にかんがみまして、具体的方策については、とくと調査研究を進めて参りたいと存じます。(拍手)      ————◇—————
  12. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第一、証券取引法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員長夏堀源三郎君。     〔夏堀源三郎登壇
  13. 夏堀源三郎

    夏堀源三郎君 ただいま議題となりました証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法案の要点を申し上げますと、その第一点は、証券業者資産内容の充実をはかる必要があること、及び現在の登録拒否條項だけでは、従来の実績に徴し、場合によつては、かえつて投資者保護に欠けるおそれがある点にかんがみまして、この際、従来の登録拒否條項のほかに、登録申請者資本金額または資産の額について、証券取引委員会が公益または投資者保護のため必要かつ適当であると認めて、証券取引委員会規則で定める額に満たないものに対しては、証券業者登録を拒否することとしたことであります。  その第二点は、営業保証金につきまして、現行法国債証券をもつてこれに充てることができることとしているのでありますが、国債証券も相当に償還されましたので、国債証券のほかに、今回新たに地方債券、特別の法律により法人の発行する債券または社債券を加えることとしたことであります。  この法案は、七月十九日、本委員会に付託され、同二十日、政府委員より提案理由説明を聽取し、同二十一日質疑に入り、熱心な質疑が行われたのでありますが、その詳細の点につきましては速記録に讓ることといたします。  次いで質疑を打切り討論採決に入りましたところ、高田委員共産党を代表して、本法案大衆投資者保護とならないことを理由として反対の意を表せられ、小山委員自由党を代表して大衆投資者保護を厚くするため当然の改正であるとて賛成の意を表せられ、宮腰委員国民民主党を代表して、将来における認可制または許可制実施等希望條件を付して賛成の意を表せられ、田中委員社会党を代表して、改正点については消極的効果しか期待できないが、大衆投資家保護のため賛成の旨討論せられました。  次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  14. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  16. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第二、日本製鉄株式会社法廃止法案議題といたします。委員長報告を求めます。通商産業委員長小金義照君。     〔小金義照登壇
  17. 小金義照

    ○小金義照君 ただいま議題となりました日本製鉄株式会社法廃止法案の、通商産業委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  日本製鉄株式会社法は、昭和八年、第六十四回帝国議会において成立し、翌九年、官営製鉄所中心といたしまして日本製鉄株式会社が設立せられたのでありますが、過度経済力集中排除法及び企業再建整備法に基く決定指定により、日本製鉄株式会社は本年三月末日をもつて解散し、第二会社が発足するに至つたため、日本製鉄株式会社法はその存続の意義と理由とを失つたのであります。しかしながら、なお若干の処理を要する事項が存在するため、日銭法廃止すると同時に、これら必要なる経過的措置を規定し、もつて円満なる処理をはからんとするのが本法案要旨でございます。  本法案は、七月十二日、本委員会に付託せられ、十五日に提案理由説明を聽取し、十九、二十日の両日にわたりまして、委員政府当局との間において活撥なる質疑応答が展開されました。その詳細につきましては会議録を御参照願いたいと存じます。  一昨二十日質疑を終了し、昨二十一日討論に入りました。自由党を代表して小川平二君は、日鉄法廃止とこれに伴う経過的措置として退職金の件と、暫定的に一般担保制度を存続せしめる件は賛成であるが、ただ諸般事情がほとんど円満に解決されているにもかかわらず、製鉄所共済組合年金の増額の件のみが未解決であることは残念である、しかし審議の際における大蔵省及び通商産業省当局の答弁を信頼してすみやかなる解決を望むとの発言がありました。次に国民民主党を代表して高橋清治郎君は、諸般事情より見て賛成するとの発言があり、日本社会党を代表して今澄勇君は、わが国鉄鋼政策に関する政府の強力なる指導と保護助成を強く要望して、本法案はやむを得ざるものとして賛成する旨の発言がありました。さらに農民協同党小平忠君は、基本的には反対であるが、警告付をもつて法案賛成せられ、最後日本共産党を代表して田代文久君は、政府鉄鋼政策無為無策であるとの理由により本法案に強く反対するという論旨を述べられました。  これにて討論を終りまして、ただちに採決に入りましたところ、多数をもつて可決すべきものと議決いたした次第でございます。  右御報告申し上げます。(拍手
  18. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。田代文久君。     〔田代文久登壇
  19. 田代文久

    田代文久君 私は、日本共産党を代表して、本日鉄法廃止法案に対しまして反対の意見を述べるものであります。  私が申し上げるまでもなく、日本鉄鋼政策には二つの重要なる基本線があるのであります。すなわち、まず第一番に、この基幹産業でありまする鉄鋼産業は徹底的に自主性を保持しなければならないということ、第二番目には、あくまで平和産業として発展しなければならないということであります。これは衆目が一致した政策でありますにもかかわらず、今までとりました政策並びに現在とられつつある政策というものは、この重要なる二つ政策に相反する方向をとりつつあるのでありまして、この日鉄法廃止法案自体というものが、それをはつきり裏づけいたしておるのであります。  こういう意味におきまして、われわれは反対するのでありますが、その細部について申しますと、日本製鉄産業は、民間の個人的な力によつて発展したのではなく、われわれ国民の血税によつて保護育成され、とにもかくにも現在まで参つたのであります。そういう状態であつて、アメリカやイギリスなんかの製鉄産業違つた性格を持つている。そういう産業に対しまして、昭和初年におきましての不況時代に、他の民間鉄鋼産業がやつて行けなくなつた。どうにかやつてもらいたいというので、官製の製鉄所にこれが合流いたしまして、そうして日本製鉄株式会社法なるものができ上つて来たのでありますが、これは明らかに民間産業をわれわれ国民の手によつて助けて来たのであり、われわれ国民は、あくまでもこれを国家的な見地から育成して参つたのであります。  しかるに、過ぐる第六国会におきましては、日鉄法の一部を改正するという法律案が上程されました。そうして、政府が持つておりました過半数の株式を一般民間に拂い下げるという手が打たれたのであります。それほどわれわれ国民の血のかたまりでつくられました重要な財産というものが、民間に二束三文で拂い下げられるという形になりましたことは、これは日本基幹産業に対する自主性なるものを一部武裝解除するという形態に持つて行かれたことなのであります。  ところが、今やこの日鉄法廃止されることになりましたということは、今まで外国資本家並びに外国人というものは日鉄株を所有することはできなかつたのが、この廃止によりまして、外国人が自由にこの日本基幹産業に対してその株を所有することができるという事態になつたのでありまして、ここに日本重要産業外国大賢本に対する隷属という形がはつきり現われつつあるのであります。  すでに御承知のように、こういう日本重要産業外国への隷属政策というのは、過ぐる第六、第七国会におきましても、商法の一部改正であるとか、あるいは帝石法の一部改正廃止というような形になりまして、続々と外国資本家のために、これらの巨大資本家のために、そうして日本の大資本家のために道が開かれて参つたことは、すでに皆さん方が御承知通りであります。(拍手)そうして今ここに、最も決定的に重要なる製鉄産業が、外国資本のためにまる裸にされてしまつたのであります。かくのごとき日本製鉄産業に現われましたる不利というものが、実際におきましてわれわれの前に、日本国民経済上における嚴然たる不利な形となつて現われておるのであります。  日本鉄鋼は、そのコストにおきまして、ベルギーあるいはドイツ、米、英にはとても太刀打ちができないことは、皆さん方が御承知通りであります。日本製品の六、七割から十割ぐらいは向うが安い。そういう事態になつておりまして、どうしてもこうしても真劍に平和産業の発展としてコスト切下げをやらなければならないにもかかわらず、一トン十ドルで買える開らん炭、こういうものの輸入を押えて、十七ドルから八ドルもするというような高い米英の石炭を買う。こういうことによつて、どうしてコスト切下げが可能であるか。すなわちこれが、日本政府がとつておりまするところの、日本の国を危うくするところの、特定国隷属させるところの具体的な経済的な現われであります。(拍手かくいたしまして、高い原料を買わされ、またその製品採算割れによつて維持されるという形態に持ち込まれつつあるのであります。この政府のとつております、大資本家のとつております合理化なるものは、実は労働者大衆に対するところの労働強化、低賃金あるいは首切りという以外には何もないということを、はつきり示してあるものであります。  第二番目の問題といたしましては、かくのごとく平和産業として発展させなければならないところのこの製鉄産業は、今や戰時態勢に切りかえられ、軍需生産目標として着々と進みつつあるという嚴然たる事実であります。吉田総理の、現在の朝鮮事変なるものは日本に対して好影響を及ぼすというような言葉を新聞が報じておりますし、また国連協力するということを本国会におきまして明言いたしました。ところが、野党各派の追究に対しまして、国連への協力ということは單に精神的なものであるということで逃げたのでありますけれども、国連への協力は單なる精神的な協力ではなくして、実は明確なる物質的な裏づけを持つておるということが、はつきりわかつたのであります。  数日前の通産委員会におきましてこの朝鮮事変日本鉄鋼産業の将来の見通しに対し、政府鉄鋼政策はどうであるかというわれわれの質問に対しまして、首藤政務次官は、吉田首相のその発言通り、われわれは特殊物資の需要に対しましては徹底的にマツチして、生産に支障を来さないようにやるつもりであるということを明言いたしました。われわれは、そういうことを言うなら、爆弾を要求されても、あるいはその他の戰争用具を要求されても、どんどん日本はつくるのであるかということを申しますと、とにかくいかなる問題であるにしろ、そこに利益があるならば、これをどんどん生産するのであるということを答弁いたしたのであります。
  20. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 田代——田代君に申し上げます。議会の慣例もありますので、時間が参りましたから簡潔に願います。
  21. 田代文久

    田代文久君(続) 今や現在の政府資本家は、朝鮮の内乱に便乗いたしまして、中小平和産業を犠牲にし、大資本家に対して荒かせぎをやらせるという政策をとりつつあるのであり、内外の大資本家は、その手によりまして、戰争態勢日本産業を切りかえつつあるということを、はつきり申上げることができるのでございます。(拍手)その目標は、軍需生産をその中心的な目的とするという形が今や明確に現われておるのでございますけれども、これは憲法でわれわれが決定いたしました、あくまで平和国家として日本を持つて行くという、その平和体制への方向とは徹底的に反対方向をとつておるものであり、また朝鮮解放軍統一運動に対する妨害行為であるということをいわざるを得ないのであり、平和産業自主性、そうして日本の幸福を根本的に破壞するものであるということが言えるのであります。(拍手最後に、かくのごとき状態日本鉄鋼産業を持つて行つたこと自体というものが鉄鋼労働者諸君退職金をきわめて不利にしておるのであり、現在日鉄労働者兄弟諸君が、二十五年間働いてわずか十一万そこそこしかもらえないというような、ばかげた退職金制度であります。われわれは、二十五年間も働きますならば、少くとも三十五万円以上は最低保障してやらなければならないということを決定的に主張するものであり、かくのごとき意味におきまして、私は日本共産党を代表し、本法案に徹底的に反対するものであります。(拍手
  22. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  24. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第三及び第四は委員長提出の議案でありますから、委員会審査を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。  日程第三、土地家屋調査士法案日程第四、鉄道公安職員職務に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。法務委員長安部俊吾君。     〔安部俊吾登壇
  26. 安部俊吾

    安部俊吾君 ただいま議題となりました土地家屋調査士法案及び鉄道公安職員職務に関する法律案について、一括して提案理由を簡單に御説明申し上げます。  まず土地家屋調査士法案につき御説明いたします。  御承知のように、今回税制改革の一環として地方税法改正が行われるようになつておりますが、それに伴いまして土地台帳法等の一部を改正する法律案政府より提出され、目下当法務委員会において審議いたしておる次第であります。それによりますと、従来税務署で取扱つておりました土地家屋台帳事務登記所に移管し、台帳事務登記事務との間に手続上の簡素化をはかろうとしておるのであります。従つて土地台帳及び家屋台帳の記載は、不動産登記目的たる諸権利の基礎となる事実関係を示すものとして、その正確性が特に要請されることとなりました。よつて土地台帳及び家屋台帳登録につき必要な土地または家屋に対する調査測量並びに申告手続が的確に行われるかいなかは、国民の権益並びに国家経済にもきわめて重大な関係を有するのであります。従いまして、これらの調査測量及び申告手続業務とする土地家屋調査士に関しまして、新たにその業務範囲、資格、試験、業務執行の方法、懲戒、罰則等を定める必要があるのであります。以上が本法案要旨並びに提案理由の概要であります。  さて法務委員会におきましては、小委員会を設けてこれが立案に当り、七月二十一日、小委員会の成案を得、当法務委員会におきまして、全会一致をもつて委員会提出法律案と決定いたした次第であります。  次に鉄道公安職員職務に関する法律案について御説明申し上げます。  御承知通り犯罪の激増は最近における顯著な一般的傾向でありますが、日本経済の動脈ともいうべき鉄道に関する犯罪も近来急激に増大し、昨年度についてこれを見ましても、年間実に四十二万件の多きに達し、しかも府県にまたがる集団的凶惡犯罪、あるいは鉄道に関する知識を利用した大規模な知能犯なども、その数必ずしも少しとしないのであります。実に憂慮すべき現状にあるのであります。鉄道公安職員は、特にこの数年来十分な訓練を受け、旅客公衆の秩序維持、迷子、家出人の保護を初め、荷物事故の防止や鉄道施設の警備、犯罪防止に至るまで、多大の危險を冒しながら、日夜鉄道における治安の維持に当つて参つたのでありますが、その犯罪捜査の権限は、従来單に列車及び停車場における現行犯の逮捕だけに限られている関係上、十分にその職務を果すことができない状態にあつたのであります。従つて、今日鉄道治安の維持に欠くるところ、すこぶる大なるものがあるのであります。そこで本法案は、鉄道犯罪の特殊な性格に応じ、日本国有鉄道公安職員の捜査上の権限を合理的に調整して捜査の能率化をはかり、警察機関との協力のもとに鉄道治安の万全を確保し、輸送の機能を十分発揮せしめて国家再建の一助たらしめようとするものであります。  以下、本法案の要点を簡單に申し上げますと、第一に、鉄道公安職員は、列車、停車場その他日本国有鉄道の施設内に発生した犯罪及び運輸業務に関する犯罪について、非現行犯であつても捜査ができることといたし、またその捜査は、刑事訴訟法に規定する捜査の規定に準じてこれを行うことといたしました。第二に、鉄道公安職員の捜査は鉄道の施設内においてのみ行われるものとし、鉄道公安職員と警察職員とは、その職務遂行にあたつては互いに連絡協力すべきものといたしました。第三に、鉄道公安職員は、幾多の凶惡犯と取組み、また重要な隧道、橋梁、発電所等を警備するにも、ほとんど空手でこれに当る等、その職務の性質上常に危險にさらされている現状でありますから、その職務を行うにあたり小型武器を携帶使用することができるようにいたしました。以上が提案理由及び法案要旨であります。  さて本法案は、張る第七国会以来、法務委員会において小委員会を設け、引続き審査検討を続けて参つたものでありまして、その間関係機関の意見も十分聽取し、昨二十一日、運輸委員会との連合審査をも終えまして法務委員会提出法案と決定いたした次第であります。  両案につき何とぞ諸君の御賛成をお願いいたす次第であります、(拍手
  27. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。江崎一治君。     〔江崎一治君登壇
  28. 江崎一治

    ○江崎一治君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されました鉄道公安職員職務に関する法律案に対して反対の意見を述べるものであります。  本法律案提案理由によりますと、昭和二十四年度一年間におけるところの鉄道犯罪は実に四十二万件に達するというのであります。また輸送知識を利用する大規模な惡質知能犯があるとまで断じておりますが、この実情はどうかというと、この四十二万件のうち七〇%は十四才以下の子供のいたずらであり、例年農繁期になると定期的に増大するところのものでありまして、たとえばレールの上に小石を並べるというような程度のものであります。従来は線路工手が線路を点検して歩くついでにこれを簡單に処理しておつたのでありますけれども、その後行政整理によりまして、この生産的な線路工手が大量的に首を切られ、最近では、線路工手にかわつて鉄道公安職員が警察的角度からこれを取扱いますために、今まで意に介しなかつた、ささいなものが重大な鉄道犯罪といたしまして累計され、実に四十二万件という厖大なる数字となつたのであります。これに反して、線路に対する真の保守、すなわちまくら木の腐蝕はどうか、犬くぎのゆるみはどうか、橋脚はどうなつておるかというような、そういう点に関しましては、むしろこれは第二義的となり、これが鉄道事故の重大な原因の一つをなしておるのであります。(拍手)  また最近におきましては、悪質知能犯と称せられる鉄道事故、あの三関における事故なども、実は鉄道運転技術の点から見ますると、当然要員を配置すべき場所に、行政整理の結果これを省略したことによつて起つたものと言い得るのであります。すなわち夜間運転におきまして、二閉塞区間を一閉塞区間とするような、そういう併合運転におきまして、その中間駅におけるところの転轍並びに信号機の運動機等はまつたく停止されまして、列車は盲運転の形となるのであります。これが重大な事故を起すところの大きな原因であります。信号機あるいは転轍機の要員がもしも一人でも勤務しておりましたならば、かかる大事故は起らなかつたことでありましよう。  要するに最近における鉄道事故の大部分は、施設の老朽と、極度の人員の不足と、これに原因するところの過度の労働強化がその真の原因であるのであります。(拍手政府はこの現実を故意に無視いたしまして、列車事故がすべて社会不安の産物であるがごとき幻想を国民に與え、これを取締るために鉄道公安職員の警察的権能を拡大強化し、その上に銃火器まで携帶することを主張するに至りましては、まつたく気違いに刄物といわなければならぬのであります。(拍手)敗戰当時とは異なりまして、鉄道構内における暴行も少くなり、荷物の盗難も減つているのに、何の必要があつて鉄道公安職員に銃火器を持たすか、はなはだこれはふかしぎであります。政府の意図は、ほかではないのでありまして、いわば敵は本能寺にありとでもいいましようか、政府は、いかにして国鉄の労働者を、今後激増するであろうところの軍事的輸送や低賃金と奴隷的労働條件に隷属させるかという命題を解決するために本法律案を上程したのであります。従つて、わが日本共産党は、かかる意図を持つ法律案に対しては絶対に反対の意示表示をするものであります。(拍手
  29. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  まず日程第三につき採決いたします。本案可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案可決いたしました。  次に日程第四につぎ採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  31. 岩本信行

    ○副産長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案可決いたしました。      ————◇—————
  32. 今村忠助

    今村忠助君 委員会に付託したる議案の審査終了を待つため、この際暫時休憩されんことを望みます。
  33. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。この際暫時休憩いたします。     午後二時十四分休憩      ————◇—————     午後六時五十四分開議
  35. 幣原喜重郎

    議長(幣原喜重郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。      ————◇—————
  36. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、内閣提出地方税法案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  37. 幣原喜重郎

    議長(幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 幣原喜重郎

    議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  地方税法案議題といたします。本委員長報告を求めます。地方行政委員長前尾繁三郎君。     〔「総理大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
  39. 幣原喜重郎

    議長(幣原喜重郎君) 今すぐ見えるはずであります。     〔前尾繁三郎君登壇
  40. 前尾繁三郎

    ○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました地方税法案について、地方行政委員会における審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  今回政府から提案されました地方税法案は、さきに第七国会において政府から提出せられました地方税法案と、その趣旨においても内容においてもこれを同じくするものでありまして、その異なるところは、政府当局説明するがごとく、前法案に対する国会における審議の状況並びに同法案の不成立による新税法施行期の遅延に伴う諸般事情にかんがみ所要の修正を施している点であります。さきに政府においては、本年度を期し、シヤウプ勧告書の趣旨に基く国税、地方税を通ずる租税制度の根本的改革を企図し、すでに国税に関しては新制度の実施を見たのでありまするが、本法案はこれと相応しまして現行地方税に全面的かつ根本的改革を加え、新憲法に基く民主政治確立のため、地方自治の基盤たる地方財政強化の理想を達成するとともに、兼ねて国民負担の軽減並びに均衡化をはからんとするものであります。  次に本法案内容の概略を申し上げます。まず第一に、本法案地方財政の窮乏を救い、国家財政依存の弊を除くために地方税收入を拡充し、地方税制の自主性を強化すること、及び国民地方税負担の不合理、不均衡を是正するために地方税を根本的に改革し、合理的な税制を確立すること、この二つを立案の目標とし、この目標のもとに次のごとき五つの方針をとつておるのであります。  すなわち第一には、財産課税の重課、流通課税の整理、消費課税の減少軽減、所得課税の増加、事業課税の軽減、雑税の整理等を行い、地方税全般にわたつてその負担の合理化と均衡化を徹底することであります。  第二には、課税標準、税率等に関する地方団体の権限を拡充して地方税制の自主性を強化するとともに、道府県税と市町村税とを完全に分離し、もつて税務行政の責任の帰属を明確にすることであります。  第三には、有力な直接税を市町村税としてその收入の強化をはかるとともに、住民の市町村行政に対する関心を深からしめ、もつて地方自治の基盤をつちかうとともに民主政治の推進を期することであります。  第四には、特別徴收に関する規定を整備すること、納税秩序を強化すること等により税收入確保の方途を講ずることであります。第五には、税率を全税目にわたつて明確に規定することにより地域間における地方税負担の公平化を期することであります。  以上五つの方針にのつとり、本法案は、附加価値税、市町村民税及び固定資産税の三大新税を創設するほか、入場税、遊與飲食税その他の既存税目に変更を加え、徴税手続を合理化する等のため現行地方税法の全部改正を行い、全文六章、八百六條となつておるのでありまするが、政府はこれによつて昭和二十五年度において地方団体が收入することのできる税額は千九百八億円と見込んでおるのでありまして、これを前年度に比べますと三百八十四億円の増收となり、さきに創設されました地方財政平衡交付金制度の運用と災害復旧費全額国庫負担の実施により、地方財政の財源は相当に増加するものと予想しておるのであります。  本法案による新税制の詳細についてはこの際説明を省略いたしまするが、以下新税の創設、既存税目の変更、徴税手続の合理化、改正原案に対する修正点の順に従つてその概要を申し上げます。  新税の第一は附加価値税であります。この税は、従来の事業税及び特別所得税を廃止するとともに、これらの課税客体であつた事業の附加価値に対して課税するものでありまするが、ここに附加価値というのは、当該事業がその段階において国民総所得に附加した価値をさすものでありまして、生産国民所得の観念で申しますると、一定期間における当該事業の総売上金額より、他の事業から購入した土地、建物、機械設備、原材料、商品、動力等の代価を控除したものを言い、逆にこれを分配国民所得の観念で申しますれば、賃金、地代、利子及び企業者利潤を合算したものと言い得るのであります。法案は前者の観念による方式をとつているのでありまするが、このような附加価値額を課税標準とする附加価値税を従来の事業税にかえて創設するゆえんは、事業税が收益課税たる本質上、もつばら所得を課税標準とすることに基く各種の支障、すなわち所得の上に所得税、住民税等が累積的に課せられること、国税たる所得税及び法人税の課税標準の査定に従うため責任の帰属を不明確にすること、ある事業がいかに多くの恩恵を地方団体の施設から受けましても、所得のない限り納税を免れるなど、これら事業税の持つ欠陷を附加価値税においては一応克服できる上に、取引高税のごとく重複課税とならないこと、一貫作業に有利になる欠陷を有しないことなどの長所があり、さらに進んで固定設備の購入代金が課税標準から控除されるがゆえに、現下のわが国経済にとつて最も必要であるところの資本の蓄積を容易ならしめる等の効果も期待し得るからであります。しかして附加価値税は、農業、林業並びに鉱物の採掘及び採取の事業に対してはこれを課さないことになつておるのであります。その理由は、前二者は主として固定資産税の負担が相当重くなつていること、後者については別途鉱産税が存置されておるからであります。次に税率は、標準税率を四%とし、最高税率を八%としているのでありまするが、原始産業、自由業等については、標準税率を三%、最高税率を六%とし、免税点はいずれも附加価値額の総額が十二箇月分として九万円を原則としておるのであります。政府は、本税の收入見込額として、昭和二十六年度四百十九億円、平年度四百四十一億円を見ておるのであります。  新税の第二は市町村民税であります。同じ税目は従前にも存していたわけでありますが、その性格を一変しているのでありまして、市町村内に住所を有する個人に対しては均等割及び所得割により、事務所、家屋敷等を有する個人及び事務所等を有する法人に対しましては均等割によつて課する税であります。従来の市町村民税と異なるところは、單に世帶主のみならず、所得のある限りは成年者をすべて納税義務者としたこと、資産割を廃止したこと、法人に対しては均等割のみを課することとしたことの三点であります。均等割については、市町村の人口に応じて三段階を設け、個人及び法人別にそれぞれ標準額及び最高額を定めており、所得割については、前年度の所得税額または課税総所得金額もしくは課税総所得金額から所得税額を控除した金額のうちいずれかを標準として、これに一定率を乗じたものを課税額とする方式でりあます。但し、昭和二十五年度に限り第一の方式によることになつております。なお前年において所得のなかつた者及び生活保護法の適用を受けている者並びに不具者及び未成年者に対してはその全部を、同居の妻に対しては均等割を原則として課さないものとしておるのであります。收入見込額は、昭和二十五年度において五百七十五億円、平年度において四百七十億円であります。  新税の第三は固定資産税であります。この税は、土地家屋及び減価償却可能の固定資産に対して、その価格を標準とし、所有者に課するところの税であります。これは従来の地租、家屋税を拡充したものであつて、その主たる相違点は、課税客体が土地家屋のほかに償却資産が加えられていること、課税標準が賃貸価格と異なり価格であることであります。しかしてその価格は、毎年一月一日の適正なる時価によつて、おおむね各市町村に設置される固定資産評価員の行う評価に基き市町村長が決定するのであります。但し、昭和二十五年度分の固定資産税の課税標準に限り、農地以外の土地及び家屋については賃貸価格の九百倍の額、農地については農地調査法による農地の公定価格に二二・五を乗じて得た額としておるのであります。また償却費産の価格については、資産再評価法によつて再評価を行つた場合における再評価額の限度額、同法によつて償却費産の所有者が現実に行つた再評価額、または再評価を行わない場合にあつては、その資産の帳簿価格などを参酌して適正な時価を市町村長が決定するのであります。税率は百分の一・七を標準といたしておりますが、当分の間百分の三を最高とし、かつ昭和二十五年度分に限り百分の一・七に一定しておるのであります。なお大規模の工場や発電施設、船舶、車両、鉄軌道、発送配電施設等特殊の固定資産については、その指定及び価格の決定並びに関係市町村への配分等について適切な規定を設けておるのであります。しかして收入見込額は、昭和二十五年度において約五百二十億円であり、平年度においては約五百九十八億円であります。  次に既存税目に対して加えられた変更について大略申し上げますと、その一は入場税に関するものであります。これにつきましては、一部すでに切り離して去る三月から実施せられておるところの税率を、従来の十五割の部分を十割に、従来の六割を四割にそれぞれ引下げたことのほか、新たに課税除外の規定を設け、または入場券、利用券の発行並びに使用について規定を設け、さらに全員無料入場の場合にあつても状況によつては入場税を課することを得るなど、徴收の強化をはかつておるのであります。  その二は遊興飲食税に関するものであります。これについては、現行税率の十五割、八割、五割及び二割を、それぞれ十割、四割及び二割に引下げるとともに、條例で領收書の発行及び証紙使用の義務を課し得ることとし、徴税の確保をはかつておるのであります。  その三は自動車税、漁業権税、自転車税、荷車税、広告税、入湯税及び接客人税についても新たに標準税率を定め、もつて地域間の負担の均衡化をはかつているのであります。  次に賦課徴收についての改正に関しましては、あるいは納税者の権利の保護のため、あるいは税收入の確保のため各種の新制度を創設し、従来の規定の整備改善を行い、徴税手続の合理化をはかるとともに、別に全税目にわたり所要の罰則規定を整備したことと相まつて納税意識の高揚と滯納の絶滅を期し、もつて徴税の強化をはかつておるのであります。  なお多数の雑税を廃して税制を整理するなど幾多の改革を行つておるのでありますが、すべてその説明は省略いたし、最後に、前国会に提案された地方税法案について今回の法案が加えておりますところの修正点について申し上げます。  まず第一は、附加価値税の実施を一年間延期して明年一月一日からとし、それまでは、おおむね現行の事業税及び特別所得税を課するものとしたことであります。その理由とするところは、元来その負担の転嫁することを予想する税種について半年以上も過去にさかのぼつて実施するということは不穏当でありますのと、新税の実施には法案の成立後も準備に万全を期する必要があるというのであります。しかして、附加価値税にかえ存置される事業税及び特別所得税につきましては、その課税客体については、おおむね現行の事業税及び特別所得税のそれと同一にしておるのでありますが、ただ農業、林業については、固定資産税との関連上これを非課税とし、また原始産業中主として自家労力によつて行うものについても、附加価値税の場合とまつたく同様に課税をしないこととなつておるのであります。税率については、附加価値税について予定した四百二十億円の收入を得ることを目途として現行税率を本税及び附加税を合せて全体にわたり二割ずつ引下げるとともに、免税点は現行の四千八百円から二万五千円に引上げられておるのであります。しかして、この事業税及び特別所得税は全額を道府県税とするとともに、納付の方法は現行通りの普通徴收の方法によるものとし、やがて実施せらるることになつている附加価値税との調整をはかつておるのであります。  第二に市町村民税については、法案成立の遅延に伴い、昭和二十五年度分に限りその賦課期日を八月一日とし、かつ固定資産税の修正との関連から、その納期を昭和二十五年度においては九月、十一月及び一月の三期とし、また昭和二十六年度においては七月、九月、十一及び一月の四期としたのであります。第三には、固定資産税について標準税率を前の百分の一・七五から一・七に引下げるとともに、昭和二十五年度においては百分の一・七の一定税率を用いるが、同年度分の固定資産税の收入見込額が五百二十億円を相当に上まわり、または下まわると認めるときは、おおむね五百二十億円となるよう、昭和二十六年一月中において、地方財政委員会がその税率を変更することとなつておるのであります。このほかなお固定資産税については、昭和二十五年度分の課税対象たる償却資産に限り、その価格の仮決定の方法並びに税額の翌年度における清算方法、昭和二十六年度分の固定資産税の各納期における納付額の算定並びに最終納期における清算方法、昭和二十五、六両年度における納期の変更調整、さらに免税点について本年度分及び明年度分に限り土地家屋及び償却資産の各別に計算し、その額を一万円とするなど、昭和二十五年度及び二十六年度の納付について特例を設けておるのであります。  以上の諸点が改正原案に加えられた修正点の主要なものでありまするが、今回の法案は、さらに新税法制度の趣旨に照し、同法案の附則をもつて地方財政法に次のごとき改正を加えることとしておるのであります。その一つは、地方団体は寄付金を割当て強制的に徴收するようなことをしてはならないこと、その二は、公共事業費の財源を起債に求める場合は、従来少くとも二割の増税をしていなければならなかつたのでありまするが、少くとも標準税率で課税している場合であればよいものとしたことであります。  以上、本法案内容の概要を申し上げたのでありまするが、本法案わが国租税制度上画期的な重要法案であり、その内容は複雑多岐にわたり、意図する改革は根本的であるので、わが国現下の経済事情のもとにあつては、新税制が産業経済並びに国民生活の全般に及ぼす影響は相当大きいものがあることが予想されますので、地方行政委員会におきましては、前国会においてもすでに相当に研究、論議か行われたのでありまするが、さらに本案が、七月十二日、本委員会に付託されて以来、翌十三日、地方自治庁長官、岡野国務大臣提案理由説明を聞き、連日長時間にわたり会議を開いて愼重審議を重ねたのでありまして、その間、本月十七日には大蔵、農林、通商産業、水産等各委員会とも連合審査会を開いたほか、同十九日、二十日の両日にわたり、関係各方面から九人の代表を参考人として招致いたしましてその意見を聽取し、前国会において三日間にわたつて公聽会を開き、徴税者、納税者、学識経験者等国民各層各界の代表の意見を聞いたのとあわせて審議の完璧を期したのであります。以下、本委員会並びに連合審査会における質疑応答について御報告をいたしたいと存じますが、論議はきわめて広汎多岐にわたりますので、ここには概括的に主要な論点の二、三を御紹介するのにとどめ、詳細は会議録についてごらんを願うことといたします。  本法案審議にあたりましては、もとより新税制全般にわたる論議、及び各個の税目についてしさいに検討が行われたのでありまするが、さきに前国会において同じ構想になる地方税法案審議せられておりまするので、これらの研究に加えてその欠を補い、その後における時の経過に伴う諸事情にかんがみ各般の論議が展開せられ、特に前回の法案に対する今回の修正点を中心とし、内外の客観情勢の変化に応じ、さらに広く新税制の実施に関連を有する諸問題、及び前法案の不成立に伴う地方財政に対する政府の臨時処置に関する問題、たとえば地方財政平衡交付金制度の運営、特に交付金額の増額及び標準税率との関連、災害復旧費の全額負担、地方債の増額及び起債の許可並びに利子及び償還期限、地方における寄付金等地方財政に関するもののほか、国及び地方公共団体相互間における事務の再配分、市町村の廃置分合等地方自治に関するもの、さらに物価、金融、産業国民生活に及ぼす影響等について、委員政府当局との間に質疑応答がかわされたのであります。  まず総括的な論点となりましたものは、改正原案に対する今回の修正は單に法の施行期の遅延によるものであるか、あるいは前国会における論議の状況にかんがみたるものか、もししからば、修正はなお不十分であつて、新税制のねらいである国民負担の軽減も不均衡の是正もなお不十分であるが、政府地方税総額においても減税の意思はないかとの問いに対し、政府としては前国会における論議にかんがみ、わが国現下内外の情勢上、この際としてはなし得る最大限の修正をなしたものであつて地方財政強化のためには、この程度の税負担はやむを得ず、国税と総合的に考察すれば国民の税負担は相当軽減せられる旨の答弁があり、なお本年度においては、新税法施行期の遅延により納税期が下半期に集中するため納税の困難が予想せられること、画期的税制改革についてはその運営の適正を期し、国民の迷惑を除くためには新税制の普及徹底に遺憾なきを期すること、税務機構の整備と吏員の教養指導の完璧を期することの必要が論ぜられましたが、政府は、前者に対しては平衡交付金の増額はにわかに望みがたく、各税目にわたり納期の調整によつてこれを緩和すべく、後者については政府において適切な指導助言を與え、吏道の刷新高揚をはかる旨の答弁があつたのであります。  各税目に関するものとしましては、まず附加価値税は流通税の性格を持ち、転嫁が予想せられるから物価に影響する、しかしながら、今日の経済事情では転嫁が十分になし得ないから事業の受ける打撃は大きいゆえ、新聞事業、農業協同組合、そのほか公益事業、基幹産業等はさらに非課税となすべく、本税の実施は一年延期にとどまらず、相当長期間延期してはいかんとの論があつたのであります。  固定資産税については、百分の丁七の一定率はなお高きに失し、かつ地域差による不均衡を避けがたい欠点があり、また償却資産の捕捉並びにその範囲に関して疑問が展開せられ、住民税については、その所得割が前年度の所得税額を課税標準とすること、特に本年度にあつては、いまだ所得税が減税されなかつた昭和二十四年度の所得税額を基準とすることの不当が論ぜられたのであります。政府は、前者については、一定率は本年度の特例的便法であつて、来年度において現実の資産再評価により不均衡は是正せられ、償却資産の認定については別に基準が示されることになつており、後者については、減税された所得税のある部分が地方税として地方收入に委讓せられたものと解すべきであると答弁したのであります。  なおそのほか遊與飲食税の名称、税率、免税点、電気ガス税の非課税範囲、荷車税、自転車税の税額ないし免税等について質疑が行われたのでありますが、電気ガス税の課税の範囲については、地方財政委員会においてさらに研究を進め、調査の結果を次の国会報告することになつている旨の答弁があつたのであります。  最後に滯納者の延滯処分及び罰則規定の適用について徴税当局が運用を誤り、いやしくも地方自治の本旨を害し、その運営に支障を来すことのないよう要望があり、政府は、これについては地方に対して適切な指導をなすことを約したのであります。  かくて七月二十二日、十日間にわたる質疑を終え、討論採決に入つたのであります。まず門司亮委員から各税目について社会党の修正希望意見の開陳があり、次いで藤田義光委員ほか三名提出の修正案が上程され、これについて床次徳二委員から趣旨の弁明がありましたが、修正案の内容は次の二点であります。その第一は、附加価値税の実施を、原案よりもさらに一年延期して昭和二十七年一月一日より実施すること。その二は、固定資産税の税率は、原案における百分の一・七を百分の一・六に引下げること。修正の理由は、要するに新税たる附加価値税は、現下の経済事情において完全に実施するためには、国民に周知せしめるとともに相当の準備期間を置く必要があり、また固定資産税については、でき得る限り国民負担の軽減をはかり、その激変の回避をはかるというにあります。  修正案に対する質疑終了後、修正案と本法案とを一括して討論に付し、国民民主党を代表し床次徳二委員自由党を代表し河原伊三郎委員からそれぞれ賛成意見の開陳があり、日本社会党大矢省三委員日本共産党米原昶委員及び農民協同党松本六太郎委員からそれぞれ党を代表して反対の演説がありましたが、その内容はすべて会議録に讓ります。  討論を終結、採決の結果、修正案は多数をもつて可決せられ、続いて修正部分を除く原案もたま多数をもつて可決されました。よつて法案は修正可決と議決された次第であります。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  41. 幣原喜重郎

    議長(幣原喜重郎君) 本案委員長報告に対し質疑の通告があります。これを許します。勝間田清一君。     〔勝間田清一君登壇
  42. 勝間田清一

    ○勝間田清一君 私は、委員長報告に関連いたしまして、日本社会党を代表し、政府並びに委員長に対して質問を申し上げさせていただきたいと存じます。  いよいよ重大な地方税法案もここに上程されるに至つたのでありますが、今日になつてこれを顧みて参りまするならば、われわれはそこに幾多の問題が存在することを発見せざるを得ないのであります。すなわち、まず第一に、この地方税を成立せしむることができずいたしまして、今日まで地方財政を未曽有の困難と混乱とに陷れておつたところの責任の所在をわれわれは糾明せざるを得ないのであります。われわれは、数に頼んで、しかも責任政治の中におきまして、この地方税をむりに通すことができないといたしまするならば、現行法のもとにおける措置を行つた上におきまして、その政府の責任を遂行すべきであつたと存ずるものであります。(拍手)しかるに今日に至りまして、この政府の適切なる処置なくして空白状態を引き起し、今日今後に起るところの重大なる財政負担を背負う農民、中小商工業者及び労働者の立場を考えてみまするならば、政府の責任はきわめて重大なものと考えるのであります。(拍手)  さらに私は考えまするのに、現在政府は、国会の意思を尊重いたしまして、国会の多数の意見に従つて行くことが、国政の運用においてまことに当然といわなければなりません。しかるに、真の民主主義政治は、国会の意思を尊重するものが他面に存在すると同時に、他の一面におきましては、政府の責任政治が同時に確立しなければならぬことを痛感いたすものであります。(拍手)二百数十名の党員を擁する現在の政府は、一野党の修正案に従つてこれに同調せざるを得なくなるに至つた今日を考えてみるときに、はたして現政府がその責任の完全を期し得たかいかんについて重大なる疑問を生ぜざるを得ないのであります。しかも、ここに起るところの修正なるものが、真に現在の地方税の根幹に触れ、勤労階級の負担に重大なる軽減が行われるところの修正でありますならば、われわれはあえてこの質問は行わぬのでありまするけれども、今日かかる程度の修正をもつて、しかも政府の責任がこれによつて遂行せられるがごとくに考えまするならば、責任政治はまさに地に落ちたといわなければならぬと思うのであります。(拍手政府は、かかる意味合いにおいて、いかなる責任を感ぜられるか、この点について明快に御答弁を承りたいと存ずるものであります。(拍手)  次に委員長に対して御質問を申し上げたいと存じますが、この修正案の可決された内容を見ますると、まず第一に固定資産税におきまして、従来の税率一・七を丁六に引下げられました。しかしながら、この税收入は依然として五百二十億を予定せられておるのであります。(拍手)もちろん一・六に引下げるといたしますならば、われわれの数字をもつていたしまするならば、三十数億の減税が当然行われてしかるべきであると考えるものであります。もし減税が行われるといたしまするならば、当然に予算の修正が行わるべきであると考えるのであります。(拍手)予算の修正を行わずして税收入を確保し、しかも一・七を一・六に引下げるということは、いかなる論理に基くものであるか、委員長の明快なる御答弁を承りたいのであります。  さらにその問題が、もし補正予算を今後提出せずしてこれを実行いたすといたしまするならば、あの地方税法案にあります通りに、五百二十億に達しない場合においては、地方財政委員会規則において昭和二十六年一月にその税率を引上げるということにいたしまして、しかもそれは国会及び政府に通告するだけで十分であるという條項がありますけれども、それに従つて、もしこれを実行するといたしますならば、一・六に税率は下げたけれども、五百二十億は完全に確保して見せるという態度であることについて、かわりはないであろうかどうかを御質問申し上げたいのであります。(拍手)もし、かかる事実によつて法案を通過せしめるといたしますならば、国民の目をごまかすために一・七を一・六にした欺瞞政策のほかの何ものでもないということを感ぜざるを得ないのであります。(拍手)これに対し、委員長はいかなる経過であつたかを明確にお示しを賜わりたいのであります。  さらに申し上げなければならないのは、附加価値税をもう一年延期し、固定資産税の税率を〇・一減税するかのごとき装いをとつておりますけれども、諸君の御案内の通りに、またシヤウプ博士も言われておる通りに、地方中央を通じてこの税は均衡を保つてつて仕組まれたものであるばかりでなしに、地方税の体系内におきましても、住民税と固定資産税と附加価値税との間には、それぞれの仕組んだ組立てがあるということは明確なる事実でありまして、しかる場合において、もし附加価値税を延期し、あるいは固定資産税を若干修正するという立場に立つて、それをもし行うといたしますならば、当然住民税の改正なくしてこれは行い得なかつたものと考えるのであります。(拍手)すなわち委員長報告通りに、住民税の内容は、法人税は單なる均等割にこれをとどめる、従来の資産割はこれを廃止して、個人については均等割及び所得割にこれを減じたという事柄は、他面において法人に課すところの附加価値税が存在し、他面において固定資産税が存在するがゆえに、かかる処置をとつて参つたのであります。しかるに、今日附加価値税を單に延期し、若干の固定資産税の税率の修正を行うといたしますならば、当然住民税の内容について根本的な改正を行わずして、今日の改正はあり得なかつたと存ずるものであります。(拍手従つて、表面この修正なるものはよき意味においての修正であると考えたならば重大なる間違いでございまして、これはまさに改惡といわなければならないと存ずるのでありまするが、委員会における審議の状況についての御報告を賜わりたいのであります。またわれわれは、次に大蔵大臣に御質問を申し上げたいと存ずるのでありますが、御案内の通りに、過去上半期における歳入欠陷は、平衡交付金の繰上げ支給により、あるいは短期の融資によつてこれを補つて参りました。しかるに現在の経済状態は、経済安定本部の統計をもつて明らかなことくに、国民所得は漸次減少の一途をたどつておることは明白なる事実であります。(拍手)しかも、平衡交付金はすでに六百十八億を支出いたしまして、下半期に残るところの財源は、特別平衡交付金百五十億及びその他の残額三百二十七億にすぎないという状況であります。かかる状態において、かかる地方税の徴收を行つて行くといたしまするならば、さなきだに困難なる農民、中小商工業者及び労働者諸君の下半期の負担は実に厖大なるものに達するであろうと同時に、非常なる困難に当面することは明らかなる事実であります。(拍手)農業恐慌が目前に迫り、勤労階級の戯言、低賃金が行われており、しかも国民経済は縮小の傾向をたどつておる今日におきまして、下半期に対する処置なくしては、真に国民に忠実なる税制であるとは断じて言えないと存ずるのであります。従つて、この意味においてここに必要なる点は、平衡交付金を増額して、下半期のこれらの事態に対して処置をとるという政策がまず第一に考えられて参るのでありますけれども、現政府は、これに対していかなる考えをもつて進まれるか。臨時国会を召集して、あるいは本国会において、これがための追加予算を計上するかどうか、この点について、まず第一にお尋ね申したいのであります。  さらに大事な問題は、いわゆる国税の徴收が依然として強行されております。そこに地方税が、しかも下半期に集中して徴收されて参ります。国税の徴收と、下半期に集中する地方税の徴收との間において調節なくしては、国民は忍び得ないところでございまして、国税の徴收、地方税の徴收との間における調節に対して、いかなる具体的政策を持つていらつしやるか、この点についてお尋ねしたいと思うのであります。  さらに、約二百九十億の短期債を融資いたしておることは、御案内の通りであります。これに対する利子の負担も実に重大なものでありまして、この短期債に対して、政府は長期化あるいは利子補給の面をもつて行かないならば、政府の責任がそのまま地方におおいかぶさつたと言つても過言ではないのであります。これらの問題についての具体的な処置をいかにお考えになつておられるか、大蔵大臣の御答弁をお願いをいたしまして、私の質問を終ることにいたします。(拍手)     〔国務大臣岡野清豪君登壇
  43. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 勝間田議員の御質問にお答え申し上げます。  その第一点、この前の地方税法案が不成立になりました後の地方財政の混乱を防止するために、政府といたしましては、ただいま仰せられた通りに、六百十八億円の平衡交付金を概算交付し、同時に二百九十億円の預金部短期資金を融資して、臨機の措置をとつて地方財政の空白を補つて来たわけであります。  次に第二点といたしまして、この修正案が出ました。その修正案を国会の多数をもつて御決定くださるならば、これは内容といたしましても、政府が出しておりますところの原案と根本的に相違がない限り、その実施については遺憾なきを期して参るのが政府の責任であると存じます。御答弁を終ります。     〔前尾繁三郎君登壇
  44. 前尾繁三郎

    ○前尾繁三郎君 勝間田君の御質問にお答え申し上げます。  固定資産税の税率一・七を一・六に下げました委員会全般の空気はもちろん、政府の出しております計算の根基を見ますと、一・大の税率によりましても、十分それだけの收入を上げ得る。従つて政府の計算の考え方と委員の考え方と違う点があつたのであります。なおまた、それが負担の軽減になるか、あるいはその後において調整される場合に負担の軽減になるかどうかということにつきましては、少くとも先取られないだけは軽減になるわけでありまして、委員会としての全体の空気はそういうことであつたということを申し上げます。  また附加価値税の延期に伴いまして、住民税などの税と一体でありまするから、住民税の改正等をやらずにほうつておくのはどうかというような反対論も確かにございました。しかし多数の委員の考えは、少くとも附加価値税にはいろいろ現在欠点があり、また現実の日本状態には少くとも合わないから延期することは確かによろしいというのが多数の意見であつたことを申し上げます。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇
  45. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 勝間田君にお答え申し上げます。  さきの地方税法案の不成立の責任はいずれにありやという御質問でございますが、これは水掛論をするよりも、国民がみな知つておることです。不成立に伴つて臨時立法をなぜしなかつたかというお考えでございまするが、われわれは、不成立の場合に早期に臨時国会を開くことを決意いたしました。かるがゆえに、臨時立法をいたしてやつても、これは国民に迷惑をかけるばかりでございます。税理に専門である勝間田君は、二、三箇月の臨時立法が行われ得ないということは十分御承知だろうと思うのであります。従いまして、早急に臨時国会を開きまして地古税法案審議を願つた次第であります。  次に、地方税の徴収が下期に固まるではないか、国税と地方税との調整をいかにするかという問題でございます。これは御承知通りに、今年度の第一・四半期は相当政府の收入超過になつております。しかし第二・四半期、ことに第三・四半期におきましては散布超過になることは、だれが見ても考えられる事柄であるのであります。われわれは、国税と地方税の納期を考え、金融その他の施策を講じて調整に万全を期する考えであります。  次に、平衡交付金の増額を補正予算でやるかやらないかというお話でございまするが、ただいまのところ、徴税が十分に行けば平衡交付金を増額する必要はないと考えております。  最後に、預金部より短期融資をいたしましたこの六月末におきまする百六十億円の利子について、政府はこれがために補正予算をつくるかというお話でございますが、六月までに出しました百六十億円近い金は、おおむね六月中に出ておるのであります。しかして八月から徴税が始まりまして、そうして十月、十一月に入つて来るならば、地方の利子負担はごく少額にとどまるのであります。しかして他方におきまして、八百三十億円の地方債の利子九分ないし九分四厘を七分ないし七分四厘に最近引下げますから、これによりまして、地方の利子負担は数億あるいは十億近い軽減になるのであります。これによつて地方の財政の施行に資したいと考えております。(拍手
  46. 幣原喜重郎

    議長(幣原喜重郎君) これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。門司亮君。     〔門司亮君登壇
  47. 門司亮

    ○門司亮君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されておりまする地方税法案に対しまして、修正を含めたものにつきまして反対の意思を表示しようとするものであります。法案に対しまする反対の意思表示をいたしまする前に、私は、この修正をいたしましたことについての與党の方々の気持と、さらに政府に対し、諸君の立場について一言触れておきたいと思うのであります。  岡野国務大臣は、本法案提出にあたりまして、その提案理由説明の中に、附加価値税を創設することは、従来の地方税が非常に悪税であつたから、この悪税をなくして、そうして最もわれわれが理想と考えておる附加価値税を創設するものであるとして、非常に附加価値税を礼讃されておるのであります。しかるにその附加価値税が実施できなかつたということは、さきの国会において皆さんの御承知の結果であつたのでございまするが、これの実施のできなかつたということは、もう一つは実際上の運営においてこれはできないが、しかし附加価値税は、従来の事業税にかわつて断じてよい税制度であるから、私はこれをぜひ国会で成立させていただきたいというふうな、きわめて礼賛的なお言葉があつたのであります。しかるに修正案を見ますると、その所管大臣がきわめて礼賛されて参りました附加価値税がさらに一箇年延期されて、所管大臣が悪税であるとして酷評をいたされております従来の税制がそのまま存続することに相なつておるのでございます。従いまして、政府はこの所信のもとに附加価値税が是なりとして出しておきながら、依然として事業税を一年存続せざるを得ない結果になつた、その原因と経過を十分に知つていただきたいのであります。これは自由党の與党の諸君のお考えでなくて、しかも野党の立場にあつた民主党の諸君の提案にかかる修正案であるということは御存じの通りであります。(拍手)しかるに、その野党でありまする民主党が、自由党のよつてつてつておりまする政府の礼賛したこの附加価値税が悪税であるとして、依然としてこれの一年延期を主張し、しかもその主張をいたしましたものに自由党諸君が同調せられたという今日の立場は、一体何を物語るかということであります。(拍手)  政府、ことに吉田内閣総理大臣並びに所管大臣にお考えを願いたいと思いますことは、與党の諸君が、この政府提案理由説明とまつたく反対の立場に立つて附加価値税の一年延期に賛成されたということは、明らかに二百八十六名の自由党の與党代議士全体の現吉田内閣に対する不信任の意思表示の現われであるということを、はつきりと知つてもらいたいのであります。(拍手政府が所信において述べましたように、附加価値税が絶対によい法律案なりとするところの確信がございまするならば、野党である民主党の出されたこの修正案に、なぜ一体同調されたのでありまするか。政府與党の二百八十六名の諸君が、野党の修正案に対して、政府の持つておりまする今日までの所信と反対決議をしなければならないようないくじなさを、われわれは実に哀れに考えるものであります。(拍手)またこれと同時に、與党において、かくのごとき現実の不信任案を突きつけられて、依然として台閣にかじりついております大臣諸公は、明らかにそのポストヘの執着であるということを申し上げましても、決して過言ではないと考えるのであります。(拍手)  私は、かくのごとき前提のもとに、以下本案に対する反対の意見を開陳いたしたいと思うのであります。  第一に附加価値税でありまするが、附加価値税に対しましては、さきの国会における所管大臣の説明によりまするならば、この税の性格は一面流通税の性格を持ちまするとともに、また收益税としての性格を持つものであるということの説明がなされ、現在の池田大蔵大臣も、第七国会においては、この収益税と流通税との中間のものであるというような御説明があつたのであります。しかるに、今回の所管大臣は、明らかにこれを流通税であるということの、はつきりした言明があつたのであります。このわずか三箇月ないし四箇月の間における政府当局のこの税に対する見解の相違は、いかにこの税に対して政府みずからがその性格をはつきり把握していないものであるかということを明らかに物語るものであります。(拍手)従いまして、もしこの税が流通税であるといたしまするならば、これはすでに自由党諸君が、悪税として、その最も大きな題目として盛んに宣伝されました取引高税の明らかなる変形であり、取引高税よりも加重された税制であつて、改悪されたものであると言わなければならないのであります。(拍手)これがもし流通税でありまするならば、ただちにこれが物価に影響いたして参りまして、必然的に物価の値上りとなつて、これはただちに消費者に転嫁されて大衆課税と相なつて参るのであります。しかるに政府は、現在の状態においては、とうてい物価の値上げは困難であろうということの御答弁があつたのでございますが、もし物価の値上げが困難であるといたしまするならば、当然事業の中にこれを吸収いたさなければならないのであります。  この税の性格は、従来の税制と異なつて参りまして、赤字であろうと黒字であろうと、大よそ事業をいたしておりますものに対しましては、総売上高に対して百分の四の税金をかけて参るという前提でありますがゆえに、もしこれを事業の中に吸収して参らなければならないということが明らかになつて参りますならば、一体それはどこに吸収されるかということであります。すなわち今日の現状において事業の内容の中にこの百分の四を吸収して参りますならば、必然的に事業の縮小を行うか、さもなくんば、おそらく労働階級の首切りとなつて現われるか、賃金値下げとなるか、あるいは労働時間の延長によつてこれを事業の内部に吸収しなければ、ほかに手はないと考えておるのであります。従つて、本税は一面において流通税であるといたしまするならば明らかなる大衆課税となり、物価の値上りとなり、一両これを事業に吸収いたしますならば、労働階級に対するきわめて大きな生活の脅威になるということを、はつきり知つていただきたいのであります。(拍手)しかもこの二つの性格が、大蔵大臣の申しておりまするように、もしこれが中間的存在であるといたしまするならば、この附加価値税は、実際の問題は附加価値税というよりも、むしろ税の性格のわからない不可解税と申し上げた方があるいは適切ではないかということを考えざるを得ないのであります。(拍手かくのごとき、まつたく税の本質すらわからない、いまだ世界のいずれの国家においても実施いたされておりませんこれらの税制が、きわめて短時日のうちに、しかも十分なる検討と討議が加えられないで、政府はこれを最も適切妥当なる、従来の事業税に比べてはるかにまさる税金であるということを豪語せられるにおいては、まつたく私どもは、その言うべき言葉を知らないと言つていいほど不定見であるといわざるを得ないのであります。(拍手)  さらにその次に考えて参りまするのは市町村民税でございまするが、市町村民税に対しましては、先ほども勝間田君から申し上げましたように、従来の市町村民税は、総額千四百五十円を、都道府県において大体七百円、市町村において七百五十円を均等いたしまして、しかもその内容は、三六%ないし三七%を法人とし、残りの六四%ないし六三%を個人の負担といたしまして、しかもその中の一三%ないし一四%は当然これを資産にかけて参つたのであります。従いまして、資産と法人においてその税額の五〇%の課税がいたされたということは、諸君も御承知と思うのであります。しかるに、今回の税制の改革におきましては、その法人と、さらに資産割が削除されて参つておりまして、個人の均等割と、さらに前年度の所得税の一割八分という、まつたく苛酷なる税制においてこれを取立てようといたしておるのであります。  しかも政府は、この法案説明にあたつてかくいたしまするが、市町村民税は従来の住民税の二・五倍ないし二・六倍であるということを盛んに宣伝されておりまするが、それは單なる国の資料に基きますところの、いわゆる昨年度の住民税の二百七十億の税収に対して、本年度の五百七十五億の比例を見ますならば、あるいは政府の言う二・五倍であるかもしれませんが、実際の内容においては、先ほど申し上げしまたように、法人は資産割の五〇%を除きまするがゆえに、個人にかげて参りまする税金というものは、平均いたしまして昨年の五倍半になる。さらに人によつては十倍あるいは二十倍になるということを明らかに数字が物語つておるのであります。(拍手政府がもし国民に親切であるとするならば、何がゆえにこの数字の上のごまかしを発表するのでございましようか。国民政府の言を信じまして、従来の市町村民税が二倍半になるということを考えておりまするときに、徴税令書によつて五倍になり十倍になり二十倍になつて参りまするならば、ここに納得の行かざる税の混乱が起つて来るということを、現実にわれわれは知つてもらわなければならないのであります。われわれは、かくのごとき政府の、ことに国民大衆に対して最も関心があり、最も重要な問題でありまする税制改革に対して、数字のごまかしによつてこれをごまかさんとするがごとき態度に対しましては、断じてこれを糾弾しなければならないのであります。(拍手)  私どもはかく考えまするとともに、次の固定資産税でありまするが、固定資産税に対しましては、法律内容におきましては、御承知のように、この税制の算定の基礎になるべきものは時価によつてこれを補うといたすということが、はつきり示されておるのであります。しかるに、この法案内容を見て参りまするならば、農地を除く土地家屋に対しましては九百倍、さらに農地に対しましても、自作農特別措置法のいわゆる六條の規定による価格の二二・五倍というように、これもまた同じように九百倍に相なつてつておるのであります。  今日私どもは、日本全体の土地家屋の賃貸価格と時価との関係調査いたしまするならば、東京においてわずかに九百九十倍であり、大阪におきましては最高六百六十倍であり、神戸において、あるいは横浜において、大体これは五百倍であり、さらに農村地帯に参りまするならば、これは二百五十倍ないし三百倍が今日の時価であるということは、これは諸君も御承知通りであります。さらに昭和二十二年の財産税設定によりまして物納いたしましたものを政府が買い上げました価格は、大体百二十五倍から二百二十五倍であるということも、これまた過去の事実がはつきり物語つておるのであります。従いまして、これらの状態を勘案いたしまするならば、当然九百倍にあらずして、五百倍が妥当であると考えられるにもかかわらず、時価とおよそかけ離れた、異常に高額な倍率できめられるということは、実際価格と、税金を課します課税価格の上において非常に大きな開きがあるということになり、これが悪税でなくて一体何であるかということであります。(拍手)もし住民が、日本国民が、みずから持つておりまするこの財産を売却せんとするならば二百五十倍ないし三百倍にしか売れないものに、九百倍の価格があるとして税金をかけるということは、不当課税でなくて一体何であるかということであります。(拍手)われわれは、かくのごとき処置に対しましては断固として反対しなければならないのであります。  さらに償却資産の面に対しましては、いかなる状態になつているか。償却資産に対する税率は、百分の一・七五の前国会の税率が一・七に下げられ、さらに修正案によつて一・六に修正はされておりますが、この償却資産の課税客体、これから割出して参りまする課税額は一体どれだけであるか。前国会におきましては一兆三千億以上の数字が計上されて参つたのであります。本国会におきましては、数字のつじつまを合せるために、わずかに九千七百億になつておりますが、もし前国会に出して参りました一兆三千億の数字が正しいとするならば、これに一・七五をかけて参りますならば、明らかに二百二十七億の税金がとれなければならない。これの八〇%の徴税率を見て参りましても百八十数億の税金がとれて参るのであります。しかるに、この償却資産に対する税の総額はわずかに九十三億である。  われわれは、およそ税金をかけて参りますには課税額に対しまして公平なる課税率をかけるということが税の建前でなければならない。政府みずからの原案による説明によりますならば、前国会におきましてわずかに捕捉率が五二%であり、本国会において七〇%の捕捉しかしていないのであります。政府みずからが、そもそも税を査定するときにおいて、前国会においては四八%の脱税を認め、今国会において三〇%の捕捉しがたい脱税を認めておるということをいわなければならないのであります。(拍手)もしほんとうに税を十分に御存じの方は、課税額に対しましては、これを百パーセント捕捉するものとして、さらに徴税率において八〇%あるいは七〇%の徴税ができるということから当然税額を定めなければならないのであります。しかるに、今回の政府のこの税率の定め方というものは、明らかに所要額から逆算して参りました、ずさんきわまりないものであるということを、われわれは指摘しなければならないのであります。  これを裏書きするものは一体何であるか。これを裏書きするものは、すなわち法の三百五十條、いわゆる固定資産において五百二十億の税金がもし上まわる場合には、あるいは下まわる場合には、昭和二十六年一月において、地方財政委員会において税率の変更ができるというこの條文であります。おおよそ税金をきめまするときに、税金がどれだけとれるかわからぬが、もしとれ過ぎたならば、あるいはとり足らなかつたならば、来年の一月税率をかえるというような、不見識きわまる税の制定が、一体どこの国にあるかということであります。  税金は、御承知のように国民の血税である。この税金の収奪のためには、あるいは親子心中が行われ、あるいは自殺が行われていることは、御存じの通りでございましよう。あやまつてかけられた税率に対しましても、もし納めなければ差押えもあり、あるいは競売もあるでございましよう。他人の財産を、国民の財産を、税の不納によつて、しかも差押えをし、競売をし、あるいは親子心中の原因をつくり、自殺の原因をつくるこの税制において、この税制はかりの税率であるというような不見識な税金が、一体国会においてきめられるかどうか。私は、およそかくのごとき税制を見たことがないのであります。與党の諸君といえども、地方に行つて一体これをどう説明されるかということを実は考えているのであります。(拍手)  以上は、非常に大きな税額の変更がさらに新しい税法として課せられたものに対する私どもの反対の意見でございますが、これを総合して見まするならば、附加価値税においては、物価の値上りを来すか、さもなくんば勤労階級の首切り、賃金値下げを行うかということである。従つて、これは明らかに大衆にその負担と犠牲を負わせるものであるということの結論が出て参るのであります。さらに固定資産税におきましては、賃貸価格に対します土地家屋税の著しい値上りは、明らかに地代、家賃並びに小作料の値上りをもつて、これまた大衆課税になるということを、はつきりとしていただきたいのであります。(拍手)この二つの税金は、何と諸君が申されましても、これは明らかに働く者の、勤労階級のすべてに転嫁される税金であるということを、はつきりと御認識が願いたいのであります。(拍手)  さらに市民税が、先ほど申し上げておりまするように、法人並びに資産を持つております諸君に対してきわめて恩恵的にでき上つておりまして、一般勤労階級に対しますこの苛酷なる、過重なる税制は、明らかに勤労大衆の負担の増大であるということをいわなければならないのであります。従いまして、これら三つの大きく改革されました法案内容を検討いたして参りまするならば、政府の今回の地方税改革は、税制改革において、いわゆる大衆の犠牲の上において資本家階級の資産の蓄積に寄與せられようとするのがその意図であるということを、はつきり申し上げなければならないのであります。(拍手政府が、いかに大なる声をもつて叫ばれるといえども、法案内容国民全体に滲透し、知られて参りますならば、必然的に悪税の内容は、私がここで申し上げるまでもなく国民全体が知るものであるということを、私はここにはつきり申し上げておきたいと思うのであります。  さらにその他の税制につきましても、きわめて不合理なものがあるということである。すなわち、税則改革による徴税機構は一体どうなつているか。今日の微弱なる市町村の徴税機構において、しかも短時日において、この新しく改正されました法案が満足に実施されようとは、何人も考えてはいないのであります。もし徴税機構の上において不備欠陷が必然的にありといたしますならば、そこから参ります税の不均衡と税の混乱は、やがて地方自治法を破壞する危險をここに包蔵するということを言わなければならないのであります。(拍手)  さらに税制に対しまする罰則は一体どうであるか。従来の罰則が非常に強化されて参つておるのでありまして、わが国のあの刑事訴訟法においても、人権を尊重することのために、黙秘権は当然国民の権利として認められておるのであります。しかるにかかわらず、本税法案によりまするならば、税務吏員の質問に答えなければ罰金、懲役に処するということは、いかに人権を蹂躪したものであるかということを言わざるを得ないのであります。(拍手かくのごときことが平気で税法の中に書かれておる。しかも、警察官の職務執行に関する法律案内容を見ましても、あるいは質屋営業法におきましても、警察官が臨検いたしまする場合においては、まず身分証明書を呈示しなければならない。しかるに本法案におきましては、身分証明書の呈示をしないで、あとから請求されたときにこれを呈示すればいいというようなきわめて不可解な條文が書かれておるのであります。およそ日本の国法は、一貫した一つの政策と方針がなければならないのであります。私は、かくのごときことを見て参りますならば、すなわち税法に対しましてこれを通じても、明らかにこの法案は人権を蹂躙することができる悪法であるということを申し上げなければならないのであります。  きわめて簡單にその大要を申し述べましたが、そのほか遊興飲食税であるとか、あるいは入場税であるとか、諸般の、軽減すべきものであるという税制に対しては、委員会における討議で十分申し盡されておりますのと、さらに時間がございませんので、これを省略いたします。  以上、本税法に対しまする反対意思表示を、日本社会党を代表いたしまして終りたいと思うのであります。(拍手
  48. 幣原喜重郎

    議長(幣原喜重郎君) 川本末治君。     〔川本末治君登壇
  49. 川本末治

    ○川本末治君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております地方税法案の修正案並びに修正部分を除きまする政府原案に対しまして賛成趣旨を申し述べるものであります。  本法案は、御承知のごとく前回の国会において上程せられましたが、不幸その成立を見るに至らなかつたものでありまして、今回はこれに若干の修正を加え、新たに提案せられたものであります。前法案の不成立によつて生じました地方財政の空白をすみやかに解消せしめるために、特に今臨時国会に提案を見るに至つたのであります。前国会において、政府は新地方税法案の通過成立を期待いたしまして、現行地方税目の主要なるものにつきまして、新税法の成立までの間その徴收を停止する法律案提出いたしまして、これを通過成立せしめたのであります。従つて地方税法案の不成立によりまして、地方公共団体は、その活動の原動力とも称すべき税收入の大部分につきまして徴收の道を断たれた次第であります。自然、年間を通ずる地方財政の計画的施行困難と相なり、多くの事業が停止せられたまま今日に至つておりますることは、まことに遺憾にたえない次第であります。  地方行政の運営が現在空前の危機に直面していることは、各位のよく存知せられるところであります。政府地方財政平衡交付金の概算交付も、大蔵省預金部よりの短期融資等の暫定措置も、もとより一時の姑息的対策にすぎないのでありまして、全国一万数千に及びまする地方公共団体の不安、迷惑はまことに察するに余りあるものがございます。事態をここに至らしめたことはまことに遺憾のきわみでありまするが、われわれ国政にあずかる者として、その責任の重大なことを痛感せざるを得ないのであります。ただ不幸中の幸いとも申すべきことは、本税法の審議に多大の波乱がありましたために、一般国民地方税法、進んでは地方財政一般に対する理解を進め、ひいて地方自治の運営への関心を深からしめたことであります。今回あらためて提案せられました地方税法案は、かかる国民一般の深き理解を背景とし基盤として必ずや成立を見るとともに、同法の根本精神がまた遺憾なく実施に移されることを私は信じて疑わないのであります。  申すまでもなく本法案は、さきに実施せられました国税の改正並びに地方税の一部改正と相まつて、わが党が年来の主張でありまする国民の税負担の軽減と税制の合理化をはかるとともに、地方財政の確立を通じて地方自治を強化し、もつて日本民主化の基礎をつちかうことを目標とする根本施策の一環をなすものでありまして、わが党は、将来さらに一層中央地方を通ずる経費の節約緊縮によつてその方策を進め、国民負担の軽減をはかる、かたい決意を有するものであることを、冒頭まず私は明らかにしておきたいと思います。(拍手)  地方税法案に対する論議は、前国会以来すでに盡されているかの感があり、諸君またよく御存じのことでありますから、私はあえてその一々を申し述べませんが、本法案が、昨年来朝せられたシヤウプ税制使節団の勧告の基本原則を尊重し、地方税制を根本的に改革して、もつて国民地方税負担の合理化と均衡化を確保するため、課税標準、税率等に関する地方団体の権限を拡充して、地方税制の自主性を強化するとともに、都道府県税と市町村税とを完全に分離し、もつて税務行政の責任の帰属を明確にして、さらに有力な直接税を市町村税とし、その收入の強化をはかるとともに、住民の市町村政に対する関心の増大を求め、地方自治の基盤をつちかい、民主政治の推進を期することを基本方針として努力しております点の見えますことは、まことに私ども欣快にたえないところであります。  新税は悪税なりという言葉のありまするがごとく、およそいついかなる税法の改正されるときでも、必ず新税に対しましては反対論者のあることは、古今、洋の東西を通じて歴史が最も雄弁に物語つております。今回の改正地方税法案またしかりで、昨秋シヤウプ勧告の形で世間に公にせられまして以来、特に前回の国会におきましては、最も真劒に衆参両院において論議が進められ、また国民の各階各層から最も強く批判が行われておりましたことは、諸君の熟知せられるところでありますが、今次国会に再び提案せられて以来本日まで、委員会に、また連合審査会に、ただいまはここで社会党の勝間田君、門司君等の反対御意見を拜聽いたしましたが、前回の場合とほぼ同様でありまして、ただいたずらに地方税の増税部分のみが多く論ぜられ、国税と地方税を通ずる今次の税制改革が総合的に論ぜられず、反対のための反対意見が最も多く、本税法案の核心に触れる御意見のきわめて少かつたことは、はなはだ遺憾に存ずるところであります。  諸君諸君がたとえば富士山に登山せんといたしまするときに、ある人はあるいは大宮口から登山するでありましよう。ある人はまた御殿場口から登山するでありましようが、やがて頂上に至れば同じ立場に立つのであります。私は憲法治下におきまする政党の存在もまたかくあらねばならぬと思う。たとえば社会党諸君が社会主義政策をとなえて、かりに御殿場口から登山しようといたしますることも、われわれ自由党の者が自由主義政策をとなえて大宮口から登山せんといたしますることも、登るときは、ともにイデオロギーの差はありますけれども、やがて究極いたしまするときには、八千万国民のために、その利益幸福のために行う政策でなければなりません。(拍手)もしこの本旨を失いまして、党利党略のために、いたずらに反対せんがための反対をなすがごときやからありといたしまするなれば、かくのごときやからは、立憲治下において存在を許されぬ政党であります。(発言する者多し、拍手)先ほど社会党の門司君から、自由党は、ただいままで野党であつた国民民主党の修正案に何の面目あつて同調したかと言われましたが、私どもは、八千万国民のために幸福なりと考えますることなれば、みずから小さな問題にとらわれずに、いわゆる大同につき小異を捨てる公党であることを、重ねてここに諸君に申し上げておきます。(発言する者多し、拍手)  およそ税制の改革は、いついかなる税たるを問わず、必要の最小限度の徴税を——国民最大多数に公平なる負担をせしめるものでなければなりません。この観点よりいたしまして、本法案をしさいに検討いたしますれば、地方財政の独立をはかり、地方自治を強化して、もつて真の民主政治の確立を期するために創設せられました本法案が、本年度におきまして一千九百八億円の税收見込額といたしておりますることは、決して不当なものではありません。わが国現状よりいたしまして、まことに適切なる改革と言わなければならないのであります。しかるに、この法案を、いまなお国民のある一部には非難する人のあることは、はなはだ遺憾に思うのであります。本法案に対する非難がいかに不当なものであるかを、私ここに簡明率直に申し上げてみたいと思うのであります。  非難の第一重点は、新税の創設に対する準備が不十分であるから、少くともこの実施をしばらく延期すべきであるという議論でありましたが、今次の地方税法案は、前会に提出されました原案に比較いたしますれば、大幅の修正がすでに加えられており、特に前会の原案に対しまして強くわれわれが指摘して来た課税見積りに対する疑問と、これに随伴しまする納税者としての不安に対するこたえとして、政府原案は、附加価値税の一年延期と、固定資産税の税率並びに課税標準仮決定の措置がとられておるのであります。     〔議長退席、副議長着席〕  わが党は、国民民主党協力いたしまして、さらに附加価値税の実施を一箇年延期する修正意見をとりまとめて、本税の実施昭和二十七年まで二箇年延期の修正案を、委員会におきまして絶対多数をもつて可決したのであります。従つて、本税非難の最も重要な点につきましては、すでにその理由は解消したというべきであります。  次に徴税機構が整備不充実であるということでありましたが、充実されていないという非難について考えますれば、およそ新税の創設または増税の行われる場合に、徴税機構の整備充実の必要なることは、あらためてここに申すまでもないことであります。この点につきましては、すでに財政当局も十分愼重に考慮せられておることが明らかにされておりまするので、本税の創設に対しまして絶対障害となる程度のものでないということをわれわれは信じます。  さらに非難いたされておりまする第二点は、国税において若干の負担軽減は行われたが、地方税においては増税が行われる結果、何ら減税にならないというのであります。なるほど、市町村民税は二百七十六億から五百七十六億円と約二倍、固定資産税は百六十六億から五百二十億円と三・一倍程度に増税せられております。地方税全体といたしましては千五百二十四億円から千九百八億円と増加しており、二十五年度において三百八十四億月の増税となつておるのであります。しかし国税と地方税とを通じて見ますれば、国税において約七百億の減、地方税において三百八十四億の増でありまするので、差引三百二十億種変の税軽減が現実に行われておることは無視することができないのであります。すなわち地方税の増額は、国税の減額の一部を、逼迫せる財政に悩む地方公共団体に委譲したものでありまして、この改正によつて、従来地方住民を悩まして参りました年額約四百億円にも上るとい方強制的の寄付金のほとんどがなくなることを考え合せまするときに、今回の地方税の増額を非難するのは、まつたく当らないといわなければなりません。(拍手)  さらに問題の第三点は、附加価値税及び固定資産税を中心とする今回の地方税体系についてであります。世界にまだ実施せられたことのない新税である附加価値税については、納税者の負担が急激に増加し、あるいはその前進転嫁が困難でありまする場合には勤労者に負担が転嫁せられるおそれあるなどと非難の声を耳にいたしまするが、私も、現在の日本のごとく多数の労働雇用をしておる企業にとりましては、アメリカのごとく機械によつて労働力の節約が簡單に行われがたい日本現状といたしましては、この新税がある種の企業にとつて負担の過重を来すことはこれを認めざるを得ないのでありまするが、しかしながら本税を、従来の事業税が粗雑な標準による一種の所得税附加税のごときものであり、収益課税主義の欠点を持ちましたものに比べまして、また不評判でありました、かの取引高税と比較いたしまして、都道府県の独立税として、はるかに合理的な性格を有することは明白なる事実であります。御承知のごとく本税は、事業がその事業活動を通じて国民所得の増加に貢献した割合に応じて納税する税であります。事業が合理的に経営せられるならば、応能的にもまことに公正なるものというべきでありまして、赤字企業が課税を免れる事業税に比べて優れた特色を持つものといわなければなりません。赤字企業が通例であるかのごとき現下の変態的経済情勢は、決して長く放置せらるべき状態ではありません。やがて正常の経済に復帰いたしました際には理想的な税目となるのみならず、むしろ本税の施行によつて事業の合理化が促進せられ、日本経済の回復が推し進められるという指導的な面を見のがしてはならないのであります。私は、いたずらに目前の経済事情にのみとらわれて、立法の根本精神を見誤るがごとき見解には断じて賛成はできないのであります。  さらに勤労者への負担の転嫁、あるいは物価への影響のごとき、今日の社会情勢や経済事情より見まして、ほとんど懸念する必要はないと私は考えます。また委員会における修正案では、本税の実施がさらに二筒年延期せられておりますので、その間において税率あるいは非課税の範囲等につきまして十分に検討を加え、将来の円滑な実施に備うべく、今後政府は一層の努力をいたして適切な措置を講じ、国民の要望にこたえられんことを強く要請しておきます。なお本年度附加価値税実施延期の暫定措置として、現行事業税と特別所得税の税率を約二割引下げて課税することとしたのでありまするが、この点につきましては、現在のところ別段の問題はないものと存じます。  次に議論の対象となりました固定資産税の倍率についてであります。御承知のごとく、本税におきましては、昭和二十五年度に限り農地以外の土地及び家屋については賃貸価格の九百倍、農地については解放価格の二二・五倍を課税標準と定めているのでありまするが、この九百倍は現実の時価に比してはなはだしく大に過ぎ、これでは、せつかく解放せられた農民がその負担にたえないというのであります。なるほど土地家屋の時価は、種類によりましては九百倍をはるかに上まわるものもあると同時に、また相当下まわるものがあることも事実であります。しかしながら、これらの価格を均衡のとれた評価をいたしまするには相当の日時を要しまするので、一応二十五年度に限りまして暫定的に取扱うことも、けだしまたやむを得ない措置と了解せらるるのであります。賃貸価格をひとしく拡大することによりまして、賃貸価格に存する不均衡の所在を明確にし、将来公正な評価を容易にならしめる機縁をつくることとも相なりますので、若干の不均衡は、本年度に限つてはやむを得ないところであると信じます。もとより九百倍の倍率そのものが適当であるかいなかにつきましては、よるべき正確な資料を欠く現状においては、十分なる検討ができ得ないうらみがあるのでありますが、政府の原案は、今回の修正におきまして、税率を百分の一・七五より一・七に引下げ、かつその率を仮の税率とみなして、税收入が予定額を上まわり、または下まわつた場合においてはその税率を変更するという特別な方式を採用することによつて課税の適正化をはかつております。委員会におきましては、さらにわが党と国民民主党とは密接な連繋のもとに、税率を、政府原案の一・七を一・六と引下げ、修正可決いたしましたので、この点、一応の解決が與えられていると見てよいのであります。  本税が従来の地租及び家屋税に比して著しく重課せられることになつた点につきましての非難に対しましては、地代及び家賃が統制せられておるためとはいえ、戰前地方税総額の三〇%以上を占めておりましたものが、現行税制におきましては、二十五年度にはわずかに一〇%を占めるにすぎない。この事実を正しく是正したものであると答え得るのであります。従来家屋土地等が不当に軽課せられていた結果、これらを遊休状態に放置する傾向が見られておりましたが、今回の引上げによりまして、これらの資産が有効に利用され、乏しきわが国の国富が経済発展に寄與するに至ることも予想せられるのでありまして、かかる本税の積極的、建設的な意義を見落してはならないと思うのであります。また本税が地代、家賃等の上昇を来し、勤労者を圧迫するという見解につきましては、なるほど多少の騰貴は考えられるのでありますが、これらのものは国税及び地方税の減税によつて十分カバーし得る程度のものであると考えまするし、かつまた現在のやみ家賃等を勘案いたしまするなれば、ほとんど問題とするに足りないものであると思います。  次に問題となりまする点は、市町村民税の増額せられた点であります。本税のみをとつて、これを従前の住民税に比較いたしますれば、二倍程度の増額となるのでありますが、これを所得税の減額とあわせ考えまするときには、ほとんど国民のすべての階層にわたりまして、従前の負担の二・三%以上の負担の減少となるのであります。  以上私は、簡單に本税法案の批判せられておりまするおもなる点について申し述べました。前国会におきまして、この地方税法案が本院に上程せられました際、先輩塚田十一郎君が賛成討論の際に、各税目について詳しく数字を列挙して論じておられますので、私は第七回国会におきます塚田君の速記録を御参照願うことといたしまして、ここに重複して論ずることを避けますが、このほか遊興飲食税の引下げ、不動産取得税を初め二十に近い雑税の整理、全税目にわたる税率の明確化等は、実に本改革案の持つ長所として特筆せらるべきものであると信じます。  これを要するに、私の申し上げたい点は、本法案が現下の社会経済事情のもとにおいて多少の摩擦、不合理は避けがたいことを認めつつも、本税法が、地方分権によりまする自治体の強化という日本民主化のためにぜひとも遂行しなければならない重大な改革を担当する革新的な税法であるということについては、国民のすべてが十分な認識を持たねばならぬということであります。その前提のもとに初めて本税法の真意と真価が理解せられるのであります。今回の政府原案はもちろん、修正案もともに前国会におきましてわが党が修正案として提案いたしました、世にいわゆる中島試案なるものに歩み寄りつつありますることは、まことに百尺竿頭一歩を進めたものとして、各位とともに最も欣快に存ずるところであります。(拍手)  増税に脅威を感じておりまする世論が、一応新しい税法を歓迎しないことは容易に想像し得るのでありまするが、この前提を十分に理解して、一時分犠牲を忍び、勇気をもつて地方自治体を真にわがものとする態度に立たれまするなれば、本税法に対しまする非難の大半は消滅することを私は確信いたします。この税法の精神を普及徹底せしめる上におきまして、政府も、地方自治体の当局も、われわれも十分な熱意を傾け盡しまして、この税が持つ若干の欠点は、今後国会政府協力によつて、本税法の実施の段階におきまして逐次修正せられ、やがて国民によつて、今次の改革が、地方財政確立のためにも、また税制の合理化のためにも適切なものであつたということが必ず理解せられる日の来りますることを私は確信いたしまして、賛成討論を終る次第でございます。(拍手
  50. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 立花敏男君。     〔立花敏男君登壇
  51. 立花敏男

    ○立花敏男君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま提案されましたところの地方税法原案並びに修正案に対しまして反対するものであります。  前国会におきまして、吉田内閣は━━━━━━━━━━━━━━━━強引に地方税法案を通過せしめんといたしたのでありますが、共産党を先頭といたしますところの野党各派反対にあいまして、遂に否決され、国会において廃案になつたことは御承知通りであります。これはまつたく吉田内閣の責任でございますが、しかるにもかかわらず、吉田内閣は再び同法案を今国会提出し、一挙に通過せしめんとはかつておるのは、一体何を意味するのか。また地方税法案を今回会の中心問題としているのは、一体何を意味するのか。吉田内閣は、その成立以来、国民大衆の意思を無視して、わが国産業経済のフアツシヨ的、軍事的再編成を企てつつあつたことは、国内のみならず、国際的な民主勢力がすでに指摘しつつあつたところであります。  朝鮮事変が勃発するや、吉田総理を先つ頭とするところの日本の━━━━は、まつたく国民の意思に問うところなくして、国連協力と称して朝鮮民族統一鬪争に━━の意思を明らかにし、最近の外国放送によりますと、京城付近の戰鬪において日本人将兵三十数名の遺棄死体が発見されたことを報じております。さらに最近の浦項における敵前上陸に際しましては、われわれと同じ日本人艦長の参加したことがすでに報道されておるのであります。今国会は、まさに吉田内閣の従来のフアツシヨ政策の総決算としての国連協力態勢整備のための国会であり、このことは、より正しく言うならば、━━━━━━━━━━━━協力態勢整備以外の何ものでもないのであります。地方税法案は、かかる協力態勢の一部であり、協力財政費の調達を使命とするところの最も重要な一部分であることは火を見るよりも明らかである。だからこそ吉田内閣は、今国会において、何をおいても本地方税法案を通過せしめんとして狂奔しておるのである。  海運、造船、鉄鋼、運輸、自動車等々を中心とするところの日本の軍需産業生産と輸送、戰略物資の調達と輸入、軍需労務の動員等々、これらは今や全国にわたつて厖大な額に達しておるが、このことは、單に東京周辺の国鉄ダイヤの変更を見ても、国鉄ダイヤの増発が数十本に達しておるということを見ても明らかである。さらに最近発表されましたところの七万五千人の警察隊と、八千人の海上保安隊のこの費用は、海上保安隊のみで半箇年七十億、あるいは八十億に達するということを政府みずから言明しておる。これらの出費は、今やまつたく政府みずからですら計算も予想も立たないというふうな厖大なものとなりつつあるのである。しかも吉田総理は、この警察隊は共産軍の侵入を阻止するのが目的であると放言しておる。一体どこの共産軍が侵入せんとしておるか。これは国際的にゆゆしき大問題である。しかも日本の人民は、かかる大なる出費を必要とする企てには断じて賛成していないのである。  今や吉田内閣が、定められた予算のわく内で、かかる厖大な協力費をまかない得ないことは、明々白々たる事実である。地方財政は中央におけるこの……。     〔発言する者多し〕
  52. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 立花君、議題外にわたらないように御注意願います。
  53. 立花敏男

    ○立花敏男君(続) 無関係であり得ないことはもちろんである。基地建設あるいは労務動員、防空施設等々、地方財政は国家財政の補助物として……(発言する者多く、聴取不能)現状である。たとえば東京都の首都建設は、三千億ないし五千億の予算をもつて十月から着工されるといわれておるが、これがはたして従来の東京都の貧弱な財政によつてまかない得るであろうか。東京港の拡張、羽田飛行場の整備拡充、伊豆諸島の開発を含むところのこの莫大な出費が、本地方税法案をてことして、東京都の人民大衆から收奪されんとしておるのである。かかる情勢のもとにおいて、本法案実施が、いかにも地方財政を確立し、あるいは地方住民の生活を安定せしめるがごとく言いふらすことは、ナンセンスであるというよりも、むしろ悪意と虚偽に満ちた宣伝であると断じてはばからない。  吉田内閣は、地方税で四百億円増税しても、国税で七百億円減税するから、国民の負担は軽くなると言つておりますが、これはまつたく人民大衆をごまかすための数字のトリツクにすぎないのである。わが日本共産党は、前国会において、地方税の増税が單に四百億というがごとき、なまやさしいものではなくて、一千数百億の大増税とならざるを得ないことを指摘して鬪つて参つた。今やこのことが、單なる数字の上の可能性ではなくして、現実の問題となつて現われつつある。全国の地方団体の最近の情勢よりして、いずれも二割ないし三割の追加予算の提出が必至であることは、委員会における地方団体代表の証言によつても明らかだ。これをまかなうものは増税以外に何があるか。この大増税によつて、人民の生活はより一層破綻し、平和産業と農業は破綻のどん底にたたき込まれることはもちろんである。前年度の地方税の滞納が数百億に達し、和歌山県等では、これがため住民が軒並に差押えを食らつておる。配給肥料の受配不能の者が、東北六県を初め全国にわたつて、全農家の約四〇%に達しておる。このように本法案は、日本人民の犠牲において、国際独占資本の要求するところの協力態勢整備の財源を確保するためのものであることは明瞭である。  次に私は、人民大衆の利益を代表して、この法案そのものの内容がいかに悪質なものであるか、また日本人民を国際独占資本の犠牲に供せんとするものであるかを明らかにしたいと思う。  第一に、二十七年より実施されるところの附加価値税は、まつたく租税の原則を蹂躪いたしまして、担税力のない企業に重課せられておるところの世界無比の悪税である。その結果、帝国主義者どもの要求する大企業、軍需産業は繁栄し、日本人民の要求するところの平和産業あるいは中小企業は完全に崩壞せざるを得ないのである。このことは、日本より軍需産業を一掃し、平和産業を推進するというところのポツダム宣言あるいは極東委員会の根本方針に、まつこうから違反するものと断じてはばからない。  第二に、附加価値税にかわつて本年度実施される事業税は、政府みずからその提案理由説明に言つておるごとく、大企業に不当に軽減されていると書かざるを得ないのである。大資本擁護の悪税であることはもちろんである。  第三に、固定資産税は、その大部分が地代、家賃、小作料の引上げとなつて、農民の土地を收奪し、労働者の実質的賃金を低下せしめ、あるいは人民の住宅難をますます激化せしめ、また償却資産に対する課税は、大企業の所有するものではなくして、農民、中小企業者の所有するところの一切の零細資産より集中的に収奪される準備が一切整つておるのである。また大事業の負担するところの固定資産税は労働者に転稼せざるを得ないということは、この間の委員会における経団連の代表者の証言によつても明らかである。固定資産税の予定するところの私鉄運賃等の引上げ等を見ましても、すでに企業の合理化あるいは首切りが、全国至るところの企業に現われ始めた。  第四に、市町村民税は、明らかに徳川時代の人頭割に逆もどりしている。口に民主主義を唱えるフアシストどもが、いかに破廉恥であり反動的であるかは、この市町村民税によつて遺憾なく暴露されておる。(拍手)何となれば、市町村民税を納めなければならない人口は全国で二千万人に達する。しかしこれは、所得税を納めます人口よりも五百万人も多いのである。このことは、所得税すら抑えなくて食うに困らておる者からも、なお住民税だけは容赦なく取上げる。生活ができなくとも税金だけは納めろ、こういうふうに言つて、絶えず納税者を脅かしておりますところの徴税吏員の暴言は、決して偶然ではない。第七国会の原案に対する政府與党の修正が、この殺人的な住民税に何ら触れられていないということは、彼ら自身の反入民性を余すところなく暴露している。(拍手)この税金によつて日本人民はまつたく━━━━━に突き落され、文字通り豊富低廉な━━労働力として提供されるのである。今回国民民主党から提出されましたところの修正案につきましても、何ら住民税に触れていないという点において、まつたく同様なものだと断言してはばからないのであります。(拍手)  しかも重大なことは、かかる地方税の大収奪が、八月、九月以降に集中的に強行されることである。国税等と合して納六千億に達するところの厖大な額であるが、これは現在でも税金の拂えないところの大衆に、まつたく拂えない税金であることは、火を見るより明らかである。政府が三万人の新しい徴税吏員を準備し、あるいは六十億円の新しい徴税費用を準備して、この收奪を強行せんとしておるのは、この税金がなまやさしいことではとれないということを政府自身が最も明瞭に知つているということの証拠である。(拍手)前国会で改悪されたところの、明治三十年制定の国税徴収法あるいは国税犯則取締法を適用せんとしておるのも、その準備の一つである。また政府が今国会提出を企図しておるところの地方公務員法も、そのねらいはまさにここにある。今や地方自治体は、あげて収奪機構の中心と化そうとしておる。  かくて吉田内閣は、その全力をあげて━━━━━━━━━税制を整備せんとし、法律上、機構上の措置を着々と進行せしめつつあるが、このための先決問題として、人民大衆の先頭に立つて闘うところのわが日本共産党を弾圧し、人民の民主的権利を剥奪し、ピストルと、こん棒の威力によつて、しやにむに人民からこの悪税を収奪せんとしておるのである。  以上のごとく、本法案は国際独占資本の掠奪に奉仕するものであり、日本人民たる以上、何人といえども賛成し得ざるところの悪法である。かかる法案賛成する者こそ、まさに八千万国民をあげて国際独占資本の━━に供せんとするところの吉田内閣とその一味以外には断じてあり得ない。(拍手)また、かかる明白なる天下の悪法に対し、区々たる修正によつて人民の利益が守れるがごとく装うところの国民民主党の態度が、いかに人民に━━━━━━與え、帝国主義者どもの━━に対する人民の憤激を押えつける以外の何物でもないかを指摘しておきたいと思う。(拍手)しかも、その部分的修正そのものも、單なる千九百億円のわく内操作にすぎないときは、それはもはや修正案ですらあり得ないのである。税率は低減されても、税額は減らない。税法が修正されても、平衡交付金等に対する何らの予算措置もとらない。かかる修正案が通過成立することによつて国民は今後地方税法及び国家予算に対して絶対に信をおくことができないということを宣言しておきたいと思う。(拍手)  日本共産党は、日本民族の利益を代表し、全アジアの民族並びに全世界の平和を愛好する人民とともに、朝鮮民族統一闘争に対する日本の介入を即時中止することを要求し、軍需産業の一掃と平和産業の無制限拡大を要求し、さらに地方税については次の三項を要求する。  一、地方税は所得割を中心とするところの住民税一本とし、高度累進課税として免税点を高くすること。  一、入場税、遊興飲食税の撤廃を初め、すべての雑税、寄付金を廃止すること。  一、地方徴税権力の増強を止め、人民の民主的委員会の意見によつて課税すること。  この方向こそ、真に人民の税負担を軽減し、人民の生活を守る道であり、日本の自由と独立、ひいては世界の平和を守る道であることを共産党は確信する。日本共産党は、この自由と独立と平和への道に明白に逆行するところの本地方税法案並びに修正案に対して断固反対して鬪うことをここに宣言するものである。(拍手
  54. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) ただいまの立花君の発言中不穏当の言辞がありましたら、速記録を取調べの上適当の処置を講じます。藤田義光君。     〔藤田義光君登壇
  55. 藤田義光

    ○藤田義光君 私は、国民民主党を代表いたしまして、委員長報告賛成するものであります。(拍手)  自治制がしかれましてから、すでに七十年になんなんとする今日におきまして、今回の税法改正は、まさに画期的な意義を有するものでございます。昨年の夏来朝いたしましたるシヤウプ博士の勧告をわれわれ国会が受理いたしましたのは、実に昨年の九月初頭であります。爾来、第七通常国会経過いたし、本臨時国会に付議されたのでございます。御存じの通り、第七国会におきましては、わが民主党を主力とする野党の反撃によりまして不成立に終つたのでございます。  今回提出されましたいわゆる政府案を一瞥いたしまするのに、多少の修正をいたしております。まず第一点は、事業税の一年延期でございます。この点に関しましては、前国会における野党の主張を採用されたことは、担当大臣たる岡野自治庁長官が再三認めたところであります。  第二の点は、固定資産税に関する一、二の修正でございます。この修正案は至つて不満足でございます。  前国会におきまして地方税法案が不成立になるとともに、政府といたしましては、全国一万有余の自治体の財政空白に対するいわゆる緊急措置を実施いたしたのであります。御存じの通り、その内容は、平衡交付金の概算交付と、短期融資の放出でございます。しかしながら、われわれは今回政府提出いたしましたる修正案を手にいたしまして、政府は重大なる点におきまして重大なる過誤を犯しておるということが、はつきりいたしたのでございます。ただいま申し上げましたる通り、平衡交付金の概算交付は、すでに本年度の当初予算に計上されましたる六割を超過いたしております。従いまして、下半期におきましては、平衡交付金の財源は枯渇に瀕せんといたしておりますが、この平衡交付金の増額に関しては何らの措置をとられていないのでございます。  第三の点は短期債の対策でございます。六月末の閣議におきまして、地方財政の空白に伴つて放出されたる短期融資の利子に関しては別途財源措置を講ずるということを決定いたしておるのでありまするが、臨時国会半ばを過ぎたる今日におきまして、これに関する何らの措置がとられていないということは、ここにはべつております池田大蔵大臣が承認した点でございます。  第四の点は、税制体系を再検討すべきであつたのであります。池田大蔵大臣あるいは岡野自治庁長官が再三言明いたしましたる通り、今回の地方税法案改正というものは、国税の改正と一貫したものでございます。しかるに、国税に関してはすでに実施徴税中であり、自由党の提唱いたしましたる地方改正の重大なる附加価値税をここに延期するのにもかかわらず、これに対する税制体系が全然検討されていないという重大なる錯誤があつたのでございます。最後に最も重大なる点は、池田大蔵大臣の渡米でございます。通常国会におきまして地方税法が不成立になりまして、国家財政を担当する大蔵大臣としては、一日も空席をいたすことはできなかつた情勢にもかかわらず、あえて渡米いたしましたのは、一に地方税法案不成立の善後策であつたことは、常識的に観測されるのであります。しかるに、その帰還のみやげによりますと、これに該当するものは何ものもございません。この池田大蔵大臣の渡米に対する国民の期待も裏切られまして、しかも関係方面に対する廃案後の折衝は、ほとんど無為無策でございます。不成立以来三箇月を経過するのにもかかわらず、これに対する成果というものが、先ほど説明がありました通り、ささたる修正案であつたのであります。  かかる実情にかんがみまして、われわれは重大なる修正の要求を関係方面にいたしたのでございます。その第一点は附加価値税でございます。この附加価値税は、シヤウプ博士の勧告によつて初めて日本で知つた税制であることは、御存じの通りであります。そのシヤウプ博士が、アメリカの戰時財政が苦しくなりました一九四三年、当時の大統領に対しまして、附加価値税という説を唱える学者もあるが、アメリカにおりてすら、これによつて戰時財源をまかなうことは困難である、学者の説としては一応有力なる附加価値税ではあるが、実行困難である、という勧告をいたしておるのであります。その附加価値税を、敗戰下混乱期にある日本経済実施せんとするところに非常なむりがあつたわけでございまして、われわれは、あくまでこれが実施延期を要求いたしたのであります。  第二の点は固定資産税でございます。御存じの通り、固定資産税の税率及び倍率が高きに失することは、皆さん方御存じの通りでございます。この点に関しましては、政府諸公もすでに徴税過重になることを認めておるのであります。われわれは、この点に関しまして税率、倍率の引下げを計画いたしたのであります。特に固定資産税の農村に與える影響の深甚、重大なるにかんがみまして、寒冷地に対する特別なる措置あるいは協同組合の免税等を中心に幾多の修正を試みたのでございます。  第三点は住民税でございます。この点に関しましては、先ほど来の討論者によつて言われたことと大体一致した修正を計画いたしたのでございます。特に住民税に関しましては、所得割の大幅増徴によりまして個人の負担は非常に過大になつておりまするが、これに反しまして、法人は均等割のみを負担するということになりまして、せつかく今回の法律案によりまして強制寄付を廃止する明文を設けておるのにもかかわらず、地方の市町村におきましては、この寄附というものが住民税の肩がわりとして復活する危險が非常にあるのであります。  かかる観点から、以上の三大税に関しまして重大なる修正を計画いたしたのであります。関係方面と折衝の結果、われわれは大体において満足すべき結果を得まして、ここに賛成いたしたのでございます。  賛成理由を簡單に申し上げますと、第一は、われわれがかねて党の方針として最も大きく掲げておりました附加価値税が二年間延期になりまして、実質的にわが党の主張がいれられた点でございます。現在の経済混乱のさ中におきまして、賃金、利子、利潤、地代という課税対象から徴税することによりまして、中小企業を初め日本の全産業人に深甚なる影響と破滅を予想されましたる附加価値税の実質的廃案が、われわれの賛成いたしました第一の点であります。(拍手)第二の点は、幾多の客観情勢、特に国際情勢の現状にかんがみまして、国内の混乱を最小限度に阻止するというにあつたのであります。第三の点は、自治体の現状を見まして、もしこのまま税の空白を継続するなれば、日本の国家組織の基盤であります自治体は懐滅に瀕するという結論に到達いたしたからであります。御存じの通り、本年度の当初予算におきましては、九百九十億という公共事業費が計上されております。これはすでに地方自治体に放出を半ば終りつつありまするが、この公共事業費を実際に工事化するのには、地元にその負担すべき経費がないのであります。政府からいたしました平衡交付金の概算交付、あるいは短期融資の放出によりまして、わずかに役場の事務費のみをまかなつておるのが地方自治体の現状でございまして、もし税の源をこのままで空白にいたしておきましたならば、国家組織の基盤は壞滅に瀕するという結論を得ましたから、不満足ではありますが、この際大乗的見地に立つて賛成いたしたのであります。(拍手)  次は最も重大なる点でございまして、われわれがあえて本案賛成いたしましたのは、国会審議権が確立したことでございます。(拍手)御存じの通り、前国会の末期におきまして、この問題は最も重要なる論議の的となつたのでございます。私たちが單刀直入に申し上げれば、吉田内閣に対して国民の一部に信頼がありとすれば、それは吉田総理の渉外能力であつたことは、皆さん御存じの通りであります。しかるにもかかわらず、この全国民の重大なる関心を持ちましたる地方税に関しまして、前国会であれほど紛糾を見、その影響するところ重大であることがわかりながら、些少の修正もできなかつたのであります。このいわゆる吉田総理の渉外能力を体験いたしましたるわれわれは、われわれの力によつて今回審議権復活の端緒をつかみましたので、この際関係方面の…(発言する者多し)黙れ——関係方面の熱意と国会審議権回復という重大なる收穫を得ましたので、あえて賛成いたした次第でございます。(拍手)  新聞の伝えるところにより、また委員会における吉田総理、池田大蔵大臣あるいは岡野自治庁長官の口をそろえての言明によりますれば、シヤウプ博士が来る二十九日来朝することは確定的でございます。われわれは、以上申し述べましたる通り、ただいま審議中の法案には非常に不満を持つております。不十分であるということを意識いたしております。しかし、この法案の生みの親というべきシヤウプ博士の再来朝に際しまして、大衆の気持を反映させたる徹底的なる修正案をわが党の実力によつて獲得いたしまして、この不平不満を多少なりと解消いたしておく建前から、あえて本法案賛成いたしたのであります。(拍手)  最後に申し上げたいのは、御存じの通りこの新しい地方税法というものは、シヤウプ博士の勧告によりますれば、災害復旧の全額国庫負担及び平衡交付金制度、新地方税制度、この三つによつて地方の自治体は再発足せんといたしておつたのであります。しかるにもかかわらず、過般の閣議決定による明年度の予算編成方針によれば、災害復旧の全額国庫負担は本年きりで中止するという重大なる決定をいたしておるのであります。しかし、この決定がもし事実なりとすれば、新しい税法の体系は壞滅します。何のため国会は半歳にわたる苦労をして審議したか、その意義を失墜するものでありまするが、これは新しく自治庁長官になりました岡野さんの人柄とその言質によりまして、あえて岡野さんの言質を信頼いたしまして、この点は特に再来朝のシヤウプ博士に強く要望する所存でございます。また参議院議員選挙直前に、自由党総裁談の形式によりまして発表されましたる税の軽減ということは、その内容は、大蔵大臣の言明によれば、明年度において国税七百億、地方税において三百億の減税になつておりますが、これはおそらく池田大蔵大臣の間違いであると思います。地方税を七百億明年度においては減税し、国税を三百億減税するという意味にわれわれは解釈いたしまして、あえて本法案賛成した次第でございます。いろいろ不満な点はございまするが、以上申しましたる諸点の理由によりまして本法案賛成の意を表する次第であります。(拍手
  56. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 松本六太郎君。     〔松本六太郎君登壇
  57. 松本六太郎

    ○松本六太郎君 私は、農民協同党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまするところの地方改正に関する法律案に対しまして、修正の案、さらにその他の原案につきまして反対の意見を表明するものであります。(拍手)  そもそも今回の地方税法改正法律案を一貫して流れておりまするところの精神は、もとより地方自治の確立もしくは強化をはかるということを目的といたしておるのでありまするが、この法案が通過いたしますれば、われわれの見解によりますれば、かえつて地方自治に混乱を起し、地方自治の進展を阻害するものが大いにあることを憂うるのであります。さらにまた、この法案の全体につきまして、先般来も委員会における審議の過程を通じてこれを見ましても、あらゆる点において非常なる矛盾と不合理が包蔵せられていることは否定できないのであります。ただいま自由党を代表せられて川本君の御意見がありましたが、この與党代表の賛成意見の中にも、今日の国民生活の実態、わが国経済の実情から見て、必ずしも満足なものではないということを申しておられる。いわんや、その他の先日来の各界の代表者のすべての者は、この案に対して非常なる不満を表明いたしておる。  ことに、ただいま問題となつて各党から論議せられておりますところの附加価値税の二年間の延期の問題、これに至つては、まことに言語道断と申さなければならない。すなわち、一年間附加価値税の実施を延期するというそのこと自体が、すでにこの税金というものはまことに困難なものであり、しかも日本現状においてはこれを実施することが許されないということを証拠立てておるものであります。しかるに、今回民主党の諸君によつて御提案になりましたこの修正案によりますれば、さらにもう一年これを延期して、昭和二十七年からこれを実施するという。與党の自由党諸君もまたこれに賛意を表しておられるのでありますが、一体二箇年間も先でなければ実施のできない法律を、何を苦しんで今日ここに成案を得、決定をしなければならないかということであります。(拍手)すなわちこの附加価値税なるものは、先ほども各党の代表から御意見がありましたごとく、いかなる角度からこれを検討いたしましても、わが国の国情、わが国の今日の経済の実情、あるいは税法そのものの持つ多くの矛盾、かような点からいたしまして、この悪法は絶対に廃止すべきものであるとわれわれは確信するのであります。  しかも、せつかくこれを二年間延長するという修正案を出されましたが、しかしながら、それに対しましては事業税を存続するというのであります。事業税を存続するというに至りましては、これまた大いに問題のあるところであります。岡野国務大臣は、この法律案提案理由といたしまして、今まで行われておりましたわが国の税制、なかんずく事業税というものは非常なる悪税であるということを指摘しておられる。しかして、この附加価値税が唯一無二の最良の税制であるということを主張しておられる。しからば、その悪法を二箇年も延期する以上は、二箇年も事業税を存続する以上は、この事業税の持つ欠陷に対して十分なる修正が加えられなければならないはずであります。しかるに、今回のこの修正案には、事業税の持つ大なる欠陷もしくは悪税であるといわれるところの事業税に対して何らの修正が加えられておらないということである。かようなことによつて、もしもこの修正案が通過いたしました場合には、われわれは、その事業税の悪法のために再び大なる苦痛をためなければならぬという結論になるのであります。  私は、さらにもう一点、特に與党たる自由党諸君の御反省を願いたいことは、この法律案の中にありまするあらゆる点を勘案いたし、今日の農村並びに漁村、中小企業等に対する何らの措置を考えておられないということである。すなわち、いわゆる農業協同組合、漁業協同組合あるいは生活協同組合等、これらの今日の現状をいかに見ておられるのであるか。農民の今日の生活の実態をいかに把握しておられるのであるか、まことに認識不足もはなはだしいものがあります。私は、このような現下の日本の実情ないし農民の現状に対して認識を欠かれておる点に対しましては、すみやかに自由党諸君は御反省を願つて、瀕死の状態にあるところのこれらの団体に対する課税については十分なる考慮を携われることに努力をさるべきであると思う。  このような諸般理由によつて日本の現実を無視した、しかもかくのごとき何らの意味なき修正案、あるいは元来不当なるところのこの法律案に対しましては、われわれは、国家のために、国民のために断固反対せざるを得ないのであります。以上の理由をもつて私の討論を終ります。(拍手
  58. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 松谷天光光君。     〔松谷天光光君登壇
  59. 松谷天光光

    ○松谷天光光君 労働者農民党は、本法案委員長報舌に対しまして反対をいたします。反対の論点は多々ありまするが、大要二つに要約することができるのであります。  その第一点は…。     〔発言する者多し〕
  60. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御靜粛に願います。
  61. 松谷天光光

    ○松谷天光光君(続) 本案につきましては、税負担の不均衡があらゆる面に含まれておるという点でございます。政府は、本年度の所得税七百億減税、地方税四百億増税、差引三百億の減税になると申しておるのでありまするが、これは重なる税制上の減税にすぎないのでありまして、補給金削減によるところの価格、料金の騰貴、あるいはまたドツジ政策によるところの…     〔発言する者多し〕
  62. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御静粛に願います。
  63. 松谷天光光

    ○松谷天光光君(続) 失業あるいは不景気等から生じて参ります所得の減退、あるいは強制寄付金等の徴収を考えました場合におきましては、実質的には減税にはならないということをいわなければならないのでございます。シヤウプ博士も、税法上の減税と実質上の減税とは違うということを申しておるのでございます。  減税の実態がこういう性質のものでありまする上に、中央地方を通じまして税負担に著しい不公平が生じて参つておることは、民主政治の上から参りまして断じて黙視することはできないのでございます。(拍手)すなわち本税法が実施されまする場合におきましては、個人の場合におきましても、高額所得者と低額所得者どの間には相当の不公平が行われ、あるいはまた個人と法人との間におきましては著しい不均衡が現われて参りまするし、また業種別におきましても著しい不均衡が生じて参るのでございます。すなわち、高額所得者と低額所得者との税負担の不公平は、所得税法の改正によりまして激化されて参りました。この不公平、不均衡が住民税にそのまま引継がれまして、一層その不均衡の幅が拡大されなければならなくなつて参るのでございます。  次にまた個人と法人との場合を考えてみまするならば、たとえば食品業の場合をとつて見ますれば、法人の場合におきまして四八%の負担は、個人の場合は九三%の負担となるのでありますし、また印刷業の場合を見まするならば、法人の場合八八%の負担がかけられるのに対しまして、個人の場合におきましては九〇%の負担が要求されて参るのでございます。あるいはまた業種別に考えました場合におきましても、年收十万円を見まして、勤労者の場合には一千六百十円が減税されるに対しまして、商業者の場合には七千八百二十一円が減税されるというこの不均衡が出ておるのでございます。(拍手)  このほかまた附加価値税あるいは固定資産税の転嫁を考慮に入れまするならば、この税負担の不均衡は、より一層大幅になつて来なければならないのでございます。税負担の公平と均衡ということは、民主国家におきますところの租税制度の生命でありまするので、この一点におきまして、この地方税法案は、民主的税法としては致命的な欠陷を持つておるものであるといわなければならないのでございます。(拍手)このような税負担の不公平や不均衡は、資本の蓄積を税制の側面から促進しようといたしまするところの意図から、むしろ計画的に意図されましたものと推定されるのでありまするが、国民大衆が窮乏に瀕しておりまするこの際におきまして、かくのごとき原始的な資本蓄積に似た方法を、税制を通じて強権によつて強行しなければならないということは、きわめて封建的であり、また非民主的であり、むしろ残酷であるとさえいわなければならないと思うのでございます。(拍手)  反対論点の第二の問題は、この法案は、あらゆる面におきまして実情を無視いたしまして、不合理の点が多く含まれておるという点でございます。たとえば固定資産税がとれ過ぎた場合におきにましては、償却資産については返却がなされるのに対しまして、土地家屋についてはこれを認めていないということ、あるいはまた課税農地価格が小作料を基準にして定められる場合におきましては、公定価格の七倍見当と推定されておると申しますのに、本法案におきましては、公定価格の二二・五倍が見積られておるという点でございます。次にはまた附加価値税の転嫁や償却の経費算入などを考えまして、疑問は多々累積しておるであります。民主党の修正案は、以上のような本法案の本質的な欠陷を是正することに少しも役立つものではございません。(拍手)  そこで労働者農民党といたしましては、実質的減税と負担の均衡を重視いたしまして、住民税は所得割一本で参り、免税点を設けまして、累進的に課さなければならないということ、(拍手)この場合において、所得税の改正をまず前提としてなさなければならないということを考えるものでございます。また次に、附加価値税はやめまして営業利益のみを課税の対象とすること、この場合においては個人と法人との負担の均衡をはかりつつなすということ、あるいはまた固定資産税率を一〇%、評価倍率を一応五百倍といたしまして、土地家屋の評価超過によるところの税のとわ過ぎがありました場、合には次年度にこれを返還するということを主張いたしまして、労働者農民党は本法案に対して反対の意を表する次第であります。(拍手
  64. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。この採決は記名投票をもつて行います。本案委員長報告は修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  65. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  66. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百四十   可とする者(白票) 二百六十六     〔拍手〕   否とする者(青票)   七十四     〔拍手
  67. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 右の結果、地方税法案委員長報告通り修正議決いたしました。(拍手)     —————————————     〔参照〕  地方税法案委員長報告通り決するを可とする議員の氏名       阿左美廣治君    逢澤  寛君       安部 俊吾君    青木 孝義君       青木  正君    青柳 一郎君       淺香 忠雄君    淺利 三朗君       麻生太賀吉君    天野 公義君       有田 二郎君    井手 光治君       池田正之輔君    池田 勇人君       池見 茂隆君    石田 博英君       石原 圓吉君    石原  登君       稻田 直道君    今村 忠助君       岩川 與助君    宇田  恒君       宇野秀次郎君    内海 安吉君       江崎 真澄君    江花  靜君       遠藤 三郎君   小笠原八十美君       小川 平二君    小川原政信君       小澤佐重喜君    小高 熹郎君      小野瀬忠兵衞君    尾関 義一君       越智  茂君    大石 武一君       大泉 寛三君    大内 一郎君       大上  司君    大澤嘉平治君       大西 禎夫君    大西  弘君       大橋 武夫君    大村 清一君       岡延右エ門君    岡崎 勝男君       岡田 五郎君    岡西 明貞君       岡野 清豪君   岡村利右衞門君       奧村又十郎君    加藤隆太郎君       鍛冶 良作君    角田 幸吉君       片岡伊三郎君    甲木  保君       門脇勝太郎君    金光 義邦君       上林山榮吉君    神田  博君       川西  清君    川端 佳夫君       川村善八郎君    川本 末治君       河原伊三郎君    菅家 喜六君       木村 公平君    菊池 義郎君       北川 定務君    北澤 直吉君       金原 舜二君    倉石 忠雄君       黒澤富次郎君    小金 義照君       小坂善太郎君    小平 久雄君       小玉 治行君    小西 寅松君       五島 秀次君    河野 謙三君       近藤 鶴代君    佐々木秀世君       佐々木盛雄君    佐藤 榮作君       佐藤 重遠君    佐藤 親弘君       坂田 英一君    坂田 道太君       坂本  實君    志田 義信君       清水 逸平君    塩田賀四郎君       篠田 弘作君    島田 末信君       澁谷雄太郎君    島村 一郎君       首藤 新八君    白井 佐吉君       庄司 一郎君    周東 英雄君       鈴木 明良君    鈴木 仙八君       鈴木 善幸君    鈴木 正文君       瀬戸山三男君    關内 正一君       關谷 勝利君    千賀 康治君       田口長治郎君    田嶋 好文君       田中伊三次君    田中 角榮君       田中 重彌君    田中 彰治君       田中  元君    田中不破三君       田中 萬逸君    田渕 光一君       多田  勇君    多武良哲三君       高木  章君    高木吉之助君       高木 松吉君    高塩 三郎君       高橋 英吉君    高橋 權六君       高間 松吉君    橘  直治君       玉置 信一君    玉置  實君       中馬 辰猪君    圖司 安正君       塚原 俊郎君    土倉 宗明君       辻  寛一君    圓谷 光衞君       坪内 八郎君    坪川 信三君       寺島隆太郎君    寺本  齋君       東井三代次君    苫米地英俊君       奈良 治二君    内藤  隆君       中川 俊思君    中野 武雄君       中村 幸八君    中村 純一君       中山 マサ君    仲内 憲治君       永井 要造君    永田  節君       長野 長廣君    夏堀源三郎君       西村 英一君    西村 直己君       西村 久之君    根本龍太郎君       野原 正勝君    野村專太郎君      橋本登美三郎君    橋本 龍伍君       畠山 鶴吉君    花村 四郎君       林  讓治君    原 健三郎君       原田 雪松君    平澤 長吉君       平島 良一君    廣川 弘禪君       福田  一君    福永 一臣君       福永 健司君    藤枝 泉介君       渕  通義君    淵上房太郎君       船越  弘君    降旗 徳弥君       保利  茂君    星島 二郎君       堀川 恭平君    本多 市郎君       本間 俊一君    眞鍋  勝君       前尾繁三郎君    前田  郁君       牧野 寛索君    増田甲子七君       益谷 秀次君    松井 豊吉君       松浦 東介君    松木  弘君       松田 鐵藏君    松野 頼三君       松本 一郎君    松本 善壽君       三池  信君    三浦寅之助君       三宅 則義君    水谷  昇君       滿尾 君亮君    南  好雄君       宮原幸三郎君    武藤 嘉一君       村上  勇君    村上 清治君       守島 伍郎君    森 幸太郎君       森   曉君    八木 一郎君      藥師神岩太郎君    柳澤 義男君      山口喜久一郎君    山口 好一君       山口六郎次君    山崎 岩男君       山崎  猛君    山村新治郎君       山本 猛夫君    山本 久雄君       吉田  茂君    吉田 省三君       吉田吉太郎君    吉武 惠市君       龍野喜一郎君    若林 義孝君       渡邊 良夫君    亘  四郎君       天野  久君    今井  耕君       小川 半次君    小野  孝君       大西 正男君    大森 玉木君       金塚  孝君    川崎 秀二君       木下  榮君   木村小左衞門君       小松 勇次君    河野 金昇君       坂口 主税君    笹森 順造君       笹山茂太郎君    志賀健次郎君       椎熊 三郎君    鈴木 幹雄君       高橋清治郎君    竹山祐太郎君       千葉 三郎君    床次 徳二君       苫米地義三君    中島 茂喜君       中村 又一君    畠山 重勇君       早川  崇君    林  好次君       福田 繁芳君    藤田 義光君       増田 連也君    松本 瀧藏君       三木 武夫君    柳原 三郎君       山手 滿男君    山本 利壽君       吉田  安君    犬養  健君  否とする議員の氏名       足鹿  覺君    赤松  勇君       淺沼稻次郎君    井上 良二君       猪俣 浩三君    石井 繁丸君       稻村 順三君    今澄  勇君       受田 新吉君    大矢 省三君       加藤 鐐造君    上林與市郎君       久保田鶴松君    佐々木更三君       佐竹 新市君    坂本 泰良君       鈴木茂三郎君    鈴木 義男君       田万 廣文君    堤 ツルヨ君       戸叶 里子君    土井 直作君       成田 知巳君    西村 榮一君       福田 昌子君    前田榮之助君       松井 政吉君    松尾トシ子君       松岡 駒吉君    松澤 兼人君       三宅 正一君    水谷長三郎君       門司  亮君    八百板 正君       江崎 一治君    加藤  充君       風早八十二君    上村  進君       柄澤登志子君    川上 貫一君       河田 賢治君    苅田アサノ君       木村  榮君    今野 武雄君       砂間 一良君    田島 ひで君       田代 文久君    田中 堯平君       高田 富之君    竹村奈良一君       立花 敏男君    土橋 一吉君       中西伊之助君    梨木作次郎君       林  百郎君    深澤 義守君       山口 武秀君    横田甚太郎君       米原  昶君    渡部 義通君       飯田 義茂君    河口 陽一君       寺崎  覺君    中野 四郎君       中村 寅太君    羽田野次郎君       松本六太郎君    石野 久男君       岡田 春夫君    黒田 寿男君       中原 健次君    松谷天光光君       小林  進君    佐竹 晴記君     —————————————
  68. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 本日はこれにて散会いたします。     午後九時五十一分散会