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1950-07-21 第8回国会 衆議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十一日(金曜日)  議事日程 第五号     午後一時開議  第一 両院法規委員会委員補欠選挙  第二 裁判官訴追委員辞任の件  第三 公正取引委員会委員任命につき同意の件  第四 地方行政調査委員会議委員任命につき同意の件  第五 地方財政委員会委員任命につき事後承認の件  第六 運輸審議会委員任命につき事後承認の件  第七 日本国有鉄道監理委員会委員任命につき事後承認の件  第八 日本銀行政策委員会委員任命につき同意の件     ————————————— ●本日の会議に付した事件  議員請暇の件  日程第一 両院法規委員会委員補欠選挙  日程第二 裁判官訴追委員辞任の件  裁判官訴追委員補欠選挙  裁判官訴追委員予備員選挙  日程第三 公正取引委員会委員任命につき同意の件  日程第四 地方行政調査委員会議委員任命につき同意の件  日程第五 地方財政委員会委員任命につき事後承認の件  日程第六 運輸審議会委員任命につき事後承認の件  日程第七 日本国有鉄道監理委員会委員任命につき事後承認の件  日程第八 日本銀行政策委員会委員任命につき同意の件  公務員給與ベースに関する緊急質問松澤兼人提出)  肥料統制廃止処置に関する緊急質問吉川久衛提出)  共産主義運動に関する緊急質問早川崇提出)  司法官憲並びに税務官吏職権濫用に関する緊急質問梨木作次郎提出)  被害麦措置に関する緊急質問金子與重郎提出)     午後一時四十九分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。     —————————————
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) お諮りいたします。議員本多市郎君から、米国地方行政視察のため渡米するにつき七月二十四日から本会期請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ————◇—————
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一、両院法規委員会委員聽濤克巳君が退職せられ、委員に一名の欠員を生じましたので、両院法規委員会委員補欠選挙を行います。     —————————————
  6. 今村忠助

    今村忠助君 両院法規委員会委員選挙は、その手続を省略し、議長において指名されんことを望みます。
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長田中堯平君両院法規委員会委員に指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第二につきお諮りいたします。裁判官訴追委員大橋武夫君、同高木松吉君から委員辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ————◇—————
  11. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) つきましては、委員に二名の欠員を生じましたので、この際裁判官訴追委員選挙を行います。     —————————————
  12. 今村忠助

    今村忠助君 裁判官訴追委員選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  13. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長眞鍋勝君及び牧野寛索君を裁判官訴追委員に指名いたします。      ————◇—————
  15. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 裁判官訴追委員予備員眞鍋務君が訴追委員に選任せられ、予備員欠員を生じましたので、この際裁判官訴追委員予備員補欠選挙を行います。     —————————————
  16. 今村忠助

    今村忠助君 裁判官訴追委員予備員選挙は、その手続を省略して議長において指名せられ、その予備員職務を行う順序議長において定められんことを望みます。
  17. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長松木弘君と裁判官訴追委員予備員に指名いたします。なお同君の職務を行う順序は第一順位といたします。      ————◇—————
  19. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第三及び日程第四を一括してお諮りいたします。内閣から、公正取引委員会委員蘆野弘君を、地方行政調資委員会議委員に湯河元威君を任命するため本院の同意を得たいと申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  20. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。      ————◇—————
  21. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第五ないし第七を一括してお諮りいたします。内閣から、地方財政委員会委員青木得三君、菊山嘉男君、上原六郎君、木村清司君、野村秀雄君を任命せるにつき、運輸審議会委員太田三郎君、松浦薫君を任命せるにつき、また日本国有鉄道監理委員会委員阿部藤造君を任命せるにつき、いずれも本院の事後承認を得たいとの申出がありました。右申出の通り事後承認を與えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  22. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて承認を與えるに決しました。      ————◇—————
  23. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第八につきお諮りいたします。内閣から、日本銀行政策委員会委員に荷見安君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  24. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。      ————◇—————
  25. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、松澤兼人提出公務員給與ベースに関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  26. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  27. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  公務員給與ベースに関する緊急質問を許可いたします。松澤兼人君。     〔松澤兼人登壇
  28. 松澤兼人

    松澤兼人君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府職員給與ベース改訂の問題につき内閣総理大臣大蔵大臣人事院総裁緊急質問を行いたいと存ずるのであります。  第一に総理大臣に対して伺いたいことは、(「総理大臣はどうした」と呼ぶ者あり)吉田内閣は過般の参議院選挙にあたりまして、いわゆる五大公約なるものを発表し、結果においてドツジ・ラインの修正となるべき新たなる政策を発表したのであります。昨年末、人事院が七千八百七十七円ベース勧告をなしたときに、政府はいまだ勧告がなされない前から、昭和二十五年度を含む十五箇月予算においては給與改訂を行わずと声明し、法律に基く人事院勧告を蹂躙したのであります。しかるに、同じ二十五年のうちに、單なる選挙対策として給與ベース改訂を発表し、参議院選挙を有利に展開しようとしたのであります。(拍手)しかし国民は、この見えすいた選挙対策に対して冷靜に検討を加え、選挙の結果は、自由党は辛うじて第一党となつたのでありますが、参議院における社会党の圧倒的な進出となつて現われたのであります。この場合政府のいう給與水準引上げは、明らかに一つ選挙スローガンであるから、政府責任を感ずるならば、選挙終了後ただちにその具体化、すなわち予算化をなさなければならないのでありまして、この事実は過般の総理大臣施政方針演説の中にも現われておるのであります。われわれは、少くともこの国会において予算化が行われず、これを明年度に延期するがごときことがありますならば、政府給與水準引上げは單なる投票かき集めのための羊頭狗肉のたぐいであると言わざるを得ないのであります。(拍手)  法律的に言うならば、新しい人事院勧告がなされない限り、現在でも七千八百七十七円の勧告は生きているのでありまして、この勧告に基いて、政府が公約した給與水準引上げが行われなければならないのでありますが、(拍手総理大臣は、給與水準引上げをいかなる形において、いつ実施せられるお考えであるか、明確に御答弁を願いたいのであります。(拍手)  なお新聞に伝えるところによりますと、政府人事院に対して新しい勧告を出さしめないように運動をしたとのことでありますが、人事院勧告国会及び内閣に対してなすことは国家公務員法第二十八條の規定によるものであり、これは他のいかなる力をもつてしても侵すことのできない人事院の独自の権限でなければならないのであります。(拍手政府自己の都合によつてこの権限を奪い、これを侵害することはできないはずでありますが、総理大臣見解を承りたいのであります。  さらにもう一点総理大臣に伺いたいことは、御承知のように政府職員は、二・一スト以前におきましては、労働運動の点において多少の行き過ぎがあつたと見られる節があるのでありますが、現在では、民主的労働組合の行き方として、法律の限界の中において民主的かつ合法的に自己労働條件及びその生活を防衛する立場に立つているのであります。政府職員が公益の立場から特別の制限を受けているという事実は、政府に対し常に政府職員の福祉並びに利益のために十分な保護の手段を講ずる義務を負わしていることは、マツカーサー元帥の書簡の中においても明らかにされていることであり、政府職員罷業権が禁ぜられ、団結権団体交渉権にも制限を受けているのでありまして、現在の悲痛なる生活不安に襲われながら、合法の範囲を逸脱しない方法においてのみその要求を政府に申し入れているのであります。政府職員法律を尊重し、人事院法律によつて勧告をなし、政府職員の適正なる生活水準を保持しようとしているときに、政府が、国鉄裁定の不承認の問題といい、政府職員ベース改訂の問題といい、常に一方的に彈圧的態度をもつて臨むとするならば、(拍手職員もまた法律を尊重せず、非合法の運動をなさなければならないことは自然の結果であり、国内治安保持のために国家警察予備隊を持つ前に、これら政府職員生活を安定せしめることが必要であると信ずるのであります。民主的労働組合の発展を期待する上からも給與ベース改訂を行い、その生活を保護することが政府責任であると思うのであります。この点について所信を伺いたいのであります。  次に大蔵大臣にお伺いいたしたいことは、われわれが七千八百七十七円の勧告を取上げ、昨年末より院内外の鬪争を展開したときに、大蔵大臣は、給與改訂賃金物価惡循環をもたらし、インフレを再発させるという理由で反対して来られたのであります。しかるに、本年五月二十三日、大蔵大臣がアメリカより帰られるや、ベース改訂を行う旨の談話を発表し、これまでの見解を一変させたかのごとき印象をわれわれに與えたのであります。また本国会における一般質問に対する答弁においては、ドツジ・ライン相当に幅のある、融通性のあるものであることを明らかにしたのであります。以上のことが事実であるとするならば、大蔵大臣はすみやかに補正予算提出をなし、政府の新しい公約の一つである政府職員給與水準引上げ具体化することが適当であると信ずるのでありますが、見解を承りたい。(拍手)  さらに現在の段階において、人事院勧告した七千八百七十七円ベースをたとい採用いたしたとしても、物価賃金惡循環は起り得ないと信ずるのであります。現在政府職員は、一昨年七月の数字を基礎とした六千三百七円ベースを、一昨年の十二月からくぎづけにされておるのであります。その結果きわめて困難なる生活を営んでおるのでありまして、最近の国際情勢の変化は、一時下りぎみになつておりましたやみ価格をつり上げ、国税における多少の軽減はあるといたしましても、地方税の増徴、電燈、ガス、食糧、家賃の値上りにより、家庭生活は赤字の連続となつております。かかる状態においては、能率的な公務の運営は期待すべくもないのでありまして、前途はなはだ暗澹たるものがあるのであります。事実かかる状態は、来年度予算における給與改訂を待つことができないのでありまして、一刻もすみやかに何らかの予算的な措置が講ぜられなければならないのでありますが、大蔵大臣はこれについていかなるお考えを持つておられるか、所見を承りたいのであります。  次に淺井人事院総裁に伺いたいことは、総裁は十四日衆議院及び参議院における答弁におきまして、きわめて近い将来に新勧告提出したいと言われ、それから数日を出ない十八日には、勧告を出さないという総裁談を発表されているのであります。この豹変は、はたしていかなる理由に基くものであるか。総裁として、その責任がきわめて重大であると存ずるのであります。巷間伝えるごとく政府及び與党圧迫に屈したのか、あるいは人事院職務を放棄したのは法律上いかなる見解を持つておられるか、詳細にその経緯を発表していただきたいのであります。(拍手総裁人事院権威保持のためにいかなる信念をもつて今後の人事行政を運営せられるか、その所信を伺いたいのであります。  さらに具体的に新勧告提出されるまでは、七千八百七十七円ベース勧告は現在も生きており、新勧告が行われない今日は、七千八百七十七円ベース実現のために、人事院はさらに一層の努力をなすべきではないか。総裁は、勧告を出せば万事が終ると考えておられるのであるか。勧告は、それが実現せられることにおいてこそ意味があるのでありまして、積極的に勧告実現についていかなる努力をなされたか、またなそうとするのであるか、御所見を承りたいのであります。  第二点といたしましては、前にも述べたように、政府及び與党が、今回の勧告提出することを阻止するために種々奔走されたということを聞いておるのでありますが、はたしてかかる事実があるのかどうか。この際その経緯を明確に示されたいのであります。  最後に、昨年末の七千八百七十七円ベース勧告といい、今回の新勧告の延期といい、このところ人事院黒星続きと申していいのであります。淺井総裁が非常なる熱意をもつておられても、結果から見るならば、人事院は、政府職員政治活動を禁止することを初め、各種の人権の制限をなすことにのみそ努力が集中せられている観があるのであります。(「ヒヤヒヤ」)人事院総裁は、この黒星につき、いかなる政治的な責任をおとりになりますか。今回の総裁勧告中止は特に重大でありまして、国会では人事官の彈劾訴追の手続があるのでありますが、これらの手続がとられるまでに、みずからの不明を天下に謝し、政府職員及びその家族の希望を蹂躙した責任を明らかにされたいのであります。(拍手)  以上をもちまして私の緊急質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣林讓治登壇
  29. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 松澤君にお答えいたします。  公務員給與ベース引上げの問題につきましては、政府といたしまして、国家財政の許す限度において、最も適当な方法と時期においてこれを増額いたしたいと、鋭意今日も努力いたしておるわけであります。  なお政府及び與党のある者が人事院に対して運動がましいようなことをいたしたようなお話でございますが、御質問のような事実は私どもはないと信じておるわけであります。  なお労働組合の合法的な給與引上げ運動などについての御質問でありますが、国家公務員の待遇につきましては政府の常に関心を有しておるところでありますが、政府は、財政とにらみ合せまして可能の限度と時期にこれが給與ベース引上げを行う方針で今日までやつておるわけであります。(拍手)     〔国務大臣池田勇人登壇
  30. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。  本年度予算編成に際しまして、財源の関係あるいは給與引上げに基きまする惡循環問題等から考えまして、当初予算におきましては引上げない方針とつたのであります。しかるに、その後におきまして物価事情その他が非常に好転いたしまして、経済界の安定もその度を加えまして、また財源相当見つかるようになりましたので、ただいま副総理よりお話申し上げましたごとく、政府はできるだけ早い機会において適当なる限度給與引上げをなさんとするのであります。御承知通りに、ただいまの米価相当低目でありますので、米価改訂に伴いまして根本的の改正をいたしまするが、それ以前におきましても、財源の許す限りにおいてある程度引上げ方をしたいと考えて、今努力をしておるのであります。  次に、国税地方税を通じて相当負担が多くなつている、かるがゆえに給與改訂を思い切つてなすべきではないかというお話でございますが、今年におきましては、国税地方税を通じましては減税に相なつております。来年はまだ減税するつもりでございまするから、給與改訂につきましても、その点をにらみ合せて考えたいと思います。(拍手)     〔政府委員淺井清登壇
  31. 淺井清

    政府委員淺井清君) 人事院といたしましては、できるだけすみやかにその勧告をいたすよう、ことに国会の開会中にこれをいたし得るように準備を進めて来たことは、すでに私の正直に申し述べた通りでございます。しかるにその後に至りまして、今期国会はいかなる給與法案補正予算も出し得ない事情が判明したのでございます。もちろん、人事院勧告法案提出でもなく、また補正予算を直接伴うものでもないのでございまするが、従来勧告を出さないことに対する非難も多々ございまするけれども、出して実現し得ない勧告に対する非難も多々ございまして、ただいま松澤さんも確かにさように仰せられておるのでございます。ゆえに人事院といたしましては、この勧告実現し得る実効のあるときまでこれを延期したにすぎないのでありまして、人事院といたしましては、この勧告を中止するような意思はごうまつもないのでございます。またこのことに関しまして、内閣その他より人事院圧迫を加えたというような流言がございまするが、かかることは過去においても現在においても決してなかつたことを、はつきりと確言いたします。      ————◇—————
  32. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、吉川久衛提出肥料統制廃止処置に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  33. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  肥料統制廃止処置に関する緊急質問を許可いたします。吉川久衛君。     〔吉川久衛登壇
  35. 吉川久衛

    吉川久衛君 私は、国民民主党を代表いたしまして、肥料統制廃止処置に関し二、三の点について、安本長官大蔵大臣農林大臣に対しまして緊急質問をいたします。  わが国の農業は、世界的に見て肥料使用量の多いことにおきましては特に目立つておるのであります。このことは、農業経営中に占める肥料費の比率が高いことにも現われておるのでありまして、この多肥農業を成立せしめておりますところの根拠を詳しく申し上げるいとまはございませんが、要するに技術的な立場からも、経済的な立場からも、増收のかぎは一にかかつて肥料増用にあるのでございます。このほか多肥農業であることは、小作制度供出制度等を含めて広い意味商品化拡大をはからなければならないことや、換金作物の導入によつて勢い多肥的傾向を強めているのであります。かくいたしまして、日本農業にとつて肥料重要性は実に大いなる問題でありまして、この肥料価格がどう動くかは、日本農業経営にとつてきわめて重大な問題でございます。  政府は、ドツジ・ラインによる超均衡予算という現在の予算の建前から肥料補給金を減少し、遂に打切らんとしています。この計画の実施は、肥料価格を本年一月二〇%、三月に三五%値上げをいたしまして、さらに八月から大幅の値上げが予想されておるのであります。安本計算によりますれば、一月から一万五千三百五十三円、四月から一万七千二百七十二円、八月から二万一千七百五十円、十二月から二万三千四百六十七円と見るわけであります。この通り計画が実施されるといたしましたならば、肥料補給金の全廃されるときの十二月の価格は、肥料製造業者工場原価一万九千三百七十八円と運賃諸掛り四千七十九円の合計額に一致するので、肥料生産業者はこの価格においてならば再生産に支障はないのでありますが、問題は農業者の側にあるのであります。  問題の第一点は、肥料がこのように値上りした場合、かかる高価な肥料を多用して、はたして経済的採算がとれるでありましようか。第二点は、戰後における米価肥料価格との較差は大きく、すなわちシエーレの拡大のために農家経済は急激に悪化いたしまして、購買力は非常に低下しております。農家配給辞退が一層増加するものと考えられるのであります。もちろん、肥料騰貴部分がそのまま米麦価格の中に織込まれて価格決定されるならば問題はありませんが、米価決定の諮問のために特設されました米価審議会の答申さえも、あのような無力に踏みにじられたという昨年秋の経験を持つところの農業者諸君は、大いなる疑問がとけずにいるのでございます。  また購買資金は調達でありますが、なるほど農業手形利用の道が開けております。けれども、食糧価格決定に懸念を持つ農業者は、農手利用を高めることは、供出時における代金取得分を少くすることと、借入金の金利支拂い義務考え、しかもこのような金利について、米価決定基礎となるパリテイ方式は、これを問題の外に置いているのであります。これらのために、農手制度は、その意図のいかんを別といたしまして、現実の経済的効果としては、肥料企業に対する販路の確保と、その代金回收の保障を與えているにとどまつていると言つても過言ではないと思うのであります。政府は、肥料価格をめぐる肥料企業と農民との対立が統制撤廃とともに激化するこの両者の立場を、政策的にいかに調整するか、また肥料価格をどの程度に、また米価をどの程度決定されるか、御所存を明確に承りたいのでございます。(拍手)  次に肥料公団廃止後は、いかなる機構によつて、当面する金融問題をいかに措置せんとされるのかをお伺いいたしたいのでございます。今ここに申すまでもないことと思いますが、化学肥料年間配給量は、昭和二十四年一月から十二月までに五百三十六億円、うち補給金が二百十四億円に達しております。さらに二十五肥料年度にあつては、増産と肥料値上りによつて約七百億円に達するものと見られておるのであります。かようにして厖大な額に達する肥料も、戰時統制の一環として、昭和十四年より今日に至る十年余にわたつて統制が継続されて来ました。従つて、今日公団廃止を通じて肥料統制がはずされるようになりましても、戰時戰後を通じて一貫して肥料配給業務を営むことを託されて来ました農業協同組合系統機関を除いては、まつたく新しい組織確立を要するわけであります。しかも現下の情勢から考えて、これらの新しくでき上る機構はもちろんのこと、農協組系統機関にいたしましても、政府の誤つた施策によつて資金的にきわめて弱体化しているということに相なつておるのでございます。長い統制時代に、かつて肥料販売組織は完全に失われまして、新しい機構は資産上かつ資金上著しく弱体化している。農業手形制度も、前述いたしました通り肥料金融出発点に、戰前とは異なつた様相をもたらしておるのであります。当面する肥料金融確立急務中の急務考えますが、政府消費者組織であり肥料配給経験を持つ農協育成等に格段の金融措置をとつて、供給に遺憾なきを期すべきであると思いますが、いかなる対策をお考えでありますか、明確に承りたいのでございます。  何もかも自由経済に移行することにのみ急でありまして、その受入れ態勢の整わない今日公団を廃止して、当面する秋肥の配給、続いて春肥の配給も用意しなければならないとき、統制廃止によつて巨大資本家であるメーカーと一部金持商人を利益し、農民を搾取する結果になり、非常な混乱が食糧生産を減退させることをおそれるものでありますが、公団廃止後の、公団にかわる肥料供給手段を、どのようにお考えでありますか。聞くところによりますと、工場の生産状況、輸出の不振、農民の金詰まりによる配給辞退とによつて、現在公団の手持肥料は実に莫大なものがあるということでございますが、現在どの程度のストツクがおありでございますか。政府が、もしこのストツクの手持ちを続けて春肥まで持ち越すようなことがありますれば、それはメーカーのみの立場に立つものでありまして、農民の立場を無視するものと言わなければなりません。政府は、手持の肥料を、価格が高騰するとき、あるいは価格決定がはなはだしく遅れるときには適時適量の放出を行い、価格の調節を行い、生産者だけでなく、消費者であるところの農業者にも同様の保護をされるような措置をとるべきであると考えますが、この点どのようにお考えでございますか。(拍手政府はこの際、昭和四年における肥料管理法案にならいまして肥料需給調整法案及び肥料需給調整特別会計法案のようなものを国会に提案される御用意があるかどうか。  今や朝鮮問題の勃発によりまして、民心は極度に動搖いたしております。民心安定のためにも、政府はすみやかに食糧の確保と配給制度の整備を急がなければなりません。食糧確保の基本は食糧の自給度を高めることでありまして、食糧の増産はいろいろの手段が考えられまするけれども、手取り早いところでは、肥料が適時適量、低廉に農業者の手に入るような制度が確立されなければなりません。この肥料の問題に関しまして、政府責任ある、しかも明快なる御答弁を要求するものでございます。(拍手)     〔国務大臣周東英雄君登壇
  36. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 吉川君にお答えいたします。  肥料の問題が農家にとつて最も重大な問題であるという御意見に対しては同感であります。従つて肥料公団の廃止後における肥料価格について御心配の事柄はもつともであると思いますが、この点につきましては、あなた方のお考えは、どこまでも補給金をやつて、合理化せざる生産者をそのままに生かして行くということがいいというお考えであろうかと思いますが、私どもはそれに反対であります。むしろ今まで補給金のあるに甘えて合理化すべきことをしないがために価格の高いということも見のがしてはならぬ点でありますので、そういう問題につきまして積極的に考えなければならぬ時期に来ておるわけであります。従つて、このたびはずしましても、昨年に比べまして今日の場合、肥料価格は大体三割五分くらい上つておりますが、この後におきましてどうなるかということは今後の問題でありますが、さような暴騰はないと考えております。ただ肥料価格に沿いまして米価をどうするかということは最も重要な点でありますが、先ほど大蔵大臣も申しましたように、今度の新米価決定にあたりましては十分に各般の事情を考慮して、米価については相当思い切つた策を講じたいと私ども考えておる次第であります。  第二点の肥料公団廃止後における肥料金融をどうするかということ、これに対しましては、お話にもありましたように、何と申しましても農業協同組合を活用させることが適当であるかと考えます。今日肥料の配給に関しましては、その約八割は農業協同組合の取扱いになつております。従つて、今度肥料公団廃止にあたりましても、万全を期するために肥料の予約制度というものを考えまして、農協から農民の間における必要量を申し出で、この間に予約をとりまして、それをメーカーに渡しまして、メーカーが中央金庫との間に代金の決済並びに必要量の確保ができるようにとりはからうつもりであります。残りの分につきましては、もとより商業者に対しましても手形によつて金融をつけ、その不足分については日本銀行等において考慮することになつておりますから御承知願いたいと思いまするし、吉川君も農業協同組合の育成については心配のようでありますが、ぜひともこの取扱い方にまつて真に農民のところに必要な肥料が渡るようにするために、特段と協同組合の育成について御協力願いたいと思います。  第三にはストツクの問題であります。八月一日、おそらくそのときにおけるストツクの量は、硫安、過燐酸、加里をまぜまして約八十万トンくらいになるかと思いますが、これらの点は、ただちに出せということでありますが、肥料の最も必要な時期は三月、四月、五月であります。ほとんど年間必要量の二分の一くらいになりますので、その間におきまして肥料の不足の関係で値上り等があることをおそれまして、むしろ原則としては、その間における価格調整の用にこれを活用して行きたいと考えております。なおそれらの点を通じまして、全体的に肥料の需給調整の法律を出すかというお尋ねでありますが、これらにつきましては十分考究をいたしたいと思います。(拍手)     〔国務大臣池田勇人登壇
  37. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 吉川君の御質問につきましては、ただいま周東国務大臣がお答えした通りでございまして、つけ加えることはございません。(拍手)     〔国務大臣廣川弘禪君登壇
  38. 廣川弘禪

    国務大臣(廣川弘禪君) 吉川君の質問に対しては、周東君が蘊蓄を傾けて御答弁いたしましたので、それ以上ないと思います。ただ一つつておるようでありますから、一つだけお答えいたします。  肥料需給調整法のような法律を出すかどうかということでありますが、これは今十分研究中でありまして、必要に追られる場合は出したいと思いますが、ただいま研究中でございます。またあなたのおつしやる通り肥料は最も大事だということを私も信じております。(拍手
  39. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 吉川君より再質問の申出がありますが、申合せ時間が二分間しか残つておりません。そのおつもりで願います。吉川久衛君。     〔吉川久衛登壇
  40. 吉川久衛

    吉川久衛君 ただいまの農林大臣の御答弁は、私不幸にして聞えませんでしたから、それはあらためてお伺いすることにいたします。  周東安本長官は、私の農林者の大先輩でございまして、その方面の権威者でございますが、いささか私承服できません。補給金の制度については、これは自由党の諸君並びに政府諸君は資本主義的なもののお考え方をなさるから、あるいは見解の相違と言われるかもしれませんけれども、ごく少数のメーカーを利益するような補給金制度を廃止することに私は必ずしも反対はいたしませんけれども、そうすることによつて消費者であるところの農民にその負担をかけなければならないという理由はどこにあるか。そこで、その補給金の撤廃の方法について格別の考え方が現われなければなりませんが、それについて何らの考慮が拂われていないということ、それから八月一日と申せばもう幾日ございますか、このわずかの間なのに、この公団廃止後の受入れ態勢が全然なつておりません。農民は非常な不安にかられております。今国際情勢が緊迫いたしまして、国民食糧問題で動搖いたしておりますときに、政府責任を持つてこの民生の安定に万全を盡さなければならないこのときに、この食糧増産の基本をなす肥料の問題について、まだ基本的な問題が確立されていない、公団の受入れ態勢ができていないということは政府の重大な責任になるわけでありますから、どうぞ満足の行くような御答弁をお願いする次第でございます。(拍手)     〔国務大臣周東英雄君登壇
  41. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 吉川君は八月一日後における御心配でありますが、この点につきましては、大体先ほど申しましたように、全国購買組合連合会が中心になりまして、重要な部分についての予約制度によつて肥料を流すことになつております。あなた方が従来農家に対して協同組合を中心にやれという御意見があつたのに、今日それができぬというようなことを御心配になることが、かえつて私なおかしいと思うのでありまして、全購連の予約制度によつて断行することについて不安がないと考えるのであります。(拍手)      ————◇—————
  42. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、早川崇提出共産主義運動に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  43. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます、よつて日程は追加せられました。  共産主義運動に関する緊急質問を許可いたします。早川崇君。     〔早川崇登壇
  45. 早川崇

    早川崇君 私は、国民民主党を代表いたしまして、共産主義運動取締りに関する緊急質問を試みたいと思うのであります。  現在の国際政治、国内政治の最大の問題は、共産主義に対する克服の問題であるのであります。言いかえれば、独裁的な全体主義と、自由を基調とした民主主義との闘争でございまして、これ以外の第三の立場は、もはやなくなつて来ているのであります。このことは、すでに毛沢東が新民主主義理論の中で明確に論じたところでありましで、われわれは、この問題に関して確固たる信念を持つて鬪わなければならないと思うのであります。     〔議長退席、副議長着席〕  かかる観点から最近の日本共産党の動向をながめてみますると、一月七日のコミンフオルムの野坂批判以来、かつての愛される共産党の擬裝を一擲いたしまして、本来のマルクス、レーニン主義に逆もどりをいたしました。あらゆる暴力主義と破壞行為によるところの反米鬪争へその戰術を転換して参つたのであります。かかる観点からながめて、三鷹事件あるいは五月三十日事件、あるいは質問書事件、あるいはまたイールズ講演妨害事件、さらには日立争議の暴動化、さらにはまた職よこせデモの暴力的行為、さらには発電所の破壞というような、きわめて不穏当な事件が枚挙にいとまなく起つておるというこの実情は、言いかえれば共産党の本体を現わした真の経済破壞、反米鬪争の現われと見てさしつかえないと私は思うのであります。(拍手)  さらに最近聞くところによりますれば、もはやすでに今の共産党の幹部は問題ではない、コミンフオルムにとつては、むしろコミンフオルムの国際赤衛軍としての第二共産党のできつつあるというような報道を新聞に見るわけであります。われわれは、かくのごとき事態を観察いたしまして、いかに共産党の暴力行為を過大視するも過大視し過ぎることはないというような段階に到達していると私は思うのであります。  さて、かかる観点から第一に大蔵大臣にお伺いいたしたいのは、反共政策の根本は、共産主義の温床をわが国の経済生活からなくするという点に第一の問題があるのであります。言いかえれば、いかに失業しておる者に反共理論を説いても、共産党の惡口を言つても、職を失つた失業者にはむだであるということであります。言いかえれば、現在の政府のとつておるように、ドツジ・ラインの自由経済的な解釈によりまして、中小企業、あるいは農民に対しては低米価、あるいはまた勤労者に対しては低賃金というように、かような弱肉強食的な自由経済を基調にした経済政策をとつておる以上、それは結局逆に共産主義の温床をわが国内につくつて行くという、まことに困つた逆説の状況を生じておるということであります。われわれは、かかる観点から申しまして、かような政策をこの際大幅に大転換をいたしまして、完全雇用を目的とし、さらにはまた社会保障、さらにはまた経済に対する国家的な干渉を増大して——中産階級の沒落をはかつて行くというような、池田さんのかつてつておられたような古典経済学による自由経済思想ではだめである。われわれのいうところのこのケインズ、ハンセンその他の新しい経済学によつてのみ初めてこの経済的危機が克服できると思うのであります。私は、経済政策において共産主義の温床をなくするという目標以外には、経済政策は日本に現在必要ないと思う。この点に関しまして、まず池田大蔵大臣——これは総理質問したいのでありますが、総理はおられませんから、池田大蔵大臣のその面に関する所信をお伺いいたしたいと思うのであります。  第二の問題は、消極的な面におきまして警察力の治安対策の問題であります。先ほど申し上げましたように、現在の共産主義運動の段階は、日本共産党プラス朝連関係、あるいは中共関係という強力な力の結集がなされておる現状でございまするから、現在のような間拔けた警察の力では、一旦事件が起つた場合には、とても日本産業の麻痺、内乱の防止ということは不可能であると私は思つておるものであります。さらにこの事実を裏書するものは、すでに官庁政府内部においてすら共産党の勢力が浸潤しておるこの事実を法務総裁は見のがしてはならない。言いかえれば、あらゆる機密の漏洩であります。先般アカハタの差押えが行われましたが、すでにそれは事前に漏れており、二台の輪転機は大阪に運ばれておつた。これは何を意味するか。結局文化機関におけるところの情報の漏洩ということでありまして、私は、この際法務総裁は官庁職員の徹底的再調査と共産党員の粛清というような面において配慮する必要がないかということをお伺いいたしたい。  さらに国家警察予備隊でございまするが、かかる状態に即して、マツカーサー元帥は日本に七万五千の予備隊の設置を命令したのでございまするが、私の伺いたいのは、この国家警察予備隊は、軍隊のように事件が起つたときに初めて出て行くものであるか。あるいはそうではなくて、予防的な防衛の機能を果すのであるか。言いかえれば、情報網の整備、暴動の事前探知、そういつた予防的な面においてこの強力な七万五千の予備隊を行使するという方向に進んでおるのではないか。さらに重要なことは、重要産業をどうして守るかということ。御承知のように発電所というものが破壞される。これは共産党とは言いませんけれども、猪苗代発電所あたりは、ほとんど共産党員が占めていると聞いている。このような重要産業に対して、これを防衛する任務をこの警察予備隊は持つべきであるかどうかという点が、われわれ国民の最も聞きたいところであります。なるほど議会政治においては、共産党は少くて大した力はないけれども、背後に何だか暴力をやるのではないかという不安の状態政府においては一掃いたしまして、議会主義に対する安全感を持たしめる必要があると思うのであるが、法務総裁はこの点に対してどう考えるか伺いたいと思うのであります。  さらにもう二点ほど、この問題に関連しまして御質問いたしたいのであります。それは共産党の非合法化の問題でございます。六月七日の吉田総理大臣の談話においては、共産党に対する非合法化を考慮中であるという明確な言明があつたのであります。爾来すでに一箇月以上になりまするが、この問題に対して何らの発表も措置もとられておらないと私は考える。検察当局といたしましては、非合法化することによつて、かえつて地下にもぐらせて、うるさくなるから、これは現状のままでよろしいと言う。警察当局は、非合法化した方が大規模の暴動を抑えるのに都合がよいと、意見が対立している。  私は、この問題に関しましては、もつと深い本質を持つておると思うのである。なぜならば、民主主義というものの本質にひそむところの問題を持つておるのであります。言いかえれば、民主主義は政治的自由、言論の自由を認めるわけでありますが、この民主主義の中にあつて、かような民主主義制度を破壞するという一つの政治勢力が現われた場合、はたしてこれを合法的に保護するところの必要があるかどうか、これはまことに議論の多いところでありまして、イギリスの評論家のミユールトン・マリーなんかも、むしろ非合法化すべし、これこそほんとうの民主主義の防衛であるということを言つておるのでありまするが、かかる問題は別といたしましても、すでにマツカーサー元帥は、この問題に対して、賢明にも中道の道を歩まれた。言いかえれば、非合法的な、暴力的な、破壞的なものに対しては追放をもつてこれを押えるが、平和的な、合法的なものには合法性を認めて行くというような、かような寛容のある中道の反共政策とつたのでござまいす。  一体聞くところによれば、いまだに吉田総理大臣は非合法化に対する自己所信を曲げておらないと聞いておるのであるけれども、大橋法務総裁は、この問題についてどう考えるか。あるいはまた、そういう方向に進まないで、出たものをたたいて行くという、かような追放権によつて共産主義の暴力革命を押えて行くというような方法をとられるのであるか。この際私は、この壇上で明確に御答弁願いたい、かように思うのであります。  最後に、最も重要な問題に関して政府責任を追究しなければならないことを私は遺憾に思うのであります。いかなる問題であるかと申しますると、追放共産党幹部の九名の行方不明事件であります。現下の情勢下におきまして、徳田氏以下の九名の追放という、これほどの大物は終戰後追放されておりません。しかして追放者の行動に関しましては、このマツカーサー元帥の追放指令によつて追放された者に対して、これを内偵監視する責任は、ここにある法務総裁責任である。しかるに、追放された者が何をやつておるのかわからない。外国へ行つているのか、地下運動で政治の指導をやつておるのか、さつぱりわからないような、かような状態のままに放置するということでは、追放というものが有名無実になる。法務総裁は、ちよつとした経済人の追放者が経済行為をやつたら、ただちにひつぱつておりますが、最も大事な問題に対してまことに怠慢である。国民政府のこの無能を嘲笑し、共産党の地下組織の巧妙さに実は驚嘆しておるわけであるけれども、私は、この問題に関しまして、かかる政府の怠慢は、マツカーサ元帥に対する、意識的とは申しませんけれども、怠慢によるところの非協力という責任は断じて免れ得ないと思います。  総裁は、聞くところによりますと、二百六十名になんなんとする自由党内切つての反共理論家であり、反共実践家であるということを聞いておるのでありますが、現下の緊迫したところの国内情勢下におきましては、反共理論よりも、迅速に共産党の実体を把握して、これに対して機宜の措置をとる実践力が問題であるのであります。もし九名が依然として捕われないならば、まことに責任感の強い大橋法務総裁のことでありますから、いざぎよく責任をとる腹ありやいなやということを、この壇上において御説明願いたいと思うのであります。  以上をもつて私の質問を終りたいと思います。(拍手)     〔国務大臣池田勇人登壇
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 早川君の御質問にお答え申し上げます。  反共政策の根本は完全雇用の政策をとるべきであるという御質問でございます。私もそうありたいと考えておるのでありますが、ただいまのところは、完全雇用という政策は少しわが国には早過ぎます。敗戰後一、二年の間、ケインズの完全雇用が本議場でも議論になつたのであります。えてして、こういう場合に完全雇用をやりますと、それが惡性インフレになることは当然であるのであります。従いまして、ただいまインフレをやめて安定自立の経済に持つて行く。自立の経済が確立すれば、いわゆる新しいケインズの完全雇用制度に移つて参る。ただいまは、まだ病気上りのものでございますから、普通の新しい経済政策はなかなかやつて行けぬ状況であるのであります。薬には新薬もありますし、昔の漢方薬もある。漢方薬のきく場合もあります。新薬のきく場合もあります。その点は、病態のいかんによつて方策をかえて行くべきだと考えております。(拍手)     〔国務大臣大橋武夫君登壇
  47. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 国家警察予備隊につきまして、この警察に共産党に対しまする情報活動を與えるべきかどうかという御質問でございましたが、この点につきましては、目下関係当局と連絡をとりまして研究をいたしておるところでございます。  また発電所その他の重要施設に対する防護をこの警察力によつて行うべきではないかという御意見でございまするが、この種の任務は当然警察の任務であると存ずるのであります。  次に共産党対策についての御質問でございまするが、現在日本共産党は合法政党として活動いたしておることは御承知通りであります。政府におきましては、その行動を嚴に監視をいたしておるのであります。マツカーサー元帥の五月三日の書面に対しましては、内閣総理大臣より、その趣旨に対しては全面的に賛成であるという旨を発表いたしますると同時に、政府といたしましては、今日まで引続きこの趣旨について研究をいたしております。先般来連合国最高司令官の書簡によります指令及び団体等規正令による各種の措置を共産党に対してとりまして、さらに本日、日本共産党東京都新宿区委員会及びその下部組織一つでありまする日本共産党大日本印刷細胞に対しましては解散の指定をいたしました。右両団体の役職員十八名に対しましては本日追放の指定をいたしたのでありますが、これはひとり共産党のみを彈圧の対象といたしておるのではなく、いずれの団体、またはいずれの個人におきましても同様の不法越軌の行為があります場合は、これに対しましては、ひとしく鎭圧をいたす方針でございます。  なお徳田球一外八名の所在不明の問題でございまするが、これにつきましては、今月十四日、特別審査局をいたしまして、最高検察庁に団体等規正令違反事件として告発の手続をとり、その結果、右九名に対しまして逮捕状が発せられておりまして、関係警察においてその所在を捜査中でございます。      ————◇—————
  48. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、梨木作次郎提出司法官憲並びに税務官吏職権濫用に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  49. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  司法官憲並びに税務官吏職権濫用に関する緊急質問を許可いたします。梨木作次郎君。     〔梨木作次郎登壇
  51. 梨木作次郎

    梨木作次郎君 私は、総理大臣並びに法務総裁に対しまして司法官憲並びに税務官吏職権濫用に関する緊急質問をいたしたいと思います。  去る七月三日に、東京の共立講堂におきまして、歌と踊りと映画の平和文化祭が、日本青年祖国戰線並びに前進座等の団体によつて計画されたのであります。これは文化的な内容を持ち、しかも料金をとつて催す集会でありまして、興行的な性質を持つておつたのであります。もちろん公安條例の対象にさえならないものであります。このことは、東京警視庁の原副総監も、この文化祭は都條例その他の日本の法律では取締り対象とはならないということを認めておつたのであります。しかるに警視庁は、七月三日の当日になりまして、突如としてこれを禁止したのであります。理由をただしますと、総司令部の禁止命令が出たからであると言うのであります。そこで、その命令を見せてもらいたいと言つたところが、これは明示することはできないというのであります。  最近、集会、デモ禁止に関する総司令部の指令が出てから、労働組合の大会、幹事会までが禁止あるいは重大な制限を受けておるのであります。また日本共産党の機関誌アカハタの一箇月停刊または無期限停刊の指令が出るや、アカハタから印刷を依頼されてこれを刷つておるにすぎない、純然たる商事会社である曉印刷所を封鎖するの措置をとつておるのであります。またアカ八タの停刊が指示されまするや、これはアカハタだけに限られておるにもかかわらず、これに準じてということで、共産党の下部の機関誌にまで発刊停止の措置をとつておるのであります。また共産党のアカハタに限らず、最近は一流の新聞紙に至るまで言論の統制が行われんとしておるという事実があるやに聞いております。(拍手)  また労働組合に対し、ストライキはやめなさい国際自由労連に参加しなさい、国連を支持しなさいというような決議を労働組合に対して要請するようなことが日本官憲によつて示唆されておるやに聞いておるのであります。(拍子)特にはなはだしいのは、税務官憲が徴税に名をかりて不当な人権蹂躙をやつている事実は、枚挙にいとまがないのであります。(拍手)再審査の請求に対して十分な審査もしないで、どしどし差押えや競売ををやつたり、その差押えをやるにあたりまして、土足で家の中に上つたり、あるいは最低生活に必要なものまでも差押えをするというような不当な処置が行われておるのであります。(拍手)  以上のような一連の事実は、総司令部の指令の名をかりて、日本官憲が、憲法や法律で保障された基本人権であるところの言論、出版、集会または人たるに値する最低の生活をする自由を不当に彈圧しておるものと言われてもしかたがないと思うのであります。  そこで第一に総理大臣並びに法務総裁に伺いたいのは、日本の憲法や法律に従えば禁止または制限することのできないような内容の指令、たとえば集会、デモ禁止のごときものが日本政府に出された場合でも、この指令を日本人民に実施するためには、必ず日本の憲法や法律に従つた立法手続をふんでこれを実施すべきものであると考えるのであります。しかるに政府は、事実上の措置、つまり実力的に警察力を使つて集会、デモを禁止しておるのであります。これは明らかに法治主義の原則を破壞するものでありまして、警察国家、専制国家の復活以外の何ものでもありません。(拍手)特に警察予備隊の設置のごときものと関連いたして考えますならば、指令を実施するにあたつて、憲法に従つた立法手続をふんで実施する意思が政府にありやいなや。もしこれをしないで、ポツダム政令や、あるいは実力行使の措置をとるようなことをやつては、これは明らかに憲法違法であると思うが、総理大臣並びに法務総裁見解いかん。  さらにその次に、総司令部から日本政府に出された指令、これは大体従来新聞などに発表されているのでありますが、日本政府がこれを公式に発表しておらないのであります。特に一般的なものではなく、特定の集会のごときものを禁止する指令については、人民はこれを知るべきすべがないのであります。このために、不当に指令の範囲を日本官憲が拡大して、人権を侵害することが頻発しているのであります。これはあたかも、かつての東條軍閥時代に、天皇の命令だといつて、いわゆる袞龍の袖に隠れて人権を無視し、圧制をやつた、あの再現をほうふつたらしめるものがあるのであります。(拍手)  政府の否定にもかかわらず、アカハタの停刊指令に便乘して、日本官憲は印刷所までも使用不能に陷れて、同印刷所がアカ八タ以外の出版物印刷をすることが事実上できないようにされておるのでありあす。およそ出版報道の自由に対する彈圧は、人民に対し一方的な報道のみをしていることになり、かつての大本営発表の悲劇を繰返さないとも限らないのであります。(拍手)特に朝鮮問題の勃発と関連し最近の事態を見た場合に、日本官憲による基本人権の蹂躙と侵害は戰争への準備態勢を意図するものであるといわれても弁解の言葉はありますまい。この点について、首相は、今後日本政府に出された一般指令並びに特定の指令を人民に公表して、もつてその官憲による職権濫用の人権蹂躙を絶滅し、そうして人権の保障の万全を期する意思ありやいなや、首相見解を聞きたい。  さらに最後に、かような戰権を濫用したところの司法官憲並びに税務官吏を嚴重に処罰すべきであると思うが、首相はどう考えているか。  以上の点を伺いたいと思います。     〔国務大臣林讓治登壇
  52. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 梨木君にお答えいたします。  公務員が職権を濫用して、それによつて基本的人権が侵害されるごとき事例は私はないと信じますが、万一かかる事実が発生いたしました場合には、その事実に基きまして適当な処分を行う所存であります。  なおその他の所管の問題につきましては所管大臣からお答えをいたします。     〔国務大臣大橋武夫君登壇
  53. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 梨木君にお答えいたします。御承知通り、一九四五年九月二日付指令第一号、一般命令第一号の第十二項に「日本国ノ及日本国ノ支配下ニ在ル軍及行政官憲並ニ私人ハ本命令及爾後連合国最高司令官又ハ他ノ連合国軍官憲ノ発スル一切ノ指示二嚴格且迅速ニ服スルモノトス本命令若ハ爾後ノ命令ノ規定ヲ遵守スルニ遅滯アリ又ハ之ヲ遵守セザルトキ及連合国最高司令官が連合国ニ対シ有害ナリト認ムル行為アルトキハ連合国軍官憲及日本国政府ハ嚴重且迅速ナル処罰ヲ加ウルモノトス」、こういうことになつておるのでございまして、この連合国司令官の命令せられました事項につきましては、これに相応いたします国内法規があるといなとにかかわらず、この指令によつてすべて服従の義務があるわけであります。従いまして、この問題につきましては憲法上の問題を生ずる余地はないと御了承願います。(拍手)      ————◇—————
  54. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、金子與重郎提出被害麦措置に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  55. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  被害麦措置に関する緊急質問を許可いたします。金子與重郎君。     〔金子與重郎登壇
  57. 金子與重郎

    金子與重郎君 私は、国民民主党を代表いたしまして、本年度関東各府県を通じまして、六月の成熟期にあたります霖雨のために麦類に非常な被害をこうむつておるのでありますが、これの措置につきまして農林大臣緊急質問をいたす次第であります。  要点をきわめて簡單に申し上げます。本年度、御承知のように六月から七月にかけまして、麦の成熟期に連日の霖雨であつたために、赤さび、あるいは白かびというような諸種の病害、並びに收穫期におきますところの天候不順のための乾燥の不良、こういうふうないろいろの原因が重なりまして、農家生産検査を受けましたときに、おそらく半分以上が格外として検査に合格しないのであります。そういたしまするというと、麦類は今の制度では四等までが合格品でありまして、それ以上のものは政府の買上げの対象となるが、格外になつたものに対しましては、政府が買い上げてくれない。しかも食糧統制法律の関係から行きまして、農家はこれを他に自由に売ることもできない。今八月の支拂期を前に控えまして、俵でつくつたものが、政府も買つてくれなければ、農家自体も売ることができない。従つて、この夏の諸支拂いにまごついておる。農業手形の引落しも、これによつてできない。こういうことで非常に苦しんでおるのであります。  その点につきまして、私は再三その筋に向つて早く善後処置をとるようお願いしたのでありますが、いまだにこの問題に対して解決がついておらない。そこでこの処置といたしまして、四等の次に五等格を設置して、これを買上げの対象としてもらいたい。そうしなければ、おそらく生産の半分というものは、農民はどうすることもできない、換金の道がない、こういうことであるのであります。  そこで第二は、かりに五等格を設置いたしましたといたしましても、その五等格の価格が非常な開きをしておるときには農民は非常な損害をこうむりますがゆえに、この開きをどの程度にきめていただけるか、この二点が主たる質問の要旨であります。  次に食糧の今の統制下におきまして、政府は農民に一定の作付割当をしておりますので、麦に限らず、あるいは米にいたしましても、天然の自然の気候のためには、その質が非常に低下することはたまたまあります。去年度における新潟県のごときもその例であります。こういう際に、政府は契約をしてつくつたものを、品質が惡いからといつて、かつてに一方的に買わないということでありますと、農民の生産意欲を非常に阻害するのであります。  最後にもう一つお伺いいたしたいことは、食糧が貴重だ貴重だということで、農民に、さつまや、ばれいしよを食わして、麦や米を供出させましてそれが今日少しばかり食糧事情がよくなりますと、農民にこれだけの生産がありながらも、等外であるからといつて一箇月も買上げをしておらない。こういう点を見て、農家の人々は、もはや食糧統制はなくなるのだろうか、一体割当さえもなくなるのだろうかというふうな不安も非常に持つているのでありますから、この際農林大臣は、麦作あるいは米に対する今後の食糧統制、あるいは農民との間における作付統制価格の点について、どういうふうに方針をとられるお考えであるか、それをお伺いしたいのであります。  簡單でありますが、以上三点をお伺いいたします。(拍手)     〔国務大臣廣川弘禪君登壇
  58. 廣川弘禪

    国務大臣(廣川弘禪君) 御答えいたします。  農民の生産意欲を害するようなことを政府がやつてはいかぬ、その通りでございます。しないつもりであります。  五等麦につきましては、仰せのようにいたしたいと思います。また四等麦との差額もできるだけ縮める考えでございます。またその他のいも等につきましても、あなたのおつしやる通り、決して農民にうそを言わぬようにいたすつもりであります。(拍手
  59. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 本日はこれにて散会いたします。     午後三時十九分散会