○
議長(
幣原喜重郎君) 御
異議なしと認めます。よ
つて日程は追加せられました。
衆議院規則中
改正案を議題といたします。
提出者の
趣旨弁明を許します。
議院運営委員長大村清一君。われも
委員でありまして、最初の
原案には、今日の
改正案のように全部二十五名でありました。その当初において一番問題になりましたのが、この
外務委員会です。
外務委員会というものを、他の
委員会と一律に二十五名で、同じような
権限でや
つておいて、
日本が今日置かれたる
状況で、
講和の問題などを議する場合に、これでいいのかどうかという
意見が多数ございました。その際
各派におきましては、これは
講和会議などの問題が具体的になるような場合にはこれではいけないのだ、その際はあらためて考えようじやないか、そういうことで、その当時の
事務総長の
意見も、
各派の
意見も全部記録に載
つております。
各党の
了解事項でございます。
前
国会では、いよいよこの
講和の問題が具体化せんとするような機運になりましたものですから、あの状態ではいけない、何とかして
外務委員会を拡充しようではないか
——ことに前
国会では
外務委員会を十七回開いておりましたが、
総理大臣は何ゆえか、この
委員会には、たつた一回しか出て来られなかつた。
従つて、その
外務委員会というものは、この
時局にもかかわりませず、はなはだ不活発なような印象を與えておるのでありまして、私
どもの非常に遺憾としたところであります。この点は
自由党の
諸君も認められまして、それではとりあえず
外務委員会を三十五名に拡充しようではないか
——前
国会では、そのことは
自由党の
意見でもあつたのであります。そして三十五名に拡大せられました。わが党は、いな
野党各派は、これでも満足いたしませんで、先般来の
運営委員会では、
外務委員会を五十名に拡大強化しようということを提案いたしましたが、
少数をも
つて敗れたのであります。
その後
国会法制定以来、今日まで七回の
国会を経ております。その数年の
経験にかんがみまして、いろいろ
各派の
党内事情、あるいは
委員会の
状況等を勘案して、今日のごとく、たとえば
外務委員会三十五名、あるいは
農林委員会、
通商産業委員会、これらも三十五名、そういうふうに、いろいろその数がかわ
つておるのは、
経験の結果こうしたのです。現に
農林委員会のごときを
少数なる二十五名にしたのでは、それは
各党の
希望、各
委員の
希望を満たすには非常に骨が折れるのです。私は、この
委員会は非常に重大であるとか、軽い
委員会であるとかいう、そういう差別はないと思います。ないけれ
ども、おのずから、党を運営して行つたり
国会を運営して行つたりするのには、
経験上やはり大きい
委員会には、
予算のごときは五十一名もおるのですから、そういうものがなければ、
ほんとうに円滑に行かないのです。そういう実情を無視して、突如この十七の
委員会を二十五名に一律一体に引下げるというのは一体何か。これは
自由党の
党内事情以外の何ものでもないのです。そういうような多数党の
党内事情などによ
つて大切なる
常任委員会の
人数をみだりに改変するなどということは、私
どもは断じて
賛成はできません。
ことに
外務委員会のごときは、三十五名でも足りないとわれわれは主張しておる。現に
講和の問題のごときは、これは
国民にとりまして最も重大なる問題でございましよう。たとえば
外務委員会などが、われわれがか
つて主張したように、今日五十名からの
権威ある人々によ
つて構成しておられるならば、本日などは
国会の劈頭ではあるが、これは大活躍をする日です。
諸君は本日の
新聞を見たでしよう。
総理大臣は朝鮮問題について何とおつしやられましたか。私は、これは
新聞の記事ではあるが、実に重大なる発言をしておると思う。これは
日本の
国会にと
つても容易ならぬことです。こういう問題を真剣に
外務委員会が取扱うことにおいて初めて
国会の
権威というものを私は顯現することができると思う。
諸君がただ單に
党内事情によ
つて何もかにも二十五名にしてしまうのだというそういう
乱暴は
——諸君の多数を頼む
乱暴の行動は、すでに、きのうからきようにかけて、遂に
運営委員長が陳謝しなければならぬような醜態まで出しております。(
拍手)
ほんとうに
時局は逼迫しております。大切なときです。われわれは
諸君とともに協力して
日本の国家のために盡して行きたい。われわれは何も
反対せんがための
反対党ではない。是を是とし、非を非とするところに、
ほんとうの
国会の
権威があると思う。大
政党たる
諸君も大襟度を示して、
ほんとうに
国会の
権威のために物事を考えてもらいたい。何でも党略的に、
党内人事に災いされてつまらぬことをするのは、
ひとり自由党の
損失たるのみならず、わが
日本の
議会の
権威のために私は許すべきものではないと思う。どうかその点を愼重に考えられまして
——自由党の
諸君の中にも、この
改正案に
反対の人がたくさんございます。私のところに、それを言
つて来ておる。(「
名前を言え」と呼ぶ者あり)
名前をさしてもいいです。それでは
諸君は迷惑だろうから私はそれを差控える。そういう人がたくさんあるのですから、どうかそういう感情にとらわれたり、
党内事情に災いされたりして、つまらぬ改変をしないように、大
政党は心していただかなければならぬと思う。
ことに私は、最後にさらに強調したいのは、
外務委員会を二十五名にして、そうしてこの大事な
外交問題を、
議会以外の他の機関によ
つて隠密の間に事をはからんとするがごときは、断じて今日許されることではない。(
拍手)いわんや、
議長幣原さんは
超党派外交を主張されております。
外交を政争の具に供してはならぬと私は心得ておる。どうか
諸君とともに、
日本民族の百年の大計を
ほんとうに
民族のために考えるときには、
国会の
権威を堅持するというところに重点がなければならぬと思う。こいねがわくは
自由党諸君の反省を促して
原案を撤回せられんことを
希望する。よ
つてただいま
委員長より説明せられたる
改正案には、
共産党を除く
在野各党を代表して絶対
反対いたします。(
拍手)