運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-09-20 第8回国会 衆議院 法務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 安部 俊吾君    理事 角田 幸吉君 理事 田嶋 好文君    理事 猪俣 浩三君       鍛冶 良作君    古島 義英君       牧野 寛索君    眞鍋  勝君       山口 好一君    大西 正男君       林  百郎君    佐竹 晴記君       世耕 弘一君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  委員外出席者         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君 九月二十日  委員高田富之君辞任につき、その補欠として梨  木作次郎君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事北川定務君の補欠として角田幸吉君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  検察行政及びこれと関連する国内治安に関する  件  派遣委員より報告聽取の件     —————————————
  2. 安部俊吾

    安部委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。北川定務君が理事を辞任されましたので、この際理事補欠選任を行いたいと思いますが、理事補欠選任につきましては委員長に御一任願いたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なければ角田幸吉君を理事に御指名いたします。     —————————————
  4. 安部俊吾

    安部委員長 昨日に引続きまして、日発問題に関連して追放該当者政治活動の問題について猪俣委員より発言を求められております。この際これを許します。念のために申し上げておきますが、本委員会としてはこの問題に関係する範囲は、主として法務委員会所管に属する部分に限られておるのであります。従いましてこの点お含みの上御発言願います。猪俣浩三君。
  5. 猪俣浩三

    猪俣委員 昨日は法務総裁が非常に御多用のようでありましたから簡單に切上げましたので、なお本日引続いて質問申し上げたいと思うのであります。私の意図は近来法務府及び検察庁に関しましていろいろなデマが飛んでいるのであります。それは検察庁政治的に活動させ、與党あるいは内閣にとつて不利なる事実についてはなるべくこれを押えるように差向ける。それがために法務総裁更迭もやつたのだということがまことしやかに流布されておる。私は法務総裁がこの検察庁権威のために御健闘あらんことを祈るのあまりに質問申し上げるのであるが、さような疑いを持たれるということは、国家にとりましても非常に重大な問題であるので、私はその点につきまして法務総裁の確固たる御所信を承りたいのであります。特審局関係におきましても、どうも私どもはふに落ちないような点が多々ある。昨日も特審局長に申し上げたのでありまするが、まことに各村におきましてのささやかなる追放者、何か翼賛壯年団の団長をやつたとか支部長をやつたとかいうことで、一律に追放せられておる人物につきましても、非常に峻厳なる——政治活動については摘発がある。私の実際携わりましたものでも、実に酷に失すると思われる状態でありまして、この点も法務総裁のお耳にしかと入れておきたいのであります。宮城県の名取郡におきましては桜井清一郎なる人物が、これは百姓でありまするが、校舎の建設町民大会で反対の意見を述べたというだけで六箇月の懲役に処せられた。なおまた新潟県下の南蒲原郡の三本勇蔵という人物は、農地委員会の選挙の相談に字の人として顔を出したというだけで告発をせられまして、その事件調査するために農繁期なるにかかわらず、その村の六十数名の農民を呼び出して徹底的に糾彈した。そこには刑事訴訟法の精神にのつとらざる調査も行われた。これは新潟県長岡の検察庁にも、東京の高等検察庁にも私は申告しておいたのでありますが、今この問題を申し上げるのじやないのであります。かような小さい存在に対しましても、その追放者政治違反行動というものに対しましては、地方特審局出張員でありますか、実に過酷なる取調べをやつておる。しかるに中央におきまして実に日本の国政をゆるがすような大問題に活躍しておる人物につきましての摘発ということがはなはだなまぬるい、ときどき摘発したようなことが記事に出ておりますが、その結果はうやむやになつておるというようなことに対しまして、われわれは多大の疑惑を持つものなのであります。そこで昨日も申し上げたのでありますが、このG項該当者なつております三浦義一氏はこれは相当有名な人物でありまして、これが盛んなる政治活動をやつておるといううわさが耳に入る。きのう特審局長でありましたか、ちよつとお漏らしになつたようでありましたが、日本夕刊買收関係したとか、別府国際文化観光都市建設法案に奔走したとかいうようなことで、特審局はお調べなつたけれども、何ら事実がないというようなことで、これはそのまま葬られてしまつたというのであります。そこでなお法務総裁にお伺いしたいことは、この人物については取調べたことがあるという昨日のお話でありましたが、今お話申し上げましたこういうことについては、どういう報告を受けているのであるか、お答えを願いたいと思うのであります。
  6. 大橋武夫

    大橋国務大臣 猪俣君にお答えを申し上げます。まず第一に検察庁がその活動につきまして、政治的に動いておるような疑いがある。そういううわさがある。私も片山内閣あるいは芦田内閣当時において、さような動きがあるのではないかという、うわさを聞いたことがございますが、現内閣におきましては、検察庁活動政治的に動かすべきものではない。政党政派にかかわらず正義を守るというただ一筋の道に従つて検察庁活動すべきものである。かように考え、またかような方針のもとに指導をいたしておるということを申し上げるのであります。  それから地方におきまする追放者政治活動につきまして、あるいは過酷な取調べがあつたというような御発言でございましたが、私どもはいかなる犯罪取調べにあたりましても、社会的な常識に従つて過酷にわたることのないようにするということは、これは新刑事訴訟法のもとにおきまする検察の当然の考え方である。かように考えておりますから、さような事実がありましたならば、取調べの上将来さようなことのないように十分注意をいたしたいと存ずるのであります。  最後に三浦義一政治活動について取調べた事実があるかということでございますが、これは先ほども申し述べましたる通り調査をいたしたることがあります。
  7. 猪俣浩三

    猪俣委員 三浦義一氏の政治活動につきまして、ことに現下問題になつておりますところの日発の問題に対しまして、三浦氏はこの間に処して活動いたしまして、日発の正副総裁更迭までに関係いたし、なおまた電力再編成にあたりましては、統一派分断派両派の中間に立つて、その政治活動資金の媒介をやつてつたといううわさがあるのでありますが、その点についてお調べなつたかどうかをお聞きいたしたいと思うのであります。
  8. 大橋武夫

    大橋国務大臣 すべて追放者政治活動に関しましては、特審局におきまして、あらゆる情報に注意をいたしていることはもとよりでありまするが、三浦義一政治活動として調査をいたしました事項の中には、日発の正副総裁更迭とか、あるいは日発編成の問題に関連する資金動きというような面につきましては調査をいたしたる事実はございません。
  9. 猪俣浩三

    猪俣委員 かようなことが多数民間に流布されているのでありまするが、今までないといたしましても、今後この点につきまして特審局を指導いたされまして、三浦義一氏がこういうことに関係したかどうかをお調べになるところの意思ありやいなやをお尋ねいたします。
  10. 大橋武夫

    大橋国務大臣 前々申し上げます通り特審局といたしましては、かような面につきましては調査をいたすことがその使命でございます。従いまして今後この問題に関しまして信憑すべき資料を入手いたしますならば、当然特別に調査をいたすということにいたさなければならぬ、またそうする用意を特審局といたしましては常に持つているわけであります。
  11. 猪俣浩三

    猪俣委員 次にこれは昨日も特審局長までには申し上げておつたのでありますが、わが国の民主政治完成のためには、左の極端なる者に対しても注意を怠つてはならぬことは申すまでもないが、ことに日本民族伝統性から考えまして、右翼フアシヨ思想台頭ということにつきましては、私どもは重大なる関心を持つているものであります。特審局におかれましてはかようなことについては特別の注意を拂つてただきたい。朝鮮事変以来どうも何となく世間の風潮が、また終戰前のよな空気がただつているような感じをわれわれは持つのでありまして、ことに昨日も申しましたが、いわゆる辻参謀の名をもつて聞えております辻政信だとか、あるいは海軍中将でありました小林省三郎だとかその他今申しました三浦義一氏だとかいうような一派が、どうも最近猛烈に活動をやつているのじやないか。これは昨日も特審局長言つたのでありますが、新潟県下におきまして最大の発行部数を持つております新潟日報の紙上に、この辻政信朝鮮事変前に現われて、士官学校の卒業生を全部集めて、われら立つべき時が来たというような演説をやつたということもあるのであります。かような人物、これこそ国家を破壊すべき重大なる人物であると思うのでありますが、かような人物に対しての特審局調査、監督ということが、どうも手ぬるいのじやないか。かような右翼の浪人、その他の軍人上りの連中の動向に対していかなる関心を持つてこれを指導されておるか、法務総裁の御決心のほどを承りたいと思うのであります。
  12. 大橋武夫

    大橋国務大臣 右翼行動に対しましても、もとより嚴重なる監視をしておるのでありまして、ただいま御指摘の事件についても調査を進めておる次第であります。
  13. 安部俊吾

    安部委員長 次に昨日に引続き日共追放幹部逮捕に関する件を議題とし、法務総裁及び政府当局に対する質疑を行います。質疑通告順にこれを許します。
  14. 林百郎

    ○林(百)委員 それに移る前に、今の問題に関連して二、三あるのですが……。
  15. 安部俊吾

    安部委員長 では簡單に願います。
  16. 林百郎

    ○林(百)委員 今の猪俣君の質問関連していろいろ風評があるので、二、三簡單に聞いておきたいと思うのであります。これは岡崎官房長官談話の中にあつたのでありますが、閣議廣川農林大臣が、自由党への日発から政治献金があつた、しかしそれは政治資金規正法によつて届出があるからこれは問題でないというようなことを言われた、ということが伝えられておりますが、これに関する事実をちよつとお聞きしたい。
  17. 大橋武夫

    大橋国務大臣 閣議内容につきましては申し上げかねる次第であります。
  18. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、岡崎官房長官談話を発表したのはどういうわけですか。
  19. 大橋武夫

    大橋国務大臣 岡崎官房長官談話については私は存じません。
  20. 林百郎

    ○林(百)委員 政治資金規正法所管はたしか法務府でやつておられると思いますが、それはどうですか。
  21. 大橋武夫

    大橋国務大臣 法務府の所管には相なつておらないようであります。
  22. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この日発問題で政治資金規正法について調査をされたことがあるか。要するに政治資金として各政党日発からの献金があつたかどうかということを検察当局なり法務府で調査されたことがあるかどうかお聞きしたい。
  23. 大橋武夫

    大橋国務大臣 特別にただいままでは調査をいたしておらないように聞いております。
  24. 林百郎

    ○林(百)委員 日発問題が非常に重要な段階に来ているに際して、なぜこの政治資金に対して、あるいは政治献金届出について、政治資金規正法に違反するか、あるいは該当しているかという問題で調査をしないわけですか。どうしてされないのですか。
  25. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この届出所管官庁におきまして、届出に基いて、当然調査をされるものであると考えております。
  26. 林百郎

    ○林(百)委員 昨日の法務総裁答弁によりますと、日発問題に対してはまだ具体的な資料がない、で、まだ法務府として捜査について十分愼重な態度をとつているというような答弁のように聞かれましたけれども、これはすでに御存じ通りに、各新聞紙には岡崎官房長官談話として、廣川君が日発から政治献金があつた、しかしそれは政治資金規正法によつて届出があるから問題ではないというようなことを言つておる。しかし政治資金規正法によつて届出があつたかどうかが問題ではなくして、その金の出所、あるいはその金の使途、あるいはその意義、こういうものが非常に重要な問題になると思う。現にあなたの所属する内閣国務大臣はつきりと言つているのにかかわらす、なぜ検察当局がこの問題についての捜査を開始しないかという点を私は先ほどから聞いておる。この点が第一。  それから、その次は先ほどから問題になつております三浦義一の問題でありますが、これは以前に三浦義一追放令違反の問題で捜査をされたことがありますか。
  27. 大橋武夫

    大橋国務大臣 検察当局がなぜ捜査権の発動をしないかという御質問でございまするが、今日の段階におきましてはさような時期に達しておらないと考えておるからであります。また三浦義一追放令違反については、かつて調査をいたしたことがあるということを先ほどお答えした通りであります。
  28. 林百郎

    ○林(百)委員 その際三浦義一所有金庫に対して、将来の証拠保全のために封印をされた事実があるかお聞きしたい。
  29. 大橋武夫

    大橋国務大臣 さような事実については報告を受けておりません。
  30. 林百郎

    ○林(百)委員 三浦義一については非常に重要な政治資金関係追放令違反の嫌疑ありとして、検察当局が以前に捜査をし、われわれが聞いているところによると、たしか金庫に対しては後日の証拠保全のために封印をされたということを聞いております。その後その封印がどうなつておるかということを、私は当委員会委員の一人として、責任をもつてこの点を調査し、もし封印がしてありとすればその封印がどうなつておるかということを調査をし御報告願いたい。三浦義一に関する問題については先ほど猪俣議員からも質問がありました通りに、これは発送電関係配電関係、両者の間にタッチし、しかもこれは現内閣の相当の首脳部がこれと関連を持つておることはもうおおいがたい事実だ、われわれはその証拠を握つております。そういう意味三浦義一に関する詳細な調査をわれわれは求めたいのでありますが、とりあまず、まず以前に三浦義一検察当局捜査をした、その証拠保全、あるいはその他の状態が現在どうなつておるかということについての報告だけをまず私はしてもらいたいと思います。
  31. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま林君から検察庁三浦義一金庫を差押えたことがあるかないか、ありとすればその後はいかように運んでおるかということを調査してくれという御要求であります。これに対しましては調査の上お答えをいたす考えであります。  それから三浦議一について何か捜査権を発動するに適当であるとお考えになる材料を林君がお持ちだそうでありますが、もしさようなものがありましたならば御提出をいただくとたいへん仕合せであります。
  32. 林百郎

    ○林(百)委員 このことは私の方にお聞きになる前に、まずあなたの方の大野君やあるいは廣川君、あるいは吉田総理にお聞きになつた方が、三浦君とどういう関係にあるか、むしろその方がおわかりになると思いますから、まずそちらをお聞きになりまして、それでもなお資料がないとおつしやるならば、われわれの方で適当な資料を提供してもけつこうであります。  その次に問題になりますのは、先ほど法務総裁答弁にもありましたように、三浦義一氏が日本夕刊買收関連をされたということを言われておりますが、しかもその日本夕刊には、たとえば文筆活動追放なつておるところの林房雄浅野晃、あるいは倉田百三、こういうような諸君がグループを結成してこれと関連があるということが、これは新聞紙にも報道されておりますが、この関係について、三浦義一日本夕刊買收並びにその日本タ刊中心としてのかつての反共的な右翼文筆追放者がどういう活動をしておるかということを調査された事実があるかどうか、その点をお聞きしたい。
  33. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま林君から検察庁に対する資料提出という意味をもちまして、数名の同僚に対して聞いたらよかろうというお話がありましたが、さようなことをしなければならぬと考えるところの資料を、私どもとしてはただいま持つておらないということをお答えいたしておきます。  それから日本夕刊事件につきましては、調査の結果容疑なしということになつたわけであります。
  34. 安部俊吾

    安部委員長 林委員に申し上げますが、簡單に……。
  35. 林百郎

    ○林(百)委員 結論だけつけます。先ほど同僚議員名前が出たことについて、自由党諸君からいろいろ話がありました。これは捜査端緒風評からも捜査端緒になることは皆さん御存じ通りのことだと思う。明らかに今私のあげた諸君風評として名前が流れておることは間違いない事実です。ですからまずその風評についても捜査をなさつて、それでなお証拠のない場合にはわれわれもまた協力するということを言つておる。これは刑事訴訟法上当然のことなので、それでまず風評を申し上げる。しかしこれは政治的に非常に重要な問題であるから、まずその風評についての厳重な捜査をされて、その後にわれわれもまた十分協力しますということなのです。  もう一つは日本夕刊の問題につきましても、日本夕刊が明らかに反共的な、かつて三浦君、あるいはそのほかの私があげた文筆追放者追放理由なつたようなことが、そのまま日本夕刊には出ておるわけです。これは明らかに客観的に追放令違反なのです。彼らの追放されたのは、反共で軍国主義的な思想を持つてつたから追放なつた。日本夕刊を見ると、それがかつて東條時代とかわらない反共的な記事がそのまま毎日載つておる。これは明らかに追放令違反だと思います。時間がないのであまり触れませんけれども、これにつきましてはもつと嚴重捜査をされまして、もう一度責任のある報告を私は当委員会にしてもらいたいということを希望しまして、関連質問でありますからこれで打切ります。
  36. 安部俊吾

    安部委員長 それでは先ほど申しました日共追放幹部逮捕に関する件を議題といたします。古島義英君。
  37. 古島義英

    古島委員 私は昨日聞きましたので、日共幹部逮捕問題につきましてはやりませんが、類似しておることで、日共党員、この党員公務員なつておるというので、その公務員を罷免するといういことについて、お許しがあればここで質問をいたしたいのでありますが、幹部逮捕のことについてはありません。
  38. 安部俊吾

    安部委員長 それではあなたのは後ほどにいたします。林百郎君。
  39. 林百郎

    ○林(百)委員 私は先ほど申した通りに、まず日共幹部追放の問題について最初お聞きしたいことは、日共幹部追放については、非常に厳重に厳格に特審局あたり動き、このために特に人員をふやす、あるいは経費も厖大な経費を増大するというようなことを言われておるのでありますが、右の方のフアツシヨの台頭に対する特審局、あるいは法務府の追放令違反調査については非常に手ぬるいと感ずる点が多分にあるのであります。たとえば三浦義一については、私は先ほど申し上げましたからこれ以上は触れませんけれども三浦義一についても、明らかに資金的な関係から、また政治的な関係から、日本の現政治に相当大きな影響力を與えておることは間違いないと思うのです。こうした事実に対して検察当局追放令違反捜査すら始めないということについては、われわれは非常に大きな不満を持つております。三浦義一の問題は別として、さらに私のお聞きしたいのは根本博、これは元の中将でありますが、これは台湾募兵問題で、追放令違反で前からしばしば言われております。最近台湾に密航した丸良丸事件、これは静岡で拿捕された船でありますけれども、これにもやはり根本海軍中将関係しておるということをわれわれ聞いておるのでありますが、この根本博中将についての特審局のその後の調査、あるいはこの所在等についてわかつてつたお答え願いたい。
  40. 大橋武夫

    大橋国務大臣 林君にまずお断り申し上げておきたい点は、日発問題に関連いたしまして、検審庁が全然捜査をしておらないというような御発言がありましたが、昨日来申し上げております通り検察当局はあらゆる犯罪について常に捜査を継続いたしておりまして、私の申し上げましたる趣旨はそれ以上特別な行動に出るほどの資料はつかんでおらない、こういうことを申し上げたのであります。捜査をしていないということはこれは誤りでありますから、この点をはつきり申し上げておきます。  それから根本博に関しましては、特審局におきましてただいま調査をいたしております。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえばその住所などもわかつておりますか。(発言する者多し。)
  42. 安部俊吾

    安部委員長 林委員にお諮りいたしますが、日共追放幹部逮捕に関する件が議題でありますから、その範囲内の御質問を願います。
  43. 林百郎

    ○林(百)委員 だから左の方をやるなら右の方もどうしておるのか、参考までに聞いておるのだ、それからいよいよ左に入つて行くのだ。
  44. 安部俊吾

    安部委員長 それでは林委員の方におきまして、日共追放幹部逮捕に関する件に直接御質問なければ、通告順によりまして、次に質問を許します。佐竹晴記君。
  45. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 最近日共幹部捜査に関しまして最高会議お開きなつて、早く逮捕しなければならぬということを協議なさつたと承りましたが、これは一体何の目的の会議であつたか、換言すれば逮捕状を出した手前、それが執行できないというのでは司法の権威にかかわるというのでありますか、それともこれを逮捕しなければ治安維持の上において危惧すべき点があるとおつしやるのか、その内容をお示し願いたいと思います。
  46. 大橋武夫

    大橋国務大臣 逮捕状を執行いたしまするために関係機関の緊密なる連絡が必要である、かように考えたからであります。
  47. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 少くとも新聞紙の報ずるところによれば、すみやかに逮捕しなければならない状況に追い込まれているということが報道されているが、その内容は一体何か、もしその新聞報道がうそであつたというならば、それは断固取締るべきものであると思う。もし祕密にわたる事項であつて答弁ができないということであるならば、祕密会をお開きの上に詳細御答弁にあずかりたいと思います。
  48. 大橋武夫

    大橋国務大臣 関係機関の緊密なる連絡をはかるための会合であります。
  49. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 私はそんな形式的な点を聞いているのではありません。それではもう一度逆問いたしますが、今までは緊密な連絡をおとりになつていないのでありますか。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 従来では不十分であると認めたからであります。
  51. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 いかなる点が不十分であつたのかお示し願いたい。
  52. 大橋武夫

    大橋国務大臣 緊密なる連絡をとる上において不十分であると認めたからであります。
  53. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 そういつた不親切なことでなしに、もつとこれは国民として互いに心を割つて、共産党に対する関係をどう扱うべきかということは與党たると野党たるとを問わず、ともに考えなければならぬことである。今言つたようなお座なりの答弁によつて満足し得られるものではないのです。だれが聞いてもそんな御答弁は逃げ口上であるとしか思われません。この逮捕状出頭義務違反であるという点が中心であるということを昨日も承知いたしました。ところが志賀氏のごときは出頭いたしました。出頭いたしました者はそのままであります。ところが姿を隠したので、その姿を隠している者に対して非常に危惧の念をお持ちであるということがわかるのであります。姿を隠して地下にもぐつたならば、一体いかなる行動をとつていると思つておられるのか、地下にもぐればおそらくその活動は非常に鈍くなる。表面に出て堂々とやるようには行きません。あらゆる障害が加わつて来るであろうことはわかります。しかるにかかわらず、その障害を切り拔けていろんなことをやつているやつているに相違ない。いろんなことをやつているので、非常に危險を感ずるに相違ない。危險を感ずるによつて、早くつかまえなくてはならない。早くつかまえる上においては、関係機関の緊密なる連絡が必要である。それがためには今までの捜査の方法について不十分な点がある。緊密な連絡をとつて、とくとその目的達成のために進まなければならぬとおつしやる。してみれば地下にもぐつたことはすなわち姿を隠したということは、幽霊になつたらこわいというような、そんなぼんやりしたものか、枯尾花を見て幽霊だと言つて驚くような気持でなしに、もつと現実にしつかりした、地下にもぐつていかなる行動をとつておるか、たとえばいろいろなカンパも出ておりましよう、ガリ版刷りのものも堂々とまかれておるでしよう。現に鉄道のごときは、八月十五日から二十日にわたりますまで、部署についておる者はおのおのの部署から離れるべからずという指令が発せられておる。これはその官憲において発せられておる。これらとおそらく関係なしとは私は言われないと思う。してみれば、治安維持の上において早急に逮捕するの必要あつての御手段であることは、申し上げるまでもない。そんなことを私がせんさくしてお聞きいたしませんでも、国を憂えるところの大臣ならば、いま少しわれわれ国民にその実情をお話なつてはいかがでありましよう。
  54. 大橋武夫

    大橋国務大臣 佐竹君から連絡会議をなぜ開いたかという御質問でございますから、これは緊密なる連絡をはかる必要があるから開いたのである、こう申し上げたわけであります。
  55. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 それではこう聞きましよう。地下にもぐつたために危險なしとお考えになるのか、これがつかまらぬでは非常に危惧の念が起りはしないか、また地下にもぐつたために、何ら治安維持関係なしとお考えなつておられるのか、これを承りたい。
  56. 大橋武夫

    大橋国務大臣 徳田球一ら九名が、家族を離れまして、何らの理由なくして長期にわたつて潜伏いたしておるということは、とうてい考えられないのであります。これらの者が何か非合法なる活動をするためではないか、かように考えております。
  57. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 非合法活動の危惧のありますことを抽象的にお述べになりました。当局としてさようにおつしやる上は、われわれが互いに雑談する上において現われて来る言葉などとは違います。抽象的な言葉にしろ、それだけのことをおつしやるのには、必ずそこには具体的に何かの根拠と報告がなければならぬはずであります。つまり先ほどつた、尾花を見て幽霊だなどと思う、そんな底のものでなしに、大臣として危惧の念を感ずる底のものでなければならぬ。それでなければ、それに対して早急につかまえなくてはならぬという最高会議を開くほどの問題ではございません。してみれば、いま少しく親切に——潜行を長く続けておることは非常に治安にとつて不安である。そうして非合法行為に出ずるおそれがあるということを認識されて、その内容をいま少しく承りたいと思います。
  58. 大橋武夫

    大橋国務大臣 内容については具体的に申し上げる程度になつておりません。
  59. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 祕密会でもけつこうですから、もう少し私は心を割つてお話願いたいと存じます。けれども、いわば知らぬ存ぜぬの一点ばりのお答えのように見えますので、これはまた適当な機会にいたしましよう。進んで逮捕できないのは人員や費用の不足あるいは機動力が足りないこと等に原因することを昨日おつしやられたのであります。それならば一体どうしたならばつかまるというお手立てがあるのか、その構想を承りたいと考えます。
  60. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まことに恐縮でございますが、捜査上の機密にわたりますので、御答弁を差控えさせていただきたいと存じます。
  61. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 祕密会でもまた他日でもけつこうでございますから、適当な機会にお示しを願いたい。  過日三田村四郎君がある新聞に——これは私は八月にちようど地方遊説をやつておりまして、私の郷里高知における高知新聞紙上において、三田村四郎君が、何がゆえに日共幹部が潜行しておるのにつかまらないかという記事が堂々と記載されておりました。それによれば、つかまらぬのには裏の裏があるのだ、伊藤律君のごとき者をつかまえようとすれば、二十四時間という時間を限定してもらつて検挙できる、しかしそれをつかまえぬところに味があるのだと書いてある。押えると他の者の動静について情報が得られないからだということが書いてある。またそれらの日共幹部を早く連れて出て来ると次の予算がとれぬということになろから、なかなか官憲どもうまいぐあいに、つかまらぬつかまらぬと言つて、予算獲得のために相当にうまいことをやつておると書いてある。その押えられるのに押えないところに裏の裏があるという手品のようなことを五つも六つも例をあげて書いて堂々と国民の前に訴えておる。われわれもなるほど三田村君は昔の共産党の幹部であつた。裏も表も知つおる人だけあつて、われわれは表だけ見ていたら、三田村君はなるほど裏の裏まで知つておるわいと感心しました。私が感心するほどですから、民衆はおそらくこれを信じていると思う。その事実は一体どうでしよう。そういう事実があるのでございましようか。つかまらぬことについての何か裏の裏があるのではございますまいか、それをひとつ確めておきたい。
  62. 大橋武夫

    大橋国務大臣 裏の裏はございません。
  63. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 裏の裏なしと否定をされました。してみるならば三田村君のこの新聞所載は、驚ぐべき世道人心を迷わすものであります。何がゆえにこれをお取締りにならぬのですか。
  64. 大橋武夫

    大橋国務大臣 高知新聞のただいまの記事についてはまだ私ども報告を受けておりません。
  65. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 何にも知らぬ存ぜぬでは、何と申しますか、相撲になりませんが、私はいまひとつ聞いておきたい。逮捕できないのは費用も足らぬ、人員も足りない、機動力も足りない、だから極力その方面に力を注いでおる、先ほど答弁なつたように、最高会議を開いて各機関の緊密なる連絡をとつたとおつしやる。してみればおそらくすぐつかまるだろうと私は確信いたします。一体徳田君なんかはどこにおるとお考えでございましようか。
  66. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ちよつとお答え申し上げかねます。
  67. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 野坂君は支那へ行つたと新聞が報じております。もし支那に行つておるのに、いくら日本で人員をふやしても費用をふやしても、機動力をどれほど能力を発揮しましても、これは三田村君のおつしやる通り予算獲得以外の何ものでもありません。予算獲得もそんな裏の裏があるのじやない。機動力を発揮し、人員をふやし、費用をもつと出してもらえばできるのだとおつしやるならば、少くとも内地なら内地にはいる。内地にはいて、それだけのことをしてもらえばつかまる見込みが立つとおつしやるか、少くとも内地におるとお見込みですか。
  68. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その辺はひとつ御推測にまかせたいと思います。
  69. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 外国の公館にかくまつていられるじやないかなどといううわさが立ちます。よくないうわさだと存じます。法務総裁は何とお考えでしようか。
  70. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これもまたお答えいたしかねます。
  71. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 九名の人々がそろいもそろつて一人もつかまりません。そのうちの一人でもとつつかまつたならば、これはまことに御努力なさつておるところの御精があると思います。しかし一人もつかまりません。これはみんなが一緒に、何と申しますか、束になつてどこかにかくまわれておるというお見込みでしようか。それともばらばらになつておるのか。一人もつかまらぬというのなら、どうも一緒におるように思うのでございますが、それともばらばらになつてあつちこつちに動いておるのを、機動力が足りない。人が足りない。予算をふやして人員をふやしてもらつたらすぐつかまるのだとおつしやるだけの確信がおありでございましようか。ばらばらにおるというお見込みでしようか、一緒におるという、その御見当はおつきにならないでしようか。
  72. 大橋武夫

    大橋国務大臣 久しきにわたりまして一名も逮捕できないということにつきましては、まことに申訳なく考えておる次第であります。
  73. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 何にも御存じないそうでございますから、この点に関する限り、大臣はあつてもなくてもいいような存在であることを痛感いたします。もう少し法務委員会へ出ても手ごたえのあるような、なるほどこういう人をいただいておることによつて、われわれは治安の維持ができるわいなあということを少くともできるだけお示しいただくことを希望いたします。  もう一、二点お伺いいたしまして、あんまり知らぬ存ぜぬことを手探りをすることをやめましよう。逮捕状をお出しになりますと、この逮捕状に基いて捜索なさいます権利はもちろんあるだろうと当局はお考えでございましようか。また当局は実際捜索をおやりになつておるでございましようか。捜索との関係を承りたいと考えます。
  74. 大橋武夫

    大橋国務大臣 逮捕状の執行につきましては、これを司法警察にやらしております。また捜索もいたしております。
  75. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 もし捜索の結果、だれか、のうちにかくまつておるといつたような事実が明らかになつて参りましたときに、そのかくまつておる人々は刑事上の制裁を受けることになりましようか。
  76. 大橋武夫

    大橋国務大臣 犯人を蔵匿しておつたということが明らかになりました場合は、もとより嚴罰をもつて臨む方針であります。
  77. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 情報、資金、乗物等の便宜を與えた者に対してはいかにお考えでしようか。
  78. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御指摘のような行為は、犯人の発見逮捕を妨げるものでありまして、いわゆる犯人隠避罪として同様の処罰を受けるわけであります。
  79. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 時間が少いようでありますから、私はこれで打切ります。
  80. 古島義英

    古島委員 佐竹君の御質問はきわめて適切なものだと私は思うのであります。そこで法務総裁、はなはだ御答弁困難のようでありますから、この際逮捕状が出てから今日までの捜査の模様等について祕密会をここに開いて詳細なる御報告を願いたいと思います。
  81. 安部俊吾

    安部委員長 古島委員におはかりいたしますが、実は総裁は十二時限りで他にぜひとも出席しなければならぬ会合があるのでありまして、もう時間もほとんどないのであります。ですから、この次にそういうような……。
  82. 古島義英

    古島委員 われわれは委員長からの通知を受けましたのは、法務総裁日共幹部逮捕についての御報告があるということの日程を得ておるのであります。ところが報告がありませんで、初めから質問であります。私は報告を承つて質問をいたしたいという希望を持つてつたのであります。その報告をするという日程であつたにもかかわらず、報告はないのであります。佐竹君から今の質問等がありまして、どうしてもこれはその報告を受けてわれわれはそれに対処せなければならぬと思うのであります。この点いかがでありますか。
  83. 安部俊吾

    安部委員長 古島委員お話はよくわかりますが、なおこの問題に関しましては、さらに会合をを開きまして、あるいは祕密会なりあるいは懇談会なりをしたいと思うのであります。それは理事会におきましてさらに懇談の日取りなどを決定いたしたいと思います。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 十二時に総裁がお帰りになるそうでありますから、私は質問をごく簡潔に二つだけお聞きしたいと思います。一つは先ほどちよつと私がお聞きしておいたのでありますが、古島委員からも先ほどお話がありましたが、共産党の幹部追放について祕密会を開いて捜索の報告をされるくらいなら、他の問題についても全部われわれはそういうことを要求したいと思う。もしそうでないならば、検察当局捜査の都合上答弁できないというならば、それはこの問題も同じだと思う。何も共産党の幹部追放だけを特に祕密会にして、今までこの国会においては検察当局答弁は、捜査の過程なるものについては愼重な態度をとつたので、それを破る必要はないと思う。もし共産党の幹部追放でこれを破るならば、一切の事案についてすべて検察当局捜査の過程にある事件は、国会においては祕密会に報告させるといふ不文律をつくるなら別だと思います。そこで私は質問が二つありますが、一つは、すでにもう検察当局報告が来ている事件に対して、検察当局が動かないではないかと思われる節のある点がある。これは先ほど日発の問題でありますが、日発政治献金の問題で、検察当局へ九州方面の検察庁から何か捜査報告があつたのではないかと思われる点があります。この日発政治献金の問題について、地方検察庁から四月から五月ごろ何らかの報告を受取つたことがあるかどうか、これは殖田法務総裁のころだと思いますが、もし殖田法務総裁のころならそのころ現大橋法務総裁に何か言い伝えがあつたかどうかという点が一つ。  次の点は、日共幹部の問題でありますが、われわれはポツダム宣言によつて共産主義の信奉は十分許されていると思う。信教の自由は十分許されていると思う。また共産党自体は合法政党として十分許されていると思うのであります。私はこの二つの前提の上に立つて、もちろんわれわれ党員としては幹部追放については絶対反対でありますけれども、この幹部を除いて、他の党員に対する最近の——これは昨日も質問をしたのでありますが、頻々として不法な尋問、尾行、逮捕、家宅侵入、こうしたわれわれの市民的な生活の安定を保持することすらできないような、窃盗容疑というような形で、不審尋問、不審逮捕が行われたり、あるいは夜中に人のうちへ入つて来てのぞき込んだり、電柱へ登つて写真をとつたり、隣のうちの部屋を借りて、そこへ入り込んでいて、一日中、人の家の中をのぞき込んでみたり、こうしたまつたく基本的な人権を無視するような方向が、一方党員自体に対しても、また党員ではなくして、党の支持者と目されるような、單に組合活動を活発にしているというような諸君に対してすら——われわれからみればむしろ自由主義者だ、右でも左でもない、自由主義者と考えるような人たちにすら、こういう態度がとられています。これはかつて東條時代以上のやり方だろうと思いますが、そういう点について、基本的な人権を守るということ、日本の国に再びファショの時代を再現させないという点からいつて、こうした不当な人権の侵害に対して、法務総裁はどう考えているか。共産主義の信奉あるいは共産党の公党としての存在が許されている限り、一般党員はもちろんのこと、こうした自由主義者と考えられるような、たとえば新聞、報道陣の追放、このたびまたうわさされている公職の追放というようなものを考えてみましても、すでに共産党員の域は越して、一般の自由主義的な考え方の人たちにまで、この基本的人権の侵害が起きているようにわれわれは思うのであります。この点は、單なる一共産党の問題ではなくして、さきほど猪俣議員からも質問がありましたけれども日本の国のフアショ化を心よく思つておらない、平和を愛好する人たち一般が、非常に心配している点でありますが、この基本的人権を守るという点について、基本的な信念を法務総裁にお聞きしたい。以上、一つは、先ほど申しました。すでに日発の問題については、検事局が当然動かなければならないような報告が、下部の検事局から来ているのではないか。それから今の点の二つをお聞しておきたいと思います。
  85. 大橋武夫

    大橋国務大臣 日発の問題に関しましては、検察当局が、特別に捜査権を発動しなければならぬというような事態を示唆すべき報告は参つておりません。  それから第二の御質問でございますが、警察の活動におきましては、憲法並びに法令によつて保障せられております国民のあらゆる基本的権利は、これを嚴に尊重するということがその根本でございまして、この点に関しまして、共産党員である、あるいは党の支持者であるというような理由をもつて、例外を設けるというようなことは断じていたしておりません。     —————————————
  86. 安部俊吾

    安部委員長 次に、派遣委員報告聽取の件を議題といたします。当委員会は、一、刑事訴訟法改正問題、二、経済関係法令に関する事情調査、三、その他、監獄作業の視察等、以上三件について、四箇班にわかれて御視察を願つたのでありますが、いずれも酷暑の最中に非常に御熱心にまわつてただいたのであります。特に各地における御懇談等は、まことに有意義であり、本院のため慶賀にたえません。御苦労さまでありました。  さて、報告は各班ごとにしていただくわけでありますが、各地方に共通した点も多いようでありますれば、まずそれをまとめて報告していただくことにいたします。  次に、各班ごとの特徴について御報告を願うということにいたしたいと思いますが、いかがいたしましようか。
  87. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 今、委員長から派遣委員報告聽取の件が議題になりましたが、この報告は專門員にかわつてなさしめていただきたいと思います。なお專門員の報告は、專門員は両名ございますので、どなたか一名で、特にその議題の代表的なものを取上げて報告つて、詳細な点にわたりましては、もはや派遣委員から委員長の手元まで報告書が出ておると思いますので、その報告書によつて御了承願つたらどうかと思います。
  88. 安部俊吾

    安部委員長 ただいま田嶋委員より動議がありましたが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しまして、まず村專門員より御報告を願います。
  90. 村教三

    ○村專門員 委員長の命によりまして、派遣委員といたしまして調査されました事項のうち、特に刑事訴訟法の運用に関する実態調査の中でも、各班共通の問題がございまして、それは北陸班におきましても、また関西班におきましても、四国九州班におきましても、東北班におきましても、共通の問題となつ事項がございますので、その事項を項目として申し上げることにいたします。なお相当こまかい点まで、いろいろと各班から報告が出ておりますが、その点、書類の上ではなお多少の整理を必要といたしますので、こまかい点につきましては後日に延ばしていただきまして、何が問題となつたか、どこに重点があつたかという点だけを申し上げさしていただきます。  第一の問題は、勾留申請及び留置送致の時間に関する問題でございます。これは警察官側におきましては、たとえば四十八時間のところを七十二時間に延ばしてほしい、あるいはまたそれに、なお必要な場合におきましては延期できるようなことを希望されたのでありますが、しかしながらまた検察庁の方面におきましてもいろいろの意見もありましたし、また弁護士会等におきましては相当強い反対もありまして、一応これが問題になつたことだけを申し上げます。  第二の問題は、起訴前の勾留期間の問題でございます。これは現行法によりますれば、御承知の通り十日が限度となつておりますが、二十日を原則とすべきではなかろうか、こういう趣旨でございまして、これまた検察庁側、警察官側に、いろいろとこれを支持する議論もございましたが、弁護士会の方面におきましては、むしろ強い反対があつた次第でございます。  第三の問題は逮捕状の問題でございまして、この逮捕状を出すにつきましての濫発という問題が起るのではないか、あるいはこれに関連しまして、緊急逮捕が濫用されておるのではないかということが問題でございました。これもまた、緊急逮捕などにつきましては、むしろ廃止すべきではなかろうかという意見も相当強力でございましたが、捜査を担当される警察の方面などでは、たとい緊急逮捕の事柄の制限をいたしましても存置してもらいたい、このような意見もあつた次第でございます。  それから第四の問題は、被疑者の供述拒否の拒否権の問題でございまして、これは最も議論の多かつた問題でございます。各地とも共通的に供述拒否権があるということは、趣旨としてけつこうなことであつて、だれしも了解するところでございますが、警察あるいは検察の方面におきまして供述拒否権があるということをば、まつ先に告げねばならぬ、事前に告知しなければならぬという規定が問題ではないか、その理由といたしましては、たとえば憲法におきましては、不利益な仕述を強要されないと書いてありまするが、まつ先に供述拒否権ありということを告げなければならぬということは書いてないじやないか、その他いろいろな理由がありますが、これは相当強く主張された次第でございます。またニューズ・ソースに関する新聞記者の証言拒否権につきましても、相当議論がございまして、これは一方では認むべきではないかという強い意見もございましたが、またこれはその新聞の限定が必要でないかという議論もございまして、目下のところ委員会といたしましては、また愼重に考えねばならぬところではないかと考えておる次第でございまするが、いずれ書面で詳しくお手元に差上げる機会があると思つております。  それから第五の問題は、証拠に関する規定でございまして、これは裁判所側の方面において起つた意見でございまするが、新刑事訴訟法証拠法は、わが国の実情にどうも適しないようである。証拠能力に関する制限を緩和して、いま少し自由心証の幅を持たせるようにする必要があるのではないかというような考え方が各地に述べられた次第でございまして、この点アメリカ側の事情や、アメリカ側における証拠法のいろいろな基礎的な社会的な状況と、日本の事情とを考慮いたしまして考えなければならぬ問題があると思つておる次第でございます。  大きな問題といたしましてはこの五つが各班に共通した大きな問題でございましたが、なお各班におきましても、それぞれの問題があつたのでございまするが、何分にも重大問題でございまするし、こまかい点は書類をもつて報告さしていただけばけつこうだと思つておる次第でございます。
  91. 安部俊吾

    安部委員長 ただいまの御報告に関しまして御質疑がありませんか。
  92. 古島義英

    古島委員 報告を承りまして大体了承しましたが、今の証拠法を緩和するというような意見はどちらの方面から出ておるのですか。われわれからいえばもつと嚴格にして、検事がかつての聞取書などを出すということは、これを全面的に禁止して、直接に証人調べをしなければ証拠にならぬというくらいに強硬にやりたいと思つておる。ところが今の刑事訴訟法証拠調べをもつと緩和したいというのはどの方面から出た意見でありますか。それが一つ。  それから今日保釈の問題がたいへん問題であります。保釈は御承知の通り、八十九條に抵触しない以上は全部許さねばならぬというのが原則であります。しかるに逃走をするとか、あるいは追起訴をするというような名目でもつて、保釈を許さないというのが現状であります。しかもその保釈は、有罪判決を受ければ当然に効力を失するというので、被告が言渡しを聞きに参りますと、その足でとめられてしまうのであります。家族の者からいえば、判決の言渡しを聞きに行つたのであるからして、きようは帰つて来るであろうと思うと、有罪の判決を受ければそのままとめられるという現況でありますから、これは少くとも上訴期間中というものは判決は確定しないのだから、上訴期間中はその効力を維持さすべきものだという意見が出てしかるべきであると思うのであります。この点についての調査等はできなかつたのでありますか。  第三に、刑事被告人は、被告たる身分のあるときばかりでなくて、いよいよ刑が確定をいたして、行刑の方に移されたときに、その行刑上のやり方等については特別に調査委員が派遣されなかつたのかどうか。もし行刑問題で特別調査委員が派遣されないというならば、法務委員会としてはこの前提である刑事訟訴の問題について派遣されたのでありますから、行刑上の問題についても今後調査するために調査委員を派遣する必要があると思うのであります。その問題と三つ承りたい。
  93. 村教三

    ○村專門員 この証拠法の問題及び保釈、ことに権利保釈の面につきましては東北班におきましてむしろ問題が多くございましたので角田委員からひとつお答え願いたいと思います。  それから行政方面の視察は今回はいたしたわけではございまするが、主として刑事訴訟の運営の方面に重点を置きましたので、時間の都合上班によりましてはこの行刑方面の視察のできなかつたところもございましたし、また実行したところもございますが、今のところちよつと統一的な書類の整理はできておりませんので、また機会あるごとにこの行刑問題の視察を継続して行こうではありませんかというような意向でおる次第でございます。保釈につきましては角田委員の方からお答え願いたいと思つております。
  94. 角田幸吉

    角田委員 証拠についてのただいまの古島委員質問は、これは仙台の高等裁判所において高等裁判所の判事、仙台地方裁判所判事からの希望によつたものでありまして、日本はアメリカよりはきわめて法律家が多い、そこで自由心証による裁判がもつとできる方がかえつて公正な裁判ができると考える、こういう議論でありますからお答えいたします。  それから今の保釈の問題でありますが、これは弁護士会等からはちようどただいま古島委員のような御質問がありました。要求もありましたからこれにつきましては裁判所側、あるいは検察庁方面からもただちに弁護士会側が考えたようなわけにいかぬという議論もありました。ただそれだけの一応の議論を聞いたわけであります。自分たちの意見はいずれ法務委員会において御検討なさると思いますのでただいま輪郭だけを報告しておきます。
  95. 古島義英

    古島委員 仙台の高等裁判所の意見だというがあなた方が御調査なさるのに、官僚方面から話を承れば、必ず官僚の都合のいいようなことになる。われわれは人権擁護の方面からこれを調査しなければならぬのですから、官僚の都合のいいようなことの報告を受けて、それをそのまま大体そういう意向であるというような報告をされることは、きわめて迷惑であります。どうしたならば今日の人権擁護がまじめにやれるかという方針で行くならば、擁護の方面に立つておるところの弁護士会等の意見を尊重すべきものである。裁判所の意見はむしろ参考にするのはよろしいのであるが、調査の対象ではない。われわれは検察庁なり裁判所のやり方があまりおもしろくないから、いかにして人権を擁護すべきかという方面で、調査を進めてもらわなければならぬのであります。その仙台の高等裁判所の意見を承るときに、弁護士会の連中も立合つてお話したのかどうか、この点をお伺いいたします。
  96. 角田幸吉

    角田委員 私はこの問題につきましては、裁判所、検察庁、警察署、弁護士側が立ち会つて、従つてどもは人権擁護の立場であることはもとよりでありますけれども、裁判所、検事側が必ずしも人権を蹂躙するとは考えておりません。われわれは各方面からいろいろの議論を聞いて、そうしてそれを報告するだけでありまして、ここに私の私見等は加えない方がいいと思いますので、詳細は報告書によりごらんを願いたいと思います。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 今の報告について、私も古島委員と同じ意見を持つております。御意見を承りますと、たとえば默否権を告げる時期は最初でなくてもよろしいとか、証拠法規はもう少しゆるやかでいいとか、これはわれわれが在野法曹として、裁判所で法律を扱うときに、もつとこの点は嚴格にしてもらわなければ、新しい刑事訴訟法の精神は生きて来ないと思う。われわれと逆に考えるようなことが伝えられている。われわれの心から望んでいることは、全然報告がないのです。弁護士が立ち会われだということだそうでありますが、もし弁護士が立ち会つたとしたならば、私は弁護士側の意見はそこで吐かなかつたか、あるい弁護士側の意見はその報告書にオミツトされてるか、どちらかだと思います。私はやはり司法関係報告書というものは、存朝の法曹人の意見も大事でありますけれども、しかし法曹事務の大きな力というものは、やはり在野の法曹の諸君にあるわけでありますから、この意見も十分反映させていただかないと、公平な司法関係に関する報告書というものはできないと思います。現に私たちが新しい刑事訴訟法で、いろいろ扱つてみましても、まだ警察、検事局の強制あるいは精神的な拷問というものが非常にあるのです。これは自由党諸君ですら選挙違反で調べられて、みんな憤慨して出て来るのです。何が新しい刑事訴訟法の精神だと言つて出て来る。また証拠收集につきましても、検事局や警察は権力を握つておるから、すぐできます。われわれが被告人のところに行つたり、あるいは被害者のところに行つたりして証拠をとると、あれは証拠隠滅をやるのだということで、非常な妨害が出て来るわけです。そういう意味からいつて、実際的にはほとんど新刑事訴訟法の精神が顧みられないで、旧刑事訴訟法と同じような形がまだ行われておるのです。だからこの際、ほんとうに新しい刑事訴訟法の精神を生かすためには、もつと嚴重にしていいくらいに思うのに、もうこの新しい刑事訴訟法のわくすらゆるめた方がいいという意見ばかり報告することは、私は反対なのです。もう少し公平に在朝在野の両法曹人の意見を聞いて、公平な報告をしていただくことを希望をするし、またそういうことをされたかどうかを、念のためにお聞きしたいと思う。
  98. 角田幸吉

    角田委員 その点は林委員古島委員の御希望に沿うように、弁護士会からは特に多くの発言を求めまして、報告書には多量にその点はありますから、詳細は報告書においてごらんを願いたいと思います。
  99. 小木貞一

    ○小木專門員 今の問題にお答えいたします。私は四国、九州班として行つたのでありますが、この問題につきましては、先ほど村專門員から報告しましたように、項目だけ一応ここへ紹介したのでありまして、その項目の紹介も十分にはできていなかつたと思います。私どもが聞いたところでは、この默否権の問題につきましては、これはもう厳格にやつてただきたいという意見が、弁護士会からたくさん出ております。これは今ここではつきり申しておきます。ただども委員会としては、默否権の行使について、現在取締り官憲がどういうふうにこれをやつているかということを、もつと実態調査をやつた方がよいと思います。そういうことでこれから調査を進めて行きたい。こういうふうな意見を多数の方が持つておられますから、その点の御心配は、私ども各地で聞いたところではないと思います。それはやはり弁護士会の方から強い反対の意見が出ておりました。だからこの項目の紹介は、冒頭に村專門員が申し上げたように、これの詳しい報告報告書の整理が十分できていないために、項目の紹介をいたしますと断つているわけでありますから、御了承を願います。
  100. 安部俊吾

    安部委員長 他に各地方別による、共通分以外の点について、御発言がありますれば、御発言を願います。
  101. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 実は今派遣委員の方から報告があつたわけでありますが、しかし新刑事訴訟法もようやく現段階になりまして、改正の声が各地にあがつて参りました。そうして今報告書の項目として読み上げられた部分、これが特に重大になつておりますので、委員会といたしましては、これらの問題を取上げまして、もしこれらの問題で立法化の必要があるものがあるといたしますならば、臨時国会なり通常国会に間に合うように、そうしたものを整備して行く。そのためには、今林、古島委員からも御発言がありましたように、なお一層の調査がいると思いますので、臨時国会、通常国会に出すべき必要があることを前提にいたしまして、今後調査を継続し、準備を進めて行きたいと思います。この動議をお諮り願いたいと思います。
  102. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 それに関連して、より以上に重大なことは、ほとんど現在の刑事訴訟法は二審制度と言つていいのです。場末の昔の区裁判所の、私どもあまり感心しないような判事さんのおいでになるようなところで、裁判をいたします。そうすると、前は地方裁判所へ持つてつて、覆審をやつて、ていねいに調べてもらう。それから上告ができたのです。ところがこのごろは、その場末でやつたものを、今度は高等裁判所へすつと持つて行く。遠方だから控訴の方では十分争うだけの費用のない人もあるし、かつそれには非常に限られておつて、あらかじめ書面を出さなければならぬ。これが昔の上告趣意書と同様なんです。それで書面審理でほとんど十ぱ一束却下々々です。現在は二審制度じやありません。むしろ一審制度です。この問題が実に重大です。もしこの問題が続いたならば、これはたいへんになります。従いまして、もし田嶋君のただいまの発言のような調査をなさいますならば、そういうような根本の問題について、もつと徹底的に改正の要ありやいなやということを御検討願いたい。調査の最大項目としてそれを掲げられるように、私提言をしておきます。     〔「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  103. 安部俊吾

    安部委員長 ただいまの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なしと認めます。それではただいまの問題は委員長一任にお願いいたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 委員長に一任いたしますことは賛成であります。ただ今すぐにここで具体的に小委員を選んだりすることも困難でありましようが、小委員でもお選び願いまして、継続的にひとつ御審査願うようにお諮りを願いたいということを希望いたしまして賛成いたします。
  106. 安部俊吾

    安部委員長 佐竹委員の御意見は了承いたしました。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時三十三分散会