○村專門員
委員長の命によりまして、
派遣委員といたしまして
調査されました
事項のうち、特に
刑事訴訟法の運用に関する実態
調査の中でも、各班共通の問題がございまして、それは北陸班におきましても、また関西班におきましても、四国九州班におきましても、東北班におきましても、共通の問題と
なつた
事項がございますので、その
事項を項目として申し上げることにいたします。なお相当こまかい点まで、いろいろと各班から
報告が出ておりますが、その点、書類の上ではなお多少の整理を必要といたしますので、こまかい点につきましては後日に延ばしてい
ただきまして、何が問題と
なつたか、どこに重点があ
つたかという点だけを申し上げさしてい
ただきます。
第一の問題は、勾留申請及び留置送致の時間に関する問題でございます。これは警察官側におきましては、たとえば四十八時間のところを七十二時間に延ばしてほしい、あるいはまたそれに、なお必要な場合におきましては延期できるようなことを希望されたのでありますが、しかしながらまた
検察庁の方面におきましてもいろいろの意見もありましたし、また弁護士会等におきましては相当強い反対もありまして、一応これが問題に
なつたことだけを申し上げます。
第二の問題は、起訴前の勾留期間の問題でございます。これは現行法によりますれば、御承知の
通り十日が限度と
なつておりますが、二十日を原則とすべきではなかろうか、こういう趣旨でございまして、これまた
検察庁側、警察官側に、いろいろとこれを支持する議論もございましたが、弁護士会の方面におきましては、むしろ強い反対があ
つた次第でございます。
第三の問題は
逮捕状の問題でございまして、この
逮捕状を出すにつきましての濫発という問題が起るのではないか、あるいはこれに
関連しまして、緊急
逮捕が濫用されておるのではないかということが問題でございました。これもまた、緊急
逮捕などにつきましては、むしろ廃止すべきではなかろうかという意見も相当強力でございましたが、
捜査を担当される警察の方面などでは、たとい緊急
逮捕の事柄の制限をいたしましても存置してもらいたい、このような意見もあ
つた次第でございます。
それから第四の問題は、被疑者の供述拒否の拒否権の問題でございまして、これは最も議論の多か
つた問題でございます。各地とも共通的に供述拒否権があるということは、趣旨としてけつこうなことであ
つて、だれしも了解するところでございますが、警察あるいは
検察の方面におきまして供述拒否権があるということをば、まつ先に告げねばならぬ、事前に告知しなければならぬという規定が問題ではないか、その理由といたしましては、たとえば憲法におきましては、不利益な仕述を強要されないと書いてありまするが、まつ先に供述拒否権ありということを告げなければならぬということは書いてないじやないか、その他いろいろな理由がありますが、これは相当強く主張された次第でございます。またニューズ・ソースに関する新聞記者の証言拒否権につきましても、相当議論がございまして、これは一方では認むべきではないかという強い意見もございましたが、またこれはその新聞の限定が必要でないかという議論もございまして、目下のところ
委員会といたしましては、また愼重に
考えねばならぬところではないかと
考えておる次第でございまするが、いずれ書面で詳しくお手元に差上げる機会があると思
つております。
それから第五の問題は、
証拠に関する規定でございまして、これは裁判所側の方面において起
つた意見でございまするが、新
刑事訴訟法の
証拠法は、わが国の実情にどうも適しないようである。
証拠能力に関する制限を緩和して、いま少し自由心証の幅を持たせるようにする必要があるのではないかというような
考え方が各地に述べられた次第でございまして、この点アメリカ側の事情や、アメリカ側における
証拠法のいろいろな基礎的な社会的な状況と、
日本の事情とを考慮いたしまして
考えなければならぬ問題があると思
つておる次第でございます。
大きな問題といたしましてはこの五つが各班に共通した大きな問題でございましたが、なお各班におきましても、それぞれの問題があ
つたのでございまするが、何分にも重大問題でございまするし、こまかい点は書類をも
つて御
報告さしてい
ただけばけつこうだと思
つておる次第でございます。