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1950-07-21 第8回国会 衆議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十一日(金曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 安部 俊吾君    理事 北川 定務君 理事 田嶋 好文君    理事 中村 又一君       角田 幸吉君    鍛冶 良作君       佐瀬 昌三君    花村 四郎君       古島 義英君    牧野 寛索君       松木  弘君    眞鍋  勝君       山口 好一君    吉田 省三君       大西 正男君    石井 繁丸君       猪俣 浩三君    田万 廣文君       上村  進君    梨木作次郎君       世耕 弘一君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         検     事         (法務検務局         長)      高橋 一郎君         検     事         (法務府民事局         長)      村上 朝一君  委員外出席者         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 七月二十一日  委員猪俣浩三辞任につき、その補欠として武  藤運十郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員武藤運十郎辞任につき、その補欠として  猪俣浩三君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十日  白石町に簡易裁判所設置請願庄司一郎君紹  介)(第七八号)  加治木町に鹿兒島地方裁判所支部等在続に関す  る請願尾崎末吉紹介)(第九七号)  大河原町に宮城刑務所支部設置請願庄司一  郎君紹介)(第九八号) の審査を本委員会に付託された。 同日  隼人町に鹿兒島地方裁判所加治木支部等移転の  陳情書  (第四号)  不良雑誌図書等取締に関する陳情書  (第五号)  弟子屈町に区検察庁並びに簡易裁判所設置の陳  情書(  第八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  検察行政及びこれと関連する国内治安に関する  件  鉄道公安職員職務に関する法律案起草に関す  る件  土地家屋調査士法案起草に関する件     ―――――――――――――
  2. 安部俊吾

    安部委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。鉄道公安職員職務に関する法律案起草に関する件につきまして、運輸委員会より連合審査会開会申入れがありました。この件について御協議を願いたいと思うのでありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安部俊吾

    安部委員長 それでは運輸委員会申入れ通り連合審査会開会することに決定いたしました。     —————————————
  4. 安部俊吾

    安部委員長 次に土地家屋調査士法案起草に関する件を議題といたします。この際土地家屋調査士に関する小委員長より小委員長報告を求められましたので、これを聽取することにいたします。小委員長田嶋好文君。
  5. 田嶋好文

    田嶋委員 それでは土地家屋調査士法に関する小委員会成案について説明いたします。  このたび地方税法及び土地台帳法等の各一部改正によりまして、土地台帳家屋台帳税務署から登記所である法務局または地方法務局に移管されることになりました。土地台帳家屋台帳に記載される事項は、不動産登記目的たる諸権利の基礎である事実関係を示すものとして、その正確性が大いに要求されるのであります。従来におきましても、土地家屋調査測量をいたしておりました者は、各税務署の嘱託としてこれを行い、税務署人件費旅費等の費用を節し、またその專門的技術を生かして土地台帳家屋台帳への申告、図面の作成にあたつていたのでありましたが、何らその資格に関して法的根拠がなく、いかがわしい者もこの調査測量を行つていたのであります。この際土地台帳及び家屋台帳登録につき必要な土地または家屋に関する調査測量及び申告手続が的確に行われるかいなかは、国民の権益並びに国家経済にも、きわめて重大な影響を及ぼすこととなるため、本法によりまして、土地家屋調査士制度を新たに法制化いたすものであります。なおこのような制度設立につきましては、さき昭和十六年より五回にわたり請願が提出され、その都度採択されて、その立法化政府当局に要望されていたものであります。衆議院法務委員会におきましては、土地台帳法等の一部改正に伴いまして、この土地家屋調査士制度必要性を認め、土地家屋調査士法立案に関する小委員会を設け、測量士司法書士等関係方面とも種々協議いたし成案を得た次第であります。  次に、法案内容につきましてその大要を御説明申し上げます。まず土地家屋調査士業務内容いかんでありまするが、それは、土地台帳または家屋台帳登録に必要な土地家屋に関する調査測量または申告手続をいたすことであります。従いましてこのような業務を行います者は、測量に関して十分な技能を有する者でなければなりませんので、その資格要件としましては、主として測量に関する技能を有する者を有資格者とし、なお資格認定については、公開試験制度をも採用しております。  次に土地家屋調査士としての業務を行いますには、法務局または地方法務局に備えた名簿に登録を受けまして、事務所を設置いたすことにいたしてあります。調査士はみずからの品位保持業務改善進歩をはかるため、調査士会及び全国の連合会を設けることができ、各調査士は、任意にこの会に入会し得ることとなつております。調査士がその業務を執行するにあたりましては、業務の依頼に応ぜねばならず、また虚偽の調査測量をしてはならないのでありまして、本法違反に対しては、法務局長または地方法務局長より戒告業務停止登録取消し等の制裁を受けるのでありますが、業務停止登録取消しの場合には、当該調査士公開による聽問を求めることができるのであります。  なお現在土地家屋に関する調査測量申告手続業務といたしておる者は、昭和二十七年三月三十一日まではその業務を行うことが認められ、さらに法務局地方法務局の長の選考を受けて本法による調査士となることができるのであります。  以上が小委員会における成案大要であります。本法案は、御存じでありますように、さきの第七国会におきまして、衆議院法務委員会を通過したものを少し改めたものでございます。從いまして内容はほとんど同一のものであります。ただ二点だけが少し相違しております。その一点は、さきに提出しました法案には、目的を挿入してありませんでしたので、今回は第一條に特にその目的を挿入いたした次第でございます。第二は、附則の一項の施行期日が、本年七月一日からと前の法案ではなつておつたのでございますが、それを土地台帳法等の一部を改正する法律施行の日から、こういうように改めたような次第でございます。愼重審議の上、何とぞ本法案を本委員会で通過せしめるよう、私からお願い申し上げる次第であります。
  6. 安部俊吾

    安部委員長 ただいまの小委員長報告に対して御質疑はありませんか。
  7. 梨木作次郎

    梨木委員 この懲戒規定でありますが、第十三條は法務局長が專断的に処分ができるような規定なつておりますが、法務局長だけにこういう処分権限を与えるということは、法務局長調査士を非常に官僚的に押えるという結果が起こりやすいと思いますので、これを調査士会の中でこういう懲戒を自治的にやらせるようにし、もし監督の必要があれば、その調査士会で決定された懲戒法務局長の方で承認するとかいうことにしないと、法務局長権限が非常に強くなる結果、調査士自主性というものが狹められると思うのであります。その結果、調査士を設けた当初の目的が達成できないようになりわしないかということを心配するのでありますが、これを起案者の方ではどう考えておられますか。
  8. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 もつともな御質問でございますが、実は調査士並びにこれと関連を持つ司法書士等、すべて監督官庁法務局地方法務局に定めたのでございます。そうした意味から申しますれば、やはりこれらの違反に対する処罰と申しますか、違反に対する処分、これも法務局長または地方法務局長にまかすのが正当と考えたわけであります。そこで特に法務局長地方法務局長独善に陷らないようにするために、十三條に第二項を設けまして、戒告の場合はいいとして、二、三の業務停止登録取消し等の重要なものに対しましては、公開による聽問を行わなければならないと規定いたしまして、独善を防ぎ、十分調査士権利を守つて行きたいということに努めたわけでございます。
  9. 梨木作次郎

    梨木委員 私はそれでは不十分だと思いますが、その次に伺います。大体この法案によつて土地家屋調査士というのはどれくらいできる見込みですか、何かおわかりでしようか。
  10. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 その点は專門員にお答えいたさせます。
  11. 安部俊吾

    安部委員長 お諮りいたします。ただいま官房長官並びに法務総裁がお見えになつたのでありますが、官房長官はほかの委員会にも出席しなければならぬのでありまして、この起草に関する件はちよつと中止いたしまして、後ほど続行することにしてはいかがでしようか。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 安部俊吾

    安部委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  13. 安部俊吾

    安部委員長 検察行政及びこれと関連する国内治安に関する件を議題といたします。発言の通告がありますからこれを許します。猪俣浩三君。
  14. 猪俣浩三

    猪俣委員 本日、実は吉田総理大臣出席を前々から要求いたしておつたのであります。第七国会におきましても、私はその要求をいたしました。それもきようはぐあいが悪いが、もうしばらく経てば出るということでお待ちしておりましたが、とうとう終了までおいでにならない。今までの国会におきましては、片山内閣総理大臣でも、芦田総理大臣でも、当法務委員会にはしばしば出席があつて、ほとんど数時間にわたつて質問応答もやつた経験がある。しかるにもかかわらず吉田総理大臣は一回も御出席がない。私が今日質問いたしたいと存じました中心課題は、綱紀紊乱事件であります。私がここに呶々を費さぬでも、すでに御承知のように、中央官庁及び地方自治庁、その他公共団体あるいは中央の公団、そういう中央地方を問わず、公務員の地位にあるものの綱紀紊乱は、実に目をおおうものがあるのであります。この吉田内閣は組閣の当時におきまして、綱紀紊乱を大いに粛正することを天下に呼号したのでありまして、われわれもその意味におきましてその意気を壯としたのでありますが、爾来どうも綱紀頽廃は日を追うてはなはだしい。これに対しまして、私は当国会において重大なる関心を有し、かつ総理大臣がこの綱紀頽廃に対しまして断固たる決意国会において表明されることによりまして、数千数万の公務員に対する精神的緊張を与える。さような目的のために私が質問し、総理大臣から決意の表明をしていただきたいというようなことが、総理大臣出席要求の第一の目的であります。しかるに本日も、外務委員会にはもうすでに御出席なつておりますが、当委員会には出席なさらぬということで、私の質問もできがたい状態に相なつたのであります。私は官房長官にお尋ねいたしますが、民主国家におきましては、国会開会中は国会出席するということが、いわゆる内閣諸公の最大の責務でなければならぬと思うのであります。しかるにそれを多忙なるゆえをもつて国会委員会出席しない。御承知通り国会法におきましては、委員会が審議の中心のものになつております。にもかかわらずこの委員会出席するのがはなはだ少い。当法務委員会のごときは一回も出席なさらないということに対しまして、官房長官はいかなるお考えを持つておられるのであるか。側近者といたしまして、どういうふうに今後この委員会総理大臣との連緊をはかるお覚悟であるかを承りたいと思うのであります。
  15. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 吉田総理大臣委員会出席することはむろん考えておりまして、できるだけ各委員会に出ようと努めておるのであります。現在も他の委員会出席しておるのでありまして、従つて両方委員会に一度に出るということは、物理的にこれは不可能でありますので、できるだけ各方面とも了解を得て、この委員会に出なければあの委員会に出るというふうにして、できるだけ方々に出る予定にしておりますけれども衆議院参議院を通じまして非常に多数の委員会がありますので、これに全部出るということは実際からだが一つではできないのであります。その点はどうぞ御了承願いたいと思うのであります。
  16. 猪俣浩三

    猪俣委員 しからば総理大臣は、国会開会中いかなる委員会に何回出ましたか御報告願いたい。からだが一つでできないことをわれわれ要求するのではありません。今日の外務委員会は十二時ころまでやるという、しからば午後当委員会出席していただいてもいいわけであります。しからば午後はいかなる委員会出席する予定であるのか、私どもは老首相に対しまして、肉体的な苦痛を与えるような出席要求しているのではない。但しこの吉田内閣が成立して以来一国会を経過した今日、一ぺんにも出られないという理由はどこにあるか。からだがまわりきれぬということであるならば、——さようなことで一体われわれはさようでござるかと言うていていいのであるか、その統計を出していただきたい。この国会開会中いかなる委員会に何回出席したのであるか。はたしてそれが国体的に耐えられないことであるかどうか。またそういうことがどうしても耐えられないようであるならば、総理大臣としての任務が一体できるのであるかどうか。何よりも民主政治の国においては国会との接触が重要なことでなければならない。それが耐えられないような者は一体総理大臣資格があるかどうか。そういう論点にもなつて来ると思うのであります。私は官房長官から、総理大臣がいかに常任委員会接触を持つておるかの統計的な御説明を願いたい。そういう説明なしに、ただからだがまわりきれるものではないのだという御答弁では、はなはだ不親切きわまると思う、いかがでございますか。
  17. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 本国会が開かれしまてからは、御承知通り初めの二日は、午前と午後にわたりまして本会議があつたわけであります。これにはいずれも出席したわけであります。それから続いての二日は参議院の本会議にこれまた出席いたしたのであります。昨日から本会議がなくなつたわけでありますが、昨日は参議院合同審査会出席しております。本日は、午前は閣議の途中から外務委員会出席しておるわけであります。午後は地方行政委員会出席することになつております。その他の予定委員会に関しては私まだ聞いておりませんが、明日は多分本会議があることと予想してその方に時間をあてております。
  18. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたは内閣の大番頭であるから、われわれ注文するのでありますが、今私も外務委員会へ出ておつたのでありますが、何でも十一時何十分から十二時近くまで三、四十分しかおれないというようなことであります。質疑通告者が十二名ある。そこで一人五分あてだというようなことになつておる。植原悦二郎氏が劈頭を承つたのでありますが、しやべつている間に、もういかぬ、時間が来たと言われて、ぽかんとしてしまつて植原氏は、こういうことでは委員会なんというようなものは意味をなさぬというような意見を出すように相なつたのでありますが、委員会出席するといつても、ほんのわずかに三十分くらいしか出ておいでにならない。そういうことならば、委員会へ一ぺん出るということは大した時間を使つておらない。そうすると、あと十何時間という時間は一体どうなつておるかという問題になる。三十分、四十分出るのならば、三つや四つの委員会には幾らでも出られるわけであります。委員会へ出たと申しましても、そういう実績である。総理大臣委員会との質疑はほとんど完全にできないような状態に相なつておるのであります。私は刻下非常時に際しまして、さような状態でははなはだ遺憾と存じます。これは国会側におきましても愼重考慮すべきことであるとともに、内閣側におきましても、いま少しく国会に対して行政の任に当らるる方々が親切に懇切に質疑応答ができるような方策をお考え願いたいと思うのであります。これは注文として申しておきます。  次にお願いしたいことは、本日以降総理大臣が当委員会出席願われるかどうか、官房長官はそれに御盡力くださるのであるかどうか、その点をなお確かめておきたいと存ずるのであります。
  19. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 むろんできるだけ御盡力いたします。
  20. 猪俣浩三

    猪俣委員 できるだけでありますか。出席を必ずあつせんしていただけないのですか。
  21. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 できるだけのことをいたします。
  22. 猪俣浩三

    猪俣委員 それでは私が総理大臣質疑をいたしたいという中心点が、先ほど申しました点にあることをよく総理大臣のお耳にお入れいただきまして、ぜひ当委員会に一度御出席のほどごあつせん願いたいと思うのであります。一体われわれが内閣総理大臣出席することをかように懇願するということが常態であるかどうか、はなはだ自己批判をしなければならぬのでありますが、さような状態に相なつておること自身に対して、私ども遺憾に存ずるのでありまするけれども、現実の問題として、これは官房長官のごあつせんを待たなければならぬと思うのであります。右お願いいたしておきます。  それから国家警察予備隊のことにつきまして、昨日は法務総裁にお尋ねしたのでありますが、この中心閣僚といたしまして法務総裁、あるいは官房長官が当られておるのでありまして、御両所おそろいであるから、なお好都合だと思うのでありますが、この国家警察予備隊構想につきまして、今内閣が考えておられる点につきまして、御発表願いたいと思うのであります。
  23. 大橋武夫

    大橋国務大臣 昨日も申し上げました通り、この構想につきましては、ただいま関係当局と密接な連絡のもとに研究中であると御承知を願いたいと思います。
  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 昨日もさような御答弁であるので、私ども質問が展開できないような状態である。しかるに新聞におきましては、ほとんど機構についてある一定の構想なつておるように発表されておる。そこで私どもとしては非常に疑惑があるのでございますけれども、どうしてもまだきまつておらぬという御答弁であるので、やむを得ないのでありますが、この国家警察予備隊構想を、警察法を適用しない警察たらしめるというような意見を昨日も法務総裁お話なつたと思うのでありますが、警察法に準拠せざる特別の警察を置く理由について、御説明を承りたいと思うのであります。
  25. 大橋武夫

    大橋国務大臣 昨日もお答え申したのでございますが、現行警察法国家地方警察並びに自治体警察を対象として規定された警察法でございますから、今回の警察予備隊につきましては、当然に警察法を適用すべきものではないと考えておる次第であります。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 私はそんな形式的のことをお聞きしているのではないのであります。もちろん今の警察法におきましては、国家地方警察自治体警察の二種類にわかれておることは申すまでもないことである。しかしこの七万五千の増員を何がゆえにこの国家地方警察—少くとも国家地方警察増員に充てないで、そういう特別な警察をつくる必要がどこにあるのか、その点であります。昨日も申しましたように、今国家地方警察は三万人ある。これを増員すればよい。もし国家非常時におきまして、機動性を発揮させる意思がありますれば、非常事態の宣言さえすれば、内閣総理大臣が全警察及び消防隊までも、これを指揮下におさめることができる組織になつておる。何がゆえにこの警察法という警察根本理念を鮮明にいたしましたところのこの法律規定のもとに、この警察隊運用しないのであるか、その理由をお尋ねしているのであります。
  27. 大橋武夫

    大橋国務大臣 元帥の書簡におきましては、この七万五千の警察隊は、自治体警察あるいは国家地方警察に属せしめるべきものとは書いてないのであります。そのほかに警察予備隊というものを設けるような趣旨に書いてございます。
  28. 猪俣浩三

    猪俣委員 名称国家地方警察とせず、国家警察予備隊というように書簡名称は相なつておりますが、それだけで、このマツカーサーの昭和二十二年九月十六日付の書簡根本精神にのつとつてつくりました警察法を除外した警察をつくれというようなことは、この七月八日のマ書簡には表現されておらないと考えるのでありますが、いかなるところにさような表現があるかお示し願いたいと思うのであります。
  29. 大橋武夫

    大橋国務大臣 書簡解釈につきましては、関係当局協議の上解釈をいたしております。
  30. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると関係当局におきましては、これは警察法によらざるところの特別な警察隊をつくれという指令に相なつておるのでありますか、それもお聞きいたしたいのでおります。
  31. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察権運用につきまして、すなわち国家警察予備隊運用する場合におきまして、これが現行警察法総則規定してありまする事項以外の目的に使われるかどうかという点は、ただいま確定いたしておりませんが、この点はおそらく総則の範囲内で運用されるものと思います。しかしながらこの七万五千名の予備隊というものが、国家地方警察並びに自治体警察以外のものであるということは、解釈上確かなことであります。
  32. 猪俣浩三

    猪俣委員 もし警察法に示されたる警察目的以外に使わないものであるとするならば、この警察法改正いたしまして、国家地方警察自治体警察のほかに、あるいは特殊の警察隊を置く條文を置いてもいいと思うのです。この警察法は、警察に関する根本的な法律であるがゆえに、この範疇の中に警察を全部入れて運用してもらいたい。しかるにこの警察法によらざるところの警察をつくれという指令があつたのかないのであるか。今の御答弁によれば、そうでもなさそうであります。そうすれば警察法改正することによつて、この国家警察予備隊なるものをそこに包含してもいいと思うのでありますが、かような意思があるかないのか、お尋ねいたします。
  33. 大橋武夫

    大橋国務大臣 形式法の点は別といたしまして、法規実質的な面から申しまするならば、国家警察予備隊運用に関しまする法規は、これは実質警察法でございます。従いまして、その実質上の警察法法規であるべきところのこの国家警察予備隊に関する運用上の諸規定を、形式的な現行警察法改正という形で現わすかどうかという点になりますると、これは現わすことも理論上はもちろん可能であると思うのであります。たださような方法をとるかどうかということは、これはまたただいま研究いたしておる点でございます。
  34. 猪俣浩三

    猪俣委員 研究中というお話でありまするが、形式的な警察あるいはそれ以外に実質的な警察法というのもあるかもしれませんが、しかし聞くところによると、今度の国家警察予備隊機構を、政令でもつて制定しようという意向があるように聞くのでありますが、すでにここに国会を通過いたしましたる、しかもマ指令の原則に従つて、日本の警察根本理念を示しました警察法が存在しておるにかかわらず、これを改正し、このわくの中に入れるということを考えずに、国会を無視いたしましたる政令でもつて実質的な警察法をつくろうとするところに、はなはだ私どもは不可解な点があるのであります。もしあなた方がつくられるところの、新たなる法令が実質的な警察法といたしましたならば、形式的な警察法があるにかかわらず、ことさらそれを避けて、その改正という手段によらずして、ここに国会を通過せざるところの、政府独断でもつて決定いたしましたところの政令によつて実質的な警察法をつくろうとするところに、はなはだ危險性があると存ずるのであるが、これに対するところの御感想いかん
  35. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ポツダム政令という方法は、これは憲法上許されておりまする合法的な措置でございまして、国会無視ということはあたらないと思います。
  36. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたの答弁は形式的な、冷やかな答弁であつて、はなはだ意に満たないのでありますが、われわれはポツダム政令によつて、ある事項規定することが、ただちに憲法違反だという意味ではないのであります。しかしこの国権の最高機関、唯一の立法機関である国会を、政治的に重視いたしまするならば、ポツダム政令のごときは、ごくやむを得ざる場合に限らるべきことが、民主政治のいろはでなければならないと思うのであります。しかるに国民の非常に重要な治安に関係のありまする実質的な警察法なるものを非常手段でありますところのポツダム政令——これはどういう方面から論じましても、形式的には憲法違反でないにいたしましても、この憲法の全精神からは、これはむやみに用いるべき手段でないことは申すまでもない。すでに警察法なるものができ上つておるのであるから、その改正によつていくらでもマ書簡の要望にこたえることができるにかかわらず、わざわざ国会の終了を待つて、そうしてこのポ政令という緊急やむを得ざる手段に訴えるということは、はなはだ私どもとしては、真に憲法政治というものを理解しておるのであるかどうか。ここにフアッショ的な思想を含み、やがてはこれが特高警察的な機能に変遷して行くのではないかということを憂えるために、質問申し上げておるのでありまして、はたして実質的な警察法をポ政令で出すことが、憲法の精神に順応しておる正当な手続だとあなたはお考えになるかどうか。そこをお尋ねいたしたい。
  37. 大橋武夫

    大橋国務大臣 かりにポツダム政令によつてこの新警察法を実施いたしますると仮定いたしました場合に、これはやはり憲法上認められたる措置であることは間違いないことであります。
  38. 猪俣浩三

    猪俣委員 そういう答弁なら水かけ論であります。私どもは形式的に言うておるのではない。精神的に一体さようなことをやるべきものではないのじやないかという議論をしておるのであります。そこで何がゆえにわざわざポ政令に持つて行かなければいけないのであるかというほんとうに率直なるお尋ねをしておるのですが、お答えがない。マ書簡にはポ政令によれということも書いてない。そういうことは一つも現われておらぬと思う。しかるに何がゆえにそういう憲法政治におきまして常道でない方法をおとりになるのであるか。とらねばならぬ何か理由があるのならば、率直にお教え願いたいと思う。どういう理由政令によらなければならぬのか。今議会の開会中であります。これにかけられないのか。あるいはまたこの国会に間に合わぬならば、臨時国会ただちに開いても、それにかけられないのか。これは国民の権利義務に非常に関係があることでありますがゆえに、そういう愼重な態度、いわゆる憲法の常道に従つた態度をとられないのであるか。そのとられないについて、何か理由があつたら率直にお教え願いたいと思う。
  39. 大橋武夫

    大橋国務大臣 猪俣君の御質問は、政府が何か法規の原案をすでに準備をいたしておるにもかかわらず、ただいまは国会開会中であるからまだできないできないと称して、やがて国会が終了するのを待つて措置するというふうな前提のもとに、御質問がなされたのではないかという口吻を伺つた次第でありまするが、政府といたしましては、ただいまのところ準備中でございまして、さような原案をまだつくるに至つておりません。
  40. 猪俣浩三

    猪俣委員 私の質問はこれで終ります。
  41. 梨木作次郎

    梨木委員 今の法務総裁の御答弁だと、この警察予備隊ポツダム政令でやる。ところでこのポツダム勅令五百四十二号、これは二つの條件がなければならぬことになつております。つまり連合軍最高司令官が要求したということが一つと、特に必要ある場合、つまり連合軍最高司令官の要求があり、さらに特に必要があるというこの二つの條件がなければならぬことになつておるわけであります。現在国会開会中であります。連合軍最高司令官の要求のあつたことは認めます。しかしながら現在国会開会中でありまして、何ら政令によらなければならない特に必要があるとは認めないのでありまして、一体特に政令でやらなければならぬいかなる必要があるのか。これを具体的に説明してもらいたい。
  42. 大橋武夫

    大橋国務大臣 かりにポツダム政令によつてこれを実施することに仮定いたしまするならば、この「特ニ必要」という「特ニ」は本来法律をもつて規定すべき事項であるにもかかわらず、これを政令によつてやるというその内容から来たものであると思います。
  43. 梨木作次郎

    梨木委員 どうもわからないのでありますが、特にその内容はちつとも示してないのでありまして、だからわれわれはその内容を示してもらいたい。この内容から言えば、これは警察隊なんです。だから警察法の適用を受ける。従つて日本の法律によることは当然でありまして、内容を示されないで、特に必要があるという抽象的な説明では、国民として納得ができないのでありますから、もう少しこれは納得の行くように説明願いたいと思います。
  44. 大橋武夫

    大橋国務大臣 特に必要があるというのは、法律によるべき事項であるがゆえに、ポツダム政令を出すことが特に必要となることであります。
  45. 梨木作次郎

    梨木委員 ここに連合軍最高司令官のなす要求にかかる事項を実施するため特に必要ある場合においては、命令をもつて実施することができるということになつておる。だからもちろんこれは法律をもつてやらなければならない事項にかかつておることは当然であります。今の法務総裁の御答弁によりましても、法律によらなければならないものを、特に政令で出されるのは何か特別の理由がなければ、このポツダム政令によつてはならないのであります。だから法律でやらなければならないものをなぜこの政令でやるのか。それは無條件でなくて、特に必要がなければやつてはいかぬのだ、そういうことをやれば、これは明らかにポツダム勅令にも違反するのであります。だからこれが具体的に示されておらない限りは、そういう方式によるのは、この勅令にも違反することになる。この勅令は御案内のように前の明治憲法時代の例の緊急勅令といいますか、ああいう條件があつた場合に、これで出せるということになるのだろうと私は解釈するのであります。そういう何か緊急な事態とか、そういうものの御説明がなければ、これはとうてい納得することができないのでありますが、もう少しわかりやすく説明してもらいたいと思います。
  46. 大橋武夫

    大橋国務大臣 特に必要がなければ、政府としてはポツダム政令を出す考えがないことはもちろんであります。
  47. 梨木作次郎

    梨木委員 これ以上こういうやりとりをしておつても、しかたがありませんから、政府は特に必要ということを説明できないものと私は解釈いたします。  それではその次に法務総裁にお伺いいたしますが、六月に例の集会デモ禁止に関する措置を日本政府はとつております。この措置をとつたのは、連合軍最高司令部からの命令によるものであることは承知しておるのでありますが、これに関連して、この集会デモ禁止の連合軍最高司令部の指令というものは、一体日本政府に対して出されたものなのか、それとも日本人民に対して出されたものなのか。そうしてその内容はどういうものであるのか。これをまずお伺いいたしたいと思います。
  48. 大橋武夫

    大橋国務大臣 指令内容は地方警察当局に直接出されたものでありまして、国民個人に対して出されたものではないのであります。
  49. 梨木作次郎

    梨木委員 それではこれはわれわれが仄聞するところによれば、東京の警視総監と、それから国警本部長官に出されたと聞いておるのでありますが、これもあまりはつきりしませんので、まずここで伺いたいのは、連合軍最高司令部のどなたから、日本の政府のどういう機関あてに出されたものであるか、そうしてその内容はどういうものであるか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは後ほど答えさしていただきます。
  51. 梨木作次郎

    梨木委員 実はこういう事態が起つておるのであります。集会デモ禁止の指令が、連合軍最高司令部から日本政府あてに出された。日本政府あてに出されたとすれば、日本政府はこの指令の趣旨に基いて、これを実施しなければなりません。ところがこれを実施するにあたりましては、一体どういう方式でやつておられるのか、これをまず伺いたいのであります。どういう方式でやつておるのか、日本の国内法の何に基いてこれをやつておられるのか、法的根拠を示してもらいたいと思います。
  52. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 私からわかるだけのことをお答えしようと思うのであります。警察当局がデモ集会の禁止をやつております法的根拠というのは、一般命令第一号の第十二項に基くところの警察による事実上の措置によつて、デモ集会を禁止あるいは解散せしめているというふうに了解しております。
  53. 梨木作次郎

    梨木委員 一般命令の第十二号とおつしやいましたね。
  54. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 一般命令の第一号の第十二項です。
  55. 梨木作次郎

    梨木委員 今の御答弁によりますと、この一般命令第一号の第十二項に基いて、警察の事実上の行為としてなしておるのだ、こういうことになるのでありますか。そうすると、日本の国内法規のどれに基くのかということは、どういうことになるのでありますか。
  56. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 具体的な国内法規というものは、この場合ございません。ただ各地方におきまして公安條例などが制定されております地域におきましては、おおむねそれにのつとつておるのではないかと思うのでありますが、その実情は私としてはよく存じておりません。  申し添えますけれども、占領軍当局の指示に基きまして、事実上の措置をやるということは、これに限つたことではございませんで、たとえば戰争犯罪人の逮捕といつたような手続は、国内法上の手続規定等はありませんで、ただ指示に基いて、実際上措置するというふうに了解しております。
  57. 梨木作次郎

    梨木委員 そこでこの集会デモ禁止の対象となる人民の側から申しますと、どういうようなことになるかと申しますと、これは上の方はよくおわかりではないかもしれませんが、始終その取締りの対象になつているわれわれからいたしますと、まことにその間が明確を欠いているのであります。なぜかと申しますと、連合軍最高司令官から日本政府に対して一つ指令が出る。その指令を実際に実施するためには、法治国の原則から言えば、やはりこの指令を日本の国内法に直して、これを一般に公布の手続をとり、それによつて国民をしてよらしむべき基準を示さなければ、人民も困るし、その取締りに当る行政官吏も困るだろうと思うのです。こういうことを放置すると、まつたく官憲の專断を許すことになるのであります。事実そういうことが行われて来ておるのであります。  そこで私が伺いたいのは、政府は今連合軍最高司令官から集会デモ禁止のこういう指令が出れば、国内法をつくらないで、どんどん事実上の措置として、そういうような人民の基本的な権利に関することまでもおやりになる方針をとつておられるのかどうか。これをまず伺いたいのであります。
  58. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 現在のデモ集会の禁止は、前回にも申し上げましたように、五月三十日の皇居前広場における事件以来の緊急な状態に対応するところの、これはやはり臨時の措置であるというふうに考えておるのであります。そうして大体において各地におきまして公安條例等があるところは、これにのつとつておおむねやつておるはずでありまして、さしあたつて恒久的なる立法という措置をとる予定にはなつておりません。
  59. 梨木作次郎

    梨木委員 今の御答弁によりますと、地方々々によつて公安條例がある。ところがどこの公安條例を見ましても、集会デモを無條件で禁止できるような公安條例はありません。これはあなたの方でお調べになればよくわかります。またそういう公安條例があれば憲法に違反することは当然であります。そうしてあなたのおつしやるように、公安條例によつておるということになれば、連合軍最高司令官の命令を実施するためには、やはり今の日本の国内法の、公安條例とか何らかの法規をつくつてやる方針が、やはりそこにひとつとられておるということをみずから物語つておるものであります。だから私が聞きたいのは、これは私は法律的な議論をするのではなく、非常にこのために基本的人権が脅かされて来ておるのであります。だから私はどうしても連合軍最高司令官の指令があつた場合に、この指令を実施するためには、どうしても日本の憲法や法律に従つた法律的措置がとられて、これを日本の官吏が実施するという方式をとらなければならぬと思うのでありますが、そういう見解を政府はとらないのかどうか、これをひとつ御答弁願いたいと思うのであります。
  60. 大橋武夫

    大橋国務大臣 事情の許します限り、権力の発動についての基準となるべき国内法規を制定いたしまして、これに準拠して実行いたして行く、こういうふうにすることが理想であると考えております。
  61. 梨木作次郎

    梨木委員 ここでもう少し明確にお伺いしておきたいと思うのでありますが、一例を申しますと、こういう例があるのであります。七月の三日に平和文化祭という集会を、共立講堂で行うことになつておつたのであります。この平和文化祭というのは、料金をとりまして、歌と踊りと映画だけをやるのであります。これは六月十二日にやることになつておつたのが、これが禁止されたのであります。そこでさらに七月三日にやることになりまして、これは歌と踊りと映画で、しかも料金をとつてやる文化的内容のものでございますが、一面からいえば、興行的なものであります。これは届ける必要のない性質のものでありますが、念のためにこの主催者側で警視庁へ届けて、そうして警視庁でもやつてもよろしいということになつておつたのであります。そうして警視庁の原部長は、この文化祭は都條例その他の日本の法律では取締り対象とはならない、こういうことをはつきり言つておるのであります。ところが七月三日になりまして、日本の法律では取締りの対象にならないものが、禁止されたのであります。警視庁から聞きますと、司令部の方から特別の禁止令が出たということになつておるのであります。そこが伺いたいのは、こういう場合に、日本の法律によつては禁止する何らの法的根拠もない場合に、集会が禁止される。その禁止は連合軍最高司令官の指令に基いたものである。こうなつた場合に、われわれ人民としては、日本の法律に従えば禁止されないものを、連合軍最高司令官から禁止が出ておる、それでは何という方が出して、どういう命令のものなのか、その内容を示してもらいたいということを警視庁に要求したところが、警視庁は示さないのであります。ここなのであります。つまり司令部から命令が出たということで、それで禁止する、この場合は一体日本の官憲の独断によつてつておるのか、司令部の指令によつてつておるのか。司令部の命令を見せてくれない限り、われわれにはわからない。だからこの点について、政府のやり方といたしましては、どうしてもこういう場合に、日本の法律に従えば禁止することはできないもので、しかも司令部の指令によつて禁止するものならば、一体司令部の指令というものは、やはり日本人民の要求があれば、どこのどういう地位にある人が、どんな内容の命令を出したのかということを、われわれに示してくれない限りは、こういう混乱からわれわれの基本的の人権が脅かされるということになるのであります。そこで政府のこういう問題についての取扱い方といたしましては、日本の法律に従えば禁止することのできないものについて、司令部から指令が出たら、これはどうしても命令を出した人と、その内容を明らかにし、これを日本の人民が要求すれば示すような、こういう一つの方針を打立ててもらわない限りは、まつたくこれは基本的人権がいかに法律や憲法で確立された形をとつても、脅かされるということになるのであります。この点についての政府の見解をお伺いしたいのであります。
  62. 大橋武夫

    大橋国務大臣 できるだけ国内法に準拠してやつてゆくことが理想でございますが、しかし国内法の諸規定が必ずしも指令全部をカバーしていない場合には、法規外の事実上の措置がとられることはやむを得ないと思います。
  63. 安部俊吾

    安部委員長 梨木君にお諮りいたしますが、上村委員から岡崎官房長官に何か質問したいということでありますから……。
  64. 上村進

    ○上村委員 岡崎官房長官に、警察隊のことについてお伺いしたいのですが、新聞の報ずるところによると、何か主管の大臣を置いて、それが岡崎さんであるというふうに書いておりますが、そうしますと、今度新設する警察の性格というものがどういうものであるかということは、国民ひとしく注視しておるわけであります。この際、今度つくられる警察隊が特別のものであるとするならば、その性格をここで一応御説明願いたいと思います。
  65. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 新聞に私の名前が出ていたそうでありますが、それはまつたく正確でないものでありますから、さよう御承知願います。政府側としては何ら新聞発表等を行つたことはないのであります。なお性格等につきましては、先ほど来法務総裁がしばしば申し上げた点で御了承を願います。
  66. 上村進

    ○上村委員 その性格がどうしてもわからないのです。警察法によらない警察というものがありとすれば、それはわれわれから見れば軍事的性格を持つておる。すなわち軍隊的性質を持つておるのではないか。そういうことであるならば、非常な問題だと思うのです。すでに日本の憲法は戰争を放棄しておる。しかも日本の周囲の世界の情勢というものは緊迫化しておるときに、そういう性格のわからない警察をこの際つくつて、そうして政府が独断的に、そういう性格も何も教えないで、これを組織して行くということは、どうしてもわれわれ国会議員としては承認できないのでございますから、この説明はぜひとも何らかの形で御指示を願いたいと思います。
  67. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 この警察が軍隊というようなものとは全然違うことは申すまでもありません。なお警察予備隊と申しますものは、日本においては最初の試みかもしれませんが、しかし諸外国、ことに民主的の諸国におきましてはいろいろの例がありまして、普通の警察警察予備隊というものが各いろいろの国に存在しております。但し日本の場合につきましては、先ほど来法務総裁が申しましたように、ただいま研究中でありますから、研究が終れば明らかになることと思います。
  68. 上村進

    ○上村委員 その点は非常に政府は誠意がないと思うのであります。そういう莫大な費用を使つて、そうして今日警察と本質の違うものを、つくつてから説明するということでは、われわれ国会、少くともこの法務委員会としては承認ができないと思うのであります、こういうものをつくるのだ、そうしてこれはこういう装備で、こういう目的で、こうするのだということは、これはやはり政府が公明正大にここで発表すべきものと思うのであります。それを祕しておいて、つくつてからこうした、それではまるで知らしむべからず、よらしむべしの徳川時代の政治ではないかと思います。その点官房長官の明快なる御答弁を願います。
  69. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 莫大の経費を要する重要なものでありますから、愼重に研究しておるのであります。
  70. 安部俊吾

    安部委員長 お諮りいたします。先ほど決定いたしました運輸委員会との連合審査会を開きたいと思うのでありますが、本委員会が暫時休憩いたしまして、この委員室において懇談会を開きたいと思うのであります。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 安部俊吾

    安部委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  暫時休憩することにいたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後三時二十四分開議
  72. 安部俊吾

    安部委員長 これより再開いたします。  土地家屋調査士法案起草に関する件を議題といたします。午前中の委員会において小委員長よりの報告を聽取し、これに対する質疑中に中止したのでありますが、ほかに御意見はありませんか——ほかに御質疑がなければ、この際お諮りいたします。ただいま小委員長報告にありました土地家屋調査士法案を委員会成案として、これを委員会提出法案とすることに決したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なしと認めまして、さよう決します。     —————————————
  74. 安部俊吾

    安部委員長 次に鉄道公安職員職務に関する法律案起草に関する件を議題といたします。  この際鉄道犯罪に関する小委員長より小委員長報告を求めております。これを許します。佐瀬小委員長
  75. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 鉄道犯罪に関する小委員会における経過報告を申し上げたいと思います。本小委員会は、この国会におきましては、今月十八日に設けられたのでありますが、すでに御承知のごとく当法務委員会におきましては、昨年七月中から鉄道犯罪及び治安の調査研究に着手いたし、爾来日本国有鉄道公安局から、終戰後における鉄道犯罪の総合的統計資料の提出並びに説明を求め、あるいは代表的重大鉄道事故及び犯罪に関する詳細な報告を求め、現地出張の際は專門員、調査委員をして各地の公安事情等をも調査いたさせ、またアメリカの鉄道警察制度研究いたし、特に新刑事訴訟法上の捜査機構との調和については愼重を期し、関係各機関の意見をも十分に聽取した上、すでに第七国会においても小委員会を設けて一応の試案を得、閉会後は継続審査の承認を得て研究を続けて参つたのであります。当小委員会におきましてこの試案をさらに検討いたし、細部にわたつて重ねて関係各機関の意見をも聽取し、関係方面とも折衝いたした結果、お手元に配付いたしましたような一つ成案を得た次第であります。内容はお手元の案をごらん願えば、簡單でありますから御理解願えると思いますが、要点だけを簡單にここで申し上げてみるならば、鉄道犯罪の鎭圧のために、鉄道公安官が單純な捜査をもつてしたのでは、所期の目的を達することができませんので、これに捜査の職務を行わせしめ、そのためには刑事訴訟法中一般の司法警察職員の捜査に適用される規定を準用いたしたのであります。しかして捜査の対象は、鉄道、駅その他鉄道施設内における犯罪及び鉄道業務運営に関する犯罪に限定いたし、しかも地域的に職務執行の限界を付与いたし、鉄道施設内において行動するようにいたしたのであります。そこに一般司法警察官等との摩擦を予防すると同時に、他方におきましては現行犯の逮捕等の場合に、これを本来の国家あるいは自治警察関係の主要職員に引渡す。あるいは他の場合においては、協力してやるというような連絡規定をも設けた次第であります。  なおここに特に指摘しなければならぬ点は、鉄道犯罪の凶悪性というようなことに留意いたしまして、この鉄道公安官には小銃器の所持を許すということに案を規定して見た次第であります。要するに一般警察の捜査能率の低下を、鉄道犯罪に関する限り、この鉄道公安官によつて捕捉いたし、鉄道輸送における公安秩序を保全せんとするのが眼目でありまして、なお徹底した職務の拡充も必要とする感はありまするけれども警察問題の重大性にかんがみまして、今回はこの程度の案をもつて臨むのが妥当であると考えたのであります。従つて将来実施の上において、あるいはこれを事態のいかんによつて改正されることも予定されるのであります。  以上の次第でありますから、さらに愼重御検討の上、何分今国会の会期も短かいことでありますがゆえに、すみやかに本委員会成案として採択されんことをここに望んで、簡單に御報告いたす次第であります。
  76. 安部俊吾

    安部委員長 ただいまの小委員長の御報告に対しまして、御質疑がありませんか。——御質疑がなければただいまの小委員長より御報告申し上げました鉄道公安職員職務に関する法律案を、本委員会成案といたしまして、本法案委員会提出法律案といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なければさよう決定いたします。  本会はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。     午後三時三十五分散会