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1950-07-27 第8回国会 衆議院 文部委員会地方行政委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十七日(木曜日)     午前十一時四分開議  出席委員   文部委員会    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 小西 英雄君    理事 圓谷 光衞君 理事 小林 信一君    理事 松本 七郎君       柏原 義則君    甲木  保君       佐藤 重遠君    高木  章君       若林 義孝君    笹森 順造君       坂本 泰良君    今野 武雄君       浦口 鉄男君   地方行政委員会    委員長 前尾繁三郎君    理事 生田 和平君 理事 川本 末治君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       清水 逸平君    床次 徳二君       山手 滿男君    大矢 省三君  出席政府委員         全国選挙管理委         員会事務局長  吉岡 惠一君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         文部事務官         (調査普及局         長)      關口 隆克君  委員外出席者         文部委員会專門         員      横田重左衞門君         文部委員会專門         員       石井  勗君         地方行政委員会         專門員     長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年における教育委員会委員定例  選挙期日特例等に関する法律案内閣提出  第五号)(予)     —————————————
  2. 長野長廣

    長野委員長 ただいまより文部委員会地方行政委員会連合審査会を開きます。  昭和二十五年における教育委員会委員定例選挙期日特例等に関する法律案内閣提出第五号)を議題といたします。本案は文部委員会において予備審査中の法案であります。法案提出説明を求めます。吉岡政府委員。     —————————————
  3. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 提案理由を前に官房長官が一度お話になつたのでありますが、再度私から申し上げます。  本年におきまする教育委員定例選挙期日特例等に関する法律案提案理由について説明申し上げます。すでに設置されておりますところの、すべての都道府県と一部の市町村教育委員会委員定例選挙と、本年新たに設置されます市の教育委員会最初選挙とは、公職選挙法並びに公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整備等に関する法律によつて、本年十月五日に行われることになつております。教育委員定例選挙半数改選関係もありまして、二年目ごとにその年の十月五日に行われることに相なるわけであります。しかるに本年は十月一日現在で全国一齊に国勢調査が行われることになつておりまして、この教育委員選挙国勢調査期日とがきわめて接近をしておりますために、種種の支障を生ずるおそれがあります。  すなわち第一に十月五日の教育委員選挙都道府県市町村同時選挙でありますので、選挙期日告示は三十日前になされます。従つて十月一日以後は選挙運動終盤戰に入りまして最もはげしい時期であります。しかるに今回の国勢調査全国に約四十万人の調査員が各人五十世帯くらいを担当いたしまして、各戸戸別に訪問して、所定の事項調査表に記人する方式で行われ、十月一日から数日間が調査員活動時期と相なりますので、これが選挙運動に利用されるおそれがあり、もしそのようなことになりますと、とうてい選挙の公正を期しがたいと考えられるのであります。  第二に、各市町村におきましては、選挙統計調査というような事務は、大体同一の係の仕事でありますので、国勢調査選挙とが同時に行われますと、その繁忙にたえず、いずれの事務も正確と迅速を期し得ないのではないかと考えられるのであります。  第三に、ちようどこの十月ごろは選挙人名簿調製の時期に当つておりまして、国勢調査がなくても市町村選挙管理委員会繁忙期に当つているのでありまして、選挙事務執行上その支障は少くないと考えられます。  以上のような理由によりまして、教育委員選挙国勢調査期日とは相当期間——少くとも一月くらいを隔てる必要があるのでありますが、国勢調査は大正九年以来、常に十月一日現在で実施せられて来ております。これが将来ともに十月一日に行われることは、わが国勢累年比較の上から非常に重要なことであり、この施行期日を変更することは適当でないと考えられます。従いまして教育委員選挙期日を変更せざるを得ないと考えるのでありますが、期日を繰上げることはどうかと検討をしてみますと、八月は十五日に海区漁業調整委員会委員最初選挙が行われる予定になつておりまして、本月の十七日までには、各選挙管理委員会ですでに期日告示をしておるはずであります。また九月は十五日現在で選挙人名簿調製することになつております。さらに九月下旬には国勢調査予備調査を行います関係上、各都道府県及び市町村の当局は相当事務に忙殺されるものと考えられます。従つて選挙期日を八月または九月に繰上げるということは困難であります。それゆえに選挙期日は繰延べざるを得ないことに相なるのでありますが、もし十一月五日以前ということにいたしますと、先にも申し上げましたように、選挙期日告示が三十日前というような関係上、十月五日以前から選挙運動が可能となりまして、国勢調査日と重複いたし、また選挙人名簿調製事務とも重なつて支障がありますので、これらの支障を避け、かつ教育委員会成立があまり遅れないようにすること等、彼此勘案いたしました結果、結局本年に限りまして十一月十日に行うように決定いたした次第であります。以上がこの法律案を提出いたすおもな理由であります。  次に法律案内容について簡單に御説明を申し上げますと、法案は三箇條からなつておりまして、第一條及び第二條第一項におきまして、すでに成立している教育委員会、及び本年新たに設置されます市の教育委員会選挙期日を本年に限つて十一月十日と定めました。これに伴つて二條第二項において、本年新たに設置されます教育委員会成立期日を十二月一日に繰延べることとし、第三條におきまして現に教育委員会委員の職にあるものの半数は、十月四日にその二年の任期が満了いたしますので、十一月九日まで在任するものといたしました。また本年十一月十日に行われる選挙により選出された委員任期起算日は、同年の十月五日といたしました。次回の選挙はこの日から起算して二年目の十月五日に行うことによつて現行の制度に復する建前をとつておるのであります。  以上が法律案趣旨並びに内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願いする次第であります。
  4. 長野長廣

    長野委員長 これより質疑に入ります。大泉寛三君。
  5. 大泉寛三

    大泉委員 この法案を出さなければならないと発案されたのは、どこの主管官庁であるのか、これをお聞きしたい。地方自治庁が、これは地方行政立場からどうしても延期しなければならない、あるいはまた文部省の方で国勢調査関係から延期しなければならぬというようなわけで、どの省から発意されたか、これを承りたい。
  6. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 どの省から委員選挙期日を延ばすように最初持ち出されたかと申しますと、これは国勢調査を行う方の統計局にも意見があります。それから選挙管理委員会の出先の方で相当強い意見があります。文部省の方からもそういう意見を聞かれまして、結局最後は文部省選挙管理委員会と協議をいたしまして、延ばすことにきめたのであります。     〔委員長退席岡委員長代理着席
  7. 大泉寛三

    大泉委員 少くとも地方行政に関する限りは、自治庁が主となつてこれを適当なりや、あるいは不適当なりやを決しなければならない立場にあるかと思うのであります。そこで今度のあらゆる選挙が行われるときに、地方議会議員欠員があつた場合には、必ずその機会において補欠選挙をやらなければならないということになつております。そうした場合の連繋は考えないのか、地方自治庁とどういう関係におかれておりますか、それをひとつお聞きしたい。
  8. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今のは地方選挙同時選挙の問題であると思いますが、これは自治庁と私ども相談をいたしておりますが、十一月に行うことになりますと、任期の終る前六箇月に入りますので、地方選挙のほかの選挙はやらなくてよいことになるのであります。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 それはこちらの方のいわゆる教育委員選挙のためにやるのでなくて、その選挙煩雑をなるたけ少く、また煩雑を避けるために、同時に選挙が行われる建前になつておるのですから、選挙をやらなくともよいという御意見成立たないと思いますけれども、そういう教育委員選挙を行われるときには、補欠選挙をやられることになつております。もちろんそれは文部省の方の教育委員に関する選挙とは別個の問題ではありますけれども、そうした関係地方自治庁との関係はどうなつておられるかということなんであります。それからその委員任期は自然延長されるのでありまするか、また半数交替委員任期も自然にずれて行くのでありますか、それもあわせて伺いたいと思います。
  10. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今の地方議会議員選挙でありますが、もし十月くらいに大体二名に欠員がなつておる。そういう場合は当然行うことになると思います。ただそういう選挙を行うべき欠員の数に達していないが、教育委員会選挙を行うから同時に行うというものがありますれば、これは六箇月前にかかりますと、六箇月前に選んで、また任期が来てやめるというのも手数であるからというので、前から六箇月前にそういう選挙を行う場合には行わないという規定があります。従つてそれによつて行わないことになるのであります。教育委員任期は今度は特例になつておりまして、やはり十月五日から起算をいたしますので、今いる委員は一月ばかり延びることになりますが、今度選挙される委員は一月ばかり短くなります。
  11. 岡延右エ門

  12. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 国勢調査は、これは五年ごとであつて教育委員選挙は二年ごとであります。その教育委員選挙がすでに先般制定されると同時に、二年後には行われるということは予想されておつたのでございますが、国勢調査が五年目の今年の十月に行われるということを無視してきめたところに、この延期せざるを得ない法律案を出さなければならなくなつた関係があると思いますが、しかしながらここに国勢調査教育委員選挙とこの二つが同時に行われるということで、国勢調査をやり、教育委員選挙を延期するのは、教育委員選挙を軽視しておるということに見受けられるが、この点についての御見解はいかがでありますか。
  13. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 これは文部省にも関係あることでありますから、文部省からもお答えいただこうと考えるのでありますが、われわれ選挙執行いたします立場といたしましては、教育委員選挙を軽視しているというわけではありませんで、やはりそういうふうに事務が忙しいときにやりますと、どうしても誤りが起きやすい。従つて愼重にやる意味で延ばした。たまたま国勢調査の方は従来からずつと十月一日でやつておりまして、今後の国勢比較上十月一日の方が便宜と考えられますので、教育委員の方を動かすことにしたわけであります。
  14. 關口隆克

    ○關口政府委員 私の方にも関係があると思いますからお答え申し上げます。ちよつと聞き違いがあるかもしれませんし、それから私かぜを引いておりまして、声が悪くて聞えないかもしれませんので、御了承願いたいと思います。  どうせいつかは教育委員選挙国勢調査一緒になるのがわかつておりますのに、初めからそれに気がついていなかつたのか、いわばそういつた最初お話があつたように思いますが、お話通りだと思います。それで結局重複いたしますのは十年に一回ということになります。二と五のかけ合せで十年に一回ということになります。  それから従来の国勢調査と今回の国勢調査とでは、私の伺いましたところではやり方がたいへん違いまして、今回の国勢調査では調査員がはつきりと任命をされまして、その方々がいわば戸別訪問をされまして、一軒々々お歩きになつて非常に詳細な聞取りをなさつて、御調査をなさるというようなことも伺つております。こういうところから見ますと、事務上同じ係員がやることになつておりますので、従来に比べて非常に事務が重複する。そういうことでありましたならば、教育委員会委員選挙を明朗に、そうして正確に、かつ迅速に行うためにもこの時期を避けて行つた方がよりよいのではないか、そういう結論に達して御同意をいたしておるわけでございます。聞違いがあつたかもしれませんが、そういうふうにお答え申し上げます。
  15. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 そこで国勢調査教育委員選挙二つの行事が行われる。それを教育委員選挙を延ばして国勢調査を実行する、また逆に言えば国勢調査を延ばすか早くして教育委員選挙規定通りにやるということになるのですが、現在のこの法律案によると、国勢調査を行うて教育委員選挙を延ばすというのは、教育委員選挙を軽視しているうらみはないか、その点についてどういう見解を持つておられるかということを聞きたい。
  16. 關口隆克

    ○關口政府委員 私どもは正確、迅速にりつぱな選挙ができることになるわけでございますから、そのために軽視したとは思つておりません。
  17. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 もし迅速にりつぱにやるならば繰上げたらどうか、ところが繰上げると海区漁業調整委員選挙とかち合うから、だから教育委員選挙を延ばした、こういうことになるのです。もし今の御答弁のように、迅速にやるというならば繰上げてやつてもよろしいはずです。それをせずに延ばしたというのは、この教育委員選挙を軽く取扱つているのではないか、そういう疑いがあるから、その点についての御見解を承りたい。
  18. 關口隆克

    ○關口政府委員 ごもつともな御意見だと思います。しかし一箇月繰上げていたしますことをこの際急にきめますことは、教育委員会趣旨徹底及びその選挙趣旨徹底上困難が伴うと思います。
  19. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 そうしますと、迅速にやるために延期をして確実にやるというふうに受取れるのですが、それでよろしゆうございますか。
  20. 關口隆克

    ○關口政府委員 迅速にと申しましたのは、二箇月も三箇月も延ばすようなことでは困るのであつて、延ばすけれども、それはできる限り早いときにやりたいという意味でありますから、言葉の使い方が悪かつたかも存じませんが、どうぞそういうふうに御了承願います。
  21. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 そこで承りたいのは、第一回の教育委員選挙は、最初選挙であつて、まことにずさんであつた。その教育委員が一箇月間任期が延期されて、そうしてその選挙が行われるということになれば、これはこの新しい委員によるところの清新な確実な委員職務執行と、この教育行政との間に空洞を生じはしないか。少くとも一箇月間空洞を生ずると考えられるが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  22. 關口隆克

    ○關口政府委員 第一回の教育委員会委員選挙は勿卒の間に行われましたために、あるいは今おつしやいましたようなこともあつたかと思いますし、あるいはそういう御意見も伺つたことでございますが、その後いろいろお話を伺つておりますと、委員会の方でもたいへん御勉強くださいまして、たいへんよく行つているというようなことも伺つておりますし、最初あるいは粗末ではないか、こうおつしやつた方も、そういつたものでもないということを言つてくださつている方もあるように伺つております。一箇月延びましたために非常な空洞を生じたというふうには存じませんし、またどうかそうならないことを願つております。
  23. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 そこで今文部省政府委員の御意見を総合しますと、早く確実にやらなければならぬ。だからどうしてもこの国勢調査教育委員選挙は軽視していない。しかしながら、国勢調査というものは五年に一ぺんしか行われないのであるし、これこそ愼重にやるためには延ばして、教育委員選挙規定通りつた方が、この教育行政についても重視している。この点から考えると、何としても軽視しているというそしりは免れないと思います。しかしながら、どうしても技術上その他の関係から一緒に行かぬというならば、この海区漁業調整委員選挙と同じでもいいし、あるいは十日間くらい遅れてもいいけれども、それを繰延べにするという、それがわれわれは非常に疑問に思う点であります。これはあとでもまた質問しようと思うのですが、その延ばすという点について、われわれは重大なる関心を持つておる。だから今の文部政府委員答弁ごとくならば、これは繰上げてやつてよろしい。そうして海区漁業調整委員一緒にやつて行かなければ——来年の地方議会市町村長選挙は続いてやらなければならぬ。そういうことを考えたならば、繰上げて一緒にしてもいいと思うのですが、そういう点について地方自治庁の御見解を承りたいと思います。
  24. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 選挙管理委員会から繰上げる場合のことを申し上げます。もし八月十五日に繰上げますと、あまり早く委員選挙するというのは適当でないということになりまして、やはり任期を短かくすることになるのではないか。従つて繰上げて結局九月ごろということになりますが、九月ごろになりますと、先ほど申しました、名簿調製とか——これはもちろん毎年やることでありまして、理由にはならぬかと思いますが、相当繁忙な時期であります。それから国勢調査も十月以降が主でありますが、その前に予備調査というようなこともやります。従つてあれやこれや考えて、結局延ばした方がいいのではないかという結論を得たのであります。  それから海区漁業調整委員選挙一緒にやりますと、海区漁業調整委員選挙市町村單位で行いますが、海区の関係で数市町村が合さつた委員会ができるように承つております。従つてそういうやや偏した選挙でありますので、合同選挙はやらない方がいいのではないかという結論に到達したのであります。
  25. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 私の質問はこれで打切りたいと思いますが、実は延ばされた点について重大なる関心を持つております。これについては、教職員の政治活動禁止の原案も今拜見したような状態でありまして、この点について相当追究したいのですが、自治庁の方も来ておられないし、また今委員長が申されましたように、合同審査でありますから、地方行政の方の委員に敬意を表しまして、私はこれで打切ります。ただあとで今申しました点について質問を許していただきたいことをお願いして、終ります。
  26. 門司亮

    門司委員 自治庁の課長かどなたかにお出でになるようにお願いいたしておきましたが、自治庁の諸君が来ます前に、一応管理委員会にお聞きいたしておきたいと思います。  選挙期日が延ばされることになつておりまするが、自治法によりますると、明らかに一つ選挙がありまする場合には、補欠選挙を行わなければならぬということが書いてある。この趣旨は、自治法というあの法律ができましたゆえんは、地方公共団体議会というものを非常に尊重いたしまして、同時に住民意思というものが十分地方議会に反映することのできまするように、法規に基く三分の一以上の欠員がなくても補欠選挙はやることができるようにしたと私は考えております。ところが今回の選挙が一箇月延ばされて参りますと、来年の四月に地方の総選挙は行われまするので、わずか五日間の開きで地方選挙をしなくてもいいということに相なつて参るのであります。十月に行われまするならば、当然地方補欠選挙は行わなければならない。ところが一箇月延ばされることによつてちようど五日間の違いで自治体の選挙は行わなくてもいいことになる。それから先ほどの御答弁を聞いておりますると、半年ばかりしかないので、それからまた選挙することは非常に煩雑だというようなお考えでありますが、これはまつたく管理委員会の独善であつて地方自治法を冒涜したものだと考えている。先ほどもちよつと申し上げておりまするように、同時選挙を行うというのは、地方公共団体の運営と、さらに地方住民意思を十分に地方議会に反映させることができるようにという地方自治法精神から、ああいう條項を実は挿入したわけであります。この精神をまつたく蹂躙して、選挙管理委員会方々がこれを延ばして、地方の当然行わなければならない選挙を行わないようにするということは、私どもといたしましては、承服しがたい一つ條項でありまするが、一体地方自治法のあの條項をどういうふうに選挙管理委員会は解釈しておられるか。その解釈をお伺いしたいと思います。
  27. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今のお話は確かに私ども同感だと思います。同時選挙を行うという趣旨は、確かにそういうことだと思うのであります。ただ六箇月以内にかかる場合は選挙を行わないというのは、やはり前からある規定でありまして、たまたまそれにかかるから行わないことになるということを申し上げておるのでありまして、私は行いたくないからという気持はちつともないのであります。
  28. 門司亮

    門司委員 もしそういうお考えでございまするならば、この提案理由に書かれておりまするように、十月一日に国勢調査があるというようなことは、最初からわかり切つたことであり、さらに先ほど文部省関係の人の御意見を伺つておりますと、国勢調査は非常に綿密に調査するというために、ここにも書いてありまするが、四十万以上の調査員ができて、戸々を訪問して調査するから、非常に選挙運動とまぎらわしいことになるというお考えのようにわれわれは拜聽するのでありますが、国勢調査調査事項というものはそう違わぬと思う。私ども今日まで国勢調査調査員として、何度かこれに携わつて来ておるのでありますが、これと選挙が一体どれだけ関係があるのか。その四十万の国勢調査員が何らかの政党に所属して戸別訪問をする疑いがあるというならば、これは全部人を悪く見たものの考え方であります。こういう考え方でするならば、これは選挙をどこまで延ばしても同じことです。一体われわれは、国勢調査調査員というような人は、おそらくそう間違いのある人に委嘱するわけはないと思うのであります。これはある程度まで他人祕密を知らなければならないことに相なつて参りますので、普通の調査とは違うのであります。他人祕密を保持しなければならないような重大な調査を依頼しておりまする人たちが、戸別訪問をするとか、あるいは特定の政党のちようちん持ちをするというように悪く解釈して、これを延ばすということは、国勢調査員に対する一つの侮辱だと考えておる。この点は一体どういうふうにお考えになつているか承りたい。
  29. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今お話のように、われわれは決して調査員が悪い意味戸別訪問をやるという前提のもとに立案したものではないのであります。統計局の方でもそういう要望がありますし、またたとい悪いことをしないでも、そういう疑いの目を持つて見られるということは、やはり避くべきことではないかと考えまして、延ばした方がいいのではないかと考えたのであります。
  30. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ理由として、町村役場事務煩雑のためにこれを避けたいというようなことが書いてあるのでありまするが、御承知のように、教育委員の今回の選挙は限られております。都道府県と五大都市ですか、さらに新しく指定されました都市でやる都市があるかもしれない。しかしこれらの選挙を現実に行います都市というものの範囲は限られております。従つて候補者の数も非常に少いのであります。従来の選挙のように大がかりな、非常にたくさんの候補者があつて、非常に煩雑選挙とはかなり趣を異にしておると思います。これが市町村会議員あるいは都道府県会議員というような、候補者が非常にたくさんな選挙になつて参りますならば、地方選挙事務が相当煩雑になるということも一応承認はできますが、今回の選挙はわずかに二名の者を選挙するだけでありまして、この選挙によつて地方の自治体の選挙管理委員会並びにそれに従事いたします諸君の煩雑が多いから、国勢調査と両方はやれないという理由は、きわめて薄弱な、こじつけた理由ではないかと私は考えております。従つて一体どの程度選挙事務調査事務というものが重複することになつておるのか、その点をもう少しわかりやすくお話願いたいと思います。
  31. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今お話のように、市町村会議員あるいは都道府県会議員ほど選挙事務煩雑ではないと考えます。しかしながら国勢調査は、その事務をしよつちゆうやつておる仕事ではありませんで、臨時的なものであります。やはり相当の人を総動員してやらなければならぬ事務でありますので、そちらの方とやはり一緒にやるのは適当じやないんじやないか。もう少し延ばした方が、その事務の正確と迅速を期することができると考えて、延ばすことにきめた次第であります。
  32. 門司亮

    門司委員 どうも私にははつきりうなずけないのでありますが、先ほど坂本君からも聞きましたように、教育委員選挙がこういう形で行われるということはわかり切つたことでありますし、国勢調査も何年目かにやるということは大体きまつております。従つてこの法律はそういうことが最初から考えられておつたというふうに考えておる。それからさらにこの次にも——私はここで計算しておりませんが、いつかまたぶつかる時期が必ずあるのではないか、そういう場合にはやはり延ばされるお考えであるか、また臨時法をこしらえるかどうかということを伺いたい。
  33. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 事務の繁忙の程度については先ほども申し上げましたが、今度の国勢調査は、先ほども文部省政府委員からお話がありましたように、従来と多少形式がかわつておりまして、調査員が個々に大きな表を持つて歩きまして、一々書き込んで行く、従つてそれに対する指導や何かで、やはり相当忙しいものと考えるのであります。それから国勢調査との重複の問題でありますが、国勢調査は五年ごとに行われると考えられますので、大体十年目にはぶつかる。従つて十年先にもう一度ぶつかることになりますが、そのことはさらによく調査研究をいたしました上で、あらためてきめたいと考えておりまして、さらに特例法を出しますかどうかを、なお関係当局とよく研究をしたいと思います。
  34. 門司亮

    門司委員 それで私の聞きたいのは、十年目には必ずこれがまたぶつかるということがわかり切つてつて、どうして特例法を出さなければならぬか、そのときもやはり今日と同じような形を示して来るということはわかり切つておる。それならばなぜ特例法にするのか。特例法にしないで、むしろこれを延ばした方がいい。延ばすなら今年に限らないで、恒久法にしておけば、将来ぶつかる危險性はないというふうに考えられますので、期日をはつきり変更しておいた方がいい。九月五日でもいい、十一月五日でもいい、どちらにしてもこれにぶつからないようにしておけば、十年後にそういうことをやるかもしれないというようなあいまいなことはなくなると思います。従つてこの法律を出しましたことは考え方が逆ではないか、もし政府がこの法律を出さなければならないという純真なお考えがありますならば、先ほど申し上げておりますように、特例法でなくて、はつきりと恒久法でこれをおきめになつておけば、十年後にまたこういう問題を繰返さないで済むのであります。その点を一体とういうふうにお考えになつておるのか、もう一度聞かせていただきたいと思います。
  35. 關口隆克

    ○關口政府委員 私の方に関係がございますので、お答えいたしますが、十年目に一ぺん、十年経つたらまたぶつかるじやないか、それならこの際十年先のこともここできめてしまつておいたらいいじやないかという御質問のように伺いましたが、教育委員会ができてから御存じのように早々でございまして、趣旨徹底ということにつきましても、まだ私どもの力も不十分でありますから、先ほどからお話のありますように、一箇月先に繰上げた方がいいじやないかという御意見等も、ありがたい御意見として伺つておりますが、しかしながらこれについても愼重を期して、むしろ一箇月延ばした方がよくはないかというような結論に達しておるような現状なのでございます。今ここでかりに一月延ばした方がいいという結論に達したからといつて、十年先も一月延ばした方がいいかどうかということは、私どもとしても正直のところ何とも考えつかないのでございます。また別の国勢調査のやり方につきましても、私はしろうとでございますけれども、今伺いましたところでは、たいへんむずかしいやり方でもあり、一九五〇年センサスという、世界共通の仕事のようにも伺つておりますが、それが十年先にどういうようなことが行われるか、私どもは実は承知しておらないのであります。こちらの状況からいつても、また外からの状況からいつても、十年先のことを今日ここで早急にきめるということも、十分に自信を持つておりませんので、願わくはこの際は、今回限りのものとしてお考え願いまして、十年先のことは、そのときまでに十分調査をさしていただいて、そのとき提案をさしていただけるようにお考えを願えれば、非常にありがたいと思います。私に関連したと思うので申し上げました。
  36. 門司亮

    門司委員 私はその考え方は承服できない。国の法律を制定いたします場合には、その場その場で法律をこしらえて行くという不定見なことは、私はやめたいと思います。やはりできるだけ恒久法に直しまして、そうして日本の法律そのままの姿で完全に施行できるようにしておきませんと、あなたの考えるようなことでありましたならば、国民は非常に迷惑をいたします。大体国民全体は、十月五日に教育委員選挙があるものだと心得ております。それが今年に限つて十一月五日に延ばされるということは、国民が迷惑をする。趣旨徹底というお話でありますが、趣旨徹底というならそれで、これは恒久法にしておく必要があるのであります。これを臨時に、いつまたかわるかわからぬようなあいまいな法律をつくるということは、きわめて不見識だと思う。少くとも国会が審議いたします場合におきましては、やはり確固とした信念のもとにつくる法律でなければなりません。そのときそのときでどうなるかわからぬものを、暫定的に法律をこしらえておくというのでは、法の精神徹底しない。法の精神徹底しないということは、必ずそこに犯罪も起るし、間違いも起ると思います。私はそういう意味から考えて行きますならば、今回の特例によつて一箇月延ばしたということは、何の意味もないことであり、きわめて不見識なことであると思う。これは当然恒久法に直すべきだと考えておるのであります。同時に私は、先ほど申し上げましたように、他の意図があるのではないかというような一応の考え方を持ちましたのは、これはうわさの程度でありますから私ははつきりは申し上げませんが、巷間伝えられるところによりますると、教育に携わつておりまする教職員の諸君のいわゆる政治活動の問題が、今は政府の一部においてはいろいろとりさたされておるように、われわれは拜承いたしておるのであります。そうしてこれに対して、やはり何らかの制限を加える必要があるのではないか、いわゆる国家公務員法に準じたような方法をこれに講ずべきではないかというような考え方が、相当強くあるやにわれわれは実は仄聞いたしておるのであります。従つて地方公務員法がまだ出ておりません今日、これを別の法律で、教職員等の政治活動に関する取締りの法律を出すかどうかということは、これはいろいろ議論があると思いますが、そういうことをわれわれが仄聞して参りますると、この法律が臨時立法になつたということも、やはりそれらに多分の関連があるのではないかというようなことを考えざるを得ないのであります。もし政府にはつきりした信念と根拠がございますならば、当然これは恒久法になるべきものであります。今年一年何もそういうことをしなくても、十年先にぶつかるということがわかつておるならば、はつきり日にちを書いておきさえすれば問題はないのであります。ことにこの場合におきましては、教育委員の在任期間が延びておりますので、従つて何らの支障がないと思う。従来都道府県あるいは市町村議員選挙等が延ばされまする場合におきましては、こういう処置をとらないで、告示をもつて、ただ遅らすということで、議員の機能は自然消滅いたしまして、その間は従来あつた参事会というようなものが大体これを代行いたして参りました。そうして期日というものは大体変更されておつたのであります。しかし今回の場合は、もしそうだといたしますならば、私はそういう処置をとつて、そうしてほんとうに便宜的にやるのなら便宜的にやる方法が私はあると思う。ことさらに臨時特例でこれをやらなければならないということは、われわれが杞憂いたし、われわれが仄聞いたしておりまするように、一部教職員の政治活動に対して、悪く考えますと何らかの処置を講ずる腹があるのではないかというように考えておりますが、この点は一体どういうようなお考えでおられますか、そういうお考えがあるかないかということをこの際はつきり承つておきたいと思います。
  37. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今、特に特例にして別に何か魂膽があるのではないかというお話でありますが、政府の方針として私から申し上げることはできませんので、事務当局としてわれわれが関した限りにおきましては、そういう意思は毛頭ないのであります。
  38. 門司亮

    門司委員 教員の政治活動に対する問題が文部省内で相当問題になつておると思いますが、この際もし発表できますならば、どういうことが考えられておるかということを一応お話を願いたい。
  39. 關口隆克

    ○關口政府委員 お答え申し上げます。今吉岡事務局長からお話がありましたように、私も事務的な立場でお答え申し上げますから御了承願いたいと思います。  前回の参議院の選挙のあとですが、われわれの方で調査をいたしました。これは参議院の選挙のあと先生方の政治運動といいますか、選挙に関連した活動が非常にめざましいと申しますか、耳目をひいたというようなことからいたしまして、いろいろ新聞とかあちこちからお話も伺い、またわれわれといたしましても、上司から一応この辺のことについては、今度の国会なりあるいは言論機関等からいろいろ質問を受ける場合もあるだろうからして、事務的に用意するようにということはございました。そこで私の方の局の課長の名前をもちまして、実情を知らせていただきたいということを各教育委員会にお尋ねをいたした。これは私の方で必ずお答えしてもらいたいというふうに強制的にやる権限も何もあることではございませんので、ただ事務上の参考にいたしたいので、資料として知らせていただきたいということをお話いたしたわけでございます。それにつきまして現在年数まで参りませんが、お答えをいただいた府県もございます。その内容はものによつてまちまちでございまして、一概にこうと申し上げ得るものではございませんでしたが、とにかくそういつたような調査をいたしました。まだ半分来ておりませんので、全体の結論を出すに至つておりません。それから話をむし返すようになりますが、先ほど吉岡局長からお話がありましたように、私どもも今問題になつておりまする特例法案を提出するにつきまして、何かほかの意図があるのではないかということは、実はこの国会に臨んで、初めて私どもお聞きして驚いたのでありまして、事務側としてはまつたくさようなことは予想もしておりませんでしたし、さようなお答えをする準備もいささかもしておらなかつたということは、率直に申しますがその通りでございますから、一言申し上げておきたいと思います。
  40. 門司亮

    門司委員 事務当局としてはそれ以上の御答弁はできないと考えておりますが、もう一応その点で聞いておきたいと思いますが、調査されておりまする意図がいずれにあつたかということであります。それはもう少し私はつきり申し上げておきますが、教員の政治活動の非常にめざましいものがあつた、これは弊害があつたから何とかしなければならないという意図のもとに御調査なさつておるものか、單に教員が文部省の所管として一体どのくらい選挙関心を持つておつたかという、きわめて通念的の理論の上に立つてその調査をなさつておるのか、この点をもう一応聞かせていただきたい。
  41. 關口隆克

    ○關口政府委員 あとの方でございます。もう少しこまかくお答えいたします。私ども事務的にと申し上げたのですが、調査は課長の名前でお願いした形でおりますので、何か目的とか方針とかいうことを先に書き立ててしたものではございません。そしてお願いしました項目は、教育者の選挙運動についての一般的な傾向、それから問題になつた諸点ということが一つ、それから第二番目に、教育者の選挙運動について問題となつた事件、それから違反の確定したものなどがあつたならば、その件数及びその概要、それから三番目に、教育者の選挙運動についての法的不備、あるいは解釈上の疑義の存する点と、これに対する御意見、こういうことでごく平らなもので、格別どうといろいろしかられるようなかわつた言葉づかいなどもしていないつもりでおります。
  42. 門司亮

    門司委員 今の大体三点についての話でありまするが、私の聞いておりますのは、そういうことを調べなければならなかつたという根拠です。これは先ほどのお話にもありましたように、非常にはなばなしかつたからということですが、私は單にそれだけでないと思う。それよりはなばなしかつたことが一体どういうふうに世間に影響しておるかということ、私は小学校の先生が選挙運動をしたからといつて、何も今の法律に大してさしつかえもございませんし、悪いことをしたとは毛頭考えておりませんし、ことに政治に対しまする関心が非常に薄いわが国の現状といたしましては、やはり政治というものがどういうものであるかということ、あるいは選挙というものがどういう形で行われるかということについても、小学校の先生がある程度政治の内容に携わり、また選挙を自分から行うということは、必ずしも悪いことではないと私は考える。しかしその場合に、先ほどの三つの條項の中でありました選挙違反が一体どのくらいあつたかとか、あるいは法令の解釈が最後にありましたが、一体どうであつたかというようなことにつきましては、私どもは單にこれは調査とは受取れぬのであります。ことに現行法に対する考え方がどうかということになれば、やはりこれは新たなる法律の改正を必要とする一つの前提のもとに立たなければ、現行法でさしつかえがあるかないかということは、私は聞けないことだと思う。これはおそらく前の犯罪がどういうふうにあつたかということだけお調べになれば、それでわかることであつて、現行法の法律の解釈について疑義があるということになれば、私は現行法の改正の意思を持つていなければ、そういうことは行われないと思う。この点については、一体改正をされる意思があるならあるでよろしゆうございます。何もお隠しにならなくてもよい。いずれ法律になつて出て参りますし、私は別に異議を申し立てるわけではありません。あるならある、ないならないということを、ひとつはつきり聞かせてもらいたい。
  43. 關口隆克

    ○關口政府委員 申し上げます。法的不備だとか、解釈上の疑義、だとかいうことを聞けば、直そうと思つて聞いているのだろうというふうな、率直に申しますと、そういうことだつたと思うのでございますが、それは実は、前から教員としての地位を利用しというような法文に確かなつていたと思います。こういう法文は一通り読みますと、まことにもつとも千万なことでだれでも異議のないようなことでございますが、具体的に何かあると、これは教員の身分を利用しておるのか、あとから考えると利用したことになつてしまつたのか、相手方は利用したと思うけれども、本人は利用してないのか、というような具体的なことになると、きわめてわかりにくいことでありますので、そういうことはただ解釈の問題だけなのか、それとも法文の書き表わし方に何か欠陥があるのか、いつでも問題になつておるのでございます。これは恐縮ですが、そういう事務的に法律を解釈し、それを守つて行く立場にいる者とすると、いつもここのところが問題になりまして、今度の事柄についても、おそらく多くのトラブルはそこのところに基いて起るのではないだろうかということを伺つておりましたので、こういうことを言いましたので、かえようと思つて言うのでは毛頭ございません。場合によつては、そういう表現のしかたが悪かつたならば、そういうことを明確にすることによつてやるとか、表現の問題でないならば、他の法律をもつてしなければならぬ。何かそこに方法があるはずでございますので、われわれとしては意図を持つて調べたのではないことだけは、はつきり申し上げられると思います。
  44. 門司亮

    門司委員 非常に長くなつて恐縮ですが、私は今の御答弁を聞いておりますと、非常に体裁のよい御答弁でありますが、いずれにいたしましても、何らかの改正を加えるべきだという御意思は、確かにあるものだというふうにはつきり申し上げても私はさしつかえないと思う。従つてこれを一体いつごろ——と言うと非常につつ込んで聞くようでありますが、あなたの方の修正の意見がまとまつて、それを発表される時期が一体あるかどうか。私ども法律の中で欠陥がありますならば、それを修正することにはちつともやぶさかではないのでありまして、現行法でなければならぬということは毛頭考えておりません。従つてある意味におけるごく善意の立場に立つて、教員の立場に立つて文部省はお考えになつて、そして法律上疑義がある、これはこういうふうに解釈しておいた方が教員のためによいのだというような意味で、御調査になつていることは、毛頭私どもは異議がありません。しかしそういうことでなくして、他に何らかの意図があるというようなことになつて参りますと、これはそのまま見のがすわけにはなかなか私ども参らぬのであります。従つて文部省としては、そういう意見がいつごろまとまつて、発表される時期をいつごろに一応お考えになつておるか、この点をひとつ聞かせておいてもらいたい。自治庁の諸君がお出でになりますればその場合に聞きたいのでありますが、一応文部省側に聞いておきます。実は地方公務員法が国会に提案されるということがしばしば伝えられております。私ども地方自治関係をやつておる者といたしましては、幾度かこれにぶつつかつておるのでありますが、未だに提案されておりません。従つて文部省意見は、現行の法律に不備欠陥があつて、教育に関する者に対しての選挙活動について何らかのお考えがあるとするならば、この自治庁の出して参ります地方公務員法と切り離してでも、そういう法令をお出しになるというようなお考えが現在あるかどうかということであります。
  45. 關口隆克

    ○關口政府委員 御質問は大体二点ではなかつたかと思います。最初の点は、いつごろ調査がまとまつて、まとまつた意見ができるかという御意見だと思います。その点は、先ほど申しましたように、命令することも何もできないことなのでございますから、地方へお願いしているわけでございますので、いつ全部そろうかわかりません。まだ二十一しか来ておりません。ですからまた手紙を出しまして、もしわかつたらもう一遍知らせてくださいとお願いしております。それがまとまり次第分析して、まとまつた程度で考えを出してみたいと思つております。いつということはちよつと見当がついておりません。  それから第二点の方につきましては、地方自治庁と別に法令を準備するということについては、何も存じておりません。
  46. 門司亮

    門司委員 もう一つ、今の答弁ははなはだけしからぬと思うのです。地方公務員法がたびたび出ることになつてつて、そして教員が地方公務員である以上、私は文部省は知らぬというりくつはないと思う。やはりかなり関係されておると思います。従つて地方自治庁から出る地方公務員法と同じものが出るのか、同時に出せるのか、あるいは別個に教員に関して何らかの法案をお出しになるお考えであるか、ということを聞いておるのです。
  47. 關口隆克

    ○關口政府委員 おしかりを受けましたけれども、私の言い方が悪かつたと思います。地方自治庁と別個に何かそういうものを用意しておるかという御質問だつたと思いましたので、それではそういうことを用意しているということは存じておりません、こう申し上げたのです。
  48. 門司亮

    門司委員 どうもわれわれちよつと解せないのであります。文部大臣でもおいでになれば、責任者からはつきり聞いた方がよいと思いますが、大臣がおいでになりませんから、そうあまり深く追究はいたしませんが、実際はそういう意図があるのじやないかということは、これが臨時法で出た以上は、はつきり考えられる。どう考えても、恒久法でないから、そういう意図があると思われる。  それでは自治庁の次長がおいでになつておりますので、鈴木さんに実は聞きたいのだが、次長は地方自治法が制定される当時の連絡部長であつて、次長はよく御存じだと思いますが、自治法の中にありますいわゆる同時選挙の問題であります。今度の教育委員選挙が延ばされますと、同時選挙は行わなくてよいということになります。十月五日に行われると、当然都道府県議員、あるいは市町村議員同時選挙を行わなければならない。それで、先ほども申し上げたのでありますが、ああいう條項を入れたということは、やはり地方自治体の議会の構成を完全にするということ、地方住民意思を十分に地方議会に反映せしめるということが、大体同時選挙を行わなければならぬという一つの大きな趣旨だと私は思う。ところが今回はこの教育委員選挙が、さつきから聞いておりますと、国勢調査にからんでこれが行えないから、延ばすのだということだけで、実は延ばされておるのであります。そうすると同時選挙は行われないということになる。そうすると、一体自治法精神というものは、まつたく蹂躙されることになるのでありますが、自治庁としてはこれをどうお考えになつておるか。
  49. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 現在公職選挙法の中に統一されて規定されておるわけでございますが、当初地方自治法の中におきまして、同時選挙規定考えました趣旨は、できるだけ選挙の煩を省き、できるだけ少い経費で選挙執行させるようにしようという趣旨からでございまして、同時選挙を行うことは、それだけから申しますと望ましいわけでございますが、しかし反面、選挙の対象を明確にするという点から申しますと、多数の選挙を同時にやるということにつきましては、選挙民に対する判断の誤解というようなことも起つて参るのでありまして、従つて同時選挙を必ずやらなければならないというようなことでなく、これは同時選挙を行つてもよろしい、そういうこともできる、こういうような建前にいたしておつたと存ずるのであります。従つてこれはそれぞれの当該地方団体の実情によりまして、同時選挙をあるいはやり、あるいはやらないというような立て方をいたしておつたわけでございまして、考え方といたしましては、絶対に同時選挙をやらなければならぬというほどまで強く考えていなかつたと思います。
  50. 門司亮

    門司委員 なかなか鈴木さんもうまいことを考えたと思うのですが、実際上の問題として、同時選挙を行うということは、選挙の手数を省くという意味ではなかつたと私は思う。もし選挙の手数を省くということが鈴木さんのお話通り正しいとすれば、来年の四月の一日に市町村会議員選挙、県会議員の選挙がみな一ぺんに行われる。これほどやつかいなことはないと思う。これはどういうわけでそんなことにしておるのか。一つ選挙を行う場合には、それに附随して別の選挙を行つて、そうしてなるたけ選挙の手数をなくして行くということは、選挙の費用の面からも考えられるし、事務的にもその方がいいと考えられるということが同時選挙を行う理由と思う。また一つは私が申し上げたようなことが原因だと思う。もし鈴木さんのお考えのようなことになつて参りますと、これは先ほど私が申し上げておりますような趣旨で、地方自治体の同時選挙を行うことがいい。それから選挙の手数を省くということになつて参りますと、八月の十五日の漁業関係選挙一緒に行うことの方が筋が通ると私は思う。この説明書に書いておりますように、八月にはこういう選挙があるから、それを一緒になつては困るということが書いてありますが、それとはちよつと意味が食い違つておるように私ども考える。鈴木さんの御答弁でありますが、選挙の目的を明白にした方がいいという見解なら、来年四月に市町村会議員市町村会議員、県会議員は県会議員別々に選挙をやつた方がいいが、そういう御意思は政府にはないと思う。あの選挙法を改正される意思はないと思う。ですから、そういういいかげんなことでなくて、ほんとうにこの選挙を行うことがいいか悪いかということを今議論しておるわけでありますので、もし鈴木さんのお考えであるとすると、一体どうして八月十五日に政府は行うということをきめなかつたのか、この説明書だけでは納得できませんので、もう一度選挙管理委員会でもどちらでもいいですが、御答弁願いたいと思います。
  51. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 海区漁業調整委員との選挙を同時に行わなかつた理由でございますが、これは現在の規定で見ましても、事前に選挙を行うようになつております。しかしそれは三十日以上前に行つてはいけないというぐあいに規定しておりまして、つまり八月十五日に行いますと、一月以上前になる。従つて先ほどもちよつと申し上げましたが、やはり任期を縮めるか何かの別の措置を講じなければいけないじやないか。従つて八月十五日にはちよつと行いにくいのではないか。それから同時選挙を行うについて利益というものは確かにあります。もちろん弊害の部面もありますが、しかし海区漁業調整委員選挙は大体海に沿つた町村だけであります。それに海区という特別な区域が單位になつております関係上、混雑のおそれもあるし、特に一緒にする必要もないのではないかという結論に達しておるわけであります。
  52. 門司亮

    門司委員 あまり議論しても非常に長くなつて他の同僚に迷惑でありますから、これだけでやめますが、この際もう一つ聞いておきたいことは、先ほどから文部省に聞いておりますが、文部当局は地方公務員と、教員の政治活動に関する何らかの調査が行われておるそうでありますが、これを別の法律で出そうという考えはないかどうかということは、事務当局でありますことのために、はつきりお答えがないのですが、自治庁としては一体その点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。地方公務員法をいつごろお出しになるお考えがあるか。あるいは地方公務員法が遅れる場合においては、教員の政治活動に関する法律というようなものをお出しになるお考えが一体あるのかどうか。もしありとするならば、その時期等について腹蔵なくお話を願いたいと思います。
  53. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 地方公務員法の問題でございますが、これは御承知のごと地方自治法の附則におきましては、すでにこれを早く制定しなければならないということになつておりまして、その期限は実はとつくに切れているようなことであります。政府としては一刻も早い時期に提出すべきものであろうということで、従来いろいろ準備を進めておつたわけでありますが、関係方面との折衝その他の関係で今日まで提案できないで来ているわけであります。次の臨時国会等におきまして、政府としては諸般の情勢が許しますれば、これをぜひ提出したいということで、今準備を進めている次第であります。
  54. 門司亮

    門司委員 それは別々に出すつもりでありますか、一緒にするつもりでありますか。
  55. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 私どもといたしましては、地方公務員法は地方公務員全体的に適用されます基礎法でありますから、これはなるべくならばあまり多く特例がない方が望ましいと思うのでございますが、しかし教育とか警察とかいうような特殊な部門の公務員につきまして、特に何かお考えになるということであるならば、これは特例的な制度をさらに立てることもわかると思うのであります。ただ一般の基本的なものにつきましては、なるべく公務員法という一本の線で規律をする方が適当であろう、かように考えております。
  56. 床次徳二

    ○床次委員 自治庁文部省と両方へかかるかもしれませんが、この機会に一言お尋ねしておきたいと思います。本年度平衡交付金制度が実施されて、地方の教育予算がいかように使われるかという問題については、教育方面でも相当関心を持つているのであります。教育の拡充を要する折柄、教育に対して十分な理解が持たれ、その理解のもとに地方行政が行われることが非常に必要でありますが、今日教育委員会はこの問題に対してどの程度の活動をしているかどうか。はなはだ大ざつぱな質問でありますが、この機会に聞かしていただきたいと思います。教育委員会というものが非常に重要性を持ちまして選挙まで行われるのでありますが、これが十分まだ全国的には実施せられておらない。しかし教育委員会のあるところにおきましては、教育方面の経費が相当確充できている。ないところにおいてはそれが十分でないというような差を来しているが、これについてお尋ねいたしたい。なお最近教員の講習その他身分上の問題に関連して相当苦心をしておりますが、こういう問題に対しまして教育委員会はどの程度の働きをしておるかどうかということについて、この機会にちよつとお尋ねしたいと思います。
  57. 關口隆克

    ○關口政府委員 両方というお話でありますから、では先に申し上げます。教育委員会の設置の目的等につきましては、御存じの通り相当程度の教育の自主性を確保するという点にあるわけであります。財政のことにつきましては、県の協力関係において確保して行くという建前も御存じの通りであります。今お話のありましたように、双方の理解なり協力の非常によく行つているところではたいへんいい教育行政が行われているように伺つております。しかし所によつては、時により、事によつては必ずしも見解の一致しない場合もある、教育委員会でこしらえました予算なら予算が修正された案をつけて県会に出されるという場合もままあるやに伺つております。それは御承知の通りのことでありますが、例の義務教育費の標準的な費用を確保するための法律案というようなものも準備されたり、相談されたりしておるということでございますが、この点につきましてもなおいろいろ論議すべき点、研究すべき点がありますので、目下せつかく調査研究中ということになつております。
  58. 今野武雄

    ○今野委員 地方自治庁にお伺いしたいのですが、大体今度十月五日に選挙をやるとすれば、地方自治体の選挙もその際行われるわけでありますが、何箇所ぐらいそういう地方選挙が行われる見込みですか。やるところもやらないところもあると思いますけれども、このように非常にテンポの早い時期でありますから、国民が政治にあずかる機会、つまり選挙の機会というものを活用されてしかるべき時代なんであります。何箇所ぐらいそういうものが行われる見込みでありますか、ちよつとそれをお伺いしたいと思います。
  59. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 十月五日に行います場合に、どのくらいの同時選挙があるかというお話であります。今のところ調査をしておりませんので、ちよつと見当がつかないのでありますが、相当数あるということは聞いております。
  60. 今野武雄

    ○今野委員 いずれそういうことは出してもいただけると思いますが、今のお話ですと、いかにも国民の政治にあずかる機会というものを軽視しておるのではないかという気がするのであります。国民が政治にあずかるという問題と、それから国勢調査も重要なことには違いないのですが、一緒にやると事務的なことで問題が起る。それとどちらを重大と考えておられるか。たとえばこれを九月五日に選挙を行うことにすれば、完全に両方の要求が、幾分の不都合はあるにしても満足され得るわけなのです。そういう点で、今までの説明では何か十分納得が行かないのですが、どちらを重要とお考えか、ちよつとお伺いいたしたい。
  61. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 国民が選挙にあずかつて、なるべく参政の機会を得るということの重要であることは、われわれも十分承知しておるつもりであります。ただ国勢調査一緒にやりまして、選挙に間違いが起きたりするとやはり困りますので、やむを得ず延ばす次第であります。
  62. 今野武雄

    ○今野委員 間違いが起るというのは、言い方によれば非常に官僚的な考え方だと思います。今までの選挙で間違いの起らない選挙というものはありはしない。しかしながらそれでも行つていたところに民主政治というものがあるわけなのです。どこの国でもそうです。日本だつてそうです。それを特に取立てて言い出す特別の理由というものは、なかなかこれだけではわからない。国勢調査とからんで、そういうことが行われた実例や何かがもしありましたならば、お知らせ願いたいと思います。また一月前に行うということが、そういう意味も含めてむずかしいということになるとすれば、そういう間違いのあつた実例、あるいはどういうことで間違いが起るのか。こういうことをもう少し詳細にお話願いたいと思います。
  63. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 多少見解の相違になるかもしれないのでありますが、国勢調査はたびたび行われるものでないのでありますから、国勢調査選挙とぶつかつて弊害が生じたという実例は、ちよつと申し上げる材料を持つておらないのでございます。ただ国勢調査一緒に行われまして、結局弊害と考えられますのは、国勢調査員が各戸をまわつていろいろ聞いて、調査表に記入するわけであります。従来のように各個人が表にいろいろ書き込んだものを集めるだけでありますれば、そう混同する必要もないから、ただ書いてありますかといつてもらつて来て、それを集めて、ただ書違いや何かを注意すればよかつたわけですが、今度は一々聞いて歩くのでありますから、どうも戸別訪問のおそれがあり、またたとい戸別訪問をしないといたしましても、戸別訪問をしたのではないかというような目で見られることがやはり困ると考えます。そのほか事務煩雑ということもあろうかと思いまして、一緒にしない方がいいのではないかということを考えた次第であります。
  64. 今野武雄

    ○今野委員 九月五日あるいは六日、つまり一月前に行つた場合もやはり同じことが言えるのでしようか。
  65. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 それは結局十月五日に行う場合とは多少程度の差はありますが、国勢調査予備調査があります。それからこれは毎年あることで大した理由にはならぬかと思いますが、選挙人名簿調製をやる。これがやはり調査表を配つて歩くのでありますから、理由にならぬといえばならぬかわかりませんが、あとの方がいいと考えております。
  66. 今野武雄

    ○今野委員 非常に苦しい御答弁でとても納得できないのでありますが、それでは別のことをお伺いいたします。先ほど門司さんからもお話があつたのでありますが、鈴木さんのお話で、地方公務員法をこの次の臨時国会に提出する用意があるかということであります。それは文部省でも御存じないはずはないと思います。一般の国民がすでに新聞で知つている。この国会が始まる前に、自由党からの提出によつて地方公務員法ができない前でも、教員の政治活動を制限する。そういう單行法または教育公務員特例法の改正を出す。こういうことが新聞にも書かれてあつたのでありますが、文部省はこれを御存じないのでしようか。
  67. 關口隆克

    ○關口政府委員 先ほどの私のお答えは、文部省としてそういうものを用意しておるかとか、あるいは政府で用意しておるかという御質問のようだつたので、私はそういうことは存じませんとお答えしたのですが、今のお話ですと、新聞に出ていたかということでありますが、実は新聞は読みました。しかし文部省として用意しておることは存じません。新聞に出たことは知つております。
  68. 今野武雄

    ○今野委員 それでお伺いしたいのですが、もし地方公務員法ができますと、これは大体国家公務員法に準じて、人事院規則にあるような政治活動の制限といつたようなものが、当然そこに適用されることになるわけでございます。そうしますと、もし十月五日に教育委員選挙を行えば、あるいはそれと同時に地方自治体の補欠選挙を行えば、教員は今まで通りの政治活動ができる。それから十一月になれば、これはおそらくできない、こういうことになると思うのでありますが、その点はいかがでございましようか。
  69. 關口隆克

    ○關口政府委員 今の御質問はどういうことだつたですか、もしそうだつたらその通りだと思います。
  70. 今野武雄

    ○今野委員 そうすると、この法案の提出理由にはそういうことは書いてありません。たとえば重要な同時選挙のことさえここには書いてないのです。それは当然都合のいい理由をお並べになるのが、法案提出のときの理由にいつでもなるからでございましようけれども、しかしもう一つ、今言つたようなことも、この法案をつくつたときにはすでに考慮に上つている時期だと考えられるのでありまするが、その点はいかがでございましようか。少くともこの法案を提出した時期には、そのことがわかつておつた時期だと考えますが……。
  71. 關口隆克

    ○關口政府委員 この法案をつくつておつたときには、今お話のありました新聞をちようど読んだくらいの時期だつたと思います。それで地方公務員法がいつの国会に出るかということについては、あの新聞程度ではつきりわかりませんし、その次の臨時国会というのがいつあるかということもいまだにわれわれは知らない。でございますから、お答えになるのだかならぬのだかわかりませんが、正直のところ私としてはそれだけで精一ぱいのお答えのつもりでございます。
  72. 今野武雄

    ○今野委員 そうすると、こういう法律案が出たときに、国民がこれを見たときに、やはりそれに関連しておそらく考えるだろうと思うのです。というのは、新聞やその他では九月に臨時国会があるだろうということが言われておる。そうしてしかも教員の政治活動が、遅くても今度間に合わなければそのときに制限されるであろう、そういうことが言われておる。そうなると、大体確たることでないということは、今關口さんの言う通りだと思うのですが、しかし物事というものは、相当推察でもつて行くわけです。そうすると、疑惑は相当出て来ると思いますが、その点はお認めになりますかどうか。国民がこういうことについて疑惑を持ち得るという点です。
  73. 關口隆克

    ○關口政府委員 先ほどちよつと言葉が足りませんでしたが、この法案の元になる考えは大分前からやつておりまして、新聞記事よりもずつと前からやつてつたのですが、文章にして書くようになつたのは、新聞記事と相前後しておつたように思います。書き表わし方についても、一、二の案があつたのでございますが、それは相前後しておつたかと思います。  それから今の御質問の、国民がそういう疑惑を持つであろうということですが、何とお答えすることやら、どうも何か魂胆があつてやつたなというふうに思われたら、私どもとしては残念だと思います。
  74. 今野武雄

    ○今野委員 けつこうです。
  75. 長野長廣

    長野委員長 藤田義光君。
  76. 藤田義光

    ○藤田委員 私はまず委員長にお伺いしたいのですが、この法律案選挙に関する法律案でございまして、当然衆議院規則の定むるところによりまして、地方行政委員会が所管すべきであつたと思います。それを文部委員会で所管された理由といきさつを御説明願いたいと思います。
  77. 長野長廣

    長野委員長 これは御承知の通り、この種の法案を付託することにつきましては、議院運営委員会が決するところでありまして、この委員会及び委員長としては、その点については関與するところでないと思います。それであちらからまわつて来ましたから、それをかけている次第であります。
  78. 藤田義光

    ○藤田委員 委員長は、その点に関して一点の疑義もなくして、文部委員会の所管として引受けられたのであるかどうか。これは実は国会みずからが委員会の所管に関して紛淆を来すというようなことがありますと非常な悪例を残しますから、この点を一応あらためてお伺いしておきます。
  79. 長野長廣

    長野委員長 やはり前に申し上げた通り、この議案の付託につきましては、議長が運営委員会にかけて決することになりますから、それ以外に私は存ぜぬところでありまして、もし誤つた点があればひとつお教えを願いたいと思います。
  80. 藤田義光

    ○藤田委員 これは憲政の長年の経験者であられる長野委員長にしては、私は多少ミステークじやないかというふうに解釈いたしております。実はその際、ぜひとも議長あるいは運営委員長の誤りを指摘していただきたかつたと思います。われわれは立法の府として、規則にある各委員会の所管事項はおのずから限界がございます。それに紛淆を来すおそれがありますので、この機会に委員長の今後の御注意をお願いしておきたいと思いますが、何か御所見がありましたらお伺いしておきます。
  81. 長野長廣

    長野委員長 やはりこれは従来運営委員会において決定しておるところであります。ことにこの問題につきましては、運営委員会でもあなたのおつしやるような意味における疑義があつたそうであります。そうしてしかる上において愼重審議をせられて決せられたものでありますし、議長にまわされましたから、こちらとしましては先例の関係もあつて、大体さように解釈しているわけであります。
  82. 藤田義光

    ○藤田委員 参議院においても文部委員会が所管いたしたことを承知いたしております。ただいま委員長が言われました通り文部委員会の所管とするのには疑義があつたということをはつきり認められておりますが、疑義があつた所管に関しまして、地方行政委員会の前尾委員長に事前に御了解がありましたかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。疑義があるものをそのままうのみにされまして、文部委員会の所管にされたかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  83. 長野長廣

    長野委員長 ちよつと私の申し上げたことにあるいは誤解があるかもしれませんが、疑義があつたというのは、疑義があつたというのではなく、つまり議院運営委員会でもその種の意見が出たそうだ、この程度の意味でございます。相当運営委員会でも愼重審議せられて、議長のもとに決定し、こちらへまわされたのであります。その意味でございますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  84. 藤田義光

    ○藤田委員 大体その禍根は運営委員会にあつたということははつきりいたしましたが、前尾地方行政委員長に何か御連絡がありましたかどうか、ひとつお聞きいたします。
  85. 長野長廣

    長野委員長 藤田君にお答えいたします。事務当局からその経過も聞いてみましたが、従来もこの種のものは、ある場合にはかけ合うこともあつたそうですし、またかけ合わない場合も相当多いそうです。私としては今までの行き来りからしては、まず運営委員会において愼重審議決したものであるし、その種のものは大体今まで私の前任者などもそのようにしてやつてつておりますから、その例にならつて、安心をして実はお引受けをした次第であります。
  86. 藤田義光

    ○藤田委員 委員長立場は十分わかりました。問題は、私はこの委員会の所管を決定するにあたり、事務当局に重大な錯誤があつたやに拜聽いたしております。実はその点に関しまして、委員長から何か短刀直入なる御回答があるだろうということを期待してお尋ねしておるような次第ですが、その点委員長の耳に入つておりますかどうか。
  87. 長野長廣

    長野委員長 別に事務当局もそういうことはないと言いますし、私はもちろん何も知らなかつたわけです。
  88. 藤田義光

    ○藤田委員 こういうことは先例になりますので、委員長におかれましても十分今後御注意をお願いいたしておきます。  委員長に対するお尋ねはその程度にいたしまして、選挙管理委員会事務局長に簡單にお伺いをいたします。あるいは質問が重複するかもしれませんが、秋の教育委員会選挙執行するに必要な経費の負担はどうなつておりますか。
  89. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 教育委員会委員選挙は、公職選挙法地方の負担になつておりますから、都道府県教育委員会委員選挙都道府県市町村のは市町村の負担になつております。
  90. 藤田義光

    ○藤田委員 文部省政府委員にお伺いしますが、ただいま選挙管理委員会事務局長の御答弁通り、府県及び市町村の負担になつておることははつきりいたしましたが、御存じの通り、現在税制が空白状態でございまして、地方は非常な財政難にあえいでおります。つきましては、今回の選挙執行するにあたり、相当の出費が予定せられまするが、こういう地方財政が非常な苦境にある際におきまして、文部当局としては何かこれに対する財政措置に特別の配慮がありますかどうか。お伺いしたいと思います。
  91. 關口隆克

    ○關口政府委員 お答えいたします。残念ながら、地方教育委員会に関する経費は、地方で負担するということになつておりますので、選挙に必要な費用を文部省あるいは国において用意するわけに参らない。ただごくわずかでございますけれども選挙をりつぱにやつてもらいたいという意味の普及宣伝のための費用はございますから、そういう方面で多少のお手伝いはできるかと思つております。
  92. 藤田義光

    ○藤田委員 文部省でせつかく苦労して設立を慫慂されました地方教育委員会が、御存じの通り財源を持たぬために宙に浮いておることは、これは常識になつております。従いまして、非常に美しい形式のものができましたが、財源を持たないこういう団体というものが、執行力において非常に微弱であるという際におきまして、全国にまたがる選挙をやるということになりますと、相当の出費を予想されますが、この選挙を行うのに大体どのくらいの選挙費用を要すると想像せられておりますか。
  93. 關口隆克

    ○關口政府委員 きよう資料を持つて参りませんでしたので、正確なことを申し上げられなくて申訳ないのですが、この前の選挙のときには、全国で大体三億五千万ということでありました。今度は市が少しふえますのと物価の関係で、あるいは少しふえるかもしれませんというくらいに考えております。
  94. 藤田義光

    ○藤田委員 三億五千万円以上の出費でございますと、現在の地方自治体にとりましては、相当の負担でございます。この点に関しまして、実は本国会におきましても、しばしば大蔵大臣あるいは総理大臣等に質問がありましたが、平衡交付金というものの財源が枯渇いたしておりまして、概算交付によつて下期に予定されておるのはわずかでございます。従つて下期における平衡交付金の増額ということが非常に深刻な問題になつておりますが、この点に関しまして、実は文部当局から何らの動きがないというようにわれわれは想像いたしております。少くとも現在の地方財政の実態からいたしまして、この選挙費は、第一・四半期及び第二・四半期において、財政空白を補うために、短期融資二百九十億やつておりますが、その利子に該当するような厖大な金額でございます。この利子に関しましては、先日の閣議におきまして、別途財源措置を講ずるということになつておりますが、文部当局としましては、少くともこの選挙費に関しましても、一応地方自治体に対する御認識があるということを証明するために、大蔵当局あるいは自治庁当局に御連絡あつてしかるべきじやないかというふうに私は解釈いたしますが、この点に関しましては、当初予算に計上されております啓蒙宣伝費程度で満足されるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  95. 關口隆克

    ○關口政府委員 前回には配付額の増額の措置を関係当局にお願いいたしまして、今回につきましては、有益な御忠告をいただいたのですが、その趣旨にのつとりまして、われわれの方でも措置をいたしたいと考えております。
  96. 藤田義光

    ○藤田委員 実は三億五千万を上まわる金額になりますと、全国の一万二千の自治体の一箇月の職員費程度でございます。全国自治体の現状といたしましては、役場の吏員費の支拂いにすら非常な難澁を来しております。その際において、選挙費に対して一箇月分を出すということは、もう耐えられない負担ではないかと思いますので、われわれ地方行政委員会としては、ぜひともこの点に関して文部省当局の善処をお願いいたしまして、その結果がいかになつたか、次の機会においてはつきりとお伺いいたしたいと思います。もし国である程度のめんどうを見られるというようなことになりましても、実は昨年の春の衆議院選挙の国庫負担の支出が非常に遅れまして、問題を起しました前例もありますので、こういう点をひとつ御注意願いまして、今後の善処をお願いいたしまして、私の質問を終りたいと思いますが、何か御意見がありましたら、拜聽いたしたいと思います。
  97. 關口隆克

    ○關口政府委員 けつこうな御意見をいただきましたので、帰りまして上司にも報告いたしまして、かれこれ研究いたしたいと思います。なお御援助を仰ぐようなことが起りましたならば、さつそく御連絡いたしたいと思います。どうもありがとうございました。
  98. 今野武雄

    ○今野委員 先ほども選挙管理委員会吉岡さんにお聞きしたのですけれども、今度の選挙の数は大体すぐわかるのじやないかと思うのですが、文部委員会の審議のために、若干資料を急速につくつていただければ幸いだと思います。市がどのくらいというような数だけでよろしゆうございますから、簡單に自治体別の数をお知らせ願いたいと思います。
  99. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 正確なことはわからぬと思いますが、ひとつ帰つて調べてみまして、概数なりと出したいと思つております。
  100. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 私は先ほど留保しておりましたが、門司委員、今野委員質問されて、どうも調査普及局長一人ではなかなかたいへんだと思うのであります。また文部委員会の際において、私の留保いたしましたのは、大臣その他出ての席上で、もう少し質問いたしたいと思いますので、本日はやめることにいたしたいと思います。
  101. 長野長廣

    長野委員長 別に御質問がなければ、これにて散会いたします。     午後零時五十分散会