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1950-07-29 第8回国会 衆議院 文部委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)     午後三時五十一分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 圓谷 光衞君    理事 小林 信一君       尾関 義一君    大石 武一君       甲木  保君    佐瀬 昌三君       佐藤 重遠君    根本龍太郎君       細田 榮藏君    山口六郎次君       若林 義孝君    笹森 順造君       坂本 泰良君    今野 武雄君       浦口 鉄男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 天野 貞祐君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         全国選挙管理委         員会事務局長  吉岡 惠一君         文部政務次官  水谷  昇君         文部事務官         (官房総務課         長)      森田  孝君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     辻田  力君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (調査普及局         長)      關口 隆克君  委員外出席者         議     員 生田 和平君         專  門  員 石井  勗君     ————————————— 七月二十九日  委員柏原義則君、周東英雄君、高木章君、飛嶋  繁君及び平島良一君辞任につき、その補欠とし  て尾関義一君、細田榮藏君、大石武一君、佐瀬  昌三君及び山口六郎次君が議長の指名で委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年における教育委員会委員定例  選挙期日特例等に関する法律案内閣提出  第五号)(参議院送付)     —————————————
  2. 長野長廣

    長野委員長 これより会議を開きます。  昭和二十五年における教育委員会委員定例選挙期日特例等に関する法律案内閣提出第五号)(参議院送付)を議題といたします。  本法律案は、去る二十七日参議院より送付、本委員会に付託せられまして、さきに当委員会において予備審査中のものと同一の議案であります。  これより質疑を許します。
  3. 今野武雄

    今野委員 この間、選挙管理委員会の方に、資料を要求しておいたのですけれども、出ましたでしようか。
  4. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 このほど今野委員お話で、現在地方議会欠員がどのくらいあるか、結局教育委員会委員選挙をすれば、そのとき同時選挙をやる人数でありますが、全都道府県について、しつかりした調べをするいとまがございませんでしたので、数府県につきまして、これは東京、北海道、神奈川、埼玉、大阪、広島の府県だけでありますが、これについて調べましたところ、都道府県会議員につきましては、選挙区の総数が百六十一でありますが、そのうち欠員のある選挙区が十四ございます。欠員の数もたまたま十四人でありますが、これが結局一割弱、九分くらいになりますから、ほかの府県も大体これに似たようなものではないかと考えられます。  それから市町村会議員欠員でありますが、これは調べました都道府県市町村の数が千三百十三でございます。そのうち欠員のございます市町村の数が六百五十五、これは欠員がどのくらいあるかはつきりわかりませんでした。従つてこの六百五十五の千三百十三に対します割合は約五○%、半分であります。従つて市町村会議員補欠選挙一緒にやるものは、大体半分ぐらいじやないかと想像していいかと思います。
  5. 長野長廣

    長野委員長 この際委員長より御相談申し上げたいと思います。会期もいよいよ切迫いたして来ましたので、できるだけ質疑は簡單にお願いしまして、五分か、あるいは長くても十分程度で切り上げていただきたいと思います。     〔発言する者あり〕
  6. 長野長廣

    長野委員長 大体その辺を目途として、あとは適当にお願いいたします。
  7. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 最後大臣に御質問いたしたいのは、教育職員政治活動の問題でございます。この問題は、参議院選挙以来自由党方々が、非常に神経質に考えられておる点だと思うのでありますが、文部省の方で、この参議院選挙後におきまして、地方連絡課長の名前をもつて教育長に対しまして選挙調査を命じておる。私は、この調査を命ずることそのものには、反対ではありませんが、もし教育長にやるならば、民主的な団体である日教組もあるから、これにも調査を依頼しなければならぬ、そういう点が先日からの、一昨日の連絡会議におきましても、地方委員会の方でも質問があつたところでありまするが、結局文部省は、一つ調査資料にするということを言われたのであります。そういたしますと、一昨日から新聞に発表され、すでに国会に仮提出になつておりまするところの自由党議員提出による公職選挙法百三十七条の改正の問題があるのでありまするが、この選挙調査を、いわゆる官僚的の教育長に対して求めたというのは、やはりこういう場合の裏づけをするものじやないかという疑問が非常に大きくなつて来る。そうしまするならば、文部省たるものは、一政党の下働きをするというようにも、誤解を受けるのであります。かような場合において、この地方連絡課長名義調査されましたところの資料をもつて、今後かような公職選挙法改正問題などが現われた場合において、その裏づけ資料となす危險性があるのでありまするが、その点について、大臣の所見を承つておきたい。
  8. 天野貞祐

    天野国務大臣 先日来、たびたび申し上げたと思いますが、この資料というのは、私どもは、何もそういう一党一派に偏したことに用いようという考えは、全然持つておりません。
  9. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 はつきりした明言を聞きましたから、新たな法律審議の際も、そのおつもりでひとつやつていただきたいと思います。ことに教員の問題につきましては、これは憲法制定当時、また教育基本法が制定されました当時に、あの基本法の第八条にもありますように。やはり教員は良識ある公務員ということを最初に言つてあるのであります。その良識ある公務員というのは、やはり教員社会人であり、自由な立場で社会的教育的、また教学の方面においても十分な知識を受けるのでありまして、そうしてやらなければならないということだと思うのであります。戰争前のような、あの言論の圧迫下におきましては、由らしむべし、知らしむべからずという方針のもとに教育が立てられたから、かようなことになつたのであります。それがこの教育基本法によつて、また憲法によつて、かような原則が確立されまして、それがあの参議院選挙によつてある政党が、極端に申しますると、先日円谷さんのお話がありましたが、もちろん参議院選挙におききましては、日教組候補者は、社会党の公認で出たのであります。しかしてその成果を收めたのであります。しかし、これは自由党方々が、いわゆる教員の真の生活の安定と、それからりつぱな教育をなすだけのことをやられないから、さような結果が発生したのでありまして、これは社会党の政策に対して共鳴したからであります。だから、かような参議院選挙の結果をもつて、天下の大政党であるところの自由党が、かような法律を出さんとする、しかも仮提出になつておるこの選挙法を見ますと、私立大学職員教員に対しても、これを制限せんとするものである。これは戰争前のよらしむべし知らしむべからずというふうに教員を押しつけて、そうして一方的な教育をなさんとするものであつて、まことにこれは危險千万なものであるのであります。従つてわれわれといたしましては、現在のこの教育基本法第八条の建前において、また現在の公職選挙法百三十七条の程度であつてよろしいと思う。そしてこの地方公務員法の問題の場合は、別に論議すべきものであつて、この仮提出になつておるような選挙法が出んとする場合には、まつた教員政治活動を剥奪してしまうものである。従つてかようなものに対して、文部省としてはいかなる見解を持つておられるか、教育基本法方針に基いて、教員政治活動に対して、いかなる限界においてその政治活動を認めるか。現在のままでよろしいじやないかと私は思うのでありまするが、その点についての見解を承りたい。
  10. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は、これもたびたび申したことでございまするが、教育者というものが、その社会的なあり方からいつて、ある程度制約を受けるということは、これはやむを得ないことだろうと思います。ただ問題は、その制約がどういうものであるかということでございます。私は何ら聞くところがありませんから、別に今意見を述べることもございません。
  11. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 最後に一点だけ伺います。聞くことがないとおつしやいますが、すでに本院において仮提出になつておるのであります。現在の教育基本法第八条、公職選挙法百三十七条の限度でよろしいと思われるかどうか、その点の御見解を承りたいと思います。
  12. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は何も聞いておらないといえば、何も聞いておらない、全然聞いておりません。ですから、何らこれに対して、今坂本さんが予想されるようなことについては、何にも私は知りません。教育基本法精神が十分実践されるということを、私は希望してやまないだけでございます。
  13. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 そういたしますと、第八条の点ではつきりしましたから、この教育選挙について、現在公職選挙法第百三十七条の制限があるだけであります。大臣は、この限度でいいという御見解ですかどうですか、その点を承つておきたいと思います。
  14. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はそういう限定された問題については、ただいま意見を述べることができないことを、御了承願いたいと思います。
  15. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 いや、限定された問題じやない。見識あるわれわれの尊敬をいたしますところの大臣が、教員政治活動について、現在の公職選挙法規定限度でいいか、もつと強化しなければならぬか、あるいはもつとゆるくしなければならぬか、その点の御見解を承りたいのであります。
  16. 天野貞祐

    天野国務大臣 そういう政治活動制約といいましようか、制限といいましようか、それをどういう範囲にするかということ、その範囲によつて教育基本法精神が十分実現されるわけですが、それにはいろいろな方法考えられるだろうと思うのです。それを私は十分研究せず、またあなたが今予想されているようなものは何も知らない。でありますから、そういう意味において、私は今ここで何も御答弁できないということを申したわけであります。
  17. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 今後どうなるかということは、これは国会でも審議になつておりませんから、わかりませんでしようが、すでに自由党方々委員の案として、仮提出になつておりますし、また新聞紙においても報道されております。やはり公職選挙法百三十七条以上に、教員政治活動を制圧しようという現在の情勢にある。そこでお聞きしたいのでありますが、この情勢下を忘れまして、圓谷氏の言われるように、この公職選挙法運用で、あるいは社会党びいきになり、自由党びいきになるかもしれませんが、私はこの公職選挙法百三十七条の、現在の規定で十分だと思うのであります、大臣は、現在のこの百三十七条の限度でいいと思われるか、あるいは今巷間言われておるように、もう少し政治活動を禁止しなければならないように思われるか、その点の御見解を承りたい。
  18. 水谷昇

    水谷政府委員 私からひとつお答えしたいと思います。それは……。
  19. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 政務次官自由党員だから、大臣にお聞きしたい。
  20. 水谷昇

    水谷政府委員 今野君にお答えした点があるのですが、それを聞いてからにしていただきたい。今野君からそういう意味の御質問がありまして、すでに私が今野君にお答えした点がありますから、その点をひとつ申し上げたいと思います。ただいま坂本さんの御質問伺つておりますと、自由党の方から選挙法改正の案が出ておるという前提のもとのお尋ねでありますので、大臣お答えになりましたように、もしそれが出るということになると、国会において皆さんが御審議なさるのでありますから、御審議なさる前に、私どもがそれに対する御意見を申し上げるということは、適当でないと思います。妥当でないと思いますから、差控えたいと思います。
  21. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 私は具体的な法律審議にあたつて、その見解を聞いておるのじやない。現在の公職選挙法の百三十七条より以上にこの教員政治活動を制圧しようという空気があるから、私としては教員に対しては、現在の選挙法の百三十七条で十分だと考えておるのであります。しかし文部省大臣であられる方は、この教員政治活動につきまして、なおより以上に制圧しなければならないか、あるいは現在程度でよろしいか、あるいはもつと寛大にすべきか、その点についての大臣の御見解を承つておるのであります。
  22. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は先ほどから申しますように、この法案は何も知らない、ただ坂本さんのように言われますと、どこに一体教員政治活動限界を置くかということは、これはまた客観的な情勢にも準拠することだと思う。どういうことを現在教員諸君がなされていたのか、そういうこととも関連を持つて来ることだと思う。そういう意味で、私は軽々しくこれがいいんだ、これよりあとだということは、責任ある位置におつて言いかねるということは、御了承願えるだろうと思う。しかし、議員提出されて可決されれば、この間今野さんにお答えいたしたように、民主政治としては、多数に従つて行くということが原理だから、私はそれに従つて、それを忠実にやるよりしかたがないというのであります。
  23. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 かような仮提出が出て来るということが前提なつたから、非常に大臣も用心しておられるようでありますが、われわれは社会人として、また教育者の一員として、現在の教育基本法第八条、公職選挙法第百三十七条の程度で、これの運用をよろしくやればよろしい、こういうふうに解して、あらためてこれを制約する法をつくるとか、あるいはこれを寛大にする法に変更するとかいう必要はないと思うのであります。この点について大臣は、すでにできておりまする教育基本法と、公職選挙法のこの限度でよろしいかどうか、承りたいのであります。客観的事情というのは拔きにして……。
  24. 長野長廣

    長野委員長 坂本君にちよつと申し上げます。実は先ほども申し上げた通り、時間も大分切迫しております。しかしあなたの質疑は非常に重要なことと思います。もちろん大臣からは、ここで御答弁があると思いますが、これで大体終えて、あと一般質問の機会もありますし、やや距離もあるようですから、その方でやつていただきたい。この際は、この問題についてはこの邊で……。
  25. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 私は現在の終戰後における日本の教育の大方針に基くところのこの教員の職にあるものは、現在のこの程度で十分で、これは彈力性のあるようにできているのだから、左右せずに、新憲法下においてできましたところのこれを押し出して行つて、そうしてこれの運用をやるべきものである、この根本はかえぬでもいいじやないかと自分は思うが、大臣の御見解はどうかとお聞きしているわけなんです。
  26. 長野長廣

    長野委員長 ただいま大臣お答えを求めますが、しかし大分この問題とは距離があるようですから、なお御質疑があれば、あとで時間を差上げますから、これだけお含み願つておきます。
  27. 天野貞祐

    天野国務大臣 坂本委員のお考えは、御見解として、私は十分考慮に当てはまる値打のあることだと思います。それは私もよく考慮いたしたいと思います。
  28. 今野武雄

    今野委員 まず最初事務当局にお伺いしたい。第七国会教育委員会法改正をやつたのです。あれは第六国会からずつと継続ではないけれども、再提出してやつた。ところがそのときに、文部省の方で言われていたけれども、ともかく今年は教育委員会選挙があるのだから、ぜひともやらなければいかぬというので、あれをやつたわけです。ところがあれだけ一生懸命に教育委員会選挙があるのだからといつてあの改正をやつて、そのときにちやんと国勢調査は十月一日にやるということはわかつているのですね、はたしてあのときにはそういうふうに文部省の独善であれを立案され、ほかにちやんと閣議にかけたらできていたのでありましようが、今度の改正の趣旨のことは、そのときに、すでにもう出ていたはずであります。ところが、そのときには、その点には何も触れられなかつたのですね。一体どうしたわけか、そのときにはわからなかつたのかどうか、ひとつ率直にお答え願いたいと思います。
  29. 關口隆克

    ○關口政府委員 お答え申し上げます。十分な連絡が欠けておつたかもしれません。今年の国勢調査が、従来予想されておつた国勢調査とは、規模、方法において非常に違うものだということは、十分御承知くださつておることと思います。説明にもありますように、非常にたくさんの記入すべき調査書を持つて戸別訪問をして書入れをして行くという、むずかしい調査方法をとつておるということは、御了承願えることと思います。
  30. 今野武雄

    今野委員 私の問いに答えていただきいと思います。つまりそういうようなものを含めて、ちやんとわかつてつたのかどうか。
  31. 關口隆克

    ○關口政府委員 お答えいたします。公職選挙法で、はつきりと選挙期日がきまつたのでございまして、公職選挙法議員提出法律案であることも御承知通りでございます。なおあわせてこのたびの国勢調査方法が、当時予想されておらなかつたということは、申し上げられると思います。
  32. 今野武雄

    今野委員 どつちなんですか、公職選挙法で、なるほど新たにきめ直したと思います。しかし十月五日にやるということは、もう教育委員会は初めからのことであります。それはわからないはずはない。それから国勢調査も十月一日にやるということでわかつている。それで国勢調査のやり方について、その後変更があつたというように承つてよろしいのですか。
  33. 關口隆克

    ○關口政府委員 どうも御満足の行くような明確な答弁ができなくて、はなはだ申訳ないのですが両方でございます。
  34. 今野武雄

    今野委員 私はそれがちよつとよくわからないのですけれども、では国勢調査の今のような方法でやるということは、いつきまつたのですか。
  35. 關口隆克

    ○關口政府委員 私どもがきまつたものとして聞きましたのは、公職選挙法がきまつてから、ややしばらく後のことでございます。
  36. 今野武雄

    今野委員 私はいつごろか、日が聞きたいのですけれども、その点聞けないのは、はなはだ残念です。ただ非常にずさんだということは、その点でよくわかる。大体十月五日に選挙があるということは、わかり切つている。しかもこの前の第五、第六国会、二度もこの教育委員会法改正を出しておる。その時には何も言わないで、今になつて急に出しておる、こういう点は非常にずさんだと思うのであります。その点はそのくらいにしておきます。  それでは、その次に大臣にお伺いしたいのでありますが、先日私は政府委員にお伺いした、どういうことをお伺いしたかというと、その時には地方自治庁長官も来ておられた。鈴木さんから、次の臨時国会地方公務員法を出そうと思つておるというお話があつたわけであります。それから自由党では、やはりさつき言つたような教員選挙活動を禁止する、そういうようなことをやろうということは、前々から、この国会が始まる前から新聞にも出ていたし、そのことは御承知かと聞いたら、承知である、その程度には知つておる、こういうことであつたわけであります。そこで私は聞いたのであります。つまり十月五日にかりに選挙をやるとすれば、教員はおそらく今まで通り選挙活動ができるであろう。ところが十一月十日になれば、それはおそらくできなくなるであろう、こういう見通しが立つが、その点についてはどうかと言つたら、たいへんお答えにくいようでありましたが、結局御説の通りです、こういうお答えを得たわけであります。そうしてみると、やはりそのことと、もう一つ文部省では、参議院選挙後に、選挙運動に関する調査をやつておるということ、そういう事柄を全部しんしやくして考えると、やはりこの法案が出されたことは——これはもちろん政府で出したのでありますが、政府與党とは、これはもちろん一体の関係にあるわけであります。従つて、やはり何か世間のいわゆる李下に冠をただすような、疑いを受けても、しかたがない、そういうふうに考えられるわけでございます。そしてなお国勢調査一緒にやつてはいけないということについては、いろいろと理由がありそうに見えるのでありますが、これも前例のないことであります。それからそれより以前、たとえば一月前まで繰上げ選擧はできるわけであります。九月十日なり二十日なりにそれをやつては、どうして不都合か、という点についての理由づけなどは、至つて薄弱である。こういう点をあわせて考えると、いかにもこれが一方的な、党派的な意見によつて、出された法案のように考えられるわけであります。そう考えられることは、文部省としては非常に迷惑であり、遺憾なことであるということを、この間も政府委員がおつしやつておりましたが、その点について、天野さんは一体どうお考えになりますか。そういう疑いを受けるようなことを、やはり政府はやつてよろしいと考えるかどうか、その点をちよつとお伺いしたい。
  37. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はこれは全然事務的なことだと了解して参りました。これに今野さんのような深い考えがあるなどということは、全然思い及ばずに今日に至つたわけであります。
  38. 今野武雄

    今野委員 事実私は、天野さんはその通りだと思うのであります。ところが、だんだん事柄がこうはつきりして来た。そして二、三日前から、自由党から教員選擧活動禁止に関する法案がちらちらと出たり入つたりしていた。最初教育公務員特例法が出され、その次は公職選擧法百三十七条——この百三十七条のごときは、特にはつきりしているのです。御承知でもありましようが、ともかく児童や父兄を使つて選擧をやつてはいけないというのが、百三十七条なんです。ところがそれをかえるということは、必要ないのです。それを在職中とかえるのは、何のためにかえるのか、さつぱりわからない、非常に悪意を感ずるのです。そういうものがちらちらと見えている。そういう情勢考えると、いやでもおうでも、客観的には政府與党一緒考えて、やはり何か怪しげなことをやつているというふうに見えて来るわけであります。そういうことを、私ここで申したのでございまして、おそらく天野さんも、その点よくおわかりになつたろうと思うのであります。そういう上で、しかもこういうものを強行して通過させようということには、何か不明朗なものを感じないかどうか、その点を伺いたい。
  39. 天野貞祐

    天野国務大臣 やはり人間は、今野さんもお考えのように、いつも置かれている環境で、物の考え方が非常に違つて来ますので、私は全然事務的なことと考えて、一点そういうことを考えませんでしたから、今あなたから伺つても、ただちにこれはどうだというように、いまだ考えるに至つておりません。要するに私はそういうように事務的に全部やるという考え自分はおります。
  40. 今野武雄

    今野委員 その次に、この間選擧管理委員会資料を要求しておきまして今日若干のことが出て参つたのでありますが、この十月五日に、あるいはそれ以前に、この選擧を行う場合には、ちようど一緒地方議員補欠選擧が行われるはずであります。その大体の数を調べてみたのでありますが、今までの調べでは、都道府県では一割弱の議員欠員になつている。そのときに、教員委員選擧が行われると、一緒選擧する。それから市町村においては約半数の議員欠員が出ている、そのためにその補欠選擧も行うわけでございます。これは現在の数字でありまして、今後十月までの間には、まだまだ数がふえる見込があるわけでございます。こういう選擧というものは、特にこのように、政治情勢が世界的にも非常に変転がはげしい時代には、国民の意思は、機会あるごとに聞くべきなんです。これがほんとうに民主政治を確立するゆえんだと思います。それで、こういうように公職選擧法に規定している国民の当然の権利を、十一月十日にしてしまえば、もう今度は四月選擧の六箇月以内ということに入りまして、その選擧が行われないことになつて、国民からそういう政治に積極的に参加する機会を奪うことになるわけでございます。こういう重大なことも含まれているのであります。ああいう事務的な理由というものは、国民が政治に関與する重大な機会を奪うか奪わないか、そういう政治的なものに、優先するかどうか、その点御見解を伺いたいと思います。
  41. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はどうも今野さんのように、そういうことを詳しく知らないものですから、十分それに対して、はつきりしたお答えのできないことを遺憾といたすものでございます。
  42. 今野武雄

    今野委員 私は、ただいままで非常に率直なお答えをいただいて、たいへんありがたいと思うのであります。だが同時に、やはりどんな法案でもそうでありますが、今度のこの簡單な法案の中に、一体どういう意味が含まれているかということを、十分御検討になつて、それから出されるのが当然だろうと思うのであります。そうでないと、やはりこれは氣がつかないで済まない問題が出て来るわけです。氣がつかないけれども、そうやつた結果が人殺しになつたとすれば、これは罪になるわけであります。これは人殺しという問題じやないけれども、やはり日本の民主政治を確立し、教育根本を建て直すためには、重大な問題であります。でありますから、こういうことについて、知らないからやるというのならば、これは普通の法律ならば、しばらく提出を遠慮していただいて、次の機会によく研究して出していただきたい、そうお願いしたいところであります。ところが、これは次の機会では意味がなくなるわけでありますから、従つて当然今のお答えから出て来る答えは、これは廃案にするという御決定があつてしかるべきだと思うのであります。十分政府でも検討を経ていないというふうに見えますから、当然廃案にすべきである、こういうふうに考えられるわけでありますが、その御意思がありやいなや、その点をお伺いいたします。
  43. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は、自分はこれを單に事務的なことと了解しておつたけれども、私以外にたくさんの人がいて、十分検討して、これを提出することがよいとしたものであつて、だから私はその説に従つて、これを提出してよいのだという考えであります。
  44. 今野武雄

    今野委員 そうすると、私は文部大臣を相手にしてもしようがないということになる。従つてやはり総理大臣なり官房長官なりに来ていただいて、とくと御質問したその上でなければ、承服しがたいのであります。当然今のことから、その結果が出て来るわけであります。これは私個人ばかりではない、やはり国民はそういうものに対して、十分聞きただす権利を持つているわけでございますから、どうぞそのようにおとりはからい願いたいと思います。
  45. 長野長廣

    長野委員長 今野君にちよつと申し上げます。実は官房長官におきましては、ただいま離すべからざる緊急の要件があるために、その御出席ができないという通知があります。御了承を願います。
  46. 今野武雄

    今野委員 それでは、この次の機会に讓りたいと思います。
  47. 長野長廣

    長野委員長 それでは今野君にちよつとお諮りいたします。あなたは、官房長官が見えられなければ、一應官房長官以外の質問はこれで済みましたね。——それでは小林信一君。
  48. 小林信一

    ○小林(信)委員 やはり本法案の内容といたしまして、期日を延期した点で、お伺いしたいのですが、まず第一に前の教育委員会選挙は、わが国に初めて行つたものでありまして、教育委員会なるものの趣旨を、一般国民に認識させるのに大分苦労したと思います。しかし一般の認識というものは、ごく低調でありまして、相当棄権数があつたのじやないかと思います。その点何か御調査がありましたら、お伺いしたいのですが、全国的にどんな数字になつておりましたか。
  49. 關口隆克

    ○關口政府委員 大まかに申しまして、七割の投票がありました。ほぼ三割の棄権がありました。
  50. 小林信一

    ○小林(信)委員 七割の投票としますと、一般の選挙と同じような投票率、棄権率であるわけですが、しかしこの選挙の実態から考えますと、教育委員会というものは、これは一般の人たちには、非常に認識が足らずに、無関心であつたわけです。しかし教育者がそうした無関心で投票されることは、日本の将来の教育上重大であるという点からして、相当これには援助した形があると思います。それあたりが、最近各政党等で、教育委員会まで教員諸君に占領されてしまつた、それは結局選挙法が悪いのだというような風評まで、私聞いておるのですが、実際は教員諸君教育の面で一般国民の関心を高めて、投票させなければならぬという点で協力したわけです。それが結局教育者に投票が集まつて、ある府県では、教員諸君教育委員にたくさんなつたというような結果に現われたと思うのですが、実態からすれば、すこぶる低調だと思うのです。今回もこの法案を出した政府の態度等から考えますと、私は多分にそういう危険を考えるのです。まず第一の問題としましては、十一月十日という日に決定されておるのですが、十一月十日というのは、これは全国的に非常に農繁期だと思うのです。その点について、何か考慮なさつたかどうか、それを伺いたいと思います。
  51. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今お話の十一月十日は、相当な農繁期であることは確かであります。しかしながら、いろいろな点を考えまして、ある程度忙しくても、大事な教育委員選挙は、やむを得ぬじやないかというような結論に到達して、結局十一月十日ということにいたしました。
  52. 小林信一

    ○小林(信)委員 そこが私の考えるところでは、やはり教育委員選挙に対して、文部省が非常に軽く考えておられると思うのです。もしこのまま放置して、あの農繁期に選挙をやつたら、おそらく無関心な状態で放置されてしまうのじやないかと思うのです。いろいろ教育委員会に対しては一般国民の批判もあるわけなんで、この第二回目の選挙は、政府としましても、用心してかかるべき問題だと思うのです。従つてこの時期の選定等は、愼重にやらなければいけなかつたのじやないかと思うのです。それでまず第一番目に、国勢調査があるから延ばした、これがまず第一番に軽視しておるというふうな感を一般国民に与えるし、しかもまた農繁期に持ち越したということが、またその感を深くするものではないかと思うのですが、この点私非常に遺憾に思つているところなんです。そこで今後五年目ごとに大きな国勢調査が行われるし、毎年何らかの国勢調査があるわけですが、その場合、今のような問題から考えて、政府はどう処置されるか、どういう態度を持つておられるかをお聞きしたい。
  53. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 国勢調査は大体五年おきです。従つて重複しますのは十年先になります。十年先を見通してなぜ恒久的な立法をしなかつたかということになると思いますが、それはやはりもう少し愼重にいろいろな点を考えてやつたら、十年先のことであるから、これは恒久的な立法をしなくてもいいのじやないかというので、さしあたりのこととしたわけであります。
  54. 小林信一

    ○小林(信)委員 五年目ごとに行われる国勢調査というのは、大がかりな国勢調査だと思うのですが、毎年々々何かの国勢調査があるのじやないですか。
  55. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 そういう国勢調査は、伺つておりませんです。
  56. 小林信一

    ○小林(信)委員 それでは、こういうふうに何か事務的に煩雑であるとか、弊害があるというようなことで、選挙の予定を変更したというような前例が、今までもあるのですか、これをお伺いしたいのです。
  57. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 選挙期日法律できまつているものは、あまりございません。従つてそのときは、いろいろな事情を考えてきめますので、法律選挙期日を動かすということは、あまりなかつたように思います。
  58. 小林信一

    ○小林(信)委員 今の問題からいろいろ総合しまして、十一月十日という日を変更できるかできないか。先ほどからの御答弁では、できないというふうなお話なんです。私は時期が非常にまずいと思うのですが、これに対する御意見をお伺いしたい。
  59. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 もちろん十一月十日が最良の時期とは考えません。ただ文部省からのお答えの方が適当かと存じますが、あまり遅れますと、北海道等は雪が降つて参りまして、選挙がなかなかやりにくい。しかしそれ以上早めますと、三十日前に告示をいたしますから、国勢調査調査員がまわる時期と、選挙運動を始める時期とぶつかりまして、やはり弊害がありますので、どうしても一月ぐらいの余裕を置かなければいかぬということになつて、遅らせば十一月十日でいい。繰上げた場合に支障のあることは、前々から説明を申し上げた通りであります。
  60. 小林信一

    ○小林(信)委員 それでは先ほど文部大臣の御答弁の中でちよつとお尋ねしたいことがありましたからお聞きしますが、教職員政治活動に対して、ある程度制約をすべきだという大臣の御返答でした。この制約というのは、現在政治活動にもいろいろあるわけですが、選挙活動が今問題になつている。これは大臣も一般からお聞きになられて、お考えになつておられることと思うのです。やはりそれをある程度制約の中に含まれての御返答だと思うのです。公職選挙法に、教育者の地位を利用して云々という一つの条項がりつぱに載つているわけですが、なお教員諸君が、自分教育者としての地位を利用して選挙運動をするということを一般にしない状態であつても、何かそこに弊害があるとお考えになつて、ある程度制約をしなければならぬというお考えであるかどうか、お聞きしたい。
  61. 天野貞祐

    天野国務大臣 私が申しましたのは、もつとすべてを含めて言つているのです。何らかの制限が、教育者たるがためにあろうということは、やむを得ないと言つたのです。だから、教育者の身分を利用してというようなことも、その一つに入ると思う。そういうふうにして、とにかく教育者のほんとうの使命を達成するようにするのには、どういう方法にしたらよいかということについては、いろいろな方法考えられるだろうと思うのです。でありますから、私はその出た法案について、十分検討することが必要であつて、今私がこれこれということを、あなたにお答えする用意はございません。
  62. 小林信一

    ○小林(信)委員 私もそういう前提でお聞きするのではないのです。ある程度制約とおつしやられておりましたので、これは重大な問題だと思います。おそらく教育者も、これに対しては非常に関心を持つと思います。そこで何らかの制約をしなければならぬ、こういうお考えでおられるとすれば、また反面教育上悪影響もある、こういうこともお考えになりませんかどうか。一面において利益もあるけれども、弊害もあり、損失もあると私は思うのですが、そういう点は考えないのですか。
  63. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はそうむずかしいことを言つておるのではなく、きわめて平明なことのように思つておるのです。教育者の身分に関しては、教育基本法にもある通り、そういうような制限が伴う。だからして、その精神をどの程度に盛ることがよいかどうかということは、いろいろ問題があると思うのです。それは十分に研究しなければならない、簡單にこれこれということを、今私は言えないということです。
  64. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 先日の連合審査会に、藤田委員からだつたと思いますが、教育委員選挙を施行するにあたつて、前回は三億五千万円ばかりかかつておる。今回はそれ以上であろう。それに対しての対策は、何ら考えていないという政府委員の御答弁つた。しかしこれは地方税法が今回通過するかどうか、明日になつてみなければわかりませんが、現在の地方財政において、この三億五千万円というのは、全国一万二千の市町村の一箇月の職員の俸給に相当する多額なものでありまして、これに対して文部省が何ら関心を持つておられないというのは、非常に遺憾にたえない。もしもこれが十一月に施行されることになりましたならば、これに対して、地方の財政だけにまかせずに、文部省といたされましては、何らかの対策を考えられる用意があるかどうか。本日は大臣も見えておりますから、その点お伺いしておきたい。
  65. 關口隆克

    ○關口政府委員 お答えいたします。地方自治庁の方と私の方と、事務的に相談を続けておるのであります。先日は、これこれこういうことがもうきまつたというふうに、お答えができなかつたのであります。連絡はいたしております。どうぞあしからず御了承願います。
  66. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 そうしますと、結局今の御答弁は、連絡をされて、そうして地方の財政上の負担がなるたけ軽減されるように、文部省としても善処されるというふうにお聞きいたしてよろしゆうございますか。
  67. 關口隆克

    ○關口政府委員 そういうようなことができるように、努力中でございます。
  68. 今野武雄

    今野委員 先ほど天野文部大臣は、この点について事務的なことのみと思つていた、政治的なことがあるとは思つていなかつた、大體こういうようなお話で、私どもが知つていることについて、御存じがないということであつたので、官房長官を煩わした次第でありますが、大体要点だけを申し上げますと、第一は、この十月五日に選挙をやりますと、その際に地方の補欠選挙がございます。このことを全国選挙管理委員会について調べていただいた、そうしたら、現在の欠員——これは正確な調査ではないとおつしやいましたけれども、大体都道府県においては一割弱、市町村においては約半数は欠員がある、こういうことであります。そうすると、十月までにはまだふえる見込みがある。そして十月五日あるいはその前に選挙をやれば、当然そういう選挙が行われて、この変転のはげしい今の世相の中で、国民が自分の意思をはつきりと発表し、政治に積極的に参与する機会が与えられるわけでございます。ところが、十一月十日になれば、もう四月の選挙がそれの六箇月以前ということで、これの選挙が行われないことになつてしまう。そこで私がお尋ねした一つの点は、つまり事務上の問題が、国民が政治に参与するというような重大なことに優先するのかどうか、そういう点をお伺いした、そしてお答えが得られなかつたわけであります。その点を官房長官からお答え願いたい。
  69. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 途中から参りまして、はつきり御質問の趣旨がわかりませんが、この問題につきましては、提案理由で御説明いたしました通りで、いろいろの点を彼此勘考いたしまして、国勢調査を行うのにじやまにならないように、また国勢調査一緒になつて選挙運動にならないようにということが、主眼になりまして、ほかの点では不便もあるでありましようが、しかし延ばした方が、結局のところ多少ともよい、こういう結論になりましたので、延ばしたわけであります。政治的な考慮というようなものは、何もないのであります。
  70. 今野武雄

    今野委員 それでいろいろなことを御考慮なさつた中に、自治体の補欠選挙が同時に行われる公職選挙法の建前、これはこの間きまつたばかりでまだ記憶にも新らしいところでございますが、このことは御考慮に入れなかつたかどうか、その点をお伺いいたします。
  71. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 この点も一応考慮いたしましたが、その結論は、やはり延ばした方がよろしいということになつたわけであります。
  72. 今野武雄

    今野委員 抽象的な言葉になりますけれども、さつき申したように、国民が政治に参与する積極的な機会を失つても、やはり事務上の便宜を得た方がよろしい、こういうふうに解してよろしいのでございますか。
  73. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 どうもおつしやることが、はつきりよくわかりませんが、要するに提案理由で、政府の御説明は十分してあると思いますので、その点をよく御了承願いたいと思います。
  74. 今野武雄

    今野委員 その点御回答を回避なさるように見えるのは残念であります。しかし私は次のもう一つの点に移りたいと思います。もう一つの点は、この間こういうことを事務当局質問した。それは自治庁の鈴木次長に対しては、地方公務員法が次の臨時国会——おそらく九月かそこらになるが、これに提案されるかどうか、そうしたら、提案されるということであります。それからもう一つ自由党において、この間の参議院選挙その他にかんがみて、教員政治活動を禁止する意図があるということが、新聞に出ていたけれども、そのことについて、文部省承知しておるかと言つたら、今度は文部省の關口局長は、大体新聞に出ておる程度は存じておる、こういうことであります。それからもう一つは、参議院選挙において、教員がどういうふうに活動したか、どういう選挙違反をやつたか、こういうことについて調査しておるということも、文部省から説明があつたわけであります。それらの点を総合いたしまして、それでは十月五日あるいはそれを繰上げて九月十日とか二十日とか、そういうときに選挙を行うならば、選挙告示はずつと前になりますから、従つて教員政治活動は今まで通りでよろしいことになる。ところが十一月十日になれば、おそらくはその前に選挙活動ができなくなるであろうが、そういうふうに承知してよろしいか、こういうふうに御質問したところが、お話通りですという答えを得たわけでございます。そうすると、その点について、官房長官もやはりそういうふうにお考えになるかどうか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  75. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 この選挙期日を延ばしましたのは、たびたび御説明しました通り、何ら政治的の意図はないのでありますから、延ばしておいて、その間に教員政治活動禁止の法案を出そうというような下心があつてつたわけではないのであります。但し、私も政府の者ではありますが、同時に自由党の党員であります。党の政策がどうきまりますかによりましては、その党の政策を忠実に履行することが私の建前であります。党でいかように決定されますかは、まだわかつておりません。
  76. 今野武雄

    今野委員 主観的に、そういうおつもりがあつたかどうかということではなくて、客観的にそうなるということです。政府の答えに二つの異なる答えがあろうとは私は思いませんけれども、客観的にそういうふうになる見通しがあるということについて、御承知なさるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
  77. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 それはただいま申しました通り、今のところは、そういう意図でやつておるわけではないのであります。同時に、党の方で決定されることがどうなるかによりましては、これは将来のことでわかりません。
  78. 今野武雄

    今野委員 大体それでよろしいのでありますが、そうすると、客観的には、そういうことを最近の自由党から出すというふうに、新聞にも出ていたし、それから仮提出にもたびたびなつておりますが、教員政治活動に関することは、大体自由党の意図として、世間でも了承して来ておるようであります。そういう事柄と結び合せて考えたときに、やはりこの法案をこのままの形で出すことは、世間でいわゆる梨下の冠、瓜田のくつといいますか、そういうことわざに當てはまるような不明朗なことになりはしないか、こういうことを私どもはおそれるわけであります。その点でやはり政府として、事務上の若干の不便はあつても、これは撤回なさる意思はないかどうか、お伺いしたいのであります。
  79. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 政府は全然妙な意図を持つて出したわけではありませんから、これを撤回する意思はありません。
  80. 長野長廣

    長野委員長 他に御質疑はございませんか。——御質議がなければ、質疑はこれにて終了するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑はこれにて終了いたしました。  これより討論に入ります。岡延右エ門君。
  82. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 私は昭和二十五年における教育委員会委員定例選挙期日特例等に関する法律案につきまして、自由党を代表いたしまして賛成の意を表せんとするものであります。  この法案は、きわめて簡單でありまして、教育委員選挙を一箇月延ばすという、この提案理由の説明の中にあります通り、条理を尽した、延ばすことの必要を痛切に感ぜられる底の法案であります。私はこの意味におきまして、この法案に対し自由党を代表いたしまして賛成の意を表します。もしそれ、先ほどから問題になつておりまする教職員選挙運動禁止云々の問題は、かりに自由党がその法案提出したという架空の事実——これは現在仮提出になつておりません。その事実をとらえて、いろいろ質疑というよりは、討論に近い論議がありました。おそらく他の政党ではこの問題を云々するでありましようが、私はこの問題はそのときに論議すべきであつて、現在これに触れることは、妥当でないと考えますがゆえに、これには一切触れないことにいたします。  以上をもつて私の賛成理由といたします。
  83. 長野長廣

    長野委員長 小林信一君。
  84. 小林信一

    ○小林(信)委員 国民民主党は本案に対しまして、根本的には賛成であります。しかしこの法案の提案の理由、あるいは提案の時期というようなものから考えまして、一応この際教育委員会なるものに対する政府見解を確立していただきたいということを申し上げて、賛成するものであります。  先ほど質疑にもありましたように、ただいまの時期になつて、十月五日の選挙を十一月十日に延期するというような、足元から鳥が飛び立つような法案提出することは、政府選挙に対して、きわめて忠実でないということが言えると思います。やはり第七国会あたりで、相当に用意さるべきものであつたことは、だれが聞いてもうなずけるところでありまして、こういう点から、とかく教育行政が一般行政から取残されるという点は、文部省としましても、相当考えなければならぬ点だと思います。さらに、いろいろな問題から十一月十日に繰下げられたわけでありますが、十一月十日は、先ほども私が申しましたように、地方は農繁期であります。私の縣あたりは、最もその最中でありまして、おそらく相当な棄権が予想されるのでありますが、現在の教育委員会の使命と教育委員会のあり方とを考えますときに、もつと一般国民の関心を高めて、いよいよ国民の総力によつて教育委員会の構成を確立しなければならぬという大事なときだと私は思います。しかも第一回の選挙におきましては、相当批判すべき事項が多々あつたのでありまして、この際第二回の選挙を行うにあたつては、愼重な態度が必要である。さらに次期の教育委員会選挙考えますときに、各地方に、一応町村に教育委員会を設置するという今の予定である以上、この際教育委員会選挙が最も重大な時期ではないかと考えるのでありますが、いろいろな煩雑あるいは多忙というような点から繰下げられて、しかも農繁期に持込まれておるとするならば、一般国民が教育委員会選挙にいかなる態度をとるかという点を考えまして、もつとあらゆるものの行事あるいは予定から優先して、この選挙の日程を決定すべきである。しかもこれをもつと早期に決定すべきであるという点から、私はこれに注文をつけるわけであります。先ほど来から、教職員選挙運動禁止の問題等のことが、これに対していろいろと予想されたことは、政府の責任と私考えるのであります。  もう一つ私が臆測を申し上げるならば、教育委員会に対する各政党の態度というものが、前の教育委員選挙のときに、きわめてこれに無関心であつたために、今度の選挙においては、われわれ政党は、ぜひとも議席を獲得しなければならぬという考えを持つておると思います。従つて、もしこれを十月五日に実施するならば、ちようど国会の開会中である。その時期にもし行うとするならば、そういう考えを持つておる政党の幹部諸君が地方に出て、自分たちの党勢を教育委員会の中に拡張して行くことができないというような点も考慮して、十一月十日に延ばされたのだと推測せられてもやむを得ないと思う。もつと政府はこの問題に対して愼重に、もつと早期にこの問題を解決しておくべきだという点を私つけ加えまして、わが党の賛成意見を申し上げます。
  85. 長野長廣

  86. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本法案に反対の討論をいたします。  その第一の理由は、この選挙を一箇月延期する結果は、教育委員の職務執行と教育行政との間に、空洞が生ずるのでありまして、かようなことは、最もわれわれは愼まなければならない。ことにわれわれとしましては、教育委員選挙に、非常なる関心を持ち、日本の将来の教育の発展によつて、第二の国民の養成に対して、非常なる関心を持つ者としまして、かような空洞を生ずるということについて、非常に遺憾にたえないのであります。  第二の理由は、国勢調査教育委員選挙が同時であるから、教育委員選挙を延ばして、そうして国勢調査を実施するというのであります。いずれも国家の行事であるから、これを重視しなければならないのであります。しかしながら、五年に一ぺんしか行わないところの国勢調査規定通りに行いまして、重大なる教育委員選挙を延ばすというのはこの教育委員選挙を軽視するものである。法の建前からいたしまして、反対を申すものであります。  第三の理由は、先ほど岡崎官房長官も見えまして、提案理由を詳しく説明された。もちろん各法律案に対する提案理由よりも、この提案理由は非常に詳しくできておるのであります。詳しくできておるから、われわれはかえつて反対にこれを重視するものであります。というのは、この理由に掲げてありまする数項の項目は、單なる申訳的のものでありまして、われわれはかような形式上表面的なものについて惑わされることなく、真にこの法の根本考えなければならぬ。しかして法の根本考え、その上に法の運用考えなければならないのであります。私は、この法案は、單に形式上、一箇月選挙を延ばすだけにすぎないという簡單な理由でありまするが、この点について重大なる関心を持つておるのであります。それはこの法案参議院を通過いたしますまでは、さほど客観情勢——この教員政治活動に対しての客観情勢は、あることはありましたが、そう大した問題ではなかつたのであります。しかしながら、わずか二、三日のうちに、この客観情勢は非常に変化して参つたのであります。すなわち岡委員は、何らそういうことはないと申されまするが、われわれが調査するところによると、公職選挙法改正自由党の手によつて行われんとしておるのであります。そうして、教員政治活動を彈圧せんとしておるのであります。私はこの教育委員選挙こそ、真に教職員が率先してその選挙に当つてこそ、初めてりつぱな教育委員ができると思うのであります。自由党の諸氏は、あの第二次吉田内閣におきましては、大選挙区を中選挙区に変更いたしたのであります。しかしながら、その結果は社会党が第一党になつたのであります。かように自由党の諸君は、まつたく党利党略によつて、神聖なる法を悪用しておるのであつて法をもてあそぶもはなはだしいと思います。かように考えて参りますると、この一箇月の延期というものは、その裏にひそみますところの重大な問題がある。その重大な問題は、真に敗戰後におけるところの日本の教育を、戰時中のよらしむべし、知らしむべからずという教育に逆もどりする傾向にあるということを、私はここに断言してはばからないのであります。もしも岡崎官房長官が言われたように、この一箇月延びた結果が、自由党から出されましたところの教職員政治活動の彈圧の用に供せられなかつたならば、私は全国の教職員のために、また国民のために幸いといたすものであります。もしもかような結果にならなかつたならば、国家のために幸福であるのであります。  私はかようにならぬことをこいねがい、ここにこの三つの理由によりまして、本法案に対して反対いたすものであります。
  87. 長野長廣

    長野委員長 今野武雄君。
  88. 今野武雄

    今野委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本法案に対しまして、反対の意を表明せんとするものであります。  この法案は、非常に簡單な、事務的な法案のように見えます。しかしながら、この時間を延ばすとか縮めるとかいうことは、やはりその間にどういうことが行われるかという、そのことと関連して考えなければ、その中身を考えなければ、とてもこれはわかるものじやないわけです。それでその中身をよく考えてみると、どうも一箇月余期間を延ばすという理由が、あまりにも薄弱であることがわかるわけであります。教育委員選挙という重要なことを、事務的な理由によつて延ばすということは、よほどの理由がなければいけない。それからまた選挙法には繰上げ選挙というものがある。しかしながら、そういう繰上げ選挙という制度があるにもかかわらず、それをどうして利用しないか。その理由に至つては、国勢調査の予備調査があるとか、あるいは選挙人名簿がどうのこうのということが言つてありますけれども、しかしそれだけでは、この法律を利用しない理由としてはまつたく薄弱であります。  そうして第二に、さつきの文部省政府委員の話でも、とにかく第七国会でもつて教育委員会法改正をやつたときには。このことがはつきりしていなかつた。そして公職選挙法改正があつた後にはつきりしたというのでありますが、公職選挙法つて、やはり第七国会です。そのときには、あそこへ成案となつて出て来るときには、もうすでにいろいろな話がわかつていたはずであります。従つてさきの第七国会において教育委員会法改正をやつた時に、このことが予想できなかつたということは、何かやはり單なる言い訳にすぎないと言うよりしようがない。そうしてみると、その後における事態によつて、こういうふうなことが強行されるに至つた、こう見るよりしかたがないわけであります。  その後の事態と申しますと、一番大きな客観的な事実は、参議院選挙があつたことである。そうしてこの参議院選挙でもつて教員組合が相当社会党の公認として進出した。そういうようなことについて、自由党では、これじやいけないということで、教員選挙運動を何とか制限しなければならぬ、こういう意図があることは、新聞にも報じられ、そしてそれを裏づけるがごとく、政府では文部省をしてその事実をいろいろ調査せしめたわけであります。こういうようなことと並んで考えなければ、この法案ができた理由がはつきりしないのです。そうして今国会では、ことによると地方公務員法も出るかと思われていたのでありますが、やはり地方税法の関係なんかでとうとう出されないで、次の国会に延ばされ、それもおそらくは九月ごろに行われるだろう、こういうことがわかつている。それから自由党地方公務員法にもかかわらず、やはり教員政治活動制限しよう、こういうような意図は今までにもはつきりと出て来ている。そういうこととあわせ考えると明らかなように、十月五日に選挙をやるならば、教員はまた再び選挙活動を盛んにやるであろう、十一月十日ぐらいまで延ばしておけば、それができなくなる。その点をねらつたと言われても、どうにもしかたがないのであります。客観的にそう意義づけられるわけであります。従つてこの法案の一番大きなねらいは、自由党吉田内閣が——今盛んにやつておられます警察の予備隊の件もそうであります。たとえば昨日のごときは、新聞通信社関係の記者を首切るというようなこともどんどんやつておる。
  89. 長野長廣

    長野委員長 今野君、御発言をなるべく穏やかに行くようにひとつ御考慮を願います。
  90. 今野武雄

    今野委員 そればかりでではなくして、もう一つ問題がある。それが十月五日に選挙をやるならば、そのときに公職選挙法によつて地方議会補欠選挙も行われるわけでございます。その数はどのくらいになるか、これは十月五日にならなければわかりませんが、しかし全國選挙管理委員会のざつとした調べによりますれば、都道府県においては、現在のところ一割弱の欠員がある。それから市町村においては約半数の欠員があるわけでございますが、そういうものが選挙される。ところが御承知通り、現在世の中の変化が非常にはげしい時代である。機会がありさえすれば、国民の意思を投票によつて問うということが、非常に必要な時期でございます。こういうような時期に、やはり十月五日にもし選挙が行われますれば、ついでに国民の意思を十分地方選挙によつて表明する機会が与えられるわけであります。ところが十一月十日になりますれば、これは四月選挙の半年前以内ということになります、だからこれは選挙が行われないことになるわけであります。そうすると当然これは事務的な理由によつて、それに優先すると考えられるような国民の政治上の権利を破棄するような、そういう結果になるわけでございます。この点も、官房長官はお考えなつた上でやつたというのでありますが、私どもとしましては、考えた上でこういう結論が出るというのは、まつたく承服しがたいのであります。  こういう点を総合しまして、私どもとしては、結局この法案が国民の政治的権利を奪う法案である、時間の延長という、ほんのちよつとしたことのように考えられるのでありますが、国民の政治的権利を奪う、特に教員の権利を奪う、憲法に違反する法律にもなりかねない。この法案自身では、そうならないのですけれども、その一部とも考えられる。こういう意味で、私どもはこれに不賛成を唱えるものであります。
  91. 長野長廣

    長野委員長 ただいまの今野君の発言中、穏やかでない語句があつたかのように感じました。よく速記録を調査いたしました上で、委員長においてしかるべく処理いたします。  これにて討論は終局いたしました。  昭和二十五年における教育委員会委員定例選挙期日特例等に関する法律案について採決いたします。原案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  92. 長野長廣

    長野委員長 起立多数。よつて原案の通り可決せられました。  なお報告書の提出につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 長野長廣

    長野委員長 それではさよう決します。  本日はこれにて散会いたします。明三十日は午前十一時より開会し、請願及び陳情等の審査を終了したいと存じます。なお明後日は閉会中の審査案件の御審議、御決定を願い、これに伴う委員派遣の承認申請を御決定願いたいと存じます。     午後五時三十五分散会