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坂本(泰)
委員 私は日本
社会党を代表いたしまして、本
法案に反対の討論をいたします。
その第一の理由は、この
選挙を一箇月延期する結果は、
教育委員の職務執行と
教育行政との間に、空洞が生ずるのでありまして、かようなことは、最もわれわれは愼まなければならない。ことにわれわれとしましては、
教育委員の
選挙に、非常なる関心を持ち、日本の将来の
教育の発展によ
つて、第二の国民の養成に対して、非常なる関心を持つ者としまして、かような空洞を生ずるということについて、非常に遺憾にたえないのであります。
第二の理由は、
国勢調査と
教育委員の
選挙が同時であるから、
教育委員の
選挙を延ばして、そうして
国勢調査を実施するというのであります。いずれも国家の行事であるから、これを重視しなければならないのであります。しかしながら、五年に一ぺんしか行わないところの
国勢調査を
規定通りに行いまして、重大なる
教育委員の
選挙を延ばすというのはこの
教育委員選挙を軽視するものである。法の建前からいたしまして、反対を申すものであります。
第三の理由は、
先ほど岡崎官房
長官も見えまして、提案理由を詳しく説明された。もちろん各
法律案に対する提案理由よりも、この提案理由は非常に詳しくできておるのであります。詳しくできておるから、われわれはかえ
つて反対にこれを重視するものであります。というのは、この理由に掲げてありまする数項の項目は、單なる申訳的のものでありまして、われわれはかような形式上表面的なものについて惑わされることなく、真にこの法の
根本を
考えなければならぬ。しかして法の
根本を
考え、その上に法の
運用を
考えなければならないのであります。私は、この
法案は、單に形式上、一箇月
選挙を延ばすだけにすぎないという簡單な理由でありまするが、この点について重大なる関心を持
つておるのであります。それはこの
法案が
参議院を通過いたしますまでは、さほど客観
情勢が
——この
教員の
政治活動に対しての客観
情勢は、あることはありましたが、そう大した問題ではなか
つたのであります。しかしながら、わずか二、三日のうちに、この客観
情勢は非常に変化して参
つたのであります。すなわち岡
委員は、何らそういうことはないと申されまするが、われわれが
調査するところによると、
公職選挙法の
改正が
自由党の手によ
つて行われんとしておるのであります。そうして、
教員の
政治活動を彈圧せんとしておるのであります。私はこの
教育委員の
選挙こそ、真に教
職員が率先してその
選挙に当
つてこそ、初めて
りつぱな教育委員ができると思うのであります。
自由党の諸氏は、あの第二次吉田内閣におきましては、大
選挙区を中
選挙区に変更いたしたのであります。しかしながら、その結果は
社会党が第一党にな
つたのであります。かように
自由党の諸君は、ま
つたく党利党略によ
つて、神聖なる法を悪用しておるのであ
つて法をもてあそぶもはなはだしいと思います。かように
考えて参りますると、この一箇月の延期というものは、その裏にひそみますところの重大な問題がある。その重大な問題は、真に敗戰後におけるところの日本の
教育を、戰時中のよらしむべし、知らしむべからずという
教育に逆もどりする傾向にあるということを、私はここに断言してはばからないのであります。もしも岡崎官房
長官が言われたように、この一箇月延びた結果が、
自由党から出されましたところの教
職員の
政治活動の彈圧の用に供せられなか
つたならば、私は全国の教
職員のために、また国民のために幸いといたすものであります。もしもかような結果にならなか
つたならば、国家のために幸福であるのであります。
私はかようにならぬことをこいねがい、ここにこの三つの理由によりまして、本
法案に対して反対いたすものであります。