運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-28 第8回国会 衆議院 文部委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 小西 英雄君    理事 圓谷 光衞君 理事 小林 信一君       佐藤 重遠君    高木  章君       若林 義孝君    井出一太郎君       笹森 順造君    坂本 泰良君       今野 武雄君    浦口 鉄男君  出席政府委員         文部政務次官  水谷  昇君         文部事務官         (官房総務課         長)      森田  孝君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     辻田  力君         文部事務官         (大学学術局         長)      稲田 清助君         文部事務官         (調査普及局         長)      關口 隆克君  委員外出席者         文部事務次官  劔木 亨弘君         文部事務官         (初等中等教育         局庶務課長)  内藤譽三郎君         文部事務官         (初等中等教育         局保健課長)  新井 英夫君         文部事務官         (調査普及局地         方連絡課長)  相良 惟一君         專  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 七月二十七日  昭和二十五年における教育委員会委員の定例  選挙の期日の特例等に関する法律案内閣提出  第五号)(参議院送付) 同月二十六日  国立長崎大学夜間部設置に関する請願岡延  右エ門君外五名紹介)(第六九〇号)  熊本大学夜間大学設置請願原田雪松君外  九名紹介)(第七四〇号)  針道村中学校等校舎建設費国庫補助に関する請  願(大内一郎紹介)(第七四六号)  昭和二十六年度教科書製造資金融資に関する請  願(坂田道太紹介)(第七九一号) の審査を本委員会に付託された。 同日  社会教育主事設置に関する陳情書  (第一七九  号)  六・三制校舎整備費増額陳情書外一件  (第一八〇号)  標準義務教育費確保に関する法律制定陳情書  外一件  (第一八一号)  標準義務教育費確保に関する法律制定反対の陳  情書(第一九  一号)  東北、北海道の中学校屋内体操場建設費国庫補  助の陳情書  (第一九二  号)  標準義務教育費確保に関する法律制定陳情書  (第一九三号)  六・三制校舎整備費に対する国庫補助継続の陳  情書  (第一九四号) 同月二十七日  六・三制校舎整備費に対する国庫補助継続の陳  情書  (第二四四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  文部行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 長野長廣

    長野委員長 ただいまより会議を開きます。  文部行政に関する件を議題とし、司会に引続き質疑を続行いたします。  この際委員各位に御了解を願いたいことがございます。御承知のごとく今期も余すところ少くなりましたので、文部行政に関する御質疑は、できるだけ各委員均等にいたしたいと存じます。従いまして時間を一人二十分までぐらいにお願いいたしたいと存じますので御了解を願います。  それでは質疑を許します。笹森君。
  3. 笹森順造

    笹森委員 実は大臣のお見えになつたときの方がよいと思いましたが、時間の倹約の関係もありますので、この際できるだけの御答弁願つて、必要があればまた大臣のその点に関する御答弁をお願いすることといたしまして、質問をいたします。新しい学制が実施せられまして後に、特に深い関係を持ちます保健体育教育に関する問題であります。  まず第一にお尋ねしたいことは、新学制新制大学その他において実施せられました後におけるこの保健体育教育実情が満足的な状況に進んでおるかどうか、一応文部当局のそれに対する御判断をまず概括的にお尋ね申し上げます。
  4. 長野長廣

    長野委員長 ここに担当政府委員が見えていないそうです。
  5. 笹森順造

    笹森委員 それでは概括的質問に対するお答えは、政務次官でいいと思いますが、私の質問がどういう意味お尋ねするかということを申し上げると、政務次官で御答弁いただけると思いますが、そう申しまするのは、戦後特に学生青年健康状況が非常に憂うべき状態になつておることは、御承知通りであります。信ずべき統計の示すところによりますると、現在の成年に達します者、あるいはそれ以下の者の身体の発達の状況は、日本の国が戦前上昇して参りました以前の状況まで逆もどりしたということを、言われておるのであります。さらにまた学生の中に非常に疾病が多い。たとえば大学生の胸部疾患は、米国大学胸部疾患に比較すると、二十倍になつているということが言われる。あるいはまた学校の教職員並びに学生生徒の寄生虫の保有者は八〇%に及んでいるという、その他いろいろこの保健体育上に憂うべき状況がたくさん出てきておるように考えられます。特に文部省においても、この点に関しましては、重大な関心をお持ちになつて、それぞれその部門において適切なる行政に関するお考えをお持ちであろうと思いますので、細部の枝術的な面については、その方にお返事をお願いしたいと思うのでありますが、概括的に申し上げまするならば、日本の国がこの戦争軍隊を有しない国となりまして——過去においては大多数の壮丁が軍隊生活をいたしまして、ここにおいて相当鍛錬が与えられまして、一生を通してのその人間の活動すべき礎石となりまする体格体力等が、相当養われておつたことを私ども見るのであります。しかるに今日におきましては、そういう状況がまつたくないというときに、日本国民の将来が、非常に憂えられる点がたくさんあると思います。この点において保健体育というものが考えられなければならない。特に新制大学その他におきましては、保健体育科というものが、必要なる学科課程の中に導入せられまして、このことが実施せられておることは、御承知通りであります。しかるにもかかわらず今日この保健体育に関しますよい指導者を持つだけの準備を、日本が持つていない。特に米国等におきましても、この保健体育に関する指導の仕方は、割合に新らしい学科課程でありますために、十分なる指導者を、あの国においてもあるいは持つていないかのごとき状況にあるように考えられます。昨日もお話があつたのでありますが、戦後における新しい学科課程に対する指導準備なしに、日本の国がその方向に進んだということから、いろいろな支障を来しておるように見えるのであります。こういう意味で、この指導家養成ということが、非常に必要であります。     〔委員長退席小林委員長代理着席〕 特に保健体育の面における指導者養成ということが、文部当局においても重大な関心事でなければならぬということを考えます。こういう意味で、この保健体育に関する指導者養成等について、政務次官でもけつこうでありまするから、大体のこの方面に対する抱負なり御結論なりを、一応概括的でよろしゆうございますから、お伺いしておきたいと思うのであります。
  6. 水谷昇

    水谷政府委員 笹森委員保健体育に関する御意見は、私も同感でございます。ところが私はまだ政務次官に就任いたしまして、その辺十分調査研究をしておりませんので、いずれ資料を整えましてお答えをすることにいたしますが、ここに係官がおりますから、係官からお答えのできる範囲の点をお答えいたしたいと思います。
  7. 關口隆克

    関口政府委員 私の存じておることにつきましてだけ申し上げます。  子供保健体育の方につきまして、それからまたずつと上の大学の方につきましてお話のございました点は、お話通りでございます。なお小さい子供たち保健関係につきまして、最近私どもの方で特に力を入れましたことは、学校給食がございます。これもいろいろの論議がございますが、一方ではカロリーの絶対量の問題、一方では食品の種類の問題、なお偏食栄養の改善という方面から見まして非常に熱心な主張もあり、かたがた関係方面の非常な御援助もありまして、だんだんと内容が充実して参りまして、御承知のように、このごろでは大きな市はほとんど完全給食になりつつございます。初めは施設準備等が不十分でございまして、いろいろ論議がございましたが、最近ではその方面のことも改善されて参りまして、かなり評判もよくなつて来つつあります。この勢いでやり方によほど気をつけてやりましたならば、おそらく保健衛生上に相当の効果をあげることができるのではないかということが言われておるようでございます。  なおまた、大学の方で担当いたしております事柄の一つに、正科の中に取入れられたというお話がございましたが、従来大学では体育は御承知のように、学生生徒校友会活動の方にまかされておりましたが、新しい大学ではこれが正科になつたのでございます。しかしお話のように、大学体育指導者養成ということは、従来ございませんでしたので、各大学でも非常に困りまして、御承知のように、いろいろのワークシヨツプとか、あるいは講習会とか、研究会とかいうものが非常に盛んに行われまして、ある程度の先生確保もやつとできつつございます。私も最近まで実はアイフエルという言葉で呼んでおりますが、二年間ほど教育指導者のためのある種の講習会をやつてつたのでありますが、その中でも体育の特別のワークシヨツプというものを計画してやりました。それは大学方面の人も、中学、初等の人も入つて計画的にやりましたが、非常に熱心にそれぞれ御研究になりまして、その研究成果はまたお互いにわけ合うというような方向をとつてつて参りましたが、何分にも手が足りません。ただしかし体育方面は、また一つの別なやり方も考えられますので、去年の夏でしたか、ちようど京都大学でやつておるときには、三高の授業を参観したのでありますが、たとえば競技の時間なんかでも、先生はずいぶん少いのですが、生徒もそれぞれの希望に応じていろいろ指導的地位につきまして、お互い助け合つて、たいへんよい時間を展開しておるのを見受けたのであります。こういうぐあいにして、少い指導者ですが、その指導者中心にして助け合つて、かなりよい授業の態勢をつくりつつあるところも見受けられました。私の直接今仕事の上で関係のないことなので、十分なお答えはできないのでございますが、私に関係のある部分についてだけ、簡単でございますが御説明申し上げました。
  8. 笹森順造

    笹森委員 これはただいまのお話で、非常に努力をなさつておることはお察しができるのであります。ただこれから先に、文部行政の大きな重点を置いていただかなければならぬ点であるから、お尋ねを申し上げるのであります。いろいろと特別講習において、逐次必要に応ずるような方法としての努力をなされていることはわかりますが、しかし今お話がありましたように、新制大学においては正科として、これがすべての学生要求せられておるのでありまするがゆえに、大学、特に新制大学等において相当有力な指導者なしには、学生は満足しきれないのであります。そうしてこの大学教授たる資格は、大体すべての学科において学位を有する者が、その中心指導者でなければならぬことの要求があるのであります。しかるところ、今日まで医学博士はあるかもしらぬ、理学博士はあるかもしらぬ、教育学方面からの文学博士はあるかもしらぬと思いますが、保健体育というものを専門に学んだ指導者というものが、まつたくわが国においては欠けている実情なのであります。この観点に立ちまして、文部当局におかれては、いかにして充足をすべきかということは、これはその部面を取扱つております方の責任ではなくて、文部行政の根本的な問題であるがゆえに、大臣なり次官なりからその抱負を実は承りたいと思つたわけであります。つまり今までこの体育というものは、どちらかというと軽視せられておつたという感じがある。体操先生というと、普通の学究的な権威を持たないかのごとき偏見があり、誤解があつたようであります。この意味において、この新しい必須科目となりました保健体育に対する尊重のしかたなり、あるいはまた今後の養成の方途なりについての心組 みを伺つて、そうして今どういうことをやつているか、一時的な講習学生とともにいろいろと努力しているというお話で、これもけつこうなことでありますが、もつと根本的な方法について、何を考えてこれから何をしようとなされているか、現在その方向に向つてやりつつあるものがあるならば、何であるかということを実はお尋ね申し上げている次第であります。
  9. 關口隆克

    関口政府委員 実はその方は私の所管でないので、不十分だと思いますが、知つていることだけお答え申し上げます。東京教育大学体育学部というものができました。これは従来の東京高等師範体育学科文理科大学にありました教育学科、その他の先生方からピツク・アツプして、従来ありました東京体育専門学校——これも国立でありますが、その先生が広く社会一般先生方を集めまして組織した東京教育大学の中の体育学部というものができ上りまして、せつかく充実をしているところでございます。それから東京大学、前の東京帝国大学、これは教育学部がやつと独立いたしました。東京大学教育学部の中に、まだ今年はできておりませんけれども体育講座をやつております。もつとも御承知のように体育に関連ある学科といたしましては、医学部もございます。それから教育学部心理学等もございますので、関連の学科はたくさんあるのでございますけれども、直接に体育そのもの中心として、まず先生養成するということを当面の目標にしておるものとしては、その二つが今計画されておるわけで、すでに始まりつつあるということは申し上げられます。不十分かと思いますが、私の知つておる範囲お答えいたします。
  10. 笹森順造

    笹森委員 そのことで、もし御承知なら、もう一つお尋ねしておきたいのでありますが、先ほど申し上げましたように、この保健体育ということが非常に重要視せられ、またこの学問自体がユニークな一つのものであつて、決して医学の一部門でもなければ、生物学の一部門でもないという点からこそ、新しい学科なつたということは、皆さんの了解しておるところと思いますが、それだけの重点が置かれていない、置こうとしても置くことのできないのが、日本の現状であると思われますので、ただいまのお話東京大学教育学部に、特に体育に関する講座をお設けになつているということでございますが、係の方がおいでにならなければお尋ねするわけにも行きませんけれども、つまり日本において今大学が幾つあるか、この大学において必要な学科の時間がどれだけあるか、これに真に大学指導者として、実際にその地方に行つてもらつて指導し得る計画がどれくらいあるか、これは非常に手遅れであり、手遅れになつておるような実感もありますので、その点について、少くとも国立大学において要求を充足し得る措置を、国立大学指導養成機関において、はつきりしたものを持つていなければならない、その用意がないのじやないかということでお尋ねするわけであります。もし用意があるとするならばどういう用意があり、また予算化する必要等もありますので、そこまで行かなければほんとうにいい指導者ができない、あるいは先ほども申し上げましたように、教育専門の人、あるいは生物学医学専門の人、あるいは理学専門の人などがあつて、それぞれ関連したものはありましようけれども、それ自体が独立した一つの存在として権威が確立していない今日、多くの学者が依然として体育に関する権威を認めておるところまで来ておらなかつたといううらみがありますので、これに対する重点的な意味文部行政格心を伺いたいと思つたのであります。つきましては、その問題を今ここで申し上げてもしかたがないのですから、いずれ関係の方がおいでなつた場合に、資料を提供して、その用意のあるところを御提示願いたいと思うのであります。
  11. 劔木亨弘

    劔木説明員 今のお尋ねに対しまして、実は満足なお答えができませんことは残念だと思いますが、新制大学は、御承知のように四単位体育が入つたわけであります。そのうちで理論体育が二単位、実科が二単位、こういうわけで新しい課程としての体育が加えられたのでありますが、実情におきましては、実際大学において体育というのは、いかなる教授方法をもつてやるかということも、実は新制大学の発足いたしました当時におきましては、ほとんど決定いたしておりませんでした。それで各体育担当官がしばしばこれに対しまして研究の集会を持ちまして、四年間にやるべき体育課程を、大体今日におきましては一応研究の結果出したのであります。その結果体育の教員の養成ということを、同時に計画しなければならぬのでありますが、今お話のございましたように、現在と将来に対する養成の数的もしくはその機関計画というものは、今これに関しまして全力を注いで計画を樹立しつつあるのでありまして、今日まだ明確にこういう計画でやりますということをお答えできないのは残念でございます。  なおこれに関連しまして、実は新制大学におきまして、まず大学高等専門学校におきましてはほとんど体育というのは、単に学友会とか学生活動方面におきまして一応スポーツ的な活動はあつたのでありますが、学校体育としては取入れていませんでした。これを学校体育に取入れて行くためには、いろいろ今までのような、単に学校の一部分の人が選手的な状態におきましてスポーツをやるということでなしに、全学生が何らかのスポーツなり体育をやつて行くということには、大学設備そのものが非常に不完全でございます。これもまたぜひ学校体育をするに必要な設備を立てなければならぬというので、大学設備基準につきましても十分研究をいたしまして、一応の成果を得ておるのでありますが、それに対して充実して行くということに努力して参りたいと思います。  なお、その他の学生生活その他に関連いたしまして、やはり青年一つのよりどころを与えるという意味から行きましても、ぜひ全部の学生ほんとう体育に入つて行くことのできるようなことを、施設としてやつて行かなければならないというので、体育につきましては、できるだけの努力をして行こうと考えておる次第であります。
  12. 笹森順造

    笹森委員 ただいまの次官お答えで、方法が大体示されたと思うのでありますが、ついてはただいまお話されましたことで、なお一、二お尋ねしておきたいことがあります。新制大学等において必修の学科課程においての保健体育の面に、理論面技術面とがあるというお話があつたのでありますが、特に今私の考えます点は、この二つのものがまつた一つにならなければならないと思うのであります。つきましては、この指導者の面において、理論的な面の学問指導する人は、日本の国で必ずしも不十分とは言い得ない。むろんこの方面においては、新しい理解が必要でありましようが、技術の面における指導者がまことに少いので、今後養成して行かなければならぬ。しかして将来指導者として、たとえばこの面に向つて博士号を出すということにもなるでありましようが、この理論を充実して、そういう学位の点などに対する計画、すなわちアンダー・グラデユエートでなく、ポスト・グラデユエートにおける保健体育のことに関して、新しい大学ができたばかりで、まだそこまで用意がないということならば、将来のことでもけつこうでございますが、それに対する構想を伺つておきたいと思います。  それからその次に、今お話がありましたことで、これはぜひ必要なことだと思つて、私ども次官がそういうお気持であることには、同意を表明するのでありますが、従来の専門学校大学における体育は、いわゆるスポーツとして、競技として、学校の名誉となり、チームの名誉となり、あるいはまたその監督者の名誉となるということに非常に重点を置いて、学生犠牲にせられる。国際的な、国内的な名声を、博することに、あまりに狂奔するために、学生自体の立場が失われるということが、今日においても見る現象なのであります。私ども今日国際的な大会が行われて、日本が優勝することに喜びを感ずることは、申し上げるまでもありません。しかしながら、それがために、純真なる学生としての成績がはなはだ不首尾であるという実例をたくさん見る。また過去において、単に学校成績が悪いばかりではなく、道義的にも擯斥すべき者が、この選手の中にあつたということは、間々見聞するのであります。これでは保健体育大学において実施せられたものの、主客転倒であろうという感じがする。この点に向つて次官が、これは特に選手を養うということよりも、全学生が喜んでその体育に従うという面に力を置こうというのは、もつともなことで、これはぜひやつていただかなければならない。そしてまたその弊害を除くことをしていただかなければならないのであります。つきましては、結局それは学校設備なしにできない。今日グラウンドも十分にない、フイールドも十分にできてない、あるいはまたいろいろな運動競技に使うボールなども学生要求するだけのものがほとんどできておらぬといううらみがあるのであります。戦争前、戦争中には、教練体練という軍隊式のものがあつたが、これがなくなつたので、今日これにかわるべきものとして体育をやらなければならぬという点に、実は一番先に私がお尋ね申し上げた趣意があるのであります。日本民族が、将来喜んで体育スポーツに進むように、これを進めて行かなければならぬと思うのであります。ところでもう一つさつきお尋ねしたことに加えてお尋ねしておきたいことは、必須科目としてやるべき体育体練というものと、それから科外においてやるべき体育というものとの兼ね合せ、これらの指導について、一体どういう御見解を持つておいでなさるか、ここではつきりしていただくのでなければ、またこれが妙な間違つた方向へ行くことを恐れるのであります。結局、学校体育の目的は、学生個人利益のためでなければならぬ。この学生利益学校のために犠牲にせられ、他のために犠牲にせられない、民主的なものでなければならぬということを考えますので、この点の指導の方針に関して、次官の御見解をこの際になおお尋ねしておきたいと思います。
  13. 劔木亨弘

    劔木説明員 第一点でございますが、体育教授養成のために学位を与えます、いわゆる大学院を置くかどうかという問題でございますが、実はただいま新制大学にいかなる大学院を置くべきかという問題につきましては、大学設置審議会特別委員会を設けまして、鋭意その研究をいたしておる次第でございます。ただいまのところ修士号を置く課程だけは一応決定いたしましたけれども博士号を出します課程につきましては、まだまだいろいろな問題がありまして決定をいたしておりません。そのときに最も問題になりますのは、たとえば体育とか、あるいは特別の学位種類でございますが、そういう種類をあらゆるものについて置くか、あるいはまた学位という分類相当大まかな分類で設けられるか、そういう点が非常にむずかしい問題でございまして、それが今いろいろ研究されておるわけであります。その決定に待つて学位というのが設定されると思いますが、その際に特別に体育博士というものができるかどうかということは、今のところちよつとまだ予想がつかないような状況でございます。ただ体育につきましての科学的な面は、もちろん大学院におきまして当然研究さるべき問題だと考えますが、その学位がいかなる種類になるかという問題につきましては、まだ決定していないわけであります。それから学校体育と全生徒との関係についてのお尋ねでありましたが、私もやはり学校体育正科として採用されました以上は、すべての学生体育理論体育実技につきまして、全部の者が体育をやつて行く、その体育が一部の者のために犠牲になつてはいけない。それは深く考えるのでありまして、ただ体育を、スポーツ体育の中に取入れてやるわけでありますが、すべての学生がやるうちに、ある特殊の競技に興味を持つた者が、その正科の外におきましてある自分の好きなスポーツを特にやるということは、何らさしつかえないと思いますので、それらの者が集まつて対校試合とかそういつたものに出て行くことも、もちろんさしつかえないことだと思います。ただその際においても、全学生学校体育犠牲にした上で出て行くということは、望ましくないのであります。しかし学校体育を盛んにすることによつて、自然にスポーツ技術が一般的に非常に上昇して参りまして、その学校が非常に強い者が出て来ることは、もちろんさしつかえないことであります。そういう科外におきます学生スポーツ活動等についても、学校体育の延長として、それを悪用しないように、できるだけ指導して行くことが必要だと思います。ただやり方等につきましては、これは大学でございますので、学生の自由な意思というものも尊重して参らなければなりません。そういう意味合いから、これが弊害が起らないように指導する必要はあると思いますが、全般としてスポーツが上昇して行けば、必ずやりつぱな運動競技が盛んになつて行くことは、その中から自然に起つて行く問題じやないかと思います。
  14. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 新井保健課長が見えましたから……。
  15. 笹森順造

    笹森委員 もう一点だけお尋ねしておきます。大体概括的なお話でよかつたのですが、私だけ時間をいただくのも恐縮ですから、もう一点だけにして終ります。それは近来青年の間に、体育愛好の気風が非常に盛んになりつつあることは、まことに喜ぶべきことだと思うのであります。そうしてこの青年の希望に沿うようなよい体育、弊害の少い体育、しかもまたそれがよい結果として生れるところのものが望ましいと考えます。従つて民主的な国における体育は、やはり国民の魂の中から、国民の嗜好、喜びの中から自然とわき出たものであることが、最も大事な点であろうかと考えられます。特に大学生活とこの運動競枝の関係は、文明諸国における各大学活動状況を見ますと、これは一事不二のものであるかのごとき歴史的な現実を私どもは見ておるのであります。日本の国においても相当大きな学校の対校試合、ただいま次官からもそういうお話があつたようでありまするが、この対校試合等が行われることも、また指導の仕方によつては喜ぶべきことであると思うのであります。  そこでお尋ね申し上げたいのでありまするが、今日わが国において行われておりまする体育競枝の種類、国外から輸入されたものもありますが、日本の国内において自然発生的にでき上つた体育種類相当たくさんあるのであります。そこで今申し上げましたように、民主国における体育は、国民の嗜好、国民の喜びに合致するところのものであることが大事であるという観点から、従来日本の国内において起つてつておりまするいろいろないわゆるデイフエンシーヴ・スポーツのとらえ方に関して、どういう見解を持つておるか。この際関係の方でけつこうでありますから、御答弁を願いたいと思います。
  16. 稲田清助

    ○稻田政府委員 学校教育におけるお話の武道の問題でございますが、終戦後関係方面の意向もございまして、これを禁止された状態にあるのでございます。その以後におきましてまた極東委員会の指令等もありまして、その状態が今日まで継続いたしております。しかしながらこの武道が一般に社会体育として行われておるという現状を見ますると、戦時中あるいは戦前の軍国的な色彩がよほど失われて来て、民主的スポーツとして改善せられている事実が、だんだん明らかになつております。これらに関連いたしまして、スポーツ関連団体からも、いろいろ陳情がございます、また説明もございます。われわれといたしましても、武道が新しい民主的スポーツとして改良された状況をよく検討いたしておりまして、機会が参りますならば、そうした改善せられた体育は、将来において学校教育に復活し得るものだと期待いたしております。
  17. 笹森順造

    笹森委員 私は実は多少遠慮して直接的な言葉を用いませんでしたが、ただいまの御答弁で、武道という言葉が明らかに出ましたから、その点についてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。私はここで武道の復活をしようということは、毛頭考えておりません。またそれは認識上の問題でありましようけれども、そのことについて、私は論議をしておるわけではないのであります。つまり体育として、競技として考えらるべき範疇の中にありまする日本民族の従来のデイフエンシーヴ・スポーツといわれるもので、実は考えたいのであります。これは論議の外のようでありますが、せつかく話が出たのだから、ぜひ文部当局においてもお考えおき願いたい点なのであります。これは実は私申すまいと思つたのでありますが、向うからお話が出たので、言わざるを得ないことになつたのであります。つまりお話のごとく、私ども日本の国における武道というもの、つまり柔道であるとか、剣道であるとか、弓道であるとが、なぎなた道であるとかいうようなものが、真に日本青年の喜びであり、魂の中に触れたりつばな体育の一面のありますることは、だれも否定できない、その通りであります。しかしながら、戦時中これが戦技武道として用いられたという点についても、これまた否定ができない。そこで私どもは、禁止せられたことに対する非常な反対議論を、ずいぶん関係する方面に向つてつたのでありまするけれども、結局するところ、ある時期においてある制約を受けたということに対しては、私どもはこれに承服をせざるを得なかつたのであります。しかしながら、御承知通りに、民主的な学生活動を肯定しておりまする現代においては、いかなる状況においても、個人が好んでやりまする、今お話になりました武道の範疇の中に置かれます柔道、剣道、弓道も、個人が個人の喜びにおいてやることの禁止は、絶対どこからも出ておらないことは御承知通りであります。でありますから、この点については、何ら疑いのないことであることは、はつきりいたしておりまするが、これを学校において正科として、あるいはまた科外としてやるということに対して、そのやめたということは、戦後における当時の文部大臣がこれをおきめになりまして、全国的に新しい方向へと導かれるため、一つの段階をつくつたことも、私ども承服できるのであります。ところが、私のここで申し上げますことは、それらのものをいくら民主化し、あるいはまたスポーツ化すると申しましても、一旦武道として、今お話になりました極東委員会において一つの断定を下されたものを復興しようということには、至大な困難性を私どもは見ておるのであります。そこで私の考えまするのは、何であるかというと、それらの範疇外に出ておるところのものを、新しいものとして私どもは考うべきだと考えているわけです。このごろバドミントンとか、いろいろ新しい競技日本にできている。こういう意味で発生学的に探究いたしますると、元は何であつたかということは別といたしまして、私どもはここに新しい競技をつくり上げたことにおいて、民族的な要求から出て来たものであるならば、これは当然禁止の範疇外のものとして、お取扱いになるのが、私至当だと実は考えておるのであります。申し上げるまでもなく、今日のマラソン競争の走つて歩くことにしても、聖火を持つて行く。これは戦勝の報告に、私どもはその起原を見ている。またやり投げ、砲丸投げにしても、昔は戦技であつたでありましよう。しかしながら、今日オリンピックにおいても、やり投げを戦争のために用いておるとは、何人も意識の中に置いてはいない。同様な意味において、今お話のありました柔道なり、弓道なり、剣道なりを、全然新しい合理化されたスポーツとして、あるいはまたほんとうに趣味としてやる者が出て来た場合には、それは新しい取扱いをするのが至当だと私は考えておる。こういう意味において、武道の復活にあらずして、新しくそういうものが出て来た場合に、文部省はどういう取扱いの用意があるのか、これをお尋ねしたいのであります。
  18. 稲田清助

    ○稻田政府委員 新しいスポーツとして、社会的に発達して参りましたもので、教育的観点において何ら支障ないと考えられます場合、学生生徒ががそれを愛好してやりたいという場合におきましては、これを教育に取入れることにつきまして、別段問題はないと思います。
  19. 浦口鉄男

    ○浦口委員 簡単に二、三質疑を申し上げます。第一に大学病院の予算についてであります。実は北海道の大学病院におきまして、この間ストレプトマイシンが百本ほど配給になつたのでありますが、これを買い入れる予算がないために、これを買うことができなかつた、こういう実例が一つあるのであります。これはストレプトマイシンだけでなしに、いろいろな面において——根本的に申しますと、予算が足りないということではありますが、たとえばストレプトマイシンの例をとりますと、買えないために、これを横へ流す、あるいは銀行の金利のかかつた金を借りてそれを買うために、自然良心的な値段で患者に打てない、こういうふうな例が多々あるのであります。これに対して、予算が足りないのだからしかたがない、こういう答弁ではなしに、ほかの大学ではいろいろ便法を講ぜられておるということを聞いておるのでありますが、その点、文部省としての御見解をお聞きしたい。
  20. 稲田清助

    ○稻田政府委員 お話のごとく、今日の財政経済の状況におきまして、国のいろいろな施設が、非常にきゆうくつな運営を余儀なくされておる。その一環にもちろん病院もございます。その事業の性質上、相当その予算は充実しなければならぬと私どもも考えております。将来にかけてもその点は努力いたすつもりでございますが、今日までこうした病院を持つておりまする学校お話のような場合の経常といたしましては、学校にもよりまするが、学校に関連いたしまして財団法人等が設けられておりまして、財団法人の手によつて高貴薬を提供するというような例もあるように聞いております。予算が充実いたしますまでにおきましては、こうした便法も、必要から生じた方法といたしまして、その健全なる運用を私どもといたしましては、期待いたしておるわけであります。
  21. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういう御方針でお願いしたいのであります。さしあたり二十六年度の予算編成も近いと思いますので、二十六年度の予算には、大学病院についての全体の予算を、どのくらい昨年度より増額を文部省としてお考えになつておられるか、その点をお伺いしておきたい。
  22. 稲田清助

    ○稻田政府委員 この点につきましては、予算全般について、まだお話申し上げるまでに決定いたしておりませんことを、御了承いただきたいと思います。
  23. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それでは少くとも増額をぜひお願いしたいということを、希望いたしておきます。  第二点といたしましては、病気と宗教的な迷信についてのことであります。敗戦後特に伝染病などが、連合軍の指導によつて非常に滅つて来たということは、たいへん喜ばしいことでありますが、今年はまた逆に非常にふえて来た。もちろんその中にはいろいろな事情があるとは思いますが、ただ非常に都市から離れた、文化の低いと申しますか、そういう町村に参りますと、非常に迷信的なものが多くありまして、伝染病などを外部に発表することを非常に恐れるとか、あるいは一つの迷信によつてこれがなおるというようなことから、これを隠して、そうしてだんだんに全村に広がるというような面が非常に多いのであります。なおまた非常に重大に考えられておる癩病などは、これは第三国人にも相当あるということではありますが、ある宗派の——名前を申し上げることはさしさわりがあると思いますが、ある宗派の信仰によつて癩病がなおるというようなことで、非常に密入国者がふえておるというような面も聞いておるのであります。文部省はそういう点について、現在どういうふうな指導をされておるかということをお聞きしたいのであります。それは御承知のように社会保障制度が今確立されようという現状であり、なお医薬分業についても、国民の病気に対する考えをいま一般合理化し、あるいは科学的な考え方にするということが前提であると思いますので、一応お聞きしておきたいと思います。
  24. 稲田清助

    ○稻田政府委員 文部省の方針というお尋ねでございますが、これは具体的な個々の問題で違いますが、一般的の考えといたしましては、医療といわゆる迷信、あるいは科学と宗教というような問題に関連いたしまして、非常にむずかしい問題だと思つております。科学を越えたところに宗教がある、一方において科学的医療を行いながら、同時に宗教的な力によつて心身の健全をはかるということは、両々相またなければならない。いわゆる迷信といわれるものにも、また意味のある場合もあろうと思います。しかしながら、医療は医療として十分徹底させる、医療を妨害せられるというような事実は、これをなからしめることが必要であろうと考えております。一般問題としては、そういうふうな気持を持つております。
  25. 浦口鉄男

    ○浦口委員 いま一つ教育委員会のことについてお伺いをいたしておきたいと思います。実は前国会におきまして、現在次官おいでになる劔木さんが局長でおいでのとき、私はこの委員会委員外質問を申し上げたのでありますが、それと関連いたしまして御質問申し上げるわけであります。小学校、中学校、高等学校までの教育指導及び監督は、文部省の手を離れて、都道府県の教育委員会に一任されるようになつたということは、承知をしておるのであります。もちろんこれは発足まだ日が浅いので、いろいろ行き過ぎやら、運営上の間違いというものが多分にあることは、すでに文部当局も御承知通りであります。たとえば一つの実業高等学校の綜合制に再編成の問題についても、東京、京都あるいは金沢、九州、北海道とか各地において、もちろん基本線はきまつておるのでありますが、その実現の段階において非常に行き過ぎがある。その結果一応実施して、また旧来のものに返したというような例がたくさんある。実は小樽市の高等学校の総合制転換につきましても、四月以来北海道の教育委員会と小樽市のPTAを中心とした再編成審議会というものとか非常に対立をいたして、紛糾を続けておりまして、いまだに解決を見ないのであります。そういうふうな実情から考えまして、なおわれわれが国会議員といたしまして、そういう各地の教育委員会活動に対して、一目瞭然にこれを知るという機構が、残念ながらないのであります。一昨日のこの委員会におきまして森田総務課長は、そういう都道府県の教育委員会活動状況については、文部省は情報を指令を発してとることができるということを言つておられますが、それでは非常に遅いのでありまして、時々刻々の各教育委員会の情報を、国会において一括して知つておるということが、非常に必要だと思う。この点はもちろん教育委員会法設立の当時に、いわゆる国家公安委員長というふうな、——名称は別といたしましても、国家教育委員長というようなものを設置して、全国の教育委員会活動指導、監督すべきでないかというような意見もあつたそうであります。もちろん、これは教育の自由に反するということで、否決されたということも聞いておりますが、しかし私はその指導、監督という面については、もちろんいろいろ見解やら見方があると思いますが、一応教育委員会活動を中央において一括してこれをつかんでおくという面から、そういう制度がどうしても必要ではないか、こういうように考えるのであります。現段階において、文部当局はいかがお考えであるか、ちよつとお聞きしておきたい。
  26. 辻田力

    ○辻田政府委員 私からお答え申し上げます。教育委員会の権限と文部省の関係につきまして、いろいろお話がございましたが、文部省におきましても、教育委員会のことは一切放置しておいて知らないのだということであつてはならないことは、お話通りだと思います。現在の法律におきましても、文部省におきましては、法律の定めるところ、また法律に定めてなくても、一般的な報告はこれをとることができるというふうになつておりまして、それに基いて諸般の報告をとつておる次第でございます。ただいまお話のありましたような事件につきましては、ただいまのところ、まだ報告が来ておりませんけれども、さつそくその規定によりまして報告をとりまして、実情を明らかにいたしたいと思つております。なおその場合に、文部省は全然これに対して意見を言うことはできないかと申しますと、これは文部省設置法によりまして、専門的な技術的な指導助言ということは、できることになつております。その面からできることはいたしたいと考えております。今日各教育委員会の連絡機関紙といたしまして、文部省で教育委員会月報を持つておりまして、それによつて一定の事項、重要な事項につきましては、各委員会から報告をとりまして、それをまた各委員会へ流して行くというような処置をとつておる次第でございます。
  27. 浦口鉄男

    ○浦口委員 今の御答弁の中にもありましたように、実は小樽市の高等学校の総合制の問題だけでも、四箇月も紛糾しておつて、まだこれから調査してみる、こういうような実情にあることを考えましても、やはりそういうことを、全国的に情報をつかんでおくということが必要だと思う。しかも現地におきましては、教育委員会の中の教員組合出身の委員と、地元のPTAとが非常に対立しております。そういうことについても、そういう事態が起きてから、文部省が情報をとつて調べる。また調べてみても、場合によつてはまあ勧告をするか、いうふうななまぬるい程度では、非常に事態の解決は遅れるわけであります。そういうことから申しましても、名前は別といたしまして、国家教育委員長というような制度によつて、そういうことを未然に防ぐための制度が必要ではないか、こういうふうに考えるのでありますが、いま一度その点についての見解をお聞きしたい。
  28. 劔木亨弘

    劔木説明員 ただいま辻田局長から報告がないと申しましたが、実はこれは昨年から私も関係しておりまして、よく存じております。総合高等学校の問題につきましては、お話通り終戦後高等学校の再編成につれまして、地方的に相当行き過ぎがあつたことは事実でございます。また一面総合高等学校制度をしくということは、実業教育と申しますか、職業教育の面に相当の後退と申しますか、その実業教育の発達ということから考えますと、望ましくない点があるのでございまして、この前の国会で前高瀬文部大臣も、この点につきましては、はつきりと実業教育の尊重という意味合いから、行き過ぎである、高等学校の行き過ぎになる統合は望ましくないということを申されたのであります。ただ地方の実情によりまして、必ずしも総合高等学校が悪いというわけには行かないのでございまして、総合高等学校のあり方にも、一面教育的な要求にかなう面があるわけでございます。これをどうして地方的に解決して行くかという問題でございますが、その際に文部省がその中に入つてつて、あるいは勧告とか、勧告以上の何か強制力を及ぼすかどうか、この問題になつて参りますと、ちよつとそういうことができるということを申し上げるだけの状況は、現在はまだ備わつていないのでありまして、やはり教育委員会法ができました後は、その地方の教育は、地方がこれを自発的に、自主的に解決して行くというところに、法の根本精神があるのでありまして、地方でいろいろな問題が起つた場合に、その問題の解決がつかないという際に、もし第三者的な立場におきまして、地方からその解決についてあつせんとか、あるいはまた解決のための調停とか、そういつたようなものについて依頼があれば、これは私どもとしては進んでやつてつてけつこうだと思いますが、まだ地方的にこれをやつておる際に、こちらから出かけて行つて、それに干渉がましいことをやることは、できるだけ避けたいと、現在のところは考えております。
  29. 浦口鉄男

    ○浦口委員 文部省が直接これに関与されるということは、教育の本質から非常に面白くないということは了承しておるのです。そこで私は先ほど申し上げたように、文部省と全然離れた各界の代表を集めたような、いわゆる国家教育委員長制度というふうなものによつて、最も民主的に運営する機関をつくつてはどうか、こういうことであります。その点について私はいろいろな実情からそういう制度を非常に強く希望するものでありまして、それに対しての文部省の見解をお聞きしておきたい、こういうことであります。
  30. 劔木亨弘

    劔木説明員 やはり制度としまして、中央に国家教育委員長というようなものをつくりまして、それが干渉するということになれば、やはり文部大臣という形体が一応移されただけではないか。それでそういう面につきましては、私どもは、もし考えられるとすれば、全国の教育委員会自体が、自発的に何らかそういつたような組織をつくりまして、中央でそういう問題をあつせんして行く。いわゆる政府機関としてそれをやるのでなくして、自発的な、形における団体でそういうあつせんをして行くということが、望ましいことではないかと思うのであります。
  31. 浦口鉄男

    ○浦口委員 形は自発的でもどちらでもよろしいのですが、要は活動を十分にするには、予算が伴つて来るわけですから、もしそういうものができるならば、予算の点について文部省は力を入れるかどうかということをお聞きをして、質問を打切ります。
  32. 劔木亨弘

    劔木説明員 そういつたような活動に対しまして、国が予算を計上するということは、一面干渉ということを裏づけるものと考えまして、ちよつと予算的な措置はむずかしい問題ではないかと考えます。
  33. 浦口鉄男

    ○浦口委員 大臣に対する質問を保留しておきまして、これで打切ります。
  34. 今野武雄

    ○今野委員 ちよつと劔木さんがいらつしやるのでお伺いしたいと思いますが、教育公務員特例法の六条でもつて大学の教員と学長、それから部長等の懲戒とか、その他の規定がございまして、それには第五条を準用するというようになつておりますが、五条を見ますと、それに対して懲戒とか、そういう処分を受ける者から、公開審理を要求することができるということになつております。そしてその公開審理に際しては代理人、それからもう一つは証人、そういうものも申請することができる。それからまたその他の者でもいろいろ意見を言うことができる、こういうことになつておるわけであります。ところが普通裁判所や何かでやる場合の証人とか、そういうような場合には、検事がいろいろな罪状を立証して、そうしてその立証がどうも不都合である、この立証と反するような事実があるのだ、そういうようなことを証人や何かで申し述べるわけです、あるいは弁護人が証拠をもつてやるわけです。ところが教育公務員特例法の規定を見ますと、大学の管理機関が一応説明書を出し、それに基いてやるわけでありますが、その説明書に対して、証拠とか、あるいは証人、こういうようなものがどうもはつきりしていないのです。従つて説明書に書くことは、非常に抽象的である場合も現在あるし、それから管理機関の側でもつて認定したことをそのまま書いて、そうして片方の公開審理を申請した者から申請した証人は、その認定を全部くつがえすような証拠を出さなければならぬ。片方は証拠を出さなくてもいい、片方は証拠を出さなければならない、こういうようなことにも解釈できるわけであります。はたしてそういうものであるかどうか、見解をお伺いしたいと思つております。
  35. 劔木亨弘

    劔木説明員 教育公務員特例法第五条の問題になりますが、実は一般の公務員につきましては、その公務員の意に反する退職とか降任につきましては、事後におきます救済対策が決定されているだけであります。御承知のように教育公務員につきましては、その身分について愼重なる態度をとるという意味合いにおいて、特に事前審査の方法を規定されておるのでございます。しかしながらこの法律の精神は、この裁判的な一つ大学管理機関と、それから退職なり処分をされようとする者との間におきまする、裁判的なものを考えたのではなくしてその事実に対しまして、処分をされる人から、事前になおその事実についての陳述を十分聞いた上で、これを処置するという意味合いではなかつたかと、私ども考えております。従つて現在これに関しまして、この公開審理にあたりまして、いろいろ証拠でありますとか、それに対する弁論でありますとかいうような状態で、裁判的な一つの審議が続けられて、そしてほとんど現在各大学ではこの審議の進行が実は困難なような実情になつておるのでございます。このことは、その趣旨におきましては、教育公務員の進退について、きわめて愼重にするために、事前審理の方法を認めたのでございますけれども、これは方法においてもし誤れば、正しい処置がむしろできなくなるというようなおそれも、なくはないのでありまして、現在私どもとしては、その実情につきましていろいろ調査して、必要があれば、この方法等につきましても、今いろいろ問題になつておるような点を明らかにいたしまして、将来この条項の適用について、いろいろな疑義が起らないように、もう少し明確に規定する必要があるのではないか。ただいま今野委員からも申されましたが、その証拠の立証とかそういつたような点につきましても、やはり法律上はもう少し明確化して行くべきである。またどういう意味で事前審理をやるかというその目的も、またこれを明らかにして行くことが必要じやないかと考えまして、その点については、今文部省といたしましては、研究をいたしておる次第でございます。
  36. 今野武雄

    ○今野委員 大体わかつたのでございますが、ただ私がお聞きしておるのは、裁判であるか、あるいは行政処分であるかというような問題よりも、もつと特殊な問題です。しかしながら、あの趣旨が大学の教職員の身分を非常に尊重している、そしてできるだけ真実に基いてやろうとする趣旨だということは、大体条文を読んで見て、よくわかるわけであります。この際、たとえば本人が懲戒に値するというようなことを、先に断定するといいますか、——断定するわけじやないでしようが、どうも審理の題目にする。こういうときに、かりに言いがかり的なものをもつてそれをするということになりますと、そのことを証拠とか証人によつてくつがえすことは、事実上容易でないことになるわけであります。たとえば、一般の世の中のことについて申しましても、非常にわかりやすいために、極端な例を申し上げますが、たとえば山の中にある人間が一人おつた。その人間がある人によつて、やつは人殺しをして、そして死体をどこかへ埋めた、こういうような告発をされた。ところが、そいつの反対の立証をするということになりますと、これはほとんど不可能である。証人もなければ、そうしないという積極的な理由も見つけられないわけでありまして、非常に不可能になるわけでございます。それと同じように、やはり片一方が証拠をはつきり備えて出す。そして今度はその証拠について、それがそうであるとかないとか、そのことも証人に出すなら、これは可能になるわけです。ところがあの条文では、確かにその点が不明確なわけでありまして、現在その点で、東大その他で困難を来しておるわけでございます。今次官のおつしやつたことは、つまりそいつをはつきりさせなければいけない。どういう方向にはつきりさせるのか、つまりそういう点も、ああいう証人とか代理人とかいうものの制度を設けた以上、その趣旨を貫く方面に、つまり片方の大学当局もはつきりした証拠を出して、こうこうこういう事実が、こういう事実によつて立証される、かるがゆえにこれが懲戒処分にひつかかるのだ、こういうようにいたして行くようにするのか、その点をひとつお答え願いたいと思います。
  37. 劔木亨弘

    劔木政府委員 やはり教員の進退につきまして、その処置を慎重にするというので、事前審理を認めておるのでございまして、その根本趣旨に沿いまして、もつと事前にその事実につきまして、十分処分される人の意見を述べる機会を与えるということでございます。しかしこれはやはり事前の処置でございますので、それは慎重を期すという意味合いより以上には出ないのでありまして、その本格的な救済と申しますのは、事後の救済が適当ではないか。事前の審理につきましては、できるだけそこの間を明確にして、学校当局、いわゆる大学管理機関と、処置を受けようとする人との間における、不明確な状態においての処理の困難性というものを除去したい、これが今改正したいという私どもの考え方でございます。
  38. 今野武雄

    ○今野委員 そうしますと、つまり大学だけでは事前のものであるから、終局には人事院等においてやるわけだから、従つてあすこではそこまでやらなくてもいいという趣旨のように聞えたのでありますが、そうなると、あすこに代理人とかあるいは証人とかいうものを設けて——これは費用も相当かかることありますし、いろいろと問題なのでありますが、こういうことでは、制度が設けてあつても無意味になるわけです。そうすると今のお話は、ああいう代理人とか証人、こういうようなものを全然やめてしまう、ただ参考人くらいのところにする、こういうような御説と伺つてよろしいのでございましようか。
  39. 劔木亨弘

    劔木政府委員 代理人とか参考人を廃止するとか、こういう制度をやめてしまうという予定した一つの考え方は、全然持つておりません。ただ現在事前審理をやつておりましたのが、事実はどこの大学におきましても、最後の結論に到達し得ないという現状におきまして、これらが学校で何らか処置ができるような状態に持つて行かなければいけないのじやないか、そういうことを考えておりますが、具体的にこれをどう改正するかということにつきましては、現在まだ明確に申し述べる時期には至つていないのでございます。
  40. 今野武雄

    ○今野委員 もう一つちよつとお伺いしたいのでありますが、実は教育公務員特例法の問題だと思つていたら、今朝の朝日新聞を見ますと、公職選挙法の改正意見が自由党から出ている。それによると、学校教育法による——これは新聞記事にあるのですから不正確であるかもしれませんが、新聞記事によりますと、学校教育法の規定を受けるあらゆる学校、私立学校も含むと解されるが、そういうものの教員は、選挙活動、選挙運動をしてはならない、こういうようなものが出るということでありまするが、そういうことは、文部省の態度としては、はたしてどういうものか。つまり憲法その他に違反しないか、この点について文部省の御意見をお伺いしたいと思います。
  41. 劔木亨弘

    劔木政府委員 新聞に出ておりました記事は拝見しましたが、私どもとしては、その問題については全然存じ上げていないのでございます。これに対する意見と申しましても、これはやはり新聞記事を対象としまして、私はとやかく意見を言う筋合いのものではないと存じております。
  42. 小西英雄

    ○小西(英)委員 時間も非常にないので簡単に一点だけお尋ねしたいと思います。終戦後五箇年の今日までに、一番初めに国際的に復帰したものは何かと申しますと、御承知のごとくスポーツ面が一番明るい報道を伝え、また一昨々日、レスリング日米対抗競技大会、さらに水上競技の面についても、新聞紙上をにぎわしております。また国際親善の意味にも、スポーツを通して相当寄与したということは、事実だと思います。さらに戦後初めてわれわれ各種競技団体が今度インドに開かれんとするニユーデリーの大会に招聘を受けており、これらについて各種競技団体は、着々と準備を進めておるのでございます。まだ確定的に十一月に開かれるかどうか、あるいは競技場の設置の関係上、春に持越すのではないかという新聞報道も出ておりますが、もし十一月にこれが行われるといたします場合に、われわれたいへん心配いたしておる問題は、これらの選手を派遣する費用の問題であります。スポーツは、御承知のごとく一般より盛り上る力においてやるべし、上からとやかくいつていろいろな競技に参加するとかどうとかいう問題ではないのであります。日本の現状から見まして、極東大会に体協側の意見として聞くところによりますと、大体百名内外を派遣したい、それらの費用が概算五千数百万円に上るので、これをどうするかということで頭を悩ましておるので、もしこれが事実参加する場合には、この費用について、文部当局はこれの半額あるいは六割を出す意思があるかどうか、また出す場合に予算的措置とか方法があるかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  43. 劔木亨弘

    劔木政府委員 国際的なスポーツの大会に対しまして、だんだん好転して日本が参加できるような希望を持ち得ましたことは、非常に御同慶にたえない次第であります。この選手の派遣費につきましては、実は大体その半額を国庫で負担するという考え方をもちまして、派遣する選手の人数に応じまして、適当な予算がもし必要としますれば、できましたら追加予算を請求し得る機会に請求いたしたいと思います。
  44. 小西英雄

    ○小西(英)委員 派遣の前にその費用をいただく場合と、あるいは中間的に半額を出していただくことを承つたのでありますが、その二分の一でも派遣費の前出しといいますか、半額を先に出していただけないかというふうな意向もあるので、その派遣費用の旅費だけを言うのではなくして、これらの諸種の準備がいるので、何とかそれの方法があるかどうか。
  45. 劔木亨弘

    劔木政府委員 ただいま派遣の準備につきまして、予算の請求計画をいたしておりす。
  46. 今野武雄

    ○今野委員 劔木さんに申し上げますが、先ほどの法制局で調べたやつが、あの通りの文句で仮提出になつております。在職中選挙運動をしてはならないということですね。その点について、ただ単なる新聞記事ではないということを確めて参つたのでありますが、御意見をお伺いしたい。
  47. 水谷昇

    水谷政府委員 私からお答えしてよろしゆうございますか。
  48. 今野武雄

    ○今野委員 けつこうです。
  49. 水谷昇

    水谷政府委員 文部大臣といたしましては、委員会におきまして、地方公務員法の改正においては、そういう制限もあり得ると思う、しかしながら現在文部省といたしましては、本臨時国会において、他の臨時措置によつてそういう制限を加えるようなことはいたしません、こういうお答えをしてあるのでありまして、今もつてその点はかわりません。お話のように国会議員の議員提出によつて、そういう改正法案が出されるというようなことにつきましては、文部省といたしましては、それを阻止するとかどうするとかいうような考えも、これまた持つておりません。私どもの方へは、何の連絡もありませんものですから、ただいまも先ほど申したような考え方でおります。
  50. 今野武雄

    ○今野委員 ただいまのお答えたいへんけつこうでありますけれども、文部大臣のそういう御見解は、私は伺つたのであります。それでそういうふうに実際出すか出さないかという問題ではなくて、そういう文部大臣見解からすると、やはりそういうことをするのは適当でないというようなお考えからじやないかと思つてつたのであります。しかもこれは公務員だけではなくして、私立学校先生までも含むわけでありますから、さらに広範になつておるわけでございます。それで私がお伺いしたいのは、文部省の見解でございます。つまり学校の教員というものは選挙運動をしてはならないもの、そういうようなことが憲法に違反しはしまいか、こういうようなことに対する文部省の見解をお伺いしておるわけでございます。
  51. 水谷昇

    水谷政府委員 お答えいたしますが、そういう国会議員の方々の提出による改正法案に対しまして、文部省がそれに意見を申し述べるということはいたしかねますから、この点御了承願います。
  52. 高木章

    ○高木(章)委員 ただいま配付いただきました宗教団体法の参考資料について、一言お伺い申し上げたいのでありますが、この参考資料に掲載希望をした宗教団体のみを記載したのでございましようか、それとも日本全国の宗教団体が記載されているのでありましようか、ちよつとお伺いいたします。
  53. 森田孝

    ○森田政府委員 ただいまお配りしました資料は、所管の課長が調べないとわからないのでありますが、私の考えでは、この調べましたときまでに届出の済んでいる宗教団体と、記載上はなつていると考えます。
  54. 高木章

    ○高木(章)委員 現在東京に非常にはびこつております尤たるものの中に、杉並区に立正交成会という宗教団体があつたのであります。これはこの調べが三月三十一日になつておりまして、この立正交成会は数年前にすでに届出の団体と私記憶したのでありますが。この参考資料に記載漏れのように見受けるのでありますが、これは朝鮮かどこかから届出しているのでありましようか。
  55. 森田孝

    ○森田政府委員 御指摘の点は、あるいは記載漏れになつているかもしれませんので、なおよく詳細に調べまして、後ほどお答えいたします。
  56. 岡延右エ門

    ○岡委員長代理 本日はこの程度で散会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 岡延右エ門

    ○岡委員長代理 御異議なしと認め、本日はこれにて散会いたします。  なお次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。     午後零時二十一分散会