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1950-10-04 第8回国会 衆議院 農林委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月四日(水曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 足立 篤郎君 理事 野原 正勝君    理事 松浦 東介君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    川西  清君       河野 謙三君    幡谷仙次郎君       原田 雪松君    平野 三郎君       大森 玉木君    吉川 久衛君       深澤 義守君    山口 武秀君       河口 陽一君  委員外出席者         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君         農林事務官   田中 好男君         農 林 技 官         (農政局肥料課         長)      長尾  正君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務官         (通商化学局         長)      長村 貞一君         通商産業事務官         (通商化学局化         政課長)    出雲井龍雄君         通商産業事務官         (通商化学局化         学肥料部長)  柿手 操六君         経済安定事務官         (民生局長)  東畑 四郎君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 十月三日  委員竹村奈良一君辞任につき、その補欠として  深澤義守君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  農業関係公団整理に関する件(肥料及び油  糧)  畜産に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  本日の議事に入る前にお諮りいたします。肥料対策小委員足鹿君より、小委員を辞任いたしたいと申出がありますが、これを許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。  次にただいま欠員となりました小委員補欠として、井上良二君を委員長より御指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。     —————————————
  5. 千賀康治

    千賀委員長 まず農業関係公団整理に関し、肥料の問題を議題といたします。  先般肥料配給公団が解散になりまして以来、当委員会といたしましては、肥料需給関係、価格の動き等について、深甚の注意払つて参つたのでございますが、過般の委員会におきまして、たまたま肥料の問題に関して、行政上の処置に誤りがあつたことが判明いたしましたので、特にこの事件に関する小委員会を設けて、愼重調査行つてもらつたのであります。この際小委員長よりその調査報告を求めます。小笠原八十美君。
  6. 小笠原八十美

    小笠原委員 農林委員会肥料対策小委員会は、肥料の違法輸出問題を究明する目的をもちまして、去る九月十三日の当委員会の決議に基いて設置せられ、爾来熱心に本件真相調査を担当して参つたのでありますが、本日までに明らかにし得ました事実について、一応中間的な報告行つておきたいと存ずるのであります。なお時間の都合上詳細な数字につきましては、お手元に配付いたしました資料によりまして御承知願いたいと思います。  通商産業省は本年六月下旬以来、肥料を海外に輸出する目的をもちまして、まず硫安三万四千九百三十九トン、九百九十キロの香港、台湾その他地方向け輸出同意要求書を、貿易管理令第一条第三項の規定に基き、十回にわたつて長村通商化学局長名をもちまして、農林省藤田農政局長あて提出したのでありまするが、これに対し、農林省側は、このうちの一万二千四百四十九トン、九百九十キロに相当する数量につき、六月二十七日以降六回にわたつて平川官房長名をもつて同意書通産省あて送付したのであります。しかるに通産省化学局化政課及び化学肥料部肥料第一課内の係官は、残余の二万二千四百九十トンの硫安について、農林省同意書が来る見込みがないのを承知の上貿易商社に対して輸出を許可することを決意し、逐次許可証に署名の上これを発給したのでありまして、その数量は一万四千六百五十トンに上つております。肥料対策小委員会が、本件に関して審査を開始いたしましたので、通産省は一応四千五十トンについては出航さしとめを行つたようでありますが、残余の一万トン余のものについては、何ら積極的な措置を講ずる意思もなく、商社の欲するままの状態に放任し、今日に至つているのでありまして、おそらくはそのほどんどが輸出されてしまつたものと想像されるのであります。  以上が本日まで表面に現われました肥料輸出問題の筋でございますが、本件のごとき問題が発生するに至つた根本原因、あるいは本件国家国民に与えた各般の影響には、なかなか複雑なものがありまして、これが対策の考究には愼重な考慮を要しまするし、また関係各省間の説明には、なお若干の食い違いがあるようでありまするので、責任の所在を明確にする必要上、証人の喚問、参考意見の聽取、小委員会調査続行現地調査実施等方法によりまして、引続き本件に関する審査を進められますよう、委員長においてとりはからわれんことを希望いたしまして、私の中間報告を終る次第であります。
  7. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまの小委員長報告に対しまして、委員会はこれを了承することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。小委員会報告は本委員会において了承されました。  以上に関しまして発言の通告がありますのでお許しをいたします。河野謙三君。
  9. 河野謙三

    河野(謙)委員 この機会次官並びに局長に、私前回の委員会の問題と関連して、さらに確認を願いたいことがあります。この前の委員会のときに、やみ輸出をしてこれだけの肥料の穴を明けた、これについては非常に悪かつた。しかし善後処置として通産者はただちに従来の生産計画に、さらに二万数千トンの増産計画を立てて穴埋めをする、こういうことをこの席で言明されたのでありますが、この二万数千トンの増産計画を立て、これをさらに具体化して命令を出された、こういうことについて御説明をいただきたいと思います。
  10. 長村貞一

    長村説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。肥料の十月ないし十二月の硫安生産計画は、一応安本で定められておりますのは三十四万トンになつておるわけでございます。これに対しまして、ただいまお尋ねのございましたように、私どもといたしましては、さらに二万トン、つまり合せまして三十六万トンになるわけでございます。二万トン分の増産計画いたしたいと思つております。その目途のもとに、関係の工場に対しまして二万トンの増産を通達いたしました。同時に必要な措置に対しまして、今打合せてその運びを進めておるわけであります。
  11. 河野謙三

    河野(謙)委員 そこで私はこの際に伺つておきたいのですが、われわれは単に狭い農村のことだけを考えておるのではない、少くとも国全体の経済のことを考えて、これらの問題も取上げておる。二万数千トンを増産されることはけつこうでありますけれども、今の電力供給事情からいつて電力要請量に対して百パーセント供給がされてない、従来の割当のほかにさらに二万数千トンのものを増産するということは、それに要する電力というものは、必ずや私は他の産業に圧迫が加わつて来ると思うのであります。この電力配分について、他の産業との関係はどうなつておるか、これをひとつ伺いたいと思います。
  12. 柿手操六

    柿手説明員 ただいま局長から申し上げました第三・四半期、十月から十二月までの三月間肥料生産計画を、三十四万トンから三十六万トンにいたしたいというので、目下安定本部において電力の総供給量をにらみまして、これを各産業配分する仕事をやつておるのでありますが、実は電力割当方式が十月以降かわりましたのでありますが、それの詳細な方法は、まだ司令部との間に了解が達せられなかつたものでありまして、十月に入りましても、十月から十二月までの三月間電力割当決定しておらぬのであります。暫定的にそれが決定するまで、昨年の十月の実績そのままで一応切符を切つておく、そうして至急調整をするということだつたのでありまして、今日現在では、まだ第三・四半期の、われわれの三十六万トン計画電力配分決定をしておらないという実情でありまして、従つて産業との関係というものを、実は今日では昨年十月の実績そのままで発足しているという状況であります。お尋ねの各産業との関係がどうなつているかとのお答えは、本日はできないわけであります。大体今のところでは、去年の十月の発券量そのままを踏襲して発足しているという状況でございます。大体私どもの今まで安本と折衝いたしました見通しでは、三十六万トンの生産計画は、今次の電力割当方式がかわりましても、肥料部門には他の産業との均衡を安本で見まして、割当てておるのでありますが、大体私どもの所期の計画が達成せられるような電力が来るのではないかと、私どもは考えておるのであります。本日はまだ決定しておりませんので、そのへんの決定的なことはお答えできないが、大体概況の御報告はさようなわけであります。
  13. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は前に局長からきまつたような御説明伺つたのですが、きまらない。私もなかなかこれは簡単な問題ではないと思つておるのであります。電力関係だけをとらえても、今お話のように、非常に他の産業との関係もありますので、困難な問類であります。しかし私ども希望といたしましては、この二万トンを埋めるというのは、いつでもいいのではない、二万トンの穴を明けて、その穴が秋肥影響しておるから、これを十二月や一月に埋めてはほとんど意味がない、全然意味がなくはありませんけれども、われわれの希望するところは、この穴の明いたものを十月かもしくは十一月早々に埋めてもらうということでなければ意味がない。でありますから、埋めてもらうことはけつこうでありますが、この手続は至急に進めてもらいたい、かように思います。  そこで私はさらにお尋ね申し上げますが、この前の委員会におきまして、通産省政務次官並びに農林省政務次官は、はつきりとただいまのところでは、当分の間輸出できないということを言われておる。また別の意味では、今のような需給関係では当分輸出はできないと、こう言われた。ところがその後新聞の報ずるところによりますと、通産省当局談として、まだ輸出が可能であるかのような口吻を漏らしておられる。これは非常に影響するところが大きいのであります。でありますから、重ねて私ははつきりと今後の輸出の可否について言明していただきたいのでありますが、今も御説明がありましたように、通産省みずから二万トンの穴を明けた、これは至急に埋合せをしなければいかぬということは、とりもなおさず、肥料需給関係は今のところ非常に逼迫しているということを、通産省みずから裏書されている。わずか二万トンのものでさえも穴埋めしなければたいへんだということは、くどく申し上げますと、あなた方自体肥料は非常にきゆうくつだということをみずから認めておられる。しかるに通産省の一部では、あたかも輸出がまだ可能であるかのごとき口吻を漏らすということは、非常に私は遺憾であります。でありますから、この機会にもう一度肥料輸出の是非ではなくて、可能か不可能かということについて、明瞭にお答えいただきたい、かように思います。
  14. 首藤新八

    首藤説明員 お答えいたします。先般の小委員会河野委員並びに他の委員から、当分輸出をしないということを通産省で言明したらどうかという再三の御希望があつたのであります。しかしそれに対しまして、通産省といたしましては輸出ができないということは言明いたしかねる、それは一にかかつて今後の需給関係がこれを決定するものだ、来期の農家需要支障のない限り、輸出というものは当然考えられるものじやないかというふうな考え方を持つているのであります。ことにこの委員会におきましても、相当問題になりましたが、台湾向けの二十五万トンの輸出が別個に控えている。これも輸出しないという建前から考えますれば、相当重大な問題だと考えるのでありますけども、本年の肥料需給予想、いわゆる生産予定並びにこれに対する消費予定、この絶対量をいずれも予想でありますけれども、比較いたしました場合、そこに多少の輸出余力がありはせぬか、もつともこれは季節によりまして、かりに年間を通ずれば相当余裕があつても、季節的には非常にきゆうくつになる場合もありまするから、かりに余裕があるということによつて輸出をいたしましても、この季節的の関係相当考慮しなければ相ならぬと考えておるのであります。要はこの肥料輸出が可能であるかないか。要するに需給のバランスがきゆうくつであるかないかということは、一通産省また農林省が、それぞれ自省の立場から見解を披瀝するよりも、安本がこの算定をやることが一番適当でないか。要するに調節いたしまするのは、安本がその中間にあつて、そうして大局から見て輸出をすべきであるかないかということを検討いたして、安本決定に一応信頼性を置きましてゆだねることが一番適当ではないかというふうに、われわれは考えておるのであります。
  15. 河野謙三

    河野(謙)委員 次官仕事の幅が広いので、肥料についてつつ込んで御存じないから、その程度説明しかできないと思いますが、そういうふうな今抽象論で日を暮しているときではないのです。今も局長なり部長なりが言われたように、わずか二万トンのものを増産するにも、なかなかむずかしいということなんであります。従つて向う一箇年間生産計画というものは、今通産省が立てておる生産計画によほどの事情の変化のない限り、減ることはあつてもふえることはない。従つて向う一箇年間需給推算というものは、他の物資の推算違つて肥料推算は比較的正確に出ておる。この数字の上に立つて内地肥料が間に合うか合わぬかということははつきりわかつておる。もし供給がふえて余るようになつたら輸出しましよう。これはあたりまえのことなのだ。余る物を、かかえているとはだれも言わない。ところがそういうふうな仮定議論の時期じやない、はつきりとつかめておる。その間に誤差があつても、五万トンとか十万トンの誤差は場合によつたら出るかもしれませんが、大体年間を通じ十万トンの誤差はなかなか出ない。特に通産省が立てておられる向う一箇年間生産計画は、私から見れば非常に多く見ております。昨年の冬なり本年の春の、あの異例的な電力供給事情で、電力供給が非常にうまく行つた、この電力供給事情前提にして、本年の冬なり来年の春も相当生産ができる。こういう前提に立つて生産計画であります。非常によけいに生産を見ておられる。一方肥料消費の方は、農家からこれだけの肥料がほしい、窒素肥料にして二百十五万トンほしいということがはつきり出ておるのと、通産省供給見込みと比較いたしまして、どこに肥料の余る要素があるか、私はきのうも安本に話したのですが、抽象論や観念論でこの議論をしておるのではない、はつきりとした数字の上に立つて議論をしておるのです。私の言う数字が違うならば、この供給はこれこれこういうふうに違つて来たということを、この機会に言つてもらいたい。まず私は局長なり部長なりがおられますから、次官を別にして、数字の上に立つて、少しくお互いに検討してみたいと思う。一体部長局長は、向う一箇年間需給関係から見て、肥料輸出を可能とするかしないかということを、ひとつ数字の上に立つて議論してみたいと思う。もし私が言うところの数字仮定であるというならば、仮定数字の上に立つてでもいいから議論をしてみたい、かように思います。
  16. 長村貞一

    長村説明員 肥料供給面数字でございますが、これはもとより発電状況その他によりまして、ある程度影響を受けることはお話通りであります。しかしながら一応の計画数字で申し上げますれば、私ども供給の点について以上申し上げるように考えております。昭和二十五肥料年度、つまり今年八月から向う年間肥料年度について申し上げますと、一番問題になりますのは窒素肥料であろうと思いますので、窒素肥料について申し上げたいと思います。この一年間窒素肥料は百八十万トンないし百九十万トンの生産計画いたしておるわけでございます。これに対しまして、前年度の繰越し量はほぼ五十万トン程度あるのでございます。それから御承知通り輸入硫安等の現物が本肥料年度に大体六万トン程度つて参るわけであります。これらを統合して考えますと、供給総量といたしまして二百三十六万トンから二百四十六万トン程度のものが一応の計画としては考えられると、私どもは思つておるわけであります。これに対しまして、需要総量はいかほどになりますか、これはむしろ農林省の方からお答え申し上げた方がいいのではないかと思います。供給面からは、計画として以上申し上げましたような数字を一応考えております。
  17. 河野謙三

    河野(謙)委員 少し今のは違うようです。あなたのおつしやるように、かりに二百三十六万トンとしても、需要量は二百十五万トンであつて、七月末に行つて十五万トン残る、こういうあぶない橋を渡つて行かなければならない。七月末に十五万トンということで、ピークの四月なり五月の月末はどのくらいになるかは御想像がつくと思う。あなたの方の生産計画をそのままとつてもそういうことになる。それを今ごろ輸出が可能不可能という議論は、一体どこをたたいたら出て来るか。そういう点あなた方がここではつきり言えないということは、遺憾ながら悪く解釈せざるを得ない。一部の商社なりメーカーなり、その他の関係に動かされて、こういうことを言つていると言わざるを得ない。これほど明瞭な数字の上に立つて、どうして結論が出ないか。私はここで次官に来年の夏のことまで言えとは言わない。少くとも本年の秋なり冬なり来年の春までは、本年の肥料需給関係がこういうことになつているから、輸出はむずかしいということは出ると思う。であるから、農林省も承諾しないことになる。またあなたの方も、この間の輸出の問題を、数字をもつて詳しく良心的に説明されたならば、通商省の大臣なり次官は、必ずそういうこは承諾しなかつたと思う。昨日も申し上げましたが、私がこの問題をくどく言うのは、今は自由販売になつておりまして、あなたたちのとられることがどんどん市場に響くからです。たださえも農家は今肥料が非常に高くて困つているその際に、あなたたちの態度がはつきりしないと、いたずらにこれを商人の道具に使われて、市況があおられる。でありますから、私は明瞭にしてもらいたい。何も私は他意があつて言うのではない。政府はこの機会に、需給関係から見て、肥料輸出が可能か不可能かということを、はつきりさしてもらわなければ困る。他の委員の方には迷惑でありますけれども、この問題がはつきりしない限り、私は断じて一歩も引かない。もう一ぺんはつきりと御答弁願いたい。
  18. 首藤新八

    首藤説明員 河野委員の御意向はよく了承できるのであります。ただ問題は、端境期に十五万トンないし二十万トンが繰越しになるが、これが非常に過小であるかどうかということに帰着するのではないかと思うのであります。従つて通産省といたしましては、農家需要支障を来すような不安の状態がある間は絶対に輸出をしないということだけ、この際はつきり申し上げておきたいと思います。われわれが輸出をいたすという場合には、これだけ、輸出をいたしましても、内地供給に何ら異状ないという見通しがついたときに限つて輸出をいたしたい、こういうように考えておるのであります。同時にまた、ただいまの絶対量から推算いたしました十五万トンないし二十万トンの過剰に対して、輸出余力がありやいなやということは、先ほども申しましたように、一にかかつて中間調整機関である安本が、愼重に考慮いたしまして決定いたすことが、一番適当ではないかというふうに考えるのであります。
  19. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は安本には安本で別に聞いております。しかし通産省通産省としての意見があり、農林省農林省としての意見があるので、通産省としての意見を伺いたい。来年の七月に十五万トンの繰越しをするということ。政治はやはり遠い将来を考えなければいけませんから、もう一年延長して、来年の秋なり春のことも考える必要がある。本年三十万トンから四十万トンの繰越しをしても、なおかつ向う一箇年間は私はきゆうくつだということを言つておる。来年の七月に十五万トンを繰越して、その次に来るところの来年の秋なり更来年の春は一体どうなるか。もちろんその間に肥料生産はふえます。ふえますけれどもそう簡単にはふえない。いかなる観点に立つて肥料はきゆうくつであります。これは独断ではないのです。通産省の方も腹ではちやんときゆうくつだということを知つておる。ただ今までやつてまつたことにいまだに未練を持つて、何とかかつこうをつくろうというところにおかしいところがあると思う。私は過去はあえて追わないのです。ただ将来に備えて、肥料の問題をはつきりしていただきたい。これ以外に何ら他意がないのです。今次官がおつしやいましたが、あなたの方の局長なり部長説明された数字、これはあなたの部下がつくつた数字です。あなたの部下のつくつた数字の上に立つて私は議論しておる。その数字が多い少いは言わない。それをそのまま信じて、とつてつて議論をしておる。それで足らないのです。であるから供給がふえたら出しましようとか、農家には迷惑をかけませんとか、そういうような抽象論ではいけないと言つておるのです。私はきのうも語気が荒いと、注意を受けたのですが、私は何もけんか腰ではないのですから、次官もやわらかい気持で肩を軽くして御答弁をしていただきたいと思います。全国の農民のためにぜひどうしても御答弁を願わなければ、さつき申し上げましたように、私は断じて引きません。
  20. 首藤新八

    首藤説明員 問題は十五万トンの端境期における繰越しの多いか少いかということに、重大なる関係があると思うのでありますが、私から申し上げるまでもなく、八月、九月は非需要期であります。もし七月末、明年の年度の終りにおいて十五万トンの持越しがあるということになれば、生産支障のない限りは、八月、九月は非需要期でありますから、相当その間にストツクができる。同時に秋肥に当面いたしましても、さほど肥料供給に、農家の不安を来すような支障は断じて起らないというふうに、われわれは見解を持つておるのであります。
  21. 河野謙三

    河野(謙)委員 少しどうも失礼ですけれども、しろうととくろうとの議論になつて、ちよつとピントが合わないのですが、さつき私が申し上げたように、今年の七月に四十万トン繰越しですよ。そのほかに今局長が言うように、輸入硫安も入つて四十数万トンになる。これだけ繰り越しても、ことしの秋と来年の春と、向う一箇年の見通しをつければきゆうくつだ。十五万トンならばよけいきゆうくつじやないですか。なるほど八月、九月は肥料は使いません。でありますから秋の肥料は間に合いますけれども、しかし来年の暮れ、再来年の春に行つて二十万トン、三十万トンの繰越しをしたのでは、春の肥料が間に合わないのですよ。だからことしの七月に繰越しした数量と、来年の繰越数量片方は十五万トンであり、片方は四十数万トンである。これだけを比較してみてもはつきり出て来るのじやないですか。何かそれとも、どうしても輸出をしなければならぬ義理合いでもあるのですか。それならそれではつきり言つてください。これはこういう弱い立場に置かれておる日本でありますから、どうしても輸出をしなければならぬ事情があるならば、これこれこういうわけで、おれは輸出をしたくないのだけれども輸出をしなければならぬことになるかもしれぬ。それならそれでいいのですよ。こういう簡単なことは御答弁いただけないというには、何かほかにあるのではないかと私は思う。隠さずにはつきり言つてください。
  22. 柿手操六

    柿手説明員 ちよつと数字について先ほどからおつしやつておることについて、私補足をいたしたいと思いますが、数字の問題が非常にポイントになつておるようでありますから、ちよつと補足的な説明をさしていただきたいと思います。先ほど昭和二十五、肥料年度、来年の七月末に十五万トンの繰越しになるというふうな結論のようにおつしやつておりましたが、先ほど局長説明いたしました繰越量五十万トンというのは、公団が持つておる四十四万八千トンという数字、それから工場に在庫しておる数字を合せて、ストツク繰越量、——公団の倉庫にあるやつ、工場にあるやつ、合計五十万トン、それから生産が百八十万万トンないし百九十万トン、これは電力の問題、あるいは今の豊水、渇水の問題もありますから、百八十万トンないし百九十万トンの生産量を見込んだわけであります。それから外安の今年度のずれが六万トンほど入りますから、その三つを見込んで二百三十六万トン、二百四十六万トンの供給力、こういうふうに説明したわけです。それから今度、需要の方につきましては、残りが十五万トンというふうに河野さんはおつしやつたが、それは需要を幾らに見るかによつて非常に差は違つて来るのでありますが、まあ私どもは、これは今までの統制撤廃を政府部内で議論しておるときには、大体そのときの閣議なんかに報告した数字は、二百万トンという数字を言つてつたのであります。しかしながらその後朝鮮問題等が起つて、食糧の増産の必要も議論され、まず私ども二百万トンないし二百十万トンいるだろうと見なければならぬ。安全を見れば二百十万トンというふうにかえて見ましても、二百三十六万トンの差があり、二百四十六万トンとの間には三十六万トンの差があるというふうに見ておりますので、結局問題は、その差だけということも、これは需要期のピークがありますから、年間の差がそれだけの輸出余力がないということもよく知つておりますが、それともう一つは、流通過程における肥料の量ということも、無論考えなければなりませんから、この際結局余るとは考えておりませんけれども、私どもとしては、今年度としては輸出余力があるというふうに考えておるのであります。しかしながらこれは先ほども次官説明通りに、この肥料統制撤廃の際の閣議決定に、肥料輸出については一定のわくをつくつて、そのわくの範囲で輸出を認めるという決定の線がありますから、これにつきましては、安本を中心に関係省が集まつてこのわくをつくる。それに従うというふうに考えておりまして、通産省の私どもとして幾らということについては、決定できない問題だと思つております。さらに今年はそれで行つても、来年度は足らぬじやないかということは、河野さんのおつしやる通りでありますが、さらに来年の秋以後の需給関係につきましては、これまた大分先のことでありまして、情勢がはつきりしませんが、一九五二年のアメリカの年度におきまする肥料につきましては、台湾の問題、朝鮮の問題等もありますので、司令部としても窒素四万トン、硫安に換算して二十万トン程度の日本に対する輸出を、予算に計上しておるということを聞いておるのであります。もし来肥料年度において非常に足らぬというときには、その予算によつて日本に供給があるものというふうに考えておるのであります。
  23. 河野謙三

    河野(謙)委員 どうも通産省の方には何か作為があるように思う。供給量はむりと思うくらいにあなたたちは常に一ぱいの数字を発表しておる。農家需要量は二百五十万トンほしいと言う。それが多いか少いか知らんが、農家がほしいという数字をとつたらいいじやないですか。そうしてやつて行けば、二百五十万トンに対して二百五十万トン、それがむりなら十五万トンでもよろしい、よろしいのでございますが、そういうふうに片方に——大体役所はものを堅実に、内輪々々に考えるところなのである。それがどうも肥料需給問題に関しては、何かきわめて手放しの話をされるので、私は少くともそういうことでは農村に親切がないと思う。同時にあなた方の方からこういうことを言つておるのです。日台協定について、この間は拘束力がないから今の需給関係でも出さないとはつきり言われた。ところが今次官は日台協定の問題も、何か出すかのような口吻なのです。朝鮮がもし安定したら、司令部からまた朝鮮へ輸出の命令が来るかもしれぬ。これは確かな情報が出ておる。そういういろいろな問題が出ておるのですよ。これももし命令が来た場合はしかたがないのです。命令が来た場合を一応考慮に入れて今後の肥料対策を立てなければならぬ。それだけの愼重さがあるはずです。それをどこまでも肥料は今のところはまだ大丈夫だというような口吻を漏らされる。場合によつたら輸出をしなければならぬ。この段階ではどうしてもそういうことはしなければならぬと思う。何かほかに言えないことがあるなら私は秘密会でいいと思う。ひとつはつきりと単に私がこれほど明瞭なことをお願いしておるのに御答弁がないというのは、ほかに何かあるのではないかと思う。場合によつたら委員長から秘密会にしてもらつて、ほかにいろいろな問題があるならそのほかの問題も説明をしていただきたい、かように思うのです。
  24. 首藤新八

    首藤説明員 河野委員の再三の御質問であり、また輸出のさしとめという点についての強い御要望でありますが、先ほど来申し上げております通り、この問題は結局一通産省、あるいは農林省は、基礎的数字だけははつきり出す義務を持ちますが、輸出をするかせぬかということは内閣で決定することに相なつて参ると思うのであります。ただわれわれは、先ほど来申し上げております通り通産省といたしましては、要するに今後自信の持てる生産数を申し上げる。また農林省といたしましては、自信の持てるところの需要量ということを検討いたして、結局その差が幾らになる、そうしてそれが輸出余力になるかどうかということは、先ほど申しました通りに、安本が一応検討する、そして同時に内閣の決定事項になつて来るというふうに考えておるのでございます。と申し上げるのは、先般も申し上げました通りに、台湾輸出問題でありますが、これはどうしても砂糖と米を輸入しなければ相ならぬ。その代償として肥料が大部分それに充てられておるということに一応なつておるのであります。従つてかりに台湾の方にある程度輸出をするということになりましても、それは結局米を輸入しあるいは砂糖を輸入する、ということは、端的に言えば、それだけ食糧がふえるということも申し上げられると思うのであります。それらを合せて考えた場合、ここでわれわれから簡単に、輸出はしないという言明はちよつと実際上因る立場にありますので、この点は御了承願いたいと思います。
  25. 小笠原八十美

    小笠原委員 どうもこれまでいろいろな御答弁をいたされておるようであるが、そういうとぼけた答弁を聞いておると、この委員会の結末をつけるのにおよそ三十年かかると私は思う。こんなことではいけないから、将来の問題は二の問題において、あなた方も誠意をもつて答弁なさる、通産省の役人どもも、あまりなめた行動はとらないようにしなければならぬ。先般のあなたの方の事務次官の新聞記事は何ですか。もう輸出問題になつておるのに、農林委員会の方は何かぐずぐず言つておるが、そんなことにとんちやくなくどんどん輸出してしまうから支障なし、こういう言明を与えておる。ここに来たときばかり、農村に大きな影響を与えるのを無視して輸出しないということを言つておられるが、片つ方が向うでなめてかかつておる。ここではあなた方、どの人の答弁も、何か一時のがれの持久戦にして、いいかげんに答弁してやれば、向うはあきてしまうからというような計画を立てて、あなた方は答弁しておる。だから将来のことはこの委員会は当分拔きにして、何ゆえに農林省が不同意なものを輸出したか、この問題の責任を明らかにする、それから出発しなければこれはとうていだめだ。しかも輸出許可証に対して署名した役人がだれであるか、だれが、何人が署名しなければそれを実施できないか、それを明確にし、それを故意にやつたか過失でやつたか、過失でやつたならばどういう意味で過失でやつたか、局長初めあなた方覚えた限りのことを答弁し、本人でなければいかぬというなら、証人として出頭を求める、それでも徹底できなければ、大臣までも出頭を求めて、しつかり委員長も腰をすえてかからなければ、こんな答弁をして、将来はどうのこうの、数量はどうの、五万と十万とどつちにひつくりかえつても、そんなことは問題ではない。今何ゆえに農林省はばかにされて、農村振興を破壊して、通産省はこういうことを故意に断行したかということにわれわれは疑いを持つておるのですから、それを先に明確にして、それから将来の計画に入ろうじやありませんか。われわれのようなものはとても待ち切れない。こんなことではわれわれの生きているうちにこれはきまらぬ。まず今出た問題を解決つけて、それから将来の問題を論ずるということに行かなければ、とてもだめだと思います。政務次官のお考えどうりです。局長さんどうです。その問題をとぼけて飾つておいて、まつりものにしておいて、将来はどうのこうの、これから台湾輸出がどうの、司令部がどうのと、とぼけたことばかり言つておる。それはそのときのことだ。今は出たことに対してしつかりした御答弁を願わなければ、われわれは判断に迷つてしまう。どうかこの点を明確に御答弁願いたい。
  26. 首藤新八

    首藤説明員 先般の輸出に対しまして、農林省の同意を得ざるままに輸出いたしましたことは、まつたく通産当局の失態であります。先般も衷心おわび申し上げたのでありまするが、同時に、今後かかる不都合の行為を尊び繰返さないような処置をとることが最も必要だと考えまして、一応あの問題に対しまする当面の責任者に対しては、厳重これを処罰することにいたしまして、現在その手続を進めておるのであります。同時に肥料の担当官全部に対しまして、厳重に戒告を加えまして、将来絶対にかようなことのないようにということを、実は申し渡しておるのであります、今後も農林省との間に、そういう食い違いができましてははなはだ申訳ありませんので、できるならば、今後の輸出に対しては、一応安本で、先ほど申し上げましたように輸出は可能であるかどうか、可能であればわくをこしらえてもらう、その範囲内においてやるということにいたしたい、かように考えております。
  27. 小笠原八十美

    小笠原委員 今、担当した者に対して、これははなはだ遺憾であるから厳重処罰をするように手続をとつておる。こういう御答弁であるが、一体何のたれがしを処罰する考えですか。それが故意でやりましたか、過失でやりましたか、過失ならその原因がどこにあるかということがよくおわかりですか。これはとても重要な問題である。農村振興を破壊した責任者である。肥料の値段を撹乱した責任者である。これは重大問題である。その責任者に対し、ただ今後そういうことがないようにとか何とかいうことは、いわゆるお茶を濁した答弁だ。そうでなく、実際この重大な責任者に対して、これは過失であるか故意であるかということを、どこまでお調べになつておるか御答弁願いたい。
  28. 首藤新八

    首藤説明員 担当者につきましては厳重に調査いたしましたが、今日までの調査の結果はまつたく過失でありまして、故意でないというふうに考えられるのであります。しかしながらかりに過失でありましても、今後かようなことを繰返されては非常な問題でありまするので、厳重に処分するということにいたしたのであります。担当官の氏名は発表せぬといけませんか。
  29. 小笠原八十美

    小笠原委員 大いに発表せんければいかぬ。それ一つで委員会を開いているのだから発表願いたい。
  30. 首藤新八

    首藤説明員 担当官は元村と申します。
  31. 小笠原八十美

    小笠原委員 今あなたの御答弁によれば、過失による、こういうことである。部下を愛することはどの役所であつても、われわれであつても同様でありますが、農林省の方にただ同意を求める書面を出した。その間にあつて、多分来たものだろうと思つてやつたということはこれは過失である。ところが農林省はそれは不同意だという通牒を発せられておる、その後にやつたものだ。これを過失と認められますか。おそらく天下に検事、判事あつても、これを過失と見る裁判官はありますまい。あなた方もまさかそうは思われますまい。ことに今の事情は、事務次官なんかはよく御承知でしよう。新聞がはつきりしておるととぼけておる、農林委員会がどんなことをやつても、船の出港なんかをさしとめることはできるものかと、とぼけて痰呵を切つておるじやないか、それはほんとうの過失であるか、こういう問題が出たから、やむを得ず自家擁護のためにお茶濁しの処罰をするにすぎない、それではわれわれ承知ができません。これはいつまでもかかりますよ、よしあなたが過失と言われるならばそう聞いておきましよう。われわれは委員長に要求して、われわれの手によつて証人を喚問して、どこまでも追究してみなければわれわれは治まりません。あくまでも過失だということでお茶を濁そうとしても、納得することはできませんから、それだけわれわれの方の考えを申し上げておきます。
  32. 河野謙三

    河野(謙)委員 私のさつきからお尋ねすることが、非常にピントがはずれておるというようなおしかりを受ける向きがありますが、要はこの問題が起つておるのは、事件の責任者の追究の問題である。もう一つは、この事件によつて迷惑を受ける農民、いたずらに肥料を高く買わされる農民、この問題であります。そこで、すでにこの問題が今起つておるにかかわらず、さらに輸出の問題をまだまだ不明確にしておくことは、この問題の波及がますます大きくなつて行くということです。そこで私は、この輸出の問題の間違つたことを解決すると同時に、通産省は進んで、再びこういう間違いを起して農民に迷惑をかけないようにするために、輸出の問題をはつきりしてもらいたいということです。この問題について私はもう一度言いますが、通産省は非常に誤つた考えを持つております。台湾から米をとつて肥料を出す、肥料と米とは別のものではありません。一つのものです。肥料の変形したものが米です。肥料輸出するということは、日本から米を輸出するということと何も違いはない。もし違うという御議論があつたならば聞きたい。米をとつて肥料を出して何になる。米をとつて綿布を出すということなら話はわかります。米と肥料ととりかえるというような、こんなばかなことはない。向うから米をとり、こちらから肥料を出すというような議論が通るならば、どこへでも行つて聞いてもらいたい。こういう観念で肥料の行政をやつておられるならば、将来ますますこういう問題が起る一方です。でありますから、そういう考え方は根本的に改めてもらいたい。  なお私はこの点についていろいろ申し上げたいのでありますが、今安本で云々ということで逃げておられますから、私は安本へ聞くことにいたします。少くとも言明はできぬとおつしやいますが、これはどうしても——ほかの委員の方に迷惑をかけますから、私は明日なり本日の午後なりに時間がありましたらあらためても一ぺん御質問をすることにして、一応私の質問を打切ります。  なお今回の事件についての問題につきましては、小委員会も続行されるようでありますから、この問題については多々疑問を持つておりますので、あらためてお伺いいたします。
  33. 平野三郎

    ○平野委員 ただいま河野委員からいきなり結論に入られたわけでありますが、これは根本の重大問題として、十分に愼重に審議を要するわけでありますが、私はさらにただいま小笠原委員からのお話がありました通り、今回発生したこの問題そのものの検討から、まず入ることが必要だと思いますので、この点から若干お尋ねいたしたいと思います。先ほど通産政務次官から、肥料輸出は内閣できめるべきだというようなお話があつたので、実に驚き入つたのでありますが、確かに内閣できめるということは理想でありましようが、すでに通産省が通産大臣の権限においてどんどん輸出しておられる、しかも内閣どころではない、当然協議をすることになつておる農林省に対しても、何ら協議することなくしてかつてにやつておられる、このこと自体すでに大きな間違いでありますが、その前に私は、九月二十七日の日本経済新聞にこの問題が報道されておりますが、これに通産省見解は左の通りであるとして書かれておる。肥料生産の設備能力は着々ふえており、一方国内の需要が頭打ちとなつておる現状だから、できるだけ輸出することが妥当であり、農林省の同意なくして一万数千トンの輸出許可を業者に与えたことは政令違反と言われてもやむを得ないという記事が出ておりますが、これは通産省見解として考えておられるかどうか、この記事に対して責任を持たれるかどうかを、まずお伺いいたします。
  34. 長村貞一

    長村説明員 ただいまの新聞記事に通産省意見として記載されておりますものは、私ども通産省当局から発表したものではないのであります。輸出に対する問題についての私どもの方の考えは、先ほど来政務次官から御答弁のあつた通りの考えであります。
  35. 平野三郎

    ○平野委員 そうしますと日本経済新聞の記事については責任を持たない、これは新聞社がかつてに捏造したものである、こういうことでありますか。
  36. 長村貞一

    長村説明員 ただいま申しましたように、新聞社に対しまして私ども意見をさように発表したことはありません。
  37. 平野三郎

    ○平野委員 それではさらにお尋ねいたしますが、日刊工業新聞の九月二十四日付にこういう記事が出ておる、西下中の通産省山本次官は二十一日正午大蔵清友クラブで記者団と会見硫安輸出停止問題について次のごとく語つた。最近衆議院農林委員会から通産省に対して硫安輸出の停止について申入れがあつたが、この問題については輸出契約の取消しとか最終積出しの取消しなどの処置は絶対にとらない、基本方針としては輸出契約とか最終積出しの取消しは絶対に行わない方針であると。これは期日もはつきり書いてあり、これを談話せられた通産次官の名前も出ておるわけでありますが、これについてはどうですか。
  38. 首藤新八

    首藤説明員 山本次官からこの問題は聞いておりませんから、どこまで正確であるかは申し上げかねますけれども、おそらく推測できますことは、先般この小委員会でこの問題が究明いたされた場合、私からできるだけ船積みを中止せしめる。すでに港を離れて航海中のものは困難かと思うが、船が港の内におる限りのものに対してはとめたいということまで私は申し上げたのであります。そこで実際問題として、その他のものも取消しできるかできぬかということを、省内でいろいろ検討いたしたのでありますが、どうしても法的には困難だということになりましたので、あるいはそういうような点から山本次官がそういうことを発表されたのじやないか、もつともその記事は暫定的になつておりますけれども、結局そういうふうに私は発表されたのではないかと考えております。  もう一つ、先ほどの平野委員の御意見の中に、内閣できめるという私の答弁が不当だということであります。なるほどその通りであります。常態でありますならば、農林大臣の承認を得ますならば、通産省の意思によつて輸出ができるのでありますけれども、すでに先般来輸出が非常に問題になつておる。しかもここに農林委員会委員の御見解と、通産省見解に多少食い違いがある。ここで輸出をしない、するというような結論をつけるということは容易にできないのではないか。そこで結局中間統制機関であります安本が、大所から検討して、その利益を決定することが最も適当ではないか。同時にそういうことがあるのでありますれば、ことに台湾への輸出問題は相当数量が多いのであります。従つて結論的には内閣が最後的に決定するということになつて参るのではないかというふうに、私は申し上げたのでありまして、その点御了承を願つておきたいと思います。
  39. 平野三郎

    ○平野委員 ただいまの政務次官の御答弁と山本事務官の見解とは、まつたく矛盾相反しておるわけであります。しかしそれについては、いずれまた山本次官についてさらにただしたいと思いますが、ただいま政務次官は、船積みのさしとめについては法的に権限がないから、ついにやむを得なかつたというような御説明がありましたが、政務次官は外国為替及び外国貿易管理法の第五十一条を御承知でありますか。
  40. 首藤新八

    首藤説明員 承知しておりまが、かような時期に適用するのは適当ではないと考えております。
  41. 平野三郎

    ○平野委員 この五十一条によれば「特に緊急の必要があると認められるときは」というふうに書いてあるわけでありますが、そうしますと、今回の場同はこの五十一条に該当する特に緊急の必要があると認められるときとは考えられないわけですか。
  42. 首藤新八

    首藤説明員 この法文の緊急の事態ということは、かりに肥料にこれをとつて考えましたならば、この輸出をしたことによつて内国の供給に非常な支障を来すという事態が表に現われたことだと解してもよいことだと思います。しかるに肥料の現状から考えますと、かりにこの二万トン輸出したことによつて供給支障を来すということに相なりましても、公団の方に相当のストツクがあるのでありますから、そのストツクを一時放出いたしましてそれをカバーする。さらにまた先ほど申しました通りに、われわれといたしましては、十月、十一月に二万トンの増産をやつて、さらにその面でカバーしたいということになれば、一応前借りということになりまして、大局にはあまり影響はない。従つて緊急な事態というところには該当しないのではないかと考えております。
  43. 平野三郎

    ○平野委員 まことに理解しがたい御答弁であります。先般通産政務次官は、本委員会において、あらゆる誠意を尽し、あらゆる手段に訴えて、この船積みのさしとめを行うということを言われた。すでに御記憶のことだと思いますが、当時の委員会は、まつたく今夜中にもさしとめを行わないがために出港してしまつたというようなことがあつてはならないから、必要があれば今夜徹夜ででも委員会を開いて、あらゆる手段に訴えてもさしとめをするということをはつきり言明せられておる。しかるに法的の権限がないから今日まで何らそういう措置をとらなかつたという結論になつておるわけでありますが、おそらく私は常識ある者が考えて、かくのごとき場合こそ、まさに緊急の必要がある場合ではないかと思います。もしこういう場合を予想しなかつたと言われるならば、かような違法のような場合を予想した法律なんていうものはあり得ない。そのような違法によつてかような失態が起り、しかも政務次官はありとあらゆる誠意を尽し、あらゆる手段に訴えて、この処置をするというなら、まさにそれこそ緊急の必要がある場合だろうと思います。農林委員会だけではなく、満天下の常識ある人間なら。だれに聞いてみても、おそらくかくのごとき場合こそ、第五十一条を発動すべきであるということに意見が一致するだろうと私は思います。しかるに通産省のみが、この五十一条を適用せられずして、何ら法的権限を伴わずしてただ業者に懇願して歩いたということだけでは、私は断じて政務決心が言明された通り、誠意を尽し、あらゆる手段に訴えて努力をせられたということは、認めることができぬと思います。  さらにこまかい問題ではありますが、先般本委員会で問題になつて、通産委員会に御報告になりました数字について、少しお尋ねをいたしたいのでありますが、通産省農林省の同意を得ずして、この前申しました二万九千九百三十九トンのほかに、さらに輸出の許可を与えておられるという数字はありませんかどうか、お伺いしたいのであります。
  44. 首藤新八

    首藤説明員 平野委員の今の御意向によりますと、私が先般ありとあらゆる方法をもつて、誠意を披瀝すると言つたということが、この緊急の事態と非常に関連性を持つというような御意向でありますが、私がありとあらゆる方法をとつて御意向に沿うということを申し上げましたことは、農林省の同意を経ずして出したことは、何と申し上げても通産当局の失態でありますから、この問題に対してはこの委員会の御意向を尊重しまして、今後かかることを絶無にさせなければならぬと同時に、この事態をできるだけ僅小に食いとめて、誠意を披瀝する必要があるという考え方から、私もありとあらゆる方法をもつてさしとめるということを申し上げたのであります。結局国家的に見て、この二万トンの輸出をすることによつて農家供給に非常なる支障を来すか来さぬかということは、緊急の事態であるかどうかということの判断の対象になると思います。従つてこの問題は先ほど申し上げましたごとく、一応八月、九月は不需要期である。ことに公団の在庫がある。もし緊急の事態ということに認められますならば、当然公団の在庫を放出できるのであります。幸いに肥料の値段を見ましても、当初七百五十円前後であつたものが、最近は七百円どころまで低落しておるということを聞いておるのであります。もしこの値段が私の申し上げることに間違いないといたしましたならば、二万トンを輸出したことが——先ほど河野委員が非常に強く言われておりまするが、値段の点でさほど農家経済に大きな影響は及ぼしていないのじやないかというふうに一応考えられるのであります。ことにこの二万トンは、先ほど申しましたごとく、今後増産してカバーする。そうして内国の供給支障のないような措費を講ずることになつておるというふうに申し上げておるのであります。
  45. 井上良二

    井上(良)委員 ちよつと関連して……。この数字以外に何ほど輸出されておるのか。
  46. 首藤新八

    首藤説明員 それは申し遅れましたが、台湾向けになお五千トンばかりあるそうであります。しかしそれは農林当局の同意を得て輸出しておるのであります。先ほど委員長報告に三万四千九百九千トンという数字が読まれておりましたが、これがわれわれが申し上げた二万九千トンに加わつた数字というふうに考えておるのであります。
  47. 平野三郎

    ○平野委員 そうしますと、台湾向けの五千トンは了承しておりまするが、それ以外に農林省に同意を求めずして輸出の許可を与えたというものは全然ないということでございますね。
  48. 長村貞一

    長村説明員 二万九千九百三十九トン何がしというものにつきまして、農林省に同意を求めたということをこの前申し上げましたが、ただいまの御質問中にもその数字があつたわけであります。総計二万九千九百三十九トンというこの数量以外に、同意を得ずして出しておるというものはございません。
  49. 平野三郎

    ○平野委員 なおお伺いいたします。これは正式に農林省の方から本委員会報告があつたのでありますが、最近八月以降通産省輸出の許可を与えられた数量として農林省報告せられた数字は、四万四百七十トンであります。もちろんこの中に台湾向けのものが五千トン含まれておりますが、それを差引きましても三万五千四百七十トンであつて通産省の本委員会に対する御報告とはほぼ五千トンほどの開きがあるのであります。現に七百十一号及び七百十二号をもつて宇部鉱産の分を太平商行に対して与えられた分が五百トン、さらに宇部鉱産自身に与えられた五百トン、合計一千トンというものは全然農林省にも御通告がないし、また本委員会に対してももちろん御報告がないのであるが、しかも許可を事実与えられている。こういう事実がありますが、これはどうでありますか。
  50. 出雲井龍雄

    ○出雲井説明員 数字の点にわたりますので、私から御答弁申し上げます。農林省の方で承知いたしておる輸出承認の数量と、通産省の現に輸出承認をしておる数量と食い違いがあるようだから、通産省の方で輸出承認をされた数字を知らせてもらいたいという要求を私どもいただきまして、御承知のように先般来この問題で、最後には数字がしつかりしておらなければいかぬと思いますので、私の方はその回答書に、通産省といたしまして受付けました、要するに通産大臣の許可をとるために業者の方から通産大臣あてに出して参りまして受付けました書類、これを全部網羅いたしまして、これに一々番号が入つておりますから、それに対しまして一々註をつけまして、受付けたけれども、その後契約の話が立消えだとか、この分は契約の数量が減少したとかいうふうにいたしまして、報告した数量が三万八千七百十四トン九百九十になるのでございます。それでその前にひとつ行き違いがございましたのは、いつ農林省の方へ私どもの回答いたしました資料をお出しいたしましたか承知いたしませんが、最初出しましたものにプリントの間違いがございまして、最初の分は三万七千七百十四トンと書いてあつたのでありますが、それをすぐ公文で三万八千七百十四トンと改めたのでございます。そういたしまして、この中には——これは受付けただけでございまして、はつきり註で書いてございますが、農林省に同意を求めたものがどれだけであり、求めないで通産省で契約が立消えになつておるものはどれだけかということを出しました。この数字から従来の数字を御説明いたしますと、私どもから農林省に出しました資料のうち、お手元にありましたら四八三号の第三枚目の……(「結論の数字だけ言えばいい」と呼ぶ者あり)数字はピツチリ合つております。完全にこれは事務的な問題でございますから、私どものこの数字と従来の数字との点につきましては、農林省と事務的に両方でチエツクした資料を出してさしつかえないと思つております。
  51. 平野三郎

    ○平野委員 今の数字的な問題につきましては、いずれさらに小委員会が続行されますので、その際詳細に承りますが、大体農林省の方の御報告と全然数字が食い違つている。私はあらためてここで、きわめて簡単に農政局長でも肥料課長でもよろしいのですが、農林省の方の御報告数字は三方五千四百七十トンとなつており、通産省数字は二万九千九百三十九トン、同時に先ほどお話申し上げました七一一号、七一二号については、全然農林省の方は知らないと言つておる、しかも許可が与えられているということについて、もう一度だけ農林省の方と通産省と両方に伺います。
  52. 藤田巖

    ○藤田説明員 当初農林省がそれぞれ文書番号を付しまして同意を与えておりますのと、出ておりますのと番号が違つているようなものがございましたので、それを照会いたしております。それで、お話のございましたように、あるいは従来のものが変更されて新しくなつているかもわからないので、その点つき合せをいたしております。
  53. 河野謙三

    河野(謙)委員 さつき政務次官は、七百五十円の肥料が七百円になつてたいへん下つたようなことを言われましたが、大体七百円の肥料が安いと思つているところにすでに間違いがある。一体七百円というのはどこの相場か、あなたは知つていますか。農家に渡る相場じやないのですよ。駅で渡す相場ですよ。しかもそれは製造会社が問屋売りの相場ですよ。そういうことを考えておられないで肥料行政をやられることは、私はもう真平御免だ。私たちは伊達や酔狂でこんなことをやつているのじやない。実際あなたも政治家として、国全体の経済、特に今の農村経済というものについては、御研究を積んでおられると思うが、一体今の農村の経済というものはどうなつておるかということを、お互いに真剣に考えようじやありませんか。そんな簡単に、七百円の肥料が安いというようなことを言われないようにしてもらいたい。これについて七百円が高いか、安いかというようなことをここで検討することはむだだと思いますから、十分御検討願いたいと思います。
  54. 首藤新八

    首藤説明員 七百円が高いか、安いかということは、これは見解の相違によつてどうともきまると思いますが、要は原価がそれで引き合うか引き合わぬかということに尽きると思います。要するに、あなた方の御意見を聞くと、肥料の値段は、原価というものを一応無視して、幾らでも下るほど下げたい。農家経済から見て、とにかくできるだけ下げたいという御意向のようでありますけれども、しかしながら、少くともメーカーの原価ということは、やはり厳重に尊重しなければいかぬと思います。それで初めて肥料増産ができ、そしてそれが結局農家の利益になる。従つていたずらに値段をたたいて、そして原価を割つても一向さしつかえないという方針は、大局から見てとるべきじやない、かように私は考えております。
  55. 平野三郎

    ○平野委員 それじや申し上げます。私は決して農家肥料を——ただいたずらに安くすればいいということを一ぺんも言つたことはない。この委員会においても、肥料工業を育成しなければならぬ。輸出工業まで発展しなければいかぬということを言つておる。その観念はいまだにかわりません。あなたは今七百五十円の相場を言われましたが、七百五十円というのは市況じやない、はつきり申し上げますと、公取にもひつかかるようなメーカーの申合せ価格ですよ。決して自然の取引のうちに生まれた七百五十円じやない。こういうものは基準にならない。こういうものを基準にして、七百五十円をあたかも市況であるかのように考えられて、それから五十円下つた、四十円下つた、なるほど下つたが、それが基準になるのじやないということを、まず一点に申し上げておきます。  それからもう一つ申し上げたいのは、今後肥料の公団の放出について、私はひとつ通産省の態度を伺つておきたい。あなたは先ほど肥料輸出の問題が問題になつて、その方は誠意をもつてとめたけれどもとまらなかつた、しかし一方において公団の放出のものがあるから、こう言われた。一体通産省のあなたの部下が、今まで放出について反対したか、賛成したか。常に放出を阻害したのはあなたの省じやないですか。今まで放出の問題があつて農林省から放出を申し出る、安本も同意する、それに常にブレーキをかけてじやまをしたのはあなたの省じやありませんか。放出の問題を妨害した通産省が、放出の品物が、あるということは、どこを押したら音が出るか。同時に今現に放出が遅れたために、せつかくの肥料が手続上の問題で、いまだに農家の手に渡らないというような現状にあるじやありませんか。こういうこともひとつ政務次官は——私は答弁を求めません、よく御認識願つて肥料の行政を担当している通産省である限りは、自転車とか、電力とか、そんなことばかりやつていないで、肥料のことももう少し研究して真剣にやつてもらいたいということを私は申し上げておきます。
  56. 大森玉木

    ○大森委員 今政務次官お話では、大体七百五十円の肥料が安い、それは見解の相違だというような御答弁がありましたが、大体通産省は商人であるので、あなたの言われる通り、たしかに見解の相違なんです。われわれ農民は高いと言う。ここが私は通産省肥料などを扱つておられることが間違いじやないか、私はその点が、どうも先ほどからいろいろ熱心な質問と答弁がありましたが、ピンと来ない。ピンと来ない理由は、今申し上げたように、商人と農村との問題であるから、これはその一方はもうけなければならぬというような頭から割出したお話であつては、私はピンと来ないのが当然だと思う。でありますから、これはいさぎよくひとつ農林省へもどして、農林省が扱う、こういうふうにしてもらえば、こうした見解の相違が起らないと私は思う。その点は私の意見を申し上げたのだが、なお私は政務次官に簡単でありまするが、過失によつて元村という者を処分するというような御答弁があつた。これはいかなる位置の人でありますか。これを簡単にお尋ねしたい。さらにこれについてももう一言だけ、それに連繋してお尋ねをいたしたい、こう思うのであります。これはいかなる位置の人でありましようか。
  57. 首藤新八

    首藤説明員 それは職責は通商班長であります。
  58. 大森玉木

    ○大森委員 私はそれを非常に遺憾に思うのであります。もはやこの輸出問題は、次官もすでに今申されたごとく、過失であるということは認められた。認められました以上は、班長ごときものを処分してそれで足りるのでありましようか。あなた方の通産省の運営は全部班長によつて事をなされるのでありましようか。おそらく農林省との連繋がなくても、あるいは省内におけるところの班長ごときものによつて運営できたものとは私は考えられない。そういたしますならば、班長を処分するならば、それに次いで何者を処分するかということは大きな問題でなければならぬと思う。これらに対して、政務次官はいかように考えられておりますか。私は先ほどこの元村というものを聞いたときに、案に不可解に思つた。あなた方がやられたこの問題は、私はこれを卑近な例をもつて申し上げるならば、これがもし悪いことをしたものとするならば、盗んだ品物であつた、違法なものであつたということは、これは過失によつてはつきりした。しました以上は、これを次から一体どうして扱わなければならぬか、どうしてこれを出さなければならぬかということも私は申されると思うのであります。そういう点からいたしまして、もしもこれだけを犠牲にして、そうして今までのすべてのことはほおかむりで通ろうというようなことは、これは少し考え違いではないか、こういうふうに考えるのでありますが、これに対しまして御答弁を願いたいと思います。
  59. 首藤新八

    首藤説明員 元村君が通商町長といたしまして当面の最も大きい責任者であります。従つてその輸出の許可あるいは農林省に対するところの交渉等の要務をやつておつた当人でありますから、先ほど申し上げました通りに、この元村君が絶対的責任を負うべきであるということにいたしたのであります。御質問の趣旨は、ひとり元村にとどまらずして、他にも考慮すべきではないかというような御意見のように伺いました。当然事の性質によりましては、そういうことも考えられますが、先ほど申しました通りに、この問題については一応当面の責任者を処分いたし、さらに関係のそれぞれの課員に対して戒飭を加えて、将来絶滅を期するということで大体いいのではないかというような考え方で、今日まで進んでおるわけであります。
  60. 大森玉木

    ○大森委員 大体趣旨はよくわかりました。私はこの元村氏を処分する、これは過失であつた、これは悪いことであつたということは判然いたしました、そう私は受取つていいと思います。そういたしますならば、先ほどから輸出の問題に対してはどうだということを、河野君その他からかわるがわる御質問になつたようでありますが、もはやそれに対しましては何とも言明できないということを政務次官は仰せられました。私はすでにこれはやつたことが悪かつた、処分までせなければならぬということであるならば、もはや言明の限りでなく、こういうことを扱つてはいかぬというふうに考えるが、この点をどういうふうにお考えになつておりますか
  61. 首藤新八

    首藤説明員 河野委員の御意見は、今後続いて輸出をやらぬということを言明せよという御意向でありまして、この問題とはあまり大きな関連はないと思うのであります。ただ今後の問題に帰着して、将来輸出をしないということを言明せよという御意向であつたと私は考えております。
  62. 井上良二

    井上(良)委員 この際ちよつと二、三点伺つておきたいと思います。すでに質問されたかも存じませんが、二万トン余り、約三万トンに近い輸出をするということに安本できまり、これが通産省の所管において事務的な処理がされる、こういう輸出計画をやります場合に、何ら上級機構でありまする部長局長次官、大臣には相談もないのですか。これを一応伺いたいと思います。
  63. 首藤新八

    首藤説明員 これは法律にきまつた範囲内でやることでありますから、一つのレールを走つておるというような事務の処理になつておりますので、そういう事項は一応局長に全権を委任してあるのであります。局長会議で決裁ができるという機構に相なつておるのであります。
  64. 井上良二

    井上(良)委員 肥料輸出するかしないかという問題は、農林省に相談をしなければならぬような重大な案件であります。そういう重大な案件を、次官にも大臣にも耳に入れず、書類報告もせずに、単に事務的に処理をしてしまう、大臣、次官は全部つんぼさじき、そういう機構でいいのですか、どうお考えですか。
  65. 首藤新八

    首藤説明員 これが決定通りに推進されましたならば、それで支障ないと考えております。ただ問題は、そういうことで当然やるべきことをやらなかつたということから問題が起つておるのでありまして、法規通りにこれを推進いたしましたならば、今の機構で決定した通りで事務の推進には支障ないというふうに考えております。
  66. 井上良二

    井上(良)委員 具体的な事務処理、つまりどこのメーカーには何ぼ、どこの貿易商社には何ぼの伝票をどう切るということまで、一々あなた方に報告する必要はないかもしれませんが、全体のわくを、今期にはこれだけ輸出をするということで話がまとまつたということは、当然上級機関に向つては事務的な報告をする義務があります。それがないとは言わさない。そうしなければ、かりにこういう政治的な大きな問題になつて、全然あなた方は知らなかつた、それで責任を果されますか、どうお考えですか。
  67. 首藤新八

    首藤説明員 先ほどから申し上げております通りに、要するに農林省の同意を得るということになつておりますので、次官、大臣までこの問題を相談しなくても、肥料の担当官から農林省の担当官に御相談申し上げて、その面で法規で決定した範囲内で推進いたしますれば問題はないと考えております。
  68. 井上良二

    井上(良)委員 私はそういう事務的な処理についてとやかく議論をしておるのではないのです。つまり肥料を二万トンも三万トンも輸出をするということが、肥料全体の行政の上に重大な問題を生んで来るのであります。それを生んで来ないとあなたは考えての議論かもしれませんが、われわれが考えます場合には少くとも国内の需要との関係はどうなつておるか、それだけ輸出してもいいか悪いかということにいつて、全然大臣も次官も相談を受けずに、一担当官においてかつてに処理される。もしその幅が次第々々に広がつてしまつて、国内需要に大きなきずが入り出したという場合に、一体これをどう処理するのですか。結論はそういうことになりましよう。最初は農林省との間において同意を得る処置になつておるから、同意さえ得ればいいということは、いわゆる事務的な処理の問題であつて輸出のわくを何ぼにするか、何ぼ輸出するかということをきめました以上は、一応書類によつて上司に報告し、上司においても大体了解するものは了解するという、伺い書というものを出さなけれならぬ。これは当然の一つの行政事務機構であります。それをあなた方が知らずに、かりに最初千トン、その次はまた五千トン、一万トン、二万トン、五万トンというようにふえてしまつて、遂に国内需要に重大な支障を来して、えらいことをやつてくれたなあ、そういうことで事が済みますか。行政全般について責任ある大臣も次官も全然知らなかつた、これで済むかということを私は聞いておるのです。
  69. 首藤新八

    首藤説明員 これは通産省の例でありますが、大臣や次官に相談することも、むろん本来の姿ならば当然でありますけれども、それよりも肥料需給に最も関心を持つておりますものは農林省であります。従つてこれを輸出すべきか、輸出すべきでないかということに、一番関心を持つておりますものも農林省であります。こういう面から農林省と御相談する。そうすれば、要するに農林省の方で責任を持つて、この程度ならば輸出してもさしつかえない、あるいはいかぬという判断が下される。その範囲内において輸出がされますならば、一担当官の方で処理しても別に大きな支障はないというように考えております。
  70. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私はこの問題につきまして、一言だけ関連の質問をしておきたいのであります。  それはこの前の国会のときに、この席から私は、肥料輸出に対しては絶対反対だ、委員会としてはほとんど全員の者が反対だということを、はつきり言明しておきました。それを通産省の責任者たちが、まつたく無視した態度をとつておられる。これは単なる事務的に相談があつたとかなかつたという問題じやない。むしろ政治的なきわめて重大な怠慢だと私ども思います。相談がなかつたから知らなかつたということでもつて、この問題をほほかむりすることはできない問題だと私は思う。六百万戸の農家が、ようやく肥料が余つて来て、今まで高い肥料を使わされておつたが、今度は肥料工業も合理化されるだろう、その過剰の肥料によつてだんだん肥料工業も合理化されて、合理的な生産が行われ、安い肥料生産されるだろうと非常に期待しておつたときに、そのすきに乗じて輸出して、そうして数量の調節をはかつて、依然として高い肥料を使わせるということは、六百万農家の名において反対するということを、私ははつきりと言つた。それを知らなかつたということは、私は言わせることができないと思う。にもかかわらず事務当局が相談しなかつた、あるいは局長以下に委任事務規定でまかせてあるとかいうことは、事務的には弁解できるかもしれないけれども、政治的には重大な怠慢だと思います。この点について所見を承つておきたい。
  71. 首藤新八

    首藤説明員 この前の国会でそういう決議が行われたということも。不幸にして私は聞いていないのでありますが、要は通産当局といたしましては、御承知通り終戦後肥料供給に非常な支障を来した。そこで大量の輸入を敢行せざるを得なかつたのであります。しかしかようなことで国家経済の自立は容易にできません。ことに肥料が日本の食糧の増産に至大な関係があり、重大な影響がありますので、何としても肥料を一日も早く増産いたしまして、もつと国内の需要を充足する。同時に、さらに進んで、余裕がありまするならば輸出を増進いたしまして、もつて経済に寄与いたしますると同時に、大量の生産をさせて原価を安くする。そうして原価を安くすることによつて日本の農家に安い肥料供給する。工場も引合う。そうして同時に原価を安くするということは、何といつても大量の肥料生産する以外にはないのであります。従つて通産省といたしましては、でき得る限りこれを重点的に取上げまして、肥料増産にあらゆる対策をとつて参つた。幸いに本年度におきましては、先ほど来局長から申し上げましたが、六万トンの輸入がありまするけれども、これは前年度からの残りでありまして、十二分に国内産で内地需要を充足し得る。数字的には先ほどから問題になつておりまする通り、十五万トンかあるいは二十万トンぐらい過剰を示すのではないかというような段階まで行つておるのでありまして、これは過去三年あるいは四年来の肥料生産に比較いたしますれば、格段の進展だとわれわれは考えておるのでありますが、これだけではまだ満足の状態には達しておりません。先ほどから肥料の値段がまだ高いという御意見があります。これは農家経済から考え、あるいは米価の現状から考えましたならば、高いと思われるのであります。非常に高いけれども、現在の生産過程におきましては原価がそこにつく。従つてこの委員会の御意見を尊重して、この肥料の値段を安くするといたしますならば、どうしても増産しなければならぬ。そうして原価を安くする。それ以外にはないのでございます。従つてそうしますには、結局内地需要を充足いたし、さらにでき得る限り輸出をやるということによつて、初めて目的を達成いたす。われわれはそういう考えのもとに、根本的には内地需要にいささかの不安も与えないような供給をいたしまして、なお余裕があるならば輸出の方に振り向けて行きたい、そうして肥料工業を育成して参りたいという考え方のもとに進んでおるのであります。
  72. 井上良二

    井上(良)委員 今、遠藤君からも話がありましたが、肥料の全体のわくが非常にきゆうくつで、しかも海外から輸入を仰ぎ、同時に国内をまかなわなければならぬという状態にあるものを、海外に輸出するという別な手を打つ場合は、少くともそれだけの計画については、一応上司の機関に報告すべき義務があると私は思つておる。これを義務がないと局長はお考えですか、伺いたい。
  73. 長村貞一

    長村説明員 先ほど政務次官の御答弁にもございましたように、現在私どもの事務のやり方といたしまして、農林省の方に通産省の方から輸出の同意を求めまする場合には、局長限りの処置にまかされておりますので、私どもは現在局長限りの処置行つてよろしいもの、かように考えております。
  74. 井上良二

    井上(良)委員 そういたしますと、農林省がかりに同意をしても、全般的な肥料需給状況がどうなつておるかということを、大臣や次官は全然わかつてなくてもいいとお考えでございますか。
  75. 長村貞一

    長村説明員 もとより肥料の全般的な需給状況その他の状況につきましては、適宜御報告はいたしております。
  76. 井上良二

    井上(良)委員 この処置おとりましたときには報告をいたしましたか。
  77. 長村貞一

    長村説明員 二万九千トンあまりの同意を求めましたことにつきましては、御報告をいたしてございません。
  78. 井上良二

    井上(良)委員 しかもその内容は全然農林省が拒否しているという実情にあるものにおいて、特にこれは通産省全体の大きな問題になつて来るわけでありますので、どういうわけでその場合報告ができなかつたのですか。
  79. 長村貞一

    長村説明員 二万九千トンは農林省に同意をいただきたいと協議した数字でございます。もとより先ほど来お話もいたしましたように、別途安本を中心にいたしまして、全体的な輸出のわくを今検討中でございます。そのうちの一環として、当然にこれは考えらるべき性質のものであると考えられますので、具体的の二万九千トンについては、まだ報告をしてなかつたという状況であります。
  80. 井上良二

    井上(良)委員 全体的な輸出のわくを検討中とのことでありますが、その輸出のわくの協議会といいますか、打合せには、あなたもお出になつておつたことと思いますが、その場合の内容は、一体どういう数字になつておりますか。その数字は一体上司に相談をしておりましたか。
  81. 長村貞一

    長村説明員 この問題は安本で現在検討を進めておりまして、まだはつきりした数字は出ていないという状況になつております。
  82. 井上良二

    井上(良)委員 はつきりした数字が全体でつかまれてないのに、二万九千トンを出していいという根拠はどこにあるのですか。
  83. 長村貞一

    長村説明員 全体的なはつきりしたわくはまだきまつていないということは、ただいま申しました通りでありますが、私といたしましては、この二万九千トン程度数字でございまするならば、農林省が同意されますれば、これは輸出しても支障がない、かように考えましたので、さような処置をしたわけであります。
  84. 井上良二

    井上(良)委員 問題は、これはかくのごとき事務管理機構が生んだ一つの通産省としての失態であつた、こういう表現をしておりますが、政務次官はかくのごとき事務管理機構を改正する御意思はありますか。
  85. 首藤新八

    首藤説明員 井上委員は省内の事情をよく御存じだと思いまするが、あらゆる問題を次官、大臣が一々決裁するということになりますれば、これはもうたいへんなことでありまして、事実上言うべくして不可能なことではないかと思うのであります。この問題は、法規に従つてその通りに処理いたしますれば、次官大臣の決裁を仰がなくとも一向さしつかえない。ただかような問題が起りましたから、今のような御意見があるかと思うのであります。従つてこの問題につきましては、まつたくこれは異例の問題でありまするので、この異例の問題があるからといつて、全般的に省務の運行に支障を来すように機構を改正することも、一応考えなければならぬかと考えておるのであります。それよりも、再びかようなことの繰返されないような方法を講ずることの方が適当じやないかと考えておるのであります。
  86. 井上良二

    井上(良)委員 私はこれを異例とは考えておりません。少くとも政治的にはわれわれが物を判断をいたします場合、一定のわくをきめて外国へ輸出するという一つの特例をやるのでありまして、従来の慣例機構とは違うのであります。従つてそういう場合は、特に上司の許可を得るなり、上司に伺いを立ててやるべきであろう、これが私は少くとも常識的なやり方ではないかと考えております。そういうやり方に改める必要があろうと私は思つております。従来やつております事務管理を、一々あなた方の決裁を得なければならぬという、そういう煩雑なことを私は要求しておるのではない。特に従来やつて来ておりましたことと別なことをやります場合には、しかもそれが国内のいろいろな面に影響すると判定されます場合には、一応上司の御意向を伺うということが、当然の処置ではないかと私は考えます。従つてそうやるべきであろう、私はこういう意見であります。  それはその程度にいたしまして、その次に重要な点は、さきにあなたは、今度の事件を処理されたことについて、通産省としては、特に上司としては過失としてこれを認めた。その過失という内容はどういうことですか、われわれはこれを過失と認められない。どういうところをあなたは過失と言うのですか、あなた自身これは大失態であると言うておりますが、その失態の内容、あなたが過失と認定をされて処置された、その過失の内容を、具体的にお話を願いたい
  87. 首藤新八

    首藤説明員 これはこの調査をいたしました局長からお答えした方がいいかと存じます。局長からお答えいたします。
  88. 長村貞一

    長村説明員 今の二万九千トン余りの合議をいたしました際に、実はそのうち七千四百トンばかりは、幸いにして農林省の同意を文書で得たわけでございます。残りが二万二千トン余りまだあるわけでございます。これにつきましては同意書を頂戴していなかつたわけでございます。御承知通り、二万九千トンにしろ、あるいは七千トンにしろ、二万二千トンにしろ、これは個々の内容といたしますと、いろいろ口数があるわけでございます。これをとりまとめて一回に農林省の方から御同意をいただくという手はずにはなりません。現に七千四百トンばかりのものは、次々と同意書を頂戴してあつたわけでございます。輸出を担当しております担当官といたしましては、二万九千トンの合議のうち、七千トン余りのものについてはすぐ同意書を頂戴した。その後もいろいろ御折衝をいたしておりまして、おそらく残りの二万二千トンにつきましても、おつつけ順次御同意を得られるであろろう、かように誤つて考えましたために、結果的には非常に申訳ないことに相なつたわけでございます。これらの点からここに非常な過失があつた、かように私ども考えたわけでございます。
  89. 井上良二

    井上(良)委員 最初の七千トンは同意がありまして、あとはあるものなりというあなた方の一方的な解釈なんです。相手は同意をしていない。さらに強硬に不同意を表明している。それにかかわらず、もちろんずんずん事務手続は進めてしまつて、許可書はどんどん出している。意識的にやつている。その点ははつきりしている。あなたは意識的にやつたとは思いませんか。
  90. 長村貞一

    長村説明員 農林省とは当時時々刻刻御折衝をいたしておつたわけでございます。なかなかに御同意を得られなかつたことは事実でございますが、私どもといたしまして、また担当官といたしましては、何とか御了解を得たいという説明なり努力を、繰返しておつたわけでありまして、その間に私どもの方、あるいは担当官の方としては、ぜひとも御了解を得て出したいという希望を、強く持つておつた関係もありましようが、結局は何とか御同意を得られるものではないか、かように、お話のように一方的な判断ではありますが、誤つた判断をいたしたというわけでございます。
  91. 井上良二

    井上(良)委員 要は、あなた方の独断的な考え方から、一方的に強行されていることははつきりしている。そうすれば明らかに故意である。過失とは認められません。これを過失として処分するほど片手落ちな処分はありません。あなたが今お話通り、あなた自身も農林省から同意を得られるであろうという一つの想定のもとに、まあ事務は進めておけということを命令されたに違いない。その下におる担当宮が、上司とよく相談をして、どんどん許可書を出すという手続を進めてあることを、これを過失なりということで罪を負わせて、あなたが知らぬ顔をしている。それで一体いいですか。こんなことではいけませすね。これは首藤さん、あなたどうお考えになりますか。
  92. 首藤新八

    首藤説明員 井上委員の御意見のように、もしこれが故意だということにいたしますれば、農林省の同意がなければ輸出のできないものであります。しかもこれを故意にやつたら、その結果がいかに重大問題を発生するかということは、担当官にはよくわかつておるはずであります。従つて故意にかようなことをやるといたしますれば、もつとほかに安意にやる方法が私はいくらでもあると思います。これは農林省の同意がなければならぬ。結局重大問題を展開するということは、これは事前からわかり過ぎるほどわかつておるわけであります。従つてそういう面から故意にやつたとはわれわれには考えられないのであります。ただお互い役所同士でありますから、電話で、承認してもらえるだろうということで七千五百トン、台湾行きが引続いて五千トン許可になつた。これは多少農林省に難色があつたけれども、われわれが要望したならば引続いて許可してもらえるだろう、こういう即断からこういう結果になつたと考えられるのでありまして、さような面からも私は故意では絶対にないというふうに考えておるのであります。
  93. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、要はあなたの方で出過ぎてやつたことなんだ。一つの臆測、想像によつて一つの事態をでつち上げているわけですから、それに対してあなた自身、通産省としては重大な失態だということを認められておる。その失態に対する責任をどうお考えになりますか。
  94. 首藤新八

    首藤説明員 愼重に考慮いたしたいと存じます。
  95. 井上良二

    井上(良)委員 すでにこの問題が起りましてから一月以上にもなつておるのです。まだ愼重に考慮中では、いつごろになつたら結論がつきますか。通産大臣がこれに対してどういう見解をお持ちになつておるか、お伺いになつたことがありますか。この委員会にたびたび出席を要求しておるけれども、一ぺんも出て来ない。あなたは政務次官として、本省と議会との間をとりもつ重大な役目を持つておりますが、あなた自身通産大臣に本件に関しての報告をいたしたか。かつ本件に対して通産大臣がどういう意思を表明しておりますか。通産大臣は本件に対してどういう責任を感ぜられておりますか。これを一応明らかにしていただきたい。
  96. 首藤新八

    首藤説明員 大臣には委員会ごとに委員会の御意向を詳細に報告してあります。大臣はこれに対して非常に遺憾の意を表しておるのであります。  なおまた、これに対してわれわれの責任をどうするかという問題でありますが、目下のところ、われわれはこの問題を一日も早く円満に解決いたしたい、收拾いたしたいということに專念いたしておるのでありまして、その後においてこの問題に対する責任問題を慎重に考えたいという考え方を持つておるのであります。
  97. 小林運美

    ○小林(運)委員 本日小委員会報告がありましたが、私は先般の小委員会でもこの問題についていろいろ質問をしたのですが、その結果農林省の同意を得なくて輸出許可を——これは通産省がやつたのではなくて政府自体が与えたのですが、この政府が与えた輸出許可に対して現物が輸出された。ところがそのうちさしとめをした数量はここでもまだはつきりいたしておりませんが、最終的に、輸出許可を与えたものをさしとめた数量は大体どのくらいになつておりますか。
  98. 首藤新八

    首藤説明員 完全に押えましたのが七千八百トンであります。それから一応積出し延期を懇談的に交渉いたしまして、それに応じて積出しを延ばしておるのが四千五百トンであります。合計一万三千トンであります。
  99. 小林運美

    ○小林(運)委員 その積出しの延期をしておるものは、今後どういうふうにされる予定ですか。
  100. 首藤新八

    首藤説明員 先ほど来申し上げております通りに、法的にこれを禁止することは困難かと思われるような状態になつております。さればといつてこのまま輸出いたしますることは、本委員会の御意向にも反することに相なりまするので、できる限り増産いたしまして、そうして何とかこの問題だけでも輸出の御了解を得たいという考えを持つておるのであります。
  101. 小林運美

    ○小林(運)委員 私はその事実を知りまして、ますますこれは不可解なものと思うのです。通産省はちつとは国内の事情が悪くても、どうしても輸出させたいのだ、こういうふうにわれわれは考えるのです。一体通産省は、そういう気持なんですか。どうしても輸出したいのですか。
  102. 首藤新八

    首藤説明員 内地需要を十分に充足いたしまして、なおかつ余裕があるならば、輸出をさせたいという希望を持つております。
  103. 小林運美

    ○小林(運)委員 そうすると、あなた方は大体いつになれば、現在の肥料事情がよくなつて生産輸出を可能とするまでになるとお考えになるのか。
  104. 長村貞一

    長村説明員 この問題は、結局需給のバランスの問題に帰すると思うのでございます。このために先ほど申しましたように、私どもただいま安本を中心にしまして、供給可能数量需要方面とを勘案いたしまして、どの程度に、どの時期に輸出が可能か、あるいは不可能かということを、鋭意やつておるところであります。
  105. 小林運美

    ○小林(運)委員 どうもいつになつたら増産できるのだか、わけのわからぬものを、倉庫に積み上げておる、一体これは、どういうわけなんです、これは会議をやらなくても、もう今のところは絶対足りないということはわかつておる、足りないことは事実です、それをまだ会議をやつて、書類の上であなた方に都合のよいような調査をおつくりになるなら、これはいくらでもできる、事実はやつぱり足りないのです。そういうことをもう少し正直に物を言つてもらいたい。ここは国会なんですから、よいかげんな話ではこういうことは済まされない。  それからもう一つ聞きたいことは、肥料輸出をする場合には農林大臣の許可を得なければいかぬというふうに、たとい省令といえどもきめた。それをあなた方は、一事務官かたれかが間違つたと、罪をそつちへなすりつけておられるかもしれないけれども、とにかくこれは重大なる欠陥です、これは内部的にも欠陥だけれども、もう一つ大きな責任があると私は思う。それはたとい内部にはどういう事情があつたかもしれませんけれども、業者の方から見ればりつぱに政府の許可を得ておる、その得た許可を、今度はわれわれ農林委員会のこういうことからとめた。業者は政府からりつぱな許可を得ておるのですから、それを輸出するのは当然なんです。それをあなた方は一体業者に何と言つて申訳するのですか。  それからもう一つは、輸出をする場合には相手がある、外国人が日本から物を買う場合に、約束して金を払つたがどうしたか知らぬけれども、とにかく商行為が成立しておる。それをこつちの間違いだといつてとめてしまう。これは大きな対外信用、国の体面に関することである。これをあなた方はどうする。ただ一事務官を処分して、それでほおかむりできますか。これは国際的な問題であります。われわれ日本は、今まで商売の上で非常に信用がなかつた。これからはもう少ししつかりした商売をしなくてはいかぬ、これは国民あげての声なんだ。それをこんなことであなた方はほおかぶりできるのか、一体この大きな責任をどうするのです。こういう問題をただ一事務官あたりに責任を負わせて、大臣や次官が知らぬ顔していられるのですか。それをひとつ聞きたい。
  106. 首藤新八

    首藤説明員 小林委員の御質問に対しましては、先般の小委員会でもお答えいたしたのでありまするが、まつたくお説の通り、国際的日本の信用問題に重大な影響を及ぼす。しかも業者としては何ら欠点のない手続をとつた結果であります。一にかかつて通産省の事務上の欠陥に原因しておりまするので、業者に対しましては事情を率直に申し述べまして、何とか取消しのできるものは取消してもらいたい、また延期のできるものは延期してもらいたい。但し国際的信用に重大な影響を及ぼすような結果を招来するようなものに対しましては、いかんともしがたいのであります。かるがゆえにどうしてもこの点を委員会におわびを申し上げて、同時にこの輸出した分に対しましては、別途増産いたして供給支障のない対策をとりたいということを申し上げて、ひたすら実は御了解を得つつあるわけであります。
  107. 小林運美

    ○小林(運)委員 この委員会にあなた方がどんなに頭を下げたつて、われわれはどうでもない。それは国際的な信用問題に関することをやつて、あなた方大臣や次官はどういう責任をとられるかということを聞いている。あなた方はわれわれが役所へ行くと、つまらぬものに判をたくさん押しておられる。そうして国民をいじめている。つまらぬことはそういうことをやつてつて、こういう重大な問題を判こを押さないで電話でやつた、とんでもない話だ。事務上の欠陥とかそんな問題ではない。もつと政治的に責任があると思う。こういうことを一体どうするのですか。
  108. 首藤新八

    首藤説明員 先ほど井上委員にお答えいたしました通り、慎重に考慮いたしたいと考えております。
  109. 河野謙三

    河野(謙)委員 前回の委員会で私は資料を要求しておるのですが、いまだに手元に届きませんから、重ねてお願いいたします。この輸出肥料の明細——工場別、港別、出荷月日、それがまだ私たちの手元に届いておりません。それからなお私は非常に疑いを持つているのですが、この問題が起りましたのは八月以降であります。七月以前のものにつきましても輸出がありますが、七月以前に出しました輸出の明細を、農林省通産省と、両省から責任をもつて手元に届けてもらいたい、かように思います。  最後に私は一つお尋ねしますが、輸出の申請書を業者があなたの方に持つて行く場合には、その申請書にはメーカーとの契約また外国の商社との契約、これをバウチユアーとして添付するようになつておりますか、それを伺います。
  110. 長村貞一

    長村説明員 メーカーとの契約書はついておりません。どこのメーカーからのものだということはわかつておりますけれども……。
  111. 河野謙三

    河野(謙)委員 外国のはどうですか。
  112. 長村貞一

    長村説明員 外国のはついております。
  113. 河野謙三

    河野(謙)委員 そこで私はもう一つ資料についてお尋ねしますが、今までの輸出の一品ごとのバウチユアーを全部もらいたい。私が承知している範囲では、国内の輸出業者の思惑輸出について、簡単に許可をしている事実があるように承知しております。  メーカーとも外国の商社とも何らの連絡のない者、関係のない者が、ただ思惑で輸出の許可申請に行つて、そういう不備な者に輸出の許可を与えているということを承知しております。この口数等は相当あると思いますが、これについて承知したいと思うのであります。この意味合いにおいて、私の誤解の解けるように、しつかりとした資料をあしたまでにお届け願いたいと思います。
  114. 大森玉木

    ○大森委員 昨日統制中であつたところの肥料の価格がどうであるか、その価格を知らしてもらいたいということを申しました。ところが今資料がないからあすということであつたが、できておるかどうか。午後でもいいから提出していただきたい。
  115. 深澤義守

    深澤委員 通産次官はメーカーの原価を割ることを非常に心配されておるようであります。従つて現在における肥料メーカーの原価計算、その問題をわれわれははつきり知りたい。その資料を提出願いたいと思います。
  116. 長村貞一

    長村説明員 今の点も原価計算の問題でございますが、御承知通り八月一日以降の統制撤廃後はマル公がなくなつております。原価計算はそれまで一応やつておりますが、これは物価庁の方で持つておるはずでございますので、物価庁の方から……。
  117. 深澤義守

    深澤委員 物価庁からでもいいから、明日までに提出を要求しておきます。     —————————————
  118. 千賀康治

    千賀委員長 この際お諮りいたします。委員の移動がございましたので現在肥料対策小委員会畜産に関する小委員会、公共事業小委員会、公団に関する小委員会におきまして、それぞれ小委員が一名ずつ欠員になつております。この際小委員補欠委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。それでは深澤義守君を肥料対策小委員及び畜産に関する小委員、公共事業小委員に御指名いたします。なお山口武秀君を公団に関する小委員に御指名いたします。  暫時休憩いたします。午後は二時半より再開いたします。    午後一時十分休憩      ————◇—————    午後二時五十九分開議
  120. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまから農林委員会を開会いたします。  これより畜産に関する件を議題といたします。最近近畿、中国地方において牛の流感が蔓延し、漸次関東地方にも伝染しつつある現状でありますが、この畜産農業に与える影響はまことに憂慮すべき問題となつております。この件に関し、まず政府当局より説明を求めます。  その前に委員長が一言発言をいたします。ただいま山根局長がかろうじて出席いたしましたが、本委員会の午後における開会は二時半とはつきり宣言をいたしております。それであるのに政府委員が非常に出席不良であつて、これはむしろ政府の各機関がいかに委員会を軽視侮辱しつつあるか。この立証になるというゆえんをもつて、現在有力なる議員から委員会の即時散会の動議が出ようとしつつあつたくらいであります。この空気を政府は十分反省されまして、将来かかることで委員から非難の起きないように、十分注意をされたいと思います。今日出席されていない方、また遅れてここに出席をされる方もあり、いろいろ出席しない方がありますけれども、今出席された方から、この委員会の空気を厳重にひとつお伝えを願いたいと思います。  山根畜産局長の発言を許します。
  121. 山根東明

    ○山根説明員 牛の流行性感冒が現在全国的に蔓延いたしておりますが、その概況を私から御報告申し上げます。  お手元に牛の流行性感冒発生状況をとりまとめました資料をお配りいたしてあるはずでありますので、ごらん願いたいと思いますが、この病気は実はわが国では明治二十二年及び二十六年に大流行の記録があります。朝鮮では大正十年及び昭和の初めに同様の記録があるのでありますが、爾来全国的には局部的に若干の発生を見たことがあつたようでありますけれども、大々的に流行いたしましたのは昨年でございます。この表にもありますように、昨年は総計十六万一千頭の牛が罹病いたしたのであります。昨年の流行の事実がありましたので、実は私どもとしましては、本年度はこの病気がまたも流行しやしないかということで、非常に懸念いたしておつたところ、やはり九月になりまして、中国から起りまして関西一帯、さらに最近に至りましては関東にまで蔓延いたして参つたのでありまして、ただいま北海道、東北のまだこの病気に見舞われていない所を除きますと、大体全国的に蔓延いたしております。これは一種の瀘過性病毒によつて起る病気であるのでありまして、牛はこれにかかると四十度以上の発熱を見るとともに、食欲不振となり、乳牛におきましては乳が出なくなる。また役牛は一時使役不能になりまして、禍根が後々まで残るというようなこともあるのであります。なお妊娠しております牛は流産をする、あるいは死産をするというような報告も少くないのでありまして、乳牛の方は役牛より一般に抵抗力が弱く、一度かかると、重症の経過をとるものは乳牛に多いようであります。死亡率は幸いあまり高くはございません。昨年十六万頭の罹病に対しまして、死にましたものが八百頭くらいでございます。これも病気そのもので八百頭が死んだということでなしに、この数字の中には、病気にかかつたということで、あるいは治療の手を尽せばなおつたものもを、わざわざ畜主の方で殺したという数字も入つているのでありまして、病気自体による死亡率は比較的少いというふうに言われております。現在のところ、最初に発生いたしました関西方面は、一応峠を越したという状況でありますが、関東及び中部地方の流行が現在最盛期であるのでありまして、これに対しましては、家畜伝染病予防法の一部を適用いたしまして、発生届の励行、隔離、移動制限等の措置をとるとともに、早期発見による治療の徹底、あるいはこれもお手元に差上げてありますが、リーフレツト等による予防知識の普及に努めますとともに、予算的の措置としましては、昨年は実は何らの措置をとらなかつたのでありますが、本年次の国会において御審議を願います補正予算に、本病防止施設として、都道府県の治療用医薬品購入費に対する補助金を約七百万円程度でございますが、要求いたしておるわけであります。このほかに規定の伝染病予防の関係の指導費、消毒費等を活用いたしまして、この対策の万全を期して行きたいというふうに考えております。病気の原因がはつきりいたしません。従いまして治療法も実は完全にははつきりいたしておりませんので、遺憾ながらこうした大流行を二年続いて見たわけでありますが、ただいま兵庫県に相当多数出ましたので、斯界の学者、大学の教授等を委嘱しまして、現地においてこの病気の研究をいたしておるというような手も打つておるわけでございます。以上簡単でありますが、大体の概況を私から御報告申し上げます。
  122. 小笠原八十美

    小笠原委員 牛の感冒の関係は非常に重大であります。ことに畜産と言えば主たるものは牛馬である。馬の方では伝貧問題、牛の方では感冒、ともにこれに対して予防あるいは治療、その他の施設はまだはつきりしない。こういうことになつておるのでありますが、そんなことを言つているうちに牛馬はみな倒れてしまいます。そこで昨年はこれほどの数があつたと言います。また伝貧のごときも、年々これは繰返しておるのでありますが、できてから学者を派遣したというようなことでは効力がない。前々から、これに対してどういう予防研究をやつておるか、それらの予算的措置と実際行われるものはどうか。私は馬の方でよく承知していることは、伝貧のごときは、感染しない役に立たないモルモツトで研究しているようなことで、全部これは大蔵省に削られておる。ほうり投げられている。それでも畜産局は黙つているから、こういうことになる。これは国家の重大問題です。畜産局長はほうつておかれる問題ではない。責任は大蔵省が負うかというところまで突きとめて、それを委員会で諮るなり、あるいはまた農林大臣の責任において解決をつけるなり、何とかせんければだめだ。従つて牛の感冒の方も、このままで省いてはだめなんだ。常に研究というものを明確にしなければ——どれだけの努力をして、どれだけの予算をとつているが、わからぬというならばわかるが、実際研究する予算もなければ、それだけの施設もなくておつて、こういう大火になつてから大騒動して、さあポンプを買えというようなことでは、いかに自動車ポンプを何台そろえてもだめです。従つて従来の関係はどういうふうになつておるか、それに遺憾の点があつたならば、ひとつ率直に御答弁を願いたい。
  123. 山根東明

    ○山根説明員 家畜衞生の関係につきましては、畜産局でも実は及ばずながら非常に力をいたしておるつもりであるのであります。ただ今御指摘のありました馬の伝貧の問題につきましては、これは多年ただいまの御発言と同じような御意見を、私どももたびたび承つておりますし、同感いたしておる次第でありまして、これの徹底的な研究のための経費を、毎年大蔵省に要求いたしておるわけであります。特に本年は是が非でもこれの理想的なるところにまで経費の計上を持つて行きたいということで、非常に努力をいたしたつもりであるのでありますが、遺憾ながら私どもの理想のところにまでは、微力にして持つて行けなかつたような事情でございます。ただ伝貧が、御承知のように終戦以後、国家としてほとんど放りつぱなしにしてあつたために、全国的にその被害が相当大きいという事情、これは予算当局も認識いたしまして、来年度以降においては、これの殺処分の徹底的な励行というような計画は、一応大蔵当局ものんでくれたような次第であります。そういうわけで、かかりましたものの処置については、来年度以降ある程度徹底的にできるのではないかということを考えております。なお研究費につきましても、われわれの理想の計画は認められませんでしたけれども、金額で申しますと、本年度は研究費がわずかに三百五十万円程度でありましたものが、来年度は八百五十万円に増額を見たわけでございます。もとよりこれであのむずかしい伝貧が十分研究が完全にできるかどうか、非常に疑問であるのでありまして、その点からは私どもの力至らずして、予算の計上が十分行われない現状に対しましては、御同様はなはだ遺憾に思つておるわけであります。計上されました経費で、できるだけのことを勉強いたしまして、この病源の究明なり、従つて治療法の発見なりに、できるだけ努力いたしたい、かような考えでおるわけであります。
  124. 小笠原八十美

    小笠原委員 ただいまの答弁で、努力されておることもわかりまするけれども、一体大蔵省あたりでは、牛馬の病気などといつてもわかりつこない。従つて予算をとるととらぬとは力比べです。おとなしくすれば負けるだけです。大体伝貧ということそのこと自体わかりやしない。馬牛の病気などこつちで関係しておられるかというかつこうをしておるのだからだめなんだ。だからあなたはよほど強くかからなければいかぬ。それから畜産局自体もよほど考えなければならぬ。競馬民営論が出るのも、そういう施設に対して経費をとろうとするのはあらゆる方面から入つておる。競馬をやつて、一匹の馬に役人が二人半は平均ついておるが、どうしてもむだな話だ。それの半分まわせば、伝費もこの感冒もみななおつてしまう。役人を食わせるためにみんなで日本の畜産を亡ぼすというようなばかな話はない。ところが局長さん、あなたはそうではない、あなたはよほど民営の方に動いて来たようだが、きのうかおとついの読売新聞を見ると、横浜の根岸の競馬、こんなことを出すのはだれかといえば、競馬の部長あたりが作戦で、民営にすればこういうふうになるのだということにして、民営反対を前提にして、ああいうことを騒ぎ立てておるというようなうわさを立てられておる。かりにあんなことが事実あつたとしても、農林省が発表する時期ではない。農林省の内部から発表しなければ、いくら新聞記者だつてわかりつこない。くだらないことを発表して、民営がくだらないというようなことを言う。民営どころではない。役人の頭の数の俸給だけを考えても、これだけでも民営、国営の論点のわかれ目はここでちやんとわかつてしまう。ことに今日どうですか。中山の入場、とんでもない。フオーカースをやめたら、みんなああいうのは大井の県営競馬の方に走つてあつちの方に行かない。一体あそこに行くのはみんなばくち根性を持つて行くのだ。それに、十円に対してまた十円、元を返すようなことをやつて、片つ方は十円に対して三百円もついて来る世の中に、だれがあんな所へ行くか。われわれは理想としてああいうフオーカースをやることはよくないと思つておる。しかしやめるならば全国一律にやめなければ、片つ方はやめて、片つ方ではやるということで、これがために国の收入がどんなに減つたか。第一あの競馬部長なんか事情を知らない。ただ競輪があんなことに対して、ごろつきみたいにけつまくられたから、今度は競馬にまくれ返つて来るかもしれないから、それを予防するためにフオーカスをやめようなんという、そんなとぼけたことを局長許しておいてはだめだ。競馬部長はしばしば問題を起すが、たまたまあなたと同県だというので首を切られないでおる。そのままにしてたびたび問題を起し、失態を起す。もう少しあなたしつかりしなければ、国家の損失だと思う。従つて経費がないから馬が死ぬの、牛が死ぬのと騒ぎを起す。こういうものの予防策に、今のわずかの経費、いらざるところの経費をそつちの方に有効に使えば、それでおちつく。畜産局長、これはきわめて重大であるから、もう少し予算措置のことでも、收入のことでも考えておやりにならぬと、一部長や一課長に籠絡されて、それがために非常な国家の損失になるようなことは、これはやめなければいかぬ。ぼくらもがまんしたけれども、もうがまんできなくなつた。局長これ以上がまんできるかどうか、もしがまんできないと言つても始まらないから、答弁の必要はないけれども、まずこれは明日からでも十分な御注意を喚起したい。これだけ申し上げておきます。
  125. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私は流感の問題について二、三点お尋ねしておきたい。第一は今回の伝染性の流感については、非常に農村の方で困つております。一番困つておりますのは薬品であります。リンゲルの注射をするとか、その他いろんな注射などやつておりますが、薬品の値段が当初は八十円くらいであつたものが、全国的な蔓延を見るに及んで、急遽値段が暴騰して参りまして、百七十円だとかいうような値段が出ております。流感にかかつた牛を持つた農家は、百七十円でもあつちこつち探して歩いて、どうしても手に入らないというようなことで、非常に当惑しております。この薬品の問題については、政府の方でもぬかりなくやつておると思いますけれども、まさに暴利の取締りにひつかかるような状況になつております。この薬品の手当について、政府は何らかの手を打つておるのかどうか、もしまだ今日打つてないようでしたら、至急ひとつ打つていただきたい。少くも暴利取締令が発動されておる以上、暴利になるようなことを阻止する程度のことは、急遽講じてやらなければ、これは農村に対して、政府として非常に申訳ないのではないかというふうに私は思います。この点について今までとつて来た対策及びこれからやろうとする考えについてお尋ねしておきたい。  第二の点は獣医師の問題でありますが、獣医師が非常に不足しております。それで民間の獣医師を活用しておりますけれども、何しろ一齊に伝染性の流感にかかつたものでありますから、獣医師が徹夜しても足りないのであります。そこではなはだしいのになりますと、ほとんど獣医の経験のない人にいろいろ注射をお願いしたりしております。これはまた非常に危険なことでありまして、これは政府としても組織的な獣医師の動員の計画を立てる必要があるのではないか。この間は獣医学校の生徒をいろいろ頼んだりしてやつてつたのでありますが、この生徒もまだ未完成でありますから、危ないと思うのであります。そこでこの流感のまだはやつておらない方の地方から相当大量に、しかも政府のあつせんで、組織的に流感の猖獗しておるような地帯へ獣医の供給をしたらどうか、こういうことを私は考えるのでありますが、この獣医の供給の問題については、政府はどういうことを今までやつて来られたか。またこれからどういうことをやろうとしておられるか。そういうことについてお尋ねしたいのであります。  第三の点は、流感にかかつて参りますと、牛乳が非常に減つて参ります。乳量が二割とか三割とか減つて参ります。非常に高熱が出て参りますと、ほとんど乳がとまつてしまいます。しかも八割、九割の牛がみな一齊に流感にかかるのでありますから、その地帯へ参りますと、乳牛が極度に減つて参ります。その関係でただいま市乳が非常に不足して参りまして、市乳が暴騰しております。ことに練乳の方にまわしておつた乳が、市乳が足りないために、練乳の方から市乳の方へみな引上げられておる。いわば市乳の混乱状態を今起しております。これに対して政府はどういう対策をとるお考えであるか。今までどういう手を打つておられたか。それらについて政府のお考えを伺いたい。そうしてこれからこの流感の問題については、政府はこういうふうにやつて行くのだ、心配しなくてもよろしいんだということを、はつきり畜産農民に、この委員会を通して、この国会を通して言明していただけば、農村の方では非常に喜ぶだろう、こう思うのであります。  以上の三点についてお尋ねしたわけであります。
  126. 山根東明

    ○山根説明員 全国的に大流行いたしましたので、お話のように薬品類が一時非常に値上りをしたのであります。しかし逐次薬品の値段もおちついて来ておるように承知しております。実はそういうふうに一時品不足で値上りがはげしくなりましたので、私どもの方として打ちました手といいますと、家畜薬を製造しておりますメーカーのおもなものに対しまして、私どもから勧告をいたしまして、隠匿をしないように、持つておるものは適正な価格でこれを売るように、また薬品の増産に励むようにということを、あらゆる機会をつかまえてメーカーに勧告いたしたのであります。そうして製造資材のあつせん等もいたしたのであります。ただ単なる勧奨でありますので、これが全面的に効果があつたかどうか、あるいは悪徳の業者等の手から出ますものが、不当な暴利取締りにひつかかるような値段のものも、実はあつたろうと思うのでありますが、現在においては、ある程度値段はおちついたということを申し上げていいのじやないかと思います。  次に獣医師が不足しておる状況は、軒並に家畜がかかりますものですから、地元の獣医師では、文字通り不眠不休でやりましても、なお手が足りないという実寸があつたわけでありますが、このために他の地方の開業獣医師をそこに移動するというようなことも、もちろん考えられ得ることではありますが、御承知のように、この病気は非常に早い速度で蔓延いたしますものですから、たとえば隣県の獣医師をその県に応援に頼むということを考えましても、足元が非常に不安でありますので、なかなか快く応じてくれないというようなこともありまして、完全にそうした手が打てなかつたのであります。ただ県から二、三申出がありましたところに対しては、学校なり、あるいは家畜病院の出張を私どもの方であつせんいたしました。これも学校でありますと、生徒というような未熟な者になりますので、あるいは先ほどお話がありましたように、思わしくないようなこともあつたかと思いますが、少くともある程度の人手不足を、それによつて緩和したいというようなことを考えたのであります。  次に先ほど私からお話申し上げましたように、乳牛はこの病気に対して抵抗力が比較的弱いようでありまして、かかりますと、乳が一箇月以上もとまるというようなことになりまして、特に集団的におります乳牛地帯が、全面的にこれにかかりますと、その地帯では、お話のように、市乳の不足という現象を起すと思うのでありますが、これも何さま私どもの心構えが不十分であつた点もあるかと思いますが、九月に急に発生いたしまして、あたかも燎原の火のごとく蔓延して参つたわけであります。ただいまのところ、幸い峠を越した状況にもなつておりますけれども、市乳のそうした局部的な不足の混乱に対しましては、特に有効適切な手だてを講ずるいとまもなかつたような現状でありますが、そのために乳幼児の栄養源その他大きな問題が今後起ることのないように、万全の対策を考えたいと思つております。それからこの病気はめつたにわが国に大流行することなく、先ほど申したように、明治のころに大流行を見まして以来、全国的な流行を見たのは昨年と今年の二箇年であります。でありますので、これに対する治療法なり、予防法がなお十分わかつてない点もあるわけであります、私どもといたしては、この病気の被害がいろいろな面から見て、ないがしろにできない大きなものであるということを考えまして、今後においては十分大きな問題として取上げて行きたい。予算的にも急拠追加予算の手続をとりまして、次の国会で御審議願うというところにまで至つておるのであります。今後におきましては、また来年、更来年、いつ流行を見るかは予言できませんけれども、この病気の重要性にかんがみまして、私どもとしましては、家畜衞生関係諸機関を動員いたしまして、これの対策を考究いたし、家畜飼養農家の不安を、できるだけ少からしめるように努力いたしたいと考えております。
  127. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいまの説明でよくわかりましたが、本日は幸いに畜産局の專門家が来ておられるようでありますが、今までの流感の経験からいいまして、季節的にはいつごろが一番ひどくて、しかもいつごろになれば終息するのであるか、特に十月になつて参りましたが、もうそろそろ季節的には、いつもの例だと終息するのであるが、まだこれから大いに来る可能性があるのか、それらの見通しをここで発表していただきたい。
  128. 田中好男

    ○田中説明員 それでは今御質問の点につきましてお答え申し上げます。  お答え申し上げます前に、まずこの病気の本質と申しますか、そういうふうなものにつきまして、何がしか申し上げておきたいと思います。先ほどからお話がございますように、昨年の八月上旬に長崎県に発生いたしまして、それから引続きまして熊本、宮崎、鹿児島といつたように九州を一なめにいたしまして、それから山陽道、四国に入りまして、それから近畿——山陰道は多少入りましたけれども、最後が十月の下旬ごろ福井県の一部と岐阜県の一部に発生いたしました。もう少し広がるのじやないかということも考えておりましたが、幸いにいたしましてそれ以上広がりませんで、去年は大体年末に終つております。私どもはその発生がありましてから、また明年も明後年もといつたようなことであつては困るというので発生の経験を詳細に調査いたしまして、その結果大体明らかになつておりますことは、流行の波が大きな道路、鉄道というようなものに沿いまして逐次ずつと広がつている、こういうことがまず一つわかつております。次は、たとえば神奈川県、あるいは静岡県だとか、こういうような一つの県を単位にして考えてみますと、流行の期間は大体一つの県においては一箇月ないし二箇月、前後の散発を合せますと、大体四箇月というような結果かわかつております。  それから去年は乳牛が比較的かかりにくいけれども、かかつたあとは非常に重い。それから哺乳犢が非常にかかりにくい。それから乳を飲みながら、えさを並べておるようなものはかかりやすい、こういうようなことがわかつております。そういつた疫学的な調査が一応でき上つております。さらにその病気の本質は何だろうかということを、当時家畜衞生試験所を中心にいたしまして、大学あるいは伝染病研究所、予防衞生研究所、あらゆる機関の御援助を得まして調べました結果は、幸いにしまして本体をなす病毒は分離いたしております。同時にこれに引続きまして、いろいろ悪さをいたします細菌も、それぞれ分離いたしております。分離して次から次へ牛を流感にかける毒はとつつかまえております。とつつかまえてはおりますけれども、不幸にしてこの毒は卵に培養しても卵につかない。あるいはねずみに注射いたしましても、ねずみからねずみへかかることはかかりますけれども、入のインフルエンザ菌だとかあるいは豚のインフルエンザ病毒というようなものと違いまして、マウスの肺の中に増殖いたします。従つてワクチンの製造に今もつて成功してはおらぬのであります。このワクチンの製造に成功いたしますれば、防疫対策は大してむずかしい問題ではないと思つておりましたが、これは今も申し上げますような事情でなかなか困難である、こういうふうに考えられております。それからインフルエンザ、これは流行性感冒というような科類に属しますが、家畜以外の要するに人の病気、それから家畜の中では豚のインフルエンザ、この二つが現在世界公認の病毒になつておりますが、牛のものにつきましては、今もつて世界の学界に報告されておらぬのであります。たまたま去年日本に流行をいたしましたがために、今のところはその毒をとつつかまえることに成功した、こういうところまでしか来ておらぬのであります。それで去年流行のありましたものは、たしか四国と淡路だつたと思いますが、牛の流感がはやりました直後に、人のインフルエンザがかなり流行いたしました。そこで今まで牛のインフルエンザというようなものがはつきりいたしておりません関係から、人のインフルエンザとの関係があるのではないかということで、一時大分問題になりました。その移動等について調査いたしましたけれども、幸いに人のインフルエンザ病毒と牛のインフルエンザ病毒とは違うものであるということが明らかになりました。そういうようないろいろの疫学的な調査、あるいは研究というようなものを中心にいたしまして、今年も実は対策を立てたのであります。かいつまんで申しますと、これを防ぐには現在のところ予防方法がない。予防液だとか、血清だとかいうものはない。従つて次から次へ移るのであるから、その移動というものを制限しなければいけないということが一つ。それから幸いにこの病気は、あるインフルエンザ病毒というものがずつと通つたばかりの時分は非常に治りやすい、その時期に治療しますと、軽く治ります。その時期を経過しますと、身体の中に持つておりますいろいろの病菌が悪さをいたしまして、悪くなるので、結局早く見つけ、早く治療するということしかわからない。それで私どもは今年から機会あるごとに地方庁、あるいは団体を通じまして、今年出たらこういう対策をとること、また申し出てもらいたいということを言つております。しかしただそういうことを申し入れただけではとても出ないだろうということで、農家にわかりやすいように、今お手元に差上げたようなリーフレツトを七月ごろ配布しております。先ほど局長も申しましたように、今研の流行は去年以上でありまして、昨年は約十六万頭で、そのうち損耗いたしましたものが七百七十八頭であります。大多数のものは非常にその見かけが重く来るものですから、農家の連中がびつくりいたしまして、屠場に出したという形になつておりまして、ほんとうにこの病気のために自然に死んだというのは百頭足らずであります。こういうことになつております。  今年は少し様子が違いまして、現在のところ広島県、岡山県、それから兵庫県、京都府等で、流感が終りました後に、非常に悪性な予後症と申しますか、そういうようなものを残すものがございまして、かなり死ぬものができて参りました。従来の例で申しますと、朝鮮の例、日本の例、いずれにいたしましても、大体〇・五%以下の死亡に止つておるのでありますが、今年はどうもその程度で治まりそうもないという見通しになつております。現在のところ埼玉県とか、東京都等で相当死んでおりますが、その死亡と関西のものとちよつと様子が違うように見受けておりますが、まだその点ははつきりいたしておりません。関西で出ておりますものはどういうものかと申しますと、流感にかかりまして、治つて一、二週間ほど後に突然全然物を食べなくなる。せつかく水を飲みましても、飲んだとたんに鼻からぐつと出てしまう、あるいは水を飲み込んだものが、しばらくして頭を下げますと、胃の中の物と一緒にだらだら出てしまう、あるいは眼の玉がぐつと飛び出てしまつて、化けもののような形になつてしまうというようなものがございまして、去年とちよつと様子が違うものがございます。  それで一般に流感にかかりますと、御承知通り熱が出て参ります。熱が出ますと同時に食欲が全然なくなる。それで起立を好まなくなります。それで体に当つてみますと、ところどころ暖かいところと冷たいところといろいろある。こういうふうな形になつております。そして普通の経過でありますれば二日ないし三日ですうつとなおつております。それで先ほど御指摘になりましたように、乳牛がかかると乳量がはたつととまつてしまう。はなはだしいのは一斗ぐらい出ておつたのが二合ぐらいになつてしまう。こういうふうなものもあります。それでほかの病気と違いまして、この病気にかかりますというと、そのあとで非常に栄養の回復が遅いようであります。同時に乳の泌乳能力もその回復が非常に遅いようであります。この点は大分警戒を要する問題ではないかと思います。そんなふうな形になつておりまして、私どもは、今申し上げましたようなかわつた形の流感に対しまして、何とも実は申訳ないのですが、手の打ちようがなくて、私どももそうでありますし、県の方もそうでありますし、また団体の連中も、開業獣医さんもそれぞれ思いのままの治療をしておる、こういうふうな現状でありますので、これではまことに遺憾でありますので、先ほども局長からお話がありましたように、その方面の学者に御依頼いたしまして、暫定的でもいいから、とにかくやつてもらおうという形で進んでおります。
  129. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 今の説明非常によくわかりましたが、もう流感は峠を越してしまつたのでしようか。これからまだ大いに出て来るものでしようか。
  130. 田中好男

    ○田中説明員 私の想像では中国、近畿方面は峠を越しました。おそらく東海道も越しておると思います。現在まだ盛りだと思われますのは関東地方であります。東京、神奈川、千葉。おそらくこの気候でありましたならば、十月末くらいまでの間に、次から次に伝播するというふうなものはなくなるのじやないか。だけれども引続いて十一月、十二月にも、発生地におきましてはぽつらぽつらと散発的に発生するのじやないか、こういうふうに思つております。
  131. 原田雪松

    ○原田委員 ただいま田中課長代理からいろいろお話がありましたが、昨年の十六万頭という頭数は、これは一部のものであろうと私は思うのです。まだ本省の方に報告しないものが倍以上じやないかと存じます。昨年の九州の例から申しましても、本省の方の報告というものは、和ども数字から見ますと三分の一にならないくらいのものになります。死亡率はなるほど〇・五%ぐらいでありますが、ただいま発病後、その後の見通しはどうかという質問に対して、もう峠を越したと、こういうお話でありますが、私どもの経験からいたしますと、この時候の転換期が一番発生しやすい。そうしておそくなればなるほど非常な重い病気が多い、死亡率が多いということは、事実の体験から割出して証明をしていいと思いますが、この点につきまして、政府はこの早期発見と早期手当、それから適当なる看護ということを、パンフレットに書いておりますが、この点を事前に各県を通じて講習会等をやられてその手を打たれたかどうか。これは非常にいいことだと私は思うのであります。しかも重要なことは、少し軽い病気があつた。それにいいからすぐ物を食わせる。食わせるということになると必ず再発する。この実例は私は何十例も持つております。そうしてだんだんそういうふうになりますと、要するに胃内容物が非常に口、鼻から出まして、非常な惨状を呈する。こういう徴候が多いのであります。しかも和牛と乳牛とを比較した場合は、乳牛の方が死亡率が多い、これは事実であります。こういう点から考えまして。普通の状況は関節炎をやつて四肢がかなわないとか、あるいは腰が立たないというようなものよりも、むしろ肺炎を併発するとか、あるいは脳症を起すとか、虚脱に陥る。最もひどいのはやはり消化器障害を起し、冷却して虚脱に陥るのが非常に多いようであります。これは伝染病というよりも私はむしろ流行病だと考えておる。しかし伝染病として取上げられて、黴菌の培養等もやられておるそうでありますが、一日も早くこれらに対するところのワクチン、血清等の製造をやつてもらいたい。これを完全に注射をするというようなことをやつてもらわなければならない、かように思うのであります。もちろん獣医の面はてんてこまいなのです。だから表に現われます表の数字よりも、開業医の諸君は少くも三倍以上の治療をやつておるということが言える。この際薬品等についてのいろいろな注意があつたようでありますが、この値上りを防止するということは非常に重要なことだと思います。同時に治療の方式、様式をお示しになることは、一応ここに書いてありますけれども、もつとこれを具体的に、こういうものにはこういうものをやつて、しかも価格はこの程度というような面まで指示したらけつこうだと思います。そうでなければ、開業獣医の一部においては、この際というふうな気持で、非常に飼育者を苦めておる傾向がないではないのであります。この点は本省としてよほど考えを新たにしてもらわなければならぬ、さように考えます。同時に各県にこれだけ蔓延しまして、その被害の損失は重大なものである。これに対して政府は何らかの方法でこれを助成してやるか、あるいは防疫費等をやるか、こういうことについてはどういう考えを持つておられるか、この際お伺いをしておきたい。
  132. 田中好男

    ○田中説明員 ただいまお話通り、実はこの表に現われておりますよりも、非常にたくさんのものが出ておるということは、私ども予想いたしております。と申しますのは、非常に早く経過いたしますので、実際この統計に載つて参りますものは、相当程度のものしか載つておらぬというふうな形になるものですから、自然そんな形になる。もう一つは、去年は実はおそくなりましてから、家畜伝染病予防法をこの病気に適用したというふうなことで、多少頭数その他に現われておりますもの以外のものがあつたのじやないかというような点から、そういうふうに申し上げておるのであります。またことしの数字にいたしましても、実は各県庁、それから各団体等はてんやわんややつておりまして、正確な数字をつかめない。こういう実情になつておりますので、現在までのところ、わかつた数字はこの程度であります。実際はもつとはるかに多いのじやないかという風に想像いたしております。  それからさきお話通り、私ども山を越したと申しましたのは、いわゆる流行性に来た山は越したというふうに申し上げておるのでありまして、その後に去年と同じように、今年はすでにそういう傾向が現われておるのでありますが、非常に重いたちのものが出て来ておる。こういうことであります。しかも昨年長崎とか熊本とか、あるいは鹿児島にありました頭数に比べまして、その割合が今年は非常に多いのでございます。  それからなるほどお話のようにあつちこつちにまつたく爆発的に、たとえば一晩のうちに千頭も二千頭もふえる。こういうふうな病気でありますので、開業獣医さんや団体の獣医さん等はてんてこまいをいたしまして、ほとんどまわりかねておる。それに乗じて薬の値段、あるいは治療費を高くとるという方もなきにしもあらずであります。幸い県あるいは団体等においては、最近の様子を見ますと、なるべくこの程度の金額でひとつ治療してもらいたい。そのかわり県においてはその現物を支給する。こういうふうな進み方をしておられます。そこで私どもは先ほど局長から申し上げました通り、県から団体なり、あるいは開業獣医さんなりに現物を補給してやつた、こういうふうなものに対しては国で補助金を組もうじやないかということで、多少の予算を組みまして、この次の国会に御承認を願うというところまで参つております。     —————————————
  133. 千賀康治

    千賀委員長 次に公団の整理に関する件中油糧の統制問題を議題といたします。質疑の通告があります。井上良二君。
  134. 井上良二

    井上(良)委員 この際油糧公団の油糧統制に関して、安本の生活物資局長に伺いたいのです。政府は最近油糧の全般的な統制を撤廃するという基本方針をきめたようでありますが、それは事実ですか、まずそれを伺いたい。
  135. 東畑四郎

    ○東畑説明員 油糧の統制につきましては、油糧公団については、先般の議会で本年度中にこれを廃止するということになつております。従いましてわれわれとしては、油糧全体としては統制を撤廃するという方向で案を練つております。
  136. 井上良二

    井上(良)委員 工業油はともかくといたしまして、食用油について、安本の生活物資局では、これをどういう考え方で今まで統制をし、どういう考え方でこれをはずされるかということであります。と申しますのは、わが国の国民食糧の構成を見ますと、御承知通り、主要食糧たる澱粉質の米麦を中心にした統制をずつと続けて来ており、これに蛋白脂肪を加えまして、総合的な食糧政策を今まで政府はとつて来たと考えておるのであります。ところが御承知通り、動物蛋白の一部は自由になり、さらに今度植物蛋白の重要な大豆を中心とする統制がはずされ、またこの油糧が大部分はずされるということになりますと、国民栄養の総合的な構成の上から、重大な問題をここに起して来ると考えますが、政府は現在の食用油の国民摂取量で満足してよいとお考えでございますか。
  137. 東畑四郎

    ○東畑説明員 国民の食糧需給には栄養のバランスを得るということは当然でございます。従いまして、澱粉質以外の油脂資源というものも国内で相当の量を確保し、相当の量を国民が摂取するということが一つの理想であります。現在のわれわれの生活水準等から申しましてまずわれわれといたしましては、今日の段階では油脂原料というものが二十万トン程度あればいいのではないかという一応の計画を立てまして大体油脂を二十万トン以上の程度確保すれば、これを工業用または食用として需給は十分であるという考えを実は持ちまして、その段階に参りますれば、配給統制というものは撤廃してもよいと思います。ことに油脂のごときは、あらゆる種類のものからとるのでありまして、公団あるいは特別会計という一つのプール機関があつて初めて配給統制なりプール管理ができるのであります。公団がなくなるということ、すなわち配給の統制を撤廃することであるという一つの考え方をもちまして、昨年来いろいろ案を練つてつたのですが、本年度見通しでは、油脂が相当輸入されますし、国内の菜種等の増産相当できますので、油脂そのものとしては、われわれはすでに配給統制の撤廃をする段階に来ておるというので、先般来関係方面といろいろ折衝しておるのであります。最後の手続上、まだ若干実は遅れておるのでありますけれども、ごく最近におきまして、油脂の配給統制は撤廃できるという確信を持つております。ただ第一・四半期、第二・四半期等に外貨等で輸入しましたものが入つて参ります。そういうものの経過的なものは、やはりある程度暫定的な考えをせざるを得ないが、根本はそういうことを考えております。大豆につきましては、これは油脂資源以外にあるいはみそ、しようゆその他の蛋白資源としての立場もあり、また国内においても相当増産の余地がある作物ということのために、あるいは統制をやめてもなおかつある程度の価格の安定が得られるような施策をとつてはどうかというような、将来の見通しをもちまして、案を練つておるのであります。これは政府部内においても決定をいたしておりません。関係方面にもなかなか面倒な問題がございまして、まだきまつておりませんが、油そのものとしましては、ただいまのところ統制は撤廃したいと考えております。
  138. 井上良二

    井上(良)委員 御承知通り主要食糧が絶対の不足をいたしておる。これの増産に対して、政府はあらゆる増産対策を、困難な財政のもとにおいて実現方の努力をされておることは、御存じの通りであります。ところがこれを米麦だけで補うことはできませんので、蛋白脂肪を総合的な栄養給源として確保して行くという点も、政府は考えられておるし、本委員会において、農林大臣も、将来わが国の食糧構成は蛋白、脂肪、含水炭素をもつて構成する方向に持つて行かなければいかぬということを、明確にされておるのであります。ところが現在わが国の食用油脂の生産年間二十万トンを上まわつて来たから、はずしてもいい。しかしこの二十万トンの生産では、大体一人当りの摂取量というものは、脂肪全体では大体三十グラム単位で、そのうち食用油だけでは平均所要量は十グラムを必要といたしますが、現在政府が配給いたしております量では三グラムそこそこしか配給されておりません。平均所要量十グラムとして、その三分の一もやつと配給しておるかしていないかの状態にあるのであります。これをわれわれが欧米諸国と比べて見ましても、アメリカは三十一グラム、英国では二十八グラム、フランスでは十五グラム、日本のように同じく占領されております西ドイツにおいて、一九四九年には十三グラム、ところが日本ではわずかに三グラム四という状態になつております。必要量の三分の一も配給していないのに、また国民が摂取できない情勢にあるのに、それで統制をはずして自由かつてにして、一方食糧構成は蛋白、脂肪、含水炭素で行くのだ、総合栄養で行くのだ、そんなりくつは成立ちませんよ。そこで、どうしてもこれはあなたの方のりくつから言うならば、自由にはずしてもそれだけの必要量が摂取され得るという自信を、あなた方はお持ちではずすのですか。またこの重要な蛋白、脂肪の給源であるところの大豆については、輸入補給金を打切ろうとしておる。これをもし打切つた場合には、原料大豆がそれだけ上つて参りますから、そうすればみそ、しようゆの原料から、あるいはまた油糧の原料が全体に引上つて来る。油糧価格が引上つて来る。これが国民生活にどういう影響を及ぼして来るかということを、あなたは生活物資局長としてお考えにならなければならぬと思うのです。そのかんじんのところは、総合的な計画を立てるどころか、三分の一の油しか配給されておらない現在において、二十万トンを上まわつて来たからもうはずしてもいいなんて、そんなりくつは立ちませんよ。そこのところをどうお考えですか。
  139. 東畑四郎

    ○東畑説明員 私としましても、脂肪そのものを、日本人が諸外国に比べて撮取量が非常に少いということは認めますし、はなはだ遺憾なことだと思つておりますが、問題は、結局所得から見て何を最も合理的に食うかということは、日本国民生活水準の問題に帰すると思います。われわれの方で今日の生活水準といいますか、所得水準等から見ましても、現実に国民が油よりもつとほかに需要があるという事実というものにギヤツプがございます。というのは、結局他のものに比べて油が比較的高いということに帰すると思います。油が高いがゆえに、油を食いたくても買えないということもあるでしようし、また過去の食慣習等もあると思います。そこでわれわれ行政者としましては理想を持ちまして、現実の生活によつて需給が緩和して来るという事態も、十分認識しなくてはならないので、現実に油がある程度つて参りますと、配給統制そのこと自体が無意味になつて来るし、配給統制そのこと自体によつてまたマイナスも起るという面も考えられるのであります。油をとり蛋白を相当とるという問題は、単に配給統制だけの問題ではなしに、コストの安い油をつくり、また国民の生活水準が非常に向上してそういう栄養価の多いものをとるという政策の方が、むしろ大事じやないか、こういう結論から、現実的に需給が緩和したものにつきましては統制を撤廃いたしたい、こう考えているのであります。
  140. 井上良二

    井上(良)委員 大体あなたのお考え方はわかりましたが、安定本部といたしましては、この食糧政策というものについて、今政府が行つておるような米麦中心の食糧政策で満足されておりますか。それとも総合的な栄養給源をもつて食糧構成をして行こうという考え方ですか、どつちですか。
  141. 東畑四郎

    ○東畑説明員 米麦と申しましても、米にもやはり蛋白があり、脂肪もございまして、蛋白をどういう形でとるか、脂肪をどういう形で最も安くとるかということか根本問題であると思いますが、どう考えましても、やはり今日米というものを無視するわけには参りませんし、麦そのものも無視するわけにはいかない。米麦を食つた上でなおかつ安い油、こういうことになりますと、大豆、菜種ということになります。大豆、菜種等をより多くとつて、澱粉質的なものをだんだん少くするということにつきましては、われわれ毛頭異論はございません。問題は先ほどから繰返し申し上げますように、そういうものの全体としての生活費に対する影響というものの方が、より大きいのであります。従いまして、なるたけコストの安い油の増産をはかるということが、問題を解決するゆえんではないかと思います。単に米麦にとらわれておるのでは決してございません。
  142. 井上良二

    井上(良)委員 くどいようですけれども、私は米麦の生産というものには、一定の限度があると思います。いかに政府が増産をいたそうといたしましても、反当生産というものについては一定の限度がある。限度を越えるわけにはいかないのです。だから日本の人口の増加と、国内の食糧生産との間には、どうしてもここに米麦だけを中心の考え方でおりましたのでは行き詰まる。そこでどうしてもこれを補うのにはやはり蛋白、脂肪を総合的に食糧構成に取入れて行く指導を、政府が積極的に行うべきではないかと思うのです。そこで問題は、あなたが御指摘になつておりますように、だれでも牛肉も食べたければ、魚も食べたいだろうし、牛乳も飲みたければ油も活用したい。しかしそれはサラリーマンや労働者にとつては高くて、毎日魚や肉を食べているわけには行かない。みずからの経済生活がそれを抑制しておると言えば言えるかもしれませんが、同時にその面に対して、政府がもつと積極的な増産対策なり、いわゆる価格引下げに対する必要な手を考えて行きますならば、相当その面で国民体位は向上し、いろいろな疾病は防げて行くわけであります。だからあなたの方の根本的な立て方が、やはり総合的な栄養給源によつて、わが国の食糧構成は将来計画して行かなければいかぬと、こういう方針で、貫いておるか。それともこれは国民経済の問題だから、時の勢いに応じて、そのときどきでかえて行くという方針でおるか。あなたのさつきからのお話を聞いておると、そういう将来に向つてのわが国の食糧の生産なり、需給なり、また国民の体位、国民生活というものを総合的に考えられて、わが国の食糧構成は蛋白、脂肪と含水炭素でもつて構成して行かなければいかぬと言うが、これは相当の日時を要しますけれども、一応そういう計画はつきり立てて、国民の協力を求め、政治をその方向に押し進めて行くという行き方の方針を、私は貫かなくちやならぬと考えておりますが、安定本部はそうじやないのでございますか。もう一度伺いたい。
  143. 東畑四郎

    ○東畑説明員 われわれとしましても、米麦の生産のみにとらわれませず、脂肪、蛋白資源の増産が可能な限りやつて行きたいということにつきましては、井上さんと少しも意見を異にいたしておりません。従いまして、たとえば麦に対して菜種の代替というか、本年度の麦にあわせて菜種の増産をはかるというのも、一つの例であります。あるいはいも作等につきましても、これを代作に転換する方針等につきましては、本年農林省では予算も参つておりますし、われわれとしましても、いろいろ価格安定の施策等につきまして、折衝中のところでございます。やはり油脂、蛋白資源といたしますと、一番大きなものは菜種と大豆ということになりますので、こういう方面の増産等につきましてはすでに実行し、また実行せんとしておるのでありまして、決して総合的な栄養作物を、米麦中心にかえるというような考えは毛頭ございません。
  144. 井上良二

    井上(良)委員 もう一点で終ります。私はあなたがもしそういう考え方でわが国の食糧構成を考え、将来の食糧政策をそういう方向に持つて行かなければならぬという確信の上に立つているならば、少くとも現在の油糧の需給を見まして、また国民の食生活に取入れられております。油糧の実態を見まして、これで配給が撤廃されたから非常に安く、豊富に国民の台所に油が取入れられるとは、われわれ想像ができない。逆に、私はもつと逼迫する危険性を考えている。だから政府では、油糧という問題に対してもつと積極的な対策をやはり考えて、万が一これが自由販売になつて自由取引になつた場合に、はたして三・四グラムというものが確保されるかされぬかという問題です。あなたの方ではされるだろうという一つの想像にすぎないのですが、現にこれは別な話ですけれども肥料の統制を撤廃されて、実際その結果というものは、相当持越しがあるにかかわらず、なかなか前途不安なんであります。それと一緒なんです。わずか二十万トンの需給を多少上まわるからということで、ただちに重要な国民の食糧構成の一つである油脂を、全面的に自由販売にしてしまつて、ごかつてになさいということになつた場合、資本主義的な営利を中心とする経済において、一体どう動いて行くかという見通しをつけなければ、実際のところできないのです。だから自由競争にした場合、十分これだけの必要量は国民は確保できるという自信の上にあなた方はお立ちになつているか。この点を伺つておきたいと思います。これはやはり私はあとの重大な参考にいたしたいと思いますから、この点についての見通しはつきりお聞かせ願いたい。
  145. 東畑四郎

    ○東畑説明員 配給統制を撤廃いたしますに際しまして、井上さんのおつしやいましたことは最も重要な点だろうと思います。われわれとしましても、配給統制を撤廃することにつきましては、相当慎重に、むしろ従来臆病といわれるほどの慎重な態度を持して来たのであります。油脂原料につきましても、われわれは国内のものはもちろん、やはり相当量の輸入に依存せざるを得ない状況でありますので、貿易の外貨予算等につきましても、大豆あるいはごま、その他コプラ等につきましても、十分慎重な外貨予算を今も組み、また今後も組みつつあるのでありまして、ことに油脂そのものにつきましては、その重要性がはつきりしておりますので、こういうものはまず優先的に、必要量だけは輸入されるという実は確信を得ておるのであります。特にまた内地の菜種、大豆等も相当増産になつておりますので、これらのものの消費構造に、井上さんのおつしやいますような根本的な変革ということになりますれば、これは相当不足するのでありますけれども、現在のような国民の需要程度であるならばまず大丈夫であるという、実は確信を持つております。ただ配給統制を撤廃したがゆえに値が下るということはありませんので、国際的な価格は国内のものよりは若干高い。従つてまた輸入資金等を大豆においてとつたのであります。こういうものがなくなりますならば、若干そういう原料品等は上るということにならざるを得ないと思います。しかしたとえばみそ、しようゆ、油等の国民生活におけるウエートというものは、はなはだ遺憾でありますが、まだ四・五%にすぎない。従つて生計費のはね返りもまず多くて〇・五%が最高ではないかという程度に実は考えております。〇・五%といえどもこれは非常に大きな負担ではないか、こういうことになると思うのであります。全体の財政経済政策の一環として吸収して行かなければならぬというように考えまして、下半期における補給金等につきましても一応財政当局と話合いをしておるような実情でございます。
  146. 千賀康治

    千賀委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がないようでございますから、今日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。     午後四時十六分散会