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1950-10-03 第8回国会 衆議院 農林委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月三日(火曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 足立 篤郎君 理事 野原 正勝君    理事 松浦 東介君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    川西  清君       河野 謙三君    中馬 辰猪君       中垣 國男君    幡谷仙次郎君       平野 三郎君    大森 玉木君       吉川 久衛君    竹村奈良一君       深澤 義守君    山口 武秀君       河口 陽一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  委員外出席者         大蔵事務官   高橋 謙二君         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官   山添 利作君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (農地局総務課         長)      谷垣 專一君         農林事務官   宮下 好男君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         農 林 技 官         (農政局肥料課         長)      長尾  正君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         経済安定事務官         (産業局次長) 前谷 重夫君         肥料配給公団清         算人      林田 龍喜君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君 九月十五日  委員竹村奈良一君辞任につき、その補欠として  山口武秀君が議長指名委員に選任された。 十月三日  委員深澤義守辞任につき、その補欠として竹  村奈良一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業関係公共事業に関する件  農業関係公団整理に関する件  派遣委員報告聽取  麦の供出に関し説明聽取     —————————————
  2. 松浦東介

    松浦委員長代理 委員長がしばらくさしつかえがあるそうでありますから、私がかわつて委員長の職務を行います。  これより農林委員会を開会いたします。本日は農業関係公共事業に関する件、農業関係公団整理に関する件について調査を進めるわけでありますが、政府当局に対する質疑に入る前に、先般来議長の承認を得て委員を各地に派遣して、農地改良造成並びに災害復旧等に関する調査及び農業関係公団整理に関する調査行つて参つたのでありますが、前回委員会のあとにおいて、調査終つた班より順次報告を聽取いたしたいと思います。まず農地改良造成等調査報告野原正勝君よりお願いいたします。
  3. 野原正勝

    野原委員 農地改良造成並びに災害復旧に関する東海班調査の概要を御報告いたします。  本班は不肖私が班長となり、国民民主党大森、坂口、古川の三委員、それに藤井專門員が随行いたし、去る九月十四日から十七日まで四日間にわたり愛知岐阜県下について実地調査をしたのであります。まず愛知県下調査について申し上げます。  十四日愛知県庁に到着、ただちに青柳知事宮下農地部長及び鈴木農林部長から県下土地改良災難復旧その他一般農政に関する概括的説明を聽取いたし、次いで名古屋市内荒子排水施設視察し、同夜は名古屋に宿泊いたしました。翌十五日には、木曽川流域木津川水宮田用水視察いたし、車を返して三重県境の蟹江及び鍋田地帶排水干拓状況調査したのであります。続いてさらに車を東に向け、西加茂挙母町の開拓並びに用水施設工事を見、さらに矢作川明治用水調査いたしました上、宝飯郡三谷町に午後八時半到着してとまつたのであります。翌十六日には、午前九時に出発いたしまして、豊橋市の神野新田土地改良事業を見まして、午後に岐阜県に向つたのであります。  本県水田八方四千余町歩、畑が四万九千余町歩であります。県内産の食糧では自給することができないのでありますが、この三百五十万という大人口に対しまして、この食糧を自給したいという熱意は非常に高いのでありまして、すでに今を去る五十数年前に、明治十三年に有名な明治用水の開鑿に着手して、今日日本におけるデンマークと言われるような碧海郡安城地帶の大規模土地改良完成しておるのであります。しかしながら七万八千余町歩人工灌漑面積のうち、用水潤沢なものないしは大体適当と思われるものは約五万町歩でありまして、残余のものは常に用水が不足いたし、旱魃どきには用水不足面積は三万六千余町歩に及ぶ状態であります。その原因は河川上流部河床の流失、低下に基くところの用水量の減少または不能、ため池の老朽による漏水並びに流人土砂による池底のかさ積にありますので、これが対策として、昭和十一年以来機械揚水の設置、水路の改修等を行つて来ておるのであります。  これら灌漑事業につきまして、私どもが実地に視察いたしましたのは木津川水及び宮田川水明治用水でありますが、宮田及び明治の両用水本県下の代表的なものでありまして、前者は一市三十三箇町村、一万二千七百余町歩に灌漑しておりますが、現在の取入れ口建設工事が粗悪でありまして、目下補強工事実施中であります。漏水も相当にあり、用水路の堤防も軟弱で、大洪水にあえば決壊のおそれもあります。今後これらの工事には監督を嚴重にし、また経費も必要なだけは投じて、堅固なものを構築すべきものと思います。  後者の明治用水は、矢作川用水源として碧海郡一帶の所謂西三平野一万町歩に灌漑しております。本用水は開設以来五十年の星霜をけみし、堰堤もすでに老朽化し、最近は漏水はなはだしく、危險に瀕しておりますので、目下これが改修計画が立てられ、おわせて用水幹線路改修も同時になされる計画であります。これが総工費は約二億円と概算されておりますが、この改修完成あかつきには、一段と用水の便益を増進し、農業生産に寄與するものと考えられます。  次に排水事業でありますが、名古屋以西木曽川に至る海岸沿い地帶、及び豊川下流デルタ地帶の両水田地帶が特に問題となつています。  前者はその地域内に庄川、日光川、筏川、鍋田川を擁し、最西端には木曽川が伊勢湾に注ぐデルタ地帶でありまして、従来から水害をこうむりやすい條件下にありましたが、河川下流部の河床の土砂堆積に加えて、去る昭和十九、二十年の両年にわたる大地震により、地盤が著しく沈下いたし、少い所で三十センチ、鍋田のごときは一メートル近くも沈下しておる。従いまして満潮時には標高は海面よりはるかに低下いたし、又豪雨にあへば一面湖水と変じ、湛水数日に及ぶありさまであります。また豊川下流地帶は、神野新田を中心としてもともと明治二十九年名古屋神野金之助氏によつて干拓されたものでありまして、豊川並びに梅田川にはさまれたデルタ地帶であります。ここも前者と同様、満潮時には海水の流入をこうむり、洪水湛水することおびただしいのであります。この両地帶合計画積はおよそ四千町歩に及び、いずれも堰堤を構築して海水の流入を防ぎ、電力排水機を設置して排水に努めておりますが、現在反当り一千五、六百円に達するありさまで、今般の電力料金値上げは、農業経営の上に非常に大きな負担となるものと思われます。  しかしながら、現在のこの排水施設は必ずしも十分なものではなく、完全な裏作実施を阻んでいるのであります。すなわち裏作は、いずれも土を高く盛り上げた高畦式のものでありまして、非常に労力を必要とする上に、利用される面積も半分ないし三分の一にすぎません。それゆえ今後一段と排水施設を完備し、完全な排水をいたしますれば、畜力、機械力の導入も可能となり、平畦式裏作もできて、全面積を利用することができるようになり、裏作生産量は二倍ないし三倍に増加することができるのであります。  ただいま申し上げました灌漑用電力料金につきまして、本県は三万町歩電力灌排用水に依存しておりますので、現在これが料金並びに維持管理費はすでに六千七百余万円に上つておりますので、今般の電力料金値上げは、農家経済に大きな打撃を與えることは必至であると思います。農林省は明年度予算において灌排水電力料金につき、一定額補助金を支出するよう経費の計上をはかつたのでありますが、目下削減の危機にさらされていることは、真は遺憾にたえません。この点につきましては愛知岐阜両県の現地側から強い要望を受けたのであります。  最後に挙母開拓事業について申し上げます。本地区は昭和二十一年に緊急開拓農地開発委託事業として着手されたもので、西加茂挙母町の標高百メートルの丘陵地帶に約四百町歩うち水田二百町歩を開墾し、入植百五十戸、地元増反九百六十戸を目標にいたし、現在すでに百三十四戸の入植と、八百八十五戸の地元増反に成功し、明二十六年度中に完了する予定なつています。四百町歩の田畑に対しては、口径四百ミリの揚水機三台と、電動機三台とをもちまして、矢作川水域に近い所の地下水をくみ上げて、さらに七十五メートルの高地に供水するのであります。入植者は全部が地元の二三男でありまして、地元側との完全な強調が保たれております上に、県当局もこれが指導に心を碎き、開拓地の一端には県園芸試験場の分場を設置いたしまして、果樹その他園芸の栽培から加工までを実地指導いたしております。これは開拓民も非常に明るい希望を與え、地元の協力と相まつて非常な成功を收めております。  なお、本開拓地は第三紀洪積層赤色粘土質でありまして、非常な瘠薄土壊でありますため、これが土地改良開拓農家の経営安定上緊急を要するのでありますが、その一つの方法といたしまして、本町両端を流れる西川の沖積肥土をもつて客土を行う計画で、この客土運搬経費について国庫補助を受けたという強い要望現地開拓から寄せられました。  以上をもつて愛知県に関する調査報告を終り、岐阜県について申上げたいと存じます。  十六日午後一時半豊橋を出発、岐阜県庁におきまして、愛知県の場合と同様に、農地改良造成並びに災害復旧について、栗原副知事以下関係部課長から概括的説明を聞き、又岐阜県議会農地部常任委員長から、区画整理事業促進に関する陳情を受けたのであります。同日は岐阜に宿泊、翌十七日には早朝に、全日本開拓者連盟近東地区開拓ブロツク協議会の一行数名から、ジエーン台風による近東地方災害復旧に関する陳情を受けました。次いで九時宿所を出発、木曽、長良、揖斐三大河の流域に当るいわゆる輪中地帯実地調査をいたしたのであります。特に同地海津軍高須輪中土地改良事務所においては、同地の精細な土地改良区画整理計画説明を聞き、また同郡海西村土地改良理事長から、土地改良事業費に対する低利資金借入れに関し陳情を受けました。午後にはさらに遠く車をはせて、愛知県境に近い可兒群久々利村の防災ため池実地視察を行い、午後八時宿舎に到着、予定通り調査を終了、同夜解散帰任いたした次第であります。  岐阜県は地勢上三区画に区分されます。すなわち北部飛彈地方山間畑作地帯、南部の木曽、長良、揖斐三大河川流域平坦部水稻作地帶及び水田畑作相半ばする中間地帶であります。全水田面積は約六万町歩でありますが、そのうち二万四千町歩はこの三大河のデルタ地帯に集中しているのでありまして、本県の穀倉となつております。この地帶海水面と大差ない標高にありまして、元来が低濕地であります上に、三大河川上流から土砂を押し流して参り、ここに堆積いたし、河底は年々高くなり水田はいずれも河底より低くなつておりまして、自然排水が困難であつて、常に湛水危險にさらされております。従いまして、人工排水をする必要がありまして六十六台、八千七百五十五馬力に達する大規模排水機を所要の箇所に設置して、排水作業に努めております。またこれら排水施設の中には、排水バルブを切りかえることによつて反対河川から揚水もできるようにしたのもあります。これによりまして灌漑用にも使用できるのでありまして、水利対策上非常に効率的な施設を持つたものもあります。愛知県の場合と同様に、ここにおきましても、電力料金が非常にかさみまして、反当千五、六百円にも達するありさまでありますので、地元側はいずれもこの料金負担軽減の措置を要望しております。なお本地帶におきましては、排水用動力のうち約三○%ほどがディーゼル・エンジンに依存するのでありますが、今般のジエーン台風の際において送電線に故障を生じ、電力の供給が杜絶しましたが、デイーゼル・エンジンによりまして極力排水に努めました結果、冠水の被害から辛うじて免れることができたのであります。この点から考えますと、万一の場合を予想して、一部をデイーゼル動力に依存しておくことは、防災対策として賢明な措置ではないかと思います。経費につきましては、両者は大体同一であるとのことであります。  しかしいずれにしましても、この地帶も一段と排水施設を強化いたしませんと、完全な裏作の実行が困難で、この点は愛知県の場合と同様でありますから、詳しく申し上げることは避けますが、今後におきます生産増強は、完全なる排水事業の遂行が前提となると思います。なお本地帶は古くからの慣習上、輪中がそれぞれ一つの共同体を形成して、強固な団結をしておりますので、この輪中を單位とした耕地整理交換分合計画が立てられ、目下進行中であります。耕地が大体同一條件にあることと、融和した輪中的協同体精神とによつて順調に進行しております。これによりまして耕地散在箇所も従来の三分の一内外に集団化され、また苗しろのごときは一箇所に集団苗しろとして共同経営にし、健苗を育成して交付する等によりまして、農業経営の改善に資することきわめて大きいと称せられています。  次に本県が特に強調しております防災ため池について申し上げます。これは現在可兒川流域十一箇町村一万一千三百町歩を対象といたし、十六箇所防災ため池計画され、その中の数箇所はすでに完成いたしております。この可兒川用水系流域は、地形が一般に急峻であります上に、林相瘠薄であります。その上耕地はいずれも可兒川水系に沿い帶状に細長く展開いたしておりますため、豪雨一たび至りますと、急激に出水して災害を與えます一方、田植え並びに夏期にはしばしば渇水する状況にありますので、この水害防止並び用水利用の目的をもちまして、流域所要箇所ため池を設置いたし、洪水の際はこれを貯溜するとともに、一部は底部の樋管から漸次排水することとし、さらに温水となりますれば余水吐から温流させる計画であります。これによりまして洪水調節を行いますと同時に、渇水期には貯溜水を川水として利用するものであります。これら防災ため池の中で最も代表的なものは、同郡久々利付のそれであります。これは可兒川水系久々利用上流をせきとめて貯水池とするもので、目下建設工事中でありますが、いわゆるロツク・フイールド式による堰堤で、その内部には岩石を利用し、表面を鉄筋コンクリートで固めるものであります。それには特殊の装置を施しまして、地盤の沈下等にも適応できるという近代的技術を十分に取入れたものであります。これら防災ため池は、洪水時のピークにおいで大体三○%洪水の流量を減ずることができ、洪水を完全に防止することができるといわれております。これらは昭和二十七年度中に完成する予定でありますが、完成あかつきには、その実績に照して全県下に普及させる計画を立てています。  以上で岐阜県に関する報告を終りますが、今般の調査愛知岐阜県当局ならび現地側農民各位から、農地改良造成に関する強力な促進、災害復旧に対する急速なる実現方に対しまして、強い要望を受けたのでありますが、その大部分は私どもが常に強調しておりますことと同一でありますので、省略いたしたいと思います。  また調査並びに要望等を総合いたしました結論につきましては、前回の本委員会において御報告せられました東北、北陸の二班及び近畿班のそれと大同小異でございますので、重複は避けたいと思いますが、ただわが国のごとき資本蓄積の僅少な零細農業経営にありましては、農地改良造成あるいは災害復旧等をみずからの力で行い得るだけの経済的余力がありませんので、どうしても国家資本の投下を必要といたします。従いまして公共事業費の増額、見返資金預金部資金等の活用にありまして、大規模事業についてはもちろんのこと、小規模事業についでも援助の方途を講ずる必要があります。愛知県のごときは地方財政上比較的余裕のある富裕県でありますので、昨年から小規模土地改良事業について、県單独補助金を支出しているのでありますが、その補助金も総額五千万円にすぎず、希望事業費九億六千万円に対しわずか五%程度にすぎないのであります。これら小規模事業についても、国家補助がありますれば、県費補助支出も一層容易となりまして、小規模土地改良が著しく促進されるものと思います。また愛知県には豊川、矢作川ならびに木曽川の三大総合開発計画がありまして、国費をもつて、すでに調査に着手いたしており、これが完成あかつきには、四十万石の増産が期待されており、岐阜県についても、今後の土地改良並びに造成により、同様に米麦合せて四十万石の増産を見込んでいます。食糧自給高度化のためにも、また農家経済安定向上のためにも、これら開発及び改良造成事業を速急に促進すべきものと思います。  今般調査の中心となりました両県下デルタ地帶は、排水施設の増強によりまして著しい増産を期待し得るのでありますから、すみやかにこれが実現をはかるとともに、灌漑並びに排水施設料金負担軽減をも考慮すべきものと思います。また水害対策としての防災ため池は、下流地帶における堤防の決壊、土砂の堆積を防止するとともに、渇水期における灌漑用水としても利用できる総合的対策でありまして、消極的にも積極的にも生産に寄與するところが多大であると思いますので、これを全国的に普及させる必要があるものと思います。なお詳細の点につきましては、專門員の手元に資料がございますので、それについてごらんをいただきたいと思います。  以上簡單でありますが、東海班を代表して御報告いたします。
  4. 松浦東介

    松浦委員長代理 食糧配給公団の件につきまして井上良二君よりお願いいたします。
  5. 井上良二

    井上(良)委員 食糧配給公団末端機関民間移行に関する調査の御報告をいたします。  政府は去る八月政令省令をもつて食糧配給公団末端配給業務を十月一日から、卸業務を一月から、いずれも民間に移行することに決定したので、公団小委員会民間移行に伴う各種の問題に対し調査の必要を認め、千賀委員長井上委員の二名に食糧庁長山事務官食糧公団木谷副総裁が同行し、去る九月十四日、十五日愛知支局、十六日京都支局視察し、十七日は特に大阪府の風水害による食糧公団支局被害状況視察して十八日帰京し、また同月二十七日兵庫支局視察を行いました。  さて今回私どもが行いました視察の詳細にわたつては、別に貸料として委員長に提出しておきましたから、それによつて御承知願うこととし、ここでは概況だけを御報告申上げます。     〔松浦委員長代理退席野原委員長代理着席〕  第一日視察いたしました愛知支局は、配給人口二百四十万九千七百九十九人、世帶数五十二万四千二百二十九世帶に対し、公団支局職員は三千九百四十七人、支所三十六、配給所一千五十四箇所代位配給所百五十八箇所精米所五十一工場に上り、一日配給量は九十九万一千六百九十二キロに上つております。一配給所勤務人員は二・七人で、その受持戸数は約八百四十六人、百八十四戸となつておるのであります。  第三日目に視察しました京都支局は、配給人口百四十五万八千八百十七人、世帶数三十五万八千二百四十八世帶に対し、一箇月配給量は千六百六万二千七百八十八キロで、職員は二千三百八十三人で、支所二百四十七、配給所は直営五百一箇所代位百六十八箇所となり、一配給所人員は二・八人で平均一人当り百三十二俵の配給をやつております。兵庫支局配給人口二百二十万人、世帶数五十万余にして支局職員総数は四千四百九名、配給所千二百箇所支所四十八箇所精米所十三箇所なつております。  私どもは、末端機関切り離しに伴う各種の問題について、各支局の幹部、支所長配給所主任食糧事務所長食糧課長等の参集をこい、双方質議応答の形式で各種の問題について協議をしたのであります。ここにその代表的な問題について御報告を申し上げます。  配給機構について。末端配給所民間に移向した後の配給は、現配給所員企業協同組合を結成して、十二月末まで政府委託販売を行い、一月より開始される卸業務民間移向には、事業協同組合を組織してその業務を行わんとしておるのであります。  末端配給民間に移向するに伴い、政府は来年三月、これら末端配給業務を行うものについて消費者による登録制を採用せんとしていますが、登録票数を五百人以下とし、しかも何らの制限資格を設けていないため、登録実施と、その後の配給操作の上に種々な問題を惹起することが予想され、またこの登録に伴う地方府県市町村負担政府は全額負担されたいとの要望であります。  次に末端切り離しに最も重大な関心を拂つていますのは、卸、小売マージンの問題であります。主食の小売価格が公定であるにかかわらず、このマージンは各府県市町村とも輸送配給人口の分布によつて異なるため、三百人ないし五百人を單位として経営が成立つ地域と、欠損を生ずる地域ができることが予想され、各配給店ごと適正マージンを決定しない限り、政府直配の地域が続出し、赤字配給を行わねばならぬことになるのであります。配給マージンについて兵庫支局配給所の現状を調査したところによりますと、一配給所員平均二・六八人で、その配給人口一千八百六十九名に対し、年間平均三百七十八俵を配給しており、新たにきめられた特地から丙地に至るマージン平均一俵百五円をもつて計算しますと、一配給所マージンは一箇月三万八千六百四十円、一配給所員一人当り一万四千三百十一円となり、配給経費が一配給店で七千百四十三円、一人当り二千六百四十五円六十銭を要し、その上所得税その他の税金を差引くと、純所得は一人当り八千百六十六円となつており、政府の新給與べースと接近しておるマージンであります。  次に買取制実施後は、政府拂下げ食糧購入代金延納を、現公団延納期間十六日に準じて認めることを要望しており、この延納を認められない場合は、政府において金融機関よりの特別融資あつせんの道を講ぜられたいとのことでありました。  次に民間業務切りかえ後は、品質と量目が消費者の必然の要求となつて来るのにかんがみ、政府は米麦の生産検査を嚴正に行い、保管輸送等に最大の注意を拂わないと、食管特別会計赤字を増大させる危險があります。私が兵庫支局住吉精米所において、在庫中の内地産米十俵を拔取り試貫しましたところ、皆掛合計一俵は六十三・六キロ、風袋合計四・六八キロ、正味量五十八キロ九百グラムで、一俵につき約一キロ百グラムの欠量なつておりました。この目欠凍結米に多く、早場米の試貫においてもいずれも三百グラムから五百グラムの欠量を出しておるのであります。  次に委託代金回收についてでありますが、委託販売店相互間の連帶保証制を採用すべきであり、保証金制度をも考慮すべきであります。また配給事務簡素化についても、未配、配給辞退、転出入、加配、年齢別配給等記帳計算事務簡素化をしなければなりません。他方末端配給民間に委管した場合、幽霊人口とやみ米の販売をいかに防止するかについて政府は特に対策を講ずべきであります。  最後に大阪地方の風水害による食糧配給公団被害は、予想外に大きく、事務所関係の被害は一千四百一件に上り、倒壊、半壊二十六、大破百三十、浸水百十五、人的被害百四十八名を出し、主食の被害は七十七万八千四百六十四キロ、全額で三千二百九十七万五千円に達しており、他方大阪の食糧事務所の被害も約一億円に上つております。さらに兵庫支局被害は金額にして一千三百三十万円余、手持商品十九万九千百二十五キロ、被災職員は三百九十一名に上つておるのであります。しかしながら台風による高潮浸水によつて、前後十日間日自己の被害を顧みず、浸水地住民への食糧緊急配給に、関係地域公団職員の奮闘は、食糧配給史上特筆さるべき行動であつて、罹災民の感謝の的になつておりますので、政府においてはこれら公団職員に対し表彰の道を講ずべきであることをつけ加え、以上簡單に視察の概要を御報告申し上げます。
  6. 野原正勝

    野原委員長代理 次に肥料の在庫買入れに関する件につきまして河野謙三君から御報告願います。
  7. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 肥料の政府在庫買入れに関する調査の結果について、簡單に御報告いたします。  井上平野並びに不肖河野各委員、岩隈專門員調査班一行は、九月二十八日より十月一日まで四日間、三重、愛知岐阜県下の肥料工場並びに名古屋肥料公団の蔵置倉庫等について、肥料の生産、出荷、輸送状況並びに政府在庫買入品の保管状況等を調査して参つたのであります。  すでに御存じのごとく、政府は七月中に肥料メーカーの金融難を緩和するために、硫安二万六千五百トン、五億二千五百万円、石灰窒素二万四千九百トン、五億七千二百万円、過燐酸石灰二万七千九百トン、二億八千二百万円、その他塩安、溶性燐肥等の在庫買入れを行つたのでありますが、これの保管管理について過般の農林委員会において、肥料の在庫買入に伴う弊害防止に関する件を決議し、これを政府に申し入れて、政府の善処方を要望してあつたのであります。  本件について調査班は、農林委員会の決議事項がはたして完全に履行されているかどうかを詳細に調査したのであります。そこで各調査工場につままして、調査結果の概要を報告いたしますと、まず三重県東海硫安四日市工場の在庫買入数量は、硫安三百九十トン、金額七百万円でありまして、保管数量も確実、保管状況はきわめて良好であります。  同じく石原産業四日市工場は、買入数量の過燐酸石灰千百八十八トン、金額千二百四十万円でありますが、本工場は政府買入分と自社在庫分との仕訳不十分でありまして、委託保管品の確認とまた従つて不完全な状態であります。  次に愛知県の東亜合成名古屋工場は、買入数量硫安千二百十九トン、金額二千百九十六万円でありますが、本工場の保管状況はきわめて不良であります。すなわち金庫にバラ積みのまま集積されており、もちろん自社在庫分との区別も不明瞭であつて公団との契約内容はまつたく無視されております。当然数量の確認はできていないというありさまであつて、われわれの懸念していた通り、国有財産に対する大蔵省並びに農林省の監督はきわめて不十分でありました。調査班は一応十月四日までに包装を完了し、委託保等分を自社分と区別して蔵置するよう要求して参つたのであります。  次に日産化学名古屋工場は買入数量過燐酸石灰四百二十一トン、金額四百四十万円でありまして、その保管状況はおおむね良好でありました。  次に岐阜揖斐川電気大垣工場は、買入数量石灰窒素三百九十九トン、金額八百六十万円でありまして、日通と契約してその倉庫に保管せしめており、その保管状況は概して良好ではありますが、七月末に買入れたものが、入庫は九月二十日以後に行われているような状態であります。  次に肥料公団の蔵置肥料を名古屋日通の笹島倉庫について調査したのであります。ここには石灰窒素一万七千七百七十七袋が保管されていますが、相当多量のものが膨満して乱袋を生じていたのであります。  以上を要するに、政府の在庫買入肥料は、その保管状況の良好なものと、著しく不良なものとがあり、これを全国的に見ますと、不良工場は相当の数に上るものと想像されるのであります。政府は全国の状態についてすみやかに再確認の処置を講じ、その結果について十月二十日までに当委員会報告を提出せられるよう委員会においてとりはからわれたいのであります。  公団の保管する石灰窒素で乱袋の生じているものについては、工場側との契約書の内容に従つて敏速にさしかえを行い、国の損害を未然に防止することが必要であります。  次に工場在庫買入品は、保管の現状にかんがみ、可及的すみやかに消費地保管にきりかえる要があると思われるのであります。  最後に、最近肥料の輸送状況が窮迫状態にあつて、工場在庫がふえる一方、このままの状態では秋肥の供給に重大な支障があると思われるのであります。この窮状打破のため、政府は格段の努力をいたされたいのであります。  なお本件に関し、委員会より政府に対し適当の措置を講ぜられるよう委員長にお願いいたしまして、私の報告を終ります。  なおこの機会に運輸省の方に輸送の問題についてお願いしたいと思いますが、ただいまの報告の中にもありますように、秋肥におきましては御存じの通り、あとここ十日なり十五日のうちに輸送が完了しなければ、適期に施肥ができないのであります。ところが現状におきましては、七月以降工場の在庫は輸送難のためにふえる一方であります。数字をあげますれば、硫安においては七月末の在庫が三万五千九百トンであつたものが、八月末には六万二千七百トンにふえております。なおつまびらかでありませんが、九月末におきましてはおよそ十万トン近くになつておると想像されます。石灰窒素においては、七月末五千八百トンであつたものが、八月末には一万八千トンになつております。これまた九月末には相当量の在庫になつておると思います。過燐酸、石炭においては、七月末五万トンのものが八月末には八万トンふえております。これもおそらく九月末においては十万トンを超えた在庫数量になると思います。これは輸送の問題から起つておる在庫数量の増加であります。これをすべて運輸省の責任に帰するわけには参りませんが、少くとも今月、すなわち十月の輸送におきましては、格別の御措置をお願いいたしまして、肥料を最優先的に輸送されるようにいたされたい。かねて農林省の方からも、本月に限つて計画輸送的なことをやつて、秋の肥料は適期に間に合せないということで、御連絡がついておると聞いておりますが、本委員会といたしましても、過日の調査等の結果によりまして、現実にこの問題をとらえて来たのでありまして、この機会に肥料の輸送について運輸省の方からのいろいろの御説明を伺いたいと思います。  つけ加えますが、われわれ委員会といたしましては、非公式の場合においても、政府に向いましてすでに八月のうちから、十月の初めまでにすべての輸送計画が立たないと、秋の肥料に間に会わないということで、たびたび警告しておるのであります。その警告が運輸省に横の連絡がついておつたかどうかしりませんが、少くとも肥料の行政の監督をしておる農林省なり安本なり通産省なりには、このことはあらかじめ嚴重な警告はしておるのであります。しかるにその措置がとられていたい。一方せつかく政府が買い上げて持つております公団の在庫品は、政府措置よろしきを得ないために未だに開放の措置がとられていない。開放の肥料の手続が済んでいない、輸送の方は少しもできていない、こういうことで、肥料はありながら、まつたくこの秋の肥料につきましては、農民といたしましては手に入らない状況であります。これが肥料の市価に影響し、これが一割増産の問題にまで波及して来ることは当然であります。でありますので、運輸省においてはこの際特段の御協力をいただきまして、十月における秋肥の輸送につきましては万全を期していただきたい。なお御参考までに申し上げますが、私が承知しておる範囲では十月の輸送料は、硫安については十四万トン、石灰窒素については三万トン、過燐酸石灰については十一万トン、これだけのものはどうしても十月の月に送つていただきたい。さらにこのほかに政府手持ちのものを十数万トン開放するということによつて初めて秋肥が間に合うのでありまして、この開放が間に合わないということになれば、さらに要輸送量はふえるのでありますけれども、この開放の問題につきましては、運輸省に関係なく通産省並びに農林省、安本において善処されることと思いますので、運輸省におきましては、少くとも今私が申し上げた数量につきましては、責任を持つて今月中に、特に上旬中旬におきまして、より一層のたくさんの数量を送つていただくように御努力いただきたい。この点につきましての御説明をいただきたいと思います。
  8. 石井昭正

    ○石井説明員 肥料の輸送について御説明申し上げます、御承知かと存ずるのでありますが、最近特に鉄道の貨物輸送が非常に逼迫して参りました。これはいろいろの関係もございまするし、特需関係の影響もないとは申されないのでございますが、なかんずく有蓋車につきましては従前から逼迫の度が高いのでございますが特に最近におきまして、肥料に最も軍用されます小型の有蓋車の逼迫度が非常に高いのであります。小型有蓋車は九月においては所用要求に対して三四%程度であります。大型の方が五七%、これを無蓋車の小型の四八%、あるいはトキの一〇九%、その他の無蓋車の四三%に比較いたしますと、非常に有蓋車の逼迫がはげしいということを御了承願わなければならないかと思うのであります。かような輸送状況でございますので、肥料につきましても、できるだけ御便宜をおはかりするように、現場現場においては努力いたしておるのでございますが、本年度に入りましてからの輸送実績は、国鉄だけで申し上げますると、この数字には化学肥料とその他の雑費、あるいは炭酸カルシユーム等は全部含んでおるのであります。化学肥料等は大体そのうちの八○%くらいに相当するかと思うのでありますが、四月におきましては三十五万トン、五月が四十二万トン、六月が二十五万トン、七月が三十六万トン、八月が十八万トン、九月が二十四万五千トンというような実績でございます。ここで非常に顕著な例といたしまして、八月の輸送量が極端に落ちております。そうして七月が例年よりも幾らか大目になつておりまするのは、御承知のように、これは公団廃止の期日を前に控えましての先送りが非常に多かつた。その影響が八月に入りまして、昨年は八月は二十九万トン送つておりましたのが、今年はわずか十八万トンしかなくて、出荷がきわめて弱わかつた、手控えが多かつたという結果になりまして、この穴が非常にいろいろと影響いたしておるのではないかというように考えられます。九月におきましては極力輸送をいたしたわけでありますが、今申し上げましたように、最近にたつて輸送の逼迫が非常に多かつたために、二十四万五千トンの程度に終つたのでありまして、この点は時期的にほかの需用関係と競合いたしておりますので、遺憾ながら万全の輸送ができたとは言い切れないかもしれませんが、国鉄といたしましてはできるかけの努力をいたしたのであります。お説のように、これからしばらくの間肥料の輸送が非常に大切なときでありますので、十分現場におきましては出荷の先と連絡をとらせ、でききるだけ多くお送りするように目下手配をとらせておりますが、何分にも公団廃止後この輸送計画といものは、鉄道におきましても、具体的に今までのように把握ができず、行先等も将来の見通しをつけた計画ができかねているという実情は、現在の輸送逼迫の情勢下におきましては遺憾なことでございまして、このために適切な輸送手配が立てにくいという実情を御了承願いたいと思うのであります。このような情勢でございまして、少くとも十月、十一月は月平均四十万トン程度の肥料の御要請かあることは念頭に置いて、いろいろ考えておるのでございますが、ちようど新米の出回り期にも遭遇いたしますので、地域的にこれらとかち合いまして輸送の手配が円滑に行きかねるおそれも多少出て来るところもありはせぬかということを心配いたしておる次第であります。そこで輸送計画がわかりますれば、できるだけ早くそれに応じた手配も講じ得るかと思うのでありますが、最近非常に各種の物資の統制がはずされました結果、昔のような的確な輸送計画が貨物輸送全体に適用できなくなりましたので、なかなか思うような臨機の手配のできかねる点もあるかと思います。この点も主管省であられます農林省とできるだけよく連絡をとり、遺憾のないように十分対策を立てて参りたいと考えている次第であります。
  9. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 そういたしますと、私が今数字をあげてお願いしました十月の要輸送量は約二十八万トンほどでありますが、この数量については、量的には可能であるけれども計画性が持たれていないので、ここではつきりと言えない、こういうふうに了承してよいのですか。
  10. 石井昭正

    ○石井説明員 さようでございます。
  11. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 運輸省の方は量的には二十八万トン程度のものは輸送できるけれども、そこに計画性がなければならぬというのでありますが、農林省の方では、統制が撤廃になりましても、肥料の仕向先等については大体計画が立つのでありまして、農林省員は運輸省の要請にこたえて、十月の肥料の輸送計画を立ててこれを運輸省に提出するだけの御用意があるかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。
  12. 藤田巖

    ○藤田説明員 統制がはずされました結果、各メーカーがどこへ幾ら送るかということが、なかなかつかみにくいのでありますが、私どもといたしましては、できる限り資料をまとめまして、十月以降の各肥料ごとの輸送計画を大体立てまして、運輸省の方面にもお出しをして現在御相談をいたしておるところでございます。
  13. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 ただいまお聞きのように、農林省の方でも計画を立てまして、詳細に数字をもつて御連絡するということであります。そこで、ただいまの運輸省からのお話によれば、二十八万トン程度のものは、今月において輸送を引受けるということに私は了承したのであります。はなはだくどいようでありますけれども、きわめて重大な問題であり、先ほど申し上げましたように、肥料の市価にまで影響のあるものでありますから、この点について、あらためてもう一度運輸省の方から責任あるお答えをいただきたいと思うのであります。
  14. 石井昭正

    ○石井説明員 責任ある答弁をということでありますが、私どもといたしましては、実際に具体的にその行先別の計画というものを拝見いたしませんと、たとえば新米輸送とかち合つているような地域から、同じ方向にたくさんの要請があつたり、あるいは輸送力のきわめて少い臨港線からたくさんの御要求があるというようなことであるといたしますれば、国有鉄道の貨物輸送といたしましては、総体的には、数万トンというものは多少ほかの物資に影響は加わるかもしれませんが、何とか御要望に応ぜられると思うのであります。そういう具体的な点についての確信が得られない限り、ここで全面的に責任をもつてお答え申し上げるわけに行かないのは、たいへんに残念に思う次第であります。
  15. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 ちよつと話が違つて来たのでありますが、私は十月の肥料輸送というものは、きわめて重大であり、国民経済全体から見て、これは少くとも最優先的に考えられるべきものだと思うのでありまして、これについては意見の相違するはずはないと思う。ところが今米の輸送等の問題が出ましたが、農林次官がおられますけれども、同じ農林物資の中で、食糧輸送と肥料の輸送が競合した場合に、当然十月に限つては肥料を最優先に扱うということに、農林省の御意見が違うはずはないと思いまするので、この点について伺つておきたい。御承知のように二年、三年前と違いまして、今食糧輸送というものは、必ずしも一日を争うような状況ではないと思う。さような状況でありますので、少くとも農林省に限らず、あらゆる物資に優先して、今日の上旬、中旬におきましては、特に肥料を最優先的に扱うということは、当然なことだと思う。それでありますから、港におきましてどうとか、また北陸地帶の米はどうとかいうことでなしに、物資別に見た場合に、当然最優先に扱われると思うのでありますが、食糧の問題が出ましたから、これにつきまして、特に山添次官のお考えをひとつ伺いたいと思います。
  16. 山添利作

    ○山添説明員 米にいたしまても、産地の倉庫等にもおのずから限度があつて、放置することを許されないというような場合もあるのであります。しかし原則論といたしましては、今日のような状況として、まずもつて肥料を輸送するということには違いがなかろうと思います。河野さんがいろいろ御質問になつておる事柄につきまして、私も拜聽しておりますると、結局農林省におきましての輸送は、ただいま農政局長からお話がありましたように、計画を立てて、それぞれ準備連絡をいたしておるのでありまして、先ほど国鉄の方から仰せになりましたように、貨車が非常に少い、あるいはその計画を立てる期間、十分な前広の時間の余裕がなかつたというような関係もございまして、ただいまの石井部長さんのようなお答えになつたと思います。それは趣旨においては河野さんのお聞きの通りにやるのであるけれども、何か御質問の調子がきわめてきびしいことのために、多少の余裕を残されたものと、かように解釈をいたしておるわけであります。
  17. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 何か調子が少しきつかつたそうですが、あまり固くならずに、責任ある答弁といつても、必ずしも責任を将来追究するというような意味じやありませんから、軽い意味でひとつお答え願いたいと思います。もう少しざつくばらんに、運輸省の十月の肥料輸送についてのお考えを伺いまして、私の質問を打切ります。
  18. 石井昭正

    ○石井説明員 できるだけ具体的な計画を頂戴いたしまして、ただいまの御要望に十分沿い得るように努力をいたしたい、かように考えております。
  19. 山口武秀

    山口(武)委員 報告に対する質問をいたしたいと思います。公団問題と肥料の問題の報告につきましては、これは問題の所在がきわめて簡單でありまして、特に問題がないと思つたのであります。ただ土地改良の問題につきましての調査報告を聞いていますと、どこに結論があつたのか、私にはわからないのであります。なるほど村の状況あるいは部落の状況、あるいは一地方状況は詳細に述べられたはずであります。しかしながら国政調査の目的は、今回の場合特別その村、その部落、一地方を特に調べなくてはならないという必要から行われたものじやないと私は思います。問題は個々の状況を調べまして、そうした具体的な地方状況から、国政全体に通ずる問題を結論づけなくちやならないのではないか。たとえば、土地改良について先ほど報告があつたのですが、この場合に、土地改良の部面だけきわめて雑然と並べたような感じがする。これでは私は問題にならないと思います。土地改良の必要性ということを言うのでしたら、これはわざわざ調査報告によらなくても、すでに明瞭じやなかつたのではないか。問題は、農家の経済にとりまして、土地改良がどのくらい国民に必要になつておるか、今の農業の状態において、土地改良がどのくらい重大な地位を占めておるか、なお日本全体の経済から見てどうした必要性になつておるか、そういう問題が出て来るべきではなかつたかと思う。ところがこれについての結論というものがまつたく見られない。一体どういう目的で土地改良については調査たされたか。結論はどうなされたか。この点について質問をしたいと思います。
  20. 野原正勝

    野原委員長代理 お答えいたします。今回の調査の目的は、農政一般とは申しながら、特に農地改良造成並びに災害復旧等についての当面の問題について、特に愛知県と岐阜県下調査したわけでありますが、限られた日程、時間でありますので、特に重点を灌漑排水の非常に問題になつておる地帶、それからまた防災ため池によつて災害を防止し、あるいはまたそれによつて農業の水利をするというような地帶、あるいはまたその各用水の水路等が、すでにもう一般的にいたんでおる。それを復旧しなければならぬ事情が、どの程度まで急を要するものであるかというようなことについて、実は見たわけであります。さつきの報告は実は非常に長いので、報告するのに重点がないとおつしやれば、あの報告はいずれあとで印刷されると思いますからごらんいただきたいと思いますが、重点をかいつまんで申せばよかつたのでありますが、せつかくよく見たことでもありますし、また地元のいろいろな要望もあつたというので、できるだけ懇切丁寧に報告をしたいということのために、少し長くなつたということで、あるいは要点がつかみにくかつたと思うのでありますが、あの調査の中で、特に全国的な共通の問題としましては、私もあの報告の中で、はつきり申し上げておつたはずでありますが、灌漑排水、あるいはまた用水ということに、自然の環境を克服して、機械力により、電力により、あるいはデイーゼル・エンジンによつて排水あるいは灌漑をする場合において、今日反当り千五百円以上もかかるところが中にはある。これは農民経済、農業生産ということをあまり考慮に入れないで、電力料金が非常に上つてしまつた。上げられたようなかつこうになつておる。これに対しては何とかひとつ電力料金の軽減をはかつて食糧増産をしたい。それから灌漑排水の徹底を欠いておるために、せつかく気候的條件から行くならば、りつぱに二毛作のできる地帶が、事事二毛作ができない。農民の非常な努力によつて高うね栽培をしているけれども、それによつて二毛作ができる地帶というのは、全体の二分の一もしくは三分の一あるいはそれ以下かもしれない。この排水施設等を十分やるならば、それによつてただちに二倍、三倍の裏作が可能であるというような問題、これは私の見ました愛知あるいは岐阜、両県とも共通した問題であろうと思うのであります。これはどこの県へ行きましても農民の方たちはこれに非常な真劍な関心を持つて、熱心にわれわれに対してこれらを要求しておつたのであります。山口委員に言わしむるならば、何を重点にしておるかわからぬ、何を見て来たか、こういうようなお話でありますが、もしあなたがそうお感じになるならば、あなたみずからが愛知県の農民に会い、あるいは岐阜県の農民に会つたならば、この問題がいかに重大な問題であるかということがよくおわかりであろうと思う。あるいはまた岐阜県下における防災ため池の問題にいたしましても、あの山岳地帶の、非常に地勢が急峻で、雨が降ると非常に出水が早いというような地帶にとつては、この防災ため池がいかに一石二鳥、三鳥の効果を持つ非常に適切な施設であるかということを、われわれ非常によく感じたのでありまして特に岐阜県が防災ため池に対して非常な熱意をもつて、県みずからが相当の県費の負担をしてまで、あの工事をしておるという、あの真劍な態度に対しましては、私どもは実は非常に敬服しておるのであります。これをもつて全国にそういうものを及ぼしたいということは、実は報告にもはつきりうたつておるようなわけでありまして、これまたきわめて的確なものである。私は班長としてわれわれの委員会の使命が、農政全般について、国内のあらゆる問題について、わずか四日間をもつてしては、とうてい共産党の山口君の言うがごとき御満足を與え得なかつたかもしれないが、少くも四日間において、あとう限りの非常な効果を收めて、われわれの見聞を広めたという点を確信しております。     〔遠藤委員、(山口武)委員発言を求む〕
  21. 野原正勝

    野原委員長代理 遠藤君。
  22. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私は井上委員調査報告に対して一点質問してみたいと思うのであります。     〔山口(武)委員委員長々々々。そんなばかな……。」と呼び、離席者、発言者多く議場騷然〕
  23. 野原正勝

    野原委員長代理 遠藤君の発言中でございます。委員長は遠藤君を指名いたしました。——どうも共産党は暴力を振う傾向がある……。     〔「暴力じやない。そつちが暴力だ。」「議事進行」「あとでやれ」と呼びその他発言する者多し〕
  24. 野原正勝

    野原委員長代理 山口君に退場を命じます。
  25. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私はさきほどの井上委員調査報告に対して、一点質問をしてみたいと思うのであります。それは来年の一月から公団の末端が切り離されて、そうして卸小売が新たに設けられる、このことは非常にけつこうであります。ただこの問題に関連して、調査委員の方々は非常に熱心にこの問題を研究して来られたのでありますが、それについて一点お尋ねしておきしたいのであります。問題は、卸小売が認められたときに、そのマージンが現在の公団の場合におけるマージンよりもふやさなければいけないのかどうなのか。この問題が、もし従来の公団当時よりもマージンを大きくしなければならぬことになれば、これが一般消費者にかかつて参ります。これは重大な問題になつて参ります。しかしながら卸、小売を認めるという以上、卸小売がやはり成立たなければこれは成立たないのであります。配給制度自体が成立たないのでありますから、ある程度のマージンの増加を認めるか、認めないか、その点についての実情はどうなつておつたか。認めざるを得ないような状況であるか、あるいは認めなくてもやつて行けるという状況であるか、その点についての御調査がもしできておりましたならば、もう少し詳しく御説明を願いたい。
  26. 井上良二

    井上(良)委員 非常に大事な点についての御質問でございますが、御存じの通り、公団が廃止になつて、その業務形態を民間に移す、特に卸、小売の関係において、現在の公団マージンと、民間に移行しましたのちのマージンとの関係は、消費者及び生産者にとりましても、重大な関心を拂つているところでありまして、なるほど民間業務形態を移します場合は、そこには当然自由競争がまき起りまして、いろいろ消費者に対するサービスが高まつて来ることは予想されます。ただ政府が一手に生産者から主食を買上げ、これを一手に販売するという、主食自身が統制されておりますので、そこには当然問題は、幾らのわくでマージンを認めるかという問題が中心なつているので、私ども今度参りましたのも、この問題をほとんど專門的に、中心的に調査いたしました。そこで愛知県の公団をサンプルにとりました場合、御承知の通り、愛知県はほとんど自給自足ができるような形態に近いのでありまして、そういう関係から、県内の現在の状態でもつて卸、小売の計算をいたしてみますと、小売において一俵九十四円九銭ということになつておる。それから卸が八十九円七十一銭、合計いたしまして百八十三円八十銭、現在の公団の卸、小売の経理の計算はそういうことになつております。これをもし来年の一月から実施します買取り制で、白米の五十六キロだけ、二合七勺のベースで配給いたします場合にどうなるかということで計算をいたしましたところ、卸は百二十九円八十六銭、小売が百十四円十九銭、合計二百四十四円五銭、こういう計算が出るということでございます。それでさいぜん御報告申し上げました、兵庫県の支局の一配給所平均の新しい四段階にわかれましたマージン小売店舗は一俵当り平均百五円になつておりまするが、大体現在一配給所が三人弱で、約三百六、七十俵の米を配給いたしておりますから、それから割出して参りますと、一人当り一箇月の收入が税込みでもつて大体一万円あまりになります。それで税を差引きますと、手取りは八千円弱になるのであります。そういう点から考えますと、今日政府が官公吏の給與ベースを大体八千円べースに持つて行こうという案がございますので、それと給與関係においてはほとんど一致いたしております。ただ今度卸が民間業務に移行されますと、この卸マージンを幾らで押えるかという問題が大きな問題になつて来まして、当然私は、現在の配給公団の卸、小売のあの業務マージンを、多少上まわることになりはせんかと見ております。ただこれを合理化しようとするならば、輸送費をどういう取扱いにするか、人件費をどう合理化するかというこの二つしか残つておりません。だから輸送関係が現在のような輸送状況ではとうていだめでありまして、なるほど経済調査庁などのやかましい査察によりまして、輸送契約を市価の約四割引の契約にいたしております。しかしながらそのトン当りの荷積みの関係が非常に減つておりまして、たとえば貨車積みは一トン十六俵積むということになつておりますが、これが最近は汽船積みやはしけ積みやあるいはその他トラツク積み等の荷積みの関係を調べてみると、汽船積みなど、昔十五俵一トンで積んでおりましたのが、最近は八俵一トンということになつて、積荷を約半分に減らしておいて、そうして料金は四割引という、まことに合理的なごまかしをやつておるのです。だからこれをかりに前と同じように、十五俵一トン、あるいは袋の場合は四十五袋一トン、現在は二十九袋しか積んでおりません。こういうようなことを隠しておいて、それでもつてマージンが少いという、こういうりくつは成立ちませんで、やはりそういう面についても、食管関係では十分検討を加えて、合理的なマージンを設定するように、さらに特段の検討を要するのではないか、こう考えております。
  27. 野原正勝

    野原委員長代理 ちよつとこの際理事会を開きます。     —————————————
  28. 野原正勝

    野原委員長代理 この際先般のキジア台風による農地等の被害につきまして政府から説明を聞きたいと思います。農地局及び林野庁側からお伺いするのでありますが、資料も出ておりますので、できるだけ簡單にお願いいたします。宮下農林事務官
  29. 宮下好男

    宮下説明員 農林省関係のキジア台風の被害状況について御説明を申し上げます。  委員のお手元に配付してあります資料によつて説明を申します。御承知の通りキジア台風はグアム島の北西海上に発生いたしまして、これはその当時熱帶帯性低気圧と申しておつたのでございますが、その後北々西に進路をとりまして、種子島の東方海上を北進いたしまして、大隅半島をかすめて志布志湾に入つたのであります。これは昨年の六月中旬に起りましたところのデラ台風とその進行経路が大体一致しております。かような進路をもちまして九州の中央部を縦断いたしまして、玄海灘を経て島根の浜田沖合を通過いたしまして日本海を東北進し、そうして北海道に拔けたのであります。  この台風を中心といたしまして各地に甚大なる被害を與えておるのであります。農林、水産業関係におきましては、特にその被害が激甚であります。その被害状況につきましては、目下本省におきましては鋭意調査中でありまするが、ほぼ正確な数字がまとまつたのであります。  現在までに判明いたしました被害の金額を御説明申し上げますと、農地被害におきましては十四億五千二百七十二万四千円、それから農業用施設におきましては百七億七千八百二十四万、そのトータルが百二十二億三千九十六万四千円、こういうふうな莫大な数字になります。  それから開拓者の住宅があるのでありまするが、この入植者の住宅は、これは相当な被害があります。たとえば全壊したものが五百九十戸、半壊が千四百二十戸、大破したものが五千百六戸、その被二億一千二百三十八万五千円というような開拓入植者の家屋の被害がありますので、これはとりあえず予算措置といたしましては、農地の中に含めて予算をとる。そうして予算が決定してからそれを配分いたしまして、入植の方からその補助金を交付するというような計画でやつておるのであります。  それからその次には、これは山林の方からおいでになつておりますので、具体的には山林の所管の方から申し上げることと思いますが、大体の被害は私の方から申し上げたいと思います。  治山関係におきましては、被害の金額が二十三億三千八百八十八万二千円、林道におきまして十三億八千九百五十四万九千円、林産物の被害が二億七千五十一万五千円、被害の合計額におきましては三十九億九千八百九十四万六千円ということになつております。  次には水産関係でありますが、水産関係におきましては漁船が千四百四十三、その被害金額が五千九百七十万四千円、漁具が件数にしまして千百九十一件、その金額が八千五百二十六万三千円、漁港の数が三百六十九、その被害金額が十一億七千八百四十万三千円、その他のいろいろな施設かありますが、それが二億九千七百三十八万九千円、合計におきましては十六億二千七十五万九千円というような漁港が被害を受けておるのであります。  その次に農作物の被害状況でありますが、これは本省の統計調査部の調査であります。この農作物の被害状況はお手元にある資料によりますと、水稻の被害面積が四十五万二千四百二十町歩、その減收見込が百四十七万九千六百七十石、陸稻におきましては被害面積が一万八千町歩、減收見込が二万五千六百三十名、かんしよにおいては七万三千四百八十町歩、減收見込が三万九千七百六トン、その他のいろいろな雑穀の損害があるのであります。かようになつております。それがその後に訂正された報告をただいまちようだいしたのでありますが、それによりますと水稻の被害面積もなお増加しておりまして四十九万八千二百十町歩、その減收見込が百六十万石、それから陸稻におきましてはやはり一万八千七百町歩、減收見込が大分ふえておりまして、三万六千二百七十石、かんしよはやや減つておるのであります。面積の方については四万四千町歩で、七万三千町歩から見るとずつと減つておりますが、減收見込の方はかえつて六万トンというように増加しております。  その次は蚕糸関係であります。蚕糸の関係は被害桑園の面積でありますが、被害を受けた桑園の面積が九千二百十町歩、その耕作の戸数を申し上げますと六万五千九百十八戸、それによつて改植を要する面積でありますが、これが百七十九町、それから流されたりいろいろした蚕繭の收量の減ですが、これが十一万六百三十六貫、そうしまして損害の総額でありますが、これは一億三千三百八十三万六千四百円、その他の被害も桑園の苗等についてあるのであります。以上が蚕糸関係の説明であります。  今まで申し上げましたのが災害被害の関係でありますが、これを総額のトータルにいたしますと、農地が百二十四億四千三百三十四万九千円、林野の関係におきましては三十九億九千八百九十四万六千円、水産業の関係が十六億二千七十五万九千円。それから農地、林野、水産の農林水産業施設災害の計におきましては百八十一億九千五十四万五千円、こういう巨額に上るのであります。  以上の災害のうち、特に被害激甚地方といたしましては、山口、宮崎、広島、愛媛、島根、鹿兒島、大分、熊本、福岡、佐賀というような各県の順序になつておるのであります。なおこれらの災害復旧対策につきましては、過般と今日を通じまして、農林省におきましては、いろいろの態勢において整備拡充の強化をはかつておるのであります。そうしてそれを着々と実施に移しておるのでありますが、さらに国の助成であるとか、あるいは融資費等につきましては、特段の配意を拂わなければならないということで、連日会議を開いて善後策を講じておるのであります。金融措置その他の問題につきましてはあとで申し上げたいと存じます。一応今までの被害状況を御説明いたします。
  30. 川西清

    ○川西委員 このキジア台風の被害の表ですが、兵庫県が拔けておりますが、これは被害が一銭もないということですか、あるいは少額であるから拔かしてあるのか。奈良とか和歌山とか近所のはありますが……。
  31. 宮下好男

    宮下説明員 兵庫県につきましては、これは災害発生当時にいろいろ連絡いたしまして、電報も打ち、いろいろやつたのでありますが、兵庫県はその回答がないのであります。それで多少被害があるではないかということで、督促をしたのでありますけれども、それに対しては回答がありませんでした
  32. 川西清

    ○川西委員 それから先般のジエーンの被害説明委員会で聞きましたけれども、こういう資料をまだいただいておりませんから、同じようなものを委員会で配付していただくようにお願いいたします。
  33. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 キジア台風の被害について、統計調査部の方と、それから災害復旧課の方と両方出ておりますが、統計調査部の方の報告によると、なかなか用心深く、これは急報であつて、いずれまた正確なものを調査の上で訂正すると書いてあります。これは大体の傾向ですが、急報というのは、正確なものが出て来ると、これはふえるものですか、減るものですか。
  34. 宮下好男

    宮下説明員 農作物の被害につきましては、農林省といたしましては、農政局の農産課でも調べておりますし、また作報、今の統計調査部でも、また食糧庁の方の買入課でも、米の補正等についで農作物の被害を調べており、農業保險の方でもこの点について調べておるのでありますけれども災害復旧課としては、農作物の方の調べは別にしておりませんですが、ただ連絡調整の所管といたしまして、一応そういう資料を求めておるわけでありますが、その場合には一番手取り早い、一番早い資料によるのが最もいいとされておりますので、統計調査部の方の資料を要求してもらつておるのであります。ここにあがつておる、議員さんのお手元に配付しておる資料も、これは統計調査部から出ておる資料であります。しかし今日まだもう一枚持つて来ていただいたのですが、これはその後に若干の修正があつたということで、今いただいておるのでありますが、これも追つて全部整理してまた配付したいと思つております。この被害状況というのは非常に急を要するために、現地について三日や一週間で完全な調査はなかなか不可能であります。そこで県なら農務課とか、あるいは調査報告の方の関係の係官が全部出張つて現地について調べるのでありますが、そうすると、相当な期間を要するわけであります。その間時々刻々と被害状況が電報とか、あるいは速報というものによつてつて来るわけであります。それを一々統計に計上して、その都度供覧に供しているのでありますが、その関係で、電報等は誤りが多いのであります。数量はしつかりした数字を書いても、電報に打つときに何千万の單位を誤つて何億というようなことが今までしばしばあつたのでありますが、そういう場合はでき得る限り正確を求めるために照会したりして、正しい数字を報告させるような処置をとつているわけであります。その状況によつては減る場合もあるし、ふえる場合もある。しかし十中の八、九は、被害というものは大体だんだんふえるという傾向があるのであります。一応完全な調査が済むまでは、第一回の報告、第二回の報告と一応ふえるという傾向にあります。
  35. 野原正勝

    野原委員長代理 山口委員の入場を許可いたします。
  36. 井上良二

    井上(良)委員 ただいま御報告いただきましたキジア台風の農林省所管の災害被害についての対策でございますが、この対策はまだ報告されておりません。これは前のジエーン台風とともに、緊急に対策の具体化を実施しなければならぬのであります。これはぜひひとつ午後この対策の具体化についての政府報告を求めますとともに、十分われわれも要望したいのでありますから、安本の方と大蔵省の方をお呼びを願いたい。主計局長、銀行局長、それから安本の建設局長という公共事業関係の方をぜひお呼びを願いたい。
  37. 野原正勝

    野原委員長代理 それでは暫時休憩をいたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後二時十三分開議
  38. 小林運美

    ○小林委員長代理 開会いたします。私がかわつて委員長の職務を行います。午前中に引続き会議を開きます。  来年度の農業関係公共事業費の問題を議題といたします。本件につきましては、すでに八月以来農林委員会において、食糧増産の見地から財政措置に関する決議をいたし、政府に送付いたしておりましたが、この際今日までに政府におかれてとられた措置について説明を伺います。
  39. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 政府におきましては、農林委員会の意思を尊重いたしまして、閣議におきまして、増産運動をやるために公共事業費が非常に必要であるということから、懸命に努力をいたしておるような次第であります。ただいま大体十五箇月予算の全貌を見きわめまして、公共事業費につきましては、この配分方について安本において目下折衝中でありまして、今明日中に全部が現われると思つております。ただいままで内示されておる項目を見ますると、われわれの満足するに足るものではないのでありますが、しかしこれも国家の予算の関係、特に中間から起りました災害費の方から非常に重圧を受けまして、なかなか思うように行きませんが、まだこの国会開会までには公共事業費を別な方途から考え出し得る方策があると考えておるような次第であります。
  40. 井上良二

    井上(良)委員 政府におきましては、最近のわが国の立つております国際的なもろもろの関係から、明年以後における食糧の飛躍的増産をはかり、国内の自給度を引上げるという見地から、それぞれ必要な対策を立てられ、特に與党の自由党におきましても、政府と歩調を一にし、また国会農林委員会もその方針で審議を進め、明年度以降においては相当多額の農業関係の公共事業費を、大幅に計上するという方針でずつと努力をされて参つた。ところが最近閣議決定によります昭和二十六年度公共事業費中農林関係公共事業費は大幅に削減をされ、特に土地改良中心にする公共事業費のごときは、ほとんど見るべきものがありません。われわれは一昨年来、土地改良関係の公共事業費が年々削減をされておるという事実にかんがみまして、土地改良による増産が当面最も増産対象としましては必要な対策であろうと考えまして、これが計上を鋭く政府に要求し、農林委員会でも満場一致で本決議は決定されたことは御了承の通りであります。しかるところ、すでに決定され、関係方面と内交渉されております案の内容というものは、まつたくわれわれのこの意思決定が無視され、また各党の要望しておりますこれら関係公共事業費の増額が、まつたく踏みにじられる形にあるわけであります。はたしてかくのごとき状態でもつて政府が意図いたします食糧増産の目的が達し得られるやいなや。政府では別に食糧増産に関する特別委員会を農林省内に設置いたしまして、関係各農業団体の協力を要望いたしておりますが、特に農業団体関係方面におきましては、予算の伴わない食糧増産なんというものは、農民を犠牲にする以外の何ものでもない、こういう見地からきわめて冷淡であり、積極的にこれに協力するの態勢ができ上つていないのであります。少くとも今日政府はあらゆる手を講じて、これら増産に必要なるもろもろの経費を増額することに、いろいろ手を打たれておると思いますけれども、     〔小林委員長代理退席、委員長着席〕 今大臣は何か特別に別な手を打つて公共事業費の増額をはかりたい、こういうお話でございますが、別の手というのは一体何をお持ちになつておりますか、また現在お組みになつております二十六年度予算、また新しく考えられております二十五年度の補正予算これらを通しまして、一体どういう手でもつて増額をはかろうといたしますか、もつと数字的内容にわたつて説明を願いたいと思うのであります。
  41. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 公共事業費その他増産に必要な経費について、農林委員会から非常な支持を受けまして、政府といたしましても、その皆さん方のお気持を体して予算の編成をいたしておるのでありますが、いかんせん現在の状態におきましては、減税、あるいはまた官吏の給料の値上げ、あるいは予期せざる台風の被害等に非常に予算をとられまして、農林関係の予算もやはり各省と一律に減つておるのであります。しかし公共事業費は、多少われわれの意に満たない点があるのでありますが、その他の一般予算においては、十分皆さん方の期待に沿うようになつておるのじやないかと考える次第であります。なおその公共事業費の足りないところは、金融公庫をどうしても実現いたしまして、ここに二百億くらいの金を持つて参りまして、それによつて十分運用の妙を発揮いたしまして、これを完成いたしたいと思つております。なおあともつと公共事業費をふやしたいということは、数字あるいはまたその他の点につきましては、ただいまの段階におきましては発表するまでに行つておりませんが、最初からわれわれが主張いたしておる通り、公共事業費はより多くふやさなければならぬのでありまして、国会開会までには必ず天元の一手を打ちたいと私は考えておる次第であります。
  42. 井上良二

    井上(良)委員 すでにお手元へも参つておると思いますが、農林委員会といたしましては、本年度農業関係公共事業費、政府が要求いたしております一千十六億円、これを何とか具体化をせよということで安本、大蔵に対しても猛烈にこの予算化を要求いたしておるのであります。しかるところ二十六年度予算に現われました数字はまつたく問題にならぬ数字であります。これでもつて農林大臣は、はたして食糧一割増産が完遂される確信をお持ちでございますか、まずこの点を伺いたいと思います。
  43. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 足らざるを補つて目的を達するように努力いたしたいと考えております。
  44. 井上良二

    井上(良)委員 お寺のお説教でございますならば、いろいろ因果応報を説いて、国民の迷いを精神的に慰めることはできますが、相手は植物でありまして、お説教はきかないのであります。現実に土地がどうなるか、管理がどうなるか、あるいは天候がどうなるかという諸條件が全部そろわなければ、増産はでき得ないのであります。その増産の基礎條件をわれわれは要求しておるのであります。また政府みずからもそれを認めて要求されておるのであります。少くとも、ここ数年の間にある程度の自給を達成しなければ、わが国の食糧の前途はまことにあぶないという見地に立つて、われわれは政府の努力にできるだけ協力し、これを完遂するように力をあわせておつて、われわれは野党でありますけれども、いたずらに政府の反対をせんための意見を出しておるのではないのでありまして、特に私ども先般もこの委員会で申したのでありますが、今日国民大衆が非常に重税に悩んでおりますから、この際相当な減税をやることは、いろいろの面で最も考えなければならぬ大きな国策の一つであります。しかれどもわが国の食糧の前途を考え、今後わが国が樹立して行かなければならぬ中心課題は、食糧が自給できるかできないかという問題にかかつておることを考えます場合、ここは多少負担がお互いに重くても、ここ一、二年はがまんをして、食糧の自給態勢が十分整う場合において、それから減税を漸次やられてもこの際はやむを得ないということくらいに、私どもは腹をくくつておるのであります。国民にもよくそういう点は協力をしてもらい、納得をしてもらつて、ともかくも食糧の前途が日本の現状ではあぶないから、ここしばらく増産にこれだけの金がかかるから、ひとつ減税はしばらくがまんをしてもらわなければならぬというつもりで、われわれは臨んでおるのでありまして、それに一方増産もしたい。一方は災害復旧にも金がいる。給與ベースの改訂にも金がいる。一方はまた減税もしたいといつても、そう一つの金庫から、あつちもこつちもそつちもというわけには参りません。だから農林大臣はあくまでこの食糧自給の重大性を十分力説されて、ぜひこれが通常予算に上程されるまでに、われわれ全員の強い要望であります公共事業関係予算の増額について、さらに一段の努力を切に私は要求しておきたいと思うのであります。
  45. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 野党にも井上さんみたいに実際理解のある、農村にとつての非常な味方の人もあるのでありますが、中にはまた減税一点ばりで来る人もありますし、また観点が違つて、声を大にして社会保障制度の確立が国民の輿論であると言う人もありますので、あらゆる方面を勘案いたしまして、現在の予算を作成いたしておるのでありますが、ただいま御説明の通り、日本の食糧の自給度を確立する意味におきましては、これはだれしも異論のないところでありますので、私たちは現在ほんとうに予算が国会に提出されるまでに、確実な財源を相当多額に持つて、それをどうしても現在つくつておる予算の上につけ加えたい、こう考えておるのでありまして、決して最後までこの努力を捨てる考えはないのであります。さよう御了承願います。
  46. 千賀康治

    千賀委員長 他に御質疑はございませんか。
  47. 竹村奈良一

    ○竹村委員 公共事業費の問題は井上委員からもるる質問されましたので、私は現在農村で農民が非常に苦しんでおる問題について、この際大臣の所見を承りたいのであります。それは昭和二十五年度の超過麦の供出の問題であります。御承知のように超過麦の供出は、昨年度の実績その他を勘案して、各家のあるというところに割当てられたものと考えるのでありますが、その超過麦の供出のでき得ないもの、その他のものが非常に今苦しんでおるのでありますが、その一、二の例を申し上げます前に、この超過麦というものは、はたしてこれは至上命令であつて、割当てられた府県が、必ずどんなことがあつても、たとえば他の県から買い集めてでも、これを完成しなければならないというような御趣旨であつたかどうか、これをまず先に承りたいと思います。
  48. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 これは現在日本が置かれておる環境をよく御理解になれば、農林省から割当てられた麦の供出の問題が解決つくと考えるのであります。特に関東地方あるいは長野県、この辺では非常に今年の麦のできが悪かつたことはよく承知しております。それを十分に考えて事務当局において割当てたものでありまして、でき得るだけ目標を達するために御努力を願いたいということを、われわれは申しておる次第であります。
  49. 竹村奈良一

    ○竹村委員 実はこれは事実の問題だから、特に議論の余地のない問題でありますので、もちろん食糧庁長官もおられますので、政府において、特にこれをどうするかという対策を講じてもらわなければならない問題ですから、例をあげて申し上げます。実は奈良県でありますけれども奈良県におきましては、今度の超過麦は非常に厖大なものである。そうしてこれは今農林大臣がおつしやつたように、絶対に至上命令である。どんなことがあつても、これを達成しなければならぬという考え方で各町村は努力しておるのでありますが、ところで農民個々に至りましては、実際におきましては、昨年度と比べまして作付転換—たとえば供出後の麦の自由販売等の声につられ、そうして事前割当だけを完成すればよいのだと考えて、作付転換等が非常に多く行われておる。それだから実際昨年度と比較いたしますと、三割ないし四割の減收であつたのであります。ところが今度ああいう超過麦につきまして、これが絶対至上命令だ、こういうような形で割当てられまして、いろいろな形において督令されましたから、こういう悲劇が起つておるわけであります。と申しますのは、北葛城郡の地方事務所の管内におきましては、約八千俵は買つて供出しておるのであります。買入先はどこかと申しますと、大阪府あるいは和歌山県あるいは京都から買い集め、五條の二見におきましては、和歌山県から買出しに行つている。添上郡東市村においては農業協同組合みずから京都の方へ買出しに行つておる。しかも五條の二見の農業協同組合におきましては、消防自動車あるいは牛馬車等をもつて和歌山県の方に買出しに行つて、その途中和歌山の警察部に検挙された。あるいは大阪の河内においてもそうであります。京都においてもそうでありまして、農民は供麦を完成するために非常に苦しい思いをして、そうして各自で借金をして、他府県に買出しに行つて、それが食糧管理法違反で検挙されておる。ここまでしてむりをして完成しなければならないものとしますならば、私は非常にこれは大きな問題であると思う。しかも自分の食糧ではなしに、供麦を完成するために、こうした食糧管理法でひつかかつておる。これに対して、農林大臣はどういうふうに今後の善後措置を講ぜられるか、この点をひとつお伺いいたしたい。
  50. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 ただいま新聞によつて指摘された問題を、実は本日私奈良県の代表の方にから拜聽いたしたのであります。よく事実を調査いたしまして、適当に考えたいと思つております。
  51. 竹村奈良一

    ○竹村委員 大臣としては愼重に考えていただくということは非常にけつこうでありますし、ぜひ政府としても考えてもらいたいのであります。実際こういう問題に対して、ただ考えるというだけではなしに、具体的に今後たとえばこういう悲痛な目にあつておる百姓に対して、やみ買いをいたしましたところの代金を弁償するとか、あるいはまた麦を何らかの形でもう一ぺん農家に還元するとか、こういう点について、考えるというのではなしに、專門的な立場に立つておられる食糧庁長官の具体的な方針をひとつ承りたい。
  52. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 奈良県の問題につきましては、ただいま大臣からのお話がございましたが、県当局も実はただいま来て打合せをしておる最中であります。根本的な問題は、いろいろ国をあげて考えなければならない問題であるわけですが、当面の問題といたしましては、そうした非常に気の毒な事情に追い込まれました農家の救済策を、食糧庁としてできるだけのことをいたしたいという線で、県当局と打合せをいたしております。
  53. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一つ食糧庁長官にお伺いしたいと思います。善後措置を講ずるということはわかりましたが、これは二十六年度の麦の生産目標に非常に関係することでありますが、二十六年度もこういうような形で、いわゆる生産目標に続くところの供出完遂の方法をとられる考えであるかどうか、こういう形で毎年やられますならば、おそらくいかに一方において土地改良とかいろいろなことをやりましても、農家は土地を放棄せざるを得ないであろうと、われわれは考えるのであります。今日こういう超過供出をおとりになるような指示をお出しになつたについて、日本の食確法との関係において、どういうふうに考えられるか、法律的にどういうふうにこの問題を処理するお考えであるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  54. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 二十六年度のお話がございましたが、二十六年度の生産目標は、供出とは関係がございませんので、これは切り放してお考えになつてけつこうだと思います。それから二十五年産の麦の超過供出の取扱いについて、現在の食確法との建前からどう考えておるかという点もお触れになつておるようにお聞きしたのですが、今度の二十五年産の超過供出の目標につきましては、法制的の裏付けはないのであります。しかしながらただいまも大臣からお話がございましたように、現在の日本の置かれております客観的情勢におきまして、單なる目標でなく、相当きつい意味における目標であるということを知事に通牒をいたしておるのであります。
  55. 千賀康治

    千賀委員長 ただいま農林大臣は退席を要求されております。しかも今肥料問題について、あすあさつて農林大臣が御出席になるかならないかわからないから、ぜひ質問したいという要望もありますので、そちらを先まわしにしたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 千賀康治

    千賀委員長 それでは平野三郎君。
  57. 平野三郎

    平野委員 実はただいま委員長からの御報告もありました通り、最近発生しておる重大な肥料の輸出問題につきましては、目下当委員会でも審議中でありまして、明日小委員会報告を求めて、さらに本委員会としての態度を決することになつておりますので、実はあらためて農林大臣の出席を求めて、その問題を徹底的に追究する予定でありますが、幸い本日は大臣と政務次官が一緒に御出席の機会でもあるし、明日以後において時間的に齟齬を来たすかもわかりませんから、この際中間ではあるが一応農林大臣の所見を質してみたいと思うのであります。  すでに大臣もお聞き及びと思うけれども、先ほど本委員会が始まる前に、この問題についてちよつと話したときに、大臣からそうらしいというようなお話があつたのですが、この問題に対して、そうらしいという程度の御認識であるとすれば、まことに心細い。われわれとしても、農林大臣を支持するのに躊躇を感ぜざるを得ないほどに思うのですが、はたしてこの問題についてどの程度にお考えになつておるか。実はこれはすでに四万トン近くの肥料を一部農林省は同意を與えておるけれども、大部分のものは農林大臣の同意を得ずして輸出をしてしまつておるのであります。その金額はおそらく数億円程度のものでありますが、すでに八月一日肥料の統制撤廃になるときに、本委員会においては、肥料の補給金廃止の関係上、五割ぐらいの肥料値上げはやむを得ない。しかしそれ以上上ることはゆゆしき問題であるから、断じて肥料の輸出はしてはならぬということを、委員会としては決議をして、農林省にも申入れをしておるはずであります。しかし現在はすでに七割以上の値上りを示しておるのであります。これが輸出の結果かような状態を現出したのでありますから、その五割アップと七割アップとの差額を見れば、すでに今日までに農村に與えた損害は、金額にして十数億円という数字になつております。しかもそのように農村に重大な経済上の損害を與えたのみならず、すでにおそらく農林大臣の知らないうちに、どんどん肥料が輸出されたというようなことで、はたして農林省が肥料行政について責任を負つておるかどうか、大臣の知らないうちにどんどんかつてに通産省は肥料の許可を與えるというようなことであれば、おそらく農林大臣としては肥料行政に対して責任が持てぬだろうと思う。責任が持てぬとすれば、農林大臣としてはこの問題についていかなる処置をとられるおつもりでありますか。すでにこの問題が発生いたしましてから相当の時日が経過しておる。農林政務次官は、この問題の発生したときから御出席であるから、御承知のはずであるが、そのとき通産省は、ただちにこの問題について許可を與えたものは輸出のさしとめをするということを言明せられた。当時農林委員会は、一刻を争う問題であるから、本日は徹夜で委員会を継続しても、今日中に輸出のさしとめをする、それを監視するというところまできめまして、通産省は責任を持つておられたのであるが、はたしてその後、通産省のとられた措置をいろいろ仄聞するのですが、何らの措置をとつておられない。むしろ逆に肥料の輸出を促進するような行動をさえとつておられるのであつて、われわれとして実に奇々怪々に存じておりますが、かような通産省の行動に対して、農林省はおそらくそのさしとめをさらに励行させるとともに、今後そういうことがあつてはならぬとか、あるいはいろいろな方法をとられるはずであつたと思うが、はたして農林省としてはそういうことをせられたかどうか。それもあわせて伺うと同時に、かような問題についての農林大臣の今後の御信念、私は今後この農村に至大な関係を持つところの肥料の問題について、農林省が責任を持つて、吉田内閣が責任を持つて肥料行政を担任して、これを一元化して、真に農林大臣の意思通りに動くということにならなければ、おそらくこの問題の解決はできないと思うのでありますが、この一点、大臣の御信念と御所見を承りたい。
  58. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 肥料の問題は、農村にとつて重大な問題であることは御存じの通りであります。この肥料の問題が起きました当時、事務の方から報告を聞いております。私は通産省の政務次官を呼びまして、そういうことは断じてならぬということを戒告を発しておるような次第であります。しかし国全体が肥料の飽和状態になるようになれば、どんどんこれは輸出しなければならぬので、かりに輸出をするとすれば生産増強をはかつて、その上においてどしどし輸出をすればよろしいということを言つておる。
  59. 平野三郎

    平野委員 ただいまの大臣の御答弁では、農林大臣として、かような失態についてただ通産政務次官を呼んで注意を與えたという程度のことでありますが、さようなことで私はこの問題が解決せられるとはもちろん考えませんし、農林大臣として、さような程度の処置でもつて満足しがたいと私は思います。どうしてもこれは農林省として、通産省がそういうかつてなまねをしておることについて、それをさしとめるというような、何らかの措置を講ぜられたかどうか。もしそういう措置がないとすれば、ただちにその措置をとるべきであるし、同時に吉田内閣として、この肥料行政についてはどうしても一元化するという確固たる信念のもとに、農林大臣として行動される意思があるかということを、この際はつきり伺わなければ、さようなのんべんだらりのあいまいな御答弁では、断じて一元化はできぬと思いますから、重ねてこの点を明確に承りたいと思います。
  60. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 決してこれを等閑視しておるのではないのでありまして、委員会において非常に論議されて、肥料の将来について御心配になつておることも、よく承知いたしております。また農林省におきましても、いろいろ検討いたして、通産省に対して善後処置を講じろということを申し上げておることは事実であります。ただ私の言葉が短かいから、その辺の事情を察知していただけないかもしれませんが、決して手をこまねいておるのではありません。それからまた肥料を農林省の所管に移して、一元化しなければならぬじやないかというお話でありますが、これは今機構改革をしておる最中でありまして、十分検討してみたいと思つておるのであります。ただいままでまだ試案程度のものしかできておりませんが、ごく近いうちにその方の方向に向つてやりたいと私は考えております。
  61. 井上良二

    井上(良)委員 今平野君が質問をいたしております問題はきわめて重大な問題であります。私どもつて政府が肥料公団を廃止し、肥料統制を全面に廃止するという方針が進められましたときに、これは私本会議においても大臣に質問いたしておるのでありますが、今日のようなかなかのごとき事態は、資本主義的な生産をやつております工場としては当然起る結果であります。そこでこれを未然に防ぐためには、どうしても肥料に対する一定のわくをはめておかなければ、どうすることもでき得ない実際の問題として起つて来るであろうということが考えられるのであります。今御指摘になりましたように、輸出貿易管理令第一條第三項では、肥料を輸出する場合は必ず農林大臣の同意を要するということになつておるのであります。その同意を得ずに、日本の三千万供出農家に重大な関係のあるこの肥料を、一課長だけの決裁でどんどん判を押して出されたのでは、あなたの顏はまるつぶれです。そこでさしあたりこれは法律でございません、省令か政令かであると思いますから、この政令をこの次の臨時国会に法制化する処置をとる用意があるかどうか。  それからもう一つは、少くとも国内需要はこれだけいる、これだけの需要が確保されるまでは遺憾ながら肥料輸出は困る、お話のように肥料生産を合理化させて、国内需要をオーバーするようになりますれば、海外に輸出するということがあり得ることでありますが、現状は肥料生産は非常にコストが高く、農家の生産原価と比べますと非常にこれが問題になつておるのでありますから、あらゆる点で合理化をせなければならぬ過程において、單に国内で売るよりも輸出の方が、工場としてもあるいは商人としても、手取早い金になるのですから、一番好條件であります。これをどうしてもあなたの力で、何とか防ぐようなことをしておきませんといけませんから、さしあたりの対策として、少くとも閣議で御決定を願いたい。その御決定を願えるかどうか。この二つをまずお答えを願いたい。
  62. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 実はこの肥料の輸出のことは、私ある工場を見に行つたときにこれを発見いたしたのでありますが、多分これは事務の方で同意を與えたのだろうと思つて実はおつたような次第であります。ただこの肥料の問題を、どうしても何か縛るような方法をしなくちやならぬというただいまの井上さんのお話でありますが、これは私たちといたしましても、ただいま考えておることでありまして、閣議であるいはこれを認めさせるなり、あるいは法文化するなり、どういう方法を講ずるかは、私まだよく固まつてはおりませんが、何か方法を講じて、さようなことのないようにしたいと考えております。
  63. 大森玉木

    大森委員 私は簡單にお尋ねをいたしたいと思います。肥料の統制が撤廃されまして、農民の肥料高によつてこうむる損害が大きくなつたことは、いまさら申し上げるまでもないのであります。そこで今政府が持つておられまする手持の肥料であります。これを私の地方で大体拂下げを第一回行いましたが、私どもは、この肥料によつて大体農民に幾分の安い肥料を與えるという調整になるのではないか、こう考えておつたところが、非常に現下の価格よりは高い金で拂下げをいたしておる、こういうことを聞いたのであります。そういたしますと、ますます統制の撤廃によつて肥料が高くなる。また政府が持つておる肥料も、これを高く拂下げるということは、いろいろお話があるように、その製造家、メーカーを擁護するために農民を犠牲にするのではないか。でありますから、私の大臣にお願いする問題は、この手持の肥料を農民に対しまして、多額の肥料高によつて損害をこうむつておるのであるからして安く拂い下げるの意思がないか。拂い下げしてもらいたいということをまず、大臣にお尋ねをいたすのであります。そうしてあらためてもう一、二点お尋ね申し上げたい。
  64. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 せつかく政府が持つて調節する役目をする肥料でありますから、あなたの意思に沿いたいと私は考えておりますが、実はそのこまかい数字のことは、これは事務に聞きませんと私よくわかりませんので、後日またよくお話申し上げたいと思います。
  65. 大森玉木

    大森委員 そうすると重ねてお尋ねをいたしますが、その手持の肥料によつて調整をするというのが大体政府の考え方でありますか。——それではそういうふうにお願いいたします。
  66. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 大臣が非常にお忙しいようであるから、簡單に伺いますが、今のこの肥料の問題でありますが、昔といえばいいか、古い話だけれども、田中内閣の当時、農村振興とは何ぞやという問いに対して、田中大将は総理をしておつて、農村振興とは公平なる肥料分配にあり、この一言でその当時は笑い話になつておつたが、その後になつていかにももつともであるという国の輿論が一致したのでありますが、まつたく肥料の公平なる分配は農村振興である。それを今この肥料行政が、まず輸出の方の部門をあずかつておる通産省、また農村をあずかつておる農林省と二本建てになつておる。この重要な農村振興を破壊する措置に出た通産省に対しては、そうなまぬるい考えではいかぬ。これは重要問題で、またこれは小委員会を継続して、内容を調査しなければならぬ部分が多々ありますけれども、大臣が同じ閣僚にあつて、この農村の振興を破壊するような閣僚を見出したときに放つておくという——放つておかんでも、お話くらいじやとうていだめですよ。もう少ししつかりしなければだめです。通産省からこの肥料問題の行政をふんだくつてしまうとか、何とかけりをつけなければ、こう何回も質問が重なりましたから、ここでけりをつけなければ治まりはつきません。ことに食糧の需給関係の確立なんということを口にすれば申されるし、また一割増産ということを言われるが、増産々々と言つたつてだめですよ。米麦ばかり増産したつて、そうみんな一升飯を労働者が食うようではだめだ。やはり一方においてはカロリーの問題で畜産を発達させて、うさぎや鳥を各地においてやらぬとだめだ。畜産を軽視するようなことではだめだ。どの大臣も畜産となるとぼんやりしておる。そこでこの問題を解決をつけ、また肥料関係でも、これは金肥亡国論までとなえておる今日において、自給肥料の増産をはかることに重点を置かなければならぬし、また肥料の輸出関係を国家にとつて重大問題とおつしやるがその通り、その通りだが、肥料の増産なくしてこれをやつたということに対して問題があるので、この点は十分お考えにならぬと食糧問題も解決つかぬし、肥料問題も解決つきません。たまたまこういう問題が起きたときには、大臣が閣議で相談し、てきぱき何とかけりをつけて、この委員会に御答弁なさらないといけない。これは重大な問題でありまするから、どうかきようは忙しい、あすは忙しいというなら、あさつてでもよい。十日も待つてもいいから、そのけりのついた確答を、皆さんが納得し得るように、農村振興を破壊した通産省に対してどうするか、その役人をどうするかを突きとめて、これを御答弁願いたい。その用意の答弁をひとつここでやつておいていただきたい。
  67. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 肥料の問題について、閣内でどうも一致していないというお話でありますが、これは唐突のことで実際了承していなかつたことは事実でありますので、皆さんが納得行くような方法を見出しまして、あとで御答弁申し上げたいと思います。  それからただいまお話の中に、化学肥料を使うことは国を滅ぼすもとであるという御意見でありますが、これにつきましても、ある外国人から著書が参つておりまして、畜産を奨励しなければ十五年間で国は滅びるという数字的根拠を羅列して持つて来た著書がありますので、後日贈呈いたします。
  68. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 大臣が珍しくお見えになりましたから、ちよつとお尋ねいたします。ただいま小笠原さんから肥料行政の問題が出ましたが、今回起りました肥料の輸出の問題は、たまたま起つた問題でありまして、その根源は肥料行政の問題である。この肥料行政を今のままにしておいて、肥料の輸出の問題を根本的に片づけようということは、競輪から暴力を排除しようということと同じで、根本的にきわめて困難な問題であります。この肥料行政の問題につきまして、私この機会に一言申し上げておきますが、第二次吉田内閣のときに、肥料行政は一元化するという閣議の決定があつたように私記憶しております。その後におきまして、この閣議の決定をくつがえしたものは、例の昭和電工の事件の不始末で、今通産省から籍をはずしておりますその当時の一課長、一事務官が作文を書きまして、関係方面に働きかけて、この閣議決定をくつがえしたという事実もあるように、私聞いております。かような問題があつたこともあるのでありましてこれはもう昔から肥料行政を二元化して、今のような形になつておるのは不自然であつたということは、識者の一致した考えであります。そもそも肥料の行政が今のようになつたことは、戰争中指定生産物資の配分の問題で、どうしても不合理ではあるけれども、臨時的に通産者に生産行政をまかさなければいかぬということで、どこまでも臨時的の措置であります。しかし今は肥料行政を二元化した当時の原因となつた指定生産物資の問題は、電力を除いてほとんどないのであります。でありますから、当然に第二次吉田内閣のときに閣議決定があつたこともあるのでありますから、この時期に早急に肥料問題を明瞭にする意味において、この行政の問題を考えていただきたい。これにつきまして、私はあらためて申し上げたいと思います。そこで私はきよう大臣にお伺いしたいのは、過日来肥料の輸出の問題に端を発して、輸出の是非の問題が論議されております。これはわれわれから見れば、観念論ではないのです。向う一箇年間の肥料の国内需給関係の数字の上に立つて検討した結果、肥料の輸出は不可能である、国内の肥料の需給関係は、向う一箇年間を見た結果きゆうくつであるという結論が出ている。決して観念論ではないのであります。今通産省は生産計画を立てておりますが、通産省の向う一箇年間の生産計画というものは、昨年の冬のあの電力の豊富に恵まれたときの生産状況そのままをとつて立てている。こういうことは十年に一ぺん、二十年に一ぺんということで、電力の豊富な昨年の状況をとらえての生産計画であります。その生産計画を立てた結果、需給関係がどうなるというと、あまり来年の七月に余らないということであります。でありますから、一トンの肥料の輸出をしなくても、国内の肥料はきゆうくつであるという結論が出ている。でありますから、われわれからいうと、肥料輸出——貿易政策とかなんとかいいますが、とにかくここで肥料を、たとえば一万トンでも二万トンでも出すことは、国内の肥料が不足して、国内の肥料の市価が上るという結果に相なるのであります。これにつきまして、私は実は農林省とは別の立場で、安本長官に御出席を求めて、これについての見解を伺うことになつておりましたが、いままだ安本長官はお見えになりませんが、農林大臣にこの肥料の輸出についての御見解を伺うと、私は当然お前と意見は同じだという御意見が伺えることだと思います。その場合に、大臣から安本長官なり通産省の大臣に、その点をよく肥料の実情を話をして、——これは單に狭い意味の農民の立場に立つてのみでなく、経済全体から見て、食料政策全体から見て肥料の輸出は実に乱暴きわまるものであります。でありますから、この点につきまして、私は当然私と同じ御意見のお答えが伺えると思いますけれども、なおこの間から新聞紙上に通産省がどう言つたとか、安本がどう言つたとか、いろいろ政府内部においても、意見がまちまちのような誤つた報道がされておりますので、この際内閣全体を代表いたしまして、肥料輸出についての農林大臣の御答弁をいただきたい。このことは、先ほど申し上げましたように、これからまだ販売が残つております。秋の肥料の市価にも影響がある。続いて東北方面には、来年の春の肥料がぼつぼつ始まつております。農民の来年春に買わんとする肥料の市価にもただちに影響するわけでありますから、政府はこの際進んで、この輸出の問題について、明確なる御答弁の問題について、明確なる御答弁いただきたいと思います。
  69. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 肥料を担当する行政の問題につきましては、行政管理庁とよく相談いたしたいと思つております。これは長い歴史もあることでありますから、ただいま行政機構の再編をやつておるときでありますので、よく御意見を尊重いたしたいと思つております。  それから肥料を輸出していいか悪いかの問題ですが、国内の肥料が足りなくて、これを輸出するのは乱暴であるということは、お説の通りであります。ただ閣内においてまだ決定した意見がないようであるということも、その通りでありまして、これをひとつまとめて、納得の行くようにいたしたいと考えております。
  70. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 政府を代表してでなくて、農林大臣として、肥料の輸出についての御意見をひとつ伺いたいと思います。
  71. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 農林大臣といたしましては、肥料は大事でありますから、数字がはつきり示すならば、これを輸出するものでないということは、まつたく同一であります。但し生産増強いたしまして、どんどん生産が上るようでありましたならば、これを外国に輸出することは決してさしつかえないと思います。
  72. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 今安本長官のかわりに前谷産業局次長がお見えになりましたから、私は肥料の輸出の是非について安本にお伺いいたしたいと思います。ただいま私は農林大臣に肥料の輸出の是非の問題は観念論ではなくて数字の上に立つたはつきりした意見であるということを申し上げたのです。それは前谷産業局次長も御存じのように、今の向う一箇年間の肥料の需給推算というものは、通産省はたとえば渇水期における電力を、本年の春同様の電力の供給があるという前提に立つて生産計画であります。これに間違いないはずです。そうしますと、向う一箇年間の通産省の電力供給量についての算出は、むしろ大きに失しているくらいの数字であります。それに対しての需要は農家側の需要の数量である。それを差引きますと、向う一箇年間の数量は決して余らないというということであります。これは数字の上の問題であります。この数字に間違いあればまた御説明してもいいのですが、この前提となる数字に間違いがないとすれば、肥料の輸出について講論の余地はないと思う。新聞の伝うるところによれば、安本も通産省も、まだ輸出の可能性かあるかのような口吻を漏したという記事が出ておりましたがこれにつきまして、安本として、肥料の輸出が可能であるか不可能であるということを、この機会にはつきりと安本から御説明を願いたい、かように思うのであります。
  73. 前谷重夫

    ○前谷説明員 肥料の輸出問題につきましては、私ども需給推算を立てまして、そのもとに可能かどうかということを検討いたした関係におきまして、その生産計画につきましては、御承知のように、八月に肥料の配給統制を撤廃いたしまする時期におきましては、一応国内生産を窒素について申し上げますと、百八十万トン、公団の手持が四十七万トンであります。こういうことで全体の供給力を二百二十七万トンとふんだわけであります。しかしその当時は、もちろん一年先の見通しでございますので、生産計画その他につきましても、まだまだ一つ見通しの考え方に立つておつたわけであります。それで今後の問題といたしましては、今のお話のように、電力事情等も勘案いたしまして、目下その数字について検討をいたしておるわけでございます。と申しますのは、御承知のように、電力につきましては、この十月から制度がかわりますので、その割当方式等につきまして、関係方面との折衝もなかなか手間取つておりまして、ようやく大体の大綱は決定いたしましたが、まだ細目について残つておる点がありますので、暫定的に十月分の割当をいたしたというふうな状態でございます。全体の電力の供給につきまして、なお今後さらに事務的に検討いたさなければならない点がございます。そういう電力の事情のもとにおいて、ある程度電力の供給の見込みが確定いたしますると、おのずから生産計画の見通しも立つと思いますから、そのもとにおいてやりたいということで、目下その数字等について検討いたしておる次第でございます。
  74. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 今のお話のように、窒素肥料は向う一箇年百八十万トン、公団の手持四十七万トン、全体で二百二十七万トン、農家の需要は二百十五万トン、差引残らないのであります。順調に生産計画が進んでも差引残らない。本数万トンのわずかのものであるという、残らない数字を前提にして今作業しておる。安本が直接の責任でないが、安本が過去において輸出を許可したのはどういうわけだ。なお今後の輸出について明確に輸出はできない。少くとも本年の秋なり本年の冬は、輸出は不可能であるということを当然言うべきではないですか。それをいまだにあいまいにしているのは一体どういうわけか。電力の問題を今言われますけれども電力の問題が好転して、百八十万トンの生産がさらに二百万トンなり二百二十万トンにできるお見込みが一体あるかどうか。私は見込みはないと思う。あるならあるとはりきり言つてもらいたい。もうすでに秋の肥料の最盛期であります。それを政府が肥料の需給推算について不明確に、今作業中であるという時期ではない。あなた方の一言一句が肥料の価格にビンビンと響いて来る、ひいては農民経済にぐんぐん響いて来る。こういう重大なときに、進んで将来の見通し、生産の見込み、需要の見込み、市価の見込み、これをやるのが政府の責任であります。私はこの点についてはなはだ遺憾でありますので、恐れ入りますけれども、肥料の向う一箇年間の需給関係について、今の数字についてもう一ぺんはつきりとお答えをいただきたい。同時に輸出が是であるか、非であるか、可能であるか、不可能であるか、この機会にはつきりしてもらいたい。私は單にここで議論を好むわけではない。われわれのこうしていることに、先ほど申し上げましたように、非常に大きな農民の関心が集まつている。農民のふところに非常に大きな影響があるのでありますから、この際政府に進んで明確にしてもらいたいのであります。
  75. 前谷重夫

    ○前谷説明員 ただいま申し上げましたように、八月当初におきましては、国内生産を百八十万トンというふうに考えておつたのであります。しかしその後御承知のように電力の事情も、豊水、渇水の状態によつて異なりますので、最近の豊水状態等も考えまして、電力の需給を立てつつあるのであります。従いまして、非常に遺憾でございますが、現在の状態において、来年度の六月までの生産計画を、こうだというふうに申し上げる段階に立ち至つていないと思つております。  そこで輸出の問題でございまするが、われわれといたしましては、需給状況がかんじんでありまして、その需給状況のもとにおいて輸出が可能かどうかということを検討いたしたいと思いますので、今ただちにおつしやるように、輸出がだめだとか、あるいはできるとかいうふうなことは、この際さしひかえたいと思います。
  76. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 それでは仮定の上で一つ伺いたいのですが、今あなたたちが手元に持つておられる供給量が百八十万トンで、持越しが四十何万トン、その供給量の数字の上に立つて一体輸出は可能であるかないか。電力の今後の問題は別といたしまして、その数字の上に立つて、輸出が可能であるか不可能であるかと伺いたいと思います。
  77. 前谷重夫

    ○前谷説明員 ただいまのお話は、安本長官としてのお話なのか、あるいは私個人に対する御質問なのか、ちよつとわかりませんが、私個人といたしましては、今までの数字の示しますように、二百二十何万トンの供給に対して需要が二百十万トンとか二百十数万トンというような数字が出ておるわけであります。この両面につきましては、いろいろ検討いたさなければなりませんが、また差引上はそういう数字の示しますように、十数万トンの余力ということになるわけでありますが、これは時期的にいろいろな関係がありまするので、そういう点を検討しなければ、ただちにこの可否ということは言えないのではないかと思つております。
  78. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 そうしますと、どこの段階まで行つたらあなたたちは可否のお答えができるか。とにかく供給量と需要量の数字が出て来れば、そこで余るのが幾らで、この数字の上に立つては可能であるか不可能であるかということは、当然答えが自動的に出て来るわけです。その自動的に出て来る答えを、あまりかたくならないで御答弁願いたいと思う。この機会にもう一度申し上げますが、電力の問題を言われますけれども、私は増産はそんなによけいできないと思う。現にこの間やみの輸出を通産省がやつて、二万数千トンの穴を明けたので、通産省は今あわてて、われわれの前にちよつと調子を合せるために増産命令を出したが、わずか二万トンの増産命令を出すために、どのくらいの電力、石灰を肥料工場に加配してやらなければならないか。わずか二万トンのものを増産するのにどのくらいの苦心をしているか。しかもわれわれの目の前の体裁をつくるための数字でさえも、それだけ苦心をされる。そういうことを考えますと、簡單に隣でまんじゆうを買つて来るように硫安はできないのです。従つて百八十万トンの供給量か二百十万トンにすぐできるものじやない。そんなことは私よりもあなたの方が知つている。知つてつてなぜ隠されるか。どうでもいいことなら隠しでもいいのですが、先ほどからくどく申し上げますように、これは農民が重大な関心を持つている問題です。同時に経済に大きく影響する。現にこれが明確にならぬと、肥料は輸出が旺勢になるからそのうちに高くなります、そのうちに台湾に出ます、朝鮮が安定すれば、また司令部から命令が来て、日本側はいやでもおうでも朝鮮に肥料をとられますよというような商人の宣伝によつて、たださえ肥料が上らんとしている際である。これを進んで政府は明確にするだけの御親切が私はほしいのです。  話がもどりますけれども、もし数字がはつきりしなければ、仮定の数字で私はさつきも申し上げたのですが、自動的に出る答えをもう一ぺんはつきりお願いいたしたい。供給が二百二十万トンで、二百十万トンの需要量であるから、差引十万トンの残、この上に立つて輸出が一体可能であるかないかということを、私はどうしても伺いたい。またこれは伺えるはずなんです。私は決してかた苦しい意味でお尋ねしません。個人の立場で経験者の前谷さんとしてお答えしていただきたいと思う。
  79. 前谷重夫

    ○前谷説明員 今までの数字の上に、差引といたしましては十数万トンの余力があることになるのでありますが、これは河野さん御承知のように、ピークの問題がありますので、このピークをどう見るかということによりまして、かりに数字上におきましては十数万トンの余力があるといたしましても、ピークの関係によつて、その余力が減つて来るということになるのでございまして、この点につきましては、われわれといたしましても、至急にそういう点については決定いたしたいということで、関係省とも資料に基きまして検討いたしておりまするし、事務的の検討が終りますれば、事務当局の会議におきましても、その可否を決定して行きたい、このような考えのもとに、目下鋭意作業いたしております。
  80. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 それではあらためて伺いますが、過日の委員会におきまして、ここにおいでの農林政務次官並びに首藤通産政務次官からは、肥料の現在の需給状況においては、輸出は不可能であるというはつきりした御答弁をいただいておる。今の需給状況というものは、とりもなおさず、今通産省なり安本なり農林省が持つておるところの、私が先ほど申し上げた数字でありますが、こういうことを両次官ははつきり言つておられる。ところが安本の方では、それに対して明確な御答弁がないということは、今の数字の上に立つても、場合によれば輸出が可能であるというようなお考えでおられるように私は伺うのですが、そういうように承知していいのですか。
  81. 前谷重夫

    ○前谷説明員 まあ御解釈の問題ですが、実はわれわれとしても、今お話のようにいろいろ検討いたしておりますので、具体的にピークの問題等を十分検討して結論を出したいと考えております。増産の問題につきましても、なおわれわれの数字と通産省の数字との間にも、事務的にも意見の食い違いがあり、増産の余地等についても意見の食い違いがありますし、電力等の問題にからんでいろいろ議論がありまして、目下議論を進めておる次第であります。
  82. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 それでは今度また別の角度から申し上げます。一体供給量が幾らになつたらあなたたちには輸出可能であるか、その数字をひとつお見せください。一体供給量が幾らになつたら輸出は可能であるか。これはなければならぬ。いろいろ作業された結果出て来る数字です。それがもし二百三十万トンでなく二百四十万トンであつたら可能であるか。二百二十万トン、また二百十万トンであつたら可能であるという数字があるはずですが、一体供給量が幾らになつたら、あなたたちは輸出が可能とされるか、これをひとつお伺いしたい。
  83. 前谷重夫

    ○前谷説明員 その数字は、年間を通じますれば、つまり需給のバランスがとれる、二百十万トンなら二百十万トンという供給があれば、それ以上の生産が余力になるのですが、先ほど申し上げましたように、ピークの関係で、ピークをカバーできるものがなければ、六月までは輸出の余力がない、こういうことになりますので、そのピークの問題についていろいろ検討いたしております。具体的な数字は、このピークがどの程度になるかということについて、全体の需給水準以上にどれだけのレザーヴが必要になるかということがきまると思います。
  84. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 そうしますと、話は少しこまかくなりますけれども、今ピークの話が出ましたが、七月末に十数万トン残るということは、これは四月、五月のピークには足りないということなのです。これはおわかりになるでしよう。少くとも四月なり五月、六月のピークに十分需給が合うということは、七月の末においてはもう少しよけいなものが残るということに実際なると思う。そういうふうにピークの問題に触れて来ると、今の数量でさえもさらに足りない、もつと百八十三万トンの数量を百八十五万トンなり百九十万トン生産しなければいかぬということしなると、私は思いますが、そういうふうになりませんか。
  85. 前谷重夫

    ○前谷説明員 七月末におきまする持越数量は、その次の年のピークのものでございまして、本年度といたしましては、公団のストツク等を考えますると、四十数万トンのものがございますから、本肥料年度におきまするピークは四月五月、こう考えられまするが、その数字を過ぎて残つたものはこれは翌年度の問題でありまして、本年度としてはその十数万トンという残つたものがピーク外のものになります。
  86. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 議事進行に関して……。もう少しわかるような答弁者を差向けろ。こんなあいまいな答弁をするのはごめんこうむるということを、委員会の総意をもつて委員長から安本長官に申込んでいただきたい。     —————————————
  87. 千賀康治

    千賀委員長 先ほどの保留にもどりまして、竹村奈良一君の発言を許します。竹村君。
  88. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私はもう一、二点だけお伺いいたしたいのであります。今度の二十五年度の超過供出の問題でありますが、まだ未納の人、未完納の者があつて、この者が他で購入しなければ実際においてない場合において、至上命令だからという形で、再び先ほど例を引きました、奈良県において買つて出して取調べを受けたというような形が起るのでありますけれども、やはり至上命令だから、ほかででも買つて出さなければならない。あるいはいくら至上命令でありましても、買つてまで出す必要があるのかどうか、この点を明確に政務次官からでも、どちらからでもけつこうでございますが、御答弁願いたい。
  89. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 食確法の建前から申しますと、自分がとつたものを出すという建前になつております。買つて出すというのは変則的な問題だと思います。過去において買つて出したという実例はありましても、それは強要すべきものではなかろうと思います。今回の超過供出は相当強い意味を持つておりますけれども、全然ないものをどうしても出せということは、これはむりでありますから、その辺はその程度にお考え願います。
  90. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この問題で非常に困つておるので、この点を第一にはつきりしておきたいのであります。たとえば栃木県の経済部長はある村に参りまして、これは至上命令だから、これに対して実際ないものが異議の申立てをしたり、そういうことをしたところで、これは食確法の建前からできない、こういうふうに言つて、異議申請なんかをやつた者に対しましては、村の駐在所等から参つてこれを取締つておるというような報告を受けておるのでありますが、そこで私は重ねて聞きたいのであります。その程度でというだけでははつきりいたしませんので、これはもう至上命令として、食確法というものは、あつてもなくてもしようがない、至上命令なんだからないものは買つて出せ、こういうふうに政府は方針をはつきりしておられるのか、いやその必要はない。実際正直にあるものだけを出して、自分の実際にあるものを全部出したならば、それ以上買つてまで出す必要はない、こういうふうに考えておられるのか、そこはその辺でということになりますと、現在食確法であがつておる者が、被告になつて罪になるのかならないのかという問題と関連しますので、これは農林省としてひとつ愼重に答弁してもらいたい。
  91. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 保有をどの程度ということで、出すかどうかという問題があると思うのでありますけれども、全然手持ちがないというものにつきましては、これは事実上供出はできなかろうと思うのであります。ただこの問題は非常に扱いにくいのでありますけれども、補正が遅れた事情があります。そのために前は手持ちしておりましたけれども、これを相当他に処分をした。処分をしなければ出せたのであるけれども、処分といいますと、一種の食管法自体によればやみ行為になると思いますが、そうした事情がからんで来ておるものについては、若干問題が複雑になると思いますが、そうでない場合においては、ないものは出せないということになります。
  92. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうすると自分のつくつたものを処分したこともない。実際に生産ができなくて、そうしてあるものだけを——これは保有麦を残すどころの問題ではないのでありまして、種麦までも出しておるのであります。だから他に処分をしたことはなく、そうして種麦までも、法律上当然認められた保有麦までも供出した場合においては、買つて出す必要はない。もしそういうものがあやまつてつて出した場合におきましては、これは食管法として罰に問われるようなことがないように政府はその処置をとる、こういうふうに承つてよろしゆうございますか。
  93. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 そういう線に沿うて善処したいと思います。
  94. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまの日程が麦の供出に関する件になつておりますから、麦に関してやります。小林委員
  95. 小林運美

    ○小林(運)委員 ただいまの麦の供出の問題でありますが、ただいまの質疑応答で大体はつきりしたようですが、私は長野県で実際の例を見ておるのです。麦はそんなにとれなかつた、こういう事実がある。それに対して割当が来る。今食糧庁長官の話では、その間に処分をしたとかどうとかいう、処分を全然しなくても、全然ないものに二百割も三百割もの補正がある。こういつたことはどうしてできるか。この根本的な問題をもう少しはつきりしてもらいたい。この問題を農民に聞くと、大体隠し田かある、こういう予想のもとに、事実ないものを、何も悪いことをしたことがないものを罪人扱いにして、政府がこういう割当をする。私はこれが原因じやないかと思う。そういうようなことを、あなた方は実際方々から陳情もありましようし、いろいろあるだろうけれども、一体どういうところから来ておるか。もしそういう不合理があれば、どんどん直すべきがほんとうだ。ところが、陳情でもなければやらぬとか、ただうわべだけでこういう補正をやる。実際の問題は、今竹村君の話以上の問題がわれわれの方にたくさんある。もう、どうでもしてくれ、監獄にほおり込むなり何なりしてくれ。ないものはないのだ、こういうような状態になつておる。こんなことはことし始まつたことではない。麦はかりではない。米の問題でもさんざんやつておる。こういうことを何べんも繰返しておるのは、一体どういうところに原因があるのか。ここではつきりあなた方から教えてもらいたいと思います。
  96. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 いろいろな原因があるかと思いますし、また私どもの申し上げます原因については、十分御承知であつて、すでに分析もある程度されておる問題でありますけれども、非常に純粹的に申し上げますと、食確法の精神によつてやりますれば、補正量が絶対的に少いという場合においては、被害を受けました農家が均等的にずつと苦しい状態において割当てらるべきはずのものだ。それがなかなか割当てられない。ある災害農家には相当きつく行く。またある地帶災害農家は比較的ゆるく行くというように、いろいろ末端に参りますと不均衡が出て来ておるのは事実だろうと思います。これには国全体において、補正量を十分に與えておらぬという点も一つあろうかと思いますけれども、それが県、市町村、個人という段階に参りますごとに、いろいろなひずみの来ておるところもあろうかと思います。それは供出制度始まつて相当年数が立つておりますので、その間における前年度、あるいは前々年度におけるいろいろな関連というものがからんで来ておりますので、その点でなかなか一挙にそうした是正が行われない点もあろうかと思うのであります。それから他方事前割当制度においては、増産のありました地帶については、これを供出割当の外にいたしておりますので——外と申しますか、ポツ勅に基く増額の変更をしないのでありまして、超過供出奨励金の方で出してもらうような形になつております。作報の組織におきましても、個個の農家についての一つ一つ増産、減産というものをはつきりつかんでおりません。県の段階は、最近におきましては、五箇町村をまとめたくらいの増産、減産の差引きのトータルの数字が出ておりますので、それを各個人に分析をしておるして行くという点において、いろいろの問題がからんで、先ほどお話がありましたような、画一的に均分された状態において、災害の実情に応じて、苦しい農家と、そう苦しくない農家——苦しくない農家はないと言われるかもしれませんけれども、その間において不均衡が出ておるというような実情にあろうかと思います。大体私の申し上げるのはこれであります。
  97. 小林運美

    ○小林(運)委員 いろいろの角度でもつと議論もあると思うのでありますが、実際問題として、食確法の根本的の考えからいつて、一体その事前割当をする場合に、大体政府は必ずどこかに災害がある。こういうものを全般的にある程度かけておるのではないか。こうぼくは思うのですが、その点はどうですか。
  98. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 災害を見込んで事前割当数量をかけておるということはございません。
  99. 小林運美

    ○小林(運)委員 そうなりますと、結局災害を受けた所は、先ほどお話のように、非常に苦しくなつて来る。これを是正するのが補正割当なんです。その補正が苦しいといつて、全然ないものまで割当てるということは、どうしてもこれは不合理なんです。この不合理を、あなた方の方は府県に対して当つて行く。ところが、府県はまたその下へ下げて行く、だんだん下げて行く。一番困るものは一番下部の農村、農民個人になつて来る。このことをあなた方お考えになつて、やはり割当の責任を持つ食料庁は、その末端の実情をよく考えて——あなた方がどんどん県知事をいじめていると、そのいじめられたものがまた下へ行く。こういうことを何べんも繰返していると、結局損をするのはだれかというと、農民なんであります。このことはあなた方はよくわかつていると思う。そういうものを何とか改良する方法はないか。また現実に起つている問題をどういうふうに処理しているか。ことに私の方の長野県の佐久、昨年の小県でもみな軒並にあつた。今年は佐久の方はひどい災害でした。二百割も三百割もの割当をかけられて困つている。こういうものを具体的にあなた方はどういうふうにされているか。私たちがこういうことを言うと、よく調査して云々という。こういうことではどうしても困る。具体的にはつきり対策を答弁していただきたいと思います。
  100. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 一つの方法としましては、いろいろ批判はありますけれども、作報の組織を充実いたしまして、現在は五箇町村單位くらいの増額、減額を出してやつておりますが、これはやはり末端まで徹底させる。そうすれば、事態はもつとはつきりして来るじやないか。それが適正の割当をする一つの手段じやないかというふうな考えております。
  101. 小林運美

    ○小林(運)委員 その五箇町村といいましても、災害というものは、同じ村内でも、全然ない所と、うんとある所がある。五箇町村といつても、うんととれる所と、うんと低い所がある。こういうようなものを是正をして行かなくちやならぬと思う。ただ作報が五箇町村で行くからといつて、それだけ割当てる。そこに不合理があり、非常に問題が起きて来る。その辺を十分是正していただきたいと考えております。
  102. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 私が申し上げましたことはその点でありまして、それを差引きしまして、災害農家があるにかかわらず、結果的にはその五箇町村を單位で非常にいい結果が出ておりますと、とかくそういうところが値引きされない結果がないとは言われないと思うのです。それをもつと末端まで行つて、その点をはつきりつかむということが、やはり補正を適正にするゆえんじやないかと思います。
  103. 山口武秀

    山口(武)委員 竹村君の質問は大分遠慮ぽい。それから安孫子長官の答弁はきわめてまずい。というのは、これは日本の国自身が否定されていない以上、今年の麦の供出でも、あるいは米の供出でも食確法でやつておる。これはきまつておる。これが否定されたという話を私は聞いていない。もしこれが否定されておるなら、国会においても重大な意思の表明があるはずでしようし、政府自体においても、これについて公式に見解を明らかにしておかなければならぬと思う。そういうものは事実はない。だから、買つて出すとか、出さないとかいうことは、初めから議論になるはずはない。そういうことを起しておるのは、これは扱つておる人が、あるいは政府がむりしいをやつておる。これだけの話だ。それで私聞いておきたいのは、やはりことしの麦の場合でも米の場合でも、供出は食確法によつて行うということになつておる。これはきまつておる。それ以外の方法によつては行われない。もし行われておるとするならば、これに対する見解を聞きたい。しかし私はそういうことは信じない。それで食確法が行われておる場合に、こういう事情があつた場合にどうなるのか。それは去年の供出代金が農民の手に渡つていないという実情にある。その大体の原因は協同組合の不正の問題か、あるいは経営のまずかつた点によつて、供出代金が貯金には繰り入れられておるが、金が拂われていない。そのためにことしの肥料の配給を受けることができなかつた。肥料の配給を受けることができないから、もちろん田畑には肥料が入つていないはずだ。しかし農業計画によると、肥料の数量というものも計画の重大なる要素になつておる。そういうふうに肥料の配給が受けられないで、農業計画の根拠が崩れて行つた場合に、一体そこで割当てられたところの農業計画はどうなるのか。そのままのものが法律上効果を持つ道理はないわけなのですが、これに対して政府はどう考えておるか、見解を明瞭にしてもらいたいと思います。
  104. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 肥料を買う予定でありましたのが、いろいろな関係で買えなかつたというために、農業計画が変更されるかどうか、生きておると考えるかどうかということについては、私どもは生きておると考えております。
  105. 山口武秀

    山口(武)委員 農業計画には、肥料の割当というものが大きな柱になつていると考えている。それが農民の個々人の責任においてでなくて、この割当配給を受けられない。それで生きているということはどういう根拠に基いておるのか。一体、肥料の割当、配給数量というものが農業計画の柱になつておるにもかかわらず、これを無視していいという根拠はどこにあるのか、これをお聞きしたい。
  106. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 肥料は統制もはずれておりますので、それが買える、買えないということは、いろいろな事情があろうかと思います。また山口さんのお話にあつた点は、統制中の問題でもあろうかと思いますが、肥料が予定いたしたものを買えなかつたというだけのことで、農業計画がただちに変更されるというふうには私ども考えません。
  107. 山口武秀

    山口(武)委員 肥料が統制中で、これが受けられない。しかも農民の責任において受けられないのではなくて、協同組合などの問題で受けられない。こういう事情があれば、当然收獲が減少する。こういう事実を食糧庁では全然無視して、やはり割当を強行するつもりなのか、一体、それは何に基いてそれをやられるのか、基くものを明らかにしていただきたい。
  108. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 事前割当の農業計画は変更はないと私ども考えますが、現実にその結果相当の減收を来すというようなことでありますれば、また型通りの話になるかもしれませんが、補正の際に考慮して是正して行くというふうに考えております。
  109. 山口武秀

    山口(武)委員 私の言葉の不備をつかんでおかしな答弁をなさつたようですが、もう一点お伺いしたい。そのような問題が起りつつあつたので、私はずつと以前政府に対して、肥料の配給が受けられない事態が起り、しかもそれが農業協同組合の不正問題に原因を発して、こういう問題が起つておる。これに対して政府に調べてもらいたいと言つたところが、これについて政府は調べてくれた。しかも吉田総理大臣の名をもつて私に回答して来た。これによると、私の指摘した地方においてそのような実情はまつたくない。貯金は拂えるんだ。こういう答弁が参つた。ところがそれから半年以上たつた現在におきまして、拂えるどころか、百万円以上も農民の貯金が焦げついてしまつておる。こういう実情にある。それに対して政府の方では何らの手を講じていない。そこで問題になつて来るのは、まるつきり違つた調査をやつておる。しかも総理大臣の名において回答をよこす調査が、それほどみじめな調査であつた。もちろん、これは農林省あるいは食糧庁関係の者が調査に行かれたものと思いますが、政府調査というものはそれほどだらしのない、それほどでたらめで、たよりにならない調査なのか。しかもこういう重大な問題の調査について、政府はもつと真劍に考えられなかつたのか。しかもそのあとで私は再三そのことを注意したにもかかわらず、何らの誠意も示していない。そのような調査政府は今後もとつて行くつもりか。これまでのまずい点に気づいて、改められる考えがあるかどうか。
  110. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 協同組合の不始末に端を発しましたただいまの問題について、一応私どもも十分調査をいたしたのでありますが、不十分であるという御批判を受けました。今後以上のような問題ができました場合には、われわれといたしましては、できるだけ正確に調査をいたして行きたいと思います。
  111. 山口武秀

    山口(武)委員 最後に注文しておきます。この前お願いしたような調査の場合に、この前のようなみじめな、わけのわからぬ者は調査にはよこさないでもらいたい。
  112. 河口陽一

    ○河口委員 食糧長官に一言お尋ねいたしておきたいのです。それは現在食糧の需給度の緩和、あるいはまた保有されておる食糧の変質等によつて、とうもろこしの拂下げが行われておるのでありますが、その拂下げにあたつていろいろと御希望があつて、あるいはアルコール会社とか、あるいはのりの原料とか、いろいろの方面に拂下げになつておりますが、とうもろこしは家畜のえさであるから、これを畜産の方に重点的に拂下げをしていただきたいというのが私の希望であります。御存じのように、朝鮮動乱によつて飼料の輸入が杜絶をいたしております。御案内のごとく、アルコール関係は相当緩和されておるこの際、この飼料問題の解決のため、こうしたとうもろこしの拂下げは畜産方面を重点として、家畜のえさとして重点的にお考え願えるかどうか、この際お答弁願いたいと思います。
  113. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 コーンの処分につきましては、畜産等を十分考慮に入れた処分をいたしたい。但し、処分の仕方につきましては、会計の建前もありますので、大体入札によるのが適当ではないかというふうに考えております。その際の指名の範囲等につきましては、畜産の方を十分考慮いたします。
  114. 川西清

    ○川西委員 先ほど竹村君の御質問の際にちよつと触れておられましたけれども、過般の知事会議において、来年度の麦について、生産目標を各府県に示されたのでありますが、この生産目標は、先ほども供出とは全然関係のないものという御答弁がありましたが、約二割も高い目標でありまして、食糧一割増産のかけ声は、供出の強化というふうに農村は非常におびえておるのでありますけれども生産目標というのは、大体どういう性質のものであるか。簡單に御説明願いたいと思う。  それからもう一点、生産目標は各府県に示した目標でありますか。それともこれは町村まで行くのですか。個々の農家まで行くのですか。そこは自由でありますか。どういう意味なのか。その点をあわせて御答弁願いたい。
  115. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 来年度の麦の生産目標は、供出と全然関係ないことは、知事会議の際もはつきり申し上げております。今回一割増産の興農運動を起すにつきまして、目標を示すことになつたのでありますが、それが各般の生産條件等を考慮に入れまして、また努力目標を入れまして、一割増産という見当にいたしておるのであります。各府県別にお示しをいたしておりますが、個人までの目標は示す必要ないじやないかと考えております。大体町村段階までこの目標をおろしまして、そこで増産について努力をしていただく。また国の方においても、予算面その他の方から、できるだけこれを援助して行くという建前であります、指示といたしましては、町村までということにいたしておつたわけであります。詳しいことは農政局長から……。
  116. 河口陽一

    ○河口委員 先ほど長官が、入札によつて拂い下げられるとおつしやつておるが、それ以外で拂い下げる方法はないのですか。
  117. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 処分の方法といたしましては、やはり入札制度がいいのじやないかというふうに実は考えております。大部分のものは入札でされております。ただ地方によつて、ごくわずかしかない、そうたくさん集めなくとも相当高値で処分できる、若干例外的にはそうでないものがあつたかとも思いますが、ほとんどないというふうにお考え願いたいと思います。やはり入札の方が一番公正ではないかと思います。
  118. 河口陽一

    ○河口委員 入札ということになれば、結局新興産業方面にそうした品物が流れて、畜産のような、農業を主体とする利益の少い方面の産業に対しては、この獲得ができないというようなことによつて、畜産事業が進展しない。こういうことになるので、特に食糧庁としては、畜産を発展させる意味において、畜産局にそのまま拂い下げをするというような御意思、あるいはそういう方法があるかないか、御答弁を願いたいと思います。
  119. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 畜産局にそのまま移しかえるということはできなかろうと思います。畜産局はそういう販路も持つておりませんし、一つ指導行政機関として存在しておるのであります。  それから入札の結果を見ましても、私どもは大体飼料関係のものが非常に多いと記憶いたしております。それからコーンのいたんだものは、ほかにちよつと用途もございませんので、やはり飼料に大分行つておるものと考えます。
  120. 千賀康治

    千賀委員長 大体麦の供出に関する質疑は終了したと認めます。     —————————————
  121. 千賀康治

    千賀委員長 次に肥料の価格に関する件を議題といたします。質問の通告があります。大森玉木君。
  122. 大森玉木

    大森委員 あとは政治問題になると思うから、簡單に値段だけをお尋ねいたしたいと思います。二、三お聞きすればいいのでありますが、硫安の価格は、現在の相場は十貫幾らしておりまするか、お尋ねいたしたい。
  123. 長尾正

    ○長尾説明員 お答えいたします。大体着駅貨車載せで、現在のところ七百十円から七百円見当であると思います七
  124. 大森玉木

    大森委員 しからば過燐酸は幾らしておりますか。
  125. 長尾正

    ○長尾説明員 過燐酸は大体三百十円前後になつていると思います。
  126. 大森玉木

    大森委員 そこでお尋ねをいたしたい。今地方で入札をいたしておる。その入札価格が大体七百円見当でやつておる。六百九十五円というものに対しては入札をしておらぬ、こういうのであります。そうすると、先ほど農林大臣が言われたように、この政府の手持肥料は肥料高による調整の目的だ。私どもはそうであろうと考えておつた。ところが今お話のように七百円が原価である。しからばその手持ちの品物がどうしても七百円でなければ売らないということなら、それが調整になりましようか。私は、七百円の原価であるが、手持ちの品物によつてあるいは六百五十円にこれを入札して落す。あるいは六百円にするということによつて、初めて価格の調整があるのではな、いか。こういうふうに考えるのでありますが、これをどういうふうに考えておられますか、お尋ねいたします。
  127. 長尾正

    ○長尾説明員 公団の放出価格は、原則として市価を基準として、公団の清算人が決定することになつております。清算人と申しますのは、大蔵省から派遣された方であります。それで農林省としましては、先ほど大臣から御説明がありましたように、大体市価を基準とされるのであるけれども、われわれの希望としては、五割見当でやつてもらいたいということは申し上げてあります。しかし原則として、市価を基準として決定される最後の決定権は、清算人にあるわけであります。清算人が七百円と御決定になつておりますか。これはわれわれにはお示し願えないのでありますが、実際そういうことで、価格の六百九十五円というようなものに入札できない。それがために需給調整の効果が薄いということは、これはわれわれから見ますと、当初のわれわれが考えておりました意図と若干反するのじやないか。従つて早急にわれわれの要望するような価格を御考慮願つて、再入札なり何なりして入れてもらいたいという考えをもちまして、清算人には、そういう意向を伝えております。
  128. 大森玉木

    大森委員 私その点が受取れない、清算人が価格をきめるというなら、政府の手持品というのは政府が持つておるのではない。それは清算人が持つておる清算人の品物を預つておるのかどうか、この点をはつきり開かせてもらいたい。
  129. 長尾正

    ○長尾説明員 お答えいたします。政府が持つておるのでありますが、それを今度は国有財産になつておりますから、一応清算人というものが管理しておるわけであります。それは大蔵省から派遣しておられる方が全責任をもつて、どこで入札価格をきめるということは、われわれは希望は申し上げますが、その決定権はその方にあるわけであります。
  130. 大森玉木

    大森委員 これ以上あなたに聞いても、政治問題だからこれは答えられないと思う。私はそういう清算人にまかしたから、その値段がわれわれの自由にならぬというならば、一体これが調整の目的だと大臣が言明する以上は、何かこれに対するところの方策がなければならない。しかるに何の方策も講じなくて、清算人にまかせてあるならば、一体何の権限も農林省は持たないということになる。持たないものが一体何の調整の理由になるか、こういうことを申し上げる、これは明日申し上げます。ここであなたと議論しておつてもしようがないだろうから……。     —————————————
  131. 千賀康治

    千賀委員長 他に御発言もないようでありますから、この機会にお諮りをいたします。午前中の会議におきまして、河野委員の行われました肥料の在庫買入れに関する調査報告に基きまして、農林委員会より次の申入れを大蔵大臣並びに農林大臣に対して送付いたしたいと存じますので、お諮りいたします。まず内容を朗読いたします。   政府の在庫買入肥料の保管状態再確認に関する件   農林委員会はかねて。「肥料の在庫買入に伴う弊害防止に関する件」を決議し、政府所有肥料の保管について万遺憾ない措置を講ずるよう要望し来つたが、今回、委員愛知、三重、岐阜県下に派遣して、その実施状況調査せしめたところ、バラ積みのまま、自社所有肥料との区別も明瞭ならず数量の確認も行れていないような不良管理工場を見出したのである。   全国的にみるとき、この種の工場は相当の数に上るものと想像されるのであつて、かくては、大蔵大臣並に農林大臣の監督責任は果されていないのみならず、国に與える損害も軽視できない。   よつて政府は全国肥料工場について政府所有肥料の保管状態について再確認を行い、自家財政並に農民に不当の損害を與えざるよう格段の措置を講ずべきである。   右決議する。   なお、右の結果については十月二十日まで当委員会報告書を提出せられるよう取計らわれたい。 以上であります。この申入れを政府に送付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 小林運美

    ○小林(運)委員 ちよつとそのことに関連して、今朝からの報告を聞いたのですが、この決議内容などについては、私たちはいろいろ言いたくないのですが、手続上非常に遺憾な点がある。それは今回の肥料の実情調査に参りました委員の派遣について、わが党には何の話もない。従つてその調査の内容については、わが党としては責任を負わない。こういうことを私ははつきり申し上げておく。それからもう一つは、こういう重大な調査に行く際に、わが党からも今回の小委員が出ておる。そういう者に何も話をしないでかつてにやつてしまう。こういうようなことについては、今後事務当局がもう少しはつきりしてもらいたい。これは済んだことだからわれわれはどうこう言いませんが、こういうことでは困るから、十分ひとつ注意してもらいたい。委員長もそういう点を十分注意してもらいたいと思うのであります。従つて私は今の決議の趣旨には賛成いたしますが、その調査の材料になつた内容については、わが党は責任を負わないということをここではつきり申し上げておきます。
  133. 千賀康治

    千賀委員長 委員長からこの件について申し上げます。ただいま小林君の御発言の通りに、委員派遣の手続が運行されておるとするならば、大いにこれは反省すべき点があると思います。御趣旨によりまして将来そういう手落ちのないように、今後は監督を嚴重にしたいと思います。  ただいまの決議案の問題につきまして、大蔵省の管財局公団清算室の高橋謙二君並びに肥料公団の清算人林田龍喜君の両君が来ておられます。河野謙三君から発言を求められておりますのでお許しいたします。河野君。
  134. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 まず管財局に伺いますが、この七月末における肥料工場の在庫買いの問題につきましては、議会でも相当論議があつた。御承知のように、その以前に空気木炭事件等もありましたので、政府が在庫のまま買う以上は、その数量を確認して金を出さなければいかぬということで、特に本委員会は決議をもちまして、この買取りにつきましては、公団は明確に在庫の数量を確認して金を支拂わなければいかぬということを指示してある。それについて確認の方法としては、バラにあらずして荷づくりしたものを、しかも工場の倉庫の一角に特別に政府買上品として保管するということにせしめたわけであります。この事実を御存じでありますか。
  135. 高橋謙二

    ○高橋説明員 本日は局長が参るはずでございましたが、ちようど都合が悪くて参りませんが、ただいまのお話は管財局としてはわかつております。
  136. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 御承知の上ならば、七月三十一日現在の数量の確認、荷姿等につきましては、だれをして確認せしめられましたか、これを伺いたい。
  137. 高橋謙二

    ○高橋説明員 公団職員にやらしております。
  138. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 その公団職員からは、確かに七月三十一日に在庫品を確認して、これだけのものを買い取り、これだけのものを支拂つたという報告は来ておりますか。
  139. 高橋謙二

    ○高橋説明員 報告はまだ参つておりません。
  140. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 長くなりますから私はまとめて申し上げますが、管財局では数量を確認してある、こうおつしやいますけれども、われわれは現に去る二十八日から本月一日まで、わずか五つの工場を見ただけでも、その中でわれわれの納得行くような保管のしてあるものは二工場である。一つの工場のごときは、数量はまつたく確認できません。同時に、荷姿もバラのままである。しかも自社の製品と政府の買上品と一緒であります。かようなことは、あなたの方では確認されたとおつしやいますけれども、確認された事実が見当らない。なお一つの工場のごときは、なるほどわれわれが行つたときにはちやんとできておりましたが、その保管は日通から九月二十日以後において、預かり証をとつているというようなことでありまして、この状態を全国的にわれわれが想像いたしますと、むしろ確認されたということはうそであつて、大体公団にまかせきりである、金もでたらめに拂つておるというような結果になつているのであります。そこでわれわれは先ほどの決議におきましても、再び管財局並びに農林省は、在庫買上げの数量について確認をして、今月の二十日までに確認の結果を、あるとかないとかいうことを報告してもらいたい、こういうことをお願いしているわけです。この間の事情について七月三十一日には調査はかりにしたつもりであつたが、されなかつたということになるのですが、その後八月九月の二簡月間に、管財局としては、政府の在庫財産について人を派して調査をされたことがあるかどうか。これもついでに伺つておきたい。
  141. 高橋謙二

    ○高橋説明員 調査したことはございません。
  142. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 私は過去をあまり追いませんが、さような状態でありますから、ただちに人を派して十分の確認をされて、政府に思わざる損害をかけないように、至急措置をとつていただきたい、かように考えるものであります。  この際私はつけ加えで申し上げますが、御承知のように、今一般の国民にとつて、一番大きな問題は金融の問題であります。わずか一万二万の金を借りるのにどのくらい苦労しておるか、どのくらい高い金利を拂つておるか、こういうことはよく御存じのはずだ。それを比較的金まわりのよい大産業方面に、政府が十数億という金を融資する場合に、こういうふうなみだらな融資をされることは、国民感情が許しません。なるほど終局において、政府が放出をするときに肥料があればよいのではないか、こういう乱暴な意見をはく人がありますけれども、少くとも国民の感情は、金融難で苦しんでおる国民の税金によつて集められた金を融資する場合に、そのようなみだらな融資をされることは、絶対今の国民感情が許さないことを、私はくれぐれも申し上げておきます。その意味において、今後嚴重に手落ちのないように、政府の財産の管理を特に私は要望しておきます。
  143. 大森玉木

    大森委員 先ほどの問題でありますが、清算人が見えておるようですから、簡單な問題をお尋ねいたしたい。今政府の手持ちになつておりまする肥料の買入れたときの価格というものは幾らであつたか、これは大体先の方でもよくおわかりだと思いますが、これをお聞かせ願いたい。
  144. 林田龍喜

    ○林田説明員 実は私清算人に就任しまして間もなくで、はなはだ不案内でありますが、今正確な資料を持つておりませんので、はなはだ残念であります。
  145. 大森玉木

    大森委員 では明日正確な資料を出してください。
  146. 千賀康治

    千賀委員長 明日は午前十時から再開することとし、本日はこの程度で散会することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。散会に決しました。     午後四時十三分散会