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1950-09-12 第8回国会 衆議院 農林委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十二日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 足立 篤郎君 理事 野原 正勝君    理事 松浦 東介君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    越智  茂君       川西  清君    河野 謙三君       中垣 國男君    幡谷仙次郎君       平野 三郎君    八木 一郎君       大森 玉木君    坂口 主税君       足鹿  覺君    深澤 義守君       河口 陽一君  委員外出席者         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (農地局長)  佐野 憲次君         農林事務官         (農地局計画部         長)      和田榮太郎君         農林事務官         (食糧庁企画課         長)      立川 宗保君         林野庁長官   横川 信夫君         農 林 技 官         (農政局肥料課         長)      長尾  正君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今泉 兼寛君         経済安定事務官         (建設交通局公         共事業課長)  中尾 博之君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業関係公共事業に関する件  派遣委員報告聽取  農業関係公団整理に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  まず農業関係公共事業に関する件を議題といたします。これにつきまして八木君から発言を求められておりますので、この際お許しをいたします。
  3. 八木一郎

    八木委員 農林関係公共事業小委員会は、去る八月十六、十七両日にわたりまして、本委員会質疑応答等に盛り込まれました事項を、事務的に処理する意見を御委託になりましたので、皆様の御委託に沿いまして、成文にまとめて、その際御了解を得た次第でありますが、本日は再度この委員会が開かれた際でありますから、さきに文書をもつて了解をいただきましたような結果に対し、あらためて御承認をいただきまして、引続き開かれる質疑あるいは会議等におきまして、決定した線に沿い動かしていただこう、こういう次第でありますから、委員長においては、この際右の次第を全員に了承されるようにお諮り願いたいと思うのであります。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りをいたします。八木君の御発言を本委員会は了承することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。了承することに決しました。     —————————————
  6. 千賀康治

    千賀委員長 次に、先般来当委員会から委員を派遣して、農地改良造成並びに災害復旧等について、つぶさに実情調査を願つていたのでありますが、現在までに調査終つた部分について、その報告を聽取したいと思います。東北一班松浦東介君。
  7. 松浦東介

    松浦委員 農林関係公共事業に関する東北第一班の、国政調査経過並びに結果の概要について、簡單に御報告いたします。  東北第一班は、私が河口委員とともに岩隈專門員を帶同いたしまして、去る八月十九日仙台市を振出しに、宮城福島の両県下を重点的に目標を置いて、調査いたして参つたのでございます。  まず調査日程を申し上げますと、八月十九日、宮城県庁におきまして、県側より宮城県内実情説明を聽取いたしました後、去る八月三日、四日、県下に襲来した熱帶性低気圧によつて、甚大なる被害を受けた江合川鳴瀬川下流地域調査し、出来川、定川の農業水利改良計画をつぶさに現地検討を加え、翌二十日は王城寺ヶ原開拓地変遷等の実態を踏査いたしまして、さらに仙台市内を流れますところの広瀬川の急激出水による被害惨状等視察し、さらに引続いて蔵王山麓に至りまして、福岡村、宮村等開拓地を踏査いたしたのであります。  翌二十一日は福島県に入りまして、まず県庁において県下事情聽取の後、国有牧野の開放問題に関しまして、東北六県民間団体陳情を聞いたのであります。二十二日は会津盆地に至りまして、喜多方町ほか一町五箇村の灌漑用水用県営ため池工事状況調査し、その難航の事情につきまして、地元民代表より熱烈なる陳情を受けたのであります。二十三日は猪苗代湖の湖水を利用する安積及び新安積疏水工事概要と、その経済的効果、並びに那珂川の羽鳥ダム工事中心とする国営白河矢吹開墾開拓農地改良造成工事の大要を見聞いたしまして、白河において調査班を解散いたした次第であります。  以下宮城福島県下における災害復旧工事農地改良造成事業等概要、並びにその遂行上当面している諸問題について、概況報告いたしますが、その前に、今次の宮城県の水害は実に甚大でありますので、まず災害の問題について申し上げたいと存じます。宮城県は二十二年のカザリン、二十三年のアイオン台風、さらに今回の八月三、四両日来襲した熱帶性低気圧豪雨による災害と、連年相次ぐ災害に見舞われ、單作地帶である関係上、県財政も、また農民困窮その極に達しているのであります。すなわち二十二年以降の農地及び農業施設災害は、累計十五億円にも達しておるにかかわらず、現在までこれが復旧に支出しましたところの金額はいまだ十億円に満たず、また二十三年度、二十四年度過年度災害分も未認証額が五億七千七百万円に達し、まだ六割しか復旧しておらない状態であります。そしてさらに今次大災害が加わつておりますので、まつたく非常な大打撃と申さねばならないのであります。  今回の災害は、県の報告によれば、総被害額六十四億円、耕地関係だけでも十億円に上り、冠水耕地面積が五万八千町歩、うち收穫皆無面積が八千町歩、これを水稻減收見込みで申しますと、実に三十万石近くとなるのでありまして、県内の総生産計画数量に対しまして約一五%に相当するのであります。詳しくは、ただいまお手元に配付いたしました宮城県下水害概況を御一覧願いたいと思うのであります。われわれは被害の最も大きかつた桃生郡大塩村、小野村、北村、遠田郡の南郷村、涌谷町等を視察しましたが、江合川堤防決壞による土砂の流入、泥水の滯留等によりまして、数百町歩水田が一夜にして砂礫地と化し、あるいは立枯れとなり、その惨状目をおおわしむるものがあつたのであります。政府よりは廣川農林大臣増田建設大臣周東安本長官の各国務大臣の実地視察も行われたのでありますから、耕地の流失または埋没の復旧工事排水用燃料の配給、冠水田水稻に対する病虫害防除罹災農家食糧、飼料、種子、肥料の特配、家畜衞生対策農業災害補償金の交付、長期低利営農資金特別融資供米減額補正、麦の供出免責措置、納税の特例措置等々、応急的な対策に遺憾なき手が打たれることと信じて疑わないのでありますが、これらに対する政府の所信は、機会を見てお答え願いたいのであります。  なおわれわれは具体的には、  一、耕地関係災害復旧費は、災害土木復旧費と同様の取扱いで全額国庫負担とされたいということ。  二、今次水害による農業災害補償制度に基く水稻共済金は概算二億八千八百万円に達する見込みであるが、その支拂いは来年になるので、この際政府のあつせんによりまして右金額見返りとしてその五〇%一億四千万円を営農資金として農林中金より融資させてもらいたい。さらにその利子を補給してもらいたい。  三、排水用及び病虫害防除用の石油は最低二十五万リツトルを特配してもらいたい。 等々の熱烈な陳情を受けたのであります。これらにつきましては政府善処方要望いたしたいのであります。  特にこの際一言いたしたいのは、これらの農林関係災害復旧事業にあたりどうしても取上げなければならぬと思いますることは、農林水産業施設災害復旧事業国庫補助暫定措置に関する法律に問題点が存することでございます。すなわち同法第二條第五項におきまして、災害復旧事業は一箇所の工事費用が十五万円以上となつておるが、一町村内において十五万円以下の災害が不幸にして数箇所または数十箇所も生じた場合、これらを国庫補助対象外とするのははたして妥当であるかどうか。この問題は、その他にも研究を要する問題は多々あるのでございますけれども、この一点だけは特に重大なる点ではなかろうかと考えます。御承知のごとく、最近のわが国を襲うところの台風は、非常に集中性を帯びて参つておりますことにかんがみましても、この点は再検討の必要を痛感するものでございます。  今次災害の分はこのくらいにとどめまして本論に入りたいと思いますが、宮城県の場合を見ましても、災害対策はその場限りの姑息なる手段ではとうていだめでございまして、やはり拔本的対策、すなわち治山治水の根本をきわめ、河川改修のごとき施策を行うべきでございましよう。宮城県におきましてはまず江合川鳴瀬川、定川の改修並びに農業水利事業を急務とするのであります。われわれは今回定川の事業を重点的に取上げまして、その計画等実地に見聞いたしたのでございますが、これは今回の水害を最もひどく受けました桃生郡、遠田郡、及び石巻市の一市二町八箇村、関係受益面積八千八百十三町歩農業水利及び改良事業をせんとするのがその計画でございます。かいつまんで申し上げますならば、定川沿岸の四千四百十五町歩水田地盤がきわめて低く、常時の干満に支配され排水不良である上に、近年定川の荒廃と北上川鳴瀬川改修計画における計画洪水位上昇に伴い自然排水がほとんど不能になり、たつた五十ミリの降雨でさえ長時間湛水して被害をもたらすに至つたのであります。また一方遠田涌谷町附近を流域とする出来川周辺の四千三百九十八町歩水田は、これまた江合鳴瀬改訂計画に基く計画洪水位上昇によつて、その地区排水幹線である出来川はまつたく江合川へ排水不能となり、ために排水口失つた悪水は、あげて遠田南郷方面に流れるが、これまた鳴瀬川洪水位高く排水不能となり、この地方一帯水田が全部一大泥海と化し、湛水は数日または十数日ということになり、被害が激増するのであります。そこでこの被害をなくし、増産をなすため出来川を江合川に落さず、鳴瀬に落す。出来川で排水不能分を定川に入れ、定川の完全排水をはからんとするのが計画の大綱でありまして、総工事費四億二千万円、四箇年継続工事でありまして、増産石数米二万石余の経済効果が目されておるのであります。これは今回の大災害の跡を見ましてもぜひ必要とするばかりでなく、特に予算が許されるならば、四箇年を三箇年にしても完成を急ぐべきであると考えます。  宮城県の農地造成事業につきましては、買收計画二万一千町歩開墾計画一万五千六百五十町歩計画を立て、玉城寺ケ原蔵王山麓等中心に着々実施中であります。わが調査班は、八月二十日王城寺ヶ原を一巡の上、代行開墾地たる蔵王山麓開拓実情を見るべく、トラツクに乗つて現地を踏査したのであります。この蔵王山麓海拔四百メートルないし七百メートルで、開拓面積は約四千三百余町歩に及び、終戰直後五十戸の入植に始まり、満洲開拓団南方引揚者戰災者等よりなり、戸数三百五十戸、人口一千五百人であります。入植差こそあれ、一応は安定している実情であります。私が現地で驚嘆いたしましたことは、この地区では、これまで一名もいわゆる脱落者を出さなかつたということでございまして、いかに指導者よろしきを得、人の和を得ているかを、何よりも雄弁に物語るものであると思うのであります。現在まで開墾し、すでに耕地なつたものは、九百二十六町歩に達しているのでありまして、農家経営中小家畜はもちろんのこと、牛も現在では百四十七頭となつております。なおまた開発事業としまして、開拓道路を現在までに延長四十キロにわたつて完成しているし、小水力発電工事見返り資金を引当てに工事実施中でありましたが、しかしながらこれは見返り資金の見通しがつかないために、資金的に非常に困つてつたようでございます。  さらにもう一つ特筆すべきことは、土地測量についてでありますが、この開拓地区四千余町歩土地台帳をつくることはきわめて必要なことであるが、時間的にも労力的にも容易ではない。そこでここでは建設省の地理調査所の好意によりまして、空中写真を借用して偏差修正專門測量会社委託して完了をしたのでありますが、これはおそらく空中写真をかかる方面に使用した先駆者とも言うべきであり、政府全国土地調査実施すべきときにあたりまして、実に得がたい資料ではないかと考えるのであります。私は蔵王山麓開拓地区こそは最良の開拓地のスモール・モデルの一つと推奨するにはばからないのであります。今後の道路開撃あるいは電燈施設、教育、医療の設備の充実等、まだ家畜導入等援助の手をさしのべるべきではないかと考えるのであります。  次に重点的に実地を見ました一つは、福島会津地方喜多方町外一町五箇関係県営灌漑排水工事でございますが、これは耶麻郡関柴村に用水ダムを構築し、千三百九十四町歩水田用水を確保したいというのであります。昭和十六年に着工して、途中戰争のため休止の期間はありましたが、着平以来今日まで十年間にいまだ工事は半ばにも達せず、特に二十五年度予算は予期に反して、附帶道路九十メートルの建設費五百万円の配当があつたのみで、地元民不信不満がようやく高いのであります。この事業経済的効果は一石当り事業費四万二千百九十八円になつておるのでありまして比較的高価であり、技術的にも難点もあるようでありますけれども、残工事業費は八千万円程度でありますので、今までつぎ込んだ国費や地元民物心両面負担等を考慮した場合には、政府は技術的に財政的に援助をして完成を急ぐのが至当ではないかと考えるのであります。  次に国営開墾の代表的なものとして、白河矢吹国営事業調査したのでありますが、時間の都合もあり詳しくは見られなかつたのでありまして、これはいずれなるべく早い機会を得て、もう一回実地踏査の必要を認めるものであります。この白河矢吹は元の宮内省管轄地または陸軍用地などであり、内地にしてはめずらしく広漠たるものであります。昭和十七年四月着工後、終戰直後の緊急五箇計画に基きまして、大規模国営開墾事業として再発足したものでありまして、開墾面積は三千二百四十五町歩、西白河、岩瀬両郡にまたがる二町九箇村の地域であり、総事業費八億七千万円余、二十四年度までの進捗率は五七%であります。主要なる工作物羽鳥貯水地堰堤並びに附帶工事でありますが、明年度水源工事費三億、水路工事費一億円程度資金投入が望ましく、本年度におきましても見返り資金二億の投入があつたのでありますから、すみやかに工事完成すべきものと思うのであります。  以上概要を御報告申し上げたにすぎません。詳しくは專門委員手元にまとめて書類報告をつくりたいと考えますが、大体総合して次のような結論意見を持つものであります。  一、宮城北部平野地盤が低く、たびたび大災害を受ける状況にあるので、北上川流域の一部として災害防止土地改良を急速に実施すべきこと。  二、前述の一環として定川の灌排工事はすみやかに着工して完成をはかること。  三、蔵王山麓開拓地特定地域として総合開発一環として推進すること。  四、白河矢吹羽鳥堰堤工事は大いに促進すること。  五、喜多方外五箇村のため池工事は半端にせず早期完成に留意すること。  六、以上実現のためには二十六年度公共事業費を大幅に増額するとともに、預金部資金並びに見返り資金を活用すること。  七、次に昨年末電気需給調整規則の改正によつて灌排用電力料金は一挙にして二倍以上となり、宮城県では一千百万円、福島県では三百万円以上の負担増となるので、二十六年度にはどうしてもこれは高率の国庫補助を必要とする。しからざれば土地改良事業の進展にはこの方面より阻害を受けるおそれがあると考えるのであります。  八、土地改良に対する要望は多々あつたのでありますが、設立手続簡素化総代会の人数の縮小等、次国会において改正すべきものと考える。  九、福島県のごとく、畑の多い地帶においては、自作農創設特別措置法上のいわゆる三十條買收による未墾地のみならず、既成畑開田事業に対しても、これを国家助成対象に取上げることは、食糧増産上必要なことと思いますので、これは特に当局に研究されんことを望みます。  十、次に交換分合についてでありますが、これは労働の生産性向上農家経営の安定上きわめて重要であるにかかわらず、政府の態度はきわめて微温かつ消極的でありまして、当を得ておりません。もつと積極的熱意を示すべきである。以上であります。  なお総合的見地より見まして、時局柄きわめて重要なる公共事業施行について、これは国民一般よりきわめて非能率であるとの非難が高いのであります。特にいわゆる農業土木につきましては、その声が高いようであります。それには幾多の理由はありましよう。しかしながら公共事業の重要かつ緊急性にかんがみ、事務簡素化予算措置等、すみやかに改善をはかる必要を痛感いたします。われわれ調査班はいかにすれば公共事業能率化をなし得るかということにつきましては、特に現地におきまして、いろいろ見聞し、かつ調査いたしたのであります。  なおこの点につきましては、本省の事務内容等につきましても、調査の上に一つ結論を得ましてから、あらためて御報告を申し上げたいと思うのであります。はなはだ簡單でございますが、調査経過を申し上げた次第であります。
  8. 千賀康治

    千賀委員長 次に東北第二班、宇野秀次郎君から発言を求められております。この際お許しをいたします。宇野秀次郎君。
  9. 宇野秀次郎

    宇野委員 農林関係公共事業に関する東北北陸班国政調査経過並びに結果の概要につきまして簡單に御報告いたします。  東北北陸班宇野外二名をもつて編成し、去る八月十八日より二十二日まで五日間にわたりまして、山形新潟県下をつぶさに調査して参つたのであります。  調査日程としましては、八月十八日山形県庁に集合、県側より公共事業状況説明、及びそれに関する陳情等を受けましたる後、午後には明治村に至り、耕地整理進行状況揚水場現場等視察いたし、さらに本沢村に向い、本沢ため池視察いたしました。  翌十九日は、新庄市より泉田川沿岸地域に向い、途中荒小屋災害復旧状況視察昭和地区入植地に至りまして、同地視察、なお最上地方事務所におきまして、泉田川沿岸農業水利事事業計画につきつぶさに説明を受けたのであります。午後には清川村に向い、北楯大堰を視察し、さらに鶴岡市に至りまして農村工業展示会視察、また青川堰、揚水場につきまして説明及び陳情を受けたのであります。  二十日に鶴岡を出発、新潟に到着いたしまして、翌二十一日新潟県庁において県内情勢につき説明を受けました。引続き亀田郷土地改良事業地域に至りまして、同地、特に栗の木排水機施設につき視察いたしましたる後、北に向い胎内川、荒川のそれぞれ沿岸用水改良事業現場視察いたしたのであります。  二十二日には新津郷白根郷月潟郷西川沿岸新川沿岸のそれぞれ土地改良用排水改良事業現場及び代表的なる施設につきまして視察いたし、再び県庁に至りまして調査班を解散した次第であります。以下公共事業関係についての両県下における概況及び当面せる問題点につきまして御報告いたします。  まず土地改良事業について申し上げます。山形県の水田面積は九万六千町歩余でありまして、米の生産額は二百万石前後であります。新潟県は田面積十八万町歩を有し、米の生産額は四百三十万石に達し全国第一位の生産量を誇つているのでありまして、この両県はともにわが国の代表的なる米産県であることは御承知の通りでありますが、耕地状況はいまだ不完全で、土地改良も著しく立ち遅れの観があるのであります。山形県における土地改良事業県営事業灌漑排水災害防止温水ため池を合計いたしまして十五地区団体営事業が五地区ありますが、完了までに要する経費は二十九億円でありまして、目下の農家経済状態では国の補助金のほかに農家負担分に対する長期低利資金の融通がなければ調達が困難な実情にあるのであります。新潟県におきましては国営四、県営四十、団体営十四事業地区を有しているのでありますが、全県下における用排水の根本的かつ普遍的改良はなお今後の問題として残されているのでありまして、資金調達については山形県と同様な問題があるのであります。  両県における土地改良事業につきましては、地元農民もこの事業施行を熱望しているのでありまして、次にこれに対して要望されたおもなる事項を申し上げることにいたします。  一、土地改良費国庫補助予算増額及び国庫補助率の引上げ。これは地方としては当然第一の要望であるのでありますが、特に両県は積雪單作地帶でありまして、農家経済の貧困を救済するためにも、ぜひとも裏作を可能ならしめて食糧増産をはかる必要があるのであります。このため耕地灌漑排水の整備は、もとより耕地整理交換分合を絶対に必要とし、現在土地改良費補助予算昭和二十四年度以降大幅に削減せられたため、事業完成が遅延して地元民ははなはだ困惑しているのであります。また早場米奨励金超過供出割増金漸減廃止の傾向にある今日におきましては、單作地帶農民困窮の度を加えるのみでありまして、これにかわるものとして土地改良費補助金大幅増額とともに国庫補助率全国一率とすることなく、積雪單作地帶に対し特別の考慮を拂われんことを切望しているのであります。  二、灌漑排水用電力料金引下げ、これは非常に大きな切実な要望でありまして、両県とも揚水機排水機施設を要するところが多いのでありますが、昨年十二月電力料金改訂により、従来の三割引が廃止された上なお値上げとなつたため、これらの施設運転費負担はますます過重となつたのであります。よつて電力料金の値下げを実現するか、不可能ならば運転費に対し国庫補助の道を講ぜられたいというのであります。  三、地元調達資金利率引下げまたは利子に対する国庫補助県営事業におきましては、山形県は一割五分ないし三割、新潟県は二割五分の事業費を、地元負担しなければならないのでありますが、現在主として融資を受けている農林中央金庫の利率は年一割一分ないし一割二分の高率で、その負担に耐え得ない実状にあるのであります。また最近公共事業認証額地元要望をはるかに下まわり、地元農民熱意にもかかわらず、事業目的達成が遅延し、または休止のやむなきに至る実状であつて地元において経費立てかえて事業を遂行せんものと地元農民は日夜資金調達に腐心しているのであります。  以上をもつて土地改良事業に対する融資は少くとも年五分程度引下げるか、それに相当する利子補給措置を講ぜられんことを切に要望されたのであります。  次に災害復旧について申し上げます。まず山形県は山岳が多く、戰時中の濫伐のために、一朝豪雨に見舞われるときは、ただちに洪水となり、また多雪地帶であるため、春の融雪時の洪水による被害も少くないのであります。現在実施中の工事は、二十四年度災害に起因するものは、総復旧費三億六千余万円でありまして、復旧状況は六月末において九六%、本年中に完成するのでありますが、これに対する国の補助金交付は六四%、残余は三十六年以降になるのであります。本年は割に雪が少かつたのでありますが、融雪特急に気温が上つたため、洪水被害をこうむり、その復旧費仙台農地事務局の査定によりますと、二億五千九百余万円に達しておりまして、これも六月末において四五%の復旧状況でありますが、いまだ国庫補助の割当はありません。また八月三、四日の両日奥羽山脈沿いに重ねて豪雨があり、ために河川の氾濫による被害また多大に上つているのでありまして、その復旧費は一億七千五百余万円に及んでおります。新潟県は山間部において山形県と同様の事情に置かれておりまして、雪害、水害、地すべり等が多く、関係面積に比して復旧経費が多額となりますので、農家負担が重く、復旧予算の早期交付がしきりに叫ばれているのであります。最近五箇年の復旧事業費は年平均二億三千七百万円でありましてこれに対し国庫補助割当は一億二千三百五十万円で、差引一億一千三百五十万円繰越しの状態にあり、二十五年累計六億七千万円の未復旧事業費があるのであります。なおこのほかに国庫補助対象にならない事業費が年平均六千万円程度あるのであります。  以上のごとく復旧を一日も早くなし遂げんとして、地元資金調達に苦心し、また復旧予算の早期交付を待ちこがれているのでありまして、土地改良事業と同様、ぜひとも融資利子を低率とするような措置が望まれているのであります。  なお山形県においては、東北六県の農家が相互扶助の精神に基き、県信連に預け入れました助け合い資金の融通を受けておりますが、これは利率が年七分二厘でありまして、農林中金よりも低利であり、また中金資金のわくが不足であつたためこれを利用したのであります。  次に開拓について申し上げます。山形県におきましては、現存約三万町歩開拓地を取得しており、種々の困難と戰いつつも、そのうち二万町歩について開拓工事実施しつつあるのであります。この二万町歩の内訳は開墾実施が一万町歩、牧草、薪炭採取地が一万町歩であります。この県内への入植者は、純粹に開拓者として入植したもの三千四百戸、地元民の拡張増反が二万六千戸ありまして、これは第二次農地改革により農家の経営が零細化し、県内平均一戸当り一町四反ないし一町一反の耕地しかないことによつているのであり、おのおの開拓増反に努力しているのでありますが、このほか土地、人口のアンバランスにより、過去において満洲開拓に続々出かけた事情をそのまま、海外引揚者、現在二万七千戸ある過剰農家、また現在問題となつている二、三男が北海道へ開拓者として入植に努めているのであります。  新潟県におきましては、昭和二十一年より未墾地を買收また国有地の管理がえをなした土地が合計一万五千四百町歩余りありまして、また昭和二十五年度において買收移管予定のものが一千町歩ほどあります。このうち二十五年六月末において六千七百町歩を開墾しているのでありまして、純粹入植が一千七百戸、増反入植が一万一千六百戸であります。なお今年の入植予定が六千二百戸あります。このほか山形県と同様の事情により北海道ほか六県へ現在まで二百六十戸、本年百四十戸入植の現況にあるのであります。  以上両県の概況を申し上げましたが、現在開拓者の最も障碍となつているのは建設工事費の下足、なかんずく道路工事の不振でありまして、山形県のごときは進捗率わずか一〇%で、北海道より遅れているのであります。これは開墾作業費補助に比し、道路建築工事費が非常に少いことによるのでありまして、このアンバランスを除去するよう、安本、大蔵省の査定に一考を要するのであります。  また開拓者は政府営農資金を唯一の頼みとしているのでありまして、今後この政府資金増額するとともに、積雪寒冷地帶の特殊性を認め、全国一律のすえ置き期間とすることなく、これを延長して営農の安定をはかることが望ましいのであります。  次に干拓について申し上げますと、山形県、新潟県とも現在はその工事がないのでありますが、新潟県においては県営排水改良工事の進行に併行し、反当約三万円の比較的小経費をもつて実施が可能でありまして、今後有望なる事業として期待されております。  新潟県の干拓計画は六地区ありまして、合計約一千町歩事業費三億一千万円、全部湖面干拓でありますが、比較的小規模のものも助成対象とすることが望まれております。  簡單でございまするが、以上御報告を申し上げます。
  10. 千賀康治

    千賀委員長 次は近畿班でございますが、班長の遠藤三郎君が欠席でありますから、川西清君の発言を許します。川西清君。
  11. 川西清

    ○川西委員 近畿班における農地改良造成並びに災害復旧等に関する国政調査概要並びに結果につきまして簡單に御報告いたします。  近畿班は私のほか五名をもちまして、去る八月二十一日より二十五日の五日間にわたつて、滋賀県並びに京都府の土地改良開拓災害復旧等事業視察調査いたしました。まず第一日は、滋賀県庁におきまして、県当局並びに耕地協会、農協連合会等の農民団体出席のもとに調査事項に基く説明を聽取いたしました後、大津市外鳥井川量水標地と南部洗堰の現地視察いたしました。  第二日は野州川上流、甲賀郡鮎河村における大規模な国営事業たる農林省野州川農業水利事業のダム建設場をさらに神崎郡御園村において愛知川災害事情陳情と同総会開発計画説明を受け、さらに同地元飛行場の開拓地視察いたしました。次いで蒲生郡安土村に至りまして、国営事業琵琶湖干拓の一つであります中之湖地区の既干拓地及び未干拓地の計画視察いたしました。  第三日は七箇所の現地視察いたしました。すなわち、彦根市外松原内湖及び入江内湖の両国営干拓地、長浜市南部用水改良事業説明及び陳情現場視察、伊香郡北富永村地内高時川上流井堰の視察、琵琶湖北岸伊香郡塩津村地内塩津内湖国営干拓地、高島郡百瀬村地内百瀬川災害復旧事業及び高島郡広瀬村安曇川沿岸災害復旧事業視察等七箇所であります。同日をもちまして滋賀県下調査を終りまして、京都府におもむいたのであります。  第四日は、京都府当局より本調査事項説明を受け、ただちに府下久世郡愼島村巨椋ヶ池干拓地の事情を聽取し、陳情を受けました後、同地内排水ポンプの状態視察いたしました。次いで綴喜郡大住村地内の八幡郷用水改良事業並びに同災害復旧事業説明を受けました後、現地視察いたしました。さらに同郡八幡町附近に参りまして、幣原建設事業説明を聽取いたしました。  第五日は京都市外伏見地区内の洛南推水改良事業並びに同農地開発事業視察し、次いで京都市右京区内洛西農業水利改良事業説明及び陳情を受けました後、桂川の梅津災害復旧事業現場視察したのであります。さらに同地内嵐山附近一ノ井堰の現場視察いたしまして、京都府下における本調査を終了いたし、同日解散したのであります。以上が調査日程の大要であります。  次にその調査の内容について若干申し上げたいと思います。まず土地改良農地開発等の事業について申し上げますと、滋賀県におきましては、総耕地面積は約六万八千町歩、米の生産は約百五十万石でありまして、全国の中以上に位しております。また反当実收高におきましても全国平均二石一斗をはるかに上まわり、平均二石四斗となつております。このような状態より、土地改良事業を見ますと、国営のものは野州川上流のダム建設と、琵琶湖周辺の干拓事業でありまして、他に県営、団体営を合せまして完了地区実施または計画中十二地区と相なつております。また開墾は千六百八十二町歩入植戸数五百八十八戸であり、干拓は完了、未完了合せまして約一千町歩となり、以上の増收石数は約十一万七千石となるのであります。またこのほかにこの種事業の可能なる面積が約四万町歩残されているのでありまして、これらを開発いたしますことにより、実に莫大な増收が期待されるのであります。なかんずく干拓にありましては、ただちに経済効果がもたらされ、琵琶湖の有効な利用とともに、大いに助成することが適当であろうと思います。  次に京都府について見てみますと、総耕地面積は約四万八千町歩、米の生産額は約八十一万石で全国でも中以下でありますが、反当收穫量は三石一斗七升でほぼ全国平均と同じであります。このような概観から、土地改良事業等を見ますれば、国電事業はなく、府営のものが完了、未完了合せて十地区、その面積が八千町歩、団体営が一万二千町歩となつております。また開墾、干拓事業は約二千町歩完成し、約三百町歩実施中でありまして、以上の増收見込みは約九万八千石となつております。さらにこのほかに可能なるものが約六千五百五十町歩ありまして、すべてを完成しました場合には、約十三万石の増收量が期待されるのでありまして、米の全生産量の二割に達することが可能なのであります。以上が滋賀、京都における本事業概要でありますが、何としましても、国庫補助金の打切りや、制限によつて遅々として進捗を見せないのは遺憾でありますし、また現地諸君が最も強く要望されましたのは、本問題でありました。  次に両府県の災害復旧事業について申し上げます。滋賀県における災害昭和二十二年九月、二十三年七月、二十四年七月及び本年六月、七月と毎年台風による水害を受けまして、その被害総額は約九億に及んでいるのであります。これに対する復旧費は、約七億円を要しまして、二十四年に一億二千万円を投じ、二十五年度に約二億円を予定し、残り約四億円は持ち越すの止むなきに至つているのであります。本県大小二十の河川は、ことごとく被害を及ぼし、特に愛知川、安曇川がはなはだしいのでありまして、愛知川のごときは、本年七月の水害で決壊十五箇所、水没耕地等が四郡下にわたり、農民諸君の苦難のほどが察せられるのであります。また百瀬川のごときは、本年八月の豪雨によりまして井堰はほとんど破壊され、堤防は決壊し、河床が耕地より二メートル以上も高いありさまで、さながら道路の観がいたしました。次に山林につきましては、本年のみの水害が三回もあり、約一億一千万円の被害を受け、約一千万円の復旧費も充てて、これが復旧に充つております。しかしながら荒廃林が約六千町歩もあり、加えて里山濫伐の影響等、治山治水上まことに憂慮すべき状況にありますので、総合開発計画を立てて、これら災害の積極的防除をはかつておりますが、ここでも財政上その他の問題で実施が停頓いたしております。よつてこれが積極的援助をなす必要があるものと思う次第であります。  次に京都府における災害状況を申し上げますと、滋賀県同様、水害は毎年ありまして、その被害総額は約五億二千万円に及び、その復旧事業は、二十四年度までに一億一千万円しかはかどつておりません。残り約四億一千万円は二十五年度以降に持ち越している状態であります。また山林の水害は、特にヘスター台風のときにはなはだしく、その額は約二億円でありますが、大なるものを除き、他は本年度中に復旧する予定であります。京都府においては、災害の未然防止をはかるため、造林及び林道の開設計画を立て、本年度において二千三百町歩の植林と、約二万メートルの林道開設を行い、二十六年度以降も引続いてこれを行い、治山治水問題を早急に解決しようといたしております。  以上が両府県の災害復旧事業概要でありますが、土地改良事業と同様、国庫補助金の不足を訴え、早急に復旧せしめる措置をとるよう強く要望されたのであります。  さて次に重要なる問題といたしまして農事用電力に関して申し上げます。滋賀県におきましては、電力利用設備が三千数百箇所、容量約二万キロワツトで、その受益面積が総面積の、二割に達しているのであります。また脱穀調製用として約六千、容量約一万五千キロワツトであります。京都府におきましては、灌漑排水用として小口百二十八、大口四でありまして、その容量は約七千八百八十キロワツト、受益面積は七千二百町歩に及んでおります。両府県の大要は右のようでありますが、料金について申し上げますと、電力料金は終戰以来五回にわたつて改訂され、特に昨年十二月の改訂で従来の特典たる三割引制度及び未使用期間の基本料金免除等の措置が廃止されまして、実質料金は二ないし六倍ぐらいとなり、しかも米価決定の品目にあげられていないという不合理を蔵しているのであります。京都府は巨椋ヶ池組合の例をとりますと、昭和二十年のときに比較して、何と百三十九倍にはね上つており、現在反当三百五十二円六十一銭の負担となつている状態でありまして、両府県ともに従来の特典を復活するよう強く要望せられたのであります。  最後の問題といたしまして、以上申し上げましたほかに、土地改良区設立の問題、交換分合促進の問題、災害補償制度改善に関する問題等がありますが、これは省略いたすことにいたします。  次に本調査に基く府県当局並びに農民諸君の要望事項が数多くありますが、これはほとんど私どもが本委員会で常々論議いたしておる点でありますので、この際これは省略して、結論を申し上げたいと存じます。すなわち、  (1) 土地改良事業施行に対する地元負担金を軽減し、府県の起債に当つては優先的に承認し、あるいはまた低利(年四分)長期(三十年)の融資措置を講ずべきであると思います。  これらにつきましては現地において強く要望され、食糧確保、民生安定等の見地より、妥当なるものと思うのであります。  (2) 開墾、干拓事業においても同様でありますが、特に入植農家に対しては、すみやかに自作農たらしめるべく、営農の助成を行うべきであります。  (3) 土地改良区を設立するにあたりましての問題としまして、手続を簡素化し、予備審査の省略、総代数の制限等、実状に即するよう、法の改正が妥当と考えられます。  (4) 災害復旧につきましては、農家経済の現状、地方財政の貧困等より、全額国庫負担とし、過年度災害を一掃し、積極的に開発計画を助成して、国家資源の損失を防止すべきであると思います。  (5) 電力料金につきましては、従来の特典たる三割引制度の復活、使用しない月の料金免除、電力割当制度の廃止等を実施し、維持管理費、新規工事等についても適当の助成をすることが必要であります。滋賀県の場合は干拓等が多く、勢い料金もかさみますので、特に強く要望せられたのであります。  (6) 以上のほかに農業災害補償制度の改善を行うため、法の改正を行うことが適当であると思います。  以上が、今回調査いたしました近畿班の調査の内容及び結果でありますが、現下内外の要請に基く国内食糧の自給度向上にあたりまして、本調査は時宜を得たものと確信いたしておるのであります。土地改良災害復旧農地開発等の事業は、ただちに右の要請にこたえられるものでありまして、滋賀、京都ともに一割以上の増收が示されておりますし、関係農民も不断の努力を約束いたしておるのであります。またちようど予算編成の期でありますし、この好機を逸せず、これら事業の所要資金を確保すべく、先般委員会において決議いたしました予算確保の案件を強力に推進すべきであると存じます。  以上をもちまして、簡單ではありますが、御報告を終る次第であります。
  12. 千賀康治

    千賀委員長 以上をもつて派遣委員報告は終りました。     —————————————
  13. 千賀康治

    千賀委員長 この際政府から先般のジエーン台風による農地等の災害について報告をしたいと申出がありますので、これを許します。佐野農地局長
  14. 佐野憲次

    ○佐野説明員 今回のジエーン台風は、御承知のように大体昭和九年の室戸台風とほぼ同様の経路をたどりまして、台風としての大きさも、大体室戸台風に近い程度のものであつたのでありますが、ただ幸いにいたしまして雨量が比較的少かつたのであります。しかし山地におきましてはやはり百ミリ以上の雨量がございまして、そのために農地関係施設につきましても相当の被害をもたらしておるのであります。関係の区域といたしましては、四国、近畿、中国の一部、それから東海、北陸が主でありまして、大体二十数県にわたつておるのでございます。その後ただちに農林省といたしましても現地にそれぞれ係官を派遣をいたしまして、災害調査に当らせておるのでありまするが、何分にも箇所数が非常に多く、各地に散在をいたしておりまするために、現在のところまだ完全な調査が終つたというところまでは参つていないのでございます。しかしただいままでに判明いたしておりまする農地関係被害の総額は、六十一億三千万円に達しておりまして、そのうち大きな県といたしましては徳島県の二十億円、和歌山県の十一億円というのがございます。     〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕  この被害は今後の調査の進行によりまして、さらに大きくなる見込みでございます。農林省といたしましては急速にこの被害調査完了いたしまして、予備金支出その他の手続をとりたいという考えで、目下調査完成を督励いたしておるような状況でございます。  それからなお一言つけ加えて御報告させていただきたいのでありますが、開拓地におきまして、入植者の住宅が非常に破壞されたものが多いのでありまして、全壞、半壞を合せまして約三千三百戸程度入植者の家屋が破壞をされておる状況であります。これに対しましても急速に何らかの手を打ちたいということで、目下関係方面とも折衝しておるような次第でございます。
  15. 松浦東介

    松浦委員長代理 横川林野庁長官
  16. 横川信夫

    ○横川説明員 林野庁関係の森林災害について御報告を申し上げます。  被害の区域につきましては農地と同一でございますが、総額におきまして昨日までに報告に接しております金額は四十二億に達しております。うち治山関係が十六億、林道関係が十三億、林産物の流失その他が十三億でありまして、合計四十二億であります。うち被害の最もはなはだしいのは徳島でありまして、十億五千万円、それに次ぎまして和歌山の五億四千六百万円であります。なお第三位は大阪の四億二千五百万円でありますが、農地と同様に被害の箇所も非常に散在いたしております。なお御承知のように山奥でもございますので、調査の実態が把握しにくい状態でありますので、今後さらに増加する見込みでおります。各地に調査班を派遣いたしまして、現状を把握いたしまして、至急に災害復旧対策を講じたいと考えます。
  17. 松浦東介

    松浦委員長代理 ただいま佐野農地局長並びに横川林野庁長官より御説明がありましたが、これらに対する質疑等は午後に譲りまして、午前の会議はこの程度にとどめたいと思います。午後は一時より再開いたします。  暫時休憩いたします。     午前十一時三十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  18. 松浦東介

    松浦委員長代理 午前中に引続き会議を開きます。  午前中の政府災害説明に対して質疑を許します。井上良二君。
  19. 井上良二

    ○井上(良)委員 午前中に政府から、ジエーン台風の農業関係被害について報告がございましたが、特に今度のジエーン台風被害は、従来の台風とその性質をまつたく異にしておりまして、風速は大体突風で五十五、六メートル、普通大体三十五メートルから四十四メートルくらいの風速でございましたが、雨量もまた大体六十三ミリから、多いところで八、九十ミリという量で、風速なみに雨の量におきましては台風としてはそう大きくない台風のように考えますけれども、この台風が去る九月三日午前十時半ごろ本州、特に近畿地方に上陸をいたしまして、一番最高潮は午後一時、爾来午後三時まで、今申しました風速でずつと長時間にわたつて襲いまして、しかもその当時ちようど満潮のときでありましたので、沿岸地方は高潮の被害を相当広範囲に受け、特に塩害による被害が至るところに発生をいたしまして、農作物は全滅の被害を受けたのでございます。また長時間にわたる風害の結果、ほとんど全作付面積にその被害を受けまして、さきに御報告がございました通り、相当厖大な被害農業施設、並びに農作物に生じたわけでございます。これらの各被害につきまして、政府ではそれぞれ現地に政務次官を初め、関係各係官が出張いたしまして、被害実情調査されておるそうでありますが、一番被害中心地帶でありました大阪関係におきましても、耕地関係だけの被害を見ましても、二億二千五十万円の多きに達し、そのうち公共施設被害が二億円に達しておるのであります。水稻被害につきましては、まだ正確な数字がはつきり出ておりませんけれども、今日までに発生いたしております被害の概数から申し上げますと、さいぜん申します通り、全耕地がその被害にあいまして、特に早生、中生の二つはほとんど全滅に近い被害を受けております。なお晩生にいたりましては、まだ出穗しておりませんから実際の被害は正確にはつかめませんが、今日までわかつております大体の推定では、約三割見当の被害ではないかという見込みでございます。  なおこれに関連をいたしまして、政府ではそれぞれ応急の対策を立てられていると思いますが、これらの応急対策に対しまして、具体的に今日まで政府が立てられました資金関係、起債等の関係国庫補助関係につきまして、今日どういうところまで政府としては具体的に対策をお立てくだつているか。さいぜん農地局長からもお話がありました通り、今度の災害で最も哀れなのは開拓関係の人々でありまして、大阪だけでも開拓関係におきまして、住宅の全壞並びに半壞は実に四百戸の多きに達しているのでありまして、これらはいずれも山間僻地の非常に交通不便な開拓地にその住居を持つております関係上、いろいろな生活上に大きな支障を来し、現にこれら倒壞及び半懐いたしました家屋の居住者の大部分は、近傍の農村の公営建物に收容されておりまして、自分の耕作しております居住地に帰ることができ得ないというような悲惨な実情に現にありまして、何よりも先にこれら倒壞いたしました開拓者の住宅の建設を、すみやかにやつていただくと同時に、この農業施設の中で特に灌漑用水の電力施設がことごとく破壞をされましたし、     〔松浦委員長代理退席、委員長着席〕 これらの復旧並びに農業倉庫、それから農業協同組合関係の建物等が大破いたしておりまして、これらの復旧にもすみやかに手を打つていただきませんと、実際どうにもならない実情にありますが、これらに対して、政府は一体いかなる資金及び補助をもつてすみやかにやろうとするか。この点を明確にされたいのであります。これはまだ全体のわくはわかつておりませんが、大阪だけの政府に対します要望を見ましても、長期低利資金といたしまして九億一千七百万円を十箇年年賦で利子全額国庫負担でお願いしたい、こういう要求が出ております。その内訳は農業関係において四億八千六百万円、畜産関係において五千八百万円、林産関係において八千三百万円、水産関係において二億九千万円、その次に短期資金であります。さいぜん申した九億一千七百万円は長期資金、今度はただちに政府の補助が具体化しますまでのつなぎ資金として、当面必要な御融通を願いたい金額が四億四千百万円に上つております。  なお補助金関係といたしましては、耕地関係で八千六百万円、農業倉庫復旧関係において二千万円、さいぜん申した開拓者の住宅建設復旧に対しまして二千七百万円、これらはいずれも緊急を要する処置として政府にあつせん方を願つているのでありますが、今日まで政府の方におきましては、内閣官房長を委員長といたしまして、ジエーン台風災害対策委員会といいますか、そういう中央対策委員会をつくられて、関係各省それぞれお集まりで具体的な対策を立てられているという話でありますが、もうすでに台風被害がありましてから約十日間になりますので、政府としては、具体的にそれぞれ必要な処置をとられていると思いますが、これらの点について、政府の今日までに、特に農業関係に差迫つてとられました対策について、この際重ねて説明を願いたいと思うのであります。
  20. 島村軍次

    ○島村説明員 今回のジエーン台風につきましては、ただいま井上委員のお話の通り、その被害が予想外に甚大であつたことを、私先般五県の視察をいたしまして痛感をいたした次第であります。従来災害対策については、とかく事務的に、いわゆる先手を打たない、後手ばかり打つたような感じがないでもなかつたということがわれわれの頭からのかなかつたので、少くとも今回の対策については、至急に応急、恒久の対策を講ずべきであるという考えを持つて帰りましたところ、ちようど九日の午前に、ただいまお述べにたりました官房長官を中心とする対策委員会の集まりがありました。従来と違いまして、各省の事務関係はもちろんのこと、特に政務次官を加えるということになつたようでありますので、急いで出席いたしまして、農林省関係被害の情勢なり、あるいは至急に対策を講ずべき問題について私から発言をいたしまして、その善処方を希望いたしたのであります。  当日の情勢を簡單に御報告申し上げ、かつ今後の問題について政府のとつておりまする対策を申し上げてみたいと思うのでありますが、相当広範囲にわたりましたので、第一に被害額調査の基礎数字が、なかなか政府で従来集めておりましたのが手間どつたということは、皆様も御承知の通りでありますので、なるべく正確のものを早く收集するということが第一に考えられ、かつそれらの被害額調査はいわゆる第一報、第二報というふうに、漸次わかつたものからその情勢を把握して行くということにいたしたいという希望も出ておつたのであります。  それからいろいろ考えられる中に、国庫負担に属するもの、あるいは補助すべきものという問題については、従来の法制にありまする範囲内において、また従来とつて参りました復旧施設、応急施設に対して、六、七、八月の災害までに二十八億と二十三億の公共施設の支出の決定をされましたことは、御承知の通りでありますので、災害予備金のうち百億の残額について、至急にその調査の結果に基いて額を決定するということが、第一に先般の委員会で決定を見たのであります。  それから公共施設に関する問題については、従来もその例がありますので、これによつて対策が講ぜられることは当然であるのでありますが、問題はただいまお話になりましたように、被害者がただちに生活にも困窮するという問題が緊急を要することであり、かつこれらの問題は遷延を許さざる問題であると思いますので、この金融対策中心となつて研究が進められたのであります。新聞紙上にも発表がありましたように、政府は補助の対象になるべき施設見返りとして、七億の緊急施設資金の放出と申しますか、府県に対して、大阪五億、兵庫県には一億五千万円、それから和歌山五千万円が一応決定を見まして、ただちにそれぞれの手配ができておつたのでありますが、その他のこれに次ぐ被害甚大府県、隣接の徳島、福井等に対する支出については、大蔵省においてもただちにその必要を認められまして、おそらく今明日中には追加額が決定されるものと予想いたしております。  それからそのほかの金融対策については、長期の問題は今後の調査完了した上ではつきりきめられることと思うのでありますが、一番急ぐ問題は、ただいまお話のように短期であり、かつ応急の資金であろうと思うのであります。これをおよそ三つにわけることができると思うのでありますが、府県庁に対して応急のつなぎ資金を出すということが第一であり、第二には団体に対して自己負担分に対する融資、第三には被害激甚地に対する工事の繰上げ、いわゆる翌年度補助金を引当てにして出す、こういう問題が考えられると思うのであります。第四にはお話になりましたような、非常に激甚であるために生活資金に困る、特に開拓関係はいわゆる空手空拳になつて、本年度から償還期に入るものが、いずれの土地を見ましても、まことにお気の毒な情勢でありまして、われわれ実地を見まして現地事情を承つてみますと、涙なくしては聞かれないという現状が至るところに見受けられるのでございまして、何としてもこの問題については、強く何らかの手配をすべきであるということを痛感いたしましたので、帰りまして、この問題について特に対策委員会へ私から情勢を報告し、これに対する方策を立てたい、とかような考えを持つておるわけであります。これに関連を持つものが沿岸地の漁船及び漁具等の被害、いわゆる水産関係であります。この水産関係についてもやはり同様でありまして、兵庫県では、漁船保險に入つているのが比較的多いようでありますが、その他の府県では、ほとんど漁船保險に入つていないというような現状からいたしましても、これらの問題の解決を至急に立てるべきであるということを考えさせられたのであります。そこで農林省といたしましては、早速その対策委員会の終了後におきまして、ただいま申し上げました対策より、さらに進んで既定経費中から何らか考えられる方法はないかということを、いろいろ研究を進めておるのであります。  開拓地につきましては、約三千戸の半壞、全壞でありまして、なかなか既定予算では考えられないのでありますけれども、しぼり出すと言いますか、営農資金とかあるいは住宅資金等のうち一部をできるだけこの方にまわしまして、さしあたりの資金を出したい、その額についてはまだはつきりとここで申し上げる段階に至りませんけれども、二、三日のうちには額も決定し、かつその支出方法も決定いたしまして、早く地方の方へ御通知を申し上げ、一日も早く再建の道に開拓者の方方に立つてもらいたい、こういう考えを持つておるのであります。現在の法制の範囲におきましては、なかなか開拓者に対する住宅等の復興についての道がないのでありまして、これも前段申し上げました応急資金の放出とあわせて、至急に対策といいますか、出る道について研究を進めておるような次第であります。  農業のその他の稻作被害に対する問題については、共済金の概算拂いの制度を、かねて主張されておつた問題でありますので、先般も対策委員会で取上げてもらい、事務的には相当進んでおりますので、概算拂いを出すことも至急に決定を見る予定であります。  それから金融ベースに乗らないただいま申しました個人の生産資金に対する融資が問題でありますので、漁船等で保險に入つてないものに対してはなかなか担保力もないのでありまして、開拓者の問題とあわせて至急考究を要する問題と考えまして、おおよそ農林省として今考えておりますことは、府県庁の保証をもつて府県農協、あるいは中金、地方銀行等から出してもらつて、国はこれに対して利子補給の方法を講ずる。これによつてできるだけ金融ベースに乗ることを希望もし、またさように金融機関に勧奨して行くということで、目下数字をとりまとめ中でありますので、さように御了承願いたいと思うのであります。お尋ねの点は、電力あるいは農業倉庫、共同施設等に対するお話もあつたのでありますが、これも対策委員会では取上げられた問題ではありますが、目下のところ結論まで出ておりませんが、ただ電力については一般的に早い電力の復旧ということが主眼に置かれたので、ただいまお話のような問題については、さらに検討を加えて、早急にその方策を考えたいということをつけ加えましてお答えといたしたいのであります。
  21. 井上良二

    ○井上(良)委員 非常にあらゆる面に政府として努力を拂つていただいておる点については感謝いたすのでありますが、まだ具体化されておりますものがはなはだ少いことを非常に遺憾に存じます。今お話になりました補助の対象になるものに対して、応急的に七億の金をさしあたり出す。さらに続けてあとまた支出をするつもりだ、こういうお話でございますが、今度の大阪を中心とする被害は、主として大阪市の被害が非常に大きいのでございまして、それが大阪港を中心とする工場街というか、産業地帶が高潮によつて侵されたという関係から、その損害が非常に莫大に上つておりますし、また附近住民のほとんどの住宅が浸水いたしまして、今日なおかつ三メートル以上の浸水地帶が全浸水地帶の三分の一に上つておりまして、現に一日また三十万個の握り飯をボートで運んでおるような実情にあるのであります。今日まで大阪市が緊急救助法による救助として応急に支出いたしました金額だけでも、すでに五億を突破しておるのであります。そこで政府がかりにここに七億金を出して、そのうち大阪へ五億を渡しましても、さしあたり火のつくような罹災者の救助にすでに五億の金が使われておりまして、その金がただちに、他の立ち上らなければならぬ復旧の経費にはほとんどまわすことができ得ない実情にあるということを御了承願つておきたいと思います。  そこで今お話になりました資金計画の問題ですが、そのうち開拓者に対しましては、既定経費の中から何とか当分雨露をしのぐような、仮設の住宅でもお建てくださるような御考慮を拂われておるということでありまして、これが一日もすみやかに現地にその措置がとられるように、政府としては一段の努力を願いますとともに、ともかくこの政府の仕事というものが実際いろいろな機関、調査、連絡等にいたずらな日時をとりまして、これが実際役に立ちますのは、半年も一年も先でなければ実際その仕事が目に見えぬという、まわりくどい、能率の上らぬ組織になつておりまして、これを何とか改めるような基本的な考え方を、この際政府としては考えていただきたいと思うのでありまして、当然国庫補助をいたしましてやらなくちやならぬ災害復旧がございますから、この際さしあたり預金部資金なり、あるいは見返り貸金の一部を、特例を設けましてこれら災害復旧の知期貸金に振りかえるという手を打たなければ、実際方法がない。それから地方自治体から要求しております起債のわくをこの際ある程度認めて、それによる応急の処置をとらす。今お話にございましたいろいろな金融措置について、大蔵省から日銀を通して地方銀行に災害復旧、またこれに伴う運転資金等について融通をするようにという話がございますけれども、現に大阪の日銀の支店長の話では、いくら本省あるいは本店からそういう通達がございましても、市中銀行に貸しつける貸金わくがない。そこでそういう融通の道を政府資金的にとろうといたします場合は、それぞれ市中銀行に預金部資金なら預金部資金のわくを、ここに何億なら何億市中銀行に與えて、そのわくの中から、これこれのものをこれこれに貸してやれ、こういうような措置を講じなければ、何にも役に立たないのであります。さしあたりこの際特に短期資金のわくについて、政府としては特別の措置をとつてもらいたい。それから耕地あるいは農業施設等の災害復旧に対しましては、これは法的にも一部不備がございますが、これら災害復旧は七五%の政府補助、あとは地元負担、こういうことになつておりまして、現に被害を受け、実際公租公課さえ満足に納めることができ得ない罹災民に対して、地元負担によつて災害復旧をせよと言うてみたところで、これは実際むりであります。これはぜひこの際全額国庫負担をいたすという措置を特別に考慮願えないかどうかという点でございます。  なお水稻あるいは家畜等につきましては、農業共済の対象になつておりますから、これは今お話のように、共済金の概算拂いで一時息をつくといたしましても、大阪、あるいは和歌山のようなところは柑橘が非常に盛んでございまして、和歌山のみかん、あるいは大阪の河内方面のぶどう畑、それから能勢方面のくり、このぶどうなんかは甲州ぶどうに次ぐところの産地でございますし、また能勢方面のくりは日本第一の産額を持つておりますが、こいうものがことごとく今度の災害で根こそぎやられしまつて、どうにもこうにも動きのとれぬ状態にあるわけでありまして、これらはまつたく農業災害対象になつておりません。だからこれらの特別な蔬菜または果樹園芸等を対象にしておる農家被害に対して、政府は一体どういう救済対策をおとりくださいますか。これらについてもこの際伺つておきたい。  それから特に私強調しておきたい点は、大阪の農業倉庫の中の約三分の二は今度の災害被害を受けて、しかもその大阪の農業倉庫は、大部分は食糧を満腹いたしておりまして、その屋根瓦は飛び、まつたく修復する金融さえ満足に行つていない。しかも雨がかかりました関係から、全部積みかえなければならぬというような実情にございまして、この被害が莫大なものに達しております。どうしてもこれに対して応急的な資金を出してやりませんと、損害はますます大きくなつて参るのでありますから、これらに対してさらに政府の特段の措置を求めたいと思いますが、政務次官の御意見いかがでございますか。
  22. 島村軍次

    ○島村説明員 預金部及び見返り資金の放出は、お話の通りぜひこの際政府として考えなければならぬ問題であることは、先般も強く主張されたのでありますが、現存の段階ではその筋との間の話合いが、被害調査というものの正確さがなかなか御納得の行くものが得られるかどうかということは、これはわからぬと申しては失礼でございますが、そういう意見も出まして、これが一つと、それから現在の段階では、なかなか困難ではないかという事情も御了察願えると思うのであります。そこでもしこれがいかぬということになれば、お話のように、まつたく災害地に対する資金の問題が解決せないということになるのであります。財政資金をこの際出してもらうという対策を立てたらという意見がこの間出たのであります。これは内閣全体に関する問題でありますので、至急にそれぞれの各省と大蔵省との間で話が進められつつあるわけでありますが、しかし財政資金の支出というような問題になりますと、いろいろの関係でただいま私からその方法がぜひとられるのだということは、はつきり言明できないことを遺憾に存じますが、しかし何らかの方法によつて、至急に委員会で取上げて決定すべき筋合いのものだということはよく承知いたしておりますので、この上にひとつ努力を進めてみたいと思います。  それから果樹に関する被害については、お話の通り私も和歌山の柑橘の一部分を見たのでありますが、五十年生のみかんが根こそぎ倒れて、そして八割の落果を見ておるという実地も見て参つたのでありますが、今柑橘の倒れておるものの引起しを一生懸命やつておるようであります。そこでこれに対する補償という問題は、お話の通り対象になつておりませんし、蔬菜についても同様でありますが、法律上の共済施設のないこれらの問題に対しては、今後の復旧と申しますか、復興と申しますか、それらに対する資金及び生活困難に対する救済策等は別途に考えられるべきもので、農作物それ自身としては稻作のような方法には参らないと思います。なおお話もありますので、さらに研究を進めてみたいと思います。それから公共施設に対する短期の資金は、前段申し上げたことで御了解願えると思うのでありますが、お話の通りに補助金はありましても、その日の生活にさえ困難を来すような方々に対する問題は、ひとり農業関係ばかりでなく、水産関係にも相当あるし、また養蚕の桑園の被害のために、はきたてを全部流してしまつたというような問題もありまして、窮極するところ共済施設により得ないものに対しては、やはり融資の問題をどう取扱うかということになると思うのであります。さきに申し上げました個人の生業貸金の方策が、できるだけ広く万遍に行渡る方法を講ずるよりいたし方がないと思うのであります。それらの点から考えましても、短期資金である政府の多額の見返り資金等による資金の問題が、その解決のかぎを握るものであるということを考えておりますので、委員会の進行に伴いまして、なお強く主張いたしまして、できるだけの措置を講じたいと思います。
  23. 井上良二

    ○井上(良)委員 今お話を承りますと、預金部資金の融通というようなものは、ただちに短期資金の方に貸金わくを設定することの困難のような御説明でありましたが、しかしこれを活用するよりほかに、簡單資金わくを設定する資金財源というものが、他にないじやないかとわれわれはにらんでおります。なおここで特に伺つておきたいのは、百億の災害予備費のうち、今まで使いまして現在政府に残つておりまする残額の中から、この間からの委員会において、一体どのくらい今度の災害に、資金わくをこの災害予備費から出そうかということの話は出ておりませんか。この残額はまだ五十億くらいありはせんかと考えますが、この近畿地方のジエーン台風災害復旧に対して、どのくらいこの予備費から出そうとするか、もう予備費からはほとんど出さないのか、この点を明らかにしていただきたい。
  24. 島村軍次

    ○島村説明員 昨日事務的の打合せは——私はちようど出席できませんでしたが、事務当局の間で行われたそうでありますが、まだ決定になつておらないそうであります。ざつくばらんに申し上げますとキジア台風が、どうも進行によつてはよほど考えなければならぬというようなざつくばらんの話が出て、逡巡したわけでもなかつたわけでありますが、そこで額については、昨日もまだ決定に至つていないようであります。さよう御了承願いたいと思います。
  25. 井上良二

    ○井上(良)委員 はなはだどうも遺憾でありまして、災害予備費の使途でございますが、これを早く具体的にきめていただきませんと、地元としては何も手がつかぬ状態にあります。すでに手につくもつかぬもない、復旧しなければならぬものはどんどん復旧して参らなければなりませんので、至急にこのわくをきめてもらいたい。昨日も官房長官に会いまして、いろいろ陳情を申し上げました節に、今政務次官が御説明のような御意見がございまして、新しく発生しておる台風がもし本土に上陸をしました場合、またこの被害が相当憂慮されるということから、この災害予備費の使途を何やら出し澁つておる。私はこれはもつてのほかであると思う。もし政府がそういう考え方であるならば、あとはあとで考えるべきであつて、あとの被害を考えて、先に起つて現に塗炭の苦しみをしておる被害者を日に日に見送つて、單に上で小田原評議ばかりやつてつても何にもなりません。具体的に罹災者に対して救助の道を講じてもらうことが必要であります。災害復旧についてはすぐに実行するという手を打つべきであろうと思います。ぜひひとつ農林関係災害復旧についても、きわめて緊急を要するものがございますので、次官はその対策委員会に出席できる権限をお持ちでございますから、関係各局長と十分打合せの上で、すみやかにこれが復旧の緒につけますように、特に預金部資金災害復旧の短期わくにつきましては、ぜひとも各省歩調を一にして、関係方面了解を得て、すみやかにこれが役立つようにお手配を願いたい。なおさいぜん申しました国庫補助地元負担の問題でございますが、これもこういう大きな災害の場合は特に御考慮を願つて政府の方で何とかこの全額負担の特別の処置をおとりくださるようにならぬものか、建設省関係災害復旧等につきましては、全額国庫負担になつておる。單に耕地関係しておる農業関係災害復旧だけに七割五分の政府負担、二割五分の地元負担、その他農業施設については五〇%が政府負担、あとの五〇%が地元負担というような、まことにどうもけしからぬ比率になつておりまして、ぜひこういう重大な被害を受けました災害復旧については、政府で全額負担をするという特別な措置をこの際おとり願うようにできないものか、これらの二点についてさらに御意見を承りたいと思います。
  26. 島村軍次

    ○島村説明員 少し正直に申し上げ過ぎて誤解があつたのではないかと思いますが、出し澁るわけではありません。額が決定をしておらぬわけでございますから、至急に次々手を打たれることと思います。ただお話の通り、公共事業関係は安本の関係がありまして、この間も安本で持ち過ぎては困る、たちだに手を打つてもらう、大蔵省も出し澁るというようなことをせぬようにということは、われわれも強く主張しておりますから、さよう御承知を願います。  地元負担の問題については、さらに検討を加えまして考究することにいたします。
  27. 小林運美

    ○小林(運)委員 ただいま井上君の、今回のジエーン台風に対する各方面からの質疑に対して、政府の所信をお聞きしておつたのですが、私は最近頻々として起ります各種の災害につきまして、政府の大きな方針をお聞きいたしたいと思うのです。おつて具体的な問題は申し上げますが、今まで各種の台風が参りまして、数年間これが追い打ちをやつております。それに対して政府災害復旧熱意と申しますか、そういうものが非常に足りないのでございます。従つて未然に防げる災害が防げないということがたくさんあります。従つてせつかく予算を持つてつても、どんどん上塗りをして行つて、実際の災害以上の災害を受けておるというような現状であります。ただいまもお話がありましたが、百億を持つてつて、そこに五十億くらい緊急に出して、あとのものを大事にしておくというようなことがそもそも間違いなんです。私はここにひとつ、次官にほんとうの腹を承りたいのですが、すでにジエーン台風におきましても、何千億というような大きな被害がある。それに対して百億や二百億ではとても問題にならぬと思う。現在政府は、来年度予算につきましてはいろいろ折衝をされておるようでございますが、二十五年の本年度予算をこのままで終りにするつもりか。補正予算をお出しになるつもりかどうか。ことに農林予算において、補正予算をどのくらいお考えになつておるか。まず第一にそれから伺いたいと思います。
  28. 島村軍次

    ○島村説明員 新聞でごらんの通り、目下来年度予算は進行中でありますが、なかなか閣議の決定がスムースには参らぬような現状にあるようであります。事務的には補正予算をただちに取上げて、目下審議を大蔵省で進めておるのであります。そこで災害関係でありますれば六、七、八月の——現在から言えば古いわけですが、そういう問題も未決のままでありますし、ほんとうを言えばこちらの方を先にきめるべきであるという考えをわれわれも持つておるのでありますが、なかなか進行いたしません。お尋ねの点は、国会がいつごろ開かれますかわかりませんが、事務的には目下急いで進行しておるので、補正予算は提出されるものと予定をいたしております。それから額については今私のところへ、手元に資料を持ち合せませんので、災害だけの問題でありますが、全体についてでありますか、それも目下折衝中でありますので、しばらく御猶予をお願いいたしたいと思います。
  29. 小林運美

    ○小林(運)委員 政府は補正予算を出したいという御意向のようでございますが、それに対する金額もまだはつきりしないというような話であります。私仄聞をいたしたのでありまして、これはほんとうかどうかわかりませんが、大体数十億くらいの補正予算を考えておるという話を聞いておりますが、私はとてもこんな程度では、災害復旧だけでない、各般の予算において、ことしの予算ではとても足りないと考えておる。しかも農林予算においては、御存じのように、最近の災害や、食糧増産という点においても相当足りない、何とかしてこれはふやさなければならぬとだれも考えておるのに、その原局である農林省自体が、ただいま次官の話でははつきり申してはおりませんが、われわれの聞いておるところでは数十億くらいの見当らしい。これでは私はとてもだめだと思う。それもまだはつきりしないので、これ以上私は追究はいたしませんが、もつともつと現在の農村の窮状というものをはつきり認識して拔本的な予算をひとつこの補正予算でやつていただきたい。またさらに二十六年度予算についても、農林省予算はもつと力を入れてやつて行かなければ、農林大臣が一割増産とか何とか言つておるけれども、ただ口だけではだめだ。この前のこの委員会で、快諾をして実行をしない。こんなことを與党の諸君が言つて、ただひやかしていたんでは、実際国民がどうなるか。そんないいかげんのものじやないということをはつきり認識して、列席の農林省の政府委員諸君も、これからひとつうんとがんばつてもらいたいと思うのです。これは私の意見でありますが、以下私はもう少し具体的の問題についてお話を申し上げたいのです。災害というものは、先ほど私が申し上げましたように、防げばかなりの程度は防げる。それが役所の怠慢によつて、とんでもない大きな災害をつくり上げているという事実を、私はここに一つの例として申し上げるのですが、今度のジエーン台風は非常に規模が大きいので、国民も相当関心を持つておりますが、この八月の五日に、私の郷里長野県に起りました豪雨によりまして、相当の被害を見ました。そのうちで浅間山から出て参りました山津浪、これは防げば防げた津浪なんです。なぜかと申しますと、昨年のキテイー台風によつて、山林の風倒木が相当ありました。それが一年たつた。これを相当前から附近の村民も心配しておつた。これを始末しなければ、雨が降つてそれに水がどんどんかさんで来ると、必らず津浪になるおそれがあるということを村民が言つておつた。営林署でもこれを認めて、ぜひやりたいと、こう言つておつた。それに対する経費というものはそう大していりはしない。しかもその経費はあつた。しかもこれは私は現地に行つて、営林署長に聞いたところが、やればできるのを、私の怠慢でこれはできませんでした。こういうことを言つておる。こういう事実があるのですが、それに対するあと始末が何にもしてない。ここに林野庁の方がおられたら聞きたいが、一体そういう事実を林野庁の方は知つておられるかどうか。そうしてその対策をどういうようにとつたか。防げば防げたものに対してそれをやらなかつた。そういうことをいいかげんにしておくから、今後もこういうようなことがどんどん起きて来る。これはひとり山の問題に限らず、あるいは農地でも、海岸でも、そんなことはいくらでもあり得ると思う。私はこういう一つの事実問題について農林省当局のはつきりした御見解を承りたいと思うのです。
  30. 藤村重任

    ○藤村説明員 ただいまのお話に対しまして、林野庁といたしましては、かねがね水害の場合にかかる事実が往々にしてあるということは存じておりますので、そのために水害を助長するようなことのないように、一般の民有林、あるいは国有林を通じまして指導しているわけであります。具体的のただいま御指摘のございました箇所につきましては、詳細についてはいずれ調査をいたしますけれども、今後ともそういうことのないように、さらに一層防止したいと思います。
  31. 小林運美

    ○小林(運)委員 ただいまの御答弁では実際私は意外なのです。あなたの立場はどういう立場か知りませんが、これはすでに長官も知つているはずです。場所は長野県北佐久郡の小沼村という村だ。この部落はいつもこういう危險にさらされておつたので、村民は営林署に毎日日参して、早くこれを片づけてくれと頼んでおつた。それをやらなかつた。それが一晩の豪雨で、朝家族が朝食をとつておつた、大きな音がしたので外へ出てみたらもう水が来ておつた。それで家のおやじが何とかならぬかと思つて飛び出して、振り返つてみたらもう自分の家がなかつた。その部落は一ぺんに押し流されてしまつた。われわれが参りましたときに、そこのおやじはおれの妻を返してくれ、子供を返してくれと言つて気違いのようになつている。そこに営林署の署長も行つておりましてあやまつておる、あやまつたつて始まらないのです。それも自然に来た台風でばあつとやられただけではない。前から妨げば防げるということを役所も知つておる。村民も知つておる。そういうことをやらなかつた。怠慢によつてこういうことになつた。これはもう営林署も知つておる、また長官も知つておる。そういうものをあなた方が知らぬで、これから調査するなんてとんでもない話だ、ずつと前にできたことだ、昨年の台風によつてこの原因ができておる、それを今から調査するとかなんとかいうことは、私は聞きとれない。これの始末をちやんとしてもらいたい。私はただ個人の問題を言つておるのではない。こういうことがすべてに通用するのだということを私は強く要求します。あなたが答弁できなかつたらあしたでもいいから、その前後の処置を委員会にはつきり報告していただきたい。
  32. 千賀康治

    千賀委員長 大森玉木君。
  33. 大森玉木

    ○大森委員 今度の災害は、先ほどからもいろいろ御報告があつたが、しかしながら私どもの地方は、どうもあまり大きな県でないものだから、見落されておるのではないか、そこで、私実は調査をして参つたので、少しばかりくどいようでありますけれども、この調査状態を申し上げて、そしてこれに対する善処方をお願いいたしたいと思うのであります。  今度の本土を襲いましたジエーン台風は、三日午後四時ごろに福井県の西部を通過して、石川県の南部海岸附近に達して、県内で猛威を振つたのであります。そうして七時に能登半島を横切つて、富山湾に拔けて行つたのであります。かような台風は、金沢測候所創設以来、今までかつてあつたことはないのであります。その風速は四十二・八に達したと金沢測候所は言つておるのでありまして、農作物の被害もまた激甚をきわめております。特に被害の大きかつたのは晩生であつて、ちようど開花中であつたために、摩擦によつて受精不能を来したものがほとんどで、さらに水分の過度の発散作用によつて、晩生は見渡す限り白穗と化したのであります。中生についても被害多く、比較的早いものは早期倒伏によつて実りを妨げられ、またおそいものはちようど黄熟期にあつたために充実不完全となつたのであります。技術的に見ても減收となるのはもちろん、なお茶米となるものもあります。早生につきましても、ようやく県下の五割程度は刈取りが済んでおつたのみで、残つた五割は台風被害を受けて、脱落等によつてまた相当の減收となつたのであります。また台風に伴つて潮位が高くなり、海岸線の水田は、塩害を受けることが甚大でありまして、今後ますます拡大の見込みであるが、九月四日現在の被害現状は次の通りであります。被害総面積は、私ども実際に参つていろいろ調べたのでありますが、大体四万六千四百五十九町歩ということになるのであります。それからその減收石数がどうであるかというと、二十五万三百八十一石、こういうふうにいたしまして、全部これを読み上げますとあまり長くなるからあとは省略いたしておきますが、大体総減收というのが二十一万七千五百七十八石、それでありますからその金額においても、全体を入れますと、農産物の価格の減收だけでも二十三億ぐらいになるのであります。でありますから私どもの調査によりますと、大体石川県だけでも二十三億の損害がある。先ほど農政局長からの御報告を聞くと、二十四県にわたつて六十一億何千万円ということを言つておられますけれども、私の県だけでも二十三億ぐらいあるのであります。でありますから、こういう点は調査がまだできておらぬかも存じませんが、私どもの見たところでは、石川県などでもまだまだふえると考えておる。でありますから、来年の農作物に対しては、今からこれを考えなければならぬ。私の地方などの損害は、何が一番大きいものであるかというと、まず夏の間には二化螟虫または旱害、今度はどうであるかというと高潮の関係であつたのであります。高潮の関係はもう護岸をつぶしてしまつて、いつも海水が出入りしておるのでありまして、こうした面積が百二十何町歩ということになつている。こういうものをそのままに放任しておきますならば、来年の作付というものはできないのである。ゆえにこうしたものに対しましては、いかなる処置を講ぜられるかということをお尋ね申し上げ、さらに私は二、三点を断片的にお尋ねいたしたいと思う。  まず今度の台風による災害というものは、簡單なものではなかつたと思う。でありますから、ここに災害臨時国会とでも申しますか、救済臨時国会とでも申しますか、こうしたものを政府は開くお考えはないかどうか。これは大臣が見えておりませんから、政務次官にそういうことをお尋ねするのはどうかと思いますが、何か内輪にそういうお話はないかどうかということをお尋ねいたすのであります。さらにまた今問題になつておりまする米価の問題であります。米価の問題がまたはつきりいたさないということは、いろいろ災害もこうむり、また米価の問題すらもはつきりしないという不安に農民が駆られておるので、こういうふうな問題も早くどういうふうに解決づけられるかということを、お尋ねいたしたいのであります。  先ほどから資金の問題に対しましては、井上委員からよくお話があつたが、この資金の問題に対しましては、ぜひとも何か融通をしていただく、預金部なら預金部からどういうふうにして借るかということを、重複いたすようでありますが、これは大きな問題でありますから、重ねて私からもこれをお尋ねをいたす次第であります。  なおもう一点は今買つておりますところの農業手形であります。この農業手形を一年据置き、一年延期してもらうということもお願いできないかどうか。災害地に対しては、あるいは免税等の関係もありますが、農林省といたしまして免税に対しまする考え方をひとつ推進をしていただきたい。こういうことを申し上げて、なおあらためてまたお尋ねをいたしたいと思います。
  34. 島村軍次

    ○島村説明員 石川県の被害が相当甚大であつたということに対しましては、目下農林省で調べております被害額によつてもお話の通りでありまして、農地、林野、水産の関係を合せても、石川県はこちらの調査によりますと三億四千一百万円というような数字になつております。総額農地関係で六十一億、林野関係で三十五億、水産関係で二十億、総計百十七億九千八百五十万一千円という数字になつております。そこで先ほどお話になりました六十億というのは農地関係だけだつたと思います。農作物全体につきましてはさらに別途調査を進めておるのでありまして、現在までの方向によりましても減收二百万石と推定され、石川県におきましても相当の減收のあることはよく承知いたしております。そこで第一のお尋ねの災害に対する農作物の対策は、先ほど井上さんのお尋ねに対してお答えを申し上げましたように、補償制度による概算拂いをこの際至急に考えたいということが一番の手取り早い方法と考えまして、その解決をはかる予定で進行いたしております。従つてその他の災害対策に対しましては公共施設は公共施設、それぞれに法制の許す範囲で対策を講ずることは前段申し上げました通りであります。  災害国会を開くかどうかという問題に対しましては、私からお答えを申し上げるのは差控えたいと思いますが、補正予算の国会が開かれれば、それに当然災害対策も考えられることだと存じております。  米価の問題は新聞紙上でいろいろ出ておりますように、まだ決定には参つておりませんが、生産費の計算によるもの、あるいは国際価格のさや寄せによるもの、あるいは所得パリテイーによるもの等、あるいは食管の特別会計の許す範囲において、できるだけ米価を増額するというようなことがいろいろ考えられまして、関係各省と協議を進めて参つたのでありますが、現在のところGHQと交渉中でありまして、ここではつきりした数字を申し上げる段階に参つていないことを御了承願いたいと思います。  それから融資については先ほど申し上げた通りでありますので差控えますが、農業手形の延期の問題は、これは手形制度の点から考えまして、別途に救済とか融資の方法が考えられることでありまして、手形の延期ということは現在のところでは考えていないのであります。しかしなお研究を進めてみたいと思います。  それから免税の点は地方税及び国税の税法の示す範囲で、それぞれ研究が進められておるのでありまするので、これも地方税については、各都道府県においてそれぞれ対策が講ぜられ、政府としても、自治庁が中心となつて目下研究を進めておるところであります。以上簡單でありますがお答えといたします。
  35. 大森玉木

    ○大森委員 大体今次官から説明がありましたが、私どもの調べによりますると、米だけでも二十一億五百八十二万円ということになるのでありまして、これに雑穀と蔬菜、果樹、これを合計して、私の先ほど申し上げた二十三億二千六百六十七万円というような数字があげられておるのであります。そのほかの被害は、護岸などは七尾市のような小さな所だけでも、三千メーターくらいのところが二箇所、三箇所ある。とても問題にならないのでありますから、私はこれらの点に対して、農林省から特に調査員を派遣していただくことが、内容を知つていただくのにいいのじやないかと考えるのであります。さらにまた私の県は、昨年あたりは六十何万石でしたか供出をいたしておつたのであります。しかし本年は大体供出をいたす米がない。そうすると、米を県から出してまたもらつて来るというようなことは非常に煩雑なことでありまするし、また困るのじやないか。そういう点に対して、政府はあるいは今どこそこへやれというような割当ができているでありましようが、それはほかの方面からやつていただいて、石川県は石川県だけでも足りないような状態になつておるのでありますから、その操作米に対しては、石川県は石川県で保有するというようなことにしていただくことができないかどうか。これらに対してのお考えを伺いたい。
  36. 島村軍次

    ○島村説明員 災害地に対しての供出は、当然災害に伴う減收の問題で補正割当がされるものと予定してさしつかえないと思います。しかし県全体が不足するからといつて、各人の供出量をかえるというわけのものでもないと思いますので、従つて県で保有するというようなことは、現在の食管法の建前では困難であろうと思います。なお、被害額の点に対する問題は、先ほども申し上げました通り、現在わかつておる程度で二百万石でありますから、お話のように石川県だけについては二十何億になる。全体を通じてはあるいは一千数百億になるものとわれわれ予定をいたしております。
  37. 大森玉木

    ○大森委員 その点私はくどいようでありまするけれども、今大体数字から申しますと、四割か減收になつている。そういたしますと、大体四十何万石が減收になつておるのであります。四十何万石というものがなくなるとしますと、大体石川県は移出するどころでなく、飯米が足りない。食糧事情関係、また割当等の関係は十分にわかつておりまするが、それを出して、また持つて来るということは煩雑なわけであります。それは書類の上において操作し、さらにまたほかから持つて来るものをそこへやるというようなことにしていただきますならば、石川県として非常に好都合であります。今のところ一町歩くらいつくつておつた者も、飯米が一粒もないという者がたくさん出て来ております。今早急にそれらを操作しなければならぬということになるのでありましようが、そういう点は今日まで例はあつたのであります。県内においてでも、何十里先から米一俵持つて来た例がたくさんあつた。そういうむだなことは大分あつた。初めのうちはそういうこともあつたでありましようが、今では米の割当などにいたしましても、五年間たつておりますし、この間にはもはや技術的にそれらのことが進んでおるといたしますならば、こちらに持つて来るものを、あちらに持つてつてまた持つて来るとかいうように、行つたり来たりしておるということは非常に複雑でもあり、また国家としても非常に経済的に損だというように考えるので、なお重ねてお尋ねを申し上げます。     —————————————
  38. 千賀康治

    千賀委員長 公共事業関係につきましては、明日引続き質疑を行うことにいたしまして、これより農業関係公団整理に関する件を議題といたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。
  39. 小林運美

    ○小林(運)委員 議事進行について……。委員長はただいま公共事業関係は明日もやるというようなお話ですが、本日の政府当局の出席を見ましてもこの通りで、明日やつても同じことである。大臣がまず第一に出て来ない。こうやつて休会中にわれわれが集まつて委員会を開く以上は、大臣もちやんと出て、責任ある局長、長官全部出て、いつどんな質問でも答えるだけの態勢を整えなければ、こういう委員会をやつてもむだなことです。委員長はそういう努力をもつとしてもらいたい。そういうことをしなければ、こんな委員会をいくら開いてもだめなんです。先ほど私も質問したのに対して、林野庁長官も午前中いて、午後はいない。わけのわからぬような人がおつて、質問やつても何にもならぬと思う。そういうことを條件としなければ、こういう委員会はいくらやつても同じことだ。むしろやめた方がいい。私は議事進行について。かような発言をして、委員長のはつきりした答弁を求める。そうでなければ、こういう委員会はやめてもらいたい。
  40. 千賀康治

    千賀委員長 大体は小林君の御意見として伺つておきます。しかしながら今はわれわれの予定と事情がかわつております。今日委員会を開くことは、おそらくわれわれが苦心さんたんをいたしておりました農林予算の獲得について、この委員会報告を聞きながら、朗らかに万歳ができる時期であろうと思つて、この委員会計画いたしておつたのでありますが、時あたかも予算工作が大分遅れて参りまして、今最も重要なときで、このために大臣その他の人々は手を拔くことができない。ことに大蔵大臣のごときは、私は面会してこれを要求しておりますが、シヤウプ博士と軽井沢かどこかで会うとかいうことで、向うが重要でこちらへ来れぬということであります。御意見もありますから、できるだけ当局の出席を促したいと思いますけれども、やむを得ない点はどうか御了承願いたいと思います。質疑の通告を許します。河野謙三君。
  41. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 たまたま米価の問題が非常にやかましくなつております。つきましては当委員会におきまして、公団の調査の小委員会を設けて、前国会以来継続調査中であります。この小委員会結論はまだ出ておりませんが、一方において米価の決定の問題がありますので、私はこの機会政府当局に食糧の問題について少し伺いたいと思います。  まず私はお伺いしたいのは、米価の問題につきまして、生産者価格、消費者価格等を決定するにあたりまして、これと並行して当然政府検討しておられる問題は、中間経費の問題だと思います。この中間経費の問題におきまして、現在の中間経費を妥当と認めておられるか、それとも来るべき米価の改訂の時期に、中間経費につきましてさらに根本的の制度の改正もしくは單価の上の修正をされる用意があるかどうか、これをまず伺います。
  42. 立川宗保

    ○立川説明員 今年度の米価の決定にあたりましての基本的な方針といたしましては、非常にむずかしい條件でありますけれども、生産者価格は、なるべく農民の満足する価格、少くとも十分に生産が継続される価格を考えて行きたいと同時に、消費者価格はなるべく上げたくないという前提で考えて参ります。従つてその間においての中間経費は、あとう限りこれを圧縮をして、両者の差をなるべく縮めるというぐあいに考えて進めております。
  43. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 ただいまの企画課長のお話は、今そういう答弁をお伺いする時期ではない。現に具体的に、来年度予算においては米価を幾らに決定するか、秋の米を幾らにするかということは、すでに検討が済んでおるはずである。今のようなお話ですと、まだ食管の方では中間経費についても何らの検討が済んでいない、ただ気持においてはこれから検討しようというふうにお伺いしていいか、それをまず伺います。
  44. 立川宗保

    ○立川説明員 中間経費の削減の問題につきましては、本質的には一つの重要な問題にぶつかつて、方向をいずれにとるかという基本的な問題に衝突しておるということを、はつきり申し上げていいと思います。これはまず具体的な例をあげますと、たとえば一つの加工賃という問題について問題を提起する、あるいは輸送費という問題について問題を考える。その際には、見通しを申しますと、加工形態、加工のやり方を根本的にかえなければ、とにかく加工賃削減の努力をしてもその限度はしれたものである。あるいは輸送費にしても、輸送の形態というもの、たとえば日通の運営といつたようなものを基本的に考えなければ、これは限度があるという問題にぶつかつておるわけであります。そこでこれは加工の問題になりますと、食料品加工業の一つの盛衰に非常に関係をするという問題になります。それから運送のやり方についても、これは非常に大きな問題になりますので、その辺を割切らなければ、基本的にはかわらないということも考えられるのであります。そこでその問題をやはり本式に取上げてぶつかつて行きたいということで、問題に着手をしておりますが、どういうかつこうで割切るかということについての結論は、まだ出ておらないわけであります。
  45. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 重ねて申しますが、今すでに新聞によりますと、来年度の米価につきましても、安本長官が司令部の方と折衝に入つたということを聞いております。これは事実のようであります。その段階まで行く順序としては、まあ事務当局がこういうふうな中間経費、また生産者価格について十分の検討が済んだ上でなければ、こういう政治折衝には入れぬはずである。でありますから、私は済んでおると思わざるを得ない。それがもし済んでいなければ、事務当局は、現在の米価の計算の基礎になつておる中間経費その他を、そのままとつてつて年度の中間経費としてやつておられるということに解釈せざるを得ない。私は少くともそうではないと思う。この点を伺つておる。課長の今後やらんとする気持を聞いておるのではない。現在までどういうふうな作業をされて、その結果どういうようになつたかということを、少しこまかい話でありますけれども、考えてみれば大きな問題でありますから、私はお伺いしておるのであります。
  46. 立川宗保

    ○立川説明員 私が聞いておりますところでは、安本長官はまだ司令部との折衝に入つておられないようであります。この中間経費の金額のきめ方については、現在数字を一々当りつつあるところでありまして、まだこういう数字にいたしますという結論には到達しておりません。
  47. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 はなはだ驚き入つた話でありますけれども、まだそこまで行つておらないというからしかたありません。私はこの際苦言を呈しますが、国民はみんなあしたなり一箇月なり半年先のことを考えて生活しているのです。政務次官でも企画課長でも、過去のことだけを考えて生活している者は一人もないと私は思う。今の米の問題にしても、いもの問題にしても、すべて農民はいつ米の値段が発表になるだろうか、秋の米は幾らになるだろうか、また続いて来年の麦は幾らになるだろうかと、今から来年の麦のことを考えておる。今米価の決定ということはすでにおそい。それを決定しなければならぬ段階になつて、まだそういう検討が済んでいないということは、うそのように思いますけれども、これは課長がうそを言うはずはないので、できていなければしかたがない。それで私の方から具体的に申し上げますが、米の中間経費をとりましても、食管の中間経費が米一俵に対して四百三十五円九十銭かかつておる。そのほかに食糧公団の中間経費が百六十三円ばかりかかつておる。この内容を洗つてみると、実に奇怪千万です。私は今まで十五年間輸送のことをやつておりましたので、多少輸送のことを知つていますが、食管の日通との元請契約をちよつと一ページ繰つても、すぐこの内容に非常ないまわしい点があることに気がつく。たとえば一つの例をとれば、製粉工場へ原料の麦を配給しておる。その配給しておる経費がどうなつておるかと申しますと、着駅から製粉工場まで持つて行く運賃、トラツクもしくは馬車賃、これらの平均キロを五十キロ以上と計算しております。一体全国の工場で駅から五キロ以上離れた製粉工場が幾つありますか。しかもそれが平均して五キロ以上に計算されておる。かりにそういう工場がありましても、それらの工場はいわゆる山の中の工場で、製粉能力はほとんどない工場である。そういうようなものを見ましても、すぐにおかしなものが出て来る。また米の、日通元請の県内の輸送賃は、一俵について五十一円二十銭見ておる。それから県間輸送と申しまして、県から他の県へ持つて行く場合に三十円五十四銭、またこまかくなりますが、町村から駅へ出すまでの平均運賃を二十七円六十五銭見ており、着いてからそれぞれの配給先の食糧公団なり政府の倉庫へ持つて行くまでの平均運賃を二十四円見ておる。こういうことをちよつと見ますれば、政務次官が輸送のことをかりにあまり御存じないとしても、すぐ変だということはわかると思う。こういうことがたくさんあつて、こういう問題を整理するにあらずんば、ほんとうの意味の農家が納得するところの米価というものは決定できないはずである。なぜこういうことをやらないか。私はこういう問題につきまして、もう少しく真劍に、時期を得て検討してもらいたいと思う。同時に現在行われております中間経費というものには、こういうふうなわけで、非常に余裕財源がたくさんできておるわけである。まさか私はかつての公団のように、運賃の二重伝票を出したとか、また変な政治貸金を使つたとかいうことは考えません。食管の特別会計というものはもう少し嚴格にできておると思いますけれども、少くとも現行の日通の元請契約その他の現行の食管特別会計の予算、この予算と実行予算とを比較いたしました場合に、私は非常に厖大なものが出ていなければならぬと思う。こういうものは企画課長は検討されておるはずである。この検討の結果、来場年度のものはきめなければならぬ。なぜそういうことをやらないのか。私はこの点につきましてさらに少しく意見をつけ加えますが、絶対に私は来年度から日通の元請契約による政府輸送は、農民の側からいたしましても、消費者の側からいたしましても、国民全体からいたしましても、まつ平ごめんであります。この日通の食糧の元請契約、これをただちに廃止する意思があるかないか。企画課長にはこの言明はむりでありましようが、政務次官から場合によつては私は御答弁をいただきたいとかように思います。
  48. 島村軍次

    ○島村説明員 ただいまの具体的の事実をあげてのお話は、私もいろいろ承つておるところであります。しかしそれがはたしてお話のごとく非常に不合理なものであるかどうかということに対しては、なお検討の余地があると思うのであります。そこで結論として、元請契約を廃止するかどうかという問題についても、やはり検討を進めてみなければならぬと思います。米価の決定には関係がないとは私は出し上げませんが、しかしそれによつて合理化することになれば、従つて食管会計の方も余裕の出る場合もあり得ることだと思いまするので、お話の点をよく肝に銘じまして、ひとつ調査をさらに進めることにいたしたいと思いますので、御了承を願います。
  49. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 政務次官は御多忙でありましようけれども、これは何といつても目先の米価の決定の問題に非常に関連があります。でありますから、今日ただいまから一日、二日のうちに御検討願いたい。事務当局の方には十分検討ができておるはずであります。もし事務当局にして良心的な答案が出れば、すぐ答えが出るはずです。この点強く要求しておきます。  次に私はかんしよの問題についてお尋ねいたしますが、先日本年度政府買上げのかんしよの値段が、ある新聞に発表になつておりましたが、これは事実でありますか、これをお伺いいたします。
  50. 立川宗保

    ○立川説明員 私その新聞を拜見をしておりませんけれども、まだ政府の今年度のかんしよ買上げ価格は検討中であり、未定であります。従つて出ております価格はどういう価格か存じませんが、決定案ではもちろんありません。
  51. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 未定であるならば、これまたすでに私の方の県あたりもほとんどいもは終つております。至急におきめ願いたい。同時にこのかんしよの価格を決定する場合に、従来通りの対米比率によつておきめになるということは疑う余地はないと思いますけれども、過日誤つてのことか知りませんが、新聞に出ましたかんしよの価格は、従来の政府のかんしよの価格を算出する場合の対米比率の基礎とは違つております。でありますから私は念のためにお尋ねいたしますが、今後おきめになる場合には、従来通り、かんしよの価格の決定は対米比率によつておきめになるということは間違いないであろうかどうか、これを念を押しておくと同時に、いつごろこの価格を発表できるか、これもお伺いいたしたいと思います。
  52. 立川宗保

    ○立川説明員 従来の対米比率通り決定するかどうか、これは非常に重要な研究問題だと考えております。従来の対米価比率通り決定いたしますという方針は、私どもとして確定をいたすところまで参つておりません。と同時に従来の対米価比率よりも引下げたらどうかという考えもあります。これは戰前の対米価比率等から考えますと、現在のかんしよの対米価比率は高くなつております。最近のごとく食糧の事態が漸次緩和をいたしまして、いもあるいは雑穀等が統制からはずれるという時代になりますと、戰前の対米価比率も参酌せねばなるまいという意見もかなり強くありますので、従来の対米価比率通り決定をいたすということになるかどうか、これはかなり問題だろうというぐあいに考えております。  それからかんしよの価格の決定発表でありますが、これはまだ明確にはわかりませんが、九月中にはそういう運びになるのではないかというぐあいに考えております。
  53. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 いつの間にか政府の方針が大転換しているのに驚いたのですが、かんしよの価格を決定する場合には対米比率によつてやるということは、しばしば言明があるわけなんです。それを必ずしもそうでない、むしろ下げなければいかんかもしれない、戰前の対米価比率にかえなければならぬかもしれぬというように、政府が態度をかえなければならぬということは、一体どういう條件でそういうふうなことになつたか、この政府の態度がかわつた一つの要素と申しますか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  54. 立川宗保

    ○立川説明員 私は、私事を申して何でございますが、最近この職に参りましたので、いもの対米比率は昨年あるいは従来通りとするかということについては十分承知しておりませんけれども、現在昨年の対米価比率をかえるかどうかという問題についての根拠は、先ほど申しましたように、いもは自由商品になつておる。それで政府の価格支持のためにこのいもを買い上げる、こういう態勢にかわつた。従つて自由商品という性格を持つて参りますと、この価格決定についても、完全に統制されて、少くとも法制の上では全部政府以外に売ることができないということになつておる時代とは違つてよろしいのではないか。高く売れれば幾らでも高く売つてよろしい、政府の買上価格というものは一つの最低価格の保障になるということになりますと、その対米比価というものが、必ずしも完全に統制をいたしました時代とは一致する必要はないじやないかということは考えられるわけであります。但し從来の対来比価を必ずかえるという決定もいたしたわけでないのでありますが、その辺はいろいろ討議をいたしておるということであります。
  55. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 時間が長くなりますから、これについてあまりくどいことを申しませんが、ただつけ加えて申しますことは、今お話がありましたように、今度のいもの買上げ問題は、農民の保護の立場でやられたことなのである。決して食管の特別会計がこの値段で買つたら赤字になるから、もつと下げろというようなことで動かしてはいかぬ問題なのであります。率直にあなたから言つてもらいたいと思う。今度のいもの価格の決定に当つては、食管は、何とかして赤字を出すまいという基礎のもとに立つていもの価格を逆算して出そうとしておる。これは事実である。これは邪道です。どこまでもいもを自由に持つて行くには、過渡的措置として一年や一年半はかような一部政府が買上げをやらなければいかぬという農民保護の立場から行つておる。でありますから、食管の特別会計に赤字を出さないためには幾らの値段で買つたらいいか、そういう基礎の上に立つてのいもの価格の算出の仕方はやめてもらいたい。それに間違いない。課長にそういうことを言わせることはむりだと思いますから私の方から言います。そういうことで算出することは絶対困ります。企画課長の立場で、そういうふうな邪道の価格の算出をしないようにしてもらいたいということを申し上げて最後の一点に移ります。  雑穀の統制撤廃の問題でありますが、現在割当しております雑穀は、割当完了後においては自由販売をするということを、政府はしばしば公式、非公式に発表されておるのであります。これははたして今日ただいまにおいても、従来言明があつた通りに、本年の雑穀につきましては、現在割当をしましたものが済みましたら、順次供出後の自由販売を認めるという御方針に変更がないかどうか。それを念を押してお伺いするとともに、供出後の自由販売につきましては、一体地区別に順次はずして行くのか、供出が完了したら全国一本にはずすのか、県ごとに供出の完了した県からはずして行くのか、また小さい町村ごとに、供出後の自由販売を認めるのか。それらの方法、時期等についても、ひとつ具体的にお伺いしたいと思うのであります。
  56. 立川宗保

    ○立川説明員 一つの基本問題でありますので、われわれ事務官僚の末端の者が申し上げることは非常にぐあいが悪いと思いますが、雑穀の統制撤廃につきましては、現在内部でいろいろ考えられておりますことを、内輪話的に率直に申し上げます。冬雑穀は御承知の通りのかつこうでありますが、夏作雑穀については、米と一緒にして割当をしますから、いきなり統制を撤廃するというわけには参りません。それで米と一緒に割当てておりますから、事前割当の範囲内ならば、これは農民は当然出すべく期待しておりますし、またそのつもりで作物にかかつておる。そこで事前割当の線が出て来るまでは政府が買うべきであると考えております。それから事前割当を完了いたしました後においては、こういう時代になりますと自由に売つてもさしつかえないのじやないか。これは各雑穀を取扱いました線でありますが、大体夏雑穀もそういうことになるのではないか。ただいまのところ内部的にはそういうように考えております。従つてお尋ねでありますが、県別にあるいは町村別にということでなしに、個人別に完了した人から順次にはずして行く、こういうことになるだろうと予測しております。但し大豆については、これは蛋白資源として非常に重要な資源でもありますし、これをいきなりはずしていいかということについては、相当疑問を残しております。これは多少その点はずすということにしないかもしれません。
  57. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 雑穀の割当につきましては、末端に行きますと、やはり米代替というよりは、落花生で幾ら、あずきで幾ら、米で幾ら、こういうふうに初めから割当を受けておる。そういう場合には落花生なら落花生の割当を受けた者は、その割当を完了した後は順次自由販売にしていいと解釈していいのですか。  それから私は政務次官に御参考に申し上げておきますが、先ほどの食糧公団の中間経費の中で、一つの極端な例を申し上げますと、今全部で百六十三円七銭になつておりますが、その中で食糧公団の中間経費で雑收入という面がある。それが二十五円九十四銭になつております。この内訳を見ますと、食糧公団の末端で空俵の処分をしますと、この空俵が一俵なんと四円四十六銭に予算が組んである。米ぬかのごときは一キロについて六円六十九銭、いずれもこれは市価の三分の一もしくは四分の一の値に組んであります。かように收入の方は非常に過少に見て、支出の方は多く見る。これはこのプラス、マイナスの面を引いて行きますと、食糧公団だけでも少くとも一俵について三、四十円の中間経費の節減ができる。百六十三円中で三十円ないし四十円の中間経費の節減が十分できると私は思いますから、御参考に一つつけ加えておきます。
  58. 井上良二

    ○井上(良)委員 私も今河野君が質問したように、米価問題について伺いたいのですが、これは御承知の通り安本の物価庁が参りませんと困りますので、きようは農林省の考え方だけを伺いたいと思いますが、今河野さんからいろいろ詳細にわたつての質問がございましたが、農林省はさきに従来のパリテイー方式の米価算定は、今日の段階ではもうすでに採用すべきでないという見地に立ちまして、限界生産方式の新しい計算方式によりまして、五千四百七十一円というものを俵込みで出しておるということでありますが、こういう計算をやつたことがありますか。これを伺いたい。
  59. 立川宗保

    ○立川説明員 一つの試算としてわれわれの方でやつたことはあります。
  60. 井上良二

    ○井上(良)委員 農林省が物価庁並びに大蔵省に対して、本年度産米の生産者価格は幾らが妥当なりという、その算定の基礎は何によつて原案をお持ちになりましたか。それを伺いたい。
  61. 立川宗保

    ○立川説明員 これは今回の米価の問題につきましては、来年度予算の米の單価に関連をいたしまして、閣議あるいは関係閣僚懇談会等で相談の上決定になりましたので、われわれの方はいろいろ試算をいたしまして、これを大臣その他首脳部の方に差上げたのでありますが、大臣がどういう基礎資料によりましてどういう御主張になりましたか、その辺のことはさだかには存じておりません。
  62. 井上良二

    ○井上(良)委員 大臣としてはもちろん米価を何ぼにきめるべきが妥当なりという農林省の責任者として当然のことでありますが、その作業をいたしますあなたの、特に企画課でありますか、農林省の米価決定の作業をやつておりますのはあなたの課でありますが、あなたの課としては、本年度産米を何ぼにきめたらいいという結論をお出しになりましたか。これを伺いたい。
  63. 立川宗保

    ○立川説明員 これは非常にむずかしい問題でありまして、実はおそらく十に近い試算をやつてみました。そうしていろいろな角度から計算をいたしまして、これは同じ生産費で計算をいたしましても、低いものは石四千六百円から、高いものは六千円近くの生産費が生産費の算出方式によりましても出るわけであります。そこで結局限界生産費という基準をとりましても、その限界生産の農家の生産費を全部価格でカバーをするのがよろしいか、それとも価格でこれを補償をするということだけでは完全に行かないから、これはその他の方法、たとえばいろいろな單作地帶補助金でありますとか、土地改良でありますとか、あるいは災害の共助でありますとか、そういう方法でいろいろカバーするということになりますと、限界生産費のぎりぎりまでとらなくてもやつて行ける。要するに国家支出及び米価の算定全体を通じてこの考え方を立てればいいわけであります。そこでその辺の判断は総合判断でありまして、来年度予算の決定並びに本年度予算実施のやり方になりますので、私どもといたしましては、生産費計算方式によりましても、種々の考え方が成り立つわけでありますが、資料を提供して総合判断は大臣にお願いする、あるいは首脳部にお願いする。かようにいたしたわけであります。
  64. 井上良二

    ○井上(良)委員 非常に大きな点でありまして、農民は農林省が実際米の生産及びその管理、買上げの本家本元でありますから、農林省の米価の算定というものに非常な期待をかけておるのであります。農林省こそわれわれの味方であると考えておる。従つて農林省が本年度の産米に対して何ぼの生産費を出してくれるかということは、全農民の期待するところであります。しかるにあなたの今の御説明によりますと、一定の試案と申しますか、何ら根拠のない、動揺はなはだしい試案を、單に大臣の政治的な考慮に待つという。そういうものじやないと私は思う。少くとも全農民が納得をし、得心をして、これなら政府の要求される供出を百パーセント出そうという、あやまちのない、正確な科学的な基礎に基いた計算をされなければならぬ。これが大事なのでありまして、いろいろな試案がある、いろいろなやり方がある、それはもちろんいろいろなやり方がありましよう。しかしだれが考えても妥当的に考えて、これが適正米価なりという一つの科学的根拠を持つたものを、政府としては持つておらなければならぬ。そこで今申します通り、賃金ベースや物価等にも影響して来る問題でありますから、それらの点は政府でまだいろいろ考慮を拂うべきことがありましても、農林省自体の生産費価格の算定の基礎というものは、これが正しいのでありますということを、あくまでも主張し得る基礎的な材料がなければならぬと思います。それをひとつお示しを願いたいと私は言うておる。そうしますと、あなたの方では幾通りもの試案をつくつて、取捨選択は大臣にまかした、こういうのでございますか、それとも何か安本が主張し、あるいは大蔵省が主張し、あるいは物価庁が主張して来ます案よりも、これならば太刀打ちできるという案を持つておらないで、どうして一体農民の味方としての政治がとれますか、この点をひとつ明らかに願いたい。
  65. 島村軍次

    ○島村説明員 井上さんの御説はごもつともと思うのであります。企画課長の申し上げたデーターは、私もいろいろ拜見をいたしました。それで農林省としてこの資料をいろいろ検討をいたしました結果、大体生産費を主体に置くべきものだという考え方には間違いはないのでありますが、それからのちの最後の決定については、いろいろ省議あるいは閣議等で、ほかの要素を検討された結果、今GHQと折衝中という過程にあるわけでありまして、さように御承知を願いたいと思います。
  66. 井上良二

    ○井上(良)委員 これは非常に大事な問題ですから、委員長ひとつしばらく時間をもらいたいと思います。これは大事なことで、今、次官の御答弁によりますと、一応の案をつくつた、特に農林省は生産費を主体にすることに計算の基礎を置いた、こういう重大な発言をされております。ところが本年度の米価の決定の経過を見てみますと、農林省のこの主張にかかわりませず、安本、物価庁、あるいは大蔵省等はパリテイー方式を算定の基礎としてあくまで採用しようとして来ておるのであります。パリテイ方式によつて年度米価一七五・一六これで大体四千七百五十円くらいのところを押えて、食管の特別会計に多少黒字でもあつて財源に余裕でもできれば、二、三百円を加えてもよい。こういうまことに農民の納得することのできない、また消費者も納得していないような米価の算定方式がずつと経過的にとられて来ておるところに、われわれ国民としては見のがすことのできない問題があるのであります。そこで今あなたのおつしやいました、農林省が生産費を主体として本年度の米価を算定するという御方針は、まことにわれわれ賛成をいたすのでありますが、あなた方の農林省においてとられようとする、生産費を主体とした本年度の産米の価格は一体何ぼにおきめになつたか、それをお示し願いたい。
  67. 島村軍次

    ○島村説明員 生産費の限界生産費は、ただいま井上さんの方から五千四百七十一円ということの御発言があつたようでありますが、この問題については、農林省の原案は、生産費の計算の結果、五千五百円程度を妥当と認めておつたことはここで申し上げてさしつかえないと思うのであります。ただ従来から御承知の通りに、生産費のみによるという決定方式が——パリテイー方式によつて今日まで参つておりますので、本年度の米価決定に対しては、パリテイー方式のみによることをどこまでも生産費方式にかえてもらいたいということが、われわれの主張の第一点でありますし、経過的に申しますと、そこにいろいろの交渉の経過がありまして、ただちにわれわれの希望する、そういう数字に決定するかどうかということが、現在の経過段階でありますので、この辺ひとつ御了承を願いたいと思います。
  68. 井上良二

    ○井上(良)委員 農林省が本年度産米の計算にあたりまして、限界生産費を基礎にして、計算の方式に新しい方式をとられたということは、一つの進歩であろうと私は考えております。これは九月七日の予算閣議において申合せがされております。その農林省の主張する案はすりかえられて、予算米価にかわつて来ておるのであります。しかもその算定の基礎はパリテイー方式が採用されておるのであります。そうしてある程度これに加算額をつけるということでございます。そうしますと、私がさいぜん申しました、安本の物価庁が計算をいたしましたパリテイー方式に、食管の特別会計の中に多少融通する金がある、といいますか、余裕を生じた金が出るということを想定のもとに、五千二百円見当の案が大体本年度産米価格として採用すべきでないかという、ここに一つの見通しを持つことができるのであります。そうなりますと、あなた方が農民に対して、せつかく五千五百円に近い案を御決定願いましても、これがまつたく閣議ではすりかえられて、農林省としての面目はまるつぶれの形になつておる。しかもここで特にあなた方農林省側の立場から御主張願いたい点は、パリテイー方式というものが、今日米価決定の上に非常な矛盾を来しておることは、申し上げるまでもないことでありまして、これをかりに採用するとしても、それならば、その上に一つの賞與的な加算額を加えるというようなあいまいな米価の決定というものは、これは何としても納得できない。パリテイー方式ならパリテイー方式ではつきりしておいて、それに対して何ぼを増産した者あるいは供出した者には、これこれの増産奨励金を出すなら出すということの方がはつきりしている。それが何やらわけのわからぬ形で、ことさらに農林省が要求しました五千五百円案を、安本の案との妥協において五千二百円くらいのところで押えねばなるまいというようなところから、予算米価として説明のでき得ないような内容のもとに、本年の米価がきめられようということは、農民は納得することはできません。また消費者もこんな米価の算定に賛成することはできません。そういうことからして、あくまで私は農林省が主張して行こうとする生産費を基礎にした計算方式を主張されて、この線で堂々と大蔵省なり物価庁と闘うべきである、こう考えますが、特に農業団体に長い経験を持たれ、農業関係の権威者であられまする島村さんがおられまして、みすみす引下がるというばかはありませんから、この際米価決定転換の非常に重大な場合でありまして、一つここで讓れば重大な問題になつて来ますから、特にこの点については、さらに一段米価決定についての御努力を願いたいと私は思うのでありますが、これに対してあなた方の御主張されます案がかりにくずれて、こういう説明のつかないような案にきめられてもしようがない、こうお思いでございますか、これをひとつ企画課長と政務次官に伺いたい。
  69. 島村軍次

    ○島村説明員 御激励はまことにありがたく拜承いたす次第でありますが、われわれも農民の一員として、従来生産費計算を主張して参つたことは、井上さんと同様であります。しかし井上さんも当局で農林政務次官に御在任中は、必ずしもそれが用いられなかつた事態もあり得ることでありまして、現在私は微力で、大いに努力をいたしておりますので、この上ひとつ御鞭撻をお願い申し上げます。
  70. 井上良二

    ○井上(良)委員 もう一点……。これも河野さんが御質問しておりましたが、中間マージンの問題でございます。かりに五千二百円台にきまるといたしますと、政府の案では消費者価格は七千円、こういうことになりまして、この間において千八百円というものが中間経費になるわけであります。中間経費の内容につきましては、河野さんからいろいろ詳細に説明がございましたが、われわれこの問題につきましては、毎国会において問題にしておる。ことに食管特別会計の中に、特に中間マージンの中に食管の人件費が加つておるということであります。これなんかはまつたく一つ政府の仕事としてやつておることで、それを消費者に負担させるというようなばかなことはないのでありまして、これはぜひひとつ予算の編成の過程にあります今日、相当あなた方から主張されまして、これは一般経営費から支出するように、予算の組みかえを要求されることが至当ではないかと思う。その次に保管料それから輸送料、これはいずれももう少し検討を加え、ことに最近の物価事情、一般の需要関係を考えますならば、相当大幅に引下げていいということになつている。特に日通の下請につきましてはいろいろな問題が至るところにありまして、これはいずれまた次の機会に十分具体的に質問をするつもりでありますが、これらの点について、まつたく企画課としては具体的にちつともメスを入れていない。さらに加工料の問題にいたしましても、実に従来の加工賃をそのまま踏襲しようとしておる。これなんかは相当検討を加えられて、相当自由競争的な方法でやりかえる方法もあり得るのでありますから、もう少しメスを入れますならば、中間経費に千八百円もとられているということは、消費者側におきましても、生産者側におきましても納得できない中間経費でありますので、これは相当圧縮される必要があろう。これらの点について十分ひとつ考えをまとめてもらいたいと思うのであります。なお私はこの場合特に——もう時間がありませんから触れたくないのでありますけれども、最近政府では省令並びに政令を出されて、食糧配給公団の末端を、民間にこの十月末をもつて移行するということに決定をしたという省令、政令が出たのであります。この間われわれといたしまして、いろいろここに問題がございますが、たとえて言いますと、かりに民間機関に移行しました場合、その間の売掛代金はどう処置されるのであるか。委託経営の間はともかくもよろしいが、買取制度になりました場合に、一体売掛代金はどうするのか。單に売掛代金を支拂わなかつたら、委託販売なりあるいはまた買取販売業者の資格をとつてしまうということで一体処置がされると思うかどうか。それからこの末端販売業者は一体どういう機関でやらそうとするか。現在の配給公団の配給所をそのまま活用するということは一応想像できますが、そうしますと、一般の販売業者になろうとする資格を持つた者を、一体どうその間その業につかさずに置こうとするか。たとえば来年の三月に配給業務に携わる者について登録をさすという話もございますが、そうするとその登録するまでは一般の販売業者になろうとする希望のある者は、来年の三月まで指をくわえてじつと待つておらなければならぬ。またこの間委託販売によつて全国約二〇%余りのものが、公団の末端配給の委託配給機関になつておるように私は考えておる。しかもその委託配給機関の大部分は農協であります。ところが農協は政府の売掛代金をたしかに一回分か二回分、はなはだしきは一月分掛けで買入れて支拂う形になつている。そうなりました場合、一体その売掛代金をどう処理しようとするか、この問題は非常に大きな問題であります。全体配給量の二割以上に達しておりますから非常に大きな問題であろうと思うが、これらの問題に対してどう処置されようとするのであるか。これらの点について伺いたいのと、それから民間に移行されました場合に、幽霊人口が当然ここに登場して参りますが、幽霊人口を政府は一体どう押えて行こうとするか、これらの点について一応伺つておきたい。
  71. 立川宗保

    ○立川説明員 末端配給所の切りかえにつきましては、さしあたりは現在の公団配給所でただいまのところは切りかえて行きたい。しかしながら米屋さんにつきましては、準備をいたしまして、来年の二月、全国的に完全な自由登録をやるというぐあいに考えております。現在の公団の配給所は、直営配給所と委託配給所と合せて三万軒でありますが、現在の政令の條件で参りますと、おそらく来年の二月にはこれがさらに十万軒近くにふえるのではないか、かう考えます。従つてその際に新しい企業に進出したいという人が入つて行く可能性は、十分にここに残してあるわけであります。その間しばらくの間進出しようとする者が、すぐには米屋になれぬということは御指摘の通りでありますけれども、この点は公団の解体を秩序よく整然とやるために、しばらくはがまんをしていただかなければならぬのではないか、こういうぐあいに考えておるわけであります。  それから今度の新しい民営配給所に対する売掛代金の問題でありますが、これは建て方といたしますと、今度は公団に対して政府から直接卸、卸から小売となるわけでありますが、政府の卸に対する販売の條件といたしましては、やはり即金で買つてもらうという建て方に原則としてなると思います。しかしその間には十分金融機関と相談をいたしまして、円滑な移りかわりをせねばならないと考えておりますので、現在いろいろな金融機関の方面、それからまた大蔵省、安定本部等の金融方面とも相談をいたしまして、どういう資金決済のやり方をやるかということについて、十分相談をしております。それから政令にはもう一つまた卸売機関の條件といたしまして、資力の十分な人という條件が入りましたので、この面である程度の制限を受け、またある程度の基礎にもなるという、両々相まつてこの辺の円滑な推移を見通したいというぐあいに考えております。
  72. 井上良二

    ○井上(良)委員 私まだ質問がありますけれども、あす物価庁の次長、食糧庁の長官それから大蔵省の主計局長をこの問題に関連しましてぜひ呼んでもらいたい。
  73. 千賀康治

    千賀委員長 承知いたしました。河口君。
  74. 河口陽一

    河口委員 米価問題に関連して二十四年度のバツク・ペイの問題ですが、第八国会でもその価格が発表されておりましたので、支拂い時期をお盆までというような希望もあり、これに対して食糧庁長官は大体了承されておつたのですが、いまだに支拂いがない。單作地帶ではこの秋の仕入れに対して、いろいろと資金難の実情に立ち至つておる、そういう際で一日も早くこの金の支拂いを待つておるわけであります。これの時期についていかようにお考えになつておられるのか、またいつの時期にお拂いになるのか、この際言明されたいと思います。  それからもう一つ米価問題につけ加えてでありますが、第八国会で、これも食糧庁長官が麦の超過供出の割合を一・二五に引下げた、その残りは米価に織り込むというような御説明があつたのですが、これは現在米価の算定にあたつて事務当局では考慮されておるやいなや、これをお答え願いたいと思います。
  75. 島村軍次

    ○島村説明員 バツク・ペイは実はもう済んでおるはずであります。もう現に数府県から私に、何回も方々へかけずりまわりましたのでお礼が来たようなわけであります。何かの間違いじやないかと思います。
  76. 立川宗保

    ○立川説明員 今の麦の超過供出の残りの分でありますが、これは事務的に今年の米の価格に織り込むというぐあいに今相談をやつております。そういうものを織り込んで、閣議なり関係閣僚の懇談会なりで先ほどお話のありましたことが進行しておるというぐあいに了解しております。それからただいま政務次官からも申されましたバツク・ペイは、何かの間違いであろうと思いますので、もしそういう未拂いのところがありましたならば、至急に私処置をいたすつもりでおります。
  77. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りいたします。明日は午前十時から開会することにいたしまして、本日はこの程度で散会することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 千賀康治

    千賀委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時六分散会