運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-31 第8回国会 衆議院 農林委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月三十一日(月曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 足立 篤郎君 理事 野原 正勝君    理事 松浦 東介君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    川西  清君       河野 謙三君    中馬 辰猪君       中垣 國男君    幡谷仙次郎君       八木 一郎君    大森 玉木君       吉川 久衛君    坂口 主税君       足鹿  覺君    木村  榮君       河口 陽一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (蚕糸局長)  最上 章吉君  委員外出席者         議     員 原田 雪松君         農林事務官         (農地局長)  佐野 憲次君         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君         経済安定事務官 石田 政史君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君 七月二十九日  委員川西清君及び平野三郎辞任につき、その  補欠として金原舜二君及び柳澤義男君が議長の  指名委員に選任された。 同月三十日  委員金原舜二君及び柳澤義男辞任につき、そ  の補欠として川西清君及び平野三郎君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の合議に付した事件  小委員補欠選任  農業関係公共事業に関する件  畜産に関する件     —————————————
  2. 松浦東介

    松浦委員長代理 これより農林委員会を開会いたします。  委員長委員長会議出席いたしておりますので、私が職務を代行いたします。  本日の議事に入ります前に、小委員補欠選任についてお諮りいたします。去る二十二日、原田雪松君、二十九日、平野三郎君、川西清君の委員辞任に伴いまして、畜産に関する小委員が三名欠員になりましたが、その補欠として、    岡崎 勝男君  平野 三郎君    川西  清君 をそれぞれ委員長において指名することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松浦東介

    松浦委員長代理 御異議なしと認めまして、さように決定いたします。     —————————————
  4. 松浦東介

    松浦委員長代理 本日は畜産に関する件、肥料に関する件について、農林大臣出席要求いたしておいたのでありますが、農林大臣は参議院本会議出席いたしておりますので、そちらがあき次第に出席することになつておりますから、大臣が見えます前に、公共事業小委員長より、公共事業関係について、質疑をいたしたいとの申出があります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松浦東介

    松浦委員長代理 御異議なしと認めます。それでは八木一郎君。
  6. 八木一郎

    八木委員 一昨日の委員会で、本日の委員会農林委員会とは別個の会場で、公共事業の小委員会を開くかわりに、各委員から要求されておりまする資料を、まず政府より提示してもらい、この委員会として農林関係公共事業一般についての質疑を行うように、書いたもので申入れておいたのでありますが、その申入れ通りに事務的な処理がされておりません。公報には農林関係公共事業の議案を載せてないし、資料についても、まだできていないというのですが、その間の経緯を委員長よりまず回答を願いたいと思います。
  7. 松浦東介

    松浦委員長代理 今事務当局から聞きますと、そういう申出があつたそうでありますが、事務当局からは政府資料要求をいたしておりますが、まだその提出がないそうであります。これは後刻よく調査の上に、お答えいたしたいと思います。
  8. 八木一郎

    八木委員 それでは当該資料に関しまして、当該事項を担当しておられる局長より、とりあえず口頭をもつて、その資料に関する説明を求め、後日印刷した資料要求委員に配られるようにとりはからい願いたいと思います。
  9. 佐野憲次

    佐野説明員 当委員会から政府の方に対しまして、資料の御要求があつたのでありますが、政府委員室でも昨日受取つたのでありまして、ちようど日曜日でございましたので、まだ資料の整備ができておりません。はなはだ残念でございますが、今準備をさしておりますから、でき次第お出しをいたしたいと思うのであります。
  10. 八木一郎

    八木委員 会期はきようで終りですが、特にこの土地改良、治山、治水を中心とした予算対策に思いをいたして、継続審議をしようという際でありますので、本日限りに委員がそれぞれ都合があつて、なかなか会合の機会がないので、いわば大晦日の本日、ただいまのところ説明し得る範囲において、説明を求めたいと思います。
  11. 松浦東介

    松浦委員長代理 八木委員にお答えしますが、何か昨日畜産に関することと公共事業に関する件は、継続審議要求しているそうでありますから、その際までになるべく資料を提出するように、政府の方に申し伝えます。
  12. 八木一郎

    八木委員 口頭説明できないのですか。
  13. 佐野憲次

    佐野説明員 御配付申し上げます資料ができておりませんので、ひとつ概要をお話することにいたしたいと思います。  御承知ように、現在わが国におきましては、年々約三百万トンの食糧不足いたしているのであります。換算いたしまして、約千五百万石以上のものが不足いたしているのでありますが、今後の人口増加、あるいは人口産業別の配分の予想等からいたしますと、年々食糧不足増加は二百四十万石程度に達すると考えられるのでありまして、十年後におきましては、現在の不足量と、新たに起ります不足量とを合せまして、約三千九百万石の不足を生ずるというふうに考えられるのであります。そのほか、家畜の濃厚飼料であるとか、人の食糧と競合しているものを考えますと、不足数量はさらに増加すると考えられるのでございます。  御承知ように、わが国耕地面積は非常に狭いのでありまして、全体の面積の約一六%くらいしかないのでありまして、他の諸国にくらべますと、国土に対する耕地面積割合は、きわめて狭小であるのであります。一面人口は非常に多いのでありまして、この食糧自給をはかつて参るということは、きわめて困難なことであるのでありますけれども、できる限り食糧自給度を高めて参るということが、一つのわれわれとして考えなければならぬ大きな問題であると思うのであります。  また一面から考えますと、農家漸次苦況の様相がだんだん深刻になつて参るのでありまして、農地改革を実行いたしまして、せつかく自作農になつたのでありますが、この農地改革基礎にいたしまして、その上に安定した農家をつくつて参らなければならないのでありますが、現在の状況を見ますると、既耕地におきまして、改良を必要とするものがはなはだ多いのでありまして、そのために農家経営がはなはだ不安定な状況なつておるのでありまして、既耕地改良ということが今の食糧増産の見地から、また農家経営の安定という両面から考えまして、きわめて緊要な事業であると考えられるのであります。またこの開拓につきましては、御承知ように、終戰後緊開拓事業をやつて参つたのでありますが、あまりに急速に大規模計画をいたしましたがために、その間に相当摩擦がありましたことは、きわめて遺憾に考えておるのであります。その後政府におきましても、開拓やり方に検討を加えまして、開拓適地の選定につきましても、非常に愼重な調査をいたし、また開拓地開拓計画につきましても、入植者を入れます前に、十分に計画を立ててからやるように改善をいたしております。そういう行き方で、今後におきましても、開拓一定規模をもちまして進めて行かなければならぬと考えております。終戰後やかましかつた戰災者でありまするとか、あるいは外地からの引揚者收容という問題も、一応終了に近づいて参つております。まだ引揚者入植地に入りたいという希望の者も相当ございまするが、一応終了に近づきつつあるのでありまして、今後におきましては、やはり開拓としては、地元増反中心といたしまして、地元増反に主力を注ぐことにいたしたいと考えておるのであります。しかし農村におきましては潜在的な失業者相当にあるのでありまするし、また農家子弟等におきまして、分家をしようにも、耕地がないために分家ができないというようなことでございます。農家経営面積は漸次減少の傾向なつており、農業経営が一層小規模になりつつあるのでありまして……。     〔松浦委員長代理退席委員長着席〕 そういう潜在的な失業者ないし農家の二、三男の対策といたしまして、一定規模入植開拓というものも、今後続けて参らなければならないと考えておるのでございます。土地方面から考えますると、現在の耕地のうちで、改良を要しまするものが約百八十八万町歩あるのでございます。それを内訳的に見ますると、用水不足であるというものが約九十万町歩排水が不良であるというものが九十五万町歩ございます。それから灌漑にはさしつかえないのでございますが、地下水を利用しているとか、あるいは山間の溪流水を利用しておりますために、水温が非常に低くて、そのために著しい減收を来しているという冷水のかかつておりますところが四十一方町歩ございます。また鉄分の不足のために秋落ち、根腐れ等を来しますいわゆる秋落田が六十七万町歩ざざいます。これは用水不足であり、同時に排水も悪いというふうにダブつているものがあるのでありまして、先ほど百八十八万町歩と申しましたが、これを事項別延面積で出してみますと、二百九十三万町歩になるのであります。そのほか区画が悪いために耕作の上にも非常に不便を感じておりまして、区画整理を必要とするものが約百六十万町歩ございます。それから畑でありますが、畑で灌漑を必要とし、また現在の技術灌漑のできますものが約六十万町歩あるのでありまして、畑につきましては、灌漑をいたしますと、経営も非常に安定をいたして参りますし、また非常な増産もできるのでありまして、現在畑作物につきまして転換の問題が起つているのでありますが、灌漑をいたしますことによつて畑地作物転換もきわめて容易になり、農家経営の安定の上から行きましても、非常に大きな効果があると考えるのでありまして、この六十万町歩畑地灌漑ということを考えたいと思つているのであります。  そのほか農道がありませんために、肥料、收穫物等の運搬に非常に不便を感じている場合があるのでありまして、われわれの見積りといたしましては、全国で大体三千万間の農道をつけたいと考えているのでございます。  それから開拓の方でありますが、開拓の可能なところがまだ六十九万町歩残つている、この程度開拓土地條件から見まして、今後も可能であるということであります。また干拓でございますが、干拓につきましても、可能な箇所が約五万町歩あるのであります。  以上の既耕地改良並びに開墾干拓をやつて参りますことによつて、約二千四百万石の増産が可能であると考えているのでありまして、先ほどきわめてラフな食糧需給を申し上げたのでありますが、今後の増加いたします食糧不足量二千四百万石をこれでまかなうことができるというふうに考えているのでありまして、以上の改良及び耕地の拡張を十箇年間で実施いたしたいという考えを持つているのでございます。  そういうことをやります場合に、全体の事業費がどのくらいかかるかということでございますが、今申しました百八十八万町歩既耕地改良におきまして約三千億円を要するわけであります。それから畑地灌漑におきまして千八百億円を要します。それから干拓につきましては約三億円、開墾工事だけでは足りないのでありまして、ここに入りまする入植者に対して住宅を與えるとかその他の経費がいるのでありますが、開拓関係が千三百四十億、それから区画整理で八百億、その他合せまして約八千億の経費を要するということになります。これを現在やつております国庫負担地元負担割合によりまして、国家投資がどのくらいになるかということを考えてみますると、全体で四千二百億程度国家投資が必要であるということになるのでございます。  以上は今後土地改良としてやつて参りたいと考えておりまする計画の一般的な考え方でありますが、来年度といたしましてはどうするかということでございます。御承知ように現在農業水利関係におきましては、大きいものは国営でやつておりまするし、また三百町歩以上という程度改良事業府県営実施をいたしておるのでありまするが、いずれも予算が僅少でありまするがために、相当長期間にわたつて工事を継続しながら、まだ工事完了に至つていない。せつかく投資が実際の効果を上げていないというものがきわめて多いのでありまして、現在のよう予算状況で参りますと、おそらく各地区ともに十年以上を必要とするよう状況であります。従いましてわれわれといたしましては、今後の改良事業やり方につきましては、少くとも三、四年程度でもつて完成をさせるということにいたしたいと考えておるのでございます。今土地改良の十箇年計画説明を申し上げましたが、現在すでに実施をいたしておりまする事業残工事相当ありまするので、これと十箇年計画とが本年においてかみ合つて参るわけであります。本年の計画といたしましては十箇年計画との関係ちよつと複雑になつて参るのでありますが、大体十箇年計画と過去の継続事業とを合せまして、十箇年で完了するというところに目標を置きまして来年度事業計画いたしてみたのでございます。今申しました三百町歩以上のもののほかに、まだ小さいものがたくさんあるのでありまして、一昨年までは団体営土地改良事業、また小規模な狭い意味の土地改良事業、その中には暗渠排水でありますとか、温水ため池の設備、秋落田改良というものがあるのであります。そういう小規模土地改良事業につきましては、実は昨年から公共事業の中でほとんど認められていないのでございます。しかしながら山間部その他におきましては、三百町歩というふうにまとまつた事業地区を求めることができない場合が多いのであります。また県営で大きい地区改良工事をやりましても、その末端におきまして、やはり小さな工事をやつて参らなければならぬのでありまして、そういう場合におきましていずれも相当負担を必要とするのであります。県営事業負担もしなければなりませんし、その末端における改良工事負担もしなければならぬということになるのでありまして、こういうものを農家の自弁でやれ、あるいは融資でやれということにつきましては、非常なむりがかかるのでありまして、この点ぜひ二十六年度におきましては、補助事業として復活をさせたいというふうに考えておるのでありますが、これにつきましては、公共事業性格等からいろいろ批判もあるのでございます。われわれといたしましてはこの点とくと研究を重ねまして、補助事業としての復活をはかりたいと考えておるのでございます。それで大体来年度予算といたしましては五百億程度のものを考えております。そのほか過去の災害復旧を全部完了したいと考えておりますので、それに約二百億、その他ございまして、合計で七百五十億程度のものを計画いたしておるのでございます。
  14. 八木一郎

    八木委員 公共事業課長代理で、石田君が御出席ようでございますから、この機会にきわめて簡單に、公共事業開始以来、その内容として農林関係公共事業占むる割合、ボリュームを知りたいのですが、総額幾らで、年々どういう割合なつて使われて来たか、これをお示し願いたい。
  15. 石田政史

    石田説明員 ただいまの御質問に対しては、きようは私、出席を求められましたが、その内容につきまして具体的な御連絡がございませんために、資料を持ち合せておりませんので、二十一年度以降の農林関係公共事業につきましての数字、パーセンテージは、あとで資料としてお上げいたします。きよう手に持つておりまのでせん……。
  16. 八木一郎

    八木委員 今資料がなくても、印刷物等の配付によつてわれわれも大体の数字は持つておる。しかしここで明らかにしたいのは、現内閣が二十六年度予算編成方針として、その大綱のうちの第三に、経済基盤充実政策として、この問題を大きく取上げておるのであります。そこに問題がありますので、大臣出席し次第、その責任ある答弁を求めたいので、ただいま資料を整備しておるのが実際なのでありまして、本日中に、一昨日要求した通り安本、大蔵両大臣ないしは責任ある政務次官が、この問題に対して明答を與えるように、委員長の責任において呼んでもらえるかどうか。それで私の質問は一時打切ります。
  17. 小林運美

    小林(運)委員 政府委員ちよつとお尋ねいたしますが、養蚕技術員給與問題については、前国会においてほんのわずかこれを実現しておるのですが、これは全養蚕技術員に対してすずめの涙にも足りないような現状にあります。政府はこの養蚕技術員給與について、将来どんなよう考えるか。また差迫つた問題がここにありますが、これについて蚕糸当局はどんなふうに考えますか。
  18. 最上章吉

    最上政府委員 ただいまの小林委員の御質問に対してお答えいたします。養蚕技術員のいわゆる身分安定の問題は、昨年統制を撤廃されましてから非常に大きな問題となつておりまして、私どもはこの解決に非常に苦心をいたしておるのであります。昨年は、ただいまお話のように、ごくわずかながら予算を認められたのでございますが、本年は昨年に認められた線に沿いまして、これを飛躍的に増加をいたしまして、技術員の身分の安定という問題を解決いたしたい、かよう考えておる次第であります。
  19. 小林運美

    小林(運)委員 大体でよろしゆうございますが、今後要求せんとする、あるいは本年度はこれからまだ臨時国会も要請されておりますので、本年度補正予算として相当出せるとわれわれは考えておりますが、その際に大体どのくらいの予算要求するか、その心構えを承りたいのであります。
  20. 最上章吉

    最上政府委員 これは金額の問題になりますと、ちよつと申し上げるのはどうかと思いますが、大体の心構えということでございますから申し上げますが、蚕糸局といたしましては、大体要求いたしておりますのは九千九百万円、約一億円のものを来年度予算要求しておるのであります。極力これが実現に努力したい、かよう考えておるのであります。
  21. 小林運美

    小林(運)委員 それは昭和二十五年度分としてですか。
  22. 最上章吉

    最上政府委員 それは昭和二十六年度予算として要求いたしておるのであります。
  23. 小林運美

    小林(運)委員 そうすると、二十五年度はこの前の六百万円、これだけでやつて行くつもりですか。実際はこれでは養蚕技術員はみんなやめてしまう。これでは養蚕の指導というものは全然できなくなる。本年度はこれだけでやつて行つて、来年ということはとんでもない話だ。だから先ほど私が申し上げましたように、補正予算のこともあるのだから、そういう気持でやつてもらいたい。来年度一億もらえると言われるが、今幾分でもこれを補正するというようなことに努力をしてもらいたい。その辺はどうですか。
  24. 最上章吉

    最上政府委員 本年度補正予算の問題につきましては、今後の問題といたしまして、十分御趣旨に沿うように努力いたしたい、かよう考えております。
  25. 小林運美

    小林(運)委員 次に、先般商品取引所法案の際に連合審査会がございまして、糸価安定について二、三質疑をいたしましたが、御存じのように、糸価安定がまだ具体的に何もなつていない。ところでわれわれが糸価安定の基礎考えておりました財源等に、現在閉鎖機関の持つております所有生糸売上げ代金、あるいはその生糸の現物というようなものを大体考えておる。ところが最近糸価が高騰いたしまして、閉鎖機関の手持ちの糸はどんどん処分され、約一万俵のものがすでに処分されている。この金額をどういうふうに政府はこれから処理されるか。糸価安定の心構えとして、それらの売上げ代金をどんなふうに持つて行かれるか、その辺のお考えを承りたいと思います。
  26. 最上章吉

    最上政府委員 これは現在約一万俵近くのものを売りに出しておるのでございますが、農林省といたしましては、今後競売に付せらるべきこの生糸によつて得た金は、できるだけそういう蚕糸業のために、ことに糸価安定ということにつきまして、そういう方面に使うようにいたしたい、かよう考えておる次第であります。
  27. 小林運美

    小林(運)委員 そういうお考えでありますれば、大蔵省との話合いは、そういう線でついておりますか。
  28. 最上章吉

    最上政府委員 そういうことにつきましては、大蔵省目下協議中でございます。
  29. 幡谷仙次郎

    幡谷委員 蚕糸局長にお伺いいたします。これはきようごあいさつを願わなくてもけつこうなのですが、あらためて具体的にひとつ御説明願いたいと思うのです。生糸は従来世界的な商品であつたが、これらの生糸の世界的な需要また生産は、どの程度行つているか、世界の状況と、同時に日本の養蚕業をどうしたならば増産をして行くかという増産計画、こういうことをひとつ具体的に御研究願つて、御発表願いたい。同時に私のお尋ねしたいことは、私としてはある程度増産はしなければなるまいと思つておるのですが、その増産をするのには、どうしても生産者に厚くしなければならぬ。ところが昨年の晩秋の繭の協定は、ちようどことしの春繭協定糸価に大した相違はない。ところが去年は一万がけも買つたが、ことしは五千かけ、半分だ。しかも昨年は一万がけ買うのに買えない。いろいろな政策養蚕家をつり出して、結局納まつたところは八百かけの金しか拂わない。契約しただけの金額は拂わなかつた。ところがことしは御承知通り十八万、ですからここで何とか昨年の埋合せをしてやるということがいいのではないかと思うのです。ことに生産費は現在最低どのくらいで生産できるのか、もちろん標準でけつこうですから、そういうところを具体的にお示しくださつて、いずれにしてもこの蚕糸業増産ということに対しては、やはり養蚕家に利益な対策を講じて、養蚕家を保護しなければ立つて行きません。現在のようなみじめな方法では絶対にいかぬという確信を私は持つている。そういう方面について、ひとつ蚕糸局根本政策をお示し願いたい、こう思うのであります。
  30. 最上章吉

    最上政府委員 生糸需給の問題でございますが、これは何と申しますか、非常に浮き沈みがありまして、生糸が国際的な商品であるという性質上、非常に変動がはげしいことは御承知通りであります。従いまして、何かいいとなると、一番先に上るのが生糸であり、何か悪いことがあると、一番先に下るのも生糸であるというよう傾向を持つておるのでございますが、需給関係から申しますならば、本年、歴年の状態を、これは結局見込みという予想にとどまるのではありますが、申し上げますならば、生産といたしましては大体十五万俵ないし十六万俵くらいのものが、生産される予想であります。それから今年初めのストツクが五万四千俵くらいございましたので、歴年の供給は約二十万俵という予想をいたしておるのであります。これに対しまして、輸出が約九万俵程度、それから国内の消費が輸出の絹織物も含めまして九万五千俵程度といたしますと、約十八万五千俵にたりますので、結局本年の生産量ストツクを加えました二十万六千俵から十八万五千俵ないし十九万俵くらいを差引きますと、一万五千俵から二万俵というものが年末の在庫になる、かよう需給予想をいたしておるのであります。しかしながらこれは現在のよう需給関係変動が非常にはげしいときには、将来の問題を予測することは困難でありまするけれども、一応かよう予想をいたしておるのであります。なお今後の問題といたしましては、海外の市場はアメリカにおきましてもまたフランス、イギリス等におきましても、昨年よりも非常に増加する予定であります。従いまして、本年ここ一年くらいの予想を立てます場合には、生糸が非常に足りないというよう状況になるのではないかという予想をいたしておるのであります。しかしながら、目先の問題はかようにアメリカの軍需予算その他のインフレ気分等により、予期せざる需要が起きている町もあるのでありますが、長い将来のことを考えました場合には、やはりそれ相当対策をつくつておくということが必要でありますので、そのためには、やはり今後とも海外に大いに輸出を増進するような方針で、策を立てておるのでありますが、その一番大事なことは、まず品質の改良をする。ことに戰前におきましては、細糸中心で大部分が絹のくつ下に使われていたのでありますが、それが需要がかわりまして、戰争によりまして、くつ下に使われる生糸というものは非常に少くなりまして、大部分が織物に使われることになつておるのであります。そういう新しい需要に対する品質の改良ということを、今後は大いに努力いたしたい、かよう考えておるのであります。また海外に対しまして絹の宣伝をするというようなことも、需要増進のためには絶体に必要なことだ、かよう考えまして、海外における絹の宣伝につきましては、相当具体的な計画も立つておりますので、今後とも大いに力を入れたい、かよう考えておる次第でございます。  それから懸案になつておりまする糸価の安定というようなことも、輸出の増進のために、また蚕糸業の安定のためには、どうしてもこの懸案の解決をはかつて、繭糸価格を安定することが必要だと考えます。  なお本年の生糸の価格が昨年の秋と大してかわらないのに、ことしは昨年に比べて繭が非常に安いというお話でございますが、これは一応ごもつともでございますけれども、結局価格は自由になりました以上は、売手、買手が経済の原則に従つてきめるべき問題でございまして、政府が幾らというようなことを指示するわけにも参らないのでございますが、昨年の秋に繭が非常に高かつた、一万がけ前後いたしたことは特殊な現惑でございまして、本来製糸のかま数が非常に多いのに、繭が非常に足りないという需給関係、それから為替のポンドの切下げがありましたために、円の切下げがあるのではないかといつたような思惑的予想も加わりまして、採算を無視した高い価格が出たのであります。しかしながら、今年はそういうことにつきまして、非常に製糸業者自体も思惑的予想を愼んでおりますし、それに現在の糸価というものが、ほんとうにいつまでも続くものであるかどうかというようなことにつきましては、今後の物価の一般の経済界の状況、あるいは他の競争纖維の関係というようなものとにらみ合せねばわからないのでございまして、現在糸価が高いからといつて、それを基準に買うというようなことは、製糸家としては、金融的の関係から申しましてもなかなか困難ではないかと思うのであります。しかしながら、これは自由経済下におきましては、結局繭の価格というものは、そのときの需給関係あるいは一般の経済界の現象、あるいは金融関係というようなことできまるのでありますけれども、繭の相場というものは一度だけできまるのではないのでありまして、嚴密に申しますならば、繭の高いか安いかということは、それを買つて糸にして売つてみなければほんとうにはわからないのでありまして、繭が高くても糸が高く売れればそれでいいということになりますし、また繭を安く買いましても糸が安ければ、結局繭は高いということになりますので、長い間にはその間に自然に調整されるものだと考えておるのであります。  なお昨年の繭の未拂いの問題でありますが、地方によりましては先ほどお話のありましたようなことが相当つたのでございますが、その大部分は春繭の前に問題は解決いたしておるように開いておるのであります。これは正確な数字は目下調査中でありますけれども、昨年の秋の繭の不拂い代金というものは、本年の春繭のときに大体において解決いたしておるものと考えるのでありますが、いずれにいたしましても、繭の不拂いがあるというようなことは、養蚕家に対しまして、養蚕家保護の立場から、最も警戒しなければならないことでございますので、農林省といたしましては、できるだけ団体協約ということを奬励いたしまして、その間にそういう繭の不拂いというような問題がないように、かように指導いたしておる次第でございます。
  31. 幡谷仙次郎

    幡谷委員 ただいま自由取引ということになつておりますが、現在の取引の中心は検定取引になつておるようです。検定取引一本はきわめて中庸を得た最善の取引方注かどうか、私としては、検定取引中心は一利一害があつていけないのじやないか。取引方法は幾つもある。これは自由裁量にまかすべし、同時に今地方に参りますと、取引関係一定の製糸家と予約をするというよう方面も、大体わくがあつてつているようですが、これはもちろん解放されているわけなんだが、あまりそういう方面に代金の回收や何かにつきまして、指導はけつこうだが、あまり干渉しない方がいいのじやないか、こういうふうに考えておるし、最も私の要望するものは、将来嚴正な取引ができる方法、これをひとつさらに研究を願いたい。検定取引一本ははなはだ遺憾である。その点をどうぞ……。
  32. 千賀康治

    ○千賀委員長 遠藤三郎君。
  33. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私はただいま小林委員から産業技術員の問題について質問がありましたが、この際なお蚕糸局長に念を押しておきたいと思うのであります。御承知ように、産業技術負の身分の安定の問題は、今後の蚕糸業の発展の中枢になる問題だと思うのであります。実は今もここへ養蚕地滯の農民から、非常にやかましい要望が来ております。この技術員がわずかに二千七百人とかいうことを今要求しておるそうでありますけれども、はたしてこの要求が、農林省でもつてすでに通過しておるかどうか、もし通過しておらないとすれば、通過する確信があるかどうかをこの際お尋ねしておきたいと思います。
  34. 最上章吉

    最上政府委員 先ほど小林委員のときに申し上げましたように、その問題は蚕糸局といたしましては最も重大な問題といたしまして考えておるわけであります。なお農林省の省議として通つておるかどうかという問題でございますが、これはまだ予算に関する省議は、実は今明日中に開かれる予定でありまして、知つておりませんので、通つておるということは申し上げられませんけれども、通るように私は最善の努力をする、また必ず通るように努力する、かようなことを申し上げたいと思います。
  35. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 今蚕糸局長の御言明を伺いまして、非常に心強く思うわけであります。この問題は、單なる一般の技術員の問題とほとんど性質を異にして、将来の蚕糸業の問題を、あげてこの問題にかけておるよう状況であります。どうか一層ひとつ御努力をお願いしたい。特にわれわれ委員会としましても、この通過に対しては最善の努力を盡して行きたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  なおこの際公共事業の問題について、さらに一言申し上げておきたいのでありますが、幸い安本の係官がおるようでありますから、特に安本の係官の方に申し上げておきたいのであります。  それは御承知ように、今回の自由党の重要政策として、食糧自給体制の強化拡充をはかつて行くということを、一つの大きな看板にかけてあるわけであります。これは同時に現在の政府の重要政策なつております。この点は公共事業の小委員長八木委員から、るるお話があつたのでありますけれども、かくのごとく重要な政策として掲げておきながら、実際の予算の査定になりますと、ややもするとネグレクトしやすい農業方面の施設に対しては、安本の理解がきわめて乏しいと、いつも私どもは思うのでありまして、今回の公共事業予算は従来のそれとはまつたく意味が違うのだ。朝鮮事変をめぐる世界情勢がこういうふうな大きな変転をして参りまして、食糧自給体制を強化するということは、今までもお題目のようにとなえられて来た食糧自給体制とは意味が違うのだ。この食糧関係公共事業の拡充をはかり、この実施を徹底することは、国をあげての問題だということを明記しておつていただきたいということを申し上げるのでありまして、私は安本の長官が見えられましたならば、この点をさらにまた強調したいと思うのでありますが、私ども農業関係委員としては、今年度予算においては、農業関係食糧増産に関連する公共事業については、少くも六百億ないし七百億を下るようでは、はなはだ不満足であるということをはつきり申し上げまして、どうか安本に帰られましたならば、そのことを安本の上層部の諸君によくお伝え願いたいということを、お願いしておく次第であります。
  36. 千賀康治

    ○千賀委員長 暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後三時四十一分開議
  37. 千賀康治

    ○千賀委員長 午前中に引続き会議を開きます。  まず畜産に関する件を議題といたします。この際畜産に関する小委員長より発言を求められておりますからこれを許します。遠藤三郎君。
  38. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 畜産の小委員会の経過につきましては、先般中間報告をしておいたのでありますが、この際大臣がお見えでありますから、その中間報告の概要を、ごくかいつまんで申し上げたいと思います。その要点は、ただいま畜産業が非常に窮迫の状態に追い込まれておるということを、畜産の小委員会としては、一致した意見で見ておるのでありまして、このよつて来たるところは、日本の今までの政府政策が、畜産業に対してあまりに貧困であつた。飼料の配給統制は解除したけれども、飼料の供給についての何らの方策も持たなかつた。その結果は飼料の価格がどんどん高騰して参つております。しかも乳製品及び畜産物については、多少の生産増強にまりまして、ただちに過剩生産ような形になつて現われて来た。そうして牛乳、乳製品等畜産物は、あげて暴落の形をたどつております。その結果といたしまして、日本の畜産業界は今非常な困窮の状態に追い込まれておる。これはひとえに政府の今までの施策が、この点について完全でなかつたということを端的に暴露したものであります。これらの政府の施策のまことに貧困であつたことに対して、畜産委員会としては非常に不満を持つておる。私ども畜産委員会としましては、今回新たに廣川新農林大臣を迎えましたので、この農林大臣の手によつて、日本の畜産業のすみやかなる復興をはかりたい。今まで失われた畜産業の大きな窮迫を、この際日本の農業の再建のために、あるいは広くは日本の産業の復興のために、この畜産業の再建を期してやまないということを申し合しせたのであります。そこで本日は、この機会畜産委員会として、農林委員会を通して、農林委員会の名において政府に申入れをしたいと思うのでありまして、この点を農林委員の各位に御了承願いたいと思うのであります。その案を一応ここで読んでみます。     畜産委員会意見書   今日わが国畜産業は、正に破綻に瀕せんとしているわが国畜産業の安定を図りさらに進んでこれが増強を期することは刻下喫緊の要務である。   さきに政府畜産振興五箇年計画を樹立したが、これが裏打ちとなるべき予算措置については何らの考慮も拂つていない。畜産委員会はこの際特に政府に対して次の事項を申入れることを要望する。  一、昭和二十六年度予算編成に当りては、特に左の経費を計上して、もつて畜産経済の安定、畜産の増強を図られたい。    (一)家畜及び畜産物の価格の安定取引の改善並びに消費普及に要する経費    (二)家畜導入に要する経費    (三)飼料増産特に牧野の整備改良に要する経費    (四)馬の伝貧研究所その他家畜衞生調査研究機関の拡充    (五)畜産局機構の拡充  二、畜産振興五箇年計画の再検討  政府はさきに畜産振興五箇年計画を樹立したが、最近の国内経済情勢並びに世界情勢の変化に応じて、すみやかにこれが再検討を行い、五箇年乃至十箇年計画において国民の食生活、特に畜産食糧が国民の食生活において占むる地位を明確にし、これが実現に向つて計画的なる施策を行われたい。  以上であります。委員会の各位の御了承を得ると同時に、これに対して農林大臣の御所見をお伺いしたいと思うのでございます。
  39. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 農村におきまする家畜が非常に暴落したということは、これは私たち党におるときから聞かされておることであつて対策を立てなければならぬ、特に何か知らぬが故意のような、人為的なようなことで下つておるということまで聞かされておるのでありますが、さようにいたしますると、家畜を飼つておる農村においては、非常な損害を受けるようになりますので、これに対しても、私たちは相当考えなければならぬと思うのであります。また戰争中に非常に傷められた畜産に関しまして、これをどうしても復興しなければならぬということは、各自一致することであります。なおまた農産物の、特に主食の自給の確立の一環として、やはり畜産を重大視しなければならぬということも、よく承知いたしておるのでありまして、特にこれはごく小部分ではありましたが、農林省と関係なく、預金部資金を各地方自治体に流して、この家畜導入の資にしたいということで、大蔵省に非常に交渉いたしたこともあるのでございますが、現にそういつたようなことを会話の途中にあるように聞いておるのであります。これをいかようにかいたしまして、家畜の繁殖をはかると同時に、価格もやはりある一定の基準を保つように、われわれは努力しなければならぬと考えておるのでありまして、ただいま申入れの案文を拜見いたしますと、一々ごもつともな次第であります。昨年度における予算の総額は七億余円と聞いておりますが、はたしてどの程度期待に沿うことができるか、まだこれから私たち省議を開きまして、省議において検討して、最後に大蔵省と折衝をするのでありますが、本委員会の意のあるところを十分に体しまして、閣議におきましても、この委員会の意見を私から申し上げまして、諸君の御了解を得ると同時に、日本の畜産の振興をはかりたいと考えておる次第であります。
  40. 千賀康治

    ○千賀委員長 委員外でありますが、原田君より意見を申し述べたいとの申出があります。これを許したいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 千賀康治

    ○千賀委員長 それでは原田雪松君。
  42. 原田雪松

    原田雪松君 今畜産委員長から、総括的な要望は大臣に述べられたようでありますが、もう少し具体的な事柄について、大臣の御協力を願いたいと思つております。元来畜産というものか農業の一つの副業であるという定義をつけたことが、まず誤りの第一歩であると思う。次に政府は今申し上げましたように、農業関係でも、何か別種の感情をもつて畜産考えておるというような気分が、どうも私たち專門的見地からうかがわれる点が多々あるのであります。いろいろの指導をされておりますが、畜産に対する予算の裏づけというものは、小委員長の言われる通りまことに貧弱でありまして、これではおそらく有畜農業の普及徹底には間に合わない。こういうことが一応考えられるのであります。なおわれわれ自由党の農村政策といたしましても、何ら目に見るようなものが事実上ない。だからほかの党派の方々からいろいろ献策いたされ、われわれの農村に対する気持がきわめて貧弱であるというようなことで、軽視されておる傾向が濃厚なのであります。過般いろいろ政策上の模様を聞きますと、国はあげて七千八百億幾らかの金をもつて、農村経済の復興をはかり、土地改良事業をやり、食糧の輸入減を目標として増産にいそしむ、こういう案を立てられておるのでありますが、最近の模様では、四千二百億をもつてやろうというようなお話もあるのであります。これがはたしてどういう程度までになつておるか、この点大臣の御所見を承りたい。  なおまた現在予算関係から、各省とも大蔵省の査定を受けておるようでありますが、畜産局の予算も私大体の目安をつけておるのでありますが、きわめて貧弱な、しかも通り一つぺんの事務的な予算にすぎない。この点その予算によつてこのまま満足をするようなことであるならば、またぞろ畜産というものは取残されるのみならず、畜産の高揚をはかり得る道がない。結局予算の裏づけが強力でなければ、畜産の振興はあり得ないのであります。この際大臣はそういう点について、事務的に通り一ぺんの予算を割つけておるのでありますが、大乘的に大きく取上げていただきまして、畜産のほんとうの使命達成のために努力されるお気持があるか、この点重ねてお伺いしておきたいと思います。
  43. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 農業自体の中に畜産というものがあるはずである、畜産は農業と不可分であるということは、まつたく同感でございます。要するにただいま要望案として示されているものに対しての、私並びに省の熱意をお聞きのようでありますが、私たちといたしましては、党の政調でつくりました案と、省内の事務とをよく折衝いたしまして、その間にある目途を定めまして、これを予算化の上に盡して行きたいと考えている次第でありまして、單に事務的にそのものを取扱わずに、この畜産復興の上に、どうしても大きな役割を果さなければならぬと考えております。
  44. 原田雪松

    原田雪松君 畜産振興五箇年計画は、農林省畜産局において計画いたされまして、すでに四年目になると思います。ところがこれも先ほど申し上げました通り予算の伴わない振興計画でありますので、はなはだそこには実質的に惠まれておらない、こういう点が多分にあるのであります。私どもは今見ますと、小委員長の報告に各項を並べてありますが、その一々を検討しても、相当重要な問題であると考えるのであります。この点は少くも農業政策畜産政策というものがよくわく内にはまりまして、歩調の乱れないようにして行つて、初めて奬励ができると思うのであります。この各項を一々検討いたしますと、この一項についても相当な意見があると思います。これは総括的の要望を小委員長大臣に望んでいるのでありまして、私どもは、もう少しこれを掘り下げて検討を加えまして、具体的な案をもつてお願いを申し上げたい、かよう考えております。それが小委員会に與えられました使命の本分であろうと考えますので、その点重ねてこれを具体化したものをもつて御相談に参る、こういうことにいたしたいと思いますが、この五箇年計画というものの現在における実績は、なるほど頭数は相当ふえております。しかしながら一部には頭数が非常に減退した家畜の面もあるのでありまして、まだまだ有畜農業普及徹底の上には、少くも五〇%の不足を来している、こういう現状であるのでありますが、どうか一日も早く日本の農業の復興のために、有畜農業経営のために、食糧増産のために役立つような方法を講じていただきたい、さよう考えておりますので、もう少し進んだ資金の裏づけをいたして、なおまた場合においては国がみずから貸與するような方法もとつているのでありますが、それではわずかなものにしかすぎない。だから必ず導入資金の融資ということが先決問題と考えますので、何とぞ大臣においても、この畜産物の導入資金を、さしあたり重点的に取上げていただきまして、この実現をおはかり願いますように、私はこの点を強調しておきたいと思います。これに対する見通し等が大臣の方であられるならば、この際お伺い申し上げておきたいと思います。
  45. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 いつも政策を発表されますと、裏づけにするものがなくて大体つまずくのが例であります。どこへ行つてもさようでありますが、これもそれと同様でありまして、資金の裏づけが一番大事であると考えておりますので、この点はとくと私研究もし、また皆さん方から資金を導入する上においての具体的の方法——それは予算化の上に大きく役立つのではないかと考えておりますので、どうか皆さんからも意見をお聞かせ願いたいと思います。
  46. 八木一郎

    八木委員 私農林大臣に今の畜産に関連したものだけをお聞きいたします。関連しておる事項は、今遠藤君より小委員会の決定として申し入れられた中の、二の末項の方にあります。「特に畜産食糧が国民の食生活において占むる地位を明確にし」云々とあるこれであります。この際この点を明確にいたしたいのでありまして、これは私はこういうふうに読みかえたいのであります。政府は十箇年計画をもつて土地改良中心とする農業水利、農業土木の線に沿うた、相当な国家資金を投じた計画を持ち合せて、これに今や着手せんとしておる、非常にこれに私は期待をかけておるわけでありますが、これは主として澱粉資源、つまり五穀であります。数字をあげて、十年後にふえる人口を見越して、約四千万石の不足五穀はこの計画によつて実施ようとしておるのですが、これと合せて、穀類だけではだめであつて、ここに書いてありますように、蛋白及び脂肪の給源が具体的に、数字的に、これと当然あわせ考慮さるべきだと思うのであります。そこをかような表現において書いてあることだと読みかえまして、これに対する政府対策は、どういうお考えでおられるかということを伺いたいのであります。
  47. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 その穀物のみの、いわゆる十箇年目標というだけでなく、そのほかに動物質のものも、それに対応してやらなければならぬというお話のようでありますが、私もそのよう考えております。
  48. 八木一郎

    八木委員 それでに予算裏づけを考えておられるかどうか、もし考えておられれば、その片鱗をお聞かせ願いたい、こう思つております。
  49. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 明日から開かれる予算省議で、さようなことがこれから問題になることでありまして、どしどし資料を出して教えてもらいたいと思います。
  50. 八木一郎

    八木委員 大臣は御存じないようですか、当の畜産局は、これを一々要求予算として出しておるかどうか、おればその片鱗を聞かせてもらいたい。
  51. 山根東明

    ○山根説明員 ただいまの五箇年計画は、たびたび私から御紹介申し上げましたよう数字で、昭和二十四年度を初年度として、向う五箇年計画の家畜増産計画を立てておるわけでありますが、その際やはりただいまお話になりましたように、国民の食生活の見地から、計画が樹立されなければならぬということが目的になつようであります。しかしながら一方におきましては、飼料の面及び種畜の面、あるいはわが国農家経済といいますか、農家経済が家畜を受入れ得るかどうかという経済力の面、こういう面から、当時厚生省等で、わが国の国民栄養上の見地から、理想とされる動物質栄養の給源としては、ただいまの五箇年計画は必ずしも十分でない。しかしながらそうした制約のもとにおいてできるだけの増殖計画は立てよう、こういうようなことでこの計画ができておるわけであります。しかしながら、その後における飼料の事情、あるいは種畜の関係から申しましても、人工授精その他技術の面におきましても、変革が起きておるわけでありまして、こうした新しい事情を取入れて、ただいま遠藤委員から御報告がありましたように、この五箇年計画を、新しい情勢に応じて、これを再検討するという必要を私どもも認めておるわけでありまして、そういう意味から、私どもとしましては、新しい計画としては、従来の不十分であります五箇年計画にとらわれない、わが国の諸般の力が許容する最大限度の計画考えでおるわけであります。ただこの計画要求通り実現されます場合に、これが理想とするわが国の食生活の状態まで持つて行かれるかどうかという点につきましては、遺憾ながら、たとい私どもの考えております計画が全面的に認められましても、おそらくなお不十分であろうということは、認めざるを得ないような事情にあるわけでございます。
  52. 八木一郎

    八木委員 説明が長くてはつきりわからないのですが、穀類の方ははつきりと、石数三千九百万石不足するものを補填するために、十年先を見て、そこでそのときの人口と見合つが不足石数から逆に計算して見て必要なる、いわゆる土地政策を合理化して増産に持つて行こう、こういうことになつておるのですが、これとにらみ合せた蛋白脂肪資源確保の予算的措置について、畜産局は要求したかせぬか、しようとしたけれども厖大なものになつてやめたのか、そこだけをひとつ聞かせてもらわないと、大臣があすから省議だとおつしやつておるが、中味がなくてはどうにもしかたがないと思うので、率直に中身を聞かせてもらいたい。
  53. 山根東明

    ○山根説明員 先ほどの説明がやや冗長に過ぎたようで、わかりにくかつた点があるようでありますが、私どもとして、二十六年度予算要求いたしておりますのは、今日の日本のいろいろな條件、たとえて申しますならば、飼料の資源の見地から、あるいは種畜の資源の見地から、さらに農業経営の面から、農家経済が受入れ得る限度という見地からの問題もあろうかと思うのでありますが、そういう面からの最大限度の計画要求いたしておるわけであります。これが実現した場合に、我が国の食生活が、少くとの従来より格段の改善を見るということは、はつきり申し上げられると思うのでありますが、ほんとうに厚生省が理想とする——これにはいろいろ説もあるようでありますけれども、理想として掲げております動物質蛋白といいますか、そういう栄養の攝取面から見まするならば、遺憾ながら、わが国の今日の実情では、これを全部自給することは、これは相当困難であろうというような意味で、先ほどのような御説明を申し上げたわけであります。
  54. 八木一郎

    八木委員 どうも抽象論を押し問答しておつても始まりませんから打切りますが、ここに特にわれわれが全会一致申入れせんとしている、文字に出ておる「畜産食糧が国民の食生活において占むる地位」というこの意味が、われわれの食生活の自給度を高揚して行こう、見給自足態勢に持つて行こうということにあると思うのでありまして、これを内訳すれば、蛋白脂肪の資源は水産と畜産であります。そこでそのうちの水産で求めれるのは何ぼ、畜産に期待できるのは何ぼ、その目途に合わした増殖増産計画というものがあつてしかるべきだという主張でありまして、その点は、さような意味を説明を加えて、明確なものもないようですから、それに合うようにすみやかにこれを取上げてもらわないと困る、こう思うのです。
  55. 原田雪松

    原田雪松君 今八木委員に対する局長説明がどうも私も聞いておつてもはつきりしない。結局畜力の利用であるとか、農耕関係のものは、これは言わなくてもわかつておるのであるが、この後の畜産の進展の方途というものはどこへ持つて行かなければならないか、これが重大問題だと私は考えるのであります。何といいましても、食種自給の面、あるいは食改善の面に畜産業を織込んで行く、そしてお互いの日常の保健衞生の上に、蛋白給源が寄與して、これによつてスムースな生育を、子供もできれば大人もできるように、この畜産を持つて行き得るかどうかということを尋ねておると思うのであります。私どももその点非常に関心を持つておりますので、この後の畜産のあり方というものについて、計画的にやつてもらいたいと思います。現に牛のごときは二百二十万近くにもなつており、豚のようなものは、四十万から五十万になつておつて、大体の全国の頭数というものはわかるわけです。その中で蛋白給源以外に使われるものが幾ら、蛋白給源として使われるものが幾ら、これは屠場方面をごらんになれば、すぐわかると思いますし、日本の人口には、この蛋白給源というものからどれかけのカロリーを要すればいいのだということも、わかるはずであります。それと同時に酪農問題でも、国内でどれだけ消費するのだから、まだこれだけの奬励をやつていいのだというような、一つの目標を定めて計画を立てなければ、おそらく私は誤りを生ずるのではないかと思います。今までのような龍頭蛇尾で終るよう計画では、真に目覚めた畜産改良はあり得ないと思います。のみならず、予算獲得の場合でも、決して多くを期待し得ないのではないか。この点は大臣の力に待つといえども、その計画をしつかり立てて、それを大臣が持つて行つてのんでもらつて予算化してこそ初めて畜産が生きて行く、私はさよう考えます。畜産局を畜産庁にしなければならないというようなことは、時代に順応した考え方として、大きくクローズ・アツプしておるのでありますが、その当事者であるところの局長なり課長なりば、消極退嬰の気分では、畜産庁はできないことを、この際はつきり申し上げておきます。どうか積極的に、しかも組織的に、国民の生活上にこれがタイアツプして、実に重大なる役割を果すものなりということをはつきりさせてお進め願いたいということを、一言局の皆さん方に、老婆心ながら申し上げておく次第であります。
  56. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 ちよつと小委員長質問いたしますが、畜産といつても、特に酪農の方からお聞きするのですが、一体小学校の給食が非常に問題化して、充実化しようとしておるのですが、あなた方のようなエキスパートが、文部省に対して牛乳を使え、こう言つたようなことがございますかどうか、その辺の事情をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  57. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 小学校の子供に対する牛乳その他の乳製品の給食の問題は、私ども畜産関係者としては大賛成であります。この点については強く要望をしております。その理由は、日本の今後の食生活は、單なる米麦というような澱粉質食糧だけでもつてまかなつて行くという行き方をやめて、蛋白質食糧を十分に取入れて、そして国内で自給自足して行くのだ。それには澱粉だけではどうしても自給自足が足りないのでありますから、蛋白食糧を補うことによつて、量は少くしてなお実質的な価値を高めて、そして自給自足をはかつて行くという方向へ持つて行く、そういう大きな理想を達成するために、子供の時代から食生活をかえて行くというところに大きなねらいをおいておるわけであります。そういう意味で、この乳製品の給食に対しては全幅の賛意を表し、強く要望しておる次第であります。願くは農林大臣からも、これは強く要望していただきたいことをお願いする次第であります。
  58. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 小委員長も賛成のようでありますが、一体この農林省の予算は、各省に関係を持つておるのでありまして、各省をそういつた方面から動かして、それが全部農村の予算に入つて来るようにすることが、大事だと私は思うのであります。特に粉食を主体としている小学校給食でありますから、さようなことは、やはり委員会からも一応文部省の方にお申入れを願つておく方が、私らの方としては非常に都合がいいので、ぜひひとつさようにおとりはからいを願いたいと思います。
  59. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいまの農林大臣の御発言、非常にけつこうであります。交換條件ではありませんが、農林省の予算の方はやつていただくことにし、私どももほかの方は極力推進することを、ここで申し上げておきます。
  60. 井上良二

    ○井上(良)委員 話がちよつと横道にそれて、どうもはつきりしないのですが、八木さんが質問をいたしておりますのは、非常に重要なポイントでありまして、わが国食糧自給と国民食生活の問題を関連して考えて、主要食糧増産目標は、十年後にはこうなる、しかしこれでは絶対量が足らぬのだから、その足らぬ分は、さらに蛋白脂肪の給源体をもう少し確保して、この方において足らぬ分を埋めて行く、こういう考え方であります。また小委員会が成案を得まして、政府に申入れをしようという案も、そこを目がけておるのでありまして、あしたから省議を開いて、畜産局の新規予算を検討すると申しましても、一体五箇年計画を取入れた畜産局の畜産増殖計前というものは、初年度にはこうなる、これによつて家畜頭数はこれだけふえる、乳製品はこれだけ増産され、また国民の食生活にはこういう影響を持つて来る、このための所要経費はこれだけいる、こういうふうに明らかに数字を出すことが、国民の了解を得、国民の協力を求めることにもなり得るのでありまして、そういう点が明確にされていないというところに、問題が混乱をしておるのではないかと思います。従つて年度に家畜頭数は何ほどふえ、乳製品は何ほど増産され、それは対する経費はどのくらいかかるか、五年後にはこうなる、十年後にはこうなるというところで、初めて土地改良その他のいわゆる澱粉食の増産計画に対応いたしまして、一方に蛋白脂肪給源がそれに伴つて、総合的に附属食糧はこれだけ自給できるということが明確になつて来るのでありまして、その計画なしに、五箇年計画を立てて畜産増殖をするというても、国民としてはさつぱり要を得ないのでありますから、その点を明確に検討されて、その基礎の上に立つて——それはなるほど厚生省が主催でやりました、国民の総合栄養の見地から検討を加えましたものには、なおかつ遠いものがあるかもわかりませんけれども、われわれはその理想を目がけて、それに近づくように全力を上げなければならぬ、こう考えておるのでありますから、そういう具体的な、計画的なものを、ひとつお示し願いたい、こう言うておるのでありますから、この点間違いないように願いたいと思います。
  61. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 事務の方で大分研究しておるようでありますから、たぶん具体的なものが出ると思いますので、しばらく時間を貸してもらいたいと思います。要するに、理想は五年計画であろうと、十年計画であろうと、日本の草木を全部これを食糧化するというところに目標があると思います。またこの野草を食糧化し、労働化するところに、畜産の本意があると思いますので、そういう目標でわれわれは進みたいと思つておりますから、具体的なことはあとで事務の方から提出させますし、また政府におきましても、皆さんの気持を体してやつて参りたいと思つた、おる次第であります。
  62. 井上良二

    ○井上(良)委員 特にこの際大臣に申し上げておきたいのでありますが、それはいよいよ近く新年度予算編成が具体化されることになつております。ところが従来の予算編成のあとを検討してみますと、おのおの各省から新規的な予算を出し合いまして、そこへ大蔵省が中に入つて、その予算の削減に、今度は大蔵省が逆に一生懸命になり、そうなると自分の所が削られたらたいへんだということで、国家全体の大切な国策といいますか、政策というものを考えずに、そうなつた場合各省の予算分取り、いわゆる割拠主義になる危險か非常に多いのであります。少くとも政府は、わが国の当面しておる国際的な緊迫している情勢の中において、何をなさねばならないか。特に一番重大な問題は、国内の食糧増産の基本政策を、どう一体確立するかということが、今日何よりも大きな問題でなければならぬと思う。従つて私はぜひ閣議において、この農業問題を一体どう重要視し、取上げるかという基本的な政策を御決定願いたい。その線で必要な額の予算化を、自分の省に命じて立案化さして、それでひとつ内閣として方針をきめた上で、予算をとるという行き方が一番いいと思いますから、そういうやり方ができるか、ひとつこの点を伺つておきたいと思います。
  63. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 朝鮮問題を契機として、食糧自給度を高めるということは、これはもうわかり切つたことでありまして、非常に重大な問題になつておりまするので、私といたしましては、今井上さんの言われるように、明日の閣議にでもかけまして、自給度確立に関する閣議決定とかなんとかいつたような形で、実は特に私発言して出したいと考えております。そしてその線に沿つて予算編成を願つて、單に国策を予算によつて規制するというような形は、実はやめてもらいたい、こう考えておる次第であります。
  64. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 安本長官にちよつとお伺いいたしたい。ちようど安本長官がお見えになりましたので、私はこの際安本長官に一言お尋ねしておきたいのです。先ほど来、畜産の小委員会でこの暑いのに連日議論をいたしました中間の一つの結論を、ここで報告をし、しかも政府に対して申入れをしようということで、今提案をしておるわけであります。その要旨は、従来の畜産政策に対して政府はあまりに冷淡であつた。その結果として予算面を見ましても、わずかに二十五年度予算が七億円程度であつた。農林省予算全体を見ましても、二百七十億でありますから、百分の一程度であります。きわめて予算も少いし、全体の政策の面からいいましても、畜産政策というものをまつたく放置してあるよう状況なつておる。従つてその結果としては、今日乳製品はどんどん下つて行く。しかも飼料の値段はだんだん上つて行く。そうしてこれに対して基本的な政策はひとつも持たない。飼料の供給に対しての政策もなければ、乳製品の価格の安定の施策もない。かたがた畜産がきわめて食糧自給態勢の上からいつても大事だと言つていながら、家畜を持とうとする農家に対して、家畜を持ち得るような施設も講じてやらない。こういう点は非常に不満である。新しい農林大臣、新しい安本長官はいずれも——農林大臣としましては、閣内においては重きをなしておられる方でありますし、安本長官も農業方面のエキスパートでありますから、この機会こそ、この劣勢に追い込められた畜産業の振興をはかつていただく最も適当な機会であると考えて、政府に対して強く要望しておるわけでありますが、特にただいま問題になつておりましたのは、畜産の五箇年計画を立てまして、そうして日本の国民の食生活が将来どうなるか、その食生活のうちには畜産負担すべき蛋白食糧の地位をどの程度にもつて行くかという大きな目標をきめておいて、その目標に向つて総力をあげて努力して行く、こういうことでなければいかぬという意見が出ておつたわけでありますが、それに対する安本長官の御意見を、この際お伺いしておきたいと思うのでございます。
  65. 千賀康治

    ○千賀委員長 この際安本長官にちよつと御注意を申しておきますが、すぐあとから五箇年計画について、公共事業小委員長の方から御質問がありますから、畜産に関することだけの御答弁を願います。
  66. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ただいまの御質問の要旨はまことに同感であります。かねがねわが党としても、政府としても考えておることは、食糧自給態勢を高める上において、單に米麦かんしよ、ばれいしよ等の澱粉質食糧に依存した形のみをとることが、農家に対する非常な負担になるということを考えなくちやならぬ。そこに今お話のように、大きく畜産を取入れつつ、そうして総合的立場に立つて食糧自給態勢をとるということは、最も私どもの希望するところであります。ただその間におきまして、立案にあたつて大動物、小家畜、あるいは養鶏等をいかにあんばいするかということは、單価面積によつて養い得る 人間の数量ということを考えて、そうしてそれにマツチするよう畜産政策を確立して行くということについては、まつたく同感でありまして、努力いたしたいと思います。
  67. 千賀康治

    ○千賀委員長 この際お諮りいたします。先ほど遠藤畜産委員長から示されました数々の案は、農林委員会としてこれを了承いたしまして、農林委員会の意見として政府に申入れをすることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 千賀康治

    ○千賀委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。     —————————————
  69. 千賀康治

    ○千賀委員長 ただいま安本長官も御出席になりましたから、これより農業関係公共事業に関する件を議題といたします。この際公共事業小委員長八木一郎君から発言を求められておりまするので、お許しいたします。八木一郎君。
  70. 八木一郎

    八木委員 農業関係公共事業の基本政策に関しまして、当該委員長として二、三点政府に対して質問いたしたいと思うのであります。大蔵大臣に特に出席を求めましたが、出席がありませんから、主として周東大臣より御答弁あらんことをあらかじめ希望しておきます。  申し上げるまでもなく、今日の農村問題、農業の問題は、單に農業の問題でなく、国民生活安定の問題でありまして、いまや国会内の空気も農業問題のみの臨時国会を特に開いて、かつて第一次大戰後にいわゆる農村経済更生運動を巻き起したときのごとき段階が来ておるので、議会はすみやかにこの面に沿うて召集せらるべきであるという空気が、みなぎつておるのであります。私はその線に沿いまして、專門的角度から靜かに検討してみますと、現実に即した、ぜがひでも実行を期さなければならないという問題は、簡單に言えば農林関係公共事業を、政府の基本政策として一大刷新強化いたしまして、食糧自給確立態勢を、朝鮮問題を契機として、国民的関心の集まつておる今日において確立しない限り、時期はないと思いますので、以下数点伺いたいのであります。  まず第一点は、予算の編成にあたつて、今申し上げましたという心構えを盡して政府は臨んでおるということを、私は認めるのであります。なぜかといえば、七月の十一日にきめられた現内閣の予算編成に関する方針の第三に、経済基盤の充実と題しまして、公共事業に関しては、その重点を治山治水その他災害の防除及び復旧、道路、港湾、農業道路、運輸通信等の施設の改良復興に置き、経済基盤を充実するかたわら、雇用機会の増大をはかること、とありまして、減税、予算の圧縮を考えながらも、第一に積極予算の目をつけるところはこれである。すなわち今問題といたしておる食糧自給態勢確立の線に沿うた農業関係公共事業であるというふうに私は読むがゆえに、現内閣はかようなところに目を配つて予算編成に着手せんとしておるということは、了承して間違いないかどうか、まずこれを確めたいのであります。この点に関して御説明を願います。
  71. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ただいまの御質問につきましては、その通りでありまして、今後なすべき重点が、ただいまお読み上げになりました予算編成方針の三に現われておりますが、つけ加えて申しますと、その次の四か五にもありましたように、公共事業としての農業土木のみならず、私的の農業関係における土地改良が書いてあります。今までともすれば公共事業中心にのみ考えられておりました日本農業に対して、過小農家に対しては、もう少し土地改良等に関しても、私のものでありましても、国家的援助等を考えるべきであるという線に立つて、大きく進みたいと考えておるのであります。
  72. 八木一郎

    八木委員 質問の第二点は、さような感覚のもとに諸般の情勢を見て参りますると、まずこれを支持する與党は、党内に土地改良推進本部なるものを設けて、この運動を天下国民の前に公約を実施せんとする態度をとつておるという事実、さらに土地改良議員連盟は衆参両院超党派の態度といたしまして、過日大蔵大臣に対しまして申入れをいたしております。すなわち時局にかんがみ食糧自給態勢の確立は緊急を要するをもつて土地改良根本対策の確立と相まち、明年度予算の編成にあたつては、土地改良関係予算灌漑排水耕地改良干拓開拓)として、少くとも四百五十億を計上することを望むとの申入れを取交わしておるのでありますが、これに対する政治的な快諾居士では困るので、実際に熱意を傾けて、この四百五十億を考慮しておるということに了承できるかどうか、大蔵大臣から聞きたいところでありますが、見えませんから、政府を代表して答弁あらんことを望みます。
  73. 周東英雄

    ○周東国務大臣 金額の点で今日ただいま証文をおとりになりたいようなお話でありますが、この点はただいま申し上げるわけに行きませんが、従来と違つた形において、農業土木関係に今まで以上の増加したいということで、積極的に努力いたす考えであります。
  74. 八木一郎

    八木委員 この点に関して予算委員会に現われた片言半句をとらえて御披露いたしますると、大蔵大臣は、閣議決定の線に沿うて、公共事業は前年より増額するということを明言しておる。増額するとはすなわち一千億を越すことであると見ていいかというだめ押しに対して、了承しておるのであります。そこで本年度公共事業に対する素朴な予算構想というものが髣髴たるものがあるのであります。その中に立つてわれわれは、ここに十年計画——というと長いようだけれども、国土百年の計から見れば、十年やむなしと考えて、十年先の食糧自給度考えますと、人口増加を見越し、三千九百万石の不足に対処する土地改良といたしましては、どうしても四千二百億程度の国家財政投資が必要だ、そうすると十で割れば四、五百億はいるという計算が立つ。ところがこの四、五百億は素朴な計数から割出した一千億という公共事業であれば、その半分をこれに割くということである。現在農林関係公共事業全部をつつ込んでも、わずかに一、二割、二割足らずという数字なつておるという現実でありまして、何らか飛躍があるように見えて、着実に考えた場合に、げたを預けてもらおうというわけではないが、熱意を傾けて率直なところを伺いたいという意味から、重ねてこの点をお答え願いたいと思います。
  75. 周東英雄

    ○周東国務大臣 農業土木に対する予算増加については、従来より相当に増額するということについて、努力を申し上げたいと思つております。しかし私考えますのに、相当予算的措置において増額されても、なかなか全体の、他のものとの関係において、一足飛びには困難かと思います。これは同時に見返り資金等の活用にまたなければならぬのでありますが、これらに対しても、これはざつくばらんに打明けて、政府も努力いたしますが、民間と一緒に協力したいと思つております。というのは、実は残念ながら、今年十億の——私企業関係に出ておる四百億の中のわくが、十億また今年どうやらうかうかしていると返上したければならぬというようなかつこうでありますので、もちろん政府は努力いたしますが、なかなか地方からの計画が出て来ない、こういうようなことで、予算でただもらう方はいいけれども、借りる方については計画が立たぬというのでは困るのではないか、これは一つの例でありますが、できる限り予算増加する反面には、そういう見返り資金等の計画については御協力いたしまして、官民一致ですみやかに計画を立てて、出されておるものを使いたい、こういうふうに考えておるのであります。
  76. 八木一郎

    八木委員 予算的裏づけ措置となりますと、きわめて具体的な、数字的なことになつて、制約を余儀なくされますので、私どもとしては、国民の気持を政府につなぐ真摯な態度といたしまして、当農林委員会は継続審査をすることにいたし、その筆頭に公共事業を審議題目としてとり上げ、いつでも委員会を開きまして、政府と協力する用意を持つておるような順序にもなつておるのでありますから、今御指摘になりました見返り資金の活用の面とか、あるいは農業関係事業を通して地方起債の問題、地方負担においてでき得る部面に関することとか、その他の点がいろいろ出て来るのでありますから、こういう点に継続審議の形において、委員会と表裏一体となりまして、国民が農業問題だけで臨時国会を開けと要求しておる声にこたえていただくように、お願いいたしまして、きようはこれ以上の質問は続けません。よろしくお願いいたします。
  77. 周東英雄

    ○周東国務大臣 非常に御熱心な御意見でございまして、われわれこの上とも努力いたしたいと思います。いま一つ申し落しましたが、別に見返り資金の百十億の問題の中では、すでに農林省関係の農業土木関係に大体二十七億ほど全部一応認めて、具体的の案で折衝しつつあります。こういう面もあわせて進めたいと思います。
  78. 千賀康治

    ○千賀委員長 他に御質疑はございませんか。——御質疑はないようでございますから、暫時休憩をいたします。     午後四時四十一分休憩      ————◇—————     午後六時三十六分開議
  79. 千賀康治

    ○千賀委員長 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十七分散会