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1950-07-28 第8回国会 衆議院 農林委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)     午後二時十二分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 足立 篤郎君 理事 野原 正勝君    理事 小林 運美君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    越智  茂君       川西  清君    河野 謙三君       中馬 辰猪君    平野 三郎君       八木 一郎君    大森 玉木君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       木村  榮君    山口 武秀君       河口 陽一君  出席政府委員         農林事務次官  山添 利作君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 七月二十七日  競馬法の一部を改正する法律案千賀康治君外  二十一名提出衆法第一〇号)の審査を本委員  会に付託された。 同日  競犬場設置に関する陳情書  (第二二二号)  治山治水対策に関する陳情書  (第二二七号)  農村電化に関する陳情書  (  第二二九号)  森林協同組合法制定反対に関する陳情書  (第  二三八号)  農村経済危機対策に関する陳情書  (第二三九号)  林業関係資金対策に関する陳情書  (第二四二号)  高崎市等のひよう害に対し国庫補助陳情書  (第二五〇  号)  茨城県下の水害復旧対策費助成に関する陳情書  (第二五二号)  耕地の災害復旧及び土地改良事業補助予算増  額の陳情書  (第二五四号)  市町村農地委員会経費国庫負担に関する陳情  書  (第二五五号)  農地交換分合経費国庫補助陳情書  (第二五七号)  農業改良普及事業の強化に関する陳情書  (第二五八号)  農業救済対策等に関する陳情書  (第二七二号)  大樹村接地国有林解放に関する陳情書  (第二八二  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長の選任  競馬法の一部を改正する法律案千賀康治君外  三十一名提出衆法第一〇号)  畜産に関する件     ―――――――――――――
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  この機会に、昨日の委員会において委員長に一任せられておりました、公共事業小委員を御指名いたします。    宇野秀次郎君  岡崎 勝男君   小笠原八十美君  越智  茂君    川西  清君  中馬 辰猪君    中垣 國男君  幡谷仙次郎君    平野 三郎君  八木 一郎君    大森 玉木君  吉川 久衛君    足鹿  覺君  木村  榮君    河口 陽一君 なお小委員長には八木一郎君を指名いたします。  いま一つ申し添えますが、理事並びに他の小委員長諸君は、この公共事業施設小委員会に随時御出席になつて、他の委員と同様活動していただくことを認めるということを申し添えておきます。  これより昨二十七日本委員会に付託になりました千賀康治外二十一名提出競馬法の一部を改正する法律案議題といたし、審議に入ります。  その前に御了承願つておきたいことがあります。それは本案提出者千賀康治外十七名となつておりましたが、これは二十一名と訂正になりましたので御承知おき願います。  それではまず本案趣旨について、提案者説明を求めます。遠藤三郎君。     —————————————
  3. 遠藤三郎

    遠藤委員 それでは私からただいま御審議を願います。千賀康治外二十一名提出競馬法の一部を改正する法律案につき、提案者を代表して提案理由説明をいたします。  中京地区国営競馬場一箇所を創設することを内容とする本法律案は、まつたく同一趣旨をもつて去る第五並びに第七国会提案を見たのでありますが、各般の事情よりいたしまして成立することに至らなかつたのであります。今回新たに提案いたしましたにつきましては、先回委員会において論議され、御批判をいただきました諸点につきましては、関係者等において十分な検討をとげ、本改正法律案の施行にあたつて万遺憾のないよう措置を講じ得る確信を得ましたので、あらためて御審議を願うことといたした次第であります。  御存じのごとく、現行競馬法にありましては、国営競馬場は札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、横浜、京都、阪神、小倉、宮崎の十一箇所と相なつておるのでありますが、この競馬場配置には非常な不自然があります。東京から京都に至る東海道筋中間地帯に、一箇所の国営競馬場もございません。競馬関係者にとりましては、これはかなりの不便が伴いますので、経費もそれだけ増嵩する次第でありまして、幸い創設に御賛同を得ましたならば、馬主その他関係者にとつて相当経費節約に相なる次第であります。  また競馬は、最近他の競技の圧迫によりまして、收入はいささか下降傾向を示しておるのでありますが、中京に模範的な競馬場設置することと相なりまするならば、地元愛好者の熱烈な要望にこたえ得ますと同時に、勝馬投票券売却金額の増大により、国庫收入の増加に貢献し得ると存ずるのであります。  簡単でありますが、以上の諸点がこの法律案提出いたしました理由の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望する次第であります。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 これより質疑に入ります。
  5. 野原正勝

    野原委員 競馬法の一部を改正する法律案は、前の第七国会におきまして、大体同様な法律案が本委員会にかかつたのであります。その際におきましても、一部を除きましてほとんど大多数の者が賛成をいたしまして、この委員会通つたきわめて簡単な問題でありますし、格別質疑その他の必要はなかろうと思うので、すぐに討論採決を願います。     〔「質疑あり」と呼ぶ者あり」
  6. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りいたします。ただいまの野原君の動議に対しまして、反対山口君一人のようでありまするが、反対動議は成立いたしません。あらためてこれの採決をいたしたいと思います。——質疑を打切るかどうかという点について、御意見を伺いたい。     〔「質疑させたらいい」と呼ぶ者あり〕
  7. 千賀康治

    千賀委員長 それでは山口君、お許しいたします。
  8. 山口武秀

    山口(武)委員 ただいまの提案理由説明によりますと、前回の委員会におきまして論議された、あるいは批判されたことにつきましては、十分な検討を費して、万遺憾ない措置を講じ得るという確信を得ましたので、というようなことが書いてあるのですが、これは前委員会におきまして共産党の言いましたことは、この中に何も盛られていない、こういうものの言い方をされてはきわめて遺憾だと思うのです。第一に、これが現在ほんとうの意味での畜産奬励という意味になつているのか、それとも賭博の奬励になつておるのか、この点につきまして意見を出したはずでありますが、きわめてここでは明確に取上げられておりませんし、これに対する説明も何もございませんが、この点についての御説明をお願いいたします。
  9. 小笠原八十美

    小笠原委員 それでは私から御答弁申し上げます。その点はきわめて重要な点でありますが、競馬目的はやはり健全娯楽目的とするので、中京にその娯楽機関を置かぬということは不合理でありますから……あなたの御希望の通り織り込んでおることはもちろんであります。かように御承知願います。
  10. 木村榮

    木村(榮)委員 県営競馬は、最近の状態だと——私の方の県もそうですが、競馬場が二箇所あるが、競馬うまがおらなくて商売にならぬのです。それに競馬場はどんどんやるが、馬匹改良とか、競馬養成とかいつたことも、どういう御計画でおやりになるか。県営競馬なんか、当初におきましては、県の財政の補助というような名目でやり出した。最近においては自転車競走が始まつて、あそこへみなとられてしまつて競馬場管理もできないし、経営もできないという状態になつておる。だからそういうような方向に対しては、もう県営競馬の方は、全部やめさす、そして国営競馬の方へ、国はだんだん集中的にやつて、あとは全部やめさすというような方針かどうか承つておきたい。
  11. 千賀康治

    千賀委員長 委員長からちよつとお答えいたします。過去において、競馬場さえつくればもうかる、それが国営であろうと県営であろうと、そんな考えなしに、各県がやり出した。また戦災都市競馬でなければならぬというように、非常にそういう時代があつたのです。私は当時から、戦災都市がやるなどということはもつてのほかであるという強い警告をいたしておつたのでありますが、時流の流れるところいたし方なく、地方競馬というものが数くなり過ぎました。そのために競馬場がいくらふえても大体フアンの数はそんなにふえるものではありませんので、地方競馬がこんなひどい形になつて参りました。それと今一つは、競馬控除率自転車控除率とでは一割の差があります。こういうような一割の差があつたのでは、娯楽機関である以上どうしても自転車の方へ寄り集まりやすいということは、これもいたし方のない現実の事実であると思います。さようなわけで、今おつしやつた地方競馬というものは、さびれる一方の趨勢であります。ところがここに提案になつておりますのは、県営競馬でなくて国営競馬でありまして、この国営競馬配置が、どうしても中京方面一つ足りないということは、以前から言われております。それでは国営競馬が二つも休場になつておるじやないかと言われるが、こういうことは、このごろに始まつたことではないので、すでに今から十五年、二十年前というような古い歴史をもつて国営競馬設置に不適当であるという所に設置されたものは、なかなか開催不可能ということであるので、それらが開催不可能ということと、中京が適当であるということとは全然別個な問題で、中京にできますることは、いずれの点から見ても適当であろう、こういうことで提案いたしている次第であります。どうかその点御了解を願います。
  12. 木村榮

    木村(榮)委員 そこでこれを見ますと、中京と書いてございますが、中京と言いましても広うございまして、どこの所にできるか、候補予定地があれば承つておきたい。
  13. 千賀康治

    千賀委員長 それについて申し上げます。今までの候補地は名古屋をとりまく所で、條件を取入れて甲論乙駁の所が五つある。ところがその五つの所には相当有力者がついておつたり、あるいは政治家がついておりして、非常な深刻な競争があります。そのためにまつたくどこへつくるということも不可能でありますために、今までのようなことになつてつたのですが、これに対して私ども意見と、参議院岡田委員長や前委員長である楠見君の意見は非常に歩み寄つているのであります。それはどうしても競馬を執行するのは政府である、どこがいいということをきめるのもその執行者の領分である。それが今までできなかつたのは、委員会がおれがきめるのであるというような態度とつたり、あるいは委員でもないのに、有力者がおれがきめるというような態度でやつたから、きめがたいことになつて、とうとうそれを参議院から強く批判を受けて、前回握りつぶしになつたところが今度はその意思もよく取入れまして、一切地元の方では運動を放棄していただく、同時にまつた競馬をやるという執行機関の権利に属する部分は、全部政府にやつてもらうので、地元はその五つの中でどれを政府が取上げようと、将来一切こことを言わないということを、愛知県知事に誓約されまして、愛知県知事から私どもにも政府にも報告がありました。それによつて、今度は政府一路競馬ということを主にいたしまして、最も適当な所を一つどれをとつてもいいのだ、一番適当な所をきめ得るという素地がここに築かれましたから、ここに提案している次第でありまして、同時に前委員会及び今まで参議院農林委員会で心配されたことはこれで全部氷解をした次第であります。
  14. 木村榮

    木村(榮)委員 委員長の答弁を聞きますと、いうことにそうなるのだが、世間のうわさを聞くとそうではなく、何でも五箇所か四箇所の予定候補地をめぐつて相当運動と申しましようか、争奪戦を始めている。しかもその中においても、千賀委員長農林委員長に今度なつた関係上、特に有力な発言権を持つて、そして自分の予定しておるところに相当運動を展開している。何でもそこは鳴海という所で、ほかにもつと適当な土地があるといつたようなことも承つております。特に猛運動を展開しておるというので、相当評判になつているようなことを承つておりますが、それはどうですか。
  15. 千賀康治

    千賀委員長 そういうような事実はまつたくありません。それから前に運動のためにということは、いろいろうわさはあつたことは事実でありましようが、ことに参議院はその点を心配されて、あるいは冷却期間をここに置けば、不正があればそこに浮び上つて来るはずだというわけで、この前は握りつぶされた。それも一つ原因であります。第七国会から第八国会に移るこの期間が、これが冷却期間でありまして、その冷却期間を通じても、依然としてどういう問題も起つて来ない。これならば参議院は、どららにきめようということを政府が発案しても、安心できる時期に達している、こういう見方をせられておりますので、私の意見はこれもやはり参議院の前委員長、現委員長意見と一致をいたしております。
  16. 木村榮

    木村(榮)委員 そこでこれは私が言わなくてもいいことかもわかりませんが、とかくそうしたうわさがある中に、この法律改正案千賀君外十七名と頭文字に書いてあると、私はよけい疑います。大体その名前をかえて、もつとほかの公平なる立場の代表を出して、その他多勢の中にあなたがお入りになつているというならばかつこうがいいのですが、最初に書いてあつて大分うわさが高いのですから、政治的にもお考えなつたらどうですか。
  17. 千賀康治

    千賀委員長 せいぜいやつておりますから、まずその点は想像に起因するものについてはお答えしがたいのですが、現実として、私は俯仰天地に恥じざる信義を持つております。どうか御安心を願います。   他に御質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 千賀康治

    千賀委員長 なければこれより討論に入ります  討論の通告がありますからこれをお許しいたします。山口君。
  19. 山口武秀

    山口(武)委員 日本共産党はこの法律案について反対態度を明確にいたします。前会この法案の前身のようなものが出まして、今回また出たわけでありますが、私どもは前会のものと本質的にかわつていないと見ているわけであります。前会われわれがこれに反対したのでありますが、そのときの反対理由と同一の理由をもつて反対いたしたいと思います。皆さんにお気の毒ですから同じことは繰返さないで、理由説明はとりやめておきます。
  20. 千賀康治

    千賀委員長 これにて討論は終局しました。これより競馬法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 千賀康治

    千賀委員長 起立者多数。よつて本案は原案通り可決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めさよう決しました。
  23. 木村榮

    木村(榮)委員 さつき私がちよつと触れたのですが、大体馬の養成ということに対しては、政府はきわめて不熱心である、私どもの方の県では、小笠原さんあたりが知つておられると思うが、有名なハツコーという馬が入つている。これは全国で優秀な種馬として英国から入つて来たもので、二十四才か何かで大したものです。これが種がついたならば子だけが五十万円、六十万円と評価されるようになる。そういつたものを農林省の方から委託されて置いていますが、補助なんというものは鼻くそほどしかないのです。これは天然物みたいなもので国宝的存在です。せつかくのそういつたものを放置しているのです。私の県には物好きがいまして、相当自分の費用を払つてこれを保護育成をしていますけれども、ああいつた遠隔の地ですから、実際問題としては種つけにもよく来ません。また相当管理もむずかしいのですから、そういつたものはもう少しあなたの方が御調査なさつて保護育成するようなことをやつておかぬと、ただ競馬場をこしらえてボスにはびこらせるようなことをやつたのでは困る。こういう点はどうですか。
  24. 山根東明

    山根説明員 競走馬資源についてほとんど国としては力をいれていない。そのために競馬場は次々にできるけれどもりつぱな競走が行われないじやないかという御意見のようでありましたが、その点につきましては、私どもも一部何と申しますか、率直にそういう事実を認めざるを得ない現状であろうと思います。一つには、申し上げるまでもないかと思いますが、馬全体に対するこうした施策が、終戦後いろいろな関係で非常にむずかしくなつたわけであります。特に競走馬について、国が御期待になつておりますような助成の仕事をするということが、許されない現状があつたのでありますが、そういうふうな関係で、ただいま申しましたような実情になつておるわけでございますけれども、私どもとしましては、競馬をできるだけりつぱにやつて行きたいという念願を持つておるわけでありまして、そういう見地から馬資源育成につきましては、許される範囲内において、できるだけのことをいたしたい。今後においては競馬場はたくさんできるとしても、競走が行われぬというような事態のできるだけないように、馬資源育成について努めたいという気持は持つておるわけであります。競馬において、御承知と思いますが、勝馬生産いたしました生産者に対する賞金というようなことも、これは引続いてやつておるわけであります。そういうようなわけでありまして、全然考えていないということではありません。いささか十分でないという御批判に対しては、最初申しましたように、私どももそうであろうというふうに考えておりまして、この点につきましては、ただいま申し上げましたような気持で今後進んで参りたい。かように考えております。     —————————————
  25. 千賀康治

    千賀委員長 これより畜産に関する件を議題といたします。この際畜産に関する小委員長より発言を求められておりますから、これをお許しいたします。遠藤三郎君。
  26. 遠藤三郎

    遠藤委員 私はこの際畜産小委員会の経過の内容報告をしておきたいと思う。  畜産小委員会は、七月二十日に第一回委員会を開会いたしまして、爾来連日委員会を続けて参りました。この委員会において畜産に関する各般の問題が討議されておりますが、なかんずく第一の問題として、畜産予算の問題が強く要望されております。御承知のように、畜産予算は二十五年度におきましてわずかに六億七千万円、農林省全体の予算が四百二十七億になつておりまして、これに比べますと一%余にしか当らない。これは今後の日本農業におきまして、畜産農業の根幹ともなるべき重要な産業でありながら今までの政府畜産に対する施策というものが、まことに貧困である。この点について、小委員会としてはきわめて不満の意を表明しております。この畜産に対する政府のきわめて冷淡な態度に対して、その結果といたしまして、今日畜産業は、あらゆる面において危機に瀕しておるのであります。この危機に瀕しておる具体的な事例について、実証的に各方面の問題を指摘しておきます。  その第一の問題としましては、政府は二十四年度に畜産の振興五箇年計画を立てました。そして戦後のいわゆる縮小生産に転換して来た農業を、拡大生産にするための基本的な施策は、畜産増殖という考え方から五箇年計画を策定いたしまして、その計画普及、奨励をして参つたのであります。この着眼点はまことによかつたのでありますが、その結果といたしまして、日本農村におきましては、各地区において畜産業が非常に進展して参りました。ものによりましては、戦前の水準を突破するほど回復をして参りましたが、この増殖に相対応して、政府施策一つも進んでおらないために、畜産業は非常に窮地に追い込まれておる。その第一の問題としましては、飼料の問題であります。畜産をどんどん奨励していながら、飼料対策をひとつもやつておらない。まず第一に飼料問題として最も大きな問題は、農地放革が行われまして、牧野が農地として開放されて来た。従つて飼料畜産方面から取上げられて行つたのであります。これに対して政府は、飼料対策というものの根本的な施策をひとつも持たなかつた。第二の問題としては、主食の供出が非常にやかましいのでありまして、その供出に裏打ちをするような、飼料自家保有の問題を当然考えてやらなければならぬのでありますけれども、これに対しても政府一つもと言つていいほどの施策を持たなかつたのであります。その結果として、飼料は非常に不足になつて参りまして、飼料値段がどんどん上つて来る。特に最近におきましては、飼料の統制を解除いたしました。そして飼料の買受けは自由にできるようになつたのでありますけれども飼料供給面に対して政府が何らの手を打つておらないために、飼料値段はどんどん上つて来る。そのために畜産経済というものは非常に苦しくなつて参つております。これに対して政府はひとつも手を打つておらないと言つてもいいのであります。この点は、小委員の各位が非常に強く指摘しておるのでありまして、これは政府としても銘記しておいていただきたいものの一つであります。  第二の問題としましては、畜産物取引の問題であります。どんどん家畜増殖され、牛乳その他の畜産品も増産されて参りましたけれども、これに対する取引機構の考慮がひとつも払われておらない。そのために、今きわめて小規模の増産ではありますけれども、ただちに過剰生産のような状況を呈して参りまして、畜産物が暴落をしております。その結果としましては、家畜値段までもどんどん下つて参りました。かつて十万円程度しておつたような乳牛の子供でも、今日三万円程度に暴落して来ておるのであります。その原因はどこにあるかと申しますと、畜産物及び家畜取引に関する施策をひとつ政府はしていないのであります。こういうような状態におきましては、畜産物値段がますます下落して、飼料値段上つて行き、畜産経済というものが破綻するのは当然であります。これは畜産関係農民としては、放置して置くことができない問題であります。この問題についても、政府は特に注意を払つてつていただきたいと思うのであります。  さらに一つの大きな問題としましては、畜産物消費拡大の面であります。御承知のように、いまドツジ・ラインのきびしい試練の前に、農村は非常に苦しんでおります。いわゆる有効需要はだんだん縮小されて参りまして、そして需要の減退の形になつて現われて来ておるのであります。その結果が畜産物の価格の下落を来すような結果になつておるのでありまして、この消費の新しい面を開拓するということも、これは個々の農民がよくなし得ないところでありまして、これは当然政府が、しかるべき施策を講じなければならぬものであります。それにもかかわらず、こういう問題に対しても政府は何らの手を打つておらないのであります。まことに畜産を冷淡に扱つておると言うても過言ではないと思うのでありまして、このままにしておきましたならば、畜産は壊滅する以外にもうたどる道はないと思うのであります。  第三の問題としましては、金融の問題でありますが、金融の面につきましても、畜産金融は、他のあらゆる産業金融に比べましても、最も苦しい状態を現わしております。農業方面における金融が非常に詰つておることも、御承知の通りでありますが、なかんずく回転の遅い畜産業のようなものに対しては、現在の金融機構においては容易に金融してくれない。家畜をほしいという農家があつても、これを買うべく必要な資金はなかなか融通が得られない、こういう問題に対しても、政府は積極的にこれを取扱つておらないのでありまして、全国の三百万の畜産農家というものは、非常に不満を持つておるのであります。金融面に対しても、政府は特別な考慮を払わなければ、畜産農民の信を得ることはまつたく不可能であるというように、私は思うのであります。政府は食糧の増産につきまして、二言目には食糧の自給度をはかるということを言うのでありますけれども、この食糧の自給面の強化をはかることはまことにけつこうでありまして、私ども双手を上げて賛成するのでありますけれども、しかしながら、食糧の自給度を高めるその根幹はどこにあるかといえば、これは畜産増殖以外にはない。さらにまた国民の食生活の改善をはかる場合におきましても、蛋白食糧給源の最も大きな分野を占めるのは、これまた畜産であります。そういう見地からいたしましても、お念仏のように政府は食糧の自給、食生活の改善ということをいいながら、その実態をなす、その原動力をなすところの畜産に対して、何らの施策を講じておらないというのが現状だと思うのでありまして、これらの点について、小委員会としては非常に強く要望し、強い議論をしておることを、この際中間報告をしておきたいと思うのであります。  私どもは、この小委員会の論議のうらに、この態勢を挽回するためにあるいは必要に応じて畜産局の機構の拡充の問題も論議に上つております。なおこれらの問題を解決するために、多くの財源を必要とするということは、これはもちろんでありますが、その財源の問題については、幸い畜産局におきましては、あるいは競馬の問題あり、あるいは競犬の問題等あつて、これを同時に運営して参りますならば、比較的財源に惠まれておるのでありまして、この競馬機構検討あるいはドツグ・レース等を新たに設置する等の問題につきましても、委員会としては極力これを応援し、これを鞭撻いたしまして、畜産行政の進展に寄与しよう。幸い新しい農林大臣を迎えたのでありますが、この農林大臣の格別の御勉励、御努力をお願いしたい。委員会としては極力これを援助し、そして畜産増殖畜産業の進展のために、総力を傾注して行きたいというような議論をしておるような次第であります。これが大体畜産小委員会におきまして、今まで議論になりました要点のおもなるものであります。  なおこの小委員会としましては、これらの問題を一々具体的に取上げまして、その具体的な問題の解決に力を合せて進んで行こうということを、申合せておりますことを、御了承願いたいと思うのであります。  なおこの際、最後に一言つけ加えておきますが、最近聞くところによりますと、あるいはオランダから三十万ポンドのバターが輸入されるというような問題があるそうでありますけれども、さなきだに畜産品の過剰に悩んでおります現状におきまして、バターの輸入をするようになりますならば、それは国内におけるバターの値段を急激に暴落をいたさせまして、それでなくても破綻に瀕しようとしている畜産業に対して、それはさらに拍車をかけるものでありまして、これに対しては反対の意を表明するのであります。  さらにまた、最近大豆かすの輸入の問題をめぐつて政府の部内におきましても、安い大豆かすを輸入しますならば、今公団が持つておるところの大豆かすの値下げを来しまして、そうして公団の経理に赤字を生ずるおそれもあるということで、大豆かすを輸入することを阻止せんとするような議論が、政府部内に行われておるということを聞くのでありますが、この点につきましても、今飼料値段が高くて悩んでおる畜産現状からいたしますならば、これを阻止しようという議論に対しては、絶対に反対であるという意向が現われております。このことをもつけ加えて申し上げまして、簡単でありますけれども、小委員会の中間的な報告といたします。
  27. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りいたします。畜産委員長遠藤三郎君の発言を、農林委員会は了承するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。了承するに決しました。     —————————————
  29. 千賀康治

    千賀委員長 これにより畜産に関する件を議題といたし、質問を許します。小笠原君。
  30. 小笠原八十美

    小笠原委員 これは大臣の御出席を願つて畜産の重要性にかんがみて、一切今度大臣の責任において解決づけるように申合せがあつたのでありますが、きようは何時ごろ御出席するか。きようはおそいというお話もあつたが、そうすれば明日午前からでも大臣の御出席のもとに、畜産の議論をとりまとめになるつもりか、委員長の御意向いかがですか。
  31. 千賀康治

    千賀委員長 お答えいたします。きようは困難だろうという情報がありますが、まだ会期のありまする以上、必ず大臣に出席をしてもらいまして、あなた方の十分御意思のあるところを御検討願いたいと思います。
  32. 小笠原八十美

    小笠原委員 それでは、大臣が見えなければ、総括的な問題はあとまわしにして、今次官も見えておりますから、一応畜産局長と二人で聞いていただいて、お考えのあるところを御答弁願いたいのです。先般私は畜産局長に資料の要求をしたところが、その資料が来ましたけれども、前の資料にもそういう問題が出ているということで、せつかく前の資料も調べて持つて参りましたが、こんな資料では畜産五箇年計画も何も、政府としての方針はあまり大したものじやない。まず馬の問題から申し上げるが、馬といえば、ただ一年に百何万頭の増産計画、今年は百十三万頭、来年が百十五万頭というふうな数字が出ているが、こんなことじやとうてい畜産五箇年計画というものは盲目計画である、これを改めなさいということなんだ。第一馬といつても、農馬もあれば、輓馬もあり、競馬もある。競馬の中にもサラブレツトあり、アラブあり、こういうことなんだ。しからばその競馬はどこに何頭いるか、都市に輓馬は幾らいるか、農村に幾らいるか。戦後のように、あんなに食糧がきゆうくつで飼料がないときは、三箇月に一頭ずつ倒れたが、今日は飼料は非常に潤沢で、三年平均の生命は保てるのだ。しからば今日都市輓馬はどれほどいるか、農村輓馬はどれだけいるか、それだけに充当するにはどれだけの牝馬がおつて、それに配合するに種牡馬がどれくらいいるかということがはつきりして、それでこれがうまく行くのだということの計画がなければならぬはずである。また農馬はどういう体型であるか、これは元の軍馬そのままの型を奨励してはだめで、国有牧場の廃止もそういうところから起きるので、農馬というものは、どんな子供でも操縦できるような馬でなくてはならぬ。それを目的とするなれば、その体型はどういうものであるか、そしてそれが何頭必要なんだという計画が盛られなければ、馬としての畜産五箇年計画目的は達せられない。競馬つて、今競馬場反対する共産党木村君からさえも、ああいう有力な意見が出る、競馬場ばかり多くしたつて馬がなければだめだということは、これはもつともな話で、その点私も同感だ。一体競馬をやつて勝馬に奨励金をやつているが、それは大部分牝馬の方に行つているけれども木村君も言つたように、とにかく種牡馬の大切なことを忘れているようなことじや困るのだ。そこで、競馬場が何箇所あるか、健全娯楽をやつて国民の娯楽機関というものを法律によつて定める以上、特にこれを国有でやる場合には、どれだけの資源をどういうふうにして獲得するかという計画がなければ、国有競馬はできない。その問題も盛られておらぬが、それではとても畜産五箇年計画はだめだ。畜産局長、あんたは役牛とは何のことだかわかるか、役牛と乳牛の境目がどこにあるか、それをあなた講釈できるか、局長はできないでしよう、われと思わん者は手を上げてください。一体わが国の農村のように、まだ乳牛などという技術が発達していないところには、牛というものは、あらゆるものから乳をしぼるのだという観念を与えなければだめなんだ、黒牛は役牛だ、あるいは短角は役牛だ、ホルスタインは乳牛だという観念を持つているが、そんな観念を持つているから失敗するし、採算がとれないで、バターが向うから入ると暴落すると言つて大騒ぎするのだ。それが全部の牛から乳がしぼれることになれば、採算はとれるし、農村も非常によくなる。これを、こんなことを区わけするから間違いが出来るので、それは区わけがつくものじやないのだが、まだそこまで技術は発達していない。そこで役牛というものは、実際乳が何升以下しかしぼれないのは役牛だ、それ以上しぼれるのは乳牛だ、その乳牛はどういう種類の牛をいうのだということを、ちやんの調べてかからないと、牛の五箇年計画つてだめですよ。そういうことをよく研究なさるためにはもう少しわかつた連中の委員会を開かなければならぬ。そんなことは何もわからぬ人間をひつぱつて来て、あれは畜産の代表だと言つておるが、それだけはやめて、実際乳をしぼつた体験のある連中を集めて相談するようにしなければ、委員会をこしらえてもだめだ。とにかく実際問題を言うと、畜産局長を初め課長連中も技師連中も、昔の軍馬を扱つたような頭を改めて、ほんとうに今の農村の経済に即応したことを研究した連中を集めて、しつかり研究しなければ、とてもこれはだめだ。  こまかいことをほじくつて言うときりがないから、総括的なことを言うが、金融問題について、今遠藤委員長から中間報告をして詳しく申されたが、第一漁業の方には漁業手形というものがあるが、畜産手形というものはない。これは畜産局長はもちろん、われわれといえども責任を負わなければならぬが、漁業手形があつて畜産手形というものがない理由はないはずだ。中金あたりでは畜産に融通するわくなんというものは、畜産というものは一体何を言うのだというようなきめ方だ。畜産のわけのわかつたのは一人もいやしない。それで中央金庫に金を貸せなんて、へんなそろばんだけ置いているから、とてもたまつたものではない。あれを監督する次官であるから、これは相当畜産の頭のないような者が、あの頭で理事だなんて言える次第でないことをよく教えてやりなさい。そこがほんとうの監督の使命だ。ただそろばんをはじいて、利子をとる。あとはボーナスをたくさんわけることばかり。そんな理事であつてはだめだ。ほんとうの農村の民主化と農村の事業の発達というものは、あらゆる部門から見てそれを検討し、公平な金融をすることによつて、あの農林中央金庫というものは立たなければならぬ。それを見通してやらなければならぬ。今畜産手形というものは落度がある。手形なら何かわくがあるのかというと、一つもない。一銭一厘たりとも金融の道がない。予算は、次官御承知の通り、畜産というものはいくら持つてつたつてだめだ。ことにひどいことは、今伝貧と称する伝染性の貧血する馬の病気がある。その馬の病気を研究するために、ある獣疫調査所で相当な要求をしているにもかかわらず、あの大蔵省というものは——農林省の会計でもそうだ。大蔵省は馬のことはわからぬから、これはいいじやないかといつて、これを削ること三十年継続だ。それだから今になつても病源がわからない。馬の半分が病気にかかつちやつて大騒ぎを始めたが、これは何が原因かというと、研究費が足りない。馬の病気を研究するのにモルモツトを持つて来てやつている。感染しない動物を持つて来て振りまわしていること十何年続いている。こんなことでどうして、畜産の振興なんということができるか。これは大蔵省の方では何もわからぬ。農林省の会計の方もわからぬ。会計の方が畜産局長よりも強い。だから会計の方に行つてぴしやん。大蔵省の方に行つてでしやん。それが今日の農民の不幸を見るに至つた原因である。その不幸は農民ばかりではない。政府がこのようにして、今大きな財源によつて解決しなければならぬ場面に到達したということだ。従つて馬屋、畜産関係にある人が、よく熱意をもつて当らなければならぬから、次官といえども、この点はよく認識して、今回はこういうふうに、この病気が勃発したのを、破れたのを食いとめることに、相当な御尽力を願わなければならぬという時期に到達したのであるから、この点は事務半分、政治半分であるから、次官も局長も、よくお考えになつてつていただきたい。あとは農林大臣が来たときに、よく全部のことに対して申し上げることにするから、この点どうか十分お願いいたします。
  33. 千賀康治

    千賀委員長 ほかに御質疑はありませんか。井上良二君。
  34. 井上良二

    ○井上(良)委員 これは小委員会の方でもよく御検討されておることでありますから、私からとやかく申しませんが、これは農林次官の山添さんに特にお考えを願い、農林省全体としても、わが国の食糧対策を農村経済というこの面から、検討を加えてもらわなければならぬ時期に来ておると私は思う。と申しますのは、非常に食糧が不足いたしました戦時戦後の混乱から、やつと最近、国際的には農産物は戦前の水準に回復して、過剰生産現状に入つて来ておる。そういう状態から考えますと、日本のような過小農制のもとでは、とうてい国際市場に対抗できない事実をわれわれは認めなければなりません。そこでどうしても、日本農業を国際的な水準に高めることのためには、まず農家の経済を安定さすということが何よりも必要であります。同時にわが国の国民の食生活の面から見ましても、農林省が従来とりましたのは、主要食糧対策といいますか、主要食糧に対する農業政策が全体の大きな部分を占めておりまして、今お話になりました畜産対策でございますとか、あるいは、衣料対策でありますとか、こういう面がほとんど問題にされておらないというところに、今日わが国農業の転換期に対して、きわめて重大な問題として論議されておると思います。そこでわが国のような過小農業経営のもと、しかも多数の農村人口をかかえておりますところでは、どうしても畜産相当大々的に取入れまして、一方農業を有畜化するとともに、農村工業への一つの道を畜産の面で開いて行く。それがまた一方国民の総合食糧の上で。栄養の高いものが配給される、こういう線を出して行かなければならぬ。これはもう前から私どもやかましく叫んでおりますけれども農林省予算を見ましても、依然として食管特別会計に占めますところの尨大な予算、同時に農政局を中心にする、またその他農林省全般の施策を見ましても、主要食糧——米麦を中心とする澱粉食の食糧増産に全力が注がれて来ておる。これは、私は今日直さなければならない段階に立つておると思う。きようも午前中公団の小委員会で、食管の内容についていろいろ検討を加えておりますときに、現に食管ではこの五月末に約九万トンに近いところの配給不適品を出しております。さらに十万トンに近いいも粉、及び澱粉をかかえ込んでおる。これを今日かりに消費者価格十キロ当り四百四十五円に計算をいたしますと、実に八十九億という莫大なものが、一般消費の総合配給用として配給されずにおるわけです。これは重大な食管の責任だと思う。もしこれだけのものが配給不適になり、一般総合配給にまわらないでやみからやみに葬られておるというこの事実を、われわれが知つた場合、これだけの金をもし畜産なりあるいは油脂資源なりに投じて行きますならば、どれほどわが国は明るい食生活になり、またそれによつて農家経済が潤うかという、この一つ問題を取上げてみても、われわれはそういうことを気づき得るのです。ましてや政府は年間にわたつて三月も四月も食糧を手持している。そういう状態から考えて、この際ひとつ新年度の予算編成にあたつて、思い切つて遠藤さんからお話がありました蛋白給源、脂肪を増産するという手を、私は打たなければならぬと思いますが、これは当然農家経済を安定し、国際的な競争に大刀打ちして行くところの、ひとつの基礎を築く土台でありますから、こういう点について、大転換をやる方向をお考え願えましようか。農林次官の所見を伺いたいと思います。
  35. 山添利作

    ○山添政府委員 ただいまま井上さんがお述べりなりましたこと、同時にその事柄は遠藤さんが報告されました中にもございます国民の食生活、栄養構成の点から考えて、また食糧の増産と申しましても、今日の段階に参りますると、肥料は御承知のように相当回復して参りました。今後は地方の方から生産を高めて行かなければならぬ、こういう段階に参つております。そのことは、同時にまた畜産と結びついた関係がある。こういうわけでありまして、お述べになりました趣旨につきましては、私どももさように考えておるわけであります。何分今日までの状況におきましては、少し前までは家畜に食わせるよりもまず人間が食う方が先でありました。そこで農業生産の中におきましても、事前割当というような制度によりまして、もつばら主食中心に参つたのでありますが、今後は国内の食糧自給度を高めることの方針は一つありますけれども、その目的を達するためには、農業生産全体の立場でやらなければならぬ、そうでなければまた増産効果も期し得ない、こういう段階に来ておるのであります。従つてお述べになりましたような趣旨でやつてゆきたい。しかしその事柄はいわゆる大転換ということではないのではないのでありまして、自然に——自然といいますか、今日の段階に来り、かつ農業経営上自然な方向に即しておるのでありますから、そういう意味において、合理的な発達の方向に行きたい、こういう考えであります。
  36. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこはあなたと私の考え方の相違といいますか、見方の相違かもわかりませんが、私は今日少くともわが国の農業は大転換を必要とする時代に来ておると思う。でないとわが国の現在の農業生産様式をもつて、現在の農業経営形態をもつて、国際的な市場競争に太刀打ちできないと思う。これをどう太刀打ちさそうとしますか、大転換をせずして、あなたはどうして太刀打ちさせようとするのでありますか、これを一つ伺います。
  37. 山添利作

    ○山添政府委員 それは現在ではまだ、麦にしましても米にしましても、相当海外価格が高いのであります。早晩これが逆になるであろうということは予測をいたしておるのであります。その場合におきましても、国の政策として、日本農業経済並びに農業生産を維持する確固たる、何と申しますか、価格保障という言葉で言われておるのでありますが、そういうことを中心とする政策をやつて行きますることは当然のことでございますが、しかしそういうことだけにたよるのでなくて、元来生産費の低下ということが長い目で見ての基本問題であることは当然であろうと思います。しかし日本農業事情としまして、経営をまつたくかえるという意味でありまするか、大きな経営にして行くということは、これはできないことは申すまでもないのであります。これは土地と人との関係からしまして……。従つてそれに対応する手段といたしましては、協同化を進めて行くということと同時に井上委員の御指摘になりました経営内容を多角的にまた高度にして行く、そのことによりまして、生産性を上げると同時に、農村における加工工程を伸ばして、農村の所得を多くする、こういう方向で行くのでありまするが、その事柄はいずれも合理性に従つて行くのでありまして、私は合理的にステップ・パイ・ステップで進むという意味で、大転換というような言葉を好まない、こういう意味であります。
  38. 井上良二

    ○井上(良)委員 この際特に承つておきたいのは、今期もあとわずかに迫つておりますので、この休会中に政府は新年度の予算の省議を決定することになり、大蔵省との折衝が始まろうと思います。私はこの前の委員会でも申し上げたのでありますが、例の競馬による政府納付金のうちで、その三分の一を畜産奨励のために使わなければならぬということが法律に規定してある。しかるに本年度予算にはこれが少しも適用されてありません。少くとも二十六年度の新年度予算にはこの競馬から上つて来ますところの政府益金の三分の一以上を畜産の奨励に使うということについて、農林省としては自信がございますか。これは畜産局長並びに次官に伺いたいと思います。
  39. 山根東明

    山根説明員 事務的な点について私からお答えいたします。あの法律の適用の問題につきましては、しばしば井上委員から御指摘がありまして、当時私からもたびたびお答えをいたしたのでありますが、私ども考え方が依然として御納得いただけていないような様子でありまして、その点は私どもはなはだ遺憾に思う点であります。来二十六年度の予算においては、少くとも井上委員のお気持を反映できるような予算が組めるかどうかという点でございますが、実は御承知のように競馬の売上げが逐年不振でございまして、来年度の競馬予算はまだ確定はいたしておりませんけれども、私どもの手元で推算いたしておりますところによりますと、昨年なりあるいは本年の收入見込みあるいは收入実績としてしばしば御報告を申し上げました二十数億、あるいは十数億というあの数字よりさらに下まわりまして、大体十億を超えましてもあまり多く超えない程度の数字ではないかという予想がただいまのところ実は立つておるわけであります。従いまして、これらの三分の一という数字は、いわば今日になりましては、率直に申しますと、実は問題にならない非常な少額な数字になるわけであります。この際私どもとしましては、もちろんあの法律の趣旨を決して念頭から離すつもりはないわけでありますけれども、あの数字にとらわれないで、しかもお話が出ました趣旨に沿つて、来年度の予算はただいま計画いたしておるというような事情でございます。
  40. 井上良二

    ○井上(良)委員 この点も特にひとつお願いをしておきたいのは、先般も局長にお話を申し上げたのですが、さきにもまた小委員長から御報告がございましたが、畜産加工品の取引の問題、せつかく畜産奬励され、普及されて参りましても、実際その畜産物の価格が非常に下落をする。また畜産加工品が非常に暴落して、実際飼料代も出て来ないというような状態になつたのでは、これはどうにもならぬ。それで私ども考えておりますのは、まず最初に農業協同組合なり畜産協同組合なりの協同組織の全国的な一つの統制のもとに、これを都市の国民健康保険組合員に対して、国家が加工あるいは金融あるいはまたその配達、輸送等に対して、相当補助をいたし、また一方国民健康保険組合の方でも、組合員の健康を維持するという見地から、これに相当補助をする。つまり農家がつくりましたところの牛乳あるいは鶏卵あるいは牛肉、こういうものを都市の保険組合員に対して、きわめて安く、きわめて新鮮なる大量なものを配給できるような組織を完備する。こういうことがうまく行きますならば、相当わが国の畜産の前途は明るいものがあるのではないか。今日の保険組合は単に診療施設あるいは医療施設、こういう病気になつてからのことだけをやつておりますが、病気にならない対策、病気にしない施設というものが十分行われていない。これから少くとも国家が社会保障制度を拡充し、あらゆる保険制度を充実する上において考えなければならぬのは、国民の健康をどう維持するか、病気になつて莫大な診療費を国が使うというよりも、病気にならないような対策が必要でありまして、これと今の畜産とをうまく結びつけますならば、相当明るい面が出て来ると私は思う。この両方の組織、つまり都市の健康保険組織と農村の協同組織と結びつけることが、絶対にこの際必要じやないか。こういうことに対して特に新年度から、現在畜産価格なり加工物の価格が下落をして非常に問題になつているときでありますから、そういう新しい一つのルート、取引の道を確立して、農家が安心して増産に努め、また一方はそれによつて経済的な負担を軽くし、健康を保持して行く、こういう面で私はやつていただきたい。そうでないとこれが、少数の人に買い占められたり、あるいはこれが思惑に使われたりして、実際必要な勤労大衆にはこれが食膳に供せられずに、くだらない方面に使用されているということから考えて、ぜひこれをそういう面に直結さす必要があろうと考えますが、こういう面に対して、畜産局としてはどういう対策をお考えでございましようか。
  41. 山根東明

    山根説明員 畜産物消費なり取引の点につきましては、これも確定はいたしておりませんけれども、私どもとしまして、来年度の予算においては、相当力を入れた施策を講じたいと考えております。ただいまお述べになりましたような、都市の健康保険組合と農村を直結するという考え方も、この前私直接井上さんの御高見を伺つた問題でございまして、新しい予算が実現しました場合に、そうした考え方をどういうようにして取入れるかという点については、今後私どものもとにおいても、研究をいたして行きたいと考えております。その節さらにいろいろ有益な御意見をお聞かせ願うこともあろうかと思います。
  42. 千賀康治

    千賀委員長 他に御質疑はございませんか。——ないと認めます。     —————————————
  43. 千賀康治

    千賀委員長 この際公団に関する小委員長より肥料配給公団に関して政府質疑をしたいとの申出があります。これを許します。河野謙三君。
  44. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 公団に関する小委員会におきまして、特に肥料公団の廃止に際しまして、最近政府のとつている態度について、はなはだ不可解なものがある、言葉をかえるならば、議会軽視のうらみがあるということが、委員一般の声であります。これをさらに具体的に申すならば、公団は政令によりまして廃止することのできることは当然であります。その措置について不当な点はないのでありますけれども、たまたま議会開会中であります。しかもこの公団廃止にあたりまして、廃止前後のことに廃止後におきまして、諸種の困難な問題がたくさん残つております。失礼でありますけれども政府の今とつている公団廃止後の措置において、はたして消費者たる農民に、向う一箇年間安心して肥料を使い得るだけの措置がとれるかどうう。また肥料の生産者に対して、はたして安んじて肥料生産に邁進できるだけの措置がとられているかどうか。これらの点について非常に疑問があるのであります。これらの点につきましては、少くとも法的には一片の政令をもつて廃止できるといたしましても、議会開会中でありますから、当委員会に対して、進んで農林省は公団廃止の善後措置について詳細なる説明をされ、さらに委員意見を求むべきが当然である。これが公団小委員会意見であります。  この機会に私は、問題になります二、三をお尋ねいたしますが、たとえば公団を廃止いたしまして、向う一箇年間の肥料の需給関係がどういうふうになつているか、これに対する政府の見通し等は当然説明つてしかるべきと思います。さらに、自由取引のうちにおきましても、肥料のごとき農村の必需資材におきましては、当然政府として責任をもつて市価の安定方策をとるべきであります。この肥料価格についていかなる用意があるか。たとえばいかなる値段をもつて最高とされ、いかなる値段をもつて最低とされるか。最高となつた場合にはいかなる処置をとられるか、最低の値段なつた場合にはいかなる処置をとられるか。これらについても当然用意があることと思いますから、御説明つてしかるべきだと思います。同時に、この最低最高の中間のいわる適正価格は、政府はいかなるところをもつて適正価格とされるかということも、進んで説明され、進んで発表されまして、一般農民に肥料の適正価格はかようなところであるということを、十分農民の納得行くように御発表あるべきであるとわれわれは考えます。なお公団の廃止に当りましての八十万トンもしくは九十万トンといわれるストツクにつきましては、いかなる方法によつてストツクされるか。昨日の本委員会においても、委員長を通じて大蔵省に警告を発したのでありますけれども、今大蔵省がとつている買取り方法の一部には、かつて起りました空気木炭と同じようなことを、公然と大蔵省はやつている。肥料の担保もとらずして、肥料のメーカーに、からの肥料について十数億の金を融資するということを、しかも公然と得意になつて大蔵省の事務当局は発表している。こういう奇々怪々なことがある。これらのことについても、いかなる方法によつて買取りをされるか、また買い取つたものを、今後一箇年いかなる方法によつて保管されるか、いかなる方法によつて放出されるか。これらも当然私は発表あるべきだと思う。なお最近いろいろ問題になつております、いわゆる公団の不正事件であります。この事件についても、一旦司直の手にかかつているとは申しながら、当委員会においては、すでに昨年の暮からこの公団の不正事件は取上げられておる。しかもその当時政府は責任をもつて、公団に不正はないという答弁をされておる。ところが事実は、当委員会が昨年の暮に指摘したこととまつたく同じような事実が、ここに現われている。これらの点についても、過去の農林省の答弁の適当、不適当をいまさら追求するものではありませんけれども、最近のこの公団の不正事件については、少くとも進んで、これまた当委員会報告あるべきだと思う。新聞に伝うるように、数億の不正な金がここに取引されているということであれば、この不正の事実に対する穴埋めは、いかなる方法によつてやるか、いかなる用意があるか、これまた当然に当委員会報告さるべきことである、このように考えます。これらのことについて、本日大臣もお見えになつておりませんし、政務次官もお見えになりませんが、肥料について非常に精通されておる山添さんにお尋ねすれば、一番よくわかるのでありますけれども、山添次官に御答弁を願うことは適当でないから、あえてこの席で御答弁を願おうとは思いませんけれども、別の機会に、明日なり三十一日の日に、進んで政府から、この肥料公団廃止に伴う、以上申し上げたような点について説明されて、われわれを通じて全国の農民に、今後向う一年間の肥料の見通しを、十分明らかにされるという措置をとつていただきたい。これを公団小委員会における委員諸君意見を代表いたしまして、私からお願いいたします。  なおもしおさしつかえなければ、この機会に肥料に最も精通されている山添次官から。御答弁願えばたいへん仕合せであります。
  45. 千賀康治

    千賀委員長 山添次官は後刻よく精査してから答弁をすると言つております。  他に御質疑がありますか——。なければ本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十一分散会