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1950-07-20 第8回国会 衆議院 農林委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 足立 篤郎君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       越智  茂君    川西  清君       河野 謙三君    中馬 辰猪君       中垣 國男君    原田 雪松君       八木 一郎君    大森 玉木君       吉川 久衛君    坂口 主税君       足鹿  覺君  出席政府委員         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務次官  山添 利作君         農林事務官         (大臣官房長) 平川  守君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      川上 為治君  委員外出席者         通商産業事務官         (資源庁電力局         長)      武内 征平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 七月二十日  委員石井繁丸君辞任につき、その補欠として足  鹿覺君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月十九日  自作農創設特別措置法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一四号)(予) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業課税に関する件  農業用電力に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより会議を開きます。  本日の議事に入る前に、議案の付託について報告をいたします。昨十九日予備審査のため、内閣から送付されました自作農創設特別措置法等の一部を改正する法律案委員会付託になりました。以上御報告をいたしておきます。  本日は農業課税の問題、農業用電力の問題について議事を進めることになつておりますが、政府委員が他の委員会にも出席を要求されておりますので、政府委員出席の都合によつて議題を適宜整理して行きたいと思つておりますから、あらかじめ御承知を願います。ただいま出席いたしておりまする政府委員は、通産省武内電力局長農林省平川官房長通産省三谷技官、この三君であります。通告の順に発言を許します。どうか発言を御希望の方は御通告をいただきたいと思います。今までの御通告で正式に取扱いのできているのは、井上良二君お一人であります。政府委員関係から農業用電力に関する議題を取上げます。従つてその御発言を願います。井上良一君。
  3. 井上良二

    井上(良)委員 政府委員が全部そろいませんので、主として通産省関係に関連する農業用電力の問題について質問をいたしますが、後ほど物価庁また大蔵省が参りました場合、これに関連する質問政府委員の見えたときにいたすことにいたします。  すでに政府においても御存じ通り、本年三月末までに農業用電力、特にこの電動機によつて灌漑排水を行つておりますものは約六十万町歩に及んでおりまして、その料金は七億三百万円ほどになつておるのであります。そうして消費量は約二億四千万キロワツトといわれております。ところが終戰後五回にわたつて料金の改訂が行われ、特に昨年の十二月十四日付で、物価庁告示でもつて大幅な値上げがされたのであります。このために灌漑排水機使用いたしまして電力を用いておりまする農民は非常に大きな負担になつておる。と申しますのは、この灌漑排水機使用します電力料金は、米価生産費の基礎に計算されていないというところに大きな問題があるのであります。そこでこれら農民不平不満、要求を取入れました地方府県においては、この値上げの分についていろいろ免除処置を講じ、あるいはまた補助金等処置を講じている府県も数府県ございますけれども、その他は全部これが農民自己負担になつておる。特にこの電気行政の上でお考えを願いたい点から御質問申すのでありますが、農業灌漑排水電力は、御存じ通り非常に旱天が続きまして用水が不足した場合、やむにやまれず、非常手段で灌漑水の電力の増設を臨時に申し込む。あるいはまた天災によりまして洪水が出て、せつかく植えつけましたたんぼが全部冠水する。これを緊急に排水しませんと全部稻がだめになつてしまう。こういう非常事態によつて使う場合が非常に多いのであります。こういう天候に支配されて、やむにやまれず使用いたします電力料金に対して、まつたく特殊な扱い一つも考慮されていない。特にこの灌漑排水というのは、一定の時期があるにかかわりませず、一度電動機をすえつけますと、年間基本料金というのを徴收しております。いわゆる使用の有無にかかわらず年間基本料金が徴收されている。しかも三箇月配電会社が前納を強要しております。三箇月前納しなければ電力を送らない。こういうむちやなことをやつている。こういうことから考えて、通産省電力局としては農業用の、特に灌漑排水用電力について、どういうお考えをお持ちになつているか、この際電力局長の御意見を伺いたいと思います。
  4. 武内征平

    武内説明員 ただいま灌漑排水用電力の問題につきまして、電力局考え方を申せ、こういうお話でございますが、お示しのように昨年の十二月十四日以降、電力料金が一斉に大体三割二分というものが総体的に上つたのでございます。特に農業用の中でも脱穀調製灌漑排水と言われておりますが、この三割二分の影響は、脱穀調製につきましては、従来比較的小さい馬力電動機でやつております関係上、しかもこれは定額で扱つております。従いまして御調査をいただければよくわかると思いますが、むしろ脱穀調製電力料金は、新料金によつた方が少い。すなわちメーターでやるというシステムにかわりつつありますので、安くなつておる。ところが灌漑排水につきましては、ただいまお示しになりましたが比較的高くなつておる。と申しますのは、従来灌漑排水用電力につきましては、一般の電力に比べまして三割引きがあつたのであります。従いまして、改正によりまして三割二分全体に上つたので、従来三割引きをしておつたという関係からいたしまして、六割二分というものが一応上がつたという計算になるのであります。電力料金におきまして、従来は一つ政策料金をとつてつたわけであります。今回の電力料金におきましては、関係方面意向も強く現われておるのでありまするけれども、ひとしく一馬力、一キロワツト・アワーのエナージイを使つた場合において、その効果は料金においてひとしく現わるべきである、電力料金において政策をとるべきでないという強い意向が反映せられまして、今回の電気料金というものができております。従いまして、灌漑排水につきましては、値上り率が大きくなつておるというのが現状であります。しかしながら、先ほど井上委員からお示しがありましたように、灌漑排水電力使つた地方における買上げ米価につきましても、必ずしも特に考慮せられていないというのが現状であります。われわれといたしましても、農民方々のお苦しい立場もよくわかつておりますので、これに対する現在のシステムにおいて、いかなることを考えておるかということを申し上げますと、まず第一に、今回の料金におきましては、標準料金によるものと火力料金というものがございまして、一定割当までは比較的安い料金で差上げる。安い料金と申しましても、標準を申しますと、大体大口の電力あたりでは一キロワツット・アワーは一円くらい、家庭におきましても三円くらいであります。ところが火力料金になりますと、一躍平均いたしまして八円くらいになるのであります。従いまして、火力料金を使いますと、非常に高いものになるのでありますから、電力局といたしましては、灌漑排水用電力につきましては、全部標準料金で差上げるという方針をとつております。従いまして、料金が上りましてから最近四月までの実績をとつてみますと、灌漑排水用関係におきましては、ほとんど超過料金と申しますか、火力料金つておりません。わずかに全国におきまして〇・八%を火力料金で拂つておる。これは中部配電名古屋地方で一部拂つておりますしかしながら、さらにこの点を強化いたしまして、普通の割当で足らないときは、調整分から全部差上げる。もちろんその需用につきましては、一応その事態をよく見まして割当を追加いたすわけでありまするが、全部追加する。今申し上げた〇・八%は火力料金を作つておるというような場合は、月の終りになりまして——通産局電力部が持つておりまする保留分というものは、大体二十日ごろまでに切符を切りませんと、それがその月の間に現物化しない、電気としてもらえないというわけでありますから、大体二十日ごろまでに切るわけでありますが、月の終りごろになつて申込みをいただいてもすでに調整分はないといつたような関係から、わずかに超過料金というものが出て来ておりますが、灌漑排水用につきましては、特にそういう点を他の関係と切り離しまして、翌月とインター・チェンジができる、翌月の分をもつて割当を充足ができるという便宜な扱いをすることができることを決定いたしまして、近く各通産局に通知を発したい、かように考えております。従いまして、割当の面から来ますところの料金の支拂いが増加するという面は、今の方法で私は防ぎたい、かように考えておるのであります。  それから料金建前の問題でございまするが、灌漑排水は、一年を通じて使う場合は非常に少いのでありまして、いわゆる負荷率があるいのであります。ほとんど臨時使用であります。従いまして、どの臨時使用の場合に、現在の料金制度によりますと、二つの方法がありまして、年間必要とする電力量の最低六〇%を拂わなければならぬというような規定がある。もう一つは、使つた月ごと電力料金を拂えればよろしいのでありますけれども、その際におきましては、とりつけ、とりはずしの料金を拂う。どつちか需用者の御希望の方をとれというような制度になつておりますが、第一の方をとりますと比較的高くなるので第二の方をとりまして、そうして臨時使用と申しても、大体五月から七月というふうにきまつておりましても、今年も五月から七月来年も五月から七月というふうに、毎年々々周期的に臨時に使うものでありますから、特に需用者の方で、もう來年はここの灌漑排水用のものは使わないという場合は別でございますけれども、来年も使うという場合には、とりつけ、とりはずしをしないでそのままにしておく。そうしてとりつけ、とりはずしの金は、新たにとりつける場合は別でありますけれども、一応とりつけたものは、一ぺんとりはずして来年またつけるということにしないようにいたしますれば、とりつけ、とりはずし用の金がずつとセーブできますので、さような方法で、できるだけ農民方々負担を軽減いたしえい、かように考えるわけであります。ただ料金の問題は物価庁が主管をいたしておりますので、電力局からの御答弁といたしましては以上であります。
  5. 千賀康治

    千賀委員長 ただいま物価庁川上第三部長も御出席になりました。
  6. 井上良二

    井上(良)委員 今電力局長から農業用電力、特に灌漑排水用電力取扱いについて、政府としての考え方伺つたのでありますが、私の伺つておりますのは、政府農民から買上げます米価格決定にあたりましては、パリティー計算を採用しておるが、そのパリティー計算を構成します品目の中に、農業用電力料金というものは取上げられていない。しかもこの農業用電力全国で七億という莫大な数字に上つておる。今局長はいろいろ農業用電力特殊性について、一応の考慮を拂つているようなお話でございましたけれども、全体として少しも拂われていない。と申しますのは、ただ料金のとり方をいろいろ段階を設けて考えるというのであつて、私の質問をしておりますのは、五月から七月に至るわずか三箇月あまりの期間しか電力料を使わぬ、残余の約九箇月分というものはほとんど使用しないのです。しかるにこの間に依然として基本料金はとられている。そこに問題がある。しかも灌漑排水電力というものは、やむにやまれぬ必要電力であつて、しかもこれによる増産というものは相当大きなものがあり得る。食糧の自給態勢というものは、国内では絶対必要であるという政府基本対策の上から考えても、かくまでくふう、努力をして増産に全力を注ごうとする農民努力を、一方において縛つてしまつて、しかもやればやるほど農民負担が重くなる、こういうような電力政策というものがあり得べきことじやないのです。そこでわずか三箇月使つて九箇月はまつた使用しないのですから、その間は基本料金をとるということ自身がおかしい。と申しますのは、昨年十一月の物価庁告示によつて、あなたが今御説明通り、従来三割引であつたものを、三割引を取消して、その上に三割上げておる。そうすると、ここで電力料金は六割上つたことになるのです。そういう大幅な値上げをしておるのであります。そうするならば、当然使用しない期間基本料金をとらぬという特典を與えられたつて、ちよつともさしつかえないんじやかいかと考えるのです。基本料金はぜひ撤廃すべきであると思いますが、この点に対して通産省はどうお考えになつておられるか。それから物価庁はどうお考えになつておられるかという点を伺いたい。  それからこの際特に偏つておきたいのですが、大体私の想定しますところによりますと、全国発電総力のうちで、農業用に使います分は全体の一%にもなるまい、おそらく〇・五%ぐらいにしかならぬのじやないか、こういう想定を私は持つておるのですが、全体の電力使用のうち、農業用電力の占める割合はどのぐらいの比率になつておるか、これを明らかに願いたい。
  7. 武内征平

    武内説明員 基本料金につきましてのお尋ねでございますが、われわれが電気料金考えますときに、二種類の要素が入つておるのでありまして、基本料金それから電力料金と両方が入つて、毎月々々の電気の支拂い料金というふうになつておるわけであります農業用電力につきましては、一年間通じては使わないけれども、その施設はやはりそのままにしておく、常に使う状況にしておくということになりますと、やはり電力料金建前からは、その基本料金は幾らとるか、使わない場合に幾らとるかという値段の問題はございますけれども、やはりシステムといたしましては、さような状況にあるならば、基本料金もほかの電力料金と同じようにとるべきものである、かように考えるものであります。ただ臨時でありますから、先ほど御説明いたしましたように、第二項と申しますか、第二号の方で参りますと、季節的でありますから、とりつけた、そうししてとりはずす、そのお金を拂う。従つてさような場合におきましては、使つた三月分の電力料を拂えばよいということになります。現在のシステムはさようになつておりますが、この運用また改正についての考え方もいたしておるのでありますが、この点は物価庁の方から御説明をいただいた方が適当であろうと思いますので、私の方はここで終ります。  それから電力料金からいたしますと、大体農業用電力年間十二億ぐらい、大体二十四年度の電気会社の全体の收入は四百八十億ということになつておりますので、ごくわずかのパーセンテージでございます。もしアワーについてお尋ねがありますればまたお答えをいたします。
  8. 井上良二

    井上(良)委員 今の基本料金の問題については、あとから物価庁の所見を伺うとして、電力局長に対する質問を続けたいと思います。この農業用電力に対して、電力局の方では割当制をとつておる。ところが農業用電力は、御存じ通り天候、自然の支配下において使用しなければならぬので、その場合割当制を実施されたのでは、実際使用目的を達することができなくなる。だからその割当制をこの際やめて、必要電力必要量だけ全量を割当てる、こういう政策をとられることが至当であろうと思いますが、これに対してどうお考えになりますか。
  9. 武内征平

    武内説明員 井上委員のお示しになつたことはまことにごもつともでございまして、われわれといたしましても、でき得ればフリーにいたしたいというふうに考えておるわけであります。また現在におきまして、一定程度の、たとえば五百キロあるいは千キロ以下といつた電力につきましては、もうその実績に基いた個々割当をやらないで、そうしてフリーにして、料金関係で、その中の何パーセントかを火力料金にいたしまして、そうして各会社、各個人におかれまして電気料金値上げ計算をして、そのペースの範囲において事業をするといつたような考え方もいたしまして、ただいま研究をいたしておりますが、現在のシステムにおきましては、一応個々実績をとりまして割当をする。しかしながらお示しのように灌漑排水に供します電力は、急に予想しない水が出た、あるいは旱魃であるというようなときに使うものでありますから、これについての調整ということは、どうしても必要であるという面から、ごくわずか、全体の五%程度保留としてとつておるわけであります。その中から、農業用の、ことに灌漑排水用電力につきましては、優先的に割当をいたしておるというのが現状でありまして、一応システム全体の研究もただいま続けておりまするが、ただいまの現状におきましては、この調整保留農業用電気の方に主力を置いて運用して行きたい、かように考えておるわけであります。将来の割当につきましては、さらに十分研究をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  10. 井上良二

    井上(良)委員 特に最近伝えられるところによると、電力全体に対して、従来の一貫統制といいますか、発電配電一貫統制が、今度全国九分団にされるらしい。そうなりましたら、農業用電力というものは、一体どういう地位に置かれるか。そういうことについて電力局長、お考えになつたことがありますか。これを伺いたい。
  11. 武内征平

    武内説明員 お示しのように、ただいま電力編成の問題につきましては、政府といたしましては研究いたしておるわけでありますが、この再編成目的経済集中排除法の精神に基いて、全国一本の日発を解体いたしまして、またさらに九配電会社もこれを解散いたしまして、新しい発送配電一貫した、その地域における需給のバランスと見合つた発送配電会社をつくるいうのが目的であります。その主眼といたしますととろは、独占を排して極力サービスをよくするということも、一つの大きいねらいであります。ただそれでは九つにしたけれども、需用者からいたしますれば、やはり現在の配電会社から電力を買つておると同じように、発送配電一貫になつただけじやないか、こういう御質問が出るかと思いますが、われわれといたしましては、一応この九分割はここで九分割いたしまするが、今後におきましては、九つ会社がそのまま永遠に続くものであるとは考えていないのでありまして、今後は市町村の公営でありますとか、あるいは新しい会社ができまして、電力料金も安く、サービスもよくなる。しかも既存の会社あたりから設備が買いとられて、一定地域を獲得することができるということであれば、これは公益事業委員会個々の事案を審査いたしまして、許可するというようなことにいたします。その目的といたしますところは、やはり独占を排しまして、サービスをよくする。今までは一面から非難がございましたように、電気だけは売つてやるのだというような、コマーシャル・ベースに乗つていないのじやないかという御意見がありまして、これも半面の事実でございます。われわれは再編成によりまして、との弊害を除くということも大きい一つのねらいであります。その線から参りますと、農業用電力に対しまして、よりよきサービスをするというふうにいたしたい。ことに具体的な供給にあたりましては、供給規程というものがございます。従いまして供給規程におきましては、できるだけサービスをよくするというような規程にいたしております。要は制度は死物でありまして、この運用はやはり各会社の実際にこれに当る人の氣持であります。そこまでわれわれは指導いたしたいと考えておるのでありますから、制度自体の改変によりまして、さような方向に持つて行くというのが、再編成目的なのでございますから、農業用につきましても、さような方向でわれわれは指導して行きたい。また再編後はさようにあるべきである、かように考えている次第であります。
  12. 井上良二

    井上(良)委員 局長農業用電力については、あまり心配をされていないようなお見通しでございます。かえつてサービスがよくなるというお考えらしいですが、私ども電力のことはどつちかといえば、しろうとでございますから、よくわかりませんけれども、常識論からしてわれわれが考えました場合、今全国プール計算電力料金というものがはじき出されておる。これが分割されて、独立採算制がそれぞれのブロックでとられるということになりますと、たとえば関東地方中部地方、こういう地方は、御存じ水力発電がその大部分を占めておりますから、相当需用者に対してもサービスをよくして、経理内容もはつきり合理的に運用されることになろうと思います。ところが御存じ通り中国、四国、九州というような所に参りますと、ほとんど火力発電が中心であるわけあります。そうなつて来ますと、ここにおいて恐ろしく高い電力料金になりはしないか、またこれが、実際農村のように一定の時期的に電力使用する所では、何か特別な価格を設定するか、あるいはまたそういう施設をいたします場合に、不当な施設費が要求されるという危險が非常に起つて来る。これらに対して電気分割に関する法律案が出ましたときに、十分国会では論議されると思いますが、政府としてもこれらの点を十分考慮して、農業用電力が特殊の目的のために使われるということを十分考慮されて、いかにすればわが国の遅れた農村電力の力をもつて近代的な農業へ持つて行くか、そのためにはどうしたらいいかということを、ひとつわが国民経済の全体の立場から御考慮願いたいと思います。特に私は今からその点の注意を政府としてはしていただきたいと思います。  時間があまりありませんから、ただちに料金問題について物価庁質問をいたしますが、まず第一に、最初に申し上げました通り、灌漑、排水用電力料金、特に基本料金の問題について、物価庁としては一体どういう考え方でこういう料金配電会社にとることを許したのかということです。もしこれをとることを許しておりますならば、また大幅の六割値上げになるという実際になつております現状から考えまして、当然物価庁としては第二部長と相談をされて、これを米価算定に入れるべきである。米価算定に入れずに、こういう特殊電力を利用しております農家の経済は、全然考慮されていないということに結論はなつておる。そういうところからいたしまして、この基本料金を撤廃する意思があるかどうか。こういうことを配電会社に許す必要はない。特に施設については、私ども先局長の御意見を伺いましても、何か施設をしてやつて、一時休止をしてやる、また必要なときには使うからというので、基本料金をとつておるように考えられる。ところがその施設配電会社施設をしておりますならば、それは施設費として相当経費がかかつておりますから、これに対する一定の金利の関係と、あるいは償却を見て行かなければならない関係とに立つて基本料金をある一定額とるというのなら話がわかる。ところが施設費は全部農民負担をする。しかも臨時的に施設するについては、施設費配電会社がとつて、こつちがちやんと必要な施材はみな買うて、そうして施設をするのに、臨時的の施設費配電会社に納めて、その上に基本料金は一年の間たつた三箇月使うのを、九箇月にわたつてとられる。こういう不合理は一体許されるものじやない。これを一体どうあなたはお考えになつておるか、明確にひとつしていただきたい。
  13. 川上為治

    川上政府委員 農事用の電力料金につきましては、今お話がありましたように、二つの種類がありまして、いわゆる恒久的な施設につきましては、第一項の規定によりまして、月額最低料金年間分というのを最底料金としてとることになつております。しかしとりはずしをしますものについては、第二項によりまして、そういう基本料金をとることにはなつていないのでありまして、單にとりはずしの費用をもらうということに相なつておるわけであります。恒久的な施設につきましては、もちろんそれは年間のうちにあるいは二月、三月季節的に使うということになりましようけれども、恒久的な施設になつております関係から、少くとも維持費につきましては、使わない月でありましてもある程度とらなければならないということで、現在の月額最低料金年間分を最小限の料金としてとつておるのであります。ただこの料金につきまして、非常に高いじやないかしという問題があるのでありますが、これにつきましては、私どもの方としましても、何とかしてもう少し軽減してもらうように、いろいろ関係方面とも折衝いたしたのですが、今日までこれが残念にも実現されていないわけであります。しかしいずれにしましてもて第一項の恒久的な施設におきまして、少くとも最低の維持費をとるというような考え方から、現在先ほど申し上げましたような月額最低料金年間分をとるというようなことに相なつておるわけであります。  なおこの農事用の電力料金の問題に関しまして、従来どういうようないろいろ努力を拂つて来たかということにつきまして私から簡單に申し上げておきます。農事用の電力料金につきましては、御承知の通り前年度と比べまして三つの点につきまして非常な違いが生じて来ておるわけであります。第一点は、料金全国一律でなくなつた。それは地域差の関係から全国一律でなくなつて参りまして、関東と九州方面とは相当違つた料金になつたという点が一点であります。第二点は、先ほど灌漑排水用につきましていろいろお話がありましたが、従来三割引になつていたものが全然割引を認められずに、しかも全国平均三割以上の値上げになりました結果、相当大幅の値上げになつたという点が一つであります。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、さらに地域差がつきますと九州方面におきましては相当高くなるわけであります。第三点は、先ほど申し上げました恒久施設につきましては、最低月額料金年間分を拂わなければならぬようになつたという点。この三点が従来と非常に違う点であるわけでありまするが、この問題につきましては、前の議会でもいろいろ問題になりましたし、私どもの方としましても、特に灌漑排水用につきましては非常に値上りになりますので、何とかしてこれを引下げるようにということで、いろいろ向うとも折衝をいたしたわけであります。特に農事用につきましては、従来とも灌漑排水用割引という政策料金制度になつていましたので、何とかして今度の料金におきましても政策料金を適用してもらうようにということで、いろいろ折衝をいたしたのですが、この前の国会でもいろいろお話申し上げましたように、政策料金は認めるべきでないというような意見から、今日までこれが実現を見ておりません。しかしながらこの農事用の電力料金は相当大きい問題でありますし、私どもの方といたしましても、何とかして現在の規定の範囲内においてやれないものであるかという点を、いろいろ研究いたしまして、先ほど申しました月額最低料金年間分の計算にあたりまして、解釈し得る限りの最も有利な解釈をいたしまして、これをある程度低くしております。  それから第二項の工事費につきましても、たとえば材料費のごときはゼロにするというような考え方で、これまたある程度軽減をいたしておるわけであります。また従来多角経営に非常に不便なような料金制度になつておりましたが、今回は少くとも多角経営に非常に便になるように、すなわち多角経営をすればするほど料金が安くなるように現在やつておるわけでありまして、この三点につきましては、配電会社を通しまして、全国統一的にこれを実施してもらうようにやつております。しかしながらこれでもなお十分でない点があるわけでありまして、特に短期間のものにつきましては、やはり最低月額料金年間分という問題があります関係から、ある程度どうしても割高になるわけであります。従つて私どもの方としましては、最近さらにこの問題を検討いたしまして、何とかして現在の規定の範囲内において、さらにもつと引下げる方法はないかといつて、日夜検討いたしまして、近日中に大体私どもの方の原案ができる予定になつております。ただそれにしましてもどうしてもなお高くなるというような場合におきましては、政策料金の問題として、関係方面とさらに折衝を続けたいと考えております。
  14. 井上良二

    井上(良)委員 問題はあなたの方が、第二部の方で米価算定をやつている。米価算定電力料金が全然加算されてないというところに農民の憂いの根本がある。そこで、あなたの方としては、特に従来農業用電力には三割引を認めて来たのですから、それが電気地域制といいますか、いろいろな新しい料金制度の改訂によつて、全然そういう恩典がとられてしまつたというところに問題があるわけなのです。しかも割当以上を超過しました場合の料金火力料金でとられている。これなんか実際いえばめちやくちやな話なんだ。そういうことに対しても、もつとあなた方は配電会社を嚴重に監視して、そういう不当なやつはぴしぴし取締つて行くという態度を示さなければ、農民はたまつたものじやない。またいろいろ御苦心されて、できるだけ料金が安くなるような新しい立案をされておるという答弁を承りましたから、私どもあなた方の努力に対して、非常に感謝をいたすのでありますけれども、現に電力料金のうちで、夜間に使用します電力については相当割引があるのであります。しかるに農業用電力には全然割引がないのであります。また、これは料金ではございません、税金でございますけれども、大工場の方面にいろいろ使用しおります。電力料金については、地方税の電気税はかかつていないところが農業用には電力税をかけようとしている。こういうまつたく片ちんばの、弱いものいじめの料金制度地方税のとり方をしておるのです。一番不合理なのは——私はこれ以上もう質問いたしませんが、特にあなた方の料金問題についての御考慮は、灌漑排水用電力は、天候のやむにやまれぬ結果、使用するのですから、この頭を忘れてもらつては困る。大水が出て来て、たんぼが全部水浸しになつて、三日もつけておいたら全部だめになつてしまう。ほとんど夜も寝ずに、全力をあげて排水に努めなければならぬ。その他の災害に対しては、政府は莫大な耕地災害復旧費を別な費目で計上して予算化しておる。洪水による浸水については、ただ補正、減額する措置、あるいは農業共済による救済以外にないのです。しかもこの自分の力でない、天然の力で出て来た水を、自分の財産をすり減らしてかい出さなければならぬ。こういう不合理なことが農民に課せられている。しかもよけい使えば、使つた分については恐ろしく高い超過料金をとられる。こういうまことに割り切れぬ不合理があるのです。それも全体の需用電力の大きなパーセンテージを農業用電力が占めておりますならば、配電会社の方も、救済事業、社会事業でなく、やはり営利事業として独立採算制をとつているのであるから、そうむりも言えぬと思うが、全体のパーセンテージからいえば一%に足りない、おそらく〇・五%くらいのところじやないかと私はにらんでいる。そういう非常に使用量の低い、しかも大事な食糧増産をやつておるというこの事実を、あなた方十分認識されて、この灌漑排水用電力については、特別の考慮を拂うべきだ。もし拂わなければ、少くとも米価算定すべきだ。これに要する電気料金は、ことごとく生産費に見積るべきだ。それを見積らんでおいて、農家負担におつかぶせるという行き方は、何としても政府としては特段の考慮を拂つてもらはなければならぬ。特に今お話がございましたけれども、私は何としても年間ぶつ続けでとるというこの基本料金の取立てについては、納得できないのです。その設備を維持するというけれども、維持することも何もありやしないのです。スイッチを切つておけばそれでいいのです。今度いたんだら修繕だというときには、修繕費をこつちが出すので、配電会社がかつてに修繕して動くようにしてくれない。いたんだところは農民負担しなければならない。維持というのはどこの維持だ。配電会社経理内容の維持かしらぬけれども、農民施設に対しての維持を全然配電会社は何も行つていない。全部農民負担しているのです。いよいよ需用期に入つてスイッチを入れてもらつたらそれでいい。スイッチを切つておいたら、何も別に御迷惑はかけませんから、年間九箇月もまるきりただ奉公せねばならめというのは、どう計算して、どんな考え方をして見たとて割切れない。ひとつあんたふんばつて、これだけはやめるように言つて下さい。それから電力局長の方はぜひひとつ全量割当をやるようにして、必要な場合必要な電力を十分供給する。この基本的な大きな線を二つ、まず解決を願いたい。私は特にそれを要求しますが、これに対しもう一度御意見を承りたい。
  15. 川上為治

    川上政府委員 最低分の年間分をとるという問題につきましては、先ほど私からも申し上げましたように、どうしてもこのために従来よりも非常に高くなりますので、何とかしてこれを軽減または撤廃してもらうように、今までいろいろ交渉もいたしたのです。まだ実現に至つてはおりませんが、今後とも今仰せになりました点は、私どもとしましても非常によく考えておるつもりでありますので、今後におきましても、極力努力したいと考えております。
  16. 井上良二

    井上(良)委員 これは農林省の方に伺うのですが、この問題は、私本会議においても、あるいは先般の大臣の施政演説においても、質問をしたのでありますが、灌漑排水の特に必要な面は、非常に天気が長続きして、たんぼにひびが入つて、長期にわたつて灌漑をせねばならぬという場合と、それから台風その他によつて水田が冠水した場合に、まつた農民の予定し得ない灌漑排水の結果が生れて来る。こういう場合は、たとえば川が切れてたんぼがつぶれたというときは、ある一定の面積に対しては、政府は耕地復旧補助金というものを出しておる。この冠水田の排水による莫大な電力料金に対しては、何ら補助してない。地方的には県で補助しているところもございますけれども、それはほんのわずかである。こういう災害によるやむにやまれぬ灌漑排水に要する電力費は、当然国家が補償せねばならぬと考えますが、この点どうお考えになりますか、いろいろ私の調査したところによると、段当二百円以上の電力料金使用する。この分については三分の一か二ぐらいは、政府が補助しようかということを農林省で考えておるという話も聞いておりますが、そういうことを親切に考えてくれておるのですか。農林大臣が来ておりませんから山添次官からお答え願いたいと思います。
  17. 山添利作

    ○山添政府委員 そういうことを考えておりまして、予算を要求したいというわけであります。
  18. 井上良二

    井上委員 わかりました。
  19. 吉川久衛

    ○吉川委員 電力局長にちよつとお伺いしますが、この電力の再編成問題で、全国を九ブロックにわける。その際にどういう基準によつておわけになりますか。ある県のごときは幾つかの配電会社にわけられるというような例があるのです。たとえて申しますと。長野県の場合のごときは、関東配電中部配電に分けられる。しかも全国一律のプール計算で行くならば。料金が一律に行くのですけれども、配電会社が違うために料金が通う。そのために県治上非常なさしつかえが出て踊るわけなのです。こういう問題について、長野県のごときはたいへん問題になつております。よその県においてもそういうところはあろうかと思うのですが、こういう問題についてどうお考えになりますか。井上委員の先ほどの御質問に対して、武内局長は、今回の電力編成によつて、その主目標はサービスがよくなるというようなことをおつしやつたのでありますが、はたして各ブロツクごとによつてサービスを競争してやられるような形になるならば、局長のおつしやる通りになるのですけれども、どうも私どもの見るところでは、さような結果が出て来ないように思う。むしろ県治上いろいろ困る問題が起るような弊害さえ予見される状況にありますので、どういう基準に立つて、どういう御見解のもとに、一つの県を二つにも三つにもわけるような構想を立てておいでになるのか、その辺を伺つておきたいと思います。
  20. 武内征平

    武内説明員 再編成にあたりましては、新たに設立いたしまする発送配電一貫いたしました九つ会社は、現在の配電会社地域を大体踏襲いたします。ごくわずか岐阜県の北部、神岡町に最近なりましたあの附近が、配電の技術上の問題から、一部北陸配電地域に入りますけれども、その他は現在の九配電会社地域に沿いまして、新しく会社ができる、かように考えております。
  21. 吉川久衛

    ○吉川委員 そこで局長に念のために伺わなければなりませんが、今伺つた長野県の場合のように、まつ二つに割れてしまう。そうして電力料金に差等が今予想される。そういう場合に、同じ県にあつて県政上いろいろな問題が出て来るのですが、そういう場合にこれを一本にしていただくわけに行かないでしようか。そういう点について。
  22. 武内征平

    武内説明員 お示しの長野県は、たしか現在におきましても中部配電に属しておる、かように考えるのであります。従いまして新しく会社ができます場合におきましても、中部地区の名古屋を中心といたしましたいかなる名前がつくか知りませんが、その会社に入る。かように考えております。
  23. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 昨年の十二月の電力料金改訂に伴つて、特に農業方面の灌漑排水等の電力料金が非常な値上り、すなわち六割二分もの急激なる値上りを示して来たということは、ただいま井上委員からも指摘いたしまして、当局のお話を聞いた次第であります。なお電力局長が答弁せられた中に、指導的方面としての意見としては、産業別による料金の格差というものは認めがたいということをおつしやつたので了承したのであります。この言葉の裏には、産業別によつて電力料金を左右するということはいけないのであるが、しかし産業別自体によつて成立たない産業においては、それぞれ別の方途によつてこれに対するカバーをして行かなければならぬということが含まれておると、私は思う。はたしてそうであるかどうかを電力局長お尋ねいたします。
  24. 武内征平

    武内説明員 ただいまお示しになりましたように、電力料金の方で政策料金をとられぬとすれば、それをもとにした電力をお使いになつておる産業におかれまして、方策を立てられるべきではないかというふうに、私も同感に考えるわけであります。
  25. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 従つてただいま井上委員が最後に山添次官に尋ねられ、次官は明快な御答弁をなさつた。私はこの点はきわめて重大であつて、農林省はぜひこの際強力に予算獲得をせられて、これらの不幸な、急激な変化を来して負担の過重を来しておる農村に対する考慮を、拂わなければならぬと考えておるのであります。これはぜひとも次官言明の通り予算化されて、適当なる措置がとられたいと希望いたします。  なおまた井上委員から指摘いたしました、米価その他に関する勘案という問題もございますが、これはきわめて技術的にめんどうな問題であろうと思う。しかしそれらに対しましても、電力地帯の米価だけを特別に上げるということは、とうてい技術的にできない。従つて、これらに対する別の施設で、電力料金のカバーと同時に適当のことも考えられるできであると思うのであります。私は小水力の発電に対して、電力局長並びに農林当局にお尋ねしてみたいと思う。日本は文化国家だとか何とか言つておりますが、今もつて無電燈地帶が非常に多い。これはどの程度日本に無電燈地帶があるかということも、資料があつたならば、後刻でよろしいからいただきたいと思います。特に東北地方あるいは北海道には、無電燈地帶が多いのであります。無電燈地帶に対しまして、最近小水力の発電ということが非常に慫慂きれ、また特に相当企画され、あるいは実施されております。これらは、それぞれ農業協同組合あるいは特別の組合をつくる、あるいは町村をもつて経営されて参つて来ております。これに対する今後の指導方針と申しまするか、電源開発等に件つて、その地方にも配電会社等の区域が延長されたという場合に対して、電力局といたしましては、こういつた既存の小水力配電地帯というものを、どうお取扱いになるお考えであるか。これは一つ地域として残すのであるか、あるいは吸收さるべきものであるか、吸收しようというお考えであるか、まずこれをお尋ねいたします。
  26. 武内征平

    武内説明員 小水力につきましては、われわれの考えといたしましては、その地帯として残す。かように考えております。
  27. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 これらの小水力の発電計画は、二、三私も検討してみたのでありますが、地方によつては非常に負担が重いのです。これは農民の今日の状態のもとにおいてこの負担をして、活発にこういつた業を興させるということは、現在の段階においては、非常に経済的にめんどうな問題になつておる。これに対して何か電力局として助成の道があるかないか、やり得るかどうか。それからもう一つは、特に農村の問題でありまして、ただちに農業生産の直接の問題である用排水とか、あるいは脱穀とかいう問題ではなくして、一般の燈火用の電燈にもなるわけでありますが、農村地帯であり、ひいては農村の生産増強に間接には資する問題であるから、農林省としても、こういつた問題に対する助成は、十分考えておかなければならぬのじやないかと思うのです。農林省として、これらに対する補助金を捻出することに対してのお考えも、あわせて伺いたい。
  28. 武内征平

    武内説明員 われわれといたしましては、できるだけ設計その他小水力の完成につきましては、技術的の御援助等を申し上げたいと考えておりますけれども、その施設に対する金銭的な援助といつたようなことにつきましては、われわれの方の立場からは、ただいまは困難ではないかと考えております。
  29. 山添利作

    ○山添政府委員 農村関係におきましては、昭和二十四年度におきましては、見返り資金を供給するという計画でございましたが、これがうまく行かなかつたことは御承知の通りであります。従つてこれからの問題といたしましては、第一にやはり融資措置を考えるべきではなかろうか。しかしそれも金利が高くては話にならないわけですから、そういう点を考えながら方策を考えて行きたい。こういうつもりでおるわけであります。
  30. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 どうも次官は融資程度のようなお考えでありますが、私はこういつた、どつちかというと、今の日本の国民といたしまして、ただ地域的の関係で、不幸にも今もつて電燈という、ほとんど世界の常識で、だれが考えても生活に必ず必要な必需施設であるものから、今なお残されておる地帯の国民というものに対し、あるいは農民層の方々に対して、ただ融資の程度のお考えでは、私は農林省ははなはだ遺憾と思うのです。もう一歩進めて、これは国家の事業としてやつてもいいのです。少くともその三割、五割、あるいは数割の補助というところまで行くべきであろうと、私は固く信じておるのでありますが、さらにもう少しあなたの信念を、したいのかしたくないのかまでお伺いしたいと思うのであります。
  31. 山添利作

    ○山添政府委員 現に北海道等からは、半額助成というような案で要求が出ておるわけであります。しかし事予算につきましては、やはりよく研究をした上で申し上げませんと、ただそうだろうと思つておるという希望的なことだけでは、ぐあいが悪いと思います。そういう意味におきまして、実はきわめて内輪なお答えを申し上げた次第でございます。
  32. 大森玉木

    ○大森委員 簡單に電力局長お尋ねいたしたい。さつき局長お話では、電力を再編成することによつて、公平に負担を行うことができるのである、こういうふうに申されたのです。水力電力は申すまでもなく水であります。水力電気の起きておる所は、おそらく私から申し上げるまでもなく、それに伴つて水害の多い所であります。そこで山が深くて、水が多いから水力電気を起すことができる。そこでその地元におけるところの水害による負担は、これは農村が負つておる。そうしてその水から受けるところの利益は公平に分配するということになりますが、それで公平でありましようか。私は地元の水害によつて起るところの損害も、また利益もこれが公平に分配されなければならない、こういうふうに考えるのでありますが、この点をちよつとお伺いいたします。
  33. 武内征平

    武内説明員 ただいまお示しになりました問題は、非常にしばしばある例でありまして、電源地帯は大体山岳地帯にあり、またダムその他を建設いたしますから、多量の降雨のあつた際には、あるいはダムの操作その他によつて、水がオーバー・フローすることを避け得られないで、害を受けますことはしばしばあります。現に天龍川等につきましては問題もございます。われわれといたしましては。極力ダムの操作、ことに砂利がダムにたまりまして、水深が浅くなるという関係から、バツク・ウオターがはるかに予定したところよりも後方に参るというところから、浸水する家屋が多く出ますので、この点に対しましては、建設省とも協力いたしまして、ことにに地元の県とも協力いたしまして、できるだけこの弊害を除くように、たとえばそれに対する堰堤をつくるということのために電力会社から相当の金を出さすというようなこともいたしております。ただ水力関係があるために、相当地元の府県には水利使用税というものが入るのでございます。これらはもちろん目的税ではございませんから、その地区の水害の予防にのみ使う、あるいは砂防工事にのみ使うということではないと思いますけれども、これらの財源は、できるだけさような害をなくするために使つていただきたいということを、県の当局にお目にかかる、ことに、われわれといたしましても申し上げておるのであります。水利使用税も相当なる引上げを、たしか昨年いたしたのであります。もちろん地元からごらんになりますれば、十分ではないというふうに考えておりまするが、われわれといたしましても、その方向に持つて行きたいというふうに考えておるわけであります。
  34. 大森玉木

    ○大森委員 どうも私は満足できないのでありますが、大体何か設備によつてすべて水害をなくすることができるようなお話でありますが、そういうことによつて自然の水害はなくなるのでありまするか。地形などによつていつも水害というものは起きておるのですが、私どもはその水によつて得るところの利益というものは、これは当然地元の番が受けるべきものである、こういうふうに考える。それを何の水害も受けてないところへ持つて行く、そうして電気料が一定料金になるということが公平であるというようなことは、私は考えられないと思う。今申されたように、地方にも税金として幾らかある、こういうふうに申されますが、そんなものはわずかである。家の一戸も流したらもう問題にならないのであります。こういう点を、私は公平にしていただきたい。やはりその地方の自然の形において、一方は電気を起すという自然に恵まれたのである。一方は自然に侵されておるところの水害である、こういうふうになるのであるから、これを両立しなければいけないのである、こう思うのであります。それを一方の利益のものだけは持つてつてしまつて、それを他の地方において全部平等にわけてやつてしまう。そうして地元民はそうじやないという。私どもの地方などでは、私は石川県でありますが、富山は相当な電気を勝つておりますが、これを持つて行かれることによつて、地元に産業も工業も起らない、こういうふうに実は言つておるのであります。こういう点から考えまして、それと同様に、私は農村におけるところの損害というものを、考えなければならぬのじやないか、私どもはこの問題に対して深く考慮し、また研究しておるのでありますが、なお局長の御意見は、設備によつて水害等は防げるものであるというようなお考えを持つておられるかどうか。こういうことをお尋ねいたすのであります。
  35. 武内征平

    武内説明員 われわれが新しい発電所の計画をいたし、あるいは貯水池のダムをつくるというような際におきましては、非常にその点を周到に研究いたしまして、安全のファクターをたくさんとつて、そこの川はどのくらいの土砂を流して来るかというような研究を深くいたしまして、そのとめましたバツク・ウオーターがどの辺まで行くかということをしさいに検討いたします。これはもちろん水利権の問題にも関係いたしますので、県の知事の意見を十分尊重いたしまして、設計をきめるのでありますけれども、水力発電所というものは、相当長い年月生命があるものでございますから、年月とともにやはり、ダムがだんだん埋つて行くということはあり得るのであります。従いまして、このためにはたとえば天龍川の泰阜といつたような所におきましては、ダムが相当埋つておりますから、この土砂を流すべくトンネルをつくり、その損害を防ぐというふうにやつておりますが、設計当初におきましては十分やりますけれども、その後の変化におきまして水害の原因となるようなこともあります。従つてこれを絶対に避けるということは、必ずしも不可能ではないと思いますけれども、われわれといたしましては極力その害を避けるように、また害の発生いたしました場合におきましては、これに対する対策については、十分地元の御意見も尊重いたし、また建設省とも協議いたしまして、電力会社に協力せしめるというふうにいたすわけであります。
  36. 大森玉木

    ○大森委員 もう一言つけ加えて……。そうしたことによつて料金がどうなるかということを……。
  37. 武内征平

    武内説明員 それで地元のそれに対する損害に対して、これを料金でかげんすべきか、どうかということに対しましては、さような方法一つ考え方でありまするけれども、しかしながら具体的の場合にあたりまして、非常にその算定が困難であるということと、またさようにやつて行きますと非常にヴァラエテイーがありまして、ニュアンスが非常にありますものですから、やはり料金は一応一本と申しますか、一つの体系のもとにこれをつくりまして、水車号に対する対策は別の方法で講ずるといつた方がよろしいのではないか、またさように行くべきであるというふうにただいま考えておるわけでございます。
  38. 千賀康治

    千賀委員長 進行いたします。足鹿覺君。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 井上委員の御質問で、私の聞かんとした点も大体盡きておると思うのですが、二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。  山添さんにお尋ねしたいのですが、現在農村電力の普及奨励、そういうふうなことに当つているのに、大体農村電化推進委員会というような、配電会社あるいは関係農業団体とか、あるいは地方行政機関、そういうふうなものが寄りまして、推進委員会というような、きわめて微々たるものでお茶をにごしておる。こういうことで、ほんとうに将来の農業近代化の推進をして行くその基盤になるともいうような、農村電力の普及徹底、それに上る農業生産力の向上維持、あるいは農村の文化生活をつくる、そういうようなことについて、はたして徹底を期し得られるかどうか。話に聞きますと、農林省には農業用電力を担当しておる人もおるとしかおらぬとか、そういうような体たらくで、ことごとにこの農業電力の問題については、あまり力が入つておらぬという話をよく聞くのです。これについて本省にもう少し権威のある——今でもないことはないでしようが、農業電力を普及し、また普及するための諸條件を関係方面と折衝し、あるいは関係官聽も横の連絡をとり、徹底して行くような、何か権威のある機構というのですか、そういうものをお考えになつておるのか、今の体らくでは、私は非常に遺憾であろうと思うのです。私も地方電力推進委員会の責任者をやつておるのですが、やろうと思つてもなかなか配電会社から相当寄附金といいますか、負担金のようなものをとらなければならぬ。やはり苦いことを言えばそういう点にも影響して来る。実際問題として、今の推進委員会程度のことでは、私はほんとうに農村電化を推進して行くことは弱いと思うのです。この点について農林省の一つの方針といいますか、腹をこの機会に御発表願いたい。まずその点をひとつ……。
  40. 山添利作

    ○山添政府委員 農村電化につきましては、かつて指定村の制度によりまして、全面的に——というと言葉が大きいのですが、できるだけその村の諸般の施設を電化するという方策をとりまして、たしか村も四つばかりは指定したのでありますが、これは予算の面からは打切られたのであります。それから農業機械化委員会というものがございまして、そこで電気研究をしたこともございますが、この方面も目下は立消えの形になつておるかつこうであります。お話になりました推進委員会は、普及と同時に、これは一つ電力統制の面から、電力を節約しつつ合理的に使つて行こうじやないか、こういうような機能をも多少持つた組織ではなかつたかと想像するのでありますが、今後の問題といたしましては、これは農業改良局で取扱つて参る。そうして農林省といたしましては、まだやはり今の電力事情、あるいは電力量等が問題になつております段階におきましては、ただ普及をするという問題よりも、これを新しい方面に電気を応用して行くということの研究を、まず先行すべきではなかろうか。実は一年以上も前でございまするが、私しばらく農政局におりますときに、当時の通産省電力局長と話合いをしたのでありましていろいろこういう項目、こういう項目という注文を出したことはございますが、いやまことにけつこうであるけれども、今は電力がないからしばらくは見送つてくれというような話でありました。従つて農林省としては、農村で使います電力というのは、これは申し上げるまでもなく、きわめて微微たるもので、全体の量から申しますれば、ほとんど二%か二%半ぐらいで問題にならないのでありますが、現実の供給事情あるいは割当というような制度がございまする限りにおきましては、やはり新しい分野に電力を応用するための研究に力こぶを入れる段階ではなかろうか、かように存じておる次第であります。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 いろいろお話を聞いたのでございますが、そうしますと、私のお尋ねしておるのは、農林省に農地用電力を普及して行くための、新しい強い機構をおつくりになる考えがあるかないかということを聞いておつたのですが、その点については端的にどうですか。そういうお考えはないですが。
  42. 山添利作

    ○山添政府委員 私の申しますのは、普及というよりも需要の方面の研究ということを、まず現在の段階では力を入れる。そうして電力事情等に応じて今の普及方面について推進して行く、こういうやり方が実際に合致しているのではなかろうか、こういう考えを持つております。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 大体これ以上お尋ねすることをきようはやめたいと思いますが、先刻から井上委員の質疑の中にもあつたように、農業用電力料金というのは、パーセントの上からいつて、ごく少い四%程度のものである。なぜそういう程度にとどまつておるかということについては、普及を阻害しておるいろいろの條件がある。その諸條件を一つ一つ具体的に解決して行かなければならぬ。これについてやはり農地別電力という名がつくからには、少くとも主管省としてはやはり通産省であるかもしれないが、私はやはりそれを普及徹底して行く、新しい日本の農業近代化を促進して行く、そういう見地からは、やはり農林省しては責任があるわけでありまして、この点についてはとくと御研究になりまして、すみやかにそういう施策を講じられんことを、私は特に要望をいたしたいと思うのであります。そこで現在農地用電力の普及を阻害しておるいろいろな原因、條件というようなものについて考えてみますると、結局料金の問題等にまたかかつて来るのであります。これは井上委員との間にいろいろ質疑がかわされて盡きておりますから、私はごく簡單に申し上げてみたいのでありますが、農業用電力料金地域差について、先刻も物価庁の第三部長お話では、月額最低料金年間分を標準料金としてとつて行くということをおつしやつた。とするならば、やはり私は年間総合利用ができるようにして行くということと、三箇月や四箇月のただ脱穀調製ということでなしに、まだ農業方面では電化して行く面がたくさんある。ですから年間総合利用できるような、一つ供給上における点を御考慮になることが一つ。それから特に私ども——私は鳥取県ですが、現在の電力料金というものは、非常に中国地方は不利な立場にあることは御存じ通りであります。そういう点から行きますと、特に地域差の点で不利を受けておる。非常に配電会社ごとに料金がアン・バランスである。この点について、先刻も井上氏からお話がありましたように、米価全国一律できめられて行くのです。従つて農業用電力の問題にしても、やはりパリティー計算の基礎にこれを置く置かぬという問題になるでしようが、大体において一律にされてもさしつかえないのではなからうか。そういうふうに地域によつて非常にアン・バランスになつたものに対して、物価庁としてはどういう調整をおやりになつておるか。それと今の総合利用の方途を講じられる必要があると思うのですが、これらの点について、どういう御所見を持つておるか承りたいと思います。
  44. 川上為治

    川上政府委員 電気料金の面からいたしまして、総合利用に便ならしめるようにという点につきましては今回の電気料金の実施にあたりましても、極力多角経営に便ならしめるような措置を一応講じておるわけであります。なおそれにつきましては、まだ遺憾な点もあると思いますので、私どもの方としましても、さらに研究してみたいと考えております。  それから第二の、地域によつて農事用電力料金につきましても、相当差が現在つけられておるのでありますが、これは農事用だけではなく、各種の産業も、一般的な問題として同じような情勢になつております。特に農事用につきましては、先ほど来いろいろお話がありましたように、電気料金の影響はきわめて重大なものがあると考えられますので、全国一律の料金にするかという問題につきましては、私どもの方としましても、今後さらに研究をし、関係方面と折衝もいたしたいと考えております。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に電力局長なり物価庁次長にお願いしたいのであります。臨時供給規則と言うのですか、電力に関する供給を規定づけておる法規は、現在これ一つしかないと聞いておるのですが、電気のように公共性を持つたものを、各配電会社の申請にまかせておくということ自体矛盾ではないかと思う。現在私どもが受けておる中国地帯の事例から考えみても、話に聞くと、去年の秋でしたか、配電会社間におけるアン・バランスの問題についていろいろ協定がなされ、これが実行に移されなければならないような話合いができておるのに、いまだにこれが実行されていない。こういう電気の持つ公共性に反するような面があつたときには、通産省は何かもつと強い力で調整して、公共の利益に沿つて行くようなことを、私は考えていいと思うのです。先刻も大森さんから御意見があつたのですが、たれも惜しまない自然力をくみ上げてできるものを、各配電会社の申請にまかしておくこと、供給規定だけで、これに対して何ら強力な監督あるいは指導を加えていないのは矛盾だと思う。農事用電力に限らず、通産省としてももう少しお考えになる必要があるが、現在のもので満足しておられるか。その点は一体どういうようにお考えになつているかお伺いしたい。
  46. 武内征平

    武内説明員 ただいまお示しの点は非常に重大であります。電力は、御承知の通りおのずから事業の性質上いたしまして独占になるのでありまして、いかに小さくわけましても、一地域におきましては独占供給ということになります。また性質からいたしまして、すべての国民を対象といたしましての事業になりますので、独占である弊害がそのサービスにおいて現われるということはありがちであります。もちろん現在の体制におきましても、いろいろ御不満がございますれば、われわれといたしましては、個々につきまして処置をしておりますけれども、さらに電力編成に伴いまして、すでに御承知と思いまするが、電力局を廃しまして公益事業委員会というものをつくります。この目的の大きいねらいの一つは、サービスをよくするために、もしそれに対して不服がございますれば、委員による公聽会を開きまして、この公聽会の結果、不服を申される面に十分なる理由がある場合におきましては、電気事業会社に対してそれぞれ指令をすることができる。もしその指令に反すれば罪則を適用するといつたような、一つサービスに対する新しい監督方法と申しますか、公開による法の審理に基く処断をいたすというふうな方向に、これを持つて行くことに相なつております。御承知のように、前国会におきましては審議未了になり、本国会にはいろいろな事情から提出いたさぬのでありますが、政府といたしましては、極力早い機会にこの方法を実施いたしまして、御不満がないように、御不満がありますれば適切にこれをさばくというふうに、持つて行きたいと考えております。
  47. 千賀康治

    千賀委員長 これで通告順の質問は終了いたしました。他に電力問題に関する御質疑はございませんか。——御質疑はないと認めます。     —————————————
  48. 千賀康治

    千賀委員長 理事会の御意見もありますので、今日は地方税の問題につきまして、農業課税関係のある件をしばらく上程いたします。ここにおられまする政府委員の方で答弁のできる範囲で御満足をいただきたいと思います。質問通告がございます。小林運美君。
  49. 小林運美

    ○小林(運)委員 私は質問に入る前に委員長に特に申し上げておきます。地方税の問題は、全国民あげて非常な大きな関心を持つておることは皆さん周知のことと思いますが、当農林委員会におきまして、特にわれわれ農村関係のある者が、今回の地方税に関係いたしまして、非常な大きな危惧の念を持つておるのであります。しかるにこの委員会におきましては、先日連合審査会が簡單に開かれましたが、かような厖大な地方税をやるのに、たつた半日くらいでは、農林関係地方税に関する質疑はとうていやりきれない。そこでわれわれは、本日農林委員会において地方税の農業課税について特に政府委員出席を求めたところが、ごらんの通り、だれも来ていない。これは一体どういうわけか。委員長の政治力を私は疑う。今後もこういうことは相当ございましようが、特に委員長におかれても、こういう問題は重要な問題であるから、極力その方面に力をいたして、政府委員出席を求めてもらいたいのであります。  それで、ただいま政府委員は見えたようですが私はまず第一に農林次官に一応伺います。今回の地方税に関係いたしまして、農家が非常に大きな負担を負うようになつておるのであります。たとえば地方税法案の三百四十八條にあります固定資産税の非課税の問題であります。この非課税の項目が八項にわたつてありますが、非常に簡單であります。宗教法人とか、墓地とか、ため池とか、保安林、こんなようなものが載つておりますが、われわれ農村関係において、もつともつと非課税にすべきものがたくさんあると思う。こういう問題に対して、農林省は、大蔵省、地方自治庁等とどの程度の折衝を行つたか。結果はこのようにほとんど見られていない。またどのくらいの意気込みでこういうことをやつたか。その経過並びに結果をまず第一にお伺いいたします。
  50. 島村軍次

    ○島村政府委員 おそらく非課税の問題については、公益的性質を持つておる農村における協同組合あるいは都市の生活協同組合等の問題ではないかと思つております。協同組合につきましては、御承知の通りに、戰前産業組合当時は非課税方針をとつて、産業組合法の中にいろいろ免税規定が設けられておつたのであります。戰争になりましてから、特殊法人として特別の減税によつて処置された。今回の改正では減税になつていないのであります。この点は農林省の立場から申し、かつ農村立場から申しますれば、少くとも特殊法人として減税をしてもらいたいという希望を持ちまして、自治庁及び関係方面とも数回折衝を続けたようであります。元来、協同組合のごときものを非課税にするかどうかということに関しましては、理論的に申し上げれば、両説立つと思うのであります。ただ現段階においては、われわれは協同組合の仕事の上からいつて、できるだけ減税率をやつていただくことが至当であるということで、ただいま申し上げたような折衝を重ねたのでありますが、シヤウプの勧告案の考え方から申し上げますと、必ずしもそうでもないようでありますので、折衝の結果は、遺憾ながらわれわれの希望が達成されなかつたということになつておるようでありますので、この点御了承願いたいと思います。
  51. 小林運美

    ○小林(運)委員 次官のお答えは、要するに、そういうようなことも考えたけれども、シャウプの勧告によつて、どうもうまく行かなかつた、こんななまぬるいお考えでありましたが、われわれ農村の人たちが、はたしてどういうことを考えておるかということを考えていただきたい。私はこれ以上農林省を追究したくはないのですが、今度の地方税を見ますと、農村の課税について非常に厳格過ぎる。私はほかのことをここに引合いに出していろいろ申したくないのでありますが、農業というものの現在の日本に占める使命から考えて、こういうときに、もつともつとこういう方面に考えをいたさなければならぬところがたくさんあるのであります。こういう点について、まだまだ私は質疑をしたいのでありますが、時間がないので、残念ではありますが、この程度にいたしておきまして、二、三具体的な問題について質問をいたしたいと思います。  私はただ固定資産税に限らないのでありますが、時間がないので、固定資産税についてだけ、これを例にしてお尋ねするのであります。たとえば非課税の範囲に入るもので、ただいまも次官の話がありましたように、協同組合の問題も相当大きな問題でございます。こういうものもただシヤウプの勧告がこうだからといつて、そのままになつておる。これでは実際の政治はやつて行けない。シヤウプは勧告案であつて政府自体の考え方がしつかりしておればこれは相当まで考えられるのであります。それをよくお心にとめておいていただきたいと思います。一つの例として養蚕の問題であります。現在養蚕地帯におきましては、相当大きな家屋を持つております。これは住むためではなく、蚕を飼うために、自分の住宅を兼用している。こういうものも固定資産税を税率も同じ割合でとられておる。こんなことになりますと、養蚕の盛んな町村におきましては、莫大な固定資産税がかかつて乗るのであります。こういうことはこの法の建前から行けば、理論的にはそれだけの固定資産があるのだから、それに対して税金をかけるのは当然であると言えばそれまででありますけれども、現実の問題といたしまして、これは大きな問題である。こういうことに対して、地方自治庁の方ではどんなふうにお考えになりますか。あるいはこういうことについて調査等をやりましたかどうか。その辺を伺いたいのであります。
  52. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 ただいま小林さんから、養蚕農家において養蚕業の施設のために設けておる蚕室等の家屋の評価をどうするかというお尋ねでありますが、これは二十五年度におきましては、九百倍という倍率を用いて、土地家屋につきましては、一律にこれを見るようなかつこうになつておりますので、二十五年度といたしましては、そういうやむを得ざる一律的な結果になりますが、来年度以降におきましては、これらの家屋につきましても、客観的に価格を時価によつてきめることになると思うのであります。その場合においては、時価を何によつて判定するか、いろいろ問題があると存じますが、大体賣買価格とか、收益によつて還元いたしました価格とか、取得時の原価からその後のいろいろな償却のような額を引いて行きましたものとか、あるいは再取得価格から減価償却に相当いたします額を引いたものでありますとかいうような、評価上のいろいろな方法があるわけでございますが、大体費買価格等を中心にいたしまして、その他のいろいろの評価の方式を加味いたしまして、これを見て行くことになると思うのであります。従つてお話がございましたように、遊休と申しますと少し事情が違いますが、陳腐化、遊休未稼動というような事情はそれぞれ考慮せられると存じますし、また一年間を通じまして使用する機会が比較的少いものは、それだけ收益等も少いわけでございますから、そういうような事情を考慮いたしまして、各市町村の固定資産の評価委員が評価するととになるわけであります。この評価につきましては、地方財政委員会なり、あるいは府縣知事なりが、それぞれ基準等を示して指導はいたしまするが、最終の決定は、各市町村の固定資産の評価委員意見に基いて市町村長がやるわけでございます。市町村の議会なり市町村に対しまして、それぞれ実情に応ずる意見等の開陳がございまするならば、各市町村におきまして、自主的に、できるだけ実情に即した時価の測定なり算定が可能であろう、かように考えておる次第であります。
  53. 小林運美

    ○小林(運)委員 ただいまのお話ですと、今年度はそのままで行くけれども、来年度はかえたい。こういうことだと、どうもちよつとおかしいのですが、そういう必要を認めているのだけれども、ことしはこういう印刷ができちやつたからもうだめだ。来年はそれをやる、こういう意味なんですか。何かそこに意味があるかどうか、まずそこから伺いたい。
  54. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 土地家屋につきましては、シヤウプ勧告の中に、二十五年度は賃貸価格に対して一千倍の倍率をかけてこれを時価と見るという原則的な勧告があるわけでございます。政府といたしましては、このような一律な勧告の方式をとることがいいかどうか現在の情勢におきまして、関係方面その他ともいろいろ連絡いたしました結果、これを九百倍に引落し、九百倍という倍率で二十五年度は一応これを見て行くというようにきめて提案いたした次第でございます。
  55. 小林運美

    ○小林(運)委員 私のお尋ねしたことと少し違う御答弁ですが、ことしはそうなんだけれども、すぐ来年かえるというのは、その必要を政府は十分認めて、こういうものは不合理だということを認めておられるのですかどうですか。
  56. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 一定の九百倍という倍率を今年度用いますことは、それによりまして現在の賃貸価格が、土地なり家屋なりの時価を測定する方法としては、はなはだしく不均衡になつてつて、適当でない点が多いわけでありますが、それを九百倍することによりまして、その不均衡さをはり大きく浮び出させまして、それを基礎にして来年度以降は真に客観的な時価を判断できるようにしよう、こういうシヤウプ勧告の趣旨を政府といたしましても尊重いたしまして、一応九百倍の倍率をとることにいたしたのであります。来年度からは従つてそういうことを前提にいたしまして、真に客観的な時価を導き出して行く、こういうことでございまして、そういう意味で今年度と来年度との評価の方法をかえておる次第であります。
  57. 小林運美

    ○小林(運)委員 そうすると、私はこういうふうに了解します。一応ことしは、シヤウプ勧告によつて、一千倍となつたけれども、倍率を九百倍に少くして、一応やつて、来年はこれは不合理だから直すということと私は了解します。了解はしますけれども、とにかくこの評価額というものが九百倍となる。これだけの評価に対して九百倍となると、その差額が九百倍になる。これは百倍くらい少くしても、このでこぼこを九百倍するということになると、非常にでこぼこが大きくなる。それに対して一・七というものをかけて、この倍率をただ少くしたくらいでは、その不合理は私はなお大きくなると考えます。しかしそれに対して来年は必ず直すというお話でありますが、その考え方については私は了承をいたします。  それからもう一つ、たとえば農業用のいろいろな償却資産については、非常に小さいものもあります。こういうものについては、どんなお考えを持つておりますか。
  58. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 農業用の償却資産につきましては、そう一々こまかいものまでもこれを捕捉いたしまして課税をするようなことしにはいたさない建前にして、指導をいたしたい。かように考えております。大体時価一万円未満のようなものにつきましては、補足しないようなふうに指導して行つたらいいのではないかと考えております。
  59. 小林運美

    ○小林(運)委員 償却資産につきましても、雰細の程度を一万円というふうなお話でありますが、大体農業用の償却資産は、本質的に考えまして、もつと考慮すべきだと私は考えておる。これらについても、将来政府がどんなふうにお考えになりますか。ただいまはこうであるけれども、この次にはどんなふうにお考えになるか。そういうものをもつと拡大して考える意思はありますかどうか。
  60. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 本年度におきまして、もしもこの法案が国会を通過し、実施したと仮定いたしますと、そういうような実施の状況等を勘案いたしまして、将来はさらにこれらの点につきまして研究をし、できるだけ改善をして行きたい、かように考えております。
  61. 小林運美

    ○小林(運)委員 なおこの地方税につきましては、いろいろ質疑もたくさんありますが、われわれは現在の政府提案のこの地方税法案では、農村は非常に大きな打撃を受けるということを確信いたしておりますので、これについては、われわれといたしましては、このままでは絶対了承できないという考えを持つております。ただ、ただいま政府の御答弁の中に、現在ではしかたがないけれども、とにかくそういう不合理があるということを認めておられますので、その点は了承いたしますが、われわれはしかるべき方法によりまして、これらの点に対して各方面にわたつて修正をいたして参りたいと思います。時間もないので、これ以上追求することはやめまして、一応私の質問終ります。
  62. 井上良二

    井上(良)委員 住民税について伺いたいのですが、所得税法の上では、農家の二男、三男は扶養控除の対象になつておるところが今度の住民税では、均等割で、これが非課税の範囲に入つてない。これら二男、三男の農業專従者としての取扱いをどういうようにするおつもりですか。
  63. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 農業專従者に関しましては、所得税法の取扱いとしては、世帯主の所得として吸收せられ、世帯主に対してのみ所得税がかかつておるという場合が多いであろうと思います。しかしもしも独立して所得があるとせられまして、所得税の納税義務者になつておる場合におきましては、これは均等割が当然かかつて参ると思います。もし前者の所得税を納めていない農業專従者につきましては、これはそれぞれ事情によつて違うのでありますが、実質的にどの程度の所得があるか、それらの点を勘案いたしまして、各市町村において、実情に即するようなとりはからいをするように指導して行きたい。かように考えております。
  64. 井上良二

    井上(良)委員 所得税の捕捉が、大体前年に何ぼ所得があつたかということで、今の住民税のとり方もかわつて来ると思います。そうしますと、実際は今年の場合、昨年かりに十五万円なら十五万円の所得があつたと仮定しても、いろいろ農産物価の下落、農業以外の所得收入等が関連して、それだけ納められぬという現実がここに起つて来ると思いますが、この場合どう処置するつもりですか。
  65. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 御指摘のように、市町村民税は前年の所得を基礎にして課税をいたしますから、前年は相当所得があつたけれども、今年はその所得が非常に減つたという場合には、これはいろいろ事例があるだろうと思いますが、このような場合におきましては、やはり市町村民税につきましても、市町村の議会の議決を経まして減免の措置ができるような規定を設けておりますので、そういうものの運用によりまして、これまた各地方の実情に即することができるように指導をいたしたい。かように考えております。
  66. 井上良二

    井上(良)委員 これは非常に大事なことですから確かめておきたいのですが、かりに昨年十万円なら十万円の所得があつた。それに関連して固定資産税、家屋税、あるいはまた所得税、こういうものがかかつて来るわけです。しかしそれが実際拂えないような農家経済に入つていた場合、そういう減免の処置を講じ得る法文が明記されておりますか。私の言うのは、税がかけられぬ農家経済に入つた場合はたしてそれを認めて、それならひとつかんにんしてやろう、こういうことに法的処置がなつておりますか。これを伺いたい。
  67. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 生活保護法の規定によります扶助保護を受けまする者は、そもそも市町村税が除外されております。非課税になつておるわけでございますが、そのほかにさらに貧困等のために公私の救助を受けておるというような者、その他特別の事情のある者につきましては、市町村は市町村の議会の議決を経まして、市町村民税を減免できるという規定がございます。その規定の実際の運用は、それぞれの市町村にまかされておるわけでございますから、そういうものの運用によりまして、やはりその市町村の実情に即するように措置できる道が開いてあるわけでございます。
  68. 井上良二

    井上(良)委員 あなたの今申しておるのは、保護法を中心にした考え方で言われておる。ところが現に三反、五反というわずかな百姓をしておつて、多数の家族をかかえておる。御承知の通り農産物価格は暴落しておる。ところが去年の査定でもつて、お前はこれこれの收入があるから、これだけ固定資産税、住民税をかけるということで徴税令書が来ます。現実はそれだけの收入がないのですから実際それは納められないということになつて来たら、それをちよつと減免してやるか、あるいは徴税を猶予するか、何かの特別な処置を講じてやらなければ、農業経営はやつて行けないことになつてしまう。そこなんです。あなたのおつしやる保護法の救護を受ける者としか、あるいはそれに類似するところの、何か国の保護を受けておる者というのは特別の人であつて、そういう者はそれぞれ処置が請ぜられましようけれども、経済的な非常な打撃を受け、現にそういうことになりつつあるのですから、それが現実の所得收入を対象にするということなら話はわかるけれども、過ぎ去つた一年前のことを振りかえつてみて、現在の收入をもつて、前の年の收入の税金を拂えと言われても、実際拂う能力がないことになると思いますが、その能力のない者も、苛斂誅求をしてとろうというのです。ここが問題なのです。問題の一番重点はここなんです。そこを聞いておるのであるから、それをはつきり御答弁願いたい。
  69. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 国税と違いまして、地方税は市町村がとる税でございますから、その課税の客体その他につきましては、国として強制しなければならない最小限度のわくを地方税法において、定めておるわけであります。そこでその地方税法の中におきましては、先ほど来申し上げましたように、貧困により生活のために公私の扶助を受ける者、その他特別の事情のある者に対しましては、市町村の議会の議決を経て減免できるという規定もございますし、さらにつけ加えて申し上げますと、同様に特別の事情のある場合におきましては、納期限の延長ができる。要するに徴收の猶予ができるという規定を特に設けてございます。これらの規定の運用によつてそれぞれの市町村の実情に即するような措置が、法律上可能なのでございます。
  70. 大森玉木

    ○大森委員 先ほどの小林君の質問に関連して、簡單にお尋ねをいたします。先ほど政府委員から申された答弁は、シヤウプ勧告によつて一千倍の賃貸価格ということであつたが、九百倍になつた。そこでそれが不合理な点もあるが、しかし本年はしかたがない。こういうようなお答えであつた。そこで小林君はそれで了承するということで終つたのであります。ところがこれは地方税になつて法律政府でつくられるでありましようが、固定資産税は地方へ参る。その地方へ参る税金を、不合理であるということを承知しながらきめられるというがごときことは穏やかでない。不合理ということは、これによつて恩惠に浴するものと損をするものとあるということであります。この点が政府委員の答弁に対して、私はどうも遺憾に思う。もしも不合理を承知で今言われたごとく税金を課すということであるならば、たいへんなことである。富くじをもらうように恩惠に浴する者と、非常に厖大な税金を課せられる者と、こうできるということになると不合理だと私は思う。そういうものをあなた方は承知の上でここで決定せられて、それを地方へまわされるということは、これは穏やかじやない。この点どうでありましよう。
  71. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 その点は、現在の賃貸価格が土地家屋につきまして、それぞれ昭和十五年、昭和十七年ごろに設定せられておるわけでございますが、これはその当時の賃貸の事実を基礎にいたしまして立てました価格でありますから、この賃貸価格は今日の実情から見れば、私、先ほど申し上げましたように、不合理な点が多々あるのであります。しかしながら今の五円なり十円なりという数字については、どういう程度においてそれが不合理であるかということがなかなかはつきりと把握いたしかねるのであります。そこでシャウプ博士はこれを一千倍をして、その不合理さを明らかに浮き出さして、そうしてそれを二十六年度において調整をして行く。従つて今年度はその賃貸価格が時価を測定する方法としては、いかにも不合理であるけれども、それを承知の上で来年度以降の土地家屋につきましての時価の評価というものを、より正確にするための資料として、こういうふうな措置を考えるべきである。こういう勧告をしておるわけであります。政府といたしましては、その点につきまして、一千倍を九百倍にいたしましたけれども、根本のシャウプ博士の考え方は、これをそのまま受入れまして立案をいたしたような次第であります。
  72. 大森玉木

    ○大森委員 私はそういうことであればなおさらお尋ねいたしたい。何か本年は税金の試験をする。もしもシヤウプ博士がそういうことを言つたとするならば、それで日本の政府はそれはごもつともです。ということでおじぎしておられるのですか。そういうことであるならば、日本の政府はやらないで、シヤウプさんにやつてもらつたふどうです。しかしそういう不公平、不合理を是正し、シヤウプ博士の勧告に対しても、あなたがそう言われるけれども、こうであるというふうに持つて行くのが、政府のなすべき仕事ではないか、職責ではないかと私は思う。しかしながら全部シヤウプ勧告の言う通りだというならば、シヤウプさんにおまかせして、日本の国民のいわゆる税金の徴收方法は、われわれ試験をしているのだということでやつていただいたらいい。そうじやない限りは、私はそういうことで承服することはできないのではないか、こう思うのであります。政府考え方はどうでありますか。
  73. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 政府といたしましては、シヤウプ勧告をそのまますべて受入れておるわけではありません。それぞれの問題につきまして検討をいたしまして、その末において、現在の情勢におきましては、今提案をいたしております案が最善と存じておる次第であります。
  74. 千賀康治

    千賀委員長 理事会で先ほど申合せをいたしました時間を十分以上経適いたしております。本日はこの程度で散会いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なければこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十三分散会