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1950-07-18 第8回国会 衆議院 農林委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十五日       足立 篤郎君    野原 正勝君       松浦 東介君    小林 運美君       井上 良二君  が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十五年七月十八日(火曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 足立 篤郎君 理事 野原 正勝君    理事 松浦 東介君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    越智  茂君       川西  清君    河野 謙三君       中馬 辰猪君    幡谷仙次郎君       原田 雪松君    平野 三郎君       八木 一郎君    大森 玉木君       吉川 久衛君    坂口 主税君       石井 繁丸君    木村  榮君       山口 武秀君    河口 陽一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (蚕糸局長)  最上 章吉君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         農林事務官         (官房長)   平川  守君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (農業改良局         長)      磯邊 秀俊君         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 七月十七日  委員足鹿覺君辞任につき、その補欠として石井  繁丸君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員会の設置に関する件  小委員及び小委員長選任  連合審査会開会要求に関する件  食糧蚕糸畜産、林業、開拓土地改良、農  業課税農林金融及びその他農政一般に関する  件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまから農林委員会を開会いたします。  本日の議事に入る前に、御報告申し上げたいことがございます。去る十五日当委員会より議長に対し、国政調査承認要求をいたしましたところ、同日議長承認を得ましたので、ここで御報告しておきます。     —————————————
  3. 千賀康治

    千賀委員長 次にこの機会にお諮りいたします。ただいま通商産業委員会で、予備審査中の商品取引所法案についてでございますが、御承知のようにこの法案は、乾繭、生糸その他一定の商品について先物取引を行う商品取引所を設置し、その組織、管理、運営について規定し、商品価格の形成及び売買等取引の公正を期するとともに、商品生産及び流通を円滑にし、もつて国民経済の適切な運営に資することを目的としておるのでございます。このような法案でありますので、この農林委員会といたしましても、重大な関連があるのであります。従いましてこの法案につきまして、通商産業委員会連合審査会を開くことにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と叫ぶものあり〕
  4. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。さよう決定いたします。なお連合審査会開催の日どりにつきましては、後刻協議の上、公報をもつて御通知いたします。     —————————————
  5. 千賀康治

    千賀委員長 それではただいまより議事に入ります。農林大臣出席の前に、ただいま見える政府委員に対して、質問がしたいという申出がありますので、これを許します。山口君。
  6. 山口武秀

    山口(武)委員 協同組合経営の不振の問題と、なお協同組合内部における不正の運営の問題が起つており、そのために供出代金農民に支払われないというような事態が起つておりまして、このために幾多の問題が生じておるわけであります。これにつきまして政府の意見を伺いたいのでありますが、まず第一に、実はこの協同組合経営の不振あるいは不正の運営のために、供出した代金農民側で全部支払いしてくれということを要求した場合に、全国的に見ましても、これはかなり支払いが不可能な状態があるのではないかというように考えられておりますので、これにつきましての政府の知つているところをまずお聞きいたしたい。  それからなお今年の春のことでありまするが、私政府質問書を提出いたしまして、茨城県の鉾田町の農業協同組合支払い状況をただしたわけなんであります。ところがこの調査におもむきましたところの政府調査員報告に基いて、内閣からの答弁があつたわけでありまするが、その答弁によりますると、代金支払い支障はない状態である、このような答弁参つたのであります。ところが現実事態はどうなつているかと申しますると、なおこの供出代金は支払えないのみなちず、協同組合組合長の不正問題にからみまして、二百八十万円というような赤字を出しており、どうしてもこの收拾がつかないという状況にあるわけでありますが、一体政府調査というものは、それほどずさんなものであるかどうか、それほど政府答弁というものは権威のないものとしてしか認められないものであるかどうか、まずこれに対する御答弁をお願いいたしたいと思います。
  7. 藤田巖

    藤田説明員 御指摘のように、農村の金詰まりあるいは農産物価の下落からいたしまして、特に本年になりまして、農業協同組合運営が非常に困難になりまして、貯払い停止をいたしました組合も出て来たわけであります。従つて五月でございましたか、われわれといたしましては、かような組合がたくさん起りまして農家にいろいろの迷惑をかけることは非常に困るわけでありますから、閣議におきまして、協同組合経営に関するところの緊急対策を立てまして、貯払い停止組合につきましても、できるだけ貯払い資金の手当をするということで方針をきめ、さらに県においては対策協議会を設定いたしまして、いろいろ現在やつておるわけであります。従いまして、現在のところでは、当初予想をいたしましたよりも、非常に順調に進んでおりまして、全国的に考えますと、貯払い停止組合も最近においてはふえておらないような状態であります。なおそういうふうな問題のおそれのありますところも、具体的な手を打つことによりまして終息いたしておるようであります。ただ、いろいろ御指摘のありましたような特殊な組合について、なおそういう問題が起つておると考えます。これはしかしその組合のまた特殊に困難な事情もあるわけであります。われわれといたしましては、さような組合につきましては、やはり根本的に内部から経営の刷新をはかり、根本的な再建対策を立てる、これはもちろん組合員の総意によつて、よく組合員とも相談をして、立てて行くという方向指導をして参りたいということで、現在やらしておるわけであります。  なお御指摘になりました特殊な問題につきまして、調査の点がございましたが、これは食糧庁から調査に参りました者の報告に基くことを御指摘であつたかと考えております。私どもの伺つておりますことでは、その調査が正しいというふうに考えております。
  8. 山口武秀

    山口(武)委員 その調査が正しいというのでありますが、その調査によりますと、何も困るような事態は起つていないというのでありますが、実際に代金は今なお支払われていない。このためにこの間の春肥配給の際に、肥料の配給を受けることができなかつたというような事態が起つておる。それのみならず、この代金がもらえないからといつて役場に対して税金を支払うことができないような事態にまで至つたという通告を、役場に発しておる。また地方事務所税務署に対しても、税金支払いがこれであつては不可能であるというところにまで進んで来て、その通告税務署地方事務所に発せられたというわけなのであります。このような実情になつておるにかかわらず、なおその調査が正しいと言われるのは、一体どういうことを根拠にして言われるのか、なお重ねてお伺いいたしたいと思います。
  9. 藤田巖

    藤田説明員 私が承知をいたしておる限りでは、かような事情があつたようであります。どこでもそうでありますが、たくさんの預金者が一時に預金の払いもどしを要求して参りますれば、払えなくなるのは当然でございまして、そういうふうな事情がどこでも大なり小なりあるわけであります。従つて具体的な問題について申しますと、その村で今にも支払いがとまるというふうな風評が非常に立ちまして、ある程度の支払い準備があつたわけでありますが、一時にたくさんの支払い要求がございました結果、払えなくなつて参つたような事情があると考えております。従つてかような状態で発生いたしましたものについては、私ども考えといたしましては、やはりよく冷静に落着かせて、決して貯金には支障がないということを話して、そして具体的に、真に必要とするものをさばいて行くというやり方で解決して行くことが、私どもとしては必要じやないかと考えております。これはその具体的な村について、あるいはその指導の任に当つておられる方の問題もあつたかと思いますが、われわれの方針としては、極力円満に組合内部——いやしくも自分らの組合でありますから、あまり大きな問題にならないように努めて行くという方向指導して参りたいと思つております。
  10. 山口武秀

    山口(武)委員 藤田さんも大分その事情を知つておられるようですが、重ねてお伺いします。ここの組合長が二百八十万円というような不正事件を起しまして、そのために現在検事局で取調べ中であるということを御存じでしようか。
  11. 藤田巖

    藤田説明員 その事情についても、あまり詳細ではございませんが承知いたしております。
  12. 山口武秀

    山口(武)委員 私政府調査というものに関しての権威のために、一言申し上げたいと思います。藤田農政局長考えておるような事態でありませんし、そのような対策では、一向に解決の方法がどうやりましてもみつかりませんから、このことは御承知おき願いたいと思う。  それからなお、少くとも政府から調査に行く人は、もう少ししつかりした人をやつてもらいたい。いい加減なことで帰つて来たり、あるいは向うの話によりますと、買收されたのではないかというようなうわさが、かりにも飛ぶようなみじめな調査をやらないでもらいたいと思います。  それから供出代金が払えないでおるというような事態に対して、政府は具体的にどうするのか。緊急の対策を講じておると申しておりまするが、緊急の対策が何ら形となつても、具体的な動きとなつても現地において現われていないのですが、これは今後現われると見てよろしいのかどうか、これをお伺いいたしたいと思う。
  13. 藤田巖

    藤田説明員 今後とも調査につきましては、御指摘の通りよく愼重にその実想を把握いたすように、心がけて参りたいと考えております。  なお供米代金が不払いのために、将来営農資金に事欠くというような問題については、これはわれわれとしても何とかいたさなければならぬのでありまして、実際問題といたしましては、農民がみずから指定する供米代金支払い金融機関の問題でありまして、その支払い金融機関として農協指定したのでありますが、その農協がそういうような事情になりました場合は、これはその指定を変更することによつて支払い金融機関をかえるということも可能であろうと思います。従つて今後の問題としては、さようなこともできると思いますが、やはり私ども考え方としては、できるだけ協同組合というものが健全に育つて、そうしてそれが農家のために、ほんとうにいろいろのめんどうをみるという建前に持つて行きたいと思つております。さしあたり今後の問題につきましての営農資金に事欠く問題については、これは新しく現在すでに支払い停止中のものでありましても、信連と結びつけることによつて農業手形を発行いたしまして、それによつて融資を受ける方法もあるわけであります。今後の問題といたしましては、ひとつそういうふうなやり方で、できるだけ農家の方に営農資金に事欠かせないように、極力やつて行きたいと思います。
  14. 山口武秀

    山口(武)委員 私はその点、政府見解について念を押しておきたいと思う。と申しますのは、農業手形と申しまして、簡單なことを申しておりますが、そこの町の実情組合長がかつてに持つて行つてしまいまして、それをかつて処分してしまつたというような事態が起りまして、それを隠しておるために、協同組合員から農業協同組合というものはなめられておるというようなことにまで発展しておるわけです。それから問題は、これは農民協同組合指定して、これに出荷をしたのだからと申しておりますが、農民はなかなかそこまでのこまかい事情を知らないこともある、あるいは知つていたとしましても、供出を現に出させておるのは、これは政府の責任によつてやらせておるはずだ。この金が現実農民の手に渡つていないというような問題が生じておる限りにおいて、これに対して営農資金の面だけをどうこうするというような、簡單な軽い問題と考えるのはどうか。これまでの供出代金について、支払われることについての、万端の努力というものを尽すべきではないかと思うのでありますが、これはいかがでしよう。
  15. 藤田巖

    藤田説明員 結局この問題は、農協貯払い停止一つの大きな原因であろうと思います。つまり農家協同組合供出をし、その供米代金支払い金融機関として農協指定をする。従つて政府としては、その金は一応その農協の本人の口座へ振りかえて、そこへ入るわけであります。しかしながらそれが引出されないで貯金として残つている間に、いろいろと協同組合事業資金その他に詰まりまして、そういうようなものに流用をする結果、貯金の払いもどしの請求がございましたときに、その貯金が払えない、こういう現象になるわけであります。われわれといたしましては、今後ともこの貯払い停止の問題については、極力そういう事態の起らないようにやつて参りたいと考えております。  なお、先般協同組合法の改正によつて通りました財政的な措置に関する政令につきましても、そういうふうな面についての経理上の規定を設けまして、貯払いに事欠かないような対策を、今後もやつて参りたいと思います。
  16. 千賀康治

    千賀委員長 この際山口君にちよつと御相談しますが、この会は今日は特に廣川農林大臣農政に関する所信を聞くという会でありますから、時間があつたあと質問を継続することにして、しばらくここでお待ち願います。  ただいま大臣出席をせられましたから、大臣発言を求めます。廣川農林大臣
  17. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 私から農政一般を聞くというのは逆じやないかと思うのでありまして、皆さんから私が聞いて、それを省へ持つて行つて、実際に移すというのがほんとうだろうと私は思うのでありますが、私に言えという次第でありまするから申し上げます。  農林行政種々の有効な施策を総合して行く必要があるのでありますが、その目標は、農林漁業における生産力向上価格の適正を期し、国民所得中において、他産業部門と均衡ある農林漁業所得を確保するとともに、国内食糧による自給度を高めまして、輸入食糧必要最小限度にとどめるように努め、あわせて農林漁業においても、人口就労率維持増進をはかることが必要であります。そのためには、農林漁業における生産基盤としての土地條件を整備することが必要であり、これにはできる限り国の財政投資をはかつて行く。すなわち治山事業は最近における災害激増の傾向にかんがみまして、最重点的に考えて行く。次に既耕地に対しましては、土地改良事業を行い、総合的国土開発計画と結びつけながら、灌漑排水畑地灌漑等行つて土地生産條件向上させる。次に開拓事業でありますが、適地開拓特に地元増反を行うとともに、採草地放牧地薪炭林整備改良を行う次第であります。  かように土地條件改善基盤の上に農林水産業経営合理化をはかり、特に農産物の対外競争力をあらかじめ養つておくように留意する。すなわち土地交換分合等を進めるとともに、有畜営農機械力利用促進適地適作並びに輪作を奨励し、余剰労力による経営総合化をはかり、もつて農業生産性向上をはかつて行く次第であります。他方これが裏づけといたしまして、農林漁業に関する科学技術改良普及を促進するとともに、災害補償については現行農業災害補償制度の強化に努めたいと考えております  米、麦等主食供出制度は、国民食糧確保重要性及び農家所得の大宗たる点にかんがみまして、合理化しつつ、さしあたりこれを存置し、時局の推移を見て、愼重に決定して行きたいと思いますが、麦の代替として供出される本年度冬作雑穀につきましては、最終割当完了後は政府買入れを行いませんで、自由にいたしたいと考えております。  農林水産業に対する金融協同組合の育成、農林水産業における流通組織改善には、格段の努力をして行く次第であります。  以上種々施策を今後継続的強力に実施いたしまして、農業経営の安定と、国民食生活改善を達成いたしまして、かつ国の経済力の充実を促進いたしたい考えでございます。
  18. 千賀康治

    千賀委員長 この際先ほど落しました政府委員がその他にも御出席になつておりますから御報告いたします。藤田農政局長磯邊改良局長。  ただいまから大臣発言に対する質疑を許します。通告がありますから、通告順に許します。八木一郎君。
  19. 八木一郎

    八木委員 私は第八回国会に臨みまして、衆参両院における連日の本会議、そこで明らかにされました廣川農林大臣農政一般の施政の方針、本日またお経を読み上げられまして、大体そのあり方は承知いたしたのでありますが、片言半句問題に触れていないという点で、いささか質問を試みながら所信を明らかにしてもらいたいと思うのであります。それは養蚕対策であります。全国には百万の養蚕農家、今三百万に達する養蚕にいそしむ婦女子は、新しい廣川農林大臣の就任を見まして、蚕糸について片言半句も出ていないが、これはどうだというような声が、私どものあずかつております農業協同組合組織を通じてほうはいとして起きているのであります。廣川農相農政に臨む態度としましては、いたずらに新しい政策を取上げることに走らないで、既定の方針従つて、問題はどしどし取上げて行く、そうしてこれを着々実行して行くと、あの本会議で明言されております。至極適切な心構えであると思うのでありますが、願わくは廣川大臣たるもの、どうか以下あげます問題に関しまして、私ほか多数の同僚から問題が取上げられると思いますが、この問題は、新聞記者から与えられた御尊名でありまする、快諾院実行居士というようなことにならないように、この際ひとつ快諾院実行居士として、その名誉と権威を新たにされることをまずもつてお願ひをいたし、要求をいたしておいて、本題に入ろうと思います。  そこで心構えとして伺いたいのは、今おあげになりました農政万般施策を進める上に、わが国の特異な養蚕は、農業零細化の中に立つ一つの重要な副業として、有畜化あるいは多角化経営農家経済の安定、復興、振興の上にはぜひとも取上げなければならない重要なる産業である。こういう見解で、従来の方針は、この蚕糸業振興発展につきまして、海外においてはナイロンその他の関係から、あるいは不安を持つ国民もあけるれども政府としては、大いにこれが保護奨励に力を用いておつた承知いたしておりますが、この方針はかえないで行かれるかどうか、まずその方向を聞いてから内容に入りたいと思います。
  20. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 ただいままで農林省においては、省議として決定され、また前大臣蚕糸方面に非常に力を尽しておりましたので、その方針については私は踏襲する考えでおります。
  21. 八木一郎

    八木委員 一般方針通り踏襲して進むということでありますが、森農相の手によりまして、蚕糸業統制から自由への切りかえを断行いたしたのであります。この統制から自由への移りかわりに対処すべき問題として、今日森農相の手によつて解決せられなかつたために、政府が本腰でこの仕事に保護奨励を加えておるかどうかを疑う農民すら出て来た、これが事実であります。その問題は何であるかといいますと、特に私が指摘したいのが三つあります。  その一つは、統制時代の売れ残りました、生糸閉鎖処理委員会の手に持つておるという滞貨生糸処分の問題であります。これは概算三十億円、糸にして二万八千俵ほどでありますが、この統制時代の子供ともいうべき滞貨生糸処分の適切に行われないために、本年の春繭にたいへんな問題を起しましたことは、連絡会議その他で農相承知であろうと思いますが、この処分は本年の春繭出盛期に、新繭が出ようとする際に、かかる数年前の古糸を市場に放出いたしまして、繭の値をたたくのに都合いいような一方的な処置を、政府はうつかりして知らないでおつたという態度で、これは見のがそうとしたのでありますけれども、ほうはいとして起る全国の輿論は承知できません。その筋の非公式に発せられたメモランダム取消し緩和を懇請いたしまして、ようやくその問を糊塗することができたのでありますけれども、結果として問題は残つておる。どう残つておるかというと、八月十五日までに放出する糸は、場違いの繊度はずれ等の糸であるから、それまでにしかるべく代案を持つて来いということになつておるのであります。しかるべく代案を持つて行つて、明朗たらんとする蚕糸業の上にかぶさつておる笠を取除く措置として、これはほかにもありますが、閉鎖処理委員会の手にゆだねられておる。かかる自由市場を圧迫する商品政府の手によつて適切にするかいなかということは、他の商品に対しても幾つもあることでありますから、先がけて自由の方向へ切りかえた蚕糸の問題といたしまして、それをひとつ解決してもらいたい。これを解決する用意と意思があるかどうかということが問題の一点であります。私どもは前国会、前々国会から、この問題は蚕糸業安定政策とあわせて、これを財源として蚕糸業安定に関する立法措置をもあわせ行おうといたしまして、目下継続中でありますが、これも一案であります。政府特別会計に移すのも一案でありましよう。現物として政府に納めさせるというのも一つ方法であります。方法はいろいろありましようけれども、この問題は八月十五日までにという期限付メモランダムを非公式ながらもらつておるという状況にありますから、実行に移して行くかどうかということを明言願いたいのであります。  問題の第二点は、統制時代差益金焦げつきについて、全国百万農家は非常に迷惑しておる。これはどういう問題かと言いますと、繭値マル公を変更するたびに、二百掛が七百掛、千六百掛、三千掛、六千掛と切りかえている。統制時代マル公を切りかえるたびに起きて来た。差益は不労所得である。何らの労力を用いずして上つた金であるから、これはいわゆる価格差益処理規則によつて政府が三分の二分持つて行く。残りの三分の一は業者がとつてよろしいという措置を行われて参りましたが、蚕糸業についてはその三分の一はたれの所得に帰するかということが問題であります。生糸製糸業者自分のものだという。糸の原料である繭は七割ないし八割を占めている。七割、八割を占むる農民のものであるということになりまして、八割を占むる農民所得に帰すべきか、二割、三割を占むる製糸業者所得に帰すべきかということは相当問題になりまして、同時にまた不労の所得というか、臨時の所得であるから、これは全額税金にとつてもいいのだというような問題もあつた。幸いに時の蚕糸局長平田氏が、一種の行政措置として振興会なるものをでつち上げて、蚕糸振興会に、——その両者の手に帰すべき三分の一の差益金は、振興会へ一度出して、これで蚕糸業振興を自主的にはかつたらいいじやないかということで妥協いたしまして、養蚕、製糸その他関係業会にこれを移して利用することになつたのでありますが、ところがこのごろ政府の言われたのは、同じように三分の一の臨時所得業者みずからのふところに入れるとすれば税金として——臨時所得税として八割五分くらいとるから、税金にかわるような意味で快く協力しろという言辞をもつて、これを取上げておるのであります。私どもはこれに賛成をしておるのであります。全国養蚕農家養蚕にいそしむ婦女子三百万は、この蚕糸業に関する振興費が、やがて上から奨励費、振興費としておりて来るということで、いろいろ立てかえ金をしたり、あるいは施策をしたり、施設をしたりして今日に及んでおるのでありますが、その金が平田事件をめぐつて当時の刑事事件にもなりまして、この事件に関連したところの製糸業等が、三分の一に相当する振興会への醵出金を納めないで、焦げつきになつております結果はどうなつておるかというと、正直に、政府の言う通りに聞いて納めたところの業者はばかを見て、不正直な者は税金を免れ、しかも税金にかわる振興会の醵出金はしない。名は蚕糸業の不況に云々して納めないという事実であります。私どもは、これは政府が先に立つてつくつた蚕糸業振興会であり、政府の裏づけによつてできた約束手形のような感じを事実持ちまして、系統養蚕農業協同組合においては、この金を蚕糸業振興に充てようとして立てかえ払いまでいたしておるのでありますが、この線が未解決のまま、焦げついたまま、正直な者がばかを見て、不正直な者のみが得々としておるような事態に立ち至つておるのでありますが、この蚕糸業振興会は、蚕糸業振興会という事実に当面しておる。これは政府が責任をとつて、この問題を一刀両断に解決しようという熱意と誠意があれば、とうに解決するはずであります。解決の方法はこうでなければならぬと確信しておる。答弁には及びませんけれども、熱意のほどを言明願いたいというのが問題の第二点。  第三の問題は、技術員の身分安定と繭の値ぎめの問題であります。蚕糸局は、今日一大製糸家のビルの中に依然としておりまして、売買対等の地位で公平に値ぎめをしなければならないのに、繭は、本年は春繭が過ぎて、もう夏秋蚕が出まわろうとしておる今日、まだきまらない実情であります。私の県のごときは、数日にわたり協議懇談を遂げて、大いにひざを交えて製糸業者と話しましたけれども、なかなかきまらず、容易にきめようとしないのであります。これは悪く言えば、製糸業者のビルの中にとぐろを巻いておる蚕糸局が、値をきめては困る、値をきめてもらわなくてもいいんだという意図さえ見え、農民は色をなして私どもに迫つております。私はさようなことはないと信じておりますけれども、かような誤解を受けるのはなぜかというと、繭が自由取引になりました今日、繭の取引統制から移りかわるこの期間だけ団体協約で行こうときめた。養蚕農家多数の農家は、農業協同組合を單位として、個々の工場との間に取引契約をしたので、この団体協約に基いて約束をして調印しておりますけれども、それで標準掛目、標準値段というものは何に依存したかというと、政府指導いたしまする主任官会議において、二月十日に適正なる標準加工費を調査をして示す。こういうことを言つておる。この責任ある言葉に信頼いたしまして、そのうちに政府から標準値が示されるであろう、同時に標準の加工費が出るであろうということに依存しておりまして、これを口実にいたしまして、相手である製糸業者はこれに応じない。売手である養蚕家は、生繭を渡してしまつた後、二割以上値が上つた今日、なおそれを主張しておるにかかわらず、政府はほほかむりをして、標準になるべき生産費のお示しがないというので、全国におります蚕糸局の主任官は、公然と政府の不誠意をなじつておるというのが実情であります。このことで養蚕家が困つておるだけではないのであります。もつと因つておるものは何であるかというと、統制から自由にかわつた結果として、自分らの身分を、第一線におります町村の技術員の身分を、内外から取立つて来た統制時代の人件費が、自由になつた結果として、団体協約に基いて、製糸業者、買手側から賃金をかりに払つてもらうというような形になつておりますので、売手である養蚕家の指導に当る技術員は、買手である製糸業者の立てかえ払いによつて、その費用を出してもらうというような、妙な形にありますから、強く繭取引指導に当ることができない。自分のパンを買手に預けておるというかつこうになつてしまつておるのであります。これが対策につきましては、統制から自由にかわつた今日の措置としては、自由時代にございましたように、これは広く財政負担において国が三分の一を持ち、地方が三分の一を持ち、団体が三分の一を持つというようなことによつて、その身分を安定してやつて取引問題を解決していただく。そうでないと、本山である蚕糸局は標準の値もきめないで、標準値を聞いてももう公言し得ない状態に置いておいて、出先の第一線はおる一万人の指導員諸君は、パンを買手に預けておるというような形になつておる事実、こういう形をそのまま見のがしておるということが、一万の第一線におる町村の技術員が、六十万人の調印をもつて、請願運動をして迫つておる事実として今日現われておる。これは予算措置の伴うものでありますが、その数字は大したものではありません。そこでこの問題は簡單に解決できるはずだと信じております。  以上三つの問題を、統制より自由へ率先して実行いたしました蚕糸政策方針を踏襲される廣川農相におかれては、逐次解決される誠意と熱意があるか、お伺いしたいのであります。
  22. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 生糸の問題は農村にとつては重要な問題でありまして、決して等閑に付しておるわけではないのであります。特に私は党におりました時代に、蚕糸の安定につきましては非常に関心を持つてつたのでありますが、これは私英国のダイヤモンドの市価安定の例をとつて一つの法律をつくつて市価を安定して、外国の機業者に安定感を与える方が最もよろしいという考えを発表したことがあつたようなわけでありますが、あの法律をつくるということは、いろいろの問題でまだ目鼻がつかぬようでありますが、これも来るべきアメリカにおける全国蚕糸業者大会等にかけて、世界の輿論にまで持つて行きたいという気構えを、蚕糸局としては持つておるわけでありまして、これを私は蚕糸局に非常に期待いたしておるのであります。ただ閉鎖機関にあります、これも焦げついている糸かもしれませんが、この糸については、向うからメモランダムが参つておることは事実でありますが、これにつきましては現在いろいろ相談をいたしております。幸いに現在の糸の相場が非常に高くなつておりますので、これを解決するのに非常によい時期ではないかと思つて、目下相談中であります。  それからその次の差益金焦げつきの問題であります。実は私不敏にして、聞いていなかつたのでありますが、これは今紙に書いてもらつたのでありますが、本気になつてやるということを言えということでありますから、これはやろうと考えております。  それから技術員の身分の問題でありますが、蚕糸局においても、蚕糸局長から耳が痛くなるほど聞かされております。こういうような不安定の状態に置いておつては、農家のためにもならぬということで、できるだけせつかく努力いたしたいと考えております。  それから糸価の決定の問題につきましては、これは売手買手できめる問題であつて蚕糸局がいかに帷の中におつても、そういうことが影響されないように私は考えております。また標準価格についてもいろいろの問題があるようでありますが、早急に出すということでありますから、さよう御了承願いたいと思います。あげられた三項目については、私は十分熱意を持つてやる考えております。
  23. 千賀康治

    千賀委員長 この際御報告いたします。政府委員が二名増加いたしました。平川官房長、安孫子食糧庁長官以上であります。
  24. 八木一郎

    八木委員 ほかにも関連質問があるようでありますから、私はこれ以上重ねません。というのは、快諾実行していただけるということをこの際信頼をして、質問、追究をしないのでありますから、ひとつ決意のあるところはどしどし取上げて着々実行するという、あの本会議の言葉をそのまま実行に移されんことを熱望いたし、期待をかけて質問を打切ります。
  25. 小林運美

    小林(運)委員 ちよつと関連してお尋ねいたします。ただいまの八木君の蚕糸業に関する質問に対して、廣川農林大臣の御答弁がございました。先ほどから八木君から、農林大臣の性格についていろいろ御注文があつたようであります。私は八木君の質問を聞いておりまして、非常にその論旨に不可解なところがあつたのでありますが、それに対する農林大臣の御答弁も実に不誠意きわまるものと考える。それは何かと申しますと、自由党が、自由経済に移る、統制をはずすということを盛んに言つておりまして、蚕糸業も昨年の春以来統制が解除されました。統制を解除する、自由経済に移るということは一応認めるにいたしましても、その間の処置が誤つてつた。そのために今八木君がいろいろ指摘した問題が起きて来た。これは一体だれの責任かというと、自由党並びに政府の責任なんです。これを今ここで、同じ政党で、同じ政府がやりあつておるのは実際おかしい。私が不可解と言うのはそれなんだ。統制を解除して農政をうまくやつて行くというのには準備がなければならぬが、その準備を何もしないで、ただおつ放したからこういう大きな問題が起きている。これを私は追究したい。それに対して農林大臣は、ただ簡單に、森農政をその通り踏襲して行くと言うのですが、これじや不誠意だ。もつと大臣は新しい施策がなければならぬ。これに対して、時間がないからまだはつきりしたことは言えないといえばそれまでですが、こういう大きな問題については、もつと大臣は勉強して、廣川農政というものを蚕糸業の上にはつきりさせていただきたい。その点について二、三私は追加の質問をいたしますけれども農林大臣ほんとうの腹をひとつここできめていただきたい。たとえば今お話がありました繭の価格の問題にいたしましても、あるいは今まで残つておりました生糸処分の問題にいたしましてもそうですが、特に生糸処分について、大臣はダイヤモンドのお話もありましたが、われわれは糸価が安定するにはこういう方法を講じなければだめだということを、口をすつぱくして言つてつたが、これができない。なぜやらないか、これは政府の決意いかんにある。前農林大臣蚕糸業の專門家であつた、ところが專門家があまりにも專門的すぎてこれを断行し得なかつた。幸いにして廣川大臣は、蚕糸業の專門家でないかもしれないが、こういうときひとつ強引にこの問題を解決してもらいたい。特に、最近生糸の値段がよくなつたから、この際解決したいと言うけれども、ここになかなかめんどうな問題がある。なぜかというと、二万七千俵、口でただ二万七千俵と言いますけれども、相当莫大なものです。この間二千俵足らずの、しかも半端の糸や半端荷口や、悪い糸を放出するということをちよつときめたために、俄然生糸の値段は一割も二割も下つてしまう。新聞にちよつと出ただけでも下つてしまう、こういう非常にデリケートな関係にある。これがまだ二万七千俵も残つている。今生糸の値段が復活しまして、十四万円台に回復して参りましたけれども、また二万七千俵のうちのあと千俵か二千俵出すといつてもすぐ下つてしまう。こういうデリケートな問題でありますから、ただ生糸の値段が今十四万円になつたからといつて、すぐまた簡單に放出するということをきめれば、すぐ下つてしまう。これはとめどもなく下ります。こういうようなデリケートな問題でありますから、ただ眼前にある現象をとらえて、簡單に処理するというようなことではだめなんです。やはり根本的に糸価を安定するためには、今残つている二万七千俵の糸を、そつくりそのままそういうように簡單に放出するとか、そんなことでなく、根本的な解決を必要とするのです。そういう方法廣川大臣ほんとうにおやりになる気かどうか、これをまず第一にお伺いいたします。
  26. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 私の性格分析からいろいろなお話を承りましたが、私は必ず熱意を持つてやる考えであります。価格の決定等についてのお話もだんだん承つておりまするので、これも必ず私はやりたいと思つております。  それから滞貨生糸処分、これは先ほど私申し上げませんでしたが、これを物納にするか、あるいはまた特別会計政府で扱つてもらうか、いろいろの点を池田君と交渉いたしておるのであります。それと見合わして、またその他の方法考えているようなわけでありますから、どうかもう少し時間をお貸し願いたいと思います。
  27. 千賀康治

    千賀委員長 質疑を許します。足立篤郎君。
  28. 足立篤郎

    足立(篤)委員 私はこの機会に簡單に、ただ一点だけ農林大臣に承つておきたいと思います。  八木委員のおつしやる通り、非常にありがたいお話を承つたわけでありますが、何と申しましても、政策を具現するためには予算が伴うわけであります。幸いに今昭和二十六年度の予算編成の緒戦に入つておるように聞いておるわけであります。ただいまお述べになりました廣川農林大臣の、幅の広い抱負経論を具体化しますためには、どうしてもこの予算の面で一段と踏ん張つていただかなければ、実現はできないと存ずるわけであります。もちろん今おつしやいましたことは、非常に角度の広い問題でありますので、あの通り全部ができるとは、率直に申し上げて私どもも期待もできないと思います。ただ、ただいま小林君からもお話があつたように、廣川農政の特長を生かしていただきたい。失礼ながら私ども廣川農林大臣に期待します点は、廣川さんにいまさら農政通になつていただいて、こまかな問題をちくりちくりとやつていただくということではありません。廣川さんの実行力と政治力に期待いたしておるのであります。今日まで農業政策全般にわたつて下積みになつておりましたこの予算の面で、飛躍的に拡大強化をはかつていただくことを、ただ一つどもは期待をいたしておるのであります。それにつきましては、特に今日まで下積みになつておりまして——特にドツジ・ラインによつて中絶の状態になつておりました、増産計策の基本でありますところの土地改良、これもアメリカの農家におきましては、あるいは蓄積資本もありましようし、あるいは市中金融機関等からの金融によりまして、土地改良実行いたしておる。それによつて得る收益によつてこれを償還いたすというような方法もとれるでありましよう。日本の農家におきましては、農地開放によつて民主的な地位だけは与えられておりますけれども、経済單位能力はきわめて弱小であるという点から考えまして、これを国の政策として必要によつて推進するということになりますと、どうしても国の思い切つた助成方策が必要だということは、申し上げるまでもないのでありますが、これはドツジ・ラインのために中絶の状態になつておるわけでありまして、今日全国津々浦々にわたりまして、この要望の声がほうはいとして起つておることは、農林大臣に申し上げるまでもないと思うのであります。  なお日本が災害によつて常に農業が脅かされておる。ことに今申し上げましたような、経済單位が弱小になつております農家の経済安定をはかるという、その基本の政策といたしましても、農業災害補償制度の強化というような点、あるいはまた日本の農業が地理的な條件からいたしまして、アメリカのごとき大農方式による機械化ということは、おそらく将来とも困難であろうと考えるのでありまして、これがためには、どうしても畜産の導入によつて、畜力利用による機械化という点に重点を置いて推進しなければならない。また農家の経済を考えてみましても、どうしても家畜の導入によりまして、経済的にも潤してゆくという政策が根本であろうかと、われわれは常日ごろ考えておるわけでありますが、こういつた畜産導入奨励に対するところの、国の積極的な助成方策、これに伴う予算あるいはそれ以外にも需要な事項はたくさんございますが、以上あげましたような点につきましても、格段の御配慮をいただきたいと、私ども念願をいたしておる次第でありまして、この機会にたまたま前哨戦に入つております予算の編成方針につきまして、重点的に農林大臣の御所見を御発表を願いまして私どももその内容を承知いたしまして、これが推進につきまして、失礼ながら農林大臣を極力御鞭撻申し上げ、陰にひなたに推進いたしたいと念願いたしますがゆえに、お伺いする次第であります。
  29. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 足立君にお答えいたします。私たちの所属しておる自由党におきましても、今年度予算方針を決定いたしまして、公共事業費と農業に関する費用を第一位に置くということを決定されたように思います。また閣議の方におきましても、その方向に向つて進んで参つております。また予算を取扱う安本の長官も、農業には非常に理解のある方で、また池田君もそろそろ農業の大事なことがわかつて来たようであります。さようでありますから、私が特に農林省に行つて、各局課長から説明を開きますと、国の大事な農業政策が金によつて割出されておるという矛盾を発見いたしましたので、私は金は政策について来るものであるという立場から、十分出来るだけの努力を払いたいと考えております。
  30. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私はこの際、農林大臣一つの問題についてお尋ねしておきたいと思うのであります。それは朝鮮の事変の問題をめぐつて、日本の農業政策、特に食糧政策にどういう影響を持つて来るかという問題であります。その影響に対して、日本の政府として、食糧政策の変更に対して、何らかの用意なり、準備をしておるかどうかという問題であります。御承知のようにただいま食糧のやみ価格が漸次上昇の傾向をたどつております。昨今におきましては、東京都内において一升百二十円程度の米のやみ値が、すでに百四十円ないし百五十円をとなえるような状況になつて来ておりますが、はたしてやみ価格の上昇すべき理由ありやいなや。これは全国の消費者が、おそらく一人残らずこの点は聞きたいと思つておる点であろうと思つておるのであります。これに対して日本の現在の食糧事情がどうなつておるか。事変が発生いたしましたについて、食糧の輸入状況がどういうふうに変化をして来ておるか。将来の見通しはどうか。先日の本会議におきまして、農林大臣は、四箇月の保有米を持つておるから、将来の食糧事情には心配がないということを言明しておりました。私どもその言明を信頼するものでありますが、一般の消費者並びに生産者の面において、この点についてきわめて深い関心を持つておると思うのでありまして、日本の食糧事情についての変化の数字的な説明が、もし可能でありましたならば、ここでしていただき、それが朝鮮事変を発端にして、どういう影響を持つておるか。将来どういう変化を来すであろうかということについての見通しを、この際この委員会を通じて、広く国民に発表していただくことができれば、非常にありがたいと思うのであります。
  31. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 朝鮮問題を契機といたしまして、食糧問題が広く、高く取上げられたことは事実であります。特に大阪方面におけるやみ米の暴騰は、非常にわれわれも関心を持つております。ただしかし、私たちといたしましては、あなたが今おつしやつたように、貯蔵米は四箇月分あるのであります。それにいも、麦、米を逐次買い上げて行きますと、当分の間は心配がないのであります。なおまた輸入状況についても、現在のところ何ら変化がございません。しかしここで一般に取上げた問題で、われわれとして非常に関心を持ち、また感謝いたしておることは、日本の農業生産自給度を高めろという輿論であります。これが非常に今後農村によく響いて来ると思うのであります。これに対しまして、自給度を高めるようなあらゆる施策を講ずるために、国費をでき得る限り投入いたして、それを助長して行きたい。そうして食糧の万全をはかるようにしたいと考えておる次第であります。数字等のこまかい点は、政府委員から書類なり何なりで、皆様方に御報告申し上げますが、この国民の間に起つて来ておる、食糧生産自給度を高めろというこの声を殺してはならぬのであります。これをどこまでも、われわれは助長して行きたい考えでありますから、どうぞその辺皆様方の御協力を願いたいと思います。
  32. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいまの農林大臣の説明、よくわかつたのでありますが、この際現在の食糧自給状況、需給推算、それから今年度一ぱいの食糧需給の見通しについて、もしきようできましたら発表していただきたいのでありますが、用意がないようでありましたならば、次の機会でけつこうでありますから、広く天下に発表していただきたい。このことをお願いいたします。
  33. 千賀康治

    千賀委員長 これはまだ用意ができておらぬそうでありますから、この次発表願うことにいたします。
  34. 吉川久衛

    ○吉川委員 大臣が本会議におきまして、二十五年度において、農林関係の予算の補正をなさらないとおつしやつたのですが、それに対してある議員から、それは大蔵大臣の言うことだというようなやじが出ておりましたけれども、そういうお考えに間違いございませんでしようか。
  35. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 今国会ということで私申し上げたのであります。今国会に出そうと思つても、なかなか出せない事情があるのであります。どうしても出さなけれればならぬものをわれわれは持つておるのであります。それは報奨物資の五億の金であります。これはどんなふうにしても出さなければならぬと私たちの方としては、手ぐすね引いて待つておるのであります。もしどうしてもこれが出せないとしたならば、今明日中にでも私はこれを金融化したいと考えております。まだほかにもたくさん出したいものがあるのであります。今国会に出せないかもしれぬということで、決して補正予算を出せないということではないことを御承知願いたい。
  36. 吉川久衛

    ○吉川委員 それではその点はよくわかりました。大臣の先ほどの御答弁を拜聽いたしたのでありますが、その中に、協同組合の育成に格段の努力を払うということを伺いました。大臣のお見えになる前に、農政局長からも、農協を発達させて農家経営の面倒を見なければならないというような、非常に抽象的なことを伺つた。それからまた、大臣は前農相政策を踏襲するというようにもおつしやつた。実は森前農林大臣と私とは、この農業協同組合の問題については、一昨年の一月以来まつたく異なつた見方をいたしております。私は一昨年の一月から、農業協同組合は一年半ないし二年後にはほとんど倒壊するであろうということを、予想して申し上げたのでありますが、森農林大臣は、いや君の言うことはあまりに非観論であつて、実際は二年、三年後には非常に強固になる。これが強固になつたときに過渡的な公団をなくして、公団の事業を協同組合に移管しなければならないと考えているという御見解でございましたが、その後幾たびかこの委員会においてお話をいたしましたけれども、どうしても私と話が合いませんでした。そこで今回新しい農林大臣も、森さんの政策を踏襲なさるとするならば、農林経済の基本をなすところの協同組合が倒壊いたしますならば、日本の農村経済、ひいては国民経済に及ぼす影響は実に大きなものがあると思うのです。そこで新しい農林大臣は、この点も森前大臣と同じようなお考えを持つておやりになるとするならば、協同組合は幾ばくならずしてほとんど倒壊する日が来ると思うのですが、これについて、ただその育成に格段の努力をするというような抽象的なことでなしに、もう少しその具体的なお考えを承りたいと思いますけれども、御就任日なお浅くして、そこまで今日承るのは少しむりかと思いますから、その御決意のほどを伺い、今後十分御勉強の上、近い将来において、具体的な施策を御発表願いたいと思います。全国農民はこの問題に非常に憂慮しておりますので、特に御希望申し上げて、御決意を伺つておきたいと思います。
  37. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 決して森君がやつたことを全部やるというわけではないのでありまして、悪いことはどんどん直して参ります。ただいま言われました協同組合のことですが、実際私が農林省へ来て講義を聞いてみて、農村を実際につかむには協同組合の育成以外にないということは、よく承知いたしております。昨日も安本長官と肥料の流し方、金融のつけ方等について十分相談いたしたのでありますが、そのときも、協同組合はあまりなれないものの売買等でなく、ほんとうに確実な固定したものを政府とタイアツプして、固定した收入が入るように努力したらどうかというようなことまでも、相談をいたしたのであります。何とかいたしまして、私、まだ練習中でありまして、成案を得ますれば、決してから念仏でなく、ほんとうに心のこもつた念仏を唱えたいと思いますから、どうかその点御了承願いたいと思います。
  38. 千賀康治

    千賀委員長 大森玉木君。
  39. 大森玉木

    ○大森委員 私は簡單に二、三大臣にお伺いいたしたいと思います。実は大政党の、しかも幹事長をしておられた農林大臣ができましたことを、心から私ども喜んでおるのであります。それは農村全体に対しまして、今日までに考えて参つたことは、農村軽視の思想であります。現内閣は農村を軽視しておるというふうに、私ども考え参つたのであります。ところがただいま農林大臣のいろいろな御発言を聞きまして、非常に私は喜んでおるのであります。そこで二、三点簡單にお尋ねいたしたい。  第一に私どもの地方におきましては、早場米というものをやつておる。この早場米に対しましては、予算の上には大体きめられてあるのでありますが、それが何かややともいたしますれば、新聞等にはその早場米がなくなりはせないかというようなことで、実は先月も大挙して農民代表が陳情に参つたのであります。本年の三月二日には、森前農林大臣に対しましては、私はこの問題に対しましてはつきりと伺つて、それは六十億の予算を出したいと思う、そうしてそれは出すことを確約するというような返事を開いておつたのでありますが、なお農林大臣がかわられたのでありますから、ここにあらためてそれをお聞きいたしておきたいと思うのであります。  次には超過供出米に対しますところの価格の問題であります。一昨年までは三倍であつたが、昨年から二倍になつた。これをそのまま存続いたされる御意思であるかどうか、これもお伺いいたしたいのであります。  さらにまた、もう一つは雪積地帯の森林に対します雪害保險の問題であります。これについては、一度私が森前農林大臣には申し上げて、ひとつ考慮しようということを承つてつたのでありますが、そのままになつておる。しかしながら私どもの地方は非常に雪が多い所で、そのために苗を植えましても、木苗が往々にして三分の一も育たないというような状態になるので、非常に造林奨励、さらに緑化運動というような点から考えましても、これは大事な問題であると考えますので、これに対しましても大臣の御所見を承り、並びに今度大臣に御就任になられたのでありますから、なお一段とこれに対する御考慮を願いたいと思うのであります。  次には畜産の問題であります。畜産は有畜農業として、農業から離れることのできないものである。これは申し上げるまでもないことである。しかしながら、今日は畜産農業協同組合の一部に扱つておる。畜産は大体主でなければならないものが、従に扱われておるように私は感じがいたしておる。今は局でありますが、この間なんか畜産局を廃止するような考えがあるということを、新聞でちらつと見たのでありますが、廃止ではなく、省にし、庁にするという意見はないか。今水産庁ができております。水産と畜産と比較いたしますならば、日本の経済の面においては、畜産は大きなものであると思う。私は数字はまだはつきり調べておりませんが、この問題をこのままにしておくということは、国家にとつても、経済面からながめまして大きな損失ではないか、こういうふうに考えておるのでありまして、畜産を局でなく、庁にする御意思がないか。そうして一段と畜産の育成に貢献を願いたい、こういうことを私は申し上げるのであります。  なお農村所得ということに対しまして、これまた簡單に申し上げて御理解を願つておきたい。どういうことであるかと申しますると、農村の所得というものは、供出米によつてはつきりいたすのであります。しかしながら現在の農村所得に対しましては、わらが幾らということになる。あるいはまた鶏などに対しましては、これは県でとりまするが、鶏が一羽幾ら、柿の木一本幾らというように計算いたされますために、農村の所得による税金ということに対しましては、今や農村は非常な苦境に立つておる。そこで私は、このわらなどというものを、所得の中に入れるということほど不都合なことはない。土地改良の問題も、あとから私は詳しく申し上げたいのでありますが、大体土地改良にいたしましても、わらを使うということでなければならないのであります。そしてわらが肥料の最も大きな役割を果すのであります。その肥料の大きな役割を果すわらが、一貫目幾らとしてこれを計算に入れて、所得の対象にするということが、実は遺憾なのであります。  さらにこの農村の経済から申しますると、農村手形の問題がある。農村手形によつて金融を受けるのでありますが、この金融に対しましては、農村は、御承知のように、あまり大きなもうけのないものである。一年中やつておりましても、一町歩耕しましたところが、すべてを、わらまでを計算に入れましても、二十万円という所得になるのであります。でありまするから、これに対しまして、農村手形であたりまえの金利をとるのでは、金利が払い切れないのではないか。そこで私は農村に対するところの、農村手形の金利というものを、一番安い預金部から出す、何かそういう方法考えていただきたい。これはほかの小粒の農林大臣ならばとにかく、廣川農林大臣でいらせられますから、こうした問題は大きな政治問題として解決できるものとして、私は期待を申し上げて、こうした一点についてお伺いをいたす次第であります。
  40. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 早場米の奨励金、そから超過供出に対する報奨金ですか、これも今まで通り、やはりやりたいと思いますが、その率等については、今考えておる次等であります。それから、ここで一言申し上げておきたいことは、バリテイー計算あるいはまた生産費計算等いろいろ問題があるようでありますが、今閣内においても問題にしておるのでありまして、これは露骨に申し上げますが、池田君のごときは、大幅に上げろという議論でありまして、一体パリテイー計算なんか、あんなことはあり得ないというような論まであるのでありますが、どの辺におちつくかわかりませんが、これはなるべく基礎米価を上げたい、こう考えておるような次第であります。  それから雪害の問題でありますが、これもこの間起りました災害のときに問題になつたのでありますが、一旦植えた苗がただちに災害を受けた、ところがこれは災害補償の対象にならない。おかしな法律だなというようなことを感じたのでありますが、災害補償の法律の改廃でもいたしましたならば、この問題が解決するのじやないかと、私は思つております。  また畜産についても、この畜産局の予算の内容をお聞きいたしまして、なるほどこれは少いと思つております。今問題になつておる伝貧あるいは牛疫の問題、増殖の問題、いろいろな点があるようでありますが、いかにもこれに予算が限られて、現在の日本に即応していないように私は見ております。これもみなと相談いたしまして、皆さん方の協力を得て、予算化の上にも十分努力いたしたいと考えております。  それから、農村所得については、これはもう党におる時代から十分聞かされて、何とかしなければならぬことで考えておりまするが、これも今のあなたのお話の通りでありますので、できる限り努力いたしたいと思つております。  それから農村金融のことです。これもまたいつも口には言われるのでありますが、解決のつかぬ問題であります。特に市中銀行が貸付の対象としなくなつてから詰まつておりまして、たよるのは中金のみであります。どこの会合に行きましても、中金が八億になり、二十億の預金部の投資によつて、二十八億で百八十億の貸付金があつて、今年は六十億出すのだ、これ一点張りで行つておるのでありまして、全農村に対して六十億ぐらいの金のみにたよるということが、どうもわれわれとしては納得いたしませんので、これについても衆知を集めて努力いたしたい、こう考えておるような次第であります。
  41. 千賀康治

    千賀委員長 進行いたします。井上良二君。
  42. 井上良二

    井上(良)委員 この際農林大臣に、特に新農林大臣に伺いたいのです。私は今まで、農林関係のいろいろなことを問題にして取上げて来たのですが、特に今度廣川さんが農林大臣になられて、非常に心強く思つております。と申しますのは、従来の自由党内閣の農政を見ておりますと、どうも事務的な農政というものが行われておつて、日本農業の時局にタイアツプした、大きな農業計画というものが立てられていなかつたのであります。ところが今度廣川さんが大臣になられ、しかもその性格が非常に明るくて、あらゆる人を引きつけるところの政治力をお持ちでございまするから、この農林大臣ならば、思い切つたことをやるだろうという、非常に大きな期待をわれわれは持つておるのです。これは反対党の私が言うのですから……。私自身そういう気持でおります。ただ私、昨日本会議でいろいろの問題について質問をいたしましたときに、廣川さんの答弁を聞いておりますと、部分的な問題を忠実に解決することこそ、農村の問題の解決になる、こういうことを御答弁されておつたのでありまするが、もちろん部分的に起る問題は、当然これは解決しなければなりません。ただ私がきのう質問しておりました重点は、わが国の農業が今のような生産方式でもつて、一体やつて行けるか行けぬかという、基本的な問題があるのです。これを踏みはずしたのでは、農政は成立たないのであります。ところが、さきに農政一般についての施政のごあいさつをされましたときにお述べになりました、わが国の土地生産條件を一体どうかえるかということが、今農政の基本問題になつておるのであります。御承知の通り、大勢の家族を抱えた五反百姓、これではとうてい都市の商業資本、工業資本に対抗できないのです。だからこの過小農村を、一体どう近代的な市場に対応できる農業形態にかえるかということが、私は農政の根本にならなければならぬと考えております。この点自由党の方でも十分突かれまして、昨日も申し上げました通り、十箇年計画という厖大な計画を持ちまして、在地條件の根本的改善と、農業安定経済をはかろうという大方策を発表されておりますから、これが單なるペーパー・プランに終ることなくしてあなたの政治力とあなたの実行力に私は期待いたしまして、ぜひこれが具体化されることを、私は特に切望したいのでありますが、この点に対する大臣の御所見をまず承つておきたいと思います。
  43. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農政のエキスパートの井上君からえらいほめられておるのですが、これもあなた方反対党がわれわれを実際押してくれなければできないことですから、その点特に念を押しておきます。  この時局に対応する農政、これはまつたくその通りであります。それから農政の基礎をなす土地條作の変換、これもまつたくその通りであります。特にわれわれ党におつた場合に問題にされておつたのは、いわゆる農業をしておる農家、これを一番まつ先に取上げておつたのでありますが、半漁半農、あるいはまた日傭労働者の兼農、あるいは普通のサラリーマンの兼農、これが特に戦時中の副産物として出て参つて来ておれるのでありまして、これをどう転換するかということが、非常に大きな問題として投げられておるのでありまして、この問題も省内の衆知を集め、また皆様方の知慧を借りて、そして私たちの党もこれを取上げておるのでありまするから、十分研究いたしたいと考えております。
  44. 井上良二

    井上(良)委員 今申しました土地條件改善は、農業生産力を基本的に高める基礎政策でありますから、これはどうしても農林省としては、各省歩調を一にして、一つの共同的な成案をつくつてもらわなければなりません。各省がなわ張り争いをして、お互いに自分の局の予算を分取りすることに一生懸命になるということよりも、今の日本の国際情勢上、特にこれからの武力なき日本の農業を守つて行こうとする場合にどうするかという、大きな問題になつておりますから、これは農林省として農政の大転換を必要とする時期に来ておりますので、ぜひひとつその点についても立案を願いたい。同時に土地條件改善するという基本的なことと、農業経済をどう守つて行くかという二つの問題がございまして、この問題はさきに吉川さんなり、足立さんも御指摘をされておつたと思いますが、問題は、この農業経済を守る一つ組織として、農村に民主的な協同組合ができておりますから、この協同組合に対する政府のできるだけ手厚い指導援助と、育成をやる必要があると思うのです。ところが協同組合の現在の状況というものは、まつたくおもしろくない経営が行われておりまして、何としても、協同組合の経理内容を徹底的に整理しなければならぬ段階に来ております。これに伴つて農林省の方でいろいろ相談もされておるところによりますと、大体四百億くらいの金を必要とするのではないか。さらに火のつくような現在の金融にいたしましても、ざつと百五十億から二百億の金が必要じやないか、こういうことで、前国会からこの問題は非常に大きな問題になつて、参議院におきましても、衆議院におきましても、関係大臣にこの問題を中心にたびたびおいでを願いまして、いろいろ検討を加えた結果、さしあたり報奨物資の滞貨処理といいますか、これに必要な金融をするということで、ただちにその具体的な調査を行い、これの処置をすることになつておるにかかわらず、今日に至るもまだこの問題が解決されてたい。それから貯払い資金金融についても解決されてない。これはぜひあなたが就任第一の大きな仕事として、まずこの二つの問題を、森さんから引継がれておりましようから、ただちに解決してもらいたいと思いますが、これに対するあなたの自信のある、また解決される具体的な御説明を、この際承つておきたいと思います。
  45. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 まだ省内の人が私を非常にかわいがつてくれて、嚴重にうしろからたたいてくれないので、皆さんに対しては、はがゆい感じを与えておるかもしれませんが、だんだんその点のことを心配してやつておるのであります。先ほど申しました報奨物資の点についても、これはまつたく今明日中にでも、私は金融化したい、こう思つておるのです。それから協同組合のことですが、貯払いにも不自由しておる。これも私今池出君と話合つておる最中でありまして、ぜひあなたのように、農業に対して広い視点に立つて見ておる方から、案を私に見せて教えてもらいたいと思います。一生懸命勉強して、要するに反対党や与党の問題でなく、広く農民のためであるのでありますから、ぜひ隠すことなく、教えてもらいたいと思います。(拍手)
  46. 井上良二

    井上(良)委員 非常に率直に、お互いわが国農村の当面する危機を、また農業の将来を憂えられて、国民の協力を求められんとする大臣心構えに対して、われわれは反対党でありますけれども、できるだけの協力を申し上げますが、しかしわれわれが今までいろいろ申し上げましても、反対党の意見だからというような角度から、一向それを取上げて具体化、政策化しないというきらいがございます。われわれはそういう肝玉の少さい、党派的な根性で農政問題を扱うておりません。あくまでも日本全体の大きな経済の観点の中から、わが国の農村の占める重大性を考えて、議論をやつております。その点でひとつ十分御協力をいたしたいと思いますし、われわれもまた建策をして行きたいと思います。  この際、具体的な問題でございますが、一つは昨日も質問したのですが、麦の供出の補正の問題です。これはきのう答弁がなかつたように承りますが、補正を一体どうしようとするか。これは食管長官も来ておりますから、この際承りたいのですが、現在本年産麦に対する供出の減額補正は何ぼにするか。いつそれは発表するか。今発表できれば発表してもらいたい。なぜこんなに遅れておるか。遅れる理由は何らないにかかわらず、どういうわけでこんなに遅れておるか。この点ひとつ御説明願いたい。  それから肥料価格の問題ですが、この八月から肥料は七割大幅値上げになるということで、政府も非常にこの肥料価格対策について頭を悩まされて、いろいろ検討を加えられた結果、肥料の統制を撤廃する。そうすれば生産会社も自由競争になり、販売が自由競争になつて政府としては、一応価格値上げの政治的責任はのがれます。しかし実際は生産その他における全体の責任は政府にありまして、当然その価格の自由取引の上にも非常に大きな問題が起つて来ると思います。もし八月に肥料統制を撤廃しました場合に、一体肥料価格はどうなるかという見通しか、この問題が一つと、それから私これは非常に心配しておるのですが、肥料のように大きな資本と生産規模を持たなければならぬ産業は、そうたくさんございません。また小資本ではとても対抗できません。そういう関係から、結局は国内の有数の、十指余りの大産業によつて、わが国の肥料産業は独占されるというおそれが非常に強い。そうなつた場合、現在は自由競争その他によつて相当市価は下るという見通しを立てる人もありますが、しかし将来肥料が販売統制を加えなければならぬような時代になつたときを考えたときに、一体わずか十余りの大きなメーカーが、全国の肥料の約六割以上を占めておるというこの事実から、今は御承知の通り集中排除とか、いろいろむずかしい法律があつたり、取締りが行われておりますから、表面そんなことはできませんが、かりにトラスト、カルテル的な連合体がここにでき上つた場合、秘密的な組織ができた場合、そんなことは規則も法律もいりません、お互が申合せをすれば、それでよいのでありまして、そうした場合、必然的に独占価格を形成される危険が相当多いと、われわれは見なければならぬ。そうなつた場合に、一体政府はどうしようとするか。この見通しを立てられて統制を撤廃されようとするのか。この点を大臣に伺いたいと思います。補正問題やその価格の具体的な問題は、長官なり局長から御説明を願いたいと思います。
  47. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 具体的なことはそれぞれ各局長から答弁してもらいますが、今申されました肥料の統制撤廃後の価格の騰貴に対する態度、これも私たちが今一生懸命相談しておるのでありますが、今のところわれわれといたしましては、決してそう暴騰しないという見通しに立つております。また暴騰すべきものではございませんので、これに対する対応策を、今愼重に検討中であります。
  48. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 今年の麦の補正はたいへん遅れておりまして、申訳ないのです。実は大体司令部との折衝も済みまして、公式の回答を待つているという状況であります。この点やはりできるだけ早く補正をいたしませんと、供出の進捗の上にもいろいろ関係を持つて参りますので、実は毎日催促しておるようなわけであります。ただいまの見通しでは、大体二十四、五日には会議を開けるのではないかというような見通しであります。
  49. 藤田巖

    藤田説明員 肥料の価格についての見通しでございますが、自由になりますれば、価格は売手と買手との力の関係によつてきまるのであります。それがどこにおちつくかということは、これは率直に申しまして私自信を持つてお答えすることはできないと考えます。しかしながら大体の見通しといたしましては、一般に言われておりますことは、はずしました場合は、現在の価格と当初提出いたしました七割案の価格、その中間において、しかもむしろ現在の価格に近い方向において、大体さしあたりはきまるのじやなかろうか、さような見通しを持つております。
  50. 千賀康治

    千賀委員長 農林大臣に対する質疑は未完了でありますから、明日続行することにいたします。農林大臣出席も承諾を得ておりますから、明日の時間につきましては公報をもつて申し上げます。     —————————————
  51. 千賀康治

    千賀委員長 この機会に小委員会の設置についておりいたします。今会期におきましても、前期同様、畜産に関する小委員会、公団に関する小委員会の二つの小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。  それではその小委員の数、小委員の選任方法についてお諮りいたします。これも前会期同様、それぞれ小委員の数は十名とし、委員長において指名したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認め、委員長より指名いたします。  畜産に関する小委員、    遠藤三郎君 小笠原八十美君    川西 清君 原田 雪松君    平野 三郎君  八木 一郎君    大森 玉木君  吉川 久衛君    石井 繁丸君  木村  榮君  公団に関する小委員    宇野秀次郎君  越智  茂君    河野 謙三君  中馬 辰猪君    中垣 國男君  幡谷仙次郎君    小林 運美君  坂口 主税君    井上 良二君  山口 武秀君  次にただいまの両小委員会の小委員長の選任方法については、委員長において指名したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認め、畜産に関する小委員長遠藤三郎君、公団に関する小委員長河野謙三君を御指名いたします。  これにて会議を閉じます。     午後零時五十八分散会