○
原参考人 私は
行政機構の
全面改革という旗じるしのもとで、昨年六月十四日でしたか、
行政制度審議会に
民間側として、断りましたけれども断り切れず、そういうような
関係で私もこれに加わり、小
委員会の
委員長を勤めましたが、忙しくて私の
考えの通じなか
つた点もありますが、それで
答申も出ておりまして、この間堀越君とも話しましたが、各個人が
意見を言わないようにということを話しましたが、きようは一々
各省について申し上げると、
大分時間をとると思いますので、
簡單に申し上げることにいたします。
私の申し上げたいのは、
簡素化の一番大切な問題は省の
配置の問題もあると思いますが、
行政事務をとるものは
一つの
ビルデイングを持ちたい。丸ビルのようなところに、一階、二階、三階、四階というように二府十一省、それぞれ別にな
つていますが、これが
一つの
ビルデイングに入れば、右往左往して
各省大臣のところへ書類を運ぶ人手は要らなくなる。これをやりますと、今の
各省の人数は五分の一は減ります。その代り大きなビルを立てる必要もありますが、これは無駄にならぬ。
幸いにして議会の近くに立てるならばなお一層いいと思います。これは常識的な
事務簡素化の一番はつきりした問題であります。また
総理大臣は一番上で政務をとり、
閣議もそこで開くようにする。これはこまかく申し上げなくても、常識的に判断していただきたいと思います。
日本でもこういうことをや
つてみたいと思
つております。
それから
各省の問題について一番大きな問題は
安定本部の問題でありますが、
経済安定本部はわが国の物の少か
つたときに、物の
わけ方についての
経済上の動きをスムースにやるためにや
つたもので、その
趣旨でつくられたと思いますが、その
意味で
日本経済の大綱を立てるものだと思いますが、一時は三千人も人を擁して
各省と別個の省を設けて
各省から人を集めてや
つたのでありますが、これは一応廃止していただく方がいいのじやないかと思います。
各省について申し上げます。
シヤウプ勧告などもその
一つですが、あの税制が実施され、
行政事務が
地方に移ることになれば、当然
中央行政機関は
簡素化されて来ると思う。結論的に申し上げると、運輸省なんか廃止してもら
つていいじやないか。
農林省も
厚生省も廃止してもらう。
電気通信省は公社になるというような問題もありますので、これについては
意見は言えませんが、残して置く方の
官庁は
大蔵省、
通産省は
名前はもう変にな
つておりますので元の
商工省という
名前にして、あの
機構をうんと
簡素化してもらう。今のところ
ほんとうにこれが
中央官庁として必要であると思われるものをピツクアツプすると、著しいものはなくな
つてしまう。私の案ではたしか五省くらいにな
つてしまうと思う。よく
海外の実例を見て
アメリカはこう英国はこうということを言われるのですが、やはり
日本は
日本の
現状から減した方がよいと思う。省は従来から多か
つたので、従来多いとそれにとらわれるわけですが、例のわれわれの
行政機構改革についての
審議会の進行中は
昭和七年を
基礎にや
つておりましたが、そのときは、省はたしか九省くらいあ
つて、その後省としては
二つしかふえておりません。今の
地方自治を敢行して、
地方自治の確立ができたら
地方にまかしてやる。これはきようあすやれというのではありません。理想でありすから、その目標に進めていただきたい、こういうふうに思うわけです。これが私の大きな結論で、
あとはこまかく申し上げたいと思います。
この前の
行政制度改革に関する
答申書がありまして、私
たち一緒に相談し合
つたものですが、たしか最後に皆できめたのは四月二十何日で、多少かわ
つているかもしれませんが、こまかい
変更はないじやないかと思います。
法務府の問題は、私
たち專門でございませんからよくわかりませんが、
法務府のとるべき
仕事でほかの省にまたが
つているもの、あるいはほかの省にあるもので
法務府へ持
つて行
つたらよいと思われるものがあります。これは
法務府の
組織変更の問題ではありませんが、この
簡素化問題はここにありますように、
相当局を減少して府を省にという
意見もあり、
次官を置くということもうたわれてお
つたのです。これは
行政機構をかえたいなという方から来る
考え方ですが、
法務府として何か
特異性があるものなら、そう
変革のために
変革をしなくてもよいじやないかというふうに思
つておりました。
二つを合わすとかいう
意見もありましたが、これはどうも
自分の
考えでもないし
経験も薄うございますから、これについてはむしろこの
方面の專門家の御
意見に
従つた方がいいのではないかと思います。しかし、
法務府という府としての
名前を持たせておいた方が、何となく大きな
感じを抱かせるという
日本人の
考え方がいいか悪いかという問題がある。また府にな
つているものを省にかえなくてはならないという
名前の問題、それによ
つて人の
配置の上において実際いろいろ問題が起れば、
簡素化の線に従うようにかえていただく方がいいのではないか、こういうふうに
考えておるわけです。
外務省は現在非常に
仕事が少くて、しかも
外務省の
仕事は
通産省などに
大分移
つておりますが、
通商局なんかの
仕事が
通産省に移ることを私
たちはむしろ喜んでおる。
事業界の者はこの方に
賛成しておるわけです。また
外務省に
通商関係のものは、條約とか特別なものは別として持
つて行かない方が将来もいいではないか。
外務省の人は、従来の訓練では
——研修所などがありますけれども、
経済面では非常に
経験が足りない。現在も
外交官の生活を経た方もありますが、今後
経済上の問題を吹き込んでや
つていただくという
——新
組織はまた別であります。従来の
経験から申しますと、
外務省には
通商関係は持
つて行かない方がよい。
外交上の跡始末、條約などの
関係は別ですが、ただここで問題になるのは
敗戰ということの結果から来た従来はなか
つたいろいろの
官庁の問題です。
外務省には
賠償庁だとかあるいは
入国関係のことを処理しているところがありますが、こんなものは
講和條約が締結された場合には当然なくなるもので、なくな
つてよいものならばさつき申し上げたような、統制がなく
なつたから
安定本部はただ
企業面の推進の一部で、
各省にまかせて勇退すると同じように、こんなふうなものは
外務省から当然減してしま
つて、局があるから
名前だけかえて残しておくということは絶対にしない方がよい。それから
大蔵省は
主計局を離してしま
つて、そうして
企画調整庁に持
つて行くという案があるが、それは
あとから起
つた問題で、私
自身の案は、
主計局は
大蔵省に置いて、
歳入歳出両方ともにらみ合して
歳出の決定したものを絶えずチエツクして行く。もつとも
予算をつくるときは
各省が
基礎でありまして、
大蔵省の
意見ではない。
日本が富裕な国になればもう少し
予算をふやしたらどうかということを
主計局が言うような
時代も来るわけですが、最近では切ることばかりやるのでばかににくまれてしま
つて、
主計局は澁い顔ばかりしているように思われ、
主計局の
当事者も
大蔵省の
当事者もにがい顔をしていなければならないが、
日本の国の現在の事態がそうなんです。
幸い何年か後に富裕な余裕のある国家になれば、お前のところの
予算を、あるいは全体の
予算を一割ふやしてもよいという
時代があると
考えられますが、
現状では
大蔵省からはずす
考えは私は持たなか
つたわけです。この
答申案では
主計局は離して
しまつて経済企画調整庁の方へ持
つて行く。
企画調整庁は私が
名前をつけたので、
安本の方針でも何でもない。ここに現われて来ておりますから一応御
説明申し上げます。
これは新しくつくる
官庁の
一つとして
行政機構の
改革ということは、必ずしも減すばかりでなく、足りないものはふやしてもいいわけです。その
時代の
変化、あるいは
事情の
変化によ
つて、減すものはいさぎよく減して、そのかわり足りないものは、ふやすことを考なければならぬ。その
一つとして、この
経済企画調整庁の計画がありますが、これはこういう構想なんです。
安本とちよつと似ておりますから誤られますが、
各省から
次官と
大臣——必ずしも
大臣と
次官と言わなくてもいいが、代表的の力を持
つておる人、その人の
意見ならば
省内に盛り上
つて行くような
代表者に、
各省、各庁から出てもらう。この人は、いつも
各省の
相当細部までわかるような人で、そうして
各省の進行しつつある
行政はもちろん知
つておる。あるいは
予算面から来るいろいろな
仕事、その
予算をつくり上げるときの
基礎、全部その人がやる。そうしてそれを
内閣に伝える前に、この
企画庁に伝える、それで、
各省からそういう人々が出ておりますから、これをすべる、統括する人は、やはり
総理大臣直接であればなお
けつこうですが、やれなければ副
総理格、
ほんとうの
意味における重要な
責任のとれる力のある副
総理格の
大臣が、このめんどうを見て、ここに吸收し、咀嚼してもらう。でありますから、まず第一に来年度の
予算の作成、あるいは
事業決定のときには、
各省のまとま
つたものを、その人が一人で来るのではなく、その幕僚を連れて来て、そこで
お互いにコントライヴし合
つたり、相談し合
つたりしてまとめる。また
内閣も大きなわくをつくりますから、その
内閣の
意思を伝えて、最終まで行かない前に、ここでよく練り上げる。もつとも、それはそうなりますと、そこが
閣議のような
機関になりますが、これは
閣議でない。それはまた
閣議で修正されて
けつこうであります。すなわち事をスムースにし、そうして大きな
意味からい
つて国の
意思と、それから実行するための
各省から、それぞれ、
担任面の
違つた、業務の
違つた面の
意見が、ここに持ち込まれて来る。でありますから、
企画調整というのは、必ずしもそれがそのまま、うのみにされるのじやなく、
各省間で話をし
合つて君の方は少し多過ぎるから、ぼくの方に少しくれと
言つて、少しふやすような話合いもする。これは
両方ともみな、わか
つた人に来てもら
つて——もつとも、それが全
責任を負うのではなく、一々大きな問題は
省内で相談する。そうなりますから、省の数は十一、このままであれば一府十一省、このほかにまた都合によ
つたら
外局——外局ということはあまり
考えない方がいいが、かりにあ
つて、
外局から
説明者として出て来る場合、その統括は
省ごとにやる。これが話し
合つて企画を立て、そうして
お互いの間でコントライヴするというために、
調整機関をこしらえたらと思います。そこで、
今安本がいたしておりますような、
通産省の
事務もやれば、
農林省の
事務もや
つておれば、
公共事業の問題もや
つておれば、建設省の問題もやれば、あれもこれもやるというような、ほとんど
屋上屋のようなものをこしらえるというのではない。その方はやはり
各省にやらせるということです。これはま
つたく党務なんかにちつとも
関係しない。しかも党の人で
けつこうですが、全体の
行政に詳しい方が、何の問題があ
つても、この
企画庁だけは少しも党情のみに支配されぬでやる。党の
意見というものは、いろいろ盛り上
つて来ますけれども、それは一応盛り込んで、ここに持
つて行く。そうしていわゆるフル・タイム、二十四時間、副
総理はこの
仕事をやる。今の政党の
関係を見ますと、どうも重い
仕事をしている人は、やはり党の中にも重きをなして、党の
仕事に相当盡瘁されなければならぬ時間をとられるというおそれがありますが、この
企画庁の副
総理の方は、二人も三人も副
総理があ
つてけつこうですから、党の
関係は別として副
総理という
名前が党の
事情でおかしければ、ほかの
名前でよろしいが、この人は党の
仕事をあまりしないで、專門にや
つていただく。そういうものです。この
企画庁はトツプヘビイーの
感じがあるけれども、
名前は庁というと小さいですが、物の小さい大きいは
日本人は非常にとらわれて、
各省の
長官は
大臣でなければならぬと、いつのまにやら、しみ込んでおりますから、それにとらわれますが、
名前は適当に何でもいい。それからここに
主計局を持
つて行こうというのが最終案できま
つた。私は実はそのときは
賛成であ
つた。
賛成した心境は、一応
主計局を離してそういうところに持
つて行き、
数字的企画をやるのも
けつこうだ。今私が申し上げたようなことになれば
けつこうだ、こう思
つたものですから
賛成しておいたのです。この
企画調整庁が、今言
つたような
性格を持
つて来れば、
主計局をわけてもいいのです。ただ不便なことは、
主計局はお金が出た模様をチエツクして行く。実行上のことは
主計局が一応や
つて、
大蔵省が
歳入関係をや
つておりますから、
大蔵省からここに持
つて来るわけに行きません
関係で、そこのつなぎ合いをどうするかということについて
行政管理庁の方で研究しております。
企画調整庁の
性格がこの中に現われていないが、私が今初めて御
説明申し上げることが現われておると、この
主計局をそこに持
つて行くという
説明がぴしやつとつなげる。ただこうや
つて突然持
つて行つたのでは、ただ
大蔵省にいやがらせをや
つておるようにしか見えない。今言
つたような形に
企画調整庁を持
つて行けば、それはいいと
考えておるのであります。でありますから、この
答申書の
説明では不足である。これは新しい
官庁をつくることについて、新しい
官庁の
性格をちつとも
説明していない
答申でありますが、
企画調整庁はそういう
意味から
考えたものである。それからこの中に官房と部を廃止する問題がありますが、人が
減つて能率が増すならばともかく、私はただ減らすということだけでなく、ふやすものはふやすという
考えも持
つております。ただ
財務部との
関係で、これを全部統合してしま
つて、そして
財務部の支部をよしてしまう。これは人を減らす
意味から
考えたのですが、これは
仕事の方の項において
あとから申し上げますが、
地方関係のものは今申し上げたように、
シヤウプ勧告案の
地方の
行政が確立すれば、自然にそうしなければならぬものではないかということの
考え方らしいのです。これは
各省にわた
つて全部現われておると思います。ただここにすぐ問題になるのは、せつかく、昨年でしたか、切り離した例の
国税庁、この
国税庁をもう一ぺん
主計局に吸收するということが、この
答申に言われております。これはたまたまわれわれが
行政機構改革を進行しているときに、ぽんとあれが割れて、持
つて行
つたわけです。これは少し内輪になりますが、
委員にも感情があ
つたのではないかと思いますが、これは今や
つておる
国税庁の
仕事を、
主税局が全部ちやんと従来や
つてお
つたのですから、やれるということになれば、いたずらに
長官をふやすということの必要はない。これは
主税局に、もどしてもいいのではないか。
簡素化という
意味から、それもいいのではないかと
考えております。そういう
方面から私は
国税庁を廃止して
徴税部をもう一ぺん
主税局内に置くことに
賛成をした。ただここに問題は、税の
滯納がふえて本年も千百億。また
シヤウプは今年の末までに七百七十五億をと
つてしまえと
言つておる。これは
アメリカ人で、
日本人のふところぐあいを知らぬから、か
つてなことを
言つておるのでしようが、ただ問題は、ここに
滯納がふえたというのは、
徴税官が悪いのか、ある点に非常な
欠陷があ
つてオーバー・バーデンにな
つておるからかわからぬ。それを
滯納が多いのをも
つて、
徴税官が悪いのだ。だから税務署をふやし、
徴税方法を改めたらとれるという問題じやない。これは根本問題だ。これはやはり
主税局に吸收してもさしつかえないのじやないか。
ここに
損害保險部を
大蔵省から切り離して持
つて行けということがあるのですが、この問題は、
生命保險と
火災保險と
一緒にしておるわけです。
損害保險というのは
火災保險ばかりでなく、自動車の
保險もあり、
山林保險もある。こまかくわけると二十五
種類もあるが、
生命保險部だけを、これは
財政措置に
大分関係があるからというのでこれを切り離し、
損害保險は
通産省へ持
つて行く。これは
考えてみればおかしなことです。
保險という言葉から言えば
共通のもので、すでに
大蔵省にあるものをもう一ぺん
通産省に持
つて行く必要はないじやないかという議論が起るのですが、
損害保險と
生命保險とは根本的に違うのです。
損害保險は
工業は
工業、
営業は
営業、船は船と、あらゆるものについてランニング・コストの中に入るわけです。のみならず、これによ
つて燒けたり
損害のあ
つた場合に、それがすぐ求償されて復興ができるというふうな大きな問題にひつかか
つて来る。
損害保險に対しては
生命保險と
違つた感覚で処理する
官庁が必要ではないか。これは私の
意見であります。これはこのときに全員別段
意見がなか
つた。これは
大蔵省は反対するだろうが、
日本は従来とも全部
一緒の
官庁でや
つております。
海外は違
つておるところもあります。私は
海外の例を引いたのではない。
損害保險の
仕事が相当あらゆる
方面にわた
つて必要であり、また
損害保險の
種類が非常にふえておるのですが、これをただ一課長のもとにおいて
生命保險と
一緒に扱われるよりも、これは課でもよろしいし、係長でもよろしいが、
通産省へ持
つて行つて、これは貿易並びに産業の
興隆進展の裏づけになる問題でありますから、そういうふうに持
つて行
つたらよいということを
考えたわけです。これはむしろ逆に省が
二つにわかれるのですから、
行政機構簡素化から言えば、
さつきお話じた
趣旨と違うのですが、
簡素化必ずしも
事業の進展を助けるものでもございませんし、ある場合には
必要性からふやすことも必要であるということから言えば、これは
簡素化の逆行です。しかし必要なのであ
つて、今のやり方はよろしくない。銀行局のどこか一部に置いて、ただ非常に長い習慣でや
つておる。これは人の問題であるから、人をかえればいいじやないかという
意見があるのですが感覚が違うのです。そういうことから、
損害保險部を
大蔵省から切り離して
通産省に持
つて行く、こういうことが唱えられたわけです。
それからこの
答申書の案では、
文部省と
厚生省とを合して、
文化省とする。これは一応の案はこうまとまりましたから、省を減らすということから、
仕事の性質が
共通だからということで案が出ておるわけです。私はこれについて強い
意見を持
つておりません。私
自身は、
文部省と
厚生省は、追
つて地方自治が盛んになれば省を廃止してしま
つて、
地方には一応何か
機関をつく
つた方がいいのではないか、教育もそれぞれの
考え方で
自治的にやらす方がいいのではないか。一部の大学課か部ぐらいのものが必要かもしれませんが、それもやはり監督するというところではなく、
学校そのものが
自治でなければならないという
考えから、私は将来
文部省も廃止されるのだという極端な
意見を持
つておるわけであります。
厚生省の方はもと内務省からわかれたもの、これは一応置くことにな
つておりますが、私の将来案から言えば、これは問題にならないけれども、一応この案を
基礎にして参りますと、これは
文部省と併合されます。併合されたところ、このうちの局の廃合問題がある。
薬務局と
医務局があるのを
一緒にしろという案がなかなか熾烈でした。これは少しむずかしい問題で、
自分がその
仕事に従事していると、ついその点で多少主観的になるおそれもあるのですけれども、薬というものは
日本のパブリック・サニテイエーシヨンの
関係から
言つて相当愼重に
考えなければならぬものである。このごろの
薬務行政必ずしも
りつぱでありません。たとえば少しもきかない
避妊薬を出して七千万円を売
つて、その後ちつとも売れない。こういう薬を出してみたり、または
アメリカの
ペニシリンを入れるものに黄色い薬を入れて、命が助かるか助からぬかというときにそういう悪い薬を売る。また京都にありましたような、へんな薬を何百人に注射して、それがために人が倒れる。これは大きな問題です。現在のような状態でも
厚生省はそういう
欠陷を持
つているのですが、これを
通産省などべ持
つて行つていいか悪いかという点に疑問がある。しかしここの
意見では、
薬務局と
医務局とは
一緒にし、
——これは
薬務局は縮小すると書いてあ
つて、あまり具体的に書いてありませんが、
薬務局と
医務局が
二つある。これを
一緒にしたい。私は
薬務局を独立さす方のせわをやいた方ですが、これは私の
経験から言えば相当大切に見ている。のみならず、
日常衣食住の次に薬は来るものである。皆さんが歯が痛い、眼が悪い
といつて薬に親しまないことはない。これは
家庭薬から、
医薬から、われわれは
日常薬に頼
つている。
医者即薬です。医者というものはその盡すところはわずかである。薬と人間の体力が大半です。その
意味から私はこの
医薬を非常に重く見なければならぬ。事変前の
数字で三億五、六千万円のものが薬に使われているわけです。これは大きな
数字です。そうしてこれがネグレクトされつつある。
アメリカは
日本に
あまり薬を出さない。薬は
各国別にやるべきものだと
言つているくらいで、私は戰争直後に、
日本の薬は
アメリカに圧倒されるだろう、たとえば大きなタンクでこしらえている
ペニシリンなんかのために、
日本の
ペニシリンの存在は怪しいと
言つてお
つた。しかるに
日本はでき過ぎましたけれども、五十何社、現在三十何社、今後十社くらい減ると思いますけれども、
アメリカからその薬で圧倒されていることはない。薬だけは各国とも
輸出品として扱
つていない。それは
薬そのものが時と、あるいは時候などによ
つて変化を起すものが多く、フレツシユなものでなければならぬということから、やはり
日本独特の薬をつくる。同じようなものでも、
日本でつく
つたものを
日本で使わなくちやならぬ。
食糧品が
農林省において尊重され、また米は大切なものとして皆さん
考えておりますが、薬はそれほど大切なものというふうにお
考えにな
つておられません。健康な人は
考えないが、健康な人も死を控えているのですから、いつ薬に頼らなければならぬかわからぬ。薬の問題を説き過ぎますけれども、私はそんなふうに
考えております。であるから
薬務局と
医務局の問題が、もし取上げられる局があるとすれば、相当強いものとしてお
考えを願う方がよいのじやないかと思うわけです。ただここに問題になるのは
環境衛生部、それから
統計調査部、こんなものは
一緒にしたらよかろう。これは小さな問題ですから、これは人を減したり、
簡單にするためには、
一緒にしても大したことはない。こんなものは、名刺を見て初めて、そんな部長がお
つたかと思うくらいですから…。
国立公園部は観光庁にな
つております。この観光庁だけは三日もかか
つてや
つておりましたが、私はあまり問題にしなか
つたのですけれども、
外務省にも一応ありましたし、また建設省にもありましたし、運輸省にもありました。これは非常に問題にな
つております。この案では一応独立の庁をつくることにな
つております。観光は大切ですけれども、うまく運営しないと、それぞれ別なやり方で別々の感覚でや
つておられては、はなはだよろしくないと思います。これはぜひ御調節願いたい。これは独立にした方がいいのじやないかと思います。感覚のよい人が
長官にな
つて、その下にいろいろの担任を置いて、状況に従
つて全体に及ぼすのがいいと思います。
一番大事なのは、たびたび問題にな
つたのですが、これは元内務省にあ
つた時代にはこの水道は
一緒だ
つたものが、
厚生省と建設省とにわかれて
両方にまたが
つた。そのためにだれが迷惑したかというと
地方の人々が一番迷惑している。御承知の通り水道は二
種類あります。すなわち上水道と下水道とあります。
日本で一番大事なのは下水道なのです。上水道も大切ですが、下水からたくさんの病人が出たり、あるいは下水の取扱いが悪いために悪疫が伝染するわけなのです。上水道は料金が入
つて、経営ができるのでや
つておるのですが、しかしながら下水は問題が重大なのであります。
日本で大きな下水としては戰災の結果十数箇所あるのですが、既設のものは二、三箇所しかなか
つた。これは余談にな
つて申訳ありませんが、百年ほど前にユーゴーのレ・ミゼラブルという小説が出ておりますが、ジヤン・パルジヤンが下水の中を人間をかついで歩いたというのですからいかに下水が大きか
つたか。
日本には人間をかついで歩くような大きな下水はなか
つたわけです。そういう問題をどこで解決するかというと、これはやはり
厚生省だろうと思います。これは
厚生省に一元化したい。建設省が上水道をや
つておるかというとや
つていない。水道は全部
地方官庁がや
つておる。
地方で水道をこしらえるということになると、
地方でいろいろ案をつく
つて、建設省と
厚生省と
両方に出すのです。
厚生省は水質を見たりあるいは将来水質が悪化しないかなどを見て、そうしてこれを決定する。建設省の一番の問題は建設省が
関係している河川問題なのです。引入れ口がどうだ、放流口がどうだ
——引入れ口が悪いと水道にうまく水が入
つて来ない。また放水品口が悪いとそこに水がたま
つて水道が逆流するというような問題があるのです。建設省はそれでは建設しているかというと、建設は全部
地方がしているわけです。
地方の案を見てそのままうのみにしている。この
意味から
二つの
官庁があるというだけであります。一番問題はときどきこれが地震とか火災
——戰災のときが一番ひどか
つたのですが、何か災害があ
つたときに修理するのは本省でやる。
地方ではやれない。その場合に二省にまたが
つておるために困るのです。その間に水道が非衛生になるとか、ずいぶんいろいろな問題で困るわけです。そういうことから私は民間に迷惑をかけておる、これは
厚生省に
一緒にした方がいいと思う。どうして
一緒にした方がいいかということは、下水の問題なのです。下水は衛生一本である。その点からい
つてぜひとも
厚生省がやることが必要じやないかと思うのです。今の上水道の問題の場合、
厚生省からやはり何か特別な資格を持
つた人を全県に派遣して、それを
厚生省が指導して、水道その他の衛生問題の解決をしております。それは
アメリカの型を
日本に移したものです。これを
厚生省では
自分たちの指導によ
つてそれができておるから、その
意味から水道は
一緒にしなければならぬというのですが、そういうものをこしらえておるが、これは大きな問題じやないのです。これは一応そういうものを常置するとすれば、各
自治庁が
考えて行けばいいのです。練習所とか研修所を
厚生省がやればいいので、これがあるから水道を一本にしろという論じやないのです。それをしきりに主張しますけれどもそうじやないのです。
厚生省に水道を全部移して、建設省ははずして少しもさしつかえない。しかしこれは建設省もなくなりまして国土省にかわるということにな
つておりますから、
厚生省に置いた場合の担任分野の問題については、さように決定したことの
事情を申し上げておきます。
それから
農林省、これは水産問題で大きくなるというので、
名前を農水産省ということにしましたし、この中に競馬国営の監督をどうするとか、この中の部局の問題であるとか
——林野庁だけは建設省中心のものでありますから、これは国土省に移します。この中に農政
事務の問題なども他の省と
一緒にして、農業改良局及び農地局に統合する。ここでちよつと申し上げたいと思いますのは、農業改良局はでき上
つてから二年か三年、まだ三年にならない。大学の磯辺さんが兼任ですか、所長ですかにな
つておられる。私は不思議に思うのは、
農林省がいやしくもこれを存在させたからには
——農業科学の研究は
日本では非常に発達が遅れておる。米つくりでも、肥料でも、農事試験場というものがありましたが、しかしながらその
地方々々の施肥の根本原理というものは何も出ていない。それが農業改良局ができまして、科学研究をやる十九のデパートメントがあります。これは非常によいものである。ところが
一つも世間にこれが滲透していない。やつと始
つた。これには金がいるが、その金がない。や
つておることは非常によい、たとえば桑の問題など、葉を繁らして、軟い桑にする。科学的にそうしたこまかい研究をや
つておる。土壤の研究、土讓と細菌との
関係など、ずいぶんや
つております。別にこれは農業改良局のちようちんを持つわけではないのですが、なぜこれを申し上げるかというと、
通産省に
工業技術庁というものがあります。これは
通産省だけでなく、
各省にあ
つてよい。そして
日本全体の科学経営をしなければならぬ。一番遅れておる農水産の改良
方面については農水産省が中心にな
つて、そういう研究を持たなければならない。それには今の農業改良局が非常に間に合うのであります。これを水産
関係にもや
つてよいと思います。漁獲高をふやす、機械あるいは音で魚を集めるとか、そういう研究をやる
機関がやはりあ
つてよいと思います。今の
通産省にあります
工業技術庁、あるいは農地改良局、ああいう
種類のものをどんどんや
つてよいのであります。これがしかしあまり動いておりません。そしてこれも御存じだと思いますが、今の特許権の模様を見ますと、多くの場合
工業技術の面から出るのが多い。農水産
方面から出るものは少い。今の特許の八〇%はほとんど
工業技術に属するものであります。あすこは独立の研究所を持
つてお
つて、附属研究所も二箇所あ
つて、ただよいことは各局の原局につなが
つております。農地改良局もやはり原局につなが
つておるか、その
関係はどうな
つておるかわかりませんが、
行政審議会に入りましてからそういうことにな
つておるということを聞いております。これは一ぺん皆様もよく御研究いただきたいと思います。農地改良局は一度削られたが、私は頑として承諾しなか
つた。それでむしろ農政局を廃止してそれでこの方を活かした。そういう
事情もありますから、どうか御研究を願いたいと思います。
通産省は非常にこまかいのですが、どうしてこういうふうにたくさんにわけたかと思
つて私は驚いておりますが、これなどもやはり昨年
国税庁が独立したと同じように、あのときは貿易が盛んでなければいかぬということで、昨年の五月二十九日にスタートしたのですが、これなどは思い切
つて削りました。これは私、運輸省
関係に親しい
関係を持
つておりますけれども、見たところどうもあまり厖大であるので、これは
商工省と
名前を改めて、そうして商務、工務が二局、鉱山、これは保安も入れております。それから臨時
通商局、これは公団が廃止された
あと始末ですから、臨時的なもので、こういうことにしたわけです。これは
通産省の人とも相当練りましたが、別にむりでないということを認めております。そのかわりこれは人をうんと減らさなければいかぬと思います。しかしその中に
保險が一部ふえておりますが、これも大して大きな人間をふやす必要はないと思う。その他に
外局の廃止問題があります。ここに中小企業庁も内局にしてしまう。それから
工業技術庁もたしか内局になることにな
つております。それから例の資源庁、これなども鉱山局の方へ入れてしまう、こういうことにしておりますが、これは
考えてみますと、私ここで申し上げたいのですが、
外局の
長官というものは、もとの
考え方は、外から民間の有識者を
官庁に集めて来るなどという
考え方があ
つて、終戰後
外局がふえたわけでありますが、これが公務員法ができたためにどうもうまく行かない。そうしてまたそういう人もよしてしま
つて、目的を達していないのです。これは官制の上においては
次官の指令に服さなければなりませんが、実際は
大臣と
外局の局長との指令でや
つているらしい。中には例の水産
関係で、
大臣と一箇月も会わなか
つたということも起きておる。この
外局というのは妙なものなのです。すなわち
通産省に
外局が三つあれば、主務
大臣が別々に三つあるとい
つたようなぐあいで、これはやはり内局にした方がよろしいと私は思います。これはごらんにな
つていただけばわかると思います。
運輸省、これは非常にたくさんのものを戰争中に
——倉庫まで包蔵して、そうしてとても厖大にな
つてしま
つて、何でもかでも運輸省の中にある。今国鉄がわかれてしま
つて仕事がない。私は運輸省廃止論者ですが、しかし海運
関係の者はあれがなくてはならぬように思
つておるのです。私は海運の方でも、大きな港湾局などは
通産省の方に持
つて行く。小さなことはどうするかという問題があると思いますが、それ以外のものは、国鉄がわかれて行
つたからには、ほとんど
仕事はないと
言つてよいと思います。にもかかわらず、港湾局というものをまだ持
つている。この港湾局が
農林省の漁港までやりたが
つておる。しかも港湾局の中に倉庫がある。これなどは私は、今の
保險などと
一緒にとり出す。倉庫というものはどう
考えても
通産省の
仕事です。倉庫が運輸省の、しかも港湾局にある
意味がわからない。港湾に運輸省で必要なことがちよつとあるのです。船がついて荷物を下して汽車に積むのに、これは
ほんとうは倉庫には物を入れない方がいい。汽車の連絡が悪く、船の連絡が悪か
つたら、倉庫へ入れるのですが、それの運営がうまく
行つて船車の連絡がつけば汽車がすぐ入ることができる。運輸省の失態を糊塗するために置くのが船車連絡倉庫だと思います。でありますから倉庫が運輸省の管内にあることは間違いだということを
言つて、私は終始一貫反対したのです。ところがうるさく泣きつかれた。泣きつきなどは絶対聞かない。ところが倉庫業界は、三菱倉庫でも三井倉庫でもみな反対しておる。私は横浜倉庫でや
つておるのは事実認めておる。結局これは港湾の方へ残
つております。これは残
つておりますが、
通産省の方に持
つて行かなければならぬ。倉庫はほとんど商業倉庫が多いので、
農林省が米を買入れた
時代に使
つたことがありますが、倉庫は大体
通産省の
仕事である。倉庫は商業
関係に存在しているのである。しかも倉荷証券を発行する。ところがそれによ
つて大いに金融ができる。大屋さんが
大臣のとき
経済閣僚懇談会においても、大屋さんは荷物が幾らあるか知らない。びつくりして翌日われわれに知らして来る。とにかく倉庫は運輸省にあるべきものではない。倉庫に幾ら荷物が残
つているかということは大きな問題です。それでわれわれとしても、倉荷証券の発行など、貿易などに伴
つて通産省に移さなければならぬと
考えております。
それから中央気象台の問題、海上保安庁の水路部の問題とか、小さな問題ですが、これは統一した方がいいと思います。なお元の陸海軍の空気が残
つておりますから、こんなのは、過半数の力を持
つていらつしやるあなた方のやるべき
一つだと思います。何も吉田首相の裁断をまつまでもなく、あなた方がやるべき問題だと思います。
郵政省、
電気通信省の問題は、先ほども申しましたように、郵政省は大勢の人を使
つて国家経営とな
つておりますが、
電気通信省の方は長い間われわれの方で研究をしておりますが、最近ある筋からとめられておるので、これはうまく行かないと思います。公社とするのも
一つの方法でないかと思います。
労働省、これは今のところやはり独立してあ
つていいと思います。労働省の廃止論、
厚生省と
一緒にしろという議論もありますが、今のところあ
つたらあ
つたでいいと思います。労働者が労働省を必要としない
時代の来らんことを希望して、労働省の存在について一応われわれは認めております。皆さんの御
賛成を得てもよかろうということにな
つております。
建設省の問題、これは治山治水のみということに私は
考えている。いろいろなことをやりたが
つているようですが、これは国土省として林野
関係を入れるというふうに
答申はな
つております。林の問題は
農林省から切離して、
あとは農水産省にするということにこの
答申ではな
つている。これもそう大ききな問題に影響を及ぼすことはないと思います。ただ林というものは、治山治水と非常に
関係が深い。そうして山の中では、砂防問題と川の問題が絶えずぶ
つた切られて、
地方官庁がや
つてみたり
内閣関係でや
つてみたりしている。港湾などは運輸省がや
つておるというように
一つの川を、上から下に三つも四つも切られているということではいけないということから来たのです。これについては、今河川
委員会というものをつくりかけているようで、私もつく
つてほしいと思います。この河川
委員会というもので、
日本の大きな川二十六、小さな川がいくらでしたか、そういう川を片つぱしから解決する。
各省の人も入り、同時に有識
経験者も入
つてや
つて行く。たとえば利根川についても、そのぐるりの沿岸の施策もありましようから、これについて徹底的に研究する。ここは利水、ここは治水、水力電気の
関係でどう、ダムの
関係でどういう影響があるかということは、治水に
関係して来るので、すべて国土省でやるようにする。それを別々の省で
——電力
関係は
通産省の電力局がや
つてみたり、あるいは治水の方は建設省がや
つてみたり、また港湾の方は運輸省がや
つてみたりするようなことではなく、川は一本々々解決して、その解決したことによ
つて今度は分担してやる、もし
変更が起ればまたそれでやるということにして、河川
委員会というもので取上げて行くのがいいのではないかと思います。
日本にそう新しい川ができるものではないから、これを解決して行けばどんどん片がついて行くのではないかと提案をしておきます。これはここにはあげておりませんが、そういうことで川の問題はや
つて行きたい、こう思うわけであります。これによ
つて中央集権の問題が現われておりますが、これは大したことはない。三日ほどあれば
各省の人
たちは、
自分できめて、別段に暴力を振わないでも解決はつくと思う。水力電気の
事務は
通産省がやるというふうにな
つております。
経済安定本部の方は、さつき申し上げました跡始末をしている、こういうことなのであります。ここに
簡單に
企画調整庁のことが載
つておりますが、これは私さつき申し上げましたから略します。問題はこういうことがつけ加えられておることで、これは私強く主張したいと思う。
幸いに自由党でもお取上げにな
つておりますが、さつき申し上げました
日本の農業技術の問題もありますが、
日本の科学
工業技術、これはケミカルの方ではない、全体の科学サイエンスの方です。このサイエンテイフイシク・エンジニアリングの進歩発達をはかる実行方法としては、金庫をこしらえたり、補助
機関をこしらえたりするが、それだけではなく、いろいろな面において
各省の上にこれを押えて行く
機関をつく
つたらどうかとい
つた問題、この問題はその後自由党では前田正男さんが主とな
つて、三月二十一日の参衆両院で四項の決議が認められた。あの四項いずれも
けつこうだと思
つておりますが、法律にな
つておりませんからものになりませんけれども、あれなどが希望しておる線とぴちつと
合つております。それはどういうことかと申しますと、
文部省、
工業技術庁など奨励金が出ている。奨励金は奨励金としてやりつぱなしだ。ところがこれはそういうことではいけない、
工業化の前には中試験がいる、ことに
日本は貧弱にな
つておりますから
——もとのように三井、三菱のごとき財閥があれば中試験に何百万円か出ましたが、中試験しなければ
工業化できないということになれば、特許権、発明などがやみからやみに
行つてしまう。それで中試験したものの引受け手があれば、これに対して国家が金を出すということを、はなはだうまい案を
日本学術
会議では
考えてお
つてリボルヴイング・フアンドにおいて五十億出す、来年度見返り資金から十億、残り四十億を順次に出して合計五十億、これはたえず回転すると、三〇%しくじるとして
あとの七〇%が成功すればそれでペイ・バツクできる。それもわずかばかり、二割五分の利息ともつかず、報償金ともつかないものをとる、それがむずかしいところで、その七〇%が成功するかと心配しておるが、心配ばかりしてお
つては問題にならぬ。しかしその筋の技術
関係では非常によろしいと
言つてくれる、ミスター・アランというのはエンジニアリング・セクシヨンで、この方の側も大体いいと言う。フイナンシヤル・セクシヨンのミスター・アリソンも大体了解をしているらしい。
大蔵省の側、並びに
日本側がよろしければや
つてもいいという状態に来ておる、これはむしろ自由党の方で星島さんがや
つている科学技術振興対策
審議会というものに現われた結果である。民間の方で私は日産協を代表し、極力支持しております。推進力にな
つて一生懸命にや
つている。この問題は少し手前みそになるけれども、そういうものを
考えているということをお
考え願いたい。実行には人材がいるが、そのスタツフは
日本にあるから、この
方面には問題はない。とりあえず今言
つたように見込みのある技術を
工業化する前に、こういう
機関があ
つて、試験援助をすることになれば非常に
けつこうである。しかし問題になるのは所管
官庁のことだ。それを
安本に持
つて行くか、
総理庁に持
つて行くかが問題になる。この問題は業界皆熱心に希望していることであるから御盡力をお願いしたい、これは陳情にな
つて申訳ないのですがよろしく御了承願います。
大体それで終りましたがここでちよつと申し上げたいことがあります。いただきました書類のうちで、陳情書を見ると、
地方の出先官憲を廃する陳情書がうんとあります。これは
一つの空気であるか、自然であるかわからないのですが、この陳情書の源を付度して参りますと、中にはどこの筋から出た陳情であるかということが
感じられるところがある。出先官憲の廃止問題は
各省別必要に応じてやることで、一度に実行することはできないと思うが、この問題の解決はぜひやりたい。ことに
地方自治が確立されて完全な
仕事ができるようになれば、そうして置くことが必要である。ある場合はこれが
地方の
事務運行のじやまをしている。それは詳しく申し上げますと、
地方の出先官憲を視察してみると、一箇月間
仕事が三つしがなか
つた。そして
自分のうちへ帰
つている方が多いという状態であります。そんなに用事がない。それはひどい。何のために置いてあるのか、これらの費用はみな国民から税金で拂
つている。この問題はまじめに取上げてもらいたい。ところがわれわれの方の
審議会ではそういうことが取上げられていない。主として
中央官庁だけを見ている、
地方は見ていない。そして四月二十二日
答申書が出てから以後気をつけて今日までの模様を見ると、そういうことに気がつく、これはや
つて見ないとわからない。その点をひとつ御盡力願いたいと思います。これがたいへんな問題であ
つて、
中央官庁は忙しいのだが
地方の
官庁はひまである。だから
地方官庁は人員整理をせねばならぬ。従
つて給與ベースを上げる等の問題は易々たることである。この人数の問題は具体的に
各省について私から申し上げてもいいか、こまかくなり過ぎますから遠慮しておきます。
それからもう
一つ、これは私の
意見通り通らなか
つたのですが、小さな問題であ
つて重要な問題ですが、
日本で今一番問題にな
つているのは生糸なのです。
アメリカが生糸を買
つてくれないのはナイロンとか、ビニール樹脂、これはまだ盛んにな
つておりませんからナイロンが一番ですが、
アメリカの今の織物は混織が盛んであります。
アメリカはプレーンな單糸のものがない、混織なのです。生糸の混織を研究すれば相当出ると私は思う。ところが生糸は
農林省が現在や
つている。貿易
関係だけは
通産省が最近までや
つている。今度の案で
農林省に持
つて行くことに
なつた。この
事情を申し上げますと、蚕に桑を食わして繭にする、ここまでが
農林省、製糸からは
通産省、こう私は思います。というのはそれから先が大切だ。ところが今のは昔のままで糸をと
つてそれを送
つております。ですから繭から糸の生産までのところは
農林省でやろうとしています。糸にな
つてから先はま
つたく
工業であ
つて、国内需要は八万梱か十万梱ですが、どうしても三十万梱くらい
アメリカ、英国、フランスへ出したい。それをやるには混織ができなければならぬが、そういう研究はしていない。ところがこれは元の通り
農林省へ戻ることにな
つている。私は最後まで反対してお
つた。
農林省から
商工省へ生糸貿易が移
つたのは戰争中で、しかも
商工省はいろいろの
事情もあ
つたろうが、はなはだ不熱心な宣伝ぶりで、
海外にいる官吏に
商工省辞令を渡したというだけで、何等新しい措置が施されなか
つたと聞いたので、当時の
商工省の不熱心さにあきれて農林統一一貫案に
賛成したのであ
つた。ちつとも働きをしていない。
商工省へ持
つて行つてはだめだ、
農林省一本でいいと思
つたのですが、それは最後の五分で、切り放しが話が元にもど
つてしま
つたのです。これは貿易品としてこれをスタートさすには、あそこで切らなければならぬ。それは全員が
賛成なんですけれども、最後の五分に
農林省が持
つて行
つた。これは
通産省が
商工省時代に、
自分の方で貿易をとりながら、戰争中で勉強しないで、
農林省のものに辞令をつけかえただけです。そういう不熱心なやり方ならもうやめた方がよかろうというので、そういうことに
なつた。そういう問題があります。
それからもう
一つつけ加えておきたいのは、これにあります通り、
昭和七年と二十四年との比較が、あなたの方からいただいておるものにありますが、
日本の国は七年と今とくらべて見ると、千島と琉球がなくな
つている。本土
関係のプロパーのもの、それ以外に樺太とかなんとか外地がありましたけれども、この
行政は
地方行政でや
つてお
つた。それが今度縮小された。入口だけふえた。そして三百何十の課が千にもな
つている。
日本の
機構は大きくな
つていないにかかわらず、人間と
官庁だけふえている。これは戰時中相当ふえたことがあ
つて、ちよつとも減らない。
名前だけかえて残
つておる。その上に、終戰後に
アメリカナイズするために、その筋から来た
官庁がたくさんできて、プラスされている。これは
日本に
ほんとうに合うものだけを残していただいて、合わないものは
講和條約締結後、とたんに全部なくするということにしていただきたい。今からでもそれをや
つていただきたい。今の場合ならおそらく聞いてもらえるのじやないか。いくらしやべ
つてもきりがありませんから、まあこのくらいで‥‥。