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1950-10-10 第8回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十日(火曜日)     午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 木村 公平君    理事 坂田 英一君 理事 土倉 宗明君    理事 船田 享二君 理事 鈴木 義男君       青木  正君    井上 知治君       大内 一郎君    田中 萬逸君       森下  孝君   山口喜久一郎君       河田 賢治君    寺崎  覺君  委員外出席者         参  考  人         (日本化薬株式         会社社長)   原 安三郎君         專  門  員 龜卦川 浩君         專  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 本日の会議に付した事件 行政機構に関する件     —————————————
  2. 木村公平

    木村委員長 これより会議を開きます。  本日は行政機構に関する件を議題といたし、参考人より意見を聽取いたしたいと存じます。御意見をお述べいただく前に一言私よりごあいさつ申し上げます。本日は御多用中のところわざわざ本委員会のために御出席くださいましたことを厚くお礼申し上げます。  申すまでもなく行政機構改革、すなわち行政事務簡素化合理化はわが国政上の重要なる問題でありまして、これを断行し、真に能率的な官庁運営を行うようにいたすことは委員会に課せられた重大な任務であり、また国会がこれを行わねばなかなか実行困難であるとさえ存じておる次第であります。本委員会先国会より特に小委員会を設け、その調査研究に努めて参りましたが、閉会中もなお小委員会を継続いたし、各省より順次その意見を求めておりまするが、さらに広く学識経験者よりそれぞれの御体験、御見識に基き、真に公平な正しい意見を忌憚なくお述べいただくことができれば、本委員会といたしましてはまことに幸いと存ずる次第であります。  では本日は日本化学株式会社社長原安三郎氏より御意見を拜聽いたしたいと存じます。
  3. 原安三郎

    原参考人 私は行政機構全面改革という旗じるしのもとで、昨年六月十四日でしたか、行政制度審議会民間側として、断りましたけれども断り切れず、そういうような関係で私もこれに加わり、小委員会委員長を勤めましたが、忙しくて私の考えの通じなかつた点もありますが、それで答申も出ておりまして、この間堀越君とも話しましたが、各個人が意見を言わないようにということを話しましたが、きようは一々各省について申し上げると、大分時間をとると思いますので、簡單に申し上げることにいたします。  私の申し上げたいのは、簡素化の一番大切な問題は省の配置の問題もあると思いますが、行政事務をとるものは一つビルデイングを持ちたい。丸ビルのようなところに、一階、二階、三階、四階というように二府十一省、それぞれ別になつていますが、これが一つビルデイングに入れば、右往左往して各省大臣のところへ書類を運ぶ人手は要らなくなる。これをやりますと、今の各省の人数は五分の一は減ります。その代り大きなビルを立てる必要もありますが、これは無駄にならぬ。幸いにして議会の近くに立てるならばなお一層いいと思います。これは常識的な事務簡素化の一番はつきりした問題であります。また総理大臣は一番上で政務をとり、閣議もそこで開くようにする。これはこまかく申し上げなくても、常識的に判断していただきたいと思います。日本でもこういうことをやつてみたいと思つております。  それから各省の問題について一番大きな問題は安定本部の問題でありますが、経済安定本部はわが国の物の少かつたときに、物のわけ方についての経済上の動きをスムースにやるためにやつたもので、その趣旨でつくられたと思いますが、その意味日本経済の大綱を立てるものだと思いますが、一時は三千人も人を擁して各省と別個の省を設けて各省から人を集めてやつたのでありますが、これは一応廃止していただく方がいいのじやないかと思います。  各省について申し上げます。シヤウプ勧告などもその一つですが、あの税制が実施され、行政事務地方に移ることになれば、当然中央行政機関簡素化されて来ると思う。結論的に申し上げると、運輸省なんか廃止してもらつていいじやないか。農林省厚生省も廃止してもらう。電気通信省は公社になるというような問題もありますので、これについては意見は言えませんが、残して置く方の官庁大蔵省通産省名前はもう変になつておりますので元の商工省という名前にして、あの機構をうんと簡素化してもらう。今のところほんとうにこれが中央官庁として必要であると思われるものをピツクアツプすると、著しいものはなくなつてしまう。私の案ではたしか五省くらいになつてしまうと思う。よく海外の実例を見てアメリカはこう英国はこうということを言われるのですが、やはり日本日本現状から減した方がよいと思う。省は従来から多かつたので、従来多いとそれにとらわれるわけですが、例のわれわれの行政機構改革についての審議会の進行中は昭和七年を基礎にやつておりましたが、そのときは、省はたしか九省くらいあつて、その後省としては二つしかふえておりません。今の地方自治を敢行して、地方自治の確立ができたら地方にまかしてやる。これはきようあすやれというのではありません。理想でありすから、その目標に進めていただきたい、こういうふうに思うわけです。これが私の大きな結論で、あとはこまかく申し上げたいと思います。  この前の行政制度改革に関する答申書がありまして、私たち一緒に相談し合つたものですが、たしか最後に皆できめたのは四月二十何日で、多少かわつているかもしれませんが、こまかい変更はないじやないかと思います。法務府の問題は、私たち專門でございませんからよくわかりませんが、法務府のとるべき仕事でほかの省にまたがつているもの、あるいはほかの省にあるもので法務府へ持つてつたらよいと思われるものがあります。これは法務府組織変更の問題ではありませんが、この簡素化問題はここにありますように、相当局を減少して府を省にという意見もあり、次官を置くということもうたわれておつたのです。これは行政機構をかえたいなという方から来る考え方ですが、法務府として何か特異性があるものなら、そう変革のために変革をしなくてもよいじやないかというふうに思つておりました。二つを合わすとかいう意見もありましたが、これはどうも自分考えでもないし経験も薄うございますから、これについてはむしろこの方面の專門家の御意見従つた方がいいのではないかと思います。しかし、法務府という府としての名前を持たせておいた方が、何となく大きな感じを抱かせるという日本人考え方がいいか悪いかという問題がある。また府になつているものを省にかえなくてはならないという名前の問題、それによつて人配置の上において実際いろいろ問題が起れば、簡素化の線に従うようにかえていただく方がいいのではないか、こういうふうに考えておるわけです。  外務省は現在非常に仕事が少くて、しかも外務省仕事通産省などに大分つておりますが、通商局なんかの仕事通産省に移ることを私たちはむしろ喜んでおる。事業界の者はこの方に賛成しておるわけです。また外務省通商関係のものは、條約とか特別なものは別として持つて行かない方が将来もいいではないか。外務省の人は、従来の訓練では——研修所などがありますけれども、経済面では非常に経験が足りない。現在も外交官の生活を経た方もありますが、今後経済上の問題を吹き込んでやつていただくという——組織はまた別であります。従来の経験から申しますと、外務省には通商関係は持つて行かない方がよい。外交上の跡始末、條約などの関係は別ですが、ただここで問題になるのは敗戰ということの結果から来た従来はなかつたいろいろの官庁の問題です。外務省には賠償庁だとかあるいは入国関係のことを処理しているところがありますが、こんなものは講和條約が締結された場合には当然なくなるもので、なくなつてよいものならばさつき申し上げたような、統制がなくなつたから安定本部はただ企業面の推進の一部で、各省にまかせて勇退すると同じように、こんなふうなものは外務省から当然減してしまつて、局があるから名前だけかえて残しておくということは絶対にしない方がよい。それから大蔵省主計局を離してしまつて、そうして企画調整庁に持つて行くという案があるが、それはあとから起つた問題で、私自身の案は、主計局大蔵省に置いて、歳入歳出両方ともにらみ合して歳出の決定したものを絶えずチエツクして行く。もつとも予算をつくるときは各省基礎でありまして、大蔵省意見ではない。日本が富裕な国になればもう少し予算をふやしたらどうかということを主計局が言うような時代も来るわけですが、最近では切ることばかりやるのでばかににくまれてしまつて主計局は澁い顔ばかりしているように思われ、主計局当事者大蔵省当事者もにがい顔をしていなければならないが、日本の国の現在の事態がそうなんです。幸い何年か後に富裕な余裕のある国家になれば、お前のところの予算を、あるいは全体の予算を一割ふやしてもよいという時代があると考えられますが、現状では大蔵省からはずす考えは私は持たなかつたわけです。この答申案では主計局は離してしまつて経済企画調整庁の方へ持つて行く。企画調整庁は私が名前をつけたので、安本の方針でも何でもない。ここに現われて来ておりますから一応御説明申し上げます。  これは新しくつくる官庁一つとして行政機構改革ということは、必ずしも減すばかりでなく、足りないものはふやしてもいいわけです。その時代変化、あるいは事情変化によつて、減すものはいさぎよく減して、そのかわり足りないものは、ふやすことを考なければならぬ。その一つとして、この経済企画調整庁の計画がありますが、これはこういう構想なんです。安本とちよつと似ておりますから誤られますが、各省から次官大臣——必ずしも大臣次官と言わなくてもいいが、代表的の力を持つておる人、その人の意見ならば省内に盛り上つて行くような代表者に、各省、各庁から出てもらう。この人は、いつも各省相当細部までわかるような人で、そうして各省の進行しつつある行政はもちろん知つておる。あるいは予算面から来るいろいろな仕事、その予算をつくり上げるときの基礎、全部その人がやる。そうしてそれを内閣に伝える前に、この企画庁に伝える、それで、各省からそういう人々が出ておりますから、これをすべる、統括する人は、やはり総理大臣直接であればなおけつこうですが、やれなければ副総理格ほんとう意味における重要な責任のとれる力のある副総理格大臣が、このめんどうを見て、ここに吸收し、咀嚼してもらう。でありますから、まず第一に来年度の予算の作成、あるいは事業決定のときには、各省のまとまつたものを、その人が一人で来るのではなく、その幕僚を連れて来て、そこでお互いにコントライヴし合つたり、相談し合つたりしてまとめる。また内閣も大きなわくをつくりますから、その内閣意思を伝えて、最終まで行かない前に、ここでよく練り上げる。もつとも、それはそうなりますと、そこが閣議のような機関になりますが、これは閣議でない。それはまた閣議で修正されてけつこうであります。すなわち事をスムースにし、そうして大きな意味からいつて国意思と、それから実行するための各省から、それぞれ、担任面違つた、業務の違つた面意見が、ここに持ち込まれて来る。でありますから、企画調整というのは、必ずしもそれがそのまま、うのみにされるのじやなく、各省間で話をし合つて君の方は少し多過ぎるから、ぼくの方に少しくれと言つて、少しふやすような話合いもする。これは両方ともみな、わかつた人に来てもらつて——もつとも、それが全責任を負うのではなく、一々大きな問題は省内で相談する。そうなりますから、省の数は十一、このままであれば一府十一省、このほかにまた都合によつた外局——外局ということはあまり考えない方がいいが、かりにあつて外局から説明者として出て来る場合、その統括は省ごとにやる。これが話し合つて企画を立て、そうしてお互いの間でコントライヴするというために、調整機関をこしらえたらと思います。そこで、今安本がいたしておりますような、通産省事務もやれば、農林省事務もやつておれば、公共事業の問題もやつておれば、建設省の問題もやれば、あれもこれもやるというような、ほとんど屋上屋のようなものをこしらえるというのではない。その方はやはり各省にやらせるということです。これはまつたく党務なんかにちつとも関係しない。しかも党の人でけつこうですが、全体の行政に詳しい方が、何の問題があつても、この企画庁だけは少しも党情のみに支配されぬでやる。党の意見というものは、いろいろ盛り上つて来ますけれども、それは一応盛り込んで、ここに持つて行く。そうしていわゆるフル・タイム、二十四時間、副総理はこの仕事をやる。今の政党の関係を見ますと、どうも重い仕事をしている人は、やはり党の中にも重きをなして、党の仕事に相当盡瘁されなければならぬ時間をとられるというおそれがありますが、この企画庁の副総理の方は、二人も三人も副総理があつてけつこうですから、党の関係は別として副総理という名前が党の事情でおかしければ、ほかの名前でよろしいが、この人は党の仕事をあまりしないで、專門にやつていただく。そういうものです。この企画庁はトツプヘビイーの感じがあるけれども、名前は庁というと小さいですが、物の小さい大きいは日本人は非常にとらわれて、各省長官大臣でなければならぬと、いつのまにやら、しみ込んでおりますから、それにとらわれますが、名前は適当に何でもいい。それからここに主計局を持つて行こうというのが最終案できまつた。私は実はそのときは賛成であつた賛成した心境は、一応主計局を離してそういうところに持つて行き、数字的企画をやるのもけつこうだ。今私が申し上げたようなことになればけつこうだ、こう思つたものですから賛成しておいたのです。この企画調整庁が、今言つたような性格を持つて来れば、主計局をわけてもいいのです。ただ不便なことは、主計局はお金が出た模様をチエツクして行く。実行上のことは主計局が一応やつて大蔵省歳入関係をやつておりますから、大蔵省からここに持つて来るわけに行きません関係で、そこのつなぎ合いをどうするかということについて行政管理庁の方で研究しております。企画調整庁性格がこの中に現われていないが、私が今初めて御説明申し上げることが現われておると、この主計局をそこに持つて行くという説明がぴしやつとつなげる。ただこうやつて突然持つて行つたのでは、ただ大蔵省にいやがらせをやつておるようにしか見えない。今言つたような形に企画調整庁を持つて行けば、それはいいと考えておるのであります。でありますから、この答申書説明では不足である。これは新しい官庁をつくることについて、新しい官庁性格をちつとも説明していない答申でありますが、企画調整庁はそういう意味から考えたものである。それからこの中に官房と部を廃止する問題がありますが、人が減つて能率が増すならばともかく、私はただ減らすということだけでなく、ふやすものはふやすという考えも持つております。ただ財務部との関係で、これを全部統合してしまつて、そして財務部の支部をよしてしまう。これは人を減らす意味から考えたのですが、これは仕事の方の項においてあとから申し上げますが、地方関係のものは今申し上げたように、シヤウプ勧告案地方行政が確立すれば、自然にそうしなければならぬものではないかということの考え方らしいのです。これは各省にわたつて全部現われておると思います。ただここにすぐ問題になるのは、せつかく、昨年でしたか、切り離した例の国税庁、この国税庁をもう一ぺん主計局に吸收するということが、この答申に言われております。これはたまたまわれわれが行政機構改革を進行しているときに、ぽんとあれが割れて、持つてつたわけです。これは少し内輪になりますが、委員にも感情があつたのではないかと思いますが、これは今やつておる国税庁仕事を、主税局が全部ちやんと従来やつてつたのですから、やれるということになれば、いたずらに長官をふやすということの必要はない。これは主税局に、もどしてもいいのではないか。簡素化という意味から、それもいいのではないかと考えております。そういう方面から私は国税庁を廃止して徴税部をもう一ぺん主税局内に置くことに賛成をした。ただここに問題は、税の滯納がふえて本年も千百億。またシヤウプは今年の末までに七百七十五億をとつてしまえと言つておる。これはアメリカ人で、日本人のふところぐあいを知らぬから、かつてなことを言つておるのでしようが、ただ問題は、ここに滯納がふえたというのは、徴税官が悪いのか、ある点に非常な欠陷があつてオーバー・バーデンになつておるからかわからぬ。それを滯納が多いのをもつて徴税官が悪いのだ。だから税務署をふやし、徴税方法を改めたらとれるという問題じやない。これは根本問題だ。これはやはり主税局に吸收してもさしつかえないのじやないか。  ここに損害保險部大蔵省から切り離して持つて行けということがあるのですが、この問題は、生命保險火災保險一緒にしておるわけです。損害保險というのは火災保險ばかりでなく、自動車の保險もあり、山林保險もある。こまかくわけると二十五種類もあるが、生命保險部だけを、これは財政措置大分関係があるからというのでこれを切り離し、損害保險通産省へ持つて行く。これは考えてみればおかしなことです。保險という言葉から言えば共通のもので、すでに大蔵省にあるものをもう一ぺん通産省に持つて行く必要はないじやないかという議論が起るのですが、損害保險生命保險とは根本的に違うのです。損害保險工業工業営業営業、船は船と、あらゆるものについてランニング・コストの中に入るわけです。のみならず、これによつて燒けたり損害のあつた場合に、それがすぐ求償されて復興ができるというふうな大きな問題にひつかかつて来る。損害保險に対しては生命保險違つた感覚で処理する官庁が必要ではないか。これは私の意見であります。これはこのときに全員別段意見がなかつた。これは大蔵省は反対するだろうが、日本は従来とも全部一緒官庁でやつております。海外は違つておるところもあります。私は海外の例を引いたのではない。損害保險仕事が相当あらゆる方面にわたつて必要であり、また損害保險種類が非常にふえておるのですが、これをただ一課長のもとにおいて生命保險一緒に扱われるよりも、これは課でもよろしいし、係長でもよろしいが、通産省へ持つて行つて、これは貿易並びに産業の興隆進展の裏づけになる問題でありますから、そういうふうに持つてつたらよいということを考えたわけです。これはむしろ逆に省が二つにわかれるのですから、行政機構簡素化から言えば、さつきお話じた趣旨と違うのですが、簡素化必ずしも事業の進展を助けるものでもございませんし、ある場合には必要性からふやすことも必要であるということから言えば、これは簡素化の逆行です。しかし必要なのであつて、今のやり方はよろしくない。銀行局のどこか一部に置いて、ただ非常に長い習慣でやつておる。これは人の問題であるから、人をかえればいいじやないかという意見があるのですが感覚が違うのです。そういうことから、損害保險部大蔵省から切り離して通産省に持つて行く、こういうことが唱えられたわけです。  それからこの答申書の案では、文部省厚生省とを合して、文化省とする。これは一応の案はこうまとまりましたから、省を減らすということから、仕事の性質が共通だからということで案が出ておるわけです。私はこれについて強い意見を持つておりません。私自身は、文部省厚生省は、追つて地方自治が盛んになれば省を廃止してしまつて地方には一応何か機関をつくつた方がいいのではないか、教育もそれぞれの考え方自治的にやらす方がいいのではないか。一部の大学課か部ぐらいのものが必要かもしれませんが、それもやはり監督するというところではなく、学校そのもの自治でなければならないという考えから、私は将来文部省も廃止されるのだという極端な意見を持つておるわけであります。厚生省の方はもと内務省からわかれたもの、これは一応置くことになつておりますが、私の将来案から言えば、これは問題にならないけれども、一応この案を基礎にして参りますと、これは文部省と併合されます。併合されたところ、このうちの局の廃合問題がある。薬務局医務局があるのを一緒にしろという案がなかなか熾烈でした。これは少しむずかしい問題で、自分がその仕事に従事していると、ついその点で多少主観的になるおそれもあるのですけれども、薬というものは日本のパブリック・サニテイエーシヨンの関係から言つて相当愼重考えなければならぬものである。このごろの薬務行政必ずしもりつぱでありません。たとえば少しもきかない避妊薬を出して七千万円を売つて、その後ちつとも売れない。こういう薬を出してみたり、またはアメリカペニシリンを入れるものに黄色い薬を入れて、命が助かるか助からぬかというときにそういう悪い薬を売る。また京都にありましたような、へんな薬を何百人に注射して、それがために人が倒れる。これは大きな問題です。現在のような状態でも厚生省はそういう欠陷を持つているのですが、これを通産省などべ持つて行つていいか悪いかという点に疑問がある。しかしここの意見では、薬務局医務局とは一緒にし、——これは薬務局は縮小すると書いてあつて、あまり具体的に書いてありませんが、薬務局医務局二つある。これを一緒にしたい。私は薬務局を独立さす方のせわをやいた方ですが、これは私の経験から言えば相当大切に見ている。のみならず、日常衣食住の次に薬は来るものである。皆さんが歯が痛い、眼が悪いといつて薬に親しまないことはない。これは家庭薬から、医薬から、われわれは日常薬に頼つている。医者即薬です。医者というものはその盡すところはわずかである。薬と人間の体力が大半です。その意味から私はこの医薬を非常に重く見なければならぬ。事変前の数字で三億五、六千万円のものが薬に使われているわけです。これは大きな数字です。そうしてこれがネグレクトされつつある。アメリカ日本あまり薬を出さない。薬は各国別にやるべきものだと言つているくらいで、私は戰争直後に、日本の薬はアメリカに圧倒されるだろう、たとえば大きなタンクでこしらえているペニシリンなんかのために、日本ペニシリンの存在は怪しいと言つてつた。しかるに日本はでき過ぎましたけれども、五十何社、現在三十何社、今後十社くらい減ると思いますけれども、アメリカからその薬で圧倒されていることはない。薬だけは各国とも輸出品として扱つていない。それは薬そのものが時と、あるいは時候などによつて変化を起すものが多く、フレツシユなものでなければならぬということから、やはり日本独特の薬をつくる。同じようなものでも、日本でつくつたものを日本で使わなくちやならぬ。食糧品農林省において尊重され、また米は大切なものとして皆さん考えておりますが、薬はそれほど大切なものというふうにお考えになつておられません。健康な人は考えないが、健康な人も死を控えているのですから、いつ薬に頼らなければならぬかわからぬ。薬の問題を説き過ぎますけれども、私はそんなふうに考えております。であるから薬務局医務局の問題が、もし取上げられる局があるとすれば、相当強いものとしてお考えを願う方がよいのじやないかと思うわけです。ただここに問題になるのは環境衛生部、それから統計調査部、こんなものは一緒にしたらよかろう。これは小さな問題ですから、これは人を減したり、簡單にするためには、一緒にしても大したことはない。こんなものは、名刺を見て初めて、そんな部長がおつたかと思うくらいですから…。  国立公園部は観光庁になつております。この観光庁だけは三日もかかつてつておりましたが、私はあまり問題にしなかつたのですけれども、外務省にも一応ありましたし、また建設省にもありましたし、運輸省にもありました。これは非常に問題になつております。この案では一応独立の庁をつくることになつております。観光は大切ですけれども、うまく運営しないと、それぞれ別なやり方で別々の感覚でやつておられては、はなはだよろしくないと思います。これはぜひ御調節願いたい。これは独立にした方がいいのじやないかと思います。感覚のよい人が長官になつて、その下にいろいろの担任を置いて、状況に従つて全体に及ぼすのがいいと思います。  一番大事なのは、たびたび問題になつたのですが、これは元内務省にあつた時代にはこの水道は一緒つたものが、厚生省と建設省とにわかれて両方にまたがつた。そのためにだれが迷惑したかというと地方の人々が一番迷惑している。御承知の通り水道は二種類あります。すなわち上水道と下水道とあります。日本で一番大事なのは下水道なのです。上水道も大切ですが、下水からたくさんの病人が出たり、あるいは下水の取扱いが悪いために悪疫が伝染するわけなのです。上水道は料金が入つて、経営ができるのでやつておるのですが、しかしながら下水は問題が重大なのであります。日本で大きな下水としては戰災の結果十数箇所あるのですが、既設のものは二、三箇所しかなかつた。これは余談になつて申訳ありませんが、百年ほど前にユーゴーのレ・ミゼラブルという小説が出ておりますが、ジヤン・パルジヤンが下水の中を人間をかついで歩いたというのですからいかに下水が大きかつたか。日本には人間をかついで歩くような大きな下水はなかつたわけです。そういう問題をどこで解決するかというと、これはやはり厚生省だろうと思います。これは厚生省に一元化したい。建設省が上水道をやつておるかというとやつていない。水道は全部地方官庁がやつておる。地方で水道をこしらえるということになると、地方でいろいろ案をつくつて、建設省と厚生省両方に出すのです。厚生省は水質を見たりあるいは将来水質が悪化しないかなどを見て、そうしてこれを決定する。建設省の一番の問題は建設省が関係している河川問題なのです。引入れ口がどうだ、放流口がどうだ——引入れ口が悪いと水道にうまく水が入つて来ない。また放水品口が悪いとそこに水がたまつて水道が逆流するというような問題があるのです。建設省はそれでは建設しているかというと、建設は全部地方がしているわけです。地方の案を見てそのままうのみにしている。この意味から二つ官庁があるというだけであります。一番問題はときどきこれが地震とか火災——戰災のときが一番ひどかつたのですが、何か災害があつたときに修理するのは本省でやる。地方ではやれない。その場合に二省にまたがつておるために困るのです。その間に水道が非衛生になるとか、ずいぶんいろいろな問題で困るわけです。そういうことから私は民間に迷惑をかけておる、これは厚生省一緒にした方がいいと思う。どうして一緒にした方がいいかということは、下水の問題なのです。下水は衛生一本である。その点からいつてぜひとも厚生省がやることが必要じやないかと思うのです。今の上水道の問題の場合、厚生省からやはり何か特別な資格を持つた人を全県に派遣して、それを厚生省が指導して、水道その他の衛生問題の解決をしております。それはアメリカの型を日本に移したものです。これを厚生省では自分たちの指導によつてそれができておるから、その意味から水道は一緒にしなければならぬというのですが、そういうものをこしらえておるが、これは大きな問題じやないのです。これは一応そういうものを常置するとすれば、各自治庁が考えて行けばいいのです。練習所とか研修所を厚生省がやればいいので、これがあるから水道を一本にしろという論じやないのです。それをしきりに主張しますけれどもそうじやないのです。厚生省に水道を全部移して、建設省ははずして少しもさしつかえない。しかしこれは建設省もなくなりまして国土省にかわるということになつておりますから、厚生省に置いた場合の担任分野の問題については、さように決定したことの事情を申し上げておきます。  それから農林省、これは水産問題で大きくなるというので、名前を農水産省ということにしましたし、この中に競馬国営の監督をどうするとか、この中の部局の問題であるとか——林野庁だけは建設省中心のものでありますから、これは国土省に移します。この中に農政事務の問題なども他の省と一緒にして、農業改良局及び農地局に統合する。ここでちよつと申し上げたいと思いますのは、農業改良局はでき上つてから二年か三年、まだ三年にならない。大学の磯辺さんが兼任ですか、所長ですかになつておられる。私は不思議に思うのは、農林省がいやしくもこれを存在させたからには——農業科学の研究は日本では非常に発達が遅れておる。米つくりでも、肥料でも、農事試験場というものがありましたが、しかしながらその地方々々の施肥の根本原理というものは何も出ていない。それが農業改良局ができまして、科学研究をやる十九のデパートメントがあります。これは非常によいものである。ところが一つも世間にこれが滲透していない。やつと始つた。これには金がいるが、その金がない。やつておることは非常によい、たとえば桑の問題など、葉を繁らして、軟い桑にする。科学的にそうしたこまかい研究をやつておる。土壤の研究、土讓と細菌との関係など、ずいぶんやつております。別にこれは農業改良局のちようちんを持つわけではないのですが、なぜこれを申し上げるかというと、通産省工業技術庁というものがあります。これは通産省だけでなく、各省にあつてよい。そして日本全体の科学経営をしなければならぬ。一番遅れておる農水産の改良方面については農水産省が中心になつて、そういう研究を持たなければならない。それには今の農業改良局が非常に間に合うのであります。これを水産関係にもやつてよいと思います。漁獲高をふやす、機械あるいは音で魚を集めるとか、そういう研究をやる機関がやはりあつてよいと思います。今の通産省にあります工業技術庁、あるいは農地改良局、ああいう種類のものをどんどんやつてよいのであります。これがしかしあまり動いておりません。そしてこれも御存じだと思いますが、今の特許権の模様を見ますと、多くの場合工業技術の面から出るのが多い。農水産方面から出るものは少い。今の特許の八〇%はほとんど工業技術に属するものであります。あすこは独立の研究所を持つてつて、附属研究所も二箇所あつて、ただよいことは各局の原局につながつております。農地改良局もやはり原局につながつておるか、その関係はどうなつておるかわかりませんが、行政審議会に入りましてからそういうことになつておるということを聞いております。これは一ぺん皆様もよく御研究いただきたいと思います。農地改良局は一度削られたが、私は頑として承諾しなかつた。それでむしろ農政局を廃止してそれでこの方を活かした。そういう事情もありますから、どうか御研究を願いたいと思います。  通産省は非常にこまかいのですが、どうしてこういうふうにたくさんにわけたかと思つて私は驚いておりますが、これなどもやはり昨年国税庁が独立したと同じように、あのときは貿易が盛んでなければいかぬということで、昨年の五月二十九日にスタートしたのですが、これなどは思い切つて削りました。これは私、運輸省関係に親しい関係を持つておりますけれども、見たところどうもあまり厖大であるので、これは商工省名前を改めて、そうして商務、工務が二局、鉱山、これは保安も入れております。それから臨時通商局、これは公団が廃止されたあと始末ですから、臨時的なもので、こういうことにしたわけです。これは通産省の人とも相当練りましたが、別にむりでないということを認めております。そのかわりこれは人をうんと減らさなければいかぬと思います。しかしその中に保險が一部ふえておりますが、これも大して大きな人間をふやす必要はないと思う。その他に外局の廃止問題があります。ここに中小企業庁も内局にしてしまう。それから工業技術庁もたしか内局になることになつております。それから例の資源庁、これなども鉱山局の方へ入れてしまう、こういうことにしておりますが、これは考えてみますと、私ここで申し上げたいのですが、外局長官というものは、もとの考え方は、外から民間の有識者を官庁に集めて来るなどという考え方があつて、終戰後外局がふえたわけでありますが、これが公務員法ができたためにどうもうまく行かない。そうしてまたそういう人もよしてしまつて、目的を達していないのです。これは官制の上においては次官の指令に服さなければなりませんが、実際は大臣外局の局長との指令でやつているらしい。中には例の水産関係で、大臣と一箇月も会わなかつたということも起きておる。この外局というのは妙なものなのです。すなわち通産省外局が三つあれば、主務大臣が別々に三つあるといつたようなぐあいで、これはやはり内局にした方がよろしいと私は思います。これはごらんになつていただけばわかると思います。  運輸省、これは非常にたくさんのものを戰争中に——倉庫まで包蔵して、そうしてとても厖大になつてしまつて、何でもかでも運輸省の中にある。今国鉄がわかれてしまつて仕事がない。私は運輸省廃止論者ですが、しかし海運関係の者はあれがなくてはならぬように思つておるのです。私は海運の方でも、大きな港湾局などは通産省の方に持つて行く。小さなことはどうするかという問題があると思いますが、それ以外のものは、国鉄がわかれて行つたからには、ほとんど仕事はないと言つてよいと思います。にもかかわらず、港湾局というものをまだ持つている。この港湾局が農林省の漁港までやりたがつておる。しかも港湾局の中に倉庫がある。これなどは私は、今の保險などと一緒にとり出す。倉庫というものはどう考えても通産省仕事です。倉庫が運輸省の、しかも港湾局にある意味がわからない。港湾に運輸省で必要なことがちよつとあるのです。船がついて荷物を下して汽車に積むのに、これはほんとうは倉庫には物を入れない方がいい。汽車の連絡が悪く、船の連絡が悪かつたら、倉庫へ入れるのですが、それの運営がうまく行つて船車の連絡がつけば汽車がすぐ入ることができる。運輸省の失態を糊塗するために置くのが船車連絡倉庫だと思います。でありますから倉庫が運輸省の管内にあることは間違いだということを言つて、私は終始一貫反対したのです。ところがうるさく泣きつかれた。泣きつきなどは絶対聞かない。ところが倉庫業界は、三菱倉庫でも三井倉庫でもみな反対しておる。私は横浜倉庫でやつておるのは事実認めておる。結局これは港湾の方へ残つております。これは残つておりますが、通産省の方に持つて行かなければならぬ。倉庫はほとんど商業倉庫が多いので、農林省が米を買入れた時代に使つたことがありますが、倉庫は大体通産省仕事である。倉庫は商業関係に存在しているのである。しかも倉荷証券を発行する。ところがそれによつて大いに金融ができる。大屋さんが大臣のとき経済閣僚懇談会においても、大屋さんは荷物が幾らあるか知らない。びつくりして翌日われわれに知らして来る。とにかく倉庫は運輸省にあるべきものではない。倉庫に幾ら荷物が残つているかということは大きな問題です。それでわれわれとしても、倉荷証券の発行など、貿易などに伴つて通産省に移さなければならぬと考えております。  それから中央気象台の問題、海上保安庁の水路部の問題とか、小さな問題ですが、これは統一した方がいいと思います。なお元の陸海軍の空気が残つておりますから、こんなのは、過半数の力を持つていらつしやるあなた方のやるべき一つだと思います。何も吉田首相の裁断をまつまでもなく、あなた方がやるべき問題だと思います。  郵政省、電気通信省の問題は、先ほども申しましたように、郵政省は大勢の人を使つて国家経営となつておりますが、電気通信省の方は長い間われわれの方で研究をしておりますが、最近ある筋からとめられておるので、これはうまく行かないと思います。公社とするのも一つの方法でないかと思います。  労働省、これは今のところやはり独立してあつていいと思います。労働省の廃止論、厚生省一緒にしろという議論もありますが、今のところあつたらあつたでいいと思います。労働者が労働省を必要としない時代の来らんことを希望して、労働省の存在について一応われわれは認めております。皆さんの御賛成を得てもよかろうということになつております。  建設省の問題、これは治山治水のみということに私は考えている。いろいろなことをやりたがつているようですが、これは国土省として林野関係を入れるというふうに答申はなつております。林の問題は農林省から切離して、あとは農水産省にするということにこの答申ではなつている。これもそう大ききな問題に影響を及ぼすことはないと思います。ただ林というものは、治山治水と非常に関係が深い。そうして山の中では、砂防問題と川の問題が絶えずぶつた切られて、地方官庁がやつてみたり内閣関係でやつてみたりしている。港湾などは運輸省がやつておるというように一つの川を、上から下に三つも四つも切られているということではいけないということから来たのです。これについては、今河川委員会というものをつくりかけているようで、私もつくつてほしいと思います。この河川委員会というもので、日本の大きな川二十六、小さな川がいくらでしたか、そういう川を片つぱしから解決する。各省の人も入り、同時に有識経験者も入つてつて行く。たとえば利根川についても、そのぐるりの沿岸の施策もありましようから、これについて徹底的に研究する。ここは利水、ここは治水、水力電気の関係でどう、ダムの関係でどういう影響があるかということは、治水に関係して来るので、すべて国土省でやるようにする。それを別々の省で——電力関係通産省の電力局がやつてみたり、あるいは治水の方は建設省がやつてみたり、また港湾の方は運輸省がやつてみたりするようなことではなく、川は一本々々解決して、その解決したことによつて今度は分担してやる、もし変更が起ればまたそれでやるということにして、河川委員会というもので取上げて行くのがいいのではないかと思います。日本にそう新しい川ができるものではないから、これを解決して行けばどんどん片がついて行くのではないかと提案をしておきます。これはここにはあげておりませんが、そういうことで川の問題はやつて行きたい、こう思うわけであります。これによつて中央集権の問題が現われておりますが、これは大したことはない。三日ほどあれば各省の人たちは、自分できめて、別段に暴力を振わないでも解決はつくと思う。水力電気の事務通産省がやるというふうになつております。  経済安定本部の方は、さつき申し上げました跡始末をしている、こういうことなのであります。ここに簡單企画調整庁のことが載つておりますが、これは私さつき申し上げましたから略します。問題はこういうことがつけ加えられておることで、これは私強く主張したいと思う。幸いに自由党でもお取上げになつておりますが、さつき申し上げました日本の農業技術の問題もありますが、日本の科学工業技術、これはケミカルの方ではない、全体の科学サイエンスの方です。このサイエンテイフイシク・エンジニアリングの進歩発達をはかる実行方法としては、金庫をこしらえたり、補助機関をこしらえたりするが、それだけではなく、いろいろな面において各省の上にこれを押えて行く機関をつくつたらどうかといつた問題、この問題はその後自由党では前田正男さんが主となつて、三月二十一日の参衆両院で四項の決議が認められた。あの四項いずれもけつこうだと思つておりますが、法律になつておりませんからものになりませんけれども、あれなどが希望しておる線とぴちつと合つております。それはどういうことかと申しますと、文部省工業技術庁など奨励金が出ている。奨励金は奨励金としてやりつぱなしだ。ところがこれはそういうことではいけない、工業化の前には中試験がいる、ことに日本は貧弱になつておりますから——もとのように三井、三菱のごとき財閥があれば中試験に何百万円か出ましたが、中試験しなければ工業化できないということになれば、特許権、発明などがやみからやみに行つてしまう。それで中試験したものの引受け手があれば、これに対して国家が金を出すということを、はなはだうまい案を日本学術会議では考えておつてリボルヴイング・フアンドにおいて五十億出す、来年度見返り資金から十億、残り四十億を順次に出して合計五十億、これはたえず回転すると、三〇%しくじるとしてあとの七〇%が成功すればそれでペイ・バツクできる。それもわずかばかり、二割五分の利息ともつかず、報償金ともつかないものをとる、それがむずかしいところで、その七〇%が成功するかと心配しておるが、心配ばかりしておつては問題にならぬ。しかしその筋の技術関係では非常によろしいと言つてくれる、ミスター・アランというのはエンジニアリング・セクシヨンで、この方の側も大体いいと言う。フイナンシヤル・セクシヨンのミスター・アリソンも大体了解をしているらしい。大蔵省の側、並びに日本側がよろしければやつてもいいという状態に来ておる、これはむしろ自由党の方で星島さんがやつている科学技術振興対策審議会というものに現われた結果である。民間の方で私は日産協を代表し、極力支持しております。推進力になつて一生懸命にやつている。この問題は少し手前みそになるけれども、そういうものを考えているということをお考え願いたい。実行には人材がいるが、そのスタツフは日本にあるから、この方面には問題はない。とりあえず今言つたように見込みのある技術を工業化する前に、こういう機関があつて、試験援助をすることになれば非常にけつこうである。しかし問題になるのは所管官庁のことだ。それを安本に持つて行くか、総理庁に持つて行くかが問題になる。この問題は業界皆熱心に希望していることであるから御盡力をお願いしたい、これは陳情になつて申訳ないのですがよろしく御了承願います。  大体それで終りましたがここでちよつと申し上げたいことがあります。いただきました書類のうちで、陳情書を見ると、地方の出先官憲を廃する陳情書がうんとあります。これは一つの空気であるか、自然であるかわからないのですが、この陳情書の源を付度して参りますと、中にはどこの筋から出た陳情であるかということが感じられるところがある。出先官憲の廃止問題は各省別必要に応じてやることで、一度に実行することはできないと思うが、この問題の解決はぜひやりたい。ことに地方自治が確立されて完全な仕事ができるようになれば、そうして置くことが必要である。ある場合はこれが地方事務運行のじやまをしている。それは詳しく申し上げますと、地方の出先官憲を視察してみると、一箇月間仕事が三つしがなかつた。そして自分のうちへ帰つている方が多いという状態であります。そんなに用事がない。それはひどい。何のために置いてあるのか、これらの費用はみな国民から税金で拂つている。この問題はまじめに取上げてもらいたい。ところがわれわれの方の審議会ではそういうことが取上げられていない。主として中央官庁だけを見ている、地方は見ていない。そして四月二十二日答申書が出てから以後気をつけて今日までの模様を見ると、そういうことに気がつく、これはやつて見ないとわからない。その点をひとつ御盡力願いたいと思います。これがたいへんな問題であつて中央官庁は忙しいのだが地方官庁はひまである。だから地方官庁は人員整理をせねばならぬ。従つて給與ベースを上げる等の問題は易々たることである。この人数の問題は具体的に各省について私から申し上げてもいいか、こまかくなり過ぎますから遠慮しておきます。  それからもう一つ、これは私の意見通り通らなかつたのですが、小さな問題であつて重要な問題ですが、日本で今一番問題になつているのは生糸なのです。アメリカが生糸を買つてくれないのはナイロンとか、ビニール樹脂、これはまだ盛んになつておりませんからナイロンが一番ですが、アメリカの今の織物は混織が盛んであります。アメリカはプレーンな單糸のものがない、混織なのです。生糸の混織を研究すれば相当出ると私は思う。ところが生糸は農林省が現在やつている。貿易関係だけは通産省が最近までやつている。今度の案で農林省に持つて行くことになつた。この事情を申し上げますと、蚕に桑を食わして繭にする、ここまでが農林省、製糸からは通産省、こう私は思います。というのはそれから先が大切だ。ところが今のは昔のままで糸をとつてそれを送つております。ですから繭から糸の生産までのところは農林省でやろうとしています。糸になつてから先はまつた工業であつて、国内需要は八万梱か十万梱ですが、どうしても三十万梱くらいアメリカ、英国、フランスへ出したい。それをやるには混織ができなければならぬが、そういう研究はしていない。ところがこれは元の通り農林省へ戻ることになつている。私は最後まで反対しておつた農林省から商工省へ生糸貿易が移つたのは戰争中で、しかも商工省はいろいろの事情もあつたろうが、はなはだ不熱心な宣伝ぶりで、海外にいる官吏に商工省辞令を渡したというだけで、何等新しい措置が施されなかつたと聞いたので、当時の商工省の不熱心さにあきれて農林統一一貫案に賛成したのであつた。ちつとも働きをしていない。商工省へ持つて行つてはだめだ、農林省一本でいいと思つたのですが、それは最後の五分で、切り放しが話が元にもどつてしまつたのです。これは貿易品としてこれをスタートさすには、あそこで切らなければならぬ。それは全員が賛成なんですけれども、最後の五分に農林省が持つてつた。これは通産省商工省時代に、自分の方で貿易をとりながら、戰争中で勉強しないで、農林省のものに辞令をつけかえただけです。そういう不熱心なやり方ならもうやめた方がよかろうというので、そういうことになつた。そういう問題があります。  それからもう一つつけ加えておきたいのは、これにあります通り、昭和七年と二十四年との比較が、あなたの方からいただいておるものにありますが、日本の国は七年と今とくらべて見ると、千島と琉球がなくなつている。本土関係のプロパーのもの、それ以外に樺太とかなんとか外地がありましたけれども、この行政地方行政でやつてつた。それが今度縮小された。入口だけふえた。そして三百何十の課が千にもなつている。日本機構は大きくなつていないにかかわらず、人間と官庁だけふえている。これは戰時中相当ふえたことがあつて、ちよつとも減らない。名前だけかえて残つておる。その上に、終戰後にアメリカナイズするために、その筋から来た官庁がたくさんできて、プラスされている。これは日本ほんとうに合うものだけを残していただいて、合わないものは講和條約締結後、とたんに全部なくするということにしていただきたい。今からでもそれをやつていただきたい。今の場合ならおそらく聞いてもらえるのじやないか。いくらしやべつてもきりがありませんから、まあこのくらいで‥‥。
  4. 木村公平

    木村委員長 どうもたいへん有益な御高説を拝聽させていただきまして、ありがとうございました。今日伺つておりますのは、内閣委員長木村公平と、特に行政機構改革のために小委員長をされております土倉宗明代議士も傾聽されておつたわけでありまして、ただいまの御高説を重要なる参考といたしまして、当委員会においても今後熱心に研究調査をいたし、おそくとも通常国会までには結論を得たいと思いますから、何分ともよろしくお願いいたします。  では本日はこの程度で散会いたします。     午後二時四十三分散会