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1950-11-14 第8回国会 衆議院 電気通信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十四日(火曜日)     午後一時十五分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 高塩 三郎君 理事 辻  寛一君    理事 松本 善壽君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       井手 光治君    井上信貴男君       塩田賀四郎君    庄司 一郎君       鈴木 明良君    中村  清君       椎熊 三郎君  出席国務大臣         電気通信大臣  田村 文吉君  委員外出席者         電波監理委員会         委員長     富安 謙次君         電波監理委員会         委員      網島  毅君         電波監理長官  長谷 愼一君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      平井 平治君         大蔵事務官   森田  博君         電気通信事務次         官       靱   勉君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         電気通信事務官         (施設局長)  林  一郎君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君         経済安定事務官         (建設交通局交         通課長)    栃内 一彦君     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員調査報告聽取  電気通信事業に関する件  電波管理に関する件     —————————————
  2. 關内正一

    關内委員長 これより電気通信委員会を開会いたします。  前会に引続きまして、派遣委員報告聽取の件を議題とし、第三班の報告を求めます。高塩三郎君。
  3. 高塩三郎

    高塩委員 それでは私より第三班の調査の結果を御報告申し上げます。今回の電気通信事業及び電波管理業務調査目的調査要目等につきましては、すでに他の班より御説明がありましたので、省略いたします。また調査の結果の詳細につきましては、お手元に配付いたしました文書をごらんいただくことといたしまして、ここには主要の点のみを申し上げることにとどめたいと存じます。  第三班の視察いたしました地方は、九州、四国、中国の三地方でありまして、熊本、広島、松山の各地におきましては、それぞれ所在の電気通信局電報局電話局電波監理局中央放送局、合計十五局について調査を行いました。ついでをもつて鈴鹿電気通信学園をも視察いたしました。  次に内容に至りまして、文書記述の順序に従い、まず電気通信事業の現状に対する調査班の所見について申し上げます。  電気通信事業の現状を正確に把握するには、もとよりあらゆる方面から詳細に検討を遂げる必要がございますが、今回の調査によつて知り得た地方実情を主にして、二、三の項目について述べまするならば、まず電話加入需給状況を見ますに、本年度九州電気通信局管内では、四万五千の加入希望者に対しまして架設数は一万二千余、四国管内では一万五千の加入希望者に対しまして架設数五千四百余でありまして、大体各地とも電話需要の三割内外しか満足し得られないという状態であります。全国的に見ましても、電気通信省の統計によれば、本年度電話加入を希望する者の数は四十三万に上り、来年度においては七十一万を越える見込でありまするのにかかわらず、予算に計上された架設数は、年々十二、三万個程度にすぎないのであります。さきに内閣に設けられました電信電話復興審議会は本年三月、現下並びに将来のわが国勢、民度より考えれば、今度なるべく早い期間に約三百万個の電話増設が必要である旨を答申してあるのでありますが、かりに来年度予算案に盛られている一箇年十三万個程度架設数を続けて行つたとすると、三百万個の増設に今後なお二十三箇年を要するのでありまして、電話架設に対する国民の要望にこたえるには、何としてもすみやかに電話事業の大拡充計画を立て、電話架設数を飛躍的に増加することが必要であると考えるのであります。  次に電話サービス状態を最も端的に表示するものとして、市内電話完了率市外通話疏通状況と二つについてみまするに、大都市における市内通話完了率は現在いまだ三五%内外でありまして、標準完了率七五%に比べてもちろん、戰前の平均六五%に比べてもまだ遠く及ばない状況であります。市外通話疏通状況の方は、回線の回復と従事員努力とによりまして、近来著しい改善を見たのでありますが、現在なお九州管内では、一日一回線当りの負荷が百二十通話時以上に及ぶ区間が六百以上に上り、中国管内における一回線一日平均通話時数は百二十五通話時、四国管内においては同じく百五十二通話時に達しております。本来一回線一日の負荷は九十五通話程度最大とされていることから見ましても、各回線とも異常な負担過重状態にあることは明らかであります。その結果、待合時分の短縮、通話取消し率の低下についても、いまだ改善すべき余地が大いにあると見られるのであります。  この市外通話疏通状況から見まして、市外電話回線大幅増設を必要とすることは明瞭でありまするが、このほか通信確保の見地からも、内地主要区間を結ぶ通信ケーブル網の完成は、きわめて緊急な必要であると思われるのであります。幹線路ケーブル化工業は年々に進められてはおりまするが、九州四国地方では相当重要区間であつて、いまだ脆弱な裸線のままになつておるものが少くなく、絶えず台風その他の災害による危險にさらされております。九州電気通信局の言によりますれば、終戰後五箇年間における同局管内災害応急復旧費は、時価に換算して約十億円に達するのでありますが、その金額の約半額四億五千万円を投ずれば、九州循環ケーブルの未完成部分を竣工せしめ得る計算になるということでありまして、予算制約その他実行上の困難があることは、十分察知できるのでありますが、通信事業の使命からいつても、災害対策の上から見ても、一日も早く堅牢安固な通信線路建設を終えることが望ましいのであります。  電信事業復旧は、当局者努力によりまして最近すこぶる顯著であり、回線数戰前と大差ない程度に回復し、印刷回線数のごときは戰前を凌駕しております。これに伴つて電報所要時分も、著しく改善の跡を示しているのでありますが、誤謬率の低下の点では努力余地を存しております。しかしながら電信事業最大の問題は、言うまでもなく年々四、五十億に及ぶ厖大な赤字の解決であり、通信方式取扱い制度料金等、全面的に再検討の必要に迫られておるのであります。  これを要するに今日の電気通信事業は、政府当局並びに従事員諸君努力によつて終戰時最悪状態からは漸次立ち直つて参りましたものの、仔細に検討すれば、その復旧は多くはいわば一時しのぎの応急措置程度を脱しておらないのでありまして、わが国電信電話を国民の期待に沿うものに建て直すには、まず施設方面において局舎増改築老朽機械のとりかえ、裸線路ケーブル化を初めとし、局内設備の拡張、交換方式改善中継線市内線市外線増設電信通信方式機械化等、全面的に一大拡充を実施することがぜひ必要であると考えるのであります。しかしながらこれを実行しようとする場合、ただちに当面する障害は、予算制約であります。報告書にも記しましたごとく、わが国電信電話事業はほとんど創始以来、絶えず財政上の困難を苦しみ続けて来たのでありまして、一般会計時代においては、收益の大半を一般歳入目的のために吸收され、特別会計になつても爾後十年間は、年々八千万円内外の巨額を一般会計へ納付する義務を負い、さらに臨時軍事費会計への繰入れを余儀なくされるなど、あらゆる悪條件に悩まされたあげく、戰災によつて施設の半ば以上を荒廃に帰するという災厄に見舞われたのであります。今日わが国電話普及率が世界の二十三番目という低位にあり、また他に類例のない電話加入権の売買が行われるという事実の裏面には、この予算制約による建設資金の窮乏という原因が最も強く影響していることは、何人も否定できないのであります。換言すれば電信電話改善のかぎは、一に建設資金の獲得にあると言つても過言でないのであります。しからば建設資金獲得方途いかんという問題は、もとよりいろいろの方策が考えられるのでありまして、あとに述べる経営形態の変革、あるいは外資の導入等、種々あるのでありましようが、要は財政当局あるいは経済安定本部当局等を含めた政府全体が、電信電話事業わが国政治経済文化に及ぼす影響について正確な認識を持ち、その発達に盡瘁する熱意いかんにかかつておるのでありまして、国会においてこの事業を所管する本委員会委員としましては、さしむき来年度予算の問題につきましても、政府がこの見地に立つて十二分の努力を傾倒せられんことを希望せざるを得ないのであります。  現在の電気通信事業欠陷は、もとよりその施設面についてのみ存するのではなく、運用面につきましても種々改善すべき点があるのでありますが、なかんずく事業経営形態が国営であることに随伴する各種障害につきましては、調査班は今回の調査の最も重要な項目として、詳細にわたつて具体的事例検討及び各局の意見の聽取に努めたのであります。その内容報告書に記載してございますし、また他の班の報告とも重複いたしますので省略いたしますが、概略して申し上ぐれば、今日事業会計、経理、定員、給與労務等の面は、国営事業として当然財政法会計法定員法給與法国家公務員法等の適用を受けているのでありますが、これらの法規は主として一般行政官庁を対象としてつくられているために、企業としての電気通信事業経営実情に沿わず、その敏速活発なるべき企業活動を制肘するものが少くない状況にあるのであります。よつてこれらの諸法規の適用から離脱するとともに、建設資金調達を容易ならしむるためには、事業経営形態を変更する方が適当であるというのが、電気通信民営論ないし公共企業体経営論の論拠で、この問題についてはすでに第七国会における本院の電気通信事業公共企業体経営移行に関する決議によつて衆議院の意思は表明されているのでありますが、調査班意見としては、決議目的とするところは、あくまで前に述べましたような事業運営上欠陷を除去することにあるのでありますから、その実現にあたつては、單なる看板の塗りかえに終ることなく、決議文中指摘している通り、運営諸般の方途についても検討を遂げ、事業経営上十分な自主性機動性を付與することが、最も肝要であると考えるのであります。現在の国鉄あるいは專売公社は、名は公共企業体であるが、予算制度その他の実質は国営事業と大差ないのでありまして、電気通信事業公共企業体に移行する場合、必ずしもよい手本になるとは限らないと思はれます。なお電信電話民営論公共企業体論との比較については、事業公共性の保持、資本構成適否資金調達の難易、その他労務人事管理給與、料金、課税の諸制度通信秘密保持委託業務問題等、あらゆる角度から両者の利害得失につき嚴密な検討を要するのでありますが、今回の調査範囲においては、管理者側組合側公共企業体形態を支持する者が多く、大多数は民営の長所を十分取入れた公共企業体方式を可とする意見でございました。  このほか事業運営の問題として報告書には、機構、給與労務上の諸問題について若干触れておいたのでありますが、ここに特に申し述べたいのは、給與ベース引上げに関することであります。現行給與ベース引上げの必要については、さきに人事院の勧告もあり、政府においても目下考究中のことと察せられるのでありますが、最近における生計費の高騰はすこぶる顯著でありまして、従業員最低生活の維持すら困難な状況にあるのであります。のみならず今日官民の間の給與上の懸隔ははなはだしいものがありまして、報告書中にあげました広島県立労働科学研究所調査を見ましても、各種事業給與比較中、電気通信事業従業員給與は最下位にあつて、同じく公共事業に属するガス、電気事業水道業のそれに比較すれば、約三分の一にすぎないのであります。この官民給與の不均衡を是正する上からも、従業員をして安んじてその職責を全うせしむるためにも、給與ベース引上げは焦眉の急務であると認められるのでありまして、調査班は、調査中に接しました管理者側組合側一致の要望を委員会報告するとともに、政府当局が本問題の解決に、さらに一段の努力を傾けられんことを希望するものであります。  また機構に関する問題の一つといたしまして、現在地方資材部電気通信学園逓信病院逓信診療所は、いずれも中央直轄となつておるのでありますが、これらはいずれも所在電気通信局事業経営と、密接不離関係になつておるものでありますから、これを通信局管轄下に統合した方がよくはないか、この点電気通信省においてさらに考究を煩わしたいと思います。  次に電波管理業務に関しましては、電波三法の実施状況重点を置いて調査行つたのでありますが、法律施行後日なお浅く、実施成績を的確に知ることはできませんでした。従つて特に報告に値するような事項もございませんが、一、二気づいた点を申し上げまするならば、電波監理委員会では、現在放送番組に関しましては、電波監視局におきます電波目的外使用等の監視を除いて、番組内容の監査は別段行つていないように見受けられるのでありますが、放送番組はその内容につき、放送法第五條、第四十四條、第五十三條及び電波法罰則等の規定によつて、一定の規律を受けており、これらに違反した場合には、無線局業務停止免許取消し原因になるのみならず、過般聽聞に付せられたる放送局開設に関する根本基準案によれば、過去の放送番組適否は、再免許に関する條件一つとなつております。また電波監理委員会設置法の規定によりまして、監理委員会は、放送番組状況及びその改善方策調査して、毎年国会報告しなければならないのであります。これらの必要からいつて電波監理委員会においては、日本放送協会たると民間放送たるとを問わず、絶えず放送番組を聽取監査して、常にその状況を明らかにして置くべきではないかと考えるのでありまして、監理委員会においてこの点考究を願いたいと存ずるのであります。但し調査班意見は、決して戰前放送検閲制度を復活しようとする意図ではなく、放送番組編集の自由は、あくまでこれを尊重するものであることを念のために付言しておきます。  また放送事業に関しましては、高性能受信機普及受信機修理業務の面において、なお大いに努力する余地があるように思われるのであります。すなわち現在一般普及されている受信機の性能にかんがみ、民間放送の開設を前にいたしまして、分離性の高い受信機大量出産、その価格の引下げ等の措置は、きわめて急務であると考えます。これと同時に日本放送協会が従来行つていた受信機修理ないし認定等業務は、今回放送法によつて著しく制限された反面、これにかわるべき一般修理業者の活動はまだ何ら見るべきものなく、加うるに、統計によれば、戰後の受信機戰前のものより故障率が高いのであります。受信機の故障は聽取廃止原因最大を占めるものでありますから、放送事業普及発達をはかるためには、受信機に対する面においても、監理委員会通産省当局と連絡の上、積極的に努力せられるよう希望いたすのであります。  以上、調査の結果の概要について御報告申し上げたのでありますが、結論として、調査班政府に対し特にこの際、先ほど申し上げた電話施設画期的拡充計画の樹立と実行、並びに公務員給與ベース引上げの二点については、万難を排してこれが実現をはかられたいことを要望いたすものであります。  最後に、電気通信省において御考究を煩わしたい事項について、若干申し述べたいのでありますが、その一つは、資材提供による電話架設制度の採用であります。電話加入希望者中には、官公署公共団体、学校、会社、組合、あるいは特殊の公益的職業に従事する人等で、電話必要度はきわめて高いのであるが、架設距離制限外にあるために、資材予算等関係上、申込みを拒絶しなければならない場合がかなりあるのであります。このような場合、資材の一部を希望者に提供させて架設する。いわゆる資材提供制度は、かつて逓信省時代に行われたこともあり、これに伴つて生じやすい弊害を防止するにおいては、相当実効をあげ得る制度ではないかと思われるのでありますが、これが可否について御検討を願いたいと思います。  次に、過般電気通信省においては、通信用資材調達方法を改め、地方準備品の一部を本省準備品に組みかえられたのであるが、そのうち架線、金物、腕木類等は、地方調達が十分可能であり、運賃、契約費等は、地方購入の方が有利であるように見受けられるのであります。加うるにこれらの物品は、多年地方購入にまかされ、電気通信事業に依存していた地方中小企業もありまするので、これらの保護をも加味して、この調達方法適否につき再度考究せられんことを望みます。  第三として、現行制度においては成立予算は、あらためて四半期ごと支出負担行為認証と、経済安定本部公共事業認証とを経なければ、これを実施することができないのでありますが、この認証制度事務手続がすこぶる煩瑣であつて、処理上大きな負担であるばかりでなく、これがため年間を通じての計画の樹立に大なる障害となつております。のみならず現下資金、物資の状況から見れば、かかる制度の存続がはたして必要であるかどうかも疑問があるのでありまして、電気通信省は本問題についても、関係官庁と協議を遂げられ、もしかりに存続を必要としても、その事務簡易化に努められたいのであります。  以上の三点につき考究をお願いして、私の報告を終ります。
  4. 關内正一

    關内委員長 これにて各班の調査報告は全部終了したのでありまするが、この際本件に対する政府意見を求めます。田村電気通信大臣
  5. 田村文吉

    田村国務大臣 先般電気通信委員会におきまして、全国にわたり電気通信事業運営況状を御視察になりまして、きわめて詳細な御報告を承ることを得ました。委員各位の御熱意と御努力に対しまして、満腔の敬意を表する次第であります。このたびの御報告内容は、電気通信事業の実態をよく把握せられておりまして、私どももその大部分においてまつたく御同感であるのでありまして、今後問題の解決努力いたす所存でありますが、皆様からも格別の御援助をお願いいたしたいと存ずるのであります。  次に御報告中、二、三の大きな点に対しまして私から所見を申し上げ、なおそのほかにこまかい点について、さらにお尋ねをいただきます点につきましては、事務当局の方から御答弁申し上げるようにいたしたいと存じます。  まず第一に、電信電話施設拡充について、三班からの御注意をいただいておつたのでありまするが、さきに第五国会におきまして、衆議院では通信事業復興に関する決議を議決せられ、また参議院におきましても同様趣旨決議が行われたのであります。また電信電話復興審議会におかれましては、現下並びに将来のわが国勢、民度より考えれば、なるべく早い機会に三百万個の電話増設が必要である。また第一班でありましたかの御主張の中には、今後人口に対して一割の電話を持つとすれば、少くも八百万ないし九百万個の電話が必要でないか、これは各国の文化程度従つて中流をとるとしても、そのくらいのものは必要ではないか、こういうような御指摘も受けておつたのであります。私ども産業経済の発展、文化の興隆のために、鋭意電信電話整備拡充努力して参つたのでありまするが、何分今日の財政状況におきまして、十分の資金確保できませんので、熾烈な通信需要に対しまして、これにおこたえすることができず、御指摘のような多数の積滯需要を生じておりまするのみならず、市内通話完了率市外通話待合時分等も、所定の標準に達することができないで、まことに遺憾に存じておるのであります。そこで二十六年度につきましては、ますます増大する電話需要に対処いたしまして、既存加入者百十万に、現在工事中のものを加えまして、二百万になることをとりあえず目標とした五箇年計画樹立いたしまして、十三万の加入者増設を二十六年度において予定いたしたのであります。また市外電話におきましても、加入者増設計画に対応する回線増設と、現在の市外通話待合時分短縮をはかるために、十二万五千キロの回線増設する計画を作成いたしたのであります。しかしてこれらの電気通信設備拡張改良に要する費用は、約二百億円と相なるのであります。私どもといたしましては、これは必要最小限度のものでありまして、これが確保について極力折衝いたして参つたのでありますが、何分諸般の事情及び財政上の理由等からいたしまして、その調達は困難な実情にございます。現在大蔵省との折衝の過程におきまして、昨年は百二十億の見返り資金でありましたが、今年は物価の値上り等を見ただけの数字の百三十五億までは、どうやらできそうな状態でありますが、それではとうてい困るということで、再三再四折衝を継続いたしておるのであります。何分まだ関係方面との折衝も進みませんので、百三十五億のものは大体大丈夫だと考えておりますが、より以上のものにつきまして、はたしてどうなるかということについては、あまり楽観的なことは申されない実情にあるのであります。しかし万一十分に二百億の金がとれませんようなことが起りました場合には、やむを得ませんから、いわゆる最小の経費で最大の効果を收めるようなことについて、各般の研究をして参らねばならないと考えておるのであります。  なお大都市における基礎設備の充実と、各種施設整備によりまして、極力疏通改善努力して、市内通話完了率の向上をはかるとともに、大都市近郊市外通話重点を置いてこれが改善をはかりたい。と申しますのは、現在国内における実情を見ますと、六大都市における疏通率が一番悪く、非常にかけ離れて悪いのであります。こういう点はある程度まで重点的に考えて行かなければならないことと考えておるのであります。  なお電信設備につきましても、通信方式印刷化と、中継方式機械化重点を置きまして、電信運営合理化実現いたしたいと考えております。  なおこの際問題として御指摘に相なつておりました電信料の値上げの問題もあるのでありまして、しばしば検討をいたして参つたのでありますが、すなわち單一制度をやめて、距離によつてかえてはどうかというような考え方もあるという御指摘であつたのでありまして、ごもつともな意見と考えておりますが、ただ今日の場合にその点について改正をなすべきか、なすべからざるかという点について、若干まだ検討余地がございますので、決定はいたしておりませんが、御意見をありがたく拜聽いたしておる次第であります。次には、電気通信事業経営形態の問題につきまして、一班、二班、三班の御意見と申しますか、御注意くだされておる点が共通した点があるのでありますが、電気通信事業能率的経営のためには、御指示のような予算会計制度、任用、昇任、給與人事管理等のいろいろの諸制約を除去して、その経営形態合理化して参らなければならぬことは当然なことでございますが、御承知のごとく復興審議会さきに、電気通信事業をすみやかに公共企業体に移行せしめるようにとの答申があり、また国会においても御決議があつたのでありますので、政府におきましてもこれが急速実現について努力いたして参りましたところ、その後内外情勢の変化によりまして、早急の実現が困難と相なりまして、同審議会においては電信電話改善に関して、可及的に事業経営能率化合理化、すなわち民営における長所を十分に取入れるような政府措置を強く要望される決議が行われたのでありまして、なお今度の御報告にもその点が強く指摘されておりますことは、非常にごもつとものことと考えておりますので今の経営体の問題を、民営か、公共企業体か、あるいは現存するかという点につきましては、なおしばらく検討を進めまして、もしこれをいたします場合には、いかなる形態であるにせよ、民営の特長を十分に取入れた制度でなければならぬという点につきましては、御指摘の通りであると考えて進んでおるつもりでございます。  人事管理の点についていろいろ御注意をいただいて参つたのでありますが、経営に関しましては、サービスの向上、新規施設の増加に伴いまして、現在の定員をもつてしましては不十分でありまして、これが充足について今後努力いたしたいと思いますが、さしあたつて定員の配置を合理化し、執務方法を改善いたす等、各般の措置を講じまして、事業運営に遺憾ないようにして参る考えであります。  給與に関しましては、当面の大きな問題は仰せの通りのベースの改訂でありますが、今日確定的な数字を申し上げかねますけれども、目下政府全般の問題として具体案を取運び中で、なるべく早くこれが実現を期したいと考えております。超過勤務手当、これも実際の超過勤務に対して払われておらない点についての御注意があつたのでありまするが、まことに研究の不足のために、かような事実も確かにあると思うのであります。今後できるだけかような不合理なことでないように、努力して参りたいという考えであります。石炭手当につきまして、支給時期の引上げの問題もあわせて御意見がありましたが、現在は八月及び十月の両期にわたりまして支給いたしております。なお青森の新炭手当の問題につましては、北海道との関係からこういう問題が起つたと考えますが、これも程度の問題に相なりまして、青森がしかる場合には、盛岡あるいは秋田等の問題も起る点でありますので、十分はこの点は検討をなすべく、人事院にも検討方を申し上げておる次第であります。  次に厚生福利施設の整備拡充につきまして御注意がありましたが、本年度におきまして宿舎に関係しましては、国費支弁、共済組合資金によるもの並びに借入れ等を合計いたしまして四百七十三戸、人員千五百七十名を收容する予定をもちまして、目下右計画の約六〇%近くを完成いたした次第であります。医療施設の完備につきましては、従業員の健康保持上、定期的に健康診断をいたしまするとともに、またこれが採用にありましても、十分に御指摘のように注意をする等のこともいたしますが、昨年度二台、本年度四台のレントゲンの自動車を利用の向きに配付いたしまして、胸部疾患の早期発見につき細心の注意を拂つております。なお部内職員中、胸部疾患による長期欠勤者が全従業員の約二%、人員にいたしまして約二千六百名を数える状態でありますので、まことにこれは寒心すべき状態であり、單に通信従業員だけでなくして、これは国の問題とて大きな問題でありますので、政府全体としてこの点にも深い関心と、今後の施策を用意しつつあるのでありますが、なお本省といたしまして、これが対策として、すでに伊豆の逓信病院並びに天草の逓信病院を設置いたしましたが、本年度はさらに数箇の逓信病院を記置するほか、病後保全の療養のために健康保導所をも記置いたしまして、健康回復並びに予後の注意方につきま指導を與える等のことを考えております。今日の結核関係を一日も早く最も少くいたしまするように、当省としても最善の考える進めて行きたいと思つております。  なお現在の運営機構の問題についてでありますが、昨年六月機構を改正いたしまして、一年有余の間、私どもは新機構の能率的運営に努力して参つたのでありまするが、管理面が検討されて、現業面がおろそかになつておるのじやないかという御注意もあつたのであります。管理面におきまして段階が多過ぎる。その具体的な問題としましては、通信部と管理所の問題等についての御注意を承つたのでありますが、要するに管理階段が多過ぎるという点についての御批判でありますが、その後の経験によりまして必要な改正を行いたいと考えまして、取運び中のものもあるのであります。すなわち通信部と管理所の二段階を簡素化して、一方は通信部を強化し、取扱局を強化いたしまして、管理所を全部廃止するということではありませんが、実際の運用面からいいまして、そのウエートを高くするという、実際に近い方法をしてはどうだろうと現在考えておりまして、近くそれを実施いたそうかと考えておる段階でございます。また御指摘のありました資材部の今日独立いしたしております問題、あるいは病院、学園等がそれぞれ管理局から離れておることについての問題でありますが、この点も当初から問題であつたのでありますが、関係方面の勧めもございまして、現在はそのようになつておりますけれども、この点につきましては運用後の実際に徴して、十分に再検討をする必要があろうと考えておりますので、せつかくこの問題についての研究を進めております。また特定局の委託制度の問題で、これに対する弊害、あるいは非能率等についての御指摘もあつたのでありますが、御承知のように何分郵政、電通がおかれたばかりでございますから、新たにすべての設備をいたすということは、経費も莫大に上りますので、現在の施設のものにおいてできるだけ能率化することを考えて進んでおりますので、早急にこれが形をかえることもどうかと存じておるのであります。  以上若干の問題について、概略申し上げたのでありますが、電気通信事業資金確保、その他運営の改善につきましては、今後一層の努力をいたしたい考えでありますので、何分の御援助、御鞭撻をあ願いいたします。  なお先ほど第三班から御指摘のございました資材提供の問題でありますが、この問題も全部資材を出して、それによつて電話をどんどん活用するということは、非常におもしろい考えでございまして、少しくまだ検討を要する点はございますが、ある程度まで緩和いたしまして、寄附金という形は、あるいは困難かもしれないのでありますが、その資材提供によつて、工事不可能の地域もどんどん可能地域にするという、何か方法は考えられるというので、目下検討しておりまして、あるいは近いうちに法案としてでも御協議申し上げるようになろうと考えておるのでございます。  以上大体報告にありました点を御答弁申し上げたのでありますが、先ほど申し上げましたように、なおこまかい点につきましては、事務当局からお話を申し上げるということで御了承願いたいと思います。一応私の答弁を終ることにいたしたいと思います。
  6. 富安謙次

    ○富安説明員 先般来各方面委員の方が御調査においでになられまして、私ども関係しております電波行政につきまして、いろいろ有益なる御意見を発表していただきまして、まことにありがたく、厚くお礼を申し上げたいと思います。御指摘いただきました点につきまして、私より大体のことを申し上げ、なお詳細にわたる点、あるいはやや專門的にわたるというような点につきましては、他の者よりお答えを申し上げ、なおお尋ねいただきまして、十二分に御了解をいただくことにしたいと存じます。  まずいろいろ承つたのでありますが、ラジオの番組の監視、これを一日聞いておるということについて、現在とられております方法が不十分ではないかというような御意見をいただいたように拜聽いたしたのでありますが、申し上げるまでもなく委員会といたしましては、放送協会を監督いたしております。また放送される内容につきましても、法律はいろいろのことを規定しているのであります。たとえば選挙についてはかくかくの方法による放送をいたさなければならないとか、広告の放送はこうしなければならないとか、いろいろなことを規定しておるのであります。それが正しく守られているかどうかということを、委員会といたしましてはしよつちゆうこれを見守つておらなければならないことは申すまでもないのであります。そしてその状況及びこれが改善意見を、毎年国会に対して提出しなければならないことと相なつておることも、御承知の通りであります。さような監督権が與えられておつて、これを忠実に履行しなければならないのでありまするが、一面また御案内の通りに、放送の番組につきましては、法律によつて規定された権限によるのでなければ、何人もこれに干渉することができない。また何人の制肘をも受けるべきはずのものではないというような規定もあるのであります。内容には自主的に放送協会におきまして、すなわち放送協会の経営委員会におきまして、責任をもつて編成すべきはずになつておるのであります。こういうふうに考えますと、委員会が持つておりまする監督と申しましても、その監督は一般に行政の監督と申しておるものとは、やや性質の違つた、特殊の性格を持つているように考えなければならぬと存ずるのであります。その辺は微妙な監督の関係と申してもさしつかえないだろうと思うのであります。番組の個々の内容には干渉、規律することはできないのであるが、しかし番組は始終委員会がこれを見守つていて、その状況報告し、その改善意見を出さなければならない。そういうような監督の立場にあるのでありますから、その辺をどういうふうに調整をして参るかということにつきましては、相当愼重に考えなければならぬと思うのであります。御意見の中にもありましたように、かつての時代におきまして、放送の番組に関與干渉をして、一々番組を左右することができた。それをまた再現するなどということは、もちろんして悪いことではあるし、法律の建前もまたそうでないように改まつているのであります。そういうことでない、今申したような監督をしなければならない立場に置かれているのであります。しかしながらそういうふうに建前がかわりまして、まだ法律がその建前において出発をいたしましてから、長い時日を経過しておるわけではありませんので、その監督の具体的な方法をどういうふうにして参るかということについは、今後とも十分に番組を見守つて行くという点において、もう少しその余地がないかという御指摘も、まつたく私どももそういうふうにならなければならぬと考えておるのであります。たとえばもつと人を配置して、どういう時間にどういう人がどこでどういうふうに聞いておるかというようなことも、考えられないでもないと思います。それも大いにありますけれども、一面また放送の番組の適否ということは、聞く人の主観的な考えにも大分よることでありまして、放送の番組がはたして適当であるかないか、国民の輿望に沿うものであるかどうか、法律の精神に沿うものであるかどうかということは、聞く人の主観の判断も重く考えなければなりませんけれども、同時にまたそれがいろいろ新聞とか雑誌とか、輿論を反映する機関もあると思うのであります。そういうものを見ることによつて適否を判断するというような方法も考えられなければならぬと思うのであります。いろいろそういうような関係があるのでありまして、そういう点をかれこれ考慮いたしまして、御指摘のありましたように番組の監督も、法律の趣旨に従つて最も適切妥当であるように考えておるわけでありまして、現状は十分とは言えないじやないかという点については、私どもも決して十分であるとは考えておりませんから、この上ともに、なお私どもも考えますし、また当委員会関係の方々等におかれましても、いろいろ御意見を聞かせていただきまして、善処して行きたいと考えておる次第であります。  なお、ラジオの共同聽取の施設の問題が、第一班の御調査で御指摘があつたかと存じますが、共同施設の問題については、共同聽取の方法を考えますと、大体音声をそのままの周波数で電送しておるのでありまして、電波法におきましては、十キロサイクル以上の管理を対象といたしておりますために、ただいま実際現われております共同施設については、直接には触れない建前になつておるのでございます。これは御案内のように、あの法律が去る六月に成立いたしましたときに、その案としてこの問題を十分に検討をされた結果、現在の法律には取上げられないということに相なつたように承知いたしておるのであります。 ところがその後の様子を見ますと、この共同施設はだんだんと盛んになつて参りまして、ことに北海道は盛んなようであります。これは電燈の施設の十分に行きわたらない地方というような状況にもよることでありましようが、事実としまして、北海道においてはラジオの共同施設がたいへん盛んになつて、しかもますます発達するような状態にあります。今の法律はそれに触れておりませんけれども、このままにほつておくことができないような状態にまで、だんだん成熟しつつあるということを私ども考えておるのであります。マイクロフオンをつけて、一つのマイクロフオンを通じ、どんな宣伝でも加入者にただちにできるような方法が、これによつてとられるわけでありますので、考え方によりましては、御指摘のありましたように、これを悪く利用することも決して考えられないのではないのでありまして、このままに見ておることはできないと思います。何らかの方策をこの共同施設についても考えなければならぬと思うのであります。なるほど聞く人にとりましては、便宜な方法でありましよう。しかしながらそれが行き過ぎて、悪いことにも利用できるような危險があるものということでありますならば、なるたけラヂオを聞く人の便宜も考えてやりたいということも一面にあると同時に、一方におきましてはさような危險を防止するような、適当な方法が考えられなければならないことも当然なのであります。かれこれ考え合せて参りますと、結局は何らか立法の手続にも触れて参つて、この問題を善処しなければならぬように立至るものと考えられるのであります。しかしその前に、まず各地方実情がどういうふうであるかということを、私どもといたしましては調べなければなりませんので、北海道はこの点どんな状況であるかということを、全地区に対しましてデーターを集める調査を今やつておるのであります。北海道以外におきましても、四国におきまして、この共同施設というものが便利なものでありまするから、だんだんとでき上りつつあるような材料が集まつておるのであります。これらの善処方につきましては自然当委員会においていろいろの御配慮を願い、立法になりますれば、なおさら御援助や御助力をいただかなければならぬことに相なるのではないかと存じております。さような節におきましては、いろいろとまたお願いをいたしたいのでありますが、ただいまの段階におきましては、私どもはもつぱらその材料の取集めをするということに努めております。かように御了解を願いたいと思います。  それから受信機の問題につきましても、ラジオ受信機についていろいろと御意見を伺つたようであります。このラジオの受信機の良否が、放送という問題につきまして最も重要な問題であることは申すまでもないことでありまして、また実情から申しますると、日本におきましては受信機がまだ十分に発達しておらないがために、ラジオの普及障害に事実なつているということも、皆さん御承知の通りであります。ラジオの受信機改善ということを当面の仕事といたしておりまするのは、申すまでもなくこれは通産当局のことでありまするけれども、その通産当局と連絡をいたしまして、当委員会といたしましても委員会の與えられたる職員におきまして、この通産当局の仕事と密接に関連をいたしまして、受信機改善のためにいろいろと力を盡すということは、申すまでもなくその通りにいたしておるのであります。受信機改善委員会というものが、民間の発議によつて現にすでに設立いたしておるのであります。その委員会などとも当然私の方といたしましては密接な連絡をとりまして、それを十分に活用いたして、受信機改善のために実効をあげたということを考えておるのであります。結局はこの受信機のよいのが安くできないということが、一番困つたことであると考えられるのであります。それをいい受信機をどうしたら安く普及できるかということが、問題の焦点であると思うのであります。大量生産をすることができれば、安くできるのでありましよう。また一面におきまして税金が、ラジオの価格の重要な部分を占めておるがために、よき受信機を広く売るということの障害になつておることも考えられるのであります。この税金を、ラジオのようなわれわれの文化生活に必須欠くベからざるものにつきましては、減免することが必要であるという見解をもちまして、さようなことにいたしたいと、私どもはその方向に向つてただいま鋭意努力いたしておるのであります。ぜひこれを実現させたいと存じております。これはよき受信機を安く普及させて、放送の発達ということに貢献させたいという考えからなのであります。これらの点につきましても、税金の免除というようなことになれば、当然当委員会等におきましても、御配慮願うという問題に立ち至るわけでありまして、そんな点につきましても私どもによりお力添えをいただくようにお願いいたし、受信機改善をますますよくして行くように進めたい、かように存じておる次第でございます。  なおそのほかの点につきましてもいろいろあつたかと存じまするが、私としてまず大きな割合で申し上げなければならぬと存じたような点のみについて、とりあえずこれだけのことを申し上げまして、なおお尋ねによりまして、こまかいこと、專門的なこと等についても、納得の行くように御説明を他の者からいたさせたいと存じます。
  7. 關内正一

    關内委員長 本件に関する質疑を許します。長谷川四郎君。
  8. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 調査報告の中に申し上げてございますけれども、そのうちの二、三点に対し特に御質問してみたいと思うのであります。  第一点といたしまして、安本の公共事業実施認証、さらに大蔵省の支出負担行為の認証につきまして御質問申し上げます。御承知の通り電気通信事業は、大部分屋外作業を伴いますので、建設事業の中で最も大きな費用のかかることであります。従いまして年間中その最もよい時期に能率を上げなければならないのと、さらに建設費の軽減をはからなければならない。従いまして北海道、東北方面におきましては、積雪寒冷きびしく、その上晝間が非常に短くて、屋外作業の最も不適当な時期を、一月より翌年の三月までと申しております。従いまして私の申し上げたいことは、現行制度でありますと、予算成立が三月末であり、安本、大蔵の認承手続が済み、実際工事命令が現場に到達するのは、三箇月ないし四箇月たたなければ、まずその認承の通知が手元に入つて来ない、要は現場に入つて来ない、こういうような実情であります。それがために春から夏にかけて屋外の作業の好適の時期に、作業上の空白が生ずることになるわけであります。この認承制度に対しまして、何とかこれを廃止することができないか、それとも事後認承をすることはできないか、三箇月もかかるような認証制度は絶対に廃止すべきではないか。特に私たちが関連するところの電気通信業というものは、この最もよい期間に拡充しなければならないのでございまして、特にその点についてこの事業のみに対して、大蔵、安本が特別なる取扱いをしてもらうことはできないのかということでございます。よつて四月より十月までの好適期に最大の能率を上げなければならないのでございまして、この点について安本と大蔵の方から答弁を願いたいと思うのであります。  第二点といたしまして、大蔵管財局の方へお聞きしたいのでありますが、旧日本軍使用の通信器材を、終戰当時軍の許可と軍の押しつけ等によりまして、收得使用のものが相当あると思うのであります。私は東北電気通信局の一例を申し上げて質問するのでありますが、旧大湊通信隊により押しつけられた機械を、各送信所に分散使用をしておりますと、本年に入りまして、二十四年度分といたしまして東北財務局より、これが使用料百三十三万余円の納入の督促を受けたということでございます。本件のごとく国有財産に対し、国費をもつて使用料を支弁するごときことは、経理上まことに妥当ではないのではないかというように考え、さらにこれらの器械は消耗率の最も大きなるものでございまして、保管がえの手続をなすか、それともすみやかに無償讓渡の手続をとるべきかということでありますが、これらに対しまして、この無償拂下げ讓渡の手続等は、いかようにすれば早急にこれを行うことができるかというような点について、御質問申し上げるわけでございます。  その次は、先ほど運用面については大臣からこまかに説明がありまして、さらに改善したいというようなお話でありますから、これは避けますが、もう一点お聞きしたいことは、今ほど富安委員長から事こまかに御説明がございましたが、特に私が御質問申し上げたいのは、共同聽取の問題でございまして、今ほどお話によりますると、法案作成当時には予期していなかつたであろうというようなことであります。しかしながら御承知の通り客観情勢の変化と、またわが国の現実面を見て考えなければならないと思うのであります。従いましてこの点について少し御質問申し上げてみたいと思うのであります。私が申し上げたいのは、ひとしく北海道地方に例をとつてみます。無電燈地帶の世帶数は、本年八月現在におきまして約十万七千世帶でありまして、全世帶の一四・四%に相当いたしております。なおこれは全国の無電燈世帶数の三十四万二千世帶に対しまして、実にその三〇%を占めておるのでございます。この数字は同地方に対しまつたくお気の毒の次第であると私は考えております。しかして一方、ラジオ普及の面から申しますと、同地方の電化地帶における普及率が六二%なるに対しまして、無電燈地域における普及率は一二%であります。このパーセンテージは、電化地帶のそれに対しまして非常に劣つておるように見られるのであります。全国の無電燈地域におきますラジオの平均普及率に比較いたしますると、北海道のラジオ共同聽取の施設の発達が、いかに大いなるかを示しておるのであります。それと同時に同施設が、今後なお発展する余地を残しておることをも物語つているものであろうと思うのであります。先ほど私の方から報告に述べましたように、本施設創設以来の歴史としては十余年を過ぎておりますが、特に急激なる増加をみるに至つたのは、昭和二十四年以降であると申しております。本年八月現在は施設の数二百五十、その聽取者数一万三千に達しておりまするが、これが目下工事中のもの及び計画中のものを合算いたしますと、間もなく施設の数三百、聽取者数二万を突破するものと予想されるのでございます。次に本施設の運営の形態から申しますと、その七〇%は農業協同組合、三〇%は町村自治体、ラジオ文化団体となつておりますが、加入聽取者の二、三十戸の小施設が全数の五五%を占めて、数百戸ないし二千戸になんなんとする聽取者を擁するものもあるのであります。しかし今後は小施設のものの増加とともに、全村こぞつて参加する大規模のものも続出せんとする傾向を示しておるのでございます。この施設について見のがしてならないことは、ほとんどすべての施設にマイクロフオンが設備されておりまして、ラジオの標準放送の中継を行うとともに官公庁公示事項公共団体の連絡事項の伝達、農村文化教育の向上、名士の講演、農閑期における公民館よりの農業講座、部落の演芸大会、レコード音楽等の放送をするなどの事例は、枚挙にいとがありません。このため村全体が非常に明朗になつたということも聞いております。特に山火事の速報に被害を僅少に食いとめたとか、あるいは人命救助とか、犯人の捜査等にも、少からず利用されたとも聞いております。さらに一歩進めて、これを選挙立会演説に利用し、商業広告放送を行つている例も見受けれるのでございます。しかしながら便利な装置でございまするために、一朝その運営を誤りますと、薬変じて毒になるということもあるのでございまして、すなわち一個の団体のために、あるいは一個の思想的宣伝に利用せられ、聽取利用者の総意に反した運営を行つた場合には、この施設が公共性を帶びておりまするだけに、その影響は甚大なるものがあると思うのでございます。従いまして本施設に近接する他の通信線に妨害を及ぼすおそれもあると思うのでございまして、これをいたずらにこのままで看過することはでき得ないのではないかと思うのでございます。この施設に対しまして、何ら取締るべき現行法規がなく、野放しの状態にあるように聞いておりますが、北海道の特殊性にかんがみ、さらに国策上、まことに憂慮にたえない次第でございまして、この施設に関しまして、次の諸点を二、三申し上げてみたいのでございます。本施設が創設されて以来今日に至るまで、監理の面においては、監督官庁はいかなる処理をおやりになつて来たか、その経過を説明願いたいのであります。また日本放送協会は、本施設を積極的に奬励して、その普及に努めて来たようですが、この間において、同協会から政府にいかなる連絡があつたか、あわせて御説明を願いたいのであります。また現在法的に放任状態にあるように見受けられるが、これに対しましていかなる処置をとる考えがあるか。さらに先ほど委員長よりの説明がございましたが、早急にこの法案を作成する意図があるかいなかでございます。もし意図がないとするならば、私たちは私たちの責任においてこの法案をつくり上げなければならないと考えておるわけでございます。  以上二、三を申し上げまして、御答弁を煩わしたいのでございます。
  9. 栃内一彦

    ○栃内説明員 ただいま御質問になりました事項のうち、安定本部で行つておりまする認証に関してお答えいたします。安定本部で行つております認証につきましては、これは全般の公共事業費の関連におきまして、電気通信事業の分につきましても考えなくてはならないのでございますが、現在まで極力事務の簡素化をはかりまして、様式は他の公共事業費に比べて、はるかに簡素化しております。また認証も遅れて工事にさしつかえるというようなことのないように、つとめて早く事業を取運んでおります。しかし今御指摘のような、ちようど工事に適当な時期に工事ができないというような点もよくわかりましたので、今後全般の公共事業費の認証と関連させまして、よく考慮いたしたい、かように考えます。
  10. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 電気事業の特殊性を考えて、ごく簡素化してやつてくださるというお言葉を聞いておるので、私は一委員としてまことにうれしく思つておるのであります。しかしながら三箇月ないし四箇月というようなことで、これが最も簡素化されておるということになると、他の方面は推して知るべしということになるのでありますけれども、ほかのことを私は申し上げるのではなく、あなたも御承知の通りこの電気事業というものの特殊性を十分、今後より以上御認識くださいますようお願い申し上げるとともに、よろしく大臣にもお願い申し上げたいのでありますが、特に大臣よりこの点につきましては、安本、大蔵方面に対して、この面の打開策を講じていただきたいということを申し上げるわけであります。
  11. 平井平治

    ○平井説明員 御質問のうちの大蔵省関係認証制度についてお答えいたします。大蔵省が支出負担行為の認証をいたしておるようにお話になりましたが、財政法規定によるところの認証は、これは各省が実施にあたつて認証をいたしておるので、大蔵省はそれの総括をいたしておりまするが、大蔵省が認証をいたしておるのではございません。多分支出負担行為の計画の証認のことを申されておると考えるのでありますが、大蔵省では予算が成立したならば、それの支出負担行為の計画を大蔵省に持つて来ていただいて、それを証認いたして、実行するときに各省の認証官がおりまして、それを認証いたしておるのでありまして、御質問の認証といつたものは、多分支出負担行為の証認のことではなかろうか、かように考えましてお答え申し上げます。  支出負担行為の制度は、昭和二十二年からつくりまして実施しておるのでありまするが、その実施の状況は、御指摘の通りきわめて複雑で、必ずしも日本の予算の執行の実情に合つているとは思えません。合つている部分もありますが、合つていない部分もありまして、完備したのではないと考えるのでありますが、それでその後この支出負担行為計画制度を、大蔵省としては重点的にかえたいと思いまして、しばしば研究して案もつくつたのでありますが、各種関係がありまして、今日まで多少は簡素化したのでありますが、御指摘の通りうまく行つておらぬのであります。つきましてはこの支出負担行為の制度重点的にかえて、きわめて狭い範囲にいたしまして、それをもつと強力にいたしたい。さように考えて目下研究をいたしておるのであります。お話の電気通信事業に関する支出負担行為の制度をどういうふうにするかということは、非常に大きな問題でありまして、この事業会計と申しますか、そういう会計財政法会計法規定をそのまま適用し、準用することは、必ずしもいいことではないと思うのでありますが、ただいまのところではその支出負担行為制度の研究をいたして、それが具体化すれば、それに伴つて企業会計における手続もそれ以上に簡素化したい。かように考えて目下研究を重ねておるわけであります。御了承を願います。
  12. 肥爪龜三

    肥爪説明員 公共事業認証と支出負担行為の関係で、安本、大蔵省両方から御説明があつたのでありますが、多少蛇足を加えた方がいいと思いますので、私よりも多少お答えをさせていただきたいと思います。  公共事業認証の方につきましては、安本から御説明がありました通り、本年度からは大分簡素化されました。従来は年四回公共事業認証を得なければなりませんでしたものが、二期にわけてやる。そうしてお調べになることも、きわめて大綱だけお調べになるというので、十日前後で大体認証が来ておる調子でありまして、公共事業認証の方は大分よくなつております。  それから支出負担行為の関係でありますが、大蔵省からお話のありました契約認証の問題は別といたしまして、支出負担行為の計画関係は、大体法律によりますれば、国庫金歳入及び金融状況を勘案してやるという面と、もう一つは経費の支出状況監視する。おおむねこの二つの理由からこの制度が設けられておるのでございます。この経費の支出状況監視という面につきましては、たとえば国鉄の方でインフレのさ中に、年度初頭に全部の物品の購入契約をやつた。そのために物価が騰貴したが契約を破棄しなければ、予算がつじつまが合わなくなる。しかしもう汽車はレールの上を走つているというようなことがありまして、国会の席上でも運輸大臣が、国鉄におきましては二十億余りの未拂いを生じたということをおつしやつてつたのでございます。そういうふうなことがありましたものですから、この行為計画も必要だつたと思うのでありますが、インフレも大分治まりましたし、私どもの考えといたしましては、経費の支出状況監視される面からは、この支出負担行為計画は簡素化していただきたい。そうしてただ資金状況の点からは、大蔵省におかれましても目下のところは、いろいろ御注意なさることもやむを得ないかと私ども考えるのであります。従いましてこの計画は私どもといたしましては、資金認証の点からだけやつていただくということを希望しておるのであります。公共企業体になりました国鉄におきましては、法律上は資金認証だけということになつておりますが、政令ができませんので、実際上は資金認証だけではなく、非常に線密な認証ということになつておるようでございます。そういうことでございまして、この改正を期待いたしておりまするが、従来は経理局長及び十通信局長の十一担当官別に出さなければなりませんでしたのが、本年度からは電気通信大臣一本ということで認証が得られるということになりまして、この面では大分助かつておるのであります。従いまして従来でありますれば、電気通信省から大蔵省へ参りまして、大蔵省からその筋へ出しまして、それが帰つて来て、それからもう一ぺん電気通信大臣から大蔵大臣に承認を求めるということでありましたのが、簡素化いたしまして、電気通信大臣から大蔵大臣、それからその筋、それから帰つて来るというだけでいいということになつたのであります。その上にさらにこの認証をできるだけ年度初頭に多くもらいたいということで、四半期を三、三、二・五、一・五という割合で、予算の幅を認証していただくというぐあいにいたしまして、そういう面からもできるだけ工事にさしつかえないようにいたしておるのでございますが、長谷川委員のお説のように、私どもといたしましてはできるだけ資金認証の程度にこらえていただきたいということを、期待いたしておるのであります。しかし根本問題といたしては、長谷川さんはこれが三箇月も四箇月もかかる。そうして時期のいいときに仕事ができないで困るということであつたのでありますが、根本問題は公共事業認証とこの支出負担計画の認証を改善するだけでは、絶対にだめだと思うのでありまして、結局は企業会計制度と申しますか、われわれのような永久に長く仕事をやりますところに、憲法第八十六條の時間的にきちんとわくをはめた予算というものがありますので、そこでどうしても予算が本年度は四月三日に成立した、そういうような状態で、この四月、五月の気候のいいときに工事をやるということは、まつたく不可能でございます。従いまして公共企業体になりまして、そういう予算的わくが打開されれば非常にけつこうでございますが、それができないということでございますれば、この御報告にもございますように、少くとも継続費というものを認めていただくというようなぐあいにいたしますれば、これは認証の方面改善とまちまして、四月、五月の気候のいいときに仕事ができると信ずるのであります。さらに御報告の中の歴年に改めることも、一つの方法とは思いますが、しかしこれはやはり時間的制約がございますし、またわれわれの事業だけ歴年に改めるということも、実際問題として困難でございましようから、継続費というものが認められれば一番いいのじやないかと思うのであります。それから現在におきましては、相当偶然の事情で繰越しというものをいたしましたので、それで年度初頭の仕事をやつておるというような状態でございます。なおほかに御報告の中で、私からお答えしなければならぬことがあるようでございますが、一応今長谷川委員の御質問の点だけについてお答えいたしまして、あとは後刻に讓りたいと思います。
  13. 田村文吉

    田村国務大臣 ただいま長谷川委員から御指摘になりました問題、これは一、二、三各班ともに御注意を受けておる問題で、非常にごもつともな問題でありまして、こういうことのために非常な無形の損害、有形の損害を多大に受けておると考えております。できるだけ善処する方法を目下考えております。さよう御了承を願います。
  14. 森田博

    ○森田説明員 大蔵省の管財局関係のお答えを申し上げます。大蔵省所管の機械を電気通信省の方で使つておられるものに対する使用料を、財務局の方から請求しました件についてでありますが、現在の国有財産法の建前では、特別会計一般会計との間では、貸付とか所管がえということは有償で整理する、そういう国有財産法の建前になつておりますので電気通信特別会計で使つておられます機械につきましては、大蔵省は使用料をとる、そういう建前で各地とも進んでおります。それから通信機械は消耗度の高いものであるから、至急無償讓渡なり、所管がえをせよというお話でございますが、これはやはり国有財産法の建前で特別会計でありますので、電気通信省の方で予算をとつていただきまして、至急有償所管がえの手続をとりたいと、大蔵省の方では考えております。それだけでございます。
  15. 關内正一

    關内委員長 長谷川さん、よろしゆうございますか。それでは第三問の共同聽取の件、富安電波監理委員長
  16. 富安謙次

    ○富安説明員 共同ラジオ聽取のことにつきまして、ただいま詳しい御調査に基き、数字の正確なデータによりまして、剴切な意見を拜聽をいたしました。この御意見、すなわち一面におきましては、この共同施設というものが無電燈地帶における自然の必要に基いた、いかにもむりのない、そうして実際にかなつた発生物であつて、これがもし善用することができる利益という方面からのみ言えば、これを助長して行きたいようなものである。しかしまた反面から見れば、これが悪用される危險も考えられるという二つの立場からの御意見、これはまつたく私どもも同様に感じておるところでありまして、私どもの存じておるところをおつしやつていただいたような気持がしたのであります。実は私も北海道の方に参りまして、ある村の小さい施設でありましたけれども、それを親しく見もいたしたのであります。それを見た感想を申しますと、これはまるで一つの放送局であるというような直覚を私はいたしたのであります。番組はどんなふうに編成しておるかというと、村長からずつと助役、係の者から分担されて、番組が編成できておる。そうしてその番組の編成については、ちうよど放送協会の番組編成委員会というようなもの、あるいは経営委員会にも当るような仕事をする委員会のようなものが、村会議員をもつて組織されておるのだそうであります。そういうことを考えまて来ると、これは一つの小放送局であるというような感じを受けたのであります。これは善用の面のみから申しますれば、たいへん必要に応じたよい施設のように考えられますけれども、これをただいま申しましたような悪用の面から申しますれば、よほど警戒を要するものであるのであります。放送協会というものに対しまして、いろいろ放送の内容につきまして、考慮が法律において加えられると同じようなものが、事実上小放送局に対しても加えられなければならないのではないかというような、申してみれば、そういうような考えを私は当時直感いたしたのでございまして、これはまつたく捨ておきがたき重大な問題であると考えるのであります。ただいまどういうような監督をこのラジオ共同施設に対して、当局はいたしておるのかというお尋ねに対しましては、先刻も申しましたように、今の法律におきましては、この監督を予想したような條項がありませんので、それを適用することもできず、実際これが監督の方法であるというような事柄をいたしておらないのが実情であります。これに対してどういうような連絡が、放送協会から当局に対してあつたかという御質問に対しましては、先ほどのお話にもありましたように、昨年ごろから急激に増加をいたしたのでありますが、ややその前からこういうようなアイデアはあつたのでありまして、初めそんな考えを持つておりましたときにさかのぼつて、どういうような連絡が協会側から、当時の電波庁あるいは電気通信省でありますか、そこに対してあつたかという具体的のことにつきましては、委員会発足前のことにもわたりますし、長官からお答えをいたすことに御了承を願いたいと思います。  それからこの現状に顧みて、これを放任する心持であるか、それとも何らかの措置を講ずる。たとえば立法の手続によつて、助長と取締りの両方面にわたる適当な措置を講ずる考えがないかというお尋ねに対しましては、先刻も申しましたように、私どもといたしましては、この捨ておきがたき情勢に応じまして、立法の手続をとりたい。そして十分に御審議、御検討を願いたいという考えをただいまは持つておりまして、その方向に向つてもつぱら準備をいたしているのであります。ただ事柄が事柄でありますので、関係の諸方面とも密接に連絡をいたし、強調すべき点は強調いたさなければならないのでありまして、首尾よく私どもの期待いたしておりますように、この通常国会に提出いたすことができますかどうか、今ここでどうとお約束することはできないのでありますが、通常国会に提出いたしたいという念願を持つて、私どもといたしましてはできるだけの努力をしておるということを御了承を願いたいのであります。
  17. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 最後にもう一点、施設局長にお尋ねいたします。地方備品、たとえば架線の金物であるとか、腕木とか、機械部分だとか、これらは地方産業に発注をいたしまして、設備、技術等につきましては多年これを培養して参つたのでありまして、その結果きわめて円滑なる生産量を上げ、価格の点につきましても相当見るべきものがあつたと思うのでございます。従いまして、この第四・四半期よりこれを本省に引上げるのだという通告に接したと、業者各位の陳情があるのでありますが、いかなる理由によつて引上げなければならないのか、御答弁をお願いしたいのであります。これがために、地方産業に相当なる動搖を来しておりますので、この事実をすみやかに撤廃しなければならないのではないかというように考えるとともに、従前通りに專門的に長年培養して来たところの地方産業の維持に当つていただきたいということを希望する次第でございます。
  18. 林一郎

    ○林説明員 お答え申し上げます。ただいまの地方備品の一部を、本省準備品に切りかえるという問題でございますが。この内容を分析いたしますと、大体電話機とか交換機、そういつた非常に規格を嚴重にしなければならないようなもの、しかもまた生産機関は大体関東地方にございます。そういうものにつきましては、いずれ各地方で準備いたすといたしましても、これはわざわざ当局へやつて来るというような結果になります。またその価格につきましてもまちまちになるというおそれもございまして、今後はそういうものは本省で一括購入すれば妥当であると認めまして、現在実施中でございます。しかしながらもともと生産する場所は同じでございまして、生産機関には何らの変更はないということに相なります。  次にレギユレーターとか金物が地方で容易に準備ができ、また輸送等の関係も簡略になるというものにつきましては、従来通り地方の生産者から購買するということに私ども考えておりまして、関係方面から強い指示がございましたが、そういう点につきましては、われわれ国内事情に適合するように措置することにいたしまして、現在はそういうことを実施しておらない。しかしながら物によりましては、本省で購入する方が合理的なものもございまして、現在までのやり方が必ずしも一番よかつたというものでないものもございまして、そういうものにつきましては地方の生産者に打撃を與えない限度におきまして、実施いたそうというふうに考えておりますが、これらはごくささいの問題であるのでございまして、各地方でこの問題を非常に大きく取上げまして陳情等もございましたが、そういう面はそう深刻な問題にならないように措置いたすつもりでございます。
  19. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 まことにけつこうな御説でございます。ただ一応部長の通知が行つておりますので、すべてそうなるのであろうというような危惧の念にあると思うのでありまして、その点さらにこまかい通知を出してもらうのが親切な方法ではないか、また心配をさせない方法ではないかと思いますので、折に触れましてそのような通知を出していただきたいということを希望いたします。
  20. 林一郎

    ○林説明員 通牒につきましては、きわめて広く今とれるように出まして、これはぜひそういうように出すということで出たと思いますが、それはその後ただいま申しましたような方針にいたしまして、その実施範囲はごく小さいものにするということで、地方に連絡中でございます。
  21. 關内正一

    關内委員長 それではこの際お諮りいたします。  ただいままでの各般の御報告の中に、電気通信並びに電波関係従業員給與改善につきましてるる述べられてありましたが、これら従業員給與は、国家公務員法並びに一般職の職員の給與に関する法律に基いて支給され、現実問題としましては水準はきわめて低く、実質賃金の向上も期待されたほどでもなく、従業員の生活は逼迫して、勤労意欲に影響を與えるところきわめて多いのでありまして、ひいては事業の合理的運営に支障を来す傾向が見られるのであります。かかる観点から見まするときに、電気通信並びに電波関係従業員給與引上げの要は、きわめて当然であると考えられるのであります。つきましては本件の主管委員会でありまする人事委員会に強力に以上の趣旨を申し入れ、善処されるように望みたいと存ずるのであります。以上のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 關内正一

    關内委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  なお申入れの方法につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 關内正一

    關内委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  24. 關内正一

    關内委員長 次に電気通信事業に関する件並びに電波監理に関する件を一括議題といたします。まず政府より最近の電気通信事業の概要、特に緊急事項について報告をいたしたいとの申出があります、これを許します。田村電気通信大臣
  25. 田村文吉

    田村国務大臣 調査報告政府所見と重複いたす点があるかもしれませんが、お聞き苦しくもお聞取りをいただきたいと存じます。  わが国電話需要は、戰後急激に増嵩いたしまして、需要が現有設備に対しまして極端な不均衡を来しておることは、すでに御承知の通りであります。都市、地方を通じて市内電話の新規加入申込みは、おびただしく殺到、積滯いたしいる現状でありまして、本度度末までの需要見込みは、四十二万余が予定されているのであります。これに対しましては本年度実行計画において、十一万七千五百を増設することにいたしていますが、これはようやく本年度総需要に対しまして二七%を充足するにすぎないのであります。明二十六年度における需要推定は、調査の結果さらに増加いたしまして、およそ七十万に達する予定であります。このような熾烈な市内電話需要に対しまして、当局といたしましてはこれを充足するため、既存加入者百十万名に現在工事中のものを加えて、二百万名になることを目標とした五箇年計画を立てまして、二十六年度十三万、二十七年度十七万、二十八年度以降各二十万名を増設する計画であります。昭和二十五年度末開通需要見込みはおよそ三十万でありまして、これを二箇年に充足することにいたしますと、明二十六年度に十三万、二十七年度に十七万となるのであります。  市外電話につきましても同様、加入者増設計画に対応する回線増設と、現地の市外通話待合時分、特急における全国平均距離一時間四十分、中距離二時間三十分、長距離三時間を、それぞれ一時間、二時間、二時間半程度までに短縮する目標で、二十六年度におきましてはこれに要する十二万五千キロの回線増設計画し、二十七年度は二十八万キロ、二十八年度は三十万キロを増設することを目標とし、市内市外その他を通じてこれらに要する拡張改良費といたしまして、来年度分として外部資金二百億による総額二百八十八億の予算を提出しまして、大蔵省その他関係の向きとしばしば折衝を重ねて参つたのでありますが、国家財政資金計画の面よりいたしまして、二百億の外部資金調達は、諸般の情勢にかんがみ非常に困難な事情にありまして、およそ百三十五億、総額二百二十六億に圧縮されるの余儀ない実情に立ち至つたのであります。  電気通信事業設備の拡張改良予算につきましては、歴年資金面の制約を受けて参りましたことはすでに知悉のことと思いますが、戰争その他の要請にも原因はしていますが、予算上の制約は勢い実行計画におきまして、減価償却費を拡張改良費に流用するの結果と相なり、積年の補充取替の不十分は、遂に今日疏通能率低下の大きな結果となつたのであります。わが国電気通信設備の現有価格は、二十五年度末一千八百六億六千万であります。これに対しまして明二十六年度の減償却費は、八十七億を見込まねばならないのであります。この償却費は損益勘定により繰入れることになりますが、二十六年度よりは拡張費と減価償却費とは截然と区別をいたしまして、減価償却費はもつぱら補充取替に充当し、保守の完璧とあわせて、補充計画を強力に実行することによりまして、疏通改善を期する方針であります。外部資金による拡張工程に関係なく、補充取替計画は既定方針通り、強力にこれを推進いたしたいと思つています。  次に補正予算の問題でありますが、本年度におきましては物価が平均一割二分三厘の値上りを見ました関係上、本年度予算実行において約十一億の予算不足を来し、また朝鮮動乱の関係で、十月現在連合軍へ約八万六千八百キロの專用線を提供いたしまして、そのうち七万二千キロは本年度実行計画工程を差繰つたため、今年度実行計画にそれだけ予算不足を来した結果となつたのであります。さらにまたジエーム台風等により電気通信の被害は、約五億に達した等の理由によりまして、本年度急施を要する市内電話施設費をも加えまして、補正予算として当初七十三億六千万を計上いたしまして、財源といたしましては六十五億を預金部資金借入れたより措置することといたして、大蔵省と折衝を重ねたのでありますが、諸般の情勢によりまして、補正予算もその全額の成立の見通しはなく、現段階におきましては借入金十八億による補正に全力を盡しておる状況であります。しかし関係方面の意向もありまして、借入金によりまする国庫債務増加に伴う拡張は、相当困難な情勢にあるのでございます。  次にこの機会に御報告申し上げておきたいのでありますが、電気通信省における赤色分子の追放につきまして、簡單に御報告を申し上げておきたいと思います。さきに閣議で決定いたしましたので、共産主義者の公職からの排除に関する問題につきまして、電気通信省においても愼重に調査を進めました結果、共産主義者またはその同調者で、公務上の機密漏洩、公務の正常な運営に阻害を来し、秩序を乱るおそれのあるます者二百十八名を排除いたすことにいたしまして、先般十日をもちまして最後の発会をいたした次第であります。まことに年の若い人たちが多いのでありまして、いかにも本人には気の毒に存じます。必ずや近くまた思想的に転向される人たちとも考えるのでありますが、通信事業の一日も安全性を保たなければならないという理由からいたしまして、まことに気の毒でありますけれども、以上二百十八名の諸君の退職をお願いしますように相なつた次第であります。  以上電気通信関係の近況につきまして、御報告申し上げる次第でございます。
  26. 關内正一

    關内委員長 次に両件に対する質疑を許します。辻寛一君。
  27. 辻寛一

    ○辻委員 漁業無線の件についてお尋ねいたします。電波監理委員会におきましては、さきに、放送局は別でありますが、無線局開設の根本的基準をきめるために、電波監理委員会規則第十二号というのをお出しになつたようでありますが、その中におきましていわゆる漁業無線、漁業用海岸局の免許の件につきまして、第五條において明確にこの規定がされたのでございますが、これにつきまして最近承りますれば、水産業者方面から相当熾烈な反対運動が起つておるそうでありまして、すでに衆参両院の水産委員会におきましても、この問題について盛んに論議されたように承りますが、実は私ども先般三班にわかれて全国に参りましたけれども、いずこにおきましてもこの問題につきまして全然承らなかつた。問題が伏在いたしておるような気配すら聞かなかつたし、また業者からの陳情も受けなかつたのでありまして、問題の所在については実はつまびらかにいたしておらなかつたのでありますが、何にいたしましても電波行政の画期的発足の門出にあたりまして、いろいろと問題が出ますということは、当委員会といたしましても看過できない、重大な関心を寄せなければならぬ問題だと思いますので、この場合これにつきまする詳細ないきさつを御解説いただくとともに、問題が起きました現在において、一体電波監理委員会においては、どういう所信をお持ちになつておるか、ひとつこの場合承つておきたいと思います。
  28. 富安謙次

    ○富安説明員 ただいまのお尋ねに対しましてお答えを申し上げたいと存じたます。漁業無線のことにつきましては、この委員会におきましても実はただいままで、特に詳しく御説明を申し上げる機会を持たなかつたのでございますので、ただいまの御発言はごもつともと存ずるのであります。事柄がやや複雑しておりまするが、大要のところを一わたり私よりお答えをいなしまして、なおこまかくは他の当局側の者から補足することにいたしまして、詳しく実情をお知りいただきたいと思うのでございます。  漁業無線の問題は、やや数年前にさかのぼるのでありまして、問題がだんだんと表に浮び上りましたのは、戰争の終りましたじき後かと聞いております。水産が日本にとつて大切でございますために、水産に電波を利用し、電波波長をほしいという要求を関係の向きに対しまして持つて参りましたところが、だんだん関係の向きにおきましてもその要求を聞いて、いろいろつまびらかにいたしてみますと、ずいぶん今日の漁業が無線を利用している状態は合理的でない。錯綜していて、これでは何らかの規制をこの際加えなければならないという結論に到達いたして、関係当局の示唆を受けるに至つたのであります。それでどういうことになつたかと申しますと、これは問題を検討するために、関係の向き向きの者が知識経験を持ち寄つて、適当な妥結点を見出すように委員会を持つたらどうかというので、名前は水産通信委員会というのでございますが、十数名の関係の人が集まつた委員会をつくりました。そして二十三年の春ごろだつたと思いますが、そこにおいて数十回の会合をいたしまして、つぶさに日本の漁業無線利用の状況を調べたのでありますが、あるいは経済上の点から申しまして、また法律上の点から申しまして、漁業者の利益の点から申しましても、いろいろな方面から合理的ではない、これに対して是正を加えなければならない、かような点、かような点、かような点に欠点がある。これに対してはかようにしたらどうだ、かようにすべきではないかと、数十項目にわたり示唆を含んだところの水産通信委員会の結論ができ上つたのであります。それは勧告書と申しておりますけれども、水産通信委員会の勧告書というものが一応できたのであります。その審議の一面において、それと並行いたしまして、新しき電波関係の三つの法律も、だんだん成熟の機運になつてつたのであります。六月一日に電波関係の三つの法律ができ上りまする一面におきまして、それともにらみ合せまして、水産通信委員会は一応そこまでの調査の結果に基いた勧告書というものをもつて委員会を解散いたしまして、その勧告書は関係の各方面に配られました。委員会もまたその勧告書を受継いだのでありまして、その勧告書に基きして、委員会は発足するやただちにこの問題を取上げて、検討を加えることにいたしたのであります。その勧告書の趣旨をくみつつ関係の当局——農林省、水産庁とずいぶん頻繁に折衝を重ねたのであります。お互いにこちらからも参り、向うからも参るというような方法を重ねながら、愼重に検討を加え、その勧告の趣旨をもくみ、一面新たに制定せられました法律の趣旨を、正しく漁業無線の利用の上にそのまま反映させるという見地から、そういう目途をもちまして到達いたしました結論が、ただいまおつしやいました九月十一日に公布になりました電波監理委員会の規則の第十二号というものなのであります。これによりまして現在におきまする漁業無線の利用の不合理を、合理化しようということを企図いたしたのであります。漁業の無線というものは今までの状況から考えますと、ある計画に基きまして、その計画にあてはめて、合理的に、規則的にだんだんとある定められたわくに従つて許して行くという方向でなく、自然発生的に実際の事情に応じて、ぼつぼつ許して行つたという事情でありましたために、結果から見ますと、だんだんそれが合理的という方面から見て、遺憾な点が多いのであります。これは少し抽象的な言い方でありましたが、これを例をとつて、具体的に申しますと、県で施設をいたしております漁業無線、海岸局というものを、県で施設を許可せられたる目的を逸脱して、県の水産指導ということの目的よりほかに、その施設を漁撈のために漁業者が使うというような実際上の事実が、必要に応じて生じて来ているのであります。しかしながらそれはこの漁業に対して專用通信を認めた目的を逸脱して、公衆通信であるべきものを、專用通信のために許されたる施設を使うということであつて、これは法律の画から見まして是正を加えられなければならない状態なのでります。また他の例をもつて申しますと、海岸局の六十一もありますうちの三分の二ぐらいが、漁業協同組合の施設になつておる実情でありますが、協同組合というものはその性質から言いまして、協同組合組合員たり得る者は制限を加えられておるのでありまして、この協同組合に資格上入ることのできないような漁業者が無線を利用することは、協同組合経営形態をとる場合においてはできないのであります。そういうような、入りたくても入ることのできないような漁業者があるということは、これは電波法の第一條から考えて、どうしても救済をしなければならぬということが考えられるのであります。第一條というのは、申すまでもなく、無線というものは最も能率的にかつ公平に使わなければならない。何人でもこれを利用した者は利用ができるようなふうにあらねばならない。そういうような電波の利用を考えられなければならないということが、法律の第一精神としてうたつてあるのでありまして、ただいまのように、協同組合の施設というものでは、これを利用したいと思つても資格が欠けるために、使うことができないというような者があつたのでは、その精神に反するのであります。こういうものをもどうしてもそのままには放置することができないので、これをも救済しなければならないのであります。そういうような、実際上は使うことができないのにかかわらず、もし新しい法に照して、法をくぐつて使つておるというようなことの実情であるといたしますならば、その法にそむいている者は、そうでないようにこれを合理化する。法制の面においてもこれを正しい使い方であるというに改めなければ、私どもの方は電波の主管庁として、電波の行政を統一する、電波の法律を正しくその通りに守つて行くということにつきまして、責任がとれないのであります。これは具体的な例をもつて申したのでありますけれども、そういうような趣旨から考えまして、いかにしたならば漁業無線の免許人が、法律の面におきましても少しも抵触しないようになるのであるか、またいかにしたならば法律にうたつている、だれでも使おうと思えば使えるといういうような、電波の公平な活用になるのであるか、また漁業無線がだんだんと需要が多くなり、ほつておけばかつてに自分で無線を持ちたがるという結果、濫設に陷る弊を防ぎ得るのであるか、またどういうような分布状態にこれを導いたならば、漁業無線の混乱を防ぎ、結局それが漁業者のためになるのであるかというような点をいろいろ考慮いたしまして、この免許の主体であるとか、あるいはその免許すべき海岸局の立地條件とかいうような、いろいろな点を考慮いたしましたその結果が、現定の文句にいたしますると、何かたいへん抽象的でもあり、むずかしくもあり、くどいような言葉にも自然なるのでありますが、趣旨はただいまのようなことを是正するということが、規則の文句といたしましては、こういうようなむずかしい文句になるのでありまして、趣旨は、電波法に従つた電波の利用を正しく合理的にする、そして今日公衆通信と專用通信との限界を乱しておるものを正しくする。あるいは法律的にいえば、正しくない使い方になつているものを、正しい形になるようにかえて行くということを考えるにほかならなかつたのであります。それで、もちろんこの規則をつくりますには、公聽会を開きまして、法律によつて定められたる所定の手続を経、関係の向きとも完全な了解のもとに、こういう規則として公布をいたした次第であります。この規則を公布いたしますと同時に、地方の監理局におかれましては、かねての懸案であつたけれども、こういうふうにきまつたから、この趣旨に従つてやるように、そしてこれを実行する上におきましては、地方の道府県の知事のあつせんを待ち、その仲介のもとに関係の者が寄つて相談をして、この趣旨をスムーズに実現に移すようにという方法をとつたのであります。これは九月十一日出たのでありますけれども、その後の状況は、私どもの手元に集まりました資料によりますと、その方法に従つて、順調に事柄は進んでいたと考えられるのであります。お話にもありましたように、御出張になりましても、地方におきまして、特にその問題がお耳に入らなかつたというようなことも、スムーズに、順調に事柄が進んでいるためではなかつたかと思います。ただいまお話を承りまして、私はそのように存じておる次第であります。ところがしばらく時日を過ぎて後になりまして、ただいまもお話になりましたような、両院の水産委員会におきまして、この問題が取上げられました。そして強き反対が業者の間にあるというようなことを聞きまして、私どもといたしましては、むしろ意外に感じたくらいなのであります。しかしそういうような陳情があつた、需要がこういうようなことであるというようなことを伺つてみますげば、私どもとしてはむろんそれを、どういうようなことであろうかと、よく調べなければならぬのでありまして、陳情の趣旨をも十分に伺いました。そしてまたその事柄について、委員会といたしましても愼重に検討を加えました。一面また念を入れまして、地方の監理局長等をも東京に集めまして、地方々々の実情などにつきましても、つぶさに聽取いたしたのであります。地方々々によつてもちろん多少の相違はありますけれども、大体におきまして、この趣旨を実行に移すようなことは、都道府県知事のあつせんをもつて、だんだんと順調に進みつつあつたのでありますが、ごく近く水産庁の方から、しばらくそういう方法で進めることを待てというような指示があつたので、そのために事態が停頓をしておるというようなことを、地方実情として訴えられたのを聞きまして、私どもはやや意外に思つたのであります。しかしその事情を聞き、陳情の内容をも検討いたしました結果、私どもはどのような結論に到達したかと申しますと、やはりいろいろ事情は聞いても、その聞いたものによつて、この出した規則を何らか変更を加えなければならない。いわんやその水産委員会のある方の御発言のように、これを撤回するような意思はないかというような点に関しましては、撤回するなどと考えることは毛頭ありませんし、またこれをこの際かえなければならぬというような結論には、私ども委員会検討の結果は到達していないのでありまして、やはりこの法通りに、この趣旨に従つて実現を期したい、かように存じておる次第であります。もちろん私ども法規の面を正す、正すと申しますけれども、それが漁業界の実情にいかに影響するか、具体的に申しまするならば、そのために、漁業者の負担をひどく増加するようなことがないかなどというようなことにつきましては、十分に考慮を拂い、調査を遂げたつもりであります。どの方面におきましても、漁業者の負担が増すという事実はないなどということは、これは言い過ぎでありましよう。そういうことはないにいたしましても、私どもの調べました程度におきまして、そういう程度経済的な負担のかわりがありましても、それはこの法律を正す、今まで打捨てられてあるところの違法を調整するということのために、つまり新しい法律の精神を通すがためには、やむを得ないのではないかということを、委員会としては考えているのであります。もし現在ある方面に若干の負担が増すというようなことの事実のために、これをこのまま打捨てておくということになりますと、その結果はどういうことになるか、漁業の無線に対する需要はますます増す一方である。そしてこれに対して與え得べき電波の数というもりは、もちろん制限せられておるのであります。制限せられておる電波は、最も有効適切に使われなければならぬのに、このままに打捨てておいてだらだらと行く上におきましては、結局は混信を多くし、無線の利用の制限はますます加重を加えるばかりである。それでは決して漁業者のためにも親切な道ではないと思うのであります。そういう点から考えますれば、漁業者も広く、そして先のことも考えながら、この際に善処するという心持を持つてもらわなければならぬと思うのであります。もしほんとうにこの案に協力しようという気持であるならば、私などの考えによりますと、この案の通りに実現を見るのは、さして困難ではないということを信じているのでありまして、もしまたこれを阻止しようというような考えがかりにどこかにあつたといたしますならば、どういうあやまちが起らぬとも限らぬと思うのであります。さようなことはないと私は信じておりますけれども、私どもの得ました材料によりますならば、もしこの案を実現しようという心持さえ持てば、それは決してむりをしいるものではないと確信をしておるのであります。私ども委員会がいろいろ陳情を受けた後に、ただいま到達しておりまする結論から申しますれば、今申し上げた通りでありまして、この規則を実現して参りまするように、そして漁業者のためにも考え、また電波法を守り、電波の規正ということにもかなうような事情のぜひ実現できるように、こちらの委員会の何かと御理解ある御援助を願いたい、かように存じておる次第であります。問題がこんがらがつておりますし、そしてやや專門的にもわたりますので 私の話がお聞きづらくて、ただいま申し上げたことのみをもちまして、詳細の経緯が御納得がいただきかねたかと存ずる点もあると思いますが、なお私の言い漏らしました、そしてぜひお聞き取り願いたいというような点につきましては、他の当局、当委員会側の者から補足をさせていただくということをお許し願いたいのであります。
  29. 長谷愼一

    ○長谷説明員 ただいま富安委員長からこの問題につきましての大要、要点のところを御説明申し上げたのでありますが、私からも補足さしていただきたいと思います。  漁業無線は、もちろん戰争前からございましたけれども、戰後食糧事情の改善等のために、農林当局が水産事業に非常に力を入れられまして、当時逓信省の電波局がこの無線局の許認可をやつてつたのでありますが、そのときから農林省の水産方面の増進ということに協力をいたしまして、電波監理上支障ない範囲に、できるだけ漁業無線の開発に協力して参つたのであります。一方農林省は、このために特に助成金の制度を設けられまして、漁船に設ける無線、あるいはそれに対応する陸上の無線局を設置する場合には、半額あるいは三分の一という多額の助成金を支出するということで助成をして参りました。その結果全国にわたりまして、極端に申しますとわれもわれもと無線をつけるようになつたのでございます。ところが御承知のように電波には、国際的にどういう範囲のものは船に使う、どういう範囲のものは陸上に使うというとりきめがございまして、おのずから限度がございます。その結果、最近どういう形になつておるかと申しますと、船が持つておる無線は、これは多々ますます漁業のためによろしいと思いますが、陸上はただいま現に運用されておりますのが、全国で六十一箇所ございます。なお現在当電波監理委員会の方に認可を申請しておりますのが、十数件ございます。これをかりに世界各国の状況に比べてみますと、日本よりはるかに多い漁船数、漁船無線局を持つておる国でも、六十あるいは七十というような陸上の施設を持つておるところはないと思います。しかもこういうたくさんのものが自然発生的に出て参りますと、その使う電波にも限度があるものでございますから、一局には数時間、極端に申しますと三十分ぐらいしか使えない。これは陸上の局でございます。船の方はもつと短こうございますが、そんなような時間制限のある局さえ出ておるのであります。これは單に電波監理上からばかりではなくて、大きな国家的な経済面から言つても、むだな施設になつておるのではないかということも考えられるのでございます。この点は先ほど委員長からも申されましたように、占領後に至り、関係方面の方も親しくこの漁業無線の状況を見られまして、これではいけない、何か方法を考えなければいかぬということで、当時経済安定本部関係のところに慫慂がありまして、これは各省なり各庁を代表した形というのではなしに、水産庁あるいは水産業者の方々も入つた專門家の委員会という形でつくられましたのは、二十三年の三月でございます。それから今年の五月まで研究に研究を重ね、並びにお互いに討論をいたしました結果、二年数箇月もたつたのでありますが、問題が相当複雑でありますのと、事柄を掘り下げて行きますと、ややお互いの所管事項に関連することがございましたために、まだ最後的な結論に達しておりません。しかしながらこの六月から電波法並びに電波監理委員会設置法によりまして、電波行政に対する新たな組織が設けられ、電波監理委員会は御案内の通り、いろいろ各方面意見を聞いた上で、合議体で事を決する形になつておりますから、今申し上げたような委員会の必要は一応解消する、しかし今まで研究して来た結果というものは、それぞれの方面に勧告という形で出すのが妥当であろう、そういう結論になつたようでありまして、一応勧告案が出ております。しかしこの勧告案はただいま申し上げたような関係から、一つの結論に達してはおりませんので、多数の意見と、それに付随しまして少数の意見とがついて勧告案になつております。この勧告案は今申し上げたような性格でございますので、決して政府を拘束するような性質のものではございませんけれども、事が重要でございますので、電波監理委員会は発足以来非常に愼重に考慮されまして、特に無線局開設の根本基準という規則は、法律の上からは聽聞を経ずに、一応暫定的に制定し得る建前になつておりますけれども、事柄の重要性を考えられまして、特に聽聞を経て、正式な規則にされるような基準をとられたのであります。八月の半ばに聽聞会を開かれまして、そのときには水産庁並びに申出のあつた各漁業者の方々も聽聞の席に見えられまして、これは賛否両論ありまして、その結果、審理官の提出された意見書によりまして、電波監理委員会において最後的にその事案を訂正されました。その訂正の箇所を御参考までに申し上げますと、従来協同組合というものは、これは昔の漁業会がやつておつた。漁業会でございますと、大体その附近におる漁業家の方々はみんな漁業会に入つておられますから、問題は少うございました。この点については後ほど申し上げます。しかし協同組合は先ほど御説明がありましたように、その会員になるには、ある制限がございますために、どうしても法的な、あるいは規則の上の解釈が非常にむずかしくなるので、何か新たな団体をつくつてもらわなければいけないということに、電波法の精神から行くとなるのでございますが、その協同組合というものを解体せずに、そのまま入れる形をとつたならば、問題となるところも少いであろうということで、そういう道もつくような改正が加えられて、また九月三十日までに一応の免許が切れまして、九月三十日を過ぎた十月一日から、新たな形で発足しなければならない経過になつているのも相当ございますが、そういうものに対しては、九月の初頭に規則ができて、九月一ぱいに団体の形成し直しとか、あるいは免許を取直すということは、はなはだ急な話で、むりであろうということで、これは今年一ぱいに期限を延ばす処置をとられたのでございます。  問題になる点を申し上げますと、従来漁業無線は、ある漁業会が認可を得たものは、その目的とした漁業会としてのメンバーでない人たちの通信を、最初はときどきであつたのでありますが、最近はほとんど大きな部分が委託による通信をやつておる。また県が水産試験所に、水産指導用の船を持つております。その船と水産試験所との間の限られた目的のために無線設備を持つておりますがこれが、漁業指導上の気象通報とか、あるいは魚群のいる位置とか、そういう点について一般の船に対して通報を與えることは、これは広い意味の漁業指導でございますので、これは目的通信でもございませんが、次第に無線局が、一般の漁船の船主と船長との間の通信を仲介するようなことが行われて参つたのであります。これは專用通信から公衆通信への逸脱と考えられるのでありまして、本来これは違法の通信でございますけれども、範囲が漁船とその船主との間の漁撈上の通信であるならば、大目に見てもよかろうというようなことで、電通省として電波行政をやつておつた時分には、ややそれを黙認しておつた形であつたのであります。ところが新しい電波法によりまして、その第四條に、御案内のごとく公衆通信は国がこれを行う、また地方自治法によりまして、地方自治団体は公衆通信を行つてはならないというような法律が出て参りました。従つてその線から言いますと、今申し上げたような、人の通信を仲介してやるということは、違法になるということがはつきりして来たわけであります。しかしながら一方、現在の水産界並びに漁業通信現状を見ますと、この道をふさいでしまつてはいけないということも考えられるのでありまして、これを何とか救う道はないかということで、先ほど申し上げました開設の根本基準をいろいろ検討されたわけでありますが、その結果考えられましたのは、一つの団体組織をつくつたならば、その団体組織の構成員の中の通信というものは、專用通信と考えることができるであろう、そういう一応の結論から、今問題になりました県のものと、あるいは一般の漁船のもの、あるいは漁業会が協同組合にたくさんわかれてしまいまして、一つの協同組合無線局を持つているが、他の協同組合は持つていない、こういう場合にも何らか団体組織をつくつて、そのお互いの構成メンバーの中の通信という形をとつてほしい。そうすれば法律上の違法通信ということにはならないし、公衆通信と專用通信との間もはつきりするであろう、こういつた考え方から規則案というものがつくられたのであります。この考え方につきましては、水産庁もその趣旨に対しては、こうなければならないということについては賛成でございます。水産庁が反対の意向を示しておりましたのは、県のものが一つの団体組織をつくつて、たとえば任意組合というものに移行した場合に、県は従来自分の施設を自分の費用で運用しておつた従つてその恩惠を受けておつたところの漁民の方々は、無料でサービスを受けておつたのが、新たな任意組合となつて、そこに県の施設が移管されると、漁民の負担になりはせぬかということを心配したのであります。と申しますのは、県がその任意組合にその施設を無償で移管したとしても、運用上の金は何らか利用する者が拂わなければならぬ。県が助成金を出すということになると、これは県会の問題もあるでしようし、一概には言えないから、この規則だけでそういうことを強制するのはむりじやないか、従つてこういうことをやるのには、同じ線で行うのであるが、法律で処置をするということで、水産庁では漁業無線施設組合法というものをつくつて、これに電波行政に関する相当の部分を、農林大臣と電波監理委員会と両方で相談をして、この組合にある程度自主的にやるような権根も與えるようにしようじやないかというようなことを考えておるのであります。電波監理委員会、あるいは私ども電波監理事務局の者といたしましては、そういう法律は過般御審議の上に国会を通つて制定されました電波法なり、あるいは電波監理委員会設置法の精神にもとるものである。電波の行政というものは、あらゆる方面でいろいろな形で利用されておるけれども、対外的な関係もありますし、一本に統制しなければならないという趣旨から制定された電波法の精神にもとるから、そういう法律的処置はいるまい。これが同じ方向に進むものであるならば、規則で十分であるだろうということで、話し合いをして参つたのであります。そういう結果を経まして、聽聞を経、先ほど申し上げましたように正式な規則の形で制定されまして、先ほど委員長から御報告申し上げたような結果に進んで参つておるのであります。ところが私どもいろいろ水産関係の方、あるいは両院の水産委員会に問題になりましたところを伺いますと、従来水産庁が問題にしておりましたところの、県営の無線局民営に移す場合に、経費が漁民にかからないという心配の問題ではなしに、従来問題でなかつたところの、協同組合を新たな団体組織にすることが不当であるという御意見が出て参りまして、今まで考えて問題となつて来ておつたところではないように思うのでありますけれども、その問題はもちろんわれわれ立案の当時も検討の上で、これは問題なくそういう意向ができるものと考えておつた点でございます。この点の問題につきましての電波監理委員会のお考えやそのほかにつきましては、先ほど委員長からお話の通りでございます。補足して申し上げましたが、なお御質問によつてつけ加えたいと存じます。
  30. 辻寛一

    ○辻委員 ただいま承りましたがこの漁業無線に関しましては、すでに水産通信委員会でございますが、これにおきましても愼重に研究をいたしまして、今承りますれば、帰一した結論は出なかつたそうでありまするが、大体のその趣旨にのつとつてこの規則もおつくりになり、かつその間におきましては聽聞会等もお開きになり、水産庁方面とも数度の折衝を重ねられてここに至つたそうでありまして、卒然として承りますれば、まことに当を得ておるようにここでは私どもは考えまするが、それでこの基準にのつとりまして、それぞれの施設を持つておりまする向きにおいても、切りかえに進んでおつたようなやさきにおきまして、今委員長から言われました何らか水産庁方面から見合わせというような示唆が出たというようなお話でありまするが、今の私の方の手に入れました通達なるものによりますると、水産庁長官から出ておるのでありまするが、衆参水産委員会においては、目下電波監理委員会に対し諮問を出しておるので、近日中その回答があるものと思われるから、それまで本経営問題につき手をつけないようにせられたい、こういうのが出たらしいのでありまして、それに基きまして、今二の足を踏んでおるのではないかと思うのでありまするが、何にいたしても、これは施行期日が今年一ぱいでございますかに迫つておるわけでありまするが、これによりますると、諮問という形かどうかわかりませんが、水産委員会にあなたの方から、一応の御回答をなさるという立場に今なつておるように思います。その御回答は、ただいま私どもが承りましたような、あくまでこの趣旨にのつとつてみたい、こういう御回答が当然出るものだと思いますが、そうした場合におきまして、これは杞憂に終ればけつこうでありますが、その希望がいれられない限りにおいては、農林省側において一時話の出ておりました漁業無線施設法ですか、こういうのも出しかねまじき形勢だというように私ども聞きまして、非常に憂慮するのでありますが、こうした電波法のできましたのも、電波を一貫的に統合するというのが、これは時代的の要請であり、これに基いてできた場合において、さらに農林省側におきまして、少くとも漁業無線に関しては水産庁がこれをやるというようなことになりますならば、命令監督二途に出ずるということになり、この大方針に反すると私ども非常に憂慮しているわけであります。これに対しまして何とか私どもも善処いたさなければならぬわけでありますが、ただいま承りました程度におきましては、反対論の根拠もどうも明らかではないようでありますので、さらに私どもといたしましては、水産庁方面の意向も一度聞いてみたいと思つております。少くとも農林省側におきまして、こうした漁業無線施設法案なんというものが出るようなことになりますならば、これは実際ゆゆしい問題と考えておりますが、委員会の方におきましては、これに対しましてどんなようにお考えになつておりますか。その点、その御決意のほども一ペン承つてみたいと思います。
  31. 富安謙次

    ○富安説明員 ただいま御発言のありましたように、農林省の方におきまして、何か電波行政にも触れた一つの法律を漁業に関して用意されているかいないか、その内容はどうかというようなことにつきましては、参議院の電通委員会におきまして、もつぱら論議の中心となつたのは事実であります。どういうような必要があつて、どういうような法律を、電波法以外につくらなければならないのかというような点につきましても、質疑応答があつたようでありますが、私自身といたしましてはまだ明確に、どういう理由で、どういう法律が必要なのかというような了解を、私だけは得ることができませんでした。しからば一体その内容はどういうものであるか、外郭だけでもよろしいから、ここで知らしてほしいというような委員方のお尋ね、御要求に対しましては、水産当局といたしましては、法律の内容について、まだ電波監理委員会とも折衝していないのであるから、ここで内容について触れることは差控えたいというようなお答えであつたようであります。従いまして私どもの方も、その法律の内容なるものをまだうかがい知ることのできない今日におきましては、軽々しく意見を申し上げることはできないのでありますけれども、ただいま御発言になりましたように、電波行政の統一性というようなことをねらう、つまり電波に関する法律が二途に出るというような結果になる立法を許すことはできないことは、私ども確信いたしておるのでありまして、こういうようなものがほかにできるようでありましては、私ども電波行政に対する責任を持つことはできないとかたく信じている次第でございます。何分にもその法律の内容がわかりませんし、またその法律をどの国会にどういうような準備を整えてやらうとしているのか、その辺のことがはつきりとしておらない今日におきましては、これ以上のことを申し上げることはできないのでありますけれども、要するに私どもが今日ただいま了解している限度、段階におきましては、電波法以外にそういうような、それに類したような法律が必要とされるなどということは、まつたく理解ができないのでありまして、電波の行政の趣旨にも従い、漁業者のためにも十分考慮して、漁業無線の将来をも考え、勧告の趣旨にも沿いということで検討した結論、その結論その目的というものは、この規則を出すということによつて、その目的をおおうことができるのだと私どもは信じておる。それが今日ただいま私どもの持つておりまする考えなのでありまして、それ以上には今日といたしましては、何とも申し上げかねるという状態であることを御了承願いたいのであります。
  32. 松本善壽

    ○松本(善)委員 ただいま同僚議員から質問がありまして、御丁寧なるところの一応の御説明をいただいたのであります。重ねて申し上げますることははなはだ恐縮には存じまするが、私ども電波関係三法が通過しまする際に、関係当局の方あるいはわれわれ委員として、その当時いました環境の考え方の一端を申し述べたいと思いまするが、かような考え方から私どもが漁業無線なるものを考えてみまする場合におきましては、私ども地方に参りました際においても、何らかような陳情のある筋もなかつたことは事実でありまするし、かつまた法案として国会に提案になつておりまする際におきましても、各関係の漁業者の代表者等とも一応私どもが懇談をし、あるいは国会において論議をし終つたところの案である。かような考え方から、さらに思いをいたす場合におきまして、参議院において、漁業無線施設法案なるものが云々ということが出ておるということは、はなはだ奇怪に考えるものでございます。お説によりますれば、水産通信委員会なるものは、もちろん過去において一つの発足の形態をもつて、農林省主管の水産庁の、特に漁業関係の主管として、無線はいかに利用すべきであるかというこの一点について考えてみまする場合においては、まことに当然なる考えたるところの施設法案であるというように考えまするが、電波という問題につきましては、三法案が通過した、そのうちの電波法の法規を通過した際における検討内容から申しますると、農林関係のものだけでなくして、もちろんあらゆる方面にこの電波というものが関連づけられているということは、理の当然でございます。従いましてあの当時におきましては、教育問題に関連するからという点からいたしまして、われわれは、文化委員であるという見地に立つて、文部委員会との連合審査会も続けたということであつたのでございます。もちろん文化委員であるからという考え方で、かれらの申入れを受けて、連合委員会というものをやつた経験もございまするが、かく考えました場合におきましても、二十三年以来、この專門的なるところの問題が、討議の中にあつたといたしまする場合におきましては、少くともわれわれは国会においてこの電波という問題を研究するときにあたつて、なぜかなれば、その水産通信委員会の代表者、あるいはその他の権威ある者が、国会の席上において、あるいは聽聞会の席上において述べられたがごとく、われわれになぜその当時において述べられなかつたかと申さなければならぬ次第であります。しかしながらそういつた方向を、われわれ当時の委員としてなぜ知らなかつたかということも、国民の前に問われると思うのでありまするが、この問題につきましては、われわれ委員としても懸命なる努力を続け、また先ほど電波監理長官から、かような問題はその当時においてなかつたがごとき答弁もあつたようでございますが、はなはだもつて奇怪千万だと思うのでありまして、この問題についてはわれわれは業者からこの問題も一応聞き、あるいは水産の当事者の委員からも、私個人的ではありまするが、一応は聞いて了承を仰いでおるような点もなかつたのではないかと思うのであります。しかし彼らの言わんとするところは、もちろん理由もありまするし、その趣意においては同感でありまするがゆえに、あえて彼らのこの考え方を云々するのではありませんけれども、漁業という問題に立つて、かような法案を設けてやろうというこの趣意に対しては、反対ではありませんけれども、その運用という面において、何らか水産業者に対するところの利益を確保するとか、かような面に立つて、いわゆる番組とか、そういう運用の面に立つて、なお考慮する道はないかどうかということは、当然考えなければならないところのものであると信ずるのでございます。かような意味合いにおきまして、私たちは委員長あるいは電波監理長官から御答弁を願つたその根本的なる目的に対しては同感でございます。しかしながらこの漁業無線という特殊的なる無線のあり方も、一考をしなければならぬところの問題であることはさらさらながら、その問題については、もちろん同僚議員である辻君からお話もありましたが、この問題についてはわれわれとしても、今後における問題についても決してなおぎりにするという考えは毛頭持つておりませんがゆえに、別の機会にあるいはまた水産委員会の諸君とともに、会合あるいは会同委員会なるものを開いて、おのおの考えを開陳して、合理的なる方面に持つて行きたいという考えも持つておりまするが、しかし御承知のごとくすでにその期間においても切迫しておる現状でありまするがゆえに、この問題について検討するかどうかということは、これは別な問題であると思いまするので、しかしながら私的な意味においても、公的な意味においても、もう一度再考するかどうかということは、要するに今その時期に立ち至つていないと思うのでありまするから、われわれ委員としてもこの問題については再検討はしなくてもいいのではないか、かように私は考えるものでありまするがゆえに、再質問という形で、さらさらながら皆さんの御意見もこの一端としてお伺いしておきたい、かように考えるのでございます。しかしながら先ほど回答申し上げた通りであつて、この上の考えはない。ことに命令二途に出ずるがごときところの法案が、はたして民営として処するところのあり方として、水産庁がこの問題を取上げて云々するということはわかりまするが、はたしてこういう問題を許すべきであるかどうかということは、もちろん許すべからざるものであるという考えを持つておる委員として、一応さらに富安委員長の御決意なり——御決意というとはなはだ言いにくいかもわかりませんが、お考えの一端として、さらに御答弁を願いたいのでございます。
  33. 富安謙次

    ○富安説明員 申すまでもないことでありますが、この問題は、電波関係とそれから漁政の関係と両面から、まつたく協調的な立場で妥結点が見出されなければならない問題であると思うのであります。監督者においても、これは両方がお互いに話合いをして、適当な点に到達すべきものであるというようなことが、どの点でありましたか強く言うてあるようであります。もちろん私どももそういうような趣旨に従つて、まつたくその線に沿いまして、いろいろやつてつたのであります。この規則をつくりますにつきましても、漁業者のため、漁業の利益、水産の発達ということのためになるということを考慮していることは、申し上げるまでもないのでございまして、その点はくれぐれも申し上げておきたいのであります。私どもが自分の受持つております電波行政のために、漁業の保護、あるいは漁業者の利益の保護などというようなことを、少しでもその方を軽くするなどというようなことが万々あつてはならないということは、十分に考えながら行動しているのであり、そうしてかような規則をつくつたのであるということは、これは重ねてくれぐれもここで申し上げておきたいと思うのであります。そういうような結果に基きまして、これをつくり、公布をし、その線に沿つて先ほど申しましたように都道府県の知事のあつせんを得つつ、地方において着々歩を進めていたのでありまして、もしただいまもお話にありましたように、この規則の期日というものもあるわけでありますから、私どもが何かそういうようないろいろ事情を再検討をいたした結果を得るのに時日を遷延して、その規則の期限に事実上実行ができなくなるようになるなどというようなことでは、私どもが愼重に考えて、この規則を実施する上の責任をとることができないので、至急に私どもの態度を再検討した上の結論を得まして、この規則もあわせまして、その通りに実現ができるように、努力をいたさなければならぬと考えておる次第でありまして、今のお話にもありましたように、時日をだんだん遷延するということであつては、結局この期日に衝突して来るのではないかということは、御高説の通りでありまして、私どももさようなことで、事実上この規則の実施を不可能にするようなことになつてはならない、かように考えまして、先ほども申しましたようにいろいろ検討を加えたけれども、やはりこの法の通りに実現を期することに向つて進めたい。但しお話にもありましたこの規則の運用の上におきましてできるだけ、許される限り、漁業者の御希望に沿い得るようにするということを片時も忘れるつもりはございません。もともとこの出発は、漁業者の利益ということを私ども考えた上につくつた案でありますけれども、それとあわせて、その運用の上におきましても、ただいま申し上げました漁業者のためということを、いつでも忘れるつもりはないのでございます。さような運用ということを考慮におきながら、この規則のように進めて、そうしてまた時日の遷延、私どもの再検討した結論の遷延のために時日がだんだんたつて実現不可能になるというようなことにならないようにしていただかなければならないという心組みをもちまして、進んでおる次第であります。
  34. 松本善壽

    ○松本(善)委員 一応了承いたしましたので、この問題については質問をこれで終ります。
  35. 辻寛一

    ○辻委員 農林省で用意いたしておりまする法案の内容というものはどうありましても、かりにも、電波行政を分断するがごときおそれのあるこの法案に対しましては、われわれは肯定するわけには行きません。それに対しまして、電波行政を預かります委員会としての御所見はよくわかりましたのでありまするが、問題は現実に迫つておりまして、相当危險な空気もはらんでおるようでございますので、何とか妥結の道をひとつ見出していただかなければならない。つきましては、私どももさらにその準備をいたしまする意味におきましても、心構えをいたしまする意味におきましても、一応反対側の方々の反対の根拠などもつてみたい。これもできるだけ早い機会に伺いたいと思いますが、できますならば、聽聞会などにおきまする資料などというようなものもありますれば、これなどもできるだけとりそろえまして、委員の方にひとつ御配付をいただきたいということをお願い申し上げます。  この問題に対する質問は、本日はこの程度にとどめて、保留をいたしたいと思います。
  36. 富安謙次

    ○富安説明員 ただいま承りました聽聞会で、どういう論議があつたかというようなことにつきましての資料は、すぐにもお手元にお配りいたしまして、十分にごらんを願いたいと思います。
  37. 關内正一

    關内委員長 なお椎熊三郎君から質疑の通告がありますが、椎熊君が席におりませんので、本日はこれをもつて散会といたします。     午後四時十八分散会