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1950-10-27 第8回国会 衆議院 通商産業委員会公聴会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月二十七日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 中村 幸八君 理事 今澄  勇君       江田斗米吉君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       永井 要造君    福田  一君       南  好雄君    村上  勇君       高橋清治郎君    加藤 鐐造君       田代 文久君    小平  忠君  出席公述人         新潟県副知事  野坂 相如君         宮城商工部長 坂本  晃君         福岡県副知事  土屋 香鹿君         北海道美唄市長 櫻井 省吾君         東京大学教授  青山秀三郎君         岐阜県多治見市         長       金子 義一君         福岡鉱害被害         者組合連合会副         会長      栗田 數雄君         日本石材工業株         式会社社長   梶浦  博君  委員外出席者         厚生事務官         (国立公園部管         理課長)    甲賀 春一君         農林事務官         (農地局長)  佐野 憲次君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         資源庁長官   始関 伊平君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         鉱政課長)   讃岐 喜八君         建設事務次官  中田 政美君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の公聽会意見を聞いた案件  鉱業法案及び採石法案について     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 これより昨日に引続いて通商産業委員会公聽会を開きます。  この際公述人各位に対して一言ごあいさつを申し上げます。本委員会鉱業法案及び採石法案審査にあたりまして、特に公聽会を開いて、利害関係者及び学識経験者その他一般方々より広く御意見を聞くことといたしましたのは、御案内の通り、この両法案鉱物資源合理的に開発することによつて公共福祉の増進に寄與するという根本目的のもとに、鉱物資源を一層合理的に開発し、鉱業一般公益及び他の産業との調整をはかり、かつ法律運用愼重にして、国民の権利保護に遺憾のないようにすることを目標として立案せられ、さらにわが国岩石資源法律的な基礎の上に立つて合理的に開発せられ、ひいてはわが国経済の復興に資するところのあることを期待しつつ、政府よりさきの第八回国会の末期に提出せられ、ただちに本委員会に付託せられたのであります。しかしながら、これが国会に提出せられる過程におきましても、関係者方面においてはいろいろな調査が行われ、活発な意見が繰返されたのであります。かかる状況のもとにおきまして、本委員会はこの二つ法律案の取扱いに愼重を期し、前国会におきましては、残余の会期の短かかつた関係もありまして、審議を終了するに至らなかつた次第でありまするが、なお七月三十一日両法案閉会審査に付することに決定いたしたのであります。同日本委員会において鉱業法案及び採石法案に関する小委員を選任し、その後八月三十日より十日間中国、北九州方面及び東北北海道方面に小委員を派遣して現地輿論等調査現地状況視察行つたのであります。越えて九月二十七日、国会閉会中本委員会を開会いたしまして、公聽会を開くことに協議決定いたしたのでございます。公述人各位におかれましては御多忙中貴重な時間をさいて御出席をしてくださいまして、委員長といたしましては厚く御礼を申し上げます。  以上申し上げました公聽会趣旨を御了察の上、両法案につきましてそれぞれのお立場からまたあらゆる角度から十分に忌憚のない意見を御開陳くださるようお願いいたしておきます。  次に議事の進め方につきまして念のために申し上げておきます。公述人発言順序は、原則としてお手元に差上げております名簿の順序によること、但し必要ある場合におきましては、委員長において随時変更し得ること、なお委員より公述人各位への質問は最後に一括して行うことになつておりますので、万障お繰合せの上御着席のほどをお願いいたします。公述人各位の御発言時間はおおむね十五分以内とすること、御発言はその都度委員長より御指名申し上げること、御発言発言台でお願いすること、御発言の際には必ず職業とお名前とをお述べいただくこと、なお衆議院規則によりまして、公述人発言はその意見を開こうとする事件の範囲を越えてはならぬこと、また公述人委員に対して質疑をすることはできないことと相なつております。以上お含み置きを願つて置きます。  なおこの際委員各位にお諮りいたしますが、本日の公述人なつておりまする新潟県知事岡田正平君、宮城県知事佐々木家壽治君、及び福岡県知事杉本勝治君がそれぞれ所用のため御出席がないので、代理人の申し出がございました。つきましては新潟県副知事野坂相如君宮城商工部長坂本晃君、及び福岡県副知事土屋香鹿君に御意見を述べていただくことに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではさようにとりはからい、当該発言順序が参りましたならば、それぞれ代理方々に御発言をお願いいたします。なお公述人のほかに建設省、農林省、及び厚生省よりそれぞれ所管関係事項について、意見を述べていただくことになつております。それでは公述をお願いいたします。まず新潟県副知事野坂相如君より御発言をお願いいたします。
  4. 野坂相如

    野坂公述人 私、ただいま委員長さんから御紹介をいただきました、新潟県知事岡田正平代理で参りました新潟県の副知事野坂相如でございます。最初に鉱業法案に対する意見を申し上げたいと存じます。  今回国会並びに政府御当局におきまして、産業再建の中核をなします鉱物資源合理的開発を促進いたしますために、鉱業法改正着手されましたことにつきましては、深甚なる敬意を表する次第でございます。現行鉱業法が、一部の矛盾と欠陷を包含しておりますることは、私も前から考えておりますることでございまして、今回そのおもなる諸点を指摘いたしまして、新法制ができまする場合にこれを含めて、改正をお願いしたいと存ずるのでございます。まず第一点は鉱業地方産業にきわめて密接な関連性を持つものでありまするがゆえに、地方自治体の首長でありまする知事権限と、要協議事項を大幅に規定していただきたいのでございます。と申しまするのは、鉱業実施地、すなわち鉱山はほとんどその所在地が都会地ではございませんで、交通不便な僻陬の地が多く、運搬道路開鑿等、ただちに県の方で考えなければならぬような問題がいろいろ出て参りますので、ぜひとも並行的にこれらの鉱業の問題と一緒にかような問題を考えなければなりません上に、また労働力の確保、あるいは鉱害問題、あるいは飲料水保護対策、さような面、また治山治水等の点から考えましても、地方産業ないしは地方行政面密接不可分関係を有するものであります。しかるにもかかわらず、従来の法律運営の一方針として、その出願にあたりまして、関係都道府県知事はただ單に公益上の支障について意見を述べる機会を與えられているにとどまりまして、その後の鉱業の施行、そのための土地の使用、あるいは鉱害防止等重要事項につきましては、知事の有する権限はまつたくないのでございまして、このような状況ではまことに地方自治の本旨にそぐはないものと考えるのでございます。改正法案におきましても、この点の改革はほとんどなされておらないのでございまして、まだまだやはり中央集権的な考え方が非常に強く法案に盛り込まれておりますることは、地方実情にそぐはないという点を深く考えておるのでございまして、この点は地方側から申しますと、はなはだ虫のいい意見というふうにお考えになるかもしれませんが、法案をつくるところが中央でございますので、やはり従来からもとらわれた考え方中央相当強いのではないかという点を深く考えるのでございます。  第二には、現行法の欠陥の一つといたしまして、鉱業法第四十條が死文化している結果にもよりますが、いわゆる鉱区のブローカーの存在が是認されていることでございます。このために県といたしまして、国土再建のためにいろいろ開発を考えまする場合におきましても、あるいはまた民間の方々開発意思を非常に強く持つておりましても、いよいよそういう場面に到達いたしますると、不当な契約をしなければならないことが生じて来るのでございます。かような開発意思及び能力のない者が鉱区仲介をするようなかつこうになつておりますことは、この鉱業法の大きな欠陷でございますが、これが排除規定を考慮する必要があろうかと存じます。その対策一つにもなりましようが、鉱業権の取消し得べき事項中に鉱区税の滯納という現行規定を生かすべきではないかと存ずるのでございます。  第三には、第六十二條の事業着手の期限について地方公共団体の有する鉱業権の場合、特例を設けてもらいたいと思うのでございます。また地方公共団体鉱業を実施するためには、電源開発道路開鑿あるいは林産の開発等、いわゆる総合開発一環といたしまして最近いろいろ問題になつておりまする県の施策を進めて参りまする場合に、何といたしましても、かような特例が望ましいのでございます。  以上きわめて骨子だけを申し上げたのでございまするが、條文的に一応知事といたしまして希望する点だけをごく簡單に申し上げます。  都道府県知事協議を要すると認あられる事項、一、試掘権存続期間延長、これは法案の第十八條でございます。二、採掘権延長申請(第十九條)、三、試掘出願より採掘出願転願命令(第三十八條)、四、試掘鉱区より採掘鉱区にするための採掘出頭命令(第四十九條)、五、鉱業権の交換、売渡しの勧告(第八十八條)。  二番目に都道府県知事意見書、または証明書等意見を必要とする書類の添付を要するもの。一、鉱業権者事業着手の延期を申請するとき(第六十二條、第二項)、二、租鉱料の支拂い遅滯による租鉱権消滅に関する規定(第八十一條)。  三番目に都道府県知事を経由すべきものと認められるもの。一、鉱業事務所設置届(第六十八條)、二、租鉱権設定の認可を受けようとする場合(第七十七條)。  四番目に、都道府県知事意見を述べる機会を與えるべきもの、一、管内の和解の仲介(第百二十二條)、二、調停委員会(第百三十三條)、三、検査実施(第百九十條)。  五、嚴重に執行を要望するもの、一、事業着手義務(第六十二條)、これを嚴に執行することによりまして、開発意思のない者が鉱区を有する不合理がなくなるものと考えるのでございます。  六、規定する必要がないと考えられるもの、一、試掘工程表(第六十九條)、二、坑内実測図及び鉱業簿(第七十條)、これは各鉱山保安については、すでに鉱山保安法及び関係省令によつてこまかに規定せられておりますので、かような必要はないじやないか、かように考えるのでございます。  以上が鉱業法案に対する意見でございます。  次に採石法案に対することをごく簡單に申し上げます。  この採石法案も今の鉱業法案と同じでございますが、特にこちらの方が地方的な色彩がきわめて濃厚なるにもかかわらず、運営面のすべてを国家機関が掌握して、知事の介入を許していないことがやはり強く見受けられるのでございます。法案によります法定の岩石は、花崗岩を初め、せん緑岩はんれい岩等二十数種類に及びまして、その用途も大は港湾道路開鑿敷設から、小は市井の石工が使用する材料に至るまでございまして、地方産業の振興と民生安定に及ぼす影響は知事として看過し得ないものでございます。また採石法は、鉱業法と異なりまして、岩石採取権土地所有権から分離しないという特殊性から考慮いたしましても、中央集権的規定ですべてを運営しなければならない必要性はないかと思うのでございます。この法案の通過されまする場合には、原則といたしまして、採石法執行権知事に付與してもらいたいこと、また通産局長権限国有地に対する採石権設定行為並びに異議申立関係及び各種協議のととのわざる場合の決定等、小範囲にとどめてもらいたいということを、地方側から申しますると、はなはだ虫のいい、えてかつてのようなことでございますが、実際現実に地方でいろいろやりまする場合のことを考慮いたしますと、地方自治の強く叫ばれておりまする今日、かようにしていただきたいことを特にお願いする次第でございます。  なお條文の第十條の問題でございますが、許可の基準中の不許可土地でありましても、公共福祉に害がないと認められる場合には、採石権設定を認めてもらつていいのではないか、たとえば河川、海岸等におきましても、採取して他に支障を及ぼさない事業を現在継続をしておるようなものもございますので、そこいらの点が非常にきゆうくつになつているのではないかというようなことを考えておる次第でございます。なおこまかい点をるる申し上げますればよろしいのでございますが、制約されておりまする時間の関係もございますので、一応私からこれだけ申し上げまして、新潟県知事としての意見といたします。
  5. 小金義照

  6. 坂本晃

    坂本公述人 私ただいま御紹介にあずかりました宮城商工部長坂本晃でございます。今回本公聽会公述人として御指名にあずかりました佐々木宮城県知事出席いたしかねますので、私かわりまして参つた次第でございます。鉱業法関係につきましては、昨日来いろいろの御意見の開陳がございまして、私準備して参りましたが、ほとんど出盡した形になつておりますので、時間の関係重複を避けまして、採石法案につきまして、二、三所見を申し述べさせていただきたいと存じます。  今回政府におかれまして、かねてからの要望にこたえて採石法制定される運びに至りました。これは多年放置の姿にありました採石業界のためまことに慶祝にたえないのであります。こいねがわくば、国会におきます愼重なる御審議によりまして、一日もすみやかにりつぱなる法律の誕生を切望してやまないのであります。私は本法制定趣旨につきましては全幅的に賛意を表するものでありますが、二、三の点について意見を申し述べたいと存じます。  その第一の点は、本法律運営についてでありますが、ただいま新潟県からも同様の御意見が出たのでございますが、本法案を通観いたしますると、その許可裁定決定等一切の権限があげて国家機関によつてなされるということになつているのでありますが、法の円滑適正なる運営を考えまするときに、むしろこれは知事権限に属せしめるのが妥当であると考えるのであります。  その理由といたしましては、一つには、本採石法案によりますと、ほとんどすべての岩石本法の対象となつている関係から、採石業者並びに採石現場は、その数まことにおびただしいものがあり、かりに宮城県の場合を考えてみましても、県下各町村ほとんど二ないし三の採石現場のない所はないという実情にあるのであります。私の方で調査をいたしました本年七月末日現在の調査実績によりますると、採石業者数が三百十九名、採石現場数が三百六十二箇所の多きに上つておるのに、この実績から東北だけを考えてみましても、その業者数において無慮三千数百は下らないでありましようし、現場の数においては五千をおそらくは下らないと予想できるのに、しかも採石業界現況はその企業形態がきわめて零細で、しかも弱体でございまして、過去においてその多くは大なり小なりの紛争を経験しておるものが多いのでございます。従いまして、本採石法運用保護を望むものは相当に多いことが予想せられるのであります。しかるに本法案によりまする事業着手休業中止、売買、決定裁定土地收用等各種事案についてすべて地方通産局長権限にゆだねられておりますので、東北の場合を例にとりまするならば、東北各県がすべての事案について、たとえば青森から仙台までやつて参らなければ処理ができないということになるので、もしかくのごとくんば事務的な煩瑣はともかくといたしましても、業者の迷惑はまことにその煩にたえないものがあることと想像されるのであります。  二つには、採石業は表土の採掘という性格を持つておるのでありますから、治山治水と密接なる関係に立つことは、申すまでもないのであります。従いまして諸種の許可決定は、総合行政をあずかつておりまする府県知事総合的判断にゆだねることが、法の適正なる運営上、きわめて望ましいことではないかと考えられるのであります。  また三つには、採石生産物というものは、特殊なものを除きましては、あるいは建築用材でありますとか、または切石、間知石割栗石といつたような、ほとんど地方的利用のものが多いのであります。販路もほとんど地方的に制約せられておるのでありますゆえに、地方産業一環として考えるのが適当であろうと思うのであります。その面で知事権限にゆだねられまして、斯業の維持、育成をはかるということが、むしろ業者のために幸福なことではないかと考えられるのであります。  また四つには、事務的処理の迅速、円滑という点であります。従来鉱業出願のありました場合には、通商産業局長規定によりましてその現況調査関係都道府県に依頼することに相なつておるのであります。もし本採石法の場合におきましても、何様の方法がかりにとられるといたしますならば、軽易迅速であらねばならない。またあつてほしい。採石出願などもおそらくは鉱業法同様相当に事務的遅滯が起つて参るものと考えられる。以上四つ理由から本法運営はあげてこれを知事にゆだねることが妥当と考えられる次第であります。  次に第二の点でありますが、これは昨日も御意見が出て来ましたが、重要なことなのであえて重複をさせていただきます。鉱業権採石権調整の問題であります。本県内実情に徴しますると、往々にして鉱業権を悪用して弱小な採石業者権利を侵害するという挙に出びるものが間々あるのであります。例をあげて申し上げますると、本県に特産としまして屋根材石盤の原材料になりますスレートがあるのであります。このスレート業者地上権の中にある者が金、銀、銅の鉱区設定したのであります。これは地質学的にほとんど試掘的な価値がないのであります。しかるにもかかわらず、その鉱区中に縦横に抗道を掘さくして、その間岩石たるスレート採掘して利得しようという実例があるので、こういう点は亜炭と木櫛粘土という関連を考えましても、ほとんど全国的な現象として起る可能性があるじやないかと考えるのであります。つきましては本法中に何らかの形におきまして、この調整ができまする規定を挿入していただきたいのであります。  第三には、採石法案條文中、一点だけ特に申し上げておきたいと思いますのは、第三十四條第一号であります。その規定中「その他岩石運搬用施設開設」とありますのを、「その他岩石運搬用並びに岩石加工用施設開設」というふうに御修正が願いたいのであります。これはどういうわけかと申しますと、採石業中ある種の採石事業たとえばスレートのようなもの、珪藻土のようなものにつきましては採石現場加工場、少くとも乾燥場を持つというふうなことがどうしても必要な場合があるのであります。この点につきましては鉱業用地選鉱場精練場設置を必要とするのと規模の差こそはありまするけれども、実質においては何らかわりがないのであります。そこで鉱業法の場合と同様に、こうした加工工場施設開設の一項を挿入して、これを保護していただきたいことをお願いする次第であります。  以上をもちまして採石法案に関する私の公述を終りたいと思います。
  7. 小金義照

  8. 土屋香鹿

    土屋公述人 私福岡県副知事土屋でございます。  県内に百五十余の炭鉱と、激甚なる鉱害の惨禍を受けておりまする福岡県といたしまして、地下資源開発必要性採掘により発生いたしまする鉱害防止または対策を中心といたしまして意見を申し述べたいと存じます。  まず鉱業法案につきまして六つの点を申し述べます。  第一に鉱業法案審議と同時に、鉱害復旧対策についてぜひ御考慮願いたいと思うのであります。鉱害問題につきましては、すでに第七国会衆議院本会議におきましても、鉱害に関する決議が出されました。決議文中には「鉱害のため、美田は変じて泥海と化し、住宅は日夜倒壊の危險に脅され、交通通信はと絶し、祖先の墳墓は水底に沒する等、惨たんたるその実情は、路傍の人もなお正視するに忍びないものがある」云々と、その悲惨なる状況をるる述べられ、最後に、本院は、今般特別鉱害復旧臨時措置法の成立せるに際し、一般鉱害復旧についてもまたこれと一体不可分の関係にあるものとして、鉱害対策は、総合的な国土計画一環たる性質を有するものと認める。政府は、本件の重大性、特に今日の事態を招来した原因に深く鑑み、鉱業権設定、施業案の認許等についても万遺憾なきを期するはもちろん、現存鉱害地復旧を促進するため、あらゆる手段を講ずべきであると述べられております。これに対しまして政府特別鉱害復旧により解決できない百八十億円余に上る現存一般鉱害並びに今後も石炭採掘に伴つて不可避的に生ずべき鉱害について、総合的な国土保全、民生安定の見地から拔本的対策を講ずべき必要性については、まつたく御意見通りであるから、政府としては御趣旨に沿うよう今後一層研究し努力したいと答弁をされました。鉱害問題に関する限り国会政府意見はまつたく一致いたしたのであります。鉱害の中で、戰時中国の要請に基き採炭を強行いたしましたために起つた特別鉱害約五十億円余は、特別鉱害臨時措置法によつて復旧の道が開かれたのでありますが、特別鉱害以外の一般鉱害約百八十億円については、まつたく未復旧のまま荒廃にまかせられておるのであります。何がゆえにかかる状態を招来したかと申せば、現行鉱業法鉱害に対しまして金銭賠償主義をとり、鉱業権者鉱害によつて被害者がこうむる損害を補償はしておりますが、原状に回復する義務を負わされていないからであります。鉱害対策の面から見ますれば原状回復主義をとることが必要であります。しかしながら他面地下資源開発より見ますれば、福岡県におけるがごとく、石炭埋蔵地域が主として平地であり、しかも人家が密集し、あるいは農地が多く展開しているところでは、石炭採掘採算上不可能に帰するのでありまして、鉱害防止策といたしまして、完全充填保安柱設定、あるいは残柱式採炭等が考えられますが、これはまた採算上十分なことができないという現状でございます。今後におきましても鉱害がますます深刻化することは明らかでありまして、民生安定の面から見ましても、国土保全の面から見ましても、ゆゆしき重大問題でございます。いかに石炭資源開発必要性を認めましても、地元民として愛する郷土を廃墟と化せしめられ、これを放置するがごとき状況下におきましては、石炭鉱業への協力はできないのでありまして、石炭鉱業発展自体も期待し得ないのであります。よつてこの際一般鉱害復旧に関し、特別法制定せらるるか、あるいは強力なる行政措置によりまして、拔本的解決策を講ぜられることを切に要望するものであります。特に法案第百十一條二項におきまして、金銭賠償原則として規定しておる以上、この特別措置を伴わない鉱業法制定にはまつたく賛成いたしかねるものであることを、はつきりと申し上げておきたいのでございます。  第二に通商産業局長権限につきまして意見を述べたいと思います。法案第二十四條によりますと、鉱業権設定出願があつたときは、通商産業局長関係都道府県知事協議することになつていますが、協議がととのわなかつたときの処置について規定がないのであります。現在の取扱いといたしましては、商工省訓令によりまして、通商産業局長より関係都道府県知事公益支障の有無について意見を求められてはいますが、両者の意見が一致しないにもかかわらず、一方的にこれを処理した事例は多々あります。本法案中第三十五條、第五十三條、第六十四條等にて公益保護規定もありますし、また土地調整委員会裁定を申請することもできるようになつていますが、これらの條文を適用して処理するようになつたときはすでに鉱害が進行いたしまして、公共施設物の維持管理の責任が果し得ぬこてとが多いのでありまして、どうしても事前にしつかりと協議をととのえておかなければならぬのであります。立法の精神といたしましては、両者の協議がととのつてから処分すべきであると解すべきであるかもしれませんが、協議不調の場合は土地調整委員会裁定により鉱業権出願の許否を決するよう規定せられたいのであります。  第三に鉱業権の取消処分について意見を申し上げたいと思います。法案第五十五條に規定してある取消処分の事由の中に、鉱区税を納入せざるときを加えていただきたいと思います。現行法におきましては、鉱区税を納入せざるときは鉱業権の取消処分ができるよう規定してありますにもかかわらず、滯納者が多い実情にあります。福岡県におきまする実績を見ますと、昭和二十三年度におきまして、県税の調定額の一七%、町村附加税の三七%が滯納になつております。昭和二十四年度におきましては県税の調定額の三一%、町村附加税につきましては二六%というものが滯納になつておる実情でありまして、今回の鉱業法案中にはこれが削除してありますが、かくては滯納は今後一層増加するおそれがありますので、現行法通り入れていただきたいと思います。  第四に租鉱権設定についての意見を申し述べます。法案第七十七條による租鉱権設定出願があつたときは、通商産業局長関係都道府県知事協議するよう規定せられたいのであります。その理由といたしましては、残鉱の收取その他鉱物の経済的開発上必要がある場合に限つて租鉱権設定する趣旨のようでありますが、この残鉱区の收取によつて慮外の鉱害が発生している実例が本県にはきわめて多いのでありまして、鉱業権者石炭採掘するときは、地表に発生する鉱害の賠償額と、その地下における石炭の稼採量とを比較考慮して施業するのが通常でありますから、そのために残された高品位の石炭が坑内各所に残存していますので、これを租鉱権者によつて採炭せらるる場合はむしろ鉱業権設定出願以上に関係都道府県知事協議の必要があると思うのであります。  第五に、租鉱権者の鉱害賠償について、意見を申し述べたいと思います。  法案第百九條第一項に、租鉱権設定してある租鉱区鉱害賠償については、鉱業権者及び租鉱権者連帶して賠償責任を負うことに規定していただきたいのであります。すなわち石炭採掘により発生する被害は、その因果関係がきわめて複雑多岐にわたつているのみならず、租鉱権者には概して小資本のものが多く、かつ採掘技術においても鉱業権者に比し不十分なものがあることが予想せられますので、鉱害が起りやすく、またそれが多額に上る場合実際問題として賠償が困難と思われますので、租鉱権の濫用を防ぎ、被害者を保護する上から、租鉱権者、鉱業権者両者連帶の賠償責任とすべきであると思うのであります。  第六に、鉱害賠償に関する経過的措置についてお願いいたしたいのであります。現存する鉱害の賠償に関しましても、その問題の重要性にかんがみまして遺憾のないよう経過規定を加えていただきたいと存じます。  次に、採石法について二つの点を申し述べたいと思います。  第一に、採石権設定に際しましても、鉱業権設定と同様通商産業局長関係都道府県知事協議するよう規定していただきたい。もつとも採石法案第十條に、公共の用に供する施設及びその敷地、もしくは用地に対しては採石権設定を禁じてはありますが、その周辺の地域に採石のため掘鑿した土砂を堆積または捨石をし、これが風雨ごとに流出して附近の公共施設に被害を及ぼすことは、石炭鉱業によるぼた山の流出等、この種の被害が明らかに立証していますので、採石権出願に際してもこれらの状況調査考慮して処理すべきものと思いますので、鉱法業案第二十四條のごとく知事協議の必要があると思うのであります。  第二に、採石法にも損害賠償の規定を設けてもらいたいと思うのであります。採石法案第三十三條に、公益並びに農業、林業もしくはその他の産業の利益を保護する規定はありますが、損害賠償の規定が設けられないのであります。現鉱業法においても公益保護には重点を置いて規定してありますにもかかわらず、なおかつ発生する被害は甚大でありますから、採石法にも賠償規定を設けて業者に責任観念を持たせることが必要であると思うのであります。この点については九州における採石業者においては異議を表明していないばかりか、むしろ望んでいるのであります。  以上をもつて私の公述を終ります。
  9. 小金義照

    小金委員長 次は、公述人の特別の事情により順序を変更いたします。北海道美唄市長櫻井省吾君。
  10. 櫻井省吾

    ○櫻井公述人 私は北海道美唄市長櫻井省吾でございます。このたび鉱業法案及び採石法案審議公述人の指定を受けましたが、本案、ことに鉱業法案は、多くの未開発地下資源を有しておりまする北海道といたしまして、まことに大きな影響があるのであります。特に空地炭田の中央にあります美唄市といたしましては、三井、三菱の経営によります四炭鉱及び中小炭鉱を有しまするいわゆる炭鉱街でありまして、市と炭鉱とは長い間密接な相互依存関係にあるのでございまして、特に新鉱業法案審議には関心を有しておるものでございます。新鉱業法案鉱業に関する基本的制度を定め、鉱物資源合理的に開発し、もつて公益の福利の増進に寄與することを目的とする点におきましては、現行鉱業法と根本的な差異はないと見られるのでありますが、時代の進歩、経済の発達並びに関係法律の改廃によりまして、現行鉱業法改正の必要に迫られ、この際砂鉱法を廃されて新鉱業法に統合して、現行鉱業法にかえる時期に立至つたものと考えられるのでありまして、この立法の趣旨には賛同するものでございます。しかしながら前述のように炭鉱所在の市あるいは町村という立場と、御承知の通り北海道といいまする特殊條件等を考えまするときに、新法案中ことに石炭鉱業に対しまして若干の意見を有するものでございます。すなわち法案第六十二條第一項におきましては「鉱業権者は、鉱業権設定又は移転の登録があつた日から六箇月以内に、事業着手しなければならない。」と規定されております。しかしながら北海道の気候的特殊事情からいたしますれば、冬期間約六箇月は寒気と積雪の関係上、作業が著しく阻害せられるのであります。従いまして、鉱業権設定の期日いかんによりましては、事業不能の場合が生ずるおそれが多分にあるのであります。つきましては、この六箇月以内ということを一年以内と改められまして、北海道の特殊事情を勘案せられますように要望いたす次第であります。  次に案法第十八條に「試掘権存続期間は、登録の日から二年とする」とありますが、実際問題といたしまして十万坪ないし数十万坪の地域を調査試掘いたしますのに、前に申し上げましたごとく半歳が積雪寒気にとざされております北海道の実情よりいたしまして、この二箇年は実質的には内地いわゆる本州の一箇年に相当するものでありまして、短期にすぎると思われるのでございます。つきましてはこの二年を四年に改め、かつ同條第二項、第三項による二年の延長をも認められるようお願いいたす次第であります。  次に法案第十九條に「試掘権存続期間は、登録の日から三十年を経過する日の属する年の終りまでとする。」と規定し、さらに第二項及び第三項におきまして、延長申請を認め、その期間は三十年とせられておるのでありますが、炭鉱所在市町村の立場としては、従来通り存続期間を限定せず無期限とし、市町村と炭鉱との依存関係を確立しておきたいと要望する次第であります。しかももし炭鉱の企業的価値がなくなりますれば、それは自然放棄されるであろうから、期間は無期限といたしましてもそれは決して永久権とはならないと考えるものであります。  次に土地の使用及び收用に関しまして、土地調整委員会裁定を申請する道が開かれまして、鉱業に関する民主的運営の確保を期している。この立法の趣旨は妥当と思われますが、これによつて土地の使用、收用の解決に長時日を要するようなことがありましては、炭鉱所在市町村にも関連することがまことに多いと予想されまするので、こうした問題をすみやかに解決するように適当の処置を講ぜられたいのでございます。なお土地調整委員会の構成につきましても、鉱業、農業、林業またはその他産業に関して、知識経験を有する方を網羅するように特に御考慮を煩わしたいのであります。  以上私の特殊的な立場からの意見ではありまするが、一般的に、法第十四條第二項の石炭鉱区の最低面積三十ヘクタールは現行法の五万坪程度の十五ヘクタールとしても、一企業單位として稼行するのにさしつかえないように考えられます。この面積の引上げの必要は認められないように考える次第でございます。  その他新鉱業法改正の要点でありまする法定鉱物の追加、租鉱権、民主的運営のための勧告制度、聽聞制度、鉱害賠償の点、特に残鉱の收取その他鉱物の経済的開発上必要がある場合には、他人の採掘鉱区の一部で鉱物を採掘取得するための租鉱権制度を設けられたことに対し賛意を表するものでございます。  以上新鉱業法の提案理由でありまする鉱業に関する制度を整備し、その民主的な運用を確保し、他産業との調整をはかる等のため現行の鉱業法等を廃止し、新たに鉱業法制定することに対しまして前述の意見を申し上げまして賛意を表し、そのすみやかなる成立を期待するものでございます。  最後採石法につきましては、特に申し述べる意見はありませんが、従来岩石の採取の事業土地の利用に関する確実な権利を欠くために、健全な発達が出来なかつた事情にかんがみまして、採石権の制度を創設し、当該事業のために必要な土地の利用を確保することによつて当該事業の健全な発達をはかり、もつて公共福祉の増進に寄與することを目的とする本法案に賛意を表する次第でございます。  以上をもちまして私の公述を終ります。
  11. 小金義照

  12. 青山秀三郎

    ○青山公述人 ただいま御指名いただきました東京大学教授の青山でございます。鉱業関係といたしますれば、昨年公布されました鉱山保安法、ただいま問題になつております鉱業法並びに採石法、これが私ども考えましても、基本の二大法典であると思うのであります。前者はすでに、いまだ公布せられないところでありますが、相当長く御協議いただいておるようであります。この際できるだけ早く公布の日を見るように、私どもも非常に期待いたしておるのであります。鉱業法はその対象を鉱物としてあり、採石法の方は岩石としてあるのでありますが、これはなかなかむずかしい問題であります。私どもはこの法案にあげられておりますさような解釈を自分でもこれからするようにつとめたいと思つておるのであります。ところがその鉱物のうち、また岩石の中に何を入れるかということはなかなか單純な問題ではないと思うのであります。今回新鉱業法案におきましては、従来の鉱物のほかに七種の新鉱物を加えられております。大体鉱業法は従来とも金属性の鉱物に重きを置いておつたのでありまして、非金属性のものは多少入つておりましたが、縁が薄かつたのであります。ところが今回ここに拾われました七種の鉱物は、私どもその利用の立場を見ましてもきわめて重要なものでありまして、従来の鉱物と並んでこれらが鉱業法上の鉱物として認められますことは、その産業の上にも至大な影響を與えるものと思うのであります。ただその種類のものがまだ関連して幾つかあろうと思うますのに、そこで線を引くのがいいかどうかということは、これは議論の余地があり得ると思うのであります。現在の産業の地位あるいはその経営の状態また技術の水準等から考えられまして、私はきわめて重要なものをお拾いになつたものと考察するのであります。  そこで採石法岩石の方でありますが、これはどうも鉱物と異なりまして大体日本の島は岩石じやないか、それでは採石法に全部日本の島が入るのじやないかということも言われるかと思うのでありますが、ここに上げられております岩石は、ほとんど日本を構成しているおもな岩石が羅列してあるのであります。ただここで採石法の対象となります場合には、そういうあらゆる岩石を含むのではない、それからとつて産業上役に立つものを対象の岩石として考えるのだと限定されておるのでありまして、その意味では当然しかあるべきものと思うのであります。この非金属鉱物あるいは岩石につきましては、今申し上げましたように、割合にわが国では新しく日の目を見るようになつたのでありますが、ことに最近化学工業の進歩発展非常に見るべきものがありまして、その意味から申しますと、この非金属鉱物なり岩石中の利用されるものは、われわれの人生にも非常に深い関係を持つておる、たとえば建築を見ましても、コンクリートは重いものだと思つておりましたが、最近アメリカあたりでもできるだけ軽い丈夫な建築をしたいということを言い伝えておるのであります。その意味から今度の岩石の中、採石法の中にある鉱物が拾い出されておりますが、たとえばひる石のごときは、それらに関連の深い鉱物であります。採石法においてこれを岩石として取扱つておるので、その意味で私は欲を申せばまだまだ新鉱物、新岩石をこれらの法案に入れていただきたいという希望も持つものでありますが、現在の段階においてはそうことごとくあげる必要もないし、またただいま拾われましたものは適当なものであると私は判断しておるのであります。  それからなおこれは皆様深い御関係もあり、われわれも考えておるものでありますが、たとえばアルミニウムのごときものであります。これは鉱業法にも採石法にも掲げてないのであります。われわれ人生においてこのアルミニウムがどんなものであるかということは思い半ばにすぎるものでありますが、掲げられない。そこにはいろいろの理由があると思います。日本には上等のアルミニウム鉱石がないじやないか、しかしアルミニウムはどこにでもある、われわれの踏む土壤の中にも含まれておる。こういうものを拾うわけに行かないじやないかということもあろうかと思いますが、これはまだ日の目を見ない鉱物であります。こういうことを考えますと、新鉱業法あるいは新採石法として、今申しましたように、掲げたいものは幾らでもあるのでありますが、特に重要だというものをお拾いになつたということで私は一応本案に賛成したいと思います。  それから鉱区の問題であります。先ほどからも伺つておることでありますが、これはその大きさと形が問題になると思うのであります。形もおよそ現在の鉱区の図面をごらんになりますと、まことにふしぎな多角形をいたしております。でこぼこきわまりないものであります。鉱物資源がそんな妙なかつこうをして地下に入つておるのかと誤解されるほど妙な形の多角形であります。これももう少し簡單な、正方形とまで行かなくても、もう少し簡單な形にしたいということは常々思うものであります。これも一旦できたものはやむを得ないので、今度の鉱業法の勧告あるいは協議というところでその面に触れてありますので、こういうところを強化して、できるだけいわゆる合理的な開発をするために適当な形にして行きたいということを希望するものであります。また大きさの問題でありますが、鉱区は今度の新法案におきまして、大体従来の面積の二倍程度に広げられておるのであります。これはともに最低の限界も必要であり、また最大の限界も必要なものと思います。その小に過ぎる場合は、もちろん鉱業開発が十分適当に行われないということから、下の制限を設けられておるものと思うのでありますが、上の方の制限はあまり実行されておらないようでありますが、これはやはり鉱業独占をある程度制肘するという意味であつたと思うのであります。むしろ問題は私はその下の限界にあると思うのであります。今日石炭、石油等に対しては三十ヘクタール、今度の七種の鉱物については一ヘクタール、大体従来の石炭等に対する五万坪の数字から見ますと、ほとんど倍に当るのであります。これは従来通りでもいいじやないかという考えも浮ばないこともないのでありますが、だんだん規模の拡大あるいは資源の存在の位置等から考えますと、むしろ小に失する。ただいまの新鉱業法の基準まで高められましても、それでは困るというような例はそう多くないのじやないか、むろんあろうかと思いますが、それほど数多くない、比率から申しますと少いものではないかと思うのであります。この際大乗的に最小限界は倍、原案近く高める方がむしろ合理的開発という趣旨に沿うのではないかと思うのであります。大体この鉱業法は御承知のように、私どもが初めて親しみましたのは鉱業坑法、明治六年の日本坑法でありますが、その後長く、ただいまの鉱業法は四十数年の歳月を経ておると私は思うのでありますが、それがただいままで修正はあつたといたしましても、根本的な点についてはなかなか触れられないで今日に至つておるのであります。新鉱業法におきましても、私はもう少し事実飛躍的なものが期待されたのであります。たとえば試掘権採掘権の問題等も、一元化できないものだろうかということも考えられたのでありますが、やはり日本の現状よりそこまでは行けない。大体この鉱業は、どこの国でもその国のいろいろな問題に関連してきめなければならないのでありまして、たとえばスエーデンのようなところでありますと、鉄が国家の産業の重大なる要素でありまして、鉱業法におけるきめ方には非常な特色を持つております。わが国もまたそういう現在の事情に即応したところに線を置かなければならないということを常に基準として考えますれば、一元化というようなこともなかなか望めない。そうすれば試掘をどうするかという問題でありますが、従来日本の試掘あるいは採掘範囲は、比率は全日本の面積から見ますと、まだ必ずしも多くないと思うのでありますが、その多くの試掘の範囲採掘に伸びるとか、あるいはこれが試掘からはずれるというところまで、つまり可否が決せられないでとどまつておる。まあ言葉で申せば、眠つておるというような感じもいたすのであります。やはり試掘というものはその性格に応じて処置すべきものではないかと思うのであります。従いまして私は従来の試掘権四年というものはむしろ長きに失するのではないか、今後は技術の進歩もあろうと思いますし、またその成否をきめるには必ずしもそれだけの年限を要しないのではないか。今度の改正案でも四年までは延長し得るのでありますから、その期間に試掘の鉱区がはたして生きるものか、あるいは役に立たないものかという判断に時日が短か過ぎるというのは、少し現状にとらわれたものではないかと私は思うのであります。また採掘の期間でありますが、この存続期間も大体今度は三十年という年限があげられておりますが、大体鉱業の経営あるいは最初の計画におきましては、いろいろな設備に対しましても二十五年あるいは二十年というようなものを一応の対象、鉱山の生命と考えて仕事を始めるのであります。鉱山の一生も、大体われわれ考えますれば人間の一生のような経路をたどるものであります。三十年と言えば、まあ人生五十年というものに相当するわけで、二十年短縮はいたしておりますが、鉱山は三十年、人生は五十年で、ころあいの数字ではないかと思います。三十年たつてまだ隆々伸びて行く、あるいはまだ長い生命を持つものであるということであれば、その期間においてまた更新することも可能なのでありますから、一応三十年として鉱業の経営の限度を置くということは適当であろうと思うのであります。  なおその他二、三賠償の問題、租鉱権の問題についても申し上げたいこともあるのであります。ことにこの賠償問題ははなはだ重大なことでありまして、鉱業を経営いたします者でも、できるだけ地表に損害のないように、そういう賠償問題が起らないようにして採掘すべき責任はあると思うのでありますが、ドイツのルーア炭田なども、その地表はドイツの非常に有名な工業都市であります。その採掘地表に対する損害、影響については万全の処置を講じておるのでありまして、わが国福岡その他のように美田あるいは市街の下、その他公共築造物の下で石炭採掘しなければならない運命にあります場合には、できるだけその損害を最小限度にとどめるということは、採掘の側において私は重々責任があることであると思うのであります。そのためにいろいろ事実の面でも皆考慮いたしてはおるのでありますが、いかんせん、さよう心がけましても、なお損害をこうむるというような場合には、これは当然賠償の義務が生ずるのであります。その賠償の方法といたしましては、原状回復、これは理想案として私もまことに適当なことと思うのでありますが、現在の実情を考え、またその影響するところを見ますれば、ことごとくこれを原状回復に持つて行くという必要が国家的にありやいなやという問題であろうと思います。これは理想であります。まことに好ましいことではありますが、もし金銭の賠償において、その影響されたところが適当に利用され、またそれで責任を認め得る範囲のものであるならば、それを原状まで回復しなければならないというところに強制するのは、鉱業そのものの発展から申して、私はどうも賛成しかねるものでありまして、大体において金銭賠償を主体にして、必要なところにおいて原状回復、あるいはその損害の実情に則して処置するように進むべきものであろうと思うのであります。  大体私の申しましたところを要約いたしますれば、このたびの鉱業法案に対して、こまかい枝葉の問題はこれを除きまして、その根幹となるものに対しては、全面的に賛意を表したいと思うのであります。はなはだ簡單でありますが、これをもつて私の公述を終ります。
  13. 小金義照

    小金委員長 次は岐阜県多治見市長金子義一君。
  14. 金子義一

    ○金子公述人 私は岐阜県多治見市長の金子義一でございます。  私は鉱業法案の法定鉱物中、耐火粘土を除外して、採石法案の法定岩石中に加うべきことを主張するものであります。  その理由といたしまして、第一に耐火粘土を法定鉱物に加える根拠がない。第二に日本鉱業会の研究討議は皮相のそしりを免れない。第三に耐火粘土は有用鉱物の資格を有しない。第四に地表鉱物であり、坑道掘りが至難であるから、土地所有者との争いが絶えない。第五に耐火粘土は製鉄副資材よりもむしろ陶磁器の原料及び副資材に費消する方が大量であるが、これを法定鉱物に加えると、陶磁器産業の発達を阻害する。第六に耐火粘土地帯は公共的に迷惑をこうむることがきわめて多い。かつ鉱山ブローカー、悪質鉱山屋等が横行して地方民の迷惑、あるいは治山治水上憂慮すべき結果をもたらす公算がきわめて大きい。第七に岐阜県は耐火粘土地帯の関係者がこぞつて反対しており、三重県も同様であると聞いております。愛知県は賛否を聞きませんが、それは関係者がこの法案をよく知らないではないか。以上七つの点について細論を陳述いたしたいと思います。  第一の耐火粘土を鉱物に加えるという議が起こつたのは、戰時統制時代に、粘土業者が資材や労務加配が鉱物と非鉱物とは配給に甲乙があつて、鉱物に加えることが有利であつたために運動が展開した。また統制屋さんの方は、鉱物として縛る方が統制に便利であるというので、従つてこれに便乘したということに端を発しておつて、法定鉱物に加えるという重大な理由の発見に苦しむものであります。  第二の点でありますが、日本鉱業会でしばしば研究討議をされ、その記録を拝見したのでありますが、そのうちには粘土業者自体の利権擁護のためのお説もあり、権威者のお説にいたしましても、一部製鉄副資材の耐火粘土を対象としたもので、まつたく皮相のそしりを免れないと信じます。なるほど製鉄副資材に用いる耐火度の高いものは、有用鉱物の資格があると認めますが、それはわが国といたしましては、耐火粘土中の一小部分でありまして、それがために大部分の耐火粘土を鉱物に加えて法律で縛るということは、多数のものに迷惑をかけるので、ちようど角をためて牛を殺すたぐいであると思うのであります。  第三の、およそ法定鉱物に指定する以上、その鉱物には鉱物たる要素は必要である。かつその要素には利用価値がなければならない。耐火粘土はいずれの点がその要素で、いずれに利用価値を求めるか、かりに耐火度としたならば、番度は何番以上とするか。普通二十六番以上を耐火粘土と称すると聞ておりますが、二十八番以下の耐火粘土は壁土やかわらと同様で、耐火的利用価値を認むべきでない。常識的に見て、三十番以上なれば有用鉱物の資格がある。そこで二十九番ないし三十番に基準を置くとして、その検査の方法をどうするか。たとえば三十番の層があるとしましても、天然物でありますから、その層全部がひとしいものではない。その層の中には二十八番のところもあり、三十一番のところもある。さらに番度をはかる方法でありますが、一番や二番はどういうふうにでも狂いがある。従つてまつたくその基準を定めることが不可能であろう。なお製鉄の副資材あるいは窯業用の副資材に用いる場合は、番度の高低によつて価値の有無を定めることができますが、陶磁器の原料に用いる場合は番度の高低は問題でない。鉄分の含有程度あるいは燒成の作用その他製品の用途等によつて価値が定められるのであります。かくのごとく耐火粘土は有用鉱物の資格があるものがあつても、これを判定する方法がない。またこれも全体からながめて一小部分にすぎませんので、要するに有用鉱物の資格がないという結論に到達するのであります。  第四の点でありまするが、耐火粘土は地表鉱物であり、地下に埋蔵する場合もありますが、天盤として支えるものがありませんから、従つて坑道掘りが至難であります。大部分は露天掘りであります。ゆえに土地そのものが鉱物であるということになり、土地所有者との間に所有権の争いが絶えないことを予想せねばなりません。  第五に岐阜県の私が住んでおる多治見地方あるいは愛知県の瀬戸地方は耐火粘土の最大の生産地であり、また最大の消費地であります。その最大の消費地であるというゆえんは、岐阜県の多治見あるいは愛知県の瀬戸地方は、わが国の陶磁器の大部分を生産しておるからであります。何ゆえこの地方に陶磁器の生産がかように発達したかと申しますと、論外なく耐火粘土が手近かにあつて、手軽に入手できるからであります。すなわちこの耐火粘土は陶磁器の原料というよりも、むしろ副資材、すなわち燒成に用いるエンゴロと称しておりますが、ケースあるいはかまの土等を多量に消耗するもので、これが手近かにあつて、手軽に入手できるという特殊の地理に惠まれておるということであります。もしこの耐火粘土が鉱物に加えられたら、ちようどかわら屋さんのかわら土を鉱物に加えるということと同様な結果になつて、まつたく不便不利、陶磁器産業の致命傷といわねばなりません。耐火粘土と申しましても、陶業地ではかまやケースに用いる土は、ちようど壁土にする赤土よりも安いので、もし鉱物に加えたら、壁土も法定鉱物に加えねばならぬというような結果になると思うのであります。  第六、耐火粘土地帯は、すぐ軒下から耐火粘土を埋蔵しておりますから、それを鉱物に加えられ、鉱業権設定されましたら、道を直すような場合に、その土も掘れないというようなことになります。あるいは土木工事等をやる場合には、土地の所有者にも交渉しなくてはならない。さらに鉱業権者にもわたりをつけなければならぬというようなことで、たいへん迷惑をすることであります。しかのみならず、粘土地帯は鉱山ブローカーとか、あるいは悪質の鉱山屋さんなんかが横行いたしまして、各所に鉱業権設定して、これを悪用するというようなことであり、あるいは濫掘をして、あとをほつたらかしておくというようなことで、地方民が非常に迷惑を受けると同時に、治山治水上まことに憂慮すべき結果を招来する公算がきわめて大きいといわねばなりません。  以上によりまして、耐火粘土を法定鉱物に加えることははなはだ迷惑でありますから、岐阜県の関係市町村は再三通産省に陳情しております。また陶器生産者あるいは粘土業者も大部分がこれに岐阜県では反対しておるのでございます。過日通産委員方々現地においでくださいましたときも、この点を親しく陳情した次第でございます。さらに三重県の粘土業者も大体これに反対しておられるということを聞いておりますが、愛知県の粘土業者は自己防衞のために一部の人が賛成しているようであります。関係市町村とか、あるいは陶磁器生産業者にはその賛否を聞いておりませんが、おそらくこの法案をよく知らないから、こういう結果になつているのではないかと思うのでございます。以上私は七つの点を指摘したのでございますが、私どもの見解から申しますと、耐火粘土を法定鉱物にせられる場合には、この鉱業法案趣旨であるところのいわゆる公共福祉を増進するということとはまつたく反対の結果を招来するということを堅く信ずるものでございます。  なお最後に一言つけ加えたいことは、ちようどけさ三重県の三重耐火粘土協会の組合の方と、阿山郡島ケ原村の伊賀耐火粘土鉱業協同組合の代表の二方が見えまして、ぜひ私に一言述べてくれと申しましたが、三重県の粘土業者は五十名ほどあるが、その方は全部反対である。但し三重県は岐阜県と違いまして陶磁器の生産業者はおりませんから、大部分の耐火粘土は耐火れんがとか、あるいは鑄鋼用に用いられておるけれども、岐阜県同様反対である。その理由は、三重県の粘土地帯は全部が亜炭鉱区なつている、従つて鉱業権に加えられると二重設定をしなければならぬ、あるいはその他いろいろな支障を来して非常に迷惑である。従つてもしそういうようなことでごたごたが起ると、全部の粘土業者がやつて行けないようになる、特に三重県の粘土業者は小企業者であつて鉱業権などを設定せられて、登録税とか、鉱区税とか、鉱産税、あるいは保安設備等を嚴重にやかましく言われる場合には、まつたく壞滅する、こういうような場合が出ますと、せつかくの耐火粘土なり鑄鋼用の土が出ないというような結果になりはしないか。こういうようなことはすでに五十年も現状のままでやつてつても、さらにそういうような苦情の起つたことはない、従つていまさら鉱業法に加えてみる必要はないということで、この点を強く主張してもらいたいという希望がありましたので、一言つけ加えて申し上げる次第であります。以上をもつて私の公述を終ります。
  15. 小金義照

    小金委員長 ただいま御意見を述べていただきました東京大学教授青山秀三郎君、北海道美唄市長櫻井省吾君のお二人は所用のため午後は御出席ができないということであります。公述人に対する質疑は、後刻公述人全部の御発言が終つた後にまとめてしていただくことになつておりますが、このお二人については、この際もし委員諸君の中に御質問がありますれば特に御発言を願いたいと思います。
  16. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 私は東京大学の青山先生にお尋ねいたしたいと思います。耐火粘土につきましては、ぜひともこれを法定鉱物に追加してくれという強い御要望もある方面からあるのであります。またただいま多治見市長さんのお話のごとく、法定鉱物に追加してくれては非常に困る、業界も混乱するおそれもあるし、また製鉄用原料のごとき有用なる耐火粘土はごくまれであるから、全体としてこれを法定鉱物から除外してくれという御要望もあるのでありますが一体耐火粘土の日本における取引状態その他から勘案いたしまして、はたして法定鉱物として追加するのが適当であるかどうか。あるいはまた三十番というように標準を境といたしまして、一部は鉱物に指定し、他の一部を採石法岩石にするということが可能であるかどうか。またそれによつて支障が起らないのかどうかという点についてお尋ねいたしたいと思います。
  17. 青山秀三郎

    ○青山公述人 ただいまの中村さんの御質問にお答えいたします。  先ほどちよつと申し上げましたように、この法定鉱物に入れるというところにはいろいろ限界があると思うのでありまして、耐火粘土は、まさしく鉱物そのものの中に限界が出て来る性質のものであります。耐火粘土と申しましても、御承知のようにその範囲がきわめて広いのでありまして、熱に対する性質も、かなり強いものから、かなり低いところまでありまして、耐火粘土という名目でこれを一括するということはなかなか困難であると思いますが、大体において鉱業に使いまする耐火粘土を大きく鉱業法案の中に入れるということは可能であると思うのであります。ただ特殊のものに対してこれを別途扱いするということは、このものについてはやむを得ない場合が起るのではないかと想像されますが、耐火粘土を一応法定鉱物として入れるということには私は賛成したいのであります。しかしその施行につきましては考慮していただく余地が残るのではないかと思います。またその限界をどこに引くかということは、單に耐火粘土そのものの耐熱性質ばかりでなしに、いろいろほかの問題もありますので、完全に御協議を願いたいと思うのであります。耐火粘土を法定鉱物に入るということには、大体において私は賛成したいのであります。
  18. 田代文久

    ○田代委員 やはり青山さんにお尋ねしたいのですが、先ほどのお話によりますと、災害賠償は自分としてはやはり原状回復が本筋であろうと思うが、しかし日本の実情としては、そうなるというとどうもいろいろの支障があるので、当面としてはやはり金銭賠償の方を原則として、原状回復の方を従にするということが適しているのではないかというようなお話のようでございましたけれども、私としましては、原状回復が主であるというようにお考えになつて、それを原則としてこの法律に生かして、むしろ金銭賠償の方を従にすべきではないかと思うのであります。もつとも田面の被害などにおきまして、原状回復をする場合に、反当り五万円も十万円も、あるいはそれ以上もかかるという場合には、国家経済から申しましてもいろいろ支障がございましようから、それを一律にしやくし定規に現状回復を適用するということはできませんけれども、そういう国家の経済から言つて非常に損失になるという特殊の例を除いて、大体原状回復ということを原則として、金銭賠償の方を従にするというようなゆとりをつけてやられるのが日本の実情に適しているのではないかと考えます。前鉱業法でも、今度の新鉱業法でも、大体が鉱業権者本位になつておるように考えられます。私は被害者の実情をよく知つておりますが、家が傾いたとか、あるいは井戸水が出ないとか、田が陷落しているというような問題におきましても、再三再四鉱業権者、あるいは県庁、あるいは政府にお百度を踏んで何とかしてもらえぬだろうかということを陳情なさり、努力されておることは御承知の通りであります。その有形無形の被害というものは、実に莫大なものがあると思います。しかし実際におきまして、そういうように足をたこにして陳情され、あるいは鉱業権者と交渉されましても、大体被害者の方々は弱いので一蹴される。それで泣寢入りになつている者が実に多いのであります。実際に現地を見ていただくとわかるのでありますが、今までほとんど泣寢入りになつている形が強い。それではその残りに対して国家が十分補償しているかどうかという問題になつて来ますと、国家補償というはつきりした線が出てない。前国会を通過した特別鉱害復旧臨時措置法におきましても、非常に難航を続け、それを実際に施行する場合におきましても、非常に支障を来しておる。被害総額におきましても、被害者の方々の意を満たすだけの補償はされておりません。不十分きわまるものです。そういう国家補償の線というものがはつきりしていないという場合、こういう金銭賠償というものが原則として取上げられますことは、鉱業によつて一銭の利益も得られない農民諸君とか、あるいは一般の市民諸君というものが、非常に被害の苦痛をなめ続けるのでありまして、むしろ私は日本の現状その他からいたしまして、また日本の鉱業の発展いう面から見ましても、どうしても原状回復を主として、金銭賠償というものを従にして、その間いろいろ実情に即してゆとりをつけるというのじやないかというふうに考える次第でありますが、ひとつ御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  19. 青山秀三郎

    ○青山公述人 先ほど私は鉱業による損害の賠償は、理想として原状回復だということを申し上げたのであります。大体地下の採掘をいたしまして、それが地表に影響を及ぼすという場合に、たとえばある炭層を採掘して、そのために地表が陷落するという一つの例をとりますと、その中心部はそのまま水準が下る。その下らない所と下る所の間において、傾斜する所が出て来るわけであります。そういう所が最も被害の多い所でありまして、そのまま下つた所は、場合によりますると、それで利用できる所もあり得ると思います。水その他の問題は別であります。従いまして、その影響をこうむつた所を元の水準にまで地ならしするという、そういう意味の原状回復までは、田代さんもお考えになつておらないと思うのでありますが、とにかく私ども鉱業の技術に関係しておる者としましては、できるだけ地表に対する影響を少くするということには努めるのでありますが、そういうようにして地表に損害を少くしてもなおかつ生ずるその被害はこれをどういう方法で賠償するかということは、きわめてシリアスな問題だと思うのであります。それで全部を理想として原状回復にするということは、これは私の根本の思想においては田代さんとかわらないのであります。ところがそういうように原状回復を主にするということと、また一方において、できる所は金銭賠償にするというその限界は、その当事者間の問題もあります。国家の問題もあるわけでありますが、私は外国の例を見ましても、これはことごとく原状回復に原則を持つて行くということは、どうも今の場合には実情に即さないという印象が頭からとれないのであります。私も実は九州において、墓地がたんぼの中に残つて、水が出ますと船をこいで墓地に行かなければならないという例も知つております。さまざま著しい損害をこうむつた例を再三拜見しまして、これは困つた問題だと思うのでありますが、そういう場合の最後の処置としては、その損害を、全然採掘をしなかつた元の状態にそれを持ち来すということができればいいのでありますが、ほとんど不可能じやないかと思いますので、やはりこれは理想、あるいはもう少し先の、はなはだ失礼かもしれませんが、空想に近い問題であつて、実際においてはやはり、できるだけ早くその損害を除こう、また利用されるという上からみましても、一応金銭賠償によつて、できるだけ早く損害の一部が除かれて、利用ができるというふうに仕向ける方がかえつていいのじやないか。しかしそういうことよりも、原状回復が有利である、そういう方が早いというものにつきましては、これは従として進める方が適当でないかということをさきに申しましたが、今も実はそう思つておるのであります。この問題は、この鉱業法の中できわめて重要な問題と思います。私も昨今少し考えておるのでありますが、やはりこれを主従とりかえるというところまでの結論には、まだ遺憾ながら到達しておらないことを申し上げざるを得ないのであります。
  20. 小金義照

    小金委員長 ほかにございませんか。——ほかに御質問がないようでございますから、午前はこの程度にとどめ、午後は一時より開会いたすことにいたしまして、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時二十四分開議
  21. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 それでは午前に引続きまして、鉱業法案並びに採石法案に関する公聽会を開会いたします。栗田數雄君。
  22. 栗田數雄

    ○栗田公述人 私は福岡県における鉱害被害者の代表栗田數雄でございます。石炭鉱業によつて起る地上の被害がいかに大きいか、また悲惨であるかは、去る第七国会衆議院本会議において、神田代議士外三十四名の方々の提案にかかる鉱害に関する決議文のうちにさんたんたる悲壯な事実を述べられておりまするから重ねて申し上げませんが、かかる残酷な被害は石炭採掘とともに日々進行を続けておりまするが、これに対していかなる措置がとられておるか。顧みますれば、戰争前にはわが国における大資本家がおおむね鉱山の大部分を所有経営されておつた関係から、石炭事業は不景気でも、重工業や銀行、商社等の利益をもつてしてでも会社の名誉にかけても一応被害者の納得の行く程度に原状回復の工事を施行いたしまして、福岡県下においても昭和十七年まで耕地千百三十四町歩の復旧を完了した事実もあります。しかるに第二次世界大戰勃発以来、資材及び労力の不足、加うるに敗戰の結果として財閥の解体となり、炭鉱経営は困難かつ鉱害復旧の彈力性は失われたのであります。かかる理由復旧事業は一頓挫を来しまして実行不可能となりました。その後プール資金の制度により、続いて第七国会で成立の特別鉱害臨時措置法で今後五箇年間に五十億程度の復旧が可能となりますが、現存の被害量及び日ごとに増大するその量から見ますれば、その五分の一程度にも及ばないかと思われます。かかる状態では当然被害民の不安を来し、結果として思想の混乱は免れないのであります。これらの事実は他のもろもろの原因結果もありましようが、私ども被害民としては現行法規の不備欠陷がここに至らしめたことと思います。従いまして、今回の法令改正にあたつては、被害民の立場から率直に意見を開陳いたしまして、法第百一條より百六條に至る土地の使用及び收用に関する條項中、鉱滓または灰燼置場の設置鉱業に従事する者の宿舎ないしは保健衞生施設設置、この適用範囲を拡大したことは農民の職を失うはもちろん。わが国のごとく農耕地の狹小かつ食糧不足の現状においては修正削除すべきであると思います。法第百十一條鉱害の賠償については、原状の回復をもつて原則となし、やむを得ざる場合は金銭賠償の方途を認めることに改められたい。何となれば、前に述べましたごとく、金銭賠償を建前としていることは鉱業権者鉱害復旧の誠意、熱心を欠く結果と相なります。何となれば、耕地のごときは目下の公定価格では私の地方で反当り賃貸価格の四十倍に、さらに、今回改正になりまして、七倍を乗じたもので四千九百円、五千円程度できわめて安きに失します。炭鉱経営が困難で、特に労働問題や資材調達に汲々たる際に、何で十分賠償の誠意が示されましようか。たとえば炭鉱名物のピラミツド型ボタ山が空高く積み上げられておる。その間近かに美田が水沒して、湖水のようになつておる。これはボタ捨てに竿頭一歩を進めて、坑内より陷落のところにレールを延長することによつて復旧の第一歩を踏み出し、耕地復旧を安価かつ迅速に完了し得る事実もあります。  次に、賠償を金銭で受けても、その人がこの金を原形復旧に使おうとせずに、他に流用した例もありまするし、特に耕地のごときは集団被害であるために、各人々々の復旧工事は、絶対不可能であります。さらに金銭賠償では、対価わずか五千円程度で、これに対して復旧費は、私の地方で反当約十五万円程度であるから、差額の十四万五千円は、被害民の犠牲となる結果になります。しこうして現在の技術では、石炭を掘れば、その採掘の深度に比例して、地上に相当の被害、損害を及ぼすことは明瞭であります。この明瞭な事実をもつてするも、なお無過失賠償として、地上権者に損害を負わしむることは、まさに私どもの財産権を侵害するところの、憲法第二十九條の違反となることを主張するものであります。  金銭賠償を主張する人々は、世界各国の法律では、ドイツを除き、他の国国では金銭賠償主義であるから、わが国もこれにならえというような説もありますが、日本のごとき狹隘な国土に厖大な人口を收容し、かつまた鉱業被害が集団的に一村、一部落を壞滅しておるがごとき、外国にその例がありましようか。日本で行われる法律は、日本に適用する法律でなければならないのであります。  本問題は、委員であつたところの平田先生が病床死のまぎわまで、私どもと同じ主張を続けられたと承つております。昭和二十二年六月、商工省鉱山鉱業法改正準備室において上申されました法案は、原状の回復を原則としてあります。  以上の諸点よりして、私の主張は正当であることを確信いたします。  法第百十四條損害賠償の打切りは、制度として認めてはならぬ。何となれば、前に申しましたように、賠償金を正当に被害者が使わず、他に転用した事例も少くありませんし、ことに耕地の原状回復、国土保全、食糧増産の原則より見ましても、私どもの地方で、地下百尺近くの石炭の累層があること等を考慮するときに、この制度は絶対賛成できません。  法第百六十五條、地方鉱害賠償基準協議会の機構は民意を尊重したものでなければならぬ。鉱業被害の原因結果は千差万様でありまして、一定の基準をもつて決定するに当つては、相当の学識と多年の経験を持つておる人々でもなお至難とされておるのであります。それにかかわらず、転出、異動が常に行われて、その実態を十分につかみ得ない行政機関の職員にこの重要決定権を與えることは無謀であり、従つて加害者も被害者も納得の行く基準はできないと信じますとともに、本案は民意を尊重せざるところの戰時中の官僚独善時代に逆行する結果として反対をいたすのであります。  以上きわめてあらましを申し述べて、私ども被害者の立場を主張し、御審議の参考に供したのでありますが、これを要するに鉱害賠償問題は全国民を主とする被害者すべての生活権を左右する重大な問題であり、施策を一歩誤まればゆゆしい社会問題を惹起するに至るであろうことは火を見るよりも明らかであります。従つて被害地方の住民は今回の鉱業法改正の成行きを注目して、すでに政府の原案に対する不満は、一部に不安動搖を来している事実のあることはこの際あらためて率直に申し上げます。私どもは被害地は必ず原状回復を行い、民生の安定の実を法案に明示すべきことを主張いたします。しかしながら土地原状回復を主とする賠償を鉱業権者にのみ強制することは、わが国石炭鉱業の立地條件及び基礎産業としての経済的特殊性を考慮せざる処置でありまして、被害者といえども原状回復を望むあまりに、炭鉱に重圧を加え、炭鉱の破綻を来すごとき方策はまた考慮せざるを得ません。よつて今回の鉱業法改正機会に、さきに衆議院が決議せられました国土計画一環として鉱害対策を取上げる方法を具体化して、既往の鉱害及び今後発生の場合においてもその復旧について国費の応分の支出を行い、鉱業権者には従来とり来つた負担程度を課するごとき措置によつて、被害地の原状回復が実施せらるるよう法の改正を主張するものであります。私は鉱業法改正審議委員として、鉱業の発展は地上権者の援助なくしては絶対にむずかしいという点から、各委員協議研究を重ねて、以上申し述べた諸点については終始一貫した主張のもとに、広大な被害地の復旧による農民救済に、あわせて今後発生を予想せらるる問題の根本的解決策として提案し、一歩もしりぞかなかつたのでありますが、少数意見として取上げられなかつたことをまことに遺憾としておるものであります。幸いこのたびの公述機会にあわせて申し添えまして、被害者の立場を主張した次第であります。
  23. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 先刻委員長より申し上げました通り、本日は公述人のほかに関係官庁の御意見もお伺いすることになつております。実はまだ公述人の御発言も残つておりまするが、農林省農地局長佐野憲次君の事情によりまして、特別に時間を繰上げまして、その御意見をお聞きすることにいたします。農林省農地局長佐野憲次君。
  24. 佐野憲次

    ○佐野説明員 私農林省農地局長の佐野でございます。私は農地の立場から見まして、この鉱業法案につきまして、意見を申し述べたいと思います。  大体私の申したいことは三点あるわけであります。まず第一の点は法定鉱物としまして、石灰石とかドロマイト、硅石、長石というようなものが追加されておる点であります。これらの鉱物は、現在の通念から申しまして、土地所有権の内容をなしておるというふうに考えられておるものであります。従つてこれらの鉱物を追加いたしますることは、農民その他土地を基本にいたしまして業を営んでおりまする者を不当に侵害する、ひいては生活を脅かすというような結果になりはしないかということをおそれるものであります。大体今回追加になろうといたしておりまするものは、大部分が地表にある、もしくは地表の近くに存在をいたしておりまして、土地の主要な構成部分をなしておるものであります。こういう点におきまして、土地の上に立つておりまする農業等につきまして、ただちに利害の衝突を来すものではないかという点でございます。そういう意味から申しまして、私どもといたしましてはむしろこれらのものは鉱業法によりませんで、採石法によりまして、土地の所有者なり、耕作者等との利害の調整をはかつて行くのが適当ではないかというふうに考えるものであります。  第二の点は、鉱業権者による土地の收用使用の問題であります。御承知のように、土地の使用收用は、これは公的な企業について認められて参つておるのでありまして、こういう土地の收用権を、私企業的な性質の強い鉱業というものにあてはめて参りますることは、相当疑問があると考えるのであります。しかしかりに各種の事情からいたしまして、鉱業権者土地の使用收用を認めなければならぬということになるにいたしましても、どういう場合に使用收用を認めて参るかという点につきましては、よほど他の産業、他の権利者との利害関係というものについて、十分な考慮が拂われなければならないと考えるのであります。現在出されておりまする法案の中に規定されておりまするところによりますると、使用收用の範囲は、相当広くなつておるのでありまして、たとえば鉱業用の事務所でありまするとか、あるいは鉱業に従事する者の宿舎というようなものまでも使用收用ができるようになつておるのでありまして、これらの点は鉱業権者にここまで認めて参るということは行き過ぎではなかろうかというふうに考えるものであります。また同時にこの鉱業権者ばかりでなく、租鉱権者にも使用收用を認めておるのでありますが、これも租鉱権の性質から見まして行き過ぎではなかろうかというふうに考えられるのであります。これらの点も十分に御検討をいただきたいと思うものであります。  第三の点は、鉱害の賠償の問題であります。これは栗田氏からも意見の発表があつたのでありますが、私どもも大体栗田氏の御意見と同様の意見を持つておるものでございます。申すまでもなく、わが国は非常に土地狹小でありまして、食糧の関係から行きましても、非常な不足を来たしておるのであります。われわれとしましては、農地につきましては極力これを維持いたしまして、生産力の増強に努めて参りたいと考えておるのであります。しかしながら現在のところ年々相当の改廃地がございます。これは人口も漸次増加いたして参りまするので、都市の発展でありまするとか、鉱業の発達、あるいはそれに伴いまして各種の施設が充実をいたして参るのでありまして、そういうことのために、農地が年々相当つぶされております。一方われわれといたしましては、相当な国費を投じまして、農地の拡張もはかつておりまするけれども、現状といたしましては、むしろ改廃をする農地の方が多いような状況でありまして、農地につきましては、できるだけこれを保全いたして行かなければならぬというふうに考えておるのであります。現在の鉱業法案で行きますると、金銭賠償原則なつておりまして、例外的に原状回復をするということに建前はなつておりまするが、先ほど栗田さんからもお述べになりましたように、金銭で賠償されるということになりますると、それが原状の回復に金が向けられるという機会はきわめて乏しいと考えられるのであります。また土地原状回復は関係者が一致いたしまして集団的にやる必要があるのでありますが、金銭賠償で行きますると、その賠償を受けた人の個々の考え方によりまして、必ずしも一致して原状回復に向けられるということも困難なのでありまして、結局金銭賠償という建前で行きますると、大体陷沒地のごときはそのままになつてしまうという可能性が多いと考えられるのであります。また農家の立場から考えてみましても、たとえ金銭で賠償を受けましても、その農家といたしましては、結局農業の経営はできないのでありまして、いわゆる失業の状態に陷るわけでありまして、たまたま他に転職のできる人はよろしいのでありまするが、長年農業をやつて参りました者は、そう簡單に転職もできないような状況でありますので、農家といたしましても、やはり金をもらうということよりも、土地原状に回復をしてもらうという方が、最も望ましいことと考えられるのであります。私といたしましては、ぜひとも原状回復を原則にいたしまして、原状回復をすることが不可能な場合であるとか、あるいは国家経済的に見まして、著しく不相当に多額に経費を必要とする、国家的に見ても決して得策でないと考えられるような場合に限りまして、金銭賠償の方法をとるべきであるというふうに考えられるのであります。この前の鉱業法案はたしかそういうふうになつておつたかと思うのでありますが、この前の法案のような形にしていただきたいというふうに考えるのであります。しかしこれは先ほど栗田氏からも御意見がありましたように、この原状回復の財政的な負担を全部鉱業権者にのみ必ずしも負わせるということが目的ではないのでありまして、私どもはよくわからないのでありますけれども、原状回復をさせますることが鉱業の実態からみまして、鉱業権者に対して著しくむりがあるということでありますれば、その点については国家がやはりある程度の負担をいたしまして、鉱業としても十分成立ち、また農業も成立ち、両立するように国が財政的にめんどうを見て参るということにお願いをしたいと考えるのであります。  以上の三点が私の申します主要な点であります。つけ加えまして、この租鉱権の問題でありますが、租鉱権者は概して経済力に乏しい者がやるという傾向にあるのではなかろうかと考えられるのであります。従つて鉱害賠償につきまして負担力に乏しいということが予想せられるのであります。従つて賠償につきましては、少くとも鉱業権者と連帯責任にさせていただくということにならなければ、今後その賠償の問題についていろいろ紛争の起ることが予想せられるのでありまして、どうかその点につきましても十分御検討をいただきたいと思うのであります。そのほか農業と鉱業との一般的な調整の問題でありますが、この点につきましては、十五條でございまするか、鉱区に関する制限の規定であるとか、あるいは鉱業権出願ついて都道府県知事協議をしなければならないというような規定でありまするとか、また三十五條におきまするように、こういう場合には鉱業権許可してはならないというような規定でありまするとか、また土地收用につきまして、関係都道府県知事との協議をしなければならぬという規定、そのほか土地調整委員会規定でありまするとか、いろいろ民主的な運営について規定がされておるのでありましてこれらの点は非常にけつこうだと思うのであります。大体私の意見として申し上げたいところは以上でございます。
  25. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 ただいまの佐野農林省農地局長の御発言に対し御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、次は公述人の御発言に移ります。日本石材工業株式会社社長梶浦博君。
  26. 梶浦博

    ○梶浦公述人 私は日本石材工業株式会社の社長梶浦博であります。今回採石法案委員会にかかりまして審議されておりますることは、まことに業者といたしまして感謝にたえません。すみやかに本法案の成立を、業者全体の者が今日希望しておる次第であります。つきましては、採石業者といたしまして、いささかここに本法案に対しまして意見を述べさしていただきたいと思います。  ここに申し上げます要点は、二つ重要な点を申し述べたいと思うのでございます。第一はこの採石権設定をいたします上において、一つの石山に対しまして、採石業者二以上のものが採石権設定を同時に手続いたしました場合に、法的にこれをいかに処理されるかという点であります。第二は、すでに鉱業権設定されております上に、さらに採石権設定いたします場合において、当然採石権として設定をしていただき得るようにお願いしたい。この二点につきまして、いささか私の意見を申し述べたいと思います。  第一の点におきましては、過去におきましては石材というものにつきまして需要が割合になかつたのであります。しかるに今日におきましては非常に莫大なる数量に上つておるのであります。たとえて申しますならば、運輸省におきましても年に二百万トンないし三百万トンの採石を必要といたしております。そのほか港湾工事その他の諸工事に対しまして要しまするところの数量は実に莫大なものでありまして、今後私ら業者といたしましては、相当なる数量を出し得るところの企業設備を持たなければならぬのであります。つきましては、今日交通の不便な所も鉄道がつきますとか、その他道路の改修がなりまして、今まで採石をなすことのできない石山でありましても、今後重要なる採石の石山といたしまして価値が出て来るのであります。そのときに同業者が二名あるいは三名、あるいは数名の者がその石山に対しまして同時に採石権設定を手続いたしまする場合、鉱業法におきましては設定出願をいたしますについて日時の優先をもつて権利を與えるようになつております。この鉱業法におきまする優先方法というのは、重要なる地下資源の発見者に権利を與えるという点にあることはもちろんでありますが、この採石の場合におきましては、今申し上げました通り稼業価値が十分に認識されました場合に、そこに数名の業者が殺到するということはあり得ることであります。この場合におきまして、採石法の法規といたしまして、当然これに処するところの法規をつくつていただきたい、こう存ずるのであります。  第二は、いわゆる鉱業権のある上に採石権設定する、この場合であります。これはいろいろありますが、一例をあげますと、粗面岩の中にカリ分を含んでいるところのカリ鉱石、つまりカリ肥料の原料の鉱石があります。今日まで土砂採取でやつておりました場合は、土地の所有者と了解を得ましてこれが採取ということで大体稼業ができておりましたが、ここに採石権というものを設定いたします場合に、すでにそこに金、銀、銅等の鉱業権設定されておつた場合、その採石権設定いたしましたときに、その粗面岩の採石権利をいわゆる鉱業権者に持つて行かれるということでは、採石業者はまことに立場が困るのではないかと思います。この点も法案を見ますと、この鉱業権採石権とがともに設定される場合いかに処理するかという点の明瞭な規定がないというふうに存じまして、この点を明らかに処理するようお願いしたいと思うのであります。もう一つ採石権設定にあたりまして、面積のいわゆる最小限あるいは最大限という規定がここにないのであります。鉱業権の方におきましてはこの規定がありますが、採石権設定においてこれがないということも、われわれ業者といたしまして考えました場合、二十年あるいは四十年採掘いたします上において、その規模によりましては大量に採石しなければならぬ場合に直面いたします。そのときにはやはり相当な面積のものが必要となつて参ります。また一面そこに数百万円あるいは一千万円以上の企業設備をいたしました場合、相当な面積の石山がありましても、そこにそれ全部の採石権設定いたしますことを業者といたしましては希望するのであります。この面積の限定がないということにおきまして、先ほど申し上げました通り、同業者三ないし四以上の者がこの面積の一部設定願を出すというようなこともありまして、いろいろ問題が起るのではないかと存じますが、この点も十分考慮していただきまして、鉱業法の法規と同様の取扱いをしていただくということにお願いしたいと思います。以上述べました三点が私ども業者といたしましての希望でございまして、今までの土地所有権者が優先的に採石をするということができ得ました場合、さらにこの法案が成立いたしまして、他人の土地採石権設定できるというようなことになりました場合には、当然この競争は必ず起きるということの上から考えまして、この優先順位を設定されるか、あるいは他の方法によつてこれを紛糾のないように処理をしていただきたいということを重ねて申し上げておきます。はなはだ簡單でありますが、これで私の公述を終ります。
  27. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 公述人はもう一人大多喜天然ガス株式会社副社長松浦政男君に御依頼してありましたが、本日はお見えになつておりませんので、これで公述人の全部の方の御発言が終りました。公述人に対する御質疑はしばらく留保いたしまして、次は厚生省よりの御意見を聞くことにいたします。厚生省国立公園部管理課長甲賀春一君。     〔中村(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 甲賀春一

    ○甲賀説明員 本日の公聽会に厚生省の国立公園部長がお呼出しを受けましたが、部長はアメリカに旅行しまして本日帰朝したのでありますが、まだ連絡がとれませんので、私管理課長でありますが、かわつて申し述べたいと思います。  鉱業法案及び採石法案につきまして、私どもの方といたしましては、この法案はおおむねけつこうなものであると存じますが、ただ二、三の点についてここに意見を開陳いたしたいと思います。  わが国は敗戰によりまして、狹小な土地でその生活のかてを得なければならなくなつたのであります。そこで国土の総会再開発ということが叫ばれるに至つたのは、まことに当然な帰結であると存ずるのであります。しかしながら、国土の開発と申しますと、一般にはとかく直接にすぐ金に換算し得るもの、すなわち鉱山開発であるとか、あるいは水力電源の開発等のみが考えられまして、わが国の経済に間接に、しかし非常に大きな役割を持つて裨益しておりまする、たとえばすぐれた大景観の保護、あるいはまた温泉源の保護などということに対しましては、どうしても等閑視される傾向があるのであります。この風景の保護は、その重要性を国民が認識し、お互いに注意をすれば足りることでありまして、鉱山その他の産業開発のごとく、特に大大的な経費を必要とせずに、しかも国民のレクリエーシヨンにも資し、また健康の維持増進をはかることによつて、国民の疾病による消費を節約することができ、またあわせて海外の観光客を誘致いたしまして、外貨獲得にも大いに貢献し得るということであります。従いまして、すぐれた景観の保護ということは、戰後のわが国にとりましてきわめて重要なことと信ずるのであります。わが国のすぐれた景観を保護し、これを国民のレクリエーシヨンに資し、あわせて外貨を獲得するために、国立公園法が制定されております。またわが国に惠まれました温泉源を保護し、これが利用をはかり、公共福祉に寄與せしむることを目途として温泉法が設けられているのでありますが、これらの法律鉱業法採石法等とは明らかに対立するものであります。幸いにこれらの競合点の調整をはかるために、採石法案におきましては、通商産業、厚生両省の間に了解事項によりまして、国立公園内の特別地域が、同法案第十條にいう「公園」に該当するものとして、採石権設定通商産業局長において許可されぬことになつております。また鉱業法案では第十五條によりまして鉱物の採掘一般公益と対比して適当でないと認めるときは、土地調整委員会において鉱区、禁止地域を設定し得ることとなつております。採掘権の存続のことにつきましては、第十九條によりまして「保健衞生上害があり、公共の用に供する施設を破壊し」、「公共福祉に反すると認めるときは」通商産業局長はこれを許可しない旨規定し、さらにまた第三十五條によりまして、鉱業出願地ににおいて鉱物の採掘が右と同様な理由公共福祉に反すると認めるときは、通商産業局長はその出願許可をしてはならない旨規定されているのであります。さてこれらの点につきまして、私どもの立場といたしましては、国立公園の特別地域、及び温泉源に影響する地域はすべて鉱区禁止区域といたすことが望ましいのでありますが、わが国情を考えますときは、そう一方的なことばかりも言えませんので、個個の場合に処する土地調整委員会の良識ある判断にまつほかはないと思うのであります。そのための希望といたしまして、委員会委員にはもとよりりつぱな方が選ばれるとは思いますが、真に国家的見地に立つて、そのことを判断される公平無私な人をこれに充てられることが望ましい次第であります。  また最後にもう一つ希望を申し上げますと、前述の鉱業法案第十九條及び第三十五條には、国立公園または温泉の保護にはつきりと該当し得る字句がないのでありまして、わずかに「公共の用に供する施設を破壊し」「その他の産業の利益を損じ、公共福祉に反すると認めるとき」という抽象的な字句を適用して、国立公園または温泉の保護を満たし得ると解するよりほかはないのでありますが、この点をさらに明文化されることが望ましいのでありまして、以上の点に関しまして御再考を煩わしたいと存ずる次第であります。
  29. 小金義照

    小金委員長 以上をもちまして公述人の御発言をもちまして公述人の御発言は終つたのであります。委員各位より御質疑がございますれば御発言を願います。
  30. 江田斗米吉

    ○江田委員 先刻被害代表の栗田氏の公述の中にありました、炭鉱からは賠償金が出るが、他に使つておるということで、その点どうもはつきりわかりませんでしたが、もう少し御説明を願いたいと思います。
  31. 栗田數雄

    ○栗田公述人 ただいまの御質問は、私の公述中に金銭賠償によるものや、打切り補償によつた金が、被害者がその原形復旧に、あるいは後日意義のある金に使わずして、他に転用しておるということに対する御質問だと考えます。被害者としてかようなことを申し上げることはまことに遺憾千万でございますが、過去における事例から申しますと、この金銭賠償、打切り補償の線が二つあると考えます。一つは、自分が借財が非常に大きくなる、あるいは農業から他に転業しようというようなために、被害者自体が炭鉱に相談しまして、打切り補償や金銭賠償を要求しまして、その金をもつて借金を埋めるとか、あるいは他に出るとかいうような被害者自体の立場から、遂にその目的以外に金を使うということがあります。もう一つは、鉱山の経営の立場から、年々賠償その他をしてはとうてい経営ができないというために、一時の金をもつて打切り補償をせられるというような場合がございまするが、その場合に善意をもつて復旧すればけつこうでございますが、農家におきましてはいろいろ忙しい立場もありますし、またこの九州地方では夏の間や冬の間にはおおむね建築はできません。春先や秋の時候のいいときに建築をしようということに、農業関係からなるのであります。そういうことで時期を待つておる間に、つい物価が上りまして、とうとうそれを原状復旧することができずして、その金はどうやこうやなつてしまつたという、悪意でなくて大体待つておつたけれども、それが実行されなかつたということで、非常に苦境に陷つております。  なお昨日鉱山の代表の方から、被害者がべらぼうな要求をするというような意味のお話がございましたが、私ども被害人としましては、土地に祖先の墓を持ち、住宅を持つておりますから、郷土愛という精神から、やはり無謀な取つて逃げ的な要求も何もしようとは思いませんけれども、賠償や補償の面に十分なことが行われないと、非常に不満がありますので、その際に他の村から入つて来た人とか、あるいは村内の人でもたまには過激な人で、そういう人が出て来まして、鉱山に非常に無謀な要求をその人が代表してすることがあるかもしれませんけれども、これはきわめて少数の者で、大体多くの被害者——耕作農民のごときは純朴であり、また相当大手筋炭鉱とは現在までに協調を保つておりますから、むしろ金銭賠償よりも原形復旧の線で進んでいただいた方が、国土保全、食糧増産、民生安定の点からよかろうということを申し上げた次第であります。事例は禁岡県の市町村鉱害連盟会長の行實さんのごとき、多年の経験でよく御承知でございまして、これは私どもだけでなくて、市町村長の方もよくその線を主張せられておることを申し添えておきます。
  32. 田代文久

    ○田代委員 栗田さんに御迷惑でもお願いいたしますが、大体先ほど農業関係の局長その他の方々の御意見を承りましたが、私どもは絶えず私どもが主張いたしておりますような原状回復の方が正しいと確信いたします。しかしまだ原状回復とは実際どういうものであるかということについて、文字の上で理解されておるような向きがあるように考えられまして、実際に被害を受けておられる方が、自分たちの考えておる原状回復とはどういうものであるかというような点をよく話していただきますと、お互いに徹底して主張され、また私どもが考えておることが通るようになるのではないかと思いますので、御迷惑でしようがお願いいたします。
  33. 栗田數雄

    ○栗田公述人 私どもが單に原状回復と申しておりますのは、昔の姿そのままに返せというような意見では毛頭ございません。所によりますと小さい山がありまして、その山自体が水沒しておるという事態がございますが、そういうような価値の乏しいものを昔の姿のように返して、松の木を植えてもどせというような原状回復主義は決してとなえておらないのであります。また十尺下つたから十尺上げろ、二十尺下つたから二十尺上げろということでなくて、私どもの耕地がつくられる範囲において原状の回復をしていただくという主張でございますから、私どもは一部の方の見方——学校あたりから見まして、大きな補償金がないと原形復旧ができないじやないかという御説もございますが、現実においての被害者といたしましては、鉱山側に協力いたしましてやるならば、私どもはある程度の安い單価でもつて耕地の復旧もできる自信を持つております。必ずしも原形というものは文字にとらわれた姿そのものに返せということでなくて、実体的にわれわれがやつておつたそのものに返していただく。たとえば墓地の原状回復のごときは、水没いたしました墓地をそのところにまた前の高さに上げろというようなことでなくて、場合によりましては移動いたしまして、適当なところにわれわれが祖先の霊地として拝み得るような施設をしていただくということを主張しておるものでございまして、決して無謀な原状回復主義を主張するものでないことを申し上げておきます。
  34. 小金義照

    小金委員長 次に建設次官の中田政美君がお見えになりましたので、中田建設次官の御意見を聞くことといたします。
  35. 中田政美

    ○中田説明員 鉱業法案採石法案の両法案関係しまして、何か参考になるような意見があるならばということで出頭を命ぜられたので伺つたのでありますが、これは政府としてはこの原案を国会へ提案した関係もございますので、原則的に反対の考えはございません。ただ御参考までにこの両法案関係して申し上げてみたいと思う点がございますので、それを一、二申し上げることにいたします。  第一点は、鉱業法案土地收用法との関係でございます。御承知の通り従来の鉱業法におきましては、土地の使用はこれを認めておりますが、土地收用は認められていないわけであります。今度の改正案におきましては、土地收用が全面的にできるような仕組みに制度化されておるわけでございまして、しかもこの事業の認定権は通商産業局長鉱業権許可を與えると、当然に事業の認定があつたように仕組まれてございます。この問題につきましては、土地を收用するということがいかにも私権を制限することでございまして、その目的はどこまでも憲法の命ずるところ、公共の利益となる事業、すなわち事業公益性に相当するかどうかという判定を根本とするわけでございますので、この事業の認定はどこまでもある特殊な関係を持つ官庁で認定するということは避けたい。どこまでも公正独立な中間的な機関でこれを判断する方が適当であろうかと考えます。その意味からいたしますと、現在の土地收用法によりますれば、土地收用法の主務大臣である建設大臣が認定をいたしております。これについても議論があるところでございますが、建設大臣は、あるいは農業、あるいは鉱業あるいは商工業、そういうような民間的色彩のある産業関係いたしません。川とか道路とか、それ自身が公益的な仕事にのみ関係いたしておりますので、比較的公正、中正であると考えますが、それについても疑問があり得る余地があります。そこで現在土地收用法の根本的な改正をやろうと思いまして検討中でございますが、その案につきましては、できればこの法案にうかがわれるような土地調整委員会的な性格の委員会に、土地收用審査会を持つて行きたいという考えでおります。その委員会によつて事業の認定を行わせることにしたらどうか、こういう考えを持つておりますので、これに反対という意味ではありませんが、土地收用法の全面改正の場合におきましては、鉱業法の第五章土地の使用及び收用のこの條項につきましては、統一法である土地收用法に、全部移行することがわれわれとしては適切であるという考えております。  それに関連してもう一つ申し上げたい点がございます。それはこの新改正法によりますと、第十五條でしたか、非常に進歩的な條文が載つております。それはすなわち土地調整委員会という制度の問題でございます。ひつきようするに、この土地調整委員会というものは、一国の国土をいかに利用するか、いかなる目的に利用するかという、その利用方法についての競合をさばくという非常に重大な意味があるわけでございまして、たとえばここに書いてあるように、鉱物を採掘することが一般公益とか農業、林業とかいうような他の産業に比較して適当でないという地域には禁止地域を設ける、そういうことを裁定する非常に大きな権限を持つた委員会ができるわけでございまして、これは通産省とか農林省とかいうような、そういう産業を所管している省ではなくして、独特の、内閣に独立の委員会を設けるという仕組みになつているわけでございます。この仕組みについてはいろいろと議論がありましようが、確かに一つのねらいであることは事実でございますが、前段申し上げました土地收用に関する土地收用審査会の性質と私の考えるところでは、ほぼ同じような仕事をするものであるから、これらを一本にして行政を簡素化して、そうしてこれらの諸般の事項を、所管大臣とは別に判定するということにしたらば、私は国家の行政機構としてはより簡素化され、かついかにも矛盾がないのではないかという考えを持つております。  土地收用に関しての問題はそれでございますが、もう一点、私はせつかくお招きにあずかりましたので、意見を申し上げておきたいと思います。それは法案の五十三條と、ただいま申し上げました土地調整委員会との関連でございます。五十三條をひもときますれば、鉱業権設定した後において、どうも四囲の情勢から見ていかにもその被害がはげしい場合、この條文の文句で言いますれば、保健衞生上害があるとか、公共の用に供する施設を破壞するとか、あるいは農業、林業もしくはその他の産業の上利益をあまりにそこねるとか、かたがた公共福祉によくないというような場合には、その鉱区について減少の処分をし、あるいは鉱業権を取消さなければならないという規定があるということでございます。これは実に重大な規定でございまして、その立法されたゆえんの趣意も私は十分了解できるのであります。また通商産業局長を否認するわけではない、これはおそらく局長としては非常な愼重な態度でこの処分をやられるわけでございましようが、この処分を取消さなければならないと條文化してあるにもかかわらず、もしこれを取消さなかつた場合においてはだれがこれを救済するかということでございます。たとえば福岡の例をとつてみれば、福岡県の知事、あるいはその地方の利益を代表されるような方々から見れば、こういう事案が起つた場合、所管の通商産業局長がなかなかやつてくれないという場合には、公益の代表者として何らのこれに対して発言権が持てないじやないか、要請権がないではないかということを私は考えるのであります。鉱害が起つてから跡始末をする、金銭賠償の問題も先刻拜承いたしましたが、起つてから後に金で解決するとか、原状回復をするということはなかなか容易ではありません。それかといつて鉱業権を全部取消してしまつても、これではあじけないのであります。そこでできるならば、他と調和がとれるように、できるだけ防災的の施設をやる、そうして害を少くするということに常に注意を施す必要があると私は思います。これは国土保全上必要であり、その他諸産業との調和上必要であると思うのでありまして、五十三條の発動をしなければならぬ状態に持つて行かない前において、これらの害を未然に防ぐ処置については、たとえば県知事とか、あるいは各省大臣等があたかもこの土地調整委員会に禁止区域の請求権があるがごとく、ある鉱業地区についてそういうことを通商産業局長あるいはまた土地調整委員会に対して、そういうことを請求する権利を法文化したらどうかということでございます。害が起つて金銭的に処分するということではすでにおそい、ことに日本のような国土の狹いところにおいては、金で済ませるということでは済まされない問題がある。できれば両方調和をとるようにしなければならぬ。そのためにはどこまでも私は災害を未然に防ぐようなことを両方に事前に注意するというところに——五十三條のごとき取消すというようなのは最後のどたんばであります。できれば取消さずにできるだけ害を少くする施設が必要だと思うのであります。こういう点について県知事または所管大臣がそういう危險あり、またこれに対する防災施設についてかくあるべしということを通商産業局長に対して要請する、そういう請求権を認めるべきではないか。もし通商産業局長が不適当ならば、せつかくつくるところの土地調整委員会に対してそういう請求をする。つまり禁止区域という一番強いものについての救済手段があるにかかわらず、もう少し、いま一段低いところで双方の調和が十分とれるような処置についての請求権がないというところに、この法案に対して若干欠陷があるのではないかということを私は考える。通商産業局長の認定その他が決して不信であるとは私は思いませんけれども、何といつて鉱業権を御所管になつておる通商産業局長のことであります。鉱業権に対してつらいことを言うということはなかなかむずかしい。そこでこれはやはり公益を代表する県知事とか各省大臣とかいうようなものが、これに対して多少の発言権を持つことが妥当ではないか、こういうことで国土保全、他の産業との調和をはかつて、そうして鉱業権があまりに世間から恨まれないようにする。一国全体の産業が振興することのために、かようのことを若干申し上げたわけでございます。
  36. 小金義照

    小金委員長 何か御質疑はございませんか。——ほかに御質疑がなければ、これをもつて本日の公聽会を終りたいと存じます。  この公聽会の終了に際しまして、公述人に対して一言この席からごあいさつを申し上げます。公述人各位におかれましては、非常に御多忙の中にもかかわらず、長時間にわたつて出席をいただきまして、貴重な御意見を開陳していただきました。まことにありがたく、当委員会を代表いたしまして、委員長から厚くお礼を申し上げます。  この両法案審査にあたりまして、各位の御意見ないし御趣旨の存するところを参考にいたしまして、十分愼重審議を期したいと存じます。本日はまことにありがとうございました、お礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後二時四十一分散会