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1950-11-17 第8回国会 衆議院 通商産業委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十七日(金曜日)     午後一時五十七分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 中村 幸八君    理事 高橋清治郎君 理事 今澄  勇君       神田  博君    澁谷雄太郎君       高木吉之助君    中村 純一君       福田  一君    村上  勇君       風早八十二君    田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  横尾  龍君  委員外出席者         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農 林 技 官         (農政局肥料課         長)      長尾  正君         通商産業事務官         (通商化学局化         学肥料部長)  柿手 操六君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 十一月十七日  理事河野金昇君の補欠として高橋清治郎君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  鉱業法案内閣提出第一九号)  採石法案内閣提出第二〇号)  鉄鋼業纎維工業化学工業その他一般工業の  実状特に需給並びに金融状況に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 これより通商産業委員会を開きます。  議事に入ります前に、理事補欠選任についてお諮りいたします。本日理事河野金昇君より理事辞任の申出がございましたので、その補欠選任を行いたいと思います。従前の例によりまして、選挙の手続を省略いたしまして、委員長において指名いたしてはいかがかと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議がないようでございますから、高橋清治郎君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 小金義照

    小金委員長 これより議事に入ります。  鉱業法案及び採石法案一括議題といたしまして、御質疑があれば昨日に引続いて御質疑を続けたいと存じます。——別段御発言もございませんようでありますから、鉱業法案及び採石法案質疑はこれをもつて打切ります。但し、後日補充的な質問、あるいは委員長において適当だと思われた場合においては、質問を局部的に制限して許すことにいたします。  次に本日公報をもつて御通知申し上げました問題の中で、昨日理事会において決定いたしました化学工業に関する問題としての肥料輸出及び需給等に関する件について発言の要求がございますので、この問題について調査を進めます。この際本件につきまして念のため一言申し上げておきます。それは肥料問題は常任委員会所管事項の点で農林委員会の方にも関係がありますが、当委員会といたしましては、通商産業行政の範囲内において、この問題を審議の対象とすべき建前となつておりまするから、その点お含みの上御発言をくださいますようお願いいたします。  これから発言の申出順によりまして発言をお許しいたします。阿左美廣治君。
  5. 阿左美廣治

    阿左美委員 私二、三質問を申し上げたいと思いますが、まだ安本関係のお方がお見えになつておりませんので、それはあとまわしにいたしまして、まず昨日の本委員会におきまして、肥料輸出に関する同僚議員質問に対しまして、首藤政務次官は、肥料合理的増産によつて生産原価を下げることは、それだけ消費者価格を引下げ得ることになる、また国内需要に対する過剩生産分輸出し得ることとなる、しかも輸出価格が割高であるため、その方の利潤をまわすことによつて国内消費者価格を引下げ得ることにもなる。かたがた一挙両得であるというような御説明がありました。このことはまことに望ましいことであり、可能性もある。しかしながら自由放任のままではたしてこれが可能であるか、あるいは逆に国際価格にさや寄せして、国内価格の騰貴を見るおそれもなしとしないので、従つてこの間何らかの統制の必要あることになりますが、これに対しまして通産大臣の所見をお伺いいたしたいのであります。
  6. 横尾龍

    横尾国務大臣 お答えを申し上げます。肥料行政に関しましては至つて重大と考えております。従つて国内需給事情もよく考究いたしまして、そうして生産がこれにマツチするようにしたいと思います。現在の情勢におきましては、多少の輸出し得べき量、今後九万三千トンは輸出可能であるということが、農林省安本通産省当局において考究いたしまして、ほぼそれに近い数は間違いなくできるというような報告を得たのであります。それによつて輸出も定めて行きたいと考えております。ことに私は、この肥料に対しましては、硫安についてでありますが、先般松尾鉱山に行きましたときに、原料硫化鉱国内資源も相当にある、これは輸出してもなおかつ資源としてはさしつかえないというような話だつたのでございます。つきましては私たちとしては、国内資源の豊富なるものを、もしもできますならばこれを輸出方面に向くようなものに加工することが最も望ましいことだと思いまするので、そういうよう考えを発表したことがあるのであります。お断りしておきたいことは、ただこれは資源があるから輸出するというのではなしに、今後電力事情も緩和し、そして生産国内需給を上まわることになりますならば、さしつかえないかと思います。従つて現在の状況におきましては、外国の方が多少内地よりは価格は高いと思われますので、こういうよう利潤を会社が得ますならば、国内的需給のみを目標としてやつておりますときに、欠損続きであることもカバーすることができると思いますので、国内生産、そして価格操作にも有効でないか、こう考えるのであります。政務次官もさよう考えて御答弁したものと思います。現在の状態におきましては、幾らかずつは増産もされつつあります。また肥料をお使いになる農家の方面においては、また在来肥料が少なかつたので、再びそういうよう状況になるということを非常に心配しておられるということはよくわかるのでありますが、今後といたしましても国内需給をよく見きわめて、その上で輸出はすることにいたしたいと思います。さしあたり来年の五月までは、九万三千トン以上の能力はないというように現在では内定しているわけであります。その前もでき得べき増産をすることを極力進めて行きたいと思うのであります。御了承を願います。
  7. 阿左美廣治

    阿左美委員 なお肥料行政の一元化につきまして質問をいたしたいと思うのであります。生産より配給に至る一切の肥料行政をあげて農林省に一元化してはというよう議論が最近一部にあるというように聞いておりますが、少くとも生産に関する限り他の一般工業と切り離して、肥料工業だけを農林省に移管するということは、肥料工業が他の工業密接不可分関係にあり、これのみを切り離しがたき点があると思いますが、これはいかがでありますか。それとも現在のよう通産省所管なるがために特に弊害があり、これを農林省に移管すれば改善せられる見通しが確実であるかというような点もあるか、いなかということにつきまして、通産大臣の御答弁を承りたいと思うのでございます。
  8. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいまのお話通り肥料生産化学工業のおもなる一部になるのであります。従いまして私はこの生産農林省に移管されるということに対しましては、よく考究いたしませんければ、ただちに賛成することはでき得ないのであります。またこの肥料生産農林省に移したら非常に有利になるかというお話でありますが、私は農林省に移したから肥料生産が非常によくなるということは、どう考えても考え得ないのであります。やはり生産生産部門において、そして関連するものが多々ありますので、たとえて申しますと硫安にいります硫化鉱の採掘のごときも、これは関連するものであろうと思います。だから簡單に向う行つてそれがうまく行くとは考え得ないのであります。ただ現在行政管理庁で行政機構について討究をされつつありまするので、これの結果を見まして、私はただいま申し上げましたような意見は強く申し出るつもりでございます。さように御了承願います。
  9. 小金義照

    小金委員長 次は今澄勇君。
  10. 今澄勇

    今澄委員 それではまず第一番に大臣にお伺いいたしますが、きのうの農林委員会で、廣川農林大臣は、農林大臣であるとともに、行政機構改革責任者として、河野謙三氏の質問に答えて、きよう中外商業新聞の伝えておることは少し違つておりますが、少くとも農林省へ一本にまとめるよう方向に向つて、この肥料行政機構改革というものを今やつておる、そういうよう答弁をされております。しかして河野謙三氏の質問は、農林大臣通産大臣のあなたとの両方にあつたにもかかわらず、あなたはそれに対して答弁をしておられない。そこでこれから受けた印象は、通商産業大臣は、肥料行政というものが農林省へ一元化するよう行政機構改革できまれば——そういうふうに強引にきまればやむを得ないものであると、かようにお思いになつておるのであるかどうか。それから、この肥料行政というものはかつて農林省にあつて生産部門通産省参つたのでございますが、そういつたいきさつから見ましても、そういう際における通産省責任者として、通産大臣は所信を明らかにし、そして肥料行政に関する自分の見通しはこうだということをひとつ明瞭にされたいと思うが、なぜそれがなかつたか。もう一点は、今の日本肥料行政というものについては、内閣で大体御相談があつて、おそらく対外的な発言については、行政機構改革審議会でやつておるから、それがきまつたならばというおざなりな答弁になると思いますが、少くとも通商産業大臣は、現在の生産配給に関する行政機構は可なりと思われるか。それとも欠点があると思われるか。あればどういうところが悪いかという点について、おさしつかえなければお答え願いたいと思います。
  11. 横尾龍

    横尾国務大臣 農林大臣の御答弁にも、この生産部門通産省に移つたことに対して、歴史があるということをおつしやつたようにも私は覚えております。全面的に向うに持つて行くのだというようお話ようには受取らず、よく討究してからというようお答えように私は受取つたのであります。それによつて再び私はよく討究してということをお話したように思つております。私の考えは今申し上げました通りに、通産大臣としてはこれを残しておくべきものなりという信念のもとに処置するつもりでおります。それから現在通産省でやつておるために不都合があるかというお話であります。もちろん現在の化学肥料生産に対して満足してはおりません。しかしこれは省が通産省にあるがゆえにこういうような結果であるということは、私は信ぜられないのであります。現在の情勢下におきまして、努力すれば今以上よくなることはわかりますけれども、現在の状態においてはさしたる欠陷がありとは私は考えられないのであります。ただこれからどうしてこの増産をやるか、あるいはまたどういうふうにして電力等ももらうかということに対して、大いに討究すべきところは多々あるかと思いますけれども、ここに欠陷がありとは考えておりません。さように御了承願います。
  12. 今澄勇

    今澄委員 それで私は結論的に申し上げますと、配給部門農林省で、それから生産部門通産省という現在の形は、今までの経過から見ると妥当なものであろうと思うのです。ただこれを資源庁ように一本にしてつくるというような問題が一ころ出たけれども、現在の情勢下におきましてはむりであろう。だから通産大臣は、少くともそういう質問が出た際には、肥料生産配給機構については現機構が最上のものであるということを、自信に満ちてお述べになるように希望をしたいのであります。それからもう一つ自由主義経済を非常にやりたいというこの内閣が、鉱害の今度足らないのを寄付金で賄う。綿布その他の自由経済のもとにおける値上りも、これは暴利取締令の発動をしなければならない。すべてそういつたように、わが国の現在の経済は、少くとも自由放任自由経済ではやつて行けないとという矛盾した部面が非常に現われていることは、通産大臣も御了承であろうと思うのであります。私はその意味において肥料工業というものが、今度肥料配給公団を解散して野放しになる際にも、おそらく大きな欠陷を現わすであろう、そうして肥料は決して安く農民の手元に行かないということを私ども質問したら、いや、そういうことはないのだというそのときのお話でございましたが、最近の情勢は、御承知ように非常に肥料が値上りして、農民は困るし、農村委員会等において非常に問題を生ずる。しかし製造メーカーのことについては、農林委員会ではそう大して取上げていないのですが、私は率直に申して、現在の七百円がらみのものを、今度新しくきまつた六百何十円の相場で現在の肥料工場を平均してみると、これではやつて行けないというのが半数あると私は思うのであります。だからそういうような一方的な議論で、しかも肥料工場採算は立たないという際に、それが自由な値段で、幾らでもいいか。あと農林省責任者に聞きたいが、この値段がきまりかかろうとするときに、通産大臣、それから安本長官、それに廣川農林大臣、この三大臣業界代表を集めて、現在の肥料値段を上げないでくれというように話されたそうでありますが、こういうことは強圧的な、いわゆる石炭に関する寄付金、あるいは暴利取締令、あるいは肥料価格に関する政府の圧力、こういつた一つのにらみと圧力によつて日本価格体系というものを、現在の通産省安本としては計画しておられるのか、この勧告ほんとうに軽い意味のものであつて従つても従わなくてもいいものであるかどうか。それからそういう勧告をされた理由と、それがもし聞かれなければどういう弊害があるのかということを御説明願いたいと思います。三人行かれたら、あなたもその中におられたはずであるから……。
  13. 横尾龍

    横尾国務大臣 農林大臣安本長官、私の三人が業界の方にお話したということですが、ちようどそのときは農林大臣はおられなかつたのでありますけれども農林大臣の御意向は承つて、そうして業界の方にお話したのであります。これは実はもう皆さん御存じ通り、指令が出まして、七万七千トンの肥料輸出の問題であります。これを安本農林と私の方で討究しておつたのでありますが、農林当局からは十月の値段を上まわらないように、十一月、十二月の値段をそのままにすえ置くことが條件だというのと、もう一つは量でありまして、量をたしか十一月、十二月七万五千トンを国内にまわすことができるならば輸出に賛成するというような話だつたのであります。これは肥料をよこせば砂糖も出すという向うからの話だつたのであります。ちようどマーカツト会談のときにこの肥料の問題が出まして、今度の話合いでは肥料輸出は、台湾から申出て来ておるのにはぜひ出すように努力しろ、そうすると砂糖も来るじやないか。また今後においても肥料輸出することによつて食料品が入つて来る。米が入つて来たり、砂糖が入つて来たりするから、何とか増産するよう努力してくれ、台湾代表が帰るから至急にそれをまとめてくれ。こういう話だつたのであります。肥料業者の方々にそのことを相談したのは事実でございます。それで今申し上げますように、そのときは六百九十三円五十銭という値段つたと思います。それをそのまますえ置いてもらつた輸出することができるというので、現在の商談は、多少の損失はあるかもしれぬが、この際は何とかこれでまとまるようにしてもらいたいということを業界の方に話したのであります。それは十一、十二月の価格を上げないようにしてくれということであつたのであります。大体統制をはずしました今日でありますので、肥料価格を押えるということは法律的にでき得ないのであります。春肥に対しましてもなるべく増産もし、製品も増し、そうしてまた多少公団手持ちもありますので、こういうので操作をして、あまり多く上騰をせぬようにして行きたいものだと考えております。
  14. 今澄勇

    今澄委員 私は今のあなたのお話を聞くと、特別鉱害の方も業者を集めて二円ずつ寄付してもらいたい。これも金額をはつきり明示して寄付してもらいたい。片方の方は肥料値段も大体守つてもらいたい。あと農民代表に聞きたいのだが、農林省のいろいろの意向を聞いてみると、最初の値段はどうしても七百何ぼの相場で行きたい。その後においては自由販売的なものであるから、そういう方向に行きたい。こういう話であつた。それで私が通産大臣に言うておきたいことは、たとい四千万農民の声であろうとも、少くとも一つ理論に貫かれておらない、そうして矛盾がある場合においては、産業をあずかるあなたは敢然としてその矛盾を突いて、正論を吐かれる必要がある。われわれは日本肥料がもし農林委員会が言うがごとく外国への輸出をとめて、わが国内において肥料を余らして、それでたたけば肥料相場というものは国内需給の上から言うとなるほど安くなるでしよう。しかしその安くなつた肥料工場原価に合わぬということになれば、工場の新しい修復をやめて、工場の原單位の引下げをいくらやつても、足りぬところは、労働者首切り、結局日本肥料産業が破壞するということになります。それは一時、ちようど石炭の柱まで払つて出したと同じような姿が自由経済のもとにおいて日本で行われるのであります。その結論は、最も必要とする肥料というものが、将来農民に十分供給できないという結果になつて現われると私は思うのです。だから少くともそれらの点については、あなたは一国の通産大臣としてそうした正論の上に立つて、これはこうなつて、こうなつて、こうなるのだ。だから輸出を大いにやつて、その輸出値段もこの程度国内における肥料値段はこの程度、こういう生産計画でこうなるということを説明されればよくわかるのだが、それらの問題についてのあなたの説明が明確でないために、肥料輸出をやめて、国内にだぶつかせて、そして需要供給で安くしさえすればこれら農民に非常に有益な結果をもたらすという印象を与えておると思う。アメリカは、御承知ように、そう日本硫安とかその他の肥料工業に匹敵するような大きな肥料の案は考えておらぬ。東亜の市場においてはどうしても日本肥料工業のせわになるという現段階わが国肥料工業重要性を認識されれば、いま少しく通産大臣として敢然としてそれらの問題に対する態度があつてしかるべきだと思うが、あなたはそれらの問題に対して何だかはつきりしないということですが、一ぺん御心境をお聞きしたいと思います。
  15. 横尾龍

    横尾国務大臣 非常によき鞭撻の言葉をいただきましてありがとうございました。肥料生産につきまして責を持ちます当事者といたしましては、国内需給はつきりきまり、またそれに幾らマージンがあつたらよいか、そうして生産は今後電力幾らつたならば幾らできる、あるいは原料幾らつたならば幾らできるということをせつかく討究をさせつつありますので、それによりましてこれだけのものがほんとうに残るのだというよう数字を得ましたならば、いろいろの理論は排除いたしまして、今のお話通りに行きたいと思います。但し現在のところではまだ肥料幾ら国内残つてつて幾ら生産ができて、幾らいるかというよう見通しはつきりいたしておりませんので、強硬に私の考えを遂行して行くことができないことははなはだ遺憾に考えておりますが、私はあなたのお話通り数字的に出て来ますならば、それを基礎として肥料輸出も当然やるべきものであると信ずるのであります。さように御了承を額います。
  16. 今澄勇

    今澄委員 通産大臣に私がもう一点聞きたいのは、今の肥料原価計算から来る各工場の電解並びにガス法による肥料の單価というものは大方おわかりであろうと思います。それはそれらの工場が今日上げておるところの利潤と今の価格というものを比べると、大体半数以上は——これは私の見解ですが、赤字が出るというよう状態でありますが、配給面において上げられる利潤というものはどの程度のものがあるかということを御存じならば通産大臣に聞きたい。もし通産大臣御存じなければ、後ほどほかの方がお見えになりますまで待ちますが、農民肥料を安く供給するということが目的であれば、一つの強圧がメーカーの方にもかかるならば、これらの配給部面の方にもかからなければならない、そうでなければ片手落のやり方ではないかと思いますが、どうですか。
  17. 柿手操六

    柿手説明員 こまかい問題でございますので、大臣にかわりまして御答弁申し上げます。現在一般商人の系統のマージンというものははつきり掌握しておりませんが、農業協同組合関係マージン全国機関及び県の段階で約三%、單位農協は四%程度マージン配給しておるように聞いております。  それから現在のマーケツト・プライスでもつてメーカーがどのくらいのマージンを得ておるかということについての御質問でございますが、実は価格に関する行政が七月三十一日まで物価庁にございまして、八月一日以降は化学肥料に関する統制はやめております。従つて化学肥料原価に関する所管生産行政を担当いたしております通産省所管すべきものと心得まして、私どもも従来物価庁価格統制をいたしておりました当時から関係しておりますので、それらの資料をもとにいたしまして、現在先ほども大臣お話になりました通りに、今後の肥料価格の適正をはかりますために種々検討をいたしておりますので、こまかい数字についてただいまお答えは困難でございますけれども、少くとも現在のマーケツト・プライスでは今澄議員のお説の通り、むろんガス法工場半数近いものは相当経営上困難なものがあるように想像いたします。これは各工場メーカー幾らにしておるかということについての詳細なるデーターは、ここでただちにお答えは困難でありますけれども、従来の資料、最近の物価状況等を勘案いたしまして、少くとも現在の価格で将来もずつと肥料工業が確実に行けるということは困難ではないかと考えております。
  18. 今澄勇

    今澄委員 ただいまの柿手部長説明で非常に具体的な大体の見当がわかりました。そこで私が大臣にお伺いするのは、大臣は今お聞きのようガス法工場半数以上が採算が割れるということになれば、今起つておる労働者首切りの問題、その他私の言うよう肥料工業の壞滅ということになるわけです。そこで大臣は、少くとも通産省は今後の価格については配給公団をはずして自由販売にした建前を踏襲して、純然たる需要家供給者需要供給市場において経済原則によつてきめて行かれるのか、これは今度の値段については時日も短いことですが、それが切れた将来においては、一体どういう措置をとられるか、もし前もつて考えがあれば聞いておきたいと思います。
  19. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいま今後の価格について何か統制をするかというお話かと思いまするが、現在自由価格に移つておりますので、ほかに統制をしようという考えはありませんが、不当に上つたときは、これはまたそのときによく検討しなければならぬことだと思つております。
  20. 今澄勇

    今澄委員 失礼ですが、もう一ぺん重ねて質問する要点は、今後肥料価格について需要者供給者の自発的な値段でしばらくはやられるのか、それとも今回と同じように再びメーカーならメーカーを呼んで、もうしばらくこの線でやつてくれということを言わなければ今の価格は持てないのかどうかと聞いておるわけです。
  21. 横尾龍

    横尾国務大臣 今回やりましたのは特殊なものでありまして、一般的じやないということを御承知願います。そこで現在の情勢におきましては、需要家生産者との間の自由協定によるほかはないと思つております。
  22. 今澄勇

    今澄委員 それで大体判明したことは、結論として肥料配給公団廃止は時期が早過ぎたということ、それから肥料配給公団廃止をしたあと肥料需給調整について何ら政府は成案がなくて事態を楽観し過ぎたということ、それから全般的な日本経済が朝鮮事変の勃発で自由経済ではやつて行けないという要素が来たという、こういつたいろいろ矛盾の中で、この肥料輸出の問題、農村の肥料値段の引下げの要望、肥料工業労働者が要求した肥料工場採算のわく内における肥料工業の存続というような、いろいろ矛盾した問題がそこから基因をしておるのであつて、現在の内閣経済政策がどこかにむりがあるというふうには考えられませんが、私は少くとも肥料値段を自由にやらせるならばこれは全鉱連なり、あるいは肥料メーカーが自由にきめて、それで行けるよう増産態勢が成り立つていない前に自由放任にすることはもつてのほかだと思います。  それからもう一つ肥料の将来の問題ですが、今後の輸出する肥料と、国内需給数字とがまだはつきり立つておらぬという大臣答弁でございましたが、少くともわれわれはこれまでしばしば肥料問題を討議したときに、日本肥料における計画、それから日本肥料需要量その他のものは安本で年々これを出しておりますが、そういつた計画は今日になつて急に自由経済という名のもとに、非常に不明確になつたのですが、こういつた農村経済に重大な影響を持つ肥料というようなものについては、そういう計画がこれまた必要であることをみずから答弁の中に漏らし、そういう計画はまだきまつておらぬので、どうも弱つたという御答弁で、私もはつきりわかりました。大臣はこれらの肥料工業の将来について、輸出の計画、国内需給見通し、並びに原料である電力、あるいは石炭、あるいは硫化鉱等の一切のものを勘案して、日本肥料工業はどの程度まで持つて行かれるのかということについて、もしここで御説明が伺えるならば仕合せです。
  23. 柿手操六

    柿手説明員 肥料の将来の見通しでございますが、先ほど大臣から申されました今肥料年度の五月までに九万三千トンの輸出余力があるという計算は、これはさしあたり今肥料年度の情勢でありますが、将来に向いましては国内需要量二百十万トン程度までは確保いたしまして、さらに朝鮮、台湾その他の東南アジア地域に向つてさしあたり五十万トン程度輸出ができるように、合計二百六十万トンの肥料増産して参ろう。そのために資金の面なり、その他工場の転換の問題なり種種特別な措置を講じまして、その線まで今後二箇年くらいのうちに進めて参ろうという案を通産省としては立てておるのであります。これは御承知ように、安本で二十八年度を目標とする自立経済の三箇年計画を目下審議中でございますので、通産省としてはこの案をつくりましたが、安本経済自立三箇年計画にこれを織り込みまして、目下検討いたしておるのであります。検討いたしております経過は、大体われわれが考えております線に沿つて安定した窒素肥料増産対策を遂行しようというふうに進行しております。
  24. 横尾龍

    横尾国務大臣 先刻私がお答えしましたことに対して誤解がありはせんかと思いますから、ちよつとつけ加えておきます。まだ需要幾らあるか確定してないということを申し上げたとお聞きとり願つておると思います。これは私の納得行くよう数字でないのであります。しかし大体安本案としてできておる案はあるのであります。私がそれをほんとうに納得はし得ない節も多々あるのでありまして、これは私の考えを申し上げたのでありますから、そのように御了承願いたい。
  25. 今澄勇

    今澄委員 お話を聞いて一応わかりましたが、今後の肥料値段についてはメーカー圧力をかけたり、いろいろ人工的な作為はしない。それから肥料は、今繊維は大きく上つたものは非常な高騰をしておりますが、そういう非常に影響を及ぼすような暴騰をする場合には別途の措置を講ずる。肥料輸出については、今柿手部長から説明のあつた、そういつた線において大体肥料増産に進まれる。以上の大体の観点は、農林委員会においてこれを討議されておつた模様とはやや私は違うと思います。私個人の見解としては、通産委員会農林委員会はやはり一応合同して、おのおの專門的な立場からこれらの問題を検討するというよう意味において、通産、農林委員会の合同審査を要求し、農民の皆さんの要求の中理論の通らないところはこれを修正して行き、わが国産業を将来どういうふうに持つて行くかというところに大きな目安をおきたいと思います。農林関係の方に質問したいことが非常に多いので、農林省の人が見えるまで私は質問をやめて待ちますが、最後に一言だけ通産大臣にお聞きします。例の特別鉱害の問題で、あまりこまかいことは御存じないでしようが、一応業者にあなたが言われた寄付金の問題については、あなたのお考えでは、大体業者がみんなその寄付金を出してくれて、これがうまく行けるよう印象であつたかどうか。これは九州関係特別鉱害地区に強烈な打撃を与えていると思うので、この見通しをひとつお聞かせ願いたいということと、あなたはどういうふうな意味合いから、その四億の足らざるところを業者の寄付にまとうとされたかという理論的根拠と、もう一つは、もしその四億が調達できない場合には、きのうのあれで行くと、いかなる場合においても認定した鉱害だけは下げないということであつたので、私はそれでよいと思うが、政府の中で何とか差繰りをして、わずか四億くらいのものは出せないかどうかというような点について、簡單でもけつこうですが、もし何かお考えがありましたらひとつ……。
  26. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいまの寄付金の問題でございますが、これは先般特別鉱害の措置法がかわりましたので、それによつて予算等もかわるかもしれませんが、今のところ約三億九千何ぼ足らぬようになつております。これは五年間でありますので、その間に何とか処置も考えたいと思いますが、さしあたり、できまするならば、同業者の方方に御配慮を願いたいということを申し上げたのであります。もちろんこれについては、全部御納得が行つていないだろうという節もあるのであります。ことに宇部炭鉱のごときは、しよつちゆうそういう特別鉱害に似たようなことがあるが、それに対しては何ら処置をとられないでおるではないかという御意見も出たようであります。これについては速急に出資しなければならぬ段階にありまするので、まず困つたあげく、ぜひひとつ御寄付を願つて、これで何とかさしてもらいたいということをお願いしたのでございます。さように御了承を願います。
  27. 今澄勇

    今澄委員 それではあと質問もあろうと思いますから、私はやめますが、とにかく通商産業省というのは商工省からかわつて日本の商工行政産業政策の一番重大な行政府ですが、この商工省は歴代どうも弱い。そうして金の力によつて、融資その他で大蔵省の圧力があつて、先般の小瀧炭鉱のように、通産省としては不当なものであつて、融資の対象にならないというものでも大蔵省がついにきめたという、速記録に残つておる首藤政務次官答弁によつても、金のことについて大蔵省に押えられて、通産省は動きがとれない。予算の上においてもなかなか意見が通らない。法律を議会でつくつても、そのつくつた法律をそのまま施行したのでは——議会はむろん修正したけれども、その通り仕事が運ばない。そうしてしまいには業者を呼んで話したり——私は連帶附帶の精神でそれらのものをやられるという根本思想には何ら異議はないが、これは非常な便宜主義だと思う。そうして肥料の問題でも業者を呼んで下げる。また物価も下つて、割当もありましようし、いろいろ通産省が持つている個々の権能の下に折れるところもあるでしよう。がしかし、私に言わせると、もしそういつた工作が続けられると、一国の産業経済政策というものはまことに寒心にたえない。通産大臣は、少くとも通商という名前がついている。いつも言つているのであるが、外務省関係圧力も非常に加わつて、外務官僚の力が大きく動いていることは、白洲次郎氏その他の動きにまつまでもなく明瞭である。私ども日本産業行政わが国の一番重大な大きな国家の産業をあずかる現在の通商産業省が、こういつたよう状態でどうしてやつて行けるかと正直なところ心細く思います。どうか通産大臣はもつと信念のあるしつかりした立場に立つて、どの委員会に呼ばれても、少くとも通産省はこうであるというがつちりした立場に立つておやり願うことを最後に要望して質問を終ります。
  28. 小金義照

    小金委員長 それでは風早八十二君。
  29. 風早八十二

    ○風早委員 今、今澄委員からの質問で要点はほぼ盡きていると思いますが、一、二点だけ大臣に伺いたいと思います。何といいましてもこの問題は、ただ單に通産行政農林行政と、その両者の関係というよりもつと根本的に、やはり国内の農業増産に対して十分なだけの肥料が実際確保できるかという問題になると思うのでありますが、そういう点で私ももちろん農林大臣にいろいろ所信をただしたい点があるのでありますけれども、まあさしずめ通産大臣としてもそういう点については十分な考慮をしておられるかどうか、と申しますのはこの最近の価格の値上り状況、こういうふうなものによつて、それでなくても実際肥料に対して手が出ないというよう農民の実情があるわけでありまして、そのために非常にメーカーもダンピングをしておるというような実情もあるわけであります。そういう点で今度の輸出、特に台湾、朝鮮等に対してこれから輸出するということになりますと、それが実際どれだけの影響を与えるか、そういう点について非常にこれは関心を持たざるを得ないのであります。おそらく農林省側ではそういう点を相当重視されるのじやないかと思います。農林省側の見解も聞いてみたいのですが、通産省としてはそれらの点についてはどれだけの考慮を払つておられるかどうか。これはやはりわれわれとしては通産行政に対する関心から、一応はつきりさせておきたいと思います。まずそういう点でどれだけ今度の処置について、特に価格の面なんか国内供給面に対して、需要者側にどういう配慮を持つておられますか。その点ひとつお聞きしておきたいと思います。
  30. 横尾龍

    横尾国務大臣 今風早先生のお話よく含味いたします。私どもといたしましては、何と申しましても食糧の増産は第一かと考えます。ことにまた戰時中、戰後も肥料が非常に足らなくて、そうして農民が非常に苦しんだ。実は私は農村のまん中に住んでおつたので、そういうことが身近かに感じられれのでございます。でありますから今後農民諸氏の事情に対しましては相当に考えなければならぬ。従いまして肥料増産は最も必要な一方、また先刻から申しますように、私どもといたしましては国内資源の豊富なる硫化鉱を利用して、そうしてこれに加工して出すことは、原料を輸入してそれに加工して出すよりも国内に入つて来ます財貨が大分歩がいいと思いますので、ぜひこの肥料輸出の主要品目に入れるまで増産をやつて行きたい、これが私の願望でございます。ただ現在の段階におきましては硫化鉱の偏在、偏在と申しましては何でございますが、山元にはあるけれども、関西メーカーのストツクは至つて少い。これに貨車の不足もあるだろうし、またその他いろいろの面において不自由な点があるので、せつかく増産に心して——もちろん生産に不足ではありませんけれども、何と申しましても、生産業者はランニング・ストツクを相当持ちませんとある程度増産もどうも心ならずも差控えるのが通例であります。そういう憂いをなくするために、ぜひランニング・ストツクも増したいというのでありますが、時ちようど冬期になりまして、山元から出すのも困難になりはしないかというので、先般実は私は肥料増産の話をされたときに、あの時期にしかたがなければ硫化鉱も輸入してそうして増産をして行きたいということを言つたのでございます。従いましてある程度の量がありますならば、そうしてまた輸出等によつて利潤を得たならば、国内に対する供給価格も多少それによつて緩和ができはせぬか、こう考えるのでございます。その方面に対して全力を盡したいという希望でございますので、さよう了承願います。
  31. 風早八十二

    ○風早委員 今のお話の御趣旨はよくわかるのですが、しかしそれと矛盾するような政策がとられておるように思われるのであります。たとえば今の硫化鉱の輸入にしましても、カナダから入つて来るものは大体八千幾らですか、これは国内の実際価格に対して三割高といわれておりますが、これは決して原料を豊富に入れて、そうして増産すると言われますが、結局は原料高ということでやはり今の一般の通弊になつてしまつておるのではないかと考えるわけであります。そういう点などがどうもふに落ちない。もちろんそれだけではありません。大体今度の輸出台湾朝鮮に特に輸出するということは、これは決しておそらく業者メーカーの納得の行く値段でなされておるものでもなければ、またその量にしましても、これは国内需給関係から言つて、適当な量であるか、こういうようなことを考えた場合、これもまたやはり国内価格の引上げに自然に影響するわけであります。そういう点でどうも一々言われる点とは違つた政策が実際に行われておるのは一体どういうわけかということをわれわれは考えるのであります。硫化鉱の輸入問題は、ですからこれからなお続けるつもりか、一回きりなのか、そういう点をはつきりしていただきたい。  さらに輸出については、これは半ば命ぜられた輸出ようにわれわれ印象を受けるのですが、きようの周東安本長官と司令部との会見談が新聞にも出ておりましたが、これなどによつてもこれはもう台湾、朝鮮へは輸出しなければならぬとしても、その値段というものは別問題であると思いますが、値段にしてもこれ幾らですか、五十七、八ドルですか、そういうよう値段が実際に国内価格にどういうような影響を与えるのか、そうよう点については大臣としてはどういうお考えでありますか、まずそういうような事実関係を明らかにしていただきたい。
  32. 横尾龍

    横尾国務大臣 先刻輸入硫化鉱のときにつけ加えることを忘れましたが、輸入した原料では国内のものには価格が高くなりまするので、国内だけの需給は今の国内原料でまず立つておるのであります。だから輸入したものの原料輸出するものに向けてもらいたいという考えであります。それで高い原料でありますから、国内の方に使つたら高くなるだろうということは、一応解消しはせぬかと思います。  それから輸出価格につきましては、業者向うの買う方との間の協定でありまするので、現在のところどのくらいに相談ができておりますか、実はまだ聞き漏らしておるのであります。しかしこれは政府の関係せない、業者向うの方の商取引と御了承願います。
  33. 風早八十二

    ○風早委員 商取引によつた自由な価格だと言われますが、今のたとえば台湾向け、たしか五十四ドルくらいじやないかと思いますが、台湾国内価格というものは九十ドルといつておりますので、運賃を入れましても相当開きが大き過ぎるように思う。相当たたかれておるような感じを受けておるのでありますから、そういう点はどうでしようか。肥料部長からでもひとつお答え願います。
  34. 柿手操六

    柿手説明員 台湾及びその他の地区に向けて九万二千トンの輸出をするという方針を政府はきめたのでありますけれども、それは輸出の申請があつたらその限度に許すというのでありまして、価格については政府としては一切干渉しない、当事者間の取引にゆだねておるのであります。従つて直接今どの程度に話が進んでおりますか、正確には存じませんが、いろいろな情報によりますと、当初台湾側では五十ドルとか、五十ドルちよつとくらいなところを希望したようでありますが、最近はだんだん折れまして、五十四、五ドルないし六、七ドルという点まで讓歩するのじやないかというようなけはいにある。はつきりと契約が成立したものはまだ私ども聞いておらないのであります。おそらくまだ値段については折衝中であるというふうに考えております。
  35. 風早八十二

    ○風早委員 今度の輸出の問題につきましては、通産省輸出許可を單独でやられた、そのために農林省に非常なシヨツクを与えておるように聞きますが、そういうふうなことはあるのですか。
  36. 柿手操六

    柿手説明員 肥料統制が八月一日以後撤廃になつたのでありまするが、その肥料統制撤廃後において、いろいろ肥料行政のやり方について、閣議におきまして大きな方針がきめられておるのであります。その中に肥料輸出の問題をどういうふうに扱うかということが一項目あるのでありますが、それは統制撤廃後における肥料輸出はあらかじめ政府部内において、関係官庁が関係者の間で輸出のわくをきめまして、そのわくの範囲で民間輸出を認めて行こうという方針がきめられておつたのであります。そうして八月一日に入つたのでありまするが、統制撤廃後すぐ各方面からたくさんの輸出申請が参つたのでありまして、通産省といたしましては、その申請のうち確実なものと認められるものにつきまして輸出を許可したらよかろうということで、相当数の申請を取上げまして、これを農林省の方に輸出管理令に基く同意を求める文書を出しました。それが約二万四千トンかと存じておりますが、そのうち七千トンにつきましては、農林省から文書をもつて同意があつたのでありまするが、あとの一万七千トンにつきましては、文書をもつて御同意がない、協議中のうちに許可の指令を出しまして、輸出が行われたという事実はあるのであります。その点につきまして私どもの事務上の手落ちがありましたことについて、はなはだ農林委員会においてもきつい御叱責がございまして、この点につきましては大臣初め私どもはなはだ遺憾だというので、おわびを申し上げておるわけであります。
  37. 風早八十二

    ○風早委員 先ほど横尾大臣が言われました、農林省に移管したからといつて、それだけでうまく行くわけじやない、同様に通産省に置いておても、それだけでうまく行くわけじやない——そのあとはちよつとはつきりしなかつたのですが、大体所管の問題よりももう一つ奥に——所管の問題についてはもちろんあると思うのですが、何といつてもやはりメーカーの利害関係農民側の利害関係とが決して一致しておらないわけでありまして、それぞれ各省がやはりできるだけその管轄の利害関係を尊重されるという意味で、どうしてもそれはうまく行かない点があると思いますが、その点は前からある問題なんですが、もう一つやつぱりどつちにころんでも、これはうまく行かないというような理由があるのじやないかということです。先ほど農林省に移管しただけで、そのれでうまく行くわけじやないと言われたその根拠は大体どういうところにあるわけですか。
  38. 横尾龍

    横尾国務大臣 まず先刻の、今回の分は通産省だけでやつたのではないかというお話ですが、今部長からも説明いたさせましたのは、九月の初めに起りました農林省通産省との間の問題であります。今回の輸出に対しましては、今回と申しますのは十月半ば過ぎから起つた輸出であります。これに対しましては関係者でよく常に話合いをいたしまして、意思の疏通をはかつてつてつたのであります。それから今の農林省に移管したからといつてうまく行かぬというのは、これはただ所管がかわつたからといつて急にうまく行くものではない、ことに生産工業はやつぱり生産部門を受持ち、そうしてこれに関連産業のものを監督しておる所でやつた方が私はベターだと、こういうよう考えを持つているものでございます。さように御了承願います。
  39. 風早八十二

    ○風早委員 そういう問題でなく、やはりどつちに移管しても、また通産省にとどめておいてもうまく行かないと私が考えたわけは、一体日本肥料のあり方が国内需要を満たすということ、特に今要求されております農業の増産に応じて行くという点に重点があるのか、あるいはまた輸出に重点が移つたのか、そういう点がやはり根本の問題になると思います。輸出の場合には、やはり日本にとつてどうしても緊急に輸入しなければならぬものの見合いにおいて、輸出をいやでもおうでもしなければならぬ。日本肥料生産の設備が相当あるし、電力問題なんかともからみ合せて、そこをねらつて肥料をできるだけ安く外国に出す、その肥料輸出の点に重点が移つて行つておるのではないかというふうな感じを持つのでありますが、その輸出というのは、その結果自然に増産になり、過剩になつてこれを輸出するという意味で言つておるのではなくて、いやでもおうでも、とにかく輸出の割当というものができて、それでいやおうなしに輸出しなければならないというところに非常なむりがあるのではないか、そのためどつちにころんでも、なかなか肥料生産がうまく行かないのじやないかという感じを持つのでありますが、むろんそういう点も気がついておられると思いますが、大臣はどういうふうなお考えを持つておられますか。
  40. 横尾龍

    横尾国務大臣 お答えします。日本の国は何と申しましても農業が非常に重大なるパーセンテージを占めており、ことにわれわれの食糧、国内では足りないので、輸入しておる際でありますから、幾らでも増産すべきことは当然のことと私は思います。これに応じます肥料を第二次的に考えて、輸出を第一次的に考えるということは、どうしても考えられないのであります。でありますから国内需要を第一といたしまして、生産を増強し、そうしてそれにつけ加えた増産ができたときにこそ初めて輸出をすべきものではないかと考えております。今回の輸出を、ぜひしなければならぬようなことになつたときにはというふうなお話つたと思いますが、それもこれだけならば輸出し得るという目安のついた範囲内において引受けたのでありまして、過日農林委員会でも説明いたしましたように、来年の五月までに九万三千トンまでは出し得る、こういう現在の情勢における三省の会談できまりました数字を基礎として同意をしたのであります。
  41. 風早八十二

    ○風早委員 今通産大臣としてやはり農業増産が第一だと言われたことは、これは特記すべきことだと思います。しかし実際の政策はそうなつておらないということも事実であります。何といつても今まで、特に肥料というものが、日本の利害関係でなしに、他の国の利害関係によつて肥料生産操作をやる、結局肥料生産そのものの操作になつておると思います。つまり緊急輸入物資の引当てのために、それに見合う輸出物資としてこれが操作せられるということは、今に始まつたことじやない、もう数箇月前から始まつておることであります。特にドル資金が不足した時分から——現在は相当あるわけでしようが、そういうふうな低価格肥料をどんどん外国に出す、そのころから農民の側では非常な恐慌を感じておつたわけであります。それが今日ぽつりぽつりと相当巨額な輸出計画が実行に移されようとする、いわゆるそれを裏書きしたというような感じをだれでも持つと思います。そういう点で実際の政策は今大臣の言われたようになつておらぬということは、これは事実としてどうしても認めざるを得ない。そういう点でもしも大臣が農業を第一と考えておられるなら、肥料生産については、まず第一に価格の問題、生産量の問題について、国内供給ということにもつと重点を置いて実際の施策に向つて突き進まなければならぬと思う。そういう点が何ら実際の裏づけがなくて、観念として農業第一だと言われますが、政策の面で実際に矛盾しておるというこの現実を考えた場合には、大臣の今のお言葉は、われわれとしてははなはだ受取りがたいのであります。そういう点で、大臣も就任後まだあまり長くないのでありますから、今後もう少しがんばつて、やつていただきたいと思います。ことに肥料の金融の面などにつきましても、ただ輸出向きの肥料についてのみ金融の便が与えられる。また先ほどの硫化鉱など、非常に高い硫化鉱外国から輸入して、それまた輸出の面だけに使われるというのでありますが、そういうふうな金融を輸出の面だけに講ぜられて、農民の方に配給せられる肥料については何らの保障がない。これは先ほど今澄君も言われたように、今日統制撤廃の一つの必然的な結果ではなかろうかと思う。そういう点で問題が非常に根本的にまだ残つておると思います。そういうふうな点をひとつ今後実際の施策において、考えておられる通りそれが現われて来るように努力を望んでやまないのであります。この移管の問題なんかをきめる前に、そういうふうな根本的に、どつちにころんでも、結局日本生産というものを国内の利害関係からやるのではなくて、外国操作にゆだねておるというふうな点に問題があるのだということを、ひとつ銘記していただきたいということを私は希望いたします。
  42. 今澄勇

    今澄委員 私は政務次官にお聞きしたいのでが、今度の肥料の問題でいろいろ論議された結論として、きのうあなたの方の廣川農林大臣河野謙三氏の質問に対して、そういう農林省へ持つて行くよう方向へ、審議会の方で今せつかく研究中である、こういうふうな答弁がありましたが、農林省としては大体今の肥料行政のどういう点に不満を感じておるか、どういう点がスムーズに行かない最も大きな原因であるかというような点について承りたい。  それからもう一点は、今の日本肥料価格の面についてでありますが、肥料配給公団廃止したが、肥料配給公団廃止によつて何らかの困惑した事態が起つたか、肥料配給公団廃止は妥当なものであつたかどうか、現在の末端における肥料状況配給制度はあなた方は妥当で支障がないと思われるかどうか、この点をまずお伺いします。
  43. 島村軍次

    ○島村説明員 肥料行政は御承知通りに、戰前の自由時代はもちろんはつきりした行政というものは確立していなかつたのでありますが、戰争後において、いろいろの経過をたどつてつたことは御承知通りでありまして、その間にいわゆる生産資材の戰時体制が強化されるに伴つて、従来農林省所管のものが共管になり、さらに生産部門は商工省の所管になるという経過をたどつて参つたのでありますが、統制撤廃後におきましては、従来の経緯から考えましても、農林省といたしましては、やはり肥料行政は一元化さるべき筋合いのものというよう考えを持つておるわけであります。もちろん、現在いろいろな資材その他の情勢から考えますと、電力等の問題もありますし、その他必要の資材については通産省所管になつておるものも相当あるわけであります。そこで農林省としての希望を端的に申し上げますれば、それらの問題を調整いたしまして、ともかくも肥料の問題については、行政を一元化するということは、配給部門における問題はもちろんのこと、肥料そのものが、ただいま通商産業大臣お話通り、食糧増産の重要な要素になつておるという見地から、やはり農家を対象にするという根本政策を立てる上から申しまして、農林省といたしましては、この一元化について関係者とよく協議して一元化の方向に進んでもらいたいということを希望いたしておる次第であります。  肥料公団の跡始末の問題は、もちろん、現在においても多少のトラブルと申しますか、あるいは配給の残つたものの残額といいますか、手持ちの問題についていろいろな議論もあるようであります。これは廃止後における情勢から考えますと、所管が大蔵省になり、その間にいろいろ事務になれないという点もあつたのではなかろうかと思うのでありまして、現在としては手持品についての放出の問題も、肥料事情からよく協議を進めまして、需給関係の調節の上には肥料公団の手持ちというものは現在非常に役立つておるものと承知をいたしておる次第であります。
  44. 今澄勇

    今澄委員 それで私は今あなたの申された答弁と、きよう横尾通産大臣が先ほど述べた答弁との間には大きな食い違いがある。横尾通産大臣農林委員会において河野謙三氏の質問に答えて、廣川農林大臣答弁について何ら言わなかつたのは、廣川農林大臣も、これはやはり通産省にも肥料部門を残し、農林省にも配給の面を残して、現在の情勢でやるよう建前で、研究してみようというよう意味合いだと思つて、意見を述べなかつたのだ。私としてはやはり生産部門は商工省にあるべきであるという大臣答弁で、農林政務次官とは閣内において意見の食い違いがあると、かよう考える次第であります。だが私は、それらのことは一応それとして、今の肥料行政について、生産担当が通産省関係で、配給担当が農林省関係であるという、この現段階においては、具体的に一体どことどこの関係でこれがスムーズに行かない原因があるかという点についての御答弁がなかつたのであります。私をして言わしむれば、少くとも電力硫化鉱あるいはその他各般の化学工業、関連産業との関係から、日本化学工業体系を考えてみるときに、肥料だけ農林省へということは、まことにどうも産業構造の上からは当を得ないというふうに考えるわけで、これらのわれわれが考えておる点に対して、あなたがただ單に、肥料農民のものであるから、農林省に持つて行くべきであるというよう議論では話にはならない。  次にもう一つの点は、肥料配給公団については、今日の農民が、高い肥料を買つて、この肥料値段を下げなければならぬ。先ほど私も申し上げたように、横尾通産大臣並びに周東安本長官が、肥料の各会社のメーカーを呼んで、どうかひとつこの値段より上げてくれるなというような懇請を、自由主義経済と言つておきながら、しなければならなかつた一番大きな原因は、私は肥料配給公団を早く廃止したからだと思う。少くともこれが存続しておれば、統制された価格で申分なく動いたでしよう。あなたがおつしやる肥料配給公団に手持ちが余つて、そのためにぐあいがいいということであれば、何もそんなことをメーカー勧告する必要はない。こういう点において、今のあなたの御答弁はつじつまが合つておらない。私は肥料配給公団は今日まで存続せしめて、農村配給に当つた方が、安い肥料農民に行き渡つたのではないかと思うが、以上の点についてもう一度御答弁願いたい。  もう一つそこに見えておる局長に伺つておきますが、私は肥料価格のことを申し上げますが、肥料価格については、少くとも最初きまつた七百幾ら値段については、きよういろいろ通産省の方から明確な数字も聞きましたが、大体当初のスタツフだけはこれできめる。あと業者需要家需要供給の原則によつてきめるという考えをあなた方お持ちであつたそうだが、今度の価格については、一応圧力がかかりました今後の問題については、どういうふうにお考えになつておられるか。以上政務次官と局部にお聞きします。
  45. 島村軍次

    ○島村説明員 私の先ほど申し上げた点は、私の狹い見解から割出したことを主体に申し上げたのでありまして、今まで研究した範囲においては、私はさよう考えております。もちろんお話ような点もいろいろあろうかと考えまして、目下研究を進めておるところであります。御高見は拜聽いたしまして、なお研究を進めてみたいと存じておりますから、御了承を願いたいと思います。  それから肥料公団の問題は、私が申し上げたことが少し言葉が足りなかつたと思うのでありますが、統制の撤廃可否論については、御議論は御議論として承つておくといたしまして、現在の情勢においては、統制撤廃後、肥料公団の手持ちのあつたということが、非常に役立つた結果をもたらしておるということだけを申し上げたのでありまして、将来の政策の面、自由になつた場合における価格の面、あるいは需給の調整というような問題については、なかなか困難な情勢になると思うのであります。そこで重要な産業であり、かつ食糧増産関係のある事項でありますので、農林省といたしましては、現在も手持品のあるがごとき政策をとられることを望んでおるわけであります。この問題についてもまだ内部的に意見をまとめたわけでもありませんが、さような感じを持つておるということだけを申し上げてお答えといたしたいと思います。
  46. 藤田巖

    ○藤田説明員 肥料価格の問題についての御質問でございますが、お話ように、八月一日以降は肥料に関する配給並びに価格に対する統制というものは全部撤廃をせられまして、自由になつておるわけであります。従いましてこれが本来の自由経済のもとにおける相対の取引によつて価格がきまつて行くということは当然でございまして、役所がこれを強制的にやることはできないということは御説の通りであります。しかしながらわれわれといたしましては、やはり農家経済に及ぼす影響も考えまして、肥料価格というものをできるだけ安くして参りたいという希望を持つておりますことは、御了承願えることと存じます。ことに本来ならば非需要期における肥料価格は、自由経済当時においては、当然実需期に比して下るべきなのであります。それが最近これはもちろん生産費の問題もあることであると思いますが、また一つ輸出の問題ということからいたしまして、非常にたくさんの歳出が出る。従つてそういうふうなことから高値をとなえて来ておるということもあるわけであります。われわれの立場かう考えますれば、当然国内需要を充足いたしました上に、さらに余力がございますものを出しますことについては、何ら反対はないのでありますが、そのために価格がその輸出という声によつて上るというふうなことであつても、非常に困るわけであります。さような見地からいたしまして、もちろんこれは輸出ということによつて、当然に肥料価格の値上りということが行われたものでなく、あるいはメーカーの立場から申せば、生産費の関係から輸出は切り離して、当然価格の問題があることではあろうと思いますけれども、これが時期を同じくしてそういう問題が行われました場合には、どうしてもやはり輸出と関連して考えられることもあるわけであります。従つてこの輸出の時期においても、われわれといたしましては少くとも価格はこれを従来の価格にすえ置きたいというふうな希望を持ちまして、いろいろとその点についてのお願いもしておるわけであります。
  47. 今澄勇

    今澄委員 それで簡單に聞きますが、農政局長にお伺いしたいことは、今後も価格の決定については圧力をかけられるおつもりであるかどうか、今後は自由放任にされるおつもりかどうかというのが第一点。第二点は、そのよう生産者価格圧力が加わるとすれば、これを配給しておる配給団体の側の、コミツシヨン・マーチヤントの手数料にはおのずから限度がなければならないが、これらの限度はそれらの生産業者利潤とにらみ合して、末端農民に安い肥料が行くように勘案しておられるかどうか。聞くところによれば、これに約百円からの手数料がついて末端農家に来ておるという実例をわれわれは知つておる。こういうことについては農林省としてはこれらの配給部面について片手落ちではないかと思うが、農民に安く肥料を提供するという面からするならば、それらの配給関係利潤をどういうふうに考えられるかということを局長にお伺いしたい。  それから今の政務次官の御答弁については、われわれは輸出幾ら国内向けの肥料幾ら需給計画を幾らというような計画の上でなければ、日本農民に円滑に肥料を提供することができないということをあなたの御答弁は物語つておるが、そういつたことをするためには、肥料配給公団ような組織があつた方がいいと思うのに、これをやめられたが、これを復活する意思は絶体にないかどうか。さらに政府は肥料配給公団をやめてから、なぜ肥料需給調整法のごとき新たな肥料についての一つの法規を出されなかつたかということが第二点。農林委員会などで問題が起きたということは、肥料配給公団廃止に関する措置が何ら行われなかつたというのがその原因であつて、これは決して生産者側に責任はないと思うが、その点に関する政府の御意見はどうか、以上お伺いいたします。
  48. 藤田巖

    ○藤田説明員 先ほども申しました通り価格につきまして政府がこれを強制するところの権限はございません。従いましてもちろん価格は当時者双方の自由意思によつてきめらるべきものであります。しかしながら農林省側といたしましての立場から、いろいろ業者の方々あるいは需要者団体の方に意見を申し上げ、また希望するということも、これはあり得るかと考えております。なお業者の方々にはできる限り安く配給業者団体に渡していただきたいということを申し上げると同時に、われわれの内部におきまして、配給に携わる団体に対しても、できる限り配給の実費を切り下げて、農家には低廉な肥料を渡すようにということも申しております。しかしながらこれは先ほども申し上げました通り、強制力のないことでありますから、ことに自由にはずされました時代において、末端価格がいろいろになることについては、これは一律には参らぬということはその通りであろうと思います。
  49. 島村軍次

    ○島村説明員 肥料公団の復活の意思はないかというお尋ねでありますが、統制経済によるか、自由経済によるかという根本論については、むしろ私から申し上げるよりはよく御承知のところでありますので、省略いたしたいと思いますが、いろいろの経過をもつて肥料配給統制撤廃になつたのでありまして、今日といたしましては再び復活する考えは持つておりません。  なお公団の廃止のときに、需給調整のごとき政策を考えるべきであつたではないかというお話でありますが、私も農林省へ入つてみてその感じがいたすのでありまして、これは当時の国会の責任もあるのではないかというような感じもいたすのであります。ほんとうに露骨に、卒直に申し上げれば、公団廃止と同時に、かような重要な生産品については、裏づけの需給調整のごときものがあるべき筋合いではなかつたかというふうな感じは、現在持つております。
  50. 今澄勇

    今澄委員 農政局長答弁を聞くと、まことにどうも変な話で、あなたは業者の方の問題については、あまり値が上つても困る。自由時代だから強制力はないので注意する。末端の方はいろいろ高いところ出るが、これは自由経済だからやむを得ない、こういうような御答弁はいささかどうかと思います。私はちよつと申し上げておきますが、四千万の農民が安い肥料を要求するといつたところで、少くともこれはわが国の基礎生産であるから、肥料値段というものが工場原価を割つたのでは、どうにもならぬわけです。そこで合理化された原單位に引下げて、工場原価を一体ガス法と電解法で今の値段でどうだという点について、責任ある通産省柿手部長の、現在ではその半数は赤字であるという明確な答弁が速記録に残つております。こういつた赤字を出させて、しかもこれらのものに電気を供給しているものは現在の政府である。これらのものに資金を供給するものも現在の政府である。これらのものに一切の産業政策を施すものも現在の政府である。しかもその政府の三大臣が集まつて、そうしてお前たち値段が高い、これでやらぬかということでやつたというのは、まるつきり強制的な値下げである。そういうようなことでぐつと押えて、需給の調整以外のところに値段を持つて行く。そういうことは結論としては、結局日本肥料工業は、輸出もどうも反対である、——輸出は今度きまりましたけれども、そういうことでは、結局肥料産業輸出もしない、大いに電力などをやつて肥料をだぶつかせる。そうすれば国内需給の面からは安くなる。安くなれば、これは工場原価を割つているのであつて、そういうやり方をすれば、戰争中に残柱式採掘の柱の隅を取去つたような濫掘と同様に、肥料産業を食いつぶすというよう結論になる。肥料産業というものは、やはり修理するものは修理し、そうして濫掘ではなくて、着々と補修し、設備をつくり、転換させながら、肥料産業を盛り立たせなければならぬ。そういう点においては、いかに農民の要望なりといえども、それは結局は農民はみずからのたんぼに肥料を入れられないことになると思う。だから私は、肥料値段については、メーカーも納得し、農民も納得するという政策をとり得るならば、今の配給公団のごときものがなくてはかなわぬ。しかもそれをとり得る基礎的條件がそろわぬうちに肥料自由販売にしたから、大臣が三人も集まつて肥料業者を呼んで、今お前たちがきめようとする購販連の値段については高過ぎるというので、自由できまろうとしているものについて申入れをするということになるのだろうと思う。これは農政局長は、いま少しく肥料産業の将来と、しかもそれを安く農民の手元に提供するという建前に立つならば、わが国肥料の末端価格についても、大体それにひとしいような、これまでで配給してやれということを指示するのが当然ではないかと思うが、御見解を承りたい。
  51. 藤田巖

    ○藤田説明員 農林省はもとより農家の立場からこれを見ておるわけでありますが、さりとて農家が有利であれば、メーカーの方はどうであつてもいいということは、決して考えておりません。これはやはり農家と肥料製造業は、持ちつ持たれつの関係であります。お互いに栄えて行く道を考えなければならないし、それは可能であると思つております。従つて先ほどの価格についても、もちろん生産者の方もつらいでありましようが、一方農家も低米価で押えられて非常に苦しい立場である。従つてようなことから、できる限り価格を安くしてもらいたいということを申したわけであります。  なお先ほど申しましたのは、末端の配給価格はどうなつてもいいというわけではございませんので、われわれといたしましては、その大部分が協同組合系統で流れるのでありますから、そういうふうな点については、極力コストを切り下げて、安く農家に渡すことを指導しております。しかしながら、これも先ほど申しました意味は、公定価格がないわけでありますから、価格をこうせい、ああせいといつて強制することは、メーカーに対すると同様に、強制することはできない、こういうことを申し上げたのであります。
  52. 今澄勇

    今澄委員 今のあなたのお話だと、公定価格はないのだから、どうせ、ああせいということはできないというのは、公定価格があつて、どうせい、ああせいといつた方が、肥料配給行政としては都合がいいというように聞取れたが、そういうように解してよろしゆうございますか。
  53. 藤田巖

    ○藤田説明員 いや、そういう意味ではありませんので、もちろん価格は、統制がはずれて、自由に成り行きできまるわけでありますが、われわれといたしましては、各方面段階においてできる限り経費の切り下げをしていただきまして、そうして農家に対する肥料をできる限り安くしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  54. 今澄勇

    今澄委員 時間もたちましたから、詳しく申しませんが、少くとも肥料価格は、これを切り下げれば、肥料労働者——合理化、整備ということで、肥料産業の労働力にも非常に影響を与え、肥料産業を老廃せしめ、しかも肥料産業の新しい資金、あるいは合理化、設備その他の更新を妨げる。結局日本肥料産業が停滯するという結論になると思う。だから肥料の大増産をやつて、原單位のコストを引下げるという道だけが、唯一の農民に安い肥料を提供する道であつて自由経済的な需要供給の原則に立つた価格にのみ執着して、今の日本肥料行政をやろうというところに、大きな誤りがある。農林並びに通産両当局の意見が——先ほど政務次官は個人の見解だと言われたが、われわれ委員会としては個人の見解を問おうとは思いません。少くとも私は、そういうような意見の相違は、そこに胚胎していると思う。だからもしほんとう肥料農民のためにやるならば統制すべし。しかして自由販売にして行くならば、肥料を全部解放して、自由な需要供給の立場に立つて値段をきめるべし。そのきまつた値段が農村に悪影響を与えるならば、それは自由経済を行う基盤がないものである。かように判断してお聞きしているのであるが、これに対する満足な御答弁がないのは遺憾であります。  最後に私は、肥料のいわゆる行政機構としては、当初農林省にあつて非常にかずかずの不便がもたらされたからこそ、その生産部門が商工省にかわつたということは、柿手さんもおられたが、肥料の歴史をお調べ願えばわかると思う。今日肥料配給統制をはずされて、すでにこのような混乱である。私どもは、肥料行政措置については、少くとも農林当局は通産当局をひとつ十分打合せて、いかにすれば肥料増産は可能であるかという点に立つて善処を願いたいと思う。以上の二点について御答弁を願いたいと思います。
  55. 島村軍次

    ○島村説明員 御意見を十分拜聽いたしまして、よく研究を進めます。
  56. 小金義照

    小金委員長 ほかに御発言はございませんか。
  57. 神田博

    ○神田委員 実は所用があつて遅れたわけでございます。前の同僚諸君の御質問にすでに済んでおつたのではないかとも思うのですが、最近新聞等を見ますと、肥料行政の一元化というようなことが出ておりまして、何か今の肥料行政担当状態を変革したい、もつと具体的に言えば、肥料行政農林省の專管にするような新聞記事を拜見して驚いているわけでありますが、さようなことを、政府ははたして考えておられるかどうか、きようは両大臣もおいでになりませんで、島村次官、藤田農政局長という大臣補佐官の諸君だけであつて、これはお答えつても、おそらく私見にわたるようなことになるのではないかと思つておりますが、一体そういうことはどういうような経路をたどつておるのか、あるのかないのか、あるとすればどういう経路をたどつておるのか、卒直にこの事情を御答弁願いたいと思います。
  58. 島村軍次

    ○島村説明員 肥料の一元化の問題は、先般来衆議院の農林委員会で取上げられ、さらに本日通産大臣の御答弁があつたのでありますが、それに関連を持ちまして、ただいま御質疑がありましたので、お答えをある一部分は申し上げたのであります。重ねてのお尋ねでありますから、卒直な考え方を申し上げてみたいと思います。  肥料生産行政を一元化することは、私は適当であると思うのであります。ただその間に、現在の機構といたしまして、生産部門電力その他指定生産資材の割当制度ができてからの行政は、ひとり肥料のみならず、その他の各種産業に関連のある事項であつたので、いろいろの経過をたどつて、二十二年に商工省が生産担当官庁として肥料行政をやるということに相なつてつたのであります。しかし農林省所管の当時におきましても、別に不都合はなかつたと私は考えております。今後の段階として、これらの資材その他の問題の調整がうまくできるならば、行政そのものはやはり一元化した方がいいという私の考え方を、先般の農林委員会において、どなたかの御質疑があつた際に申し上げたのであります。その後農林省内におきましてもいろいろ研究を進めておりますが、農林省考えとしては、やはり農林省に一元化すべきものだという考えには現在もかわつておらないのであります。ただその調整をどうするかという問題になりますと、先般も事務的に協議を進めたようでありますが、三省間の意見がなかなかむずかしいようであります。そこでこれらに関する問題は、さらに研究を進めて結論を出して、なるべく一元化の方向に進んでもらいたいということを念願いたしております。
  59. 神田博

    ○神田委員 島村政務次官の私見を承る機会に惠まれて、はなはだ不幸に感ずるようなわけであります。これは意見でありますからいろいろ議論もあろうかと思いますが、大分前に、新聞を見ておりますと、これは農林大臣というか行政管理庁長官というか、どつちかの意見だと思いますが、天然資源省をつくつて農林省の中に建設省を持つて来る。通産省の中の何かを持つて行く。何だか役人の勢力拡張をやつておるように私は見ております。肥料の問題もそういうよう考え方から出発しておるのじやないか。肥料行政担当、ことに生産部門を担当するにあたつて農林省がそういうようなお考えをお持ちになることは、これは農林省としていろいろの御関係もありましようが、われわれ国民の常識から考えますとき、役人のなわ張り争いではないか。もちろん四千万の食糧増産に携わつておる農家の協力なくして、わが国経済の自給度を高めるわけに参らないことは当然でありますが、貿易に依存して、そして世界の仲間入りができるような国柄に国民の富を増して行きたい。いやしくも政府がこういう考えのもとに通商産業省というものをつくつた。私はこの通商産業省というものが、はたして適当な名前であるかどうかということについては非常な疑いを持つておりまして、当時も当委員会におきまして商工省でもいいんじやないか。何だか戒名が長くなると院号が居士よりもいいのだというようなことで、坊主らしいばかに長い名前をつけたんじやないかということまで議論が出たのであります。やはり農林省も、通商農林省というようなことを考えてなわ張り争いをしておるのじやないかというよう考えを持つのでありますが、農家が必要とするのは肥料生産じやないと思う。農業生産に必要な肥料を豊富に、しかも低廉に、しかもその時期を誤たずに供給されたいということが念願だろうと思います。ことに今日わが国のアジアにおける地位、また日本肥料界がアジアに占めておる地位というようなことを考えまするならば、わが国の農業の自給度を高めるための肥料増産、また質的向上、同時にアジア諸国への市場としての肥料輸出考えなければならないのじやないか。かよう考えて参りますると、肥料を一体どこが持つたならば、一番そういつた線に沿うかということが私は問題であろうと思う。私どもいろいろ新聞等を見たり、農業に御熱心な方方の御意見を拜聽するのでありますが、何だか自分で抱き込んでしまわないと安心ができない、こういうふうな根性で物事が処理されておるように思う。もつと日本も大きな考え方を持つて——国が小さくなつたのだからせめて構想ぐらいは大きく持つて、いかにしたならばわが国産業が栄えて、世界の仲間入りした場合の片棒をかついで行けるかということを見せなければならぬであろうと思う。役人が机上で何かの陳情をひね繰りまわして、時によるとその陳情も自分で火をつけてあおつておいて、そうしてこういう輿論であるというようなえせ政治であつてはならないと思う。ただいま島村政務次官の私見を聞いて、もう少し視野を広くして、肥料工業というものは幾多の関連産業を持つておる。電力工業も必要であれば、また石炭も必要とする。ことに鉱山との関係においては密接なものがある。また原料として輸入しなければならない問題もあるし、また国内資源の開発によつて肥料増産をしなければならぬ。ことに肥料工業は大きな化学工業の一面をなしておるわけであります。今日私ども、先般東大の金森博士でありましたか、将来の肥料工業というものは製鉄事業とあわせて行うものである。肥料工業をやる場合に、製鉄工業をあわせて考えなければならぬ。製鉄事業を起す場合も、肥料事情を考えなければいけない。それはどういうことかというならば、すなわちこの金森博士の研究によると、わが国の今日の製鉄事業というものはアメリカ依存であり、あるいは大陸依存であつて、模倣の製鉄方法だ。しかるにわが国原料面を考えて見れば、鉄鉱石においても貧鉱であり、また海外にも依存しなければならない状態である。従つて優良な鉱石を入れるということは至難である。ことにその原料であるところの原発炭においては、ほとんど輸入にこれを依存しなければならないという段階になつている。そこでこの金森博士に、最近研究の完成しつつある段階を聞いてみますると、わが国資源をそのまま製鉄工業に利用することが最もわが国情に即した製鉄事業であり、そしてこれをやることによつてわが国経済を高めるのである。すなわち低品位の石炭で高カロリーの石炭と同じような熱量をあげるくふうを考えよう。そこでかれは空中から豊富な酸素をとらえて、そうしてこれを低品位炭に吹きつけると、高品位炭を用いると同じような好結果を得る。そこで今日肥料工業は室中から窒素をとつており、酸素を逃しておる。そこで将来わが国の製鉄事業というものは肥料工業と結んで、一方においては窒素をとつて肥料をつくる、反対側には酸素をどんどんとつたものを低品位の石炭につけて、相当のカロリーを上げて、外炭によらない、すなわち内炭によつて製鉄事業を起す。そこで初めて両方とも捨てているものを回收できるし、また炭質の粗悪なものを良質なカロリーに上げることができますから、採算上も非常によくなる。だから今後製鉄事業というものは必ずこれを肥料工場と両々相半ばしてつくるべきものである、こういうことをわれわれ聞いたのです。これは神戸製鋼が今度新しい方法によつておやりになるようでありまして、刮目しているわけなのですが、酸素をもつて製鉄事業を起そう、低品位の石炭をもつて製鉄事業をやろう、こういうことは科学の進歩ということを考えて参りますと、私は今後そう遠からざるうちに、幾多のそうしたものが出て来るのじやないかと思う。そういうことを考えましても、関連産業一つ持たない肥料工業農林省が專管して、肥料行政の一元化がよいのだといわれる。どうも一元化というとなかなかよさそうに聞えるのでありますが、今までは大体一元化ということは官僚統制を強化するということだ。私の考えから参りますと、そうした科学の日進月歩の今日、ことに世界経済に入つて大いに彼我文明の交流を盛んにしようという際に、国内で、自分の方が需要家であるからその担当をしなければならぬということになりましたならば、工業の総合発展は私は期せられないと思う。肥料生産の面に悪いところがあつたら、大いに農林省としてはあらゆる機会に注意を促し、また不都合な点があつたならば、これの改良を促すべきものと思う。確信もなく、自信もなく、机上の考え方で工業界を混乱させようというようなことを、今日の日本のこの段階においてとることははなはだ冒險だと思う。ことに先ほど申されましたように、天然資源省というものをつくつて運輸省をのんでしまう、それから厚生省も国立公園ものんでしまう。あらゆるものをみな農林省に集めてしまう。農林省では集まらぬから天然資源省、またこれは貿易をしなければならぬということになつて来ると、通商天然資源省というようなことになつて来る。坊主のお経なら長く読めば大分お布施にも影響するかもしれぬが、政治というものはそんなものじやない。国民はばかじやない。私は島村君とは数十年来の知己なんです。また藤田君とは若い事務官時代からの仲間である。よもやあなた方はそういうお考えを持つておられぬと思う。私の意見を大いに御参考にしていただいて、こういう安定しつつ、さらに発展しようというわが国の今日の経済界の歩み方に多少でも混乱を起したり、生産を阻止するようなことをなさらぬ方がけつこうじやないか。まだまだ農林省としておやりになつていただくことはたくさんあると思う。私も農林行政につきましては非常な関心と若干の抱負を持つております。適当な機会がありましたならば、そういう立場に立ちまして、わが国農林行政の根本問題、また当面の問題について意見を鬪わしてみたいと思う。また鬪つてもみたいのでありますが、通産委員会農林省関係のことをあまりやりますと、同僚諸君もあいて来るし、委員会の紛淆を来すことになりますので、本日は申し上げませんが、私の常識的な意見は大いに御参考にされたい。私は新聞だけのことであとつたら、やはり政務次官もそういう考えがあるということを聞いて驚いたので、あまりどろ沼に足を入れないうちに少し御注意申し上げたい、こういう意味で申したのであります。
  60. 島村軍次

    ○島村説明員 神田さんの御高見を承る機会を久しぶりに得まして、まことに幸福に存じます。お話の論点は私といたしましても非常に啓発されたのでありますが、ただここで神田さんにも御研究を願つておきたいと思います点がありますので、はなはだ蛇足かもしれませんが、一言申し上げさせていただきたいと思います。天然資源省の問題はしばらくおきまして、政府の役人の端くれを承つてみますと、どうも行政があまりに分裂しておるということの弊は確かにあろうと思います。そこでこれは一般論であり、かつそれが肥料行政に当てはまるか当てはまらぬかというような問題になりますと、ただいまの御論点は非常に敬服するのであります。行政そのものが簡素化するということに対しては、自由党の御関係の皆さんも政策としてお掲げになつておりますし、またさようにわれわれも考えております。従つて生産と消費との問題ができ得るならば総合的に、分離せずして一つのものになり得るということに対しての考え方は、おそらく神田さんも同じお考えだろうと思うのであります。ただ肥料については生産増強をどこまでもやるということが、これがやがてわが国経済を助け、わが国の食糧増産に役立つ、これは何人も異論のないところであります。それとあわせてやはりそれが消費との分立をなくしてやり得る方法がここに見出されるならば、製鉄業に関連のある問題といえども行政が一元化することは適当ではないか、かように私は存ずるのであります。自由党では二十四年にはすでに肥料の一元化の問題は政策として御決定になつておりますが、この点の経緯は十分に承つておりませんので、なお利害関係等について十分の御研究をお願いしてみたい。われわれはひとり肥料増産のみならず、食糧増産に役立つよう一つの線を見出すことに努力をいたしたいことを申し加えまして、お答えにならぬかもしれませんが一言申し上げます。
  61. 神田博

    ○神田委員 ただいま政務次官からお答えがあつたわけでありますが、一元化に私は反対しておるという意味で申し上げたのではないのであります。一元化でも農林省でおとりになる一元化もあれば、農林省から通産省へやつてしまう一元化もあろうかと思います。一元化がよろしいということならば、あつさりおやりになるも一つの方法だと思います。一元化といえば、自分の方がとるのだ。これはどうもこの場合の例に当てはまるという意味ではありませんが、日本がここ五十数年間違つて来たということも、やはり何でもかんでも取込むという思想が、満州事変を起し、支那事変を起し、ひいては大東亜戰争を起した。前は海外というものに目をつけておつたからいわゆる侵略主義になつた。外の方をとられてしまうと中の方でとりつこを始めておる。一元化というものは自分がとるのだ。こういうようなことにみんな考えておる。今日電力問題なんかを考えても、やはりこの思想が根底をなしておるのではないか。何でも人のものをとつて自分のものにすればいいという、うぬぼれ根性といいますか、やはりこれは謙虚な気持で考えて行かなければならないと思う。要するにどうすればいいのかということが根本問題だと思うのです。それからまたやるについても、やはり幾多の段階があろうかと思う。最も能率的に効果的に時期においても方法においても考えなければならぬ問題じやないかと思う。今の政務次官のお話を承りますと、農林政務次官が一元化というものだから通つてしまうのじやないかというようになろうかと思います。そういうことは島村先生にはないと思いますが、通産大臣に島村先生を任命する。肥料の一元化という問題になると、おろらく通産省へ持つて来るでしよう。藤田局長を通産省の化学局長にする。その次には次官にする、大臣にすると、やはり通産省に持つてようじやないかということになると思う。こういうことに相なる例がしばしばある。その点を、考えさせるといいましようか、日本はまことに資源も乏しく、国土も荒廃しておりますから、いろいろ知惠をお出しになつて、ああいう手を打つて行きたい、こういう手を打つて行きたい、そうして日本の国をゆたかにするのだ、農家の経済をよくするのだ。これはけつこうなことでありますが、それがどういうふうに及ぼして来るか。さらにまた自分の考えが第三者から見てもほんとうにその通りに評価されておるかということが私は問題じやないかと思う。これは私も決して人だけに申し上げるのでありまして、私自身も日々そういうことを反省して物事を考えようと努力しております。どうも日本人の今後の考え方として、やはりこれは反省しなければならない。みなが納得しないものを強引にやろう、あるいはまた少数の者ががんばつて我を通そう、これは私はいずれもよくないと思う。きようは大分時間も過ぎておりますし、御両君はぼくともなかなか親交の厚い仲でもありますし、この問題はこれ以上ここで公に議論しなければならないという迫つた問題でもありませんし、私も適当な機会をもちまして十分研究して日本再建の方途を見出してみたいと思つております。私の今申し上げたよう考え方は、これは多くの常識的な、しかも生産に長く関係しておつた者の考え方じやなかろうかと思います。そうであるからといつて、決してやすきにつくという意味ではもちろんございません。どうか御両君におかれましても、謙虚な気持で、国家百年の大計を立てるという気持で、当面及び将来のことに処して行かなければならぬだろうと思います。時間があればいろいろ意見も述べ、また方法も聞きたいのでありますけれども、さような時間もないようでありますので、はなはだ簡單で恐縮しておりますが、御参考にしていただきたいと要望いたしまして、私の質疑を打切ります。
  62. 小金義照

    小金委員長 ほかに御発言ございませんか。  ございませんようでありますから、本日はこの程度にて散会いたします。     午後四時十五分散会