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1950-10-25 第8回国会 衆議院 通商産業委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月二十五日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 今澄  勇君       江田斗米吉君    小川 平二君       澁谷雄太郎君    高木吉之助君       永井 要造君    中村 純一君       福田  一君    南  好雄君       高橋清治郎君    加藤 鐐造君       風早八十二君    田代 文久君       小平  忠君  委員外出席者         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         長)      徳永 久次君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         鉱政課長)   讃岐 喜八君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 十月二十五日  中村幸八君及び河野金昇君が理事に補欠当選し  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  鉱業法案内閣提出第一九号)  採石法案内閣提出第二〇号)     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 これより会議を開きます。  議事に入ります前に、お諮りいたしたいことがございます。去る十月五日理事河野金昇君、同じく十一日理事中村幸八君がそれぞれ委員を辞任せられたので、理事二名が欠員となつております。この補欠選任をいたしたいと存じますが、これは先例によりまして選挙の手続を省略いたしまして、委員長から御指名いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議ないようでありますから、それでは理事の御指名をいたします。河野金昇君、中村幸八君、この両名に理事を指名いたします。  それから公述人選定の件について御報告申し上げます。これは一応委員長に一任してその決定方おまかせ願つたのであります。そしてその公述人名簿は、すでにお手元にお届けしてあると存じますが、いろいろの都合で多少かわつて参りました。確定名簿は公報をもつてお知らせいたしますから、御了承願います。  なお明日あるいは明後日、その場において多少のまた変更があるかと存じますが、その際は委員会にお諮りいたしまして、皆様の御賛同を得て処置いたしたいと存じます。それだけ御報告申し上げておきます。  これから鉱業法案採石法案を議題といたして審議を進めます。昨日に引続き質疑を許します。今澄勇君。
  4. 今澄勇

    今澄委員 大分この鉱業法採石法については質疑が行われまして、ややその全貌をはつきりさせることができましたので、重複を避けて、おもな要点五、六箇所を私は質問をいたします。第一番に鉱山局長に聞きたいのでありますが、鉱業法案目的規定してある第一條において、鉱物資源を合理的に開発することによつて公共福祉増進に寄與するため云々と書いてあるが、公共増進であるとか、あるいは鉱物資源を合理的に開発することによつてといつたような問題の具体的な説明をひとつお願いしたいと思います。
  5. 徳永久次

    徳永説明員 ただいまのお尋ねでございますが、私ども全体がそういう気持で来ておるつもりでございますが、非常にわかりやすい例を一、二申し上げてみたいと思います。鉱物資源を合理的に開発するための規定といたしまして、昨日あるいは一昨日来問題になつておりましたが、たとえば鉱業権露頭出願に関連しまして、鉱物を発見しました者が、ある露頭を見つけまして、大体この辺にあるだろうということで鉱区を定めて出願する場合があるわけであります。ところがその出願人が定めました鉱区の区域が、その地下にあります鉱物鉱床形状と異なつたようなものを出す場合がままありがちであるわけであります。しかるに鉱物は、御承知通り、人力でどうにもいたしかたのないものでありまして、天與のものでありまするし、しかも一度とりますれば二度とることができない再生することの不可能なものであり、またある一定の大きさというものが、合理的に掘ります場合にやはり対象になつて参るのであります。そういう特殊事情がございますので、出願人鉱区として出しましたその形状鉱床形状と異なつております場合には、何も鉱物のない所を鉱区にしておくことは無意味だということもございますし、また反面には鉱物のある所を鉱区の中に包含してない、鉱床鉱区からはみ出しておる、しかもはみ出しておる部分が非常に広い部分でありますれば、それがまた別な鉱区対象になり得ますが、狭い部分でありました場合には、それを鉱区として新たな鉱業権を設定するに値しないことになりまして、永久に掘り出すことはできないということが起るわけであります。かようなことがありますので、そういう場合には出願につきまして鉱区変更を勧告し、あるいは最終的には命令するというような規定が入れられておるわけであります。これも鉱物特殊事情から来るので、国がやむを得ない公共利益の擁護という見地から介入する。非常にわかりやすい例で申しますれば今のような例があるわけでございます。
  6. 今澄勇

    今澄委員 今いろいろ説明を承つたが、第一條がこの法律目的を定める政治的な政策意味している一番ポイントだと思われる。そこで、いろいろ考えてみるに、結局鉱業の円満なる発達をはかることを目的としておるというふうに局限しても私はさしつかえない、かように考えるが、これについてもう一ぺん局長のお考えを伺いたい。
  7. 徳永久次

    徳永説明員 第一條目的を書いておりまして、今お話のように、この言葉で全体を十分表現していない点があるいはあるかとも思います。鉱業に対しまする基本的な成果を「公共福祉増進に寄與するため、鉱業に関する基本的制度を定める」ということ、これはとりも直さず鉱業の健全な発達のための基礎的な法律であるというふうにも言い得るかと思うのであります。
  8. 今澄勇

    今澄委員 そこで、大臣がお見えにならぬから政務次官にお伺いしますが、この第一條法案目的を定めた一番ねらいであろうと考えられます。すなわち本法案鉱業保護をしている点は、土地の使用及び收用に関する諸條文、あるいは他の大部分鉱業権の定義や手続に関する規定や、紛争規定制限規定等がございます。そこでお伺いいたしたいのは、現在の鉱業政策というものは、本法案の実施によつて何らか変更を見るようになるのかどうか。と申しますのは、貧困なわが国地下資源を、單に鉱業権者の責任にのみまかせるということはこれはきわめて危險である。将来この点は一層はつきりしてくると思います。そこで本法案の施行にあたつて鉱業政策の面で何かはつきりした自信政府におありになるかどうか、この点を首藤さんからひとつ御答弁願いたい。われわれは新しい鉱業法制定により、具体的な鉱業政策の面で政府は何か用意しているかどうかということをひとつこの際明らかにしてもらいたい、かように思うのであります。
  9. 首藤新八

    首藤説明員 お答えします。今さら申し上げるまでもありませんが、鉱業に対しましては、国が今日までいろいろの面で特別の保護政策を設けて参つておるのでありますが、これは言うまでもなく、鉱業自体が国の経済基幹産業であるということと、またこの鉱業自体経済の中でも特別な條件を持つておる。従つてこれを普通の経済と同様の観点からは容易に助成をしにくいという面が多々ありまするので、特別の保護を施して来たわけであります。従つて今後におきましても、お説のごとくいろいろ政策の面がなお残されておるものと存じます。そういう面につきましては、格段措置を講じて鉱業自体保護育成という面に十二分の努力をいたして参りたい、かように考えているのでありまして、ただいまのところ法案にきまつておりまする通り鉱業権の設定その他でありますけれども、今後いろいろな面においてなお保護政策をとる心要があるというような問題がありますならば、これを躊躇なく取上げたいというふうな考えを持つているのであります。
  10. 今澄勇

    今澄委員 試掘の問題その他鉱業権問題等いろいろ年限の制限その他かわりがないようでありますが、政府としてはこういう新鉱業法のもとにおいて、保護政策について具体的にこういつた立場をとるのであるという御用意がないというふうに私は解釈いたします。  ついでにこの際もう一つお伺いしておきます。今度の朝鮮事変が起きて、現在のいろいろな特需関係、並びに世界情勢変化から、わが国の現在の各種鉱山、銅鉱あるいは鉄鉱硫化鉱、その他いろいろのものについて特別の措置を現在政府考えておられるか、あるいは今までのままずつと継続しておやりになるつもりであるか、あるいは何か特別かわつた変化が現われて、それに対してはこういう態度をとりたいというようなことがございましたら、この機会関連質問でお答えを願うと仕合せであります。
  11. 首藤新八

    首藤説明員 朝鮮問題の勃発以来、日本経済界にあらゆる面において非常な影響をもたらしておることは、いまさら私が申し上げるまでもないと存じます。その一環といたしまして、鉱業関係につきましても相当いい影響を現在もたらしておるのであります。たとえば日本鉄鋼関係は、いろいろの條件海外のそれに比較しまして非常に脆弱と申しますか、條件が非常に弱い面が多い関係上、常に原価が高い。従つて、それに対して国家がいろいろな面で保護をして参つたのでありまするが、朝鮮事変勃発と同時に、海外の市価が非常に好転いたして、今日までは割高であつた日本鉄鉱塊がむしろ割当てられるというような面から、輸出相当活発に行われるということに相なつて参つたのであります。そこで政府といたしましては、この特需面、あるいはまた輸出面におきまして今後大量の発注がありましても供給に万遺憾なき措置を講じたい、同時にまた内地経済に圧迫を加えないような措置を講ずる必要があるというようなもろもろの点を考慮いたしまして、鉄鉱石輸入並びに粘結炭輸入に対しましては格段措置を講じて、相当大量の輸入を見ることに相なつておるのであります。これらの輸入がそれぞれ始りますれば、今後鉄鋼その他の輸出、あるいは特需格段にふえましても、何ら支障のない供給ができるというふうに考えておるのであります。同時にまた非鉄金属その他につきましても、明年度予算には、それぞれ炭鉱の設備であるとか、あるいはその他の面に相当予算を組みまして、これらの発展向上努力をする決意を持つておる次第であります。
  12. 今澄勇

    今澄委員 今の原鉱石輸入についてもう少し詳しく、データーがあれば御説明願いたい。
  13. 首藤新八

    首藤説明員 最近きまりました数字は判明しておりませんので、あとで文書にしまして御回答したらどうかと思います。
  14. 南好雄

    南委員 今政務次官から特段の考慮を拂うという御返事があつたのでありますが、この問題は單に格段努力をするという程度で済ますべき問題ではないのであります。ここで政務次官に、朝鮮事変がわが経済に及ぼすその根本的な問題、その見通しというようなことを広く御質問するつもりではないのでありますが、鉄にいたしましても、銅にいたしましても、朝鮮事変の特別な、偶発的な需要増加によつて、そのまま根本的な対策を失つてしまうと、好むと好まざるとにかかわらず日本はどうしてもインフレ段階に入つて来る。このことをよく銘記していただいて、今お話になりました獲得した外貨によつて失われた日本のいろいろの資材を適当に、それから適当な時期に適量を輸入するような、具体的な方法を、政府では今日ただいま確立しておいていただきたい。そうしなければ議会の單なる押問答にすぎない。われわれの質問に対する單なる御返事だけでなく、ほんとうに必要な原料を適当な時期に輸入する具体的方法を立てておいていただきたい。これは非常に大きな問題であります。財政的、金融的にインフレをどれほど抑制しようとなさつても、今出て行つた物資を適当にカバーする対策失つたならば、それは非常にゆがめられた日本経済になつて参ります。方々に痛ましい結果が出て来る。これは私が申し上げるまでもなく、政務次官はよくおわかりだろうと思う。どうぞ獲得した外貨において、ほんとう意味のいわゆる輸入が一日も早く促進されるように、ここで、からの御返事でなくて、ほんとう意味具体策を立てていただきたい。できればその詳細を御発表願えますれば、日本経済の六箇月ないし一年間の見通しが立て得る貴重な資料になると思うのであります。もしここで即答がおできにならなければ、後刻詳細なる資料によつてでもぜひひとつわれわれに安心をさせていただきたい。特にお願いいたします。
  15. 今澄勇

    今澄委員 関連質問で南君からお話がありましたが、私の質問しようとしておつたところは大体今私の要求した入つて来る原鉱石の大体の手当の模様と、これが将来の見通し、並びに国内における生産の見通し、及び今度の朝鮮事変で五割も八割も物価が騰貴したものが工業関係にはあるが、このような日本経済安定の段階において、わずかの間に物が倍にもなるというような価格の変動に際して、現在通産省、並びに今日は安本の方はお見えになつておりませんが、それらのものを総合して、統制経済をやらないとすれば、どういうふうな計画でそれらの価格の安定をはかるか、さらに統制経済の一部を採用されるという方針ならば、どういつたふうな方針で定めて行かれるか、それとも全然統制はしないで、こういう増産対策の上に解決するというような具体的な問題がもし御説明できれば説明していただきたい、かように考えます。
  16. 首藤新八

    首藤説明員 南、今澄委員にお答えいたします。ただいまの御質問はきわめて重要な御質問でありまするので、現在の通産省といたしましても、この問題は最も重要な政策だと確信いたしておるのであります。特にわれわれといたしましては、朝鮮事変だけに限定した考え方を持つていないのでありまして、むしろより多くアメリカの軍備拡張、並びにこれに関連いたしたソ連その他の軍備拡張、近い将来世界的に軍備拡張熱が起つて来はせぬかという点を考えまして、これに対処するべくあらゆる努力をいたしておるのであります。しからばそれに対処するところのどういう具体的な準備をしておるかということに相なると存じまするが、これは御承知のごとく、本年の一四の輸入は、大体一億二千五百万ドル程度にすぎなかつたのでありますが、二・四の七—九におきましては、約四億にふやしたのであります。たとえば定期の輸入を二千五百万ドル、あるいは緊急輸入を一億、それから自由輸入を五千万ドル、こういうふうにいたしまして、大体四億の輸入を現在やつておるわけであります。さらにまた三・四の輸入でありまするが、これも一応三億八千五百万ドルの輸入計画を立てまして、それぞれ現在実行いたしておるのでありまするが、幸いに現在のところなお外貨の方に二億ドルの余裕がありますので、この二億ドルをも合せて、この際全額は困難かとも存じますけれども、少くとも一億くらいは他の緊急な物資輸入に充てたいというふうな考え方のもとに、外為並びに関係筋と折衝いたしておるのであります。そこで本日の問題は主として鉱業法関係しておりまするけれども、われわれといたしましては、ひとり鉄鋼関係にとどまらず、あらゆる物資を通じて、今澄委員の御質問にあつた今後再統制をしなくても十二分に供給はできるという点に目標をおきまして、それぞれの対策を講じて行つておるのでありまするが、ただいま今澄委員の御質問のうちに、七割も八割も上つたものがあるという御意見であります。事実これらもあると思いますが、しかしながら昨年までの物価の高騰は、一応国際商品とマツチしない、縁の切れた日本だけの物価高でありましたけれども、今度の物価高はほとんど全部が国際商品価格にマツチしておるのであります。いわゆる国際的の水準が上つて来たから、それにマツチして日本物価が上つて来たというような関係になつておりますので、これを七割上つたから、八割上つたからといつて日本だけこれを押えるということはとうてい至難ではないか、結局国際水準と同じ歩調をたどつて行くということは一応御理解願わなければ相ならぬのではないか。ただ問題は国際水準とひもを切つて日本だけが特別な値上りをするというようなことのないような措置を講じたい、かような考えをもつて進んでおるわけであります。
  17. 今澄勇

    今澄委員 鉱業法ちよつと離れますが、今の御答弁に関連して国際水準に関連して上りさえすれば、これはわが国物価値上りでもよろしいというような御見解ならば、政府は何ゆえにこれらの繊維製品関係については、海外から非常に高い引合いが来たが、それに対する輸出価格を押えて、しかもこれらの暴利取締令などを発令したのか。国際水準に伴うて価格が変動しても、わが国内経済に與える打撃が深刻であれば、そういう措置をとられ得るのではないかと思うが、その国際価格国内価格の点について、それらの繊維製品、あるいは綿製品の全般を含めたものについての御見解をはつきりしていただきたい。
  18. 首藤新八

    首藤説明員 お説のごとく繊維製品につきましては、一応国際水準と逆行するような措置を講じてあります。しかしこれは御承知のごとく現在入つておりますところの原綿相当安い価格で入つておるのであります。従つてこれをも全部放任して自由価格にまかしたならば、当然輸出価格と同様な価格に暴騰いたしますが、あまり急激に暴騰すること自体が、他の商品ならばともかく、繊維製品自体国民生活と重大な関連性を特つておりますのと、そういう関係相当日本経済影響が大きいことと、もう一つ原綿が非常に安い、従つてこれを自由価格で販売を許可いたしますならば、そこにごく限られた数社が厖大利益を得るというような不合理な点もありますので、一応それらをできるだけ是正して、そこで自然の姿に持つて行きたいという考え方でやつておるのでありますが、それかといつて暴利取締令は御承知のごとく法的にこれがどこまで根拠があるかということになつて来ると、これはなかなか至難な問題であるとも考えておるのでありまして、どちらかというと暴利という法的根拠よりも、道義に訴えてなるべく自粛してもらうという方法を実はとつておるわけであります。
  19. 今澄勇

    今澄委員 法案からちよつと離れましたが、それで政府のとられておる国内における価格政策についても、それが国際物価が上れば、それに伴うて上つてさしつかえないと言われたあなたの前の言葉は、一例を繊維製品に引いてみても、すでに大きな矛盾があるということがおわかりだ。われわれはこれらの鉱山鉱業政策についても国際的な銅の値下りによつて非常に日本銅鉱山が困つた。そういう将来を見通してこれらの鉱業法の新しい制定をされた機会に、政府はそういつた日本鉱山政策の基本的なものについて、何か構想がおありになるのかどうか、それからもう一つは、この鉱業法によつて政府は今後の日本鉱山行政については絶対に支障なしという自信を持つてつて行けるとこの際断言できるかどうかということを、私のこの長い質問は要約すれば意味しておるわけです。それをもう一ぺん御答弁願えれば仕合せです。
  20. 首藤新八

    首藤説明員 幸いに本法案が通過いたしますれば、従来よりも相当合理的な開発といいますか、業界の進展が期待されるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。  なお新しいこれに対する政策に関する御質問でありますが、これは昨日まで大体鉱山局長から御答弁したと思いますので、それで御了承願いたいと思います。
  21. 南好雄

    南委員 同僚今澄委員から御質問があつて首藤政務次官から御返事があつた、その考え方の基調におきましては、私も非常に同意の感を持つておるのであります。この際一時の需要増加によつて日本経済を再統制に持つて行くというようなことは、これは経済の本然の姿に反するものであり、極力そういうことをしてはならぬと私も政務次官と同様に考えておるのであります。ただここでようやく安定時期に入つた日本経済を、ほんとう意味において外国の影響を受けないですくすくと育てて行くというためには、先ほど私があなたに御質問申し上げたように、この特別の現象に驚くことなく、輸出されたことによる、いわゆる数字の上の外貨の獲得に満足すべきではなくて、それに伴つて増産計画を立てる、あるいは銅のごとき、御承知のようにスクラツプをやつて、いわば出血的な増産対策のようなことをやらないで、ほんとう意味鉱石増産計画を立てるというふうにしてやり、さらに鉱石が足りないならば、適当な鉱石を適当な時期に入れておかないと、国際物価水準上つて行つたあとで入れると、安く売つて高い原料を入れなければならないということになつて、いわば言葉は正確でないが、縮小再生産みたような経済跛行現象を起して参るのであります。あなたが先ほど言つてつたように、一億五千万ドルを第二・四半期に入れ、さらに第三・四半期においても相当程度の、二億ドルの外貨によつて原料操作をやるというお言葉を、ほんとう日本経済の役に立つように使つていただきたい。そういう意味合いにおいて、政府が具体的の政策をお持ちになつておるはずであります。私もかすかに聞いておるのでありますが、今いい御質問があつたのでありまして、この際ああいうものをもし許されるならば、もつと具体的な、あと資料でもけつこうでありますから、政府がこの朝鮮事変に基く一時的現象におどつておるのではなくて、日本経済ほんとう意味の立直りに役立つような適当な輸入対策を講じておるということを、われわれによく納得できるような資料を出していただけないものかということを、いま一ぺんお願い申し上げておきたいのであります。
  22. 首藤新八

    首藤説明員 詳細な輸入計画資料は二、三日のうちにそれぞれお手元に差上げたいと思います。これによつて政府が今後の輸入対策にどういう手を打つておるかということの御理解ができると思つております。要するに政府といたしましては、いかなる事態が起つても再統制するようなことのないような措置を講じて行きたいということに重点を置いてやつておりまするとともに、さらに朝鮮事変並びに来るべき世界軍備拡張熱に便乗したと言えば語弊があるかもしれませんが、その間に日本経済を完全に自立いたしたい、それにはどういう対策をとるかという点に重点を置いて、構想をねつておるのであります。ただ多少われわれの不安に考えておりますのはこの軍備拡張熱から各国ともだんだん輸出制限をやつて来そうな情勢になつて参つたのであります。従つてこの際それらの制限のないうちにできるだけ輸入しておきたい。但しそれがためには、どうしてもまた金融関係が伴うて来る、これが相当のネツクになつておるのであります。すでに御承知のごとく輸入資金の円満な調達をはかりますために、今年の秋までは貿手に依存しておつたのでありますが、貿手ではどうしてもまかない切れないというところから、ユーザンス制度をとりまして一応これによつておりますけれども、しかしこれだけではこの厖大輸入をいたしました場合相当ランニング・ストツクを持たなければならぬ。そのランニング・ストツクを持つためには、ユーザンスでもなおきゆうくつであるというようなことも考えられますので、それらについても今後いろいろの方法をもつて打開して行つてそうしてできるだけ内地ランニング・ストツクをふやしまして、安い価格をもつて増産して行く。そして高い価格輸出を振興して行くという方法をとつて行く。そして最終的には日本経済の自立まで持つて行きたいというのがわれわれの念願であり、現在の構想であります。従つて先ほど申しました現在の輸入計画の内容は二、三日のうちにお手元に差上げまして御参考に供したい、こういうふうに考えております。
  23. 今澄勇

    今澄委員 それで私がこの第一條の本法の目的と関連して、現在の鉱業政策、さらにそれらの将来の見通しというものを聞いたのは、これは少くとも今の答弁にもあつたように、たとえば相当国際情勢の緊迫から原鉱石輸入ができない、あるいは海外の輸送ができない、材料は相当あるが、金融措置が悪くて金がなくて買えないとような現在の政策の食い違いで、当面をどう切り拔け、さらに将来原鉱石輸入が見込まれなくなつたのちにおける国内鉱山開発はどういうことになるかというような、確実にして国民の納得し得るような政府政策を聞いたわけであります。しかし本法の審議の過程でございますから、この程度にしてこれはやめますが、少くともこれらの問題については、今の通産政務次官の答弁をもつてしては、わが国のこれらの鉱業に携る者並びにこれらの鉱業に関心を持つておる人を安堵せしめるような大きなものはなかつたと思いますが、できればこういうふうにして政府統制経済をやらないとすれば、かくかくかくのごとき基礎の上に、統制をやらないが、安定するんだという考えをひとつお示し願えれば幸いとする次第でおります。そこでこれは後日資料なり、あるいは他の機会においてもう一度お伺いするということで留保して次に進みます。  次に局長にお伺いしますが、今回石灰石ほか七種の鉱物を追加鉱物として指定されております。これら七種の鉱物に対し、鉱業法を適用するというのはどういう根拠に基いておるものであるか、これについて詳細なる説明を願いたい。
  24. 徳永久次

    徳永説明員 新鉱石の追加と申しますのは、実は今回が初めてではございません。過去におきましても、現行法ができまして二、三回にわたりまして、そのときどきの情勢によりまして、追加は行われておるわけであります。その追加が行われたのと、今回行われたのとの間には特別かわつた意味はありませんが、結局いたしまするところ、鉱業法鉱物の扱いをいたすにつきましては、この鉱物日本の国民経済上の重要度がどの程度のものであるかということとあわせまして、日本におきまするその種の鉱物の開発されておる経営なり技術の状況が、どの程度段階に進んでおるかというようなことから、正式に鉱業法鉱物の扱いとしますか、あるいはそのまま放置しておくかというようなわけ方をして来ておるわけであります。今回鉱業法の全面的な改正にあたりまして、七種の品目を新たに鉱業法鉱物に追加いたしたのでありますが、これは過去におきまして一、二品目ずつ追加が行われておりましたが、法全体を全面的に改正するにあたりまして、また戰争中日本の国民経済の状況もずいぶんかわつておりまするし、それらをつぶさに全面的に再検討いたしまして、先ほど申しましたような基準から検討いたしまして、ここにあげました石灰石以下の七種の鉱物の採掘事業というものをほんとうに健全に発達させるためには鉱業法鉱物として正式に対象に取上げることが適当であろうというふうに考えまして、この扱いをすることにいたしたのであります。
  25. 今澄勇

    今澄委員 この追加鉱物の新たな指定ということは、これをいろいろ法律的に考えてみると、土地所有者に対しては財産権の侵害になる。憲法第二十九條に抵触するおそれがあるとわれわれは思う。それと同様に採掘権の制限についても、われわれはやはり憲法の二十九條に抵触するおそれがありはしないか、かような考えを持つておりますが、これらの法的の解釈について検討されたかどうか、ちよつと局長からお聞きしたいと思います。
  26. 徳永久次

    徳永説明員 今まで鉱業法鉱物にしていなかつたものを鉱業法鉱物の扱いにすることが憲法の財産権の侵害になつて、憲法違反ではないかというお尋ねでありますが、ただいま法務府の方がお見えになつておりませんが、この問題は鉱業法の改正審議会でもずいぶん愼重にまた熱心に議論されたことであります。しかしながらその結論はかいつまんで申しますと、鉱物は一口に申しまして明治以来、またさらにさかのぼりましても同じような思想に出発しておると思いますが、明治の当初から出ました日本鉱法以来の法の扱い等を考えてみましても、またさらに諸外国の立法例を考えてみましても、いずれも鉱物の掘採につきましては所有権と分離して、国がこれを処理させるというような扱い方をどこにおいてもとつておるわけであります。従いまして俗に言いますと、鉱業法はその所有権の対象外のものの始末の権利関係を規律することになつております。鉱業法に上つていないものにつきましても、それは国がひとまずその時期における段階においては鉱業法上の特別の取扱いをするに及ばずということで、いわば国が基本的に持つておる権利を眠らしておるというふうに理解しておるわけであります。眠らしておる限度におきまして、土地所有権者の支配にまかせておつたという解釈でございます。従いましてその鉱物資源というものがある時期に行きまして国として重要な鉱業法鉱物として所有権以外の権利を対象として処理することが必要に相なつて参りました時期におきましては、それを追加することになりましても、基本的に所有権を——土地所有者の権利を侵害したものでないのだという解釈でございます。これは先ほど申しましたように新しい鉱物の追加ということは今回が初めてではございませんで過去においても行われたのですが、過去明治、大正、昭和ずつと何回か行われまして、その際も結局同じような思想に出ておるわけでございまして、法におきましても、日本の憲法においても所有権不可侵の原則が表明されておつたのですが、それが違反でないということで処置されて来たわけであります。その基本的な考え方は、ただいま申しましたような考え方、解釈によつて処置されておるわけであります。
  27. 今澄勇

    今澄委員 所有権の問題については御承知のように、審議会でも相当これをもんだ速記が残つておりますが、われわれは今のあなたのおつしやつたそのことは、法務府とも連繋の上、それは法務府もそのように認めておるものかどうかお聞きしたい。これとともにこれらの解釈上の問題については、法務府の中においても、そうではいけないという意見があるというふうに聞いておつたが、そういうことがあるか、お知りであればこの際お聞きしたい。
  28. 徳永久次

    徳永説明員 ただいま申し上げました考え方は、私たちだけのものではございませんで、法務府も全面的に同様に解していただいておるわけであります。ただいま御指摘をいただきましたように、審議会では一部の委員から、新憲法のもとでは疑問がありはしないかというような議論があつたことは、私も議事録によつて承知いたしております。しかしながら法務府の内部にそれに関して疑問があつたということは、私は了承いたしておりません。
  29. 今澄勇

    今澄委員 いろいろあと質問もあろうと思いまするから、この問題については一応この程度にして、後ほどに保留して打切ります。  あとは鉱害でございますが、鉱害の賠償については、この改正案では金銭賠償主義を採用しておるようであります。この賠償金額に比して著しく多額の費用を要しないで原状回復のできるという場合は、被害者が原状回復を請求し得る、こういうふうなやり方では、賠償としてもらつた金銭で被害物件を原状に回復し得ない場合が起りはしないか。こういうことは片手落ちになりますが、この鉱害賠償を金銭賠償を主として、原状回復を例外としたのは、一体どういう理由でこういうふうになつたかということをお聞きしたい。
  30. 首藤新八

    首藤説明員 鉱害賠償を金銭賠償にいたしましたのは、御承知通り、山によつて鉱害の模様といいますか、鉱害の程度が異なつておる。あるいはまた従来やつて来た関係上、ある山は原状回復が非常に進行しておる、またある所は非常に回復していないというような点もありまするし、また土質の関係等も鉱害復旧に対して相当大きな條件となるのでありまするが、これらいろいろ要素が異なつておりまするので、これに対して従来のような方法では、とうてい目的を達成しがたいいろいろな問題がそこに起つて来まするので、そういう関係上一応金銭賠償にした方が、あるいは御説のごとく、山によりましては多少回復に困難な所ができるかもしれまんけれども、一応これの方が回復しやすいのではないかというような考え方のもとにやつたのでありますが、できるだけそういう問額も地元との話合いによつてスムーズに運行していただきたいというような気持を持つておるわけであります。
  31. 今澄勇

    今澄委員 今の御答弁でははつきりしませんが、さらにもう一つ。私はこれらの鉱害賠償を鉱業権者にのみ負担せしめるということに非常に大きな問題がある。だからこれらの鉱害賠償を鉱業権者にのみ負担させないで、これを原状回復を原則にして、しかもこれらのものについては国家が補償するということでないと、現在の最末端にいる被害者を救うという建前からは、この鉱業法としては非常に論点が出て参ろうと思いますが、将来国家がこれらの鉱害に補償を與えるというお考え政府にあるかどうか、政務次官にお聞きしたい。
  32. 首藤新八

    首藤説明員 まつたくお説の通りでありまして、実はこの問題につきましては、本年五月の国会であつたかと思いますが、鉱害に関するところの決議が行われておるのであります。ただいま今澄委員の御説の趣旨によつてこの決議が行われたと実は記憶しておるのであります。そこで政府といたしましても、どうしても国土の総合的計画の一環にこれを取入れたというふうな考え方を現在強く持つておるのでありまして、今後機会があればそういう面にこれを取入れて、国家的な事業として原状回復をいたしたいという気持を持つております。ただ、しかしながら現在の段階においては、御承知のごとく、特別鉱害問題におきましても、なかなか国家資金をこれに投ずるということは困難なほど現在の財政がきゆうくつでありますので、非常にむずかしい問題だと思いますけれども、今後機会がありますれば、その線にぜひ推進いたしたいという気持を持つておるのであります。
  33. 今澄勇

    今澄委員 大体政府としては原状回復を理想とし、すなわち国家が補償すべきであるという建前に立ちたいという政務次官の御答弁からすると、この鉱業法には、何らかこれに対して改正を加えなければならぬという結論が出ますが、これは後日に譲ります。  そこで今話の出た戰時特別鉱害法というものを、この通産委員会において七人の委員をあげてきまりましたが、その後これが運営については、われわれはいろいろ努力をして、大蔵省その他資金問題がネツクになつておりましたが、それらの問題が解決したかどうか、大体特別鉱害の認定はどの程度進んだか。それでこれは大体支障なく、この五箇年計画なつた戰時特別鉱害復旧が計画通り行くかどうか、この機会にこの法案とは離れますが、それらの特別鉱害のその後の状況について詳しく政務次官から御説明願いたい。
  34. 首藤新八

    首藤説明員 この問題につきましては、資金問題その他で大蔵省と相当折衝を重ねたことは、あらためて私から申し上げるまでもないと思いますが、来るべき国会に対しまして、特別会計の改正法を実は提案いたしたい。それが通過いたしましたならば、遅くとも一月から工事の実施にかかりたいという気持を持つておりますが、大体現在の予定は、来月の臨時国会にこの法案を提案いたしたい。そうして同時に、一トン当りの納付金額の告示も、来月中にやりたい。さらにまた十二月になれば、大体鉱害の認定は全部済んでおりますので、認定の告示、あるいはまた鉱業権者の指定、二十五年度の工事の指示、納付金の告知書の発送、工事計画、こういう具体的な措置を講じまして、十二月末にはぜひともこの納付金の徴收を締め切つて行きたい。そうして一月から工事にかかりたい。かような構想のもとに今事務を進めておるわけであります。
  35. 今澄勇

    今澄委員 特別鉱害については、ひとつ政府も強力な推進によつて、当通産委員会が定めた改正法の趣旨を十分実現されるようお願いします。なおそれらの問題について支障がある、こういうところが法律的に不備だということになれば、この機会に明らかにしていただきたいと思いましたが、会計法の提案を来国会にされるということで、一応この問題については、私ども早急なるこれが実現を見るような措置を講ぜられんことを要望して終ります。  そこで私は戰時特別鉱害で見るように、鉱害の発生は、今後北九州あたりの石炭鉱業権者にとつては不可欠なものである。掘れば必ず鉱害が発生するということになると思うのであります。これは鉱業権者が悪いのではなくて、地質等の関係で、いわば宿命的であるとさえ私は思います。こういうような事実を、政府側もこれまでの戰時特別鉱害のいろいろな調査によつて承知であると思う。しかも地下に埋もれましたこれらの資源が、單に商品としてではなくて、国家的な必要物であるということを考えますならば、私は鉱害の賠償を單に当事者のみにまかせることは、いかに片手落ちであるかということは明瞭であると思う。一般賠償については、今後何らか国家的な見地から措置を講ずることが必要であるということは、私はこの戰時特別鉱害の結論からも、衆議院で提案された決議案の結論からも、あらゆる角度から考えて見て、これはどうしても何らかの具体的な措置考えなければなるまい、かように考えますが、もう一ぺん政務次官からこれらの問題についてお伺いしたい。
  36. 首藤新八

    首藤説明員 お説の通りでありまして、これを一鉱業者のみにまかしておきますれば、かりに復旧いたしたといたしましても、相当時間的にずれが生じて来ると思うのでありまして、それによる国家的の損失も相当大きいと考えざるを得ないのであります。従つて先ほど申し上げました通り、何としても国土計画の一環にこれを取入れて国家が相当これを補償して、原状に復旧するという線に今後も進んで参りたい、このように考えております。
  37. 今澄勇

    今澄委員 そこで私は、今の九州のごとき特別な地域を——これは私の考えであるが、特別区域として、特別の措置を講ずるというような案を、これらの鉱業法に盛り込むとか、あるいは建設省と連絡をとつて、そういつた措置を講ずるというような具体的なお考えがあるかどうか、あわせてお聞きしたいと思います。
  38. 首藤新八

    首藤説明員 関係各省と今後も引続き折衝をしまして、多少見通しがつきますならば、法案をあらためて修正するなり、適当な対策をとつて行きたい、かように考えております。
  39. 今澄勇

    今澄委員 今の政務次官の御答弁で、これらの鉱害に対する政府考え方は、われわれの考えにほぼ近いものであるということで、私は大いに満足であります。どうかこれらの特別鉱害地区を設定して、これらの鉱害鉱業権者のみにまかせるということでなしに、自分が責任を負うという態勢に進めるということは、理論的にも、現実問題からも、正しいことであるということをひとつ御了承願いたいのであります。  次にこの鉱害賠償の打切り補償の件でありますが、これは、なるほどこれを一定期限に打切るということについては、鉱業権者としてはこれはぐあいがいいが、被害者にとつてはたいへんな痛手である。これは被害者の立場に立つならば、これらの打切りという問題に対しては、どうも弱い者いじめであるという感じを受けるが、それらの欠点を是正するというような考えがあるのか。どういう建前でこういうことになつたのか。これまた詳細な説明を承りたいと思います。
  40. 徳永久次

    徳永説明員 俗に打切り補償と申しております事項は、この新法の中では百十四條に「損害賠償の額が予定された場合において」云々ということで表現しておるわけであります。これはただいま今澄委員からお話がございましたように、被害者の立場から見ました場合に不利ではないかというお話があるのでありますが、これは最初の話合いがつきます際には、何と申しますか、年々何千円かずつというようなもらい方もあり得るわけでありますが、それよりも年々これだけの收益といいますか、利用価値のあるものに相当する額のものを一度にもらつておいた方が、被害者の立場としても、いろいろな点でぐあいがいいというようなことが、現実に報告があるわけであります。そういうことから、現実にもいわゆる打切り補償というような形で、そういうことが行われておるわけでありますから、法案におきましてはそれを、そういう打切り補償をやりましたとしましても、経済界の変動ということもございますし、一度きめたものがその後における経済情勢変化等によりまして、著しく不相当であるというような場合も起るわけでございますから、その場合に金額を増すとか、あるいは逆に減すというようなことも観念的にはあり得るわけであります。そういう打切り補償をしたからそれでおしまいだというわけのものでないのだ。事情の変化によつては増減の決定ができるのだということを明らかにいたしたわけであります。従いまして、この制度はいずれにしましても、両当事者の納得の上で行われることでございますし、私どもとしては納得の上に行われることが合理的な道筋を進むということで法案をつくつたのでございまして、何もこの制度自体を、鉱業権者保護というばかりの意味でつくつたわけでないことを御了解願いたいと思います。
  41. 今澄勇

    今澄委員 私はこういう重大な鉱業政策の中心になる国家百年の政策は、鉱業権者は、国家がこれを守り、そうしてこれらの末端の被害者は、法律においてそれを守り、窮極の目的であるところの一般被害者が助かるというところに、法律目的というものは、理論的に行かなければならぬと思います。しかるに国家が鉱業権者を守ること非常に薄く、しかしてこれらの鉱業権者が、この二十年の打切りによつて、一般被害者に迷惑を及ぼすとするならば、そこに大きなこれは欠陷を持つておるものといわなければならぬ。この打切り二十年を十年にしたいというような意見がいろいろ出ているが、その根底である国家が、これらの鉱業権者を補償するならば、少くともこれらの補償の打切りなどのごときは、これをとりやめて、末端の被害者をいつまでも守つてやるということが、法律としては筋が通る、かように私は考えておりますので、これらについて、政務次官にひとつ考えおきを願いたい。  次に移ります。先般いただいた参考資料の中に、この法律ができるまでの経過が載つておりますが、この鉱業権者の資格でございますが、非常にこれには議論があつたように書いてあつた。少くともこれらの鉱業権者の資格に何らかの制限を加えて、鉱害その他において、十分賠償のできる能力のある者のみを鉱業権者にするという強い制限規定を設けたらどうかという意見も出ておりますが、これらの必要があるかどうか、そういつたことについて考えられておるかどうか。これをひとつ政務次官なり局長に御質問いたします。
  42. 徳永久次

    徳永説明員 新法をつくります際に、鉱業権者の資格は制限したらどうかという議論は、ただいま御指摘がございましたように、審議の過程にあつたわけであります。ただしかし、制限するといたしますと、私どもが一番懸念いたしましたことは、結局その人の信用、財産の能力とかいうようなものが、ことにただいまの賠償のことも考えますれば、当然問題になつて参るかと思います。さような点から一応その面でよさそうにも見えるわけであります。しかし根本的に考えまして、そういたしますと、その認定というものを抽象的に、信用が幾ら、財産が幾らというようなことを、この根拠法である法律に入れ得るものでもありませんし、また経済界の変動ということも考えました場合に、かりに入れてみましても、無意義なものになることが考えられますので、この点からも不適当であると考えられます。さらに根本的に私どもが疑問としましたのは、そういう制度にいたしますと、一種の自由裁量の認定にかかるというようなことに相なるわけであります。ところが鉱業法は、これができました当初からもさようでありますし、今日もさようでありますのみならず、外国でもほとんど同じような体系をとつておりますが、その基本の扱いの中に、いわゆる先願主義というのが大きな線として貫かれているわけであります。最初に発見した人が最初にそれを出願しますれば、その人に権利が與えられるという建前をとつているわけであります。この建前は目に見えない形でございますが、鉱物ほんとうの発見ということに非常に大きな原動力になつておるものだと考えるのでありますが、現在非常に大きな仕事をしております山も、かつては小山であつたのでありますが、その小山でなくなつたゆえんのものは、目に見えない地下資源というものを、足と目と能力をおしまずに山野を跋渉して発見した人の力に負うところが大きいわけでありまして、その基本の先願主義によつて鉱業全体が恩恵を受けておるということは莫大なものがございまするので、この先願主義というものはどうしても貫くことが適当ではないか。もしかりに資格の制限ということにいたしますれば、自由裁量ということになりまして、先願者必ずしも権利を與えられるということには相ならないようにもなりまするし、その点から非常な問題があるのではないか。またその自由裁量ということになりますれば、その自由裁量の運用自身に公正、適切な措置が期し得るかどうかということに、はなはだ疑問も出て参るわけなのでありまして、各国の法制及び日本の過去におきましてとつておりましたこの先願主義の原則というものが傷つかないということにいたしますためには、この資格の要件を入れるということは適当ではないのではないかということに相なつたわけであります。ただ今今澄委員から御指摘がありましたように、さようなことにいたしました場合に、鉱害の賠償能力のない者が仕事をすることになつて、危險ではないかというような御心配だつたわけでございますが、これは鉱業法の体系としまして先願主義をとつておりますが、しかし現実問題としまして、鉱業が経営されるという段階において初めて鉱害が起るわけでありまして、鉱業の経営には相当の資力、信用がなければ、開発そのものが行い得ないわけであります。その開発するだけの資力、信用をもつて行われておる場合におきまして、鉱害賠償というものはそのきわめて一部のものにとどまるわけでございますので、現実問題といたしました場合には、法律の要件として鉱害賠償の支拂い能力のある者というようなことは、法律で書く、書かぬにかかわらず、現実に経営が行われておる場合、一般的に見ました場合には、賠償の額が拂えるくらいの仕事はしておるのだというふうに理解する方が常識ではないかというふうに考えまして、かれこれ勘案の結果、審議の過程におきましては問題になりましたが、資格要件を特に定めるということはとらないということに、みんなの意見も一致したわけであります。
  43. 今澄勇

    今澄委員 次は第四章の鉱業に対する勧告及び協議というのがありまして、この法案の特色の一つになつておりますが、これが実施はきわめて愼重にやらないと、その結果は自由裁量的な非常にまずいことにならぬとも限らない。それでこれが適用については、何か地方審議会というような民主的な機関でもつくつて、それに相談しながらやるというようなことにでもすれば非常にいいのではないかと思うが、これらの点について何かお考えがありますか。
  44. 徳永久次

    徳永説明員 この原案は、私どもにしますれば、実は現行法よりも民主的にいたしたつもりであるわけであります。と申しますのは、現行法によりますと、こういう勧告の段階を経ずに、いきなり鉱業権者に対しましてこれこれをしろというような命令なりができるという仕組みにつくられておるわけであります。新法におきましては、国が権力規定によりましていきなり命令するということは適当でないので、まず合理的な根拠を示して勧告をいたしまして、それに対して鉱業権者自身がどう処置されるかという十分の考慮の余裕を與えまして、最終的に場合によつて命令に持つて行くということにいたしたわけであります。さらにその過程におきまして、今御質問のございましたように、民主的なある種の委員会を設けて、その委員会の意見によるかどうか諮問して、それから権力規定を発動するということを考えたらどうかという御議論もあります。またさような構想も議論されなかつたわけではございませんが、この原案をごらん願いますれば、最終的に国が権力規定を発動いたします場合には、その事前に、勧告を受けましたあと、さらに公聽会を開きまして、その公聽会の意見を聞きまして、聽聞を行つた結果としてでなければ発動し得ないというような規定をとつておるわけでありまして、民主的な委員会と聽聞の審理とは実質的には大差ないものではなかろうか。一つ委員が固定するのと、原案の方では委員があらかじめ固定されていないというだけの違いではなかろうかという程度考えておるわけであります。さらに国が聽聞を開きました結果として、ある種の権力規定を発動いたしましても、それになお当事者が不服がありました場合には、現行法にもございません制度といたしまして、土地調整委員会に事案を再度持ち上げることができるという仕組みになつておりまして、権力規定の発動につきましては、きわめて愼重な民主的な手続をとるごとく用意したつもりでおるわけであります。
  45. 今澄勇

    今澄委員 先ほど私が質問した鉱業権者の資格の点においても、やはりいろいろ見方をかえれば二つの立場が立ち得る。本法の鉱業に関する勧告及び命令に関する点についても二つの見方が立ち得るが、その二つの解釈の仕方は、政府当局者に非常に有利な解釈の仕方によつてこの法律が組み立てられているというように、今の御説明から印象を受けました。これらの問題については、一応具体的な考え方をわれわれもまとめて、またこの法案の審議の上に出したいと思いますが、われわれは少くともこれらの問題については、世人の納得するような民主的な方法をあらゆる場合においてとり得る、勧告主義のみで決してこの鉱業権者としての資格をきめるべきではないということをなお考えてみたいと思いますが、この点も後ほどに留保いたします。  それからこれから申し上げることは、これまで質問があつたところと少し重複しますが、一応個々の問題としては、やはりこの際考え方を確かめる必要がある点について、今日は午前中で質疑を打切られる予定でありますから、私は簡單に一つ質問をいたします。  第十七條の鉱業権者の資格について、條文では一応「日本国民又は云々」とはつきり書いてありながら、そのあとに「別段の定があるときはこの限りでない」という但書をつけ加えたという点は、先般の質問についての答弁では満足することのできないものがありますが、これはどういう意味でこの但書が加わつたのか、明確にひとつ御答弁を願いたい。
  46. 徳永久次

    徳永説明員 これは一昨日もお尋ねがございましてお答え申し上げましたか、この新法をつくりますまでの審議会におきましては、当初の答申案は内外人平等主義によつてやるというような特殊の資格の制限を設ける必要なしというような審議会の答申であつたわけであります。その後関係方面におきまして、鉱業権については、外国の法制から見ても、そう内外人平等というふうに遠慮しなくても、多少自国民主義というふうに制限してもいいじやないかというようなサゼツシヨンもございまして、われわれそのような趣旨で十七條をつくつたわけでございます。但書は一昨日も問題にされたのでありますが、但書の趣旨は、この日本国民及び日本国法人に限るというのでありますが、この制限を相手国と相互主義によつてつて行きたいというふうに考えておるわけであります。相互主義になりますと、それを律しまするのは通例の場合は通商航海條約によりまして規定されることに相なると思いまするので、それはそれぞれの国々との條約の書き方で、俗に相互主義と申しておりますけれども、表現はいろいろと條約の文言によつて生れて来るものでありますし、相互主義によつて外国人も鉱業権者になれるという道を開くのは妥当ではないかという判断のもとに、鉱業法の中では相互主義そのものは通商航海條約その他によつてきめられることでございまするので、ここにありまする但書のような表現をとつたわけであります。
  47. 今澄勇

    今澄委員 この但書についても問題があると思いますが、今の御答弁ではどうもはつきりいたしませんが、これも留保いたしましよう。  そこでもう一つの問題は、試掘権の延長、この試掘権というものはやはり国民大衆並びに国の利益の立場から考えなければならないが、この試掘権の延長というところに、「試掘権者が誠実に探鉱をした事実が明らかであり、且つ」云々という文句があります。この「誠実に探鉱をした事実」というものの解釈をちよつと……。
  48. 徳永久次

    徳永説明員 ただいまのお答えには試掘権の本質と申しますか、試掘権という制度を置いた趣旨からも御説明をする必要があると思いますが、この鉱業権の本体をなしますのは、あくまでやはり採掘権でございまして、試掘権はその採掘に至りまする前提行為として地下資源の賦存状況がはたして仕事をするに価するかどうか、価するだけの品位鉱量のものがあるかどうか。あるいは地形的にどうかというようなことを調査するための、いわば便宜の権利のようなものでありまして、鉱物ほんとうに採掘する前提としてそういうことが必要なわけでございますが、そのために試掘権というふうな道にしまして、税法関係にしましても、採掘権よりも鉱区税なりその他を安くするというような取扱いによりまして、鉱業の初期の段階保護をはかるというようなことから試掘権というものが設けられておるわけであります。この原案によりますれば二年となつておるわけでありますが、この期間につきましては、たびたび適当であるかどうかという疑問が持たれておりますけれども、それはともかくといたしまして、この期間内にそれが採掘権に直すに必要なだけの稼行価値のあるものかどうかということの調査を行うことが、片方税金その他の特典を與えております反対的に考えましても当然に要請されるわけであります。その趣旨をこの法文では誠実に探鉱をやつたかどうかということを見た上で、それをいろいろやつてみたけれども、二年間では足らなかつたからという場合に、さらに二年間延長し得るというふうに組み立ててあるわけでございます。誠実にやつたかどうかという基準をどの程度にみるかということは、いろいろ技術の関係、地形の関係もございまして、一概に穴をいくつ明けてみたからどうこうということも言えるわけではありませんので、鉱種によりましては物理探鉱で十分だと言うものもありますので、地形の状況で鉱区全体方々に穴を明けるというわけにも参りませんし、抽象的に非常にわかりやすく、どの程度つたからよろしい、どの程度やらなかつたからだめだという場合に、一概に具体的な事情がちよつとはつきり言えないわけでありますので、ここでは法の精神からいいまして、試掘権というものを設けた趣旨からいたしまして、二年間に当然探鉱をやつているはずだということでございますので、それを誠実にやつたかどうかということを抽象的に書いたわけであります。
  49. 今澄勇

    今澄委員 第四章の勧告及び協議についても、今の誠実な探鉱についても、これは政府官吏の非常な自由裁量にまかせた問題で、法律としては不完全なものであると言わなければならぬと思います。ある者は誠実に探鉱したというので許可になるし、ある者は不誠実であつたというので不許可になる。小淹炭鉱の例を見ても非常にこれらのものの解釈、判定はまちまちである。このことについてもやはり業者が納得し、国民からなるほどそうだと思われるような基準が立てられるなり、あるいは民主的な決定をするような方式をとるなりしなければこういうものはうまく行かないのじやないか。かような意見を持つていることをひとつ御了承願いたい。  それからこれらの探鉱は当然これは国家がやるべきじやないかと思う。すなわち地下資源というものはわが国においてきわめて貧困であり、国家的保護のもとに貴重な資源の開発を行わなければ、将来といえども鉱業権者だけにまかせておいたのでは開発に十分な期待を持つことはできまいということは、政府といえどもこれはお考えになつておると思いますが、石油については石油資源開発法のごとき法律によつて、石油資源の試掘、その他昭和二十六年度において三億円ですか計上して、これらの問題を取り上げておるが、この鉱業権について政府鉱業権者の指導監督のみならず、一面にこれらの資源の開発のために政府の義務を果し、これが国の鉱業であるということにおいて、何らかのこれらに対するお考えがあるかどうか、ひとつ政務次官にお聞きしたい。あわせて鉱業法全般を通じて先般本法作成指導のために来日いたしましたダンカン氏の資料をわれわれが調べてみると鉱物は一切国の所有であると言われております。この法律の中において、鉱物が国の所有であるというダンカン氏の言葉をどういうふうに政府は解釈し、実現し、しかしてこれらの試掘の場合においても、その他の場合においてもこの言葉が貫かれておるかどうか。自分の都合のいいところについてはそれらの勧告なりその他のものに従うが、都合の悪いところについては従わないというようなことは、どうも法案全体を通じて不明確であると私は思う。この点について首藤政務次官局長から御答弁願いたいのであります。
  50. 首藤新八

    首藤説明員 鉱業の開発が非常に至難であり、しかもこれが国家の基本産業であるというきわめて重要な意味を持つておりますので、できるならばこれらは政府資金でやるということがほんとうじやないかという考え方も持つておるのであります。現にアメリカあるいはその他の実情を調査いたしましたが、アメリカにおいては国家資金を多分にこれに織込んで、そうして探査をやつておるというような事実がありますので、日本もできるならば将来そういう方面に持つて行きたいという実は考え方を持つておるのであります。従つて本年度におきましても、この資源探査の助成といたしまして、総額二億八千万円を使つておるのでありまするが、さらにまた明年度も、大体非鉄金属並びに石油等に対しましては、相当探査の助成をやるべくその予算を実は計上いたしておるのであります。またその他におきましても、税法上の問題あるいは道路の問題等々、いろいろな面に現在助成金を出し、また補助をいたしておるのでありまするが、今後この面におけるところの助成はもつと徹底した方法をもちまして、ただいま今澄委員の言われたごとく、鉱物資源は国家のものであるというような考え方に立つて推進した方が、結局国家経済利益じやないかというような考え方を実は持つておるのであります。
  51. 徳永久次

    徳永説明員 ただいま鉱物は国有とするというようなダンカン氏のメモをこの法案でどう具体化しておるかというお尋ねでございますが、それは條文ではこの第二條に表現されておると思います。第二條に「国は、まだ掘採されない鉱物について、これを掘採し、及び取得する権利を賦與する権能を有する。」という表現をとつたわけでございます。現行法におきましては端的に鉱物は国有とするという表現が使つてございまするが、国有という言葉が、きわめて誤解を招きやすいと申しまするか、私有財産権の所有権と以たような印象を持つたわけでございます。国の鉱物を国有とすると書いてあります趣旨は、鉱物そのものの所有権を国が持つておるというよりも、鉱物の開発権をだれに與えるかという権能を国が持つておるのだというふうな理解の仕方の方が正確ではないかということで、この第二條のような表現をとりましたわけでございます。新法全体には同じような精神が貫かれておるのでありまして、先ほど今澄委員から御指摘がございました重要鉱物の国家所有の不可侵の原則に反しはしないかということも、この第二條の趣旨から見まして、反しないというふうに了解いたしておるわけであります。同様の精神によりまして、この法案は構成されておるわけでございます。
  52. 小金義照

    小金委員長 皆さんにちよつとお諮りしますが、定刻よりちよつと始めるのが遅れたので、田代さんがまだ三十分ほどあるそうですが、御勉強願つて、きよう一応今澄君が済んだあと田代さんのを聞いていただけますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 今澄勇

    今澄委員 私はこれで打切りますが、結局この法律を貫いておるものは、そういうふうな鉱物が国の所有になるべきものである。あるいは鉱害賠償等についても国家がその責任を負わなければならぬというような、国の義務についてはこの法律の中にうたわれておることは非常に薄くて、そうして政府の役人が処置するものについての自由裁量の分野が非常に大きくて、そうして鉱業権者に対する制限規定その他のものも非常にこれは多い。こういつた点については修正すべき幾多の箇所をわれわれは見出すとともに、この鉱業法を出された機会に、政府がこれらの日本鉱山政策の恒久的な建前からいろいろな政策をこの際発表して、政府はこれこれこういうふうな鉱業政策のもとに、この鉱業法をかように改正して、国家の義務についてはかくのごとき態度をもつてこれを履行する。その法律はこれこれだ、その予算はこれこれというような明確な態度を当委員会説明される必要があるということを、首藤政務次官に申し述べて、私の質問を終ります。
  54. 小金義照

    小金委員長 次に田代文久君。
  55. 田代文久

    ○田代委員 先ほど来問題になりましたが、私たちの見解としましては、第十七條の問題が実は旧法と比べまして決定的な意味を持つておるというふうに理解するのです。いろいろ説明がありましたけれども、まだ核心に触れていない。先ほど今澄君の質問に対する説明におきましても、数日来繰返されておる相互主義云々というだけで説明されておるのでありまして、前法律によりますと明らかにこの但書がなかつたのであります。「帝国臣民又ハ帝国法律二従ヒ成立シタル法人二非サレハ鉱業権者トナルコトヲ得ス」ということになつておりました。この帝国云々はもちろんいけません。この字句がのけられたというだけなら話がわかるのですけれども、但書がついておる。私どもは申し上げるまでもなく、独立国としての体面を名実ともに維持しなければならない。今後経済の開発あるいは発展から申しましても、当然立法はそういう大義名分の上に立たなければならないのであります。ところがこの但書によりますと、「條約に別段の定があるときは、この限りでない。」きわめて簡單な文句のようでありますけれども、実は日本の独立国という体面、これに対して非常に疑義を感ずるわけであります。むしろこういう点から申しますと、この前の鉱業法よりは明らかに根本的に改悪されておるということを私は言わざるを得ないのでありまして、なぜこういう但書をつけたのであるか。つまり互助主義ということを言われますけれども、現在の日本経済的実力あるいは政治的な実力、文化的な実力はアメリカその他の国に比べますと、明らかに格段の相違がある。そういう場合に互助主義によりましても、日本鉱業権者あるいは日本の資本家アメリカで鉱業権を設置する、あるいは持つということはとうてい考えられないのであります。ところが外国の資本家が日本国内において鉱業権を設置する、あるいは取得するということは、こういう但書がありますとどんどん遂行される可能性がある。また他の面におきまして私どもが絶えず主義しておりますように、たとえば最近の例から申しますと、日比谷に現在日活の国際会館ができつつありますが、あれなどにおきましても、アメリカのノースウコスト航空会社が四八%の投資をやつておる。そして日本の資本家が五二%持つておる。それから上る利益は全部日本に来るのでなくて、外国人がかなり持つて行くということになつて参ります。こういうことになりました場合に、外形的にどんなにりつぱな家が建つても、道がきれいになつても、実際上における日本の実力というものはほんとうに独立国としての体面を維持しているということにならないのであります。首藤次官は経済界の実情はよく御承知と思うのでありますが、こういうことから日本鉱業権にもし外国人がどんどん入つて来られるということになつた場合に、この基本的な領土にもひとしい鉱業権というものに対する確保をどうしてなされるか、私はこれに対する根本的な見解をはつきりお伺いしたいのであります。
  56. 首藤新八

    首藤説明員 ただいまの御質問でありますが、これはあくまでも原則といたしましては、日本国民または日本国法人でなければならないということははつきりいたしております。ただ條約の定めある場合はこの限りでないということでありますが、これは先ほども局長から申した通り、通商航海條約その他のおいて、そういう條約が行われた場合、しかもその條約は相互條約であることが前提となることを考えてつくつたのであります。従つてただいま田代議員の言われましたごとく、日本鉱業であるから、それが外国人の手によつて開発されるということは、独立を侵害するというような御意見でありまするけれども、これは私は見解の相違かとも存じまするが、われわれはさように狭く解釈をするということはどうかと考えておるのであります。たとえば戰前におきましても、相当日本の資本をもつて開発いたしまして、そうして日本鉄鋼業の進展に大きな寄與をいたした事実もあるのであります。従つてこういう面からも将来日本の資本をもつて開発するというような相互條約が結ばれる限りにおきましては日本鉱業の小部分が外人の手によつて開発されましても、決してそのために日本の独立を侵害されるものとは考えていないのであります。むしろある場合におきましては、その方が日本経済の発展上大きなプラスになる場合もあるのではないかというような、少し広い考え方を実は持つておるのでありまして、そういう考え方のもとにこういう條項を入れたというように考えておるのであります。
  57. 田代文久

    ○田代委員 この点で政務次官は非常に楽観されておりますが、この楽観は非常に危險な楽観であります。先日の鉱山局長説明によりましても、むしろ日本としてはこういう点ではあまり気に病んでいなかつた。自由自在に外国人でも鉱業権をもつてもいいというくらいに考えていたけれども、向うからのメモなり、あるいはサゼツシヨンによつてむしろ意見をかえたくらいだと言われたけれども、こういうことになりますと、卑俗な言葉で申しますと、おめかけ法律みたいな気がするのであります。池田大蔵大臣がおめかけになつてもいいじやないかということをいつか言つたような気もするのでありますが、決してそうではないのであります。私は現在の次官の考え方から申しましても、原則的には独立国家の立法としてそうでなくちやならないとはつきりとそれは認められておるようでありますから、それならばなぜそういうふうにされないか、私はかように互恵の問題、その他の問題がありますならば、何も急いで旧法にもないのに、そういう重要なる問題が含まれてあるのに、新しくこれをかえる必要はないと思うのであります。もしぜひとも必要であれば、それに当面しております重要な問題に対しましては、あらためて法律の中に盛ることも可能であります。しかるにあらかじめこういうふうにはつきりされるということは、現在の国情からいたしまして非常に危險である。日本経済からいつても危險であり、また実際におきまして、日本の炭鉱業者の方々もこれを愼重に考えられますならば、こういう点はもつてのほかであるというふうな意見を持たれる方が私は非常に多いと思うのであります。そういう意味で現在政府はこの法案から但書を削除される意思があるかどうか。私はぜひともこれは削除しなければならないということを意図するのでありますが、その意思いかんを聞きたいと思います。
  58. 首藤新八

    首藤説明員 これは別の面から考えますれば一つの外資の導入というようにお考えつてもいいと思うのでありまして、むしろ日本の現在置かれた経済段階等から見まして外資の導入は決して拒否すべきではない。またこれをやつたからといつて日本の独立性を侵害される何ものもないという考え方をわれわれは持つているのであります。     〔委員長退席、中村(幸)委員長代理着席〕 ことに鉱業権につきましては、先ほどから繰返して申上げておるように相互確約のあつたことを前提とする、向うも開発を許すという場合にのみこれを認めるということに相なつておりますので、これをただいま削除するという意思はないのでありまして、またその必要もないというふうに考えておるのであります。
  59. 田代文久

    ○田代委員 この問題に関しましては、そういう決定的の内容を持つておりますけれども、見解の相違として逃げられるわけで、これ以上申し述べませんけれども、この條項は実はこの法案に対する決定的な重要なネツクになつている。しかも日本の国民としてはゆゆしき問題になつているという点をはつきり申し上げまして次に進みます。  次に小さい問題になるのでありますが、鉱業権変更あるいは放棄というような問題、大体この問題は官庁あるいは鉱業権者を中心に考えられているようでありますが、その変更あるいは放棄というような場合に、そこで働いている従業員諸君にこれを諮る。その意見を十分聞く、またそういう機関従業員諸君を参加させるという箇條を入れる必要があろうと思うのでありますが、この点はどうですか。
  60. 首藤新八

    首藤説明員 御質問の第二は、法案に織り込むべきものでないではないかという考えを持つているのでありまして、これは一般の経済界において従来もそれと同じ例がたくさんありまするので、それらの例によつて措置するということでこの問題は解決するのではないかという考え方を持つております。
  61. 田代文久

    ○田代委員 それから土地收用権の問題ですが、この鉱業権者の土地收用権を認めておるのですが、これはいろいろ弊害があると思うのでありますが、この点に対する政府の御見解を伺いたい。
  62. 首藤新八

    首藤説明員 この問題は主としまして精錬所の設置等が一番大きく問題になると思うのでありまして、精錬所その他を設置する問題に、どうしてもこういう法案をつくつておきませんと地主との間にいろいろ問題が起こりまして、非常に必要であるにもかかわらず、設置できないというようなことを実は危惧いたしましてこういう法案を出したわけであります。
  63. 田代文久

    ○田代委員 そういう場合に鉱業権者でなく、あるいは第三者がそれに関與して、これをするということの方が、むしろ公平にスムーズに行くのではありませんか。
  64. 徳永久次

    徳永説明員 それは何もこの法律ばかりでございませんが、土地收用と申しますのは、土地の所有者に対して重大な影響を及ぼすことでございますので、收用権を法令で認めております場合には、何も收用して使用しようとする事業者が勝手にできるわけではございません。その要求がありまして、それに対しまして第三者として国が国家的な見地からその必要があるかどうかということを判定して、初めて認められるという仕組みに相なつているわけであります。
  65. 田代文久

    ○田代委員 次に鉱業権の設定の出願があつたときの問題でありますが、大体関係都道府県知事と協議するということになつておるようでありますけれども、実際の実情から見ますと、その鉱区にあります市町村の方が直接利害関係も深いし、また実情によく通じておるわけなので、むしろこういう場合にはあわせて市町村長にもこれに参加させるということが必要だと思うのでありますが、これはどういうふうに考えておられますか。
  66. 讃岐喜八

    ○讃岐説明員 地方長官は森林法、農地調整法、国立公園法、温泉法等いろいろの法律関係で権限を持つておるわけであります。そういうわけで、公益の代表として地方長官に協議申し上げるのでありまして、市町村長にはそういう法律関係はございません。なお府県知事に協議するだけでも相当の手数になりますので、その上市町村長に協議いたしますことは、手績る煩雑にいたしまして不適当かと思うのであります。
  67. 田代文久

    ○田代委員 次に賠償規定の問題ですが、全体としまして、これは全鉱業法でそうですが、各委員が認めておられますように、大体これは鉱業権者本位になつておる。ところが実際における被害を受けます、賠償を受けねばならない人々は、みずからその鉱業によつて利益を受けるという人ではないのでございまして、全然自分たちは利益を受けずして、そのとばつちりの被害ばかり受けて迷惑が一切合財おつかぶさつておる。もし国家の法律を立法いたします際には、こういう立場にある人こそ、万全に救う、賠償してやるという精神に立たなければならないと思うのでありますけれどう、大体この全体の條文、それからまた政府説明の内容によりましても、鉱業権者本位——そうして鉱業権者がいかに自分の利益を受けるか、あいはまたそういう立場から国家全体の鉱業が進めばよいということになつておるようでありまして、この点はなはだ遺憾に思うのでありますが、この点に関する考え方を根本的にかえられる必要があるんじやないかと思うのですが、この点に対する見解はどうです。
  68. 首藤新八

    首藤説明員 政府といたしまして、今日までこの問題については相当掘り下げて検討いたしたのでありますが、大体こういう法案でこの被害者も損失をこうむることがないのじやないがむしろ場合によつては、一時金をたくさんもらつた方がよいような場合もあるんじやないかというような考え方も持つておるのであります。しかしながら田代委員の御質問並びに先ほど今澄委員からもこの点について御質問があつたのでありますが、具体的に納得のできる被害者が、こういう点で相当利益條件に立得るのだというような大きな理由がありましたならば、われわれはこれを修正することに決してやぶさかではないのであります。従つて被害者がこれこれの問題で、こういう法案には非常に不利になるという具体的な問題がありまするならば、御提議していただきたい、かように考えております。
  69. 田代文久

    ○田代委員 次官は非常に現実の認識不足をされているように思うのですが、この法律によつて、大体被害者諸君が満足され、また場合によつては金をもらうことによつて、むしろこういう法律を希望されているんじやないだろうかというような見解のようでありますが、これはもつてのほかであります。私たちが現地に調査に参りましても、また現地の実際の被害者諸君の意見を聞きましても、まつたく反対であります。これは次官も直接ごらんになつたことと思いますし、全通産委員も実際現地を調査いたしましていかにその見解が違つているかということをはつきり認めております。また事実これが非常に不十分であり、また違つておればこそ、特別鉱害復旧臨措置法等におきましても、また現在残つておる一般鉱害の問題にいたしましても、單にこれは賠償してもらうとか、もらわぬとかいう以上に、重大な社会問題になつておるというところまで来ておるのであります。私は現在の政府並びに次官自身の、そういう被害者に対する見解自身を改めていただきたい。農民自身もこの間話が出ましたけれども、自分たちは賠償してもらえばいいというような気持は持つておりません。自分たちはどうしても原状を回復してもらいたい。父祖伝来の土地を守り、またそれによつて実際の堅実なる農村を建設したいという意味からも、むしろ原状回復を希望せられるのであるし、金をもらつたら君たちは満足しているという見解には断然反対だということを、現地の農民諸君あるいは被害者諸君はごうごうとして言つております。これが実情であります。すなわちこの賠償規定なるものが、そういう実情に即しておりません。即しておると言われる現在の次官の見解自身が、いかに間違つておるか、いかに実情の認識が不足しておるかということがはつきり言えるのであります。私は根本的にその考え方を改めていただきたいと思うのであります。特に申し上げたいのは、特別鉱害の復旧の措置法が通りましたけれども、あれはまた非常な難航を続けておるし、しかもまたあれは政府の査定の五十億に切られておる。しかも五十億というものは非常にへんてこりんなものになつてつて、なかなかスムーズに工事量となつて実績を上げるかどうかということはまだはつきりわからない状態になつております。そのほかに約二百億に達する一般鉱害のあれも残つておる。またますます鉱害が進行しつつある。こういう社会問題に対しまして、私はこういう賠償規定は、法律上非常に不十分であるということを断言せざるを得ないのでありまして、先ほど次官は特別鉱害復旧の臨時措置法の施行による認定は、もうすでに済んだというふうに答弁なさいましたけれども、私の知れる限りにおきましては、まだ済んでおりません。この問題につきまして、非常にまた現地では問題が起つております。陳情にも見えているように私は思うのでありますが、こういう点に対する御見解をなおあらためてお尋ねいたします。
  70. 首藤新八

    首藤説明員 特別鉱害に対する認定は先ほど申し上げましたごとく、一応終了したという報告を得ておるのでありまするが、しかしお説のごとく、個個の問題がまだ残つておるということでありますならば、至急にそれらの問題も解決いたしたいと存じておるのであります。  なお特別鉱害については、当初五十億を予定しておつたのでありますが、その後調査いたしました結果、どうしても六十億を必要とするということになつて参りましたので、現在は大体六十億の予算をもつて遂行するということにかえておるのであります。  さらにただいまのこの法案によるところの賠償では、被害者が非常な不利な立場に立つ、従つて認識をかえてもらいたいというお説でありまするが、これは先ほども申し上げましたごとく、完全な原状回復がこれでできるかどうかという点については、われわれも多少の不安を持つておることは事実であります。従つてこれに対しましては、先ほどの今澄委員の御質問に簡單にお答え申し上げましたごとく、どうしても将来は国土計画の一環にこれを織り込んで、相当国家資金をもつて強力に推進することにいたさなければ、目的を達成いたさぬのではないかというような考えを持つておるのでありまして、今後できるだけその線に進みまして、完全な原状回復をやつて行きたいというふうに考えております。
  71. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと、大体私はこの賠償規定では非常に不十分なので、この鉱害問題に対しましては、單独立法を別に新しく立法して、この問題を解決する必要があるのではないかと思うし、またぜひともそうしてもらいたいのでありますが、そういう何らかの立法的な処置を別個につくるというようなお考えをお持ちかどうか、お尋ねいたします。
  72. 首藤新八

    首藤説明員 今のところそういう考えは持つておりませんが、将来関係当局との交渉によりまして、国家資金を投じ得るというような見通しがつきましたならば、法案を修正するなりあるいは別につくるか、適当な方法を講じたいと考えております。
  73. 田代文久

    ○田代委員 それから鉱害賠償に関しまして、実は先ほども少し話が出ましたけれども、租鉱に鉱害が発生しました場合に、実は賠償能力の問題で被害者は実に迷惑するというこうことが考えられますし、そういう意味から租鉱に発生した鉱害について、常に鉱業権者が連帶義務を持つ、鉱業権者を連帶義務者とするということが必要のように考えられますが、この点に対する見解はどうですか。
  74. 徳永久次

    徳永説明員 鉱害賠償に関しまして、租鉱に発生した鉱害について鉱業権者が連帶義務を持つということでございますが、この法案では租鉱権が存続している期間中は、租鉱権者が責任を持つのだということに相なつておるわけであります。鉱業権者はさらに租鉱契約がなくなつあとに残りました鉱害につきましては、鉱業権者が責任を持つというような仕組にしておるわけでありますが、租鉱権が存続いたしましてその間仕事をしております限度におきましては、租鉱権者にその仕事に伴いまする鉱害に支拂うだけの経済力というものは当然あるものと考えられまするので、この原案のような、租鉱権がありますような場合は租鉱権者の責任ということの方が適当ではあるまいかと考えておるわけであります。
  75. 田代文久

    ○田代委員 次に、損害賠償の打切りのお話が先ほども出ましたけれども、この打切り制度というものは被害者にとりましては非常に困るので、ぜひとも打切りということはやめてもらいたいのです。第百十五條の賠償の請求権の問題です。被害者が賠償義務者を知つてから三年間行わないときは時効によつて消滅するとか、あるいは二十年経過した場合には云々ということがありますが、現在の被害実情、また被害者の実情を見ますと、実は自分が、迷惑をこうむりまして、鉱業権者のところに交渉に行かれるとか、あるいはまた水が出ないとか、家が傾いているとかという問題で、不便あるいは不安を感じておられながらも、法律にうといとか、あるいはまた鉱業権者に対して、そういう被害者の方々が非常に自分を小さく考えておられるというようなことから、実際としましては三箇年を見送られておるというような場合もありますし、絶えず迷惑をこうむりながらも、知らず知らずに時間を経過さして、そうして請求権を放棄しなければならないということもあります。また実情としまして炭層というものは一層ではないことは御承知通りであります。数層に重なつております。ですからそういう点から申しましても、時効の消滅というようなことで打切られるということになりますと、被害者は非常に不安を感ずるわけであります。従つてこの時効の消滅という百十五條の問題は、被害者としてはもちろん削除してもらいたい、削除を希望されると私は思うのですか、これに対する御見解はどうですか。
  76. 首藤新八

    首藤説明員 お説のように被害者の方では、法律の趣旨が徹底せないためにあるいはそういうことが起るかとも思いますが、それだからといつてこれを無期限にいたしますれば、第一鉱業権者の義務負担能力といいますか、鉱業権者の内容がそれに伴なわないというようなこともまた半面には起つて、決して被害者の利益にはならないことになつて来ると思うのであります。またこれを全然無期限にいたしますると、その他にもいろいろな弊害が生じて来ますので、一応この際標準をつくつておくということの方が双方のために利益ではないか。従つて法律を知らぬからといつてこれを無期限にするよりも、むしろこの際徹底さしてこういうことのないようにした方が被害者のために利益でないかというよな考えを持つております。
  77. 田代文久

    ○田代委員 かりにかようにいたしましても、私はもう少し期間を長くするとか何とかいう態度をとられることによりまして、被害者の立場を十分考えていただきたいということを主張いたします。いろいろ質問したいのですが、これは時間の関係がありますからきようは打切つて保留いたします。  地方鉱害賠償基準協議会の機構の問題ですが、これによりますと、大体関係行政機関の職員のみで構成するということになつておりますが、もう少しこれに民間人あるいは被害者の代理者というようなものを入れた方が私はいいではないかと思うのですが、それに対する御見解はどうですか。
  78. 徳永久次

    徳永説明員 鉱害の基準と申しますのは非常にむずかしい問題で、常識的に考えまして、たとえばお話がございましたように專門家を委員に入れたらいいんじやないかというような御議論が出るのは一応ごもつともだと思います。しかしながら、御承知のように終戰後の、——日本の法体系はドイツと同じようなシステムでできておるのでありますが、ある種の基準というようなものをつくります場合に、国家公務員でない人に最終責任を持たすというような仕組は、正しい意味の民主化というようなことから適当でない。それは半面において各種の弊害が予想されるというようなことから、さような趣旨がいろいろな方針に貫かれているわけであります。一つの例といたしまして、基準をつくりますのは関係公務員が主として当りまして、さらに学校の先生等にお入り願うことになるわけであります。ただ最後に基準ができ上ります過程におきまして——この法案には政府としての決定的なものの構成が書いてあるわけでありますが、現実にその基準がつくられます過程におきましては、それぞれ所管省の役人、農林省その他の役人が十分責任を持ちまして專門家の御意見を聞き、あるいは詳細に実情を調査した上で初めてでき上るわけでありまして、立案の過程そのものにおきましては、十分実情に即するものが今後つくられるごとく運ばれると私は確信をいたしておるわけであります。ただ最後の責任の明確化という意味におきまして、最終の決定は政府と申しますか、公務員が負うという構成をとつておるわけであります。
  79. 田代文久

    ○田代委員 いろいろ意見がありますが、きようは大体申し合正せの時間が来たようですから、一応打切りまして、あと質問はこの次に譲りまして終ります。
  80. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本日はこの程度にて散会いたします。     午後零時四十八分散会