○
田中(彰)
委員 今
大蔵大臣の
お話を聞くと、二十四年度は
小滝炭鉱の
見返り資金がきまらなか
つたという話でありまするが、これは
資源庁から
見返り資金の
対象にならないからとい
つてけられたのであ
つて、これは決して正式にきまらなか
つたのではない。それから
大蔵大臣の私邸に私が出かけて行きまして、
大蔵大臣は和服でありましたが、二人が話しておる間に、
大蔵大臣は、これはぼくの洋行中殖田君が
公文書の
偽造をや
つたのだということを
はつきり言われた。しかし今
大蔵大臣は
記憶がないと言われる。私は
はつきり言われたというのでありまするが、
日本に軍部が盛んな時分、絶対的な権力を持
つてお
つた時代ですらも、忘れたとか
記憶がないとかいうものを相手にしなか
つた。私は
はつきり言われたということを言
つておる。片つ方は
記憶がないというのでありますから、この点
記憶のない人と争うてもしかたがありませんから、これはこれで納めるといたします。しかし
委員会において、
国会議員が
質問したり、あるいは
調査したりする場合、こういうものが
うそやじようだんで言えるものではなく、相当な
根拠、技術的な
調査、あるいはいろいろな面にわた
つてこれを
はつきり
根拠をつかんだときに、初めてここに発言される。
小滝炭鉱は非常に
りつぱな日本にない優秀な
炭鉱だと言われておるのであります。しかしこれは
石炭に
関係のない無
知識な
大蔵省の役人さんや
日本銀行の方々がそう言われておるのでありますから、それはとるに足らないものでありまするが、
地質学の一ページでもひもどいた人がこれを断定するならば、
小滝炭鉱は一体どういう
地質のところにある
炭鉱であるか。これを私は詳細に調べた。その調べた
原因が、私が
小滝炭鉱を買うのをけられたから、
田中君はそういうことを言
つておるのだといううわさも飛んでおるのでありまするが、調べた
原因は、新潟県の中頸城郡に高田市という市がある。その市に住んでおる人で、元
県会議員の
渡辺幸三という人が
小滝炭鉱の横に
山野坊炭鉱という
炭鉱を持
つておる。たまたま私が同県人であり、
炭鉱業者である
関係上、私に社長にな
つていただきたいというので、数回私のところに来られた。しかもこれには
復金も多少の
融資をしておりまするし、興銀も多少金を貸しておる。そこで私は断
つたのでありまするが、再三言われるものでありまするから、私の
炭鉱の顧問をしておる、現在
北九州工科大学の教授をしておるところの
山岸秀信という人に頼みまして、それに
谷川勇と
福丸茂七という人をつけて、四十日にわた
つて山野坊炭鉱を
調査した。ところがこの以前の
委員会において
炭政局長が発言せられたように、
小滝炭鉱及び
山野坊炭鉱は、一方は石灰岩に侵されておる、裏は
火成岩に侵されておる、あるいは前も横も
化成岩に侵されておる。しかも
三紀層にある
石炭が
古生層、
中生層にあるのでありまするから、非常にもめてお
つて、波状型に
炭層ができておる
ために、
ボーリングを入れることができない。
ボーリングを入れることができなければ、
炭層が土の中のどのくらいの深さのところに、どういう形をして、どういう傾斜をしておるかということを確かめることができない。しかも
埋蔵量を確かめることができない。同時に、そういう落ちついた
炭層でない場合は
採炭計画が立たない。
專門家が見て立たない。それだからこれは大きくや
つてもだめ、小規模にや
つてもだめだからやめなさいというのでやめた。そういう
炭鉱でありますから
調査するときは隣の
炭鉱の
地質がどうな
つておるのか、よく
地質を調べてみて、こういう
ボーリングの入らぬ
炭層は
ボーリングでつながなければならぬ。このつなぐ
関係上
小滝炭鉱というものを私は調べてみた。そこでこれは絶対に
可能性がないものだ。
復金から二千六百万円借りるときに、
資源庁はこの
炭鉱に二千六百万円お貸しくださるならば、年間六万トンの
石炭が出るとい
つて証明書を書いた。ところが
復金はこれは二万トンしか出なとい
つて削
つておる。ところが二千六百万円貸したが、
石炭は一かけらも出なか
つた。しかも
元金も
利子も拂
つておらない。見返
資金課長が
利息を拂
つてあるというのは、これは
昭和二十四年の三月、つまり
復金がなくなるまで、金を貸したとき、
利息を前引きしたから拂
つてあるのです。借りて
行つた金は一厘半銭、一銭かけらも拂
つていない。しかも
社宅が建
つてお
つたりいろいろなものがありますが、
小滝炭鉱の金で建
つた社宅というのは一軒もない。十二、三軒の
社宅というものは
小滝炭鉱は自由にすることができない。今
社宅を建てた
請負師、米やみそを貸した
人々、道路をつく
つた金、あるいは労賃の約百万円、そういうものを合せて六百万円ばかり不拂いにな
つておる。それをも
つて外形上こういうものが建
つておるというような
観点を持
つておられる。それでありますからこの
炭鉱は
見返り資金の
対象にもならなければ何にもならない。ただここに私が善意に解釈するならば、
大蔵省あるいは
日本銀行、あるいはまたその他の
人々がだまされたのではないかと思います。それは何かと言いますと、そういう
中生層なり
古生層にある
石炭というものは、五間か三間掘りますと、ある部分には非常にきれいな、非常につやのいい、カロリーの強い、少し
粘着性のある
石炭がある。これは
無煙炭ですが、
火成岩の中にあるから、
石炭の層の中に火が入
つて燃えたので
無煙炭にな
つたのです。こういう場合そういうものがたまに出る。しかしこれを科学的に、あるいはいろいろ実際的に調べて、どのくらい出るのかといいますと、百トンに対して四、五トンしか出ない。これでは商売にならない。あるいはこれをかますに入れて、かき集めて一車くらいにして持
つて行つて日鉄の人に見せたり、
石炭の
知識のない
池田さんに見せたり、
法務府さんに見せたりすると、これ
はりつばな
石炭に見える。しかし
本職が見ると、それは石ころか何かをぎゆつと握りつぶしたようなもので、
石炭のおとなしいはだをしていない。これは
商売人が見ればわかりますが、そのいう
地質である。往々にしてそういうものが出るのでそういうものを見せたから、この
石炭はいいのだというふうにされたのかもしれないと私は思う。いずれ
本職が見れば
見返り資金の
対象になるという
炭鉱ではない。もう一つ、もしこの
炭鉱がそういうぐあいにだまされたとすれば、
原因はあの
川口松太郎という
小説家が、
小滝炭鉱の主人公をモデルにして書いたが、
石炭というものは決して
商売人が掘るものではないのだ、
大蔵省が掘るものだということを
小説に書いた。それを見てもよくわかる。それから私は申し上げるが、私は
專門家として決してこれをどうしたこうしたというのではありませんが、もし私の言が
うそであるならば、
決定した二千五百万円の金、私も大して金はないが、三千万円くらいはむりしてそれに貸してやる。そうすると約六千万円の金を借りることになる。この
利子と
元金をどんなに年賦で
拂おうが月賦で
拂おうが、月に五十万円の利益がないと
利子だけでも拂
つて行けない。そうすると月に一千トンぐらい出さなければならない。この
炭鉱が月一千トンで二年も出るというならば、
皆さんの言う
通りこれは
りつぱな炭鉱である。私は
北九州で
三つの
炭鉱を経営して月一万トンの
石炭を出しておる。私が見そこな
つたということならば、私は
代議土をやめてあの
炭鉱を国家に提供して農場に引込んでもよい。同時にまた三千万円も貸して千トンずつ二年間も続かないでつぶれたということになれば
池田さんもこれに
関係した
人々も政界をやめて、
国民の汗と血で拂う税金、これに損害をかけたのだから、自害するとか何かそこに
責任を負わなければならぬ。そういう
責任者は
はつきり言える者と言えない者とがある。私はこういう
観点から見たときに、この
炭鉱は決して
見返り資金の
対象になるものでもないし、またこの
炭鉱の問題を出したときに、
日発の問題と
関係がある、あるいは
大野とか
廣川とか
言つたがとんでもない。二十八日の
通産委員会に出たときに、
横尾通産大臣は
見返り資金はなかなかむずかしい、そう
簡單に借りられないということを、よくものを知
つておる
代議士の前で言われたから、こんなに
簡單に出しておる
炭鉱があるじやないかと
言つたことが
発火点とな
つてこうな
つたのである。決して私は
廣川派でも
大野派でもない、私は自由党の党人、
国民の
代表である、それだからこういうような悪いことがあればそれをどこまでも追究する。これは
石炭業者の
代表として言
つたのであ
つて、そういう卑しいことではない、
見返り資金を借りた覚えはない、私は
復金の金を借りたときには
りつぱに一万トンを出しておる、
見返り資金は私は一銭も借りておらない。こういう点を考えたときに、私はいかに正しく
はつきりした
認識を持ち自身を持
つて申し上げたかということがわかる。まだいろいろありますが、これ以上私がつついて波乱を起させて、
皆さんがあのうまい口にひつかか
つたやつに
責任を持たせるということは、私も
代議士として愼まなければならない。私はこの辺で
質問を打切
つておきますが、よくこれに対する
認識を高められて、
小滝炭鉱その他のいろいろな
炭鉱がございますが、
大蔵省や
法務府が知らない
石炭を掘るというような考えをやめられて、なるべく
資源庁、
通産省と相談され、技術的に研究されて、
体験者の言うことを聞かれて、今後
石炭を掘ることに御援助されんことを御願いいたしまして、私の
質問をこれでとどめておきます。