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1950-10-11 第8回国会 衆議院 通商産業委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十一日(水曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君       岡延右エ門君    小川 平二君       澁谷雄太郎君    高木吉之助君       田渕 光一君    永井 要造君       中村 純一君    福田  一君       南  好雄君    宮幡  靖君       村上  勇君    金塚  孝君       高橋清治郎君    加藤 鐐造君       風早八十二君  委員外出席者         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         大蔵事務官         (理財局見返資         金課長)    大島 寛一君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         資源庁長官   始関 伊平君         通商産業事務官         (資源庁炭政局         長)      中島 征帆君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君 十月五日  委員河野金昇辞任につき、その補欠として志  賀健次郎君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員田渕光一辞任につき、その補欠として福  田一君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員江田斗米吉君、神田博君及び中村幸八君辞  任につき、その補欠として田渕光一君、宮幡靖  君及び岡延右エ門君が議長指名委員に選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  鉄鋼業纖維工業化学工業その他一般工業の  実情特に需給並びに金融状況に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 これより通商産業委員会を開きます。  本日は鉄鋼業纖維工業化学工業その他一般工業実情、特に需給並びに金融状況に関する件を議題といたします。  前回委員会において問題となりました炭鉱に対する融資の件につきまして、質問の通告があります。これを許します。村上勇君。
  3. 村上勇

    村上(勇)委員 小滝炭鉱に対する見返り資金貸付の件に関しまして、客月二十八日、九日の両日にわたつて、本委員会において同僚議員諸君通産大蔵当局との間に種々質疑応答がかわされましたが、これら政府の答弁によつては釈然とし得ないのみか、かえつて疑惑を深め、これがため一般人心に及ぼす影響についても、また大いに考慮すべきものがあると存ずる次第であります。私はこれら疑問の点、すなわち融資決定に至る経過において手続上違法はなかつたか、少くとも慣例上、または他との均衡上不穏当、不公平の疑いを招く余地がありはせぬか、通産大蔵両省の間に著しい見解相違はなかつたか、食い違いがあつたにもかかわらず、大蔵当局が一方的に強行したようなことはなかつたか、小滝炭鉱実体ははたして巨額融資に値するものであるかいなか、また復金から借り入れた資金の使途について確信ある調査がなされておつたかどうか、以上の疑問とする諸点に対して質疑を行わんとするものであります。  まずその第一点は、貸付決定するまでの経過において、文書偽造と目されるがごとき事実があつたかどうかという点を伺いたいのであります。担当官の提出した意見書を、所管大臣がその判断によつて適宜取捨選択することはもとより当然のことでありますが、しかしながら通産省から送られた返済能力に関する意見書の内容を、所管外大蔵大臣がかつてに書きかえたというようなことがありはしなかつたかどうか、この点池田大蔵大臣に御答弁願いたいと思います。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 小滝炭鉱に対します見返り資金よりの融資につきましては、昨二十四年度の計画に一応載つてつたのであります。しかるところ御承知の通り計画通り見返り資金が出ませんので、本年度に繰越したわけでございます。二十四年度の計画の際におきましては通産省より強粘結炭必要性にかんがみまして、融資方につきましての要請文書が参つております。それによりまして大蔵省はその手続をとつたのでありまするが、何分にも昨年度中におきましては正式の決定に至つておらないのでありまして、通産省から参りました書類大蔵省で書きかえたとか、どうこうということはなかつたと思います。
  5. 村上勇

    村上(勇)委員 大蔵大臣同僚田中議員が訪問した際、公文書偽造の事実がある、またこれについて、貨付金額の二割の報酬を受ける契約がある云々と言明せられたことがありますかどうか、この点伺いたいのであります。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 小滝問題の融資につきましては、先ほど申し上げましたごとく、二十四年度において一応の計画を立てておつたのであります。しこうしてこの融資につきましては、私はある程度の陳情を受けておりました。また事務当局から、各関係省意見を聞いて、融資申請を出したらどうかという話もあつたのでありますが、大蔵省としては二十四年度において融資する確信が得られなかつた。従いまして私は三月の末ごろ、中小炭鉱融資する必要を認め、関係方面にこういう陳情があるが御考慮を願いたいという書類を提出いたしました。しかるところ私がアメリカから帰りまして、三月末に私が出した文書違つて、今度は正式の申請書が出たということを私は聞いたのであります。留守中のことでありますので、その書類を見せられまして、それを私は了得いたしたのであります。従いまして田中彰治君には前私が出した書類よりは違つた書類殖田法務総裁のときに正式に出された、こういうことは田中代議士お話いたしました。文書偽造というようなことを言つた記憶はございません。それからまた二割の報酬、これは何の報酬でだれがどうするのか、そういうことを聞いたことは私はございませんし、私からだれが二割報酬をもらうというようなことを言つた記憶もございません。
  7. 田中彰治

    田中(彰)委員 今大蔵大臣お話を聞くと、二十四年度は小滝炭鉱見返り資金がきまらなかつたという話でありまするが、これは資源庁から見返り資金対象にならないからといつてけられたのであつて、これは決して正式にきまらなかつたのではない。それから大蔵大臣の私邸に私が出かけて行きまして、大蔵大臣は和服でありましたが、二人が話しておる間に、大蔵大臣は、これはぼくの洋行中殖田君が公文書偽造をやつたのだということをはつきり言われた。しかし今大蔵大臣記憶がないと言われる。私ははつきり言われたというのでありまするが、日本に軍部が盛んな時分、絶対的な権力を持つてつた時代ですらも、忘れたとか記憶がないとかいうものを相手にしなかつた。私ははつきり言われたということを言つておる。片つ方は記憶がないというのでありますから、この点記憶のない人と争うてもしかたがありませんから、これはこれで納めるといたします。しかし委員会において、国会議員質問したり、あるいは調査したりする場合、こういうものがうそやじようだんで言えるものではなく、相当な根拠、技術的な調査、あるいはいろいろな面にわたつてこれをはつきり根拠をつかんだときに、初めてここに発言される。小滝炭鉱は非常にりつぱな日本にない優秀な炭鉱だと言われておるのであります。しかしこれは石炭関係のない無知識大蔵省の役人さんや日本銀行の方々がそう言われておるのでありますから、それはとるに足らないものでありまするが、地質学の一ページでもひもどいた人がこれを断定するならば、小滝炭鉱は一体どういう地質のところにある炭鉱であるか。これを私は詳細に調べた。その調べた原因が、私が小滝炭鉱を買うのをけられたから、田中君はそういうことを言つておるのだといううわさも飛んでおるのでありまするが、調べた原因は、新潟県の中頸城郡に高田市という市がある。その市に住んでおる人で、元県会議員渡辺幸三という人が小滝炭鉱の横に山野坊炭鉱という炭鉱を持つておる。たまたま私が同県人であり、炭鉱業者である関係上、私に社長になつていただきたいというので、数回私のところに来られた。しかもこれには復金も多少の融資をしておりまするし、興銀も多少金を貸しておる。そこで私は断つたのでありまするが、再三言われるものでありまするから、私の炭鉱の顧問をしておる、現在北九州工科大学の教授をしておるところの山岸秀信という人に頼みまして、それに谷川勇福丸茂七という人をつけて、四十日にわたつて山野坊炭鉱調査した。ところがこの以前の委員会において炭政局長が発言せられたように、小滝炭鉱及び山野坊炭鉱は、一方は石灰岩に侵されておる、裏は火成岩に侵されておる、あるいは前も横も化成岩に侵されておる。しかも三紀層にある石炭古生層中生層にあるのでありまするから、非常にもめておつて、波状型に炭層ができておるために、ボーリングを入れることができない。ボーリングを入れることができなければ、炭層が土の中のどのくらいの深さのところに、どういう形をして、どういう傾斜をしておるかということを確かめることができない。しかも埋蔵量を確かめることができない。同時に、そういう落ちついた炭層でない場合は採炭計画が立たない。專門家が見て立たない。それだからこれは大きくやつてもだめ、小規模にやつてもだめだからやめなさいというのでやめた。そういう炭鉱でありますから調査するときは隣の炭鉱地質がどうなつておるのか、よく地質を調べてみて、こういうボーリングの入らぬ炭層ボーリングでつながなければならぬ。このつなぐ関係小滝炭鉱というものを私は調べてみた。そこでこれは絶対に可能性がないものだ。復金から二千六百万円借りるときに、資源庁はこの炭鉱に二千六百万円お貸しくださるならば、年間六万トンの石炭が出るといつて証明書を書いた。ところが復金はこれは二万トンしか出なといつてつておる。ところが二千六百万円貸したが、石炭は一かけらも出なかつた。しかも元金利子も拂つておらない。見返資金課長利息を拂つてあるというのは、これは昭和二十四年の三月、つまり復金がなくなるまで、金を貸したとき、利息を前引きしたから拂つてあるのです。借りて行つた金は一厘半銭、一銭かけらも拂つていない。しかも社宅が建つてつたりいろいろなものがありますが、小滝炭鉱の金で建つた社宅というのは一軒もない。十二、三軒の社宅というものは小滝炭鉱は自由にすることができない。今社宅を建てた請負師、米やみそを貸した人々、道路をつくつた金、あるいは労賃の約百万円、そういうものを合せて六百万円ばかり不拂いになつておる。それをもつて外形上こういうものが建つておるというような観点を持つておられる。それでありますからこの炭鉱見返り資金対象にもならなければ何にもならない。ただここに私が善意に解釈するならば、大蔵省あるいは日本銀行、あるいはまたその他の人々がだまされたのではないかと思います。それは何かと言いますと、そういう中生層なり古生層にある石炭というものは、五間か三間掘りますと、ある部分には非常にきれいな、非常につやのいい、カロリーの強い、少し粘着性のある石炭がある。これは無煙炭ですが、火成岩の中にあるから、石炭の層の中に火が入つて燃えたので無煙炭になつたのです。こういう場合そういうものがたまに出る。しかしこれを科学的に、あるいはいろいろ実際的に調べて、どのくらい出るのかといいますと、百トンに対して四、五トンしか出ない。これでは商売にならない。あるいはこれをかますに入れて、かき集めて一車くらいにして持つて行つて日鉄の人に見せたり、石炭知識のない池田さんに見せたり、法務府さんに見せたりすると、これはりつば石炭に見える。しかし本職が見ると、それは石ころか何かをぎゆつと握りつぶしたようなもので、石炭のおとなしいはだをしていない。これは商売人が見ればわかりますが、そのいう地質である。往々にしてそういうものが出るのでそういうものを見せたから、この石炭はいいのだというふうにされたのかもしれないと私は思う。いずれ本職が見れば見返り資金対象になるという炭鉱ではない。もう一つ、もしこの炭鉱がそういうぐあいにだまされたとすれば、原因はあの川口松太郎という小説家が、小滝炭鉱の主人公をモデルにして書いたが、石炭というものは決して商売人が掘るものではないのだ、大蔵省が掘るものだということを小説に書いた。それを見てもよくわかる。それから私は申し上げるが、私は專門家として決してこれをどうしたこうしたというのではありませんが、もし私の言がうそであるならば、決定した二千五百万円の金、私も大して金はないが、三千万円くらいはむりしてそれに貸してやる。そうすると約六千万円の金を借りることになる。この利子元金をどんなに年賦で拂おうが月賦拂おうが、月に五十万円の利益がないと利子だけでも拂つて行けない。そうすると月に一千トンぐらい出さなければならない。この炭鉱が月一千トンで二年も出るというならば、皆さんの言う通りこれはりつぱな炭鉱である。私は北九州三つ炭鉱を経営して月一万トンの石炭を出しておる。私が見そこなつたということならば、私は代議土をやめてあの炭鉱を国家に提供して農場に引込んでもよい。同時にまた三千万円も貸して千トンずつ二年間も続かないでつぶれたということになれば池田さんもこれに関係した人々も政界をやめて、国民の汗と血で拂う税金、これに損害をかけたのだから、自害するとか何かそこに責任を負わなければならぬ。そういう責任者はつきり言える者と言えない者とがある。私はこういう観点から見たときに、この炭鉱は決して見返り資金対象になるものでもないし、またこの炭鉱の問題を出したときに、日発の問題と関係がある、あるいは大野とか廣川とか言つたがとんでもない。二十八日の通産委員会に出たときに、横尾通産大臣見返り資金はなかなかむずかしい、そう簡單に借りられないということを、よくものを知つておる代議士の前で言われたから、こんなに簡單に出しておる炭鉱があるじやないかと言つたことが発火点となつてこうなつたのである。決して私は廣川派でも大野派でもない、私は自由党の党人、国民代表である、それだからこういうような悪いことがあればそれをどこまでも追究する。これは石炭業者代表として言つたのであつて、そういう卑しいことではない、見返り資金を借りた覚えはない、私は復金の金を借りたときにはりつぱに一万トンを出しておる、見返り資金は私は一銭も借りておらない。こういう点を考えたときに、私はいかに正しくはつきりした認識を持ち自身を持つて申し上げたかということがわかる。まだいろいろありますが、これ以上私がつついて波乱を起させて、皆さんがあのうまい口にひつかかつたやつに責任を持たせるということは、私も代議士として愼まなければならない。私はこの辺で質問を打切つておきますが、よくこれに対する認識を高められて、小滝炭鉱その他のいろいろな炭鉱がございますが、大蔵省法務府が知らない石炭を掘るというような考えをやめられて、なるべく資源庁通産省と相談され、技術的に研究されて、体験者の言うことを聞かれて、今後石炭を掘ることに御援助されんことを御願いいたしまして、私の質問をこれでとどめておきます。
  8. 村上勇

    村上(勇)委員 田中委員の蘊蓄を傾けての御質問に対しましてお答えがありましたので、私の質問はいささかぼけるかもしれませんけれども、私は逐條的にこれからお伺いしたいと思います。小滝炭鉱への見返り資金貸付けることの可否について通産省大蔵省との間に見解相違がなかつたかどうか。また貸付けることについて意見の一致を見たといたしましても、その金額に関しては両者の間に意見食い違いがありはしなかつたかどうか、それがため見解を異にする通産省を圧迫して大蔵省の案に同意せしめたとか、あるいはまた炭鉱実体をよく把握しておる通産省側反対意見を無視して大蔵省が一方的に貸付決定したというようなことはなかつたかどうか、これらの点に関し通産大蔵当局の御答弁を願いたい。
  9. 池田勇人

    池田国務大臣 小滝炭鉱に対しまする融資の点につきましては、大蔵省といたしましては資源庁並びに安本と相談いたしましてやつたのであります。従いまして基本的に見解相違はございません。また通産省を圧迫したとか、あるいは反対を無視したとかいうようなこともないのでございます。金額の点につきましては、私の留守中であつたのでございまして、そのいきさつはよく存じませんが、二千五百万円というのは昨年からの計画にのつとつた金額と考えております。こまかい点は事務当局の方からお答え申し上げます。
  10. 始関伊平

    始関説明員 ただいまの小滝炭鉱貸付決定いたしますまでの経緯でございますが、資源庁といたしましては小滝炭鉱だけが独立に取上げられまして、これが見返り資金融資対象になるということにつきましては、相当に問題があるように考えております。この小滝炭鉱を含めまして、中小炭鉱全般につきまして、特に国家的に見て重要なものにつきまして見返り資金融資ができるということでございますれば、これは非常にけつこうなことでございます。そういう問題につきまして資源庁といたしまして、消極的な態度をとる理由はまつたくございません。その点につきましては、基本的な線で大蔵省との間に意見相違はございません。金額の点につきましては、実は小滝炭鉱その他を融資対象にするということが決定いたしまして、そのすぐあと小滝の分が仮決定になつたのでございます。これはただいま大蔵大臣お話のように、前年度の計画の引継ぎということで、炭鉱以外のその他の分と一諸にあわせて処理するという必要からそのようになつたことと存じております。
  11. 村上勇

    村上(勇)委員 次に二十四年度の見返り資金配分計画におきまして通産省としては小滝炭鉱に二千五百万円を貸しつけるべきであるという意見であつたが、二十四年度においてはその実現を見るに至らなかつた従つて二十五年度においては全体の融資のわくが縮められた関係上、千六百万円に減らすベきである、こう考えておつたにもかかわらず、この金額をはるかに上まわる前年度計画そのままの二千五百万円の貸付決定したとのことでありますが、はたして事実であるか、この点通産当局に承りたいと思います。
  12. 始関伊平

    始関説明員 小滝炭鉱を含めまして中小炭鉱見返り資金を出すという時日の決定と、それから千六百万円という私どもの方の意見を安本なり、大蔵省なりに申し述べた時期と、それから閣議決定の時期と三つの点の関係でございますが、これは前回炭政局長は千六百万円という意見を安本なり、大蔵省なりに出したのが先で、その後に閣議決定があつたということを申しましたが、これはその当時の記録等を詳細に調査いたしました結果、まず出すということがきまりまして、それから数日後に閣議決定がございました。千六百万円という金額を私どもの方から関係の向きに出しましたのはそのあとであります。かような関係になります。
  13. 村上勇

    村上(勇)委員 大蔵大臣が二千五百万円の貸付決定したのは埋蔵資源に関する炭鉱の実力とか、多額資金を要するその開発計画とか、復金融資が中絶して、しかも自己資金調達が容易でないこととか、あるいはまた二千五百万円の見返り資金貸付に関しては、すでに前年度の計画として、司令部の認可を得ておるということなど、いろいろの事情を考えて、大蔵省独自の見解に基いて決定したものであるか。あるいはまた前年度の通産省見解を継続的に考えて、そのままうのみにしたものであるか。もしそうだとしますれば、通産省の二千五百万円及び千六百万円に関する意見は、それぞれいついかなる形式をもつて大蔵省に伝達せられたものであるか。閣議で二千五百万円が最終的に決定せられたときには千六百万円の意見はまだ大蔵省に届いていなかつたのであるか。これらに関して時間的前後の関係を明瞭にお願いしたいと思います。
  14. 大島寛一

    大島説明員 ただいまのお尋ねの点につきましては、始關長官からもお答えがあつたわけでございまするが、大蔵省といたしましては、昨年度の計画額が二千五百万円でございまして、それを懸案のまま本年度に持ち越しておりましたので、その額を基準といたしまして、なおこの会社の自己資金調達力が非常に乏しいという点をあわせ考えまして、二千五百万という金額決定をいたしまして、閣議手続を経たわけでございます。その時期的な関係についての御質問でございまするが、先ほど資源庁から御答弁いたしましたように、他の中小炭鉱とともに小滝炭鉱本年度もやつて行こうという話がきまりまして、すぐ今申し上げた手続をとつたわけでございます。その後におきまして資源庁側から千六百万が適当ではなかろうかという御意見を伺つたような次第でございます。
  15. 村上勇

    村上(勇)委員 次は炭鉱実態についてお尋ねいたしたいと思いますが、前回小滝炭鉱ははたしてこれだけの融資に値いするものであるか。すでに多額復金債を背負うておるのに、今また巨額見返り資金を貸しつけることにつきましては、嚴密な調査を行うた結果、多額資金を貸しつけてもよろしい。担保に関しましても何の不安もないということを確認したのであるかどうか。よその炭鉱から出た資料に関する試験成績でごまかされたり、あるいは現地の踏査を怠つて、單なる書類審査だけで済ましたというようなことはないか。この点通産大蔵当局にお伺いいたします。
  16. 中島征帆

    中島説明員 小滝炭鉱実地調査の報告を本年の二月にわれわれ受けておりますが、実際に踏査いたしましたのは昨年の十月から約一月ほどをかけまして、平の石炭局の係官が現地に参つて調査いたしたのでありますが、これは單に地表だけの調査ではなくていわゆる取引調査と申しまして、壕を掘つて多少上の方から見る程度の調査も行つておるわけでありますが、それによつて見た結論といたしましては、炭量確定炭量として九十九万七千トン、それから推定予想全部を合しまして五百一万トン、こういうことになつております。実際あります炭層は八層あるそうでありますが、そのうちで採掘のできるものは二層だけであります。この二層につきましては、大体炭の厚さが山たけといたしまして二メートル、炭たけといたしまして平均八十センチ、こういうことになつております。炭質につきましては、いろいろこの点につきまして不明瞭な点もございますが、この原炭について日本鋼管配炭公団あるいは八幡製鉄所といつたようなところにサンプルを送りまして、それぞれ分析試験をいたしておりますが、最後に八幡製鉄所におきます試験におきましては、灰分が三八%ありました場合においても加熱強度は八十四度である。それからこれをうんと洗いまして、灰分を一八%まで下げれば、加熱強度は九十四である。こういう成績を示しております。これは北松に比べればさらに優秀な強度を持つておる。こういうことになつております。  さらに特長といたしまして硫黄分が割合に少い。それから灰分がふえるに従つてそれに比例して加熱強度が低下しない。こういう点が特長であります。逆に問題の点といたしましては、比較的に微粉状の炭が多いために、歩どまりが悪いという点が短所になつております。発熱量といたしましては、灰分が一五%の場合には七千二百五十カロリーそれから三〇%の場合には五千九百カロリー、こういう数字になつております。それからその後ボーリングも十二月にやはり完全調査関係現地において行つておりますが、ボーリングの結果はむしろ当時の調査より一層好成績を得るのではないか。と申しますのは、深部においては、炭層が一層良好な状態で厚いのじやないか、こういう予想でやつてみましたが、その点につきましては、特に深いところでよくなつておるというような成績は出て来なかつたようであります。
  17. 村上勇

    村上(勇)委員 さらにお尋ねしたいことは、貸付金額並びにその決定等に関して、特に問題となるようなことがあつたのではないかということについて、大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、炭鉱実態から判断して貸付けることはいいとしても、他の中小炭鉱との振合い上、貸付金額が大き過ぎるというようなことはないか。また前年度から継続の関係もあるであろうが、他の中小炭鉱と切り離して、いち早く決定せられたというような点で、問題視せられる恐れはないか、この点大蔵大臣にお伺いします。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 金額の点につきましては、先ほど事務当局よりお答えした通りでございまして、昨年度の計画によつてつたのであります。しこうしてこの小滝炭鉱を切り離して出したという問題につきましては、私としては見返り資金を大炭鉱にのみ出すということでなしに、中小炭鉱にも出すべきではないかという考えを持つておるのであります。従いましてこれが皮切りでございますので、殖田法務総裁は急いで出されておると思うのであります。今後におきましても、中小炭鉱におきまして必要ならば、調査の上、出すにやぶさかではございません。金額の点は復金から二千五百万円余り貸出しておるのでありますが、やはり炭鉱の様子を見まして、中途半端な金では成績が上らないという点等を考慮いたしまして、二千五百万円としたと考えるのであります。
  19. 村上勇

    村上(勇)委員 次にお尋ねしたいことは、貸付けが決定してから、今日まで実際に支出せられた金額はどのくらいであるかということと、聞くところによればまだ全然金を出していないということでありますが、それは事実であるか。それからもしそうだとすれば、貸付けが決定したのは何年の何月であり、その後今日まで全然支出していない理由はどういうわけか、この点大蔵大臣から特にお答え願いたいと思います。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 正確な日にちは覚えておりませんが、関係方面より貸付けの許可が出たのは、多分八月の十日前後ではなかつたかと思うのであります。その後におきまして担保の点につきまして、なお調査を要しますので、見返り資金からただいまのところまだ一つも出ていないと聞いております。
  21. 村上勇

    村上(勇)委員 次に復金債についてお尋ねします。小滝炭鉱復金から借りた金額は幾らであつて、それはいつ借りたのであるか。また今日まで元金はもとより利子すらも全然拂つていないということは事実であるか。それからまたこれらの資金は当初の計画通り正しく使用しておられるかどうか。たとえば計画量の一部分しか仕事ができていないとか、また予定外の方面に流用せられたとかいうようなことがありはせぬか。これらの点について両省当局の御意見を承りたいと思います。
  22. 大島寛一

    大島説明員 小滝炭鉱は復興金融金庫から合計二千五百六十二万六千円の貸出しを受けております。その時期でございまするが、最初が昭和二十二年九月でございました。その後二十四年の三月末までの間に、今申し上げた金額が数回に分割して貸出されております。その使途としましては、一般設備資金と炭住資金と二口ございまして、一般設備資金が千八百五十万円、炭住資金といたしまして七百十二万六千円ということに相なつております。次にその元利の支拂いの状況でございまするが、この点につきましては、前回お答え申しましたように、二十四年の四月以降利子の支拂いが延滯いたしております。元金につきましても、開発の途中でありまするために、支拂いが行われていないわけでございます。最後にその使途がどうであるかという点でございますが、一般設備資金としましては、坑道、採炭設備、運搬設備構築物等いろいろございます。私どもの承知いたしておりまするところでは、特に不当なことはないように承知しております。
  23. 村上勇

    村上(勇)委員 質問を留保して一応終ります。
  24. 田中彰治

    田中(彰)委員 関連して……。炭政局長埋蔵量五百万トンあると言われたが、それはボーリングを入れないで一体何をもつて埋蔵量を確定したのか。この前、二十八日のときの答弁には、あれは波状型になつてつて炭層ボーリングを入れることができないからわからない、こういうことを言われたが、今また違うことを言つておる。私は何も違つてもかまわない、かまわないが、政務次官あたりが一応りつぱな答弁をしておるのに、きようあなたがここへ来てかえてはいけない。かえるならもう少し要領よくかえぬといけない。それからこれは埋蔵量が六十万トンしかない、この炭鉱というものは、元日曹が持つてつて、そしてこの炭鉱を新潟県西頸城郡糸魚川町の砂山義雄という人が管理しておつた。そこでこの砂山義雄という人を復金が呼び出して、炭鉱の状況を聞いたときに、自分の売つた炭鉱だから悪くも言えない、よくも言えないから、戰災で書類を燒きましたと言つて書類を出していない。しかしその人にもほんとうの埋蔵量はわからない。波状型だからボーリングを入れることができないからわからない。概略聞いてみると、六十万トンあると言つた。それがそんなにすぐに百倍にも、五十倍にも、十倍にもなりつこない。  もう一つ、昭和二十四年の十月に調査に行つたときには、炭鉱は一年前から休業しておる。成り立たなくて休業しておる炭鉱にこういうことをしたということは——私はこれ以上責めないが、あまりでたらめを言われると困る。私は專門家なのです。うしろには炭鉱業者もおり、地質学者もいる。炭政局長がしろうとならいいけれども炭政局長をしている以上は、少しは学校を出ているでしよう、尋常六年くらいは学校を出ていて、地質学の一ページくらいは読んでいると思う。それなのにそういうことを言つてはいけない。これだけを忠告しておきます。
  25. 小金義照

  26. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 私は本論に入る前に、まず池田大臣に対しまして一言お尋ねしたいと思います。吉田首相が国会軽視の傾向あることは、これは周知の事実でありますが、過般のこの委員会におきまして、その出席を要望したのにもかかわらず、この委員会を軽視して出席しなかつた。官房長がなんか言つて参りましたが、はなはだ不明確なものであつた。あの際にどういう御事情があつたか、ひとつその実情を鮮明していただきたい。  次に私はこの小滝炭鉱問題のことについて質問を申し上げたいと思うのです。第一に、この小滝炭鉱なるものが前殖田法務総裁が顧問であり、また見返り資金申請が、日本銀行においてはかくのごとき炭鉱には貸すべからずというような大体断定を下したもの、またこの前の首藤政務次官のお言葉によりますと、通産省は不適格なりとしてこれを断定したもの、そういうものがこういうような炭鉱融資されたということは、すなわち通産行政、ことに鉱山行政上、地下資源開発の全国の鉱業権者に暗い影を投げたものと私は思うのであります。この点において通産省当局におきましても、また大蔵省当局においても重大なる責任ありと思うのであります。また三月三十日の日には、池田大蔵大臣が渡米前におきまして、この炭鉱には債務償還能力なしとして断定したことは、渡邊財務官もよく知つていることだろうと思いますが、それがいつの間にやら貸すことになつた。そして五月十六日の閣議においてこれが決定したということは、これは單に通産当局責任ばかりでなく、大蔵大臣責任ばかりでなく、かくのごときことをずさんなる調査によつてしたということは、吉田内閣全体の責任であると私は思うのであります。ことにこの金を貸し付けますにつきましては、まず第一に復金融資をしたその人についてよくこれを調査しなければならない。またもう一つは、この現場の実地調査ということが必要であると思うのであります。第一、三百六十万円の利子の不拂いがある。炭住の請負人に金も拂わずして、立入り禁止などという札を立てられておる。こういうような炭鉱貸付けしたということは、そこに法務総裁、いわゆる顧問であるという人によつて、すなわち金が出されたり出されなかつたり、そういう肩書きの人を顧問や相談役に持たなければ鉱山業者はいかに鉱量のある、いかに優秀な炭鉱を持つてつても、これに出資されないというようなことでは、鉱業権者にとつては非常な暗い影を投げたのでありまするから、この点に対しましてまず両当局の明確なる御答弁を承りたいと思うのであります。その答弁によつて、さらに次に質問したいと思います。
  27. 池田勇人

    池田国務大臣 先般の本委員会に出席を要求せられたのでありまするが、たまたま予算編成閣議の前日でございまして、その方に忙殺せられまして代人を出した次第であるのであります。何も軽視して来なかつたというわけではございません。  なお殖田前法務総裁が小滝炭鉱の顧問であるかないかは私は存じません。  次に日銀から小滝炭鉱融資すべからずという文書が来たということは私は聞いておりません。なお私が本年三月の末に、関係方面小滝炭鉱の問題に対しまして私の意見を出し、向うの意向を聞く文書のうちには、小滝炭鉱返済能力なしとは書いておりません。その点は誤解のないように願います。なおまた見返り資金融資につきましては、できるだけ回收の確実を期さなければなりませんので、関係方面から許可があるいは出ましても、ただいま調査中で金を貸しておりません。見返り資金の使用につきましては十分なる調査を遂げて、不公平のないように、貸倒れのないように努力をいたしておるのであります。
  28. 首藤新八

    ○首藤説明員 この前の委員会におきまして私から、通産省としては千六百万円の要請をいたしたにもかかわらず、二千五百万円の融資が行われた、その点不可解な気持を持つておるということを申し上げたのであります。しかるにその後調査いたしましたところ、先刻資源庁長官から御報告申し上げました通り、時間的に非常にずれがあることが発見されたのであります。と申し上げるのは、通産省の方から大蔵省の方に対して、本年度見返り資金の要請をいたし、同時に資金の限度の引上げを実は折衝いたしておつたのであります。むろんこの中には小滝炭鉱も入つてつたのでありまするが、それらの問題について、まだ金額その他について最後的な結論の出ない間に、大蔵省といたしましては昨年度の書類を保留になつているものとして、そうしてそれを閣議にかけた、その点の連絡が当時多少不完全でありましたので、通産省ではその間の事情を承知していなかつたのであらためて千六百万円の申請を出したということに相なつているのであります。
  29. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 今大蔵大臣は債務償還の能力なしというようなことは言つていないと申しておりまするが、確かにそのときそういうようなことにおきめになつたかどうか。そのとき渡米前において、一体大蔵大臣ほどういうふうにしているか。その点をひとつ承りたいと思います。  それからもう一つは、これは中島炭政局長にお伺いいたしたいと思うのです。同時に田中委員にもお伺いしたいと思うのです。過般の委員会におきまして田中委員が、中島炭政局長が前法務総裁の強要によつて判をしかたなしに押した、涙を流して君はぼくにそれを訴えたじやないかということを田中委員が申されたのであります。この点の真偽をひとつお伺いしたいと思います。
  30. 池田勇人

    池田国務大臣 小滝炭鉱見返り資金融資につきましては、ただいまここでいろいろな問題がありましたように、これは会社がまだ設立早々であるのであります。従いまして会社の経理状況を全般から見るとすれば、返済を確実ならしむるためには、特に経理を適正ならしむるよう万般の措置をとる必要があると思うということを書いておるのであります。決してこれは能力がない——能力がないということを言いながら関係方面に御考慮を願うということは文章になりません。従いまして私はとにかく経理を適正にすれば確実に回收もつくと思われるが、不適正だつたらだめだ、こういうような意見を出しておるのであります。
  31. 中島征帆

    中島説明員 この前田中委員お話に先ほどのようなことはございましたが、事実私は殖田法務総裁から強制された覚えはございませんし、またこれは別の省の大臣でありますので、直接私にそういう強制が来るわけはないのでございます。それからもちろん涙を流したことも全然記憶はございません。書類に判こをつくというような性質のものではなくて、これは大蔵省と打合せをして、書類としてはそれぞれ別個に控えが残つておるのでありまして、大蔵省の方へまわす書類に判を押すとか、あるいはこちらから文書をもつて大蔵省に申し進めるというような手続はとられておりませんので、そういう点は多少話の筋が違つておるように思います。
  32. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 議事進行について……。実は委員から委員質問をするというのは国会法上おかしいのです。ですから先例がございますから、自分の名前が出たから一身上の弁明をする、こういう意味において田中君に発言を許されんことを望みます。そうでないと委員会の運営上悪例を残すことになります。
  33. 小金義照

    小金委員長 別段御弁明がないようでありますから、次に進みます。高橋清治郎君。
  34. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 これは通産当局にお伺いいたしたいのでありますが、とかくかくのごとき問題のある炭鉱、いわゆる川口松太郎氏の「火の鳥」という小説においても問題にされているかくのごとき炭鉱に、いと簡單に金を貸すことに決定するということは、通産行政を預つている当局の首脳部にはなはだ信念がないということを表明しておるものだと私は思うのであります。もしもがつちりした信念があるならば、こういう問題は起きないだろうと私は思う。この点非常に遺憾に思うのであります。しかしてこの小滝炭鉱がかくのごときことまでやつて貸さなければならないほど日本全国において優位な順位にあるのかどうか。ほかにそれ以上の條件を具備した優位な炭鉱で借りられない炭鉱がありはしないか、これを通産当局にひとつ承りたいのであります。
  35. 首藤新八

    ○首藤説明員 通産省といたしましてはかような融資に対しましては、なるべく多くの炭鉱、そして多くの金額融資いたしたい念願であります。従つて資金の面におきまして、かりにこういう希望がいれられないような状態になりましても、多少でもある炭鉱融資できるということは非常にけつこうだと考えておるのであります。ところでこの小滝炭鉱がなぜ優先的に取扱われたかという御質問でありますが、これは先般の委員会におきましても御報告申し上げました通り、粘結炭の鉱山であります。日本におきましては粘結炭の鉱山はきわめて少いのでございまして、ほとんどが輸入に仰がなければ相ならぬというふうな現状でありまするために、各製鉄会社等もこれが獲得に非常な苦心を拂つておるのであります。従つて政府といたしましては、何とか国内で粘結炭を獲得いたしたいという強い念願を持つておる際に、たまたま小滝炭鉱において粘結炭が出るということがはつきりいたしましたので、一時でも早く国内で粘結炭を確保いたしたいということから特に小滝炭鉱を優先的に取上げたということになつておるのであります。
  36. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 いろいろな問題を巻き起し、ことに過般の委員会における通産省大蔵省との食い違いが理路整然と現われたので、きようは驚いている次第であります。その点において小委員会を設立して、問題の炭鉱を実地に調査してみたいと思います。この提案を一ついたします。  それからもう一つはこれがいろいろな疑惑の目をもつて見られ、二割の報酬をとつたとかとらないとか問題になつている前法務総裁を、次の委員会に御出席を求めて、そして殖田法務総裁の身の潔白をここにみずから表明していただくことも必要だと思うので、この出席を要望して私の質問は終ります。
  37. 小金義照

    小金委員長 それでは次に進みます。加藤鐐造君。
  38. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 今までの質疑応答で私の質問の範囲は大分狭められましたが、できるだけ重点的にお伺いいたしたいと思います。  今までの質疑応答、特に田中彰治君のごとき権威ある、かつ識見を持つている人からの御意見によりまして、大体本問題の核心は見えたと思うのであります。要するにほとんど価値のない炭鉱に対して、まつたく不用意に、しかも多額資金が——、日本経済再建の上に最も愼重に取扱われなければならない復金、あるいはまた見返り資金のごとき産業資金が、かくのごとく不用意の間に、しかも直接その炭鉱関係せる大官の運動によつてこれが貸し出されたというので、問題はきわめて重大な問題であると思うのであります。従つて本問題は日本産業再建の上にきわめて愼重に調査しなければならないと思うのであります。單に本日並びに前回委員会質疑応答のみによつて、この問題の調査を打切るべきではないと思うのであります。その点については高橋君のただいまの提案に賛成するものでありますが、私は大体こういうことを今日自由党の内閣の諸公がやられるということは、その影響するところ実に大きなものがあると思う。自由党内閣の諸公が今日の世相をどう見られるか、いわゆる残虐なるところの殺人、あるいはその他の犯罪行為が簡單に行われているのに、終戰直後の混乱した世相の時代ならばとにかく、一応経済的にも安定状態に入つておりますこのごろに至つて、こうした犯罪がしかも若い人によつて簡單に行われるという今日の世相をどう見られるか。私はこれは一に政治が悪いからだと思う。すなわち公団のきわめて若いチンピラのような青年が、何千万という金を簡單にごまかしている。こういうようなことはやはり今日の青少年をして犯罪に対するところの考え方を非常に非良心的にするのである。さらに政府要路の大官があるいは国家の金をごまかし、あるいは多額の賄賂をとつて家を建てたというようなことが世上に流布されますならば、やはり世相は險悪になるのである。要路の人々がそういうことを片つぱしからやるということは当然社会に対しまして犯罪に対するところの良心を麻痺させるのである。従つて私は今日この世相からかんがみまして、政治が清くならなければならないということを痛感するものであります。従つて私は今回この小滝炭鉱融資の問題を通じまして、殖田前法務総裁に関するあらゆる問題は、本委員会において、あるいは考査委員会において、十分に調査しなければならないと思うのであります。そういうふうな観点から、私は池田大蔵大臣にいたしましても、その他の関係当局が、もつと良心的に本問題の核心に触れる答弁をせられて、そうして今後こういうあやまちのないように努力されんことを希望いたすのであります。  そこで質問に入りますが、まず第一に、私はこういうことをある確かな筋から聞いておりますが、それははたして事実かどうかということをお伺いいたします。昨年の五月であるか六月であるか、その辺の正確な日時はわかりませんが、小滝炭鉱からこの二千五百万円の触資の申請の行われる前に、七百万円の見返り資金申請があつて、それが閣議において否決になつておるということを聞いておりますが、その事実があつたかどうかをお伺いいたします。
  39. 大島寛一

    大島説明員 お答えいたします。昨年五、六月ごろのみならず、小滝炭鉱からの申請につきまして、閣議に提出されて否決されたようなことはございません。
  40. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 次に大蔵大臣から御答弁を願いたいが、先ほど来復金融資二千五百余万円の使途についていろいろ質疑応答がありましたが、それによりますると、二千五百余万円の復金融資が、その一小部分しか実際には使われておらないようであります。それでその点について、大蔵大臣は今回の二千五百万円の見返り資金融資について、たといそれを代理の殖田法務総裁がやつたといたしましても、それを追認する際に、復金の使途について十分調査せられたかどうかということについてお伺いいたします。
  41. 池田勇人

    池田国務大臣 復金貸付金の使途につきましては、ただいま大島見返資金課長から答えた通りであります。
  42. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 大島資金課長に私は聞いておるのではありません。池田さんが責任者として、どの程度この復金の使途のその後の状況について関心を持つて、そうして調べられたかどうかということを聞いておるのであります。
  43. 池田勇人

    池田国務大臣 大島君が答えた通りでございまして、設備資金、炭住資金に千八百万円あるいは七百万円、こういうように使つておると聞いておるのであります。
  44. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 今までの田中君の大体現地についての調査による発言によりましても、そうした金は使われておりません。それは復金融資を受ける際の資金計画であつて、実際には使われておらないということであります。それを大蔵大臣は使われておるというふうに認定せられたのがどうかということを承つておるのです。資金計画の内容を承つておるのではないのです。
  45. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまお答えした通りで、私はこのことは調査いたしておりません。事務当局から報告を受けております。
  46. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そういたしますと、復金融資については、その大部分が実際には使われておらないというふうに認定してさしつかえない。先ほど来融資課長のお話を聞いておりましても、その他の方の御答弁を聞きましても、資金計画についての御説明はありましたが、どれだけ現在までに使われているという明確な御答弁がございません。さらに池田大蔵大臣は、その点は大島資金課長の御説明の通りですということをおつしやいました。そうすると池田大蔵大臣は、新たに二千五百万円というような見返り資金融資をする場合に、今まで融資をした金についての使途、実際にどの程度使われておるかということを調査しておらない。こういう結論に達すると思う。これは大蔵大臣として無責任もはなはだしい問題だと思う。  そこで私はあらため大島資金課長に伺いますが、先ほど来の話で、実際にどれだけ使つておるというような具体的なお話はございません。その点について、もう一度資金課長は十分調査しておられるかどうか、確信のある点を御答弁を願います。
  47. 大島寛一

    大島説明員 小滝炭鉱に対しまする復金融資でございますが、総額等につきましては、先ほどお答えしました通りでございまして、復金が貸すときの目的といたしましては、一般設備資金のうち、建物百三十余万円、機器工作物七十余万円、坑道百四十余万円。運搬設備千四百七十余万円、その他二十余万円、計千八百五十万円、炭住資金といたしましては、住宅三百八十余万円、合宿百三十余万円、配給所、浴場その他六十余万円、附帶工事費三十余万円、計七百十余万円という目的で融資したわけでございます。その実際の使途につきましては、復金事務当局の話を聞いておりますが、今申し上げたような個々の費目相互間の流用は若干認められるけれども、全体としては企業目的に使用せられ、使途おおむね妥当のものと推定せられると言つております。  次に実際の使途として、われわれの承知しておりまするところを御報告いたしますと、坑道に二百六十余万円、採炭設備五万円、運搬設備千二百八十余万円というような状況になつております。なお十分調査をいたしたいと思つております。
  48. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私はそういうことを聞いておるのではない。実際に次の融資をする場合に、前の融資がどれだけ正当に使われておるかということを当然調査して、新たな融資を考えなければならぬと思う。それを復金調査によりますと、というようなことでごまかされておるが、実際その復金調査をあなたは正確にお聞きになりましたか。私はその点も疑わしいと思う。私が聞いたところによりますと、この二千五百万円の復金の金は、実際に新潟県に持つて行かれた金額は、たかだか五、六百万円だと聞いておる。そういたしますと、この五分の一前後にしか満たない。そうした事実はほとんど当然とせられておる。それをあなたは人のことのように、復金の話によると、とこう言つておられる。また池田大蔵大臣はその部下の言の通りだというようなことを言つておられる。私は無責任もはなはだしいと思う。二千五百万円というような見返り資金を貸す場合に、前の多額融資の使途を十分に調査しないでおいて、次を考えるというようなことはあるべからざることだ。私はそういう点について責任のある答弁を聞きたいと思つたが、答弁をなされない。私は大蔵当局はまつたく無責任だと思う。池田大蔵大臣は中小企業に対しては実に冷酷なことを言つておられるが、こうした一つの特定の使途に対しましては、まつたく無責任な貸出しをしておるということを再確認する以外に、今までの御答弁からは得るところはなかつたと思う。この次にはこれだけの融資をし、しかも見返り資金の建前からいたしまするならば、当然担保物件がなければならぬと思う。また前日の委員会質問に対する答弁においても、担保の評価をしておるとおつしやつた。担保の評価もしないでおいて貸出しを決定するということがあり得るかどうか。それを一応伺います。
  49. 大島寛一

    大島説明員 担保の点につきましては、当時なお研究を要する点があると考えたわけでございますが、先ほど来資源庁から御説明がありましたような、強粘結炭を開発するという点に重きをおきまして、急ぐと考えましたので進めたわけでございます。
  50. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 小滝炭鉱というのは東京から五時間か六時間で到達できるところです。担保物件を調べるのにそんなに時間のかかるものではない。いかに強粘結炭が必要な原料炭であろうとも、金を貸す場合に当然担保が必要といたしますならば、担保物件を調査してからやるべきなんだ。それを疑問があるけれども、なお調査中であるけれども、まず貸出しを決定したということは、これはどういうふうに弁解されても弁解にならぬ。そこでこの担保物件の評価が実際にできておるかどうか。できておればどの程度の評価になつておるか。一々物件をあげて御説明願いたい。
  51. 大島寛一

    大島説明員 担保につきましては本件の申請に対する承認がありました後におきましても、なお引続き評価を検討中でございます。
  52. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 池田大蔵大臣並びに通産大臣にお聞きしたいが、通産大臣がおられませんから池田大蔵大臣にお伺いいたします。担保物件もきまらないのにあわてて融資決定するということがありますか。実際担保をとらなければ貸し出せないものを、その担保物件も調査しないで閣議において決定するという、その閣議の考え方というものについてお伺いいたします。
  53. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知の通り中小炭鉄に対しまする見返り資金からの貸付は、今回許可が出たのは初めてでございます。従来の例から申しますると、見返り資金貸付につきましては相当の期間を要するのが例になつておりますが、先ほど通産政務次官からお話がありましたように、強粘結炭必要性が非常にありますので、できるだけ早く申請書を出そうとこういうので出しておるのであります。その際におきましても、担保につきましては十分に調査するということを書面に入れておつた記憶いたしております。
  54. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 今日なお大島資金課長が担保物件の内容を調査中であると言うが、これは調査せられたことはないのであります。私どもしろうとといえどもそんなことはわかる。何ら開発しておらない炭鉱に二千五百万円なんという物件があるはずはない。その地下に埋蔵しておるものまで見積られるならば別でありますが、そうしたものが担保価額にならないことは申すまでもないのであつて、担保物件のないものに貸出しを決定したということは、これは私は重大な問題だと思います。さらに中小炭鉱に対する融資の問題でありますが、私は先ほど来のお話を聞いておりますと、小滝炭鉱に対する融資の必要上から、中小炭鉱にも見返り資金融資のわくを設けられたのではないかという疑いがある。前回委員会答弁によりますると、大体中小炭鉱に対する融資のわくは八千五百万円となつておるということでございました。その八千五百万円のわずかなわくの中から小滝炭鉱のような炭鉱に対して二千五百万円という多額の金を融資せられるところの理由というものはわからない。そこで私は現在他の中小炭鉱においても八千五百万円の融資のわくの中に入れるところの計画があろうと思いますが、その点についてお伺いしたい。それと同時に、現在まで見返り資金炭鉱方面に融資せられておると思いますが、その炭鉱の名前並びに金額というものをあわせてお伺いしたい。
  55. 中島征帆

    中島説明員 八千五百万円の内訳を申し上げます。これは中小炭鉱だけの分でありますが、十八炭鉱ございまして、大分こまかくなりますけれども、強粘結炭分といたしましては平田山、深江、西河内、大石、大平、手取、それから小滝、これだけであります。このうちで小滝が契約上は千六百万円になつておりますが、このほかのものは、最初の平田山を除きまして、三百万円、平田山が四百万円、それから無煙炭鉱として——これは主として天草でありますが、南天五百万円、魚貫七百万円、手探八百万円、權現山三百万円。このほかに強粘結炭無煙炭には属しませんが、発生爐炭あるいは原料炭の上級のものとしてあげたものがございますが、それは炭鉱の名前だけを申し上げます。企業体は省略させていただきますが、香燒炭鉱は五百万円、大志佐三百五十万円、海老津四百万円、振興田川三百五十万円、高根第一三百五十万円、雨龍四百万円、東幌内三百五十万円、こういう内訳になつております。  それから二十五年度のそれ以外のものにつきましては、大体大手でございますが、このうちまだ許可の出ていないものが三件ほどございまして、残りは今日まで十八億五千万円ほどの許可が出ております。この名前は御承知のような三井、三菱、北炭、井華、古河、明治、宇部興産、それから大正、松島、日窒、日鉄、こういつたところがございます。
  56. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 今名前をお読みになつた十八億円ですかある炭鉱融資は、ことごとく大手筋の炭鉱でございますか。そういたしますと、先ほど私が申しましたように、八千五百万円の中小炭鉱に対する融資のわくというものは、まつたくこれは小滝炭鉱ために設けられたようなものだと思うのです。小滝炭鉱以外はおおむね一千万円以下である。そうして日本炭鉱は、この小滝炭鉱から大手筋の炭鉱の間にはいろいろの炭鉱があります。いわゆる大手筋と小炭鉱の間に幾多の炭鉱があるわけなんです。従つてそういういわゆる日本炭鉱の大部分を占める中小炭鉱の中の相当大量に採掘しておる炭鉱に対しては、ほとんど融資が行われておらないで、そうして大手筋の炭鉱に従来限られ、今度は中小炭鉱に八千五百万円のわくを設けられたということは、いかにも私どもは不可解に思うのです。そこでこの小滝炭鉱がいわゆる強粘結炭であると断定せられた資料というものは、要するに製鉱業者の証明によるというお話でございました。そこで私の聞くところによりますと、それは主として日本鋼管あるいは日鉄であるといつておられますが、そうした製鉄業者から出された証明書の内容を御発表願いたい。
  57. 大島寛一

    大島説明員 炭質等につきましては、資源庁見解に基いて、私どもは処理をしておるのでございますが、関連して申し上げますと、私どもの手元に直接来ておりますものといたしまして二、三ございます。  その一つは日本製鉄が現地調査をしたときの技術報告書でございますが、結論の部分だけ申し上げますと、「手選炭程度のものを水洗原炭として洗炭する場合においては、北松強粘結炭炭鉱とほぼ同様の精炭が得られるものと思考する。」それから後に参りまして、「要するに小滝炭は粘結性が強大であるが、可洗性にやや難点があるもののごとく、原炭の可洗性及び選炭設備に特に意を注ぐべきであろう。」というような意味のことが書いてあります。  それから日鉄の書類として私どもの手元に来ておりますのは、「小滝炭鉱は先般弊八幡製鉄所において試験せる結果及び現在調査の結論よりして、洗炭の上灰分を低下せしめれば、国内資源として稀少なる製鉄用強粘結炭として十分期待し得るものと認める」という意味が書いてございます。
  58. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 先ほどの御答弁によりますと、八千五百万円のわくでその当時小滝炭鉱は千八百万円と決定しておつたというようなお話でございました。そういたしますると、過日来問題になつておりまする千六百万円が二千五百万円にいつかわつたかということでございますが、その八千五百万円のわくで決定しておつたときには、千六百万円であつた閣議決定のときには二千五百万円になつてつたということになりますと、先日中島炭政局長が言われましたところの、要するに二千五百万円にかわれたことは、自分は知らないという言に符合すると思うのであります。その点について、一体いつかわつたかということを通産当局がお知りならばお答えを願いたいし、中島局長は知らないとおつしやる。そのことをお知りの方があつたお答え願いたい。それからまた大蔵当局の方でもお知りの方はお答え願いたい。
  59. 始関伊平

    始関説明員 先ほど申し上げますように二千五百万円という額は小滝炭鉱融資対象にするということがきまりました直後に行われました閣議決定できまつたのでございます。千六百万円という案が出ましたのはその後のことになる、かように承知をいたしております。
  60. 大島寛一

    大島説明員 先ほどお答えいたしました通りであります。
  61. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そういたしますると、千六百万円が二千五百万円に——最初の計画では千八百万円になつてつた。そうして配分計画ができておつたというお話でございます。そうすると小滝炭鉱が二千五百万円になつた際に、ほかが減つておらなければならぬと思う。その間の事情を御説明願います。
  62. 始関伊平

    始関説明員 二千五百万円が一応閣議決定になつておりまして、その後千六百万円の案も一応決定になつておりますので、計画面といたしましては八千五百万円の中には千六百万円が含まれておりまして、結局九百万円が八千五百万円のほかにはみ出しておる。かように思います。
  63. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 いつまでも同じことを押し問答しているのもしかたがありませんが、しかし私は過日の田中議員の御言明によりますと、田中議員を引き合いに出してはなはだ失礼でございますけれども池田大蔵大臣は、千六百万円が二千五百万円にかわつた点について、殖田法務総裁公文書偽造をやつたというふうに言明せられたというふうに明言せられました。池田さんは先ほど、忘れた、記憶がないとおつしやる。しかし私は田中議員が公人としてそうした先ほどの声を励まして言明せられた通り、不確実な問題を取上げてこうした公式の席上において言明せられるわけはない。私はこの点についてなお池田大蔵大臣はあくまでもその点についての記憶がないかどうか、あるいは公文書偽造をやつたという意味は、その金額の点ではなくして他の問題である。たとえば通産省意見書をかえたとか、そういう問題を指されたのかどうか、そういう点について池田さんの御記憶を呼び起していただきたい。
  64. 池田勇人

    池田国務大臣 私は法務総裁が文書偽造したというようなことを言つた覚えはございません。問題が問題でありますので、私ははつきり申し上げますが、前法務総裁の殖田さんが公文書偽造したというようなことは私は考えたこともないところであります。通産省から参りました書類は嚴然と残つております。また解除申請閣議に提出せられた書類も残つておるのであります。いやしくも大蔵大臣代理として閣議に出される場合において文書偽造などということは起りつこない、こう考えております。
  65. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私は田中君を追究するのははなはだどうも申訳ないと思いまするが、田中君が公人として大臣が言つたと言われる以上、確信を持つておられると思う。しかも二千五百万円の融資について殖田法務総裁が二割の報酬を受けることになつておるということも、池田大蔵大臣が言明せられたということを田中君が言明せられておる。私はこの点について田中君は一身上の弁明をせられる必要があると思う。田中君が池田大蔵大臣記憶に残つておらないような不確実な、無責任な言明をせられたとするならば、委員会の権威にかかわる、また日本の国会の名誉に関する問題だと私は思う。私はこの点についてどうしても中田君の弁明を必要とすると思うのであります。また田中君の言葉をかりますならば、殖田法務総裁は一銭の金もないのに、二百八十万円の家を買つたと言われる。私は殖田法務総裁の資産がどれだけあるか知りませんが、しかし大臣をやつたからそれだけの資産ができたということになりますならば、私はここに問題があると思う。さらに家を建てるために、もし殖田法務総裁の側近が言明せられておる通りに、勧銀から金を借りて買つたとしても、今日何らの事業收入の道のない人が、そうした多額の金を借りて家を建てる、また買う人がありますか、これは常識上考えられぬことなんです。私はそういう点から考えまして、田中君が池田大蔵大臣から聞かれた言も事実に近いものがあるのではないかと思うのであります。私はそういう想像をするのでありますが、しかしこの問題は実に重大な問題であります。もしこれが單にうわさであるといたしますならば、これは殖田前法務総裁に対してはなはだ失礼なことである。しかし世間ではもはやこれはうわさの程度であるとは思つておりません。私はこの問題を通産委員会において徹底的に調査する権限がなければ、当然これは考査委員会に移して調査すべきものであると思いまするが、その点について、私は田中君の名誉にかけて、田中君がうそを言われたか、あるいはまたあくまで池田大蔵大臣記憶力が弱くて忘れてしまわれたのか、その点をひとつはつきりしていただきたいと思います。
  66. 池田勇人

    池田国務大臣 殖田前法務総裁がお家をお買いになつたかどうか存じません。しかし私は大蔵大臣として、だれがどういうことをやつて二割もらつたとかいうようなことは言つた覚えはございません。またそういうことが言われようはずもないのであります。材料も何も持ち合わせません。
  67. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それでは首藤政務次官にお伺いいたします。首藤政務次官は過日の委員会において、通産省反対であつたが、大蔵省から強く要求されてやむを得ず千六百万円の決定をしたという話がありましたが、本日の御答弁によりますると、時間的にずれがあつた、すなわちまつた記憶間違いであつたとか、認識不足であつたとかという御答弁がありましたが、はたしてそうであるか。首藤政務次官たるものがこの重大な問題について大蔵省意見相違があるということを言明せられる場合に、そうした不確実なことをいわれていいものかどうか、人の内閣のことでございますからよけいな心配をしなくてもいいと思いまするけれども、内閣の中で意見違つておるということを、事実上の大臣であるとさえ言われておる首藤政務次官が放言せられるにいたつては、これは内閣の不統一を暴露したものであると思いまするが、この点についてもう一度首藤政務次官にお伺いいたします。
  68. 首藤新八

    ○首藤説明員 私が先般の委員会で申し上げたのは、大蔵省の方から書類の提出に対して二、三回のさいそくがあつて至急に出してもらいたいという要請があつたということを申し上げたのであります。しかるにその後調査いたしましたところ、先ほど申し上げましたごとく、時間的に相当の相違があつた従つて閣議に提案されまして二千五百万円が決定した後に、大蔵省の方からそういう要請があつたかと考えたのであります。
  69. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 先日の首藤政務次官のお話は、そうした見返り資金のわくが決定しておらないとか、金額が少いから反対であつたというようなお話ではなかつたと思う。まつたく不適当であるというふうに言明せられたように思います。山の現状、炭質その他から考えまして不適当というふうに考えて、その旨を伝えたのであります、こういうふうに言つておられます。これは時間的にずれたとか、あるいは資金計画の内容とは関係のないことである。本質的に反対であるという意味である。この言を首藤次官は取消されますか、あるいはどういう意味であるかお伺いします。
  70. 首藤新八

    ○首藤説明員 先ほど申し上げました通りに、通産省といたしましてはできるだけ多額金額を、そうして多くの鉱山に融資いたしたいという、実は強い要望を持つておるのであります。従つて本年度見返り資金のわくが八千五百万円に決定いたしたので、なるべく多数の鉱山に融資いたしたいという気持を持つておるのであります。さような関係から、小滝炭鉱埋蔵量あるいはその他から考えて千六百万円程度がまず限度ではないかという考え方を持つてつたのでありまするが、そのときにはすでに閣議決定しておつたあとであるということが最近の調査はつきりいたしたのであります。従つて先般私の申し上げたことと本日申し上げたことに多少の食い違いがあるかもしれませんが、それは調査の結果本日申し上げることが正確であるということを了承願いたいと思います。
  71. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そうしますると、前回の言は誤りで撤回する、こういう意味に解してさしつかえございませんか。そこまで公人として内閣の不統一まであえて公言せられた首藤政務次官が前言を取消されるというならば、これはあるいは愛党の精神か、あるいは内閣を愛するあまり首藤さんがみずからを殺されたのか、その心情に免じてこれ以上追究いたしませんが、さらに私は田中委員が一身上の弁明をすると言つておられますからして、もう一つついでにお伺いしたいことは、田中委員は先日資源庁見返り資金対象にならない炭鉱だが、大蔵省におどされ、殖田氏に脅迫されて金を貸したと正直に言われた、こう言つておられます。先ほど来おどされたこともない、涙を流したこともないとおつしやられましたが、田中さんはこういうふうに言明しておられた。この点についても私はやはり問題の核心に触れる必要上、ついでに事実かどうかということを両者から御弁明を願いたい。
  72. 中島征帆

    中島説明員 その点は先ほど申し上げました通りに、特別の直接の強制があつてつたわけではございません。
  73. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 田中委員はどうですか。まだあとですか。——それではもう一点お伺いいたしますが、先ほど資源庁長官確定炭量九十九万トンと言われました。しかしこれは私の調べたところによりますると、推定炭量でございます。そういう報告になつておるようでございます。しかも資源庁は、先ほど專門的な知識を持つておられる田中君の御言明によりますると、あの山ではボーリングなんというものは打てるものではないと言つておられます。はたしてボーリングを打つて調査せられたか。もしそれをしたとすると、どの程度にやられたかということをお伺いします。
  74. 中島征帆

    中島説明員 九十九万七千トンという数字は、前回委員会でもお答え申し上げたつもりでございますが、これは確定炭量でありまして、地質調査上の調査によるものでございます。炭量の推定につきましては、そのほかに一定の方式に基きまして、確定、推定、予想とこう三段階にわけて推定いたしますが、その全部を合計いたしましたものが五百万と先ほど申し上げたわけであります。なお当時の調査ボーリングはいたしておりませんで、露頭の状況からこういうことを推定したわけであります。
  75. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私は地質上の知識はございませんが、露頭の状況から、しかもそうした三紀層でもない複雑な山の推定ができますか。私は不可能だと思う。それを推定したとおつしやると、それは調書をそろえんがために推定したというので、そんなことはでたらめだ。そういうことをあなた方はづうづうしくぬけぬけと言つて答弁になりますか。そんな山の非常に複雑な所で、地質の状況から推定して九十九万七千何百トンなんてこまかい推定ができますか。もう一ぺんはつきり言つてください。
  76. 中島征帆

    中島説明員 これは地質調査所の專門家が、炭田探査の一定の方式により、先ほど申しましたトレンチ調査の方式を用いてやつたのでありまして、そういう技術的なことは私はわかりませんが、その技術的な調査の結果を御報告申し上げた次第であります。
  77. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 大体私のお伺いすることは終りました。そこで本日の答弁を聞いておりましても、私は大分事実と違つた答弁があると思う。従つて私は本問題は将来の日本の産業再建の上において重大な問題でございまするから、先ほど高橋君が言われましたように、現地調査をする必要があると思う。通産委員会が国政調査をやる上におきましても、こうした問題は当然やらなければならぬと思いますので、その点は私も提議いたします。そうしてさらに私は田中委員から御弁明があると思いまするが、その御弁明によつて殖田法務総裁について、さらに本委員会においても参考人として聞きただす。そうしてそれによつてさらに考査委員会に移すということも考えなければならぬということ、これだけを希望いたしまして私の質問を打切ります。
  78. 小金義照

    小金委員長 次に風早八十二君。
  79. 風早八十二

    ○風早委員 今自分の材料、自分の材料という言葉がよく出ておりますが、これは最初から自分の材料というものはあり得べからざるものなんです。きようの会合というものは、この前田中彰治君が非常な真実を吐露されてそれから発しているんです。田中彰治君……(「会合なら出て行くよ」と呼び、その他発言する者あり)靜かにしたまえ。
  80. 小金義照

    小金委員長 御靜粛に願います。
  81. 風早八十二

    ○風早委員 田中彰治君の前回委員会における発言は、これはその真偽のほどは一概に言えないことでありますけれども、真実に迫つておる。われわれはそれを一応真実と受取つておる。だから問題を起したわけなんです。また世間もあの問題を非常に重視しておる。でありますからこれに対して政府は十分な解明をしなければならない責任に今なつて来ているから今日の委員会が開かれた。しかるに先ほどからこの問答を承つておりますと、これは私から見ればまるきりやおちようの印象を深く感ずるんです。先ほど池田大蔵大臣は、二十四年度には出す確信がなかつたと言われますが、それが二十五年度になつて出す確信ができたのは、一体それはどういう根拠に基いているのか。その間に何らかわつた調査なりかわつた事情というものをわれわれは発見しがたいのでありますが、その点についてまず大蔵大臣に伺います。
  82. 池田勇人

    池田国務大臣 金を出す出さぬをきめるのには、やはり金のあり方そのときの情勢等によつてかわるのであります。二十四年度で確信がつかなくて、二十五年度で確信がつく場合はたびたびあるのでございます。
  83. 風早八十二

    ○風早委員 金のあるなしではない。金ということになれば今でもどこへ出すかということ、これは重大な問題で、その点では金がないわけです。でありますから先ほども池田大蔵大臣答弁では決して金の問題じやなかつたのです。金が出せないからということは一言もなかつた。これはやはり炭質なり採炭條件なりあらゆる点を考慮してこれは不適当である。これは適当でないという意味で、先ほどの回答を言われておる。これは速記録をよく見てごらんなさい。今になつて金のあるなしということを言われますが、これは詭弁だと思う。よく速記録を見て、先ほどの答弁に対してもう一度補足してもらいたいと思います。
  84. 池田勇人

    池田国務大臣 よく聞いていただきたいと思います。この金を貸すときには、金のあるなしとかその他のことを、情勢の変化を考えてきめるべきものだ。その他のことということを入れておりますから御了承願います。
  85. 風早八十二

    ○風早委員 まあ大蔵大臣は明答弁家でありますから、その他のことということでもつてうまくごまかされるわけでありますが、しかしその他のことということについて二、三質問してみたいと思います。この前通産次官はボーリングは入れられないということを言つておられる。きようはまたその点についてはすでに炭政局長と非常に食い違いがある。同じ通産省部内においても食い違いがある。これはこの前の委員会においては炭政局長はやはり同じような意見を持つて列席しておられたのであるが、その後数週間たつた今日では、またすべてつじつまを合せなければならない必要が出て来て特にそういうふうに言われたのか、その点がしからばふに落ちない。これらについては、やはり通産次官は前の言葉はあれは間違つてつたのかどうか、その点は明らかにしてもらいたい。間違つてつたのなら間違つてつたでいいのです。これは明らかにしなければ、きよう言われる問答がさつぱりふに落ちない。
  86. 首藤新八

    ○首藤説明員 私はこの前の委員会におきまして、ボーリングを入れられないということは一言も申したことはないのであります。
  87. 風早八十二

    ○風早委員 そういうふうに前の委員会で現に言つていることを言わないということになつて来れば、われわれは何のため委員会をやつているのかわからない。これは速記録をよく調べてもらいたい。またボーリングの問題だけではない。全体としてこれが決して適当であるというふうに考えられない。そこに問題があつたから、きようこういうふうな委員会が開かれたのです。通産次官はあたかも田中彰治君の言を裏書きするかのごとき答弁をされたので、それでいよいよ大きくなつた。それでいて今言われないというようなことは、ボーリングの問題だけではありません。こういう整わない、しかも大蔵省に押されたというような印象を全体として與えておられる。だから問題がいよいよ大きくなつているのだ。そういう点はもう少し責任を持つてはつきりしてもらいたいと思います。  さらに先ほどから出ております千六百万円と二千五百万円ですが、これは時期の問題があとになつたのだが、それはいまさらしかたがないから二千五百万円だと言われますが、二千五百万円と千六百万円にふまれる根拠、こういうふうな点はやはり実際の実情をよく調べた上でなければ言えないと思うのでありますが、そういう点について資源庁並び大蔵当局の両方の食い違いは、一体どういうふうに考えられるのですか。実質的に千六百万円と二千五百万円とはどういう関係にあるわけですか。
  88. 中島征帆

    中島説明員 二千五百万円の契約の中には炭住が九百万円ほど入つておるのであります。今年度のわくの決定をします場合に、全体の金額が小さいためにできるだけこれを多数の炭鉱にまわすという趣旨のもとに、小滝炭鉱の場合はこの炭住だけを減らして千六百万円、こういうふうにこちらでは算定したわけであります。
  89. 風早八十二

    ○風早委員 よくわかりました。そういうふうに具体的に、それこそ池田大蔵大臣ではないが、その金の点からちやんと見はからつてある。それを閣議決定したからというので、それから時期が遅れたと言われますが、それについて出す方の、非常に金を出ししぶる大蔵省が、そういうふうな有力な意見あとからでも出て来たということになりますと、それはやはりしんしやくせられて、もう一度閣議にかけられるひまは十分にあるわけです。そういうことをなぜされないのか。これは特にこの場合に限つてされなかつたわけでありますが、なぜそういうことをされないのか。それについて大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  90. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど来中小炭鉱には八千何百万円のわくとか何とかいう話がございますが、見返り資金を出します場合に、電力、石炭、造船その他の一応のわくはこしらえますが、たびたびかわるのであります。またかわるのがほんとうなのであります。とにかく私といたしましては、中小炭鉱にも大炭鉱と同様にできるだけ早い機会にたくさん出したい、こういうつもりでおるのであります。しかして小滝炭鉱にはまだ一厘も出ておりません。また八千数百万円のわくも、実は多分まだ閣議にはかかつていないと思いますが、そういうことでございますから、別に今小滝炭鉱の問題を、金額をかえて閣議にかけるというふうな考えは持つておりません。     〔委員長退席、多武良委員長代理着席〕
  91. 風早八十二

    ○風早委員 いや八千五百万円についてはどうでもいいのですが、しかしこの数字でも、先ほどやはり見返資金課長が、これはわくとしてはつきりきまつておると言つているわけなんです。そういうふうに何でもきまつておらない、きまつておらないということになれば、これは議論にも何にもならないわけです。この千六百万円ということ自身も、それは根本的に問題があります。しかし千六百万円というこういう数字は、おそらく資源庁では調べ出しておられたことと思いますが、そういう点について何らの連絡がないと言われますが、そういうことはほかから見たのではちよつとふに落ちない。なぜその間にもう少し資源庁意見も、要するにこれは大事ななけなしの金を出す問題でありますから、聞かれなかつたか。また資源庁閣議でそういう問題が決定されるというのに、それを知らなくてあとから出した、そういうことはわれわれがいくらしろうとでもこれはわからない。今見返り資金がふんだんにあつてどこへでも出ておつたというのならば別問題であります。しかし今常磐炭鉱でもまた宇部炭鉱でも、中小炭鉱はみんな泣いておる。もうつぶれておる。それは強粘結炭つたら別問題だと言われますけれども、強粘結炭でもたくさん出ておるものがあります。北九州なんかでも、例の北松炭田なんかにだつて出していやしない。そういうふうな状況で、金がこの場合に限つてつたく無雑作に前年度の大体そのわく通り出るということは、これはたれが考えてもふに落ちない。そういう際になぜ愼重な考慮ができなかつたか。それはあなた方の方の官庁間の末端の手違いであるのか、そういう点はやはり明らかにしてもらいたい。これは責任問題です。
  92. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど来お答えしたところでわかつていただくよりほかにないので、別につけ加える点はございません。     〔多武良委員長代理退席、委員長着席〕
  93. 風早八十二

    ○風早委員 実に池田大蔵大臣は、この通産委員会というものを相かわらず例によつてなめていると思う。(笑声)そんなばかな答弁が一体ありますか。こういう大臣をのさばらしておくということが、この炭鉱がいけないことになる。(「それはよけいなことだ」と呼ぶ者あり)よけいなことではない。  それではもう一つ池田大蔵大臣に伺いますが、返済能力がないというようなことは、その書面には書いてないのであります。それはだれだつて申請するのにこれは返済能力がないということを書くばかはありません。しかしこの場合においては、それではこの返済能力があるのか、返済能力はわれわれしろうとが判断してもこれはない。先ほどからも復金融資に対して全然返済されておらない、こういう実績があるのです。これは明らかに返済能力がない。これはだれの目にも明らかだ。それが返済能力があると言われるその根拠は一体どうなのか、そういう点について非常にルーズであつて、しかも二千五百万円をぽつと出されるというところに、それを聞いただけでも非常な疑惑を起さざるを得ないのです。それはわれわれだけではありません。世間の疑惑を解くために、もう少しあらためて懇切にひとつ答弁を願いたい。
  94. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど来申し上げた通りでございまして、私が大蔵大臣として関係方面小滝炭鉱融資の問題を書面で出した場合において、返済を確実ならしむるためには経理の適正その他万般の措置をとる必要があるというので、関係方面融資に関する意見を私は聞いておるのであります。しかして私が渡米の留守中におきまして、関係各省話合いの上閣議決定をして出されたのであります。私は帰りましてその報告を受けまして、閣議決定をせられた、それはけつこうだ、こう言つておるのであります。その後田中君から中小炭鉱問題を話題に出して、この問題については愼重を期してくれというお話がございましたので、私はその場で事務当局に、こういう陳情があつたから愼重に考えなければならぬぞということは伝えておるのであります。
  95. 風早八十二

    ○風早委員 愼重にという話もあつたということですが、それほどそういうふうな陳情もあつておるのに、ちつとも愼重にやられておる形跡が見えない。そういうところに問題がある。明らかに返済能力がないということは、これは田中彰治君の証言だけを私は言うのではありません。先ほどから政府当局の言われたいろいろな資料に基いても、これは一見して返済能力がないことは明らかである。今までの実績がそれを示しておる。そういうところへ出されるということは、これは何としてもわれわれのふに落ちない。このことだけははつきり言つておきたいと思います。  この見返り資金の問題を、大きなところだけではない、中小にも出す、これはけつこうです。そういうふうにぜひしてもらいたい。このことはみんな国民の念願なのです。しかし実際においてこれは出されないし、たまに出されてこういうところに出せということになりますと、先ほど高橋委員が言われたように、やはりこれは何か特別な政治的な結びつきがあるという点に持つて行かれることは必然なんです。そういう点で、今日の政府関係者の御答弁は何らこれを解明しておらない。これは明らかだと思います。私は実はきようこの見返り資金を出す基準についてあらためて聞いておきたいと思つたのでありますが、今ドツジ氏がまた来ておられる。また例によつて一年前、一年半前とちつともかわらない意見が出ておる。この際金詰まりというものは中小に対してはいよいよひどくなるということは明らかです。そういう際にどれだけ責任を持つて先ほどのことを言われたのか、これは私はまつたく疑問だと断言してさしつかえないと思いますが、しかしこの際に炭鉱だけではありません。中小の企業に対して今わくはきまつておらないと言われますが、実際はどれくらいなわくを見通しておられるか。八千五百万円というわくは出ておるのであります。それはもう一度池田大蔵大臣から責任のある御答弁を願いたい。大体中小炭鉱に対してはどれだけ、その他の中小企業に対してはどれだけ出されるつもりか、これはやはりはつきりしてもらいたい。
  96. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金融資につきましては愼重を期しておりますので、向うから許可が参りましてもまだ貸出しはきめておりません。一文も出していないことは先ほど申し上げておる通りであります。  次に中小炭鉱あるいは一般の中小企業にどれだけ出るかということにつきましては、ただいま私は正確な数字を持つておりませんが、中小炭鉱並びに中小企業に対しまする見返り資金の出し方は、できるだけたくさんにしようという考えで進んでおります。
  97. 風早八十二

    ○風早委員 この見返り資金の出し方については一々許可を得なければならないからまだきまつておらないという御答弁でありましたが、しかしそれはこの八千五百万円というわくは、これは中小炭鉱だけについて言いますが、これはどういう考えをもつて言われたのか、先ほどの見返資金課長の方から一応御答弁を願つておきたい。でないと今大蔵大臣から、これについてはまつた責任はないという形の答弁が出ておりますから、私どもはそのいずれをとるのか、むろん大蔵大臣が発言されたあとでありますから、これは言いにくいかもしれぬけれども、八千五百万円というのはこれはどういうものなのです。
  98. 大島寛一

    大島説明員 お答えいたします。本年度計画におきまして、これは日本側の一応の計画でありますが、中小炭鉱に対しまして八千五百万円の金額計画として計上しておるわけでございます。ところで実際の融資につきましては、先ほど炭政局長から御説明のありましたような対象炭鉱につきまして、審査をしました上で、関係方面の許可を得た上で初めてきまるということでございまするから、大蔵大臣が先ほど今後にかかつているという意味のことを御答弁になりましたのは、今私が最後に申し上げたような意味においてであると思つております。
  99. 風早八十二

    ○風早委員 それならばよくわかります。あなたの今言われることならば、具体的に出す場合にはどうこうということはあたりまえの話です。それでは八千五百万円というものはきまつてもるものだということは承知していいわけですね。われわれはこの際はそれだけ聞いておけばいい。さらにこの八千五百万円というものは資金計画の中での見返り資金のそのわくでありますから、その資金計画自身が許可を得て発表されておるに違いない。でありますからここに実際に出す場合の條件というものは別ですよ。そういうことを言つておるのではない。そのわくというものは認めていいと解釈してよろしいですね。
  100. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほどの答弁の中に、多分閣議決定はしていなかつたと思う、こういうふうにお答えいたしまたが、閣議決定はしていないそうであります。従いましてこれは安本を中心とした事務当局間の一応のわくとお考え願いたいと思います。見返り資金を出しますときには、個々の会社に対してどれだけというので申請しておりますので、いろいろなわくもときどきかわつて来るというのが実際面であるのであります。
  101. 風早八十二

    ○風早委員 最後に伺つておきますが、その具体的にいよいよ出す場合の條件です。これはわれわれが今度の経験からして言うのですが、これは決してそういう基準があるということは言わないと思いますが、しかし殖田前法務総裁の関係しておつた、あるいは顧問であると言われておつた、そういう関係がやはりこの際に事実問題になつておる。またそのことで実際きようのこの委員会が開かれたのでありますから、そういうふうなことはこれは政府の方針としてはむろんないと思いますが、実際の具体的に出される場合にはそういう條件はいるわけですか、つまり政治的な有力な関連がそこになければこういう金は出されない。たとえば同じような強粘結炭の炭田がありましても、それにはびた一文出ておらない。そういうものは今後ともやはり特別な法務総裁か大臣かを顧問をしていなければ出せない、こういうふうなことでありますか。
  102. 池田勇人

    池田国務大臣 そういうことはありません。
  103. 風早八十二

    ○風早委員 いやこの前の田中彰治君ではありませんが、そのあり得べからざることが現に行われておるから問題なんです。すべてがそうなんです。それはすべて表向きの基準というものはちやんとりつぱなものが出ております。しかしながら実際にそうではない。そういうところにすべてこの問題があるのでありますから、この点について政府はもう少し積極的にその疑惑を解くだけの努力があつてしかるべきだと思う、その責任があると思うのであります。きようの御答弁ではだんだんこれは伏せて、お互いに口を合わして、そうしてこの問題はうやむやにしてしまう、おまけにこういうような問題が派生しておりまして、かんじんの日発のあの大不正問題がまたどこやらに行つてしまう、これがあなた方の大体寸法であろうと思います。以上申し上げて終ります。
  104. 小金義照

    小金委員長 これで発言の通告は全部終りました。田中彰治君。
  105. 田中彰治

    田中(彰)委員 大蔵大臣にちよつとお伺いいたしますが、一番初めのお答えには記憶なかつた。今度は加藤さんのお答えにはそんなことを言つた覚えはない、どちらがほんとうだ、記憶なかつたことがほんとうですか、言つた覚えがないというのがほんとうですか。
  106. 池田勇人

    池田国務大臣 村上君の御質問に対しまして当初答えた通りであります。そういうことを言つた記憶はございません。
  107. 田中彰治

    田中(彰)委員 それで私も了承いたしますが、それから炭政局長中島さんの点について申し上げておきます。  私は代議士をやめてもいい、いかなる責任でも負う、おそらくこういう委員会で今日までの国会議員がそういう答えをした人はなかろうと思う。それだけ自信のあるものであつて、しかも私は五万八千人の支持を得た代議士でありますから、社会党や民主党の方がおつしやるように、決してきようは打合せたり、押えられたりしているのではないので、私はこの委員会から押えられるような弱い尻は持つておらない。またわれわれは打合せもしておらない。それが証拠に、私と皆さんとの意見がときどき違つて、こういう問題を起すのであります。しかし中島さんの言われたことは事実です。私はうそは言わない。しかし役人は弱いものである。にらまれると、すぐああいうふうにかわる。この前の答弁とかわつておることも事実でありますから、すべては皆さんの御常識にまかしておきます。私は、大蔵大臣も腹の中では困つている、殖田がこんなことをしてくれなければ、おれもこれだけいじめられはしないと思つていらつしやることはわかつている。しかし同じ大臣同士で、やはりあわれんで、いろいろ弁解されていることはわかつております。これだけ言つておきます。
  108. 小金義照

    小金委員長 次に、先ほど高橋委員から御要望があり、加藤委員からも御要望がありましたが、この問題になつております小滝炭鉱をこの委員会で取上げて、さらにこれを調査したらどうかという点がございます。もう一つ、小滝炭鉱の問題に関連して、殖田前法務総裁を参考人として委員会に出席してもらつたらどうか、この御要望がございますが、この二つをいかがとりはからいましようか。     〔「必要なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 小金義照

    小金委員長 必要なしとお認めの方は挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  110. 小金義照

    小金委員長 挙手多数と認めます。よつてこの二件は必要なきものと決定いたしました。  本日はこの程度にて散会いたします。     午後三時五十三分散会