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1950-09-29 第8回国会 衆議院 通商産業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十九日(金曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 河野 金昇君    理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       田渕 光一君    田中 彰治君       中村 純一君    南  好雄君       村上  勇君    金塚  孝君       河本 敏夫君    高橋清治郎君       加藤 鐐造君    小平  忠君  出席国務大臣          通商産業大臣 横尾  龍君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房長) 森永貞一郎君         大蔵事務官         (理財局見返資         金課長)    大島 寛一君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      玉置 敬三君         通商産業事務官         (通商機械局車         輛部長)    森  誓夫君         通商産業事務官         (通商化学局         長)      長村 貞一君         通商産業事務官         (通商鉄鋼局         長)      中村辰五郎君         通商産業事務官         (資源庁炭政局         長)      中島 征帆君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      川上 為治君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公聴会開会に関する件  鉄鋼業繊維工業化学工業その他一般工業の  実状特に需給並びに金融状況に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 これより通商産業委員会を開会いたします。  本日は鉄鋼業繊維工業化学工業その他一般工業の実情特に需給並びに金融状況に関する件を議題といたします。まず銑鉄補給金に関する件につきまして調査を進めます。発言の通告がありますからこれを許します。中村幸八君。
  3. 中村幸八

    中村(幸)委員 銑鉄補給金の問題につきまして政府当局にお尋ねしたいと思います。明二十六年度予算案におきまして、当初通産省におきましては銑鉄助成金約百億円を計上したのでありまするが、のちに二十一億となり、さらに最後予算閣議におきましては、造船用鋼材助成金あるいはまた屑鉄回収助成金、こういうものと運命をともにしまして、全額削除と決定したとのことでありまするが、この銑鉄助成金などは、単に鉄鋼政策の上だけでなくて、産業全体に及ぼす影響、また輸出貿易に与える影響はまことに甚大なものがあると考えるのであります。補給金を全廃いたしまして均衡財政を確立、さらにドツジ氏のいわゆる竹馬経済の一本の足を断ち切るということは、趣旨においてはまことにけつこうなことでありまするが、もともとわが国の鉄鋼業は明治初年以来政府の強力なる保護のもとに発達いたしまして、重要なる基礎産業としての役割を果して来たのでありまするだけに、今ここに突如としてこれを全廃いたしまするときは混乱を惹起し、きわめて悪い結果をもたらすおそれがあると考えるのであります。業界におきましては、補給金を全廃いたしました場合、銑鉄において約五割、鋼材において約三割の値上りがあるというふうに予想する者もあるのでありますが、政府におきましては、来年度銑鉄補給金などを全廃いたしました場合に、銑鉄鋼材価格がどの程度影響を受けますか、また造船やあるいはさらに車両、自動車、自転車、ミシンというような機械産業に対しましていかなる影響を与えますか、まずこの点をお答え願いたいと思います。
  4. 首藤新八

    首藤説明員 お説のごとく銑鉄補給金百億の要求が二十一億となり、さらにこれが金額を削除されたのでありまして、通産省といたしましては非常に遺憾の意を持つておるものであります。但し国家財政上かく決定いたした以上は、なるべくお説のごとくこれが影響のないような措置を講ずる必要ありということで、こういう面に向つて現在措置を進めておるのでありまして、とりあえず銑鉄輸入明年度におきましては二十五万トンはどうしても確保いたしたい、また同時に金利相当引下げるというような措置を講じまして、補給金打切り影響を補填いたしたいというふうに考えておるのであります。御承知のごとく幸い最近輸出方面相当好調を呈しておりまするし、なおまた明年度におきましては生産をできるだけ増加いたしたいという考え方から、鉄鉱石並びに粘結炭これらの輸入相当大量を確保いたしたいと準備いたしておるのであります。この増産ができますれば、勢い原価が安くなつて参り、従つて補給金が打切られましても、そのまま全部影響しようとは考えていないのでありまして、むしろかような以上申し上げたような措置を講ずることによつて補給金よりも多額の利益が業者にもたらされるのではないかというような考え方を持つておるのであります。従つてただいま御指摘のいろいろの自転車あるいはその他の消費面におけるところの影響は、こうまつもないというふうに考え、また、今後も絶対的にないような措置を講ずるつもりで進めておることを御了承願いたいと思います。
  5. 中村幸八

    中村(幸)委員 今通産政務次官の御答弁によりますと、銑鉄補給金を削除することを決定した以上はやむを得ない。従つてこれに対応するいろいろの措置を講じておる。あるいは銑鉄を二十五万トン輸入するとか、あるいはまた金利引下げるとか、あるいは企業合理化によつて増産をする、こういうようなことで影響が絶対ないようにするというお答えでありますが、私どもは残念ながら政務次官の御意見にまつたく同感するというわけには参らないのでありまして、これは相当影響があるのではないか、かように考えております。まあこれは意見の相違でありますが、なお先ごろの新聞にも未稼働熔鉱炉がたくさんあるが、これを廣畑あるいは釜石その他の熔鉱炉火入れをして行く面において増産をして行くというようなこともあつたのでありますが、そういうことは事実でありますか。はたして事実であるとすれば、どことどこの熔鉱炉をいつごろ火入れする、また能力はそれによつてどの程度向上するかということもひとつお伺いいたしてみたいと存じます。
  6. 中村辰五郎

    中村説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。銑鉄補給金撤廃の処置の最も重要な対策といたしまして、国内銑鉄の等級を増加するという問題でございますが、この問題につきましては、まず原材料入手の面における対策を準備いたしまして、先般釜石の第八高炉六百トンでございますが、これを十月十七日火入れいたすことに相なつております。  これに次ぎまして日本鋼管の鶴見の高炉三百トンでございますが、これはおそくも来年一月の上旬に火入れいたす予定でございます。次に小倉にございます小倉製鋼高炉でございますが、三百五十トンの火入れをおそくも二月の上旬、おそらく一月末には火入れ可能かと思うのでありますが、賠償工場関係もあり、関係方面と折衝をいたしておる状況でございます。これに次ぎましてさらに銑鉄増産をいたす建前で富士製鉄廣畑の第二高炉、あるいは八幡製鉄洞岡高炉、あるいは近畿地方にございます高炉について稼働計画に対しまして準備を進めております。海外原材料入手状況を勘案いたしまして、おおむね千トン溶鉱炉に対しては三箇月、その他の高炉に対しては、二箇月の予告期間をもちまして正式決定をいたす予定にいたしております。
  7. 中村幸八

    中村(幸)委員 今のお話によりますと、続々熔鉱炉が復旧して参るようでありまして、たいへんけつこうなことと思いまするが、この熔鉱炉の復旧に伴いまして、相当鉄鉱石あるいは粘結炭が必要となつて来るのでありますが、これらにつきましては、十分この熔鉱炉をまかなつて行くだけの輸入が期待できますか。聞くところによると、緊急輸入物資といたしまして、政府においても非常に努力しておるように聞いておるのでありますが、この点の御確信をお伺いしたいと思います。
  8. 中村辰五郎

    中村説明員 ただいまの御質問の第一点でございます鉄鉱石輸入確保については、これはおそらく石炭以上の重要問題でございますが、幸いにいたしまして、対日鉄鉱石供給源といたしまして、フィリピンが非常に増産傾向が強くなつておりまして、本年度においてはおおむね百万トンの輸入計画をいたしておりますが、来年度におきましては百六十万トンの対日供給が可能であるという状況見通しを持つております。また開らん炭について問題がございまするが、今日の国際情勢下においては、従来通り状況で入荷し得るものと考えております。この数字の見通しにつきましては、御承知のごとく本年度においては百万トンの長期契約をいたしておりまするが、来年度契約見通しにつきましては、目下のところ少くとも百四十万トンの供給を確保し得る見通しのもとに交渉を継続中でございます。なおその他の鉄鉱石石炭供給源につきましては、万全を期する意味合いにおいて、あるいは米炭輸入、先ほどきまりました十五万トンの問題に次ぎまして、鉄鋼業操業安定のために、できるだけ多角的な方面から原料の入手をいたすよう考慮いたしております。
  9. 中村幸八

    中村(幸)委員 先ほど次官は銑鉄二十五万トンを輸入すると言われておりましたが、この二十五万トンの銑鉄はどこから持つて来るのでありまするか、また輸入価格は今の見通しとしてはどの程度で引合いができるのであるか、その点をお伺いしたい。
  10. 中村辰五郎

    中村説明員 銑鉄補給金撤廃契機といたしまして、あたかも銑鉄輸入問題が論議されたごとく印象づけられるのでありますが、銑鉄輸入問題はわが国鉄鋼業鉄源確保見地から考えまして、できるだけ多量の銑鉄輸入いたしたい。石炭あるいは鉄鉱石を入れまして、国内における銑鉄生産増強という行き方もございまするし、同時に国際情勢の変転を考えまして、銑鉄大量確保という点も必要でありまするので、その見地から銑鉄輸入をできるだけ大量にするというような思想の現われでございます。今日考えておりまする銑鉄輸入確保数量は、司令部承認を得ましたものは、インド銑鉄の二万トン、鞍山銑鉄が三万トン、スエーデンの、これは木炭銑でありますが、三千トン、これが今日司令部との間に了解ができておる数量でございます。これと相続きまして銑鉄輸入確保方式を確立する意味合いにおきまして、先般司令部了承を得まして、輸入自動承認制と申しますか、この一つの品目に銑鉄を加えております。この操作が成功いたしまするならば、相当大幅の銑鉄輸入せられるのじやないか。たとえば、これは一つの予想に相すぎませんが、今日の銑鉄がCIFで大体三十三ドルのマル公をいたしております。今後補給金の漸減あるいは二十六年度におきまする撤廃方向からいたしまして、銑鉄国内価格相当大幅の上昇を見るのではないかと思うのであります。そういつた国内銑鉄値上りがありまする反面、これが海外銑鉄輸入の有力なる一礎石と相なるのではなかろうかと思うのであります。今日二十五万トンのソース別輸入計画は持つておりませんが、先ほど申し上げましたような今日の国際情勢からいたしまして、国内にできるだけの鉄源を確保するという方針のもとに、さような政府方式が取行われておる、こう御了承願いたいのであります。
  11. 中村幸八

    中村(幸)委員 銑鉄補給金撤廃に関連して、先ごろ新聞にいろいろ政府鉄鋼対策というものが掲げられております。その中に重油を百万トン輸入するとか、あるい屑鉄対策として低性能の船舶の解体の払下げ価格引下げるというような問題もあつたように記憶するのでありますが、そういう事実があるのでありまするならば、この点を伺いまするとともに、もしそういうことが政府にありといたしまして、この朝鮮事変契機といたしまして、世界をあげて準戦時体制に入りました今日、はたしてそういうような政府のねらつておる事柄が実現できるかどうか、この点あわせてお尋ねいたします。
  12. 中村辰五郎

    中村説明員 御質問の第一点の重油の問題につきましては、新聞紙上伝えられます百万トンの輸入の問題は、これは鉄鋼に限られた問題ではございません。今日われわれが考えております重油輸入の総量は、鉄鋼業といたしましては、月二万三千トンのラインでございます。今後相当生産増強の必要もございますが、この月二万三千トンの数量が確保せられるにおきましては、大体において操業上支障はない、こういう見通しを立てております。もちろん石油の状況次第におきましては、操業コスト引下げに役立ちます重油の使用については、もつとより多くこれが割当の多からんことを希望いたしまして、関係方面とも折衝いたしておりますが、月二万三千の数量確保は、今日鉄鋼業におきます一つ見通し、こう考えていただきたいと思います。  なおスクラツプの問題でございますが、スクラツプの問題につきましては、通産省といたしまして今後におきます鉄鋼業の最も重要な、同時に深刻な問題の一ではございまするが、国内におきます屑鉄回收の一つの行き方といたしまして、いわゆる特別回収に対する国家助成の道を考えたのでありますが、今日の財政状態その他から勘案いたしまして、実現せなかつたということをわれわれとしてはなはだ遺憾に思うのでありますが、朝鮮事変後におきます鉄鋼の実際の取引の傾向からいたしまして、あるいは国際市場の変遷を通じてみますると、銑鉄価格スクラツプ価格との均衡する価格体系というものを今日考え得られますならば、私はスクラツプ回収と申しますか、この点についても今日以上数量的に増加の見通しも立ち得るし、同時にあるいは繋船の問題、あるいは沈船引揚げの問題、あるいはスクラツプ国内価格のある程度の引上げが、今日日本に流れておりません海外スクラツプ供給をもでき得るのではなかろうか、日本鉄鋼業が従来スクラツプの異常なる低価格によつて操業せられたという事実は今日以後においては困難なことはもちろんでありますと同時に、スクラツプ価格国際価格に対して相当さや寄せせられる限りにおきましては、海外におきまするスクラツプ供給相当可能ではなかろうかと思うのであります。同時にこの問題に関連しまして、スクラツプ単一供給の点についていろいろ問題がございましたが、今スクラツプに対する輸入についての考えがいろいろの方面においてやや見解をかえて参りまして、日本スクラツプ輸入について好転の兆を見ておる状況であるということを一応申し上げまして御答弁にかえたいと思います。
  13. 中村幸八

    中村(幸)委員 最後にもう一つだけお尋ねいたしますが、銑鉄補給金を全廃いたしました場合に、銑鉄統制は解除するお考えであるかどうか、この点でありますが、補給金物資でなくなつた以上、これをいつまでも統制下に置くということは不合理でもあり、また業界にとつて不利ではないかと考えるのであります。しかしまた他面最も重要なる基礎物資である関係において、需要と供給との関係もにらみ合わさなければならない。あるいは価格の面も見なければならない。こういうようになかなか簡単には行かないと思いまするが、この点についての政府のお考えなり見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  14. 首藤新八

    首藤説明員 お説のごとく補給金を打切りました以上、一応統制撤廃すべきだという御意見は、まつたく同感であります。しかしながら、現状の需給関係から考えた場合、今ただちに統制撤廃するということはどうかと実は若干の危惧の念を持つておるものであります。今しばらく情勢をながめまして、統制撤廃してもさしつかえないという情勢が到来いたしましたならば、その際は即時に撤廃いたしたいと考えておるのであります。
  15. 小金義照

  16. 南好雄

    南委員 日本鉄鋼対策につきましては、同僚中村委員から詳細御質問がありましたので、私別段お聞きしたいという点もないのでありますが、日本銑鉄に対する補給金をはずす時期といたしましては、現在の時期が最も適当な時期ではないかと私は考えております。と申しますのは、外国生産せられる銑鉄値段が、ほぼ日本生産コストに接近して参つたこの時期において、補給金政策を一擲して、鉄鋼の自立をはかつてその合理化をねらつて行くという意味合いにおいて、補給金をやめて行くというならば、それは時期としてはしごくよい時期ではないかというふうに思うのであります。御承知通り鉄鋼と申しますものは、一国の文明の尺度とも申していいかとも思います。今までのように鉄と国防を関連せしめて鉄鋼業を助成する、あるいは基礎物資であるという意味でこれを保護しなければならぬという考え方には多少変更がありましようとも、何と申しましても日本鉄鋼業には生産条件において、外国に比較いたしまして非常にウイーク・ポイントが多々あるのであります。今日の状態において、補給金政策を打切られるという点については、私などは別に異存はないのでありますが、鉄鋼業の根本的な弱点と申しますものに対する政府の認識、それからこれが対策ということにつきまして、いま少しつつ込んだ御答弁がお願いしたいのであります。
  17. 首藤新八

    首藤説明員 補給金打切つた事情は、南委員は十二分に御了承のことと存じます。そこで補給金打切り後の対策に対して、もう少し深く答弁せよという御意見のようでありますが、先ほど来中村委員に申し上げました通り銑鉄輸入確保あるいは金利引下げあるいは鉄鉱石輸入増大、また粘結炭輸入増進というような措置を講じまするとともに、一面におきましては、何といつて日本鉄鋼業は、御説のごとく条件が非常に悪い。従つてコストが非常に高いのでありますが、それだからといつて、いつまでも国家がこれに保護を与えるということでは、安易な経営に流れるおそれがある、かような見解から多少むりでも、かような場合補給金を打切りまして、ほんとうに業者が真剣に創意くふうをもつて企業合理化をはかり、業者自主性上もつと熱意を発揮してもらう線に指導することも一つの方法ではないか、これらの惡条件をかような面において克服するということが、今後長い間の日本鉄鋼業を発展させますために、とるべき当然の措置だと考えておるのであります。従つてそういう企業合理化、いわゆる原価を安くするという面につきましては、これはただいま具体的な案をここには持つておりませんが、できる限りそういう面に大きな関心を持つて指導育成という方向に進んで参りたい、かように考えておるのであります。
  18. 小金義照

  19. 今澄勇

    今澄委員 この銑鉄の問題については、大分同僚議員から質問がありましたが、私は過日の毎日新聞にも掲載されておつたように、この銑鉄補給金をめぐる一貫メーカー平炉メーカーの対立や、あるいは統制経済から自由経済へ移るためには、少くとも理論的にはいろいろそれによつて迷惑をこうむる部面保護政策というものを伴いながらやつて行かなければならぬというのが原則であるにもかかわらず、この昭和二十五年度から銑鉄補給金を落すというやり方の裏には、いろいろな要素と勢力の錯綜したものがひそんでおるということを私は見逃すわけに行かないのであります。そこで私がお伺いしたいことは、少くとも輸出額の二割を占めるこれらの鉄鋼製品輸出が、まず困難になるということ、産業構成全般に大きな影響を与えるということ、さらに物価政策産業政策の両面からこれらの銑鉄補給金復活を強く要求しておる部面が非常にいまなお多くて、この問題にはここで簡単に打切るということでは済まされない幾多の要因があります。  なお通産大臣にも後ほどお伺いしたいのだが、少くとも一貫メーカーの側から播磨造船に対して優秀な造船用鋼材供給があつて、こういうような鋼材の動きがうまく行つたというようなことが堂々と新聞に報ぜられておるのに、通産大臣はこのような銑鉄の問題を議するこの会合へ第一顔を出さぬというようなことでは、私はお話にならぬと思う。そこでわれわれは通産大臣のこの不勉強さとそれらの輿論に対する無感覚をここで指摘するとともに、こういつたような少くともほかのことは知らぬけれども造船鉄鋼にかけては私はエキスパートであるということを通産大臣はしばしばそこから申しておる。そのエキスパートであるのに、自分の問題が出ても通産大臣がここにおられぬということはどういう理由であるかということを、首藤政務次官にお尋ねするとともに、もう一つ私はこの補給金撤廃に至る間には、いろいろないきさつが存して、先ほど南君は御承知であろうと仰せられたが、野党の諸君は不幸にして御承知がないのであるから、十分その点のいきさつをあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  20. 首藤新八

    首藤説明員 大臣が出席することになつておりますが、ちようど与党との間に重要問題を協議いたしておりまして、大体今済んだそうでありますから、もうしばらくしたらこちらに見えると思いますから、その間だけごしんぼう願いたいと思います。  なお一貫メーカー平炉業者との関係でありまするが、潜在的には利害関係が必ずしも一致しませんから、補給金の要請に対しましても、多少意見が食い違つておるかとも考えますけれども、それはあくまでも潜在的でありまして、表面にはそういう事実は少しも現われていないのであります。  なお補給金打切り事情でありまするが、先ほど来申し上げましたごとく、当初百億を要求いたし、それに対して二十一億の内定を見たのでありまするが、しかもこの二十一億というものは、総生産額に比例しますると、まことに微弱な金額でありまして、必ずしもこれが切られたからといつて業者に非常な影響を与えるというようなことは考えられないのであります。しかも久しい間鉄鋼業者国家の重大な保護下に置かれたのでありまするが、見方によればこの保護あるがゆえに、鉄鋼業の発展が遅れるというような見方もできると思うのであります。従つてできるならばこういう国家保護打切つて業者熱意創意によつて自立できるような態勢に指導して行きたい。幸いに御承知のごとく朝鮮事変の勃発、続いてアメリカの厖大な軍備拡張、さらに英国その他の国がこぞつて軍備拡張をやることによつて輸出面におきまして相当量出ることになつて参りつつあるのであります。しかもそれに関連いたしまして、価格相当引合い、値段が上昇いたして、内地の相場でも十二分に引合うというような情勢になつて、ここで補給金を打切りましても、これがために輸出振興に阻害を来さないというような見きわめが一応つくような情勢になりましたので、この際こそ打切るべきではないかというような考えのもとに打切つたのであります。
  21. 今澄勇

    今澄委員 政務次官は先ほどから繰返し答弁されておるが、大体そういうふうに最初からいらぬものならば、何も百億を計上して要求することはない。そのときの情勢でかわつたからというて、自分たち考えておるようなそれらの鉄鋼政策が関する見解を豹変するということは、まことに私どもは一貫しないと思う。私はそこでまずお尋ねしますが、このようなたとえばきのうやつた日発の問題でも、通産大臣メモランダムが来たのだが、メモは残つておるが本物はないようだからなくなつたのだろうというような、不明朗な話で、一つもわからない。しかもそれらお問題の発端である、その責任者である通産大臣が、十分納得させるような答弁ができない。きようまた銑鉄の問題を取上げてみると、播磨造船がどうであるとか、一貫メーカーの陰謀であつたというようなことがしきりと新聞紙上に喧伝されておる。やはり通産大臣は疑惑の中にある。私はあとで大臣に聞きますが、首藤政務次官は、このように通産大臣というものがこの吉田内閣になつてから兼務であるとか、あるいは専任をつけてもすぐ交代してしまつたようないろいろの問題、さらに今日この銑鉄の問題をめぐつてもそのようなことが言われるということは、何かここに統制時代から自由経済へ移るのに、通産省全体が無理をして、そうして不明朗な問題があらゆる方面から出て来るのではないか。かように私は思いますが、そういうふうな心当りはないか。それからまた新聞紙上いろいろ宣伝されておるこのような播磨造船等の問題についてそういう大臣を上に置いておいて、政務次官としてこれらの問題についてはどういうふうな処置をとつて世上の疑惑を一掃しようとお考えになつておるか。ひとつこの点明瞭に御答弁が願いたい。
  22. 首藤新八

    首藤説明員 御質問の第一点は、全然さようなことはないというふうにお答えいたしたいと思います。  第二問の問題でありますが、これは私が主観的にかれこれ申し上げるべきものではないのでありまして、今すぐ大臣が見えますから、大臣から御答弁をしていただいた方が、いいと思います。
  23. 今澄勇

    今澄委員 そこであなたに聞きたいのだが、きようは通産大臣も与党との打合せというような、政府自分の属する与党との内輪の問題を先にして、こうした国民代表であるわれわれの質問をあとにしようというような態度であるから、私はあなたに質問するのである。少くとも一国の大臣が内輪の与党との相談を先にして、対外的なしかも正式な委員会で呼ばれて、われわれの国民代表としての質問を受けないということは、まことに僭越のさたであるといわなければなりません。あなたは大臣を補佐する政務次官として、そのくらいのことをとくと大臣に申されておく方がよかろうと思います。委員長は一刻も早くここへ大臣を呼ばれるように願います。
  24. 小金義照

    小金委員長 よろしうございます。
  25. 今澄勇

    今澄委員 それでは大臣が見えるまで鉄鋼局長と政務次官にお伺いしますが、われわれが今あなた方から聞いた補給金打切りいきさつというものは、あなた方の頭の中で考えいきさつであつて、私の聞いているのはそうではないのであります。実際にどういう経路を経てなくなつたのだということ、われわれが聞くところによれば、当初百億計上しておるが、大蔵省はこれを二十一億円に削つた。そこで大蔵省の削つたこの二十一億に対して、中村鉄鋼局長は、そんな二十一億なんという少額のものはいらないというわけで断つたということであつた。一体大臣や局長や、安本物価庁物価政策上、産業政策上、たとえば二十一億にしろ、補給金の復活をここにきめるというときに、軽々しくいろいろなことで百億を要求したけれども二十一億では少な過ぎるからいらないということは、少くとも私は了解できない。また伝え聞くところによれば、二十一億という少額ならいらないとけつたというところに一貫メーカーと結託しているのではないかというような根源が現われて来る。そこで私は政務次官鉄鋼局長に対して、補給金撤廃のそういういきさつがあつたかどうか、もしあつたとすれば、なぜ二十一億でない方がいいのか、それから今後いかなる信念をもつてみずからが産業政策上、物価政策上きめられ二十一億をけつた責任を果し得る自信があるかどうかというような問題について、御答弁をこもごも願いたいと思います。
  26. 首藤新八

    首藤説明員 お答えいたします。ただいまの御質問によりますると、百億を要求したのにかかわらず、二十一億に削減された。あまりに少額であるから断つたということでありまするが、そういう事実は断じてないのでありまして、国家財政上のいわゆる重点配分といいますか、そういう点から考慮いたしまして、この二十一億を削つて、より重要な面にこれを使用するということから削られたというふうにわれわれは了解しておるのであります。同時にまたただいまの一貫メーカーの策動によるというようなことも、まつたく事実無根であるということを御了承願いたいと存じます。
  27. 今澄勇

    今澄委員 鉄鋼局長も自分がやつたのだから話を聞かしてもらいたい。それはうそでは、ないと思う。
  28. 中村辰五郎

    中村説明員 ただいま補給金の大蔵省査定に対する通産省の態度の問題に関連して…(今澄委員「事務折衝の間でそういうことを言つたということを聞いているよ。」と呼ぶ)それは二十一億の査定に対して、われわれは物価庁との共同作業をいたしまして、おおむね百億程度の予算が必要であるという意味において一括要求をいたしました。二十一億という数字に対しては、二十一億ならいらぬという問題ではなくて、むしろ鉄鋼政策推進上は百億が必要であるという意味の主張をいたしました。この百億の要請が、閣議において公共事業費との関連において全額削除せられたということを聞いております。そういう事実でございまして、二十一億ならどうというような問題はございません。
  29. 今澄勇

    今澄委員 これはこれ以上追究しないことにいたしましよう。この問題については、こういつたことは正確な材料を出せば出るのでありますが、まず私はこの程度にとどめます。しかし少くとも今日安本も大蔵省の方も見えておられますが、私どもはこういつたような感情のはさまつたやり方は、ひとつ今後は気をつけていただきたいと思います。  それから次の問題に移りますが、昭和二十六年度鉄鋼生産目標を先ほど来聞いておると、普通鋼鋼材は三百五十万トンを目標としておるというような話でございました。  鉄鋼の需要は現在の国際情勢から見て相当旺盛でなければなりませんが、問題は製品の価格と原料の確保であつて輸入の問題その他の問題はいろいろお伺いしましたが、大体銑鉄は六割の値上り鋼材は三割になるという話でございました。そこでこれらのはね返りを各部門別に見た場合には、大体造船において三割、車両において一割三分、自転車において一割程度のはね返りがどうしても行くであろう、こういうふうに私どもは見ております。これらのはね返りは一体どういうところでカバーするか。しかも国際的に鉄の値段が上りつつあるというお話でありましたが、これらの日本のできた製品は、今日のアジアの市場の価格から見ると一割三分、一割というふうに上つて来ると太刀打ちができないように、今の東南アジアの市場の値段から行くとなつておるが、これらに対するお考えはどうかというような点について、資料と数字をあげて御説明願いたいと思います。
  30. 中村辰五郎

    中村説明員 鉄鋼価格の国際的推移の問題でございますが、ただいまの情勢を、本年の産業合理化審議会におきまして、鉄鋼部会が鉄鋼合理化の目標といたしまして、いろいろの検討をいたしておりました当時に比較いたしまして、今日の日本輸出価格情勢お話申し上げたいと思いますが、当時は欧洲の鉄の自由市場でございますベルギーを標準にとりますと、棒鋼の標準もので大体六十ドルを割りまして、五十六ドルくらいが輸出価格でございます。しかるに今日、九月一日の外電の報ずるところによりますと、八十ドルと相なつております。その後のベルギーの国際価格も逐次上昇の傾向にございます。日本輸出価格の最近の動きを申しますと、ごく最近八月末には、すでに棒鋼標準もので工場渡し八十ドルの契約が成立しております。九月に入りましてこの傾向はさらに上昇いたしまして、大体八十五ドル前後、七、八ドルという呼び声が今日の建値の強気の相場でございまして、このような傾向考えてみますると、なおベルギーのその後の情報は入つておりませんが、大体西においてはベルギー、極東においては日本というのが、輸出市場におきまする自由市場として、業者が相牽連して、特に日本側の鉄鋼価格が強気でございます。
  31. 今澄勇

    今澄委員 大体最近の鋼材に関する国際市場の動きはよくわかりました。そこでわれわれはそういつた状態のもとにあるのは、一応今日の朝鮮事変の特殊的な、一時的な現象である。やはり日本の基本的な問題としては、鉄鋼のそれらの値段の恒久的な対策を私は立てなければならぬと思います。そこで現実には今東南アジア方面の市場はそのような鋼材値上りによつて現に輸出が停滞していることは、すでに御了承のことであろうと思います。そのような問題から来ると、ここに消費材と生産材の不均衡であり、そうして統制撤廃しても、結局は優秀な独占メーカーだけが一つつて来るというような結論になります。特にこの補給金撤廃の問題で全体的な物価体系の立場からこれに対して臨まれた安本及び物価庁の方々に私はお伺いしたいのだが、この鉄鋼補給金について当初商工省が百億を要求したときに、安本や物価庁は、この鉄鋼補給金については当初から非常に反対の意見を持つておられた。私どもは今日の段階において、これらの鉄鋼補給金を全廃してあなた方が計画をしておられるいろいろな物価体系の上にどういうふうな影響があるのであるか。全然影響がないと思われたかどうか。あるいは当初百億のときも安本等が反対しておられたその根拠を、これまたひとつ数理的にお聞かせ願いたいと思います。
  32. 川上為治

    ○川上説明員 銑鉄補給金の百億を組みますときは、通産省と安本、物価庁におきましてはまつたく同様な意見を持つておつたわけでありまして、百億と申し上げますと、正確にいいますれば九十八億という数字を両方でこしらえまして、大蔵省と折衝いたしております。従つて今申し上げましたように、いろいろな物価体系その他の問題に対しまする根本的な考え方につきましても、通産省とまつたく同様な考えで進んでおります。
  33. 今澄勇

    今澄委員 安本はどうですか。
  34. 川上為治

    ○川上説明員 物価庁は安本の中にありますので、まつたく同じであります。
  35. 今澄勇

    今澄委員 生産局長はおりませんか。
  36. 川上為治

    ○川上説明員 見えておりません
  37. 今澄勇

    今澄委員 今ぼくは物価庁意見生産局長の意見を尋ねたのであるが、私どもはその百億の策定をするときに、事務折衝の過程においてあなたがその百億は多いということを非常に発言されて折衝されたというその過程の問題を論じておる。対外的にはあなたの方ではなるほど通産省と一緒だと言われても、その過程において、あなた方がそういう意見を述べたというその相違はどこに起因しておるかということを質問しておるものであることを含んで答弁してもらいたい。
  38. 川上為治

    ○川上説明員 私は百億が少いとか多いとかいうことを一ぺんも言つたことはありませんし、まつたく計算におきましては九十八億という線を通産省と一緒に計算もし、やつております。
  39. 今澄勇

    今澄委員 それでは私は通産省の方へちよつとお伺いをいたしますが、少くとも今の物価庁通産省鉄鋼生産は原料の面では自信がある。しかも物価体系の上においてはその百億は削られても大丈夫である。輸入だのあるいは金の貸付だの金利引下げ等によつて十分カバーするというようなえらい自信のある御意見でありました。それでは先ほどの中村委員の御質問なつ屑鉄に例をとつてちよつとお聞きしますが、この屑鉄見通しは一体どうか。私は何といつても今の鉄鋼生産のキー・ポイントは屑鉄にあると思う。しかもいつかの委員会で私が聞いたときには、これはアメリカからの輸入にまつという話でありましたが、御承知のように、アメリカでは朝鮮事変以来もう輸入をとめるということになつておる。こういつたいろいろの面から見ると今屑鉄は、各鉄鋼会社の必死の買いあさりなどによつて非常な高値を呼んでおることはもう御承知通りである。これに対して鉄鋼局長は従来の異常な屑鉄の安値によつて日本鉄鋼業が維持されたるごとき答弁をされたのであるが、私どもにはまさに奇怪しごくである。われわれは少くともこれらの屑鉄に対する政府対策並びにこれが将来の値段見通し、しかも輸入が、うまく行かない場合には十分やつて行けるかどうかという点について、中村局長のひとつ自信ある答弁を願いたい。
  40. 中村辰五郎

    中村説明員 私は屑鉄対策の重要なねらいは銑鉄価格屑鉄価格の均衡価格をまず実現するということが屑鉄問題の処理の第一歩と考えておるものであります。今日までの屑鉄価格は、この面から考えますと、いわば日本の鉄鉱業が不況に向います過程の方針としましては、スクラツプ価格を低位に保つということは、鉄鋼業の維持確保上必要な措置であつたかと思うのでありまするが、今日の段階からいたしますると、一歩進んで各国際市場におきまするような鉄源の総合的対策という一環から申しますると、むしろ銑鉄価格スクラツプ価格との均衡をはかるということがなし遂げられたときにおきましては、スクラップの国内供出と申しますか、回収と申しますか、還元と申しますか、こういうことも今日以上円滑になるのではなかろうか。同時に海外からのスクラツプ輸入も確保できるのではなかろうかと思うのであります。そういう意味合いにおきまして、一九五一年のスクラツプ、あるいは海外輸入原料の輸入見通し等とも勘案いたしまして、今日のようなスクラツプ状況を改善する諸般の対策もありましようが、今日なし得る状況を結論としてみました場合に、銑鉄の配合比率をおおむね六十対四十という程度にいたしますならば、今日考えております普通鋼鋼材三百十五万トンの生産ペースと国際情勢状況から判断いたしまして、これに対しておおむね一割の余裕を込めて鉄鋼業操業度上昇をはかることが可能である、こういうぐあいに確信いたしております。
  41. 今澄勇

    今澄委員 私はこの前、過ぐる国会の委員会において通過した、臨時屑鉄資源回収法の実施のときに大体聞いたのであるが、国有物件の点その他について大蔵省との話合いがつかず、しかもその効果は、これまで見たところでは遅々として進んでおりません。しかも最近の屑鉄価格値上りによつて、どうしても予算を持たなければ本法の運用の完璧を期することが困難であるとして、数十億の予算を確保すべく、昭和二十六年度の予算に計上されたこともわれわれはよく承知しております。これまでのあなたの答弁によると、少くとも屑鉄についてはこれらの法案を運用し予算をこれにつけて、そうして日本国内における操作を十分いたさなければならないということを言つておられましたが、今日の御答弁はこれまた状況によつて大分かわつて来た。しかもそれらの計上した予算には一銭も予算がついておりません。そうして臨時屑鉄資源回収法の改正案を出す予定であつたのが、それも事務当局では立案したが、遂に政治的におじやんになつたということを聞いておる。こういうふうにあなた方の答弁というものはそのときどきくの情勢で非常に動く。しかもそういつた法律的な処置、あるいは予算の裏づけというような場合においては、通産大臣の政治力が弱いのか、ともかくことごとにみんな破れておる。そして百億の補給金撤廃などをあつさりと通産大臣がのんだということなどは、私どもあまり鉄鋼にくわしいものではないが、こういつたことはわれわれしろうとさへも唖然としなければならぬような状態でございます。私が憂えるのは、政府はこれらの重要な日本鉄鋼政策には一貫した方針も、しかもきめたものを最後まで通して行くという意欲も、日本産業を先頭に立つて守ろうという力が見えない、熱意も見えないことを遺憾とするものであつて、この点について大臣答弁を促したいのであるが、首藤政務次官からどういうふうな経緯でそれらの改正案やあるいは予算がつかなかつたかということを御説明願いたい。  それから鉄鋼局長は今の法律案にもし予算が数十億ついたならば、当初の計画ではどの程度の鉄屑を確保しようという計画であつたかということをひとつこの際明らかにされたいと思います。
  42. 首藤新八

    首藤説明員 補給金が打切られた事情は、先ほど御答弁申し上げた通りであります。なおまた通産省意見が非常にかわつて行くという御意見でありますが、これは御承知通り経済の情勢がかわつて行くのでありますから、われわれがかりに固定した意見を言つておりましても、対象となる経済情勢がかわつて行きます以上は、やはりそれに即応するところの対策を立てて行くということにしなければ、かえつて一面における弊害の方が多いのじやないかというふうに考えておるのであります。ただ問題は先ほど申し上げました通り補給金撤廃後におけるところの影響を最低限度に食いとめ、この対策に万全の措置を講ずるということ以外にはないと考えておるのでありまして、従つて今後はその面に重点をおいて推進して行きたい、かように考えております。  なお臨時屑鉄資源回収法案でありますが、これは一応検討いたしましたけれども成文にはなつていなかつたのであります。さよう御了承願います。
  43. 中村辰五郎

    中村説明員 屑鉄回収の問題でございますが、最初に考えました回収の数字は九十六万トンでございます。このうち国家補給金をもちまして回収するという予定のものが三十数万トンでございます。それでおおむね価格の操作がつくと考えておつたのであります。この九十六万トンと申します回収屑は、現在の屑鉄の不足状況から考えまして、国が適当な配給を操作する必要のある屑として、国有物件、あるいは沈船、あるいは低性能船舶というようなものに適用する意味合いで勘案いたしました数量でございます。今日補給金制度がなくなりましたため、一面通産大臣が言われておりまする低性能船の払下げ価格を、できるだけ低くする。そういう面、あるいは国有物件の払下げ価格をできるだけ低くするというようなことによりまして、助成金のなくなつた欠陥を補正するという状況でございます。
  44. 今澄勇

    今澄委員 あと例の炭鉱問題もあるし、競輪の問題もあるので、私はまだつつ込みたいことがうんとありますが、議事の進行上この程度でやめます。  私が今力弱い鉄鋼局長のたどたどしい答弁で感ずることは、少くとも米国は鉄屑の輸出を禁止しており、現任とにかくこれらの統制を、首藤政務次官は急速に全面的にやらないと言つたけれども、漸次統制が落ちて行くとすれば、八幡、富士の一貫メーカーから平炉メーカーの対立は今後ますますはげしくなつて、弱肉強食、相当な波紋をかもし出し、先般の通産大臣の大阪で言つたあの段階では、決して氷解しておらない。とにかく今後産業界の問題として、非常に波乱を巻き起すであろうということを私はここで申し上げます。  なお今後の公共事業などは、鋼材値上りによつて、現実に削られつつある。公共事業費のこの中に占める鋼材の値が上がつて行くということでは、今日の公共事業などは実現できない。しかも御承知のごとく、日本国内の問題、あるいはスクラツプの問題等から考え合せてみて、ただ単純にできもしない金利の値下げや、あるいは輸入というようなことだけで、日本鉄鋼業が十分行くなどというような答弁をされるということは、私は無責任もはなはだしいものであると思う。時間がないから、結論を申し上げますが、われわれはそれらの点について、これまでの委員会における皆さん方の答弁は速記録をここへ持つて来ておる。私ども一貫した態度は経済状態が少々動いても、われわれは根本方針としてはかわるべきものではない。鉄鋼業に関する限り日本基礎産業であるから、そういつたでたらめな、いいかげんなことを言われないで、みなをして納得せしめるような、ひとつ根本的な対策を立てられることを要望して、あとは通産大臣質問を留保してやめます。
  45. 河野金昇

    ○河野(金)委員 議事進行について……。先ほど通産大臣は何か電力の問題で党との打合せがあつて、もうじきに来るということだが、いまだに姿を見せない。大蔵大臣の出席を要求しておいたが、大蔵大臣は閣議で行けないという。それでは閣議はどこで何時にやつておるのだといつて聞いたら、GHQへ行くらしいから、きようは出られない。それではあすはどうだと言つたら、あすも出られない。こういうのであります。これは明らかにきのうの田中君の質問に対して逃げておると言わなければならない。逃げておいて、夜あたりに何とかうまくこれをまとめて出て来ようとする魂胆であろうと思います。これはうやむやにすべき問題でなかろうと思います。だから、大蔵大臣は今どこヘ何しに行つておる。それから何時に出て来られるということをはつきり確かめてもらいたいと思います。
  46. 小金義照

    小金委員長 その通りとりはからいます。  なお通産大臣は今新聞記者との会見を行つておりますので、終り次第来るそうであります。     —————————————
  47. 小金義照

    小金委員長 肥料の輸出及び公団手持ち状況に関する件を議題として調査を進めます。発言の通告があります。これを許します。多武良哲三君。
  48. 多武良哲三

    ○多武良委員 まず第一に化学肥料の統制撤廃しましてから日なお浅いのでありますが、今日までの情勢の推移がどうなつておるか、これをお伺いいたしたいと思います。つまり生産量はどうなつておるか、市価はいかように変遷して来ておるか、また最も心配されておりました資金関係はどういうふうに善処されておるか、資金難のために、あるいは企業経営上支障を来しておるようなことはないかどうか、これをひとつ化学局長にお伺いいたしたいと思います。
  49. 長村貞一

    ○長村説明員 肥料の統制撤廃されましてから今日までの状況を概略申し上げます。  御承知通りに、本年八月に始まります昭和二十五肥料年度初めから肥料の統制撤廃されたわけであります。まずこの需給関係を申し上げます。  供給状況を見ますど、窒素肥料は御承知通り、硫安とそれから石灰窒素を入れまして、窒素肥料全部でございます。窒素肥料につきましては、年間を通じまして、繰越量が約五十万トン、それから生産量がおおむね百八十万トンないし百九十万トン、これに前年度輸入のずれが本年に入つて現物が入つて参ります。これがほぼ六万トンございますので、通計いたしまして二百三十六万トンから一百四十六万トン程度供給があるのでございます。燐肥、燐酸肥料につきましては、同じく繰越しが約三十万トン、年内生産が百五十万トン、計百八十万トン程度のものが供給として可能なわけであります。これに対しまして、国内需要がどれほどに相なるかという点でございますが、一応私どもの方で聞いておりますところでは、ほぼ二百万トンないし二百十万トン程度の窒素肥料、燐肥百五六十万トン程度のもの、これになお工場及び流通機構の在庫若干を加え、これが今申しました供給に見合い得る需要として考えられるのではないか、かように考えるのであります。なお今後の生産でございますが、年内十月、十一月、十二月の三箇月を合わしたものでありますが、この年末までの生産計画は一応安本で策定しておりますが、ほぼ三十四万トンでございます。各種の情勢にかんがみまして、さらに二万トンの増産、計三十六万トン程度増産をぜひとも実現いたしたいと私ども努力いたしているところであります。なお肥料配給公団が八月一日、つまり統制撤廃になりましたときでありますが、窒素肥料を硫安に換算いたしまして約四十七万トン程度、燐酸肥料二十三万トン程度のものを手持ちしておつたものと思います。なお先ほど申しました窒素肥料も硫安換算の数字でございます。  次に市況の関係を申し上げますと、統制撤廃されましたときがちようど不需要期にあたつておつた点もあります。その他配給機能が急激にかわつたというような点もございまして、爾後今日に至るまでおおむね市況は下押しの形勢が顕著に見えて参つているのであります。最近全購連とメーカーとの取引状況——この全購連はほぼ六割程度の肥料を扱われるのではないかと思います。全購連とメーカーとの取引状況が逐次かたまつて来ておりますが、商社筋の商いの状況はなおまだかたまつておりません。おおむね市況は下押しということになつております。たとえば硫安につきましては、統制撤廃直後建値はおおむね七百五十円ということになつておりますが、最近は全購連は七百十五円の取引状況に落ちついているという状況になつているのであります。七百十五円ということに相なりますと、大体消費者価格にいたしまして、例の昨年末現在を基準といたしまして、六〇%程度の線に相なるかと思うのでございます。石灰窒素あるいは過燐酸石灰、これにつきましてはものが違いますし、需要の違う関係もありまして、ただいま申しました硫安と若干事情は異にいたしますけれども、石灰窒素もまた値は下押しの気味でございます。過燐酸石灰につきましては比較的値ごろはしつかりしておるのであります。これは需給関係から、時期も今日の時期にあたりますので、他の実績量に比べまして値段は比較的しつかりしておるのであります。  それから資金の問題でございますが、御承知通り統制のございましたときは肥料公団が約百億ばかりの政府資金を運用いたしまして、メーカーが生産いたしました肥料をそのまますぐに買い取つておる。こういう状態になつておりましたので、肥料企業は一般的に金融は非常に恵まれておつたのでありますが、それだけに統制撤廃後は金融的に非常に大きな打撃があつたのであります。金融対策にいたしましても、御承知通り撤廃当時閣議決定を行いまして、今後の金融を措置する方策を定めておつたのであります。この実効はいまだに十分に上つておるとは申し上げがたい状態になつておるのであります。ただこの七月末現在のメーカー・ストツクを相当公団が買い上げましてメーカー手持ちを少くいたしました関係上、この点は金融資金面にも相当な潤いとなつておつたと思うのでございます。現在は御承知通り秋肥の需要、その他の関係で比較的受渡しが進捗しておりますのと、先ほど申し上げました全購連の関係—これは全購連も振り出しの四十五日の手形が市中銀行で割引かれるという状況になつておりましたので、運転資金の関連もメーカーといたしましてはただいまは比較的楽になつておるわけであります。しかし今後十一月以降は在庫は資金関係からふえて参りますので、これらの金融措置につきましても鋭意対策を講じたいと考えておる次第であります。以上をもつて概略御説明いたしました。
  50. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいま化学局長の御答弁によりますと、生産量も需要も上をわつておるようでありますし、また現在は市価も下まわつておる。こういう御答弁でありますが、公団手持ちの放出によりまして需給を調節したり何かいたしますと将来市価に関しましてどういう見通しを持つておられるか。それからまたついでに硝安その他の輸入に関する政府の御所見を伺いたいと思うのであります。
  51. 長村貞一

    ○長村説明員 今日の状況はただいま申しましたように値段も下押しの状況になつてつたのでございます。公団手持ちの肥料の放出は御承知通り春に備えまして、来年一月以降の放出ということを原則としておるのでございますが、これは時期的にあるいは地域的に現実の需給の調整をする必要もありますので、場合によりましてはそれ以前に若干の放出もやむを得ないかと存じておるわけでございますが、私どもといたしましてはこの放出によりまして、ことさらに値段影響されるということは避けるようにいたしたい。かような見地からこの放出の問題を考えたいと思います。硝安の輸入ということでございますが、硝酸アンモンの輸入はございません。これは過去におきましてアメリカから若干のものが入りましたけれども、今日ではありません。
  52. 多武良哲三

    ○多武良委員 次に合理化関係でありますが、化学肥料の合理化をはかる上から相当量の増産は必要だと思うのでありますが、やはり設備能力あるいは電力その他の生産要素関係から合理的増産の限界があると存じます。一体全体今のわが国の設備能力あるいはその他の生産要素関係から考えてどれだけ生産が可能であるか、そうしてまたその場合に生産価格というものはどのくらいに低減されるかどうか、これをお伺いいたしたいと存じます。
  53. 長村貞一

    ○長村説明員 御承知通り化学肥料の生産の場合には、あるいはハイライトの問題、電力の問題でありますとか各種の条件が前提となりますので、確定的な見通しということも困難でございまするが、ただいまお尋ねの現在の生産設備、生産能力というものを前提として考えまするならば、一番の問題は窒素肥料特に硫安だろうと思います。硫安につきましては約二百万トンの生産はできるものと思うのであります。この生産設備あるいは生産能力自身も、メーカーにおきましてこの設備を能率化すること、あるいは増強する措置も講じておりますので、能力自身はさらにふえるものと思つております。従いましてこれに応じた生産も十分伸び得る余地があると思います。
  54. 多武良哲三

    ○多武良委員 農政局長にお伺いいたしますが、今後の肥料の雪要に関する見通しをお伺いいたしたいと思います。
  55. 藤田巖

    ○藤田説明員 ただいま生産及び需要の大体の数字は、通産省の化学局長からお話がございましたのと、私ども意見は、大体一致をいたしておるわけでございます。ただ御承知通りに、一年を通じましての需給ということと、もう一つは、肥料は御承知通り、施肥期というものが限られており、施肥期に間に合いませんと、肥料が、ございましても、役には立たないわけでございます。従つて一年を通じての計画ということと、また秋及び春の施肥期に確実にまわす、確実に農家に手渡すということ、その両面を考えて、需給をやつて行かなければならぬと考えております。従つて現在までのところ秋肥につきまして、これは肥料の種類によつていろいろでございますが、御承知通り麦肥は、どうしても東の方では、十月半ばごろまでに確保いたしませんと、施肥期に間に合わないという関係もございます。そういうような関係から、特に過燐酸等につきましては、どうしても生産と量の関係が若干不足をいたします。そういうものについてはこれは手配をしなければならぬと思つておる。それからなお現在といたしまして非常に貨車がきゆうくつになりました。この貨車のきゆうくつの状態が今度どいうふうになるかということの見当をつけなければならぬと思う。従つてわれわれといたしましては、絶対量におきましては先ほどお話のありましたような大体の見通しはつけ得ると思いますが、なお施肥期に備えて各地方々々ごどにできる限り必要の数量を確保するという措置は、具体的な情勢の推移等においてやはりとつて参りたい、かように考えておるのであります。先ほど化学局長からお話のございましたように、大体窒素質肥料にいたしまして二百万トンないし二百十万トン、それから過燐酸肥料は大体百五、六十万トン、それからカリは全量輸入でありますが、われわれといたしましては大体約三十五万トン見当は確保いたしたいと考えておるのでございます。
  56. 多武良哲三

    ○多武委員 それでは農政局長と化学局長、お二人にお願いいたしたいのでありますが、肥料の合理的増産並びに需要に関する両局長から御答弁をお伺いしたいのでありますが、今公団に手持がある、その他生産量から考えまして、やはり多少は輸出をしなければならぬというふうに一応考えなければならぬのであります。これがために市価その他農村方面に及ぼす影響はどうであるか、両局長にひとつお伺いいたしたい。
  57. 長村貞一

    ○長村説明員 先ほど申し上げましたように、供給の総量及び需要の総量というものを比べますると、数字的にそこに相当の余裕が出るわけであります。これに加えまして、配給公団手持のものも相当数量ございまするので、供給の余力というものが、数字的にここに相当認められるという結論に相なると思うのであります。私どもといたしましては、もとよりこれは先ほど農政局長の御答弁もございましたように、肥料を施します時期の問題、肥料の需要というものは、時期的に非常に変動がございますので、その時期の問題はむろんございます。これは重要な考慮の一つのポイントであるとは存じまするが、国内供給を十分に果しまして、なおかつ余力のありますものにつきましては、できるだけ輸出その他の方向に向けまして、輸出振興の有力な一助にいたしたい、かように考えておるわけであります。
  58. 藤田巖

    ○藤田説明員 肥料の輸出関係いたしまして、農林省は輸出には非常に反対であるというふうな御印象をお持ちになつているかもしれぬと思うのでありますが、これは私どもといたしましては、国内で必要な肥料はこれをあくまでも確保する、そうしてさらに増産をしていただきまして、農家が肥料に事欠かぬようにし、さらに輸出余力をつけて外貨獲得のために外国に出していただくということについては全然賛成でございまして、決してそれに対して異議があるわけではございません。要は、しかしながら公団を廃止いたしましたときもそういうふうな輸出の問題がございましたが、国内需給を勘案して、国内の必要な数量というものを確保して、そうしてなおいかなる余力があるかということを検討いたしまして、それによつて輸出計画を立てる。こういうふうな方向に進めて参ることが必要だと思います。
  59. 多武良哲三

    ○多武良委員 重ねてお伺いいたしますが、要するに化学肥料の将来は、合理化をはかりまして、相当量の増産によつて生産価格の低減をはかる。それ以外にないのでありまして、その結果内地の需要に対する過剰生産量はこれを輸出しまして、外貨の獲得に貢献し、しかもそれがために農村方面への供給その他のことを考慮しましても、悪影響がないというふうな結論に私は達したと考えるのでありますが、そういうふうに考えてさしつかえないと思いますが、もし御異論がございましたら両省の方から御答弁を願いたいのであります。  以上で私の質問を終ります。
  60. 藤田巖

    ○藤田説明員 現在の生産需給状況は、そういうふうなわけでありまして、ただ現実問題といたしまして、国内の需要をにらみさらに、また今後のいろいろの情勢をにらんで、はたしていかなる余力があるかということにつきましては、なお関係方面とよく相談いたしまして、これを決定して行くべきであると考えます。
  61. 小平忠

    ○小平(忠)委員 肥料の輸出並びに公団手持問題に関しまして、若干質問をいたしたいと思います。ただいま通産省並びに農林省の両局長は、この輸出問題に対しまして、国内需給見通しが画然とつき、さらに余裕があつた場合においては、輸出ということも考えなければならぬというお話でありますが、私はこの問題に関しまして、根本的に非常に重大な問題であると考えるのであります。なぜならば、御承知のように肥料公団はこれは自由党の多年の公約でもありますし、去る八月一日をもつて廃止になつた。ところがこの肥料の問題について一番の問題は、御承知のように価格であります。従来肥料の生産については幾多の隘路を打開しつつも、需要に対して十分なる努力をして参つた。しかし根本問題として、私はここに指摘しなければならぬ問題は価格であります。それは昨年より例の肥料に対する補給金撤廃によりまして、本年の八月までに昨年に比して七割くらい値上げになつておる。ですから戦後における国内の需要量というものを基準にして、余裕があるから輸出をするという考え方は、私は当らないんじやないか。なぜならば現在の農家経済の実態から見て、七割も値上げになつた肥料を、はたして現在の農家経済の力から見て購入するところの力があるかないか。これは基本的な問題であります。こういう問題を度外視して、余裕があるから輸出するというような問題については、これは相当慎重に考えなければならぬ。しかしこれは私の意見でありますが、そこで私はまず第一点としてお伺いしたいことは、現在までに本年度におきましていかほどの輸出をされたか。まずこれをお伺いしたい。
  62. 長村貞一

    ○長村説明員 本年度に入りましてからの輸出は各地向け全部を合せて、概数でございますが、おおむね一万二千トンくらいでございます。
  63. 小平忠

    ○小平(忠)委員 どうもただいまお伺いしました数字は、私が聞いておりますところと大分開きがあるようでありますが、これは追つて具体的な数字をいただきたいと思います。そこで国会におきましてもまたいろいろ問題になつておりますのは、今後の日本の復興上食糧の生産を高めて、そうして民主の安定を期すると口には言うのでありますが、この増産をはかるところの最も重大なる役割を持つ生産資材は肥料であります。ところが御承知のように七月末における公団の手持数量がただいま局長からお話のありましたように、相当量の手持がある。これに対しまして公団手持の放出を将来全購連なりあるいは業者にこれを放出する。しかし現実問題として実際今直接末端の配給を担当しているところの農協なり業者状況はどうであるかというと、ほとんど手持がない。ですから今これから秋肥の需要期に入つております段階において、実際に肥料の配給ができないというのが現状であります。なぜかというに、問題は金融面なんです。比較的に見ますと、それは農協にはないが業者には相当量の手持があるという現状であります。私は政府は口を開けば農業協同組合育成強化をはかつて、真に農民の自主的な組合組織によつて、この生産資材の重要なる役割を持つ肥料の配給の円滑を期するということはおつしやるのでありますが、現実問題としてこの配給面を担当する農協が肥料の購入資金がないということから、これは非常な大きな問題になつております。先ほど御説明ありましたように、公団存置当時において政府が百億からの資金をまず出して肥料の配給をやつておる。しからば統制撤廃して政府が閣議においてきめたこの資金的の手当の問題について、いかなることをされておるかということは皆さん御存じの通り。私は根本問題としては資金の面—ただいま十分とはなし得ないというお話がありましたが、これは非常に重要問題であります。はたして政府はこの肥料の配給に対する賃金的手当をいかように考えておるか、この点をお伺いしたい。
  64. 藤田巖

    ○藤田説明員 生産者側に対する賃金の問題については、先ほど長村化学局長からお話があつた通りであります。農林省といたしましていろいろ資金について関心を持つておりますのは、いわゆる配給関係一つは協同組合系統団体あるいは他の配給機関に対する資金の手当の問題であります。いま一つは農家に対する資金の手当であります。農家に対する問題は、御承知通り農手の制度がございますので、われわれとしてはできるだけ農手制度を活用いたしまして、肥料の資金に事欠く場合は、それによつてつて参りたいと考えております。なお全体の扱い量の約六割を占めております全購連関係の金融については、これはやはり系統金融であります農林中金が非常にめんどうを見ております。現実問題として全購連がいろいろ取扱つております数量の金融については、具体的の問題について農林中金に話し、さらに日銀に話をしてやつておりますわけで、むしろその方は、あまり資金の関係については私どもの方には来ないわけでありますが、一方協同組合以外の系統関係は非常にまちまちになつおるわけであります。あるいは商工中金なりその他の市中銀行に対して、従来の得意関係で金融をいろいろつけておられることだろうと思いますが、そういうふうに大体両建になつておるわけであります。私どもといたしましては、本来自由になつたわけでありますので、計画的な資金を流すことも非常にむずかしいことでありますが、先ほども申し上げましたように、肥料の統制撤廃に関連しまして一番重要なのはやはり資金の問題であると痛感しておりますので、具体的な問題についていろいろそういう事情の発生しておりますことについては、それぞれ処置をいたして参りたいと考えております。現在までも具体的な問題ごとにこれを取上げて解決して行きつつあります。
  65. 小平忠

    ○小平(忠)委員 通産大臣がお見えになりましたので、この機会に大臣の御意向を承つておきたいと思います。  肥料工業なり肥料の需給の面において一番問題になりますのは、何といつて生産を高め、配給の円滑を期し、さらに資金的な手当をするという点であると思います。生産増強の面につきましては、電力問題等いろいろの隘路がありますので、これを打開することが考えられますが、当面の問題として公団機構を廃止してこれを民間団体に委譲したということについて、秘は常にこういうことを考えているのであります。肥料は農家だけ使うものであります。そうした場合に、独禁法の精神からいつて、これを農業協同組合のみに扱わすことは妥当ならずという見解政府当局はとつておられるのであります。しかし特に理解のある農林大臣とか農林行政を担当する農政局長等におかれましては、農家だけ使うものをほかの業者に扱わすようなめんどうくさい機構をつくつてやらせるからいけないので、これは農業団体にのみ扱わせたらよいという意見を強く持つているのでありますが、歴代の通産大臣はこれに真向から反対して、今日配給面を撹乱せしめているものであると私は考える。大臣は、特にこういつた面につきましては理解があり、長く実業面において経験のあられる方でありますので、その実情から見て、今後肥料のごとき、農民だけが使うものについては、農民が自主的につくつた農業協同組合系統組織をして一元的に配給せしめることが妥当なりという考えがありやなきや、所信を承りたい。
  66. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 農業に最も卓越せる知識をお持ちの先生からよく伺いました。しかしながら、やはり自由競争にまかせることは、農民諸氏に公平なる価格のもとに、そうして最もよいサービスのもとにやられることでなかろうかと考えるので、私は単に農協のみにまかせないで、元からやつておられた肥料商もあり、また新しく免許されて始めようとする肥料商もありますので、それを加えてもさしつかえない、むしろそれを加えた方がよいと考えるものであります。さよう御了承願います。
  67. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、まことに心外にたえないのであります。新大臣こそ考え方を改めるだろうと思つてつたのでありますが、依然として同じ考えを踏襲されておるが、このことは将来日本の食糧問題を解決する最も重要なことであると考えるのであります。なぜその点を強く指摘いたすかと申しますれば、従来の公団方式から民間団体に委譲して、今度は自由競争をやらせるといつたところで、現在の配給機構はどうなつているか。ただいま現に農林省の藤田農政局長は、農業の線は大体統制がとられているのであるが、一般その他の配給業者においては何らまとまつていないという線がある。これが撹乱をせしめる大きな原因をつくつておる。私は率直に申し上げますと、自由は自由でよろしいのでありますが、特に肥料のごときものは、これは農業団体に配給せしめる措置をとることが妥当であると考えるので、今後も十分その点については御考慮いただきたい。そこで最後にひとつ重大な問題について私はお伺いしたいのであります。大臣がお見えになる前に、実は今回の輸出問題について所信を伺つたのでありますが、両省の局長とも需給見通しがついて、余裕があるならば輸出をし外貨獲得をする見地から見て、それが最もよいというお説なんでありますが、これは私は実に重大な問題であると考えるのであります。と申しますのは、戦後農家経営の実体がまだ確立されていないのに、昨年よりも肥料が七割も値上げになつた。過去の実績を基準にして、需要がこの通りだから生産過剰になつている。だからこれを輸出していいという考え方は私は妥当でないと思う。現在高い補給金を払つて外国食糧を輸入しなければならぬという問題についても、日本国内における耕地面積、その他既耕地等によつて十分に自給ができるという段階にある。何といつても農家に必要なだけの肥料を安い価格で配給すれば、私は決して高い食糧を外国から求めなくてもよいと思うのであります。国内において十分に農民が欲している配給を受けられないという段階にあるから、それらの数字を基礎にして、生産が過剰であるからこれを輸出にまわして外貨獲得をしたいということは当を得ないと思う。この点について大臣はどうお考えになつているか、お答弁を願います。
  68. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私らは、国内需給に不足してまで輸出しようというのではございません。御存じの通り日本のつくりつけ反別も大体はきまつておりまするから、それに要するところの肥料を確保することができるなら、少しでもよけいに輸出方面に向けるように肥料生産業者を指導して行くことが私はよくないか。重ねて申し上げます。輸出を本体といたしまして国内需給を不足させる、あるいはまたそのために価格を騰貴させるというようなことは私は賛成しないものでございます。さよう御了承ください。
  69. 河野金昇

    ○河野(金)委員 先ほど来議事進行に名をかりて、大蔵大臣あるいは農林大臣の出席を要求しておつたのでありまするが、大蔵大臣は閣議があるといつてうそを言つてみたり、司令部へ行くらしいと言つて逃げてみたり、今どこか行方不明だそうであります。農林大臣は自由党の本部に今おるそうであります。こちらの方には出て来ないそうであります。これは委員長として、この通産委員会が侮辱されておると思います。なめられていると思います。これに対しては善処されんことを要望しておきます。  通産大臣にひとつ問題を承りたいのでありますが、肥料の輸出の問題であります。これを輸出する場合には農林大臣の許可といいますか、認証と申しますか、それを得て輸出するということになつておるそうであります。聞くところによるというと、業者輸出契約をし、金もとつた。農林省として許可をしないものを通産省が一方的に許可を与えて、その輸出を認めた。しかるにあとからいろいろ議論が出て、一時それをとめられておるということでありますが、この経過を率直に承りたいと思います。その経過を承つた次第によつて、次の質問をいたしたいと思います。それは数字をあげて詳しく説明してもらいたい。
  70. 長村貞一

    ○長村説明員 ただいま御指摘の問題についてお答えいたします。ただいまお話もございましたように、肥料を輸出いたしますときには、事前に通産大臣輸出承認をすることになつております。その通産大臣輸出承認をいたしますときには、農林大臣の同意を得て、しかる後にやるということになつております。それでその同意を得ますときに通産省、つまり化学局の方から農林省に対しまして同意を求めまして、それに対して農林省が同意書を送つて来られる、これが普通の手続になつておるわけであります。二万九千トンばかりの数量につきまして通産省から農林省に同意を求める合議をいたしたのであります。そのうち七千四百トン余りのものにつきまして農林省から同意書が参つたのであります。従いましてこれにつきましてはその後逐次承認を与えておるということになつております。残りの二万二千トン余りのものにつきましては、これは実は事務的の手違いがございまして、正式の同意書を頂戴いたしませんうちに、あやまつて承認を与えてしまつたのでございます。これは手続といたしましては明らかに一つの手落ちがあつたわけでございます。私どもといたしましては急遽これを是正するように努力いたしたわけでございます。あるいはこの承認の交付を押え、その他種々手を打ちました結果——おおむね一万四千六百トンばかりのものにつきましては、これは輸出承認書も輸出業者の手に渡りました。それから船積み、出港の手はずもついてしまつたわけであります。その一万四千六百トンの方については現実の輸出というか、船積みというか、これが済んでしまつておるという状態になつておるのであります。ただこれにつきましてもその間手続の欠陥等もございまするので、でき得るならば業界の自発的の協力によりましてこれを一時さしとめるということが好ましいと考えまして、それぞれその方面の努力をいたしたのであります。ただいまのところおおむね四千五百トンばかりのものは船出を延ばすという措置がとれておる。こういう状態になつておるわけであります。
  71. 河野金昇

    ○河野(金)委員 実に私奇怪なことを聞くわけなのでありますが、とにかく外国の商人を相手にやる輸出であります。それに手違いがあるということは、これは国際問題であろうと思います。農林大臣の同意を得なければならぬことはもちろん御承知になつておりまするし、業者自体はすでにこれは金を受取つておるそうであります。そうして一部分の四千五百トンは押えられたけれども、農林当局の同意のないものをすでにどれだけか出しておることがはつきりここで数字の上においてもわかつて来たわけなのであります。そこでこの肥料業者としてはすでに金を受取つており、通産当局に手落ちがあろうとなかろうと、業者としては正式の書類を出してその認可の書類をもらつておる以上、業者にはこれは手落ちはなかろうと思う。そうするとこれは通産当局に責任があるわけなのであります。もし外国の商人あたりからこのキヤンセルの問題に対して賠償を要求して来たりしたような場合には、これを一体どうなさるつもりであるか、業者に手落ちがある場合にはこれはもちろん業者に払わせるのは当然でありましようけれども、あなたの管轄しておられる通産省にはつきり手違いがあつて業者にも迷惑をかけ、外国の商人にも迷惑をかけておるというこの現実に対して、これからどう処理し、またこの責任の問題をどういうふうにして行かれるつもりであるか、はつきりした御答弁を願いたいと思います。
  72. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 肥料の問題につきましては、先般政務次官からもよく申し上げ、また私といたしましてもはなはだ申訳ないことをした、手違いとはいえ、かかる事件を起しましたことに対しましては、皆様の前に陳謝をするほかはないのであります。但し重ねてお願いしたいことは、LCを組みましたものに対しましては、約一万トン近いそうでありますが、これに対しては皆様の御了解をいただいて輸出のできるように御認可を得たいと考えるのであります。そういたしませんと、今後の対外貿易にも影響いたしますので、その点ひとつあしからず御了承願いまして、われわれの手違いであつたことを陳謝いたしますから、それに免じて御許可をお願いいたしたい。
  73. 河野金昇

    ○河野(金)委員 それははつきりして来ましたけれども、これからそうすると輸出とか何か問題のある際には、この国会にみなおかけになりますか。そうではないのです。これは結局われわれに陳謝するとか、何かの問題じやないと思います。結局この問題はあなたと農林大臣が話をして、政治的に解決しなければならぬ問題だと思います。今小平君が質問したように、肥料がまだ足らないにかかわらず、輸出するということは、農林大臣の立場から見て、これは納得の行かない問題で、小平君の説と私も同感でありますけれども、これはいやしくも国際問題であります。通産当局の手落ちであろうと、農林当局の手落ちであろうと、外国から見た場合は日本政府の手落ちであります。それは内閣改造のあつたばかりで、横の連絡が一つもないことはよく承知いたしておりますけれども、これはすみやかに農林当局と話をつけらるべき問題であつて、われわれ国会議員に陳謝してみたり、お願いしてみたり、われわれが認可を与えるべき問題ではないのでありますから、筋道をはつきりつけて、農林当局に御折衝あらんことをお願いいたします。農林大臣を呼びたかつたのでありますが、来ませんでした。それで農政局長を代理に出していると農林大臣は言つているそうでありますが、代理であれば相当これに対しても御答弁の用意もあろうかと思いますので、通産大臣答弁のあと答弁があつたら承りたいと思います。
  74. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまのお話ごもつともであります。それで私の方の省が間違つたのでありますから、私の方から農林大臣に御了解を得て、そうしてやりたいと思います。さように御了承願います。
  75. 首藤新八

    首藤説明員 この問題につきましては、私が農林委員会に出席しまして、一応タツチしておりまするので、ただいまわれわれの考えておりまする今後の処置についてお答えしておきたいと思います。  お説のごとく、この問題はあくまでも通産省の失態であります。従つてども方面につきましては、担当官に厳重な戒飾を加えまして、すでに執務の場所を変更いたしておるのであります。しかしながら事海外の貿易、すなわち国家の信用問題に影響いたすのであります。しかもこれは輸出業者には何ら失態なくして、通産省自体の失態でありまするから、どうしてもこの国家の信用問題だけは維持したい。これは朝鮮問題が起つて以来、物価が非常に上つた。そのとたんに日本輸出貿易のクレームが非常につきまして、キヤンセルする量が一気に増加したということから、相当国家の信用に影響しておりまするので、通産省といたしまして今後かかることのないような措置を講じておる際に、実は通産省の失態からかような問題が起つたということで、ただいま申し上げましたような責任者の処置をいたしたのでありまするが、同時に先ほどから局長から申し上げてありまする通りに、現在の需給関係から考えますると、当然このくらいの輸出能力はありとわれわれは考えておるのであります。先ほど小平議員から、たとい余裕があつて輸出すべきではないというような御意見でありまするけれども、これは少くとも農家の立場からの一方的な御意見であつて、肥料のメーカーを考えない御意見だと思うのであります。なるほど肥料は七割上りましたけれども、これは補給金が五割入つておる。さらにまたその後の電力の問題、その他いろいろな資材の高騰から、当然生産原価が七割上つておるのでありまして、これがために肥料のメーカーが巨利を得ており、暴利を得ておるということは、こうまつもないのであります。そこで結局農家の考え方はこのメーカーの立場を考えずして、ただ肥料の値段を下げさえすればいいというような御意見のように承るのでありまするけれども、さような処置をすること自体が、肥料の生産を減少せしめ原価を割る。一定の利潤を確保することによつて初めてメーカーの生産はふえるのでありまして、ただいくら生産がふえても供給が増加しても、値段の下ることを放任し、値段がいくら下つてもさしつかえないというような措置をとりましたならば、当然メーカーの生産は減少して参り、そうして次に来るべきものは結局農家の損失であります。同時に肥料を増産せしめ、それによつて原価を安くすれば販売値が下る。そこに初めて農家が潤うのでありまして、かようなメーカーだけに圧迫を加えて、そうして値段を下げるという一方的な考え方は、断じて肥料行政の大局から見てとるべき対策ではないとわれわれは考えております。従つて今後においてもメーカーの利益を十分確保いたし、そうして生産を増加し、原価を安くし、販売価格を下げ、農家の利益を確保するという方針をわれわれは一貫してとつて行きたいというような考え方を持つておるのであります。  そこでただいまの問題に移りまするが、さような見解から、どうしてもただいま保留になつておりまするところのものも、農林当局の御了解並びに農林委員の御了解を得まして、早急にこの輸出を敢行いたしたい、全部契約品は出して行きたい、かような考え方を持つておるのであります。以上お答えいたします。
  76. 藤田巖

    ○藤田説明員 役所間のいろいろ手違いからいたしまして、国会の委員会でいろいろ御審議を受けておりますことは、農林省といたしましても恐縮に存じております。ただこの問題は、実は単にこの一万数千トンの輸出だけで、ほかに輸出の問題が全然ございませんければ、率直に申しまして、農林省としては非常に考えやすいと思います。しかしながら事実はそうでございませんので、御承知の日・タイの協定によつて相当の大きな数量輸出の問題が現に出ておる。それからまた朝鮮に対する輸出の問題もまた出るであろう。いろいろの問題がからまつて来ておりますので、われわれといたしましては、そこに非常に判断のむずかしいところが出て来ておるわけであります。従つて農林省といたしましては、先ほど申しましたように、決して何が何でも輸出していかぬと言つておるのではないのであります。大体どのくらい需要され、どのくらい生産され、そしてはたして輸出の余力があるかないか、またどうしても輸出しなければならぬ数量がどうであるかという全体の数量が確定をいたして参りませんと、ただそのときどきの処置というものだけをやつて行くということになると、非常に困難であるということから、そういうような問題が起つて来ておるわけであります。しかしながらすでに起つておる問題でありまするので、これは何らか急速に措置しなければならないと思います。われわれといたしましては、安本当局を加えまして、安本、農林、通産関係のところで、できるだけ早くこの問題を解決し、あわせて将来の輸出に対する問題も早く解決したいというようなことは農林省としても希望しております。
  77. 河野金昇

    ○河野(金)委員 今問題になつておりまする約一万トンくらいのもの、これは農林省の立場とか、通産省の立場、あるいは農林委員会、通産委員会という、そういう立場を離れて、国家見地からこの問題はどうかひとつ大局的に片をつけていただきたい問題だと思います。ただ先ほどの首藤さんのお話は、あまりにも一方的な、業者に片寄つた話でありまするから、これはお慎しみを願わなければなりません。関東地方においては現在秋肥がすでに二万数千トン、三万トン近く不足をしております。関西の風水害で生産能力も二万数千トン落ちておるわけであります。私も首藤さんのおつしやる通りに、輸出するものとしては肥料は非常にいいものだろうと思います。しかし米、麦をつくる農民を苦しめておいて、農民の犠牲をそのままにしておいて輸出するということは、考えなければならぬと思います。だから通産当局としておやりにならなければならぬことは、朝鮮事変が起つたりしてこの情勢はかわつて来ております。日本の今までの賠償の対象になつておるような工場なんかで、これを解除してもらつてやれば、肥料を幾らでもつくれる工場があるように考えるのです。だから通産当局としては、いたずらに農林省を押えつけて、今の段階において輸出するというようなことでなしに、今日の段階においては農民にもある程度の安心を与えなければならない。それと同時に国家見地に立つて輸出をするならば、関係方面に向つてもつと日本が肥料を増産できるような道を考えていただきたいということを私は要望しておきます。農民の立場とか業者の立場とかいう一方的の立場に立つて、こういう席上において議論されるということは迷惑しごくであります。国家見地に立つて首藤さんは今後とも発言をしていただきたいと存じます。
  78. 首藤新八

    首藤説明員 私の先ほど御返答申したことが一方的だという御意見でありますが、私は断じてさようには考えておりません。国家の大局から見てかような措置を講じて行くことが最も妥当だと私は確信を持つております。同時にまたただいまの御意見によりますと、当面肥料が関東方面相当不足しておるかのような御意見でありますが、われわれの見るところによりますと、決してさような不足は来していないと考えるのであります。またもし事実不足しておりまするならば、公団の手持ちは現在七十何万トンあるのであります。いつでもさような不足を来しておりますれば放出する準備ができておるのでありますから、その面から見ましても、現実にかような不足を来しておるとは考えていないのであります。
  79. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいま首藤政務次官が、私が先ほどの発言において自給の見通しがつき、さらに余つてつて輸出をしてはいかぬということを言つたと言われたのでありますが、私はそのようなことは断じて申し上げておりません。速記録のどこを見てもそのようなことは申し上げておりません。さらにメーカーを殺しても配給価格引下げろということも私は申し上げておりません。それは政務次官のまつたく一方的な暴言だと思う。そういうことは私申し上げておりません。私の申し上げたことは、現在肥料行政そのものが、配給を受けたくても配給を受けられないような現状にある。その数字をたなにして生産が過剰だから、余つているから出してよいという意見は、これは私は当を得ていないと思うということであつたのであります。  さらにただいま輸出問題について河野君から追究されたのでありますが、私は今回のこの農林当局の同意を求めた二万九千トン、その中で二万二千トンは同意を得ないで、事務的な手違いによつてこれを輸出業者に認証を与えたというようなことは、これはまつたく通産当局と農林当局と現在どの程度輸出をしてもよいというようなことにおいて意見の一致を見ていない。現在いかほどの数量輸出してもよいという確信がない、そのことが今回のこのいろいろトラブルを起こしたところの原因であつたと私は思う。ただいま大臣はこれは手違いであつてまことに申訳ない、陳謝をするということを申されましたが、私は過去の問題は追究しない。私は今後は余つてつて輸出してはいかぬと申し上げておるのではないのであります。現在のような肥料行政では、農民はいかに手が出るほどほしくても買えない。この現状を根本的に是正して、これだけの肥料を十分に使つて、ほしい肥料は全部農民は配給を受けて、さらに余裕がある場合には大いに輸出してもいいと思う。そういう見通しがつかないときにおきましては、断じて輸出しないということの通産大臣の説明をいただければ、私は先ほどの陳謝するということは了承してよろしいと思います。
  80. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 先刻から申しまするように、国内需給を不足させてまで輸出はしないということは申し上げた通りで、さように御了承願います。
  81. 首藤新八

    首藤説明員 小平委員の先ほどの御意見が、メーカーを圧迫するという一方的な御意見でないということでありまするから、私は非常にけつこうだと思います。どうか今後はひとつ太局から考えられた御意見を述べていただきたいと思います。なおまたただいま肥料が末端にまわらないということが、現実に供給不足をしておるというがごとき御意見でありましたが、これは先ほど小平委員も申し述べられたごとく、金融面にあると存ずるのでありまして、実際の肥料の需給のバランスは十二分にとれておるのであります。この際多少の輸出をいたしましても、内地の供給に何らの不安を与えないというだけのストツクを持つておるのであります。従つて末端に肥料が不円滑に配給されるということは、一にかかつて金融面であろうかと考えますので、この面は格段の御考慮を払うことが最も適切ではないか。もつとも先ほど農政局長はこの方面にはあまり金融のことはないというようなお説でありましたが、お説のごとく実際に非常に肥料の配給が不円滑になつておるとは私は考えていないのであります。
  82. 今澄勇

    今澄委員 私は肥料に関する質問を出しておきましたが、大体論議が尽されたようでございますが、大臣にお伺いしたいことが一つあります。それは今いろいろの議論が出ておるということは、首藤政務次官が言われる肥料メイカーの採算の問題、農民の要求する低廉な肥料の問題、これは二つとも私はもつともであると思います。そこでこのような問題が起る発端を考えてみると、最初肥料行政が農林省にあつて生産が商工省で、配給が農林省だ。今日肥料の生産配給、両部面を両省にわかれて担当しておるという実情でございます。そこで私は肥料配給公団の廃止並びに肥料の自由販売その他一連の政策は、われわれはつとに肥料配給公団の廃止なり自由販売ということについては時期尚早であり、現内閣は責任が負えるかということを追究したのであるが、その都度先ほどの銑鉄に対する答弁と同様、政府は大丈夫である、大丈夫であるの一点張りで今日まで来た。輸出の問題がそのようなトラブルになつたというその根本原因は、要するに輸出をして相当な高利潤を得なければ、今日の七百十五円の全購連の市価ではメーカー側の採算が立たないという点にも私は多分に理由があると思います。そこで今日のような問題が起つたのは肥料配給公団の廃止が失敗であつたということ、肥料が両者にまたがつてあるということに対して、安本はこれが調整の役をなさないで、少くとも統制から自由経済へ入る際における政策の上に大きな欠点があつた、かように認めなければなりません。そこで農村に安い肥料を与え、肥料メーカーをして安い肥料を生産せしめるという従来の片山、芦田両内閣におけるいわゆる肥料統制方式というものが今日までの肥料の無難な供給をして来たものであるということをこの際通産大臣はお認めになるかどうか。そうして今日のこの現実の問題は、これらの統制経済から自由組織へ移す際の内閣の不手ぎわであると私は断ずるが、これに対する大重の答弁を要求する。
  83. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまの今澄さんの御説は、今澄さんの御説としてお伺いしておきます。しかしながらわれわれはこれから自由経済に移つてつてこそほんとうの生産は上つて行くものなりと信ずるのであります。さよう御了承願います。
  84. 今澄勇

    今澄委員 この問題は肥料に限らず今日の銑鉄の問題でも同じであります。われわれは銑鉄における鉄の問題、一貫作業メーカーと平炉メーカーの問題、自由競争による一部の弱小メーカーの解体の問題、しかもそれが政府の行う自由経済のやり方が悪いことのためにそうなつて行くという一連のことを思い合せますと、この際通商産業大鹿の責任は重大であると思います。  なお一点私は聞きますが、肥料に関する限りどのような問題があろうとも、将来一ころ農林委員会の河野謙三氏が唱えられたような、需給調整法のごとき肥料の統制措置を講ぜられるようなことが内閣として将来あるかないか、もう一点は肥料配給公団のごときものを、いかなる事情があろうとも、今後再びおつくりになるようなことは絶対にないかどうか。配給の面に関してでございますが、通産大臣からひとつ御答弁を承りたい。
  85. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまの段階におきましては、さような考えは持つておりません。さように御了承願います。
  86. 今澄勇

    今澄委員 それではそのような措置なくして、原価の採算割れあるいはその他先ほどの首藤政務次官の話が真実とすれば、肥料メーカーの採算割れで肥料会社がやつて行けないとすれば、それらに対する金融あるいは合理化資金、その他の問題は、予算関係において破れ、金融操作においても、何らこれが解決されておらないが、そういう面におけるメーカーの敗退と、肥料の原価採算割れが生じた場合には、政府はどういう手をおとりになりますか。
  87. 首藤新八

    首藤説明員 私の先ほどの答弁に対して、今澄氏はお聞き違いをしておるのではないかと思いますから、訂正いたします。私が先ほど申しましたのは、現実に原価を割つているとは申し上げていないのでありまして、ただ小平議員の御意見は、今後原価をいくら割つても放任するのだというような御意見に承つたから、これは適切でないということを申し上げたのであります。
  88. 今澄勇

    今澄委員 現在の購販連できまつた七百十五円の値段は、肥料会社相当ある中で、これを原価計算に割つて調べるというと、大体原価割れだということをわれわれは資料を持つておるから申し上げたのであります。どうかそういう点については政務次官においても、十分ひとつ御検討願いたい。ただ私は肥料メーカーは原価割れになる。しかるにもかかわらず農民はその肥料が高くて買えないという、この現実の矛盾がすなわち政府の政策の誤りであるという点を御認識願えばわれわれは了承するのであります。  なおまた横尾通産大臣にもう一つお尋ねいたしますが、私は先ほど来通産大臣の御出席を要求すること実に三時間、それから大蔵大臣の御出席を要求すること、民主党の河野金昇君が約二時間、それからわれわれが農林大臣を要求することここに約二時間、しかしてその間にわれわれの入手した正確な情報によれば、農林大臣と大蔵大臣は自由党の総務室にいて、そうして約四十五分くらい前に出て行つたという正確な情報を得ております。通産大臣は自由党において電力の日発の問題について打合せをされて、しかも分断法案について結論がなかつたということも私は正確に聞いております。われわれは公式に要求されたこのような委員会を外にして、あなた方がいかに委員会の席上でこうべをたれ、いりもしない認可を願うなどと言われても、その心の中ではこの委員会というものに対して大きな侮辱を身をもつて示されておるといわなければならない。私は国民代表の一人として、通産大臣の心境を聞きますが、どうしてそのような党内の問題や、そういう打合せのためにここに出られることを拒否されたのであるかということを伺いたい。  さらに重ねて委員長に伺いたいが、委員長からの報告によれば、総司令部に行くとか、閣議があつたというような話であつたのでありますが、これがうそであるということがわかつた場合には、委員長はどうするか。この際はつきり聞きたいと思います。
  89. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私が遅れましたことに対しましては、私は実はあなたのおつしやる通り、最も急を要しておると感じましたので、向うで討議をしておつたのであります。これは私の判断でありまするから、ここに来なかつたことはここを侮辱しておるという意味でないということを御了承願います。
  90. 小金義照

    小金委員長 委員長からお答えいたします。私は池田大蔵大臣や、廣川農林大臣が、あるいは閣議があるとか、あるいはスキヤツプに行くとかいうことを一つも申し上げておりません。それはこの係の者からか何か、あなた方が直接お聞きになつた情報でありまして、私のところでは正式な方法をもつて出席を要求しておるのであります。本日は農林大臣はこれからスキヤツプに行くという御返事でありました。それから大蔵大臣は今大蔵省の官房長が見えまして、大蔵大臣にかわりまして、きよう出られないゆえんを説明されるそうであります。
  91. 今澄勇

    今澄委員 それでは私は横尾さんにもう一ぺん聞きますが、この委員会は一箇月休会をしておつて、おとといから初めて三日間開いた。あなた方と与党との打合せは今後永久にあるが、われわれはきようをもつて打切られようとするこの委員会へあなたが出られない。いつでも打合せのできる与党との打合せを、何で委員会を開いておるのにこれをすつぽかされてまでやられたかということを私は考えてみると、今のあなたの答弁は、正常な判断能力を持つておる人間の答弁とは断じて思われません。あなたはこの点についてこの際どういうふうにお考えになりますか。もう一度答弁を願いたい。
  92. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 時間が遅れたけれども、ぜひ参りたいと思つて飛んで参つた次第でありまするから、決してあなた方を無視しておるということは毛頭ないということを御了承願います。
  93. 今澄勇

    今澄委員 いや、了承いたしません。これはぜひ飛んで参つたというような表現で片づけられる問題ではなくして、いかに通産大臣が言を巧みに申そうとも、それは以上の観点からして当通産委員会を軽視するものであり、あわせて国会を軽視するものであり、国民を侮辱するものでございます。われわれは通産大臣があれも知らない、これも知らない。これはしろうとであるというような答弁で参つておられますが、一国の大臣として、不見識もはなはだしい。われわれはこの機会に、通産大臣がそのようなお考えであるならば、断じて通産大臣に対して決意するところがなければならぬと思う。  それから委員長に申し上げますが、私が事務局で詳細に調べた結果では、農林大臣並びに大蔵大臣に対する出席の要求は、当委員会として正式に二十五日に出されておるそうであります。この委員会は二十九日に開かれておりますが、二十五日に出されておるものを今日まで、これだけ時間がたつて、しかもそれが来られないのに、それらの大臣を弁護するような腰の弱い委員長では大臣の来るはずがない。あなたはもう少し事情を調べて、何ゆえにこの委員会を軽視するのか。もう一度とくと御答弁願いたい。
  94. 小金義照

    小金委員長 それでは私から御答弁申し上げます。大蔵大臣、農林大臣の出席を要求したことについてはいろいろ手違いがあつたようであります。これから十分注意いたします。
  95. 今澄勇

    今澄委員 それでは委員長の陳謝がございましたので、私はいさぎよくこの問題はこれで打切ることにいたします。  そこで私は通産大臣に対していま一点先ほどの残りの質問を申し上げたいと思います。時間がないので、この問題を途中で打切つたのでございますが、去る九月の二十六日の毎日新聞紙上には、一貫メーカー平炉メーカー鉄鋼補給金廃止にからまるいきさつが堂々と出ている。「今度の措置を横尾通産相に承認させるためには、播磨造船に対して廣畑の優秀な造船用鋼材供給を密約しておるのではあるまいか等の疑問を提出している。」ということが書いてあります。私は昨日、日発の問題についてあなたに聞いたのであるが、あなたはこの日発の問題に対してはメモランダムに関して何と言われた。そのようなものを見たことはあるが、メモランダムは今通産省にないから、おそらくそういうことはなかつたのだというような答弁でございました。それから例の日発のいわゆる松永案と三鬼案がどういうような経緯を経て松永案にかわつたかということについても、あなたはその方の事情つまびらかならず、せめて日発の問題に関する疑惑の中心と、それらの問題についても、あなたは通産大臣として責任ある明確な態度をもつて国民に処するというような雰囲気がいささかもない。本日の八幡、富士のそれらの問題についても、あなたの優柔不断と、悪意ではないかもしれないけれども決断力というものが常にこれらの問題を提起しておるといわなければなりません。そこで通産大臣は、すなわちこれらの銑鉄補給金の打切りに際しても、当初通産省が要求した百億円の補給金が二十一億に削られる。かような少額なものであるということは、この間鉄鋼局長は否定したけれども、これらの関係打合せにおいてはつきり言われておる。そうしてそれは遂に打切りになつて、しかも通産相がこれを了承して帰つたということは、日本の重大な鉄鋼国策を推進する責任者である通産相としては、まことに態度軟弱そのものであります。内閣においても大蔵省は金融関係の力で、いわゆる金融閥をバツクにいろいろな力を持つておりまして、あるいは補給金の問題、あるいは見返り資金の問題、あるいは金融の問題で通産省へ圧力を加えておる。また吉田総理は外務省の出である。外務官僚はこの通産関係、その他に名をかりて続々通産省に入つておる。日本産業行政というものは通産大臣相当な決意がなければ守り切れない今日の段階にある。しかも肥料の問題についても、これ通産大臣の不手ぎわである。しこうして次々と出て来る問題がこういうふうに通産大臣の力弱さをめぐつて、何ら日本産業政策は進められないという段階にあるが、あなたの決意と抱負と将来の信念を聞きたい。
  96. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 九月二十六日の新聞記事については、私はそういうことがあり得べからざることであるから、一言もこれには答弁いたしたくないけれども、ただ一つ申し上げておきます。造船材料は廣畑関係のみでつくつているのではないのであります。種類によつてつくつてつて、私は社長ではありませんが、もしも社長であつたとしたならば、そのほかのバルブ類、チヤンネル類、こういうものは八幡からもらわなければならぬから、それの方で占められることになりますから、そういうばかなことはいたしません。  それから今の予算の問題でありますが、お話通りであります。しかしながら予算編成について、再要求をいたしましたときに、あなた方も御存じの通り風水害による災害がはなはだしいのであります。そうして公共事業費が多額を要するにかかわらず、ほんのわずかだけしか予算の追加を認められなかつたというときに、鉄鋼補給金をわれわれが要求するならば、百億以上のものを要求しなければ意義をなさない。わずか二十一億くらいでははなはだわずかしか影響がないからこれでしかたがない。そうして一方の公共事業費の方に力を注いでもらうことこそ国家の立場であろうと私は考えて引下つたのであります。さよう御了承願います。
  97. 今澄勇

    今澄委員 私は本問題については時間がありませんからあと競輪並びに炭鉱の問題がありますから打切りますが、今の大臣答弁は了とします。さりながらそのうちに私は中村鉄鋼局長がこれこれということを申し上げたから、あなたはそれを認めて御発言の通りである、その通りであつたと言われました。しかもそれは百億あればいいが、二十一億くらいではどうにもならぬからやめたというので、私の発言を肯定されたということは先ほどの中村局長の言葉はうそであつたということを私は信じております。その問題については私は大臣の言を信じ、鉄鋼局長の問題は後日に留保するということでこの質問を終り、また私は中村局長に対してきよう私がいろいろ申し上げた今後の生産計画なりその他の資料を休会中であるけれども、またひとつお出し願うことを要求してこの問題を打切ります。
  98. 小金義照

    小金委員長 次に競輪に関する件を議題にして調査を進めます。発言の通告があります。これを順次許します。ちよつと速記を止めてください。     〔速記中止〕
  99. 小金義照

    小金委員長 速記を始めてください。  それでは皆さんにちよつとおはかりいたしますが、時刻も大分過ぎましたので、競輪の問題については発言の御通告も四人ほどあります。そこで一応十分くらいずつにしていただいたらどうかと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 小金義照

    小金委員長 御異議がないようでありますからそういうふうにとりはからいます。河野金昇君。
  101. 河野金昇

    ○河野(金)委員 これは通産大臣に承りたいのでありますが、新聞の輿論を見ても、あるいは街頭録音を見ても、競輪をこれ以上やれという議論はほとんどないのであります。それにもかかわらず新聞紙上には通産大臣なり首藤政務次官はこれをやつて行うということを言つておられるのであり、この国民輿論に反抗してなおやらなければならぬという理由を最初大臣、それから首藤君から承りたいのであります。ただお願いしておきたいけれども首藤さんもひとつ兵庫県の自転車振興会の理事長としてではなしに、政務次官首藤君としてお答えあらんことを要望しておきます。
  102. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 競輪問題に関しましてはいろいろと批判があります。よく私もその弊害を聞くものでございます。またいろいろと私に注意してくださる方も多々あるのであります。はなはだ申しかねますが、この法律は二十三年の十月ころかと思います。議員提出で、共産党の方がたしか反対だつたかと聞いておりますが、事実私ははつきりしませんが、すべての各党派の方々が御賛成のもとにこれができたものと聞いております。これは単に法律できまつたものを、その法律の改廃ないときに主管大臣がこれをやめるというようなことは私は法を無視するものではないかと考えるものであります。それゆえに個人的にどうかということならばこれは問題があります、しかしながら今申し上げましたようでありますから、法律の改廃があるまでは私はこれを実行すると申し上げます。この委員のうちにその当時御賛成なさつた方がおいでになるか、ならぬか知らぬけれども、しかしこれはせつかく各党派で、しかもそれが社会党の内閣のときであつたかと聞いておりまするから、私が党派が違つた内閣に入りまして、そうして社会党のやつたことは悪いぞということを言うのならば、考えるならば、それははなはだ公人として相済まないことだと思います。それゆえに重ねて申し上げます。個人的の意見はあります。それでやめない間はいかにしたらばこういうトラブルがなくなるか、いかにしたらば世間の不評を買うようなことにならないのかということを討究して、そうして競輪が最もいい方に進んで行くように指導することが私の職務であると考えております。ことに競輪に対しましてはこれは許可権はないのであります。競輪は届出制であります。しかもこれは各府県でなさつておるのであります。地方財政に非常なる影響があることかと思いますから、私が軽々しくこれをやめるとか、やめぬとかという論議をすることは私は避けたいと思います。
  103. 河野金昇

    ○河野(金)委員 委員長にお願いしますが、答弁をなるべく簡潔にお願いします。
  104. 首藤新八

    首藤説明員 河野委員の御意見によつて通産政務次官としてお答えいたします。ただいま大臣が申された通りでありまして、法律がある間はわれわれは積極的にそれを中止するという権限を持つておりません。同時に競輪そのもののできました最も大きな原因は戦災都市をいかにすれば急速に復興できるか、今日の日本の経済の全般から見て、特に緊急を要する戦災都市の庶民住宅あるいは学校の復旧等々はどうしても経営的な経費では急速に復興できない。従つてかような催しをやることによつてその目的を達されはせぬかということが競輪法設定の一番大きな原因だと聞いております。同時にその後における事実に徴しましても、すでに地方公共団体に寄与しました利益はおおよそ今年だけでも四十億を予想されておるのであります。これらが地方各都市の庶民住宅あるいは学校その他緊急やむを得ない面に使用されますことになりまするならば、相当大きな効果をあげておると存じておるのであります。ただ一面におきまして、風教上あるいはいろいろな小さい犯罪が非常に続出するということも、当然考慮しなければなりませんけれども、現在の国家の財政並びに戦災都市の現状から考えた場合、どちらにウエイトがあるかという点は、慎重に考えなければならぬと思うのであります。ただいま河野君は、新聞その他の輿論が圧倒的に廃止論だというような御意見でございますけれども、少くとも正常な輿論を代表いたしますものは、国会議員だとわれわれは信じておるのであります。従つて、この正常な輿論を代表するところの国会議員が、真に廃止を御希望なさるならば、まず国会議員自体が廃止すべきである。それをわれわれは忠実に守つて行くということでいいのじやないかとわれわれは考えおるのであります。
  105. 小金義照

    小金委員長 ちよつとここで御注意申し上げます。今、河野君からも言われましたように、質問、答、なるべく簡潔にお願いいたします。
  106. 河野金昇

    ○河野(金)委員 社会党が提案者となつて、国会議員全部が賛成した法案だから、これをやめるということもなかなかできぬとおつしやるのであります。実にいいことをおつしやるのであります。それじや片山内閣、芦田内閣当時につくりましたいろいろな法案や何かは、そのまま行つてもらいたかつたが、そういうものは遠慮なく御廃止になりながら、この問題だけをしいて残そうとするところに、何か妙な魂胆がありはしないかと思うのであります。  それで、結局、あなたは議員提出であるから、国会がこれをきめるべきだとおつしやるのであります。しかしこの治安上あるいはいろいろな関係から、二箇月間の自粛でありますか、とにかく今中止しておるのであります。おそらく国会議員があの法案を審議したときに、こういう事態になるということは予想しなかつたであろうと思うのであります。こういう事態が起きて、今二箇月の中止をしておるのであります。一日も早くわれわれは国会が開かれることを要求しておる。国会においてわれわれ国民民主党は少くとも廃止の法案を出すように今準備を進めておるわけであります。それならこの中止の期間を、この次に国会が開かれて、この問題がどういうふうにきめられるかは知りませんけれども、きまるまで、この中止の期間を延期されるところの意思ありやいなやを承りたい。
  107. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 先刻申し上げましたように、許可権も何もないのでありますから、今中止しておりますのは、施行者協議会が世間を騒がしたから相済まないというので、自発的に自粛中止をなさつておるわけであります。私の方から命令したのではないのであります。さよう御了承願いたいと思います。
  108. 河野金昇

    ○河野(金)委員 直接中止の命令はお出しになれないにしても、当然これは監督権があるのであります。監督権のある日発の総裁や副総裁は遠慮なく首をお切りになるあなたであります。ところが、競輪は金がもうかるかどうか知らぬけれども、そういうところにこじつけないで、この天下の輿論というものを無視しないで、少くとも次の臨時国会まで—これはあなたが命令はできないにしても、少くともその振興会でございますか、あのお化けのような寄合いの幹部がみなごまかしをやつておつた。資格審査をごまかしておつたり、それを通産省の何やら部長が知つて黙認しておつたとかいうような、ああいうおかしなところに、そういう権限を与えておく必要はない。しかもそれの監督権は通産省が持つておるわけなんであります。こういういろいろな事件が起きた今日であります。少くとも次の国会まで、もう少し待つたらどうだというくらいのことは、あなたがお話になれないはずはないと私は思います。それをあえて命令できないとか何とかおつしやる背後にはやはりいろいろうわさされているようなことが出て来ることをおそれるのであります。だから、あなた大臣として言えないなら、個人として一体どう考えておられるのか。そして今二箇月中止しているということを、国会が今度開かれるまで—おそらくこれは十一月ごろになる思う。われわれはなるべく早く国会を開いてもらいたいと思うが、早く開くようにあなたも閣内においてそれを進言するなりして—この問題は国民の輿論、結局国会議員は国民の輿論の上に立つて政治をすると思うのであります。だから、国会の開かれるまで、あなたが好意的に復興会に対して、もう少し中止を延期したらどうだということをお話なつたらどうか。命令はできないにしても、お話になる意思があるかどうかを承りたい。     〔委員長退席、中村(幸)委員長   代理着席〕
  109. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいま申し上げましたように、施行者団体の自粛してやるということに対しましては、私は非常に賛意を表しているものであります。しかしもしもトラブルが起らないという目途がつきましたならば、地方財政に非常なる影響があるものでありますから、これまでも私が注意をしてとめるようなことはいかがかと考えます。ただ単に競技だけでないので、財政上の問題がからみますから、もしもトラブルが起らないという見当がついたところにはそのまま遂行されてもとめなくても、よくないかと考えます。さよう御了承願います。
  110. 河野金昇

    ○河野(金)委員 地方財政の問題々々とおつしやるのでありますが、それも確かにその通りであります。しかしこれはシヤウプの勧告の出ない、地方税制の確立しない前の四苦八苦しているときのことであります。あなた方が信奉しておられるあのシヤウプ博士の勧告によつて地方財政はゆたかになつて来るはずであります。ばくちのてら銭的ないろいろなことをやらなくていい段階に来ていると思うのであります。だから、今まで税制の改革のなかつたころは必要であつたかもしれませんけれども、今日はその問題だけでは私は論ずることができないであろうと思います。しかしあなたにきようは十分という約束でありますから、これ以上追究いたしません。それから通産省の方へも、大分金が入つて来ているようでありますから、今御廃止になりたくない気持はよくわかりますが、国民輿論を無視しておやりになるなら、どういう結果が起きるかということを、御覚悟をお願いしておきたいと思います。  そこで今度は通産省の当局の関係者にお伺いいたしますが、追放だということを知りながら黙認しておられること、並びに昭和二十五年度に大分通産当局へ競輪の方から金をおもらいになるような計画が出ておるのであります。海外研究調査派遣費三千万円、海外現地情報調査費一千万円、海外宣伝用自転車販売費一千五百万円、それから映画もおつくりになるそうだし、自転車を向うへお送りになるそうでありますが、今は中止の状態になつておりますか、今までに何人海外に調査員を派遣になつたのであるか。それから映画なんかも、ほんとにおつくりになつておるかどうか。どうも私聞くところによると、こういう予算は組んであるようでありますが、実質がこれに伴つておられないように思うのであります。問題が起きて来てから、こういう予算をお組みになつたように見るのでありますが、この点をはつきりしていただきたい。  それからきようはできないでありましようが、次の通産委員会に、どうかぜひこの輸出宣伝用の映画等もお見せくださることを私は要望いたします。こういうことがどういうふうになつておるか、ひとつ承りたい。
  111. 玉置敬三

    ○玉置説明員 最初の御質問は、追放に関する新聞記事の問題だと思いますが、私の方で黙認したとか、そういう事実はございません。お答えを申し上げておきます。これは連合会内部におきまして、それぞれ適切な処置をとられたことと承つております。それからあとの予算の施行の問題でございますが、今回本年度におきまして、約二億の金が機械局あるいはその他の方面へ使用されておると思います。海外渡航の問題は、これは渡航手続がいろいろな関係で、こちらの思うように進行しない場合がありますが、近く第一班が来月インド、パキスタンに行くことになつております。これは飛行機も予約ができまして、出発することになつております。あと二班、三班は、今渡航手続をとつておりまして、それぞれ近く進行するものと思つております。  また検査その他の問題につきましては、これは輸出検査協会のそれに関する団体に、本年度はそれぞれ必要なものは、すでに報告済みでございます。映画フィルムのお話でございますが、これはまだ完成していないかもしれませんが、ただいま準備をしておりますから、でき上りましたら、どうかひとつごらんを願えれば光栄に存じます。
  112. 河野金昇

    ○河野(金)委員 十分という約束でありまするから、いろいろまだ問題はありますが、他の同僚諸君に譲りたいと思います。次の議会が一日も早く開かれることを要望し、議会が開かれたら、われわれは廃止の法案を出します。必ずや各党の諸君も、直接利害の関係のない方々は、賛成してくださるであろうということを信じて、私の質問を打切ります。
  113. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は今澄勇君。
  114. 今澄勇

    今澄委員 時間がありまませんので、簡単にお答えを願いたいと思います。  第一点は、大臣はこの法律は議員提出の法律であるから、この法律のある限りどうにもならないと言われたが、私は当時これらの議員提出法案に賛成した議員の一人であります。だがこの法律には、御承知のように施行規則がついております。この施行規則は、政令で改正できるものであつて、事態かように急を告げたときは、政令をもつてこれらの施行規則をかえる道があるにもかかわらず、それを怠慢に付した理由いかん。  第二点は、首藤政務次官は、鳴尾競輪で今度起きた大不祥事件の兵庫県の責任者であるのであります。あなたは政務次官の現職にありながら、いまだに兵庫県の競輪の振興会の代表者を兼務されておるという話であるが、あなたはそれらの政令とは関係なく、そういうものをおやめになる意思があるかどうか。この二点を大臣並びに次官にお伺いします。
  115. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまお話の施行規則に載つておりますことでは、施行規則の許す範囲においては極力そのことを実行したいと思つて今最初の改定を申しつけてあるのであります。今後もまたこれの命ずる範囲においてやることを準備中でございます。さように御了承を願います。
  116. 首藤新八

    首藤説明員 私は政務次官に就任いたしましたのが本年七月十二日でありますので、十五日付で辞表を提出してあります。その後再三辞表を受取つてもらうことを催促してあるのでありまするが、いまだに理事会の方で法律上さしつかえないということでそのまま保留してあるのであります。今回の事件が起りましたので、理事全員の辞表とともに早急に私の辞任を認めてもらうよう手配をしてあるのであります。
  117. 今澄勇

    今澄委員 それで私は通産大臣が、これは議員提出の法律案であるからわれわれはその法律のもとにおいて取締りができないのだと言われた言葉は牽強附会の言であるということが一目瞭然である。これらの施行規則は政令をもつて改正し、幾らでも取締りができるのであります。そうしてこれは地方財政の上に非常に大きな寄与をするからわれわれはようとめ得ないのだというお話でありましたが、先般の国民輿論、街頭の録音においても、これらの問題についてほとんど全部の者が、競輪は当初の事情と異なり、特に朝鮮事変以来共産党の非合法化された末端の大衆動員に関する大きな問題ともからんで、今日の時代に適さないということを言つている。だから私はこれらの競輪を法律の陰にかくれて何らの手が打てないと政府の方々が言つておられることは、ほかに大きな問題があるであろうと思いますが、問題の一点として申し上げますが、政府においても監督権がないとは言いながら、いま少しくこれらの競輪関係の御調査を願いたい。先般は上林山榮吉氏、堀川恭平氏が、この競輪の振興会全国連合会の幹部を訪れて百万円の献金を要求しておられる。それに対して競輪の振興会はこれを拒絶をいたしておるのであります。このような事実があるからこそ、これらの問題がいろいろ間違えて喧伝される要素が非常に多いので、これらのことについてもし通産当局がなおそのほかにも調査され、お耳に入つているようなことがありましたらひとつお伝えを願いたい。もしあなたの方で私の発言に関してそれはどうもおかしいということであるならば、あなたもお調べを願うもよかろう。われわれも断じて当委員会なり考査委員会においてその事実を鮮明にする決意のあることを申し上げておきます。
  118. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私が議員提出であるということを言うたのは、議員の各位は国民の輿望をになつて当選された方であるから、議員の各位の総意によつて提出されたものは、国民の総意を代表してなされたものと重く感じておるということを申し上げたのであることを御了承願います。
  119. 今澄勇

    今澄委員 この問題について局長何かお聞き及びのことがあれば御答弁願いたい。
  120. 玉置敬三

    ○玉置説明員 お話の具体的の実例につきましては私は存じておりませんから、お答えする資格がないと思います。
  121. 今澄勇

    今澄委員 競輪の振興会の全国連合会の幹部から直接私が責任をもつてつておることでありまするから、これらの問題についても十分ひとつ政府においてお取調べを願いたい。     〔中村(幸)委員長代理退席、   委員長着席〕  さらに私はこれらの競輪があげるいわゆるてら銭、これが当初この法案を計画された以上の莫大なものになつておるので、これらの競輪の役員の更迭にからんで、この競輪の新しい役員には巷間伝うるところによると、今度の会長に宮幡氏を推すとか、あるいはその前にどういう討議があつたかというようなことがいろいろあつて、私もその連合会の幹部から直接それらの話を聞いておるから、何なら直接それらの人々を呼んで事実を明らかにしたいが、政党政派的な一つ見方がこの競輪の幹部の辞職にからんでありはしないかという疑いが非常に多いが、その総辞職をきめた競輪の事情と、今後そういうような自由党系の人が就任するために、これらの存続に努力しておるのだということに対して、そういうあなた方が就任されるようなことがあるかどうか。そういつた事実はお聞き及びであるかどうか。これはまことに恐縮な質問でありますが、お聞き及びならば、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  122. 首藤新八

    首藤説明員 競輪の今回の理事の辞職は、要するに先般の問題に起因しまして、非常に社会に御迷惑をかけたということから、一応各理事が自発的に辞表を提出したものでありまして、通産省としてはこれには何ら関知しておりません。同時に今後の役員に対しましては、これは組合自体が決定すべきものでありまして、この問題に対しても通産省といたしまして、だれをどうしようとか、だれをこうしようとかいうような指示権はないのでありまして、組合の自由意思にまかしたい、かように考えておるのであります。
  123. 今澄勇

    今澄委員 約束の十分になりましたので、まだ幾多の問題がありますが、私はこれでおきます。ただ私が申し上げたいことは、これらの競輪問題で社会党がこの法律案を主導者として出して、その後の経済的な変化あるいは国際情勢の変化等にもかかわらず、この問題が社会党の責任であるかのように言われておる今日、私はこの席上において社会党を代表して、これらの競輪にからまる不正事件がもしありとするならば、考査委員会においても、通産委員会においても、断じてこれを糾明したい決意を持つておる者であり、今日私が述べた数々の問題については、その信憑性を要求されるならば、通産委員会において証人を喚問しこれを尋問されるならば、事態はさらに明らかになるであろうということを申し添えて、私の質問を終ります。
  124. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 ちよつと関連して……。私は皆さんの御質問のなかつた点について、一点だけお伺いしたいと思いますが、それは競輪場の許可に関する問題ですが、先ほど大臣からも競輪場の許可権は法的にはないということをおつしやいましたが、その通りですか。しかし実際には適宜の処置として通産省では認可の申請を求めて許可をしておられる。通産省において決定権を持つておられるというふうに承つておりますが、その通りでございますか。
  125. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 先刻も申し上げますように許可権はないので、届出を承認するだけしかないのでございます。ただ、私は先刻申し上げませんでしたけれども、なるたけこういうものをおつくりになるときは、公益に害にならないように、あるいは学校の近くでないように、なるたけなら住宅の遠くになさることを希望して、その都度々々その意見を述べているものでございます。しかしこれは強制的なことは何も書いてないのでございます。学校のすぐわきにつくつてもさしつかえないものでございます。しかし常識的にいかぬから、これはひとつやめてもらいたい。何メートル、これは近いではないかということはたびたび申しておるのでございます。これは私が私の意見をつけ加えておるのでありますから、許可とか不許可というような条件にはならないのであります。ただ私は競輪場をおつくりになるのは、地方の団体または官庁がやられるのですから、その方においてよく考究してなさることを要望しておるものであります。さように御了承を願います。
  126. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そうすると通産省は私の聞き及んでいるところと違つて、強制権はあくまでも行使しておらない、こういう御方針のようですが、そうしますと、主催者がいわゆる今おつしやつたような良識に基いて建設の敷地を決定する場合はよろしいが、もしそうした良識に基かないで、いろいろ今おつしやつたような学校の近くであるとか、あるいは農地をつぶすとかいうようなことをあえていたしまして、そうしてあるいは風教上あるいは食糧増産の上に弊害を及ぼすというような事態を引き起しました場合には、どういう処置をとられるかということをお伺いしたい。
  127. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 これは先刻から申し上げますように、届出制でありまするから、これをとりやめさせるとか、罰するとかいうことはでき得ないことを御了承を願います。しかしいやしくも地方の官庁の方々が、あるいは市会議員の方々であるとか、あるいは県会議員の方々であるとかいう方々は、よく事情を了察してそうして設置の場所をおきめになることを私は要望するものでございます。さように御了承願います。
  128. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 その要望は非常に強いもので、あくまでその要望に従つて設置するように、いわゆるそうした主導的な立場をとられるかどうかということを、くどいようですがもう一応お伺いいたします。時間がありませんからついでにお伺いいたしますが、そういたしますると、競輪のように現在非常な各地に問題を起しておりまするものについて、政府の許可権がないということは、これは明らかに法の欠陥だと思います。従つてこの法律は競輪法をあくまで存続するといたしましても、急速に法の改廃をいたさないと、社会にいろいろな弊害を及ぼし、害毒を流す結果になると思いますが、法律の改正についてはどういう御意見を持つておられるか、その点もあわせてお伺いいたします。
  129. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 お話通り法の欠陥が多々あるかと思います。従いまして最も早い機会において、国会においてこの法の改正を要望したいと思つております。
  130. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど競輪の問題で今澄君がわが党の上林山君と堀川君があたかも競輪の何に要求したのか、はつきりしたことがあります。名前も出ております。金額も出ております。もしこれが違うとすれば議員を侮辱するものであります。そこで何月何日にどこでそういう要求があつたかということを、この会議にのせていただきたい。それをはつきりしなければ、私は懲罰委員会にかけなければならぬ、議員を侮辱するものであります。
  131. 今澄勇

    今澄委員 その点について多くを述べることは、一般的な情勢その他から遠慮したのであるが、もしそれらの点が調べたければ通産委員会をあすにも開いて、競輪関係責任者を呼んでここで喚問されるのがよかろうと答弁いたします。
  132. 田渕光一

    ○田渕委員 少くとも上林山、堀川両君の名前が出、金額百万円も出た以上は、私たちといたしまして、また議員の体面上からも、何月何日にどこでそういう要求があつたということの資料がおありであろうと思いますから、この際これを明瞭に伺いたいと思います。
  133. 今澄勇

    今澄委員 だからその資料がいれば、それを調べればよいじやないか、われわれはそれが希望なんです。
  134. 田渕光一

    ○田渕委員 完全な資料もなくして、委員の名前を出して、額まで出すということは議員を侮辱するものでありますから、本件に対して私は私の行動をとります。
  135. 今澄勇

    今澄委員 完全な資料もなくということはない。それを今澄が責任を持つてつているということを申し上げたのであるから、その私の言が信用されなければ、責任者である競輪幹部を呼んで聞けば、さらに事態は明瞭になるであろう。だからもつと進行されたければ、これを呼んで通産委員会であしたおやりになればなお明白になるということを申し上げます。
  136. 小金義照

    小金委員長 ただいまの議事進行につきましては、委員長において承つておきまして、調査その他適当に善処いたしたいと思いますから、さよう御了承願います。  次に、高橋清治郎君より、本日の議題に関連いたしまして、炭鉱に対する資金融通の問題について発言を求められておりますが、時間も大分進んでおりますので、なるべく簡潔に発言を許したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。
  138. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 委員長、議事進行についてお伺いいたしたい。私も炭鉱問題、特に昨日田中彰治君から御説明になりました事件について、当事者であります池田大蔵大臣の出席を要求したわけであります。ところが、先ほどお話があつたよう事情で御出席になりません。私はこの問題は池田大蔵大臣御本人を呼んで直接承わらなければ、事態は明瞭にならないと考える。ことに殖田前法相の一身上に関する問題も出ておりまするから、他の人からの御説明ではわからないと思う。そこで私は、本日はこの問題についての質問はいたしませんが、あらためて明日——明日小委員会があつてできないというならば、来週引続き通産委員会を、特に池田大蔵大臣の出席の都合を聞いて開いていただくことを要求いたします。
  139. 小金義照

    小金委員長 ただいまの加藤鐐造君の議事進行についての御発言につきましては、後ほど理事会を開きまして、なるべく御趣旨に沿うようにとりはからいたいと思います。理事会の決定と申しますが、それにおまかせ願いたいと思います。高橋清治郎君。
  140. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 昨日の当委員会におきまして、通産行政上、特に鉱業行政上奇々怪々なるところの話が田中氏からありまして、まことに憂慮にたえないのであります。なぜであるか。きのうの田中氏のお話によりますと、新潟県の小滝炭鉱の鉱業権者である立花良介氏の三千八百カロリーくらいで、設備もなく、住宅がわずかに六戸ぐらい、さらに一箇年半も休山しておつたこの鉱山に対して、見返り資金を融資することに決定したというのであります。そうして首藤政務次官お話によりますと、通産省においては不適当なりとして認めなかつたものを、さらに要請があつたので、千五百万円程度はよかろうと言つたにかかわらず、大蔵省は一方的に二千五百万円の融資を決定したというのであります。そうして田中氏は、殖田法務総裁は資源庁の公文書を偽造したものであるということをおつしやつた。そこで今日大蔵大臣の出席をしきりに要望し、大蔵大臣は進んではつきりさすべきであるにかかわらず、言を左右にして御出席がない。そこで私の大蔵大臣に対する質問は後日に留保いたしまして、当時、通産行政の元締である通産省へ何事も相談いたされず、一体大蔵省は何ゆえ千五百万円と大体きめたものを二千五百万円融資することに一方的に決定したかといういきさつを、幸い見返資金課長が来ておるそうですから、ひとつ承りたいと思います。
  141. 大島寛一

    ○大島説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。小滝炭鉱に対する融資でございますが、この炭鉱は製鉄用の強粘結炭を埋蔵しておるものとしまして、資源庁及びこの炭を使う側の製鉄業者の調査によりましても、この旨がはつきりいたしております。昨年度の対日援助見返り資金の運用計画におきまして、小滝炭鉱に対しましては二千五百万円を融資することに相なつておりました。この会社からその計画に基きまして昨年申請が出て来ておつたのでございます。本年度に入りますまでこの会社に対する融資は決定いたされずにおつたのでありますけれども、本年度の扱いといたしまして、昨年度未決定のまま本年度に繰越されましたものという意味におきまして審査を進行しておりました。さらに本年度の見返り資金の運用計画におきましては、他の中小炭鉱とともにその一環として小滝炭鉱も含まれておるのであります。大蔵省といたしましては、関係官庁と協議をいたし、また本年五月閣議の決定を経まして、司令部に対して見返り資金融資申請の手続をいたしたわけであります。その閣議決定は、小滝炭鉱に対しまして二千五百万円を融資するという内容でございました。なお一言申し上げますと、そのときの閣議決定といたしましては、本炭鉱に対する案件のほか昨年度に申請が出ておりまして、昨年度中に解決されなかつた他の案件約十数件と記憶しておりまするが、業種的に申し上げますると、化学部門、農林部門、製鉄部門等がございまして、そういうものと合せましてその一環として閣議決定になつておるわけであります。それを申請いたしました後、八月中旬に総司令部の許可を得るに至つております。  以上が小滝炭鉱に対する融資の大蔵省としましてとりました措置の内容でございます。
  142. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 少くとも見返り資金を出す限りは、その対象となるべき鉱山の所有者、いわゆる鉱業権者なるものをよく調査する必要があると思うが、小滝炭鉱の鉱業権者は二十三年度において二千五百万円の復金融資を受けておるようであります。しかるにその二千五百万円の融資を住宅資金として受けたるにもかかわらず、住宅の方面には一文も使つていないというような事実があるようであります。こういう点については、大蔵省並びに通産省はどういう御調査をなさつたか、ひとつ承りたい。
  143. 大島寛一

    ○大島説明員 ただいまお話がございましたように、この炭鉱は昭和二十三年度におきまして資源庁の主要新炭鉱として指定されております。それによりまして復興金融金庫から、私どもの調査によりますと二千五百余万円の融資がなされております。その資金はこの炭鉱の開発のために炭住その他いろいろな設備を含んでおると了承しております。ところが復興金融金庫の融資が二十三年の三月をもちまして打切られましたから、この炭鉱は資金が続かなくなりまして、開発が中途になつておつたわけであります。昨年度の見返り資金の安定本部の運営計画におきまして、二千五百万円を本炭鉱に融資する旨計画に計上されておりまするのは、従来から続きました方針を引継ぎまして、この炭鉱を開発しようという趣旨に基くものであるとわれわれは了解いたしております。
  144. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 今見返資金課長お話によると、各関係官庁と協議の結果これを出したということが申されましたが、昨日首藤政務次官はこれに対してこちらが断つたにもかかわらず大蔵省において一方的にこれに出したということですが、御相談にあずかつたのでしようか、ひとつ政務次官にお伺いいたします。
  145. 首藤新八

    首藤説明員 この点は私から御回答申し上げるより、きようは炭政局長が見えておりますから、その衝に当つておつた炭政局長から御回答申し上げた方がいいと思います。
  146. 中島征帆

    ○中島説明員 この問題は昨年二千五百万円を見返り資金の計画に入れたことはただいま御説明のあつた通りでありますが、本年度は全体の見返り資金のわくが去年の半分以下である。当初は十七億程度だという安本あたりの話もありましたが、その後二十億くらいまでになつたということでありますので、昨年度のもののうちでもすでに許可になつて継続中のものから特に必要なものを拾つたというふうな方針で進めてございました。従つて当初この小滝炭鉱の一件はその中に入つておらなかつたわけでございます。その後少しこのわくもふやしてできるだけ数を多くした方がいいんではないかという意見になりまして、その際最終的に入つたわけでございますが、技術問題といたしまして、この小滝炭鉱の炭質そのものにつきましていろいろ問題がございまして、強粘結炭であつて製鉄用に使用し得るということについては技術的に実験も済んでおりますが、ただその灰分があまりに多過ぎる、従つて選炭をいたしますと歩どまりが悪くなるという点で、若干疑問がございまして、そういう意味からも当初留保になつておつたわけでございます。これにつきまして見返り資金のわくを多少ふやすということになりまして、これを大蔵省とも相談いたしまして協議は十分受けております。ただ両省で話し合いましたのは、出すということと、それから金額は千六百万円だということでありまして、従つて二千五百万円という数字は実は私ども承知いたしておりません。
  147. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 今炭政局長からの話によりますと、一千六百万円という通産省でこれを査定した。しかるに大蔵省ではさらにそれに九百万円を足して二千五百万円を融資した。昨日田中委員からもありました通り、前殖田法務総裁は小滝炭鉱の顧問になつておるようでありますが、この点について何か通産省の方には御存じないでしようか、事実でしようかどうか、御存じならばひとつ話してください。
  148. 中島征帆

    ○中島説明員 顧問か何かやつておられるように聞いております。
  149. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 そこでさらにお伺い申したいことは、これにつきましていろいろデマが——デマといいますか何か飛んでおります。この二千五百万円の見返り資金の融資の決定したあかつきにおいては二割もらう約束をしてあつた。そしてすでに現在前法務総裁が入つておる家を二百八十万円で購入して、その間勧業銀行の理事である足立某なる人が同県人であることを奇貨として、その個人的名目において了解を求めて融資した事実があるように伝えられております。そうして大蔵大臣はさらにこれは殖田氏の公文書偽造であるということを明らかに田中議員に申されたということをきのう話されましたが、さらに今日この委員会において田中委員に対しましてそのことがはたして事実であるかどうか、偽造であるかどうかということをひとつ参考のために尋ねておきたいと思います。
  150. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 大蔵大臣の私に言われました言葉でありますが、私が大蔵大臣の家にたずねて行きました。そうすると大蔵大臣が出て来まして、和服であるが出て来まして、実は君と同じ問題を麻生君から聞いてぼくは心配しておつた。よく来てくれた。そこで私は大蔵大臣をおどかしてやろうと思つて、九州の炭鉱業者がこんな不公平なことをするなら大蔵大臣に何か悪いことがあるから、あす押しかけてひとつとつちめてやろうということになつておつた。だがおれが心配して来てやつたが——きさらぎ会の会員の一人であるけれども、来てくれたということは実にありがたい。実はあれは渡米しておるうちに殖田のやつが公文書を偽造したのだ。殖田はだれですか、法務総裁の殖田だ。なるほどそれならば池田大蔵大臣が渡米していらつしやるときに、大蔵大臣の代理であつた。はあ、やつたなということを私は感づいた。そこでこれは君千五百万円どころか、三百万も、百万も貸せぬ。もちろんそれは見返り資金の対象となる炭鉱でないのだ。なるほど粘結炭だとか、あるいは日鉄がそれを使つたというようなことを中島さんは遠慮しておつしやるが、それはかますに二十俵あるから、その石炭を買つて日鉄に持つて行つた。あの石炭は日鉄に毎月何百トン出したという歴史はない。あすこに汽車が通つておりますが、その汽車に近所から石炭が出るから義理にでも買つてたいてやろうじやないかといつて、たいたら汽車がとまつてしまうという騒ぎを起した。そこで炭鉱主はやめてしまつた。それを今の立花さんが引受けられて、そうして経営されておる炭鉱である。なるほど石炭の中をよく洗つて一トンの石炭を一貫目くらいにすると、残つたのが五千カロリーぐらいあるかもしれませんが、掘つたそのままでは三千八百カロリー。日鉄では少くともどんなにいい粘結炭でも洗つてきれいにした炭で五千カロリー以上なければ原料炭に使わない。コークスにならない。どう考えても日鉄はあの石炭を原料炭にするなどということは、それは今ここに大蔵省から来ておられる見返り資金の貸出し課長は何にも知らないで、何かもらえば許可するような、こういう石炭のしろうとのおぼつちやんの言うことであつて、炭鉱屋としてはちやんちやらおかしい。私は一箇月石炭を一万トン以上出して苦しんでおりますが、あの炭鉱は私は調べております。もしそれで私は通産委員の与党諸君、野党諸君にも申し上げるが、小滝炭鉱が実際日鉄の原料炭になる石炭であるか、洗わなくて五千カロリー以上、あるいは二、三割方洗つて五千カロリー以上になる石炭であると言われるならば、私は何百万かかつてもその調査費を持つてそれを調査する。その通りであれば通産委員、衆議院議員をやめて私は責任を負つてもよろしい。そのかわりそういうことがなかつたら、私は皆様から重大な責任を負つてもらわなければならぬ。これだけは自信を持つて私は答えられる。しかもあそこの炭鉱は有望炭鉱だと言われるが、あそこの地層を見に行つておるところの資源庁の人たちが疑問にされたのはもつともだ。石炭というものは三紀層という層にある。しかもあそこは古世層及び中世層、その中にわずか三紀層が石灰山上にぽつとあるものだから、そこに石炭が見えておつても五間か六間掘つて見るとなくなつてしまう。横にあるかと思うと縦に出て来る。縦に出て来るかと思うとまたぽつと出る。それだから明治三十三年にあそこにあの炭鉱が発見されて以来、何十人という鉱主がかわつたが、今まで石炭を出したことがない。あの村へ行くと無煙炭ではなくて燃えん炭と言つておる。燃えない石炭である。そういう山に資源庁に何の示唆もなく、大蔵省から強硬なるところの脅迫によつて二千五百万円を決定された。私が所有している炭鉱は一箇月一万トン出て、しかも原料炭だ。しかもそれだけ借りるにはこれだけの書類を出して機械はどこにすえつけ、どういうぐあいになつて今までどれだけ出炭したか、どこへ販売し、現業員は一人頭どれだけかかつているというようなことを、何から何まで書いた書類を出しても三百六十万円。大蔵省その他の人たちが資源庁を圧迫して、お前たちがこれを許可しなければほかに金を出してやらぬ。お前たちの予算を認めてやらないといつておどかしたから、泣く泣く中島炭政局長が判を押したということを私に告白しておるという事実がある。だれから来たか。普通ならば資源庁から大蔵省へ行つてどうかこの金を出してください、どうかこれを認めていただきたいと説明するのであるが、小滝炭鉱の金融については、大蔵省からどんどん次官初め役人が行つて、しかも某政党の幹部までついて行つておどかして頼んでおる。見返り資金の対象にならない炭鉱を、いじめられて、泣く泣くこれに二千五百万円を出した。こういう点を考えたときに、だれが何と言つても不正なことは間違いありません。この貸すべきでないところに見返り資金を貸したということも絶対に間違いない。今日池田君が来られないが、良心があればよもや来られますまい。いわゆる松岡氏のように洋行して帰つて来て頭がぼけておるに違いないが、私の前でうそは言えまい。だから池田君は出ては来られぬ。そこで私はこれを責めるのではありまんが、少くとも見返り資金というものがそんなに楽に出るものであるならば、困つている中小業者に対して、あるいは炭鉱に対してどんどん貸してやればよい。その辺には貸さないで、こういう特殊なる五百万円くらい賄賂を使つたといううわさを生んでいるところに貸しておる。しかも殖田前法務総裁は一銭の金もなかつた。一銭の金もなかつた人間がやめたときに二百八十万円の家を買つた。二百八十万円の家を買うには三百万円の金がいる。しかもその金を勧銀の自分の同県人であるところの足立某なるところへ行つて、今おれがこういうものを買つたのではいけないから、君の方から貸したような書類をつくつてくれないかと頼みに行つておる。それをまたその足立某がわが党の某代議士のところへ行つて、こういうことを言つておつたということを言つておる。これはもう間違いない。そればかりではない、殖田さんはわが党の中に不正があるようなことを言つているが、もし殖田さんにしてそういうように人をおどかして自分の罪を隠すようなことをやるならば、昭和電工の日野原君が勾留されておつたときに、あれの兄弟とある場所で会つた。法務府の総裁でありながら、どういうことをしたかということを私は知つておる。こういう点を私はよく言つておく。そこで資源庁も、このたび正直に実は見返り資金の対象にならない炭鉱だが、大蔵省におどかされ、殖田さんに脅迫されて金を貸したと正直に言われたから、私はこの正直さに対してこれくらいにしておく。これ以上いじめるとわれわれの友というか、親類というか、炭鉱をやつている関係の資源庁の役人は皆腹を切つてやめなければならないことになる。今見返り資金の課長などはここへ来てしやあしやあと言つておるが、昭和十三年に小滝炭鉱には二千五百六十二万五千六百円の金が出ている。日本中の炭鉱がこれだけの金を借りたならば、石炭一トンくらいは出している。小滝炭鉱は一トンの石炭も出していない。この金は一銭も返していない。社宅は少し建つておるが、六百坪の社宅を建てなければならぬ。その社宅が六百坪建つていない。そこで私は殖田さんに不正があるということが言える。なぜかというと、石炭国管問題のときに、石炭国管問題事件がわからないから、どうして彼らを勾留してよいかと考えた結果、金を借りて建てた炭住が二尺五寸、寸法が足りないだけで、九州の上田清次郎君その他の人がみな詐欺だと言つて留置され、炭管問題で起訴されていじめられておる。しかしその留置が二箇月以上になつておる。それならば殖田法務総裁はなぜ自分の親類というか、顧問をしている炭鉱が何千万という金を借りて、六百坪の社宅を建てなければならぬのに、それを建てないで、それで家を買つたり、女を買つたりしているのを、どうして処罰しないのか。こういうところに不正があるということは私ははつきりしておると思う。また大蔵省でもその通り、大蔵省はずるい官庁だ。税金関係にしてもどれだけ国民が迷惑しているかわからない。そして池田君はうそつきだ。だからやはり下の者がみんなうそばかりついておる。うそを言わないというならこの二千五百万からの金がどこへ行つたか、おそらく池田君は説明ができないと思う。賄賂を使つて物をもらつておるのだから説明できない。池田君はうそばかり言つておる。わが党でもこのごろ池田君の頭はどうかしているのではないかと言つておる。これは考査委員会に出すべきであるが、資源庁がかわいそうだ。資源庁が大蔵省におどかされ、前法務総裁におどかされてやつたのであるから、私はそれに対してはまつたく同情しておる。  最後に言つておくが、ここに見返資金課長がおいでになりますが、二千五百万の金をどこへ使つた。復金から金を借りておるが、一銭も返しておらない。復金が金を貸して利子も払つておらない炭鉱に対して、一銭も見返資金は決定されないはずである。麻生でさへもこの金を払うのにずいぶん苦労したということを言つておる。小滝炭鉱は一銭も払つておらない。石炭一ころも出ていない。これに対して説明できるかどうか。ひとつ伺いたい。
  151. 森永貞一郎

    ○森永説明員 大蔵大臣が話をされました内容につきましては、先ほども申しましたように大蔵大臣は進んでこの委員会に出席して申し上げようとおつしやつておられるのでありますが、今日は予算の関係がございますしできませんが、できるだけ早い機会に出席することを約しておるのであります。それによつて了承願いたいと思います。  なおただいまの偽造云々のお話でありますが、私は官房長といたしまして、司令部関係の文書の発遣も責任を持つておりますが、文書偽造というがごとき事実は絶対にございません。これは私の責任においてはつきり申し上げておきます。なおもう一つ発言中に見返り資金関係におきまして、大蔵省の官吏がいかにも収賄しておるがごとき御発言がございましたが、これははなはだ迷惑でございます。確実な証拠に基かないでそういうお話は私どもまじめに仕事をやつておる者といたしまして非常に迷惑に思いますので、この点だけを申し上げておきます。
  152. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 ただいま田中委員からのお話で、大蔵大臣と前法務総裁が公文書偽造をやつたということの証言を得ましたから、他日大蔵大臣と殖田前法務総裁をともにこの委員会に出席するようにおとりはからいを願います。  次に通産省の方々に申し上げたいことは、まずこの炭鉱の現地調査をはたしてやつてかく決定したのかどうか。その調査したときの状況をひとつ中島局長から答えてもらいたい。
  153. 中島征帆

    ○中島説明員 現場は昨年の秋に係官が行つて実地に調査いたしております。そのときの調査と、その後の日鉄等におきます実験によりますものを総合して報告書が出ておりますが、お話によりますと、当初は、先ほど田中委員お話にありましたように、炭層の布存状況がきわめて不規則でありまして、従つて炭量自体にも十分のものがあるかどうかということにつきまして疑問がありましたが、その点についてはおよそ百万トンくらいのものがあるという大体確信を得たようであります。  それから炭質につきましては、先ほどお話通り非常に灰分が多くて、生のままではたけないということは事実のようでありますが、粘結炭でありますので、これをコークスにいたしますまでに、大体灰分三〇%程度まで選炭するわけでありますが。その際に原炭がよければ歩どまりが非常にいいわけでありますけれど、もともとあまりよくない。従つて歩どまりが五、六割程度、半分より少しいい程度まで減るということでございます。従つてその辺からいたしまして、はたしてこれが十分採算可能であるかどうかという点について若干の疑問はあつたのでありますが、そのとき総合的な判断といたしまして、そういう点につきまして若干まだ研究の余地はあるけれども日本に数の少い強粘結炭であるから、できるだけこれは育成したいというふうな結論になつております。
  154. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 もうひとつ承りたいことは、この復金融資後においてどういう方面に使つたかということに対して調査をしてあるかどうか。それからこの見返り資金の対象になるべき条件がすべて具備されてあつたかどうか。これは通産省としてお答えを願いたい。
  155. 中島征帆

    ○中島説明員 復金資金の使途につきましても、そのとき同時に調査もいたしておりますが、予定通り工事が進んでいなかつたことは事実のようでございます。特に輸送設備につきましては、当初の計画がどの程度であつたか知りませんが、全体の半分くらいまでしか現在できておりません。従つてこれは主として索道でありますが、この索道が全部完成いたしますと、大体坑道関係はすでに準備ができておりますので、出炭もできると思いますけれども、その関係からまだ現在石炭生産に着手しておらないということになつております。いつでも生産できるようにというところまで設備がまだできておらぬために、いわゆる生産炭というものは出ておらぬ。先ほどお話も出ましたが、日鉄に持つて行きました炭はもちろんそういう炭でありますから、多量な炭ではございません。試験的に持つて行つたものでありますから、量としては少いのはやむを得ないと思います。
  156. 大島寛一

    ○大島説明員 ただいまいろいろ御質問がありました点につきまして御説明申し上げたいと思います。  まず最初資源庁とどういう協議をしたかという点でございます。その点先ほど中島炭政局長からもお答えがあつたわけでございますが、中小炭鉱を見返り資金の中に入れるべきか、全体の資金の額との勘案におきまして、そういうことができるだろうかどうだろうかという点が検討されたことがございました。先ほど炭政局長の御答弁のように、総額も若干ふえることにいたしまして、なるべく中小炭鉱も、強粘結炭でありまするとか、特殊の用途の無煙炭でありますとか、あるいはその他選炭設備等の向上によつて効果の上るような種類の中小炭鉱も、本年度計画の中に入れて行こういうことに関係官庁間の話が出たわけでございます。そのときは大体総額八千五百万円程度をこういう方面に向ける予定にしようということでございました。小滝炭鉱は開発途上の中小の山でございます。中小炭鉱の見返り資金の融資の一切の金額を個々の山につきましてどれくらいにすべきかという点でございまするが、それはやはり資金の所要額と、その山がどういう程度自分で金を調達することができるかというような点を具体的に審査しました上で、ほんとうにきめ得る状態でございます。そういう意味におきまして、中小炭鉱に本年度予定されておりまする計画額につきましては、実際審査の結果かれこれの間に調整することあるべき旨、お互いの間にも了解しておつたわけであります。小滝炭鉱につきましては、本年度予定通りの工事をいたすということにいたしますと、総額五千万円程度の資金はいるだろうと思うのであります。ところが先ほどお話もございましたように、これはまだ開発の途上でありまして、現在出炭をしておりません。そういうような山でございまするから、自己調達力は非常に限度が狭いのでございます。そういう点を勘案いたしますならば、千六百万というような資金を投下しまして、中途はんぱになるよりは、やはり所期の目的を達し得るような金額をあれすることが適当であろうというように考えまして、先ほどお答えをいたしましたように、閣議の決定を経まして、二千五百万円ということになつたわけでございます。千六百万円についての打合せがあつたが、二千五百万円の分が食い違いがあるという御答弁があつたように先ほど炭政局長から承りましたが、その間の事情は今申し上げたような経緯でございます。その二千五百万円は五月十六日に閣議決定されております。(「見返り資金は」)なお申し上げますと、司令部の許可を得ております額が本年度中二千五百万円でございます。しかしながら実際に物的な担保をつけるような条項にもなつております。その担保の評価をただいまやつておる途中でございます。現在まではまだ現金の貸付けはやつておりません。(「その書類はある。うそを言つてはだめだ。」)担保の点につきましては、会会社の申請はこの小滝の大半を担保にするという申請でございました。私どもは当時審査いたしましたところ、その担保価格が十分であるかどうかという点につきまして、まだそのときの状態において、はつきりした見通しをつけるところまで行つておりませんので、新規の山でございますから、これはやつた上におきまして若干の危険もあり得るわけでございます。現在実績をあげておりまする山とはかなり特殊な違いがあるわけでございます。そういう点をあわせて検討いたしまして、申請をしたわけでございます。  次に事務的にお答え申し上げますと、復金の融資のことであります。これは先ほど御説明を申しましたし、田中委員からもお話がございましたように、二十三年度中におきまして、二千五百万円余りの金が復金から貸し出されております。その費途といたしましてはいろいろございまして、坑道掘進採炭運搬設備、建物、動力機械設備等や炭住等もあります。その炭住につきましては、現在のところ先ほどもお話がございましたが、先ほど田中委員からお話があつたごとくたくさんはできておりません。なお二十三年度末に至りまして、復金の融資が停止いたしましたので、先ほども申しましたように、要はこの資金が足りなくなりまして、工事を続行することができない状態に昨年立ち至つたわけでございます。そういう原因によりまして、復金に対する元利の支払いは遅れております。はつきり申しますと払われていないわけでございます。これは稼働状態に入りまして、炭が売れて金が入るようになればともかくでございますが、現在のところではこの元利を支払うことはできない状態にあることは私どもといたしまして、やむを得ないという判断をいたしたわけでございます。(「二十三年のいつ出たのか」)二十三年のいつ金が出ましたかにつきましては、ただいま具体的なこまかい資料を持つておりませんのでお答えできません。
  157. 田渕光一

    ○田渕委員 議事進行に関して……。まことに重大な問題であります。少くともこれだけ真相へ入つて来ますと、大臣に出てもらわなければなりません。特に閣議決定などは、資源庁の炭政局長あるいは見返資金課長が起案をして出すのであります。そうしてその起案によつて閣議で決定されるのであります。おそらく公文書偽造というものはそこに来ておると思う。主管の局長が起案したものを閣議できめて、二千五百万円出たと思う。かような意味におきまして、これは考査特別委員会で取上げてもらいたいと思いますから、本日はこの程度にして、大臣を呼ばれて真相に入つてひとつ……。     〔発言する者多く聴取不能〕
  158. 小金義照

    小金委員長 それではちよつとお諮りいたしますが、今田渕光一君から動議が出ましたが、その前に高橋清治郎君が通産大臣にちよつと一言質問があるそうでありますから、それを許すことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。
  160. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 この最後の一言を言わんがために今までの私の質問は……(発言する者多く、聴取不能)これは先ほども今澄委員からありました通り銑鉄に関する補給金を他の方面から押されて、強要されてこれをとられた。並びに今度の鉱業行政に関しまして、通産省当局がもつと強腰であるならば、他の方面から自分の主管の行政面に対して、口先きをいれられる必要はないと思うのであります。これは要するに信念がないからかくのごとき結果になつたと思うのであります。大蔵省から口を出されようが、これが真に出すべき炭鉱であるならば出すべし、出すべからざる炭鉱であるならば、厳然として通産行政をあずかつておる当局としては、これは断るべきが至当であると思うのです。はたしてこの小滝炭鉱のほかに、より以上に出すべき条件を具備した炭鉱が日本国中にあるかないか。しかるにたまたま前法務総裁がそのあつせんの労をとつたがゆえに、その人によつてすべて見返り資金を出すというようなことであつたならば、すなわち日本の地下資源開発上、鉱業行政上に少くとも暗い影を投げかけると私は信ずるのであります。この点において深く反省して、今後かくのごときことのないことを私は要請いたしまして、本日の質問は私は他日にこれを留保しておきます。
  161. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまのお話ごもつともと思います。けだし鉄鋼問題に関しましては、私はだれからも圧迫を受けておりません。先刻申し上げましたように、公共事業費の方がこれよりも大事だと考えたので、私はそういたしたのであります。  あとの問題に対しましては、実は私の就任以前のことでありまするのでよく存じませんで、はなはだ恐縮ですけれどもこのことに対しては私は発言を差控えたいと思います。今後におきましては御希望に沿いたいと思います。
  162. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 官房長にちよつと申し上げておきますが、公文書を偽造した覚えはないと、こう言われるのでありますが、実は資源庁からこれが行つたときに、七百万ぐらいしか資金がないと言われて、それを大蔵省と殖田さんがおどかして千六百万というものをつけた、しかしその千六百万円を貸していいとは書いてなかつた、その返還能力に対して疑うという付箋がついておつたものを、返還可能なりということにかえたということが公文書の偽造なのです。  それからもう一つ、資源庁が石炭が半分減るとか、あるいはまた先ほど炭政局長が言われたような条件であるならば、見返り資金の対象にならない。さつき課長が石炭業を知らないで、ただ銀行行政をもつて人をごまかすようなことを言われたが、少くとも自分の個人資金から間に合わないような、そういう信用のないところになおさら見返り資金が貸されないことが一つ。  それから新潟県の西頸城郡というところは石炭のあるところでなく、金だとか石灰だとかがあるところの地形で、そこにたまたま石炭が出ておる。先ほど申しましたように今日でもごちやごちやになつて出ておる。そういうところには絶対に貸されない。こういうぐあいにきちんとしてないから貸されない。それを貸されるように書いてあるということは人をごまかしたもので、つまり公文書の不実記載、それが偽造なりと私は申し上げたい。  それからもう一つ、担保をとつてやると言われるが、担保はどこにあるのか、二千五百万円の金を復金から借りて来て、社宅も建つていない。機械も入つていない。倉庫も建つていない。どこに担保があるのでありますか。担保を調査しておると言われますが、担保というものは、こういうものがあります。こういうものがありますと出したものが担保なんです。それを出したか、担保になるようなものを建ててないとすれば、どこに担保があるのか、あればちやんと出ておるはずだ。ところがわずかに十二日か十三日に決定して、すぐ因縁をつけられた。因縁をつけられたから実はそういう状態なつた。大蔵大臣が小滝炭鉱に金をまわすのに、京橋の一六三三番に電話をかけて、田中君済まないがあれだけはのんでくれないか、頼むというのだが、何のために頼むのか、そういう点がある。ですからあなた方がこの融資は悪かつた、実際これは資源庁を脅迫し、公文書の偽造で、不実記載をした。むりをして悪かつたというならば私はこれでやめる。もしあなた方が抗弁されるならば、私は炭鉱業者として私の技術を今日まで十何年学んで来た。その点をよく申し上げて、これで質問を打切ります。
  163. 森永貞一郎

    ○森永説明員 議論は今申し上げるつもりではないのでありますが、私が公文書偽造と言つた意味は、正式に公文書として成立しておるものを、権限のない者が偽造するといつたような公文書偽造の事実は絶対ございませんという意味であります。     〔「資源庁の出したのを黙つて   かえたのか」と呼び、その他   発言する者あり〕
  164. 小金義照

    小金委員長 静粛に願います。
  165. 森永貞一郎

    ○森永説明員 資源庁とは、この問題につきましては先ほど見返資金課長から御答弁申し上げましたように、十分打合せを遂げておるつもりであります。
  166. 小金義照

    小金委員長 速記をやめてください。     〔速記中止〕
  167. 小金義照

    小金委員長 速記をとつてください。御静粛に願います。  先ほど田淵委員から議事進行についての御発言がありましたが、これについてはあとで理事会で御相談申し上げたいと思いますが、本日はこの程度にいたしましてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。  次に一昨二十七日の委員会において決定いたしました鉱業法並びに採石法に関する公聴会開会について議長の承認がございました。つきましてはこの前の委員会において公聴会の日取を十月二十六日及び七日の両日とすることに予定されましたが、この通り開会することに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 小金義照

    小金委員長 御異議がないようでありますから、その通り決定いたしました。  公述人の選定の件についてお諮りいたします。本件につきましては委員長に御一任くださるようにお願いいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 小金義照

    小金委員長 御異議なければさよう決定いたしまして手続を進めます。なお公述人の選定が終りますれば、追つて御通知を申し上げます。  本日はこの程度にて散会いたします。     午後五時五十三分散会