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1950-09-27 第8回国会 衆議院 通商産業委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十七日(水曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 河野 金昇君    理事 今澄  勇君       江田斗米吉君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       南  好雄君    村上  勇君       金塚  孝君    河本 敏夫君       高橋清治郎君    加藤 鐐造君       風早八十二君    小平  忠君  委員外出席者         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務官         (通商繊維局         長)      近藤 止文君         経済安定事務官         (物価庁総務課         長)      高橋 時雄君         経済調査官         (中央経済調査         庁査察部長)  吉田 竜雄君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 大石 主計君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 九月二十七日  委員武藤運十郎君辞任につき、その補欠として  加藤鐐造君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月三十一日  鉱業法案内閣提出第一九号)  採石法案内閣提出第二〇号)  電源開発状況及び電気事業編成並びに公益事  業法制度に際しての電気事業及びガス事業に関  する件  貿易振興状況並びに貿易資金調達の現状に関  する件  中小企業金融状況並びに中小企業等協同組合  の結成及び活動状況に関する件  鉄鋼業繊維工業化学工業その他一般工業の  実状特に需給並びに金融状況に関する件 の閉会審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人選定に関する件  公聴会開会承認要求に関する件  鉄鋼業繊維工業化学工業その他一般工業の  実状特に需給並びに金融状況に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまから通商産業委員会を開会いたします。  お手元まで御通知申し上げました通り、大体本日から三日間開会いたすことになりました。本日は閉会審査に付せられました鉄鋼業繊維工業化学工業、その他一般工業の実情、特に需給並びに金融状況に関する件のうち、一応暴利取締りに関する件を議題として審査を進めることに予定されておりますが、きよう午前中の理事会におきまして決定いたしましたことを御報告申し上げます。  すなわち明二十八日、電気事業編成に関して関東配電社長高井亮太郎君、前日本発送電総裁大西英一君、及び同副総裁桜井督三君の三君が出席してくれるならば、国政調査参考人として意見を聴取することに決定いたしました。これを承認することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではそのようにとりはからいます。  次にさきに第八回国会に提案せられ、継続審議となりました鉱業法採石法の両法案審査ため、十月二十三日より二十七日まで本委員会を開会し、最後の二十六、七両日は公聴会を開くことに理事会において決定いたしました。その決定通りとりはからうことに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。     —————————————
  5. 小金義照

    小金委員長 それでは初めに暴利取締りの件を議題といたします。発言の通告がありますから、これを許します。阿左美廣治君。
  6. 阿左美廣治

    阿左美委員 暴利取締りの実施にあたりましては、きわめてこれはむずかしいことと存じます。政府におかれましては物価の再統制をする御意思があるか、まずそれをお伺いしておきます。
  7. 首藤新八

    首藤説明員 お答えいたします。ただいまのところ、再統制をいたす意思は毛頭ありません。
  8. 阿左美廣治

    阿左美委員 聞くところによりますと、物価庁におきましては、ただいま指示価格を研究なされておると聞いておりますが、指示価格を研究いたしまして、これを発表する手配になつておりますか、それをお伺いいたします。
  9. 首藤新八

    首藤説明員 物価庁の方で掲示価格をつくつておるかどうかという御質問であります。この問題は相当いろいろのいきさつがありますが、ごく簡単に御回答申し上げたいと思います。実は七月二十六日に閣議におきまして、暴利取締るということに決定いたしたのであります。しかしながらしからば暴利に対する限界、いわゆるどこまでを暴利とするかという点になりますと、法的には不当な価格という文字が使われておるのみでありまして、見解によつて、これの限界点というものはすこぶる不鮮明になつておるのであります。そこで物価庁におきましては、これをもう少しはつきりさせる必要があるということから、ただいま御質問通り指示価格をつくるということで、いろいろ検討されまして、また通産省に対しましても、その同意を求めに参つたのであります。しかしながらその指示価格なるものは、少くとも現在の段階におきましては、取締りに非常な困難を来すのみならず、せつかく好転しかけた商取引に非常な影響を與えるというような見解から、通産省といたしましては、これに全面的に反対して参つたのであります。これを最終的に先週の木曜日であつたかと思いますが、安本の福島副長官並びに奥村経済調査庁次長物価庁の第一部長、このお三方が見えまして、最終案としての具体的案を提示されましたが、これもわれわれといたしましてはとうてい同意いたしかねるということで、いろいろ協議いたしました結果、結局それでは通産省の方で一応案をつくつてもらいたいということに、協議が一決いたしまして、ただいま通産省の方で適切な案を作成しているのであります。不日できると思いますから、できましたならば、これを物価庁の方に示しまして、なるべく通産省の手で作成した案に同調してもらうという方針を今とつている次第であります。
  10. 阿左美廣治

    阿左美委員 この暴利取締りということに対しましては、その限界がきわめてむずかしいと思うのでありまして、どこが暴利になるか、どこまでが暴利にならぬかという線は、これは非常にむずかしい問題でありまして、再統制をいたしまして、マル公をつくりましたならばいざ知らず、他の方法においては、暴利取締りということは不可能ではないか、こういうように考えます。指示価格をつくりましても、その線がきわめてむずかしいのじやないか。どこが暴利になるかということは、これは社会通念の上から考えましても、きわめて決定のしにくい問題だと思います。一般業者に伺いますと、一体商取引社会的観念はどういうことであるかというと、その日に物を仕入れて、その日に販売する価格が、いわゆる価格である。たとい高く品物を仕入れましても、その日の相場が下りまして安ければ、高く仕入れたものでも、それはその日の相場で損をして売るというのが、商法上の社会通念からの取引関係になる。また安く仕入れた物でも、その日の相場が高くなれば、その日の相場で売る。いわゆる相場に対する取引をその日にするというのが、社会通念の上からの取引方法であるということを、業者は言うておりますので、私ども考え方もそういうふうに考えております。でありますから、もうけて売つたからそれが暴利であるというならば、しからば損したときにはどういう取扱いがあるかというようなことも、業者から言わしめると、これはきわめてむずかしい問題になるのでございまして、この暴利取締りということは、一応口では言えますけれども、実際問題として取締りは困難である、でき得ないのではないか、こういうふうに考えます。どうしてもこれを強行するならば、再統制する以外には道はない。いかなる抽象的の法案をつくりましても、徹底したところの暴利取締りはでき得ない、こういうふうに私ども考えております。この抽象的な取締りは、きわめて業界に対しましては迷惑至極なことでありまして、先般の政府が行いました暴利取締りは非常に財界を混乱ならしめ、業者に対して大きな迷惑をかけておるが、少しもその効果は上つておらぬということは、確かに言い得られるのであります。ただ業界を騒がせたにすぎない。それがため金融も非常に停頓しておる。生産もそれがために非常に増産しておらぬというようなことで、一つも得るところはないと考えるのでございます。今後もやはり抽象的の取締りはかえつて弊害があつて少しも得るところはないと思うのであります。政府に再統制意思がない以上は、この暴利取締りということは私は困難だと思いますので、いたずらに指示価格とか、抽象的な法律によつてこれを取締るということはお考えを願う必要があるのではないか、こういうふうに考えます。この問題に対して私どもは先般大阪へ参りましたところが、暴利取締り政府はどういう方針取締りをするのか、われわれは非常に迷惑である、ひとつこの指示方法をはつきりしてもらいたい、こういうような話が業界から出まして、大阪対策本部参つていろいろ意見を伺いましたが、対策本部といたしましても政府はこういうような抽象的の要綱指示されてわれわれに取締りをしろと言われても取締りはできない。われわれが暴利と認めてこれを摘発いたしましても、結局これは裁判によることになる。裁判の結果暴利であれば暴利になる。暴利でなければ暴利にならぬということで、どうもこういう抽象的な要綱では困るというように、この取締りの局に当つている人たちも言うておりますので、これはとうてい暴利ということの取締りは、再統制をする以外には私は取締りはできないのではないか、こういうふうに考えておりますので、この取締りはよほど研究をなされて御発表になりませんと、いたずらに業界を混乱ならしめて、少しも得るところはないと信じます。そこで指示価格でございますが、何を標準にして指示価格をおつくりになるか、これを伺いたい。
  11. 首藤新八

    首藤説明員 御承知通り自由経済におきましては、日々相場がが変動いたしておりまするから、一定の指示価格を持つておりますということは実際問題として不可能であります。これはお説の通りであります。従つて通産省といたしましては、当初から暴利取締令適用に対しましては全面的に反対して参つたのでありまして、安本を初め、農林省あるいは内閣あるいは党本部というように関係筋に連絡をとりまして、できるだけ暴利取締令発動を防止する努力をいたして参つたのであります。ことに六月以来の物価高は、御承知通り過去のインフレとは全然事情を異にするものでありまして、いわゆる国際相場の一齊高といいますか、アメリカその他の軍備拡張影響されました国際的好転でありまして、日本だけの物価高ではないのであります。この日本だけでない物価高に対して暴利取締令適用すること自体が根本的に矛盾しておる、間違つておるというのがわれわれの見解なのであります。ただしかしながら、関係筋からあまり急激に日本物価が高騰するので、その高騰を取締る必要ありという指示があつたということで、どうしてもある程度暴利取締らなければならぬということからこの問題が展開して参つたと了解しておるのであります。従つて何か一応形だけはつくらなければならぬのではないか。しかしながら実際問題として困難でありますから、形はつくつて業者取引にあまり影響のない方法をとる必要があるのじやないかということになりまして、それがわれわれと物価庁との意見相違したおもな点であります。そこで先ほど申し上げましたごとく、通産省で一応案をつくつて物価庁に示して、あらためて協議するということになつておるが、しからば通産省ではどういう点に重点を置いてその具体案をつくつておるかということでありまするが、大体われわれの見るところによりますると、織物価格と糸の価格には非常な相違があるのであります。たとえば糸でありますれば十三万円から十三万一千円、それが織物に逆算いたしますると十三万七千円くらいまでは十二分に引合うようなことになつておるのであります。しかも日本輸出の実績を見ますると、大体九割までが織物輸出でありまして、糸の輸出というものは、わずかに一%内外にすぎないのであります。しかもそれもインドあるいはパキスタン等、ごく小範囲の限られた国に輸出されておりまするので、この際糸を対象とすることは非常に業者に不安ときゆうくつな感じを與えまするので、幅の広い、織物対象とした具体的な案をつくることがいいのではないか、こういうふうに考えまして、主として通産省が現在つくつておりますのは、織物標準として、そうして法的措置を講ずるようにということを目途として、現在案を検討しておるのであります。
  12. 阿左美廣治

    阿左美委員 この指示価格というものがはつきりいたしませんと非常に業界も困るのでありますが、ただいま次官のお言葉によりますると、織物標準にして指示価格を研究するという御意見のようでありますが、やはりこの織物輸出価格といたしましても、時により場合により価格は非常に動いているものでございます。きようはこういう価格で、あすはやはり輸出価格にも相当な相違があるのでありますから、これらの価格をかりに標準といたしましても、相場というものは常に働いております。ですからどこを標準にするかということがやはり問題だと思うのであります。一度はこれを研究してこれが指示価格標準だとしてきめましても、輸出価格が動きますればその標準はやはり標準にならぬのであります。こういうようなことでありまして、どこまでといたしましても、相場を押えるということはできないのであります。こういうように思われます。先般もこの輸出織物に対しましても人絹四万円の相場輸出価格がついて来た。原糸高製品安だというので、業界は非常に経営に困難を来しておつたのですが、いろいろな海外の情勢もかわつて参りまして、この人絹四万円の価格に、輸出価格織物はついて来た。やはり四万円の価格買つても引合うというような状態なつたときにあの暴利取締令が出たのであります。それがために全部これが解約になつて輸出業者は非常に迷惑をした。また海以外におきましては日本で今暴利取締りをして物価を下げておるから、そのうち日本日本物価が下れば安く契約ができるというので、現在まで見送つておるというような状態でありまして、非常にこれは日本経済の上からも欠損になる、高く契約のでき得るものを暴利ために、現在契約を中止しておるというような状態であるのであります。できないことはあくまでもやめた方がいいのではないか、やるならば徹底的の方法においてやるべし。どうも中途半端のできないようなことを今日計画を立てて、いたずらに財界を混乱ならしめるということは政府として考えていただきたい。ぜひ輸出価格をつくらない、この暴利に対しては抽象的の取締りはしないということにぜひしていただくのがいいであろう。しからば現在の物価をこのままにしておくということは、これは国策の上からも考うべきことでありまして、他に私は方法があると思う。現在の業界は非常に金融難でございまして、季節的に必要なる物資供給ができない、それがため物価が上るのであります。生産の増大ができますれば決して物価は上らぬと思うのであります。生産面を抑えておいて必要なる物資供給できないというところにこの物価値上りがあるのでありまして、今までのインフレとは違うのではないか、金があつて物が買えないという時代ではないのでございまして、いらないものは現在でも相当にストツクしております。そういうものは売れないのでありますから、必要な物資をつくるということができますれば、これは決して物価は上らぬのであります。現在の金融状態を何とか政府において考えていただきますれば、私はこの物価は決して高騰するものではないと考えるのでございまして、現在の金融関係につきまして政府考えておることがないでしようか、お伺いをいたします。
  13. 首藤新八

    首藤説明員 動く物価に対して暴利取締令適用は不可能であること、並びに価格指示することによつてせつかく高値で売れるものを安値で売らねば相ならぬという御趣旨はまつたく同感でありまして、われわれもさような見解から、先ほど申し上げましたごとく、暴利取締令発動反対して参つておるのでございます。同時にただいま最後の御意見生産をふやすことが一番大事だ、これもまつたく同意見でありまして、われわれといたしましてはできるだけこの際生産をふやしたい。それにはまず原料をできる限り輸入しまして、そうして今後特需あるいはその他の輸出方面の引合がいかに増大いたしましても、これの供給に万遺憾なき措置を講じたいということに努力いたしておる次第であります。特に最近最も問題となつておりまするのは、綿の値上り並びに人絹スフ値上りであります。そこでわれわれ通産省といたしまして、この三者に対してどういう措置をとつておるかという点を一応申し上げたいと思うのでありまするが、綿の方に対しましてはすでに御承知と存じまするが、今日まで一週六日の操業、日曜を休みましたが、これをこの際七日操業にいたしまして全紡績を通じましてフルの運転をいたす準備をいたしたのであります。さらにまた今日まで一万錘以下の紡績に対しましては、原料の割当を控えておつたのでありますが、これも全部その能率に応じて原綿を配給することといたしまして、その面の生産増強も相当促進いたしておるのであります。大体現在考えられておりまする今後の増産は、月に五千こうりないし六千こうりを増産できる考えでありまして、明年の三月に至りますと、大体一箇月に五万こうりの生産増加が可能だというふうに考えておるのであります。かようになりますれば相当輸出の方が好調を呈し、また内地の方が相当需要が旺盛になりましても十二分に需給のバランスはマツチできるというふうに考えておるのであります。  また人絹に対しましては、すでにこれも新聞で御承知だと存じますが、各パルプ会社に対しまして、これも全能力を発揮いたしまして、生産増強を勧誘いたしておりますとともに、パルプ輸入に際しましても、格段の為替上における措置をとりまして、明年一箇年分の輸入がいつでもできるという態勢をとり、また為替資金も相当豊富に確保いたしておるのであります。  スフにおきましても、大体レーヨンと同様の措置を講じておりますので、現在この三者は相当値かさが高くなつておりますけれども、早晩国際相場と顔合せをする、マツチするというふうに現在考えておるのであります。  そこでこの暴利の問題でありますが、先ほど来申し上げた通り、われわれといたしましては、あくまでも暴利取締令適用の困難の点あるいはまたそれがため日本輸出貿易に暗影を投ずる点、また正常な取引を阻害するというような点から反対して参つておるのでありますが、この点は物価庁におきましても、この間の事情は十二分に了解してくれまして、先月来相当厳重な取締りをやつておりましたが、最近ほとんど取締りは中止したと申し上げてもいいような状態になつておると思うのであります。ただ問題はそれだからといつて全然放任するわけには参らぬ、そこで何かそこに一応の標準をつくつて、はなはだしき暴利をとるというものがあつたならば、それらに対しては取締りをするという一つの宝刀を用意しておくことは決してむだではないのではないかというような軽い考え方から先ほど申した方法を推進しているということになつておりますので、その点はとくと御了承願いたいと存ずるのであります。
  14. 阿左美廣治

    阿左美委員 ただいま首藤通産次官におかれましては、通産省としては暴利取締りには非常に反対をしておるのだという御意見でありまして、まことに私どもは意を強うする次第でございますが、いろいろお聞きいたしますと、通産省として指示価格に対する案を研究しておる、こういうようなお話でありますが、おさしつかえがなかつたならば、その案をお漏らしいただきますれば非常にけつこうと思います。
  15. 首藤新八

    首藤説明員 実はこの案は繊維局でつくつてもらうことが一番妥当ではないかというような考え方から、繊維局に一任してあるのでありまして、まだその結果は聞いておりません。ただしかし骨子となるのは先ほど申し上げましたごとく、物価庁の案が糸を対象としたものでありましたが、これでは非常にきゆうくつであり、輸出の方に大きな支障を来すおそれがあるという考え方から、織物に一応標準をかえるということと、     〔委員長退席中村(幸)委員長代理着席物価庁の案では前週の輸出価格平均をとつて、それの三割五分安を生産者価格平均価格から一割高を最終販売価格というような非常にきゆうくつな案をつくつておりましたので、これでは御説のごとくせつかく高値買つて輸出に対して安値で売らなければならぬというような状態を招くおそれが多分にありまするので、そういうきゆうくつ措置を一切廃止して、できるならばそれぞれの組合物価委員というものでもつくつてもらつて、適切な価格を策定しもらう。できればそれを標準とすることに織り込もうではないかということを実は話し合つておるのであります。繊維局におきましても十二分にわれわれの意向を了承しておりまするので、おそらく業者取引に対して大きな支障となるような案は作成しないであろうというふうに考えておるのであります。
  16. 阿左美廣治

    阿左美委員 大体において通産省といたしましては、暴利取締りに対しては反対であるという御意見のように伺つておるのでありますが、それでもやはり安本はどうしてもこの指示価格をつくりまして暴利取締りをしなければという現在、方針になつておりましようか。
  17. 首藤新八

    首藤説明員 先ほど申し上げましたごとく、関係筋にどうしても具体的内容盛つた暴利取締令を提出する必要ありということに相なつておりまするので、何らかその趣旨沿つた回答をしなければならぬということになつておりますので、その線に沿つた案を策定中である、さように御了承願いたいと思います。
  18. 阿左美廣治

    阿左美委員 どうか通産省といたしましては、業界の気持もよく御承知でありまして、いろいろの御努力に対しては感謝をいたしておりますが、この暴利取締りはいずれに研究いたしましても、私は実行困難のことと考えますので、最後にやはりどうしても取締りをいたさなければならないということになれば再統制になるよりほか道はないと考えます。それをしないように現在の取締り方法を研究するということは、結局労して効なしという結果に陥ることと思うのであります。ただいたずらに業界を混乱ならしめ、いろいろのむだな努力をするにすぎないと思うのでございます。どうかこれは通産省といたしましては将来取締りのできないようなことに対しましては、絶対に反対をしていただきたきたいと思うのであります。これをもつて私は質問を打切ります。
  19. 首藤新八

    首藤説明員 十二分に御趣旨は了承しておるつもりであります。先ほど申し上げましたごとく、当然物価庁でつくらなければならぬ性質の案を、一応われわれの意を受入れまして、通産省にその案の作成を一任したということ自体で、この暴利取締りに対する物価庁考え方も奈辺にあるかということは、大体御想像が願えると思うのであります。今後もできるだけ御趣旨沿つた方法をとつて行きたいと考えております。
  20. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は風早八十二君。
  21. 風早八十二

    風早委員 暴利取締りというわけですが、この価格問題というものは取締りでもつて解決できないということは先ほどからもいろいろ言われておりますが、価格というものは現在の輸出入関係であるとか資材関係であるとか、その他生産の面に非常に関係しているわけであります。そういう点を解決しないで、その結果になつている価格の騰貴というものに対してぶつかつて行くというところに非常にむりができたのだと思う。私は第一の質問として、要するに今物が不足している、だから値段が上るわけですが、その物の不足というものはどこから来るかというようなところにむしろ問題の根本があるのじやいかと思うのでありまして、その意味で若干特需関係に眼を向けて質問してみたいと思う。  特需によりまして滞貨が相当さばかれたということは、これは事実なんでありますけれども、その結果資材の確保というものがどうなつているか。特に緊急輸入の状況ですね。なお、軍の特需というふうなものが一般輸入に対してどういう影響を與えているか。そういう点について一応伺いたい。
  22. 首藤新八

    首藤説明員 正確な数字はちよつと申し上げかねますけれども、大体七月以降今日まで特需方面の発注は金額にいたしまして百億ないし百十億程度になつていると思います。その内容は鉄、繊維その他雑品であります。そこで最近の物価高が特需に相当影響しているかというと、われわれの見るところでは特需は日本物価に気持の上では非常な明朗さを與えておりますけれども需給の問題から考えますと、そう大した影響は與えていないと考えているのであります。しかしながら今後におきまして相当ふえて来るであろう、特に朝鮮事変が一応終止符を打ちますれば、次に来る建設、これに対しては相当大量の引合いがありはせぬか、あるいはアメリカ、英国その他の各国の軍備の拡張計画から考えますと、この方面からもまた相当大量の引合いが日本物資に参るのではないかというような期待を持つているのであります。そこで通産省といたしましては、この機会を逃さず、ぜひとも自立経済を確立いたしたい、それにはまず原材料の輸入に万全を期して、いかに今後大口の輸出ができましても、供給にさしつかえのない態勢を整えることが前提である。かように考えまして、七—九の輸入以来、自由輸入あるいは緊急輸入いろいろの方法をとりまして、大体七月以降今日まで四億ドルの輸入計画をやつているのであります。そこで一応計画はできましたが、一日も早く輸入しなければ海外の物価が上る、あるいはまた運賃が上る不安があるというようなことで、極力輸入の促進につとめているのでありますが、何分にも金融関係の方で相当難色がありまして、われわれの期待するほど進行しなかつたのであります。しかしながら、問題のユーザンスも先般解決いたしまして、このユーザンスの解決によつて急激に為替のとりきめがふえておりますので、今後は順調に輸入はできると思います。またぜひ輸入できるように促進いたしたいというふうに考えておるのであります。
  23. 風早八十二

    風早委員 その特需関係輸入についてはあとで伺いますが、その前にこの特需が今の資材や物価に実際上は関係があまりないのだというふうなお考えは、少しどうかと思うのです。これは繊維もそうですが、いろいろ機械製品の面では非常にはつきり出ておるのではないかと思う。たとえば通信機械関係でも、軍需と警察、そういう方面ではどんどんと需要が増大しておりますけれども、一方平和的な民需というものは極度に押えられておる。こういふうな場合に、つまり価格を押えるということはなかなかできない。大体軍需資材というものが確保される反面に、平和産業の資材というものがいろいろ問題になると思うのですが、この平和産業の資材問題について政府は一体どういう方針をとつておられますか、この点を一つ……。
  24. 首藤新八

    首藤説明員 特需物資も平和産業もそこには何ら相違はないのでありまして、同じ対策をとつております。従つて特需がふえたからといつて、平和産業の資材が抑制されたというような事実は今日までどこにもないと考えております。
  25. 風早八十二

    風早委員 それは、ないと言われても事実あるのですがね。今の通信機なんかでも実際お互いに不便していることはわかりきつたことで、大阪あたりの水害について見ても、あとの復旧がなかなかできないのは資材がないからであつて、ことに通信関係は、警察電話とか、それから軍関係のやつは相当まわつておる。その反面一般の設備の復旧というものはほとんど見込みが立たない、資材がないということを私ども聞いて来ているのですがね。いろいろなこまかい点はたくさんあります。亜鉛板なんかもまつたく民需用としてはないし、またあつても非常に値段が上つておる。マル公三百円というのが一枚八百円ぐらいしておるというような状態で、これは決して大阪の水害のの一時的な現象ではないと思う。そういうような点でこの軍需も、それから平和産業も同じだというようなことは暴論だろうと思う。そういう点についてやはり結局同じだと言われるのは、政府が特に軍需以外の平和産業について、その資材問題に一つ方針を持つておられるかどうかということを非常に疑わしく思うので今聞いてみたわけなんです。これは今足りないのだが、どうするというふうな方針が何かあるのではないか、それをひとつ親切に教えてもらいたいのです。どうしてこれを確保して行くか、そうでなければ、この物価問題、価格問題はやはり解決しないのです。実際そこにむりが出て来ておるわけです。そういう点で率直にひとつつてもらいたい。
  26. 首藤新八

    首藤説明員 通信機械その他で資材が欠乏しておるというようなお説でありますが、われわれの見るところでは資材が欠乏しておるのではなくして、あまり急激に需要がふえましたので、能力がこれに伴いかねておる。そこに供給不足の一番大きな原因がある、かように見ておるのであります。つまり御承知通り昨年来ドツジ・ラインの推進と、統制経済に対しまして大部分の商品が解除された。従つてそれまで非常に少いはずであつた売物が急激にふえて参つた、しかも金融梗塞から有効需要が減つて参つた、あるいはまた自由経済なつたことによつて決済が非常に不安になつて来たというようなことから、相当広い面の生産がどちらかというと減退しておつたのであります。その矢先に今度の朝鮮問題、あるいはまた各国の軍備拡張問題というものが一気に起つて、そうして需要が急増した。そこ生産面でこれに間に合わなくなつたということが供給不足の一番大きな原因だとわれわれは現在考えておるのであります。現に生産上能力はあるけれども資材が不足だというような声を当局者としてのわれわれはまだ聞いていないのであります。もしお説のごとく原料が非常に不足しておる。これがため生産が上らぬということでありますならば、必ずわれわれのところに対しまして原料の確保、あるいは配給の増大、あるいは輸入の促進というような陳情が来ると思うておるのでありまするが、これらが今日までふえておらないところを見ると、大体原料はあまり不足じやないんじやないか、ことに今日の各輸入原料状態から見ましても、生産には一向さしつかえない。少くとも相当量のランニング・ストツクが現在あるのであります。しかもわれわれとしましては、先ほど申し上げましたごとく、今後いかに大量の特需があり、輸出の機会があつても、これが供給に遺憾のない措置を講ずる。それにはこの際できる限り早く大量の物資輸入する必要があるということから、先ほど申し上げましたごとく、その面に全力をあげて輸入の促進に努めておるということになつておるのであります。     〔中村(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 風早八十二

    風早委員 どうも政府は今いろいろな陳情や請願がないというふうなことを言つておりますが、これは今に始まつたことじやないのです。陳情は年柄年中行つておると思うのですがね。早い話が金融の問題、何で金融でみんな陳情に行くかというと、みなやはり同じ問題なのです。能力が足りないと言われますが、どうして操業するかといえば、すぐ金の問題ですから……。それで来ておるのはみな同じ問題だということをひとつよく理解してもらいたいのです。それでこの金融の問題に関連して、軍の直接発注の場合の円払いの場合でありますが、この円払いの場合に、日銀のアカウントの関係はどういうふうになつておるか、これをちよつと聞いておきたい。
  28. 首藤新八

    首藤説明員 特需の決済は全部ドル決済ということになつておるのでありまして、ごく少部分のものが円決済のものがあるというふうに聞いておりますが、しかし原則はあくまでもドル決済であり、同時に大部分のものがドルで決済されておるというふうになつておるのであります。従つて円決済の部分が日本金融にいろいろの影響を及ぼすというようなことは考えられぬと思つておるのであります。
  29. 風早八十二

    風早委員 そうするとあまり次官はこういう点については十分にまだ検討しておられないと見る以外ないのですが、これは非常に莫大なものが円払い勘定になつておるわけです。私どもが聞いておるところだけでも、つまり日銀のルカウント氏の勘定で約四十億円くらいは円払いになつているわけですが、これは全体の勘定からいつても相当大きな額の割合を占めるのではないかと思います。そういう勘定そのものに非常に不審があるわけです。これはもともと昨年末民間貿易への切りかえの際に、GHQがその手元に保留しておつた外貨を日銀に売却して得られたものだというふうにわれわれは思うのですが、そうするとこれは当然こちらに帰属すべき性質のものだと思う。そういうものが特需勘定、ことに軍の直接の発注の場合の円払いに使われているというようなことを聞いているので、その点を確かめたいと思つたのですが、そういうことについてはまだ十分に検討しておられないわけですか。あるいはどなたか御存じの方がありましたら、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  30. 首藤新八

    首藤委員 われわれの今日まで承知しております範囲においては、お説のようなことはあり得ないと存じておるのであります。しかし一応調査いたしまして、その結果は日をあらためて御回答申し上げたいと思います。
  31. 風早八十二

    風早委員 もちろんわれわれとしてもこういうことはあり得ベからざることだと思いますが、事実はどうもそうらしいので、ぜひ確かめていただきたいと思います。  それからこの円払いの場合における貿易特別会計の使途のやりくりという点ですが、この援助物資輸入されて売りさばかれる際に、外商がそこに入つて来て、この外商が売上げ代金の一部を保留して、これを特需の買付けにまわすというようなことも聞いているわけですが、こういうようなことがあるとすれば、おそらくこの貿易特別会計から対日援助物資特別会計への振替というものが非常に困難になり、貿易特別会計に赤字が出るということになる。事実また出ているようですが、一方見返り資金というのは、援助物資が到着すると同時に、つまりこの貿易特別会計の勘定いかんにかかわらずとにかくそこに積立てられるということになつておりますが、結局貿易特別会計の赤字というものは必至にならざるを得ない。そういうところから、どうしてもこれはまた非常に重税負担というところにこれが転嫁されて行かざるを得ないようになつている。そのそもそもの元がこういう特殊の金融の仕方、ことに円払いの場合のそういうからくりから来ているのではないかということを考えるのですが、そういう点はやはり政府としても明らかにしておいてもらいたいと思う。これは場合によつては大蔵大臣に答えてもらつてもよいのですが、大体この辺のところは貿易関係だから御存じだと思いますから、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  32. 首藤新八

    首藤説明員 貿易特別会計にお説のようなからくりがあろうとは現在の機構上からこれまた考え得られないのであります。貿易特別会計に赤字が出る場合のあるのは、買入れた場合の価格と販売する場合の価格相違しているという場合に初めて赤字が出るのでありまして、外商がこれにタツチしてそのからくりによつて赤字が出るというようなことは断じてないということを申し上げておきます。
  33. 風早八十二

    風早委員 断じてないというお話ですから、それは次官一つのそういう認識として承つておきますが、外商が介入している。特に外商が売上げ代金の一部を保留して、それを特需の買付けに使つておるということは、これは世間では相当言われている事実なんであります。そういうことについては、すべてこれはないはずのことばかりでありますが、しかし事実それがそう言われておるのであるから、この点については、断じてないと言われただけではやはりはつきりしないと思います。そういう点についても今度はもう少し検討していただいた上でお答えを願いたいと思います。結局そういうことは全然ないと言われますから、現在の需給関係なり、またひいては価格問題について、これ以上その面から触れるということはちよつとむりだと思いますから、これでやめますけれども、しかし私が聞いているのは、ただ単にうわさというふうなものではないのでありまして、もしこういうふうなことを前提にすれば、やはりそこから今日のような民需関係のいろいろの金融逼迫の問題が当然出て来る。この間輸入貿手のユーザンスの問題が大体きまつたそうですが、あの場合でも、とにかく日銀が貿手を引受ける場合に、やはり七、八百億円の金がそのために日銀から出なければならぬと思います。これは緊急物資ですから、軍需も特にプロパーな軍需だと思います。そういうものを円滑に輸入するためには、どうしても八百億円くらい出さなければならぬ。ところがそれを出せばインフレになるからそれもいけない、いけないがそれは出さなければならぬということになると、それだけのものはやはり一般金融に対して非常な圧迫を與えるということになり、日銀からの発券総額は押えておいて、その中からこれだけはまわせというようなことになる。おまけに見返り資金から百億円というものをその一部としてまわしてやろうということになりますと、見返り資金の重要な部分がなくなつてしまう。さらにそれがなかつたならば当然民需にまわつたかもしれないその数百億円というものがまわらないということになつて、りくつから言いますとますます一般の金詰まりに拍車をかけるということになると思うのです。そういう点で、今のこういうような混乱の収拾について、政府は一体今後どれだけの確信を持ち、方針を持つておられるか、これがはなはだ不安だから、そういう点に少し立ち入つて政府の今後の施策についての方針を伺いたいのです。やはりそれがはつきりしないと、こういう暴利取締りというようなことをいくらやつてみても、先ほど阿左美委員が言われましたように、かえつて混乱を助長させるだけであつて、ほんとうの解決にならない。自由党の政府はまだ一貫して自由経済をとられるつもりなのか、あるいはもうこの辺で統制経済へ、ことに価格統制へ移らなければならぬと自由党も一体感じているのか、そういう点なんかも一向どうもはつきりしない。非常にごまかしているような感じがする。ちよつと暴利取締令というような形でごまかしているような感じがする。そのためにかえつていろいろ混乱を起させているというような感を、私どもだけでなく、一般に持つていると思うのです。経済団体連合会やなんかもそうですが、また特に紡績関係では、たとえば倉紡の大原社長なんかでもそう言つておりますし、それから大和紡の加藤社長なんかも非常に不満を漏らしておる。大阪へ参りましてもどこへ参りましても、至るところでそういうことは聞くのです。そういうことをずつと総合してみると、どうも今度の暴利取締令にしても、これはほんとうの腹でやつているのか、他から命ぜられてやむを得ずやつているのか、その辺のところもはなはだはつきりしないことになつて来る。もう少し政府の責任を持つた、自分自身から出た方針はどうこうであるが、しかしこういう事情があるから、これは今こうやつているのだというふうな点を、ひとつ率直に答えてもらいたいと私は思うのです。
  34. 首藤新八

    首藤説明員 御承知通りこの朝鮮事変が始まつて以来、物価は総じて三割内外上昇しておるのであります。この三割内外上昇しておるにもかかわらず、日銀の兌換券が三千五百億に押えられておる。ここに根本的にむりがある。従つて物価高において兌換券は当然ふえるのが常識でなければならぬにかかわらず、これをしいて押えておる。ここに実はもろもろのむりがあることはお説の通りであります。ただしかし日本の現在置かれておるところの立場、並びに関係筋インフレを極力抑制するという方針のもとに、この物価高に即応したところの通貨の増発を許されないということから、先ほど来申し上げましたごとくユーザンスあるいはその他の方法がとられておるのでありまするが、結局これらの方法も、ただ当場をのがれる一つの手段にすぎないと申しても私はあえて過言でないと思うのであります。結局三箇月後に来た場合には、やはり金融難に陥りはせぬか。そこで現在輸入が思う通りに促進しないということも、結局はこの問題が一番大きな原因をなしておるのでありまして、どうしても今後大量の輸入をいたしまするためには、この通貨の面において何らか窓をあける方法を講じなければ、所期の目的を達成いたしかねるのではないかというふうに考えられるのでありまして、われわれといたしましては、できる限りその面の推進に努めておるのでありまするが、何分にも現在のところ、先ほども申したような事情から希望のところまで達していないということになつておるのであります。しかし今後もこの面に対しましては、できるだけ努力して参りたいと考えております。  なおまた再統制の問題でありますが、これは日本物価国際相場と縁を切つて、いわゆるインフレ的な上昇を示す場合には再統制ということも考えられますけれども、現在のように国際相場と並行して動いております場合に再統制ということは根本的に成立たないのであります。むしろナンセンスな問題でありまして、いかに金融面その他に支障がありましても、これがために再統制ということは考えられないのみならず、実行も不可能だというふうに考えておるのであります。
  35. 風早八十二

    風早委員 それは確かに日本の立場からいつてそういうことが言えると思う。ところが実際問題としてみると、それをはたして押し切るだけの方針と確信があるかどうかということが問題になつて来る。それでこれは特にアメリカの経済といつたようなものと関連さしてみれば、どういう方向に来ているかということは大体わかると思うのです。アメリカでトルーマン大統領その他軍関係人たちと、こういう統制の問題では非常に意見が違つていたことも御承知と思いますが、結局おちついたところは、アメリカでは現在はあまりはげしい統制はやらない。結局ごく任意の統制方式でやつて行くということに大体おちついた。その反面、結局日本でありますとか西ドイツでありますとか、そういう国々に対しては今度は逆にやはり統制を強化する。そこでは少くともあまりもうけさせないという方針が、かえつて反面に出て来るということは十分に考えられるわけです。現にそういうふうな指示もあつたのではないかと思うのですが、そういう場合に政府は、いやしかしそれは日本の実情に合わないのであつて日本ではやはり価格統制は事実需給関係の自然の方式に従つてやるのが、今日日本の再建に役立つのだというだけの確信を一体持つておられるのか、それが一番問題だと思います。ですから先ほど金融の面でも大体三千五百というわくがある、そこに問題があるのだということを言われましたが、これは言いかえればドツジ・ラインというものは、つまりこのわくが非常に問題なんだということを言われたことになると思うのですが、そういう意味でこれを突破するために総力を結集して当つて行くというだけの確信と方針を持たなければ何にもならぬと思うのです。結局ずるずるに引きずられて泥沼の中に落ち込んでしまうということになると思うのです。そういう点で、なおまたこの次の機会にいろいろ具体的な問題に即して質問してみたいと思いますが、今日はこれで打切りたいと思います。
  36. 小金義照

    小金委員長 次は河野君。
  37. 河野金昇

    ○河野(金)委員 政務次官は一人でやつておられたので、くたびれられただろうと思いますから少し遠慮して、繊維局長、それから物価庁から来ておられましたら承りたいと思います。  まず繊維局長に承りたいのですが、昨年から本年の初めにかけて、繊維のいろいろな統制が解かれたが、綿だけが残つておるようであります。この綿に対する統制は、近き将来お解きになるつもりであるか、それとも幸い残つておるのだから、これだけは徹府的に統制を強化して行く方針であるか、その点をまず承りたいと思います。
  38. 近藤止文

    ○近藤説明員 ただいまお尋ねの綿の統制存続あるいは撤廃の問題でございますが、私ども事務的に現在考えております線は、御承知のように昨年来綿紡の関係につきましては、逐次増産はいたしておつたのでございますが、四百万錘という設備に制限のわくがございまして、相当能率は上げておりますが、思い切つた増産ができない状態であつたわけであります。ところがことしの春になりまして、四百方錘の制限を撤廃するという指令が出まして、現在新しい増錘の計画が相当たくさん出て参つておりますし、現に八月中までに新たに申請のございましたものだけでも二十万錘の数字になつております。今後十二月までには大体五十万錘くらいの新たな増加があると予想されるのであります。そこでその場合におきましての生産量がどのくらいであるかと申しますと、ただいまのところ十万五千こうりという月の生産量が大体平均しておつたのでございまして、これに対しまして動いておりました紡は、三百八十五錘であつたのでございますが、これが四百三十万錘くらいに年末に増加するにつれまして、同時に操業関係におきまして、従来一週六日の操業をいたしておりましたのを、工員を増加することによりまして一週七日操業することになつております。この操業状態は、大体十一月の末には、工場のうち約八〇%のものが一週七日操業に入り得るということに、計画といたしましてはなつておりますし、また休憩時間の問題でございますが、これにつきましても、工員の補充によりまして休憩時間を振りかえまして、一日十六時間のフル操業をいたすという計画を進めております。これも十二月初めには、大体各工場とも完了する予定になつております。その計算で参りますれば、本年末におきましては月十三万五千こうりの生産が可能になると思うのでございます。現在十万五千こうり程度の生産がございますが、それがどういうふうにわけられておるかと申しますと、内需といたしましては、最近は月三万七千五百こうりという数字であります。しかしことしの一月から六月くらいまでの間におきましては、二万九千こうりから三万こうりの間を上下いたしておつたのでございまして、残りが輸出に振向けられるという状態であつたのでございます。十三万五千こうりの生産ということになりますと、輸出はどう多く考えましても、大体月八万こうりあれば十分であるというように考えられますので、五万五千こうりの数字は内需に向けられる。なお引続き明年度に入りましても増錘、増産の計画がございます。こういつた観点を見て参りますと、綿だけ統制が残つておるから続けて統制を実施するということではなくて、むしろ綿もできるだけ早い時期に需給のバランスをとりまして、それによりまして統制を解除して参るという方向に持つて参りたい、かように存じておるわけでございます。
  39. 河野金昇

    ○河野(金)委員 統制のある綿関係に対する当局の取締りは、これは当然のことであろうと思うのでありますが、統制を解かれるときの気持としては、需給関係相場が変動しても、それは当然あり得ることであるという予想のもとに解かれたはずでありまするが、朝鮮の問題が起きたということによつて一時上ると、あわてて暴利取締りとかなんとかさわぎ出されて、実は政府の確信のなさにあきれるわけなのであります。しかもこの暴利取締りをめぐつて物価庁と通産当局との間には意見相違がある。通産省としては、あくまでもそれに反対だ。物価庁の方は、これを取締りをして行こうというふうに受取つたのであります。先ほど来首藤政務次官のお話だけを承りましたが、物価庁としても、統制を解かれたそのものに対しての取締りを強化しようという以上は、当然相当の確信がなければならぬことであろうと思います。しかるに通産省反対したからといつて通産省にまかせきりで、どういうふうになりと案を立ててくれというのは、あまりにも物価庁としてもだらしがないと思いますが、物価庁として一体これに対してどういうふうに考えておりまするか。
  40. 高橋時雄

    高橋説明員 御質問趣旨は、マル公のはずれた繊維品について暴利取締りを行うということについて、通産省物価庁意見相違がある。物価庁は、この相違があるものについて、通産省の案で引込むかというような御趣旨のようでございますが、私どもといたしましては、暴利取締りということ趣旨が、もちろんマル公をはずした現在でありますから、マル公を積み上げて行つたラインで縛るというのではないのでありまして、何か業界にも対外的にも十分納得の行くような合理的なラインを発見しようということでやつておるのでありまして、今まで若干意見相違がありましたとすれば、それは事務当局の間にいろいろ見解なり何なりの行き違いがあつたと思うのでありますが、なお現在安本、通産、物価庁を交えましていろいろと研究をいたしておりますので、まだ対立しておるとか何とかいうことではないと思うのであります。
  41. 河野金昇

    ○河野(金)委員 大体統制を解かれたときに、何かの事件が起るとか、何かの需要があればこういうことになるということは当然予想されることであります。どろぼうが来てからなわをなつているわけで、そのなわをわらにしようか、麻にしようかといつて今相談をしておられるような状態なのですけれども、これはあまりにも不見識きわまるものだと思うのですが、安本は来ておられますか。
  42. 小金義照

    小金委員長 物価庁だけです。
  43. 河野金昇

    ○河野(金)委員 どうも役所というものは、何か自分の方に都合が悪いとこれは通産省だ、これは安本だといつてお逃げになるわけなのでありますが、国民から見れば、これはやはり一つに見ているわけなのです。だからこれはなるべく早く一つ方針を立てなければならぬと思うのですが、今とにかく自由党が天下をとつている。自由経済の建前をとつている。統制を解かれて来た今の政府として、安本が何と言おうと物価庁が何と言おうと、一つの党の方針があるべきはずだと思うのであります。これはどうも首藤さんに聞くのは気の毒で、通産大臣に聞きたいのだけれども、おられぬからしようがなくて首藤君に聞きますが、とにかく安本が何と言おうと物価庁が何と言おうと、党としては一つ方針がなけらねばならぬと思う。統制を解いて来た建前として——統制を解いて来たのがいい悪いは別問題でありますが、一つの党の方針があるわけであります。それを物価庁が言つた、安本が言つたといつて案をおつくりになつておるというのだが、大体統制を解いたものに、一体何を暴利として、しかもそれを取締り対象にするということがいいと思つておられるのか悪いと思つておられるのか。これは自由党の根本政策に入つて来ることでありますから、首藤さんに聞いた方がいいと思うのでありますが……。
  44. 首藤新八

    首藤説明員 党の方針政府方針も、自由経済を目途といたしまして、その線に推進いたしておるのであります。従つて原則として、自由経済暴利取締り適用すること自体も、また大きな矛盾であるということも了承されます。ただしかしながらそれだからといつて、非常に目に余るような行為をするものを漫然と放任しておきますることも、秩序維持という建前からどうかと考えておりまするので、こういう面に対しましては、要するに目に余る行為に対しては、ある程度取締るということの方が、全般の治安確保という面から必要ではないかというふうな考え方を持つておるのであります。
  45. 河野金昇

    ○河野(金)委員 たとえばこの繊維に対する暴利の問題でありまするけれども、非常にあわてて暴利々々と言つておられる。糸は確かに上つたかもしれぬが、製品はそれについて上つておらないわけなのです。それを何もそんなにあわてる必要はなかろうと思う。治安の維持とかなんとかおつしやるが、治安の維持であつたらいつそのこと競輪でも早く廃止したらよほど治安維持になるのであつて、それは残しておこうと言う。これは製品は安いのです。糸は高くても、製品はとてもその糸について行つておらないのでありますから、必ずその面からこれは牽制されて来て、おちつくところにおちつくと思う。それをむりにおやりになることが間違いだと思います。先ほど来承わるところによると、政府最後逃げるところは司令部の指示だということでありますけれども、党の根本方針が何であろうと、たとい政府が何とおつしやろうと、司令部でも間違つていることもあろうと思います。党の信念に合わない場合があろうと思います。そういう場合は、そう何でも向うのことをおつしやらないで、向うによく教えてあげることの方がよかろうと思う。案外地方税の法案なんかでも、絶対これは司令部の命令だと言つておられても、われわれの持つて行つた修正が、全部は認められないが、一部認められたということがある。これは政府のいつも逃げどころだと思うのでございます。ほんとうに首藤さんが、この暴利取締りというのは、自由経済の建前からいつても、実情からいつても、感心しないものであるというならば、あなたの押しならできるはずであります。これはもう少し信念を持つておやりにならないと、国民にだけ強そうなことを言つて、向うさんの方にはぐずぐずしておつてつては、だめだろうと思います。絶対多数の国民の意思のある方向にお向けになることを、私は要望いたします。これについてどうお考えになりますか。
  46. 首藤新八

    首藤説明員 まつたくごもつともな御意見でございます。十二分に御趣旨に沿うように、今後とも努力いたすことを申し上げておきます。
  47. 河野金昇

    ○河野(金)委員 首藤さんは大分私の意思を尊重してくださるそうですが、結局この暴利取締りはやめるように真に努力をされるのか、それとも今案をつくつておられるのを強行されるおつもりか。その案をつくつて強行されるとすれば、そのどろぼうのなわがいつごろない上るか、ひとつそれの大体の時期を聞かしていただきたいと思います。
  48. 首藤新八

    首藤説明員 先ほど申し上げましたごとく、非常に目に余る行為をせない限りは、今後暴利取締りは実行せないということを、この際はつきり申し上げておきたいと思います。従つていわゆる具体的法案といいますか、これもできるだけ避けたいと思いますが、どうしてもつくらなければならぬ——これは物価庁の所管でありまするから、私がこの問題についてつつ込んで申し上げますることはどうかと思いますけれども、少くとも通産省考え方といたしましては、できるだけそういう具体的な措置を避けたい。しかしどうしても避けられないような情勢になりましても、先ほど申し上げましたごとく、目に余るような行為をせぬ限りは、実際において取締り対象とならないというような法案をつくることに努力いたしたい、こう考えております。
  49. 河野金昇

    ○河野(金)委員 どうもそこがあいまいで、目に余る、余らないは、その人の感じであります。従つて大阪の通産局の役人の考え方、あるいは経済調査庁でありますか、そういうところの考え方、あるいは名古屋、東京、みなこれはそれを扱う人の考え方であります。たとえば今までの統制をやつた場合もその通りであります。結局その衝に当る者の考え方で、もうきつくやる場合と、そこに非常にゆとりを持たせてやる場合とある。これはここに役人の方がおられて、こういうことを言うのは失礼だが、役人の方に自由裁量を與えるのは間違いであります。ものさしを與えるのなら、同じものさしを與えて置かなければ、とんでもない迷惑をこうむる場合が多いのであります。だから取締らないなら、取締らないようにしていただきたい。取締るなら、ひとつそのあいまいな目に余るとか余らないとかでなく、そういうごまかしでなしに、ものさしをきめておいていただきたい。こういうことを希望しておきます。
  50. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 暴利取締令適用されるにあたつて、こういうことをお調べになつたことがあるかどうかということを、一つ聞きたいと思います。これは大蔵省にお尋ねすべきことかもしれませんが、不当なる買占め行為をする場合においては、相当銀行が協力しておるということを、巷間しばしば聞くのです。また常識的に考えましても、多額の物資を買い占めるについては、融資を必要とするのであります。そういう事実も相当あろうかと思うのですが、暴利取締りをやられるについてそこまで追究して調べられたかどうか。
  51. 吉田龍雄

    ○吉田説明員 今回の暴利取締りについて、いろいろ御意見を承つたのでありますが、私どもといたしましては、大体今回の取締りは、違反を摘発するというようなところに重点を置いたのではないのであります。今次官からも申しました通り、あまりに目に余るようなひどい思惑、これがひいては国民経済にも悪い影響を及ぼす、そのひどいものは、何とかここでもつて押えて、正常な取引を促進し、適正な取引に戻すというところに、ねらいを置いて私どもはやつたわけでありまして、私ども取締りに入るときにおきましては、東京、大阪ともに綿糸にいたしますと、約一こうり二十万円程度のものであつたのでありますが、それが一応十七万円台ぐらいに下つて参りました。私どもといたしましては、こういうふうに一応業者の方も非常に自粛されまして、適正な水準にだんだん下りつつある。しかも九月十日過ぎになりましては、その価格も一応安定し、横ばいの状態に入りましたので、調査庁といたしましては、むしろそういうような状態になりました以上、苛察にわたるところの取締りというようなことは、一応これをゆるめまして、現在調査中にあるところの事件はとりまとめをする。しかし新しいものについては、真にその悪質であるというようなものはともかくといたしまして、全般的の一齊査察というような形での取締りは、ここしばらく差控えたいと思いまして、現在そういう方針をもつて処置しているわけであります。ただいまお話のありましたところの今回の思惑等には、銀行方面から多額の思惑資金が出ているのじやないかというお尋ねでありますが、私ども取締りの面から見ますと、あるいはそういうこともあつたかと思われるのであります。それは各大口の糸商あるいは問屋筋等を帳簿等にわたつて調べますと、朝鮮事変の勃発前と、勃発後におきましては、はなはだしきは数倍、十数倍に行かなくとも、十倍近くまでの非常に大きな取引にかわつて来ているようなところもあるのであります。これらの点から見ますと、ほんとうの推測ではありますが、これらの資金がどこからも出ようがないのでありまして、金融方面からやはり一時融通されたのではないかと疑いを持たれるような事態も、一応はあつたのであります。しかしこれはその金融関係に直接私の方では調査したわけでもありませんし、その資金の出所等につきまして、深く追究もいたしませんので、はつきりしたことはこの際申し上げかねると思うのであります。さよう御承知を願いたいと思います。
  52. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 物価が大体横ばいの状態に入つたから、この程度で手をゆるめるというお話ですが、多少横ばいの状態に入つたことは事実ですが、しかし非常に高いままで、その上る勢いがとまつた程度ではないかと思います。それで働く階級の立場から、収入の少い人たちの立場から考えれば、日常必需品の繊維等が現在の状態では実際困ると思うので、もう少し物価を下げるためには今手をゆるめては困ると思うのです。それで不当なる思惑買いの根元を断つことが必要であり、暴利取締られるならば、当然それを援助しておる銀行業者にまで手をつけなければ、この目的を達成することはできないと思うのでお聞きしたわけですが、そういう処置はとつておらぬ、銀行までは突いておらぬというようなお話ですが、それでは暴利取締りの効果は上らぬと思うのです。私は今希望としては、やはりもう少し生活必需品は値段を下げる必要があるのではないか、そういう点で、今手をゆるめないで、もつと追究して、しかもその根元まで突いて取締りをしてもらわなければならない、それを希望しておきます。もちろんそうした暴利取締令適用する、しかも目に余つたものだけを取締るということだけでは、実際氷山の頭の出たところをたたくぐらいのもので、大した効果はないと思うのですが、それだけでも今おつしやつたような効果があるというなら、もう少しやつてもらえばさらに効果があるのではないかと思いますので、その点を希望するわけであります。
  53. 吉田龍雄

    ○吉田説明員 ただいまのお話ごもつともでありますが、お話にもありましたように繊維の取締りというものは、現在の取引価格ではまだ高い、もつと下げさせる必要があるというお説のように承りましたけれども、私どももこれでもつて十分であるというふうには考えておりません。しかし取締りというものには一つ限界があるのでありまして、先刻来いろいろお話のありました物価の引下げには、行政面において、あるいは金融面その他におきまして、あらゆる角度から各種の政策をあわせ行いまして、初めて物価の引下げができるのでありまして、取締りでもつてこれ以上下げさせるということは、その考え方が誤つておるのではないかと思います。私どもの感覚から申しますと、現在の思惑のはなはだしきものをたたいて、ここまで一応下つた。私どもが下げたとは申しませんけれどもつて来た。これ以上下げさせるというためには、取締りというような苛察の方法をもつて下げることは、やり方が間違つておる、もつとほかの手でもつて下げるべきであるというふうに考えておりまして、一応私どもは手を引いたような次第であります。
  54. 首藤新八

    首藤説明員 ただいま加藤委員から調査庁に対して、金融面の元を切らなければ効果がないじやないかというお説でありましたが、これはわれわれもさように考えているのであります。この問題に対しましては、先ほど銀行がただ漫然と信用貸しした、これによつて相当の思惑買いが行われたかどうかという論でありますが、そういう面も多少あるかと存じまするが、大部分の資金は、貿手を利用したことの方が相当大きく資金の融通の面に働いているのであります。たとえば貿易業者が、一応品物が入りますれば六十日の自己手形を振り出しまして、それによつて金融を受けるのでありまするが、一方においてその現物は買手の方にまわして現金の決済がありまして、結局この決済のできた分に対しては、片方における六十日の手形が融通できるという面が相当多いのであります。そこで先月の中旬でありましたか、この問題に対しまして、今日までは貿易業者の自分の振出手形で銀行が金融しておりましたけれども、今後はメーカーと連署の手形でなければ金融をしないという一つの大きな制限を加えたのであります。いわゆる単名手形でよかつたものを複名手形にした、しかもそれは売先であるところのメーカーの連名でなければならぬということにいたしましたので、かりにメーカーが現金決済をするというようなことになれば、当然この貿手には署名しないということになりまして、この面におけるところの金融は不可能になります。ここを実はねらつてそういう処置をとつているのであります。従つて一時非常な勢いで思惑取引が行われましたが、おそらく今後はさような潤沢な資金は都合ができないのではないかというふうに考えているのであります。さらにまた暴利取締令をもう少しやつたらどうかという御意見でありまするが、これは先ほども阿左美委員からもるる申し述べられ、また河野委員からも申し述べられましたが、われわれの見るところにおきましては、せつかく国際的に各商品が活況を呈して来た。日本もこれに歩調を合してだんだん好転しつつある。この際に何とかして日本経済を堅実に発展せしめたい。できるならば自立経済を一日も早く確立いたして、そうしてアメリカからの援助から解放するような措置を講じたいというふうな考え方を持つているのであります。従つて日本だけが特に国際商品よりも非常に高いという面は考えなければなりませんけれども、少くとも国際商品に足並をそろえて行くという程度におきまして、しいてこれに抑制を加えるという方針には、われわれといたしましては、どうしても賛意を表しかねることを御承知願いたいと思います。
  55. 小金義照

    小金委員長 本日はこの程度にして、明日は午後一時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十分散会