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1950-07-29 第8回国会 衆議院 通商産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 河野 金昇君    理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    江田斗米吉君       小川 平二君    神田  博君       澁谷雄太郎君    高木吉之助君       永井 要造君    中村 純一君       福田  一君    南  好雄君       村上  勇君    高橋清治郎君       加藤 鐐造君    田代 文久君       小平  忠君  出席政府委員         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務官         (通商纎維局         長)      近藤 止文君         通商産業事務官         (資源庁炭政局         長)      中島 征帆君  委員外出席者         資源庁次長   岡田 秀雄君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 七月二十八日  鉱業法案内閣提出第一九号)  採石法案内閣提出第二〇号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  鉱業法案内閣提出第一九号)  採石法案内閣提出第二〇号)  纎維に関する件  閉会審査に関する件  委員派遣承認申請に関する件  閉会審査小委員会設置に関する件   請 願  一 中小企業対策に関する請願水谷長三郎君    紹介)(第一号)  二 横浜纎維製品検査所川俣支所本所昇格並    びに小高支所設置促進請願大内一郎君    紹介)(第二号)  三 木材防腐加工処理法制化に関する請願(    木村公平紹介)(第七九号)  四 北海道特産品取引所上場商品指定並び    に小樽市に商品取引所設置請願(苫米地    英俊君紹介)(第八〇号)  五 電気事業分断反対に関する請願外一件(佐    々木更三君紹介)(第八一号)  六 同(庄司一郎紹介)(第八二号)  七 復元又は新規の無登録織機設置許可に関す    る請願大野伴睦君外三名紹介)(第一一    三号)  八 中小企業共同施設助成金増額に関する請願    (阿左美廣治君外一名紹介)(第一四〇    号)  九 絹、人絹織物工業に対する電力割当量増加    に関する請願阿左美廣治君外一名紹介)    (第一四一号) 一〇 久瀬村地内発電所建設工事再開促進に関す    る請願大野伴睦紹介)(第一四二号) 一一 福井県織物工業協同組合共同施設建築費融    資に関する請願大野伴睦紹介)(第一    八一号) 一二 絹人絹織物工業経済自立に関する請願(    高木吉之助君外一名(紹介)(第一八二    号) 一三 絹人絹織物輸出振興対策に関する請願(    高木吉之助君外一名紹介)(第一八三号) 一四 農業用電力料金引下げ請願江崎真澄君    紹介)(第二〇五号) 一五 電力割当に関する請願江崎真澄紹介)    (第二〇六号) 一六 岩手山ろく電源開発事業促進に関する請願    (山本猛夫紹介)(第二一五号) 一七 津島市に小型自動車競走場設置請願(江    崎真澄紹介)(第二一六号) 一八 織物工業に対する電力割当量増加に関する    請願阿左美廣治紹介)(第二八七号) 一九 上椎葉電源開発工事促進に関する請願(渕    通義君外五名紹介)(第三五九号) 二〇 九州地方電気事業編成に関する請願(    上林山榮吉君紹介)(第四〇一号) 二一 元秦野町外四箇町営電気事業復元に関する    請願(小金義照紹介)(第四〇二号) 二二 神戸纎維製品検査所広島支所設置に関する    請願(多武良哲三紹介)(第四〇三号) 二三 同(高橋等紹介)(第四〇四号) 二四 中小企業等協同組合法の一部改正に関する    請願今澄勇君外六名紹介)(第五三三    号) 二五 中小企業緊急金融対策等に関する請願(今    澄勇君外六名紹介)(第五三四号) 二六 農業用電力に関する請願井上良二君紹    介)(第五三五号) 二七 農業用排水電力に関する請願大野伴睦君    紹介)(第五三六号) 二八 自動車工業対策に関する請願苅田アサノ    君外三名紹介)(第六〇五号) 二九 岩手県に電気計器調整所並びに電気試験場    設置請願山本猛夫紹介)(第六一五    号) 三〇 電気事業編成追加修正反対に関する請    願(山本猛夫紹介)(第六三一号) 三一 中小企業者に対する金融措置並びに国庫補    助増額に関する請願山本猛夫紹介)(    第六三二号) 三二 長崎県下の特別鉱害復旧に関する請願(本    多市郎君紹介)(第六九三号) 三三 同(坪内八郎紹介)(第六九四号) 三四 離島における電力増強並びに点燈時間延長    に関する請願坪内八郎君外一名紹介)(    第七〇三号) 三五 農業用電力確保並びに料金引下げに関する    請願外三件(江崎一治紹介)(第七四三    号) 三六 電気事業分断反対に関する請願角田幸吉    君紹介)(第七六三号) 三七 電気工事法制定に関する請願丸山直友君    紹介)(第七六六号) 三八 雨龍村自家発電所建設費国庫補助請願(    篠田弘作紹介)(第七六七号) 三九 蹴上発電所を京都市に復元請願小川半    次君紹介)(第七七六号) 四〇 明塚発電所建設促進請願山本利壽君紹    介)(第七八六号)   陳情書  一 中小商工業振興対策強化に関する陳情書    (第    一号)  二 信用保証制度法制化等に関する陳情書    (第一二    号)  三 横浜纎維製品検査所川俣支所本所昇格    等の陳情書    (第一三号)  四 福島県絹、人絹織物協同組合に対し商工中    央金庫より資金貸付陳情書    (第一四号)  五 信用保証制度法制化陳情書    (第三    二号)  六 中小企業対策に関する陳情書    (第三三号)  七 中小商工業者の救済に関する陳情書    (第    五五号)  八 中小企業対策に関する陳情書    (第九七号)  九 中小企業等対策に関する陳情書    (第一一一    号) 一〇 農業用電力料金値上げ反対陳情書    (第一一二    号) 一一 中小企業金融対策に関する陳情書    (第一二    七号) 一二 中小企業対策として金融保險制度の創設に    関する陳情書    (第一四五号) 一三 炭鉱杭木売掛金回收に関する陳情書    (第一六五号) 一四 明塚発電所建設着工促進に関する陳情書    (第一六七号) 一五 熊野川総合開発計画実現促進陳情書    (    第一六八号) 一六 農業用電力料金引下げ陳情書    (第    一六九号) 一七 紀南電源開発促進に関する陳情書    (第二〇六号) 一八 中小企業振興対策に関する陳情書    (第二〇八号) 一九 只見川水力開発促進に関する陳情書    (第二〇九    号) 二〇 炭鉱杭木売掛金回收に関する陳情書    (第二一三号) 二一 自転車競技法による地方財源確立に関する    陳情書    (第二一七号) 二二 中小企業金融円滑化に関する陳情書    (第二二三号) 二三 椿原水力発電事業促進に関する陳情書    (第二三二    号) 二四 中小企業金融対策に関する陳情書    (第二五一号)     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 これより通商産業委員会を開会いたします。  ただいまから、昨二十八日本委員会に付託になりました、内閣提出鉱業法案及び採石法案一括題議として、提案理由説明を求めます。横尾通商産業大臣
  3. 横尾龍

    横尾國務大臣 今回提出いたしました鉱業法案並びに採石法案提出理由を申し上げます。  鉱業法は、鉱業を規律する基本法で、現行鉱業法は、明治三十八年制定せられ、その後十数回の改正を経て今日に至つたのでございます。時代の進歩、経済の発達及び関係法律の改廃によりまして、現行鉱業法は広汎な修正を必要とするに至つたのでございます。  政府といたしましては昭和二十一年から現行鉱業法改正準備に着手し、昭和二十二年に、当時の商工省に学界、業界その他の関係者委員とする鉱業法令改正委員会を設けまして、鉱業法改正についての意見を諮問し、昭和二十四年三月にその答申を得、またその目的のために、アメリカから来朝されたアメリカ鉱業法の專門家の助言をもちまして、この法律案を立案した次第であります。  今回提案いたしました鉱業法案は、鉱物資源を合理的に開発することによつて公共福祉増進に寄與するという根本目的においてはもちろん、鉱業権を中心とする法律の基本的な構成におきましても、現行鉱業法と根本的な相違はないのでありますが、鉱物資源を一層合理的に開発し、鉱業一般公益及び他産業との調整をはかり、かつ、法律の運用を愼重にして、国民の権利保護に遺憾のないようにすることを目標として立案いたしました結果、現行鉱業法の單なる改正でなく、現行鉱業法にかわる新たな鉱業法制定提案いたすこととなつたのであります。  この法律案現行鉱業法と異なつている主要な点を申し上げますと、その第一は、鉱業法上の鉱物石灰石ドロマイトけい石、長石、ろう石、滑石及び耐火粘土並びに在来砂鉱法適用を受けました砂鉱を追加したことであります。石灰石以下七種の鉱物は、わが国の重要なる地下資源であり、将来ますますその需要の増加が予想されますので、この際これらの鉱物鉱業法上の鉱物とし、法律保護、監督のもとに、その合理的な開発をはかろうとするものであります。また砂鉱は、従来砂鉱法適用を受けておりましたが、砂鉱法はその内容において鉱業法とほとんど同様でありまして、今後も特に別の法律にする必要が認められませんので、砂鉱法を廃止して、鉱業法に統合することといたしました関係で、鉱業法上の鉱物としたものであります。  第二は、鉱業権存続期間等に関するものであります。現行鉱業法では、試掘権は四箇年、採掘権は無期限となつておりますが、この法律案におきましては、試掘権は元来が鉱物の存否及び採掘価値があるかどうかを確認する作業を行うための権利でありますので、その存続期間を二箇年とし、さらに試掘を継続する必要がある場合には、一回限り二箇年の延長を認めることとして、採掘に適する場合は、すみやかに採掘権に移行させることとしたのであります。採掘権につきましても、一つの鉱区開発は、一定期間で終了するものでありますから、一応その存続期間を三十箇年とし、その後も採掘価値がある場合には、存続期間更新できることとしたのであります。また鉱業権者鉱業実施義務を明確にし、やむを得ない事情で鉱業を実施しない場合は、あらかじめ認可を受けさせることとしたのであります。  第三は、租鉱権に関するものであります。現行鉱業法におきましては、鉱業権者でなければ鉱業を行うことができないことになつております。しかし旧重要鉱物増産法及び旧石炭鉱業権等臨時措置法におきましては、鉱物増産をはかるため、許可または決定に基いて鉱業権使用権設定し、鉱業権者以外の者が鉱物を掘採することを認めたのであります。これは臨時的な増産の必要のために認められた制度であつて、必ずしもそのまま基本法たる鉱業法に取入れるべきものではないのでありますが、現実においては、鉱業権者がその鉱区の一部で他人残鉱の收取等を行わせることが、鉱物経済的な開発利用のために適切なる場合がありますので、そのような場合に限つて当事者の合意により租鉱権設定して、租鉱権者鉱業を行うことを認めることにしたのであります。  第四は、鉱業に関する勧告または協議に関するものであります。旧重要鉱物増産法及び石炭鉱業権等臨時措置法には、隣接鉱区相互間の増減鉱業権交換売渡事業設備譲渡等について、広汎に国が関與する規定があつたのでありますが、この法律案におきましては、鉱床の完全なる開発のため、やむを得ない必要がある場合には、通商産業局長は、隣接する鉱区相互間の増減について勧告をし、当事者の申立があつたときは、当事者間の協議にかわる決定をするることを認め、鉱区が密集し、錯綜する地域における鉱業権交換売渡については、通商産業局長交換売渡についての勧告をすることだけを認めたのであります。また現行鉱業法では、通商産業局長は、理由を示して施業案の変更を命ずることができることになつておりますが、この法律案では、通商産業局長は、鉱床の完全な開発のため、やむを得ない必要があるときは、まず施策の変更勧告し、勧告が聞かれなかつた場合に初めて変更を命ずることとしたのであります。  第五は、土地使用及び收用に関するものであります。現行鉱業法では、鉱業権者他人土地使用する権利を認め、土地所有者の請求があつたときに限つて、その土地收用することになつておりますが、鉱業上の土地使用には、恒久的でかつ土地形質変更してしまう場合が多く、この場合にいつまでも使用の状態を続けることは、現状に適しないので、特定の鉱業上の目的他人土地利用し、その土地形質変更し、しかもその土地を将来長く鉱業上の目的に供さなければならないときは、その土地收用できることとしたのであります。なお従来は鉱業のための土地使用及び收用については、すべて鉱業法規定をされておりましたが、この法律案では若干の特別の定めをするほか、すべて土地收用法規定によることとしたのであります。  第六は、鉱害賠償に関するものであります。鉱業を行う者が、鉱害について特別な賠償義務を負う場合、及びその賠償義務を負う場合、及びその賠償を金銭または原状回復によつて行うものとする点においては、この法律案現行鉱業法と同様でありますが、従来から土地及び建物について被害の発生を予想して、損害賠償をした後に、その土地または建物第三者に譲渡された場合の賠償対抗力について問題があり、時として二重の賠償をする結果となるような場合がありましたので、土地または建物に関する損害について、予定された賠償額支拂いは、政令で定めるところにより、登録をしたときは、その後その土地または建物について権利を取得した者に対しても、その効力を生ずることとして、予定賠償効力を明確にするとともに、登録によつてそれを公示し、第三者が不測の損害を受けないようにしたのであります。また鉱害賠償公正適切に行う資料とするため、通商産業局長は、地方鉱害賠償基準協議会に諮問した上で、鉱害賠償方法範囲等に関する基準を作成して公表することができることとし、さらに現実鉱害賠償について争いが生じたときは、裁判所の調停の前に、一般公益を代表し、または各産業について知識経験のある者のうちから、通商産業局長指定する仲介員の和解の仲介を受けることができることとしたのであります。  第七は、通商産業局長の権限の行使に関するものであります。この点につきましては、通商産業局長が、この法律案に基く重要なる処分を行う際には、あらかじめ関係者に対し、公開による聽聞を行うこととして、処分公正適切にすることをはかつているのであります。  第八は、土地調整委員会による鉱区禁止地域指定及び通商産業局長等処分に対する裁定申請制度に関するものであります。鉱区禁止地域指定と申しますのは、一定土地鉱物を掘採することが、一般公益または農業林業もしくはその他の産業と対比して適当でないと認めるときは、土地調整委員会鉱物指定して、その土地鉱業権設定を禁止する制度であります。また裁定申請と申しますのは、鉱業に関する出願土地使用または收用に関する申請等に対する処分について、その処分公益上または農業林業もしくはその他の産業に対する関係から、不当であるという点で、不服のある者に、土地調整委員会裁定申請して、その処分の取消しまたは変更を求める道を開いた制度でありまして、ともに鉱業とそれ以外の土地利用との調整を、公正な第三者の立場で決定しようとする制度であります。  以上述べました点が、この法律案現行鉱業法と異なる主要な点で、その他の点につきましては、大体において現行法原則をそのまま認めているのであります。  なお、この法律案施行に伴う経過措置及び関係法律改正につきましては、別に鉱業法施行法を提出することにいたしております。  以上この法律案現行法と異なる点を明らかにしつつ、この法律案提案理由を御説明いたしましたが、これをもつて今後のわが国鉱物資源開発のための基本的制度とし、鉱物資源を合理的に開発することによつて公共福祉増進に寄與しようとするものであります。  何とぞ愼重御審議の上、可決されんことをお願いする次第であります。  次にただいま議題となりました採石法案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  言うまでもなく鉱物岩石等地下資源は、一国経済の重要な基礎をなすものでありして、しかも人工的に再生産することのできないものでありますので、諸外国においても、その国の実情に応じて、これらの掘採取得について特別の法律制定し、その合理的開発をはかつているのでございます。  わが国におきましては、重要な鉱物につきましては、鉱業法適用され、それらの鉱物は、土地所有権内容から除外され、出願に基いて設定される鉱業権によらなければ掘採できないこととするとともに、鉱業目的に必要な土地使用権等を認めることによつて土地所有者と個々に契約を結ばなくても、鉱物の掘採ができることにしているのであります。しかるに岩石及び鉱業法適用を受けない鉱物につきましては、従来その採取に関して特別の法律規定がなかつたため、その採取を行おうとする者は、みずから土地を所有している場合のほかは、土地所有者との債権契約によるか、あるいは土地を買い取らなければならなかつたのであります。その結果土地所有者契約を結ぶことができないか、あるいは土地の買取りについて承諾を得られない場合は、岩石等採取を行うことができず、有用なる資源開発を阻害することが住々あつたのであります。  さらに債券契約による場合は、土地の転売によつて採取権利を失つたり、または契約期間の満了に際して、その更新を拒絶されたり、不当な代償の支拂いを要求されたりいたしまして、採取を継続することができなくなる危險がありますので、これらの事業者は、安心して事業設備に資本を投下して、岩石等の合理的な開発を行うことができない現状にあるのであります。しかし岩石及び鉱業法適用を受けない鉱物のうち、ある種のものは、いずれも重要なる地下資源であり、建築事業用工業用等各方面に重要な用途を有するものでありまして、これらの有効なる開発の成否は、わが国経済復興の影響するところきわめて大なるものであります。  以上申し上げました理由に基きまして、この法律案におきましては、その採取につき特別の法律制定を必要とするこれら岩石及び鉱物を、第二條におつて岩石」とよび、またこれらの採取事業を「採石業」ということといたしまして、本法の適用を受けることとし、採石業者権利の安定を期し、岩石資源の有効な開発をはかつているのであります。  しからば、この法律案においては、いかなる方法によつて採石業者権利の安定をはかつているかと申しますと、鉱業法においてその適用を受ける鉱物につきましては、それらの鉱物土地所有権範囲外のものとされているのでありますが、この法律案にいう岩石につきましては、明治以来のわが国鉱業立法の沿革や、一般の社会的な観念に従つて土地所有者支配下にあるものとしているのであります。しかしその採掘に関する権利を確立するため、新しく採石権という土地に関する物権を創設したのであります。これによつて他人土地岩石採取を行おうとする者は、土地を買い取らなくても、採石権という確実な権利によつて岩石採取をすることができることとなるのであります。  なお採石権は、個人間の任意の契約によつて設定されるのが原則でありますが、岩石採取を行うことが適当な土地にについて、土地所有者等が、採石権設定に同意しないときは、岩石採取を行おうとする者は、通商産業局長申請し、その決定によつて採石権設定を受けることができることにしているのであります。しかしその土地が鉄道、軌道、道路、水道、運河、港湾、河川、湖、沼、池、橋、堤防、ダム灌漑排水施設、公園、墓地、学校、病院、図書館等公共用施設敷地または用地であるとき、建物敷地であるときは、決定申請はできないこととし、またその土地農業林業その他の産業のために使用する方が、岩石採取のために使用するよりも有益の場合、または岩石採取公益を害する場合には、採石権設定する決定は行わないこととしているのであります。そのほかその決定については、関係者公開による聽聞を行うとともに、土地調整委員会承認を要することとし、かつ決定不服のある者は、土地調整委員会裁定申請できることとしているのであります。なお採石権の譲り受けまたは採石権存続期間更新につきましても、同様に通商産業局長決定によりまして、採石権の讓り受けまたはその存続期間更新をすることができることとしたのであります。  また採石業を行うためには、岩石運搬等目的他人土地をどうしても利用しなければならない場合がありますので、これらの場合について鉱業法と同様の手続によつて他人土地使用することができることとしているのであります。但し、鉱業の場合と異なつて採石業者は、土地所有権採石権その他何らかの形で土地利用権を持つているのでありますから、使用目的については、鉱業の場合に比して著しく狭く限定しているのであります。  なお岩石採取によつて土地の陷沒、土砂の流出等が起り、公益を害する場合が考えられますが、このようなときは通商産業局長が防止のため必要な命令をなし得ることとする等、事業に対する若干の監督的な規定を置いたのであります。  以上この法律案提案趣旨と大要とを御説明いたしましたが、政府といたしましては、今後この法律案施行によりまして、わが国岩石資源法律的な基礎の上に立つて合理的に開発され、ひいてはわが国経済復興に資するところのあることを期待しているものであります。  何とぞ愼重御審議の上、可決されんことを希望いたします。
  4. 小金義照

    小金委員長 これにて両案の説明は終りました。質疑は次会より行うことといたします。     —————————————
  5. 小金義照

    小金委員長 次に請願及び陳情審査に移ります。請願及び陳情書日程全部を一括議題といたします。請願及び陳情書審査小委員長の報告を求めます。多武良哲三君。
  6. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいま議題となりました請願及び陳情につきまして、通商産業委員会請願及び陳情書審査小委員会における審査の結果を簡單に御報告申し上げます。  第八国会において通産委員会に付託されました請願は四十件、陳情書は二十四件でありまして、そのうち請願日程第五、六、二八、三〇、三二、三三、三六の計七件は、それぞれ内容に困難な点がありますので、その可否を決することを保留いたし、その他はすべてその趣旨は妥当なるものと認め、採択すべきものと議決いたした次第であります。  なお陳情書はすべて了承すべきものと議決いたし、今後の法案審査、国政調査等の参考といたしたいと存じます。  以上簡單でありますが、御報告申し上げます。
  7. 小金義照

    小金委員長 ただいまの小委員長の報告について、何か御発言はございませんか。——別に御発言もないようでございますから、ただいまよりただちに可否の決をいたしたいと思います。ただいまの小委員長の報告の通り、請願につきましては日程第五、第六、第二八、第三〇、第三二、第三三、及び第三六の各請願の可否の決定は延期いたしまして、その他の各請願は議院の会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと決し、陳情書につきましては、当委員会の議案審査、または国政調査の参考に資するという意味におきまして、日程全部を尚委員会において了承することといたしたいと存じますが、以上の通り決するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決定いたします。  この際ただいま議決いたしました請願委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小金義照

    小金委員長 御異議ないと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決します。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  10. 小金義照

    小金委員長 では速記を始めてください。  それでは午前中はこの程度において休憩いたします。午後は一時半より開会いたします。     午前十一時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時五十四分開議
  11. 小金義照

    小金委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまより纎維に関する件を議題として調査を進めます。質疑をお許しいたします。高木吉之助君。
  12. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 纎維局長にお尋ねいたしまするが、朝鮮問題を契機といたしまして、相当今後綿織物に対して特需がふえて参ると存ずるのでありますが、さような場合におきまして、国民衣料品確保の面におきまして、原材料が確保できるか、あるいはまた輸出の面が増強して行く関係上、綿花の輸入状態におきまして、非常に僅少なために、再びきびしき統制に入つて行くということも考えられるのであります。大体綿花の輸入の見通しと、特需の関係、その他統制に対する見通しに対して御所見を伺いたいと思います。
  13. 近藤止文

    ○近藤政府委員 ただいまお話の、綿に関しましての今後の需給の見通し、それから朝鮮問題に関する特需の関係、あるいはそのほかに最近御承知のように、警察予備隊の設置によりまして、ある程度の数量の衣料が必要となるというような問題がございまして、これらの事情がどうなるかというお尋ねでございます。  それで最初に綿花の今後の需給の概要を申し上げますと、御承知のように、綿花につきましては、昨年以来相当輸出が増進いたしております関係もございまして、輸入の数量が画期的に増加いたしております。ただいまの見通しで申しますと、昨昭和二十四年度は約八十八万俵の輸入でございましたが、昭和二十五年度におきましては百三十二、三万俵、場合によりましては百四十五万俵までの輸入をいたしたいと考えておるのでございますが、この最初の予定よりも約二十万俵近く増加する傾向になつておりますのは、御承知のように最近の輸出増加というような問題に関連いたしまして、ドル資金の手当がかなり潤沢になつてつておりますので、この際できるだけ多量の綿花を買いつけたということから、当初の予定計画よりは二十万俵程度の数字が増加することに相なつておるのであります。この綿につきましては、先般四百万錘の紡績の生産設備の制限が撤廃になりまして、大体本年の末におきましては、実際の錘数といたしましては約四百三十万錘程度、来年の末になりますならば、四百八十万錘くらいの設備が完了する予定になると思うのであります。それらの増加いたしました設備によりまして、増大いたしました綿花の輸入を消化いたすという計画に相なつておるのでありまして、今後七—九月から先相当の増産を見込んでおるわけであります。  そこでただいま問題になつております特需の関係がどういうことになつておるかと申し上げますと、実はただいままでのところでは、朝鮮問題に関連いたしましての特殊需要というのは、綿につきましてはまだほとんど起つておりません。いろいろ新聞紙等に報道されております事項で多少誤解されておる点もあるようでございますので、具体的にどういうことになつておるかということを申し上げますと、現在特別の需要として私の方に話のありますのは、電線の被覆の生地を多少急速の需要として言うて参つておりますが、これは数量にいたしましてわずか千五百反であります。なお朝鮮の需要の問題に関連いたしまして、先般新聞紙上で五万こうりの綿糸の生産命令をするというような記事が載つておつたのでございますが、これはまつたく事実無根の記事でございます。この事情は、実はこの朝鮮問題がどうなるかは別にいたしまして、将来朝鮮の問題が片づきました際には、いろいろいわゆる宣撫工作用物資と申しますか、あるいは難民救済用の物資と申しますか、そういつたものの衣料の供給がある程度必要であるかもしれない。その場合に一体アメリカ本国から直接朝鮮に製品を持つて来た方がよろしいか、あるいは綿花を日本に持つて参りまして、日本でそれらの加工をいたしまして、朝鮮に持つて行つた方がよいかというような問題の検討が現在行われつつあるようでございまして、これは日本側にも何も話はございません。おそらく司令部内部でそういつたような将来の検討をされておることだろうと思うのであります。これが具体的に五万こうりの生産命令になるというような記事として載つておりますが、まつたくそういうことはないのであります。ただいまの状況からいたしますと、朝鮮問題に関連いたしまして、綿製品の需要が大幅に起るということはちよつと想像がつかないのであります。現在韓国軍に與えております被服その他はすべて米国製の品物でございまして、規格その他の違いから多少改造をしておりますけれども、日本から調達しておるものは一つもございません。おそらく今の情勢で参りますれば、あまり大きな数量は特需としては出て参らないというふうに考えております。ただ先般決定をいたしました警察予備隊、海上保安庁の関係で人員が相当増加することになつておるのであります。これは両方合計いたしまして八万三千名程度のものになるのでありますが、急速に全員が整備されるわけでございません。現在私の方に警察予備隊の関係において制服、下着、作業着、そういつたものを言つてつておりますが、これは綿糸の数量で計算いたしますと約千こうりでございます。現在国内用の綿糸の供給量は一箇月四万こうりという数字になつておりますから、一月分の四十分の一程度の需要でありまして、数量から申しますとわずかなものでございます。また海上保安庁の方はわずかに八千名の人員でございますので、ほとんど問題にするに足らぬような数字でございます。将来警察予備隊、海上保安庁が冬の関係で毛のものを、必要とするということで、私の方で概算見込みを立ててみたのでございますが、その場合に必要な羊毛の数量は合計いたしまして大体四千俵程度になると思われます。現在一・四半期に約五万俵の羊毛を国民衣料用として充てておりますが、それから考えてみますと一・四半期分の十分の一以下の数字でございまして、これは調達上もあまり困難がないというふうに考えておるわけであります。  なお、こういう事情になつておりますが、今後統制の関係はどうなるかという問題でございます。現在綿につきましては、輸出関係は自由になつておるわけでございまして、契約によつて輸出向けの品物をどんどん出すことができるようになつておりますが、国内向けの方は現在でも統制が依然として残つておるわけであります。正確に申し上げますと、現在衣料品配給規則というのがございますが、それによりまして、従来は衣料切符を国民一人々々に與えて、その切符の点数によつて衣料を調達するということになつておつたのでありますが、これはことしの四月以降八月一ぱいまで一時停止をすることに相なつております。従つて国内向けの綿の統制は、末端の消費者に対しては現在撤廃されておるのと同様でございますが、それ以外の綿につきましては、従来通り統制が行われておるのであります。ただ従来と違つておりますのは、その内容におきまして、今までは政府において品種、規格を全部規定いたし、それによつて強制的な生産をさせ、それをひもつき等によりまして配給するという形をとつておつたのでございますが、そういつた規格的な生産、強制的なひもつきということを排除いたしまして、生産配給段階におきましては、その段階に応じてそれぞれ法規に従つた取引をするということになつておるわけでございます。この八月末で衣料切符の一時的停止の問題は満了になりますので、九月以降綿の統制をどういう方向に持つて行くかということでございますが、これはただいま関係方面といろいろ折衝中でございます。  なお国内関係におきましても、生産資材の関係、国民衣料の関係等の調整の問題がございまして、最後的な結論はまだ出ておらないのでございますが、大体の方向といたしましては、衣料切符をもう一度復活するというようなことはないのではないかと考えられますし、また配給等も今の段階よりもう少し彈力のある機構にかわつて参るのではないか。ただ綿糸の配給あるいは綿糸の生産配給の段階につきましては、依然として相当嚴重な統制を継続しなければならぬというように考えるのであります。なお今申し上げましたような、綿花の事情なりその他特殊需要の関係について今後の見通しはどうなるかということでございますが、これは従来から見ますと輸出が非常に伸びて参ります。しかも現在輸出価格が国内価格より割高になつておりますので、内地の糸の確保が非常に困難であるというような事情がございまして、ある程度国内向の糸の配給が遅れて行くという実情にあるのでありますが、この点につきまして、最小限度の国内需要というものをはつきり確定いたしまして、それだけの数量を優先的に紡績から出荷させまして、残りを全部輸出に向ける。従いまして、一定の数量、これは現在月別に配給されております数量とほぼ同じとお考えくだすつてけつこうだと思います。最終的にはまだ関係方面との打合せが完了しておりませんのではつきりいたしませんが、大体国内向に予定いたしております数字とほとんど同じものを最終的に国内で確保する、こういう手段をとることになつておりまして、現に国内向のものにつきましては、電力割当あるいは為替資金の割当等によりまして、出荷の遅れているものに対してそういうペナルテイの方法を実行中でありますので、一層それが強化されることになると思うのであります。  簡單でございますが、大体そういう見通しであります。
  14. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 ただいまの纎維局長の御説明でよく了解いたしました。衣料切符を再び出さないということは非常にけつこうでありまして、さようになることを期待するものであります。今後輸出がますます増大して参りまして、内地物も出て行くというようなことに立至りました場合は、現在の品質は著しくかえられると思いますが、輸出がどんどんふえて参ります場合、あくまでも内地の保有量を確保していただけるかどうか伺いたいと思います。
  15. 近藤止文

    ○近藤政府委員 輸出が伸びましても、一定限度の内需は必ず確保する方針であります。
  16. 田代文久

    ○田代委員 政府は、朝鮮問題なんかでどんなに需要が増しても手当をどんどんするので一向心配はない、原綿の輸入も促推しているというお話でございます。ところがいつかの新聞には繰上げ輸入は許さないと出ておりましたが、この点はどうですか。
  17. 首藤新八

    ○首藤政府委員 先般御報告いたしました通り、今後需要が相当増大して来るであろうという予想と、いかなる事態になりましても、内地の需給にあまり大きなアンバランスにならぬような方法を講ずる必要があるということから、繰上げ輸入を計画いたしまして関係筋と折衝しておるわけでありまして、まだ結論は得ておりませんが、これはぜひとも実現いたしたいというふうに考えております。
  18. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、繰上げ輸入ということはまだはつきり確定しておらないということになつておりますね。
  19. 首藤新八

    ○首藤政府委員 御承知の通り七 九の輸入は、四—六と比較いたしまして、大体倍になつておるわけであります。この方面にも相当繰上げの量が入つていると思いますが、なおこれで足れりとせず、引続き相当量輸入をいたしたいという考えをもつて交渉を続けているわけであります。
  20. 田代文久

    ○田代委員 かりに繰上げ輸入の許可がないということになりますと、国内需要にしましても、輸出関係で非常にきゆうくつになるわけであります。そうしますと、政府の考えておられる政策通りに行かないことになるわけですが、その点の見通しはどうですか。
  21. 首藤新八

    ○首藤政府委員 この前も申し上げたかと存じまするが、幸いに最近は輸出が非常に振興いたしまして、資金的にはかなり惠まれた状態に現在置かれておりますので、今申し上げたような構想が必ず実現するであろうというふうに考えておるのであります。
  22. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 次にお尋ねいたしたいのは、梳毛糸の問題でありますが、過日の新聞で価格は大体勧告価格になつております。そうしてそれらら糸の配給並びに生産方面にまで大体指示なさる。またそれによる損失に対しては政府が補償するということでございますが、これは予算措置はどうなつておるか。またこの通り実行しておられるかということに対してお尋ねいたしたいと思います。
  23. 近藤止文

    ○近藤政府委員 梳毛糸の問題につきまして、実は新聞記事その他の関係もございますが、その内容と現われておりますことと多少食い違つておるような点がございますので、一応梳毛糸の問題の概略の経過を御説明申し上げます。  梳毛糸の問題が起りましたのは、五月の末ころでございまして、それは純毛の梳毛糸につきましては、内地価格と輸出価格との間に非常な隔たりがあつたのでございます。具体的に申し上げますと、輸出価格が約九百円で内地価格が千八百円、つまり倍の相場が内地に立つておつたのであります。それでも毛糸につきましてはすでに統制が撤廃されておりまして、価格もマル公もございませんので、本来から申しますれば幾らで売つてもさしつかえない。需給関係でおのずから価格がきまるのでございますが、ダンピングの問題につきましては実はさように参らないのでありまして、つまり各国で協定をいたしておりまする貿易上の協約と申しますか、そういう点から見ますと、すべての輸出をいたします場合に、その国における国内市場の相場よりは決して安く売らないという制約をお互いにするようなかつこうになつておるのであります。従つて直接法規上のダンピング、つまり国内マル公があるのにかかわらず、輸出の場合にそのマル公を割つて輸出するということでなしに、マル公が全然ない場合におきましても、当該国内の市場価格というものはやはり輸出価格の標準になるというような準則がございまして、アメリカその他五十二箇国がこれに参加いたして署名をいたしておるのであります。結局国内価格が非常に高くて、輸出価格が安いという場合には、ダンピング條項を適用されるおそれがあるということで、実は司令部から非常に強硬な勧告があつたわけであります。  そこでこの問題についてどうするかという問題でございますが、実は御承知のように、羊毛につきましては昨年から初めて相当量の輸入が行われることになつたのでありまして、昨年度におきましては総量二十五万八千俵という羊毛を輸入いたしまして、それによりまして梳毛、紡毛その他いろいろな毛製品をつくるという段取りになつておるわけであります。ところが今年の一月、三月の間におきまして、御承知のようにポンド資金が相当不足いたしましたので、二十五万八千俵の羊毛を輸入する場合の本年一月、三月の具体的な輸入計画だけの実は為替が足りなかつたものでありますから、一、三月におきましては輸入為替の額が非常に少なかつたのであります。そこで業界におきましては、将来もそういうようなことがあつて二十五万八千俵の計画がもし削減されるというようなことになりました場合には、極力原毛の食いつなぎをしたい。こういうことから国内向けには純毛の梳毛糸をほとんどつくらなかつたのであります。従つてその需給関係をすぐ反映いたしまして、実際には現物がたくさん動いたわけではないのでありますが、非常に高い相場が出たということになるのであります。一方輸出の関係におきましては、毛の関係はこれから輸出市場を獲得して、市場を確立するという段階にございますので、相当輸出奬励策もとつておりますし、また業界におきましても、少々の犠牲は忍んでも輸出市場の確立をはかるということでやつておりましたので、勢い輸出価格が安値になつたのであります。しかしドルがとれるということから極力奬励しておりましたので、その両方の食い違いから実は大きな価格の差ができたわけであります。しかしその後原毛の輸入の関係は、四月以降為替の関係が好転いたしまして、予定通り二十五万八千俵という原毛の手当は完了したわけであります。また今後これから先の年度におきまして、どれだけの羊毛が入るかという見込みでございますが、これは大体二十五年度におきましては三十二万俵程度を予定しておりますが、現に現在進行中の日英協定の中におきましても、大体三十万俵はこの協定によりまして日本が原毛を買いつけるということになつておりまして、三十二万俵程度の予定の原毛は十分手当ができる、そういう状況であるわけであります。しかしそのダンピングの問題に関連いたしまして、何とかこれは措置をしなければならないということでいろいろ考えたのでございますが、非常に嚴重な再統制というふうな議論もございましたけれども、これは結局原毛の見通しいかんによりましての多少思惑的なことが手伝つておるということから、本質的な統制を再開するという問題ではなしに、とにかく国内向けの価格を安定させる。そのためには国内に相当多量の純毛の梳毛糸を供給するという手段をとるとともに、価格につきましても適正な価格——これは物価庁の第三部長もここに出ておりますから、勧告価格の内容等につきましては第三部長から御説明願いますが、その適正価格の操作によりまして国内相場を安定させる、こういう方向で案を考えたわけであります。とりあえず七—九月の期におきましては、いろいろ業界とも相談いたしまして、梳毛糸の生産数量のうちの大体半分でございますが、約三万俵の羊毛を純毛の梳毛糸に持つて行く、こういう方針を決定して、月別の生産の割合まできめて、これを実行するということになつておるわけであります。それでこの問題につきまして、生産命令を頭から出すとか、あるいは生産統制を実施するというふうな話があるのでございますが、実は業界の自粛によりまして、今の三万俵の生産計画というようなものもできておるのでありまして、これが実行されまして、結局予定通りに行かないというふうな事態が起りました場合には、場合によりまして強権的に物調法第一條による生産命令を出すということもございますが、これが業界で自粛的に予定通りの計画ができまして、相当量の純毛の梳毛糸が国内に供給されるということができますれば、別に強制的な法規を発動する必要もないわけであります。これは現に物調法にそういう規定がありますから、いつでもやればやれるのでありますが、現在のところ、それをただちにやるという考えは持つておらぬのであります。また業界の方でも輸出の問題、特にダンピングの問題でありますので、何らかその点を打開しなければならぬという関係もありますので、業界としても極力国内市場の相場を落ちつけるという目的をもつて協力しておりますので、現在ではこの計画は円滑に進んでおります。現に七月二十日以降ある程度の数量をぽつぽつ出しておるという段取りになつておるわけであります。従つて補償の問題、あるいはそれに対する予算措置の問題、これは具体的に生産命令を出しまして、そうしてしかし物価庁の勧告価格と申しますか、それが業界に損を與えるような価格であつて、実際に業者が実損を生じたというような場合が起りました場合には考慮する問題でありますけれども、現在におきましてはそういつた段階まで至つておりません。大体私どもの見通しとしては、業界の自粛によつてこの問題は解決するものと考えております。
  24. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 政務次官にお尋ねいたしますが、過日も商品取引所の問題のときに一応お尋ねしたのでありますが、その後絹、人絹等の価格は漸次高騰して参つております。その場合に、内地の価格と買入れの価格とアンバランスの場合においては、再び梳毛糸と同じようにこれらのものに対して勧告価格を出されるお考えがありますか。お尋ねいたしたいと思います。
  25. 首藤新八

    ○首藤政府委員 御承知の通り、最近纎維あるいはその他の価格が相当上昇いたしております。しかしながら、これは日本だけの関係から来た価格でなく、いわば国際的商品の一齊上昇に並行して上つておるのであります。従つてこれらのものに対して勧告価格を出すというような意思は、現在毛頭持つておりません。なお同時に、今後もそういうことのないような措置を講ずる必要があります。同時にこれは先般も申し上げました通り、できる限りそれらの原材料を多量に輸入いたしまして、需給のバランスを常にマツチさせて行くということが、これらの方向に行かない最も効果的な対策だと考えておりますので、その線に今後も進んで行きたいと考えております。
  26. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 ただいまの政務次官のお話によりますと、大体価格の点も、あるいは需給面も、生産あるいは原料を豊富にすることによつてまかなうという方針は非常にけつこうでございます。従いまして、今後はそれらの統制を一応排除せられました纎維類に対しては、再び統制する意思はないと解釈してよろしいわけでございますか。
  27. 首藤新八

    ○首藤政府委員 今のところさよう御了承くださつてけつこうだと思います。
  28. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 纎維局長にちよつとお伺いしたいのであります。現在纎維関係におきまして、原料にいたしましても、製品にいたしましても、非常な暴騰を続けておりますので、この段階におきましては、再統制なさる意思があるかないか。なさるといたしますれば、いかなる方法においてこれをおやりになりますか。お伺いいたしたいと思います。
  29. 近藤止文

    ○近藤政府委員 ただいまの御質問でございますが、現在纎維品につきましては、原料その他ある程度価格の高騰いたしておるものもございますが、実際内容を調べてみますと、実需はこれに伴つておらない、一つの人気相場と申しますか、から相場に終つておるものが多いようでございます。しかも先ほど高木委員の御質問のときにいろいろ申し上げましたが、今後纎維関係の原料その他の供給関係は比較的順調でございまして、現在の段階で再統制をいたすということは全然考えておりません。
  30. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 梳毛糸その他に対しまして勧告価格が出ておりますが、この勧告価格というものは、いかなるものでありますか、もし業者がこれを守らない場合には、いかなる処罰があるか、どういう御処置になるものか、お伺いいたしたいと思います。
  31. 近藤止文

    ○近藤政府委員 実は私からお答え申し上げまするのは、ちよつと横道でございますが、いろいろ物価庁とも私ども打合せておりますので、今の御質問の点を私がかわつてお答えを申し上げます。勧告価格と申しますのは、実は法的には何ら根拠のない価格でございます。これは御承知のように、物価統制令の九條の二という條項に、不当利潤を得ました者を強く処罰をする規定があるのでございます。しかし不当利潤を得たか得ないかという問題は、勧告価格と直接関係はないのでございまして、勧告価格は、要するに通常の生産をいたします場合に、ある程度の利潤を見て、この程度の価格が採算的に見た場合には適当であろというう線を勧告いたしました価格でございます。従つてこの価格から一円でも上に行つた場合には、すぐ処罰するとか、あるいはいわゆるマル公と同じような適用になるかという点でございますが、これは全然そういうことはございません。大体不当利潤を得ておるか得ていないかという点に関しての一つの標準と申しますか、よりどころを示すという程度のものであるわけであります、従いまして、物価統制令の九條の二の規定は、この勧告価格がありますれば、比較的不当利潤なるものの判定が容易になるということでございまして、直接的にはやはりその個々の取引の実態を調べまして、明らかに不当利潤が得られておるかどうかということを、実態的に調べました上で、この物価統制令九條の二の規定は動くということになるわけでございまして、従つて勧告価格が直接違反その他の問題に及ぶということにはならないわけでございます。
  32. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 他の纎維製品に対しましても、今後勧告価格を出すような御用意があるのでございますか。ちよつとお伺いいたします。
  33. 近藤止文

    ○近藤政府委員 ほかの纎維につきましては、ただいまのところ全然考えておりません。
  34. 福田一

    ○福田(一)委員 議会は二、三月のうちに終了になると思うのでありますが、えてしてこういう問題は、議会が閉会中によく方針の変更を見るような場合があつて、われわれ非常に迷惑した場合が多いのであります。政府としては、議会が開会中でないときに、いろいろのこういう統制問題が起きた場合には、どういうふうな処置をとられるか。またわれわれ委員会との関係においてはどのような方法をとるお考えか。これをひとつ御説明願いたいと思います。
  35. 首藤新八

    ○首藤政府委員 先ほどからしばしば申し上げております通りに、現在の段階におきましては、再統制をするという意思は全然持つていないのでありまして、かりに来月から議会が閉会になりましても、その間にそういう事態か起ろうとは考えておりません。従つてもし起つたらというようなことは、いまだかつて考えたことがないのでございますから、さよう御了承願います。
  36. 福田一

    ○福田(一)委員 一応ただいまの御答弁で、われわれとしては了承いたしますけれども、しかし従来しばしばそういう例がありまして、われわれが希望したことと正反対のことが議会閉会中に行われたというような事態もあるのであります。もちろん今のような世界情勢におきましては、いかなる突発的な事件が起きないとも予測できないのでありますから、そういうことを十分一々予測して答弁を求めるということは、はなはだ常識において欠けるところがあるとお考えになるかもしれませんけれども、実を言うと、この統制の問題につきましては、今まで国民はみんな飽き飽きしていた。何とかしてこれを一ぺんフリーな自由経済にもどしたいという気持が非常に強いのであります。そこでだんだんわが党の政策に基いて、自由経済の方向に来ておるのでありますが、伝え聞くところによると、官僚の一部に何とかして統制をもう一ぺんしなければならないのじやないかというような空気がある。また現実にそういう運動をしておる者もあるということを、われわれは聞くのでありますが、どうかそういうような運動によつて関係方面が動かされるというようなことがあつてはおかしなことであり、私たちとしては、この委員会でわれわれが希望しておる気持が通らないことになるのでありますから、われわれがおらない間におきましても、東京におらぬような場合がありましても、どうかこの点は政府において十分監督をせられまして、そういう事態の起きないように、特に御配慮を願いたいと思います。
  37. 首藤新八

    ○首藤政府委員 自由経済に比較しまして、統制経済がいかに多くの弊害があるかということは、すでに議論の余地がないのであります。現実に考えてみましても、統制経済をやることによつて一般業者の熱意が低下する、創意くふうがなくなる。ことにそれがために各種の品質が非常に低下して参る。これらはあげて日本経済の弱体化でありまするし、後退であります。せつかく自由経済に移行いたしまして、ほんとうに日本経済が堅実な発展を示そうとしておる基礎段階におきまして、統制というようなものは絶対にわれわれは排撃いたしたいと固く決意をしておる次第であります。従つて趣旨によりまして、今後も十二分にそういう方向に努力して行きたいと考えております。
  38. 神田博

    ○神田委員 遅れて参りましたので、あるいは私がお尋ねしようと思つたことが前提となつて、ただいま伺つておりますような質疑応答があつたのではないかと思うのでありますが、もしそうでありますれば、お答えがなくともけつこうでありますが、違つておりましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。  私のお尋ねしたいと思いますことは、これはきわめて不幸な事件と言わなければなるまいと思いますが、朝鮮事変が発生いたしまして、そこでわが国におきまする、国連といいましようか、連合軍側と申しましようか、相当多量の物資の調達あるいはサービスの供與というものが問題になつておるのじやないかと思います。そこでこれらのことが特に短期間に厖大な需要となつて現われました場合に、今伺つておりますような事態が起きて来るのではないか。そこでわが国に需要が起るということは、今日のわが国経済の段階におきまして、大きな意味から、この事変に協力するばかりでなく、またわが国経済が、これによつて自立経済への前進になりますれば、結果的に見て好ましい——他に適当な言葉があるだろうと思いますが、とにかくいずれにいたしましても、相当の需要喚起によつて物が動く。そのために何しろ資源の乏しい、まだ立ち上つて間もない工業でありまするから、過不足——過はなくても不足が出て来るわけであります。これらの需要は、なかなか軍の機密もありましよう。ことに戰争でありますから、機密以上にまた拙速という関係もあろうかと思いますので、これを十分把握して手を打つということは、なかなか至難なことと思いますが、通産省、安本、また農林省、さらにこれは通貨の関係もございますので、大蔵省も十分な関係があるわけでありまするから、これらの各省か、それぞれESSなり八軍と申しましようか、とにかく何か発注側との十分な連絡がつきますれば、行政指導といいましようか、官庁側の十分な手の打ち方、あるいは業界に対して十分なアレンジの仕方によつて経済界の——私は物の値上りを恐れるわけであります。不均一な値上りのために、それがまた均一な値上りになつて、第二のインフレが来るということも恐れるわけでありますが、これらにつきまして機敏な手を打つて、不足物資であるならば急いで輸入をやる、あるいはまたわが国で若干の生産設備を拡充すれば出て来るというようなものについては、これまた十分の手を打つて出すというような、統制というような頭でなしに、ただいま政務次官が述べられたように、国民を信用して、国民の創意と工夫、熱意と努力によつて、これらの諸問題を敏速に取扱つて行く、そういうことによつて、事変の協力もできればまたわが国の自立経済の確立にも相なろううかと思うのであります。新聞に伝えられるところによりますれば、今回の関係は特別調達庁の仕事でなく、主として安本がやるのではないかといふことが書かれております。どこでやるにいたしましても最も関係を持つておるのは通産省であろうと考えております。通産省側におきまして、どういうような構想を今まで実施されておりまするか。今後これらに対しましていかなる目途をもつて対処されんとしておりますか。もちろん戰争と申しましようか、事件と申しましようか、これらは不測のことであり、また相手のあることでありますから、これ自体を十分認識してかからなければなりませんけれども、これを的確に抱握して行くというようなことは今日のわが国の段階においては至難だろうと思います。しかしやはり一定の目途をもつて処して参らなかつたならば、ますます経済界が混乱してしまう。一波は万波を呼んで、そうして今福田君の憂えるような、統制をもつてしなければ收拾がつかなくなるようになることはまことに不幸ではないかと思うのであります。せつかく長い間の統制経済から今日の自由経済に切りかえまして、しかもまだその途中なんです。今日この切りかえたことによつて、ただちにこの効果が百パーセント出て来るとは考えない。いろいろまた切りかえたために困難なこともあり、また弊害もないとしないだろうと思います。私どもも、野放しの自由経済というものは考えておりませんので、特別の事情のあるものについては、また進歩的な手を打つことは決していなまないのでありますが、とにかく今回のこの朝鮮問題を契機といたしまして、わが国経済事情というものが相当大きな波にかぶつている。これに対処する通産省側の心構え、また今までの打たれた手、また将来とられようとすることをお漏らし願えますれば、非常にけつこうだと思つております。なお新聞によりますれば、現在までに百億近い発注を見ておるのではないかということもたしか見たような気もいたしますが、あるいは流言飛語の類かもしれませんが、将来の見通し等についてうがつた話を耳にするのであります。通産省といたしましては、これをどういうように考えておられるか、御説明願いたい。また材料がございますれば——きようは突然でもありますので、用意がなければこの次の機会に、どういうようなことになつておるかという材料を御提示願えますれば参考にもなろうかと思つております。いずれにいたしましても、きわめて重大な影響を持つておりますので、お尋ね申し上げるわけでありますが、どなたか先に申し上げて御納得した問題でありますならば、私おそく参りましたので、また適当な機会に聞く機会もあろうかと思います。まだそういう点に入つていないということでありますれば、詳細承りたいと思う次第であります。
  39. 首藤新八

    ○首藤政府委員 最近朝鮮問題に関連いたしまして、その方面の特需が相当大量に出ており、これが全般的な経済界に大きな刺激を與えておるようであります。そこではたしてこの特需がいかほど出ておるか、今日までGHQ方面のそういう需要は、大体政府の機関を通じて出ておりましたから、これらの把握は完全にできたのでありまするが、今回のは、今日まで通産省を経て発注されたものは、自動車タイヤその他ごく少量でありまして、その他のものにつきましては、いまだ全然通産省は関知していないのであります。しかしながら実際におきましては、特需が相当発注されております傾向もありまするので、もしも政府の知らぬ間に、しかも国内で寡少物資となつておるような物資を、多量に発注されるというようなことに相なりますると、その結果が日本経済に重大なる影響を及ぼして参るということにも相なりまするし、端的に申し上げますならば、その方面の今後予想されるところの大きな注文によつて、これが日本経済の自立に相当大きなプラスとなるか、また間違えばどういう混乱を来さぬとも限らないというような重要性を持つておりまするので、政府としましては、特にこの面については重大な関心を持つておるのであります。そこで先般来関係筋に対しまして、できるならばそういう数量を明示してもらいたいということを申し込んだのでありまするけれども、事軍機に関するということで、その内容を容易に発表しないのであります。と言つても、ただいま申し上げましたごとく、しからば現状のまま行き、政府の知らぬ間に大量の物資がこの方面に吸收されるというようなことになりますれば、今後の経済計画に大きな齟齬を来し、同時にまた今後の原料の輸入面におきましても、思わざる結果を招来するおそれがありまするので、一応閣議にこれを提案して、政府の方から別個の方法で、そういう予測されるような銘柄並びに数量を把握するような措置を講ずるように要請しようじやないかということで、多分それが数日前の閣議に懇談の形式で相談されたのではないかと考えておりますので、その結果、一応安本が中心となつて、それらの折衝をやろうということになつたように聞いておるのであります。従つて事軍機に関するということを前提としておりまするので、その明確な数量並びにまたその買付方法が、はたしてこちらの希望通りになるかならぬかはつきりわかりませんけれども、この際今後の秩序ある経済の進展という観点からも、ぜひともそういう予想される数量、銘柄だけは把握したいというように考えておるのであります。
  40. 神田博

    ○神田委員 ただいま首藤政務次官から、私が憂えておりますることを率直にお認めになつておられまして、すでにそれらのことについては、私が申し述べたような方法をとろうとしており、またとつておるものがあるというような意味に承つたのであります。もとよりさもあるべきことと考えておるのであります。くどいようでありますが、私は今度の朝鮮事変によつてわが国の——広義の面から申し上げるのでありますが、思想の面あるいは諸般の面から考えますならば、さらに重大なものをはらんでおります。しかしここは通産委員会でありますので、わが国産業の立場からこれを分析して、そうしてわが国産業の自立経済の点をべースにして申し上げておるわけでありまして、るる伝えられておるところによるわけでありますが、物によつてわが国の年間の需要量に匹敵するものもあるやに聞いております。もちろんこれは小量物資でありましてもそういうことがあり得ることはいなめないと思いますが、私の心配しておりますのは、たくさんの注文が来る、そこで調達ができるということももちろんでありますが、そのために一波万波を呼んで、他のものに今日見ておるような値上りの口実を與えて行く、あるいは物の流通を妨げるようなことになる。そこで統制をやらなければならないということにならないように、あらかじめひとつ総合的な見通しをつけて十分配慮してもらいたい、こういうことでありまして、大体政府の方針もそういうふうに考えておるということでありますので、くどくは申しませんが、これをひとつ十分に実施の面に移しまして遺憾なきを期していただきたい。これは相手のあることでありますし、今述べられたような軍機の機密等もありましようから、なかなか至難の点は多々想像できるのでありますが、その重大性、また経済の混乱から来る支障というようなことを考えますと、これは安閑としておられない問題ではないかというふうに考えますので、ひとつ今のうちにこれをやつて手を打つていただき、各省の連絡を十分にしていただきたい、こういう趣旨であります。
  41. 中村純一

    中村(純)委員 ただいま神田委員から重要なる問題についてお尋ねがあり、また首藤政務次官からきわめて率直なお話を承りまして、われわれも御同感であり、また意を強くいたしたものでありますが、この特別需要の銘柄及び数量を推定するということは、なかなかむずかしい問題でありましようけれども、私どもちらほら耳に入るところによりますと、わが国の年間輸出入計画における輸出量の半分にも近い需要があるのではないか、かような推定も聞くのであります。もしさようなことでありますならば、半分近いまつたくわく外の予想せざる需要がここにあるということになりますと、産業の面から申しましても、金融の面から申しましても、非常な大きな影響を持つものであると考えられますので、ただいま御答弁のありましたような線において、この上とも慣重なる対策をお立てくださることをお願いいたしますとともに、あわせていま一つ承つておきたいのは、先般新聞で見ますと、おそらくこの問題に関連しての一つの措置であろうと思うのでありますが、この七—九の輸入外貨の割当を一千万ドルにしたということが出ておるのであります。この輸入の見通しにつきましては、輸出国の状態なりあるいは船舶等の関係から考えまして、大体において当局の予期せられるごとく順調なる輸入が行われ得る見通しがありましようか、その点をつけ加えてお尋ねいたしたい。
  42. 首藤新八

    ○首藤政府委員 現在のところあらゆる物資を通じまして、輸出入とも何ら支障なく行われておるのであります。この点は御心配ないことだと思います。ただしかし多少個人的意見が加わるかもしれませんけれども、私は率直に申し上げますと、この朝鮮事変を当初から相当重大視しておるものでありまして、ことにアメリカは御承知のように百五億という厖大な予算を計上しております。かりに朝鮮事変が一応片づきましても、さらにその次に来るべきものに対する準備をこのまま進めて行くのじやないかというふうに私は考えておるわけであります。さようにいたしますと、少くとも国際的商品は今後はなお相当上昇するのではないか、ことに事変いかんによりましては船腹の点に相当思いをいたさなければならない、またその前に運賃の上昇も考えなければならない。御承知の通り日本はすこぶる貧乏な国であります。この貧乏の国がわずかな金でなるべく多量の品物を買い付けなければならない。しかも安心し得るような状態で買い付けなければならない。これが今日の通産省に與えられた一番大きな使命だというふうに私は考えるのであります。ただいま申しましたごとく、この見解からすれば、国際的商品は今後なお一層上つて行く可能性がある。同時にまた船腹もだんだん不足になつて来はせぬかというような感じもするのであります。今日の値段であれば十買えるものが、一週間後には七つより買えない、一箇月後には五つしか買えないといいようなことになりますと、せつかく買い付けても、運賃がさらに上る、あるいは悪くすれば船がなくなりはしないかというような心配が関連して起つて参ります。幸いにドル資金が豊富であるから、そこでこの際思い切つて資金のあるだけ大量に輸入することが最も緊急かつ緊要な課題であるというふうにかたく私は決意いたしておるわけであります。従つて就任以来その線に沿つて極力推進いたしておるわけであります。何としても関係先がたくさんありますので、今のところ思うようには進行しておりませんが、しかし相当量の緊急輸入ができることだけは確信しておるものであります。同時にまた御承知の通り、この春以来民貿に移されて、いわゆる先着順制度の買付で輸入が行われて参つたが、これが実際において相当の弊害があります。そこである品物に対しましては、この際これを自由輸入に移しまして、それらの商品に対しましては別箇に資金をとりまして、この面の輸入も相当でき得ることになつておるのであります。大体当初その方面の資金は二千万ドル程度と伝えられておつたのでありますが、何回かの交渉の後、現在では大体五千万ドルくらいまで関係当局の了解を得ておりますので、この方面の輸入も今後プラスになつて参ると思います。それらの現在計画されておりますものが一応順序よく運びますれば、特需方面の需要が相当増大いたしましても、供給には遺憾ないであろうというように考えておりますが、ただ政府のあずかり知らぬ間に寡少物資が大量に吸收されるということになりますと、その方面から相当の波乱をここで呼び起す、同時にまた率直に申し上げれば、現在のところ特需というものに対して針小棒大に考えておりはせぬか。御承知のように昨年までのインフレの結果、高値の覚えが国民一般に残つております。しかも昨年来の健全財政からあらゆる物資が非常な下落をして来ておる。そこでこういう状態になつて来ますと、この安値反動、それから現在の特需というものを材料にした仮需要の量が相当に多くなるのじやないか、そうしてこれが相場を上昇せしめる一つの大きなフアクターになつて来はせぬかというふうに考えておるのであります。但し国際商品も御承知のように何もかも現に上つておりますから、現在の仮需要必ずしも将来の仮需要にならぬかもしれませんが、いずれにいたしましても、それらを総合勘案いたしまして万遺憾なき措置を講じて行きたいと考えておる次等であります。
  43. 小金義照

    小金委員長 ほかに御質疑はございませんか。別に御発言もないようでありますから纎維に関する件は一応これをもつて打切ります。     —————————————
  44. 小金義照

    小金委員長 この際閉会中の審査に関する件についてお諮りいたします。先刻理事会を開きまして、各派の理事諸君と御協議をいたしました結果決定をいたしたのでありますが、目下当委員会において審査中の鉱業法案及び採石法案は、諸般の事情によりまして、今会期の切迫いたしておりまする昨日ようやく提出せられ、本日より審査に着手いたしたのでありまして、今明日中に審査を終了することはとうてい不可能であり、また同時に両案はこれを審査未了として廃案とすべき議案でもないと認められますので、閉会中も継続審査を行うこととすること、なお当委員会が今第八国会会期当初に、議長の承認を得て本会期中に限つて調査を実施して参りました通商産業行政に関する国政調査は、通商産業行政そのものがきわめて広範囲であり、また問題も複雑でありました関係から、これが調査を終了する見込みがございません。この通商産業行政に関する事項のうち、次の案件につきましては、閉会審査を続行する心要があると協議がととのつたのでございます。すなわち、まず電源開発状況及び電気事業編成並びに公益事業制定に関しての電気事業及びガス事業に関する件、次は貿易の振興状況並びに貿易資金調達の現状に関する件、次は中小企業の金融状況並びに中小企業等協同組合の結成及び活動状況に関する件、次は鉄鋼業、纎維工業、化学工業その他一般工業の実情、特に需給並びに金融状況に関する件、以上であります。  それではお諮りいたしますが、以上六件について、理事会の決定通り、閉会審査を行うため議長にその申出をすることに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 小金義照

    小金委員長 御異議ないと認めまして、そのように決定いたします。  次に閉会中の審査のための小委員会設置の件についてお諮りいたします。これはただいま申出をすることに決定いたしました閉会審査の案件が、正式に院議によりまして付託せられました場合、閉会中にその審査のために委員全員がしばしば参集することは不可能に近いことと存じますので、閉会審査すべき便宜のため、各案件ごとにそれぞれ小委員会設置してはいかがかと思うのであります。これも先刻の理事会において理事諸君の了解を得ておるのでありますが、これについてお諮りいたします。ただいま申し述べました通り、閉会審査のための小委員会として、各案件ごとに、鉱業法案及び採石法案に関する小委員会、電気及びガスに関する小委員会、貿易に関する小委員会中小企業に関する小委員会及び工業に関する小委員会、以上五つの小委員会設置することに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 小金義照

    小金委員長 御異議ないと認まして、各小委員会設置することに決しました。  なお、お諮りいたしますが、各小委員会委員の員数及び小委員並びに小委員長の選任は、委員長及び理事に御一任願いたいと思いますが、このようにとりはからうことに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 小金義照

    小金委員長 御異議ないと認めます。よつて委員長及び理事において決定の上追つて御通知申し上げます。  次に閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。本件もまた先刻議長に申出を行うことに決しました閉会審査すべき案件が院議によつて決定し、当委員会閉会審査を実施いたしまする際、おそらく実地調査を行う必要が起ると存ぜられますが、その際一々委員会を開会して委員派遣承認申請の件を御決定願うことは、非常に煩雑でありますので、その手続上の便宜のために委員長及び理事に御一任願い、派遣委員の選定、派遣の期間、派遣地等は、委員長及び理事において協議決定の上、委員各位に御連絡するということに本日あらかじめ御決定を願つておきたいと存じますが、このようにとりはからうことに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 小金義照

    小金委員長 御異議ないと認めまして、そのように決定いたします。ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  49. 小金義照

    小金委員長 速記を始めてください。  本日はこの程度にて散会いたします。なお明後三十一日は、午後一時から鉱業法案採石法案及び特別鉱害復旧臨時措置法の施行に関する件を議題として、審議をいたします。     午後三時二十二分散会