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田代委員 私は、こういう重要な問題に対しまして、
政府の次官が一定の
見解をお持ちにならない、それは閣議でなければとにかくお答えできないというようなことは、実に危險きわるものと思うのでありますが、これはこの前の
国会におきましても、火薬取締り
法案が上程されました場合に、
日本にはカーリツトみたいな火薬がどんどん増産されつつあるのだが、これは戰争用に使うのではないのでしようねということを
質問いたしましたら、そういうことは絶対にない、火薬
産業というものは、あくまでも
平和産業にのみ使うので、そういう戰争に使わぬということはわれわれは保障いたしますということを
政府は
答弁されたのであります。またそれは当然そうだと思います。憲法で戰争を放棄した
日本が、戰争に巻き込まれてはならないし、またそういう戰争用具というものを交戰国のある一国に送るというようなことになりますと、いかに戰争放棄をしていましても、その面から当然戰争に巻き込まれますし、またその反対の民主的な
国家からは、戰争放棄をしたという
立場にある
日本は、実はそうではないじやないか、どんどん戰争を発展させるように
軍需産業を復活させ、軍需品をどんどんつく
つて、爆彈も鉄砲もタンクもつく
つて、どんどん送
つているじやないかということになりまして、これは平和を愛好する諸
国民からうらみを買うことだけは当然であります。うらみを買うだけでなくて、当然
日本はそういう面からいやおうなしに戰争の中に引込まれることになるのであります。こういう点にわれわれは非常に危險を感ずる。従
つてわれわれは、
平和産業を発展させる道があるし、また
日本の自立経済のもとにそこに持
つて行かなければならぬ、ここに大
政策があり、またこの
政策を堅持する以外には、
政策というものはないと思うのであります。ところが今の次官の御
答弁では、それは自分じやわからぬ、閣議の決定とおつしやいますけれ
ども、すでにこういう事態に当面しております。すでにこういう事態に当面しておる場合に、いつそういう閣議を開いて
態度を決定されるのであるか。
朝鮮事変というものは、もうすでに約一箇月前に起
つておる問題であります。私は当然そういうものはきま
つておると思うのでありますけれ
ども、そういうふうに
答弁をお逃げになるということは、実はわれわれ平和を愛する
国民の
気持と
政府当局の
気持というものは、非常に開きがあるということを物語
つておると思うのでありますが、先ほどはゆゆしい
答弁をされたと私は思うのであります。
今澄君が
質問されましたときに、つまり
朝鮮問題と
鉄鋼関係でございますが、こういう
事変が起
つたので、
価格の面。あるいは
需要の面から非常に道が開けて来ている。つまり戰争に使うための
需要がふえたということになるのでありますが、そういう軍需品がどんどんいるという注文が来て、それに対して応ずるというような
態勢に持
つて行く。ここに
政府としては緊急の
措置がある。つまりそういう戰争に使うための、
朝鮮事変に対して使われるための
鉄鋼の注文がどんどん来るという場合に対しては、とにかくこれに負けないようにどんどんつく
つて、これを差上げなければならないというような
答弁をされたのでありますし、それからまた首相が、
国連に協力するというような
答弁をされました。これは非常に問題にな
つたのでありますが、参議院その他の
答弁によりますと、
日本がこの
朝鮮の問題に介入し、あるいは
国連に協力するという意味は、物質的にかれこれ言うのではなくて、精神的に協力するのであるということを明示されました。精神的に協力するといいましても、これにはわれわれといたしましては大反対でありますけれ
ども、少くともそのように言われておる。ところが現在の次官の御
説明によりますと、これはもうそれをはるかに越えておる。物質的に実際上の裏づけをも
つてこれに協力するということを嚴然と明言されたのでありまして、結局
吉田総理が言われた
国連に協力するというのは、
日本の一切の
産業を戰時体制に切りかえて、そうして戰争に必要な用具をどんどん生産して、これをどんどん送る、これが協力であるというはつきりした
答弁に
なつたわけでありまして、私は現在の
政府のと
つておりますところの
鉄鋼政策、
産業政策というものが何であるかを示していると思う。いやおうなしに
日本を戰争に巻き込む
政策というものを、精神的な面ではなく、物質的な裏づけを持
つてまで今や協力することに
なつたということがはつきりいたしたのでありまして、これは私は、いかなる犠牲を拂
つても、こういう
政府の行き方に対しては反対しなければなりません。また一大
国民運動を起さなければ、
日本の
国民にとりましては危險きわまることであるということがはつきり言えるのであります。私はこれはいまさら
答弁を
要求しませんけれ
ども、重大なる警告をここに発しておく次第であります。
それから次にお尋ねしたいことは、この前の議会でもずいぶん問題になりました
鉄鋼政策の問題であります。つまりこういう重要なる
基幹産業を自立させて行く、すなわち
外国の資本に握られずに一本立にして行くという
政策が危機に瀕している。その点に対しまして非常に危惧を感ずる次第でありますが、
日本の
鉄鋼産業が
外国の大資本によ
つてリードされる危險がないかどうか、
外国の資本のリードなくして、一本立で十分や
つて行けるような
態勢、そういう
政策をおとりになりつつあるかどうかという点につきまして、御
答弁を願いたいと思います。