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1950-07-17 第8回国会 衆議院 地方行政委員会大蔵委員会農林委員会水産委員会通商産業委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十七日(月曜日)     午後二時五十分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 前尾繁三郎君    理事 生田 和平君 理事 川本 末治君    理事 塚田十一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       河原伊三郎君    清水 逸平君       中島 守利君    吉田吉太郎君       龍野喜一郎君    鈴木 幹雄君       山手 滿男君    受田 新吉君       久保田鶴松君    立花 敏男君       米原  昶君    松本六太郎君   大蔵委員会    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 田中織之進君       有田 二郎君    鹿野 彦吉君       川野 芳滿君    佐久間 徹君       高間 松吉君    西村 直己君       宮腰 喜助君    中崎  敏君       高田 富之君    竹村奈良一君   農林委員会    委員長 千賀 康治君    理事 松浦 東介君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    越智  茂君       河野 謙三君    中馬 辰猪君       幡谷仙次郎君    原田 雪松君       平野 三郎君    八木 一郎君       坂口 主税君    石井 繁丸君       木村  榮君   水産委員会    委員長 冨永格五郎君    理事 小高 熹郎君 理事 川端 佳夫君    理事 田口長治郎君 理事 林  好次君    理事 上林與市郎君       石原 圓吉君    川村善八郎君       久野 忠治君    田渕 光一君       砂間 一良君    永田  節君       平井 義一君    福田 喜東君       松田 鐵藏君   通商産業委員会    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    江田斗米吉君       小川 平二君    田中 彰治君       永井 要造君    金塚  孝君       高橋清治郎君    風早八十二君       田代 文久君    小平  忠君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         国 務 大 臣 大橋 武夫君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君         通商産業大臣  横尾  龍君         国 務 大 臣 岡野 清豪君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         地方財政委員会         事務局長    荻田  保君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         大蔵政務次官  西川甚五郎君         農林政務次官  島村 軍次君         通商産業政務次         官       首藤 新八君  委員外出席者         地方行政委員会         專門員     有松  昇君         地方行政委員会         專門員     長橋 茂男君         大蔵委員会專門         員       椎木 文也君         大蔵委員会專門         員       黒田 久太君         農林委員会專門         員       岩隈  博君         農林委員会專門         員       藤井  信君         水産委員会專門         員       杉浦 保吉君         水産委員会專門         員       齋藤 一郎君         通商産業委員会         專門員     谷崎  明君         通商産業委員会         專門員     大石 主計君         通商産業委員会         專門員     越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これより会議を開きます。  午前中に水産委員会からも連合審査の申出がありまして、地方行政委員会を開会しまして、この申出に応じて水産委員会とも連合審査会を開会することに決しました。よつてただいまより地方行政委員会大蔵委員会農林委員会通商産業委員会水産委員会連合審査会を開会いたします。高橋清治郎君。
  3. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 鉱山業における固定資産税に関してお尋ねをしたいと思うのであります。  大体金属工業ぼ国民経済上最も重要なる基礎産業でありまして、この地下資源開発につきましては、普通の事業と違いまして、非常に鉱山の変化が多く、そして非常に安定性に乏しく、危険が伴うところの企業でございます。かような理由世界各国におきましても、これらに対しましてはどこの国におきましても、共通してこの鉱山業についてぼ保護助長政策をとつておるのでございます。しかるに日本におけるところの地下資源開発につきましては、ことに金属産業に対しまして、他の産業と異なつて、いささかまま子扱いをされているような傾向が今日まであつたのであります。そこでたとえて申しまするならば、鉱業法におきましても、制定せられて以来、鉱業用工作物であるとか、器具あるいはその他の機械類標準として課税することを得ずというよろな規定もあるのであります。しかるに今度のこの地方税改正にあたりまして、この鉱山業に課しましたところの固定資産税なるものを見ると、非常にこれが過重になつておるということを認めざるを得ないのでのります。これにつきまして、いやしくも鉱山行政担当者である通産大臣は、今度の地方税改正にあたりまして、どのような考慮を払つたか、そしてこの改正に対して、業者及び基礎産業であるところの鉱山のために、いかなる課税の軽減の政策とつたかということを疑わざるを得ないのであります。この税法を見ますると、たとえて申しますならば、社会保安上必要であるところの土地であるとか、あるいは構築物であるとか、そういつたものを課税対象としてあつて、これを除外されておらないのであります。たとえば沈澱池あるいはごみ捨場、そういつたような公共の用に供されるようなものに対して、一体主務大臣としてどういうお考えであるか、そしてこういう社会保安上必要なものに対して、これを課税対象から除外するようなお考えであるかどうか。それから金属石炭等鉱山坑道、こういつたものに対しましてもどういうお考えであるか、坑道とかいうものに対しては免税あるいは減税とかいう方法を当然とらなければならぬと思うのであります。ことに鉱山遊休施設、太平洋戦争のために増産に非常なる拍車をかけられた、そのためにいろいろなものが終戦と同時に山間僻地に残されておる。たとえば山の中にあるところの発電所のごときもの、それが終戦と同時に送電線がないために、また送電線をかけるためには莫大な費用を要するから、これをどこへも送電することができないというような発電所もあるのであります。これらに対しましても課税対象としておるというようなことは当を得ないと思うのであります。これらに対しまして鉱山行政のその主務大臣としてどういうお考えであるか、まずお尋ねをいたしたいと思うのであります。なおその御答弁によつてあらためてまた質問したいと思います。
  4. 今澄勇

    今澄委員 今の鉱山行政に関する大臣所信に関する質問がありましたが、それにあわせて関連質問として、これは鉱山行政のみならず、日本の全産業界に与える影響がまことに甚大で、この法律案の随所に非常な矛盾を蔵しております。一例をあげれば、かねがね論じられた四百八十九條におけるいろいろな問題、あるいは電気ガス税の中のセメントであるとか、あるいは電気料であるとかいうような問題、片方課税対象になつて片方課税対象でないといつたような問題についても、理論的にこれを納得せしむるものは私は全然ないと思う。通産大臣はあわせてこの法律案による地方税の施行によつて日本の全通産行政の上に重大な支障を来すことがないかあるか、もし来すことがあるとすれば、どういう点において来すところがあるか、あなたの所信をあわぜて私は伺いたいと思います。
  5. 横尾龍

    横尾国務大臣 まず私が遅れまして皆さんに御迷惑をかけたことを陳謝いたします。  ただいま地下資源開発についてのお話がありましたが、私も地下資源開発は最も重大なものと考えます。これに対して善処することに努力したいと考えるのでございます。  税制につきましては、税制制度は非常な概念的なものであるから、お気の毒でありますけれども、今お話のようなことが全部いれられ得ないことをはなはだ遺憾に感ずるものであります。しかしながら課税運用上許される範囲におきまして善処して御期待に沿いたいと思うのであります。これはすべての全国の産業についても同様でありますから、さように御了承願いたいと思います。
  6. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 ただいまの大臣の御答弁はまるで子供だましのような答弁であつて、われわれはまつたく承服できないのであります。善処すると申しまして、言葉だけの善処であつて、こうこういうものに対してはこのような免税をするとか、あるいは減税をするとかいうようなところまで御答弁願いたいと思うのであります。ことに今申し上げましたところの社会保安上必要なところの土地であるとか、こういつたものは課税対象からぜひとも除外しなかつたならば、日本の正常な経済界におけるところの資産の約五十%というものは鉱山業にあるのでありますから、これに対するところの税率が一・七五%ということは、非常な重圧であります。ゆえにどうしてもこの基礎産業が立ち行かなくなる。そうしたならば、どのような他のすべての産業に重大なる影響を及ぼすかということか考えたならば、これらに対しては、各国がやはり保護助長政策をとつておると同じごとく、わが国においても当然これはとるべきが至当であると思うのであります。今承るところによれば、いわゆる製鉄業とが何かの御関係を前になさつてつたということでありますから、この地下資源開発が、いかに造船においてもその他の産業においても重大なことであるかということがよくおわかりのことであると思うのであります。そういうなまぬるい子供だましのような答弁ではなくて、今のようなことについて何とかこれに対しては、是が非でもこれを課税対象から除外するとか、あるいは減税するとか、そういつた大臣の腹を打割つて承りたいと思うのであります。
  7. 小野哲

    小野政府委員 鉱山業関係地方税法案としての考え方につきまして、私から便宜上御答弁を申し上げたいと存じます。  ただいま御指摘になりましたように、鉱山業地下資源開発上、きわめて重要な産業であるということは、われわれも重々承知いたしておるところでございます。ただ問題は今回の地方税制改正は、地方団体に対して適正な財源を与える意味におきまして、昭和三十五年度は財政計画を立てました場合における地方税収入額は千九百八億と考えておるような次第でございます。従いましてこの千九百八億という税収額、言いかえれば地方の歳入のわくの中において、地方税の各税目にわたつてその税収見込み額考えて行かなければならない次第でございます。その場合においてしからば鉱山関係地方税をどういうふうに扱うかということは、一面重要産業であるという性格について十分な配慮をいたしますと同時に、一面地方財政の確保の見地から、千九百八億という予定税収額を確保して行くという建前をこれまた考えざるを得ないのでございます。この間を彼此考えあわせながら調整をはかることによつて税制運用をはかつて行くというのが基本的な考え方でございますが、ただいま御指摘になりました具体的な問題について私どもの考えを申し上げますならば、まず第一は坑道の問題であろうと存じます。もちろん鉱山事業保安設備を整備いたすということがその経営上必要であり、また鉱山労働の安全を確保する意味において必要な施策であろうと考えておるのでございますが、税の対象としての問題として考えますと、固定資産税、ことに償却資産等をも含めました今回の固定資産税は、有形資産対象といたしておりますので、無形資産はこれを除外する建前になつておるのでございます。この場合において、鉱山につきましては鉱業権という無形資産があることをわれわれは考えるのでございまして、その場合において坑道のごときは埋蔵鉱物一体として考えるべき性格のものであろう、かように考えておりますがために、鉱業権という無形資産一体たる関係において、これを取扱うことが妥当ではないかという意味合いにおいて、法律上はこれを課税から除外するように考えて参りたい、かように思つておる次第でございます。  また鉱山にはいろいろの工作機械を初め、いわゆる償却可能の資産がたくさんあることも御指摘の通りでございまして、この場合においてこれが陳腐化あるいは遊休あるいは未稼働というふうな、当該償却資産のいわゆる収益税と申しますか、そういうふうな点を、やはり評価の場合においては考慮に置く必要があるであろうと考えております。この固定資産評価は、御承知のようにそれぞれの基準を設けまして、市町村において評価をすることに相なるのでございますが、今申しましたような点につきましては、評価の際に適当に考慮をして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 ただいまの御答弁にありましたが、これを再確認したいと思うのであります。鉱業用固定資産は、埋蔵鉱量の減耗に比例してその価値を減ずるので、税法上の生産高比例法によつて償却しておるのが現在であります。ついては鉱業用の建物についても鉱業一体をなす性質上、償却費産の評価課税対象とすることが適切であると思うのですが、さような方針でありますでしようか。
  9. 小野哲

    小野政府委員 ただいま御説明の際にちよつと申し落しまして今思いついたのでございますが、鉱山につきまして国がある程度保護政策をとるべきでないかという基本的なお考えに対しまして一部を御答弁申し上げた次第でございます。なお附加価値税との関連において考えますると、鉱山につきましては特別に鉱産税という独立税を一つ起しましていわゆる附加価値税との調整をはかつておるような次第でございます。  なお資産評価の問題でございますが、これは資産評価法の趣旨に基きまして評価をいたすことに相なつておるのでございます。結局この評価対象になりますものは基本価格でございます。これは土地家屋等と異なりまして、土地家屋等が従来賃貸価格課税標準といたしておるものとは、償却資産におきましては相当趣が異なつておるわけでございます。今回の地方税法案内容といたしましては、御承知のごとく固定資産税につきましては、特に償却資産税取扱いに関しましては政府も慎重を期する建前をとつておりまして、その税率におきましても一・七、言いかえれば一・七五から一・七にまで税率を軽減するような措置考えておる次第で、これらの事情を御了察願いまして御了承を願いたいと存じます。
  10. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 次いで鉱産税についてお伺い申したいと思うのであります。鉱産税は従来府県において課税しておつたのでありますが、今回の税法によりますと各町村自治体においてこれを課税して徴収するようになつておるようであります。在来県鉱産税を収めておつた際においては、その県内の土地地下資源開発のために、その税金の幾分かは使われておつたけれども、今度もしも町村自治体でこれがとられるようになるというと、そういつたような鉱産地下資源開発には使われることができなくなる。こういつたような面において保護助長の一つの政策というものが壊滅に帰することになるのですが、この点どういうお考えを持つておいでになりますか。
  11. 小野哲

    小野政府委員 お説のように鉱産税につきましては、いかなる地方団体をして課税団体たらしめていいかということにつきましては、いろいろ議論があつたのでございます。しかしながら考えてみますと、鉱産税性格からの議論もございますが、その鉱山等の所在の市町村等関係におきましては、相当の確定した財源にも相なりますのと、これらの事情を勘案いたしまして、またその税そのもの性格目的税という意味でもないのでございますので、やはり最も密接なる関係にあり、かつその団体の確定的な財源たり得る鉱産税のごときは、市町村に与えることが妥当である。こういう結論に相なりました結果、今回の税法案に織り込んだような次第でございます。しかしながら道府県等におきましては、単に鉱産税という目的税でない税に依存することなくして、全般的な産業行政の面から、適切なる助長の手は打ち得るものであろう、かように考えておる次第でございます。
  12. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 次に電気ガス税でありますが、鉱山では生産に直接関係のない坑内排水その他危険予防のための保安電力量を総使用量の約三〇%を必要とするのでありますが、保安電力性質上この部分はどうしても免税をした方がよいと思うのでありますが、これらに対してはどういうお考えを持つておりますか。
  13. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御質問鉱山における電力関係、言いかえればこれに対する電気ガス税の問題でございますが、この法律案の四百八十九條にもございますように、石炭であるとか、あるいは金鉱石、あるいは砂金鉱その他の鉱山におきましての電力に対しましては非課税措置を講じておるのでございます。しかしこれは単に保安のための電力ということのみをもつて非課税としたのではないのでございまして、その電力に対する必要な経費というものが、一体どの程度の割合を占めておるかというような点を考え合せまして、石炭等鉱山につきましては非課税とすることが適当である、かように考えました結果、総合的な判断から非課税取扱いをいたす考えを持つておる次第でございます。
  14. 今澄勇

    今澄委員 今の四百八十九條の小野政府委員説明を聞くと、重要産業であり電気使用量その他から、大体これらのものが非課税になつておるという高橋議員に対する答弁でございましたが、私はこの際それらの電力使用量重要産業電力費等から見ても、セメントその他詳しく申し上げませんが、すでに幾多ありますが、数々の品目はこれらの品目と比べてどういう立場とどういうふうな理由のもとになつたのか、もし通産大臣就任早々で御存じなければ、政務次官その他から、通産省としてはなにゆえにそれらの品目を了承したかという御見解を承りたいと思います。
  15. 小野哲

    小野政府委員 通産大臣からお答えになることが至当かと存じますが、従来からこの税法案につきましては、通産省といろいろ協議をしながらやつておりました関係もございますので、便宜私からお答えいたしたいと思います。  ただいまお話のように、電気ガス税非課税範囲をどうするかということにつきましては、いろいろ御議論のある点であろうと思うのであります。この内容をごらんになりましても、あるいは価格調整金、その他の関係からこれに対して適当な保護政策を講ずる必要があるというようなものもございましようし、あるいはまたいわゆる基幹産業としての保護政策対象となる事業もあり得るかと思うのであります。しかし考えてみますのに、はたして電気ガス税のごとき性格を持つておりまする税を非課税といたして今後も実施することが必要であるかどうかということにつきしては、われわれ自身も将来研究を要する問題が残されておると考えておるのであります。従いまして新たにできました地方財政委員会におきまして、これら非課税対象となつておりますような税目につきましては、十分に研究を加えまして、今後これに対して善処いたして参りたいと考えて、目下地方財政委員会において研究をいたして、その結果を適当な機会に、次の国会に御報告申し上げるようなことに相なるであろう、かように考えておる次第でございます。
  16. 今澄勇

    今澄委員 今の小野政府委員説明を聞くと、私はこの重大な産業影響する地方税部面において、通産大臣管下の各政府委員並びに日本産業政策をあずかる他の政府委員は、これをただかたわらで聞いておつて、何ら積極的な意見を開陳しなかつたのではないかと思われる節が多々ございます。私はこの電気ガス税関連して数字を申し上げるならばたとえば日本電力料金全体から、今小野さんのところで計画されている総体的数字は幾らに押えておられるか、まあ六百万円という数字をこの間聞きましたが、これらの数字は、少くとも電気ガス脱のみならず、固定資産税全般的部面にわたつても、大体この程度に上ればこういつたあれで行くとか、この程度に上ればこういつたあれで行くとかいう課税台帳数字がはつきりいたしておりません。私の計算で行くと、この電気ガス税重要産業あるいは電気使用量から取除いた—先般の修正案にあつたような品目を取除いて、大体三億程度赤字が出て来るという計算になります。しがしながらいわゆる三億程度赤字は、電力料金その他の総収益、これらのものをどの程度に押えるかということで、たといそれがちよつと違えば百分の十の課税であるから、わずか三億ぐらいの数字の違いは至るところに出て参ります。こういつた具体的な数字がはじき出される上からには、通産省としてほそれらの具体的な数字の上に立つて日本産業全体のために、当面少くともこれこれのものは非課税であるべきではないかということを、日本産業を守るために申入れをされる気魂信念が、通産大臣としてはなければならぬと私は思いますが、それらの問題について通産大臣からひとつ信念を伺いたいと思います。
  17. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいま今澄委員からお話の点は、私は通商産業省の者も相当に努力してくれたものなりと考えるのであります。また私も今後機会あるごとにあなたのお話の点について努力したいと考えます。
  18. 今澄勇

    今澄委員 横尾さんの答弁はいつも努力したい、通産省管下の者もやりましたというのですが、それでは私が今申しました三億の数字電力料金の今後の値上げあるいは電気使用料等から見て、これが二割もふえれば今の三億くらいはすぐ埋まるのであるから、こういつた方面の財源を求める具体的な案をもつて通産大臣はこれらの地方税の問題について闘われたいというのが私の質問要旨であります。これに対する大臣の今の答弁は、日本通産行政をあずかつておる責任者としては、まことに私は不見識きわまるものであると思います。私はなおこのほかにも今度できた中小企業等協同組合法による協同組合というものは、この附加価値税という最初に載つておる税金のために、それらの中小業者としての特別保護は、まさになくなろうとしておる状態であります。この法案全体を通じて見て、通産省が管轄しておるあらゆる日本中小産業はもとより、大きな産業といえども、特殊なものについては、この法案の通過によつてその産業自体の根底をゆすぶるものが多々あるにもかかわらず、今の通産大臣答弁は、まことに国民輿論の上から許すべからざる答弁であると思いますが、重ねてそれらのことについてどういうふうに考えておられるか、詳細な御答弁ができればこの席上公開していただきたいと思います。
  19. 小野哲

    小野政府委員 便宜私からお答え申し上げます。電気ガス税の問題につきましては、先ほどお話をいたしましたように、将来なお検討いたさなければならない問題が残されておるのであります。たとえて申しますと、一体電気ガス税の中でその業種によつて非課税制度を設けることがよいかどうか、あるいはむしろ諸般の情勢の進みぐあいとにらみ合せまして、この考え方を再検討いたしまして、あるいはむしろ非課税というものをなくして、税率を引下げて行くというようなことも一つの考え方ではないか、そうして当該事業の本質に基きまして、別途その経営の内容に応じた適当な助成政策考えて行くということも、政策としては考え得るのではないかと思つておるような次第でございます。しかしこれは政府として決定いたしておる関係ではございませんので、これらの点につきましては地方財政委員会において、その設置法の中にもこれらの点について研究することによつて規定されておりますので、その研究の結果を次の通常国会に御報告申し上げる、こういう段取りに進めたいと思つておる次第でございます。
  20. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 田中織之進君。
  21. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私の質問は主として大蔵大臣及び行政管理庁の長官に対して申し上げるのでありますが、ただ附加価値税の一年延期に伴いまして、本年度徴収する事業税の関係において通産大臣にお伺いしたいのであります。  大体この附加価値税を一年間延期するだけで、そのままの案で来年からやろうということが、この法案に出ておることについては、われわれ反対の立場をとつておるのでありますが、それは一応お預かりいたしまして、本年度は従来のいわゆる事業税を徴収するということにこの国会で出した案ではなつておるのでありますが、それによると大体昨年度と同じ方式で徴収するならば六百五十億円とれる、こういう算出をされておるようでありますが、この算出の根拠について伺いたいのであります。これはいわゆる事業所得の算定問題でありまして、私が二番目にお伺いいたそうとする朝鮮事変の進展に伴いまする今後の物価騰貴の問題とも関連をして参りますので、この算定の根拠を、できれば大まかな点でも通産大臣からお答え願いたいと思います。  それから附加価値税については、前国会におきましては、これはいわゆる流通税である、転嫁税である、従つてある意味から見れば、取引高税の再現であるという点をわれわれ盛んに追究したのでありますが、そのときには巧妙にそのことを逃げておつたのでありますが、先般の本会議における岡野国務大臣答弁等から見まして、はつきり流通税である、転嫁税であるとこの税の本質を政府みずから言わざるを得なくなつたということは、われわれの反対意見の前に政府が屈したものとわれわれは考えておるのであります。そういう点から見まして、本年度附加価値税にかわつて事業税を徴収するにいたしましても、これは大衆に転嫁されることは必至であります。しかも最近これはわれわれとしては芳しくないことだと思いますけれども、朝鮮事変の進展に伴います特殊需要というようなもの、これはただ単なる投機的なものではなくて、ある程度現実にそういう動きが見られるのではないかとわれわれも見ておるのでありますが、そういう関係からいたしますならば、今後相当物価騰貴の傾向が出て参ると思うのであります。そういう関係からいたしますならば、この事業税の徴収との関係から申しますと、大衆の窮乏に拍車をかけるような結果に相なると思うのでありますが、今申しました事業税を大体前年度と同じ徴収方式でとるといたしまして六百五十億とれるということを算出せられました根拠と、それから事業税が勢い物価に転嫁せられて、大衆負担の増加となる関係に相なります。これが朝鮮事変の進展に伴う物価騰貴の趨勢に対する見通しと関連いたしまして、大衆生活に対する窮迫の度合いが相当強化されると思いますが、この点について通産大臣としてはどういうようにお考えになつておるか。特にこれは面接この税法にも関連を持つて参りますが、今後の物価騰貴の趨勢に対しまして、物価の動向に対しまして、通産大臣としてはどういうように見ておられるかという点をお答え願いたいと思います。
  22. 小野哲

    小野政府委員 詳細のことは資料に基きまして関係の課長から御答弁をいたしたいと存じますが、まず第一点の事業税及び特別所得税の算出の基礎、すなわち六百五十億余りの税収見込額が、もし現行の税率によつた場合においては見込み得るわけでございますが、その基礎につきまして御説明申し上げたいと存じます。要は国税の決定額との関連におきまして推定をいたしておるのでございますが、詳細の数字は財政課長から申し上げたいと存じます。  なおまた第二の問題といたしまして、附加価値税性格の問題でございますが、これは流通税的な性格を持つておるという考え方をいたしておりますので、従つて転嫁的な性質である。さような意味合いにおきまして、今回税実施がずれて参りますために、年半ば以上越えてさかのぼつて実施するということは、事業者に対しましても相当税の負担を重くかけることに相なりますので、暫定的な方法といたしまして、現行地方税法に基く事業税及び特別所得税の趣旨を取入れたものと、附加価値税の精神をも加味いたしまして、暫定的な措置として今回の税法案の中に修正をいたしたような次第でございます。
  23. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 所得税と事業税の昭和二十四年度分は、昭和二十四年におきますところの所得額を課税標準に使うものでございます。昭和二十四年度分の所得税と法人税の課税額がはつきりわかつて参りましたので、この基礎になりました所得額から推定いたしまして、事業税と特別所得税を合せますと七百億円を越えるだろうと思いますが、お手元に差上げてありますような計算をいたしたわけであります。
  24. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これは別に平衡交付金の問題と関連して後にお伺いするつもりでありますが、そういたしますと、四月から七月までの空白状態、現在これは平衡交付金の繰上げ支給と、預金部資金の融資によつてまかなつておるのでありますが、かりにこの税制が成立いたしましたといたしますならば、徴収の時期、従つて四月から七月までの空白状態の事業税の徴収関係は、具体的にはどういうようになるのですか。
  25. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 事業税と特別所得税は、前年の所得額を決定いたします関係上、四月早々に徴収するということは不可能でございまして、平常年度におきましては八月と十一月の二回に徴収する予定にいたしております。それを法案の成立が遅れて参つておりますので、八月と十一月を一月ずつずらしまして、九月と十二月に徴収いたしたいという考えを持つております。
  26. 田中織之進

    ○田中(織)委員 もちろん事業税の関係から申しますならば、従来の例から見ましても、前年の国税面の所得税が基本になることは、われわれもわかるのでありますが、特に前国会における地方税法案の不成立という問題は、これはただ単に法案取扱いについて、審議時間の関係その他で成立を見なかつたというだけの問題ではないと思う。これは不成立になつたということ自体が一つの大きな政治問題であります。そういう観点から考えますと、八月に予定しておつたものを、一箇月ずらして九月に徴収するからということによつては私は済まされない問題だと思う。従つてこれは基本的な問題に触れますけれども、地方税法案の不成立に伴う四月—七月の空白状態の問題は、別個に取扱うという観点に立ちまして、かりに附加価値税にかわつて事業税をとるといたしましても、少くとも二十五年度の前半というものは、事業税を徴収すべきではない、そういう観点に立つて今度の地方税法案を策定すべきではないか。これは政治論になりますけれども、その点についてはどういうようにお考えになつて、こうした案を出されたのか少くとも上半期における地方財政のブランク状態に対しまする取扱いは、別個な財政的な考慮を払わるべきなので、ただ従来から出ている事業税の徴収の日時を一箇月延ばしたというような、技術的、事務的な改正によつて行うべき問題ではないと思うのですが、本案を提出するにあたりまして、そういろ根本的な財政的な面からお考えになられたかどうか、岡野国務大臣がおられぬようでありますから、小野政務次官からでも、その点についての配慮をされたかどうかという点をまず伺つておきたいと思います。
  27. 小野哲

    小野政府委員 本年度の四月から七月の間にあたりまして、いわゆる空白時代が現出いたしましたことは、まことに遺憾でございますが、今回暫定的の措置として、事業税及び特別所得税を活用いたしますにつきまして、これを空白時代とは別個に考えてはどうか、こういう御所見のようでありますが、御承知のごとく事業税及び特別所得税は二十四年度の所得額との関連において決定いたすべきものでございますので、これを年半ばに切つて計算をするということは適当でない、かような考え方を持つているような次第でございます。
  28. 田中織之進

    ○田中(織)委員 問題は、その事業税で大体四百億余りのものをとられようとするのでありますがそれを事業税当初附加価値税でとろうとした。私の申し上げているのは、そういう税金でとらなければほかに財源がないかどうか。現在の国家財政の現状から見まするならば、四百億や五百億の財源はどこからでも持つて来ることができるのじやないか。それでなぜそういう形のややこしい税金でとらなければならぬかということに関連するわけでありますが、そういう財源全般に対する検討の面からお考えになられたことがあるかどうか、この点についてお伺いします。
  29. 小野哲

    小野政府委員 ただいまの財源の問題等につきましては、いろいろ御意見もおありになろうかと存ずるのでございますが、地方財政の運営を計画的にいたしますとともに、これに対して財源を与えます場合においては、どうしてもやはり一般財源にこれを求めて行くということが、妥当であるという考え方を持つているような次第でございますので、われわれといたしましては、やはりこの間の明年一月一日より施行を期待いたしておりまする附加価値税の実施以前におきましては、今回の訂正いたしましたような事業税及び特別所得税の活用によつてやることが、最も妥当であると考えている次第であります。
  30. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ちよつと皆さんにお願いしておきますが、各委員会の立場として特に関係の深いところを御質問を願うようにお願いいたします。     〔「大臣がおらぬじやないか」「休憩休憩」と呼び、その他発言する者多し〕
  31. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 田中君、続行してください。
  32. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大臣に対する質問は保留しますよ。
  33. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 保留してください。
  34. 田中織之進

    ○田中(織)委員 従つて大臣に対する質問は私は保留をいたしまして、あらためて大臣が出席したときにやります。これは大蔵大臣から御答弁を願わなければならない問題でありますが、大臣がいないから、保留するわけでありますが、まず第一に私お伺いしなければならないのは、先般の本会議における総理大臣の施政演説の中にも、地方税制の不成立によつて地方自治体に財政的に迷惑をかけたことが、さも野党の責任であるかのごとく感じられるような発言が、なされているのでございます。過ぐる参議院の選挙においても、与党並びに政府関係の人たちの選挙戦の過程におけるいろいろな発言を検討して参りましても、責任を全部野党に転嫁しているようなきらいがあるのであります。しかし私はこの点について、ことしの四月から七月の間、地方自治体に非常な迷惑をかけた責任は、これはわれわれの立場からいたしますならば、あげて吉田内閣の責任であると考えるのであります。この点については依然としてこれは野党の責任であるというような、先般総理の本会議における答弁等を通じても、政府のそういう口吻が見られるのでありまして、そういう態度が依然として改まらないならば、われわれが本案の審議にあたつて今後とるべき態度というものが、おのずから出て来る。政府の重大なる失態である、この点から見て、政府として地方自治体の迷惑を一日も早く脱却しなければならぬという意味で、本案の審議を本国会に願う、こういう謙虚なる態度であれば、これはおのずから別の態度が出て来るのであります。私はこの根本的な問題について、本年度重要な時期における地方財政の空白状態について、現内閣として重大なる政治的な責任を感じているかどうかということについて、まず政府を代表した答弁を煩わしたいのであります。ことにその点は、岡野国務大臣地方税法案提案の本委員会における説明の中には、やはり地方税法案が成立しない間に、いわゆる旧来の地方税法の効力を停止したという手続的な問題をとつたところに、空白状態を生じた重大なる一つの原因を見出していることを、率直に認めているのであります。ところがどうもある面に参りますと、依然としてこれが野党の責任であるというような態度を、政府並びに与党の諸君がとつておられるところに、私はこの問題についての政府の責任ある答弁をまず伺わなければならぬことに相なるのでありますが、この問題はきわめて重要な問題でありますから、ひとつまず大臣から御答弁願うことの問題を保留しておきます。  それから次に私お伺いをしたいのであります。これは岡野国務大臣が午前中に御答弁なつたことに関連をいたすのでありますが、今回の地方税法は、これは国税との関連において見てもらいたいということを政府の諸公は盛んに言われるのであります。やはり本委員会においても岡野国務大臣もそういうふうに言われておるのでありまして、国税、地方税を通ずるならば、少くとも三百億程度は二十五年度は前年度よりも減税になつておる、このように答弁をせられておるのでありますが、大体国税の面はわかつております。しかし地方税の面で、私今急いでここへ来てから資料を調べたのでありますが、大体地方税の二十五年度における総額千九百八億というものが出ております。それからいわゆる附加価値税の四百十九億という数字も出ておりますが、その他の税目に対しまする二十五年度における徴収予定額というものがまだ明確に出ておらないのであります。具体的に申しまするならば、千九百八億という二十五年度における地方税の総徴収額の内訳がどういうふうになつておるか、この際まずお伺いしたいと思うのであります。
  35. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お手元に差上げてあります「地方財政に関する参考計数資料」の三の第一ページに掲げてあります。
  36. 藤田義光

    ○藤田委員 議事進行についてちよつと委員長にお伺いしますが、本日の連合審査で発言の申出は何名でございますか。現在まで何人終つておりますか。
  37. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 十九名で、済みましたのが三人くらいですね。
  38. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、おそらくあと四日間ぐらい本日の発言通告者でかかると思いますが、どういうふうな進行をされるつもりか、委員長の御方針をお伺いしたいと思います。
  39. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 本会議が済みましたら国務大臣が大部分出られますから、ずつと進行すると思いますので、どうぞこしんぼう願います。
  40. 藤田義光

    ○藤田委員 私がこの際お願いしたいりは、連合審査はもちろん非常に必要で、重要でございますが、連合審査会かもし相当長期にわたりました際において、連合審査の審議によつて最も重大なるわれわれ地方行政委員会の審議に支障を来さぬように議事の進行をしていただきたい。特に速記録に私のこの発言をとめていただきまして十分御注意を願いたいと思います。
  41. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 承知いたしました。
  42. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ただいまの藤田君の議事進行についての発言でありますが、これは前国会における連合審査会、これまた時間が非常になかつたのであります。そこでわれわれは地方行政委員会において委員外発言ということでわれわれの発言を認めてもらいたいということを当該委員長を通じて、地方行政委員長、当時の中島委員長に申入れをしたのでありますが、遂に衆議院においては固定資産税の約三百五十條ばかりは説明すらしない間に質疑を打切つてしまつた。従つてわれわれ委員外質問なんかもせつかくの申出にもかかわらずこれを蹂躪せられてしまつた事実があるのであります。従いまして、私は政府が本法の成立を非常に急がれる気持はわからないではありませんけれども、ただいま連合審査会の審議が長引くことによつて地方行政委員会の審議期間が圧縮されることでは困るからということで、何かわれわれ地方行政委員外の者にとつてみまするならば、この連合審査会の審議期間に対してきわめて制限を加えるような発言に対しましては、大蔵委員の一人といたしまして反対せざるを得ないことになるのでありますが、その点私のあるいは聞き違いかもしれませんけれども、重要問題でありますから……。
  43. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 十分審議はしていただけるようにいたします。
  44. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま田中君の発言でございますが、大分誤解があるようであります。連合審査会において十分審査していただきたい。しかし連合審査会の期間が延びたことによつて地方行政委員会の審議に支障を来すことのないようにしていただきたい。たとえば会期の延長があるだろうし、いろいろな事態が想定されるのでありますから、そういうことを考えまして、委員長は議事の進行をしていただきたいという意味でございまして、せつかく連合審査会において真剣に審議中の皆さんの発言を制約するがごとき不遜なる気持は全然ございません。われわれといたしましては徹底的に審議していただきたいという意味の発言でございまして、議会の審議権を尊重するという意味でございますから、誤解があつたらひとつ御了承願いたいと思います。
  45. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それではお伺いをいたしたいと思います。問題はやはり先ほど質問いたしました四月から七月までの空白状態の処理の問題であります。大体平衡交付金の繰上げ支給と預金部の融資によつてつているのでありますが、この国会には今のところ補正予算等も出ませんが、平衡交付金は地方税法不成立の関係から繰上げ支給になつて、平衡交付金千五十億の四半期ごとの配付から見ますれば、そこに大きな相違点が出て来ていると思うのでありますが、政府の方ではもつぱらこれをこの税法が成立したあとの税収入によつてバランスをとつて行くつもりで、別に平衡交付金そのものの増額その他の処置についてはお考えになつておらないようにわれわれ聞くのでありますが、これは今後この徴税がはたしてどの程度に行くかということも、現在の地方自治体等の徴税機構のきわめて不完備な状況から見ますれば、なかなかむずかしい問題だと思うのであります。各地方庁におきましては、徴税機構強化のために相当いろいろの手を打つているようでありますけれども、かりにこれが政府で企図しているように八月一日から施行せられたといたしましても、それだけの税収をあげて今までのブランクを埋めるというようなことには相ならないと思うのであります。勢い平衡交付金の面における補正予算をもつと増額するという問題と、それから私この際伺つておかなければならないのは、これは大蔵大臣から確たる答弁を全国の地方自治体のために聞かなければならぬことになると思うのでありますが、この四月—七月の空白状態の預金部資金欲融資した部分を、大体いつごろまでに回収するつもりであるか。回収日時の面でこれまた地方自治体の財政にきわめて重大な関係を持つて来ると思うのであります。私らは少くともこの四月—七月の政府の重大なる政治的失態のもとに生じた空白状態のときに政府が預金部資金を融通した問題は、自治体の財政的な余裕が出るまで強制的に償還させるというようなことはやられるべきではない。さらにこの間のブランク状態はむしろ財政資金の補給によつてまかなつて行くべきだという考えを持つておりますので、その点については大蔵大臣から責任のある御答弁を得たいと思うのでありますが、自治庁の方におきましても本案を策定するにあたりましては、この四月—七月のブランク状態の処理並びに平衡交付金等の関係について、一様も二様も検討せられた上でこの法案を提出されたことと思うのでありますが、その取扱いについてはどういう御方針をもつて臨まれたかということについてお答えを願いたいと思います。
  46. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。四月—七月の空白状態に処する暫定措置は、かねて御承知の通りでございますが、今回の地方税法が成立いたしましてこれを施行いたしました以後における種々の問題についての御意見であろうと存じます。われわれといたしましては暫定措置として、大体において最小限度の財政需要はまかない侍るように措置はして参つたのでございます。ただ今後の地方財政がいかなる状態に推移して参るかということにつきましては、十分に関心を持ちながら操作をして参りたいと思つておりますので、ただいま御指摘になりました地方財政平衡交付金を増額するかどうかという点につきましては、地方財政の需要の状況、その事情の推移に応じまして、十分に検討を加えて参りたいと考えておる次第でございます。
  47. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大体四月—七月の窮場を事欠かないだけに処置されたということは、私も多とするものでございますが、その関係から見まして、手取り早く言つて、平衡交付金の面で少くとも第一・四半期の平衡交付金の配付の予定よりも、どの程度食い込んでおるか。従つてそれは八月一日以後の税法を実施した場合の税収入によつてカバーできるものかどうか。そういうことについてさらに数字的に検討せられたことと思うのでありますが、その点はどうなつておるのですか。たとえば三・四になつて穴が明いて来るとか、平衡交付金の関係についてみましても、四・四については考えなければならぬ。三・四まではとにかくこのずれで、その間に税収が確保できればバランスをとつて行くとかいうような見通しがあろうと思います。一・四をとつてみる場合においては、当然平衡交付金の一・四に予定していたときよりも多く援助しなければ、この一・四のブランクは満たすことはできなかつたと思うのでありますが、そういう数字的な点はどうなるのですか。
  48. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘になりましたように、ブランクの一応の穴埋めはできたのでありますが、この見通しは大体九月までを目途として考えておるような次第であります。しかし何分平衡交付金の交付の仕方が、いわゆる概算交付でございますので、その間地方団体によりましては、現実の税収面との見合いから申しますと、でこぼこが生ずる。言いかえれば、あとからやるものを先にやつたというような関係上、そこに多少の時の関係からいつて前後がございますし、また金額の点につきまして、多い少いの問題が起つて来ることは当然でございます。これらの点につきましては、今後第三・四半期後におきましてこの税法が実施されました場合において、税収入額との見合いにおいて政府としては調整をはかつて行きたい、かように考えておる次第であります。
  49. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点に関連しては、四月—七月の間に預金部の資金の動員せられたものの回収については、やはり今後税収との関係において相当考慮してやらなければ、あまり回収に急でありますと、勢いやはり地方財政の面における圧迫が加わつて来ると思うので、この点については自治庁としてどういう処置を大蔵省との間に折衝せられつつあるか、この点についてのお答えを願いたいと思うのであります。なおこの点につきましては、責任当局としての大蔵大臣答弁を要求いたしておきます。  それから次に固定費産税の問題について御質問をいたしますが、この倍率が非常に高過ぎて実情に沿わないということは、これは前国会に聴いて最も強く指摘せられたのであります。今回倍率には変更を来したようでありますが、九百倍という倍率を算定せられたのは一体どういろ根拠に基くか、この点をまずお伺いしたいのであります。さらに免税点の二万四千円、これは従来から前国会でわれわれも非常に低過ぎるということを主張して参つたのでありますが、この点についても何ら修正を施されておらないように見受けますので、免税点を二万四千円というきわめて低い数字に押えられたにつきましては、これまた理由のあることと思いますが、これを算定した根拠についてお伺いをしたいと思います。
  50. 小野哲

    小野政府委員 お答えを申し上げます。短期融資の問題につきましては、大蔵省の方から御答弁することが適当であると存じますが、地方財政を主管いたしております自治庁といたしましては、地方団体の財政の現状にかんがみまして、むりのないように取運んで参りたい、かような心組みで大蔵省とも折衝いたしたい所存でございます。  なお次に固定資産税の倍率の問題でございますが、この倍数を算定いたしまする基礎としては、米価をとつてつたような次第でありまして、土地、家屋等はもちろんでございますが、特に山林その他にきつましては、あるいはもつと倍数が多くなるという結果におそらくなるものと考えておる次第でございます。なお免税点は九万円ということに今回いたすのでございますが、これにつきましても従来の関係からかんがみまして、さらにこれを増額をいたして参つたつもりでございまして、大体九万円程度が妥当ではないかというので、今回の法律案におきましてもこの九万円を織り込んでおるような次第であります。
  51. 田中織之進

    ○田中(織)委員 米価との関係において九百倍というものを算出したということでございますが、それは米価との関係においてはそういう数字が出るかもしれません。問題は固定資産税を徴収すべき予定の税額その他の関係から見てやはり考えなければならないのでありまして、私はそういうただ単に米価を基準としたというだけの問題ではなしに、固定資産税税率との関係において考えられた算定のさらに深い根拠というものがあると思うので、実はそれを要求しておるのでありますが、答えられればそれにお答えを願いたいと思います。やはり固定資産税関係において償却資産の捕捉率の問題について、これを52%と押えられておられるようでありますが、これの算定の基準が一体どういう基礎に基いておるのか。われわれちよつと理解できませんので、この関係から見ますならば、やはり償却資産に対する税収見込額の九十三億というものが少し見積り過小ではないか、われわこう感じを持つておりますので、償却資産の捕捉率を五二%と算出せられた基礎についてお答えを願いたいと思います。
  52. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 償却資産の捕捉率を五二%と考えておるというお話でありますが、そういう計算はいたしておりませんので、償却資産につきましてはただいま提案しておりますように仮評価をいたします。仮評価をいたします場合に、最低限度の仮評価額というものがあるわけでありますが、その仮評価額を基礎といたしまして、課しました税額のうち、本年度内には八〇%ぐらいは収入することが可能であろうというふうな見込みをいたしておるわけでありまして、そういう意味における仮評価額の総額というものを約一兆円、その八〇%を、本年度の償却資産からの固定資産税の收入予定額として約百億円というものを予定いたしておるわけであります。
  53. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そうすると償却資産関係から見る税収見込額は約百億、それは約一兆の仮評価額と申しますか、それの八〇%が年内にとれるという見込みでありますか。
  54. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御説明が少し簡単であり過ぎたと思うのでありますが、今年の仮評価額は再評価額の限度額の七〇%を下ることができないということがございます。それで償却資産につきまして、限度一ぱいの評価をいたしました場合にはどれだけになるかという額を約一兆円と押えております。そのうちの最低限度で押えてみました場合に、もとより七〇%以下に評価しなければならないような問題も起きて来るわけでありますけれども、まず市町村償却資産に関しまして課税標準額として押えられるものを約七千二百億円と予定いたしております。この七千二百億円に一・七%の税率をかけますと百二十億円余りになります。そのうち八〇%は少くとも本年度内に収入になるだろうという意味合いにおいて約百億円と計算いたしております。しかしこれはあくまでも仮評価額に基きました本年度内の収入でありまして、平年度におきましてはやはり適正なる時価に基きまして、課税いたして参りますから、この数字とは幾らか違つた結果になるだろうと思つております。相当の増収をわれわれは期待いたしまして、それによつて平年度においては、市町民税が相当減収になつて来る、それをカバーできるであろうというふうな見込へを立てておるわけであります。
  55. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、この固定資産税の実施の結果は、地代、家賃及びいわゆる固定設備に対する負担増加という形になつて、勢い物価に響いて来る、われわれはこういうように見ておるのでありますが、固定資産税の実施に伴う物価への影響というもの、あるいは地代、家賃等への転嫁ということについては、どの程度影響をお見込みになつておられますか。
  56. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 租税負担が物価にどういう影響を与えるかということは、やはり固定資産だけではございませんで、国税、地方税を通じましてあらゆる税種を総合して考えて行かなければならないだろうと思うのであります。ただ家賃に及ぼします影響は、固定資産税を中心として考えて参りますと、現在の統制家賃の坪当り月額が、大体東京の平均的なものにつきまして約十五円になつております。それが二十四円五十銭ぐらいにふえるわけでありまして、坪当り九円六十銭、十円足らずのものがふえて参ります。その他総合的に税負担が価格に及ぼします影響を、たとえば地方鉄軌道の料金について考えて参りますと、われわれは税制改正の結果料金に影響を及ぼすようなことにはならないと考えております。電気につきましては、その関係償却資産評価をどう見るかということが非常に大きな問題でございまして、われわれは三千億近いと一応見込みを立てておるわけでありますけれども、はたして三千億近い評価をすることが妥当であるかどうかにつきましては現に相当の疑問を持つておるわけであります。ただしかしながら、適正な時価がまだどこからも算定されておりませんので、一応そういう大きな評価をいたして参りますとニパーセント余り料金が上らざるを得ないというふうな結果になるわけであります。
  57. 田中織之進

    ○田中(織)委員 家賃の場合の坪当り十円というのは、あるいは奥野さんにとつては大したものでないかもしれませんけれども、これはきわめて重要な要素を含んでおると思うのであります。それから料金の関係等については大した影響はない、こういうようなお見込みのようでありますが、その点はわれわれと見解が相当隔たりがあるわけでありまして、しかもそれを国税と総合的に見なければわからないと言われますけれども、私はこの固定資産税関係だけを通じても、これは勢い家賃、地代その他の物価に対する影響相当あると思うが、それを十分見ておらないどころにこの税法案の一つの欠陥があると思うのでありますが、この点はこれ以上は議論になりまするので、それ以上触れないことにいたします。  次に住民税についてお伺いをいたしたいのでありますが、ことに均等割の標準税率が、人口五十万以上の市八百円、五万以上五十万未満の市六百円、前二号以外の市町村が四百円というように算定をざれた基礎を伺いたいと思うのであります。ことにこの均等割が相当に高率であるという関係から、勢い人頭割的なものになつて来ておる。さらにこの住民税におきましては、従来市町村民税において相当大きな部分をとつておりました法人に対する部分、従つて法人割というようなものが、まるきり今度は考えられておらないのでありますが、これは政府の法人に対する所得税その他法人税の面における優遇であると思うのでありまして、その意味から見て、単純素朴な資本主義的な税政策がとられて来ることに相なると思うのでありますが、この均等割の標準税率を八百円、六百円と算出せられました根拠をまずお伺いしたいと思います。
  58. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 現行の住民税におきましては、一納税義務者当り平均が千四百五十円であります。このうち均等割の占めます部分が二割程度が穏当であらうというふうなことを申しておりました。大体全国的にその程度の均等割を求めているようであります。従いまして、大体三百円くらいが均等割になつておるというふうに考えていただいてさしつかえないと思うのであります。ところが今回の改正に荒きまして、住民税が相当増額されることになりました。所得割の部分が特に増額されるわけでございますが、そうなればやはり均等割の部分もある程度増額して参りたいというふうなことを考えておるわけでありまして、新しい市町村民税において、均等割の増額の中に占めます割合は、やはり二割くらいでございます。こういう見当から、まず、四百円、六百円、八百円でもやむを得ないのではなかろうかというふうな考え方をいたしておるわけであります。また昭和十五年に初めて現行市町村民税の基礎をなしますものが生れたわけでございますけれども、当時の一納税者当りの平均額というものは、四円、六円、八円でございます。大体当時はこうしたものに収入を期待したわけではなく、いわゆる負担分任の精神を税制の上に残して参りまして、自治の発展に寄与して行きたいというような考え方から創設されたのでありますが、当時の金額がそうでございました。その後の物価高騰の状況を勘案いたして参りますと、まず今日四百円、六百円、八百円という程度のものを負担していただくのは、やむを得ないのではなかろうかという考えを持つておるわけであります。
  59. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その説明ではどうも納得できないのであります。大体従来の一人当りの平均千四百五十円の中でも二割程度、大体三百円が適当だと言われておるにもかかわらず、いわゆる人口五万以下の市町村においても四百円という平均をとつておるというところに—これは均頭割でありますが、われわれ納得できないものがあるのであります。しかもこれはただ単にこの点だけが問題なのではなくて、私が先ほどの質問で申し上げましたように、法人に対する関係、法人割というものは今度の場合に全然考えられておらない。ここに非常なアンバランスが出て来ると私は思うのであります。法人であれば、資本金が幾らであろうと、少くとも二千五、六百円以上は全然負担することがないという住民税—住民税というものは法人以外の住民に対する従来の一つの賦役的なものから出発した人頭税だとはつきり銘を打たれるのなら、私はそれでもいいと思いますけれども、少くとも今日の近代的な国家における法人組織というものが相当発達しておる段階において、特に、その住民税という意味における課税考えらるる場合においては、当然法人の資本の額に応ずるところの負担というものが考えられなければならないはずだと思うのでありますが、法人割を全然廃止せられた根拠はどういうところにありますか。
  60. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御承知のように、シヤウプ勧告におきましては、法人に対し市町村民税を課さないように勧告されておるわけであります。その主張されております点は、法人は個人の活動の手段であつて、法人の所得はすべて個人に帰属するものである。自然法人の所得にも課税し、個人の所得にも課税する場合においては、二重課税になるというふうな考え方が持たれるのであろうと思うのであります。しかしながら個人に対する市町村民税におきまして、単に家、屋敷を持つておる、あるいは事務所、事業場を持つておるだけでも均等割を少くとも課税した方がよろしいという考え方のもとに、そのような立案をいたしておりますので、法人にも同じ趣旨におきまして均等割だけは負担してもらうというふうに考えたわけであります。自然所得を標準にしますような、あるいは資本金額を標準にいたしますようなものは課税をしない。法人の所得というものは個人の段階において全部捕捉いたしまして、市町村民税の所得割において課税をして行きたい、こういうような考え方を持つておるわけであります。
  61. 田中織之進

    ○田中(織)委員 最後はシヤウプ勧告案に逃げ込まれるのだろうとは予想しておつたのでありますが、シヤウプ勧告案によりますると、このことに対する取捨選択というか、これは政府関係のみならず批判の自由をも特にあの勧告案の中に認められておるのでありまして、その点から申しまして、前国会において地方税法案が成立しなかつたということを通じましても、この勧告案があくまで勧告案であつて、絶対的なものでないということは、前国会においてこれが廃案になつだという厳然たる事実によつて、私は示されておると思うのであります。従つてもう少し日本地方の住民経済、その他の実情に立脚したところの立案を進められるべきではないかと思う。そこに最近の政治における自生性の問題とも関連いたしますけれども、どうも現内閣ことに行政事務長系統の諸君が、一体日本の官吏として、また日本の官吏として、また日本の政治をやるというような意気込みで、あなた方が法案の策定に当つておるかどうかということをわれわれ疑うような結果が、現実にこの法案の中に現われて来ておると思う。私、そういうことはきわめて遺憾なことだと思う。そういう点についてはもう少し地方経済の実情等を御勉強願いたいと思う。  それから相かわらず大臣が見えないので、気の抜けたビールのような感じがいたすのであります。もう本会議も終ることと思いますが、暫時休憩して、本会議が済んで、大臣が出席してからやつてもらつたら……。
  62. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 本会議が済んだら、すぐ来ますから……。
  63. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ここまで質問して来ておるのだから、委員長暫時休憩を願います。
  64. 中崎敏

    ○中崎委員 議事進行について……。質問者からも大臣の要求があるんだから、委員長は強引にそういうことを押し切らないで、十分、手配をして……。
  65. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは田中君のは保留して、次に川端佳夫君。
  66. 川端佳夫

    ○川端委員 それでは私の話の筋さえ通れば、大臣がいなくともようございます。私は水産関係の問題について御質問申し上げます。水産業に対する附加価値税の問題でありますが、遠洋漁業等特殊な大規模の漁業までもということはむりかもしれませんが、沿岸漁業、すなわち小さな中小漁業に課税されることになつておるのは不合理かつ不均衡の感が強いように思われるであります。何となれば、水産業では九万田以上の附加価値課税されることになつておりますので、中小漁業の相当部分、これは三分の二くらいは対象になるのじやないかというふうに言われておるのであります。一方において農業及び林業が非課税となつておるのでございまして、水産業がどうも不合理に扱われておるんじやないかということを考えるのであります。水産業免税点を引上げることができない、九万円以上のものはどうしても対象になるのだというようなことで、やむを得ないということであれば、その理由をもう少し詳細に明らかにしていただきたいと思うのであります。まずこれからお伺いしておきます。
  67. 小野哲

    小野政府委員 水産業に関する附加価値税の問題につきましては、いろいろ御論議があることと承知いたしております。今回提案いたしました法律案の中で、主として自家労力によつて行いますような水産業につきましては、非課税にいたしたい。こういう考えを持つておるのでございます。従つてただいまもお話になりましたように、トロール漁業であるとか、あるいは捕鯨漁業というふうなものにつきましては、異論はないのでありますが、問題は沿岸の、主として小規模の漁業者、たとえばのりの採取とか、貝の採取、こういうふうなものにとりましては、附加価値税対象になるということはまことに苦痛であろう。かように考えまして緩和をいたしたい、こういう意図を持つておる次第であります。
  68. 川端佳夫

    ○川端委員 ただいま緩和をいたしたいというお考えを述べられたのでありますから、その方向は非常にけつこうなことでありますが、私たちはでき得ればもう少し免税点を引上げて行くというようなことができるかどうか。そうして緩和の方法とは具体的にどういうことをお考えになりて、おられるか、伺いたいのであります。
  69. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。大体ただいま申しました主として自家労力によるような場合におきましては、相当範囲にわたつて非課税対象になり得るのではないかと思うのでありますが、今考えておりまする点は、事業を行う者及びそれと同じ戸籍にあるところの親族の労力をも込めまして、年間を通じて大体延日数の三分の二以上に該当するというような場合におきましては、非課税対象にいたしたい、こういう考えを持つております。
  70. 川端佳夫

    ○川端委員 それは第二十四條七号の政令の範囲内でのことでございますか。
  71. 小野哲

    小野政府委員 お説の通り、その範囲は政令でもつてきめたいと思つております。
  72. 川端佳夫

    ○川端委員 そういたしますと、私たちの方の調べによりますると、大体十四、五万円程度のものまでにとどまるのではないかというふうな感じを持つているのであります。そうして行きますると、なおかつ相当部分のものがこの税を負担して参らなければならぬ。一方においては、すでに御承知のように農業、林業関係は附加価値相当額が四十万円以上に及ぶものがあろうと思われます。しかるにこの面に対しては非課税になるということと思い合せまして、なおかつ今のお話でも苛酷ではないかというふうな感じを持つているのでありますが政府はいかように考えておられますか。
  73. 小野哲

    小野政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、主として自家労力をもつて行う第二種事業、この範囲を、いかなる程度までが一体非課税対象になるかということを政令でもつてきめる、こういう趣旨でございますが、ただいまいろいろと御指摘になりました点から考えまして、水産業と主として比較になられますのは農業、林業ではないかと思うのでありますが、この点につきましては根本的に土地につながつて行うような事業と、それ以外とをここに区別をいたしておるような次第で、先ほど来も御質問がございましたように、土地と密接な関連において行わなければならない、また行うことが本質である事業につきましては、固定資産税が別途課税されることと相なりますので、この間の調整をはかる意味合いにおいて非課税といたすことに考えておりますので、この点につきましては、水産業はやや趣が異なりつておる、かように考えておる次第でございます。
  74. 川端佳夫

    ○川端委員 ただいまのお話では、農業、林業関係には土地あるいはまた家屋等に関する固定資産税が増徴されておるから、水産業関係はそれがないのだというようなお話でございますが、これは見解の相違かもわかりませんが、実際問題といたしましては、水産業固定資産税の負担は決して農業や林業に劣るものではないというように、実際面では考えられているのであります。これは別といたしまして、なお私はこの機会に特に注意を払つていただきたいと思いますのは、何しろ水産業は御承知のように自然の制約を受けることがきわめて強うございま、て、絶えずその生命、財産を直接不可、抗力の危険にさらすというようなことでございます。その大部分の漁業者産業として安定した基盤を持つておらないというようなことであります。そういうぐあいでありますから、それを機械的に合理化とか計画的な生産というようなことができないのであります。こういう特殊性があり、かつまた中小の漁業には、ほかの企業と比べて、特殊な事情のあるのは、労賃の支出の関係にありましても相当これが多ぐなつて参りますので、附加価値額の総収入における割合は一般産業よりも多い。こういう事情も十分お考えになつてのことでございましようか、御意見を伺います。
  75. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。水産業が、今るる御指摘になりましたようないろいろと特殊な事情があることも承知いたしておるのでございますが、附加価値税の本質論から申しますと、その事業のいかんにかかわらず、経営の規模であるとか、あるいは仕事の分量に応じまして生み出した附加価値課税標準といたすことに理論上相なつておりますので、ただこれを実施いたします場合において、あとう限り当該事業の現実にある程度沿うように調整をはかつて参りたい、こういうふうな趣旨から水産業の特殊事情等をも勘案いたしまして、特に自家労力の点を水産業については強く取上げて参つたような次第でございます。従いましてこれらの点から、もし水産業がその仕事の性質からあるいは暴風雨にあつたり、あるいはまたその他の関係から不安定な状態になりましたために、その結果生ずる漁民の生活実態に応じましては、あるいは税の減免の措置をも講じ得る道が開かれておりますので、これによつてある程度救済ができるのではないか、かように考えております。
  76. 川端佳夫

    ○川端委員 それではシャウプ使節が参りまして、その勧告の中に、所得税において変動所得及び損失の繰延べ繰もどしを勧告いたしておるのでありますが、われわれ水産委員会においても非常に議論のあつた点でありますが、これと、この水産関係附加価値税を設けて行くということの兼ね合せをどういうふうに考えられて行われたものであるかという点を伺います。
  77. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。今回の附加価値範囲内において申し上げますと、もちろんシヤウプ勧告書の中におきましては、所得の関係においていろいろ示唆があるのでございますが、附加価値税自体の性質から考えますに、他から取得いたしました施設その他の価格につきましては、これを支出額として落すことになつておりますので、損益の関係から判断をするというわけには参らないと考えております。
  78. 川端佳夫

    ○川端委員 私は水産業界の参考意見を申し上げて、質問はこの程度で打切ります。どうかこういう水産業界の実情をよく捕捉されまして、そうして特に取残された感じを持つておる今度の地方税改正の中における水産業の立場を、十分今後参酌をしていただきたいことを要望いたします。  なお参考に申し上げておきますが、漁業法の改正によつて昭和二十七年度からは漁獲高—これは漁業所得ではありません、この平均三%に及ぶ免許料、許可料が徴収されることになつておることは御承知の通りであります。従つてこの税負担能力というものとの兼ね合いも考えていただいて、十分に善処あらんことを要望いたしまして終ります。
  79. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 木村榮君。
  80. 木村榮

    ○木村(榮)委員 最初にお尋ねしたいのは、市町村民税の場合に、課税対象の人員が、農業人口において去年よりもどのくらいふえますか。この点をお聞きしたいと思います。
  81. 小野哲

    小野政府委員 大体われわれの見込みでは、二割、四百万ばかりふえる見込みでございます。
  82. 木村榮

    ○木村(榮)委員 今四百万と言いますと、去年はどのぐらいですか。
  83. 小野哲

    小野政府委員 これを実数で申しますと、大体千五百万から二千万、こういう見込みでございます。
  84. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと、現在六百万農家、四千万農業人口と言いますから、農村における農業人口の半分が課税対象となると見てさしつかえないですか。
  85. 小野哲

    小野政府委員 あるいは私の聞き違いかと思いますが、今申しました千五百万は全国の数でございます。それが約二割ないし三割増加いたしまして二千万になる。農村人口だけではございません。
  86. 木村榮

    ○木村(榮)委員 私の聞いたのは、農村人口の場合に、今までの市町村民税の課税対象が何人くらいで、今度の改正されました市町村民税関係ではどのくらいふえるかということを聞いておるのです。
  87. 小野哲

    小野政府委員 ただいまちよつと適当な資料を持つておりませんので、調べてまた御答弁申し上げます。
  88. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そこで私は、こういつた大事な問題がまだ調査なさつていない、また私が見ました資料に出ていないということは、非常に重大な問題だと思う。といいますのは、御承知のように今度の改正案によりますと、大体未成年者でない者は、たとえば生活保護を受けておる者とか、あるいはその他二、三の免除規定はございますが、大体均等割というのはほとんど全部にかかるようになつている。そういたしますと、御承知のように、農村の家庭は大体二夫婦あるいは三夫婦くらいも生活をやつておる。相当にたくさんな未成年者でないものをかかえ込んで一家を形成いたしております。従つてこの税法で行きますと、都会のように夫婦と子供がいて勤め人といつたふうな家庭と違いまして、相当たくさんな者をかかえ込んでいますから、個々の農家に及ぼす影響力は相当に大きいと思う。そこでその点を明確にしてもらいたいと思います。
  89. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 農家で世帯主と一緒に成年の人たちが共同で働いているという場合でありますと、従来世帯主が課税対象でありましたが、新しい市町村民税は、個人主義的な構成をとりました以上、ある程度納税義務者の数はふえると思います。しかしながら、その共同で働いている人自身にも、客観的に見て所得があると認定されるような人であるかどうかということから、納税義務者の対象とするかどうかということを決定するわけであります。たとえばお嫁入りの前の娘さんが、成年にはなつているけれども、農業のお手伝いをやつている、こういうふうなものは、もとより一人前の納税義務者として課税して行くべきものではない、かような考え方を持つておるわけであります。しかしながら、血気盛んのむすこさんが一緒に働いているとすると、所得税の関係においては、専従者とみなされておりませんけれども、これはやはり客観的に所得があるという見方をして参りませんと、ほかの納税義務者との間で均衡をとることができませんので、これは課税対象になるだろうと思うのであります。しかしながら、こういう場合でありましても、その人が扶養親族としての取扱いを受けます場合には、地方税法案に規定してありますように、均等割の額を軽減することができるという規定を適宜運用して行くことがよろしいだろうという考え方を持つております。
  90. 木村榮

    ○木村(榮)委員 農村の失業人口のことがたびたび問題になつおりますが、大体大ざつぱな予想として、どのくらい見積つておられますか。
  91. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 労働省の方の御意見を伺つた方がいいと思いますので、労働省の御意見を伺つて参りましてから、お答えいたします。
  92. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そこで、血気盛んな者が農村に生活しておつて、その農家に所得があつた場合は、当然その農業に所得を生む大きな労力になつておるという建前から、課税をするということを御説明なつたと思います。そうすると、御承知のように、農村は、忙しい時分はじいさん、ばあさんまで手伝いをする。日本の農民は、医者を呼んで、これはもう大病で熟が三十九度も四十度もあるというようにならなければ、なかなか休まないような労働をやつております関係上、相当な年齢になつても、また身体の比較的弱い者でも、大なり小なり労働には従事いたしております。だから老人ばかりでなく、農繁期などには、子供でさえも労働するような状態であるから、一人前の若い者は、農繁期には農業に従つて労働をやるのは当然である。実際は、日本の農業の現状から見れば、失業者に入るようなものでも、こういうような生活をやつております。こういうものは、今あなたが御答弁なさつたような観点から、すべて市町村民税の対象として見られますか。それとも何かその法律の中に、そういつたものを的確に区別するようなことが書いてございますか。
  93. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 法律案の中には成年者にはすべて市町村民税を課することに規定しているわけではございませんで、前年度において所得があつたものに限つて課するわけであります。所得があつたと言いまするのは、大体収入金額から経費を控除してなお残余があるということに形式的にはなると思うのであります。従いまして、今お話になりましたような、おじいさん、おばあさんが農業のお手伝いをしている、あるいは先ほど私が申しましたように、お嫁入りの前の娘さんが農業のお手伝いをしている、こういうものはみな市町村民税の課税対象とすべきものではない、かような考え方を持つているわけであります。
  94. 木村榮

    ○木村(榮)委員 農業をやつた場合はどうなるのですか。
  95. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 それはもとより所得があつた人と見るか見ないかという認定になるわけでありますけれども、他の納税義務者との均衡から考えまして、おそらく市町村が不公平な扱いをするととはないだろうと思うのであります。またおじいさん、おばあさんが所得があつたと見ること自体が、認定の問題として判断された結果、ないとなれば、違法の賦課となりまして、当然取消されなければならないはずだと思います。ただ市町村民税は、単に法律の規定に基きましてそのまま課税されて行くわけではございませんで、言うまでもないことでありますけれども、さらに市町村市町村議会の議決を経て條例を制定するのであります。その際に、課税対象をもつと明確に規定するようなくふうが得られるならば、それもけつこうであります。さらにまたその運営につきましては、市町村議会というものが十分に監視して行くはずだろうと思います。要は、課税の問題が他の納税義務者との間に、いかに均衡が保たれるであろうかという問題に帰着するであろうと思います。こういう問題は、なるべく小さい範囲団体におきましていろいろと検討されることによつて、適正な運用が得られるのではないだろうか、単に條文の適用の問題では納まらないのではなからうかという考え方をいたしておりまして、いろいろと御注意のありました点を、できる限り市町村に徹底いたしますように、われわれといたしましても十分な努力を続けて行きたいと思つております。
  96. 木村榮

    ○木村(榮)委員 この間私が行つたところの地方事務所の会議内容を聞きますと、大体町村民税を割当てる場合に、この新しい税法で行けば、御承知のように昨年度の所得が一万二千円に満たなかつた者は云々と書いてある。ところが農家の場合は、かりに七名の家族で、労働能力のある者が二夫婦であるといろ場合には、じいさん、ばあさんと、それから若者夫婦と結局四人が労働した、こう仮定いたしまして、さらに四人の労働によつで年間所得が十万円あつたという場合には、これを四で割れば一人が二万五千円になります。そして年寄りの方は大体半人役を見ても一万二千五百円であり、従つて課税対象にはなる、こういつたやり方で農村は課税をやるような方法を出しておる。だからそういうふうなことをこの法律ではできるようなことがたくさんあるから、従つて私はこの法案で行けばおそらく農村においては、腰の曲つたようなじいさんやばあさんに至るまで課税対象にしてやつて行くと思う。またやつて行かないと、御承知のように平衡交付金法なんかにも規定いたしますように、標準税率の百分の七十をとつたものとして、交付金をやろという規定がありますから、そこまでやつてとらないことには、なかなかこの標準税率とつたことの実績にはならないという観点から、そういうふうなことをやつて行く危険性があると同時に、そういつたようなことが明文化されていないのにかかわらず、そのようなことがやれるようなことがたくさん書いてある。この点をどういうふうに説明なさるか、そういうような場合にはどのような指導をなさるか、この点を明確にしておいてもらいたいと思う。
  97. 小野哲

    小野政府委員 ただいま御心配になつておられる点は、重々ごもつともと存じます。ただここで私から申し上げておきたいことは、地方税制の根本的な考え方がどこにあるかということでございますが、この点につきましては、一般の国税とはやや異なつておりまして、何と申しましても、地方自治体の自主的な運営あるいは地方財政の自主性を確保して行くということがねらいになつております。それと同時に、最も身近な団体でございますので、地方議会の運営等にあたりましても、地方住民との密接なるつながりで運営されるものと私どもは期待をいたしておるような次第で、従つて当該団体の住民の生活の実態ということを常に勘案しながら、団体理事者あるいは地方議会においては運営をはかつて行くべきであるということを、私は望んでおるような次第で、従つてこの地方税法そのものは全体として総合的な統制を最小限度においてはかる、こういう意味においての規定でございますので、あとは地方団体における適正な運用ということが土台になるのでございます。しかしまがらわれわれといたしましては、その運用にできるだけあやまちのないように、また納税者の立場をも斟酌いたしまして、適切な運用ができますようにということを、できるだけ助言または指導をして参りたい所存でございます。
  98. 木村榮

    ○木村(榮)委員 現在の日本標準農家といいますと、耕作反別にして一町二、三反前後だと思います。そういう仮定の上に立つて、大体田が一町歩、畑が二反ぐらいで、山林を一町歩ぐらい持つておる。農機具は大体一人前の百姓として完備しておる。構成人員はその場合は大体平均六名ないし七名になつており、そのうち子供が三名ぐらいといつたような標準世帯の中堅農家においては、この税法によつて大体どのくらいかかるか、概算、御説明願いたいと思います。
  99. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 その前に、先ほどお話になりましたことで、一言お答えしおきたいことがございます。地方財所平衡交付金の算定をいたします際に、町村民税の苛斂誅求を助長するようなことになりはしないだろうかというふうな御心配でございます。これにつきましては、大体御説明のような心配のないようにいたしますために、町村民税の均等割を測定いたします際には、現実に所得税の納税義務者であつた数だけを町村民税の農税義務者と押えまして、これに均等割の額を乗じまして、均等割から得られるであろう町村民税額を測定して行きたい。従いまして別に苛斂誅求をしなくても、平衡交付金には何ら支障はない。こういうことによつてお話のような運営の趣旨を取入れて参りたいというように考えておるわけであります。それから農家に対しますところの総合負担がどのような数になるかというふうな問題でありますが、ちよつとお話の点を聞き漏らした点があるかもしれませんけれども、私が今申し上げますのは、地方財政に関する参考計数資料(3)のうちの業種別、所得階層別税負担額調でありまして、六の(2)というところの数字でございますが、その中で、かりに二十万円の所得のある農業者、扶養親族を五人として計算をしております。こまかいことは遠慮いたしますが、現在で六万六千四百十一円の負担が、二十五年度では四万八千八百八十六円、平年度では四万四千二百四十七円となりまして、初年度では一万七千五百二十五円、平年度二万二千百六十四円という、かなりな負担の軽減になるわけであります。
  100. 木村榮

    ○木村(榮)委員 今お読上げになつた資料は、私はまだ見ておりませんが、私が言うのは、この税法によつて標準農家でどのくらい税金を納めるようになるか、その額を言つてもらえばいい。減つたとか減らぬとか、二十万円の所得がどうか、ややこしいことを言つても、そんなことは百姓にはわからないから、大体お前のところはこの標準農家だから、昭和二十五年度はどのぐらいの納税額になるかという、その額を言つてもらいたいということです。みんな合してですよ。
  101. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 そこに農林省の調査課からとつております階層別の標準農家のことも書いてあるわけでありますが、その標準農家といいましても、所得段階ごとに田が幾らぐらい、畑が幾らぐらいというように、その規模にも差があるわけであります。二十万円の段階をとりましたのが、そういう標準農家の問題であります。改正したのちに、二十万円ぐらいある農家の場合には二十五年度四万八千、平年度は四万四千余りというふうになるわけであります。
  102. 木村榮

    ○木村(榮)委員 あなたはどうも農村のことは少しも御存じない。この税法を見ると、大体八百條の中に罰則規定が百三十條余りございますが、大体あのぐらい罰則を入れぬと、税金がとれぬのだろうか。たとえば固定資産税の百條からの中で罰則規定だけが大体十一箇條ある。しかもこの十一箇條の中は、一方においては罰金、懲役の刑と同時に、同じ問題に対して今度は町村條例で科料三万円、こうなつてみますと罰金を払つた上にまた科料というようなことになつて、たいへんなことになる。大体八百條ある中で、みんな拾つてみますと、罰則規定だけが百三十箇條ほどある一〇〇%以上、たいへんなものです。大体このくらい罰則を設けないととれないというところに、私はこの税法そのものが、とれぬものをとるということになつて、これは地方政治をやつて行くまず最も典型的な税法である、こういうふうに解釈しますが、大体あのような罰則規定はなぜ必要ですか。
  103. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。法律の書き方はいろいろござまして、従来わが国の法三章的な書き方も一つの方法でございます。そういう場合は、大体総則規定の中に罰則をこみにして書く、ところが今度の地方税のやり方はそうではなくして、大体各税目ごとに、それぞれの関係の規定を入れるというようなやり方をいたしておりますので、なるほど八百條かの中を御計算になりますと、百何條かが罰則の規定になりておりますけれども、しかしこれは法律の一つの技術的なやり方でございますので、特に今回の税法案で罰則の規定をよけいに入れたということにはならないという点を御了解願いたいと存じます。
  104. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それは私もわかつておりますが、私の言いますのは、そういうところもあるが、また同時に、どの條項にも同じように国税犯則取締法の規定を準用するとか、そういつたようなことを書いてある。大体一箇所書いておけばよさそうなものを全部書いて、読んだだけで、ページごとに罰則がございますから、気の弱い者は、これはたいへんなものだ、これは税金を出さなければ懲役に何べんも行かなければならぬというような錯覚を起す。これを何とかもう少し体裁のいいように書けないものですか。
  105. 小野哲

    小野政府委員 今度の地方税法案を立案いたします場合には、できるだけ当該税目の適用もしくは運用が一目瞭然にわかりますようにという点を考えまして、詳細に入れたようなわけでありまして、特に罰則だけをよけいに書いたわけではありません。その他の共通的な規定もそれぞれの税目に入つておりますので、かえつてこの方が一般民衆が読んですぐわかるのではないか、決して威嚇のために罰則を入れたのではないということを申し上げておきたいと思います。
  106. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと、本人がかりにこういうことはあつてはならぬわけですが、違反をしたた、この條項を見ますと、違反をする意思がなくても手続か何かでひよつと違反をやる場合がある。違反をやると、大体懲役一箇年、長いのは三年懲役に行く、行つたあとでまた三万円の科料がやつて来る。そういたしますと、本人は懲役に行つておる、その懲役に行つた者にさらに科料を出せ、こういうことになるのですか。これを見ますと、懲役また科料と両方で来ますから、おやじは不幸にして懲役に行つた、町村條例によつて今度は科料三万円出せ、こうなつて来ますと、監獄におつても科料を出さなければならぬ。こういうことになるのですか。
  107. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。罰則の規定があるからといつて、決して罪人をつくることが目的ではありません。罰則の適用をいかにやつて行くかということは、それぞれの司法当局において勘案すべき問題でございますが、同時に税法の直接の適用に当ります税務官吏においては、十分に慎重なる考慮を払いながら、納税者の立場をもしんしやくしつつ適用することになりますので、従つてこの罰則を適用することを目的として制定されるわけではないのでありますので、われわれとしては、さような罰則がなるべく行われないようにということを期待しておる次第でございます。
  108. 木村榮

    ○木村(榮)委員 農林三局にお伺いいたします。午前中の井上委員からのお尋ねに対して、大体農村の場合の課税の話があつたのですが、それはただ税金だけの面の話であつて、これもほんとうは減つてはいないのです。たとえば国税の面において所得税が二百億減つた、こう盛んに言われます。ところが一方においてほたとえば肥料代金の値上げなんかも、大体二百億以上、ことしは去年よりも負担がふえるということを言われております。そういつたことを計算いたしますと、総体的に見まして、農村の払う金はふえておるものと思いますが、その点はどのように御解釈になりますか。
  109. 島村軍次

    ○島村政府委員 肥料代の増額、あるいはまたその他物価騰貴による増額は、当然ふえることは予想いたしておるのであります。税法の上から申し上げましたことを午前中にお答えしたのでありまして、その税との関係における調整については、午前中に申し上げました通りに、前年の所得が住民税になるといろ所得計算から出た割合から申しますると、本年度の収入が一面において減つて、そして支出がふえる場合における調整はなかなか困難だと思います。お話のような点はあろうと思いますので、なお率直に申し上げますと、私の考えでは将来の農村の課税の問題については、なお十分な研究を進めた上で結論を得たいという考えを持つておりますが、シヤウプの勧告がありまして以来、税法がすでにこういうふうな状態に前国会で審議未了になり、本年度における税法をただいま御審議中であるのでありまして、私の考えを率直にこの税法に表わすのは困難だということを御了承願いたいと思います。
  110. 木村榮

    ○木村(榮)委員 農地並びに農地外の土地固定資産税の問題でございますが、この農地の場合は、農地調整法による買収価路、あの公定価格に対して二二・五倍して得たものに対して百分の一・七の割合、こういうことになつており、その他は賃貸価格の九百倍ということになつておりますが、御承知のように賃貸価格というものは、東京のまん中の坪三千円も五千円もするようなところの賃貸価格も、いなかの農村に近いような都市の公定価格に近いような土地賃貸価格においては大差はない。そういたしますと、大都会の非常に高い地代をとる土地の所有者も、また農村地帯の零細な土地の所有者も、大体同じような割合で税金がかかつて来るということになると思うのですが、その点ほどのようになりますか。
  111. 島村軍次

    ○島村政府委員 ただいまの御質問は、ちよつと要領がはつきりわかりかねたのでありますが、都市と農村との関係において税金が不均衡でないか、こういうことですか。
  112. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうじやない。賃貸価格というものは、大都会の一等地、坪二千円も三千円もするような土地も、農村地帯の坪二百円も三百円もしないような土地も、大差ないのです。だからこれを同じように九百倍して、これを時価として、これに対して百分の一・七の割合で税金をとるということになると、実際問題としては、もし売れば一坪二千円も三千円もとれるような土地も、三万円、五万円とれるような土地も、一坪二十円か三十円しかとれないような土地も、税金において大体大差ないようになる、この点はいかようにお考えになつておるかというわけです。
  113. 島村軍次

    ○島村政府委員 小作料計算で申しますと、今度の税法の二二・五倍は、還元計算から行くと少し重い税金になると思います。それだけ申し上げておきます。
  114. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど木村委員質問に対しまして、島村政務次官からちよつと不穏当な答弁があつたと思います。今度の税法に対して、自分個人としては処置なしという意味答弁があつたと思いますが、それならばなぜに政務次官という要職を引受けたかということになる。おそらくこれは失言だろうと思いますから、委員長において後刻速記録をお調べ願いまして、不穏当の言辞を更正していただきたいと思います。
  115. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 政務次官、御答弁なつたらどうですか。
  116. 島村軍次

    ○島村政府委員 私はさようなことを申し上げたつもりはありません、私の申し上げたことはただいま申し上げた通りでありまして、農業に対する課税の問題は将来に残された問題が相当あるということを申し上げたので、別にそれが私の考えであるということを申し上げたわけではありません。さように御承知願います。
  117. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 木村さんのお話、ごもつともな点もあると思うのでありますが、畑地についての賃貸価格は、やはり東京都下でありますと、かなり高いのでありまして、東京都下の平均で申しますと、坪当り十二円四十四銭六厘でありまして、全国平均でありますと五円二銭一厘になつております。大体そういう収益的な面もある程度賃貸価格に加味されていると思います。
  118. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういうごまかし答弁はだめです。全国平均というのは三千何百万町歩という山まで含まつての話であつて、東京の平均が十二円なんぼ全国平均が五円なんぼだから、半分じやないか、そんなばかな話がありますか。日本全国には山ばかりであつて、問題にならぬ土地が多い。そうごまかしを言つてもらいたくない。
  119. 千賀康治

    ○千賀農林委員長 ただいまそちらで提示されました数字は、東京都下の平均だと思う。全国のは全国の平均だと思う。はたして私の言うのが間違いがないかどうか。東京都下の平均であるならば、東京といえども、木村君が言うような、くまの住む山もある、いのししの出る山もある、東京都心で平均すれば、郡部よりも若干高くなることは当然であつて、その数字が示してお程度で大体いいと思う。先ほどから質問されておるのは、東京都心と全国平均と大体同じであるという所論で進められておるので、私は今政府が提示した数字が大体正しいものであつて、その所論を進める方がむりであると考えます。はたしてそれが東京都心の数字であるかどうか、これを御答弁願いたいと思います。
  120. 藤田義光

    ○藤田委員 委員長ただいま千賀委員から発言がありましたが、関連質問をどんどん許しますか。
  121. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 実は今のような御発言でないと思つたので……。
  122. 藤田義光

    ○藤田委員 それでは関連質問を許すというふうに了承します。
  123. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 畑地と申しましたのは、東京都下の全平均であります、畑地につきましてはそういう顕著な開きがあります。田につきましては、米の値段がそうかわかりませんので、東京都下の平均が十八円七十一銭七厘に対しまして、全国平均十七円三十七銭六厘であります。ほとんどかわりありません。しかし畑地は都会の近くであるか山の中であるかということによりまして、農産物の実収におきましても相当な開きが出るだろうと思います。これが賃貸価格に反映しているということを申し上げたわけであります。これは畑地だけでございまして山林その他はまた別になつております。
  124. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それは大体いいでしよう。私が聞こうとしたところは、簡単に言えば、どちらもよく、御答弁なさらなかつたのです。私が聞くのは、大体賃貸価格というのはそれは平均すれば幾分か差はあるでしよう、しかしながら一坪三万円も五万円もするような都市の賃貸価格も、一坪三円や五円もしないような賃貸価格も、大した違いはない。幾分は違いますが、これに対して同じ九百倍をかけましたものは、大した額の違いはない。それに対して今の倍率、平均をかけますと、東京のまん中の一等地の一坪に対する税金も、田舎の町の一坪に対する税金も大したかわりはないということになる。これは不合理ではないか、この点を是正する方法はないかということを私は質問したのです。抽象的な論の御答弁では困るわけなんですが、これ以上はいたしません。  そこでもう一点お伺いしたいのは、昭和二十五年度におきましては買収農地は田畑とも今の公定価格の二二・五倍これに対して百分の一・七というのはわかつておりますが、御承知のように今度の農地改革法によつては、買収農地を売り渡しました場合においては、金のない者は年賦償還でもさしつかえなうというので、目下年賦償還をやつておるような農家もたくさんあると思う。こらいつたものに対して、今のような方法で税金を今年、来年ぶつかけますと、大体買いとつた農地の額よりも高い額を今年と来年で払つてしまうことになる。こういたしますと、自作農創設特別措置法による、いわゆる農地改革というものの趣旨とは、相当逆行して来るのじやないかと私は思うのでありますが、この税金も何かの方法で分納さすとか何とかいうふうな方法は御考慮になつておりませんか。
  125. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 先ほど来農家に対する負担の問題でいろいろお尋ねでございますが、農家の負担につきましては、いろいろ先刻から御答弁申し上げたと思うのでありますが、他の商業者、工業者あるいは勤労所得中心の者に比較いたしまして、一般的、に申しまして、附加価値税におきましても課税除外になつておりますし、相対的に申しまして負担は一番低くなつておるというふうに、私どもは考えておるのであります。今の納期の関係で、分割して納付するということは、納期を法律で規定いたしておりますから、原則としてはできないわけでございますが、今の納期限の延期とかあるいは減免の措置というようなことによりまして、それぞれ地方団体の実情に即した措置が、具体的の場合にはとり得る道が開かれておるわけでございますから、適当な措置は場合々々に応じてとられるものと考えております。
  126. 木村榮

    ○木村(榮)委員 目的税並びに附加価値税によつて農業協同組合が経営していますいろいろな設備というようなものに対して、どのくらいな税収入を見込んでおられますか。
  127. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 今年度の地方財政計画千九百八億といたしましては、普通税目に規定をいたしておりまする府県七つ、市町村税目につきまして、それぞれ旧税の繰越しの分を見越しまして、千九百八億という数字を私ども出しておるのであります。今の目的税等につきましては、その財政計画上は特に入れておりませんが、これはそれぞれの施設を維持し、あるいは開設いたしまするその必要な経費ということでございますから、これは大体プラス・マイナスが一ぱいになるものと考えておりまして、全体の千九百八億という数字の中には入れておりません。総額といたしましては、さほど大きなものにはならないと私ども考えております。
  128. 木村榮

    ○木村(榮)委員 今の農業協同組合がやつておりますような共同作業場とか、あるいは共同集荷場、あろいは誘蛾燈設備、こういつたふうなものがたくさんございますが、ああいつたものは全部税金がかかるのですか、ちよつとお尋ねいたしておきます。
  129. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 今の共同倉庫でありまするとか、その他農村等におきまする共同施設のために要しまする経費でありますが、こういうふうなものにつきましては、もちろん税法案建前におきましても、目的税を受益者負担という形においてとるようなことが可能であります。可能でありますが、先ほども申し上げましたように、現在目的税という形で共同施設税がとられております事例は非常に少いのでございます。大都市等におきましても、屎尿のくみとり等のために必要といたしまする経費を共同施設税という形でとつておるのは若干例がございますが、実際問題といたしましては、純粋の意味目的税というのは非常に実例が少いのでありまして、従つてこれは負担の上から申しまして、特に考慮に入れるほどのものはないと私どもは考えております。
  130. 木村榮

    ○木村(榮)委員 これはこまかい問題なんですが、たとえば誘蛾燈設備に対しまして税金をかけます場合に、法文を見ますと、その税の額はこのことによつて利益を受ける利益額を越えてはならぬ、こういうふうな規定が書いてあります。ところが一体誘蛾燈をつけておることによつてどのくらいの利益を受けるかということは、これは非常に認定がむずかしい問題なんですが、そういつた場合には、どこからそういつたような監督—標準といいますか、そういうものをお出しになる御方針でありましようか。
  131. 小野哲

    小野政府委員 ただいま木村さんの御指摘になりましたのは固定資産税—あるいは償却資産の場合においても同様でありますが、どの程度のものに対してかけるか、こういう御意見であろうかと思いますが、誘蛾燈のごときものにつきましては課税をしない方針でおります。
  132. 木村榮

    ○木村(榮)委員 もし町村條例なんかで、そういつたふうなものを巧みに利用して課税した場合にはどうなるのですか。どこからやめろという命令が出ますか。
  133. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。大体償却資産と申しましても大なり小なりいろいろあることは御承知の通りでございますが、金額とかあるいは耐用年数というようなものを目安といたしまして、あまりに零細なものにつきましては課税対象にしないように、便宜地方団体を指導して参りたいと考えております。
  134. 木村榮

    ○木村(榮)委員 誘蛾燈なんかにかけます場合は、償却資産ではないこれは目的税によつてかける危険性がある。これは法文上から行きますとかけられますが、そういつたものは一体どういうふうになるのか。政務次官償却資産固定資産と混合なさつておるようですが……。
  135. 小野哲

    小野政府委員 たいへん失礼いたしました。私は固定資産税特に償却資産についての御質問かと思つたのでありますが、目的税の点でございますので、聞き漏らした点もございますから次長からお答えいたします。
  136. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 今の誘蛾燈の問題でございますが、この誘蛾燈に対して、たとえば町村におきまして共同施設税という形でその設置維持の経費をとるということはお話のごとく可能であります。その場合に、新しい税法案におきましては「利益の限度をこえることができない。」こういう制限をつけているわけであります。その利益の限度というのは、今御指摘のごとくどういうふうに測定をするか。これはまつたくむずかしい問題でありまするが、しかし何と申しましても、地方議会におきましてそれぞれその細目の條例をつくつて施行いたすわけでありますから、それぞれその地方の実情に即するように各地方議会において処理することができると思うのであります。こちらから考えまして、非常に適切なる方針をただちにどうこうと言うことは困難でありますけれどもそれぞれの団体におきまして適当な措置考えられる、かように思つております。
  137. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それはなるほど御答弁の通りでございます。ところがそういつたふうなまことにむずかしい問題の多い、おそらく町村議会を開いてこれを検討いたしましても、なかなか甲論乙駁で私はうまく解決がつかぬと思う。しかし地方税の額は、受ける利益の限度を越えてはならぬといつたような、それはまことに当然なのですが、利益の限度を越える越えないというむずかしいものなら、実際問題としてやめた方がいい。こういうふうなわかりにくいものはきめないで、もう少し日本文でわかるように書いてもらうことができぬのですか。これは困るのですよ。私の町村では、農業協同組合が農業施設をやつておる。その共同施設を利用していることによつて、幾ばくかの利益を受ける。ところがその利益の額を越えたとか越えてはならないとかいうことは、どこが一体判定するのか。裁判所においてもそれをきめるのはむずかしいだろう。それをどのようにおやりになるかお聞きしているのであつて、ただ単にこれを町村にまかせて置くということでは、まかされた方で困るのであつて、紛争が絶えない。そういつたような紛争を起さないように、自治庁あたりはどのように御指導なさる御方針であるかということを聞いておるのです。
  138. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 今の誘蛾燈でございますが、おそらく一般の場合におきましては、誘蛾燈を町村自体が設置し、これを維持するという実例は少いだろうと思いますが、多くは今お話のように協同組合とか、そういうふうな共同施設をいたしまする協同体がする場合が多いだろうと思います。しかしかりに町村がそういうふうなものを町村の事業として取上げるという場合におきましては、これは目的税として利用することはもちろん考えられるわけでありまして、利益の限度というふうに額に制限規定を設けましたのは、これは現在地方自治法等におきましても分担金の制度がございます。これにつきましても、やはり同様に利益の限度を越えることができないというような規定を置いております。これがまた道路法その他の損傷負担金等につきましても、やはり同様な反対給付の関係を規定したものがあると思うのであります。その具体的な受益の程度というものをどういうふうに考えるかということは、全国一律に法の上で規定をすることは困難でございますので、ただ抽象的な利益の限度を越えてはいけないという規定を置いたわけでありまして、それをどういうふうに具体化し、運用するかということこそ実は地方自治の問題で、それぞれ地方議会においてこれに対する方針をきめてやらるべき点であろうと思います。そういうふうな点に至るまで、一々中央から指導する必要はないのではないかというふうに私どもは考えております。
  139. 木村榮

    ○木村(榮)委員 もう少しあるのですが、農林大臣がおられませんから……
  140. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 田口長治郎君。
  141. 田口長治郎

    ○田口委員 私は漁業権税の問題と、それから固定資産税の漁船に関する問題について、御所見を承りたいと思うのであります。御承知の通り、去る第六国会におきまして議決をいたしました新漁業法によりまして、漁業権及び許可権に対する使用料を、しかも漁業所得でなしに、漁獲の三%程度とられることになつております。もつともこれは昭和二十七年から施行されるのでございます。現在施行しておられます漁業権税は、少くともこの新漁業法によつて許可料及び免許料が徴收される場合におきましては、当然重複をいたしますから、廃止されるべきものと思いますが、この点について御所見を承ります。
  142. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話になりましたように、昭和二十七年度以降において新法が施行されますと、いろいろ事情の変更が生ずるのでございますが、その場合において、いわゆる免許料と地方税との関係をどうするか、この問題につきましては、お示しのように、今後の問題といたしまして十分に検討を加えて参りたい、かように考えております。
  143. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま検討を加える、こういうようなお言葉でございますが明らかに重複するのでありまして、当然廃止すべきものと考えますが、もうちよつとはつきりしたお示しを願いたい。
  144. 小野哲

    小野政府委員 ただいまの私の答弁において申し上げましたごとくに、これを理論的に考えますと、いわば一種の使用料に該当するものではないかと思うのでありまして、従つて租税とは別個の体系に属することに相なります。しかしながらこれを実態に応ずるように考えて参ることが必要かと存じまするので、さような意味合いにおいて研究をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  145. 田口長治郎

    ○田口委員 この新漁業法になる漁業権使用料及び許可権使用料というものは、少くとも国の権利を借りて使用するから使用料を出す、こういう建前と思います。ただいま施行しておられますこの漁業権税は、権利を持つているから漁業権税を払つている。二十七年からの分は権利は持たないで、少くとも国の権利を借りて使つている、こういう意味における使用料及び許可料でございますから、権利がなくて漁業権税を納めるというような筋の通らないことはないと思うのでございますが、政務次官答弁は、何か研究をする、考慮するというようなお言葉でございますけれども、それだけでは筋が通らないと思うのでございますが、いかがでございますか。
  146. 小野哲

    小野政府委員 繰返し御答弁申し上げますが、ただいま仰せになりました御趣旨はこれをしんしやくいたしまして、できるだけ善処いたしたいと考えます。
  147. 田口長治郎

    ○田口委員 われわれはどう考えましても二重課税と思うのでございますが、その点がどうも徹底していないようでございますが、もうちよつとはつきり御返答できませんか。
  148. 小野哲

    小野政府委員 理論上の問題といたしましては、あくまでも免許料は免許料であり、租税は租税であるのでございます。しかしながらただいま申しましたようにいろいろ水産業界における実態の問題もございますので、それらの点につきまして研究を加えて、これをどう処置するかということを決定いたしたい、かような心組みでございます。
  149. 田口長治郎

    ○田口委員 今回免許料及び許可料として国民が負担します分には、少くも行政費まで含まつておる。単に使用料ばかりでなしに、行政費まで含まつております。今までの漁業権税と比べましと大幅の増税になつておるのでございますが、もし万一さようなことはないと思いますけれども、その大幅の増税にさらに現在の漁業権税を払う、こういうような不合理は絶対にあり得ないと思うのでありますが、この点はどうもはつきりしない点があるのでございますが、もうちよつとはつきり御返答願いたい。
  150. 小野哲

    小野政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。将来重複課税にならないように、できるだけ研究をいたして参りたいと考えております。
  151. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま政務次官は重複課税にならないようにする、研究するというお言葉でございますけれども、なされるように承りましたので、この漁業権税に対する質問は、それで終りますが、その次に固定資産税におきまして、漁船の課税標準の問題でございますが、漁船はご承知の通りたびたびの事故がある、あらゆる機会に故障が非常に多いばかりでなしに、空気にさらされておるものと、海水に浮んでおるもの、この空気と海水との関係におきまして非常に損傷がはなはだしいのでございます。漁船を持つておるために年々修繕費が絶えずかかる、こういうような点から申しまして、土地、家屋その他の陸上の償却資産につきましては、いろいろな保護政策があるのでございますけれども、非常に損傷がはなはだしいという点におきまして、漁船保険なんかも実は保険金額が保険価格の五〇%までしかとらない、こういうような実情にあるのでございます。さらに水産業は現在の状態におきましては、借入金を償還する、こういうようなこともほとんどできないような状態にある。これは金融機関をお調べになるとわかりますが、これは少くとも長く持てないということと、非常に損耗が陸上の固定資産に比べると著しい。言いかえますと、担税能力は非常に少い。こういうような関係で、漁船につきましては固定資産税率の課税標準ということにつきまして、陸上の固定資産とよほど違つた考えでやつていただかなければならぬと考えるのでございます。この点について自治庁ではいかようにお考えになつておられますか、御意見を承ります。
  152. 小野哲

    小野政府委員 仰せのごとく、漁船につきましてはただいま御指摘になりましたような点があろうかと存じます。従いまして、まず附加価値税関係におきましては、修繕料は控除するということにいたしておりますし、また償却資産としてこれを評価いたします場合におきましては、その損耗の程度をしんしやくいたして参りたいと考えておる次第でございます。  なお漁船保険の関係につきましては、関係当局から御答弁があることと存じます。
  153. 田口長治郎

    ○田口委員 漁船の標準税率につきまして、陸上の固定資産と比較いたしまして、非常に違つた性質を持つておる。この点をぜひひとつ御記憶を願いたいと思います。以上をもちまして私の質問を打切ります。
  154. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 田中織之進君、先ほど保留されておる分をどうぞ……。
  155. 田中織之進

    ○田中(織)委員 岡野国務大臣並びに池田大蔵大臣が見えておられますから、私の先ほど留保いたしました地方税法案取扱い方の問題について御質問を申し上げたいと思うのであります。  前国会において、地方税法案が廃案になりまして、四月から七月までの間地方自治体に対して、財政上相当の不自由をさせて来ておることは事実でございます。これわれわれの見るところ、前国会において提案が非常に遅れた、しかも衆議院の審議において、連合審査会の要求をも蹂躪いたし、固定資産税については三百五十條について政府原案の説明すら行わない間に多数でもつてこれを押し切つてしまつたというような事態があつたのであります。それがこの法案の本質的な問題とからみ合いまして、遂に参議院で否決になり、三分の二の再議決が得られないために、五月の一日、二日の二日間を政府は何ら手を下すことができず、廃案のうき目を見たのでございまして、この地方税廃案のために生じた四月から七月までの地方財政の空白状態の責任は、あげて吉田内閣の責任であるとわれわれ信はずるのであります。ところが先般の参議院の選挙に現われた与党関係、並びに政府関係の諸君の意見発表等によりますると、この責任を野党に転嫁いたしまして、地方自治体をして財政的に不自由な目にあわしておるのは、すべて野党の責任であるかのごとき無責任なる言辞を弄しておるのであります。ことに一昨日来本会議に現われておりまする総理大臣等の答弁におきましても、顧みて他を言うがごとき問題が、この地方税法案の問題について現われて来ておると思う。しかしこれは政府の重大なる責任問題であり、これを収拾しなければならない責任上、多少色をつけたような形でここに法案が出されて来ておるのであります。ことに先ほどわれわれに配付されました地方行政委員会における本案提案に際しての岡野国務大臣説明の中には、手続的に政府の方でも手落らがあつたということを述べられておるのであります。地方税法案が必ず成立するものなりということで、従来の地方税についてその効力を停止するところの法案を光に出して、それが成立してしまつてつた。従つて参議院で法案が否決された後、二日間にそれを収拾するところの方法がなかつたから空白状態ができたというように出ておるのでありますが、参議院の選挙、並ひに一昨日来の本会議における答弁等を通じて見まするというと、いまだに地方自治体に対して迷惑をかげた責任を野党に転嫁するがごとき言辞をなされておるのであります。一体政府のほんとうの腹が……(「あたりまえだ」と呼ぶ者あり)
  156. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 静粛に願います。
  157. 田中織之進

    ○田中(織)委員 与党の諸君からあたりまえだ、というような言葉が出ることは、本日の連合審査会においてこれを上げてくれということで、委員長以下理事の諸君がわれわれに協力を求めていることを矛盾するではないか。従つて本法のすみやかな成立を期待する政府は、謙虚な立場において、四月以後七月までの間において地方財政の空白状態を生じた責任は、政府の責任であるということを率直に認めるかどうか、この政治的責任に対する政府を代表したところの答弁をまず要求いたします。
  158. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 答弁ありませんか—答弁ないそうであります。
  159. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それでは答弁をなさらないということは今後の本案の審議に影響のあることだけを警告しておきます。     〔発言する者あり〕
  160. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 静粛に願います。
  161. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それでは岡野国務大臣にお伺いいたしますが、あなたの法案提案の説明要旨の中に、手続的な面で、この法案の成立を見越して効力を停止しておつたところが、不幸にして成立を見なかつたというために、これが四月—七月の地方財政面における空白状態を生じたという説明がなされておるのでありますが、これは現在においてもその通り認められておりますかどうか。
  162. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 御答弁申し上げます。提案理由に申し上げた通りでございます。
  163. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この点を認められるとするならば、当然の帰結といたして四月以降七月までの財政的な空白状態に対する責任は、あげて政府側にあるということに相なるのであります。その点を認める、認めないは別問題といたしまして、ただいま岡野国務大臣が確認されたことによつて、われわれは政府が前国会における地方税法の不成立に対する政治的責任をとつておればこそ、今回のこの法案を出したものだというふうに解釈して、この法案に対するわれわれの賛否の態度をきめたいと思います。  次に私、大蔵大臣並びに岡野国務大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、これは先ほど小野政務次官から地方自治庁としての御希望の意見は伺つたのでありますが、四月より七月までの間、地方税法案の不成立に伴う収拾策といたしまして、平衡交付金のある意味における繰上げ支出概算払いの形によるものと、預金部資金による融資によつてカバーして来ておることは、これまた提案理由説明にもある通りで実際に行われて来たことであります。平衡交付金の面だけを見ますと、第一・四半期に相当繰上げ支出するというよろう形になつて来ておりますので、平衡交付金千五十億の年間を通じての配分計画に狂いが生じて来ておると思うのであります。そこで平衡交付金の面だけにおいて今後調整するおつもりであるかどうか。政府の方では本法案が成立した以後の税収入によつてカバーして行かれるおつもりであるが、その意味において実際に繰上げ支出いたしまして—おそらくこのままの状態で参りますならば、少くとも第四・四半期くらいには交付金に穴が明くようなことになるかもしれない事態に対しても、別に交付金を増額するというようなお考えは今のところないように見受けるのであります。これは税法がない場合の便宜的な措置としてとつたのでありますから、補正予算等が編成されるならば、交付金の増額という処置によつて、現実に生じた四月—七月のブランク状態は、それによつてカバーする方が全体の財政的見地から見て合理的じやないかと考えます。平衡交付金の概算払いで約半額以上のものがすでに支出された形に相なつておりますから、この面で補正予算を出すお考えがあるかどうか。この点をまずお伺いしたいと思います。
  164. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。今までに政府といたしましては六百十八億の平衡交付金を出しております。これほ臨機の措置でございます。そしてこの法案が通りました後にいろいろ清算いたしまして、過分に行つたところからは返してもらい、また足りないところには補正する、そういうような調整の道をとる考えでおります。
  165. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そうすると実際に行き過ぎになつておるものは返してもらう。千五十億のうち六百十八億出しておりますから、あと四百億あまり残つておるものが行くとき差引くという勘定で、調整もできないこともないだろうと思うのでありますが、問題はむしろ行つておる部分が、予算の面で債務償還費の繰延べ等、たとえば警察予備隊の設置問題について、向うの方から指示されておるような状況でありますから、そういうような方面に便乗すると言えば語弊がありますけれども、ここに池田大蔵大臣の大きな政治力をひとつ発揮してもらつて、平衡交付金の増額という、これはわれわれ前議会から主張をし続けて来たのでありますが、そういう方向で進めてもらいたいと思う。ことに先ほど伺つたところによると、事業税等につきましては、二十四年度の所得税を基準として算定するので、通常の年であれば八月に徴収するものを一箇月ずらして九月に徴収する。それでそういうような面からも、ある程度税収入の面でカバーできるのではないかというような御答弁もいただいたのでありますが、大体最近における一般の金融的な状態その他の関係から見まして、ことに一般の国民といたしましては、地方税がブランクであつた時代のことは、何らか別の方法によつてカバーされるものだ、これが四月にさかのぼつて、前年度の所得税を基準にいたしまして事業税を納めなければならぬというような気持は、地方民の間には相当薄らいでおると思う。そういう観点から見ましても、少くとも四月—七月、のブランク状態の問題につきましては、交付金を増額することによつてカバーして行くことが一番手取り早い方法ではないかとわれわれは考えるのでありますが、岡野国務大臣からもう一度その点について御配慮なさるお考えがあるかどうかということについて、重ねて御答弁を願いたいと思います。
  166. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいまのお説よく拜聴しましたけれども、ひとつ田中さんあたりからうんと納税思想を強調していただきまして、今後地方の納税者がよく納税して、そして先ほど申し上げましたように、平衡交付金というものが余分に出ているところは返してもらえるようにしていただきたい、それに御協力をお願いしたいと思います。
  167. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点はきつぱり言われずに、一昨日の大蔵大臣答弁のように柔軟性を持たれた方がいいのじやないか、これは私の老婆心までに申し上げておきます。  次に、これも岡野国務大臣並びにこれは池田大蔵大臣からお答えを願いたいと思うのでありますが、この空白の状態の間における預金部資金の融資した部分についての返還の問題についてであります。これまた地方財政の実情から見まして、急速に取立てられるということになりますと、かなりの摩擦が生ずるのではないかと思うのでありますが、この四月以降に、地方税不成立に伴いまする関係から融資しましたものの預金部資金の償還の問題については、特別に御配慮なさる意思があるかどうか。この点できるだけ償還期等については余裕を持たしてやつていただきたいという立場からお聞きをするのでありますが、この点についての大蔵大臣の御所見を伺いたい。
  168. 池田勇人

    ○池田国務大臣 地方税法案の不成立によりまして都道府県、市町村の財政援助のために預金部から出しました金額は、六月三十日までで二百億の予定のところを、百六十五、六億と記憶いたしておりました。二百億予定通りは出ませんでした。第二・四半期におきましても財政平衡交付金でまかない得ない場合におきましては、大体九十億程度のものを予定いたしておりますが、これはまだ関係方面との話合いはついておりません。御承知の通りに預金部は一般の起債以外におきましても、従来から公共団体の方に短期融資といたしまして必要に応じて短期の貸付をいたしておるのであります。今回は税収不足のために融資いたしたのでありまするから、今後税収入の状況を見ながら、適当な方法で回收いたしたいと思つております。預金部には相当の余裕金が今度出て参りますので、そうむりに急いで回収するという気持は持つておりません。
  169. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点は、大蔵大臣地方財政の実情はもちろんよくおわかりのことだと思いますので、弾力性ある運用をやつていただきたいという希望を申し上げたいと思います。  次に私がお伺いしたい点は、税務の責任制についての問題でありますが、ただいま岡野国務大臣からは、国民の納税思想に対する普及徹底の方面にわれわれ国会議員の協力を得てやりたい、こういう御希望を述べられたのでありますが、この点から考えてみますと、どうも納税者に対しまするところの罰則は相当厳格でございます。しかしながらこれはただ単に地方税に限りません。国税の面におきましても徴税当局の不当なる行為あるいは行き過ぎというような問題は、私たくさんあると思う。ところがなかなか税務職員と申しますか、そういう面における責任制というものが十分とられておられないと思うのでありますが、少くとも税務職員等に不当だと思われるような行為があつた場合には、これに対する処罰の規定というようなものを、今後のこの地方税の実施過程において考えなければならない問題ではないかとかように考えるのでありますが、その点についての御用意があるかどうか。  それから当然事業税の関係等におきまして、従来もあるわけでありますが、同業組合その他工業組合等の一種の自主的な団体交渉的の意味における折衝制度を利用されるお考えがあるかどうか。これは国税の面におきましては、団体交渉は原則として認めておらないことは私も承知いたしておりますけれども、私の地方等におきますと、税務署によりまして、指導その他の名目になつておりますけれども、実質的にこうした団体あるいは市町村等の機関との間に、税務署との間の連絡機関的のものが設けられまして、かなり納税の予定額を達成する上において効果を上げておると思うのでありますが、はつきり制度の上で同業組合その他を利用するというようなことは、明文にも盛られないかもしれませんけれども、少くとも運用上そういう点について御配慮をなさることが、かえつて所期の税収を上げる上において必要なことだと思うのでありますが、この点について先ほどの税務署の責任制—税務職員がかりに不当行為というような問題がありましたときに、これはもちろん他の刑法その他の関係において、明らかに犯罪事実でありますれば、もちろん処罰せられることは当然でありますが、そういう刑法上の犯罪行為とまでは行かないにしましても、相当私は行き過ぎその他の問題があると思う。そういうような場合に対する責任を追究することについてお考えかどうかという点と、今の納税にあたつての協力態勢というか、そういうような十分実情に即して話合いで話のつくものはつけて行くという意味において、そういう団体等の活用について、お考えがあるかどうかという点をお尋ねをいたしておきたいのであります。
  170. 小野哲

    小野政府委員 私からお答え申し上げます。地方団体において、税務吏員の行動についてのいろいろ御注意があつたのでございますが、もちろんこれにつきましては、地方公務員として、公務員たるの資格において服務紀律に服さなければなりませんので、これに反した行為をいたしました場合におきましては、それぞれの首長において処置することになることは当然でございます。なおそのほかに、あるいは涜職の罪であるとか、あるいはこの税法案の中におきましても、秘密漏洩につきましては、特に規定を設けておるような次第でございます。  なお地方団体において、徴税の関係においていろいろ適当な方法を考えてはどうか、たとえば団体交渉と申しますか、そういうふうな点を御指摘でございますが、私は地方税の本質から考えまして、やはりこれは地方住民によつてでき上つております地方議会の適切な運営によつて、かような調整の役割を地方議会がとるべきではないか、かように考えておる次第でございます。
  171. 田中織之進

    ○田中(織)委員 もう一点お伺いをしておきますが、ただいまの点につきましては、これは運用相当幅のあるやり方によつて、かえつて納税の目標を達成する上において効果があろうと思うので、十分その点を地方自治庁においてもお考えを願いたいと思います。最後にお伺いをしておきたいと思います点は、住民税、附加価値税固定資産税その他の税種の問題でありますが、相当廃止された税種がございますが、その中に私これを廃止することによつて、むしろ勤労大衆の負担を総体的に重くしておるようなものがあろうかと思うので、その意味から見ますならば、たとえば金庫税、余裕住宅税、使用人税、こういうようなものは、これはむしろ存続したらどうか、こういうように私は考えるのであります。  さらに不動産取得税も今度は全廃になつておりますけれども、これは一定の免税限度というものを設けまして、たとえば五十万円以上というような限度を設けることによつて、これも存続してはどうか、これは私の方の党の意見でございますが、こういうように考えて、おるわけであります。この点についてはこれを廃止と決定されるときに、そういう事情は十分考慮せられたかとも思うのでありますが、大体こういう問題については、ことに不動産取得税というような場合には、税率等は軽減しても存続した方がいい、これは全廃するまでもないことだと思うのでありますが、そういう点についての御意見を承つておきたいと思います。
  172. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話になりました諸税は、今回の税制改革によりまして、御承知のごとく附加価値税であるとか、あるいは固定資産税等が創設されることに相なりますので、自然これらのおもな税目の中に吸収されるものが相当あるのでございます。さような意味合いにおきまして、たとえば金庫税あるいは余裕住宅税等につきましては、固定資産税の中に吸収されるとか、こういうふうな関係から考えまして、これは整理する方が適当である。できるだけ地方団体税目は、これを整理簡素化いたしまして、その運用に便ならしめることが適当であろう、かように考えました結果、整理をいたしたいと思つておる次第でございます。
  173. 田中織之進

    ○田中(織)委員 もう一点大蔵大臣にお伺いしておきたいと思うのでありますが、これも参議院選挙の三日前に発表せられました—これは自由党の総裁談で出たのだから、与党の政策だと逃げられるかもしれませんけれども、いわゆる新しい公約をされておるのでありますが、そのうちに減税の問題が入つているのであります。本会議における大蔵大臣の御答弁を伺うと、これは明年度において実施することを建前として、年度内にもできるものは実施したいというふうに伺つたのでありますが、特に公約の中の減税の面なんかは、さつそく実施していただきたいと思うのでありまして、そういう面から申しますならば、この地方税につきましても、あの参議院選挙の三日前に発表せられた公約を具体化する意味において、減税が現われることを実は期待しておつたのでありますが、これは大体国税との関係がおありだそうで、前国会に出たのとほぼ同じ形で出て来ておるわけでありますが、大蔵大臣のお考えになつております明年度の減税の問題において、地方税の面における減税関係、これはもちろん国税との関係において、今度の場合のように国税でうんと減税をして、地方税で若干増税になつても差引減税減税だというお考えがそのまま来年度の減税に当てはまるのかどうかわかりませんけれども、六月の初めに政府が発表いたしました公約の中における減税の面において、地方税体系についてはどういうようにお考えになつているか、その点をお伺いをしておきたいと思います。
  174. 池田勇人

    ○池田国務大臣 地方税の方は私の専管でございませんので、今はつきり申し上げることはいかがかと思います。明年度におきましては、所得税を中心にし、間接税では酒、物品税の方につきましてでき得る限りの減税をいたしたいと思います。なお国民の負担は同じでございます。地方税につきましてもでき得るだけ減税をいたしたいということを関係当局として考えている次第でございます。
  175. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは暫時休憩いたしまして、七時から再開いたします。     午後五時五十七分休憩      ————◇—————     午後七時十三分開議
  176. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは休憩前に引続き質疑を続行いたします。風早八十二君。
  177. 風早八十二

    ○風早委員 これではまるで共産党だけみたいなあれですが、社会党なども、民主党も来ていない。これではいくら定足数の問題は抜きにするにしても、あまりひどいのじやないかと思いますが、しかるべくこれは委員長措置していただきたいと思います。この地方税法案がこの国会の一番大事な問題だとされているのです。これははなはだ私は遺憾だと思います。結局だれがほんとうにこの地方税法案に対して熱心であるか。これは反対するにしても、賛成するにしても、だれがこの問題に真に関心を持つているかということは大体こういう議場の状態でもわかつていると思うのですが、はなはだ遺憾と思います。  池田大蔵大臣が見えておりますから、大蔵大臣に質疑したいと思いますが、地方税法がきめております標準税率によりますと、大体千九百億、ところがこれを法律通り、一ぱい一ぱいとるとすれば、大体三千億ぐらいはとれると言われているわけです。ところが法律上だけでなく、これが現実の問題になるのではないかという危険があると思います。今起つております朝鮮の事態、これに対して吉田内閣がとつております介入政策というふうなものによりまして、いろいろな新しい負担が増大していると思います。今私はこれらの負担について、一々大蔵大臣お尋ねしようとするわけじやない。少くもこれに関連して、今問題になつて参りました新しい警察隊の問題でありますとか、こういう問題がどれくらい新しく費用を必要とするか。この費用というものは、結局どこから出るか。また直接負担するところから他へどういうふうに転嫁せられるか。そういう問題が、結局まわりまわつてこの地方税負担というものに非常な関係が起つて来るのである、と私ほ大体見通すことができると思うのであります。そういう意味におきまして、池田大蔵大臣お尋ねしたいのは、今度の予備隊のこの予算の内容、その総額、こういうものを大体においてわれわれにつかめるように出していただきたい。これは今日本会議でもお尋ねしましたが、本会議の時間の制限もあつたことでしようが、大蔵大臣はお答えがなかつたのでありますけれども、大体これがやはりどこかに負担されなければならないとしてみれば、この総額というようなものは、これは出していただける、またいただかなければならぬ。大体政令でこれをやられるということは、決して財政法というものをわれわれが無視してよろしいということを意味するのではないと思います。もしそうだとすれば、これはとんでもないことであります。財政法の第三十三條の但書には、はつきりと書いてある。予算の流用というふうなものは、これは国会の承認を得なければならない、そうして大蔵大臣はさらにこれに判を押さなければならない、そういう手続もあるのでありまして、どうしたつてこの問題は国会に明らかにされる責任があると思うのでありますが、そういう意味でひとつこういう委員会のことでありますから、大体どれくらい一体かかるのか、またできれば今見通されるこの事件関係のいろいろ輸送でありますとか、現にこちらから、たとえば日本で精麦した外麦なんかがどんどんと南鮮に送られておりますが、いろいろそういう輸送の費用、あるいはそういつた食糧その他の物資の費用、あるいはまた直接、間接この事件の発生に関連して新しく必要としている費用、こういうものを概算して出していただきたい。池田大蔵大臣の御答弁をお願いします。
  178. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お答え申し上げますが、地方税が今御審議を願つております法案によりまして三千億の収入があるということは、これは風早君のひとりの御計算だと思います。私はそんなことはないと思います。  次に朝鮮問題につきましての予算案その他につきましては、関係省から私のところへ参つておりません。従いまして内容について申し上げることはできません。
  179. 風早八十二

    ○風早委員 千九百億というのは標準税率による大体の見込みでありまして、従つてもしも一ぱい一ぱいこの法規通りにとれば、所得税の場合でも幾らでも経験されておる通りでありまして、幅はあるわけであります。その最高の幅としてやはり大体三千億ということが言われておりますが、それは標準税率というものが、それ以上には伸びないものであるというふうにお考えになるのか。あるいは実際にとれるかとれないかわかりませんが、可能なる徴税見込みの最高限度はどのくらいであるとお考えになりますか。
  180. 池田勇人

    ○池田国務大臣 標準税率をどう考えるかという問題でありまするが、たとえば住民税において、税率百分の十八を三十にも四十にも引上げることは標準税率ではできません。従つて十八として計算いたした場合におきましては、地方税の方で申し上げておりますように約五、六百億だつたと思います。なおまた固定資産税におきましては、百分の一・七の確定税率であります。ただこれは徴収歩合の点が償却し得べき資産につきましては八〇%、その他のものにつきましては九〇%、こういうふうに見込んでおるのであります。これが一〇〇%とれたらどのくらいになるかということは御計算できると思います。従いまして私の見るところでは実際の税収入は千九百億円くらいと考えるのであります。固定資産税におきまして今の全額収入があるとすれば五百二十億円の一〇%、あるいは一五%の実収があるかもしれません。しかし課税の実際から申しまして、前年度に比べて非常に増加するものでありますから、土地家屋におきましては九〇%、償却し得べき資産につきましては八〇%くらいが適当だと考えておるのであります。事業税につきましては、前年度実績によるのでありますが、税率相当下げております。また農家あるいは主として自家労力をもつてする原始産業につきましては、免税をするという関係から四百三十億くらいしか入らないと私は考えておるのであります。
  181. 風早八十二

    ○風早委員 これが千九百億であるか、あるいは三千億であるか、それがはつきりしないということであつても、問題はちつともかわらないのでありまして、やはり地方税内容が、法案によりましても、税率は一応合いましても、固定資産のいろいろな評価の仕方その他によりましても、固定資産だけをとつてもこれはたいへんな違いが生ずるのであつて、これをどうとるか、この幅はやはりあるものと私は考えなければならぬ。その幅がどんどんふえて行く危険があるという立場から私はお尋ねしておるわけであります。今度の警察予備隊の費用であるとか、その他広い意味での戦争協力費用といつたようなものがどれくらいあるかということは、まだ報告が来ておらないから大蔵大臣は御存じないと言う。全然その見通しを持つておらなくて、それで一体この国の財政がまかなえるのでしようか。これはいよいよということになつたならば、もうかつて気ままにどこの部局の款からでも、どこの項目からでもかつてに引出して来るということを前提にしなければ、お先まつ暗な財政というものはあり得ないと思います。大体においてその見込みがないはずがない。私は正確なことを一々ここで答えていただきたいと言つておるわけではない。そういうことを言われない理由はどこにあるのか。これまでわからないということは言えないと思う。わからなければ実際財政の運営も何もできつこないわけです。この点はただ回避されるというふうな態度でなく、やはり正々堂々と大体どのくらいかかるか、これはこれだけの限定にとどめるように努力するとか、何らかの蔵相としての見解があろうと思う。そういう点についてもう一度お尋ねします。
  182. 池田勇人

    ○池田国務大臣 風早君の御質問の第一点は、今地方税法案で三千億とれると言われたが、その根拠をお聞きしたならばはつきりとお答えができると思うのであります。  第二番の警察予備隊あるいは海上保安庁の創設拡充の問題につきましては、いろいろな考え方があると思うのであります。しかし予算案は各省から持つて参りまして大蔵大臣がこれを考えるのであります。まだ各省から来ておりませんので、ここでとやこう言う段階に至つておりません。たとえば七万五千人をふやすにいたしましても、いつどれだけの人員をどういうふうな方法でふやすか、装備の点をどうするかということによりましてよほど違うのであります。こういう問題を軽々しくこの委員会で申し上げることは私はよくないと思います。
  183. 風早八十二

    ○風早委員 今軽々しくと言われたが、一体国会でこの問題を論議しなくてだれが論議するのですか。これは政府でかつてにやるというのですか。政令でもつてこういう問題をかつてにやられるということは、先ほども申したように、これは財政法第三十三條の但書を明らかに蹂躪するものである。その点を一体蔵相はどう考えておられるか、流用ということは—これは当然流用の問題になるのでありますが、たとえば国債償還費といつたようなものを一体警察費に使えますか。国債償還費としてわれわれがはつきり認めたものをかつてに使うということを新聞でも大蔵大臣は公言しておられる。そういうことが流用なんです。流用というものは国会に諮るべしということはちやんと書いてある。これが財政法第三十三條の但書である。これをあなたは頭から無視すると言われるのですか。
  184. 池田勇人

    ○池田国務大臣 本会議で申し上げた通りに警察予備隊の創設並びに海上保安庁の予算的措置につきましては、ただいま申し上げるわけに行きません。
  185. 風早八十二

    ○風早委員 大体今の無責任なお答えで、いかに今政府、特に大蔵大臣がお困りか。その苦衷はお察しいたします。私は大体これが財政法の第三十三條の但書を明らかに蹂躪するものである。これだけははつきり言つておきたい。そのことをあえてしても、やはりどうでもこうでも今これらの費目を捻出せざるを得ないというその苦衷は十分にお察しいたします。しかしこれはお答えがなくても、かりに一人当り三万円なら三万円という人件費にいたしましても、二百億くらいな人件費がかかる。その上に装備や設備やいろいろな建築費用が加わつて参ります。これはもちろんわからないでしよう。これは無限に拡大するものなんです。そういうものをみんな含めれば莫大なものになることは明らかである。そして国税の面でまかなわれるわけでありましようが、国債償還費というものは現在約五百六十億ぐらいは残額があると言われておりますが大体国債償還費からどのくらい一応差引くか、その費用の額はわからないにしても、国債償還費からどのくらいこれらの警察設備に対してとられるつもりであるか。私はもしも全部国債償還費だけでまかなうとすれば、明らかにこれは全部いつてしまうと考えざるを得ない。この二百億というものは人件費だけでありまして、装備やいろいろな施設建築費用というものは加わつてないのでありますから、これを含めれば五百億、六百億になつてなくなつてしまう。まず第一に国債償還費というものはドツジ・ラインの根幹である。これがなくてはどうでもこうでもドツジ・ラインはやつて行けないということを前国会で言われましたが、そのことがこれからどうかわつて行くのか。そのかわつたものをみな含めて、これがドツジ、ラインだと言われるのか。大体池田大蔵大臣の御答弁でありましたが、それは私は詭弁だろうと思う。このドツジ・ラインというものが、ここで一つの大きな湾曲を示さざるを得なくなつたことは明らかだと思います。しかし私はこの債務償還費を御破算にすることによつて生ずるこういう国際独占資本自身における非常な矛盾、並びにそれにまたしりぬぐいをしなければならぬ日本経済の矛盾、そういうものをここで論じておつたら長くなるからやめますが、そういう債務償還費というものをはみ出し、あるいは債務償還費の一部を使つても結局それだけでは足りないということになると思いますが、その費用は国税のどこから出すおつもりでありますか、これだけは伺つておきたい。
  186. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私も及ばずながら財政法第三十三條の但書は存じております。そうしてまたポツダム政令の効力につきましても検計いたして存じております。従いましてこの問題について御同情はありがとうございますが、あまり苦慮いたしておりません。私は大蔵大臣として適当な処置をとる考えでおります。  次に七万五千人、あるいは海上保安庁の八千人の増員につきましても、あなたの計算とはよほど違います。あなたのお話の通り八月から七万五千人に一人三万円出すとすれば二百億円ではございません。二十二億五千万円でありまして、こういうふうなことも誤解を招きますから私は申し上げないのであります。一人十万円にいたしましても、七万五千人で七十五億円でございます。だから今の債務償還費の残つております一般会計の五百数十億円から優に出し得ると考えております。だから決してこのために税の増徴などということは考えておりません。  なおこの機会に申し上げますが、ドツジーラインというものは、本会議で申し上げましたように、インフレを収束して安定経済、自立経済に持つて行くのがドツジ・ラインであるのであります。従いまして債務償還費その他は、インフレを収束し、安定経済、自立経済への方法としてやつておるのであります。すなわち安定経済に持つてつてインフレを収束するのは均衡予算が第一であるというので、均衡予算をつくつておるのであります。誤解のないように願います。
  187. 風早八十二

    ○風早委員 今私がお尋ねしたのは、国債償還費だけでまかなわれるのか、あるいはそれ以外にまかなわれるのか。そうであるとすれば、一体この中央財政のどこの費目から出されるつもりであるか。こういう点をお尋ねしておるわけでありますが、これにお答え願いたい。
  188. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど申し上げましたように、五百数十億円一般会計からの債務償還費が残つております。従いまして七万五千人あるいは八千人の海上保安庁の人員をふやし、装備をいたしましても、国債償還費から十分まかない得ると考えます。従いまして国税においてはもちろん、地方税なんかは問題ございません。国税の増徴も考えていないのであります。
  189. 風早八十二

    ○風早委員 次に通産大臣お尋ねいたします。今輸送の面であるとか、あるいは造船の面であるとか、ひいては鉄鋼の一部であるとかに、いわゆる軍需景気というものが非常に問題になつております。ところがこれはこの厖大な地方税負担ということを予想し、特にそのうちで固定資産税というものを予想し、また実際たとえば造船にしましても—これは播磨造船の社長たる横尾通産大臣お尋ねするのはまことに恐縮でありますが、しかし造船のことはだれよりも一番詳しい方であると考え、特にお尋ねするのでありますが、造船の方でもやはり修理であるとかいつたようなことだけが、事実非常に繁昌いたしまして、ほんとうに造船計画、そのための設備の拡充、あるいは人員の拡充、こういうようなことがなされない。実は十六日の朝日新聞にも、非常に詳しくこれらの点について事情が出ておりますが、私はよくその実情を知りません。しかしそうだとすれば、他面においてかえつて一番繁昌しておるといわれる造船で、首切りが起つておる、そういうふうなことも考え合せますと、まんぎら無根拠ではなかろうと思うのであります。こういう実情のもとで第六次造船が今十五万トンと大体考えますと、私どもが計算してみたのですが、トン当り生産費大体八万円といたしますと、このトン当りの地方税というものが千三百六十円ということになるわけであります。これが十五万トンとしますと、ざつと計算して二十億見当の税金を払わなければならない、こういつたようなことが実際造船界を今日どういう状態に陥れるであろうか。これは一つ専門の造船の大臣としてお尋ねしたいわけです。私どもは地方税の負担というものが、もちろん、石炭であるとか、あるいは電力であるとかというところに対しては問題にならない大きな打撃を与えるのでありますが、一番今繁栄ということが一応うたわれておるこの造船についても問題があるのじやないかと思います。ので、特に私は造船を選んでそのお答えを願いたいと思う。
  190. 横尾龍

    横尾国務大臣 地方税のことに関して、ことに船のことに関してどう考えるかというお話であります。現在の情勢において八万円とおつしやつたけれども、少し高いのであります。私らの計算では、鉄を二万七千円くらいにして、タンカーで七万円、それからカーゴ・ボートで七万四千円くらい。現在におきましても船を取得の際に取得の税金を払つております。多少はふえるかもしれませんけれども、総合的に私はそうふえないものと思います。造船業者といたしましては、これから再評価その他もありますので、はつきりしたことは申しかねますけれども、よけいはふえないというのと、もう一つは、これがふえたからといつて工員に転嫁するとか、そういうようなことは、私は経営者としてなすべきものじやないという信念を持つております。ほかの経営者の方もそうと思います。その点に関しましては御安心を願いたいと思います。
  191. 風早八十二

    ○風早委員 造船会社の社長として、こういうような負担を労働者に負わせるべきではない、首切りなんかやるべきではないという、そういう考えを持つておられることは、はなはだ私はけつこうなことであると慶賀にたえない次第であります。しかし実際には人員の増加を避けるだけでなく、また設備を充実するというのでなく、二交代、三交代でやつておる。やらなければ実際に合わない。ことに地方税が加わつて来る前であるけれども、これから地方税がかかつて来たならば、とうていやつて行けないであろうというのが、これは新聞記事に書いてあることでありますが、この播磨造船はそれ以外の負担できわめて理想的にまかなえるというのであろうけれども、全体としては造船ははなはだこんとんたる、またさんたんたる状態になる可能性があるわけです。修理ということだけを負わされるというのでは、これはほんとうに日本の造船界にとつてもおかしなことであろうと考えるのであります。そういう点で、結局私がお尋ねしたいことは、この地方税負担、あなたはむろん同じ閣僚でありますから、やはり政府地方税法案に対しては、共同の責任を負われると思いますが、しかしながらほんとうに産業資本家の身にとつてみれば、造船業者の身としてみれば、この地方税一体むりであるとお考えになるか、これでけつこうだとお考えになるか、その点だけは伺つておきたい。
  192. 横尾龍

    横尾国務大臣 今のお話に対して、会社の情勢に対しての御答弁はいたしたくないと考えます。大体におきまして、国税と合せたならば、大した増加はないと考えます。
  193. 風早八十二

    ○風早委員 鉄鋼業におきましても、八幡製鉄所だけで四億五千万の固定資産税というものを払わなければならないということを言われております。これはいろいろ経済雑誌等の評価であります。われわれはそれ以上のことを知るべき便宜もないのでありますが、これなどは一体どこで負担させるか。やはりこれはそれぞれのきわめて善良なる社長がおりまして、一切合財自分たちが銀行から金を借りても、やはりそれは何とか切り抜けて行く、こういうふうに言われることは、あまりに実情に反していると思います。これらの負担をどういうふうにどこで負担させるか。これらについては産業界全体に対してどういう見通しを持たれるか。私はこれをもう少し真剣にひとつ考えていただきたい。通産大臣というものは歴代大蔵大臣というものとはこれは対立していますよ。日本産業というものは、明らかに金融資本によつて、銀行によつてさんざんな目にあわされておる。そこにあたつて、どんな新任でもあなたはやはり通産大臣であるからには、どこまでも食い下つて、大蔵大臣に対して、この業界のためにひとつつていただきたい。そのことを今そうごまかして、地方税は大丈夫だ、大した負担にはならない、ということを言われた。まつたくあなたは業界からは仇敵として恨まれますよ。
  194. 池田勇人

    ○池田国務大臣 負担の問題でございますが、私一言お答えいたします。風早君は、先ほど第六次造船によつて、十五万トンできる、そうすると二十億とか三十億とか申されますが、どういう根拠でございましようか。これは造船には関係ないので、でき上つた船に対する税金として固定資産税がかかります。十五万トンとすれば、一トン七万円といたしまして、一・七%とすれば、どういう計算になるか、二十億や三十億にはなりません。これは十五万トンでございますから、二億程度ではないかと思います。単位なんか間違つているように考えます。  なおまた製鉄業につきましては、これは不動産税の問題よりも、価格補給金の問題が相当響いて来るのでございます。八幡製鉄所の評価を三百億円とすれば、これはお話の通りに四億何ぼになるでありましようか、まだ八幡製鉄所は三百億円と評価するとはきまつておりません。三億とか、三億五千万になるかならぬかということは、これからの問題だと思います。従いまして国税、地方税を通じまして、大した負担の増加にはならない。もちろん船会社とかあるいは私鉄関係につきましては、償却すべき資産とかあるいは軌道について今まで免税いたしておりました関係上、相当の増加にはなりますけれども、国全体としましては、大した増加にはならないと考えております。
  195. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 中崎敏君。
  196. 中崎敏

    ○中崎委員 最初国警のことを少しお聞きいたします。今度国警予備隊ができることになつているようですが、これにつきまして、今度やる前の現在のままでは、治安の確保の上において不十分であつたのかどうか、そうしてまた講和会議の見通しと関係を持つた意味において、この国警の予備隊がつくられるようになつたのかどうか、今回の増加で将来さらにふやす必要があるのかどうか、国警予備隊はどういうふうな装備をするのであるか、そういうふうな問題をまずお聞きしたいと思います。大体におきましてこれはポツダム政令に基くものと思いますので、これについてかれこれ論議することはどうかということも考えられますが、一応国民の代表として、こうした重大な問題が表向きに出ましたからには、どういうふうな形になるのか、また将来どういうふうになるかということは、重大な関心の問題でもありますので、政府側においてこの問題をさしつかえない範囲において一応お示し願いたいと思います。
  197. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 中崎議員にお答えいたします。まず第一に、現在の国警のままでは治安上不十分であるかどうかという御質問でございますが、七月八日マツカーサー元帥の出された書簡にもあります通り、今日の実情といたしましては、治安をより以上確保いたしますためには、新しい増加が必要であると存ずるのであります。  次にこの七万五千の新しい警察隊の増設は、講和会議関係あるかどうかという御質問でございますが、この点は別に講和会議の見通しと直接関係あるものとは存じておりません。  なお将来ほふやす必要があるかどうかという点でございますが、これは将来の情勢によつて判断する以外にはないと存ずるのであります。  また装備の点についてできるだけ詳しく聞きたいというのは、まことにごもつともな御質問でございますが、ただいまのところ政府といたしましては、この書簡の実施につきまして、なお関係当局と慎重に協議打合せ中でございますので、ただいまの段階では、装備について申し上げる程度に達しておらないことを御了承願いたいと存じます。
  198. 中崎敏

    ○中崎委員 この問題は当然予算を伴うものと考えているのでありますが、先ほど大蔵大臣の言われるところによりますと、債務償還費五百数十億の中からこれが充てられるのではないかというふうな印象を受けたのでありますが、はたしてそうであるとするならば、予算の費目の流用になるのではないかというふうに考えるのでありますが、そういうふうな場合においては、政府ほ一方的にそうした措置を単独に講じ得るものであるかどうか、さらにまたこれを国会にかけて、そうした問題を審議すべきものであるのではないかという点が問題になるのでありますが、そういう点についての大蔵大臣の御所見を聞きたいと思います。
  199. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お答えいたします。警察予備隊並びに海上保安庁の創設確保につきましては、マッカーサー元帥の書簡にもあります通り、債務償還費から持つて行くことにうたつてあるのであります。従いまして、私は債務償還費から持つて行くことにいたしたいと考えております。しこうしてこれに対しましての予算上の措置につきましては、ただいま申し上げるわけに行きません。御了承願います。
  200. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この点先ほどの大橋法務総裁の御答弁関連をするわけでありますが、あのマ書簡によりますと、国家警察の予備隊ということになつておると思うのであります。その点で現在の国家警察というのは、国家地方警察というのが正式の警察法による名称になつておると思う。それと自治体警察とあの書簡に現われておるものから見ますと、国家地方警察、もちろん地方自治体警察とは違つた第三の型の警察隊というふうにもとれるのでありますが、その点は法務総裁はその後関係方面との折衝も続けられておると思うのでありますが、その点について、現在の国家地方警察の予備隊的な性格を持つておるものであるかどうか、書簡の面では明確でないのでありますが、その点を明らかにしていただきたいということが第一点であります。  それから員数の問題は、書簡によりますと、七万五千という数字が出ておりますが、われわれの、これはまつたく推察でありますけれども、従来からの日本の警察制度に対する占領軍当局の御方針からうかがいまするならば、これは当然やはり予備隊として。最高の限度を示しておるものだというふうに理解することが、これは従来、特に現内閣になつてから警察隊の増強の問題についての折衝も行われたやうにわれわれ新聞紙その他を通じて承知しておるのであります。そういう場合におきましても、警察隊の全体の数という点につきましては、相当厳格にかつ慎重に総司令部としては考えられておると思うのでありますが、そういう点から当然あれは認められるところの最高限度である、こういうように理解するのが至当ではないか、こうわれわれは考えるのであります。その点は今池田大蔵大臣がお述べになりましたこれに必要なる経費を債務償還費から振り向けるといたしましても、予算の面でまだ正確なる見通しがつかないという点もこれに関連を持つて来ると思うのでありますが、われわれ従来の占領軍の警察制度に対する考え方から見て、そう理解することがほんとうではないかというふうに考えておるのでありますが、この点はどうかということ、それからこれはもちろん書簡によるものでありますから、政府の方では政令によるとかいうようなことが新聞等に示されてありますが、それが警察法等の改正関係においてどういうことになるか、これはただいま中崎委員からの質問に法務総裁がお答えになりましたから、関連して以上三点お伺いしたいと思います。
  201. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 田中君にお答え申し上げます。  まず御質問の第一点でございます。このたびの国家警察隊の性質は、従来の警察法による自治警察並びに国家警察に対する予備隊的な性質を持つたものであるかどうかという点でございます。実はこの点はマツカーサー元帥の書簡に現われました警察増強の具体的な計画の一部になるわけでありまして、ただいま折衝中に属する点でございます。  第二に七万五千という数字は従来の警察制度についての司令部の取扱いから考えまして、これは必ずしもそれだけを常備するという意味ではなく常備し得る最高限の数字を示したものではないかという御質問であつたのでございますが、この点もまた今後の折衝によつて明らかになることと存ずるのであります。  最後にこの特別警察隊の実施に関連いたしまして、現行警察法を改正する必要があるかどうかという点でございますが、これは私の推測といたしましてはおそらく現在の警察法規を改正するようなことはなかろうと察しております。しかしこれはあくまで推察の程度であると御承知願いたいと思います。
  202. 中崎敏

    ○中崎委員 先ほどの大蔵大臣答弁でありますが、どうも私にはまだ十分にわかり切れないのであります。債務償還費の中からこれを充てるということははつきりわかつたのでありますが、これについての国会における手続については何とも言えないということなのであります。まず第一に、まだその国警予備隊の内容並びに予算の金額がはつきりしないので、それが十分に明らかになつたら、あらためて予算的措置を講ずべく国会に諮るという意味なのであるか。あるいは国会を全然無視して、費目の流用といいますか、予算の目的の違つた方向へ、使いつぱなしにするという考えであるのか。そこの点を明らかにしてもらいたいと思います。
  203. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど来たびたびお答え申し上げました通りに、この点につきましては申し上げるわけに行かないので、御了承願いたいと思います。
  204. 中崎敏

    ○中崎委員 マツカーサー元帥の指令によりますと国警像の増加人員並びにその金の出す費目については一応の指示があつたと思いますが、それについて全然公表してはならないというふうなことがあつたのかどうか。さらにまたそのほかに複雑な事情があるのかどうか。そこらの点について、ただ言えない言えないというのは、これは終戦直後国会でもそういう問題が一、二ありました。ところが、その後におきまして国会は非常に明朗化しまして、こうした問題をもさしつかえない範囲内において大幅に明らかにして、国民にその真実を知らせる、こういうふうな状態にもなつてつたのでありますが、またぞろこの問題が元へ返つて、不明朗になつたというふうな印象を与えることは、今日の段階において好ましくないと思いますので、ただ単に言えない言えないというふうなことでなしに、その筋から全然言つてはいけないというふうなことであるのか。あるいはさらに事態の性質が全然言つてはいけないのか。そこらの点をもう少しはつきりしないと私としては納得行かないということになつているわけであります。
  205. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私としては今予算的措置をとるか、あるいはしからざるかということを申し上げるわけに行かないのであります。
  206. 風早八十二

    ○風早委員 その問題に関連して、私は池田大蔵大臣が予算措置ではない、予算額なんかも全部ここでは言う限りではないといつて避けられますが、そうなると、私どもにはこういう疑問が起つて来る。一体これはどこの警察なのか、これは日本の警察のつもりでやつておられるのか、あるいはまた連合軍の警察のつもりでやつているのか。つまりM・Pの下働きとしてこういう機関を設けると言われるのか、あるいはまた積極的に協力すると言われる国際連合の日本における一つの予備隊のようなものとしてこれをとられるようにしているのか。この警察の性格を明らかにしてもらいたい。そうすればわれわれもそれではどうもこれは国会もいかんともしがたい、向うの傭兵とかなんとかいうことになる、これはどうもやむを得ませんから、また金の勘定でしかるべくあとで国会の問題になるわけであります。しかし今はこの警察がいかにも日本の警察であるかのごとく言われておりますから、それなら日本の警察の費用をこの国会で出せないとか、あるいは全然これについては言えないとかそういうよろうお答えは、私には全然国会を無視したものと認めざるを得ない。ひとつ大橋法務総裁に、この警察は一体どういう性格のものであるか、お答え願いたい。
  207. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 風早君にお答え申し上げます。マッカーサー元帥の書簡によりますと、この警察隊を創設することを日本政府の権限として認められたわけでございます。
  208. 中崎敏

    ○中崎委員 ただいま大橋法務総裁からもお話がありました通り、日本政府の責任において日本の警察としてやるということが明らかになつた。言いかえれば、そうした機構を設けよというようなことが指令されたものだと考えております。そうするなら、この運用についての予算、ことに金がわれわれ国民の税金の中から生み出されたものであるということは明らかでありまして、そうしたものが一大蔵大臣としてどういうような措置を今後やるのかわからぬという、こういう無責任なことでは、とうていこのままわれわれは見のがすわけには行かないのであります。ポツダム政令でありましても、これを法制化して国会にかけて、その審議をなして法律化する場合もあります。ことに予算の問題については、当然これを国会に諮つて、そうしてその使途を明らかにしてやるべきことが当然だというふうに考えております。その点を池田大蔵大臣はどういう理由でか、理由さえ示さないで逃げようとしている気持を私は考えてみますと、多分これは補正予算等の形において出さなければならぬということになれば、さらにそうしたところの将来の国会の問題ついて、いろいろ政治的な問題が起り得ると思う。そしてこれを極秘に付して語ろうとしないというふうな気持ではなかろうかとさえ想像されるのでありますが、もう少しこの点を民主国会において明らかにしてもらいたいということを重ねて要求するものであります。
  209. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。こういう問題はなるべく早くはつきりさせたいと思います。しかし私は今補正予算によるか、あるいはしからざる方法をとるかということは、今申し上げる段階に至つていないのであります。今しばらく時間を貸していただきたいと思います。
  210. 中崎敏

    ○中崎委員 大体大蔵大臣の気持もようやくわかりかけて来ましたから、これ以上その問題には触れぬことにいたします。  次に自治警察の問題でありますが、自治警察のいい面も多分あつたと思いますが、現在においてはむしろ弊害の面も相当強く出ておる。たとえば自治警察の場合において、その地方的なボスが相当はびこつておりまして、その警察を動かし、警察がまた自分の自発的な気持をもつて動こうとすれば、にらまれて飯の干上りだということで、相当脅威を感じておる。このために自治警察の機能は麻痺しておるというような点が相当あるやに想像しておるのであります。実際においてもそういうことをしばしば耳にするのでありますが、自治警察はこのままの状態でいいのかどうか。法務総裁はこの自治警察の問題について、近く何らかそうした問題を打開すべき一つの考えを持つているかどうか。そうしてまた近来地方の財政が相当窮迫しておりまして、ことに小さい市町村においては、そうした大きな費用はまかない切れないというのが現実であるのであります。そうした問題をもにらみ合せて、この自治警察の問題について何らかの方法を考えておるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  211. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 自治警察につきましていろいろな御批判をいただいた次第でございますが、これらの点については、政府といたしましても、今日の実情といたしまして世間からもさような批判のあることを承知いたしております。しかしながらこれが改善につきましては、現在の警察法規は制定以来日なお浅く、これが運用はいまだ完璧を見るに至つておるとは存じないのでありまして、今後ますますこの運用の面において改善すべき部分が残つておる。特に警察におきまするボス化といつたような問題につきましては、地方自治の拡充、あるいは自治に関する思想の向上といつたような面におきまして、将来改善し得る余地が相当あるのではないかというふうに考えております。
  212. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 中島君にちよつと申し上げますが、地方税の審議ですから、それに関連のあることをなるべくやつて、あまりかけ離れたことはやらないようにお願いいたします。
  213. 中崎敏

    ○中崎委員 地方民の輿望をになうて立つておるのであるから、ある程度発言の機会を与えてもらわないと、審議が非常に円滑に行かないということがあるので、この点特に委員長に申し上げます。  特に地方税の問題は今回の案においても相当に増額されるというような趨勢になつておるのでありますが、一面負担を軽減する意味においても、地方の自治警察の場合において、たとえば五千人程度の所は従前一人か二人の警察官がおつた。それが七人も八人もおつて、用事がなくてぶらぶらしておる。こういうような点があるので少くともそうした小さい村にまでその機構を残しておくということは、経費節約の上においても非常に不要ではないかと思うのであります。一応つくつた法律で、運用も日が浅いから当分いじくらないというような考え方でなしに、実情に即したところの運用あるいは実際的の制度をつくるということがぜひとも必要なのであつて、たとい朝令暮改と言われても、改めなければならぬという面の多い場合におきましては、当然そうしなければならぬと考えておるのでありますが、少くとも最低限度そうした線においてこの自治警察をかえて行くという考え方を持つておられるかどうか、もう一度お伺いいたします。
  214. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 中崎委員の御意見はよく承りました。
  215. 中崎敏

    ○中崎委員 それでは問題をかえまして伺います。先ほど申し上げましたように、今回の地方税の負担は相当重いのでありまして、ことにこれは今日の経済界の実情におきましては、農村あたりにおいてはとうていこの負担に耐え切れないというふうな状態に置かれておるのであります。そこでまず第一にわれわれは地方公共団体の経費の中に節約し得るものが多々あるというふうに考えておるのでありますが、その面について政府側において十分の考慮を払つておられるかどうか。たとえば地方から多数の人が押しかけて、官庁へほとんど日参みたいにしてあつちこつちにそろつて出て来ております。それが相当の旅費あるいは交際費等を使つて、県なりあるいは市町村なりの財政に大きな重圧を加えておるというのは、これは事実なのでありますが、こういうふうな面においてもう少し何とか手数を省いて、政府側においてお百度参りやあるいは陳情参りに来ないでも、迅速に親切心を持つて必要な事務をはかどうしてやるというふうな心構えがあつてもいいのではないか。お百度参りをしたら必ず効果がある、それでやらなければ損だというので、大きな費用をわざわざその予算の面に盛つてつておるという例が多々あるのでありますが、こうした点をもう少し簡素化して、経費節約の面において十分に案を練つてもらう、これを実行してもらうというふうな点に考慮を願いたいと思うのでありますが、現在まで政府一体これらの点についてどういうふうな努力と考え方を持つて来られたかということを一言お示し願いたいと思います。
  216. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。その点は、ただいまの御議論はしごくごもつともであります。今まで地方自治団体と申しまして、地方公共団体が自治体として形だけは備えておつたのでございますけれども、事実におきまして中央の仕事が非常に多うございまして、同時に中央に依存しておつたわけでございます。今度の地方税改正法案ができますゆえんのものは、そういうふうなことをさせないために、地方公共団体は自分自身で事実しつかりとした政治がやつて行ける、こういうようなことを第一の目標としてできておるものでございまして、ただいまその地方自治団体の仕事の割振りを鋭意研究中でございまして、その割振りができましたならば、その割振りによつて自治団体の権限が拡大もされまして、同時に今度の税法案で財政も充実して来るということになりまして、中央依存の度が減つて来る、こういう方向に進めつつございます。ただ問題は事務の配分の研究がまだ緒についたばかりでございまして、結論に達しておりません。そういうお説の通りな方向に進ませつつあるということを御了承願いたいと存じます。
  217. 中崎敏

    ○中崎委員 ただいまの御答弁で一応了承できるのでありますが、ただ単に今の地方にある程度の財政の基礎をより多く与えたという程度のことでは、全体の問題は解決しないのであります。さらに推し進めて言うならば、吏道の刷新というふうな問題も当然関連をしておりますし、さらにまた現在の程度地方財政が確立したといつても、中央依存の問題はこれで解決するわけではないのであります。そうした面においてさらに政府側において一段と考慮を払い、誠意と努力とを傾けて、そうした地方財政の苦しい中から余分の、いわゆる冗費を出さないように特別の配慮を願いたいというのが私のひつくるめた要望であるのでありまして、この点についてただ財政の一端の確立であるということだけで事足れりとしておられるのかどうかということをもう一度お聞きしたいと思います。
  218. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。つつしんでお説を遵奉しまして、そういうふうに進んで行きたいと存じます。
  219. 中崎敏

    ○中崎委員 次に地方財政の問題は、同時に金融の問題とも関連しておるのでありますが、こうした地方全体についての財政計画並びに金融計画、ことに金融問題についてお尋ねしたいのでありますが、大体今後における地方の公共団体の金繰り状態等は一体どういうふうになるのか、税収等ともにらみ合せをして、たとえば今度の税法が実施されることになればあるいは税金が九月あたりからだんだん入つて来る。あるいはもう少し先へ入つて来る。そうしてそれが十月、十一月、十二月となつて一体どうなる。あるいは少くとも四半期別ごとの地方団体に対する金融計画程度のことは、ひとつここでお示し願いたいと思います。
  220. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話のように、地方財政の運営につきましては、極力計画的にこれを行うことが最も妥当であろうと私も考えております。それにつきましては、地方財政委員会において、種々財政面における執行機関としての助言なり、あるいは指導なりをいたして行くべき任務を持つておりますので、御趣旨に沿いまして、できるだけ研究検討を加えまして、財政運営に支障のないように取運んで参りたいと考えております。
  221. 中崎敏

    ○中崎委員 自治庁の方でまだ十分にそうした計画、計数等を御用意になつていないようでありますが、大体においての見当、たとえば千九百八億の地方税が本年度内においてかりに徴収されるとした場合において、私たちは非常に心配しておりますのは、第一期にはブランク状態でとれなかつたのでありますが、これを二期分一ぺんにとるということになれば相当むりがある。住民はみなこれに対する金の用意をしてない、短期間にこれを取立てるということになれば相当にむりがある。それでなくても、税金の負担は耐え得られないのに、それが短期間に坂上げられるというような結果になると相当のむりがあります。それらの問題について一体どういうふうな計画と身通しを持つておられるのか。そのずれについては、平衡資金の運用あるいはさらに預金部資金についても、必要に応じて税収ともにらみ合せをして運用するという大蔵大臣の言明もありますが、それがある意味において具体的にどういうふうな形になつて今年の九月から十二月の間において推移するものであるかということは、この税法を審議する上において必要な資料とも考えまするので、そのアウト・ラインだけでもお示し願いたい。
  222. 小野哲

    小野政府委員 先ほど答弁がやや抽象的になりましたので、はなはだ恐縮に存じましたが、目下のところ地方財政計画といたしましては第一・四半期第二・四半期—九月を目途といたしまして一応計画はできております。なお第三・四中期以降におきましても、この地方税法の成立と相まつてさらに計画を進めて参る予定になつておる次第でございます。
  223. 中崎敏

    ○中崎委員 次に国税と地方税との関係でありますが、昨年度におきましては協力目標といいますか、あるいは目標といいますか、やらないといいながら実際においてはやられておつたというふうにわれわれは想像しておるのでありますが、それがために相当むりな割当が来た、それでまだ徴収できないものが相当つておる。千二百億も今年の四月にあつたとかいわれておるのでありますが、いずれにしてもこれだけのものが本年度に持ち越されておるということは、それだけむりな割当をした、こういうことにもなるのではなないか。まあむりにこじつけて言えば、それは国民所得がふえたのだとも言えるのでありましようが、実際において非常にむりをしておる。たとえば第一期、第二期の徴収計画を立てて強引に今までの未徴収のものを取立てておる。こうした苛斂誅求にひとしいようなむりを前年度の分を残してやつておるという現段階において、さらに今年度における国税も相当にむりが来るのではないかと考えられる。いわんやこの地方税においては、こうして国税に優先されて取上げられたそのあとを、しかも相当増額されるのでありますから、その負担はなかなか容易でない、こういうふうな事態を考えてみたときに、大蔵大臣は一昨日の本会議において、例のドツジ・ラインというものは固定のものではないのだ、ある程度伸縮性を持ち得るものだというふうな考え方をはつきり言うておりました。それらの点から考え合せたときに、たとえば国警予備隊費を、債務償還費の中から使うという、しかもその金額は全部これを使えないということは明らかになつておる。こういうふうな面から言つても、ドツジ・ラインというものは確固不動のものでないという考え方から言つても、その後しばしばこの問題がまた変化しておるというふうなことから考えても、こういうむりな、国税の徴収と地方税の増徴とが相まつてほんとうに苛斂誅求、塗炭の苦しみに国民を陥れるようなことを、もう少し何らか考え直すような余地はないか。こういうことをお聞きしてみたいのであります。
  224. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。お話の通りに国税の滞納は千二百数十億円ございます。そのうちで申告納税の所得税が八百数十億円だと思います。この八百数十億円につきましては、今年の決定並びに更正決定の跡始末で十分できませんので、今審査請求によりまして訂正その他確認をいたしまして、この訂正その他確認が済みますと相当つて來るのではないか、しかして昨年度におきましても五百億余りあつたのでございますから、そうふえておるという非常なふえ方というのではないのであります。苛斂誅求というお言葉がございましたが、決してそういうことはいたさせません。もし誤りがあつたならば、早急に訂正するようにいたしております。滞納の多い原因は私は三つにわけられるのじやないか、一つは金詰まりの問題もございましよう。一つは税務署の側の罪もございましよう。また一つは納税者におきましても金詰まりその他におぶさつておる点もあると思うのです。この三つの困難をできるだけ切り抜けて行きたいというので、やつておるのであります。問題の申告納税の所得税につきましては、当初予算は千九百億円、補正予算で千七百億円に減らしました。しかして実際は千三百五十億円、当初の予算に比べまして五百五十億円減つておる、こういうことなのであります。昔は源泉課税、いわゆる勤労所得税と農業、中小企業、また商業所得の税金と比べますと、勤労所得は農業、中小、大企業所得、あるいは自由職業の所得の半分くらい。しかし最近におきまして、勤労所得は事業所得いわゆる申告所得をうんと上まわる。私は補正予算に対してもなお四百億程度の減収で決して割当ということはいたしておりません。滞納の八百億円余りも早急に精査いたしまして、そしてとるべきものはとる、訂正するものは訂正する。とるべきものを滞納するからといつてつておいたのでは、正直者がばかを見るのでありますから、法の命ずるところによりまして、しかして納税者の事情考えながら、適時適当の方法をとつて行きたいと思います。決して苛斂誅求はいたしておりません。なお予算の見積りにつきましても、前年度の未収入を本年度に相当見込みます。また今年度の収入すべきものを翌年度へまわして、翌年度にとる計画を立てる。これは予算の説明のときに申し上げておる通りでございます。本年の申告納税の千五百億円、昨年の実収千三百五十億円を減税しても上まわるという予算については十分検討を加えておりますが、できるだけ所得の把握に努めまして、脱税者のないように適当な税をとろうというので、努力いたしておるのであります。決して苛斂誅求をして、むりな税金をとろうとしていないということにつきまして、御了承願いたいと思います。
  225. 中崎敏

    ○中崎委員 今の大蔵大臣説明についてある程度納得する点もあるのでありますが、毎年々々未徴収のものが予算の上に繰さざれるということは、言うまでもないのであります。全部一年でとれないから捨ててしまうということは、仕事としてあり得ないことはもちろんのことでありますが、しかしそれが一昨年が五百億、それから昨年が今年に持込みのものが千二百億であるということになれば、五百億をさらにプラスして七百億余つたのだということが言えますので、まつたく無計画の割当て方である。たとえば私たちがよく耳にするのでありますが、大体これだけの目標をとらなければ首になるのだ、あるいは左遷されるのだということをしばしば耳にするのであります。あるいはまた本省の方からこういう指令が来たのだというようなことは、しばしば直接税務の衝に当つておる人から耳にしておる。それが積り積つて、結局全国においてこれだけのむりが来たのだ。その千二百億を今後どういうふうにして取立てられるかは別問題として、少くともその割当の方法において—割当てしたかどうかは別として、とにかくそれだけの多くの金額のものが収入のない予算の面に、いわゆる未収債権として残つておるということはゆゆしい問題である。言いかえれば政府の無計画であるということを露骨に示すものである。国民の所得が当初の予算よりもむしろ昨年の暮れごろからずつと財界というものが沈衰して漸次デフレの様相を呈して、インフレがずつと続いておるのだというような予算をつくつた当初の見通しよりも相当悪化しておるということは、明らかな事実である。その事実の上に立つて、しかもこれだけは余分のものが本年度に繰越されるということは、明らかにむりがある。これを私たちは言つておる。ですから、これがほんとうに今大蔵大臣が言われたように、今後徴収の上においていわゆる納税者の実情も考える、気分も考えるというように、非常な親心を持つてこれらの人たらに接して、むりのないとり方をするということについては同感なのでありますが、実際において末端にそれだけの気持が依然として通じないということになるならば、これはなかなか許しがたい問題でもあります。しかも今回また新しいところのこうした地方税法が次から次へと出される。こういう事実をわれわれが眼の前に見たときにおいて、この経済復興の苦しいときに少々これに対して借金政策をやることはあたりまえのことである。あれだけの千古未曽有の大戦争をして、ほとんどありとあらゆる物を破壊し尽された経済を立て直す上において、多少の借金政策をやることはあたりまえのことである。戦争前においては平年度においても年々借金政策をやつて積み重ねて来て、それを本年度に限つては二箇年間において数十年来の借金を一ぺんに返すという行き方については非常にむりがある。経済の復興については全面的に賛成をいたしますが、その中に住んでいる人を殺してはいけない。人を生かしながら経済を復興するという心構えが必要であると思う。その親心をここに生かして行つたときに、当然先ほど言いますように、あるいは見返り資金の面において、また国債の償還資金を税金の面において適正に使つて行くことは、決してむりではないと考える。いわんや大蔵大臣はドツジ・ラインは確固不動のものではない。経済は動くものだと言われた。その動く経済の実情に対処して、もう少しこの点について何らか考えているというお言葉が一言でもあればわれわれは国民にかわつて非常に感激する。その言葉を大蔵大臣の口から聞きたいがために、われわれは質問し、またるる意見を述べておる。この点についての大蔵大臣の重ねての所信を承りたい。
  226. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど数字で五百億と申し上げ、今年八百数十億円と申し上げたのは、申告納税だけの所得税について言つたのであります。五百億と千二百億を対照していただかないようにお願いいたします。なお八百数十億円につきましても、ただいま審査請求を処理中でございますので、これが相当数字は動くと思います。  第二の点の、ドツジ・ラインというものは動くものだから、この際動かしたらどうかというお話でございますが、動くものだからといつて、そう楽楽と動かせない。繰返して申し上げますが、インフレをとめて安定から自立経済というふうにかわつて行く、このわが国の経済事情を見ながら、適当なる措置をとるべきであると思うのであります。従いましてお話の通りに来年度は債務償還は一般会計からいたしません。見返り資金からの問題は今検討いたしております。去年は千五百億円、ことしは千二百八十億円、そのうちで一般会計の債務償還は警察予備隊等に使うことになりまして、千二百八十億は相当つて来ると思います。この債務償還のうちでも、すでに第一・四半期の百七十一億円は主として今の農地証券を繰上げて払つている。これが八十億。それから電話公債の三十六億を繰上げて払つている。そうしてまず民間の所有者に返す、こういうことで行つておるのであります。経済が安定し、自立の度が高まつて来れば私は借金政策の財政をやめたいくらいに思つておるのであります。何分にも戦後痛手が非常に強かつたものでございますから、いわゆる荒療治をして手術のあと、おもゆからおかゆになり、軽い御飯になる。今はおかゆを食つているときですからむりはできません。自立経済になつて、普通の御飯が食べられるようになつたら、飲み過ぎ食い過ぎもしてよろしうございます。しかし今は飲み過ぎ食い過ぎはできません。こう考えておるのであります。
  227. 中崎敏

    ○中崎委員 地方公務員に関する給与の問題は、政府職員とも関連があるのでありますが、これについてはこれら勤労階級の困つておる実情等をも相当考えて、万般の措置々講ずべきだと考えておるのでありますが、これに対する給与改訂の問題等について、政府はどういうふうな考えを持つておられるか。
  228. 池田勇人

    ○池田国務大臣 総理が先般施政方針演説で、財源の許す限度においてできるだけ早い機会に給与の引上げをしたい、こう言われたのでありますが、私も同感でございます。前国会におきましては、安定自立の見通しがなかなか困難でありまして、インフレの収束がまだ確信がなかつたものでありますから、皆さんの御意見に反しまして、実はやらなかつたのでありますが、大体安定自立に一歩々々歩を進めつつありますので、もう上げるときではないか、今では上げたいという念願でいろいろな條件を検討いたしておるのであります。一日も早く上げたいということは中崎君と同じ立場になつておりますから、御了承を願います。
  229. 中崎敏

    ○中崎委員 給与改訂をする場合における財源の見通し等もお聞きしたいのでありますが、これは間接の問題になりますので……。  もう一つお聞きしておきたい。地方公務員法を政府側において出すとかいうような話を開会前からちよちよい耳にしたので、非常に気ぜわしいと思つてつたのでありますが、政府はこれについてどういうようなお考えを持つているか。
  230. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方公務員法はとつくに出さなければならないような法案でございますが、ただいま検討中でございまして、大体の目安はついておりますけれども、まだ十分なる確定案とはなつておりません。しかしできるだけ早くこれの予算を御審議していただきたい、こう考えておりますが、今度の国会へは出す段取りにはなつておりませんことを御了承願いたいと思います。
  231. 中崎敏

    ○中崎委員 今農村は非常な危機に追い込まれておりまして、ことに農村民主化の一端として、さらに農村の経済を担当しておるところの農業協同組合相当に行き詰まつておるのであります。一面資金の面において一面さらに運営の面において相当に国家的な積極的施策を必要とするものだとわれわれは考えているのでありますが、この中で金融の面から現在県段階における、農業協同組合連合会、こういうふうなものが県の金庫として指定されていない一面、金融資本は非常に横行跋扈しておりまして、これがためにだんだんと圧倒されて農村の金融というものが余分に追い込まれているというような点もありますが、この農業協同組合連合会程度のものを各公共団体の金庫に指定するというふうな問題について、大蔵大臣はどういうように考えておられるのか伺いたい。
  232. 池田勇人

    ○池田国務大臣 農業協同組合の信用事業につきましては、先般来非常に困難な事態に立ち至つているということは聞いておるのであります。従いまして、農林省にその実情を十分調査していただきまして、調査の結果によりまして、大蔵省と相談の上適当な措置をとりたいと考えております。前国会におきまして非常に心配せられた程度には立ち至つていない。その後相当盛り返していると聞いておるのであります。  県単連を各府県の金庫にするかという問題につきましては、やはりその土地土地事情によつて一概には言えぬと思います。これは政務次官よりお答えすることにいたします。
  233. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。農業協同組合等を県の金庫に指定してはどうか、こういうような御意見はかねてから非常に強かつたのでありますが、いろいろ検討しました結果、さようにいたすことが適当であろう、こういうことで地方自治法の施行令を改正いたしまして、さようなとりはからいをいたすように措置をいたした次第でございます。
  234. 中崎敏

    ○中崎委員 それでは打切ります。
  235. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 砂間一良君。
  236. 砂間一良

    ○砂間委員 固定資産税についてでありますが、漁船や漁具は償却用の資産として税金がかかつてくると思いますが、これは漁に出ても出なくても船や網を持つていさえすれば税金はとられるのですか。
  237. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。固定資産税のうちで特に土地家屋を除きました償却資産は、法律案にも規定されておりますように、事業の用に供するものと相なるのでありますが、全然事業をやつていないというような場合におきましては、これはまた別問題となる次第であります。
  238. 砂間一良

    ○砂間委員 事業の用というのですが、事業をやつている、やつていないと言いましても、それは漁に出なければ事業をやつていないというふうにみなすのですか。
  239. 小野哲

    小野政府委員 ただいまの御意見は、おそらくしけであるとか、何か天候の都合で漁師が漁に出られなかつたような場合においての問題をもお考えになつておるのではないかと、思うのですが、しかし要は、大体事業をやつているということは、天候その他の関係であるいは中止される場合もあろうかと存じますが一應継続的に行われておるというのが建前になつておりますので、たまたま天候が不順のため、あるいはしけのため出られなかつたとい’うて事業をやつておらないということにはならないであろう、かように解釈しております。従いまして、事業の用に供しておるという建前にはかわりがないと考えております。
  240. 砂間一良

    ○砂間委員 今の御答弁によりますと、しけや何かのときばかり申されましたが、自然現象としての暴風やしけでなくても、人為的なしけといいますか、漁業に出られない場合があるわけであります。そういうふうな場合はどうなりますか。
  241. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。そういうふうな場合もございましようが、いろいろの支障が起こりまして、事業の用に供することができなくなつたというふうな場合もあろうかと思います。さような場合におきましては、もちろん課税対象にはならないと思います。なおまた漁業者がいろいろな事情で税を納めることができないような場合になりましたときは、地方団体において適宜減免の措置も講ずる道が開かれております。
  242. 砂間一良

    ○砂間委員 端的に申し上げますれば、私は静岡県の出身でありますが、静岡県の御前崎の、遠州灘から愛知県の方にかけまして、聞くところによりますと東西三十七海里あるいは四十海里と申しておりますが南北十海里くらいにわたりまして禁漁区域が設定されるというふうなことが言われております。これは五月に、静岡県の弁天におきまして愛知県や静岡県の漁業者が寄つていろいろ対策を講じておりますが、水産庁の漁政課長、その他の方も出張していろいろお話があつたようであります。なお六月の初めに、県庁におきまして県下の漁業者が寄り集まつていろいろ対策をやつておりますが、こういうふうな場合に、網を持ち漁船を持ち、その他すべての漁業の資産は準備してあるわけでありますが、それがそういうために沖に魚が来ても漁に出ることができない。しかしこの事業用の資産であるというので税金だけはとられるということになりますと、これはえらいことになるわけであります。こういうふうな場合には政府税金をとるかとらぬのか、またそういう場合に対しては漁民に補償するのかしないのか、この点をはつきりお伺いしておきたいと思うのであります。
  243. 小野哲

    小野政府委員 ただいまは具体的な事情についてのお話があつたのでございますが、大体漁具とか、そういうふうなものにつきましては物件税としての考え方を持つておりますので、減免の措置はまた別途の原因によつてこれはなし得るのじやないか、かように考えておる次第であります。
  244. 砂間一良

    ○砂間委員 こういう例は静岡県だけではなくてほかにもありますか。もしありとすれば関係漁民の数は何万ぐらいになりますか。
  245. 小野哲

    小野政府委員 他にもあるいはそういうふうな事例があろうかとも存じますけれども、私ただいま手元にどれくらいの人数の漁民があるかということは持ち合せておりませんので、主管庁からお聞取り願いたいと思います。
  246. 砂間一良

    ○砂間委員 主管庁からお聞取りするつもりでおつたのでありますが、農林大臣は先ほど赤い顔して見えておられましたが、いつの間にやら退席されまして見えておりませんので、ここにおられる方の中でどなたかにひとつお尋ねしたいと思います。
  247. 小野哲

    小野政府委員 私からお答え申し上げます。多分ただいまお話は占領軍の関係の箇所ではないかと思います。現在十五箇所ぐらいあるように存じております。
  248. 砂間一良

    ○砂間委員 大体連合通信にも十五箇所ということが出ておりますので、それくらいの程度つたら私どもとうに承知しております。問題は非常に重大であります。静岡県におきましても数万の漁民がどういうことになるかわかりませんが、もし年間を通じまして演習が行われるということになりますと、数万の漁民が生業を失うばかりでなくて、それに関連したたとえば煮ぼし屋であるとか、あるいはかつお節をつくる人であるとか、あるいはつくだ煮をつくる人であるとか、そういう関連業者まで全部職を失つてしまうことになるわけであります。こういうことが、全国十五箇所も行われておるということになりますと、相当の人たちが関係を持つて来るわけであります。この問題につきまして、政府はそういう事情のために生活ができなくなつた人たちに対して補償する意思があるかないか、まずその点からお伺いして行きたいと思います。
  249. 島村軍次

    ○島村政府委員 御意見の点、水産庁におきましても実地の調査をし、かつマッカーサー司令部の方とも折衝を進めておるのでありまして、最小限度にその被害をとどめることを御考慮願うようにいたしております。と同時に、補償の問題等も出ておりますので、目下鏡意研究中でありまして、まだ結論は出ておらぬようであります。さように御承知おき願います。
  250. 砂間一良

    ○砂間委員 その補償の額はどの程度にやつてくれるのでありますか。たとえば一年間魚がとれないというくらいだけでありますか。しかしずつと海上で働いておる人は転業ということは困難であります。どこか陸上の工場に勤めておる人が解雇された場合には、ほかへ就職するということもできますけれども、何分にも荒い海の上で、漁師專門のかつおつりとか、あるいは底引をやつておるというふうな人は、陸へ上りましてもほかの仕事に転業が困難であります。そういう人たちに対してどのくらいの補償をやつてくれるのか。そういう点を関係者は非常に心配しておるわけであります。
  251. 島村軍次

    ○島村政府委員 被害の程度及び漁獲りできない程度及び漁獲高等のいろいろ調査を要する事項があると思うのであります。目下それらについて水産庁においてそれぞれ綿密なる調査を進行中でありますので、いましばらく御猶予願いたいと思います。
  252. 砂間一良

    ○砂間委員 現に水産庁におきまして調査をしておられるそうでありますから、その十五箇所の場所は大体わかつておられるはずだと思います。その十五箇所の場所をここで御発表願いたい。
  253. 島村軍次

    ○島村政府委員 私はまだ不勉強でありますから、あとからお答え申し上げます。
  254. 砂間一良

    ○砂間委員 そういう人たちの持つておる船や、いろいろな網や、あるいは定置漁業権とか、そういうものがあるわけであります。それに対して税金をとるのかとらぬのか。
  255. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。先ほど事業の用に供する云々と申し上げましたが、もし事業の用に供しなかつた場合とか、あるいは遊休資産なつたような場合におきましては、その評価について考慮を払いたいと考えます。また場合によりましては、これに対して非課税措置を講ずる場合も起つて来るだろうと思います。
  256. 砂間一良

    ○砂間委員 現に補償ということさえも問題になつておるような、そういう人たちから税金をとるということは、私はとんでもないことだと思う。税金をとるどころか、むしろ国家が補償してやるというような人に対しては税金は全然問題になり得ないと思いますが、どうなんですか。
  257. 小野哲

    小野政府委員 ただいま農林政務次官からお答え申し上げましたように、せつかくただいま調査中でございますので、よく連絡をとりまして、その調査の結果によつて十分に検討を加えたいと存じます。
  258. 砂間一良

    ○砂間委員 調査々々と申しまして政府はたいへん悠長なことを言つておりますけれども、関係者の身になつてみればほんとうに切実な問題ですよ。これは單に私は漁業のことだけ申しましたけれども漁業だけじやないのです。陸上においてもこういうところはたくさんあります。たとえば東富士の演習場とか、そういうところがたくさんあるわけであります。そうしてこれは單に漁船や漁具ばかりでなくて、土地つてそうです。畑あり田があつても、それが作れないというところがあるのです。しかも税金だけはぴしぴしかかつて来ておる。今日は地方税のことが問題になつておりますから、税金のことを主として言つておるわけですが、調査中々々々といつても、そんなにいつまでものんびりしたことで先へ延ばされておつてはたまらぬですよ。この遠州灘の演習場の海の禁漁区域の問題は、四月か五月に起つて来た新しい問題かしれませんが、そうでなくて、すでにそれと類似したようなところが陸上にも海上にもある。たとえば千葉県の片貝、その他ほかにたくさんある。そういうところに対してこの税金についてどういう措置政府はこれまでとつて来たか、また現にとつておるかということは、調査しなくてもこれまでそういう事実がたくさんあるのですから、それは対策は立つておるはずだと思います。ですからその御措置を聞いておるわけです。
  259. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいま私がお答えいたしましたのは、政府として全般的な融資の問題であるとか、あるいは補償の問題等と関連してのお答えでございまして、税金そのものの点から申しますと、これは地方団体に荒いてそれぞれ措置いたさたければならない性格のものでございます。従つてさような緊迫した状態に置かれておるものとするならば、おそらく地方議会に十分に反映いたしまして、当該の地方議会が適切な措置を講ずるであろうということを期待いたしておる次第でございます。
  260. 砂間一良

    ○砂間委員 地方議会で問題になつております。たとえば静岡県におきましても、昨年十二月の県議会等においていろいろ問題になつておりますが、地方だけでは解決できない問題なんです。ですから副知事が調査に行つたり、いろいろやつておりますが、どうにもこうにもならない。一体どこへこれを持つてつたらよいかわからないというので、県議会でも県庁でも始末に困つておる。ところが政府の方では地方議会の問題だからわしは知らないと言う。そんな投げやりの形はないと思うのです。ですからもつとはつきりした具体的な対策をお聞かせ願いたい。
  261. 小野哲

    小野政府委員 ただいまたいへんおしかりをこうむつたのでありますが、しかし地方税はもともと地方会議において措置すべき問題でありまして、これにつきましては地方税法案にもございますし、また現行地方税法にもございますが、適切な減免の措置も講ぜられまするし、また納期の延期もできますし、将来は地方税法案によりまして償却資産等につきましてもある程度考慮も払い得る道が開かれておるような次第でございますのでかえつて政府があれこれとさしずをするまでもなく、地方議会はその自主性によりまして、十分に審議いたしておるものと考えておりますので、決して政府は投げやりにしておるということは当らないと考えております。
  262. 砂間一良

    ○砂間委員 たとえばまた補償の問題ですが、その補償の金なんかこれはどの費目から出るのですか。終戦処理費から出るのですか、それとも何か一般の費用から出るのですか、どこから出してもらえるのですか。
  263. 池田勇人

    ○池田国務大臣 前から砂間君の議論を聞いておるのでございますが、課税にもなるかならないかという問題と、その業者に被害があつた場合において、これ々を償するという問題とは別個の問題でございますから、別個にお考えなつたが適当だと思います。従いまして今の補償の場合において税金を負担しておれば、税金も補償の金額のうちに入れなければなりますまい。うらはらの問題でありますが関連上は別個の問題であります。  次に今御指摘の海上並びに陸上におきまする被害について、ただいま私のところで検討いたしておりますが従来終戦処理費によりますと、補償問題は具体的に終戦の時代に起つた分を補償しておる。たとえば煙突を切れとか爆薬が爆発してどうなつたとか、あるいはジープが人をひいた、こういうふうな問題についての補償金は終戦処理費から出しております。今回の問題につきましても、私はただいま検討中ではつきり申し上げられませんが、出せば終戦処理費ではないかと考えておるのであります。しかしこれは関係方面と研究をいたしております。
  264. 砂間一良

    ○砂間委員 最近外電等によりますと、日本の軍事基地というふうなことがよく新聞に出ております。ことに朝鮮の戦争が始まつて以来、そういうことが、盛んに外国通信等によつて論議されておるようです。占領下にある日本といたしまして、占領軍の方から占領政策上必要であるということになれば、そういうふうなところがどんどん拡張されて行つて日本としてはしかたがないものですか。私どもはポツダム宣言受諾の精神からいつても、また憲法で戦争を放棄するという建前から行きましても、そういうふうに直接戦争の準備になるような軍事基地と思われるようなところが、どんどん拡張されて行くということについて、どうもふに落ちないところがあるのですが、それはもう占領軍の方からそういうふうに言つて来れば、日本政府としてはどうにもならないものですか。あるいは何らか懇請するとかあるいはこちらの希望を言うとかいうふうなことはできないものなんですか。
  265. 池田勇人

    ○池田国務大臣 直接地方税には関係はないと思いますが今までわが国におきまして飛行場を設けたりするときには、向うの考え通りでやつてつたのであります。今後拡張するとかなんとかいうときどうこうするということについてはお答えする限りではございません。
  266. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 砂間君、地方税に限つてつてください。
  267. 砂間一良

    ○砂間委員 この問題はそれだけにして、あと一つ、二つ簡単なものをお尋ねいたします。それは漁業権税のことでありますが、これはこの前の第七国会の四月八日の連合審査会議録にもございますが、漁業権税は共同漁業権に対してはかけない。従つてつておるのは区画漁業権と定置漁業権だけでありますが、こういう沿岸の漁業権に対しては税金はかける。ところが許可の漁業に対してはかけないということを奥野政府委員が申しておられますが、これはその通りでありますか。
  268. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 漁業権税の対象になります問題は定置漁業権と区画漁業権それから従来の漁業法で特別漁業権というのがございまして、これはなお二年間だけは存続することになつておりますから、これも課税対象になります。しかしながら今密話になりました特に許可を受けて行いますようないわゆる物権とみなされていないような権利については、漁業権税は課せられません。しかしながら若干の県におきましてはいわゆる法定外の独立税として課税しているところがあるかと思います。
  269. 砂間一良

    ○砂間委員 その点私ははなはだ不可解になると思うのです。大体定置漁業権だとか、区画漁業権というのは沿岸のどつちかというと中以下の漁師連中がやつておることなんですそうして近代的な漁業というのはみんな沖合漁業なんですよ。それがトロールでも遠洋漁業でも許可によつてつておるのですが、それに対しては地方税はかけない。ごく沿岸の中以下の漁民がやつておる漁業権に対してはかけるということは、明らかに不均衡だと思うのです。  それからもう一つ漁業権税について申しますと、先ほど田口委員質問のときにもお答えがあつたのですが、二十七年以後においては新しい漁業法が施行されることになるわけですが、そのときになりますと、免許料、許可料というものがとられるわけなのです。この免許料、許可料は、明らかに行政費まで含んでおる。さしあたり漁業調査委員会などの費用は、この免許料、許可料の中から出すわけになつておるのですが、そうしますと、沖合い漁業に比べて歩の悪い沿岸漁業権に対して、一方においては免許料、許可料をとつておきながら、もう一ぺん漁業権税をかけるというのは、明らかに二重課税だ。だからこういうことに対しましては、少くとも新法が実施になる昭和二十七年以後においては、この漁業権税はかけないということを、はつきり今度の地方税法の中に、明文として載せてもらいたい。もしそうでなかつたならば、そういうことをはつきり明言していただいてそれを速記にとめておいていただきたいと思うのです。こんな不合理な話はないと思うのですが、政府の御見解をお尋ねいたします。
  270. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今度の地方税法案を立案いたします際に、農林省ともいろいろ相談をいたしたわけでございます。その際に今お話になりましたような見地から従来の漁業税を存続いたします場合には、許可漁業に対しましては漁業権税を課税するようにした方がいいのではないかという考え方もあつたわけですが、他面また今回新しい漁業法に基きまして、免許料を納めなければならないという問題もございますので総合的に勘案して、そういうふうに本質に触れた改正はしない。なお今後の新しい漁業法の運営を見た上で、はたして漁業権税を存続した方がいいのか、あるいは廃止した方がいいのかということを検討したい。こういうような結論になりましたがために、許可漁業に対する漁業権税を創設することはやめたわけであります。免許料の問題がございますが、一應理論的に考えた場合には、従来漁業権を借りておる。それに対してはある程度の使用料を払つてつただろうと思うのであります。それにかえて、今度は政府が古い漁業権を買収いたしまして、そのかわり政府に対して漁業権を借りておるものが、免許料を払つて行く、使用料が免許料の形にかわつたというふうなことも言えると思うのであります。免許料の額はたしか法律の上で補償料の額を越えることができないというふうに書いてあつた承知いたしております。そういうふうにして免許料を払つてつた場合には、やがてはその漁業権が免許料を払つておる人の所有に移るわけであります。従つてそういういろいろな関係がございますので、新しい漁業法の施行の状況ともにらみ合せて、現在ございますところの漁業権税を存続するか廃止するかということを決定いたしたい。そういうような意味合いにおきまして漁業権税の課税標準は、賃貸料をとることにいたしております。しかし新しい漁業権は、貸付の目的とすることができないと書いておりますので、かりに存続するといたしましても、この漁業権税の課税標準を別個のものにとらなければならないということになるわけでございます。言いかえれば、二年後においては新しい見地から検討を加えなければならないということが、当然予定されて来るわけでございます。この辺で御了承を願いたいと思うのであります。
  271. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 高田富之君。
  272. 高田富之

    ○高田(富)委員 最初に簡単な質問でありますが、経済安定本部の長官に、この地方税法の改正に伴つて生ずる家賃の統制の問題について二、三お伺いしたいと思います。政府としてはつい先ごろこの家賃統制令の改訂の方針をきめたということが伝えられておるのであります。これは統制を大幅に撤廃する部分が分て来るというようなことで、相当の家賃の急騰が現われて来るのではないかということが非常に恐れられておるわけでありますが、どういう方針で、今おられるか、また今後統制をして行く部面では、大体家賃をどの程度に押えるか。また撤廃される面では相当弊害があると思うのでありますが、そういう点についての見解を明らかにしていただきたいと思います。
  273. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お答えします。今度の家賃の統制の撤廃につきましては、大体従来から不合理な面について撤廃をいたしておるのが一つ。たとえば一時的に一日のうち午前あるいは午後一ぱい借りるというようなごく一時的な借入れに対しては統制をはずすと、また最近新しく建設される家についても統制をはすすことにしてはおりますので、これは最も時宜に適したはずし方だと考えております。将来続けて行くものについて今後家賃がどうなるかということに対しては、御懸念もありますが、これは大体今度地方税が上げられる程度において上げることをきめる。こう考えております。
  274. 高田富之

    ○高田(富)委員 地方税が上げられる程度に上げるということになりますと、地方税の上つた部分を今までの家賃に足したというくらいですか、それともそれよりも、相当程度大幅にゆとりを見て上げるようになつておるのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  275. 周東英雄

    ○周東国務大臣 大体地方税が上げられた幅程度において従来のものにつけ加えることに考えております。
  276. 高田富之

    ○高田(富)委員 そうすると、家賃を三倍近く上げるということをちよつと言われておるのでありますが、これは間違いである。結局、家賃そのものとしては、新たに上つた税金を足したものというふうに考えているわけですね。
  277. 周東英雄

    ○周東国務大臣 大体お話の通りでございます。
  278. 高田富之

    ○高田(富)委員 現在家賃の問題が相当量大問題になつて来ておるのでありますが、東京都の公共アパートでさえも一室千三百円とか千八百円というふうに言われておるし、また現在つくつておるものは三千円ぐらいだということも言われておるのでありまして、この統制の撤廃によつて、こういうふうに最近非常に上つておりますから、この傾向で行きますと、借家生活者としては住民税を納めることも何もおそらく不可能ではないか。こういうように現在でさえ家賃を納められない状態でありますから、若干でも今後上る、あるいは統制の撤廃になつた部分に対しては相当上るものと見なければならないので、家賃をめぐり相当困難な問題ができて来る。従つて家屋税、固定資産種の徴収にも相当の障害が出て来る。この問題はおそらく今後相当大きな社会問題になつて来ると思われますので、今答弁のありましたように、家賃の値上げの限度、統制の解除によつてべらぼうに上つて来るということのないように、またこういう紛争等については、はつきりとした法的な根拠を持つて措置しなければならないと思うのですが、今までの地代家賃統制令というようなものをこの際もつと明確にするために、法律で国会の審議を経てきちんとこれをやつて行く。そうして不当な家賃の値上げ等のないように、そのための非難の起らないようにするという意思はありませんか。
  279. 周東英雄

    ○周東国務大臣 御心配の点はごもつともでありますが、従来比較的地代家賃統制令等においては、他の物価が非常に急騰しておつたに対しまして、やや押えられ過ぎておつた観があるかと思います。しかし旧来からのものにつきましては、特に従来のままにして、地方税法に関する固定資産税の値上りだけ値上げすることを認めましたが、今後新たにつくられる家等につきましては、やはりその家について投下された資本の償却等を考えて適当にきめられることと考えておりますので、しばらく様子を見て、あるいは不当な形になれば、そのとき考慮するべきことだと考えております。ただいまのところお話のような考えはありません。
  280. 高田富之

    ○高田(富)委員 次に大橋法務総裁にお伺いしたいのですが、先ほどの各委員質問に答えられまして警察予備隊の問題、その他海上保安庁の増強の問題につきましては、日本政府が権限を付与されたという御答弁であつたと思います。実はこの問題については、昨年あたりでも政府は一應否定したようですが、新聞紙上には、政府において警察力増強の希望は相当強い、あるいは国会へ出すかもしれぬというようなことが伝えられさらにそれに対しまして、総司令部方面では、警察力の増強は必要ないというふうな内示ですか何ですか、あつたというようなことまで新聞にも報道されたことがあつたわけであります。これは政府の方では否定したのでありますが、火のない所から煙は出ないと思うので、ずつとその後もそういう努力が相当続けられておつたのではないかと思われる節があるわけであります。ことに先般は樋貝国務大臣が突如として首になりまして、この問題についてもどういうわけなのか、はなはだわからないというわけで、新聞でもこれについては相当論評がありました。警察力増強問題についての何かじやないかというようなこともありまして、相当努力を重ねて来たことは大体推測にかたくない。ところで今回の書簡の内容を見ましても、政府の希望をいれてこれを許可するというふうな文字もあるわけであります。従つてこれは政府の今までの非常な努力の結果一度はそういうことはうまく行かなかつたようなことはあつたにしても、新たなる内外情勢から許可がおりたというふうに、当然これは国民の常識として解釈できるのであります。また書簡の内容からしましても、そういうことは、はつきりうかがい知ることができるわけであります。この間の総理の施政方針演説の言葉を見ましても、その点がちよつとあいまいになつておる。命令なのか、許可なのかというような点も、ちよつとあいまいな点がある。これは非常に重大な問題でありまして、これに基く今後の措置については、やはりこの点をほんとうに明確にする必要があると思うので、大橋総裁のこの点に関する明確な、国民全部が納得できる御答弁を願いたい。
  281. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この問題についての、マツカーサー元帥の書簡の仮訳をちよつと申し上げておきます。「良好な状態を持続し、法の違反や中和と公安を乱すことを常習とする不法な少数者によつて、乗じられるすきを与えないような対策を確保するために、日本の警察組織は、民主主義社会で公安維持に必要とされる限度について警察力を増大、強化すべき段階に達したものと私は確信する。」こう書いてあります。そしてその次に、私は日本政府に対し七万五千からなる国家警察予備隊を設置するに必要な措置を講ずることを許可する。こう仮訳いたしてあります。この許可するという文字の原文は、オーソライズという字が書いてございまして、これは日本政府に、さような権限を付与するという意味でございまして、こちらの希望を許可したという意味ではないと確信いたします。
  282. 高田富之

    ○高田(富)委員 その問題はやはり解釈が許可になつたというのは、さつきも私が申し上げたように、国家の常識としましても、去年以来のいろいろなことからしまして、そういうふうに解釈するのが、一番実情に即した解釈ということになるわけでございますが、そこで、今のあなたの点をもう少しみんなにわかるように裏づけていただくために、たとえば樋貝国務大臣の辞職問題とか、あるいは去年あたり出そうと思つたけれども、小言を食つて引込めたという一連のいきさつがありますから、それに対しましても、国民の納得の行くように御説明がないと、突如として向うから権限を付与して来た、ぽかつと権限を付与して来たというのでは、なかなか解釈できないのであります。そういう意味で、許可という仮訳をしたのは、非常にこれは納得の行く解釈ということになるわけであります。その点をもう少し理解できるように御説明願いたいと思います。
  283. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 オーソライズと申しますのは、権限を付与するというような意味であると存じます。なおこの点に関しましては、特に司令部の関係筋にこのオーソライズという言葉の意味をただしたのでございますが、これはデイレクテイヴという言葉とほとんど同様に解釈してよろしい、こういうふうに答えられております。
  284. 藤田義光

    ○藤田委員 重大な問題ですから、関連して、ただいま高田委員からいろいろ質問が出ておりましたが、どうも法務総裁少し遠慮されております。オーソライズを日本文に訳した場合許可ぢやないかと思います。それは昨年の秋の臨時国会におきまして、われわれの有志が決議案を出しまして、衆議院の本会議においても、万場一致ではありませんけれども、一部少数を除いた絶対多数によりまして可決しておるのです。これは当時の民主党が提出いたしまして、大多数の賛同を得ております。この国会の意向が反映したというようなことになりまして、オーソライズの解釈は許可でもよろしい、権限を与えたものでけつこうだというふうに私は考えております。
  285. 高田富之

    ○高田(富)委員 そこで今お話もあつた通り、やはり民主党でそう言うのですから、いわんや自由党においておやなんで、当然そういう猛烈な御要求があつた。そこで今度の—文字は権限付与でも許可でもどつちでもいいとおつしやればどつちでもいいのですが、そういう経過を経て、今回のようになつたのであります。そうしますと、これを何か命令であるかのように、国民にむりに錯覚を持たせるようなことをいたしまして、ちようど袞龍のそでに隠れてというような式で、国会にかける必要もない、これはどんどん政令でやつてしまえばいいというようなことに持つて行くということは、これは重大な問題だと思うのです。でありますから、これはどこまでも法律案を国会に出す希望があるならば出して、予算案も当然出されて、そして堂々と討論をいたしまして、全国民の納得するように、これをやるより以外に国民は全然納得することができない。これは、はつきりしております。この点については、今のオーソライズ問題からしましても、そういうことになりますから、この点についてぜひ大橋法務総裁の明解な御回答を願いたいと思います。
  286. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま藤岡君からもいろいろお話がございましたが、それは藤田君の御意見でございます。政府といたしましては、このマツカーサー元帥の書簡に現われたる字句の解釈につきましては、有権的な解釈といたしましては司令部当局の説明による以外にないと考えております。そして司令部当局の説明を聴取いたしましたる限りにおきましては、このオーソライズという言葉はダイレクトという言葉と同じである、こう説明を受けております。
  287. 藤田義光

    ○藤田委員 高田君の先ほどの質問は非常に前進いたしまして、マッカーサー元帥の書簡を承認した上に立つての、国会審議を唱道されたのでありますから、日本共産党として非常な進歩でめる、かように解釈いたしておりますから、その見解から大橋法務総裁も御答弁願いたい。これは私の質問ではありません。希望でございます。
  288. 高田富之

    ○高田(富)委員 先ほど予算の方の問題については、風早委員からも、質問がございまして、大蔵大臣は今考慮中だというようなことでありました。この問題についてはただいま申し上げた通り、国民は今ほとんどだれしもが、この問題については政府の態度が非常にあいまいでありて、どつちにきまるのだかわからぬというような、実に明確であるにもかかわらず、何とか議会の方にかけずにという態度が見えることは、非常に遺憾であると思う。でありますから、一刻も早くこれを国会にかけられるということに、ひとつ決意をしてもらいたいと思います。  そこで、実はさつきこの問題について、まだ全然各省から予算も上つて来ておらないし、わからぬというようなことがありまして、なお押問答しておりますうちに、数字が大分風早君とは違うのだ、せいぜい二、三十億くらいのものだから、けつこう債務償還費の中から出る、大したものじやないという御説明もあつたように思うのでございますけれども、これはそうじやない。実は非常に厖大な数字になるであろうと想像するのが常識でありまして、ことにそこにおられる大橋法務総裁のごときは、やはりその点につきましては、海上保安庁の大久保長官からも委員会においてお話がありまして、半年の間に七、八十億ということを言うておるのであります。七、八十億、八千人だけです。だからこれを七万五千人としますと、かりにどんなに少く見ましてもこれの五倍とすると四百億、こういうことになる。それからさつきの計算は、数字の神様と言われておる大蔵大臣にしてはいささかどうかと思うのです。八千人に一人三万円としてやりますと、月に二十四億になるのです。だから一箇年間には相当莫大なものになるわけなんで、これは三万田ですから、装備その他のことを考えますと、もつと厖大なものになる。ですから、これは少く見ましてもどうしても数百億に上る、実に重大な問題であります。だからこういう重大な、多額に上るものにつきましては、大体の見当はお持ちになつておられると思うのです。これを国会にもかけずにいいかげんにやつてしまうというような危険性があるということになりましたならば、これではまつたく予算も何も根底からくつがえつてしまう。これは重大な問題だと思うのです。これは大体の目安でありますが、さつきは二、三十億ということを言つておられたので、この点についてはやはりそんなばかなことはないと思いますので、その点についてもう一度お答えを願つておきたい。
  289. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私の記憶では、ただいま研究中という言葉を使つていない記憶でございます。申し上げられません、こういう言葉で言つておるのでございます。研究中とは申し上げていないと思います。もし研究中という言葉を使つておりましたならば、これは取消します。私はこの問題は申し上げられませんと、本会議でもここでも申しておるのであります。  次に風早君の御質問の、一人三百円とすれば七万五千人で二百億、こうおつしやいましたから……(「年に二百億」と呼ぶ者あり)年に二百億になりません。これは御計算なすつて、一人年に十万円としまして、七万五千人で年に七十五億円と申し上げました。年に十万円としまして、七万五千人で七十五億、これは単位をとにかくお間違いになつて質問になつておると思うので、それは討正したい。月に三万円という人件費は国会議員です。こういう問題につきまして三万円という根拠がわからぬ。月に三万円とは言つておりません。それで数字計算をしてみればすぐわかるのです。私は風早君の質問に答えて、今年度三万円いるとすれば、こういう前提で二百億と言われましたから申し上げたのであります。従いまして前提が動いて来るわけでありますから、私の申し上げた数字には間違いないと思うのであります。  次に大久保長官がどうお答えになつたか、私のところへ予算の要求書も何も出ておりませんから、お答えいたしません。     〔発言する者あり〕
  290. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 お静かに願います。
  291. 高田富之

    ○高田(富)委員 それでこの機会に大体わかつておる範囲、それから大体の責任者たる大臣の希望しておられるところ、計画しておられるところを話してもらいたいと思うのです。この警察予備隊をつくることにつきましては、あれ以来大分日もたつておりますし、相当具体的な御計画なり、大臣としての御希望もまとまりつつあるのではないかと想像するわけですが、武器なんかは今普通ピストルやなんかを大分持つておるわけですが、今度できる予備隊などは、大体どの程度の武器を持たせるのが適当とお考えになつておられますか。
  292. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 装備の点を含めまして、この警察予備隊の具体的な計画につきましては、目下司令部当局と協同いたしまして立案中でございますので、ただいまお答え申し上げ得ないことをきわめて遺憾といたします。
  293. 高田富之

    ○高田(富)委員 どうも答えられない一点張りでははなはだ困るのですが、そういうものができた場合に、いろいろ今までの経過その他から見まして、また現在もいろいろ折衝中というようなことから推察いたしまして、できたその予備隊の訓練であるとか、あるいは指揮であるとか、そういう方面にわたりましても常時ということもないでしようが—場合によりあるいは常時ということもないと思いますが、いろいろと指示を仰いで、あるいはその方面の指導をしてもらうというようなことになるのでありましようか、またそうなることを計画されるのでありますか。
  294. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 具体的な問題は、ただいますべて研究中でございます。
  295. 高田富之

    ○高田(富)委員 やはりこれは当面の一番大きな問題でありますので、もう少し誠意のある御答弁を願いたいと思います。この警察の予備隊というようなことは相当大きい問題で、ナチスの場合にしましてもこういうものから始まりまして、次第に警察国家、それからあの世界無比の軍国主義フアシストの独裁を築き上げるに至つたのであります。この警察予備隊の問題は軽々には見のがせない。民主国家の再建を願つている国民といたしましては、この問題は相当重要視しております。国会においていかなる議論が展開されておるか、どういう点を聞きただそうとしておるかということは相当重大な問題であります。ぜひひとつ誠意を披瀝してお答弁を願いたいと思うのであります。そういう観点から、新たにできるこの予備隊の幹部であるとか、あるいは幹部でない、一般のものにしましても、これをどういうふうな見地で選定してそういうものを編成して行くかという人の問題、これはやはり相当重大だと思います。これについては各国におきましても前から相当意見がありまして、日本における新たな軍隊ではないか、特高の復活ではないか、いろいろな批判があることは御承知の通りであります。従つてこの幹部及びその他の人的な問題につきましては、どういう方針を持つておられるか。旧軍人であるとかそういうふうなことについてのあれもありますから、どうかその点も明確にしていただきたい。
  296. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまの御質問の点も、前回同様ただいまお答えいたすことができかねます。
  297. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 高田君、ちよつと御注意申し上げますが、ほんとうに地方税関連したことについて御質問を願います。
  298. 高田富之

    ○高田(富)委員 承知しました。そういうことではとにかくこれ以上聞いてもしかたがありませんから、それはそれといたしまして、それでは地方税関連する部面にまわりますが、地方におきましても警察費というものは御承知のように一番大きな経費であります。これは自治体警察はもちろんでありますが、国家警察といえどもいろいろな名目でやはり自治体の負担になつているわけです。協力費であるとかいろいろな名目で支出しております。それからそのための寄付金なんというものも相当に多いわけです。従つてそういう点で明確にやはり地方自治体の負担すべきものでない国家警察その他今度もしかりにそういうものが新たにつくられるとすると、予備隊費であるとか協力費であるとかなんとかいうようなものは、現に今まででもそうなつておりますから、おそらくこのままでは負担にならざるを得ないと思います。特に聞くところによりますと、これは参議院の委員会でしたか、特審局の方の御答弁もあつたそうでありますが、特審局の方の経費も足りないので、これを地方庁において負担させておるというようなことも答弁されておるそうです。これも相当問題で、このように窮迫しております地方自治体に対して、こういうことがかけられるようでは大きな問題である。この点につきまして、一体そういうことが現在行われているのか、またそういうことはすみやかにやめなければなりませんから、これに対する総裁の責任ある御見解を述べていただきたい。
  299. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。このたびの新しい警察につきましては、先ほど来申し上げておりますように、具体的な計画は目下検討中でございます。従いまして、これに関する経費の問題も同様でございまするが、おそらくこれを地方自治体の負担にさせるというようなことはなかろうと思います。
  300. 高田富之

    ○高田(富)委員 今のは現実にある問題なんです。特審局の吉河氏が委員会で答弁されておるわけですが、この特審局の経費を地方に負担させておる。それから国家警察の経費は、協力費という名目で地方で現に相当出しておる。これは現在もうやつておるのですから、すみやかにこういうことはやめてもらいたい。それを今のあなたの御答弁ではすりかえられてしまつたのですが、そういうわけですから、これはすみやかにやめるように措置してもらいたい。
  301. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまの御注文はまことにごもつともなことだと存じます。せつかく努力いたします。
  302. 高田富之

    ○高田(富)委員 それでは大蔵大臣ちよつとお伺いしたいのですが、さつきも風早委員から質問がありまして、重複する部分は全部省略いたしますが、大蔵大臣の言葉で言いますと、今日本はおかゆ腹だ、おかゆを食つているという話ですが、おかゆ腹でとにかく戦争に協力しようというのでありますから、この結果は大体はつきりしていると思う。おそらくこれは近いうちにぶつ倒れてしまうでしよう。そのおかゆ腹で戦争に協力してぶつ倒れる過程におきまして、最初にぶつ倒れるのは、やはり地方自治体だと思います。この地方財政に対しまして、中央の財政のしわをどんどん押しつけて来る、こういうことになるのが当然予想されますので、さつきもこの標準税率以上に相当とるのではないかという質問があつたわけです。むろんそれも根拠を示せというわけですが、根拠も幾らもあるのでありますが、まだそのほかに独立税をとるとか、寄付金だつて禁止されているわけではないので、いろいろなことで地方財政の需要はこの状態の中ではどんどん増大する。しかも一地方の住民としましては、特殊な軍需的な産業等については、軍需インフレなどという声もある通り、金もどんどん入るでしよう。けれども農業その他の平和的中小商工業地帯におきましては、一方はどんどん枯れてしまうし、とる方は猛烈な財政需要が起つて来るということで、地方財政は、そういう面から、非常に不均衡ではあるけれども、まつ先に平和産業や農業地帯において瓦解するのではないかと思う。現にすでに吏員の給料が払えないとか、一番重点的に扱われている自治体の警察官の給料さえも滞るところが相当できておるわけです。私どもも、下級警察官の諸君が、あの重労働をやつて、夜も握り飯一つで活動されて、そして給料が遅配だということを聞かされては、まつたく同情にたえないのです。これらの団結権も罷業権もない下級警察官の諸君さえ、現在では給料の遅欠配になつている。こういう状態でありますから、地方自治体に対するしわ寄せは、当然戦争協力体制のもとにおいては急速に来るものと考えざるを得ない。その点で大蔵大臣に二、三お答えを願つておきたいと思うことは、たとえば公共事業費などにしましても、おそらくこういう状態の中では、軍需的な必要性のある道路であるとか、その他特殊な方面にはどんどん出ましようけれども、農業関係、水利関係であるとか、災害復旧であるとか、あるいは失業救済のための平和的の事業というような方面に出るものは、ここで急速に減つて行くということは当然予想されるわけです。そうなると、地方自治体としましては、やらずにいればやられて参つてしまうのでありますから、のらなくてはならぬというので、むちやくちやな徴税をやるとか、寄付金をとるとかいうことになつて現にそれは起つております。神奈川県あたりでも、県下の土木工事などは二〇%しかやれない。全国的に至るところそういう現象がありますが、これはもつとここでひどくなると考えられます。また見返り資金等でそういう方面に出されるものも、おそらくこれからは組み方がかわつて来て、平和的な方面の、地方自治体を多少でも潤すような方面のものは、容赦なく削られて行くということになると思う。こういうことは一つの例にすぎないので、そのほかたくさんあるわけでありますが、地方自治体に対する非常な負担を増して来る。失業対策費はどの問題にしましても、この間は、東京都内でも、この付近の市の市長が、職業安定所へ行つて、輪番制ではとても困る、何とかしてくれということを泣きついているくらい、市自体がしりぬぐいをせざるを得ないという重大なところに来ている。失業問題一つとつてみましても、この点で大蔵大臣は、そういう中央財政の戦争協力の方向への急速な切りかえに伴いまして、地方の負担が相当加重されて行くであろうということは、おそらく否定されないと思うのですが、これに対する対策を持つておられるか、その点をはつきりお答え願いたい。
  303. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま高田委員の発言中に、戦争に協力する云々ということが再三出ましたが、われわれは御存じの通り新しい憲法の第九條で武力を放棄しております。陸海空軍は永久に保持しないというはつきりした憲法をつくつております。にもかかわらず政府ははたして戦争に協力しているのか。おそらくこれは高田君の独断であると思いますが、この点に対する明確なる御答弁を願いたいと思います。
  304. 池田勇人

    ○池田国務大臣 高田君は戦争に協力するという言葉を使われましたが、今世界で朝鮮の紛争を戦争とだれが定義しておりますか。アメリカにおきましても、警察行為と言つております。総理の施政演説でも紛争と言つております。戦争とはただいまのところ認めておりません。これはあなたのドグマであります、しかもわれわれは戦争に協力しておりません。しかしてまたそのときに起る問題と、あなたが自分で前提をこしらえて、そうして答えろ、こう言うのでありますが、あなたとは全然前提を異にしております。われわれは戦争に協力しておりません、しかもまた地方の財政が、これによつて非常に厖大になるということも考えていないのであります。
  305. 高田富之

    ○高田(富)委員 そういう名前の問題でごたごた言つて、あとは一つもお答えにならないのですが、総理の演説にも、ちやんと朝鮮問題等に関連いたしまして、国連への協力というようなことははつきり言つておるわけであります。そうして今もあなたが言うように、紛争なら紛争でけつこうです。そういう紛争に対して、やはり日本の経済力をあげて最大限度協力するというのが総理大臣の主張するところであり、それが現内閣の最大の使命になつておるわけであります。そういう過程でやはり経済がそれに即応するように毎日々々かわりつつあつて、そのために大蔵大臣相当つておるわけなんです。だからそういう点で、全然地方財政にそうなることは考えていない、考えていない問題ではなくて、現実にもう起つて来ておるわけです。だからこそわれわれは心配している国民全体が心配しておるから、それをお聞きするのであつて、それに対して何も対策がない、全然無為無策であるということを、今はつきり別の言葉で表現されたものと思うのです。そもいうふうにまつたく五里霧中で、さつきも言いましたように、あなたの言葉を借りて言えば、かゆ腹をかかえて—そういう名前はどうでも、とにかくそういう大それたことをやるということがはつきりしたということで、私の質問を終ります。
  306. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ほかに御質疑はありませんか—ほかに御質疑がありませんので、地方行政委員会大蔵委員会農林委員会、通産委員会、水産委員会連合審査会を一応終了といたします。  ただいま高田富之君の発言中にやや不穏当と思われる点がありまするので、委員長において速記を調査の上、適当に処置することといたします。
  307. 門司亮

    ○門司委員 本日の委員会は一応これで終了したとするには、大した異議もございませんが、まだ発言の通告者もたくさんあると思います。それらの諸君は、おそらくきようの発言の状態、時間等をにらみ合せて、自分は当然発言もできそうもないという趨勢のもとにお帰りになつたのでありますから、われわれの委員会において、できるだけ委員外の発言を許していただきたいと思います。
  308. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 一応地方行政委員会にお諮りいたしまして、御希望に沿いたいと思います。  委員長はなはだ不なれのために、皆さんに御迷惑をかけたことをおわび申し上げます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後九時四十五分散会