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1950-10-11 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十一日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員   委員長 前尾繁三郎君   理事  河原伊三郎君 理事 野村專太郎君   理事  藤田 義光君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    門脇勝太郎君       川本 末治君    清水 逸平君       中島 守利君   橋本登美三郎君       鈴木 幹雄君    大矢 省三君       久保田鶴松君    立花 敏男君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  委員外出席者         地方自治政務次         官       小野  哲君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         警察予備隊本部         長官      増原 恵吉君         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         参考人         (東京建設局         長)      石川 榮耀君         参考人         (警視庁交通部         長)      綱井 輝夫君         参考人         (警視庁交通部         交通第一課長) 礒山 春夫君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  昨日野村委員から露店問題に関して東京都の関係者を呼んでほしいとの話がありましたので、まず最初に地方自治に関する件及び地方財政に関する件を一括議題といたします。では露店問題に関し、参考人として東京都の建設局長石川栄耀君及び警視庁交通部長綱井輝夫君、警視庁交通部交通第一課長礒山春夫君より意見を聽取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  3. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決します。その前に、野村さんから一応きのうの御発言と重複になつてお話を願つたらどうかと思います。
  4. 野村專太郎

    野村委員 東京都の露店対策の問題は、東京都の地方自治体のわく内の問題でありますので、一応委員会といたしましてはこれに必要以上の容喙はどうかとも思われますが、しかし東京は、東京東京でなく、いわゆる国の首都でございますし、特にこれらの人たちが長い歴史を持つて、しかも非常に困難な業態を切り拔けてやつております。また東京都の当局並びに警視庁関係当局としましては、非常なる熱意と理解を持つてこの対策を立てて進められていることを、われわれとしては了承できるのですが、しかし今日の段階といたしましては、遺憾ながら現実の問題では、その代替地に移ります時間のずれ等におきまして、非常に困難な状態が感ぜられますので、その代替地に移ります対策実情等を、この対策に寧日なく御苦労をいただいております御当局から拝承いたしまして、万遺憾なきを期していただきたいと考え、一応御事情を伺いまして、また若干これに対してお尋ねをいたしたい、かように考えます。
  5. 石川榮耀

    石川参考人 東京建設局長石川であります。ただいまこのたびの露店措置に対する御質疑でございますが、お話のうちに昔からというお話がございましたが、今回、戰後東京都に発生いたしました露店は昔からの形態ではございません。かつて戰前ございましたのは、いわゆる夜店形態でございまして、両側店舗が営み得ない、これを補いまする意味商店夜間出ておりまして、風趣を添えておつたわけでございます。戰後出ましたのは、一般小売商店が建築にとりかかれませんために、その一時的な補填作業といたしまして露店両側店舗同様の雑貨その他一切を商いまして、市民の日常の要求にこたえたのでありまして、この功績はきわめて大きいものがございますが、一方これがいわゆる戰後的な現象で、戰後的な効果を持つているものだということは、この露店措置に対しまする一つの大きな意味として御理解いただかないと、申し上げることが通らないと思うのであります。  結局におきまして、戰後できました露店が一応氾濫氾濫をきわめまして、ことに新宿のごときはほとんど歩道は通行ができない。車道を歩くというような形にまで発展して参りまして、交通上並びに都市美観上、各方面批判が非常に強うございました。その批判は国際的なところまで伸びて参つたのであります。それでこの点から機械的に一応露店操作ということは考えられるのであります。また各方面の強い助言もございしまて、操作考えられるのでありますが、一方われわれが考え及びましたのは、ただいま申し上げましたように戰後露店使命が、ここ数年にしてようやくその使命を果そうとしているのではないか。と申しますのは、両側店舗か復興して参り、かつ百貨店等も非常な財力その他によりまして、復興して参りまするにつれまして、この雑貨露店及び戰後のいろいろなかつこうで出ました露店というものが、どうやらその使命を終りつつある。と申しますのは、やがて何かきわめておもわしからざる状況に入るのではないかということも考えられまして、両方相通じまして、機械的な都市計画的操作と、一方露店企業者というものに対するわれわれのなすべき手を盡さなければならないという両方を加えまして、この露店問題が始まつたわけであります。でございますから、その点われわれはずつとこの露店問題に対しましては、世間でよく批判されますような冷たい考えを持つてはおらないのであります。  そこでただいまの御質問の本旨に入ります。これは去年の四月一日限り影をひそめるこれになつてつたのでありますが、とうてい間に合いませんのご、本年九月三十日までの間にあらゆる準備を了しまして、そうして露店業者その他が新しい土地に入り得るようにあらゆる努力をして参つたわけであります。そこで露店業者に対しましても、去年の三月の末に、ともかくも一応これで一段階区切つたのであるから、この一年ないしは多少の余裕のある間に、それぞれ心構えをするようにというふうなことは伝えてあつたわけであります。そこでわれわれの方といたしましては、土地金融その他に対しまして、あらゆる措置をとつたのでありますが、そのうち最も大きなのは都有地、あらゆる都有地ではございません、きわめて少数の一、二の例は別といたしまして、都有地に対しましては五箇年年賦によつて償還してさしつかえない、その効力は今年末日までございますが、そういう特例を開きまして、露店業者に対して片つぱしからその措置をとりました。また金融に関しましては、国民金融公庫及びいわゆる中金と称せられる二つの筋を通しまして金融扱つてつたわけであります。それでこれを行つて参りますうちに、露店業者七千ございますが、約三千というものは再びこの露店を継続して行くということが、自分たちの将来に対して決して思わしいものではないということを考えまして、転廃業いたしました。転廃業いたしました者に対しては、国民金融公庫を通じまして金融措置をいたしまして、その新しい生涯に入つてもらつたわけでありますが、これはほとんど今日までに完了いたしました。あと四千の者に対しましては、中央金庫を通しまして新しい露店更生施設に入り得るような金融措置をとつておるわけであります。そこで、今日までの経過におきましては、土地は全部完了いたしまして、ほとんど当てはつきました。ただ金融関係におきましては、これはそれぞれ組合をつくらなければ金融できませんので、協同組合をつくらせまして、四十八協同組合が今日まで完了いたしております。そのうち十三組合に対しては金融措置も終りまして、七組合はすでに営業開始段取りまで来ておりまして、その二、三は非常な好成績をもつて喜んでおるわけであります。残り十三に対しては目下査定を進めておりますので、これは今月中くらいには金融措置ができることと思います。他の二十二に対しましても十一月の中旬までには全部完了という状態に進んでおるわけであります。そこで今度の措置に相なつたわけでありますが、考えようによりましては多少の無理ということは、はつきりわかるのでありますが、何にいたのしましても去年の四月以来のことでございますので、いつかは区切りをつけなければならぬだろうというので、一年余にもわたりましたので各方面とも折衝の結果、夜店ということに一応段取りをつけたいということで、今月の初めからとりあえず三長官の訓示といいますか、告示といいますか、そういつた形によりまして、五時半から夜の十一時までの営業さしつかえなしということにいたしたわけであります。しかしこれに対しましては、そこに夜間ラツシユ・アワーに対しまして、店舗を開くことに非常にむりがございますので、四時からここに物を持ち込んでさしつかえないということで、実は四時から開業している現状でございます。それで今日まで開きました現状は四時開業十一時まで、但し食料品に関する限りは五時半から十一時までということで今日に及んでおるわけであります。これに対しましてもむろん実情というものは、これを施行してみなければわかりませんので、それと同時に実情調査をいろいろやつております。その結果を集計いたしまして、また考えるべきことは考え、また業者に自粛を求むべきことは求めるというふうにいたしたいと考えておる次第であります。きわめて散漫でありましたが以上。
  6. 野村專太郎

    野村委員 ただいま建設局長さんのお話によりまして、経過の過程に関する御努力のほどは了承できるのですが、この露店に関する問題は、いわゆる都市美観、あるいは交通あるいは消防、これらの観点から指摘をされておるのですが、しかし終戰直後におきまする乏しい物資を、この業態から供出いたしましたような顯著な功績もあります。しかも敗戰日本といたしまして一つ店舗建設いたしますに非常な困難な経済状態にもあります。また唇歯輔車の関係にあります沿道の通常の專門店店舗においてこれを愛すればこそ、これを協力を求めればこそ、これを排撃する何物もないのです。しかし今日首都形態、あるいは首都建設法の通過、これらの形からこれが整然と代替地に移ることは、好ましいことだと思うのです。しかしこれを形成する業態人たちが何千、数万に及ぶ業者人たち、しかもこれらの人たちは多く戰災者あるいは引揚者であるのです。昨日も申し上げましたように、中小業者に対する整理は非常に困難な折からであります。できる限り親心を持つて政府なり都のいわゆる自治体においては、これに対してあたたかい政策をくふうすべきであろうと考えておるのです。そこで今この代替地において都においては條例まで特にこしらえて、いわゆる年賦をもつてこれに代替金を持つてつてやる。こういう破格なくふうまでお考えになつておる。非常に適切だと思うわけです。しかしこれに対する資金的の用意資金のあつせんを待つ以外には、業者にはその力は全然絶無だと思うのであります。ここに御参考までに昨日の夕刊紙に「夜店なつ露店商」という記事が出ておりますがそれを朗読いたしますと、「一日中商売をしても生活の楽でない私達が、夜だけの働きでは税金を納めるどころか、品物の売食いをしても立ちゆきません。一晩三十円か五十円の利益はまだいい方で、昨晩などはひと品も売れず寂しく家へもどりました。  これでは代替地資金などとうてい出せません。といつて私達は前通りにやらせて貰いたいというのではないのです。少くとも正午ごろから店を張ることができるようにしてもらわなければ、折角の代替地案も高嶺の花になつてしまいます。  私たちにもう少し商売の時間をあたえて、代替地へ移転する費用ぐらいは貯えさせてくれるのが、当局親心ではないでしようか。」こういうような記事が出ておる。これは少し前文においては誇張するきらいがないでもありませんが、しかしせつかく当局代替地なり資金のあつせん用意をお持ちになつているにもかかわりませず、今の状態ではそこの代替地に移るまでの間、持ちこたえがつかないと思うのです。そういう点から私は多少都市美観だとか、いろいろな支障は、あるいは若干あるかもしれませんが、これは愛情を持つて親心を持つて、寛容な気持で私は具体的な協力とこれに協賛を惜しまない。私はこの業者出店に対しましては、その代替地建設移りかわりのできるまでは認めらるべきだと思う。この委員会におきましては、実は前中島委員長の時分に、各党とも国会側から総司令部ウイリアムス国会政治課長をたずねて、この深刻な実情を訴えて、これは日本における内政である、從つてわれわれの方ではこれに対しては都の当局なりに異議はないというような、非常に理解をしていただいたお言葉までいただいております。その結果ですか、結局九月まで御猶予をいただいたわけで、その結果條例なり、中金なり、あるいは国民金融公庫というようないろいろな対策をおとりをいただいたことに対しては、われわれとしても非常に御当局の労苦というものには感銘をいたしておるわけです。しかし今のようないわゆる出店の時間を制限することによつてせつかくの御苦心が仏つくつて魂を入れないような状態になります。どうかこの点において、私はあるいは場所によつて商売状態が幾らか減じたくらいで済んでおる所と、あるいは徹底的に影響を受ける、こういうような所といろいろ差があろうと思いますが、とにかく最近の経済事情等から考えましても、非常な困難な折柄でもありますので、この点に対しましては国会側としては各党ともこの問題に対しては同じ考えをもつて委員長を中心にしまして、協力をいたしておりますので、われわれで足りますことは十分都の当局に対しても協力をいたすことにやぶさかでない用意を持つておるわけですが、どうかこの点に対して業者側が、都の当局計画に十分即応して行く用意を持つておるのでありますから、私らがいろいろ勘案をいたしますと、それぞれの協同組合の幹部も非常なる苦心があつて、今の現状で推し進めて行きますと、あるいは生活苦いわゆる食わんがためにいかなる不測の事態が惹起しないとも予測がつきがたい、こういう点から、社会不安の上から考えても、この点は愼重なる考慮を要する、こう思われるので、この点に対しましてきようは警視庁の方なり、法務総裁もお見えになつておりますので、この点に対して私は單に代替地なりいろいろな技術的なことばかりでなく、社会不安、特に人でございます。しかもこの人たちほんとうに純正なるいわゆる愛国的な気持をもつて、従来は一部この業態が封建的、ボス的な勢力があつたわけですが、今日は民主的にすつかり脱皮をいたしております。こういう点を勘案いたしますときにおいては、全幅の理解をもつてごめんどうをいただかねばならぬ、かように考えておるわけです。
  7. 石川榮耀

    石川参考人 ただいまの御心配まことに感銘いたしたわけでありますが、措置につきまして今日考えておりますことを、一言附加えさしていただきます。  今回この夜店に移つてもらいますにつきまして、一応この区切りをつけなければならないいろいろな事情もございまして、区切をつけたわけでございますが、また当初去年四月業者の方の申出も夜店にしてくれるか、あるいは代替地に入れてもらえばいいというような話もございましたので、その申出等も参考にいたしまして、今回措置したわけでありますが、やつてみますまでもなし、前より收入が減ることはわれわれも存じておつたのであります。ただ今回その後の状況を見ますると、收入減つたというにすぎない。と言つてはまことに業者に申訳ありませんが、減つたというところと、それから生活に響いて来ているというところとあると、われわれは観察いたしております。そこでその生活に多少とも響いているところに対しましては、何らか措置をとらなければならないと考えておりますが、この方法に対しましても、必ずしも巷間伝えられておりますように、時間延長という方法のみでなしに、交通量夜間まで多いような場所露店が半減したのでありますから、その方法にも改善の余地があると考えまして、そこに移動をしてもらうということも、一つの手じやないかということで勧奨いたしておるわけであります。  ただいま御助言ございましたように、決してわれわれは独断であつてはならないのでありますから、万全を盡しまして、業者心配をかけないようにやつてみたいと考えております。ただいま御助言いただきましたお礼とともに、何らかの措置に出たいということを、一言つけ加えておきます。
  8. 野村專太郎

    野村委員 くどいようですが、今の五時というのを四時から品物だけを持ち込むというようなこういう状態、また今局長さんのお話で、その場所を多少考慮に入れて、そういう操作のことも考えてみておる、こういうことのようですが、時間の問題はどうしてもやはりお考えになつて、これは長い年月ではないので、その代替地なりの建設が終るまでですから、何とかこれは理解されるべきであろう、こう考えております。各地の状況からかんがみまして、非常に私は心配でならぬ。警視庁からお見えのようですから、そういう点に対しまして、現状から推してこれを押し切れるかどうか。もし御意見を伺えるなら非常に仕合せだと思います。
  9. 綱井輝夫

    綱井参考人 警視庁交通部長綱井であります。本日総監がお伺いするはずでありましたが、あいにく所用のため他出しておりますので、代理として参上した次第であります。  露店整理の問題につきましては、これは都庁におきましてあるいは衛生とか、あるいは防火、あるいは交通、こういう多方面な角度を総合しまして、その主役に任じておられるわけであります。ただいままでの石川建設局長お話に、何らこれ以上つけ加えるべきものもないと思います。警視庁としましては、東京都のこういう御努力に緊密に協力しつつ、所期の成果を上げたいというふうに考えておるわけです。ただいま時間の点についていろいろお話があつたようでありますが、この問題は昨年の八月から起つておる問題であります。一応本年の三月末までに露店代替地に移転するという方針でやつておられたようでありますが、いろいろの事情からしまして、九月三十日までこれが延びた。その当時の八月のとりきめでは、大体午後五時三十分から十一時まで営業時間として認めるということになつていたのであります。それで戰前形態は大体日没から十一時までというのが夜店のあり方であります。従つて單交通警察見地だけ貫くということになりますれば、これはない方が交通警察上はいいのでありますが、單に交通警察の問題として取扱うわけにも行きませんので、暫定措置として、戰前形態に返つて夜店として認めるというのが、当時の趣旨であつたのです。しかし詳細に交通量とか、あるいは他面業者の民生という問題も考えまして、公式の時刻としては五時三十分でありますが、ある意味の非公式の取扱いといいますか、四時から持ち込んで、それ以後何時に営業を開始するもさしつかえないというふうにして、この一日から実施したわけであります。いろいろな方面から拜聽するところによりますと、この四時という時間について、いろいろ難点があるといいますか、困難があるというふうに伺つておるのでありますが、現在これはひとり警視庁だけで決定すべき問題でもなく、十分都庁ないし関係方面と密接な連絡をとつて決定すべき問題なのであります。しかしながらこの四時という時間は夜店という立場からの最大限度の時間と一応考えておりますけれども、この四時という時間をいつまでも固守しなければならないというふうに考えておるわけでもないのであります。これは交通量とかあるいは日没時間の推移とにらみ合せて、多少の彈力性はあるのではないかというふうに考えております。しかしながら何分一日から始めたばかりでありまして、本来の制限が五時半となつております。それをいろいろ協議し交渉した結果、四時に直したのでありまして、今ただちにこれを変更するということは、特に国際的な信義の見地からしましても、いささか時期尚早ではないか。従つてこの問題については都庁方面といろいろ協議しまして、愼重に取扱つて行きたいというふうに考えております。
  10. 野村專太郎

    野村委員 この問題は数次にわたつて相当理解をされて緩和されておることは事実である。しかも戰前における夜店の時間だけの関係を見ますと、さつきの建設局長お話、またただいまの交通部長からお話伺つた通りでありますが、しかし終戰後における経済事情その他の状態も違つておるのです。そういう点から私はこれを考えておるのです。しかもこの形態を移行する計画は、根本的にもう立てられておるのです。そういう点でわずかの間ですから、私はこの計画をきれいに計画通りに移して行かれることを望んでおる。しかもこれは不当に道路を占拠しておるのではないのです。道路占有料を納めてやつておる。政府の援助をまたず、みずから乏しい資本で中小業者として立つておるのです。許可を受けてやつておる。断固取締りだけではいけないと思います。どうか今後十分にお考えになりまして、各方面実情を御調査になられまして、業者に対する十分の御理解親心を持つて、対処されんことを切望いたしまして、私の質疑を終りたいと思います。
  11. 門司亮

    門司委員 これは斎藤さんの方に聞いた方がいいと思いますが、警視庁の方がおるそうですからちよつと伺います。各都市において交通整理を熱心にやつておることは十分了承はできます。ただ私どもがおかしく考えますのは、交通整理の場合は、必ず右を通れということになつておるが、一たび駅に入りますと、駅では依然として左側を通るようにすべての設備ができておつて、まだ解除されておらない。駅では左側を通れと書いてある。一体これをどうお考えになつておるか。これではいくら交通整理をされても、ある場合には右を通らなければならぬ、ある場合には左を通らなければならぬということになると、整理される方は迷惑するのですが、この点はどういうふうにお考えになつておるか。
  12. 斎藤昇

    斎藤説明員 右側通行の問題でありますが、今御指摘のように駅の構内でありますとか、そういうところの通行の仕方も、これはああいう構内構造物管理者管理権のもとに入つているわけでございますけれども、われわれとしましてはやはり右側通行をやつてもらうように奨励をしておるのであります。しかしながら御承知のように以前左側通行を建前としてつくりました構造物を、今急に変更することは非常に困難な事情がたくさんあります。改札口とそれから出口の関係、これが変更できませんと、右側通行を強行しようといたしますと、途中でクロスをしたり、ぐあいの悪い点がたくさんできて参りますので、そういうところはやむを得ず左側通行をやつてもらいたいというように、施設関係上従前のやり方をやむなくやつていることがあのるであります。そういう点がなければ右側通行をいかなる場所においても、励行してもらうように勧奨いたしております。
  13. 門司亮

    門司委員 勧奨しているというお話ですけれども、一向どうも……。場所によつて構造関係から都合の悪いことも多少あるように考えておりますけれども、全然関係のないところもないわけではないのであります、そういうところでも全然今までのままでされておる。これは運輸省の方とあなたの方のはつきりした連絡がないのではないかと思うのでが、これは一体ほんとう連絡をして、国の法律で定められた右なら右を通るようにということを、国民に翌慣づけるためにも非常に重要なことでありますが、連絡をとられたような事実があるかないかということです。同時に、それで運輸省が言うことをきかないというなら、これまた運輸省お話をしなければならぬと思います。
  14. 斎藤昇

    斎藤説明員 運輸省の方とも十分連絡をいたしておるのであります。なお不徹底の箇所がありましたら、さらに連絡を強化いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  15. 綱井輝夫

    綱井参考人 ただいま野村委員からいろいろ御教示いただきましてありがとうございました。御説の点非常にごもつともなことばかりであります。しかしながらこれらの困難が出るということも、今初めて卒然として起つたわけでもないのでありまして、従前からいろいろ困難な点が予想せられておつた。それを一そうこの上ともに広い民生という角度からいろいろ検討しまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力したいと思います。     —————————————
  16. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは露店問題はここまでにしまして、次に警察に関する件を議題といたします。  ただいま大橋法務総裁及び増原警察予備隊長官斎藤国警本部長官がお見えになつておりまするから、三氏に対する質疑を許します。質疑は通告順によりまして、川本末治君。
  17. 川本末治

    ○川本委員 私は大橋法務総裁並びに増原警察予備隊長官に、自治体警察のことと予備隊警察の問題についてお尋ねしたいと思います。  まず最初に増原長官に、警察予備隊の件につきまして、簡單にお尋ね申し上げたいと思います。七万五千の隊員を持ちまする警察予備隊は、現在一般の七万五千の隊員が充員できておるかどうかという点と、それから最近なおまだ幹部の任命が相当遅れておるやに聞いておりますが、そういう幹部をあとにして隊員を先に募集せられなければならなかつたかという点には、何かそこに理由がありますかどうか。それも承りたいと思います。それから隊員だけを部署に置いて、幹部のいないような隊が現在どういうふうにしてやつておられるか、まずこの点を最初に伺つておきたいと思います。
  18. 増原恵吉

    ○増原説明員 御質問にお答えをいたします。最近に予備隊に入隊をいたしました者は、総計約六万六千余名であります。来る十四日をもちまして大体七万四千名の一般募集要員を充足できる見通しであります。なおその後四十万ばかりの応募人員の中で、試験に合格できる人で定員の関係上入隊できない人ができる見込みでありますが、この人たちは合格通知を差上げて、欠員ができたならば入隊をしてもらう予定である。それでさしつかえなければそのときまで待つてつてもらいたいというふうな措置をとりたいと思つております。隊員の募集について、本来こうした部隊のようなものをつくります場合には、幹部を先につくりまして、しかる後に一般隊員を募集入隊せしめることが適当でありますことは、御意見通りであります。私ども日本政府の側におきましては、その意見をもちまして関係方面と折衝をいたしたのでありますが、予備隊発足についての関係方面の意向が、急速に一般隊員の充足をしなければならないというのであり、手続上隊員の募集については当時まだ手のそろわなかつた関係もありますが、予備隊の私どもとは別個に国家地方警察がその権限と責任を持たされまして、隊員の募集をするという措置をとらざるを得なかつたのであります。従いまして隊員の募集が一般幹部の募集もしくは選任よりも先行いたしまして、現在その点についてはいろいろ困難な事情が出来をしておるというふうな事情であるわけであります。一般隊員は一応七万四千を目標として募集をいたてしおります。七万五千中の残り一千名は、約八百名につきまして一般隊員の募集の三十五才までというその上の年令にいたしまして、三十六才以上四十五才までというところで、幹部要員の募集をいたしたわけであります。一万余名の応募者がありまして、第一次の選考と申しますか、それぞれの国家地方警察で募集試験の仕事をしていただきまして、大体名簿千五百名足らずわれわれの手元へ届けてもらつたのであります。この中から各專門々々と一般の幹部の部別に従いまして、約八百名の幹部を採用する措置を数日中に終りたいというふうに考えておるのであります。なお残り二百名は、主として上級幹部及び一般募集によつて採用困難なお医者さんの関係その他特殊技能者等を個別に採用するということで、今その措置をだんだんと進めておる次第であります。幹部募集及び幹部の任命がだんだん遅れて参りましたのは、われわれとしてもまことに申訳ないと考えておりまするが、七万五千のいわゆる制服部隊の長に予定をしておりました林敬三君の関係方面からの承認が、いろいろの事情で遅れましたために、発足に多少支障を来たしたのでありますが、月曜日関係方面の承認を得、即日発令に相なりまして、目下鋭意幹部の人選、充足、これによります部隊の教養訓練というふうなものに努力いたしたいと考えておるのであります。従来幹部のおらない場合の部隊のやり方につきましては、最初国家警察の管区学校に入隊をいたしました際、管区学校長その他の手によりまして、仮の隊長を仮任命いたしておるわけであります。それと現在までに越中島本部、江田島の幹部養成学校で養成をいたしました者が、ぼつぼつと幹部として仮任命をされておるわけであります。そういうものが人事係とか計理係、補給係等にぼつぼつ任命をされておるのであります。こうした者が仮の隊長となりまして、現在各営舎に出張つて来ておりまする各地方民事部の米軍将校の援助を受けまして、現在までのところは部隊の教養訓練、規律保持というふうなことをやつておるわけであります。決して満足すべき事柄ではないのでありまするが、関係方面との事情上、そういうふうなことになつて来たわけであります。これから鋭意幹部の人選、選任を急ぎまして、早く部隊としての本然の姿にいたしたい、かように考えておるわけであります。
  19. 川本末治

    ○川本委員 部隊の問題につきましては一応了承いたしました。現在本部の機構はどの程度まで機能を発揮し得るようになつているかという点が一つと、次にお尋ねしたいと思いますることは、最初隊員を募集せられました当時の装備などの点につきましては、国警の方で一切おやりになつたように承つております。すでに十月に入りまして、他の十二万五千の警察隊員は冬の装備に移つておりますが、現在予備隊の隊員に対しては、冬の装備の支給が完了されているかどうかということと、完了されていないといたしまするなれば、いつごろまでにこれを完了し得られるかという点。さらに現在の冬の被服などにつきましての発注の権限は、一体どこにあるかということも承つておきたいと思います。私どもが伝え聞いておりまするところによりますと、これが纖維局方面に一任されておる。しかもこれらの組合員の——しかも纖維局の方では組合の推薦によるものそのものを採用しておるやに聞いております。なお組合員からこれを聞きますと、この組合の二、三の幹部の独断にまかせて、事実上工場を持たないようなメーカーまでも、そうした仕事に携わらせておるというようなことを盛んに聞くのでありますが、はたしてそういう事実かあるかどうかということ。なおこうした装備の点などにつきましては、一日も早く予備隊自身の手でやるようにすることが、最もよいのじやないかと思いますが、はたして予備隊自身でそういうことをやられるようになるには、まだ相当の日時を要するものかどうか。これらの点を一応お尋ねしたいと思います。
  20. 増原恵吉

    ○増原説明員 本部の機能発揮がどの程度になつているかというお尋ねでございまするが、御承知かと思いまするが、警察予備隊の組織は関係方面の意向もありまして、予備隊の全体の基本的な計画、政策を決定し、運営するというふうなものとして、百名の私服の予備隊員——予備隊員ではありまするが私服の者がありまして、そこに本部の長官と次長が含まれるわけでありますが、百名の私服の本部があるわけであります。この百名で全部をまかなうということでありますので、この中に一官房、五局、十六課を持つておるようなわけであります。一課の部員というものは三名ないし四名というふうなごく少数のもので、全体の基本的な計画、政策を立てるというような組織になつておるわけであります。なお七万五千名が制服部隊として、制服部隊にまた本部ができることになつております。この本部は一応五百名を予定されております。これにそれぞれやはり部局わけをいたしまして仕事をして行く、その制服部隊の本部の下に現在考えられますのは、大体四つの地方本部と申しますか、それを設けます。そのほかに一つ管理本部というべきものをつくりまして、大体大きい部局が五つ制服部隊の下にできるわけであります。そうして御質問の補給の関係などは、私服本部の百名の中では、ごく基本的な計画を立てる人しかおらないわけであります。制服部隊の本部と管理本部における要員によりまして、具体的な細目にわたるまでの計画と、その実施が行われるようになるというふうに組織として相なつておるわけであります。発足をいたしましたはは私と次長が任命をされまして、それも当初はただ準備員という形であつたのでありますが、二人だけでは何とも手がまわりませんので、関係方面で予備隊係と言うべき人が、少将を長として数十名できておるわけでありますが、われわれの手のそろわない間かわつていろいろの調弁に当つてやろうということで、当初の夏服、冬服等の発注調弁は国警の援助もありましたが、関係方面によつて発注をしてもらつた。そうするよりほかいたし方がなかつたという実情であります。これはしかし仰せの通りすみやかに予備隊自身において、発注調弁をいたすべきものと考えまして、ただいまは医務関係を除きまして、本部私服百名の陣容を整えたのでありますが、先ほど申し上げましたような理由で、制服部隊の本部その他はこれからとり急ぎ陣容を整備しなければならぬという実情にあります。この陣容を整えまして、すみやかに予備隊自身で発注調弁をするようにいたしたいと考えるのであります。現在のところは、発注調弁の実情が具体的に実際どういうふうになつておるかということを権威ある形で取調べる人手も実は私どもにないようなことでありまして、ただいま申されましたような事柄を、われわれも話としてはぼつぼつ承つておるのでありますが、これを十分具体的に確めるというところには残念ながらまだ至つておらないのであります。しかしこの点は、私どもとして早く制服部隊の要員を整えまして、予備隊自身の手によつて最も適正な方法でいい品物を確実に入手できるようにいたしたい。その面に十分努力をいたすつもりでございます。
  21. 川本末治

    ○川本委員 次には最近、今朝の新聞などにも出ておりますが、いまだ隊員の給與が決定していないということを聞いております。これは隊員にいたしましてもはなはだ迷惑なことでありましようし、また政府としましてもいささか不手際過ぎはしないかという感じがいたします。今日、すでに発足して今までの御説明で承つたような現状にありますのに、その一番根本の問題といわなければならぬ隊員の給與が今なお決定していないということはどこにその原因があるのか。原因があるといたしますれば、いかなる理由でそういうことになつておるかということを承りたいと思います。これが最初に約束せられました給與月額五千円と、実際に将来支拂われる給與とにもし相当開きでがきたといたしますれば、政府といたしましては、羊頭を掲げて狗肉を売つた観があります。ひとりそれのみでなく、現在の予備隊の隊員は相当嚴選をせられて優秀な青年を網羅しておるように感じておりまするが、彼らの純情を出発の最初において、すでに傷つけるがごとき結果を招きますることは、きわめて重大な使命を帶びております警察予備隊の将来に大きな暗影をとどめるものだと思います。その点につきまして一体いつ時分になつたら、給與をいかなる形において決定することができるか、一応その見通しを承つておきたいと思います。
  22. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま川本君から予備隊の給與の制定が遅れておると御指摘がございました。この点はその通りでございまして、まことに残念に存じておる次第であります。かように予備隊の給與が遅れました理由につきましては、予備隊の給與の基準についての考え方が、今決定しておらぬということが根本になつております。それはいかなる点であるかと申しますると、当初の考え方といたしましては、予備隊の一般隊員に対する給與につきましては一般的な給與のほかに、特別に家族手当あるいは勤務地手当、そういつたものを給しないという建前で私どもおつたのでございます。その後いろいろな事情によりまして、その点について再考をしなければならぬというような状況になりましたので、ただいまその問題を検討いたしておるためにかようにいまだ決定しておらぬ状態でございます。ただ私どもの現在の考え方といたしましては、でき得る限り当初の考え方に従つて参りたい。そうして当初募集の際に約束をいたしましたる通り平均五千円程度の給與を出したい、かように考えまして努力をいたしておるのであります。いつになればはつきりきまるかという御質問に対してましては、できるだけ早くきめるようにせつかく努力をいたしておるということで御了承を願いたいと存ずるでのあります。この点、私どもといたしましても、非常に優秀な多数の青年が奮つて応募せられたるにもかかわらず、大切な給與がいまだ中ぶらりんであるということにつきましては、非常に申訳ないと存じておるのであります。この上努力いたしまして、一日もすみやかに決定を見るように努めたいと考えておる次第であります。
  23. 川本末治

    ○川本委員 法務総裁の御答弁で、誠意をもつて一日も早く本問題を解決するというお言葉でありましたが、私どもは、権威ある日本の政府として最初に発表いたしました問題につきましては、必ずこれを実現に移していただかなければならないと思います。ここに斎藤国警長官もおいでになりまするが、現在日本にありまする十二万五千の国家警察並びに自治体警察人たちと、今回の警察予備隊の隊員の諸君とはすべての意味において相当開きがあるという現状にありますから、私は最初に政府が約束して募集をせられました給與額五千円は決して不当でないと思いますので、どうか現在の十二万五千の警察隊員とは切り離して、全然これを標準にしないようにぜひとも最初の約束通りに一日もすみやかに実行していただきますることを強く要望申し上げておきます。  それから警察予備隊につきまして最後にもう一つ承りたいことは、将来予備隊員に対して司法権を與えられるかどうかという点であります。もし司法権を與えるとなりますれば、現在ですら国家地方警察、自治体警察と二本建でありますところへ、さらに警察予備隊員に司法権が附與されたといたしますると、警察と名のつくのもが三様の形におきまして司法権を持つことになりますので、その場合にはどういうふうにしてお取扱いになるか。また一つの出動の際にのみ暫定的にとか制限を付して司法権を付與するといたしましたら、それはいついかなる事態の場合にこれを許されるかという点を重ねて承つておきたいと思います。
  24. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 警察予備隊に対しましては、警察予備隊令の施行令によりましていかなる場合に司法警察権を與えるかということを明かにされてあります。それによりますると、警察予備隊が部隊として出動いたしましたる場合におきましては、これにその出動中に現行犯といたしまして逮捕した事件につきまして、その後司法権による捜査等を行つて行く、こういうことになつております。しかしながらこの場合におきましても、原則として出動をいたして後部隊に復帰いたします際には、地元の国家地方警察、あるいは自治警察に対しまして当該被疑者を引渡しまして、その後の司法警察権は行わないというのが、本来の建前でございまするが、その際におきまする地方の警察状況によりまして、被疑者の引渡し等が実際上困難でありまする場合におきましては、その後これを引続きとめおきまして、事後の捜査を行うという場合も例外としてあり得る、かように相なつております。  なおもう一つ警察予備隊の司法警察権行使といたしましては、警察予備隊の七万五千のうち、ごく少数の者を限りまして、警察予備隊内におきまする隊員の犯したる犯罪、あるいは警察予備隊に対して犯したる犯罪、かような特殊な犯罪につきましては、警察予備隊の性質上、地方の警察が立入ることが適当でない場合も多いと存じますので、これらの犯罪に限りまして、警察予備隊のごく少数の、そのことをもつぱら任務といたしておりまする人々に対して司法警察権を與える。これは従来の陸軍における軍事警察を担当いたしておりましたる憲兵のごとき性格を持つておると思います。しかしながらこれは警察予備隊内において、警察予備隊内で犯された、あるいは警察予備隊に対して犯した犯罪に限ることになつております。この点におきまして従来の憲兵とはその警察権の範囲が非常に極限せられておるということに相なつておるのでございます。
  25. 川本末治

    ○川本委員 警察予備隊の問題につきましては、まだ他の委員の各位から御質問もあることと存じまするので、この程度にとどめておきます。  次に私は自治体警察の起債の問題につきまして、一言お尋ねしたいと思いますが、昭和二十三年三月に新たに国家地方警察と自治体警察とわかれて発足いたしました当初から今日までの状況は、皆様も御承知のことでありまするのでくどく申し上げませんが、二十五年度の自治体警察の起債の総額は、二十五億八千余万円になつておるようであります。これが認められましたのはわずかにその一割にも充たない二億三千万円程度のものが認められておるようでありますが、発足の当時に、すべての施設などについては国家警察の方に優先これを引渡した。そのあとを受取つておりまする自治体としましては、まことに所によつては情けない装備を今日まだ持ち続けておるようでありますが、申し上げるまでもなく、自治体警察は人口五千以上の市街地を形成しておりまする市町村にこれが設けられておりまする以上は、言いかえますれば、自治体警察都市警察であり、その残余の部分を受持つておられます国家地方警察は農村警察だと申し上げても過言ではなかろうと思います。しかるに現在の装備の実情を見ますと、農村警察と言われるべき国家地方警察の駐在員の装備と、都市警察と言われます自治体警察の装備とを比較していただきますれば、もうはつきりわかつております。一例を申し上げましても、現在国家警察一人に対します年の負担額から申しましても、一方は三十五万円に相なりますのに、一方は二十二万そこそこにしかなつていない、その点につきましても、すでにこれだけ見ても十三万円の開きを持つております。これは現在のわが国の政治の特殊性から見まして、まことにすべての点が至難であるということは、十分に考えられるのではありまするが、常に申し上げておりまするように、国家治安の維持はまことに重大なことでありまするので、二十六年度の予算の編成にあたりまして、二十六年度は、ぜひともこの自治体警察のきわめて適切なる要望でありまする起債の面におきましては、全額を認めてやるようにしていただきたいということを、私は切にお願い申し上げておきたいと思います。  さらにいま一つお願いしたいことは、これは前の委員会においても、くどく大橋法務総裁にはお願いしたことでありますが、自治体警察の定員の再配分、すなわち増員の要求でありまするが、もし警察予備隊ができました今日、自治体の要求によりまして大した問題でなくても手不足のところへは、ただちに予備隊員が応援に出かけることが可能でありまするならば、現在の状態でもどうにかなるかもしれませんが、おそらく警隊予備隊の性質上からいたしまして、ささいな問題に対しまして一々自治体警察の応援に出動はしかねるだろうと思う。さように相なりますると、すでに自治体警察方面から当局に要望をしておりまする数字はよく御承知のことと思いまするが、概算してみましても、大体三千名くらいの増員をこの際すれば、今非常に不均衡になつておりまする都市の分は一応かたがつくじやないか、かように考えまするが、すでに関係方面におきましても七万五千の警察予備隊を、至急整備しろという要望の出ておりまする今日であります。昨年から本年の春に臨みまして、われわれが警察の定員の再配分ということを要望いたしましたときとは、客観情勢が大きな変化をいたしておりまするので、この点ぜひとも法務総裁の手におきまして、地方の治安維持のために、こうした問題は早急に御解決のできまするように御努力をお願い申し上げまして、私の質疑を打切りたいと思います。
  26. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま川本さんからお述べになりました自治体警察におきまする定員の再配分につきましては、私どもも事情をよく承知いたしております。これは早急に解決を要する重大なる問題である、かように考えまして、せつかく努力いたしておる次第でございます。
  27. 小野哲

    ○小野説明員 川本さんの起債の問題についての御質問にお答え申し上げたいと思います。御承知の通り起債の発行総額が非常に限定されておりますので、従つて方面の事業の遂行について、地方団体側から起債の要請が非常に多く出ておることは、御承知の通りであります。そのうちで自治体警察の装備の拡充等に必要な起債の問題があることは申すまでもありませんが、全体としてわくの問題と考え合せまして処理いたして参つておるような次第で、十分な御満足を與えることができなかつたことは遺憾に思うのであります。ただ問題は、国家財政と地方財政とが総合的に考えられなければならない現状でございますので、あとう限り起債の発行総額をふやすということに努力をいたしますと同時に、来年度における自治体警察の装備の拡充等に関しましても、これらの問題と関連いたしまして十分に研究をいたし、できるだけ御要望に沿うように努力いたしたいと考えております。
  28. 藤田義光

    ○藤田委員 大分時間が経過いたしておりますので、簡單に要点だけをお伺いしたいと思います。実は政府と一体たるべき與党議員があまり政府の政策にタツチしていないような質問を目のあたりまして、われわれ野党委員としてなおさらいろいろ追及いたしたい点が出て参つたのでございまするが、大橋総裁の政策がちやんと與党議員に滲透していないのではないか、こういうとでは與党から政府をつくる意味はこないのではないかということを考えながら、二、三御質問を申し上げます。  第一点は、ただいまの川本委員の御質問にありました通り警察法の改正は長年当委員会の懸案であり、われわれも時の責任者にしばしば具体化を要請したのでありますが、いまだ何ら具体的な結論が出ておりません。全国民の輿論になつております、特に定員の問題もございますが、自治体警察内の人事の澁滯ということが、全警察官の士気を沈滯せしめまして、これは治安上実にゆゆしい問題を起しておるのではないか、特に若い警察官のごときはもうやけくそになつておるという実情でありますが、臨時国会も来月はあるようでありますし、通常国会も迫つておりますが、一体全国民の輿望をになうて、法務総裁の要職につかれました大橋さんの心意気と見通しを、この際はつきりお伺いしたいと思います。
  29. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 警察法の改正につきましては、当委員会におきましても種種ごもつともな御要望を承つておる次第でありまして、政府といたしましてもこの点は至急に解決を要する問題である、かように考えまして努力をいたしておるわけであります。特に御指摘になりました自治体警察並びに国家地方警察におきまする人事の交流が、ただいま困難な状態に相なつており、これが人事上種々好ましくない事態を起すおそれが十分にあると考えておりまして、これは特別法律を改正する問題ではございませんが、種々な関係上かようになつておるわけであります。こ点のにつきましてもできるだけ改善をいたして参りたい、かように考えております。
  30. 藤田義光

    ○藤田委員 前の国警担当の国務大臣よりも、自治警、国警の現状に対する認識の深さと広さにおいて、大橋さんが数等上であるということをわれわれ認めております。ところがただいまの御答弁によりましても、その認識を具体化するはつきりした見通しがないのではないか。通常国会にあくまで法案化したい、何かそういう具体的なお考えがあるかどうか、もう一回お聞きしたいと思います。
  31. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私といたしましてはいろいろ考えておるところもございますが、種々な都合上これ以上申し上げることを差控えさせていただきたいと思います。
  32. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの御答弁は前国務大臣がしばしばされた答弁とまつたく同じでありまして、私もこの点禪問答を繰返すようなので打切りたいと思いますが、ぜひとも近い将来に具体化する準備をしていただきたいと希望いたしております。  次にお伺いしたいのは朝鮮動乱が非常に進展いたしまして、国連軍が三十八度線を突破したようでございますが、朝鮮動乱以後の治安問題、特に在日朝鮮人の動向——簡單でけつこうでございますが、国民のある一部におきましては、この朝鮮動乱が必ず長期戰になる、しかも鮮満国境に国連軍が迫るに従つて相当抵抗が激しくなりまして、国連軍が参つて来るだろうという、非常な希望観測をいたしまして、その時期を相当期待するような雰囲気もあるやに、われわれは拝聽いたしております。特に在日朝鮮人の動向が、日本の現在の警察力からいたしまして、非常に国民の関心事になつております。右と左にわかれて相当深刻な対立があるというように聞いておりますが、簡單に御答弁を願いたいと思います。
  33. 斎藤昇

    斎藤説明員 在日朝鮮人の動向は、御承知の通り朝鮮事件が起りまして以来、われわれが心配いたしておりましたような表面的な動向は、ほとんど現われていないと申し上げてよいと思うのであります。どちらも成行きをながめ、お互いに期待を持ちながら、ひそかに時機の到来を待つておる、こういうかつこうのように見えておるのであります。現在もなおそういうような状況であります。在日朝鮮人のうちの大多数で結成しておりました朝鮮人連盟は、昨年解散させられましたが、これらはあるいは解放救援会でありますとか、そのほかのいろいろな名前で団体をつくつたり、また人的なつながりは従前通り断たれていないことは事実であります。従いまして先般新聞にもありましたように、あるいは兵庫、京都その他のところで、主として宣伝工作その他のために用いるような組織をつくろうとしておる試みもないことはないのであります。しかしこれらもただちに今の警察力で、処理し得ないような事態を惹起しそうな傾向はありません。私の方としましてはなお十分な注意を持ちながら監視をし、必要な工作を加えて行かなければならぬと努力いたしておるのでありまして、ただいまさように心配したことが差迫つておるということはないという状況でございます。
  34. 藤田義光

    ○藤田委員 昨年中共が代表を送るという問題がありまして、中共代表が正式に中華民国の代表であるという通告が対日理事会にあつたことは、当時報道されておるところでございます。その後最近の新聞、雑誌、特に国際関係の報道機関の調査によりますと、当時任命されたいわゆる中共代表の所属の一部が、日本に潜入しておるということが堂々と報導されておりますが、この点に関しまして何か法務府あるいは国家警察に、しつかりした情報が入つておりましたらお伺いいたたいと思います。
  35. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この点につきましては、ちよつとお答えいたしかねるような事情がございますので、あしからず御了承願います。
  36. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いしたいのは、元日本共産党幹部の逮捕の問題ですが、昨日の閣議で大橋法務総裁から、近く一、二名さらに逮捕するという言明があつたように思いますが、この点に関しましていつごろまでには大体全員の逮捕を終るか、自信のほどをお伺いしたいと思います。
  37. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 何か相手のある仕事でございますので、私どもの予定の通りには参りかねる場合もあろうかと存じます。いつまでに全員を逮捕するかということは、申し上げない方がよろしいかと存じます。
  38. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いしたいのは、川本委員からも質問がありました国警予備隊の給與の問題に関連しまして、明年度の国警予備隊の予算はどうなつておるか、現在明年度予算の原案ができまして、ドツジさんが来てこれを見ておる最中でありますが、予備隊の予算に関してはどういう準備をされておるか、またこれを閣議において説明する責任者は、依然として法務総裁であるか、あるいは予備隊の長官である増原さんも随時出席して発言ができるかどうか、将来に残る問題でありますので、お伺いしておきたいと思います。
  39. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま関係方面に提出いたしてございます先般閣議決定いたしました予算案におきましては、来年度の警察予備隊の経費は一応百二十億ということに相なつております。しかしこの数字は将来変更されることがあり得る、かような了解のもとに一応決定されたものであります。なお吉田内閣といたしましては、閣議におきましては閣僚以外は原則として出席しないという建前をとつております。
  40. 藤田義光

    ○藤田委員 次は前委員会において相当論議されました消防施設に対する公共事業費の問題、その後大分時日を経過しましたので、はつきり結論が出ておるのじやないかと思いますので、法務総裁が担当されておりますからお伺いしたい。それに関連しまして実は全国の消防団員その他が重大な関心を持つております建築基準法に関する政令の問題であります。消防法の九條、二十一條等を無視しましたいわゆる建設省からする取締りその他が相当強力に政令にうたわれまして、せつかく国会できめました消防法の実体が基準法の政令で無視されようとしておるというようなことを、われわれ各方面から聞いておりますが、建設院当時から建設省にも関係の深い法務総裁にもいろいろ情報が入つておると思いますが、もし法律を政令で無視するようなことが、執行機関でやられるということになりますと、おそらく通常国会等において、相当大きく責任を追究しなくちやならぬと思います。建設省では住宅局の内藤という課長がこの方面を鋭意研究し、具体化しつつあるというようなことを、われわれははつきり聞いておりますので、この点に関する消防庁担当の大橋さんの御見解をお伺いいたしたいと思います。
  41. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 公共事業費の問題は、まだ最後的の決定を見ておりません。これは私といたしまして何とか実現に努力いたしたいと考えております。それから建築基準法と建設省における建築行政との調整の問題につきましては、なお取調べの上お答えをいたしたいと思います。
  42. 門司亮

    門司委員 ごく簡單に聞いておきたいと思いますが、先ほどから警察法の改正をするかということで、いろいろ議論が出ておりますし、前の委員会でも大橋さんにかなり私もお聞きしましたが、この警察予備隊は御存じのように政令で出ておりますが、これと警察法との関連でありますが、これの附則には、内閣総理大臣は当分の間国家警察に、その事務の一部を扱わせるように書いてあります。従つて現状ではこのままでよいと思いますが、いずれこれは警察行政を一本化することのために、どうしても今の警察法の改正を見ることが妥当であり、適切であると私は考えておりますが、この方面からの警察法の改正は一体どういうふうになつておりますか。
  43. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 警察予備隊に関連いたしまして、特に警察法を改正しなければということは、ただいま考えておりません。しかしながら警察法改正の問題は、それ自体といたしまして、その必要性につきましては各方面からの事情考え合せまして、これはできるだけ早急に実現できるようにしなければならぬ、かように考えられますので、この問題につきましては鋭意調査並びこれが実現に努力をいたしておる次第であります。
  44. 門司亮

    門司委員 その点が少し私にはわからぬのであります、警察法には御存じのように国家非常事態の発生いたしました場合には、それのすべての権限が総理大臣に帰されて、これに対処するようになつておりますが、警察予備隊のできました理由や本質も、やはり国家非常事態に備える一つの大きな役割を演ずるものだ、こういうふうにわれわれは考えております。従つてこれの名前もやはり警察予備隊という名前が、当然使われておるのだというふうに解釈しておるのであります。そういたしますと、この法律を一本にして、非常事態が宣言されました場合に、やはり一本の姿で運営する機構に定めておかないと、せつかくこれができておりましても、非常事態の場合には二本建になつて、もしその間に支障があるようなことでは、私は非常に不幸な状態に陷るようなことを招来しはしないかということが、実は杞憂されるのであります。従つて国家非常事態の際における警察予備隊の行動というものが、非常に重要ことになつて参りますので、どうしても私としては今の警察法を何らかの形で、この警察予備隊と行動を一つにし得るような立法をしておかないと、実際の場合に支障を来すようなことがありはしないか、こう考えておるのでありますが、この点に対する総裁の御意見を一応伺つておきたいと思います。
  45. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 御指摘通り警察法におきましては、国家非常事態の宣言がありました場合には、内閣総理大臣が全国の自治警察をも含めまして指揮する、こういうことに相なつております。これは警察予備隊ができました後におきましても、事態によつて警察予備隊のほかに、さらに自治警察をも含めましてすべての警察力を内閣総理大臣が指揮するという場合もあり得ると存じまするので、警察予備隊のできました後にも、この制度に必要であると考えております。しかしこの制度が運用されました際において、警察予備隊に対する指揮と、それから自治警察を含めましたる一般警察に対する指揮とが二元的になつてはまずい、この点は私も同感でございます。しかしながらすでに内閣総理大臣におきまして、この双方の指揮をなし得るような状態に、両方ともできておりまするから、運用よろしきを得まするなら、その間の指揮が齟齬を来すというようなことはなかろうと思います。この点は私どもは法律の問題と申しまするよりは、むしろ運用上の問題と、かように考えておるようなわけであります。
  46. 門司亮

    門司委員 その点でありまするが、運用上の問題というものは非常に重要な問題でありまして、これが全然別個な従来の軍隊のような観念のもとにこしらえられて、またそういうことであるということが、はつきり定義づけられておりまするなら、これは運用の面で私はあるいはいいかとも考えられるのでありますが、少くとも警察予備隊であるということになつておりまする以上は、やはり警察法の中にはつきりと、それらを十分運用し得る條項というものを設けることが、法の建前の上から言つても、あるいは警察予備隊の性格の上から言つても、私はよろしいんじやないかと思う。この警察予備隊が別個の任務を持つてたまに非常事態の起つたときには、警察と同じような任務を持つということになりますると、今までの軍隊とちつともかわりはないもののごとき考え方に私はなりはせぬかと思うのであります。従つて今までの軍隊と同じような考え方でないとするならば、やはり何らかの警察法の改正によつて、これは明らかに警察予備隊であるということを、法律的にも明確にこの際しておくべきじやないかというように私は考えておるのであります。  同時にもう一つ聞いておきたいと思いますることは、現在警察予備隊は政令で出されておりまするが、これを立法化する御意思があるかどうかということであります。
  47. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 門司君のお述べになりました警察予備隊が、前の軍隊とは異なつたものである以上は、警察法とあわせて運用できるような、そういつた新しい制度のやり方が必要ではないかという御意見でございましたが、ただいまの段階におきましては、私どもの考え門司君の考えとは異なつておるわけであります。しかしながら警察予備隊はなお創設早々のことでありまするし、今後これが成長につきましては、私どもできるだけ努力をいたさなければならぬと考えておりまするので、今後の実情によりまして、ただいまお述べになりましたような御意見をも参考にいたしまして、できるだけ制度の完全を期するように努力いたしたいと考えております。  それから最後に御質問になりましたる警察予備隊創設についてのポツダム政令を、法律にかえる意思はないかという御質問でございまするが、この点はただいまのところただちに法律にかえるという考えは持つておりません
  48. 門司亮

    門司委員 時間も非常に過ぎておりますので、それ以上議論はいたしませんが、私どもといたしましては、別の任務を持つておるからと言つても、やはり一つ警察である以上は、どこまでもこれを警察法の改正によつて、ひとつ一本化したものにしてもらいたいということ。  それからもう一つは政令でこれが出ておつて、そのまま立法化されないというお考えに対しては、私どもはどうも了解に苦しむのであります。と申し上げますのは、これは先ほどから言われておりますように、かなり大きな予算を伴つております一つの仕事でありますことのために、やはりこれが單に政令というようなことでなくして、当然国家予算の中に、一つの法に基く要求のできる仕組をやはりしておきませんと、国の予算の面から見ましても、非常に何というか、国会の審議権というものが薄いような感じが、私どもはして参るのであります。従つて今そういう御意思はないという御答弁でありますが、私はできるだけこれをやはり立法化して、必要があるものなら、当然一つの予算のわくの中にこれが——今も入つて予算の請求はできるのでございましようが、しかし法律に基いて予算の請求ができるような形に一応これをしておいていただきたい、こう考えておるのであります。  それからその次は非常にこまかいことでありますが、よく世間で言われておりますので、この機会にただしておきたいと思いますことは、警察予備隊の幹部を充実することのために、旧軍人の追放の解除云々というようなことが、しばしば新聞その他で見られるのでありますが、こういう事実があるかどうかということであります。
  49. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政府の方針といたしましては、警察予備隊においては追放者は採用しない。こういう方針をもつて進んでおるわけであります。そうしてまた警察予備隊の幹部にするために、追放を解除するというようなことは、全然考えておらないわけであります。また現在までさようなことのために追放を解除したこともなければ、そうした人たちを幹部として採用いたしたる事実もございません
  50. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきたいことは、これは大橋さんに聞くよりも、あるいは内閣に聞いた方が適切であると思いますし、またせんつて官房長官にお会いいたしましてお聞きをいたしたことでありますが、当該の責任者として大橋さんに一応聞いておきたいと思いますのは、例の共産党の追放の——追放と言いますか、各職場からの追放の問題でありますが、これはいろいろ法律的にも私ども異論があるところでありますし、同時に国民の思想の自由が許されておりますときに、たとい共産党員でありましようとも、何ら命ぜられた業務その他に支障のないものを、單に党員であるからということで、これを職場から追放するというようなことは、われわれには承服しがたいのでありますし、同時にこういうことが行われて参りますと、さらにそれの同調者ということになつて参りまして、その限界は非常にむずかしいのでありまして、過激なことを言い、あるいは過激な行動があつたといいましても、それは組合内のことであり、あるいはその他の場所であつて、決して自分の職務その他については何らの落度のないような人も、この際官庁と言わず、あるいは私企業に至るまで、こういうことが慫慂されて参りますと、便乘した相当多くの職場の追放が行われるのじやないか。もしそういうことになつて参りますと、職場から追放されました人たちの将来の職業が、一体どうなつて来るかということが、非常に大きな社会問題として取上げられなければならないのであります。政府といたしましてはそういつてもぐあいが悪いものを追放することはやむを得ない、職場から追い出すこともこれはやむを得ないじやないかというようなことを、ちよつと聞いたのでありますが、もしそうだといたしますならば、これは非常に大きなものの考え方の違いでありまして、今日失業問題が非常にやかましく言われておりますときに、ことさらにそういう刻印を打つて、そうして具体的に言いますならば、次の就職に非常に支障のあるようなことになつて参りますと、勢いそれらの人たちというものは、一体どういう行動に出なければならないかということは、これは一つの社会問題として私どもは見のがすことのできない重要な問題が、ここにひそむのではないかというように考えられて参りますので、それらに対する法務総裁としての御意見を、一応この機会に承つておきたいと思います。
  51. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 共産党員の各産業からの追放の問題でございまするが、純法律的な問題といたしましては、ただいまの段階におきましては、共産党員であるという事実は、これはすなわち党員として共産党の主義、主張並びにその統制に服するということであります。従いまして、今日日本の復興を阻害し、あるいは産業を破壊するというような態度は出ておるところの、この共産党の所属党員であるということは、すなわち各産業においてかような破壊的行動に、その人がいつ何時党の指揮に従つて出るかわからないという危險が、十分にあるということを意味するわけでありまして、かようなる危險分子を各職場から追放されるということは、これはやむを得ざることであると考えるのであります。しかしながら、政府といたしましては、これは純法律的な問題でございまして、問題はこの純法律的に許されたる範囲内において、さしあたりの追放はどの程度を実行するかという、この実際のやり方の問題があるわけでありまして、この実際のやり方につきましては、ただいまのところ政府といたしましては、特にアクチブあるいはトラブル・メーカーと目せられるべき人、こういう人たちを追放するということはけつこうである、しかしそれ以上にわたりますことは、これは法律的に可能であるといたしましても、実行上の問題としておもしろくない、行き過ぎにならないことを希望する、かような態度をとつておるわけであります。また同調者の限界というものにつきましても、これは嚴密にどこから見ても同調者であるということが明らかな者でなければならぬということはもちろんでございます。この点について、この機会に経営者諸君が便乘的に、真の同調者以外の民主的な労働者を馘首するというようなことは戒めなければならない、かように思うわけであります。それからこれに関連して大きな社会不安が起るのではないかという御質問でございますが、ただいまのところ政府といたしましては、そう多数の人たちが追放されるということはないと思います。またこれによつてただちに大きな社会不安が起るということは予想をいたしておらないわけであります。
  52. 立花敏男

    ○立花委員 ちよつと関連して……。今の御発言を確認しておいてもらいたいと思うのです。重大な発言だと思いますが、共産党は産業を破壊し、復興を阻害する党であると、はつきりおつしやつたのですが、これは間違いございませんか。
  53. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 その通りでございます。
  54. 立花敏男

    ○立花委員 これはまことに重大な発言であります。閣員の一人であるところの大橋法務総裁が、合法的な共産党に対しまして、これは日本の復興を阻害し、産業を破壊するとおつしやつたのでありますが、しかもそれを確認されたのでございますが、何に基いてそういうことをおつしやられるのか、根拠をお話願いたい。
  55. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 共産党の最近におきますところの主張並びに行動から、さように申し上げた次第であります。
  56. 立花敏男

    ○立花委員 主張をもう少し具体的に、それから行動をもう少し具体的に、ひとつ御説明願いたいと思います。
  57. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これ以上は申し上げたくないのであります。
  58. 門司亮

    門司委員 私もう一つ聞いておきたいと思うのですが、これはきのう実は自治庁にも聞いたのでありますが、自治庁もはつきり、政務次官は事務的にはどうか知らぬが、自分のところには何も来ていないという御答弁だつたと思いますが、政府が各官庁に、先ほどから申し上げておりまするような措置をおとりになつておるということは、われわれも承知いたしておりますが、それがさらに地方の公共団体に対しまして、一体どういう指示がされておるかということであります。これは非常に微妙な問題でありまして、私企業に至るまで今そういうことが考えられ、現実に行われている。この場合に、政府の直轄いたしております国家公務員に対して行われておりますことが、地方の公共団体に何らかの形で、私は指示されないはずはないと思うのであります。この点は、あるいは大橋さんの方からそういう指示が出ているのか、あるいは自治庁の方から何らかの示唆が與えられているのか、その点を明確にしておいていただきたいと思うのでありますが、そういう事実があつたかどうか。
  59. 小野哲

    ○小野説明員 昨日門司さんから、今の御質問の点についてお話があつたのですが、調べました上で御返答申し上げるというので、今日まで保留いたしておつたわけであります。地方自治庁といたしましては、各地方団体に対しまして、国家公務員の措置に伴う諸般の措置につきまして、書面にして通達をいたすような手続はとつておらないのでございます。その点を昨日保留いたしましたので、この際御答弁申し上げておきます。
  60. 門司亮

    門司委員 今小野政務次官のお話通りでありますが、国家の機関の一部であり、いかに自治体が完全に自主的に運営されているといいましても、国の機関から離れるわけには参らぬわけでありますが、その場合に、国の機関であります国家公務員に対しては、先ほどのような処置がとられているが、地方公務員に対しては、今政務次官の御答弁では、何らの通知をしておらないというお話でありますが、法務総裁はそれでよろしいというようにお考えであるかどうか。
  61. 小野哲

    ○小野説明員 私から補足的に申し上げておきたいと存じますが、御承知のごとく、地方公共団体におきましては、これらの措置をとるにいたしましても、十分その自主的な判断に待たなければならぬ、かように考える次第であります。従いまして、政府から書面によつて通達をするというふうなことは、極力避けるべきではないか、こういう考えを持つているのでございまして、この点につきまして、ただいま申し上げたように、通達をするような措置はとらない、かように申し上げた次第であります。
  62. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま小野政務次官から述べられましたるごとく、地方公共団体の人事につきましては、政府より独立いたしたるものでありまして、その自主的な判断によつて措置せられる場合だと、政府よりこれに対して強制をするというような方法はございません
  63. 門司亮

    門司委員 そうしますと、この問題は、政府は日本の現状から見て、自分のところの国家公務員だけこういうことをすればいいというようなお考えで、その他は政府の意図いたしておりますところに、地方の自治体の自主的の考え方で、必ずしも政府考えておることと同じような処置をとらなくてもいいというように、解釈してさしつかえございませんですか。
  64. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 共産党がいかなるものであるかということにつきましては、すでにしばしばマツカーサー元帥も述べられておるわけでございまして、私どもはこれらの述べられたることによりまして、必ずや地方自治体におきましても、自主的に妥当な措置がとり得られるものと期待をいたしておるわけであります。
  65. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 斎藤さんに質問いたしますが、時間がございませんので、私はすこぶる簡單にお尋ねしたいと思います。警察の公安委員を公選にする考えがありますか。将来いかになさる考えですか。これをお伺いしたいと思います。
  66. 斎藤昇

    斎藤説明員 これは大きな政策の問題でありまして、大橋国務大臣から御答弁くださる方が適当だと思います。われわれ事務当局といたしましては、さような考えは持つておりません
  67. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 教育委員も公選でありますので、国家の最も重大なこの警察制度において、公安委員が非常にボス的な存在で問題になつている際に、私は将来ぜひとも国家公安委員及び地方公安委員は公選にする必要があると思いますが、大橋法務総裁はどういうふうなお考えでございますか。
  68. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまのところ、国家公安委員並びに地方におきまする公安委員の選任の制度につきまして、改正するという考えは持つておりません
  69. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それから大橋法務総裁にお尋ねしたいのは、先ほど警察予備隊に憲兵と同じような仕事をするものがあるということをおつしやいましたが、私どもは憲兵という言葉を聞きましても、おぞ毛が立ちます。今そういうふうに憲兵と同じような仕事はどういうところでしているのですか。それをはつきり聞かしていただきたいと思います。
  70. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 憲兵という言葉は、大石さんの御指摘通り私どもも好ましくない言葉であると存じましたが、ただお話の都合上一番考え方として似ているので、便宜使つたわけでありますが、ここに申し上げましたのは、警察予備隊のうちの数百名の隊員を限りまして、これらの人に特に隊内の秩序の維持を命ずるわけであります。これは一つの特別の部隊というようなものになると思います。この特別の部隊に属しまする秩序維持の隊員が、隊内に発生いたしましたる犯罪の捜査、あるいはまた警察予備隊に対して部外から犯したところの犯罪の捜査に当つて行く、こういうものでございます。従いましてこれはかつての憲兵のごとく広汎な各種の犯罪について、権限を持つた捜査機関になるのではなく、ただただいま申しましたような隊員の犯した犯罪、あるいは予備隊に対して犯した犯罪という、ごく限られた特殊犯罪についてのみ、捜査権を持つわけであります。
  71. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それからもう一つ大橋総裁にお尋ねしたいのは、共産党党員と共産党の同調者、これをどういうふうにはつきり区別されるか、お聞きしたいと思います。
  72. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 党員は党員として届出のあつた者が一般の党員であります。そうしてなお聞くところによりますと、秘密党員という者もあるそうであります。同調者と申しますのは、党員ではないけれども、しかし過去の行動によつてつたく党の規律に服すところの党員と、常に無批判に同一行動に出るような、そういう人たちを同調者というのであります。單に共産主義を信奉しているとか、あるいはかつて共産党の基金カンパに寄付金を投じたとか、あるいは單なるアカハタの購読者であるとか、そういうことだけでは同調者と申すのは不十分である、かように思つております。
  73. 前尾繁三郎

    前尾委員長 簡單に願います。
  74. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私の郷里は舞鶴ですが、そこに予備隊員が多数いるのです。それがまず第一に道を通る女子をからかうし、それから盗みをするのです。それでこれはこの次に議会に行つたら、ぜひとも土地の者が困るからひとつ発言してくれといつて、私はかねがね頼まれて来ているようなわけですが、一体予備隊員をおとりになるときには、どういうふうにしておとりになつたのですか、その辺を聞かしていただきたい。
  75. 増原恵吉

    ○増原説明員 予備隊員を募集いたしましたときは、先ほど申し上げましたように、予備隊がまだ幹部その他できておりませんでしたので、国警の方でその仕事を受持つていただいたのであります。国警の方で受持つてもらいました実情を、私どもが承知いたしておりまする限りでは、応募者もさつき四十万と申しましたが間違いでありまして、約五十万でございますが、大勢の応募者の中で体格試験及び学科試験等を行い、人物考査、なお身元調査を綿密に行つてもらいまして、採用を決定してもらつたわけであります。なお当初は相当期日が切迫して入隊をさせた者もありましたので、入隊に至るまでの期間にさらに身元調査のわかつた者で一応合格、入隊通知を出した者を、入隊の際に身元調査の結果取消しをしたという者も相当数に上つておる状態でありまして、十分綿密に身体検査及び学科試験、身元調査をいたしてもらつて採用を決定したわけでありますが、何しろ大勢の者を一時にとりました関係もあることと、また先ほどの御質問でお答えしましたように、予備隊の編成が、私どもの考えからいいましても相当変則的——まず規律、教養、訓練の維持に当るべき幹部がなくて、隊員がそろつてしまつたというような状態でありますので、その間いろいろ訓練をし、教養をし、規律を維持するということが現在のところ困難な事情もありまして、あるいは仰せのようなことがあるかもしれないことを心配いたしておりますが、早急に幹部の人選を終りまして、それぞれの部隊に配置をしまして、教養、訓練に專念し、規律保持に十分努力をいたしまして、そうしたことの絶滅を期したいと考えておるわけであります。規律保持のため数百名の特別の仕事を持つものをつくるという先ほどの大橋総裁の発言も、これに関連があるわけでありまして、この点も早急にそうした人々の教育をいたしまして、部隊内の規律保持をいたし、一般地方の人々に予備隊というものは非常にりつぱなもので、ぜひ私どものところへも来てくれというふうに歓迎してくれるようになりたいものだと、念願をいたしております。
  76. 大泉寛三

    ○大泉委員 時間がないから簡單にお尋ねいたします。警察予備隊の設置については、いろいろ国民が社会不安を除去されたということについて安心感を持つております。さて私どもはこの予備隊の性格は大体わかつておりますけれども、この予備隊をして真の予備隊たらしむる、いわゆる国民の中に予隊員を包蔵しておく考えがあるかないかということをお伺いしたい。先ほど川本委員から御質問のありました給與の問題は、未決定であるというようなことからうかがつてみると、この際特に要望しておきたいのは、この予備隊は国民の中に予備員を包蔵しておくということは、今から給與の問題もからんで考えておく必要があると思う。それはなるたけ負担のかからない、いわゆる給與の少い額で多くの者を統制できるような機構にしなければならぬ。具体的に申すならば、なるたけ独身者のしかも若い青年を採用する必要があるのではないか、そして年限も一定年限、訓練が最上に達するまでの年限を期限として、あまり永久にこれを奉職せしめないという方法が必要でないか、たとえば三箇年とか五箇年というように年限を切つて採用する、そうして国民の中に多くの予備隊を包容しておくということが必要ではないか、特にまた国家警察においても、自治体警察においても、予備隊の奉職あるいは勤務の経験のある者は、優先的に採用するというような方法をとつたならばいいではないか、初めの設置の発足において相当将来を考慮して、真の予備隊たらしめるようなお考えが必要ではないか、現在のような予備隊とはいいながら、七万五千人の常備隊になつてしまう。常備隊というよりもむしろ七万五千人を三万人にしても、国民の中に多くの予備隊を置くということは国家将来のために、あるいは経費のためにも必要ではないか、こういうふうに考えますが、大橋総裁はどんなお考えを持つていらつしやるか、この際お尋ねしておきたいと思います。
  77. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 できるだけ独身者の若い人を採用して、そうしてそう長くない年限教育をして入れかえつて行く。従いまして予備隊出身者が国民の中にふえて行く、これは私どもも一つ考え方である、かように存じます。ただいまのところ年齢は二十歳から三十五歳、こういうことにして一般隊員を募集いたしましたが、これはさしあたり教育その他の関係上定められた年齢でありまして、将来は必要に応じて、特に初めて募集をするところの隊員として、年齢はもつと低下さして行く必要があると考えております。  それからまた年限はさしあたり二年ということで考えられておりますが、これにつきましてもなお将来研究の必要があろうと存じております。  また最後にお述べになりました警察において優先的に予備隊からの除隊者を採用してはどうかというような点、これも将来十分研究してみるべき価値のある問題である、かように考えておる次第であります。
  78. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは警察問題はこれで打切ります。  暫時休憩いたします。     午後一時四分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  79. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは再開いたします。  休憩前に引続き、地方自治に関する件及び地方財政に関する件を一括議題として、質疑を続行いたします。門司亮君。
  80. 門司亮

    門司委員 それでは大蔵省の当局にひとつお聞きしておきたいと思いますが、実は昨日自治庁の方に一応お伺いをしたのではありますが、自治庁の方の意見と相当違つておるように大体考えられますので、その真偽を一応確かめておきたい、こう考えておるのであります。その問題は来年度の予算編成に対しまする地方財政のあり方と申しまするか、算定の基礎になつておりまする数字の問題に主として重点を置いて、一応お聞きしておきたいと考えるものであります。この問題は、別段これを中心にして強く私本日議論しようとは実は考えていないのでありまして、大蔵当局から出たという書類を、はたして大蔵省が責任を持つてこれを出されておるものであるかということ、それから同時に、この数字は大蔵省としては責任の持てる数字であるかどうかということであります。  それで大体の要旨は、大蔵省の意見を総合いたしてみますると、来年度の地方財政に対してはいろいろ問題はあるが、大体三百億くらいの減税ができるということに結論としてはなつておる。そうなつて参りますると、非常にこれは重要な問題でありまして、御存じのように二十五年度の予算で地方税の増税が行われましたことのために、今国民は非常に苦しんでおるのでありまして、このときに地方財政の面で三百億の減税ができるという結論が、大蔵省から責任をもつて言えるということになりますると、これはわれわれとしてはこの問題を簡單に見逃すわけには参らぬのであります。従つてこの大蔵省から出されておる書類は、一体責任が持てるかどうかということを、まず最初にお聞きしておきたいと考えておるのであります。
  81. 東條猛猪

    ○東條説明員 まことに恐縮な申し様でございますが、お手元にどういう書類が出ておりまするか。あるいは先ほどちよつと伺いましたように何か地方財政の問題に関する、いろいろ問題になる点、あるいは検討を要する点というような作文でございまするとか、あるいは何かそれに関連した若干の数字のようなものがお手元に出ております資料かと心得ておりますが、実はこの地方財政の問題は、ただいま仰せのように非常に重大な問題であることは申すまでもないことでありまして、主計局の内部でも、いろいろ数字の内容、また考え方等につきましては、従来検討をいたしておつたのであります。それでもちろんその研究の過程におきまして、一応主計局の内部の係等で考え方の荒筋を、ほんの試案として書いてみましたり、ないしはそれらの考え方を基礎にし、あるいは自治庁あるいは地方財政委員会連絡をいたしました計数等を基礎といたしまして、研究の過程におきましてはいろいろの数字もございますが、しかしそれらの数字が今大蔵省の数字といたしまして、外部に責任をもつて発表できるというふうな段階まで固まつておりまする数字は、現在までのところございません。私どもといたしましては事柄が非常に大事な問題でもございますので、今主計局でいろいろ考えました内容、ないしはそれらを中心といたしました数字を、地方財政委員会の方にもお示しをいたしまして、これの考え方に対して、われわれの考え方の至らない点、あるいは従来地方財政委員会の方で、お考えになつてつたところと違いまする点、そういう考え方が違つた点でありまするとか、ひいては地方財政全体についての数字におきましても、われわれの考え方の数字はこうである、それに対して地方財政委員会の方で、どう考えられるかという数字につきまして、検討を実はいたしておりまして、双方建設的な意味におきまして、数字が事実どうなるかということの予測をいたそうではないかということで、相談をいたしておる段階であります。従いまして今お話の大蔵省として責任をもつてこういう計数がいいという数字があるとか、ないしはその数字を基礎にした減税ができるという見通しが立つておるかというようなことにつきましては、今のところ大蔵省として責任のあるそういう数字はないということを申し上げたいと存じます。
  82. 門司亮

    門司委員 ここに私どもの手元に参つておりまするのは、シヤウプ勧告に対する批判を大体主といたしました地方財政の問題で、これはいずれも主計局から出ておる数字でありますが、本日また参考資料としていただきました全国知事会議の書類の中に、これと同様のものが入つておるのであります。従つてこれは私は單に大蔵省では知らないというようなことでは済まされない数字ではないかと考えておる。それの一つの根拠といたしましては、單にこれが理想であり、あるいはまた考えた末でこういうものをこしらえたのだ、あるいは試案であるという程度のものでありますれば、一応了承はできないでもないのでありますが、その試案のできました内容につきましては、大体今年の春以来大蔵省としての実態調査の結果、あるいは二十九府県とも言われておりまするが、私の手元にありまするものでは三十八府県となつておりますが、大体相当数の、というよりもむしろ全日本の都道府県に対して、こういう調査がされておるのではないかと考えておるのであります。それから市に対しましては四十一市、これには五大市を含んでおらないというお話であります。それから町村に対しましては六十一町村、これらの実態の調査をした結果であるということになつて参りますと、大蔵省が全然知らないとは私は言えないと考えておるのであります。この実態調査に基く書類であります以上は、この数字が間違いであるともわれわれには考えられないのであります。ものの見方で、あるいは多少違うかもしれないと思いますが、單に推定した数字ではなかろうと私は思います。ところが知事会議の陳情を聞き、さらに自治庁の今日までの話を総合いたして参りますと、必ずしも大蔵省の言つておりますように、三百億円の減税ができるものであるということは、数字的にわれわれが考えて参りましても出て来ないのであります。そこで大蔵省の言つておりますそういう観点から見て、ただいま何か自分のところから責任をもつて出したのではないというお話でありますが、少くともこの調査に基く書類であるということになりますと、これは全然架空な数字ではないと思いますが、これには歳出の面で大蔵省の見込んでおりますのは四千九百三十億、歳入の面で見込んでおるのは五千百三十七億、その差額二百七億というものは明らかに減税ができるということが、実は書かれております。そのほかに現行法の税率によつて地方が十分徴收し得る見込みというものが大体二百億くらいあると考えられるということが実は書いてあるのであります。こういうことが大蔵省の見方として正しいということになつて参りますと、今までの自治庁の資料なり自治庁のものの考え方が、みな間違いであつたというように、われわれは考えなければならない。と同時にこの機会に聞いておきたいと思いますことは、先ほど申しました歳入歳出の数字が大蔵省としては、よくわからないということでありますが、先ほどの書類についての御答弁はわからなければわからないでよいと思いますが、歳出の四千九百三十億、歳入の五千百三十七億という数字は、大体今日まで大蔵省が調査した数字であるかどうかということであります。
  83. 東條猛猪

    ○東條説明員 先ほど申しました点で、あるいは言葉が足りなかつたかと存じますが、主計局の方で先ほどお話のございましたような府県、市町村につきまして、二十四年度の最終予算書につき、いろいろ調査をいたしましたことは事実でございます。その調査の結果に基きましていろいろ推定を加えまして、一応調査の結果を基礎とすれば、大体まあこういう数字ではなかろうかという推定をいたしておることも事実であります。それで今お話のございまして数字は私は確かに記憶がございます。そういう調査を基礎にいたしました中間的な数字といたしましては、そういう数字が一応出ましたが、それは先ほども申し上げたように、主計局といたしましても一応内部に研究をいたしております数字でありまして、それがどういう経路で外部に出ましたか、これはまことに無責任なような申し分でありますが、わかりませんのですが、決して主計局といたしまして、ないしは大蔵省といたしまして、その結果に対して責任をとる、あるいは大蔵省として責任の持てる数字として外に出したということは実は全然ないのであります。この数字は、今申し上げたように二十四年度の最終予算を基礎としての一応の推定の途中に出た数字であり、研究の結果として出た数字でありまして、われわれの推定の過程において、その数字に何か誤りはないか、それらの検討を地方財政委員会にもお願いいたしまして、今検討の途上にある数字であるということを、一応申し上げておきたいと思います。
  84. 門司亮

    門司委員 今地方財政委員会と打合せをしておるというお話でありますが、この点について地方財政委員会の奧野君の方では、一体どういうような打合せをされておるか、その実態をこの機会にお話願いたいと思います。
  85. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 今お話になりましたような数字を、大蔵省からいただいておりますが、それについてはいろいろ異論もございますので、異論のあります点を大蔵省に話をしまして、両者の間でいろいろと相談しております。
  86. 門司亮

    門司委員 どうもはつきりしないのですが、お話をしておるというような話でありますが、それならば自治庁の本年度の地方予算に対する計数を、この機会に御発表願いたいと思います。
  87. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 御承知のように地方予算は、国の予算がどういうふうになるかということによつて、大幅な影響を受けるわけであります。たとえば公共事業費を実施いたしますのは、ほとんど大部分が地方団体でありますので、それらの総額を地方団体の歳入に受け入れまして、そういう点が大きくなれば歳出も自然膨脹して参るわけであります。先ごろ閣議決定されました概算額を基礎として参りますと、一般会計で現在のところ五千三百五十億円余りになるのではなかろうかというような見通しもいたしております。そのほかに公営事業とか国民健康保險事業とかいうようなものがこれに加わつて参るわけであります。
  88. 立花敏男

    ○立花委員 先ほどの門司君のお尋ねに対する奧野さんの御答弁の中に、大蔵省の主計局からそのまま資料をもらつて、それで話合いをしておるというような答弁があつたのですが、どうですか。
  89. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 大蔵省からいただいた数字について、計算上こういう点についていろいろ異論があるということを話しました。また地方財政委員会としての考え方を申し上げ、両者としていろいろお話合いをしておるわけであります。ただ基礎になります数字が一つでございませんで、地方財政委員会としても別個の数字を持つておるわけであります。現に両者で協議中だということを申し上げたわけであります。
  90. 立花敏男

    ○立花委員 門司君は、歳出が四千九百幾ら、歳入が五千百幾ら、その数字を大蔵省からもらつて、その数字で話合いをしておると言われたそのことをお尋ねしておるのでありますが、そのことだけですか、そう確言なさいますか。
  91. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 その数字を基礎にして話をしておるわけではありません
  92. 立花敏男

    ○立花委員 もらつたかどうか……。
  93. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 もらつております。
  94. 立花敏男

    ○立花委員 そうなればさいぜん主計局次長が言われたその数字はどこから出たのかわからない、あまり責任が持てない数字だというのは、ちよつとおかしいように思いますが……。
  95. 東條猛猪

    ○東條説明員 政府部内あるいは大蔵省と地方財政委員会との間におきましては、主計局長としてはいろいろ意見の交換をいたしておるわけでありますが、これがたとえば知事会議でありますとか、そういう影響を非常に與えますようなところに、こういう数字が出るということは、予想として実は少しも考えておらないのであります。やはり政府の部内なりあるいは地方財政委員会において、大蔵省との間で話合い研究をいたします基礎の数字といたしましては、主計局が用意いたしておりますが、それが外部に出まして、大蔵省の責任のある数字であるという意味においての扱いを受けなければならないという数字であるとは、全然考えておりません。そういう意味におきまして、この四千九百億という数字は、大蔵省としてどこまで責任の持てる数字かというと、まだその段階に至つておりません
  96. 立花敏男

    ○立花委員 責任の持てない数字で、どこから出たかわからないような数字で、自治庁と交渉されておると言われるのですか。
  97. 東條猛猪

    ○東條説明員 数字は、私が先ほどもちよつと申し上げたと思いますが、府県、市町村等から——これは限定せられた資料でありますが、そういうところから資料をいただいて、それに基いて私どもの方で推定いたした数字であります。その意味におきまして、それをつくつたということについては、もちろん責任を持たない。またそれをどういうふうに算定したか、その算定方法がもし誤つておるならば、これは主計局の算定が誤つておるという意味におきましては、これは責任を持たなければなりませんが、それが政府部内から外に出まして、そしてこれが大蔵省の間違いのない見解であるという数字には達しておりません。そういう意味におきまして、非常な無責任な申分でありますが、これがどういう過程において外に出ましたか、大蔵省も知らないうちに出ておりますので、そこで大蔵省で最終的に、対第三者的に、対外部的に責任を持てる数字かと言つたら、まだそこまで責任は持てる段階に至つておりません。しかし研究の資料といたしまして、われわれの方でつくつたので、そういう意味におきまして責任の持てない数字でありますが、資料作成としては責任を持たなければならぬ、こういうふうに考えております。
  98. 門司亮

    門司委員 責任が持てないとか、持てるとかいうことは別の問題といたしまして、私はなおこの内容について少し聞いておきたいと思いますことは、二百七億の減税ができるという、それの根拠というものが、一体どういう数字で出されておるかということを、怪文書でなくて、大蔵省の数字としてこの機会に出していただきたいと思います。こういうことを申し上げまするのは、先ほど次長も、大体そういう数字のあるということは記憶しておるというようなお話であり、さらに自治庁でもそういう数字がある、そして検討しておるということで、確定的のものではないが、そういう数字のあるということは確認されておるようでございますので、従つて私はこの大蔵省の二百七億の減税ができるという根拠をお出しになつている以上は、あると思いますので——すでに怪文書としてここに出て私も持つておりますが、ひとつ怪文書でなくて、ほんとうの数字として、一応われわれに出してもらいたい。われわれがこういうことを心配いたしますのは、冒頭に申し上げました通り、地方税が非常に高くなつておりますので、みんな困つておりますときに、来年三百億減税ができるということになりますと、国民は非常に喜ぶと思う。喜ぶようなことでありますならば、なるたけ的確である数字を国民に知らせてやつた方が私は安心ができると思う。何も悪い施策でないのに、そんなに隠しておく必要もなかろうと思いますので、その資料を怪文書にならないように、委員会にだけでもなるたけ早く、できればきよう——私はおそらく大蔵省にあると思うので、あつたらただちにわれわれにお見せを願いたい、こういうふうに考えております。
  99. 東條猛猪

    ○東條説明員 私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますことで、大体の気持はおくみとり願えると思いますが、なるべく地方財政委員会とも、考え方のどこに意見の相違がありますのか、あるいは基礎になつております資料のとり方のどこに相違がありますのか、今いろいろと相談をいたしておりますので、もう少し時間の余裕をいただきまして、話をきめまして、そして両者の見解の一致を見た上で、国会方面ではその結果をごらんいただきたい。文字通り私も怪文書と心得ておりますが、内部の資料が当の私どもが存じません間に、外部に出てしまうということは、まことに申訳ないわけでございまして、その文書は、そういう意味におきまして、まことに恐縮な申分でありますが、ひとつ軽い気持でごらんいただきまして、主計局なり大蔵省といたしましては、今しばらく時間をいただきまして、地方財政委員会その他とも十分お打合せをいたしまして、その結果の数字を提出するということに、御了承いただきたいと存じます。
  100. 門司亮

    門司委員 私はそういう意味で聞いているわけではございません。まとまつたものをお出しになつて、それを検討しようと言われるなら、それでもわれわれはけつこうかとも考えておりますが、少くとも大蔵省のものの考え方と自治庁のものの考え方と比較検討いたしまして、真に冷静な立場からこれを判断することが、また私どもの一つの仕事であります。従つて両者が話合つて妥結したものを持つて来て、それで、いずれの面からわれわれがこれを検討しても、なかなかその真実の掴めないようなものを出されては迷惑をするのてありまして、幸いと言うか、われわれの方から言えば幸いにして、こういう書類が大蔵省から出ておりますので、大蔵省の見方というものを一応十分検討してみたいということを考えておりますので、この問題だけはぜひ、これが怪文書にならぬように、ほんとうの文書であるということで、われわれの研究の一つの材料としてぜひお出し願いたい。  もう一つは、現在この問題を中心にして知事会議が行われておるのであります。知事会議の主題はこれであります。そうすると全国の知事が——すでに神奈川県庁におきましては、昨日は市町村長が全部集まつて参りまして、そして県の市町村長会議まで開いて、本日さらに知事会議が開かれて、そして大蔵省のこういう行き方に対して非常に大きな不満といいますか、疑問といいますか、いろいろ問題を討議しておるようなわけであります。このことは單に——あなたはここでそういう問題が出たということはおかしいというお話でありますが、それだけではもう済まされない実態になつておるのでありまして、われわれだけが今のお話のようなことを了承いたしまして、それならそれでよかろうというようなことでは、実は済まされないのでありまして、さつきも、あなたは御存じないかと思いますが、ここに三人の知事の方がおいでになりまして、実はこういうように、来年の予算の中にはいろいろ減税ができるのだというようなことで、地方の予算は非常にふくれておるというような話であるが、これについてはどうもわれわれとして承服するわけには行かぬ、というような陳述があつたようなわけでありまして、問題はもう表面化しておりまして、そして臨時の知事会議まで開いて問題になつておりますものを、国会で、幸い委員会が開かれておりますときに、われわれがその問題を取上げないで、知らなかつたというわけにも参りませんし、知事会議は知事会議でかつてにやつておれというわけにも、実は行かぬのでありまして、われわれといたしましては、ぜひこの機会に自治庁としての御答弁が願えなければ、私は大臣にでもひとつ取次いでもらつて、怪文書にならぬように、はつきりしたものをお出し願うことを、強くこの機会に要求いたしておきます。要求いたしておかなければならないということは、われわれの立場をもひとつ考えておいてもらいたい。われわれの知らないうちに知事会議が開かれ、あるいは町村長会議が開かれて、そこで議題になつたものが、今日陳情されて持ち込まれておつて、われわれはこれに対して何が何だかわからないような態度をとるというわけには、われわれといたしましても参りません。ぜひこの点はこの機会にお願いしておくと同時に、私は強く大蔵省に要求するのでございます。今ここですぐ書類を出してもらいたいといつても、なかなかお持ち合せがないかとも思いますので、私はそれを強く要求いたしますと同時に、大蔵省のこういうものを出されまする中に、重要な問題となつておりまする人件費の問題について、大体国家公務員の人件費が八万五千六百八十円に対して、都市の公務員の俸給は十一万四千三百三十八円になつておる。従つてこれは非常に高いというようなことで、この面からも節約するとすれば、四十億の節約ができるというようなことが記されておるのであります。一体こういう数字をどこからお出しになつておるかということを、一応聞いておきたいと思います。それからさらに物件費においても、五十億ぐらいの節約ができるのだということが実は書かれておるのであります。これらに対します数字的の根拠を一応お示し願いたいと思います。
  101. 東條猛猪

    ○東條説明員 いわゆる怪文書なるものを怪文書でないように、正式の書類として出せ、こういう仰せでございますが、先ほども申し上げましたように、私どもの方といたしましては、その書類はあくまでも内部の打合せの資料という意味でつくりましたものでありまして、いま少しく時間をかけて、地方財政委員会といろいろ検討研究を続けますれば、そういう資料につきましても、なおいろいろ検討すべき点も出て参りましようし、国会でごらんをいただきますに、もう少し値する資料というかつこうになると思いまするので、御趣旨の点は御要求の通りでございますから、それを私大臣その他上司にも伝えまするけれども、いま少しく御猶予をお願いいたしたい、かように考えております。  それからいろいろ人件費、物件費について、節約の余地があるということだが、その根拠はどうか、こういう仰せでございますが、この点も、先ほど申し上げておりまするように、いろいろ検討の途中におきまして、こういう考え方もできるのではなかろうかというような内部の打合せの材料として、一応つくつたものであります。たとえば人件費について申し上げますると、いわゆる六・三べースにおきましては、国家公務員と同じような基準で考えたならば、地方公務員はおのずからどの程度の給與水準になるであろうかという数字を、大分前に地方財委員会の方とも打合せして、相談したことがありまするが、そういう数字を基礎にいたしまして、一応試算をいたしたこともあると思いますが、それらにいたしましても、先ほど来申し上げておりまするように、最近の給與の実際の支給額は、どうなつておるかということは、府県市町村——御承知のように一万以上のものでありまして、それらを一部のものから、全体を推すということには、いろいろ危險も伴いまするが、私どもの方で計算いたしました結果を、地方財政委員会の方にもお示しをして、いろいろ研究をいたしておるということでありまして、人件費、物件費の節約額がこの程度になるが、その算出の基礎はどうか、こういうことにつきましては、こういうわけでこうなるんだということを、ただいま申し上げるまでの段階に至つておりませんので、これまたいま少しく時間の余裕をいただきまして、われわれの内部でも検討し、また地方財政委員会とも、さらに打合せをいたしました結果に基きまして申し上げたい、かように存じております。
  102. 門司亮

    門司委員 どうもこれははつきりしないで弱りますが、しかし算定の一応の基礎がなければ、こういう数字は現われては来ないと思うのであります。大蔵省はしろうとじやありませんで、商売でありまするから、こういう数字については、実は綿密な調査があるはずだと思います。その根拠に基きまして、これははつきりした数字でありますので、おそらく大蔵省には、はつきりした根拠があると思う。大蔵省が間違つた根拠で御算定になつておるならば、それは間違つたものとして承認をするのでありまして、これは間違つておるからといつて、そのままこれを取上げようとは、毛頭われわれは考えておりません。ひとつできるだけそういうものを出してもらいたい。もしあなたの方で今出ないというなら、一応われわれの方から、地方公務員の俸給というようなものは、どういう状態であるかということのお話をしなければならないかと思いまするが、あなたの方でこれが出て参りません以上は、われわれも申し上げることが、実はむだじやないかというふうに考えておるのであります。従つてこの問題については、ここで資料が出せないというようなことだけでは、さつきから言うように済まされないのでありまして、すでに九段の都道府県会館では知事会議をやつておりますので、問題は具体化しておりまして、ほとんど火がついております。こういう事態を引起しておいて、そしてその処理のためには国会にはもう一時待つてもらいたい、あの数字はどこから出たかわからぬから、あれはあれで見のがしておいてもらいたいというようなことでは済まぬと思う。大蔵省は政治的に責任を持つていただいて、やはりわれわれが知事会議の諸君から陳情を受けても、これを十分咀嚼し得るだけの知識というものを、一応與えておいてもらわなければ困ると思う。だからそういうことではなくてこれらの根拠をできるだけお出しを願いたいと考えますが、どうしてもこれは実際問題としてそういうことができませんか。これはついでに言つておきますけれども、税金の方でもそうであります。まだ二百億くらいの徴税ができるはずだということが、実は書いてあるのであります。そうすると今の百九十億の全部の税金を予想いたしておるのでありますが、地方の自治体は税のとり立てが非常に緩漫であるから、二百億だけをとり損つておるのだというような感じを、われわれは強く受けるのでありますが、大蔵省は一体そういうことを地方の徴税の上に考えられておるかどうか。これらも二百億という数字がはつきり書いてありますし、これから勘案して行けば、少くとも百七十億くらいはとれるのだという数字が書いてあるのでありますが、大蔵省は一体これはどうしたのか。これはじようだんではないのでありまして、私どもがいつでも国民の税負担のことを議論いたしておりますときに、單にこれが参考の資料であつて、よいかげんのものであつたということでは済まされないと思う。さつきも知事の諸君が来ておつたから、あとで話をしたのでありますが、こういう三百億という減税が大蔵省でできるということが、かりに地方ではつきり出て参りますと、地方住民の気持もやはり三百億減税ができるのだということになつて来る。そうすると現実の問題で行えないのだという場合には、地方住民の失望を感ずるとともに、今知事の連中が非常に騒いでおりますことが、非常に大きな影響を持つて来るのであります。私は発表ができないと言われておるとこに、多少の警戒心がありはしないかと思いますが、私どもの考え方としては、たとえば知事会議で知事はいろいろな資料を持つて参りまして、これだけの財政が必要だ。大蔵省はこれだけの財政が必要だ。大蔵省はこれに対して、こういうことを言つておる、けしからぬというようなことを、いろいろ申されておりまするが、われわれの方でも、全面的にこれを受入れているわけではないのであります。知事が行政官としての立場からやりやすい行政を行うことのために、財政をゆたかにするということが、知事としては一つのものの考えでありますが、われわれといたしましては住民の負担をできるだけ軽減しなければならないという立場に置かれておりますので、従つて知事の今行つております陳情は、そのままわれわれは決して受入れておるわけではないのでありまして、露骨に言えば、むしろ三百億減税ができるという見通しがつくならば、われわれは大蔵省案を支持したいという気持を持つておるわけであります。決して減税に反対しておるわけでもないのでありまして、その点は政府に十分了解してもらつて、できるだけこういう資料をこの機会にお出しを願いたいということでありますので、非常に何度も同じようなことを繰返して申し上げまして恐れ入れますが、ぜひお出しを願いたいと考えております。  その次に聞いておきたいと思いますことは、当局の問題として補正予算について、大蔵省の考え方もまた一つの問題でありますが、これにつきましては政府は来年度から千円の増給をする。それから年末の手当を一箇月分出す、こういうようなお考えであるということが、大体発表されておるのでありますが、これに伴うて地方の自治体も、政府が出したから自分の方は財政上困るから出さないというわけには、なかなか参らぬと私は思うのであります。従つてこれの財源処置として地方から要求されております額について、大蔵省はほとんど考えておらない。わずかに教員の俸給の十八億の中の半分しか出さない。それ以外は認めることはできないといつたようなお話であるということを聞いておるのでありますが、そういうことが一体事実であるかどうかということと、そういう要求は一切これを受入れるわけには行かないというお考えであるかどうかを伺いたい。
  103. 東條猛猪

    ○東條説明員 補正予算の問題につきまして、地方公務員の給與の引上げの財源としては、義務教育の先生方の給與引上げの半分しか見ておらぬというのが、大蔵省の今の考えであるか、こういうお尋ねの点であると思いますが、その点はただいまのお言葉の通りでありまして、私どもといたしましては今回補正予算の給與の財源は、国の予算におきましては各種の経費の節約によつて財源を生み出すという方針をとつておりまするし、地方におきましても同様の方針にのつとりまして、給與引上げの分ないしは年末一時金の分につきましては、同様何とか経費の節約によつてその財源を生み出していただきたい、但し義務教育の教員の給與につきましては、これは現在の法制の建前の問題は一応別といたしまして、従来とも義務教育国庫負担法の精神から、その半額を負担するという考え方をとるのが妥当であろうということから、その千円の給與引上げの三箇月分につきましては、その半額を補正予算に経費として計上いたす、こういうことが適当であろうという考えのもとに、補正予算ができ上つたのでありまして、その点につきましてはお言葉の通りでございます。
  104. 門司亮

    門司委員 私はなおこの機会に聞いておきたいと思いますが、今の御答弁は大蔵当局としてのものの考え方では一応そういうことが考えられるかもしれないと思いまするが、しかし今日のことに現在地方公共団体の状態というものは、御存じのように税法改正の遅れました結果から非常に長い間財政的には行き詰つておりまして、そうしてその財政が行き詰つている財政でありますることのために、おそらく地方には本年度はそうむだに使つた費用というものはないのではないかというように考えられておるのであります。これを節約せよと言われてもなかなかそう簡單には行かない。ことにこの数字は非常に大きいのでありまして、たとえば年末手当の一箇月分を支給するといたしましても、九十二億を越える額がいるということになつて参りまするし、そのほか給與べースの改訂でやはり四十三億八千万円というような数字を出しておりますが、こういう数字は非常に大きな数字でありまして、地方の自治体で節約してそれを出せと言われましても、おそらく地方の自治体というものは、そう簡單に実際には出し得ないのではないかというふうに、われわれは考えるのでありまして、地方の自治体に対する政府のものの考え方については、これはちよつと横にそれるようでありますが、たとえば人員の整理がしばしば通告をされておりますが、人員の整理等を見て参りましても、純県費でありますところの職員は、各府県とも減少いたしておりまするが、逆に政府の支拂いまする事務員というものはふえておるのであります。これはおそらく各府県をお調べになれば大体そういうものが出て来ると思うのであります。地方は政府の言うことを十分聞いておりまして、人間をつめて減らしておるが、逆に政府支給の職員というものが、県の中でだんだんふえて来ておるということがあるわけでありまして、どうもこの点は本省から人間が多いということを言われながら、本省自体がその間隙に、地方において人間をふやしつつある。これでは地方の自治体というものは、なかなか精神的にも実際的にもそう簡單に承服するわけには行かない。おれの方だけは経費をつめろつめろと言つているが、一体国の方は人間をふやしているではないかということになると思う。こういうことでありますので、実際の実情というものを、ひとつ十分見ていただきたいということと、それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、平衡交付金の増額でありますが、これは平衡交付金法ができて以来、法律の改正に伴います主として厚生省関係でありまするが、これの増額が当然二十三億八千万円、約二十四億円のものを地方自治体が負担しなければならぬようになるのであります。当然これは政府が見るべき筋合のものである。法律の改正によつてそういうものができておるのではないかというふうに考えられるのでありますが、これは一体どういうふうにお考えになつておるか。政府が見られないということは、少しむりではないかと考えておるのであります。
  105. 東條猛猪

    ○東條説明員 最後にお尋ねがございました厚生省関係で当然二十三、四億の平衡交付金がふえるべき分じやないかとおつしやいますのは、生活保護法という御趣旨でございましようか、どういう関係でございましようか、ちよつと私十分にその辺のところの事情を存じませんのでありますが……
  106. 門司亮

    門司委員 これはもちろん生活保護法もありますし、その他今度の例の厚生省関係の社会保障制度に関する法律が、相当大幅に改正されました関係で、各地方でこれを計上いたしました数字が、大体われわれの手元に参つております書類では、約二十四億と書いてございますが、嚴密には二十三億八千八百万円という数字が出ておるのであります。こううい数字がもし大蔵省の方で十分にお気ずきがないとするならば、この機会に聞いておきたいと思いますことは、こういう事実があれば大蔵省はお出しになるかどうか。
  107. 東條猛猪

    ○東條説明員 ちよつとどうもはつきり的確なるお答えができないので恐縮でありますが、私は今御指摘の厚生省関係におきましては、当然平衡交付金の増加を来すような必要のある経費が、明年度予算におきまして計上せられておるというふうには承知をいたしておらないのであります。あるいは御趣旨はいろいろの法律に伴つて、厚生省関係政府の補助金がふえる、そうすると補助金の残額として地方の財源がいるのではないか、こういう御趣旨かと思いますが、それはその経費の一つ一つにつきましてよく検討いたしてみませんと、あまり責任のない出まかせのことはもちろん申し上げては相ならぬのでありますが、私昭和二十六年度の予算の一部を編成にあたりました経験から、どうも今の御趣旨のことが的確に思いあたらないのでございますが……
  108. 門司亮

    門司委員 これは二十六年度の問題ではないのでありまして、補正予算に関する問題であります。
  109. 東條猛猪

    ○東條説明員 重ねてのお言葉でございますから、私の方といたしましても、十分なお研究はいたしてみますが、二十五年度の補正予算の問題といたしましては、今御趣旨のようなことはどうも思いあたらないのでございますが……。
  110. 門司亮

    門司委員 自治庁の方にお聞きいたしますが、自治庁の方は大体こういう数字で大蔵省に当られた事実があるかどうか。
  111. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 門司さんのお話を的確に把握しておるかどうかわかりませんが、その後の問題といたしましては、たとえば食糧公団が廃止になりまして、配給事務を市町村や府県がある程度やらなければならなくなつた、あるはい社会福祉主事設置に関する法律とか、身体障害者福祉法ですか、そういうふうな法律の関係で地方負担がふえて参つておる、こういうふうな数字は計算いたしまして、大蔵省の方にもこういう意味の地方負担の増加もあるということは申し上げております。
  112. 門司亮

    門司委員 今自治庁の方からお答えが、もしそのままであるとするならば、大蔵省はこういう問題に対して、知らないとは言えないと思うのであります。協議はむろんされておる。そしてこれがやはり補正予算の中に組まれておる。補正予算に要求されました額は、私が聞きました範囲におきましては、大体これらのものを含みまして、さらにさつき申し上げました一箇月分の年末手当が九十二億、それから教育の問題に対する改善費というようなものが、四億九千万円であります。あるいは給與ベースの改訂による四十三億というようなものを合計いたしまして、大体百六十四億というものが、補正予算として大蔵省に自治庁関係から大体お話があつたはずである。私はこういうふうに数字的に記憶いたしておるのでありますが、これはおそらく今までの実情を見ますと、大体間違いのないところではないかと考えております。これに対して一体大蔵省はさつきのように、そういうことについては、あまり関心を持たなかつたというか、知つていなかつたというようなことが、大蔵省として言えるかどうかということであります。
  113. 東條猛猪

    ○東條説明員 あまり言葉を的確に把握しないで、次々と申し上げてまことに恐縮でありますが、今のようなお話でございますと、結局地方財政全体の問題として財源付與をどうするか、新たな法律が国会で議決せられましたときに、それを地方団体において実施する場合に、その必要な経費をすべて平衡交付金の増額によつて、これをまかなうべきであるという考え方をとるか、ないしは必ずしも平衡交付金の増額によらずして、地方団体固有の財源、そういうものによつてまかなうのが適当であるという見解によるのか、そこらあたりの考え方は地方財政全体に関する問題から、結論がかわつて来るものではないかと実は存ずるのであります。問題の内容を実は的確に存じませんで、たいへん恐縮いたしておりますが、おそらくはそういう観点から私どもといたしましては、個々の法律に伴う財政需要即平衡交付金の増額といたしまして、補正予算に計上する必要はないという見解のもとに、計上いたさなかつたという筋のものであろうと存じます。なおあまり不的確なことを申し上げてもいかがかと存じますが、私がお答えいたすことができますることは右の通りでございます。
  114. 門司亮

    門司委員 非常に長くなりますし、同時に個々の問題がはつきりいたしませんので、私はもう長く申し上げませんが、大蔵省の考え方といたしましては、当面の補正予算につきましても、先ほどから申し上げておりますように——これは知事会議からもらつて来ております書類がうそであれば別でありますが、きよう知事会議からもらつた書類と、前に私どもの手許でいろいろ総合いたしました数字は実際にはかわらぬのであります。大体似たような数字が出ているのであります。従つてこういう事実に基いて、大蔵省は実際地方の公共団体がやつて行けないという事実が明確になつてつたなら、平衡交付金をふやすなりあるいは補助金をふやすなり、いろいろな財政的処置が一体とられるかどうかということであります。この点をもう一つつておきたいと思います。
  115. 東條猛猪

    ○東條説明員 二十六年度の問題といたしましては、御承知のような閣議決定になつております。なお先ほど来申し上げておりますように、大蔵省で一応立てました数字が正確なものであるかどうか。考え方の筋なり、あるいは基礎的な資料につきまして、目下地方財政委員会ともいろいろ御相談をしている段階でございます。補正予算は、政府といたしましては一応の概略案は閣議決定いたしております。補正予算の内容をいろいろの事情があつた場合に考え直せるかということにつきましては、私はこの席で考え直せるということを申し上げられる立場にございませんので、その点は御了承願いたいと存じます。
  116. 門司亮

    門司委員 実に弱つたものですが、ここで幾らあなたと押問答をしておつても結論は出ない。これは政府の不誠意というか、実際上の問題として知事会議を臨時に招集して、全国市町村長会議まで開いて、大騒ぎをしなければならないような責任は大蔵省にある。もう少し大蔵省に誠意があるならば、知事会議に大蔵大臣でも出て行つて、この数字は間違つておるとか、これは怪文書であるとか答弁しなければならない。しかしさつき聞くと責任者は出ていないと言つている。一体こういうことでほんとう地方自治体の運営ができるとお考えになつているか。大蔵省はそこまでフアツシヨにならなくてもよいではないか。戰争前の内務省よりも、もつと悪い中央集権のあり方ですが、少くとも知事は公選されたもので政府が任命したものではありません。市町村長もその通りである。それらの諸君が住民を代表して会議をいたしておりまする席に、しかもこういう怪文書が出ておつて、これに基いていろいろな議論がされているが、これを明確に解きほどす責任を感じられていない大蔵省がどこにあるか。大蔵大臣がきようおいでになりましたら、そのことを強く言うつもりでありましたがおいでになりません。一体政府は何によつてつているかというのです。政府は国民の上に立つているということは間違いない。住民の代表として選ばれた諸君が集まつて協議をしておりまして、みずから出したか出さぬかわからぬと言つておりますが、大蔵省から出たに間違いがない。一体どこから主税局の地方財政課と書いて謄写版で刷つて出したかというのです。間違いでありましようとも何でありましようとも、出ております以上はそれに責任を感じてこれに明快に答弁をして、誤解があれば誤解を解いて明かにしていただくことが親切なやり方であると思う。それを知事会議から要請されても、責任者がいまだにおいでにならないというのは、不都合な話であると思う。この点については非常に不満を持つておりますけれども、ここで責めてみてもいかんとも仕方がないので、これ以上私は申し上げませんが、さつき申し上げました出ております資料の根拠になります書類だけは、ぜひわれわれにお示し願いたい。ことに二十九府県四十一市六十一町村ということになつておりますが、これらの町村の名前をひとつはつきり知らせてもらいたい。われわれはそれらの県がはたして大蔵省から照会されたものかどうかというようなことも知りたいのでありまして、事税金に関することでありますので、大蔵省もこの問題を真劍に考えてもらいたい。禪問答のようなことはしたくないのでこれだけを申し上げて、一応終りたいと思います。
  117. 東條猛猪

    ○東條説明員 知事会議に大蔵省の方から出ないというお話がありますが、その点だけちよつと申し上げます。  きよう午後政務次官と主計局長が大蔵省の方からお伺いしております。ただいまお話になりましたようなことも、それぞれ議題になりまして、こちらの立場を申し上げておりますから、その点ちよつとつけ加えさしていただきたいと思います。
  118. 藤田義光

    ○藤田委員 大蔵省の主計局長と次長が見えておりますが、実は何から申し上げたらよいか。私も地方財政に対する大蔵当局の認識というものが、全然わからぬわけでございます。国庫財政と地方財政がひとしく国民の負担に、その財源を求めておるというこの常識以上の常識を無視したような予算の査定が、盛んに行われておるのでございます。私は、こういう風潮が非常に深刻になつて参りますると、将来国税は納めないというような重大な自治体の動きが表面化しはしないかとすら恐れるのであります。具体的な問題でいろいろお聞きしたいことがございますが、時間が大分迫つておりますので、簡單にお伺いしますが、今年度の補正予算に地方財政平衡交付金を相当増額されるお気持がありますかどうか、あらためてお聞きしたいと思います。まだ臨時国会まではいつでも補正できまずから、その点お伺いしておきたい。
  119. 東條猛猪

    ○東條説明員 二十五年度の補正予算につきましては、先般閣議決定を一応見ましたもの以上には、ただいまのところ補正予算を予想いたしておらない次第であります。先ほどのお尋ねにもお答え申し上げましたように、その補正予算案におきましては地方平衡交付金の増額は、給與関係の、義務教育の一月から三月の千円の給與引上げの半額について計上いたしておりまするが、その他のものにつきましては計上いたしておらないわけであります。ただいまのところ補正予算に関します政府考え方はそういう次第であります。
  120. 藤田義光

    ○藤田委員 そういたしますと年末の手当、それから義務教育費の関係以外の、地方公務員の昇給に伴う財源がない場合、どういう措置をされるつもりでありますか、お伺いしたいと思います。
  121. 東條猛猪

    ○東條説明員 国の今回の国家公務員の給與改善につきましては、一般の経費の節約によりましてこの財源を調達して参りたい、こういう方針をとつておりまするので、地方公務員の給與の改善につきましても、同様地方公共団体の既定経費の節約によりまして、これが調弁ができますことを期待いたしておるわけであります。
  122. 藤田義光

    ○藤田委員 実はその点が国家財政と地方財政が根本的に違う最大の点でございます。主計局は国家財政は專門家でございますが、実は地方の寒冷地あるいは單作地帶等の町村におきましては、月三、四万の職員に対する支拂いすら困つております。そういうところに持つて参りまして、年末手当を、国家公務員は国家の責任において出すが、地方公務員に関しては知らぬということになりますと、非常に重大な事態か惹起しはしないかというふうに考えております。昨年の年末手当に関しましては、大蔵省の預金部資金を貸し出されたこともございます。また二十三年の暮れでございましたか、五十数億を出されたことがございますが、こういうふうな預金部資金の運用に関しても、御用意がありませんかどうかお伺いしたいと思います。預金部資金は主計局よりも、むしろ銀行局の方の関係でありますが、この機会にお伺いしたいと思います。
  123. 東條猛猪

    ○東條説明員 御承知の通り、本年度の預金部の地方起債のわくは、年度当初から三百七十億というふうに、予定されておつたのでありますが、この三百七十億円の起債のわくも、その後の実行におきまして、いろいろと支障が多いような情勢にありまして、私どもまことにこの問題の解決には地方財政委員会として、苦心をしておるような次第でございますが、結局今の地方起債のわくとの関連の問題でありまして、三百七十億円のわくの中でやれるかどうか、また三百七十億円のわくの中でやれないとするならば、現在ともすればその三百七十億円のわくが縮められそうな傾きがありまして、これが打開に苦心いたしておりますが、さらにそれを増額するということが可能であるかどうか、そこら辺の検討も十分いたさなければならない問題であろうと思います。お話のようにせめて金融措置によつてでも、所要の財源を調達して参らなければならぬという地方団体がございますれば、それらの団体につきましては、格段の御考慮を拂わなければならないとは存じますが、今申し上げましたような地方起債のわくとの関係もございますので、その辺のところは今後の問題として、十分検討して参らなければならぬ、かように存じております。
  124. 藤田義光

    ○藤田委員 実はその地方起債の本年度のわくの問題に関しましても、これは当局の責任でないと思いますが、大蔵大臣の折衝のやり方に致命的な落度があつたのではないか。三百七十億ということで完全な了解をされたというので、事務当局でいろいろ準備されましたが、ふたをあけてみましたら、三百億にするというようなことを最近になつて関係方面で言うというような重大な問題がございまして、いずれ表面化するだろうと思つております。この額をふやすにいたしましても、実はシヤウプさんが来まして、すぐ大蔵大臣が会いまして、地方財政には冗費が多いというようなことを宣伝しましたがために、地方財政実情を訴えるのに各方面に非常に苦労したという、なまなましい実績があるのであります。私は、大蔵当局がこの際こそ熱意をもつて当れば、このこともできるのではないか、現に二十五年度には預金部資金約五百億ぐらい余剩ができるという見通しも立つておりまして、また国の歳出も相当繰越しができるのではないかというようなことが新聞に発表されております。そういう状態でございますから、遊んでおる金を活用する、しかも深刻な状態にある地方財政を救うためにやるという観点から押せば、必ずできるのではないか。次長のお話によりますと、すでに交渉前に、交渉してもだめだというようなあきらめの気持が多いようでありますが、ぜひともこの点は——われわれは何も地方財政のみの代弁をしておるのではありませんので、国家的見地に立ちまして、国家、地方両公務員の均衡のとれた待遇をやらないことには、こういう方面から国内秩序、思想問題等が非常に危險になるということを深刻におそれております。実はこういうことを申し上げたくないのでありますが、昨年の秋は預金部資金百億、表面は市中銀行になつておりますが、実際はほかの方面に、しかも一箇月という関係方面の了解で出しておられます。厖大な貴重な預金部資金が、こういう方面に出されるものならば、全国一万二千の自治体にこの際万難を排して出せる実力が、大蔵大臣にあるのではないかということをわれわれは確信しております。もう一回、近く大蔵省をあげて、地方財政委員会協力して、預金部資金のわくをふやす努力をされるような気持がありますかどうかお尋ねします。
  125. 東條猛猪

    ○東條説明員 預金部資金のわくの拡大の問題につきましては、大蔵省といたしましても従来ともいろいろと努力をいたして参つております。またお話のように、この地方財政の問題を離れましても、預金部資金の余力をいかに運用するかということは、金融問題としても非常に大事な問題でもありますし、いわんや地方団体に対する起債の問題は、大蔵省といたしましてもきわめて大事な問題であると考えておりまするので、ただいまのお言葉の通り、私どもといたしましては今後とも、地方起債のわくの問題については及ずながら努力いたしたいと存じております。この点は国会方面の皆様方の御援助、御協力を私ども切にお願いいたす次第であります。
  126. 藤田義光

    ○藤田委員 実は昨年の地方配付税のわくの問題で非常な悪例を残しまして、池田大蔵大臣就任以来、地方財政と国家財政というものが遊離して参りました。これはせつかく地方分権が軌道に乗りつつあるとき、私は大きな暗影を投じておるのではないかと思います。そうして今回の給與問題その他に関連いたしまして、大蔵省の現在の態度を是正しないということになりますと、自治体の主体性ということに藉にしまして、むしろ国家財政本位で、地方自治の発展を阻害することを、間接に大蔵省がやつているという印象を、国民が受けるのではないかということを非常におそれております。平衡交付金の内容に関しまして、今さらここで一々取上げて申し上げる必要もございませんが、東條さんはこの二十六年度予算の中にあります一千八十億の平衡交付金の額を、実際にそろばんをはじいた事務当局の有力な責任者として、あの数字で一体地方財政がやつて行かれるという信念を持たれてやつたのか、あるいはどうも財源がないから、非常に不満足であるが、あの程度でがまんしてもらおうという気持で査定をされたのか、この点お伺いしたいと思います。
  127. 東條猛猪

    ○東條説明員 非常にむずかしいお尋ねにあずかりまして困惑いたしますが、主計局で一応試算いたしました数字につきましては、それぞれ府県、市町村から二十四年度の最終予算の数字としていただきました数字を基礎にいたしまして、いろいろの推定は入りますけれども、それによつて算定いたした数字でございます。ただそれが私どもといたしまして、片寄つた考え方なり、そういうものから曲げられておつてはなりませんので、地方財政委員会の方にもその数字を御検討を願つておるという次第なのであります。従いまして出たその計数の過程には、あるいはわれわれといたしましても見落しがあつたり、いろいろな誤謬なきを期しがたいのでありまして、その意味におきまして、まだこの結果の数字につきましては、十分これでいいのだ、もう対外的に発表してもいいのだという確信のある数字ではない、なお検討をしなければならぬ数字であるということを、先ほど来実は申し上げているわけでありまして、その意味において、お前はあの数字に対して信念を持つているのか、こう言われますと、半分信念のあるような、あるいは少し手前かつてのあるような点がありはしないかということは、検討してもらわなければならぬというような気持で、私個人としてはいるわけなのです。従つて先ほど御質問がありましたように、それでは全然算定の基礎に信念がないのかとおつしやいますと、それは計算した内容については、こういう計算方法でやつた、こういう計算資料を使つたという意味におきましては、責任をもつて御説明をしなければなりませんし、これは内部の問題でありますが、内部の問題については、またそれを説明するだけの信念を私は持つておりますが、しかしその結果が十二分のものである、第三者的にも対外的にも十二分のものであるかといいますと、そこまでの信念は持つておらない、だから十分検討していただきたい、こういう意味であります。非常にむずかしい御質問で、答弁になつているかどうかわかりませんが、ざつくばらんに申し上げた私の気持はこうであります。
  128. 藤田義光

    ○藤田委員 私の質問はこれで打切りますが、来月予定されております臨時国会前に、当委員会を開かれまして、二、三日間大蔵省と地方財政委員会と、ただいま申し上げたような問題を中心に、徹底的に審議したいと思いますが、委員長その予定がありますか。
  129. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ついでに申し上げておきますが、来月臨時国会がどういうふうになりますかわかりませんが、一応やはり十日、十一日を予定しておきたいと思います。
  130. 河原伊三郎

    ○河原委員 先刻全国都道府県知事から、歳入の非常な欠陷で、差迫つていて、につちもさつちも行かないという陳情があつたのですが、一面大蔵省のこの文書によりますと、余裕があるということになつております。しかもその資料はともに同じ府県から出ておるものでありまして、一つの府県から出たものに二つの結果を招来しておる、こういうことになりますれば、当委員会といたしまして、その府県から大蔵省へ出されたところの資料並びにこれに所要の補正増を加えたものということに大蔵省でなつておりますので、先刻門司委員から二十九府県、四十三都市、六十五町村の名を知らせろということでありましたけれども、單に名を知らせてもらうばかりでなく、その内容、いわば写しを当委員会の方へ出していただき、あわせてこれに所要の補正増を加えたというその補正増の数字を加えてもらつて、そうしてわれわれの審議の有力な資料にしたいと思いますので、委員長からひとつこれを要求してもらいたいと思います。なお本日の委員会はこれで終ることにしていただきたい。
  131. 門司亮

    門司委員 これは今河原委員からも請求がありましたが、ついでにもう一つ私が触れておきたいと思うことは、これもやはり一つの怪文書である。それが怪文書を生むもとだと思いますが、「シヤウプ勧告に対する批判」、別紙にちよつと書いてありますが、その第一項にこういうことが書いてあります。「シヤウプ使節団は地方財政に関して何等の検討も加えていない。昭和二十五年度における地方税の多大の増徴に拘らず、その基礎となる歳出について何等の調査もなさなかつたことは、無責任と言わなければならない。」こういうことが一番先に書いてあります。もしこれがほんとうにこの大蔵省の言うように、無責任と言わなければならないほど、無責任なものであるならば、責任のある大蔵省の書類をひとつこの機会に出してもらいたいと思う。この別紙だけではちよつと了承ができませんので、責任のあるものを出していただきたいと思います。
  132. 前尾繁三郎

    前尾委員長 河原委員の御意見もありましたが、これはわれわれ役人時分にずいぶんそういう資料をこしらえて、次から次に数字がかわつておりますから、どういう資料を出すか、また打合せして善処します。
  133. 川本末治

    ○川本委員 本日は午前中に都道府県の知事の陳情に始まりまして、ただいままで門司、藤田両委員から大蔵当局に対して、切実な質疑応答もあり、大蔵当局といたしましては、珍らしく誠意を披瀝した御答弁を拜聽いたしましたが、わが国の政治の特殊性からいたしまして、これ以上のことは、現在の大蔵当局としては、お聞きすることは無理かと思いまするが、事ははなはだ重大な問題でございまするので、この際ぜひとも当該の責任官庁でありまする地方自治庁の方におきまして、十分ひとつ中にお入りを願いまして、地方の公共団体の要求に——これも必ずしも全部私どもは陳情のままをうのみにすることはどうかと思いまするが、いずれにいたしましても何とかこのはけ口を見出していただかないと、このままでは終らない問題であろうと思いまするので、どうか今後とも——きよう午前中にもこの問題で委員会を開いたらどうかというような御意見もちよつと聞きましたが、何にいたしましても、閉会中でありまするので、各委員の諸君も遠隔の地の人々は出て来られるにも、いろいろ御迷惑な点も多々あると思いますから、幸いにきようは自治庁の方では小野政務次官もおいでになつておりまするし、最も頭脳明晰な奧野君も来ておりまするので、十分内輪においてこの問題はぜひとも国民の要望にこたえ得るように、ひとつ御解決を願いたい。かように私自治庁に要望いたしておきたいと思います。
  134. 小野哲

    ○小野説明員 ただいま川本さんから御要望があり、また所見の開陳をお求めになつたわけでありまするが、先ほど来大蔵当局からの御説明があり、また奧野財務課長からも説明をいたしたので御了承を願つておると思いますが、地方財政現状はきわめて重大な段階に達しておると考えておるものであります。従いまして政府部内におきましては、地方財政委員会及び大蔵当局が十分に緊密な連絡をとりまして、適正な数字による見通しをつけて、努力をいたして行くように私も極力進めて参りたいと考えております。同時にまた全国知事会議を初め、各地方団体の代表者から要望されておりまする点につきましても、十分に耳を傾けまして、地方自治庁といたしまして、その持つておりまする使命にかんがみまして、せつかく努力を続けて参りたいと存じますので、当委員会におきましても、この間の事情をとくと御了承願いまして、せつかく協力をいただきますならば、たいへん仕合せに存ずる次第であります。
  135. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 奧野さんにお尋ねいたしますが、市民税のことですけれども、未亡人は十八歳未満の子女を連れておる人は、住民税は削除されますが、六十五歳以上の老齢の人で十八歳未満の子供を連れている人は、住民税をとられております。これは私は一つの悲劇であると思います。もし九十歳の人が十八歳未満の孫を連れておつたら、その人はやはり住民税をとられる。これは私は非常に不合理と思います。あなたの御所見はいかがでございますか。
  136. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 地方税法立案のときにも、そういうことがいろいろ議論になつたわけであります。しかし立案に当りました当時の考え方は、單に年齢の差で課税するか、課税しないかということをきめることは穏当ではないのじやないか。もとより老齢者につきまして、気の毒な事情にあります人は、しかるべく免除するなりあるいは減税するなりということを、地方団体がおやりになつてさしつかえないのでありまするから、そういう方法措置をとつた方が実情に合うのじやないか、かような考え方を持つたわけであります。なお年齢で言いますと、七十歳、八十歳になりましても、総理大臣をやつておる方もありますので、できるならば年齢に……。
  137. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 ただいま奧野さんのお説でございますけれども、われわれ婦人の立場から言いますと、未亡人は十八歳未満の婦女子を連れておる人は住民税は免除せられるが、もしその人が妾だつたらどうするのですか。表面は未亡人であつて、実は裏に男の人がついている。この人が十八歳未満の子供を連れておつたら、その人に対しては住民税はとらない。そうして六十五歳の人、七十歳の人、八十歳の人——吉田さんのようなりつぱな入はどうかしれませんが、六十歳以上のそういう人に住民税というような重税を課税するということは不合理であると思う。これは何とかならないものですか。
  138. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 市町村民税は、市町村の住民である限り原則として全部納税してもらいたい。その際に国家的の意思から、こういう人たちに対しては課税免除の特権を與えたい。しかしながらなお個々の実情に応じて課税免除の特権を與えるべきものは、当該地方団体が実情に即して、議会の議決なりその他によつて減免の措置をとつてもらいたい。こういうような建前をとつておりますので、一律形式的に規定いたしますと、今お話になりましたような矛盾も出て参るだろうと思うのであります。しかしそれは個々の地方団体が現実に課税いたします際に、できる限り実情に即したような措置をとれるようにいたしておりますので、そちらの面で救済できるのではないだろうか。ただ画一的にやりましたような場合は、私が申しましたような点もございますので、画一的に規定することは穏当じやないか、かような考え方を持つたものであるという立案の経緯を申し上げたわけであります。個々の問題は当時も説明がありましたように、もつぱら戰争未亡人のような気の毒な境遇から考えまして、何か国家的な特別な配慮をそこに加えた方がいいじやないか。だから地方税法の明文として掲げましたそれ以上に、ただいま例示されましたものにつきましても、お気の毒な方がたくさんあるだろうと思います。地方住民税は一万余の地方団体の地方住民税でありますから、そういうものはやはり個々の団体において、個個に解決していただいた方がよろしかろう。こういうように考えた次第であります。
  139. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 そういう点は一応御考慮願いたいと思います。  それからあまりにプライベートの問題になりますけれども、私の方の舞鶴市は市会が空白になつているのです。そうしてここ三箇月ぐらい市会が招集することができぬ。すなわち市会議員がないのです。この場合市長の権限はどこまであるでしようか。ちよつと私知りたいと思うのです。教えてください。あなたは頭がいいのですから……。
  140. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 法律上は專決処分につきまして制限を置いておりませんので、條例で規定すべきことでありましても專決処分でできると思います。しかしそれには常識的な限界というものがあるだろうと思うのでありまして、課税の問題までも專決処分でやるということは、いかがかと思うのであります。法律上禁止はされておりませんけれども、社会的な常識判断から言いまして、やはり早急に市会を開けるようにいたしまして、條例を議決すべきじやなかろうかというふうに考えております。
  141. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それではちよつとお尋ねいたしますが、私の方の舞鶴は、けんかばかりしております。それでつまりこうなんです。市長は今できたのですけれども、そこに共産党の人が五人無投票で当選したのです。そうしたらその人を今度は市の選挙管理委員会が、今リコールしておるわけなんです。ところがその人はどうしてもリコールに応じないで、そして行政訴訟をしておる。その行政訴訟はどういうふうになるのでしようか、ちよつと教えてください。
  142. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 今の問題はよくわからないのでありますから、私からお答えするよりも、行政関係の責任者からお答えをいたしまして、間違いのないようにした方がよろしいと思いますので、あとで当局者の方に連絡しておきたいと思います。
  143. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ほかに御質疑ありませんか。——ちよつとこの際お知らせしておきますのは、全国自治体警察連絡協議会会長警視総監田中榮一君より、地方行政委員長あてに、来る十月二十一日午後一時より五時まで、京都市同志社大学において、全国自治体警察長大会が開催されるので、御出席願いたいとの案内状が参つておりますので、念のためにお知らせいたします。
  144. 立花敏男

    ○立花委員 專門員室の方にお聞きしたいのですが、門司さんが怪文書だと言つたやつですが、これはどこからお手に入れられたのですか、ちよつとお聞きしたいと思います。シヤウプ勧告に対する批判です。
  145. 有松昇

    ○有松專門員 たくさん配つたやつですか、それはさつき知事会議の方から配つて参りましたものをお配りしたのです。
  146. 立花敏男

    ○立花委員 これは大蔵省の主計局地方財政係と書いてありますが、これは間違いありませんか、これをひとつお聞きしたいのです。
  147. 有松昇

    ○有松專門員 專門員といたしましては、向うの方から持つて参りましたのを、お取次したわけでありますから……。
  148. 前尾繁三郎

    前尾委員長 あとで内容を照合しないと、何とも答えられないでしよう。あとでお聞きください。
  149. 立花敏男

    ○立花委員 しかしお配りになる場合に、お役所の名前が入つたものは、はつきりしたものでないと困ると思うのです。しかもこの中には重要なことが書いてありまして、シヤウプ勧告は無責任と言わねばならない。またシヤウプ勧告は誤謬を含んでおると、はつきりお書きになつておりますので、專門員室が資料としてはつきりお配りになりしかも大蔵省の署名が入つておりますので、これははつきりしていただきたいと思います。どうなのですか。
  150. 東條猛猪

    ○東條説明員 どうもよく調べてみますると、大蔵省の内部で、あるいは係官が自分のメモ程度のつもりで書いたものではなかろうかと思います。いやしくも大蔵省主計局地方財政係官と書いてございます以上は、自分の方の部内でつくつたものではないとは申せぬと思いますが、それは地方財政の係官が自分のメモ程度として書いたものでありまして、言葉といたしましても、シヤウプ勧告の内容が無責任であるとか何とかいうことは、大蔵省としては毛頭そういうふうに考えておりません。従いまして、係官が自分のちよつとしたメモ程度のものを作成いたしますときに、まあ筆がすべつたとか何とかいうことで、係官が心覚えに書いたのではないかと思います。先ほど来申し上げておりますように、それがどういう経路で当委員会に配付せられたようなことになつたのか、いやしくも主計局内部の書類が外に出ております関係上、その点については私は主計局の幹部として責任を感じますが、どの程度かそれを見せていただきませんと、はつきりしたことは申し上げかねますけれども、やはりそれは主計局としての責任のある文書ではないというふうにお考えいただきたいと思います。
  151. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会