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1950-10-10 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十日(火曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    門脇勝太郎君       川本 末治君    清水 逸平君       中島 守利君    鈴木 幹雄君       大矢 省三君    久保田鶴松君       立花 敏男君    大石ヨシエ君  委員外出席者         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方行政調査委         員会議議長   神戸 正雄君         地方財政委員会         委員長     野村 秀雄君         地方財政委員会         財務部長    武岡 憲一君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  本日は地方行政調査委員会議長神戸正雄氏、地方財政委員会委員長野村秀雄氏がお見えなつておりまして、行政事務配分に関する試案についていろいろお話を承ることにいたしておるのでありますが、もう少し委員の方がおそろいになりましたときにお願いいたしたいと存じます。  それでは地方自治に関する件、地方財政に関する件を一括して議題といたします。質疑通告がありますのでこれを許します。川本末治君。
  3. 川本末治

    川本委員 地方税実施されましてから地方で最近一番大きく論議されておりまする点を見ますると、何と言つて市町村民税に対しまする所得割のきわめて不均衡であるという点と、さらに年度末近くなりまして政府平衡交付金返還を迫つておりますこの二つが、今地方では相当問題になつておると思います。  まず私は市町村民税について一応お尋ねしてみたいと思いますことは、二十四年度所得税がきわめてずさんなものであり、不均衡なものであるということが、常に言われておりましたが、実際各市町村とも市町村民税にこれを割当てますと、きわめて不均衡な点がはつきり現われて参つたのでありまして、当局も申し上げるまでもなくよく御承知のことと思いますが、この市町村民税の割当の実情から見ますと、われわれが当初から最も心配をしておりましたことが如実に現われて参りまして、事実上給與所得者というものが最もこの点において過重をされております。極端な例を申しますと、雇用者よりも被雇用者の方が多く税を拂わなければならぬという現状に立ち至つております。特に純農村はあまり大した問題はないと思いますが、私の愛知県の二、三を見ましても、瀬戸市のごときは非常に問題が大きくなつております。それはどうであるかといいますと、最近個人経営者が大体事業税などの関係から法人に組織かえをしております。これらのものは均等割のみを課せられるというようなことであります。そこに使われておりますかせぎ人は、全部両方をかけられておるというような点で、はたしてこれが納まるかどうかというようなことが論議されておりますが、この適当な方法をいかにして勘案するかという点につきまして、当局に何か御名案がありましたら、その点をまず第一に承りたいと思います。
  4. 小野哲

    小野説明員 お答え申し上げます。ただいま川本さんから地方税法実施後における具体的な問題についての御質疑があつたのでありますが、ただいま御指摘になりましたように、市町村民税を今回実施するにあたりまして、所得割及び均等割の新しい制度を採用いたしますとともに、二十五年度分につきましては前年度所得税額課税標準として税率をかけ合わせるという方法をとつて参つたわけであります。この場合に法人個人とを比較いたしまして、個人の方に重みがよけいかかつて来る、こういうお話でございましたが、なるほどごもつともな御意見と思うのであります。またこの市町村民税が前年度所得税額課税標準といたします関係上、前年度所得税額につきましての決定額自体について、種々の問題があつたといたしますならば、これに相応いたしました問題は、やはり地方税市町村民税の上にも現われて来るということはいなめない事実であろうと思うのであります。ただ問題はただいまお話になりましたように、給與所得者が税の負担につきまして、非常な重圧感を感じておるということは、私どもも十分に推察いたすわけでありまして、この点につきましては、一つは所得税額課税標準とするという制度がよいか悪いかということが考え得られますのと、それから徴税方法がはたしてただいま実施されておりますような方法でよいか悪いかということも、検討の対象になるのではないかと思うのであります。今回シヤウプ博士が第二次勧告を出されました際に、すでにごらんのことと思いますが、市町村民税につきましても博士勧告の趣旨が現われておるのでありまして、第二次勧告によりますれば、まず賦課方法といたしましては、その課税標準となるべきものを課税所得金額一定割合で行うという方法も来年度において研究をする必要があるのではないか、こういうことを申しておるわけであります。それと同時に前年の所得課税標準とする現在の制度にかわつて、当年分の所得課税標準として市町村民税課税する。特に給料及び賃金から税金を源泉徴收をするという方法を試みることが慫慂されておるわけでございます。この問題につきましては、かねて本委員会においても論議があつたわけでありますが、給與所得者課税方法につきましては、むしろ源泉徴收方法によるべきことが妥当ではないか、こういう御意見も承つたのであります。また政府地方税法案を提案する際におきましても、地方自治委員会議その他の会議におきまして、いろいろ論議が闘わされたのでありますが、結局におきまして現行法のごとき方法による徴税をいたすことになつたわけであります。従つて法人個人との関係において現行税制度において、ただいま御指摘になりましたような問題が散見いたされますと同時に、徴税方法の上におきましても、特に給與所得者の上に不便あるいは納税の重圧感を與えるという問題等もございますので、この点につきましては政府におきましても地方財政委員会の御意見をも十分に伺いまして、善処して参りたいという心組みをもつておる次第でございます。ただいま川本さんからいろいろ地方実情に即した御意見を拜聽いたしまして、私どもも十分にこれを参考にさしていただきまして、今後の善処方を考究して参りたいと考えておる次第でございます。
  5. 川本末治

    川本委員 ただいま小野政務次官からきわめて御親切な御答弁をいただきまして、私どももぜひともこの地方民要望いたしております点を、一日も早く実現できますように、一層の御努力要望してやみません。税法の中には市町村による計算というので、きわめて不公平な所得割のありまする場合には、これを三百五十條から十七條までの間で、独自の立場において市町村が再計算をすることができるように規定づけられてはおりまするが、これはただ形の上だけでできておるので、実際においてこの問題を実施することになりますと、これは不可能な問題であると思いますので、こうしたことによらないで、根本的に市町村税に対しましては十分な検討を煩わしまして、ぜひとも次の通常国会にはこれが実現でき得るようにひとつ御努力を願いたいと思います。  いま一つお尋ね申し上げたいことは、今問題になつております平衡交付金返還の点であります。これは現在の地方から見ますと、事実上所得税のごときは徴收不可能であるような数字が、悪く言えば政策的に掲げられておるような数字を、そのまま市町村歳入の面へ持つて来ております点、さらに所得税の二十四年度の分にいたしましても、四月初めのものをもつて計算しておりますので、その後に更正によります移動などがありますれば、そういう点は当然都道府県において割引いて計算をされるべきじやないかということも思われるのであります。なお歳入は実際数字の面だけで事実取入れることのできない数字をもつて歳入に充て、さらに歳出の面に至りますと、相当わくが狭められておりますので、一例を申しますと、かりにある町村で一千万円の歳出を仮定されておるといたしますと、事実上は平衡交付金の算定のわく外にありますものが四、五百万円はあると見なければならぬ。そういうところに大きな響きがありますために、事実上今日返還を迫られております町村は、はたして平衡交付金返還し得るやいなやという点でありますが、返さなければあるいは次年度の方へこれを繰越して計算してみてもいいというような考えも、あるいはあるかもしれませんが、そういうことは実際問題として行い得るかどうかという点につきまして、現在おそらく各地方公共団体では過拂いをいたされました平衡交付金返還するという意見を持つていないというような感じが強いのでありますが、この問題に対しまして政府といたしましては、どういう御処置をおとりになるお考えであるか、これを承りたい。
  6. 小野哲

    小野説明員 私からまずお答えをいたしたいと思います。平衡交付金概算交付をいたしました際に、本委員会においても御質問がありまして、よけいに交付したものについては将来これをとりもどすか、こういう御質問があつたように記憶をするわけであります。その際私から、さような場合におきましては、清算の上で、よけいにもらつているところはお返しを願うことにいたすということを御答弁いたしたと思つております。この考え方は今でもかわりがないのでございます。ただ地方税法案が不成立になりました直後における緊急の措置として、地方財政平衡交付金暫定措置をとりました関係上、また地方税法がその実施がずれて参りましたために、地方財政運営の上には変則的な現象が起つているということも、いなめない事実であると思います。この場合に、いわばよけいにとり過ぎているというふうな地方団体に対しましては、ただいま申し上げましたような考え方お返しを願うということになるのでありますが、同時に地方財政の現況を無視するわけにも参りませんので、新地方税法による税收実情が、どうなつているかということにつきましては、地方財政委員会においても十分に検討をする必要があるであろうと考えている次第であります。ただ原則的な考え方といたしまして、今申し述べたような実情にあるのでありますが、今日は地方財政委員会事務局武岡財務部長も出ておりますので、その取扱方につきましての考え方説明いたしたいと思いますので、お聞取りを願います。
  7. 武岡憲一

    武岡説明員 さき概算交付をいたしました平衡交付金還付の問題につきましては、ただいま次官からお話がございましたように、計算をいたしまして、過分の交付金を交付しておりました分についてはお返しを願うわけでありますが、その具体的な方法につきまして、まただい事務局におきまして成案を練りつつあるわけでございます。ただ平衡交付金も、先般地方財政委員会の規則を制定いたしまして、とりあえず仮決定額計算いたしつつあるのであります。ただいまの進行状況から申し上げますると、大体府県分につきましては一応の計算が出たのでございますが、町村分につきましてはまだ全体の数字がまとまつておりませんので、近くその事務も終了いたすことになつて極力急いでおるわけでありますが、その数字が出て参りましても、一応のところいまだ仮決定額でございます。これは特にいわゆる基準財政收入額計算の基礎となりまする、たとえば固定資産税等については、まだ十二月が納期になつておるような関係から、ただいま正確な数字がつかめません。そういう関係もございまして、私の方といたしましては一月に正式の決定をいたすつもりでおるわけであります。従いまして事務的には明年の一月になりまして正式な額が決定をし、従つて還付しますところにつきましては、そのお返し願う金額確定をいたすわけであります。もちろん仮決定額と正式の確定額との間には、大きな開きがない見込みでございますので、現在におきましても大体お返しを願うところの町村あるいは県と、それからそのおよその額の見当はつくわけでございますので、私の方でその見当のついておりまする実情によりまして、各団体財政状況等をにらみ合せまして、なるべくむりの行かないような適当な還付方法考えたいというので、極力成案を練つております。近く決定をいたしまして、各団体の方にもお知らせ申し上げたい、かように考えております。
  8. 川本末治

    川本委員 返還事務的方法につきましては、今承りまして了承いたしましたが、その結果、前委員会で私が質問いたしましたように、北海道のごとき、まつたく平衡交付金多額にもらわなければやれない府県に対しまして、御答弁によりますと、一月の末にならなければ、これが決定しないような状態でありますが、その間そうした府県に対しまして、どういうふうな暫定の御処置をおとりになるお考えでありますか。
  9. 武岡憲一

    武岡説明員 来年の一月に決定をすると申し上げましたのは、正式の最終的ないわゆる交付金額をきめるのでございます。そこで今回、先ほど申し上げましたように、現在のところで大体の概算額、いわゆる仮決定額がわかつて参りましたので、この計数をもとにいたしましてとりあえず今月及び明月に渡りまして、その幾部分概算、つまり第三回目の概算交付をいたしたい、かように考えております。
  10. 川本末治

    川本委員 そうしますと大体の概算はおわかりになつておるようでありますが、現在過分に渡してある分の返還をなすべき義務を背負わされておりまする府県の総額は、どのくらいの金額に相なりますか。
  11. 武岡憲一

    武岡説明員 府県といたしまして現在のところお返しを願うことに相なると思われますのは、東京大阪、京都、愛知というようなところであつたと思いますが、ちよつと金額は今資料を持ち合せておりませんので、後ほど申し上げたいと思います。
  12. 川本末治

    川本委員 概算数字がおわかりにならぬことは、はなはだ遺憾でありますが、実際の問題といたしまして交付される平衡交付金は足らない部分に対する七〇%の率でありますので、東京大阪、名古屋というような大都市から返される額は、相当額になると思います。ところがこうした大きいところはあるいは返し得るかもしれませんが、市町村に至りますると、最初申し上げましたように、実際においてはこれは実行不可能だということを、一応考えて行かなければならぬと思いますが、先ほどから申し上げておるように、北海道のごとき、全道まつたく多額平衡交付金を交付しなければやつて行かれないところに対して——ひとり北海道だけでなく、他の農業県にも多分にあると思いますが、こういう府県支出をせられる面についての支障はないのでありますか、この点を承つておきたい。
  13. 武岡憲一

    武岡説明員 地方財成委員会といたしましては、返していただくところは別といたしまして、さらに追加して、さき概算交付したものよりもよけいに交付いたさなければならない各団体に対しましては、とりあえず本年中に仮決定額の中の若干分を概算交付するつもりでございます。それは先ほど申し上げた通りでございまするが、その分については金額関係から執行が可能であるかというお尋ねでございますが、さきに申しましたように、町村分の方の正確な数字がただいま手元に出ておりませんので、正確には申し上げかねますが、少くとも今年やりまする第三回の概算交付、これは支障のない程度において支出ができるものとかように考えております。ただこれを年度末までに、つまり最終的に全体の始末をつけます際においては、御指摘通り還付が非常に困難であるということになりますと、その間に予算執行に非常にさしつかえることがあります。その間の調整をどうするかということについては、さらに詳細に検討いたしたいと考えております。
  14. 川本末治

    川本委員 ただいままだはつきりした数字すらも、おつかみになつていない当局に向いまして、多く言葉を費してもむだだと思いますので、この問題はこの程度にいたしておきたいと思います。  最後に特に希望を申し上げておきますることは、どうか一日も早く平衡交付金によらなければ、実際に地方財政がまかなえないという今日の税財源に対する貧弱県に対しまして、せつかく地方制度の改革に伴いまする今回の新しい地方税が出ましても、そのために以前よりも悪くなるような地方実情を繰返させないように、特に御高配をお願いいたしておきます。  最後にいま一つ平衡交付金の問題に関連いたしましてお尋ねいたしたいことは、今回政府が発表いたしました給與ベース改訂に伴いまする地方財源の点でありますが、この点について今月の四日に知事会議を開きましたその結論には、はなはだ穏やかでない言葉を巷に聞くのでございます。さらにそのために明十一日、緊急知事会議を招集しておるやに聞いておりまするが、知事会議の意向を漏れ伝え聞きますると、平衡交付金も約百六十九億円出してもらつて、それによらなければ地方公務員給與引上げ実施することができない、こういうことを要望したのに対しまして、大蔵当局の方では、これはできないとはつきり拒絶をしておるようでありまするが、その間におかれまして、地方自治庁におきましては、相当御苦心をしておいでになることと思いまするが、自治庁として、ただいまいかにしてこの問題を解決するかということについて、お考えなつておりまする具体的な案がございましたら、一応承つておきたいと思います。
  15. 小野哲

    小野説明員 私からお答えをいたしたいと思います。ただいま川本さんからお話がありました地方公務員給與ース引上げに伴う財源措置の問題でありますが、この問題は、川本さんのただいまお話になりましたのは、昭和二十五年度分において実施するその分を御指摘なつておるのじやないかと思うのであります。と同時に昭和二十六年度分の問題もあることは御承知通りでございます。政府としましては、昭和二十五年度における補正予算の編成をいたすにあたりまして、種々この点につきまして協議を進めておるのでありまして、いまだ最終的の結論に達しておらないと私も承知をしておるのであります。昭和二十五年度分の地方財政計画は、御承知のごとく地方税による收入見込み額千九百余億と、地方財政平衡交付金の一千五十億と、さらにその他の雑收等を加えましたものが地方財政計画の根幹をなしておるのは御承知通りであります。従いまして、昭和二十五年度地方公務員給與ベース引上げるということになりますと、これに対しましては何らかの財源措置を必要とするということは考え得るのでありまして、先般来閣議におきましても、主管大臣からも十分に発言もいたし、協議も進めており、目下なおこれが実現に対してせつかく努力を傾注いたしておる次第でございます。各府県知事からもこの点につきましては、川本さんがお話のように強い要望が出ておりまして、私どもも直接関係知事とも面会いたしまして、要望の次第を十分に聞いておるわけであります。従つて地方自治庁といたしましては、財政運営を主管されております地方財政委員会の御意見を、全面的に尊重いしたまして、極力政府の施策にこれを反映せしめるように目下努力を続けておるような次第で、今日具体的にこういうような結果になつておるということを申し上げる時期には、いまだ至つておりませんけれども、なおしばらく時日をかしていただきまして、一層努力をいたしたいと考えておる次第であります。
  16. 川本末治

    川本委員 小野政務次官から詳しく承りましたことによつて、大体府県知事会議結論も見出し得ると思いまするが、私ども多分心配をしておりますることは、今日は大蔵省のお役人おいでになりませんが、とにかく大蔵官僚は、ただ数字のみこだわりまして、数字のこと以外には実際問題としていろいろな点を無視する感がありまするので、十分ひとつ自治庁におきましても、練達堪能小野政務次官おいでになることでありまするから、その間大蔵省役人の方とも御交渉を願います。私どもが多少心配をいたしますることは、いやしくも府県知事でありますから、そういうことはないだろうと思いまするが、公選によりまする知事諸君任期満了は、目睫に追つております。ややもすると今日府県知事の中にも、こうした問題をとらえて、次期の選挙にこれを利用しようとするような形がないとも言えない点がありまするので、そうしたことに利用されないように、十分ひとつ自活庁におきましてもお考えをいただきまして、円満にこの地方公務員給與ース改訂が行われまするように、一段と御努力を願いますることをお願いいたしまして、私の質疑を打切りたいと思います。
  17. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではまだ質疑通告がありまするが、本日は地方行政調査委員会議議長神戸正雄先生並びに地方財政委員会委員長野秀雄氏がお見えなつておりまするので、なおまた行政事務の再配分その他に関する調査委員会議進行につきましては、先月鵜澤總明君からいろいろ御説明願つたのでありまするが、その後行政事務配分に関する試案をいただきまして、お手元に配つてあるはずであります。従いましてこれに関する御説明神戸先生からお願いしまして、あと神戸正雄氏、野村秀雄氏に対する質問をいたしたいと思います。神戸正雄君。
  18. 神戸正雄

    神戸参考人 行政事務配分のお仕事を担当しておりまする私といたしまして、一応御説明申し上げまして、御質問お答えいたしたいと存じます。  この仕事は本年の初めから着々進行いたしておりまして、まず基本の方針を定め、それに基きまして、各行政部門にわたつて一応検討を加えまして、現状から見ましてなお改めなければならぬ点を、一々結論を出そうとして努力しておる次第であります。重要な問題につきましては、大体見当をつけたのであります。しかしなお細部にわたりまして足らぬところがありますので、その方をただいま検討中であります。さらに前におよそきめましたことも、全体を見渡した上で、かれこれ修正を加えなければならぬということでありまして、いまだここではつきりとこういうふうにしたいということを御報告申し上げる段階には達しておりません。しかしそう遠くない将来におきまして、できれば今月一ぱいと考えておりますが、あるいは来月にわたるかもしれませんが、近い時期におきまして一応の結論をつけまして、勧告案をつくりたい、こういうふうに考えておる次第であります。ただわれわれはこの再配分をいたしますれば、それに照応して財政問題に立ち入るという使命を持つておりますので、一方行政事務の再配分検討しつつ、それと並行して財政の問題を研究しつつある次第であります。ところでこの財政に関しまする事柄は、二十六年度予算の上に必要である点にかんがみまして、この点だけは少し先に何らかの結論をつけて勧告案をつくりたいと存じておる次第でありまして、その方はごく近い時期に提出をする段取りにいたしたいと思つておる次第であります。そこでこの財政に関する問題の大略を申し上げてみようと思います。  まずこの財政におきまして問題となりましたのは、補助金整理の問題であります。補助金整理ということは、すでに昭和二十五年度にもシヤウプ勧告に従いまして、ある程度行われたのでありますが、なお残つておるものが多々ありまして、これがなかなか複雑で、いろいろな歴史、沿革もありますので、この整理は決して容易ではありません。従いまして、これももう少し時間をかけて、ゆつくりと検討いたすつもりでおりますが、さしあたり二十六年度にはある程度のことはしていただきたいという結論をつけましたので、提案をいたしたいと存じておる次第であります。  第一には補助職員補助金でありますが、これはいわゆる定員内に含まれておるところの職員の俸給が国庫から補助を受けて出ております。こういつた種類のものは、一部補助金にも全額補助金にもありますが、これはいろいろ弊害がありますから、ぜひやめるようにしたい、地方自治というものを混乱するもとでありますから、こういうことをなくしたいという考えを持つております。それから全額補助金におきましては、補助金という名前はあるが、その性質はほんとうの補助金ではない、別の意味を持つたものであるという補助金であります。たとえば地方団体に向つてその内部に国有財産があるために、多少地方税のかわりとして政府が補給する必要があるというものも相当あります。大学の演習林の場合がそうであります。それから賃借料に当るようなものがあります。函館の税関などにおきまして、政府が土地を賃借しております。あるいは横浜とか神戸におきまして、市が政府仕事の面に出資をしておる。その出資の配当金にすぎないといつたようなものが、やはり神戸市、横浜市の交付金という名前で出ておる。そのほか府県の試験所に委託金を出しまして、ある研究を委託しておるというものがあります。これもほんとうの補助金ではなくて、あたりまえのことである。そういつたようなたぐいのものは残すべきもので、これは別にやめなければならぬという性質のものではないのであります。そういうような種類のものがまだほかにもありまして、そういうものは残すということにいたした次第であります。それから一部補助金の中におきましては、たくさんありますが、これもその補助金の性質にかんがみまして、なるべくそういうものを整理いたしたいのでありますが、しかし今暫定的には、すべての地方団体にわたつていない、半数以下の地方団体にわたつておる、あるいは臨時的のものはこれは残しておこう。すべての地方団体にわたりあるいは恒久性を持つておるものは、むしろ平衡交付金に讓るという考えをもちまして、一部補助金のあるものは残すというように考えておる次第であります。それで平衡交附金になるべく入れる。地方団体仕事に刺激を與える、これを奬励するといつたような意味の補助金は残すけれども、そのほかのものはできるだけ平衡交付金に入れまして、整理をしようという考え方を持つておる次第であります。  それから災害復旧費の問題でございますが、災害復旧費の補助金の問題につきましては、これも地方団体といたしまして災害を受けた以上は、その復旧費を自分で支弁するということが、自治の建前からいえば望ましいのである。できるだけそうしなければならぬという考えを堅持いたしますが、同時に、時と所を選ばず、自然的な天災が出て来て、それによつて、受けた損害は全部地方団体が出すということは、きゆうくつな地方財政といたしましては負担しきれないから、これは国がめんどうを見てやるということはやむを得ないのであります。そこで今日は十五万円以下のものは地方負担とする。それ以上は全額国庫が出すということで、この二十五年度はできております。しかし聞くところによりますと、来年度は三分の一は地方団体が出す。三分の二は国庫が出すというように元へもどろうとしておるようなことを聞きますが、これもいかがかと思います。それでこれは私どもといたしましてはこういつた考え方考えております。第一これは市町村府県と段階をつけたらよかろうと思いますが、それはかりに府県であれば十五万円とか何とか段階をつけまして、それ以下は地方団体が自分の仕事として処理する、自分がやつて行く。災害復旧費の問題には考えを入れないということにいたしまして、そのほかの災害復旧費につきまして、まず地方団体といたしましても全額国に頼るというのはおもしろくないから、地方団体税收入、それに平衡交付金を加えるという考え方もありますが、何か地方財政力の標準になるようなものをとらえまして、それの何分の一かを各地方団体が自分で負担する。それを越えた場合においては、国が見てやるということにいたしまして、地方団体にも持たす。しかしながら地方団体のみではできぬから、国が補助するということによつて、あんばいして行きたいと思います。しかし国といえども、これをすべて負担するとなると、相当に困りますから、そこで国も何か災害基金のような特別会計をつくりまして、そこに前三箇年の災害によつて国が負担した額の平均額というようなものを一応振り込んでおいて、それでもつて先刻申した国の負担すべきものを出して、それでも足らなければ、その特別会計が借入れをして支弁して行き、もし余れば、一応これで借入金の繰上げ償還をする。なお余りは積み立てるというようなことをしてやつて行きますれば、国の方といえどもおよそ全体の予算の中からどれくらいという見当がついて、多額の費用を出したために、財政の負担をふやし非常に困るというようなことがなくて済むのではないか。大体そういうような考えを持つております。  それから終りに地方債の起債の問題でありますが、地方債につきましては、地方財政法に規定され、あるいはその他の法令によつて行われておりますところの現在の地方起債には、非常にむりがある。また手続が煩雑であるということに、私どもは非常な不満を感ずるのでありまして、今日地方で金を借りようと思うと、大体大きなわくがきまつておる。わく内でもつてとり合いである。よけいもらうために、大蔵省に、あるいは地方財政委員会にお百度を踏まなければならない。何十度となく中央に来なければ一つの問題が片づかない。これをひとつ何とかしたいというのであります。それは恒久的には私ども別な案を持つております。たとえば地方のための中央金庫のようなものを持つて、そして起債に便利なような方法を講ずるとか、地方の起債に関する法律を整備しまして便利なようにしておく。しかしながら大体地方団体は、各地方団体財政能力、償還能力に応じて、その償還能力としてたえられるだけにおいては自由に起債する。一々許可を得なくてもよろしい。自由に起債ができる。自主的にできるようなふうに持つて行きたいと存じております。しかし現在の状況におきましては、資金の面におきまして、特殊な現状でありますから、これはやはり政府がある程度の額をきめることもやむを得ないでしようし、全体の資金計画の面から、わくをきめることもやむを得ませんから、その限りにおきましては、政府の許可ということも現状ではやむを得ません。  そこで二十六年度においては、わくをきめることは認めまして、それは地方財政委員会大蔵省協議をして許可を與えるということもやむを得ぬと思います。そこで総額がきまりますと、地方起債の総額の中で各府県別、あるいは市町村の分はこれを府県でまとめまして、中央でおよそのわくをきある。各府県別と、各府県内の地方市町村別の分とは、府県ごとに一括してわくをきめまして、全体のわくでどうきめるかということは、地方財政委員会がある根拠によつて公平にきめる。しかしそれでも一々の仕事についての許可でなく、総額だけをきめる。総額内においての配分の仕方は、各府県なり、各市町村なりでは任意にできるということに持つて行きたいと思います。もつとも市町村の分は、六大市を別といたしまして、その他の市町村の分は府県の方に持つて参りまして、府県考える。地方財政委員会では各府県別の全体をきめる。それ以上のことは、市町村の分まで中央できめないで地方にまかせる。地方にまかすと、今度は府県でもつて府県知事なりがかつてなことをして、市町村が迷惑するという考え方も必ず出て来るが、そういうことを心配するならば、それは何か公平な委員というものに意見を聞いて、府県知事がきめるということを考えてもいいと思います。いずれにいたしましても、そういうふうにいたしまして、個々の一つ一つの起債についてお百度を踏むようなことはなくしたい。できるだけ手続を簡略にして、地方の起債ができるようにしたい。理想から言いますと、償還能力の範囲内においては自由に起債できるということにしたいのですが、今の日本の現状では、そうは行きません。従つて過渡的には、地方の起債をいくらかなりとも自由にしたいという考えを持つております。アメリカあたりでは、償還能力については、地方を調べてみますと、地方団体の管内の財産額、日本で言うと固定資産税のようなものですが、ああいう財産評価額の何パーセント以内、たとえば一〇%以内であれば、許可なく各地方団体がかつてに自由にできる。これが理想だと思います。日本でもそこまで持つて行きたいが、そこまではむずかしいからこのくらいのところでやつて行こう。これが今私ども考えておる案であります。いずれそのうちに御提出申し上げたいと思つておりますが、これも実はきめたというわけではありません。多分そういうぐあいに持つて行かれるだろうという予想であります。しかるべく御承知願います。
  19. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは神戸野村参考人に対する御質疑がありましたら、これを許します。
  20. 藤田義光

    ○藤田委員 神戸さんに簡單に要点だけをお伺いいたし、私見を述べたいと思います。  まず第一点は、事務配分に関する試案の全体を見まして、この方向で参りますと、どうしても市町村は一定の地域、人口、財政力を持つた基準線が確保されないことには空文に終るという気がいたします。ある程度の能力を市町村が一応持つたことを前提にした再配分であるというふうに了解されますが、試案の全体を見渡しまして、市町村の適正規模に関する具体的な方法というものが全然示されていない。これは非常に重大な点ではないかと思いますが、この点に関しまして、何か御意見がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  21. 神戸正雄

    神戸参考人 ごもつともな御質問でありまして、そこまで私触れようかと思いましたが、遠慮いたしましたが、せつかくの御質問でありますからお答えいたします。  再配分の方針は前に申し上げました通り市町村に重点をおき、市町村が実体である、市町村というものを力強くして仕事も與えるし、同時に税も十分にやつて、そうして住民と自治体とのつながりを緊密にして、民主政治というものを確立するということが、私どもの與えられた使命でありまして、そのつもりでやつておりますので、私の試案によりますと、少し市町村に片寄り過ぎているかもしれぬというくらい片寄つております。府県の方は多少浮いたようなきらいがありますが、しかし府県の方も相当国の方から仕事を與えますから、府県も全然浮くというわけではありません。府県といたしましては多少自治体としての面目がなくなるといつて、いろいろな小言を受けますけれども、そうではなくて府県も相当立入るように考えております。けれどもいずれにいたしましても全面的に府県でやつておるところも、国でやつておるところも市町村でできることは市町村でやろう、こういう建前でありますから、市町村に少し重荷がおかれ過ぎて、市町村としてはもらつて迷惑である。こんなものをもらつてもできやせぬというような苦情も起きはせぬかと心配しておる次第であります。従いましてその点は十分に考慮いたしまして考えて見ますると、市町村の中にも段階がおのずからできて来ると思うのであります。これだけの仕事ならもらつてもできるという市町村もありましようし、また多くの市町村からいうと相当むりがあることもあります。ことに町村におきましては——市の方ではそうではございませんが、町村の方になりますと、人口千とか二千とかいうような町村もありますので、そうすれば今の現状では私どもも実際に見ましたが、二千か三千くらいでも適当な指導をしておられるところですと、たいへんよく行つておる。今の現状ではがつちりとしておりますが、われわれのようなことをして、いろいろな仕事を與えますと、これはちよつとやり切れぬようです。なかなか話を聞きますと、むずかしいように聞きます。そこでどうしても私ども考え方によりますと、ある程度大きな有力なものにはよけい仕事をやる。しかし最低限度の仕事からいうと、現在人口二千、三千といつたような小さいところでは、ややむりなきらいがありますので、どうしてもこの問題に関連しまして、適正規模の問題も起きまして、これは現にわれわれその点につきまして研究さしておる次第であります。今すぐどうということはむずかしいのですが、たとえば人口で申しますと、人口五千とか一万とか、そこまで持つて来んといけぬではないかということを考えておる次第であります。そういうことも十分考えまして再配分を一応しました上では、さらに規模の問題について検討を加えまして、再配分と並行したおよその規模というものをきめて、御提案いたすつもりでおります。どうぞよろしく御願いいたします。
  22. 藤田義光

    ○藤田委員 御答弁で大体わかりましたが、これは順序の問題でございますが、私としましてはぜひとも市町村に、これだけの事務配分を受けた際に、いつまで受入れ態勢が確立するという程度の規模を保持させるということも、勧告に並行してやるべきではないか、事務配分勧告をやりましたあとで、適正規模の問題を研究しますると、非常な混乱が起きるのではないかというふうに考えております。この点は勧告がまだ相当先のことでございますから、ぜひとも御考慮を願いたいと思います。  次にお伺いしたいのは、ただいまの問題にも関連しておりますが、補助金制度の徹底的の整理、移管ということはまつたく同感でございます。この補助金制度によつて中央集権の弊がいまだに根強いものがある。ことに立法機関たる国会すら執行機関に頭を下げて補助金の獲得に狂奔するという実情は、何といつても民主主義のがんでございます。その点今回の勧告の概要は、まことに機宜に適したものと敬意を表しまするが、ただ一点不足に思いますのは、税源の再配分のことでございます。たとえば本年度予算を見ましても、所得税二千八百億のうち、平衡交付金あるいは補助金として地方自治体に還元されておるものは実に六〇%以上に及んでおります。これは一旦自治体の住民から取上げた国税を再び地方自治体に循環して還元されるわけでございまして、そういう煩雑な手続を踏むことをやめまして、むしろ初めから大胆に国税を割愛しまして、地方自治体の国有税源として渡すことが必要ではないかと思います。昨年の九月初めに勧告されましたシヤウプさんの案におきましても、国税と地方税の交流の問題にはほとんど触れられていなかつたのでございますが、この際徹底的な事務の再配分をし、ほんとうに地方分権というものを発展させるためには、この税の根本にさかのぼりまして、地方自治体の財政力をいま一度先般の地方税法のみならず、全般的に再検討する必要があるのではないかというふうに考えておりますが、この点委員会として、何か御検討されておりますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  23. 神戸正雄

    神戸参考人 まことに御質問ごもつともでございます。私ども同感であります。事務を再配分いたしまして事務がふえる以上は、それに伴うところの財源が必要であります。いわゆる平衡交付金というものは、地方の收入のでこぼこを直す役をするだけのものでありまして、財源の足らないところは全部平衡交付金でもつて行くというように考えてはならぬと考えておるのであります。従いまして再配分の問題をきめました上で計算をいたしまして、どうも市町村はそれだけでは足らぬ、府県はこれだけ足らぬということがわかりますれば、何といたしましても国の税をそのまま移す、あるいは国の税を一部割愛するか、新しい税を考えるか、いずれにいたしましても何か税の上でもつて財源というものを増してやるということが必要でありまして、私どももその方に必ず移つて一応の結論を出して、附帯的に勧告の中に織り込むつもりでおります。決して見逃しておるわけではなく、私もこの中にちよつと触れておつたかと思いますが、平衡交付金によるべきものではなくして、むしろ税源をもつてやるべきであるということで、一応はずしたのであります。試案の中の初めのところにちよつとうたつておつたつもりでありますが、平衡交付金によるよりは、むしろ税源でやるということを申しております。御趣旨の通りでありまして、われわれは一応事務の再配分決定を見ました上は、進んでその方に移つて適当な勧告案をつくりたいつもりでおりますから、よろしくお願いいたします。
  24. 藤田義光

    ○藤田委員 次に小いさい点を二、三お伺いしたいのですが、災害復旧の問題で、一箇所当りの復旧費を府県の場合は十万円、市町村においては五万円に満たないものは災害と見ないというようなことが書かれてございますが、実はこういう限界をつけますと、町村におきましては五万円、県が十万円で、その半額の五万円に対しては自費でやるということになります。金額からすると非常に少いようでございますが、実はたとえばわれわれの郷里であります熊本の山の中に参りますと、市町村の一箇月の事務費が大体三万円ないし四万円でございまして、こういう弱小町村に五万円以下の災害は自覚でやれということになりますと、それが数箇所にまたがつた場合におきましては、致命的な財政欠陷を生ずるという危險がございますので、この点は昨年のシヤウプさんの勧告にありました通り地方自治体の財政力に応じて負担額をきめるというふうにされまして、むしろ段階制を設けた方がいいのじやないか、先ほど委員の言われました、市町村に段階ができて来ると思うというようなことも予定されておるようでございますから、勧告文にはつきりと市町村五万、府県十万という画一的な基準をきめられぬ方が、むしろ現在の段階ではいいのじやないか、一般抽象的な基準をつくつてもらつて、それを勧告していただいた方が、むしろ将来万事好都合に行くのじやないかというふうに考えておりますが、この点どうでございますか。  次は個人財産たる農地の災害でございますが、これは半額だけが国庫負担になるような勧告でございます。ところが農地の災害というのは、たいてい数百町歩、数千町歩に及ぶことが常識でございまして、これは統計の示すところでもございます。従いましてこれを個人財産たる農地だから半額を負担せよというようなことになりますと、あるゆる面で虐待されております農村にとつては、非常な負担になるのじやないかというふうに考えておりますので、この率をいま一度再検討する必要はないかと考えております。災害の程度いかんを問わず、事業費の半額だけを国が負担するにとどめるという行き方が、はたして何十年かの過去の災害復旧に対する実績と照らして妥当であるかどうかを、私は一応疑つているような次第でございます。  もう一点は、地方債の発行限度でございますが、これは当該地方団体の公債費が、過去三年の実行予算を平均しまして、その一〇%以下というふうな限度がきめられますと、ほとんど有意義なる公共団体の收益事業あるいは公企業等は今後できないのじやないか、大体全国弱小町村の年間の実行予算は三百万ないし四百万と承知いたしております。その一〇%以内になりますと、三、四十万の公債だけが一年間の最高限度として認められるということになります。従いまして地方債のほとんど大部分というものが、弱小町村以外の市町村あるいは府県に流れてしまうことになる危險があるのじやないかというふうに私たちは考えます。この点実はそのうしろの項目で、地方団体中央金庫等を設置して、この欠陥を補正されるようなことも考えられております。ただこういうことになると、せつかくすつきりしたかつこうに起債の問題を直されておるにもかかわらず、非常に複雑な機構がまたできるようなことになり、特に弱小町村としては、こういう金庫に対する押しもほとんどきかないのではないか、結局弱小町村にあらずして、強力な町村がその恩典に浴するという結果になりはしないかというこうをおそれておりますが、この点に対する御見解を伺いたいと思います。
  25. 神戸正雄

    神戸参考人 お答えいたします。第一点の五万円、十万円という点でございますが、実はどれだけが適当かということはむずかしい問題で、もう少し実際について考えたいと思います。しかし近ごろ物価も相当高くなつておりますし、これまで十五万円以上は全部負担ということになつておりましたが、今度これを一件について十万円なり五万円というように少し低めれば、地方のために比較的楽になるのではないか思いますが、なおよく考えてみたいと思います。  それから第二の、農地の半額の問題ですが、農地は公共施設と違いまして、個人の私有財産ということが相当強く出て来ますから、それを公共施設並に国が負担するということも、国の財政といたしましていかがかと思いまして、段階を考えておる次第でございます。  それから公債の発行限度の問題ですが、先刻のお尋ねは、起債額の方でお考えなつておるようでありますが、これは公債費、つまり償還利子とか、元金の支拂いの方でいつておりますから、これでたいていよかろうと考えております。発行額からいいますと、なるほど今の実行予算の平均云々という、それではよほど困るということも考えられますけれども、公債費は、元利拂いの費用というところでありますから、一〇%となりますと、そう困ることはなかろうと考えております。なおそれでも困る特殊な事情があれば考えねばなりませんが、たいていそれでよくはないかと考えておる次第でございます。
  26. 野村專太郎

    野村委員 災害復旧に対しまして一点伺いたいと思います。ただいまの神戸先生お話ごもつともですが、われわれ地方の災害の実情を調査しておりますと、国の財政の都合からやむを得ず一応十五億で切るという目安を置いたために、実際に災害を非常に大きくしております。市町村が災害復旧の負担に耐えないために、十五万円に満たないものを数百万円の災害にしておるなまなましい事例を災害地に見るのであります。こういう点は、勧告実施されるについては、大いにお考えを願い、御研究をしていただきたいと思います。  それから国、地方を通じて税の問題はもう限度まで行つておると思います。そこで、過去三年の災害復旧費の平均額を国としては計上すべきだ、こういう御勧告のようで、これは非常に望ましいことであろうと思いますが、しかし実際問題としては容易ならぬことであろうと思います。今回の阪神地方を襲うた災害だけを考えましても、二千億という容易ならぬものであります。しかしこれ以上の税負担には耐えられない。この勧告実施されることは望ましいことですが、反面また税負担はこれ以上のことは容易ならぬと思います。この点に関しまして委員会はどういうふうにお考えなつておりますか。よほど拔本的な手を打たぬ限りは、この勧告実施されることを非常に危惧しておると同時に、万難を排してこの勧告が実現されることを私としては期待いたしております。
  27. 神戸正雄

    神戸参考人 先刻の災害費というものは、今回の阪神間の損害だけでも二千億というようなお話でありましたが、それを災害復旧補助金でもつて全部まかなうというのではありません。結局公共の施設における損害を地方団体のために考えてやる、こういう問題であります。なるほど日本には天災が多くて、非常に大きな損害がひんぴんとして起つておるから、負担し切れるかというふうの御心配もありますが、それほどでもなかろうと考えるのであります。いずれにいたしましても、災害が二千億あつてもその中でもつてこの補助金として考えるものはよほど少いものであろうと私ども考えております。
  28. 野村專太郎

    野村委員 それから藤田君のおつしやつた個人の財産のことですが、一体災害の工事というものは、次の年度の災害までに完全に復旧してなければならぬものを、ここ数年災害の工事が間に合わぬために、次の災害が災いしておるという現状である。従つて国の河川などの災害が完全に復旧していないために、個人の財産に損害を及ぼしておるわけですから、こういう意味において、私はやはり藤田君の意見と同感です。こういう点に対して御研究をいただければ、私は仕合せだと考えております。
  29. 門司亮

    ○門司委員 私は、今両氏からよく聞かれておりますので、全体的には了承するのでありますが、ただ災害復旧の問題の、ものの考え方についてちよつとお伺いをしておきたいと思います。これは特に災害復旧だということをよく言いまして、そうして災害復旧費の全額あるいは半額というような、いろいろ議論はありますが、災害の復旧ということについては、單に復旧だけで済む場合と、それをはるかに越えた大きな施設をしなければ予防し得ない実体が、必ずこれにはついてまわつております。そこで、この場合に市町村の困りますものは、やはり災害の復旧は、前にあつた程度にこれを直す程度が、大体災害復旧費と考えられておるのか、あるいはこの場合の災害復旧費というものは、先ほど申しましたように、原形に復したのではとうてい支え得られないような、どうしてもそれにある程度改修を加えるか、あるいは改修程度でなくて、根本からこれをやり直すというような、規模を大きくしたものでなければ、とうてい将来の災害に耐えられないというようなものか、一体どういうふうにこの中に考えられておるかということであります。この点は実地を視察してまわりまして、非常に重要な問題として考えて参つたのでありますが、今度の大阪附近の災害にいたしましても、單に災害復旧でありますならば、今までありました四メートルあるいは五メートルのものを復旧をするのか、現地に参りますと、六・五メートルの防潮堤だけは完全に潮を防げておる、それ以下の防潮堤は全部破壊されておる、こういうことになつて参りますと、これは單に災害復旧であるが、実際は根本からかわつた設計と規模の上に施設を行わなければならない。一体今災害復旧費としてどの程度のものをお考えなつておるのか、この辺をもしお考えがございましたらお伺いしておきたいと思います。
  30. 神戸正雄

    神戸参考人 災害の定義であります。これは従来も法律か何かでもつて書いてあると思います。大体私ども考えているのは、むろん天災であります。地震とか津波とか風害であるというような天災を仮定いたしております。むろん火事のようなものは対象にいたしておりません。それから復旧——あるいは現状復旧だけかと思いますが、現状ではいかぬので、たとえば川が水が出て橋が流れている、その橋を元にもどすというときに、その橋が三メートルであつたのを今度は五メートルにしなければ、新しい橋としては役立たない、川幅が広くなつたから、どうしても広くしなければならぬという場合におきましては、むろん私は復旧にはそういう機能的な復旧費——機能復旧費とでも言うべきものは含めるべきものだと考えております。しかしこれは程度ですから、たとえばこれまで木の橋であつたものを、今度は何かりつぱな鉄筋にするとか、鉄橋にするとかいうような、そこまではどうも復旧のところに入らぬと思いますが、しかも少くとも橋として役立つために前と同じ役をする、機能的に同じ役を果すだけのものは、復旧の中に入れてよくないかと、ただいまそう考えている次第であります。そういうつもりでおります。
  31. 前尾繁三郎

    前尾委員長 野村秀雄君に対する御質問はありませんか——なければ、午前中はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時十六分開議
  32. 前尾繁三郎

    前尾委員長 再開いたします。休憩前に引続き地方自治に関する件、地方財政に関する件を一括議題として質疑を続行いたします。門脇勝太郎君。
  33. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 最近地方へ参りまして、地方における地方税の経過につきいろいろな話を聞いたり、陳情を受けたりしたわけでありますが、午前中にもお話がありましたように、市町村民税並びに固定資産税が相当高率に上つたということが、深刻な不平の原因でありまして、いろいろ政治に対する非難を聞いたのであります。私どもは與党という立場でありますから、何とかしてそういつたような不平を緩和したいというような考え方から、国税が下つたのであるから、若干地方税が上つたということは、これはしんぼうしたらどうかというような意味合いで話をしたのであります。ところが国税が下つたということも事実でありまするが、そのことは総額の問題であつて、個々の納税者に平均して下つて、また増額されたというのでなく、個々の納税者の立場から見ると、中には相当高率に増額された部面も多いようでありまして、それらの地方税が相当増額されたという納税者の深刻な不満があるわけであります。ことに午前中にも話がありましたが、給與所得者市町村民税が、收入が隠せないということのために、これが非常に高率に課せられる。これに対する深刻な不平、非難があるわけであります。こういつたような状況にかんがみて、特に私どもは與党という立場であるだけに、受ける感じが深いのでありますが、やはりこの地方税も今後減税という方面に政府が相当努力されるということがしかるべきであるということを痛切に感じたわけであります。最近来年度予算が閣議等で評定されております。伝え聞くところ並びに新聞紙等で見ますと、国税の面におきましては、大体七百億円目標に減税をするということで、数字的にもいろいろ計画を進められておるのでありますが、政府予算のそういつたような閣議の決定案を見ましても、地方税に対する減税というものに対して数字的な予定が見出しがたい。平衡交付金にしましてもわずかばかりの増額でありますし、その他各面から検討しましても、地方税に対する減税という具体的な計画がさらにない、こういうふうに私どもは感じます。岡野国務大臣もこれに対して努力はしておられるようでありまするが、しかし大蔵大臣の数字的な説明に一蹴されておるといつたような感が深いのであります。新聞紙等で見ますると、大蔵大臣は来年度歳入の自然増、あるいは給與その他物件費等の節約をもつて地方税の減税に充ててしかるべしというようなことを言つておりますが、はたしてこういつたことが可能であるかということにつきましては、多大の危惧の念を抱くものであります。岡野大臣の御努力は了としまするが、單にそういつたような努力をしたいという経過的な話だけでは、結論に対して私ども満足できない。ちようど今編成期のきわめて重要な時期でありますから、地方自治庁担当の政務官として、これに対してどういつたような信念を持つておられるか。来年度は国税の七百億の減税目標と並行して、はたして地方税にははつきりした減税の信念があるのかないのか。国税が減つたから、地方税はふえてもいいというような全体的な相殺論では、個々の納税者は決して満足しない。最初申しましたように、結局納税者の立場から見ますと平均されて、そういうようないわゆる減税増額の適用がないのでありまして、減税の面は関係なくして、増税の面だけ受けた。しかも先ほど申しますように、給與所得者のごときは市町村民税の増額等が不当なほど高額になつたということについて、相当深刻な不満を持つておるわけであります。ひとつ政府の信念のあるこれに対する対策をお伺いしたい。
  34. 小野哲

    小野説明員 お答えいたしたいと思います。門脇委員からお話がございました今後の地方財政の見通しとも関連いたしまして、昭和二十六年度予算を編成するに当つて政府考え方、特に地方財政に関する考え方につきまして、所見を申し述べたいと思うのであります。  税制の改革によりまして地方税が相当増額されたということは、お話通り事実でありまするし、また地方住民がこのために地方行政、地方財政、言いかえれば地方自治運営について非常に大きな関心を持つようになつたということは、いなめないところであろうと思うのであります。私どもとしましては、地方税法案を立案いたしました場合において、第一次シヤウプ勧告の趣旨を全面的に尊重いたしまして、これを取入れた法律案にいたしたのでありますが、しかしこの案をつくりますにつきましても、やはりわが国の置かれておる国民生活の実情等とにらみ合せをして相当研究もして参つたのであります。この経過につきましては、今重ねて申し上げることを省かせていただきたいと思いますが、要は国税、地方税を通じました税制の改革を行つたということにあつたのであります。地方税実施が遅れましたために生じた昭和二十五年度におけるいろいろの不都合な問題にあたりまして、これまた臨機の措置をとつて参つたことも御承知通りであります。二十六年度予算の編成にあたりまして、今お話になりました国税においては七百億の減税をして行く。また大蔵省考え方としては、地方財政の上においてはなお相当の余裕があるから、従つて地方税においてもある程度の減税が行われ得るのではないかということを申しておる向きもあるのであります。私どもとしましては、地方財政委員会において過去の実績等に基いて、いろいろ資料を調整いたしまして、シヤウプ使節団の来朝の機会にも地方財政の現況についてお話もいたしまするし、また政府部内におきましては、二十六年度予算編成にあたりまして、地方自治庁としては財政委員会意見を十分に検討いたした上、これを尊重いたしまして、閣議において意見を申し述べて参つておるのであります。その間シヤウプ使節団が再び来朝されまして、第二次勧告が出たことは御承知通りでありますが、このシヤウプ第二次勧告をごらんになりますと、国の余剩財源の措置につきまして、相当含みのある勧告をいたしておるのでございます。地方税を二十六年度において増税をするということはとうてい困難であるので、従つて地方税は極力増税を抑制するように措置して行くことがよい。それについては、国税の減税と見合つて国の余剩財源の使い道を示しておるわけでありまして、従つて地方予算といたしましては、来年度においては公務員の給與ース改訂であるとか、または国家が新規に行いまする事業計画に伴う地方負担の増加、こういうふうな点を計算に入れますると、現在の、言いかえれば昭和二十五年度平衡交付金ではまかない得ないという結果になるわけでありまして、従つて昭和二十六年度地方財政運営して行きますためには、増税によるか、あるいは平衡交付金の増額によつて、これ以上の地方税の増加を抑制するか、いずれかその一つを選ばなければならないという方向に出て来たわけであります。私ども地方税法が施行されて間もない昭和二十六年度において、さらに地方財政の財源確保のために、地方税そのものを増額するということは、極力避けなければならないという方針を堅持いたしまして、これがためには所要の財源を——特に経常費については地方財政平衡交付金の増額に求めるしか方法がない、こういう考えのもとに、昭和二十六年度予算編成の閣議におきましては、この旨を主張して参つたのであります。それにつきましては、最後の閣議の際におきまして、二十六年度予算概算案について次の通り了解するという了解事項をつけることにいたしたのであります。すなわち、地方財政は数百億の歳出増となり、地方財源に相当の負担であることを認める。右の地方財政の負担に対してはなお閣議において協議する。シヤウプ勧告が出た場合はこれを尊重して必要な措置を考究する、こういう了解事項がつけられまして、一応政府概算案が決定をされた、こういういきさつになつておるわけであります。最近におきましては二十五年度における補正予算の問題が起つて参りまして、その編成にあたりましても、やはり二十六年度予算の編成とは密接不可分な関係にあることは御承知通りでありまして、従つて二十五年度の国家予算に対する補正を行います場合において、地方予算に対する影響、言いかえれば歳出増というものをどうしても考えなければ筋が通らないわけであります。特に国家公務員において二十五年度における給與ース改訂を行おうとした場合における地方公務員措置も当然考えなければならない。といつて、この際この財源を増税に求めるということはとうてい許されないことであります。とともに二十五年度地方財政計画地方税收入及び地方財政平衡交付金を根幹といたしまして、他に雑收等を加えたものが一つの予算として計画されておりますので、その後において生じた財政需要は何ら計上されておらないのが現状であります。従つて新しい財政需要に対する財源措置を講じなければならぬということも、これは私から申し上げるまでもなく御了承が願えると思うのであります。  かような実情でありますので、シヤウプ第二次勧告の中にも申し述べられておりますように、地方税の増額を極力抑えて行くという線を確保するためには、地方財政平衡交付金を国の余剩財源からある程度まわして行くという考え方を私どもはとつておるのでありまして、シヤウプ使節団の第二次勧告も、このような線でもつて現われておるものと私どもは理解いたしておるのであります。従つて昭和二十六年度における地方税についての減税は、ただいまのところ行う考えは持つておらないので、平衡交付金の増額による、地方税の増加を抑制するという方向に進んで行くことが、地方税法の施行によつてどうやら軌道に乘つた地方団体財政運営を円滑にして行くゆえんではないか、かように考えておる次第であります。もつとも地方団体財政実情をつぶさに検討を加える必要もありますので、地方財政委員会におきましては、地方財政の調査をやることをさらに昭和二十六年度以降において積極的に乘り出すことにいたして参りたいと思つておるのであります。これと相まつて地方団体に対しては財政経理の方面に対しまして、種々助言なり勧告なりを行いまして、むだな経費を省くように指導して参りたいと考えておる次第でございます。ただ、ただいま門脇さんがお話になりましたお考え方については私も同感でありまして、地方税法の施行後、地方団体財政が安定の緒につきました以後におきまして、それらの状況と見合つて地方税の中で、あるいは軽減をいたしてよいものもできて来るでありましようし、あるいは税の種類によつてはむしろ廃止した方がよいものも起つて来るであろう、そういうことにつきましては段階的にこれを実施いたしますとともに、わが国の経済状態、特に物価の事情が安定して参り、あるいは横ばい、もしくは下りぎみになつて参りますと、自然納税者の方面において心理的にも、また蓄積の方面におきましても好影響を與えて来るんではないか、こういうふうな客観的な経済事情の推移と兼ね合せをいたしまして、適当な機会にさらに地方税制の軽減あるいは整備の方向に進んで参りたい、かような心組みを持つておるような次第でございます。
  35. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 御懇切な御答弁で御趣旨は了解したわけでありますが、先ほども申しますように、納税者の中で相当でこぼこがあります。再三言うようでありますが、特に給與所得者のごときは、收入が隠せないといつたような関係上、非常に苛斂誅求的な税額になる、こういつたような非難もあるわけであります。総額的には給與ースその他の改訂によつて、むしろ今後地方財政の増額——要するに、減税よりか増税といつたようなことになる危險性が多いというようなお話でありますが、これより以上に地方税が万一上るというようなことになりますと、これは殺人的な結果になりますから万一にもそういつたことのないように、ただいまるるお話もありましたように、シヤウプ博士の第二次の勧告の線に沿うところの平衡交付金の増額であるとかその他の方途によつて、ただいまの御趣旨を十分に堅持していただきたい、こう考えるわけであります。  次に地方府県でありますが、ことに農林業を中心とする地方におきましては、事業税が農漁村地域から徴收できないということになつた結果、極端に税金收入が府県の立場においては激減をしておるわけであります。ちようど私どもの郷土であります鳥取県のごときも極端な例でありまして、ほとんど税源が壊滅したと言つてもいいくらいに、県收入の税額というものは非常な減り方であります。そこで平衡交付金で県の財政費用と收入との差額をまかなつて行くという制度であるのでありますが、どうも平衡交付金の県財政費の計算の基準の方式が、地方貧弱県、ことに農林山村といつたような一例を言いますならば、小学校のごときも一学級における生徒数が、山間地でありますために非常に少い。従つて一人の教師に対する割当の生徒が少いために、一生徒に対する先生の給料のコストが非常に高くついておるとか、こういうような農林山村地帯の貧弱地方に対する実情に即しないような県財政費の基準の費用の計算の仕方になつておるということが相当に災いしまして、県が予定する交付額と政府の方で計算される交付額とに大きなずれがありまして、そのために県は今、破産の直前にあるようなわけでありますが、これはその法律によつて基準を計算した結果であるから、政府の方ではやむを得ぬといつて一言のもとにおはねになるのか、そういう農山村地帯におけるところの特殊事情等をよく勘案をして、そこは積極的に救済的に、その地方財政が立ち行くように御考慮になるものか、法律一点張りでそれを御解決になるものか、その辺の御方針を一つお伺いしたい。
  36. 小野哲

    小野説明員 ただいまお話がありましたように、主として農林山村地帯を持つております県の事情は、相当財源の上で困難な事情があることも実は伺つておるわけであります。地方税が御承知のごとくに、農家については非課税措置をとつておりますために、主として農村県においては、直接農業政策を実行いたしますのに、農村からの税が出て来ないために、やりにくいというふうな意見も、しばしば地方へ出て参りました際に私も聞いておるわけであります。もつともシヤウプ第二次勧告にも申しておりますように、附加価値税の場合においても同様のことが言えるではないかということの意見に対しまして、シヤウプさんが、これは一種の売上税であるので、転嫁性を持つておる税であるから、結局においては農村もまた税を負担しておることになるのではないかというふうなことを答弁されておることを耳にしたこともあるわけであります。しかしながらただいまお話になりましたような実情は決して無視するわけに行かないと考えておるのでございます、従つて平衡交付金計算をいたします場合において問題になりますのは、当該県の計算いたしました税收見込み額と、中央において地方財政委員会計算いたしましたそれとが、必ずしも一致しないということもおそらくあり得ることではないかと思つております。ただいま例としてお出しになりました鳥取県のごときは、税收額に比較いたしまして相当額平衡交付金を交付しなければ、県の財政がもつて行けないという事実もあるようでございます。これらの具体的の計算基準等につきましては、武岡財務部長から説明をいたしたいと思いますが、ただいまの平衡交付金決定は仮決定なつておりますので、他に特殊な財政需要が生じた場合であるとか、あるいは一般平衡交付金交付金額が少な過ぎたというふうな場合とかにおきましては、特別平衡交付金において、ある程度調節をはかるような道も開かれておるのでございます。これらの具体的の問題につきましては、財務部長から説明をお聞き取り願いたいと思います。
  37. 武岡憲一

    武岡説明員 平衡交付金の算定の基礎となりまするいわゆる基準財政需要額の算定につきまして、過般法律に基く委員会規則を制定いたしまして、これによつて計算をいたしておるのであります。この規則の制定にあたりましては、御指摘になられましたようないろいろな地方的な事情等は、十分参酌して制定したつもりでございましたけれども、何分最初の制度でもございまするので、このでき上りました現在の規則が、理想的なものだとは私たち自身も実は考えおりません。いろいろ実際にあたつて計算をし、各団体財政実情、実態等からにらみ合せまして、いろいろまた手直しをしなければならぬではないかと考えられるような点、またこの規則に関しましてのいろいろ各地方団体からの実情に即した御意見等も伺つておるのであります。従いまして地方財政委員会といたしましても、今後平衡交付金の問題につきましては、現在の法律と規則だけで将来も押して行くというつもりはないのでございまして、直すべきところは実績にかんがみまして検討をし、直して参りたいと考えております。なお本年度交付金の実際の計算額等に関しまして、この規則によつて計算をいたしました交付金が、その団体の実態から見まして不当に低いものである、言いかえますれば、この規則によつてその団体財政需要というものが、十分に把握されなかつたというような特殊事情のある団体につきましては、法律の規定に従いまして、特別交付金で補うという制度もできておるわけでございまするから、それらの制度は十分に活用して、なるべく公平にこの交付金制度が円滑に運営の行きますように、心がけて参りたいと、かように考えております。
  38. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 御丁寧な御説明で御趣旨は大いにわかつたのでありますが、中央と地方の見解の相違もありまするが、ある程度は話合いで是正されても、いよいよ最後なつて、どうしてもこれだけの金が食い違つて、そのために地方府県が破綻をするというようなことに直面した場合には、全面的にただいまおつしやつたような特別平衡交付金で、緊急の度合いに応じて処理できるということに承知してよろしいですか。もう一ぺんその点をはつきりとお伺いしたい。
  39. 小野哲

    小野説明員 ただいま財務部長から具体的な取扱い方について説明をいたしたのでありまするが、今お話のように、当該県の財政が非常に窮迫をして運営ができないというふうな事態が起ることは、きわめて不幸な予測でありまして、なるべくそういうことの起らぬように、県自体におきましても、できるだけ経費の節約等の方法をもとつてもらう必要があろうかと思うのでありますが、万一さようなことが起つた場合においては、できるだけ許される限度においては、特別平衡交付金でもつて処理をいたしたい、かように考えております。
  40. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 明快な御答弁を承りまして、たいへん意を得たわけであります。やはりそういうことに関連してでありますが、最近の新聞の報道によりますると、災害復旧費の全額国庫負担制度がやめになつて、三分の一が地方負担になるということが確定的のように感じられるのであります。先ほど申しましたような貧弱県におきましては、災害以外の一般公共事業費に対する三分の一の負担ができないために、三分の二の国庫補助を棄権して行く、こういうことが現実に行われておるのであります。これははつきりして、現にある話であります。そこでそういつたようなことを、やはり何らこれに対して救済的な施設をお講じにならずに見逃がされるという方針であるかどうか。なおその起債の問題でありまするが、現在の起債額は総額三百七十億のように私聞いておりまするが、ときどき新聞には三百億であるかのような報道もありまするし、その辺をはつきりとひとつ御説明願いますとともに、そういう地方の財源がないために困つておるような現状を、もう少し真相を把握されて、起債なんかをもつと増額されることの対策を講じておられるかどうか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
  41. 小野哲

    小野説明員 お答え申し上げます。まず第一は災害復旧費の問題でありますが、本年度は御承知のように特例法を設けまして、土木公共施設を対象といたしまして、一件十五万円以上のものにつきましては全額国庫負担とする、こういうことになつておるのであります。これについて二十六年度予算編成に当りまして、やはり地方は三分の一を負担することが妥当ではないか、こういう意見も出て参つたのであります。そういたしますと、二十六年度地方負担分三分の一というものにつきまして、やはり財源の措置を講じなければなりませんので、従つて地方自治庁並びに地方財政委員会といたしましては、二十六年度の公共事業費に関連した地方負担の増加分について、何らかの措置を講ずる必要があるのではないかということを、極力主張して参つたゆえんはここにあるのであります。ところがシヤウプ第二次勧告によりますると、災害復旧費につきましては相当詳細な結論が出て参るようでありまして、付録書がまだ発表されませんので内容の詳細を知ることができないのは遺憾でございますが、要はもちろん地方財政に相当の影響を及ぼすであろう。従つて三分の一地方負担という件については、なお十分に考究をして行かなければならぬので、自分にも一案を持つておるということを言つておりまして、できるだけ復旧事業の設計とか施行については、地方団体にほとんど完全な自由を與え得るような、十分な支拂い責任を地方団体に移讓することが必要である。第二は、どんな地方団体も、災害復旧費と、これに関連した改良費の総額のうち、それぞれの団体の適正な負担能力以上には、負担しなくても済むという保障を與えることが必要である。この二つの点を第二次勧告指摘しておりまして、あとは詳細なことは付録書で言いたい、こういうふうに言つておるのであります。従つてこの災害復旧費の地方負担の問題がどんなふうになりますかは、政府原案に対する関係方面の予算の審議と相まちまして結論が出て来るのではないか。私どもは少くも三分の一を地方負担にするという場合においては、どうしても財源措置が必要であるというふうに考えております。と同時に、第二としてお話になりました起債の問題でありますが、これはこの災害復旧費の地方負担の問題と不可分な問題となつておりまして、現在大体三百七十億というものがわくなつておりますけれども、これだけではジエーン、あるいはキジア台風以後の地方財政現状から申しまして、とうてい十分でないということを考えて、これが増額を目下折衝いたしておるのであります。  なお二十六年度予算編成に伴うて、公共事業費が、災害復旧費についてはもちろんでございますが、その他の事業についても、地方負担の問題が深刻な問題として起つておりまして、地方によつてはいくら公共事業費を国の予算に計上されても、現実に仕事をする地方負担分が伴わなければ、これを返上しなければなるまいという声も実は聞いておるのであります。かようなことはきわめて遺憾なことでありますので、起債のわくを増額することによつて、所要の地方負担分をまかなえるように、ぜひして参りたい、かような考え方で、お話のように政府といたしましても、関係方面とこれが増額について、極力折衝を続けて参つておる次第でございます。
  42. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 いろいろ御親切な御答弁で、大いに要領を得るのでありますが、ただいまも、公共事業費の施行に際して三分の一の負担が困難なために、全面的に地方としてこれを放棄するというような声を聞いておるとおつしやいましたが、これは声を聞くどころの話でなくて、鳥取県のごときは現に放棄しておるわけです。もつとも、これからでも起債の方を御許可になりますれば、これはまた復活するのでありますが、一応起債の方で御許可がなかつたならば相当高額な予算を放棄せざるを得ないということに行き当つておるわけであります。まあ、お話のように三百七十億の現在の起債のわくでは、そういつたものは包容できぬと思いますが、この際いま一段と御努力なつて、起債のわくをもう少し増加していただきまして、せつかくの国家の公共事業費の割当を、三分の一の負担ができないために地方が放棄するというような悲惨なことがないようにお願いしたい。地方といいましても、非常に有数な県と、また全国でもきわめてみじめな県と、ほとんど地方財政の根本的な様相がかわつております。やはりそういつたような、貧弱県貧弱県として立ち行くようなことを、今後いま一層積極的にごめんどうを見ていただきたい、こう考えるわけであります。先ほどもお話にありましたが、この給與ベース改訂に伴つて地方公務員に対するところの支給増加、その他の財源が、これから非常に現実的な困難な問題になつて来るということは当然であります。シヤウプ博士の第二次勧告も、地方財政に対しては、きわめて好意的になつております。しかし第二次勧告は、第一次勧告ほど絶対的なものでないといつたような注釈もあるのでありまして、今後やはりこの地方自治を担当されるところの当局においても、大いにふんばつていただかなければならぬと考えます。本日は大臣が御欠席でありますが、よくこの旨を大臣にもお伝え願つて、ただいま御説明なつたより以上の、結果において、われわれが喜びを持ち得るようなことに希望を申し上げます。以上であります。
  43. 藤田義光

    ○藤田委員 まず最初にお伺いしたいのは、大蔵省主計局から「地方財政の問題点」という怪文書——私はあえてこれを怪文書と申し上げたいのです——が出ております、これによりますと、われわれが認識しておる地方財政現状に対する見方と、全然相違いたしております。全国二十九府県、四十三都市、六十一町村で実態を調査した結果の集計であるというようなことで、端的に申し上げれば自治庁あるいは地方財政委員会の現在の希望等を全面的に否認され、明年度予算平衡交付金わくの一千八十億というものは、多過ぎるというような結論を出しておりますが、これに対して小野政務次官はどういうお考えでございますか。これをお伺いいたしたいのであります。
  44. 小野哲

    小野説明員 お答えいたしたいと思います。ただいま藤田さんから、大蔵省から書面が発表されておるというふうなお話でございますが、私も一応内容は承知いたしております。この問題につきましては、大蔵省の立場として、あるいは主計局の立場として、一応の実態調査の結果出したものであろうと、想像するのでありますけれども考え方につきましては、私どもとは非常に相違をいたしておるのであります。特に地方財政の中で、なお相当の余裕があるということを申しておりまして、いわばさらに二百億ないし三百億の減税の可能性を強調しておる点でございますが、この点につきましては、これは私どもから御説明するまでもなく、十分御了承が願えると思うのでありますが、過去における地方財政実情から考えまして、昭和二十六年度において、これだけの減税がなし得るということは、ほとんど想像いたしにくいのであります。と同時に、主計局当局が、二十九府県、四十三都市、六十一町村における昭和二十四年度予算を基礎として、推計したと称しておるのでございますが、御承知のごとく、わが国には一万数百の都道府県市町村がございまして、それぞれ非常に違つた性格なり、あるいは規模を持つておるのでありますから、この程度の調査推計により得られました数字によつて、全体の地方財政を推測するということは、ややいかがなものであろうかというふうに思うのであります。そういうふうな点は、一々甲論乙駁をいたしますると切りがないのでございますが、要は地方自治庁並びに地方財政委員会は、その手元に收集し得る限りの資料を整えまして、これによりまして昭和二十六年度予算編成をいたします場合の閣議において極力主張して参つておるのであります。その考え方は、先ほどもちよつと触れたのでありますが、今回の二十六年度国家予算は、御承知のごとく終戰処理費であるとか、あるいは価格調整費であるとか、さようないわば地方予算にはないところの一つの彈力性のある項目がございまして、これによつてインフレの状況に応じて軽減し得る道が開かれ得るのでございますが、地方予算においてはかような項目が全然ないわけで、従つてこれらの点から申しまして、大蔵省考えておりますような地方予算というものが、はたしてきわめて彈力性があり、また余裕があるものとは想像し得ないのであります。従つて二十六年度予算政府案から考えまして公共事業費の関係とか、あるいは給與ベース改訂であるとか、あるいはまた厚生その他の新規事業の施行というふうなことによつて、経常費の上における地方負担の増額あるいは臨時費における地方負担の増加というふうなものを彼此勘案いたしますと、大体六百億程度地方財政の方にしわが寄せられるものではないかと考えるのでありまして、この点についてはシヤウプ第二次勧告もこれをうたつておるような次第でございます。ただこのしわ寄せの結果生ずる地方財政の負担増を、何によつてカバーするかということになりますと、地方税の増税ということは私は避けなければならぬという考えを持つております。従つて結局国の余剩財源から地方財政平衡交付金の方にある程度まわしまして、これによつてカバーすることが妥当ではないか、こういう考え方のもとに、シヤウプ第二次勧告の線に沿うて、政府としても善処すべきものであろうと考えておる次第でございます。
  45. 藤田義光

    ○藤田委員 このプリントに主計局とありますが、これは主計局長の責任において出されたものでありますかどうか、その点おわかりでしたらお伺いいたしたいと思います。それで、もし主計局がこの文面に現われたような地方財政に対する認識でございますと、せつかく補正予算等の折衝に対する地方財政委員会等の熱意は、ほとんど絶望ではないかというふうな気がいたします。それからこの文書のうちにあります三百億減税可能という根拠の小さい点ですが、物件費を一〇%、五十億節約できるという点と、大都市は給與ベースが非常に高くなつておる。それでこの大都市の給與ベースを上げないことによつて、四十億程度のものが浮いて来るというような二つの数字があがつております。そのほかに二百七億という数字がありますけれども、これは論外ですから、あえて質問いたしませんが、物件費の一〇%節約による五十億、それから大都市の給與引上げ不要による四十億の節減、こういうものは大体大蔵省の主計局の文書通りに実行できるものかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  46. 小野哲

    小野説明員 藤田さんのおつしやる大蔵省の文書なるものが、主計局長の責任において出したかどうかということは、私は実はつまびらかにいたしておりません。ただこういうことがあるのでございます。この種の意見大蔵省から出ました以後において、地方財政委員会事務当局大蔵省との間で話合う機会をつくつたのでありますが、その際は主計局長も出ておつたそうでありますので、主計局長もこれは十分知つておることと私は考えております。私どもは、どの局から出た——もちろん主計局から出たものと考えておるのでありますが、要は大蔵省考え方というものはここにあるのだ、こういうことでこれを批判いたしておるような次第でございますので、この点を御了承願いたいと思います。  次に個々の問題について、あるいは物件費の一〇%を節約するとか、あるいは地方団体の中で特に都市の一般職員給與が国家公務員に比較して高い、従つて四十億程度の節約が可能である、こういうふうな計算も出ておるようであります。しかしながら御承知のように、もちろん地方団体におきましても、節約可能なものにつきましては私は節約してもらいたい。それによつてできるだけ経費の節減による財源を生み出すということを、極力やづてもらわなければならぬということは主張し、希望もしておるわけであります。ただ物件費の一〇%を節減するという場合において、具体的にいかなる経費の部分をどうするかということが、問題になつて来るのではないかと思いますので、もし物件費の面で、一〇%を節約したからといつて、全般的にしからば平衡交付金の増額等の処置をとらぬでもいいということには、私はならないと考えるわけであります。それから都市の一般職員給與の問題でありますが、もちろんこれは大都市と政府職員の平均給とを比較いたしますと、高いのはきまりきつたことでありまして、全体の平均給と政府職員の全体の平均給とを比較した場合においてどうかということならば、問題になるのではないかと思うのであります。ただ私どもが具体的に考えまするのに、地方団体職員政府職員とは、多少ともその給與、待遇の上におきましては差があるのが、通常ではないかと私は考えるのでありまして、それは任用とかその他の関係から申しましても、多少の差があることはやむを得ないのではないか。そういうふうな点から申しまして、この給與の問題につきましても、全都市について地方財政委員会が調査をいたしておる資料もございまするので、財務部長からお話をすることになろうかと思いますが、これらの比較というものも、大都市とその他一般の国家公務員の平均給與を比較して高いと言うことも当らないが、同時に実際問題として、都市の職員政府職員との間には、多少の開きがあるのがむしろ常識ではないか。それによつて職員の任用、獲得等が可能になるのではないかというふうなことも、全然無視することができないように、私ども考えるわけであります。  以上、その他いろいろな点がございますが、御指摘になりました点についてとりあえずお答えをいたしておきたいと思います。
  47. 武岡憲一

    武岡説明員 ただいま藤田さんからお尋ねの、大蔵省から地方財政に関して発表せられました見解につきまして、私たちはどう考えておるかということでございますが、ただいま政務次官からお話がございましたように、大体この資料として提供せられましたものの内容は、大蔵省としてはいわゆる地方財政の実態を調査したと言つておられるのでありますが、その根拠も、先ほどお話がございましたように、一万に上る団体のうちのごく一部のものから推計したところの推定の数字でございますし、またその数字の基礎となつておりますいろいろな單価あるいは倍数等につきましても、地方財政委員会といたしましては、またおのずから別途の資料、別途の見解も持つておるのでございます。これらの点につきましては、私の方と大蔵省との間で、すでに数次にわたつていろいろ話合いもしたのでございます。さらに現在におきましても、これに関連するいろいろな資料を收集中でございまして、これらの資料が一応整備しました上で、さらに細目にわたつて意見の交換を行いたい、かように考えておる段階でございます。従いまして、今示されておりますこの資料について具体的に数字等にわたることを申し上げることは、一応差控えておきたいと思います。
  48. 藤田義光

    ○藤田委員 地方財政委員会では、本年度地方財政の負担増に伴いまする補正予算額として、大体三百八十九億を予定されておるようでございますが、そのうち四十億は既定経費の節約ということで、残る三百四十九億を新たな財源として予定されておるようでございます。その財源の内容は平衡交付金の増額と、起債の増額という二つの大きな柱に依存するということになつたようでございますが、この見通しはどういうふうになつておりますか、この点をお伺いしたい。もしもこの見通しに狂いを生じますと、地方の負担増加に伴う経費の問題、あるいは給與ベースの問題その他に重大な支障を起して来まして、歳末に大混乱を生ずるのではないかと思いますから、簡單にお伺いしたいと思います。
  49. 小野哲

    小野説明員 二十五年度補正予算につきましても、ただいまお話のございましたような地方財政委員会からの意見も出ておりまして、地方自治庁といたしましては、これを閣議に申し出て、その実現をはかるように極力努力を続けておるわけであります。今朝も実は岡野国務大臣とも話合いまして、一層この際推進して行くようにしようということで、私実は大臣所用のためにかわつて出て参つたような次第でございます。しからばただいまのところ的確にどの程度数字が計上されるかということの見通しは、実はついておりません。しかしながらこの問題につきましては、私どもは決してシヤウプ第二次勧告に便乘するというわけではありませんで、大体昭和二十六年度の国家予算の編成方針というものと、それから今回の補正予算とは切り離すことのできない問題であるのと同時に、シヤウプ第二次勧告の趣旨及び地方自治庁、及び地方財政委員会から政府に申入れをいたしておりまする考え方というものは、大体これは似通つた線で進めておるような次第で、この点につきましては二十六年度において政府が国家予算の編成に伴うて、地方財政歳出増があるということを閣議で認めておるのから考えましても、二十五年度における新規事業に伴う歳出増というものは認めなければならない事情があると、私は考えておるようなわけで、従つて政府原案が目下関係方面で審議を進められておるのでありますが、十分にこれらの意図を反映するようにせつかく努力をいたしておりますことを申し上げておきたいと思います。
  50. 藤田義光

    ○藤田委員 政務次官、大臣の苦労は大体想像がつきますが、万一平衡交付金の増額か、起債のわくの拡大ができなかつた場合は、どういう方法がありますか、これもひとつの仮定の質問でございますが、お答え願いたいと思います。
  51. 小野哲

    小野説明員 はなはだむずかしい問題でありまして、私どもはまだ実は望みを捨てておりませんので、もうしばらくかすに時日をもつて進んで参りたい、この点を御了承願いたいと思います。
  52. 藤田義光

    ○藤田委員 大体私の質問はこれで打切りますが、実はこの点に関しまして、自治庁ないし地方財政委員会がどういうふうな手を考えているか、表面に現われた対策のほかに、その対策が失敗した場合は、どういうふうにするのかということが、全国一万有余の自治体の深刻な悩みになつております。歳末を控えまして、新税法に伴う税收も思う通りに行つておりません。いろいろと混乱しているときでありますので、一刻も早くすつきりした予算の見通しを立てていただきたい。これは私の要望事項でございます。  それから最後にもう一つ要望でございますが、何か動きがございましたら、お答え願いたいと思います。ドツジさんが見えておりまして、新聞の報ずるところによれば、大蔵大臣は非常に活発に動いておられます。シヤウプさんの勧告でもわかります通り、アメリカ当局地方財政に非常に力を入れて来たようでありますから、おそらくドツジさんも今回は金融の問題はまず取上げるとしましても、地方金融関係の問題ということが、相当重大な問題になるだろうと思いますが、この際地方財政委員長あるいは岡野自治庁長官の奮起を、全国の自治体では非常に期待しているわけでありますが、どういうふうな会談の用意がありますか。あるいは今後どういうふうな見通しで折衝される予定でございますか。成案がございましたら、お聞かせ願いたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  53. 小野哲

    小野説明員 ただいまは藤田さんから、きわめて示唆に富んだ御発言を承つたのでありますが、私どもといたしましてはもちろんドツジ氏とも連絡をとる機会をつくる予定にいたしております。と同時にすでに関係方面に対しましては、地方財政の状況その他予算の編成に伴う諸問題につきましては、連絡をとりつつあることを御了承願いたいと思います。
  54. 門司亮

    ○門司委員 最初に聞いておきたいと思いますことは、川本君からも話がございましたが知事会議が非常にやかましい状態になつておりますが、大体これの原因というのは、政府が今度は給與ベース改訂をしようということと、それから年末手当の支給をするというようなことが大体きめられておる。こうなつて参りますと、地方もこれに対して何とかしなければならないということで、その財源の処置として大体年末手当にいるものが九十二億ぐらい、それから給與ベース引上げにいるものが四十三億ぐらい、あるいは、教員の俸給にまわしまするものが四億九千万円必要である。大体こういう数字を並べまして、そのほか当然平衡交付金の中で支給しなければならないいわゆる平衡交付金のきめられました後における法律の変更によつて地方に負担をかけられた約二十四億ばかり、こういうものを総合いたしますと、大体百六十四億ないし五億くらいのものが、この際地方財源として、政府が指示をしたわけじやございますまいが、施策に応じて当然必要になつて来る。従つてこれを政府にぜひめんどうを見てもらいたいというのが大体今度の知事会議の原因であると、われわれは考えておるのであります。これに対して政府処置は、わずかに学校の先生の俸給に振り当てるための九億くらいのものが、大体閣議で決定を見ておる。そのほかのものはほとんど全部これを了承するわけには行かないというような態度であるということを聞いておるのでありますが、地方の自治体は現状のままで行きまするなら、この政府の施策と同調して地方公務員に対して手当を支給し、あるいは給與ベース引上げるというようなことは、おそらく困難ではないか。ことに地方実情は、十八億の中で半額の九億だけが教員の俸給の増給のために、政府から支拂われるといたしましても、その残りのたとい小学校の先生だけの給與の九億ですら出すことは、非常な困難であろうというふうに実は言われております。これにつきましては私ははつきり聞いたわけではありませんから、申し上げることはいかがかと思いまするが、政府内部におきましてもいろいろな意見があつて、一応閣議ではそういうふうにきめたが、その問題については、ことに小学校の先生の問題等を含めて、自治庁と文部省と大蔵省との間において、何らか話合いのもとにこの問題を解決して行つたらどうかというような話だということを、実は伺つておるのでありまするが、すでに明日このことのために臨時に知事会議が招集され、おそらくこれがまた議題になつ政府に陳情されることと考えておるのでありますが、今自治庁としてはこの問題について、どういうふうにお考えなつておるか、その点の見通しがございまするならば、ひとつお答えを願いたいと思います。
  55. 小野哲

    小野説明員 門司さんのお話になりましたように、知事会議におきましては、非常にこの問題を重大視いたしまして、先般も私、大臣と一緒に知事諸君とこの点について十分懇談をいたしたのであります。明日ですか、さらに臨時会を開いて所信を表明いたしたいということも聞いております。そこで地方自治庁地方財政委員会におきましては、先ほど藤田さんにお答えいたしましたような考えを持ちまして、岡野国務大臣が閣議その他の方法によつて強い申入れを実はいたしておるのであります。補正予算において一応九億という額が計上されておることも事実でありますけれども、はたしてこれが終局的なものとなるかどうかということにつきましては、今日ここで私から明言をいたすことは差控えたいと思うのでありまして、私どもは少くとも給與ース改訂に伴う財源賦與につきましては、既定の方針のように適当な額を、平衡交付金の中に計上するという考え方で進んで参りたいということで、なお折衝が続けられておるような次第でございます。大蔵、文部並びに地方自治庁の間で、いろいろ協議をいたすというふうなお話もございましたが、もちろんそれもいたさなければなりませんけれども、要は客観情勢等とにらみ合せまして、それぞれの関係の方面とも緊密な連絡をはかり、また意見を申し述べる機会を頻繁につくることが、必要なことではないかとも考えておりますので、内外呼応してできるだけ実現ができますように一層努力を進めて行きたい、かように考えております。
  56. 門司亮

    ○門司委員 さらにそれの内容についてでありますが、実は大蔵省意見として、先ほど藤田君からも何か怪文書の問題が出ておつたのでありますが、大蔵省地方財政に対して主として調査をいたしております主計局の調査の表を見ますと、実はいろいろ書いてありまして、これは藤田君の質問と重複いたすことになると思いますので私避けたいと思いますが、たとえば地方公務員の給料の問題にいたしましても、地方自治体では国家公務員よりも非常に高い給料を、実はもらつておるというようなことが書かれておるのであります。これは一体事実であるかどうかということであります。国家公務員が一人当り八万七千六百八十円くらいに対して、都市においては十一万四千三百三十八円の高額の給與を支給されておる。これらの問題も、節約すれば大体四十億くらいのものが節約できると考えられる。あるいは物件費においても五十億くらいのものが節約できるのではないかというふうなことを怪文書の中に、はつきり書いておるのでありますが、この数字は、一体自治庁といたしましては、お認めになつておるかどうかということであります。一体私がきよう大蔵大臣に来ていただきたいと思いましたことは、大蔵省がこういう地方自治体の財政需要の算定の基礎というものを出して、これを基礎にして大蔵省が大体地方財政に対する査定をしておるのかどうか、従つて一体大蔵省の見解が正しいのか、自治庁の見解が正しいのか、われわれは実はそれをはつきり知りたいのであります。それをはつきり知らないことには、われわれといたしましても、地方財政というものが、ほんとうにどうであるかということについての議論ができかねますので、私が申し上げるまでもなく、政府当局で——大蔵省はこういうものをたくさん出しております。怪文書と申しますか、三つも四つも出ておりますが、こういうものが何かそちらにもあると思いますが、一体この大蔵省の出した数字というものが正しいものであるかどうか、これを自治庁はお認めになつておるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  57. 小野哲

    小野説明員 給與の問題につきましては、先ほどもお答えを申し上げたのでありますが、多少今度は数字によつて申し上げたらどうかと思つておる次第であります。昨年六月に全都市について実態調査を行いましたところによりますと、これは地方財政委員会がやつたのでありますが、市の職員給與は本俸、扶養手当及び勤務地手当を合算いたしますと、一般職員において九万一千何がし、どういうような数字が出ておるわけであります。学校職員が八万九千二百余円、警察職員が、これは少し高くなつておりますが、大体十万円、消防職員が九万五千八百余円、こういうふうな数字が出ておるのでありまして、市の一般職員給與が十一万四千三百何がしである、こうなつておりますのとは相当の開きがあるということを申し上げてよいかと思うのであります。従いまして私ども手元に出されております資料から考えますと、一概に市が高いのだということにはならないのではないか、もちろん大都市によりましては、勤務地手当が相当高くなりますので、先ほども申しましたが、一般の政府職員に比べますと高くなるのは当然でありますので、従つてそれぞれの大都市における政府機関と地方団体職員とを比較するということならば、また他の数字が出て参るかと思うのでありますが、私の手元に参つております数字から見ますと、十一万四千何がしということにはなつておらないということを申し上げておきたいと思います。
  58. 門司亮

    ○門司委員 実はひとつ聞いておきたいと思いますことは、今のお話によりますと、大体都市が九万一千くらいのお話でございますが、そうしますと、今お話になりました数字は、六千三百円ベース決定いたしました二十三年の十二月十日現在から、今日まで大体一年六箇月以上過ぎておりますので、人事院規則により九箇月ごとに大体一号俸増額しておるということになつて参りますと、大体二号俸の増額が考えられるということになつて参るのであります。そういたしますと。平均給料というものが大体二百八十円ないし三百円当然上つておらなければならない。これに勤務地手当その他のものを大体含ませて勘定いたして参りますと、実際今の自治庁の御答弁でありますと、実態は六千三百円ベースよりも上まわつておる俸給はないという数字が出ることは正しいのではないか、むしろこれより低いのではないかというように考えられるのでありますが、その点について自治庁にその通りであるかどうかというようなことを、もう一応お伺いしておきたいと思います。
  59. 小野哲

    小野説明員 今お話になりました昭和二十三年十二月でございましたか、切りかえの直後におきましての本俸の比較をとつたものがちようど今手元にあつたので見たのでありますが、国家公務員が四千六百七十八円、都道府県職員が四千六百五十一円、都道府県職員の方が下まわつておる数字が実は出ておるわけでございます。その後もちろん九箇月ごとの給與実態調査等もございますが、これらの例をとつてみますると、国家公務員の関係は本俸、扶養手当、勤務地手当、これらを合せまして昭和二十四年九月でございますか、その数字によりますと、六千三百二十円程度なつておるようであります。これに対しまして昭和二十四年六月の数字でございますが、これによると都道府県一般職員の平均は本俸、扶養手当、勤務地手当等を合せますと、約六千六百円ぐらいになつておるという数字が出ておるわけであります。従つて本俸においては地方公務員の方が国家公務員に比較いたしまして高い数字が出ております。しかしこれはさらに内容的に調べてみますと、都道府県職員の方が比較的高齢者が多いということ、すなわち勤続年数が長いということが推察できるのではないか。それだけ給與決定職員の資格が優位にあるというようなことが、一つの原因になつておるものと考えられます。独身者が少く、比較的高齢者、かつ勤続年数が長いというような点から申しますと、都道府県職員給與が不当に高いということは言えないのではないか。それから市町村等におきましては、実際問題として特殊な性格を持つております関係上、ある程度職員給與を高くしませんと、人事管理の上で円滑が期せられないというような事情も考えなければなりませんし、また市町村職員は都道府県職員と同じように、勤続年数が比較的長い者が多いということも、考慮に入れる必要があるのではないか、こういういろいろの要件を総合いたしまして、給與の比較判定をすることが妥当であろうと考えております。
  60. 門司亮

    ○門司委員 大蔵当局にこの数字の根拠をもう少しはつきり確めて、われわれの審議の参考にしたいと考えておりましたが、おいでなつておりませんので、この点は大体その程度にいたしておきたいと思います。  次は参考資料にもらつております地方団体に交付されるべき財政援助交付金決定額算定に関する問題であります。これはすでに官報に発表されておると思いますが、これには案と書いてありますが、どちらでしようか。
  61. 小野哲

    小野説明員 これはすでに官報に発表しております。
  62. 門司亮

    ○門司委員 そうだといたしますると、大体これは案ではなく、すでに附則になつておると思いますが、この中を見ますと、私今ちよつと拜見しただけでまだ十分わからぬのでありますが、算定の基礎になつておりますところの道路の問題、あるいは橋梁の問題でありますが、これにいろいろやかましいことがたくさん書いてあるようであります。しかし道路、橋梁というようなものの補修費、あるいは維持費というようなものの最も算定の基礎にならなければならない交通量が、これにはちつとも考えられておらないのでありますが、これではただ單に机の上で書いた地図にものさしを当てただけであつて、実際に即していない、こういうような算定の方法でありましたならば、おそらく地方においては非常に迷惑すると思う。道路とか、あるいは橋梁は單に長さに幅員をかけたものというようなことでない方が正しいと思いますが、その点に関する当局のお考えはどうか。  それからその次の七の問題でありますが、港湾における船舶の出入トン数と書いてありますが、港湾の施設の査定は、もちろん船舶の出入トン数にもよることでありますが、港湾の実態というものは岸壁の長さというものが相当大きな役割を演ずるのでありまして、港によりましては、相当多数の船が入りましても、ブイにこれが繋留され、荷役されておる場所もありますし、またこれがことごとく岸壁につけられて荷役されておる港湾もあり、従つて港湾の維持管理というものは、單に出入の船舶によつてのみ決定することは、これは地元では非常に迷惑する。一応こういうものによつて目安は立つかもしれませんが、実態とは非常に離れた算定の仕方ではないかと考えるのでありますが、これについての御意見をお伺いしておきたいと思います。  それから次の学校の問題でありますが、学級数について書いてありますが、学級数の基礎になつております数字が出ていないのであります。たとえば文部省できめております教室の坪数と、これに対する收容兒童というものの大体目安があるはずでありますが、それがこの基礎になつておるかどうか。ことに複数の場合はこれを認めない——おそらくこれは二部教授のことであろうと思いますが、もしそういうことでありますと、これも実態とはなはだ遠いやり方である。今日学級はなるほできめておりますが、多いところになりますと、一学級八十名を越えておるのがあります。少いところは標準の四十七、八名から五十名おればいい方であります。戰災を受けた都市の学校は入り切れるだけ入れて、先生の机も置くところがないというようなところで、教育しているのが実態だと思います。これは單に現実の学級数で割られるということになりますと、これも学校にとつては迷惑だと思います。少くともこれは学級数に割当てられた正しい数字というものが根拠になつて、算出されるべきではないかということが考えられるのでありますが、こういうものについてどうお考えなつておるかということであります。その他いろいろよく調べれば、ふに落ちない点があるとも思いますが、ちよつとこれを見ただけでこういうことを感じますので、このように單に机の上の地図を開いて、ものさしを当てて物をはかることになつて参りますと、地方の公共団体は非常に迷惑するところができて来ると思う。この点に対するお考えはどうか伺いたい。
  63. 武岡憲一

    武岡説明員 基準財政需要額の算定の基礎になります測定單位のわけ方についての御意見を、いろいろ伺つたのでありますが、最初の道路費を算定するのに実態に即さないではないかという御意見でありますが、ただいまのところ法律で道路費は道路の面積が測定單位ということに、一応なつておるわけであります。これは実際に地方会議等を開きました際に、地方からも御指摘のような意見がございまして、十分それを取入れてもらいたいという希望を伺つておりますので、さらに検討いたしまして適当であるということになれば、あるいはまた法律改正によつて、お願をするようなことになろうかと思うのであります。  それから現在のところといたしましては、道路費の算定の基礎になります測定單位は、面積をとるのでありまするが、その補正にあたりましては道路の幅員をとつておるわけでございます。それからその性質上鋪装道と砂利道というようなわけ方をいたしまして、それぞれの係数をかけて算定をいたすという方法をとつておるのでございます。  それから港湾費の算定についてトン数ばかりでとるのはどうか。これも確かに御意見でございまして、地方からもそういう意見を伺つております。これも法律ばかりで言うようでありますが、現在の法律では一応トン数によつて算定をするということになつておるわけでございます。なお御指摘のようにいろいろ具体的に申しますれば、港湾の種類、さらに具体的に申しますれば、太平洋岸の港湾と、日本海岸の港湾とでは、経費も違うではないかということも、だんだん申して参りますと、いろいろ意見もあるのでございますが、現在では法律のように一応輸出入のトン数を基礎にいたしまして、係数を出しておるのであります。  それから教育費の測定單位の学級数は、実学級数であるか理論学級数であるかというお尋ねでございますが、これは規則によりまして実学級の数をとることにいたしております。実際各地方によりまして、山間部と都会部では学級の編成等も非常に違いますことは、御指摘通りでございますが、それだけにまた山間等にありましては、人数は少くても学級の数を持たなければならない。あるいはまた分校の数も従つて多くなるというようなところは、おのずから経費もかかるわけでございまするので、そういうところはその実情によつて実際に編成している学級の数で、とつた方がより合理的ではないか、一応かように考えております。
  64. 門司亮

    ○門司委員 あまり遅くなりますし、長くなつて押問答になりますからこれはこのくらいでやめておきまして、明日にでもまたお伺いいたしたいと思います。  最後にお聞きしておきたいのは行政の面であります。共産分子を適格者でないというような考え方のもとに、これを排除するというようなことが考えられ、さらにこれが国の重要産業にも及ぼすようなことを、新聞で私どもは拜聽いたしておるのであります。これのよしあしということは別の問題といたしまして、地方公共団体にも同じように考えられておると私は聞いておりますが、自治庁といたしましては、この問題について地方公共団体に、どういうふうな指示がされておりますか。指示がされておりまするなら、その点お話を願いたいと思います。
  65. 小野哲

    小野説明員 ただいまお話になりました地方公務員の中で排除をいたさなければならないような公務員の処置につきましては、適宜な方法によりまして関係団体にも連絡をとることにいたしております。ただこれが実施の時期につきましては、必ずしも国家公務員と同時に、あるいはまた公共企業体職員と揆を一にしてやるということを考える必要はないと思いますので、この点につきましては地方団体が、それぞれの事情に応じまして措置ができるように話合いを進めて行きたい、かように考えておる次第であります。
  66. 門司亮

    ○門司委員 それにつきましておそらく何らかの指示がされておることだと思いますので、指示がされておりまするならば、その指示の内容をお示し願いたい、こう考えているのであります。こういうことを聞き、さらに提出をお願いしたいと思いますことは、政府考えております考え方の中には、共産党員であるからこれはいけないというような一つの物の考え方と、さらに労働組合の運動の中におきましても、やはり過激な物の考え方を持つている者等に対して、措置を講じたらどうかというような意見が、強くこの中に織り込まれていると、われわれは聞いておるのであります。本来のわれわれの立場から申しますると、どういう思想を持とうと、それに何ら干渉する余地もなければ、また干渉すべきものでもないと考えております。しかし公務員として日常の勤務に適格者でないという場合には、これは何も共産党ばかりではなく、たれでも公務員として適格者でないものを雇つておくわけにはいかないと思います。しかし今日の処置というものは、共産党の追放ということが一応考えられているということは、多少物の考え方において、われわれと違うものがある。と同時に、われわれが心配するのは、さつき申し上げました同調者であるとか、あるいは組合運動者の中で、過激な物の考え方をしている者等というようなことになつて参りますると、ほんとうにそういう思想も持たなければ、また党員でもないというような者が巻き添えを食うといいまするか、処置に便乘させられて馘首されなければならないような者ができて来はしないか。この場合考えますのは、こういう処置を公にとられておりますときに、職から離れますと、その次の職を求めることは非常に困難になるのであります。公にされないで処置された場合は、世間では比較的多いのでありますが、国がこういうように法律に近いようなことで、指示をするということになつたときに職から離れた者は、不適格者であるという烙印を押された結果になつて、就職にも非常に困難をする。当然そういう処置を受ける資格と言つては何ですが、受けるような行為のあつた人に対しましては、別段問題ではないと思いますが、該当しない者までがこれに便乘されてそういう事態にやむを得ず引きずり込まれたという場合は、非常に気の毒なものができる。従つてこれは非常に愼重に処置を講じていただきたいと考えておりますので、この点に対しまして自治庁から地方の公共団体に指示された要綱等がございますれば、ひとつぜひお示しを願いたいと考えております。
  67. 小野哲

    小野説明員 門司さんのお話のように、これはきわめて愼重に取扱うべき問題であろうと私も考えております。同時に、地方団体職員に対しましては、的確にその対象を把握するということが必要と考えますので、これらの点については、当該地方団体の責任者において十分に調査した上で、行うべきものであろうと考えておる次第であります。なお地方自治庁として地方団体に対してこれらの点について、指示したかという御質問でございますが、私はただいまのところ書面をもつて指示を與えたというふうには、実は事務当局から報告を受けておらないのでありまして、この点についてはなお調査の上、あらためて御答弁申し上げたいと思います。
  68. 前尾繁三郎

  69. 野村專太郎

    野村委員 最近の露店の対策及びその後の推移に関しまして、非常に憂慮にたえない状態が感知されておりますので、お尋ねいたしたいと思います。御承知通り東京都におきまする露店の対策の問題は、都市の美観、交通、消防、これらの観点からそれを指摘されて、それぞれ代替地を指定して、その後対策がとられたわけであります。そこで九月一ぱいにその方途がとられ、現在は晝間における業態に終止符を打たれまして、いわゆる夜店だけが許容されたわけです。従来江戸時代からあり、愛好されました夜店と、最近までありましたいわゆる街商の実態から見まして、非常に困難な状態に陷つております。そこで今代替地が指定されまして、おそらくは相当な建設をいたさなければならぬ。これについては関係当局、あるいは中金等の資金的あるいはいろいろな方面からのあつせんにまたねばならぬ。そうしてこれに対しては相当な年月を要することが考えられる。この間におきまして生業が中絶されておるような状態で、非常な深刻な波紋を投げかけております。しかも今日の交通状態、あるいは労働基準法等々によりまして、夜間におきまする現状から見まして、夜間の営業状態は非常に困難であります。こういう点からいたしまして非常に憂慮すべき状態になつております。こういう点に対しましてそれぞれの方面の指示によつて、具体的方途が立てられまして、この代替地に協力して行く方向に行つておることに対しましては、その間におきまする生活に対しては理解すべきである、かように考えておるのでありますが、現在においては全然これを中止をさせておるような状況で、私は今日の政治の実態から見まして、これらはすべて戰災者、あるいは引揚者、あるいは中小業者であつて、中小業者に対する政治ということが、非常に貧困であるというときにおきまして、非常に大事な要素である、こういうときにあたりまして、現在のまま放置をいたすときにおきましてはゆゆしい大事が引起らぬとも予測しがたいような状況でございます。こういう点に対しまして、関係所管庁でありまする自治庁あるいは本委員会としては無関心ではいられないと思いまして、この点に関しまして十分——この問題は東京都知事、警視総監、消防総監いわゆる三長によつて指示が発せられておりますが、十分これらを督励しまして万遺憾なきを期せらるべきだ、かように考えておるのであります。これらに対しておわかりになつておりまするならば御意見を承りたい。委員会が明日に継続されておりますので、建設局におきましては露店対策部がございますから、今次官からお話を承つた後におきまして、その結果によりましては対策部、あるいは警視庁から適当な責任者を委員会に御出頭をいただきまして、その実情をつぶさに伺つて遺憾なきを期したい。かように考えておりますので、おわかりになつておりましたらば実情を承りたい、かように考えております。
  70. 小野哲

    小野説明員 お答え申し上げますが、実は私直接その内容に深く関係しておりませんので、お答えをいたしかねるのでありますが、昨年でございましたか、いろいろ本委員会でも野村さんからそのお話がございまして関係当局には連絡をとり、お答えを申し上げるような段取りをつくつたことを、記憶いたしておるのであります。従いまして東京都、警視庁及び消防庁の方から関係当局の出席を御要求くださいまして、むしろ直接に現状等をお聞き取りの上、さらに私どもに御意見を伺わせていただくならば仕合せと思う次第で、明日もし委員会がございますれば、その機会をおつくりくださいますことを、私からお願いをいたしまして、お答えの方は保留させていただきたいと思います。
  71. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは明日関係者を招集いたしますから……。
  72. 野村專太郎

    野村委員 そのことはどうか明日その機会に関係者を出頭いただくようにお願いいたします。  それから明春行われまする地方議会の選挙にあたりまして、都道府県の人口も相当移動があろうと思います。この選挙にあたりましていわゆる定員の問題がいろいろ考えられるのですが、これに対して政府当局としては自治法を改正する御用意があるかどうか、御所見を伺つてみたいと思います。  それから選挙期日に関する問題、いわゆる繰上説と繰下説、最近いろいろな観点から繰下説の方に大体行こうというようなことが伝えられておりまするが、かりに繰下説の五月下旬なり六月初旬に実施するということになりますと、いわゆる知事なり市町村長、あるいは県会、市町村会議員、いわゆる理事者、執行機関と審議機関と、二つの選挙が考えられるわけであります。こういう点が農繁期との関係がありますので、これを一度にやられますならば、非常に便利だと思うのでありますが、あるいはこれは選挙管理委員会の御所管でありますから、その方面に伺うのが妥当であろうと思いますが、これを一度にやりますと、非常に便利ではありますが、非常に煩瑣である。これはこの間の参議院議員の選挙にかんがみてもこのことが考えられる。この点をどういうふうにお考えなつておられますか。もしお考えがありましたならば、次官から承れれば仕合せだと思います。
  73. 小野哲

    小野説明員 まず第一は、来年に行われようとする地方選挙の場合における定数変更の問題でございますが、この点につきましては御指摘のように、人口の移動等もあるいはあるのではないか。今回の国勢調査の結果に基きまして、判断をいたさなければならぬと思いますので、その場合においては全国選挙管理委員会とも相談をいたしまして、適宜な措置を考究いたしたいと考えております。ただいまのところは公職選挙法の改正の具体的の内容を、お話申し上げるまでには至つておらないのでございます。  第二の地方選挙の施行期日の問題でございますが、この点につきましては、これはこの委員会関係当局から御説明を申し上げたかと存じますが、いろいろな場合が予想されますので、たまたま来年の知事その他執行機関並びに議員の選挙が三月に集中される結果に相なりますれば、地方団体予算の編成期ともぶつかつて、種々問題が起りはしないかという懸念もありましたので、政府としましては繰上げもしくは繰下げ、あるいはまたさらに根本的には地方団体の会計年度の変更というふうな点につきまして、いろいろな考究をいたしまして、これらについての各方面の意見を聽取しつつあるような次第で、目下のところ、ただいまお話になりましたように、繰下げするがよいのではないか、この意見の方が実は多数を占めておるようなわけであります。政党方面及び地方自治委員会議の議にも付しまして、十分に御意見を伺つた上で、政府としては善処して参りたいという心組みを持つておる次第であります。その場合において、いつの期日がいいかということにつきましても、農繁期等との関係もございますので、いろいろ研究しなければならぬ問題もあろうかと存じます。また執行機関と議員とどういう組合せでやるのがよいか、あるいは同時選挙にした方がよいのではないか、理論上の問題と実際上の問題と兼ね合せて研究をいたさなければならない問題が多いかと思うのであります。理論上の問題といたしましては、まず選挙費の点から申しますと、同時選挙を行いますと、所要の額約六十億くらいと存じますが、その半額くらいで済むのではないか、こういうふうに見込んでおるのでございます。しかしながら多数の異なつた選挙を同時に行いますことが、混乱を生ずるおそれがあるということも考えなければなりませんので、適当に組合せをいたしまして、二回くらいにわけて、適当な間隔を置きまして実施するのがよいのではないか、こういう意見が、これまたただいまのところ多数のように思うのでありまして、この点につきましては、いましばらく各方面の意見を参酌いたしました上で、これに必要な法制措置をとつて参りたい、かように考えております。
  74. 前尾繁三郎

    前尾委員長 大矢省三君。
  75. 大矢省三

    ○大矢委員 時間が非常に迫つておりますから私簡單にお尋ねを申し上げたいと思います。多分午前中にあるいはあつたかもしれませんが、せんだつての関西のキジア、ジエーンの二回の災害に対しての対策であります。多分自治庁においても非常な強い各方面からの要望があつたと思いますが、地方税法の成立が遅れたためと今度の災害で、いろいろな減税、徴收の延期等によつて地方財政が非常に行き詰まつておることは御承知通りであります。それに対してつなぎ資金と申しますか、そういつた融資を強く要望し、またこの年度内における地方起債の問題が、相当地方で問題になつております。それが大蔵省あるいは関係方面との折衝の経過及び見通し、こういうものについて私は不幸にして聞くことができなかつたので、午前中あつたかもしれませんが、この機会にお聞きしたいと思います。
  76. 小野哲

    小野説明員 先般来起りましたジエーン台風あるいはキジア台風に対する対策としましては、政府も閣議で決定いたしまして、主としてジエーン台風に対しては大阪において会議を催しまして、それぞれ関係大臣からお話を申し上げた次第でございます。ただ地方財政の点から申しますと、起債の問題がおもな問題になつて来ると思うのでありまして、本年度地方債中で、災害復旧に充当し得る未決定額は、現在大体十七億円くらいあるわけでありまして、もつともこのうちには公共事業補助金に伴う地方負担分に対する充当額と、それから地方において独自に行う災害復旧費に充当する起債額と両方あるわけであります。前の方のは大体七億円程度地方において独自に行う災害復旧費に充当する分が、十億円となつておるわけでありまして、これをジエーン台風あるいはキジア台風の災害分にそれぞれ振りわけまして、地方に許可をする、こういうことになるわけであります。しかしながらこの程度の額では、地方が單独で事業をする場合においては、とうていこれでは間に合わない、こういうので災害復旧に充当する分といたしまして、相当額を増額いたしたいというので、実は大蔵省とはも相談の上で折衝をいたしております。しかしまだ実は結果が出ておらないわけなのでございまして、はなはだ遺憾に存じまするが、大体私の見込みとしましては、ジエーン台風、キジア台風を合せまして、少くとも本年度及び来年度で百数十億はいるのじやないか、特に八月以前に発生いたしました分を加えますと、大体百七十億くらいの起債のわくはふやす必要があるのではないか、少くともそのうちで百億程度は本年度分として増額を要請する必要があるのではないか、かように考えておる次第であります。もつともそのほかに公共事業分として別に起債を考えなければなりませんけれども、それを除きましても、所要額としては百億円程度が必要ではないか、こういう見込みを持つておりましてそれぞれの向きと折衝をいたしておるような次第であります。つなぎ資金、短期融資の方は、御承知のように一応施行いたしたのでございますが、災害地方面では特に大阪を中心にしました産業地帯におきましては、單に公共土木施設以外に産業資金が相当必要となつておるようにも聞いておりますので、これらの点につきましては、先般来も災害復旧対策協議会に私も出まして、大蔵省に対してもいろいろ申入れもいたしておるような次第で、大蔵当局も研究努力をいたしたいということを申しておるような次第でございます。
  77. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは明日午前十時から再開することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時七分散会