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神戸参考人 行政事務再
配分のお
仕事を担当しておりまする私といたしまして、一応御
説明申し上げまして、御
質問に
お答えいたしたいと存じます。
この
仕事は本年の初めから着々
進行いたしておりまして、まず基本の方針を定め、それに基きまして、各
行政部門にわた
つて一応
検討を加えまして、
現状から見ましてなお改めなければならぬ点を、一々
結論を出そうとして
努力しておる次第であります。重要な問題につきましては、大体
見当をつけたのであります。しかしなお細部にわたりまして足らぬところがありますので、その方をただいま
検討中であります。さらに前におよそきめましたことも、全体を見渡した上で、かれこれ修正を加えなければならぬということでありまして、いまだここで
はつきりとこういうふうにしたいということを御報告申し上げる段階には達しておりません。しかしそう遠くない将来におきまして、できれば今月一ぱいと
考えておりますが、あるいは来月にわたるかもしれませんが、近い時期におきまして一応の
結論をつけまして、
勧告案をつくりたい、こういうふうに
考えておる次第であります。ただわれわれはこの再
配分をいたしますれば、それに照応して
財政問題に立ち入るという使命を持
つておりますので、一方
行政事務の再
配分を
検討しつつ、それと並行して
財政の問題を研究しつつある次第であります。ところでこの
財政に関しまする事柄は、二十六
年度の
予算の上に必要である点にかんがみまして、この点だけは少し先に何らかの
結論をつけて
勧告案をつくりたいと存じておる次第でありまして、その方はごく近い時期に提出をする段取りにいたしたいと思
つておる次第であります。そこでこの
財政に関する問題の大略を申し上げてみようと思います。
まずこの
財政におきまして問題となりましたのは、
補助金の
整理の問題であります。
補助金の
整理ということは、すでに
昭和二十五
年度にも
シヤウプ勧告に従いまして、ある
程度行われたのでありますが、なお残
つておるものが多々ありまして、これがなかなか複雑で、いろいろな歴史、沿革もありますので、この
整理は決して容易ではありません。従いまして、これももう少し時間をかけて、ゆつくりと
検討いたすつもりでおりますが、さしあたり二十六
年度にはある
程度のことはしていただきたいという
結論をつけましたので、提案をいたしたいと存じておる次第であります。
第一には
補助職員の
補助金でありますが、これはいわゆる定員内に含まれておるところの
職員の俸給が国庫から
補助を受けて出ております。こういつた種類のものは、一部
補助金にも
全額補助金にもありますが、これはいろいろ弊害がありますから、ぜひやめるようにしたい、
地方自治というものを混乱するもとでありますから、こういうことをなくしたいという
考えを持
つております。それから
全額補助金におきましては、
補助金という名前はあるが、その性質はほんとうの
補助金ではない、別の意味を持つたものであるという
補助金であります。たとえば
地方団体に向
つてその内部に国有財産があるために、多少
地方税のかわりとして
政府が補給する必要があるというものも相当あります。大学の演習林の場合がそうであります。それから賃借料に当るようなものがあります。函館の税関などにおきまして、
政府が土地を賃借しております。あるいは横浜とか
神戸におきまして、市が
政府の
仕事の面に出資をしておる。その出資の配当金にすぎないといつたようなものが、やはり
神戸市、横浜市の
交付金という名前で出ておる。そのほか
府県の試験所に委託金を出しまして、ある研究を委託しておるというものがあります。これもほんとうの
補助金ではなくて、あたりまえのことである。そういつたようなたぐいのものは残すべきもので、これは別にやめなければならぬという性質のものではないのであります。そういうような種類のものがまだほかにもありまして、そういうものは残すということにいたした次第であります。それから一部
補助金の中におきましては、たくさんありますが、これもその
補助金の性質にかんがみまして、なるべくそういうものを
整理いたしたいのでありますが、しかし今
暫定的には、すべての
地方団体にわた
つていない、半数以下の
地方団体にわた
つておる、あるいは臨時的のものはこれは残しておこう。すべての
地方団体にわたりあるいは恒久性を持
つておるものは、むしろ
平衡交付金に讓るという
考えをもちまして、一部
補助金のあるものは残すというように
考えておる次第であります。それで平衡交附金になるべく入れる。
地方団体の
仕事に刺激を與える、これを奬励するといつたような意味の
補助金は残すけれ
ども、そのほかのものはできるだけ
平衡交付金に入れまして、
整理をしようという
考え方を持
つておる次第であります。
それから災害復旧費の問題でございますが、災害復旧費の
補助金の問題につきましては、これも
地方団体といたしまして災害を受けた以上は、その復旧費を自分で支弁するということが、自治の建前からいえば望ましいのである。できるだけそうしなければならぬという
考えを堅持いたしますが、同時に、時と所を選ばず、自然的な天災が出て来て、それによ
つて、受けた損害は全部
地方団体が出すということは、きゆうくつな
地方財政といたしましては負担しきれないから、これは国がめんどうを見てやるということはやむを得ないのであります。そこで今日は十五万円以下のものは
地方負担とする。それ以上は全額国庫が出すということで、この二十五
年度はできております。しかし聞くところによりますと、来
年度は三分の一は
地方団体が出す。三分の二は国庫が出すというように元へもどろうとしておるようなことを聞きますが、これもいかがかと思います。それでこれは私
どもといたしましてはこういつた
考え方で
考えております。第一これは
市町村と
府県と段階をつけたらよかろうと思いますが、それはかりに
府県であれば十五万円とか何とか段階をつけまして、それ以下は
地方団体が自分の
仕事として処理する、自分がや
つて行く。災害復旧費の問題には
考えを入れないということにいたしまして、そのほかの災害復旧費につきまして、まず
地方団体といたしましても全額国に頼るというのはおもしろくないから、
地方団体の
税收入、それに
平衡交付金を加えるという
考え方もありますが、何か
地方財政力の標準になるようなものをとらえまして、それの何分の一かを各
地方団体が自分で負担する。それを越えた場合においては、国が見てやるということにいたしまして、
地方団体にも持たす。しかしながら
地方団体のみではできぬから、国が
補助するということによ
つて、あんばいして行きたいと思います。しかし国といえ
ども、これをすべて負担するとなると、相当に困りますから、そこで国も何か災害基金のような特別会計をつくりまして、そこに前三箇年の災害によ
つて国が負担した額の平均額というようなものを一応振り込んでおいて、それでも
つて先刻申した国の負担すべきものを出して、それでも足らなければ、その特別会計が借入れをして支弁して行き、もし余れば、一応これで借入金の繰上げ償還をする。なお余りは積み立てるというようなことをしてや
つて行きますれば、国の方といえ
どもおよそ全体の
予算の中からどれくらいという
見当がついて、
多額の費用を出したために、
財政の負担をふやし非常に困るというようなことがなくて済むのではないか。大体そういうような
考えを持
つております。
それから終りに
地方債の起債の問題でありますが、
地方債につきましては、
地方財政法に規定され、あるいはその他の法令によ
つて行われておりますところの現在の
地方起債には、非常にむりがある。また手続が煩雑であるということに、私
どもは非常な不満を感ずるのでありまして、今日
地方で金を借りようと思うと、大体大きな
わくがきま
つておる。
わく内でも
つてとり合いである。
よけいもらうために、
大蔵省に、あるいは
地方財政委員会にお百度を踏まなければならない。何十度となく中央に来なければ一つの問題が片づかない。これをひとつ何とかしたいというのであります。それは恒久的には私
ども別な案を持
つております。たとえば
地方のための中央金庫のようなものを持
つて、そして起債に便利なような
方法を講ずるとか、
地方の起債に関する法律を整備しまして便利なようにしておく。しかしながら大体
地方団体は、各
地方団体の
財政能力、償還能力に応じて、その償還能力としてたえられるだけにおいては自由に起債する。一々許可を得なくてもよろしい。自由に起債ができる。自主的にできるようなふうに持
つて行きたいと存じております。しかし現在の状況におきましては、資金の面におきまして、特殊な
現状でありますから、これはやはり
政府がある
程度の額をきめることもやむを得ないでしようし、全体の資金計画の面から、
わくをきめることもやむを得ませんから、その限りにおきましては、
政府の許可ということも
現状ではやむを得ません。
そこで二十六
年度においては、
わくをきめることは認めまして、それは
地方財政委員会が
大蔵省と
協議をして許可を與えるということもやむを得ぬと思います。そこで総額がきまりますと、
地方起債の総額の中で各
府県別、あるいは
市町村の分はこれを
府県でまとめまして、中央でおよその
わくをきある。各
府県別と、各
府県内の
地方市町村別の分とは、
府県ごとに一括して
わくをきめまして、全体の
わくでどうきめるかということは、
地方財政委員会がある根拠によ
つて公平にきめる。しかしそれでも一々の
仕事についての許可でなく、総額だけをきめる。総額内においての
配分の仕方は、各
府県なり、各
市町村なりでは任意にできるということに持
つて行きたいと思います。もつとも
市町村の分は、六大市を別といたしまして、その他の
市町村の分は
府県の方に持
つて参りまして、
府県で
考える。
地方財政委員会では各
府県別の全体をきめる。それ以上のことは、
市町村の分まで中央できめないで
地方にまかせる。
地方にまかすと、今度は
府県でも
つて府県知事なりがか
つてなことをして、
市町村が迷惑するという
考え方も必ず出て来るが、そういうことを
心配するならば、それは何か公平な
委員というものに
意見を聞いて、
府県知事がきめるということを
考えてもいいと思います。いずれにいたしましても、そういうふうにいたしまして、個々の一つ一つの起債についてお百度を踏むようなことはなくしたい。できるだけ手続を簡略にして、
地方の起債ができるようにしたい。理想から言いますと、償還能力の範囲内においては自由に起債できるということにしたいのですが、今の日本の
現状では、そうは行きません。従
つて過渡的には、
地方の起債をいくらかなりとも自由にしたいという
考えを持
つております。アメリカあたりでは、償還能力については、
地方を調べてみますと、
地方団体の管内の財産額、日本で言うと固定資産税のようなものですが、ああいう財産評価額の何パーセント以内、たとえば一〇%以内であれば、許可なく各
地方団体がか
つてに自由にできる。これが理想だと思います。日本でもそこまで持
つて行きたいが、そこまではむずかしいからこのくらいのところでや
つて行こう。これが今私
どもが
考えておる案であります。いずれそのうちに御提出申し上げたいと思
つておりますが、これも実はきめたというわけではありません。
多分そういうぐあいに持
つて行かれるだろうという予想であります。しかるべく御
承知願います。