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1950-09-11 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十一日(月曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       大泉 寛三君    川本 末治君       清水 逸平君    吉田吉太郎君       床次 徳二君    山手 滿男君       大矢 省三君    久保田鶴松君       立花 敏男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大橋 武夫君  委員外出席者         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         地方行政調査委         員会議委員   鵜澤 聰明君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 八月三十一日  委員高田富之辞任につき、その補欠として林  百郎君が議長指名委員に選任された。 九月十一日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として米原  昶君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  警察に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これより会議を開きます。  本日はまず警察に関する件を議題といたします。質疑の通告がおりますから、これを許します。川本末治君。
  3. 川本末治

    川本委員 私一応大橋法務総裁にお伺いしたいのであります。治安維持のために警察予備隊七万五千人というものが、新たに設けられたのでありますが、これは今日までわれわれが知るところによりますると、現在ありまする十二万五千の警察とは何ら関係がない建前のよう考えておりますが、いずれの時代にも治安維持の大切なことは申すまでもありません。特に最近の日本情勢は、最もこの点に意を用いてもらわなければならぬと思います。この十二万五千の現在の国家地方警察と、自治体警察定員の再配分の問題につきましては、いまさらくどく申し上げなくも、ずつと常に言われて来ておりますので、そういう問題につきましては重複することを避けまするが、まず定員の再配分ということにつきまして、現在政府としてはどういうお考えをお持ちになつておりますか。その点を最初にお伺いしたいと思います。
  4. 大橋武夫

    大橋国務大臣 十二万五千の現在の警察定員は、御承知通り国家警察において三万、自治体警察において九万五千、これが現在の警察法において規定をいたしてあるよう状態でございます。しかしてその後におきまして戰災地の復興その他の事情によりまして、国家警察自治体警察管轄区域との間におきまする人口の変化、また社会情勢の変化等いろいろなことによりまして、今日におきましてはこれが再配分ということが、非常に各方面からその必要をとなえられておるような次第でございます。この問題につきましては、政府といたしましても目下十分に調査研究をいたしておる次第でございます。もちろんこれが実施につきましては、法律改正の手続を必要といたすのでございまするが、御承知通り現在の警察法のことにつきましては、定員の再配分の問題以外に幾多研究すべき事項もあるのでございまして、これらの点につきましても、政府といたしましてはいろいろ調査を進めておるような次第でございます。これらの調査の完了を待ちまして、警察法改正という一つの大きな問題としてこの問題を取上げて参りますか、あるいはまたとりあえずの問題といたしまして、他の警察法改正と切り離して、定員の問題だけをさしあたり処理して行くか、これらの点につきましても事務的にも、また政治的にもいろいろ問題があろうかと存ずる次第であります。要するにただいまこれらの問題を十分なる注意を持ちまして調査を進めつつあるという段階にございます。
  5. 川本末治

    川本委員 法務総裁の御答弁、はなはだ抽象的でありまして、いまなおそうした問題については調査研究中というお返事のように承りまするが、この問題はきのうやきように言い出された問題ではありませんで、特に大橋国務大臣前任者でありました樋貝国務大臣時分に、すでに私どもが議席を得まして第五国会に臨みましてから常に論議され、各方面からも委員会陳情いたしておるばかりでなく、政府の方にも十分そうした陳情は行き届いておると、私は考えておるのであります。さらにその点につきまして当委員会といたしましても、再三現地に調査に参りまして実情をよくわれわれは把握しておるのでありまするが、ただときたま自治体警察は五万以上の都市にこれを縮小するというようなことが、ちよいちよい新聞などに出るのでありますが、ああした意見はどこから出て来るのか、この点も明瞭ではありませんが、ともかくにも今までの間政府といたしまして、調査研究に名をかりてすでに一年数箇月というものを、放任しておいたと言われても、これは仕方がないじやないかと思う。事いやしくも治安に関する問題につきましては、今日あらゆる問題よりも先決にしなければならぬ問題でありまするが、いま少し総裁としての明確なる御所信を承りたいと思いまするが、総裁はまだ御就任日も浅いのでありますから、幸いに斎藤昇警本部長官もおいでになつておりますので、斎藤国警本部長官はずつと以前からの御関係で、今日の十二万五千の警察の再配分につきまして、相当な御意見をお持ちだと思います。もし法務総裁の方で、はつきりした点をお聞ききすることができないようでありましたら、斎藤国警本部長官でけつこうでありますから、もう一歩進んだ具体的お話を承りたい。
  6. 斎藤昇

    斎藤説明員 大橋法務総裁お答えで盡きるわけでありますが、さらに具体的にというお話でありまするから、事務的に考えておりまする点を若干申し上げます。  自治体警察相互間の定員調整の問題は、御指摘の通り一年以上も前からの問題であります。われわれもこのアンバランスのある点は十分認めておるのであります。しかしながらこれは法律改正する必要があり、ところで法律改正によつてこれをやるということになりますると、現行法では自治体警察が九万五千と限定をされておりまするから、どうしてもその結果は、大都市定員を減らして、中小都市増加をするという結果に相なつておる。大都市警察力は、中小都市に比べて密であるということは事実でありますが、さりとて今日この大都市警察官を減らすことがはたしてできるかどうか。もちろん国会で御審議の上、大都市警察官を減らす。大都市と申しましても、ほとんどこれは東京及び大阪が大部分ひとつかぶらなければならぬと存じますが、これは相当困難な問題が治安の上にも考えられなければならぬのであります。もし大都市中小都市警察の不足をよく了解をして、自分の方の定員をさこう、さいてもよろしいというよう協議がまとまるのであれば、法律改正をまちませんでも、実際上の問題として、定員を貸してやるということができるのであります。今日法律に基く政令できまりました定員を、若干中小都市にすでに貸しておる例もあるのでありますが、しかし今中小都市から要求されておるような大量の定員を、これを協議の上で中小都市に貸すということは、実際上不可能であります。結局中小都市大都市との利害が相反するということになるのであります。そこに非常にむずかしい問題が起るのであります。その一面自治体警察は、自治体財政なり自治体考え方から、定員を決定すればよろしいではないかという考え方もあるのであります。自治体財政が確立するならば、自治体警察定員は、これは自治体にまかして、そして国の方では容喙しないでもいいのではないか。さらに言葉をかえて言えば、十二万五千のわくを取りはずすということが考えられないこともないではないかという考え方も一面あるのであります。しかしそうなりますと、九万五千のわくを取りはずすということは、これは国際的に相当大きな問題でもあるので、警察法はいつも問題になつておりますけれども、大分国際的な政治問題を伴いますので、これらを十分見合いながら進めて行かなければならぬ。そこでそういう情勢がどういうようなつて行くかという、その点と非常に微妙なかみ合せが起つて来るので、そういうよう関係から樋貝国務大臣が前の国会の際に、自治体警察定員配分問題を考えてみたいという御答弁をなすつたことがあることも、承知をいたしておるのでありますが、そういつたような含みがありましたために、もう少し考究を続ける方がよろしいという結論になつて、今日に至つておるのであります。今までの事情を一応申し上げておきます。
  7. 川本末治

    川本委員 せつかく斎藤長官に御答弁を願いましたけれども大橋法務総裁言葉を少し長くなさつただけでありまして、内容には何ら触れていない。警察定員の再配分に関する点は、法律改正しなければならないということは、法務総裁がおつしやつておりましたが、今長官からもおつしやつた。少くともわれわれ国会議員は、法律をかえなければできるかできないかくらいのことはよく承知しておる。そういうことを重ねて言われることは、むしろわれわれ議員を侮辱するものだ。そんなことを言つておられるひまに、いま少しく具体的に物を考えておられなければならぬと思う。すでに一刻を争う問題を何度お聞きしても、調査中だ調査中だと言う。調査研究ということは、一つの学説をつくり上げるのではないのでありまして、どうも政府自身がこの治安維持に関しましてはきわめて冷淡であるというのか、吉田内閣は無能であるというのか、いずれかの一つに帰するのである。斎藤長官の御説明によりますと、自治体警察定員を動かす点につきまして、大都市から中小都市へ移したらどうかというよう意見もあるというお話でありまするが、そういうことは先刻われわれ承知しておる。ところが大都市、たとえば東京大阪のごとき大都市から現在の定員を減すということは、絶対に私ども治安維持の上から反対しなければならぬと思う。そういうことをお考えなつておるよりも、これは私の意見を申し上げるのでありますけれども、むしろ全国の小さい都市におきまする自治体警察定員について、大都市に触れなくても今定員が不足して困つておるという方面に、これを振りわけることは十分でき得る点がある。それは今までこの警察法の制定以前におきまして、わすかに二人ないし三人の駐在巡査をもつて十分治安維持が確保されて来ておりました地方が、今日十五人、二十人という小さな警察を持つておる。さらに国家地方警察現状を見ましても、全国いたるところに十人か十五人の警察の間に、一人か二人ずつの国家地方警察駐在員がおるわけです。そして隣りと隣りの間の連絡は全然そこで断たれておるというよう現状にありますので、この際にいま一つ斎藤長官の御意見を承りたいと思う。現在の国家地方警察に対しまして、今後定員の、再配分にかんがみて、さらに警察予備隊整備を見ることも目睫の間にあると思います。その後におきまする国家地方警察というものは、実は相当浮いて来るのであります。これに対して現在の国家地方警察定員を、将来縮小するお考えがあるかどうかという点をまず一点承りたい。
  8. 斎藤昇

    斎藤説明員 警察予備隊の誕生によりまして、国家地方警察任務が軽減されるのではないか、従つて定員を減らしてもよくはないかという御質問ようでありました。私の考えといたしましては、警察予備隊ができましたのは、日本治安に大きな力を與えるものだと非常に喜びにたえないのであります。しかしそのために警察日常の仕事が減少するとは考え得られないのであります。むしろ警察予備隊ができなければならなくなつたというこういう情勢は、同時に日常警察もますます任務が重くなつた、かよう考えるのであります。従いまして国家地方警察定員は減少するどころではない、むしろわれわれといたしましてはさらに増加をお願いしたい。かよう考えておる次第であります。
  9. 川本末治

    川本委員 国警最高責任者として、さよう考えなつておられますことは、当然のことであろうと思いますが、重ねて御質問は申し上げません。  法務総裁に伺いたいと思いますが、今までもこのままほつておいていけないということは、重ねて申すまでもないのでありますから、一体それではいつ時分なつたらこの問題を具体的に政府としましては実行に移すお考えであるか、あるいは次期の国会におきまして、この問題について法の改正内閣の方から出すという御意見があるかどうかということを承りたいと思います。その点が一つ。  定員の問題はいくら申し上げても、この程度より御答弁は承れないと思いますから打切りますが、昨年の十二月の中ごろをもちまして、警察通信機関である電話電信というものは、電通省の方へ移管されましたが、その後におきまして、政府としましては移管して後の成績について、他からそれぞれの事情は具申して来ておると思いまするが、それにつきまして現在どういうようにお考えなつておるか、この二つを承りたい。
  10. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察制度改正のことは、今川本委員も仰せられた通り、これは現在のいろいろな状況とにらみ合せまして、できるだけ早く実施に移さなければならない事柄である、かよう考えておるわけであります。従いまして、さような線において、今後できるだけ早い機会をとらえて参りたい、かように存じております。ただ御承知通り、この問題は、單にわが国内事情ばかりでなく、先ほど国警長官からも申し上げました通り、いろいろ国際的な情勢をもにらみ合せて行く必要がございますので、政府といたしましてはかれこれにらみ合せまして、できるだけ早い機会をとらえたい、かよう考えておる次第であります。  それから第二の御質問であります警察電話の最近の状況はどうであるかという点でございますが、主要なる幹線につきましては移管をいたしまして、非常に成績を上げて参つておる、こういう次第であります。
  11. 川本末治

    川本委員 問題は各方面関係があるからいつということは言えない、でき得るだけ早くこれをするという御意見を承りましたが、ただこれがお座なりの一年半やつて来られたと同じことにならないように、われわれはいたずらに事を構えていろいろなことを申し上げるのではない。まつたく現在の日本治安状態は一日もこのままにしておくことはならぬのでありますから、十分この点につきまして意を用いて、おそくも次の国会にはこの問題が解決でき得るように御善処していただくことを強く要望いたします。  第二点に承りました電話電通省の方へ一切移管された後においての問題は、成績がいいというような御返事でありましたが、私ども全国をまわりまして、直接第一線に働いておる者に聞きますると、およそ法務総裁の御答弁とは反対なことを言つておるのでありまして、この点はなはだ遺憾に思います。事実上電通省移管されまして以来、今日までの警察地方において非常な迷惑をしておる。一例を申しますと、料金などの点につきましても、この料金拂いのために、すでに十分な機能を発揮することができないというような小さい自治体警察のあることを、われわれは承知しております。これがもし過去のよう警察專用電話でありまするならば、かような問題は起つて来ないのであります。私ども警察電話電通省移管につきましては、前の樋貝国務大臣にも十分御注意を申し上げておきまして、絶対にそういう御心配はないからということであつたのでありますけれども、最近の新聞で、警視庁に全国自治体警察の代表の諸君が集まられて、警察電話料金の問題について陳情をしておるということを私は仄聞しておりますが、これは当然のことだと思います。さらに最近電通省の方からは、従来の料金を約四倍に値上げをするような通牒を出しております。しかも電話の架設に際しましては、従来の数倍の金を要するよう状態なつております。いやしくも警察通信機関というものは——私が申し上げるまでもなく大橋法務総裁斎藤長官は、過去にも現在にも警察の問題は十分御承知の方でありますから、くどく申し上げなくてもよいのでありますが、あの重要な警察機関をして支拂いのできないような高額な料金をとらせるということ、それ自体が間違つておりはせぬかと私は思います。さらにこれにつきましては、たしか公の機関通信に対しましては、特別な取扱いをする法規があるはずであるが、なぜ今日までそういうものを適用せずに放任しておかれたか、この点はなはだ私は遺憾に思います。現在の通信料金値上げ電通省移管されたための施設などにつきまする警察の大きな不便に対しましては、十分御注意を願い、さらに即刻この問題を解決していただきまするよう重ねてお願いを申し上げまして、他の委員諸君の御質問もありますので、この程度で打切りたいと思います。
  12. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま川本委員から、警察電話料金問題について、詳しいお話を承つたのでございますが、この点につきましては、私どもといたしましても十分調査いたしまして、原因その他われわれの努力によつて解決すべき点がありますれば、即刻さようにしたいと考えております。
  13. 藤田義光

    藤田委員 大橋法務総裁にお伺いしたいと思いますが、第一点は国家警察明年度予算でございます。いろいろな情報を総合してみまするのに、各省は査定官庁たる大蔵省に死にもの狂いの復活要求をやつておるようでございます。ところが国家警察を担当されている大橋法務総裁は、この予算問題に対してあまり積極的でないというよう印象をわれわれは受けております。国家警察としては、たしか二百六億八十万円の要求をされたようでございますが、それが大蔵省査定によりまして、百五億に圧縮されたようでございます。そこでまず予算折衝国家警察が最低必要と思われる明年度予算はどのくらいでございますか、お聞きしたいと思います。
  14. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま予算折衝中でございまして、最低と認める線はちよつとここで申し上げるのはどうかと思います。
  15. 藤田義光

    藤田委員 実は国家警察を担当する当委員会としても最も重大な関心がありまして、通常国会における本格的な論議をまつまでもなく、予算折衝段階においてわれわれは十分知つておく権利があるというふうに私は考えております。大橋法務総裁努力によりまして、国家警察が理想とする予算を確保される自信があるから、われわれに知らせる必要がないという意味に受取つてよろしいのでございますか。
  16. 大橋武夫

    大橋国務大臣 理由はひとつ藤田さんの方で適当に御判断願います。
  17. 藤田義光

    藤田委員 大橋法務総裁の御答弁を聞きますと、どうも外国における政府委員政府当局答弁に比較いたしまして、非常に抽象的で、祕密主義であるよう印象を受けますが、この点に関しましては、大橋法務総裁はそういうお方でないと、われわれは確信をしておりますので、先ほど来川本委員も再三指摘せられましたように、いま少しく具体的にお答え願いたいと思います。予算の問題に関しましては、何ら具体的なお答えがございませんが、明年度予算におきまして、何か重点的にこの経費はほしいというようなものが新しく担当せられた大橋さんにありますかどうか、お伺いいたしたいと思います。新聞紙の報道等ではいろいろな要求が出ておるようでございますが、この点お伺いいたしたいと思います。
  18. 大橋武夫

    大橋国務大臣 特に明年度予算におきまして国家地方警察重点として要求をいたしております事項は、第一は機動力を十分にいたしますための車輌の整備に要する経費でございます。それから第二は通信機関整備のために、昨年来やつております超短波通信機関整備をできるだけ繰上げて行きたい、これがため要する経費、これらを明年度におきましては、重点といたしまして折衝をいたしておる次第であります。
  19. 藤田義光

    藤田委員 警察法改正に関しましては、先ほど質問がありましたが、次の通常国会に出される予定がありますかどうか、この際重ねてお聞きしたいと思います。
  20. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまのところ、ちよつと確実な見通しを申し上げる段階に至つておりません。
  21. 藤田義光

    藤田委員 実はこの警察法改正に関しまして、関係方面で非常な微妙な雰囲気にあるということは、われわれも承知いたしております。ところが前国務大臣樋貝さんあたりは四箇月か五箇月に一回関係方面を打診して、それで絶望だという、実に熱の足りない御答弁を再三お伺いしたのでありますが、予備隊の結成を機に、警察法改正ということは、まつたく焦眉の急務であるということが常識なつておりますが、この点に関しまして大橋さんは関係方面意向を打診されましたかどうか、お伺いしたいと思います。
  22. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ちよつとその点はお答え申し上げかねます。
  23. 藤田義光

    藤田委員 お答えできないということは、まだその点の打診ができていないというふうに私は解釈いたします。実は関係方面から、実にくだらぬ点で、費用の点で一点だけ改正のサゼスチヨンがあつたというふうに、われわれうわさを聞いております。警察法の根本的な問題に関しましては、まだ当局折衝ができていないのじやないかと思います。政府当局におきまして、もし全国民の常識なつておるこの警察法改正というものの具体的、積極的な御用意がないということが、この委員会ではつきりいたしますならば、われわれは国会としてぜひとも警察法改正をやることが、国民の信託に報ゆるゆえんであるというふうに思うのであります。この点に関しまして、もし政府当局通常国会でも出すか出さぬかわからぬというような御答弁であれば、当委員会としてもただちに立法の準備をすべきではないかと思いますが、通常国会においてあくまで出すか出さぬかわからぬ段階でございますか、いま一度お聞きしたいと思います。
  24. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この問題は先ほど川本君にお答えいたしました通り政府といたしましては、内外のいろいろな情勢考えまして、できるだけ早い機会をとらえたい、かような心組みを持つておることを申し上げます。
  25. 藤田義光

    藤田委員 これは関係方面意向が非常に重大であることはもちろんでありますが、地方財政現状、あるいは公安の現状からしまして、一刻を争う国家的な大問題でございます。ぜひとも全国民の意思関係方面に反映させる方法をとれば、従ずわれわれの意思が実現するという信念を私は持つております。どうか法務総裁もそのお気持で、今後の折衝に当つていただきたいと思います。  次にお伺いしたいのは、国家警察と先般結成されました予備隊人事の交流の問題でございますが、非常に国内治安の重大な段階にあります今日、先般予備隊に局長その他で入られましたあとの空席がそのままになつております。ほんの一部だけは先般小異動がありまして、補充されておりますが、予備隊幹部任命による国家警察人事の空白は、いつごろ充足される見通しでありますか、お伺いいたします。
  26. 大橋武夫

    大橋国務大臣 予備隊創設に際しての人事の方針といたしましては、警察予備隊創設によつて国内治安に及ぼす利益は非常に大きなものと予想せられております。しかしこれとても、ただちにさような効果を期待することはできないのであります。これが完全にその機能を発揮しますには、相当の訓練期間を必要とすると思うのでございます。しかして今日内外情勢考えますと、国内治安は、現在の段階におきまして、最も重要性の高いものと認められましたので、この際において警察予備隊人事をやつて参りますために、国家地方警察の力をさくということは、できるだけ避ける方が適当である、かように根本として考えた次第であります。従いまして、このたびの予備隊人事といたしましては、できるだけ国家地方警察人事とは切離して行く、新しい面に着眼いたしまして、この方面から必要な人をでき得る限り充足をして参りたい、かよう考えておつたのであります。ただ実際問題といたしまして、なかなか適当な人がありませんので、やむを得ず国家地方警察から人をとらなければならなかつたのでありますが、しかしこの場合におきましても、ただいま申し上げました趣旨によりまして、これらの人は一時転用するものである。なるべくすみやかに国家地方警察に返す、こういう考え方をもつて二局長を任用いたした次第であります。従いまして国家地方警察といたしましては、これらの二局長がそう長くない将来において、元の位置に復帰するという前提のもとに、ただいまのところ、その後任についてただちに補充するという措置をとつておらないのであります。しかしながら、今後の情勢によりまして、あるいは早急に引上げることが事実不可能であるというようなことが明らかになりましたならば、その節はまたおのずから後任の問題等について考慮しなければならぬことになるかと存じますが、ただいまとしては、さよう事情をもつて空席を置いてあるようなわけでございます。
  27. 藤田義光

    藤田委員 予備隊の最初の採用がありまして、二十日を経過いたしておりますが、最初に入られた予備隊員の訓練状況、これが地区によつて実にまちまちである。従つて往々にして地方民の誤解を起こしたり、いろいろなトラブルがあるというふうに、われわれは拜聽いたしておりますが、この予備隊の幹部の要員としまして、この前の委員会大橋法務総裁答弁された通り、一千名の幹部を近く採用するということが確定したようでございます。三十五歳以上四十五歳までという採用條件になつておりますが、この一千名の幹部というのは、もちろん正服部隊だけの幹部であり、しかも警察監以下を含むものであるか、あるいは警察監、警察監補というような最高幹部は、今度の一千名の採用予定の中にも含まれていないのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  28. 大橋武夫

    大橋国務大臣 このたび募集いたします三十五歳以上四十五歳までの幹部要員といたしましては、差当りは警察監というような最高幹部ではなくて、その下あたりまでのところを募集したい、かよう考えております。
  29. 藤田義光

    藤田委員 この予備隊員の訓練に関しまして何か準則と申しますか、一定の基準と申しますか、大体こういう訓練をして一応訓練は終るという、その訓練の内容に関しまして何かきまつた点がありましたらお伺いしたいと思います。
  30. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これはただいま関係方面協議中でございまして、まだ確定したものを聞いておりません。
  31. 藤田義光

    藤田委員 そうすると現在やつております訓練は、大体どういう基準、根拠に基いてやつておられますか、お伺いしたいと思います。
  32. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまは適宜その部隊々々でやつておるのでありますが、実際上は関係方面からの援助によつてつておるという状況でございます。
  33. 藤田義光

    藤田委員 この予備隊の集団的な所在地が確定いたしておりますればお聞きしたいと思います。
  34. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは先般新聞紙にも発表せられたことでありますが、さしあたりの集結地といたしましては、全国において三十三箇所が指定されております。ただしかしこれらの施設は、従来占領軍が使用しておられました宿舎をただいま借用して入つておるよう状況でございまして、これらは今後当方におきまして、全国的に調査をいたしまして、適当なる宿舎に移して行くということになるわけでございます。
  35. 藤田義光

    藤田委員 三十三箇所に平等の数が駐屯するのではないと思いますが、その中で何箇所に大部隊が駐屯することになりますか。
  36. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは宿舎の都合によりまして、大きいところも小さいところもできて参ると思います。
  37. 藤田義光

    藤田委員 消防に関しても大橋さんが担当大臣であるように了解しておりますが、消防施設の補助金を公共事業費の中に入れたいという問題に関しまして、事務当局も非常に熱心でございます。現に消防組織法の二十五條にも「市町村の消防に要する費用に対する補助金に関しては」云々とあつて、消防施設の補助金ということを前提とした法律も出ております。昭和二十一年にたしか安本から出ました公共事業の定義に関する件というのを見ますると、公安に関するものは公共事業の概念の中に入つております。公安の中でも年間一千億以上の損害を出す火災に対する消防というものは、非常に重大な位置を占めているというふうに、われわれは解釈いたしておりますが、この消防施設の補助金を公共事業費のわくに入れて、二十六年度から予算化したいということに関しまして、安本、大蔵省との折衝経過について、どういうふうになつておりますか、お伺いいたしたい。
  38. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまのところは、あまりうまく行つてないようでございます。
  39. 藤田義光

    藤田委員 実は消防というものは非常に地味な存在でございまして、たとえば起債等においても相当虐待を受けております。われわれ国民の輿論を代表するものといたしまして、全国三百万の消防団員はもちろん、津々浦々まで、この問題に非常な関心を持つておりますので、この際担当大臣たる大橋さんにひとつ緊褌一番お願いしまして、この問題は事務的にも多少の難点はあるようでございますが、政治的に大臣の積極的な努力があれば、何とかなるのではないかという見通しを私は持つております。たとえば安本の政務次官等も非常に積極的に了解しているのではないかと思いますので、この点に関しましては十分ひとつ努力願いまして、通常国会における政府予算に、ぜひともこの補助金を計上されるように希望したいと思います。  次に簡單にお伺いしたいのですが、朝鮮動乱に伴う国内治安の問題、特に密入国の問題ですが、これは数字的にどうなつておりますか。六月二十五日に朝鮮の動乱が勃発して以来、今日までどういうよう状況であるか。簡單にお知らせ願います。
  40. 大橋武夫

    大橋国務大臣 密入国は、朝鮮動乱勃発後は、非常に減つて来ておるようでございます。数字の状況国警長官から申し上げます。
  41. 斎藤昇

    斎藤説明員 朝鮮からの密入国は、今大橋法務総裁が御説明なつ通りであります。事変勃発当時はほとんど密入国がなかつたのであります。八月になりまして若干ふえて参つた。それで八月になりましてから密入国者として逮捕いたしましたのが三百名弱であります。これらは以前の密入国者と違いまして、こちらで商売をやるとか何とかいうのでなくして、むしろ逃げて来るというのが多い状況であります。しかしながらこの事変勃発後、韓国当局におかれまして、国外に出て行くことを嚴重に取締るようになつたのであります。八月になつて若干ゆるんだすきに、こういうことになつたのだろうと思いますが、最近また非常に嚴重になりまして、今日の状態では特に増加をするであろうという傾向はありません。以前から密入国者として逮捕をせられておりますのと合せまして、今五百人ぐらいが密入国者として逮捕をし、これを向うに送り返す方法がないというので、そのまま收容所に收容している、あるいは警察の留置場に置いでいる、こういうよう状況でございます。
  42. 藤田義光

    藤田委員 斎藤長官にお伺いしますが、国警の本部内に特別捜査班というものができたようでございますが、これは大体アメリカのFBI的なものでございましようか、簡單にお聞きしたいと思います。
  43. 斎藤昇

    斎藤説明員 特別捜査班と申しますのは、ただいまの扱い方は、アメリカのFBI的な考え方ではございません。これはもつぱら刑事犯につきまして自治体警察及び国家地方警察の各府県管区等において、大きな事件が起りました場合に、援助に出かけるという、援助の組織であります。そのために捜査に專門的技術を持つたエキスパートを若干集めておる。ふだんからこれらの特殊な捜査方法を全国的に研究いたしまして、大きな、たとえば列車の転覆事件であるとか、あるいは銀行ギヤングであるとか、特別な事件がありました場合には、こちらから出かけて応援をする、こういう仕組みでございます。
  44. 藤田義光

    藤田委員 そうしますと、警視庁あるいは検察庁におきまして、一つの具体的な問題を取上げて、つくりまして、その事件が解決すると同時に解散するという性質のものではないのですか。やはり恒久的な一つの制度であるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  45. 斎藤昇

    斎藤説明員 制度というほどのものではございませんが、恒久的なそういう人的の集まりを持つておる、こういうことであります。
  46. 藤田義光

    藤田委員 小さいことですが、もう一点その点に関してお伺いしたいのです。その責任者は大体警察官の階級からいいましてどの程度ですか、警察正級のものでございますか。これは実はわれわれとしては相当強大な機構のものを希望する建前からお聞きするわけでございます。
  47. 斎藤昇

    斎藤説明員 事実上の統轄責任者は警察正であります。
  48. 門司亮

    ○門司委員 大体川本君から言い盡されておると思いますが、自治体警察配分関係ですが、先ほどの御答弁をお伺いしますと、法律でということでございますが、しかし法律でかえることははつきりいたしておりますし、わかりきつたことでございますが、ただ問題になりますのは、法の四十條にその規定を示しておりますように、最近の官報によつて公示された人口が大体基準になつて、その配分がなされなければならないということは私は明瞭であると思います。そうすると、最近の官報の発表というのは、おそらく今度の十月一日の国勢調査で大体はつきりした基準が出て来ると思います。そうなりますと、必然的にこの配分考えられなければならない段階に至つておる。從つて今のような、法律でかえるのだという腹がないのでは、私はとうてい承服するわけには参りません。さらに四十六條には明らかにそのことを示しておる。すなわち地方の団体の財政的な基礎が確立した後においては、国会において配分をきめるということがこの四十六條に示されておるだけでありまして、現在の段階においては、おそらく政令でこれを定めることができるのではないか、政令の変更によつてこの人員の変更もなし得るのではないかというよう考えられるのでありますが、この点に対するお考えを、ひとつはつきり聞かしていただきたいと思います。
  49. 斎藤昇

    斎藤説明員 ただいま自治体警察警察官定員の準則をきめておりますのは、法律に基く政令でありまするが、これは警察法を施行する際の定員の規定の方法でありまして、この後に定員をかえる。これは人口がいわゆる国勢調査でかわつて参りましたことによつて、自動的にかわるものではない、こういう解釈になつておるのであります。今日におきましてはただいま御指摘の四十六條にありまするように、地方自治財政がすでに確立したものであると認めて、「国会の定める法律によつてのみ行う。」ということで、これが適用されるという解釈であります。
  50. 門司亮

    ○門司委員 どうもおかしいのですが、なるほど法律の四十條には、政令で最近に公示された人口によつてきめられるということははつきり書いてある。しかしそれがそのときだけの法律であるという解釈は当らぬじやないか。それはこの法律ができましたときの最近の人口において、当然規定されなければならないことは、法律がはつきり示しております。法律には人口五千以上の連担戸数を持つ集団、市街地のような形をしておる市町村、たとえ人口が一万あつても、二万あつても、それが散在しておつては、自治体警察を持たねばならぬということはない。市街地の形を持つ人口五千以上の連担戸数でなければならぬと限定しております。法律できめておりますものは、それらの自治体警察を設置いたします町村に該当するものを、政令で定めるものだと考えております。従つて法律は、あくまでも五千以上の人口を持つものであつて連担した戸数を持つておるいわゆる市街地にひとしいような地域には、必ず設置するということが、基本法としてはつきりきまつておるはずである。またその際どことどこの市町村を指定するかということが政令で定められるものであつて、私は基本の法律には何らそういうものはないと考えておる。從つて当然人口の増減がある場合には、從来自治体警察としての資格というか、適用を受ける市町村であつても、あるいはその適用を受けないような市町村になるかもしれない。反対に從来自治体警察の適用を受けなかつた市町村が、当然自治体警察としての取扱いを受けなければならない市町村が必ずできて来ると思う。そうすればそれを定め、それを取捨選択するため、法の四十條がここに適用されなければならない。そうして最近に公示された人口と言えば、当然今度は、この十月一日の人口調査というものが、最近の最も的確な数字だということになつておる。そうしてここで再び再配分が行われる時期は、目の前に来ておるので、そのときに、いまだにこれがどうなるのだかわからぬということではしようがない。だから法律でこれを改正するというその解釈なら、それでよろしゆうございます。その法律改正する時期が、ここ一月か二月の間に来るはずである。それまでに当局の腹がきまらぬでおるというりくつはないと思う。当然それに対処すべきことは考えられていなければならぬ。從つてこの人口の調査が精密に行われます国勢調査の数字が発表されたら、ただちに当局はこれを改正する意思があるかどうかということであります。
  51. 大橋武夫

    大橋国務大臣 門司君の言われました通り、国勢調査の結果、新しく人口五千に達した町村ができれば、これに対しては当然四十條の措置を考えねばならぬことは、私どもその通り考えております。從いまして近く行われます国勢調査の結果といたしまして、從前と非常な違いが明らかになりましたならば、これに対しまして必要な措置を講じたいと考えます。
  52. 門司亮

    ○門司委員 だんだんはつきりして来たようですが、必要な措置というのは、おそらく法律改正するか、あるいはまだ四十六條を適用するまでに至つてないということで、政令でなされるか、いずれかだ、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  53. 大橋武夫

    大橋国務大臣 さような意味合いでございます。
  54. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますが、そうなつて参りますと、自治体警察の九万五千のわくのうちで、移動を行われるということに必然的にならざるを得ない。私ども考えておりますことは、その際に、先ほどから川本君その他からいろいろお話がありますように、当初の警察法施行当時における人口の比例によつて、あるいはその他の諸般の事情によつて警察力が分割されておるということは政令で定めておりますが、その後著しい人口の増加があり、また警備の必要のできた市町村も私はかなりたくさんあると思う。たとえて言えば神奈川県における川崎市、あるいは大阪府における尼ケ崎市のようなところは、この法律の制定当時における人口より、五割あるいは六割もふえておる。同時に犯罪状況その他から見ましても、これらの犯罪の統計というものはぐんぐんふえて来ておる。いわゆる警察力の徴弱なところに犯罪がふえるのは当然であります。この尼ケ崎においても、また川崎においても同じ状況だと思いますが、公共団体の催しまする競輪であるとか、競馬であるとかいうような施設に、特別の警備が必要であるというような事態は、随所に実は起つてつておるのであります。それからしてもこの際再配分をして、そうして犯罪の防止に努めなければならないということは、当局もよくおわかりだと思う。こんなことをくどくしく申し上げる必要はないと思う。そこで單に九万五千のわくのうちで、ごく近い機会に正しい数字を発表されたときに、それを改正するということが一つ。  もう一つ当初この法律をこしらえましたときの治安状況、さらに犯罪の分布の状態といいますか、そういうものを勘案して、この九万五千については当然警察力が九万五千では不足である。あるいはこれを増加しなければならないというよう段階に達しておるというようなお考え当局にはあるかどうか、この二つの点について一応お聞きしておきたいと思います。
  55. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまの門司君の御質問の点につきましては、先ほど川本さんの御質問に対しても、お答えしたわけでございますが、九万五千という数を場合によつてはかえる必要はないであろうか、これをある程度ふやすというようなことは必要ないかという点をも含めまして、ただいま研究をいたしておるような次第でございます。
  56. 門司亮

    ○門司委員 もう一点そのことについてはつきり聞いておきたい。それは結論としてふやす必要はないというなら九万五千でよろしゆうございますが、われわれ別段ふやす要求をするわけではないのでありますが、ふやさないということになりますと、先ほど申し上げましたように当然再配分が行われる。今の人員で再配分するということになりますと、おのずから自治体警察の数字というものが違つて参りますが、その数字は單に人口の増減によつてこれを再配分すると、その場所だけ今まで適用を受けておつたところが適用を受けない。適用を受けなかつたところが適用を受けるよう状態なつたというだけの再配分でなくして、先ほど私が申し上げましたよう治安状況、警備の状態、犯罪の発生等いわゆる警察本来の目的を十分貫徹することのためにも、われわれはこの機会にこれの再配分をすることが最も適切な、妥当な処置だと考えております。この点については政令でやるか、あるいは法律改正を行うというならば、法律改正は次の国会にお出しになる意思があるかどうか、これは私先ほどからこんにやく問答みたいに聞いておつたのでありますが、ただ法律できめるのだというようなことだけでなくして、これくらいのことは当局に腹がなくて、しかも委員会でそのくらいのことがお話ができないようなら、治安の大任をお預けするわけに行きません。率直に次の国会なら次の国会改正要求する、あるいは考えておるというようなことをひとつこの際お話を願いたいと思います。
  57. 大橋武夫

    大橋国務大臣 国勢調査の結果の数字は、おそらく現在の数字とは非常に違つて来るだろうということは、われわれも予想いたしております。その場合におきまして、警察定員の再配分のことが必要になることも、われわれは考えております。そしてその場合における再配分の基準として、現在の政令では人口だけが基準になつておるが、その際に犯罪件数等をも参照して再配分すべきではなかろうかという、ただいまの門司君の御意見でございます。この点につきましては私どもとしても確かにさようにすることが適当であると考えております。そしてこれらの基準の変更は、今後は法律によつて行われなければならないという解釈で私どもはいたしております。従つて必要があれば、当然法律で出さなければならないと思うのであります。ただその時期が次の国会に出すかどうかという点でございますが、これはまだはつきり次の国会に出すということはきめておりません。しかしかような事態はでき得る限りすみやかに調整しなければならぬということは明らかであります。政府といたしましても、なるべくすみやかにいたしたいと考えておるようなわけであります。
  58. 門司亮

    ○門司委員 どうも政治的の答弁で実は弱るのですが、委員会のことでありますし、すみやかにというようなことでなく、はつきりと答弁していただきたい。実情は非常に困つております。特に川崎市のようなところは、ほとんど派出所には巡査はいないのであります。競輪とか競馬の警備にとられますと、市中の警戒はほとんどできないのであります。それでわずかに横浜から常勤その他で補つておるようでありますが、御存じのように今日の自治警察の建前から申しますと、従来の警察官ように交流が比較的行われておりませんので、割合によその土地には暗いのであります。その土地に暗い警察官を、しかも若い警察官を借りて来て——というと語弊がありますが、一応正しい意味では借りて来たことになると思うのですが、借りて来て警備につかせるということは、警備の上から非常に不安心にたえないのであります。実際これでは犯罪予防は困難であります。地理も人情も風俗もわからない者、犯罪発生の場所、動機等についても比較的暗い者、そういう者がおりましても、これはかかしがおるようなものである。ただ普通の人間とかわつた洋服を来た人間がおるというだけであつて、大して効果はないと思う。そういう状態が続けられれば続けられるほど、今日の状態では放つておけない事態が発生する危險性が多分にあると思うのでありまして、すみやかにというよう言葉ではなく、国勢調査が行われますならば、当然政令で行うか法律で行うか、とにかくいずれは改正しなければならない段階なつておるのでありますから、やるならやると、ひとつはつきり言えないものでしようか。そのくらいはお言いいになつても、さしつかえないと思うのであります。
  59. 大橋武夫

    大橋国務大臣 国勢調査はこれから行われるのでありまして、その結果がいつ発表になるかも、私ただいま承知いたしておりません。従いまして、時期をいつということをはつきり申し上げかねたのでございますが、しかし門司さんのお考えとわれわれの考えはまつたく違つているのではなくて、同じ趣旨であろうと思います。というのはわれわれはこれらの発表によつて明らかになりましたならば、できるだけすみやかに行いたいというのでありまして、その時期が通常国会の間であるかどうかということは、これはただいま申し上げかねますが、しかしできるだけ早くやりたいというのは、次の通常国会の間において可能ならば、その間にやりたいという意味をも、もちろん含んでおるわけでございます。まつたくこの点は門司君と同じ思想において申し上げておるものとお考えを願いたいのであります。それから特はただいま川崎市の問題について御指摘になりましたが、この点は国家地方警察といたしましても、川崎市の警察の現在の定員の定めは、これは現在の川崎市の事態から見て少きに失しておる。これはすみやかに是正しなければならぬ、こう考えております。そしてこれがためには建前といたしましては、法律、政令等の改正をした上でなければならぬわけでありますが、しかし非常に急迫しておりますので、さような措置を待つておれない事情もございますから、実は国警があつせんをいたしまして、臨時に横浜市から相当の定員を川崎市にまわしまして、そして川崎市の警察力を拡充するという計画を立てて、双方の当事者の間の話合いがついておるのであります。
  60. 門司亮

    ○門司委員 そのことはあまり押問答しなくてもいいと思いますが、ただいま申し上げましたように、川崎市の問題にいたしましても、横浜市から借りて来るということはよく存じておりますが、借りて来るのでは、さつき申し上げたように、あまりほんとうの警備には当れないし、それから費用その他の負担の関係、勤務いたします者の所在地といつたようなものが、非常に問題になつて参りますので、こういうことは暫定的な措置としては私はけつこうだと思います。時期は言えないという非常に用心したお言葉でありますから、それ以上追及することは避けたいと思いますが、できるだけ早き機会にこれを改正してもらいたい。  なお希望を申し上げておきますが、往々にして国勢調査の問題にいたしましても、これがはつきり確定して官報で告示されるまでというようなことで、必ず言いのがれをされると思いますが、この国勢調査の中間発表が必ず行われるものと思います。従つて言いのがれをしないで、発表が確定してから一人や二人がどつちにころんでも影響がないと思いますから、官報に確定したものが発表されなくても、中間発表があつて、大体の人員がわかりましたら、再配分を至急に考えて、日本全体の治安のためにぜひ改正していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それからその次にお聞きしておきたいと思いますことは、先ほどの警察予備隊の問題でありますが、先ほど藤田君から費用の問題を問われたのでありますが、今折衝中だというお話でありました。一体当局はこの問題を審議と申しますか、検討いたします場合に、たとえば今までの警察の観念から行きますと、一人に大体十七、八万円の金が実際かかつておるわけであります。相当多額の費用、百三十五、六億、あるいは百四、五十億のものが人件費だけで必要になつておる。それに従来の三万の人間を加えて参りますと、百八十億ないし百九十億の費用がかかるというように、簡單に数字が出るのであります。ただ今度の警察予備隊の問題は、装備の関係があります。従つて装備の関係を入れた警察予備隊の費用というものを一体どれくらいに当局は見ておられるか。また装備は一体どの程度までなされる予定であるか、その点をひとつお聞きいたしておきたいと思います。
  61. 大橋武夫

    大橋国務大臣 装備といたしましては、ただいま予算考えておりますものは、服装であるとか、あるいは機動力の面を受持つべき自動車の車輛の購入費、そういつたものを考えております。これらの経費は、今年度におきまして、一般経費と合せまして二百億のわくの中から支出いたすことになつております。従いまして、さような特殊の装備といたしましては、今年度で完成できる。そして翌年度に繰越しますものにつきましては、今年度の予算残を翌年度に繰越して使用することにいたしますので、装備費としては今年度予算で間に合う。あと来年度におきましては、経常的な費用だけを要求よう。こういう方針になつておるのであります。そしてそれにつきまして、先般大蔵省におきまして、百二十億という第一次査定があつたのでございますが、これに対して復活要求をやつておるよう段階であります。なお武器その他の特殊な装備につきましては、現在の段階におきましては、すべて関係方面の援助を期待いたしております。特別の予算措置をいたしておりません。
  62. 門司亮

    ○門司委員 予算の処置は大体それでいいと私は思いますが、私が予算処置の中で聞きたかつたのは、それだけでなくて、先ほどお話なつた実は特殊の武器といいますか、そういうものの範囲は一体どれくらいまでお考えなつておるかということであります。これはたとえば現在は拳銃だけしか持つておりませんが、それはどれくらいまで拡張されるか。予算措置は伴なわなくても、装備の関係はどうなるか。  もう一つ、ついでに聞いておきたいと思いますことは、旧満州国軍人を幹部としてお使いになるということが、新聞に書いてあつたのでありますが、その通りであるかどうか。
  63. 大橋武夫

    大橋国務大臣 装備といたしましては、ただいまのところ全員に対して小型の小銃を渡すということになつております。しかしおそらくそれだけにとどまるものではなく、時期を待ちまして、それ以上の武器が與えられるものと予想いたしております。それから幹部要員のうちに、旧満軍の将校を入れるということが新聞にあつたのでありますが、御承知通り旧満軍の将校は、公職追放に該当いたしておりませんので、さような意味におきまして、幹部として採用する資格があるというわけでございます。特に満軍の将校を重点的に採用するという意向を持つておるわけではございません。
  64. 門司亮

    ○門司委員 次に問題になつて来ますのは、そういうことになつて参りますと、これは一応の形から見ますと、大体軍隊のような形を持つて来るというように、外部からは見受けられるのであります。警察力であるならば、やはり警察に経験のある人でないとぐあいが悪いのでありまして、今までの軍隊というものは、警察力というものとはまつたく違つた任務のことをやつてつたと思うのであります。違つた、ほかの任務の者が幹部につくということになりますと、性格も違つたものが出て来ると考えられるのであります。その点の性格を、この前の委員会あるいは前の国会の際にお聞きしたのでありますが、この機会にもう一度この警察予備隊の性格というものについて、ひとつ明確に御説明をしていただきたい、こう考えております。  さらにこれは具体的な問題でありますが、大体十三階級くらいに階級をわけるというお話でありますが、そういうことになつておるのですか。
  65. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊は部隊組織を持つておりまして、部隊行動をすることが原則になつております。そうしてその出動いたします場合は、国内治安が非常に乱れまして、これがために通常の警察では手が足りないという場合を予想しておる。つまり従来軍隊のありました場合におきましては、国内において警備のために府県知事が軍隊の出動を請求する場合がありました。昔のさような場合にあたります場合に、この警察予備隊が出動するということになります。しかしながら、これはあくまでも国内治安の確保ということをその使命といたしておるのでありまして、従来の軍隊のごとく、主として外国との交戰を目的としてつくられて、これがたまたま、国内において必要な場合には警備力の補充として用いられるというようなものとは、その目的がまつたく違つておるという点において、これは警察力であるというふうに私ども考えておるのであります。それから階級の点につきましては御指摘の通りでございます。
  66. 門司亮

    ○門司委員 最後に聞いておきたいと思いますが、今のお話で、目的は警察力であるということでありまするが、もう一つ私は性格について疑問がありますので、聞いておきたいと思いますることは、この予備隊の更新が二箇年ごとに行われるということを聞いておりますが、その通りであるかどうか。もしこれが事実だといたしますると、警察関係でありまするなら、やはりいろいろ問題になれた人が私は都合がいいと思う。何も二箇年間だけ一定の訓練、一定の職業についておらなければならないということはないと思う。長くいれば長くいるほど事情に明るくなりましようし、諸般のことになれて来ると思いますが、もしこれを二箇年で更新するというお考えでありますならば、二箇年で更新しなければならないという理由を、ひとつお伺いしたいと思います。
  67. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは最初に任用いたしまする際に、一応二箇年を目標として任用いたしまするが、しかし二箇年たつたらば全部更新するという意味ではございません。本人の希望によりまして、長くおりたいという者は長く勤めてもらうということになるわけであります。
  68. 門司亮

    ○門司委員 その点はよく承知はしておるのですが、その二箇年の基準を置かれたという理由は一体どこから来ておるのか。さつきから申し上げておりますように、これは司法警察官というと怒られるかもしれませんが、警察官である以上当然ですが、警察官であるというならば、何も二箇年で更新することを條件にしなくてもいいじやないか。本人が希望すれば退職さしてもいいでしよう。しかしこれが一つの條件になる、一つの基準になるということは、警察力であるという以上はそういう必要は毛頭ないと思うが、その二箇年で更新するという根拠を、もう少しはつきりお伺いしたいのです。
  69. 大橋武夫

    大橋国務大臣 一般隊員につきましては、その隊におきまする業務の関係上、あまり年をとりますと、実際その作業に長く従事するということはむずかしいのではないかという点を考えまして、ある程度年齢を制限いたしております。従いまして、その年齢を超過しようというときにやめるということでは、いろいろな関係上、その後の仕事の関係や何かで、個人的にいろいろ不都合を生ずる場合も多いと思いまするから、それで若いうちにやめるべき人はやめて、かえて行くということのできまするよう、一応二箇年という基準を定めたわけであります。
  70. 門司亮

    ○門司委員 私はそのりくつはちよつとわからぬのですが、何も二年くらい年をとつたからといつて使えないということもありませんし、もし必要であれば、三十五歳以上になればやめてもらいたいという一番上の規定さえ設けておけば、それでいいと私は思う。  もう一つ聞いておきたいと思いますることは、まあ義務はないと思いまするが、大体二箇年間はここに就職しなければならないというような特別の規定でもあるかどうか。二箇年以内でも退職する者は自由にできることになつておるかどうか。
  71. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは退職金その他の都合上、一応二箇年ということをきめたわけでありまして、退職金を放棄してやめて行く者はどうもいたしかたがないというわけであります。
  72. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ほかに御質疑があるようでありまするが、先ほど来鵜澤聰明君がお待ちになつておりますので、地方自治に関する件を議題といたしまして、この際地方行政調査委会議より調査の中間報告を求めたいと思います。地方行政調査委員会議委員鵜澤聰明君。
  73. 鵜澤聰明

    鵜澤説明員 この地方行政調査委会議の今実際やつております問題につきましては、まだ具体的に決定ができておりませんが、大体標準をなるべく地方自治というようなところに置きまして、調査は具体的の資料に基いてやつておるのであります。そこで政府の方に勧告をすることになるのでありますが、これも重要な問題が決定できましたならば、なるべく早く勧告をいたしたい、あるいは十月中にも勧告ができるのではないか、こういうことで調査を進めておるのであります。  それでこの地方行政調査委員会の設置がシヤウプの勧告に基いてできましたこと、それから委員につきましても国会の承認を得ておるというようなことでありますが、そういつた問題はあるいは略した方がいいかも存じませんが、昨年の十二月二十四日に両議院の同意を経まして任命されました者が五人でございます。高橋誠一郎君、杉村章三郎君、これは政府の推薦のようであります。それから全国都道府県知事の連合組織の代表者の推薦いたしましたものが渡邊銕藏君、全国市長の連合組織の代表者の推薦いたしましたものが神戸正雄君、それから町村長の連合組織の代表者の推薦になりましたものが不肖でございます。このうち渡邊委員は五月二日の参議院議員立候補のために辞職をいたしましたので、七月二十四日に後任として湯河元威氏が任命されております。それから会議の規定によりまして、五人の委員の中から互選して議長を定めるということで、ただいま神戸正雄君が議長なつておるわけでございます。当時議長の代理として渡邊銕藏君が互選されましたが、辞任の結果ただいまは杉村章三郎君が議長代理、五人の会議員のうち四人出席いたしますれば決議ができる。四人が欠けては決議ができない、こういう規則になつております。それから專門調査員が現在まで十七人の任命を見ておるのでありますが、なお二、三名の任命がほしいと思つておるのであります。それから事務職員につきましては一月の十九日に大野連治氏が事務局長になりまして、その他の職員につきましては初め定員がわずかに五人でございました。二十五年度から事務局長以下二十五人に増加されたのでございます。しかしこれではまだ足りませんので、他の方面から、つまり関係各省から兼官の派遣を求めておつて、現にそういう方から調査をしてもらつておることもあるのであります。事務局長のもとに書記室及び調査第一課、調査第二課、この二つが置かれております。それから連絡職員につきましては、関係行政機関の職員から二十五名、地方公共団体の職員から十数名が今まで指名されております。  現在までの仕事の経過の概要でありますが、本年の一月七日から五月の三十一日までの間の概要を申し上げますと、一月の七日に第一回の会議が開かれました時に、先ほど申しました議長、副議長の互選が行われ、それでただちに会議を進めて行つたのでございます。一月の三十日には全委員が神奈川県庁及び藤沢市におもむきまして、実地に地方自治の問題点を視察いたしましたが、二月と三月中は主として関係行政機関の局部長から行政事務再配分に当つて特に問題となるべき事項についての説明を聽取いたしました。三月の十六日に神戸、杉村及び私の三委員に事務関係者を加えまして、一行八名がアメリカの地方行政の実情視察に出発いたしまして、五月の二十七日に帰国いたしたのであります。この間に渡米しない高橋誠一郎、渡邊銕藏の二人の委員、それから專門調査員及び事務局の行う準備調査を指導いたしまして、またみずから関係行政機関の責任者からも説明を聞いておりまして、休んでおつたわけではないのであります。  それから委員会調査研究と並行いたしまして、專門調査員には專門の事項について調査を依頼しまして、また関係行政機関の連絡職員にはそれぞれ所管事項につきまして関係法令、事務配分、補助金等に関する資料の提出を求めたのであります。事務局におきましては特に府県市町村における行政の実情把握を目的といたしまして、千葉県、兵庫県及び神奈川県の厚木町等につきまして、実態調査を行いました。これが五月三十一日までの事項でございます。この厚木町の実態調査のことなどは、この間シヤウプ委員に対しましても一々各町村を視察されるのはめんどうであろうからというので、詳しく書いたものを参考に送つたのであります。  それから六月以降から現在まで渡米委員の帰国後委員会は定例会を一週二回、今では三回やつております。そうして本格的な調査研究にとりかかつたのでございます。そこでアメリカに参りましてはシカゴにパブリツク・アドミニストレーシヨン・クリアリング・ハウスと申しますか、公行政精算所とでもいうような一般の自治行政に対する研究が、まことによくそろつておる役所があります。そこで大体このシカゴなりニユーヨークなり大きなところ、またロジエスターとかシラキユースというような小さいところでも、実際の行政のことを見るという大体の方針を立てることができました。それでシカゴ、ニユーヨークでは、このシヤウプ勧告からできたものでありますから、コロンビア大学にシヤウプ博士を尋ねまして、ここで二、三日意見を聞いたり見学をいたし、その以外の十日ほどはニユーヨークの市庁あるいは市会その他につきまして、相当に研究することができたのであります。それからシラキユースの方は大体やはり市の仕事と州の仕事の関係を見るということが主でありました。そういうところを見まして、それからテネシ一・バレー、つまり発電所やダムのありますあの場所を見学して、ニユーオルレアンスの方へ行きました。それからロサンゼルスを経てサンフランシスコに帰りました。この辺では各市役所あるいは州庁の説明をいろいろ聞いて、五十日の間、ほとんど一日も休む時間なく、また老人ぞろいでありましたが、もつとも杉村君は若いのでありますが、われわれのような八十近い老人が健康でアメリカ人がびつくりするような丈夫さで、研究ができて帰つてつたのであります。  そこで六月以後でございますが、まず会議では、神戸視察団視察報告書、これをつくりまして、アメリカ視察の印象をとりまとめて、今後の研究の基礎といたしまして、次いで行政事務再配分の基本方針についての検討を行いまして、七月の十七日その第一次試案を決定いたしたのでございます。ところが、これはまつたく一応の試案でございまして、今後個々の事務について検討を加えた結果、さらに修正して行くべき性質のものであります。で現在この試案を参考といたしまして、河川、道路、社会福祉等の各個別的な事務につきまして、再配分案の研究を進めておるわけでございます。  それから行政事務の再配分研究と並行いたしまして、国庫補助金に関する研究も行つております。三百七、八十の種類に上る国庫補助金の整理につきましては、昭和二十五年度予算の編成にあたりまして、その三分の一程度の整理がなされたのでございますが、同二十六年度の予算におきましては、さらにシヤウプ勧告の趣旨を徹底いたしまして、その整理がなされまするように具体的方針を検討しておる次第でありまして、近く成案が得られると思われるのであります。  なお、災害復旧費の負担、起債の制限の撤廃、平衡交付金の運用をどうするかという問題から、行政事務再配分に伴う地方財源の増加の問題に至るまで、一連の財政問題につきましても、逐次研究を急いで進めて行く予定でございます。それで御承知のごとく、委員の五名は国会の同意を得て任命されたというようなことであつて、今日わが国の地方自治の根本的の研究と画定をやりたい。従つて政府にも政党政派にも、もとより関係がなく、まつた日本の自治制度ということを問題として研究を進めたい。この間に試案のある部分につきましては、司令部の方へもシヤウプ委員にもお話をしたのであります。しかしアメリカに行くときにも、委員考えから出た正しい方針を基本にして、日本の自治のために十分研究をしてもらいたい、こういうようなことでありまして、いずれからも制肘を受けるとか、注文を受けるとかいうことはない調査会議でございますから、その点は御了承願いたいのであります。ただ、ただいままでのところ、やはり再配分の試案は実際はできておりますが、これはまだ確定ではございませんから、ここで私から御報告を申し上げることはできないのでございます。いずれこの十月にいよいよ勧告案を出すという前になりましたならば、また御要求によりまして、あるいはお話を申し上げることができるかとも存じます。まことに簡單でございまするが、これをもつて御報告といたします。
  74. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ただいまの御報告に対して御質疑がありましたら、これを許します。
  75. 門司亮

    ○門司委員 事務の配分の問題でありますが、今度地方税法が御承知ようにかわつて参りまして、事務配分がこれと多分の関連を持つよう考えております。私どもから考えて参りますと、今度の地方税の改正は事務配分と同時に、地方の町村の廃合といいますか、あるいは都道府県の廃合といいますか、自治体の廃合までこれが発展しないと、單に事務の配分だけではぐあいが悪いじやないかというように、税制改正の面から考えられるのでありますが、その辺何か先生のお考えがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  76. 鵜澤聰明

    鵜澤説明員 ごもつともでございまして、根本問題がきまりませんと、実際この地方税法の問題もこれで十分に安心であるという確定ができないので、その点については委員が心を痛めて研究しているような次第でございます。たとえば村や何かにしましても、日本の村は非常に小さいですが、そういつたような場合はどのくらいを基準にして行かなくちやならぬかとか、市にいたしましても、東京都とか、あるいは五大都市というようなものは大きいのでありますが、ほかには小さい市がまだずいぶんある、これをどうしよう。アメリカなどで見ますと、たとえばロジエスターなどは三十四万くらいの市でありますが、市長は事務的の市長で、選挙された市長にかわつて仕事をやつているわけであります。ところがこういう小さいところですが、市政は実によく届いておつて、驚くべきほどりつぱな、あるいはニユーヨークなり何かの、あんな大きいところよりも市政がよく行つておるじやないか。こういうようなところも大分見て来たのですが、ここはコダツク写真の会社があつて、そういうところから、大きな費用も出るようでありますが、財政も非常によろしいというようなことなどを聞いて来ました。それからサンフランシスコの方は州と市が一致してやつておる仕事がずいぶんある。そういうようなところの違つた点も見て参りました。日本では何といつてもこれは空前の大改革あるいは大革命とでも言うべきものでありますから、町村の廃合なり、人口の基準をどこへ置くか、あるいは府県をどうするか、そういつた問題を、われわれ委員といたしましても一番今力を入れて研究しておるわけであります。
  77. 床次徳二

    ○床次委員 一言関連してお尋ねしたいのですが、調査会議では十月ごろ結論を出されるようでありますが、今日政府予算を編成中でありますが、今日編成中の予算に対しまして、調査会議の皆さん方のお考えがある程度まで反映しておるのかどうか。あるいは皆様方の結論は出ておらぬけれども、大体こういうことを考えつつある、そういうことを考慮してもらいたいということを、政府の方に通じてあられるのかどうか。別の言葉をもつて申しますれば、調査会議の御意見政府予算編成とは、全然別個の立場から今日行われておるかどうかということを、ちよつとお伺いしたいと思います。
  78. 鵜澤聰明

    鵜澤説明員 形においては別個でありますが、試案のあるものについては政府の方にも出してあります。帰りましてGSの方にも報告をする必要があります。そうしてこういつた方針で行こうというような試案だけは早くつくりまして、それは政府にも出してあります。そのことが考えに入つているかどうかは別問題でありますが、その程度以外にはないわけであります。
  79. 河原伊三郎

    ○河原委員 ただいまの御説明によりますと、まとまつておらない中間的な過程において、試案が政府の方に出ておるということでありますが、地方行政委員会の方にも試案をまわしていただくわけに行かぬものかどうかお伺いします。
  80. 鵜澤聰明

    鵜澤説明員 それはできるでしよう、よく相談いたします。何しろこれは大問題で、なかなかわれわれぐらいの力でできる仕事ではありませんから、どうか議会の地方行政委員会の方におきましても、十分に御審議を願つて、いろいろまた御指導を受けるということは、たいへん私ども期待いたしております。さしつかえないものにつきましては、ごらん願いたいと思います。
  81. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 もしいろいろ資料あるいは試案でお出し願えるものがありましたら、連絡をとりますからよろしく願います。  ほかに御質疑ありませんか。——それではこの際久保田鶴松君から発言を求められておりますので、その発言を許します。久保田鶴松君。
  82. 久保田鶴松

    ○久保田委員 実はこのたびの京阪神を襲いましたジエーン台風のことにつきまして、皆さん方にいろいろ御心配をかけまして、非常に感謝いたしておる次第でございます。つきましては本委員会に対しまして、お願いいたしておきたいと思いますることは、今度の改正されました地方税法において、四月から九月までブランクになつておりまして、その税がたまたま九月から自治体においてとることになつておりましたのが、ちようどこの災害にあいまして、非常に大阪府としても困つておるというよう現状でございます。ところが区、市また町村はむろんのことでございますが、それ以外の納税されます区民、市民あるいは町村民にいたしましても、今度は相当大きな災害のための損害をこうむつておるわけでございます。この風水害の現状につきましては、ただいま皆さん方に写真によりまして見ていただきまして、おわかりのことと思うのでございますが、わが大阪は商工業の中心都市でありまして、それが九月三日の近畿を襲いましたジエーン台風によりまして、電気通信あるいは交通の機能を停止いたしました。なお産業あるいは経済文化の諸般の活動等にいたしましても、御存じのようなことになつてしまつたのであります。そこで三百五十万府民は、非常な恐怖のどん底に陷れられるのみならず、西大阪と堺方面が高潮のために大きな損害を受けました。東大阪といたしましては柏原と国分というところでございますが、ここは日本一と言われているぶどうの産地でございます。このぶどうが大体二寸まわりくらいの木に育ちまするのに三十年くらいかかる。これがあの風のために全部といつていいくらい折られてしまいましたが、これは経済的な生命線でございます。とういうふうなことで大阪といたしましては経済的にも非常に困つておりまして、本日も大阪の衆参議員、知事その他全部寄りまして、総理官邸その他の諸官庁の方にも全部手わけをいたしまして、お願いに参つておるような次第であります。幸いにもわれわれがこうして参りますときに地方行政委員会が開かれておりまして、私ちよう地方行政委員会委員でありまする関係上、大阪府を代表して委員会の各位にもよろしくお願いしてくれというようなことから、このお願いをいたしておるようなわけであります。  そういうようなことで調査した結果、大阪で今度こうむりました災害者の総数は五十万と言われておるのであります。それから防波堤あるいは道路にいたしましても、港湾、河川あるいは住宅、工場あるいは田畑、こういつたような各般の施設の損害は、また甚大でございます。そこでその被害を受けました経済的な数字は、どのくらいかと申し上げますと一千二百七十七億五百万円、こういうようなことになつております。どうかこういうよう大阪の、今回のジエーン台風によつてこうむりました損害の点等も、本委員会においてはよく御了承願いたいと思うのであります。罹災者のうち、負傷されました方、これは割かた少かつたのでありますが、三千五百四十一名、行衞不明が百六十五名であつたのでありますが、罹災者総数といたしましては、四十四万三千九百三十二名に達しておるよう現状でございます。そういうようなことで、この災害に対しまして復旧いたしまするのに、大阪ような貧困な区、市あるいは町村の財政のみでは、とうていこの復旧をなし得ることができないのであります。どうしても中央のお力を賜わりまして、そうして特に地方行政委員会から地方自治方面に対するお力をお借りいたしまして敏速、適切、有効なる財政的な支援を得なければ、とうてい所期の目的を達することが不可能でございます。それで本委員会といたされまして、わが国の産業経済の中心地たる大阪の特殊事情を深く御認識せられまして、法律の許されまする範囲においての、最大の国庫の援助を賜わるとともに、今後の事業の遅滯等に対しては財政的措置はもとより、大阪府の災害の救援について、格段の御配慮を賜わらなければならぬと考えておる次第でございますので、こういつたわれわれの要望の点も、地方自治法第九十九條の二項によりまして、格段のお力を添えでいただきたいことをお願いいたす次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  83. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ただいま久保田君の御発言があつたのですが、この委員会としてはどういう措置をするか、あとでお諮りしたいと思います。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十一分散会