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1950-07-29 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)     午後二時十七分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 生田 和平君 理事 川本 末治君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    門脇勝太郎君       河原伊三郎君    清水 逸平君       野村專太郎君    龍野喜一郎君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       山手 滿男君    大矢 省三君       久保田鶴松君    立花 敏男君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         国家公安委員長 辻  二郎君         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月二十九日  委員松本六太郎君辞任につき、その補欠として  大石ヨシエ君が議長の指名で委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  閉会中審査に関する件  委員派遣承認申請に関する件  警察に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  ちよつとこの際お諮りいたします。本委員会に本日まで付託になりました請願は全部で九十二件ありますから、請願審査の便宜のために、請願に関する小委員会設置いたしたいと思いますが、その小委員及び小委員長選任委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、委員長より指名いたします。   小委員は    生田 和平君  川本 末治君    塚田十一郎君  藤田 義光君    門司  亮君 以上の五君にお願いしまして、小委員長生田和平君を御指名いたします。     —————————————
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは引続き、警察に関する件を議題にいたします。ただいま岡崎官房長官がお見えになつておりまするので、官房長官に対する御質疑を願います。藤田義光君。
  5. 藤田義光

    藤田委員 私は質問に先だちまして、今まで各委員会におきまして、政府委員各位から、いろいろな答弁があつたのでありますが、それを集約した意味で、少し前進した、突き込んだ答弁をお願いしたいと思つております。  まずお聞きしたいのは、官房長官は外国の事情にも明るい方ですから御質問するのですが、今度七万五千名増員になりますと、大体日本におきまして、一人について四百人という、警察官国民パーセントが出て参ります。アメリカイギリスにおきましては、国民六百名に対しまして警察官1名という割になつております。この比率からしますと、日本警察官数国力の現段階にかんがみまして、相当パーセントが上つて来ておるわけでありますが、この点に関しまして官房長官としては、大体警察官国民何百名に対して一名くらいが妥当であるか、御推測でもあれば、今後の増減の問題にも関連いたしまして、この際御意見を開いておいた方がいいのじやないかと思いまして、お伺いしておきたいと思います。
  6. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 この警察と申しますものは、概念が非常にはつきりいたしておりません。たとえばアメリカの例をとつて見ましても、普通の警察官のほかに連邦の警察官、つまりFBIと称するものがあります。そのほかに各州ナシヨナル・ガードというものがある。これも一種の警察官、むしろ言いますならば、今日本考えておりますポリシー・リザーブというようなものであると思います。そのほかに軍隊がありまして、この軍隊もある場合には治安維持に当るものであります。これらを彼此総合いたしますと、どのくらいが適当であるか。あるいは一般の標準はどのくらいかということは、その国々によりましてなかなかわかりませんが、これをごく平たく常識的に考えますと、やはり六、七百人に一人という程度は普通の警察官の数だと思いまするが、これは大体において軍隊というものが別にあつたときの数のようであります。もつとも日本の場合におきましては、過去において軍隊がありましたときには、警察官の数は著しく少いようであります。従いまして、これはその国々の国情によつても、また軍隊使用方法等によりましても、いろいろ違う点があるだろうと思います。従いまして、非常に的確なことは申し上げられませんが、大体常識的に見れば、そのくらいのところじやないかというふうに思われるのであります。但し特にある国におきまして、物情騒然たるときに警察官を特に多くしたというような例もないことはないようであります。大体そんなところが常識的なところだと思います。
  7. 藤田義光

    藤田委員 そこでお伺いしたいのですが、ただいま官房長官の御答弁にありましたアメリカの州のガードと今度のリザーブというものが大体同じじやないかということが、各州の方で一応言われておりますが、ロンドン警視庁特別捜査部とか、あるいはアメリカFBI的なものを加味したアメリカの州のガードであるというふうな意味にも解釈されておる方がありますが、官房長官として一応アメリカの州のガードと同じ性格のものであるという御認識であるのかどうか。この点ははつきりしておいた方がいいのではないかと思いますので、お伺いいたします。
  8. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 私も実はアメリカナシヨナル・ガード等がどういう仕事と、どういう権限を持つておるかということはあまり詳しく存じません。アメリカに住んでおりまして、ごく常識的に大体こんなものじやないかと思う程度でありますが、片方FBIというのは相当有名で、皆さん御承知通りでございます。ところが、今度の警察予備隊と申しますか、そのリザーブにつきましては、いわゆる特高色というようなものは、全然なくそうというつもりでおります。また警察国家的のものにしたくないという気持を持つておりまして、民主国家にふさわしいきわめて民主的な警察であつて、主要な目的国内治安維持に当るというだけに限りたいという考えを持つております。——ちよつとお断りいたしますが、本会議でただいま緊急質問がありまして、私に対して答弁の要求が佐瀬昌三君からあつたそうでございますので、まことに恐縮でございますが……。
  9. 前尾繁三郎

    前尾委員長 では暫時休憩いたします。     午後二時二十五分休憩      ————◇—————     午後四時十七分開議
  10. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは再開いたします。  休憩前に引続き警察に関する件を議題として質疑を続行いたします。藤田義光君。
  11. 藤田義光

    藤田(義)委員 辻公安委員長がお見えになつておるようですからお伺いしたいと思いますが、国家警察予備隊創立ということは、国家警察にとりまして非常に重大な関連のあることはもちろんでございます。先ほど来の御答弁を拜聽いたしまして、どうもはつきりしない点を中心にお伺いいたしたいと思います。まずお伺いいたしたいと思いますのは、国家警察予備隊創立に関する準備に関しまして、国家警察として種々協力されておりますが、これは当然のことであるというわれわれの認定でございます。委員長としてはこういう予備隊の問題は、だれが責任を持つのが最も妥当であるという御認定でございますか、お伺いいたします。
  12. 辻二郎

    辻政府委員 これは昨日も大橋法務総裁から御答弁がございました通りマツカーサー元帥書簡によりまして、さらに口頭で政府が、総理が主導となつてこれを編成するように、国家公安委員会、すなわち国警とはまつたく別個のものであるという考え方で、準備を進めるという線になつております。私どもといたしましては、遺憾ながらただいまのだれが責任を持つたらいいかということに対して、意見を申し上げることを差控えたいと考えております。
  13. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの本会議におきまして、公安委員長はお聞きにならなかつたと思いますが、総理大臣から現在の国家警察及び自治体警察粗製濫造である。従つてその欠陷を補うために予備隊というものを計画しておるということを、はつきり申されたのですが、現在三万の国警と九万五千の自治体警察の当事者にとりましては、非常に重大な問題でございますが、警察官の質という問題に関連して、どういうふうに考えておられますか。現在の警察官は理想的な型であるか、あるいはまた非常に不十分であるか、はつきり言えば、粗製濫造したということが言えるかどうかお伺いしたいのであります。
  14. 辻二郎

    辻政府委員 それはただいま初めて伺いますことで、私としては非常に遺憾に存じます。現在の警察制度は、昭和二十二年マツカーサー元帥の九月十六日の書簡によりまして、議会でその線に沿うて決定をされました新警察法によりまして、その通りに忠実に編成されたものであります。これの利害得失に関してはいろいろ意見もあることと存じます。しかしこの書簡の精神は、警察民主化警察国家の排撃という点に、非常に重点を置かれておりますので、その点に関しては十分目的を達したものと考えられます。しかしながら警察活動の面におきましては遺憾の点が多々あることは認められると思います。それは一方におきましては、警察が御承知のごとく国家警察と千六百の自治体警察、それぞれ独立した、お互いに指揮命令系統のない千六百の自治体警察とにわかれましたために、従来に比べて警察機能能率の低下を来したということはやむを得ないと思いますが、これは新警察制度による限りは、万やむを得ないことであると考えられるのであります。  警察官の質について低下したかという御質問に対しては、少くとも国家警察に関する限りは、そういうことは私はないと考えております。さらに新制度以来警察官現任教養につきましては、元なかつたような多くの施設がなされておりまして、管区学校、あるいは警察学校等、教育には万全を期しておりますので、むしろ質は向上していると考えられるのであります。しかし一方新警察法あるいは新刑事訴訟法等制約を受けまして、警察官活動というものは非常に制肘を受けております。昔とは思いがけないきゆうくつなものになつていることは事実であります。また一方、統計的に犯罪の数が戰前に比べまして、おびただしくふえております。窃盗犯のごとき非常にたくさんあるものは二倍にもなつております。また兇悪犯のあるものはおびただしいものは五倍、八倍という数字になつております。従つて警察官一人当り負担は驚くべくふえておるのであります。これはいろいろ戰後の混乱状態から来るものであると考えられますが、現実には犯罪数が激増しておるのに、警察官の数は九万五千が十二万五千に、自治体を合せましても約三割しかふえておりません。三割増しの警察官をもつて、数倍の犯罪を取締るということは、これ自体が警察官にとつては非常に大きな負担になつております。それと、ただいまの新刑事訴訟法、新警察法による種々の制約考えましたならば、それにしてはきわめて誠実に、この法の範囲内におきまして、警察官能率を発揮しておると考えている次第でありまして、必ずしも警察官の質が落ちているというようなことは考えられない。むしろその逆であるというふうに私は考えております。なおこの点につきましては、実際の執務に当つております斎藤長官から御意見を聞いていただきたいと思います。
  15. 藤田義光

    藤田委員 その問題に関しましては、まつたく私も同感でございます。  次に質の問題、あるいは新しい刑事訴訟法警察法関連した問題でもありますが、お伺いしたいのは、日本共産党徳田球一氏以下被追放者九名の所在がいまだはつきりいたしません。これは団体等規正令によりまして、御存じ通り十年以下の懲役、七万五千円以下の罰金という、法律的に見まして相当重大犯人である。しかも合法政党の首領であつた人が九名まで一人としていまだに所在をつかめない。ほかの、たとえば自由党あるいは国民民主党関連した犯人ならば、ただちに検挙したであろう過去の実績にかんがみまして、何かここに非常に暗い影が介在してはいないかというよう国民の声もあるのであります。先般これは新聞の報道ではありますが、各官庁に、たとえば農林省のごときは局長、警視庁のごときは警部級一つのグループをつくりまして、この検挙の阻止に相当大きな活躍をしておるというよう報道もございました。この際国民の疑惑を解消するためにも、どうしてつかまらないのか、新しい警察法欠階刑事訴訟法欠階といえばそれまででございますが、何かすつきりしないものがあります。この点に関しましてお答え願いたいと思います。
  16. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 徳田球一氏以下九名の所在を今に至るもはつきりつかむことのできないことは、私も非常に遺憾に存じます。しかしながらこれはただいま御指摘になりましたような、少くとも警察内部にこれを妨害するような何かの勢力があるのではないかというお尋ねに対しましては、この点私は絶対にないということを申し上げたいと思います。もちろん警察内部にこういつた方面に好意を持つ者が一人もないとは断言しかねると思いますけれども、この捜査関係いたしまして、そういつたために妨害をされておるというような事実は、絶対ないことを申し上げます。所在をくらませる場合におきましては、発見することが非常に困難でありますことは、過去のこういつた事例につきましてもあつたことではないかと思います。
  17. 藤田義光

    藤田委員 この問題に関連いたしまして、われわれとしましては今回設立されまする予備隊とは別個に、アメリカ合衆国におけるFBIあるいはロンドン警視庁特別刑事部のごとき、一つの特殊の特高警察にあらざる各県にまたがる重大犯に対しまして、機動的の捜査検挙のできるような組織が現在の国家警察において、焦眉の急ではないかというふうに考えておりますが、この点に関しましては、おそらく近い将来にどういう御答弁があるか知りませんが、現行警察法の改正というものが、予備隊創設後に必ず具体化すると思います。その際においてはぜひとも考慮し、しかも具体化してよい問題ではないかと思います。この点に対しまして何か御研究かございましたらお答えを願いたいと思います。
  18. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの点につきましては、御意見の点を十分尊重をいたしまして研究をいたしたい、かように申し上げるほかございません。御了承願います。
  19. 藤田義光

    藤田委員 現行警察法には、国家地方警察及び自治体警察相互間の関係に関しまして、三箇條規定をいたしております。ところが本日の当委員会における大橋法務総裁の御答弁によれば、予備隊国家警察あるいは自治体警察との相互関係に関する規定はつくぬというよう意味答弁があつたのでありますが、現在においてすら両警察相互関係に、いろいろなトラブルを起しておりますが、今回できます予備隊国家警察との関連に関しまして、何か国家公安委員会としては注文を出されておるかどうか、もし何もされぬということになりますると、今度できまする予備隊が依頼もしないのに、どんどん警備の分野にも入つて来る。あるいは捜査分野にも入つて来るというおそれなしとしないのでありますが、その点に関してのお考えを拜聽いたしたいと思います。
  20. 辻二郎

    辻政府委員 先ほどの御質問お答え申し上げました通り、今日ではまだ予備隊任務権限等について、何ら内示も私ども受けておりませんのであります。いかなる性格のものであるかということが報告できないのであります。しかし委員会といたしましては、今後予備隊ができました場合に、国家地方警察警察官権限と重複したりして、紛淆を来すようなことがないような姿でありませんと、いろいろなめんどうが起るということを強く考えております。その問題につきましては、政府関係方面等の御意見を目下お伺いいたしておるところであります。これ以上ただいまの段階では申し上げられません。
  21. 藤田義光

    藤田委員 もう少しつつ込んだ御答弁をお願いしてけつこうじやないかと思います。実はこの政令ができましたあとの国会において当然聞くことを、前もつてお聞きしておけば、非常に簡單に済む関係もありましてお聞きしておるわけでございます。  次にお伺いしたいことは人事の問題ですが、今度できます予備隊と現在の国家警察人事交流というものは、予備隊創設にあたつて相当広くなるのではないか、国家警察が応援しないと、とうてい一本立ちできないということを、われわれは想像いたしております。この点に関しましてはいろいろな観点から、いろいろな想像がされておるのでありまするが、相当広範囲異動をやられるのか、あるいはごく小範囲異動をやられるのか、いずれにしても相当予備隊協力されることは既定の事実でございますが、この点に関しましてお答えを願いたいと思います。
  22. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 われわれといたしましては、このたび設けられまする予備隊設置につきましては、できるだけ協力をいたしたい、かよう考えております。しかしながらどの程度人員をさかなければならぬかということは、ただいま公安委員長からもお話がありましたように、予備隊のつくりよう編成のしよう、訓練のしよう、いろいろな点がはつきりいたしませんとわかりません。予備隊編成の直接任務に当つておられる部局と相談の上で、その要請にこたえたいと考えております。これが大きな数字であるか、きわめて小さな数字であるか、今のところ何とも申し上げる段階には参つておりません。
  23. 藤田義光

    藤田委員 長官の御答弁通り、積極的な応援をされることはけつこうでございます。またそうあるべきだと思いますが、現在の国警の、特に本部における陣容は、先ほど公安委員長が申された通り、順次整備強化されて充実を期しておりますので、今回の予備隊との交流によりまして、現在の本部陣容にひびが入るようなことがありますると、せつかく軌道に乗りつつある国家警察そのものが弱くなる。弱くなると申すと語弊がありますが、新警察法の執行が順調に行かないというようなことも想像されますが、この点に関しましては、今のところ長官から数字その他は申し上げられないというお話でありますので、これ以上追究いたしません。  この際御意見をお聞きしたいのは警視庁の問題でございますが、非常に具体的になりまして恐縮ですが、警視庁は現在国家公安委員会の所管に属しておりませんので、公安委員長としての見解をお伺いいたしておきたいと思います。非常な重大な関心を持つておられる警視庁であるという建前からお尋ねしたいのでございますが、首都の所在地である東京治安を守つておる最高の警視庁最近の状態を見ておりますると、まさに沈滯の極にある。予備隊結成を機に心機一転の必要があると思いますが、この際国家警察は何と申しましても、一番人物を多数擁しておられますので、警視庁沈滯を一掃するために、何か思い切つた交流人事でもやられる予定はないかどうか。予備隊結成機会にそういうお考えはないかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  24. 辻二郎

    辻政府委員 ただいまの御質問は、まことに遺憾ではございますが、東京都の特別区と国家地方警察とは建前しまつたく分離いたしておりますので、私どもといたしましては人事交流の問題については、何ら意見を持つておりません。
  25. 藤田義光

    藤田委員 法律上の管轄の問題からすれば、ただいまの御答弁通りでございます。実は上級幹部あるいは中堅層との間が非常にうまく行つておりません。従いまして心ある人は現状に関しまして、非常な不安を抱いておることが真相でございます。私の意見として公安委員長にお聞き願いまして、法律上の管轄はないが、同じ警察として何らか特別の御配慮をお願いいたしたいと思います。これは意見でございますから、もちろん御答弁を求めません。それから先ほど官房長官にもお伺いしたのですが、長官からはつきりした御答弁ありませんでした問題を簡單にお伺いします。アメリカイギリスにおいては警察官の数は国民六百名に対して一人、ところが今回日本において予備隊ができますと、四百人に一人、国力国内の資源、その他から見ましてパーセントが非常に高くなつて参ります。警察官が非常に多いということになります。敗戰国であり、各方面非常に混乱いたしておりまして、特殊な事情はわかりますが、恒久的な体制としては米英よりも五割もパーセントが高いという結果になりますが、この点に関しまして、公安委員会として、何か理想的な、科学的な調査の結果でもありますかどうか、この点をお伺いしておきたい。
  26. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまのお尋ねはいささか事務的、專門的にわたると思いますから、私からお答え申し上げます。アメリカ警察官の数は人口との比較がどうなつておりますか、私は今詳しい正確なことをここで申し上げることはできません。警察官の数はその国、その社会犯罪状況社会治安状況考え合せて決定しなければならぬものだと考えます。一人当り受持人口が何ぼという、これは一つの参考にはなりましようけれども、最後の決定の要素にはならないと考えるのであります。ことにアメリカのごとききわめて機械的に高度化された生活活動をやつております所と、日本ようにまだ通信にしましても、あるいは車の問題にいたしましても、あらゆる機械その他の点におきましても、比較にならないようなわけでありますから、そういうような点も参酌をいただきますならば、ただ向うは何人に対して一人だから、こちらは多過ぎるというような判断はできないと思います。
  27. 藤田義光

    藤田委員 次にお伺いしたいのは、犯罪捜査に関しまして、現在国家警察法務府研究所が併設されております。われわれは昨年の累次の国会におきまして、法務府のかかる研究機関設置に、まつこうから反対したのであります。ところが不幸にも国会内における両委員会意見が一致いたしませんで、法務府に新設されたのであります。私はこの研究機関の実態からいたしまして、むしろ国家警察研究機関を飛躍的に強化する必要があるということを、かねて唱道いたしておる一人であります。無用の長物であるとまで極論いたしましたのでありますが、二十五年度について具体化いたしたようでございます。この点に関しまして、この両研究機関をむしろ、冗費節約建前からも、統合して国家警察にぜひとも一本化することが必要である。明年度予算編成期を迎えまして、ぜひともこれは実現しなくちやならないということを私は考えております。公安委員長といたしましても、当然この点に関しましては、相当誠意をもつて当時努力されたこととは思います。現内閣は、御存じ通り行政機構簡素化ということを看板に掲げておりますが、こういう際におきまして、かかる研究機関の併設ということは、まつたく無意味でございまして、この点に関しまして今後何か対策がありますかどうか。公安委員長のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  28. 辻二郎

    辻政府委員 ただいまの科学捜査研究所の問題につきましては、私どもも新しい警察制度あるいは新刑事訴訟法の線に沿うために、これを画期的に強化しなければならないということはかねがね考えておりまして、その点につきましては、議会委員会でもお願いしたこともございます。現在でもまだ百名以下の人員でありまして、近代国家科学捜査研究所としては、まつたく雛型にすぎない規模でありまして、これは画期的に拡充をしたいということを念願いたしております。この点につきまして委員皆様の御協力を願いたいと存じております。昨年法務府の方に研究所ができるときには、私も委員会に出まして、同じよう目的のものであるならば、国警研究所を十分御利用願い、重複するようなことがないようにということを再三申したのであります。しかし当時の法務府の御説明では、検事の法的な研究を主としたものであつて、現在の国警よう科学捜査研究とは、選を異にしておるという御答弁であつたように思いますので、性質の違つたものでありますれば、これはまた私どもの容喙すべきものでない、こう考えておる次第でございます。
  29. 藤田義光

    藤田委員 これは主管大臣もかわりました機会に、形式上はただいま申された通りでございますが、実態は順次そういう同じようなものに移行して行くということが想像されますので、大橋法務総裁はおられませんが、ぜひともこの点は善処していただきたいと思います。  次にお聞きしたいことは、電話、電信の問題でございます。御存じ通り、これは現在電気通信省の所管にかわつておる。今回予備隊ができますると、当然通信綱ということが非常に重大な問題になつて参ります。所管は将来国家警察としてはどういうふうにされる予定であるか。もう一つは、無線仲継所がございます。警察の無線仲継所の設置に関しまして、たとえば九州地区のごときはほとんど不完全きわまるものである。熊本県にも一箇所設置する予定に拜聽いたしておりますが、なかなか実現しない。こういう面から犯罪捜査に相当いろいろ支障を来しておるのではないかと思いまするが、二十六年度においては、その方面の通信に関する予算は、どのくらいを要求される予定であるか、拜聽しておきたいと思います。
  30. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 予備隊の通信網と現在の警察の通信綱との調節という問題につきましては、まだ話合いをしておりません。私といたしましては、できるだけ経済的にそうして実効のあるようにいたしたいと考えております。  来年度の通信の拡充の費用はいくら要求しておるかというお話でありますが、今大蔵省と下相談をしておるときでありまするので、金額はちよつと申し上げる段階に至つておりません。
  31. 藤田義光

    藤田委員 官房長官見えましたので、引続きお尋ねいたしたいと思います。非常にくどいようでございますが、国家警察予備隊性格というものを、本会議においても緊急質問がありましたが、この席上からいま一度お聞きしておきたい。警察であるというような御答弁がございました。その警察法の第一條には「警察は、国民の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以てその責務とする。」というふうに定義を明示いたしております。この定義のままの警察でないことは、大体はつきりいたしましたが、特にこの定義のうちどこに重点があるのか、公安の維持に当ることをもつて全部の責務とするのかどうか、この点お伺いいたしたい。
  32. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 御説の通り、公安の維持に当ることを、主たる目的といたしております。普通の警察事務は、マツカーサー元帥の手紙にもあります通り国家地方警察自治体警察両方で能率を上げてやつておるわけであります。いわばそれの足らざる場合に、治安維持に当るために、この警察があるのであります。
  33. 藤田義光

    藤田委員 重ねてお伺いしたいのでありますが、捜査の面には全然介入されないのかどうか、あるいは情報ということは全然やられないのかどうか、少し具体的になりますが、お伺いしたい。
  34. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいまそういう点についてはいろいろ研究中でありまして、一方においては特高警察ようなにおいのしないもの、ただし治安維持に必要な権能は持たせなければならぬというので、どういうふうになりますか、目下折角研究中でございます。
  35. 藤田義光

    藤田委員 研究中であるという御答弁でございますから、ぜひともこの点は御注意願いたいと思いますが、捜査関係にも入るということになりますと、現在の警察法規定した、いわゆる国家地方警察自治体警察権限と紛淆を来すような面が、一部出て来ると思います。全面的には相当かわつた任務を持つが、ある面においては権限の紛淆を来すようなことが当然予想されますので、その点は特に立案の当局において御注意願いまして、政令案でやられるということならば、この点も特に御注意願いたいと思います。  それから現在の警察法には、きのうも共産党の立花君と記憶いたしますが、質問いたしました通り、特に一章を設けまして、自治体警察国家地方警察協力規定を設けております。ところが昨日来の御答弁を拜聽いたしておりますと、今回の予備隊との協力規定はできない事実上の問題としてやりたいという御答弁でございますが、そうなれば国家警察、あるいは自治体警察から依頼がなくとも、予備隊がどんどん予備隊の独自の見解のもとに、あるいは治安の維持という建前から警備にも出て行くというようなことが起きるだろうと思いますが、この点に関しましては、どうしてもすつきりした明文がないと、三者の権限争いと申しますか、そういうことによりまして、捜査あるいは治安の維持等に重大な欠陷を暴露するようなことが予想されるのでありますが、こういう点の懸念はどういうような方法で解消されるつもりでありますか。現在国家警察のいわゆる警備部面と、予備隊の警備部面というものは非常に微妙な関係になつて来るのじやないかと思います。長官にやや具体的でございますが、御答弁願いたいと思います。
  36. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 これも実はひとしく警察でございますから、全然別のものというわけには参らないのであります。ただできるだけその間を調整しまして、むだのないように、また重ならないようにすることが必要なのでありまして、趣旨としてはおつしやる通りであります。それをいかに書き表わすかということは、まだ成案を得ておりません。ただいまやはり研究中でございます。
  37. 藤田義光

    藤田委員 いま少し具体的に御答弁願うと非常に簡單になるのですが、研究中ということでございまして、いろいろ御質問したいと思いますが、時間があまりありませんので、簡單質問します。香川県知事の増原恵吉氏と、労働次官江口見登留氏とが、今回できます予備隊の最高幹部にすわることは、新聞の報道だけでなく、つまり常識となつて参りましたが、先ほど公安委員長お尋ねしましたところ、国家警察としても、人事の面でも今度の予備隊には相当協力しなければならぬということを申されました。当然のことであります。自治体の首長あるいは幹部を予備隊にどんどんひつぱるというようなことになりますると、せつかく軌道に乗りつつある自治体の発展を阻害する。増原氏のごときはお呼び出しを受けて、高松に帰りまして、緊急県会を聞き、了解を求めてすぐ引返して来る。こういうことになりますと、四年の任を受けて自治体の発展のために努力いたしておる知事としては、国家の一方的な都合によつて、その職務を途中で放棄するというような嘆かわしい結果になりまして、たとえば元官庁に関係しておつた知事のごときは、安心して選挙できない。いつでも国家本位の人事によつて自治体は被害をこうむるというようなことが言われるのじやないかと思います。現在全国都道府県知事の事務局、あるいは町村長会の事務局等においては、この点を非常に懸念しておるようでありますが、今後も予備隊本部人事に関しましては、長官の胸中には、相当自治体関係にも人事の影響を及ぼされる所存でありますかどうか、お見通しだけでけつこうですが、お伺いしたいと思います。
  38. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいまのお話はまことに、ごもつともでありまして、われわれは元来、国警からも協力を得たいと非常に強く考えておりまするが、そうかといつて国警からあまり大勢人を拔くということになると、かえつてぐあいが悪くなる、国警が弱体化するという心配もあります。地方におきまして自治体警察でも、あるいは一般の自治体でも同じことでありまして、そうむやみに人をひつぱるということは事実上困難であります。ですから、この点でも必要の最小限度にとどめたいと考えております。
  39. 藤田義光

    藤田委員 官房長官は緊急な用事ができたようでありますから、質問だけ二項目簡單にいたします。これは法務総裁では答弁できないと思いますので、お伺いしておきます。  第一点は、内閣の直属に予備隊がなるという意味は、專任大臣ができる。任意ができる。任意規定でなくて、強制規定として專任大臣はどうしても置かなくちやならぬということになりますか。あるいはそのときの都合によつて專任大臣を置かなくてもいいというようなことになつて参りますか。この点を第一点としてお伺いしたい。それから第二点は、憲法九條の関係でございますが、簡單にお伺いします。国際紛争の解決手段として、武力を行使してはいけないという明文がございますが、たとえば日本に現在おりまする第三国人が、いわゆる暴動を起したというような場合におきまして、武力、たとえば拳銃を持ちましたる警察隊がこれを鎮圧するということになりますれば、これは占領下であるがために、国際紛争であるかどうか。武力の行使ということは、国際紛争ならばできないことになります。現在の客観情勢を考えまして、こういう場合に関しましては第九條の解釈をどういうふうにされますか。お伺いしておきたいと思います。
  40. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 專任の警察担当の国務大臣を置くかどうかという点については、まだまつたくきまつておりません。これは将来の問題でありまして、いかになるか私どもまだ予想がついておりません。  それから第二の点につきましては、国内に起りまする問題は、いかなる国籍の人がやろうとも、それは国内治安の問題になりまするから、これは治安維持という建前で善処いたします、これは国際紛争でも何でもございません。これは占領下にあるとなしとを問わず、同様だろうと思うのであります。     —————————————
  41. 前尾繁三郎

    前尾委員長 質疑中はなはだ恐縮ですけれども、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。     〔山手委員ちよつと官房長官簡單一つ」と呼ぶ〕
  42. 前尾繁三郎

    前尾委員長 会期もあとわずか二日となりましたが、本委員会の重要なる使命にかんがみまして、閉会中も継続して審査いたしたいと思いますので、閉会中の審査申出書を議長に提出いたしたいと存じますが、閉会中の審査すべき事件、その他手続等については、委員長にすべて御一任を願うことにし、閉会中の審査申出書を議長に提出するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  次に閉会中も継続して審査いたすことになりましたならば、調査のため委員を各地に派遣いたしたいと存じますので、委員派遣承認申請書を議長に提出いたしたいと思いますが、派遣地名、派遣委員、派遣期間、その他手続等につきましては、委員長及び理事に御一任願うこととし、委員派遣承認申請書を議長に提出することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  45. 前尾繁三郎

    前尾委員長 山手滿男簡單に願います。
  46. 山手滿男

    ○山手委員 官房長官はお忙しいようでございますから、私ぜひきようお尋ねしておきたいと思うのであります。それはきようの本会議の鈴木さんの緊急質問に対しまして、総理大臣は半ば反駁的に、現在の日本警察制度はきわめてずさんなものである、非常にまずいものである、不十分である、こういうふうなことを強く繰返し言明をされておるのであります。これは将来におきましても、国民もいろいろの角度から、各人各様ではありましようけれども、気にしておることでありますし、政治的にも何かのきつかけがあつて不測な事態でも起きました場合には、これは政府としても相当責任のある政治問題にもなるおそれがありますので、総理がきようおつしやつたように、警察がきわめて不十分である、ずさんなものであるという、ああいう重大な言明がつい先ほどあつたので、官房長官はこれに対してどういうふうなお考えを持つていらつしやるか、私どもも、現在の国内警察力を順次改善し、改良して行かなければいかぬということについては、いろいろの角度から考えておるのではございますけれども総理が、ああいう公式の立場に立つて、非常に強い語気を含めておつしやるということになりますと、これはきわめて重大であると思うので、そういうことについて、どういうお考えを持つていらつしやるか、あるいはどういう点についてああいう言明がなされておるのであるか、その点を私は官房長官から承りたいと思うのであります。この点は今発言されたところでございまするので、まだあたたかいうちに聞いておいたら、一番いいのではないかと思うのであります。
  47. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 総理の言われたことは、いろいろ言葉のやりとりもあろうと思いますが、総理が始終考えておられますることは、たとえば今の地方の自治体警察ども、財政的の負担に耐えないで困つてつて、何とか合併してもらいたいとか、あるいはほかの方でやつてもらいたいとかいうような陳情等もあるのでありまして、こういう点ではいろいろ研究しなければならぬこともあろうと思います。また国家地方警察自治体警察との連絡方法、応援等は、ここに公安委員長もおられますが、いろいろ研究すべき事項がありますことは、事実のよう政府側でも考えておる。こういう点では、不備と言つては少し強過ぎますが、やはり研究を要する点が多々あるということだろうと思います。但し現在の警察そのものが、非常に能率を増して来たということは、マツカーサー元帥の手紙にもある通りでありまして、警察自身よりも、むしろその制度の中に研究を要すべきものが多くあるという点であろうと私は考えております。
  48. 山手滿男

    ○山手委員 簡單に伺います。制度そのものについていろいろ改善する余地があるということについては、これは何人もそういうことを考えておるのでありまするが、きよう総理がおつしやつたあの場の雰囲気を見ますと、警察制度というものを根本的に考え直さなければならぬのだという雰囲気が出ておつた、そういう言い方が出ておつたように私は思うのであります。現にそういう陳情もあり、また政府としても、ああいう重大な言明をされた以上は、具体的に警察の改善、警察制度の根本的な刷新というものをおやりになり、国内治安力、警備力の増強というものをおやりになる責任があるように思うのであります。これはまた一度総理御自身に、いろいろお尋ねしたいと思うのでありまするが、官房長官は、そういう方面について、單に予備隊をつくるというふうなことで、当面を糊塗して行くつもりか、あるいはさらに進んで根本的なものに手を触れて改善して行くつもりがあるのかどうか、もう少しお伺いしておきたいと思います。
  49. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 政府は従前より警察制度については、いろいろ研究を進めて来ておるのでありまして、将来も公安委員長その他国警長官等と協議をいたしまして、できるだけ能率的にこれをいたしたいという考えは持つております。
  50. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ほかに質疑はありませんか。——御質疑がなければ、本日はこの程度にいたしまして、明後三十一日午前十時より理事会を、十一時より本委員会を開会することにいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時五分散会