運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-21 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十一日(金曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 生田 和平君 理事 川本 末治君    理事 塚田十一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    河原伊三郎君       小玉 治行君    清水 逸平君       中島 守利君    野村專太郎君      橋本登美三郎君    吉田吉太郎君       龍野喜一郎君    鈴木 幹雄君       床次 徳二君    山手 滿男君       大矢 省三君    久保田鶴松君       立花 敏男君    米原  昶君       松本六太郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         内閣官房長官 菅野 義丸君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 七月二十一日  委員高塩三郎君及び田中不破三君辞任につき、  その補欠として橋本登美三郎君及び中島守利君  が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十日  湯治療養者に対する入湯税免除請願山崎猛  君紹介)(第二七号)  土石採取業に対する附加価値税を第二種に指定  の請願吉武惠市君紹介)(第二八号)  同(中川俊思君紹介)(第七一号)  農業協同組合に対する附加価値税免除請願(  佐々木盛雄紹介)(第二九号)  畜産業に対する附加価値税免除請願佐々木  盛雄紹介)(第三〇号)  固定資産税軽減に関する請願外一件(廣川弘禪  君紹介)(第七〇号)  地方税法制定促進請願金塚孝紹介)(第  七二号)  同(神田博紹介)(第七三号)  電気ガス税課税差別撤廃及び税率軽減に関す  る請願宮幡靖紹介)(第七四号)  碎木パルプ工業に対する電気ガス税免除請願  (宮幡靖紹介)(第七五号)  トラックに対する自動車税軽減等に関する請願  (飯塚定輔紹介)(第一二〇号)  同(畠山鶴吉紹介)(第一二一号)  同(大矢省三紹介)(第一二二号)  同(岩本信行紹介)(第一二三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  公職選挙法の一部改正に関する陳情書  (第三五号)  電気税につき使用量課税標準とする陳情書  (  第三八号)  国家消防庁機構拡充強化に関する陳情書外五  件  (第四三号)  地方税法案不成立に伴う措置に関する陳情書外  六件  (第四四号)  地方税法案不成立に伴う措置に関する陳情書  (第四八号)  地方債の増額に関する陳情書  (第五二号)  地方税法案の一部改正に関する陳情書外六十九  件  (第七七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一号)     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議開きます。  前会に引続き地方税法案を議題として質疑を続行いたします。  本日は固定資産税に対する質疑最初にお願いいたしまして、午後二時半から総理が三十分間お見えになりますので、それに対して御質疑を願い、なお委員外の発言の要求がありまするので、それをもつて、すべての質疑を本日中に全部終了いたしたいと存じます。  固定資産税に対しまする質疑を許します。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 固定資産税に関しましては、前の国会において非常に議論の多かつた問題でありまするが、問題は固定資産評価範囲と申しますか、これがまことに不明確である。しかも税率が高い関係上、不当の圧迫が国民にあるのではないかというところに、大きな問題があつたのでございます。今回の改正法を見ますと、課率におきましては若干の改正が認められておるのでありまするが、固定資産評価そのものに関しましては、依然としてあまり改善の跡が見られないというふうに考えるのであります。すなわち非課税範囲におきましても、あるいは評価の内容におきましても具体的なものがさらにつけ加えられておらないということに対して、はなはだ遺憾に思うのでありますが、政府から提出せられましたところの資料を見ますと、固定資産税中特に償却資産におきまして著しく数字の相違があるのであります。この点に関しまして政府はいかようなるお考えをお持ちになつておるか伺いたいと思います。われわれは税を議する場合におきまして正確なる根拠のもとに、正確なる国民負担というものを考えなければならないわけでありますが、政府が根本としてとられておるところの課税基本額そのものに対して、非常に数字的な動きを示しておつたということは、とりもなおさずこの前の案におきまして政府はそれだけ確信のない案を出された、あるいはその後の資料によりまして、明確な数字を得られたということになると思うのであります。またかような数字があつたということは、むしろ疑問が増して来るということを、私たちは率直に申して考えざるを得ないのでありますが、この点に関しましてまず当局の御意見を伺いたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 償却資産の額の問題でございますが、これはただいま床次さんも御指摘になりましたように、政府といたしましては、今回修正いたしまして地方税法案を重ねて提出いたしました。その時期までの間におきまして資産評価法規定によりまする再評価が逐次進行いたして参りまして、その進行いたしておりまする現状基礎にいたしまして把握して見ますると、資本の額がここにありまするように、大体九千二百億程度になるのであります。さらに今年度におきましては、償却資産につきましては仮決定の便法を講じまして、大体資産評価法規定によりまする限度額の百分の七十より以下には原則として落さない。こういう建前でございますので、さらにそういうようなものが課税標準として押えられるということになりますと、限度一ぱい評価いたしましたものの大体七〇%というようなところで数字を見て参らなければなりませんので、そういうようなことで前回提案いたしました数字よりは、相当低く評価せざるを得ないような数字なつておるわけであります。
  5. 床次徳二

    床次委員 ただいま一応償却資産のことについて御答弁がありましたが、それぞれの業者の立場から見ますると、必ずしも政府答弁するような意味において解釈しておらない。たとえば私の手元に地方鉄道立場から意見を述べたものがありますが、この地方鉄道立場から見ますると、自治庁計算せられましたものと非常な開きがあるのであります。すなわち橋梁、あるいはその他の鉄道工作物等評価自治庁においてもまつたく除外せられておるけれども、当然評価せられなければならぬという意味におきまして、ほとんど三倍有余の開きができておるということが述べられておるのでありますが、これは責任ある立場におきまして、やはり委員会にも申出て来ておられるのであります。こういう点を見ますると、相当償却資産におきまして政府が予想せられております基本額におきまして、まだまだ余裕があると申しますか、あるいは未確定の部分が相当あるのではないかと思うのでありますが、大体政府の御方針はどのようであるか、重ねて伺いたいと思います。
  6. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 本年度償却資産に関しましては、本年度は一応仮決定ということでございまして、来年の九月三十日までに適正な機関によつて決定することになつておるわけであります。今年度の仮決定につきましては、今申し上げました、減価償却基礎なつておりまする帳簿価格なり、あるいは再評価額なり、あるいは再評価を行わないものにつきましては、見積り価格と申しますか、納税者の方から出して参ります価格というようなものを押えまして、そういうものが再評価法規定によりまする限度額の七〇%以上でございますれば、一応そのまま押えて価格決定するというようにいたしております。しかもこの限度額につきましては、陳腐化等のことも考慮してやることになつております。どういう場合にその事情を考慮するかということについてはもつぱら資産評価法規定に基きまする大蔵省令が定めておりまする項目を考慮しておるわけであります。従つて限度額自身相当実情に応ずるような調整が行われるようになつております。またさらにその百分の七十という線をとりまするのが遊休、あるいは未稼働というようなことのために適当でない、強過ぎるという場合におきましては、さらにこれを緩和する措置考えております。従いまして全体としては相当実情に即した評価を行い得ると考えております。
  7. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁によりますと、一応数学的にはこういう数字に固まつておるけれども、しかしなお将来の計算等によりまして、だんだん数字確定して参りますならば、まだ相当弾力はあるようにも見えますが、さように解釈してよろしうございますか。
  8. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 私ども計算といたしましては、先ほど申し上げましたように、資産評価進捗状況とにらみ合せまして現在の段階で可能なる限りの正確さをもつてはじき出したつもりでございます。しかし資産評価がさらに進行して参りまして、その実情等から申しましてあるいはこの数字がさらに動いて来る場合もあろうかと存じます。
  9. 床次徳二

    床次委員 この固定資産税について非常に大きな問題になりますのは、固定資産の中に課税されるものと非課税になるものとの区別がありますが、法文に掲げられておりますところの非課税客体というものがあまりに少い。このために事業に対して非常な不公平を来すということの大きな原因になつております。公共用の水路その他は出ておりますが反面において公共用と申しますかほとんど公共用考えられますところの隧道とか、あるいは鉄道で申しますならば橋とかあるいは、鉱山等で申しますならば坑道と申しますか、こういうような今日積極的に生産施設に使われておらないところのものに対する評価、これが普通の評価で行きますならば著しい負担の重圧になるというところに大きな問題があるのでありまして、非課税客体とするか、あるいは評価に対して相当これをしんしやくするというお考えをお持ちにならないかどうか、この前お出しになりましたあと、今日まで相当時間がありますが、各業界の希望あるいは地方税法案に対する批判そのものにおいても、多くのことが述べられてあるのでありますが、これに対して政府としていかようなお考えを持つておられるか承りたいと思います。
  10. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 固定資産税非課税につきましては、現在地租家屋税等について非課税なつておるようをものを基礎にいたしまして、さらにシヤウプ勧告等におきます精神をくみましてこの案を立案いたしたような次第であります。前国会におきましていろいろ御論議のありました点は承知いたしておりますが、非課税範囲をあまりに拡張することは、結果におきまして非課税にならないその他の一般課税客体に対する負担をそれだけ重からしめることになりますので、負担の公平を期するという見地から申しますと、あまり非課税範囲が多いということはいかがであろうかと考えるのであります。政府といたしましては、現状におきましては今提案をいたしました程度非課税範囲をとどめるのが適当ではないかと存じておりまするが、将来の問題といたしましては、これは地方財政委員会等研究事項の一つにもなつておりますし、さらに研究を重ねて参りたいと存じております。
  11. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、政府の方は不公平を来さないようになるべく把握すべきものは把握したいという立場において、立案せられておるようでありますが、あまりにそういう立場を徹底せられます関係上、不当に課税対象を多くするということを、私どもおそれているのであります。非課税として法文に除外いたさないものについては、政府適正評価において考えられるということにもなると思いまするが、いかなる方式によつて適正評価をするかということが、納税者立場から申しますと、実は明瞭でない。いわゆる適正な評価をするという形になつてしまうのでありまして、その点においてまことに不安がある。従つてできる限り適正評価において減額と申しますか、評価について普通の場合よりも低くするという取扱いをせざるを得ないものにつきましては、これを非課税とするなり、あるいは普通の課税対象にしないという特別な取扱い考えられるのではないかと思うのであります。たとえば未稼働資産のごときは、当然普通と同じ種類のものでありましても、これは遊休なるがゆえをもつて、当然評価をかえるというお考えかもしれませんが、あるいはむしろこういうものは非課税として取扱う方がはつきりしておるのではないかということが、予想せられるのであります。私どもは予想せられるものにつきましては、なるべく非課税としてはつきりと掲げるということが納税者に対して親切なのではないかというふうに考えるのでありますが、非課税対象としまして遊休稼働資産あるいは、工具、器具、備品等短期償却資産、こういうものは評価において非常に困難であります。こういうものを除外したらどうか、あるいは非常に状態は違つておりまするが、村におきまする蚕室のごときもの、これは同じ家屋に入つておりまするが、一種の生産施設に入つて来まするし、普通の住宅とはまつたく別な扱いをしてしかるべきであります。地方によりまして蚕室住宅にくつついているために非常に家屋が大きいということがある。これに対しまして普通の家屋と同じような割合において評価せられたならば、その農家に対しては、非常に負担が大きいということが言い得るのであります。あるいは同じ畜舎でありましても、別個につくつているものもあるし、家屋の中に入つているものもあるのでありますがこういうものに対する評価についても、今日の法文の上だけで見ましたならば、非常にこれが不公平な取扱いを受けそうなおそれを納税者に抱かせるのであります。こういう誤解を避けるために、やはりはつきり規定すべきものは法文規定する。あるいは適正評価機会におきまして、そういうものの評価については考慮するなら考慮するような処置をはつきりときめられることが適当であると思うのでありまするが、今の法文におきましてはその点があまり明瞭に見えない。この点私どもは非常に遺憾に思うのでありまするが、これを明らかにせられる御意思はないか承りたい。
  12. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 御指摘の点はいろいろごもつともな点がございますが、先ほど申し上げましたように、今御指摘のようなものを非課税にすることにつきましては、政府としては必ずしも適当でない、かように考えておりまするが、適正な時価評価する評価方法としては、実情に即するような措置政府としても考えるべきであろうと思つております。評価につきましてはあるいは売却価格というようなものを基礎にすることやら、あるいは收益によつて還元をいたしました価格基礎にしたり、あるいは取得価格から減価償却額だけを差引いたものを押えたり、あるいは再取得額から減価償却相当する額を落したもので押えるとか、いろいろ方法があると存じまするが、大体政府といたしましては売却価格等を中心にいたしまして、その他のいろいろの価格の算定の方式を加味して、できるだけ適正な時価を探求するように指導して行きたい、かように考えております。今御指摘の農村の蚕室でありまするとか、あるいは納屋のような、同じ家屋といたしましても、そこで使用される機会が非常に少く、また全体としての売却価格従つて低いというようなものについては、やはりその実情に応ずるような評価措置が可能ではないか、こう考えております。ただ二十五年度におきましては、土地家屋について九百倍の倍率ということで行つておりまするから、必ずしもただちにそういうことは不可能でありまするが、来年度以降におきましては、今申しましたような各種の基準をしんしやくいたしまして、できるだけ実情に即するような措置を講じて行きたい、かように考えております。
  13. 床次徳二

    床次委員 政府委員の御答弁によりまして、評価につきましては十分事情をしんしやくされるという御趣旨はよくわかるのでありまするが、実際の実施の場合におきまして、ただいまお述べになつたような立場が行われるかどうかということについては、これは第一線事務取扱い関係上、かなりな疑問が出て参るのであります。これが往々にして将来の納税問題において、やつかいな、がんになると考えられるのであります。でき得る限りただいまのような問題は法文上において明瞭にしておいて、将来の実施上に摩擦が起らない、むしろ逃れるものが多くても、しかし正確に把握するという立場をとられる方がいいのではないかと思います。これは意見でありまするから、しいて御答弁はお願いいたさないのでありますが、でき得る限り納税者立場を考慮して——政府の御当局徴税せられる立場からできるだけしんしやくしてとつて行くのだということをおつしやるのでありまするが、納税者立場から行くと、なかなかそれだけでは安心ができないのであります。こういう気持を十分にお考えいただきたいということを重ねて申し上げたいのであります。  次に一言事務的なことをお尋ねいたしたいのであります。今度の御取扱いにおきましては、俗にいう仮決定取扱いがあるのでありますが、この仮決定のありましたものに対する滞納処分というような関係は、いかような取扱いになるのか、御説明をいただきたいと思います。
  14. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 この仮決定につきましては、本年度税率が来年の一月に確定をいたしまするが、その確定をせられました税率によりまして、今年度決定をいたしましたものを、来年の九月三十日までに価格確定いたしまして、そうして最終的に税の清算をする、それが来年の十二月でございます。その機会にすべての税の過不足の始末ができるわけでございますが、今の滞納処分に関しまして、納期の到来いたしましたものにつきましては、法律上はもちろん滞納処分によります一定の手続が可能なわけでございますけれども、これもそれぞれの市町村実情に即しまして、やはり仮決定の場合と本決定の場合とにおきましては、おのずから緩急の度合いがございまするから、実情に即するような指導を行うべきものであろう、かように考えております。
  15. 床次徳二

    床次委員 ただいまの指導上の心構えにつきましては、私どもまことに同感でございまするが、この点は納税者立場から申しますと、非常に問題が残つておる、でき得る限りむりな滞納処分が行われないような方法を特に考えていただく必要があると思うのであります。  次にもう一言お尋ねいたしたいのでありまするが、ことしの固定資産税徴收率であります。大体これに九〇%を予想しておられまするが、下半期に納期が片寄りましても、大体従来と同じような徴收率をあげることができるかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
  16. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 土地家屋につきましては、賃貸価格を九百倍をいたしまして、それに一定税率をかけるわけでございまするから、徴税当局といたしましての徴税事務の処理は、比較的簡単でございまするが、御指摘のように納税者立場からいろいろ考えますると、相当問題はあろうと存じます。しかしながら新しい税と違いまして、土地家屋に関しまするものにつきましては、大体納税者の側におきましても、その負担程度につきまして、おおむね考えを持つておられると存じまするので、各第一線市町村徴税当局が努力を重ねて参りましたならば、九〇%程度徴税は可能であろう。かように今政府としては考えておる次第でございます。
  17. 床次徳二

    床次委員 最後に一言大臣に伺つておきたいのですが、固定資産税に関しまして、政府はことしの予定額五百二十億はぜひとりたい。今度の改正案におきましても、課率を若干減少されましたが、やはり五百二十億だけの財源は確保したいということをはつきりとしておられまするが、地方財政の確立という立場から申しますると、当初から予定せられたところの五百二十億を確保するということに対しましては、これはごもつともな立場だと思うのであります。しかしながら新税を実施いたしまするときに、最初から予定額の全額をとつて行く、しかもこの間に納税者において非常な大きな変更があり、あるいは額において増加があるという場合におきまして、初年度から予定だけの額をそのままとつて行きたいという考え方は、実際上から申しますと、かなりむりがあるのではないかと思う。しかも時間的に実施が大分ずれておりまする場合におきましては、多少内輪に見まして、漸増的に年次を追いまして、予定の目標まで到達するというようなとり方をするのが、徴税上の技術として適当なものではないかと思うのであります。特に本年度におきましては、経済上の事情から申しましても相当苦しい。個人におきましても困難でありますが、また産業方面におきましても困難なときでありますので、あくまでも五百二十億という金額を固執するというよりも、これを若干減らして参りまして、そうして国民納税力と申しますか、また新しい税になれるのを待ちまして、漸次予定の五百二十億までこれを上げて行くという考え方も、必要じやないかと思うのでありますが、これに関しまして大臣の御意見を承りたいと思います。
  18. 岡野清豪

    岡野国務大臣 床次君の御質問に御答弁申し上げます。納税者が今度の新地方税法によつて納税をするについては、必ずしもこの固定資産ばかりでなく、いろいろ困難があるからということは、この委員会においても、るる皆様方から拝聴した次第でありますが、固定資産税の五百二十億というものは、政府といたしましては、初年度といたしましてとれるという可能性を認めて提案した次第でございます。私は前国会には責任者でございませんでしたけれども、しかし当時固定資産税は、あるいはもつと上まわるのではないか、こういうような御議論もあつたような次第でありまして、そのために税率も引下げたというような情勢にございますから、私の方といたしましては、むろん一般情勢といたしまして、納税者が苦しいということは、お説の通りよく考えてもおりますけれども、五百二十億が確保できるということにつきましては、政府は自信を持つておるわけであります。
  19. 前尾繁三郎

  20. 大矢省三

    大矢委員 私はこの固定資産客体、すなわち対象物としたものについて、土地建物、その建物の中に、「店舗工場発電所及び変電所を含む。)」とありますが、これは実際上の問題としてはなかなか捕捉に困難だと思う。一例を申し上げますと、東京都にある——これは民営でありますが、競輪場のあのレース場、あるいは野球場のスタンド、こういうものは工場でもなければ、家屋でもないが、あるいは免税するのか、税金の対象となるのか、これをひとつお聞きしたい。
  21. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 競輪場でございますとか、こういうものは、多くは地方団体自体で建設をしておるものでございますから、そういうものにつきましては、所有者関係で当然非課税になると思いますが、地方団体の持つておりませんようなものにつきましては、事業の用に供する償却資産という範疇に入るものでございますならば、やはり固定資産税対象となると存じますし、店舗等は、これはまた家屋ということで、それぞれ固定資産税対象になると存じます。
  22. 大矢省三

    大矢委員 家屋としてこれを見るのか、あるいはまた工場の設備、事業の設備として見るのか、それは償却資産になるのか、あるいは家屋建物に類するのかという標準によつてかわつて来ますので、これはどういうふうにお考えですか。
  23. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 家屋一般事業用の償却資産の中から除きまして、別個の対象として一応区分をいたしておるわけであります。店舗とか工場等は、従つてそういう家屋という範疇で見るわけでありますが、もちろんその中にございますいろいろな施設、設備というようなものにつきましては、これは償却資産という種類のものに入ることになるのであります。
  24. 大矢省三

    大矢委員 それから価格決定に対して「適正な時価をいう。」ということがある。これは一体どこできめるのですか。とる側の委員会できめるのか、さもなければ納税者側の委員も入れて決定されるのか。特に償却資産の算定というものはむずかしいのであります。こういうものに対しての適正なる時価というものを、どういう方法によつて決定されるか。
  25. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 これは市町村にそれぞれ固定資産評価員というものを置きまして、この固定資産評価員にはできるだけそういうような評価についての経験のある者を、各市町村とも集めてもらうことにいたしまして、その固定資産評価員は、これを大体いかように評価するかという意見をきめまして、最終的に市町村長がこれを決定する、こういう建前いたしておるわけであります。ただこの際におきまして、固定資産評価につきましては、技術的にもいろいろむずかしい点がございますので、そういうような問題につきましては、あるいは都道府県知事なり、あるいは地方財政委員会なりが基準を示しまして、評価の手引等その他の資料によります指導をいたすことに相なつております。またその評価が知事等の立場から見まして、はなはだしく不適正であるような場合におきましては、これをかえるように勧告するというような措置考えております。また納税者の側から申しますれば、このようにして決定せられました評価が、はなはだ不適当である、不満であるという場合におきましては、固定資産評価審査委員会という機関を各町村に設けておりまして、これに対して審査の請求をする。そうしてそれにもなお不服がございますれば、これを訴願して、あるいは訴訟によつて争う、こういう方法があるわけでございます。
  26. 大矢省三

    大矢委員 それからこの徴收にあたつていろいろな帳簿を必要とするのです。たとえば固定資産課税台帳——土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳、こういうふうなたくさんの台帳を必要とし、また記載の内容については、地方財政委員会規則によつて定められることになつている。この地方財政委員会から各町村に指令するところのいわゆる規則というもの——前にも問題になつたのですが、この法律を審議するのに当然必要な規則というものができておるのか、できておるならば一体なぜ出さなかつたのかということをお尋ねしたいと思います。
  27. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 固定資産税に関します細部の事項を定めます地方財政委員会の規則でございますが、これは大体手続的、技術的な面が非常に多いのでございまして従つて、目下地方財政委員会におきまして、この法律案の審議の進行状況とにらみ合せて、鋭意努力中でございまして、まだ地方財政委員会といたしましてこの成案は得ていないように聞いております。
  28. 大矢省三

    大矢委員 今読み上げたほかに、家屋見取図、土地見取図というようなものもこさえなければならぬということを書いてあります。一体きようはもう七月二十一日でありますが、八月一日からこれを実行しようというときに、こういうような準備なり、また規則もまだできていないということで、この徴收については相当に困難が予想されますが、そういうことは実際上の問題として、地方の自治団体が徴税に当つてさしつかえないかどうか。心配ないと言われるか、多少困難があつてもやりますと言うのか。私ども考えますと、いまだに規則もできない。八月一日からやろうとするのに、この台帳がどうなつているか、その指令する規則もできていないということで、はたしてこれがほんとうに施行できるかどうかということを非常に憂慮するのであります。その点お尋ねいたします。
  29. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 この施行に関しましては土地家屋につきましては、先ほども申し上げましたように、賃貸価格に対しまして九百倍の倍率ということで課税標準をとつておりますから、比較的徴税技術の上では簡単でございます。従いましていろいろ今御指摘になりましたような書類につきましては、これは従来あります。そういうようなものを、さらに新しい形式に整理するということでございますが、そういうようなことにいたしましても、過去の基礎となりまする資料が十分ございますので、それほどめんどうなことはないように考えているのであります。償却資産に関しましては相当めんどうであろうと存じまして、政府におきましては、案を変更いたしまして、簡便な仮決定方法等をとつておる次第でありまして、政府といたしましては、国会の御審議が済みましても、もしもこれが通過いたしましたならば、その国会におきます御審議中の御意見を十分しんしやくいたしまして、地方財政委員会におきまして、これを指導するようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  30. 大矢省三

    大矢委員 それからこの固定資産税の倍率を九百倍で押えた理由、さらにまた税率として一・七と押えた理由をひとつ伺いたい。
  31. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 土地家屋につきましての倍率でございますが、これは根本の態度といたしましては、シヤウプ勧告を受入れまして、ただシヤウプ勧告にございます一千倍にするということにつきましては、政府といたしましてもいろいろ慎重に考慮し、関係方面とも打合せました上、九百倍ということにいたしたのでございます。なぜ一定の倍率をかけるかということにつきましては、やはり賃貸価格がそれ自体の価格として、今日いろいろ不均衡の点がございますので、それを一定の倍率によつて拡大をいたしまして、その不均衡をより明確ならしめる。そうして来年度以降の土地なり家屋なりの価格の査定をより正確なものにする。こういう配慮からでございまして、この点もシヤウプ勧告の精神をそのまま取入れておるような次第でございます。なお一・七の固定資産の標準税率でございますが、これは前国会におきまして、非常に御熱心な論議がございましたので、政府といたしましても、再検討を加えまして、百分の一・七五を〇・〇五だけ押えまして、百分の一・七ということにいたしまして提案をいたした次第であります。
  32. 大矢省三

    大矢委員 この九百倍と押えたことが時価である。賃貸価格の九百倍が時価で、大体一千倍というシヤウプ勧告であつたが、九百倍にしたのだということであれば、もし滞納の場合差押えをされるその土地家屋に対しても、これは時価と称していわゆる賃貸価格の九百倍をその滞納の対象としての価格を見るかどうか、これは国税庁にも尋ねておく必要があるかもしれませんが、滞納の処分をしたとき、九百倍で時価だときめたのだから、差押えの対象としても九百倍して時価と認められるか。それからいま一つは一・七に押えたことは、前にいろいろな問題もありましたから〇・〇五下げた。しかし五百二十億円を対象としてやつたものであるから、来年一月にはそれが上まわつたり下まわつたりした場合には改正する、こういう説明でありますが、来年一月といえば八月一日から実施すれば四箇月、四箇月の間に上まわつたり、下まわつたりすることが予想がつかなかつたか。あるいはそれほどに基礎が薄弱なのか。五百二十億円を算定する場合において、四箇月後にそれが上まわるかもしれない、下まわるかもしれないということのいわゆる課税客体たるそういうものの調査が、データが一体揃つていなかつたのかどうか、大体それで行けるのであるか、これは自信があるのだと言われるのか、その点伺いたい。
  33. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 本年度の税につきまして、土地家屋を滞納で差押えた場合にどういうことで一体考えるかということでございますが、国税徴收法の規定によりまして、地方税法の滞納の処分をいたすことにいたしておりますから、従つて公売ということになるわけでございますし、それぞれ国税徴收法の所定の手続に従つて、定まりまする価格で行くということになるわけでございまするが、御心配のように、そういう規則通りの形で、ぴしぴしやるということにつきましては、必ずしも適当でないと私ども考えております。ことに固定資産税につきましては、税率もかく決定してございまするし、来年度最終的に価格もきめるというような一般原則でございまするから、滞納処分等の実施につきましては適切なる実情に即する処置を講ずべきであろうと存じまするが、何と申しましても、地方税はそれぞれの地方議会におきまする直接の批判なり、地方住民の直接の批判が徴税当局に直接的に反映する機会が、ことに多いわけでございますから、実際の結果からながめまするならば、さほど御心配になるようなことがないのではないか、また政府といたしましてもそういうような心構えで実際の徴税上の指導をいたして参りたい、かように考えておる次第であります。  それから五百二十億という数字が、来年の一月におきましてはたしてとれるかどうか、明確にわかるかどうかというお尋ねでございますが、この点につきましては、土地家屋に関しましては今年の八月なり、十二月なりに二回納める納期が到来いたしまするし、また償却資産につきましても、十二月に第一回の納期がございまするので、その際におきましては償却資産課税標準も一応捕捉できまするし、土地家屋はもとより九百倍で課税標準としては上りますので、これらの各市町村の具体的な資料を知事に集め、知事から地方財政委員会の方に送つて参りますような手続を規定しておりまするから、そういうような資料によりますならば、地方財政委員会としては五百二十億とれるかとれないかということの判定が可能であろう、かように考えておる次第であります。
  34. 大矢省三

    大矢委員 それでは公売価格が大体時価であると国税徴收法によつてきめてある。そういうことで、もし九百倍なんかで公売された場合には、それは時価を高く評価しているということ、これは評価委員の責任にもなります。この点は公売、すなわち売る人と買う人とあつて、そこに初めて時価ができるのでありますから、いわゆる公売価格をもつて時価とするということに、解釈してよろしうございますか。
  35. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 一般的な時価の測定の標準といたしましては、先ほどもちよつと御説明を申し上げましたように、売買価格と申しますが売却価格と申しますか、市場におけるそういうような価格を、一つの基本的な基準にいたしまして、さらにこれに收益による還元価格とか、あるいは再取得価格あるいは取得価格というようなものから、減価償却相当分を引いたようなものを目途にいたしまして、適正にきめるわけでございまして、今の公売価格自体がただちに時価ということにはならないのでございます。
  36. 大矢省三

    大矢委員 それから財政委員会の規則において、船舶、車輌つまり移動性の償却資産については、二つ以上の町村にわたる場合には、地方財政委員会がこれを規定する。これは配電設備もその通りですが、かりに一例を申しますと、私鉄本社のある所と車庫のある所、これはいずれを重要視するか。たとえばこれを決定する場合に、移動しておりまするが、その納税相手方とする町村に対して、本社の居住地を言うのか、あるいは車庫のある所をもつて指定するのか。これはもちろん地方財政委員会決定することと思いますが、政府考え方でもけつこうですが、一応お聞きしたい。
  37. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 ちよつと恐縮でございますが、いま一度御質問の要旨を……
  38. 大矢省三

    大矢委員 つまり移動するところの車輌であるとか船舶——船は別でありますが、車輌のごときは、車庫と本社とは、これは同じ会社で車庫を幾つも持つている、そういう移動性のものについては、どの町村に向つてこれを地方税として支払えということの指令を地方財政委員会がするのですか。その場合に本社をおもにするか、あるいは車庫のあるところの町村をおもにして指令するのか。言いかえれば、どつちをとつているか。
  39. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、車輌につきましては、もちろん車庫のございます所が中心になりますが、それぞれその車輌の動いておりまする軌道の敷設されておりまする関係市町村につきまして、それぞれの所にも一定の額を配分することになると思います。
  40. 大矢省三

    大矢委員 すると車庫のある所でなしに、車の動く関係の全町村に向つて合議というか、全般にわけてやるというのですか。
  41. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 それは合議ではございませんで、地方財政委員会が、今の車庫のございます市町村や、現実に車輌の動いております市町村に対しまして、一定の額を直接配分するということになるわけでございます。
  42. 大矢省三

    大矢委員 これはなかなか問題になることでございますから、重ねてお尋ねしますが、たとえば配電会社が送電線がたくさんあつて町村をたくさん通つている、こういう場合に、その村々にかかつているところは、今の車輌のごとく終始動いているのは、どこにも固定しない。それについて地方財政委員会がその移動している町村に向つて、あるいは船ならば神戸から大阪、長崎から東京に来る間の関係町村に向つて、一体それをどうして割当てるのか。
  43. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 ただいまの点は、大体お考えの通りでございまして、たとえば配電線が数町村にまたがつておるというような場合につきましては、それぞれの市町村に対して額を配分することになります。それから船舶等につきましては、主たる碇繋場の所在地、あるいはそれが判明でない場合には、船籍等を抑えるわけでございますが、そういうところを中心にいたしまして、船舶の寄港いたします港のありまする市町村というものが配分を受ける対象になるわけでございます。
  44. 大矢省三

    大矢委員 私だけ時間をとつてもどうかと思いますから、これで保留しておきます。
  45. 前尾繁三郎

    前尾委員長 午前の会議はこの程度にいたしまして、午後一時から再開いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  46. 前尾繁三郎

    前尾委員長 再開いたします。  休憩前に引続き地方税法案を議題とし、固定資産税に対する質疑を続行いたします。  なおこの際申し上げますが、厚生委員会及び運輸委員会よりそれぞれお手元に配付いたしましたような、本委員会に対する申入れがありましたので、御報告申し上げておきます。  質疑は通告順に許します。立花敏男君。
  47. 立花敏男

    ○立花委員 本地方税法案に対しましては、前回の国会におきましても同様に審議いたされまして、しかも国民大衆が非常に大きな関心を持つておつたのでございます。その現われといたしまして、前国会におきまして、全国の各業者あるいは各住民から、厖大な量に上る請願書あるいは陳情書が参つておつたのでございますが、遺憾ながら前国会におきましては、委員会決定がなされるまで、それらの陳情、請願は一顧も与えられないで、法案が決せられた後におきまして、それに対する処理の委員会が持たれたように聞いておりますが、それは一体どうなりましたでしようか。また政府といたされまして、この厖大な陳情、請願に対する処理をどういうふうにされたのでありますか、それをまずもつてつておきたいと思います。
  48. 小野哲

    ○小野政府委員 たいへん遅れてまことに申訳ありません。深くおわび申し上げます。  ただいま御質問になりました地方税制関係についての請願陳情が数多くあつたことは御指摘の通りであります。本委員会におきましては、委員会としてのお立場で御審議に相なり、また政府に送付すべきものと御決定に相なりましたものにつきましては、政府意見を付しましてそれぞれ国会の方におまわしをしておるはずでございます。従いまして全然処理をしないでそのままになつておるということではございませんので、この点御了承を願いたいと思います。
  49. 立花敏男

    ○立花委員 私が聞いておりますのは、事務上の処理ではございませんので、国民の熱烈な要望である陳情書請願書を実質的にどの程度取入れたのか、この点を内容的にお話をしていただきたい。
  50. 小野哲

    ○小野政府委員 ただいまの御質問は政府に対する請願、陳情でありまして、全般的の問題になるかと思うのでありますが、もちろん国民の要望としてお出しになりました請願、陳情につきましては、政府としては極力これを尊重して具体的の施策の上に反映させるために努力をいたしておることは申すまでもないのであります。ただ予算の問題であるとか、あるいはその他の理由によりまして、ただちに実施に移せないものもございましようし、緩急その点は行政機関としての立場において、その順序を追わなければならないものも中にはあると思います。従いまして、請願、陳情が出た場合に十分な検討を加えますが、その中でただちに実行に移し得るものと、あるいはなお将来研究をいたさなければならない問題もあることは、やむを得ないものと考えておるのでございまして、政府は誠意をもつてこの間に処して参つておることを申し上げておきたいと思います。
  51. 立花敏男

    ○立花委員 ところが遺憾ながら前の国会におきましては、法案が審議決定されるまで、多数に上る陳情、請願が何ら顧みられなかつた実情でございます。これは特に委員長にお願いしておきたいと思いますが、前の委員会においては、委員会が法案の決定をいたすまで陳情、請願に対する措置が何らとられなかつた。委員会の決が下されましてから莫大な陳情、請願を一括して、簡単に事務的に処理したという形が、はつきり出ておるわけであります。今度の国会においても、いろいろな陳情、請願が参つておりますが、これに対して、前の委員会でおやりになつたように、この法案の運命がきまつてから事務的に処理するというやり方をおやりになるつもりか。共産党としては、国民が熱烈にこの法案に対する思いをこめて陳情、請願をいたしておりますものを、そういうふうに扱つては、国民の意思を蹂躙することになると思いますので、前回のような陳情、請願に対する取扱いはぜひやめていただきたいと思いますが、委員長はこれに対してどういうふうな御意見をお持ちでございますか。
  52. 前尾繁三郎

    前尾委員長 委員会に対する陳情については、すべて皆さんに、部数のある限りただちに御配付いたしております。それから一部しかないものについては、その目録をつくつて皆さんに差上げておるはずであります。御了承願います。
  53. 立花敏男

    ○立花委員 実はこの委員会はきようでおしまいになると言われておりますが、きよう今ここに参りまして突然私どもは二つの意見書をもらつております。われわれと同じ委員会である厚生委員会委員長の名前で私どもに申入れがございます。それからもう一つは運輸委員会からの申入れ修正意見書、しかもこれは先ほどから述べております単なる国民からの陳情あるいは意見書ではございません。国民の代表としての国会決定された正式な国会の意思としての意見書だと思うのでございますが、こういうものを委員長は、この場合になりまして、あと数時間しか残つていない委員会において、どういうふうに処理されようとお考えなつておられますのか、これは重大な問題だと思いますので、御意見を承りたいと思います。
  54. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これは委員会から持つて来られたのがおそかつたのでありますが、その意見書に書いてあることを十分ごらんになつて、もちろん、原案に対していろいろ修正案のお考えもあるでありましようから、適当に処理して行きたいと思います。
  55. 立花敏男

    ○立花委員 この厚生委員会あるいは運輸委員会には、自由党の方自身がやはりここに参加されておると同様に、十数名参加されまして、それが委員会の意思としてこういうふうに現われて来ておるのでございますので、この委員会においても、与党の方といたしましても、これはまつたく無視できない意見だと思う。だからこれは早急に取上げていただいて、さつそく私は審議していただきたいと思います。本日やることになつている固定資産税の問題でも、今いただいた運輸委員会意見書には、固定資産税として地方鉄道企業等を課税対象から除くことというような意見はつきり出ておりますが、これに対して政府ではどういうふうな意見をお持ちになつておるか。これは明らかに国会の意思としての運輸委員会の正式の意見書でございますから、政府といたされましても、十分これに対してはつきりした御答弁をいただきたいと思います。
  56. 小野哲

    ○小野政府委員 ただいま立花委員からの仰せによりますと、運輸委員会から正式に本委員会意見のお申出があつたようでございますが、もちろん連合審査会等を衆参両院においてはお開きになりまして、その間運輸委員の皆さんも御出席になつて、直接政府に対しても御質問があつたのでございます。従いましてその際に政府の所見は詳細に申し述べておるのでありますが、たとえば固定資産税取扱いについて地方鉄道軌道等においては、できるだけその企業の経営の情勢から考えて、国鉄と同じように非課税方法をとつてもらいたいということは、単に運輸委員会において御質問になるばかりでなく、関係業界方面からも意見のお申出があることは私も承知いたしておるのでございます。この点に関しては地方税法案の御審議にあたりまして、この委員会においていかに御論議に相なりまするか。その点についても御審議が願えるならば必要に応じて、私の方からも御説明に当りたいと考えております。
  57. 立花敏男

    ○立花委員 もちろん委員会で審議するのですが、重大な申入れでありますので、政府意見を徴しまして、その上で委員会として審議をやりたいと思つておりますのでお聞きしておるわけなのであります。運輸委員会と合同審議をおやりになつたと言われますが、衆議院では決して運輸委員会と合同審議をやつておりません。参議院の運輸委員会とはおやりになつたかもしれませんが、衆議院の運輸委員会とは決して今国会におきましては合同審議をやつていないわけであります。従つて次官が今言われました運輸委員会意見を聞いておるということは、これは参議院ではお聞きになつたかもしれませんが、衆議院では聞いておられるはずがございません。合同委員会をやつておりませんので、これはこの書類によつて意見を初めて私ども承りますので、それで次官の意見をただしたわけであります。  特に私どもが問題にしたいと思いますのは、地方企業にこういうふうな莫大な固定資産税がかかると、——あのひつぱりまわされましたレールあるいは軌道あるいは車両あるいは駅、そういうものに莫大な固定資産税がかかると、これは明らかに沿線の住民の負担になる。すなわち運賃の値上げといたしまして、住民の負担なつて来るわけなのでございます。そこが私ども重要だと思いますので、この問題をお聞きしておるわけなのであります。おとといでございましたか、ここで参考人の意見を聞きました場合に、産業団体の代表である経団連の方から、固定資産税は転嫁を建前とした税金だということをはつきり言われております。従いまして地方鉄道にそういうものが莫大にかかつて参りますと、必ず運賃の値上げにならざるを得ないと思うのであります。特に私鉄関係は独占的な形が顕著でございますので、料金の独占的な引上げということになるのは、これはもう明白であろうと思います。従つてこの問題は重要な問題であります。運輸委員会がこういうふうな申入れをされましたことは、非常に適当だと思うのでございますが、この点に関しまして次官はどういうふうに見通しを持つておられるか。毎々の委員会政府の御答弁によりますと、価格等に対する今度の地方税の改正の影響はないというふうに言つておられますが、はたして私鉄の運賃が上らないという見通しをお持ちになつておるか。私鉄関係の産業資本家が自分の肩に振りかかつて参りました固定資産税を、沿線の住民に転嫁しないという見通しがおありなのかどうか。もしおありであるとすれば、どういう根拠で運賃が上らない、人民の負担にならないというふうにお考えなのか、はつきりとつお示し願いたいと思います。
  58. 小野哲

    ○小野政府委員 実は立花さんからお話になりました地方税法案に対する修正意見が、運輸委員会から正式にこの委員会に出ておることは承知しておらなかつたので、抽象的なお答えをしておつたのでありますが、今拜見いたしますると、運輸委員会からいろいろの修正意見が出ておることを承知いたしたのであります。問題は相当範囲にわたつておりますので、どの点について一応御審議の対象になさいますか。これによつてお答えもおいおいとして参りたいと思うのであります。  ただいままず第一にお取上げになりましたのは附加価値税あるいは固定資産税等が課税されることによつて、利用者にこれが転嫁される。その結果運賃料金等が値上げをするおそれはありはしないか。これに対して政府当局は運賃料金等については影響ない、こういうふうに答弁したと御指摘なつていますけれども、これは私はさような答弁はいたしておりません。附加価値税につきましては、その税の性質から考えまして、転嫁性を持つた税であるということを申し上げておりますので、従つてこの種の税を課税いたしました場合におきましては、運賃料金の原価計算の中に織り込まれることとなると考えておりますので、その限度においては、運賃料金に転嫁されるものであろうと思うのであります。しかしながら独占企業体におきましては、この種税が課されることによつて、ただちに運賃料金を値上げをしなければならないということは、なお経営内容あるいは会計経理の内容について、相当検討を加える余地があるのではないかと思うのでありまして、課税によつてただちに一般的に転嫁性のあるものであるからと言つてその会社の実態から考えまして、一概に運賃料金の値上げになるものであるということを申すことは、いかがかと思うのであります。会社の経営内容いかんによりましては、ある程度の企業の合理化等の方法によつて、これを吸收し得る場合も起り得るのではないか。従つて一概に必ず運賃料金の値上げがあるということを断定することは、いかがなものであろうかと考えておる次第であります。
  59. 立花敏男

    ○立花委員 政府の従来の答弁によりますと、他の税と総合いたしました場合に、地方税が増徴されたからと言つて物価が上らないというのが原則的なお考えであると思うのです。しかしそれは従来から言つておりますように、一般的な問題でございまして、こういう私鉄などの場合には上るのは、もう火を見るより明白であります。この場合に次官が言われますように、企業の合理化等によつてこの莫大な固定資産税を吸收することは、絶対に私はできないと思います。こういう場合に当然それは住民に転嫁されますので、しかもその額は私ども資料によりますとこれは私鉄関係からいただいた資料でございますが、大体全国で年額十数億に達しております。これが結局人民大衆の運賃として、この固定資産税によつて人民のふところからとられるわけなのでございますから、これはぜひひとつ運輸委員会意見を入れられまして、軌道等の課税は廃止していただきたい。そういうふうに希望しておきます。  それから同じく厚生委員会からの申入れの中にも、今私どもが問題にしております固定資産税に対する項が含まれておりました。健康保険組合あるいは連合会、あるいは国民健康保険組合及び代行組合等の医療関係の施設に対しまして非課税としろという要求が出て参つております。これも運輸委員会の申入れ同様に、まつたく国会の意思としての正当なる申入れだと思うのでございますが、これに対しましてもひとつ意見を聞かせておいていただきたいと思います。
  60. 小野哲

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。ただいま立花さんが御指摘になりました厚生委員会からの申出事項でございますが、この種社会事業なりあるいは社会保障制度の確立のために、種種活動いたしておりますような組合に関する課税の問題と存じまするが、この地方税法案考えられておりますことは、附加価値税については第一種、第二種、第三種とございますが、その事業の種類に該当する事業を行わない限りにおきましては、課税をいたさないことになつておるのでありまして、具体的に社会事業に関する組合が、いかなる事業をやつておるかということによつてこの税法に基いて判定をいたさなければならない問題であろうと思います。従つて抽象的にいかなる組合その他の法人格を持つておる社団あるいは財団等でありまして、すべてが非課税になるという断定は、許されないと思うのでございますが、その組合その他の団体が、あるいは公益的な事業を主体として行つておるか、あるいは收益的な事業をも兼ねて行つておるかということによりまして、そのおのおのについて附加価値額を算定いたします場合に、特定の支出額として控除し得るかいなかを決定することに相なりますので、具体的な内容について御検討願いたい。またわれわれの方といたしましても十分に検討を加えまして、非課税課税の限界についての判断を定めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  61. 立花敏男

    ○立花委員 次官は具体的に問題を出してからと、こうおつしやいますが、これは非常に具体的に問題が出ております。社会事業というような一般的な形で出ておるのではなしに、健康保険組合あるいは国民健康保険組合というふうに、それらの事業ということになつておりますから、これは明白に具体的に問題が提出されておるわけです。だからこれに対する政府の回答をお聞きいたしたい。
  62. 小野哲

    ○小野政府委員 私は一応一般的に社会事業関係その他を目的とした団体についての御説明をいたしたので、ただいまの健康保険組合の具体的な問題に触れて申し上げますと、これが社会事業の目的を持つてつておるという範囲内におきましては、もちろん非課税対象になる、かように御解釈願つてよいと思います。
  63. 立花敏男

    ○立花委員 それではこの厚生委員会の申入れである健康保険組合及び国民健康保険組合の固定資産は、非課税とするということを政府として承認されたということでありますか。
  64. 小野哲

    ○小野政府委員 もう少し具体的に法律によつて申し上げますと、地方税法案中の附加価値税の第一種、第二種、第三種の事業として、保険事業は指定せられておりませんので、非課税でございます。
  65. 立花敏男

    ○立花委員 私ども法案を見ましても、この点があまりぴんと来ないような書き方になつておりますので、できたらこういうものを非課税となされるならば、やはり健康保険組合、国民健康保険組合は非課税であるということを、明白にお書きになるのが妥当じやないかと思います。この医療の問題は、特に国民にとりまして重大な問題でございますし、最近の情勢を見ましても注射もできない、あるいは薬も飲めないで病勢が悪化するという状態が非常に多くなつております。従つてこういう問題はより一層明白になされることが、法案をおつくりになる上からも国民に対して親切なやり方だと思いますので、そういうふうな態度が政府として御決定なされておるのでございましたならば、法案の上で明白にしていただきたいと思います。これに対して御意見をひとつ……。
  66. 小野哲

    ○小野政府委員 お答え申し上げます政府としましては非課税ということを考えておりますので、従つて健康保険組合等の行う社会保険事業は、事業の中に入れておらないのでございます。従つてこの点ははつきりといたしておると思いますが、しかし御趣旨の点もございますので、地方団体に対しましてはあやまちのないように政府として指導をいたしたいと考えております。
  67. 立花敏男

    ○立花委員 ちよつと確めておきたいと思いますが、今のお答えは附加価値税に対するものだけではなしに、固定資産税もやはり非課税ということでございますか。
  68. 小野哲

    ○小野政府委員 ただいまの御質問は附加価値税でございましたので、附加価値税に対して御答弁を申し上げたのでございますが、固定資産税につきましては社会事業法の適用のある社会事業については非課税にするということが、法律上明らかになつておりますので、この点は法律によつて運用をいたして行きたいと思います。
  69. 立花敏男

    ○立花委員 では両方とも非課税だというふうに了解させていただきます。  それからそれに続いて書いておりますこういう組合的な医療機関ではなしに、私的な医療機関、これに対して厚生委員会意見書には非課税というところまでは書いておりませんが、減免の措置を講ぜられたい、こういうふうに書いてございます。これも私は現在の藥も買えないところの大衆の生活からいたしまして、ぜひこの措置はとつていただきたいと思うのでございますが、これに対する御意見を聞かしていただきたいと思います。
  70. 小野哲

    ○小野政府委員 医療事業につきましては、これを区別して考えますと、まず附加価値税につきましては、特別な事業としての扱いをいたしておることは御承知の通りであります。また固定資産税につきましてはこれは特に医療事業をやつておるからというので、非課税対象にはいたしておりません。
  71. 立花敏男

    ○立花委員 だからその固定資産税の減免の意見書が出ておりますので、これに対する意見を聞いているわけです。
  72. 小野哲

    ○小野政府委員 法律の建前といたしましては非課税対象にはいたしておりませんが、その実態にかんがみまして、地方団体がこれをいかに判断するかによつてきまることと考えております。
  73. 立花敏男

    ○立花委員 いかに判断するかということを、もつと具体的にひとつ御説明願いたいと思うのであります。
  74. 小野哲

    ○小野政府委員 医療機関についての、言いかえればお医者さんの土地とか家屋というふうなことにつきましては、従来も非課税にいたしておりません。今後におきましても法律上の建前としては、非課税にする考えは持つておりませんが、おのずからこれをどの限度まで、地方団体としてその他の特別の事由によつてどう扱うかということは、地方団体の意思によつて決定すべきものであろうと考えております。
  75. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、たとえば村にお医者さんがおりました場合に、その医者に対する固定資産税課税について、村あるいは固定資産評価委員会で多少の幅をもつて余裕を持たしめるというふうに考えてよろしうございますか。
  76. 小野哲

    ○小野政府委員 もう少し具体的にお答えいたしますと、土地家屋につきましては、先ほど申し上げた通りでございますが、問題はお医者さんが使つておりまする医療機械器具の問題があると思います。言いかえれば償却資産の問題であろうと思いますが、この点につきましてはあまりに微細なものにまで課税対象にするようなことは極力避けるべきである、かように考えております。
  77. 立花敏男

    ○立花委員 いや私が申し上げておりますのは、次官の御答弁を私ちよつと捕捉しかねますのでお聞きしておるのですが、次官の御答弁を私が解釈したところでは、法律上の建前はかけることになつておるが、村の判断によつて伸縮できるというふうに言われたと思います。この伸縮の程度が医者たるがゆえに伸縮できるのか、一般の伸縮と同じような伸縮なのか、それをひとつお聞かせ願います。
  78. 小野哲

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。一般と同じ振合いにおいて伸縮するということでありまして特に私が償却資産の問題を申しましたのは、あるいはその価格がそう大きなものではない。これを捕捉して固定資産税を課する必要のないようなものにつきましては、これは非課税とすべきである。しかしこの判断はもちろん中央におきましても、ある程度地方団体に適宜の方法によつて指示をすることにはなつておりますけれども考え方としてはそうであるということを申し上げたわけであります。
  79. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、この厚生委員会意見書の固定資産税に関する部分の二項は、いわゆる私的医療関係についての減免の措置の必要であるという意見は、政府としては特別に考慮はされないという御意見のように承つておるのでございますが、そういう御意見でございますか。
  80. 小野哲

    ○小野政府委員 お答えいたします。私的医療機関の——ここには諸設備ということになつておりますので、土地家屋の問題よりむしろ償却資産の問題ではないかと私は察知するのであります。そういう意味償却資産についてのお答えをおもにいたしておるのでありますから、御了承願いたいと思います。
  81. 立花敏男

    ○立花委員 それはわかつておるのですが、その場合にやはりここに言うように、減免ということはお考えなつていないのですか。
  82. 小野哲

    ○小野政府委員 繰返しお答えいたしますが、償却資産につきましては、評価の問題があるわけであります。評価の問題は御承知のように、市町村における評価員がこれをやることになるのでありまして、その際に政府といたしましては、あまりに小さな医療機械にまで課税するようなことは避けさせたい。こういう意図を持つておりますので、この辺のところで御了承願いたいと思います。
  83. 立花敏男

    ○立花委員 堂々めぐりをしておるようですが、それはいわゆる一般のあまりこまかいものにはかけないという方針と同じような建前のやり方で行かれるのか。特に医者だけの償却資産については、設備とここに書いてございますが、こういうものについては特に小さなものはかけないようにという御配慮をお払いになるのか、その点を聞いておるのであります。
  84. 小野哲

    ○小野政府委員 お答えいたします。医療の点につきましての御質問でございますが、そのほかにも重要な事業といたしまして、農村における農機具等の問題も、やはり考え合せなければならぬと存じます。従いまして、そういう意味合いにおいて、一般的に考えてよいのではないか、こういうふうに御答弁申し上げた次第でございます。
  85. 前尾繁三郎

    前尾委員長 吉田総理がお見えになりましたから、順序を変更いたしまして、総理に対する質疑を始めたいと思います。総理は三十分しかお見えになりませんから、通告は四人ありますから、そのつもりで御質問願います。藤田義光君。
  86. 藤田義光

    ○藤田委員 この際私は簡明に数点にわたり総理の御答弁をお願いしたいと思います。まず第一点でございますが、御存じの通り昨年の九月の初めに、国会並びに政府に対してなされましたシヤウプ博士の勧告というものを一覧いたしますと、新税法を実施すること、災害復旧費の全額国庫負担をやるということは、車の両輪になつております。従いまして一方が欠けましたならば、両方とも存在の意義が非常に弱くなり、むしろこわれるわけでございますが、先般閣議決定を見ました二十六年度の予算編成方針によりますれば、明年度から災害復旧費の国庫負担はやらぬということになつたやに、われわれは聞いておるのであります。もしこういうことになりますと、現在当委員会において審議中の地方税法案の体形がこわれるわけでございまして、この点に関しまして、まああれは予算編成方針でございますから、実際実施の段階において、あくまでこの税法と表裏一体をなす災害復旧の全額国庫負担は堅持されますかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  87. 小野哲

    ○小野政府委員 かわりまして御答弁申し上げます。ただいま藤田さんから災害復旧費の全額国庫負担に関する閣議決定の問題についての御質問でございますが、この点につきましては、御指摘のように地方財政の有機的な関連において考えられた問題でございまして、昭和二十五年度に限つて特例の処置として全額国庫負担の法律の御可決を見たわけでございます。ただいま御指摘のように、政府といたしましては来年度の予算の編成につきまして、種種方針についての検討が加えられつつあるのでございますが、この問題につきましては地方財政に対して重要な関連を持つておりますので、なお政府部内におきましても十分な検討を加えました上で善処いたしたいという考えのもとに、目下大蔵、地方自治庁の両大臣の間におきまして、種々話合いを進めておるような次第でございます。
  88. 藤田義光

    ○藤田委員 総理の御答弁をお伺いしたかつたのでございますが、ただいまの小野政務次官の御答弁で一応了承いたしました。  次にお伺いいたしたいことは、国会の審議権の問題でございますが、御存じの通り前国会におきまして、われわれはこの問題を取上げまして、いろいろ折衝をいたしたのでございます。吉田総理が常日ごろ言われます通り、現実の講和態勢が前進しつつあるということはわれわれも認めます。講和態勢が実質的に前進する以上は、国会の審議権というものも、ますます深く徹底して行かなくてはならぬということは常識でございますが、今回の国会におきまして、われわれは修正案を目下関係方面に提出いたしております。この点に関しまして、前国会とは非常に進歩した現状なつておりますが、総理大臣国会の審議権に関する見解をこの際お聞きしておきたいと思います。
  89. 吉田茂

    吉田国務大臣 審議権の尊重ということは、政府もむろん考えておるところであるし、また国会としても審議権は十分擁護せらるべきであります。ただここで問題になりますことは、やはり降伏條約において日本がある制約を受けるということはいたしかたありませんが、しかし事実においては審議権はなるべく尊重する。これが進駐軍の目的に反するとかいうようなことのない限りは、さらに議会における審議権のみならず、行政においても進駐軍の方針としては、日本政府に委讓するという方針で、万やむを得ない何かの特別な理由がある以外は、なるべく自主権なり自治権を尊重する傾きになつておることは事実であります。
  90. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いしたいのは、来る二十九日シヤウプ博士が再び来朝されるということを拜聴し、岡野自治庁長官も大蔵大臣もこれを是認されておりますが、今回の来日にあたりまして、大蔵大臣の説明によりますと、地方税の問題を中心に来朝されるようでございますが、今回ここに出ております地方税の修正案は、非常に不満足であるということは、大体意見の一致するところではないかと思います。かりに今回の法案が通過いたしました際におきまして、総理は今度来られますシヤウプ博士に、どの程度の修正を求められようとしておられるのか。あるいはその点に関しては全然予定がございませんかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  91. 吉田茂

    吉田国務大臣 シヤウプ博士の参られることは、単に地方税問題のみならず、その他の問題についても同博士の再考、もしくは研究を要するものがほかにもあります。でありますからこの地方税問題のみではありませんが、しかし地方税問題について議会等において、いろいろ議論のまとになるものがあるのであろうと思いますから、それらの点について、政府としてさらに研究を要するもの、もしくは博士の再考を要するものがあれば、再考を促すつもりでおります。
  92. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いいたしたいのは、本年度の当初予算におきまして、地方の自治体の財政調節のために、千五十億の平衡交付金というものが計上されております。ところが地方税の不成立によりまして、概算交付はすでに六割以上に及んでおります。また新税法が施行されるとなりますると、相当徴税上の混乱、あるいは徴税職員の増加等によりまして、地方の出費がかさんで来ると思いますが、この平衡交付金というものを下半期において増加する予算措置をとられるお気持はないかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  93. 小野哲

    ○小野政府委員 お許しを得まして、私からかわつて答弁申し上げたいと存じます。  藤田さんが御指摘になりましたように、不成立に伴う臨時の措置によりまして、相当の平衡交付金が概算交付されておりますことは事実でございます。しかしながら昭和二十五年度地方財政計画といたしましては、国家予算との関連におきまして、地方財政平衡交付金千五十億が計上されておるのでございますが、これをさらに今後の情勢に応じて増額するかどうか、こういう問題につきましては、予算の編成にあたりまして、またその後の事態の推移に応じまして、考慮いたさなければならない問題であろうと存じますので、なお将来に属する問題といたしまして、研究を進めたいと考えております。
  94. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いしたいのは、減税の問題でございます。政府——これは自由党でございますが、自由党の総裁としての御発表がありましたので、この際お伺いしたいと思いますが、減税をしたいということを参議院選挙前に発表されております。私たちもまつたく同感でございまするが、この減税を今後される場合におきましては、ぜひとも地方税を優先させていただきたい。本年度におきましては、国税において七百億減税になりましたが、地方税は四百億の増徴ということになつております。この機会に自治体の隣保共助の精神、あるいは負担分任の精神を強化し、町村の平和を守るためにも減税ということが、非常に重大な問題だろうと思います。地方税を優先的に減税するということに関する総理大臣の御所見を伺いたいと思います。
  95. 吉田茂

    吉田国務大臣 地方における行政費の節減ということ、従つて節減する結果減税になるのでありますが、私も地方における地方財政は、はなはだ散漫と言いますか、意外に冗費が多いのではないか、こう考えておりますので、地方の財政の緊縮にも手をつけたいと考えるのでありますが、同時にこのたびの地方税の主眼とするところは、財政の独立にもありますが、同時に地方自治、地方財政の自立ということにあるので、各地方において市町村その他が真に行政費を節減するという気持になつてもらうことが大事であつて、歳出がそれだけ節減せられれば、減税ということになる。これは中央において命令しただけでは、なかなか行われないので、関係市町村がそのつもりになつて歳出の節約をはかり、そして減税にもつて行く。互いに協力する気持に地方においてもなつてもらいたい。そうすることで相当額の減税はできると、私は確信いたします。
  96. 藤田義光

    ○藤田委員 最後にもう一点お伺いしたいと思います。先ほど災害復旧費の問題あるいは平衡交付金の増額の問題を政府委員に代つて答弁されましたが、ただいまの総理の御答弁相当地方財政に関しても総理は造詣が深いようでございます。ついでにいま一点お伺いいたしたいと思いますが、起債の管轄の問題でございます。今度新しく発足いたしました地方財政委員会というものと、大蔵省の銀行局の預金部というものが二つで管轄いたしておりまして、全国の都道府県市町村がいわゆる二重行政に悩んでおる実情でございます。この点に関しましては、ぜひとも新しく発足いたしました地方財政委員会が、地方の財政は最もよく知つておりますので、ここで金を貸す場合には、町村の財政を勘案して貸すという一元行政にしていただきたいと思いますが、この点に関して御所見を伺いまして、私の質問を終りたいと思います。
  97. 小野哲

    ○小野政府委員 かわりまして御答弁申し上げたいと存じます。ただいま藤田さんから御指摘がございました地方債事務的な処理並びに権限の問題であろうと存じますが、御承知のごとく地方債その他融資の関係につきましては、地方財政現状から考えまして、地方団体としましては非常に関心を持つていることは、御指摘の通りでございます。従いまして今回地方財政委員会ができまして、これらの事務を担当することになつたのでございますが、要は大蔵当局との関係におきまして、事務の敏速化をはかつて行く、これによつて的確な融資が適時に行われるということがねらいではないかと存じますので、御趣旨のような線に沿いまして、これを地方財政委員会の專管にするかどうかの問題も、検討を加えたいと存じますが、同時に事務の簡捷化をはかるということを目途として、一層研究くふうをこらして参りたいと考えております。
  98. 前尾繁三郎

    前尾委員長 門司亮君。
  99. 門司亮

    ○門司委員 私は総理大臣にお伺いをしておきたいと思いまするのは、今度の税制改正に対する、ことに地方税の改正に対して、これに現われておりまする一つの意図であると考えるのでありまするが、この税法をこのまま施行して参りますと、地方の公共団体の境界の変更をしなければ満足に運営のできない形に相なると考えておりまするが、総理大臣は所管されておりまする地方行政調査委員会議の主管大臣といたしまして、現在の都道府県のあるいは市町村の境界に対してこれに変更を加える意思があるかどうかということであります。
  100. 吉田茂

    吉田国務大臣 地方行政調査委員会議において、この問題は研究いたしておりますから、成案を得ましたならば……。
  101. 門司亮

    ○門司委員 一向わからぬですが、御存じなければ御存じないでよいのです。その次にお伺いしておきたいと思いますことは、この税法は政府が発表いたしておりまするように、地方公共団体の自治的あるいは自立性を与えることのために、財政の強化をするということが、大体政府の表看板のようにわれわれは拜聴いたしておるのでありますが、あの内容を見てみますと、実際は資本蓄積の方が非常に大きい形を示して参つているのであります。言いかえるならば、今度の地方税法は法人に非常に有利な点が多々あつて、その肩がわりとして一般の勤労大衆が、非常に重い負担をしなければならないような形になつておりまして、地方財政の拡充ということが、一般の勤労大衆の犠牲の上において行われるような形が、この案の内容の中に強く反映している。何かこの点に対する総理大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  102. 小野哲

    ○小野政府委員 かわりましてお答え申し上げます。ただいま御指摘になりました今回の地方税法改正法律案中におきましては、従来の法人と個人との関係等の不均衡を是正して参りたいということも、重要な問題に取上げられておるのでございます。従いまして、ただいま仰せになりましたように、この税法を実施することによりまして、一概に一般中小企業者を初め、民衆に重課税に相なるものとも実は考えておらないような次第でありまするとともに、地方団体一般民衆の生活の実態にかんがみましてこの地方税法の運用をはかられることと存じまするので、以上の点をお答えを申し上げておきたいと存じます。
  103. 門司亮

    ○門司委員 この際委員長にお諮りをするのでございますが、わざわざ総理大臣に出ていただいておりまするし、私ども聞いておりまするものも、内容のこまかいことにわたつて実は聞いておるわけではございません。ただ地方税法の大綱にわたつてお伺いいたしておりまするので、できるだけ首相の答弁を煩わしたいと思います。
  104. 前尾繁三郎

    前尾委員長 できるだけお願いします。
  105. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますることは、政府考えておりますることで、ことに新聞において半分ぐらい約束をされたと思いまする賃金べースの改訂でございます。今度の地方税法によりまして、たとえば附加価値税は来年度から実行されるということを申されておりまするが、附加価値税にいたしましても、これははつきり自由党で非常に悪税だと言われておりました前の取引高税はやめられましたが、これもその取引高税と性質を同じくいたしておりまする流通税だということを、所管大臣岡野さんははつきり申されておる。従つてこうなつて参りますると、これは明らかなる取引高税の変形であつて、大衆課税であるとともに、流通税であれば、当然物価の値上りを来さなければならない。それから附加価値税にいたしましても、やはり現在の状態から申しますと、家賃、地代の値上りも必然でありまするし、物価の値上りも必然的な性質を持つて来ると考えておりまするが、地方税法によつて、これらの物価がだんだん上つて参りますことが明白でありまする以上、賃金べースの改訂は必然的に行わなければならないという約束を果される課題が生じて来ておると考えまするが、総理大臣はその約束を果される御決心があるかどうか。
  106. 吉田茂

    吉田国務大臣 賃金べースの問題は始終聞かれますが、私として——と申すか内閣としては、予算の都合のつき次第に上げたいと考えます。今のところの賃金べースはいかにも低いということは、だれも認めるところでありますから、これは上げたいと考えております。ただその時期いかんとか、率とかいうことになりますと、財政の一般関係になりますから、ここで手放しでもつて断言はできませんが、方針としては上げるつもりであります。その他については政府委員からお答えいたさせます。
  107. 門司亮

    ○門司委員 ただいまの御答弁でございまするが、方針だけ上げるのでは困りますので、物価が上つて参りまするならば、当然賃金を上げてもらいませんと、賃金の上らないうちに物価だけが上つて来たのではどうにもならないということだけは、十分首相も御了承願つておきたいと思います。  その次に聞いておきたいと思いますることは、今回の朝鮮事件の関係でありまするが、この事件をいいとか悪いとかいうことは別にいたしまして、こういう事件が勃発して参りますると、いわゆる終戦処理費の支出というものが、ある程度部分的に放出されるような形になつて来ると思うのであります。従つて地方におきましては、これもまた部分的に非常に好景気になるところが必ず出て来る。こうなつて参りますると、政府が現在とつておいでになりまする政策の建前から、デフレでなくてインフレを非常に警戒されまする建前から、一般金融が引締められるだろうということは想像にかたくないのであります。こうなつて参りますると、地域的に一方にインフレの場所ができ、一方には極度のデフレの場所が出て来るというようなことで、これはやはり地方行政の上にもかなり大きな反映が来るということが、われわれには考えられるのであります。これらの金融措置についてはどういうお考えを持つておられるか。
  108. 吉田茂

    吉田国務大臣 御質問でありますが、終戦処理費が本朝鮮事変のために支出がよけいになるということは、今日私としては考えておりません。しかしながらインフレが増進しないかという点は、政府としても心配いたします。どうしても米軍その他から日本において買い上げるもの等もずいぶんありましようから、そのためにインフレになりはしないかということは、政府として懸念をいたして、これに対して対策をと、今もつぱら係官をして考えさせております。
  109. 門司亮

    ○門司委員 最後にお聞きしておきたいと思いますことは、国税と地方税の関係でありますが、政府地方団体の財政をゆたかにするために、この税法を改正されたと申されておりまするが、本年度の予算を見ますると、たとえば昨年まで地方の税金として取上げて参つておりました酒税の百分の〇・五でありまするかに対する税金というものが、そのままの酒の姿で、酒の値段は値下げされないで、この税金は政府に取上げられて、地方に今回削られて参つておるのであります。さらに昨年までは私どもがぜひ地方公共団体の財政をまかなうことのために必要だと定めておりました地方配付税法がなくなつて、今回平衡交付金に切りかえられたのでありますが、その平衡交付金の中で、地方配付税相当額というものはわずかに六百六十七億でありまするか、その程度である。これは昨年までありました配付税法によりまするならば、当然それよりはるかに多い九百五十億程度のものが地方に配付されなければならないことに相なつて参るのでありまするが、この間差額にいたしまして約三百三十億くらいの、昨年まで地方に当然配付され、あるいは税收入として收納されされておりましたものが、国の費用の中にそのまま入つておるような形でございまして、実際地方税を四百億ふやしたと言われておりまするが、そのうちの三百三十億というものは政府に取上げられておつて、実際に地方でふえたというものは、国の予算と地方の予算を比較いたして参りまするならば、七十億にすぎない。しかも地方の住民は三百三十億という国に取上げられただけのよけいな負担をしなければならないような形が出て参ると思うのでありますが、これについてはどうお考えになるか。
  110. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 私から先にお答えいたします。ただいまお話の通り酒の消費税を国税の酒税に繰入れまして、それによりまして酒税の收入を相当増加したということはお話の通りでございます。その他若干地方団体との間に財源のやりとりがありましたこともお話の通りでございますが、ただ今回の改正の一つの大きなねらいは、御承知の通り国税におきまして国の歳出の削減に伴いまして相当大幅な減税をはかつております。ことに所得税におきましてそのことをいたしておるわけでございますが、これはすでに自治庁からも説明があつたと思いますが、他方におきまして、市町村民税としまして相当巨額なものを市町村に付与する。これが私は固定資産税と相まちまして、今回の市町村の租税の体系を整えたという点におきまして非常に大きな意義のあることと考えておるのでございますが、このことは一にかかりまして国税たる所得税を相当減税しまして、それによりまして同時に地方団体において相当な財源を徴收することができるようにいたしたのであります。そういうような意味からいたしますると、市町村民税、固定資産税、このような税によりまして、市町村相当巨額な税收入を確保し、しかも相当独立性のある財源でございますから、こういうような措置をいたしましたことは、地方団体の財源の充実並びに自主的な財源を得たという意味におきまして、私は相当大きな意義を持つものと考えておるのであります。なお平衡交付金につきましては、従来の分与税その他と比べまして、差引八十億程度の純増がありますことは、たびたび予算委員会等におきましても、大蔵大臣からお話になつた通りでございます。  いろいろございまするが、全体といたしまして、今度の改革によりまして、むしろ地方財源の充実、しかも確固たる独立財源で充実をはかる、こういうことにおきましては相当な目的を達成いたしておるものと考えておる次第でございます。
  111. 前尾繁三郎

    前尾委員長 米原昶君。
  112. 米原昶

    ○米原委員 三点総理に質問いたします。今度の地方税法案政府の説明の中には、これによつて地方団体の自主性を確立するというようなことが目的に書かれておるわけでありますが、単に地方税制の改正だけでは、なかなか自主性を確立するということはむずかしい問題でありまして、これと同時にいろいろ考えなくてはならぬ問題があると思うのであります。たとえば国が当然支払うべき費用を地方が出しているというような点が、まだたくさんあると思うのでありまして、たとえば先日も参議院の地方行政委員会で、法務庁の特審局長の吉河氏が、特審局の——当然これは国の払うべき費用、これを県の地方課から出させておると言つておる。最近わが共産党に対する弾圧が強化されて来まして、そういう費用が非常にかかつておるのでありましようが、その費用を全部地方団体に出させるというようなことが起つて来ると、いくらこういう税制をつくつても、なかなか地方財政はうまく行かない。たとえばこの国家警察の費用にいたしましても、これは当然地方の自治警察と違つて、国家警察の費用は国の予算から出すべきものである。ところがこれを地方の県に行きますと、警察協力費というような名目でとつております。こういうような点につきまして首相はどういうように考えられますか。そういう点が解決されないと、地方財政の自主性の確立ということは不可能であると考えますが、この点についての首相の御見解を聞きたいと思います。
  113. 吉田茂

    吉田国務大臣 御指摘の点については、その他御指摘以外のことについても、地方と中央との間の財政の関係については、いろいろ苦情のあることは承知いたしております。その一つの例として今お話のような地方警察と中央との間の負担をどうするか、これは地方行政調査委員会議において研究させております。なおその他行政の簡素化をはかるために、あるいは負担の公平といいますか、行政機構あるいは地方中央との間の関係等については、政府が別に考えて、成案を得たいと研究させております。
  114. 米原昶

    ○米原委員 地方行政調査委員会議に調査させておるとのお話でありますが、実際問題としては、もう本年度がどうなるかということが問題でありまして、なかなかこういう費用が、かえつて多くなるような形勢があるので、この地方税制だけではどうもうまく行かないと考えざるを得ないのであります。さらに国家警察予備隊の問題が起りまして、またもやこういう費用まで来るようなことになつてはということも、われわれは思うのであります。この問題について先日参議院で、奥むめお議員から首相に質問があつたそうでありまして、速記録によりますと、「この警察力増強ということになりましたのは、朝鮮問題等にかんがみましても、いつ共産軍が日本の国土を侵すとか、治安を乱す、あるいはまた人心にどういうたくらみをするかわからないというような不安がありますので、この不時の事変に備うるために、警察力を増強いたすことにしたのであります。決して弾圧政策のためにいたすのではないのであります。」こういうふうに速記録に出ておるのを拜見いたしたのでありますが、これを見ますと、共産軍が日本に侵入する、これに対する手段としてこの警察予備隊の設置が問題になつておるという御回答でありまするが、そうしますと、一体共産軍というのは、どこの共産軍が侵入する予定なのか、それを率直にひとつ首相から御答弁願いたい。
  115. 吉田茂

    吉田国務大臣 ただいまのところは、どこの共産軍ということは、私は考えておらないのであります。その当時の速記はどうなつておるか知りませんが、私の申した意味合いは、このたびの朝鮮事変等があつて、いついかなる問題が起るかもしれない、いついかなる治安上において懸念すべき問題が起るかもしれない、ゆえに予備隊を置くことになつたのである。しかしながらそれは弾圧のためのものではない、ということを主として申したのであります。どうぞそう御了承願います。
  116. 米原昶

    ○米原委員 ただ私はこの問題が新聞に出たときに非常にびつくりしたのであります。共産軍の侵入ということをむしろはつきりここに言つておられるのでありましてこれに対する対抗措置としての予備隊、こういうようにおつしやつておる。これは実に重大なる問題でありましてそこが重点でないとおつしやるならば、当然首相が取消さるべき言葉ではないかと思う。そうでなくて、ただいまぼんやりと、ただ共産軍が入つて来るかもしれないという考えで警察予備隊をつくられるというのは、これはいわゆる仮想敵国をつくつて、これに対処するところのものをこちらにつくる。これは従来あらゆる帝国主義のやつたやり方でありまして、そういうことは憲法で絶対許されておらない。そういう仮想敵国を予定する考え方で、この警察予備隊をつくられるという意味が、はつきりこの言葉の中には出ておりますので、そこは間違いだ、そういう意味じやないとおつしやるならば、首相として当然この言葉は取消されなくちやならぬと私は考えております。
  117. 吉田茂

    吉田国務大臣 新聞にいかに出ているか、速記録がどうなつているか知りませんが、しかしながら私の申した趣意は今申した通りであります。もしそれが速記録と趣意が違つたならば、速記録は見て訂正いたします。
  118. 米原昶

    ○米原委員 速記録を訂正されるとおつしやいますから、はつきりこれは出ておりますので、ぜひそのように処置をとられたいと私は希望いたします。ただ速記録だけで済まないという点がいろいろあるのでありまして、先日も——首相はいつでも新聞に出ていることは責任を持たないとおつしやるので、この点を一々申し上げるわけに行きませんけれども、たとえば今度の警察予備隊が、どういうものになるかというような記事が最近非常にたくさん新聞に出ておる。先日の読売新聞の記事によりますと、この予備隊の人員は満二十五歳以下で、三年間訓練する。一町村当り三人くらいずつの召集をやる。こういうやり方でやるとすれば、まつたく軍隊である。ことに幼年学校、士官学校にいた者を特別に考慮するというようなことを書かれておる事実を見るときに、そうしてこういう重大な発言を国会でやつておられるのと比べ合せてみる場合に、明かにこれは警察予備隊と称しながら、実際上は憲法に違反し、ポツダム宣言に違反する軍隊を日本につくろう、こういうふうにしておられるということは明かである。この点について絶対そうじやないと言うならば、その証拠をはつきり述べていただきたいと思う。
  119. 吉田茂

    吉田国務大臣 新聞に出たところ、あるいは私の申したところをどうか曲解なさらないように願いたい。曲解されるならば、あなたのような重大なことになるのでありますが、私の申したことをすなおにとられるならば、決してポツダム宣言違反でもなければ、憲法違反でもないのであります。しこうして新聞に出た記事は、政府としては責任を負いません。一々これを取消せとおつしやつても、政府はとてもその煩にたえないからお断り申し上げます。
  120. 米原昶

    ○米原委員 新聞については一々取消せとは申しません。ただ国会で非常に重要な発言をしておられますから、そうでないなら取消すべきであるということを申したのです。ただその他の今までおつしやつたいろいろな点から見まして、単なる言葉の取消しだけでは決して済まない問題である。この場合に政府としては態度を表明されなければならぬ。このことを申して私の質問を終ります。
  121. 前尾繁三郎

    前尾委員長 松本六太郎君。
  122. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 総理にお伺いいたしたいと存じますが、ここで審議いたしております地方税法案は、先ほど首相もおつしやいましたように、これは税金の負担の公平を期するとかいうようなことだけではなしに、地方自治の自立ないし強化を目的としておるということであります。これはしばしば政府当局の方々からも承つておるのでありまするが、ただ私はこの際日本の地方自治体なるものが、政府のお考えなつておるように、この税法改正によつてただちにこれが自立され、強化されるというふうにお考えなつては、大きなここに誤りを犯すというふうに考えるのであります。もちろんこの税法の持つております目的なり内容なりはそのようなことを意図しておられますけれども、日本の自治体、なかんずく町村の自治体には、力のあるのもありますけれども、自立しようとしてもやつて行けないような貧弱なものがまだまだ相当に多いのであります。これは税源を与えた、いわゆる税をとる道を開いてやつたんだから、お前たち独りでやれと言われても、とうていやつて行けるものではない。しかるにこの財政力の弱い町村でありましても、やはり文化を高めて行こうとする意欲がありまするから、標準行政というような問題もありまして、一層苦しい立場に追込まれるというような事情があります。これを調節するために平衡交付金の制度がありますけれども、あの交付金をもつてしては、私はかような貧弱町村を十分にまかなつて行くことは、とうてい期待できないと思います。そういう見地からお尋ねするわけであります。法律的には税金をとれる道を開いてやつたと言つても、これらに対する平衡交付金の額はあまりに少いので、十分にまかなつて行けないという町村が必ず起つて来ると存じます。さような場合にはこの平衡交付金をさらに考慮せられ、これを増額して、他方自治の円満なる発達を期せられるお考えを持つておられるのかどうか、この点をまず伺つておきたいと思います。
  123. 吉田茂

    吉田国務大臣 お話はごもつともであります。ありますが、平衡交付金にしても、これは一般の財政との関係考えなければならぬものでありますから、ただちにそれだけ増額するとか何とかいうことは申しにくいのであります。しかし目的は地方自治財政の独立ということでこの法案が立てられており、精神はそこにあるのでありますから、なるべく地方が独立し、自立し得るように持つて行きたいと考えます。従つてそれに要する必要な適切な方法がもしあれば、政府は喜んで考えます。
  124. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 次にお伺いいたしたいのは附加価値税の問題でありますが、これは御承知のごとく前国会以来非常に問題になつたものであります。しかも野党側がこれに反対だというだけではなく、与党の方々のうちにも有力なる反対の意見があつたのであります。かような新税はやるべきでない、事業税に欠陥があるならば、その欠陥を直して事業税で行くべきだという意見は、私は一つの強い国論であると考えております。そこで政府は、これの実施を一年間延期するということになつておりますけれども、こういうことではなしに、附加価値税のような強い反対のあるものは、基本的にもうやめるということにせられたら、どうであるかということであります。近くシヤウプ博士もお見えになるということでありますから、日本の国論をつぶさにお考えなつて、かような非常に強い反対のある、どの角度から見ても不合理な、悪税だと言われておりますようなものは、しいてこれを強行なさるという態度をとられないで、御再考になることが適当であろうと考えるのでありますが、これについて御再考なさるお考えはないかどうか、これをお尋ねいたします。
  125. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御説ごもつともな点があるのでありまするが、今回一年間延期いたしたのは、細目の点につきまして検討の余地を残したいと思つて、こういう措置とつたのであります。私の考えでは、税制の建前から申しますと、事業税よりも附加価値税の方がよいと思います。これは私は異論のないところだと思うのであります。ただ附加価値税の内容につきまして、特殊の業態に負担の激変が起るというのが、反対論のおもなものだと思うのであります。従いまして、今回御審議願いまして来年の四月から施行することになりますが、シヤウプ博士も来られることでありますので、それまでに十分な検討を加えまして、もし改正すべき点があるならば、次の通常国会で検討いたしたいと思います。建前といたしましては、やはり地方税としては附加価値税の方が事業税よりも負担の衡平が期せられます。事業税のような收益主義のものよりも、外形標準の融通でできるものの方が負担の衡平がはかれるということは、皆の認めるところであります。御趣旨の点はごもつともでありますので、今後今申し上げた線で検討いたしたいと思つております。
  126. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 これは小さい問題かも存じませんが、われわれからみますと、非常に大問題だと考えております。もしこの附加価値税をやるとした場合、あるいは固定資産税の面にもさようなことが見られるのでありますが、大体農業、漁業あるいはそれに類する小さな自家労力をもつていたしまするような小企業に対しては、附加価値税はかけないということにいたしております。しかしこれらの貧弱な大衆が集つてつておりまする協同組合、日本の今日の現状におきまして、これに従来の税に比べまして十数倍、大体十五倍半かと思いますが、そのような重税をかけますと、これらの団体ないしこの団体を構成いたしまする農漁民は、とうていやつて行けないことになります。そこで私は、この農漁民個人に対しては、従来事業税をかけましたけれども附加価値税なつた場合には、これをかけないということにいたしておりまするその本旨にかんがみまして、これらの団体に対しましても附加価値税非課税とすべきである、かように考えるのであります。世間ややもすれば自由党は農業政策に対して冷淡であるとか、あるいは貧困であるとかいうようなことを申しますが、私はこの税制の上にもさような点が現われておることを残念に思うのであります。水利組合あるいは耕地整理組合というようなものは非課税なつておりますけれども農業協同組合、漁業組合、かようなものは課税対象なつているのであります。これはどうしてもこの際非課税とすべきものであると存じますが、この点はいかがでありますかお伺いいたします。
  127. 小野哲

    ○小野政府委員 かわりましてお答えをいたします。  農業協同組合につきましては、その事業の内容がこの法律案にありまする第一種ないし第二種事業に該当しないような、たとえば指導事業であるとか、あるいは啓蒙的な仕事等をやつているものは、もちろん非課税対象といたしておるのであります。また組合員に対しまする分配金等の取扱いにつきましても、これは特定の支出額として附加価値額の算定の場合に差引くことにいたします。特に農業協同組合につきましては、できる範囲内においての考慮は払つておるような次第でございます。
  128. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではこれをもつて総理に対する質疑は終了いたしました。  先ほどに続きまして固定資産税に対する質疑を続行いたします。立花敏男君。
  129. 立花敏男

    ○立花委員 本論に入ります前に、私ここに出ます前に、けさ寝込みを襲われまして、都民から陳情を受けました固定資産税の問題をただしておきたいと思いますが、きよう東京都の都営住宅の代表の方がお見えになりまして、都営住宅は都から借りておりまして家賃を払つておりますが、さらに今回地租家屋税が莫大にかかつて来た。これは一体今度の固定資産税ではどうなるのか、これはやめてもらいたいという陳情でございますが、私どもの見るところによりますと、固定資産税におきましても、これは減免の規定がございまして、明らかにそういう不当な場合は減免ができることになつておりますが、これは政府といたしまして今後もこういう形で、この地方税法実施されたあかつきにおきましても、地租家屋税をおとりになる御方針かどうか承りたいと思います。
  130. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 現在の土地家屋税につきまして、使用者課税方法がありまして、それを固定資産税においても踏襲いたして参つておりますので、その制度は別に変更は加えておりません。なお少しその理由を御説明させていただきますが、御承知のように、土地家屋に対します税を、国の持つておりますもの、あるいは地方団体の持つておりますもの、あるいは国鉄や專売公社が持つておりますものには、課税しないことになつております。しかしながら土地家屋に対します課税は、やはり土地そのもの、家屋そのものの負担ではないか、それを使用している者はその負担も一緒に分担して行かなければならない、こういうふうな観点に立つだろうと思うのであります。ところが、現に国鉄とか專売公社が、単に業務の用に供する家屋だけではなしにいろいろと厚生的な目的もあるでありましようけれども家屋をつくつておる、それが專売公社なるがゆえに、国鉄なるがゆえに課税できないということは、どうも穏当ではございませんので、そちらの制度を改正するか、あるいはまたそうではなしに、実際土地家屋に関する負担というものは、現実には使用者の負担なつているものだから、直接に使用者に負担させるという制度にするか、二つの考え方があるだろうと思います。そこで現在とつておりますのは、やはり国鉄や專売公社の持つております土地家屋に対しましては、いかなる用途に供しておりましても、これは課税しない、しかしながら反面用途によつては使用者に課税する、こういうような考え方を持つておるわけでございます。そこでこういう行き方をとつて行きますと、多少取扱い上注意をしなければならないのは、社会政策的な意味において、いろいろと国や地方団体家屋を建設いたしまして、これを一般大衆に使用させている。これがどのようなかつこうにおいて使用者に負担されて行くか、この問題が非常に注意しなければならない問題であります。そこで一応従来政府におきましては、庶民住宅等の負担については、使用料と並行して考えて、適宜減免の措置をとつてよろしい、こういうふうなことを申して参つておるわけであります。そこで庶民住宅につきましては、使用料の名義でとりましようと、あるいはまた固定資産税の使用者課税という名目でとりましようが、実際その家屋に住んでおります場合に、どれだけ現実に負担しなければならないか、この額が適切かどうかという問題に帰着するのであろうと思います。りくつのようでありますが、固定資産税でとられようと、使用料でとられようと、やはり現実に負担でありますので、両方合体した額が幾らになるかという問題だろうと思います。かりに固定資産税として徴收しましても、使用料がそれだけ減額になれば、私は問題がないだろうと思います。そこで両者を考え負担が過重にならないように、庶民住宅の本質を忘れないように取扱い考えてもらいたい、かようなことを言うておるわけでございまして、そういう意味合いで、東京都は従来、庶民住宅土地家屋に対します租税負担というものは、四割軽減しておるようであります。この四割程度でいいかどうか、あるいは使用料と合せてはなしてそれでいいかということは、いろいろ問題があるだろうと思いますけれども、東京都におきましても、若干考慮を払つておるということは事実であろうと思います。将来もやはり今申しましたような趣旨において、使用者課税の道を設けておるわけでございますので、国鉄、專売公社等については、全面的に非課税にするという制度を改正しませんと、やはり庶民住宅等に関する使用者課税の問題につきましては、取扱い上国や公共団体において、十分慎重な配慮をしていかなければならない、こういうふうに考えております。
  131. 立花敏男

    ○立花委員 国鉄と庶民住宅と一緒にお考えなつては非常に困ると思います。それから、そういうふうな従来の家賃が減額されれば、地租、家屋税を、さらにその減額された範囲ならとつてもいいというようなお考えだろうと思いますが、実際東京都に起つております問題は、今までとつておりました家賃はそのまま置きまして、新しく地租、家屋税が突如として附加されて参つておりますので、使用者は寝耳に水で驚いているわけであります。減額されました分だけとられるという手続上の変更だけでありましたら、決して住民は問題にしないと思います。実際上の負担の金額に対しまして、ふえも減りもしない場合は、決して住民は問題にすることはございません。従つてそういう問題でなしに、今まで当然払うべき家賃を払つておつた上に、そういう地租家屋税が千八百円でございますか、かかつてつておりますので、それを問題にしておるのであります。だから、自治庁がお考えになり、また今御答弁なつたことと、実際起つたこととは全然違いますので、その点をひとつはつきりしていただきたい。決して遠いところの問題ではございませんので、東京都に起つております問題で、しかも多数そこらにございます都営住宅に起つている問題でありますから、これは自国の標準にもなるだろうと思いますので、今述べました自治庁の方針に従つて、根本的にこれを修正していただきたいと思います。あすの朝代表が多数参ると申しておりますから、この点ひとつ御了承願いたい。  それから、本論に入りたいと思いますが、実は固定資産の倍率を一万分の五だけ御転減になつております。しかし問題はこの税率でなしに、実は評価の問題に関連して来ると思います。それで税率が百万分の五だけ減りまして、これが非常に重大な修正だというような錯覚を起すように宣伝されておりますが、これは実は問題ではありませんので、評価方法に非常に重大な、根本的な変更が加えられておるわけであります。私どもは二箇月ばかり前に、この資料をあなたの方からいただきました。それから二箇月たちまして別の資料をいただきました。ところがこの二つの資料の間に、評価の問題に関しまして重大な変更があるわけであります。二箇月の間にこれだけの変更があるということは、私ども理解できないのです。どつちかがこれは間違つておる。どつちかがインチキなんだというふうに理解しないと、これは理解できないような、二つの資料の間における、同一の問題に関する差異が出て来ているわけであります。この点を政府はどういうふうに御説明になるか。これは固定資産税に対する根本的な問題だと思いますので、ひとつ納得の行くまでお話をさせていただきたいと思います。  それは実は固定資産税土地評価額家屋評価額、それから償却資産評価額、この三つについての評価額の相違であります。問題を簡単に申し上げますと、実はわずか二箇月ばかり前にいただきました土地の基本価格は、一兆三千五百四十九億となつております。ところが今回いただきました土地の基本価格は一兆五千二百九十七億、これは算術ですぐわかるのでございますが、二千億ばかりふえておるわけであります。一挙にして二箇月の間に二千億ふえるということは考えられないのですが、一体どういう根拠でこれは二千億ふえたのか、これは家屋につきましても同様に二千億ふえております。土地家屋におきまして、二箇月間に四千億ふえているわけです。これは説明がつかないと思う。御承知のように土地家屋は大衆の負担が大部分なのです。ところがこの土地家屋評価額が二箇月の間に四千億ふえておる。しかも一方償却資産の方は、二箇月前の評価は一兆三千億でございましたのが、二箇月後になりますと九千億になりまして、逆に四千億減つておる。大衆の負担である土地家屋税の評価の基本になります基本価格が四千億ふえまして、逆に償却資産の方が四千億減つておるということは、まさに重大なインチキだと思うのでありますが、両方とも政府がお出しになつ資料なのです。どつちが正しくてどつちが間違つておるのか、これをはつきりしてもらいたいと思う。
  132. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今立花さんの言われました土地家屋、一兆何億というのは、十何億の間違いじやないかと思います。賃貸価格数字だと思います。けたが違つておるのじやないかと思います。
  133. 立花敏男

    ○立花委員 あなたはどの資料を見ておりますか、それでは話にならない。
  134. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 前のところの備考には、昭和二十四年一月一日現在と書いてあつただろうと思います。新しい資料は、昭和二十五年一月一日現在と書いてあるだろうと思います。
  135. 立花敏男

    ○立花委員 全然資料が違いますよ。
  136. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 土地家屋賃貸価格は、御承知のように土地につきましては、昨年臨時宅地賃貸価格修正法という法律が通過いたしまして、宅地の賃貸価格に修正が加えられました。その数字は昨年の一月一日現在ではまだ出ておりませんで、ことしの一月一日現在で、最近ようやく国税庁を通じて得られました数字が、十五億という数字なつて参つておるわけであります。もつぱら宅地の賃貸価格が上つてつておるわけであります。それから家屋は、昨年の一月一日から一年の間に、その程度建設されたというふうに考えていただいたらいいだろうと思います。ほんとうは、従来ありました家屋が一年たつておりますから、相当減価されて参るだろうと思うのでありますけれども、減価の分は賃貸価格を訂正しておりませんから、全然ございませんで、ただ建築がふえて参つた、その部分だけがプラスになつて行くものですから、相当ふえるという結果を来したわけであります。それから償却資産の問題は、今回仮評価方法をとることになりました。仮評価の基本といたしましては、再評価額限度額というものが、一つの基準になるわけであります。従いまして、ここに掲げてあります昭和二十五年度の見込み額は、再評価額限度額がいくらになるか、そちらから得て来た資料数字を計上しておるわけであります。
  137. 立花敏男

    ○立花委員 あなたの見ている資料は違う。だからあなたの言つたことはむだになつてしまつたので、初めから言つておるように、資料は同じものを見て話をしないと何もならない。前にお出しになつたのは(2)の方の六枚目です。——今の数字は、大体政府の方の言われるように、単位が違つておりましたから取消しておきます。  それから固定資産税の逐條の質問に移りたいと思いますが、事業の用に供するとございますが、事業の用に供さない固定資産税で、実は莫大な資産がある部分があると思いますが、たとえばこの資産が、あるいは大資本家の所有しております事業の用に供さない種類の資産、こういうものにつきましては、全然固定資産がかからないことになるだろうと思うのでありますが、この党はどういうふうにお考えなつておりますか。
  138. 小野哲

    ○小野政府委員 御意見の通りでございます。事業の用に供さない償却資産につきましては、課税の標準になりません。
  139. 立花敏男

    ○立花委員 ところが政府が出されております地方税の改正の要点には。資産に対する課税を重課するというふうにいたしまして、やはり一般から考えますと、事業の用に供さない資産も、実はたくさんそういうものを持つておる者に対しましては、税金がかかるのだというふうに理解できるような表現があるのでございますが、実際はそうではなしに、そういう事業の用に供さない、まつたく奢侈的なもの、あるいはその他の蓄積されましたものに対しましては、事業の用に供さない限りは課税がされないのでございますが、これは政府考えておられます資産に対する評価という問題と、大分違つて来るのじやないかと思うのでございます。しかもそれに対しまして何も別に家、屋敷のほかに資産がないという者に対しましては、この最後の資産である家、屋敷に対しまして、富裕階級と同じ固定資産税が同じ率でかかつて来るということになりまして、ここに大きな持つ者と持たない者との悪平等が生れて来るのじやないかと思いますが、この点を修正される御意思はないかどうか。
  140. 小野哲

    ○小野政府委員 事業の用に供しない償却資産につきましては、これは減価償却対象になりませんので、除外をいたしておるわけでございます。ただ、ただいま御指摘のような、相当資産を持つているような者につきましては、別途国税として富裕税の問題がございます。
  141. 立花敏男

    ○立花委員 逐條的に参りたいと思いますので、飛び飛びになるかもしれませんが、実は使用者に対して、非常な届出とかあるいはその他の事務的な責任が負担されておりまして、しかも届出を怠りました場合は、一万円以下の過料でございますか、こういうふうな規定があるわけなんでございますが、突如として固定資産税実施になりまして、しかもめんどうな手続をこの法律で定めまして、その届出の手続をいたさない場合は、一万円以下の過料だというふうなことになつて参りますと、これが非常に多数の人の迷惑になることと思いますが、これは罰則をお除きになつた方がいいのではないかと思います。たとえば最近の減額申請の問題にいたしましても、実施の期日になるまで納税者の方では全然知らなかつたというのが実情でございまして、こういう税法ができましても、届出をしなければならぬということはおそらく徹底しないと思います。また徹底する方法はおそらくおとりにならないだろうと思いますが、それに対しまして罰則を嚴重におつくりになることは、これは実際問題といたしまして行き過ぎが起ると思いますが、これをおやめになるお考えがあるかどうかお聞きしておきたいと思います。
  142. 小野哲

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。罰則の適用について、慎重を要しますことは御指摘の通りでございます。ただ納税の秩序を維持したり、あるいは徴税を確保して行きます場合におきましては、その目的のために、これに必要な限度の罰則規定を必要とすることはやむを得ないものと考えているのでございます。ただ、ただいま御指摘になりました過料の問題でございますが、これはこの法律案におきましては過料をすることができる、こういうことになつておりますので、御承知を願いたいと思います。
  143. 立花敏男

    ○立花委員 それから三百四十八條の固定資産税課税対象の除外の問題でございますが、この問題は私ども政党に対し、当然免税がなされてしかるべきだと考えるのですが、この中にはそれが明白に書かれておりません。しかし一方宗教法人に対する免税の規定があるのであります。宗教法人の中には、御承知のように神道あるいはその他の国家的な宗教がございまして、これに対しましては国法で保護をすることは禁ぜられていると思うのでございますが、そういうような宗教法人に対する保護の規定をおつくりになりながら、政党に対する、あるいは労働組合、協同組合等の民主的な組織に対する免税の規定がないのでございますが、これは一体どういう意味で宗教に対する規定をお入れになり、逆にこういう民主団体に対する規定をお除きになつたのか、承りたいと思います。
  144. 小野哲

    ○小野政府委員 特に宗教法人が入つておりますのは、御承知のようにその法人の性格から申しまして、信仰の対象になるようなものでございますので、非課税といたした次第であります。
  145. 立花敏男

    ○立花委員 しかしこれは信仰の対象になるから保護するというのでは困ると思います。信仰の対象になることは初めからわかつておりますし、その信仰の対象になる宗教でありましても、先ほど申し上げました神道であるとか、そういうものに対しましては、国法上で保護してはいけないという原則が成立しておるのでございますから、信仰の対象になるから除いたと言うのは、これは納得できない理由だと思います。
  146. 小野哲

    ○小野政府委員 お答えいたします。この法律案の趣旨は、特定の宗教を保護するという意味ではないのでありまして、一般的に宗教法人云々ということで、非課税対象とした次第であります。
  147. 立花敏男

    ○立花委員 しかし最近インチキ宗教がたくさんでておりまして、宗教という名に隠れまして、この法案を利用いたしまして、脱税をやるということが当然考えられます。従つてこういうあいまいな規定をお置きになりましたことは、法が乱れるもとだと思います。特にこの中には社会事業とか、厚生事業だとかいうふうに、一般規定なさつておりますが、これもいわゆる偽善的な社会事業あるいは厚生事業がございまして御承知のように、脱税をいたしまして私腹を肥しておる例も、多分に私ども新聞紙上に見ております。一般的な規定の陰に隠れまして、いわゆるインチキ的な宗教法人であるとか、あるいは偽善的な社会事業というものが、いたずらに免税の規定を受けることになるだろうと思いますが、そういうことがないというふうな御確信と何らかの対策がございますか、承りたいと思います。
  148. 小野哲

    ○小野政府委員 立花委員が言われましたように、宗教と言つてもいろいろある、また社会事業としてもインチキなものがあるということを申しますと、だんだんと範囲が広くなつて参るのでありますが、この法律案におきましても、いろいろな場合を想定いたしまして、第三百四十八條の第三項をごらんくださいますとわかりますように、「市町村は、前項各号に掲げる固定資産を当該各号に掲げる目的以外の目的に使用する場合においては、前項の規定にかかわらず、これらの固定資産に対し、固定資産税を課する。」こういうことになつておりますので、適正に判断をいたすことが市町村においてもなし得ると考えておる次第でございます。
  149. 立花敏男

    ○立花委員 それからこの中では、これは民主党あたりからも盛んに主張されておりますが、新聞、ニユース事業に対する非課税規定がないわけなのでございますが、こういうものは当然お入れになつていいのではないか。次官が御答弁なさいました第三項のこういう規定をしなければいけないような一般的な社会事業とか、あるいは一般的な宗教法人というものまでお含みになるのであれば、当然この重大な社会的な事業であるところの新聞事業、あるいはニユース供給事業に対して、非課税の項をおつくりになる必要があると思います。これは前国会におきましても言論機関から重大な御意見があり、また自由党自身がお出しになつております修正案の中にも、この点が取入れられておつたと思います。この点をなぜ今度お拔きになつたのか、はつきり承りたいと思います。
  150. 小野哲

    ○小野政府委員 新聞事業の点につきましては、いろいろと両院において論議があつたことは承知しておりますが、これらの論議にかんがみまして、また実情をも考え合せまして、政令で指定した新聞事業につきましては、特に事業種別を変更して税の軽減をはかる措置を講じたのでございます。新聞事業のごときは、多分に公共性を持つておるという点については、十分な認識を持つておるつもりでございます。
  151. 立花敏男

    ○立花委員 それから固定資産税の免税点の問題でございますが、固定資産を家族の間で分散いたしました場合に、免税点の問題はどうなるのか、具体的に聞かせていただきたいと思います。
  152. 小野哲

    ○小野政府委員 固定資産所有者が、それぞれ分散して参るという場合につきましては、具体的には財政課長から御説明いたします。それらをそれぞれ合計して計算いたして来ることと思うのでありますが、財政課長から詳細にお答えいたします。
  153. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 土地に対する固定資産計算におきましては、その納税義務者は土地台帳に登録せられた所有者でありますので、その所有者を集めました土地価格が一万円——さ来年からは全部合せまして三万円ということになりますが、それに満たない場合は課税しない。それに従いまして、家族何名かの名前にいたします場合には、わずかな土地でしたら分散した結果、全然課税されないということにもなり得るかと思います。
  154. 立花敏男

    ○立花委員 たとえば、さ来年からは計合額三万円になつておりますから、十五万円の土地を持つておりましても、五人にわけまして一人三万円ずつにしておきますと、非課税ということになりますか。
  155. 小野哲

    ○小野政府委員 三万円未満の場合は非課税ということになるわけであります。
  156. 立花敏男

    ○立花委員 それから三百六十五條に、固定資産税を納めた者に対しまして報奨金を交付するという規定がございますが、私はどうも税金を納めた者に報奨金を出すということは、あまり感心しない制度ではないかと思うのです。しかもこれは非常に財政がゆたかでありまして、また経理上の関係から固定資産税をなるべく早く納めた方が有利だというふうな、いわゆる近代的な経営にとりましては、報奨金がもらえる余地があるだろうと思いますが、実際ぎりぎり一ぱいまで固定資産税の納付を延ばさなければいけないというような者が、まだ私は圧倒的に多いんじやないかと思います。この報奨金の制度は、そういうふうな形でいわゆる持てる者に対してのみの報奨金の結果になると思いますので、この制度はおやめになつた方がいいじやないかと思いますが、おやめになるおつもりはありませんか。
  157. 小野哲

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。立花さんはやめてはどうかというお考えでございますが、やはりこういうふうな方法は、納税に協力した者に対する措置ではないかと存じまして、これは置いておきたいと考えております。
  158. 立花敏男

    ○立花委員 納税に対する一つの措置には相違ございませんが、今言いましたように、実際大衆は払えなくて困るのでございまして、報奨金がもらえるような人ではないのであります。報奨金をもらえるような人は、今申しましたようにいろいろな都合で先に納めた方が有利だという打算あるいは計算上の立場から納める余裕のある、いわゆる近代的な大経営ということになるだろうと思いますが、結局報奨金はそこへ流れる結果にならざるを得ないだろうと思いますので、そういう点を具体的に検討なさつて、おやめになつた方がいいという意見を申し上げておきます。  それから第四款の固定資産課税台帳の問題でありますが、本国会におきまして、この委員会と並行的に法務委員会土地台帳の問題がきのうあたりから審議に移つておるようでございますが、まだ結論が出ていないようであります。この固定資産課税の根本であるところの固定資産課税台帳の問題が、まだ今国会で審議されておる。その様式にいたしましてもあるいはその他のこまかい規定にいたしましても、これから国会できめて下へ流れて行くのだというふうなことになるだろうと思うのでございますが、たといこの地方税法案が通過いたしまして、八月一日から実施になりましても、その最も基礎的なものであるところの固定資産課税台帳は、まだ今国会で審議中ということでございますから、これはとても実際の間には合わないというふうに考えます。特に手不足でありまする町村の役場などになりますと、全部この新しい固定資産課税台帳を整えるということは、非常にむりが起るのではないか、またそれが完備しないで、従来のままのものでやりますと、いろいろな誤謬が起つて来るのではないかと思うのでございます。この点から、実はこの税法が通りましても、固定資産税の実際上の徴收ということは相当遅れるのではないか。また役場といたしましても、これを早急に整えることは非常に困難なことじやないかと思いますが、この点についての見通しを承りたいと思います。
  159. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 固定資産課税台帳という名前のもとに、五つのものが表示されておるわけであります。そのうちの第一の土地課税台帳は、従来からありました土地台帳の副本を裏返しするだけで、これは現にございます。それからその次の土地補充課税台帳は、従来の土地台帳に登録されておりません土地でありましても、地租を課し得ることになつている場合がたくさんございますが、そういうものは、やはり適宜に市町村におきまして、台帳を土地台帳に準じましてつくつておるわけであります。土地のうちで従来は課税されておらなかつた、今回新しく課税されるというものはないわけございますので、土地台帳に登録されておりません土地につきましては、やはり何らかの意味の台帳があつたわけでございますので、それを裏返しまして土地補充課税台帳ということになるわけであります。家屋課税台帳、家屋補充課税台帳も同じことであります。ですから、こういうものについては御心配はいらないのではないと思います。次に償却資産課税台帳は、これは償却資産所有者からことしの十二月三十一日までに申告してもらいます。その際には一定の様式を示すわけでございます。その申告されましたものをそのまま裏返しに償却資産台帳にしてしまいまして、価格などは市町村でつけまして住民の縦覧に供する。償却資産は耐用年数の短かいものもございますので、毎年つくりかえなければならぬだろうと考えております。毎年所有者から申告していただきまして、それを裏返して償却資産課税台帳にして行こうと思つておりますので、これも別に特別な手数は要しないと考えているわけであります。
  160. 立花敏男

    ○立花委員 今申されました償却資産の申告の問題でございますが、これもその償却資産の個々のものにつきまして、たとえば散髪屋のいすにつきまして、あるいはアイスクリーム屋さんのいすにつきまして、「その所在、種類、数量、取得年月日、耐用年数、見積価格その他償却資産課税台帳の登録及び当該償却資産価格決定に必要な事項を一月十日までに当該償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならない。」とあるのでございますが、このように読むだけでも大分手間がかかるようないろいろな複雑な記帳をいたしまして、そうしてこれを申告しなければいけないとあるのでありますが、これがはたして、さつき申しました問題と同じように徹底するかどうか。実際上やれるかどうか。これは重大な問題だと思うのです。しかもこれに対しましても、三百八十六條に固定資産にかかる不申告に関する過料という條文がございまして、これもはやり申告をしなかつたならば三万円以下の過料に処すとあるのでございますが、これはどうも私は非常に行き過ぎではないかと思うのです。これがはたして徹底できるかどうか。これは重大な問題だと思います。三万円ずつみなとられましては、固定資産の税金より重くなりますので、その方が有利かもしれませんが、これでは実際とられる身になりますと困ると思うのです。しかもそれを政府でおとりにならないのなら、こういうふうな実際やらないような條文をお除きになつた方がいいのでありまして、こういうむずかしい規定をおつくりになるならば、徹底的にこれは宣伝啓蒙をやらなければいけないと思うのでございます。たとえば今通りまして——通らない場合には宣伝するわけには行きませんが、通りまして宣伝するにいたしましたところが、おそらく数週間、数箇月の期間はいるだろうと思います。ところが地方におきましては、もう財政的な余裕はございませんので、通りましたらすぐにでも金はとりたいということになつて参るだろうと思うのであります。そこで結局この三百八十六條の不申告に関する三万円の過料が問題になつて来るわけでございますが、これに対する御処置をひとつ承りたいと思います。これは形式的にお答えになりますと、簡単であろうと思いますが、やはり実質的な、現在の町村の状態に即してお答えを願いたいと思います。
  161. 小野哲

    ○小野政府委員 お答えいたします。立花さんのお答え方で行きますと、どうもすべて三万円の過料がかかることになるように聞えるのでございますが、この法律にもありますように、何でもかんでも申告しなかつた場合にはかけるという意味ではないので、正当な理由がなくてやるという点につきましては、納税者の方々が、自分の所有の物についての手続をしていただくことになりますので、十分気をつけてやつていただこうと存じまするし、また税務当局におきましても親切に御相談にのつて、できるだけ手違いのないようにということで処理して参るのが、常識上当然であろうと思いますので、この規定があるからといつて、常に三万円の過料が科せられるものである、こういうふうにお考え願わなくてもよかろうと存じます。と同時にできるだけ御趣旨に沿いまして、納税者の御迷惑にならないように、また御便宜をはかるように、せいぜい勉強さしたいと考えております。
  162. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、次官の御答弁では政府の宣伝なり啓蒙が遅れまして、知らなくて申告しなかつたものに対しましては、過料はもちろんとらない。あるいは忙しくて忘れておつたものに対しましても、これをとらないというふうに理解して、この條文はあつてもやらないんだ、悪意でない以上はやらないんだというふうに解してよろしゆうございますか。
  163. 小野哲

    ○小野政府委員 この條文はごらんのごとく秩序立ててございますので、またできるだけ御相談にあづかつて、こういうふうな規定が動かなくても済むようにいたして行きたいと思いますが、同時に納税者の皆さんも平生からよく御注意願つて、忘れるとかなんとかいうことのないようにあらかじめ御準備を願つておきたい、こういうことを希望いたしまして、適用につきましてはできるだけよく注意する、かようにいたしたいと思います。
  164. 立花敏男

    ○立花委員 しかし御承知のようにこの地方税法案は八百條もありまして、このすみの方にこういう條文がある、三万円の過料があるということは納税者は知らないと思います。申告をしなければいけないということもおそらく知らないと思います。だからその点で御注意を願いますと言われましても、納税者の方はこの八百條の中からこの條文を見つけ出すことすらおそらくできない。大多数の人間がこういうことは知らないと思いますので、最初から申し上げておりますように、徹底的な啓蒙宣伝をおやりになる必要がある。その点はひとつ御了解願いたいと思います。  それから三百八十九條の地方財政委員会評価の権限でございますが、二つ以上の市町村にわたつて使用される車輛その他の船舶等の移動的な償却資産、それから同じ三百九十條の固定資産の配分の問題でございますが、これは両方一括いたしまして、どうも私は本法の二條にうたつておられます市町村自治体の課税権という問題と、根本的に矛盾して来るのではないか、一つの場合には独立の自治的な課税権が認められますが、それが二つになりますが、それが二つになりますと、独立の課税権が認められることなくて、地方財政委員会がやつてしまうということになるのでございますが、これは少し行き過ぎじやないか、たとい二つ以上になりましても、二つの独立課税権を持つておりますものの合議とか、あるいはその他の方法がありますので、一足飛びに地方財政委員会まで持つて行くということは行き過ぎじやないかと思います。特に戦後における自治行政が、中央の地方支配という傾向を廃止いたしまして、自治庁も単に連絡調整のための機関であつたというような自治を尊重する方法がとられておりましたのでございますが、そのことは自治庁の方がもちろんよく御存じだろうと思います。この課税権の問題になりまして、突如として地方財政委員会が出て参りまして、この自治的な課税権を、この面で侵害するという形が現われておると思うのでございますが、これは地方自治に対しまして非常に危険な傾向じやないか、地方財政委員会がこの課税の自治権を侵すようになるのじやないか、問題は小さいようでございますが、こういうところにこの自治に対する根本的な考え方がくずれるもとがあるのじやないかと思います。これを地方財政委員会決定ではなしに、あるいは地方財政委員会規則できめたのではなしに、地方の自治体の協議とか、あるいはその他の形で解決なさるお考えはないかどうか承つておきたいと思います。
  165. 小野哲

    ○小野政府委員 お答えいたします。この規定、すなわち第三百八十九條、第三百九十條等は、決して地方団体課税権を侵害するものとは考えておらないのであります。この種固定資産につきましてはこの條文にありますように、二市町村にまたがつているようなものがあるのでありまして、もちろん協議いたす必要はあることはもちろんでありますが、しかしやはり地方財政委員会がこれら税務が円滑にやつて行きますためと、固定資産の性質から考えまして、その評価その他の問題について、地方財政委員会が協力して行くことは当然であろうと思うのであります。のみならずこの結果につきましては、異議の申立てもできることになつておりますので課税権の主体であるところの地方団体の権限を侵すということにはならないと考えております。
  166. 立花敏男

    ○立花委員 当然だとおつしやいますが、当然だという理論的な根拠が私はないのじやないかと思います。初めから申し上げておりますように、地方の自治をなるべく伸張して行く。日本の行政の基礎地方の自治に求めて行くという方法が強化されなければいけない場合にあたりまして、二つ以上の町村にまたがつておるからといつて、それを簡単に地方財政委員会の規則で決定してしまうということは、これは明らかに行き過ぎじやないか、これが地方自治の侵害でなくては何であろうかと言いたいくらいの規定なのであります。地方財政委員会の規則によつて簡単にきめてしまうわです。しかも地方財政委員会の規則は、これは国会で審議するものでもあるいは議会で決定するものでもなんでもないのでありまして、地方財政委員会がかつてにつくることができるわけなんです。地方財政委員会といえば、お役所の一部だと思いますが、これがかつてにつくることができる規則で、地方の自治的に与えられております課税権を、二つ以上の町村にまたがるからというところの理由で、単なるそれだけの理由でお役所で決定してしまうということは、これは明らかに課税の自治権に対しまして、重大な問題であると思いますから、もう一度その当然だと言われる根本的な理由をお示し願いたいと思います。
  167. 小野哲

    ○小野政府委員 私はたとえば土地家屋に対して課税する場合に、土地家屋の所在の市町村課税権を持つておるんだ、こういうことは当然に起る問題じやないかと思つておりまして、やはり総合的に考えまして、土地家屋に対する課税は、その土地家屋の所在の市町村課税するのが適当であるか、あるいはもつと多くの市町村に、同じ土地家屋に対して課税するのが適当であるか、こういうようなことは総合的にきめなければならぬ問題であろうと私は思います。たとえば木材について卑近な例をもつて申し上げますと、木材は生産地で課税するのがいいのか、あるいは引取り行為のあつた土地課税するのがいいのか、あるいは両者に課税権を持たせるのがいいのか、こういう問題があろうかと思うのであります。どこに課税権を持たせるのが適当であるかという問題で、今あげているようなものについていろいろむずかしい問題があるわけであります。そうすると、これらの市町村間で協議するといたしましても、一体どの範囲市町村間で協議していいかということは、なかなか一率にきめられぬと思うのであります。たとえば車輛でありますと、あるいは軌道の所在しております町村ということになるかもしれませんけれども、あるいは船舶になると、寄港地全部総合するということになるかもしれません。しかし船舶の場合を取上げましても、はたして常に寄港地が一定しておるかと言いますと、必ずしもそうではございません。そこでどうしても一体どことどこに課税権を持たせるかということは、だれかが総合的に判断してきめなければならぬと思うのであります。そういう権能をどこかに持たせたい、中央官庁に持たせるということになると、従来と同じような中央集権的な形が生れて来てもおもしろくない、そういうこともかれこれ考え合せまして、中央の行政官庁ではあるけれども、特に委員会組織をとりまして、地方財政委員会のメンバー五人の中の三人までが、地方団体の代表者である。しかも地方財政委員会決定というものは、他の方に何ら制肘されないという構成をとることにいたしておりまして、両者兼ね合せてまずこういうかつこうで運営されるなら、立花さん御心配になるような地方自治権の侵害というようなこともなくて済むのではないだろうかと考えられるわけでありますし、さらにこれらについては、先ほど政務次官からお答えになりましたように、異議の申立ての権限とか、あるいは場合によつては、地方財政委員会設置法において聴聞の制度をとるというようなこともございますので、御心配のようなことのないように運用して参りたいと考えております。
  168. 立花敏男

    ○立花委員 奥野君の最初の部分には非常に穏当でない御発言があつたのではないかと思うのでありますが、その市町村土地家屋につきましても、その市町村課税権を持つておるかどうか問題だとおつしやられましたが、ではその市町村の中の土地家屋につきましても、市町村が独自的な課税の自治権を持つているということも疑問だとおつしやるのでございますか。
  169. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 この法律に従いますれば、所在の市町村が持つております。法律のきめようでありまして、これは府県が持つて市町村は持つちやならないというようなきめ方もございましようし、あるいはそう市町村とその市町村の周辺の市町村課税権を持たせるというような方法も一つの方法だろうと思つております。
  170. 立花敏男

    ○立花委員 この法律の建前から申しましても、あるいはあなた方が金科玉條になさつておるシャウプ勧告の方針から申しましても、土地家屋というようなものに対しましては、その所在地、これは市町村でございましようと、府県でございましようと、府県の中の土地であり、市町村の中の土地でございますから、これは問題なしにその所在している市町村自治団体が課税するのが当然だろうと思う。その所在してないところのものがその土地家屋に対して発言権を持つというようなことは、私は行き過ぎじやないかと思う。地方税であります以上は、地方自治団体が課税するのが建前でありまして、それを国家の一行政機関である財政委員会がタツチするということは行き過ぎじやないか、こう言つておるわけなのです。
  171. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 一例をあげて申し上げたいと思います。たとえば八幡市の中に八幡製鉄工場がございます。この製鉄工場固定資産に対しまして八幡市しか課税権は持たない、こういうふうなことは私はどこからも出て来ないと思うのであります。これはやはり税源の分配として法律がどう規定するかということから定まつて来る問題であると考えております。かりにまた地方団体の施設である当該固定資産との関連から、課税地をきめて行くといたしますならば、八幡製鉄所に通つておりますたくさんの労務者がございます。そういう人たち が住んでおる市町村におきましても、あるいは衛生施設をやる、あるいは教育施設をやるという関係で、相当の出費がございます。そういたしますと、八幡製鉄所に対する課税というものは、八幡市に專属させなければならないという理由は、私は出て来ないと思う。総合的に考えまして、原則的には固定資産税というものは、固定資産の所在地で課税する。しかしながら、船舶とか車輛というものについては、それのみに課税権を專属させない。それの方がいろいろな意味で合理的であるという見解に、現在の地方税法案は立つておるわけであります。
  172. 立花敏男

    ○立花委員 そうなつて参りますと、この税法は一体国の税金をきめる法律なのか、地方の税金をきめる法律なのかわからなくなつて来る。これはあくまでも地方自治団体が、地方に所在する土地家屋その他の償却資産につきまして課税する税金のはずなんです。従つてそれに対して課税権を持つておりますのは、地方自治団体であります。だからそれが地方自治団体の間に二つ以上またがつておるかるといつて、国家の行政機関が決定すべきではない。あくまでも地方税の課税の主体であるところの地方自治団体間の協議によつて決定すべきである、そういうふうに私は言つておるわけであります。
  173. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 地方団体は御承知のように一万からあるわけであります。従いまして一つの税源に対しましてどの地方団体課税するかということは、明確にきめておきませんと課税権が競合いたしまして、国民が非常に迷惑するわけであります。従いまして地方税を通じましてどこに課税権があるかということを、個々につきましてしさいに規定いたして参つておるのであります。それを政府がかつてにきめますと不都合でありますので、特に国会においてきめていただくというふうなことにしておるわけであります。国の立場からこれをどこに課税権を帰属させるかということをきめていただく、こういうことにいたしておるわけであります。また税源を幾つかの地方団体が持つといたしましても、どの範囲地方団体が持つかということは、非常にむずかしい問題でありまして、それはやはり経済的な問題も考えて参らなければならぬだろうと思いますが、そういうむずかしい問題につきましては、地方財政委員会決定する。その一つの問題として今船舶とかいうような問題が起きて参つておるわけであります。
  174. 立花敏男

    ○立花委員 国会決定することはけつこうだと思います。しかし国の行政機関の一つである地方財政委員会が、しかもその規則で地方に与えられております課税権というものを、この行政機関の一つである地方財政委員会決定することが不穏当ではないか、それには少くとも地方自治体の協議形態、あるいは地方でも委員会制度はとれないこともございませんので、中央で地方財政委員会をお置きになれば、地方でもそういう問題に関する関係市町村委員会は置けますので、こういう形で解決なさるのは妥当でございまして、そういうものとは全然離れまして、しかもこの決議機関から干渉は何らなしに、中央の一官庁である地方財政委員会が、しかもその規則で決定し得るということが行き過ぎではないか、こういうわけであります。
  175. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 地方財政委員会規則ではございませんで、法律か何かできめられれば、その方が私もよろしいと思います。ただいま方法がありませんので、こういう措置が今のところ考えられる最もいい案だと考えております。さらに名案がございますればお教えいただき、さらにだんだんと改善をして行かなければならぬと思います。しかし地方財政委員会というものは、いわゆる政府の制肘をそのまま受ける行政官庁ではございませんで、町村の代表、あるいは市の代表。あるいは県の代表というようなもので構成されておる点も御了承を願つておきたいと思います。地方におきまして委員会をつくつてやる、その方がよろしいという意見は、十分に委員会に反映されるだろうと思います。もとより立花さんの御心配になつている点もよくわかりますので、さらに将来においてそういう心配の起らないような方法の発見に努力いたして参りたいと思います。
  176. 立花敏男

    ○立花委員 これで質問はやめたいと思いますが、これよりいい方法がないから、地方財政委員会で規則でやるというようにおつしやいましたが、私はもつとほかにいい方法があるし、もつと民主的な方法があると考えます。しかもそういう方法を何ら政府はこれを決定される場合に考慮されなかつたのではないか、一方的な頭から地方財政委員会の規則できめてしまうのだというふうに、独断的におきめになつたきらいがあると思いますので、この点をもう一度御再考願いたいと思います。この問題はしかも固定資産の大工場等の配分の問題に関連して来るのでございますが、これはまた非常に重大な問題でございますので、船舶、車輛等の問題のみならず、固定資産税の配分の場合にも、この問題はひとつ慎重に御考慮願いたいと思います。これは必ず将来におきまして紛争のもとになり、あるいは中央官庁の腐敗、不正の根本になるのではないか、そういうふうに考えますので、これはひとつ慎重にお運び願いたいと思います。  それからこの問題と関連いたしまして、地方財政委員会事務局職員が地方に出向きまして調査なさる場合に、やはり非常に大きな権限が地方財政委員会事務局職員に与えられているわけであります。それは三百九十六條の質問検査権でありますが、これはさいぜんも指摘いたしましたように、重大な利害関係を生ずる問題であり、しかも従来の例から申しましても、税務署等の不正腐敗の問題が相当つております。あるいはこの間の公述人の場合にも、税をとります者の代表自身が非常に誘惑が多いということも申しております。しかも町村の場合の小さい問題ではなしに、この地方財政委員会が直接にお取上げになる問題は、重大な大きな企業の場合が多いわけであります。従つて取扱う金額も多いし、また利害関係も複雑でございますので、この交渉に当られる地方財政委員会事務局の職員の態度の問題が影響するところが多いと思うのでございます。しかしこの職員に対しまして質問検査権というようなものが与えられております、御承知のように地方財政委員会は東京にございまして、あなたが言つておられる全国一万の町村へ参りましても、それはおそらく初めてだろうと思うのでございます。しかもこれは地方財政委員会委員みずからが、あるいは局長とか事務局のえらい方が出て行かれるのではなしに、おそらく職員が行かれると思うのです。それにこの職員の質問検査権のような重大な権限を与えますと、見知らない、事情のわからない所に参りまして、この質問検査権が非常に有害な作用をすると思うのでございます。こういうものは特にここに断りまして与える必要はないと私思います。所在地には関係市町村があるのでございますから、その関係市町村を通じまして資料なり情報なりをお集めになれば十分なのでございまして、特に地方財政委員会の職員に重大な質問検査権を与えるということは行き過ぎではないか、しかもこの検査を拒否いたしますと一年以下の懲役、または二十万円以下の罰金に処するとありまして、さいぜんからの科料などの場合のように処することができるというのではございませんので、一年以下の懲役、もしくは二十万円以下の罰金に処するとございます。しかもこれは関係があると認められるものというように、非常に莫然とした範囲に対しまして、この質問検査権がやられるわけであります。だから自分は全然関係がなくても、事情のわからない職員が突如としてその村へ出て参りまして、関係があると認めればすぐ質問する、それに答えなければ一年以下の懲役または二十万円以下の罰金ということになるわけでございます。この弊害の及ぶところは実に重大だと思うのです。地方財政委員会事務局の職員が何万人おられるのか、また八面六臂の方がおられるのか知りませんが、一万の市町村へ出て参りまして、すぐ自分の認定で関係があると思う者に対して質問いたしまして、それが答えができない場合、しない場合は一年以下の懲役または二十万円以下の罰金だというようなことに対しましては、罰則でおどかす、決して民主的な税法ではないという感じがするのでございます。こういうことをおやめになる意思はないかお聞きしておきたいと思います。
  177. 小野哲

    ○小野政府委員 ただいまお話になりました質問検査権は、全部にわたつてこれを行使するというものではないのでありまして、大体質問検査をする場合等もむしろ限定されておるようであります。のみならず、職員が質問検査をする場合は、その態度等におきまして誤解を受けるようなことは万しないように、十分に今後も指導をして行かなければならないと思つておりますので、立花さんが非常に御心配になつておるような事態は起らないであろうし、また私どもとしては、起して納税者その他の方々に迷惑がかからないように、せつかく注意をいたしたいと考えております。
  178. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君御質問を簡潔に願います。
  179. 立花敏男

    ○立花委員 そういうお気持は多分にお持ちだろうと思うのです。そういう気持を持つていなかつたらたいへんなので、たとえば現在の国税庁の長官にいたしましても、あるいは大蔵次官にいたしましても、徴税の問題に関しましては、そういう非常に親心のあるねんごろな御答弁をなさいますが、実際上はそういうことはなされておりません。実際上は各税務署でそういう不正腐敗の問題が起つておりますし、納税者がおどかされておるという状態があらゆる所で起つておりますので、そういうふうなことのないように、やはり法案は最初からそういうふうにする必要があるだろうと思う。最初から質問検査権を持たぬならよろしゆうございますが、少くともこの罰則だけはおとりになつた方がいいのではないか、これはたびたびの意見でございますから。そういう私の意向だけを汲んでおいていただきたいと思います。  それから四百四條の固定資産評価員の問題でございますが、評価員は地方の者が重大な関心を持つております。いわゆる固定資産税と申しますものは、市町村で予算上一応のわくがきまると思います。そういたしますと、それをその市町村の中にあります大企業が幾ら負担するか、あるいは中小企業が幾ら負担するかということが関心の的になるだろうと思う。一方が減れば一方がふえる、一方がふえれば一方が減るということになりまして、この評価の問題は富む者と富まない者との間に、非常に大きな利害関係が起つて来るわけなのでございます。この評価員、及び次にありますところの評価委員というようなものは、あくまでも嚴正に選ばなければいけないと思うのです。それを嚴選するという意味で、どういたしましても公選制度が一番民主的である、一番正しいやり方ではないかと思うのでございます。特にこれが従来の市町村の慣例のように市町村の有力者——有力者と申しますと従来におきましても多分にいわゆる市町村で大固定資産を持つておる者、あるいは大固定資産税を納める者が出て参ります。あるいはその代弁者が出て参りますが、こういう者が評価員あるいは評価委員になりますと、その市町村にきめられました固定資産税が、不当にその市町村の貧しい者に転嫁されて来るというおそれがありますので、選択方法を最も慎重に考えなければいけないと思います。このように簡単に市町村の議会の同意を得てとかいうふうな形で選ばれますと、非常に私がただいま申し上げました危惧する状態が起つて来る可能性が多いのでございますが、これをはつきり公選というふうに改められる意思はないかどうか、承りたいと思います。
  180. 小野哲

    ○小野政府委員 固定資産評価員の選任のしかたにつきましては、あるいは公選ということも考え得るのではないかと思います。しかしながら、この四百四條第二項にもありますように「固定資産評価員は、固定資産評価に関する知識及び経験を有する者のうちから、」云々ということになつておりまして、大体私ども考えとしては市町村における收入役のような地位を占めさせたいと考えておるのであります。これらはやはり一応当該市町村の議会の同意を得て、選任することになつておりますので、大体こういうふうな方法によりまして選任いたしましても、必ずしも非民主的であるとは考えられないのでございますし、評価員の任務はたいへん重要で、知識経験はもちろん、人格から申しましても衆目の一致するところとなると思いますので、地方住民の代表である市町村の議会において同意をする場合においては、万支障はなかろうと考えております。
  181. 立花敏男

    ○立花委員 この固定資産評価の問題は重大な問題でありますので、評価員の選定についてはもう少し考えていただきたいと思います。  それからその問題と関連しまして、不当だと思われるような者が出て来て固定資産評価をやりましてそれが固定資産課税の台帳に記載されて税金がとられるわけでございますが、この固定資産台帳の閲覧は非常に限定されているようでございます。これは、私は期間を切らずに、いつでもやれるように——十日間というような期間が規定されているようですが、二十五年度に限りですか。自分の固定資産税が幾らになるかということは、十日間しか見る期間がございませんので、おそらくこれを見落すのが多いと思うのでございます。これでは少な過ぎるのではないか。平年におきましてもやはり期間がございまして、この期間以外は見られないことになつておるのでございますが、これは絶えず閲覧ができるというふうにしていただきませんと、不当な評価が行われました場合には、これを縦覧する以外には救済の道がありませんので、絶えず縦覧ができる。閲覧ができるというふうにぜひ直していただきたいと思いますが、御訂正になる意思はございませんか。
  182. 小野哲

    ○小野政府委員 縦覧期間の点につきまして、ここに期間を定めておりますのは、当該市町村が義務としてぜひこうしなければならぬというので規定いたしておりますので、市町村住民関係者が見たいと思うときは、いつでもごらんになつてさしつかえないのでございます。
  183. 立花敏男

    ○立花委員 ところが現在におきましては、税関係の必要資料は要求しても、なかなか見せないような現状なんです。見られるんであればこういうふうに期限をお切りにならずに、いつでも見られるというふうに條文をおつくりになつておいた方がいいのではないか。現在でもこれは秘密書類だとか何とか申しまして、市町村民税などの不当な問題をとらまえて見に参りましても、縦覧を拒否いたしております。見ようと思えば実力で見るよりしかたがないというような状態なんでございまして次官が今言われましたようにいつ見てもいいということでありますなれば、こういうふうに期間を切らずにいつ見てもいいんだとはつきりと御規定になる方がいいと思うのでありますが、どうでございますか。
  184. 小野哲

    ○小野政府委員 御説はまことにごもつともでございますが、評価をして価格決定するにはやはり時間的に段取りをつけて参らなければなりません。市町村に義務づける場合におきましては、はつきりと期間を設けて決定をするという段取りをつけませんと、事務上支障も生じますのでかような規定を置いたわけでございまして、その内容自体を見るということについては、わざわざ規定を見なくても、これは当然の取扱いだと考えている次第であります。
  185. 立花敏男

    ○立花委員 当然のことが当然に行われておりませんので、ひとつ今度は行われますように、はつきり條文に書いていただきたいと思います。  それから、これも当然に行うべきことでありますが、行われていない一つの例であります。四百八條に、「毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。」ということがございますが、現在でも、たとえば事業税等の課税は実際の調査なしに帳簿の上、帳簿の上と申しましても、何も書いてないまつ白な帳簿の上で、割当課税をやられております。こういうことで、当然やらなければならないことがやられておりませんので、非常に困つた事態が地方には起つているわけでございます。この四百八條の毎年少くとも一回実地に調査するという規定は、これはぜひとも嚴重に守つていただきたいと思いますが、その御用意はございますか。
  186. 小野哲

    ○小野政府委員 御意見の通りにこれを実行するよう指導して参りたいと思つております。
  187. 立花敏男

    ○立花委員 それから審査委員会委員でございます。大都市とか大きいところでは三人と規定されておりますが、大きいところでは二十人とか三十人とかそういうように多数あつた方がよいと思うのです。しかも東京都のようなところには区ごとにあつてもよいではないか、町単位くらいにあつてもよいではないかと思うのでございますが、そういうような措置がとれるかどうかお尋ねいたします。
  188. 小野哲

    ○小野政府委員 御説のように、東京都のような広いところでは、審査委員をふやしたらどうかという御意見もございますが、固定資産評価の審査をいたしますために、そう数多くの委員によつて委員会を構成する必要はないと思うのでありまして、ほかにもおそらく少数の委員で十分に運営されているようなものもないことはないと思います。なお東京都におきましては、東京都を一単位として審査委員会が置かれるはずになつております。
  189. 立花敏男

    ○立花委員 東京都は東京都だけでございますか。特別区の方にはお置きにならないのでございますか。
  190. 小野哲

    ○小野政府委員 二十三区に一つ置くことになつております。
  191. 立花敏男

    ○立花委員 三人でございますか。
  192. 小野哲

    ○小野政府委員 三人でございます。
  193. 立花敏男

    ○立花委員 最後に一つ御質問をいたします。  こういう初めてのしかも数百余に上る複雑な地方税がとられることになりますので、政府自身も宣伝啓蒙によほど努力せねばいけないと思いますが、それには何と申しましても、やはり税金委員会というようなものをおつくりになつてやるのが、最も民主的な行き方ではないか。さいぜんから申し上げております固定資産評価員を公選にし、そうしてその数をおふやしになる考え方も一つの現われだと思いますが、もつと広汎に民主的な税金委員会——ほんとうに納める者の下からの意見の反映できる、今の地方議会と違つた意味——違つた意味と申しますか、別の角度から税金問題を取上げて、意見をまとめて行くという組織が絶対に必要だと私は思うのでありますが、こういうものにつきまして、何らか自治庁の方で御研究なり、あるいは御意見をお持ちでありましたならば、ひとつ最後に聞かしていただきたいと思います。
  194. 小野哲

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。立花さんの御意見はまことにごもつともでありまして、税務行政が円滑に行きますためには、納税者を初め地方住民の格別な御協力をいただかなければならないのでありまして、また政府もこれを期待いたしておるような次第であります。ただこの法律案でいろいろと詳細な規定をおきますことは、かえつて地方団体の自主的な運営を尊重することに対する制約にもなるおそれがございますので、これらの点につきましては当該地方の実態に応じて、それぞれくふうを凝らしてもらうことにいたしまして、適切な運営をはかつて行きたいと考えておる次第であります。
  195. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 簡単に二、三お尋ねをいたしたいと思います。ただいま立花君からもこのことは質問がありましたが、なお不明な点がありますので、一応お伺いいたしたいと思います。  評価員の選任の方法は、私もやはりこれは公選等によつて、正しく民意を代表するような人が出ることが望ましいと思うのであります。それからもう一つは、評価員の員数については別段の規定がないように思いますが、これはどうなつておりますか、お伺いいたします。
  196. 小野哲

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。松本さんの御意見のように公選制度をとりますことも、一方法であろうと考えるのであります。しかしながら先ほども申し上げましたように、評価員の地位その他から考えまして、やはりこの方法で進んで参りますことが妥当であるという考え方から、選任の方法をきめましたような次第で、この点につきましては、十分法律の実施の状況にも照し合せまして今後改善すべき点は改善して参りたいと考えておる次第であります。  なお次の御質問は評価員の員数の問題でありますが、これは一人といたしたいと考えております。
  197. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 この問題はもとより決定権が市町村の場合には主として市町村長にあるわけでありますから、つまり市町村長の補助員的な立場に置かれておるので、そういう見解からいえば一人でもよいということにはなりましようけれども、これは非常に重大な職責を果すものである。もしここに誤りがありますと、この市町村民税の上に大きな影響をもたらすものであるから、この評価にあたつては十分慎重を期さなければならない。慎重を期するということは、単に人の数が多いからこれが適切妥当に行われるということは断言できません、けれども、少くとも一人や二人の人で、その市町村における多くの資産評価をやるということは、どうしても妥当でないと考えられます。相当の員数、たとえば五人ないし七人ぐらいの人の評価員があつて市町村長を助けるのでなければ、どうしても適正な評価を期待することはできない、かように考えるものであります。その点御所見をお伺いしたい。
  198. 小野哲

    ○小野政府委員 お説のように評価員の員数を一人にしないで、適当な数にするということも一つの考え方であろうと思うのであります。しかしながらこの法律案におきましては評価員を一人といたしまして、同時に固定資産評価補助員を相当数選任することができることにいたしまして、固定資産評価員の職務活動を十分に助けて参るようにいたしたいという仕組みになつているような次第であります。アメリカにおきましては、ある都市においては相当数の評価員を置いている実例はないことはないのでございまするが、一応ただいま申し上げましたような見地から発足いたしまして、今後の状況に応じてなお研究いたして参りたい、かように考えている次第でございます。
  199. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 次には税率の問題でありますが、これはこの案によりますると百分の一・七ということになつておりますが、先般来の本委員会の審議を通しまして、大臣並びに当局の御答弁のうちに、来年の一月において見込額の訂正をやる、いわゆる五百二十億を上まわる、あるいははなはだしく下まわるという場合は、来年一月この税率の変更をやるということを言つておられたのであります。しかもその際、それは上まわる見込みであるか、下まわる見込みであるかといえば、大臣はむしろ上まわる見込みが強いということを申しておられます。そこで私はこの税率はもつと引下げるべきである。引下げておいて、もしも足らなければ、そのときに適当な額に直すこともよいではないか、かように考えますことが一点であります。  もう一つは昭和二十八年までの間は、最高の課税率を百分の三といたしておられるのでありますが、百分の一・七でさえも見込みとしては相当五百二十億を上まわるであろうというのに、何を苦しんでその上の三までもとるという規定を、法律につくらなければならないかという点を私は疑問に思うのであります。さようなことを規定する必要はないではないかと考えるのでありますが、その理由について御説明願いたい。
  200. 小野哲

    ○小野政府委員 ただいま税率をなお引下げてよいではないかという御意見でございますが、五百二十億を目安といたしまして、昭和二十六年の一月中には税率の変更もいたすことになつておりますので、ただいまの段階といたしましては、政府としては可能な限度において税率の引下げについては努力いたしまして、百分の一・七と相なつているような次第で、この点御了承を願つておきたいと思うのであります。  第二点の制限税率を百分の三とした理由いかん、こういう御質問でございますが、なるほど百分の三の制限税率を置く場合においては、筒一ぱいまでとるのではないかという御心配もおありかと思いまするけれども、私ども考え方といたしましては、当該市町村が何らか特別な施設をしなければならないような事態が起りました場合においての想定のもとに、かような制限税率を置いているのでございまするので、常に昭和二十八年度まで百分の三、筒一ばいまでとつてよろしいという意味ではないのでございます。この点につきましては、地方住民もこの税法の施行に伴いまして、十分当該市町村事業計画及びこれに基く事業の執行については関心を持つことになると思いまするし、地方団体もまたその歳出面においても十分合理的に、かつ嚴格にこれを行うことに相なると思いまするので、ただいま御懸念になつておりまするようなことは、おそらく特定の場合以外は起つて来ないだろうと考えている次第でございます。
  201. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 これは見解の相違であると言えばそれまででありまするけれども、どうもこの法律の中に、何としても多くとろうという精神が一貫して流れておるというふうに、われわれは見ざるを得ないのであります。もちろん地方自治体の任意によつて操作ができることにはなつておりまするけれども、百分の三という高率な税率をあらかじめ認めておくということは、結局地方財政が、あるいは市町村財政が苦しいという場合には、勢いそこまではとるということになるわけであります。もちろん地方自治体の自立の上において必要な経費は、市町村民が負担すべきものであるという議論を強く推し進めて参りますれば、いくら重くなつてもしかたがないではないかということが言えるかもしれませんけれども、私はかような高率な税率を、あらかじめ法律できめておくことはどうしても妥当でない、もしやりましても最高の限度はもう一点引下げて、百分の二ぐらいまでは制限税率を認めるとしても、三という税率は、はなはだしく無謀に近い高率なものであると考えるのでありますが、制限税率をもう少し引下げておくというお考えにはなれないものであるか。この点についてお伺いいたします。
  202. 小野哲

    ○小野政府委員 御心配はまことにごもつともと存じまするが、この法律案の建前上からいたしまして、また将来の地方税の運用の点からいたしましても、地方団体といたしましては、地方住民の担税力等とにらみ合せて、おそらく事業計画も立てることと存じておりますので、かりにこの法律案のごとく制限税率を百分の三といたしましても、実際上の弊害は起つて来ないであろうと考えておる次第でございます。
  203. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 それから次に農業、漁業等につきましての償却資産についての問題でありますが、附加価値税におきましても、事業税におきましても、農業等は相当高率の固定資産税、住民税というようなものがかかるのであるから、事業税ないし附加価値税は課さないという建前をとつておるわけであります。この場合、これらの業種に対しまする償却資産、つまり漁具あるいは農具というようなものに対しては、当然非課税とすべきものであると信じます。これは先般の総括質問でもちよつと質問をいたしたのでありますけれども、十分なる了解の行くような御回答を得なかつたのであります。この点をもう一応明らかにしていただきたいと思います。
  204. 小野哲

    ○小野政府委員 農業とか漁業等におきまして、農機具または漁網、漁具類等がございまして、これが固定資産特に償却資産といたしまして税の対象に一応相なるのでございます。しかしながらすべての償却資産を捕捉いたしまして課税をするということは、相当苛酷になる場合があろうかと思いますので、これには一定の限度を付しまして、非課税措置をとつて参りたいと考えております。大体価格におきまして一万円未満のものは、これを非課税取扱いをいたしたいと考えております。
  205. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 私は一万円以下のものというくらいのところでは不十分であると存じます。非常に大きな数十万円というようなものはほとんどないと存じますけれども、そういうもものがかりにあるとするならば、これは課税対象としてもよろしいが、今日の農具は相当価格も高いのでありますから、脱穀調製機あるいは畜力によりますところの農具でも、一万円以上のものは相当多いのであります。そういうようなものにまで課税をするということは、事業税や附加価値税を免除していわゆる非課税とした本旨にもとるものである。こういうふうに考えますので、このことはもう少し御研究を願つて実情に即した取扱いをするようにお願いをしたい。できればこれらの業種に対しては、償却資産に対しては非課税にするということにいたしたいと思いますが、ただちにそれができないまでも、一万円というような限度では、まだ非常に低いのでありまして、もつと課税対象を高いものに対して課税をするというような点で、十分御考慮を願わねばならぬと考えます。これは希望として申し上げておきます。  それから最後にもう一点、寒冷地に対します評価あるいは税率について、何らの規定が法律の上にはございません。これはしばしば問題になるところでありまして、寒冷地、単作地帯、かようなところはもちろん評価の上におきましては、いろいろな方法もあろうかと存じますけれども税率におきましても、相当の手心を加えなければ、とうていかような特殊な地帯はやつて行けないということになるのでありまして、この点についてのお考えを承つておきたいと存じます。
  206. 小野哲

    ○小野政府委員 寒冷積雪地帯等におきましては、特殊事情がありますことは重々承知いたしておるのであります。地方団体におきましても、その他の地方に比較いたしまして、特別な財政需要があるであろうということも想像にかたくございませんし、また一般地方住民においても、その消費生活において、または家屋その他の維持修理その他の補修につきましても、やはり他の地方とは異つたものがあるであろうと想像するのでございます。従いまして、まず地方団体に対する意味合いにおきましては、平衡交付金の問題として補正をいたして参りたいと考えておりますし、固定資産等につきましても、その寒冷積雪地区という特殊な事情に応じまして、評価の場合にしんしやくを加えるように指導をして参りたい。かように考えております。
  207. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 ただいまの御答弁評価の面で考慮を払いたいということでありますが、私はどうしてもそれだけでは不十分であつて、やはり税率の上において相当の考慮を払われる必要がある。かように考えるのでありますが、その点についてはいかがでございますか。
  208. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ちよつと政務次官にお伺いしますが、先ほどの御答弁償却資産の免税点のことについての御説明の中に、価格一万円以下の品物に対しては非課税にするような御答弁のようにあるいは私の聞き違いかもしれませんが、聞えましたが、そうでもないように三百五十二條には出ておりますが、もう一度御説明願います。
  209. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 少し事務的に補足して申し上げたいと思います。御承知のように固定資産税の問題は、減価償却額対象にいたします限りにおいては、いくら少額のものでも課税されます。貸借対照表に載つておりまして、減価償却の記帳の基礎にいたします限りでは、一件当りの金額がいくら小さなものでありましても、課税いたします。ただそういうような主張をいたしません者につきましては、相手がこれだけあるということを言いませんから、探し出さなければならぬのであります。その際にあまり零細なものまであさるような態度をとつてはならない。であるから耐用年度が三年以内で、かつ一件または一組の価格が一万円以上のものについては、これは課税対象に入れるというような考え方をいたしております。
  210. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 それは何條ですか。
  211. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 これは理論上は減価償却対象になるように探し出すわけであります。どこまで探し出すかというような問題は、これは別に條文の問題ではありませんで、税務当局の態度の問題になると思いますが、あまり納税者減価償却対象にしようという気持を持つていないのに、課税物件をあさるというような考え方をしては、いたずらに摩擦を大きくして穏当ではありませんから、そういう取扱い方を示して行きたい、かように考えております。
  212. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 三百五十二條の第二項には、合算額が一万円に満たない場合においてはかけないというように書いてあるようですが、それと違いますか。
  213. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 それはその通りであります。だから貸借対照表にのつけまして、減価償却の主張の基礎とする価格が、合計額の一万円未満のものには課税いたしません。
  214. 小野哲

    ○小野政府委員 松本さんにお答え申し上げますが、寒冷、積雪地帯について税率でもつてこれを緩和したらどうかという御意見は、一応ごもつともに思うのでございますが、この点につきましては、やはり税率税率としてこのままにいたしまして、具体的の実態に応じて、政府といたしましては地方団体の財政需要の面から、これを補正して行く方法をとることによつて緩和して参りたい、こういう考え方を持つておるような次第でございます。
  215. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではここで一時間休憩いたしまして、六時から再開いたします。     午後五時三分休憩      ————◇—————     午後六時二十七分開議
  216. 前尾繁三郎

    前尾委員長 再開いたします。休憩前に引続きまして地方税法案を議題といたします。固定資産税について質疑を続行いたします。
  217. 立花敏男

    ○立花委員 固定資産税評価の問題でございますが、さいぜん数字の問題で質問いたしましたが、資料の見方につきまして混乱がありましたので、途中でやめましたが、実は今度の修正案の原案との大きな変化は、固定資産税評価の問題に関連していると思うのです。固定資産税評価は、前の原案におきましては、二つの評価方法考えられておりましたが、今度の場合は、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)と四つになつておりまして、しかも前とは違つて非常に軽減された評価方法がとられるようになつております。従つてさいぜん数字でお尋ねいたしましたこの前の国会における資料数字と、今度の国会における資料数字とは、非常に基礎的なもので違つておるわけであります。前にいただきました資料では、土地家屋償却資産ともに、資産価格が一兆三千億、いずれも三つとも一兆三千億になつております。ところが今度いただきましたこの資料によりますと、土地家屋は元のように課税標準が一兆三千億でございますが、償却資産だけが七千百億、約半減いたしております。これが私非常に疑問なんです。法案の内容におきましても、評価の問題におきまして、新しい評価方法が二つふえまして、しかもこの(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の(ニ)で示してありますように、「資産評価法規定による再評価額限度額又はこれに相当する金額の百分の七十の額」というふうに、非常に前とは違つた軽減された規定がございます。あるいは新しいと言つた方がよいかもしれませんが、新しい規定がございます。結局においてこれは大資産評価の場合の軽減を規定する條項だと思いますが、その前に(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の(ニ)に対しましては、(ニ)の、評価が特に高いと思われるものにつきましては、さらにこれを下げることができるというふうな規定がございまして、私どもからいたしますと、原案よりはさらに下の方に幅のある評価の仕方がやれる上に、さらにそれを下げてもよいというような規定が出て参つております。従つてこれは必然的にこの資料にも現われまして、こういうふうな差異が出て来ておるのだろうと思うのでございますが、この点をひとつ御説明願いたいと思います。
  218. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 償却資産評価方法と、償却資産課税標準としての額の問題でありますが、評価方法は、ただいま立花委員からお話のございました通り、非常に大きく変化いたしたわけであります。そういう変化の線に沿いまして、償却資産の算定の方法も異なつて参りまして、従来のこの前差上げました数字は、償却資産につきまして一兆三千億という数字を押えておりましたが、これは終戦後の残存国富を基礎にいたしましてはじき出した数字でございます。ところが一方資産評価は逐次進行いたしておりまして、それによります実際の状況を見ますると、非常に少くなつております。そういうようなものを基礎にいたしまして、今お話のありました九千七百億という償却資産の額を出しておるわけでございます。ただこの限度額基礎にして出しておりまするので、今お話がございましたように、今回は償却資産評価につきましては、限度額の百分の七十という線で押えておりますから、その九千七百億という数字に対しまして、さらに三〇%だけ落しまして、さらに三〇%だけ落しました七〇%のところを見ておるわけでございまして、その結果として、課税標準が七千百億と、こういうようなことになつておる次第でございます。
  219. 立花敏男

    ○立花委員 従つて、そういうことをお認めになりましたが、私どもはこういうふうな修正案が出るということ自体が、実はふしぎなんです。月がたつに従いましてはつきりと把握率が出て参りまして、この前には五二%の把握率と言つておりましたものが、さらに把握されてよけいとれるような修正がなされるというのならわかりますが、月がたつに従いまして評価の仕方がだんだん甘くなつて行く。特に大資本の固定資産を再評価するというようなものは、大資本の所有に限られていると思いますが、こういうものに対しましては、逆に非常に軽くなつて行く。しかも土地家屋というような大衆の負担部分に対しては、依然としてそのままであるというふうな形が、私どもにはどうしても受取れません。従つていただきました資料は、単に法案を大企業に有利にかえたためにつくり出した資料でございまして、逆にこの資料から税收をきめ、この税率をきめるというふうな形ではなしに、逆にこの資料がつくられている。法案を裏づけるための資料である。法案によつてどうにでもなる資料であるというような感じがするのでありますが、こういうふうな立場から資料をおつくりになりますと、いくら資料をいただきましても、ほんとうに基礎的な資料ではなくて、この便宜のための資料になると思うのでございます。この点は修正案に対する根本的な矛盾だと思いますが、この点をもう一度御説明願いたいと思います。
  220. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 その点は今も申し上げましたように、一兆三千億という残存国富を基礎にいたしました全体の数字が、今回九千七百億になつておりまするのは、資産評価法の現実の実施の状況を基礎にいたしたものでございまして、前回はそこは見積りでやつたわけでございます。これも決して地方自治庁においてのみやつたわけではございませんで、関係当局ととくと打合せをいたした結果、一兆三千億という数字を出したのでございまするが、今回のこの九千七百億という数字につきましては、実際問題として逐次資産評価が進行して参りましたので、従来の見積りを若干訂正いたしたような次第でございます。
  221. 立花敏男

    ○立花委員 念のために聞いておきますが、これは昭和二十五年だけの暫定的な数字でございまして、二十六年度からはこれとかわつた、もつとふえた数字が出るのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  222. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 ちよつと今の御質問の趣旨がはつきりいたしませんが……
  223. 立花敏男

    ○立花委員 この七千百十億と申しますのは、二十五年度だけの特に少い数字であるのか、二十六年度からの平年になりますと、もつとふえた数字になるのか……。
  224. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 今の七千百億の数字は、先ほども申し上げましたように、今の限度額を押えましたものの三〇%落した七〇%の数字でありますから、これは二十五年度償却資産の仮決定の際の基準の額として押えておるわけでございます。これが来年度以降になりましたならば、客観的な価格を押えるということになるわけであります。
  225. 立花敏男

    ○立花委員 その来年度以降の見通しは、大体幾らくらいになるお見通しなんでございますか。この前の数字によりますと、土地家屋償却資産とも一兆三千億でございまして、大差ないのでございますが、二十六年度以降は、この七千百九十四億と申しますのが、土地家屋と同じように、やはり一兆三千億くらいになるお見通しかどうか。それを承りたい。
  226. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 平年度におきましては、この部分がさらにふえるような計算をいたしております。これはお手元に差上げました資料の中に書いてあるわけでございます。
  227. 立花敏男

    ○立花委員 大体でよろしいのですが、大体どれくらい……。二十六年度からは、この土地家屋と同じような数字になるかどうか、大体でよろしゆうございますが……。
  228. 鈴木俊一

    鈴木政府委員 一兆一千七百億、約一兆二千億です。
  229. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、二十五年度よりも、二十六年度からは四千億ばかりふえるわけなんでございますが、二十五年度におきましては、なぜこの四千億というものがとれないのか。今から二十六年度と申しますと、わずか四箇月か五箇月でございますが、その間のそれだけわずかな期間に、四千億の差があるということは、どうも納得できないのでございますが、そういう意味で、これはあまり過少ではないかという気がするわけなんです。来年の一月からは二十六年度になりまして、一兆一千億ばかりとるのでございますが、わずか四、五箇月の間に、この四千億の差があるということは納得できないのでございます。どういうわけでございますか。
  230. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 償却資産をどう評価するかという問題は、前国会からの問題でありまして、立花さんは十分御存じになつていらつしやるだろうと思いますが、法案の成立の時期の遅延等の関係から、今年はいわゆる時価というものをすぐに決定いたしませんで、資産評価法によりますところの再評価限度額、これを基礎にして仮決定をするという方式とつたわけであります。そこでおもに二つの数字が必要であります。一つは帳簿価格基礎にして推定して行く方法であります。もう一つはいわゆる時価を推定する方法であります。この前のときには、時価がいくらになるであろうかというようなことを基礎にして申し上げておつたわけであります。今回は仮評価方式が採用されましたから、帳簿価格基礎にして再評価限度額を見て行つたら幾らになるか、この二つの数字が必要になりましたので、今回は二つの数字をあげてあるわけであります。違つた数字をあげておるわけではありませんで、二つの数字をあげておる点を御了解願いたいのであります。そこで一体償却資産をどう評価するかということは、企業の経営自身がまだ迷つておる問題がたくさんございます。たとえば鉄鋼一つ取上げましても、溶鉱爐一台どういうふうに評価するか。帳簿価格基礎にすれば評価はできます。というよりは帳簿価格基礎にして一台の価格計算するということはできますが、時価というものをどう計算するか。あるいは船会社の問題を取上げましても、いろいろ問題がございます。しかしながらこれは一応こういう計算をするんだということの一つの基礎に立つて、ここに数字をお出しいたしているわけでございます。でありますから今劈頭に償却資産については徴收を延期するんじやないかというようなお考えもあるわけでありまして、限度額の七〇%そのものが非常に取過ぎているものもあるし、あるいは取足らないものもあるだろうと思います。結果において不当に取過ぎるというそういう気持は意識的には持つておりませんし、また結果的にははたして取過ぎているかということは今申し上げましたように非常に疑問だと思います。経済界がどう動いて行くかという問題、あるいはわが国の国力がどうかわつているかという問題、あるいは資産の陳腐化がどの程度かという問題などがあるが、こういうことはやはりまず企業自身の評価を見なければ、今ただちに適正な時価決定するということは困難であるというふうに考えておる点を御了解願います。
  231. 立花敏男

    ○立花委員 問題は二つあると思いますが、最初申しましたように四箇月たちますと四千億ふえますので、ことしだけは四千億少い標準でおかけになるというのが納得行かないのです。評価の仕方はいろいろあるということですが、それはもちろんいろいろございましよう。しかしわずか四箇月間に四千億もかわつて参りまして、ことしは四千億も少いような課税標準で税をおきめになるということ自体が、少しおかしいのじやないか。しかもそれが全般的にやられるのならよろしゆうございますが、特に償却資産、特に資産評価法によりましてやるようなもののみに、そういうような減額が認められておるのであります。そういう点がやつぱりふに落ちない。同時にこの前の資料におきまして、同じいくらの資産価額が見積られておりましたものが、特に償却資産だけが半分になつておるということがやはりふに落ちない。こういう点から見まして資産評価の仕方は、幾らでもあるということはもちろん認めますが、しかし特に償却資産資産評価法によるというような、大資産にのみこういう減額が、有利な評価方法が行われておるということ自体が問題なんです。だからなぜ大企業、大資産にだけ、こういう有利な評価方法をおとりになり、またそれに順応するような数字をお出しになつたのか、これがどうも納得できない。
  232. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 先ほどもお話しましたように二つの種類の数字があげてあるわけであります。帳簿価格基礎にした数字、これは時価関係ありません。それが九千億、時価が一兆二千億くらい、この二つの数字を上げてあることを御了解願いたいと思います。
  233. 立花敏男

    ○立花委員 これはこのくらいにしておきますが、けさ大蔵大臣が来ておられまして、お聞きしようと思いましたが、お帰りになりましたので聞けなかつた点を一点だけ岡野さんに……。大蔵大臣は十九日の大蔵委員会でありましたか、来年度地方税を三百億減額する、減税するということを言われましたが、国務大臣はどういうふうにお考えでございましようか。
  234. 小野哲

    ○小野政府委員 御承知のように地方財政の現況から考えまして、今回地方税法によつて財源の確保をいたして行くことになつておりますので、地方財政につきましては、あるいは財政の緊縮その他の方法によつて、将来考え得ることと存ずるのでございまするけれども、立花さんもこの点は、私からあまり多くを申し上げるまでもなく御了解のごとくに、とにかく財源を確立するための措置をこの際とつて行かなければならぬ。将来のことにつきましては、地方財政の状況にかんがみまして、政府もこれに対して助言、指導をして参りたいと考えております。
  235. 立花敏男

    ○立花委員 質問の要点はしごく簡単で、数字的にはつきりしておるのでありますから、もう少しはつきりお答え願いたい。十九日の大蔵委員会で、池田大蔵大臣が来年度は一千億減税すると言われた。これは自由党の本部の前にもでかい看板をかけておるから、一千億減税するということは、これは間違いない。そのうち七百億は国税で減税する。三百億は地方税でやるのだ。こういうことを明言されております。従つてこれは地方財政にとりましては、非常に重大な発言だと思いますし、今後の地方行政委員会の審議につきましても、重要な問題だと思いますので、国務大臣の責任あるお答えを願いたいと思います。
  236. 小野哲

    ○小野政府委員 この点につきましては、いまだ政府といたしまして正式に決定しておるわけではございませんので、私からこの際将来の問題について今明言をいたすことはできかねる次第でございます。
  237. 立花敏男

    ○立花委員 では池田大蔵大臣のお言葉は、個人的のお言葉であるというふうに了解してよろしゆうございますか。
  238. 小野哲

    ○小野政府委員 この点につきましては今申し上げた通りでありまして、池田大蔵大臣の御所見と承知いたしております。
  239. 久保田鶴松

    ○久保田委員 いろいろお尋ねいたしたいことはたくさんあるのでありますが、要点だけをお伺いしておきたいと思います。  今度の地方税法改正に対する根本的な問題として、その基本たる問題について、一応国務大臣にお尋ねしたいと思うのです。いろいろ賃金べースの問題も問題になつておりましたが、今度改正されまする地方税法案につきましては、これは給与ベースが前のままでありまして、そうして大衆からとりまする税法のみ改正するということは、大きな私は間違いだろうと思います。だから税をとるその法律の改正を行う前に、その税金を払えるように、給与のベースを先に改訂すべきである、かように私は考えるのであります。こうした問題について、一応国務大臣の方針を承つておきたいとかように思います。
  240. 岡野清豪

    岡野国務大臣 御高見として拜聴いたしておきます。
  241. 久保田鶴松

    ○久保田委員 岡野さんは御高見として拜聴しておきたいというしごく簡単な御答弁をなさいましたが、いろいろきようもお聞きと思いますが、大阪府におきましても、大阪府会が今度のこの税法の改正に対して、特にまた附加価値税等に対しまして、こうした税法を改正されましても、地方としては絶対にとれない、こういうような改正は絶対に反対であるという決議文を、大阪府会が中央に持つて来ておることも岡野さんは御承知と思う。それだのにこの問題を、単にお聞き置くというような簡単な答弁では、私は納得が行かない。だがこうしたことは、いろいろ申しましても時間が延びるばかりでございますから、おいておきます。  次に私いただきましたこの資料についてお伺いしたいのでありまするが、今回の改正資料を見てみますると、固定資産は今回修正されました税率から下げられておりまするが、しかしながらこの資料によりますと、固定資産は依然として五百二十億という数字が出ておるのであります。前にも五百二十億でございましたが、これはどういう間違いであるか、一応大臣からお伺いしたい。
  242. 岡野清豪

    岡野国務大臣 資料の更正につきましては、正確を期する意味におきまして事務官からお答えいたします。
  243. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 前回出しておりました政府案によりますと、本年度分の償却資産に対する固定資産税は、時価課税標準にすることにいたしておりました。初めてのことでありますので、非常な争いが当然予想されるわけでございまして、従いまして、本年度内に完全に円満に決定ができまして、市町村の收入になるものは、非常に少いだろうと考えております。今回は簡易な仮決定方式を採用することにいたしました。そのために載簿価格限度額の七〇%の一率の課税をいたしましても、納税義務者といたしましては、いろいろと異議は言えるでありましようけれども、承服せざるを得ない、自然今年度内に確実に徴收できるものが、前回よりもおのずからふえるわけであります。要するに仮評価額が再評価額限度額の七〇%を下ることができないという一つの方式を採用いたしておりましたので、こういう差異が生じて参つたのであります。
  244. 久保田鶴松

    ○久保田委員 次に私お伺いしたいのは、この資料と前にいただきました資料とあわしていろいろ考えて見まする場合に、昭和二十三年一月一日現在の国税庁の報告書によれば、全国の土地賃貸価格でありまするが、これが十四億八千百五十六万六千円という数字が出ておるのであります。また家屋賃貸価格の総額にいたしましても、同じく十四億四千六百六十六万七千円という数字が出ておるのであります。その数字から見ますと、二十九億二千八百二十三万円となるのでありますが、これを今度は率を切下げられるとは思いまするが、九百倍として一・七、これをかけますと、約四百五十億となると思います。これが二十三年の一月現在から見ますと、それ以外に建築も相当ふえております。これらのふえた家屋を入れまする場合において、この数字を見てみまする場合には、五百億近いものが、これから出て来ると思いますが、これはどうなんですか。
  245. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 そういうことはございますので、今久保田さんのおつしやいました土地家屋の十四億幾らか、今年の一月一日現在がようやくわかつて参りましのたで、今回は十五億何千万円になつております。それが今おつしやいました意味合いでふえたわけであります。しかし家屋は昭和十七年に賃貸価格決定いたしまして、その後減価しておる部分がございましようが、その減価の部分は差引きませんために、新築の部分がこれにプラスされておるわけであります。その結果ふえて参つておるのであります。
  246. 久保田鶴松

    ○久保田委員 次に今の賃貸価格の問題とあわせて考えなければならぬのは、償却資産評価の問題でございますが、この評価額政府の方は一兆三千五十五億という数字を出しておられます。安本の調査は終戦のときに現在しておりました国富額を、物価騰貴率で現在価額に引き伸したものと、その後の生産額を加えて算定されたものという解釈ができるのではないかと思うのであります。これにつきまして一・七をかけますと二百十一億四千万余となるのでありますが、これを両方合わせてみますと、約七百億ぐらいの数字がここに出て来ると思う。そうすると政府予定されておる五百二十億に対しまして百七、八十億も越えて来るようになるのではないかと思うのでありますが、これについて政府はどう考えておられますか。
  247. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 先ほど立花さんに申し上げましたように、もし鉄鋼の場合なら熔鉱爐をどう評価するか、あるいは船会社の場合には船台をどう評価するか、いろいろむずかしい問題がございまして、それでおそらく今久保田さんのおつしやつた数字は、フルに見ているのだろうと思います。フルに見ることがいいか悪いかは非常に問題だろうと思うのであります。しかし政府においても、平年度におきましては百六十億円以上のものを償却資産から收入しなければないないという数字資料として差上げてありますから、御了解願つておきたいと思います。
  248. 久保田鶴松

    ○久保田委員 償却資産の把握についてでありますが、これを一兆三千百十五億という数字を出しておられる。これにつきまして七〇%把握するといたしまして、その徴收率は八〇%内に見積つて計算して見まする場合、税收見込額は約百二十億になるのではないか、これについて二十三年一月現在の家屋自体に対する税額の見積りでございますが、この税額の見積りは約四百五十億ぐらいになるのではないか、この四百五十億の計算からして五百七十億くらいとれるということになる。政府の見積りでは、四百五十億くらいの計算をしておられる。今申しました数字からいたしましての数字の食い違いというものは、どこからこれが出て来て、どう間違つておるかということを伺いたいのであります。
  249. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 政府が出しております資料の上で、償却資産についての見積り方のどこが悪いとおつしやるのか私わからないのでありますが、たとえば軌道でありますと、一キロ当り千百万円という数字をはじき出しております。船舶でありますと最近の船舶につきましては、一トン当り十万円くらいかかるというような計算で出しております。これがどの程度少いかということはわかりませんが、われわれといたしましては、現在取得するとすれば、それだけの金がかかるということはわかりますけれども、今ありますものが余剰の設備もたくさんございますが、はたしてどれだけに評価できるであろうかというようなことが、正確にわからないのであります。しかしながらこういう基礎からはじいて行きますと、今資料として出しておりますような金額が見積られる、かように考えておるのであります。しかも再評価限度額の七〇%を見込んで行きましたのでは、非常に少い收入しか得られない。しかしながら終戦当時の残存価格基礎にいたしまして物価倍数を乗じて行きますと、ある程度大きな額になるであろうと思います。しかしながら残存価格そのものが非常に不安定なものだというような意見もたくさんございましたし、こういうようなところから、今回提出するような個別の資料に基きまして、この見積りをいたしておるような次第でございます。
  250. 久保田鶴松

    ○久保田委員 先ほど申しました数字からいたしまして、私たち考えますのに、これを内輪に見積りましても、五十億くらいとり過ぎになるのではないかと思います。政府の方ではその点どうでありましようか。
  251. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 現在載簿価格限度額の一ぱいに評価したいという会社が、経済界の実情からどのくらいあるだろうかということは、私は御存じだろうと思うのであります。載簿価格限度額をとつて参りましたら、とうていそういう価格にはならないわけであります。そこで載簿価格限度額が正しいか正しくないかということを、年次別にここに数字をあげて、資料として提出しておるわけであります。ただ終戦当時これだけのものがあつた、それをみんなそのまま使えるものとして時価に換算して行く、そういう数字なら、久保田さんの言われるような数字になるかもしれませんけれども、経済界の実態なりあるいは現在再評価いたしておりまする会社の現実の姿なりをごらんいただきまして、政府資料をごらんいただきたいと思います。
  252. 久保田鶴松

    ○久保委員 いろいろ政府から出しておりまする資料に基いて、私も調べてみたのでありますが、それと同時に、私は議会の休みの間におきまして、私の近くの大阪府その他の県、あるいは大阪市、あるいはその他の自治体、こういう方面へ私まわつて参りまして、いろいろその自治体の意見を聞いてみましたところが、政府で出しておられまするような数字は、その自治体におきましては知らぬと申しております。大阪府におきましても、大阪府として出ておりまするその数字は知らぬと申しております。一体その自治体において、あるいは府県においても知らぬというようなことを申しておられるのでありますから、私はこの資料は非常にでたらめなものである、正確なものでないと思います。そういうような点から、政府が出されました数字に基いて、いろいろ府県の方に参りまして、あるいは自治体の方に参りまして、さような事情を聞いたのであります。聞いた結果において、今議会におきましても私はこの点ぜひ政府の方々に対して尋ねてみたい、こういうようなことから——今奧野さんは正確な数字を出しておるというようなことを申されておりますが、私は正確な数字とは思つておりません。こういう点からお伺いしているわけです。
  253. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話のように、別に各地方団体から個別に償却資産がどれくらいあるかというような報告を求めまして、それを集計したものではございません。それはおそらくできないだろうと思います。それよりは、やはり車両なら車両として国全体にどれくらいあるか、こういうことは材料その他でつかめるわけであります。あるいは機械設備なら毎年どれだけ生産されておるだろうか。現在それがどこにあるかわからぬが、一年間どれだけ生産されるか、こういうことならわかるわけであります。そういうことから捕捉してこの数字を集計しておりますので、この個々の地方団体が知らないのはやむを得ないのではないかと思います。しかしながらできるだけ各地方団体に対しましても連絡を密にしながら、これらのことを周知徹底させるように心がけたいと思います。
  254. 久保田鶴松

    ○久保田委員 いろいろ数字の点につきまして、調べた範囲においてお伺いしたいのでございますが、いつまで私が資料に基いて質問いたしまして御答弁をいただきましても、むだだと思います。ですから私は政府で出されておりまするこの資料は信頼できません。しかし考えていただきたいと思いますのは、この出されました地方税法案に対する基本——私は第一條に、この税を取立てる精神というものをうたわなければならぬと考えるのであります。数字の点は、もうよしましよう。だが法令全体から見ました法の基本でございます。ここにまじめな申告をいたしまする人、それからまじめに徴税いたしまする人であれば、それはいいのでありますが、まじめに申告をいたしましても、徴税されまする方々がむちやをされるような場合が多い。大阪府におきましても、私の知ります範囲において、税金関係につきましての涜職事件等が百数十件あがつております。こういうような点から、この税法を見ます場合には、納税者にのみ罰則が多くつけられているということ、ですから私は納税者がまじめな申告をして、むちやな取立てをした人に対するその制裁をうたうべきである。これに基いてまじめな徴税をすべきであると思う。ですから第一條に、法のいわゆる精神と申しましようか、その取立てる人たちらに対するいろいろの間違いのないように、そういうことを入れたらどうかと思うのでございますが、政府といたしまして、それに対するお考えはいかがでございますか。
  255. 小野哲

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のように、地方税務吏員がその仕事をやるにつきましては、十分愼重な態度に出なければならないことは申し上げるまでもないのでありまして、これが公務員たる服務紀律に反する場合、あるいはまた国の刑法に該当するような罪を犯しますような場合におきましては、もちろんこれによつて処断をされなければならぬことは当然でございます。しかしながら地方税自体の基本的な考え方を申しますと、これは国税とは異つておりまして、この地方税におきましては、全体としての地方自治体が自主的に運営をいたします場合の一つの統制をはかつているという点について、特色があるのでありまして、お説のように、この地方税自体を国として画一的に地方団体に強制をするという意味合いのものではないので、あくまでも地方自治体の自主的な運営にまたなければならぬものと存ずるのでございます。しかもこの地方税制の改革をいたします基本的な考え方は、久保田さんも十分御了承のことと存じますので、さような意味合いの地方税法案であるということを、御了解賜わりたいのでございます。
  256. 久保田鶴松

    ○久保田委員 それではどうでございましよう、この地方税法案の第一條にそうしたことができないというようなことでございますならば、その税金を納められなかつた人に対する罰則がついておりますと同時に、むちやな取立てをした係員に対する罰則を設けたらいかがでございましよう。
  257. 小野哲

    ○小野政府委員 お説のように当該税務官吏がその行動において適当でない、また違法であるという場合におきましては、それぞれの規定あるいは法律によりまして処断をすべきものであろうと存ずるのでございます。
  258. 久保田鶴松

    ○久保田委員 この法律全体から見まして、非常に文化国家といたしまして進んだ法律をつくるということには、私たちは賛成するのでありますが、しかしこの地方税法改正等にしても、まだアメリカにおきましても実施されていないような点が多くこの法案の中にあるのであります。そうしたことから考えます場合、私たちはこの法律を通過いたしまする前に、政府の方々に考えていただきたいと思う。それは外国のまねをいたしまして、法のみどんどん進めてしまつても、わが国に合わない、かけ離れたような法律をつくります場合には、これは問題だと思う。アメリカに行かれに方々の話を聞いてみましても、アメリカにおきましては、道路をわずかばかり広げることは、それによりまして工場に勤務いたします時間を五分早める、そういうためには道路を広げようという。わが国におきましてはとんでもない。道路を広げるどころじやない。わが国の道を見ますと、はえがわいたり、うんかがわいたり、あるいは雨が降つたらろくに歩けないようなことをいろいろ考え合せました場合に、この税法におきまして法律のみが外国のまねをしましても、法律が雲の上にあつて国民の実際状態はうんと下にあるというようなことで、かけ離れたものになつてしまう、そういうようなこと等も、われわれは考えなければならぬ。そういう点で今回改正されんといたしまするこの法全体を見てみまする場合において、私どもは非常に疑問があるのであります。こういう点について政府考えはいかがでございましようか。
  259. 小野哲

    ○小野政府委員 今回の地方税法案は、かねて御説明申しましたように、国民負担の均衡化、合理化をはかり、かつ地方自治体の財政運営の自治化を目的といたしまして立案されておる次第でございまして、これが実施にあたりましては、先ほど来も御意見がございましたように、地方関係税務吏員の研修、養成に努めますとともに、納税者立場も十分考えながら円滑な法の実施に当りたいと考えておるような次第であります。
  260. 久保田鶴松

    ○久保田委員 きようはこれで私の質問を終えておきます。また明日時間がございましたら……。
  261. 塚田十一郎

    ○塚田委員 実は昨日の話合いでは、本日中に固定資産税質疑をあげようということで、われわれも進んで参りましたが、先ほど本税法の改正案について、その筋から有力なる示唆が出ましたので、これに対して各党とも、今本日中に一応回答を出すために審議を進めておるようでありますので、大体実質上、本日審議を続けて行くということは困難なような情勢にありますから、この機会に一応委員会を休憩にせられて、理事会を開くようにおとりはからい願いたいと思います。
  262. 前尾繁三郎

    前尾委員長 塚田君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは一応休憩いたしまして、理事会を開催いたします。     午後七時十三分休憩      ————◇—————     午後七時三十一分開議
  264. 前尾繁三郎

    前尾委員長 再開いたします。  ただいまの休憩中の理事会の結果を御報告申し上げます。ちようどただいま門司さんがお見えになりましたが、渉外関係のために門司委員の質問が保留されております。なおまた藤田義光君、米原昶君の質問も終了いたしておりませんので、明日は午前九時半から開会いたしまして、大体十時半くらいで質問を終つていただくというような話合いに一応なつておりますので、その点御了承願いたいと思います。その点について御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議がなければ、本日はこれにて散会いたします。     午後七時三十二分散会