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1950-07-18 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十八日(火曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 生田 和平君 理事 川本 末治君    理事 塚田十一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    河原伊三郎君       清水 逸平君    野村專太郎君      橋本登美三郎君    吉田吉太郎君       龍野喜一郎君    鈴木 幹雄君       床次 徳二君    山手 滿男君       久保田鶴松君    立花 敏男君       米原  昶君    松本六太郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         地方財政委員会         事務局長    荻田  保君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         地方自治庁財政         課長      奧野 誠亮君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一号)  参考人より意見聴取に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、地方税法案を議題として質疑を続行いたします。質疑に入る前にこの際お諮りいたします。本委員会としては地方税法案について参考人より意見書を聴取することにいたしたいと思いますが、いかがでありましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、参考人より意見を聴取することに決しました。  次にその人選につきましては、開会前の打合せにより、次の九名の方にお願いすることにいたします。新潟県知事室長西田徳長君、日本自治体労働組合協議会占部秀男君、東京会議員中島喜三郎君、農村代表中村迪君、東京鉄工機械工業経営者協会專務理事國井秀作君、中小企業連盟平林讓治君、農林中央金庫理事湯河原元威君、日本自治団体労働組合連合会泰平國男君、そのほかに租税研究会地方税法案担任の方一名ということにいたします。意見は明日並びに明後日に、適宜御出頭の時間に聞きたいと思いますから、さよう御承知を願います。
  4. 大泉寛三

    大泉委員 参考人意見を聴取することはけつこうでありますが、なるたけ委員会の審議に時間的な支障のないようにおとりはからい願いたいと思います。また参考人が人がかわつても同じことを繰返されるようなことがないように、あらかじめ内容等を打合せて願いたいと思います。
  5. 前尾繁三郎

    前尾委員長 前会におきましては、総則、附加価値税及び昭和二十五年度において課する事業税及び特別所得税に対する質疑を行いましたので、本日は入場税遊興飲食税、それ以下の自動車税ないし道府県法定外普通税雑税と、市町村自転車税以下の雑税の御質疑をお願いいたします。御質疑通告順によりまして大泉寛三君。
  6. 大泉寛三

    大泉委員 町村の税を納付するのに不在納税義務者が各地にあるので、これに対して法定上の代理人というようなものを設置されたらいいと私は思うのであります。いつかの機会に当局によく尋ねてみたいと思つておりますが、いわゆる公認納税代理人というようなものを設置したらどうかと思うのであります。非常に納税者は不便を感じているのですが、こういうお考えはありませんか。
  7. 小野哲

    小野政府委員 ただいまの御質問内容は、たとえば納税義務者当該市町村に、家、屋敷とか、あるいは居所等を持つておらない。それでなおかつ納税をしなければならないような際において、何か納税上の管理をするために適当な人を配置したらどうか、こういう御意見のように伺つたのでありますが、さような場合もあることと想像いたしまして、この法律案におきましては、さような場合におきまして、納税管理人を置きまして、納税の仕事をするような道を開きたいと思うのであります。
  8. 大泉寛三

    大泉委員 納税管理人納税者意思によつて選任されるのでけつこうですが、実際上はなかなか適当な人間というものはおりません。そこで町村自治体において公認された代理人を定めておかれると、その人に一切の事務を委任されるということになつて、きわめて処理が実際的である。また今日は以前と違つて出張して取立てるなどということはなかなか困難である、また郵便料にすら事欠き、かえつて損失を招くというような場合が生ずる。そこで一括していわゆる司法代理人というような人とか、あるいは当局が最も信損されるような人を選定しておいて、いわゆる公認代理人というようなものを設置しておくことが必要であると思うが、こういうお考えはどうか、お伺いいたします。
  9. 小野哲

    小野政府委員 御意見のほどまことにごもつともと存じまして、個々の納税管理人の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げたのでありますが、一応制度としてそういうふうなものをつくつてほどうだろう、こういうふうな御意見のように存じます。国税には御承知のように、税務代理士制度がございまして、こういう制度によつて取扱われることに相なつておりますが、地方税につきましては、いまだかような制度がないのでございますけれども、便宜これらを拡充いたしまして、地方税の場合におきまして用いることも決して違法ではないと存ずるのであります。できるだけかような制度は、地方税におきましても広げて利用ができるように持つて参りたいと考えております。
  10. 大泉寛三

    大泉委員 それから遊興飲食税という名称ですが、私はどうもあまりこの名称は感心できないので、何とかこれを適当な名称にかえる必要があると思う。実際はこれは遊興意味しない飲食税である。営業者のところに行つて飲食するだけの飲食税であつて遊興意味しないのであるから、遊興飲食税名称は当を得ていないと私は思うのでありますが、政府においてこの名称を何らか取去るとか、あるいは改名するとかいうような意思はありませんか。
  11. 小野哲

    小野政府委員 お説のように、遊興飲食税という名前について、これをかえてみたらどうかというふうなことも考えないことはないのでございまするが、一応遊興飲食税につきましては、将来なお検討をいたすべき時期も来るんじやないかと存じましたので、この際は従来の慣行等もございまするし、一応この名称を用いる方が、かえつて習熟いたされておりますような考えから、これをとつたような次第でございます。
  12. 大泉寛三

    大泉委員 適当な時期にひとつこれを改廃してもらいたいと思います。  その次に、これは一つの大きな言葉でありまするが、納税ということも、それに並行して考えてもらいたい。いわゆる納税といいうことは、われわれは従来きわめて謙虚な立場において、いわゆる金を納める。政府に対してあるいは領主に対して、従来から奉るというような意味において、納税という言葉が生じて来た、こう思うのでありますが、今日のように、ほんとう国民がどうしてもこれを義務としてみな支払わなければならない、また負担しなければならないというような立場になつておる。またこれを徴收する方も、いわゆる徴税として取扱つておる。一方支払う方だけは、納税という旧態依然としての思想の中に行われておるということは、現実にあまり沿わないじやないか。特にこうした地方税に対する罰則が、一つ税種目において、嚴重に規定されておるような状態のときには、この納税という言葉をやはり何かの名称にかえる必要があるんじやないか、こう思うのであります。これはあまり抽象的なことでありますけれども、一応当局考え方を聞いておきたいと思います。
  13. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。まつたく大泉さんの言われますように、地方税におきましては、たとえば市町村民税のごときは、いわば会費のような性質を帯びておるような次第で、徴税納税とは、まつたく地方団体と、その構成者である地方住民との緊密なつながりにおいて処理されなければならないような点から考えまして、納税という言葉を使いますことは、あまりにしかめつらしいような響きもないことはないのであります。これと同じようなことが、従来から用いられております恩給という言葉を改正したらどうかというような御議論があるのと、やや似ておるのじやないかと思うのでありまして、地方税の本質なり、性格から考えまして、言葉の上についていろいろとなお研究を要すべき点もあろうかと思うのでございますが、大体において長い間習熟して用いられておりますような言葉でございますので、その内容の点については、その時代に応じ、また考え方によつて、おいおいとかわつて来ると存じまするが、一応この言葉を踏襲して参つておるような次第でございます。
  14. 大泉寛三

    大泉委員 これはきわめて小さなことですが、市町村雑税の中で入湯税というものがございます。この入湯税というものは、その土地に居住しておる者以外の、いわゆる入湯者から徴收するものと思うのですが、その町村といつても、温泉地帯などはその村全体から温泉が湧出するのではなく、ある部落の中に温泉が湧く、こういうふうにきわめて区域が小さい範囲にある。町村という一つの大きな立場から見ると、町村民全体が課税外になるのか、その部落だけが課税外になるのか、こういうことはやはり明確にしておく必要があると思うのであります。具体的に言うと、一つの村の中に部落が五つも六つもある。その一部落温泉地帯である。その部落民だけが温泉を利用するだけで、また入湯税は免除されるのでありますが、他の方の部落の人は、これはどういうふうに取扱われるかということであります。
  15. 小野哲

    小野政府委員 お説のように、温泉資源がございますところと、またそれを利用する人が必ずしも一致しない場合があろうかと思うのでありますが、一応温泉資源の所在する市町村といたしましては、これが相当有力な税源として考えられますので、税の対象といたしましては、部落内外を問わず、これを利用する者に対して税を課するという建前をとるべきであろうと思うのであります。しかしながら特別の事情等によりまして、減免の措置を講じますことは、これはまた別途考えられるのではないかと考えております。
  16. 大泉寛三

    大泉委員 説明がちよつとわからないのですが、その当該部落住民はもちろん税の負担を免れるのでありましようが、その部落外部落民が入湯した場合に、税を払わなければならないのかどうか、その町村以外の外来客はもちろんでありますけれども、その町村温泉の湧出する部落以外の部落民が利用する場合に、これはどうであるかということを聞きたい。これをはつきりしておかないと、後で執行上非常に困りはしないか。またそれは自治体にまかせるというのかどうか。
  17. 小野哲

    小野政府委員 この法律の解釈といたしましては、部落内外の者でありましても入湯客としてその温泉湯を利用するというふうな場合におきましては、これは課税対象になる、かように考えなければならぬと存じます。もつとも公衆浴場の場合はこれは別でございます。
  18. 大泉寛三

    大泉委員 それから自動車税でありますが、この前も聞いたと思いますけれども、これは営業用自動車自家用との区別は、自家用が相当高額であり、営業用は低額であるというこの考え方は、私どもは逆だと思うのです。営業用であつたならばこれは相当課税としてもよろしいが、自家用の場合はかえつて安くすべきがほんとうではないか。ところがやはり従来からの考え方、いわゆる社会政策的な考え方からして、どうも自家用担税力が多いから、多くとれというような立場であろうと思うが、そうしたお考えであるかどうか。どうしてこれに等差をつけるか、これをお聞きしたいと思います。
  19. 小野哲

    小野政府委員 お答えいたします。普通自動車におきまして、乗用車において、自家用営業用区別いたしておりますのは、大体通念上自家用の方が営業に比較いたしまして、奢侈的な要素がある、かような考え方をいたしておりますがためにこの法律案におきましては、その考えを取入れておるような次第でございます。
  20. 大泉寛三

    大泉委員 奢侈的な考えであるというと、そうした考えはやはり社会政策的な考え方であるというわけですか。他の自動車以外の車はみな同じように取扱つておるが、自動車だけはぜいたく物だというお考えなんですか。
  21. 小野哲

    小野政府委員 自家用営業用とを区別いたしましたのは、ただいま申し上げましたような考え方がおもなものでございますが、この間においてやはり自家用営業用との関係におきましては、その経済的な点等から考えましても、全然同一に扱うということもいかがかと思うのでありまして、特に乗用車の点につきましては、さような場合が考え得ると思うのであります。そういう立場からここに自家用営業用区別をいたしておるような次第でございます。
  22. 大泉寛三

    大泉委員 そういう考えは私はどうも非常に間違つておると思うのであります。将来自動車一般国民の実用に供せられるということを想像したときには、当然これは等差をつくべきではない。一般の車、荷車あるいは自転車と同じにすべきものだ、こう考えるのであります。今日どうも奢侈のたぐいに自動車を使つているということはきわめて少いと私は思います。やはり事業用営業用にみな使われておるのが普通である。また官庁用に今日相当使われておりますけれども、やはりこれは一つ能率的立場において早さをたつとぶという建前からいつて、これはきわめて必要に迫られて使つているものだと私は思う。こういう考え方からすると、自動車奢侈物に、いわゆるぜいたく物に取扱うということは改めてもらいたいと思う。これは要望しておきます。  ほかにお伺いしたいことはありますが、一応私の質問を止めて、ほかの質問者に時間を譲ることにいたします。
  23. 前尾繁三郎

  24. 立花敏男

    立花委員 府県税から先に伺いたいと思います。前の国会の最後のころに次官にお伺いしたのでありますが、今度の府県税が非常にでこぼこになつておりまして、数億ふえるところと、数億減るところとある。ほとんど四割近くふえるところがございますし、逆に減るところがある。こういうでこぼこができておるのでございますが、この事実はお認めになつておられますか、またこの事実に対してどういう対策をお持ちでございますか。
  25. 小野哲

    小野政府委員 立花さんの御指摘のように、道府県相互間において、でこぼこが生じておる。また生ずることが予想されるということは、私どもも認めておるわけであります。この点につきましては、当該地方団体財政需要及び財政收入等を勘案いたしまして、あとう限り調整をはかつて行くようにいたして参りたいと考えております。
  26. 立花敏男

    立花委員 その具体的な調整方法でございますが、どういう調整方法考えておられますか。
  27. 小野哲

    小野政府委員 具体的に申し上げますならば、御承知のように、その目的のために創設されました地方財政平衡交付金運用にまちたいと思つております。
  28. 立花敏男

    立花委員 平衡交付金方法でございますが、平衡交付金は、今までの政府側のいろいろな御答弁によつても、決して常態ではない、できたら地方財政の自主的な独立をはかるのが目的でございまして、地方財政平衡交付金そのものが必ずしも理想的な地方財政確立方法でないということは、大体荒筋が出ておるのでございますが、こういうふうな暫定的と申しますか、臨時的と申しますか、そういう平衡交付金で今度の新しい税法による地方でこぼこを、今後相当長期にわたつて、まかなつて行くということは、非常にむりが生ずるのではないかと思うのでございますが、その点をどういうふうにお見通しでございますか。この平衡交付金で半永久的に地方でこぼこを埋めて行くというつもりでありますか。あるいは何らか別の調整方法をお考えになつておられますか、承つておきたい。
  29. 小野哲

    小野政府委員 地方財政平衡交付金制度を創設いたしました趣旨から、また地方税制の全般的な改革をいたしました基本的な原則から申しましても、地方財政平衡交付金運用によりまして、今後も続いて財政上の調整をはかつて行きたい、かように考えております。
  30. 立花敏男

    立花委員 私どもの見方によりますと、平衡交付金で今後永久的にこういうでこぼこ調整をはかつて行くことは、正常な方法でないのじやないかと思いますし、なおさら最近のように中央財政変動がありますと、平衡交付金そのものの額も、中央財政事情によつて非常に大きな変動を受けることは当然予想されます。こういう場合に、政府が各府県間のでこぼこ調整を、一方的に平衡交付金だけに頼るという方法は、地方財政の基本的な建前に大きな不安があるのじやないかと思うのでございますが、そういう点で、政府といたされましては、平衡交付金一本だという方法ではなしに、やはり平衡交付金を漸次なくして行つて名実とも地方府県財政が自主的に独立できるようにして行くのが、本格的な行き方ではないかと思うのでございますが、その点で、もう少し平衡交付金以外の方法をお考えなさる必要があるのでございますが、今の答弁でございますと、平衡交付金以外には何らお考えになつていないというふうに受取れるのでございますが、重ねて伺いたいと思います。
  31. 小野哲

    小野政府委員 地方財政平衡交付金制度を創設いたしましたのは、今回初めてでございますが、これが運用によりまして、地方財政調整任務を果して参りたいと思つておるのであります。今後の財源確保の情勢によりましては、あるいは地方においては、地方財政平衡交付金を必要としない地方団体も起つて来るかとも思うのであります。また目下検討いたしております国と地方団体相互間の事務の再配分等をいたしました結果、将来におきまして、なお変更を生ずるような場合も起つて来るかと思うのでありますが、要は地方財政平衡交付金の創設によりまして、今後の地方財政の運営がいかなる状況になつて行くかということとにらみ合せまして、なお研究をして参る必要もあるかと思うのでありますが、目下のところでは地方財政平衡交付金制度運用による財政調整措置が最も適当である、かように考えております。
  32. 立花敏男

    立花委員 事務の再配分の問題でございましたが、これは前の国会の途中において御出発になられました神戸さんたちが帰つておられますし、あの当時におきましても、すでに秋ごろには事務の再配分府県の再配分の問題が具体化するであろう。特に道州制の問題などもはつきりするであろうというようなことが言われておつたのでありまして、神戸さん自身そういうふうな意味のことを言われたことがあつたのでございますが、今言われました事務の再配分が、最初に指摘しました地方税收の不均衡の是正、こういう一つの角度からもお考えになる御意思があるかどうか。その点のところをひとつお尋ねいたしたいと思います。
  33. 小野哲

    小野政府委員 御承知のように、地方自治委員会議設置法の中にも、その任務といたしまして国と地方団体相互間の事務の再配分の問題、あるいは国の補助制度の再検討の問題が研究対象になつておりますので、これら事務配分研究の結果によりましては、なお将来において、これと相まつて制度の上におきまして検討を加える場合が起つて来るのであろう、かように考えておる次第であります。
  34. 立花敏男

    立花委員 ちよつと念のために聞いておきますが、莫大な国費を使われまして、しかも国会開会中にアメリカに行つて来られたのでございますが、それの調査の結果とか、まとまつた報告などは、少くもこの行政委員会に出していただけると思うのでありますが、それはどういうふうな段取りになつておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  35. 小野哲

    小野政府委員 御意見のところは、地方行政調査委員会議の方に連絡いたしたいと思つております。
  36. 立花敏男

    立花委員 これはあと言つた方がいいかもしれませんが、一般的な問題になりますので、先にお聞きしておきたいと思います。府県あるいは市町村雑税の中に、相当整理しなければいけないものがあると思います。たとえば鉱業に対しましても、府県税鉱区税がかかつておる。市町村税鉱産税がかかつておる。ところがまた鉱山に対しましては、市町村固定資産税がかかつて来る。こういうふうに、一つ鉱山に対しまして数種類の税金が殺到して来るわけなんでございます。これは法定普通税にもあるわけでございます。この法定普通税の中に、私どもはぜひ廃止してもらいたいと思つておりますところの自転車税荷車税どもございますが、実はこのほかに法定外普通税が無制限にあるわけなのでございます。これに対しましては、地方財政委員会でその規則等によりまして、適当に許可することができるのでございますが、これを私どもは全面的に禁止する方が適当ではないかと思うのでございます。何となれば、私どもが最も危惧いたしておりまする地方財政へのしわ寄せが、結局この法定外普通税でまかなわれる危険が多分にありますので、そういうおそれがあります場合には、やはりこれは全面的には禁止するということを明記しておいた方がいいと思うのでございますが、このお考えがあるかないか。またないとすれば、どういう見通しの上に立たれましてこういうものを全面的に廃止されないのか、承つておきたいと思うのであります。
  37. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいま立花さんから御指摘のように道府県税法定外普通税であるとか、あるいは市町村税法定外普通税が多種多様にあることは御承知の通りであります。この現行の法定外普通税を調べてみますると、今回の地方税法案中に規定されておりまするあるいは附加価値税であるとか、あるいは固定資産税に吸收され得るものも、中にはあるのであります。従いまして政府としまして、特に地方財政委員会におきましては、これら法定外普通税に対しましては、できるだけ整理をいたす方向に進んで参りたいと考えておるのであります。ただこの地方税法案をごらんになつて明らかなように、将来法定外普通税道府県並びに市町村にわたつて、それぞれ創設いたしたいと思います場合においては、この委員会許可を受けなければならぬのでありますが、この許可を与える場合におきまして、いろいろ制限を設けて参りたい。この制限内容は、たとえば国税または他の地方税課税標準を同じくしておる、かつ住民負担が著しく過重になる場合であるとか、あるいは一種の国内関税的な性格を持つておるものであるとか、その他国の経済施策に照しまして適当でないもの、こういうふうなものにつきましては、これを許可しないようにして行きたい。しかしながら御承知のように、当該地方団体において、また地方住民納得の上で、財政需要が明らかであるということ、あるいは税源もまた確立しておるというような場合におきましては、地方財政委員会はこれを許可することを建前といたしているようなわけでありまして、放任するというふうな考えは持つておらない次第であります。
  38. 立花敏男

    立花委員 そういう建前は非常にりつぱにできつておるのでありまするが、実はこの間からたびたび問題になつております青森のりんご税の問題であります。あれは国内関税的な性格をずいぶん持つておるのでございまするが、ああいう明白な形のものすら、実はまだ解決がついていない。政府の結論が下りてないということになりますと、実は私ども法定外普通税で非常に大きな不安を持つわけであります。ああいう明白なものすらまだはつきりした方針が立つてないのでありますから、おそらくこういうものが地方財政委員会許可等で許されますと、全国的に非常に大きな額の法定外普通税がとられるおそれがあるのではないかと思うのでございます。特に今次官地方団体あるいは住民納得というような言葉をお使いになりましたが、住民納得という問題を次官はどういう具体的な方法によつて確認されようとするのですか、承つておきたいと思います。
  39. 小野哲

    小野政府委員 住民納得についてのお話でございましたが、私の考えは、地方団体には住民の公選による議員によつて地方議会が運営されておりますので、地方議会の議決ということを考えている次第であります。
  40. 立花敏男

    立花委員 次官はさつきその二つを別に言われたと思うのです。地方団体意見と、それから住民納得というふうに二つ並べて別におつしやられました。それで私、次官のお考えの中には非常に民主的なものがあると思つてお聞きしたのでありますが、実は住民納得ということは、地方議会意見だということを御答弁になられましたので、これは非常に危険だというふうな感じがするわけなんです、実際問題になつておる青森のりんご税にいたしましても、住民意見と議会の意見とは必ずしも一致していない。ですから次官が前に地方団体意見住民納得ということを言われました以上は、住民納得ということは、やはり一応地方議会意思とは別にお考えになつておると思つて質問いたしたのでありますが、もう一度この点をお聞きしておきたいと思います。
  41. 小野哲

    小野政府委員 私の所見をはつきり申し上げますが、国民意思を代表するものは国会であり、地方住民意思を代表するものは地方議会である。従つてこの議会制度は、十分に尊重すべきものであると考えております。
  42. 立花敏男

    立花委員 これは現在の地方自治法の欠陥とも思われる点なのでございますが、他の問題には條例の改廃あるいはその他のことが許されておりますが、地方税の問題に限つて住民意思表示である地方税に関する條例の改廃はできないことになつております。これは私自治法の大きな欠陥だと思うのです。しかし欠陥であるにしろ何にしろ、とにかく地方議会が決定いたしました條例に対しましても、やはり條例の改廃と住民の直接請求というような形が、最近では認められておるわけなのでございます。これがやはり地方自治の最も人民的な民主的な直接的な意思表示になつておるわけなのでございますが、こういう方法が許されておる時代にかかわらず、地方議会意見だけを参考といたされまして、法定外普通税をおきめになるということは私少し片手落ちじやないかと思う。やはり最初次官の申されましたように、地方団体意思住民納得というその言葉を文字通り率直におとりになられまして、もう一度住民納得という形が地方議会の決定以外に——住居の納得が不可欠條件でそれに従えというのではございませんが、政府としては何らかの形で親心的な立場から住民の実際的な立場をお考えになる御意思があるのかどうか、それをひとつ承つておきたいと思います。
  43. 小野哲

    小野政府委員 だんだん言葉の問題になるのでございますが、私の意見を申し上げますと、住民納得地方議会の上に反映することが最も望ましい。先ほど地方団体考え方と申しましたが、地方団体を構成しておりまするものといたしましては、自治機関もあればまた議決機関もあるわけでありまして、わが国の地方制度における運営の方式というものにつきましては、立花さんも十分御承知のことと思うのであります。しかしながら、基本的には議会主義を認める限りにおきましては、住民意思なり住民納得の気持がその議会に反映いたされまして、団体の運営をやつて行くということが最も望ましいことであるという気持から申し上げた次第であります。
  44. 立花敏男

    立花委員 ちよつと資料的にお尋ねしたいのでございますが、現在幾種類の法定外独立税がありまして、その金額はトータルで幾らになつておるか、ちよつとお聞かせ願いたい。それを目安として大体どれくらいの程度に軽減しようとしているか、資料的に数字的にお知らせ願いたいと思います。
  45. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 種類で申しますと百八十種類くらいに及んでおります。税額で言いますとちよつと私はつきり覚えておりませんが、約二十億円くらいではないかと存じております。今度の改正案によりましては重複課税等のものを整理しなければなりませんので、特に地方財政委員会が指定したものしか残らないというふうな税法案になつております。
  46. 立花敏男

    立花委員 その見通しはまだわかりませんか。
  47. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 大幅に減額になりますので、残るものがむしろ例外だというふうにお考えいただいてさしつかえないと思います。
  48. 立花敏男

    立花委員 ちよつと聞いておきますが、青森の場合などは、あれは例外なんですか。どういう意味で例外ですか、お答えを願いたい。
  49. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 青森のりんご税の問題はまだ決定されておりませんので、どのような措置地方財政委員会でとられるかわからないわけでございまして、新しい法律が成立いたしましてから後、初めて地方財政委員会にかかる権限が与えられるわけでございますので、その際に否定するか、肯定するかということはまだ未定の問題であるわけであります。
  50. 立花敏男

    立花委員 大部分の法定外独立税が廃止になるという見通しだとおつしやいましたので、はつきりその見通しがお立ちになつておるのなら、青森の場合もはつきり見通しがついておるわけであります。そう思つてお尋ねしたわけであります。
  51. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私が大部分廃止になるというふうに申し上げましたのは、現在の法定外独立税の大部分が固定資産税に吸收されますのと、もう一つは赤字企業に対しまして特別な税を課しておるのでありますけれども附加価値税が創設されますと、この趣旨の法定外独立税が意義をなくしますので、そういう意味合いから当然新法から法定外独立税の大部分がなくなる、こういうように申し上げておるわけであります。
  52. 立花敏男

    立花委員 個々の税に入りたいと思います。入場税は警察税であるということは明らかだと思います。これは前の地方財政委員会でございますか、たしか神田さんだと思いますが、そういうふうな発言をなさつて、事実各地方団体におきましても、入場税は警察の費用にあてておる、額においても大体見合うようになつておりますし、総額におきましても警察費の六割くらいは入場税行つておるようでございますが、そういう入場税を今後やはり存置なさるということは、私どもどうも不可解なんでございますが、特に府県にこれが移りますと、府県では御承知のように警察の費用はあまりいらないはずなんでございますが、これをどういうふうにお使いになるつもりでございますか、お聞きしておきたいと思います。
  53. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいま立花さんが入場税が警察税であるというふうに言われたのでありますが、単に警察税という目的税の性質は持つておらないと私は考えるのであります。今回入場税が税制の改正によりまして、道府県に移ることになるわけでありますが、一面市町村に対しましては全体の財源といたしまして四百億程度のものを増加することに相成りますので、この点については御懸念はないと考えております。
  54. 立花敏男

    立花委員 むろん私は目的税のための意味で言つたのではございません。実際問題上地方の警察の費用が入場税でまかなわれておるということは事実なんです。また国家から地方入場税を移します場合の根本的な理由も、やはり警察制度が新しくできまして、そのための費用がいるから入場税を移したということも周知の事実であり、また国会関係でもそういう論議があつて移されておるのであります。だからこれは本質的に警察税であるということは間違いないと思います。特にそれは、事実はいろいろな問題から証明されるのでありますが、地方自治警察ができました場合に、特に今まで国税で五〇%しかとつておりませんものを、二〇〇%に引上げまして、それを国税から地方税に移しておるということ、これは事実的にはつきり証明されておるのでありますが、こういう問題がありますので、入場税は警察税であるということは明らかなんです。この問題が今度自治体警察を持つております市町村から府県に移るのでございますが、この問題は今度の警察予備隊の設置の問題と関連いたしまして、従来でも府県では国家警察に対しまして警察協力費の名目で数百万円ずつ年に出しておるわけであります。こういう形で現在警察を持つていない府県に警察税である入場税が移管されまして、これがどういうふうに使われるのかということは、非常に疑問を持つわけでございますが、もし府県に警察に使う必要がないならば、私どもはこの入場税を全廃されたらいいのではないか、警察税の建前からおつくりになつ入場税は、やはりこの際警察の費用がいらない府県に移されるのでございますから、こういうものはおやめになつたらいいのではないか、特に警察の費用として五〇%であつたものを二〇〇%に引上げ、その翌年であつたか一五〇%に下げられておりますが、新しくできた警察をまかなうための費用として、世界一高い税率が課せられておる、それをそのまま警察の費用のない府県にお移しになるくらいならば、この税金をおやめになつた方がいいと思うのでありますが、政府の見解を承つておきたいと思います。
  55. 小野哲

    小野政府委員 入場税地方に委讓されましたのは、たまたま新しい警察制度が創設されるときと時期を同じういたしておりましたがために、当然立花さんは目的税ではないとはおつしやいますが、警察費に充当するための税を、特に創設したのだというようなお考えを持つておられるようでありますが、私の考え方はややそれと異つておりまして、この入場税が今回道府県に移されることに相なりましても、総合的な財政計画の一環として、他の税目と相まつて道府県の收入をはかるための重要な財源と考えておりますので、この点につきましてはやや所見を異にするものと考えております。
  56. 立花敏男

    立花委員 警察の目的に使つたのではないとおつしやいますが、そうなればなぜ自治体警察を創設すると同時に、国税である入場税地方に委譲したのかその理由がはつきりいたしませんし、また今まで五〇%でありましたものを、すぐ四倍の率に引上げまして二〇〇%にしたということも、私ども理解ができないのであります。このことはもう国会関係、あるいは地方財政委員会関係の資料にも上つておることなのでございまして、新しい自治体警察の創設のために、その費用として入場税を委譲したいということは明らかなのでございますから、否定なさる必要はないと思うのでございますが、そういうものをそのままの形で府県に委譲するということが、私は非常にむりではないかと思うのです。だから委譲されるのであれば、やはり入場税を少くとも世界的な水準まで引下げられて、普通の入場税の形になさるか、その他の適当な方法をとつておやりになるのが適当でございまして、この非常に目的税的な警察税的な意味を持つておりましたものを、そのまま府県に移すということは、私ども納得できないと思うのであります。この点でそういう立場から入場税を修正なさる、あるいは全廃なさる御意思があるかないか承つておきたいと思います。
  57. 小野哲

    小野政府委員 お答えいたします。入場税の存廃の御議論のようでありますが、これはあげて地方財政がどの程度まで緩和されるかということと見合いまして将来検討いたしたいと思うのであります。今回は地方税制の画期的な改革をいたしまする際に、入場税につきましてもできるだけ軽減の措置を講じたいという意味合いにおきまして、税率につきましても多少の軽減をはかつておることは御承知の通りであります。
  58. 立花敏男

    立花委員 入場税ではほかにたくさん問題があるわけなのです。入場税は直接税と間接税の悪い面だけを寄せ集めたような、納税者あるいは徴收義務者にとりましては、非常に大きな責任が負わされておるのでございまするが、これは税法上の建前から行きましても、非常に苛酷な形になつておるのでございます。こういうものを間接税的なものに限定するとか、あるいは直接税的なものに限定するとかいうようなお考えはございませんでしようか。
  59. 小野哲

    小野政府委員 間接税、直接税の御議論かと思うのでございますが、これは大体見せものその他を見る人からとる税でございますので、私は消費税と考えております。
  60. 立花敏男

    立花委員 今度入場税が予納制になつております。予納制ということになりますと、とらない前に納めることになりまして、とれるかとれないかわからないものをやはり納めなければいけない、こういう点で直接税と間接税との悪い部分が錯綜して、徴收義務者等に振りかかつて来ておるという形が出ておるのでございます。非常にむりな税金になつておるわけでございます。これは次の遊興飲食税なんかにもそういう形が出ておりますが、こういうふうに、今度の税法によりますと、金をとる面だけの立場が非常に考えられておりまして、納税者あるいは徴收義務者の面はあまり考えておられないのでございます。この点を改正なさる御意思があるかないか承つておきたいと思います。
  61. 小野哲

    小野政府委員 入場税は先ほど申しましたように、入場いたしましてものを見物したり、あるいは施設を利用する者からとるという建前にいたしておるのでありますが、ただテント張りその他のようなきわめて仮設的な方法によつて臨時に興行いたすような場合におきましては、なかなか入場税の確保ということが困難な場合もあることが予想されるのであります。従いまして、この税法案におきましては、さような場合においては予納することができるという道を開いておりまして、入場税の確保のために、また脱税を防止するための措置考えておるような次第であります。予納と申しましても当然納めらるべき入場税の内払いとでも申しますか、そういうふうな考え方でございます。
  62. 立花敏男

    立花委員 税種がたくさんありますので、あまりこまかく聞いておりましても何でありますが、もう一つ人場税について聞いておきたいと思います。それは小屋主が払うという問題でございますが、税法上の考え方から見ましても小屋主には何もそういう義務はないわけでありますが、どういう法的な根拠から小屋主が入場税——あなたが言われました消費税を小屋主が負担しなければいけないのか。これをひとつはつきりしておきたいと思います。
  63. 小野哲

    小野政府委員 これはたとえば臨時興行等をやつております場合におきまして、もちろん興行者は一応その一定の施設を借受けて興行するのでありますが、いわばその場合におきまして特別の徴收義務者が納入義務を怠りますような場合におきましては、こういうふうなものに施設等を供与いたしました所有者に対して、いわば一種の連座的と申しますか、連座的な規定を設けまして、納入義務の代行をしてもらう、従いまして所有者は特別徴收義務者と連帯納入の義務を負うわけではないので、一種の保証債務と申しますか、さような考え方を入れておるような次第であります。
  64. 立花敏男

    立花委員 そういうことが現在の民法の概念から申しまして、あるいはその他の考え方から申しましても許されるかどうか。私非常に大きな疑問があると思うのでございます。こういうことは地方税法できめましても、あるいは無効じやないかと思うのでありますが、どういう法的な根拠に基いているか、確たる根拠をお知らせ願いたいと思います。
  65. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 新しくそういう制度を設けたいので、ここに提案いたしておるわけでありますけれども、一応従来からありました制度で申し上げますと、納税義務、あるいは特別徴收いたしました税金の納入義務、こういうものにつきましての連帯義務を課しております。と言いますのは共同主催にかかりますような場合には、共同主催者は連帯して税金を納入しなければならない義務を負つておりますし、あるいは土地、家屋等共有いたしております場合には、共有部分のいかんにかかわりませず、金額につきまして連帯して納付しなければならない義務を負つておるわけであります。そういう思想を拡張したものというふうにお考えいただけばよろしいと思うのでありまして、ただ映画興行等の例を取上げますと、その間の所有者と、それから興行を主催いたします者とが必ずしも共同主催という形はとつていないような場合もあるわけでございますが、ただ正しく税金を納入するような興行をやつてくれるものであるかないかということなしに、所有者が小屋を貸すというのでなく、ある程度は今申しました連帯納入義務の観念を持つた行き方で、果すべき義務を完全に果せる人に貸すというふうなかつこうに、所有者も運営して行つてもらいたい。こういう希望をこの條文に表明しているというふうに御判断いただきたいと思います。
  66. 立花敏男

    立花委員 これは希望でございますが、希望だつたら必ずしもやらなくてもよろしいということになるのですが、そういう希望的な、精神的な規定なのでございましようか。私そうじやないと思う。罰則もついておりますし、やはり納めなければいけない、納めなければむりにでもとられるというものじやないのでしようか。
  67. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私は立案いたしました趣旨を申し上げておるのでありまして、これが成文化いたしましたあかつきには、強制的な義務になると思います。
  68. 立花敏男

    立花委員 小屋主は正しい興行をやるものに小屋を貸さなければいけない。そういう建前から、正しくないものに貸したんだから小屋主も連帯責任があるというふうに言われるのでございますが、正しいか正しくないかは別問題だと思います。いくら正しくやりましても、興行が当りませんと損をいたします。その場合にはやはり払える税金も払えないことになるのは当然なんでございますが、そういうことも、あなたの御説明によりますと、小屋主まで興行の危険と申しますか、投機的な性格に責任があるということになると思うのでございまして、これでは私は小屋主に不当な責任を持たすことになると思います。そういう建前からお考えになりますと、非常に不当な責任を、また不当な責任から生ずるところの不当な税の負担を小屋主にかけることになると思うのでございます。これはもつと納得のいく御説明をいただきませんと、今のような、正しく興行するかどうかを小屋主が見きわめて小屋を貸さないから、また貸すべき責任があるから、連帯責任として小屋主に税金を納めさすのだというのでは納得できませんから、この点もう少し納得の行く御説明を願いたいと思います。
  69. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 どうも根本的の考え方に若干食い違いがあるのではないかと思います。いろいろ興行をやつて、損をしたから税金として受取つたものも使つてしまつてよろしいんだという観念は、われわれはやはり持つべきではないと思うのであります。もとより興行いたしました場合には、損をする場合もありあるいは大きく利益を上げる場合もありますけれども入場税として徴收いたしたものはやはり地方団体の税金として徴收いたしまして、言いかえれば地方団体の税金として預つているものであります。この預つているものでも損したからそれは使つてよろしいんだ、だから所有者に義務を負わせることは酷ではないかというお考えはわれわれとしてはとりがたいのでありまして、やはり税金を徴收し、税金として預つているんだという建前を貫いて行きたいと思うのであります。もとより興行をして損をした場合はまことに気の毒なことで同情すべきことでありますが、しかし税金の問題はやはり別のものだという観念をもつて行きたい、かようにわれわれは考えておるのであります。
  70. 立花敏男

    立花委員 私は、納めるべきものをとつておきながら納めないと言つているのではない。善意で正しく興行いたしましても納められないような状態に陥つた場合は、私はこれは決して小屋主の責任ではないと思うのであります。小屋主の責任と言いますが、小屋主の責任ではありませんので、その責任を小屋主にまで持つて行くことはあまり行き過ぎではないか、そういうことを言つているのです。特にこれが予納制とからんで参りますと、そういうことがうまく行くという見通しで予納制をやられました場合に、やはり小屋主が連帯責任で負担をしなければいけないということになつて参りますと、おそらく小屋主は小屋料を非常に高くするでございましようし、うつかりした団体は小屋が借りられないという状態になつて来るわけであります。この点で、私はあなたの言われるように、不正をされないようにとか何とかいう建前から言つているのでは決してない。実際上不都合な部面が起つて、かけるべきでない責任を小屋主に負わすことになる。しかもそれは日本の民法その他から申しまして決して妥当とは思われないから申しておるのでありまして納められない税金は納めなくてもいいという根本的な建前から申しておるのではございませんから、その点はひとつ誤解のないように願います。
  71. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 できますれば、こういう規定のない方が好ましいかもしれません。しかしながら、最近の風潮を眺めまておりますと、最初から脱税の意図を持つて興行をやつている事例も若干見受けられて参りましたので、地方団体の要望にこたえましてこういう規定を置いたわけであります。しかしながら、一律にこの規定を発動するわけではございませんで、御承知のように、単に地方団体にこういう権能を付与しただけでございまして、実情を見きわめた上、必要があります場合には、こういう措置地方団体がとることができるようにいたしておるわけでございます。もとより小屋を貸す人たちは、興行者が損をいたしました場合には、小屋の貸付料をもらえないかもしれません。そういう問題が根本にあるわけでございます。もとより不当に脱税するような人たちに対して、小屋を貸すこともないだろうと思いますけれども、その義務をさらに入場税相当額の納入義務にまで高めまして協力してもらいたい、脱税を防止する意味において小屋の所有者にも協力してもらいたい、こういう意味合いにおいてこの権能を地方団体に与えるように立案いたしたわけでございます。
  72. 立花敏男

    立花委員 協力してもらいたいというような希望的な條文ではないわけで、あなたも言われましたように、これは強制的な條文になつてくるわけです。それを小屋主に負わすということは、現在の日本の法的な観念から申しましても、あるいは債権債務の考え方から申しましても、あるいは税金の根本的な考え方からいたしましても、これは明かに私は不当だと思います。納税者徴税義務者、それ以外に全然第三者である小屋主が税金を負担しなければならぬというようなことは、これはまつたくべらぼうなことでありまして、この点は法務総裁に来ていただきましてはつきりいたしませんと、この條文は重大な問題を起すと思いますので、あとに讓つておきたいと思います。  次に遊興飲食税でございますが、遊興飲食税は戦時中の税金でございまして、戦争中にどんどんふえたものです。これは大正中ごろでありましたか、遊興的なもの、主として芸者をあげて遊んだり、あるいはお茶屋で遊んだりした者に対する特別な税金がある府県で実施された。それが全国的に広がりまして、戦争中にずつと拡大され、しまいにはコーヒー一ぱい、うどん一ぱいにまでかかるような戦時税制になつて来たわけでありますが、こういうものが戦争の終りました後もなお引続き行われておるということは、税制の上で戦争体制がまだちつとも解決されていないということを証明していると思うのであります。政府といたしましては、これを元の形のまつたく奢侈的なもの、まつたく遊興的なものに限定いたしまして、一般の勤労大衆が飲みますコーヒー、この暑い時分に飲みます氷、サイダー、ラムネこういうものには税金をかけないという原則を、はつきりお表わしになる必要があると思う。この問題は大泉さんもお触れになりまして、遊興飲食税という名前が、大衆的な名前であるからかえないのだというお言葉でありましたが、そういう根本的な観念をお立てになつて、その実を現わすようにやはり名称もおかえになる必要があると思うので、こういうはつきりしたものになさるお考えがあるのかないのか承りたいと思います。
  73. 小野哲

    小野政府委員 立花さんの言われましたように、もちろん耐乏生活の状態におきましては、奢侈的な遊興飲食税につきましては、禁止的な考え方が加味されておつたということは事実であろうと思うのであります。しかしながら、その後事態の推移に応じまして、単なる飲食あるいは宿泊等につきましては、税の軽減をはかつておるような次第で、今後地方財政の情勢なり、あるいは徴收の実績または、納税義務者諸君の協力の程度いかんというふうなことを考え合せまして、さらに将来の問題として研究いたしたいと考えておる次第であります。
  74. 立花敏男

    立花委員 この問題は自由党の方自身すら遊興飲食税を納める業者とお会いになり、また自由党の修正案の中にも、この問題が含まれておつたのであります。政府自身はそれをあまりお考えにならずに元のままの形で出して来ておりますが、やはりこの際私は、かつての戦時税制であつたものをはつきりと改めまして、純粋な遊興的なものと不可欠な飲食との二つを別にいたしまして、不可欠の飲食には、全然かけないという原則を確立していただきたいと思います。  それから自動車税でございますが、自動車税自家用は一万五千円になつておりますが、これは固定資産税でおとりになりますと、現在の自家用のりつぱなものは百万円、二百万円いたします。百万円にいたしましても一万七千五百円、二百万円にいたしますと三万五千円の税金がとれるのであります。これをどういう意味で一万五千円に限定なさつておくのか、しかもこういうりつぱな、百万円、二百万円の自動車を持てる連中は、次官も言われましたように、これは明らかに奢侈的なもの、同時にそういう連中は明らかに担税力のある連中なんです。こういうものに対しまして、一万五千円に限定いたしまして、それ以上はとらないという考え方は、これは税の公平という観念から非常に矛盾するのではないかと思うのですが、その点の御説明をいただきたいと思います。
  75. 小野哲

    小野政府委員 自動車税に関する御意見でありますが、ただいまお話のようにもし固定資産税ということになりますと、非事業用自動車は一切非課税対象に相なるわけであります。ただ今回普通自動車の中で乗用車について自家用営業用区別いたしましたのは、先ほども申し上げましたような考え方があるのでありますが、これが算定の基礎につきましては、現行地方税法によりまして、各都道府県自体において行われておりますものを調査いたしました結果、大体において平均のところを押えまして、今回の税額といたした次第であります。
  76. 立花敏男

    立花委員 自動車税の問題は、問題は小さいようでありますが、私ども一般勤労大衆は毎日々々あのすし詰めの市電で通いまして、自動車に乗つてつておりますものに対しましては、非常に羨望の眼をもつて見ております。こういう問題が税の上に現われて参りまして、非常に安い税金である、しかもそれがとれるにかかわらず、安い限度で押えられておるというようなことが、端的にこういう形で現われて参りますと、私ども立場からいたしますと、これは人心に非常に悪影響があるのではないかと思います。とにかくこの税金は最も端的に現われております税の不均衡の例でありますから、これはひとつ即時改めていただきたいと思います。  それから鉱区税でございますが、鉱区税は最初に申しましたように、府県税鉱区税市町村税鉱産税あるいは固定資産税と非常に重複するところがあるのでありますが、こういうものを一本におまとめになる御意思がないかどうか、お聞きいたしたいと存じます。
  77. 小野哲

    小野政府委員 ただいま鉱区税あるいは鉱産税の問題がお話に上つたのでありますが、御承知のように鉱産税附加価値税との関連におきまして、特に独立税を設定したような次第でございまするし、鉱区税は御承知のようにこれはまた別の建前から設定された一種の特権税と申してよいかと思います。この両者は必ずしも合併しなければならないという理由はなかろうと考えております。
  78. 立花敏男

    立花委員 それから漁業権税は、昨日の合同審査の場合にも、水産委員会の方から二重課税だという強い要望があつたわけなのでありますが、これはぜひひとつとらないという建前で御訂正願いたいと思います。これは経過を見てからというような昨日の御答弁でありましたが、とらないという建前にいたしましても、とろうとすればとれるのでありますし、やはりこういう二重課税になるおそれのあるものは業者に対しまして非常に不安の種になりますので、こういうものはこの際除いておいて二重課税にならないという見通しがついた場合におとりになるようにしてもよいのではないか。わからないものに今から網を張つてつているというやり方は、私どもは非常に納税者に対して悪い影響を与えるのではないかと思いますので、この点はとらないというふうにおきめ願いたい。特に漁業権税の問題は影響するところ甚大でございまして、全国の何百万の漁民の大きな関心事でございますから、はつきりそういうふうにやつていただきたいと思います。次官の御意見を承りたい。
  79. 小野哲

    小野政府委員 昨日の連合審査会におきまして、関係政府委員からも御答弁申し上げましたように、新漁業法が実施されましたあかつきにおきましては、現行の地方税法中に定められておりまする漁業権税の課税標準については、再検討をいたさなければならない時期が当然到来するわけでありますので、その機会に十分な検討を加えて参りたい。ただ、ただいま立花さんから言われましたように、今から漁業権税を廃止してはどうか、こういう御意見でございますが、漁業権税もまた地方財政の現状から考えますと、相当の財源と相なつておりますので、全体の財政運営の見地から考えまして、ただいまからこれを廃止するという考えは持つておりません。
  80. 立花敏男

    立花委員 次官の御答弁はたえず財政需要の見地から言つておられるのでございますが、やはり納める者の身になつてひとつ考えていただきたい。財政需要財政需要と申しておりますと、幾らとつてもこれはとり切れないと思う。財政需要ということも、払えるか払えないかということを考えておきめになりませんと、困ると思うのであります。ですからそういう点で漁業権税の問題もはつきりお考えください。そうして財政的に必要だから、これは二重課税になつても置いておくのだという考え方は、やはり考え直していただきたいと思います。  それから狩獵者税でございますが、狩獵者と申しますものは、非常に特殊なものでございますが、この中には私は遊獵的なものとまつたく職業的なものと二つあると思うのでありまして、これを区分する必要があるのではないかと思いますが、これを区分するお考えがあるのかないのか、全国的に見まして狩獵者の数と、それからその中で趣味的なものと職業的なものと、どういうふうなわけ方になつているか、ひとつお知らせ願いたい。
  81. 小野哲

    小野政府委員 狩獵者税は御承知のごとく免許を受けて狩獵をする場合、言いかえれば狩獵行為に対して課税せられるいわば特権税でございますので、この法律案といたしましては、今申されましたような遊獵の場合と、しからざる場合との区別は設けておらないのでございます。
  82. 立花敏男

    立花委員 これは私はぜひひとつ区別していただきたいと思う。この忙しいのに鉄砲を持つて山を歩きまわる連中に、それだけで食つている連中と同じ税金をかけるということはべらぼうなことである。これは区別をされまして、鉄砲を持つて日本中鳥を打つてまわつている連中には、税金をかけていただきたいと思います。  次は市町村税自転車税荷車税でありますが、これは私はぜひやめていただきたい。特に荷車税などは年額八百円もとるのですが、今言いましたように、ぴかぴか光つて百万円も二百万円もする自動車に乗つておりましても、一万五千円ぐらいしかかからないのに、百姓になくてはならない荷車、こういうものに年八百円もかけるのはべらぼうなことではないかと思います。こういう考え方は税の比較からいたしましても、額の比較からいたしましても、明らかにこれは税の均衡という建前に反しておると思うのでありますが、こういう税金をとるというお考え自体が、私は非常に間違つておるのじやないかと思います。これはぜひひとつやめていただきたいと思うのです。自転車税にいたしましても、自転車をたくさん持つておりまして、貸し自転車屋をやるとか、あるいはこの自転車を持つていること自体が、何らかの営業をやつているという場合は別でございますが、農村から近くの工場へ通いましたり、あるいは子供が近くの新制中学などへ通いますのに自転車税をかけたり、あるいは肥料を運ぶ荷車荷車税をかけたりする。こういうことは行き過ぎじやないかと思うのであります。政府の方針といたしまして、この際府県市町村を通じての雑税を整理されるというのであれば、こういうものこそまつ先にやめるべきではないかと思うのですが、なぜこういうふうに自転車税荷車税をお置きになつておるのか、ひとつその理由をお聞かせ願いたいと思います。また自動車税に対して荷車税が八百円になつているという、この金額の比率の点についてもお聞かせ願いたいと思います。
  83. 小野哲

    小野政府委員 自転車税荷車税は、いわば物件に対する課税でございますが、しかし今回の税法案の趣旨から考えますと、固定資産税対象となるべきものであります。しかしながら、ただいま御指摘になりましたような事情等をも勘案いたしまして、固定資産税からはこれをはずしまして、独立の税として適当な税率によつて負担を願う、こういうことにいたしたような次第で、ただいま御意見のありましたような点につきましては、なお将来の研究問題といたしたいと考えております。
  84. 立花敏男

    立花委員 これは固定資産の中に入れば税金はかからないのですね。子供が乗つて学校へ行く自転車なんかには税金はかからないわけですね。そうだとすれば、やはり農村の子弟が新制中学へ通う自転車なんかには、なるべくかからないような建前でこの税法をおつくりになるのが親心ではないかと私は思うのです。それをわざわざ固定資産からはずしまして、自転車税としてとれるような形で、とれるところからとろうという形が、やはりはつきりと現われておると思うのでありますが、こういう点でひとつ自転車税荷車税を廃止するという方針をはつきりしていただきたいと思うのですが、もう一度この自転車税の問題についてお聞かせ願いたいと思います。
  85. 小野哲

    小野政府委員 大体荷車税自転車税の税率を算定いたします場合におきましては、各都道府県地方団体における税率等を調査いたしまして、それを基礎として大体適当なところに押えたような次第で、特別にこれを高く課税するという考えではないのでございます。
  86. 立花敏男

    立花委員 最後に希望を申し上げておきますが、子供を学校へやるということは、現在実は非常にたいへんなことになつております。それが子供が乗つて学校へ通う自転車にまで税金をとられるということになりますと——おそらくこれは新制中学に行く時代になりますと、自転車を買つても御承知のように一台一万円近くかかります。それに年々税金がかかつて来ます。そうしますと学校に行くのをやめるということになつて来るのではないか。現在の困窮した農村ではこれからどんどんこういう現象が起つて来るのではないかと思いますが、やはりそういう点も十分お考えになつて、私はこの自転車税荷車税の問題を善処していただきたいと思つております。  それから電気ガス税でございますが、これは前の国会からも問題になつておりましたし、きのうも社会党あたりから意見が出ておりましたが、農業用の電力に対して政府は免税なさるお考えがあるかどうか、聞いておきたいと思います。
  87. 小野哲

    小野政府委員 昨日来、電気ガス税につきましては、いろいろ御論議があつたのでございますが、ただいまお話のありました農業用電力について、これを非課税もしくは免税にするという考えは持つておりません。
  88. 立花敏男

    立花委員 しかし軍需産業にはどんどん免税しておりながら、この農業用電力には免税しないという理由を、ひとつお聞かせ願いたいと思う。
  89. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 現在あります電気ガス税の免税規定をなぜ置いたかという問題から出発するわけなんでありますけれども、当時なお価格統制というものが相当広範囲に実施されておりまして、またすでにその反面価格調整金が国から支出されておつたわけであります。こういうふうな関連から国の財政にも関連を持つて参りますので、その辺で線を引きまして免税規定を置いたわけであります。しかしながら、この免税規定を置いておることがはたしていいのか悪いのかということが根本の問題になるわけでありまして、価格調整金が交付されておりまする間は、電気ガス税をとりましたならば、それだけ価格調整金をよけい交付しなければならないという、持つてまわつた問題になつて参るわけであります。しかしながら、そういうものが最近大幅になくなつて参りましたので、むしろあいまいな助成策をとることはやめて、助成の必要があるものは、それに新して交付金を交付するなり何なりしたらいいのではないかという考え方もあるのであります。そういう意味において、御承知のように地方財政委員会設置法の中に、現在あるいろいろな免除の規定は再検討を加えて、次の国会にそれを報告しなければならないという規定になつておりますので、さしあたり電気ガス税につきましては、あまり修正を加えないというふうなことで、ここに提案されておるわけであります。実際問題といたしましても、免除をしますものと、課税しますものとの区分は非常に困難でございまして、実際に運用の面においてもむずかしいだろうと思います。助成の面においてはやはり別の補助金を交付するなり何なりすべきことであつて、原則として免税の制度によるのがほんとうだと思つております。
  90. 立花敏男

    立花委員 非常にりつぱなお考えだと思いますが、それをひとつ拡充されまして、農業用電力にも免税願いたいと思います。価格統制をやつておる工業、あるいは具体的に申しますと、価格補給金等をやつておる工場もあるだろうと思いますが、こういうところを標準として免税されたとするならば、たとえば農業の問題ですと、外麦等の輸入に対しては、莫大な価格補給金を出しておるわけであります。こういうものに対しては補給金を出しておるから免税の対象になるというのであれば、四百億もの莫大な補給金を出しておりますところの主食生産に従事しておる農業用電力は、当然免税にすべきである。これはあなたのお考えがりつぱであると思いますから、それを徹底する意味におきまして、私は農業用の電力はぜひ免税になさる必要があると思いますが、もう一ぺん御意見を伺いたい。
  91. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私が価格調整金との関連で申し上げましたのは、たとえば鉄鋼事業、これに対して鉄鋼の価格を統制しておりまして、その反面政府から相当の調整金が出ておつたわけであります。これで鉄鋼関係が相当の電気を消費するわけでございまして、これに電気ガス税を課税いたしますと、それだけ鉄鋼の生産費が上るわけであります。そういたしますと、価格調整金をそれだけよけい交付して行かなければならない。そういたしますと、結局地方財政で徴收すべきものを国庫財政で補填して行かなければならない、こういうことになるものでありますから、やむを得ず免除の規定を置いたわけであります。しかしながら今お話になりました問題は、電気ガス税の免除を受けるものと、価格調整金の交付を受けるものとは別でございますので、そのような必要はない、こういうふうな考え方をしているわけであります。価格調整金を受けるものと電気ガス税を納付しなければならないものが同一である場合には、今申し上げましたような関係が生ずる、かように申し上げておるわけであります。
  92. 立花敏男

    立花委員 普通の家庭におきましては、現在家賃よりも電気代の方が高いというところが多分にあるわけです。これにガスなどが入つて参りますと、電気代とガス代だけで数千円払わなければならないところがたくさん出て来ている。こういう場合にやはり一方的に軍需工業的なものだけに免税いたしまして、一般大衆にはそういう莫大な負担をかけておる。しかも同じ重大な生産に従事しております農業に対しては、免税しないというような考え方は、これは明らかに資本擁護的な地方税の政策であると言われても仕方があるまいと思うのでありますが、これはひとつ即時改めていただきまして、農業用のものも明らかに免除するということを規定していただきたいと思います。  それからこれは再三繰返しましたが、広告税でございます。広告税は私ども共産党にとりましては重大な問題でございまして、ポスター一箇十円というようなことが書いてあるのでありますが、ポスター一箇について十円ずつ税金をとられますと、アカハタが今禁止されていますし、財源がなくて困つているので、たいへんなことになるのですが、一体どういう標準でポスター一箇十円というものをおとりになるのか、またちらしは千枚につき五十円と書いてありますが、京都の選挙では数百万枚のビラをまいておりますが、あれにみな税金がかかつて参りますと、税金だけでこれは立つて行けませんが…(「そこがねらいなんだ」と呼ぶ者あり)そこがねらいなんですか。それを聞きたいと思います。
  93. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 共産党が大いに宣伝をされましても税がかかりませんように、五百八十六條の第一項の第二号に、政治資金規正法第三條の政党、協会その他の団体が政治上の目的のためにする広告には広告税を課することができないことを規定してあります。
  94. 立花敏男

    立花委員 それから次の入湯税ですが、これは一見温泉客にかけるのだから、非常に奢侈税的だという意味でお残しになつたと思いますが、そういう意味ですか。
  95. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 温泉地帯におきましては、いろいろと特に施設を講じなければならない問題もございますので、そういう経費と関係のあるものについては、ある程度收入をあげられるような道を開いておいた方がよかろうという考え方で、入湯税が創設されたわけであります。同時にまた入湯客については、原則としては大体この程度の担税力があるだろうというように考えておるわけであります。しかしながら、入湯客につきましては、中にはまつたく健康上の者もあり、しかも生計費に惠まれない人たちもたくさんあるだろうと思いますので、そういう者はやはりある程度認定によつて免除して行かなければならないと思うのでありまして、地方団体には現に若干そういう面について配慮を加えているところがございます。これはそういうことを目的とする温泉地帯において講ぜられる措置でありまして、単にまつたく歓楽的な温泉地帯においては、そういう規定を置くとかえつて意味をなさぬだろうということも考えられるわけであります。
  96. 立花敏男

    立花委員 入湯税をおとりになるのであれば、奢侈税の意味でもつとおとりになつた方がいいのじやないか。二回十円ですと、一箇月温泉行つておりましても、三百円払えばいいのでありまして、これでは奢侈税の意味がないと思うのですが、こういうところではとれる税金がたくさんあると思いますので、こういうものは私はおとりになつた方がいいのじやないかと思う。それから接客人税は、年額にいたしますと、やはり千数百円という相当の額になりますから、これは私は絶対にやめていただきたいと思います。大体今日の予定はそこまででございますから、これで終りたいと思います。
  97. 前尾繁三郎

    前尾委員長 先ほど決定いたしました参考人の中で、日本自治体労働組合協議会の占部秀男君が同協議会のどなたかにかわつてもらいたいということと、日本農民組合の中村迪君が同組合の大森眞君に都合のため変更してもらいたいという申出がありましたので、この点御了承願います。  午前中の会議はこの程度にいたしまして、午後二時から再開いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十四分開議
  98. 前尾繁三郎

    前尾委員長 再開いたします。  休憩前に引続き地方税法案に対する質疑を続行いたします。大蔵大臣がお見えになつておられますから、順序をかえまして、藤田義光君から……。藤田義光君。
  99. 藤田義光

    ○藤田委員 吉田内閣における最も強力なる大蔵大臣の御出席を得まして、ひとつ今日は超重点的な問題を取上げまして、質問してみたいと思います。  第一にお伺いしたいのは、地方税法案の不成立によりまして、政府は緊急の財政措置といたしまして、平衡交付金の概算交付をいたしております。それと関連いたしまして、二百九十億の短期融資をしているのでございます。この短期融資の利子に関しましては、大蔵大臣はいかようにお考えになつておられますか。地方自治体負担にすべきではないということは常識でございますが、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  100. 池田勇人

    ○池田国務大臣 地方税法案の不成立によりまするつなぎ資金としてただいま出ておりまするお金は、四月ないし六月の間に二百億円、こういうことに相なつておるのでございます。それ以外に起債の前貸しとしまして四月、六月の間に四十億円を計画いたしました。七月に前貸しといたしまして五十億円計画いたしました。それで二百九十億円ということになると思うのでございます。問題は起債の前貸しには問題はない。それであとの二百億円のいわゆるつなぎ資金としての預金部融資の利子というのが問題であるのでございますが、貸付けの状況を見ますると、御承知の通り四百億円という平衡交付金を出しました関係上、預金部の貸出しは非常に遅れまして私が向うから帰りましたときに、その話を聞きましたところがほとんど出ていない。六月の十四日ぐらいに百二億円、それから六月末で二百億円の予定が百八十五億ばかり出ております。回收は二十五億円あります。そういたしますと、二百億の予定でもこれに対する金利はごく小さい金額になります。これを国が負担するか、地方負担するか。これは国が負担するのが常識だと藤田君はおつしやいますが、これは常識ではないと思います。借りた人が負担するのが常識である。しかしこういう特殊事情考えまして国から何かめんどうを見ないかという問題になりますと、私はめんどうをできるだけ見たいと思います。その方法は御承知の通り今までの地方への貸付金——短期融資にしましても、起債にいたしましても、年九分ないし九分四厘という高率になつております。これを地方債につきましてはできるだけ今後安くしよう、そうすれば、六、七百億の貸付金が今まであるのでありますが、これを二分程度安くすることによりまして非常な違いになるのでありまして、年に十二億円とふんでおる。この短期融資の方の分は、先ほどお話し申し上げましたような関係で、利子の金額が非常に少うございますから、私は今までの貸付金の利子を思い切つて引下げることによりまして地方負担を軽くしようという計画をいたしております。地方債の引下げは関係方面の承認あり次第、七分か七分二厘程度、すなわち二分余りを下げたい、こう計画しております。そういたしますと、よほど地方の財源が出て来るということに相なる、これでひとつ御了承願いたいと思います。
  101. 藤田義光

    ○藤田委員 どうも非常に数字の権威でございまして、詳細な御説明でございましたが、実は大蔵省預金部資金の長期債の利子に関しましては、大蔵省預金部資金運用規則がございまして、地方自治体としては償還期限も二十年になつております。従いまして、これは地方自治体の既得権であるというふうに私は解釈いたしております。終戦後うなぎ上りに利子が非常に引上げになりまして、貨幣価値と関連した措置をとられたのでございますが、大蔵大臣が常に言われる通りに、いわゆる安定期に入りましたこの際において、二分程度の引下げは当然であるというふうに解釈しております。でき得れば、一拳に五分程度に引き下げてもらえたらなおさらけつこうではなかつたかと思います。しかし先ほどの地方財政の空白を補うための短期債の利子の問題を、この長期債の利子の引下げによつてまかなうということは、問題が別ではないかと思います。実はおそらくこれは大蔵大臣の親心から出た名案と思いますが、六月の下旬の閣議におきましては、短期債の利子に関しては、別途財源措置を講ずるという非常にけつこうな決定がございます。私はこの決定の意味は、おそらく平衡交付金の増額なり、あるいはその他の方法によつて町村自治体の理由によつて生じた利子でないために、国家において負担するという意味に解釈しておりましたが、閣議決定の別途財源措置と、ただいまの御答弁の長期債の利子の引下げとは、別個な問題であるというふうに解釈しておりますが、いま一度この点に関してお伺いしたいと思います。
  102. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話の点は二つあると思います。一つは長期債につきまして五分くらいに下げたらどうかというお話でございます。御承知の通りに前は三分二厘とか、あるいは三分八厘という低利でございます。しかし郵政省関係の事務費が非常に増加いたしましたために、金利を九分程度に上げましても、一昨年は五十一億円の赤字であり、昨年は三十六億円の赤字であつて、今年も当初予算では、三億六千万円の郵政省の赤字ということになりましたので、郵便貯金を一千億円以上も預かつて、税金をもつてその赤字を埋めるというのは不適当だというので引上げたのであります。最近は非常に郵便貯金がふえて参りまして、運用利益が多くなつた関係上、こういうふうに下げられるようになつたのであります。今後郵便貯金がふえて行けば、今申しました七分とか七分二厘ということはもつと下げられる。こういう方向に向つて努力いたしたいと思つております。  第二の御質問の、長期債の利子を下げることと、今回の融通資金の利子負担とは別個である、こういうお話であります。一面もつともでございますが、閣議で予算的措置を講ずるということは、地方負担が予定以上に大きくならないように、少くなるような方法を講ずるということで、その利子額を非常に下げることによつて地方財政がそれだけゆたかになればいいのではないか、こういうふうに了承いたしておるのであります。閣議におきましてもこの点は私から申し上げております。
  103. 藤田義光

    ○藤田委員 長期債の利子の引下げ、これはおそらく期限の問題とも関連して来ると思いますが、大体いつごろから実施になる御予定か。地方自治体にとりましては非常な朗報でございますので、この機会に大体の見通しをお聞きしたいと思います。実は終戦後相当長期債を借りておりますが、その利子に非常に難渋を来しておりますので、国会を通じて大体の見通しを御発表願いたいと思います。
  104. 池田勇人

    ○池田国務大臣 運用委員会の議を経てやるのでありまして、今年度におきましては、今までの利子は下げるわけに行きませんが、これからの利子は運用委員会にかければ下げられます。従いまして一日も早くやるように手配をいたしておるのでございます。不日できると思つております。
  105. 藤田義光

    ○藤田委員 この預金部資金と関連いたしましてお伺いしたいのですが、実は昨年の秋の臨時国会中と思いますが、両院の大蔵委員会において簡易保険の関係の資金を、大蔵省から分離するという決議が出ております。これは大蔵省の歴史を調べてみますと、相当各種資金を一元化するのに大蔵省当局は苦労されておるようでございますが、昨年初めてこの資金の分割という問題が表面化いたしております。この簡易保険が分割されるということになりますと、ほかの郵便貯金、厚生年金その他に、ただちに影響して来ると思います。そうしますと、当然必然的に大蔵省の機構改革ということまで波及するのではないかというふうに考えておりますが、この点に関するお見通しをお伺いしたいと思います。
  106. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話の通りに、二回にわたりまして両院におきまして全員一致の決議となつておるのであります。その決議事項は簡易保険並びに厚生年金による預金部資金を郵政省の方へ移すべしということであります。両院の本会議におきましてもたびたび質問を受け、どうやつているかということを開かれておるのでありますが、大蔵省といたしましても、また郵政省といたしましても、閣議決定をもつて関係方面に折衝に当つております。今なお両院の決議並びに閣議決定に沿つた指令が出ないのであります。御承知の通りに、昭和二十一年の一月に司令部のスキヤツピンによりまして、統合して運用しろ、こういうことに相なつております関係上、どうしても向うの許可が出ないと、御意思に沿うわけに行がぬ状況に相なつておるのであります。最近郵政大臣も新たに来られまして、ぜひ大蔵大臣みずから行つて折衝しろ、こういうお話でありますので、私から折衝に行こうと思つております。ちよつと速記をやめていただきたいのですが……。
  107. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  108. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは速記を始めてください。
  109. 池田勇人

    ○池田国務大臣 簡易保険、郵便年金を大蔵省からとることによつて、大蔵省の機構がどうなるか、こういう問題でございますが、大蔵省におきまして、預金部の仕事をいたしますのに、前は二、三百億円の資金を動かして、預金部長官を置いて、非常に厖大なる組織でやつてつたのでありますが、ただいまは千七、八百億円の預金を動かすのに課長一人、そして事務官十五、六名でやつておる。だから大蔵省の機構は、千七、八百億円の金を動かすのに一課長と十数人の事務官でやつておる。こういう状況でございますから、簡易保険とか郵便年金が、たとい郵政省へ行くことになりましても、機構改革というほどの問題ではございません。実はただいまの大臣の御答弁で大体方向がわかりました。現在自治体の起債手続が二元行政になつておりますが、これがほかの官庁にまた分散されて三重、四重の行政にならぬように、ぜひとも大蔵大臣は御注意願いたいと思います。これは希望でございます。  それから先ほど申し落しましたが、地方自治体に融資されました短期融資の現金の問題であります。これは規定から行きますと、三箇月に払わなければならぬ、あるいは少くとも書きかえなければならぬという、非常にきゆうくつな融資でございますが、先ほど大臣の御答弁にありました通り、預金部には現在相当余裕金額が出て来ておりまして、あまり急いで回收する必要もないと思いますから、税制の改正その他を勘案されまして、大体今度の税法の改正案を見ましても、二十五、六両年度にわたりまして、経過規定が非常に多うございます。だから本年度及び明年度くらいは、この短期債の償還を繰延べてもらうという暫定措置をとつていただきたいと思うのでありますが、規定の表面の解釈からは困難と思いますが、運用の実際においてこれはできはしないかと思いますので、この点に関するお考えを簡単にお伺いいたした。
  110. 池田勇人

    ○池田国務大臣 前の御質問ちよつと言い残したことがあります。預金部資金はやはり司令部の覚書によりまして国税か、あるいは地方公共団体の債務の資金計画、それから今ありまする公団の貸付金、これ以外の貸付金は絶対認めないということになつておるのであります。従いまして簡易保険、郵便年金を郵政省に移して、郵政省の側でこれを昔のように株式会社に投資したり、社債を引受けたり非常に楽な考えをもつて、この資金を使おうというような先入主があるようでありますが、これは絶対にさせぬ考えであります。簡易保険、厚生年金の分離問題の一つの参考になると思いますから、つけ加えておきます。  次に今回の短期融資の問題でございますが、これはあくまで税金が入るまでの臨時措置ということで、スタートしておるのであります。従いまして三箇月とか何とかいう條件を考えておつたようでありますが、預金部は御存知のように起債以外に短期融資を昨年からやつており、もう百億前後の短期融資をやつております。そういうことから考えまして、税金が十分に入つて来れば、これは利子のつく金でありますから、返していただきまして、税金が思うように入らぬときに、予定通り三箇月で返せというようなことは言いません。たとえば銀行に昨年末預けました百億円の金も、一箇月という名目であつたものを六箇月も延ばし、今でもまだ取上げておりませんから、今までの大蔵省の考え方なり、やり方をごらんくだされば御心配ないと思います。
  111. 藤田義光

    ○藤田委員 非常に詳細な御答弁で、大体その点に関してはお尋することはございません。ただ昨年銀行に出されました百億の問題、これはいろいろうわさを聞いておりますけれども質問を省略いたします。  次にお伺いいたしたいのは、給与ベースの問題でございますが、きよう、あす人事院から再勧告があるようでございますが、給与ベースが引上げになりますと、地方公共団体においても、当然右へならえをするわけでございます。これが財源の調達に非常に苦労するだろうと思いますが、この点に関しましては、ぜひともこういう際にこそ、国家財政の方を拜借しないと、なかなか容易に行かぬだろうと思います。この点に関しまして、ひとつかみしもを脱いだ親心をこの機会にお示し願いたいと思います。
  112. 池田勇人

    ○池田国務大臣 給与引上げに関しまする人事院の勧告が出るか出ぬか私は存じませんが、政府の方針といたしましては、総理が施政演説で申し述べられたように、財源の範囲内においてできるだけ早い機会に引上げをいたしたいという考えでおるのであります。しかる場合に政府機関といたしましての公社の問題、あるいは地方公務員の問題についてどうするかということについては、これと関連して考えなければならぬ問題だと思うのであります、先例から申しますると、給与の引上げがあつた場合、あるいは賞与があつた場合に国から出した例もありますし、また出さぬ例もあるのであります。地方財政独立の建前から申しますと、国から出さぬのが本筋でございますが、何分にも地方財政の独立もまだ十分ではないようでございます。もし引上げということがありました場合におきましては、そういう点をからみ合せて考えたいと思つております。
  113. 藤田義光

    ○藤田委員 中央でめんどうを見た場合と見ない場合があることは存じております。たしか一昨年の暮れと思いましたが、二、八箇月分の支出がありました際の大蔵省の親心を、この際再び発揮していただきたいという希望を申し述べておきます。  次にお伺いしたいのは、シヤウプ博士が日本に再来朝するという報道が伝えられております。先般大蔵大臣はわざわざアメリカへ行かれまして、おそらくシヤウプ博士ともゆつくり会われておると思いますが、再来朝の目的、それから来朝されてから目的いかんを問わず、税制の再検討を願えるような余地があるかどうか、インタビユーされたときの印象をお答え願いたいと思います。
  114. 池田勇人

    ○池田国務大臣 アメリカへ行きまして、シヤウプ博士は私のおりますワシントンへわざわざ来られまして、またニユーヨークでは四日間の滞在でございましたが、前後十時間シヤウプ博士とお話をいたしました。地方税の不成立の問題につきましても、各新聞その他を十分読んでおられますし、国会事情も十分知つておられるような状況であつたのであります。地方税法案不成立に伴いますいろいろな問題につきまして、向うで十時間ほど話をいたしました。シヤウプ博士が来られましてどうするかという問題は、今度シヤウプ博士の来られるのは七月二十九日の予定ですから、まず先般の勧告によりまして税制が改正されたその結果を見るということ。次に先般は何といつて国税が中心でございましたが、今度は地方税並びに地方財政地方公共団体の歳出の状況、これを見られるようであります。私ほシヤウプ博士が非常に熱心に日本の事情をお調べになり、国の方の税制とか、会計の方はよくごらんになりましたが、地方の行政機関の歳出の点について検討が足りなかつた。これはぜひとも見てもらわなければならぬということを申したところ、今度はその方面へ来たらいいだろうというようなお話をされたのであります。こまかい問題もありますが、とにかく今度の七月二十九日に来て、大体九月の中ごろまでおられるようであります。北海道、東北にも行きたいということを言つておられましたが、相当今度は地方税中心に検討をされると思います。
  115. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いしたいのは、平衡交付金の問題でございますが、先ほどお尋ねしました通り、給与べースの引上げも必至でございます。また地方財政の空白によりまして、今度の平衡交付金は概算交付されております。今年の平衡交付金の千五十億のわくのうち、その一割百五十億という特別平衡交付金、これはらち外に考えまして、現在までに概算交付しました六百十八億を除きますと、残るところはわずかに三百億ちよつとになるわけでありますが、これによりましてとにかく今年の下中期の地方財政をまかなうことは非常に困難だろうと思います。特に今回提出されております税法の成否いかんを問わず下半期に年間の調整をすることは必至でございます。納税期のしわよせによりまして、全国の納税者は非常な苦しみに陥るということが予想されるのでございます。いろいろな観点からしまして平衡交付金を増額してほしいということが、先般の全国町村長大会でも一致した要望であつたように、私は想像いたしておりますが、国家財政のエキスパートである大蔵大臣でございますから、おそらくは財源はいかなる方法によつても調達できると思います。たとえば債務償還費のごときものから、平衡交付金の増額に充てるというようなことは可能ではないかと思いますが、平衡交付金は現状以上に全然増額されぬのかどうか、あるいは増額の余地がありますかどうか、この点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  116. 池田勇人

    ○池田国務大臣 平衡交付金は今の額で行きたいと考えております。今平衡交付金を絶対に動かさぬというふうなことは、これはそういう気持がありましても、そういうことは言うべきではないし、事情によつてどんなにかわるかわかりませんが、ただいまのところは動かさぬとお答えいたします。ただいまのところ動かさぬというと、それではまた動かすことがあるのか、こういう御想像をなさるのでありますが、せつかく国会で御審議願つて、しかもまだ二、三箇月しかたたぬという状況でありますので、大蔵大臣としてここで動かすとは申し上げられません。また動かす理由もただいまのところないのじやないか、こういう考えでおります。
  117. 藤田義光

    ○藤田委員 なかなかむずかしい御答弁で、よくかみしめないとわからぬのでありますが、われわれは絶対に動かす客観情勢ができておるというふうに考えます。ただいまの大臣の御答弁は、ただいまのところは動かす気持はない、ただいまのところというのを、この臨時国会中というふうに局限して解釈させていただきたいと思いますが、この点はどうでありましよう。
  118. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そういう御質問があるから、ただいまのところと、こう申し上げたのでありまして、私は物事をはつきりさすのがすきで、私の性格から申し上げますと動かしません、こういうことを言いたい。しかしそれではまたあまりはつきりしすぎて政治家ではないと言われるから、ごまかしのようにそう言つたのでありますが、私の今の気持としては動かしたくない、また動かす理由を今見出せない、こういうことであります。
  119. 藤田義光

    ○藤田委員 これは所管の大臣ではないからむりからぬことと思いますが、実はかりに今度の地方税法が実施される場合を想定いたしまして、おそらく現在に率いてすら全国の市町村税は、相当の滞納でございます。今回の改正税法が引上げであるということは、御存じの通り少くとも四百億は引上げになるわけですが、徴收困難な事態が各所に起きて参りまして、結局ほかに財源がなく、こういう際にこそお互いにかねて目をつぶつて国税を納めているから、国家の力にすがりたいというような気持が出て来ると思います。これは先ほど大臣がお述べになりました通り、自治体の独立ということが、過渡的な段階にありますので、こういう気持が起るのはやむを得ないと思います。またそれだけの態勢ができておりませんので、実は私が再質問しましてかえつてマイナスになつたような御答弁でございましたが、十分ひとつ客観情勢を考えられまして、平衡交付金というものは研究は続けるという程度の幅を持つていただきたいと思います。この点に関しましてさらに大臣から御答弁願えるかどうか。  さらにお伺いしたいことは、先般政府の閣議決定によりまして、明年度の予算編成方針がきまつたやに拜聴いたしておりますが、新聞報道でございまして、正確であるかどうかは疑わしいのでありますが、その末尾に、明年度から災害復旧の国庫負担は廃止するということが書いてございました。もしこの災害復旧の国庫負担を廃止するということになりますと、新しい税法の体系は壊滅するわけでございます。シヤウプ博士の勧告には、新しい税法をやれ、そのかわり災害の国庫負担を実施せよ、これは車の両輪になつております。この一方がつぶれましては新税法のみの実施ということは困難ではないかと思います。もしわれわれがシヤウプ勧告に従い、新税法を採用するとすれば、どうしても災害復旧の国庫負担ということは継続しなくてはならぬと思いますが、この点に関しまして御答弁を願いたいと思います。
  120. 池田勇人

    ○池田国務大臣 平衡交付金の問題につきましては、国家事務地方事務の区分問題と、うらはらの問題でございまして、将来十分検討しなければならぬ問題だと思います。  次に災害復旧費の全額国庫負担という問題でございます。これはシヤウプ博士の勧告案に災害復旧の全額国庫負担ということが載つておるのであります。しかしこの問題につきましては、内外ともに、内外というのは、日本政府、また国会におきましても、また関係方面におきましても、かなり議論が沸騰したのであります。で二十五年度予算案を御審議願います場合においても、災害は全額国庫負担ということは考えものだ、かえつて弊害もあるし、また事業分量がそれだけ減るんだというようなことで、反対意見も相当強かつたのであります。でその当時において災害の全額負担は二十五年度限り、こういうことで、政府答弁し、大体御了承を得たと思うのであります。で今後の問題としてはどうするかということは、一応従来通り、従来というのは二十四年度までのような状況で、どれだけの負担にするかということは別問題でございますが、一応はやはり地方にも持たしたらいいじやないかという意見内外ともに強いので、一応予算編成方針としてはああいうふうに掲げておるのであります。この問題はシヤウプ博士が来られて、もう一度検討することに相なると思いますが、関係方面並びに日本政府といたしましては、災害は全額国庫負担というのをやめて、一部地方負担、こういう原則で二十六年度からの予算をやつて行きたいと考えておるのであります。従いまして二十五年度の予算と、二十五年度の地方税法というものは、そういう意味からいくと、一つの島になつてしまいます。つまり区分される。で今回の地方税法案は災害全額負担ということででき上つておるのであります。これは二十六年度になつて、災害は一部国庫負担ということになつて参りますと、その点においては税率その他につきましても考えなければならぬことがあるんじやないかと思うのであります。それで歳入予算におきましても、固定資産税につきまして初年度だからというので、翌年度へ繰越分を見ておるということ等から考えまして、二十六年度の地方予算につきましては、歳出の点で検討を加えなきやならぬ問題が起つて来ると思つておるのであります。二十五年度は全額負担、二十六年度は一部を地方にやるということになりますと、その調整がなかなか困難じやないかという問題もありますが、われわれもそれは承知いたしております。調整問題につきましては善処したいという考えでおります。
  121. 藤田義光

    ○藤田委員 大体災害復旧の国庫負担の関係と、新税法の関係は大臣も十分御認識があるように一応了承いたしました。ただ私がさらにお聞きしたいのは、もし災害復旧の国庫負担が崩れまして、一部地元負担なつた場合におきまして、税法体系に対する影響を抽象的でもよろしうございますが、どういうふうな影響をもたらすかどういうようなことを御検討されておるかどうか、お伺いしたいと思います。
  122. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この問題は各府県によつて違うと思います。私は災害費の負担という点よりも、既往の災害によりまする地方債、こういうふうな重要な問題もございますので、将来十分検討いたしたいと思いますが、何分にも国の予算は昨年よりも今年非常に減るし、今年よりも来年はうんと財政規模を減そうとしております。しかし地方におきましては昨年三千五百億円、今年四千五百億円、こういうふうにどんどん地方の経費が膨脹するようでは国民はたいへんであります。災害費の一部負担、あるいは地方の起債の問題を考える上に、シヤウプ博士に私が要求いたしましたように、地方財政をもつと合理化というとなんでありますが、切りつめるような断固たる処置を、私は国務大臣として地方の関係当局に要望したいという気持を持つております。
  123. 藤田義光

    ○藤田委員 その点に関しましては幸い地方行政調査委員会議でせつかく検討中でありまして、それとにらみ合せて、おそらく政策化するだろうと思いますが、もう一点お伺いしたいのは、ただいま大蔵大臣が言われた通り、今年の地方の予算というのは相当厖大になつております。われわれしろうとでございますが、はたしてもし既定方針通り歳入が上つた際において、これを有意義に使い切れるかどうかというような疑いもあるわけでございますが、この点に関しまして国全体の財政計画の見地から、大臣はどういうふうに見ておられますか、おそらく多少歳入過剰になりはしないかという見通しを持つておる人もありますので、簡単にお伺いしたいと思います。
  124. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は地方の四千五百億の歳出の内容について、まだ十分見ておりませんので、ここではつきり申し上げる自信はないのでありますが、相当切りつめられるのではないかという気はいたしております。しかし歳入の方で十分上つて来るかという問題になりますと、これはなかなかむずかしいのではないかという気持を持つております。
  125. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いしたいのは預金部資金の許可の問題でございますが、先ほど来大蔵大臣が申された通り、この資金は各官庁に分散の趨勢にあります。この際関係法令を改正いたしまして、地方財政を最も知悉いたしております、しかも新発足の地方財政委員会の專管事項にされたら、今後ますます資金運用の妙を発揮するのではないかというように考えております。先ほど大臣は現在は預金部長官もいなくて、わずかに資金課長のもとに少数の陣容でやつているということを申されましたので、この際この点に関して思い切つた措置を講ぜられまして、吉田総理がいつも言われる通り、行政の簡素化を断行する一つの大きな手になりはしないかというふうに考えておりますが、御意見を伺います。
  126. 池田勇人

    ○池田国務大臣 預金部の金を使いますのに借手の方の專管にするということはなかなかむずかしいのではないか、地方自治法でやつておりまする配分を一委員会の方にお譲りになることはけつこうかと思いますが、大蔵省としては大衆の金を預つておるのですから、地方財政委員会でかつてにそれをやられては迷惑でございます。どこへ貸すかということにつきましては、やはり債務者の状況を調べなければならぬと思うのであります。従いまして金は大蔵省で預つておる人が判断をする余地がなければならぬと思うのであります。最近起債の問題とか、あるいは貸付の問題が非常に時期的に遅れるというふうなお話がございます。私も閣議で非常に非難を受けたのであります。先ほどお話なさいました六月二十日ごろでございましたか、平衡交付金はみな出ておるが、二百億円のうち百二億円しか出ていない。預金部は貸ししぶつているのだとある閣僚から責め立てられましたが、それは事情を調べてみますと、預金部には利子がつく。従つて平衡交付金によりまして、預金部の金をあとから借りるというので、貸出の申込みがない。預金部の方からは六月分の月給を払うのに下旬に大体八十億ばかり出た。こういう状況でわれわれの方は決して貸ししぶりをしていない。金はありますので、できるだけ早く貸したいというのであせつておるような状況であります。従いまして公共事業費とかあるいは起債の問題で、まだわくはきまつておりません。自治庁の方から来ておらない。それでは預金部には金が集まるばかりで、金詰りを激化するというので、われわれは起債の前貸しを進んでやつておる。どこへなんぼ貸していいかわからないのですが、とにかく予定額の半分だけはみんな貸してやろうというので、前貸しを大蔵省はやつておるような状況で、決して貸付をしぶつたり、ぐずぐずしたりしているようなことはないのです。進んで前貸しをするという態度をとつておるのであります。
  127. 藤田義光

    ○藤田委員 その点は了承いたしましたが、実はこの起債を許可するのに関しまして、大蔵省においては預金部資金課、国庫課、地方課と関係課がたくさんございまして、慎重過ぎるほど慎重に審議されておるようです。私が先ほど申しましたのは、この際大蔵省からすべての権限を手放せという意味ではございません。たとえば公営企業に幾ら、一般単独事業に幾ら、災害復旧に幾らという大わくは、国家財政にも関連がありますので、大わくの配分は大蔵省で大体つかむ。しかし具体的な個々の町村に関する許可に関しましては、財政委員会でいいのではないかというふうな意味で申し上げたのでございますが、これはおそらく大蔵大臣が決意をされましたならば、ただちに実施できるのではないかと思います。起債関係の法規を見ましても、法律でやる問題ほほとんどありません。規則、政令でやるのが大部分でございまして、この点に関しまして、いま一応検討してみるお気持がありますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  128. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話ごもつともな点はあるのですが、たとえば公共事業費の九百九十億円、これは大蔵省でわくをきめて各省に渡す。この予算の問題と、人から預つた金をどういうように貸すかということとは違うのです。事務の簡素化ということは政治の要諦でございますので、私もできるだけ簡単にしたいとは思いますが、事柄は違います。予算の点についてはわくをきめて各省に渡す。しかしこつちはコンマーシヤル・ベース、商売でございます。商売でございますから回收のことも考えたり、年賦償還の問題で債務者の財政状況を見たり、これはそうしないと大衆の預金を預つておるのですから事柄が違います。だからこの問題はやはりコンマーシヤル・ベースに立つて大蔵省が貸すこと、また貸したあとの整理を見て行かなければならない問題だと考えております。
  129. 藤田義光

    ○藤田委員 先般たしか大蔵大臣が渡米中ではなかつたかと思いますが、見返り資金の公共事業に対する配分、全国の大きな土木工事等に対する配分が、参議院の選挙のさなかに極秘のうちに決定しておりますが、これは大蔵大臣御存じでございましようか。約百億ちよつとでございますが、その点をお伺いいたします。
  130. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話の点は公共事業費の見返り資金百十億の分ですか——見返り資金百十億円、これは閣議決定をいたしましたが、まだ金は一つも出ておりません。これは私アメリカから帰つてからの問題であります。百十億円の使い方につきまして、総花的に行くようなかつこうになつておりまして、これはやほり重点的に使うようにしよう、こういうので練り直しまして、ただいまは大体初めに七十四億円きまり、それから二十五、六億円きまり、今百億円程度向うと話合いの上で大体きまりまして、十億円ばかり残つておるのではないかと思います。十億円のうち五億円が関係方面との折衝がつかずに、結局十億円まだ残つておるという状態に相なつておるのであります。
  131. 藤田義光

    ○藤田委員 実はその貴重なる百十億の見返り資金の配分に関しまして、重点的にやられたのはけつこうでありますが、非常に具体的になりまして、どうかと思いますが、たとえば九州の中部地帯等には何らの配分がない。ここには御存じの通り、球磨の発電を中心とした厖大な計画があり、あるいは国立公園阿蘇を中心とした、安本でも第一順位に置いておりました総合開発計画が整備されておる。そういう点が無視されておりますので、向うの方面の事情にも非常に詳しい大蔵大臣に、今後未解決の分の配分に関しまして、公正妥当なる結論を出していただきたいことを要望いたしておきます。  最後にお伺いいたしたいのは、この債務償還費の償還状況は、大体どういうふうになつておるか。六月末現在の実績がおわかりでしたら御説明願いたい。と申しますのは、この債務償還費の償還状況によりまして、私が先ほどから再三申し述べました平衡交付金の増額という点も、この費目のうちからぜひとも将来真剣に研究してもらいたいという底意があつて質問でありますが、簡単に御答弁を願います。
  132. 池田勇人

    ○池田国務大臣 債務償還費は、多分六月までに百七十一億円ではなかつたかと思います。相手方は御承知の通り、農地証券とかあるいは電話公債、農地証券は四十億円、電話公債は三十億円、その他特殊の借入金をやりますと同時に、六月の下旬に至りまして銀行保有の——銀行保有と申しますと語弊がございますが、金融関係保有の国債を八十億円やつておると思います。そのうち無尽も、信用組合も、農林中金の国債十八億円だつたと思いますが、これだけ償還して、合計百七十一億円と考えております。この七月におきましては、大体二百億円程度の債務償還をしたい、そうしないと金詰まりがきつうございますので、二百億程度をしたいというので、今関係方面と折衝を続けております。
  133. 藤田義光

    ○藤田委員 七月の二百億円というのは、六月末現在の百七十一億と別個でございますか。
  134. 池田勇人

    ○池田国務大臣 さようでございます。
  135. 藤田義光

    ○藤田委員 七月から非常に償還度が多くなつて来るようでございますが、四月から六月までの情勢からしますと、大分債務償還の余裕がありはしないかというふうに考えておりますが、この債務償還費から、今度増員されます警察費をとるということになるのでございますが、この点に関しましては、大体どの程度債務償還費から割愛することになるか、御答弁願いたいと思います。
  136. 池田勇人

    ○池田国務大臣 債務償還は、御承知の通りに、一般会計におきまして七百三十億、特別会計におきまして大体五十億、見返り資金から五百億、こういう関係にあるのでございますが、ただいままで償還いたしましたのは、一般会計から行つておるのでございます。一般会計の方にもある程度の余裕金はございますが、見返り資金にただいま四百八十億円の金があるのであります。従いまして関係方面の方では、一般会計の債務償還から先にというお話でありますが、私は見返り資金にそれだけたくさんあるのだから、見返り資金の四百八十億の中から今月二百億円償還すべきだ、こういう議論で進んでおります。ただいま四百八十億円あります見返資金特別会計の余裕金と申しますか、アイドル・マネーと申しますか、これを置いておくということは、金融上よくないから、とにかく半分近く、二百億円を見返り資金から償還すべし、もしそれができなければ、他の方法でこれを民間に流すべきだという考えのもとに進んでおります。
  137. 前尾繁三郎

  138. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 私はこの際、大蔵大臣に不動産金融のことについて、お尋ねいたしたいと思います。敗戦の結果、国民の層に非常な変革を来したのでありますが、その代表として地主があるのじやないかと思います。そこで地方における地主の現状を見てみますと、父祖伝来の田畑が解放せられ、ほとんど無一文の状態にあるにもかかわらず、彼らは依然として、非常に大きな邸宅に住んでおるのであります。今までは地租、家屋税が比較的低かつたために、まあせつかく祖先から伝わつておるこの家、屋敷を手離さぬでもいいというような気持でおつたのですが、今度固定資産税創設の結果は、相当大きな税金を払わなければならぬ。この税金をいかにして払つたらいいかというので、地方の元地主の連中は非常に困つておるのであります。そして彼らは、自分たちの現在の状況に即応した生活に改めたいと思つておるのでありますが、しかしながら、そのいなかにおけるところの厖大なる土地、家屋がなかなか金銭化されない従つて税金を納める道がないというようなぐあいで、何とかしてこの不動産がすみやかに金融化される道はないかというので、悩んでおるのであります。この状況は、いたずらに高利貸あるいはその他の乗ずるところとなつて、その家、屋敷の持つておる当然の価値が、非常に低くなつておるというようなあんばいでありまして、この際むろん不動産金融という大問題が、地方税を払うためにのみ考えらるべき問題ではない。これはむろん経済金融の全般的立場から考えなければならぬ問題だろうと思うのでありますが、今日の農村の金詰り、あるいは地方の金詰りの打開策から行きまして、この際不動産に対するところの、金融の道をすみやかに講ずることが最も必要ではないか。こうしておのおのの人が、そのところを得た生活ができ、しかも国民が一層活気がついて、かくて金融は円滑に行くということが、経済の建直しになるのじやないかというふうに考えるのでありますが、この際大蔵大臣のこの点に関する御所見をお伺いいたしたいのであります。
  139. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先般来から、債務償還について問題があるのでありますが、私が先ほど申し上げましたように、地方の地主がお困りの状況でありますので、九十億円に上ります農地証券、これは三十年間すえ置きでございますが、これを今年中に払つてしまうことにいたしました。これもやはり、昔の地主の方に対しましての心尽しの一端であるのであります。しかしそういう問題以外に、いわゆる宅地、建物、これは融通性があるのでありますから、宅地、建物の金融について何か方法を講じたらいいじやないかという考えのもとに、不動産金融になれておりますところの勧業銀行に見返り資金から十億円出す、そうして二十倍の債券の発行を認めまして、不動産金融の方に進んで行かしたい、こういう考えであります。しかしながら何分にも銀行も一つの商売でございますから、いなかの建物、宅地を担保にとつて——これは単なる担保であつて、支払い能力を考えなければ、なかなか金は、貸しにくいのであります。従つて一応不動産金融の建前はこれを助長して参るのでありますが、債務者におかれましても、借りよいような一つ方法、たとえば税金を納めるために金を借りたのでは、これはなかなか払いにくいのであります。その人が他に收入なり所得があるのならば、これは銀行でもただちに貸してくれる消費資金、納税資金というので初めから銀行から金を借りるというのでは、なかなか困難かと思うのでありまするが、いずれにいたしましても、不動産金融は、日本で最も弱体化されておりますので、この方面の拡充整備をいたしたいという念願で進んでおります。
  140. 前尾繁三郎

    前尾委員長 門司亮君
  141. 門司亮

    ○門司委員 大体藤田君から聞かれておると思いますので、重複した点だけはぜひ避けたいと思います。直接今度の地方税の問題に関連のあるものだけにとどめて一応御意見を伺つておきたいと思います。  第一に伺つておきたいと思いますことは附加価値税の問題でありますが、この前の委員会で大蔵大臣は、附加価値税の本質というものが、流通税と收益税の大体中間のように考えてもらいたいという御答弁であつたのでありますが、今回の岡野大臣の意見を聞きますると、大体これは流通税であるということを、ほとんど明確に申されておりまする。こうなつて参りますと、必然的に物価の値上りをしないわけには行かない、いわゆる他に転嫁することの十分できることだ、こういうふうに考えておるわけであります。はたして大蔵大臣はこれと同じようなお考えを今お持ちになつているかどうか。
  142. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この前の国会におきまして、附加価値税をどういうかつこうにするかという問題につきましては議論のあるところである。私は外形標準的の営業税と見ることもできよう、あるいは流通税として取扱うこともできよう、こういうことを申し上げたのでありますが、ただいまの附加価値税を見ると大体転嫁を予想しておるようでございますので、流通税と見ることが適当と申しましようか、流通税的の考えで、この案ができておるのじやないかという気がいたしております。しかし学理上の問題といたしましては、よほど議論のあるところだということは、先般シヤウプ博士と私との会談のことをお話申し上げたような状況であります。
  143. 門司亮

    ○門司委員 大体私ども池田大蔵大臣と同じようなものの考え方で、この税の本質というものはまだ相当研究の余地もございまするし、実際の本質はわからぬと思いますが、しかし先ほどの御答弁によりますると、大体流通税的のものと考えたいというようなことであり、この税金の本質は別といたしまして、もしとりあえずこれを他に転嫁することのできるものだというような御解釈でありますると、必然的に物価の値上りを来してもいいという結論に相なつて参るのでありまするが、そう解釈してもよろしうございますか。
  144. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今の自治庁の説明では転嫁を予想しておるということでありますので、転嫁を予想しておるとすればそれが物価に影響する思といます。ただ問題は、実質的に申しまして、営業税的のものは建前は転嫁を予想しておりませんが、実質的には転嫁されるわけです。転嫁の問題は、租税の根本議論の問題でございまするが、今の近代社会におきましては、どの程度の転嫁かということが、かなりやつかいな問題でございます。転嫁するということを建前にすれば流通税と見られるそれから直接に転嫁ということを建前にせずに、実質的に転嫁されるというような考え方で行けば、外形標準の営業税的なものになりましよう。
  145. 門司亮

    ○門司委員 どうも大臣の答弁は、はつきりしないのでありまして、私どもといたしまして聞いておりますのは、学理的にこれを考えるとか、あるいは税の本質を突き詰めて、そうして決定づけようということは、実際私ども困難だと思つております。従つて今聞いておりまするものは、流通税的の性格を持つているものとして政府がこれを取上げて、そういうふうに実は自治庁の長官としては解釈しておるというお話を明確にいたされておりますので、国民に与えました印象というものが、この税金は物価の値上りを来すことになるのだ。またこの税金がかけられただけは、当然転嫁することができるのだというような明確な線をやはり与えて参りませんと、納税をいたすものにおきましては、非常に迷惑をいたすわけであります。自分のところで抱え込んでよいのか、転嫁してよいのかという点は、非常に大きな開きを持つております。ことに百分の四というのは必ずしも小さな数字でありませんので、もう少し私はその点を明確に大臣にお伺いしたい。率直に言えば、物の値上げをして行くのだ。転嫁をするということをひとつ明確に御答弁願いたいと思います。
  146. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この問題は自治庁からお答えになるのが適当かと思いまするが、今までの自治庁の説明によりますと、転嫁を予想している、こういうふうに説明しておられるので、そう御了承願いたいと思います。はつきりさせた方がよければ、自治庁の方からお話になりましよう。ただ実質上の問題として、取引高税も転嫁を予想しておつたのであります。そして相当の税收を上げておりました。この転嫁を予想しているという税にいたしますと、それだけ物価の値上りはやむを得ないことになります。
  147. 門司亮

    ○門司委員 これは議論になりますので、私それ以上議論はいたしません。今大蔵大臣は自治庁に聞いてくれという、お話でありますが、自治庁に聞くことは私どもつておりますし、先ほど申し上げましたように、自治庁にはとつくに聞いたのであります。自治庁はそういう解釈をしておりましても、国の経済全体を握つておられます大蔵大臣としては、この機会に一体物価の値上りをすることが国民経済全般の上にどういうふうな影響をするかということは御存じだと思います。同時に経済閣僚としての主要なる地位を占めておいでになる大蔵大臣でございますので、もちろん物価をこの際上げるべきであるか、あるいは上げてはいけないかというぐらいのことは、大臣の責任の上において私は御答弁が願えると思つて、実はお話を申し上げたのでありまして、従つてこれ以上水かけ論をいたしましても、あるいはお話をしても——大体大臣のお気持はわかつておりますので、一応これでやめます。  次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、今度の改正法の中に、地方財政法の修正をしたいという意見が、出て参つておるのであります。地方財政法の修正の重要な点は、御承知のように、地方公共団体が強制的に寄付を割当ててはならないという條項を一応入れたいという件であります。私は地方公共団体におきましてはこういうことが容易にいれられるかとも思いますが、実質的の問題は、従来地方公共団体が住民に対して寄付を強要いたしておりました問題の最も大きなものは、大体六・三制の学校の問題で、その次にはたとえば警察制度の改革の問題とかいうようなことが、かなり大きな影響を持つておつたと私は思います。もう一つの問題は、地方の災害復旧その他に対して、国から至急に施策が行われないことのために、やむを得ず地方がやはり何らかの形でこれを取上げて行つたということがあつたと思うのであります。従つてこういう規定を公然と地方財政法の條文の中に表わして参るということになつて参りますと、国の施策というものが、地方財政にそうした影響を及ぼさないようにしていただきたい。私どもは実はこういうふうに考えるのであります。ことに地方財政法の中には、国は地方公共団体に財政的の負担をかけるような施策を行つてはならないということを、はつきり明記いたしておりますので、私はこれの明らかな裏づけになる今度の改正だというように、一応解釈をいたしておるのでありますが、大蔵大臣といたしましては、従来国が行わなければならなかつた六・三制の問題のようなことに対して、地方に寄付を強要しないで済むように、施策を将来十分おとりになるかどうか。
  148. 池田勇人

    ○池田国務大臣 なかなかむずかしい問題ですが、国が金を出さぬときには強制的に寄付をとるから、強制的に寄付をとることをやめさすとすれば国から出せ、こういう御質問のように聞こえるのですが、これはなかなか困難な問題でありまして、国が六・三制のための建物を構築するとか、費用を出すためには国会の承認を必要とするのであります。従いましてわれわれは財政の許す限りにおきまして、他の費目と勘案いたしまして、適当な措置をとります。しかしそれがある一定の地方公共団体の住民の方々の意に沿わぬというので、国が予算をくれなかつたのだから、強制的に寄付を募るということを今回挿入しました法律に違反してまでやる、そういうことでは困るわけでございます。従いましてこれはシヤウプ博士の勧告にもありましたように、ほとんど税と同じようなかつこうで寄付を強要することはよくない。従いまして大体これはラフな予想でありますが、四百億のうち三百億円ぐらいは地方税でとつておくべきだ、こういうので行つております。こういう勧告の趣旨から申しましても、また実情から申しましても強制的に寄付を強行するということはよくないという建前で、挿入いたしたのであります。
  149. 門司亮

    ○門司委員 非常にむずかしい問題と言えば非常にむずかしい問題だと思いますが、さつき一例をあげました六・三制のごときは、当然国が責任を持つてやらなければならない。ところがそれを十分やれなかつたということのために、六・三制の制度というものは進んでおりますので、野天で教育することはできないのだから、やむを得ず地方公共団体の一つの強行手段といたしまして、別段すき好んでやつておるわけではないのでありますが、最近の一例をあげますと、文部省において六大都市あるいは福岡を含む大きな都市に対しまして、児童の完全給食ということで一応の施策が授けられて参つております。ところがその完全給食を行うといたしまするならば、各学校は相当大きな施設がいる。ところがこの施設費を一体どこから出すかということになりますと、どうしても地方公共団体が背負わなければならない。一つの学校でかりに二十万円の費用を要する家を建てなければならぬ、あるいは施設を建てなければならぬということになりますと、百の学校を持つ都市は二千万円の金を要する。これは国が完全給食という一つの施策のもとに行う事業でありますが、それをやらなければ国の施策で完全給食はやることができない。やむを得ず地方が何らかの形でこれを捻出しなければならない。現在PTAの寄付金か何かの形で補つて行くということになつておりますので、私の聞いておきたいと思いますことは、大臣が非常にむずかしい問題だというのと、それから同時にそういうことがあるからその三百億を含めて、実は増税したのだというお話でございますが、單に三百億を増税して、それらのものにこれを全部振り向けてしまうのだということになつて参りますならば、地方の公共団体の財源を非常に大きくしたとは、なかなか言い得ないのであります。地方の公共団体の実情はやりたい仕事はたくさんある、たくさんあるが、しかし実際の問題として財政の面から行い得ない仕事をたくさん持つている。こういうことが地方の実情だと私は思いますので、この地方税法に、こういう法律で寄付金を規制いたします以上は、国におきましては、もし国の施策でそういう実際の問題が発生いたします場合には、必ずこれを補償して行く、地方の公共団体に迷惑をかけない、寄付金をとらなくてもいいのだという、もう少し明確な線を出しておいていただきませんと、どんなに法律で出しましても、地方公共団体は寄付金によつてまかなわなければならない実情が必ず来ると思う。この点について大蔵大臣の意見を、もう一応御迷惑でございましようが、お聞かせを願いたい。
  150. 池田勇人

    ○池田国務大臣 国の施策でやつた場合において、その財源を国で見ることは原則的には一応納得できるのであります。しかし国の仕事だと申しましても、これが地方の仕事なりや国の仕事なりやということにつきましては、個個の問題でかなりやつかいな問題が出て来るのであります。そういう問題を調整するために、地方自治委員会等が出て来るわけなのでございます。従いましてこの條文があるから国の施策と思われるものについては、予算的措置がなくてはやつてはいかぬ、こういうかたいことを言つておられるようでありますが、これは案件々々によつてきめなければならぬ問題だと思います。同じように国の仕事でありましても、財源的に見られるものもありましよう。また見られぬ場合におきましては地方で任意の寄付ということがあり得ましよう。ただここでは強制寄付をやつてはいかぬという原則を言つておるのであります。
  151. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ、私大臣の答弁に満足しないのであります。財政法にきめておりますように、国が地方に迷惑をかけてはならないということは、原則的に一応きめられて、その上にここで寄付金をとつてはならないということがきめられて参りますと、地方公共団体は国の施策というものが一体ほんとうに行われるかどうか。地方公共団体の仕事は実際上の問題としては、国から離れた独立の仕事をしておるわけではございませんし、また国の施策というものは地方の公共団体に十分滲透することによつて、初めて一つの形体ができ、完全に諸般の事項が遂行できるのだというように考えて参りますと、一面において寄付の禁止をいたします以上は、国はその施策において、こういうところの間違いのないように必ずやるという大蔵大臣の言明がございませんと、この條文をここにつけ加えましても、今までは違反にはならなかつたが、これから先は違反だという形で出て来るのであります。この点私非常に心配いたしまして、地方公共団体に国の施策の徹底しなかつたことのために、いわゆる財源的処置のできなかつたことのために、法律に違反するというようなことは、あまりいい例にはならぬと思いますので、実はお聞きしておるわけであります。この点はひとつ大蔵大臣といたしましても、特に将来大いに御留意を願いたいということを、私は強く要求をいたしておくのであります。  もう一つお聞きしておきたいと思いますことは、地方の起債の許可に対しまして、今までは標準賦課率の大体一・二倍以上の税をかけていなければ、地方公共団体には起債が許されなかつた、それが一倍になつて参りまして、大体緩和されて参ります。そうするとやはり地方起債というものが比較的容易に行われるようになつて参りますが、これに対して大蔵大臣といたしましては、地方起債のわくを広げる御意思があるかどうかということをお伺いいたしたい。
  152. 池田勇人

    ○池田国務大臣 地方起債のわくにつきましては、地方の状況によりまして、昨年も当初は二百億、それを七十億円ふやした、本年は初め三百億と言つておりましたのを三百七十億までにふやしたのであります。これは財政需要等の状況によつて考えたいと思つております。
  153. 前尾繁三郎

    前尾委員長 大体大臣の答弁としてはおそらくそんなことだろうと思いますが、ただもう一つ念を押しておきたいと思いますことは、必ず財政の需要と申しますか、これは緩和されて参りますれば、それだけ地方公共団体の起債がふえるものだというように実は考えなければならない。その場合に一応法律の上では起債の認可條件が緩和されたが、実際上の問題としては、なかなか起債が従来通りの認可は非常に困難であるというようなことになつて参りますと、せつかくこういう法律の條文を改正いたしましても、地方の公共団体は大きな失望をいたして参りますので、ただ財政上の需要でこれを広げたいというようなことでなくして、この條文を改正いたしますには、それにこたえるだけの大蔵大臣の誠意を一応示してもらいたいと思うのであります。
  154. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今財政上の需要その他財政需要以外のことから、わくを抽象的にふやすとかふやさぬとかいうことは、ここで申し上げられぬと思います。これはやはりそのときの情勢によりまして必要ならばふやさなければならぬ。また縮める必要があるときには縮めなければならぬ。抽象的にふやす、ふやさぬということは申し上げかねます。
  155. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に床次君、大蔵大臣の質問として許しますが、そのあとがあなたの番ですから、地方税の自治庁に対する質問を続けてください。
  156. 床次徳二

    ○床次委員 この機会に大蔵大臣に伺いたいのですが、今回の地方税の改正におきまして、非常に地方の業者において地方税負担の過重を感じておる。たとえば地方鉄道のごときものは国有鉄道に比しますと、著しく負担の程度において差が出て来る。経営上にも困難があるということを感じております。反面におきまして、地方税法の税制全体から申しますと、あるいは国有鉄道あるいは日本放送協会あるいは專売公社というものが、今日におきましては課税対象になつておらないのであります。ここに非常に地方のいわゆる民間事業との大きな開きがあるのでありますが、かかる差別待遇をあくまで残しておくことがよろしいということに、大蔵大臣はお考えになつておられるかどうか。また場合によりましたならば、日本国有鉄道にも地方財政に対しましては相当の負担をさせていいのではないか。当然事業の経営上、地方税法の規定したものは、ある程度まで負担するといふことも一つの議論として考えられるのであります。国家経済の立場から、また国有鉄道を見ておられる立場から見まして、大蔵大臣はいかしようにお考えになつておられるか、御意見を承りたいのであります。なお放送協会のごときは今後民間事業にもなります。また專売公社のごときものも相当民間企業に類似のものもあるのであります。こういうものに対する御見解を承つておきたいのであります。
  157. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは理論上の問題と実際上の問題があると思います。理論上はお説のような考え方も成立つと思います。しかしただいまの実際面といたしましては、やほり政府事業につきましては課税せぬという方法で行くのが楽に行くのではないか。今までたとえば私鉄その他については、軌道その他について免税いたしておりますが、これも議論を一歩進める点で課税することにいたしました。今後の問題として検討の余地はあると思いますが、ただいまは地方財政委員会で国営事業につきましては課税せぬということにきめたようであります。私も実際問題としては、ただいまのところそれが適当ではないかと思つております。
  158. 床次徳二

    ○床次委員 なお一言簡単でありますが、お答えをいただきたいと思うのであります。地方税による地方事業の相当な負担増加に対しまして来年度の状態ほどうなるであろうか、実は大蔵大臣の財政演説を期待しておつたのでありますが、今度の国会におきましてはその機会を得なかつたのであります。予算編成方針をすでにお示しになりましたが、来年度におきまする日本経済の復興状況、またこれが私企業におきましてどの程度まで回復の緒につきつつあるか、そのお見通しにつきまして承りたいと思います。簡単でよろしうございます。
  159. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御質問の点が地方財政の来年度のあり方でございますか、一般企業でございますか。
  160. 床次徳二

    ○床次委員 一般の企業でございます。
  161. 池田勇人

    ○池田国務大臣 一般の企業におきましては、私は相当安定の度が高まつて復興に入りますから、事業界は非常に明るさを加えて来ると思います。ただいま私の方の機関を通じまして、商業その他の調査をいたしておりますが、私は実際の報告をまだ見ておりません。口頭で聞いておるのでありますが、小売業者の方は昨年と今年の上半期を比べると、全体として一割くらい事業分量が上まわつておる。それから会社方面の收益状況を見ましても、中には非常に困つておる会社もあるようでありますが、全体としては收益は上まわつております。この傾向は続いて行くのではないかと思つております。
  162. 立花敏男

    立花委員 大蔵大臣に根本的な点をお尋ねしておきたいと思うのですが、きのうの合同審査会で大蔵大臣は、地方税の総收が三千億に達するかもしれない、現在の提出されました税法で行きますと三千億くらいは少くともとる可能性があるという風早君の質問に対しまして、三千億とれる根拠を示せということをおつしやつたのですが、大蔵大臣は千九百億でとどまるというふうに確信をお持ちでありましようか。もし千九百億でとどまるという確信をお持ちでございましたならば、その根拠をひとつお示し願いたい。
  163. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は風早君に三十億の根拠を示せ、こう言つたから、それをお示しにならぬで、私の根拠を示せ、こういうお話しでございますが、お知らせいたしましよう。来年度と申されますが今年度でございます。風早君も多分そういう意味で言われたと思います。二十五年度の地方税……。
  164. 立花敏男

    立花委員 いや、地方税法という意味です。
  165. 池田勇人

    ○池田国務大臣 来年度というのは二十六年度ですか。
  166. 立花敏男

    立花委員 現在出されております私ども審議しておりますこの地方税法案によれば……。
  167. 池田勇人

    ○池田国務大臣 いつの年度でございますか。今年度でございますか。
  168. 立花敏男

    立花委員 今年度もあるし、来年度もあるし……。
  169. 池田勇人

    ○池田国務大臣 風早君の質問はどうですか。
  170. 立花敏男

    立花委員 それはその年度を示さずに、この税法によれば……。
  171. 池田勇人

    ○池田国務大臣 それじや二十五年度の施行の税法でございますね。事業税を加えてからの税法でございますか。
  172. 立花敏男

    立花委員 二十五年度でもどつちでもけつこうです。
  173. 池田勇人

    ○池田国務大臣 それは大分違いますよ。
  174. 立花敏男

    立花委員 だからその両方において根拠をお示し願います。
  175. 池田勇人

    ○池田国務大臣 来年度のことは予算を提案しませんから申し上げません。今年度の地方税の分につきましては、もう地方自治庁の方で説明した通り、私の言うこともかわりはございません。
  176. 立花敏男

    立花委員 詳細な説明は承つておりませんが、とにかく私の方から説明さしていただきますと、決して千九百億では済まない。これは千九百億で済むという勘定は、あくまでも標準税率によりまして、たとえば住民税の場合でも均等割は四百円あるいは六百円、八百円という税率、あるいは所得割は一八%という約束で行つております。そういうことがございまして、決して千九百億で済むとはきまらないわけなんです。特にこの問題が来年の一月以降になりますと、御承知のように全然様子がかわつて参りまして、一月からは附加価値税がとられますし、附加価値税の税率は四分が八分になりますが、こういう問題が、四、五箇月あとに控えておるわけであります。こういう問題を控えまして、私どもといたしましては、この税法によりますと、二十五年度におきましても相当の金がとられるであろうし、特に来年の一月以降におきましては、風早君が言いました三千億くらいの税收はとろうと思えばとれるという立場になつておりますので、その点をはつきりおつかみの上でお考えになりませんと、千九百億しかどうしてもとれないという建前でお考えになりますと、非常に困つて来ると思う。この点で大蔵大臣に千九百億という概念をもつと幅のあるものである、事情によつては、特に地方財政の窮迫によりましては、うんとふえる見通しがあるんだということを考えていただきたいと思う。ことに固定資産税の場合などにおきましても、五百二十億と限定しておりますが、これは一応五百二十億は、来年の十二月でございますか、これを超過したものは来年の十二月に精算するという建前で五百二十億を押えております。それ以上とられましても、払いもどしは来年の十二月になります。こう考えますと、これは決して千九百億では済まないわけであります。また午前中の私の質疑に対しまして、自治庁からの答弁によりましても、この税法ではつきり出てない法定外の独立税と申すものが百八十種類もありまして、金額が数十億円に上つておるという答弁がございましたが、こういう私ども地方財政の窮迫によりまして、どんどんとられるおそれがある、こういう数字なんでございますから、大蔵大臣のように千九百億、ことしの予算と申しますか、中央で一応暫定的に決定された千九百億以上はとられないだらうということを根拠といたしまして、税法に対処されますことは、非常にとられる身になつて参りますと、不安な感がありますので、この点をひとつどういうお考えか、御説明願いたいと思います。
  177. 池田勇人

    ○池田国務大臣 千九百億円の收入見込みの根拠は、説明並びに資料をお配りしておるそうでございますから、それを御検討願います。なお今年度は大体千九百億円を徴收する予定で、税率その他盛つておるのであります。これに対しまするあなたの御批判は、これは別でございますが、私は大体千九百億円ぐらいの徴收でとどまるだろう。税というものは自然増收とか、自然減少はありますが、そう狂いのあるものではありません。国税におきましては、昭和二十四年度五千百四十億円のうちで、三十億円の自然増收、しかし各税目で見ますと、申告納税の所得税におきましては、三百億円程度の減收があります。しかし法人税とか酒造税につきましては相当の増收、全体といたしましては、千九百億円くらいが予想されるのであります。これは議論をしても何でございますから、来年の今ごろになつたら、風早君の言われるように三千億になるか、私の言うように千九百億円程度になるか、これは事実が証明すると思います。私は多年の経験から申しまして、千九百億円程度だという確信を持つておるのであります。
  178. 立花敏男

    立花委員 来年まで待てということでありますが、来年まで待つておる間に干上つて死んでしまつたら何にもなりませんので、御質問申上げておるのです。資料が出ているからとおつしやるのですが、資料が出ているのは承知しております。千九百億という数字も承つております。その資料が出ておるのも知つておるのですが、資料通りには行かない情勢が生れて来ておるということを、御認識願いたいと言つておるわけであります。たとえば失業対策費にいたしましても、政府は今年度四十億予定されております。しかしそれが足りなくて十三億ないし十五億をお出しにならうということも、大体決定されておるようであります。しかしそのあとの追加分に対しましては、おそらく今のところはつきりした態度はおきめになつていないだろうと思いますが、それが出るか出ないかは情勢によつて大きな影響を受ける。もしそれが出なくなつた場合、あるいは必要額よりも減つた場合に、地方が、実際自分の地区の住民が失業のうき目に会いまして、食うや食わずで町を彷徨しておるという場合に、これは捨ててはおけないわけであります。だからその際には、国から出ないのであれば、どうしても地方負担においてやらなければいけないという状態が生れて参りますことは、当然予想されると思う。だからこういう状態が起つて参りまして、一応資料の上では千九百億という資料が整つておりますが、この資料の一応の予定の千九百億というわくが破れるのではないか、そういう見通しが多分にあるわけです。それに対する大蔵大臣の見解を聞いておりますので、一応自治庁が千九百億と押えまして、それに関する資料が出ておるから、それを見ろ。それを私は大蔵大臣に教えていただきたいから、質問をしておるのではございませんで、そういう資料の上に立つて、そういう情勢がある際に、大蔵大臣としてはそれに対して十分見通しを持ち、どういう手をお考えになつておるか、承りたいと思うのであります。
  179. 池田勇人

    ○池田国務大臣 あなたの御質問は、歳出が地方の方でふえた場合に、その歳出をまかなうために、千九百億円よりもたくさんとらなければならぬ、こういう事情があつたときに、そういうことを考えると、三千億円になる、こういうことですか。
  180. 立花敏男

    立花委員 いや、そういう状態が起つて来るから、結局地方税法が、どんどん標準税率を超過して制限税率に近づいて参る、そういう場合に三千億ぐらいになるおそれがあるのではないか、こういうことです。
  181. 池田勇人

    ○池田国務大臣 あなたの見込みは、日本の経済その他を非常に変になるものという、前提のもとにお考えになつている。私は財政演説で先般申し上げましたように、着々安定の度を加えて来まして、そういうような激変が起ろうという見通しは持つていないのであります。見通しと見解の相違であります。一部の市町村におきまして、失業対策費はたくさん入用の場合もありましようけれども、しかしこの点におきましては、国家の財政の許す限りにおいて失業対策費を増加して、そうして一部は地方負担になる分もありますが、しかしこれは全体から申しますと、ささたる問題であるのであります。そこで千九百億円ぐらい今の税法ではとれるだろう、こういう見通しをつけておるのであります。
  182. 前尾繁三郎

    前尾委員長 松本六太郎君。
  183. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 債務償還について大蔵大臣にいま一応お伺いいたしたいのですが、先ほど藤岡君の御質問にもあり、そして現況についての御答弁があり、六月の末で百七十一億、七月は約二百億を償還するというお話がありましたが、本年度全体としての御計画はどうなつておるのでありますか。先般の本会議における御答弁の中には、一債務償還は何もこれだけいたさなければならないということはないのだ、返せるだけ返せばいいというような意味の御答弁があつたように承つたのであります。しかし一方予算では明らかに本年度償還すべき額を決定されておるのでありますが、これが今後どう変化されるか、そのお見通しと、それから見通しばかりでなく、これについての基本的なお考えがどういう点にあるのか、この点お聞きしたいのであります。
  184. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は本会議その他の場合におきましても、債務償還というものは返せるだけ返せばいいのだ、そういう観念は一切持つておりません。速記録をごらんくださつたらわかると思います。債務償還の計画は、御承知の通りに全体で千二百八十億円であります。そのうち見返り資金から返すのは五百億、他は一般会計の七百数十億円と特別会計の数十億、合せて千二百八十億、こうなつておるのであります。ただいままで返しました債務償還は一般会計の方から出しておるのであります。それは百七十一億円と記憶しております。今後はどこから出すか、一般会計から債務償還するか、見返り資金から債務償還するかという問題につきましては、七月の分は見返り資金から二百億円程度償還すべく関係方面と折衝しておる、こう申し上げておるのであります。しこうして一般会計から償還すべき七百数十億円のうち、ただいまは百七十億円やつております。その残りの中から今問題になつております警察予備隊、海上保安庁の費用を出すように、マツカーサー元帥から指令が来ておるのであります。従いまして今後どれだけの金額になるかわかりませんが、債務償還費から削つて出す予定であります。しこうしてその他につきましては、ただいまのところ予算通りに債務償還をして行く計画でおるのであります。
  185. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 大体お考えはわかつたのでありますが、それならば今度新たに設置されます警察の費用を既定の債務償還費の中から出す、その他のものは既定通り債務償還からやる、こういうお話でありますが、そういたしますと、債務償還を幾ら実際にやるという補正予算を議会にお出しになるのは、いつおやりになりますか。
  186. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この問題については遺憾ながらお答えできません。
  187. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 それから金融の問題と債務償還とは、非常に密接な関係を持つておることは申すまでもないのであります。前国会においてしばしば大臣がその点におふれになつておるいわゆる産業資金その他の金融等については、政府は巨額な債務の償還をやるのであるから、これがすなわち一面においては産業資金として散布されるのであるという御答弁があつたわけであります。そこで債務償還が一方に相当多額にほかの費用に使われるということになりますれば、従つてこの金融政策というもので当初大臣のお考えになりました点とは、相当これは狂いが出て来ることは必然であろうと思います。さような点についての何らかの措置をお考えになつておりますかどうか、その点を伺つておきます。
  188. 池田勇人

    ○池田国務大臣 債務償還で問題になりますのは、私は減税に当てるかどうかということが本質的な問題だと思います。これを減税に当てるということになりますと、いわゆる直接消費その他をふやしまして、相当活況を呈するようになると思うのでありますが、減税にはやはり段階がありますので、本年度は国税におきまして九百億円程度の減税でいいのではないかと思つて、債務償還にまわしておるのであります。従いまして金融問題といたしまして、千二百八十億円の債務償還が警察費の方にとられるということになりますと、これは銀行あるいは預金部へ債務償還する予定のものが、それだけ減つて参りますから、金融政策にある程度の変更を来さなければなりません。しかしその金は使われる金で、まわりまわつていろいろな方面に行くのであります。
  189. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 金融政策に関連いたしまして、いま一点お伺いいたしておきたいのであります。これは過般選挙中にも政府の政策、いわゆる五大政策と申しますか、さようなうちの重要な一点であつたと存じますが、貿易の不振を緩和いたし、あるいは振興いたしますための輸出貿易に対しまする金庫をつくるということが発表せられておるのでありますが、これはわれわれも非常に賛成であります。そこでいつごろこれをおやりになりますか。またつくるといたしますればその規模なり内容、あるいは運用というようなものについて、大臣に腹案がおありになるならば、この際お聞かせを願いたい。
  190. 池田勇人

    ○池田国務大臣 選挙の前に吉田総裁から発表になりました新財政経済政策は、できるだけ早く実施に移したいというので努力をいたしております。輸出金融金庫の問題につきましても、本国会に出すべく実は折衝を続けておるのであります。しかしこの問題はいろいろな考え方がありまして、きようここからおひまをいただければ、通産大臣その他と最後の打合せをしようと思います。なるべく早く皆さんの御判断をお願いしたいので、努力をいたしているのであります。本国会に出し得ますかどうか、今ちようどきわどいところであるのでありますが、最後の努力を続けて行きたいと思つております。それから輸出金融金庫と申しますか、輸出金融公庫と申しますか、この機構の問題は、いましばらく未決定の問題がありますのでお話申し上げるわけに行きませんが、普通のやり方と御想像くださればいいと思います。それからどれだけの金という問題は、これはやはり相手のあることで、輸出振興ということから考えまして、できるだけ多くを望みたいのでありますが、こちらの資金にも限度があります。私はできるだけ見返り資金の方からたくさん出して、そうしてできれば政府の持つておりまする外資、ドル資金もこの方で使つて行きたい、こういうふうなことを考えております。
  191. 前尾繁三郎

    前尾委員長 米原昶君。
  192. 米原昶

    ○米原委員 ちよつと一問だけ大蔵大臣にお聞きしておきたいと思います。昨日から問題になつておりますただいまの——松本委員からお尋ねがありまして、われわれが一番聞きたくて、全然お話にならないわけでありますが、警察隊予備隊の費用の問題及び今回の国際連合協力に関係のある費用の問題、これを全然御説明にならないので、われわれとしては非常にそれがどういう影響を地方財政に及ぼすかという点で、大蔵大臣は大丈夫だとおつしやいますけれども、全然この説明がないので、われわれ理解に苦しんでいるわけであります。どういうわけで御説明にならないか。警察予備隊の費用の問題についてお話にならないわけでありますけれども、しかも一部の新聞にはそういうことが出ているというような状態で、国会で当然そういうものはお話になつていいものだと私は考えるのでありますが、こういう公開の席上ではお話になれないというのでありますか、その理由をお聞きしたいと思います。
  193. 池田勇人

    ○池田国務大臣 公開の席上だから話さないという意味ではございません。話すだけのことがまだ私に決心がついておりませんので、申し上げないのであります。どれだけの予算になるかなどということは、私は全然知らない。私どもの所に要求が来ていないのであります。それでただいまのところ、お話申し上げられないというのであります。
  194. 米原昶

    ○米原委員 そういたしますと、警察問題については全然要求が来ておらない。それから今回の国際連合関係の協力に関して出ている費用については、大蔵省にそういう費用の要求が来てないから話せない、こういうような状態になるようでありますが、一部新聞にはたとえば船舶関係なんかにも、大分いろいろなことが出ているようで、それが相当国家財政に影響をして来るのではないかということを考えざるを得ないのでありますが、そういう点について、もう事件が起りましてから一箇月になんなんとするのに、全然大蔵省でわからない、そういう見通しが持てないというような状態であることは、非常に遺憾に思うのであります。現在のところでは、大体どのくらいで行けるかということは当然発表なさつて、国会議員にも納得させ、国民にも納得させて、大丈夫今のお話になりましたこの地方税千九百億の標準額くらいで行けるなら行ける。それほどこれを超過することはあり得ないということについて、納得の行く説明をいただけないと、非常にだれしも不安に思うのでありますが、いつごろになつたらそういうことの目安がつく予定であるかお話を願いたい。
  195. 池田勇人

    ○池田国務大臣 非常に取越苦労をされているようでありますが、警察予備隊の設置並びに海上保安庁の問題につきまして、地方財政に直接影響はないと私は考えております。従いまして申し上げない。またそればかりでなしに、今回の朝鮮における紛争につきまして非常に予算上特別の措置をとらなければならないだろうということは、あなたの方で勝手に想像なさつていることで、私は大したことはないと……、(「その説明を」と呼ぶ者あり)お話を申し上げるような材料は持ち合せない。警察隊並びに海上保安庁の問題につきましては、何回言われましても申し上げられません。
  196. 米原昶

    ○米原委員 われわれがなぜそういうことを言うかというと、たとえば終戦処理費にしても、大体もう全部出ておるのではないかと思うのであります。そうすると、そのあとどういうふうにするのかということが、すぐ考えられるのであります。警察予備隊の費用がおつしやるように国債償還費から出るとすれば、これも残額ほとんど使いつくしているような結果になるのではないか。しかもこれはすでに海上保安庁長官がこの委員会で、海上保安庁関係だけでは七、八十億いるということをおつしやつておるのであります。大久保長官はそうおつしやつているのに、大蔵大臣の方はこの点全然お話にならない。海上保安庁の方にはどうやらそういう予算というものがわかつているようでありますが、大蔵大臣の方には全然わからない。これが私、不可解なのであります。池田大蔵大臣があくまでも国会議員をつんぼさじきに置いて独裁政治をやらせよう、そういうことを考えておるのではないかと、われわれは疑わざるを得ないのであります。終戦処理費がほとんど使い尽されるのではないかという疑問が生ずるのは当然なのでありまして、そういう点について、絶対そういうことがないということでありますれば、そういうことを証明していただきたいと思います。
  197. 池田勇人

    ○池田国務大臣 終戦処理費千二百億円がほとんど使われておるだろうというふうなことを御想像なさるのが、大体今の日本の状態を認識なさらぬからであります。これがみな使われておるようならば、金詰まりはありません。終戦処理費の出ようはいかにも遅々としておる。それで予定通りにまだ出ておらない。これははつきりしております。だからそういうとんでもない御想像をなさらない方がよかろうと思います。  それから大久保長官が八十億円とかなんとか言いましたが、予算関係にある大蔵大臣の私のところに来ておりません。だから私は申し上げられない。何もつんぼさじきに置くという気持は持つていない。
  198. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に河原委員。
  199. 河原伊三郎

    ○河原委員 大蔵大臣にちよつとお伺いいたします。先刻地方税の空白による特殊事情のために、地方財政のつなぎとして融資されたものに対する利子の問題で、それを国において負担するか地方において負担するかの問題につきまして、藤田委員の質問に対するお答えで、長期融資の利子を引下げることによつて、それをカバーするように考えて行きたいというような御答弁であつたのでありますが、短期融資を求めた地方自治団体の先と、長期融資を求めた先と、その先においても、または金額の度合いにおいても、一致しておればそれは効果があると思いますが、それが非常にでこぼこ、不つり合いになつておりますれば、その政府のねらいと違つた結果を生ずると思いますが、この点に関するお考えを伺いたいと思います。
  200. 池田勇人

    ○池田国務大臣 原則論でありまして、お話の通りに起債をした団体と、起債をしない団体とがございます。それの調節は実際問題で考えて行きたいと考えております。
  201. 床次徳二

    ○床次委員 入場税に関しまして、一言お尋ねいたしたいと思います。  入場税につきましては、過般の国会におきまして、若干参議院において修正がされまして、純音楽その他の特別な研究、発表をするものに対しましては、入場税を軽減する取扱いがとられておるのでありますが、その後の実際状況におきまして、純音楽に類するその他の会合と申しますか、これとのつり合い上、やはり相当是正を要するものもあるのではないかと思うのでありますが、今回の法案には、やはり従来と同じような要綱を出されておる。これに関しましては実際の経過にかんがみて、どんなふうであつたか自治庁の御意見を伺いたいと思います。
  202. 小野哲

    小野政府委員 実は参議院の方におきまして、入場税の御審議がありました際に、純音楽等につきましての御修正があつたのは御承知の通りであります。それ以外においていろいろと研究をいたすべきものも論議はあつたのでございますが、あの当時の事情並びに今日におきましても同様でございまして、この際他にこれを拡張して税率軽減の措置をすることは、まだその時期ではないであろう、しかしなお研究はいたして参りたい。こういう所存で今回はさきに提案いたしました通りの案をもつて、一応御提案を申し上げておるような次第であります。
  203. 床次徳二

    ○床次委員 次に自動車税につきまして一言お尋ねしたいのでありますが、自動車税につきましては、この前の国会におきまして、これを若干軽減したらどうかというような意見も出ておつたのでありますが、最近の情勢から見ますと、自動車はトレラーバスその他非常に大きなものが出て参りました反面におきまして、道路の維持ということに対しましては、これまた相当の経費がかかつて来ておるように思います。従つてこの自動車に対する課税という問題は、今後府県へ参りますと土木費との見合いの関係上相当考慮すべき問題も少くないかと思うのでございますが、これに対する自治庁のお考えはどうであるか。  なお最近自動車は相当台数等もふえて参りまして、課税源としてはかなり余裕が出て来ておるのではないかとも思いまするが、この点はどんなふうに参つておるか、御意見を伺いたいと思います。
  204. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 自動車税の標準税額をきめました根拠は、大体現状において自動車税自動車税割を合算すれば、どれくらいになるであろうかというようなところを根拠にしてきめたわけであります。今お話のように、大きな自動車と小さな自動車との均衡の問題がございます。しかしこれは標準税率をきめておるだけでありますので、その自動車の大きさによつて税額は標準税率を基礎にして幅をつけたらいいだろうというふうに考えております。
  205. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの問題は地方の道路の維持、管理等に要する費用等から言いますと、大型のものに対しましては、標準税率から課税いたしまして相当多額にとつても、これは実情上やむを得ないというお考えでありますか。
  206. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話の通りであります。それからなお收入が非常にふえるではないかというお話でありますが、この見込みをつくりましたときは四月ごろでありますが、当時の台数を基礎にしたのでございまして、あるいは多少その後幾らかふえて来ておるかもしれませんが、それほど大きなものではなかろうというふうに考えるのであります。
  207. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に門司君。
  208. 門司亮

    ○門司委員 私は最初に委員長に了解を得ておきたいと思いますことは、きよう質問いたしまする範囲は、大体県税の付加価値税を除いた以外のものに一応とどめておきたいと思うのであります。酒税の問題につきましては次の機会に質問を申し上げる方がいいと思いますし、全部申し上げると非常に長くなりますので、一応その程度にとどめておきたいと思うのであります。
  209. 前尾繁三郎

    前尾委員長 長くなりましてもやつていただいたらどうかと思います。
  210. 門司亮

    ○門司委員 質問いたしたいと思いますことは入場税の問題でありますが、いわゆる七十八條の入場税の免除に関しまする件について、この法に定められておりまするその以外に、実際上の問題として、たとえば動物園であるとか、図書額であるとか、博物館であるとか、展覧会であるとか、植物園であるとかいうようなものが、ほんとうに利益を考えないで、地方の公共団体がいわゆる市町村がこれらのものを経営する場合があると思ふのであります。これらに対してどうしてこれが非課税対象になつていないかということについての御説明を一応承りたいのであります。
  211. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今のお話ようなこともあると考えましたので、入場税課税対象を規定いたしております七十五條の中には動物園とか、植物園とか、博物館、図書館というものは規定いたさなかつたわけであります。従いまして特に水族館などをやつておるからこれを展覧会場に類するものとして課税しようと思えば課税できるわけでありますが、それ以外は課税しないことを建前にして法律ができたわけであります。
  212. 門司亮

    ○門司委員 私の申し上げておりますのは、単に営利を目的としないむしろ公共団体がこうしたものを行つておる場合があるのであります。これらに対しては、とつてもよければ、とらぬでもいい、ここに書いてないからいいのだというあいまいなことでなくて、ひとつこれをはつきり非課税対象にしておいた方がいいのではないか、またそうすべきではないかというふうに考えられるのであります。
  213. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 特に入場税課税対象にならないものは別に書いてないのです。まぎらわしいものを書けとおつしやるのかもしれませんけれども、またそうなつて参りますと同じようなものについて特に興行的にやつているものも出て来ますので、むしろ書かないで実際の判断でやつた方がよくはないかと考えておるわけであります。今お話にありました地方団体で動物園などを経営しておるもので入場税をとつておるものは、全国でそうないのではないかと思います。あるいは私寡聞にして一つ二つあるかもしれませんが、まずないだろうと思います。
  214. 門司亮

    ○門司委員 これは従来の入場税の関係でありますれば、もちろん府県が関係をいたしておりますので、自分の経営するものに府県税をかけるということはどうかという考え方を持たれるのであります。大体入場税については県と市が折半をいたすような形になつておりましたので、そういうことも言い得ると思うのでありますが、今度県税一本になつて参りますと、市町村の行いますものについては府県税がかかつて来ることが当然と思う、これを一応考慮してほしいということを申し上げておきたいと思います。  それから税率の問題であります。七十七條に、税率を百分の百とするということになつておるのでありますが、これはしばしば議論をされた点でありまして、ものによつては百分の百というようなことは必ずしも妥当な税率ではないのではないだろうかと、今までかなり強く考えられておつたのであります。従つて、どうしても百分の百の税率でとらなければ、政府考えられております所定の税額は得られないのかどうか、これらの関係者の陳情等を聞いてみますると、税率が少し高過ぎるのでどうしても経営が困難だ、従つて脱税のような形がやむを得ず出て来るのだというように実情を、私ときどき聞かされるのであります。もしそうだといたしまするならば、この税率は当然徴收し得る範囲に下げることがいいのではないかと考えておりますが、当局意見は一体どうである。
  215. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 入場税の百分の百というのは、われわれも非常に高い税だと思つております。従いまして他に收入の減をカバーするものを見出しまして、できるだけ早い機会に入場税の税率を下げなければならないというふうに考えているわけであります。しかしながら税率を下げても予定の收入が得られるではないかという御意見でありますと、われわれはそうは考えられないと思うのであります。ただ税率を下げて料金を軽減したら、もつとたくさん入るではないかということは地域的には言えるだろうと思います。しかし必ずしも全体的にその通りになるとも思わないのでありまして、先般入場税の税率を下げた結果が、逆に料金だけ上げてしまつたというような所もあるのでありまして、この間まで入場料金の統制が行われておりました関係上、業者としては営業上、もう少し上げたいところも上げないでやつているという点もあつただろうと思うのであります。しかし御意見ごもつともでございまして、できるだけ早い機会に他の税目とにらみ合せまして、税率引下げに努力して参りたいと考えております。
  216. 門司亮

    ○門司委員 これは単なる私の意見であるかもしれないと思いますが、この税率は県税全体に影響を持つものであり、次の遊興飲食税と同じような形を持つものでありますから、この税率が非常に高いということは、県財政の上の予算を見積りまする場合において、これが非常に弾力性を持つたひとつの税制のように考えられて参るのであります。そこでこれを弾力性のあるひとつの財源として、道府県が行政の面で歳入を勘案いたしまするときに、往々にしてこれが追加予算の対象になつて来る、そうして当初においては大体見積りが非常に低くて、だんだんこれが追加予算の財源になるというような形を示して来るのであります。従つて今われわれが考えております健全な地方財政の運営ということが、往々にしてこの辺からくずれて来る危険性を多分に持つておるのであります。御存じのように道府県の当初予算というものはほとんどおざなりの予算であつて、こういう弾力性のある一つの税目、いわゆるこれがとれるかとれないかわからぬが、とにかく弾力性があるということが、追加予算等が組まれておる実例はすでに御存じの通りであります。従つてどもはこれらのものに対しては、税率を高くして、いかにも税收入がたくさんあるんだというようなことをなるたけ示さないで、実質に即したような方法でやつていただいたらどうかと考えておるのであります。  それからその次に聞いておきたいと思いますことは、先はど立花君より聞いたと思いますが、法の八十八條に「道府県は、主催者が臨時に場所を設けて催物を行う場合においては、当該道府県の條例の定めるところによつて、その主催者等が徴收すべき入場税を予納させることができる。」こういうことになつておるのでありますが、これは一体仮設の興行物を指して、こういう條例を設けられておるのかどうか、まず最初に聞いておきたいと思います。
  217. 小野哲

    小野政府委員 御意見の通り、いわゆる臨時仮設興行、このことを考えておる次第であります。
  218. 門司亮

    ○門司委員 それからもしこれが臨時の仮設興行であります場合においては、入場税を予納させるという字句でありますが、どういう必要があつて一体予納させるのか。おそらく政府のお考えは常設でないことのために、税金を納めないでどこかへ逃げてしまうものがありはしないかというような御心配があるのじやないかと考えますが、少くとも興行を営んでおるものに対して、そういうことのためにあらかじめ税金を納めさせるという條件になつてその予納した税金がもし過剰である場合等の処置は、これにははとんど示されていないのであります。この点はもし予納いたしましたものが、実際の收入よりも多かつた場合については、どういうふうな処置で、これをお返しになるのか。
  219. 小野哲

    小野政府委員 御意見の通りに臨時仮設興行の主催者等が、おおむね所在が一定しておりませんので、従いまして興行が終りますと、入場税にかかる納入金を納めるということがなしに済むような場合が往々とにしてあることは御承知の通りであります。従いまして入場税は当然納入すべきものでありますので、これらの事情を勘案いたしますと、いわゆる納入金の内払いというふうな意味合いにおいてこれを徴收して、あらかじめ納めてもらうということは筋の通つた点であろうと考えておるのでございます。なお過分に徴收をしたというような場合におきましては、もちろんこれにつきましては清算をいたしまして返すような処置も講じなければならぬと存じます。
  220. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いておりますのは、その処置に対する規定がないということでありますが、これはどういう規定でやられるか、ただここに條例によつてこれを定めるということが書いてありますので、あるいはこれは法律ではかからないで、條例にゆだねられておるというようにも解釈できるのでありますが、当局のこれに対する指示をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  221. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 予納させたものが実際徴收すべき入場税よりも多くなるかもしれないほどの額を予納させることは穏当ではないと考えております。そういう意味合いにおいてあえて書かなかつたのでありまして、この点は徴收すべき入場税と認みられる額の、どんなに多くても二分の一以下でなければならない。そういうような指導方針を一応この法律ができました場合には示したいというふうに考えておるわけであります。この字句の上にも現われておりますように、徴收すべき入場税でありますので、徴收すべき額以上のものを予納させていますなら、この字句上当然に還付されなければならぬのであります。ただ指導精神から考えますと、そういうような場合もあるようなものを予納させるということは、きわめて不穏当でございます。もつと少いものを予納させなければならぬのであります。そういう場合も考えまして、わざと書いてないのでございます。
  222. 門司亮

    ○門司委員 もう一つお聞きしておきたいことは七十五條でありますが、七十五條の五項に「第一項の入場料金又は利用料金とは、何らの名義をもつてするを問わず、第一種若しくは第二種の場所への入場」、こういうふうに書いてありますが、これはたとえば町村における部落の催しもの等がありますが、これらはもちろん興行のうちで、先ほど申し上げました八十八條の規定と相関連して、一体そういうことをやらせるつもりであるかどうか。
  223. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今お話のような事例とか、ほんとう課税を不穏当にするような事例がたくさんあるだろうと思うのであります。そこで脱税的な意図のものと、そうでないものとを区別する上において、やはり現地において実際にあたつて判断するよりしかたがないだろうと思うのです。そういう場合に予納させなければならないわけではないのでありまして、ただ予納させることができるという権能付与の規定をしておるわけでございます。
  224. 門司亮

    ○門司委員 今でもこれは問題になつておるのでありまするが、私の聞いておりますのは、予納させることができるということと、もう一つは村に行きますと、部落あるいは農業会等が秋あるいは春等に行いまするほんとうの村の親睦の意味における娯楽のための催しものは、おそらく無料でありまして、何も入場料はとつていないと思うが、ただこの法律建前から言いますと、一応かかつた経費を入場料とみなして、税金をかけるようなことになつておるのでございますか、その点をひとつはつきりしておいてもらいたいと思います。
  225. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今のお話ですと、全員を無料で入場させておる場合と承つたのでありますが、それならば入場税は課することができないはずであります。全員無料で入場させる場合は課することができる規定は七十六條の第二項を設けておりますが、これもやはり課することができるのでありまして、脱税的な場合に、この規定を発動させるというふうなことで考えておるのであります。一般的な規定は七十五條第五項に書いてありまする通り、「何らの名義をもつてするを問わず」とありますけれども、入場するものが何らかの形において、負担すべき金品がなければならぬわけであります。今仮定しておられる問題でございますと、負担すべき金品というものは何もないのだろうと思うのであります。だから当然入場税対象にならない、かように考えているわけでございます。
  226. 門司亮

    ○門司委員 この点が非常にむずかしいのでありまして、往々にして問題になつておりまする問題は、ここに発生していると思います。たとえばこの会員の組織であるとかいうようなものが、一応会員券というようなもので、何らかの形で興行を営むとか、何らか娯楽的に一応催しものをやるという場合にそれはこの会員券を催しものを営みまするものの入場税とみなせば、一応税金がかけられて来る。ところがそれは文化団体、その他であつて、当然それらの催しものをすることのために、会費をとるのではないというような解釈がつく場合においては、これには税金はかけられない。この解釈は非常にむずかしいと思うのですが、この点は一体どういうふうにお考えになつておりますか、これが今往々にして行われておりまするいろいろな会員組織というような形において、興行物を営んでおりまするときに、脱税であるとかないとかいうことで、地方で大きな問題を起しておる一つの原因だと思うが、その点はどういうふうに御解釈になつておりますか。
  227. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 会員券というふうな名目で入場さしているというような問題を判断いたします場合には、やはりそこに脱税的な意図があるかどうかというふうなことは、それはおそらく興行目的からいたしましたら、大体判断がつくだろうと思うのであります。今お話のような仮定のもとに立つていることで、そんなに地方で大きな争いを起しているのはわれわれは聞いていないのでありますけれども、もしそういう具体的な事例をお教えいただきましたら、さらに立法の際において、もつと検討して行きたいと思います。現在のところ今お話のような仮定に立つたような興行で、大きな争いの起きているようなことはないと考えております。ただ何と言いましてもこれは府県税でありまして、府県の議会においても十分論議される問題でありますので、その間十分の実情に即した運営が行われて行くであろうということをわれわれ期待しているわけであります。
  228. 門司亮

    ○門司委員 実例を示せというお話でありまするが実例を申し上げまするならば、たとえば前進座の問題等がしばしば新聞にも報道されて問題になつておりまするが、実例のあることは御存じだと思うのであります。私どもはそういうまぎらわしいことではいけないと思うのでありまして、そういうものを法律できめます以上は明確にしておいてもらいたい。それを地方の公共団体で條例で定めることになつて参りますと、解釈がまちまちになつて問題はやはり一つの社会問題として引き起されて来るというふうなことがありますので、実は質問を申し上げたのでありますが、ただいまのような御答弁でありますならば、その点は特にひとつお考えを願いたいと考えております。  その次には遊興飲食税でありまするが、遊興飲食税の問題につきましては一番最初に百十四條の納税義務者の問題でありますが、これはここに書いてあります通り、「その飲食物が料理店、仕出屋、旅館等から供給を受けるものであるときは、その飲食は、同條同項の場所における飲食とみなして、これに対し、料理店、仕出屋、旅館」というようなことがここに書かれておるのであります。これは大体私どもはある程度こういう條文でよいのではないかと考えておりまするが、これにいたしましても、納税義務者がはつきりいたしまして、業者自身がそれらのものを供給したという場合においては、おそらく大した問題にはならぬと思うのでありますが、ここに問題になりますのは、往々にして加工を依頼されたということのためにやはりこういうものは特に行われるということがあると思いまするが、その料理あるいは飲食の材料を提供されて、加工をしただけのものについても、これらの税金をおかけになるつもりであるかどうか。
  229. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 まつたくの加工でございますと、これは課すべきものではない。ただ先ほども委託加工を受けるすし屋さんから、いろいろお話を承つてつたのでありますけれども、全部が全部加工ではない。そうしますと、あとのその他のいわゆる仕出屋との関係が、非常にあいまいになつて来るわけなんでありまして、またそういう明確なものについてまでも課税する必要はないと思うのでありますが、その均衡上から考えまして、仕出しに課税するならばそれに課税すべきであるという意味におきましては、やはり課税して行つた方がよかろうというふうに考えております。
  230. 門司亮

    ○門司委員 非常にデリケートな問題を持つていると思うのでありますけれども、依頼された加工に対して、どれまで税金をかけてよいかということであります。この点が明確になつておりませんと、一方徴收する方の側から見ますと、あるいはこれが脱税のように見えて来る。加工いたします者の方から見ると、税金をこれにかけるということは、本人が持つて来たものに対して加工してやつた。それにさらに持つて来た本人から税金をとるというようなことは、おそらくできない相談だと思う。そういたして参りますと、やはり犠牲をしいられるものはそれらの業者であつて、この点は特に明確に、加工である場合においては、たとえばそれが仕出しであろうと何であろうと、税金をかけないということの條文がこの際必要ではないかというふうに考えるのでありますが、この点に対してのお考えはどうでありますか。
  231. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 たとえばこのごろのように小麦粉を持つて参りまして、パンにつくり直してもらうようなことがあります。それはわれわれ考えても仕出屋ということにはならぬだろうと思うのでありまして、大体料理店とか、仕出屋とか、旅館とかいうような観念から出て来るのではないかと思います。委託加工のすしの場合は、現に仕出屋さんの業態を御存じのように、非常に雑多な形態があるようでございます。これについては、委託加工なんだから一律に課税すべきではないという線を引きますのも、ほかとの均衡から穏当でないだろうと思います。従いまして、今かりに私が例をあげました小麦粉を加工してパンにする、そういうものに対して、まつたくの加工であるものについては課税すべきものではない。これは法文上当然出て来る御意見でございますので、なお一層そういう趣旨を鮮明にするよう努力して参りたいと思います。
  232. 門司亮

    ○門司委員 それからその次には、百十五條の税率の問題でありますが、この税率によりますと、ここに書いてある通りでありまして、芸者の花代、これに類するものが大体百分の百、その他の料理店などのものが百分の四十であり、あるいは宿泊飲食以外の飲食に対しては百分の二十だということに相なつておるのでありまするが、これはしばしば問題になつておりますので、今さら申し上げるのも実はどうかと思うほどの問題であります。ただわれわれの考えて参りまするものは、この課税がはたして適切であるかどうかということである。業者の陳情を私どもが受けまするときに、昨年の売上高が一体どれくらいあつたかというと、業者側の陳情では当局も御存じのように約千五百九十億、大体一千六百億の売上げがあるはずである。これに総体的に一割の税額を見込んでも、大体百六十億の税額になるはずである。徴收が完全にできればそれだけあるはずである。ところが昨年の徴税予定額はわずかに九十八億であつて、本年度は百二十億に過ぎないのであります。しかも税率から見まして、もしかりに業者の言うほどの千六百億の売上げがあるといたしますると、この税率をかけて参りますると、それの二倍ないし三倍にならなければならない。ところが実際上の問題としては、徴税額から見て参りますると百二十億しか予定されておらない。これは非常に妙な問題であつて、一体政府はこれによつてどれだけ捕捉しておるかということであります。従つて、料飲店のこの売上高に対する捕捉の率を一応お示しを願いたい。
  233. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 遊興飲食税は、従来むしろ入場税以上の收入を確保いたしておつたのでございます。ところが御承知のように、昭和二十二年に料理飲食営業の停止の措置が講ぜられました。従つて遊興飲食税の特別徴收をしておる業者があるといたしましたならば、それは脱法行為をやつているのであつて、刑罰に問われなければならないというふうなことにもなるわけでございます。かりに料理飲食営業をいたしておりましても、遊興飲食税を特別徴收するということはとうていがえんじなかつたわけであります。それがためにせつかく軌道に乗つておりました遊興飲食税の徴收というものが、実体からまつたく離れてしまいまして、脱税が大つぴらに行われざるを得ないというふうなことになつてしまつたのでございまして、お話のように、すべて法律というものは国民の協力の得られるようなものでありませんと、実際意味をなさないわけであります。しかしながら、その後料理飲食営業の停止の措置も解除になりまして、順次遊興飲食税が軌道に乗りつつあるわけでございます。私も実際の飲食額から言いましたら、相当脱税が行われているということを、まことに遺憾に思つておるのでありますけれども、幸いにして漸次協力態勢が確保されつつあるわけでございますので、われわれが見込んでおります額が確保できるようになるであろうというふうに考えておるのでございます。根本は、この法に協力する建前国民の間に敷衍いたしませんと、税率を幾ら規定いたしましても、意味をなさぬことでございますので、そういう意味合いにおきまして、漸次改善されつつあるし、また協力を求めるように努力いたして参りたい。従つて、脱税が何割程度あつてもその程度は一般化しているのだから、われわれ料飲営業者もそれでいいのだというふうな感じを持たれないように、ひとつ一般の協力を求めるようにいたして参りたいというふうな希望を持つているわけであります。
  234. 門司亮

    ○門司委員 私は今のような希望というものを聞いているのではありません。大体百二十億の税金を算定されました税額の捕捉です。業者は一応約千六百億の売上げが昨年でもあつたと称している。これを全額捕捉いたして参りますと、一〇%の税率をかけておりましても大体百六十億という数字が出て参るのであります。しかるに、さきに申しましたように、去年は九十八億である。九十八億の税率をかけられたときに、業者は千六百億あつたと、こう称しているわけです。それからさらに、これは私はもつと売上げがふえていると思いまするが、一体どれだけを捕捉しておられるのか、その税額をひとつ明らかに示しておいてもらいたい。なお、できますならば、この百分の百の芸妓の花代が、どのくらいの捕捉率になつているか、どのくらいの税額になつているが。それから同時に、その次の百分の四十の料理屋、カフエー等の問題が一体どのくらいの税額があるのか。その次の宿泊その他についても一体どのくらいの税額があるのか。この数字をひとつ明確に示してもらいたい。
  235. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 百二十数億円の見込みを立てました基礎は、昭和二十三年においてこの種の関係業者から所得税がどのくらい徴收されているか、それから逆算いたしまして税率を乗じますと、大体今申し上げたような金額になるわけであります。そこで遊興飲食された料金をどれだけ捕捉するかということが一つの問題であります。業者が何を根拠にして言うておられるか知りませんが、われわれとしては一応把握できる遊興飲食の税額、それを所得税から一応逆算しているわけでございます。今正確に覚えていないのでありますけれどもあとで御連絡いたしたいと思います。それから一種から三種までの関係の業態別の收入も、最近の実績を見ましてどの程度の割合になつているかということを、あとでお答え申し上げます。
  236. 門司亮

    ○門司委員 二十三年度の所得税から算定したというお話でありますが、私はきわめて奇怪に考えているのであります。現金を課します場合においては、もし二十三年度の所得税から課されているということにいたしますと、二十五年度の本年度におきましては、これは相当売上げというものが大きな額になつていなければならない。必ず二十三年よりもことしの方が多いと思う。そうすると、税金というものは百二十億でなくして、実際は非常にたくさんとれることになるのじやないか、こういうふうに実は考えられまするが、一体その点はどういうふうにお考えになつているのか。ことに所得税から逆算したというようなお話でありまするが、それなら先ほど私が申し上げました業者の陳情書が全部うそであるかどうかということになる。私は必ずしも業者の陳情書というものがでたらめではないと考えております。もし業者の数字がでたらめでなかつたといたしますならば、この税率をかけて参りますと非常な税がとれることになる。この点はもう少しはつきりしておいてもらいたい。われわれが税金を審議いたします場合には、しばしば申し上げる言葉でありますけれども、やはり税額に対しましては百パーセントの捕捉をするということが正しい見方であると私は考える。その上の徴税率の問題に対しましては、おのおの見方があると思いますが、捕捉だけは一応全部にまでしなければならない。捕捉をいたします税額というものがはつきりしていないで、ただ漫然として税率だけをきめて参ることが、一体正しい税金の建前であるかどうかということであつて、この点を私は疑わざるを得ない。こういう形になつておりますのが、あまりに実情からかけ離れた問題でありますので、実は私お聞き申し上げたのであります。従つてこの点については、明日でも明後日でもよろしうございますが、はつきりした数字を出してもらいたい。  それからその次に聞いておきたいと思いますことは、先ほどから申し上げておりますように、業者の陳情によりますと、大体百分の十にしてもらえば、百六十億くらいの税金は当然支払うことができる。しかしこれが非常に税率が高いことのために、昨年度におきましても、九十八億の税金が大体あなた方の方がよくおわかりだと思いますが、各都道府県では、これの半分くらいしか、徴税はできていない。半分くらいしか徴收ができないという原因は、大体税率が高過ぎるからだということを、盛んにわれわれは聞かされているのでありまするが、もしそれが事実だといたしまするならば、税率はやはり納め得る範囲、あるいは徴税のできる範囲にこれを下げた方が、実際上の問題としては徴税ができるのではないかというように考えておりますが、この税率に対する変更をされる御意思があるかどうか。
  237. 小野哲

    小野政府委員 門司さんから種々詳細にわたつての御意見を拜聴いたしたのでありますが、遊興飲食税の問題につきましては、業者諸君からも、いろいろ実情に基いた御意見の開陳があることも承知いたしております。ただ今回は百分の百五十を一応百分の百程度、その他の部分につきましても多少の引下げを実行いたしまして、なお今後の徴税の実績に徴しましては、第二段として税率の問題に検討を加えて参りたいと考えておるような次第で、今の段階といたしましては、一応この程度の税率の引下げにとどめておきたいと考えておる次第でございます。
  238. 門司亮

    ○門司委員 今の次官の御答弁で私ども必ずしも満足はしないのでありますが、もう一点聞いておきたいと思いますことは、この遊興飲食税の中には、非課税対象というようなもの、いわゆる税金をかけないというようなものが実はないのであります。たとえば外食券の食堂のようなものに対しましては、外食者に対しても、やはり同じような税金がかかつておるのではないかというようなことが、私は懸念されるのでありますが、外食券食堂に対してはどういうふうになつておりますか。
  239. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 外食券のみを扱つておりますものについては課税してはならない、こういう方針を示しております。大体全国その方針に従つてつております。
  240. 門司亮

    ○門司委員 方針を示しておると言つておりますが、法律の上にはそれがどうして一体表われないかということであります。
  241. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 外食券食堂の実態も、御承知のように、非常にまちまちでございまして、そういう意味合いで府県におきまして実態に即したような減免規定を行つて行く。御承知のように第六條でありましたか、公益上その他の事由によりまして、課税除外を自由にできることになつております。従つて自主的な判断で、その地方の料理業の実態に即した免税の方針をきめてやつた方が、かえつて適切に行くのではないかという考え方を持つております。
  242. 門司亮

    ○門司委員 非常に奇怪な答弁を聞くのでありますが、外食券食堂と規定されております食堂で、外食をいたしております諸君は、家庭で食事をいたします場合には、何らの税金をかけられないのに、同じように食事をする場合、外食券食堂だと税金をとられるということは合わないと思います。従つて法律の上におきましては、それらのものに対しては、やはりはつきり書いておいていただいた方がわかりがいいのではないか。ことに外食券の問題につきましては、もしこれを調査しようといたしまするならば、外食券の数で実はすぐ調査ができるはずであります。外食券食堂が外食券以外の営業をしているということは事実でございましようが、それとの対照、比較をいたし、さらに免税する範囲を定めまする場合においても、外食券がありまするので、大体どのくらいのものが、この営業の中から外食券として利用されたかどうかという数字は、私はすぐわかると思う。大して識別に困難な状況を見てというような言葉を使わなくても、明確にこれは勘定ができると思う。従つて当然外食食堂に対しましては、外食券をもつて飲食する人に対しても、私は税金をかけるということは、これは国民の生活を営む上においてはなはだ不穏当だと思う。従つてそういう考慮を、どうして一体払わなかつたかということであります。  もう一つは宿屋であります。宿泊に対しましても、規定されたものは別といたしまして、宿屋においてもやはり料理飲食というような形になるものが、往々にしてあるということは間違いはございませんが、ただこの場合において引率者のあります学生、生徒の修学旅行であるとか、あるいはスポーツその他の関係から集つて参りますそれらのものに対しまする免税の規定というものが、やはりこの場合あることの方が正しいのではないか、こういうふうに考えておるのでありますが、これらの点についてお考えはどうでしようか。
  243. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今いろいろ御意見を述べられました気持をもちまして、われわれも県の方といろいろ話合いをいたしたわけであります。外食券食堂を例として申し上げますと、外食券と引きかえに飲食される、そういうことだけやつておる飲食業者というものは、地方においてはむしろ少いのだそうでありまして、従つてそういう規定を法律上置かれるよりは、むしろ地方地方における外食券食堂の実情に適したような規定を置きたいから、特に法律に規定を置いてもらいたくない、こういう希望があつたわけであります。現に御承知のように、相当多くの府県においては外食券食堂の問題のみならず、今お話になりました引率して学生を旅行させるというような場合における減免の規定も置いておるわけであります。大体そういう一律な判断を下しがたいようなものについては、地方の実情に即応したことをとらせることにいたしまして、必要な運営方針というものは、国の立場からいろいろな監督をして行くという行き方の方がよいのではないかと思います。もしそれに反するような例がございますれば、地方財政委員会に勧告権も与えられておりますので、そういうかつこうに運営してやつた方が、民主的な税制の立案なり、運営ができるのではないかという考え方を持つておるのであります。
  244. 門司亮

    ○門司委員 どうもおかしいのであります。私は、とる方の側からいえばとりよいかもしれませんが、しかしながらとられる方の側から考えてみますと、家庭で食事をする場合は税金がかからないが、外食券の場合は税金がかかるという行き方は、やはり法律の上できめておいてもらいたいというふうに考えております。  もう一つこの種目でお伺いしておきたいと思いますことは、少額の飲食の問題であります。具体的に申し上げますならば、百円未満くらいの飲食に対しては大体われわれの感じといたしましては、これを免税にするというような考え方が妥当ではないかというふうに考えられるのであります。それはほんとうの肉体労働者が帰りにちよつとわずかにしようちゆう一ぱいを飲んで行く、これに対しても高額の税金がかかつて行くということになりますと、非常に苦痛でありますので、この際少額の百円未満のものに対しては、できれば一応免税にするということが、妥当ではないかと考えておりますが、当局の御意見を承つておきたい。
  245. 小野哲

    小野政府委員 免税の問題につきましては、一時これを実施したこともあるようでございますが、現下の情勢から考えまして、特に遊興飲食税が、特別徴收の方法等によりましてこの制度が行われることになつておりますので、もし免税点を置きますと、やはり減收を起すような結果になるおそれがあるとも考えておりますので、当局といたしましては今後の方針といたしましては、免税点は設けることは適当でない、かように考えております。
  246. 門司亮

    ○門司委員 その次は自動車税でありますが、自動車税の中で、まず最初に聞いておきたいと思いますことは、百四十七條にあります自動車の種類の現在の価格であります。大体どのくらいの価格をお見積りになつておりますか、参考のために聞かしていただきたい。
  247. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 これは自動車によつて非常に違いまして、百五十万円、二百万円といろいろあるだろうと考えますが、相当幅のあるものだと承知いたします。
  248. 門司亮

    ○門司委員 私の聞きたいと思いますことは、実は自動車に対しまする税金は、御承知のようにここに書いてあります通り、自家用自動車が年額一万五千円であります。そうしてその価格がもしあなたの言われるように百五十万円、二百万円ということになつて参りますと、その二百万円、百五十万円の価格に対する一万五千円の税金というものが一体妥当であるかどうかということであります。労働者のほんとうの自分の足のかわりに使つております自転車税と比べて参りますと、自転車の公定価格は七千五百円だと思いますが、それが年額二百円の税金をとられているにもかかわらず、ほんとう乗用車として十分の資力を持つておりますものが、二百万円あるいは百五十万円を出してあがのう自動車に対して一箇年一万五千円という税金の比率は、非常に不均衡だと思いますが、どこを算定の基礎としてこういう数字をお出しになつたのであるか、あまりにも不つり合いの税金が載つておりますが、その点をはつきりお聞かせ願いたいと思います。
  249. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 価格の問題は非常にまちまちでありまして、もとより新車でありましても、小型自動車になりますと、四十万円内外であると承知しております。どの自動車であるかということによりまして非常に違うわけでありますけれども、大体この自動車税の税額は、従来から行われておりました実績を基礎にして考えておるわけであります。自転車税につきましては、むしろ実績をとりますと、三百円くらいになるのではないかというふうに考えておるわけであります。しかしお話のような気持ももちまして、自転車税の方は低い方を二百円くらいのところにきめまして、自動車税の方はむしろ自動車税割を含んだようなところで、実績を基礎にしてきめたわけであります。大体自転車にしましても、自動車にしましても、先ほど来しばしば問題になつております道路費等の関係から、応益的な見地からこれに含んでおるのでありまして、必ずしも単に金額がふえれば、その割合においてその物件税をふやすというような形にもなつておらぬ関係がございますので、ただ一応は現実の見地から、今お話のような基礎から、この気持を織り込んで行きたい。将来漸次各方面の納得されるような意見に従つて改正を加えて行つた方がいいのではないか、というふうな考え方を持つております。
  250. 門司亮

    ○門司委員 改正を加えた方がいいという意見もありますが、しかし今度の地方税法は、まつたく旧来の地方税法を一変いたしまして、新しい地方税法として考えていいくらいに大幅に改革されております。その場合に、一体なぜそういうことが考慮されなかつたか、百五十万円といたしますならば、一万五千円というものはほとんど百分の一にひとしい。片方の七千五百円のものが二百円ということになりますると、非常に大きな比率を持つております。ことに需要度といいまするか、その利用度というか、あるいは社会的の影響ということになりますと、非常に大きな開きを持つておるにもかかわらず、こういう不均衡な税率が定められておりますので、私どもは将来そういうことを考えるというのでなくて、むしろこの税法の中でそれを改正すべきだと思う。そうして一般の持つておりまする自転車との均衡を十分とつて行くことが、私は今度の税法に対する一つの新しいものの行き方ではないかというように考えておるのであります。ことに私が奇怪に考えておりまするものは、この税法の中で大体考えられまするものは、罰則の規定であります。罰則の規定におきましても申告をしなかつた者、百五十三條の申告をしなかつた者、あるいは虚偽の報告をいたした者に対しましては、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金に処するということが書いてあるのでございますが、これが同じ自転車税の方には六箇月ないし三万円に相なつておるのであります。一台の値いが百五十万円あるいは二百万円もする自動車を持つておりまする者の、これらの不正申告に対しては二十万円の罰金であり、一台七千五百円で買い得る自転車を持つておる者の不正申告に対しては、罰金を三万円も課するというのは、一体どういうわけか。罰則の中にも非常に大きなはなはだしい不均衡な規定が設けられておると考えておりまするが、この点については、どうしてこういう規定が設けられたか。
  251. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私は自動車をみな百五十万円ということを申し上げた覚えはないのであります。四十万円くらいの新車もあるということを申し上げておるのでございまして、かりに自転車が七千五百円で二百円で、自動車が四十万円で一万円だつたら、むしろ均衡がとれているのではないかというふうなことも言えるのでありまして、ただ自動車によりましては、新車でありましたら百五十万円、二百万円のものもありましようということを申し上げておるのであります。それから罰則の問題は、自動車税自転車税とをわけておるわけでありますけれども、これもりくつのつけようでありまして、われわれもできるだけ罰則はあまり重くない方がよろしいだろうというふうな考え方は持つておるのでありますけれども考えようによつては、また脱税をはかり、法を侵すことをあえてすることもよくないというふうな判定をする見地から言えば、別に税額が多いとか少いとかいうことでわけなくてもいいのではないかというようなことも、言えるのではないかと思うのであります。しかし御意見のような点もありますので、この程度差をつけることが穏当であろうというふうなことを、総合的に考えておるわけであります。
  252. 門司亮

    ○門司委員 はなはだ奇怪なことを聞くのであります。自動車の中で四十万円のものもあるかもしれないというお話でありまするが、私が自転車の価格を申し上げましたのは、今日の公定の価格であります。新しい公定価格である。もしあなたのおつしやるように自動車で二百万円のものもあるかもしれないが、四十万円のものもあるという考えならば、自転車の中にも二百円のものもあるかもしれない。そういう議論で私どもはこういう議論をしたくないのであります。もしあなたがそういう御意見ならば、私はここではつきり聞いておきまするが、この乗用車、トラツク並びにその他のここに書いてありまする価格を明確に知らしてもらいたい。自転車も明確に知らしてもらいたい。そして一体この税金が正しいかどうかということを、私はこの機会に議論をいたしたいと思うのであります。従つてその場合における罰則の不均衡ということについても、十分ひとつ私は考えてもらいたい。もしかりに四十万円の自動車があるといたしましても、四十万円の自動車に対しまして、届け出なかつた場合、虚偽の場合においては二十万円の罰金であります。ところが自転車の場合におきましては、最高価格が七千五百円である。その不正申告に対して三万円の罰金をとるという。いわゆる自転車を買い得る者、あるいは自転車を使用する者の不正申告に対しては、非常な多額の罰金をとるが、自動車を買い得る者、あるいは四十万円にいたしましても百五十万円にいたしましても、乗用車を買い得る者に対する同じ虚偽の申告に対して、罰金の比率が著しき相違を持つておるということを私は聞いておるのであります。これで一体いいか悪いかということであります。先ほどのような奥野君の御答弁でありまするならば、私は要求いたしました資料をただちに出してもらいたい。自動車の価格は一体どういうことになつているか、自転車の価格はどういうことになつているか、この点強く私は要求いたしておきます。
  253. 大泉寛三

    大泉委員 関連してちよつとお尋ねしますが、これは自動車とか自転車とかいう名称において課せられた一つの標準税額であると思うのでありまして、これは価格にかけられた一つの税額じやなかろうと思う。たとえば住民税にしたところが、代議士であろうがあるいは一般会議員であろうが、みんな人として同じ一つ住民税を課せられており、私は何ら価格の階級によつてかけらるべきものじやないと思う。これはどういうお考えでそういう錯覚を起した御答弁をなすつていられるのか。多分私は自動車あるいは自転車という一つ名称上から見られた物体によつて、区分されたものだと思います。それは価格に何ら関係ないと思うのですが、いかがでしようか。
  254. 小野哲

    小野政府委員 まず門司さんから自動車の価格の問題あるいは自転車の価格の問題について、いろいろ詳細な御意見を承つたのでございますが、必ずしも価格のみに依存して税の査定をしておるのでないことは、奧野君からも御説明を申し上げたような次第でございます。この場合におきましては、やはり道路使用というふうな受益者的な関係における負担の程度も考慮におきつつ考えられておるのでありまして、この辺のところは御了承を願いたいと思うのであります。また罰則の問題でございますが、この点につきましてもごもつともな御意見だつたと存じます。価格の点に重きを置きました場合におきましては、これと比較いたしまして、罰則の中で罰金の程度が自動車に比較して自転車は高過ぎはしないか、こういうような御意見が出ることも一応ごもつともと思うのであります。しかしながら如上申し上げましたような理由からであり、また罰則の適用をいたします場合におきましても、たとえば自動車につきましては、二十万円以下というような制限がおかれておるようなわけでありまして、必ずしも二十万円をすべてとるのだというわけでもございませんし、自転車につきましても同様の措置で、これを適用する場合における司法当局の判定いかんによつてきまるわけでございまするので、この辺のところは十分に御了察を願つておきたいと思うのであります。  なお大泉さんからの御質問がございましたように、これは御説のように物件に対する税金とお考えつてよいかと思うのでありますが、ただこの税額を査定いたします場合において、ただいま申しましたような、その車の使途なり、あるいは受益者的な考え方から見ての考慮を入れて、大体過去における実績等から考えまして、各地方団体において課しておりまする税等を調査、集計の上、全国的な水準としては大体この程度が妥当ではないか、こういう判断のもとにきめたような次第でございます。
  255. 門司亮

    ○門司委員 せつかく次官からお話もございましたが、私はこの税金をとりますことのためには、担税能力が非常に大きな一面の考え方でなければならないと思う。従つて、この場合に担税能力を考えて参りますると、少くとも乗用車として百万円あるいは二百万円のものが購入できて、そうしてそれによつて仕事をして行くという人は、より以上の担税能力を持ち得る人であるということは容易に考えられる。自転車の場合におきましては、ほとんど自分の足で通うことのできない遠距離の場合、あるいは乗物を利用することのできない場合において、やむを得ざる一つの処置として、これを利用しなければならぬということから考えて参りまするならば、むしろ私はこの際自転車税というものは——これは自転車税のときにお話する方がよいかと思いますが、自転車税を廃止したらどうかとまで考えられるのであります。それはど大きな社会政策的の意義を持つておりまする考え方から参りますると、当然自家用自動車でそれに相当した事業を営んでおられる方であるとか、あるいはそれだけの財力をお持ちになつておられる方の税金が、庶民階級の自転車税と比べて、非常に大きな懸隔を持つておるということに実は不審を抱いております。それとともに罰則にいたしましても、先ほど申したように、自転車の場合におきましては三万円以下とは書いてありますが、新しい自転車をもろに持つて参りましても七千五百円であります。虚偽の届出をしたということによつて新しい自転車の何合分がとられることになる。また奧野さんの言われるように、一方四十万円の自動車があるといたしましても、自動車の価格の半分でありまして、これで罰金は済むということであります。一体こういうことで均衡がとれておるかどうか。犯罪の点から言えば同じである、刑罰を科することは同じであるという大泉さんの意見でありますならば、財政的の負担においても同じにしてもらいたいのであります。犯罪から来ますところの償いをすることが、一方は非常に転い、一方の人間は非常に重いというような不公平な扱いはしたくないのであります。これは私どもが申し上げるまでもなく、当局も大体その辺には気づいておると思いますが、しかしあまりにも税金の懸隔がはなはだしいのであります。私はこの点を是正されるお考えがあるのかどうか伺いたい。
  256. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今罰則の問題で、自転車税の場合、それが三万円になつておるじやないかというお話でございました。これは過料の問題でありまして、秩序罰としてこの程度のものを考えております。秩序罰ならばものによつて区分することはあまり穏当ではなかろうというような考え方をしておるわけでありまして、脱税の問題になつて参りますと、たとえば百六十條で自動車税を脱税した場合においては三年以下の懲役もしくは五十万円以下の罰金になつております。これに対して自転車税の場合におきましては、四百五十二條で一年以下の懲役もしくは一万円以下の罰金になつておりまして、多少差をつけておるようなわけであります。こういうふうにやはり税額通り差をつけるという考え方は、必ずしも適当ではないと考えておるのでありまして、彼此勘案いたしまして、この程度の差があつてもよいのじやないかというような考え方に基いて、立案しておるようなわけであります。
  257. 門司亮

    ○門司委員 自動車税の場合と同一だというようなお考えでありますが、自動車税の場合と同一であればあるほど、均衡はとれなくなるというふうに考えられるのであります。自動車税の場合でありますならば、百五十三條の自動車税にかかる虚偽の申告等に関する罪、さらに百五十四條に自動車税にかかる不正申告等に関する過料ということが書いてあるのであります。この場合においては罰金の程度は同じであります。四百四十九條の自転車税にかかる不申告等に関する過料というのと、実は大差はないわけであります。だんだん私どもはそういう條文を一々解釈をして行けば行くほど、実は大きな開きを持つて来ておる。ほとんど同じ條文であり、同じような適用を受けます。自転車税の四百四十八條と、自動車税の百五十三條とは同じ項目でありますが、これにつきましても懲役は六箇月であり、罰金は五千円以下の罰金に処するということになつてつておるのであります。これは先ほどから申し上げておりますように、自転車税はそれを使用する者の間の担税能力に非常に大きな懸隔を持つておりますので、こう申し上げておるのであります。この点はぜひひとつ是正していただきたい。同時に先はど要求いたしました一つの資料を至急御提出を願いたいと思うのであります。  それからその次には漁業権税でありますが、漁業権税は御存じのように、昭和二十七年で大体これが廃止されることに一応なつておりますので、その後の処置はどういうふうにおとりになるつもりであるかお聞きしておきたい。
  258. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 漁業権税は、別にいつから廃止するということは書いてございません。ただ新しい漁業法が完全に実施されるようになりました場合には、新しい漁業権は、貸付の目的とはなり得ません。今の漁業税を存続するにいたしましても、何らかの改正を課税標準の面に加えなければならない、こういうふうに考えております。
  259. 門司亮

    ○門司委員 法の上にむろん規定はできないと思いますが、しかし漁業権税はおそらく二十七年度にはこれが廃止になるのが決定的だと思います。従つて先ほど申し上げましたように、これに対してただ何らかの形でというようなことではなくして、もし御方針がありますならば、これをひとつ明確にしておいてもらいたい。
  260. 小野哲

    小野政府委員 ただいまただちにこれを廃止するという決定はいたしておらぬのでございますが、新漁業法がいずれ実施される時期に至りますと、先ほど奧野君から御説明いたしましたように、何といたしましても再検討を加えなければならないことになりますので、その際に慎重に考えて参りたいと思つております。
  261. 門司亮

    ○門司委員 それからその次は狩猟税でありますが、狩猟税も先ほど立花君から大体聞いたと思いますけれども、従来日本の狩猟税に対しましては、各府県においては大体狩猟者の種類を一等から三等級くらいまでにわけておつたはずであります。そうしておのおのこれに税金を課しておつたのでありますが、今度の場合はこれの等級が、この法律だけを見たのでは、ないのであります。それをなくした理由をひとつお聞かせを願いたい。
  262. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 昔は狩猟者税につきましても、所得の段階によりまして税額を区分しておつた時代があつたわけであります。ところがその後大日本狩猟会及び農林省からの申出がございまして、狩猟者税について段階をつけることは、一面自分は所得が相当あるにかかわらず、所得が低いものだというふうな、偽つた申立てをして、狩猟免許を受けておる、そうして高い段階の方はもつぱら脱税が行われておる。これは非常に不合理であるから、むしろ一本の税率にしてもらいたいというふうな希望がありましたので、それに従いまして今日のような狩猟者税のかつこうをとることにいたしたわけであります。
  263. 門司亮

    ○門司委員 これは一応段階がなくなつたということでありますが、御承知のように狩猟というのは非常に大きな相違が実はあるのであります。御存じのように山間に参りますと、いのししであるとか、農村におきましては、害虫の駆除というようなことからも、相当そういうものが必要であるということによつて、やはり免許を受けなければならないという場合もでき上つて来る。それからもう一つは先はど申し上げましたように、それのみを生活の資料としている人、あるいは半分それを生活の資料としている人、これらの人は、都会の狩猟免許を持つ遊山というと語弊があるかもしれませんが、遊山とひとしい狩猟者とは非常に趣を異にしていると思う。それらのものが一本に課せられるということは、必ずしも穏当ではないと考えておりますが、これはもう一度その点を明確に御答弁願いたいと思います。
  264. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 狩猟者税をどのような形において運営して行くかということが一つの問題だろうと思いますが、この狩猟者税につきましては、一つの免許税的な形において規定いたしておるのでありまして、免許税とするならば、免許を受けたことについては、業としている者でありましても、遊猟的なことで免許を受けている人でありましても、その間にかわりはないのではないか、だから税額は一つでさしつかえないのではないか、こういうことも言えると思います。もちろん所得の段階ごとに税額を区分しておりましたのは、一種の奢侈税的な意味を含ませておつたからだと思います。従つてこの狩猟者税をどう運営して行くかということが一つ方法だと思いますけれども、少くとも狩猟免許税という意味において設けておるならば、必ずしも税額において区分しなければならないというようなりくつは立たないと思うのであります。ただ門司さんのおつしやつたような考え方も確かにございます。そういうかつこうにおいて狩猟者税を運営するのも一つ方法であると思います。しかしながら先ほど申しましたように、大日本狩猟会及び農林省から意見の申出がありました。その意見も先ほど申しましたように一つの理由があるわけでありますので、それに従いましてこのような形式に改正することにいたして参つているわけであります。
  265. 門司亮

    ○門司委員 その理由はちよつとおかしいのです。大日本狩猟会はどういうクラスの人がお集まりになつているか御存じでございますか。これは狩猟を目的として、それを生活のかてとしている人たちの集りとは違うのであります。大体私はその人たちをここで申し上げてもよいのであります。神奈川県の狩猟会の会長はだれがやつているか、ここで申し上げてもちつともさしつかえないと思いますが、それらの人たちは十分に担税能力を持つておるのであります。いわゆるこれを生活の基礎としようというようなごくいなかの山村におる者が、一体そういう大きな担税能力を持つている者と同じように取扱われるということは、非常に大きな、税の不公平だと思う。税の不公平を考えないで、ただ免許税であるから同じだというようなものの考え方は、税金をきめる場合には非常に大きな誤りだと思う。この点特に私どもはお考え願いたいと思うのでありまして、今の奧野君のお考えのようなことでは、とうてい私どもは満足するわけには参らぬのであります。  その次に聞いておきたいと思いますことは、この二百四十條であります。先ほどから奧野君も言いましたように、これはもちろん免許税であります。従つて免許税であるといたしますれば、その免許証を下付する場合に大体税金の徴收はできるわけであります。従つてこれに対しましては、私はここに申告の必要というようなことは、実際においては絶対にないのではないかと思います。申告または報告の義務と書いてありますが、これらのものは税の性質から申し上げまして、申告をするというようなことはないのではないかというように考えられるのであります。あるいはこの申告は、狩猟をやめたというようなことの届出を怠つたというようなことになれば、これは申告の必要があるかもしれませんが、免許を受ける場合におきましては、免許税としておとりになる、おそらく免許を下付いたします場合には、当然この税金は徴收さるべきであるというふうに考えておりますが、この点はどういうことになつておりますか。
  266. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 二百三十九條に「狩猟者税の徴收については、当該道府県の條例の定めるところによつて、普通徴收又は証紙徴收の方法によらなければならない。」と書いてございまして、普通徴收によります場合には、やはり申告の條件が入つて来るだろうと思います。しかし多くの場合は証紙徴收によつておりまして、免許した場合に、道府県の発行する証紙を買つて、そこでそれを貼付して納税することにいたしておるわけであります。でありますから、証紙徴收による場合は、御説のように申告の條件等がいらないわけであります。しかし地方団体が普通徴收によつて行おうとした場合は、この規定がいるのでありますから、この規定を置いてあるわけであります。
  267. 門司亮

    ○門司委員 従来の市町村のこの税金に対する考え方というものは、普通徴收というようなことがなされないで、免許税として、免許を下付する場合に大体税金を納めておつたというように考えておるのであります。大体それでなければこの免許税としてのほんとうの効果はないのでありまして、免許をしたが、あとで申告をしなかつたとか、あるいは徴收が困難であつたとかいうようなことになつて参りますと、免許税であるというような観点から、実際上の問題として非常に大きな差異を生ずると思う。と同時に、この種の税金というものは固定した一つ営業でない人が非常に多いのでありまして、今年は免許を願い出るが、来年は免許を願い出ないというような人がたくさんあると思うのであります。従つてこれを単なる普通の営業と同じように考える必要はないのではないかということを実は考えるのであります。従つて先ほど申し上げましたように、これに申告の必要は実はないのではないかというように考えられるのであります。  それからその次にお聞きをしておきたいと思いますることは、例の法定外の税金であります。法定外の税金につきましては、第二百五十九條に「普通税を新設し、又は変更しようとする場合においては、あらかじめ、地方財政委員会許可を受けなければならない。」という規定が実はあるのであります。この規定は、実際の問題としては一体どういうことになつて来るかということでありますが、その次の二百六十條には、そうしてなおその後において許可の申請をしなければならないというように実は書いてあるのであります。これを考えてみますると、都道府県におきましては、普通税法定外税目というものを新設いたしまする場合に、または変更しようとする場合においては、あらかじめ地方財政委員会許可を受けなければならない。そうしてその上で一応この地方自治体の議会にかけて、さらに申請をさせるということに相なつておるのであります。ちようど言葉をかえて申し上げまするならば、今の日本の状態で、関係方面に一応お伺いを立てて、それでよかろうと言つたら国会で新しい法律を出して来るというような形がここに見えるのでありますから、こうなつて参りますと、地方自治体のある程度の自治権干渉になりはしないか、侵害とまでは申し上げなくても、ある程度の干渉ではないかというように考えられるのでありますが、こういう手続が必要であるかどうか。
  268. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 二百五十九條の規定の「あらかじめ」というのは、実施する前に許可を得なければならないということでございまして、議決する前に許可を受けなければならないという趣旨ではございません。しかしながら議決してから後に新たに国の方針として許可を与え得ないものでありましても、議決を経てからでなければ許可の申請はできないということになりますと、地方団体が非常に困つた立場に置かれることになるだろうと思うのであります。そこで、そこは地方団体が議決する前に、許可の申請をしてもよいし、議決してから後に許可を申請してもよいし、どちらでもよいという、非常に幅を持たせた運営をして行こうとしているわけであります。
  269. 門司亮

    ○門司委員 この法文をこのまま読んでみますと、実はそういう解釈にならぬのであります。「あらかじめ、地方財政委員会許可を受けなければならない。」こう書いてあるのであります。そうしてその次の二百六十條に、「地方財政委員会は、前條の規定による許可の申請があつた場合においては、その旨を大蔵大臣に通知しなければならない。」こういうことになつておるのであります。この二百五十九條の「許可」というのは、いわゆる許可申請をいたします前の一つの行為であるというように実は考えられるのであります。私の方から考えますと、新税を起します場合においては、地方財政委員会許可を受けて、さらにこれを大蔵大臣に申請をする——ここには「大蔵大臣に通知しなければならない。」と書いてありますが、この点が私どもにははつきりしないのであります。そう申し上げるのは「あらかじめ、地方財政委員会許可を受けなければならない。」ということであつて許可は一体ほんとうはどこでこれをやられるのか。この点は次の二百六十條に書いてあります。「前條の規定による許可の申請があつた場合」ということになつて参るのでありますが、前條の規定で、あらかじめ許可を受けておいて、そして地方財政委員会に申請をし直す場合においては、大蔵大臣にこれを通知する、こういう條文の解釈になると私は思います。従つて事前にあらかじめ許可を受けるということは、先ほど申し上げておりますように、ある程度自治権の干渉ではないか。あらかじめ一応自治庁に行つてお伺いを立てて、そして許可するという内諾を得なければ、許可申請ができないということであります。これは非常に中央集権的な弊害を伴う問題じやないか。地方自治体で一応これを考えて、許可申請をし、地方自治体から自由に出させて、その上で地方財政委員会がこれを許可するとかしないということは考えられるのでありますが、あらかじめこれを許可しておくということであります。この「あらかじめ」という文字をどうして一体使われているか。
  270. 小野哲

    小野政府委員 私これを見て解釈いたしますのに、二百五十九條の「あらかじめ、許可を受けなければならない。」ということと、二百六十一條の許可をするということの「許可」は同じものだと考えるわけであります。要は、先ほど財政課長から御説明申し上げましたように、新設または変更の場合に、あるいは地方議会の議決を経る場合もございましようし、事前にいたす場合もございましようが、これらは法律で事詳細に書くことはいたしておりませんが、いずれにいたしましても、地方団体法定外独立税の新設をしたり、変更したりする場合においては、地方財政委員会許可を受けるということで、一本の許可と御解釈願つていいと思います。
  271. 門司亮

    ○門司委員 それは実はよくわかつているのであります。お聞きしないでも、もちろんこれは一本の許可でなければなりませんが、ただ許可申請を出す場合に、あらかじめ地方財政委員会許可を受けておかなければならないとすると、これはあらかじめ二重に許可を受けて、そしてこれなら許可してやるぞというお墨付を一応もらつてから、始めて許可申請をする、こういう解釈にとられるのでありますが、一体この前のあらかじめ出した許可というものが、自治権の侵害とまで申し上げなくても、ある程度の干渉になりはしないかと考えるのであります。その点もう一度伺いたい。
  272. 小野哲

    小野政府委員 確かにこれをごらんになりますと、第二百五十九條のあらかじめの許可ということと、二百六十一條の許可とが、時間的に前後があるように一応見受けられるのでありますが、われわれの解釈といたしましては、あらかじめというのは、実施する場合においてはあらかじめこういうことを含んでの意味でございますので、さよう御承知を願いたいと思います。
  273. 門司亮

    ○門司委員 どうもその点ははつきりしないのであります。あらかじめの許可を受けなければならないという点についてはどこまでもこれはあらかじめであつてほんとう許可するのかしないのか、わからぬ問題である。しかし一応許可を受けて、その上でさらにその許可申請をする、こういう態度はあまりいい感じを実は持たぬのであります。ちようど今の国会と関係方面との関係のようなことで、一応お伺いを立ててということになると、非常にやりにくい自治体ができると同時に、やはり何と申し上げても、中央集権的なものに陥りやすい形をとつて来るのであります。  その次に聞いておきたいと思いますのは、二百六十一條の二であります。「地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること。」と書いてありますが、これはどういう意味でありますか。
  274. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 その地方の特産物であつて、従つてそこで大きな税をかけられますと、それを必要とする他の団体が、それを使つて物を生産したりしたのでは、コストが非常に高くなる。それではほかの外国から入つて来るものとの競争もできないというふうな場合も予想されますので、こういう規定を置いたわけでありまして、大体に特産品課税について、こういう場合が起り得るだろうということを予想しているわけであります。
  275. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、これはどういうふうに解釈をしていいのかわからぬので、お聞きしたのでありますが、「地方団体間における物の流通」という文字でありますが、たとえば一方において税金をかけて行くという場合に、その税金をかけられることによつてそれをかけられたものを材料として工業を営んでいるとか、あるいは加工をしている他府県が非常に迷惑をする。コストが高くなる。その県ではそれでいいかもしれないが、自分の方でそういうことをやられては困るというような考え方と、一応解釈してさしつかえないですか。
  276. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 その通りでございます。
  277. 門司亮

    ○門司委員 その次に「前二号に掲げるものを除く外、国の経済施策に照して適当でないこと。」というように書かれているのでありますが、これは国の経済施策とは、一体どの程度の国の経済施策というようにお考えになつているかということであります。
  278. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 やはり国会の審議を経まして、法律なり何らかの形において、明らかにされたものでなければならないというふうな考え方を持つております。
  279. 門司亮

    ○門司委員 どうもその解釈は、私にははつきりわからぬのでありますが、県税の税金といたしましては、私はもう少しはつきり聞きたいのでありますが、一応この程度にとどめておきます。  次に市町村税の方を少し聞きたい。まず最初にお聞きしておきたいのは自転車税の税率の問題であります。これはもうすでに自動車税の問題で大体申し上げましたように、私はそうやかましく申し上げる必要もないかと思いますが、先ほど自動車税のところで申し上げましたように、自動車の税金と比較いたしまして自転車の税金が非常に割合の上から申しまして高い割合になつているのであります。税額の面から申しますと、年二百円ということになつて参りますと、そう高い税金でもないというような感じは一応持つのでありますが、しかし自家用自動車税と比較いたしまして、税率の上から言いますと、かなり高い税率になつているということは言い得ると思う。従つてこの点に対して、もし自動車税が上げられないという御見解でありますならば、自転車税に対しては、これを免税にするというお考えがあるかどうかということであります。
  280. 小野哲

    小野政府委員 税額の問題については、いろいろ御意見もございましようが、目下のところ、自転車税につきまして免税にする考えは持つておりません。
  281. 門司亮

    ○門司委員 さらにお聞きしておきたいと思いますことは、先ほど罰則の問題について申し上げましたように四百四十九條の例の「自転車税に係る不申告等に関する過料」ということがありますが、これはいわゆる自動車税と同じような形の過料に相なつているのでございますか。これについても何らかこの場合に、過料を自転車の代価と大体見合せて、不当でないというような点まで、これを引下げられる御意思があるかどうか。
  282. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 三万円以下で過料を量定するわけなんでありまして、もとより二万円みな来るわけでありません。先ほども申し上げたのでございますが、なおこちらの気持を御了解いただいていないところがあると思いますので、重ねて申させていただきたいと思うのでありますが、通常過料、行政罰につきましては、あらゆる税種につきましてみな三万円以下の過料ということにいたしておるわけであります。これは法律上それを統制して行く意味において行政罰を規定しておるわけでございますので、あらゆる税種についてこまかい差を設けることが、はたして適当であるかどうかということについて、疑問を持つておるわけであります。三万円が高いとか、あるいは一万円以下にしなければならぬというような、これは感じの問題はあるだろうと思つております。しかし実際これを適用します場合には三万円全部使うわけでありませんので、これはよほどの場合でなければ、こういう最高限度は使わないだろうと思います。しかし虚偽の申告であるとか、脱税とか、滞納処分に関するものであるとかいうものにつきまして、自転車税自動車税につきましては、相当の幅は設けて行くということだけは御了解願いたいと思います。
  283. 門司亮

    ○門司委員 私は重ねて申し上げるわけではありませんが、実際自転車の取得価格の三倍以上もする、約四倍に近いような過料を置くことがよいかどうかということであります。もし奧野君のような御意見があるとすれば、この数字は下げておいて、やはりみな納得が行く線までにしておくということが正しいのではないか。自動車の方においてはそうでなくして、自転車の方だけ、価格が約七千五百円になるとしますと、その約四倍でありますが、こういう大きな過料の数字をあげておくということは、行政の面で同じ罰則であるから同じでいいというようなことも、一応の考え方でありましようけれども、私はこれはかなり実情に反した行き方ではないかというふうに考えるのであります。  その次には荷車税でありますが、荷車税に対しましては、大体一応先ほど申し上げましたような関係が生じて参るのであります。今日の小さい車であるとか、あるいはリヤカーであるとかいうようなものには、必ずしもこれによつて特別な利潤があるとかないとかいうようなものではないと私は考えております。おそらくこれによらなければ一つの事業経営が困難であろうということが考えられて参りますので、そういう事業経営にぜひ必要なものであつて、言いかえまするならば、人間の肩のかわりであるとかいうものに対して私は税金をかけることをどうかと考えておりますので、荷積みの小さい車であるとか、あるいはリヤカーというようなものは、当然これは税目からはずした方がいいのではないかと考えるのでありますが、これのお考えは一体どうであるか。
  284. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 自転車税荷車税は大衆的な負担でありますので、できるならやめてしまいたいという気持は私も同じでございます。ただ従来沿革的に自転車税荷車税は道路費との関係から、古くから創設されているものでありまして、しかも今日両者合わせますと二十数億の相当大きな金額に上つているのであります。それで今これを廃止しまして、それだけのかわり財源をどこに求めるかということになりますと、また非常にむずかしい問題であります。しかもわが国の経済は敗戦によりまして、非常にみじめな状態になつておりまして、容易にかわり財源を求める材料がございませんので、やはり国の経済の回復とにらみ合わせながら他に適当な財源を求めて、これを廃止する方向に将来研究をして行くという問題だろうと思います。現在のところただちに廃止するということは財政的に困難であろうというふうに考えております。  それからなお先ほど過料の問題で重ねてお話があつたのですが、自転車一台一万円ということはその通りでございますけれども自転車税といいましても、一台持つている場合だけじやございませんで、二十台持つておりましても五十台持つておりましても、一つ納税義務者として罰則の適用を受けることになりますので、その点も御了承願つておきたいと思います。
  285. 門司亮

    ○門司委員 どうも奧野君の答弁は了解しがたい。もしそうだとすると、自動車を二十台持つている場合はどうするかということと同じでございます。二百万円の自動車を二十台持つている会社は一体どうするか。そういう議論はこの場合あまりしたくないと思います。それから次にお伺いしておきたいことは電気ガス税の問題であります。電気ガス税の問題は非常に大きな問題が伏在しておりますので、私は相当よく聞いておきたいと考えているのであります。この中でまず問題になつて参りますものは四百八十九條のこの非課税の問題がやはりかなり大きな問題ではないかと考えているのであります。ここにあげられてあります非課税と、従来の電気ガス税で定められてありました非課税とは項目が相当違つているように見受けられるのであります。たとえば鋳鉄にいたしましても、可鍛鋳鉄が非課税になり、あるいは可鍛鋳鉄でないものが、この前は非課税になつておつたが、今度は課税されるようになるということが考えられるのであります。あるいはセメント等についても大体同じようなことが言えるじやないかと考えておりますが、この非課税の範囲を整理された一つ考え方をお伺いしたいと思います。
  286. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 商工行政の見地もあつたものでありますから、通産省の希望を入れて、その方針に従つて整理いたしたわけであります。もとよりうのみにしたと申し上げるわけじやありませんが、その考え方のもとに、たとえばセメントでありますと、従来価格統制が行われて来た、現在は価格統制が撤廃されたので、しいて電気ガス税を免除しておく必要はない。それよりも金の問題であるとか、特にこの中に入れてもらいたい問題、いろいろあるというふうな意見でありました。それから鋳鍛鋼、可鍛鋳鉄のほかに類似するものがあるじないかというお話があるのでありますけれども、これらのものはたしかキユポラー製法というふうに言いましたか、電気を用いなければつくれないものであつて、これに類似するものは必ずしも電気でなくてもいいのであつて、コークスその他のものをもつても製造できる。だから、電気を使わないでコークスや何かを用いてそれをつくつている場合もあるわけだから、電気を用いた場合にだけ免除しなければならないというりくつもないというふうにわれわれ聞いているのであります。それも一つのりくつでありまして、その希望に従いましてこのような組みかえをいたしたわけであります。
  287. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ根本の問題で聞いておきたいと思います。この非課税対象にされた根本の理由を、お聞かせ願いたいと思います。今お話になりました問題については、必ずしも電気でなくてもできるものであるから、そういうものは非課税にしないでいいというお話でありますが、もしそういうことがあるといたしますれば、電気を使うもの等に対してはやはりこれを当然非課税対象にしておきませんと、他との均衡がとれないのじやないかというふうに、私は一応考えるのでありますが、今御質問申し上げましたこの非課税対象にされた物件については、どういう根拠で非課税対象になつておるかということであります。
  288. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。  まず第一の考え方といたしましては、製品の価格との関連でございます。製品の価格が統制が行われておる、特に価格調整金等が交付されておるようなものにつきましての考慮を払つたということが一つであります。  また第二点といたしましては、税法の絶対的な目的ではないかもしれないけれども、所得税法または法人税法において考えておりますように、重要産業につきましてこれが保護育成という見地から、特別な取扱いをして行こうというふうな考え方、大体この二つから非課税対象考えて行つたような次第でございます。  なおつけ加えて申し上げますが、非課税の品目といたしまして、選定をいたします場合におきまして、単位価格中に占める電気ガス料金の割合が、相当に高いということを取上げたことはもちろんでございます。
  289. 門司亮

    ○門司委員 この特別の保護を要するものについてはどういうふうなお考えがあるという御答弁でありますが、こうなつて参りますと、非常に大きな問題が考えられると思うのであります。たとえばセメントが今日この中から除かれておる。しかもセメントは業者の陳情によりますと、電気ガス税並びに今度の附加価値税その他を勘案してみますと、大体原価が一四%くらい高くつくのではないかということが報告されております。これがもし政策的に考えられて参りますと、今日本で国内の資源と資材を使つて外国に輸出できるものは、大体セメントだけではないかというように、われわれには一応考えられる。そのほかのものを製造する場合においては、これを外国に輸出するということは非常に至難なことであつて、いずれかの形で外国の物資を輸入しなければならぬのであるが、セメントだけはそういうことはないと思う。従つてこれは国内産業の輸出物資としての保護の上から申し上げますならば、当然国策的にも、やはりセメントというようなものは電気ガス税は非課税にすべきではないか。しかもこの前まではこの中に含まれておつたではないか。ことさらにはずされておりますその理由を聞かしていただきたいと思う。
  290. 小野哲

    小野政府委員 先ほど非課税といたしました品目についての基本的な考え方を申し上げたのでございますが、セメントにつきましては、私は関係業界からもいろいろと意見の開陳のあることも伺つておるのであります。ただまず第一の価格の点につきまして、セメントが統制をはずされておるということ、また電気料金の占める割合から申しまして、ただいまこの税法案で考えております非課税対象になつておる品目に比べれば、その程度が低いのではないか、こういうような点から考えまして、一応セメントは除外されておるのでございます。しかし全体として考えますと、はたして電気ガス税にかくのごとき非課税の範囲をきめることが妥当であるかどうかということが、問題になるのではないかと思うのでありまして、この点については先ほど来お話が出ておりますが、地方財政委員会におきまして非課税対象となつておりますものについては、さらに研究を加えて次の通常国会に報告をするということに相なつておりますので、私の個人の考え方を申しますと、非課税としからざるものに区分しないで、むしろ一律に公平な負担をすることにいたしまして、税率の点について考慮を払つて行くということが、今後研究さるべき課題ではなかろうかと考えておる次第であります。
  291. 門司亮

    ○門司委員 さらにこの條項の中で、きのうも井上君から聞かれたと思いますが、農業用の電力が実は除外されておるのであります。御承知のように、農業用電力と申しておりますものは、大体これが一つは季節的に使われるということであつて、必ずしも生産の中で占めております数字というものは、そう高くはないと考えておるのでありますが、実際今日の農村の実情から申し上げて参りますと、灌漑用水に使われております揚水機あるいは排水機用の電力は、農民がほんとうに收獲をいかにして確保するかということについの一つの非常の手段であります。従つて常時これが使われておるというような筋合いでもございませんし、さらにこれを使つたからといつて、それだけ米価を高く実は買い上げるわけではないのであります。この農村の灌漑用あるいは排水用の電力は、農民が食糧を確保することのためにやむを得ざる処置として、実は使用する電力でありまして、これに対して電気税を同じようにかけて行くということは、私には非常に過酷ではないかというように考えられます。同時にわが国の現在の食糧事情から考えて参りましても、非常に不穏当の行き方ではないかと考えるのでありますが、農業用の電力、ことに灌漑あるいは排水に使つております電力に対する考え方をお聞かせ願いたい。
  292. 小野哲

    小野政府委員 今朝来農業用電力につきましては、いろいろ御意見がございまして、論議をせられたのでありますが、私がただいま申し上げましたように、非課税の範囲自体についてさらに検討を加えて行かなければならぬ段階にございますので、農業用電力につきましても、地方財政委員会において検討を加えまする際に、これを問題といたしまして研究をいたしますように、私からも財政委員会に連絡をとることにいたしたいと考えております。
  293. 門司亮

    ○門司委員 研究をするように連絡をとりたいと考えておるというが、長く研究せられてはこれはかなわないのであります。この税法が通りますと、本年度から施行されるわけでありまして、私どもの申し上げておりますのは、施行される本年度からぜひこれを考えてもらいたい。私は本年度において旱害がないとは必ずしも考えない。旱害がありますならば、必ず揚水用電力が必要になつて来る。冠水がありますならば必ず排水用電力が必要になつて来る。その場合に農民はまつたく採算を度外視いたしましても、食糧を確保することのためには、電力を使わなければなりません。もし電力の税金が非常に高いことのために、もうこれ以上電力を使つて灌漑用水いたしましても、米価とつり合わないから、ひとつこの辺でやめましようということには農村は参らないのであります。しかも農村がつくつております農作物を完全に生かしますために、そういう採算を度外視しても、やはり電力を使用されると私は思う。それらの問題に対してひとつこれを考えておこうというようなことでは、私は済まされないと思う。今年の夏起きるか、あるいは今年の秋起るかわからぬ問題であります。それと同時に食糧確保のために採算を度外視してでも、ぜひやらなければならない一つの仕事であります。そういう場合に電気を非常に使つたことのために、食糧の確保はできたが、実際上の問題としては大きな赤字を出したというようなことにならざるを得ない。その食糧が今どういう役割を演じておるかということは御承知の通りでありますので、この点はそういう研究をするとか、あるいは財政委員会に報告するとかいうようなことで、いつこれが実行されるかわからないというようなことでなくして、この際これを明確に規定してもらいたい。もし法律の中へあなたの方で規定できないというなら、せめて私は農村に対しては政令その他でもいいから、これに準ずるような規定を設けろというようなことの一つの言質だけでも、この際得られるならばけつこうだと思います。
  294. 小野哲

    小野政府委員 私が申し上げておりますのは、地方財政委員会がその職責として研究することになつておりますので、そこで研究をする。しかもこれは地方税法上規定するかしないかの問題として、研究をするということを申しておるのでありまして、私ども意見といたしましては、むしろ非課税の問題はこの地方税法案からはやめまして、一律に課税いたしますが、税率を相当軽減するという方向に持つて行くことが適当ではないかと考えておるような次第でございます。税法上の問題といたしましては、ただいま御答弁申し上げたような措置をとることになつておりますので、この点は御了承願つておきたいと思います。
  295. 門司亮

    ○門司委員 処置をとるというなら、その時期を示しておいていただきたい。
  296. 小野哲

    小野政府委員 地方財政委員会設置法をごらんくだされば明らかでございますが、次の通常国会に報告することになつておりますので、それが時期であるというふうに御承知を願いたいと思います。
  297. 門司亮

    ○門司委員 おかしい話であります。なるほど次の国会に御報告されることになつておるでございましようが、しかし御報告されただけでは、実は法文化されないのであります。私ども考えておりますのは、そういうきわめて時期的にも重大な問題であります。従つてこの法律の中にぜひそれを入れなければ、ただ単に報告しただけでは実際に間に合わぬ問題だからして、次の通常国会にこれを報告して、そうしてそれが必ず法文化される。来年からとらないようにするならするという時期が明確になれば、これはけつこうであります。ただ単にこれを研究して報告するということであつて研究と報告が何年続くかわからぬということになつて参りますと、農民は非常に迷惑すると思う。これだけは特に私が強く申し上げておきたいと思いますが、まつたく農村の実情は、さつき申し上げましたように、農民はほんとうに採算を度外視してまでも、自分のつくつております農作物は守るのであります。また守らなければならぬのであります。その場合に、米の価格よりも高い電気料を支払つて、あるいはそれに税金をとられてまでも農民が苦しんでおりまするものを、一体見ておられるかどうかということであります。従つて農村に対しまする灌漑あるいは排水に使う電力に対しましては、先ほどから申し上げておりまするように、次の国会にこれを報告するというようなことでなくして、ぜひ何らかの処置を講じてもらいたい、法文の改正ができなければ、何らかの行政的の処置を講じてもらうことができるかどうかということを、重ねて御答弁を願いたいと思います。
  298. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 ただいま門司委員からも農業用の電力に対しまする課税の問題で、非常に熱心な御意見、御質問がありましたが、門司委員は天災等があれば一層多くの電力を必要とする。そういう場合は農民が二重、三重の負担をしなければならぬ結果になるという点を御指摘になつたのでありますが、われわれ今年の春以来、日本の電気事業の再編成の問題等にからんで、全国の農村から非常に熱心な、熾烈な陳情を受けておるのであります。その主張は、農業用の電力、特に灌漑、排水等に関しまする電気は、今門司委員も御指摘になりましたように、何も好んでやつておるのではない。従つて電力料金も国家が負担すべきであるという主張が非常に強いのであります。しかしそこまでは参つておりませんが、この重い電気料金を負担をいたして不利な農業経営をやつておる。この上にさらに税金をかけるというに至つては、とうていわれわれは忍ぶことができない問題だと思います。電力料金までも国で負担をしてもらいたいというのに、やたらに課税をすることは絶対この際避けなければならない、かように考えます。それらの理由なり重要性につきましては、ただいま門司委員からお話がありましたから省略いたしますが、ともかくこの機会にこの法律を制定しまするにあたつて、どうしても農業用の、特に灌漑排水用の電力に対しましては、非課税にするということを明確にしていただきたい。かような強い希望を持つておるのでありますが、もう一応門司委員の御質問とあわせて御答弁を願いたい。
  299. 小野哲

    小野政府委員 門司さんあるいは松本さんの仰せになりますことは、まことにごもつともでありまして、私どもも農村における電力の問題について無関心でおるわけではないのでございます。ただ問題は税法上の取扱いとして電気ガス税の問題は、一つの重要な研究問題になつておりますのと、地方財政委員会で現にこれを取上げて検討をやつておるような状態でございますので、他の非課税の範囲、品目等の関係もございまして、できるだけすみやかに結論を得まして、次の通常国会にはこの点に関する改正法律案を出したい。こういうふうな考えを特つておりますので、先ほど国会に報告ということを申し上げましたが、これは地方自治庁としては改正法律案の形式によつて国会の御審議を仰ぎたい、こういう考えを持つておりますことを申し上げておきたいと存じます。
  300. 門司亮

    ○門司委員 大体御意見は伺つておりますし、また拜聴いたしたのでありますが、私は先ほど申し上げましたように、この農業用の電力というのは、まつたく採算を度外視してまでも農民がやらなければならないというきわめて重要な問題でありまして、税金ばかりでなくて、電気料も支払わなければならぬということであつて、むしろそういう場合におきましては、地方においては電気料の減免の問題が起つて参るのであります。基本の料金ですら減免をしなければならないという運動が、必然的に現われて来ておりますのに、一体税金をかけて行くことが正しいかどうかということであります。従つて私はこの機会に重ねてお願いするのでありますが、農業用の灌漑排水の電力に対しましては、地方條例というわけにも参らぬかもしれませんが、できれば政令その他でこれを非課税対象にひとしいような処置をとるということが、一体お話できないかどうかということであります。
  301. 小野哲

    小野政府委員 門司さんからきわめて御熱心な御意見の御開陳もございますし、また農村の事情等から勘案いたしまして、十分に検討を加えるべき問題であろうと存じますので、ただいまお話になりました御趣旨に沿うように検討をいたしたいと考えます。
  302. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、電気ガス税を市町村税とするか、あるいは県税とするかということについて今までいろいろ問題になつておりましたが、これが一応県税でなくして、市町村税なつたということについては、われわれもこれが比較的普遍的の財源を得ることのできる税制でありますことのために、これを中央にまとめる必要はないのではないかというように考えられるのでありますが、ただこの徴税方法でありますが、徴税方法はいろいろ考えられまするし、またここにも書いてありますいろいろなことがあると思いますが、農村と都市に対しましては、徴税方法がおのずからかわつて来るのではないかというように、私には考えられるのであります。現在までの電気ガス税というものは、都市におきましては、大体電気会社等に委託をいたしまして、これの徴收をしておるのでございますが、これらの行き方については、何か特別のお考えがあるかどうか伺いたい。
  303. 小野哲

    小野政府委員 徴收の方法については、法律案の第四百九十一條にもありますように、普通徴收による場合のほかは、特別徴收によらなければならない、こういうふうになつておるような次第でございますが、電気ガス料金との関係もございますので、この点については、いろいろとくふうを凝らし得る道があるのではないかと考えております。
  304. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、例の木材の引取税でありますが、木材の引取税自体に対しましては、私はいろいろな説はあるとは思いますが、これは現在住宅の非常に払底いたしております場合に、それの素材の引取に税金をかけて行くということは、いたずらに住宅の建設に対する負担を重くするようなものではないかと考えております。これの税総額は大したものではないように考えておりますが、それをそうした意味で一応廃止される御意思はないか。
  305. 小野哲

    小野政府委員 木材の引取税につきましては、流通を阻害するのじやないかというふうな御意見もあるのでありますが、林業に対しまして附加価値税を免除しておる点、また素材の取引団体において一回限りの課税をするという関係から、原則として立木のようなものは、固定資産税課税をいたさぬという点もございますので、一応この税はやはり存置することが妥当であろう。しかしシヤウプ氏の勧告書によりましても、存置すべきであるというような勧告もございますので、特に経済流通を阻害するというようなことになるとも考えられませんので、この法律案においては存置することにいたした次第であります。
  306. 門司亮

    ○門司委員 次には広告税の問題でありますが、広告税は先ほどちよつと立花君も申されましたように、この税金はとかくの問題のある税金だと実は考えておるのであります。それでこの非課税対象と言いますか、先ほど奧野君が説明されましたように、政党その他政治資金規正法によつて定められておるものに対しましては、税金をとらないということになつておるのでありますが、その他のものに対しましては、一応広告税をとるということになつておるのであります。これは従来たとえば電車の中などにおいて広告をいたしまする場合におきましては、当然広告料を、市営でありますならば、市に支払わなければならない。あるいはお湯屋その他に広告をいたしまする場合におきましても、やはり同じように、これは税金ではございませんが、一応お湯屋に広告をするという建前において、お湯屋に支払わなければならなかつた料金があつたのであります。そのことの上にさらに税金をかけられるということに相なつて参るのでありますが、実際上の取扱いといたしましては、それが必ずしも税金を納めたものであるかどうかということの判別は、なかなか困難であると思いますが、そういう業者に対してまとめて従来お湯屋であるとか、あるいは理髪屋であるとか、あるいは電車とかいうようなものに対します課税に対しての方法でありますが、これについてはそういう業者に一本徴税をまかせることがいいのか、あるいは役所が枚数に対しまして検印をして、そうして税金をとる。そうした処置は自由にさせる方がいいというように、徴税の面でそうしたことが考えられておると思いますが、これについて当局はこの法律の中には、そういうこまかい規定まではしていないようでありますが、広告税というものと広告料というものの問題でありますが、お湯屋その他に対しましては、いわゆる広告料というものが今まで払われておつたその調和をどういうふうにお考えになつておるか。
  307. 小野哲

    小野政府委員 広告税の徴收の仕方は五百八十九條に普通徴收、特別徴收、証紙徴收の三つのどれかによらなければならないというふうに規定してあるわけでありますが、五百八十九條の標準税率のところで一号から三号までのものは広告料金の百分の十ということが書いてあります。これはおのずから特別徴收によらなければならないということを予定いたしておるわけであります。そのほかの分は大体普通徴收と場合によつてはそれに証紙徴收を加味するというような、今門司さんのお話になりましたような点も考えられます。
  308. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いております問題は、広告料金の百分の十というようなことが書いてありますが、これらの調和を一体どうするかということでありまして、たとえばさつき申し上げましたようなお湯屋の組合であるとか、あるいは理髪の組合であるとかいうところに一括して大体納入されておると思いますが、その場合広告料金のパーセントという数字がここに出ておるのでありますが、これをどういうふうにして調和するかということであつて、これらの組合の団体が特別徴收義務者として支払われるのかどうかということを聞きたい。
  309. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 大体今お話になりました例でありますと、私は証紙徴收でいいのではないか、広告しようとする人が検印を受ける、それを理容組合などに頼む。それが一番運営しやすいし、そういうかつこうで運営されているのではないかと思います。
  310. 門司亮

    ○門司委員 それから広告税に対しましては脱税といいますか、きわめて少数なものを広告いたします場合に、はつきりした意味で脱税するわけではございませんが、百枚か、五十枚程度のものを広告する場合に、それが必ずしも届出とか、あるいは税金を納めたというようなことでなくて、脱税といえば脱税でありますが、そういうものが相当出て来て一応広告税をとるという規定にはなつておりますが、実際の徴收の面においては、そういう脱税行為が多くなるのではないか。すなわち固定した一つの場所に広告をいたします場合には、脱税も起らないと思いますが、そうでない、単に電柱に張つてあるような広告物についてはなかなか検印があるかないかということについて、見て歩くということも非常に困難なことだと考えておりますが、これらの脱税に対するお考えは何か特別にありますか。
  311. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 脱税を防止するという意味合いにおいて、証紙徴收のような形がいいのではないかという考え方を持つておるわけであります。いずれにしましても、できるだけ協力を得るという問題が根本の問題だと思いますから、そういう形が非常に発展して参りますと、証紙徴收をいたしますと、脱税と脱税でないものが、非常に明確になつて来るだろうと思つております。
  312. 門司亮

    ○門司委員 広告税というものはこういう形で、たとえば五百八十七條でありますが、その七に書いてありますように「ちらしによる広告」、これは大体千箇で五十円ということになつております。これらは一体千枚であるのか、二千枚であるのかという算定は非常にむづかしいと思います。実際上の問題としてこれらを捕捉するために、どういう連絡をとられておるか。これにはいろいろな方法があると思います。たとえば新聞に折込むという方法もございましようし、また街頭でちらしをまくという方法もございましよう。その場合に単にこれは千枚である、二千枚であるという届出の場合に証紙ということも、検印ということも、なかなかたいへんな仕事である。これに対する脱税の防止方法があるかどうか伺いたい。
  313. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 七の問題は実際むづかしいのでありますが、ちらしによる広告の場合、今お話のような新聞に折込む場合には、新聞売捌店というような人たちの協力が求められるということでなければ運用はむづかしいと思います。できる限りそういう意味において市町村としては努力して行かなければならないだろうと思います。
  314. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますのは、例の接客人税の問題であります。これは税の総額から見ますと、きわめてわずかな問題でありまして、接客人税というのは、ごくわずかなものでありますが、しかし性質から申しますと、どうもあまりいい税ではないと考えるのであります。それと同時に今度廃税になりました中に使用人税というのがあります。使用人税と接客人税との社会的なものの考え方から申し上げますと、片方の使用税の方は、大体使用人を使用し得る資力と担税力を持つ人であるということが、一応われわれには考えられる。現在の実情から申し上げますと、親子といいますか、夫婦共稼ぎでなければならないので、やむを得ず子守りを一人頼んでおるという実情もないわけではないので、あるいは未亡人等が自分で働かなければ生活ができないので、子供を託するために使用人をやむを得ず雇うというようなものがないとは限らないと申し上げたいのでありますが、税の性質から申し上げまして、接客人税はそうした担税能力があると思われるものではなくて、女中であるとかあるいはその他の非常に弱いものの納めます税金でありますことのために、使用人税の廃止とそれからこの接客人税の存置ということについての考え方を、私どもは少しかえていただきたいと考えるのでありますが、この接客人税を廃止する御意思があるかどうか伺いたいのであります。
  315. 小野哲

    小野政府委員 御意見のように使用人税あるいは接客人税につきましては、なお研究をいたさなければならぬ余地があろうかと思つております。ただ使用人税の方は割高に創設されましたのが最近であつたと私は考えるのでありますが、接客人税の方はどららかと申しますと、遊興飲食税等の関連において考えられておるふしもないことはないのでございます。ただわれわれの気持としましては、将来接客人税は廃止する方向に持つて参りたいと考えております。
  316. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、市町村法定外の税目の問題でありますが、これは先ほど申し上げましたように、大体県の法定外の税目の規定とほとんど似たような問題を持つておりますので、私はこの問題については実はあまり触れたくないと考えでおるのでございますが、問題になるのは、法定外市町村税というものが一体今度の税制改革でどのくらい整理されるであろうかということであります。私がまず最初にお聞きしておきたいと思いますことは、非常にたくさんあります市町村法定外の現在の税種目に対しましては、全部これを政府は一応禁ずるという措置に出られるかどうかということであります。
  317. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 七百一條に地方財政委員会規則で定める税目を除いては存続ができるというふうな規定を置いておるわけでありまして、重複しておるのは固定資産税というものが大部分でありますので、そういうものは地方財政委員会規則で規定してありますから、これによりましてはほとんど大部分の法定外の税目は廃止されるというふうにお考えいただいていいのではないかと思います。
  318. 門司亮

    ○門司委員 今のお話で大体これが整理されるというようなことでありますが、実際の問題といたしましてはどの範囲に大体これの整理が行われるか、もとより税の重複するものに対しましては、これは税制の改革等が行われましたので、市町村といたしましても重複する税金をとることは考えられない。ただ先ほどから申し上げておりますように、懸念いたされますのは、税制の改革をいたしましても、なおかつそういうものが相当存続されるということが一応考えられるのであります。問題は従来の市町村税と抵触しないというようなものが許可されておつたわけでありまして、これがことに今度の税制改革によつて、この税制改革の中に固定資産税、あるいはその他のものの中に吸收されるというようなこととも、私ども実は考えられないのであります。従つて先ほどのような御質問を申し上げたわけでありますが、これを法律によつて少しなくするということではなくして、雑税は積極的に、大臣の説明書にもありますように、これを整理するということになつて参りますと、法定外の現行行われておりますものを一応整理して、そうしてさらにこれの必要あるものは申請に基いて許可して行くというような方法が一応とられることが、大臣の説明書にもありますこの法定外の税金に対しましての一つの整理の方法だと、私は考えておりますが、この点はどう考えておりますか。
  319. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 門司さんのおつしやるような方法をとることも一つ方法であります。しかし別段法定外のものが残つてつても支障のないものについてまで、あらためて許可の申請をさせなければならぬということを考えますと、やはり規定したものは全部存続できないというようにした方が、市町村の手続に煩瑣なものを加えないで、かえつていいのじやないだろうか。地方財政委員会でどういう方針をとるかについて、疑念を持つておられるのじやないかと思いますが、全国を見て参りますと、ほんとう附加価値税と重復する、あるいは固定資産税と重複するものは非常に多いのであります。また提案の理由にも申し述べられておるようなことが政府の方針でありますので、ある程度御信頼いただけるのじやないかというふうに考えておるわけであります。
  320. 門司亮

    ○門司委員 この法定外の税目を一応そういうことで整理をされるということは、私といたしましては、さつき申し上げましたように、一応整理すべきものは、はつきり整理することがこの際はぜひ望ましい。それはなぜであるかと申しますと、税率が今度はほとんど標準税率になつてつておりまして、そうしてその標準税率で徴收いたしましたものと、さらに財政需要とのアンバランスは、例の平衡交付金でまかなうということになつておりまする関係から、従来のように特別の土地に特別の負担をかけるということは、今度の税制改革の面から申し上げまして、あまり穏当な措置ではないというふうに考えるのであります。財政が非常に困つておるからといつて、特別の土地に特別の税金をそこだけ設定させるという行き方は、必ずしも平衡交付金を設定いたしました趣旨に沿わない。これが従来の配付税の形でありまするならば、あるいはそういうことが多少言えるかとも考えるのでありまするが、私は平衡交付金制度になりました以上は、地方負担というものは、地方によつて特別の負担をするような雑税は、ぜひこの際整理をして行きたいというように考えておるのであります。従つてぜひそういう負担の均衡を保つ意味から申し上げましても、むりな地方雑税に対しましては、この際、たといそれが税制改革後の固定資産税、あるいは附加価値税というようなものと抵触しないものでありましても、この際整理をしていただきたいというように考えておるのであります。またそういうことが実際上の税制改革の目的ではないかというようにも考えられるのであります。  その次に目的税の問題でありまするが、目的税といたしましては、ここに書いてありまする税目といたしましては、水利地益税というように書かれておるのでございまするが、これは従来地方市町村行つておりました受益者負担のような形でもあり、またそれであると考えておりまするが、これをどの範囲に大体お認めになるかということであります。予算の参考書面から見ますのと、この目的税はきわめてわずかな数字が形式だけ載つておるように考えられるのでありますが、これもやはり地方町村において財政が苦しくなつて参りまするのと、それから寄付行為その他が制限されて参りますと、目的税というようなものが非常に考えられ、いわゆる捻出されるんじやないかというような懸念を、われわれは持つておるのでありまするが、この目的税に対する政府の見方をひとつお答えを願いたいと考えておるのであります。
  321. 小野哲

    小野政府委員 本来目的税というものは、私から申し上げるまでもないと思うのでございますが、特定の経費に充てるために特定の事業の受益者に対しまして、その受益の限度を越えない範囲内において課税するという、いわゆる強い公益の原則に従つて運営されて行くべき税でございます。従来の都市計画税は、財政需要がふえて参りましたのに対処いたしますための地方税收入の、何と申しますか、伸張性、もしくは弾力性をもこれに求めまして、いろいろとくふうが凝されて参つたのでございます。しかしながら今回の税法の改正に伴いまして地方税收入の弾力性なり、伸張性を他の主要税目に期待することができることと相なりましたので、特に目的税を存置しなければならないという必要も、だんだんと薄くなつて参つたような次第で理論上はあるいは廃止してしかるべきものではないかというふうにも考えられるのでございます。従いましてこの目的税そのものは現行法の制度から廃止いたしまして、この税法案にもありますような水利地益税、あるいは共同施設税というようなものの限度におきまして、これを存置する。言いかえればその受益の限度においてこれを課税するというような、目的税本来のものとしてこれを考えて行く。こういう考え方からここに水利地益税及び共同施設税を設けたような次第であります。
  322. 前尾繁三郎

    前尾委員長 目的税については後にして、今日は普通税までのつもりでおりますから御了承を願います。
  323. 門司亮

    ○門司委員 それでは一応これで私の質問を終りたいと思います。
  324. 大泉寛三

    大泉委員 門司さんの発言中に、罰金、過料に対して価格の比率によつて門司議員の言われるようにやつたらよいではないかというような、どうもたいへん私を誤解されたような一つのお言葉がありましたが、私は別に門司議員に論駁を加えたわけではないので、ただ当局の御説明に対して、あまり一つの価格を固執されるような懸念がありましたので自分がお伺いしたのです。もつとも価格に対する課税ではない、またいわゆる住民税のような何らの差別もつけないものに対しては、人に対する課税は当然平等でよい。もちろん罰金も人にかけるものであつて物にかけるのではないから、そのようにお聞きになるのは当然かもしれないが、とにかく私は何も門司議員の発言に対して論駁を加えたのではないのであります。私はそういうふうに門司議員に誤解されて非難されるようなお言葉を承つたことを、はなはだ遺憾といたします。どうぞこの点速記もあることですから、あとでごらんになつて御了解を願いたいと思います。
  325. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 先ほどからの門司委員の質問で、大体わかりましたので、多くの質問はございませんが、ただ一点鉱産税の問題でお伺いしておきたいと思います。この税も従来ずいぶん議論のあつた問題であります。これは都道府県税にすべきであるという意見も相当強かつたのであります。しかし今回はこれは市町村として制定されるようになつておるわけでありますが、ただこの鉱産税の持つ特質として、町村によつて非常に大きな不均衡が現われて来る。たとえば非常に大きな鉱山等を持つております町村は、この鉱産税の收入によつて、大体その町村の経費をまかない得るというところもあるわけであります。一方かようなものの全然ない市町村はもちろんさような收入はないわけでありますが、これらは平衡交付金等によつて調節をはかるということでありますけれども、この鉱産税が非常に多くとれる、收入のあるという町村は、これのみによつて極端な例でありますけれども住民税もしくは固定資産税等をとらなくても、財政需要が満たされるというような場合は、これのみによつてつてもいいというお考えでありますかどうか、その点お伺いいたします。
  326. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。松本さんがおつしやいましたように、理論的には、もしさような場合がございましたら、さような結論になるのではないかと思います。しかしながら実際問題といたしまして、ある地区に大きな鉱山施設があるというような場合におきましては、自然人の数も多うございますし、当該町村財政需要もそれに伴つてかさんで参ることになりますので、これらの点を考え合せますと、理論的にはさような場合が起ることは想定されるわけでございまするが、はたしてそういうふうになるかどうかということにつきましては、必ずしもそうとは限らぬ。そういうふうに考えている次第でございます。
  327. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 そういたしますると、かような鉱産物の全然ない町村とのバランスの関係でありますが、これはやはり平衡交付金等によつて調節なさるお考えでありますか。
  328. 小野哲

    小野政府委員 御意見の通りと考えております。
  329. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 今日は時間も非常におそうございまするし、目的税についてお伺いしたいと思つておりましたけれども、これは先ほど委員長のお言葉もありましたから、あとに讓ることにいたしまして、私はこれで打切ります。
  330. 河原伊三郎

    ○河原委員 本法案の提案理由の説明において、岡野国務大臣は前国会に提案した原案と今の法案とのかわつた点について、諸般の事情を勘案して、と申されておりまするし、その諸般の事情を勘案してということの分析について、小野政務次官は、前国会において論議のしげかつた点、こういうことを一つの分析した大きな材料として述べられているのでありますが、前国会におきまして、本委員会におきましても、また関係者の陳情におきましても、最も論議のしげかつたともいうべきところの遊興飲食税について、何ら考慮が払われていない形になつて現われているのは、どういう理由でありまするか承りたいのであります。
  331. 小野哲

    小野政府委員 河原さんからの御質問でございますが、遊興飲食税につきましては、本委員会におきましても、いろいろ御意見が出たことはその通りでございます。私どもといたしましては、遊興飲食税の問題は本日の委員会においても、門司さん初め各委員から御質問がございましてお答えいたしましたように、将来の問題といたしましては漸次これを整理して参りたいという心組みを持つているのもございます。ただ遊興飲食税の経過をたどつてみますると、戦時中及びその後におきましては相当高率課税をいたしまして、やや禁止的な税として取扱われておつたのでございますが、一昨年になりましてこれをやや緩和して参つた。さらに今回の税法案におきましては、これをまた緩和するというふうな方法をとつておるのでございまして、遊興飲食税の性質が、徴税の点その他から見まして、いろいろと問題もございまするし、従いまして政府としましては、これらの徴税の実績等に徴しまして、さらに第二、第三の段階において、これにつきましては相当考慮を払つて参りたいという考えを持つておるのでございまして、この臨時国会において提案いたしました法律案におきましては、これをさらに推し進めて、税率の軽減をはかるという段階にまでは至つておらないことを、御了承願つておきたいと存じます。
  332. 河原伊三郎

    ○河原委員 税金の問題に関しまして、今日の大きな問題は、戦争以来税が非常に重いという点と、いま一つはある種の税目につきましては、徴税の側と納税の側とにおいて、一面において非常に税を捕捉しがたい。一面においては追究が苛斂誅求的な面があるという問題でありまして、その税額決定において非常に紛議のひどいのは、所得税と遊興飲食税であろうと思います。従いまして、遊興飲食税は捕捉しがたいものでありますので、中央より各府県に向つて徴税目標を割当てられましたその結果といたしまして、今日まで非常に不均衡がはなはだしいように言われておる府県が相当多いのでございます。つきましてほ徴税見込みの割当ては、どういう基準によつて、いかなる方法によつて従来やられたか、これを承りたいと思います。
  333. 小野哲

    小野政府委員 御指摘のように遊興飲食税の予定税收額を見込みます場合におきましては、いろいろと算定の基礎を苦慮いたして参つたのでございますが、たとえば酒消費量の関係を基礎といたしまして、これらを算定の基礎にとつておる場合もあるのでございます。なおこの点につきましては、今後最も妥当な方法によるように、さらに検討を加えて参りたいと考えております。
  334. 河原伊三郎

    ○河原委員 ただいまの御答弁によりまして、従来は酒消費量も一つの大きな資料として考えられたようでありますが、今後はともかくといたしまして、従来の酒消費量というものは、酒の配給面におきまして、たとえば米産地のごとき米供出の特配といつたふうで、非常にたくさんな消費が行われておつた実情があります。しかもこの家庭における特配の酒と遊興飲食税というものとは、まつたく相反するものでありまして、そういう酒が家庭に配給せられなければ、遊興飲食方面に進出するかもわかりませんが、そういう酒がふんだんに家庭に配給されるとすれば、遊興飲食税方面の消費は少くなるのが当然であります。かような反比例的な結果をもたらすような杜撰な資料によつて、従来割当てられておつた結果が、従来における府県割当見込量に非常なでこぼこを来したのだと思います。つきましては今後の新たなる公正妥当なる配分としましては、どういう基礎によつて配分されるお考えでありますか、承りたいと思います。
  335. 小野哲

    小野政府委員 本年度につきましては、所得とかあるいは自由販売等によりまして考えたのでございますが、今後におきましては、所得によつて算定の基礎を求めたい、かような考えを持つております。
  336. 河原伊三郎

    ○河原委員 政府は将来の財政経済方針としまして、国税において七百億円程度を明年度において減税をしたい。地方税においてもできるだけ減税をはかりたいということを明らかにしておられまするし、一面本委員会におきまして、政府当局から将来の地方財政においては、雑税の整理ということをはかつて行きたい、かような御言明があるのでありますが、この二つを考え合せまして、将来地方税の減税は、雑税整理という方面に主力をそそいで行くお考えであるかどうか承りたいと思います。
  337. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。政府といたしましては国民負担の軽減をはかるべく、一層の努力を傾けたいと考えておるような次第でございます。地方税に関しましては、ただいま御指摘のように負担の軽減をはかる方法といたしまして、雑税の整理も考え得るのではないかと思つております。
  338. 河原伊三郎

    ○河原委員 今回の地方税の増加になりましたのは、地方財政確立のためにやるのだ。強制寄付をとつておるような貧弱な状態では、地方自治の確立は望めないというのが主眼になつておるのでありますが、これを近き将来において減額して地方自治体に悪影響を来たすような気づかいはないという御決心であるのであるのか、あるとすればそれにかわるべき、地方財政の状況を悪化させない何らかの方法を国としてとられる御意向であるか、あわせて承りたいのであります。
  339. 小野哲

    小野政府委員 国民負担の軽減をはかるにつきましては、何と申しましても国税地方税とを通じまして考えることが、必要であろうと存ずるのでございます。国民負担の軽減が地方税の減額のみによつて、達成されるものとは考えておりません。従いましてまず考えられることは、国政の運営につきましては、できるだけこれを簡素化いたしまして、その歳出を節減することによりますと同時に、国税を大幅に減少することによりまして、あとう限りこれを地方財政の確保の方面に振り向けて行くという考え方が、まず考えられなければならないと思うのでございまするので、単に地方税の範囲内においてのみ、国民負担の軽減をはかるということは、よほど慎重に考慮しなければならないものではないかと考えております。
  340. 河原伊三郎

    ○河原委員 私のお尋ねいたしましたのは、国税において負担の軽減をはかる意図を明らかにせられるとともに、でき得べくんば地方税をもという政府の意図が明らかになつており、さらに将来雑税は整理したいということを、本委員会においてすでに当局が言明せられておるのと関連して、質問いたした次第であります。  なおあわせて希望を申し述べておきたいと思いまするが、一切の雑税を一拳に全廃せられるというくらいの画期的な考えをもつて地方税の軽減を行い、しかも地方自治体に悪影響を及ぼさない国家措置がとられるならば、これに越したことはありませんが、しかしかようなことはなかなか困難と思いまするので、雑税の幾分かを廃減税されるような場合におきましては、負担の均衡問題あるいは文化教育等の関係問題、あるいは重要産業の問題とかいうふうな面で、広く深く考究して、万遺憾なきを期せられたいということを要望いたしておきます。
  341. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ほかに御質疑ありませんか——ありませんければ、これをもつて遊興飲食税及び都道府県雑税並びに市町村以下の雑税に関する質疑は、一応終了いたしたことといたします。  明日は午前十時から開会いたしまするが、午前中の会議で決定いたしました参考人のうち、東京都都会議員中島喜三郎君、農林中央金庫理事長湯河元威君、租税研究研究部長内山徳治君が明日午前中に御出席の予定であります。なお明日は市町村民税等に対する質疑を続行いたしたいと思つております。  本日はこれにて散会いたします。     午後七時散会