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1950-07-15 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十五日(土曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 生田 和平君 理事 川本 末治君    理事 塚田十一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    河原伊三郎君       清水 逸平君    中島 守利君       野村專太郎君   橋本登美三郎君       吉田吉太郎君    龍野喜一郎君       床次 徳二君    山手 滿男君       大矢 省三君    久保田鶴松君       立花 敏男君    米原  昶君       松本六太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方財政委員会         事務局長    荻田  保君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君  委員外出席者         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  地方税法案内閣提出第一号)     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  地方税法案を議題といたしまして、質疑を続行いたします。龍野喜一郎君。
  3. 龍野喜一郎

    龍野委員 それでは特に大臣にお尋ねする点を除きまして、御質問申し上げたいと思います。  まず第一点は、賦課期日及び納期に関する問題でありますが、本法案によれば賦課期日條例によつて定めらるる場合と、法律によつて指定されたる場合と二通りあるのでありますが、大体いわゆる三大税目については、この賦課期日並びに納期法律でもつてきめてあるようであります。しかしながらこの問題は、いつかもどなたかから御発言がありましたように、日本の国は南北に長く、その気候風土が大いに違つておるという見地からいたしまして、法律によつて期日を一定するというのは、よほど避けなければならぬ問題じやないか。その土地、その土地事情に応じたようにきめるのが原則であろうと思うのであります。ことにまた税法改正眼目が、その自治体自主性によるというような見地から見ましても、この納期並びに賦課期日法律をもつて一定するのは、よほど重大なる理由があらねばならぬと思うのでありますが、何ゆえにこれを法律をもつて全国的に一定したか。その辺のことについてまずお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  4. 小野哲

    小野政府委員 お答えをいたします。今回提案いたしておりまする地方税法案におきましては、御説明申し上げましたように、あるいは賦課期日または納税期日の訂正をいたしておるものがあるのでございます。ただいま御指摘になりましたように、おもな税につきまして、法律でもつてこれを定めるようにいたしておりますことは、その通りでございます。この点につきましては、御説のように、わが国の地理的な事情から考えまして、気候風土等から勘案いたして、これをある程度当該地方団体にゆだねることが妥当ではないか、こういう御意見もまことにごもつともかと存ずるのであります。ただ国税地方税全体を考えてみますと、これらの税目につきましては、やはり相互関係を調整する意味合いから申しましても、法律でこれを規定することが妥当であろう、かように考えておるのでございます。もつとも特殊なものにつきましては、これについての特別な考慮を拂い得る道は、地方税法中に開かれておるのでありますが、原則といたしましては、法律でもつて規定することが、全般の振合い、国税地方税との相互間の意図から考えてみまして、適当であろうと考えておる次第でございます。
  5. 龍野喜一郎

    龍野委員 次に納入方法についてお伺いいたします。本法案によりますれば、納入につきましては、分割納入または物納制度は認められていないように思うのでありまするが、しかしながら、予定收入を確保するという意味からいいますれば、場合によりましては分割納入方法もとり、ことにまた償却資産のごときものを対象とする固定資産税の場合におきましては、物納制度もあるいは可能ではないかと考えるのであります。このことは財産税においてすでに実施実験済みの問題でありまするが、これを特に避けまして、すべて金納にし、あるいはまた一時拂いにしたという理由はどこにございましようか。こういう問題こそは、その自治体実情に応じまして、自治体において適宜に定めることが最も穏当ではないか。すなわち條例によつてきむべき問題ではないかと存ずるのでありますが、御当局見解を伺つておきます。
  6. 小野哲

    小野政府委員 ただいまの御意見は一面ごもつともと思うのでございますが、今回の法律案の建前といたしましては、分割納入であるとか、あるいは物納制度をとるかわりに、むしろ徴税の延期をはかるとか、そういうふうな方法によりまして、この間の調整をはかることが、地方税の性格から見て適当であると考えました結果、たとえば国税における財産税分割拂い、あるいは物納というような制度をとらなかつたわけでございます。
  7. 龍野喜一郎

    龍野委員 ただいまの御説明によりまして、政府の意図するところはわかつたのでありまするが、本法の総則に、すべてこれらのことにつきましては、自治体條例をもつて実施しなければならぬと書いてありまするが、かりに自治体におきまして、その條例中に私が申し上げましたようなことをやつた場合、たとえば納期を適宜に変更するとか、あるいはまた分割拂いを認めるという條例をつくつたような場合には、その條例は無効でありまするか。あるいはまた單なる法律違反と申しますか、その程度で済むものでありますか。その点もう一ぺんお伺いしたいと思います。
  8. 小野哲

    小野政府委員 ただいま御指摘になりましたように、地方団体納期変更その他あるいは納入方法等につきまして、かりにこの法律に異なつ條例を設けた場合におきましては、この法律條章に照し合せまして、有効ではないと考えております。
  9. 龍野喜一郎

    龍野委員 地方税法案不成立に伴う措置についてまずお伺いいたしますが、大臣説明書にもありまする通りに、この善後処置といたしまして、平衡交付金約六百億円の概算拂いを行い、なお不足については、大蔵省預金部からの短期融資並びに長期融資という方法を用いておることに相なつておるのでありますが、その融資の額を参考書によつて調べてみますと、短期融資が約二百億、長期の分が四百四十億と相なつておるようであります。昨日来国務大臣は、地方債利子並びに借入れにつきましては、全力をあげて地方希望に沿うように努力するという言明があつたのでありますが、その際、これらの利子補給、特にこのたびの不成立に伴う預金部融資利子補給について、何らの御説明を承らなかつたのを、私ははなはだ残念に存ずる次第であります。この法案不成立がいかなるところにその責任があるかという議論はさしおきまして、とにかく地方自治体にその責任が全然ないことは、皆様御異論のないところであります。にもかかわらず、その責任のない自治体に対して利子までも負担させなければならぬというがごときことは、まつた自治体としてはまことに迷惑しごくなことでありまして、この問題につきましては、すべからく国においてこの利子を考うべきものであると思うのであります。承るところによりますれば、この問題につきましても、閣議として何らかの決定があるようでありまするが、この委員会を通じて、利子補給に対しましていかなる手段を講ずるか、言明をいたしてもらいたいと存ずるのであります。
  10. 小野哲

    小野政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほど納期変更等につきましては、もし地方団体條例でこの法律に異なる定めをした場合においては違反であるということを申し上げましたが、納期の点は、その前に御答弁申しましたように、ある程度特例を認め得る道が開かれておるということに訂正いたしておきます。  なおただいまの、地方税法案不成立に伴いまして、政府がとりました融資措置伴つて利子補給に関する問題でございますが、御指摘通り地方団体財政の窮迫しておる実情にかんがみまして、何らかの財源的な措置考える必要があるということにつきましては、政府としては意思決定をいたしておるのであります。これらの点について地方財政の全体の計画、地方団体財政実情等々を勘案いたしまして、適切な方途を講じて参りたいという趣旨のもとに、研究をいたしておるような次第でございます。
  11. 龍野喜一郎

    龍野委員 そうすると、その点はいまだ研究中に属して、利子補給については、政府においてこれをはつきり引受けるというまでに至つていないのですか。もう一ぺんお伺いいたします。
  12. 小野哲

    小野政府委員 重ねてお答えを申し上げまするが、利子補給というような方法によるか、あるいは他の適当な財源付與方法によるか、これらの点につきまして、いずれにいたしましても地方団体利子負担を免れ得るような措置につきまして、研究を進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 龍野喜一郎

    龍野委員 それから固定資産税についてお伺いいたしますが、二十五年度は一・七の税率にきまつており、そうしてその結果五百二十億を確保するということに相なるのでありまするが、それが昭和二十六年の一月において、五百二十億を上まわるようであれば一・七を引下げ、下まわるようであれば一・七を引上げるというようなふうに御説明になつておる。あるいはこの問題は大臣からお伺いしなければならぬ問題かもしれませんが、その前にお伺いいたしたいのでありますが、われわれの見解をもつてすれば、大体固定資産税土地家屋倍率の九百倍が、前国会においても相当議論のあつたところでありまして、すでにわが自由党においても、九百倍でなければ所定の四百二十億の土地建物の税がとれるかとれないか、われわれの調査をもつてすれば、八百倍でもとれるのではないかというような資料を持つております。しかしながらこれは資料でありまするから、われわれも必ずしもこれをもつて確保できるとは考えませんが、少くともそういう議論が支配的だつた。また償却資産につきまして、九十九億とる予定になつておるのでありますが、この償却資産が非常に安全率を見込んでおるという問題につきましても、前国会においても相当支配的意見であつたのであります。これらの点から考えまして、昨日の大臣答弁から考えてみましても、おそらく昭和二十六年一月のほんとうの決定の際は、この一・七という税率を引下げる可能性が多いのではないかというようなことも考えられるということを、大臣は御答弁になつておるのでありまして、この点は私もまつたく同感であります。しかるに来年の一月まで待たなければ、この一・七を変更することはできないのであるかどうかということを考えてみまするならば、私はこの五百二十億の中には、その大部分を占める四百二十億、これが土地建物税金であります。九十九億約百億が償却資産税金でありまするが、土地建物について見まするならば、すでに八月が第一回の税の決定のときであります。従いまして少くとも土地建物につきましては、来年の一月を待たずして、九月、遅くとも十月には、一・七五で予定通りの五百二十億をとれるかとれぬかということがわかるわけでありまするから、私は少くとも土地建物については、善は急げと申しまするが、この一・七をそれに合うがごとく変更すべきではないか。もしもこれが上まわるのであれば、これを引下げるべきではないかというように考えるのであります。おそらく政府当局においては、償却資産のきまるのが十二月ごろでありまするから、それを待たなければ、これを一月の前には全体的にきまらないというように、御説明があるだろうと思いまするが、償却資産の分は、先ほども申しました通り固定資産税の五百二十億のうち百億に充たない額であります。しかも償却資産に対する固定資産税が、実際の場合には相当不当に重くなりはせぬか。政府資料によつてもわかります通り、私どものもらつております参考資料によりますと、百二十二億とれることになつております。それをさらに安全率を見て、九十九億を見込んでおるような次第でありますから、私はおそらく償却資産についても、一・七というものを固守する必要はないと思う。もしもかりに償却資産について不安心ならば、すでに土地建物償却資産とは計算の基礎が別個になつておる関係もありまするから、本年の九月中もしくは遅くとも十月中に、土地建物については一・なにがしにするというような暫定措置でも、地方財政委員会が講ずべきではないか。あくまでこの土地家屋償却資産との二つが、償却資産がきまらないからその道連れにするというがごときことは、国民をしていたずらに不安のところにおらしめ、またいらぬ税金をとるわけでありまして、こういう仮決定のようなことは、すべからく一日も早くこれを本決定にするのが、当然のことであろうというように考えるのであります。この意味におきまして、来年の一月中に決定するというのを、少くとも土地家屋については九月もしくは十月、それから償却資産についてもその際大英断をもつて――大体の見込みをもつてやりましても、そう間違いはなかろうかと思います。と申しますのは五百二十億のうち大部分は、先ほども申し上げました通り土地家屋から生ずる税金でありますから、かりに償却資産の場合はそれよりある程度少くても、大して收入欠陷にはならないと思います。私の希望を申しますれば、九月、十月に、大英断をもつてこの仮決定を早く本決定にする。もしもそれが事務上どうしても困難であるならば、償却資産についてはやむを得ず本法案通り、来年の一月中にきめるというようなことをすべきではないか。すでに先ほども申しました通り土地家屋についてはきまつておるにもかかわらず、償却資産がきまらぬから道連れにする、しかもきまらぬ償却資産――それが固定資産の大部分を占めておるならば、そういう御心配も当然であろうと思いますが、その大部分土地建物でありますから、大部分を一部分のために道連れにする、そうして国民に対していつまでも不安定な状態に置くということは、これはとるべき道ではなかろうと存ずるのでありますが、この問題について御見解を伺いたいと思います。
  14. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいま龍野さんも言われましたように、土地建物価格はすでにはつきりととらえ得るわけであります。ただ問題は償却資産関係でありまして、これは今回の法律案提案いたします場合におきましても、これらの事情を考慮いたしまして、特別な取扱いをいたすことになつたのでありますが、その価格が大体予定税收見込み額といたしまして、土地家屋に比しては少いのでありますけれども固定資産全体としてやはり考えて行くことが必要であろうというような点から、一応来年の一月中に税率について、再検討を加えるということに相なつたような次第でございます。なおこれらの点につきましては、地方財政委員会荻田事務局長から御答弁申し上げたいと存じます。
  15. 荻田保

    荻田政府委員 昨日大臣からも御答弁がありましたように、現在の見込みといたしましては百分の一・七という税率をもつて五百二十億ちようどとれるという相当強い考えを持つておるのであります。万一にもこれが違いました場合は、補正するというような道を開いておるのでありまして、これはあくまで例外的に考えております。つまり現在では百分の一七をもちまして大体五百二十億の收入を得、これを変更する必要はない、こう考えております。ただ万一にもそれが違いました場合のことを考えまして、念のための規定を入れておるような次第であります。なぜ入れたかと申しますと、税率が、ほかの税でございますと、標準税率でございますから、とり過ぎたり足りなかつたわいたしますと、地方団体だけで自由になりますが、固定資産税昭和二十五年度に関する限り、固定税率でございますから、これはとり過ぎましても、足りなくても、地方団体だけでどうにもなりません。従いましてこのような道を全地方団体にかわりまして、地方財政委員会が行うという趣旨なのであります。そこで問題といたしましては五百二十億は、あくまでも固定資産税対象になります土地家屋償却資産一本にしまして、しかも同一の税率によりましてとるということを期待しております。土地家屋につきましては、実際ただいまの資料によりましても、一筆々々賃貸価格がきまつてつてこの調査は正確なもので、ほとんど狂いがございません。ただ償却資産につきましては、実際の評価の実情を見なければならぬ状況であるのであります。従いましてこれはあくまで一本として考えるのが至当だというふうに考えておる次第であります。
  16. 龍野喜一郎

    龍野委員 ただいまの御説明ちよつと私たちの考えと違うところがありますが、先ほどもちよつと質問いたしました通り、五百二十億のうちに土地建物として四百二十億ばかり見込んでありますが、この四百二十億の税金は、倍率を九百倍にしなくても、われわれの調査をもつてすれば、八百倍でもとれるという資料を持つておるのであります。先ほど申しました通り、われわれの資料が必ずしも万全とは申しませんが、しかしながら大体これは間違いないところじやないかというふうに思います。これはまことにこの席上では申しにくいことでありますが、新聞紙上伝うるところによりますれば、政府最初地方税法案を提出する前に、その筋に折衝しておるときに、すでに八百倍という倍率相当主張されておるということを、われわれは知つおるのであります。それがいかなる理由でありますか、九百倍ということがどうしても変更できなかつたというふうに、私は承知しておるのでありまして、四百二十億を確保するには八百倍でもよいということは、ただ單なるわれわれの空論ではない。八百倍でもとれるという議論があることは、荻田さんも御存じだと思います。従いまして倍率変更がもしできるといたしますれば、九百倍が八百倍でよいということになりますれば、その分だけ税率を引下げるということは可能性があるのではないか。一割強の税率を引下げるということは、決して四百二十億の固定資産税を確保する上において危險ではないという議論も成立つのであります。従つて一・七の税率にきめられたのでありますが、私の計算では一・六五あるいは一・六四くらいのところにきめられても、四百二十億を確保することは不当ではないということの考えを持つておるのであります。こういう見地からいたしまして、固定資産税につきましてはすでに八月が賦課決定期日でありまして、その成績をもつて一・七にしなくても一・六五でもよいということになつたら、国民負担軽減の上におきましても、少くとも土地建物についてはその税率変更するという勇気があるべきではないか、償却資産につきましてはまだわからぬからどうにもきめようがないということは一応の議論であります。しかしながらこれは政治的の見解をもつてすれば、償却資産についても、税の大部分というものは土地建物であるから、少しくらい間違つて償却資産の分は少いのであるから、これはやはり固定資産税率と同じようにとつてもかまわないというのが、政治家のとるべき決断力ではないかと思いますが、この点大臣にお伺いする以外に道がありませんから、御当局には御質問申し上げませんが、そういう見解から申しますれば、少くとも国民から余分にとる必要はないのであります。余分にとる必要がないことが明瞭になつたら、その分だけでも訂正するというのが親切なやり方ではないか。しかも固定資産税の中に土地建物並びに償却資産の区別がなければいざ知らず、皆さん方の提出されておる資料の中に数字ではつきりわかつておる。判然と区別されているならば、私はその区別された範囲において、極端なる場合を言えば、区別した税率でもいいんじやないかと思います。もうそのことは議論になりますから申しませんが、少くとも固定資産税については、この決定を一日も早くするというぐあいに、この改正法案実施されました場合、行政措置としても可能ではないかと考えます。私は一月中に決定するという文句は一月中までに決定するというように解釈しても、決して違法ではなかろうと思うのでありますが、これについて御説明願いたいと思います。
  17. 小野哲

    小野政府委員 ただいまお話がございましたように、土地建物につきましては価格はつきり把握することができますが、要は償却資産の問題とも相なるのでございますが、われわれの考え方といたしましては、固定資産を全体として取扱つて参りたいという考え方を持つておりますがために、今回の法律案内容もさようなふうに織り込んであるような次第でございます。先ほど龍野さんから、倍数の問題あるいは税率の問題について、先の国会における経過あるいは本国会に対して提案をいたします場合いにおけるいろいろの問題についてお触れになつたのでありますが、御説のようにこの法律案提案するにあたりましては、種々の角度から検討を加えて参つたことは事実でございます。しかし結局におきまして、提案をいたしましたような内容に、研究の結果最終段階において決定をいたされたということになつておるのでございます。
  18. 大泉寛三

    大泉委員 新しく大臣が就任されたので、大臣のおられるときに申し上げたいと思つたのでありますが、あとでお見えになつてから大臣から御答弁願うことにいたしまして、それ以外の点についてお尋ねいたします。私どもは長い間この地方税に対して審議して参つたのでありますが、たまたま前国会においてはああいう結果になりましたが、あらためて提案されたこの議案に対して、新しくまた地方税に対する理解の深い大臣を迎えて喜んでおるものでありますが、殊にまた小野政務次官が引続き責任をもつて留任されたことも、私どもは非常に喜んでおるものであります。ただそれで問題は、今回の案が前回のと違つて、きわめて議会希望を反映して、そうして修正されて提案された、こういうふうに申されるのでありますけれども、私どもはこれに対して相当不満なのであります。附加価値税実施期間を一箇年延期したということは、かえつて地方実情に対してあまり政府がかつて過ぎるのではないか。地方においてはこの税制が実施されるものと思つて相当用意をしておつたにもかかわらず、これをまた延期して、その実施を混乱させて、一箇年遅れてから従来通りにそれをやろうというようなことでは、まつた地方の府県においては迷惑しごくであるというような声が非常に多い。そしてそれはいろいろ期間的に、あるいは手続的にむりがあるというような説明でありましたけれども、とにかく前国会と今国会の開きがわずか三月しかない。これを一箇年引離すというところはりくつに合わないと私は思う。三月を一箇年に引延ばさざるを得なくなつたということはどうもふに落ちない。これに対して政府はどんな考えを持つておられるか。今までの御答弁の中にはいろいろ含まれておりまするけれども、特に議会工作においてとにかく前国会においては政府は失敗しておる。しかも今度またその失敗を繰返すような懸念がある。それは何かと言いますと、とにかく地方税国税と並行して行かなければならなかつたのだ。ところが国税の方は先に独りで通つてしまつた。なるほど所得税を中心として非常に減税されておるのだから、これはよい。それで一つの問題としてすぐ通つたのでありましよう。けれども地方税もこれに伴つて、むしろ地方税の方を先に通すべきじやなかつたか。地方においてはそれぞれの予算編成、あるいは改革されたところの手続上の準備もあるのだから、これこそ先に通して、国税は会期一ぱいにおいてこれをやつてもさしつかえなかつたのだ。それが逆に国税の方を先にやつて地方税をあとまわしにしたというところに、いろいろ失敗があつたのじやないかと思うのです。そこで今度は国税の方はもう実施が近づいておる。今度は地方税の方は一人歩きをしなければならない。荷物を持つたお客とから手の人ととがともに連れ合つて行くときに、から手の人だけが先に行つてしまつて、荷物を持つて迷惑をかける人は車に遅れるという結果になる。これではどうも車に乗るときに断われるのに都合のよい一つの場合になつて来る。しかも一箇年延期をするということになつては、まず議会の感情としても私は非常に悪いのじやないか、独立した一つの地方税になつてしまつて国税と関連して進むべきところを別々に歩ませるということは、議会対策が非常にまずいのじやないかと私は思う。もちろん今の政府は大多数の與党で――私どもも與党として大いに協力する。もちろんまたしなければならぬ立場にあるけれども、現在の立場において関係方面との折衝においてやはり政府と党はきわめて密接な関係を持つてされていないうらみがある。こうしたことは党内で発言すべき問題でありますけれども、私どもは党に行つても二百八十名もおるのでなかなか発言の機会がありません。許されたのはこの委員会だけですから申し上げますが、こうした議会対策の拙劣な政府によつて、はたしてこの地方税が、しかも附加価値税実施を一箇年延期するということで、現在の考え通りに実行できるかどうか。一年実施を延期しておる間に何らかの政治工作をして、これをうやむやにする考えじやないかという疑いを持つのであります。私は日本の産業の再建のためにどうしても必要だという法案でなければいかぬと考えて、この法案に対しては力ごぶを入れて来た関係から、どうも一箇年延期に対して非常に不満を持つておる。これに対して政府考えを少し聞きたかつたのでありますが、大臣がおられませんので、お残りになつてこの処理に責任を持つておられる小野次官に承りたい。
  19. 小野哲

    小野政府委員 大泉さんからまことにごもつともな点についての御指摘をいただきまして、一面遺憾の意を表する点もあるのでございます。さきの国会におきまして御指摘通り国税地方税とを並行して御審議を願うということが、最も妥当であり、また地方税法の改正の目的が、国税地方税を通じて総合的に取扱わるべき性質を持つております点から申しまして、最も望むところであつたのであります。しかしながら諸般の事情からその機会を得ることができませんでしたことは、まことに遺憾に存ずるものでございます。大泉さんからの御説のように附加価値税を一年間実施を延期するということにつきまして、各地方団体において諸般の準備も取運んでおる際であるので、適当ではないというような御所見のように拜聽いたしたのでございますが、御説のように地方団体がその徴税者の立場におきまして、諸般の準備を整えておる際に延期をいたすということは、種々支障を生ずるであろうということは想像にかたくないのであります。ただ一面附加価値税実施されます場合においては、原案によりますれば、二十五年一月一日から実施するということに相なつております。しかるに附加価値税そのものの性格を考えますと、流通税的な性格がありまして、当然転嫁することに相なりますので、当初の案のように二十五年の一月一日にさかのぼつて実施することになりますと、負担の転嫁をまた遡及するという事態が起つて参ります。ところがすでに二十五年も半ばを経過いたしておりますような現状におきまして、今年当初にさかのぼつて負担を転嫁させることは、実際問題といたしましては不可能であり、かつまた事業経営者の負担が不当に多くなるおそれもございますので、この点につきまして考慮をいたすべき必要があるであろうと考えて参つたのであります。また附加価値税は御承知のごとく新税でございますので、相なるべくは準備の点につきましても、万全を期して参りたいということも考えまして、実施を延期いたしたような次第で、政府といたしましては、税の負担の均衡なり、合理化なりを考えて、地方税制の改革をいたすということにつきましては、何らその所見においてかわりはないのでございますので、できるだけこの間において準備をいたしまして、その実施について万全を期して参りたいと考えておる次第でございます。附加価値税実施を延期いたしました理由は、如上のような考え方から出ておりますので、何とぞ御了承を賜わりたいと存じます。
  20. 大泉寛三

    大泉委員 そうしますと、前国会ではほとんど五月まで国会が続いたので、それを昭和二十五年一月から実施するということは、やはり五箇月の実施できない期間があつた計算になる。初めからそういうことは、結局五箇月なり半年なりというものは、遡及して実施しなければならない一つの法案であつて、しかもそれが幸か不幸か廃案になつたとすれば、前国会の議案としては、まことに信任のない議案であつたということになるのであります。しかも今度の案が修正され、固定資産においては幾分引下つた。これは悪くないのでありますけれども附加価値税においては、ともかく前国会で否決のおかげでこうした結果を招いたとするならば、前国会においてはとにかく両院議長を招請され、そうして修正には同意できないという関係方面の意向を伝え、修正すら認められないという固い御意見に対して、修正できないからこれが否決になつたので、否決になつた案と修正とはどちらが重いかということはわからないけれども、修正の方は軽いように思うが、特にこの結果においてはそういうことになつた。そうして今度出された案は、こういうふうに一箇年も延ばされ、あるいはその他の点において、とにかく国会意見を尊重して修正されたといいますけれども、私は政府当局の信念のないことをここに暴露するものではなかろうかと思う。私どもは本来ならば、とにかく前国会においては相当種々な修正箇所もあつたのでありますけれども、これはまかりならぬということが関係方面から伝えられて、それでとにかくむりして衆議院は通して行つた。それが廃案になつた。その結果また修正されたということについては、私どもの立場は衆議院の絶対多数を持つ党員として、右向けといえば右、左といえば左、こんなばかばかしい話はおそらくない。政府は私ども多数党員の気持を迎えて、この法案に当つてもらいたいというのが私の考えであります。政府委員に対する立場はこれだけにしておきますが、特にこの附加価値税に対する私どもの要望している点に対して申し上げますが、大臣の昨日の御説明の中に、社会党の門司君の御質問に対して、附加価値税はいわゆる大衆に物価として、あるいは商品の価格として転嫁されるものであるというようなことを、半ば認められたような言葉がありましたけれども、私は附加価値税は、事業を経営する以上は、どうしても経費の一部に挿入しなければならぬ。いわゆる事業をやるものは必ず收益を目的として、また收益を唯一の努力の結晶として求めておる以上は、收益のない赤字経理であつたならば、なるほど経営困難とかその他の事情において負担過重になりますけれども、收益のあるものであつたならば、收益の面からこれは経費として控除されるのであるから、何ら負担において痛痒を感じない。しかも自由主義の立場において、自由競争が行われるとしたならば、自由競争という立場において、公衆に対してかえつて安い商品を提供し得られるというような機会を與えるということになつて、大衆に対しては絶対にこれは転嫁すべき問題ではないというふうに私は確信しておる。こうしたことはいわゆる今日までの統制経済のもとに経営をされたという半面から、原価計算の中に地方税が包含されたならば、これは一応統制の建前から物価の変動あるいは価格の変化も生じて来ますけれども、自由主義であつてみれば、いわゆる自由競争のもとにかえつてあらゆる経営上の改善を伴われて、物が安く提供されるという点からいつて、これは大衆に転嫁するものでないという建前から、私はどうも附加価値税というものは、日本の産業界に及ぼす影響はきわめて妥当で、あるいは復興を促す一つの税制であるというように考えておつたのであります。大臣におかれてもこのことについては常に大体同じ意見であられると信じまして、非常に喜んでおりますけれども、昨日の答弁の中にやはり矛盾する答弁がありましたので、一言お答えを求めたいと思います。
  21. 小野哲

    小野政府委員 ただいま大泉さんから附加価値税の性格についてお考えを伺つたのでございますが、昨日また本日御答弁申し上げましたように、附加価値税の性格が流通税的なものを持つておるということは、私ども従来からその考え方についてかわりはないのであります。ただその場合におきまして、一般に転嫁をするということについての御所見と承つたのでありますが、もちろんこの附加価値税実施いたします場合におきましては、事業経営者といたしまして、あるいはその持つておる設備の改善であるとか、その他事業経営の合理化の点において企業努力をいたします場合におきましては、必ずしも転嫁をしないで済むという場合も想像されるのでございます。シヤウプ税制報告書にもかような意味合いのことを指摘しているようでございますが、わが国の現下の経済事情とも考え合せまして、これらの点につきましてはなお政府といたしましても御所見を十分拜聽いたしまして、この新税の実施につきましては遺憾のないように取り運んで参りたいと考えております。
  22. 山手滿男

    ○山手委員 私は簡單にいろいろの点について、少し大臣の御所見を承つてみたいと思うのですが、反対をするための反対ということでなしに、現在いろいろの事態が地方において起りつつありますので、そういうことを中心にして御所見を伺いたいと思います。今地方に参りますと、この地方税の問題とからみまして、市町村の統合あるいは分離というようなことが、いろいろな形で紛争の中心になつておるのでございます。今度あたり私が地方をまわつて見ますと、これが地方の市町村のたいへんながんになつておるし、あるいは県会に持込まれて、県会をたいへん紛糾さしておるという事例もたくさんあるのでございます。いろいろ実情を探つて見ますと、この地方税法案通りますと、ある地方は非常に財政的に有利になつて来るのではないか、またある地方は逆に不利になつて来るから、今のうちに分離したらよいのではないかという考え方、あるいは先走つた考え方であるかもしれないのですが、そういうような考え方で現にいろいろ問題を起しておる実情もございますが、こういうふうなことについて、全国的にどういう資料を持つていらつしやるか、あるいはまたこれに対してどういうお考えを持つていらつしやるか、大臣の御所見を承りたいと思います。
  23. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御質問につきまして、私の考えといたしましては、この地方税法案は画期的の税制でございますから、いろいろ混乱も起きましようし、また不均衡な、ある県、ある市町村では收入が非常にたくさんあり、ほかの方面では非常に少くて困るというようなことが出て来ぬとも限りません。そういう見通しもある程度ついてはおります。そういう意味におきまして、平衡交付金を適切に活用いたしまして、困つておるような市町村に対してはそれをいわゆる平衡して行きたい、こう考えております。  それから将来といたしましては、やはり市町村の合併とかいうようなことが自然に問題になるだろうと思います。これはシヤウプ勧告にもそう述べられておるようでございまして、シヤウプ勧告は政府が命令して市町村の合併をさせるということはよくないことだ。しかしながら自発的にある程度の市町村が合併して行く、こういうふうな調子にやつてつて、有無相通ずるようにしたいということを勧告しておるわけでありまして、私たちもそう考えております。今御承知の通りに一万四百六十六の地方公共団体がございますが、この平均の人口は六千七百三十七人とかいうふうなことになつております。これは平均でございますから、そうすれば非常に少い人口の町村があるわけでございます。でございますから、大体においてわれわれといたしましては、地方公共団体は五千人ないし一万人程度が最下底の団体である、こういうふうに将来は指導をし、勧奨して行つて、そうして地方公共団体の強力化をして行きたい、こういう考えを持つております。
  24. 山手滿男

    ○山手委員 地方公共団体の行つております事務は、大体ほとんど国政委任事務が大部分であると言つてもいいのであります。そのために地方団体の台所元が彈力性を失つておりまして、この地方税法案が通つてつて非常に困る町村ができる。そうなつた場合には、当然今大臣のおつしやつた程度にまで合併をして行くことが必要だ、こういうふうに申されるのでございますけれども、しかしながら現在ありまする市町村の單位と申しまするものは、歴史的、経過的にもいろいろな歩むべき道を通つて来ておると私は思う。地理的にもあるいはいろいろな関係からいたしまして、当然わかれるべくしてわかれておるのでありまして、今まで自主性を持つてつたものが、この法案を通しましていきなり自主性を失うということは、この法案を出して参りました目的と相当かけ離れた意味を持つて来るのではないか。そこで地方自治体の方といたしましては、これを今のうちに――今年は相当とれることはとれるだろう。今のうちに相当やるべきことをやつておいたならば、平衡交付金相当もらえるのじやないかというようなことを考えておる理事者なんかもあるのじやないかと思いますが、そういう点についてどういうふうにお考えになつておりますか。
  25. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。たくさんの市町村の中には、今度の税法改正についていろいろ今仰せになつたようなことを考えていられるところもあると思います。しかし私自身といたしましては、御承知の通りに明治維新以上の民主革命ができておる今日でございますし、同時に地方の公共団体がしつかりした地方自治体になつてつて行こう、こういうような非常に大きな革新が行われつつあるわけでございますから、なるほど明治初年以来長年の伝統がありまして、そのためにわかれておる。また独立しておる町村があるということは仰せの通りでございます。しかし明治維新のときに各藩がつぶれて、府県制度、市町村制度ができたというようなことも、やはり時勢に応じてこういうふうになつたわけでございますから、今回地方自治団体を強化して行くという大方針を遂行して行きますにつきましては、おいおいに各自治団体もそういうほんとうに日本の行政組織というものに目ざめて、自分自身の力でやつ行くような方向へ進んで来られるだろうということを私は確信しております。
  26. 山手滿男

    ○山手委員 そういうことからだんだん道州制の問題が具体化されるんじやないかというふうなことも地方では言われ、いろいろ議論をせられる原因になつているだろうと思いますが、しかしながら現在の日本の状態は社会的にも経済的にも、非常に混乱をしているのでありまして、これを過激にやりますことがいいか悪いか非常に疑問があると私は思うのでありますが、この地方税法を通すことによりまして、ある市町村は非常に有利になつて来る。ある市町村は非常に困るというような事態が相隣り合つて生れた場合には、きわめて困難な問題を起すのでございまして、この点政府におかれましても十分愼重な対策を持つて臨まれることが望ましいんじやないかと思うのであります。自治体警察なんかを持つております市町村は、そういう自治体警察を持つているがために、非常に悩みを持つているところがたくさんあるのであります。自治体警察を人口わずか二、三万の都市で持つておりますために、警察そのものには全然機動力もないし、経費のみかさんでおりまして、しかもトラブルが絶えない。最近は公安委員会と警察長とが正面衝突をいたしまして、両者辞表を出したとか何とかいう問題も現に起きて、たいへんな荷やつかいになつているのであります。そうだからといつて、現在のような状態から行きますと、それらの人事の交流も行われない。またこの地方税法案通りますと、自分たちでこの警察は維持して行くんだというふうな意識からいたしまして、これに監視をする目はきつくなるでありましようけれども、その反面これに対して非常にへんな空気ができて来つつあるし、またできるんじやないかと思うのでありますが、現在の程度の小さな單位の市町村にまで、今後自治体警察をずつと存続して行くお考えがあるのか。今度の警察予備隊の問題と関連いたしまして、そういうものをどういうふうに考えていらつしやるか、私は一つお伺いしておきたいと思うのであります。
  27. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。警察問題は所管が違いまして、私から正式に御答弁申し上げる筋合いでもないと思いますけれども、しかし今度できます警察予備隊の組織、これは今までの国警とか自治体警察とかいうものとは、まつた関係のない一つの独立したものとして創設されることになるはずでございます。しかしこれはまだ指令が来ておりませんから確たることはわかりません。私の見通しとしましてはそうなります。でありますから、ただいままでわれわれが耳にいたしておりますところの貧村と申しては相済みませんが、財政的に非常にきゆうくつな小さい村とか町とかいうものに自治体警察を維持して行く。そうして維持ができるかできぬか、またそのために治安が維持できるかできぬかという問題が起きておるように存じます。その意味からいたしましても、先ほど私が申し上げましたように、小さい自治団体は、自分の治安の維持もできるような財源の確保もでき、また機能もできる。こういうようなものになつてつてもらいたい。こういうことを念願して、そういう方に指導して行きたいと考えております。
  28. 山手滿男

    ○山手委員 いろいろ多方面にわたるのでございますけれども、私は現在の日本の状態は社会的にも経済的にも非常に不安定な状態が続いておるのであつて、朝鮮問題あたりが現に起きております今日におきましては、この附加価値税とか、あるいは固定資産税というようなものについて、地方では取扱いに悩むような事態が、今後続発して来るのではないか。市町村長あたりが、たとえて言えば滯納の整理をいたすにつきましても、その固定資産の評価が実際に適当に行われているかどうかということについて、確信が持てないようなことが起る。あるいは附加価値税にいたしましても、政府考えております附加価値額を過小に評価しておつて、そのために、附加価値税は大蔵省の法人税及び所得税の基礎になつたものを用いて算出したというのでありますが、大蔵省の見積りの一〇%減ぐらいで押えておられるように説明で承つておりまするが、そういたしますると、逆に予算以上に大きなものがとられる。必要以上に徴税が酷になつたようなかつこうになる。従つて市町村長はこれ滯納処分をいたすにいたしましても、いろいろなトラブルを起こして、現に困つて来るという事態が起るのではないかと思うのでありまするが、そういう事態について大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  29. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。固定資産の評価とか何とかということにつきましては、地方自治団体の本能といたしまして、自分自身でこれをきめさすというのが、今度の根本方針でございますから、市町村におきましては、市町村の固定資産評価員というものをつくりまして公平に評価させ、それを市町村長がきめるということになつております。そういたしますと、ごく身近かなところにある資産をまたこれも身近かな公平な評価員が寄つて審査してやることでございますから、この固定資産の評価というものに対しては、おそらく中央政府が査定するというようなことよりは、もつと適切なる評価が出て来る、こう私は考えております。それから財政が非常に多くなつておる。今度の税法の改正のために多くなるようなことがあるかもしれませんが、それにつきましては、標準税でございますから、その標準以内において上げたり下げたりして、調整をとり得ることと存じますから、そういう点においてあまり懸念を私は持つておりません。
  30. 山手滿男

    ○山手委員 非常に地方税の滯納が多くなつておるようでございますが、この整理をいたしますのに、今市町村で整理組合というふうなものをつくつて、組合で整理をしよう、こういうふうにいろいろ仕組んでやつておるようでございますが、この整理組合というものは、法的にどういうふうに根拠を見ておられますか、ひとつお伺いしたいと思います。
  31. 小野哲

    小野政府委員 山手さんから将来の地方団体財政の点についての御懸念の事柄につきまして御質問がございましたが、滯納整理等につきまして、あるいは組合をつくつたりしてやつておる向きもあるようでございます。この点につきましては、そのお互いの申合せによりまして、おそらく滯納の問題を整理して参ろうという趣旨から生まれて来ておるものと考えるわけでございまして、政府として特にこれを強制して、滯納整理についての組織的な活動を慫慂するというふうな態度には出ておらないわけでございます。ただ今後そういうふうな滯納の整理についての各地方団体、あるいは地方住民各位の御熱意の結果、そういうふうな方法によつてつておられる向きが出て来るのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  32. 山手滿男

    ○山手委員 どうも私は、地方税法案が通つて、現に市町村長がこの徴税の前面に立つた場合には、相当新たな困難を地方自治体に加えるのじやないかというふうな気がするのでありますが、しかもそれに罰則の強化をもつて臨んでおるのでございまして、何か地方自治体は下部におきましては、非常に弱い面があるのでありまして、強い市民に対してはいよいよ弱くなり、弱い者についてのみ強く出るというふうな傾きが今後出て来るのじやないか。もつとこの滯納の整理をする組合とか、そういうふうなものについて万全の措置が講ぜられるのでなければ、いたずらに市町村長を苦境に立たすのみで、実効が少いのじやないか、私はこういうふうな気がするのであります。寄付金のごときものでもそうでありますが、この法案で強制してはいかぬというふうなことになつておるのでありますが、逆にこれが地方では非常に困つた問題は、国の事務、たとえて言えば裁判所の建設費とか、あるいは検察庁の建設費とか、あるいは労働基準法の関係による庁舎を建設するのに、やはりそういう背後にあるものをもつて、市町村に寄付を強制して来る。市町村長はいきなりそれをかけるわけにいかぬとは考えながらも、何か弱みにつけ込まれたようなことで、国の方からやられると同様なことをやはり市町村長も下の方に向つてはやつておるのでありまして、もつと国の方から、市町村長がやつてはいかないというようなことをきめると同時に、もう少しそういう隠れた寄付金なんかを強制しないように、ひとつ万全の措置がとられる必要があるのじやないか。現にこれが非常に多額に上つておるように私は思うのであります。その点についての御所見を伺いたいと思います。
  33. 小野哲

    小野政府委員 ただいまお話がございましたように、今回地方財政法の一部を改正いたしまして、強制的な寄付の割当をさせないようにいたしたいということは、御説明申し上げておいたのでございますが、これと関連いたしまして、国がその施設を地方において行いますような場合においても、同じような問題が起るであろうということは同感でございます。これにつきましては、政府としましても御趣旨を十分に参酌いたしまして、万全の努力をいたしたいと考えております。
  34. 山手滿男

    ○山手委員 よろしゆうございます。
  35. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは午前の会議はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたしたいと思います。  それまで暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十一分開議
  36. 前尾繁三郎

    前尾委員長 再開いたします。  休憩前に引続きまして質疑を許します。橋本登美三郎君。
  37. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 二、三の点について政務次官にお尋ねいたします。昨日の委員会大臣から地方財政確立の方針についてのお話がありまして、そのお話の中に地方税を整備し、かつまた拡充することによつて地方財政が確立せられるというようなお言葉がありましたが、私はそうは考えないのであります。今回の地方税法と平衡資金の問題があわさつて地方財政の確立ということになるのでありまするからして、地方税法によつて收入平衡交付金によつて收入が、地方財政確立の基本になるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点あるいは大臣の言うことを私ども聞き違えたのかもしれませんので、あらためて政務次官から御説明を願いたいと思います。
  38. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいまの橋本さんからの御質問はごもつともだと思います。昨日大臣から答弁いたしましたのはおそらくそういうふうな気持を持つてされたのではないかと思うのでありますが、問題の重点を地方税に置いておりましたために、特に地方税の点を取上げて答弁をいたしたものと考えております。私ども地方団体の自主的な運営を確保するための地方財政の確立に対しましては、一般税源によつてその財源を極力豊富にすることに努力すべきであろうと考えておるのであります。その一般財源はもちろん地方税收入を大宗とすべきでありますけれども、一面地方財政の均衡を目的といたしました地方財政平衡交付金は、これまた重要な要素であろうと考えておるのであります。従いまして、ただいま御指摘になりましたように、地方税收額並びに地方財政平衡交付金が一般財源として地方財政の確立に必要なものである、かように考えております。
  39. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまの政務次官のお話で了承いたしましたが、地方税法によつてこの收入平衡交付金による金額があわせて地方財政の確立になるのでありまするからして、地方税法による收入を今回のような金額に押えたということは、平衡交付金の方の金額はそれ以上出せないという建前で押えたものか、あるいは地方における担税力はあれだけ増額をしても、なおかつ地方は担税力ありとして増額をせられたものか、それについての御所見をお聞きしたいと思います。
  40. 小野哲

    小野政府委員 お答えいたします。御承知のように、今回の地方税の改正に伴いまして、地方税收入昭和二十五年度において約三百八十四億の増加を見込んでおります。一面また地方財政平衡交付金といたしましては、御承知のように一千五十億を計上いたしまして、すでにこれが実施にあたつておるわけでございます。  まず第一の地方税を増徴する、言いかえれば、地方税による收入を増加して行くということは、これまた地方財政の確立のためには必要であろうと考えております。ただ問題は、地方税の増加をはかつて行きますためには、どうしても国税との関連において、国民負担等から勘案して考えて行く必要があるのではなかろうか、かように思つおるのでありますが、たまたまシヤウプ氏が来られまして調査をいたされました結果、わが国の地方団体がなお未熟の段階にあつて、適正な財源を付與する必要がある。それにはまずもつて地方税の財源を拡充する必要があるから、大体四百億程度の増徴をする必要があるであろうということを、シヤウプ博士も指摘いたしておるような次第でございます。ただ、今申しましたように、国税との関連において地方税の問題をも考えて行かなければなりませんので、私ども考えといたしましては、できるだけ国税の分を地方に移讓することによつてその間の調節をはかり、国民負担の均衡化を達成するという線に沿うて地方税の問題も考える必要があるのではないか。同時にまた、経済事情その他地方住民の負担力の関係から申しまして、担税力等の点を考え合せますと、まずもつて四百億程度の増税にこの際とどめることはやむを得ないのではなかろうか。一方地方財政平衡交付金の総額の問題でございますが、これは一面国からの支出金でございますので、国家予算全体の問題として考え合せなければなりませんのと、今回の地方財政平衡交付金の本質が、従来の配付税に概当するものと、国の補助金等と合せましたものを、地方財政平衡交付金として計上いたしておりますので、これらの点を勘案いたしまして地方財政の衡平な、言いかえればなるべくでこぼこの生じないような措置を講じますための調整の役目をする交付金として、地方財政平衡交付金を運用いたすことになりますので、一般財源としての地方税收入、これは先ほど申しましたような担税力その他経済事情とも考え合せ、また国税との関係において考えなければなりませんのと相まつて地方財政平衡交付金の算定にあたりましては、地方団体財政需要を資料によつて精査いたしました上で、その見込み額を地方財政委員会決定いたして国家予算にこれを計上する、こういうふうな運び方に相なつておるような次第でございます。従いまして、この両者は将来におきましては十分に相互に調節をとりつつ処置して行くべきものではないか、かように考えておる次第であります。
  41. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまの御説明了承いたしました。この平衡交付金の問題ですが、政府としては、将来地方税法による税收入を二十五年度に予定しております額以上考えておられるかどうかということは、御承知のように、昭和二十四年度から、地方における県営もしくは国営以外の個人あるいは部落の土地改良事業費は、政府が補助金を出さないことになつているのであります。従つて地方町村においては、個人あるいは部落あるいは町村の負担相当に増加しておる。政府が県営もしくは国営以外の土地改良事業に対して補助金を認めないとの建前をとつている以上は、土地改良事業に要する費用は、個人的に考えましても、あるいは町村で考えましても、その方の費用は相当考えられなければならぬような情勢に現在なつておるのであります。従つて今後地方におけるところの歳出というものは、現状を維持するよりは、だんだんと増額せられるような傾向になるのではなかろうか、ことに今回の地方税法によつて地方にある程度の財源が與えられたのでありますからして、従つて土地改良事業ばかりではなく、道路あるいは土木事業、こういうものについても地方町村がみずから自主的に行わなければならぬような面になりつつある。こういう点から考えても、この地方税法による二十五年度のわくというものを、将来ともこういう事業を考えて増額する意向がおありになるのか、それともこれらの点は、現在の地方における担税能力から考えて、四百億円の増徴というものは楽ではないかもしれませんが、可能であるという見解において、本年度の予算の中に四百億の増徴を見込んでおられるようでありますが、これは将来においても必ずしもこれ以上の増額が可能とは言いにくいのでありますからして、それらの事業費というものを将来考えますと、当然交付金によつてこれをまかなわなければならぬような面が出て来るのではないかと思うのであります。従つてこの意味において、来年度における徴税による收入のお見込み、並びにそれらを勘案しての交付金の増額についての政府の御所見をお伺いしたいと思います。
  42. 小野哲

    小野政府委員 ただいま私から御答弁申し上げましたのは、主として一般財源の点について申し上げたのであります。その他においてもあるいは地方起債の問題等もございますが、それは実は一応ふせておいたわけであります。地方財政法によつて規定されておりますような特殊な事業を遂行して行きますためには、地方債によつてこれをまかなうということも考えられるのでありますが、一般財源といたしましては、ただいま申し上げたような財源にこれを求めて行くことに相なるのであります。ただいまお話がございました地方税收額を、将来においてさらに増加することが、地方における事務の増蒿と相まつて必要ではないか、こういう御所見のように承つたのでありますが、その場合におきまして、国民全体の担税力を考え合せまして、国税地方税との関連において、地方税收額を増加して行く傾向に持つて行くことが必要であろうと考えるのであります。言いかえれば、国の歳出をできるだけ節約する、あるいは国及び地方団体相互間の行政事務を改めて検討いたしまして、これを再配分することによつて、これに伴う補助制度であるとか、あるいは財源措置考えて行く、こういう根本の問題がなお残されておるように考えられるのであります。  また地方財政平衡交付金の問題でございますが、これは御承知の通り国庫の支出金でございますので、その運用についてはまことに重大な関心を持たなければならないと思つておるのでありまして、いたずらに国の支出金を増加することのみを目的といたしました場合におきましては、地方団体自主性をあるいは阻害するような結果になるおそれもないことはなかろうという懸念もあるのであります。従いましてこれらの点は、地方財政の状況と相まつて、しかも国が財政的にも地方団体の自主的な運営を維持して行くような方向において、地方財政平衡交付金の問題については考えて行く必要があるであろうと思つておるような次第であります。要は国税地方税を通じまして、むしろ地方税においては担税力との関係において増加をする傾向にある、かように考えております。
  43. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまの私の質問が少し不明瞭であつたせいか、お話の方もちよつと見当違いな点があるのでありますが、私の申し上げたのは、地方財政の確立は、地方税法とこの平衡交付金との二本建で、今後政府考えて行かれると思うのであるが、この税法によりますと、固定資産税は本年度においては、特別の処置でありますけれども、いずれにせよこれらの税法によると標準税であつて、必要によつてはそれを上まわつてつてもよいし、あるいは下まわつてつてもよろしいというようになつております。その点から考えれば、その町村の担税能力があるならば、もちろん上まわつてとれという意味でありましようけれども、実際問題として地方においては、あるいは必要以上に担税能力を考慮せずして、上まわつて税率をかける場合がなきにしもあらずの状態であります。そうなりますと、今回の増徴によつて地方町村の担税力は相当限度に来ているにかかわらず、あるいはむりな徴税が行われるということになれば、地方町村における財政の方はゆつくりするが、町村民は非常に困つて来るという現象が起きはしないか。従つてあくまで平衡交付金なるものは、地方財政確立の上においては絶対的に必要なる要件である。今政務次官のお話では、こういうものを将来においてはできるだけやめるなり小さくして行つて、主として地方税法による收入によつて行くべきだというお話でありますが、私はそうではなくして――この地方税法によつて得る收入は各地が平均せられない。大きく考えましても東京都と青森県では非常な差異がある。そういう場合に地方税法によつて得る收入は、各府県の富の偏在によつて非常な相違が出て来るのであります。これを調整することがもちろん平衡交付金の使命でもありますけれども、同時に地方税法だけによる收入では市町村の財政の確立は不可能であるからして、そこで国家がそういう意味においての平衡交付金によつて地方財政の確立をはかる、こういう建前であると思うのであります。従つて現在すでにある限度に達している現状においては、これを将来において増徴的な方針をとるよりも、より一層平衡交付金によつて将来ある程度カバーしなければならぬのではなかろうか。ことに本年度においてはこの税法案が可決になりましても、時期的には非常にずれておりますので、地方税法による收入予定の金額が上るかどうかは非常に疑問視せられている。こういうときでありますから、本年度においては特殊な立場でありますけれども、将来においてもその点においては平衡交付金の使命はまことに重大である。その点政府はあくまで平衡交付金というものを存置し、これが助長をはかるお考えであるか、あるいは今お話のように、主としては地方税法によつて收入考えて行くのだという御方針であるか、その点を明らかにお示し願いたい。
  44. 小野哲

    小野政府委員 私の言葉が少し足りませんでしたために、はなはだ申訳ないと思うのですが、私が地方財政平衡交付金のことを特に強調して申し上げた点は、地方自治の強化なり、あるいは地方分権の確立を確信いたしまして、地方財政自主性を高めて行くという観点から申しますと、いわゆる国の支出金にあまり依存するというような傾向は、十分に運用の上で考慮しなければならない、こういうことを申し上げたつもりでございます。しかしながら御指摘のように、地方税收入額を増加して行くといいましても、これは国税の方の軽減の措置と相まつて考えなければ、国民負担の均衡化なり合理化の点から申しまして、必ずしも妥当でない場合が起つて来るかと思うのでございます。と同時に、地方税收入を得ましても、ただいまお話のごとくに、地方団体によりましては、あるいは地域的に、あるいは経済的に、均等な税收を得ることはほとんど困難と申さなければなりませんので、政府におきましては地方財政平衡交付金制度は、今後ももちろん継続して参りたい。それによりましてできるだけ地方財政の衡平化の目的を達成するようにいたしたい、かように考えております。
  45. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 大体了承いたしましたが、今年度地方税法案が通過しませんがために、地方においては銀行その他から借入れ金を行つて、辛うじてまかなつておるような様子でありますが、新聞の報ずるところによりますと、大体全国においては六億万円くらいの金額になつておるという話であります。これらに対して政府において何らかの処置があるように聞いておりますが、これが具体的措置並びに本年度においてもなお市町村等においては二百億円程度の平衡資金の増額を希望しておられるようであります。これに対して政府の見通しをお伺いしたいと思うのであります。
  46. 小野哲

    小野政府委員 ただいま橋本さんの仰せになりました六億円という金額は、おそらく融資に伴う利子負担ではなかろうか、かように思うのでございますが、この点につきましては、政府は何らかの財源的な措置を講じて参りたいということを決定いたしております。ただその具体的の方法といたしましては、利子に対してこれを適当な方法補給するとか、あるいはその他の方法によつて財源措置を講じまして、結局、地方団体においては利子負担をしないでもよろしいというような結果になるような措置考えてみたい、こういうことで研究をいたしておるような次第でございます。  なお二十六年度における地方財政計画特に地方財政平衡交付金の増額の問題につきましては、国の予算編成方針と相まつて決定いたさなければなりませんし、地方財政委員会において、各地方団体から地方財政の需要額に必要な資料を收集いたしまして、これによつて算定することに目下取運びつつあるような状態でございまするので、いずれ地方財政委員会においてその結果を集結することができることに相なると思うのでございまするが、目下のところ、この程度までの増額を必要とするという具体的の数字を私から御説明申し上げる時期には相なつておらないのでございます。
  47. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 大臣にお聞きいたしますが、先ほどからの大臣の御答弁で、附加価値税の本質は流通税であるというお話であります。その点につきましてはともかくこれを事業の中に吸收して、そこから税金が拂われるものである、こういうお話でありまするが、現在商品もしくは收入政府の許可制あるいは公定価格によつてきめられておるような場合におきましては、これらを政府決定する場合、たとえば鉄道の料金あるいは新聞の公定料金、こういうものを決定せられる場合におきましては、附加価値税税金を原価計算の中に入れて計算しないで行けるのかどうか、あるいはそういうことに対して、物価庁の人は出ておりませんが、物価庁としては、この附加価値税税金を含んだ原価計算によるのではなかろうかとわれわれは考えるのでありますが、その点についての御所見をお伺いいたします。
  48. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御質問、しごくごもつともで、公定価格についてはいろいろそういうことが出て参りますが、全部の税金を勘案しまして、そうして統制価格に影響を及ぼさせる、こういうふうな考えを持つております。
  49. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 次に固定資産税の今回の修正案の中に、これが上まわつた場合、あるいは下まわつた場合においては、地方財政委員会において、一月中にこれが措置を行う。こういうような修正事項のようでありまするが、これについては、政府当局では一応この固定資産税にいたしましても、標準税が原則でありまして、本年度においては特にこういう措置を設けたのでありますから、これも原則として、標準税としてなおこれを市町村におまかせになる、こういう方針になされた方が、かえつて税の本質としてよろしいのではないかと思うのでありますが、その点についての修正の御意見は、政府当局におありになりませんかどうか、お聞きしたいのであります。
  50. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 賃貸価格と申しますものは、古い時代にできたものでございまして、実はそれが妥当であるかどうかも疑問でございますけれども、一応よるべきものは賃貸価格によつてやらねばならぬと思つております。しかし来年の一月になりまして、ほんとうの価格を査定しましたそのときに調整するということになつておりますから、自然、お説の通りに、調整されることになります。それ以上のことはただいまは考えておりません。
  51. 米原昶

    ○米原委員 私はごく簡單に、二三質疑いたします。法案の御説明の中にもありますが、以前の旧税制によりますと、地方団体のうちの七割に及ぶものが、標準税率を越えて課税しておつた。今度の新税制においては、こういう点がなくなるという意味であろうと思いますが、先ほども御説明がありましたように、今度の税制によると、場所によつては、非常に全体として均衡をとると言つておられますけれども地方団体間の均衡がむしろ非常にとれなくなるだろうと思うのであります。そういう意味で、はたして標準税率でとつて、いわゆる千九百億円でありますか、そういうものが大体標準税率で、全国的に行くようにできる予定であるか、それともやはり相当そういう点で問題があるか、その点についての御見解大臣にお聞きしたい。
  52. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 標準税率で大体千九百八億円がとれる自信があつて政府としては出しておるわけであります。
  53. 米原昶

    ○米原委員 標準税率でやればそうでありまするけれども、実際問題となると、地方団体が自主的にきめるわけではありまするけれども政府のやり方として、平衡交付金なり何なりのやり方で、標準税率で大体のところが行けるように、そういうような考え方でおられますか。そういうことに対しての施設がなければ、実際標準税率と言つても、制限税率まで行かざるを得ない地方団体相当できるのじやないかという点が問題だと思うのでありますが、そういう点についての御見解を聞きたいのであります。
  54. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ただいまの考えとしましては、標準税率で行けるように仕組んであるはずであります。
  55. 米原昶

    ○米原委員 それは大体の話でしよう。ほとんどすべてが標準税率で行けるというふうに考えておられるのでありますか。実際問題としては標準税率を突破せざるを得ない地方団体が、相当できるのじやないかということを、われわれは危惧しおるのでありますが、そういう点についての見解を聞きたいのであります。
  56. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 むろん一万四百六十六の地方団体のことでございますから、お説のようにあるいは例外のことがないとも限りません。大体ということはいわゆる大多数、ほとんど全部と言つてもいいくらいのものが、標準税率で行けるという確信を持つております。
  57. 米原昶

    ○米原委員 その確信ははなはだけつこうでありますけれども、そこでお伺いしたいのは、今度の地方税は前国会の場合と内容においては、修正と言いましても、事実上そんなに大きな修正でないと思うのでありますが、ただ客観的な情勢に非常に変化があると思うのであります。そういう意味でこの税制が今後の日本の経済、財政に及ぼす影響の点、非常に違つて来ると思うのでありますが、それは朝鮮事変――われわれとしては朝鮮事変に当然関連したものと考えるのでありますけれども、今回の警察予備隊の設置、こういうようなことから、私は財政的に相当大きな影響があると思う。そういうものが地方財政にどういうふうな影響があるか、そういう点についてどういう心構えでおられるか、大体のところでよろしゆうございますから、国務大臣としてどういうふうな態度で、これから臨まれようとしておられるか。たとえば警察予備隊の問題につきましては、この前もこの委員会で質疑を行つたわけでありますが、たとえば海上保安庁だけでも七、八十億の費用がいる。この下半期だけで七、八十億の予算がいる。それからさらに警察予備隊、これがどのくらいいるか。新聞の報道するところでは、まだそれほど大きくも見えませんが、それでも海上保安庁と合せて三百億近くのものは出るというようなことが伝えられておりますが、それが債務償還費から出るということになりますと、結局いろいろな方面に影響して来るのじやないかと思うのです。たとえば金融方面についても直接影響がある問題であります。そういうことから、地方財政の面では非常に大きな影響が起つて来るのじやないかと思うのでありますが、それよりももつと大きいのは、今度の朝鮮事件の影響で、たとえばわれわれが常識的に考えてもわかる点でありますが、終戰処理費はほとんどすでに使い盡されているということを聞いておりますし、公共事業費に対する見返り資金からの支出の面でも、ほとんどこれが使い盡されておると聞いておる。そのほかの点でも非常に大きな影響を與えていると思うのでありますが、それが結局地方財政にしわ寄せして来るのじやないかということを、われわれは非常に心配しておるのであります。そういう点について大体どういうふうな状態か、どういうふうな見込みで行くのであるか、この点を私は伺いたいのであります。それがわかりませんと、ただいまおつしやいましたように、標準税率で大体行けるとおつしやつても、事実はそういうふうに行かないのではないかというふうにわれわれは危惧する。
  58. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。警察予備隊のこと、海上保安庁のこと、これは中央の資金をもつてまかなうものでありまして、地方の自治団体には財政上の影響はございません。それから政治でも経済でも社会でも、御承知の通りに日々刻々変化しつつある世の中でございますから、これから先いかが相なりますか、これは神様でなければわからないような状態でございます。でございますから、ただいままでの私の観測といたしましては、朝鮮事変が起きまして、地方財政に大なる影響を及ぼすというようなことは、地方財政に関する限りはまだ私は何もない、こう考えております。
  59. 米原昶

    ○米原委員 ただいまの御見解を聞いておりますと、それほど簡單にお考えになるような事態では事実ないと私は思うのです。この前も岡崎官房長官は、この事件は一箇月で終るのだというような、非常に楽観的なことを新聞紙上で放送されておるのでありまして、私たちは非常にあきれたわけでありますが、実際そんな状態ではない。トルーマン大統領ですら数箇月というようなことを言つておるようでありますし、おそらく相当深刻な影響が起つて来る。しかも昨日の施政方針演説を聞きましても、明らかに国際連合に協力するという形で、定際に今度の事件に協力するという形が、はつきり政府の施策として出ておる。でありますから、たとえば海上保安庁の哨戒強化というようなこと、それからわれわれ常識で考えても電信、電話関係の方面で、非常な費用がかかつておることをすでに承知しております。それから税関の検査の費用、この武装するための費用、また直接なものとしては飛行場の建設費、それから武器や彈薬の国内における輸送費というようなものが、おそらく厖大なものになつて来るだろうということが考えられる。それが地方の費用だからとおつしやいますけれども、そういうふうな莫大なものが地方で出るとするならば、そうしておそらく終戰処理費の方で足りないだろうと思いますが、そういうものがそういう形で出るとしますれば、当然これは地方財政にしわ寄せして、起債は不可能になつて来るということを、われわれは心配するのであります。そういう点で全然そういうことについて條件が目まぐるしくかわる状態であるから、そんな先のことは考えないけれども、全然先は心配いらないのだというような楽観的な御意見を聞きましては、われわれはとてもそういうことは承服できない。だれしも現在国会議員のお方は承服されない。われわれは断じてこの議会を翼賛議会にしてはならないと思う。もつと明瞭にその点について、どういう状態であるか、どういうふうにわれわれが一体費用を出すことになつているのか、こういう点について私はできたら大蔵大臣に聞こうと思つてつたのであります。大蔵大臣御出席がないのでありますけれども国務大臣として当然朝鮮事変に伴う今後の日本の財政の行き方というようなことについては、そのくらいのお考えがあると思うのであります。そういう点をもつと明確に話していただきたいと思う。
  60. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は今までは実業家でございましたが、しかし官吏になりますとやはりセクシヨナリズムになりまして、地方自治庁の長官といたしましては、地方自治の強化ということに対して万全の、また最善の第一の責務と、それから義務を感じておるわけでございまして、その意味におきまして私は、ただいままでの情勢におきましては、地方財政に対してはりつぱにシヤウプ勧告の通り地方自治団体が財政上強化されて行くという方向に進ませて行く確信を持つております。同時に国務大臣としての答弁をお求めになりますれば、それはただいまいろいろ今後の成行きを見、それに対して相当考えをまとめなければならぬ、こう考えておりますけれども、これはまだその時期まで到達しておりませんから、ただいま言明の限りではありません。
  61. 米原昶

    ○米原委員 私はこれは非常に重大な問題であると思うのでありますが、全然そういう点について地方のことはとにかくと言われますが、それでは地方財政の面でも、そういうことが現われておるのではないかということであります。たとえば飛行場の設備を要求するとかいうことで、直接地方の官庁に対して資材や資金を出させておる。こういう事例がすでに起つていることについて、いかが考えておられるか、聞きたいのであります。
  62. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。そういうことは中央政府財政資金の中からやることでありまして、地方自治団体といたしましてはむしろ地方に金が落ちるという意味において、あるいは地方の経済というものが、よくなるのではないかという考えを持つております。
  63. 米原昶

    ○米原委員 それは驚くべきお話だと思うのであります。大体考えましても、債務償還費からこの警察費をまかなうということだけで、実は債務償還費の残額をほとんど使い盡してしまうのではないか、そういうふうに見られておる。しかも終戰処理費がほとんどなくなつておるという状態で、一体そういう費用をどこから出すか。結局現在のいわゆるドツジ・ライン、こういうものが先ごろの池田大蔵大臣の御答弁では、非常に融通がきくそうでありますが、しかしながらこの大きなわくをくずすことはおそらくできない状態にあると思う。そういう状態で一体戰時公債を発行するわけでもありますまいし、どういうところからこれを出すか。結局全部が地方財政にしわ寄せして来ることは明らかであります。そういうふうにわれわれは考えざるを得ない。非常に重大な情勢に来ておる。それが結局全部地方財政にしわ寄せされる、こういうところに来ておるのではないかと思われる。それについてわれわれ納得行くような御説明でなければ、地方財政だけでも大丈夫だ、地方財政がよくなるということはとうてい言えないと思う。むしろこの標準税率を突破して、実際問題としては制限税率の最高限まで行つても、あるいは足りないという状態になるのではないかということを、われわれは非常に不安に思つておるのであります。そういう点から今度の地方財政を見なければならぬところに来ておるのではないか。この点をわれわれは非常に不安に思つておるのでありまして、この点についてもつと納得の行く説明をしてもらいたいと思う。
  64. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。まだ朝鮮事件に対してどういうふうに日本が協力するかという方法も、また必要も事実は具体的に出ておりませんから、どのくらい中央政府の方で財政的処置をしなければならないか、それがひいては地方財政にいかなる影響を及ぼすかということは、考える一つの具体的の材料がございませんから、ただいま申し上げるわけには参りません。
  65. 米原昶

    ○米原委員 しかしながら、それは非常に不親切な御回答だと思う。実際問題としてはそういうことがどんどん進んでおるのであつて、しかも一部には新聞紙上にも報道されておるのであります。たとえば先日の日本経済新聞によりますと、船員に対する危險手当の問題が出ております。その中では、たとえば現在朝鮮海峽方面に対しては外国の汽船は使うことができない。日本の汽船だけで全部これを運んでいるというために、特別の危險手当を大量に出さなければならない。この費用がどういうふうに出るかということが、新聞紙上にも出ているような状態でありますが、かようなことで、その危險手当というか、保險でありますが、そういうような費用はどういうようになるのか。新聞の報ずるところでは、一部では総司令部の特別勘定でやるということが出ておりますが、そういうような形ですべてが行くのか。そうでない部面があるのか。地方財政がどういうふうになつて行くかということがはつきりしないうちにこういうものをきめては、これは大体標準税率通りに行きますとおつしやつても、実際上はとても行かないというようにわれわれには思われてしようがない。今のところわからないと言われましても、早急にこの点についてわれわれは説明を伺わなくてはならぬと思う。
  66. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申します。中央財政が困つて来て、そうして日本が非常に困ることになれば、あるいは地方財政に影響を及ぼさぬとも限りませんけれども、ただいままで伺つておるところによりますれば、ただいままでに予見できるところの施策に対しては、大蔵大臣はちやんとそれに対する資金の手当があるという自信を持つておりますが、その辺は大蔵大臣の方の所管でございますから、私から申し上げません。
  67. 米原昶

    ○米原委員 それではいくら聞きましても、この問題は解決できないと思います。私はこれだけで質問を終りたいと思いますが、ただ今度の税法の中では、各委員とも問題にされているように、今までと違つて罰則が非常に強化されている。そういう形で、しかも現実の事態は標準税率を突破して行くような情勢になつているのじやないかという点が、私はどうも今の御説明では納得が行かない。この議案の審議中にそういう問題について、何かの機会に大臣から説明していただきたい、こういう希望をつけまして、私は質問を終ります。
  68. 前尾繁三郎

    前尾委員長 松本六太郎君。
  69. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 まず大臣にお伺いいたしたいのでありますが、この問題は昨日も取上げられた問題でありますけれども、どうもはつきりいたさない点がありまするからお伺いをいたします。  御承知のように、前国会において地方税改正の法律案不成立に終りました最大の原因は、地方住民の負担が非常に必要以上に重くなる。これは附加価値税の特殊の問題もあり、あるいは固定資産税、住民税等の諸般の問題にからんでおりましたけれども、概括的にこれを申しますれば、この場合に、この税率をもつてしては、地方住民の負担は耐えがたいものになる、従つてこれは大幅に軽減すべきであるということが、議論の中心をなしておつたと思うのであります。しかるに今回これを修正せられまして御提案になつたのでありまするけれども、その修正は、ある事務的な技術的な面においては、多少これを認めることができますが、さような根本のいわゆる核心に触れたところの修正というものは、何らこれを発見することはできない。言いかえまするならば、千九百億の地方税をとるという、その税の総額というものにも、少しもかわりはない。ただしいて言えば、固定資産税における税率が一・七五であつたものが、〇・〇五だけ軽くせられたということはあるかもしれぬが、それは結論から申しますれば、前の提案にそういう算定上の誤差があつたことを直されたという結果にしか、われわれとしては了解ができない。こういうことを感ずるのでありまするが、前国会における審議の状況、両院における論議の焦点がどこにあつたから、それをどう直したのである、そして本国会においては協賛を得られるものであるという明確な理由が、ここになければならぬと思うのであります。その点について大臣の御所見をまず承りたいと思います。
  70. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。今度の地方税法案によりましても、地方の納税者の負担が多くなるということは、前国会提案いたしまして以来、ないのでありまして、実のところ地方の住民は、国税地方税とを合算しますれば、負担の非常な軽減になつているわけでございます。  その次に、この修正に対するいろいろのいきさつということは、私、新任でまだよくのみ込んでおりませんから、政務次官から御説明申し上げます。
  71. 小野哲

    小野政府委員 前国会におきまして、地方税法案が不幸にして不成立に相なりました点につきましては、私から御説明申し上げるまでもなく、御承知のことと存じます。この場合において最も論議に相なりました点は、附加価値税のような新税を急速に実施するということが、はたしてわが国の実情から考えてどうであるかという御議論もあつたようであります。また固定資産税のごとき直接税を市町村税の対象として徴收するということは、まことに困難ではないか。あるいは償却資産の点につきましても、この処理についてなお検討の余地があるのではないか。この固定資産税に関しましては、倍数の問題であるとか、あるいは税率の問題等も論議されたことと記憶いたしております。その他いろいろな問題があつたのでございますが、政府といたしましては、今回の提案いたしました税法案の訂正の部分といたしましては、国会における御論議の点についていろいろと検討を加えたことはもちろんでございますが、附加価値税実施を一年延期いたしましたこと、あるいは固定資産税の中で、償却資産の点につきましては、税率をかりに定めて、後においてこれを確定して行くという措置を講じたこと、同時に地方税法案の提出が遅れて参つておりますので、これに伴う納税者側の立場から考えまして、賦課期日の問題であるとか、あるいは国税との関係等から、納税期日の再検討を加えるとか、いろいろ暫定的な措置をも講ずることにいたしておるような次第でございます。さような意味合いにおいて種々御論議のありました点なり、あるいはまた御修正等の御希望のあつた点等は、もちろん研究をいたして参つたのでございますけれども地方財政の現況から考えまして、不成立に伴う臨時の措置のみをもつてしては、とうてい地方団体財政運営を確立するということは困難である等の事情から考えて、これらの訂正の現段階におきましては、今回の地方税法案をできるだけすみやかに成立することによつて地方財政の計画的な運営に資して参りたいという考えを持つているような次第でございます。
  72. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 大臣、次官の御答弁をいただきましたけれども、どうも十分に私どもは了解がつきません。なるほど倍率の問題であるとか、あるいは税率の問題であるとか、あるいは新税をにわかに創設することはどうであろうかというような問題も、前国会の論議の中にはございましたけれども、いわゆる国民全体の負担の均衡、あるいはその意味における国税地方税とのバランス、かような点で、一面においては国税において多少の減税が行われても、地方税においてかような大増徴が行われるということは、とうてい今日の国民の担税力と申しますか、経済力におきましては、これは耐えがたいものである。従つてそのことが根幹でありまして、倍率にしても、あるいは税率にしても、もつとこれを引下げなければならない。地方住民の担税力の実情に即さないものであるということが、議論の中心であつたと私は記憶しておるのであります。さような点から申しますると、今回のこの修正案なるものは、何ら進歩を示しておらない。時期のずれたことによつて、それを事務的に補つて行くとか、あるいは附加価値税を一年延期するとかということは、この修正案には現われておりますけれども、さような意味の全体としての国税地方税を通じての国民負担の均衡なり、あるいは担税力にマッチするところの課税なりというような点につきましての考慮は、拂われておらないというふうに解釈するわけであります。従つて私はこの法案がこのまま通過いたすとすれば――通過と申しますのは誤りでありましたが、これはやはり前国会と同じような議論を、今国会において再び繰返すものである。従つてこの法案の通過は容易でないということが感ぜられるのであります。そこで何とか政府の方においては、もう少し進んだ修正案を用意せられるべきであつたのではないかと思うのでありますが、これが最善のものであるというふうに信じておられますのかどうか、この点について、いま一応大臣の御所見を承りたい。
  73. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、現行――現行と申しましても、この前の議会でいろいろ廃止しましたが、二十四年度時代の税法すなわち旧税法によりますよりは、国税地方税を通じまして、地方民の負担は軽くなつておる、これだけは事実でございます。この点は後刻次長から数字を上げて御説明をしていただきたいと存じますが、その意味におきまして、この地方税法案は、もとの税法よりは地方民に負担の軽減がされておるということであります。それからお説の通りに、もつと軽くなるような修正はできなかつたろうか、こういう御質問でございます。これについてわれわれ政府は全力をあげて、できるだけの修正をしようと思つて努力してできました現段階における最も可能な案が、皆様方に提出いたしたる法案でございまして、ただいまの段階におきましては、これ以上にどうすることもできない内外の情勢になつておるのでありますから、この法案を一応通していただきまして、実際実行した後に――いろいろ新しい税法を施行するのでございますから、あちらこちらに、あるいは混乱というと言葉が大きうございますけれども、いろいろなことも出て来る、また不均衡な点も出て来る、予期しなかつた欠陷も出て来るであろうということは考え得る状態でございますから、そういうことが出て来ましたときには、どんどんそれを実際の面において修正して行きたいと存じます。しかし現段階におきまして考え得られる点並びになし得る最善の努力をして出ました結果としましては、ただいまの案が最良の案のような感じを受けましたので、皆様方の御審議を願つている次第でございます。
  74. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 この根本問題につきましては、ただいま大臣の御答弁によりまして、私ども考え違つてはおりますけれども、これ以上方法はなかつたというお話でありますから、この点はこれで打切ります。  次に附加価値税の問題でありますが、これは前国会でもしばしば議論せられた点でありまするし、またわれわれ今日もさような考えを強く持つておるわけでありますが、公共的な性格を強く持つところの団体、あるいは非営利的な団体、かようなものも営利会社、営利法人と同様な税率をもつて課税をするということは、何としても私どもはここに無理がある。そうしてどうしてもこういうような強い公共性を持つもの、もしくは非営利的な性格を持つ団体等に対しまする課税は、相当これは考慮を拂うべき必要があるのではないか。特に今日の農村漁村等における農業協同組合もしくは漁業協同組合というようなものは、元来これは営利団体ではないのであります。しかしてまた原始産業の上に立つところの公共的な性格を持つ団体であると同時に、今日の実情財政的に非常に行詰まつて、まさに破綻に瀕しておるというのが現状である。これに最近までの事業税と今度かかるであろうところの附加価値税等を比べてみますると、十五、六倍の重税になるという計算が出て来るのであります。こういうことでは、せつかくの農漁村の振興であるとか、あるいは原始的産業の保護育成であるとかいうような国策とは、非常に相反するものが税制の上に現れて来ると言わざるを得ないのであります。私はかような点について、今例にあげましたのは漁業協同組合等をあげましたけれども、これに類似する公共性を持つもの、あるいは非営利的な団体等がほかにもあるわけであります。これらに対しまして何らかの考慮を拂う、たとえば税率を低くする、できれば非課税にするとかいうような点について、政府はどういうふうにお考えになつておるか、この点をお伺いいたします。
  75. 小野哲

    小野政府委員 ただいま松本さんから、たとえば農業協同組合のごとき特別な法人については、減税その他の処置を考える意思はないかというような御質問であつたと思いますが、御承知のように附加価値税の本旨から申しまして、国民の所得の上についての価値の増加ということから判断いたしましての税の性格でございます。これにつきましては、もちろん法人たると個人たるとを問わずして、この法律案に定められておりまするような事業を営むものにつきましては、一律にこれを附加するという建前になつておるのであります。しかしながら農業協同組合と密接な関係を持つておりまする生産農家の個々について考えますと、すなわち農業のごときものにつきましては、別途固定資産税負担を来すような事情に相なつております。その均衡を保つ意味合いから、農業に対しましては非課税の措置をとりたいと考えておりまするし、附加価値税の施行前において事業税を実施いたします場合においては、これまた同様の意味で非課税の対象にいたしたいと考えておるのでございます。ただ農業協同組合が、御指摘のように特別な目的を持つた法人であるがために、これに対して特別な課税上の措置を講じなければならないということは、一応考え得る点であろうと思うのであります。しかしながら農業協同組合が、やはりその組合の事業として活動をいたして行きます場合においての事業の内容によりましては、言いかえれば、この法律に定まつておるところの事業の内容に該当した活動をいたします場合におきましては、やはりその部分附加価値税の課税対象になるものと考えざるを得ないと思うのであります。ただ、この法律案の第三十條第九項をごらんくださいますと、農業協同組合につきましては、「その他政令で定める特別法人が取り扱つた物の数量、価額その他事業の分量に応じて分配すべき金額」につきましては、支出金額として特定の措置をとる、こういうふうに相なつておりますので、全然同一の取扱いをいたしておらない点は御了承願えるかと思うのであります。同時にその前の項の八項をごらんくださいますと、やはり「民法第三十四條の法人、学校法人その他」云々の規定によりまして、特定の支出金額とみなしまして、特別な取扱いをすることができる、こういう道を開いておるような次第で、彼此御勘案をくださいまして、農業協同組合につきましても、これらの規定があるということを御了承願つておきたいと存じます。
  76. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 次に固定資産税につきましてお伺いをいたしたいと思いますが、御承知のように、前の地租はその沿革が非常に古いものであります。地租は日本で制定せられました明治の初めにおきましても、東北ないし北海道、あるいはその他の地方、いろいろその地方の生産力もしくは気候風土、さようなものを十分に勘案せられまして、地租の設定がなされたわけであります。その後、賃貸価格にかわりまして、賃貸価格決定いたすにあたりましても、やはり前の地租を設定いたしましたときの沿革なり、その基本的な事情なり、かようなものか参酌せられて、賃貸価格決定せられて参つたのであります。しかるに今回の固定資産税におきましては、寒冷地帶、特に積雪の地帶も、あるいは豊饒な地方を持ち、しかも気候風土に惠まれた地帶も、同一の率をもつて課税せられる、あるいは取扱いがなされるということになつておるわけでありまして、その点については、評価の場合に適正な評価がなされれば、それでその欠陷をある程度補われるではないかという見方もありますけれども、その評価のみによつては、かような大きい地域差というようなものは、是正し、あるいは適正にこれか課税されるような結果にはならない思うのであります。従つて私は、そうこまかくこれを細分してきめるということはできませんにしても、ある程度さような地域差であるとか、あるいははなはだしい立地條件の相違というようなものについては、法律の上で相当考えておく必要があるのではないか、かように考えるのでありますが、この点についての政府の御所信を承つておきたいと思います。
  77. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。松本さんから御質問のありました、地域によつて、あるいは気候風土等によつて、特に寒冷積雪地域における固定資産、これは農地あるいは家屋も入ることと思いますが、この点について、その他の地方と一律にやることは適当ではない、こういう御所見のように承つたのでございますが、私どももこの点についてはまつたく同感でございます。寒冷地帶の土地は、收益力におきまして、他の暖地に比べてよくない、あるいはまた家屋につきましても、降雪等のためにその消耗がはなはだしい。従つて賃貸価格の上においてはこれらの点を考慮いたしまして、考えられておるということは御指摘通りでございます。今回の昭和二十五年度においては、土地家屋等の固定資産に対する課税の方針といたしましては、御承知のごとく固定税率でもつて一定倍数に基いて算出をすることになつておるのでございますが、これは、一つは土地家屋に対する課税の現況が、他の税種と比較いたしまして、はなはだしく不均衡になつておるような点もありますので、一応不均衡を是正するためには、この際一律に倍数及び固定税率によつて地ならしをした上で、今後これを基礎といたしまして、将来は時価によつて評価をして行くというふうな段取りに考えておるような次第でございます。従いまして寒冷積雪地帶等における土地、家屋等の評価に関しましては、これだけでは不十分だとの御意見もあるように伺つたのでありますけれども、とにかくこの評価にあたりまして、ただいま申しましたような寒冷積雪地帶の特殊事情をあとう限り組み入れて、その評価に当るというふうにいたしますならば、御指摘のように均衡のとれた評価をなし得るものではなかろうか、そういう考え方で今後対処して参りたいと思つております。
  78. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 いま一点お伺いいたしたいのでありますが、固定資産税の中で償却資産でありますが、これは附加価値税の方においては、先ほど当局の御説明もありましたように、農業、漁業あるいは自家労力によるところの原始産業等は非課税ということになつておるわけでありますけれども、こういう業態の中で占める固定資産中、牛馬であるとか、あるいは農具であるとかいうようなものは、企業の手段としての必要な機具もしくは家畜ではありますけれども、一体どのくらいのものまでを償却資産として、農業等の場合には計算されようとしておるのであるか。あるいはまた附加価値税等の精神に立脚しまして、さような附加価値税のかからないような業態の持つところのものは、土地、家屋は議論ありませんけれども償却資産等につきましての課税はしないという建前でおられるのか、この辺の見解を承つておきたいと思います。
  79. 小野哲

    小野政府委員 償却資産と申しますのは、この法律におきましては、在地及び家屋以外の事業の用に供するものと相なつておることは御承知の通りであります。そのうちで、具体的にただいま仰せになりました主として農家が使つております牛馬であるとか、あるいはまた農機具の問題になるのでありますが、牛馬のごときは課税対象にはいたさない方針でございます。また農機具と申しましても、いろいろございまして、手で使うすきくわもございますれば、あるいは電力によつて相当大がかりに使用しまする機械器具類もあるわけでありまして、これらの点につきましては、およそ目安を定めまして金額がたとえば一万円ぐらいであるとか、あるいはまた耐用年数はどのくらいになつておるか、三年ぐらいであるとか、こういうふうな点を一応目安といたしまして、これ以下のものにつきましては、これをなるべく課税対象にはしない。こういうふうな考え方でやつて行きたいというふうに考えております。
  80. 前尾繁三郎

    前尾委員長 大矢省三君。
  81. 大矢省三

    ○大矢委員 私はきわめて簡單にお尋ねを申し上げたいと思います。まず第一に今度提案された法案を見ますと、御説明にもありますように、一部修正をされたが、これはわずか二箇月を出ずしてこういう修正をされた何か特別の事情があつたのかどうか。説明によりますと、いろいろな議論を考慮して一部修正されたというようなことでありますが、もつとほかに事情があつたのか。それからさらに先ほど来のいろいろな質問の中にもありますように、もしもつと適切なこれに対する修正その他の意見があれば、さらに考慮する余地があるのかということをお聞きしたいと思います。
  82. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。これはほかに何も事情はございません。ただ前国会でいろいろ論議されました点、それからまた各方面でいろいろ御議論がありましたようなものを、できるだけ実現するようにと思つて一生懸命努力しまして、そうしておちついたのがこの法案でございます。でございますからほかに理由は何もございません。それから修正ができるかできぬかというお言葉でございますが、しかし国会はとにかく立法権を持つております。自主性を持つておるのですから、これは皆さんが、皆さんで、これをこう修正したらいいじやないかというような御意向があれば、その修正に対して政府はできるだけの努力をするという考えでおります。
  83. 大矢省三

    ○大矢委員 この一・七五を一・七にしたのですが、この○・○五の違いによつて数学的にはどれほど違うか。これは政府委員でけつこうでございますから、数学的にどれだけ違うのか、お伺いします。
  84. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 今の百分の一・七五が一・七になつた〇・○五の違いは、数字にしてどれくらいかというお話でございますが、これは大体十五億見当ぐらいであります。
  85. 大矢省三

    ○大矢委員 私が今わかりきつたことをお尋ね申し上げたのは、前のこの委員会においてわれわれは十分審議することなく、これは現に政府の、しかも自由党の総裁からの話であつたということでありますが、ぜひともこれを期日の幾日までに上げろということを言つたために、せつかく委員のそれぞれ強い要求があるにもかかわらず、これを修正せずして討議打切りのああいう結果になつたのであります。私は政府においてそういう前の轍をふまないように、十分審議し、修正も自由であるということが、前の事情とかわつておるかということをお聞きしたのでありますが、今申しますように、明らかに自由意思によつて十分論議されて決定されれば、これは最高意思決定機関としての国会を尊重するということでありますから、私もそのつもりで審議したいと思うのであります。前の議会においてこの法案政府から提出されると並行しまして、これが通過するということの前提に立つて、徴收停止の法律案が出て、これが通過したのであります。その際にわれわれ野党はこういうものは必ず通過するとは限らぬ、ことに画期的な改正であるからして、万一これが通らなかつた場合の処置いかんということに対していろいろ言つたのでありますが、それを多数をかりてしやにむに通過させた結果は、今日地方財政に非常なる支障を来し、説明にもありますように、平衡交付金、あるいはまた一時の地方借入金によつてこれをまかなつたのであります。一体こうした見通しのもとに、われわれが予想し警告したにかかわらず、しやにむに通した。これはわれわれ委員会通すべきではない。明らかにそういうことを言つておるにもかかわらず、政府もまたそういうことはないと確信して通したのでありますが、それは委員会のこうしたむりな結果から見ますと、十分審議をしなかつたということも、一つは影響しまして、参議院でああいう廃案の結果になつたのであります。そのために受けた地方財政的の責任と言いますか、あるいはまた実際上借入金でありますから、利子などは当然負担しなければならぬのでありますが、体それはどこが負担するのか、このことを私はこの機会にお聞きしたいと思う。もし国がそのまま利子なんかを借入金に対して補償するといつても、国の金というものはおのずから地方の税制によつてまかなうものであるから、この原因というものは、結局われわれが忠告したにかかわらずそれを聞き入れず、これが通つて後に、あるいは廃案になつた後に、これを通してもこれは決して遅くないにもかかわらず、これをやつた結果こういうことになつたのでありますから、私はその責任の所在というか、借入金の利子はどこが負担するのかということを、ひとつお聞きしたいと思います。
  86. 小野哲

    小野政府委員 お答えいたします。ただいま御指摘になりました地方税法案不成立に伴う措置は、たびたび御説明いたしておりますので、御了承願つておるかと思いますが、その中で融資等の措置に伴うて地方団体負担すべき利子の問題についてお触れになつておるように思うのであります。この点につきましては、先ほど来御質問がございまして御答弁申し上げた次第でありますが、政府といたしましては、これが財源の措置については考慮をしようということで決定をいたしておりますので、目下いかなる方法によつてこれを行うかということについて検討を加えておる、こういう状況でございます。
  87. 大矢省三

    ○大矢委員 それから私は大臣説明並びに関係政府委員の答弁を聞いておりますと、ことごとくが税をとる方の立場に立つて発言があり、そのことを強く説明しております。この説明の中にも、これはこの地方自治体の民主化の裏づけのための財政確保のために、どうしても改正が必要だ、しかも捕捉がこれならば完全にできるから、こういう附加価値税をとつたのだ、こういうふうに説明答弁というものが、つまりとる方の立場に立つてばかりおる。私はとられるというか、納税する人の立場を少しも考慮されておらないと思う。一例を言いますと、今度の選挙を通じてしきりに與党が言つたことであり、ことに政府関係の人が言つたことでありますが、なるほど国税が減つて地方税が上るが、しかしトータルの上では減つているのだ、減税だ減税だといつている。ところが納めるのは国民でありますけれども、一万円納めても苦しくない人もおる、百円納めても苦しい人がある。しかも今度のように非常な能力のある者には事実は下つて、そして一般大衆的な、しかも納税に非常に困難な人たちに、全体的にはトータルとしては下つておるかもしれませんが、これを課けて来るということは明らかなのです。またそれを認めておると思う。そこで百人のうちで五十人あるいは七十人おれば三十人の人が困るということは、名目はいかにりつぱであつても、その税金が悪税であるということである。従つてその相手方の担税能力のことを考慮せずにものを論議したり、あるいは法案を制定することは、はなはだ危險だ。そこではたしてそういう能力があるかどうかということは、私は現実に見ているのですが、最近地方自治体並びに国税庁の方において、滯納によつて仮処分を受けておる件数はどの程度にふえているか、金額において、件数においてどういう状況になつておるか。ことに資本金のごくわずかな法人あるいはまた個人の小さな中小企業がいかに多く執行をされているかということ、この数字は今現在皆さんの手元になければ大蔵省その他の関係へ行つて、あしたでもけつこうですから、すぐ出してもらいたい。これは相当数に上つている。非常な苦しみを持つておると思いますが、そういう意味で、納税者の立場に立つて少しも論議されておらぬが、政府はそのことをどういうふうに考えておるか。これはきわめて重要であります。私はこのことなくしては、どんな法律をつくつたつて、結局先ほど来いろいろ質問者からもありましたように、上まわるとか下まわるとか、何か見当のつかぬことを言つて、ただこしらえて、しかもそれが長い期間でなしに、来年の一月ごろにはまた修正していいのだというような、非常に不見識なことになるのでありますから、納税者は文字通り納める者だ、とるものと違うのだ。とられるという感じでなしに、納めるものだという感じを起すような心持ちになることが、この税法で可能かどうか、そういう自信があるかどうかということを、私は責任者からお聞きしたいと思います。
  88. 小野哲

    小野政府委員 ただいま大矢さんから、地方税の問題については單に徴税者側でなしに、納税者の立場からも考えるべきではないか、こういう御意見でございますが、まことにごもつともだと存じます。つきましては、われわれも決して單に地方団体、言いかえれば徴税者の側だけでなしに、今回たとえば附加価値税実施を一年延期いたしましたが、かような措置をとりましたのも、一つはやはり事業者であるところの納税者の立場を相当念慮に置いたものと、私ども考えておる次第でございます。また納期の問題等につきましても、国税地方税を通じまして、その間の調整をはかつて行くための暫定措置を講じて参りたいというふうな考えも持つてつたのでございます。なおまた今回の税法案のねらいが国民負担の均衡化、合理化を考えておるということは、たびたび御説明して参つたのでございますが、従来、たとえば事業税の例をとりますと、法人組織の大企業には割合に軽く課税されておるという実績があがつておるのでございます。しかるに附加価値税実施いたします場合におきましては、これらの不均衡な法人、個人の関係が是正されまして、大体五分々々程度の均衡の負担が、実現するものと見込んでおるような次第でございます。農業につきまして、あるいは林業について、あるいは零細漁業者につきまして、附加税の特例を認めておるというところは、決して一部の法人組織による大企業のみを保護するというふうな考え方ではないということは、御了承願えるのではないかと思うのでございます。  なお資料の問題でございますが、滯納処分の件数が全国的にどうなつておるかということにつきましては、御承知のように国税と違いまして、地方税は各団体においてそれぞれの事情に応じ、また住民の生活の実態に即応して、税の施行運営をやつておりますので、これを全国的に集計をいたしますことは、ほとんど不可能に類することでございますので、この辺のところを御了承願つておきたいと存じます。
  89. 大矢省三

    ○大矢委員 今度の税法はまことに画期的な改正でありまして、各地方団体においても、これらの捕捉はきわめて困難な、大きな仕事であります。ことに短期間において査定あるいは帳簿の整理等をやるわけでありまして、相当の徴税吏員を増員しなければならぬと思いますが、日本全体でどの程度にふえるものか、その人数及び人件費を伺いたい。またこの間きめられた定員法が、地方にどういうふうに影響するか、あるいは自由にふやし得るのかどうか、そのこともお伺いしたいと思います。
  90. 小野哲

    小野政府委員 今回の税法の施行にあたりまして、政府が予想しておりますのは、徴税吏員といたしまして大体三万人に近い程度、それからそれに伴う徴税費といたしましては、大体六十億程度、かように考えております。しかして地方公務員につきましては、定員法の適用はございませんので、当該地方団体がそれぞれの必要に応じて、定員の配置をいたす、かように御了承願いたいと思います。
  91. 大矢省三

    ○大矢委員 それからこの機会にぜひお聞きしたいのでありますが、税務官吏が地方の特殊事情によつて、法的根拠なしに、かつてに税をとつておる所が相当ある。これはすでに実際に当面している関係の人はよく御承知だと思いますが、一属官によつてそういうことが決定され徴税されるということは、非常に住民にとつて迷惑な話でありますから、何かそういうことを一律に決定するような機関が今後できるかどうか。これは陳情をすでにお受けになつて御存じと思いますが、すでに公娼は廃止されて、ないことになつておるのに、それに対して依然として税金をとつておる。あるいは第五国会で改正された遊興飲食税法の第五條において加工飲食はやつてはならぬというので、加工業として特殊に許可し、加工業でありながらいまだ飲食税をとつておる。しかも皮肉なことに東京と大阪だけで、ほかはやつておらぬ。こういうことを各地方庁でかつてにやつておる。官吏に対しては至つて従順な地方民に対して、こういうことを強制し、しかも強制執行までしてとつておるという事実がある。こういう点、今後査定その他で複雑な税の決定について、民主的というか、ほんとうに公平に納得するような決定をする機関、あるいはまたそういう上申をする機関が今後もうけられ、あるいはそれが自発的にできればけつこうですが、そういうこともお認めになるかどうかということを、特に納税者が非常に悩んでおる問題でありますから、この際お伺いをしておきたいと思います。
  92. 小野哲

    小野政府委員 まず第一の点でございますが、地方団体の税務吏員の自由な裁量によりまして、万一そういうことをやつておるとしますならば、今後これらの点につきましては、適当に処分または指導をして参らなければならないかと存じております。なおまたその後段の場合の特殊なものにつきましての税のとり方につきまして、いろいろ御意見があるようでございますが、これらの点につきましては、地方税の性格が、御承知のように国税と違いまして、国が全国的に統制をはかつて画一的な処理をするということは、至難の状態に置かれておりますので、個々の地方団体における税の運営がどうなつておるかということは、その大幅なる統制につきましては、地方税法等において規制いたすことは可能でございますが、個々の点につきましては、必ずしもそうは参らない点もあろうかと存ずるのでございます。要は第一の場合にいたしましても、第二の場合にいたしましても、政府におきましては、適当な方法によりまして、指導助言をするような方法考えまして、納税者の各位に御迷惑をかけないように努力して参りたいと思つております。
  93. 大矢省三

    ○大矢委員 それでは附加価値税の問題についてお伺いしますが、これは今までどうも流通税にあらず、收益税にあらず、ちようどそれをちやんぽんにしたものであるというような説明があつたのでありますが、大体において流通税であるということを国務大臣答弁をされておるのであります。私どももそういうふうに大体考えておるのであります。従つてこの附加価値税が来年の一月から実施されることになりますと、われわれ日常欠くべからざる食糧の問題でありますが、中央市場に参りまして、せりにかけて卸をやる、そうすると仲買いが買う、小売が買う、こういうことになりますと、三回総売上高の百分の四かかるといいますから、これはどんなことを説明しようとも、物価の値上りになることは必至であります。特に労働を対象とする收入に対して、輸送関係なんか特に影響が多いと思いますが、これまた私は非常なる乗車賃なり輸送その他の値上りとなり、さらにガス事業のごときも相当の値上りが来るのではないかと思います。せんだつても一割二分平均ガス事業が値上げをしました。電気交通事業においては郊外電鉄一割六分上り、電気ガスでは一割二分上つて、さらにまたその値上りに対する課税がふえるといいますから、こういうことになりますると、非常な物価の値上りということも必至であります。それで大体これは立案するときに、附加価値税実施されたあかつきには、どの程度の物価の値上りがあるということを政府として目安がついておると思います。なるほど先ほど来御答弁のように、さらに合理化によつてそこに必ずしも流通税や取引高税のように課さなくともよろしい。現にそれは事業者の負担となるべきものも多々あるはずであります。それは認めます。認めるがこれがどのパーセンテージに上るかということは、だれが考えつて明らかなことであります。大体どの程度の値上りを予想しているかということ、それから今申しましたように、労働賃金、いわゆる労働を対象とする收入に対しても、百分の四かかるといいますから、勢い労働者の賃金を安くするとか、総支拂高を安くするという、労働政策に大きな影響がある。そうなりますると賃金をすえ置きするか、あるいはさもなければ、もつと低賃金にするか、あるいは人員を減らすか、大きな失業社会問題になることはしばしば言われておる。このことの影響を大体数字的にどういうふうに考えているか。そんなものは心配しないと言われるのかどうか。これは直接非常に影響する問題でありまするから、重ねてお伺い申し上げます。
  94. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 税制改正の結果、主要な事業にどの程度影響を與えて、それが価格構成にどのような改訂を必要とするかというふうな問題であると思うのでありますが、資料として差上げておりますように、地方鉄軌道の関係におきましては、総合して考えました場合には、価格改訂を必要とするような結果にならないと考えております。問題は資産再評価を行いました結果償却額をどの程度まで価格に織り込んで行くか、こういうことまで加えて参りましたならば、価格に影響を及ぼすだろうと思うのでありますけれども、これは税制改正の問題とは別個の問題であると考えておるのであります。資本の維持をはかつて行く見地からそのような結果が及んで来るだろうと思いますが、税制の改正の結果は特に価格改訂を必要とすることにはならないと思います。また電気につきましては現在の固定資産をどの程度に評価するかということが、根本の問題でございますけれども、かりに三千億近い大幅な評価をいたしました場合には約二・六%だつた思つておりますが、その程度価格に影響を及ぼすことになりますけれども、これはもつぱら固定資産関係でございまして、はたしてそこまで価格決定して行くことができるであろうかどうかということは、いろいろな方面から現在なお検討を加えております。  なおまた労働者等の生活に及ぼす問題は、これも地方税のみならず、国税あるいはまた他の食糧配給の問題、その他の問題を総合的に考えなければならぬ問題でございまして、前国会におきましても物価庁から報告があつた通り、むしろ生計費は若干下つて来るというような結果になつたようであります。それらの資料はお手元に差上げておるわけであります。
  95. 大矢省三

    ○大矢委員 それはまだ来年の一月から実施する。一月実施するときに物価をどれだけに見込んで立てておるか、最近の物価指数が多少下り、生計費が下つたということは当てはまらないと思う。これはいろいろ説明されますが、先ほどつたように卸が総売上げの百分の四、仲買いが百分の四とられる。また小売が百分の四とられる。動くたびに、取引するたびに百分の四ずつかかつて行くことがこれに規定してある。これは何といつても取引高税で、ただそれが、相手方にかけるか、自分が税金負担するかということです。取引するたびに総売上げにかかつて来ることは事実です。私はどんな説明をしたところで取引高税になると思う。そこでそれだけ上つて来たものを事業主は負担いたしません。ことに御承知のように大工業のごときはたいてい下請させる。自分のところで一つのものを組立ててこれは完成するまでには、あらゆる業者に向つて下請をさせます。その事業に対して総売上高に対してかかる。それから完成したものにもかかる。ことに附加価値税はしばしばおつしやいますように完全なる捕捉だから、それが一番いい方法だといつて説明されておりますが、これはつまり赤字でも黒字でもそういうことは関係ない。でありますから、そういう損して立ち行かないものは、自分で負担する能力がない。今まで赤字だから拂わないといつても、附加価値税はそうでないのでありますから、勢いどうしてもそういうものにかかつて参ります。もしかけられればそれでは競争に負けて倒れてしまう。従つて私はもうこれは全部そのままかかるとは申し上げませんが、これは物価の影響に関係ないというようなことは、かけてみて初めてわかります。二十六年一月一日すぐ上まわるか下まわるかということを何べんも使つておるが、必ずわかります。そこは水かけ論で、まだそういうことの予想が、一つも上らない、関係ないと言われますが、これは結果を見なければならぬ。私は相当各方面に影響があると思う。特に先ほどの労働者の問題についてのいわゆる労銀を対象として課税されるものであるから、これは一体労働政策に経営者としてはどう影響があるかということもはつきりしない。自分が拂う立場になつて、経営する立場になつて労働賃金にかけられたときに、人を減すか、安くするか、あるいは何かの方法で施策するより道はないと思います。そういう影響はどうしてもないと考えられるかどうか伺いたい。
  96. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 大屋さんからたいへんけつこうなお話を伺いましたので、この機会にもう一ぺん附加価値税の取引高税と違つております点を申し上げさせていただきたいと思うのであります。大屋さんは取引のたびに四%ずつ附加価値税がかかつて行くであろうからそれが物価に影響を及ぼすじやないかとお話になつたのでありますが、従来ありました取引高税でありますと、まさにその通りだと思うのであります。しかしながら附加価値税のような場合には、転々売買されて行きます際に、買つた人は買つた額だけは附加価値額の計算において売上げ金額から控除されるわけであります。自然まだ課税されていない部分、言いかえればその人の価値を生み出した部分についてしか課税されないわけであります。この点が取引高税より非常に合理化されておる点でありますから、いかに転々売買され、経済の流通がしげくなりましても、それがために負担がふえることは全然ないわけであります。しかもまた附加価値税予定いたしておりますのは四百二十億円で、従いまして従来事業の負担しておりましたものとして事業税がございますし、また取引高税もあつたわけであります。合せますと九百億円近いものであつたのでありまして、それが半分以下になるわけでございます。むしろ事業として負担しておつた額は少くなるという点もございますので、もとより個々の事業につきましては、負担関係がかわつて参りますので、価格の点につきましても多少従来の価格のあるものがふえる、あるものはまた下るというふうな変化はあると思うのでありますけれども、全体を通じて考えました場合には、附加価値税の結果、物価が上るということにはならないと思います。また労働者の生計費の問題もお話になつたのでありますけれども、私は今年は租税負担というものは国民所得において負担されなければならぬはずじやないかというふうに考えるのでありまして、もとより課税のしかたによりまして、個々の分配関係はいろいろかわつて来るであろうと思うのであります。しかしながら国民所得を中心にして課税します附加価値税というものが、労働者にみなしわ寄せされるというふうには決して考えられないのでありまして、要はその総額がどの程度ふえるかという問題、あるいはまた課税の際にどのような方法が講ぜられるかというふうなことになつて参ると思うのでありますけれども、取引高税よりもはるかに合理化されておる附加価値税の課税方式は、いろいろな面においてむしろ好影響をもたらすであろうというふうに、政府としては考えているわけであります。
  97. 大矢省三

    ○大矢委員 どうも私は今の説明に満足しない、そういうことを議論しますと、結局は取引高税でないというのだから、取引高税でないとしても、收益から納税するのであるからこれは收益税と見て間違いない。こういうことになります。收益税であるならば、それは物価に一つも影響しません。それはどうしても私どもは取引きするたびに四分かかるからといつて、四分そのままが私は物価に影響するとは考えていない。これは全然影響がないということはないと思う。もしそうであるならば、收益の方から拂うのだから、別に物価には影響はないと言われるならば、こういうものは收益税と見て、われわれいわゆるこの法律内容から行きますと、およそ收益税とは違うのであります。これは議論になりますから私は言いませんが、固定資産の中に、特に私はこういうことが考慮されたかどうかということ、大都市においては、土一升金一升、相当に高い賃貸価格である。ところが不幸にして戰災のために燒け跡が利用されておらない。あるいは戰時中非常に拡張する目的をもつて、厖大な土地を要してそのまま放任された工場なんかは、いわゆるこれは機械で言えば不要な機械があるのと同じように、土地に対してもそういうことがある。それはその地方一帶の平均の、あるいはまた権利に比した賃貸価格によつてかけられるということになりますると、これは非常に復興を阻害する。事業の上にも土地にも固定資産に非常に影響が大きいのであります。これをどういうふうに考えておられるか、この説明によりまするとこういうことが書いてある。これは非常に事業税が高くて、地租家屋税が安いという例を引用したのだと思いますが、土地に対して一台の営業用自動車の負担が畑地の三十七町、家屋にして八百数十坪の負担と匹敵する。これはまあそうかもしれぬ。しかし実際は一台の自動車でどれだけの收益を上げているか、あるいは農村が粒々辛苦して、しかも收穫したものが、主要な農産物の価格は御承知の通り押えられている。そうしていろいろな関係收入をもたらさない畑地と、それから一台の自動車によつて、戰後における輸送関係で非常に大きな收益を上げているものと対等にして、こういうことを説明して誇つているというようなことはどうかと思いますが、そういうふうにことごとく物の考え方がとにかく担税能力があるから――利益のある、余裕を持つている者からとるという考えでなしに、何か知らぬが一般からとつて、そうしてそういう大きな負担力のあるものを軽減したという結果になつたことは、その意思があるかないかは別として、私は非常に遺憾に思うのでありますが、固定資産の九百倍と賃貸価格を評価する場合に、そういうことが考慮されるかどうか、それから今度いろいろ税收入の総額がここに出ているというのは、そういうことを考慮に入れられて、相当そういう不用の土地の減收もあるであろうということを見込まれての数字かどうかを伺いたい。
  98. 小野哲

    小野政府委員 お答えいたします。大矢さんの御指摘になつている点は、ごもつともな点があると存じます。ただ二十五年度における固定資産の税課税の問題は、御承知のように一定倍数をかけまして、それに対する一定税率によつて行うということになつておりますので、二十五年度においてはそこまであるいは手が伸びかねるのではないかと存じます。特に土地家屋については、最もその適例だと思うのでありますが、しかしながら将来につきましては、結局時価によつて評価されるということになります。従つてあるいは遊休施設であるとか、未稼働のものであるとか、あるいはまた陳腐な状態に置かれているようなものにつきまして、それぞれ評価の場合において、しんしやくが可能になるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  99. 大矢省三

    ○大矢委員 けつこうです。
  100. 前尾繁三郎

    前尾委員長 清水逸平君。
  101. 清水逸平

    ○清水委員 大臣がお見えになつているから、簡單に一言だけ伺いたい。お忙しい体をわれわれがいつまでも引きとめているべきじやないと思いますので、簡單に申し上げます。  地方税の成立不能の後におけるその善後措置について、政府平衡交付金短期融資はこれをおやりになつておる。しかし資料によると一応のつじつまは合つているようでありますけれども地方自治体においては相当に苦しんでおられることは御承知だろうと思う。そこで私のお伺いせんとすることは、この法案通りましても、徴税は九月ないし十月になる。その間においてもこれに輪をかけて地方自治体についての財政難が起つて来るのではないか。それについてその前になおこの年度の平衡交付金の全額支給とか、または預金部資金による短期の融資とか、こういうことをお考えになつておるかどうか。これをひとつお伺いしたい。
  102. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいままでの情勢といたしましては、平衡交付金を六百十八億出しておりまして、地方の起債を二百九十億ほど出しておるのでございます。政府の見通しとしましては、四月から九月まではそれでまかなつて行けるのではないかという考えで行つておりまして、大体それで行つておるように感じておりますが、地方におきましては、こういうことをやつているところが多いのであります。税金の先拂いというような意味におきまして納税証紙を発行いたしまして、そして先に今ごろ納税証紙を買つてもらつておく。それからまた納税預金というものを勧契しましてどんどんやつおる。こういうような地方自治団体が多数ありまして、これを下半期に入りまして、皆さんのおつしやるような、税金が一時に出て来るときにその資金を吸收する、しわ寄せを少しでも先へ延ばしておくということでやつておるのでございます。政府といたしましてはそういうような納税証紙とか納税預金の勧契とかいうことを全国の地方団体に勧契して、できるだけ今のうちに先で拂う税金に見かわるだけの金を吸い上げておきたい、こういうことになつてそれもできているのでございます。大体に、もしこれが今月一ぱいに通りますれば心配はなさそうに思えます。もしそれで何か地方に混乱が起きるような特別の事情でもございますれば、むろん中央政府として適当な考えをするつもりでおります。さよう御了承願います。
  103. 清水逸平

    ○清水委員 大臣はその憂いはないというような御見解のようでございますけれども、私らが聞き及ぶところによりますと、その納税借入金それらのものも必ずしも十分でない。従つて相当に艱難されているようなことがある。こういうふうに私は観察いたしております。ぜひともこれはその前にもう一段の何らかの御処置を願わなければ、地方財政相当困難をするのではないかということを私は考えております。  なおそれにつきまして、納税時期が下半期にずれている以上、先ほど大蔵大臣答弁にもありました通り政府の吸い上げ金が非常に多くなつて、金融に支障を来している。そういう現象がまたこの秋において到来するのではないか、そういうことを考えますときに、その一部の処置といたしましても、地方税の今までの税率のための障害の除去につきましても、政府としては何らかもう一段の御処置を願つた方が金融の面から言つても、地方財政の面から言つても、円滑になるのではないか、こういうことを私考えておりますが、どうかそうした処置に万全を期せられるようにお願いするのであります。
  104. 立花敏男

    ○立花委員 ちよつと関連して……。今大臣が納税証紙を自治庁自身がお認めになつて、全国的に勧契しているということをおつしやつたんですが、これはほんとうかどうか。私ども考えますと、納税証紙は一種の地方債のように見られまして、それを政府が全国的に勧契しているということはあまり穏当ではないと思う。私ども聞くところによりますと、奥野君でしたか、山梨に行かれまして、ストツプしてあるような税金をとつてもいいというようなことを座談会か懇談会でお話になつたということを私聞いているのでありますが、この納税証紙の発行と関連いたしまして、どうも政府のやつておられる空白対策が行過ぎになつているのではないかと思うのでありますが、納税証紙をそういうふうに政府としてはつきりお認めになつて、公認になつて勧奨されているのかどうか、もう一度御確答をお願いしたい。
  105. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 納税証紙は、結局年度内に償還をすることを建前といたしまする一時借入金に当る性質のものであろうと思います。もちろん年度を越えるものは、普通の起債ということになりますから、起債のわくの中に入つて来る許可を受けなければやれないものでありますけれども、三箇月なり四箇月の期限を切りまして、納税証紙というような形でこれを出すということになれば、これを一時借入金として、議会の議決の手続きを経て行うならば、これは適法であろうと思います。今年度の後半に集中して参ります納税に対する対策といたしましては、この際何らかそういうようなあらゆる創意と工夫をこらして対処いたしませんと、非常に困難に感ぜられますので、この点に関しまして、考えられる方法の一つとして地方に勧奨しておるような次第であります。
  106. 立花敏男

    ○立花委員 この問題はそういう三月、あるいはそれくらいの短い期間ということで、全国的に統一されておるならばいいのでありますが、これがやはり一種の無期限借入金のような形でやられる弊害もありますので、これはよほど愼重におやりにならないと、地方に対する一種の無許可の地方債の発行ということになる要素があるのであります。これは十分御愼重に扱つていただきたい。  これと関連して、独立税の問題のことでございますが、たとえば青森などでは、地方財政の窮迫から、りんご税を復活する案が非常に大きく起つておりますし、この委員会に対しても陳情があつたわけでありますが、この空白時代に独立税をどの程度お認めになるか。あるいは税法通りましたあとで、独立税をどういうふうに処置なさるおつもりであるかお聞きしておきたいと思います。
  107. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 法定外独立税の問題は、それぞれ府県なり市町村なりが地方財政委員会の許可を得てやるような建前になつております。地方財政委員会におきましては、たとえば内国関税的なものの流通を阻害いたしますとか、あるいは国税なり地方税なりと課税標準を同じくいたしまして、重複課税的になるものであるとか、あるいは負担が非常に過重になるというような心配のありますもの、あるいはさらに国の経済施策の上から申して、適当でないというようなもの以外は、地方から地方財政委員会の方に申し出て参りましたものは、それを必要とする財政事情があります限りは、これを許すというような考え方で立案をいたしているのであります。しかしながら本年度の財政計画におきまして、標準税率をもちまして法定税率をとりますことの結果として、大体千九百八億というような数字を考えているのでありますから、法定外普通税に依存する度というものは、今後非常に少くなるというふうに一般的に考えております。りんご税の場合につきましては、ただいま財政委員会の方で研究中だと思いますが、昨年度産のりんごについてのみ、今許されているような状態であります。
  108. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 立花さんから、山梨県で徴收を停止している税をとつてよろしいということを言つたんじやないかというお話がありました。法律を無視せよということを言うたように聞えまして、たいへん不穏当な感じを與えますのでお答えさせていただきます。そういうことを言つた覚えはありません。法律で停止した税をとつていいということは、私どもは何ら考えておりません。ただ考えておりますのは、年度の後半になりましてからいろいろな税金を一ぺんに徴收するということは納税者にとりましても非常に苦痛であります。また課税団体といたしましては、徴收に非常な困難を感ずるだろうと思うのであります。従いまして、その当時も、わが身を顧みても市町村民税が一度にとられるということになりますと、堪えがたい苦痛を受ける、だから納税組合をつくつたり、あるいは納税準備預金をつくりながら、その苦痛をお互いに緩和するように考えていただかなければならぬということを、職場の人たちにできるだけ理解していただくように、言うただろうと考えております。今もそういうように考えております。
  109. 藤田義光

    ○藤田委員 りんご税のお話が出ましたから、一言申し上げておきますが、りんご税はたしか青森県の一年間の歳入の二割近い大きな税源だろうと思います。これをもし地元の要望に応じまして軽々に許すようなことがありますと、法定外独立税というものを原則として禁止するという趣旨が破れる危險がございます。おそらくほかの県からどしどし右へならえの陳情が来ると思います。規定によりますと、大蔵大臣は異議があつた場合に、地方財政委員会に申入れができるようになつておりますが、この点に関しましては、先ほどの次長の御答弁でどうもはつきりいたしませんが、よほど愼重に御研究を願います。実は地元におきましても賛否両論が対立いたしております。せつかく法定外独立税を原則として禁止されましたこの改正案の趣旨を生かすためにも、よほど愼重にやつていたたきたいという希望を申し述べておきます。
  110. 大泉寛三

    大泉委員 私どもは前国会において、しばしば地方税は国鉄といえども、これは独立採算制の建前から言つて、課税すべきであるというふうに主張しておつたのでありますが、新任の岡野さんはどういう御抱負を持つていらつしやるか、お聞きしたい。
  111. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。御説しごくごもつともでございます。その点につきましては地方財政委員会の管掌事項になつておりまして、すでに地方財政委員会において検討を加えておる最中でございます。いずれ結論が出ると思いますから、その上でお答え申し上げます。
  112. 大泉寛三

    大泉委員 この機会に強く要望しておきますが、やはり地方鉄道と均衡のとれる建前から言つて、どうしてもこれは課税の対象にしてもらうべく努力を願いたい。どんな企業でも、国鉄だからといつて、あるいは特別な公社だからといつて、また個人経営であろうと、営利事業であろうと、公共性についてはみんな私は同じであろうと思う。みんな公共性を持つているんだ。そこにただきわめてあくどい営利的な考えと、あるいはまた公共的な考えを持つて業に携わるものとの別があるだけだ。業を大きく、また発展させようと思えば、社会のため、公共のために強く広く考えるものが、業も大きくなり、また発展もする。あくどいものが小さくなるだけの話だ。そのねらうところはやはり全部公共性ということにかわりはない。であるから、私は国鉄においても、やはり地方鉄道と同一に課税して、そうして均衡のとれる自由な経営にならしむべくしなければならぬと考えるのであります。それから最近政府が参議院の選挙終了ぎわに、公務員の給與べースを改訂する、また現に総理大臣も今回の議会において言明しておられるようでありますが、これは地方公共団体に対しても、今度の予算にどういう含みを持つておられるか。全然考えておらぬか、それはあとの話になるというのか、また地方の実力にまかせておくのかどうか、これをお聞きしたい。
  113. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。公務員の給與べース改訂につきましては、主として中央のことに関してでございますが、今政府研究中でございまして、これがもし実現するといたしますれば、自然地方公共団体の公務員にも及ぼさなければならないような情勢になるだろうと思います。しかしただいま出しております税法案には、それは予定しておりません。従つてもし中央において速急に給與べースの改訂をするという場合には、どうしても中央政府の資金の援助を受けなければならぬ。こういうことになります。その点におきましてあの給與ベースの点については、大蔵大臣にその旨を私からすでに申し出ておりますから、御了承願いたいと思います。
  114. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではこれにて地方税法案に関する総括的質問は終了といたします。  この際お諮りいたしますが、地方税法案に関し、大蔵委員会、通商産業委員会、農林委員会より、それぞれ本委員会と連合審査会を開きたいとの申入れがありましたので、衆議院規則第六十條によつて、大蔵委員会、通商産業委員会、農林委員会と連合審査会を開きたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なければさよう決定いたします。  なお開会日に関しましては、各委員長と協議の上、決定いたしたいと存じますが、大体十七日、月曜日午前十時から開会いたす予定でありますから、御了承願いたいと思います。明日は恐縮でありますが、午前十時半から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十五分散会