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1950-09-15 第8回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十五日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 西村 直己君       淺香 忠雄君    大上  司君       鹿野 彦吉君    佐久間 徹君       高間 松吉君    田中 啓一君       三宅 則義君    宮腰 喜助君       高田 富之君    竹村奈良一君  委員外出席者         議     員 石原 圓吉君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         大蔵事務官   加治木俊道君         大蔵事務官         (銀行局検査部         長)      山本菊一郎君         大蔵事務官         (国税庁総務部         長)      正示啓次郎君         農林中央金庫理         事長      湯河 元威君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君 九月十三日  委員竹村奈良一君辞任につき、その補欠として  山口武秀君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員山口武秀辞任につき、その補欠として竹  村奈良一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  災害復旧金融に関する件  農林水産金融に関する件  税務行政調査に関する件     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  まず災害復旧金融に関する件を議題といたします。御承知通り先般近畿、四国方面襲つたジエーン台風被害につきましては、関西方面は相当な被害を受け、特に大阪方面被害は甚大でありますので、これら災害区の復旧金融措置等につきましては、大蔵当局より緊急を要するこの問題についての金融措置に対する御説明を承ることにいたします。舟山説明員
  3. 舟山正吉

    舟山説明員 関西地方ジエーン台風被害状況でありますが、最近ようやく資料が集まりつつある次第でございまして、大体これを大きくわけますと公共施設関係被害私企業関係被害とございます。公共施設関係といたしましては、安定本部調べによります被害額の概算は、大阪府百十四億、兵庫県三十一億、和歌山県二十五億、徳島県四十九億、その他九十二億、合計三百十一億円となつております。それから私企業と申しますか、一般産業関係被害状況は、大蔵省の下部機構からの報告によりますと——資料は後刻ここに持つて参りますが、大体水産関係も含めまして、これらの地域におきまして二百五十億から三百億という見当を立てております。そのほかに中小企業関係が二十数億見当に上るのではないかというふうに、見ておる次第でございます。その第一の公共施設関係の方につきましては、国庫から災害補助金も出ますわけでありまして、安定本部におきまして、明細に地域別あるいは各省所管別の計数の整理をしておるわけでございます。これを要しまするに、公共団体において起債によつてこれを復旧する。そうして一定のものにつきましては国庫から補助が出まして、これを埋めるわけでございます。この金融つなぎといたしましては、とりあえず預金部資金から、今年度公共災害補助金つなぎ資金といたしまして、さしあたつて九億七千万円、この内訳は大阪府に五億円、兵庫県に一億五千万円、和歌山県に一億一千万円、徳島県に二億一千万円を融通いたしたのでありますが、なおその増額について、緊急資料整備とともに研究をしておる次第でございます。大体これは国からの補助つなぎ融資意味を有するものでありますが、地方の負担において処置する分につきまして、起債額が決定いたしますれば、即刻預金部資金起債前貸しというような形で融資を行う予定でありまして、その手配を進めておるのでございます。それからここで問題になりますのは、やはり一般民間企業関係災害をいかにして復旧するか、特にこれにどういうふうにして金融をつけるかという問題でございます。大体産業関係をわけて考えなければならないかと思うのでありますが、比較的大規模の企業に対しましては、原則といたしまして市中金融機関融資によることが当然でございます。ただ現在金融機関におきましては、手元資金がきゆうくつなために、これに対していろいろな手を打たなければならぬということを考えておる次第でございます。まずこの災害勃発直後におきます手形決済関係については、日本銀行指導のもとに関係金融機関が集まりまして、その取立てをしばらくの間猶予するという措置をとつたのでございます。そこで今後は、その猶予期限は来週一ぱいということになつておりますが、この期限が参りますれば、別途金融機関の方から手形支拂い等に対しまして、運転資金その他の形の資金融通いたしまして、決済を実行せしめて行く、あるいはなおそれでも決済のできないものにつきましては、しばらくの間その取立てを猶予する措置を講ぜしめるはずでございます。この災害地における復旧資金融通につきましては、現在融資の準則とか、融資準測に基く産業資金優先順位表といつたようなものがあるのでありますが、こういつたものにとらわれませんで、迅速に融資をするということを認めておるのであります。  次に問題となりますのは、やはり市中金融機関において手元が逼迫しておる一方において、預金拂いもどし等もある。こういうことに対してどういうふうに資金めんどうを見るかということでございますが、これにつきましては日本銀行から資金的援助をなさしめる手配が整つておるのでございます。市中銀行から日本銀行にこれらの資金について要求がありますれば、日本銀行からそれを供給する用意ができておるのであります。ただ日本銀行資金だけでは、なかなか資金の潤沢あるいは円滑ということを期し得られませんので、実は預金部資金を使いたいところでございます。預金部資金のこの方面に対する放出、あるいはあとで申します特に中小金融関係に対しまして、預金部資金をぜひ出してもらいたいという要望は、非常に広範囲に熾烈なものがあるのでございますが、御承知通り預金部資金放出につきましては多大な制約がある。そこで私どもは案を立てまして、関係方面折衝を続けておるような次第でございます。  なお災害地の海上及び運送保險金支拂いにつきましては、大体その総額につきましては、十四、五億と推定せられるのでありますが、保險会社の現状からいたしまして、これが支拂いは現金の用意等は十分についておるものと認められるのでございます。なお万が一にもその支拂いが遅れますことのないように、いろいろな便宜を供與したいと考えておるのでございます。それからなお災害地の大企業につきましては、復興金融金庫からの貸付金につきまして、回收を延期してもらいたいという要望もあり、またその必要性も認められますので、具体的の問題について回收計画を再検討いたしたいと考えております。  次に中小企業に対する金融関係でございますが、中小産業損害に対する復旧資金要求額は、大体二十数億円と見込まれるのでございますが、一方自己調達その他の分を除きますれば、大体十四、五億程度は何とかめんどうを見なければならないというふうに考えられるのでございます。これらにつきまして、まずその機構といたしまして、幸いに今回の災害は、金融機関店舗にはさしたるひどい損害はなかつたように見受けられますので、これらの店舗を活用する。特に大銀行につきまして、先般できました中小金融專門店舖、これらを活用して参りたいというふうに考え、これらの銀行を督励いたしておるのでございます。それから組合金融につきましては商工中金を活用する、農林関係融資につきましては、農林中金を活用するという方法で向うのでございますが、商工中金では、さしあたつて二億のわくを設けまして、災害地に対する融通態勢を整えております。  そこでなお問題になりますものは、これらの金融機関に対する資金の供給の関係でございます。これも日本銀行から別わくを出してもらうということを交渉中でございますし、また預金部資金等につきましても、これがこの面に出ることができますように、折衝を続けておる次第でございます。  なおこれらの資金を出すにあたりましては、災害地府県信用保証協会融資ということが必要でございまして、現に府や市におきまして、それぞれの信用保証協会出資増額するという計画が、着々実行されつつあるように聞いているのでございます。この見返り資金中小企業融資の問題につきましても、ひとつこの際わくを拡張してもらいたいという申出をしておるような次第でございます。  それからこの場合に要望せられますことは、預金部資金をこれら金融機関に流すということがその一つでありますが、そのほかに預金部資金公共団体貸付をいたしまして、公共団体から面接羅災者に一人当り幾ら以下というような金額を定めまして、転貸するということが一番望ましいのでございます。申し上げるまでもございませんが、金融機関が貸出しをいたします場合には、保証協会保証でもある場合のほかは、どうしても金融べースに乗つた金融しかできない。これはやむを得ないことでございます。そうしますと、なかなか救済せられない面もあるのでありまして、でき得れば公共団体がその責任において預金部資金を借り、これを地方住民に転貸するという措置が望ましいのでございます。これは福井震災のときにはこの措置が認められたのでございます。その後は預金部資金運用に嚴格な制限が加えられまして、今日ではこれを行うことができないことになつております。今度の災害にかんがみまして、ぜひこれを認めてもらいたいという要請をしておるわけでございます。こういうふうにいたしまして、できるだけの金を流したいと考えておりますが、ただ住宅金融関係につきましては、以上申し上げました融資の対象からは一応除外いたしまして、別途住宅金融公庫等を活用するという方策によりたいと考えておるのでございます。  ごく荒筋を申し上げた次第であります。
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 質疑を許します。三宅則義君。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 今銀行局長が概略の説明をせられたのでありますが、これは前にも関係あることでありますが、この前の小委員会におきまして、有田委員並びに大上委員が質問いたしました大阪信用組合中止命令営業停止、こういうことがありました直後にまた災害があつたと思うのであります。そういうような点を考えまして、中小金融に対しまするあらましというものにつきましては、大阪の方はどうなつておるかということを、もう少しはつきりと説明を願いたいと思いまするが、はたして大上君や有田委員の言いましたところの営業停止に関しましては、今日もはや再開せられたと信ずべきものでありましようか。前途まだ遼遠であると考えておりまするか。その辺の真相をはつきりしてもらいたいと考えます。
  6. 舟山正吉

    舟山説明員 今年度に入りましてから大阪市内営業停止を命じました組合は三つでございます。そのうち二つは損害程度が比較的軽微でございましたので、組合当事者において極力損害補填方法を講じております。それでこの計画ができますれば、当局営業停止を解除する方針でございまして、それもきわめて間近いことであろうと思うのであります。問題は組合側におきまして、欠損の補填計画をお立てくだすつて、これを御相談くださることを待つておる次第でございます。残る一つ組合につきましては、きずも少し大きいので、まだ若干の時間がかかるかと思つております。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はここで大局論を申すようでありますが、銀行営業停止をした場合は、いまだかつて再開したためしがない。しかし信用組合におきましては、地方有力者がやつておりまするからして、必ずしもそうではないと思つておりますが、過去におきまする営業停止をした組合に対して、どのくらい再開を許されたものがありましようか。また許されなかつたということの記録があるはずでありますが、銀行局長はお持ちでありますか。お持ちでありましたならば承りたい。
  8. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまの営業停止組合員に対する関係でございますが、従来営業停止という思い切つた処分は、その発動に非常に大事をとりまして、その金融機関の内容が相当重大な危機に瀕するまでは、なかなか発動しなかつたのでございます。そこで過去の例をとりますと、営業停止を発令いたしました金融機関は、ほとんど再起が不可能であるという場合が、ほとんど全部を占めておつたのであります。しかしこれからの考え方といたしまして、それでは金融機関を救うゆえんにはなるまい。場合によりましてはきずがそんなに深くない、致命傷になつておらぬ場合におきましても、その金融機関を救済する意味におきまして、再起を可能ならしめる意味におきまして、業務停止早目——と申しましてもこれは軽卒にするわけではございませんが、その状態に応じまして、もう再起が不能になるという少し前にこれを発令いたしまして、整備計画を立てさす。従つてこれからほそれらの金融機関再起ができて行くというものが、相当出て来るだろうと思います。また金融機関をつぶすのが業務停止を命ずる趣旨ではございませんので、そういうふうに運用して参りたいと考えております。     —————————————
  9. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの災害地金融については、なお質疑はあとまわしといたしまして、今農林中央金庫理事長湯河さんがお見えになつておりますので、この方面の問題を議題といたすことにいたします。農林中央金庫の最近の金融情勢等につきまして、湯河理事長よりの説明を聽取することにいたします。
  10. 湯河元威

    湯河説明員 私は農林中央金庫理事長をいたしております湯河でございます。この機会に農林中央金庫を初め、農業協同組合水産業協同組合等組合金融の事情が非常に困難をきわめておりますので、よく御説明を申し上げ、またいろいろ御指導、御叱正にあずかりたい、かように存ずる次第でございます。  御案内のように農林中央金庫は、農林水産業の主として協同組合出資者といたしまする金融機関でございます。これらの農林水産業協同組合に対する金融取引を持つておるのでございます。その全体を見渡しますと、農業協同組合関係が相当大きな部分を占めております。資本金にいたしてみましても、二十八億円の資本金のうち、政府優先出資が二十億円ございます。残る八億円が農林水産業協同組合出資でございますが、八億円のうち六億円は、農業協同組合出資なつておるわけでございます。また預金にいたしましても、ほとんど大部分農業協同組合の系統の預金なつておる次第でございまして、大体七月末で百七十億くらいございますが、その預金のうち農業協同組合預金が百四十三億というふうなウエートを占めておるのでございます。貸付におきましても従つて同様でございまして、農業協同組合貸付が大体総貸付金三百二十億のうち、農業関係が三百四十億というふうなウエートを占めておるのであります。さような状態でございますので、農業経済のありさまが、農林中央金庫運営の上に非常に大きく反映して来ておるのでございます。農業関係は御案内通りに終戰後若干の期間は、まだインフレ的な様相を呈しておりまして、二十二年以降漸次苦しくなつて参りました。そうして従来は資金蓄積増大の一途をたどつておりましたものが、二十二年ごろより季節的な変動が現われて参りまして、農業資金蓄積は秋には非常に多くなりまするが、それが春先になりますると、あるいは税金であるとか、あるいは肥料その他の営農資金の手当であるとかいうことの必要から、預金も減つて参ります。従いましてまた不足地帶には貸付が大きく出るかということが問題になつて参りまして、春先資金が非常に忙しくなる。秋に非常に資金が緩慢になるという姿、この季節的な姿が顯著に現われて参りまして、その極各地方農村におきましては、農業協同組合において組合員の貯金の拂いもどしに円滑を欠くというふうな事態も、現われて来たような姿でございます。もとより農林中央金庫自身におきましては、別に預金拂いもどしに苦しむということはないわけでございまして、各県の信連等がその預かつておりまする預金を單協に拂いもどす。その拂いもどしに円滑を欠きますときは、われわれといたしましては、その信連に対しては貸付をするというふうな必要に、大分迫られて来るような事態でございまして、さようにいたしまして春先と秋口とに非常に大きな金融上の変動が起ります。さらにこれが地域的に申しますると、関西方面以西は大体において資金蓄積の多い地方でございまして、関東以北特に單作地帶等資金蓄積に乏しく、春先等は資金需要が非常に高く現われておりまして、関西地方におきましては、その時期といえども比較的問題がないという地域的な姿が現われて来ております。なおただいまもお話のございましたような災害地方的に起りますと、農村経済が相当打撃を受けまして、そのために金融上にも非常に御要請が殺到するというふうなことは、これは時々ございます。ことに最近のように災害がときどき大きく現われて参りますと、その情勢が顯著になります。これはひとり農業関係ばかりではございません。特に水産業関係におきましては、漁村のあるいは舟であるとかあるいは網であるとかいうものが流されたりなどいたしますると、相当その地方方々はお困りになります。これらに対しましても、できるだけの御協力をしなければならぬというふうな気持でやつておるのでございます。ごく概略申し上げまするとさような次第でございまして、二十一年ごろまでは資金はきわめて潤沢であり、農山漁村において金融資金を必要とするというふうな声もございませんでしたが、その後におきましては、農山漁村経済が漸次下り坂になるとともに、特に春先東北地方等において緊切なる資金需要が起り、全体の資金蓄積必ずしも十分でございませんときにおきましては、往々にして資金運用金融運営に円滑を欠くということがございまして、農山漁村方々に少からざる御迷惑をかけておりますことは、日ごろわれわれとしてまことに相済まぬことと存じておる点でございます。これは組合金融というものが、組合蓄積をもつて運営をはかるということにいたしておりまする限り、特に農業協同組合は農民だけでつくつているというふうなことからいたしまして、その関係が一層ひどく現われて参りましたことは、一般銀行一般大衆を相手として預金を吸收し、各般の企業貸付をしておるのとよほど情勢が違つておるということも、御理解いただきたいと思うのであります。また農家におきましては、主要食糧供出ということがございまして、供出が秋なら秋に集中するということ、これがまた秋口資金蓄積をいたずらに大きくするという結果になつております。これが自由経済のように農家がそれぞれ米麦等を收穫いたしました後に、逐次売つて参ります姿でございますれば、秋口蓄積がいたずらに大きくなるというようなことがなく、また春先農家がその米を持つておりますれば、それを売つて漸次資金需要を満たすというようなこともございますが、今日の食糧管理供出制度のもとにおきましてはそういうことがなく、この点からまた非常にどぎつく現われているわけであります。さようなことで実は協同組合を中心といたしまする金融組織とし、資金運営に悩むのでありますが、これをいかにして切拔けて行くかということは、一面におきましてはわれわれも日本銀行との取引を持つておりますので、日本銀行から許されまする借入金をわれわれとしては用いまして、この春先等の資金需要を満たすということをいたします。また他面におきましては、食糧供出代金支拂い業務が、われわれ農林中央金庫の役割になつているのでございます。それで政府の方におきましても、食糧管理特別会計より食糧代金全国各地供出農家方々にまんべんなくお支拂いになるためには、若干前広われわれの組織代金を仮渡ししてお置きにならなければならないという事態がございますので、われわれはその性質の前渡金を非常に貴重なものといたしまして、それをもちましてことに春先等の資金のきゆうくつなときには、それをぬかりなく利用することによりまして、資金不足をまかなうということをいたして来たのでございます。ところでこれらの日本銀行借入金あるいは政府供出食糧代金前渡金等をわれわれが利用いたしますということは、これは組合金融あるいは金融業務それ自身態勢といたしましても、必ずしも適当ではないのでございまして、組合金融といたしましては、自己蓄積をもつてできるだけ他人のお世話にならないで、自分たち資金需要を満たすというふうにいたさなければならないのでございまして、組合連合会ないしは農林中央金庫資本金の充実、あるいは預金増大ということに極力努力をいたしまして、これをもちまして有無相通をはかつて参るということを、われわれとして心がけねばならぬということが基本でございます。われわれまだその努力が不十分でございまして、また今日の農業協同組合の実勢におきましては、いろいろとそれに故障もございまして十分に参つておりません。そのために心ならずも日本銀行借入金あるいは食糧代金前渡金等を、われわれとしてはたよりにせざるを得ずという悩みを持つているわけでございます。この点はさようなことをいたしますると、一般金融機関も同様でございまするが、日本銀行あるいは特別会計等制肘を受けるということがございまして、金融自主性を害することおびただしいという点につきまして、適当でないというふうに思われます。そこでわれわれといたしましては、何とかしてこの農林金融自主性を確立したいということを念願いたしておりましたが、あたかも他方におきまして、農林水産業復旧または復興のために長期投資が必要である、長期資金の導入が必要であるということからいたしまして、過去においてもいろいろ国会皆様方の御指導、御援助のもとに、あるいは暫定措置を講じ、あるいは日本銀行のマーケツト・オペレーシヨンを利用し、その他の措置もとりましたけれども、究極におきましてはこれで農林中央金庫資本金増額、それから農林債券の円滑なる運用によるべきであるということに結論が到達いたしまして、実は昨年の暮れの国会には、その趣旨に基きまする法律の御改正をお願いをいたしておりましたのでございますが、その法律につきましては、遺憾ながらGHQの了解を得る段階に至りませんで、不成立に終りましたのでございます。しかし他面におきまして銀行等債券発行等に関する法律の制定を見まして、また見返り資金特別会計予算におきましても、金融機関に対する優先出資をする計画をお持ちでございましたので、われわれといたしましては遅ればせに、何とかして農林中金にもその債券発行基礎を與えていただきたい、基礎を大きくしていただきたいという気持持ちまして、優先出資要請をいたしました。いろいろ紆余曲折もございましたが、本年六月政府から二十億の優先出資をいただき、また組合関係者もその当時において四億円の自己増資をいたしました。そうして現在では資本金は二十八億円となりました。これの二十倍から預金等を差引きまして、債券発行限度が残るのでございますが、約二百億の限度が残ることでございます。六月以来毎月農林債券発行いたしております。この農林債券農林中央金庫信用基礎といたしまして、外部より債券の形式をもつて資金を導入するのでございますから、日本銀行あるいは食糧管理特別会計等資金をわれわれが利用すると申しますか、それを運用することよりも、より自主的な金融的な態度であるというふうに存じております。さりながら農林債券発行ということは、私たちにとりましてはなれない仕事でございまして、なかなかいろいろとむずかしい問題ではございますが、今日まで六月、七月、八月と約二十億、月五億—六月は十億でございましたが、毎月五億の債券発行をいたしておりまして、これによりまして食糧代金等のやつかいにならない、またできれば将来日本銀行のやつかいにならないで、組合金融資金不足はこれによつて満たして行く態勢をとりたいと、考えておるような次第でございます。  それでわれわれといたしましては、さような全体的の態勢にあるのでございますが、先ほど申し上げましたように、今日はもうすでに秋口となりまして、大体上半期の資金繁忙期はすでに過ぎ去りまして、今や資金の本格的蓄積を前に控えております段階でございますので、気分の上におきましては若干楽な気持なつて来ておるようなわけでございます。さしあたつてはただいま御審議のございました各地の災害に対しまして、いかに対処すべきかという問題や、またさしあたつてはごく最近肥料配給公団の廃止に伴いまして、農家の肥料購入の金融にわれわれはいかに協力すべきか等の問題は、多々あるわけでございますが、しかし春先のごとく資金不足する、あるいは末端の農業協同組合でも、預金拂いもどしに悩むというふうなことが全般的に見えるような姿は、今日はなくなつて来たのでございます。しかしこれは事態が基本的に改善されたわけではなく、先ほど申し上げましたわずかな季節的の変化でございますので、一応潮が引いたときに出た岩が、潮が満ちて来ると隠れるというようなわけでありまして、岩自身は残つているということについては、われわれは決して注意をそらせることができない次第でございます。その内容といたしましては、結局先ほど来申し上げました農業協同組合またその連合会、これが中央金庫あるいは組合金融農林水産金融の中に占める地位が高いのでございますが、この協同組合のあり方それ自身が、皆さん方も御案内のことだと存じますが、必ずしも適当でないということからいたしまして、金融的にもいろいろと障害を来しておるわけでございます。これは何と申しましても従来の農業会がよかつたというわけではございませんが、農業会を解体して新しく協同組合をつくりましたときに、指導的にもあるいは自発的にも、組合関係者の思慮の足りなかつた点があつたのじやないか。特にそれは解体設立が農村の景気のいいときに行われましたので、割合楽な気持でやつた。自由だ自由だということから、かなりむちやなこともやつたというふうなこともあつたかと思います。それがほど遠からぬうちに、非常に農村経済がきゆうくつなつて参りまして、いまさらのごとくにそれが悔まれておるということではないかと存じます。ことに新しく生れました協同組合の経営者は、十分に熟練した人がのいたあとに、必ずしも適当な経営者を得なかつたということからいたしまして、またインフレ時代のなごりの残つているときに、かなりむちやな経営もあつたかと存ぜられるのでありまして、それらのことからいたしまして、組合または連合会の財政状態、経理状態というものは、必ずしも適当でないものがなかなか多いのでございます。これらの点が先ほど申し上げましたように、春先等になりますと非常に痛くうずんで来るということで、貯拂いもできないというふうなことが繰返されておつたかと存じます。われわれといたしましては、まことにこのことは農民の方にもまた世間一般にも、相済まぬことだと存じております。この春以来協同組合態勢をいかにかして確立いたしたいと存じまして、これは本来から申しますれば協同組合全体の問題でございますし、また農業経済全体の問題でございまして、ひとり金融機関のみではいかんともできない問題ではございますが、しかし金融的見地においても、何ものかなすべきことがあるのではないかということからいたしまして、政府当局ともよく御相談をいたし、また組合関係者としみじみ相談をいたしまして、中央地方農業協同組合経営対策協議会というものを設けまして、地方におきましては一つ一つ行き詰まつた組合の再建更生に、手をとるように助力するということをいたし、中央におきましてはその全体の調子を合せるように、いろいろと考えるというふうな措置をとつてつております。この春貯拂いの困つたときにどうするかということについて、いろいろと各方面方々の御協力を得て方針を立て、またその後系統購買事業が非常に行き詰まりましたときに、系統購買事業をいかに確立すべきか、特に肥料配給公団がなくなりました後の肥料の取扱いを、系統購買事業としていかになすべきかということにつきまして、主として金融的見地より問題を考えて、さらに今日では組合の体制確立のためにいかにすべきかというようなことも考え、また近くはこの秋に主要食糧代金等が蓄積されまして、農家経済的な実力がつくときでありますから、この時を利用いたしまして、来春はことしの春のようなみじめな貯拂い停止等の起らないようにするにはどうしたらいいか。それは結局資金のあるときにむだ使いせずして、その資金計画的に蓄積する。たとえば納税貯金であるとか、あるいは学校に子弟を送るための教育貯金であるとか、あるいは肥料の購入の貯金であるとかいうふうに、かくそれぞれの資金需要が将来測定されるのでございますから、それに即応するように一年にまたとないこの機会において、資地の蓄積計画的にやつて従つてその資金運用計画的にするというふうな資金計画化の運動を進めたいというような気持も、またこの経営対策協議会で考えておりますような次第でございます。それとともにさような指導面においての問題もございますが、他面におきまして、現在各地方農業関係方々がひとしく仰せられておりまするのは、在来の農業会の解散後の資産を新しい協同組合が引継いだその引継ぎ資産が、非常に新しい協同組合運営上、ことに信用事業の運営上の重圧になつておる。これを何とかしたいというお考えがあり、また先ほども一旦触れました購買事業その他組合事業の経営上の赤字等が出ております。これが組合運営上非常にまずくなつて来ておりますものを、何とかして長い間かかつてでも償却するような再建的な措置をとるために、必要な資金の供給を何とかしてくれないかというような話もございますので、これらの点につきまして、実はまことに事態はごもつともでいらつしやいますが、さてそれを農林中央金庫がいかに処理するかということにつきましては、われわれとしても組合の系統の大切な預金をお預かりしております者といたしまして、それをむざむざ償還の見通しもないところに運用することもできませんので、これらの点につきましては十分気をつけつつ、しかしてわれわれとしてできる限りにおいては、農業会の引継ぎ資金あるいはそれらの組合再建に必要な資金の供給も、できればいたしたいという気持を持つております。     〔委員長退席、西村(直)委員長代理着席〕 究極におきまして、これらの点は生産的な、農業の生産を上げるために必要な資金というよりも、むしろ過去の跡始末をするための資金でございまして、それとともによほど低金利でなければいかぬという実体がおありのために、農林中央金庫の持つております資金をお使いになるのでは、どうもうまくないという点もおありのようでございます。われわれの方といたしましてはその点自体困つたことだが、もしも政府が利子補給等のことを考えてくださるならば、それも一つじやないかと思います。われわれの方といたしましては、組合がはたして再建し、あるいは健全に運営されて行き、そうしてもしも御融通した資金の将来について不安がないという見通しがつけば、われわれの方の資金でよければひとつお使いいただきたいという意味をもちまして、われわれはすでに過去におきまして、この六月の末におきまして農林中央金庫運営委員会におきましても、とりあえず本年度十億円くらいの資金は、農業会資産の引継ぎ資金として出す計画を持つておるということを申し上げたのでございます。爾来各地方の県農業会の清算の進行に伴いまして、従来は大体において地方信連がこのおせわを見ております。それで片づいて来たものもございますが、今後はわれわれの方から何か御援助をしなければならぬ必要もあろうかと思つております。それは期待をしておるわけでございますが問題としてお互いに困つておりますことは、何としてもこれらの整理のためには、低金利の資金でなければならぬということだと思います。この点につきましては、政府当局においても大事な問題でございますから、何とかお考えいただきたいというので、予算上の御援助をいただくようなことを要請し、また政府の方においてもそれを御計画いただいておるやに承つております。  なお協同組合問題につきましては、農業協同組合法の改正を過般の国会で御決定になりました。その施行が政令公布ということになつておりますが、これが出ません。ことに組合の財務確立の基準をお示しになる政府原案がまだ出ておりません。それらの点はわれわれとして政府当局に対しまして、ぜひ早くお出しいただくことをお願いしたいと申し上げておるような次第でございます。  それから農林中央金庫のことについても、ごく簡單に申し上げますが、実はこの春、五月でございましたか、皆様方のお目にもとまつたかと存じますが、一部新聞紙が農林中央金庫の内容が非常に悪化しておるということを報道されました。われわれとして非常に大きな迷惑を受けたのでございます。当時政府当局も、日銀の当局もいろいろと心配をしていただき、また協同組合関係者はよく事態について冷静な態度をとつていただき、われわれもその間に処しまして種々苦心をいたしまして、大体故障なく過すことができたのでございます。その後われわれといたしましては、先ほど来申し上げました増資をいたしまして、また農林債券を逐次発行して参りまして、これによりまして従来ともすれば農林中央金庫の資産が不健全だ、と申しますのは短期の資金をもつて、ともすれば長期化する資産をまかなうというふうなことがございました。この資産構成を直すことができるようになりました。それとともにまたその前後を通じまして農林中央金庫の経営上非常に大きな問題でありました戰時中以来の低利国債、これが約百二、三十億ございますが、これの約半分を最近売却することができましたので、これらの点からいたしまして收支の改善も漸次できるようになりました。そういうことで最近におきましては、農林中金の実質は漸次改善を見て来ておりますので、今後の問題といたしましては、いろいろと地方の御要請もございますし、われわれの今後の問題としては再建等もございますが、今政府の方で御計画なつておられる農林漁業金融公庫、これらの措置がもしできますならば、農林中央金庫のみが今ひとり苦しんでおりまするこの事態に対する、非常によき解決ではないかというふうに存じておる次第でございます。あるいは抽象的でお気に召さなかつたかもしれませんが、あとは御質問によつて申し上げます。
  11. 淺香忠雄

    ○淺香委員 議事進行について——今回はからずも近畿地方を襲いました台風の被害につきましては、各位にはすでに新聞紙上その他において御承知いたされておると思うのでありますが、昭和九年に近畿地方を襲いました台風のことを思いますと、今回の台風はさらに昭和九年の台風よりも……。
  12. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 ちよつとその問題はあとで触れたいと思いますから、先にただいまの農林水産金融に関する事柄を承りたい。
  13. 淺香忠雄

    ○淺香委員 そのことについて私は被害地出身議員の一人といたしまして、これに関連したことについて当委員会を初めといたしまして、当局がいろいろと御配慮を賜わつておりますことを、出身議員一同にかわりましてあつくお礼を申し上げる次第であります。つきましてはただいま農林中央金庫湯河理事長から中央金庫の各般の情勢につきまして、あるいはまた運営方針などにつきまして、詳細承つたのでありますが、今度の近畿を襲いました台風に関する農村漁村に対するところの緊急的な金融面につきましては、ほとんど触れておられなかつたように思いまして、まことに遺憾に存ずる一人であります。ただいま委員長から御注意がありまして、あとでという話でありましたが、あとになりましてもけつこうでありますが、さらにこの台風に伴うところの農村並びに漁村に対して、農林金庫の湯河理事長はいかにお考えか。また緊急なこの金融処置についてはどうしたことを取上げるかということにつきまして、いま少しく具体的にお話を承りたいと思います。
  14. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 淺香君の御質問に対しましては、後ほど災害復旧に対する金融緊急措置に関する件として大きな問題でありますので、別にこれを取上げたいと思います。ただいままでの湯河理事長農林水産金融に関する件についての御質問を許します。夏堀源三郎君。
  15. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 農林中央金庫運営につきましては、国民は二十億の見返り資金によるところの増資、民間から四億、二十四億円の増資によつてどういう程度金融措置を講ずるかということについて、非常に大きな期待を持つておつたはずであります。しかるに開けてみますると、その期待は大きくはずれて、私は一部分しかまだ調査しておりませんけれども、ほとんど増資後のいわゆる金融措置というものをどこにも見ることができないのであります。これは非常に遺憾なことではありまするけれども、私はむしろ湯河理事長に対して同情をもつて、この面に対しては御協力申し上げたいという意味でかねがね考えておつたのであります。なぜ増資後の金融措置はできないのであるか。それは受入れ態勢ができないということははつきりしております。受入れ態勢がいつできるのか。これはおそらくこのような状態が続く限り、私は何十年たつたとて、この受入れ態勢はできようはずもないと考えております。またこのままで金融をせよと言つたところで、それはむりなことでありまするので、私どもは国会としてこの問題を大きく取上げて、御協力申し上げる意味において、そうして農漁村金融を軌道に乗せるために、私は次の質問をいたしたいと存じます。  まず先ほど御説明になりました増資によつて金融債は認められたのでありまするが、大体一箇月に四億ということであります。本年は大体六十億という見当になりましよう。まずこれは金融機関において順調に引受けることができるかどうかという見通しをひとつ承りたい。私の調査したところによりますると、これは農金ばかりでなく、これからの金融界全体の金詰まりのために、それは容易ではないということを聞いておりますので、この点は農金においてはどういうような御見当を持つておられるかということであります。なお一番大きな問題として取上げたいことは、金融がなぜできないかと申しますると、今申し上げたように受入れ態勢ができないからである。旧農業会、水産業会の資産の譲渡によつて、非常に苦しい立場に追い込まれておる。これは当然であり、インフレ当時、そして今デフレになつて、この資産状態は大きく変化しておりまするので、これも当然なことであると思うのであります。こうした根本の考え方、どういう方法でこの結末をつけるかということで、この経理方法は非常にむずかしいことであつて、その結末のつかぬうちは金融はできないということであれば、即急にこの方法の結末をつけなければならぬ。これに対する何か対策をお持ちなつておるかどうか。もしこの対策ができれば、この整理は非常に順調に進むことであると思いますので、まずこの二点をお伺いいたします。
  16. 湯河元威

    湯河説明員 ただいまお話のございました農林債券の引受見通しにつきましては、実は今お話のように、われわれも将来のことについては非常に心を痛めておるのでございます。金融界の情勢いかんによりまして、これがもし消化ができぬということになりますると、非常にわれわれは困るのでございます。この点につきましては別種の困難はおありかと存じますが、預金部資金による農林債券の引受ということは、これがむずかしいということは聞いておりまするが、しかし絶対不可能なわけではないことだと存ずるのでございます。これをわれわれとして実現することによつて一般金融界の引受いかんにかかわらず、地方資金蓄積地方に還元することもでき、また比較的低利の資金を導入することができるのではないかということを、期待いたしておるような次第であります。それができませんうちは、いろいろと困難を冒しましても、何とかして金融債の消化に努めたいと考えております。もう一つ見返り資金というものがございまする限り、見返り資金で引受けていただくということも、可能ではないかというふうに考えております。これら預金部資金といい見返り資金といい、いずれも政府の御所管でございまして、金融機関の者だけで処置はつかないのでございますが、もしも国会の有力な方々の御指導がございますれば、われわれとしてもぜひ実現さしていただきたいと考えております。  第二に農業会または水産業会の資産の譲渡、これが中には相当水ぶくれ資産もございまして、引受けることになりまする協同組合の経営上に、非常に大きな圧迫になるということは事実でございます。しかしさればというて、それを切り離し、つまり元の農業会あるいは水産業会はそのままほつておくということも、自体許されませんわけでございます、実は私たち農林中央金庫は、各府県及び全国の農業会の清算人に指名されたのでございまして、現在まで清算はいろいろ困難を冒しながら大体進んで来ております。まあ新しい協同組合にできるだけ必要なものは引取らせ、また不安なものはできるだけ高く売却して、そうして清算をバランスさすようにいたしたいと考えております。しかしその引取るものが農業協同組合なり、水産業協同組合にとつては大きな負担になります。この負担を引受けては、新しい協同組合運営に苦しむということもわれわれとしてはわかります。われわれとしては将来の予測において、できるだけ長い間にでも償却するというふうな計画を立て、その上で引取るというふうに指導して行つておるわけであります。なおその譲渡資金につきましては、先ほど申し上げましたように、何かここに特別の御処置がないと、中金だけの力では、また中金の提供する資金では、御不満ではないかというふうに考えております。
  17. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ただいまの御答弁で預金部資金に期待を持つているということであります。私もそのようなことを考えて、実は最近二、三回司令部の方へ参つて金融債を通じて今後の預金部資金の活用をこうしてやつてもらいたいということを、懇請しておるわけであります。それは意見は一致しておりまするので、議会はこの問題を取上げてやつております。  なお第二点は、抽象的で何やらかにやらちよつとわかりませんが、具体的に申し上げて、その資産内容が非常に悪いということであります。そうしてこれを売り拂おうとしたところで、買い人はないじやないかということで、もしこれを処分したあかつきには、恐るべき赤字を生ずるであろうということであります。しかしそうした場合でも、これを敢然として赤字を赤字として整理して、軌道に乗せる勇気があるかどうか。これはやはりある程度湯河理事長の決断力によつて断行しなければならぬのじやないか、こう私は考えておりますが、最近民主政治になり民主経済なつてから、すべて政治をおいての事業は、特に経済面は私は成立するものではないと考えております。たとえばあなたの方への一億円の見返り資金の増資、これも政治的に持つてつて援助申し上げたことであるということは明らかであります。私最近北海道の方へまわつて、私の担当した部分の北海道と青森県を調査して参りましたが、私は湯河理事長とは懇意な仲であると考えております。そこで誠心誠意御協力申し上げたいという意味で、この見返り資金なり、あるいは預金部資金なりを大きく動かして、政治的にこの農協のあり方を軌道に、乗せたいという考えから、公聽会を開きましていろいろ意見を徴したのであります。しかるに北海道は——きようは宮腰君は参りませんが、宮腰君と一緒に参つたのでありますが、どちらに参つても、農金支所に対しては非常に不満な声が強かつた。これは一体どうしたものであろうか。結局一方は受入れ態勢ができないから貸せないのだということである。しかしどうにもならないからひとつ援助してもらいたいということの食い違いであるのかどうか。そればかりでなく、私の考えでは人の問題も大分不愉快な問題を起した原因になつておるのではないだろうか。こう考えられて来たのであります。青森県でもやはり公聽会を開きましたが、そうしたような私の構想から、農協の現在の建直しをする、こう持つて行きたいというあいさつを述べて、そうして私は質問の形で支部長に対して、一体最近の金融状態はどうか。——これには答えませんでした。よつて私は百万円か、一千万円か、一億円か、それくらいの見当は持つているでしよう。——これも知りませんと言いました。資料を出してもらいたいと言いましたところ、これも出しません。いまだに出ておりません。そうしてこのことについてどういうことであろうか、こう聞きました。私はそこでこの県協及び各組合間を調査いたしましたところが、農金は政治的に、あるいは政府、政治家の介在を許さないのだとか、漁業協同組合長、農業協同組合長をいわゆる奴隷扱いをして、お前は来るなとか、またお前は組合長をやめろとか、そういう極端な言辞を弄しているということを、私は責任のある人から聞いております。これは恐るべき事態である。政府がせつかく協力しようと思つても、その当事者がこれを拒否するような態度では困つた問題でないか、こう私は痛感した次第であります。事業はすべて人が行うことであつて、その人の当を得なければすべてこういう事態が起きるのであつて、これでは農金はいつまでたつても、これを軌道に乗せることは困難じやないかという感じを深くしたのであります。それはそれとして全体の、全国の農金がそういうあり方であるかどうかということは、まだ私は全体の調査はいたしておりませんので、はつきり申し上げることはできないのでありますけれども、あの広い北海道、そうして青森県に来てそうしたことを聞きましたときに、北海道の組合の人たちの言つたことは、青森県においてこれを裏づけしたことである、こう考えた次第であります。全体の農金の建直しについては、これは非常に困難なことであつて湯河理事長は非常に御活動になり、御熱心に運営なさつておるのでありますけれども、これを軌道に乗せるということは、湯河理事長お一人の力ではとうてい不可能であると私は考えております どうしても議会と政府の協力を得なければできない問題である。もしそういうようなことが困難であるのかどうか御存じであるならば、それを受入れるすべての態勢を、あなたがお持ちにならなければならないはずである。何か議会で呼びかけた際に、これに対する反撃的な態勢をもつて、挑戰的な態勢をもつて出て来るということは、議会を軽視するものであると私は考えております。こうした問題に対して、私としては、これはどういう方向によつて調査を進めたらいいかを苦慮しております。一応きようは全体の問題としてこれを取上げて、あとで資料要求はいたしますけれども、真に私どもとしては惠まれざる原始産業の農業、漁業の多数の国民を、何か金融措置において救済しなければならぬ場合に立至つて来た。與党も野党もこの農業の救済問題に対してはすでに深く決意をして、政策の中にこれを織り込んでおることは、御承知通りであると存じます。しかしこれを受入れする態勢は、先ほど申し上げたように冷淡であつてはならないと私は考えまするので、まず大きな根本問題に触れて、湯河理事長にお伺いするのでありますが、この問題に対してどういうようなお感じを持つておりますか。一応御答弁を願いたいと思います。
  18. 湯河元威

    湯河説明員 ただいま夏堀さんのお話を承りまして、きわめて大事な問題だと思いますが、その前にただいま承りましたような北海道あるいは青森県におきまするそういう事態は、私の毛頭期待しないところであります。私は中金が経済的になおお役に立たない面がたくさんあるけれども、気持の上においては何とかして足らずなりにも、農山漁村の人々のお役に少しでも立つようにということを念願しておるのでございますから、そういう私の気持からいたしますと、ただいま承りましたような事態は、まことに不本意なことでございます。われわれといたしましても、今後十分事態を取調べもいたしまするし、またわれわれの多数の使用人の執務態勢なり、あるいは農山漁村方々に対する態度なりにつきましても、十分この上とも気をつけて参りたい、かように考えておることを申し添えておきます。そうして今日の金融機関、特に農林中央金庫が当面しておりまする事態は、まことに苦しい事態でございますが、これは一つ金融機関が、ただその経営上苦しいということだけで済むことでございますれば、これはむしろ政治の問題でもないと思いますし、行政の問題でもないと思うのでございますが、中金の苦しいと申しますことは、中金自身が苦しということよりも、中金の活動が適切に行かないために、日本の農村漁村経済が思わしく行かないということなのでございます。問題は農村漁村農林水産経済をよくするために、中金は使命を持つておるわけでございます。その使命の達成ができないことを悩んでおるのでございますから、われわれといたしましては、この農村漁村経済農林、水産業の経済をよくするためには、いかなる方向からでも御協力をいただきたいと思つておるのでございまして、政府に対しましても私はお願いもし、苦言も呈するものでございます。また国会方々に対しましてお願いもし、また何か気づきを申し上げる機会がございますれば申し上げて、何とかしていただきたいというふうに私は念願しておるものでございます。決して金融業務それ自身の、財政なりあるいは行政なり政治なりとの紛淆ということを、私はいいというわけではございません。それはむしろ金融の自主的な立場においては別でございましようけれども、われわれが念願いたしておりまするところは、農林水産業経済のためにどうしたらいいかということでございまして、またわれわれの力の足りないところにおきましては、あらゆる方面の御協力を得て、達成させていただきたいと思つておりますので、これでも私は国会というものに対しては、理解を持つておるつもりでございます。決して国会を軽視する等の気持はございません。私は機会があれば皆様方に押しかけても、農林水産金融の窮状なり問題なりを申し上げて御批判をいただき、またそれならばこうしたらという御指導なり、いろいろ御協力をいただきたいという気持でございます。私はさように思つておりますが、多数の使用人もございます。その中にもしも私の申し上げたことに違う者がございますれば、それは私の監督の行き届かないところでございますので、私はそれに対しては、私としての考えはございます。
  19. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 湯河理事長が今お話になつたことによつて、あなたがそういう気分ではないということははつきりわかりました。けれどもあなたの部下の地方の責任者は、今私の言つた通り、農中の支所長が言うことは、被告として裁判所の検事の論告を聞きに行くようなものだという悲鳴をあげていることを御記憶願いたい。もし私の言うことがうそであつたならば、私の調査したのは青森のたつた二箇所でありますから、そこに行つて、県庁に行つて、特に青森の県知事、副知事及び関係の部長、組合長を呼んでお聞きになれば、はつきりそのことがわかると私は確信いたしております。私はいいかげんなことは申しておりません。あなたのお考えの通り支所長及び部長はやつておりませんので、ちようど湯河理事長の気分、支所長及び係員の気分と各組合長の気分、この三者が全部分離しているのだ。いわゆるわかれわかれになつているのだ。こうした態勢は、先ほど私が申し上げたような非常に困難な農中の経理の建直し、そうして日本の惠まれざる原始産業を軌道に乗せるための態勢としては、はなはだ遺憾であると思いますので、私どもはこれから連続してまずこの態勢をつくり、そうして国として、議会として、あらゆる方面からあなたの御事業に対して御協力を申し上げる意味において、この問題を取上げたのでありますので、その意味において、これからでもあらゆる方面から、どうしてもこの日本の農業のあり方を明確にし、軌道に乘せるため、あなたの御決意を促したい、こう思う次第であります。  なお質問者もたくさんあるようですから、私は最後にこの点の希望を申し上げまして、そうして今後あらゆる機会に懇談会その他の形において、協力態勢を議会においてもつくり、一日も早く農中のあり方を明確にして、そうして救農とか興農とかいうこの課題を大きく取上げて、結末をつけなければならぬと考えるのであります。どうぞ今後ともに議会のあり方の協力態勢に対して、地方の支所長の今申し上げたようなことは、それはわれわれと協力を打切るという態勢であることははつきりしておりますので、この点も何かの形において、この態勢を確立することを希望して、私の質問を終ります。     〔西村(直)委員長代理退席、委員長着席〕
  20. 竹村奈良一

    ○竹村委員 ただいまの説明を聞いておりますと、二十五年の七月の金高等を承つたのでありますが、これはあまり数字的に詳しいことをお伺いしてもどうかと思いますが、大体二十三年度の七月、あるいは二十四年度の七月、そうして今の二十五年の七月と比較しますならば、われわれの考えでは相当預金は減つておる、こういうふうに考えるのですが、この減りぐあいを大体でけつこうでございますから、おわかりになりましたならばその点をお聞かせ願いたいこと、もう一つは、農業手形の利用高は毎年ふえておると私は考えるのでございますが、数字でなくても大体の見当でけつこうですから、このふえておるパーセント等をお知らせ願いたい。ということは、私は大体農業協同組合等の預金の漸減しているところの現状というものは、單に貯蓄奨励とか、そういうものでは解決しない段階になつておる。問題の中心点はやはり今日の農政にある、こういうふうに考えておりますので、そういう点を確かめたいために質問をするわけでございますが、大体でけつこうですから、わかればお知らせ願いたい。
  21. 湯河元威

    湯河説明員 預金関係は二十四年度の数字がちよつとございませんが、二十三年の七月と二十五年の七月とを比較いたしますと、今日は農林中央金庫預金におきましては、大体七十億くらいふえております。でございますから、農林中金預金というものは漸次やはりふえて来ております。二十三年度に比較しますとそういうことが言えます。それから協同組合の方の預金は、二十三年の七月が大体四百七十億くらい、それから二十五年の七月は千三十億でございます。このくらいふえて来ております。それから農手の関係についての御質疑でございましたが、農業手形はこれは二十三年がたしか二十四、五億円と思います。それから二十四年が百五十億くらいと思います。本年は大体百五十億になるかならぬ、かように思つております。
  22. 竹村奈良一

    ○竹村委員 大体承りましても、こういうふうに農業手形が非常にふえておるというような点からも、農村は金詰まりになつておるということがはつきりして参るわけであります。そこでせんだつてこの委員会において大蔵大臣に伺いますと、大体農村では肥料資金は農業手形によつて行える、こういう答弁をされたわけでありますが、しかしそれだけでは現在肥料の購入にはさしつかえができておる、こういうふうに私は考えるわけであります。たとえば農業手形を利用でき得るものは、供出し得る農家でありまして、それ以外の飯米農家はおそらく購入資金を持たないのであります。従つて東北地方の單作地帶に参りますと、最近は肥料購入のために娘を売つたというような昔さながらのうわさが出ておるわけであります。またその事実も二、三上つておるわけであります。こういう問題に対しまして、一応農村金融をあずかつておる農林中金といたしましては、政府に対してこういう現実を打開するためにどういう交渉をされたか。あるいはまた全然放置されておるのか。もし政府で話し合つて、これの緩和策を要望されておるのだとするならば、その経過の内容等をできればお聞かせ願いたい。
  23. 湯河元威

    湯河説明員 ただいまの農業手形の、ことに一部保有農家ですか、つまり供出しない農家の農業手形問題は、現在の農業手形制度では欠陥になつておるのでございます。これはしかし農業手形が、将来食糧管理供出制度がなくなると申しますか、少くともいろいろ変貌して参りますときに、われわれとしては考えなければならぬ問題と存じておるわけであります。供出のない農家について農業手形をどうするかということ、これにつきましては、将来そういうことが予想されますので、われわれふういたしております。一部保有農家でも保險はついております。ここにくふうの余地があると思つております。それと同時に制度として、農業手形がまだそこまで行つておらないと私信じでおりますが、その間におきまして、農家の方がお困りになる肥料の購入資金の手当については、農業手形がなくとも、普通の組合金融で何とか信用は與えて参りたい、かように考えております。農業手形だけが肥料資金の手当の問題ではございません。何か協同組合金融で、もしも間違いなくお返しいただけるという見通しが確実であれば、組合金融として当然に金融していいと私信じております。農業手形だけではないと思つております。
  24. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの御答弁にもありますように、二十三年度から二十五年度二箇年に、預金は約六十億ほどふえておるということですが、しかし貸出しの方はもつとふえておる。従つて手元資金はだんだんきゆうくつなつておる、こういうふうに思うのであります。あとから問題になると思いますが、淺香委員からも発言がありましたように、今度の台風災害金融の手当をどうするか。政府としては農林水産金融については、おもに農林中金の金を充てるが、はたして農林中金にそういう余裕があるかどうか。この点をお伺いしてみたいと思います。ただいまの御答弁によりますと、ただいま預金は百七十億、貸付が三百二十億ということで、これは非常に貸付の方が預金よりも多い。それでこの貸付の多い部分預金をオーバーした部分はどういう金で借しておるか。その内容及び今さしあたつて災害対策として金融できる余裕金は、どの程度見込んでおられるか。この点をお伺いしたい。
  25. 湯河元威

    湯河説明員 災害につきましては、私の方にもちよつと資料がございます。あとで申し上げようかとも思いましたが、まだ一応の調べでございますが、ジェーン台風の各地災害の総計は約十七億くらいの資金需要があるという報告をとつております。このくらいの資金でございますれば、今後資金の増勢期でございますので、私の方として何とかやりくりできるのではないか。しかしこれも今後また大きな災害が出て参りますと、その余裕をこれに充てるということもむずかしいと思つております。このうちには長期の資金のものもございます。それから短期のものもございます。短期のものにつきましては問題ございませんけれども、長期のものにつきましては若干われわれ心配いたしております。詳細がまだわかりませんので、非常に注意深く検討いたしております。  それから先ほど申し上げたことが、非常に誤解を生む私の説明の不十分さがございましたけれども、貸付預金とのアンバランスということでございましたが、農業手形が百二、三十億入つておりますので、この農業手形が結局日本銀行に担保に入つて日本銀行借入金として資金が来ております。それが貸付の方に入つております。でありますから、今ちよつとお聞きのような非常なアンバランスのような形になりますが、日本銀行借入金というものが、農業手形の形において見ておられるわけであります。農業手形は私の方で割引したものは貸付に入つております。それに見合うものとして日本銀行から借入金があるわけでございます。預金と同時に借入金によつてまかなわれておるということになつております。
  26. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この際にお伺いしておきたいと思いますが、この三月に司令部から農林中金の経理内容、貸付内容などについて注意を受けたということを承知しております。それについては中金なりまた銀行局の方では、そういう心配はないということでありますが、これは全国に相当強いショックを與えた。農林中金としてはさようなことはなかろうが、單位農協、あるいは各府県の信用農協あたりの内容も非常に悪くなつておる。そういう一連の不安から農協に対する預金が非常に減つて来ておる。最近郵便貯金がふえて来たということは、單位農協に対する貯金が郵便貯金へ逃げて行つておる。こういう一つのことも言えると思うのであります。こういうことからわれわれ大蔵委員会としても、農林中金の健全な運営については非常に関心を持つておるわけであります。そしてただいま。そしてただいま理事長の言われたごとく、ともにともに相携えて農林中金の健全な運営のもとに、農林水産の金融運営を全からしめんと念願しておる次第であります。ついてはこの問題になつた不良貸付の問題、この点については心配ないと言われるが、私どもとしては先ほど委員長のお尋ねがありましたように、水産業会あるいは農業会などの協同組合に移管する場合において、かなりこげつきがあるのじやないか。この整理を一体どうするか、非常に不安を持つておる。この点相当疑惑の眼も注がれておるが、そういう心配はないのか。おさしつかえない限りその事情をこの際お述べを願いたい。
  27. 湯河元威

    湯河説明員 農林中央金庫のことが、この三月及び五月に新聞記事に伝えられまして、われわれも非常に驚いたのであります。このことは政府の施行した検査と時を同じうしておりますので、実は検査された政府としては、事実を御存じでいらつしやいます。それから私たちは検査を受けたものといたしまして、当時確信をもちましてその新聞紙の伝うるところを打消したのでございます。新聞紙が伝えておりますような中金の不良資産というもの、当時われわれが見解を申し述べましたように、それは法律上閉鎖機関であるとか、解散団体であるとかいうことのために、滯つていたものがたくさんあるのでございます。これらは事態の推移とともに問題がなくなるということを当時申しました。事実その後ずつと情勢は改善されて来ております。内容について申し上げることは、これは政府のお許しがない限りできませんのでございますが、抽象的に申し上げますならば、その問題となりましたものの六〇%はすでに解決済みでございます。その問題になりましたもの自身も、私たちとしては問題にすべきものかどうかということを、むしろ当時から強気で申しておりましたが、しかしそのものの措置は二十四年度決算において、償却等も御承知通りに実行いたしましたし、回收すべきもの等につきましては今申し上げましたように、もう六〇%すでに問題は解消いたしております。さような措置をいたしましたが、その後先ほど申し上げましたように、農林中央金庫といたしましては一面において増資をいたしました。この増資は 民間増資は組合系統と方々が中金に対して信頼をいただいておるという、一つの証拠になるのじやないかと私は思いますし、政府優先出資をしてくださいましたということも、政府並びにGHQの当局が、中金には出資してよいとごらんになつたからだろうというふうに自負いたしまして、そういう点においてわれわれの申し上げておることを、裏書きしていただけたのではないかというふうに思つたのでございます。なおその後債券発行いたしました。債券も市中においては消化していただいておりますので、大体問題は、各方面方々も一時はお驚きになつたかもしれませんが、もうおおちつきになつたのじやないかというふうな感じを持つのでございます。この系統内部の機関の諸君は、この問題については少からざる衝撃を受けましたが、漸次説明をよく即解いたしまして、今では問題は何も持つておらないような次第でございます。それで中金それ自身の問題はさようでございますが、仰せになりました中金の組織団体であるところの協同組合、これがいろいろと経営上の悩みを持つている。あるいは赤字を出している。こういう問題が中金に何か重荷になりはしないか。これは確かになるわけでございます。しかし協同組合または連合会とわれわれとは、これは兄弟のようなものでございますので、われわれの方でそれを見捨ててどうこうはできません。そこで普通金融機関にない指導金融と申しておりますが、何とかしてそれらの組合がよくなるようにということを、金融取引を通じましてわれわれは手をかけております。先ほど夏堀さんが仰せになりましたように、断固としてというお話もあるわけでございます。私たちももとよりそれがなければいけない面もあろうかと思いますが、自分といたしましては、なるべく御納得の行くように、そして諸事円満に片づきますように、長い間しんぼうするならしんぼうする、努めるところは努めるということを固く約束いたしまして、そしてかりにも外から見て、不安なり、心配なり、信用が欠けるというようなことのないようにして参りたいと考えております。それで組合預金が郵便局に流れていはしないかというような御指摘でございますが、これはひとり組合ばかりではないと思います。銀行預金も郵便局に流れているだろうと思います。それは組合には今御指摘のようなことが絶無とは申しません。しかし銀行のものすら流れているときでございますから、私は組合は先ほども申し上げましたように、この秋から気を取直して、貯蓄態勢も進めたい。ちようど経済自立貯蓄運動も展開されようといたしております。われわれはそれもあり、また自分自身のものもございますので、ひとつ組合資金の充実と資本増資、貯蓄の増額の問題というふうに進めて参りたい。銀行等の横流れする資金は、インター・バンクの預金レートをもつて調整していただくことによりまして、それで将来は防げる。郵便局に集まります資金につきましては、預金部資金がかように出ませんときには、何かここに措置がいるのじやないか。郵便貯金につきましては私はよく存じませんが、やはり税金に関係があるのではないか。これは何かの措置がいるのではないかという感じがしております。
  28. 奧村又十郎

    ○奧村委員 非常に自信のある御答弁でありますが、これは議論になりますけれども、見返り資金の優先株式を政府が持つたり、あるいは増資が実現したりということでもつて、中金の経営の内容が非常に健全でありますというふうなことを言われるが、これは大きなこじつけ議論でしよう。われわれはそうではない。農林中金が日本と農林水産金融の唯一の機関だから、内容が多少よくでも悪くても、これは育てる以外に方法がないと思つている。それにおぶさつて、気楽に言うておられることは、どうかと思います。われわれとしてもただいまのような机の上の簡單な御答弁では満足ができぬ。しかし金融機関の立場上、今この席でこれ以上詳しいお尋ねしてもむりかと思うので、銀行局の銀行検査の職務の上を通じて、われわれもひとつこの農林中金の経営内容、運営その他についてのべてみたい、こういう希望があるのでありますが、委員長の方においてしかるべくおとりはからいを願いたいと思います。
  29. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの御質問に対しては、私はこう考えております。先ほど私より申し上げた通り、農中に議会が協力する意味で、何かの方法を講じなければならない。そこで早くこれを軌道に乗せなければならない。そうしたような意味で先ほど私は質問いたしたのであります。当委員会には金融委員会もおりますので、小委員会において十分にこの点に対して調査研究するようにいたしたいと存じます。なおこれに対して必要な資料等は、貸借対照表、資産の内容、焦げつき資金、及び農業協同組合なつてから、各県別の赤字になつておつた数字がどれくらいあるかというような、数字的な資料をほしいのでありまして、その資料の御提出をお願いしたい次第であります。
  30. 淺香忠雄

    ○淺香委員 先ほど質問いたしましたが、農林中央金庫湯河理事長から、各般の情勢について、あるいはまた運営方針などにつきまして、およそ四、五十分にわたる長時間の御説明がありましたが、そのあとには今回の台風に対するところの緊急な金融面の処置の御説明があるだろうと私期待いたしておりました。ところが一言のお話もなかつたことはまことに遺憾であります。またただいま奥村委員災害に対する質問に対して、湯河理事長のお答えを聞いてみますと、約十五億円ぐらいの資金が必要であろう。そのうち長期の方が少しく心配だ。これにつきましては、長期の資金がその内訳は幾らあるのか、短期の金額は幾らこれに充当できるものが、また各府県支部の方からはどれだけの要求額が中央の方に参つておるのか、これに対するところの処置を、どうするおつもりであるか、いま少しく誠意ある御答弁を私は開きたいのであります。もう少し具体的な誠意あるお話を承りたいと思います。と申しますのは、災害地では必死でございます。先ほども申しましたように、昭和九年のあの台風以上の台風でありまして、ことに今度は高潮が伴いましたがゆえに、たとえば大阪市におきましては、三分の一以上浸水があつたという状況でございます。私東京に参りまして、東京の新聞を開いてみますと、案外取上げ方が少いということについて、報道陣に対しても私少し遺憾に思つたような点があるのであります。理事長は東京においでになつ関係で、今度の台風のことがよくおわかりにならぬかもわかりませんが、もう少しおわかりになるならば、得心のできるようなお話を承りたいと思います。
  31. 湯河元威

    湯河説明員 実はジェーン台風の対策をいかにするかということにつきましては、私非常に心配をいたしておるのでございます。農林水産業被害といたしまして、各地から私たち地方機関を通しまして集めましたものが、富山、石川、福井、滋賀、京都、大阪奈良和歌山兵庫、香川、徳島、高知、これらの地域農村被害があるだろうという見通しをもちまして、農林水産業各別に被害額を県庁その他農業協同組合方面といろいろ調査をいたしました。その被害額はこれら府県を通じて二百十四億の数字になつておるのでございます。しかしこれはもとより急遽集めましたものでございますので、間違いがあるかもしれませんことは御了承願いたいと思います。農業百七十五億、林業二十四億、水産十四億というふうな数字になつております。  実情といたしましては、富山、石川、福井は稻作、畑作の被害だげだそうでございます。それから滋賀、京都の一部にやはり水稻の被害が見えるようでございます。それから大阪は、農業関係においては蔬菜、果実の被害がおもだそうでございます。それから林業の方はさほどのこともないようでございまして、水産の方は、これは大体大阪湾に出ておりました漁船の流されたものとか、綱の流失というものらしゆうございます。和歌山県が若干みかん等をやられてはいないかということを懸念いたしております。金額等についてはいまだ調査が不十分でございますが、一応さようなふうでございます。  これに対しましての資金需要としては、これは私たちの方でそれだけすぐ御融通するというものではございませんが、御要請のあるものを測定いたしてみますと、十七億という数字が出ておるのであります。そのうち四億ばかりは貯金の拂戻しを要求しておられるようでございます。つまりさつそくにも生活資金等に御入用なんだろうと思います。貯金の拂戻しを組合等に要求しておるもので、中金に響くものは四億円ぐらいになつておるようでございます、それ以外のものは農業大体六億、林業約一億、水産約六億というような見当なつておるようでございます。  ところでこのうち大阪被害が、やはり大阪府下の園芸地帶にいろいろあるようでございます。これに対しましては大阪府庁の方で、府の財政より利子補給なりあるいは損失補償をするから、何か融資を考えるようにというお話が来ております。大阪府がそういうふうに御計画になることは、これも正確ではございませんが、大阪府は約三億円ぐらいを農村関係漁村関係にいるというので、引当てをしておるようでございます。  兵庫県は、災害の問題はさほどえらくなかつたようでございます。農業関係兵庫県庁とあそこの信用組合連合会とのお話合で、直接中金にどうこうということも少くて、大体あそこは実力がある地域でございます。水産関係におきまして兵庫県庁と農林中金の出張所との間に少しお話がございまして、これは若干の資金を県の財政より中金に預託するから、少しよけいに貸せというふうなお話のように聞いております。さようなわけでございまして、各地ともいろいろ地元の方も御心配になり、われわれの出先の者も心配いたしておるのでございますが、しかし基本的に申しますならば、今度のジエーン台風農山漁村には、いつものような災害というほどの災害ではないようでございます。  それともう一つ災害を受けた地方は、何と言つて農村としても比較的惠まれました地域でございまして、組合にも相当実力があるところでございます。われわれはそれらの組合の活動も十分よく気をつけながら、われわれとしても対処したい、こういうふうに考えておる次第でございます。なおまだこれは九月の十三日の情勢でございます。その後連絡をとつておりますので、御質問がございますればまた申し上げることにいたします。
  32. 淺香忠雄

    ○淺香委員 概略はわかりましたが、今の理事長からの御説明をいただきました資料と、私どもが今日実際について調べました手元にあります資料とは、たいへんな相違であります。ここに、今のお話の中でも農村は比較的被害が少いというお話でありますが、これもたいへんな違いでございまして、むしろ私は噴飯を覚える一人でありまして、こういつた調査状況もいま少しく掘り下げて資料を集めていただきたいことと、なおこれに対しての処置をどうして行くかということにつきましてはあまりにも抽象的で、私どもの得心の行かない点が多々ありますが、しかしこれ以上私一人で御説明いただきましてもと思いますので、ただ根本の問題は大阪府においても全金額におきましては千四百億程度被害である。この実態から勘案されました場合に、兵庫県、滋賀県、京都府あるいは高知県というようにお考えいただきますことによつても、概略の数字が出るはずであります。その出ました数字からその処置方法もおのずから違つて参ると思いますので、緊急にこれに対するところの善処方を今日は特別にお願いをいたしまして、いずれ日を改めまして私おじやまをいたしますか、何かの機会にお目にかかりましていろいろ御懇談を申し上げ、かつ協力をお願い申しまして、私の質問を打切りたいと思います。
  33. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいま議員石原圓吉君から、農林水産金融に関して委員外の発言を求められております。これを許するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議なしと認めて、石原圓吉君の発言を許可することにいたします。石原圓吉君。
  35. 石原圓吉

    ○石原圓吉君 たいへん貴重な時間をおさきいただきまして、まことにありがたく存じます。この際水産金融の面につきまして、お尋ねをいたしておきたいと思うのであります。  御承知のように農業団体より一箇年余りを経まして、水産団体が改組されたのでございますが、この改組された今、旧団体より新団体に資産をすべて引継ぎを受ける途中にありまして、全国の中の大部分はその引継ぎができたわけであります。しかるところその前後におきまして統制の撤廃、漁業の不振等で漁村はただいま非常な困難に陷つておりまして、この秋の漁業にまぐろ等のごとき仕込み資金がいまだ用意ができない、あるいはこのままならばこの年の暮れから一月にかけて、六大都市にはまぐろの顔を見ることはできないのじやないかというような実情であります。一部新聞に出ておるのは、資本漁業が船団をつくつて特に政府援助を受けてやつておる漁業が幾らかのまぐろ等の漁獲をしておる、こういうのであります。沿岸漁業は全然不振のどん底にあります。この場合におきまして、旧団体から引継いだところの債務の大部分は、農林中央金庫が債権者になつております。その関係が非常に中金の第一線におる人々の神経を刺激しまして、その回收を第一につけなければ、新しき融資はできないというような中金の従業員一般の気風のように見えるのであります。このことがいわゆる日本の水産をどん底に陷れることなのであります。しかも中金の人々は、その資産状態を見て、ゆとりがあれば、新規の回收可能のものにはごく微細な融通はするが、大きな融通は絶対にしない。のみならず旧団体の時代に借り入れたときの負債の利子は、非常に低率なものであつたのでありますが、その利率はだんだん高くなつて来ており、現在の普通金利で旧団体の負債を新団体は償還しなければならぬ、こういう非常な苦痛をここに背負わされて参つたわけであります。こういうことになつたのは、これは農業団体のことは私よく存じませんが、いわゆる農業団体も、水産団体も団体の改組は政府の方針によつて起つたものであります。政府の方針によつて起つたこの団体の改組が、直接漁民に非常な損害をかけ迷惑をかけておるという実情に対して、一体中金はこれに対してどういう対策があるか。むしろ中金よりは大蔵省において、これに対するどういう対策があるか。少くともこれは対策を立てて、われわれ議員の方に示すべきではなかろうかと思うのであります。たとえば旧団体の負債を新団体に引継いだものに対しては、これを長期のものに借りかえるとか、また利率を引下げるというこの二つの問題は、政府の方針によつて迷惑を受けておる漁民を救わねばならぬ根本の問題ではなかろうかと思うのであります。これに対して中金ではどういう考え方を持つておるか、どういう案を持つておるかということを私はただしたいのであります。先刻夏堀君よりお話がありましたが、中金の首脳部の中にも官僚主義の人がおります。また各出先にもその影響を受けた行動が現われております。それというのは一つの大きな債権を持つておる中金として、これを整理しなければならぬのに、なお続々とあとの貸出しを要求せられる、こういうことが中金の人々に一つの勝者のような、少し横暴な気持が芽ばえて来ておるという意味にとれるのであります。これはある意味から言えばやむを得ないことかもしれません。古い借銭は返さない、そうして新しく借銭を要求して来る、こういう場合において、その貸方にある人々の心理状態はおおむねそういうことになりやすいと思う。だからむりからぬことであると思うけれども、それはやがて中金の一般農村漁村に対する気持が、離反するおそれがないのかということを私は憂うるものであります。なぜならば、最近のことでありますが、取立てるものが取立てられない場合には、貸出しを一切しないということは、一般に公表したような形になつておりますが、一面において従来の金融機関復興金融金庫、勧業銀行等は全然水産資金は顧みない。また顧みることもできないという機構なつてしまつた。民間の普通銀行は絶対に——日本銀行のお声でもかかればともかく、融通はしないということで、ただ一つたよるところの中金ではあるが、その中金は貸す貸さぬにかかわらず、あたたかみがほしい、唇歯輔車のような、親と子のような親しみをもつてほしいというのが漁村の者全部の意向であります。従つてある一部の者は中金より水産団体を切り離して、そうして別個の水産中央金庫と申しますか、そういう別個の組織をつくらなければいけないというような声も抬頭しつつあるわけであります。またそういう多くの中金の職員の行動を、あたかも湯河理事長の指令のごとく誤解をする者があります。ただいま民間ではほとんど通用語のようになつておるのでありますが、これも真相とは違うかもしれませんけれども、日本銀行の一万田総裁はローマ法王だというような言葉があちらこちらで聞えるのであります。その次のローマ法王に湯河理事長がなるのじやないかというようなことまでもうわさに上るのであります。これは私ども湯河理事長をよく存じておる一人として、全然誤解であると思いますけれども、さようなうわさがあるということは事実であります。こういう点をよく考慮されて、今原始産業の最も危機に瀕しておるときに、ほんとうに真劍な方策をここに立てる必要を特に要望するものであります。これにつきましてはただ中金を責めるだけではいけないと思う。幸いにここに舟山さんもおられますから、私の知つておる範囲を参考に申し、またこの際それに対する御意見の発表ができたらお願いしたいと思う。それは中金が先ごろ増資をいたしました。その増資をしたときに政府から政府出資がありました。その出資があり、債券発行の権利が與えられて非常に農山漁村は喜んだものであります。これで原始産業は成立つ、やつて行けるという感を深くしたものであります。しかるところ、その後そうは行かない、思うように行かないということで、その内容のうちの一部に——これも事実を私は突きとめたわけではないのでありますが、政府出資した大部分政府の債権へ相殺して、政府がとつてしまつた。それであるから中金はただ増資をした、政府から金を出したという形だけつくつたのであつて、実際は政府の債権、貸金を相殺した、こういうことを聞くのであります。これが事実なればもつてのほかであると私は思う。なぜならばその増資をするときには、非常な苦痛にあえいでおるところの農山漁村の団体にも、強制に似たような出資をさせたものであります。そうして政府出資をするからというので各種団体は出資をした。ところが政府の分はこつそりと自分の貸金へ相殺した。こういうことであれば、これは原始産業の農山漁村を全部政府が欺満したものである、こういうふうに言わなければならぬのであります。そういうことであつては中金がやりにくいということは、これは論をまたないことだ。また政府と大蔵省と中金がそういう冷やかな関係では、日本の原始産業に従事する者がどういう感じを持つか。このことであります。私はその金額の大小よりは、政府及び民間のこの熱意をもつて、親しみをもつて原始産業に励んで行くところの機構がなければならぬと思うのであります。そういう点について私は非常に遺憾に考えておるものであります。そういう事実があつたかなかつたかということが御説明願えればけつこうです。願えなければ願えなくてもいいのでありますが、そういう実情であつて——中金は全国ただ一つの原始産業に対するところの資本の本山である。その本山が機能が発揮できない。そのため農山漁村が非常な窮境に陥りつつあるというこの実情に対して、今日まで済んだことはやむを得ぬとして、今後この改善を一歩も宥恕せずにこの際敢然とやつていただきたい。もつともこれは中金と大蔵省のみでできることではないと思うのであります。要するにこの当局方々が最も妥当な、最も適切な方策を立てられ、そうしてそれを議会にお示しになつて、議会はそれに協力して法制化するということに持つて行くことを、切に希望する次第であります。私のお尋ね並びに意見は以上であります。
  36. 湯河元威

    湯河説明員 水産業会の解散後の新しい団体に資産を引継ぎになることにつきまして、これが新しい団体の非常な重荷になつていらつしやるということ、また経営上水産業団体自身にも非常に問題があるということはよく存じておりまして、先ほども農業会について申し上げたと同じように、われわれは心配をいたしております。これにつきましては中金といたしましても、何とかこれの打開のために、新しい団体が財産をお引継ぎになつて、少し長くなつてもお返しになれるという見通しをおつけいただいたならば、金融的に御協力ができるのではないかという点と、それからもう一つは、何としても先ほど御指摘になりました金利の点で御負担が強かろうと思います。この点につきましては何らかの措置がいるのではないかと思います。これは耐えられないということではいけないことだと思つております。これらにつきましては水産庁の御当局とも御相談をいたしておりますし、水産協同組合経営対策協議会というものをつくつておりまして、それとも御相談をいたしております。ちようど先ほどお話がありました農業協同組合の問題にさしかかつておりますので、同じ方式で参りたい。それから中金のわれわれの職場がどうも官僚化していて、農山漁村の方に対して冷い。あるいはこういうことでは離反するのではないかという御指摘は、われわれとして重々恐縮に存ずるのであります。先ほども申し上げましたように、それは私らの真意ではございませんので、御注意をありがたく頂戴いたしまして、部内も十分戒飭いたしまして、今後できるだけ気をつけて参りたい、かように考えております。なお将来いろいろなことがございましたら、御遠慮なしに御指摘いただきたいと思います。
  37. 舟山正吉

    舟山説明員 農林中金優先出資について、政府がこれに見返り資金をもつて出資いたしたのでありますが、その大部分が農中の復金からの借入金の返済に充てられたということは事実でございます。農林中央金庫資金の充実という点から見て、はなはだ遺憾なことであると思つておつたのであります。またそれが実行になりますまぎわまで、私らも夢にも思つていなかつたことでございます。しかし御承知通り見返り資金政府資金でございますが、政府の思うままに使えるわけではございません。実は最後の瞬間の見返り資金出資の許可のときに、これをもつて復金への借入金返済に充当するということが條件となつて、出資が認められたというやむを得ない事情があつたのであります。このこと自体はまことに遺憾であると思いますが、今後も機会を見つけまして、さらに優先出資の道を実行するようなことを考えてみたいと思つております。
  38. 石原圓吉

    ○石原圓吉君 ただいまの御説明によつて大体わかつたのであります。ところで復興金融金庫は、御承知のように休業しておるのであります。この復興金融金庫はただ債権を取立てるのみが今日の仕事のようであります。そうして私の聞くところでは、すでに相当の回收金があつて、それは金庫内に保有して、少くとも遊ばしておるというように私は聞いておるのであります。これは非常に不経済なことでありまして、それは国庫へ還元するというか、あるいはまた中金等へ融通をするという何らかの方法で、その復金の遊金を利用しなければならぬではないかという感じがするのであります。また復金の内容にわたることは好まないのでありますけれども、大きな日本の死活に面するときに、あの復金というものはできたのであります。そうして民間金融機関その他より融資のできない、非常に危險を感ずるものへ復金より金を融通して、日本の産業を復活するということが根本精神であつたと私は思うのであります。従つてそこらの復金の人的機構においても非常に充実したものであつたが、それが大事な融資をする、貸出しをするという方面の根本の問題はなくなつて、回收をするという消極的の仕事だけが残つてそうして人は大部分そのままおるということは、国家の経済から言うと非常に不利益なことである。これは復金をまた適当な方法で元の本来の目的に立返らすというか、あるいはまたそれをただ整理回收のみならず、別の方法でどこかへ委託してもけつこうだろうと思うのであります。そうしてその融資回收したものは、本来の目的であるところの農山漁村融資をすることが最も必要であると、私は感ずるものであります。この意味合いでどうかひとつ大蔵当局におきましては、特にお考えを願いたいという希望を申し述べて私の質問を打切ります。
  39. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは私から最後にちよつと御質問申し上げたいのですが、私の先ほど申し上げた断固とか決意という強い言葉は、今整理に際して全部二束三文にこれを整理してやつてしまえということだけではなくして、ある程度整理したあとは見返り資金等の政府資金によつて肩がわりして、これを長期にわたつてだんだんに償却すべきものであるという意味においての言葉でありますから、さよう御了承願いたいと思います。  それから先ほど申し上げた通り、農中は政府及び議会の協力なくして、建直しは不可能であると私は考えておりまするので、そのことは十分にお含みの上に、今後の運営をできるだけ早く軌道に乗せるように御努力願いたいということを、最後に申し上げておきます。  午前中の会議はこれをもつて休憩いたします。午後は二時から会議を開きます。     午後一時三分休憩      ————◇—————     午後二時十六分開議
  40. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 午前に引続き会議を開きます。税務行政調査に関する件を議題といたします。三宅委員
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は本国会におきまして夏堀委員長、宮腰委員とともに北海道、東北地方の一部をまわり、また最近は東京国税局並びに関東、信越国税局管内を視察いたしました。すでに夏堀委員長からシヤウプ博士に対しまする貴重な研究資料が提出せられたのでありますが、ことにお手元の関東信越並びに東京国税局管内を見ました事柄をこの際申し上げまして、高橋国税庁長官代理の正示説明員にお尋ねをいたしたい点があるのであります。ここで私的なことは申し上げませんが、正示さんは前から税務行政に対しまする堪能の方でありまするからして、よくおわかりになるのでありますが、私どもも昨年四月、浦和の事件が起りまして、関東信越管内でありまする浦和の税務署を視察いたしましたところ、当時の税務行政の第一線におりまする者が非常に弱体である。たとえていうと平均年齢は二十三歳何がし、経験年数は二箇年半とちよつとというくらいのものでありまして、これらのものが第一線に立つて、われわれの命から二番目の税金を決定することは、はなはだ行き過ぎである。また妥当を欠く点が大いにある。こういう点を私どもは強調いたしたいのでありまして、ここにおられまする正示さんは、その過去の税務行政におきまして、弱体化を率直に承認せられておつたのでありまするが、その後一箇年でありまして、私の見るところによりますとだんだん改良せられております。しかしなおまだ末端の方に行きますと、高橋国税庁長官や正示総務部長のおつしやるようなことが、徹底していない点がございます。たとえて申しますると、最近の例でありまするが、本委員会から東京国税局に対しまして、調査に行くということをここにいます田中君を通じて申しておる。行つてみると調査資料ができていない。もちろん政府も忙しいのでありますから、そういう点もあろうと思いますが、またあとに日をあらためて行つたのでありまするが、これと同様にわれわれ国会議員の申しました事柄を率直に政府は引受けまして、これと協力するという態勢を、私は政府全体がとらなければならぬと考えております。また過日本委員会におきまして、私は夏堀委員長の命令の通り自分の選挙区ではありまするが、岡崎税務署に対しまして滯納に関しまする状況、今後の見通し、将来に対しまする対策等について、明快なる答弁を促しておいたのでありますが、これが私的行為と誤認せられましたか、本委員会の開催日までに間に合わなかつた。これは高橋長官を通じて嚴重に申し込んでおいたのでありまするが、高橋国税庁長官からこれに対してとり寄せるという答弁を得まして、ようやく今日その実行の途についたわけでありまするが、私は思うに国会議員の申します事柄は国民の代表であり、真心こめて現段階におきまする国民の負担の公平を期したいという念に燃えてやつておるのでありまするからして、どうか政府当局もこれに対応せられまして、われわれの要求いたしまする資料はもちろんのこと、国会議員の調査にあたつては特に便益を與えられたいと思う次第であります。はなはだ末端なことになりまして恐縮でありまするが、一つの例を申し上げまするから、お聞き取り願いたいと思うのであります。私の感ずるところによりまするならば、この全国の滯納状況の視察等でありまするが、東京とか大阪あたりというのが非常に滯納が多くなつておるのであります。これに対しましては政府は督励をしておりまするが、私の観点からいたしまするならば、二十三年もしくは二十四年には、税務当局が過重にきめ過ぎたのであるということを痛感いたしたのであります。これを一体正示説明員はどういうふうに考えておられまするか。むしろ穏健妥当な決定をしたのであるというふうにお考えになつていらつしやいますか。末端におきましてはまだわれわれの意を解せずして、むしろ権力の濫用等がありはしないかということをおそれるのでありますが、正示さんのお答弁を要求いたします。
  42. 正示啓次郎

    ○正示説明員 ただいま三宅委員から先般の国政調査に関しまして、東京国税局及び名古屋局管内の岡崎税務署の問題について、具体的に御指摘があつたのであります。この岡崎税務署の件はまことに私不敏にして伺つておらなかつたのでありますが、東京国税局に関しましては、私は実は連絡の責任者であつたのでありまして、專門員の方からの御連絡に対しまして、局の方に私は指示いたしました。指示が不徹底で御迷惑をおかけいたしましたことはまことに申訳ないことで、今後も十分注意をいたしまして、国会の国政調査に対しましては、すべて積極的に種々御便宜をおはかりいたし、能率的な行政能率の高揚ということに一段の努力をいたしたい、かように考えておるのであります。実は先般委員長初め各委員方々が各地にお出かけに際しましては、非常に微力ではございますが、私たちは相当努力をいたしたつもりでありまするが、なお不十分な点がございますれば具体的に御指示をいただきまして、今後改善を加えて参りたいと存じております。また税務行政が今日なお非常に苦難の道をたどつておるのでございまして、関東、信越局管内におきましても、ある程度改善の跡が見えるが、なお非常に不十分であるという御趣旨は私もその通りであると存じます。これらの点につきましては、ひとつ国会の御指導、御援助のもとに、われわれとして具体的にいろいろと改善の策を講じたいと考えております。  職員の年齢構成の問題を具体的にお話があつたのでありますが、この点につきましては、われわれもかねてからこれが一番の難点であると存じまして、すでに昨年の十一月税務職員の採用試験を全国一斉に行つたのでありまするが、その際の年齢は最低三十歳ということで切つたのであります。それから本年も引続きまして調査官はやはり三十歳、徴收官につきましては二十五歳、こういうことで、これはみな満でございまするが、最低年齢を制限いたしまして、それによつて相当の思慮分別のある者を税務職員として採用する、こういう方針でただいま進んでおります。これはただいま三宅委員御指摘のように、比較的若年な者が、お話のように命の次に大切なというお言葉でございますが、われわれもまつたくそのように考えまして、今後におきましては、税務行政改善の根幹は、やはりこれに携わる職員の素質を改善するにある、かように深く考えまして、さような具体的な措置を講じておりますことを、御了承いただきたいと思います。  なお最後に御質問の二十三、二十四両年度におきまして、課税が相当重かつたのではないか、それが今日滯納が非常に多額に上つている原因ではないか、かような御質問であつたのでありますが、これは私は率直に申しまして二十二年度、二十三年度、二十四年度は税法自体が相当重かつたことは、三宅委員すでによく御承知通りでありまして、しかもこの税法の重い中に、一方におきましては御承知のようなインフレの非常な高進が行われておつたのであります。さような経済界の情勢に対しまして、一方では税法の負担が非常に過重である。そういうこととともに、御承知のようにいわゆる健全財政主義、均衡予算主義ということが強く叫ばれましたために、すでに先般の国会におきましても、本委員会において非常に討議されました目標制度というようなことが、二十二年度、二十三年度、二十四年度においては行われておつたのであります。すなわち税法自体で相当負担が重い上に、インフレは高進しており、歳入確保のために目標の指示をせざるを得なかつた。そのようなことのために相当課税の面におきましても、いろいろと問題を残しておつたことは、私この機会に率直にこれを認めるのであります。さような事態がここ一両年来いわゆるドツジ・ラインに基く安定化の傾向に向つたために、ここにいわゆる金詰まりの現象が新しく起りまして、過去の課税に伴ういわゆる滞納税額の徴收が、客観的にも非常に困難性を加えて来ておるのであり、それが今日の滞納整理の一番大きな問題になつておりますことは、ただいま三宅委員のおつしやられましたような趣旨におきまして、私もさようであると考えるのであります。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は関東、信越国税局管内は川口、東京国税局管内は京橋、淀橋ないしは荒川というような各税務署をまわりまして、その資料を持つておりますので、ひとつ参考のためにその資料のことを申し上げますから、正示さんも先ほど認められましたように、ざつくばらんに調査せられまして、これを健全妥当なる課税とせられたいと思うのであります。宮腰委員も御同行せられましたから、あとから宮腰委員からも御質問があろうと思いますが、ひとつ例を申し上げます。極端’な例を申し上げますと、ここに荒川税務署管内におきまして一つの会社があるのであります。その会社の内容におきましては、昭和二十三年度のことを今決定しておる。私は二十三年度は二十四年に、二十四年度のものは二十五年の初めに決定するのが、これが穏健妥当であろうと思うのであります。ところが法人関係においては今より二年前、二十三年、二十二年のものをやつておりますから、御承知通り税法では追徴加算税、これがかかつて参りまして、納税いたしましたものが本税よりもむしろ追徴加算税の方が多いという、こういうまことに思わしからざる現象が展開されておるのであります。でありますから一つの例でありますが、これはスリツパを製造しておるようでありますが、二十三年においては四百十八万円の売上げをしておりまして、收益三十五万円ということになりまして、みずから納税をして十七万八千円を納めておるのであります。最近になりまして更正決定をして、二十三年の四月から九月までの半年間に十五万円、また二十四年三月末日までの半年間に、六十二万円というような更正決定をせられまして、追徴加算税を加えまして三十五万円というものを納めなければならぬということになつた。そこで再審査を出しましたところ非常に不行届なる税務官吏がある。荒川税務署管内の軍司という税務官吏が帳簿及び書類を持つて来署せよということで、その日に本人が行きますと、午前九時から晩の四時まで待たしておつて、調査をした結果、お前のところは昨日の調査の結果を係長に報告したところ、徹底的に調査をして根こそぎとつてやれと言われた。そういう税務官吏としてあるまじき行為、暴言を吐いておる者があつたのであります。私どもはこういうような事柄は一つの例でありますが、いやしくも税務官吏が納税者に対して、そうあるまじき行為をやることは越権であると私は固く信ずる。これを正示政府委員はどういうふうにお考えになるか知りませんが、私はもしむしろ善良なる官吏、穏健にして妥当、親切なる官吏は表彰し、あるいは昇給をさせてやりたい。むしろ越権して権力を濫用し、国民に不満の念を與えるような税務官吏は立ちどころに免職をしたいと思いますが、一体政府委員としてどう考えておられますか。あなたは国税庁総務部長として、全税務官吏を代表して御答弁を承りたい。
  44. 正示啓次郎

    ○正示説明員 ただいまの荒川税務署の事実につきまして御質問でございます。一般的に法人の決定が非常に遅れておる。二十三事業年度分が今ごろになつて決定されておるということが、私は一つの遺憾な点であると思う。これは先般高橋長官からもこの委員会においてお話があつたかと思いますが、アメリカあたりでは相当前の年度の分もやつておるようであります。しかしアメリカのような余裕綽々の国とは違うのでありまして、やはり日本ではできるだけ早く会社が申告をなさいましても、それに対する調査をできるだけ早くいたしまして、そうして問題の結着をつけるということは、私はただいま三宅委員がおつしやられたような御趣旨と同様に考えております。どうしても事業年度が経過して久しくたつてからやりますと、記録等も正確なものがございません日本の実情では、いろいろと悶着が起りがちでございますので、この点につきましては、実は二十五年度以来相当程度に、法人の決定事務につきましては馬力をかけております。御承知のように二十四年度の法人税收入は、相当予算よりも多くなつておりますが、その一つの原因はやはり法人事務を繰上げてやつておる。すなわち従来のように既往年度分をいたずらに放任しておくというようなことをしないで、できるだけスピーデイーに法人決定を行う、こういう方針をただいま励行いたしておるからであります。たまたま荒川署にそういう事例があつたとすれば、これはいまだ私どもの方針が十分行われていないのでありまして、その点まず私は遺憾に存じます。しかしただいま申し上げましたような方針でございますので、この点は将来おいおい改善されて参る。そのことをまず御了承いただきたいのであります。  次に係官が非常に納税者の方に失礼なことを申し上げた。しかも税務職員として職権外のことを申し上げたということは、まことに遺憾であります。私は先般の国会におきましても、職員の処罰につきましては、これはたしか委員の御要求によりまして、懲戒処分等の辞令も出したのであります。今後もこれらの方針は強行して参るつもりであります。いやしくも非違非行のありました者はこれを嚴罰に処すると同時に、優良職員の表彰方について考えるようにというお話でございますが、これもまつたく同感でありまして、願わくば私は今後本委員会あるいは予算委員会等におきまして、徴税費等の御審議にあたりましては、さような面につきましても御考慮いただきますように、この機会においてお願い申し上げます。
  45. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この際ひとつお伺いいたしておきたいことがあるのであります。御承知のように近畿地方並びに中国、九州地方におきますところの大災害に対しましては、おそらく国税庁といたしましては、災害によるところの租税の減免、あるいは徴收猶予等に関する法律の適用をされることと思うのでございますが、それにつきましてこの際はつきりいたしておきたいのは、たとえばこの法律によりますと、家財の価格の十分の五以上であるものは、その災害の減免等に関する法律を適用される、こう書いてあるのでございますが、この家財の十分の五の損害を受けた者、被害を受けた者という算定は一体どういうような人によつてなされるのか。たとえば申告だけでやつておりますと、おそらく将来復旧いたしました後におきましては、非常な問題が起ることだと私は思うのであります。従つてこの証明はおそらく国税庁においては十分の五の家財の損害を受けた者、被害を受けた者としての証明をだれにさすか。この点をひとつ、まずはつきりさせておきたいので承りたいと思います。
  46. 正示啓次郎

    ○正示説明員 先般のジェーン台風に伴いまする近畿地方被害状況につきましては、実は国税庁から私さつそく去る六日の朝大阪に参りまして、まだ災害の生々しい所を見て参りました。大阪国税庁におきまして、現地の実情を調査しながら協議をいたして参つたのであります。ただいま竹村委員御指摘のように、結局災害減免法とそれから所得税法の雑損控除、この二つによつてそのいずれか有利な方を納税者がお選びになるのでございますが、ただいまの家財の五割程度被害、これをいかにして算定するかは、確かに一つの問題でございます。この点につきまして現地におきまして、私ども税務署長その他も加えましてよく協議をいたしたのでありますが、とりあえず現在被害地の税務署におきましては、近接税務署の応援のもとに、できる限り一般的な災害程度の確認に努力いたしております。しかしながらどういたしましても、何しろ災害の最中のことでありまするので、税務職員自身も大部分被害者でございまして、なかなか調査も不徹底な点もあろうかと存じます。しかしながら大体まずどの程度災害を受けているかということを、地区別にでも確認しておくようにということで、ただいま一生懸命やつております。  それからあとは各個の問題になりますが、これは御承知のように建前としてどこまでも本人の良心的な申請にまつという建前になつております。そこでまず本人の申請を受けるわけでございますが、その際にできる限りその申請が信用できるようにするためには、警察、区役所あるいはその地の納税協力委員というふうな方々から、十分それらの点につきましては参考的な資料を出していただきまして、一方税務署で調べました地区別の被害状況等とにらみ合せまして、ただいま御指摘のような点については決定をいたしたい、かように考えておるのであります。実際問題として私見て参りますると、大体今回の災害は外見的に非常にはつきりしていはしないかと存じます。これがかりに單なる一部の被害ではなくして、ある地域はたとえば冠水し、あるいは潮をかぶつて何日間というようなことは相当はつきり出ておりますので、これらの点につきましては、ただいま申し上げましたような被害の確認の方法を相当程度に行うならば、あまりはなはだしい見当違いはないのじやないか、かように考えまして目下のところ現地におきましては局署一体になりまして、ただいま申し上げましたような確認のための努力をいたしておるわけであります。大体それによりまして、最終的にはむろん役所の方の調査によつて決定いたすのでありまするが、必要な参考資料をとりますことによつて、大体遺憾なく行われるのじやないか、かように考えておるわけであります。
  47. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一点ひとつ明らかにしておきたいのでございますが、この五割程度の問題は、御説のような形においては大体はわかると思うのであります。しかしはたして五割であるか四割であるかというようなところになりますと、これは争いの中心になる問題であります。そこでここではつきりしておきたいのは、たとえば冠水した場合におきましては、疊あるいは寝具その他が非常な損害を受けるわけであります。疊等はもちろん原形はくずれないかもしれませんけれども、実際は更新しなければならないような状態損害を受ける。こういうものをやはり認めるかどうか。あとで更新した場合においてこの領收書等をとつた場合におきましては、それを損害金の中に認めるかどうか。この点をはつきりしてもらいたいことと、もう一つ最近私は大阪の方に参りまして、実際の冠水した状況に応じて、この場合におきましては、たとえば警察とかその他で証明をとつておくようにということを申しておつたのでございますけれども、なかなか実際問題として証明は出さない。従つてこれを出さないときには、協力委員がしてくれれば別でございますけれども、協力委員がだれかわからないような所もございますし、こういう場合においては国税庁としては正しい——もちろん本人は正しくやるつもりでありますけれども、裏づけのための証明をとりたいというような場合に、快よくしていただけるような国税庁からの手配をなされる意思はないかどうか。この二点をひとつ承りたいと思います。
  48. 正示啓次郎

    ○正示説明員 二点の御質問でありますが、まず最初の疊の更新をした場合の問題、これは実はちようど有田委員大阪においでになりまして、同じような問題について向うで話し合つたのであります。たまたま疊の更新の時期に来ておつた。そこで今回水につかつたので、これ幸いとばかり更新したような場合があります。ところが逆に極端な場合で、きのう畳をとりかえたばかりで、それが水をかぶつてまたとりかえる。これは非常に両極端の場合でございますが、私はやはりこういう場合におきましては、納税者の良心にまちまして、この被害の申告をやつていただく。それから家主と借家人とどつちがやるかというふうな問題も実はあるわけであります。そういう場合につきましては、大体関係者が寄つてある程度地域的にバランスのとれたところでやるならば、大きな弊害はないのではないか。すなわちそこがやはり健全な常識をもつて処理して行くべきじやないか、こういうふうに考えておるのであります。いろいろと問題があろうかとも思いますが、たとえば家主が当然負担すべきものを、借家人がいきなりやつた場合に、その損害をどう見るかという問題もあります。今日家主は非常に負担力がないのでありまして、家主がやつてくれるのを待つていると、これはなかなか不可能な問題があると思います。さような問題につきましては、個々に具体的に当りまして、そうして先ほども申しましたように、税務署だけの調査でなくて、付近一帶のバランスも考えて、関係機関の証明その他の意見も徴す、こういうことによりまして、大体妥当な解決が得られるのではないか。そうして疊の更新を一切認めるかということになりますと、そういう極端な場合もありますので、これはどこまでも具体的に決定したい、かように考えております。  それから証明について、何とか局、署の方でサービスをして、あとで問題が起らぬようにする意思はないかというお話でありますが、これはできるだけそういうふうにしたいと思います。実際に私ども災害地へ参りまして、滯納も相当ありますが、滯納の処分はともかくしばらく待て。お伺いしたならば、一応お見舞を申し上げ、そうして被害程度はどのくらいでございますかということをまずお聞きするように、そうしてそれによつてたとえば徴收の方の人間が行つたにしましても、それは被害程度をあとで確認するような資料を集めることに努力するようにということを、現地において指示して参つたのであります。それらの心がけをもつてするならば、良識をもつて税務署員が行うならば、これがやはりある程度ただいまおつしやいましたような証明にも役立つようになるものと考えまして、とにかく今日あのどさくさの最中でございますので、お伺いしたならば、被害程度を確認することに主力を注いでやつてくれというように、現地においては指示して参つたのであります。
  49. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それで大体はつきりして参つたのでございますが、もう一つすつきりしないのは、たとえば先ほど申しましたように、警察の方に証明を頼みに行くという場合に、実際良心的に申告する裏づけとして頼みに行くのですから、これはうそは言えない。その場合に快く警察が証明してくれるように、こういう場合はやつてもらいたい、参考にこちらがほしいのだからということを、国税庁もしくは税務署から各所轄の警察に、そういう通知を出すような手配をされる意思があるかどうか。この点をひとつ承りたい。
  50. 正示啓次郎

    ○正示説明員 実はそういう御趣旨かと思つたのでありますが、そうなりますとこれは税法の問題になつて参りまして、今日の税法はどこまでも本人の申告ということが——ことに災害の場合は申請でございますが、中心になつております。これは第三者が証明をしてどうということは、法律の建前からは今日認められておらないのであります。私どもはどこまでも税務協力員を使つたり、区役所なり警察の証明をいただくということは、参考資料としてこれをいただくのであります。制度としてはどこまでも申告なり申請ということが重点にできておることは、御承知通りであります。そこで事実の問題としてはできるだけ現地の警察なり区役所に、税務署の方からお話をしております。ただこれを制度的にしからばその証明を全幅的に認めるかということになりますと、そこには困難がありまして、どこまでも先ほども申しましたように総合的に判定すべきものと考えております。実際問題としてはできるだけそういうふうな便宜をはかつておるということは実情でございますから、御了承願いたいと思います。
  51. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一点だけはつきりしないところがありますが、これは先般の国政調査におきましても、農村においても常々問題になつたのでありますが、たとえば今度の風水害におきましては、果実蔬菜等も各府県において相当な被害を受けておるわけであります。これももちろん建前から申しますと申告で行うのがほんとうである。しかし申告をいたしましてもそれを税務署が承認してくれない。承認していただくような正しい申告をいたしましても、最後になつていつもそれが真実であるかどうかということに問題があるわけです。そこでこれなんかも有力な参考意見として、一体農村におきましては、従来は協同組合あるいは村長、農業調整委員あるいは農業災害補償組合、こういうようなまちまちな証明——証明というよりも裏づけ、これを全部おとりになるかならないかは別ですが、一応これが問題の中心になつて、どれをとるかということに常に問題があるわけでありますが、今日の場合におきましても、先ほどおつしやつたように、それを必ずしも認めるというのではなしに——税務署も人手が不足ですから、一応の裏づけ材料として、参考意見としておとりになる団体は、どの団体でもいいのか。あるいは政府の指定するところの農業災害補償組浴、協同組合にするか。あるいは町村長でいいのか。この点をひとつ明らかにしておいてもらわないと、農村では非常に混乱しておるわけであります。
  52. 正示啓次郎

    ○正示説明員 私ども農村被害の問題につきましても、やはりただいま大阪市内被害について申し上げたと同じように、各般の資料を総合していたしますが、しかしながら決定はどこまでも御本人の申告なり申請、それから役所の調査、こういうことと、ただいまお話のありましたような団体あるいはその他の資料を参考にして、それを総合的に見る、かように考えておるのであります。その際どういう団体の資料をとるかという御質問のようでございますが、やはり市町村長とかあるいは農業協同組合とか、法令に基いて存在する団体は、もちろんこれはいわゆる信頼すべき団体として尊重することはもとよりであります。しかし必ずしもそれだけしか受取らぬというわけではないのでありまして、いろいろと出していただくならば、それは参考資料として頂戴いたす。但しそれには拘束は受けない。どこまでも参考として本人の御申請なり役所の調査ということを中心に置いて、各般の資料を参考にする、かような建前でございます。
  53. 竹村奈良一

    ○竹村委員 最後に、農村関係災害補助をもらつた場合、この補助金については税金の対象になるかどうかということが一つと、もう一つは、これは私の解釈ははつきりしておるのですけれども、中には疑問を持つておる人がありますので、もう一つ聞きたいのは、租税の減免徴收猶予等に関する法律の施行に関する政令の第二條でありますが、これは私は言わずもがな当然、たとえば源泉徴收給與所得の者にも適用されると解釈しておるのでありますけれども、中にはそうではないと言いふらす人もあるのであります。この点はつきりしておきたいと思いますが、給與所得の者に対しましても減免はできると考えますが、その点はどうですか。
  54. 正示啓次郎

    ○正示説明員 第一点の災害補助金の御質問の御趣旨ははつきりいたさぬのでございますが、これは公共団体の場合はむろん非課税でありますけれども、要するに個人々々が受けた場合の補助金という趣旨かと思います。そうしますと農村というか、要するに災害を受けたものが補助金を受けた場合、それを收入と見るかどうか、こういう問題かと思うのでありますが、これは実は法律の規定がない限り、いろいろ問題になります。たとえば生活保護法によるものは、これは免税が適用されます。今回の災害によつてどういう補助金が出るかということを実態的に調べなければ、ちよつと抽象的にはお答えができないのでありますが、既定の法律によりまして、減免規定のあるものは、これはもとより減免でございます。そういう法律の規定がないと、たとえば早場奨励金というのが課税されるかどうかで非常に問題になつたように、單に補助金なるがゆえに免税するということになると、問題はたいへん紛糾して参ります。私どもはどこまでも法律の規定によつて、ある收入を所得の計算上收入に見ないとか、あるいはその分について減免するとかいう規定のないものは納税上は減免しない、かように考えております。具体的にこれが問題になつて参りまして、初めて申し上げられることかと思います。  それから第二の給與所得の方はまさに御質問の通りでありまして、これはたとえば給與所得幾らまでは何年間、あるいは一年間あるいは六箇月間源泉徴收を猶予するという規定がはつきり出ておるわけであります。今回大阪におきましてもその点がはつきりして来たのであります。
  55. 竹村奈良一

    ○竹村委員 その猶予の点はこれは次の第何條かにはつきり出ておるのですが、つまり第二條の源泉徴收を受けておる者は、やはり何十万円ある者は、先ほど申しましたように、家財道具が十分の五の場合においては減免されるものだ、私はこう考えますが、減免されるものですか。
  56. 正示啓次郎

    ○正示説明員 その点は一月にこの申告義務のない方でも申告をお出しになりまして、それによつて決定されることになります。
  57. 三宅則義

    三宅(則)委員 先ほどの質問を継続いたします。私は……。
  58. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 三宅君、税務行政のことですか。あとまだ災害金融の問題がありますから、一回だけあなたの御質問を許します。
  59. 三宅則義

    三宅(則)委員 ではあとたくさんありますが、一点だけにいたしまして、時間がありましたらいたします。  私は先ほど正示総務部長が率直に言われたことにつきましては、その心理は了承いたします。どうか法人等につきましての更正決定等は、二十四年度は十一月までのものは本年の今ごろまでに片づける、こういう指令を各税務署に出してもらいたい。同時に先ほど例を申しましたが、荒川税務署の軍司のごときは、ひとつ参考に国税庁で調べてもらいたい。そうして率直に悪かつたら罷免してもらいたい。私はそういうことを申し上げます。  次にこれは重大問題でありますが、関東国税局管内でない、東京の淀橋管内ですが、これは東京全管区の一番ビリの所です。そういう所はつまり滯納の多い所です。私は調査して参りましたが、二十四年度の実績というものは五八%しか申告納税は入つていない。四十何パーセントが滯納になつておる。これはまことに重要な問題であると思う。また二十五年度のごときもわずかに一八%しか——もちろん年度が始まつたばかりでありまするから、申告納税の方は納金になつていない。税金が入つていない。こういうことを考えまして非常に心配しておる。これは聞くところによりますと、マル共民主商工会というのがありまして、反税運動をやつたということであります。今後こういうような反税運動というものは、嚴重に取締らなければならぬと思いますが、政府はこれに対して相当用意をしておるかどうかということが第一点であります。  第二点はこれらに対処する徴税等については相当費用もかかるし、また超過勤務あるいは住宅等につきましては、われわれ大蔵委員としては相当に考慮しなければならぬということを痛感しておるわけです。私どもはあながち政府をいじめるばかりではありません。その施設等につきましては相当考慮いたしておりまするが、今申したような点を考えまして、東京の一番ビリの税務署のごときは、よほど嚴重に監督して、これの徴税を全からしめるということがあなたの責任であると思いますが、これに対しまして、明快なる答弁と、今後の税務行政に対する施策をお示し願いたい。時間があつたらまた申します。
  60. 正示啓次郎

    ○正示説明員 淀橋税務署につきまして国政調査をおやりになりました結果、ただいま非常な御忠告を受けたのでありますが、ここは非常に問題の多いところであることは私は重々承知しております。まず反税運動関係でありますが、これはやはり私どもとしては国税犯則取締法という法律がございます。この法律に従いましておよそ不法な運動につきましては、断固としてこれを排撃して参る、かような方針で進めておりますことは、いまさら申し上げるまでもございません。今後におきましても国法に従いまして処置をして参りたい、かようにかたく信じておるわけであります。  なおそれに伴いまして税務署の超過勤務が不足ではないか、あるいは住宅設備等が不十分ではないかという御忠告であります。実は超過勤務につきましては、実際われわれもこれは非常に問題の多い経費と思います。これはいたずらに出しますと、非常に濫に流れる経費でありますし、また締め過ぎますといろいろなことが起りまして、いつでも主計局と折衝の一番困難な問題は超過勤務であります。私どもといたしましては、実は適正に超過勤務手当を経理して行く。また適正にいわゆる超過勤務を行つて行くというために、いかなる方法が一番いいのかということで、ここ二、三年来非常に苦労いたしておるのであります。ただいまのところ私どもは率直に言いまして、税務署の実情はなかなか超過勤務をやらずには済まない状況であることは、よく知つておるのでありますが、さりとてこれに幾らでも超過勤務を出すということがまたいいかというと、さようにも考えておらぬのでありまして、これらの問題につきましては、まず全国的に一応の基準を予算上認めてもらいまして、それを各局に配付いたします。各局におきましては、さらに税務署の実情を見て、重点的に配付する、こういう方針でやつておるのであります。私どもとして率直に申させていただくならば、今日の予算は多少不足ぎみであるということは、その通りに認めろのでありますが、しかしながら理想としては超過勤務のごときはできるだけこれを少くして参りまして、納税者の方にもやはり時間内においでを願い、時間が終つたときにはすでに一応の整理をちやんとして、時間通りに帰れるようにすることが一番理想であると考えておりますので、将来におきましては、できる限りそういうふうに事務を切り盛りして参りたい。今日多少不足の点につきましては、主計局とも折衝いたしまして、できる限り職員に迷惑をかけないようにいたしたいと考えております。  なお住宅の関係は、御承知のように公務員の住宅法というものが出まして、従来は各省でまちまちに施設いたしておつたのでありますが、今日では大蔵省の管財局におきまして、一元的に処理をいたしております。本年もたしか十二億ほどの予算が認められまして公務員住宅を建設いたしております。私どもは管財局に折衝いたしまして、できるだけ税務職員が住宅に入れるようにしていただきたい、かような方法によつて処理いたしておるのであります。どうか公務員住宅の予算をできるだけ多額に計上していただくようにお願いいたします。
  61. 淺香忠雄

    ○淺香委員 私ども各省を訪問いたしましたところが、どこへ参りましても私どもの説明を聞いて、災害の大きいのに驚いておられるお役所が多かつたので、その不認識さに私もいささかあきれたような点があつたのでありますが、正示総務部長のお話を聞いてみますと、すでに六日の朝大阪に行つて来た、そうして実際にこれを見て来たという、この御熱心さに私は感謝をいたす一人でありますが、さて現地の程度をよくごらんになりました正示さんとしまして、個々の問題につきましては、竹村委員と先ほど一問一答がありましたので省略いたしますが、納税金の徴收について、あるいは滯納金の徴收などにつきまして、実際に視察のありましたその結果から考えられまして、正示さんはどういうふうに具体的にお考えになりますか、お尋ねしたいと思います。
  62. 正示啓次郎

    ○正示説明員 実は大阪の、主として高潮になおつかつておるような状態を見たのであります。こういう状況のもとに、一方においては滯納特別整理が行われておるのであります。今水につかつておるような納税者のお宅へ参つたら、先ほど申しましたように、まずお見舞を申し上げて、それからどの程度被害をお受けになつたかということをよくお聞きするように、こういうことを税務署において指示をいたして参つたのであります。これは淺香委員の御指摘に対する端的なお答えになつておると思います。われわれとしてはどこまでも法律に従いまして申告をしていただき、申請をしていただく。それから最終的には減免、徴收猶予ということをきめるのであります。しかしただいまのような状況のもとにある納税者の方に参りましたときには、さつき申しましたように、決していたずらに刺激を與えないように、しかもその際個々についてできるだけ被害程度を確認しておいて、将来のトラブルを省くように、こういうことを現在において指示して参りました。ただ私率直に申しまして、大阪のこの冠水地域兵庫県の尼ケ崎の地域は相当の被害でありますが、やはり地震で火事にあつたというような場合と違いまして、何としても水が引けばそこから復興して、なお被害をできるだけ小さく食いとめる努力をいたしますならば、やはり焼けてしまつたのとは相当違うのじやないか。そこでだんだん日のたつに従いまして、納税者の方も冷静に被害程度について正しい申告をなさるということになりますれば、おのずから税に関しましてはこちらも十分調査することによりまして、そこに妥当な解決点が生れるものと、かように考えておるのであります。御承知のように税法上は先ほど申しましたような減損控除と減免猶予、この二つの方法しかないのでありまして、既往の分の徴收を猶予するということには非常に困難があるのでありますが、しかしこの点につきましてはやはり現実の問題として、結局先ほど申し上げましたように被害を受けられたような所に参りまして、徴收を強行するということは、とうてい人情としてできないのであります。そのような場合におきましてはその被害状態をよくお伺いして、将来問題をできるだけすみやかに解決すべく努力を拂つておる、こういうことで現地においてはやつております。農村地帶につきましても冠水の水稻あるいは果樹、その他漁村におきましては漁船、漁網等について被害程度を確認して、それによつて将来問題の解決に資する、こういう態度をもつてつておるわけであります。ただいまのところ全体でどの程度の減收になるかということは、現地の局において責任をもつて調査いたしておりますので、なお御報告申し上げる段階ではないのでありますが、私とりあえず行つて来ましたときの率直な感想、また率直なそれに基く施策は、ただいま申し上げたことによつて御了承いただきたいと思います。     —————————————
  63. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 午前中に引続き災害復旧金融に関する件を議題といたします。災害復旧金融に関する件について御質問はありませんか。
  64. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この災害金融の問題については、今回の災害と同時に、大阪方面金融状態がどうなつておるかということを、非常に心配しておるのでありますが、私らの手元にその計数も来ておりませんので、どの程度融資資金要求しておるか、これは判然としておりません。しかし私は現在相当額に達するだろうと思いますが、現在の金融状態はおそらくこの災害資金については都市の銀行地方銀行あたりの資金のまかないということは、とうてい容易じやないと考えるので、この際見返り資金預金預金を大いに利用してほしいと思います。現在見返り資金の金が約五百億円ぐらいたまつておるということを聞いております。また預金預金が大体二千億もたまつておるということを聞いておるのであります。この預金預金については、われわれは司令部やまた銀行局長にも再三お願いして参つたのでありますが、これは地方財政の起債のつなぎ資金ということに使われておりますけれども、一般の産業資金にまわして行くのが本来の使命ではないか。御承知のようにこれは地方の零細な農民が貯金した、また中小企業者が貯金した郵便貯金によつて、大多数が積み立てられておる預金でありますから、ぜひともこれを産業資金に還元しなければならぬ。こういう意味でわれわれは前国会委員会において、預金預金放出を願つたのでありますが、前回の一般銀行、特殊銀行の区別廃止のときにも、長期資金債券によつてまかなうのだ、こういう話であつたのでありまして、多分この預金預金は、この債券引受けをしておられるだろうと思つて、つぶさに調べておつたのであります。ところが現在に至つて預金預金はこの債券発行を引受けない。かえつて地方銀行がまかなつておるような状態であります。前回シヤウプ博士にお目にかかり、アリソン氏にお目にかかつた当時、当然この預金預金は産業資金にまわすべき性質のものであるということを、司令部でもはつきり言つております。この際見返り資金預金預金を大幅に利用しなければ、おそらく現在の災害復興並びに現在全国に散在する災害都市の復興というものは、とうていできないじやないか。おそらく今地方銀行においては片つ端から吸上げのことばかり考えまして、新規の貸付をほとんどしていないような状態でありますから、この際見返り資金預金預金を思う存分この復興に利用することが、経済復興の重大な役目を果す一つのものではないかと考えるのでありまして、局長に、この点ぜひもう一度検討されまして、司令部と折衝していただいて、急速にこの問題を片づけていただきたいと思うのであります。
  65. 舟山正吉

    舟山委員長 ジェーン台風によりまする関西方面被害、これに対して金融資金をどのくらい供給したらいいかという見通しにつきましては、大体産業官庁側の資料からいたしまして、また銀行その他の金融機関側の調査からいたしましても、今のところ三百億内外ではないかというような見当がついておるわけであります。これに対しまして一般金融機関等から資金を供給するのでありますが、それらの金融機関資金の予備がない。従つて勢い日本銀行からの借入れにまたなければならぬ、こういう事態であります。そこでこの際政府資金としてたまつております預金部資金なり見返り資金なり、特に預金部資金につきましてこれを応急金融資金として融資することは、きわめて適切なことであろうと思うのであります。戰前におきましてはこういうような際には、災害復旧資金といたしまして預金部資金を、公共団体なりあるいはこれを経由いたしまして個人なりに融資の道があつたわけであります。しかるに最近の預金部資金運用つきましては、きわめて嚴格な制限がありまして、御承知通り国債の引受け、あるいは地方債の引受け、並びにこれを見合いといたします前貸しということに限られておるわけであります。こういう際に政府といたしまして資金を動かすには、自分の意のままになる資金といたしましては、預金部資金というものはきわめてかつこうなものであるわけでありますが、こういうような事情で現在のところできないのは、はなはだ残念であり、また不便を感じておる次第であります。福井の震災のときには、今日のごとくまだ運用が制限せられておりませんでしたので、公共団体すなわち県に預金部資金を貸しまして、そうして個人に転貸するという道も講じておつたのでありますが、今日はそれも封じられておるのであります。そこでこういう災害は別といたしましても、預金部資金の還元については、地方債の引受けその他によりまして、これが実行できますように要請中であつたのでございますが、この災害を機会といたしまして、さらに私どもは預金部資金が使えますように、要請をいたしておるのでございます。その方向といたしましては、府県等に対する貸付、あるいはこれを仲介とします個人への転貸、こういうことのできることが望ましいという見地で、陳情いたしておるのでございます。今日のところまだ実行の時期に至らないことは、はなはだ残念でございますが、各方面からこの実現に向つて努力いたしたいと考えております。
  66. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 一昨日、委員長がただいまの問題について司令部に参りまして、災害地復興資金に対して相当の額を必要とすると思うので、さしあたり百五十億を大阪を中心とする関西地方災害地銀行に預託してもらいたいということを折衝いたしました。その際に、前の百五十億でしたか、なお預託金の結末がついておらないので、今すぐこの問題を取り上げることはちよつと困つた問題である、研究したいというお答えがあつたのであります。一応御報告申し上げておきます。
  67. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 そうすると、現在の委員長のお話に、百五十億銀行に預託してもらいたいという要請があつたにかかわらず、前に百五十億あつたということは、それは昨年の十二月の証券対策で出した百億の金ですか、それとも百五十億は別にあつたのですか。
  68. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいま金融機関に預託してあります金額が百億でございまして、昨年の年末に金融対策として出した金であります。
  69. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこでその預金部の現在の資金の余裕がどの程度あるか、これは災害に実際どの程度動かせるかという見通しをつけて交渉してみたいという意味から、現在の預金部資金運用状況の御説明をお願いしたいと思います。
  70. 加治木俊道

    ○加治木説明員 八月末のバランス・シートができましてこれを基礎にいたしまして、実はまつたく技術的な問題ですが、若干未整理のものがありますのを、かりに推定を加えて整理いたしましたバランス・シートによりますと、大体長期の資金と考えられる原資が約二千億ございます。これは総残高で申し上げますが、その中で郵便貯金が千四百四十三億二千六百万円、それから簡易生命保險及び郵便年金の関係預金が二百二十八億六千六百万円、厚生保險関係預金が二百六十億二千二百万円、その他の長期性の預金が七十四億五千五百万円、それから積立金がわずかでありますが、百万円あります。これを合計いたしますと、二千六億六千九百万円というような状況なつております。このほかになおたとえば一時政府特別会計等からの資金繰りの余裕上生じた資金を若干預かつております。こういつた預金を全部ひつくるめますと、二千二百十億五千四百万円というような状況なつております。これに対しまして、運用の方はどういうふうになつているかと申し上げますと、先ほど申し上げました長期の原資に相応するような長期の運用といたしましては、たとえば食糧証券というような政府の短期証券は別にいたしまして、長期のいわゆる国債と称せられているものが五百十三億三千六百万円あります。それから政府に対する貸付金が若干残つております。これは国鉄、電通等が大きいのでありますが、それが全部で二十八億九千二百万円あります。それから地方公共団体に対する貸付金の形でやつておりますが、地方債や公共団体に対する貸付金、これが一番大きいのでありまして、七百四十七億一千九百万円であります。それからこれは古いのでありますが、戰前に勧銀、興銀等の債券を引受けたり、あるいはこういつた銀行貸付を行つたり、あるいは日鉄等の特殊の会社にもその当時は貸せることになつておりましたので、こういつたものの残が残つております。これが十九億二千二百万円ありますから、合計しまして一千三百八億六千九百万円というような長期の運用なつているのであります。  先ほど申し上げましたように、長期の原資は全部で二千億を越えておるのでありまして、これに見合ういわゆる長期の運用というのは、今申し上げました通りに千三百億でありますから、約七百億ばかりの開きがあるのでありますが、今日では御承知のように預金部資金の長期の運用は制限が加えられておりますために、いわばやむを得ず短期の運用を行つておるのであります。この中にたとえば先ほど申し上げました金融機関等の預け金等もあるのでありますが、現在はすでに地方税法が成立いたしたのでありますが、先般税法の不成立に伴う地方公共団体に対する短期融資として、二百億のわく内で融通を行つて来ておりますので、これが八月三十一日の残高では百八十五億四千九百万円ということになつております。そのほかに金融機関の預け金が百九十四億ありまして、そのうちの百億弱が、前年の年末金融対策として一般的な金融機関資金として供給せられた預け金であります。また九十四億は貿易公団や配炭公団等の滯貨を処分する、それからこれらの公団の未回收金等の回收をスムースにするということの意味における、いわゆる滯貨金融の金でありまして、これが合せて百九十二億であります。これは性質上はいずれも金融機関に対する預け金という形で出ております。それから最も大きいのは、やはり短期の運用でありますが、農林五公団に対する貸付金でありまして、これが二百七十二億一千万円でありますが、こういう短期運用が六百五十一億五千九百万円になつております。これで先ほど申しました七百億というのが、若干ギヤツプを埋められているかつこうになつているのであります。しかしそのほかに短期の原資もありますので、こういつた短期の運用は、まず当然短期の原資を食つて、足りぬ分を長期の原資を食うというかつこうにせざるを得ないのであります。総計いたしますと、先ほど申し上げましたように、原資のトータルは二千二百十億余りになつおりますが、運用の方は、長期の運用の千三百億と、短期運用と一応考えられる六百五十億を足しましても、二千億に満たないという状況なつておりますので、余裕金が残つておるのでありますが、この余裕金が八月三十一日では二百五十億二千六百万円どいうことになつております。余裕金と申し上げましても、われわれはその金を、ただ日本銀行の金庫の中に眠らしておるというかつこうには、いたしておらないのでありまして、できるだけ預金部の採算を維持するためにも、日本銀行で持つております政府の短期証券を一時買つておくのであります。余談になりますが、預金部の資金上の余裕は、大体余裕金がありますれば、ただちに短期証券を買つておく。それから新しい運用がありましたならば、その短期証券を売つて現金にかえてそれを利用する。こういう日本銀行といわば短期証券のキヤツチ・ボールのような形をとつておるのであります。従つて原則としてわれわれは政府の短期証券に運用するのでありますが、この政府の短期証券の大きいのは食糧証券であります。そのほかに最近の外国為替特別会計の融通証券も出ておりますので、全部一銭三厘、四分七厘五毛の利子のついた短期の、二箇月または三箇月の短期証券でありますが、これが二百五十億二千六百万円、余裕金が二百三億飛んで二百万円という数字になつております。なお残額の四十七億二千四百万円が現金になつております。これは先ほど申し上げましたように、本来ならばできるだけ短期証券に運用したいのでありますが、この当時は日本銀行にそういう短期証券もなくなつておりましたので、やむを得ず四十七億という大きな数字が、現金と言いましても、日本銀行の倉の中に入つておるのでありますが、現金の形で持たれております。両方合せまして、トータルは二千九百十億五千四百万円という数字になつております。
  71. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ただいま預金部の状態がわかりましたが、現在の急速な災害金融の問題ですが、局長のおつしやるのには三百億くらい要求されるというお話です。しかしこの三百億をどうして今後処理するかという問題、あるいは三百億要求されても、この半分なりあるいは三分の二は何とか調達できる。その資金見返り資金から出るとか、あるいは日銀の貸出しによるとか、あるいは地方銀行の協調融資の形で行くとか、何とか見通しがなければいけませんが、局長はこの三百億要求されておるのに対して、どういうふうな方法をお考えでしようか。
  72. 舟山正吉

    舟山説明員 三百億と申しましたのは、金融資金として大体必要であろうと見込まれる金額であります。このうちには大企業の分も入つておりまして、ある種の大企業については金融機関の借入れ以外に、資金の調達の可能な面もあると思います。大体午前中申し上げましたが、この資金めんどうを見るにつきまして、大企業中小企業とにわけた方が便宜かと思います。大企業につきましてはある工場地帶は浸水を受けまして被害を受けた、こういうようなものにつきましては、それぞれ取引銀行もあることでありますから、取引銀行から復旧資金を出すことになると思うのでありますが、その取引銀行資金不足のしりは、日本銀行が見て行くということになると思います。この金額は三百億のうち相当過半を占めるものと思うのであります。残るところは中小金融方面でありますが、中小企業者はふだんでもなかなか金融の便が得られない。取引銀行あるいは取引金融機関というものが確立しておらない。そこへこの災害を受けまして、いかにして金融を受けるかということについては、なかなかの困難があることが想像されるのであります。しかしそれらにつきましては、大銀行中小金融專門店舗、あるいは組合系統の業者でありますれば、商工中金農林中金のルートによる資金の供給、それからまた無盡会社、信用組合等の貸出し、こういつたルートから金を借りられるようにしたいと考えるのであります。これらの金融機関資金めんどうを見なければなりませんが、これらにつきましては日銀から別わくの金額、別わくの応急資金を出すようにいたしたいと交渉中でございます。それらの場合に、先ほどもお話がございましたように、預金部資金が利用できますれば非常に好都合なのでありますが、残念ながら目下の間に合わないのでございます。嚴格な意味における金融と申しますと、その程度でございますけれども、なおそのほかに、半ば応急的な生活資金を貸し出す場合には、いわば金融ベースにはならぬ場合もありまして、消費資金その他になりますと、これを銀行から期待するということは多大の困難があるのであります。こういう際に国民金融公庫あたりの資力が充実しておりますと、相当の活動ができるのでありますが、これも先般補正予算が国会にかけられませんでしたために、資金が現在不足しておりまして十分な活動ができないのであります。しかし資金災害地に相当重点的に配置いたしまして、できるだけの活動をいたさせたいと考えております。
  73. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この日銀の別わくの貸出しですが、これは私らが北海道に行つたとき、北海道拓殖銀行では日銀の別わくを借りまして、中小資金をまかなつておるので、非常に潤いがあるのだと言つておられたので、私らも非常に喜んで帰つたのです。ところが東京へ帰りまして、東京のある一流の銀行中小金融を担当する某支店に参りまして、支店長に会つて聞いてみましたが、日銀の別わくを借りた場合には、ある一定期間には全部貸さなければならない。その危險はわれわれが負担しなければならないから別わくは借りないのだ。従つて中小資金はそういう危險な貸し方をするような別わくは借りないのだという、非常に自己そろばんの考え方から、中小資金がはばまれておる例があるのでありますが、こういうことについては銀行局ではぜひ監督してほしいと思うのです。これは一流の銀行でありまして、別わくを借りて中小資金をまかなうということは、結局銀行の採算がとれない。一定の期間にはむりでも貸さなければならない、こう言つておりますが、そういうところを嚴重に監督しながらこれを取立てるというかたわら、どんどん別わくで貸して、中小資金を見て差上げるということで行かなければいかぬのじやないかと思うのです。この点についてぜひひとつ今後別わく金融については、特段の御考慮を願いたいと考えております。  それからもう一点は災害でおそらく勤労者が非常に困つてれられると思う。この間勤労者においても、先ほど言われたように家主が家の修繕なんかしてくれないで、入つておる人が応急措置をしなければならない。疊がえもしなければならない。そういう資金がおそらく勤労者にはまかなうことができないのじやないかと思う。そういう意味で勤労者が家を借りて大家が見てくれないようなところでは、特段の考慮が必要じやないかと思います。勤労者の金融については、国民金融公庫ということを先ほどおつしやいましたが、しかし国民金融公庫の第一條には中小企業金融ということになつておるので、おそらく勤労者は借りる対象にはなつていないのじやないかと思う。そういう意味でもしも補正予算が提出される場合には、第一條の中を勤労者も含めた規定に改めなければ、現在は不可能じやないかと思いますが、この二点についてお伺いしたいと思います。
  74. 舟山正吉

    舟山説明員 別わく融資につきましては、せつかくそういう制度ができておりますから、これが十分に活用されますように、御指摘のような点はよく銀行に注意を促したいと存じます。     〔委員長退席、奥村委員長代理着席〕  それから勤労者が災害応急資金がいるという場合に、金融の道がなかなかないのでお困りだということは、十分に理解できるところでございます。何分特殊金融機関というものはだんだんなくなつて参りまして、普通の金融機関ではいわゆる金融べースに乗つた金融をするという建前になつておりますので、こういう際に金融の不便を感ずることが多いのでございます。国民金融公庫あたりは特殊機関でもございますし、できるだけその利用の範囲が広くなるように、立法措置その他の方策を考えて参りたいと思います。
  75. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 今台風の跡始末が問題になつておりますが、しかしまだ火災という災害を受けておる都市が各府県にわたつてたくさんあります。たとえば熱海市だとか、長野の上松だとか、秋田の鷹巣だとか、そういう都市もたくさんありますが、今回災害金融を認めると同時に、そういう都市の災害金融をこの際特に御考慮願いたい。これは三箇月も四箇月も議会へ再三陳情に参つても、現在まで金融を受けていない都市であります。これと並行して特段に災害金融を認めでもらいたいと考えます。
  76. 舟山正吉

    舟山説明員 各地の災害に対しましては、公平にこれの対策が講ぜられますように心がけておりますが、なお今後も注意をいたしたいと思います。
  77. 淺香忠雄

    ○淺香委員 銀行局長に二点お伺いいたしたいと思うのですが、その一点は、預金部資金一般銀行へ流す方法と、もう一つ公共団体へ流すという二つの方法があるが、自分は公共団体の方に流す方が望ましい、こういうことを午前中もお話されておりました。何だか抽象的でありますが、これは主として大半は公共団体へ流すとおつしやつたものと、私ども解釈してよろしいかどうか。  それからいま一点は、今回の台風による民間社会事業施設復旧費につきましては、預金部の資金を流用してもらえるかどうか。この二点について御説明をいただきたいと思います。
  78. 舟山正吉

    舟山説明員 現在預金部資金運用につきましては、これを公共団体に限るという大きな制限があるのでございます。ただ例外といたしまして、昨年の年末金融対策として、市中の金融機関に一定額の預託をすることが認められたわけでございます。そこで私どもはこの金融政策といたしましては、公共団体に貸すことと、それから市中金融機関に預託すること、このいずれも相当自由にやつて行けるように希望している次第であります。現在のところは、前者すなわち公共団体に限られている。その公共団体に対する貸付あるいは起債というものが、別途公共団体の財政上の見地から毎年わくをはめられている。それだから預金部資金は余つておりましても、無制限に地方公共団体に流すことができない建前になつております。なおその場合に、地方公共団体に対しては、その公共団体自身が使う資金でなければならない。これを地方公共団体が管下のものに転貸したり、あるいは金融機関に預託をすることは、認めておらないのでございます。これらももう少し自由になることが望ましいと考えておりますが、こういうような現在の運用制限からいたしまして、社会事業団体というようなものに対しましても、預金部資金融通する道はない。そこで少くともこれも地方公共団体預金部資金を流しまして、そこから転貸でもできるという道が開かれることが望ましいと考えまして、骨を折つているような次第であります。     〔奥村委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 淺香忠雄

    ○淺香委員 先ほど一、二例があるようなお話でしたが、この例を今度は踏襲するというお見込みがありますか。
  80. 舟山正吉

    舟山説明員 福井震災のときに実施いたしました預金部資金運用制限が強化されまして、現在では認められておりませんが、そのときの例にもならいまして、復活してもらいたいという強い要望をしているような状態でございます。まだ現在までのところでは結末を見ておりません。
  81. 淺香忠雄

    ○淺香委員 それは究極はGHQの方の了解を得るに困難だという結論でございますか。従つて向うの方の了解を得れば、これはもちろんそこは方法がつくわけでございますね。
  82. 舟山正吉

    舟山説明員 さようでございます、
  83. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 今の問題に関連してお伺いします。災害後に一番起る問題は、伝染病の予防であると存じますが、このの伝染関係でいろいろ病人が出ても、災害あとの病院はほとんどこわれ、また流されたり焼かれている場合が多いのであります。こういう場合に金融を受けるときに、興業銀行へ行つても貸しませんし、市中銀行でもなかなか貸してくれません。まさか医者の協同組合をつくつて市中銀行から借りることもとうてい不可能であります。こういう意味で、私は社会事業団体とか、あるいはお医者さんだとか、あるいは浴場だとか、そういう衞生に関係企業のために、特に厚生省の力で厚生金融金庫というものをつくつたらどうかと考えるのであります。現在の国民金融公庫も大体政府直接の金融機関でありますが、こういう場合に預金部資金は直接には貸せませんが、厚生金融金庫をつくつてそこへ流して、そこから社会事業団体なり、あるいはまたそういう金融を受けられないところの病院だとか、浴場だとか、そういうものに流すことが適当ではないか、こう考えるのであります。もしできるなら厚生金庫なるものをつくつてほしいということを、私は以前から考えておつたのですが、この際関連して質問したいと思います。
  84. 舟山正吉

    舟山説明員 市中の一般金融機関は、融資をいたしました結果は自分が負う。いわゆるコマーシャル・べースによつた金融でなければしないわけでございます。従つて政府も損失補償等の制度なしに、これに対して融資をすべしということは、命令できない建前になつておるのであります。しかしそれだけでは、特にこういうような災害の際には金融上の不便がある。そこでそれにつきましては、いわゆる普通の金融にたよるのはむりでありまして、財政上の支出によつて措置を講ずるとか、あるいはただいまお話になりましたような特殊の金融機関をこしらえる。そうして政府がこれに対して助成なり、損失の補填なりをするという建前のものをこしらえることが、必要かと存ずるのであります。その意味におきまして、御提案のごとき金庫は非常に研究の価値があるのじやないかと考えます。
  85. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 そうすると、今後政府ではそれを研究して、将来こしらえていただくお考えでしようか。その点をちよつと……。
  86. 舟山正吉

    舟山説明員 そういう金庫をこしらえるということまで、ただいま意見を申し上げることは困難でございますが、研究はいたしたいと存じます。
  87. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ちよつと私からその点について申し上げます。この間司令部へ行つて、いろいろ懇談したのでありますが、税金を引上げたものに対して、これを国民経済に役立つように有効に使う意味で、あるいは産業関係、あるいはおつしやつたような意味のそうした使途に向けることは、さしつかえないと思うという意味のお答えがあつたわけです。これは政府関係筋と十分に御折衝なつて、その目的がそれに合致するようなことであれば、たいへんけつこうであると思いますから、もう一段と力を入れて御折衝願いたいと思います。
  88. 竹村奈良一

    ○竹村委員 午前中の御説明によつて、なお先ほどからの各委員質疑によつて、明らかになつたのでございますが、そこでもう一つお聞きしておきたいことは、朝からの御説明によりますと、大阪和歌山兵庫徳島のようなところには九億七千万円預金部資金わくから融資をされている。その他の災害があつた府県からは融資要求があつたかどうか、それが大体どのくらいであつたかということと、もう一つは、先ほどから明らかになつたように、預金部資金金融機関にまわされましても、金融機関がはたしてこれを円滑に災害復旧方面に貸し出すかについては、いろいろな條件あるいは回收の困難等も手伝つて、まわらないと思うのでございます。こういう場合には現在では方法がないということになつているのでございますが、それでは実際銀行からのわくのないものは融資を受けられない。これに対して何らかの方法、たとえば金融公庫にいたしましても、現在は資金がなくなつている。こういうものに対して何らか早急に打つ手は考えられないものか、あるいはどういうようにしたならばできるかというような点で、御意見がありましたならば伺いたいと思います。
  89. 舟山正吉

    舟山説明員 公共団体の必要といたします資金を、つなぎとして預金部から出しました金額は九億七千万でございますが、これはとりあえず災害の特にひどかつた一府三県に、先に応急措置として融資したわけでございます。その他の府県につきましても被害の大小はございますが、被害があり要求もあるわけでございます。これは第二次分として安本等と金額を打合しているような次第でございます。それから災害に際しますと、個人その他で普通金融機関取引関係のなかつたものが、金がいるということになるわけであります。これらに対しましては国民金融公庫の活用ということも考えられるのであります。これについては補正予算とかの手続なしに、一時預金部資金でも使わすような方法もないかと考えたのでありますが、いろいろの壁にぶつかりまして、むずかしいという結論になつたわけでございます。そこで私方面をかえまして、やはり預金部資金を府県に貸しまして、それをその地の住民に転貸するといつた方法の方が、もつと直接的な効果があるのではないかというふうに考えまして、それも懇請しておるような次第であります。これがちようど福井で行われました事例でございます。それについても骨折つておるような次第でございます。
  90. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は各委員の質問がありまして了承したわけでございますが、ひとつ舟山さんに資料を出してもらいたい点があります。先ほど委員長からも御要求があつたと思いますが、預金部資金につきましては非常に問題が多いのです。先ほど説明員の説明によりますと、公団等には二百数十億円を貸しておる。こういうような点もありまして、公団の專門の方もおられまするが、非常に問題が多いのです。ぜひともその各種別取引先等について、明細な最近の資料をひとつお出し願いまして、われわれ大蔵委員としても検討を加えたい。もちろん災害等については思い切つてやらなければならないのでありましようが、いろいろな事例もありましようから、ひとつ委員長から求められた要求書に追加して、預金部の活用状況について資料をお出し願いたいと思います。ついででありますから質問をいたしますが、私どもは災害につきましては、各政党とも議論のないところでありまするが、これは特に補正予算というような意味でお話もあつたわけでありまして、臨時国会でやらなければならないのですが、場合によつてはもう少し簡略にやる方法がないかということを、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  91. 舟山正吉

    舟山説明員 預金部に関する資料の点については了承いたしました。この国民金融公庫が預金部資金を使つてよいかどうかという問題につきましては、大体可能性が出て参つておるのでありますが、残るところは政府機関でありますところの国民金融公庫の補正予算を、組み直さなければならぬという点があります。前国会にも補正予算を出すことが許されれば出したかつたところでありますから、最近のごく間近に参ります国会に提出したいと考えております。
  92. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 今の問題ですが、これは国民金融公庫法の第五章二十一條がひつかかつていると思うのでありますが、今後あれを改める場合は、予算措置を経ないでもいいような特別な條文に改めていただきたい。こういうような状態に至つて金融状態が悪い場合に、どこからも借りることもできないというまごつく状態から、この二月か三月の臨時国会を召集するまでの間、一般金融を願いたい人々の迷惑を考えますと、ぜひとも今後方法を改めて行かなくてはならぬと思うのであります。重ねて委員長にもお願いしますが、この際どうしても金融措置や、あるいは農業関係に関してもあらゆる問題がありますので、急速に国会を召集することはどうかと考えるのでありますが、委員長にもそれをお伺いいたしたいと思います。重ねて銀行局長にほかの点についてお伺いいたしたいと思います。
  93. 舟山正吉

    舟山説明員 国民金融公庫法の改正につきましての御意見は同感でございます。大体金融機関の予算をつくるにあたりまして、借入れも歳入に立て、貸出しも歳出に立てるということは非常にきゆうくつであります。この点は実際の運営上便宜のように改正を考えてみたいと思つております。
  94. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 委員長よりちよつと申し上げますが、今委員諸君より御質問になつている預金部資金の活用ということは、現段階に追い詰められた日本経済では、この預金部資金の活用を現在のままに放置しておるならば、ゆゆしき危機に瀕するというようなことになりはせぬかと私どもは考えております。そこで国会及び政府は、この預金部資金の活用に対しては相当に本腰になつ関係筋と折衝せられ、国民資金蓄積ということを言つておりますけれども、なかなか蓄積どころの騒ぎではない。税金を納めることができないというようなことになつておるのでありますから、この機会に委員会としても十分にこの点に重点を置いて、関係筋と折衝をして日本経済のあり方を明確にして、一日もすみやかにこれを軌道に乗せていただきたい。こう委員長は考えておりますから、よろしく御了承願います。
  95. 奧村又十郎

    ○奧村委員 委員長のただいまの御発言に関連して銀行局長にお伺いしたいのですが、委員長の言われるごとく、今の日本の金融においては預金部資金の活用がさしあたつて一番重大なことであつて、われわれ大蔵委員会としてもぜひ努力をいたしたい。——ちよつと速記をとめてください。
  96. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 速記をとめて……。     〔速記中止〕
  97. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 速記を始めてください。
  98. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまいろいろな質問がありましたが、最後にひとつこういうことを申し上げたい。委員長からも今大蔵委員会の国政調査に基く徴税並びに金融対策の意見書も出ておりまするが、これに対しまして、政府としましてもある程度資料をまとめて、御答弁があるはずだと思つておりまするが、なおシヤウプさんにも委員長の報告書が提出してありますし、また今日第二回目のシヤウプ勧告案も出ることと考えております。つきましては本月末もしくは来月の一日あたりに、もう一ぺん委員会を開いていただいて、災害対策並びに預金部資金の活用状況、もしくは徴税あるいは金融状況に対しまする対策につきまして、早急に開きたいと思いまするが、委員長のお考えを承つておきたいと思います。
  99. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 いずれ適当な機会に委員会を開くことにいたしします。  なおただいまの預金部資金の問題は、大体徴税面においてだけでも地方税及び国税で本年度内になお二千四、五百億円の吸い上げとなり、日銀の貸出しは現在では一千五百数十億円になつておる。そうなりますともう何をか言わんやであつてインフレーションになるとかならぬとかは、どつちからどう考えたつて恐るべき段階に到達すると考えておりますので、これは議会としても各党としてもあらゆる方面からこれを検討して、関係筋に懇請するということが一番手取り早いことであつて政府にいかにどうこうと言つたところで政府ではできない問題であつて、あちらの方でぎゆつうと手を握つておるのだからしかたがない。委員長はいずれ数日中に総理にも会見を申し込んで、総理の力もかりてこの急場を何とかしなければならぬということを私は考えております。さよう御了承願います。
  100. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この際委員長もこの問題は重大問題だということを言われておりますが、私は早期に臨時国会を召集する必要があると思うのであります。委員長の見解を伺いたい。
  101. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 臨時国会の召集ともなると、なかなか夏堀委員長の権限においてはできませんので、御意見としては承つておきます。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時五十九分散会