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舟山政府委員 今後一定の基準に合つたものを
大蔵大臣は
免許しなければならないという
免許の形式をとることといたしますれば、その基準がどうなるかという問題につきましては、従来私どもが
免許申請に対する
審査の基準としておりましたところを申し上げると、御参考になるかと思うのであります。これにつきましては、まず
設立せんとする場合の
組合が、その地方における金融情勢、経済情勢から見まして、あるいは資金の蓄積上あるいは資金の需要上、
金融機関がなくて非常に不便を感じておるということを考える必要があろうと思います。
その次に、なお信用
組合は必要であるといたしましても、その地方における、たとえば他の
金融機関の存在の状況というようなものも、勘案する必要があろうかと思います。
なお
組合員数は
法律の
規定によりまして、
信用協同組合につきましては、三百人以上でなければ
設立することができないということに相なつておるのであります。それから次に
組合を
設立するにあたりましては、いろいろの適格要件、その多くは将来の予想にかかるものでありますが、
法律の
規定におきまして
預金その他の対外債務に対して、出資金は少くとも三%なければならぬということもあるのでございます。また何と申しましても出資金が対外債務の最後の保証になる。またいわゆる金利を払わない出資金が相当
程度ありますことが、
金融機関経営の基礎になるという点にかんがみまして、出資金については
法律上特に制限はない。すなわち各
組合員出資一口以上を持てばいいといつたような
規定でありまして、その一口の出資の金額についても特に制限はないのでありますが、出資総額につきましては、やはり最低限度の要請というものがあるというふうに考えるのでございます。それにつきましては、信用
組合の存在する大都市、それからその他の市制施行地、なおその他の町、その他の地域というふうにわけて考えることが適当であろうと思うのでございまして、大都市につきましては、少くとも五百万円、市制施行地につきましては三百万円、その他の地域につきましては二百万円、これだけはまず出資金をそろえまして、
免許申請をしてもらわなければならないというふうに考えるのでございます。
それから次に、その
組合が発足いたしまして、予金がどれだけ集まるかということが、これは一面においては貸出しに応ずる資金源ともなるものでございますし、また
組合の收益源ともなるものでありますので、相当の予金が集まらなければならない。これまで
協同組合の
設立を
申請されました動機の中には、特に
預金を集める見込みはあまりないのだが、
組合ができれば何とか
政府資金でも流してもらえるだろうといつたような、漫然たる希望を持つておられた向きもあつたのであります。しかしそういうことでは
組合として成長して行かない。もちろん
組合ができました上、別途の制度のもとにおいて、
政府資金その他の資金の利用ができますことはもちろん望ましいことでございますが、それだけを当てにして
組合設立を企画されても困る。こういう意味におきまして、大都市における
組合については、必ず一年後には少くとも五千万ぐらいの
預金は集まる目途を持つていただかなければならない。市制施行地については二千五百万円、その他の地域につきましては、一千万円
程度の
預金は一年後には集まるという見通しがなければ困ると思うのであります。なお
預金総額のうちに、定期制
預金というものが半分以上集まることが望ましいと考えております。次に運用面におきまして、なるほど当面
中小業者の資金需要に応ずるためには、貸出しに中心を置くということが要請されて参るのであります。しかし
組合の資産構成というものも相当の制約がありまして、適正を維持しなければならないと思うのでございます。まず
事業計画において貸出金に運用する金額は定期性
預金の八〇%、要求払い
預金の六〇%、この両者を合しました額以内にとどめておくことが、堅実経営の
趣旨にかなうのではないかと考えております。なおその次には、
組合の経常収支が均衡を保たれて赤字を出さぬということも、これは大きな要素でございます。それからとにかく
組合ができまして、それが堅実に発達して行くかどうかは役職員の能力、資格ということにかかるのでありまして、役職員が金融業務に関して十分な経験、識見を有することが必要かと考えるのであります。
それから同じような
金融機関が同地域に併存いたしまして、お互いに競争し合うということは、一面競争の利益もありますが、従来
金融機関が弱体化した原因は、また競争の弊害によつて不良貸出しをあえてしたというところにもあるのにかんがみまして、競争はけつこうであるが、不当な競争は防止する配慮が必要であろうと考えるのであります。それで既存の信用
組合がすでに十分あるところには、新規に認めるよりも、既存の
組合を拡充し、この活動を活発化して行くということが、より望ましいことではないかと考えるのであります。たとえば人口十万未満の都市においては、二
組合以上を認めないといつたような原則が必要かと思うのであります。それからもう一つは
組合が政治的に中立であり、特に特定の政党のために利用されるおそれがないということが必要であると考える。純経済的な活動をするものであるということが必要であろうと思うのでございます。その他
設立の手続等について適法を要することは、もちろん申すまでもないことであります。