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1950-07-29 第8回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 大上  司君 理事 奧村又十郎君  理事 小山 長規君 理事 早稻田柳右エ門君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       鹿野 彦吉君    川野 芳滿君       佐久間 徹君    高間 松吉君       田中 啓一君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       宮幡  靖君    武藤 嘉一君       宮腰 喜助君    中崎  敏君       高田 富之君    竹村奈良一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (管財局長)  吉田 晴二君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      二見貴知雄君         参  考  人         (農林中央金庫         理事長)    江澤 省三君         参  考  人         (商工中央金庫         理事長)    豊田 雅孝君         参  考  人         (国民金融公庫         総裁)     櫛田 光男君         参  考  人         (日本銀行総         裁)      一萬田尚登君         参  考  人         (日本銀総務部         長)      佐々木 直君         参  考  人         (農林中央金庫         理事)     更級  學君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君 七月二十八日  委員有田二郎辞任につき、その補欠として本  間俊一君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員本間俊一辞任につき、その補欠として有  田二郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月二十八日  国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決  を求めるの件(内閣提出議決第一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会中審査に関する件  国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決  を求めるの件(内閣提出議決第一号)  金融問題に関する件     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  最近の金融状況一般について、参考意見を聽取いたしたいと存じます。本日御出席願つた参考人の方々は、日本銀行総裁二見さん、農林中央金庫理事長江澤さん、商工中央金庫理事長豊田さん、国民金融公庫総裁櫛田さん、この四名であります。本日は午後一時ごろから大蔵大臣も見えることになつております。ちようどその際に日銀総裁経済安定の方においでになるということを聞いておりますので、ぜひそのときに御出席を願いたい、こう存じております。そこでまずさきに日銀の副総裁二見さんから、御発言願いたいのでありますが、日銀総裁がお見えになれば、日銀総裁より政策上のことをお伺いする方がいい、こう存じておりますので、副総裁の御意見は、大体その点をお含みの上で御発言を願います。
  3. 二見貴知雄

    二見参考人 ただいま委員長からお話がございました通り、私は金融実務に当つておる者の立場から、金融行政について観察しておることを申し上げます。  御存じ通り年度中の財政資金は約九百億の引上超過でございましたが、これに対して日本銀行は貸出しと有価証券つまり国債の買入れ、いわゆるマーケット・オペレーシヨンの方法などを通じまして、ほとんど同額信用供與をいたしまして、財政からの影響を調整して参りました。これは昨年度におきまして、インフレ進展の大きな要因と言われました財政の赤字と、復興金融金庫の融資が完全に停止されまして、インフレの進行がとまりましたが、しかしわが国経済の実情に照しまして、その際あまりに急激な影響によつて経済の実態をこわしてしまうというようなことのないように、このように影響を調整する方策がとられたものと思います。その間物価の上り方は総体としてはとどまりまして、生産も若干上り、輸出貿易相当増加いたしましたが、このような方策通貨経済の安定の目標に対して寄與をいたしたものと思います。本年度に入りましてから、いわゆる第一・四半期、四月、六月の間は、財政引上げ超過が約三百億でありました。その間に日本銀行は貸出しの増加国債の買入れなどによりまして、やはりほとんど同額の三百億ばかりの信用供與いたしております。これは緊要な産業活動にどうしても必要な資金の供給でありますが、一方この期間政府見返り資金への繰入れや、預金部資金増加相当多額に上つております。これら見返り資金預金部資金などの余裕金が、公企業、私企業を通じまして、適時に産業資金に向うように活用されることが望ましいのでありまして、関係当局においてもせつかく御努力のことと聞いております。ことに預金部資金の原資といたしましての郵便貯金は、四—六月の間に百三十億円ばかりの増加で、これこそ真の意味資金蓄積でありまして、その同じ期間銀行預金増加は非常に少いのでありますから、銀行の貸出し能力がはなはだ乏しいわけでありまして、銀行などのいわゆるオーバーローン、貸出しの預金に対する割合、これはすでに五月ごろに貸出しは預金の九割まで行つておりますが、そういうオーバーローンの形を続けることが好ましくないということから申しましても、本年度財政金融との区分をはつきりさせることが適当であるというふうに思われます。今後の金融についての見通しにつきましては、このたびの朝鮮動乱の勃発と、その発展の程度とによりまして、いろいろ影響を受けることは当然でありますが、もしこれが長期化いたしますならば、相当額物資サービス調弁が予想されますから、その場合には国内の滯貨の中でかなり流動化するものができましようし、また産業界のいわゆる金詰まりというものを緩和することにもなり、また政府資金について申しますならば、調弁が原則としてドルで支拂われる模様なので、これが外国為替特別会計から円貨で支拂われまして、また警察予備隊等増強費が、一般会計債務償還費から支出されることになつておるようでありますから、そういたしますと、本年度の初めに予想されました財政のいわゆるデフレ要因は、それだけ緩和されることとなろうと思います。こういうふうな事情はいわゆる国内物資に対する有効需要原因となり、経済の循環を円滑にすることに役立ちますだけでなく、金融の面では、先ほど申しましたオーバーローン傾向がだんだんふえておりますのを、一部従来固定化しておつた貸出しの回收にも役に立つわけでありますから、それをとめさせることになると思います。しかしその反面にはドルがとまりまして、すなわち円の通貨が増大する。増大したままではインフレ的の要素を包蔵することになりますから、この辺は何も神経質になる必要はございますまいが、やはり一応考えの中に入れて警戒をすべきところで、その意味で輸入の促進ということがすでに考究され、または実行に移されようとしておるのは、しごくもつとものことと存ずるわけであります。いわゆる米軍からの受註業者に対する前貸しの金融につきましては、ただいまのところでは注文を受けたものの多くは、ストツクによつてその発註に応じているようで、従つて金融機関への貸出しの申込みはまだ少いということでありますが、今後その受注の量が増加いたしますと、当然資金需要も増大して参りましよう。その種の資金需要をまかなうにも、前に申しましたように預金部資金見返り資金等の活用が望ましいのでありますが、金融機関ドルの裏づけがあります以上、すなわち実需に基いて決済の確実なものであります以上、これらの資金調達に当ることとなろうと思います。事変によります物資調達は軍需的なものとはいいながら、結果においてはやはり輸出と同じ効果がある、かように考えるのでありまして、その結果従来金融の面にしわ寄せをされて来た財政資金の民間からの引上げ超過というものが、財政自体で調整されることになりまして、財政金融との区分明確化、また両者の調和に役立つことになると思われます。当初申し上げましたように、金融実務に当つておる私の立場から観測いたしましたことを申し上げて御参考にいたします。
  4. 夏堀源三郎

  5. 江澤省三

    江澤参考人 私は農林中央金庫江澤でございます。本日は理事長の湯河が参るはずでございましたが、ちようど出張中でありますので、かわりに参りました。  一通り一般金融のことにつきましては今二見総裁からお話がありましたが、御存じのようにドツジ・ラインがきつく遂行されましたしわは、都市におきましては中小企業地方におきましては農村にきつく参つているような次第であります。この現われは、農村関係におきましては借入金の増大というようなことが、現象として出て参つております。一時農村は非常な好景気に惠まれまして、今までの借金もどんどん返して、ほとんどなくなつたような状態であつたのであります。ところが昭和二十三年度におきましては、その借入金が平均一戸当り四百円ぐらいになりましたが、これが二十四年度におきましては、その十倍の四千円というような額に上つております。さらにこの情勢で推移いたしますれば、農村借金というのは農業手形その他の関係を通じまして増大するような傾向にあるのでありまして、われわれとしても放置し得ない状態になつていると思うのであります。この直接の原因はやはり農産物の価格——米、麦などの価格と、それを生産するコストとの開きにあるというふうに私は思うのでありますが、そういうようなことからいたしまして、各全国の單位農協におきましても、貯金支拂いに支障を生ずるというようなものが大分出て参つております。これは普通の金融機関でありましたならば容易ならぬことでありますが、これは御承知のように秋になれば何とかなるというようなことでございまして、実質上そう金融界全般に大きな影響を及ぼしてはおりませんが、これがだんだんと積み重なるということでは、なかなか影響も大きいというふうに考えるのであります。以上のようなことでございますので、農村におきましては最も必要であるところの肥料の引取り資金にも困つているというような状況でございます。現在のトン当り一万七千円というようなものがあるのは二、三割上るのではないかといううわさもあるのでありますが、農村購買力という点から見ますと、この価格におきましても、なお買えないで農業協同組合に積み重ねてあるというようなことでございまして、なかなか容易ならぬ事態に立至つていると私は思うのであります。  しからばそういうような状態に対しまして、農林中央金庫としてはどういうような対策をとつて参つたかということになるのでありますが、これは何とか早く緊急な対策を講じなくちやならぬというような説が前からあつたのでありますが、幸いにいたしまして六月の二十四日に見返り資金の出資により優先株の拂込みが完了いたしまして、現在総出資金農林中央金庫といたしまして総額二十八億円、金融機関としては最も大きい資本を持つようなことになりまして、これを基礎にいたしまして農林債券発行することができるようになりました。法律規定その他によりまして、預金部等部分を除きますると、現実発行量と申しまするのは二百億円であります。これが今後ある程度農村に注ぎ込むことができる資金になるであろう、こういうふうに思うのであります。  それからそれに基きまして現実にどういうふうに債券発行されておるかということを申し上げますると、この六月に短期債券——六箇月の債券でございまするが、これを十億発行いたしました。幸いに成績は良好で、ほとんど応募超過になるというような状況でございます。その次に、今月におきましては短期債を二億、長期債を三億、合計五億発行いたしまして、これも何とか消化されたわけであります。しかしながらこの成績をもつて今後も引続き行くかどうかということになりますると、私ども大いに危惧の念を持たざるを得ぬのでありまして、一般的の金融の引締り状況が、やはり債券消化にもだんだん影響を及ぼして来るのではないかと思いまして、今後はよほどの努力が必要であろう、こういうふうに存じております。しかし先ほども申し上げましたように、今月後五億程度債券消化を三月までに見込むというようなことは、何とかやつて行けると思いますので、その中から相当部分は中期、あるいはごくまれな場合でありましようが、長期のものにも流用するつもりであります。  それと、さらに私どもの方でやつておりますのは、債券関係にあわせましての貯蓄増強運動であります。これはインフレ時代におきましては、貯蓄をすれば損をするというかつこうになつたのでありまするが、今後はやはり苦しいながらも貯蓄すれば、それだけ値打のあるものが将来手に入るというような状況になつて参つております。従つてなかなかむずかしいとは思いますが、今後の貯蓄運動はよほどやりようによつてはいい効果收めるというような観点からいたしまして、いろいろな名目を立てまして貯蓄運動をやつております。この四月から六月におきましては、端境期資金自給運動というのをやりました。それから九月に地方税の納期が集まるという関係からいたしまして、今後の運動としましては納税準備貯金運動というのを、強力に展開することになつております。さらに水産関係におきましては、漁村におけるところの大漁定期運動というのを現在も展開しており、これは第一回、第三回を済ませまして、十月には第三回の募集をやろうというふうなことになつております。  こういうようなことで貯蓄増強に努めておりまするが、何と申しましても季節的関係から申しまして、第三・四半期すなわち十——十二月の期間農村に最も金が入るときであります。ところが従来はこの期間におきまして入つた金を、全部使つてしまうというような傾向が多いのでありまして、一部はそのために今日の窮乏を来しておるというようなことも言えるのでありまして、今後の運動の大きな方向といたしましては、入つて来た金を必ず十二分いたしまして、月給取りがやるよりに、毎月々々同じような金額が農家に入るようにしたらどうかというようなことも私考えております。十月——十二月の資金流入期を中心にいたしまして、私どもといたしましては死力を盡してこの運動を強く展開いたしたい、こういうふうに存じております。こういうようなことで何とか農村方面あるいは漁業方面の御希望資金需要にこたえたいと思つておるのでありまするが、御承知のように現在におきましては農林中央金庫としては、日本銀行からの借入金がなかなか多いのでありまして、これ以上借入金をふやして行くということについては、なかなか全体の問題としてむずかしい点があります。資金コストという点から申しましても、先ほど申し上げました農林債券について見ますれば、長期債については八分五厘の利息に上る。これにいろいろの費目を加算いたしますると八分七、八厘につくということになるわけであります。これをもつて農村漁村方面になるべく低利な金を融通するということになりますると、なかなか私どもとして経営のそろばんが立ちにくいという事情もあるのでありまして、これについて政府側において特段の措置を講じていただきたい、こう思うのであります。  私どもの方で御希望を申し上げたいのは、まず第一に短期資金の問題でありまするが、これについてはできるだけ預金部の方におきまして、私どもの方の債券低利で引受けていただきたい。それによりまして、私どもの方では低利な金を農漁村にまわすことができる、こういうことになるわけであります。それから私どもの方の特に国家的立場において低利を必要とする農業水産方面の貸出しに対しては、国家である程度利子補給というようなことを考えていただけないかということが言われるわけであります。こういうような方法で私どもの方をバツクしていただけば、私どもの方といたしましては何とか農漁村の御希望に応ずるように、できるだけ積極的に活動して行きたい、こういうふうに考えております。  さらに第二には長期資金の問題であります。こういう財界の変動のはげしいときにおきましては、一金融機関危險負担をもつて十五年、二十年あるいはそれ以上の大きな長期にわたる資金を供給するということは、なかなか困難であるのであります。これが今までともすれば單位組合におきましても、あるいは信連におきましても、その内容を悪くするというような原因になると思うのでありまして、私どもといたしましては、金融機関はやはり金融機関ペースに立つてやらなければいかぬ、そういう不安定な資金は、みだりに供給することのできるものではないというふうに思うのでありまして、これについては中小企業について政府がとられたように、見返り資金からある程度資金を私の方に供給していただきまして、供給すると申しますか、見返り資金から直接に農林水産方面長期の金、たとえて申しますると開拓資金とかあるいは治水の金とか土地改良の金とか、こういうようなものには従来から国家資金相当投入されておつたのでありまするから、これを自由ペースでやるというのは非常にむりかと思いますので、見返り資金あるいはその他特別会計資金をこの方にまわしていただきまして、それを私の方で事務的にマネージするという方法でやれば、何とかこの方面も解決するのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。  いろいろまだ申し上げたい点もありまするが、時間もありませんので一応この辺で終りたいと思います。
  6. 夏堀源三郎

  7. 豊田雅孝

    豊田参考人 商工組合中央金庫理事長豊田であります。  商工組合中央金庫は御承知のごとく組合のみに金融をいたすということになつておるのでありまして、預金従つて組合のみの預金しか扱えないという大きな制限があるわけであります。従つて商工組合中央金庫営業成績というものは、優秀なる組合設立数いかんということと並行いたしておるわけなんでありまして、ただいまのところ私どもといたしましては、直接間接に優秀な組合設立勧奨指導という方面に、力を注いでおるような次第でございますが、それと同時に組合のみの貸出しあるいは預金の吸收しかできないという、面がありますので、これに対しましては中小企業者をもつて組織いたしまする信用協同組合、これと一体の関係をつなぎまして、商工組合中央金庫組合のみしかその対象とできないという面の欠陷を、極力カバーして行こうという方向へただいま進んでおるような次第であります。営業所の数は、私が引受けましたときは十四であつたのでありますが、その後鋭意増加いたしまして、ただいまでは三十六箇所に相なつておるのであります。貸出し残高は約五十億、復金代理貸付残高を加えますと、約六十億になつておるのでありまして、最近一年間に約倍の貸出し増になつておるのであります。これは残高でありますので、しかも大体短期資金でありますので、これを改訂いたした金額にいたしますると、大体百五十億以上年間動いておるかと考えるのであります。貸出しの限度は、ただいまのところ一千万円ということになつておるのでありまして、これ以上になりますと、政府の認可を受けることになつておるのでありますが、組合事業内容がよいということになりますと、ほとんど問題なく認可せられておりますので、ただいまでは一組合当り数千万円に貸出し残高がなつておるものも、相当あるわけであります。資本金は最近十億円にいたしまして、その二十倍の範囲内において、債券発行ができるということに相なつております。本年度内に約四、五十億の債券発行する計画のもとに、毎月四億円くらいずつ債券発行いたしております。その消化ぶりは非常に順調でありまして、ただいまのところでは、今後ともまずもつて順調に消化し得るものと考えておる次第であります。かような状態でありますので、設備資金あるいは長期運転資金等長期資金につきましては、大体において今後は明るい見通しがついておると考えるのであります。しかしながらこれに反しまして、短期運転資金でありますが、短期運転資金は、御承知通り中小企業のうちの約七〇%以上を占めておるのであります。この短期運転資金については、何としても債券以外の資金源によらざるを得ないのであります。と申しますのは、債券はかれこれコストが二銭六厘くらいに、諸経費を入れるとなるのでありまして、とうていこれを短期運転資金にまわすことはできないのであります。どうしても設備資金長期運転資金にまわさざるを得ない。そうなりますと、短期運転資金は今後相当かすれぎみになるのではないかと思うのであります。ことに御案内のごとく朝鮮動乱を控えまして、中小企業でも中以上のところは、もうすでに相当影響を受けまして、資金需要は非常に活発になつて来ておるのであります。ことに一面御案内のごとく、公団廃止縮小になることになりますると、これは公団なるがゆえに従来市中銀行などでもゆうゆうと金融べースに乗つてつたのですが、これがこわれるということになると、その中味はほとんど中小企業蓄積言つても過言でないのでありまして、この面の金融中小企業金融機関にかかつて来るのであります。すでに肥料公団等廃止になりますると、これにつきましては金融措置が講ぜられつつあるようでありますが、ただいまのところ主としてメーカー、あるいは農業協同組合に対して金融措置が講ぜられておる。ところが実際の面におきましては問屋金融——肥料問屋金融相当重点を置かなかつたならば、必ずや将来蹉跌を来すであろう。これは同時にメーカー消費者自身にも及んで来るであろうと思うのであります。これは一例にすぎないのでありますが、問屋金融に非常に重点を置かなかつたならば、公団廃止後あるいは圧縮後、非常な影響が出て来るだろうと思うのでありまして、この面からも短期運転資金相当重点を置かざるを得ないのではないかと思うのであります。ところがこれにつきましては、先ほども申しました通り、商工中金といたしましては、どうしても組合預金しか扱い得ないということに制限せられておりますので、いかに努力いたしましても、大した預金は寄らないのであります。従つてただいまのような法律構成であります以上は、依然として日銀の別わくの増額を要請するとか、あるいは府県その他の公共団体預金を要請する。さらに進んでは預金部資金見返り資金による放出還元ということをやつてもらうことが必要になるのであります。しかもこういう面から金利はできるだけコストを安くする。しかして貸出しの金利も下げるという方向に進んで行かざるを得ないように考える次第であります。こういう面につきまして、どうか十分御批判、御援助を願いたいと思うのであります。大体概況を簡單に申し上げまして、なお御質問等がありますならば、後刻それに対しましてお答えいたしたいと思います。
  8. 夏堀源三郎

  9. 櫛田光男

    櫛田参考人 国民金融公庫櫛田であります。公庫現状を御参考までに申し上げ、また公庫の窓口から見ました最近の情勢につきまして感じたことを二、三つけ加えてみたいと存じます。  御承知のように昨年の六月一日に公庫といたしまして発足いたしましてから、十三箇月たちました六月までの現状を申し上げますと、直接窓口にお見えになりまして申込まれた件数が約九万六千件ございます。その金額が九十七億円、そのほかに私どもといたしましては、全国に四百二十ほどの代理所を持つております。これは無盡会社、及び市街地信用組合にお願いをいたしておるわけでございます。そちらの方の申込み状況は完全な統計がとつてございませんが、大体推測いたしますると、少くとも私どもの窓口に直接お見えになつた方の、半分見当になるのではないかというふうに推定いたしております。従いまして大体百三、四十億の申込み、十二、三万件の件数というものがあつたかと存ぜられるのであります。ただこの状況をさらに二十四年度と本年の四月以降の二十五年度とにわけまして観測いたしますると、二十四年度におきましては、直接にお越しになつた方は、平均いたしまして月七千件、一日二百八十件、申込みの平均が九万円見当でありましたが、二十五年度四月以降を見ますと、月に八千七百件、一日三百五十件見当、平均いたしまして金額が十三万五千円、件数並びに金額ともに大体五、六割の急激な増加を示しておるのであります。これらはもちろん全般的な金詰まりの現われでありますが、ことに最近におきまして——最近と申しましても本年に入りましてからでございますが、感ぜられますことは、大都会における中小企業——どものところに参ります方々は、豊田さんのところにお越しになる少し下とでも申しますか、中小企業と申しましても中小企業の下くらいから小企業、零細企業ということになりますが、それらの方々の共通的な現象と申しますのは、昨年と比べまして運転資金需要が非常にふえたということでございます。去年あたりは大体資金需要の六割見当は運転資金であつて、四割見当が設備資金需要でございましたが、本年に入りましてからは大体八割見当が運転資金ということになりました。大企業、大会社等からの資金の不拂いと申しますか、売掛代金が非常にかさんでおるというのが、きわめて特徴的な共通現象であります。ところが今度は中都市の方に参りますと、私どもの窓口にお越しになる方々の資金需要は、やはり運転資金がふえて参りましたが、これは主として農村購買力が減少したというところに、相当大きな原因があるように観測いたされます。さらに私どもが痛感いたしますことは、一月、二月といつたような短い期間で追われる資金ではなしに、同じ運転資金でありましても、十箇月、二十箇月というような長い資金需要というものが、非常に望まれておるということであります。そういう方面に私どもとしましては、できる限りのごめんどうを見ておる次第でありますが、業種別に見ますと、大体工業関係が五割、商業関係が三五%、その他一五%という割合になつております。かくのごとき需要に対しまして、私どもといたしましてどの程度資金の供給ができたかということを顧みてみますと、過去一年一箇月の間に、これは貸付の累計でありますが、件数にいたしまして二万九千件、金額にいたしまして二十二億五千万円を供給いたして参りました。そして六月末の現在高にいたしますと、件数で二万六千件、金額で十七億円という残高を示しております。つまりその差額が回收という形でぐるぐるまわつたという形であります。そういう状況になつておりますが、それをさらに二十四年度、二十五年度にわけてみますと、二十四年度におきましては総額約十四億の貸出しをいたしました。二十五年度に入りまして、三箇月間に約八億というものを供給して参りました。  本年の資金計画でありますが、国民金融審議会というのがございまして、四半期ごとに事業計画及び資金計画を定めまして、国民金融審議会の御意見に従いまして、その結果を大蔵大臣から御認可をいただいておるわけでありますが、当初は、本年度は月二億五千万ぐらいの貸出しをすることにいたしまして、新たに政府から十二億の出資をいただくことになり、上半期におきます九月までの資金回收を大体三億と見まして、大体四月から九月までの間に、十五億見当の貸出しを実行いたそうというプランを立てたのでありますが、四月以降、ことに五月、六月と資金の急激な需要でありまして、またその内容から申し上げますと、私どもの見るところでは、大体貸金需要の三割ないし四割の方々はぜひとも供給すべきものである。また供給いたしましても百パーセント、これを御活用願える、また国の経済復興に十分にお役に立ち得ると思われる方々のみでありますが、そういうような状況でありますので、五月、六月には大体三億ないし三億五千万見当の貸出しを実行せざるを得ない状況でありました。かような状況でありまして、他方貸付金の回收が予定よりも非常に多く見込まれるに至りましたので、大体八月までに十六億の貸出しを実行いたします。その資金の内訳は政府資金十二億、回收金が約五億、合計十七億の資金が八月末までに入るわけであります。それに対して十六億の貸出しを実行いたしまして、あとの一億を九月のために残すという状況になつたのであります。かようなわけでありまして、現状をもつていたしますと、大体手持金といいますか、使用し得べき資金は八月末でもつて大体なくなりまして、九月以降現状のまま推移いたしますならば、毎月の回收金大体一億見当をかれこれ流用して行くほかはない。他方毎月の貸出しは少くとも三億五千万見当、ないし四億見当のものを必要とするのではないかという状況にあるわけであります。かような状況でありますので、過般来政府御当局におきましても、預金部資金三十億を新たに貸し付けていただき、それを新規資金として使わしていただく計画をお立てになりまして進行して参つたのでありますが、私どもの方がこれをいただいて使いますためには、予算の補正を必要といたします関係にあるのでありますが、やむを得ざる事由によりまして今国会においてはその運びに至りませんで、次期の国会にこれが繰延べになつたという関係から、私どもといたしましては、次期の国会をできるだけ早くお開き願いまして、できるだけ早く預金部から新規資金をいただくことを待望しておるような状況であります。  なお最近の朝鮮動乱影響が私どもの窓口にどんなに響いておるかという点を申し上げてみますと、まだ急激には響いて参りません。逐次いろいろな特需関係の下請の下請というようなところが、窓口に御相談にお見えになります。これはやがてだんだんと多くなつて来ることかと存じております。御承知のように私どものお客様方は何と申しますか、デフレのときにはまつ先にその影響をお受けになる方々だろうと存じます。ところが景気が若干上向くとかいうときになりますと、その影響はむしろ遅れてお受けになる。直接すぐに反響があるというよりは、めぐりめぐつて来られる。そういうような状況にあるように存じますので、そういつた意味におきまして、経済状況が非常にかわるというようなときにおいては、いろいろな意味で私のところにまつ先におかけつけになつて、いろいろ御相談になる。つまり景気がよくなつて来るときには、その恩典に浴することがおそい、景気が悪くなろと、まつ先にその影響を受けるという関係で、経済状況がかわりますと、すぐに金詰まりというものをひしひしと受けるという方々でありまして、私どもといたしましてはこういつた方々に、ほんとうの意味でいろいろめんどうを見てあげたいと思つておるのであります。この資金量の増大、並びにつけ加えて人手の関係並びに店舗の増設といつたようなことにつきまして、百方苦心をこらしておるような状況であります。  簡單でありますが、現状を御報告申し上げました。なお御質問等によりまして補足さしていただきたいと思います。
  10. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 質疑を許します。三宅君。
  11. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は日本銀行並びに農林中金、商工中金、国民金融公庫総裁、副総裁等のお話でありましたが、まず国民金融公庫の方からお伺いいたします。  今櫛田総裁は、この庶民金融の申込数は相当ありますけれども、二割方しか融資していない、こう御説明になりましたが、あとの七割ないし八割というものは、いわゆるけられたということになるのではないかと思うのであります。これはもちろんその内容が悪かつたということにもなりましようが、その調査が疎漏ではないか、申込人の人格あるいは財産が貧弱であろうか、そういう点について何か御考慮になつていらつしやるかということが一つ。  第二点は、やはり櫛田総裁でありまするが、今まで申し込んだものの金額が、大体今のお話によりますと十万円何がしということになるわけでありますが、十万円ぐらいではほんとうの一時しのぎということに相なるのでありまして、もう少しくたくさんお貸し出しになるということが、中小以下の商工業者あるいは農民その他に対して必要だと思いますので、これに対しまする御感想をひとつ承りたい。  第三点はやはり金融公庫総裁にお伺いいたします。次の臨時国会に十何億というような増資を見込まれつつあるというふうに承つておりますが、もちろん中小以下の商工業者が多いわけでありますから、早く預金部資金並びにその他の政府資金を注入いたしまして、一番末端のものから先に改善する、こういう線をとりたいと思います。以下三点につきまして、まず櫛田総裁から承りたい。
  12. 櫛田光男

    櫛田参考人 お答え申し上げます。第一の点でございますが、先ほど申し上げましたように、私どもの見る目では、お申込みになりました方の三割ないし四割にはぜひとも貸し付けたいのであります。これはいつかも申し上げたのでありますが、お申込みになりました方を大ざつぱにわけまして、大体二割見当の方は、こういう便宜な機関に申し込むというと語弊がありますが、何か宝くじでもお引きになるようなつもりで、便乗的にお越しになつたとしか思われない方がございます。それが大体二割見当でございます。あとの八割の方々でございますが、その中で二つにわけることができると思います。何と申しましても私どもは国から大事な資金をお預かりしておるのでありますから、この資金を百パーセント御活用くださつて、そのお仕事が伸びて行くか行かぬかというところが、私どもが調査をさせていただく眼目になるわけであります。ところが單に資金が足りないということだけの理由で、仕事がうまく行かない、伸びないというお方々であれば、これは御相談がまことに簡單であります。ところが資金が足りても足りなくても、他にいろいろな欠陷がその事業自体にございまして、そういう点を十分にあわせてお直し願わなければ、そして計画をお建直し願わなければ、むしろその資金がむだづかいになると思われる方がいらつしやるわけであります。そういうところをとくとひざつき合せて御相談し、またお調べさしていただくわけでありますが、大体見ますと、三割、四割という方は大丈夫、こういう認定がいたされるのであります。残りの四割、五割の方々は遺憾ではありますが、もう少しほかの点をお建直し願つて、その上でまた資金的な御相談をいたしましよう。そのためにはこういう点をお直しになつたらどうか。経理のやり方でありますとか、あるいはまたいろいろな技術的な点とか、私どもで気づきました限りは御相談に乗り、また御忠言を申し上げております、そういう方になるわけであります。ただ資金関係からいたしまして、どういたしましても二割ぐらいしか今のところ供給できないというきわめて残念な状況にありまして、あとの一割ないし二割の方々は、一応業種といい規模といい、千差万別でありますから、順位をつけますればつけられないこともないわけであります。また資金需要の性質から申しましても、何と申しますかいろいろな意味で順位をつけようと思えば、つけられるわけであります。そういうようなこともいろいろ御相談しまして、金がもう少し十分になりましたらというわけで、涙をのんで一割、二割の方には二、三箇月あるいは半年ぐらいこのままお待ち願えないかとお願いいたしまして、お断りしているような状況であります。  それから第二の点は、大体少くとも三十億程度は本年度は新規資金が足りないということに相なります。それで当初本年度新規資金十二億を政府から御増資をいただきましたときに、すでに国民金融審議会におきましても、この資金は上半期四月から九月までの間に使つてしまうという御計画を、お認め願つたようなわけでありまして、下半期分といたしまして資金的に何らかの措置を講ぜねばならぬ。そこで四月早々から大蔵省御当局においても、この際預金部資金三十億というものをこの国民金融公庫に貸し付けて、これを新規資金として使おうじやないか、こういうことでいろいろ御研究されておつたわけでありまして、私どもといたしましては、それが予算の補正を必要とする関係がありますから、一日も早く国会の御決定を得まして、実現できまするように翹望してやまないという実情であります。  なお店舗の問題でありまするが、法律上は私ども各府県に一つずつ店を置くことが認められております。これが予算の関係及び人手の関係等からいたしまして、本年度におきましては十の店舗の増設を計画いたしました。そのうち六つが増設いたされました。現在では二十六の店舗を持つております。あと四つが来月には大体できると存じます。それでもなお約十六県店のないところができます。そういつた方面におきましては、追加予算なりあるいは来年度の予算におきまして、新たに店を開く計画を現在立てておるようなわけであります。なおその間におきましても、先ほど申し上げました代理店を活用いたしまして、できるだけ広く皆さんの御利便をはかりたいと考えてせつかく努力しておる次第であります。
  13. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は櫛田総裁に一つ御進言申し上げたいと思います。しかる後に今度は商工中央金庫豊田さんに御質問したい。実は東京でも、また私の選挙区の愛知県の方面もそうでありまするが、初めのうち、四月もしくは五月の早々のうちは相当資金があるとおつしやいますが、六月になると資金がないと言つてお断りになる率が多いのでありまして、私は、今総裁が言われたような謙譲の美徳と親切をもつて、借り入れる人に対せられるならばよろしいが、往々にいたしまして末端に行きますると、官僚とは言いませんが、ややそれに近いような横柄な態度が相当あるわけでありまして、これを取除くことが第一番に必要ではないか、かように思つておりまから、ぜひ、今櫛田総裁が本委員会において御発表になつたような態度を、末端にまで申し伝えてもらいたい。もし事務員等が官僚的気分が濃厚だというときには忠告申しますから、どうぞひとつ善処せられんことを希望いたします。
  14. 櫛田光男

    櫛田参考人 たいへんありがとうございます。この点につきましては、かねがね私ども全職員、何と申しましてもお客様第一でありますから、そのことを徹底するように相戒め合つておるのでありますが、至らぬ点は重々おわび申し上げたいと思います。ただこの機会に、たいへん恐縮でありますが、私ども職員の勤務状況の点を御参考までに申し上げまして御理解願えれば、また望外の仕合せと存ずるわけであります。と申しまするのは私どもの職員は現在全部で七百二十人であります。貸付の残高は更生資金を入れまして全体で二十三万件余に達しております。これを全銀行七十四銀行がございますが、七十四銀行の貸出先数は本年の三月末で七十四万件であります。この七十四万件の約三分の一というものを私どもひとりで処理しておるわけでございます。そして毎月非常な申込みがあるわけでありまして、大体一万件近いものが参ります。それでこの鑑定調査と申しますか、これはだれもができるというわけではございません。ある程度の知識と経験とを必要とするものであります。私どもは人も予算の関係その他から七百二十人でありますが、大銀行になると七千人から八千人の人をお持ちであります。私ども預金業務をいたさないわけでありまするけれども、その十分の一の人間で、貸出しだけで申しますと、一つの銀行の十倍から二十倍の貸出しの件数を扱つておるというところをまず御理解願いたい。それで大体東京の実例を申し上げますと、毎日百人から二百人の方が御相談にお見えになります。私どもといたしましては、一人当り一日に三件調査その他ができるのが最も望ましい状況であります。ところがそれでは追いつきませんので、七件というものを持たせております。朝八時半に出て参りまして、九時からお客さんに会い、午後は電車に乗り自転車をかつて調査に出かけるわけでありますが、大体八時ごろに帰つて参りまして、それから報告をしたためて、大体帰るのが午後の十時であります。かような関係になりますので、ただ相済まないだけでありますが、非常な過重労働と申しますか、今そういう状況にありまして、笑顔をつくろうと思いましても、ついできない場合ができまして、まあ一種の生理的現象とでも申しましようか、そういうこともありますので、そういつた状況もこの際御同情の目をもつて御理解くださらんことを、この機会にくれぐれもお願い申し上げます。なお今後至らぬ点を、御注意によりましてできる限り是正いたして参りたいと思いますので、どうぞお許しを願いたいと思います。
  15. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 今の問題に関連いたしまして、舟山政府委員に質問を申し上げたい。実は一昨日来、この委員会においても、金融問題について各委員が非常に熱心に研究されまして、委員長と私とが代表いたしまして、各金融機関を訪問したのであります。その際に銀行局長の御意見や何やらお伺いしたのでありますが、大蔵省としては、この際金がないし、あるいは九月から国民金融公庫も開店休業の状態になるのではないかというお話も伺つたので、何とか政府できめられた三十億の資金を今ただちにできる方法はないか、こういうことを銀行局長さんにもいろいろお願いしたのであります。ところがそれによると、第五章の第二十一條ですか、この條文の拘束を受けるということのようで、議会で予算の承認を経なければならぬという御意見であります。そこで何らか解釈にもう少し彈力性を持たせていただきましてあるいは司令部の方の了解が必要であるなら、この会期中に司令部の了解を得まして、三十億の使用方法ができるのじやないかといろいろ考えてみたのですが、銀行局長もその後御研究なされているかどうか。特にこの点を局長さんにもお伺いいたしたいと思います。
  16. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 国民金融公庫資金不足対策といたしまして、預金部資金三十億をこれに導入するということにつきましては、法文は幸い公庫の借入れを認めておりますので、ぜひこの際預金部資金公庫が借入れることを認めてもらいたいという折衝を始めておるのであります。しかし現在公庫につきましては、今お話のございました通り、受入金及び貸出金については予算を組まなければならぬが、今度の国会では補正予算は一切取扱わないというとりきめになりましたので、その意味預金部資金の導入もできないことになつておるのであります。そこで何とか解釈で解決をつけるような方法はないかという御指摘がございまして、私どもずいぶん研究いたしたのであります。実は公庫のごとき金融業務を営むものが、受入金及び貸出金を年度の予算を組んで執行しろということ自体にむりがある。本来ならば、公庫の固有の営業費などについて予算を組むことは、しごくけつこうなことと申せるのでありますが、貸出金まで予算に拘束せられるということは相当むりがあるのであります。これを予算、決算をつくれということは、公庫の固有の業務だけに限る趣旨であるというように解釈できますれば、この際預金部資金を導入しまして貸出しをふやすことができるのであります。そこは注文の解釈問題になりますが、欲目から申しますれば、ぜひそう解釈いたしたいと存ずるのでありますが、なおこれには解釈上相当の問題があるようでございます。大体現行法及び補正予算を組まずして問題を解決するには、その辺が一つのよりどころかと考えておる次第でございますが、今日までのところでは、これには相当むりがあるという結論に到達せざるを得なかつた次第であります。
  17. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はこの際大蔵省の銀行局長並びに日本銀行政策委員会の一万田氏にかわりました副総裁に聞いてみたいと思います。銀行から金を借りたいという人はたくさんあるわけでありまするが、一般の市中銀行ではなかなか金を貸さない、金のある者に貸すというのが銀行の常則である、こういうようなことまで言われておるのでありまして、ほんとうに借りたい人になかなか貸さぬというのが、今までの市中銀行の通例です。普通銀行でも事業内容等をよく堅実にごらんになることはけつこうでありまするが、ある程度まで大胆と言つては失礼でありまするが、勇敢に日本の経済再建のために金を貸すように、ひとつ政策委員会でもきめてもらいたい、また市中銀行でもそういうふうにやつてもらいたいと思うのであります。ぜひとも国民金融公庫総裁も、もつと力を入れて政府に要望し、われわれも国会においてこれを議決いたして、融通の資料にいたしたい、かように存じます。  次に商工中央金庫豊田さんにお話いたしたいと思います。これは組合にのみ貸すと言つておりますが、もちろん組合というものは、各種業界の、たとえば何々工業組合、何々協同組合というような組合を中心にお貸しになるものと考えております。また組合理事長とか組合が保証いたしました場合におきましては、組合員が組合を通じて金融を受けるものと私は信じておりまするが、これをもう少しく簡便にお貸出しなさるようなことはできないか。先ほど言つた国民金融公庫よりも上の中小企業に対しまして、銀行もなかなかあつせんしないようなものは、豊田さんの方の商工中金においてあつせんをくださるものと思つておりまするが、その辺の実際の運転状況を、この際本員にお示し願いたいと思います。
  18. 豊田雅孝

    豊田参考人 ただいま御質問のありました商工組合中央金庫は、組合に対する金融をいたしておりまするが、しかし組合から組合員に対して転貸するということはできるのでありまして、現在でもすでに相当行われております。そういう場合には、役員の個人保証、場合によりましては物的担保を提供するということによりまして、現在やつておりまするが、今後もこの点については従前以上に力を注ぎたいと考えておる次第であります。
  19. 大上司

    ○大上委員 日本銀行二見総裁にお伺いいたします。さいぜんの御説明によると、大体の金融状況、いわゆる政府の吸上げ、それに対する日本銀行信用保証制度等も察知できたのですが、では具体的にお尋ねします。この参考人の席におられる方々は、いわゆる農林中央金庫あるいは国民金融公庫、その他公的な立場で来ておられるのでお尋ねしますが、たとえば先ほど二見総裁の御説明の中に、銀行預金が貸出しに比較して、すなわち預金はいわゆる領金部資金等の面と違つてわずかに一〇%、これに比較して貸出しが約九〇%ということになつておる、こういう御説明がございましたが、われわれもその御説明は肯定いたします。しかし今後このままの現状が続くとしましたら、日本銀行は当然預金が入つて来ない。産業資金は非常に必要である。こういう場合にいかなる政策をおとりになりますか。  その次に、今日の現況は、われわれよく金詰まりということを聞きます。従つて産業資金需要がどの程度に来ておるのか。これをわけまして設備資金がどうであるか、あるいは短期資金がどうであるか、そうしてこれに対する処置、方策はどうなされるおつもりであるか。  さらに関連いたしまして、次に舟山銀行局長にお尋ねいたしますが、世の中がいわゆるデフレであり、あるいはデイス・インフレであるという言葉があり、これによつて経済恐慌の推移状態が大体わかりますけれども、まず大体財政的な予算需要額において金融政策をなさるつもりか、あるいはそうでなくして、民間の産業資金という需要度に応じて金融政策を立案なさるのか、どちらをとられるのか、この二点をお尋ねいたします。
  20. 二見貴知雄

    二見参考人 お答えいたします。ただいまお尋ねの第一点、銀行預金増加に比べまして貸出しの増加がふえる。いわゆるオーバーローンの形になるが、そのままで行つた場合に日本銀行としてどういうふうに考えておるか、こういう点であつたと存じます。私実務を扱つておる者として申し上げますが、何分にも当初申し上げましたように、政府資金引上げが非常に多いのであります。そのために銀行といたしましては、本年に入りましてからの預金の伸びがまことに惡いのであります。たとえば一月から五月までの期間をとりましても、郵便貯金は二百億以上増加しております。銀行預金は三百四、五十億であります。そうしてその増加傾向郵便貯金は大体二割増加しておる。銀行預金はそれに比べまして五%ぐらいの増加であります。しかも銀行預金御存じ通りいろいろの種類のものでありまして、中には貸出しの反面、これが預金となつて一時受入れられるものが絶えずあるわけでございますから、実質的に資金蓄積という意味従つてこれを投資いたしますのに、相当期間安定して投資ができるというような部分が、ただいま申しました三百五、六十億のうちのまたかなり小さな部分になつて来る。こういうことが言えると思うのであります。そこで初めに申しましたように、郵便貯金その他の増加によりまして、預金部資金の原資が増加し、それから輸入物資の売却等によりまして、見返り資金増加いたします関係、また税等の関係から、政府資金というものがどうしても引上げ超過になりますので、初めにお尋ねのありましたオーバーローン状態をそのままにいたしまして、そうして銀行が貸出しを続けるということになりますと、どうしても日本銀行からの借入れを実施しなければならぬわけでありますが、日本銀行といたしましても、オーバーローンの形を漸次修正して行くということが、ただいま金融機関が自主的に進んで行くという段階に入つて参りました時期においては、ぜひ必要なことでありますので、必要の資金の最後のしりは十分に見ておりますけれども、何といたしましても、解決の方法としましては、この政府財政蓄積されます資金を、適時に放出をお願いするということが、一番有力な方法だとかように思うのであります。  それから産業資金のうちの設備資金運転資金等をどういうふうに見るか、こういうお尋ねだつたようでございますが、今後の産業設備資金につきましては、見返り資金の中の私企業投資、あるいは社債、株式、銀行の貸出しなどの形を通じて、本年度大体——これは推定でございますが、千二百億円ぐらいの調達は可能であろうと思うのでございます。そのほかに政府の予算の中に組まれております公共事業費等の活用によりまして、それがまた産業設備資金の方にまわつて行く、かように考えております。
  21. 大上司

    ○大上委員 今の説明で、大体の結論は、結局政府財政需要の操作云々という結論が得られたように私は聞いたのであります。従つてわれわれ当委員会といたしまししも、これを大きく真劍にとり上げて行く必要があると思うのであります。さすればもう一点お尋ねいたしますが、われわれが予算編成をいたしまして、これは当然国民の租税あるいはその他によつて歳入をまかなつて行く。歳出は先般の国会におきましても、いわゆる認証官制度が年四回であつたのをわれわれは二回に削つて、第一・四半期、第二・四半期、いわゆる地方税法案と申しますか、地方財政欠陷を急速度に補うという面において、政府の予算の支出を早急にはかつたのであります。ところが今のお話から見ますると、この資金を、いわゆる見返り資金の私企業分——これは四百二十億円ぐらいと聞いております。それから社債、株式一千二百億円の調達が可能であります。さらに予算を公企業に早くまわすという話がありましたが、では日本銀行といたしましては、われわれは国会において認証官制度を改正して早く出すようにしたのですが、一体日本銀行でこれを吸い上げる期間と申しますか、吸い上げる速度、日数は大体どの程度にお考えですか。
  22. 二見貴知雄

    二見参考人 お尋ねいたしますが、政府の散布資金日本銀行に吸い上げるその速さでございますか。
  23. 大上司

    ○大上委員 そうです。
  24. 二見貴知雄

    二見参考人 これはいろいろの経路で入つて参ります。たとえば税金等は郵便局、銀行その他を通じて政府に入つて参ります。その他政府のいろいろの支出、これは申し上げるまでもなくまことは千差万別の形をとつております。国庫預金の制度で銀行の手元に入りましたものは、それぞれ適当な時期を見まして、引上げられたために銀行が急に困るというようなことのないように、これは全国にわたるということでございますから、ある限度は必ず銀行に置くというものもあります。それ以上越した部分は徐々に引上げる、こういうことでやつておるのであります。お尋ねの点をさように解釈してお答えいたします。
  25. 大上司

    ○大上委員 私のお尋ねしておるのは、なるほど歳入においてこれを一応取上げて、いわゆる政府資金の放出と申しますか、公企業にまわす場合もあれば、あるいは官公吏の給與にかわつて来る場合もある。そういうようないろいろ種類わけの小さい問題ではなくて、大ざつぱにいわゆる日本銀行の政策面において、どの程度の速度で吸い上つて行くのか。これを突き進めて行きますと、いわゆる国民の総所得額と申しますか、これに関係して来るわけだろうと思います。それで日本銀行においてはそれについて統計資料をお持ちだろうと思います。でなかつたならば国の金融政策あるいは日銀の各銀行に対する貸付金等の操作ができない。また今お話のあつた産業資金的の一千二百億円の調達見通しも非常に困難ではなかろうか、このように考えます。もつと端的に申しますと、予算に編成したものは官公吏の給與とか、あるいは土木建築事業の建設費用にかわつて行くとかいうのが通例でございますが、純然たる消耗費はさしてないわけであります。そうするとこれが当然吸い上げになつて行く。これは一々の項目ならば理論的に非常にむずかしくなるだろうと思いますけれども、大体の見当ならばつくと思いますが、大体見当がついておるかおらないかということをお尋ねいたします。
  26. 二見貴知雄

    二見参考人 お話の筋がまだよく了解できませんが、たとえば税のようなものは、必ず政府の方へ入つて行く。そうしてある期間のうちに日本銀行を経て国庫に納入されるわけであります。たとえば見返り貸金の中で私企業に出す融資、これは私企業に金が出まして、そうしてその私企業がそれぞれの事業の上に使う。従つてその経路で資金を受取つた事業なり個人なりが、それを郵便局に持つて行く、銀行に持つて行く、いろいろの経路で金融機関に集まるものは、またそれが消費に使われるものもあつて方々に散らばるわけであります。そうしてもしそれが銀行預金になれば銀行預金増加になり、郵便局に集まれば郵便貯金増加になる。必ずしもその出ましたものが日本銀行に集まつて来るまでの期間が何日間であるかということは、ラフにいたしましてもちよつと見当がつかないように思います。従つてお話の点は私の方で準備をしておるものもないのであります。さように御了解を願いたいと思います。     —————————————
  27. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 この際昨二十八日本委員会に付託されました国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題として、まず政府当局より提案理由の説明を聽取いたします。     —————————————
  28. 西川甚五郎

    ○西川政府委員 ただいま議題となりました国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決を求めるの件について御説明申し上げます。  これまで皇室の用に供せられておりました葉山御用邸附帯地に、天皇、皇后、皇太后三陛下及び皇太子殿下の葉山御用邸御滞在時におきまして、馬匹の繋養、馬車の格納等の目的に使用せられていたのでありますが、今回この必要がなくなりましたので、用途廃止をしようとするものであります。  この財産は、国有財産法上皇室用財産でありまして、総理府の所管になつておりますが、用途廃止せられますと総理府から大蔵省へ引継ぎを受け、大蔵省所管の普通財産となるのでありまして、大蔵省におきましては最も有効適切に、これが活用をはかる所存であります。  なお本件は、皇室経済法第一條第一項の規定に基き、昭和二十五年五月八日皇室経済会議の議を経たものでありまして、ここに国会議決を経るため提案した次第であります。  何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことをお願いいたします。
  29. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本案に対して御質疑はありませんか。
  30. 竹村奈良一

    ○竹村委員 これを国有財産に移管するということについては問題はないわけでありますが、その移管された国有財産は、現在大蔵省においてどういうふうに管理されておるか。しかもその拂い下げいたしますについては、一体どういうような方法でやられておるか。こういう点を承りたいと思います。
  31. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 一応ただいま議題となつておりますこの現地について申し上げますと、この現地はただいま司令部の方からPDが出まして接收になつておりまして、連合軍の住宅管理事務所として今使用されております。従つてただちにこれが拂下げ等の処置はただいまできないわけであります。しかしこれが解除になりましたような場合は、地元の葉山町の公共施設等に使用されることが、一番望ましいのではないかと考えております。
  32. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この点は大体わかるのでありますが、それ以外に現在ずいぶんいろいろな国有財産があるわけであります。しかしこれに対して、国有財産拂下げに関しまするいろいろな不正等の問題が、世上往々にして問題になつておるわけであります。私はそういうことのないことを念願するわけでありますが、しかし世上に事実上問題になつておりますことは、やはり究明する必要があると考えますので、あえてその点をお尋ねするわけであります。たとえば最近の大阪新聞の七月十六日付記事を見ますと、高野山における国有保管林千三百町歩の無償拂下げが報ぜられております。しかもその拂下げ先は金剛峯寺でありますが、この寺に無償譲渡をすることをめぐりまして、その山林の労務者八百名が失業するとか——これは新聞の報ずるところでありますから、私はこの事実の有無は知りませんが、しかしこの無償譲渡にからまるいろいろな不正の事実が報道されておるわけであります。従つて私が先般来から当委員会において承つたところによりますれば、神社あるいは寺への拂下げに関しましては、この譲渡は委員会か何かありまして、その委員会で決定されて、その寺あるいは神社に必要な分、しかも当委員会での説明によりますと、それはその寺の経営を維持するというためでなしに、いわゆる寺の尊厳をそこなわないという程度のものしか譲渡されないということを、当委員会において私の質問に対してはつきり答弁されておりますが、今日高野山の一寺院が一千三百町歩の山林を無償で譲渡を受けなければ、その寺の尊厳が維持できないということは、私には考えられないわけであります。国有財産というものが、往々にしてこういうように処分されている事実がもしあるとするならば、国有財産にするということ自体にも、われわれは大きい問題があるように思うのでありまして、こういう問題についてはたしてそういう事実があるかどうか、この点を伺いたい。
  33. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 ただいま御話のございました高野山の保管林の問題でありますが、これはおそらく全国の保管林のうちでも一番大きな保管林でありまして、この処分については相当問題があることと思うのであります。ただこの保管林の問題は、農林省の所管になつておりまして、社寺の保管林処分審査会というものがございます。そこで委員会を開いておりまして、そのうちただいまお話の宗教活動に必要であるかどうか、この宗教活動に必要である部分だけを無償譲渡するという方針で審査をしておるわけであります。ただいまのところおそらくこの高野山につきましては、先月たしか委員のうちの数名の方が実情においでになつたと思うのでありますが、まだその寺の方の申請通りのものを譲與するかどうかということは非常に疑問でありまして、農林省あたりの意見では、寺の申請通りのものはとても讓與することはできないであろう。これは地元の営林署あたりからも、そういうような意見が出ておるわけでありまして、まだ現在審議中のものであるようでありまして、新聞にあるように、全部それが決定したというようなことは、全然ないと思います。
  34. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではお聞きいたしますが、これは農林省のものであつて、国有林というものは大蔵省の管轄にはないわけですが、そういたしますと、こういう問題については、後刻委員長にお願いいたしたいのですが、ひとつ農林省の関係者を呼んでいただきたいと思います。  なおもう一つお聞きいたしたいのでございますが、これは雑誌の伝えるところでありますけれども、ここにははつきり書いているのですが、この経済ジープとかいう雑誌、これははつきり申し上げておきますけれども、共産党の関係の雑誌ではないのです。それによりますと、実にひどいことが書いてある。国有土地の拂下げをめぐつて、都土地会社というのが、もと大蔵政務次官を一、二箇月やられた人を中心として、大蔵官僚との間に、実に聞くにたえないことが書かれているのであります。こういうような拂下げに対するところの不正、これは検察庁も調べておると書いてあるのでありますが、こういうような国有の不動産とか土地とか、その他の拂下げに関してどういうような形でやられておるか。たとえば昨年も私少し質問したのでありますが、東京の三本木かどこかの付近でありますけれども、家主が所有しておつた戰災地で、とても使用にたえない土地であつたのを、付近の今まで戰災地におつた住民が、営々孜々として掃除をしてやつと片づけた。そうしてようやく家を建てるようにして家を建てた。ところが現在は国有土地を処分するのだと言つて、その拂下げを受ける株式会社が、実に厖大な価格で売りつけにかかつておる。しかもこれを買う金はないから、何とか年賦か何かにしてくれと言つても聞かない。しかも測量費まで負担せよとか、いろいろやかましく言つておる。しかもその裏を聞いてみると、一つの株式会社が、大体売渡しをする委任を受けておる。委任をするのは当然指定された会社にされておるのでありますが、もちろんそれを時価で拂い下げるということに、法律上ではなつておるのだという名目で、ただのような値段で税金のかわりにとつておいて、しかもそれを何十倍というような価格で即時に売ろうとしておる。しかもそれを売ることによつて、五分の手数料あるいはその他のいろいろな手数料が入るという利益のために、その処分をめぐつての不正の数々は、おそらく国民であれば、お読みになつたらぞつとするようなことが書いてある。実にいろいろ名前をあげて書いてあるのです。国有財産の拂下げをめぐつて、こういうような不正等が行われる余地は全然ないと私は言い切れないと思うのですが、これに対してどういうような監督をされておるか、この点をひとつお伺いしたい。
  35. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 御質問のような国有財産の処分につきましては、これはかりに一人の人が処分するというようなことにいたしますと、非常に不正のおそれもありまして、またいろいろな誘惑もあることでありますので、非常に危險であるというふうに考えられるのであります。それで従来から国有財産の処分につきましては、なるべく各係あるいは担当の者等の間に、いろいろと他人の目を通す。つまり一人だけできめないで、いろいろな係なりあるいは役所の機構の間を通すということにして、その間にそういう余地のないようにする。また随意契約にいたしますと、そこにただいまのお話のような点がございますので、なるべく原則としては、全部入札制度にする。そういう制度をとつておるわけであります。ただ、ただいま御指摘の雑誌等に載つております事件については、いろいろとおもしろく書いてあるわけでありまして、そのうちにはあるいは多少事実と思われる点もあるのでありますが、大部分は、非常に誇張の点がございまして、われわれも調査をいたしたのでありますが、事件の内容そのものは、ある不動産会社の内部の、何と言いますか、重役間の勢力争いということが主になつておるようであります。特にその拂下げ自体の不正というようなものは、ほとんどなかつたような次第でありますが、なおその後についても監督を嚴重にするために、その重役については全部かわつてもらいまして、全然新しい陣容に建て直すというようなことをいたしております。なおまたその不動産会社が予納金をとるというような関係で、いろいろ問題がありますので、それらの点についてはできるだけ監督をいたしまして、そういう予納金の点は、なるべく国庫金として收納するような建前をとりたいというように考えておるわけであります。
  36. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではひとつ大蔵省に対してお伺いしたいのですが、元大蔵政務次官であつた田村秀吉という人が出入りされて、そうして都土地株式会社に対して、売渡しの委任を受ける会社に指定せよというような運動をされたことがあるかどうか。それからもう一つは、この田村秀吉という人に対して、東京財務局の国有財産調査部長の中出芳雄という人が、千葉の地方部長に対して紹介状等を常に書いておるといつたような事実、それから東京財務局におけるこの田村秀吉氏を中心としたいろいろな拂下げに関する特別な便宜、これは名前も載つていますが、これは言われるとはなはだ迷惑する人があると思いますので私は言いません。とにかくそういうような点について、しかもこの田村秀吉をめぐつて、たとえば昭和二十三年度におきましては競売品の売渡しを委任されて、これを売り渡しますと、一件に対して千五百円か二千五百円の特別賞與金を出すという制度があつたことは事実であります。たとえば九百円の物を売りましても、五分の手数料四十五円というものをその会社がもらつて、なお九百円の物を売つたのだから、八百何十円のその売つた金を大蔵省へ納めますと、あと一千五百円なり二千円なりを、別に売つた報奨金としてもらつておる。二十三年度にこれをやつたから二十三年度の予算が足らなくなつて、二十四年度の分から金を出した事実、現在は改められておりますが、そういうことをやるために田村秀吉が一生懸命に活動して、大蔵省のいろいろな高官等と遊興等をやつたというようなことが書かれておるのですが、そういう事実があつたかどうかをお聞かせ願いたいと思います。
  37. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 田村さんという人は、戰争中でございましたか、たしか大蔵政務次官をやつておられたことは事実だと思います。そしてその方が現在弁護士をしておられまして昭電事件の関係で前の主計局長の福田氏が問題になつておりましたので、その弁護を依頼されて、従つてその関係で大蔵省の中から証人を出します関係等で、大蔵省に出入りされたということは事実のように聞いております。  なお次の問題としまして今の手数料の問題でございますが、これも最初たしか一件千五百円でありましたが、少額なものにつきましてなかなかペイしませんので、そういう制度をとつたこともあるのでありますが、ただいまお話通り、昨年すでにそういう制度は多少弊害を伴うというのでやめたということは、前の国会の大蔵委員会で御説明申し上げたと思うのであります。なおただいまの問題については、別にこれはその一不動産会社だけではないので、全体の会社がそういうことになつておるので、ある会社に非常に利益を與えたというものではないのであります。そういう仕組みにして、少額のものの売拂いを促進したということになつておるわけであります。
  38. 竹村奈良一

    ○竹村委員 実はこの問題についてはまだわれわれ納得の行かないものがよけいあるわけであります。まだこのほかに岩国の燃料廠をめぐる拂下げの問題等々ずいぶんあるわけでありますが、そういう点についてこれからやつておると、なかなかこの会期中には解決がつかないと思いますので、ひとつこれは国政調査の面で、特別にこれを調査する小委員会でも本委員会に設けられて綿密な調査をするよう、委員長においておとりはからい願いたい。なぜ私がこういうことを申し上げますかというと、今日国民全部が非常に税金苦で悩んでおつて、しかも差押えされた物件等がそういう面でえさになつてつても困りますし、そのほかに莫大な国有財産というものがむげに拂い下げられて、一部の人々に利益を與えるというようなことがありましては、国民に対してはなはだ相済まぬとわれわれは考えますので、特に大蔵委員会におきまして、国有財産の処分をめぐるいわゆる国政調査としての小委員会の設置をされんことを特にお願いいたしまして、本日はこれで一応私の質問は打切りたいと思います。
  39. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの竹村君の御意見に対しては、理事会に諮つて決定いたします。
  40. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ここに何も書いてありませんが、葉山御用邸の付属地の大きさはどのくらいあるか。それからその付属地の馬匹の繋養とか、馬匹の格納等に使われておつた土地の全部を意味しておるのか。もしくは付属地のうちどのくらいその目的に残されておるか。これをまずお伺いしたい。
  41. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 これは昔馬匹の繋養地として、つまり陛下があちらにおいでになる際に、儀仗隊あたりが向うに参りまして、そこにおられたというようなところだつたようでございます。土地の面積は二千六百坪であります。
  42. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 その全部をこの場合に処理するのですか。その一部分ですか。
  43. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 今の馬匹繋養場としては、これは全部でございます。
  44. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 それが必要がなくなつたというのは、だれがそう認めておるのですか。もしくは必要がなくなつたという理由はどこにあるのですか。
  45. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 ただいまちよつと御説明いたしましたように、当時は非常に御警衛等がやかましかつたものでありますから、向うに儀仗隊等が行つておつたわけでありますが、しかし現在の情勢ではそういうことは必要がなくなつた。皇室の決定をいたされましたのは、一応皇室経済法に基きまして、五月八日の皇室経済会議でそういう議を経られましたので、皇室用財産としては不要になつた。それを今度は普通財産として処理するためには国会議決がいるわけであります。そこでこの議決をお願いしておる次第であります。
  46. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 それでは必要がないということは、皇室経済会議できまつたわけですね。そこでこの必要がなくなつたというのでありますが、それはある他の目的に振り向けるために、必要がないということをきめる必要が起つて来たのであるか。もしくは必要がないということが先であつて、他の目的に振り当てるということになつたのであるか。その点をはつきりしておいていただきたい。
  47. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 これは別に他の理由は全然ございません。必要がなくなつたということが先にきまつて、こういうことになつたのであります。
  48. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 もう必要がなくなつたということがきまつて、あとはどういう目的に使うというのでありますか。
  49. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 先ほどちよつと申し上げましたように、ただいま関係方面でこれを接收しておりまして、住宅管理事務所等に使つております。さしあたりは、向うで使つておりますので、ちよつとどうも手のつけようがないという状態であるわけであります。
  50. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 その説明によりますと、まずわきに使つておつた。それが出発点で、必要ないという結論になつた、こういうふうにとれますが、いかがですか。
  51. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 今のお話の点は、なるほど考えようによつてはそういうことも言えるかと思うのでありますが、実際上は、その前にも大体今の関係方面の事務所に使つておりましたのと、とにかく最初申し上げましたように、この使用目的がそういうふうに儀仗隊等の馬匹繁養場でございますので、前からあるいは必要がなかつた。それでむしろ早く手続をすべきであつたのが、多少遅れておつたというような関係になるのではないかと思うのであります。
  52. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 そのほかの目的に使つてつたのはいつごろからですか。
  53. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 このPDの出ました日は今年の四月四日になつております。それから皇室経済会議の議は、これで見ますと、五月八日になつておりますので、PDの出た方が多少早いように見えるのです。その点はわれわれの方ではちよつと内容のこまかいところまでは聞いておりません。
  54. 小山長規

    ○小山委員 他に質問もないようでございますから、ただいま議題になつております、国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決を求めるの件につきましては、討論を省略し、ただちに採決に入られんことを望みます。
  55. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 小山君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議なしと認めて、本件については質疑を打切り、討論を省略し、ただちに採決いたします。  本件については政府提出のごとく可決すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  57. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立総員。よつて本件は政府提出のごとく可決すべきものと決しました。  なお報告書その他の件については委員長に御一任願います。     —————————————
  58. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に金融問題に関する件を続行いたします。
  59. 小山長規

    ○小山委員 それでは日銀総裁がお見えになつておりますのでお伺いしたいのであります。金融機関の合理化という言葉は、政府もこれを使つておりますが、同時に日本銀行でも金融機関の合理化ということをお使いになつておる。この金融機関の合理化というのはどういうお積りか。その内容については、どういうふうなことを意味しておつしやつているのか。まずそれからひとつお伺いしておきたいと思います。
  60. 二見貴知雄

    二見参考人 お答えいたします。金融機関の合理化という言葉で使つております内容は、金融機関の店舗が多過ぎる場合、あるいは片寄つておるような場合、これを適当に配置転換するというような意味合い、それからまた金融機関の経費等につきまして冗費を省き、その他経費の用途についてよく審査をいたしまして、いわゆる産業の合理化と同じように、金融機関につきましても経費面で十分の検討をしてむだを省く。さようなことによりまして、また金利の面にも響いて参ります。経費の節約だけが響いて来るわけではありませんけれども、その他の諸條件によりまして、銀行としての資金コストというものを安くすることができます。それによつて産業の金利負担というものが軽減される。ただいまの日本のように、輸出産業と輸出貿易の伸張ということが非常に必要な場合に、一挙には参りませんが、金利をできるだけ国際水準に近寄らせて行くことが、ぜひとも必要であります。そういうこともいわゆる合理化の一つ。その他いろいろある思いますが、そういう意味で使つておるわけでございます。
  61. 小山長規

    ○小山委員 そこでお伺いするのでありますが、金融機関の合理化というときには、ただいまおつしやつたような意味合いで日本銀行もお使いになつておる。ところが、われわれが二十五年度予算に見ますところの日本銀行の経費——三十九億とたしか書いてあると思いますが、三十九億の経費内容についてわれわれは非常な疑問を持つのであります。と申しますのは、これは国家立場から申しますと、納付金が少な過ぎるとわれわれは思つております。この日本銀行の三十九億というものは、一般の金融機関に合理化ということを日本銀行もおつしやる以上は、日本銀行としても合理化したところの最後の数字であろうと思うのでありますが、その点については御確信がございますか。
  62. 二見貴知雄

    二見参考人 ただいまお尋ねの日本銀行の経費の点でございますが、これは申すまでもなく、十分の審査によりまして、先ほど申し上げたような意味の合理化をはかつて、そうして経費予算につきましては非常に詳しいものを政府に提出いたしまして、政府の事前承認を受け、その後検査院の検査も受けますし、すべて政府の監督を十分に受けて実行しております。従いましてただいまのお尋ねのような点は十分注意をしてやつておるのであります。
  63. 小山長規

    ○小山委員 銀行局長に伺いますが、日本銀行の経費の使い方につきましては、これで非常に合理化された使い方であるとお考えになつていらつしやいますか。
  64. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 経費予算につきましては、事前に大蔵省に相談せられるのでありまして、細目をよく検討しておるのであります。合理化されておるということを認めた上これを承認するのであります。
  65. 小山長規

    ○小山委員 銀行局長はそういうふうに仰せになるのでありますが、うわさによりますと、日本銀行は一つの店舗をつくるのに、それを経費で落しているという話であります。それから社員に対して一人頭十万円あるいは二十万円という社宅をつくつているということを聞いております。これははたして合理化でありましようか。
  66. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 営繕費を経費で落すことは最近改めたと記憶しております。それから社宅等の建設につきまして、非常にぜいたくではないかという御質問でございますが、これはどの官庁、会社でも同じでありますが、転任等の必要に備えまして、必要限度の社宅を建てることは認めておる次第であります。
  67. 小山長規

    ○小山委員 一般の金融機関に対してけ相当嚴重な経費を要求されておりながら、日本銀行に対して特に寛大な処置をされていることが、われわれは承知できないのであります。この問題はここで論議をしておりますとたいへん長くなりますので、大体私は一般的にそういうことを質問しておきまして、あと国会の大蔵委員会の権威にかけて、この問題をひとつ徹底的に調査していただきたいと思います。特に委員長にお願いいたします。
  68. 有田二郎

    有田(二)委員 銀行局長はたしか日銀の監督官か、監理官か、そういう立場にあられると思うのでありますが、どうも大蔵省は日銀に頭が上らない。伝うるところによると、大蔵大臣日銀のローマ法皇と称せられる一万田総裁に頭が上らないと言われておる。ところが日銀の監督は銀行局長がしておる。頭が上らないはずはないのでありますが、一般にそう言うのです。そして私が先般来日銀の資料を請求してもなかなか出そうとしない。先般私が通商産業委員をしておりましたときにも、通商産業委員会におきまして、一万田総裁なり、二宮副総裁の收入の点について私は質問をした。たとえば新聞では日銀総裁は月給は六十九万円、副総裁が月給五十万円、こういうように報ぜられておるが、月給にしては多過ぎるし、年俸にしては少な過ぎる。われわれはこういう感を抱くのでありますが、この質問をしたときに、銀行局長はいずれ書面をもつて答弁をすると言い、また副総裁もその点で明言を避けられておる。私は国民の前に明らかにした方がよいと思う。日銀のローマ法王と称せられているところの一万田総裁の月給は非常に少い、六十九万円ももらつていないのだということを明らかにした方が、かえつて国家のためにもよいのじやないか。また日銀のためにもよいのじやないか。そういうことを発表しないでおるということは、旧憲法下においてはそういうことはできますが、新憲法下においては国会は最高の機関であります。従つて国会において要求された事項については、これを答弁しなければならない義務がある。しかも私が通産委員をしておりました当時において、それを提出するというお話であつたから、きよう通産委員会委員長に聞いてみたら、まだ委員長はその報告に接していないという情報でありましたし、ここでひとつ銀行局長から日銀総裁、副総裁の收入を御存じのところだけ説明していただきたいと思います。
  69. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 日銀の経理内容につきましては、納付金の算出の基礎ともなるべきものでありますから、国会で十分の御審議を願うべきものであることは少しも異論はございません。そこで現に決算委員会あたりでもいろいろの御質問があつたのでございますが、その都度資料について御説明申し上げているわけであります。従つて日銀の幹部の報酬というようなことについても、これは申し上げる機会と場所によりましては、いささかもこれを申し上げることを拒否するものではございません。ただ今日は当事者も前におられますので、こういう機会に申し上げるのはいかがかと思いますので、本日はお許しを願いたいと思います。
  70. 有田二郎

    有田(二)委員 そんなごまかしでなくはつきりおつしやつたらどうですか。大蔵委員会がその場所でないとおつしやるなら別だけれども、大蔵委員会は大蔵省を監督する立場におる。本委員会おいて本人が前にいようと、たとえばわれわれの月給が二万八千八百円ということは国民の前にはつきりしている。代議士の二万八千八百円の月給は言つてもよいが、日銀総裁、副総裁の月給は言えない。そんなりくつは成立たない。われわれの歳費が二万八千八百円というのは国民あまねく知つておることである。もちろんわれわれと違つて、こういう銀行業務に携わつておられるのだから、われわれよりもよけいとつてつても異議はない。しかし月給が六十九万円とか、月給五十万円ということが新聞紙に報道されておる限り、われれれは国民の代表者として納得できない。しかも通産委員会で同じことを言つて逃げられて、大蔵委員会でもそういうことをおつしやつて逃げられておる。そういうようなところから、ますます私は日銀を大いに洗つてみて、本委員会日銀調査特別小委員会というような小委員会をこしらえて、徹底的に経費その他についても聞く必要がある。たとえば損失金についても、二十四年度の上半期において資産償却が二十五億六千万円、下半期においては八億一千万円、これらは相当差額がありますし、これらの使途についても今度は十分な資料を頂戴して検討したい。さらに二十五年度の予算において、日本銀行の資産内容堅実化のためにする内部保留金が七億五千八百万円、大体日本銀行はその内容が堅実なはずであるが、その資産内容をさらに堅実にするために七億五千八百万円のものを用意しておく意味も、私ははつきわからないのでありますが、とにかく日銀については委員長におかれても本国会終了後、ただちにひとつ本委員会から委員を派遣されて、調査されることを望みたいが、銀行局長あるいは大蔵大臣でもけつこうでありますから、われわれ国民の納得し得るようにひとつその点を承りたい。ところが相かわらず銀行局長の方ではこれをなるべく発表しないと言われる。これに対して委員長の御所見をひとつ承りたい。
  71. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 有田君の御質問に対しては、これはどこまでも日銀としての性格上から、十分に経理面においてただすべきところはただすべきである、こういう考えではおりますが、ただいわゆる私どもは検察官でもないわけですから、程度の問題でありますので、国会議員としてでき得る限りの範囲内において適当に処置いたしたい、こう考えております。
  72. 有田二郎

    有田(二)委員 二宮さん、どうですか。この前通産委員会でお尋ねして御答弁がなかつたのですが、あなたの月給が幾らということをここでひとつおつしやつていただいた方が国民の前に明らかになつてよいのじやないでしようか。
  73. 西村直己

    ○西村(直)委員 この問題につきましては、有田委員の言われることはもちろん当然であるとは思いますが、しかし他にも同じような問題もありますので、金融制度あるいは状況についての小委員会等をなるべく早い機会につくられて、その機会に詳細にひとつ——先ほど銀行局の言葉もありました通り、時と場所を得て十分お話申し上げたい、こう言つておられますから、そういう方法理事会に諮られて、なお他の問題に移られんことの動議を提出いたします。
  74. 有田二郎

    有田(二)委員 しかしとにかく国民の前にはつきりした方がよい。私はこの前の通産委員会でも質問をし、本委員会でも質問をして、新聞において日銀総裁の月給が六十九万円、副総裁が五十万円、理事は三十五万円、幹事が二十万円、こういうようなことは誤つた発表であろうと私は思つておる。しかしそれに対して釈明がなければ、この新聞の発表の事実を事実として認めざるを得ないわけです。これは事実ですかどうですか。その点について承りたい。
  75. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 今おあげになりました金額が月額であるということは全然事実ではございません。それからこの問題について私は日本銀行の経理内容をとくと御審査願うことについては、いささかの異存もないので、そういう適当な機会には申し上げることでございまして、決して大蔵委員会の御意向を無視しておるのではないということだけを御了承願います。
  76. 有田二郎

    有田(二)委員 それでは銀行局長の御答弁では、新聞発表は誤りであつた、現在日銀総裁一万田氏は月額六十九万円もらつていない、また副総裁も月額五十万円の月給ではない、かように解釈いたしまして、私はいずれ御報告を受けたいと思いますが、こういう問題を隠すということは、かえつて国民のために明朗でないと思います。とにかく他の委員の御希望もあることでありますから、理事会で……。
  77. 西村直己

    ○西村(直)委員 先ほどの私の動議をさらにお諮り願いたいと思います。有田委員の言われる通り、これはわれわれも明確にしていただきたいのでありますが、できるならばさらに小委員会等において詳細にわたつて十分御説明を受けて、われわれの納得の行かないところはさらにこれを追究いたしまして、その結果をさらに本委員会において国民の前にはつきりさせるという方法が一番穏当であろう。ことに事柄は金融とい国民にいろいろな影響を與える面もありますので、有田委員の御趣旨を体しまして、小委員会で扱うという形態を後刻理事会を開いてやつていただきたいという動議を提出いたします。
  78. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 今西村君の動議もありますので、後刻理事会へ諮つて適当な処置をいたしたいと存じます。     —————————————
  79. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ちようど一時になると大蔵大臣も見えることになつておりますので、時間がありませんから、この際ちよつとお諮りいたします。それは閉会中審査に関する件についてでありますが、本委員会におきましては、今会期中国政調査事項として税制金融制度に関する事項を調査して参りましたが、会期も切迫いたしまして、シヤウプ博士の来朝と国際情勢の推移にかんがみまして、閉会中も審査を継続する必要を痛感しているのであります。そこで国会法第四十七條第二項によつて閉会中審査の申出をしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 異議ないと認めます。税制及び金融制度に関する件は、閉会中審査の申出をすることに決定いたしました。  なお閉会中審査事件が付託された場合、その調査のために委員を派遣して実地調査を必要とする事態に備え、委員派遣申請承認の手続等、あらかじめ委員長に御一任を願いたいと存じます。この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議がないようでありまするから、さようおまかせを願います。  さらに閉会中審査の便宜上、税制調査小委員会金融制度調査小委員会の二小委員会を設置いたし、閉会中の審査を進めて参りたいと存じますが、これは閉会中審査事件が本委員会に付託されたあとに設置さるべきものでありますので、小委員及び小委員長の選任につきましては、あらかじめ委員長及び理事に御一任を願いたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないようであります。さよう決定いたしました。     —————————————
  83. 竹村奈良一

    ○竹村委員 農林中央金庫のことについて少しお伺いいたします。先ほどの御説明を承りますと、大体地方におきます農業協同組合において、貯金の拂出しを停止しているところもあろ。しかし結局こういうことはあまり大して重要なことではないので、今度の十二月、一月当時になると自然と解消するものだ、こういうようなお話であります。しかし私の考えますのには、中金の説明のときにもお認めになつたように、現在の農村金詰まりそのものは、いわゆる工業生産品と農業生産品のふつり合い、ともかく原価を割つたところの農産物価ということが原因したところの金詰まりである。こういうように限定されておるわけであります。従つて現在の根本的な農村金詰まりというものは、單なる小手先の融資というだけでは解決されない。これははつきりしていることである。ところがそういうことを承認された上において、なおこの十二月、一月におけるところの農村における金の流入期には、この拂いもどし等の問題もあまり大した問題ではない、こういうふうにおつしやつておられますけれども、私はそうではないかと考えております。これはしかも中小工業の金詰まり等も原因して——大体農業協同組合の拂出しを停止しておるのは、はたして農業協同組合の金というものが農業再生産のために貸されておつたかどうか。この点はおそらく農林中金においては十分御調査されておることだと思いますが、おそらくそういう方面には大して貸し出されてはおらずして、しかも農村における中小工業にその金が使われておる。これは定款のいろいろな問題は別としても、そういう金が使われておる。従つて中小工業に対する金詰まりが解決しない限り、この回收ということなかなか困難ではないか。そうなりますと結局農民自身が零細な金を預金して、それがいろいろ中小工業に使われて、自分たちが拂出しを受けない。これは私農村にとつてはゆゆしき問題ではないかと思うのでありますが、これに対して先ほどから聞いておりますと、農業債券等を発行されて順調に行つておる、こう言つておられますが、こういうような方面に対してどういうような対策をおとりになるか、農林中金の方にひとつお伺いしたいのであります。
  84. 江澤省三

    江澤参考人 今のお話に対しまして御説明申し上げます。私が單位農協支拂い停止等につきまして、これは重大でないと申し上げたのは、ほかの金融機関のごとくすぐ全般的な取付に及ぶ、あるいは金融恐慌に及ぶというような性質のものではまだないという程度に申し上げたので、それが問題としてなかなか大きな問題だということを否定したわけではないのであります。この情勢が続けばもちろん金融上非常に大きな問題として考えなければならぬ、こういうふうに思うのであります。今お話のありましたように、この根本は農村におけるところのコストと製品とのふつり合い、これが是正されない限りなかなか農村金詰まり、あるいはそれを主因といたしました單位農協金詰まりというものは、解決できないと思うのであります、しかしさしあたりの急の問題として取上げて、それがさらに大きな金融上の問題として取上げて、それがさらに大きな金融上の問題として発展するまでにはまたなつていない。と申しますのは農村自体はまだ健全であります。これがだんだんときずが深くなりまして、四百円の借金が四千円になり、さらに四万円になるというようになりますと、これはなかなか重大である。そこまで行かないうちに何とか対策を講じなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。それについて私どもの方も先ほど申しましたように、いろいろ対策を講じているのであります。しかしこれだけではなかなか十分だとは申せません。そこで私は最後に短期資金の問題につきまして、あるいは長期資金の問題につきまして、政府御当局、国会御当局において、この際遅退なく適当な対策を講じていただきたいということを申し上げておきます。どうか御了承いただきたいのであります。
  85. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一点、今度は国民金融公庫の方に聞きたいのでありますが、大体先ほどからの説明を聞いて了承できたのであります。問題はいわゆる政府資金の放出、あるいは貸出金の不足等を通じて、いろいろ問題が起つておることはよく承知したのでありますが、私の聞きたいことは現在のような出張所、あるいは代理店の設置の状況におきましては、都会地の一小部分でしかこの制度を利用することはできない。ところが私の考えておりますところにおいては、もちろん都会地におけるそういう問題も問題でありますけれども、現在に至りますと、たとえば先ほど聞きました農林中金の、いわゆる農協の金の拂出しの停止の問題につきましても、農村における中小工業の金詰まりが大きな原因をしている。従つて農村における中小工業者、つまり農村における家内工業的中小工業、最も国民金融公庫の対象になるような企業、こういうものに対して、農村にはとんとそういう制度を利用する方法がないのでありますが、これに対してどういうような考えを持つておられるか。大蔵大臣は今度二十五年度におきましては、本委員会において、十八億を投入するのだと言明されております。しかしそれをされましても私は不足だと思いますが、それをされて、しかもそれが都会中心に流れますと、これは農村のいわゆる家内工業的中小工業に利用する道はない。これに対してどういうふうに考えておられるか、そういう方面に中心を移す考えがないかどうか、この点をひとつお聞きしたい。
  86. 櫛田光男

    櫛田参考人 お尋ねの通りでありまして、ただいまのところ店の所在地の関係、人手の関係、それからお願いいたしております代理店が無盡会社並びに市街地信用組合、新しく信用協同組合、これが例の市街地、準市街地というところにあります結果といたしまして、農村の方には実質上どうしても手がまわり切れない。都会の近傍の農村でありますれば、お伺いしまして、またお越しを願いまして御相談に乗ることができるのでありますが、何せ先ほど申しましたように、何万件、何十億、百億を越すような需要が、やはり都市中心だけをとりましてそうなるので、それを全国的に農村のすみずみにまで参りますといかほどになりますか。人手の関係その他からいたしまして残念でありますが、そこまで手がまわりかねる。今後の対策はどうするかということでありますが、こういうことは私どもでも今つとめてやつておりますが、たとえば一軒の申込みがございましたときに、そこまで私どもの方から出かけまして一両日を費やしてやるということは不可能であります。しかし地方々々によりましては、十軒なり二十軒なりあるいは相当のものが集まりますれば、便宜上私の方から参りまして、一括して御相談に応ずるというふうな方法をできるだけとりたいと存じて、今年に入りましてからも相当実行して参りました。それにいたしましても、現状ではすみずみまでということはとてもできない状態にありますので、むしろ私の考えでは、農村における工業の方面は、地域的な関係からいたしまして、あるいは地方的な別の機関があつた方がよいのではないか。府県等の地方財政関係もあるかと思いますが、そういつたことも一つの補完的な問題として考えられるのではないか、かように感じております。
  87. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  88. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより休憩前に引続いて会議を開きます。  委員長より大蔵大臣日銀総裁にお伺いしたいのであります。当委員会は、数日来金融問題について愼重審議を重ねております。現下の経済情勢は、ある一部ではいわゆる特殊需要と申しまして、非常に好景気のようなことがうたわれております。また一面においては、農村漁村中小企業方面では、極端な金詰まりのために、おそらくこの八月、九月ごろの地方税の徴收時期に際して、非常な国民の苦しい事態が来るのじやないだろうか、こういうことを私どもは考えておるのであります。そこでこの特殊需要という朝鮮問題にからんで突発した経済情勢と、一面各地方経済情勢に対して、政府はどのような処置をおとりになるお考えを持つておられるか、まずこれをお伺いいたしたいのであります。
  89. 池田勇人

    ○池田国務大臣 朝鮮事変の勃発以来、わが国の産業、経済金融にある程度影響を與えておることは事実でございます。しかしこれが今後の見通し、また今まで與えた影響におきましても区々でございまして、つまびらかに各方面のことを今調査中でございますので、これに対してどういう策をとるかという問題になりますと、具体的の問題として、かなりやつかいなのであります。朝鮮事変が起きましてからの状況を申し上げますと、ストツクがある程度なくなつて参つております。たとえばトラツク、自動車の相当数量のストツクが全部なくなつた。またセメントも相当需要があるのであります。また非鉄金属その他につきましても、相当の値上りをいたしております。この値上りの状況を見ましても、日本だけの事情で行つておるのではありません。アメリカの市場とマツチして行つているようであります。銅におきましては、アメリカと大体つり合つた値上りであるのでありますが、その他のものについて見ると、アメリカ以上に上つているものもあります。また国内におきましても、たとえば鉄の値段にしましても、関東と関西は違つておるという状況で、今突発的のできごとで区々ではありまするが、大体私の見通しとしては、国際物価と申しますか、アメリカの物価高にさや寄せしつつあると思うのであります。アメリカの値上りにつれて行くということは、私は不健全ではないと思う。ただそれ以上に思惑的に上るということにつきましては、これは考えなければならぬと思うのであります。また非鉄金属以外の繊維製品にしましても、物によつては違いますが、原糸は非常に上り、織物はあまり上らない。二、三割程度の上りで区々でありますが、いずれにしても大局からいえば、朝鮮事変が起りまして、物の需要相当ふえて参りました。従いましてストツクがなくなつたり、あるいは生産過程に移ります関係上、原料品を外国から輸入しているわが国としては、手当をして不当な物価の値上りを押えなければならぬと思うのであります。またその関係以外の労務者につきましても、かなり雇われておるようでありまするが、全体の失業問題にひどい影響がある程度には至つておりません。こういう関係で朝鮮事変に対しまする金融措置につきましては、常に注意を怠らず、これに対処して行く考えでおります。  なおお話農村あるいは中小企業の方々が、金詰まりで非常に困つておることは御説の通りでありまするが、これはインフレから安定に行きますときは、金詰まりというのは避けがたい一つの関所になるのであります。これをできるだけ何とか円滑にしようとして努力しているのでありますが、今年度はいろいろな関係からいたしまして、第一・四半期は三百四億円の引上げ超過、これを緩和するために日銀から相当の貸出しをいたしておるのでありますが、七月に入りまして政府資金の散布は予定以上に参りました。私は見返り資金から二百億円債務償還いたしまして、大体散布超過二百億円を計画いたしておりましたけれども見返り資金の二百億円の債務償還は行わないでも、一昨日現在で二百三十数億円の散布超過になつておるのであります。従いまして日本銀行の貸出しも千百五、六十億円、一時よりも三百億ばかり貸出しが最高のときよりも減つて参つております。これは散布超過関係であると思うのであります。預金もある程度集まりまして、七月は四、五、六に比べまして金融的に割に円滑に行つておると思うのであります。従いまして昨年の七月中の通貨の平均額よりも、今年の七月は大体二百億近くの銀行券の増発になつておるのであります。二百億で十分かどうかということは問題があるのでありますが、私はそう金詰まりがどんどんきつくなつて行くというふうには考えておりません。今後特需関係その他におきましてある程度資金の動きが活発になる。そうして一部にはインフレを懸念する向きもありますが、そういうところまでは私は行かぬと思います。また行かしてはならないのであります。適当に金融政策をやつて行く。そうして納期を地方税、国税等の関係で調節して行けば、そう大してひどい金詰まりにはならずに済むのではないか。八月、九月は例年ならば引上げ超過になるのであります。これは所得税その他の納期になつておりますので、引上げ超過に相なりますが、これまた政府支拂いを十分やつてつて、そうしてできるだけ金詰まりを緩和しよう、こう考えております。
  90. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいま大蔵大臣の御答弁によつて——どもは、実際に国内の各事情を調査いたしまして、中小企業農漁村、こうした国民大衆の経済面は非常に窮迫しておると考えております。先ほど申し上げましたように、その一面には特需の関係の方は非常に好景気である。ここに国民経済のいわゆるちぐはぐができておるのであつて、毎日各農村方面から陳情に参ります者が、秋の收穫の米をいわゆる見返り担保というようなことにして、何とか今急場を助けてくれぬかという陳情が殺到して来ておるのであります。しかしこれに対しても農中の方では受入れ態勢はできていない、こういうふうなことでこれを拒否しておるような関係になつておるのであります。そうした関係は明治時代にあつたあの農村の娘の身売り問題が、大きな問題として取上げられたことがありますが、いわゆる主要都市の経済状態、特に今度のような特殊の面から非常に景気が勃興した。その下積みとなつて犠牲となておるのは、やはり農村である。ただこれは明治時代の経済のあり方が、ちようど紡績工場に娘を身売りさしたという悲慘なあり方があつたのであつてちようどそうしたような事態になりはせぬのかということを、私どもは憂慮しておるのであります。そのために政治は少くとも国内経済を平等に持つて行かなければならぬじやないか。特にこの朝鮮問題を契機として、何かしら国内の思想問題等も相当深く考えなければならぬのであつて、やはり国民大衆の経済をただこのままにしておくということは、これははなはだ危險千万なことである。いまさらここに憲法の解釈等を私が申し上げるのもどうかと思いますけれども、憲法上においても第十四條に「すべて国民は、法の下に平等であつて、」特に「政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」、なお憲法の第十三條においても、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」、こういうことが明記されておりますので、私は憲法の解釈から行つても、この際政府は政策的にもこの不平等な経済のあり方を是正すべきである。こう考えるのであります。それがこうした経済のはなはだ不平等な場合に、政府がどういう処置をおとりになるかということで、先ほどお尋ねしたわけであります。これは急速に何らかの方法をもつて始末をしなければならぬ。これは私見でありますけれどもインフレ下という話もありますが、一方はインフレ下のことであり、一方は極端な金詰まりである。しからばこれをどうして是正するかということになりますと、見返り資金とかあるいは預金部資金というような資金を、できるだけ急速に政府の方から民間に還元をして、長期資金として国民大衆の経済を充実して、生産力の増強をはかることによつて、このインフレがもしありとすれば、これを防止することができるのじやないか、こう私は考えておるのであります。これが現在においての不平等な経済のあり方を是正するために、最も必要な措置であると私は考えておりますが、これに対して大蔵大臣日銀総裁の御所見を承りたいのであります。
  91. 池田勇人

    ○池田国務大臣 経済の不平等の内容に、あらゆる施策を講じておるのであります。中小企業はもちろんのこと、農民の方にもできるだけの金融の円滑をはかつておるのであります。農業手形制度等はこれでございまして、産業資金につきましては、できるだけまわるような努力をいたしておるのであります。預金部資金見返り資金の運用につきましては、たびたび本議場におきましても問題になつておるのでありますが、これが有効適切にまたできるだけ早く出るような方法を今考えて、関係方面と話をいたしておる状況であるのであります。
  92. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 ただいまの委員長の御質問の要旨は、朝鮮事変が起つてから一部好影響を受ける産業と、今日の中小企業農村金融との関係、こういうように私は了解いたしました。特に今日農村金融相当お困りになつておることはよく承知しております。それで私どもとしては、今回幸い見返り資金で農中の優先株二十億円を引受けましたので、これに基いて農中債券発行し、長期資金調達することといたしました。それで金融界を動員しまして、債券は幸い応募がよろしゆうございまして、発行はすべて満額になり、今後もずつと発行して行く。その他漁業金融等もなかなか困難でありますから、できるだけ金融関係をつけて行くつもりであります。同時に私どもとして金融を考えます場合に、農政の確立ということが金融ときわめて深い関係を持つ大切なことと思うのであります。たとえば有畜農業というようなことも言われておるが、有畜農業の具体的政策がどうなつているか。あるいはまた増産ということが叫ばれておるが、いわゆる地質の改良についての施策はどうか。そういうはつきりした農政の基本の上に立つて、通常の金融に乗せて行こうというのであります。そういうふうな点がはつきりして来れば、それに所要する必要な資金を出すのはやぶさかでないし、十分私は道がつくと思う、こういうことです。質疑応答をはずれますけれども金融をするためには、やはり金融がつけられる経済機構というものの確立が必要である思います。
  93. 小山長規

    ○小山委員 関連して、大蔵大臣にちよつとお伺いいたします。朝鮮事変が起りまして、ある一部にはインフレ的な要素が起つておる。そしてまた片方においては中小企業は非常なる苦境にある。あるいは農村が非常な苦境にある。これは要するに農村あるいは中小企業に利潤がないということでありますので、いかにしてこれらの農村あるいは中小企業に利潤が出るような政策をもつて行くかということの方が主でありまして、あながちこれは、金融の問題とま正面からぶつかつて行く問題ではなかろうと思うのでありますが、現在その面におきまして、中小企業なりあるいは農村なり、これらの朝鮮事変と関係のない人たち、これに対しては確かに金融の面は非常な梗塞を受けておるということは、これはもう事実であります。そこで最近これは新聞で発表せられ、政府当局にも若干質問しましたところが、だんだん明らかになつて来たのでありますが、見返り資金三百億を使いまして、一般市中銀行の増資に充てたらどうかというサゼスチヨンが関係筋からあつた、こういうことであります。これはわれわれとしては四百何十億の見返り資金政府に滯留しておるということが、一つの金融圧迫の原因でもありますので、この点については非常な賛意を表するのでありますけれども、その方法論としてこれを考えてみました場合に、非常な欠陷が出て来ることが、実は最近わかつたのであります。それは何かと申しますと、一般の市中金融機関の場合には、興業銀行や勧業銀行などと違いまして、例の債券発行等に関する法律によりまして、相当程度の増資をしましても、それにかりに債券発行するということが認められているとしましても、なお債券発行の余力がほとんどない。こういう実情に、ことに大銀行の場合にはあるのであります。そうしますと、見返り資金でこれらの銀行の増資株を引受けました場合に、これはむろん優先株になるでありましようが、その優先株を七分五厘の利息にするとかりに仮定しますと、これは非常な高金利になつて参ります。ごく概略を申し上げますと、七分五厘の優先の配当をするためには、三五%の法人税、それに一二%の事業税、それからさらに貸倒れ準備金として二%の準備金を見込みますと、四九%の税あるいは留保を見込んでおかないと、七分五厘の配当はできない。ということはこれを裏返しますと、見返り資金を増資株としてやつた場合には、この見返り資金は一割五分の高金利にまわして行かないと七分五厘の優先配当はできない、こういうことになります。一割五分ということは、日歩にして約四銭であります。四銭の利息でまかなわないと、七分五厘の優先配当はできない。こういうことになりましたあかつきには、せつかくわれわれが金利の引下げ引下げといつておりますときに、実は一般の預金を対象にするところの貸出しの金利引下げもできなくなつてしまうわけでありますからして、この私の仮定があるいは間違つておれば別でありますが、七分五厘の優先株でもつて増資しなければならぬという前提のもとにおいては、私はこれは方法論としては非常に誤まつていやしないか、こう思うのであります。  第二点としましては、優先株でもつてやりますときに、非常な支障が起ります点は、かりに優先株の発行によつて債券発行させようという趣旨であると、それは債券発行等に関する法律に基いてやるのであるといたしますならば、各中央銀行あるいは地方銀行も、すべてこの増資によつて仕事をやつておる。こういうことになりましたあかつきに、それらの銀行先ほど申しましたようなことで、発行余力があるところは必ず債券発行して行かなければ金利が高くなりますので、金利引下げの條件としてでも債券発行して行かなければならない。そういたしますと、現在の農林中金あるいは商工銀行、勧銀、興銀等の債券は、これらの地方銀行が引受けて初めて債券は売れておるのでありますが、これらの特殊銀行債券が売れなくなつてしまいはしないか。これらの債券が売れなくなれば、いわゆる長期資金の供給源がなくなつてしまいはしないか。これらが第二の心配の種であります。  第三の心配の種といたしましては、これは商法の改正によつて起つた事態でありますが、銀行等の債券発行等に関する法律によりますと、政府見返り資金でもつて銀行の増資に向う場合には、議決権のない株式を取得する、こういうことになつております。ところが商法によりますと、議決権のない株式といえども優先配当ができないという事態が参りましたあかつきには、たちまち議決権が復活して来る、こういう規定が商法に載つております。それでこれは銀行局長の説明によると、片方は特別法であり、片方は一般法であるから、特別法であるところの銀行等の債券発行等に関する法律の方が優先して、この議決権復活の心配はないという説明でありますけれども、これは私はそうではないと思う。特にこれは法律論が非常にこまかいことになりますが、議決権が復活するという條文を見ますと、第二項において債券等の発行に関する法律のある條項を排除いたしております。そういたしますと、第一項の議決権が復活するという條項の方は、やはり債券等の発行に関する法律をも訂正するものである、こういうふうに見なければならない。そういうふうなことでありますからして、議決権のない株式であると思つてつたのに、あにはからんや議決権が復活する、こういうような状態になつて参りますと、銀行はそのような事態の場合には、政府の監督下に置かれるということになつて参ります。わが党が天下をとつておる間は、あるいはこのような心配はないかもわかりませんけれども銀行国家管理を主張するような政党が天下をとつた場合には、たちまち銀行国家管理に移つて来る危險性がある。こういう意味でも議決権のない株式を政府が持つということも、また非常にむずかしい問題であると思います。そこでさらに政府議決権のない株式といえども持ちますと、会計検査院規則によりまして、会計検査院が検査をしなければならないということになつて参ります。こういう意味でもあるいは市中金融機関では、これらの増資を希望しないというような事態も起りはしないだろうか、こういうような今までの情勢を考えてみますと、金融機関に対して見返り資金から金を流すということについては、双手をあげて賛成するのでありますけれども方法論としていかがであろうか、こういうふうに思いますので、この点についての大蔵大臣の御所見を伺つてみたいと思うのであります。
  94. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先般の見返り資金から市中銀行への優先株引受けの方針によりますと、行き方が載つてつたのでありますが、あれはまだ確定いたしておりません。ただ考え方といたしましては、御承知通り輸出金融金庫法が、ただいまのところ御審議願う段階に立至らなかつた場合におきましては、ああいうふうな方法を講じて見返り資金を流した方が便利がいいのではないか、こう考えておるのであります。ただいま私はまだこの分は折衝に入つておりませんが、今年度プラント輸出相当するもの、あるいはそれに見合う程度長期輸出は、大体百億から百二十億ぐらいあるのじやないかと思う。しかるところ一応百億といたしまして六〇%くらいは見返り資金から出し、四〇%を市中銀行の方から出すという共同融資の方法で、輸出金融金庫法を御審議願うまでのつなぎにやつて行きたい。また見返り資金の金の溜つておる状況から見まして、私は大体勧銀、興銀すなわち五十二億円を出した銀行以外の銀行が百四十億くらいの出資になつておりまするから、この拂い込み資本金程度見返り資金から融資をやる。そして金融の円滑をはかつたらどうかという考えをもつておるのであります。これはこれからの折衝の問題になるのでありますが、出資した場合において、七分五厘の今までのような利子でよいかという問題になつて参ります。しかしただいまおおむねの銀行は八分の配当を予想いたしておるのであります。また中に困難な点は幾分あるかもしれませんが、八分の配当をしております場合におきましては、七分五厘くらいが適当ではないか、しかしまだ銀行状況を見まして何も七分五厘に釘づけたわけではない。こういう金はできるだけ安いに越したことはないので、最高が七分五厘かそれ以下くらいでやりたいという考えをもつております。しかもこの見返り資金からの融資は、原則として向うの申入れがあつたとき出すのであつて、これはただ持てというふうな気持は毛頭ございません。しかもまた出資を見返り資金からいたしました場合に、債券発行の問題でございまするが、御承知通り今の特殊の五つの銀行を除いた百四十億ばかりの出資銀行は、総計いたしまして八千億近い頭金を持つておるのでありますから、あの法律からいたしましても、ほとんど債券発行の余地はないと思います。ただいまこの金によつて出資します場合の普通銀行債券発行は予定いたしておりません。従いまして御心配の第二の点の債券が売れなければならない、売れないじやないかということは、これで解消して行くと思うのであります。  第三の議決権の問題でございますが、私は特別法として銀行局長が答えたような考えを持つておるのであります。これは後ほど検討いたしまするが、いずれにいたしましても大体優先株配当はみなできることを前提にいたしておりますので、ただいまのところ心配はないと思います。しかし配当のない場合の議決権の復活の問題につきまして、一応特別法との関係は、ただいまのところ銀行局長の答弁の通りでいいと思いますが、もう一度検討を加えてみたいと思います。
  95. 小山長規

    ○小山委員 ただいまのことでよくわかつたのでありますが、ただ大蔵大臣が少し誤解しておられるように思うのは、現在八分の配当ができるのは、資本金の三十倍ないし四十倍の預金があるからやつて行けますが、増資の点でそのものをやつて行く場合には、理論上私申し上げたように、一割五分にまわさない限り七分五厘の配当はできない。これは計算すればすぐわかることでありますから、その点聞違いのないように願います。  ただいまおつしやいました輸出金融金庫法が提案されないという事態に立至つたというかわりとして、協調融資という方法でプラント輸出金融を見るというお話でありますが、これは大体その方向に向つているものと承知いたしてよろしゆうございますか、
  96. 池田勇人

    ○池田国務大臣 配当の七分五厘の問題は銀行自体においていろいろ検討が加えられると思います。  それから協調融資の問題は、ただいま私の腹案でございまして、輸出金融金庫のできない場合におきましては、そういうふうな手を打つてあの手この手で見返り資金を早く出そう。その方法としてはそういうふうな今申し上げたような方法がいいのではないか、こういう考え方を持つておるのであります。この点は今後折衝いたしたいと思います。
  97. 有田二郎

    有田(二)委員 国民金融公庫について大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、補正予算に増資あるいは貸付資金をお組みになるか、お組みにならないか。
  98. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御承知通りただいま三十億円程度の金を融資しておるのであります。十二億円の今年度の出資はほとんど使つてしまいました。できるだけ早い機会に補正予算を組みまして出資をするとか、あるいはまた国民金融公庫法を改正いたしまして、借入れの制度を認める等、とにかく庶民階級の金融にいま少し力を入れたいという考えで進んでおります。
  99. 有田二郎

    有田(二)委員 ただいま国民金融公庫櫛田理事長から、本年八月で二億円より手持資金がなくなるから、何とかしてもらいたいという申出がありましたので、この点ひとつ特に大臣の御高配を願いたい。  日銀総裁にお伺いいたしたいことは、よく市中銀行で貸付のわくがないということを私どもは聞くのでありますが、一体こういう貸付のわくというものがあるのかないのかお伺いしたい。
  100. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 よくそういう話を聞きますが、そういうものは絶対にないのであります。私の立場は日本の経済上必要なる資金は出すべし、必要でないと見られる貸金は出さないというだけの問題で、金本位制度のもとにおきますと、金というものの動きを通じ自然に調整ができるのでありますが、今日の管理通貨ではそれができません。それで私の考えはやはり経済の自主性というものを金融面に生かして、取引の上で自然に必要な資金が出て行く、こういうふうに持つて行くわけです。取引は今日の経済の制度では大体手形によつてやる。日本銀行が手形割引というものを大いに尊重して手形の再割引もするし、ものによつては担保にとる。そうしてその手形が期日に落ちる限りにおいてはとつて上げる、こういう態度であります。ところがその手形が期日が来ても落ちない。中央銀行としてはこれらの手形は兌換券の準備に充てるものですから、期日に落ちぬような手形はとれない。日本銀行券というものは、みなが働いてその労力の代償である所得として受取るものでありますから、その価値を下げるということは、そういう方々の犠牲ということになるのであります。貨幣価値を維持する上から、期日が来ても落ちないような手形まで何でもかんでも日本銀行がとるということは、国民経済全体を維持する上からできない。手形が落ちるか落ちないかは、国民経済が円滑に循環しているかどうかを示すと考えられる。経済の動きに伴う妥当な資金は出すという態度であります。従つてそういうわくというものはありません。
  101. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は前国会において北海道拓殖、興業銀行、勧業銀行の特別法を廃止しまして一般銀行にした。そうすることにおいて長期資金というものは一般銀行において債券発行によつてまかなえ、こういうことになつておるようですが、実際地方銀行におきましても、この債券発行はとうてい不可能でありまして、地方銀行に、農業協同組合なりあるいは漁業協同組合、水産協同組合などに借りに行つても、長期資金をまかなう金がないからといつてなかなか長期資金を貸さぬ。また債券発行は許されたけれども債券発行ができていないから貸さぬ、こういうことをいつて皆拒否しておる。しかし昨年の暮れに、これは日銀の政策委員会でも問題になつたようでもありますし、また銀行協会の会合の席上でも、不動産銀行廃止するということに反対の意向を持つておられた委員の方も大分おつたようでありますが、今までこの金融関係について市中銀行に参りましても、君のところは今まで取引がなかつたから貸さないのだといつて拒否されておる。しかし今までの不動産金融状態を見ますと、大体担保貸しが十分であればどんどん貸しておつたようであります。ところが現在に至つては、君のところは取引がないからといつて拒否されておりますから、当然なことで参つてしまうのでありますが、農地調整法が制定されてから、農民の田畑をある程度提供することもできない。しかしごく最近ではたんぼの耕作権を売却して、それでしのいでおるような状態であります。そこで何とか不動産銀行をもう一回設立していただきたい、あるいは銀行協会の連合のものでも設立していただきたい、こういうわれわれの考えでありますが、銀行局あるいは大蔵大臣において、こういう不動産銀行をもう一度再建するお考えがありますかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  102. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そういう議論は前から聞いておるのであります。従いましてこれが対策といたしまして、勧業銀行とかあるいは農林中金の長期発行を考えておるのであります。ただいまはこれで行きたいと思つております。
  103. 高田富之

    ○高田(富)委員 先ほど委員長の御質問がありまして、特需関係と農山漁村その他の平和産業方面との景気の上で、非常にアンバランスが出て来るという問題が、非常に大きな問題になつておるということでありましたが、まつたくその通りだと思うのでありまして、先般うわさによりますと日本鉱業会社では、非鉄金属の値上りで十五億円くらい値上り利益があるというようなことも聞いておりますし、また二、三日前の日本経済新聞でも、特需を見込んで四倍の値段での売込みということが云々せられておるのであります。こういうふうに、現実にすでに軍需景気が非常に片寄つた形で起りつつあるわけです。これに対しまして一方金融方面では、ただいまいろいろ御説明がありましたように、特需関係金融では何とかしよう、あるいは見返り金を何とかしようというような、いろいろ要望も強いわけです。ところがその他の方面につきましては、先ほど来各特殊銀行の説明がありましたけれども、ほとんど需要の数分の一にも満たないような供給しかできないというような状態で、特に八、九月ごろ予想されます税金その他の関係からの非常な金詰まりを考えますと、これは一層はなはだしくなると考えられるのであります。ところでこれに対する対策でありますが、きようの新聞を見ますと、通産省の意向で特需向けの工場、会社等に関しては、税金を免除したらどうかというようなことも言われておるやに聞いておるのでありますが、そういう考えがあるかないかということをちよつとお伺いしたい。
  104. 池田勇人

    ○池田国務大臣 特需向けの品物を生産しあるいは取扱う会社に対しまして、免税の話は聞いておりません。ありましても私はお断りいたします。
  105. 高田富之

    ○高田(富)委員 それでは逆に軍需景気というようなことで、今申し上げた例にも一、二ありましたように、相当莫大な利益を上げるものが出て来るのでありますが、これに対しまして普通の法人税や所得税だけでは問題にならないのでありますが、何か特別にこれに対して——価格差益金のときでさえもああいうふうにとつたのでありますから、戰時利得税あるいはその他の方法で、これらの利益を特別に税金によりまして吸收するということは、ぜひとも先ほど言つておる不均衡を是正する点においても、絶対必要だと考えるのでありますが、そういうことを考える意思にありませんか。
  106. 池田勇人

    ○池田国務大臣 ただいまのところ考えておりません。
  107. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 もう大蔵大臣は他の委員会に時間の約束がありますので、本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時五十一分散会      ————◇—————